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1960/12/15 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 法務委員会 第3号
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1960/12/15 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 法務委員会 第3号

#1
第037回国会 法務委員会 第3号
昭和三十五年十二月十五日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 池田 清志君
   理事 田中伊三次君 理事 馬場 元治君
   理事 林   博君 理事 牧野 寛索君
   理事 山口六郎次君
      上村千一郎君    岸本 義廣君
      小島 徹三君    山村新治郎君
      田原 春次君    坪野 米男君
      畑   和君    三宅 正一君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
 出席政府委員
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  實君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局事務次長  内藤 頼博君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局人事局長
        長)      守田  直君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一〇号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一一号)
     ――――◇―――――
#2
○池田委員長 これより会議を開きます。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、昨日に引き続き審議を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。林博君。
#3
○林委員 今回の裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案等の提案の理由によりますと、一般の政府職員の例に準じてその給与を改善する措置を講ずるためである、こういう趣旨のようでございますが、さきに行なわれました人事院の勧告によりますと、その勧告別紙第一の報告の中に、「一般職の国家公務員(「一般職の職員の給与に関する法律」の適用を受ける職員)の給与は、最近数年間、全面的な改善が行なわれなかった事情もあって、民間の給与に比して相当低く、またこれを裁判官、検察官あるいは三公社等現業の職員の給与に比しても、同様に相当の較差がある。」こういうことが記載してあるのでありますが、この人事院の勧告に記載してありますうちに、他の部分は問題ないと思うのですが、一般の行政職と裁判官、検察官との間に相当の較差があるというような点を一応問題としまして、これが行政職を上げなければならない一つの理由というか、そのように解せられるように人事院の勧告の中に記載されてあるわけであります。そのほかのいろいろな事情もありまして、行政職の給与を改善するとしますと、今度は逆に行政職の給与は上がったから司法官、検察官の給与もそれに準じて上げるのだ、こういうふうにとれないこともないのでありまして、何か司法官の特別な地位に対して特別な給与体系があるということを人事院勧告ではあるいは無視しておるのではないかというふうにも考えられるのでありますが、一般の行政職と司法官との間になぜこのような差があるのかという点を、もっと国民の目の前にはっきりしていかなければならないというふうに私は考えるのであります。その意味におきまして、これから数点にわたりまして津田政府委員にまずお尋ねいたしたいと思います。
 まず司法試験にパスして修習を終えて司法官になるときの初任給と、人事院の上級国家公務員試験を通って行政官に任官するときの初任給はどの程度のものでありますか、これをお尋ねいたします。
#4
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、まず新給与について申し上げますと、現在行政職俸給表一の適用がある者で上級職試験を通った者、つまり甲種と申しますか、それは、それの七等級の二号に採用されるわけでございまして、これは超過勤務手当の十二%程度を加算した額、大体の実質収入で比較いたしますと、一万四千四百四十八円くらいになるのに対しまして、検事の方はそのときにはまだ司法修習生の段階でありますので、司法試験を合格いたしまして司法修習生に採用されました者の給与額は、ただいまこれについては超過勤務手当もございませんから、要するに本俸に当たるわけでありますが、それが一万六千五百円ということでありまして、約二千円の開きがございます。もっとも今の一万六千五百円というのはまだ確定いたしておりませんが、おそらくその辺にきまるだろうと思うわけです。それから今度は二年たちまして検事に任官いたしました場合には、二万五百円になるわけでございます。ところが行政職の方はそのときには六等級の二号になっておりまして、一万七千八百八円という程度になるわけでございます。これが将来のと申しますか、今度の各給与法律案が通りました場合の比較でございます。これに対しまして、現在におきましては、七等級の二号は一万二千九百九十二円、それに対して司法修習生は一万四千八百円ということでございます。約二千円の開きがございます。また二年たちましたものにつきましては、一般職は一万六千十六円というのに対しまして、検事十九号は一万八千三百円、これは超過勤務手当はございませんから、そのままで現在はそういう比較になっております。これでも約二千円の開きがございます。
#5
○林委員 初任給はわかったのですが、判検事と行政職との間の最高の給与はどういうふうになっておりますか。
#6
○津田政府委員 現在における最高の給与は、行政職におきましては一等級の九号でございまして、八万一千八百円、これに対しまして判事一号、検事一号は八万一千八百円で同額でございます。しかしながら、判事につきましては特号俸というのがございまして、特別の者に対して給する号俸でありますが、それは八万三千九百円であります。ですから判事の特号俸だけが一般行政職にないものであるということになるわけでございます。これも改正案によりますると、判事、検事一号が十万五千五百円に対しまして、行政職一等級は十万五千五百円で同じでございます。それから判事特号俸が十万八千二百円ということでありまして、これは一般行政職にない号俸でございます。
#7
○林委員 最高の額と初任給はわかるわけでありますが、その中間の勤務年限十年を経過したときの判検事の給与額と行政職の場合、それからいま二十五年を経過したときの同様の給与対比、これはどうなっておりますか。
#8
○津田政府委員 ただいまお尋ねの十年、十五年という比較はちょっと今手元に出したものはございませんが、これは行政職におきましては御承知のように課長補佐は何等級、それから課長は何等級、局長は何等級というふうになっておりますので、その各等級の初号になる大体の年数を比較したものかございます。それによりますると、今お尋ねの点に非常に近いところになると思いますが、勤続八年で四等級一号になるわけであります。それは大体課長補佐でありますが、これがこの改正案によりますると超過勤務手当を含めましておよそ三万八百四十円、それに対しましてそのときは検事におきましては検事十三号になっております。これは三万八千八百円ということになっております。これは超過勤務手当はいずれも検事の方はございません。それから続いて勤続十三年で行政職は三等級の一号になります、これは課長級でございます。それは行政職は改正案によりますと四万八千二百五十円、これは管理職手当が二五%つくということになっております。これに対しまして検事は八号になりますので、それは万五百円、これは管理職手当はつきませんので、そのままになっております。それからその次勤続十五年に最も近い勤続十八年で二等級に行政職ではなるわけであります。これは大体局部長でございますが、それが行政職におきましてはやはり管理職手当二五%がつきまして七万二千六百二十五円、これに対しまして検事の方は十八年で六号に昇給して、それは三年目に当たるわけでありますが、それが八万八百円ということになっております。この六号も管理職手当はついておりませんから、このままであります。これが大体将来の比較であります。
#9
○林委員 ただいまの御説明によりしても、十三年になった場合に行政と司法職――検事との間に相当の開きがある。それで一般に司法官の方が行政官よりも非常に給与がいいというようなことを言われておりますし、さしあたり人事院勧告にこれが出ておるわけであります。何ゆえに司法職と行政職との間にこのような差が出てくるのであるかというその理由、それから一般に聞くところによりますと、行政職というのはだんだんピラミッド型に給与というものが上がっていきますが、司法職は初任給と頭だけ押えられておって、中間の給与がふくれ上がっておる、こう言われておるわけであります。それが何か特別な事情によってこうなっておるのであるか、あるいはその職務権限の特殊性上このようになっておるのであるか、その点を御説明願いたい。
#10
○津田政府委員 ただいまのお尋ねにつきまして、御理解を得ますために、先ほどの勤続年数の問題についてちょっと先に触れさせていただきたいと思うのでありますが、先ほど御説明いたしましたように、初任給につきましては、実質給与の差額が大体行政職と司法修習生との間は一四%くらいであります。これに対しまして先ほど申し上げました勤続八年という課長補佐クラスの勤続を持っておる行政職と検事との対比は大体二五%検事の方がいい。それから十三年の課長級につきましては四六%よろしい。ところがこのあたりが最高でございまして、今度は十八年たちまして局部長クラスになますると七万二千円余と八万八百円の比率でございますから一一%二ということになります。それからその次に二十五年に参りますと、一等級の五号といいまして、大体次官クラス、これは検事におきますと四号で三年目になる。これにつきましては、管理職手当が一部ついておる人とついておらぬ人とありますが、その比率は、管理職手当を含めましても、行政職に対しまして検事が八〇%ということで、ここで低くなる。さらに三十四年たちまして、一等級の九号、これは最高でございまして、行政職の最高へ参りますると、行政職が十三万一千八百七十五円というのに対しまして、検事の方は一号の最高でも十二万四千四百九十円ということになりまして、これは九四%、管理職手当のつかない人は八〇%にしかならない、こういうふうに、勤続年数が二十五年前後、ほぼそれより少し前からですが、これは行政職よりも悪くなって参ります。こういうような状態になっておるわけです。
 そこで、この給与につきまして、かような形になっておるということ、しかしながら一般的にいわれるところの、行政官に対し判事、検事の給与がよろしいということは、いかにしてさような制度を打ち立てたかという問題でございますが、これにつきましては、当初当国会におきまして新たに裁判官の報酬等に関する法律、検察官の俸給等に関する法律が制定されまするときの、その法律案の提案趣旨の中にもございますが、大体それに従って申し上げるわけでございますけれども、要するに民主主義国家における司法の職責は非常に重要であって、新憲法下におきましては、裁判所は一切の法律上の訴訟、つまり行政訴訟も裁判権を有しておるし、それから違憲審査権も有しておるというような重要な権限があるわけでありまして、そこにそれを運用する裁判官の人格識見が非常に高邁であり、しかも法律の素養が非常に豊かである優秀な人物を選ばなければならない、それに対して、しかも後顧の憂いなく十分にその能力を発揮せしめるためにという要請から、優秀な人材を得て後顧の憂いなかしめるという点に留意いたしまして、裁判官を優遇する、こういうことになり、検察官につきましても、裁判の前提である検察の運用に当たるわけでありまして、高度の素養と教養と、それから任用資格については裁判官と全く同一であるということから申しまして、準司法官的性格という意味においてこれも優遇しなければならぬという趣旨から出ておるわけです。
 そこで、さらにただいまお尋ねの、先ほど申し上げましたような初任給と最高給とが押えられておって、中間層がかなり優遇されておるというような形が出ておることは御指摘の通りでございますが、この点につきましては、やはり一つ考えられますることは、御承知のように、裁判官のうち判事は判事補を十年した者ということになるわけです。従いまして、修習生を加えますと、十二年した者で一つの区画になるわけであります。で、判事と判事補との間には職権において相当の相違があるわけでありまして、その意味におきまして当初は判事を判事補に比べてかなり優遇をするという建前を立て、しかも本来いえば、判事の号俸は、判事は昇任主義ではなくて、要するに号俸数を少なくする。アメリカあたりのように号俸一本というようなことも考えにくいかもしれませんが、なるべく号俸の数を少なくするという趣旨からそういう形が生まれたわけであります。しかし運用の実態から申しますと、判事補を十年すると大体において判事に任用されるというような意味でございまして、その理想と実態とにやや食い違いがある点はむろんでございます。さような意味におきまして、判事をかなり優遇したということから中間のところが比較的優遇される、こういうことになったわけであります。ところが判検事の給与が定められます当初におきましては、一般行政職の最高給と判事の最高給とは約四割の開きがありまして、一般行政職の最高給が一万円というときに、判事、検事の最高給は一万四千円というふうにきめられておった。ところがだんだんそれがくずれて参りまして、今日におきましては、一般行政職の最高給と判事、検事の最高給とは一応同額、判事たけは特昇がある、こういうような形が今日生まれておる。でありますから、やはりその点にも相当問題があると思うので、これは将来の問題としては十分検討する必要があるものと考られます。
#11
○林委員 ただいまの御説明によると、判事補から判事になる、判事を優遇する意味だということのようにも思うのでありますが、検事はそういう特別な段階はないのですか、その点伺いたい。
#12
○津田政府委員 検事につきましては、御指摘のような段階はございません。ございせんが、実際の運用におきましては、その面で若干検事の方の昇給が同期のものについておくれておるというような運用が実際は行なわれております。しかしながら、御承知のように、判事と検事とはその任用資格は全く同一でありまして、そこで十年たったものについて、判事と検事とに大きな開きをつけるということは、司法制度の運用からとうていできないことでありますし、検事に人材を得る上から申しましても非常に障害となりますので、この点につきましては若干そういう号俸の運用等において開きがむろんあるわけでございますけれども、段階においては裁判官に準ずるという杉をとっておるわけであります。
#13
○林委員 その問題に関連しまして、昇給期間が問題であると思うのですか、昇給期間は、司法官に関しましては、裁判官の報酬等に関する法律の条によっておると思うのであります。これに関連して、昇給等に関しては何か最高裁判所等で定めた具体的な準則というようなものがあるのですか。もしあれば、それは概略でけっこうですから、御説明を願いたい。それから、検察官の俸給に関しましては、やはりその三条によりまして「法務大臣は初任給、昇給その他検察官の給与に関する事項について必要な準則を定め、これに従って各検察官の受くべき俸給の号等を定める。」ということになっておりますし、さらに大蔵大臣と協議して準則は定めるということになっておるわけでありますが、この準則があるかどうか、あれば内容を簡単に御説明願いたい。
#14
○津田政府委員 裁判官につきましては、もちろん準則はあるわけでありますが、これは裁判所からお答えをするのが相当であると思います。法務省側といたしましては、検察官につきまして申し上げたいと思います。御指摘の検察官の給与法の三条の準則は、大蔵大臣と協議して定める。大体その内容を申し上げますと、これはいわゆる昇給期間の問題でございますか、検事の十九号から八号まではおおむね各号俸一年以上、それから検事七号につきましてはおおむね二年以上、それから検事六号以上の各号につきましてはおおむね三年ないし五年以上ということになっておりますから、それぞれの検事に何年を適用していくかということは具体的の人事に、あるいはその検事についての特別の事情によってきまるわけでございます。なお副検事についてもほぼ同様の昇給期間の定めがございます。
#15
○林委員 これは実は法務大臣にお尋ねすべきことでありますが、従来この報酬改定の法律が問題になるごとに、一般職と司法職との給与のアンバランスが問題になっておるわけでありまして、またこの法務委員会におきましても、過去二十六、三十一国会において、本法改正案の審議に際して、附帯決議で、判検事の給与並びに任用制度の根本的な改善を要求しておるわけでございます。そこで、今度の改正も抜本的な改正じゃない、これは裁判官の報酬等に関する法律の十条に基づく調整ではないか、このように思うので、裁判官との給与に関する抜本的な改正ではないと思うのです。今までしばしば行政職と司法職との間の給与というものは違うのだ、また司法職というものが特別な地位に基づいて特別な給与を受ける給与体系というものが検討されなければならないということがすでに何回も言われて参りました。また、今申し上げたように、当法務委員会等におきましても附帯決議を付しておるわけで、この点について抜本的な改正をしなければならないのじゃないか、またこれに対して調査をしなければならないのじゃないかということを何回も繰り返しておるわけであります。そこで、単にこの改正案だけでなくして、司法職に対する給与あるいは任用制度に関する抜本的な調査が現在なされておるのかどうか、この点に関してお答えを願いたい。
#16
○津田政府委員 ただいまの御指摘の点はまことにごもっともでございまして、過去数回における当委員会の御審議に際し、法律案の附帯決議としても、御趣旨を十分承知いたしておるわけでございます。御承知のように、裁判官及び検察官の給与制度は、その任用制度と非常に密接不可分の関係があるものでありまして、この点は御指摘の附帯決議等の御趣旨を待つまでもなく、法務省におきましては根本的に検討を行なって参っておるのでございす。しかしながら、問題は裁判官任制度における法曹一元化の問題であります。裁判官任用制度における理想は法曹一元を実現することであるということは、当委員会におきましてもしばしばさような御趣旨の御論議があったわけでございます。しかしながら、この法曹一元の理想は、多年法曹の中で唱えられておりますけれども、今日なを実現の緒についていないということはまことに遺憾なことであると思われるのであります。しかしながら、翻って考えますると、この法曹一元の問題は、あらゆる司法制度の問題に深いつながりを持っておりまして、一朝一夕にこれを実現することはなかなか困難であるということは、すでに法曹の間におきましても十分了解されていることでございます。従いまして、これを実現するためには各方面の十分な了解のもとに実施に移さなければならない、こういうふうに考えられるのであります。現在法曹三者、すなわち裁判官、検察官及び弁護士におきまして、この問題を検討いたしまする共通の場といたしまして、これらの者が構成いたしておりますところの日本法律家協会におきまして、昨年以来多数回にわたってこの法曹一元実現の問題を検討いたして参ったのであります。現在小委員会試案というものが一応まとまった段階にきておるわけでございます。法務省におきましては、この日本法律家協会の動きと相まちまして、この問題を検討いたしておるのでございまして、すでに外部に対しましても法務省で一試案ができておるというようなことを発表した時期もございます。そういうようなわけでございまして、その法律家協会の動きというものを非常に重要視しておりまして、これと相まって検討いたしておるわけでございます。従いまして、それが法曹三者の間に十分に了解され、また一般の間にも了解される時期がすみやかに来て、この法曹一元が実現されるということを非常に期待しておるわけでございます。その時期に至りますれば、当然、任用制度の改正と同時に、給与制度の抜本的な改正が行なわれるものと考える次第であります。
#17
○林委員 ただいま法曹一元化の問題についていろいろ御説明がございましたが、確かに司法修習生というのは二年の修習期間がある。二年のハンディキャップを持っているので、司法官を志望する人材というものは現在少ないのじゃないか、このようにも考えられますし、また一方で友人が弁護士になってはなやかにやっておるということになると、なかなか司法官になり手もないというような非常なギャップがあると思います。また在野法曹からこれを採用するといっても、いろいろな待遇問題等でなかなか困難な事情もあるのではないか、このようにも思われます。今の法曹一元化の問題は非常に重要だと思うのでありますが、その根本的な問題として、裁判官の地位の向上というようなことも当然考えていかなければならない。これは給与体系あるいは任用制度の問題と同時に考えていかなければならない問題であると考えるのであります。これに関しまして、これは法務大臣にお尋ねすべきことであるかもしれませんが、給与体系あるいは任用制度等につきまして、任用制度調査会というようなものを内閣に設置して、この問題に対して、単に法務委員会で何回も何回も附帯決議をつけておってそのままであるというようなことではなくて、もっと積極的にこの調査を進めていく必要があるのではないか、このように考えておるわけであります。これに関しまして御所見をお伺いしたい。
#18
○津田政府委員 任用制度の問題につきましては、ただいま法曹一元の実現をまたなければ抜本的なものはできにくいということを申し上げたわけでございまして、これは各方面大体御了承をいただけるのじゃないかというふうに考えております。法曹一元の実現につきましては、さしあたって法曹三者の十分な了解が必要なのでございまして、その了解とかあるいは地ならしの方策に当面力を尽くすべき時期にあるというふうに考えておるわけであります。そこで、任用制度調査会の問題はもちろん考え及んではおるのでございまするけれども、そのまず基礎的な法曹一元の地ならし工作ができた上で、具体的の制度について検討する公の審議会のようなものを設けるのが相当ではないかということでございまして、できる限りそれを早くやりたいということは考えられるわけでございますが、まだ現在におきましては、多少時期が早いのではないかというふうに考えられるわけであります。ただ、それとは別に、給与制度の問題につきましては、これはもちろん任用制度と不可分の関係があることは先ほど申し上げた通りでございますが、しかしながら、任用制度と別にしても、給与制度についてはやはりこれを合理化するというようなことは常に考えていかなければならない問題だと思うのであります。この点につきましては、司法制度とそれから他の一般の公務員の給与体系等との関連においていろいろ考慮すべき問題があると考えております。
 そこで、それらにつきましては、多方面の有識者を集めた諮問機関によって研究を進めることが適当であるというふうに考えるのであります。従いまして、そういう考え方はもちろん法務省にあるわけでございます。ただこの諮問機関をどこの所管にする、あるいは内閣所管にするというようなこと、あるいは司法制度の立案をやっておる法務省の所管にするかというような問題とか、あるいはその構成委員をどういうふうにするかというような問題については、なお研究を要する問題がございますので、目下検討をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、この問題は、法務省、最高裁判所、大蔵省、あるいは在野法曹、その他一般民間というようなものの十分の御協力を得て、全く適切妥当な結論に達すべきものだというふうに考えておる次第であります。
#19
○林委員 質問を終わります。
#20
○池田委員長 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#21
○池田委員長 速記を起こして下さい。
 志賀義雄君。
#22
○志賀(義)委員 昨年でありましたか、東京地方裁判所長と東京地方検察庁検事正にこちらに来ていただいて、判事並びに検事などの俸給問題についていろいろ意見を聞いたことがございました。これが今回実現したことについては、私ども共産党も、判事、検事の要求を特に支持してやったのでございますが、それについて特に私どもの問題にしなければならないことは私は九月でありましたか、東京地方裁判所でハガチー事件の拘置理由開示公判に出たことがあります。そのときは、判事は飯守判事でありました。この判事は、普通の精神状態の人間ではないのではないかというのがあとで傍聴者の評判でした。私どもはそう見るべきでなく、一部の反動的な判事の考えが、ここに集中的に表われたものと見ています。被告人の中に、ときには精神病の鑑定を受けなければならないような人物も出てくるのでありますが、裁判官が偏見と独断をもって、これが常軌を逸して、偏執あるいは精神状態がおかしいのではないかと疑われるようなものが判事の席を占めて、しかもこの法廷は合議制になりませんから、一人の判事がやることになりますと、これは事件に関係した被告人も弁護人も非常に迷惑します。弁護人は、…そのために法廷を侮辱するものとして、その場で逮捕され、一カ月間もぶち込まれるというような事件があった。そういう判事までも突っ込みにして、この際この俸給の値上げというようなことになりますと、これは困る。これは法廷をますます反動的なものに
 するために水を増してやるというようなのである。そういうことで、これはいずれ私どもは正式にそのことを取り上げたいと思いますが、今、残念ながら法務大臣も、それから最高裁の方、どなたが来ていらっしゃいますか。――いずれこれは取り上げますが、そういう点について十分留意していただきたいということが一つ。
 それから俸給表の増額のパーセンテージを見ますと、これは上の方に厚く下の方に薄いという結果になっております。これを特にそういうふうにされた理由はどこにありますか、その点を一点伺いたいと思います。下の方はようございますけれども、下の方はこの前上げたからパーセンテージは少ないということはわかっておりますから、そのことは考慮に入れても、上に厚く下に薄いということ、そうすると池田首相なんかの言われた方針と違うような結果が出ておりますから、その点は、私どもの要望した問題と違うのであります。どういうことでそういうことになったか、その点を一つ伺いたい。
#23
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、この判事、検事につきまして、下級者については、過去において昭和三十二年以後給与の改定が行なわれております。従いまして、その現在までの改定率を考えますると大体二五%から三〇尾前後にすべての者がなっている。あるいは各号俸に
 よっていろいろ出入りはございますれども、その程度になっておりますので、これは特段のアンバランスはないというふうに考えております。
 それからその給与の改定は、御承知のように人事院勧告によるわけであります。人事院勧告がもとになっておりますが、人事院勧告は、民間の同一の職種、同一の職責にある者と公務員との比較をこまかくいたしました結果、算出したところの改定率になっておりますので、民間におきまして、上級者と申しますか、高額者と申しますか、その人についての給与の引き上げ率が高ければそれがやはり公務員にもはね返ってきている。こういうことになっているわけでありますから、その意味で、民間給与との関連においては何らのアンバランスがない。問題は、民間給与のそういうでき方がどうかということはございますが、これは民間給与そのものは、そういうものが実在するという前提で人事院が勧告しているというふうに考えている次第であります。
#24
○志賀(義)委員 人事院の勧告に基づいてと言われますけれども、私のお尋ねしたのは、最高裁長官の場合に六六%それから検事総長の場合は六五%上がっておる、そういう点をよく説明願いたい、かように申し上げたわけです。
#25
○津田政府委員 これはただいま具体的には申し上げられないわけでありますが、要するに民間の最高裁長官に当たる人、あるいは検事総長に当たる人というようなものを何でとるかということは問題はございますが、その人の給与の上がり方に基準をとって考えた。これは主として特別職の給与の問題として考えられたわけでございます。そういう意味におきます改定率を出しておるわけでありまして、この裁判官、検察官の方につきましては、もちろん今までの通り最高裁長官につきましては総理大臣、それから最高裁判事及び検事総長につきましては国務大臣と同じという従来の率をそのまま適用しておるにすぎないのであります。
#26
○池田委員長 志賀委員の先刻の質問に対しまして最高裁判所の内藤事務
次長から御答弁があります。内藤事務次長。
#27
○内藤最高裁判所長官代理者 先ほど志賀委員から御発言がございましたことにつきまして申し上げたいと思いますが、裁判官は担当の事件につきまして審理一切をするわけであります。その際におきます法廷における訴訟指揮が裁判官にまかせられているわけであります。その裁判官の訴訟指揮ないしそのときにおける処置につきまして、いやしくも担当の裁判官が精神的に正常でないようなことが言われたということは、私どもとしてきわめて遺憾に存ずる次第でございます。
#28
○志賀(義)委員 私の発言が遺憾だという意味ですか。ちょっとそこのところを何が遺憾かもう一度言って下さい。
#29
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判官についてそのようなことが傍聴者の間で言われたということを遺憾に存ずると申し上げたのであります。
#30
○志賀(義)委員 私申し上げましたように、いいですか、衆議院には立法府のことでございますから――そこの訴訟指揮そのものについてこれは独自でやるでしょう、やるかわりには責任を持たなければならないわけです。国政の最高機関に当たる国会として、判事に何か非違があるということなら、これを取り上げる権限がこちらにあるということも御承知でございましょう、その点に関連して私は言ったのです。それがないとあなたはお考えになって、そういう発言をされたのか、その点を釈明題いたい。
#31
○内藤最高裁判所長官代理者 そういうことについて私は申し上げたのではなくて、先ほどの志賀委員の御発言にあったようなことが傍聴者の間で裁判官について言われたということについて申し上げたのであります。
#32
○志賀(義)委員 だからそれはいずれ正式にこちらで問題にすると言っているでしょう。判事に非があるときには衆議院並びに参議院において、それを受け持つ機関において、委員会において取り上げることは、これは御承知でございましょう。ましてや憲法にも規定してある通り、国会における発言について、私どもにそういう発言の自由がないとおっしゃるのか、その点伺います。
#33
○内藤最高裁判所長官代理者 私の申し上げることは、先ほど申し上げたことに尽きております。
#34
○志賀(義)委員 もう少し、最高裁判所を代表して発言されるならば、憲法並びに国会法の規定があると思うのですから、あなたはよくお調べになった上で発言されませんと困ります。それだけ申しておきます。ちょうどあなたがそういうことを言われたら言われたでよろしい。
    〔坪野委員「答弁がよく聞こえなかったから、もう一度……」と呼ぶ〕
#35
○池田委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#36
○池田委員長 では速記を始めて。明日は午前十時から開会することといたしまして、本日はこれで散会いたします。
    午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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