くにさくロゴ
1960/12/20 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1960/12/20 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号

#1
第037回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
昭和三十五年十二月二十日(火曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 竹山祐太郎君
   理事 青木  正君 理事 早川  崇君
   理事 佐野 憲治君 理事 島上善五郎君
   理事 堀  昌雄君
      金子 岩三君    岸本 義廣君
      薩摩 雄次君    田中 榮一君
      高橋 英吉君    長谷川 峻君
      林   博君    米田 吉盛君
      片島  港君    坂本 泰良君
      滝井 義高君    安平 鹿一君
      井堀 繁雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      新井  裕君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治政務次官  渡海元三郎君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      河井信太郎君
        自治事務官
        (選挙局選挙課
        長)      皆川 迪夫君
        自治事務官
        (選挙局管理課
        長)      桜沢東兵衛君
    ―――――――――――――
十二月二十日
 理事薩摩雄次君同日理事辞任につき、その補欠として早川崇君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月十七日
 公職選挙法の一部改正に関する陳情書(東京都台東区仲御徒町四丁目三十一番地公職選挙法の改正国民運動事務局南俊夫)(第九九号)
同月十九日
 公職選挙法の一部改正に関する陳情書(松山市一番町愛媛県町村会長末永芳朗)(第一九九号)
 選挙法改正調査会設置に関する陳情書(岡山市内山下岡山県町村議会議長会長吉田二月外一名)(第二三七号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 閉会中審査に関する件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○竹山委員長 これより会議を開きます。
 まず、お諮りいたします。
 理事薩摩雄次君より理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○竹山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 次に、ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行ないたいと存じますが、これは委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○竹山委員長 御異議なしと認め、理事に早川崇君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○竹山委員長 この際、自治大臣より発言を求められております。これを許します。自治大臣安井謙君。
#6
○安井国務大臣 自治大臣を拝命いたしました安井でございます。大へん微力な者でございまして、ことに参議院に籍を置いております関係上、どちらかと申しますと、参議院より衆議院の方におなじみも薄いというようなこともあろうかと存じます。至らざるところにつきまして一つ御叱正をいただきまして、大過なく勤めさせていただきたいと存じております。
 なお、この特別委員会におきましては、申すまでもございませんが、今日国民の一番注目の的になっております公職選挙法の問題が中心でございましょうが、政府といたしましても、懸案になっておりますこの公職選挙法の改正問題には真剣に取り組みまして、よく世論の動向、有識者の考え方というようなものも十分検討しまして、でき得る限り早い機会に改正案も提出するように進めていきたいと考えておる次第であります。今後とも一つよろしく御指導をお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○竹山委員長 ただいまの大臣のごあいさつに対する御発言もありましょうけれども、後刻にいたしまして、これより公職選挙法改正に関する件について調査に入りたいと思います。
 本日は、去る十一月二十日に行なわれました衆議院議員総選挙の管理、執行並びに取り締まり方面について、それぞれ関係当局者より御報告を願うことといたします。松村選挙局長。
#8
○松村政府委員 十一月二十日に執行されました衆議院議員総選挙につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 今回の総選挙は、かねて予想されていたところでありまして、その重要性にかんがみまして、八月中旬以来、選挙法を守る運動を、公明選挙連盟を中心とし、民間団体、各種報道機関が一致して展開して参ったのでありまして、政府におきましてもこれに協力し、必要な予算措置を講じて公明選挙運動を行なうとともに、選挙法の違反行為につき厳正公平な取り締まりをすることといたしたのであります。
 次に、今回の選挙の管理、執行につきましては、全国的に円滑に終了いたしました。事故らしい事故も全くなく、問題らしい問題もほとんどございませんでした。特に今回留意いたしましたのは、さきの浅沼事件にかんがみまして、立会演説会の秩序保持についてでありますが、いずれの会場におきましても何らの事故もございませんでした。また、今回の選挙におきましては、選挙の結果をできるだけ早く選挙民に知らせるために、できるだけ即日開票をするように努めました。即日開票を行ないました県は三十県で、前回の総選挙と比較いたしますと、十県ふえております。選挙区では、百十八選挙区のうち、六十七選挙区を即日開票いたしました。前回と比較いたしますと、十六選挙区ふえております。なお、都道府県の選挙管理委員会を中心といたしまして速報態勢を確立し、候補者の得票状況を、おおよそ三十分ごとに各報道機関に共同発表いたしました。このため一千万円の経費を国で負担いたしたのでございます。今度の選挙の有権者数は五千四百二十一万人で、うち男子は二千五百九十六万人、女子は二千八百三十五万人で、女子の方が男子より二百三十九万人多うございます。なお、総数では、前回の総選挙のときより二百二十九万人増加しております。なお、今回の選挙の法定運動費用額は、全国平均で八十一万二千六百円で、最高は東京一区の百六十七万八千四百円、最低は兵庫五区の五十四万八千円でありました。今回の選挙の執行に要した経費は、国民審査の執行費七千三百万円を含めまして、総額二十一億二千五百万円であります。また、今回の総選挙にあたって、二十五人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体として、確認書を交付したものは十四でありました。前回は十一でございました。選挙の結果につきましては、お手元に配付いたしました資料について御承知願いたいと存じますが、今ここでおもな点を申し上げてみますと、まず、投票率でございます。投票日は日曜日に当たっておりまして、当日は、北海道及び東北の一部を除き、全国的にまれに見る好天気に恵まれておりましたためか、朝から投票の出足があまり思わしくなく、投票率は七三・五一%で、前回の総選挙の投票率七六・九九%に比べますと三・四八%低くなっております。
 立候補者数は、投票当日現在で九百四十名で、前回の総選挙に比べますと十一名少なく、競争率は約二倍であります。戦後初めての昭和二十一年の総選挙のときは五・九倍でありましたが、それ以降は漸次低下し、今回は戦後最低の立候補者数であります。なお、婦人の立候補者数は二十一名でございました。昭和二十一年の総選挙では七十九名、二十二年には八十五名でしたが、以後漸次減少して、前回の総選挙では十九名となったのでございますが、今回はそれよりは二名増加したわけでございます。
 当選者について見ますと、議員構成の四分の一が入れかわりました。その入れかわった部分の半分は新人、半分が元議員、こういう内訳になっております。なお、婦人の当選者は七名で、前回の総選挙の十一名に比べてかなり後退し、これは戦後最低の当選者数でございます。
 以上、簡単でございますが、選挙の概要を御報告申し上げる次第でございます。
#9
○竹山委員長 ただいまの御報告に関連して、御質疑なり御意見があればこれを許します。
 なお、本日、政府側は今の選挙局長のほかに、法務省の刑事局長、警察庁の刑事局長を呼んであります。
 発言は申し出の順序によっていたして参りたいと思います。井堀繁雄君。
#10
○井堀委員 先ほど選挙局長の報告によりますと、選挙法を守る運動が民間からかなり熾烈に行なわれたような御報告でありましたが、まことにけっこうであります。これに対しまして必要な予算措置を講じたり、積極的な援助、支持を与えたような御報告でありましたが、これに関連して、二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。
 今次の総選挙を顧みますと、きょういただきました資料にも明らかになっておりますように、悪質な選挙違反が跡を断たないようであります。十二月十六日付現在の、ただいまいただきました資料によりますと、一万一千七百二十二件、その人員で二万四千九百十九人となっておりますが、もちろんこれは警察庁の取り上げられた……。
#11
○竹山委員長 大臣は今参議院の予算委員会の方から呼ばれておりますから、先に大臣の方から……。
#12
○井堀委員 このような選挙違反が跡を断たないのは、言うまでもなく、これは選挙法にも大きな盲点があることは間違いないと思うのでありますが、いま一つは、その以前の問題もあるのではないかと思うのであります。そういう意味で、今の選挙局長の報告は、きわめて私どもにとっては大きな関心事だと思うわけであります。時間の都合もありますから、大臣に一、二お尋ねいたしておきたいと思います。
 これに関連いたしまして、今ごあいさつを伺いますと、近く選挙法の改正をおやりになるという御発言であります。当然だと思うのでありますが、その選挙法の改正にあたりまして、どこに重点を置かれておるかを、われわれはぜひ今のうちに聞いておきたいと思うのです。私は、この委員会でもたびたび発言をいたしておりますが、それは既存の選挙法の中の第六条の規定について、かなりその徹底方について多くの要求をいたしてきております。私は、その第六条の選挙に関する啓発、周知の項でありますが、この六条に規定されておりますように、選挙管理委員会が、常にあらゆる機会を通じて選挙人の政治常識の向上に努めなければならぬという規定は、どのように選挙法を改正するにいたしましても、この条項を積極的に推進していくということでなければ意味をなさぬとすら思うのであります。この点につきましては、絶えずわれわれは要求してきておりますが、選挙管理委員会の性格が問題になると思うのです。形式的には、選挙管理委員会は全くあらゆる権力から独立するということになっておるのでありますが、事実は、私はそうではないと思うのです。中央選管にいたしましても、地方の、府県、市町村の選管にいたしましても、事実はそれらの長の所管する職員が事務局員でありましたり、委員だけが独立した人格を持っておるというだけでありまして、スタッフは全然持っていない。もちろん、独立した予算もなくて、その地方の選挙管理に必要な費用というものは、ほとんど自治体の経費によってまかなわれておるのであります。これでは、私は選挙管理の公正などということは実現できぬと思う。こういう点について、従来もたびたび政府に警告もし、要望もしてきたのでありますが、なかなかその実効が上がっていない。私は、今回なども、その点について十分反省をしなければならぬのじゃないかと思うのです。元来、選挙法にも規定しておりますように、公正な選挙が行なわれなければならぬということは何人も期待するのでありますけれども、事実は、警察官の手をかりて取り締まりをしなければならぬという現状であります。これについてはあとで具体的な点をお尋ねしてみようと思うのでありますが、まことに遺憾千万といわなければならぬのであります。ほんとうは、選挙民が自由に候補者を選択する方法というものが確立されてくれば、問題は簡単だということは、どなたもうなずけることだと思うのであります。この点に対する根本的な問題が、どのように今後改正点で取り上げられるか、これが問題だと思うのであります。技術面よりも、むしろ基本的なものがそこにあるのではないかと思うのでありますが、今度の改正について、既存の選挙法にあります六条の精神をどのように活用しようとするのか、こういう点について、まず、一つ私の方から例をあげてお尋ねしたい。そのほか、抜本的に改正をなされようとするなら、どの辺に大きな改正を望んでおられるかを、この機会に一つ伺っておきたい。
#13
○安井国務大臣 井堀委員のお話、まことにごもっともだと存じます。申すまでもございませんが、選挙は、公明かつ適正な方法で行なわれるということが一番大事であろうと存じます。それには、管理委員会の果たす役割というものも非常に大きいと存じますが、ただいまのところ、まだ機構上、選挙管理委員会が十分な機構であるとは、なかなか御指摘の通り申しにくい面もございます。しかし、管理委員そのものは、極力厳正中立の立場を保って、やっていただいておるとわれわれは確信しております。また、技術的に人員の配置あるいは予算の配分といったような問題につきましても、単に選挙だけでなくて、常時、管理委員会が公明な選挙を行ない得るような体制を整えていただくことが必要であると存じます。その方向に向かって大いに検討を加えていきたいと思っておる次第でございます。
#14
○井堀委員 今度の改正では、六条規定を、やはりもっと積極的な機能が発揮できるように改正なさろうというふうに伺ってよろしいですか。
#15
○安井国務大臣 さらに拡充、充実して、より公正な選挙の管理ができ得るようなものへ持っていくべく、具体的に検討していきたいと考えております。
#16
○井堀委員 この問題は、たびたび論議しておることでありますから、多く申し上げなくてもいいと思いますが、今のあなたの趣旨は、全く同じ見解のようであります。ただ、実施面において、政府がどれだけ積極的な意図を改正案に盛り込むかということは非常に大切なことでありますので、しつこいようでありますが、あなたの改正に対する熱意をこの点について伺っておけば、具体的な改正の際に討議できると思うので、もう一度伺っておきたいと思います。
#17
○安井国務大臣 十分な熱意を持って検討いたしたいと思います。
#18
○井堀委員 いま一つ、お尋ねしておきたいと思うのです。
 次の改正の際にいろいろ出てくると思うのですが、選挙区の問題と定員の問題、それにもう一つは、比例代表制を併用して、小選挙区をやろうという意見がちらほら漏れておりますが、そこら辺について何かお考えがあるかどうか。
#19
○安井国務大臣 定数の問題、区画割の問題というものは、選挙法の一番基本的で、大きな問題であろうと思うのであります。これをより合理的に進めることが目標としては一番好ましいことだと思うのであります。
 比例代表の問題につきましては、まだ技術的な面でももう少し検討してみませんと、これが直ちに採用するという方向で取り入れられるかどうかということにつきましては、今ここでちょっと御発表いたしかねるという状況でございます。
#20
○井堀委員 もちろん、選挙区の問題、さらには比例代表制の問題など、非常に大きな問題だと思うのであります。しかし、それを取り上げて改正するかしないかということについて、われわれとしては、事前にある程度承知していませんと、勉強するのにも都合もあることでありますから、改正するというからには、そういうものには今回はタッチしないのかするのかということぐらいは、用意があるのではないかと思いますので、どの程度そういうものについて、今回は手をつける意思があるかどうか、ちょっとお尋ねしたい。
#21
○安井国務大臣 区画、定数の問題につきましては、十分具体的な検討の対象にして進めて参りたい。その結論が、いつどういう形で出るかということにつきましては、今ちょっとここで、まだ見当がつきかねております。
#22
○竹山委員長 それでは、次に堀君。
#23
○堀委員 大臣にちょっと伺っておきたいのですが、これまで、いろいろ選挙法改正の問題について、ルールがあったと思うのです。今のこのルールのままで選挙法の改正を提案されるのか、そのメカニズムの中で、何らかもう少し別途の、委員会といいますか、調査会というか、審議会というか、何かわかりませんけれども、そういう原案が出てくるまでの過程において、新たなる何らかの構想を持ってこれに臨まれるのか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。
#24
○安井国務大臣 御承知の通り、選挙制度調査会がございまして、基本的にはいろいろな答申をいただいておるわけであります。政府の検討する主眼といたしましては、これを中心に、尊重しながら検討するということを第一にやりたいと思います。しかし、それだけでもまだ足りない面も考えられますので、より広く世論あるいは関係者の御意向をただすべきいい方法があり得れば、選挙調査会の制度を無視しないで、よりベターな方法があれば、それもあわせて考えていきたい、こう思っております。
#25
○堀委員 もう一つは、時期の問題を伺っておきたいのですが、私どもは、この前の公職選挙法の特別委員会でいろいろと論議をいたしました。ほぼ、いろいろな点で考えもまとまっておりましたけれども、何と申しましても選挙直前のことでありましたから、いろいろと努力をしたことは何のかいもなかったというのが、実は前回の公職選挙法特別委員会の実情でございます。そこで、私どもも、この特別委員として今後やって参りますについては、やはり現在、いろいろな状態にかんがみて、より真剣に国民の期待にこたえるような努力をして参りたいと思いますか、時期の点でお考えをいただいておかないと、せっかくの努力が、また再びこれがいろいろな選挙の現実の問題のために成果を結ばないということになりかねないと思うのであります。そこで、早いに越したことはないのでありますが、何となく、ただ、できるだけ早くやりましょうというようなお答えでは私ども納得ができないので、大体どのくらい――それはいろいろな事情もありますから、何カ月というようなことはお答えできないと思いますので、大体明年中とか、大体のところでけっこうですから、ある程度の時期を、この最初の委員会にあたって、表示をしていただくというぐらいの熱意をお示しいただかぬことには、またこれ、だらだらやっていれば、おそらく改正ができないんじゃないか。気持はみな持ちながら実際はできない、国民も非常に失望するということでは困りますので、一つ大体のめどをつけていただきたい。
#26
○安井国務大臣 おっしゃる通りだと存じますが、この画期的な問題になって参りますと、これは、御承知の通り、非常に複雑な問題を含んでおります。それを一、二カ月で早急に抜本的な問題までまとめて成案を得るというのは、事実上は非常に困難であろうと私ども予測いたしております。かと申しまして、これまたいつまでも引き延ばしておりまして、この次の選挙の時期まで持ち越すというようなことでは、また、でき得べきものもできないという危険がありますので。私ども、目標としましては、今お話しの通り、何カ月と切るわけには参りませんが、少なくとも、相当十分なゆとりを持って、この次の選挙に間に合い得る時期までにこれを完成させたい、こういうつもりでせっかく案を進めたいと思います。
#27
○堀委員 お気持はわかりましたけれども、今のでは、やはり区切りがないわけですね。できるだけ早くということにお答えになる。しかし、大体私どもの一般的な常識でしますと、これは、衆議院のことですから、幾ら早くやっておいても、六カ月で解散があるかもしれませんから何とも言えません。しかし、常識的な最近の経過を見ますと、大体二年半前後のところで、そういうことが起こる可能性が、過去の例ではどうも一番多い。そういう過去の例を常識的な判断でするなら、やはり明年中ぐらいに問題が解決をしていないと、ちょっと簡単にいかないのではないか。明年中ということになれば、来年に控えております通常国会の会期と、以後秋に行なわれるとすればまあ臨時国会ということで、おそくとも明後年の通常国会中には、これはもう結論が出て参りませんと、現実の問題としてだめだと思う。特に定数問題とか、区画の問題とかいうものが入って参るとすれば、少しでも先に延びれば延びるほど、問題は複雑になってくる。早ければ早いほど――なるほど問題はいろいろありますから、簡単にはいきませんが、この問題はある程度勇断をもって臨まないことには、みんなが何となくいいんだということでは、これはいつまでたってもきりがないのではないか。ある勇断をもって、時期的にも内容的にも、相当の決意がなければできないことではないかと思いますので、望むらくは、少なくとも来年じゅうには何らかの結論に到達するという目標でできるかどうか。これはやはり、いろいろな条件がありますから何ともいたし方ありませんが、そのくらいの決意は大臣に表明をしていただかないことには、この委員会で真剣に取り組んでいくわけにいかないような気がいたしますので、その辺、大へん詰めたお答えを伺うようですが、それにはゆとりがあることですから、目安としては来年じゅうくらいのところで御発言をいただきたい。
#28
○安井国務大臣 お話ごもっともでございまして、これは仮定の問題でございますが、この選挙法について、今のような区割までいく、定数の変更までいくといったような根本問題を全部ひっくるめていくか、あるいは各方面の御意向の次第によりましては、一部の修正といったような場合も考えられる。そういう場合には、比較的早くなり得る可能性も生じてこようと思います。抜本的なものまで考えますと、今言われますように、正直な話、来年一ぱいくらいで、あらかたなものをまとめるというふうな目途で進めていきたいと考えております。
#29
○堀委員 けっこうです。
#30
○竹山委員長 この際、大臣に何かはかに御質問がありますか。
#31
○井堀委員 さっきのあれで、もう一つ伺っておきたいと思います。
 次の予算の中に、常時啓発のための予算と選管の予算、それについて腹案がございましょうか。
#32
○安井国務大臣 お答え申し上げます。
 選挙の公明運動につきましては、私は、選挙管理委員会自体も非常に大きな役割を果たしますと同時に、民間の機関も今後活用していきたい、こういうふうに思っておりますので、そういった団体に対する国からの援助も、できる限り予算面でもやりたいと思っております。これには、相当額の予算を来年度要求するつもりでございます。なお、選挙管理委員会自体の費用につきましては、これは地方の経費であることはどうもやむを得ないと思いますが、これの盛り方につきましても、自治庁として十分計算の基礎を明確にいたしまして、活動し得るような予算を今後も要求していきたいと思って、目下準備中でございます。
#33
○井堀委員 民間の何か既存の団体を予定しておられますか、それとも新しい団体を予定してのお考えですか、その点をちょっと伺います。
#34
○安井国務大臣 たとえて申しますと、前田多門さんのやっておられます公明選挙連盟でございますか、こういった団体に対しては、これから大いに国からも応援をして公明選挙の徹底を期したい、こういうふうにも考えております。
#35
○島上委員 大臣お急ぎのようですから、簡単に質問いたします。
 その前に、私は委員長に、なるべく近い機会に、この国会は特別国会ですから、通常国会に入ってもやるのでしょうが、総理大臣にぜひ一ぺん来てもらいたい。これは重要な問題ですから、それをお願いいたしまして、大臣に伺います。
 今同僚の井堀君から質問があり、答弁がありましたが、これは私ばかりじゃなく、世間では、一体池田内閣は選挙法の改正に対して相当熱意があるかどうかということを、正直疑っておると思うのです。この疑う理由はいろいろあるのです。自民党の新政策は、一項から九項の長い新政策を発表いたしました。その中に、ただの一言も選挙のことは触れていない。選挙中も、少なくとも政府及び自民党の側から、積極的にそういう問題を言い出しておるということは、私寡聞にして聞いてない。三党の立会討論会で社会党の側の方から問題を言い出されて、追い詰められた格好で、仕方なしに、これじゃどうもいかぬから選挙法の改正をやろう、そういう感じを一般に与えておる。私は、ほんとうに熱意があるならば、選挙制度調査会を活用するにしても、もっと考えてもらわなければならぬ点があると思うのです。選挙制度調査会があるのですから、それを活用するとおっしゃることは、これは答弁として当然でしょう。しかし、今まで、選挙制度調査会の諸君にお骨折りを願って、一体それを尊重したことがあるか。少なくとも近来においてはないのです。ここ数年の間においてはない。これは事実です。もし選挙制度調査会の諸君に、もう一ぺん答申してやってもらうとしたならば、私は、その点政府の熱意をもっとはっきりと選挙制度調査会の諸君にも、世間にも信頼できるように示さないことには、ほんとうに一生懸命やってもらえるかどうかということも疑わしいと思う。私は、このことについて、選挙制度調査会を尊重するということがぜひ必要だし、それから、それを尊重するには、なぜ一体選挙制度調査会から、政党の委員をいつの間にかはずしてしまったのかということを一つ伺いたいのです。政府の諮問機関でその他にも同様な機関が幾つもあるが、諮問機関にはちゃんと自民党の代表、社会党の代表が入っておって、運営上ちっとも支障を来たしていない。ところが、選挙制度調査会は、調べればわかりますけれども、二回か三回前に委員を入れかえた際に、さっと政党代表をはずしてしまった。そのはずしてしまう直前に、私は、この国会の委員会で質問したのです。一体はずすといううわさがあるけれども、はずすのかはずさぬのか。これは政党が、利害関係と言っては言葉が適切でないかもしれませんが、政党が非常に深い関係を持っておる問題です。従って、政党では研究もしておるし、意見もあるはずなんです。その政党の意見を言わせる機会をさっとはずしてしまった。私がここで、はずすべきでないという主張をしたら、その通りです、政党の代表である委員を委員会からはずす考えはありませんと答弁したのです。これはちゃんと記録にも載っておる。それをさっとはずしてしまった。ですから、この選挙制度調査会の答申には、この問題に対して積極的な関心を持って関係しておる肝心な政党の意見が、何ら反映していない。ですから、私は、今のままの選挙制度調査会では、やはり国会で、信頼できない面がどうしても多少出てくるのですよ。だから、その審議の過程で政党の意見を反映させるようにすれば、これを十分に尊重するという根拠もできるわけなんです。そういう点なども、私は、政府がおざなりであるという一つの証拠であると思う。おそらく今の選挙制度調査会は開店休業で、委員の任命もしなければならぬ時期にきておると思うのですが、一体新大臣は、こういう点に対してどういう考えを持っておるか。
 それから、時間がないからまとめて伺います。もう一つは、今も御答弁にありましたが、選挙制度の根本的な改正、区制の根本的な改正、すなわち、土俵を変えるような改正というものは、十分に与党、野党間で話し合いを尽くすべきだと思うのです。それぞれの党において検討すると同時に、与党、野党間において十分に話し合いをするということ、そうしないと、多数党の都合でもっていつでも土俵が変えられるというようなことでは、ほんとうの公明な選挙はできるものではないと思うのです。極端に言えば、党利党略によって、いつでも多数でもってきめさえすれば、自分の都合のいいように土俵を変えられるということは、私はよくないと思うのです。ですから、土俵を変えるという問題は、お互いに真摯に検討するとともに、与党、野党間で十分に話し合いを尽くすということです。この前の小選挙区制がああいうように流れたのは、そういう点において足りなかったからだと思うのです。私どもも、現在の制度がはたして十分なものであるかどうかという点に対しては、十分に検討する用意がある。と同時に、今言ったように、十分に話し合いをすべきものだと思う。それと同時に、運動面で金のかからぬ選挙にするという改正とは、私の考えでは、一応切り離してやるべきものだと思う。その根本的な問題とからませるから、実際には、やります、やりますと言ってもできないことになる。そういうように、今後も根本的な改正と運動面の改正を一緒にしてやる考えであるのか。一応切り離してやるのが適切であると私どもは考えておりますが、そういう点に対する考えを一つ伺っておきたい。政府の熱意ということに対しては答弁のしょうがないかもしれませんが、これらの点に対して伺って、この次の機会にまた十分一つ時間をとってもらって、もっといろいろお伺いしたいと思います。
#36
○長谷川(峻)委員 大臣に、私は、今社会党の委員からいろいろ技術的な問題が出たのですが、選挙法改正について、せんだって池田総理は、本会議の席上所信表明の中で、少なくとも、選挙は政策で争ったけれども、選挙法の改正については考えておるという話が出たわけです。それを受けて立って、政府は、やはりこの際に、大臣の責任においておやりになるというふうな大胆な所信をあらためて表明してもらわなければならぬと思うのです。われわれは選挙をやってきましたけれども、やはり選挙制度について非常に不備のあることは、これは与野党、いな、国民全部が考えていることだと思いますが、そこであわせて大臣の御所信を私はお伺いしたいのです。
#37
○安井国務大臣 島上、長谷川両委員からの御質問にお答え申し上げます。
 一体政府は選挙法の改正に熱意を持っておるのか持っておらぬのか、こういう御趣旨が一つの大きな問題であろうと思います。先ほど長谷川委員からも御指摘がありましたように、この特別国会の冒頭におきましての政府の所信表明で、池田総理も、明らかに、選挙の問題については抜本的な改正を目標に置いて、十分な検討を進めていくという熱意のほどを示しておられますが、時期その他につきましては、先ほどお話しのような状況もありまして、これは必ずしも明確にできませんが、政府全体といたしましても、ことにせんだってのなまなましいあの選挙のあとのいろいろな実績に徴しましても、これは非常な熱意を持ってこの検討に当たって参ることは、絶対間違いのない次第でございます。
 次に、選挙制度調査会の答申をちっとも政府は尊重しないじゃないか、こういうお話もございました。なるほど、いろいろな事情から、選挙制度調査会の結論を、そのまま直ちに政府の案として国会に反映しにくかった面もいろいろございます。しかし全然しなかったわけじゃございませんので、従来とても、小選挙区制といったようなものも、根本の精神におきましては尊重をして、むろん具体的にはいろいろな多少の出入りはございますが、出したわけであります。これは国会で御承知の通りの状況になっておるわけでございます。こういった点で、なかなかこれは政治的に問題も大きいものでございますから、直ちに調査会の答申案を、そのまま政府案として国会に右から左に出すわけにも参らぬ点もあろうかと思います。特に調査会のメンバーに議員を入れるべきじゃないか、ほかの重要な調査会にはそれぞれ入っておるじゃないか、こういう御質問もごもっともだと存じますが、これはなかなか慎重に考えませんと、選挙法を検討するのは第三者がやるのが一番公正でよろしいという世論も一部には非常に強いのでありまして、例の小選挙区制をやります際には、議員もこれに各派から入っていただいて、御検討願ったという例もございます。しかし、おおむねは、今まで議員は直接参加いたしませんで、この案についての審議をやるというようなやり方がとられてきておる次第でございます。しかし、将来は、私はこの点も十分に考えまして、今の選挙制度調査会にそれぞれ当面の人である議員も入った検討ということも、一つの方法として必要ではないかという点を、十分私も感じております。ただ、今直ちにどうするという結論を出しておりませんが、これも大きな検討の目標の一つに今考えておる次第でございます。
 なお、今度は、選挙法そのものの改正につきまして、区画あるいは定員といったような根本問題以外に、公明選挙を推進し得る技術的な面ももっと早くやるべきではないかという御質問でございます。これもごもっともだと思います。ただ、これも、やる限度いかんによりましては、どうしても区画の問題とからんでくるといったような問題も出てきますので、そこらの点を二段に分けて、具体化すべきか一本に合わせてやるべきか、この点もいましばらく時間をかしていただきまして、検討いたしたいと思っておる次第であります。
#38
○島上委員 今、長谷川君の質問の御言葉にもありましたし、それから池田総理の所信表明の中にもありましたが、今度の選挙は政策で争われた、政策中心の選挙だという言葉をおっしゃられる。私は、全然政策で争われない、こうはもちろん申しません。政策もかなり表面に、与党、野党が出して争ったことは事実です。しかし、今度の選挙は、今検挙が進行中で、最終的な統計が出ておりませんけれども、もう新聞にも報じられておるように、今度の選挙は、おそらく戦後最大の金のかかった選挙だ、戦後最大の買収と供応の行なわれた選挙だ、これは事実なのですから、この事実に対する謙虚な反省がなければ、ほんとうに金のかからない選挙にしようという熱意が起こってこないのですけれども、それを何となしにごまかして、いや今度の選挙は政策で争われたのだというが、党と党の争いであるならば、これは選挙の形としては理想的な形です。政策でも争われたけれども、しかし、反面、戦後最大の金が動いた選挙である。買収供応が戦後最大に行なわれた選挙であるというこの事実に対する反省がなければ、ほんとうに金のかからぬ選挙にしようとする熱意が出てこないと思うのです。その反省が、私は、遺憾ながら今までの池田総理の演説の中から受け取ることができなかった。これは池田総理にも次の機会に伺いたいところですが、私は、この点について安井大臣に一言伺っておきたい。
#39
○安井国務大臣 金のかからない選挙、公明な選挙ということが、何と申しましても、選挙の基本であることは間違いなかろうと存じます。今後、選挙法の改正その他につきましても、この点に十分な配慮を持って検討を進めていきたいと存じております。
#40
○早川委員 私も、せっかく自治省の幹部が来ておられますので、ちょっと御質問いたしたいと思います。
 一つは、私も八回選挙をやりましたが、今回の選挙は、逐年非常にやはり悪くなってきているという事実は、率直に認めざるを得ないと思うのです。こうなりますと、最終的には議会政治が崩壊するという、非常に大事な段階にきていると思うのでありますが、第一に、公明選挙運動というものは一体どういうことをやったのか。予算も出しておるし、私は、この公明選挙運動というものは全然効果なかったと見るのです。一体どういうことをやられたのか、この機会に一つお聞かせ賜わりたいと、まず思うのであります。
#41
○安井国務大臣 例の公明選挙推進連盟でございますか、これへ政府から相当の金も、それもひもつきでなくて、自由な意思で使い得るという金を、特に選挙に際しまして給付しました。これは前田さんのやっておられる会でございますが、相当各府県、市町村にわたってパンフレットを出し、チラシを出す、あるいは手ぬぐい等をやる、風船でやるといったような、一般の民間啓蒙を相当大がかりにやっておりますが、しかし、これも資金やその他の関係、人手の関係もありまして、末端まで十分意識するといったような大運動までは展開しなかった。しかし、これは今までにない、ある程度世論なりの関心を持たれたものではないかと思っております。しかし、なおこれだけでは足りませんので、選挙管理委員会自体にも、そういった棄権防止を中心にしました公明運動、これも予算をつけまして、相当活発にやって、今までよりは、そういった点につきましては、相当政府自身が熱意を示してやってはおると思うのです。しかし今御指摘の通り、ほんとうに十分な成果をおさめたとは申せなかったであろうと存じます。
#42
○早川委員 英国では、買収とかあるいは事前運動とか、選挙違反がありますと、国民自身が非常に――政治家が恥ずかしいことになりまして、当選もしないし、次の選挙にも出られない。日本ではそういう世論の形成ができてないわけです。そこで、私は公明選挙運動ということが、抽象的な、公明にしましょうとか、清き一票をしましょうという運動では、かねがねだめだと思っている。そこで、具体的に、選挙違反のようなものはどんどん出てきているわけですから、具体的にそういうものを国民にいかぬのだ、そういうものは当選しないのだという突っ込んだあれをやるべきだと思うのです。警察はそれを検挙するのですけれども、警察も証拠その他の関係で、率直に言うと、なかなかその実効は上がらぬわけです。そうすると、選挙法を守っておる者は損をする。公明にやっておる者は落選する。極端に言えば、やみ米を食わなかった判事みたいなものです。従って、どうしてもある程度は腐敗していく、こういう悪循環になるわけです。ですから、公明選挙運動というものは、もう精神運動ではなくて、具体的な違反という事実をもとに、やはり世論を盛り上げていくということで進めぬのかどうか、せっかく金を出しておるのですから。これは選挙妨害にもならなければ、特定候補の選挙運動にならないので、それをやらぬなら公明選挙はもう予算をやめたらいいじゃないかという気持もしておるわけなので、今後一つこの問題も、選挙法改正と同時に根本的に考えていただきたいと思います。
 それから、選挙法については、長谷川君や社会党の方が言われましたように、年内かかって改正するというのではおそいと思います。根本的な選挙の区割とかいう問題は別にしましても、少なくとも公営とか、あるいは腐敗行為の防止とか、世論が盛り上がっておるときにそれにこたえる姿で、ぜひ一つ政府も、できる範囲の選挙公明化の立法というものは、少なくとも通常国会くらいには出すという気持で進めていただきたい。私たちも、選挙制度の特別委員会ができたゆえんもそこにあるのではないかと思っておりますので、その点は一つ御検討賜わりたいと思います。
#43
○安井国務大臣 ごもっともなお話でございまして、今の公明選挙と申しましても、ただ法律だけをいじれば事足りるのでないことは、今御説の通りだと思います。今後そういった批判される側、選挙される側に十分な関心を持っていただき得るような大きな国民運動にまで世論を展開さしていきたい、こういうふうに一つは思っております。
 それから、なお先ほども申し上げましたように、抜本的な区割までということになりますと、これは通常国会はどうも目標として間に合いかねるのではなかろうか、これは偽らざる気持として申し上げておるわけであります。しかし、今のように、過程の問題として段階的にいろいろ話がまとまり得るものでございますれば、これはなるべく早い、通常国会にでも出し得る機運になれば、ぜひ出すという目途で検討を進めていきたいと思っておる次第であります。
#44
○島上委員 関連してちょっと質問。それは、私もぜひそうしてもらいたいと思う。というのは、年が明けると一年先には参議院の選挙が始まる。そうすると、そういう状態に放置しておくならば、来年にはもう猛烈な参議院の、目に余るような事前運動が起こるのです。今のように法律の中においてはやれるのですから。それを防止するということは、今度の、この次の通常国会でそういう面の改正をしないとできないのです。そういう猛烈な事前運動、これは見え透いておる。その次は地方選挙がある。この次の衆議院の解散はいつあるか別にしまして、私は時間がないからこまかいことは申しませんけれども、金のかかる選挙運動と一口に言われておりますが、運動期間に入った二十日間よりも、その以前の何カ月間、今度の場合は百日選挙をやられた八十日間、期日のきまっておる選挙においてはほぼ一年くらい前、その間に一番金がかかっておるのです。ですから、次の通常国会に、制度の根本問題は一応――私は一応でもいいと思う、切り離して、当面の必要な改正を――鉄は熱いうちに打たなければならぬという言葉があるように、世論が高まっているうちにやらぬと、世論が沈潜してしまうと、またいいかげんにされるのじゃないかという心配を私はお互いに持たなければならぬと思うのです。そういう点については、かなり検討しているはずですから――私どもは、この前の国会にも出しましたが、次の通常国会にも出す用意をしております。そうむずかしい検討をしないでも、金のかからない当面の改正についてはできるはずだと思う。ぜひ一つ次の通常国会に出してもらいたいということを、大臣に強く要望しておきます。
#45
○竹山委員長 それでは、大臣に対する質問は、きょうのところはこの程度にいたします。
#46
○堀委員 警察庁の刑事局長は見えておりますね。それから法務省の刑事局長とあわせて伺っておきたいのですが、実は違反に対する取り締まりの考え方であります。私個人のことに関して申し上げるのはちょっと恐縮ですけれども、私は、今回の選挙に関しては事前ポスターなるものを一切張らなかった。私の選挙区は西宮市というところで、間違って二十枚張ったものがありますが、これは県の警察でお調べになればわかりますが、一枚もそういうものは張らなかったし、事前の演説会らしいものも行なわなかった。選挙中は連呼すらも一回も行なわなかった。私は公職選挙法の委員でもありましたから、身をもって完全な公明選挙を行なったという自信のもとに、実は今回の選挙をやってきた。ところが、そういうような事実は周囲にあるところでありますから、選挙の取り締まりに当たられた方たちとしてみるならば、この選挙期間中の日常の行為というものを全部勘案していただけるならば、当然私は了解されるだろうと思う範囲であったにもかかわらず、悪質なる供応を行なったという形で問題を提起された。おまけに新聞に出たものは、候補者の宴席にというような発表が二、三の新聞に出た。聞いてみると、それは警察の方に聞いたのだという話であります。ところが、事実は完全に相違していて、これはある沖縄県の出身の方の会合がありました。沖縄県出身の市会議員で、私の党に属しておる人の後援会であり、同時に、沖縄県の協会である特定の会合に私と県会議員が呼ばれて、国会と県会の報告をした。これは安保のとき以来頼まれておりましたが、時間がないために十月上旬まで延びましたけれども、単に私は国会の安保についての報告、要するに、沖縄の人たちと安保はどういう関係にあるかという報告をしに参った。県会の人たちも、その報告をしに参った。その会合の終わったあとで、これらの諸君は、定例的な会合であるから、おすしかなんかで茶わん酒を飲んだ。そういう意味で、何ら私自身関知しない問題であるし、事実も全くその通りであるにもかかわらず、これが、私が供応を行なったという形で新聞に一斉に発表された。私は、なるほど取り調べられる側は疑いのある者について行なわれるのは当然だと思うが、その当事者なる者が、選挙違反をしてもいいんだというかまえをしておる者と、私のように事前ポスター一枚選挙区に張らなかった、あやまって二十枚張られた以外は、全地域にわたって一枚も張らなかったし、事前の演説会も、安保のときの関係で頼まれて、どうしてもやらなければならなかったもの一回だけであって、また、選挙運動期間中に一回も連呼を行なっていない。あらゆる点において選挙法を忠実に守ろうとする者に対して、このような問題の提起の仕方をされるということでは、さっき早川さんもちょっと触れておられましたけれども、そういうものならば、やる方が得じゃないかという気持を強く感じたわけであります。そこで、一体検察庁や警察の方では、候補者というものをどういうふうに見て、こういう取り扱いをされるのか。ともかくも、何かおかしかったらそれに引っかけて、とにかく何でもかんでも事件にするんだというかまえで問題を処理されるのか、基本的な点について伺っておきたいと思います。
#47
○新井政府委員 お答えを申し上げます。
 私自身、今おっしゃられた具体的な事件を存じませんので、あるいはとんちんかんなことになるかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。一般的な方針といたしまして、どの候補者はどうだということで、初めから見当をつけてやるということはいたしておりません。一般的に、そういう違反があればそれを追及いたしまして、黒白を明らかにするという方針をとっております。それ以外、何らつけ加える方針は持っておりません。
#48
○堀委員 私が伺いたいのは、要するに、いろいろと選挙違反の事実がある。警察から警告もして、事前ポスターをはがしなさい、あるいは連呼行為があって注意をしたとか、いろいろなことは、県の警察にはわかっていると思うのです。そうすると、この候補者はあまりやっていない、あるいはずいぶんやっているという人もあるわけですね。私どものところでは、やっていないのは二、三名にしかすぎないと思うのですが、やっている者とやっていない者は、多少基準を考えて取り扱いをされないと、一生懸命まじめにやっている者も、いややっているはずだ――私が昨日初めて選挙が終わって帰ってみると、いろいろその人たちに迷惑をかけたから二、三聞いてみましたが、取り調べを受けた人たちの話では、ともかくもお前はやっているんだということで、ひどい取り調べを受けておる。そうして、おまけに、こちらの者がこう言っているが、それはそうじゃないですかというような、誘導尋問というのですか、私の関係者の一人が、あまりひどいから、あなたがそう言ったというのを書いて下さい、そうしたら、それについて答えるけれども、それ以外のことについては答えられない。あまりにもひどい取り調べで、フェアの点が欠けておる。私の申し上げたいのは、フェアなことをやっておる者も、そうでない者も、そういう問題が起きたら同じにやるのだというようなかまえになるのか、全体としてフェアにやっている者については、もう少し私は、取り調べのあり方その他についても、配慮されるべき点があるべきではないか。どんどん何でもやっている者ならそれもやむを得ないが、一切それをやらないというかまえでやっておる者に対して、絶対やっておるのだというきめ方で問題が進められておるのでは、私、ちょっと納得がいかないのです。そういう点については全然同じなのか。要するに、今事前ポスターなんというのは必ず張られますね。それはともかくかまわぬ、選挙が始まったらはずせばいいのだ。しかし、実際ははずされていないから、いろいろ警察が指示をされて、それでもなかなかはがされないという実情です。そういうことは一切やらないということならば、その候補者は、選挙運動については公明選挙をやろうとしておるかまえがある。選挙期間中の他のいろいろな経過を見ていただいても、そういうことをやろうとする形跡がないのに、たまたまこういうものが起きてきたという場合に――それは私は、裁判になれば裁判で争うということになりますからかまいませんけれども、裁判で白になっても、私自身の受けた被害は一体どうなるか。そういうことをやっていないにかかわらず、新聞にはそういうことが出てくるということは、私自身の受けた被害は、たとい裁判で白になったとしても、新聞を見た人たちの受けた印象は消えないわけです。ですから、そういう点、もっと慎重に扱ってもらってもいいのではないかと思うのですが、その点はどうかということを伺いたいのです。
#49
○新井政府委員 第一点は、候補者の中でも悪質な者と、そうでない者とを区別して取り締まったらどうかというふうに伺ったのでございますけれども、私どもの実際にやっておりますことは、選挙運動のすべてを、一から十まで全部知悉するというようなことは、実際上はできかねるのでございます。私どもがふだんの仕事を持ちながら、選挙期間中はその仕事から少し解放させまして専従させるといたしましても、数は限られておりますし、年間常にそういう方々の運動の実態を見ておるわけではございませんので、全般を掌握していないということを、まず御承知おきを願いたいと思うのでございます。従いまして、私どもが違反を取り締まる場合には、個々の現象を取り締まるという以外にないわけでございます。その点については、あるいは御不満かもしれませんが、今のような態勢でやる限りは、そういう個々の事態から取り締まるということはやむを得ないし、また、その方がむしろ公平である。初めから候補者を色めがねをかけて見るという方が、それが公平に区分けができればよろしゅうございますけれども、そうでなければかえって不都合でございますから、そういうことはさせておりません。
 第二段の、結局、問題はもっと慎重に取り調べてくれという御注文でございます。これは私どもも同感でございまして、具体的にそういうことで御迷惑をかけたことに対して私ども大へん遺憾に存じますけれども、新聞の発表その他につきましては、結局ある程度は新聞に発表しないと、取材競争がございますので、むしろわれわれの捜査を守るというためにやっておるという面もございますので、その点は御了承を願いたいと思います。私どもは、あくまでもそういうことにおいて公平でありたいというふうに願い、また、そういうことで個々の現象をとらえて取り締まりをしておるということを御承知願いたいと思います。
#50
○井堀委員 選挙法改正のために、いろいろ事実問題について伺って参考にいたしたいと思いますので、検察庁、法務省の刑事局長に二、三お尋ねをしてみたいと思います。
 私ども、根本的に言いますと、警察の取り締まりによって公明選挙を推進するというやり方は、理想からは遠いものだと思う。できるならば、選挙民と候補者の間に合理的な公明選挙を進めるような形が望ましいと思うのでありますけれども、現実には、そういう理想にはまだ遠いようであります。しかし、現実の問題として、選挙管理委員会と緊密な連絡があって取り締まりが行なわれるというのは、今日の選挙法の建前からいうと、一応理解ができると思うのです。しかし、選挙管理委員会は、先ほどもちょっと質問をいたしました際に明らかになったように、形は備わっておりますけれども、実質は、投票に関する事務やあるいは選挙の事務的な処理はある程度推進できますけれども、公明選挙を行なう場合における取り締まり当局と選挙法の関係を有機的に推進するということについては、全く機能を失っておるようにわれわれは見ておるのであります。この点について、検察庁の立場で一つお答えをいただきたいと思うのですが、選挙取り締まりをやる場合に、警察と選挙管理委員会、特に今回の総選挙の場合は、中央選管やあるいは府県の選管が重要な役割を演ずると思うのですが、それと当局の間に、どのような選挙取り締まりについて打ち合わせや連絡をおとりになっておるか、あるいは全然おとりになっておらぬのか、参考のために伺っておきたい。
#51
○竹内政府委員 公明選挙を実現いたしますために、私ども検察庁の立場におきまして、厳正公平に取り締まりをしていくということが公明化に役立つものであるということの確信は持っておりますが、今御指摘のように、それだけが公明選挙を実現する方法であるとは、決して私どもも考えておりません。
 そこで、先ほども御指摘がございましたが、公選法の第六条の趣旨などもありまして、検察庁としましては、選管と、取り締まりの第一線に立っております警察庁所管の各府県の警察、この三者が密接な連絡をいたしまして、できるだけ犯罪防止と申しますか、違反の起こらないような啓蒙措置につきましても、それぞれ、あるいは警告という形をとって、検事正の名前を入れてそういうことを公表したところもございますし、そういう取り扱いをしまませんでも、内部的には連絡をいたしまして、まず、犯罪の防止に極力努めるという考え、それからまた、この厳正公平という言葉の内容でございますけれども、これは軽微なものも一切がっさい検挙、処罰するという趣旨ではございませんので、苛察にわたらないようにということも、また考えておるのでございます。そういう軽微な違反につきましても、すでに起こっておるものにつきましては、たとえばポスターの掲示の位置というようなことにつきましては、それをやめさせることによって問題をおさめるということもあると思いますが、そういうこまかい点につきましても、三者の間で十分協議をいたしまして、重点的に、悪質なものは容赦はせぬという態度でずっと臨んで参った次第でございます。
#52
○井堀委員 もちろん、今お答えの通りであるべきですが、ただ、私がお尋ねしておりますのは、今日の選管の、形式ではなくして、実質的に言いまして、まだ警察を指導するだけの能力を私は疑っておるのです。ですから、実際上は連絡していないのじゃないか。取り締まり当局としては、選管をそれほど高く評価していないのではないかという私の観察です。これは悲しいことだと思うのであります。というのは、今お答えがありましたように、厳正公平といったところで、立法の精神が他の法律と異なりまして、選挙法については、言うまでもなく、公明な、厳正な選挙を推進する、目的が取り締まりではありません。でありますから、具体的にお尋ねすればすぐわかると思います。たとえていうならば、選挙活動、推薦活動といいますか、推薦運動と選挙運動というものを分けて考えることができるとするならば、推薦活動というものは、選挙法の精神からいいますならば、常時積極的に選挙管理委員会は啓発運動を行なわなければならない。選挙人の政治常識を向上させることになっておりますけれども、これは広い意味におきましては、候補者の人格や識見、政見はもちろん、候補者の所属する政党の政策や、また、性格などについて選挙民が多く理解するということは、私は、公明選挙を推進する上において非常に大切な要件だと思います。それは、もちろん政党がやるべきであります。あるいは候補者が日常活動を行なわなければいけないと思っております。こういう問題については、今日警察がそこまで立ち入って、取り締まりの一線に立っております警察官にまでこの精神を教育、徹底するということは、今日の警察あるいは検察庁の仕事の上からいいますと、あまりに過剰な事柄だと思うのです。また、そういうことは選挙以外の問題ならともかくとして、そこに、私は、選挙管理委員会を高く評価して、あるいは政党の使命を帯びていって、また選挙民の常識が向上されてくると思う。ところが、どうも今日の警察官が、公明選挙といいながらその限界を誤っておる。推薦運動と選挙運動とののりが判断がつかぬのじゃないか、これは非常に大事な問題じゃないかと思うのです。そこら辺に対して、何か適切な御指導をなさったことがございますか。
#53
○竹内政府委員 ただいま御指摘になりました推薦活動、いわゆる政治活動と、それから選挙運動というものですね、当選を目的で活動する選挙運動との区別は、これははっきりいたさなければならないわけでございまして、前に申し上げました推薦活動、政治活動が公選法上の犯罪にならないことは、論を待たないのでございます。しかしながら、この両者が特定の選挙に接近して行なわれる、あるいは選挙期間中に行なわれるということになりますと、この区別が非常にしにくいのでございます。そういう点において、あるいはいろいろな誤解の生じておる点もなきにしもあらずと思います。しかし、警察にいたしましても、私ども所管の検察庁にいたしましても、その法律関係を頭に置かなければ違反の取り締まりもできないわけでございまして、いわゆる選管的な立場ではなくして、取り締まりという観点からいたしまして、両者の法律上の解釈につきましては、幾多の判例もございますし、私どもとしましては、十分検察庁の末端にまで趣旨を徹底さしております。もちろん、この選挙に先だちまして、検察庁長官の会議を東京で開いておりまして、そういう法律解釈上のいろいろな難点につきましては、私どもで、あとう限り解釈を明らかにいたしまして指示しておるわけでございまして、その間に誤解等はないものと私は確信いたしております。
#54
○井堀委員 今、もう一つ新しくあなたから問題が出されておりまするが、選挙法全体を理解していませんと、やはり取り締まりというものの正確を期することができないと思う。ところが、選挙法それ自身は、他の法律と異なった点を持っておる。具体的に例をあげますと、今あなたから事前運動という点を言われたが、広い意味の事前運動ということになりますと、それが当選を得せしめるとか得せしめないとかいう言葉を使っておりますけれども、事前運動は当選を得るための運動なんです。また、それでなければ意味をなさぬのであります。当選せぬでもいいような日常活動や事前運動があろうはずがないのであって、それがたまたまこの法律に規定している条項に抵触するかしないかということは――これは法律がある以上は当然それをやらなくちゃいけないのですが、しかし、それ以前の広い意味の候補者の持っております政見や政策というものは、できるだけ常時選挙民に知らせるということは、これはいいことだ、また、やらなきゃならない積極的な意味を持っておる。それから、選挙期間に入りましてからも、その運動は許されなきゃならぬし、進めなきゃならぬ。ただ、そこに非常に制約が加えられてくることは、これは選挙運動期間中においてはあり得ることですが、その限界というものを――あなたの今のお話によりますと、それぞれの関係者を集めて、十分徹底されたという会議の例なんかあげられたわけでございますけれども、警察本部長ぐらいまでは徹底させることができると思うのです。しかし、こういう実例を見ますと、大体警察本部長が検挙の端緒を握ったり、あるいは取り調べをするわけじゃありません。私は、この問題は非常に今後もあることだと思う。そこに人権じゅうりんが起こったり、あるいは行き過ぎがあったり、私どもの承知している範囲内でも、そういう問題がままあるわけです。この点は、その結果を論じてもあとの祭りになるのでありますから、公明選挙を推進するという建前からしますならば、選挙を暗くしたり、いたずらに選挙民を恐怖心の中に追い込んだり、それは私は、選挙の取り締まりという目的よりも、もっと大きな弊害をたれてくる傾向が今度の選挙で顕著になったと思うのです。それは取り締まりの方としては、点数をかせぐということも、これはあり得ることであると思う。業績をあげなきゃならぬ。それから、選挙の場合には競争相手がたくさんありますし、それがお互いにつつき合いっこをやるでありましょう。だから、そういう渦中に巻き込まれないということは、今日の場合はちょっとできないと思う。そういう渦中に巻き込まれる危険性がある。今のような、一体これは公明選挙運動として当然推進されるべきものか、あるいはこれは選挙違反になる性格を生むものであるかどうかという判断は、私は、今日の警察官にその裁量を与えるということは非常に矛盾があると思うのです。あなたが今ここで答弁されることに、一警察官がそのまま答弁できるものとは私は理解しないのであります。せっかく法の権威を保とうとする場合に、その法の権威を失いましたり、あるいは人権じゅうりんが起こったり、目的と反するような結果を作り上げていくという、おそろしい傾向が今度の選挙でだいぶん上がってきていると私は思うのです。そういう点をお気づきになりませんか。あるいはお気づきになっていないとすれば、これはぜひ一つ調査をいたさなければなりませんから、これは委員長にもお願いして、そういう部分の調査を、この際、この委員会はやらなければいかぬ。そうしないと、次の選挙法改正のときに、よい知恵をわれわれはしぼることができないんじゃないかと思うのです。こういう点に対して、警察庁の刑事局長は直接それをお取り扱いになっておって、いろいろ報告もあることであるから、この点に対する見解を伺っておきたいと思います。
#55
○新井政府委員 今、事前運動を例にあげられましていろいろ御説明がござましたが、私どもの方は、選挙のたびに資料を出しまして、第一線の末端の警察官に至るまで指導をいたしておりますが、御指摘のように、選挙法は大へん入り組んだ法律で、これを警察官十二万全部にマスターしろといっても、これは無理な問題でございますから、この問題に限りましては、本部が直轄指揮をいたしまして、実際に取り締まりを推進する場合には、必ず指揮を受けるということにおいてチェックをいたしておるわけであります。従いまして、第一段に御指摘になりましたように、いいかげんな判断でいいかげんなことをするという、そういう心配は、一応機構上、私どもの方ではチェックする組織になっております。
 ただ、私もつくづく感ずるのでありますけれども、選挙法というのは大へんややこしい法律で、一筋なわではなかなか理解できない。観念的には割り切れますけれども、実際の現象を見て、はたしていずれのことに入るかということは、何年かかかって裁判所がおやりになればあるいはわかるかもしれませんが、現場ですぐ判断をしろといっても、これは日本じゅうにそれを判断できる人はそうたくさんいないだろうというふうに私ども思います。従いまして、私自身としても、法律というものはもう少し簡単にしてほしい。それから、事前運動とそのほかの政治活動その他との区分の問題でありますけれども、これは法律には、そういうことはいいとは何も書いてない。昔からそういう解釈をしておる部分が非常に多いわけであります。たとえば、後援会の活動にいたしましてもそうだろうと思うのでございますけれども、そういうものが法律には規定していないで、しかも、この法律は、選挙活動ということであるから選挙ではないのだ、政治的な啓蒙だというものはいいじゃないか、あるいは地盤の培養というものはいいんじゃないかという解釈でずっときておるわけでありますから、これは非常に私は、実際の判断では流動的であろうと思います。従いまして、私も個人といたしましては、ただいま御指摘になりましたように、もっと法律を簡単にいたしまして、警察官が判断に困るものは、なるべくなくしてほしいということを痛感いたします。
 それから、最初から御意見のありましたように、警察が徹底的にその人間をこれにかけまして、選挙違反を摘発するということが選挙そのものをよくするゆえんだとは、私は毛頭考えられない。選挙は公明という明には、私は明朗の明ということが入っておると考えておりますので、そういう意味においては、末端においては、今御指摘のように、やや点取りに類するというふうにお感じになることがあるかもしれませんが、私どもは、そういうものは絶対にやるなということを指示いたしておりますし、具体的にも今度の選挙違反の状況を見ましても、先ほどちょっとお話がございましたが、選挙の取り締まり上、総選挙で一番検挙の人員の多かったのは昭和二十七年の選挙でございます。約五万人おるわけでありますから、そこまでは達するものではないと私ども思っております。そこいらを見ましても、私どものやっておることは、体制としてそんなに間違っていないと思っておるのでありますけれども、御指摘のように、法律はぜひ簡単明瞭なものにして、選挙が、公正であると同時に明朗に行なわれるように、ぜひ法律を直していただきたい。私ども、具体的に二十日間という限られた期間で、また、一瞬々々に判断を迫られた警察官としては、非常に苦しい法律でございます。結局解釈の最後は、選挙のためにするものでなければ違反ではないけれども、選挙のためにするものであれば違反である。選挙のためにするものであるかどうかという判断は、非常に流動的であると私は思います。実際問題といたしましては、そういう点で非常に判断に苦しむことが多いので、ぜひこの機会に、選挙区その他については私どもの所管の外でございますけれども、この選挙運動の制限につきましてはもっと簡単明瞭なものにして、みんなが朗らかに選挙ができるという方向をもっと伸ばしていただきたいということを、取り締まりに当たっている者といたしましても衷心から希望しておるので、その点を申し上げておきたいと思います。
#56
○井堀委員 今明らかになりましたので、これは委員長にも申しておきたい。ぜひこの委員会では今度の――あまり時間がたちますと事実がぼけてくる。今回の総選挙の取り締まりについては、まあこういう言い方は適当でないかもしれませんが、私の感じを率直に言いますと、選挙法でいう悪質、すなわち、買収、供応、そういう手段で当選を容易ならしめようとする行為は、これは許されることでない。しかし、これが計画的に行なわれますと、今日の警察の現状をもってしては、容易に検挙しがたい種類のものではないかという判断を持っております。何でもない者に金を持っていったり、物を持っていったり、ごちそうするはずはありません。あらかじめ候補者並びに運動員との間に何かの関係が結ばれておるところに、金がいったり、あるいは物が回ったりするということになりますと、仲間割れでもしない限りにおいては、そういう犯罪の端緒をつかむということは、私は非常に困難だと思う。というのは、やっている人たちが、良心にとがめられるところがきわめて希薄だからであります。金をもらう方も、金を使わして気の毒だ、出す方も、出したくて出しておるわけではないでしょうから、そういう関係のものを、何かこういうところで検挙しようというところにかなり無理を起こしている。たとえば、買収、供応の端緒をつかむために戸別訪問もよくない、しかし、個々面接は許されるといったような、こういうような立法上の工夫のあとは認めますけれども、じゃ戸別訪問を禁止しますと、買収や供応はつかめないということは、これはよくわかる。だからといって、個々面接がよくて戸別訪問がいけないということは、程度の問題になってきて、ここに非常に問題があるようでありまするが、もともとこの法律は、そういったように技術面で非常に無理のある法律だと思う。でありまするから、結果からいいますと、悪質な、計画的なそういう選挙運動というものは、この法律をもって取り締まるということは、ある意味においては無意味だ。たまたま検挙してみましても、ひどいのになりますと、われわれも事実を知っていますが、一罰百戒というわけで――たまにつかまらないでおるというものもあるわけであります。おおむねあがってくるのは、選挙違反になるかならぬかわからぬで、候補者やあるいは選挙事務所と関係なしに、候補者に好意を持つといったような人たちが、不用意にたまたまごちそうをしたといったようなものも事実に現われてくれば、特定の候補者に当選を得せしめるために選挙民にごちそうするわけでありますから、当然これは違反になるわけであります。しかしそれは神様以外に判断ができぬでしょう。はたして候補者や事務所と意思の疎通があったかどうかということは、これはとてもむずかしいところでありまして、そういう善意的な面が実は犯罪になって、そうして計画的に行なわれたものは、やった当事者とその周辺で知っている者がありましても、摘発が行なわれなければどうにもならぬといったような、こういう現状が回を重ねるに従ってある。ですから、前に大きな金をばらまいている者は、選挙になってからは金を使わないのですよ、だから何回も回を重ねてきた有力な候補者というものは、選挙運動期間中に金をまくなんという不細工な選挙運動はやらない。前にちゃんとそれぞれ相当――もっともそれは、金の価値は下がるかもれしませんけれども、下がってもその水揚げは見ているといったような大口の選挙運動は、もう今の法律でひっかけることはできない。そういったようなものが実際今横行しておるものですから、それをつかむために小さなものからどんどんイモづる式にあげていくということはあるので、今日それまでは否定しません。そのために、実は今私の質問いたしました問題がくずれてきている。せっかく今刑事局長の御答弁にありましたように、取り締まりにあたって間違いを起こさないようにという御注意は、その線でくずれてしまっている。そうしてひっかかっているのを見ますと、推薦活動などでいろいろな活動をした者までが――とにかく警察官は一々わからぬ。これは私の関係でありませんけれども、ほかの候補者に頼まれたからやってあげた。実際行ってみますと、取り調べをしておいて、七、八人の人を呼んだようですから私は聞いてみた。これはお調べいただくとすれば、私の方で資料を出してもいい。その調べに当たりました警察官は、どうしてあなたはあの候補者を応援しなければならぬのですか、あなたはどうしてあの政党をひいきしますか、そういう質問を連発しているのです。それで初めて、調べられた人や、御婦人もかなりいたようですが、何かそういう人に投票することを、個々面接の関係ですから、聞かれた場合に、そういうことを話したことが犯罪になるといったようなふうに思い込んじゃう。ですから、自分は選挙違反を犯した者だというような錯覚で、警察官の取り調べに必要以上のことまで言っておるという事実が、かなりたくさん私のところに訴えがきております。ですから、これは私自身の判断でもできますが、これは警察の行き過ぎにきまっておりますから、警察署長に注意いたしましたら、びっくりして署長も調べたら、確かにそういうことはある。ですから、これは警察官にあなた方のような理解を求めるということは、もう最初から無理だと思う。そういうところに今度の選挙法の大きな欠陥が、私はあると思う。今あなたのお答えで、なるべく――繁雑な選挙法を作ったのはわれわれの責任である。改正する場合にはそういう問題が出てくると思うのです。ですから、そういう意味で一つ委員長にも希望しておきたい。何も警察の取り調べ、やり方が悪いからといってこれを非難したり、あるいはその警察官をつるし上げるということでなしに、そういう間違いを今後起こさぬようにするためには、今後この選挙法をどういうふうに変えたらいいかということにある。ぜひそういう意味で、今回は警察庁も検察庁も御協力願って、その調査を進めていただきたい、こういうことを要望しておきたい。実際問題として幾つか例がございますが、そういうものはここで申し上げる必要はありませんので、当局としても、ぜひ一つそういう問題について、それは今警察でありますれば警察署長の責任になりますし、あるいは地方でありますれば県の本部長の指導よろしきを得なかったりとか、監督不行き届きというようなことになるものであるとすれば、これは私どもの意図するところではありません。そういう意味ではなしに、今回はそういうことに対して一つ御当局で調査をなさいまして、私どもも資料を提供いたしますから、必ずしもむずかしいものではないので、そういう点で調査を進めていただきたいと思うわけであります。いろいろありますが、きょうはこの程度でやめておきます。
#57
○竹山委員長 坂本君。
#58
○坂本委員 私は、けさの朝刊に「山形一区選挙無効の訴え」というのが出ておりまして、山形の選挙管理委員長相手に訴訟が出ているわけでありますが、この訴訟は、裁判所が判決できめることですから、それに待たなければならぬのですが、この記事の中に二つの問題があると思うのです。一つは、選管に対する問題、それから取り締まり、警察の方の関係だと思うのです。
 この内容は、公示以前に月刊誌に記載された記事が、いわゆる候補者となるべき人の中傷記事である。それからもう一つははっきりしませんが、それに中傷記事のチラシ四万枚が配られた。この三つの事実――一つは「山形評論」、一つは「山形新潮」、それからチラシ、これに対して山形県警に取り締まりを要求し、反駁文を出そうとしたところ、それは選挙違反になるからとさとされ、また、犯罪相殺になるから出さないようにと言われた。さらに、発刊された「山形評論」、「山形新潮」の関係者を告訴したが、担当官庁は結論を出さなかった。これは選挙中に結論を出さなかったという意味ですが、こういうような問題は、選挙が済んでからやられても何にもならないものです。従って、公示前でもありますから、このような月刊誌の中傷記事等については、選挙管理委員会は何らか指導をすべきではなかったか。こういう月刊誌を知らなかったか、あるいは見ても等閑視していたかどうか、この点が一つ。
 それから警察関係、取り締まり関係では、犯罪相殺になるから出さぬ方がいいだろう。そうすると、出した方が出しもうけだということにもなるし、さらに、告訴が提起されてもそれに対する結論を選挙期間中に出さなかった、こうなっておりますから、いわゆる選挙管理委員会の指導の問題と、一つは、こういう選挙違反に類する問題に対する告訴があった場合にどう取り扱ったらいいか、この二つを聞きたい。
#59
○新井政府委員 実態を申しますと、きわめて悪質な妨害文書だと私どもも思います。ただ問題は、これをいかにしてとらえるかという問題なのでございますけれども、告訴は、業務妨害と名誉棄損で出ておるようでございます。そういたしますと、これの取り締まりにつきましては、結局事実関係を調べなければなりませんので、今おっしゃったように、選挙の期間中に間に合わないわけでございます。そうすると、問題は、脱法文書になりはしないかということが一つ問題なのでございます。今まで調べた限りでは、通常の頒布の方法で頒布しているという以外の実態が、なかなかつかめないのでございます。そうすると、刑法の問題に帰らざるを得ないということでございまして、これはわれわれとしても、今後捜査の技術上もっと検討しなければならないということを痛感いたしております。
 もう一つのビラにつきましては、これは完全に違反のビラでございまして、今おっしゃいましたように、相殺になるからやめた方がいいという注意を受けたということは、実は私鹿野さん御自身から承りました。そのいきさつは、警察側に若干言葉の足りない点があったようでございまして、相手方が出したと同じような範囲以上に出すと、また文書違反にあなたの方がなるから御注意下さい、こういう御注意をしたはずなのでございますけれども、その言い方もあまり十分でなかったと見えまして、結局出すのをおよしなさいというふうに強く響いたようでございます。もちろん、こういう文書合戦を選挙最中にやりますと、いずれは選挙法に触れる文書にもならざるを得ない点があるわけでございますから、そこらが取り締まり上非常にむずかしいのであります。ただ、現在は、このビラと月刊雑誌を両方あわせて捜査いたしております。しかし、まだ捜査のはっきりした終結まで至っておりません。
 以上、概略を申し上げます。
#60
○松村政府委員 私は、警察関係のことは御本人からも伺って聞いておるのでありますが、選管のことについては、何も承知しておりません。実情の方はわかりませんが、おそらく選管としては、そういう事実を知りましたならば、別にこれといって権限もございませんから、どうというわけにも参りませんでしょうけれども、選挙の公明化の見地から、その本人に注意くらいはすべきじゃなかったかと思いますが、その間の事情を承知いたしませんので、ここでお答えすることはできません。
#61
○坂本委員 これは選管は少し勉強してやらなければならぬ、公明選挙というので、ただわあわあ言って、金ばかり使ってもしようがないと思います。こういう点は、こういう問題になる、告訴まで出るという問題を選挙管理委員会が知らぬということは、これは言えないと思います。しかし、それを知ったならば、これはやはり指導すべきが妥当じゃないかと思います。
 それから、刑事局の方では、これは百四十八条の二の違反にはならぬのですか。
#62
○新井政府委員 これから調べて参りますれば、なるかもしれません。ただ、これは、鹿野さんの御意見は、なるという御意見なのでございます。そういう裏が動いておるとおっしゃいますので、そういう点で今調べております。
 それから、事後の処理につきましては、そういうことでやっておるのでございますが、坂本委員がそこをはっきり今おっしゃいましたように、二十日間の期間中にこれがとめられなかったということは、私ども非常に遺憾に思っておるわけであります。事後の処理は、百四十八条の二に当たる部分があるのじゃないかということで、今捜査をいたしております。
#63
○坂本委員 今選挙になると、第三種郵便の認可を受けた雑誌、それから週刊誌みたようなのがたくさん入る、ある特定の候補者から金をもらってやるような点が往々見受けられるわけであります。百四十八条だけでいかぬから、百四十八条の二が改正されて追加された、こういうように承知しておるのであります。特におっしゃったようなビラが違反であり、悪質な妨害記事だということになれば、これは名もない週刊誌なんかのことについては、十分取り締まりをやらなければならぬのじゃないか、こういうふうにも考えられますから、選挙無効の訴えがどういう内容で行なわれたかわかりませんが、これは裁判所できめることでありますからあれでありますが、記事の内容を見て今お聞きしたわけです。悪質の妨害記事なんかの点については、選挙期間中でないと、選挙が済んだあとからどうこうしますといっても、何にもならぬわけであります。当選すればいいけれども、落選するとしゃくにさわって、またいろいろ問題が起こるのだから、こういう点についての取り締まりの公平と申しますか、そういう意味でやらなければならぬと思うのです。そういうような見地から、これはもう少し調査を待って、その報告を聞きたいと思います。
     ――――◇―――――
#64
○竹山委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りをいたします。
 本国会の会期も明後日をもって終了するわけでありますが、公職選挙法改正に関する件について、閉会中も引き続き審査を行ないたいと思います。つきましては、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○竹山委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト