くにさくロゴ
1960/10/22 第36回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第036回国会 本会議 第4号
姉妹サイト
 
1960/10/22 第36回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第036回国会 本会議 第4号

#1
第036回国会 本会議 第4号
昭和三十五年十月二十二日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和三十五年十月二十二日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時十八分開議
#2
○副議長(中村高一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(中村高一君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。北山愛郎君。
    〔北山愛郎君登壇〕
#4
○北山愛郎君 私は、日本社会党を代表して、政府の施政演説について主として外交、経済、社会保障の問題を中心としてその内容を究明し、われわれの考えを明らかにしたいと存じます。(拍手)
 池田総理は、岸内閣が国民多数の要望を踏みにじって押し切った日米安保条約を堅持することを明らかにし、中立政策をもって幻想なりとして排撃をされたのであります。しかし、過般の国連総会において世界の中立勢力の目ざましい進出とその活躍は、偉大な現実として、われわれに強烈な印象を与えました。(拍手)中立は、幻想ではなくて、今こそ世界をおおう現実であります。アジア・アフリカ諸国の提出したコンゴに関する決議案及び緊張緩和の決議案が採択をせられ、インドのネール首相、ユーゴの、チトー大統領、エジプトのナセル大統領、インドネシアのスカルノ大統領、ガーナのエンクルマ大統領など、中立の代表首脳が提出をいたしました米ソ首脳の話し合いを促進する決議案は、残念ながらネール首相自身によって撤回されましたが、この中立勢力、アジア・アフリカ新興勢力の大活躍は、世界の耳目をみはらせるものがあったのでございます。この異常な国連総会の中で、わが代表は、一体何をしておったのでしょうか。国連中心主義を強調する政府代表は、アメリカの陰に隠れ、そのまぼろしすら見えなかったではありませんか。(拍手)アメリカが賛成をすれば賛成をし、反対をすれば反対をする。その上に、インドなど中立国が提案をしました東西話し合いを促進する決議案に対しましては、アメリカの立場を守るために修正案を出してこれを妨害したと伝えられておるのであります。(拍手)これが日米安保条約の制約のもとに置かれた外交であり、アジアの一員であるという立場を完全に忘れた行動であります。(拍手)岸内閣当時の外交三原則のうちの一つの柱である「アジアの一つの国である」という立場は、日米安保条約が強行された今日、自民党の新政策から消え去っておるということは、けだし偶然ではないと思うのであります。(拍手)
 今や、世界の中立勢力は、国連加盟九十九カ国の中で四十以上に及び、世界の政局を左右する偉大な一つの力を形成するに至りました。この新しい世界情勢の中にあって、安保体制に閉じこもり、アメリカ追随の外交を守っていくということは、共産圏はもとより、多数のアジア・アフリカ中立の国から孤立する危険を招くものであるといわなければなりません。(拍手)国連総会における小坂外務大臣の演説が軽視されて、会場から退席する者が多かったということは、外務大臣の演説のせいではなくて、国際社会のうちにおける日本の地位を象徴するものであります。(拍手)われわれがこのような国際信用を失う安保外交を強く批判せざるを得ないことは、むしろ当然であるといわなければなりません。(拍手)
 社会党は、日本がアジアの一国であり、東西対立の中間にあって、しかも、東西両勢力のいずれとも軍事同盟を結ぶことは極東の緊張を緩和することにはならない、また、わが国の安全を保障するゆえんでもないということを深く考えて日米の軍事同盟を一日も早く解消し、アジア・アフリカの中立勢力と協力をして、世界の軍備の撤廃と戦争の絶滅をかたく決意しておるのであります。(拍手)また、このことは、明治以来、われわれが、アジア人でありながらアジアの兄弟に背を向けて欧米の植民地主義、帝国主義に追随し、あるいはイギリスと結び、今日はアメリカと結んで、その東亜における番犬の役目を勤めつつある、恥ずべき行動を清算する歴史的な事業でもあると信じます。(拍手)池田総理は、この点についていかなる見解を持っておるか、承りたいと存じます。
 一九五六年一月、故ダレス国務長官は、雑誌ライフ誌に稿を寄せまして、アメリカ政府が、朝鮮戦争の末期、また、インドシナ戦争の末期と、一九五四、五年の台湾海峡の危機と、実に三回にわたって中国との戦争決意をする寸前の事態にあったことを明らかにしております。ダレス氏と統合参謀本部内の主戦論は、陸軍の反対と大統領の裁断によって、幸いに事なきを得たのであります。池田総理は、安保条約により、また、最小限の国防費によってわが国の平和と安全が守られたということを礼賛しておりますけれども、日本の安全を守ってきたのは、安保条約ではなく、また、自衛隊の力でもないのであります。
 このダレスの手記によってもわかる通り、われわれは、実に数回にわたって原爆戦争下にさらされる危機を知らずに通ってきたのであります。むしろ、池田総理のこの言葉こそは、わが国をめぐる国際的環境に対する具体的検討を怠った幻想でしかないと思うのであります。(拍手)アメリカが軍事紛争を起こせば、日本もまた共同の行動の責任をとる新安保条約のもとにおいても、危険は依然として去っておらないのであります。スプートニク以来、米ソのミサイル・ギャップが広がって、ロケットの分野でソ連が明らかに優越している現在、平和を守っている主導力は、むしろソ連の側にあるといわなければならぬのであります。米軍の駐留と自衛力の増強は、万一の場合、十数分でわれらの頭上に襲うであろうミサイルを防ぐことができないことはきわめて明らかであります。池田総理は、内政の上で闘争を排し、話し合いを提唱しておりますけれども、一歩を進めて、外交の上でも、この危険な安保条約に依存することなく、極東の非核武装化と日米中ソを含む集団不可侵の体制について各国と話し合う考えはないか、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、安保条約が日本の平和と安全を守るために役に立たないだけではなくて、経済的に見ても国民の利益にならないことを指摘したいのであります。
 すでに、われわれは、安保の審議の際にも、条約の第二条によって経済的にアメリカ依存を強化して、日中国交回復と貿易の再開を困難にする不利を指摘して参ったのでございますが、今やアメリカ経済の景気後退が決定的となり、西欧経済も調整期に入って、明年からさらに資本主義経済が深刻な不況局面を迎える情勢となって参りました。われわれの懸念が現実のものとなってきたのであります。
 十月の十八日に、国連のドセイヌ経済局長が報告を出して、アメリカの不況が西欧に波及する危険と同時に、低開発国の交易条件が非常に悪化しておることを警告しております。また、日本銀行当局も、アメリカの景気後退によって、わが国の所得倍増計画の実現が非常に心配であるという点を言明しておるのであります。本日の新聞を見ますと、二十日付アメリカ政府の発表によりますと、九月のアメリカの国民総生産は減少し、工業生産指数も低下し、また、住宅着工も昨年に比べまして二九%も下回っておるのであります。このアメリカの不況は、すでに世界の常識となっておるのでありまして、この事実を否認しておるのは、おそらく池田内閣だけでございましょう。(拍手)昨日経済企画庁長官は、あのような楽観的な演説をいたしておりますが、さらに、この九月のアメリカ政府の報道なり、あるいは国連の経済局長の報道等による米国の経済並びに西欧の経済につきまして、あらためてその見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 去る十九日に、また、突如として、ロンドンの金塊相場が、一オンス四十ドル、すなわち、平価に比べて五ドル上回る暴騰を演じました。アメリカの国際収支の悪化と、金が流出をして、その保有高がはなはだしく減少し、米ドルの切り下げが必至となって参りましたので、金の思惑需要が急にふえて参ったのであります。万一ドルが切り下げられるならば、わが国のため込んだドル貨の価値は下落してしまうのであり、対米輸出にも重大な影響を受けることは必至であります。また、世界の平価切り下げ競争、為替統制の激化を招き、世界経済に異常なる事態を予想されるのであります。私は、万一ドル切り下げの場合、円価もまた同じようにこれに応じて切り下げるのであるか、その他、金価格高騰によって起こる種々の事態に対する政府の見解と対策とについてお尋ねをしたいのであります。
 いずれにせよ、アメリカ経済の不況は、わが国の経済がアメリカ依存と自由世界との協力とを基盤とすることにのみたよることの危険性をはっきりと示しておるのであります。(拍手)
 その上に、岸内閣が安保条約の調印の際にアメリカに約束をしました為替・貿易の自由化によって、すでに中小企業、農林漁業には非常な圧迫が加わってきておるのであります。通産省内の作業によると、自由化の三カ年計画をそのまま実行するならば、昭和三十八年には国際収支に六十億ドルの赤字が出る、国民総生産は二割低下し、鉱工業だけでも失業者が百三十七万人も生ずるということを明らかにしております。池田総理は、仙台における談話で、共産圏の貿易は期待ができない、自由世界と自由貿易をするほかはないと言っておりますが、もしそうであるならば、わが国の経済は、倍増するどころか、三年後には二割も後退を余儀なくされるというのであります。池田総理が、一方では貿易の自由化を進めながら、他方では所得倍増を宣伝するということは、あたかも牛肉と称して馬肉を売るよりももっと悪質なごまかしといわなければなりません。(拍手)
 このような矛盾を余儀なくされ、西欧諸国がどんどん中国と貿易をやっておるときに、隣の日本が指をくわえていなければならないのは、安保条約のしからしむるところであります。安保条約こそ、軍事的にも危険であるのみではなく、経済的にも断じて国民の利益に合致しないものであるといわなければならぬのであります。(拍手)もとより、われわれも経済の高度成長を念願するものであり、すでに党の経済四カ年計画にそのことを明らかにしておるのであります。ただし、われわれは、これを可能にする前提として、単に自由世界との協力のみにたよることなく、共産圏とも、またアジア・アフリカ諸国とも平等互恵の関係を結んで、特に近隣諸国との経済交流を盛んにし、日本、中国、ソ連及びアジア・アフリカとの間に有無相通ずる多角的貿易の拡大をはかることが日本の経済の安定と発展にとって必要な条件であると考えておるのであります。これがためには、すみやかに日中国交回復をし、また、アメリカに安保条約の解消を求め、中立外交を確立しなければならないと確信をしておるのであります。(拍手)
 思うに、わが国の財界と保守勢力の諸君は、日本の安全よりも独占資本の支配体制と金権政治を守るために安保条約に依存し、自己の延命をはからんとしておるように見えるのであります。(拍手)これこそは、外交と内政とを混同し、国内問題のために外国の干渉を招く危険なる行為といわざるを得ません。(拍手)それぞれの国の政治、社会体制をいかにするかということは、国民が自主的に決すべき国内問題であります。社会党は、積極中立の外交こそ、わが国の安全を守り、日本民族の平和な発展に役立つ正しい外交方針であると確信すると同時に、国内の政治、社会体制の改造につきましては、議会を通じ、平和的に民主的に実行するものであることを明らかにし、保守党が外交方針と内政とを混同する誤りを反省するように強く要求せざるを得ないのであります。(拍手)
 政府、自民党の、所得倍増計画をまくら言葉とした新政策は、依然たる大企業、大資本中心の経済政策であります。それは、大企業に対して政府、民間の資金を動員し、これに租税特別措置や財政投融資など税制、金融の優遇措置を講じて、巨大な設備投資、合理化投資を行なわせ、政府は、道路、港湾、通信、都市施設など公共投資を進め、大企業、大資本を先頭とし、中心とし、機関車として生産力を引っぱっていくやり方であり、吉田内閣以来の一貫した経済政策であって、特に新政策というべきものではないのであります。この政策の結果として生じたのが、いわゆる二重構造であります。産業間の不均衡、大企業と中小企業との格差、地域間の不均衡、所得、賃金のはなはだしい格差がそこから生じておるのであります。(拍手)従って、大企業の設備投資を先頭とする成長政策のみを続けるということは、この二重構造の不均衡をますます激化するものでありまして、断じてこれを解消するものではないということは明らかであります。(拍手)
 われわれ社会党は、政府、民間の資金を規制し、過当投資を防止し、投資の効率を高めると同時に、二重構造を是正するためには、大資本、大企業優遇の租税特別措置を整理して、あるいは高額所得者には増税を行ない、勤労者、中小零細企業、農林漁業者には減税を行ない、税制を通じて所得分配を調整し、一方では、社会保障の面に思い切った措置を講じ、明年度予算大綱におきましては、国民年金、健康保険、生活保護、失業対策などに二千二百億円の増額をはからんとしておるのであります。すなわち、拠出制年金は、根本的な改正まで一応実施を延ばすと同時に、福祉年金については、六十才以上千円、六十五才から月二千円に増額をし、母子年金は月二千円にふやし、身体障害者年金も二千円ないし四千円に増額することとし、国民健康保険は七割給付、健康保険は五人未満の事業所に拡大し、生活保護基準を五割引き上げ、広くボーダー・ラインの低所得層対策を強化せんとするものであります。(拍手)
 池田総理は、組閣当初、社会保障を最優先に考えると言い、また、自民党の政調会におきましても一千億社会保障を宣伝したにかかわらず、新政策においては、はなはだしくこれが後退の観があることは、まことに遺憾であります。わずか二百億や三百億の少ない予算で国民年金をやろうとするような考え方が、そもそも間違いであります。われわれの批判や延期運動があればこそ、死亡一時金も出そうという気持になったようでありますが、その他にも、この拠出制年金には、掛金が高い、あるいは上も下もない一律の掛金であるという点、あるいは四十年の拠出期間は長過ぎる、その他たくさんの欠陥があります。これを根本的に改善し、真に国民の納得する国民年金にするために、われわれが提案した拠出制年金の延期法案に賛成することを要望するものでありますが、総理大臣のお考えはどうか、お尋ねをしたいのであります。(拍手)
 生活保護については、保護基準が低過ぎるということのほかに、行政措置による過酷な制限によって、少しばかりの収入までも差し引かれるという点に大きな問題があります。最近、東京地方裁判所民事部における淺沼裁判長のもとで、岡山国立療養所の患者朝日茂さんの行政訴訟に対して、現行の医療扶助の患者の実態は、生活保護法に違反するばかりでなく、憲法の理念にも反するとして、厚生省の裁決取り消しの判決をされましたということは、まことに心あたたまる裁判であると思うのであります。(拍手)わずかに月千五百円の収入から九百円を取り上げ、一カ月六百円の小づかいしか認めないということは、憲法第二十五条の精神に反することは明らかであります。政府は、この判決に控訴するということを取りやめて、生活保護法令を改善する考えはないか、厚生大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 なお、自民党は生活保護の基準を二六%引き上げるという宣伝をされましたが、これを実行するかどうかについても、あわせてお答えを願いたいのであります。
 国民健康保険につき、結核と精神病に対して、世帯主のみ七制給付とすることは、はなはだ奇怪であります。世帯主の病気と家族の病気とどのような差別があるかと問いたいのであります。これは納得のできるお答えをいただくと同時に、給付の引き上げは当然市町村の保険財政に対する負担を増大するものであり、今、各市町村の保険財政は非常な赤字で苦しんでおるのであります。また、住民も保険税の引き上げに苦しんでおるのでありますから、法律によって給付額の引き上げを行なう分については当然全額国庫負担とするほか、現在の二割五分の補助金についても相当の増額を必要と考えますが、それを実行する考えがあるかどうか、大蔵大臣にお伺いをしたいのであります。
 ここ数年来の経済白書は、相変わらず賃金格差が大企業と中小企業とでは二倍あるいは三倍の開きがあることを示しておるのでありまして、この格差は一向に是正をされておりません。政府は、中小企業の経営改善の措置をとるとともに、全産業一律の最低賃金制及び家内労働法を制定して、低賃金のもとに重労働をしいられておる中小企業労働者の生活を引き上げる必要があると思うが、労働大臣はどのようにお考えでありますか。また、親企業の横暴に苦しむ下請中小企業を保護するために、下請関係の調停制度を設けて下請契約条件を適正化し、その賃金支払い能力を高めることが必要と思うが、通産大臣にこの点をお伺いしたいのであります。
 このように、大衆課税を軽減し、社会保障を大幅に拡充し、低賃金改善の一貫した施策が経済成長政策と並行して行なわれない限り、所得倍増によって恩恵を受けるものは大資本、大企業であり、二重構造はいよいよ激化するであろうと思われるのであります。物価の値上がりは、言うまでもなく、所得倍増の幻想を完全に粉砕するものでありまして、池田内閣の泣きどころであり、昨日も弁明これ努めておるようでありましたが、その中には、国鉄、郵便など、多くの公共料金があるのであります。政府は、総選挙の前には、値上げをするなどとは言わないでありましょうが、選挙後も、国鉄、郵便料金あるいは電力料金の値上げはしないかどうか、それぞれ関係大臣から御明答を願いたいと思うのであります。(拍手)
 また、政府の産業構造政策、農村の間引き政策、合理化政策は、多数の離職者、転業者を生ずるのであります。農村からはたくさんの就業人口が今日町の工場あるいは商店に転出をいたしておりますが、それはほとんど二十才以下の青少年であり、二十五才以上、三十才以上あるいは中年、高年の転業は、ほとんど不可能の状態であります。政府は、国鉄職員も今後四十才以上毎年一万五千人の整理をするといわれ、また、公務員についても定年制をしいて、六万人くらいの整理をされると伝えられておりますが、その上に、貿易の自由化によって先ほどもお話を申し上げた通り、通産省の計算では百三十七万人、労働省の統計調査部の資料によると、鉱工業六百二十八万の労働者のうち、少なく見ても百六万人は失業するだろう、といわれておるのであります。池田内閣の産業合理化、農村の構造政策及び貿易自由化は、このように、数百万の、中年、高年の、転業のきわめて困難な離職者を生み出すのであります。(拍手)これらの転業者に対して、自民党の新政策は、わずかに「職業訓練、広域職業紹介などの制度を拡充整備する」と、たった一行しか書かれておりません。労働者や農民の首を切っても血は出ないでありましょうが、しかし、ろくな社会保障制度もないこの世の中に、家族をかかえた人の首を切るということは、明らかに暴力以上のものといわなければなりません。私は、産業合理化や農業の構造政策、貿易自由化から生ずる多数の離職者に対して、政府はどんな仕事を用意しておるか、数字をあげて具体的に明らかにすることを要求するものであります。(拍手)もしもその対策を準備しておらなければ、これらの首切り政策は、これを変更し、中止することを切望してやまないものであります。今後十一万人の人員整理を行なう石炭合理化政策も再検討を行ない、できるだけ失業者を出さないための万全の工夫と努力を払うことが愛情ある政治というものであると信じますが、池田総理及び関係閣僚の明確な答弁を求めるものであります。
 最後に、私は、教育の問題に触れなければなりません。
 淺沼委員長に加えられた暴力テロの責任を占領政策による民主教育にまで広げ、日教組までも引き合いに出すということは、非常識きわまることであります。今日、教育の成果を骨抜きにし、青少年の不良化を助長し、少年犯罪をふやさせる原因は、教育の内部にあるのではなくて、腐敗堕落した社会の金もうけ主義や、立身出世主義や、押しのけ競争主義と、商業的なマスコミに乗ったエロ、グロ文化の不道徳な社会環境の責任であります。(拍手)また、何百万円、何千万円の金を使って選挙違反のしたいほうだいやってもこれを黙認しておる政府の責任であります。(拍手)義理を欠き、人情を欠き、道理にそむいても、金さえ持てば何でもできるという腐敗したモラルが支配しておるこの世の中で、青少年が変質していくことをとめることはできないのであります。道徳課程を設けて青少年を善導しようという文部大臣のお考えに対しては、おそらく、青少年自身が苦笑するでありましょう。
 さらにまた、国民所得が日本の十倍に達するといわれるアメリカが、世界じゅうで最も殺人犯罪の多い国であること、また、青少年の不良化が手のつけられない状態にあるということを、われわれは深く考える必要があると思うのであります。金が政治を左右し、人間や労働よりも金が大事にされる資本主義社会においては、しょせんは、三悪を追放し、青年に真の理想と希望を与えることはできないことを認めざるを得ないのであります。(拍手)また、今の社会の仕組みのままでは、所得が二倍になり、あるいは十倍になつたとしても、国民の真の平和としあわせはこないであろうということを指摘いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇]
#5
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 北山さんの世界情勢に対する認識は、よほど間違っていると私は考えます。今の事態、今のときに、日米中ソの四国の中立協定なんていったら、世界の人は笑うと思います。(拍手)
 なお、国民大多数の意見に反して安保条約を結んだと、こういうお話でございまするが、来たる総選挙に、はっきり国民が返事をすると思います。(拍手)
 次に、米国の景気につきましていろいろお話があったようでございまするが、これはどこから出たのかわかりませんが、最近行なわれた世界通貨基金の会議におきまして、財務長官のアンダーソンは、アメリカは不景気ではないのだ、とはっきり言っております。日銀の人が何とか言っておりましたが、日銀総裁はアメリカから帰って何と申しましたか、私は新聞の読み方を一つお考え願いたいと思うのであります。(拍手)ことに、ドルの引き下げ、金価格の引き上げ等を論議せられるに至っては、私はいかがかと思います。ドルが下がろうなんて切り下げしようなんていうことは、世界の識者は言っておりません。また、それを前提として日本の円をどうこうという議論は、私はおかしな議論だと思います。
 第三の、自由化の問題でございまするが、他の機会に申し上げましたごとく、貿易・為替の自由化は、日本の経済をより強く、より発展さすための方便でございます。手段でございます。私は、自由化によって日本の経済が縮小したり萎靡するようなことならば、これはやりません。もしやるとすれば、角をためて牛を殺すのそしりを免れない。従いまして、私は、自由化によりまして日本の経済がいよいよ強く世界的に発展することを、はっきり考えておるのであります。ことに、今御引用になりました通産省の数字というのはどこから出たのか、あの当時見ますると、ある経済新聞に出ておりますが、私は、通産大臣のときに、そんな調査をして、そんな発表をした覚えはございません。私がやめまして、今の通産大臣は、ああいう考え方は通産省の考え方ではないのだと総理室で言われました。ああいう間違ったことを土台にしての議論には、私は応ずるわけには参らないのであります。(拍手)
 第四に、社会保障制度につきまして、政府は二百億とか三百億ふやす、こういうお話でございますが、政府のだれが社会保障制度を二百億とか三百億来年ふやすと言いましたか。そういうことを言った人はないと思います。そういうことで議論になりません。予算の要求は単なる省の見積もりでございまして、私が大蔵大臣と相談してきめますから、きめたあとをごらんになったら、あなたのおっしゃることが誤りであったということが、いずれ近いうちにおわかりになると思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#6
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交は、言うまでもなく、国の運命に関するものございまして、一歩を誤りますときは大へんなことになるわけであります。従って、外交に対して、単なる思いつきというようなこと、あるいは背伸びした議論というものは、よほど慎重に考えて扱わないといけないと思うのであります。現在、日本の国連における地位が非常に低いというお話でございましたが、私は、これは北山議員の思い過ごしであると思います。日本の立場というものは、十分高く評価されております。それなればこそ、御承知かとも思いますが、日本は副議長に一番多くの票を得て選挙されておるのであります。従いまして、私は、いたずらに国連における自分の地位を背伸びするということよりも、あるがままの姿というもので、十分に日本としては実力を発揮して、国連の中における地位を高めていくべきであると思っておるのであります。今日、国連は、言うまでもなく、世界平和を確保するための唯一また最高の機関でございます。従って、この国連をそうした目的に沿うて強化するためには、単にこの場を利用して自己宣伝をするとか、あるいは、いたずらな紛議をかもすということよりも、静かに話し合う場としての雰囲気を作るべきである、と私どもの立場では考えておるのであります。
 そこで、先般の、米ソ両国が話し合えという決議案が、いわゆる中立五カ国案として出たのでありますが、あの当時の雰囲気からいたしますると、ただこれを話し合えということだけぬっと決議案に出してみても、なかなかそうならぬのではないか。そこで、われわれの立場からいたしましては、そういうことの話し合いができるというような雰囲気を作って、しかる後話し合うように努力すべきである、そうした決議案を考えたのであります。これには、もちろん、アジア・アフリカ・グループの中の相当数の国が賛意を表しておったのでありますが、御承知のように、あの決議案は、五カ国の決議案も、豪州が出しました修正案も、日本その他三国で出しました修正案も、いずれも否決されたのであります。しかし、それが契機となりまして、明春米ソ両国が話し合うであろうという話になっておることは、御承知の通りであります。従って、私は、日本が出した決議案というものも、また、それが上程されたとかしないとかいう議論はありますけれども、その限りにおいて、やはり有効に働いておると思うのであります。これは、世界の各国が、別に日本の決議案というものを特に非難しておるわけではない。それを、何がゆえに、北山議員において、特に日本が非常に失敗をしたようなことをあげつらわれるのであるかということを、私は理解に苦しむものであります。(拍手)なお、日本の立場をみずから卑しめるようなことをことさらになさらないで、相ともに協力して日本の立場を、上げることこそ、お互いの努めではないかと思う次第であります。(拍手)
 次に、AAグループにあるわれわれの立場と、自由主義陣営に協力するわれわれの立場との間に矛盾があるのではないかというお話でございますが、われわれ、アジアの国としてAAグループに属しております。アジアの国は事ごとに繁栄を望んでおります。AAグループ、アフリカの国もしかりであります。私どもは、そのアジア、アフリカの声、繁栄を望む声を全世界に反映させるために協力いたしておりまするし、また、日本の立場といたしまして、そうしたアジア、アフリカ諸国の繁栄のために、経済の面、技術の面、または医療の面で、われわれとしてのできるだけの協力を二国間においていたしておりますし、また、国際連合の場におきましても、こうした協力を、十分に、私どものできる限りの範囲内においていたしておるということは、皆様御承知の通りだと思う次第であります。
 以上、御答弁申し上げます。(拍手)
    [国務大臣水田三喜男君登壇]
#7
○国務大臣(水田三喜男君) 社会保障に対する御質問でございましたが、先ほど総理からお答えがありましたように、これは来年相当の増額、強化をするつもりでおります。私どもが考えますことは、社会保障につきましては、一部の層にのみ厚くすることではなくて、国民の各層がこの社会保障の恩典を受けられるように、社会保障制度の体系を整備することが急務だと思っております。ですから、所得の少ない人に対する生活保護という制度は現在できておりますし、これは今後とも強化するつもりでおります。同時に、病気にかかっている方に対する保険制度でございますが、ようやく国民皆保険もことしで完了するという段階になっております。老齢年金や国民年金も今度制度化そうということになっておりますので、だんだんに今これが体系化してきましたが、母子対策はできておっても、まだ準母子対策というものは現在ありませんし、身体の障害者やあるいは精神薄弱児というものに対する保障が十分でありません。従って、漏れなくこういう保障の恩典を受けられるように、一応の体系整備を私どもは急ぎたいと思っています。従って、この体系整備ができたら、どこからさらに二段目の充実対策をとっていくかということは、今後、国の財政を考えて、段階的に、計画的にいくよりほかはなかろうと私は思っています。
 そうしますと、今御質問の点でございますが、健康保険をどこから強化していくかと申しますと、やはり、高額の療養費を要する結核とか、精神病に対する強化をしていくことが順序だろうと思います。従って、今回は、私どもは、結核、精神病者に対しては五割を七割に上げること、強制入院の患者に対してはほとんど全額を公費で負担するということから出発して、逐次国民健康保険の国の負担率を五割から七割の方向へ、計画的に持っていくというのがいいのではないかと考えます。
 生活保護費の引き上げについては、先ほど話した通りで、引き上げはいたしますが、引き上げ率は、まだ、ただいまの段階では検討中でございます。(拍手)
    〔国務大臣石井光次郎君登壇]
#8
○国務大臣(石井光次郎君) 大企業のもとに中小企業が苦しむような状態にならないか、また、下請工場等はさらに困難な状態にならないか、それに対する対策いかん、というような意味のことであったと思います。これは、さっき、総理が、大企業と中小企業との格差問題についても触れられたようでございますが、私どもは、中小企業の設備の近代化であるとか、あるいは組織力の強化でありますとか、一番大事なことは金融の円滑化であると思いますが、これらにあわせまして、税制を改めてもっと有利にしてあげるとか、技術も指導するとか、業種別振興策をいろいろ講じまして、今度の自由化のもとで中小企業が立っていくようにしなくてはならない、これができないくらいならば、自由化などというものを先走ることはいけないという心持で、私どもは前提条件としてこういうものに力を入れていきたいと思っております。なかなかむずかしいことだと思います。特に今申しました下請工場などというものは、親会社に対しまして非常に弱い立場にあるのでございますが、これらを助けるためには、組織の力等によりまして、そうして、発言権も持ち、共存し得るような立場にこれを率いていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣中山マサ君登壇]
#9
○国務大臣(中山マサ君) 社会保障制度の整備拡充につきましては、公共投資あるいは減税と並んだわが内閣の三本の柱でございます。それで、この一本でもはずれますと、池田内閣というものの存在が怪しくなるのではなかろうかという世間の批判もございますが、この三本の柱は確立されるものと私は信じております。と申しますのは、所得倍増論によりましてみなの所得がふえ、あるいは減税もございまして喜ばれる階層もございますけれども、こういう恩恵に取り残される階層がございます。私どもは、こういう方方にバランスのとれた政治をするということがわが池田内閣のモットーでございますので、それに沿いますために、生活の向上をはかることにつきましては、医療保険あるいは国民年金につきまして努力をいたしておるつもりでございますが、社会保障が大きく後退したとは私は絶対に考えておりません。今後とも最大の努力をいたす所存でございます。
 また、ただいまの国立療養所における問題でございますが、症状を中心とした食治療に重点を置きまして、献立面においては患者の好みを考慮した給食を行なっております。すなわち、第一に、複数選択食、普通食あるいは大盛り食、第二には、重症患者に対しましては、特別食として二種類の副食を選択することになっております。第三には、医師の処方によりますところの個別食があるのでございます。手術後の患者に対しましては三種類の献立の選択を認めております。その他流動食、無塩食等もございますので、これら給食の摂取につきましては、栄養士、調理士等の実務研修会を開きまして、長期療養患者の栄養価、献立面、盛りつけ、味つけ、そういった技術の向上に努め、給食内容の充実に努力をしておるのでございます。従って、国立療養所の患者給食は、医学的にも、患者の嗜好面においても、十分考慮が払われていると思うのでございます。集団給食でございます以上は、おのずからそこに限界があることは了承していただかなければなりません。患者一人一人の趣味、嗜好を完全に満足させることは、だれがやっても、とても困難なことでございます。病院給食を度外視した恒久的な加食は、治療のために患者の生活全般を管理すべき病院治療の目的に反するおそれがございまして、特に伝染病、中毒等の防止を目的とする面から好ましくないものでございますから、そこで、献立面と摂取面におきまして工夫をいたしておるのでございます。例といたしましては、医師の処方による個別食、選択食、普通食、半減食、大盛り食、重症患者には二種以上の副食を選択させております。手術患者には三つございます。
 それで、なお政府といたしましては、明年度におきましては、生活扶助基準の二六%引き上げをわが省といたしましては考えておりますから、こういう問題はおのずから解消するものである、と明るい見通しを私どもとしては持っておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣石田博英君登壇〕
#10
○国務大臣(石田博英君) 最低賃金法を全国一律八千円というふうに改める意思がないかという御質問でございますが、先般制定せられました最低賃金法は、ただいまその行政効果を上げるために鋭意努力をいたしておりまして、現在適用労働者数が三十万をこえておる状態でございます。これを向こう三カ年のうちに二百五十万人に適用するよう努力をしたいと思っておるのでございますが、その行政効果が上がりました上におきまして、その経験を通して、ただいま御発言の内容も含めて再検討をいたしたいと思っておる次第でございます。
 それから、家内労働法につきましては、ただいま家内労働審議会におきまして検討中でございまして、その成案を待って法制定に着手したいと存じております。しかし、それまでの間の経過的措置といたしまして、行政指導を、若干現実的に効果がある程度から始めて参りたいと思っておる次第でございます。
 それから、石炭の離職の問題、あるいは貿易の自由化について生じて参りまする離職の問題について、的確な離職対策がないではないか、という御質問でございました。一般的に申しますと、確かに中年、老年層の就職は非常に困難でございますが、他の一面、新規学校卒業者に対する求人は、求職を約五六%上回っております。また、九州地方、特に福岡県のごときは、殺到率四程度でございまして、非常に就職が困難な状態でございますけれども、中部地方、特に愛知県のごときは、一カ月平均の求職者四万に対しまして求人が十三万八千という状態で、著しく地域的にアンバランスでございます。さらに、技術労働者に対する求人が非常に多くて、しかも、これがなかなか充足されていない状態でありまして、この数は約八十一万に達しておる次第でございます。そこで、求人と求職とを見合ってみますと、大体その数は今年から見合うようになりました。従って、数字が見合っておりまするので、数字が見合っておりまする中で雇用対策を立てて参りますためには、やはり、その労働力の流動性を持たせることに集中するのが一番効果的であると考えておる次第でございます。すなわち、地域的偏在に対しましては、住宅の建設、これは、明年度を待たないで、本年度内におきまして、名古屋、大阪、神戸に主として石炭離職者のための労働者住宅を建設する予定でございます。それから、技能的偏在に対しましては、これはやはり職業訓練の徹底が最も適当な方法と考えておる次第でありまして、現在私どもの方並びに各自治体で準備しておりまする職業訓練の施設は、準備しておる数に対して御希望の数の方がまだ少ない状態でありまして、御協力を得て、できるだけ早く満員にいたしたいと考えておる次第でございます。それから中年層、老年層の問題につきましては、ただいま中年層、老年層のための職場の造出、あるいは中年層、老年層で十分かえ得られる職種等につきましての調査をいたしまして、日経連その他を通じて、経営者側の反省と御協力を求めておる次第でございます。しかし、この問題の困難な背景は、やはり、わが国の賃金制度そのものにもございますので、それをあわせて根本的検討を行なっておる次第でございます。それから、最後に、数字のことでちょっと申し上げておきたいと思うのでありますが、それは、貿易の自由化に伴って、労働省の調査によると百五万人の失業者が出るという御発言でありましたが、それは貿易の自由化に伴って影響を受けまする産業に働いておる労働者の数が百五万ということでございます。数字の正確を期しまする池田内閣の閣僚といたしまして、念のため申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○副議長(中村高一君) 春日一幸君。
    〔春日一幸君登壇〕
#12
○春日一幸君 私は、民主社会党を代表し、政府の施政演説に対し、まず冒頭に、今回の解散の意義と目的について池田総理の所信をただし、次いで、財政、経済上の諸問題について総理並びに関係閣僚の所見をお尋ねいたしたいと思います。
 今臨時国会は、衆議院を解散するために開かれた解散国会であります。従って、本院は、この本会議の論議を通じ、この解散の意義とその目的をまず明確にいたさなければ相なりません。
 顧みまするに、過ぐる第三十四回国会は、五月十九日夜半から二十日の未明にかけて自民党の盲目的暴走に端を発し、国会は絶望的な混乱に陥り、わが国議会政治はまさに破局の危険にさらされたのであります。すなわち、自民党の会期延長の無理押しと、新安保条約の無通告単独採決という、まさに多数の暴力とだまし討ちをからませた国会運営は、期せずして全国民の怒りを激発せしめ、自来、国会周辺は抗議デモの渦潮の中におおわれ、かくて、議長は登院し得ず、総理またその所在を明らかにせずして、ために、国会は、その後月余にわたって、その機能を停止するに至りました。まさにわが国議会史上かつて見ざる致命的大不祥事と申さなければ相なりません。(拍手)申すまでもなく、国会は国権の最高機関であり、国の秩序のいしずえであります。この至上の権威を破壊し、その秩序を混乱せしめた原因は何か、私どもは、この際、まず、その真相を究明し、その事実関係をつまびらかにせなければ相なりません。(拍手)
 私は、まず、自民党の国会におけるその行動の実歴についてただしたいと思います。
 ワン・マン独裁宰相吉田さんの指揮権発動の古きは問わず、ここ三、四カ年の事例に限っても、たとえば、鳩山総裁のゲリマンダー小選挙区法案、岸総裁のオイコラ警職法案、ニワトリ三羽百五十億のベトナム賠償から、あの恐怖に満ちた新安保に至りますまで、国会を混乱に陥れたそれらの諸法案は、ことごとく、それは、自説を独断して他を顧みず、異論あらば数で来いと、ことさらに挑戦豪語したものであって、また、その国会運営は、事ごとに多数の横暴をほしいままにして、それをみずから夜討ち朝がけは兵家の習いなりとそらうそぶくほど、それは暴逆理不尽の一語に尽きるものであったと思うのであります。(拍手)しこうして、自民党は、その意思に逆らう者ことごとくを国際共産党の手先ときめつけ、問答無用とばかり、法規と前例をじゅうりんして、抜き打ちに、時にこそどろ的に、常にその原案をごり押しに押し切って参りました。まさに、議会政治破壊の責任の一半は、この多数の暴力主義に耽溺した自由民主党そのものにあったといっても、決してこれは過言ではないのであります。(拍手)
 しかしながら、これに立ち向かった社会党の実力行使は、これまた明らかに議会主義否定の暴挙であり、厳に戒められなければ相なりません。(拍手)目には目を、歯には歯をと、暴に対し暴をもって報ゆるがごときは、民主主義、議会主義の断じてこれを許すところではありません。動機や理由がいかがあらんとも、われら議員の行動の限界は、院の内外を問わず、厳にその言論の範囲の内側にのみとどむべきであります。(拍手)実力やすわり込みで会議を阻止したり、院外のデモや政治ストによって国会審議に圧力を加うるがごときは、いたずらに多数者をして権力主義へ暴走せしめるだけであって国家と国民のために百害あって一利なく、まさに愚昧の所業と申さねば相なりません。
 池田総理は、あの第三十四回国会の未曽有の混乱と、ハガチー事件、全学連の国会乱入・流血の惨事、河上丈太郎氏や岸前総理の刺傷事件、特に淺沼委員長の痛ましい遭難を何と見るか、事ここに至らしめた原因について、院内第一党の総裁として、昨日来何ら責任を感じられての発言のないことは、まことに遺憾とするとこるであります。
 ここに、わが党は、安保問題については、かねがね、従来の安保条約を段階的、漸進的に解消すべしとの見地に立ち、軍事同盟的性格を濃くする新安保には絶対に反対して、これを議会政治のワク内で阻止するため、この最終決定は解散、総選挙によって広く主権者国民の意思によるべきことを主張いたしました。不幸にしてわが党の主張はいれられず、次いで、六月十五日、全学連の国会乱入・流血の惨事を契機として、わが国民主主義、議会政治が非常の危機に直面するに至りました。ここにおいて、わが党は、非常の決意をもって、もはや民主主義、議会政治を擁護することこそが最大の急務と考え、よって、国会の正常化と政局の収拾をはかるために、すみやかに岸内閣は退陣し、国会は即時解散して、まず国会の正常化をはかるべきことを要求したのであります。それはもはや何人も動かし得ない圧倒的な国民世論でありました。しこうして、この岸内閣退陣、政局一新の要求は、世論の高まりとともに、ついに新聞七社共同宣言という異例の勧告となって現われたのであります。かくて、岸内閣は退陣の余儀なきに至り、ここに政局収拾と人心一新の任をになって池田内閣は成立を見たのであります。
 従いまして、この池田内閣の使命は何か、それはこの池田内閣成立の過程に徴すれば、あまりにも明々白々であるが、それは、何事をも差しおいて、まずその国会を組閣直後に解散することにあったのであります。従いまして、その総選挙における争点は新安保にありといえども、同時にまた、それにも増して、その解散、総選挙の重要な意義と目的は、すなわち、あのように動転した議会政治を擁護するためにこそ、国会混乱の実相をつまびらかにして、各党はそれぞれ、その信条に基づき、その行動の結果について、主聾者国民の審判を仰ぐべきものであったのであります。
 しかるところ、池田内閣は、じんぜんとして解散を本日まで見送り、人のうわさも七十五日のことわざの通り、国民の印象も記憶も薄れた今ごろになって、事もあろうに、政策のABCである経済問題などを、巧妙にも新政策などと銘打って、これを総選挙の課題にしつらえんとしたのでありますが、これは全く原因と結果を手品師のごとくずりかえるものであって、これでは一体何のための政変であったのか、国民は、いよいよ戸惑い、ますますこれをいぶかるばかりであります。(拍手)初心忘るべからず、と申します。まことに、今次行なわれんとする総選挙の意義とその目的こそは、あのような混乱、無秩序に陥ったわが国の国会を、国民主権者がこの総選挙によって新しく再建確立するところにあり、各党また、つつしんでその信賞必罰に身をゆだねるところにありと思うが、これに対する池田総理の御見解はいかがなものでありましょうか。(拍手)率直に事実に基づいてその所信のほどを明らかにいたされたいと存じます。
 次に、社会保障、特に国民年金についてお伺いをいたします。
 福祉国家建設の道は、所得の再配分によって貧富の格差を解消することにあると思うのでありますが、この意味において、政府はここに経済成長政策を増進するにあたっては、まず、その大企業、高額所得者偏重の政策を改め、特に社会保障の拡充にその重点を置きかえなければ相ならぬでありましょう。わが国においては、貧困と疾病の悪循環がはなはだしいので、このためには、生活扶助基準の引き上げを行なうこと、医療の機会均等をはかること、あわせて防貧制度を拡充することの三点の実施が最も急務とされているのであります。政府が、単なるかけ声だけでなくして、真剣に社会保障の拡充と取り組む熱意をお持ちであるならば、いかにしてこれを完全に実施するのであるか、この際、政府の具体案をお示しを願いたいのであります。
 池田内閣成立後、自民党が天下に声明した新政策の中には、特に生活保護世帯に対して期末一時扶助を支給することが申されておりましたけれども、これはごとしの年末にどの程度の一時扶助を支給するのであるか、この朗報に対しましては、特に生活困窮者ははなはだしく鶴首待望しておりますので、この点もあわせて政府の具体案を伺っておきたいと存じます。
 次は国民年金についてでありますが、すでに前質問者諸君も尋ねられておるところではありまするが、国民年金制度は国民の強く要望するところでありますから、わが国の社会的、経済的見地から、これは当然に推進せなければならぬことは言うまでもありません。しかしながら、現行の国民年金制度にはあまりに問題点が多く、特に拠出制年金については、その施行を前にして、国民の非難は著しく高まりつつあるのであります。これは、本制度が保険主義的な考え方によって貫かれておること、老後の生活を保障し得るものではないこと、一律の保険料が現在の所得格差を無視したものであること、積立金の運用が不公正であることなど、それは、矛盾と撞着、欠陥とゆがみがあまりに充満したものであるからであります。よって、わが党は、かかる奇形の拠出制国民年金は、その実施をとりあえず延期して、さらにその内容について時間をかけて十分検討の上、これを完備することといたしまして、当面は無拠出制年金の充実に努力すべきことを強く要求するものであります。(拍手)しこうして、福祉年金制度は、その支給開始年令を六十五才に引き上げ、年金額は月三千円支給することとし、母子福祉年金は生別母子世帯、準母子世帯を含めることとし、障害年金は、内部障害を含めて三級障害まで支給することとして、さらにまた、福祉年金の支給条件は、個人所得制限を二十万円に引き上げ、世帯所得の条件は廃止すべきであると考えるのでありますが、これに対する厚生大臣、大蔵大臣の所見はいかがでありましょうか。この際、責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。
 次に、農業問題のうち、まずその生産対策についてお尋ねをいたします。
 米は本年度においても史上空前の豊作が予想されておりますが、その結果、食管会計の赤字が累積し、本年度末には、内地米のみで二百八十億円、食管全体としては二百五十億円の赤字が予想されるに至っておるのであります。この赤字の原因は政府の食糧行政の欠陥にあるのであって、この際、政府は、配給面、流通面、消費面にわたって抜本的手直しの措置を講ずべきものと思うが、政府のお考えはいかがでありましょうか。しかしながら、食管会計赤字の原因が生産者農家にあるかのごとき態度は断じてとるべきではないのであって、池田総理、南條農相がしばしば繰り返し言明されたごとく、食糧管理制度を堅持するとの基本方針をくずすことなく、また、生産者米価は生産費及び所得補償方式により算出し、かつ、消費者米価は据え置くことを前提として、なお、食糧行政に対する根本的改革の方針を承りたいのであります。
 農業問題の第二点として、米麦中心生産から商品作物生産への転換は、今後の日本農業の運命を決する重要な課題でありますが、この点につき、池田内閣の方針を承っておきたいのであります。
 第三点といたしましては、三十五肥料年度の硫安公債の決定がおくれておる理由について、この際明らかにいたされたいのであります。今回の価格決定の遅延はメーカー側の強腰にあるとはいわれておりまするけれども、この種のメーカーの要求は毎年繰り返されているものであり、本年に限って政府がこれをことさらに受けて立っているのはどうしたわけであるか、政府の所見並びに硫安企業合理化の見通しについて、この際、政府の方針をつまびらかにいたされたいのであります。
 次に、中小企業対策についてお伺いをいたします。
 中小企業問題は、経済問題として、はたまた社会問題として、きわめて重要なものであることは、論を待たないところであります。しかるところ、従来、政府は口で中小企業の振興を唱えながら、その実、中小企業に対する予算措置は僅々三十数億円である。これは、総予算のわずかに一厘六毛という、まさにゼロ数字にひとしいものであるのであります。(拍手)また、財政投融資計画を見ても、中小企業に対する投融資額は、政府関係金融機関を中心として、全体の投融資額の一一%にしか達しておりません。およそ、予算と財政投融資計画こそは政府の政策の真意を赤裸々に示すものでありまするが、この数字に現われた通り、従来の自民党の中小企業対策は、言うならば生かさず殺さずというような、ことほどさように冷淡薄情なものでありました。(拍手)もしそれ、この先ともにこのような政府の方針が続きまするならば、ひっきょう中小企業は経済成長から取り残されて、襲い来たる貿易自由化の荒波に押し流され、やがて非常の困窮に陥ることは明らかであります。今にして中小企業対策を根本的にかつ大々的に推進するにあらざれば、事態まさに憂慮すべきものがあると思うのであります。たとえば、その恒久的対策といたしましては、産業分野の確保、大企業の不当独占の排除、中小企業金融基本法の制定、設備近代化の政策的支援等、その緊急焦眉の懸案は枚挙しがたいほどに山積をいたしまして、また、特に当面の問題といたしましては、年末資金確保の要請が強く叫ばれておるのであります。今や貿易自由化対策においても、その大いなる分野に責任をになう中小企業が、その体質を改善し、近代化をはかることは、一日もゆるがせにできない段階に立ち至っておるのであります。通産大臣及び大蔵大臣は、これに対しいかなる対策をお持ちであるか、この際、両大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 次に、減税方針について大蔵大臣の所信をお尋ねいたします。
 来年度の税の自然増収は国税だけで三千億円と予想されており、もし減税を行なわなければ、国民所得に対する税負担は二三%に上昇することになりましょう。さきに、税制調査会は、わが国の現状からして、税負担は国民所得の二〇%が限界であると答申をいたしました。従って、国民の税負担の限界から見て、来年度において減税を行なうことは当然の措置であり、さればこそ、わが党は、つとに、国税及び地方税を通じ、少なくとも千三百億円の減税をなすべき旨、これを強く主張して参ったところであります。また、本年度の税の自然増収は、高原景気の持続により、さらに千五百億円に達するといわれておるのでありますが、本年度予算は、前年度に対しすでに二千億円以上の税の増収を見込みながら、あえて減税を見送ったのでありますから、このさらに加わった増収分に対しては、これを年度内にその納税者に返すことは当然の条理であると思うのであります。(拍手)以上、減税の規模と時期、特に年度内減税の構想について、大蔵大臣の所見はいかなるものでありましょうか、この際、政府の方針を明確にお示し願いたいのであります。
 次に、公務員給与の引き上げについてお尋ねいたします。
 最近、わが国経済の驚異的な成長に伴い、民間給与は顕著な上昇を示しておりますが、これに対し、公務員給与は、最近数年間ほとんど据え置かれたため、ここに少なからざる断層を生じたのであります。他面、消費者物価及び生計費は漸騰の傾向を示しているので、公務員の生活は、はなはだしき圧迫を受けておるのであります。この公務員の窮状にかんがみ、去る八月八日、人事院は、五月一日にさかのぼって公務員給与を、おおむね一二・四%のベース・アップを実施すべきむね、政府に対し勧告を行ないました。公務員給与は民間給与に比例して常にこれと均衡を保つよう配慮することは、団体交渉権と争議権を持たない公務員に対し、政府の当然の責務であると思うのであります。特に、本年度は、千五百億円に上る税の自然増収が見込まれ、財源には何ら欠くるところはありません。政府は、口では法と制度を尊重すると言いながら、この人事院勧告の実施をことさらにおくらせている理由は何であるか。従って、当然この国会において必要な法律的、予算的措置を講ずべきであると考えるが、今なおそれをなさざる理由は何か。これに対し、池田総理より責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。(拍手)
 次に、物価対策についてお伺いをいたします。
 物価指数を見ると、卸売物価は軟調を続けているといわれてはおりまするけれども、それでも昭和三十年に比べると一割強の上昇と相なっております。これに対し、小売物価や消費者物価は引き続き強調を示し、特に国民生活に直結する消費者物価は、ここ一年間に五%以上上昇いたしました。定期預金の一年もの利率は年六分でありますから、国民大衆が勤倹貯蓄をしても、物価の上昇を差し引けば、その実質金利は年一%足らずにしかならなかったということに相なりましょう。消費者物価のうち、ほとんど恒常的に上昇しているのは住居費であり、次に雑費であり、また食料品であります。最近では、牛乳、食パン、うどん、小麦粉、肉類、野菜類、みそ、しょうゆなどの食料品が軒並みに値上げされておりまするほか、理髪料金、入浴料金、クリーニング代等、サービス料金までも値上がりがあり、さらに、運賃、電気料金など、公共料金の値上げも時期の問題とされているのであります。ここに、理髪料金等のサービス料金は、生産性を向上することによって人件費高をカバーすることができませんので、経済の成長とともに、今後ともその値上がりを押えることは困難でありましょう。運賃、電気、ガス等の公共料金についても、設備拡張による資本費の負担が重くなるので、これまた上知の傾向にあることは争われません。食料品等の消費物資を見ても、これら消費物資は、中小企業により生産されるものが多いのであります。ここに、中小企業では、人件費高、コスト高を生産性の向上でカバーすることがむずかしく、よって、これまた、その値上がりを阻止することは、容易なことではないと思われるのであります。
 かくのごとく案ずるならば、ここに、消費者物価は、今後ともじりじりと上昇していくものと想定せざるを得ないのであります。池田内閣の強調する所得倍増計画は、物価の安定に基礎を置く実質所得の向上でなければならぬと考えるのではありますが、また、そのように昨日来論ぜられておるのではありまするけれども、かくのごとくにして、現実に消費者物価がこの先とも値上がりを続けるならば、所得倍増計画はさながら砂上の楼閣のように無実のものとなり、時に物価の値上がりが低所得者の所得の増加をかえって上回ることになりはしないかと、私どもはこのことを最も深く憂えているのであります。(拍手)池田総理は、大切なのは卸売物価であって、小売物価や消費者物価ではない、と言っておられますけれども、国民の大多数に直接の利害関係を持つのは、実にその小売物価であり、消費者物価であるのであります。政府は、経済企画庁に物価対策協議会を設けられて物価の上昇に対処するとのことではありますけれども、よしんば、独占禁止法の発動等によって、便乗的な値上げだけは押えることができるといたしましても、根本的な抑制対策はとうていそれに期待できるものではないと案ずるのでありますが、これに対する池田総理及び経済企画庁長官の見解はいかがでありますか、この際、政府の物価安定対策とその見通しについてお示しを願いたいと存ずるものであります。(拍手)
 次に、為替・貿易自由化の実施についてお尋ねをいたします。
 政府は、去る六月二十四日、貿易為替自由化計画の大綱について発表されましたが、その後、具体的には、いまだ何らの自由化対策も、物資別輸入自由化の実施時期も、十分に明示されていないことは、はなはだ遺憾にたえないところであります。政府は、商品別の自由化を、所要の対策と相待って、計画的な実施をはかると言っておるのではありまするが、ここに自由化による影響を最も深刻に受ける国内経済の弱い面、特に中小企業、農林漁業及び雇用面に対して、いかなる配慮をされておるのでありましょうか。ここに、通産省が、自由化の国内経済に及ぼす影響について、このほど産業連関分析で調査した結果によれば、それは輸入が激増し、国内生産規模は総生産額で二〇%縮小し、雇用は鉱工業だけでも百三十七万人が減少せざるを得ないであろうと発表いたしておるのであります。通産省のこの調査が必ずしもそのままに現実性を持つものではないといたしましても、この期に至って自由化の影響を軽視することは断じて許されません。来年の国際通貨基金の総会等では、いよいよ為替制限の撤廃と貿易の自由化が勧告されるであろうと取りざたされていることにもかんがみ、政府は、今こそ、自由化に備える実行計画としての総合的具体策をすみやかに国民の前に明示すべきであると思うが、これらの諸点について、この際、経済企画庁長官、通産大臣並びに大蔵大臣の御所信のほどをお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 最後に、来年度の予算編成方針についてお伺いをいたします。
 池田内閣は、来年度予算について、本年度の第四・四半期の補正予算と来年度予算とを一体とした、いわゆる十五カ月予算の構想をもってこれを編成すると伝えられております。この十五カ月予算を編成することによって、池田内閣は、新政策の三本の大柱である公共投資、減税及び社会保障を公約通り実施せんとされておるのであります。ここに、本年度の税の自然増収は約千五百億円、来年度の税の自然増収は約三千億円で、その他前々年度剰余金の繰り入れが約三百四十億と見込まれておるのでありますが、一方、これに対し、地方交付税交付金の増、国債費の増、国民年金の制度の平年度化に伴う増、ロッキード関係の債務負担行為の予算化に伴う増、食管会計への赤字繰り入れ等の当然増を考慮するときは、公共投資、減税及び社会保障の新政策に振り向けられる財源は、せいぜい多くて二千億円にとどまるのではないかと推算されるのであります。
 しこうして、ここで注意すべきことは、その二千億の中から、公務員給与の引き上げに要する財源として一般会計の分四百億円、地方財政に対する補給分六百億円、合計一千億円がさらにさかれなければならないということであります。かくて、残る新規財源なるものはわずかに千二、三百億円程度に減少されることは、批判の余地なき冷厳なる数字の答えであるのであります。ここに、池田内閣は、このわずかに千二、三百億円程度という財源をもって減税を行ない、さらに、公共投資と社会保障を大々的に行なうと宣伝高唱されておるのであります。しかのみならず、来年度の予算要求は、一般会計で本年度予算の五割増の約二兆四千億円に達し、財政投融資要求も、本年度計画の二倍の約一兆二千億円に上り、各省、各圧力団体は、池田内閣の積極政策に便乗し、競って我田引水に狂奔しているといわれております。かく観ずるならば、来年度予算は、いつしかそれが総花主義に終わって、今喧伝されておる公共投資、減税及び社会保障という三本の大柱なるものは、結局小さな三本のつまようじほどに削り細められてしまうのではないかとおもんばかられてなりません。
 さらにまた、来年度予算がかなりの経済刺激予算となる公算はきわめて大きいものがあります。池田内閣が積極財政方針を明らかにしたこと自体が、すでに経済界に強気心理を植え付け、下期景気後退説は影をひそめ、民間の設備投資はますます旺盛の気配を示しておるのであります。もしこれに積極的な財政支出が競合するようなことになるならば、経済は過熱し、金融の正常化を阻害することは、すでに昭和三十三年度のなべ底経済のそれにおいて私どもが最も痛烈にこれを経験したところであります。
 以上、予算編成方針について危惧される若干の問題を指摘したのでありまするが、大蔵大臣のこれに対する御所見はいかがでありましょうか。正確な数字に基づいて、その方針と見通しを明らかにせられたいと存ずる次第であります。
 私は、以上の諸点について総理並びに関係閣僚の御答弁を求めますが、政府の答弁内容いかんによっては再質問を行なうことを留保いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#13
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 ただいま予想されておりまする解散の目的は、お話のごとく、さきの安保条約の問題あるいは国会運営につきまして国民の批判を受けることはもちろんでございまするが、各政党の政策ももちろん国民の批判を受ける。ほんとうに人心一新、時局収拾に対しての国民の答えが出てくると思います。われわれはそれを期待いたしておるのであります。
 次に、私に御質問になりました公務員給与の本年度内における措置、ただいま検討中でございまするが、補正予算を組んで出すよりほかに道がない。
 なお、物価問題につきましてでございまするが、卸売物価が大事だということは、卸売物価は世界の経済に通ずる指標であるから大事だ、しかし、国内的には卸売物価も小売物価も同様でございます。長い目で見まして、過去十年間、正確に申しますると昭和二十七年からでございまするが、それを一〇〇といたしまして、卸売物価は一〇一・八ぐらいであります。ほかの先進国は一割とかあるいは三割上がっておりまするが、日本の卸売物価は一〇一・七、八であります。従いまして日本の貿易が世界のそれに比べて非常に伸びておるのも、この卸売物価が安定しておるということが原因であるのであります。なお、小売物価につきましては、昭和二十七、八年に比べまして、ことに三十年に比べますると、大体二、三%、三、四%、昨年の名古屋の災害のときにはちょっと上がりましたが、大体、小売物価も一〇二、三、一〇四、五のところであります。今年になりまして特殊の事情で一〇八、九までいきましたが、いずれこれはまた下がってくると思います。従いまして、小麦粉の値上げを抑制したり、いろいろな手をもって小売物価につきましても極力抑制して、個人の消費にお困りのことが出ないように努力しておりますが、お話の通り、サービス部面も関係してきますし、また、卸売物価のごとく生産性の拡大向上によるということが小売物価には少のうございますから、ある程度卸売物価とはほかの動きをすることは、各国の例を見ましてもやむを得ないことであります。しかし、政治といたしましては、極力これが抑制方策を講ずるつもりでございます。
 なお、予算編成方針につきましては大蔵大臣がお答えになるそうでありますが、大体あなたの趣旨は近くまではいっておると思います。考え方はいいと思いまするが、私は、そうまで心配しなくても相当りっぱな予算が組めると考えております。それは国民の努力による経済の成長がもたらすものであります。(拍手)
    [国務大臣水田三喜男君登壇〕
#14
○国務大臣(水田三喜男君) まず、減税についてでありますが、御要望に従いまして、明年一月から所得税減税の措置をとることにいたしたいと存じます。
 次に、中小企業に対する年末融資の問題でございますが、商工中金、国民金融公庫、中小企業公庫等に対しまして、少なくとも年末融資として百億円以上の融資をいたすつもりで、目下検討しておるところでございます。
 来年度の予算編成につきましては、御指摘のように、財源は決して楽ではございません。しかし、政府が表明しました政策は必ず実現できるように、ただいま頭を痛めておるところでございまして、まだきょう方針について発表の段階にはなっておりませんので、御了承願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣中山マサ君登壇〕
#15
○国務大臣(中山マサ君) 拠出制年金の保険料が一律である、そうして積立金の運用の問題についても、それが影響あるかないかというようなお話でございましたが、この階層、すなわち、農村の人々、漁民の方々、中小企業者の被用者のお方々の、その一五%しか納税者ではないということになって参りますと、その階層の所得の程度を把握することが技術的にほとんど不可能ということになりまするので、それで、やむを得ずこういうふうな一律のことになって参っておるのでございまするから、この点はぜひ御了解をいただきたいと思うのでございます。
 同時に、国民年金制度を延期してはどうだというお話でもございまするが、しかし、この前の自由労働者の健康保険の問題が、二十八、九年でございましたかに提出されましたときも同様な御見解が野党の方々にございまして、これは三カ月しかないからお粗末じゃないかというようなお話も伺いましたが、しかし、これをやはり実施いたしましたところ、今日に至りましては、そのときと比べますれば相当にいい状態になっておりますることにかんがみまして、今日ではこの問題を来年から実施していきたいと思うのでございます。御承知の通り、社会保険方式にのっとりまして、この程度の規模から進めていくことが適当であろうということでもって見たわけございまするので、ぜひこの点を御了承下さいまして――国会を通りまする前に、昨日も申し上げましたように、これは、学識経験者、それから、その当時の社会党、民社党の代表者の方も含めたことによりましてこれが行なわれました。(「みんな反対したぞ」と呼ぶ者あり)結局、民主主義というものは、やはり多数決によってやることが建前となっておりまするので、そういう多数がこういうふうな御決定になりますれば、これが結局取り上げられたのでございまするから、内容は次第によくするということが私どもの考え方でございます。その証拠といたしましては、この福祉年金の方に関しましても、やはり、準母子年金だとか、そういう問題をも私どもは拡大していこうという計画を持っておりまするので、どうぞその点で御了承が願いたいのでございます。死亡一時年金の創設、あるいは老齢年金の繰り上げ支給等、この制度の一部手直しを行なうことによりましてこれが円満に実施されんことを希望しておるわけでございます。その給付にいたしましても、先ほど申しましたように、本制度の対象者に高額所得者がきわめてわずかしかないというところで、所得比例の保険料を徴収することによって給付内容を引き上げるということが、原因と結果の原則によりましてむずかしいのでございまするから、この点も御了解いただきたいと思うのであります。
 さて、期末一時扶助の御質問がございましたが、私どもは、ぜひこれを保護世帯に対して出したいということに決定をいたしております。それがどれだけかということは、まだそこまでの決定は見ておりませんけれども、方向は決定いたしておりますることを御報告申し上げます。(拍手)
    [国務大臣南條徳男君登壇〕
#16
○国務大臣(南條徳男君) 米の統制の問題についての御質疑でございますが、政府としては、現行の米価の集荷並びに配給の統制はこのまま継続したいという方針でございます。ただし、配給の面におきましては、いろいろ消費者の側も考えまして、十分配給量をふやす、あるいは登録制度の改正、卸小売業者の登録制等の改正をいたしまして、そうして、消費者になるべく良質の米を配給するような方向にもしたいという考えでおるのであります。
 そこで、かようなことを継続すれば一国の財政負担が非常に多くなるじゃないかという御質問、ごもっともでございます。今年でも未曽有の豊作でございまするから、四千万石も買い入れますと、それだけでも約二百九十億の食管の赤字となるようなことでございますが、しかし、消費者の立場、また生産者の、ことに、日本の、この人口過剰であり、最も零細な農民の所得というようなことを考えまする場合に、他産業との格差が非常に強い零細農民でございますので、かような社会保障的な立場から考えましても、米の統制をはずして、そうして、国の財政負担を軽減するというような方向には容易でないと考えるのでありますが、しかし、食管の方法、方式等につきましては十分検討をして、そうして、節約をする面については節約をして、この食管の赤字を軽減するように努めたいと思っておるのであります。特に、ここに問題は、大麦、裸麦の最近における逆ざやの問題のために一そう国の財政負担を多からしめておるのでございますから、これらについても、ただいま再検討中でございまして、これらをあわせて十分食管制度のあり方というものを検討いたして御趣意に沿いたいと思うのでございます。
 また、硫安の価格についての御質疑でございますが、これは、御指摘の通り、まことに長引いておったのでございます。きょうもこの価格審議会を開催いたしまして決定いたしましたが、実は、七月に需給審議会が開かれます当時、硫安の価格をきめるときには、生産者側の合理化対策というものをはっきり打ち出して、そうして、あわせてこの決定をしてほしいという審議会の要望でございました。それがために、政府として、これに対し各省間において調整をいたしたので、時間をとったのでございますが、きょうは最終的にはなかなかメーカーの合理化案ということが確定いたしませんので、このことを率直に申し上げまして、ともかくも今の段階においてこの問題をきめるということは容易ではないということから、合理化のことにつきましてはもう二、三カ月猶予を与えてほしい、そこで、さようなことで提案いたしましたところ、この価格の点については、政府が提案をいたしました三十一円七十一銭――三十五肥料年度において昨年よりも三十一円以上値下げになっておるのでございますから、農民に対しましては非常に大きな得だと私は考えるのであります。かようなことでございまして、御質疑のように、生産者側の立場を考えてこの価格をきめるとか、あるいは、バルク・ラインを廃止して、そうして勝手な価格をきめるというようなことは絶対にございません。今後といえども、この価格決定に際しましては、肥料二法並びにこのバルク・ラインの精神を堅持いたしましてその価格を決定する方針でございますので、さよう御報告いたします。(拍手)
    〔国務大臣石井光次郎君登壇〕
#17
○国務大臣(石井光次郎君) 中小企業の対策についてお尋ねでございます。さっきもちょっと申し上げましたように、また、今春日君からもお話のありましたように、中小企業の対策としては、今までもやってきておりました設備の近代化であるとか、金融の円滑化というようなものが、根本に中小企業の筋を通していくのに力になっておるものでございますから、これらを一そう強化いたしますとともに、全般的な体質の改善ができるように、競争力ができるようにというような考え方で、いろいろ持っていきたいと思っておるのでございます。ただいま、お話の中に、中小企業の対策は声ばかり大で、一向予算なんかも金額が少ないじゃないか、というお話でございます。これは、中小企業の対策の声は昔からよく言われながら、実際に予算その他の措置になりますとおくれがちになっておったのも事実でございますが、本年度の予算をごらんになりますと、今までよりはいろいろなものに頭を出しまして、そうして、カづける方向に進んでおるということは、ごらんの通りでございます。金額は少のうございますが、金のみでなくしてやれる面がたくさんあると思うのでございますので、これらにつきましては、通産省としてはうんと力を入れていこう、こういうふうに思っておるわけであります。
 それから、投融資の金額がどうも少しほかと比べて少ないじゃないかという話がございましたが、この三つの公庫関係を見ますと、それとほかと比べるとそうなるのでございますが、中小企業関係の金融はこれだけではないことは御承知の通りでございまして、特に地方銀行などのごときは、ほとんど中小企業関係の金融機関といってもいいくらいでありますし、また、さっき大蔵大臣もちょっと申しましたが、年末資金は少なくとも百億以上考えるということでございますので、私どもは、財政力の許す限りにおいてできるだけ多くのものを出してもらいたいと思って、今せっかく折衝中でございます。
 また、来年度の予算につきましても、この投融資の金額をできるだけ増してもらって、一番の助け舟は何と申しても金融の面でございますから、これに力を入れていきたいと思っております。金融とともに金利の問題がいつも話に出るのでありますが、近くこの三つの公庫の分が幾らかずつ下げることができるようになると思っております。(拍手)
    〔国務大臣迫水久常君登壇〕
#18
○国務大臣(迫水久常君) 私に対する問題は、物価の問題と貿易の自由化の影響の問題だったと思います。
 物価の問題に対しては、これまで総理大臣が何べんもお答えになっておられまする通り、物価の基準というのは何と申しても卸売物価でございまして、卸売物価の基準というのは、今日の日本の経済の実勢、すなわち、供給と需要とを比べますというと、大体において供給の方が強いという今日のこの日本の経済の実勢においては、卸売物価がインフレ的に高くなるということは絶対ないと申してよいと思います。問題はいわゆる消費者物価でございますけれども、消費者物価も、結局、この卸売物価の上に中間のサービスに対する対価が乗っているのが実情でありまして、基礎の卸売物価が大きなインフレ的な騰貴をしない以上、消費者物価だけが独走して、所得が倍になることをひっくり返してしまうような、そういう結果には決してならないのであります。従いまして、私は、物価の騰貴によって所得倍増計画の効果が無になるということは絶対ないと考えておりますが、消費者物価というものも、まあできるだけ上がらないに越したことはございませんから、総合的に個々のものについての具体的な原因をつかまえてそれに対策を講じて、消費者物価の高騰をできるだけ抑制いたしたいと考えておる次第でございます。
 貿易の自由化の問題は、春日さんは通産省で発表した数字に触れてお話でございましたが、この数字は、私ちょっと心得ませんので、それに対するお答えは申し上げません。ただ、貿易の自由化というのは、御承知のように、日本からの輸出を将来必要であるところの輸入に見合うように拡大する、その必要上貿易の自由化というものをやる建前でございますから、自由化をするために日本の産業に重大な影響を与えるというようなことにはならないように根本的に考えておる次第でございます。具体的には、本年の六月二十四日の自由化促進閣僚会議で貿易・為替自由化計画大綱というのがきまっておりまして、現池田内閣においても、大体その線に沿うて日本の産業に対する影響を考えながら具体化をいたしていく方針でございまして、自由化によって日本の産業が非常に困る影響を受けることはないとお考え下すってけっこうでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○副議長(中村高一君) 赤路友藏君。
    〔赤路友藏君登壇〕
#20
○赤路友藏君 私は、日本社会党を代表して、農林漁業問題、中小企業問題に関し、池田総理大臣並びに各関係大臣に若干の質問を行ないますが、事柄の重大性にかんがみ、抽象的ではなく、具体的にかつ率直なる御答弁をお願いいたしたいのであります。
 今日、池田内閣の経済政策、なかんずく農業政策は、農民に対して多くの疑惑と不安動揺を与えているのであります。私は、あえて申し上げたいのでありますが、総理の無責任なる観念論に与党の方々もいささか戸惑いをしているのではないかと思うのであります。(拍手)私は、まず、総理の農村人口六割削減政策から順次御質問を申し上げます。
 池田総理によれば、わが国の経済成長率を年九%といたしますと、農村から年々六%の雇用の増大を期待することができる、これによって毎年約九十万の労働力を他産業が吸収するということであります。従って、現在ある農業就業人口約千五百万人は、十年後六百万人に大激減することになるのでございます。過剰就業、零細経営に悩むわが農業構造の特質から見て、総理の言明は確かに農政の一面をついておることを認めるのにやぶさかではございません。だが、具体的な裏づけは何らお示しになっておりません。いやしくも、一国の総理たる人が、その一挙手一投足が国民に与える影響の重大さについて何らの顧慮も払わざるのみならず、手段、方法の可能性についても十分なる検討を行なわず、軽々しく発言を行ない、農民はもちろん、関係各方面に異常なる衝撃を与えたことは、まことに遺憾であるといわなければなりません。(拍手)池田総理は、かつて、貧乏人麦飯論、中小企業者首つり論等、舌禍事件を起こし、国民の指弾を受けた経験をお持ちでございます。今回の言明もまたこれに匹敵する放言ではなかろうか。私は、池田総理が農業問題についていかなる認識と理解をお持ちになるのか、今次あなたの小農追放論に関連して、率直なる質問をしておきたいと思います。
 まず、第一点。昭和三十四年度における鉱工業生産の伸びは、政府が過日発表した三十五年年次経済報告にありますように、おおむね二九%、しかるに、同年度における農村流出人口は四十万余にすぎないのであります。しかも、これは学校新規卒業の次三男を中心とするものでありますが、今後いかなる鉱工業生産の伸びがあれば年々九十万人の農村流出人口が可能と考えられるか。
 第二点。かりに農民側に離農の意欲ありとするも、何らの技術的訓練も受けず、また、農村労働市場未発達なる現状において、いかなる職種に年々九十万人を吸収することができるとお考えになっておるのか。先ほどもありましたが、また、離農後における生活安定の保障が約束できるのかどうか。総理は、昨日の施政演説で、自発的に喜んで移行する職場を作り出すと言っておられます。しかし、農民は、演説だけでは安心ができません。離農後、もし不況になっても、そのときも首切りはやらさない、住宅も建てる、あるいは生活するための最低賃金は保障する、国民年金は、現行のようなずさんなものでなく、老後の生活の安定が確保されるように拡充強化する、そういうようなお約束がしていただけるのかどうか。また、総理の言う画期的施策を行なう決意なるものを具体的にお示し願いたいと思います。
 第三点。農家の生活内容から見ると、三反ないし五反の耕地を持ち、飯米を自給すると同時に、農外に主たる固定収入源を有する第三種兼業農家層が比較的安定した層と考えられるのであります。農業経営面から見ると多くの欠陥を有しております。しかしながら、生活面から見れば、むしろ恵まれた階層であるといわなければなりません。従って、農地は簡単に手離しません。これらの兼業農家を一体是とするのか非とするのか。また、離農政策の上でいかなる取り扱いをなされようとするのか。昨日、総理は、二、三反百姓や五反百姓は農業ではやっていけない、従って、金融の対象にはならない、というような御答弁があったようであります。これらの農家は、今後、農家とは見ず、農政の対象から見捨てるのであるかどうか。だとすると、明らかに小農切り捨てではないか。兼業農家のこの不安に対して、ごまかしのない御答弁をお願いいたします。
 第四点。離農対策に関する総理の所論は下村理論を根拠とするといわれているのでありますが、いささか暴走のきらいがあると思います。その結果、学界はもちろん、政府部内からも反論が提示され、総理の見解は遺憾ながら孤立無援の姿であると思います。
 例をあげます。何か数字のことに関して先ほどもありましたから、ここへ持ってきております政府機関の出した印刷物、経済企画庁経済研究所長大川一司君の意見や、経済審議会農業近代化小委員会九月二十二日の答申、これは、総理の御見解を目して、全く架空のものとするか、無視して顧みない態度であります。また、東畑精一博士を会長とする農林漁業基本問題調査会が過日発表した第一号答申もまたしかりである。これらの政府機関の各意見を総合いたしますと、経済成長率七・二%、農村人口減少率は年々およそ二%前後、十年後の農業人口を一千百五十万人前後と押え、総理のお見込みとはおよそ六百万人近い差異があるのであります。こうした総理の御意見に全くそっぽを向く政府部内の大勢について、いかなる御所見をお持ちになっておるか。総理は、国民の前に、どちらが正しいのか、この分裂した意見をどう調整するのか、数字をまるであめの棒を伸ばしたり縮めたりするように簡単に取り扱うようでは、正しい農政の確立はあり得ません。(拍手)十年間九百万人離農対策に関し、諸般の準備を政府部内に指令された事実があるのか、御明示せらるべき責任があろうと思います。
 以上、私は、池田総理の離農対策に直接関連する部分について疑問を提示したわけでございます。
 ところで、昨日、総理は、今日ある日本の経済成長は、保守党政権の善政と謳歌されたと思うのであります。国民経済内部の不均衡発展はそのまま残して、経済成長の正常なる発展の姿であるとは言えません。もし、これが国民経済の正常な発展として謳歌するのなれば、これは財界と自民党だけでありましょう。来たるべき総選挙に、何か、新聞によりますと、自民党に二十億円の献金を財界がするというようなことを書かれておりましたが、これがほんとうだとすると笑いがとまりますまい。しかし、労働者、農民、中小企業者は犠牲にされている。この現実の姿を何と見られるのか。自画自賛されることもけっこうであります。しかし、ものは適度ということがあろうと思います。総理は、本来、財政経済の専門家ではありますが、農業問題、農業政策については非常な誤解を持っておられるようでございます。農業の発展、農村の振興、農民生活の安定ということは、都市産業、鉱工業生産が発展し、これらに農業人口を吸収しさえすればその目的を達成し得るというふうに、非常に単純な方程式に集約されておられるようで、従って、農村人口削減策即農業政策であるかのような珍説が展開されるのだと思います。(拍手)まことに失礼な言い分かとは存じますが、御注意までに申し上げておきたいと思います。(拍手)
 次にお尋ねいたしたいのは、農林漁業基本問題調査会の答申、最近発表された農林省の農業基本法草案を一読いたしますと、遺憾ながら、いずれも、今日農民が真に考え、真に欲しているものとは相当の隔たりがあることは否定できません。農業基本対策確立の最終目標は、農民の所得の増大、農業と他産業との所得均衡にあることは、言を待たないところであります。独占資本に奉仕する自民党政府の政策の犠牲に供せられ、いわゆる経済二重構造の底辺にうごめく農民大衆、中小企業者は、みずから社会的、経済的地位を引き上げ、憲法第二十五条が保障する、健康にして文化的な生活を送る権利を政府に要求しているのであります。これが出発点。所得均衡の上において最も重要な要素は労賃評価でございます。農林漁業基本問題調査会の考え方は、第二節所得政策で、「所得均衡の比較の対象として、中小都市よりさらに都市的要素を除いた、町村地域の勤労者所得を基準にしている」、農業基本法草案第十条も、自立農家の労賃評価を「比較することが相当と認められる非農業従事者と均衡する」、こういうふうに、言葉の使い方に変わりはありますが、同一の観点に立っているのであります。これが自民党政府の言う所得均衡であるのか、この点、総理大臣の責任のある答弁を求めたいと思います。
 第二点。双方とも非常に飾られた文章ではあるが、その底流をなすものは、需給均衡論から価格政策を引き出し、安上がり農政べ展開せしめている。たとえば、農林大臣は、麦作改善対策、転換対策等について何ら適切なる指導も行なわず、先日突如として大、裸麦の一方的な減産方針を全国に指令しておられる。こういうことは最もよい事例だと思います。何か、先ほどの春日議員の質問に答えられて、あやふやな点がありますので、もう少し明確にしていただきたいと思います。農村では、池田内閣の低姿勢は総選挙まで、総選挙後は、食管法を改悪し、まず、麦類の無制限買い上げを廃止し、麦価の切り下げを強行するのではないか、のみならず、米についても統制撤廃を断行するのではないかと非常に心配をいたしております。ただいまの農林大臣の御答弁は、ややあやふやな点がありますので、農民のかかる不安を解消するために、明確なる御答弁をお願いいたしたい。
 第三点。農業基本対策の根本手段は、まず、農業生産基盤を確立して生産性の向上をはかり、価格支持政策の適切なる運用により農業収入を確保し、流通加工対策を確立して資本の農民収奪を防止しつつ農民の仕事の場を拡大し、しかして、農村二、三男等に新規雇用の機会を拡大する、このことであると信じておりますが、そのためには大幅な財政投融資を必要といたします。従って、農林予算を確保しなければなりませんが、御承知のごとく、過年度において国の総予算に占める農林予算の地位は、二十八年度の一六・六%をピークにして、三十五年度には実は七・三%にまで縮減されているのであります。これはまさに自民党政府の農政軽視の現われでございましょう。(拍手)来年度以降、なおこの傾向が続くといたしますなれば、政府・与党が農政の転換、基本対策の呼び声を百万べん繰り返されたとしても、それは選挙目当ての口頭禅であるといわなければならぬと思います。三十六年度予算編成にあたって、総理大臣及び大蔵大臣はいかなる覚悟で臨まれますか、新たなる決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、タバコ耕作についてお尋ねをいたします。
 専売公社は、過去三カ年、減反方針をとって参りました。本年度は逆に耕作辞退の傾向が強く出てきておるのであります。これからは自然減反の一途をたどることを私はおそれる。その理由は一体何か、こう申しますと、労働力、物財投下に比例して、はなはだしくタバコ耕作が引き合わないということであります。たとえば、労働賃金評価を見てみますと、一月平均二百六十八円、労働日数は、八時間換算で平均百十九日間、これを三十五年度の米価の労働賃金評価一日六百四十円と比較しますと、タバコ耕作の全耕作日数において四万五千円余り労働賃金が安くなる。他にも畜力費、賦課金等の不満要素はありましょうが、驚くべき低い賃金評価でございます。この点、生産費所得補償方式をとるというお考えにならないかどうか。
 第二は、審査等級の問題であります。今日は技術が非常に進み、反収、品質ともに向上を見せておる。にもかかわらず、収入がそれほど増大しない。これをさして農民は、政府の財源専売であるという声すらも出ております。最近、タバコ耕作農民は、収納検査は独立せよということを主張いたしております。今にして抜本対策を講じなければ異常な混乱を招くと思いますが、大蔵大臣の御所見のほどお聞きいたしたいと思います。
 次に、当面の課題である肥料価格問題についてお尋ねをいたします。
 先ほど春日議員の質問に対して御答弁がありましたが、何か農民が喜ぶようなことをおっしゃっておられます。昭和三十五肥料年度の硫安最高販売価格は、八月一日以降八十日以上経過しているが、まだ決定を見ていません。かようなことは、かつてなかったことでございます。米の収穫が終われば秋肥の時期となって、少なくとも十月中に農家の手元に必要肥料が届かなければならないのであります。ことしは、価格未決定であることが大きく影響して荷動きが少なく、それがさらに他の肥料にも波及して、全般的に秋肥の手当がおくれているのであります。このことは、輸送能力等から見て今後不測の混乱が生じてくることがおそれられるのであります。この点、農民もまた多大な不安を感じているのでありまして、問題の解決をここまで遅延せしめた政府の態度に大きな不満を持っているのであります。もとより、三十五肥料年度のア系窒素肥料の需給の見通しからすると、アンモニアの操業度は、適正操業度といわれる九二%程度となって、三十四肥料年度のように操短の必要もないため、この分だけでも昨年より三十円近くコストが下がり、また、原料転換などの合理化も進み、これまた二十円程度のコスト安の要素となっております。政府が現行法に基づく算定方式通り忠実に計算し、きぜんとした態度で臨んでおれば、当然一かます五十円程度の値下げが行なわれて、今日問題とはならなかった。ところが、硫安メーカー側の硫安工業合理化をたてにした巻き返しの前に政府の態度は軟化を示し、問題を今日まで遅延せしめたことは、まことに遺憾であるといわなければなりません。まさに、このことは、農民の立場を無視して独占産業資本に奉仕するという政府の姿を露骨に示していると断ぜざるを得ません。(拍手)せっぱ詰まった政府は、去る十七日、ようやく肥料審議会を開会して、昨年より三十一円七十一銭安、一かます七百五十七円五十四銭、こういう諮問案を示した。今、農林大臣は、これで農民は喜ぶだろうと言っておる。だが、全委員は不満の意を表して、ついに答申を得ることができなかった。これは当然であると思う。もう小手先ではいけません。きぜんとした態度で、一貫された姿で対処しなければならないと思う。本日審議会が開催されておるはずでありますが、どういう結果になったか、また、どうなるのか、もし問題がなお解決していないとするならば、いかなる態度で今後農林大臣は臨むのか、明確に御答弁をお願いしたいと思います。(拍手)
 次に、水産政策についてお尋ねをいたします。
 従来の水産政策は、生産力増大の名のもとに、ややともすると遠洋漁業中心であったため、資本漁業に偏重し、漁業者の大多数を占める零細な沿岸漁業は軽視され、犠牲にされてきたのであります。近年に至り、国際環境の変化等から遠洋漁業の発展が困難となるに伴い、ようやく水産政策の重点を沿岸漁業に指向し、政府においても、これが基本対策として沿岸漁業振興法の制定を考えているようでございます。この点に関し、以下、二、三点の質問を農林大臣にいたしたいと思います。
 まず第一に、沿岸漁業がどん底にあるという実態から、産業政策としての漁業政策ばかりではなく、社会政策的なものを織り込み、漁村の総合助成を目的とする立法でなければならないと思います。また、その前提として、沿岸海域それぞれの実態が十分把握されていない現状から見て、これが計画的な基本調査の徹底を期することであろうと思います。いわゆる沿岸漁業の概念についても、従来、漁業法上のもの、あるいは漁業センサス、漁業経済調査におけるものと、種々使い分けられておりますが、この際、対象範囲を明確にすべきではなかろうか、かように考えます。また、沿岸漁業振興のためには重要な役割を果たすべき改良普及員制度についても、農業にだけあって、漁業においては確立されておらないのであります。わが党では、三十一回国会において水産改良助長法案を提案しておるのでありますが、政府、自民党の同調を得られず、現在なお継続審査となっておる実情でございます。これらのことについて、いかなる構想をお持ちになるのか、お伺いをいたしたい。
 第二は、大漁貧乏の根絶についてでございます。他産業の場合と異なり、漁業においては価格対策が不備であるため、生産の増大が逆に所得の減少を招き、いわゆる大漁貧乏のうき目にあっている現状でございます。かかる不合理なる状態をすみやかに解消するため、魚価安定制度を確立して、漁業経営の安定をはかるべきであると思います。政府部内に、一部魚族の維持増強とは別に、漁獲規制の意見があると聞きますが、これはとるべきではない、むしろ魚価安定法を制定して、強力に安定措置を推し進めるべきであると思うが、これについて農林大臣の明確なる御所見を承りたい。
 次に、季ラインの問題についてでございます。新しい希望の中に日韓会談が再開されようといたしております。かかる際でございますから、掘り下げた討論は差し控えたいと思います。しかし、基本的な考え方だけについては触れておきたい。まず、韓国漁民の立場は十分に尊重されなければならない。同時に、魚族の維持、培養、周年安定操業という漁業操業原則は、これは守られなければならない。だが、李ラインについては、公海自由の原則を堅持するわが国としては、認めるわけには参りません。公海の資源は、世界全人類享有の原則の上に立たなければなりません。次元として相互協力の立場に立ったのでございます。この見地から、相互信頼を基本として平等互恵の協定を成立せしめるべきであろうと思う。かりそめにも、不見識な態度であってはならないと思います。また、過去における政府の失政の結果、救わるべくして救われざる者、補償さるべくして補償されざる者、被害の傷あとはなお残されておるのであります。仕方がない、あきらめさすということでは、これは善政であるとは言えません。御考慮願いたいと思います。
 次に、沖縄周辺海域における米軍演習場による漁業者の被害の問題であります。昨年来、数次にわたって政府に陳情があったのでありますが、本問題について、政府はその後どう対処したのか、陳情がなければ握りつぶすということなのか、漁民の死活の問題よりも、アメリカに申し入れておしかりを受けることの方が重大なのか、以上二点について農林、外務両大臣の御所見を承りたいと思います。
 私は、最後に、通産大臣にお尋ねいたします。中小企業対策については、単なる理論ではなく、現実的な政策でなくてはならないと思います。今日、中小企業者の切実なる要求は、安い金利で、長期に、手続も簡単に借りられる金融ということでございます。百の議論よりも、まずこの一つでも具現化することであると思うのであります。大企業の借り入れ金利は大体六分五厘、中小企業者への三金融機関の金利は正味九分三厘、市中金融の歩積両建方式に至っては論外であります。この一点だけでも是正されますなれば、中小企業健全化への大きな前進であると思うのであります。そのためには、第一に、国の資金の調整であります。第二には、中小企業向け金融機関の資金ワクの拡大と、金利引き下げ、手続の簡素化でありましょう。第三は、財政金融上から大企業への集中融資の規制であります。そうして、当面、零細企業については融資金利を六分五厘程度にする、こういうようなお考えはないかどうか、この点、お聞きをいたしたいと思うのであります。
 第二は、年末金融の問題であります。先ほど、大蔵大臣の方からと通産大臣の方からの御答弁があったようでありますが、年末金融について、大蔵大臣は百億円程度の追加財政資金をお考えになっておるというようなことであり、通産大臣は、何かまだ不足のような御答弁であったように思います。私もこの程度では足らないと思うのです。毎年、年末期を控えて中小企業の資金繰りがきわめて困難な状態に置かれておりますが、特に本年は、小零細金融に対する資金需要の増大が著しく、すでに昨年末の二割増が見込まれておる。もしそれに対応する貸出資金に不足することがありますと、年末金融は極度に窮迫し、小零細企業の越年が危ぶまれるわけでございます。そこで、大蔵大臣にもう一度お尋ねしますが、百億程度でなくして、少なくとも三百億程度の追加財政資金の投入が必要と考えますが、いかがなものでございましょうか。大臣の踏み切った御決意のほどをお願いいたしたい。
 以上をもって私の質問を終わりますが、総理大臣、名大臣の誠意ある御答弁を期待いたす次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#21
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 私は、現在の日本の農業をどうごらんになっているかということが一つの出発の議論だと思います。その経営は、徳川、明治時代のそれでございます。最近、農民の努力、科学の進歩によりまして、反当たりの収入は相当多くなりましたけれども、他の産業の所得が倍になり、それ以上になる場合において農家の所得をどうしたら倍にしようかということを考えたときに、なかなかそれは困難でございます。それは、その経営が旧態依然であり、一町歩未満の農家が七割をこえておるという状態のときに、専業農家として立つ場合においては、とてもやり切れない。だから、農業が一つの企業として成り立つ場合にはどういう形をとるのがいいか、これが先決問題でございます。ことに、農産物の価格を上げると申しましても、これは消費者に影響いたしますし、すでに御承知のごとく、小麦におきましては、外国の輸入小麦に対して五割程度高いのであります。大麦、裸麦もそうでございます。また、米にいたしましても、外米よりも相当高うございます。そうして米や麦の値は上げられないということにいたしますると、経営規模を多角化し、経営規模を大きくするよりほかにない。そこで、もうすでに御承知と思いまするが、今の兼業農家、そのうちの第一種兼業、第二種兼業、そうして専業農家、これは大体――正確に申しますと三分の一ずつだけではございませんで、専業農家二百六万戸、第一種兼業が二百三十万戸、第二種は百六十六万世帯となっておりまするが、この第二種兼業、第一種兼業あるいは専業農業の一部、これがどうなっていくかということを考えた場合におきまして、今でも、第二種兼業の農業所得というものは、その全体の所得の一部になつております。他の所得が労賃その他でうんとふえて、全体の所得の一割とか二割ぐらいの農業所得になった場合に、これを農家と私は名づけることはいかがなものかと思います。私の念願とするところは、主人やあるいは長男は工場に働いて賃金収入を得、奥さん、あるいはまた主人、子供は、日曜日に野菜を作り、米の一反、二反を作るということが農村の姿として最もいい、理想的な格好でございまするが、もうそれはすでに農家ではない、こういうことを考えてみますると、そうなって参りますと、専業農家というものは相当少なくなって、しかも、経営が今の反別の五割増し、十割増し程度になっていくのが農家自体をわれわれが愛するゆえんではないか、こういう考えのもとに、十年後の日本の経済のあり方を見てそうして、十年後の農業が近代産業として立つ場合の想像をして、私は相当減ると考えておるのであります。それが何割減るとか、何割五分減るとかいうことは問題でなしに、そういう意味において、われわれは、十年後を考えて施策を講じなければならぬ。そのためには、いわゆる農業基本法を制定して画期的な対策を講じなければなりません。たとえば、今のような農業技術で一反歩の田を四、五馬力の機械で耕すということがいいか、農地の改良をして、大規模にして機械を入れたがいいか、だれが考えてもわかることであります。そういうふうに持っていくのに努力していこうというのが私の考えで、そうして、十年後においてそれが六割減ったとか、五割五分減ったとか、四割減ったとか、そんな議論ではない。だれかがこの農業に対しての根本的な考えをなさなきゃいかぬ状態になっておるのであります。(発言する者あり)私は、農民と農家が気の毒だから、こういう画期的な施策をやろうといたしておるのでございます。(拍手)
 今、施策をどうしたか。私は、自由民主党の政策に書いておりまするごとく、多角経営のモデル地区、共同企業、農業法人なんかもこういうことから出ておるのでありまして、私は、いろんな方策で、今後十年間に起こるべき農業の変化に対処するものを今後の予算に盛ることを、ここでお話し申し上げておきます。(拍手)
    〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#22
○国務大臣(水田三喜男君) タバコ耕作についての問題ですが、これは、結局、労働力を食い、手間のかかる在来種をなるだけかえて、手間のかからない品種の導入とか、多収性の品種にこれを移していくとか、あるいは耕作方法についての技術的な改善の問題とか、今いろいろな問題を総合的に含めて検討しておる最中でございますので、いずれそのうち結論が出ることと存じます。
 それから、先ほどの年末金融の問題でございますが、御要求ほど今政府の年末余裕原資を全部集めてもございませんが、ある限りは中小企業の年末金融に回したい、こういう考えでございます。(拍手)
    [国務大臣南條徳男君登壇〕
#23
○国務大臣(南條徳男君) お答えいたします。
 農林政策につきまして、画期的な農業基本法というものを通常国会に御審議を願うという政府の方針は、先ほど総理大臣からもお話しのように、今日の曲がりかどにきておる農業というものに対してどういうふうに施策をすればいいかということにあったのでございます。これは、すでに御承知のように、農業基本問題調査会において長時日の間研究いたされました、その答申に基づいて、これが今の日本における農業政策の基本であるという考えに立ちまして、その実行をいたしたいというのが、このたびの農業基本法の考え方でございます。従って、赤路さんの御指摘のように、その内容、その構造はどういうふうにするか、農業構造の改善ということについても、どうすれば最も農民の生活が安定し、環境がよくなるかということについては、農業基本法に十分今後――案として今作っておりますが、いずれこれは皆さんに御審議を願うのでございますけれども、先ほども多少その点について触れましたのでお答えいたしますが、要は、今のこの過剰人口、農業入口が非常に他の先進国に比べて多い日本の事情において、しかも、その一戸当たりの営農規模というものは、いわゆる零細農民といいますか、二反、三反というような、こういうようなことであっては、日本の全体の国民の所得の一割五分程度が農村の生産所得であるとまでいわれるような現状では、何とかしてこの経済の成長率に合わせましてこれらの他産業との均衡をとるためには、どうしても抜本的な施策をしなければならぬということからきておるのでございます。そこで、かような点を考えますと、もちろん、この零細な農地を多角経営すると同時に、また、共同経営をすることによって、これを農業の近代化に持っていこうという施策でございまして、これがためには、もちろん、財政的な措置が必要であることは言うを待たないのでございます。農林省といたしましては、当然、さような観点で、明年度の予算の編成にあたりましては、十分この点については多額の予算を要求いたしておるのでございます。従いまして、この多角経営についても、今までの米麦中心から、もっと、酪農、畜産というような、国民食生活の上から非常に行き詰まっておる、利用がふえておりますようなものについても今後施策をいたし、あるいは園芸、果樹というようなものについても、非常に伸びておるのでございますから、かような点についても考えてもらう。要するに、畑作の振興ということについて、もっと今後の農村においても考えていただきたいというのでございます。従って、こういうことに対する排水あるいは土地改良、灌漑というものに対する予算も十分組みたいと思うのでございまして、かような見地から、この農業人口の問題については、すでに総理大臣からも御説明がございましたけれども、相当大幅に農業人口というものが、他産業に――今でも毎年三十万ぐらいずつは流れておるのでございますから、今後他産業の成長率が伸びれば、一そうその傾向が強くなるであろうということは考えられるのでございます。さような場合におけるいわゆる離農対策であるとか、あるいは、その後における経営の共同化の問題、農村の近代化の問題をどうするかということについては、十分これを案の中に加えておるわけでございます。
 先ほど、この離農について、農村の就労者の所得の基準を、その町村の他産業の労務者の所得を基準としておるけれども、どうだという御説でございましたが、まだそれは決定しておるわけではございません。ただ、できるだけ、その環境なり、その労働条件なり、付近の例をとることが最もよかろうという立場から、近くの町村というような言葉が出たのでございまして、できるだけさような方向に持っていきたいということでございます。決定しておることではございません。
 それから、麦の問題でございますが、御承知の通り、今日は麦が逆ざやでありますために、ことしのような豊作が続きますと、一そう麦の処理につきましては――政府は、今日七十万トンからの麦の買い入れをいたしておりまして、麦対策協議会に、今後の麦対策についての協議を今いろいろと願っておるのでございますが、抜本的にこの麦対策につきましては考えなければ――今、麦を家畜の飼料にでもしなければならぬじゃないかという説さえあるくらいでございますので、かような点について、政府といたしましても、何とかしてお互いがたくさん麦が食えるような方法はないかということを研究しておるのでございます。かようなことから、皆さんは、この将来の麦の価格についても、政府は米と麦の統制をはずして、そうして、それならば麦の買い上げ価格を下げるではないかという御心配のようでございますが、さような考えは今日持っておりません。ともかくも、抜本的な施策をしたいということでございます。
 それから、硫安の価格でございますが、先ほども申し上げました通り、硫安の価格については、七月に需給協議会でもって、生産者の合理化とあわせてこの価格をきめるという答申でございましたので、その答申に基づいて今日まで延びてきたのでございますが、先ほど、消費者の間に、価格がきまらぬために、あと作の植付に非常に困る、というようなお説もございますけれども、全購連が、大体において、この点は、農協との話し合いにおいてすでに流通いたしておるのでございますから、さような不便なことはないことになっておるのでございます。そこで、きょうは、先ほど申し上げましたように、価格審議会におきましては、この合理化につきましては通産省の関係でございますけれども、通産大臣もともに参りまして、これらに対する抜本的な合理化をするために、もう二、三カ月猶予してほしいということで、価格だけを、きょう、三十一円七十一銭ということで、暫定価格をきめたような次第でございます。
 なお、水産の問題でございますが、水産政策につきましては、沿岸漁業の振興対策をどうするかということでございます。これは、いろいろ魚価の安定を考えよというような問題がございますが、魚価の安定につきましては、大衆漁業のサンマとかイカというようなものが非常に多いのでございますが、これは大漁貧乏になるというようなことはごもっともでございますので、これにつきましては、十分、貯蔵施設であるとか、流通をよくいたしまして、これに対する価格の安定をはかるべく研究中でございます。
 また、農林漁業基本問題調査会におきましては、まだこの水産問題に対する答申がございませんので、近くこの答申があるわけでございます。これらをにらみ合わせまして、政府としては、水産漁業の沿岸対策についての施策、法案を出すつもりでございますが、これらについての措置を十分考えたいと思うのでございます。
 季ラインの補償の問題を御質問でございますが、この点につきましては、第五次日韓予備会談がこの十月二十五日に開かれるのでございまして、漁業問題は、漁業及び平和ライン委員会におきまして討議され、本委員会を通じまして李ラインの撤廃と、日韓両国に共通の利害関係のある漁業資源の最大の持続的生産性の確保をはかるように、漁業問題の解決に努力したいのであります。現在は抑留者は皆無であるが、不幸にして拿捕された場合の対策として、漁船については特殊保険、乗組員については給与保険等の保険制度に待つ救済措置のほか、特定海域出漁の船主に対しては、固定資産税の減免、また、拿捕漁船の代船建造の際の公庫融資の優先的取り扱い等を行ないまして、留守家族等に対しましては、見舞金、差入品等に補助金の交付等を行ない、帰還後の病気、廃疾者に対しましても、医療費の給付等を行なう救済措置を講じて、万全を期しておる次第でございます。
 沖縄の周辺につきましては、外務省においてこれは米軍と交渉をいたしておるのでございますが、できるだけ日本漁民の損害のないような措置をとるべく考慮中でございます。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#24
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。
 李ラインの問題につきましては、ただいま農林大臣から御答弁がありましたが、この二十五日から日韓予備会談がございまして、その前にあまり肩を怒らせて言うこともどうかと思いますが、要するに、不見識な態度をとる考えはございませんから、政府を御信頼を願いたいと思います。
 次に、沖縄の問題でございますが、この問題につきましてもすでに答弁がありましたのでありますが、外務省といたしましては、従来から一貫して、米側に対しまして本邦カツオ・マグロ漁船のこの海面における操業の状況等、資料を添えて申達いたし、さらに、公海の使用に関する国際法上の原則を指摘いたしまして、日本同胞漁民各位の経済的な利益を十分考慮し、かつ、わが漁船の安全操業を確保するために、演習の区域の使用の時間、時期、また、使用します場合はその危険通報の方法等について、十分遺憾なきを期せられたい旨を申し添えておる次第でございます。
 以上をもって御答弁といたします。
    〔国務大臣石井光次郎君登壇〕
#25
○国務大臣(石井光次郎君) 中小企業の資金の問題で数項目お尋ねがありましたから、お答えいたします。
 第一番目に、中小企業金融のワクの拡大問題でございますが、昨年からことしにかけましても増大いたしましたように、これはだんだんとふやしていく方針、さらに、中小企業に力を入れようというのでございますから、この援助のために、この三つの公庫に、来年度は財政の許す限りのものを出していただくように、これは折衝いたしたいと思っております。まだ内容はきまっておりません。それから、この三つの公庫関係以外におきましても、中小企業向けの融資を、さっき申しましたように、一般市銀の方からの援助も受けなくちゃならないのでございます。全銀連を通しまして協力方を要請し、今までよりも以上に中小企業に力を入れてもらうように話を進めるつもりにいたしておるわけでございます。
 それから、次は金利の問題でございます。大企業は六分五厘と言われますが、六分五厘のもありますが、これは資金関係で特別なものでございまして、大体は大企業ももっと高いのでございます。これの出どころは、この三つのものは資金運用部の資金から出ておりますことは、御承知の通りでございます。この融資を受けておりますその資金自体のコストが高いものでございますので、どうしてもあまり安くなり得ないのであります。今度何とかして下げたいというので、大蔵省も非常に努力してくれまして、大体三つの公庫とも三厘方ぐらい下げることができるだろうと考えておるわけでございます。
 それから、第三番目は、借り入れ手続を簡素にしろ、これはもう非常に大事なことでございまして、特に小企業、零細企業という方には、この問題がいつもつきまとう問題でございます。これは、できるだけ簡素化するように、今もいろいろやっておるわけでございます。なお、この零細企業の金融につきまして、信用保証協会の零細企業向けの融資の保証を促進するような方法を考えまして、今相談中でございます。これはまだ十分練れておりませんけれども、できるだけ零細企業者に対しての金融の道が簡単に開けるようにしたいというようなこと等を考えておるわけでございます。
 大体お答えするのはそういうところでございますが、さっきお答えするのをちょっと忘れて引き下がりまして……。春日君と北山君と二人から、ちょうど私のところの名前が出ましたので、通産省の発表によれば云々ということで、三年後には六十億の赤字が出るという発表があった云々ということを土台にして、いろいろお話がありましたので、これは、皆さん方、これから遊説に出られるとき間違うといけませんから、念のため申しておきますが、あれは、ことしの春ごろに自由化問題の論議に入りましたときに、今のままで野放しで自由化したらどういうものになるかという基礎のものをまず申し上げた。それをどうしたらだんだんよくなっていくか、どういうことをやっていったならば自由化がやっていけるのだという、その基本のものでございまして、それはほんとうに素材でございます。それを通産省の発表だとしてそれに裏づけされるとお間違いになりますから、念のために申し上げておきます。(拍手)
#26
○副議長(中村高一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○副議長(中村高一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト