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1960/12/16 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 社会労働委員会 第3号
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1960/12/16 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第037回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十五年十二月十六日(金曜日)
    午前十一時十七分開議
 出席委員
   委員長 山本 猛夫君
   理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 藤本 捨助君 理事 五島 虎雄君
   理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君
      井村 重雄君    伊藤宗一郎君
      小沢 辰男君    藏内 修治君
      澁谷 直藏君    長谷川 峻君
      福田 繁芳君    松山千惠子君
      大原  亨君    河野  正君
      小林  進君    島本 虎三君
      吉村 吉雄君    井堀 繁雄君
      本島百合子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        労働事務官
        (労政局長)  富樫 總一君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      堀  秀夫君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (調達庁次長) 眞子 傳次君
        総理府事務官
        (調達庁労務部
        次長)     阪本  實君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
        労働事務官
        (大臣官房労働
        統計調査部長) 大宮 五郎君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山本委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
#3
○石田国務大臣 御承知のごとく、引き続いて労働省を担当いたすことになりました。ここに所信を申し述べまして、皆様の御理解と御協力を得たいと存じます。
 わが国の経済は順調な拡大発展を続けており、これによって雇用情勢は著しい好転を見せて参りました。一部では労働力の需要に対して供給が不足する等、労働力の需給に不均衡が生ずる傾向すら現われております。このような雇用情勢は、今後の経済発展によってますます顕著になるのでありますから、労働行政もこれに即応して適切な施策を行なっていかなければなりません。この見地から、全国的視野に立った職業紹介の充実とともに、労働力の産業間、地域間の流動性の増大をはかっていきたいと存じます。また技術革新が急速に進展しておりますので、これに即応した技能労働者の養成に施策の重点を注ぐ必要があると考えます。
 次に、経済、雇用情勢の改善が著しい今日こそ、中小企業労働者の労働条件や福祉が向上する絶好の機会と思います。このため、最低賃金制、週休制、一斉閉店、時間制、中小企業退職金共済制等、各方面にわたって中小企業労働者の労働条件の改善をはかりたいと存じます。
 さらに、かかる好況に取り残されがちな家内労働者、未亡人、孤児、身体障害者等については、それぞれの実態に応じたきめのこまかい対策を進めて参りたいと存じます。
 最後に、よき労使慣行の確立を強調したいと思います。労働運動が自由にして健全な展開を遂げることは、民主主義社会の発展にとってきわめて重要な意味を持つものであります。従って政府もこの方向に向かってさらに努力をいたす所存であります。
 以上簡略に私の考えを申し上げました。労働行政の運営にあたっては、皆様の御意見を十分拝聴しながら力を尽くして参りたいと存じますので、何分よろしくお願いをいたします。(拍手)
#4
○山本委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。河野正君。
#5
○河野(正)委員 ただいま大臣からいろいろ今後の方針なり見通しにつきましての適切なごあいさつがあったわけでございますが、その中で、わが国の経済というものが非常に順調に拡大発展を遂げ、そのために雇用情勢というものもだんだん好転しつつある、のみならず需要供給において、経済の発展あるいはまた拡大のために不均衡すら生ずる傾向もある、私はなかなかけっこうなごあいさつと思いますが、しかし、一方におきましては、最近問題になっておりまするアメリカのドル防衛を中心といたしますところの日本の経済あるいはまた雇用関係に対しまして何らかの悲観的な情勢というものも生じてくるのじゃないかというふうな論議がなされておりますることも、御承知の通りだと考えております。そこで、先ほどこあいさつにございましたように、経済の拡大強化に伴って雇用関係がだんだん好転をする、そういう情勢に応じて適切な労働行政を実施されていくということはきわめて喜ばしいことでございますけれども、ただいま私が御指摘を申し上げましたように、一方におきましては、新しい現象でありまするところのドル防衛を中心といたしまするところの一つの新しい経済情勢というものが生じつつある。こういう点に対しまして大臣がどのような見通しを持っておられるのか、一つ御所見を承っておきたいと考えております。
#6
○石田国務大臣 私が所信表明の中で不均衡と申しましたのは、ただいま河野委員の御指摘のような現象が一方に起こっておる反面、ただいま所信表明に申しましたような現象がある、そういう不均衡をならしていくことが、これからの労働行政の大きな中心でなければならないと考えておるわけであります。その不均衡はまず第一、地域的に生じております。福岡県の就職希望者と求人の関係は、殺到率四であります。福岡県及びその周辺、九州地区においては、就職問題は依然としてむずかしい問題であります。反面、近畿、中部、東海、特に愛知県に例をとりますと、月間平均四万人程度の就職希望者に対しまして求人が、十三万七、八千人に上っておるというふうな地域的な不均衡がございます。次にございますのは中年層、老年層と若年層、いわゆる年令的不均衡であります。これは昭和三十五年度の新卒業者について見ましても、中学校、高等学校の新卒に対する求人は、求職を五十数万人上回っておるわけであります。それから次にございますのは、技術的あるいは職能的不均衡とでも申しましょうか、技能労働者の不足が八十数万に上っておるわけであります。こういう不均衡をならして参りますのには、一方において地域的な、移動を可能にするということであります。他面におきましては技能を付与するということでありまして、地域的な移動を確保いたしますためには、家族そろって移り得られるような住宅の建設が急務であると存じます。従って、明年度予算におきましては、これを大幅に要求いたしますことは当然でありますが、本年度内におきましても、石炭離職者援護会の余裕金の運用によりまして、ただいま申しました名古屋に六棟、大阪、神戸に一棟ずつの労働者諸君の移動用アパートを目下建設中でありますが、先ほど申しましたように、明年度はさらにこれを拡大していきたいと存じます。それから、技能の付与につきましては、これは職業訓練の拡充であります。それから、年令的不均衡の是正につきましては、ただいま私どもの役所では、中年層、高年層で十分間に合う職種の調査をいたしております。同時に、経営者団体等の協力を得まして、そういう職種の調査をいたしますと同時に、中年層、老年層の就職の機会をそういう職種に向けていくように指導いたして参りたいと存じますが、この背景には、やはりわが国特有の年功序列型賃金という賃金体系もございますので、賃金体系それ自身の検討も、目下行なっておるような実情であります。
 さらに、具体的に御指摘の駐留軍の引き揚げ、あるいは米国のドル防衛政策の実施等に伴いまする失業者、あるいは石炭産業に見られるような経済状態あるいは産業の進歩、発展に伴います雇用の流動、それによって生じますいわゆる摩擦的変化というものに即応し得られるように、石炭離職者に対しましては御承知の石炭離職者援護法、駐留軍離職者に対しましては、これに準ずる施策を講じておりまするし、石炭離職者に対しましてはそれに対する特別の立法がすでに制定せられております。あるいは技能訓練等につきましては、まだ離職しない前に、それぞれの基地内において職業訓練を施す等の処置を講じますとともに、福岡の芦屋に生じましたような集団的離職に対しましては、失業保険の給付期間の延長その他の特別の措置をとりまして、遺漏なきを期しておるのであります。しかし、ドル防衛についての離職者の数は、今の段階ではなかなか的確につかめませんけれども、なおそれを相当大きいものという判断の上に立って、特別の措置を研究いたしますと同時に、それが集団的に発生いたしました場合においては、芦屋と同様の措置をとりたいと考えておる次第であります。
#7
○河野(正)委員 なかなか懇切丁寧に御答弁いただきましたので、さらに私は、それと関連をいたしまして、若干質疑を行って参りたいと思いますが、それは、すでに駐留軍離職に対しまする御所見等もいただいたのでございますが、今度のドル防衛でいろいろと影響を受けまする企業なりあるいは職域というものはいろいろあろうかと考えます。それに対しまする考えもいろいろあると思いますけれども、何と申し上げましても、このドル防衛、ドル節減に伴って一番大きな痛手を直接こうむりまするのは、やっぱり駐留軍労務者じゃなかろうかというようなことを私ども強く痛感をいたしておるのでございます。本日あたりの新聞を見ますと、すでに横須賀海軍基地において二百十六名の解雇通告が行なわれた。このことも、大体解雇理由を見て参りますと、日本商品の買付と販売の停止に基づく解雇であるというふうなことになりますと、やはりこのことはとりもなおさずドル防衛に基づくところの解雇であろうというふうな理解が当然行なわれるわけでございます。そこで私どもは今大臣からいろいろと御答弁いただきましたように、ドル防衛に基づきます駐留軍関係の今後の離職というものはかなり大きなものに発展するのではなかろうかというふうな御所見もあったようでございますが、この横須賀基地のいわゆる大量整理、このこともやはりドル防衛の一環というふうにお考えになって今後いろいろ対策を進めていこうというふうにお考えになっておりますかどうか。具体的な点でございますけれども、その辺の見通しにつきましても若干御所見をお漏らし願いたいと考えます。
#8
○石田国務大臣 ただいま具体的な事例をあげられましたことは、外務省を通じて米国側に照会中であります。従って、その真の原因等は返事がありましてからお答えをしなければならぬと思いますけれども、その理由に外国製品の購買禁止のため――外国製品というのは日本製品のことをさすのだろうと思いますが、こういう理由をつけられたのは今回が初めてでありますので、この理由から判断をいたしますと、ドル防衛政策に伴って出てきた最初のものでないか、これは私今即座の判断でありますが、そう思っております。ただしり詳細は外務省を通じて米国側に照会して返事をもらってから判断をしたいと思います。
#9
○河野(正)委員 ただいま大臣からも個人的な見通し等に対します御所見が申し述べられたのでございますが、私どももいろいろドル防衛に基づきます影響というものに対しては今日まで大へん心配いたして参ったのでございます。今度の横須賀基地の状況をながめて参りますと、あまりにもドル防衛の影響が早い時期に訪れたということを、私どもは将来を考えて非常に杞憂いたすわけでございます。そこで私どもも、解雇理由からしてこれは当然ドル防衛に基づく解雇であるというような判断をいたしておるわけでありますけれども、さらに照会中ということでございますので、一つ十分真相を究明されまして、そして今後に対します適切な御処置をとっていただきますことを強く要望を申し上げておきたいと考えております。
 もうすでに大臣も御承知だと思いますけれども、今までも大体朝鮮戦乱が起こって参りました当時におきましては、全国で二十五万人の駐留軍労務者がおった。それがその後だんだん状況の変化により、ことにまた新安保体制のもとにおきまする米軍機構の整備、統合、こういうような大きな変動等も伴いまして、二十五万のたくさんな駐留軍労務者が、今日におきましては六万に減少しておる。先ほどいろいろ福岡県の状況等についても大臣から御答弁がございましたが、福岡県におきましても二万名に余る駐留軍従業員がおったにもかかわりませず、今日ではすでに一万六千人の過半数の従業員が失業のうき目を見なければならぬ。かてて加えて実は今度のドル防衛によってさらに一そう大きな失業者を出そうというふうな状況でございますから、私は言葉に尽くせぬようなきわめて深刻な情勢ではなかろうかと思う。しかも大臣の見通しといたしましても、今後だんだんこの問題が大きく拡大発展していくのじゃなかろうかというような見通しでもございますので、今日まで大臣にはいろいろ御協力いただいて参りましたが、さらに格段の御協力をいただいて、強力な手を打っていただかなければならない。一方におきましては日本の経済というものがだんだん伸長いたしまして、そして多少アンバランスもございますけれど、需要に対して供給が満ち足らぬというような状況があるにもかかわりませず、一方におきましては今申し上げましたように、大量な人々が失業群の中にほうり込まれるというふうなきわめて不幸な情勢でございますので、さらに一そうの強力な方策の樹立を願わなければならぬと考えるわけでございます。
 そこで、さらに一そうの格段の御協力をいただくために一、二の例をあげて御要望を申し上げて参りたいと考えております。今日までもいろいろと御尽力をいただきまして、たとえば三十三年の末に閉鎖をされました小倉の米軍のキャンプ跡の転職にいたしましても、計画は二転、三転いたしましたが、最終的に平和利用として転用方針というものが決定をされました。その間の御協力なり御努力に対しましては満腔の感謝をささげるものでございますけれども、しかし方針は決定はいたしましたけれども、その実際の運用というものが現地まかせというふうな格好になり、しかもその運用というものに対して一つの利権という問題も介在いたして参ります。そのためにせっかく方針は決定いたしましても、利権というものが介在いたしまして、その方針というものがなかなか具体的に進行していかないというような実情もあるわけでございます。
 そこで私どもがこいねがいますことは、いろいろと中央において方針を決定していただくのはけっこうでございますが、しかし実際問題になりますのは、現地で現実にどういう方向でこの問題が具体化していくかということが重要な問題でございますし、最終の解決問題でございますので、さらにそういう点に対しましても私は一そうの指導というものが必要になってくると思いますが、そういう点に対しまして今後どういう方針で臨もうとされておりますのか、実際にはこの点が非常に重大でございますから、そういう点に対しまする御所見を一つ承っておきたいと考えております。
#10
○石田国務大臣 中央の決定が末端でゆがめられたり、おくれたりしないように、最後まで指導協力をさせるように命じてはおるのでありますが、行政機構その他でなかなか思うにまかせないことは多々あるわけでございます。ただいま具体的にあげられました小倉の問題、私はおっしゃる通り平和利用のところまでは承知いたしておりますが、それから先のところは承知いたしておりませんので、所管局長から御答弁いたさせます。
#11
○堀政府委員 現地におきまして、中央の離職者対策協議会に準じまして、同じ協議会を設置しております。ここにおきまして調達庁、労働省その他関係各省集まりまして、中央における方針が現地において決定するように、また中央の方針のワク内において、現地において特殊事情を勘案して、いかなる適宜な措置をとるかという点を相談いたしておるわけでございます。労働省といたしましてはなおそれにつけ加えまして、芦屋基地等現在離職者が発生しつつあるような基地におきましては、周辺に職安の相談所を設けまして、そこで総合現地相談を実施いたしております。それと同時に調達庁にお願いいたしまして、基地内の職業を積極的に行なっていただきますと同時に、訓練所の分室をそれぞれ必要な地域に設置いたしまして、そこにおいて希望に応じて転職訓練を実施する。同時に福岡県内におきましては関係の事業主その他に呼びかけまして受け入れ態勢を強化してもらうという求人開拓の努力を行ないつつあるわけでございます。なお施設の平和利用の問題につきましては、自営業の促進その他の見地等もありますので、調達庁、財務局の方とも連絡いたしまして、現地の要望ができるだけすみやかに実現いたしまするように、労働省としても側面からプッシュしておるところであります。
#12
○河野(正)委員 いろいろ御説明がございましたが、せっかく転用が決定いたしましても、いろいろプッシュというような御意見もございましたが、この転用後の会社あるいはまた工場等に対しまする雇用の確約、この点が一応中央でもプッシュされておると思いますけれども、その間の確約というものが明確に行なわれてないというと、せっかく転用いたしましたけれども、ほとんどその中に離職者が吸収されない、全く利権のための転用であって、離職者のための転用にならぬというふうな結果も起こってくることがしばしばあると私は思います。特にさっきも大臣かう仰せられましたように、平和的な利用という面もございましたが、たとえば芦屋の基地のごときは、私どもも平和利用ということでいろいろお願いをいたして参りましたけれども、最近、結局自衛隊が使用する、そのために、いろいろと政府の方針としては相談所を設けたり、あるいは職業訓練をやったりということでございますけれども、芦屋基地のあとに自衛隊が入ったために、離職者がほんのわずかしか吸収されなかったというふうな実例もあるわけでございます。
 そこで問題は、今日までいろいろと御尽力願っております重要な点は、やはりこの離職者をどういうふうに雇用関係の方に吸収していくかということが、重要なねらいでもございますし、また大臣その他いろいろ御尽力願っておりますゆえんのものも、私はそこにあるというふうに考えております。ところが結果的には、今申し上げますように、平和的な利用が行なわれない。自衛隊が入ったために、離職者がほとんど吸収されない。あるいは中央で転用に対しまして、工場、商社等に対していろいろとあっせんを願っておりますけれども、かちっと確約をいただいておらぬために、なかなか雇用関係がうまくいかないというふうな実例もあるわけでございます。そこで、この点はぜひ一つお伺いをいたしておきたいと思いますが、たとえば芦屋のいわゆる自衛隊の使用あるいはまた小倉におきまするところの転用に際して、会社、工場に対しまする雇用の確約というものが、どういう方向で行なわれておるのか。こういう点に対しましても、一つ今後の問題等もございますので、若干御所見を承っておきたいと考えます。
#13
○石田国務大臣 芦屋の施設が自衛隊に使われた結果、そこから離職しました人たちが、その場所においてその土地を利用した企業に就職できない、こういう実情はその通りだと思います。そういう場合は、やはり地域的な移動を伴ったような広域職業紹介で処理をしていく方針であります。
 それから小倉の場合、またこれから方々にも出てくると思いますが、基地を開放される、その基地のあとを他の企業が利用する、その場合に、それを利用する企業に対して、そこから出た離職者を雇用する確約をとっておくという問題でありますが、これは現実的に、その企業の要求する人と実際ある人との関係もありますので、はっきりと義務づけることは非常にむずかしいと思いますけれども、その国有財産を開放する目的は、直接的にはやはり私はそこに起こってくる新しい雇用を期待してやるのでありますから、行政指導の面において、そういう効果が上がるようにさらに努めたいと存じております。かつて私は六、七年前でありましたか、国連軍が呉を引き揚げましたときに、その呉の国連軍の引き揚げに伴う離職者の対策に委員長をいたしたことがあります。その際やはり同様処置をとって、義務づけるか義務づけないかという問題がいろいろ出まして、明確に義務づけることはむずかしかったのでありますけれども、実際的にはかなりの雇用の増大ができて処理されたような例もあります。必ずしも明確に義務づけなければならぬということではなく、もしそれがむずかしいのでありますれば、行政指導で埋め合わせをつけていきたいと考えております。
#14
○河野(正)委員 今大臣から御答弁がございましたように、行政指導によってその効果の万全をはかって参りたい、私どももきわめてけっこうだと考えております。要は雇用が増大すればいいわけでございますし、そういう雇用の点でりっぱな成果を上げ得ればけっこうでございますけれども、しかし転用は決定いたしたが、結果的には雇用には大して効果はなかった、その点を実は私どもはおそれて、いろいろとお願いなり御要望なり申し上げておるわけでありますから、その行政指導に基づいて効果を上げるというような御方針であり、またそのために大きな効果が得られるということでございますならば、私どももそういう方針でさらに一そうの御努力をお願い申し上げたいと考えております。
 そこで少し具体的になりますけれども、そういう行政指導の効果を上げていく一環として、たとえば中央におきますところの離村協から調査団を派遣をして、そして具体的に適切な指導を行なわしめるというようなことも、私は行政指導の効果を上げる一つの大きな方法ではなかろうかというようなことも考えるわけでございますが、そういう方針を取っていただくようなお考えがありますかどうか。これは方法の一つでございますけれども、あわせてお尋ねを申し上げておきたいと考えております。
#15
○石田国務大臣 ただいま御指摘の方法は、確かに有効な一つの方法だと存じます。それだけしか方法がないというわけではないのでございますが、有効な一つの方法だと存じますので、小倉の場合のごときは、その利用の経過、適切な時期を見はからって、効果のある措置の一つとして考慮したいと存じます。
#16
○河野(正)委員 この離職者対策につきましてはいろいろな方法があると思いますし、今大臣から御答弁いただきましたように、行政指導を適切にやっていただきまして、そして効果を上げる点もございましょうし、さらにまた先ほどから大臣がいろいろと離職者対策の一環として申し述べられました駐留軍離職者に対しまする臨時措置法、こういう中身についてもいろいろと再検討をいただく、たとえば国有財産の払い下げなどにあたって随意契約のワクを拡大して、そして転用する場合に有利に離職者がそういう事業なら事業が興せるようにという問題もございましょうし、あるいはまたいろいろ具体的に申し上げますと数限りがございませんが、いろいろな臨時措置法の内容を再検討することによって、少なくとも離職者をよりよく救済していくという方法も、これも一つの方法だろうと思うのであります。そういう点に対しましてどういう御意図でおられるのか、こういう点もドル防衛等をはさんで駐留軍従業員というものが非常に心配をいたしておりまするし、大きな不安を抱いておりますので、そういう点につきましても一つ御所見をお漏らし願えれば非常にけっこうだと思いますが、一つその辺の御所見をお願い申し上げたいと考えております。
#17
○石田国務大臣 駐留軍離職者臨時措置法の内容につきまして、具体的にあのまま動かさないでいいという考え方はございませんけれども、今御指摘の、駐留車離職者の個人あるいは組合等による自家営業その他のための特別措置をとれということは、かねがねいつでも問題になることでありますが、これは抽象的、一般的な問題と申しますより、具体的な問題で指導して参りませんと、卑俗な例を申し上げますと、やはり経営には経営の経験と力と技能を必要とするのであります。私の体験した例を一つ申し上げますと、呉に大きな洗濯工場がございました。その洗濯工場をそのまま随意契約で払い下げを受けて洗濯屋をやりたい、こういう計画がありました。これはなるほどすぐ考えつく方法でありますが、しかし実際洗濯工場を作りましても、問題は需要者の問題で、最大の需要者であった国連軍が引き掲げて参るのでありますから、設備があってそのまま利用できるからということであっても、お客がなければ何にもならないということになります。従ってあの場合におきましても、具体的に計画を聞いて、その計画がいいものであるか成功しないものであるかということを区別いたしまして、金融、あるいは払い下げ等については財務局その他との連絡を調整するということを、われわれの方で具体的にやっていきたい、こう思います。
 ただ駐留車離職者臨時措置法と、石炭の離職者に対する現在の法律との間の違いは、移住資金を給与――石炭離職者の場合は移住資金を給与しておるわけでありますが、駐留軍の方は移転するための費用ということにとどまっております。これは検討の余地があると私は思っておりますが、現在そういうところにとどまっておる理由は、駐留軍の離職者は比較的都市に近い、つまり新しい仕事が見つかりやすい場所に生ずるというか、現在住居から通える新しい仕事を探し求めてあげやすいということに基づくのでありますけれども、しかしそれとても先ほどの芦屋の場合に御指摘のように、集団的に出た場合にはなかなかむずかしいことがございます。従ってこの点については検討を加えたいと考えておる次第であります。
#18
○河野(正)委員 これはぜひ、先ほど来たびたび申し上げますようにドル防衛によってさらに一そう離職者が拡大していくというふうな見通し等もございますので、できるだけ、今大臣からも具体的な例を述べてケース・バイ・ケースというようなお話でございましたが、一つ十分離職者の立場も御尊重いただいて、そうして改善すべきものは改善するという方向で御協力をいただきたいと考えております。
 さらに私は今日のような情勢でもございますので、もう少し突っ込んだ御質問でございますけれども、しかし離職者にとりましては非常に深刻な問題でございますから、一つこの際こういう点につきましても御所見を伺って御要望を申し上げておきたいと考えますが、それは失業保険受給期間の再延長の問題でございます。これはすでに御承知だと思いますけれども、新しく離職者が次々に、特にドル防衛をめぐって拡大されていくというようなことになりますと、当然この問題についても御考慮いただかなければならぬ点ではなかろうか。あるいはまたドル防衛に基づいての離職者でございますから、今までの戦略上の問題もありますけれども、全般的にドルを節減するという意味で、結局基地の従業員が減少していくというような結果も生じてくるだろうと考えるわけであります。そこで今まで実施されておりました失業多発地域の指定ですね、この点についても若干拡大する必要があるのではないか。たとえば小さいことでありますけれども、福岡県の例を取り上げますと、現在指定を受けておるのは八幡の職安管内でありますが、しかしドル防衛によって離職者というものが拡大していくということになるといたしますならば、やはり多発地域というものもさらに拡大をして、たとえば福岡、香椎、直方、飯塚、そういうように拡大する必要があるのではないかというような考え方も、実は今度のドル防衛を契機として、そういう感じを強く持つわけでありますが、それに対します御所見も一つ、この際深刻な問題でございますので、承っておきたいと考えます。
#19
○石田国務大臣 ただいまのような方法は、現実に失業者が多発いたしてくる事態が生じてくれば、当然指定地域を拡大しなければならない、そういうように考えます。決して現在の状態をそのまま固定するつもりは毛頭ございません。
#20
○河野(正)委員 離職対策問題につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、今度の横須賀基地の離職理由に対します真相の究明等もございましょうし、今後どういう情勢で発展するか、そういう一つの情勢に応じてさらにいろいろお伺いを申し上げ、また御要望を申し上げる機会もあろうかと思いますので、私はそういう問題を中心として、それに関連いたしまする若干の事項につきまして、さらに御質疑を申し上げてみたいと考えております。と申し上げますのは、今度のたとえば芦屋の基地の閉鎖、こういうことが行なわれますと、それに伴います離職者がたくさん出てくる。そういう一つの現象を取り上げて、そうしてたとえば最近賃上げ問題をめぐりましてストライキが第一波、第二波と行なわれる。そういう基地の閉鎖、離職という問題と関連をして、そうしてストライキをやりますと、基地が閉鎖されて失業者というものがたくさんおるのだということで、ストライキを契機として何らかの圧力が当局側から加えられていく、こういう現象が、具私的な実例はたくさんございます。そういう実例も最近生まれて参っております。これは一つの最近の新しい傾向だと思いますけれども、そういう一つの今日のアメリカ軍当局の方向に対しまして、何らかの御所信がございますならば、一つお漏らし願えればけっこうだと考えます。
#21
○石田国務大臣 争議が適法に行なわれております限り、その争議を理由として労働者の地位に悪い影響を与える行為は、申すまでもなく不当労働行為でありますから、そういうことは日本政府としては、たとい相手方雇用者が何人であろうと、これを許さないという態度で臨まなければならぬと存じます。ただ現に起こっております駐留軍労務者のべース・アップに伴います争議は、本日閣議で防衛庁長官の報告によりますと、昨日解決をいたしたそうでありますので、この争議は終息いたしたものと考えておる次第であります。
#22
○河野(正)委員 争議の解決はまことにけっこうでございますし、その御努力に対しましては心から感謝を申し上げますが、そういう争議を中心として、さっき大臣からも御答弁がありましたような不当労働行争が行なわれておる。しかも先ほど申し上げますように芦屋の軍基地が閉鎖されて失業者がたくさん出ておる。ざっくばらんに申し上げますと、もしわれわれの言い分を聞かなければ、かわるべき職種の人は何ぼでもおるのだというような形で、実はいろいろと不当労働行為だというふうに考えられまする具体的な実例というものがたくさん起こってきたし、また起こりつつある。そこでこの点については具体的な事実がたくさんございますから、申し上げますならば際限はございませんが、そういう傾向が生まれつつある。これは私は最近の一つの新しい傾向だと考えておりますが、そういう傾向に対して大臣も、それはもしそういうようなことが実際に行なわれるとするならば不当労働行為だというふうな御所信の御発表がありましたが、これは調達庁からおいで願っていると思いますので、そういう具体的な事実をお聞き取り願っておるのかどうか、またお聞き取り願っておれば、そういう一つの最近の風潮に対してどういうような態度で軍に対して臨もうとされておるのか、そういう点、調達庁からお見えのようでございますから、若干一つ御所見を承っておきたいと思います。
#23
○眞子説明員 お答え申し上げます。
 実は本月十一日に全駐労福岡地区本部板付支部におきまして、米空軍板付基地外で、スト準備中のときに、一米兵が当該組合の組合旗を破って持ち去ったという事件が起こったのでございます。これははなはだ不都合な所為でございますので、その情報がありましたので、本件につきましては福岡県当局をして現地について調べましたところ、一米兵が公務外にめいていの上、組合旗を破って持っていってしまったということが事実であったのでございます。そこで当庁といたしましては、さっそく福岡県を通じまして米側に適当な措置をとるように指示いたしましたところ、昨十五日、板付基地司令官がみずから、部下がかかる事件を惹起したということについて非常に遺憾であるということを表明いたしますとともに、当該米兵自身を全駐労板付支部事務所におもむかせまして、本人から組合幹部に対してその非行を陳謝いたしますとともに、その持ち去りました組合旗を返還し、なお、二流あったそうでありますが、一流は行方不明でありますために、これを弁償するということを約しまして、両者間に話し合いがついたということでございます。そういった事件で、本件は円満に落着いたしております。しかしかかる労働者の正当なる労働三法に基づく権利行使にあたって、米兵が公務外といえどもそういう事態を起こしたことはまことに遺憾であり、今後かような事態の発生しないよう、十分監視していくつもりであります。
#24
○河野(正)委員 少し答弁が早過ぎまして、私が申し上げておるのは、いろいろ基地内にございます不当労働行為、たとえばさっき申し上げましたように、ストが起これば、泊り込みをしてもらいたい、しなければチーフをやめさせるぞ、あるいは超勤もつけぬぞ、そういうふうな不当労働行為と思われます事態というものが最近非常に芦屋基地の閉鎖を契機として、そういう現象というものが非常にたくさん起こりつつある。あるいはまた組合員に対しまして、二週間以内に組合を脱退しなければ、今後適切な措置をとるぞ、職場におきまする責任者としての地位をはずすぞ、あるいは超勤はつけぬぞというふうな、明らかに不当労働行為と考えられまするような事態というものが、この離職者が多発すると同時に、そういうような行為というものがたくさん行なわれるような事態に相なって参ったというようなことを実は申し上げまして、そういう点に対して政府当局はどういう態度で臨んでおるのかというような意味のことを申し上げたところが、答弁が先に参りまして、米兵が組合旗を破損をしたというような御答弁になったわけでございますが、私は今せっかく御答弁がございましたから、その組合旗を破損いたしました事件に話を持って参りたいと思います。そういう事件というものは、やはり今申し上げますような不当労働行為を次から次に重ねていく、そういう風潮というものか発展をして、そうして組合員が争議で準備いたしておりますところの組合旗を持ち去ったり、あるいはまたキャバレーに持ち込んでそれを破ってしまうというふうな事件というものがだんだん発展をして起こってきたというように私どもは理解せざるを得ないわけでございます。そこで今調達庁から御報告がございましたように、なるほど現地では解決したということでございますが、しかし基本的にはそういう問題は解決しておらぬ。やはり米軍の日本の労働組合に対しまする一つの侮べつ的な感情あるいは蔑視的な感情が、今度の組合旗を持ち去ったり組合旗を破ったりする、そういうふうな事件に発展をしたというふうにも考えますし、また一方におきましては労働争議に対しましてアメリカ軍が干渉する、介入していく。
    〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
そういう風潮というものが、今度の組合旗を持っていったり組合旗を破ったりした事件に発展していったというふうに私どもは理解せざるを得ないわけでございまして、たとい現地で組合と軍との間で解決したといっても、そういう基本的な点について何ら解決しておらぬ。むしろ国会で取り上げる問題は、そういう基本的な問題を解決するのが国会で取り上げる一つの使命であるというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう一つの最近出て参りました現象に対しまして、大臣いかが御所見をお持ちでございますか。この点は事板付の問題ではなくて、将来労働組合と米軍の間におきまする重大な問題だというふうに考えておるわけでございますが、その辺の御所見を一つお漏らし願いたいと考えております。
#25
○石田国務大臣 米国側の雇用者と駐留軍労働組合との間にどういう不当労働行為があったか、具体的事例については私は承知いたしておりませんが、一般的に申しますのは、先ほど申しました通り、争議が適法に行なわれております限りにおいて、その争議を理由として労働者に不利な労働条件を押しつけることは明らかに不当労働行為でありますから、政府といたしましては、その雇用者が何人であろうと不当労働行為を許さないという方針で臨みたいと存じます。
 それから板付に発生いたしました事件の背景について今河野さんのお話でありましたが、一般的に労働組合とアメリカと申しますか、労働組合にもいろいろございましょうけれども、一般的にあまり愉快でない感情が相互にあることもある。全部がそうだと申しませんけれども、存在するように思います。これはどちらに原因があるということよりは、労働問題というものを平静な環境の中で処理するということから申しまして、相互に相手方を侮辱し合うような、相手方を刺激し合うような言動は慎んでもらわなければならないと存じます。ただ板付の場合は、これは泥酔者で、そしてしかもかなり階級の低い軍人であったように私は聞いておるのでありますが、それが直ちにそういう背景と結びついておるものだと判断することは、これは全くないということも言えないかもしれませんけれども、そういう判断をすること自体が、また次の感情対立を誘発するのではないか。この事件はこの事件で、米軍側の謝罪によっておさまったのでありますから、やはりこれからは相互の良識と努力によって無益な感情的な夾雑物を排除して、冷静な環境で労働問題が処理せられるように政府も努力をしなければなりませんし、当事者双方の御協力も願いたい、私はこう考えておる次第であります。
#26
○河野(正)委員 大臣から今御答弁いただきましたように、私どもも今後いたずらに感情問題を誘発するということが本日取り上げる主目的ではないわけです。要は将来そういう問題が起こらぬように、労使の慣行というものが、大臣が日常おっしゃいますようにうまくいくということで、実は私どももこの問題を取り上げて重視をしておるということなんです。それですから、こういう問題を再び惹起しないためにも、私はやはり今度の問題が酒の上で大したことはないのだというような考え方もございますれば、将来、今度は酒の上でなくて、素面でそういうことが起こることがないように、今度の問題を強く取り上げて、一つ将来の労使の関係というものをスムーズに、円滑に運んでいくという方向に私どもは努力をいたして参らなければならぬと考えております。そこで、禍を転じて福となすという言葉がございますので、現地でそれぞれ解決しておると思いますけれども、これはやはり全国の組合なり労働者諸君というものが、これを必ずしもそのまま受け取るかどうかということは私は疑問だと思うのです。やはり全国の労働組合に対して及ぼしたる影響というものは大きかったと思います。そうでございますから、この際やはりこういう問題が起こって参りましたのを一つの機会として、厳重に軍当局に対して政府が忠告し、警告されるというようなことが、私は将来のためにも必要なことではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、その点について中央の方ではどういうふうにお考えになっておるか。ただ現地で組合と軍当局が適当に話をして解決したらそれでいいんだということでこの問題を処理されるつもりでございますか。やはり将来さらに大きな問題が起こらぬように、この際問題をもう少しきちっとしておくというような御方針でございますか。それに対しましての御所見を承っておきたいと考えます。
#27
○石田国務大臣 感情的な対立というのは、これはやはり相互に慎んで起こさぬようにしなければならぬ、私どもはそう存じております。そこで今度の問題の処理でありますが、今度の問題の処理がどちらに責任があるかということが不明確なまま処理されたのなら、政府といたしまして明確にするような処置が必要になってくると思います。しかし米軍側の謝罪という明確な形で処理されたのでありますから、それをさらに中央で取り上げるという必要は私はないと考えておりますが、こういう事件が今後起こらないように希望もし努力もすることは、これは申すまでもございません。
#28
○河野(正)委員 時間がございませんから、最後に一つ御要望を申し上げておきたいと思います。それは私どもが強くこの組合旗の問題を取り上げで参りましたことは、その組合旗を破った、これは破ったということは実際に刑法上の器物損壊というような問題に触れるかと思いますけれども、そういう問題として私どもが取り上げて参るというのが真の目的ではなくて、さっき申し上げますような、基地が閉鎖をされる、あるいは離職者がだんだんとたくさん出てくる。特にドル防衛等をめぐって、今後さらに離職者が拡大していくという一つの傾向にある。そういう中で次々と不当労働行為というものが行なわれていく、その一環としてそういう一つの空気というものが階級の低い兵隊あたりの心理状態に入り込んでいく。そうして今度のような現象が生まれたのじゃなかろうかということを私どもはおもんぱかって、実はこの問題を取り上げたわけです。そこで、要はこの基本的な問題でありますが、離職者対策さらには離職者対策をめぐっての不当労働行為、こういう根本的な原因に対して、今後政府当局が十分考慮をめぐらして対処していただきたい。このことがひいては今度の組合旗の問題を取り上げた原因を除く道だというふうに私どもは理解いたしておるわけであります。
 そこで一つ時間もありませんから、最後に御要望申し上げておきたいと思いまする点は、そういう考慮を十分含んで、今申し上げまするような離職者対策並びに不当労働行為等の問題について善処されますることを一つお願いを申し上げまして、一応私の質疑を終わっておきたいと思います。
#29
○齋藤(邦)委員長代理 五島委員。
#30
○五島委員 時間もないようであります。それで私は石田労働大臣が再び閣僚として、労働大臣として就任されましたので、冒頭にあたって労働行政の明快なる運営にこれから腕をふるわれるように要望しておきたいと思うわけです。
 そこで、私は数点について、問題点についていろいろ関係担当者にこの際質問をしておきいと思うわけです。本日、労働大臣のあいさつを見ましても、雇用が非常に著しく発展したということ、それから中小企業の雇用の情勢も非常にいいということ、それから労使関係の円満なる発展のためには、労使の慣行の確立を強調したいということ、こういうような問題があいさつの内容となっておるようであります。ただいま河野委員が冒頭で言われましたように、アメリカのドル防衛の問題が雇用問題に非常に影響があるであろうとわれわれは考えておりますし、それからまた選挙前に私が労働大臣に簡単に質問いたしたわけですけれども、その中で、池田内閣の農村首切りの問題ですか、首切りと言ったら語弊があると思いますけれど、農村人口を十年間で三分の二減らしていくという問題から、労働の雇用の問題で非常に大きな影響があるのではないだろうか、こういうような問題とともに、選挙中から今度はドル防衛の問題が発生いたして参りました。そこで、今後の雇用の問題について非常に大きな影響があると思うわけですけれども、大臣のおっしゃる通りに、雇用の情勢がどんどん好転をしていくのでしょうかどうでしょうか、その点について大臣の御所見を伺いたい。
#31
○石田国務大臣 このごあいさつに申し述べました方向というのは、わが国の全体にわたって観察した方向でございます。従ってわが国全体の雇用の絶対量というものは、これは増大をして参ると判断をいたします。ただし、その間に、これはいつでも、あることでありますが、いかなる好況の時代におきましても、産業界、経済界の変化に伴いまして、雇用の変動というものは当然行なわれるわけであります。その雇用の変動ができ得る限り摩擦を少なくして行なわれるようにするのが、私どもの責任であると考えておるわけでありまして、雇用の変動それ自体を認めないというのも、これは誤りであろのと存じますが、それと同時に、雇用の変動が現われるのも当然であるのだから、経済が伸びればほうっておいても別に新しい仕事につけるのだという考えも、これは同様に私は誤りであると思います。この変動をして摩擦をなからしめるという方策に重点を置いて参りたい。絶対量はふえていきますから、施策よろしきを得ますれば、摩擦なくして雇用の流動というものが行ない得られる、こう私は考えております。
 それから直接御質問ではございませんが、農家の人口を六割十年間に削減する、六割という数字は新聞その他でごらんになったかもしれませんけれども、政府として正式に六割ということを言うたことも考えたこともございません。ただ私どもの調査によりますると、今まで三十三年、三十四年におきましては大体四十万から四十二、三万の農業人口が二次産業、三次産業に移動いたしております。年間大体それくらいのものが移動いたしております。これからの経済の伸びを考えますると、その移動する数というものが増大をしていくだろう。将来のことでありますから的確に予想はできないのでありますが、ある統計では十年間に六百万くらいの数に上るのじゃないかというような調査もあるように承っておるわけであります。そこでそういう情勢に対応いたして参りますと同時に、農家の耕作地不足による農家収入の増大は大きく期待できないということに対処いたしますためには、やはり農家の二、三男、あるいは耕地が不足でそれ以上の収入増を期待できないという人々に対して、新しい二次産業、三次産業へ移りやすいような条件を作り出していかなければならぬ。それには職業の訓練と同時に、二次産業、三次産業の地方への分散ということをあわせて行なっていくべきものと考えている次第であります。
#32
○五島委員 そうするとそのドル防衛の影響が、ただいま河野君が質問をしていきましたように、駐留軍労務者の今後の首切りに大きく影響していくのではなかろうか。その他雇用が伸びていると言われましても、日雇い労働者の減少は見られないし、それからまた中小企業やあるいは大産業にも見られておりますように、現在は臨時工、それから下請工、そういう面に雇用が伸びていっている。そうすると、こういう人々の身分というものは非常に不安定である、こういうようにわれわれは考える。いつかその人々が再び首になる、もう非常に簡単に首になっていく、失業をしていく、こういうようなことであれば、健全な雇用の伸びではないとわれわれは思うのです。従いまして雇用が健全化しつつ、それとともに雇用が増大していっているのかどうか、こういうことについて大臣の考え方を聞くとともに、もう一つ、臨時工あるいは社外工、いわゆる下請工、そういう人々が現在の雇用の中にどういう部面を持っているか、どういう程度にそういう人口があるか、労働力があるかということについても説明をしていただきたいと思います。
#33
○石田国務大臣 先ほど申し上げましたように、駐留軍の方面からの離職者がかなりの数に上るということは私どもも認めます。ドル防衛政策の推進に伴って出てくる数字は、現在まだ予想の域を出ないのでありますが、これからやはり五、六千人明年度には出てくるのではないかというふうに考えておるわけであります。あるいはこれから先のことでありますから、数字はもっと伸びるかも、縮まるかもしれません。それから石炭の離職を中心とする産業あるいは経済界の変化に伴いまする雇用の変動、こういうものが生じてくることも私どもは認めておるわけでございます。しかしそれをなお内包いたしまして、全体の雇用情勢を見ますとき、絶対量はふえる見込みなんだということを申し上げておるのであります。
 そこで御指摘の問題でありますが、伸びている雇用の内容いかん。御指摘のように日雇いの労働者の絶対数は減っておりません。しかしアブレは非常に減っておるわけであります。それから臨時工、社外工も増加しておりますが、同時に常用雇用も相当増加いたしております。数字が具体的に御必要であれば、あとで事務当局から御説明をいたしたいと思うのであります。ただ臨時工というものがふえていく状態、あるいはそれが存在する状態さえも私は健全な状態だとは考えておりません。これは一つには、日本経済の底の浅さからくると思いますが、いま一つには経営者の景気変動に対処する、極端にいえば卑怯なやり方だと私は考えております。従ってそういうものをこのままいつまでも許容してよろしいとは考えておらないのであります。従って臨時工、社外工あるいは日雇い労務者あるいは失対登録労働者、そういうものを含めての雇用条件の安定につきまして、これから積極的な検討を加えていくように命じておるところであります。雇用審議会等の議を、御協力を得まして、こういう人々の安定に努めていきたい。ただ現在、それじゃ直接的に今どうするか。今はやっぱり基準法の運営その他を通じまして、この労働条件が不安定かつ悪くならないように努力をいたしておるのであります。
    〔齋藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
#34
○大宮説明員 ただいま御質問の中にございました常用労働者と臨時的な労働者の最近の動きを申し上げます。
 私どものやっております調査によりまして最近の動きを見てみますと、七月から九月の平均で、前年の同期と比べまして常用労働者は産業総数で一〇・二%の増加でございます。それに対して臨時日雇い労働者の増加は九・八%。製造業で見てみますと、七―九月平均では、前年同期に対して常用労働者が一二・九%増、臨時日雇いが五・〇%の増加、こういうことになっております。
#35
○五島委員 前年同期に比して今の説明では一〇・二%、臨時工においては九・八%増と、増ばかり言われますけれども、下請会社にも常用と臨時工があるはずです。下請会社といわれる中に常用がおるのかどうか。そうしてそれはほとんど臨時的な雇用として現われ、親会社に対して下請の工員として仕事をしているというのが実態ではないかと私たちは考えているわけであります。ですから増の比較だけではなくして、臨時工と下請産業に関するいわゆる下請工、そういう人々の労働力人口はどのくらいあるんですか。
#36
○大宮説明員 社外工等につきましては非常に実態が把握しにくくて、的確な数字が今のところ把握されておりませんが、全体の常用労働者と臨時日雇いの名義のものとの割合を比べてみますと、常用労働者に対し、昨年の十二月末で約八%のものが臨時日雇いになっております。これは製造業全体でございます。従いまして産業によりましては相当多いものもあり、ほとんどないものもあるというのが実際でございます。
#37
○五島委員 ちょっとパーセントとパーセントですから、さっぱりわからぬので、全国の労働者の中に臨時工が何十万人おるかということを聞いているんです。それでなければちょっと頭の中で把握できないんですね。
#38
○大宮説明員 今申し上げました比率の実数は、常用労働者は製造業は大体七百万でございます。それに対する八%という数字でございます。
#39
○五島委員 この臨時工の問題、下請工の問題については、問題を後日に残します。そうして別途に詳細に調査の中からいろいろ聞き、あるいはこれに対する対策の問題についても、後日聞いていきたいと思うのです。
 ドル防衛に関する駐留軍の争議の問題が今日発生いたしております。これは何か聞くところによると、きのう解決をしたというように聞いておりますけれども、この問題について駐留軍労務者が非常に心配をしておることは、ドル防衛から自分たちはどんどん首切られていくんじゃなかろうか、そうすると生活を確保することが非常に困難ではなかろうかというような心配があります。それからまた人事院勧告に基づいて自分たちの生活を確保しなきゃならぬということで、今回の賃上げ要求の行動に出ておられるだろうと私たちは考えておるわけですけれども、今後人事院勧告の線に基づいて調達庁はこの人たちの賃金を設定されるのでしょうか、どうでしょうか。
#40
○眞子説明員 今回の国務公務員のべース・アップに伴いまして、すでに駐留軍関係の雇用者につきましても同時、同率に給与を引き上げるということは、これは既定の方針でございますが、これにつきまして政府と米側といろいろ折衝いたしておりますが、有給休暇等の問題で労働者側に不利になりはしないかという問題がいろいろありますために、そこへいろんな摩擦を生じておることは事実でございます。従いまして私どもといたしましては、何とかそういう被害を、また労働者に不利の及ばないような形で、ベース・アップはベース・アップとしてこれを引き上げていく、公務員並みに同時、同率に引き上げていく、これを実現すべく鋭意努力いたしておるところでございます。そのことがだんだん好転いたしまして、何とかこの問題は早急に解決されるのではなかろうかと思っておる次第でございます。
#41
○五島委員 こういう問題については、労働大臣も十分側面から努力をしていただいて、そうして駐留軍の労務者に対して将来の安心を与えていただきたいと思うのです。ところが米軍側はこの給与の改定に伴って、ドル防衛に関してアメリカ本国から予算が回ってこない、予算が回ってこないので、それを生み出すためにはまず第一点に人員整理を行なうこと、第二点としては勤務時間制を切り下げて、そして四十時間制以上を四十時間制までに切り下げてしまうそれから月例有給休暇の買い上げを中止すること、それから超過勤務手当など諸手当を制限すること、こういうような方針を明らかにして、そうして給与費を浮かして賃金を上げようじゃないかというような考え方がアメリカ軍当局にあるようですけれども、これは事実でしょうか。
#42
○阪本説明員 ただいま御質問のございましたような、いろいろな軍の財政上の事情はございます。しかしその中で御指摘にございました、月二日の有給休暇を従来買い上げておったものを買い上げない、それによって財源を浮かそう、こういう考え方は、これはやはりまずいというので、軍側においても今回の給与改定に際しましてはこういうことは行なわない、もしも行なうといたしますならば、今後給与体系全体を検討する際にそういうものを吸収して考えようではないかという方向に相なっております。さらに財源を浮かすために人員整理を行なうというふうなことは、やはり公平の原則に反するということで、今回もさようなことをするということははなはだ適当でないという態度で、調達庁は待遇折衝をいたしております。さらに時間制を切り詰めるという問題につきましては、従来ともほとんど四十時間制に相なっておりますので、今後さらに時間を切り詰めるというふうなことは、これはほとんどできないのではなかろうかというふうに考えておりますし、その他御指摘のような点におきましても、やはり種々問題はございますけれども、何とか財源を浮かしてこの問題を解決するということで、今明日、最終的な待遇折衝の段階に至っておるというような実情でございます。
#43
○五島委員 それではこの駐留軍の給与問題等々について、駐留軍の労務者の犠牲によるところの賃上げが行なわれないように、十分努力折衝されることを希望します。
 次に、日雇い労務者の問題について簡単に触れておきますが、日雇い労務者の問題については、人員が減ってない、従って失業対策の問題等々について今後いかにするかということは、これは重大な問題でありますし、われわれはできるだけ合理化し、そうして日雇い労働者の生活の安定と向上のために、できるだけ健全な職に一日も早くつかしめて、そうして完全雇用への道の実現を達成しなければならぬと思うのですけれども、この日雇い労務者に対するところの賃金の問題、これは現在非常に大きく問題となっております。生活保護者は生活保護費では生活ができないというようなことで、生活保護費を引き上げなきゃならぬというようなことが世論になっておるようですけれども、この日雇い労務者の生活給与のアップの問題、それから就労日増大の問題、それからまたその賃金アップの問題は人事院勧告との関連をどういうように考えられておるか、この問題について大臣にお伺いいたします。
#44
○石田国務大臣 生活保護の問題は、これは私の所管でございませんからお答えをいたしませんが、失業対策事業の日雇い労務者の問題、賃金、就業日数、これはでき得る限り引き上げるように、三十六年度予算の折衝において努力をいたす方針であります。またその生活の安定について、特に比較的年の若い人々の安定につきまして、職業訓練をして常用雇用に向けられるような方法を明年度から始めたい、こういうふうに考えておる次第であります。
 それから一般公務員のベース・アップとの関係でありますが、少なくとも一般公務員の平均上昇率を下回らないことが当然必要であろうと考えておる次第であります。
#45
○五島委員 それからこの日雇い労務者に対するところの何か今までぬかっている対策があるのじゃないか。それから石炭手当、寒冷地手当の問題ですが、寒冷地手当の問題で、公務員にも、あるいは民間産業の労務者にも、北海道あたりでは石炭手当が出ているようであります。石炭の支給とか石炭手当が出ているようでありますけれども、この日雇い労務者が非常に要望しておられる――自分たちの給料ではとうてい石炭までなかなか手が伸びない。従っていろいろ社会問題が生じておるのだ。そこで従来から非常に要望が強かったところですけれども、石炭手当の問題について労働省自身が何か考えておられるところがありますか。
#46
○石田国務大臣 北海道の石炭手当については、労働省といたしましては実現をはかる方針で、今関係省と折衝中であります。
#47
○五島委員 実現をはかるということは、どういう方向において実現をはかられるのですか。
#48
○堀政府委員 北海道の失対労務者の石炭手当の問題につきましては、やはり北海道の現地におきまするところの民間労働者の実情、あるいはその他のいろいろな物価の状況等ともにらみ合わせまして、私どもといたしましては、これにつきまして北海道における冬季の失対労務者の就労のあり方というものについて根本的に検討する必要があるのではないかと思っております。その際におきまして、ただいまのような御要望は現地から非常に出ておりますので、私どもとしては漸進的な方向においてこの問題を解決するように考えたい。しかし、これは関係各省といろいろ今後折衝を要する問題でありますので、労働省としては、ただいま申し上げましたような基本方針に基づいて、関係各省と折衝の上、最善の努力を尽くしたい考えでございます。
#49
○島本委員 関連。ただいま日雇い労務者に対しての石炭手当については実現をはかる方針で進めておるというような御答弁でございます。これはまことにけっこうであると思いますが、この方法がやはり問題になるのではないか、はたしてこの方法の一つとして、現に足りないながらも、生活安定にはならないけれども、生活保護法の適用者には石炭手当並びにそれに該当する項目でこれが出されておる。日雇い労務者の場合には、どのような方法でこの制度化を考えられているのかというようなことが、これは大きい関心事だと思います。今実現をはかる方針であるということを承りましたが、その方法等について、制度化の問題について若干御発表願いたいと思います。
#50
○堀政府委員 この問題につきましては、ただいま支払っております賃金のほかに、石炭の購入等に要するいろいろな経費、これを加算して賃金として払うか、あるいは別個手当として払うか、いずれにしても現在の賃金の上に積み上げていく、こういう方向で実現をはかりたい考えでございます。
#51
○島本委員 これは積み上げていくということはいわゆるべース・アップということにして、これをその場で切ってしまってこれでよろしいということにするのか、また、これはあくまでも石炭手当であるということにして毎日の賃金の上に出すのか、それとも石炭手当という額でこれを支給するのか、この方法についてはもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
#52
○堀政府委員 石炭手当につきましては、一年じゅう支給はいたしません。要するに、冬季を中心にして一定期間を考えまして、そうしてこの支給方法につきましては、日雇いの労務者諸君のことでございますから、実情に即したような支給方法を考えなければならないと思います。私どもとしては、一般の賃金のほかに、今のような手当のような方法を考えられないものであろうか、こういう方針で各省にも折衝中でございます。
#53
○島本委員 これは大臣の方に要望を申し上げておきます。いろいろと寒冷地帯におきましては、やはり今のような方法によって打開しなければならないようなことが最下層を歩む労働者の現実の面として現われております。賃金でも最低の生活を歩むものとして足りない状況のもとに、またそれに積み重ねていっても、石炭の手当としてその分に使うというよりも、今後生活を充実するための費用としてそれを使う問題の方が先なんです。将来はこれを制度化して、石炭に対する一つの手当、または公務員に類するような方法を採用してやるようなことが、法令上現在はなかなかむずかしいようであるけれども、これを考慮してやらなければならない切迫した問題であろうと思います。この問題について大臣はどういうふうにお考えでございますか、ちょっとお伺いしたい。
#54
○石田国務大臣 私自身も寒冷地の生まれでありますし、従って寒冷地の特殊事情については十分よく承知しております。特に非常に低い層の寒冷地における生活条件の困難さはよくわかっておりますので、一度にこれを処置することはむずかしいといたしましても、障害の除去に努めて、これら寒冷地の低い生活をしておる人たちの向上には努力を払う決意であります。
#55
○五島委員 それから日雇い労務者に対して毎年盆と暮れに期末手当が出されますが、これは法制化されておりません。従って公務員並みにその率を支給してもらいたいという要望もあります。われわれは常にこの期末手当の問題ごとに、労働省に対して、これらの人々を代理していろいろ要望を出しておるわけですけれども、きょうの新聞では一万何がしかの期末手当が出た、それから交通整理の緑のおばさんたちにも出したという記事が出ておったのですけれども、期末手当の問題について、これはもう五年、十年、戦後今日までずいぶん長い間固定しておる問題ですから、もうここらあたりで、政府が行なうところの仕事に従事するこれらの労務者に対しては、法制化をして、そうして必ずきまって安心して期末手当が支給されるものであるというような法制化の考え方はないかどうか。
#56
○石田国務大臣 日雇い労務の諸君に対する期末手当の増額については、あとう限りの努力をいたしておるのでありまして、実は今度の補正予算においても一・五日増加をいたさせまして、先ほど日雇い労働者の組合の人たちから努力を多とせられたばかりであります。そういう努力はいたしておるつもりでありますが、国の場合における十・五日分については、これは予算に明確になっております。ただ、ただいま冒頭におっしゃった東京都の支給分のような、地方で支給する分については、これは非常にでこぼこが多いことでありまして、それを今直ちに決定をします場合は、高くきめても低い方の事情に大きく響きますし、低くきめれば今まで高く取っておるところが既得権を失うというような形になりますので、今にわかに制度化、法制化するということは困難な問題でありますが、しかし根本的な問題でございますので、やはり検討を加えなければならない問題だと考えております。
#57
○五島委員 これは検討をして下さることを要望します。
 次に、労働大臣のあいさつを見ましても――これは特別国会に対する労働大臣のあいさつですが、通常国会にはまた別なあいさつがあるかもしれませんけれども、ILO条約批准促進の問題で、今日まで非常に問題が提起されながら実現されておりません。それで石田労働大臣はILO条約の批准には非常に積極性があると私たちは考えておりますが、この件について今後どういうふうにやられますか。
#58
○石田国務大臣 原則として申しますと、ILO条約の批准を積極的にやって参りたい。これは一般的、原則的にそう考えております。それから具体的に申しますと、八十七号条約の批准は、来たるべき通常国会において国会に提出いたしまして、御審議をお願いいたす方針であります。それから社会保障関係の百二号の条約につきましては、あそこに書いてあるうちの少なくとも三つは充当しなければならぬわけです。そのうちの二つ、疾病あるいは失業保険については、これはILOの条約の要請を満たしておるわけでありますが、他の問題につきましては、日本の国内法の建前と違っております。従ってにわかにこれを批准するというわけに参りませんけれども、国内法との調整を急ぎ、いずれが労働者の利益になるかを考えて、利益になる方の方向に近づけていきたい、こう考えておる次第でございます。それから百五号については、強制労働の解釈について明確でないものがございます。これについては、いずれ明年度に各国の報告がILOに集まって参るにつれて、その解釈が次第に明確になると考えておりますので、それを待ちましていたしたいと考えております。最低賃金に関する条約につきましては、先般御審議を経て通過をいたしました最低賃金法は、この条約の要請に合うように立案をいたしたものでございますので、これはできる限り早い機会に国会に提出したいと考えております。
#59
○五島委員 その二十六号の最低賃金法の批准の問題ですが、これは二十六号の精神に合致していると解釈されるわけですけれども、合致しているのだったらすみやかにやらなければならぬ。できる限りなんというあいまいな言葉はないのじゃないか。最低賃金法はできましたけれども、これはわれわれの考え方とはあくまで対立するものである。従って最低賃金法の制定後の適用人員と、それから最低賃金法の中に最低工賃があって、これに関連した家内労働者には最低工賃を実施するのだというような規定があるのですけれども、この最低工賃の適用労働者の人員、これについてちょっと伺いたい。
#60
○石田国務大臣 できる限りと申しましたのは、これは言葉のあやでございまして、次の通常国会に提出をいたします。それから適用人員の概略でありますが、今基準局長から報告いたさせますけれども、私の方針といたしましては、現在は四十万未満おりますが、三カ年間に二百五十万に適用さしたい。そうして現在あります法律のいろいろ御議論のある点――今五島さんは対立しているとおっしゃっておられますが、私は対立しているとは考えていない。不満であることはわかりますが、全く利害相反するものとは考えておりません。従って法の行政効果を上げて参る過程を通じまして、いろいろ問題点を拾い上げて、さらによりよきものにいたして参りたい。さらに家内労働法の制定は、今調査会で御検討願っておりますが、その御検討願う過程におきまして、行政指導によって効果を上げられる面についてはこれをすみやかにいたして参りたいつもりでございます。
#61
○大島説明員 業者間協定に基づきます最低賃金にカバーされる労働者の数は、昨日現在くらいで大体三十八万人になっております。最低加工賃につきましては、今大臣から申し上げましたように、一方において家内労働問題についての調査会の中間報告に基づきまして、家内労働対策を推進して参りたいと思っております。その方の関連もありまして措置いたしたいと思っておりますが、現在のところ最低加工賃についての最低賃金はございません。
#62
○五島委員 私が今まで数点について質問したことは、全く門口をなで回しただけですから、後日に譲ってこれで終わります。
#63
○滝井委員 ちょっと関連して。実は少し病院ストの問題と雇用問題で勉強しましたから大臣にお尋ねしたいと思ったのですが、時間がありませんから、雇用問題は来週に質問させていただきまして、簡単に一、二問だけ病院ストに対する労働省側の見解をお聞きしておきたいのです。
 それは二、三日前に大島基準局長なり労政局長から、労働省側の見解の御発表がございました。同時に厚生省側の見解の表明もございました。厚生省側の見解は、現在の病院ストにおける状態を見ると、病院の労働条件というものが非常に悪いということです。それから、日本の医療制度というものに大きな欠陥を内包しているということ、現在の医療費というものは適正でないということ、こういうことがはっきりいたしました。昨日厚生大臣から、適正でない医療費は科学的な検討を経て四月に改定をするという明白な御答えがあったわけですが、これによって大体使用者側はある程度団交の場に上がる腹がまえを作れる一つの要素はできたと私は思います。労使関係が非常に未熟であるという点が指摘をさせられました。同時に、従ってそういう未熟のところにおいては、労働基準法が順守せられていないわけです。特に公的医療機関においてその傾向が強いわけです。これは病院の定員が医療法あるいは関係法律が規定をする通りに充足をされていないために、現在の人員が過度の労働を背負っていかなければ人間の生命を守っていく医療の部面でうまくいかない、こういうことから来ております。そこで労働省としては一体この歴史的な病院ストにあたって、単に中央労働委員会とかあるいは地方労働委員会に出てきて、そしてそのあっせんなり調停を受けなさいというだけでは、今の段階ではどうも三すくみの状態になっていることが、昨日以来、日赤その他を呼んでわかってきました。使用者側は、どうも今の医療費が悪い、これを何とかしてもらわなければどうにもなりませんというし、労働者側は、三千円なり五千円の一律アップをしてもらわなければ、今の低賃金ではやっていけませんというのです。そうすると医療費の問題は四月の見通しがつきましたが、一体労働省はこの段階でこのストを具体的に解決していくためには行政として、政府として、単に中央労働委員会なり地方労働委員会に出て参りなさいということでは、三すくみですからどうにもならぬと思うのです。ですから労働省としては具体的に何か労使が土俵に上がりやすい、団交をほんとうに打ち開いていく道を何かお考えになっておるかどうか。
#64
○石田国務大臣 これは滝井委員御承知のように労働争議、特に民間の労働争議に対しまする私どもの立場というものは、その争議が適法に行なわれております限りにおいては、労使間の自主的な解決に待つのが原則であります。従ってそれに対して政府が労働争議の中に割って入るというような具体的な法的根拠もございませんし、また労働争議の処理する方針としてそういうことをなすべきものでもないと私は考えております。ただそれでは三池のとき政府がどうして出たかという議論になりますが、あれはほうっておけば人命が失われるという非常な事態でございましたので、政府は異例な措置として労使双方に勧告をいたしましたが、それでもなおそのあっせんの内容というものの決定は中央労働委員会にお願いをいたした、こういう状態であります。
 そこで病院のストライキについてわれわれのなすべきことは何かといえば、やはり、争議の解決のためにじゃまになっておることを取り除いていくということが、私どもの最大の仕事である、なさなければならぬ仕事であると思います。そのじゃまになっておることの多くは医療機関独自の内容、独自の方針、あり方に基づくものが非常に多いわけであります。そこで労働省といたしましてはまずそれを直接監督をいたしておりまする厚生省に対して、病院の経営管理、労務管理について具体的検討をすみやかに始めてもらうように、また労働省の所管をいたしておりまする各種労働委員会において聴取いたしました労使の事情を参考として問題点を摘出いたしまして、それを厚生省の適切な手段によってその打開をはかっていただきますように、選挙中からあるいは事務次官を厚生省に派遣し、あるいは閣議において再三発言をいたす等、そういう条件の排除の行動開始を要請して参りました。これは御承知のごとく厚生省において近くその問題を処理するための懇談会を設置せられるそうであります。従って背景をなしておりまするいろいろの問題は、その懇談会においてすみやかに処理せられることが望ましいと思いまするし、その懇談会には当然労働省側からも参加をいたしまして、労務管理の面におきましてわれわれの考えを実現するようにしたいと思っております。
 それからいま一つ、たとえば日赤等の場合におきまして、労務管理の責任の所在が今まで明確でなかったわけであります。これに対しましては日赤の責任者を労働省に招致いたしまして、そういう状態が新しい労務管理として許さるべきものでないことを勧告いたしました。改善に努力をするようにいたしておる次第であります。従ってその条件、争議解決をじゃまをする条件の排除については、全力を尽くしても参りましたし、これからも努力をするつもりであります。
 いま一つなすべきことは、解決へ向かって進んで参るムードと申しますか、そういうものを作り上げていくことが私どもの仕事の一つであると考えておるのでありまして、そのムードを作り上げていきますために、第三者あっせんによって解決をしてもらうように、団交が不十分であるなら団交を続けてもらうように努力をしておるわけであります。ただいまの状態から申しますと、四月に医療単価が上がるということが明確になって参りまするならば、私はやはり第三者のあっせんによって今回の事態は処理をせられて、そうして医療単価の値上がりを含んだ情勢、さらにただいま申しました厚生省の適切な機関による検討とをあわせて、恒久的な体制と申しますか、問題の処理に当たっていただきたい、こう希望いたしておる次第であります。
 なお現在まで行なわれておりまする病院争議は、一部を除きまして、適法かつ平静に行なわれておるものと私は認めます。従ってそういう点におきましては具体的実害はあまり起こってないことを、不幸中の幸いと考えておる次第であります。
#65
○滝井委員 私の基本的な考え方と大臣の考えと非常に一致をしております。とにかく政府がこういう争議に介入することについては、私も当然了承できませんが、こういう歴史的なストですから、解決に向かって政府が積極的にそのムードを作るという、ここが私は大事なところだと思うのです。今までこれが幾分欠けておったところにやはりこういう状態があったのじゃないか。昨日一応、四月にしても――額その他は私は問題でないと思うのです。これは科学的に検討しなければなりません。しかし四月からとにかく政府がある程度医療費を引き上げていこうということで一つのムードを作りました。そうすると労働省で、争議解決に支障になっておるものを、政府がムード作成のためにできるだけ排除していくという点について、今日赤における労務管理の責任者が明白でないという点を御指摘になりました。私はもう一つ御指摘を願わなければならぬ点は、労使間というこの使用者がはっきりしないということです。これはやはりあなたが病院の経営者というか、開設者に向かって、明白に出て参りなさいと言ってもらわなければならぬということです。これが今後ムードを作る上に非常に重要になってくる。責任の所在が明らかでないところに、今度のストが何かわからない、アベック闘争とかなんとか言われておるので、いわゆる明治以来の日本の医療制度の根幹にメスを入れることを妨げる状態が出てくるのです。だからまずその使用者が何者であるかということを、ムードを作るために一つはっきりしていただきたい。
 もう一つは、基準法の違反が公的医療機関で枚挙にいとまがないということです。この点については基準局長は、争議の現段階ではそういうものを今政府が指摘することは工合が悪いと遠慮なさっておる。しかしこの機会におきゅうをすえるといってはおかしいけれども、あなたのところには違反がありますぞ、争議の終わったあとには一つきちっと改めてもらわなければいかぬというくらいのことは指摘をしておく必要がある。それを具体的にこういうところこういうところにあるんですよと、こうしますと、これはやはり団体交渉で、労働省がこう言っているのですから、もう労働者諸君言わなくてもわれわれはわかっておりますということで、団交におけるトラブルと申しますか、論争点を排除することができるのです。これは現実に法に照らせば争議の介入でも何でもないと思うのです。きちっとすべきだと思う。
 それからもう一つ大きな問題点は、現在の病院争議が要求をいたしておる点が一律のベース・アップという点です。三千円のアップあるいは五千円のアップ、そうして一万円の最低保障をしてくれという点が――これは重要な点です。どういう点で重大かというと、産業別のいわゆる最低賃金を作ることを意味するわけです。これは日本の経営者にとっては大へんなことになるわけで、今までの行き方とはちょっと違うことになる。ここがやはり中央労働委員会なり地方労働委員会における一つの問題点になってくると私は思うしかし今度は、これは藤林さんのいらっしゃる慶応大学において、一律三千円のアップというものを四月一日から認めたということ、と同時に、最低については、あれについても幾分ぼやけておりますが、そういう情勢が出てきつつあるということ、これについて最近われわれの聞くところによると、日経連その他に強い反対がある。中央労働委員会においてそういうものを作れば困るということで、何か所沢さんあたりに相当牽制があるといううわさがちらほらわれわれの耳に入ってくるのです。こういう点は、ムードを作る上に一つの妨げになる。こういう三点、使用者を明白にしていくということ、それから基準法の違反というものが枚挙にいとがないのだから、こういう点については労働省はやはり十分調査をして警告を発しておくということ、そして産業別の一律賃金というものが病院にできるということについて反対が日経連あたりにあるが、労働省としてはそういうことはすべきではない、自主的な団交からそういうものができることは歓迎するということくらいのことは、やはり明らかにしておく必要があるのじゃないか。この三点に対するムード促進の意味から、あなたの御見解をお聞きしておきたい。
#66
○石田国務大臣 第一点、病院の労務管理の責任の所在が明らかでない、開設者として医者と病院長との関係、これは厚生省に対してそれを明らかにしてもらいたいということを早くから要望してございます。ただこれは、やはりある病院によってはどう取り扱うべきか。病院によって開設者を責任者とするか、開設者と病院長、お医者さんと一緒の場合もあるでしょうし、どうも私ども病院を預っていないものでありますから、どちらにすべきか、そういう点については厚生省の方で御検討を願い、決定をしてもらうべき性質のものだと思います。しかしそれは要望してございます。
 それから第二点は基準法違反、この基準法違反はそのつど警告をしておるのであります。しかしその違反の種類、内容は病院によってまちまちでありまして、一般的に病院では、この項目について共通的に違反しておるということを言いにくい。またそういうわけのものでもございませんので、そのつど警告を発しております。それから病院を重点事業場として、三十二年には四百七、八十、それから三十三年、四年は二千七百事業場をそれぞれ監督いたしました。その結果その他について御必要ならば基準局長からお答えをいたします。
 それから第三点、日経連が慶応病院の妥結したことについて異論をはさんでおるということは、私ただいま初めて聞きました。所沢都労委の会長に対してそういう圧力をかけているという話は、初めて私は伺ったわけであります。ただ病院の賃金のあり方、内容がいかにあるべきか、これは労使それぞれ自主的に御検討を願うことでありまして、それについて私どもがいろいろ見解を、第三者のあっせん調停を期待しなければならない段階に今申し上げることは適当でないと考えます。
#67
○滝井委員 では一つムード作るべく最大の努力を、介入にわたらない範囲でやっていただくことを希望して終ります。ありがとうございました。
#68
○山本委員長 次回は来たる二十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開催することといたし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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