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1947/08/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第25号
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1947/08/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第25号

#1
第001回国会 司法委員会 第25号
昭和二十二年八月二十三日(土曜日)
    午後一時四十六分開議
 出席委員左ノ如シ
   委員長 松永 義雄君
   理事 石川金次郎君
      井伊 誠一君    池谷 信一君
      石井 繁丸君    山中日露史君
      打出 信行君    岡井藤志郎君
      佐瀬 昌三君    花村 四郎君
      明禮輝三郎君    大島 多藏君
      酒井 俊雄君
 出席政府委員
        司法事務官   奧野 健一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 家事審判法案(内閣提出)(第三二號)
    ―――――――――――――
#2
○松永委員長 會議を開きます。
 家事審判法案につきまして、質疑討論にはいります。花村四郎君。
#3
○花村委員 ちよつと簡單にお伺いいたしておきたいと思うのでありますが、この家事審判に關します事柄のきわめて重大でありますことは、多く申し上げるまでもないことであります。そこで家事審判の審判官、あるいは參與、もしくは調停委員の素質、資格等が、やはり家事審判の上に重大なる關係をもち來するものであろうと思うのでありますが、これらの人に最も適當な人を得るということが、要するに家事審判法の運營をして、その成果あらしめるものであろうと思うのであります。たとえば審判官はどういう人を採用されるという構想をもつておられましようか。あるいは判事の中でもどの程度の人、どの程度の階級の人といつたような構想がありましたら、お漏しを願いたいと思います。竝びに參與及び調停委員には、どういう資格の人を御採用になるという御考えでしようか。それを大體お伺いしたいと思います。
#4
○奧野政府委員 御説のように、家事審判の法律をきめましても、その運用にあたる者が審判官竝びに參與員、調停委員でありますから、この人選いかんによりまして、家事審判の效果をあげるかどうかということがきまるわけで、この人選には非常に愼重を期さなければならないということは、まつたく御同感であります。そこでこの法律におきまして、審判官は地方裁判所の判事――今後は地方裁判所の判事と申しますのは、試驗を受けて司法習修生を卒えてから十年の經驗を經た者にして、初めて地方裁判所の判事になり得ることになつておりますので、いわゆる簡易裁判所の判事、あるいは判事補をもつてこれにあてるのではなく、司法習修生を卒えて十年の經驗を積んだ地方裁判所の判事をもつてこれにあてるという考えのもとに立案をいたしております。次に參與員についても非常に重要であることはもちろんでありますが、これはよほど事情に通じた。徳望の高い、經驗知識をもつた人のうちから、各事件についてこれを指定することになるのでありますが、その選任される資格等につきましては、すべて最高裁判所があらかじめきめることにいたしておるのであります。でありますから、最高裁判所において、その參與員等に選任さるべき者の資格等について、十分愼重に大體標準をきめることと考えておりますが、われわれ立案の者としては、よほど世故にも通じ、徳望も高い人格者をもつてこれに充てていただきたいと希望いたしておるわけであります。
#5
○石川委員 第二條のことについてお聽きしたいのですが、家事審判官は支部の裁判官をもつて任ずるということになつておりますが、そこで家事審判官のなす審判という作用が司法權の作用でございましようか、お伺いいたします。
#6
○奧野政府委員 これは司法權の作用であります。もちろん調停になりますと、それでも一種の非訟事件手續的なものであろうと思いますが、審判についてはその性質は純然たる非訟事件でありますが、やはり法律に適用してこれを解決していく、司法權の範圍であるというふうに考えております。
#7
○石川委員 實際は家事審判所に家事審判官が出てまいる、家事審判所において取扱う事件の裁判官が家事審判官という地位において取扱う。こういうことになるのでありますか。
#8
○奧野政府委員 いわゆる裁判官がその法律の運用においては家事審判官と稱されて、審判官として仕事を行うということであります。
#9
○石川委員 事件について審判がなされます場合、その審判には家事審判官何某というように署名されることになりましようか。
#10
○奧野政府委員 そうであります。
#11
○石川委員 家事審判官の働きであるということになりますと、裁判官としての働きではないということになりませんか。
#12
○奧野政府委員 現在非訟事件手續法に基いて裁判官がいろいろやる。それと同じでありまして、そういう意味で原告、被告相對立する訴訟事件ではありませんが、法律を適用して、場合によつてはある法律上の形成權を行使する。その他いわゆる非訟事件手續法に基いて裁判官がやる裁判であり、決定であります。ただその場合に判事という名前を使わないで審判官という名前でやるのでありますが、實質は裁判であり、決定の形式であることに變りないのでありまして、實質はもちろん裁判であるがゆえに、それは裁判官がやる。ただ裁判官という名稱では、いわゆる家庭事件を民主的にねんごろに行うのには適しないというので、特にその場合は審判官という單なる呼稱を用いたのでありますが、ちようどその關係は同じ裁判官であつても、事務判事とか委託判事というのと同じような關係になるのであります。
#13
○石川委員 私のお聽きしておりますのは、今度の裁判官彈劾法案、これはおそらく兩院を通過するであろうと思いますが、裁判官彈劾法案における職務の懈怠の場合に彈劾の理由となつておるのでありますが、家事審判事件の取扱いについても、またこの裁判官彈劾法が適用になるかどうかを明らかにしておきたいと存じます。
#14
○奧野政府委員 その職務をはなはだしく怠つたときという中に、家事審判官が家事審判事件についての職務懈怠ということももちろん含むと考えておりまして、家事審判官についても裁判官彈劾法の適用はもちろんあるつもりであります。
#15
○石川委員 實際はおそらく參與員の意見というものが、この事件の解決には影響してくると存じますが、そういうような場合も家事審判官に影響してまいりますことに、多少缺點が出てくるかと思いますが、そういう憂いが豫想されないでありましようか。
#16
○奧野政府委員 審判には參與員を立會わすこともでき、あるいは立會わさなくてもいいことになつております。しかも參與員の意見は諮問的に聽くわけで、參與員の意見には全然拘束されないのであります。從つて参與員がつくことになりましても、やはり裁判官としての職務の著しい懈怠等があるという場合は、純粹に彈劾法の適用を受けるというふうに考えております。
#17
○石川委員 裁判官中には家事審判所の審判官となりました裁判官のみは、裁判官彈劾法の適用を受けるのではないかという憂いが出てまいりますが、家事審判官に對しては、何か特別の優待その他の方法を考えておられるでありましようか。
#18
○奧野政府委員 家事審判官が他の裁判官に比べて、彈劾法の適用を受ける彈劾の事件が多く起るというふうには、必ずしも考えておりませんが、家事審判官についての、特に優遇ということは、これは長年その家事審判事件を手がけていただかないと、むしろ效果があがらないというふうに考えますので、長年そういう仕事に携わつておるというがために、他に榮轉の機會を失うというようなことで、もしそれが不利益になるというようなことがあつてはたいへんでありますから、その點は大體の考えとしましては、もちろん相當な都會地におきましては、家事審判專門にやるという考えであります。全國の地方裁判所の所在地に全部專門の家事審判官を備えることが理想ではありますが、豫算の關係上むつかしいかと思います。そういう意味で、他の一般の裁判と兼務する裁判官も都會地以外においては相當できるかと思いますが、都會地等においては、專門にやつていただきたいという考えております。そういうために、特にこの家事審判のみをやる判事には、一般の判事以上に、その待遇等について、よく考慮いたさなければならないというふうに考えております。この點は最高裁判所の方面にも、そういう意見を申し入れたいと考えております。
#19
○松永委員長 打出君。
#20
○打出委員 一應一、二お伺いいたします。大體政府の方針といたしましては、全國にどれくらいの家事審判所をおく考えでありますか。
#21
○奧野政府委員 大體從來の區裁判所單位、すなわち舊區裁判所の所在地で、全國で二百七十八箇所に設ける豫定であります。
#22
○打出委員 もう一點お伺いいたしたいと思いますのは、家事審判所の審判につきましては、當專者がいろいろな都合で出廷しない場合、まさか缺席判決というわけにまいりますまいが、それについてはどういうような方法をおもちになつておりますか。
#23
○奧野政府委員 その點につきましては、先ほどいろいろ他の委員からお話もあつた點でありますが、これは他の一般の調停時件とも歩調を一にして考えなければならないのでありますが、この家事審判法におきましては、正當な理由がなくて出廷しない場合には五百圓以下の過料に處することを考えております。それのみならず、調停に來ないという場合には、場合によつては調停が成立しないものとして、審判なりあるいは訴訟なりに引延ばして進行せしめていくべきであろうと考えております。あるいはそういう場合に來ない者の不利益のために自白したものとみなしたらどうかという御意見もありましたが、どうも審判事件といい、これは職權ですべて調べる關係になりますので、自白したものとみなすことは非常にまずいのであります。その他調停につきましても、その場合に強制調停をやる途を開いております。この案におきましては、二十四條でその途を開いておりますが、これも異議があれば效力を失うことになつておりますので、強制調停をいたしましても、あとで異議が出れば效力をう失つて、審判手續なり訴訟手續に移るということになりますので、それでも不十分ではないかという御意見があろうかと思いますが、これはこの調停だけの問題でなく、すべての調停に關する問題でありますので、その點は次の機會にとくと研究をいたしまして善處いたしたいと考えております。
#24
○打出委員 ほかの委員から御質問があつたかもしれませんが、もう一點、私どもはよく郡部の、田舎の方の事件を取扱いますときに、あるいは調停なりその他におきまして、非常に當事者は不滿ながらも、あるいは村長、町長、こういうような人が調停委員に立つてむり往生に押しつけられて、自分の意思も十二分に調停にうたわせることができずに、いわゆる長いものには巻かれろというような意味で、なくなく調停に應じて、その後において何とか方法はないだろうかというような相談を受けることがしばしばあるのであります。殊にこの家事審判所におきましては、相當これは財産問題等が附隨いたしておるので、神樣のような審判官に、きわめて公平に嚴正に審判をしていただくならば問題はないと思いますけれども、もし何かの間違いで非常に不利な審判をする、それに對して控訴あるいは抗告というような途がないということは、これはあまり好ましからぬことではないかと思うのであります。そういう際における審判官は、あるいは裁判官彈劾法によつて彈劾されると言いましても、當人は救われざる立場になるので、その點について何か適當な救濟の方法はないものだろうか、お聽きいたしたいと思います。
#25
○奧野政府委員 審判につきましては、抗告、いわゆる不服の途を認めることができることになつております。なおまた強制調停につきましては、異議の方法によつて、これを無效にいたすことができます。そうでなく、ほんとうに認停ができた場合に、いやいやながら調停に應ずるというような場合については、とにかく自分の意思に基いて調停が成立したのでありますから――もつとも全然意思がないのに、そういう調停をしてしまつておるというような場合には、あるいはその調停自體が錯誤により無效であるというようなことも考えられますが、とにかく調停の意思があつて、それに同意した以上はちよつと救濟の途はないわけで、これは一般の場合と同樣でありますが、家庭内の調停でありますから、十分懇切丁寧に、ほんとうに眞意を確かめてやるべきものであつて、財産關係の他の調停よりも、なおその點は懇ろによくめんどうを見ながら運營していただきたいものであるというふうに考えております。
#26
○明禮委員 罰則の規定で第二十七條に、「事件の關係人が正當な事由がなく出頭しないときは、家事審判所は、これを五百圓以下の過料に處する。」とこう書いてありますが、借地借家法の書き方とは、ちよつと違つております點から推して、この過料は今までの調停とは違つた行いにおいて處せられるのかと思うのでありますが、一體どういう場合に、たとえば正當な事由なく出頭しないということは、一囘出ないということで正當な理由がないということも言える場合がありましようし、二囘呼び出した、三囘呼び出したが出ない場合には正當なことにならぬとか、その點どういうふうに考えていらつしやいましようか。それからまた五百圓以下の過料ということは借地借家調停法三十二條あたりから見ると、これは五十圓以下の過料となつておりますが、現在の貨幣價値からいくと、これも五千圓以下くらいに上げてもいいのではないかというふうにも考えられるのであります。要するに正當な事由がなくして出頭しないときには、これは調停委員なんかの意見を聽き、あるいは參與員の意見を聽くということもないようであります。これだけは進んでおるようにも思うのでありますが、どういうふうにして過料を言い渡されるのでありますか。また五百圓というのは、今の貨幣價値からいくと、少しいかがかと思われますが、その點をお伺いいたしたい。
#27
○奧野政府委員 他の調停法等においては五十圓以下の過料に處することを得とあるのを「處する。」と書き改めたので、これは響において處することができるというだけよりも、處するのだというふうに多少強く表現いたしたわけであります。それでしからば正當な理由がどれくらいになるか、一囘呼んでも出てこない。二囘呼んでも出てこない。三囘呼んでもというときに、初めてこれに該當するかというふうなことは、一概には申し上げかねると思いますが、一囘出てこないときでも、たとえば診斷書がないというふうな場合とか、あるいは三囘出なくてもほんとうに病氣で診斷書等をつけて、どうしても出られないというような場合には、これに該當しない。一囘でもほんとうに正當な理由がなく出頭しないときには、過料の裁判をすることになるのでありまして、その點はやはり具體的な場合々々によつて、正當な理由があつたかなかつたかということを判斷するより以外しかたがないので、形式的に二囘出てこなかつた場合によるというふうには規定いたしかねたわけであります。なお説明に、五百圓は現在の貨幣價値からいつて少な過ぎるのではないか、もつとも從來は五十圓以下の過料ということになつておりましたものを、今度はやはりそういう含みで五百圓以下というふうに高めたのでありますが、この程度でもなお安過ぎるという御意見も相當理由のあるものかとも考えております。
#28
○明禮委員 どうも私ども實際にこの問題に携つておつたものといたしまして、今の御答辯では物足らないのでありますが、呼出しがしてあるにかかわらず、診斷書も何にも出さないで二囘出なかつた場合には罰金を言渡しますか、あるいは三囘出なかつたら言渡すのでありますか。診斷書を出さない、そしてはがきで何らの理由も言つてこない、全然音沙汰のない當事者は、この場合どういうふうに取扱うのですか。
#29
○奧野政府委員 具體的な問題でなかなかお答えいたしかねるのでありますが、元來この家事審判法をつくる際の考えといたしましては、家事裁判は一般の裁判はもちろん、調停とも非常に違つて、家庭のめんどうをみるというのであるから出てこないときには電話でもして、廷丁でも走らせて連れてくるようにしたいものだということで、そういう希望決議さえ超草委員會で附いているくらいでありまして、できるだけめんどうをみて連れてくるようにするというつもりであります。しかしながら、二囘三囘と、何度も正當な理由あることの證明を全然つけないで出てこない場合には、家事審判所は正當な理由がなくして出頭しないものとして過料に處するのが相當ではないかというふうに考えますが、これは裁判のことでありますから、裁判官がこの二十七條を解釋して、具體的な場合に適當な裁判をすることと考えております。
#30
○明禮委員 そうしますと、いろいろな手を打つても出てこないのはしかたがない。ある程度までできるだけの方法をとる。それでもいけないときには言渡しをすると言われますが、言渡しをいたしまして、實際上は後日に出て來まして、實はこういうわけで出られなかつたということを何か上申をいたしますと、その過料はほとんど取消をしている事實があるのでありますが、この場合にもそういつたような取扱いをなさるのでありましようか。
#31
○奧野政府委員 過料については即時抗告ができるわけでありますから、抗告をするということで最後の公判までに取消をすることが考えられますが、すでに抗告期間を過ぎてしまつたというような場合には、どういう理由がありましようとも、あとからそれを取消すことはできないかと考えております。
#32
○打出委員 二十五條第二項に「前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の審判は、その效力を失う。」ということは、審判が審判前の状態に立戻るという意味でありましようか。あるいは調停委員等をかえて、同一家事審判所において、なお條件その他のものをかえて新しく審判をやり直す、調停をやり直す、こういう意味でありますか。
#33
○奧野政府委員 これは效力を失つてその強制調停のなかつた状態になるものとして、あるいはまた調停を試みることも考え得るのでありますが、大體はそういう場合には調停が成立しないものと取扱つて審判をやつていくことになろうと考えております。
#34
○佐瀬委員 家事審判所を本法案のような形態と性格にいたしたということは、やはり憲法第七十六條との關係からのことでありましようか、その點をお伺いしたいと思います。
#35
○奧野政府委員 これはやはりお説のように、司法權、いわゆる裁判權の行使であるという考え方からして、裁判官がこれを取扱うという趣旨で七十六條によつて、こういうことにいたしたわけであります。
#36
○佐瀬委員 結局この實態は裁判所であり、またその決定は裁判であるということになり、從つてまた憲法第三十二條の國民に對する保障としての裁判權というものが、そこで維持されるという結果になるわけでありましようか。
#37
○奧野政府委員 さようであります。
#38
○佐瀬委員 家事審判所は、これは審理といいましようか、審判といいましようか、それはすべて非公開ということになるのでありましようか。
#39
○奧野政府委員 大體非訟事件手續法の適用を受けるので、非訟事件の審理は、現在では非公開ということになつておりますので、やはりこれは非訟事件手續として大體非公開でやることになろうと考えております。
#40
○佐瀬委員 この法案の第十二條によりますと、「審判の結果について利害關係を有する者を審判手續に参加させることができる。」という規定になつておりますが、これはどういう趣旨のもとに、かような規定が必要であるかということについて、お伺いいたします。
#41
○奧野政府委員 これは審判手續の参加――現に各種の調停におきましては、調停の参加、あるいは訴訟につきましては、主参加、あるいは從参加という参加を認めております。そこでこれらと同じような意味で審判についても参加の手續を認めることに決しましたのでありまして、家庭事件の審判におきましては、申立人と相手方だけの間に效力を及ぼす審判では、その事件の解決ができなくて、關係人をも参加させて審判をすることを要する場合が相當であるのであります。たとえば共同相續人の三人のうちの一人が他の一人と、他の一人のみを相手方として遺産分割の申し立をしたというふうな場合には、どうしても残りの一人も審判に参加させる必要があるのであります。そういう意味で關係人を参加せしめて審判をすることが適當である場合が相當であろうと考えまして、こういう規定をおいたわけであります。
#42
○佐瀬委員 あるいはこの點はすでに質疑應答があつたかとも存じますが、第九條の末項に、家事審判所の管轄事項として、この法律以外の他の法律で定めた事項も含むという趣旨の規定がありますが、これはどういう事項が豫定されるのか、この際お伺いしておきたいと思います。
#43
○奧野政府委員 家事審判所制度に適合する民法以外の家庭事件も、やはり家事審判所で取扱わせることが適當である場合には、家事審判所に取扱わせるというのでありますが、たとえば農業資産につきまして、特別の相續法が制定されることになるだろうと思うのでありますが、その相續に關する事件でありますとか、また改正戸籍法によりまして、氏名の變更の許可というようなことを、やはり家事審判所にやらせるのが相當ではないか。その他戸籍の改正の手續事件というようなもので、家事審判所に屬せしむることが適當と思う場合に、他の法律でそういう規定を設けることがあろうと思いまして、この第二項をおいたわけであります。
#44
○佐瀬委員 ただいまご説明の中に例として農業資産相續特例といつたようなものが豫定されているというのでありますが、元來家事審判所は、身分法上の事件を取扱い對象とするのが本質だろうと思うのでありますが、さように經濟的な問題をも取入れろということになると、かなり家事審判所の性格というものから離れた觀があるのでありますし、私はやはりそういうものをかような審判制度によつて取扱うという趣旨においては、もちろん贊成であり、しかも贊成であるがゆえに、むしろそういつたような問題については、經濟法上の事件として、全面的にそれを調停なり審判なりでまた扱えるような、たとえば漁業爭議審判所とか、あるいは農事審判所とか、そういつたようなものを、いつそのこと、特にまた設置するという必要が要請されるのではないかと思うのでありますが、將來さらに政府において現存の調停制度及び家事審判法以外に、さような調停なり審判制度なりについて、何か新たな試みをなさんとするような御意向でもあるならば、この際一應御説明を願つておいた方がよいではないかと考える次第であります。
#45
○奧野政府委員 大體家事審判所は、身分關係あるいは相續關係、いわゆる家庭のことについての事件を取扱うことにいたしておるのでありまして、九條の乙類第九號にあるような遺産の分割というようなことも、やはり結局相續の關係でこういうふうになる。そういう意味で農業資産の相續の特例についても、經濟的な面も相當ありましようが、一面これは相續という人の身分、あるいは家庭内の事柄でありますがゆえに、要するに親子、夫婦、兄弟間の家庭内の紛爭というようなものをおもに考えておるわけであります。でありますから、農業資産についても、やはり結局それが相續問題として問題になるので、この家事審判所の方にもつていくという意味でありまして、これを非常に擴げて、あらゆる經濟的なものに及ぼすという考えは、この家事審判所の方としてはもつておりません。しからば他のいろいろの點について、こういつたような構想で事件の處理をなすことを考えておるかという點であるますが、現在ただいま具體的には考えておりませんが、その點につきましては、今後十分考慮して研究を續けていきたい。かように考えます。
#46
○松永委員長 では本案に對する本日の審議はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。
    午後二時三十二分休憩
    ―――――――――――――
    午後三時十六分開議
#47
○松永委員長 休憩前に引續き會議を開きます。
 本日はこの程度にいたします。次會は明後二十五日午後一時より開會することにいたしまして、本日はこれにて散會いたします。
    午後三時十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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