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1960/12/16 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 建設委員会 第2号
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1960/12/16 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 建設委員会 第2号

#1
第037回国会 建設委員会 第2号
昭和三十五年十二月十六日(金曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 加藤 高藏君
   理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君
   理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君
   理事 二階堂 進君 理事 松澤 雄藏君
   理事 中島  巖君 理事 山中 吾郎君
      逢澤  寛君    金丸  信君
      木村 公平君    齋藤 邦吉君
      徳安 實藏君    丹羽喬四郎君
      山口 好一君    石川 次夫君
      稻村 隆一君    岡本 隆一君
      兒玉 末男君    前田榮之助君
      三鍋 義三君    田中幾三郎君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
 出席政府委員
        建 設 技 官
        (河川局長)  山内 一郎君
 委員外の出席者
        建 設 技 官
        (道路局長)  高野  務君
        専  門  員 山口 乾治君
    ―――――――――――――
十二月十四日
 委員田中角榮君辞任につき、その補欠として大
 沢雄一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
 委員逢澤寛君及び田中幾三郎君辞任につき、そ
 の補欠として服部安司君及び片山哲君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員片山哲君辞任につき、その補欠として田中
 幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事大倉三郎君及び二階堂進君同日理事辞任に
 つき、その補欠として薩摩雄次君及び木村守江
 君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月十五日
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
 受けた地域における津波対策事業に関する特別
 措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
 受けた地域における津波対策事業に関する特別
 措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 一号)
 建設省関係重要施策(昭和三十五年度建設省関
 係予算補正)に関する件
     ――――◇―――――
#2
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件につきましてお諮りいたします。
 本日理事大倉三郎君及び二階堂進君より理事辞任の申し出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○加藤委員長 御異議なしと認め、大倉三郎君及び二階堂進君の理事辞任の申し出を許可することにいたします。
 次に、理事の補欠選任の件につきましてお諮りいたします。
 大倉理事及び二階堂理事の理事辞任に伴い、理事が二名欠員となったわけでありますので、その補欠選任をする必要があります。この際先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○加藤委員長 御異議なしと認め、薩摩雄次君及び木村守江君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○加藤委員長 次に、昨十五日付託になりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
    ―――――――――――――
#6
○加藤委員長 まず提案理由の説明を聴取いたします。中村建設大臣。
#7
○中村国務大臣 ただいま議題となりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。本年五月のチリ地震津波は、わが国の太平洋沿岸の各地に激甚な人的物的被害を与えたのであります。これがため、災害を受けた地域において津波対策事業を計画的に実施するため、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法が制定されたのであります。その後、被害を受けた地域の調査を行ない、またチリ地震津波対策審議会を開催いたしまして、津波対策事業計画を作成するための作業を進め、ほぼ計画の概要が明らかになって参ったのでありますが、この計画に基づく事業を実施するためには、地方公共団体においても相当の負担を要することとなります。この法律に基づく津波対策事業を計画的かつ円滑に実施するためには、特に激甚な被害を受けた地方公共団体については、津波対策事業に対する国の負担率を引き上げる等の措置を講ずる必要が出て参ったのであります。
 以上が、この法律案を提出した理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
 まず、地方公共団体またはその機関が、政令で定める地域において津波対策事業を施行する場合においては、国はその経費の三分の二を負担し、または補助することといたしました。また、国が直轄で施行する津波対策事業に対する地方公共団体の費用負担についても、同様の趣旨により、その負担を三分の一に軽減する措置を講ずることといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#8
○加藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますからこれを許します。
 山中吾郎君。
#9
○山中(吾)委員 大臣並びに関係局長にお伺いいたしたいと思います。
 その前に、この法案については、一応時宜に適しておる法案だと私は考えておるのでありますが、内容について不明確な点をお聞きいたしたいと思います。
 その一点は、被害激甚地、すなわち補助金を引き上げる公共団体は、政令で定める予定地域ということに説明をされておりますが、その政令で定める予定地域は、大体どういう基準によって定められるか。その点について、これは局長でけっこうです。
#10
○山内(一郎)政府委員 政令で定めます地域の基準といたしましては、われわれが考えておりますのは、津波対策事業の事業費のうち、災害費を除きました、つまり対策費と標準税収入とを比較して考え方をきめております。その比較の割合でございますが、対策費が標準税収入の二分の一をこえる地方公共団体の区域、これを政令で指定すべく今準備をいたしておる次第でございます。
#11
○山中(吾)委員 そうすると、具体的には県でいいますと、たとえば岩手県を含んで、その中で除外になる地域があるのですか、ないのですか、その標準でいきますと……。
#12
○山内(一郎)政府委員 県で申し上げますと、青森県、岩手県、宮城県の三県を政令で指定する予定でございます。
#13
○山中(吾)委員 大体了承しました。
 次に、この法案による津波対策審議会、これは本来の目的は今回のように補助率を引き上げるということだけではなしに、この法案の目的からいいまして、今後津波対策事業を計画的に実施する、そして「国土の保全と民生の安定に資することを目的とする。」という、この第一条に従って、今後の津波対策事業を恒久的な一つの対策として立てていくための審議機関だと考えておるのでありますが、それは間違いありませんか。
#14
○山内(一郎)政府委員 先般制定をされました特別措置法の第四条に書いてございますが、「審議会は、津波対策事業計画に関する事項その他津波対策事業に関する重要事項を審議する。」、こういうふうになっておりまして、今、先生のおっしゃった通りでございます。
#15
○山中(吾)委員 大臣にお聞きいたします。そういう審議会が今後基本的に津波対策事業をやっていくために、根本的な対策をお立てになるのでないと、これはこの場限りの法律で、立法の精神から、はずれていくような気がするので、この点について、この当面の対策に対して、津波対策として今後この審議会を大いに活用して、恒久対策をお立てになる御意思があるかどうか、お聞きいたしたいと思います。
#16
○中村国務大臣 お説の通り、当面した災害のみならず、恒久対策を樹立するということは、日本のように災害の年々頻発いたしまする国柄といたしましては、きわめて必要であると考えております。従いまして、この審議会におきましても、今後他の立法との関連も考慮いたしまして、恒久的な調査、研究を続けていくようにいたしたいと、かように考えております。
#17
○山中(吾)委員 大臣の御趣旨は大体了承をしたのでありますが、たとえば岩手県の場合に、田老町というようなところは大堤防を築いて、そのために今度のチリ災害から完全に防御されておる。そういうふうなことを考えますと、今後こういう津波の対策については、沿岸の災害都市計画といいますか、特別の都市計画の中にもそういう防災の考慮を払ったのも、あるいは住宅の建築についても防災建築様式を検討して、津波対策というものを含んだ、いわゆる沿岸都市計画というふうなものが特別に考慮をされて、審議をされることが、こういう審議会の目的に沿う今後の大事な課題だと思うのでありまして、こういう点についても一つ具体的に検討を願って、この法案が生きるように、未来に責任を持つ法律として執行されることを希望いたしたいに思います。全体のこの法案の趣旨については、われわれ異存ありませんので、今後この法律を未来に責任を持って執行体制に持っていくように希望いたしまして、私の質疑は終わります。
#18
○加藤委員長 瀬戸山君。
#19
○瀬戸山委員 この審議会で計画をされた対策事業というものは、大体どういうものですか。
#20
○山内(一郎)政府委員 災害の直後、関係省――三省で関係をいたしておりますが、建設、農林、運輸の三省から係官がそれぞれ現地に参りまして、実地に当たって計画をしたわけでございます。
 まず、県の工事と市町村の工事がございますが、県工事につきましては、北海道、青森、岩手、宮城、福島、和歌山、徳島、高知、この一道七県でございます。この一道七県について、各チリ津波によって被害を受けました復旧事業費をいろいろ検討したわけでございます。その総額は九十九億、約百億になるわけでございます。
 それから、市町村工事といたしましては、北海道の浜中村、これは港湾でございます。運輸省所管の港湾になりますが、浜中村。それから岸手県の種市、宮古、山田町、大槌、釜石、大船渡、陸前高田、これらの市町村の工事、これは全部漁港になります。それから宮城県の気仙沼、志津川町、雄勝、女川、牡鹿、石巻、鳴瀬、塩釜の市町村、これも全部漁港でございます。徳島県の阿南市、これも漁港でございます。それらを全部合計いたしますと約十七億の事業費になります。
 こういうふうに現地に当たって計画しましたことを審議会で検討して、審議会の決定を見た次第でございます。
#21
○瀬戸山委員 私が聞きたいのは、この対策事業で、どういうのを対策事業として認められておるかということです。
#22
○山内(一郎)政府委員 その内容でございますが、施設から申し上げますと、主として海岸堤防がほとんどでございます。それから、それに隣接をしました河川の護岸堤防、これらを入れておりまして、災害復旧以外に、再び被害が起こらないように、対策費を加えて計画をする、そういう内容になっております。
#23
○瀬戸山委員 そこで私が聞さたいのは、三分の二に上げられるのはけっこうですけれども、例の伊勢湾台風のときあの地域の補助率はこれと一致しない点がある。
 もう一つは、さっき山中さんからお話がありまして、大臣からもお答えがありましたけれども、日本のような海岸をもってめぐらしているところは、いつ地震があるか高潮があるか予測しがたい。海岸堤防などの補助率は二分の一だと思うのですが、そういう点とのかね合いというものはどういうふうに考えておられるか。この地域だけは三分の二にするが、ほかの海岸の問題については二分の一、あるいは伊勢湾台風のあとの処理についても二分の一、この調整はどういうふうに考えておられるか、それを承りたい。
#24
○山内(一郎)政府委員 その点につきましては、いろいろ検討したのでございますが、今おっしゃいましたように、昨年の伊勢湾台風におきましては八割になっております。その場合には災害復旧の方も特例法が出て参りまして、最低八割からそれぞれ標準税収入の割合で高率になる。今回の本年度の災害復旧につきましては、現在のところ特例法がございませんで、三分の二からスタートしていく。そういうようなつり合いの問題で、チリ地震の対策事業費の補助率を三分の二ときめたわけでございます。従って、それ以外は、今おっしゃいましたように、海岸法の普通の補助率二分の一でいく。こういうことになるわけでございます。
#25
○加藤委員長 ほかに質疑の通告がありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#27
○加藤委員長 これより討論に入るわけでありますが、別に討論の通告がありませんので、討論を行なわず、直ちに採決いたします。
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#28
○加藤委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 なお本案議決に伴う報告書の作成等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#30
○加藤委員長 次に、昭和三十五年度建設省関係の予算補正につきまして、前会は建設大臣より説明を聴取いたしたのでありますが、本日はその説明に対する質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますのでこれを許します。
 岡本隆一君。
#31
○岡本(隆)委員 最初に大臣にお伺いしたいのです。今度の十六号台風が起こりまして直後に委員会を開きまして、それから自民党の方にも社会党の方にも災害対策委員会が設けられまして、とにかくこう再々災害があるようだと、そのつどいろいろな特例法を設けるというふうなことでは非常に矛盾をしているから、一つ災害基本法のようなものを作ろうじゃないか、そういうふうな話が出て参りまして、社会党からも法律案をある程度のものを準備いたしまして、たとえていえば、今までは災害に対しまして公共災害は相当政府の手からいろいろの補助が行なわれますが、しかしながら民間災害というものに対してはほとんどそれが顧みられておらぬ。だから、そういうような問題についても現在のように災害そのものが必ずしも天災とのみは言えない。ある場合にむしろそれが人災であると言わなければならないような種類の災害がある。しかも、そういうような種類の災害に限って再々襲ってくるというふうな点にかんがみて、もっと個人災害というものの救助に重点を置かなくちゃならぬ。こういうところから、社会党の方でも今までの災害救助法というふうなものでは不十分じゃないか。だから災害援護法というような形でもって、もっと手厚い援護を罹災者にするような方式をとらなければいけない。こういうふうな形の考え方に立つところの災害援護法というものを要綱を作りまして、自民党の方に持って参りました。同時にまた、昨年度のいろいろなあの災害に対する特例法に準じたような補助の特例法を、それを特例法という形でなしに、基本的にいろいろな災害に対する措置として考えていこうという考え方に立つところのいろいろな立法の内容も持って参りまして、社会党の代表が幹事長に会い、一つ今度の臨時国会に間に合うようにこれを両党の間で十分に話し合って、臨時国会はいずれ解散になるのだから、それについて十分な議論をする間がないから、だからこれについては昨年の災害対策の臨時国会でもって十分に議論が尽くされているのだから、一つもう、これでもって事前に両党で審査をもってし、話し合って、臨時国会をするする通して、それでもってことしの災害対策に対するところの措置を講じようじゃないか、そういうような申し入れをいたしましたところが、幹事長の方でも、それはしごくけっこうだ、それでは十六日に話し合いましょうということが、さらにまた二十三日にもう一度、あるいはまた三十日にももう一度ということになって、前後三回にわたりまして私ども自民党の災害対策の委員会の責任者の方とお目にかかった。しかしながら、その会見の結果は一向煮え切らないで、話し合いが進まない。自民党の方には、むしろそういう恒久立法をとにかく当面作る意思はない。だから臨時国会に関する限りにおいては災害に対してはノータッチでいきたいというふうな形で、臨時国会というものは災害対策については全くノータッチ、何らそれに触れられなかった。そしてまた、建設委員会も全然開かれませんでした。
 しかしながら、私どもは、これは罹災者に対して非常に不親切であったと思うのです。少くも災害にあい、山地田畑をすっかり流し、あるいは家を流し、家財を流したというような大きな被害を受けておる住民、あるいはまたそれによって非常に大きな痛手を受けておる地方公共団体に対して、今年度の災害をどう措置し、どう援護するかということを何にもきめないままで解散に持っていく。しかも今度の特別国会におきましても、これに対するところのどういう措置を講ずるかという法案も全然出て参っておりません。そうしますと、結局この問題は今度の通常国会に持ち越されて、年があけてその問題の解決に国会は当たっていく、政府もそれに当たっていく、ということになると思うのです。
 しかしながら、夏に受けたところの災害について、何らの方針も明らかにされないままで年を越すというようなことであっては、私は為政者として非常に不親切な態度であると思うのでございますが、大臣はそれをどのようにお考えになりますか。御所見を承りたいと思います。
#32
○中村国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、党においても鋭意研究をいたしておるようでございますが、政府側といたしましても、まことに御説ごもっともでございまして、名称はどうすべきが妥当であるかわかりませんが、災害基本法的な立法措置の必要を考えまして、実は鋭意検討をいたしておる次第でございます。
 ただ、及びまするところが、既存法律を見ますると、既存法律の関係各省が相当の数にわたります。これらの既存法律との関係もございますので、いろいろの関係方面と連絡をいたしまして、鋭意検討をいたしておる次第でございまして、できるだけすみやかに成案を得て御審議を願うような段階にいたしたい、かように目下考えておる次第でございます。
#33
○岡本(隆)委員 御承知のように、日本という国は災害常襲国でございまして、例年どこかに災害がやってくる。従って、昭和三十六年にも私たちはある程度の、また場合によれば相当大きな災害というものが見舞ってくるものというふうに心がまえを持っておらなければならないと思う。従って、この災害基本法のものの考え方というものがクローズ・アップされて参りましたのは、昨年の夏の災害から後の臨時国会以来のことでございますが、こういうような基本的な恒久立法を立てなければとてもだめだ。ことに災害復旧というものが、今までの災害復旧に対するところの国の考え方が、これは単に原形復旧の考え方にとどまっておる。しかし原形復旧の考え方では、とてもそれは年々襲ってくるところの災害に対して備える道ではないから、これはどうしても改良復旧の方針に方向を変えていかなければならぬ。こういうふうなことが強く昨年の臨時国会でも言われておったことでございます。
 だから、災害基本法を作ろうという声が大きくクローズ・アップされたのはそのころからでございますが、その後すでに一年たっておる。一年たっておる今日までの段階に、ほとんど何ら政府の方でもそういう準備が行なわれておらない。これから関係各省との間で相談して、考え方を組み立てていきたい、こういうふうなことでございますと、今度の通常国会に間に合うのか間に合わないのか、これが私は疑わしい。しかしながら、昭和三十六年の災害の年度を迎えるにあたって、私どもは、どうしても夏の災害がやってくるまでの間に、やはりそういう立法というものを作り上げておくというふうな心がまえでなければならないと思うのでございますが、そういう点について、政府の方では、それだけの準備を進めておられ、かつまた、そうやっていくという心がまえを持っておられるかどうか。その辺のところをお伺いしたいと思います。
#34
○中村国務大臣 その必要性につきましては、全くお説の通りでございますから、極力努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
#35
○岡本(隆)委員 それでは、ただいまの大臣のお言葉を私は必ず実行していただきますように、一つ格段の御努力をお願いいたしておきたいと思う。
 そこで、現在の災害に対する国の措置でございますけれども、災害の範囲、それから規模というふうなもの、さらにまた、各公共団体あるいは個人にとりましては、受けるその人たちの痛手というものとはおのずから別なんです。だから、今までのいろいろな国の補助率の場合におきまして、大きな災害があったときには、特別な相当高率の国の補助が受けられるが、しかしながら、災害が少ない、災害の範囲が狭い場合には、それについては国の方では、あまり規模が大きくないから顧みないで、例年通りのままにしておくというような形でもって、ことしの災害については、昨年は特例法が作られたけれどもことしは特例法が作られないというふうな形のままでいこうとしている模様でございます。一体、ことしは、たとえば京都府にありましては、相当な局部的な災害を受けて、地方公共団体も、あるいはまた住民も、相当甚大な影響を受けておるのでございます。それに対して、ことしはどのような措置を講じていただけますのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
#36
○山内(一郎)政府委員 本年度も至るところ災害がございまして、現在各都道府県、それから市町村から、被害の報告の参っておりますのは約四百億になっている次第でございます。これを過去と比較をいたしますと、昨年よりはもちろん低うございますが、昨年を除いた五カ年の平均よりもやや下回っているという状況でございます。ただし局地豪雨というような特色のある災害がひどうございまして、たとえば京都府の桂川、それから岐阜県の長良川、こういうような局地的豪雨はひどうございまして、そういう特別の地域につきましては、今までやっております以上の措置をして現在進んでいるわけでございます。従来のやり方は、現地の調査をやりまして、査定を実施する。それから、もちろん復旧の工法の指導に当たる。それから逐次予備費を支出して参って、現在に至っておるわけでございますが、それで不足でございますので、補正予算を組みまして、緊要事業は三カ年復旧という線が確保される補正の予算の額を計上する予定いたしておる次第でございます。
 特に桂川地区につきましては、被害が非常に激甚でございますので、そのうちの特にひどいところは国の助成事業に採択をする。これも一部補正予算に計上をするわけでございますが、なお根本的なものといたしまして、現在調査費をほかのところから流用いたしまして、現在地方建設局の方でダムとか、河川の改修の計画とか、そういうことの調査をやっている次第でございます。その調査ができれば実施に移していく。こういうことで現在進んでいるわけでございます。
#37
○岡本(隆)委員 ただいまお話が出ました桂川の例でございますけれども、昨年も大きな被害を受け、その復旧の途中に、またことしも大きな水害が出まして、せっかく昨年やったところの護岸が、その裏へ水が回った結果くずれて、またやり直さなければならぬというふうなところが出て参っております。大体災害復旧には、今お話のように三カ年でもって復旧が完了するというふうなお話でございましたけれども、連年災害がやってくるようなおそれのある部分については、三年という方針をもっと早く、少なくも一年か二年にやってしまうというふうな方針をとっていただかないと、せっかく途中までやったが、またその翌年水がきたために、たとえば私が今申しておりますのは上桂川の日吉町というところの川のそばの道路なんです。護岸を作って道路を復旧いたしますと、今度またその上に舗装もできておりません。だから、せっかく護岸を作って道路を復旧しておきながら、今度はその上にまた水がかぶれば、道路が洗い流されて、護岸がぐらぐらにくずれて、またもう一度やり直さなければならない、こういうことになって参ります。だから、護岸を作って道路を作れば、すぐそのまま舗装をやって、今度水をかぶっても平気なようなところまで完全に仕上げてしまわないことには、さいの川原の石積みのようなことになってくる。そういうふうな例はほかにもあると思う。私はことしの夏、岐阜県とか愛知県へ参りまして、再々災害の襲ってくる地域については、そういうふうな配慮を行なって、再度引き続いて翌年災害がやって参りましても、そういうふうな、せっかく築いたものがくずされて、もう一度やり直さなければならないというふうなおそれがない程度にまで、引き続いてどんどん工事を進めていく。ある場合には、工事の関係上そこまで進め得ない場合もあるでしょう。そういう工事が技術的に不可能な場合はいたし方がございませんけれども、予算上の関係でもってそういうことが起こることがないように、私はしていただきたいと思います。これはやはり災害復旧の基本的なものの考え方として、三・五・三の現在の考え方というふうなもの、あるいはまた災害復旧を三年間でやっていくというふうな考え方よりも、必要のあるものについては、一年ででも完了してしまうというふうな方針をとっていただく必要があるのではないか。こういうふうに私は思うのでございますが、今後そういうふうな方針を災害復旧のやり方の中に加味していくような考え方を持っていただけないものか。これは建設大臣にお伺いいたしたいと思います。
#38
○中村国務大臣 実は私どもも同様の考えを持っておりまして、事務当局にもそのような点を確かめてみたのでございますが、裏法や天端の舗装をいたします前にまず表の護岸をいたしまして、天端の工事や裏法をやりますまでにはある程度工事をした地形の沈下といいますか、そういうことが必要である。ときによりましては、突き固めというような工法も講じておるそうでございますが、それだけでは十分でないものにつきましては、若干の期間を置いて、地盤の沈下と地固めが済んだところで裏法をやる、あるいは天端の舗装をする。こういうような行き方だそうでございまして、そこに若干の間があるのはどうもやむを得ない事情もあるという話でございます。
 そこで問題は、今まで起こりました災害についてでございますが、この点につきましては、昭和三十五年度の補正予算にも、これらの従前の復旧のほかに、天端及び裏法の舗装等についての予算を確保いたしまして実施をするということと、なお十分でない部分に
 ついては昭和三十六年度予算に計上いたしまして、重要な地点につきましては、御指摘のような工法を施しまして、将来に遺憾のないことを期したい、かように考えておるようなわけでございます。
#39
○岡本(隆)委員 ただいまお話の出ておりました桂川についての問題でございますけれども、私は同様な例は岐阜県の長良川にもあると思うのです。非常に川にネックができておりまして、そのネックのために水はけが悪くてそこが遊水地域になるというような地点は、これはどこの川にもあると思います。京都府にありましては、亀岡がこれに当たっております。有名な保津川下りをやる保津峡でありますが、あの保津峡がネックになっておりまして、それでもって上流地点が非常に大きな遊水地帯になるわけであります。そのネックはもう例年の水害の対象になっておりますので、地元の人たちは、そのネックをとにかくハッパをかけて広げてくれ。そうすればおれたちの水害はなくなる。ことに年々災害のたびごとに上流ではどんどん改修が行なわれている。改修が行なわれてくると、水はけがよくなるものだから、下へどんどん集まってきて、結局そのネックを控えておるだけにその地域がだんだん被害が大きくなって、一番しわ寄せを受けることになる。だから、そのネックに対する措置をとってくれ。こういう要求が非常に強くなって参りまして、ことしの災害直後なんかは、政府の方でやってくれなければ、自分たちの手で、だれかが犠牲者になってハッパかけてこわしてみせるというようなことまで言い出すような、険悪な空気すら出て参っております。そういうふうな情勢に対して、私どもは非常に返事に窮するのでございますけれども、しかしながら、やはり住民の感情をある程度押えるような道を講じてやらなければならないかと思うのです。建設大臣はそういう点についてはっきりと一つの方針を出していただきたいと思うのです。こういうふうなことをやるからもう少ししんぼうしてくれとか、あるいはこういうふうにしてあなた方の要求を満足さしてやるとか、そういう点について何らかの方針を出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#40
○中村国務大臣 各河川ともそういうネックの場所が解決されることは非常に望ましいことであると思います。
 保津川の御指摘の地点につきましては、私も詳しい事情をまだ承知いたしておらないのでありますけれども、問題は、河川につきましては常識的に上流の改修あるいはそういうネックの打開をする場合には、その下流の受け入れ態勢が整備されておりませんと、下流の方の被害が一そう大きくなるというような事情があるかと思うのであります。保津川につきましては、聞いておりますところでは、建設省としては地建におきまして今御指摘の点を初め、下流の受け入れ態勢の整備、これは関連をいたしまして、目下実地調査をして研究をしているように聞いているのであります。
 なお、詳しい点は事務当局からお答えするようにいたしたいと思います。
#41
○山内(一郎)政府委員 お話のございました亀岡、八木町、これは再三の被害で、われわれは根本的に何とかしたいという気持で一ぱいになっているわけでございます。
 ただ、保津峡は、下流に対する影響が相当甚大でございまして、受け入れ態勢ができなければいじるというわけには現在の段階ではいかないと思います。それではどうすればいいかといいますと、上流で何らかの対策を講じたければいけない。従いまして、現在やっておりますのは、災害の復旧とか、助成事業で改良復旧をやるとか、なお山の荒れたところは緊急砂防をやる。その他いいダム地点があれば洪水調節のダムの計画をするというようなことを、現在地方建設局の方で基本的な調査をやっている段階でございます。従って、これをすみやかにやりまして、実施に移していきたいと考えております。
#42
○岡本(隆)委員 今のお言葉の、上流についての種々の対策が完成して、そしてネックの部分の水防ができるまでには、やはりこれから十年あるいはそれ以上の歳月がかかると思います。そういたして参りますと、その関係住民は水害が再三起こってくるのを耐え忍んでいかなければならないことになって参るのでございますが、そこで下流が受けられないから開さくをやるわけにいかない。
 その下流の一番大きななには大阪であろうと思います。また淀川の治水の歴史を見て参りましても、とにかく大阪を守るために非常に大きな努力が払われております。たとえば昭和二十八年の災害のときに宇治川の左岸が切れまして、そのために淀川の下流のはんらんが助かったのでございますが、昭和の初めから昭和二十八年までの間、ほとんど大きな被害がなくて、それでもって二十年来のあの出水のときに、その間に行なわれた護岸改修工事のために大阪が守られて、そして弱いところの京都府下の宇治川の堤防が切れたから大阪が助かっている。その当時水
 防に参加しておった大阪水防団の団長の意見として、そういうことを「淀川」という書物に書いておるのですが、全く宇治川が破れたおかげでもって大阪は助かった。だから宇治川の沿岸の被害を受けた人たちの犠牲において淀川右岸の大阪湾の百二十万の住民は助かったんだから、それに対しては哀心からの感謝と同情とを持たなければならぬというようなことを書いております。
 それと同じことがやはり亀岡の場合にも言えると思うのです。亀岡は、ネックを開さくすればすぐその地点の一人は助かるということが、簡単な工事によって災害を免れるということがはっきりしておりながら、しかもなお下流の受け入れ態勢ができておらない。同時にまた下流の受け入れ態勢をやるということは大へんだから開さくが行なえないということになれば、やはり下流を守るということの犠牲が、それらの地域の住民に押しつけられておるわけなんです。だから、それだけの犠牲を押しつけるのには、それだけの補償を国は当然考えなければならないと思うのです。
 ところが先ほど申しましたように、災害援護法というものを社会党からも出しておりますが、自民党からもやはりそういうような形において、そういう地点の罹災者に対しては特に重点を置いたところの援護の道を講じる、こういうふうな援護の法律というものを当然立法していただかなければならぬと思うのでございますが、大臣はいかがお考えになりますか。
#43
○中村国務大臣 災害基本法的な立法を考慮する場合には、ただいま御指摘のような点については当然考慮いたしまして、それらの問題も取り上げるべきであると思います。ただ、ただいまの地点につきましては、今、政府委員からお答えをいたしましたように、鋭意現地について調査をいたしておりまして、あるいは上流にダムを作ってその被害を防除することが適当であるかどうか、やがて結論を出しまして、結論が出ましたら、できるだけすみやかに災害の防除に完全を期するようにいたしたいと思っております。
#44
○岡本(隆)委員 私が申し上げておりますのは、災害にもいろいろ、偶発的な災害もあり、あるいはそういうふうな条件でもって宿命づけられた災害というものもある。そういうことの判断がある程度困難な場合もございますし、明らかな場合もあるわけです。そういうふうな下流を守るために上流の災害が宿命づけられておるようなものについては、国において相当な援護をやる一方、早期にそれの解決をはかるための上流における措置を講ずるということも、もちろんやっていただかなければなりません。しかしながら、それまでの間にも相当の年月がかかります。だからそれらの間は、やはりある程度の援護の道を考えますと、こういうふうな立法措置というものが必要だと思うが、あなたはいかがお考えになりますかということを私は今お伺いしたのです。
#45
○中村国務大臣 確かに応急措置と恒久措置とは並行していかなければならぬことはすべての問題について総合されて含まれておると思います。これらの点について十分検討いたしたいと思います。
#46
○岡本(隆)委員 これは大きな問題だから御即答願うわけにもいかないかもしれませんが、これから後災害対策に対する基本法を作っていただく場合に、一つ十分そういう点を考慮に入れて想を練っていただきたいと思います。
 それからなお、桂川に天若ダムというダムがございます。そのダムは発電専用に今使われております。しかしながら、最初これを作りましたときには、防災ダムを作るのだ、こういうふうな意味で出発したものと承っております。ところが、それが戦時中の、あるいはまたさらに引き続くところの戦後の電力の必要から発電ダムに切りかわりまして、今日では完全な発電ダムとしてそれが運営されております。ところで、地元の住民の話では、このダムの操作が非常にまずいために災害がよけいに強くなってきておる、こういうふうな声が出ておりまして、今や天若ダムの下流沿岸住民全部にとっては、このダムというものが怨嗟の的になり、ダムができたためにこんなに水害がひどくなった、こういうふうに強く言っております。それは先日私も委員会から派遣されましたところの災害地の現地視察で、佐藤さんとも一緒に参りまして、佐藤さんもよく御事情を御承知でございますが、非常に強い怨嗟の気持を持っております。従って、そういうような住民感情を緩和するためにも、これを発電ダムから防災ダムに切りかえていく。それにはやはり国もある程度の補償を完全にしなければならないと思うのですが、一つ思い切ってそういうようなことをやっていただくようなお考えは出ないものかどうか。その辺のところの御意見を承りたいと思います。
#47
○山内(一郎)政府委員 今、先生のおっしゃいました天若ダムは、発電専用のダムでございまして、御指摘の通りでございますが、これの操作が悪いために災害が非常にひどくなっている、こういうことがもしあるとすれば問題でございますが、そういうことのないように堰堤操作規則というものを作りまして、その規則の線に沿って現在操作をやっているわけでございます。私の方の調査によりますと、ことしの十六号台風による操作の報告を受けておりますが、このダムへ上流から入りました流量と、下流へ出しておる流量とは、下流がふえているということはございません。つまりダムがなかったと同じ状態の上流からの流量を下流へ出している。こういう調査を現在私の方で手に入れているわけでございます。従って、今後いろいろとそういうダムのゲートの操作につきましては、一そうの注意を払います。
 これを、それでは洪水調節の堰堤に切りかえたらどうか、こういうお話しでございますが、現在せっかくやっております発電のダムを切りかえるという、その点も相当問題があると思いますし、なお切りかえたといたしましても、その調整の容量というものが、これも調査いたしましたが、非常にわずかでございます。従って、洪水調節に全部使うとしても大した洪水調節の効果はない。こういうような点で、現在ダムを洪水調節のダムに切りかえるというつもりは、私の方はいたしてないという状態でございます。
#48
○岡本(隆)委員 ただいまのダムが完全な洪水調節の役には立たない程度の規模のものであるということは、私も現地を見て参りまして大体想像がついております。ところが、地元の住民の申しますのには、相当の雨が降って参りまして、水量がずっと下流で増量しております。その増量しておる相当危険な水位に達しておるところへ、ダムそのものにためられておるところの水が、危険な水位に達するころになってくると、ダムそのものもまたみずから危険になってきて、ささえ切れなくなるもんだから、そこでゲートを開いて大量の水を流してくる。だから下流の水位が高くなってきたところへどんどんダムから放流して、水量を増量してくる。頂上は千六百トンというようなものをどっと流してくるために、下流で非常に災害が出るようになる。だから、むしろ早くからにしてくれたらいいんだが、それをささえられるだけささえていて、最後になってどっと出してくるから困る、こういうふうな申し方をしております。
 それからまた、現に私もそのダムを見て参りました。堰堤の下の方には放流するようなゲートはどこにもありません。うんと堰堤が高くなって相当水を貯水して、その上にゲートがあるんです。だから、そのゲートをある程度閉めておって水が一ぱいにあふれそうになってきます。そうするとゲートを全開いたします。ゲートを全開したことによって、ゲートの高さまで水がきておるときにそのゲートを全開すれば、水がここまで下がるまでの分、今までの貯水量がどっとはき出されてくる理屈になるわけなんです。だから、そういうふうなダムの構造そのものが、勢い地元民には、ゲートを満開したときには一時的には上流の流量以上のものが下流にやってくる。そのためにささえ切れなくなって破堤を起こしたり、いろいろなところに災害が起こる。こういうようなことがあるわけでございます。そういうふうな点について両者の間にいろいろな見解の相違があると思います。
 だから、私はこういうふうな場合には、やはり下流住民をそのゲートの操作というものに、災害時に直接タッチせしめて、つまり災害が起こるような大きな雨がありましたら、下流の住民の中の何名かの責任者がゲートの開閉というものに現地におって立ち会って、そして納得せしめる。無理な操作をしておらないというふうなことを納得せしめるというふうなことが私は必要と思うのです。ところが今のところは、そういうふうなことが現在行なわれておりません。一方的な通告で、これから流しますという通告があるだけなんです。だから住民の方では、そういうふうな災害にあうと、あの操作が悪いからというので、実にゲートに対して怨嗟の声があるのでございます。そういう点、下流の住民をそういうふうなゲートの操作に立ち会わせるというふうなことはできないものかどうか、その辺のところを承っておきたいと思います。
#49
○山内(一郎)政府委員 ただいまの点もごもっともなところがございますが、操作の規程というのは、基本的に上流の流量をそれ以上下流へ流さない。これは規則の原則でございまして、この線を守るべく操作をやっておるのでございます。その洪水の非常時の場合に、住民の立ち会いがなければ操作できないというようなルールをきめますと、立ち会いがないのにできないという事態も起きて参りまして、かえって災害がよけい生ずるのじゃないか。従って、規則のときに、そういう上流以上は下流へ流さないという根本原則がございますから、その線に沿えばダムのなかったときと状況は同じだと思います。
 ただ、通報の点で、多少不備な点をいろいろ各地でも聞いておりますから、通報をさらに親切丁寧にやる、今後こういうような指導をして参りたいと思っておるわけでございます。各災害のあるたびごとに、こういう発電ダムの操作についていろいろ問題や誤解がございますので、さらにわれわれとしても注意をして、十分やりたいと思っております。
#50
○佐藤(虎)委員 関連して……。実は私、岡本委員と一緒に長良川、桂川の災害の実態を視察させてもらったときに、住民の政府当局あるいは政治家に対する怨嗟の声は非常に峻烈であったことは事実であります。そこで先ほど論議になり。大臣から懇切な答弁がありましたごとく、恒久立法を作っておかなければいけないじゃないか、年々歳々災害が発生するたびごとに特別立法を適用するとか適用しないとかいうことはいけないから、恒久立法を作ろうというので、実は当時幹事長、副幹事長、それに私が入りまして、社会党の国会対策委員長、あるいは成田君、勝間田清一君などが参られまして打ち合わせたときに、大体その線に沿うようにいたそうじゃないかという話し合いをいたしておりましたが、所管省との話し合いの必要もある。いずれにし通常国会までに恒久立法を出したいという意見は、ただいま大臣が御答弁された通り、あったのであります。そこで長良川、桂川の災害のつめの跡を実際に私どもは見せていただいて、なるほど興奮されるということは当然である、かように思っておりました。
 そこで、この三十五年度の補正予算を提出されるにあたって、十分調査できる調査費を計上し、災害を未然に防ぐための調査費が織り込んであるように思いますが、その点は間違いありませんかどうか。一つお聞きしたいと思います。
#51
○山内(一郎)政府委員 本年度の災害は、先ほど申し上げましたように全般的には少うございますが、局所的にひどかったところの対策調査費、これは現在それぞれもうすでに実施の地方建設局にまかせまして現在調査をやっておる段階であります。
#52
○佐藤(虎)委員 調査費は計上いたしましても、とかく調査がおくれがちであるということは、今日非常に人間に不足をしておるということも聞いております。私は特に関係議員といたしまして、桂川あるいは長良川に視察に行って参りまして、地元の皆さんからの陳情も受け、その希望のかなえられるように私どもは話し合って参ったのであります。私が行ったときに、ちょうど亀岡市におきまして、その沿線の災害罹災者の大会が行なわれておりまして、険悪な空気であったのであります。何のために一体政治家はあるのかというような非難を受け、特に岡本君は地元といたしまして非常に苦境の立場に立っておられたために、今日特別に熱意を持った御質問をされるものと私は強く信じております。ぜひ当局におかれましても、こうした災害地に調査費が満足とは言い得られないでありましょうが、災害を未然に防ぐために一日も早く調査し、三十六年度の予算編成に織り込んで、その不安と不平を取り除くようにしていただきたいということをお願いいたしておきます。
#53
○岡本(隆)委員 今の発電ダムの操作の規則、そういうものを作る法的根拠はやっぱり多目的ダム法に規定されておる法律に準じてやっていくわけですか。
#54
○山内(一郎)政府委員 河川法の根拠に基づきまして、河川堰堤規則、この中のダム操作規程、こういうようなものを作っておる次第であります。
#55
○岡本(隆)委員 私は今の多目的ダム法に準じているのかと思って多目的ダム法を見て参ったのですが、この多目的ダム法で見ましても、操作の基本原則というのがございますね。この操作の基本原則を見ますと、「流水によって生ずる公利を増進し、及び公害を除却し、」というのと同時に、あわせて「ダム使用権を侵害しないように」という、公の福祉を阻害しないように、同時にまたダムの使用者の使用権を阻害しない、その二つをあわせてやるようにということが書いてございます。これは考え方の上でどちらが優先するものと政府の方でお考えになっていらっしゃいますか。
#56
○山内(一郎)政府委員 先ほども申し上げましたが、操作規程の根本的な考え方はダムのなかったときと同じ状態にする。つまりダムの上流から流れてくる流量を操作のあやまちによって下流へよけい流さないようにする。同等以下にするのが原則でございまして、その線が守られる限り、発電の有利になるように水は貯留する、こういう考え方であります。
#57
○岡本(隆)委員 ダムがなかった当時と同じ条件に置くということでは、災害防止という面においては、ダムは作られても作られなくても同じことになると思います。やはりダムができたということによって、少なくともそれだけの防災効果が出ておらなければならない。そういう意味においては、下流の出水流量に応じてダムの流量に大きな規制が加えられて、公的な福祉というものをまず優先させてダムの操作をやっていく、こういうようなことにならなければならないと私は思うのです。従って、この序列も、やはり公の福祉を阻害しないようにということが先に書いてあって、あとにそのなにが書いてあるという書き方の順序から私はそのように理解しているのですが、それでいいのじゃないでしょうか。
#58
○山内(一郎)政府委員 先ほどの説明がちょっと足りなかったのでございますが、先ほど申し上げましたのは、専用ダムといいますか、たとえば発電専用のダム、そういう場合の説明をしたのでございます。今回基本的な計画としてわれわれが上流にダムを作る場合には、洪水流量を低減をする、上流の流量をそれ以下に下流へ流す、これをまず優先的に考えまして、なおあと、発電ができる場合にはする。それからあとの工業用水とか上水道、それもとれればとる。こういうふうにやはり下流の流量を低減するということを第一に考えているわけでございます。
#59
○岡本(隆)委員 現在天若ダムの運営の状況を見ますと、放水量に対して規程の通り通知はいたしております。しかしながら、ただ通知をするだけであって、水が出るかもしれませんがあぶないから気をつけて下さいというふうな一方的な通知だけでもって、それでもって水がどんどん流されていくというようなところに住民の不満があると思う。やはり今は流されては困るというときには、今流されては困るということを言う、そういう権利を下流の住民は当然持っているはずだ。だから、そういう意味においては、ダムの操作についてある程度下流の住民の意見を取り入れつつやっていくための措置というものを、将来一つ建設省の方でも考えていただきたい。発電ダムとしてできたものが下流の住民の非常な怨嗟の的になって存在しておる。そういうような形の中で運営されておるというようなことでは非常におもしろくないと思いますので、その辺のところを特にお願いしておきたいと思います。
 同時に、もう一つお伺いしておきたいことは、今お話しましたように、上桂川の治水問題というのは、今まで淀川水系の三つの中で一番大きな盲点として取り残されておる点なのです。せっかく調査を始めていただいて、先日河川局長も行っていただいたそうでございますが、これは期間の問題ですが、一体どのくらいの年数を目安に置いてこの治水問題を解決されようとするのか。もうその辺までくらいは大体考え方が出ているだろうと思うのであります。方法は別として、何年くらいかれば大体この治水計画を完了することができるか、こういうような考え方をお持ちになりましたか。その辺だけを伺わしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#60
○山内(一郎)政府委員 先の問題で非常にむずかしいのでございますが、基本的な計画の調査は、少なくとも大体一年、あるいはもう少しかかるかもしれませんが、その程度で仕上げたいと思います。あと実施の問題でございますが、治水事業五カ年計画の年度割りをどうするか、こういう問題にからんで参りまして、桂川だけ特に何年でできるということは現段階ではちょっとお答えしにくい状況であります。
#61
○加藤委員長 それでは、田中幾三郎君。
#62
○田中(幾)委員 一、二点お伺いしたいと思います。災害復旧を急速にしなければならない、またこの特別措置法を恒久化しなければならぬことはもちろんでありますが、私は同時に災害の予防を十分にしなければならぬと思うのであります。つきましては、昭和三十三年に成立いたしました台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法、これは総括的には経済企画庁の管轄に属するでありますけれども、所管事項についてはやはり建設省の方も関係があろうと思うのであります。ことしの十月の初めに三重県の南部、銚子川を中心にして非常な豪雨がございました。これは河川の堤防が非常に大きく切れまして、川が二つできたような形に相なつたのであります。私はその調査に参りましてその原因はやはり防除工事に非常な怠慢があったのではないかと存じまして、臨時国会で質問をいたそうと思い、経済企画庁に問い合わせをいたしたのであります。この特別措置法の災害防除事業五カ年計画は一体どうなっておるかということをお尋ねいたしましたところが、関係の各省から少しも資料がきていないということで、経済企画庁の方も非常に困っておるということです。昭和三十三年にできて、五カ年計画で台風常襲地帯における災害の防除計画を立て、工事を実施しなければならぬのに、すでにその半分、三年も過ぎて一つも着手されておらないということは、私は非常に遺憾であると思うのであります。銚子川の災害も、上流における砂防工事をやるとか、あるいは今電源開発で工事をやるために砂を採取しておって水利を非常に妨害しておる。こういうことについて、あらかじめ配慮をしたのなら、少なくともこの被害が非常に軽減されたであろうと思うのであります。
 そこで私は、ここであらためて総括的に経済企画庁に対してこの点をお尋ねしたいと思っておるのでありますが、建設省関係の、この台風常襲地帯は全国で十五県ありますが、これらの県における災害防除五カ年計画の実施計画は一体どういうふうになっておるか、少なくとも建設省関係でどういう調査を行なっておりますか。その点をお伺いしたいと思います。
#63
○山内(一郎)政府委員 常襲地帯の災害防除の計画につきましては、われわれとしても極力早く決定をしたいというつもりで、現在までおくれて、まことに申しわけないと思っております。それにはまず全国的な計画を確立いたしまして、そのうち特に台風常襲地帯の計画を幾らにすべきか、つまり全国の計画ができなかったために、今までその部分としての台風常襲地帯の計画ができないでおくれておる、こういう状況でございます。この全国の計画の点につきましては、本年度を初年度といたしまして、治水五カ年計画というものが大体まとまりまして、近く所得倍増の計画と関連をして閣議で決定をされる予定になっておりますが、それができましたら、さっそく台風常襲地帯をその全体のうちの幾らにすべきか、こういうことをやるつもりで現在作業を進めております。全体がきまりませんで、台風常襲地帯だけ幾らということを先にきめれば、基礎のない計画になりまして、かえってその通りならなかったりする場合もございますので、今申し上げましたような順序で作業を進めておるわけでございます。
#64
○田中(幾)委員 全国的な計画はむろん立てなければならぬですけれども、各地域に特殊な施設なり、あるいはその地域的に特殊な点があるのであります。ですから全国的に、費用とかそういう点においては総合的に立てなければならぬでしょうけれども、各地域における河川とか堤防とか、あるいはダムとか砂防とかいうものは、地域々々によって違っておるのでありますから、やはりこれは地域的に御調査をなさっておると思うのであります。この調査の上に立って全国的な計画が必要であろうかと思うのでありますけれども、その指定された台風常襲地帯個々の調査はある程度着手されておるのでありますか。
#65
○山内(一郎)政府委員 個々の河川とかいうような点につきましては従来からもやっておりまして、台風常襲地帯のどの川をよくすればどういうふうになるという計画はすでにできておるわけでございます。
 ただ、五カ年計画の決定ということでございまして、全体計画のうち五カ年で幾らやるべきであるか、こういう点になりますと、やはり全国的のワクのうちその地域を取り上げるという問題でございまして、全体計画のうち取り上げる部分については先ほど御説明いたしましたように、やはり全体の閣議決定できめたあとさっそくやりたい、こういうふうに考えております。
#66
○田中(幾)委員 個々における五カ年計画の案をきめるということは、あるいは全部の総合調査が集まらなければできないと思うのでありますけれども、しかし災害は年々待ってくれないのでありまして、来たるべき時期には必然的に来るのでありますから、これは早急に一つ各地域々々にわたって具体的に調査をお願いしたいと思うのであります。これはあなたの方ばかりではありませんから、私は経済企画庁に対しては一般的な質問をするつもりでおりますけれども、どうぞそういう意味で、あなたの方からも各省と連絡をとって、すみやかに一つ原案を作成していただきたいと思うのであります。
#67
○加藤委員長 残余の質疑は次会に譲ります。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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