くにさくロゴ
1960/12/21 第37回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第037回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1960/12/21 第37回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第037回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第037回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和三十五年十二月二十一日(水曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 菅野和太郎君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中曽根康弘君 理事 中村 幸八君
   理事 前田 正男君 理事 石川 次夫君
   理事 岡  良一君
      赤澤 正道君    有田 喜一君
      稻葉  修君    佐々木義武君
      保科善四郎君    大原  亨君
      久保 三郎君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 池田正之輔君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       松本 一郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   島村 武久君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      小林 行雄君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    久田 太郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
        総理府技官
        (科学技術庁資
        源局長)    黒澤 俊一君
        外務事務官
        (国際連合局政
        治課長)    高島 益郎君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件閉会中審査に関する件
 科学技術振興対策に関する件
 科学技術常任委員会設置に関し議院運営委員会
 に申し入れの件
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 この際、先般御就任になりました池田国務大臣及び松本科学技術政務次官より発言の申し出がありますので、これを許します。池田国務大臣。
#3
○池田(正)国務大臣 私、今回科学技術庁長官兼原子力委員長に就任いたしましたが、その職責のきわめて重かつ大なることを痛感し、全力を傾倒してわが国の科学技術振興をはかる覚悟でございますので、当特別委員会の委員各位を初め関係各位の絶大なる御指導と御協力をお願いいたす次第でございます。
 最近における世界各国の科学技術水準の向上はまことに目ざましく、次々と驚異的な発明、発見がなされ、世界の政治、経済、外交、文化等の各分野にわたり、多大の影響を与えていることは御承知の通りでありますが、この世界的な技術革新の趨勢に対処し、わが国経済の成長と国民福祉の増進をはかるためには、その最も基本的な方策として、わが国の科学技術を飛躍的に発展させなければならないことは申すまでもありません。特に現政府におきましては、国民所得倍増計画の遂行と全面的な貿易自由化計画の推進をその施策の重点として取り上げておりますので、その重要な基盤としても科学技術の振興に特段の配慮をしなければならないと確信いたします。このような情勢にかんがみ、私は、当面次のような施策を推進いたしたいと考えております。
  まず、科学技術振興を最も効率的に実現するためには、長期的かつ総合的な施策目標を樹立しなければならぬと考えます。この意味におきまして、先般科学技術会議から「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本的方策」について答申が行なわれましたことは、きわめて時宜を得たことでありまして、私は、この答申の内容を十分尊重しつつ施策目標を確立し、これを実現して参る所存であります。その具体的内容といたしましては、
 まず第一に、現在最も不足いたしております科学技術者の大量確保とその養成をはからなければならないと考えます。
 第二に、科学技術振興が叫ばれるにもかかわらず、現在、わが国では研究者、技術者を尊重する気風が乏しいので、私は、その地位、待遇の向上に努力し、特に研究公務員については、生涯をかけて研究に没頭するにふさわしい給与体系の確立をはかりたい所存であります。
 第三に、各種試験研究機関の施設、設備は老朽化したものが多く、急速に飛躍しつつある科学技術水準に取り残され、研究者の研究意欲を阻害し、研究活動に支障を与えておりますので、国立及び関係試験研究所の施設設備について計画的に整備、拡充を促進したいと考えております。
 第四に、科学技術の振興のためには民間における研究活動を促進する必要がありますので、税制上一段の優遇措置を実現するとともに、各種試験研究に対して適切なる補助を行なう等、積極的に努力したいと存じます。
 第五に、従来、わが国は外国技術の導入に依存することが多く、わが国独自の優秀な科学技術を盛り立てる点に必ずしも十分でなかったと考えられるので、国産新技術の育成と企業化をはかるために、新技術開発公団設立等の構想の実現に努力する考えであります。
 第六に、台風防災科学技術、宇宙科学技術、海洋科学技術、基礎電子工学、核融合及び対ガン科学技術等は、特に近年重要な研究として国民の関心も高まっておりますので、これら研究の総合的推進をはかり、その成果を期したい所存であります。
 次に、原子力平和利用関係について申し上げます。原子力の研究・開発利用につきましては、年々着実な歩みを続けておりますが、今後、さらに次のごとき措置をとりたいと考えます。
 第一に、原子力開発利用長期計画につきましては、原子力委員会におきまして、原子力の平和利用をめぐる国内、国外の情勢の顕著なる変化にかんがみ、新長期計画を策定中でありますが、これが策定されましたならば、これに即応して、従来に引き続き原子力発電、核融合、原子力船の研究、アイソトープの利用促進等に力を注ぐ所存であります。
 また、今後発展する原子力平和利用のため、原子力開発に当たる諸機関の整備充実に努めるとともに、原子力による災害の防止に万全の措置を整え、万々一の場合に対処する原子力損害賠償制度を早急に確立して、被害者の保護と原子力事業の健全な発達に遺憾なきを期する所存であります。
 最後に、特に申し上げたいことは、近時国際間の科学技術の交流はますます活発になっております情勢に対応いたしまして、わが国におきましても関係機関を強化拡充するとともに、積極的に海外科学技術調査団、海外留学生を派遣する等、世界各国との協力関係を強化して参りたいと考えております。
 以上、私が当面考慮いたしております科学技術振興方策の大綱を申し述べたのでありますが、私は、今後皆様の御意見等を伺って、わが国の科学技術振興に全力を傾注する覚悟でございますので、重ねて当委員会の委員各位を初め、関係各位の切なる御協力、御支援をお願いいたす次第であります。(拍手)
#4
○山口委員長 松本科学技術政務次官。
#5
○松本政府委員 ごあいさつを申し上げます。私、このたび当庁の政務次官を拝命いたしました松本一郎でございます。科学技術の振興がわが国にとって焦眉の急であることは、先輩各位のよく御承知の通りであります。私、科学技術のことに関しましては、国民的一般の常識の域を出ておりません。つきましては、当庁の政務次官を拝命し、非常に汗顔の至り、責任の重大さを痛感いたしております。せいぜい勉強いたしまして職務を全ういたしたいと存じますので、先輩各位より御鞭撻、御指導を切に賜わることをお願い申し上げます。
  一言ごあいさつ申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
  一言ごあいさつ申し上げます。(拍手)
#6
○山口委員長 この際中村幸八君より発言の申し出がありますので、これを許します。中村幸八君。
#7
○中村(幸)委員 私は、科学技術常任委員会設置に関し、議院運営委員会に申し入れの件を提案いたしたいと思います。
 まず、その案文を朗読いたします。
  科学技術の振興を図り、国民経済
 の発展に寄与するため、科学技術庁
 が設置され五カ年を経過するが、此
 の間、世界における科学技術の飛躍
 的進展の現状にかんがみ、速やかに
 国会法を改正し、科学技術に関する
 常任委員会を設置するよう取計らわ
 れたい。以上のごとき申し出の件につきまして、若干その理由を申し述べてみたいと思います。
 最近の世界における科学技術の飛躍的進展に伴い、わが国科学技術の画期的振興をはかり、世界のこの情勢に落後せざることを期するとともに、わが国最近の長期躍進計画実現の原動力たらしめることが焦眉の急務である。よって、この際、科学技術振興の方策に関し常時継続して案件の調査、審議並びに立案に専念し、その方策の実現に遺憾なからしめる必要がある。本特別委員会は、第二十三回国会、昭和三十年十二月設置されてより、毎国会引き続いて設置され、原子力基本法の制定を始め、重要施策の推進に力をいたして参ったのであるが、さらに、現今要望される機能を十分に果たすには、これまでのごとき特別委員会ではなく、これにかえて新たに常任委員会を設置することが適当である。よって、国会法を改正してこの趣旨を達成するよう議院運営委員会に申し入れを行ないたいと存ずる次第であります。皆様の御賛同を願いたい次第であります。(拍手)
#8
○山口委員長 岡良一君より、ただいまの中村幸八君の提案に対し発言の申し出がありますので、この際これを許します。
#9
○岡委員 科学技術振興のために常任委員会を設けることには、わが党としては異議はございません。しかしながら、伝えられるところによりますと、先般、自民党の総務会においては、科学技術の特別委員会を常任委員会とすること、あわせて防衛常任委員会を設けるという方針が内定されたということを承知いたしておるのでございます。私は、そのような取り扱いに対してはきわめて遺憾に存じます。
 御存じのように、防衛委員会でございますが、今日、防衛庁内においても、国防省に昇格をしようという動きがあることが新聞紙を通じて伝えられておる。しかも、一方、これを受けたような形で国会に防衛に関する常任委員会が設けられる、これでは、私は、日本国憲法第九条の、戦力を持たないというこの規定から見ても、きわめて大きな疑義を国民は抱くと存ずるのでございます。同時に、われわれ国会議員も、国務大臣も、天皇も、摂政も、憲法の規定というものはかたく守らなければならないことが明記されておるのでございまして、このような疑義を国民に与えるということは、われわれ国会議員といたしましても厳に慎しむべきことと存ずるのであります。
 第二には、すでに科学技術の常任委員会を設けるということは、ここ両二、三年前にもわれわれの議に上ったのでございます。ところが、そのときには、やはり現在と同様に、防衛常任委員会の設置ということがからみまして、ついにわれわれの科学技術常任委員会の設置がやみに葬られたのでございます。日本の科学技術振興のためにも国会は常任委員会を設くべきであるという、われわれの日本の科学技術を守ろうという真摯な気持にもかかわらず、またしても、防衛常任委員会が持ち出されるということになれば、われわれは両三年前のあの不幸な経験を繰り返すことになる。それではせっかく常任委員会を設けようというわれわれの気持というものが、また、やみからやみに葬られることになり、みずから穴を掘る結果になろうかと存ずるのでございます。私は、そういう点、わが党の立場というものを一つ明確に申し添えまして、どうか、願わくは、この常任委員会は科学技術常任委員会一本でぜひとも今国会中にこれが成立を見るよう、自民党の方々、また国務大臣の池田さんにも強くお願いを申し上げると同時に、どうか議運に申し入れの際には、このわが党の態度というものを明確に委員長より議運に申し伝えていただきたいということをもあわせて御要望申し上げまして、一言私の意見を申し述べた次第であります。
#10
○山口委員長 ただいまの中村幸八君の御提案の通り、科学技術常任委員会設置に関する件を議院運営委員会に対し申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○山口委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 なお、所要の手続などにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますので、御了承願います。
     ――――◇―――――
#12
○山口委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について質疑の通告がありますので、この際順次これを許します。岡良一君。
#13
○岡委員 ただいま池田長官から御所信の表明がございました。科学技術行政全般については、また年を改めましてからゆっくり御所信をお伺いいたしたいと存じます。
 ただ、差し迫った問題でもあり、また、御所信の具体的内容の第二項に掲げられておる研究公務員等の処遇の改善の問題でございまするが、この問題は緊急を要しますので、長官の責任ある、かつ具体的な御所信を承っておきたいと存ずるのでございます。
 まず、国立研究機関の職員の給与の問題でございます。研究公務員の処遇が、近年民間産業と比べていかに劣っておるか、この数字は、今さら私が申し上げるまでもなく、長官はよく御存じのことと存じます、従って、近年は、国立の研究試験機関に新規に入ろうという方々の質が低下しておる。また、優秀な中堅の諸君が民間産業に変ろうという動きも顕著に出てきておる。こういうような状態でございましては、わが国の国立研究機関の権威の問題でもある。また、これはひいては国立研究機関の研究の質の低下を呼び起こすことは、私は必至だと思うのでございます。申し上げるまでもなく、すぐれた優秀な頭脳を一人でも多くというのが、これが科学技術振興の現在の大きな課題でございまするが、国立研究機関がこのような状態であったのでは、まことに遺憾と申さなければなりません。このような状態を放置しておくということになれば、これは、ただひとり国立研究機関の権威が失墜するばかりではなく、科学技術振興を叫ばれる内閣の政策そのものが、から念仏と申さなければならないと存ずるのでございます。従って具体的に研究公務員に対する給与体系の改善とは何を意味するのか、具体的にどのようなことをされようとされるのか。すでに、科学技術庁は、昨年度の予算要求においても、研究公務員の給与改善については具体的な数字をもって大蔵省に要求をされたこともございます。従って、来年度の予算要求において、長官はどういう具体的な給与改善の方策を立てておられるか、予算の数字その他について、具体的な内容をこの際お聞かせを願いたいと思います。
#14
○池田(正)国務大臣 ただいまの岡委員の御説は、いずれも私同感でございまして、岡委員の御心配なさっておるようなことを私も心配いたしております。従って、そういう重大な欠陥がございますので、これからこれを改善するという方向に向かって努力いたしたいと存じております。今度の給与べースの改定は、御承知のように人事院勧告に基づきましてやられた措置でございまして、これだけでは、私どもは必ずしも満足すべきものでないことは、申すまでもございません。また、その結果は、岡委員が指摘されましたように、中堅技術者あるいは高級技術者、いろいろな方々が民間に引き抜かれたり、あるいは新しい人が入ってこないというようなことも私十分承知いたしております。この重大な欠陥をどうしてなくしていくかということについては、私も御承知のように就任早々でございますし、また、それが給与べースその他になりますと、科学技術庁ばかりでなしに各省にもまたがっていろいろ複雑な問題も出てきますので、まず、この問題を十分に勘案しながら、何とかこの際急速に、少なくともその方向だけでもきめて、そうして具体的な方策を立てていきたい、これが私の念願でございます。こまかいところは、実はまだ勉強が足りないのでわかりませんが、大体そういう考えで私はこれからいきたい、かように考えております。
#15
○岡委員 ただいまの御答弁では私は納得いたしかねるのでございます。と申しまするのは、すでに大蔵省としては、三十六年度の予算の内示は来月の五日にしようというようなことも伝えられております。してみれば、当然研究公務員等の処遇の改善については、科学技術庁としての所要の予算は要求されておるはずであります。従って、官房長からでもけっこうでございまするが、その具体的な内容をぜひ一つこの機会にお聞かせを願いたい。
#16
○島村政府委員 官房長からというお話でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。
 予算要求は、御承知の通り八月三十一日までに大蔵大臣に出すことになっております。当時まだ人事院勧告というものとの関係が必ずしも十分に把握できません。従いまして、科学技術庁といたしましては、科学技術庁のみならず、国家公務員でありますところの研究員全般の処遇改善の一端といたしまして、人事院の勧告がいかに行なわれますかということにかかわらず、研究手当というものを要求するという立場をとりまして、これは各関係省庁と連絡をとりまして、七%の研究手当というものを要求することにいたしました。なお、研究所の管理職にあります者が一般行政職にあります者よりも不利な管理手当を受けておりますので、その是正のための予算要求もいたしました。その後、人事院勧告がなされましたに及びまして、あの程度の改善では、同委員がおっしゃいましたような優秀な研究員を国立の機関に吸引することができないのみならず、依然として研究所を離れるというような事態も防止することはできないという建前から、研究職の公務員につきましては、人事院勧告を上回る改善方を政府部内で検討願って参りましたが、今回の段階におきましては、人事院勧告をそのまま政府全体として受け入れるということになりました。その範囲内におきまして、でき得る限りの改善を、さらに現在におきましても交渉をいたしておるわけでございます。
 その第一点は、いわゆる中堅クラスの研究員を優遇いたしますために――御承知の通り、研究公務員につきましても等級別にクラスが分けられており、定員がきまっておるわけでございます。その等級別の定数を改定いたしまして、有能な研究者が昇格できるようにという交渉を人事院といたしておるわけでございます。
 第二点といたしましては、人事院勧告にございました初任給調整手当であります。これは人事院の勧告では、高度な専門知識を要し、かつ採用の著しく困難な者に対して支給するという建前でございましたが、この範囲を、できるだけ広範囲に支給でき得るような措置ということにつきまして交渉いたしております。御承知の通り、今回提案されました給与法の改正の中では、その趣旨が若干織り込まれました。人事院勧告の説明において申し述べられておりました「高度の専門的知識」というのを、ただ「専門的知識」だけにして、「高度」のというのは削っていただく、それから「採用が著しく困難、」この「著しく」を削っていただくというようなことで、若干ずつ改善の方向に向かいつつあるというふうに考えております。これらは、いずれにいたしましても、具体的な問題は今後人事院が決定されることになるわけであります。科学技術庁といたしましては、全官庁の研究公務員の処遇改善という見地から、今後とも人事院とも交渉いたしまして、できるだけ改善の実が上がりますような方向で努力いたしたいというふうに考えております。
 なお、それらの点に関します予算の要求ということでございますが、御承知の通り、公務員の給与は、各省が要求するしないにかかわりませず、きまれば予算の計上ということが行なわれるわけでございまして、その細部がどうきまるかによりまして、予算の額というものは当然変わってくるわけでございますけれども、予算要求してありますものが足りませんでも、いわば全部決定せられました方針に従って予算として心配なく計上されるということになりますので、あわせてつけ加えて申し上げておく次第でございます。
#17
○岡委員 研究手当の問題は、昨年も科学技術庁として、たしか大蔵省へ要求されたことと存じます。ところが、これがとうとう実現をしませんでした。今、御答弁によれば、七%程度の研究手当というものが要求されておる。私は、この七%が妥当であるかどうかということは、ここでは論じません。しかし、少なくとも、この七%の研究手当はぜひ確保する、これは事務折衝ではなく、ぜひとも池田長官の政治的な責任において、ぜひ実現をするように格段の御努力を私は願いたいと思うのでございますが、長官の御所信を重ねて伺いたいと思います。
#18
○池田(正)国務大臣 お答えいたします。
 七%では、私は、まだ足りないと思っております。しかし、私が就任以前に、すでにそういうふうな事務的な案ができておりまして、予算要求が出ております。従って、これだけは何とか確保したいと思って努力をいたしておりますが、御承知のように、私は微力でございまして、はたして実現できるかどうかわかりませんけれども、とにかく、これはどうしても確保したい、また、しなければならない、その決意を持って大蔵当局に私は折衝を続けたい、かように思っております。
#19
○岡委員 どうか、ぜひ一つがんばっていただきたいと思います。
 それから、なお、この機会にお尋ねをしておきたいことは、先般の人事院勧告による給与の改定は、上に厚く下に薄いという批判がもっぱらございました。特に、私は、研究の場というものは、いわゆる一般のお役所の職階的な身分制あるいはまた給与体系というものとは、およそ無縁な場であろうと思うのでございます。しかも、研究の場では、むしろ主任というような人よりも、その下の中堅以下の職員が非常に大きな負担をいたしておる場合が非常に多いのでありますから、人事院勧告による給与改定の結果として、上に厚く下に薄いというようなことになっていると、自由に、しかも、豊かな環境の中で一生を研究に没頭しようとする意欲を燃やすには、あのようなやり方では、なかなか実際に即しないのではないかという心配を持っているわけです。そういう意味で、この研究公務員の諸君あるいはまた科学技術庁の直接監督下にある他の研究機関における給与は、中堅以下の諸君がいかに大きな負担に耐えているかという実態をよく把握していただいて、そういう意味での給与の本質的な改定が試みらるべきであろうと思うのでございますが、この点についての長官の御所信を承っておきたいと思います。
#20
○池田(正)国務大臣 下に薄く上に厚い、これは本会議の席上その他でもしばしば論議が重ねられたことでございまして、一応これは十分われわれとしても考えなければならぬ問題だと思います。ただ、しかし、私は率直に岡委員に申し上げたいことは、大学を卒業して、まだ独身の時代、あるいは妻帯されましても、初めのうちは子供さんは一ぺんに五人もできるわけではござ
 いませんし、年次がたってだんだん家庭の生活費もふくらんでくる。また、研究技術も向上というふうになってきますので、当然上に厚くなってくるのはやむを得ないことではなかろうか。現にあなたも御承知のように、たとえば共産圏をごらんになっても、私は率直に申し上げますと、日本の給与体系というものは、あまりにも一種の悪平等みたいな形になっていやしないか。何年たっても少しずつしか上がらない、そのために、安心して技術なり研究に打ち込んでいくことができない、そのころには、もうすでに子供さんもたくさんできて、家庭生活費がかさんでくる、あるいはそのために費用もかさんでくるという時代になっても、わずかずつしか今の状態では上がっておりませんから、そこで、別な角度から見ますと、悪平等といったような面も、日本の給与体系は世界各国に比較いたしましてあるのではないか、そういう面との錯綜した関係をどう調節していくか。私は、決して今岡委員の指摘されました、上に厚く下に薄いということを全面的に否定するのではございませんが、私が今申し上げたような、そういう角度からの検討も、それをも含めて、織りまぜて考えていく必要があるんじゃないか、かように私考えております。
#21
○岡委員 私が特に今指摘申しましたのは、特にこの研究の場というものの
 特異性を申し上げたわけでございます。ここでは、いわゆるお役所風な職階的な身分制とか、あるいはまた今御指摘の、いわば年功序列的な給与体系、こういうものではない、もっと自由な形において大いに研究の意欲を燃やさすような指導が必要なんだ、そういう意味で、事実研究の場では中堅以下の諸君の負担がおそらく私は非常に重いと思う。そういう点を十分考慮されて、そして形式にこだわらないで、ほんとうに彼らが研究の意欲を燃やしてどんどんりっぱな仕事ができるような取り扱いを、研究公務員等の給与の改善の場合には、十分頭に入れていただきたいということを申し上げたわけでございます。
 なお、今度は研究公務員の諸君は、給与の改定は一応人事院の勧告に基づいてなされましたが、科学技術庁が直接に監督をしておられる原子力研究所、それから原子燃料公社あるいは科学技術情報センター、理化学研究所、これらは取り残されたことになっております。これは、いつこの給与の改定をなさるおつもりでございますか。
#22
○池田(正)国務大臣 どうもだいぶこまかくなってこれは私がまだ勉強が足りないところがありますので、官房長から一つ……。
#23
○島村政府委員 科学技術庁関係の原子力研究所あるいは燃料公社、情報センター、理研等、いわゆる関係機関の給与の改定でございますが、私どもといたしましては、御指摘のような趣旨もございまして、当然公務員に準じて給与の改定が行なわれるものと信じております。それぞれの機関におきましても、またそのための案を検討中であるというふうに聞いております。しかしながら、科学技術庁関係の機関だけについてそういうことが行なわれるわけでございませんで、全般的に、政府関係の機関、公社、公団その他の機関についてどのような程度にいわゆる公務員に準じた給与改定を行なうかどうかということにつきましては、まだ政府全体としてきめる段階まで至っていないようでございます。従いまして、科学技術庁単独におきまして、科学技術庁関係の機関について、いつからどの程度の給与改定を行なうということを申し上げる時期に至っておりませんことをまことに残念に思うわけでございます。ただ、私どもといたしましては、当然そういうことが行なわるべきであるという気持で、今後努力して参りたいと考えております。
#24
○岡委員 特にこれは池田長官に申し上げたいのですが、この原子力研究所あるいは燃料公社など、当初私どもが五年前にこの設置を議決をいたしましたときに、特殊法人という形態をとり、公社という形態をとったその大きな理由は、これを国立の機関にすると、運営がともすれば官僚化する、いま一つは、優秀な人材を入れられない、であるから、給与については、やはり相当な弾力性を持った給与を与えるようにするには国立の研究機関にすべきではない、こういう判断で、言ってみれば、いい給与を与えて、よりよき人材を入れようというのが、この原子力研究その他を特殊法人とした大きな理由であった。また、そういう立場においてわれわれはこれらの設置について賛成をしておるわけである。ところが、一方、国家公務員の方は、人事院勧告そのままに給与の改定を行なった。ところが、一方、そのような趣旨で設立をされた原子力研究所その他はい
 つになるかわからない、これでは、われわれが特殊法人としてこれを発足せしめたわれわれの意図というものは全くくずれてしまう、この点ですね。やはり大臣としても相当な決意を持っ
 て、この科学技術庁の直接の監督下にあるこれらの機関の給与改善はすみやかにやるべきだと私は思うのでございまするが、御所信を伺いたい。
#25
○池田(正)国務大臣 お答えします。
 ただいまの岡委員の御説はごもっともでございまして、当然そうあるべきだと私も思います。従って、これはすみやかにさような方向に持っていくように指導、誘導したいと思っております。
#26
○岡委員 これはぜひ、ほんとうに真剣にやっていただきたいと思います。でなくては、せっかく給与に弾力性を持たして、優秀な人材を集めようというわれわれのこれを設置した理由というものはなくなってしまうわけですから、ぜひこれは大きな御決意で直ちに実現を願いたい。同時に、これらの機関の職員諸君の給与問題についての経過というものを私はしばしば見ておるのですが、たとえば、特殊法人のある団体の職員組合が理事者と給与について団体交渉する、そうすると、いわば所管の局へ理事者の諸君が出向いて、いろいろまた意見を聞く、今度はまた所管の局が大蔵省に行って、またいろいろ談判をする、ところが、この給与という生活に直結した大きな問題、しかも、予算が伴う問題については、理事者にはその最終的な責任ある権限がない、局に行けば、局で事業予算等について大蔵省といろいろ折衝がありますから、やはりそこにはいろいろ問題があり得ると思う。そういうことになると、一番大事な給与の問題、生活の問題について、よりどころがないという状態に職員が置かれる場合がある。私は、こういうことは非常におもしろくないと思うのでございます。これはぜひ改善をする必要がある。何か妙法がないかということが一つ私の頭痛の種になっておるわけですが、大臣、何か妙法、妙案がございますか。
#27
○池田(正)国務大臣 残念ながら、なかなか簡単に妙案という結論は出てきませんけれども、岡委員、御承知のように、産業経済といわず、あらゆる面、従って、その行政をつかさどっておる政府の機構におきましても、各省の事項につきましても、これはいろいろでこぼこが年とともにできてきます。また、できつつあります。また、給与体系を定めるにいたしましても、これが、今御指摘になりましたように、科学技術庁の関係の技術者、それの問題が起こってきますと、その他の公団なり公社なりというようなものとの関連性とか、いろいろ複雑な事情もございますし、一がいに申し上げられませんけれども、そういう意味から申しましても、やはりこれは時期がくれば一応行政機構の改革なり――これをやるという意味ではございませんけれども、もちろん、私一人でできることでもございませんし、政府全体の問題でございますが、考え方といたしましては、全面的に、もうそろそろそういった問題を基本的に考慮検討していく段階にきているんじゃないかというように私個人は考えております。従って、岡委員のおっしゃることも私十分わかりますし、お互いに協力してそういう方向に努力したい、かように考えております。
#28
○岡委員 とにかく、このような機関の職員の諸君が、給与の問題について理事者と交渉するときに、理事者にも最終的な決定権がない、理事者は局長なら局長にお目にかかり、やはり局長としても大蔵省と話をしなければ問題が解決しないというようなことで、いわば、恒産なき者は恒心なしという言葉がありますが、研究者の諸君が、自分の生活問題についてどこにどうたよっていいかということについて非常な不安を持っている。こういうあり方は、私は、やはり御指摘のようにどうしても改革すべきだと思うが、とりあえずの問題として、今後はやはり大臣自身がこれらの機関の理事者に会う、あるいは職員の代表に会う、そうしてみずから身をもってその実態を把握して、その上の判断に立って、国務大臣として大蔵大臣といろいろ折衝をされるというくらいの積極的な御努力を今後ぜひお願いしたい。それによって、現在きわめて責任の所在の不明確なこれらの機関の給与の問題にある程度までの希望が与えられ、めどが与えられるのではないかということも考えられまするので、どうか一つそういう積極的な御努力を今後はお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
     ――――◇―――――
#29
○山口委員長 前田正男君。
#30
○前田(正)委員 この際、私は、南極観測の問題について質問をいたしたいと思うのであります。
 私が聞くところによりますと、南極の観測は再来年からこれを打ち切られるというような話がございまして、来年度予算にも、再来年の観測を継続する予算が要求されておらないらしいというふうな話を聞いておるのでございますけれども、私たちの承知するところでは、せっかく南極には設備もできましてさらに――これも私の聞いておる範囲でありますけれども、日本が何か世話役になられて、南極条約というものもできたそうでありまして、これは、いずれ外務省から説明を聞かしていただきたいと思うのであります。そういうふうな観点から見ましても、新たに観測に参加しようというふうな国々も多いようでありますけれども、この際、日本がこの設備をそのままにして、しかも、新たに犠牲者が出ましたこのとうとい経験というものを、どういう理由からでありますか、私はよくわかりませんが、これを打ち切られるというふうなことは、まことに国民としても残念なことであると思うのであります。
 そこで、まず第一に、文部省から、なぜそういうふうな南極の観測、開発の問題を打ち切らなければならないことに至ったかという事情を御説明願いたいと思うのであります。
#31
○小林政府委員 御承知のように、現在の南極地域観測は、国際地球観測年の継続事業の一環として始められたものでございまして、地球観測年の事業が終わりました後も、学界あるいは学術会議の要望に従いまして、年限を延長して現在まで実施して参ったわけでございます。御承知のように、現在、第四次隊が越冬をいたしておりますし、また、第五次隊が南極へ向かっておる最中でございます。実は、この三十四年までのことは閣議決定で実施の方針がきまっておったのでございますが、三十五年以降どうするかということでいろいろと関係者の間で相談をいたしたのでございます。南極地域の観測につきましては、単に形式的な面だけではございませんで、現在でも、御承知のように、実施機関といたしましては文部省に統合本部というようなものもございますが、これはきわめて臨時的な片手間な形でやっておるわけでございます。また、輸送の関係で宗谷を使っております。また、ヘリコプターも使っておりますが、これらも必ずしも十分ではない。悪天候に遭遇したりいたしますと、非常に実は困難をいたしまして、外国の隊の応援を得ておるというような実情もございますので、やはり、今後やるとすれば、もっと完璧な方法でやらなければいかぬのじゃないか、従って、現状の体制でやるのは三十五年度一年限り、三十六年度以降恒久的にこれを実施するかどうか、実施するとすればどういう方法で、どういう準備をして実施するということは、今後関係者の間で十分研究し、検討しようじゃないか、こういう趣旨の決定をいたしておるわけでございます。三十五年度限り全然実施をしないということではございませんので、実施をするかどうか、実施するとすれば万全の準備をしなければいかぬ、その準備をどうするかということを十分検討しようという趣旨の閣議決定をいたしておるわけであります。
#32
○前田(正)委員 そういうことですと、三十六年度にどういうふうにやるかということでございますけれども、やるとすれば、三十六年度の予算の要求をしなければ、予算はもう締め切ろうとしております。予算要求をしておられるのですか、しておられないのですか、それを一つ聞きたい。
#33
○小林政府委員 要求はいたしております。これは第五次隊が引き揚げてくる、従って、第五次隊の帰還に要する相当な経費が必要でございますので、その要求はいたしております。
#34
○前田(正)委員 私の言うのは、第五次隊の分はわかっておりますけれども、それからあとの継続する分、第六次隊、それも来年度の予算としてもし継続するならば要るわけであります。もし、あなたの言うように本格的にやるとするならば、本格的な観測に必要な経費というものも来年度になければできないわけでございます。今後継続する予算を来年度に要求しなければならぬだろうと思いますが、それはどういうふうにしておられますか。
#35
○小林政府委員 三十六年度の船上観測並びに基地における地上観測の経費は要求いたしております。三十六年度以降本格的にやるかやらないかということがきまっておりませんし、やるとしても、そのプログラムをどうするかということもきまっておりませんので、それに必要な経費ということになりますと、現在のところ要求はいたしておりません。
#36
○前田(正)委員 外務省の方が来ておられると思いますけれども、南極条約というものが、日本が骨を折ってできたということを聞いておるのであります。この南極条約の中にも、南極の今度の開発、観測というような問題については触れておると思うのでありますが、学術的な観測年というものと関係なしに、各国とも、南極条約ができたので、新たに南極の観測とか開発に力を注ごうというふうな動きもあるというふうに聞いておるのであります。今のこういうふうなところに関連した南極条約の内容と、それに関連して各国が今行動を起こそうとしておることで、外務省でわかっておることがありましたら、一つ説明していただきたいと思います。
#37
○高島説明員 南極条約は、実は昨年の十二月一日に、日本を含めます米、英、仏、ソその他南極国際地球観測年に参加しました十二ヵ国の間で締結されたような次第であります。締結につきましては、一年半ほどの期間、ワシントンにおきまして、わが方の当時の下田公使を中心にいたしまして、ワシントン駐在の各国大使、公使の間で私的な会合を数十回にわたって持ちまして具体的な折衝をいたしました。日本は、たまたま南極に関しましては、いわゆる領土的な野心を持っていませんために、非常に純粋な立場から、米ソその他関係各国間の調停の役を果たしました。そういう結果、昨年の十二月一日に正式に決定されましたけれども、この条約の目的は二つございます。
 一つは、南極を平和的にのみ使う、つまり、軍事的に絶対使わない、南極地域全体を非軍事化するという目的が第一の目的です。この目的のために、主要な規定といたしましては、南極では一切の軍事基地を設けない、軍事施設を設置しない、それから一切の兵器の実験を行なわない、そのために、各国は自由に南極地域全体にわたりまして査察の権利を持つという規定がございます。
 第二番目の目的といたしましては、国際地球観測年におきます南極での科学的国際協力を、今後も半永久的に継続するということが第二の目的でございます。そのために、いろいろ各基地間の研究員、科学者の交換とか、科学的な情報の交換、その他科学的国際協力につきましての非常に詳しい取りきめが規定されております。そのために、さらに各国が自由に南極の地域に入って、何ら領土的な紛争を起こさないようにするとか、各国はこの有効期間中、領有権につきましてその権利を凍結するという規定がございます。従って、その権利の請求権を持っておるものも、条約有効期間中は、一切具体的にそういう請求を行なわないという規定になっております。そういう二つの目的によりまして詳しい規定がございまして、この条約が発効いたしますと――まだ発効いたしておりませんけれども、発効いたしましたら、その発効後二カ月以内に第一回の実施の取りきめの会議をキャンベラで開くことになりまして、そこで具体的にどういう方法で、今言いました二つの目的を実施していこうかという、詳しい取りきめを協議する段取りになっております。従って、日本も当然明年早々に開かれる予定になっておりますキャンベラの第一回会議に正式な代表を派遣いたしまして、今後の条約実施についての取りきめに参加いたすことになっております。
#38
○前田(正)委員 その批准はいつごろ
 されるものであり、また、日本としては批准手続は終わっていると思いますけれども、どういうふうになっているか……。
#39
○高島説明員 十二ヵ国のうち、現在までに批准の終わりましたのは九ヵ国でございます。残っておりますのはアルゼンチン、チリ及びオーストラリアの三国であります。日本はことしの八月に批准いたしました。
#40
○前田(正)委員 そうしますと、近くその条約は発効するわけでありますが、そうすると、今お話のように、日本は批准しておりますから、観測年が終わりましても、半永久的に南極の観測、その他開発には当然協力して、世界的に協力していくというふうな国際的な条約上の義務というか、責任が起こってくるということになると思いますが、しかも、それが何か私の聞くところでは、御説明のありました通り、この条約については、日本は南極の土地の請求権を持てない立場上、日本が世話役になって推進したというふうに言われておるように聞いておるのですが、そういう点からいたしますと、当然こういうせっかく日本として条約上の責任を負うたものに対して、日本がみずから手を引いていくというのは非常におかしいと思うのでありますけれども、これはもう一ぺん外務省の方から、やはり御説明の第二項の国際的な協力に対しまして、各国はどういうふうにしてこれからその第二項の事柄をやっていこうとしておるか、あるいは新たに相当そういう国際的な協力に参加しようとしておるような状態があるかどうか、ちょっと御説明願いたいと思います。
#41
○高島説明員 実は、私寡聞にいたしまして、各国の科学研究の状態については詳しく存じませんが、第一点に御質問がございました、この条約の義務という観点から御説明いたしたいと思います。
 まず第一番に私の方で考えておりますのは、この条約に参加を招請されました十二ヵ国は、南極国際地球観測年に参加した国はそのまま招請された次第でございまして、この条約の規定から申しまして、これらの国は、当然に条約上の義務といたしまして、今後もこの条約の有効期間中、南極に基地を設定し、国際的な協力をやらねばいかぬということになっておるわけであります。もちろん、政策といたしましては、別個の考慮が行なわれるべきだと思います。政策的には、この条約の円滑な実施を期する上から、この現署名国は当然に実質的に参加するという必要は起こっておると思いますが、少なくとも、条約上の義務といたしましては、そういう義務はございません。
#42
○前田(正)委員 それは条約上の義務としてはあれでしょうけれども、その条約を批准してある以上は、当然これに積極的に協力するというような政治的な責任というものは私はあると思うのであります。また、しかも、各国ともそういう方面に新たに参加しようとしているように聞いておるのでありますが、その点について、文部省とか、あるいは科学技術庁の計画局長あたりでも、新たに参加してやろうとしておられる海外の状況がおわかりでしたら、御説明願いたい。
#43
○小林政府委員 ちょっと、私わかりかねます。
#44
○前田(正)委員 科学技術庁の方はどうですか、新たにそういう方面は……。
#45
○久田説明員 私も確かなことはわかりませんが、最近新しく設けるということではなく、たとえば、昨年あたりから新しく基地を設けた国があるとか、あるいは今年あたり新しく設けるところがあるというような話を聞いたことはございます。確かな情報ではございません。
#46
○前田(正)委員 まあ、以上のようなことでありまするので、きょうは、一つこの際、科学技術庁の長官である池田国務大臣に御意見を伺いたいと思うのでありますが、文部省の話を聞きましても、三十六年度以降の問題については、根本的にどうするかという問題をやはり政府としてきめていかなければならぬ、こういうふうなことで、それの予算的な、三十六年度としての必要な予算、このうち、現在の第五次分まではそうですが、将来の問題に対しては、全然予算的な措置をしていない、こういうことであります。また、外務省のお話を伺いましても、新たに条約上の義務はないけれども、私は、それに参加して、しかも、世話役をしたわが国としての政治的な責任というものも当然あると思うのであります。そういう点において、政府は、当然この際将来の南極の観測及び南極条約に協力する、こういった問題について根本的な対策を立てて、来年度の予算において必要な予算は要求しなければいけないのじゃないか、私はこう思うのでありますけれども、これに対する大臣の所見を承ってみたいと思うのであります。
#47
○池田(正)国務大臣 お答えいたします。
 これは、御承知のように文部省所管でございまして、私どもの所管でございませんので、責任あることは申し上げられません。ただ、今御指摘のように、来年度から打ち切られるというようなことを私実は耳にしまして、これは軽々しい問題ではない、これは慎重にやらなければならぬ問題で、できれば、これは当然継続していかなければならぬ問題だ。御指摘のように、政治的に見ましても、あらゆる角度から検討し考慮して、これは継続すべきものであり、強化しなければならぬというふうな考えを、私は実は個人的に持っております。先般来、実は政府部内におきましても、その話で寄り寄り意見の調整をやっておりますが、何分にも文部省の所管で、すでにもう予算折衝に入っておるというような段階にきておりますので、残念ながら、三十六年度においてどういうような措置をとるかと言われましても、今ここで明確なお答えはできません。しかし、何とかして、かようなものは――率直に申し上げまして、一体それを継続できないという理由は、宗谷丸がだんだん老朽化してくる、これを今度また新しくするということになると相当の予算も必要であると同時に、また危険というものを十分に考慮してやるためには、これまた相当の予算を必要とする。それからまた、それに要する実際の研究者を得るということが相当困難だというような、いろいろな考慮から、どうも文部省は若干腰折れじゃないか。政府部内でさようなことを言ってははなはだ恐縮だが……(笑声)というふうな感じもいたします。これは率直に申し上げますけれども……。従って、私としては、国際的な立場を考えましても、これは何とか復活して、さらに強化してやらなければいかぬので、今後とも文部省の弱腰を少しネジを巻いてやろうかと、よけいなおせっかいだと文部大臣からおしかりを受けるかもしれませんけれども、私は、大体そんなつもりでおります。
#48
○前田(正)委員 文部省としては、政府としての予算編成方針もきまっていないし、まだ閣議的にきまってないんですから、今度の三十六年度の予算編成方針決定までの間に、将来の問題を決定すべく努力される意思があるかどうか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
#49
○小林政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今後半恒久的に実施するかしないか、実施するとすれば、具体的にどういう準備をし、どういう計画で実施するかということの検討につきまして、実は関係者の間の話し合いがまだ始まっておりません。また、実は学界の内部にも、この南極地域の観測だけに国が最重点を置くということにいろいろ意見があるやに私聞いております。学界の意見がまとまり、また、関係省間の意見の調整ができて、実施の方針がはっきりいたしますならば、私どもといたしましては、本予算に間に合いませんでも、予備費あるいは補正等の手段を講じたいと思っております。
#50
○齋藤(憲)委員 関連して。
 この南極問題に関しましては、本年がちょうど白瀬中尉が第一回南極探検を始めましてから五十年に相当するのであります。白瀬中尉は、私の出生地のごく近くの出身でございまして、郵政省では、この白瀬中尉南極探検五十周年を記念いたしまして、本年は記念切手を発行したのであります。十円切手八百万枚と私は聞いておるのでございますが、ようやくこの国際地球観測年に日本も参加するだけの実力を持ちまして、南極の実態を数年にわたって調査することができたわけでございます。西堀越冬隊長にいろいろな話を聞きますと、日本が獲得いたしました昭和基地は、南極における最もすぐれた基地であって、ここに日本が足をとどめて南極の調査を総合的に進めていく、将来に対して非常に大きな国際的な力がここから生まれてくるのではないかというようなことを私も聞きまして、たとえ地球観測年が終わりましても、世界はあげて、今度は宇宙観測年に入っておるわけでありますから、日本も宇宙開発という建前から、こういう国際的な趨勢におくれざるように、宇宙観測という大きな表題に切りかえて、そして、あくまでも昭和基地に毎年探検――と申すと語弊がございますけれども、いろいろな科学調査を行なうところの人々を派遣して、世界の大勢におくれないようにすることが一番いいことじゃないか、そう私は感じておったのでありますが、ただいま前田委員と政府当局との質疑応答を伺いますと、三十五年で打ち切って、あとはやるかやらないかという根本問題がきまっておらない、こういうことですね。それには私も非常に驚いたのでありますが、せっかくあれだけの努力をして昭和基地をあそこに確立して、さて、これから南極の実態を通じていろいろな近代的な調査が行なわれる、そういう点だけでも、日本は世界の先進国と肩を並べてやれるんじゃないか、こう思っておった。その南極に対する根本方針がきまっておらないということは、これは何と申し上げていいか、戸惑うようなわけなんでありますが、どうか、一つ所管外でございましょうけれども、池田長官におかれましては、この根本問題を早くきめていただきたい。一体、三十五年度で打ち切ってしまうのか、将来やるのか。将来やるということの根本方針がきまっておったならば、これは三十六年度に、前田委員の言われるように予算措置を講ずることが私は賢明であると思う。たとえ五、六名であっても、もう一年間継続をしておる間に、さらに積極的な方法を講じていく。私のおそれますのは、三十五年で一たん打ち切ると、せっかくあれだけの設営をいたしました昭和基地が一体どうなってしまうのか、あれは暴風雪によってなくなってしまうかもしれない。将来継続的にやっていくことをやらないなら、これは考えもありましょうけれども、そういう根本方針を早急に決定していただくようにお願いしたいと思う。これは、単に文部省だけが所管省というように今伺いますが、南極それ自体に関するところの国家的な立場は、文部省一つだけの問題でなくして、これは国家の総合的な問題だと私は思うのであります。そういう点をよろしく御勘案下さいまして、所管外で、どんなにこの問題で御活躍になっても池田長官はおこられることはないと思いますから、その点よろしく御配慮願いたいと思います。
#51
○前田(正)委員 私も、今、齋藤委員からお話がありました通り、この際、一つ池田国務大臣を初めといたしまして、文部省、外務省等、関係の方たちも、一つ根本的に南極観測をどういうふうに継続するかということを特にお考え願います。しかも、また、私が先ほど来指摘いたしました通り、各国も南極の観測、開発を継続するようでありますし、さらに、新たに国際的にも南極条約というものを設けまして、その一つの目的として、観測年が終わっても南極の観測、開発を続けようじゃないか、こういうふうな申し合わせをして、日本もそれを批准しておるわけですから、義務でありませんけれども、当然政治的にこれを根本的に継続する責任があるわけであります。それがなければ、日本もこんなことを書いた条約を批准する必要がないわけですから、そういう点において、これは外務大臣も大いに責任を持っていただきたい。また、日本の科学技術全体を発展させていかなければならぬ科学技術庁長官も、大いにこの根本解決に努力していただきたい。従来所管してこられました文部省も、ぜひこの問題を早急に解決して、日本の科学技術全般の、あるいは学術全般の発展のために早急な解決をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#52
○岡委員 今、南極条約のお話を承ったのでございますが、大国の保障のもとに、南極の地域が平和地域として半永久的に保障されるということは、まことに歴史的な意義のあることだと私は存じます。また、おそらくこの精神が大気圏外の平和利用への道を開くものだと存ずるのでございます。日本の科学技術も、国防を名としての科学技術でなく、世界の平和、人類文化の増進という大きな目的のもとに進められなければならない事業でございますし、おそらく、南極における地球観測年のもろもろの観測も、宇宙開発のための基礎的なデータが非常に多くここに得られておるのでございます。科学技術庁としては、宇宙開発の審議会も設けられておるのでありまして、その宇宙開発審議会も、南極における半永久的な観測は大きな責任事項と存じますので、どうか、一つ池田長官も、この問題を真剣に自己の責任問題として取り上げて積極的にやっていただくように、今度は長官に大いにハッパをかけておく次第であります。
#53
○池田(正)国務大臣 各委員の方々から大へん御激励をいただきましたが、私率直に申し上げまして、南極の調査団の所管が文部省にあることはおかしいと思うのです。私しろうとだから言うのかもしれませんが、これは当然科学技術庁が中核となってやるべきことであって、そうして、これの扱い方につきましては、正確な世界観の上に立って、国際情勢を見ながら、そうして、お互いに世界平和に貢献していくという大きな立場から考慮すべきもので、文部省が扱っているのはおかしい。それだから、こういうばかなことになったのじゃないか、私はそう思っています。皆さんからハッパをかけられるまでもなく、といって、私はすぐ私の方によこせと申し上げておるのではございませんけれども、そういう文教政策といったような狭い立場からこれは見るべきものではなくて、御指摘ように、いわゆる世界観の上に立ってこれを処理すべきものであるというふうに考えますので、私は、所管外でございますけれども、大いに努力いたしたいと考えております。どうぞ御協力をお願いします。(拍手)
     ――――◇―――――
#54
○山口委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会といたしましては、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について調査をいたしたい旨議長に申し入れたいと存じますが、これは御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト