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1960/12/17 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 地方行政委員会 第4号
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1960/12/17 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 地方行政委員会 第4号

#1
第037回国会 地方行政委員会 第4号
昭和三十五年十二月十七日(土曜日)
    午後一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 濱田 幸雄君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君
   理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君
   理事 安井 吉典君
      伊藤  幟君    宇野 宗佑君
      小澤 太郎君    大竹 作摩君
      亀岡 高夫君    仮谷 忠男君
      久保田円次君    富田 健治君
      前田 義雄君    二宮 武夫君
      肥田 次郎君    松井  誠君
      山口 鶴男君    門司  亮君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        自治政務次官  渡海元三郎君
        自治事務官
        (財政局長)  奧野 誠亮君
 委員外の出席者
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 鹿児島県十島村の財政援助に関する請願(宇田
 國榮君紹介)(第二五号)
 市町村職員の一般公務員との給与格差是正に関
 する請願(中澤茂一君紹介)(第七三号)
 質屋営業法の一部改正に関する請願(高田富之
 君紹介)(第九六号)
 遊興飲食税減免に関する請願外一件(高橋清一
 郎君紹介)(第九七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
 受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
 昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する
 法律案(内閣提出第二〇号)
     ――――◇―――――
#2
○濱田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案に対し御質疑はありませんか。――なければ、質疑はこれにて終了いたします。
    ―――――――――――――
#3
○濱田委員長 昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案に対し、日本社会党及び民主社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。修正案はお手元に配付してある通りであります。
    ―――――――――――――
#4
○濱田委員長 まず、提出者より本修正案の趣旨弁明を求めます。安井吉典君。
#5
○安井(吉)委員 ただいま議題となりました昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、趣旨を弁明いたしたいと思います。
 政府提出の昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案は、三十五年度地方交付税の基準財政需要額を増額する措置を講じ、国家公務員の給与改定に伴う地方公務員給与の改定の財源措置を行なうことと、さらに今回の補正予算で追加増額されました地方交付税三百六十一億円のうち、二百四十億円のみを右の財政需要に向け、残りの百十七億円を本年度内に使用することなく、明年度に繰り越そうとするものでありますが、この政府提出案は、地方財政の今後を思うとき、多くの問題点を持つものであるとわれわれは考えるのであります。
 第一に、今日地方財政には数多くの不合理があり、これに対し早急な対策を講ずることが必要である現状にもかかわらず、今回は地方財源の増加をよそに、機を失せず積極的な手を打つ努力を怠り、あるいは遷延していることであります。政府は明年度分に合算措置すると申しておりますけれども、今の段階での措置と明年度予算での措置とでは、およそ数カ月の時期的なズレがあるのであります。問題は遷延を一日も許すことができない、そういうようなことになっていると思うのであります。昭和三十四年度の決算に見ますと、地方財政は、全般的に好景気の反映による歳入の増、公共事業の増大等により財政規模を増大し、赤字団体の赤字も減少、総体的な収支も、単年度は百三十億円の黒字、累計三百七十億円の黒字という形で、一ころに比べると著しく好転をしたごとく見られるのであります。しかしながら、その財政構造はなお不健全であり、行政水準は全く伸び悩んでおります。たとえば教育費につきましても、公立学校は、あれは実はPT金の学校だと悪口を言われるくらいに、住民にきわめて不適正な負担をしいているのであります。土木費についても、道路や河川は不十分なままに放置されておりますし、国は十分な財源措置をしないまま都道府県に問題をころがしていき、都道府県はそれを市町村へさらに転嫁し、このようなことから市町村では、夫役というような形で住民へ不当な負担をしいているというのが実際の姿であります。あるいはまた産業経済の仕事や社会福祉の仕事、保健衛生の問題、失業対策等、これらいわゆるサービス行政の面は、単にお茶を濁しているというのが実際の姿ではないかと思うのであります。とりわけ職員給与等につきましては、きわめて内部的にもでこぼこがあり、特に合併町村等の場合を見ますと、おそろしいほどの低賃金のままに放置されているというのが現在の姿であります。そしてこれらは、たとえば超過課税というふうな形で、未開発地帯やその他におきましては措置されておりますし、義務外負担というような形で住民へしわ寄せをされているというのが実際の姿だと思うのであります。また上下水道とか道路、交通等行政施設あるいは住民の生活環境の近代化の要請にこたえるどころか、最低の行政水準の維持すらやっとだというふうな状態であります。しかも全国的な好況の影響というようなことがいわれますけれども、このようないわゆる岩戸景気も大都市や富裕県中心のものだけで、農業県や未開発地域を多く含む地方団体、さらに津波の災害等大災害を受けた団体等の間には、きわめて大きな地域的な不均衡が現われております。今後自由民主党は経済の大きな拡大を考えておられるようでございますけれども、これはさらに地域的な格差をも一そう増大するものだとわれわれは見ているのであります。ですから、健全性と総体的な言い方はなされますけれども、これは実はあらゆる矛盾や撞着、不合理、そういったようなボロを包んだ形での見せかけの黒字でしかないと言わざるを得ないのであります。従いまして、地方財政強化のための財源は、幾ら多くても多過ぎることは決してないのであり、われわれは、地方交付税の交付率二八・五%を三〇%にすることこそ、今の段階において目標にしなければならないことだと思うのです。しかるに三百六十一億円中百十七億円の繰り越しをし、二百四十億円ということでみずからの首をくくって、身動きができないような形で当面を糊塗しようとしていることには、大きな疑問を感ぜざるを得ないのであります。われわれは、われわれの当面の要求は、決して百十七億円を繰り越すことではなしに、二八・五%の交付率を三〇%に持っていくことにこそわれわれの努力の方向を向けるべきだと思うのです。これに対しまして、時期が年度末に迫っているので、明年度分と合算して明年度交付するというような御説明もありますけれども、たとえばPTAの負担の軽減措置などは、これはやろうと思えば直ちに実行に移すことができる問題であります。なお各種の特例措置、たとえば臨時地方特別交付金の〇・三%だとか、固定資産税の減収補てんだとか、今回の特例措置だとか、そういう特例措置だらけで、あまりにも全体的な見通しを持たないというふうなこの方法にも、われわれは疑問を持たざるを得ないということも申し添えておきたいと思うのであります。
 さらに私どもは、第二に今回の政府案につきましての問題点として考えますことは、地方交付税は地方財源として地方公共団体が当てにし、地方団体の自主的な意図により使用さるべきものだと思うのです。これの運用はもちろん法律でで自治省の権限にゆだねられているわけでありますが、その運用については、以上の本旨を誤ってはならないと思うのであります。今の地方交付税の財源は弾力性があり過ぎて見通しが十分に立たないというような見方もありますけれども、その弾力性のあるところに運用の妙もあるわけであります。これはもう地方税の税収一般について言えるわけであります。そこで地方税の自然増収や給与など、地方の財政需要額にも不確定の要素がきわめて多いというふうな実情にもかかわらず、二百四十億円ときっぱり地方へのあてがい扶持をきめるということは了解しかねることであります。地方団体の当然の財源を自治省が押え、地方財政を適正に運用するのだという名のもとに地方団体への中央集権的な支配をほしいままにしようとするものであると言われてもいたし方がないと思うのであります。
 第三に、この政府案につきまして考えられますことは、今度の選挙を通しまして自民党は経済成長計画、いわゆる所得倍増というようなことを強く主張し、公共投資の大幅な拡大をおそらくこれからおやりになるのではないかと思うのであります。私どもは地方自治の健全な発展を願う立場から、これが地方財政計画に大きくしわ寄せをしてくるのではないかということをおそれるわけであります。今日まで、地方財政計画の中でも特に顕著に現われております問題点は、地方団体の創意だとか発意とは別に、大企業やあるいはまた軍事的要因を含んだ公共事業費の増大、それが地方財政にしわ寄せをしているということが大きな問題だと思うのであります。国は、自分のみずからの方向において地方へ負担を押しつけてよこしているのであります。事業量はどんどん増大するけれども、人件費はそれに伴っておりません。その事業費自体もきわめて不十分な計上でしかないし、その上に地方負担というものをしいるわけであります。このような状態の中にわれわれは新しい年度を間もなく迎えようとしておるわけでありますが、明年度に今度財源を地方交付税の中において政府が残そうと考えておられますことは、一面地方財政への好意的な措置と言われるかもしれませんけれども、結果的には、国のそのような貧欲な方向にみずから財源を準備して加担するものだと言われてもいたし方ないと思うのであります。すなわち、今後国が一方的に講ずべき方向に対して、地方財政の中への受け入れ態勢をあらかじめ作るものだと言わざるを得ないのであります。
 このような意味におきまして、私どもは今回の政府案は容認しがたいわけであります。かかる意味におきまして今回修正案を提出することといたしたわけでありますが、当然地方公共団体の権利として保有できるべき地方交付税総額は、その年度内に交付措置をあくまで講ずべきだとの観点から、私どもは繰り越しを規定いたしました政府案第二条を削除することを要求いたしたいのであります。それによりまして百十七億円余は特別交付税という形で昭和三十五年度内に配分さるべき形となるわけでありますが、この配分につきましては、先ほど来申し上げましたようないろいろな問題点、とりわけ地方公共団体の職員の給与の問題につきましても、今日数多くの不合理が放置されている。その解決、その他考えられる各種の不合理の是正や、あるいはまた災害その他未開発地域のために財源にきわめて不自由している団体、それらに対しまして適正な配分の措置を講ずべきであると、われわれはかように考えるわけであります。
 以上、日本社会党並びに民主社会党共同提案にかかる修正案につきまして趣旨の弁明を行ない、慎重な御審議の上御可決あらんことを望む次第であります。(拍手)
#6
○濱田委員長 以上をもちまして修正案の趣旨弁明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○濱田委員長 これより両法律案及び昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案に対する修正案を一括して討論に付する順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 これより採決いたします。
 まず、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○濱田委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 次に、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案について採決いたします。
 まず本案に対する日本社会党及び民主社会党共同提案にかかる修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○濱田委員長 起立少数。よって本修正案は否決せられました。
 次に原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○濱田委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#11
○濱田委員長 次にお諮りいたします。
 すなわち、ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
 次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会することにいたします。
    午後一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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