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1947/08/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第29号
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1947/08/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第29号

#1
第001回国会 司法委員会 第29号
昭和二十二年八月二十九日(金曜日)
    午後一時二十五分開議
 出席委員
   委員長 松永 義雄君
   理事 石川金次郎君 理事 荊木 一久君
   理事 鍛冶 良作君
      井伊 誠一君    石井 繁丸君
      榊原 千代君    山中日露史君
      打出 信行君    八並 達雄君
      吉田  安君    岡井藤志郎君
      北浦圭太郎君    佐瀬 昌三君
      花村 四郎君    大島 多藏君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        經濟安定本部副
        長官      田中己代治君
        司法事務官   國宗  榮君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 經濟査察官の臨檢檢査等に關する法律案(内閣
 提出)(第四二號)
    ―――――――――――――
#2
○石川委員長代理 會議を開きます。
 經濟査察官の臨檢檢査等に關する法律案について、質疑及び討論にはいります。花村四郎君。
#3
○花村委員 安本長官にお尋ねいたしたいと思います。まず第一に本法律の第一條のうちに、「經濟安定本部總裁は、經濟安定の緊急施策の實施に」云云とありますが、この經濟安定の緊急施策というのは、いかなるものでありましようか。これをまず第一にお伺いいたします。
#4
○和田國務大臣 これは先般政府が發表しました經濟緊急對策であります。その經濟緊急對策の中に、流通秩序の確立ということを入れておるわけでありまして、それらの事柄につきましては、どうしてもやみの撲滅ということが必要でありまするし、それと同時に隠退藏物資の活用ということもはいつておるわけでありまして、そういう経済緊急政策をやります上において、今度その第四項目の中にうたつておりましたものを、ここへ入れたわけであります。
#5
○花村委員 それからその一條のうちで、ただいま讀務んだ後の方に、「左に掲げる物資の生産、輸送、割當、配給又は使用について、關係者に報告」云々とありますが、この關係者というのはいかなる人でありましようか。それをお尋ねしたいと思います。
#6
○和田國務大臣 これはそういうものに携わつておりまする業者、あるいは關係の各官廳もはいると私は思います。
#7
○花村委員 そうすると、官廳、團體もしくはその他の事務員、こういうことになりますか、これは關係しておるというのは。
#8
○和田國務大臣 さようであります。關係しておる人というのは。
#9
○花村委員 それからその次に經濟査察官でありまするが、この經濟査察官というものの性格はいかなるものであり、そうしてその任免等はどういう方法でやる。そうして官吏としての官級といいますか、一級とか二級とか、そういう場合にありますが、そういう等級竝びにその職務權限についてお尋ねいたしたい。
#10
○和田國務大臣 これは行政官吏でありますから、一般の行政官吏と同じであります。
#11
○花村委員 そうすると、この經濟査察官の臨檢檢査等に關する法律案の理由の中で「經濟統制に關する犯罪につき司法警察官の職務を行うのであるが、」云々とあります。でありますから、經濟査察官というのは、一般の官吏であるというばかりでなくて、司法警察官の任務を兼ねるんじやないですか。
#12
○和田國務大臣 その點は司法警察官の職務を行うということは間違いないんだそうでして、經済統制の犯罪につきというだけの理由はちよつと工合が惡いので、全體を消して訂正していただきたいと思うのであります。訂正することになつていたのがそのまま出ておるのでご質問のような御疑問をお懐きになつたのだろうと思います。
#13
○花村委員 そうすると、一般の行政官であり、かつ司法警察官を兼ねるのであるか、あるいは一般行政官たる資格はもたずして、ただ單に司法警察官であるという資格をもつというのですか、それは、どちらですか。
#14
○和田國務大臣 それはお話の前の方です。行政官吏であつて司法警察官を兼ねるというえわけです。
#15
○花村委員 それから本案の第一條の一號ですが、「臨時物資需給調整法第一條の規程に基く命令により指定された物資」というものはいかなる物資であり、しかも臨時物資需給調整法の主務大臣は、何人であるか、それをお尋ねしたい。
#16
○和田國務大臣 これはむしろ政府委員から答辯させた方が適當かと思いますが、指定生産資材、指定配給物資を言うのでありまして、臨時物資需給調整法の主管大臣は臨時物資需給調整法の中にはつきり書いてあつたように記憶しておりますが、それぞれの所管大臣、たとえば生産資材は商工大臣、農産物は農林大臣というように記憶しております。
#17
○花村委員 そうするともちろんこれは經濟安定本部總裁は御關係になつておらぬことだけは明瞭ですね。
#18
○和田國務大臣 そうです。
#19
○花村委員 その次の第二號「食糧管理法第二条に規定する主要食糧」の中の主要食糧はいかなるものであり、かつまたこの主管大臣は何人であるかをお尋ねするのですが、もし總裁のおわかりにならぬ點があれば、政府委員でもよろしゆうございます。
#20
○和田國務大臣 食糧管理法の第二條の主要食糧は、たしか米、麥、甘藷、そういつたいわゆる今主要食糧として取扱われておるもので、多分列擧してあつたように思いますが、今法案をもつておりませんから、ちよつとお答えいたしかねます。主務大臣は食糧管理法の運用は農林大臣であります。
#21
○花村委員 その次にこれは三號になると思いますが、「隱匿物資等緊急措置令第一條第一項に規定する調査物資及び同令第三條第一項に規定する指定物資竝びに指定生産資材在庫調整規則第一條に規定する物資」とあります。このただいま申し上げました調査物資、指定物資、そうして最後の物資というものはいかようのものであり、そうしてその主務大臣は何人になるかということをお尋ねしたい。
#22
○和田國務大臣 この隱匿物資等緊急処置令にありますものは、別表に詳しいものがあるのでありまして、たとえば一條一項の調査物資は石油製品であるとか、あるいは絲であるとか、織物、毛布、外套とか作業服、巻脚絆、シヤツ、靴下、たび、生ゴム、屑ゴムというような、非常に廣汎なものが別表としてくつ付いております。その他のものも、みなそれと大體同じような必要なものが書いてあるのでありまして、たとえば第三條による指定物資というものも、綿花、羊毛、麻類とか、とにかくそういう消費財の減量であるものとか、あるいはふとんとか、かやとかいつたよりな消費財から生産財から相當澤山なものが含まれております。たとえば縫絲の針とか、工具類とか、自轉車であるとか、その部分品であるとか。あるいはベンゾールとか、アルコールとか、ソーダ灰とか、とにかく相當廣汎なものが調査物資ということになつておりまして、すなわち國民の生活に直結するものとか、いろいろな生産をやつていく上に必要な原料とか、そういうものを大體網羅してあるのだろう、こうお考えくだされば結構だと思います。主務大臣はそれぞれの物資について商工關係の物資については商工大臣、農林関係の物資は農林大臣、こういうふうに考えます。
#23
○花村委員 そうすると、ただいまの物資についても、これまた安本の總裁の所管でないということだけは明かですね。
#24
○和田國務大臣 個々の物資につきましての具體的な行政は、これまたそれぞれの主管大臣、商工省關係の品物は商工省がやるわけであります。ただ經濟安定本部としては、全體の基本的な政策を總合的に立てるということの限りにおいてやつておるわけでありまして、從つてそれぞれの物資について、一々みな經濟安定本部の總裁が主管大臣になつておるわけではないのであります。こういう調査をやるということをきめるときには、總裁が總合的政策を一つ一つきめますけれども、それぞれの物資についての行政は、みなそれぞれの農林大臣なり商工大臣が實際やつていく、こういうことであります。
#25
○花村委員 この法案は相當重大な法案であると私どもは認めておるのでありますが、内溶はきわめて簡單でありますけれども、ただいまお尋ねねしましたような臨檢竝びに檢査の對象となるべき物件については、もう少し親切にわれわれがわかり得るような、何らかの資料を與えてくださるということが、當然必要であろうと思うのであります。ただ單に提案理由に説明だけで、こういうような物資の何ものであるということも知り得ませんので、無盆な質問をするような結果に相なろうと思うのであります。こういう法案に對しては、われわれが一目して審議過程において、何らの支障を生じないように、もう少し親切に材料を提供してもらいたいと、この場合御注文いたしておきます。
#26
○和田國務大臣 どうも不行届きで相すみません。お示しの材料はご要求に從いまして、至急差上げたいと思います。
#27
○花村委員 もう一點はつきりしておきたいと思うのですが、經濟安定本部監査局、竝びに地方經濟安定局の内部に設けてあるところの監査部の職務權限を承つておきたいと思います。
#28
○和田國務大臣 これは結局經濟行政の監査をやるというふうに中央でもなつておりますし、地方では、それぞれその地方においてそれと同じ仕事をやることになつておると考えます。
 たとえば、監査局には今總務課と監査第一課、第二課、公團監査課、在庫品課とありまして、總務課は監査及び取締りの基本方針に關する事項と、取締り官廳及び行政官廳の間の連絡調整に關する事項を扱う。それから地方經濟安定局の監査の指導を行うことになつております。それから監査第一課は、經濟安定本部や、戰災復興院、商工省及び厚生省の經濟行政の監査といいますか、そういうものをやつております。その次には以上述べたような官廳の所管する物資の統制の監査をするとか、それに關連する輸送の監査をやつております。
 第二課では、農林省、大蔵省、運輸省その他の經濟行政の監査、それから農林省、大蔵省の所管する物資の統制の監査をやることになつております。公團の方の監査は、公團あるいは總務長官の指定する團體の監査をやる。在庫品課は、隱退藏物資の調査、提出の促進をやる。こういうように經濟行政の監査の仕事と、公團の監査の仕事と、隱退藏物資の仕事と、これだけが監査局の仕事になつております。地方安定局の監査部も、これと同じような仕事をやることになつております。ただ地方は各末端ですから、主として各縣の間のそれぞれの連絡調整をやる。同時に監査の方も地方安定局に監査課、在庫品課を設けて、同じような仕事をやつておる。こういうような建前になつております。
#29
○花村委員 そうすると、結局本法案に關係をもつのは、大體經濟安定局の監査部に關する問題である、こう承知してよいわけですね。
#30
○和田國務大臣 さようであります。
#31
○花村委員 要するに行政各省竝びに公團等に關しまする監査をやるのが建前であるというお話はよくわかりましたが、監査局の所管事項の中にも、あるいは監査部の監査課で扱つております所管事項の中でも、大體今のようになつていると思いますが、いただいた表の中に「右に關連する統制違反の取締りに關する事項」というのがはいつておりますが、この「右に關する」というのは、要するに各官廳竝びに公團でやつているその事柄についての統制違反に對する監査、こういうぐあいに承知してよいのですか。
#32
○和田國務大臣 その點は監査をやつた結果としまして、いろいろな經濟違反があつたときに、それを取り締まつていく。こういう意味であります。從つてこの監査というものが主であつて、取締が從になる。こういう関係かと思います。
#33
○花村委員 そうすると、その取締りは官廳竝びに公團に對する取締りであるか、あるいは一般人民に對する取締りをやろうという意味ですか。
#34
○和田國務大臣 そういうものは官廳も國民も關係していることになつておりますから、監査をやつた結果、そこに經濟的な違反があれば、やはり全部に關經してくるだろうと思います。
#35
○花村委員 そうすると、どうも重大な問題だと思います。そういう犯罪に關する取締りをする場合に、政令か何かで、一般人民に對してそういう權限をもつことができますか。これは一體どういう法律によつてであるか、あるいは政令によつてであるか、いかなる規定によつてこういう取締りの權限をもつといわれるのですか。
#36
○和田國務大臣 私よくこまかい法則のことはわかりませんが、司法警察官の職務を行う上に關する勅令でそうなるということであります。
#37
○田中(己)政府委員 刑事訴訟法のいわゆる勅令、司法警察官の一種でございますが、司法警察の職務を行う者ということに安定本部令の附則で相なつております。從つて査察官は司法警察官の職務を行う者ということになつております。その司法警察官の職務を行う者ということの權限からもちろん取締りをいたすのであります。これもまた經濟行政に關する取締りに限る。こういうわけであります。
#38
○花村委員 そうしますと、査察官というのは、すでに司法警察官になつておるのですね。
#39
○田中(己)政府委員 司法警察官ではありませんが司法警察官の職務を行う者になつております。
#40
○花村委員 そうすると、これは刑事訴訟法の二百四十八條で、「司法警察官の職務を行う者は、府縣における警察關と憲兵のようなもながはいると思うのですが、今六法全書をみませんけれども……。そうして巡査のごときは司法警察官吏と呼ばれておるのですね。そういう資格をすでに得ておるのですか。得ておるとすればそれは法律もしくは勅令でなけらば、そういう資格は與えられぬと刑事訴訟法ではつきりしておるのですが、法律もしくは勅令によつて經濟警察官に、そういう權限をすでに與えておるとおつしやるのですか。
#41
○田中(己)政府委員 その通りでありまして、大正十二年の勅令にこの一項を安定本部令ができた當時追加をいたしました。勅令によりそういうことになつております。
#42
○花村委員 そういうことであれば、こういう法案は要らぬではないですか。司法警察官は要するに臨檢もできれば調査もできるばかりでなくて、さらに進んで調査から檢證から、あるいは拘引から、すべての強力なる司法警察權を執行し得る權限をもつておるのでありますから、こんな臨檢調査を必要とする、こういう法案は要らぬではないですか。どういう意味において要するのですか。
#43
○田中(己)政府委員 司法警察官は、その本來の權限といたしましては臨檢捜査ができないのでありまして、殊に經濟査察官は監査が主でありまして、犯罪の捜査を目的としておらぬ關係上、犯罪がなくても臨檢、檢査をいたさなければ、殊に隱退藏物資の調査等におきましては、とうていその目的を達し得ない次第なのであります。監査においても同様でございますが、かようなわけで、臨檢檢査の權限を、特に與えられたい。こう考える次第であります。
#44
○花村委員 そうすると、これはただいま安本長官の言われたのと、あなたの言われたのと矛盾するわけですね。安本長官の言われるには、要するに主として各官廳竝びに公團の臨檢調査をするのが建前であつて、それに附け加えて、ただいまの統制違反のあつた場合においては、それを取締まるのだ、こういう話でしよう。そういうことになると、統制違反は刑事問題ではないのですか。犯罪ではありませんか。統制違反というものは犯罪ですから、主としてその犯罪面を擔當するという意味で、この司法警察官ができておるのでしよう。そうすれば、今言われたのと矛盾するではありませんか。
#45
○田中(己)政府委員 經濟査察官は、結局監査が主なのでありまして、今總務長官の言われたところもそうなのであります。この監査の結果發覺した犯罪につきましては、司法警察官は捜査權があるということに相なるのでありまして、監査の當時は犯罪があるか否かということはまだわからない次第であります。
#46
○花村委員 そうすると、この安本の案は二重監査をやろうというのですね。先ほど質問したところによると、ここにあげてあります臨時物資需給調整法、竝びに食料管理法、及び隱匿物資等緊急処置令、こういうものに基く物資については、それぞれ主管大臣があつて、その主管大臣の指揮命令によつて捜査竝びに調査をする權限がある。それは私の手もとにまわつておりまするこの安本廳の方で出された材料にも明瞭になつております。必要なる場所に臨檢してすべてを監査することができるということになつている。そうすると、これらの物資に對して、主務大臣がそれぞれ當官吏をしてその物件に對して臨檢調査をせしめるということを、現に今までやつているのです。そこへもつてきてまた安本が二重監督をやるというのですかどうですか。
#47
○田中(己)政府委員 その點につきましては、重複することもあろうと存じます。しかしながら商工事務官なり、あるいは農林事務官なりが監査をすることになつてこの監査自體も、われわれの方で適性であるかどうか否かを監査する必要があると考えるのでございます。二重になる部面もあり、新しい部面もあると考えておるのであります。
#48
○花村委員 新しい面というのはどこですか。主務大臣がこれだけの物件に對して全部捜査竝びに調査をやり得る權限をもつているのではありませんか。どこが新しいと言われるのですか。安本の方では安本廳の所管事項として臨檢調査はできないでも監査をする權限をもつておる。それをなお進んで農林大臣その他の主務大臣と同じようなこともやろうというのですか。もし同じものでないとすれば、新しいところは一對どこですか。それを指摘してもらいたい。こういう重大なる問題に對しては、まず安本長官から御説明を願いたいと思う。二重監督をしようという、こういう重大なる問題に對して、安本長官が一應これをお考えにならぬということはどうかと考えている。
#49
○和田國務大臣 經濟安定本部の官制ができましたときは、私おりませんでしたから存じませんが、これは自由黨内閣の末期にできたもので、これはやはりそのときに問題になつたと思うのであります。ただそのとき、經濟安定本部のやる仕事として、總合的な計畫を立て、しかも日本の經濟を安定させるために、いろいろの經濟統制あるいは經濟緊急對策をやつていくその總合立案をする一面において、やはりそれぞれの經濟行政廳においてやつておる經濟行政においてやつておる經濟行政に關する仕事、それから公團等の仕事について監査というものを立案官廳がもつておることが實際のこの經濟統制の業務について、一面においてはその立案されたものがその通りいつておるかどうかということをしよつちゆうみておるわけになりますから、その意味からいつて、兩々相まつてやるのが敵當じやないかという結論に到達して、おそらくあのような權限を經濟安定本部に與えたのではないかと思うのであります。そこでその官制に基きまして、監査局においては、その仕事がやれるように、こういう課をわけ、その課の主掌の事項を掲げておるわけであります。もちろん各物資について、特別のいろいろの今までできました法令によつて、主管の行政官廳の役人が一定の調査なり監査權なりをもつておつたということは、これは與えられた面においては、現にもつておるわけであります。その面から言えば、これはなるほど經濟安定本部のやりますものについては、ダブルと私は思います。しかし行政官廳がやつておる監査自體についても、一般的にこの經濟安定本部の監査課の方では、それをそのまま監査をやつていくという建前がそこにあるわけでありますから、それはその面であそらく新しいということになろうかと思うのであります。
 それから隱退藏物資の調査というような部面についてみますれば、隱退藏物資の調査なり敵發なりを、政府として一元的に今度できます物資活用委員會などというものを使つてやる場合において、經濟安定本部の方で監査局の今現實にあるところの手足を使つてやつていくということになりますれば、その面では經濟安定本部の監査課の監査がありますが、臨檢、檢査というものの權能をもつて仕事をやつていくことが必要であろう。われわれとしてはこう考えておるわけでありまして、大體われわれとしては、今お話のように、これは査末端においてダブル點もありますが、しかし行政官廳自體のこの行政というものを、やはり監査していくという仕事がそこにあるということをひとつ御了承願いたいと思います。
#50
○花村委員 ダブル點がありますことは、はつきりしておると思うのでありまするが、ここに法案にでておりまするこの三つの物資については、全面的に主管大臣が當該官吏をして臨檢竝びに業務の状況、あるいは帳簿書類等その他必要なる物件を檢査させるという權限をもつておるのでありまするから、そこへもつてきて、またさらに同じ物に對して、また同じ人に對して、同一な對象物に對して、同一な臨檢調査の行為をやろう。こういうのであります。今日までのこの安本廳のいき過ぎについて、とかくの評判がありますことは、長官のお耳にはいつておると思うのであります。現にけさの新聞紙を通じましても、片山首相がこの經濟安定本部のいき過ぎに對して云々したというような記事がでておるのでありまするが、これは一廳主務大臣がそれぞれの立場において、自分が所管しておるその物件に對し、しかしそれを扱つておる當該官吏が臨檢もしくは調査をする權限をもつておるというのに、それを押しのけるといえば語弊があるかもしれませんけれども、その上にまた安本廳で同じような權限をもつてやられるということは、國民こそ實に迷惑である。臨檢調査にこのごろ農林省の役人が來たかと思えば、また後から續いて安本の方の役人が來る。こういう無盆な取締りの規定をつくるところに、やはりこの官吏の腐敗墜落というような問題もでてくるのじやないか。こういうことをどうしてやる必要があるか。主務大臣に任しておいたのでは、十分にその監査ができぬからしておやりになるというのであるか。監査のできておることは認めるけれども、なおかつ安本においてやる必要があるというのか。もしもかりとすれば、安本においてこれをやらなければならぬという必要性は一體どこにあるのか。それをはつきり言うてもらいたいと思います。大體今長官の言われたように、官廳に對する監査という權限はもつておるのでありますが、さらに監査より進んで官廳あるいは公團に對して臨檢し、もしくはそこへまいつて帳簿等を調査するということはよいでありましようけれども、その他のものに對して二重監督でやられるということは、一般國民が迷惑なんです。その點をはつきり伺つておきたい。
#51
○和田國務大臣 その點はどうも私どもの方といたしましても、經濟統制の監査というものをやつていきます建前上、もちろん無益にダブツてやることは、當然避くべきことと思いますけれども、しかし經濟安定本部自身が監査という一つの仕事を完全にやつていきますためには、これに經濟安定本部としてまた獨自の立場からやつていく必要が私は起こつてこようと思います。そういう意味からいいまいてお話のように、ある程度ダブつておるということは、私は認めるのであります。しかし公團なりいろいろの行政において、行政官廳が何をしておるかについても、もう一遍經濟安定本部の監査の方で行つて見る必要があると思う事態が、どうしても私は起つてこないと言えないと思うのであります。そこでこういう事態に對して、やはり何らか行政監査をしていくということは、自然に出てこようと考えるのであります。われわれの方としては、一應そういうことを考えました。殊に隱退藏物資なんかの問題につきましては、どうしても第一線に出ていつて仕事をやつていくという必要もあろう。こう考えてただいまのような法案を出したわけであります。御了承を願います。
#52
○花村委員 そうしますと、これは安本廳でやらなければならぬと認めるときは、各省に對する監査權をもつておるののでありますから、從つて主務大臣に指圖をしたらどうでしよう。こういう問題が君の主管事項においておろそかになつておるから、これはこういうぐあいにした方がよいだろう。この物資に對してはああいうぐあいにしたらよいだろうと指圖をすればよいだろう。指圖をする權限はあるだろうと思う。そこの監査權をもつておる。はたして安本廳でつくつたこの經濟施策が實行せられておるかどうかを見るのです。實行せられておらぬことを見究めた場合においては、それに對してやるべく要求すればよい。でありますから、他人のやつておるなわ張りといえば語弊があるかもしれないが、他人のやつておるところへ安本廳の方がまた横から出ていつてやるということは、ちつとも必要じやないと思う。しかも安本廳の査察官は司法警察官たる權限をもつている。司法警察官たる權限をもつている強力な人が横から出ていつて、他人のなわ張りを冒すということが、とかくそういう場合にいき過ぎを起し、いうことが問題になる。でありますから何もそういう問題を起すような機構にせなんでも、やらぬ場合においては、その主務大臣を督圖したらどうですか。そういうことはできるでしよう。權限がおありになるでしよう。しかるに、たとえばこの主要食糧に對して例をあげて言えば、農林省の役人がまいりまして、ある公圍の食糧に對して臨檢、調査をやつた。ところがまたそこへ安本廳も行つて、今度はそういう役人の臨檢、調査するだけの弱い權限をもつておるものでなくて、強力なる司法警察官という肩書をもつていつて、そこで同じものを調査し、あるいはまだ臨檢をする、こういうことになるわけです。あるいはそれは農林省なら農林省でやつたものに對して、さらに再び重ねてやるようなことはしないと申すかしれないが、しかし、こういう法律の上からいえば、できるわけです。また往々そういう場合がほかの問題でもおきておる。ですから、そういう二重監督をせなければならぬという必要はごうもない。殊に安本廳の本質から申しますると、これは要するに經濟施策に對する根本的な計畫を立つて、そうして各省にその經濟施策を行わせる、その行うことを監督していくというのが大體この安本廳の建前じやないのですか。そういう末端まで企畫、計畫もやつたり、各省にもそれを行わしめたり、さらにその行わしめた先の先まで末端まではいつていくというようなことは、かえつて行き過ぎであり、またそうでなくても、今日まで安本の行き過ぎに對しては、相當の非難がある。でありまするから、そういうことであるとするならば、これは各官廳竝びに公團の檢査、臨檢竝びに調査というだけに、この法案を限定したらどうですか。
#53
○和田國務大臣 それは僕はやはり意見の相違になると思うのです。實際經濟緊急對策をやる、殊に流通秩序を確立するというときに各行政官廳がなるほどそれぞれの物質についてやろうと思えばやれると思うのです。その點はダブツておるということを私は申し上げておる。ただしかしその場合に、一體行政官廳の監査自體が、ほんとうにできておるかどうかということを實際調べるときには、命令だけで足るかどうかということがあろうかと思うのであります。そこでこの點については、實際末端まで行つて、自分たちの眼で現地をやはり見て、せいかくな判斷をするということも、これまた必要になつてこようと思うのでありまして、經濟安定本部の行き過ぎ過ぎとおつしやいますけれども、われわれとしては、そういう點につきましては、從來といえども十分に考慮して、各省とはほんとうの連絡をとつてやつておるのであります。新聞雑誌に行き過ぎ過ぎといろいろ出ておりますが、しかしわれわれとしては、そういう氣持ちで仕事をやつておるのではありませんで、政策自身が本当に總合的にそこに立案され、またそれが實際上スムースに行われるように、實施官廳との連絡はとつております。もちろんこれは今の日本の危機を乗り切るために、一つの大きな仕事をやろうとしておるときに、それぞれの立場からそれぞれの意見が出まして、案がまとまるまでには具體的に意見の相違があることは、これは私は事柄から言えば當然だと思うのであります。各省はそれぞれ自己の立場から、ほんとうに職務に忠實であるがゆえにいろいろな意見を吐き、われわれとしてはやはり總合的に日本の經濟自體を見守つて案を立てていかなければならないわけでありますから、その決定、結論が出ます過程においては、これは民主的に官廳内といえども、お互いに意見を鬪わして、落ちつくところに落ちついていつて、きまつた以上はそれを實行していくことは當然であると思つておりますが、そういうふうにわれわれとしてはやつておるのであります。御承知のように、今度の場合といえども、隠退藏物資の實際上の摘發、調査、供出ということを考えてみると、その面だけから申しても、これは經濟安定本部の實際上の仕事をやつていくということになりますれば、それがほんとうにできるようなことにしなければならぬということも、これは必要であるかと思うのであります。私の方としては、そういうような心構えで仕事をやつておることを御了承願います。
#54
○花村委員 先ほど私は經濟安定の緊急施策とはいかなるものであるかということをお聽ききしたのでありますが、先般現内閣ができた折に八項目でしたか經濟施策として發表した、その中にあるものであるということだありますが、しかしあの施策なるものは、要するに抽象的なもので、具體的にどういうものであるかということはわからない。從つてあの施策のどういう部分か下の方に浸透していくのであるか。そしてその浸透していく施策が實際に行われておるかどうかを追つかけて檢査にいく。こういことうになろうと思うのでありますが、たとえば主食のごときは、むしろ安本廳で扱うというよりも、すべての點において知識、經濟をもつほとんど専門家である農林省の當該官吏がその衝に當ることが、最も適當であることは多く申し上げるまでもないと思う。安本廳で急に經濟安定施策を立てる。またあの政府のできたときに發表したものは抽象的なもので、いかなる具體的なものが出ておるか知りませんが、出ておつたならば、それをお示し願えば結構であると思いますが、そういう案を急につくつてそれをやらせて、それがたとえば主食に對して行われておるかどうかというようなことを――そう申しては失禮だが、比較的全國的にあらざる安本廳の査察官が――査察官について先ほどお聽きしたならば、それは一般行政官が司法警察官を兼ねておるという農林省の役人のように、主食に對して專門家であるというわけでもないらしいのでありますが、そういう役人が行つて、臨検、査察、調査をするというようなことで、成功を得られるものではない。私はこれは斷然得られぬと申しても間違いはなかろうと思いますが、これは議論ですから、安本長官がそれはできると言えばそれだけですから、もれはあとで事實によつて見ればわかると思いますから、それ以上は私は追究はいたしませんけれども、かくのごとき二重監督制度を立てることは、害はあつても決して益はない。むしろ主食なら專門家たる農林省、あるいはその他の商工省に属するものは商工省の役人にやらせることが、一番適當な處置であり、また安本が末端まで出て行くことがはたしてできますか。日本全図の津津浦々の末端まで行つて、そういうものを臨検、檢査するだけのすべての組織と豫算と陣容とを備えておられますか、そういうりつばなことを言われても、それはただ口だけで、實際はできないのではないか。日本全國の津々浦々まで、安本廳において實施する施策を末端まで行つて調査することはできますか、そんなことはとうてい私はできないと思う。むしろ今日行政整理をやつて、わが國の傾いた財政を建直して、健全財政にもつていかなければならぬといろ場合に、査察員の人数を聽いたのだが、人数を言われなかつたが、新聞紙上で見れば千七百名だとかいう話ですが、安本廳の本部ばかりでなくて、地方に本擴張をして、行政の整理どころではない、行政の擴張をしていつて、しかもこういう益のない仕事に熱を入れるなんということは、これは時局を知らざるものであるかと言うても、私は間違いないと思う。
#55
○石川委員長代理 今隠退藏物資摘發委員會から、ぜひ安本長官に出てくれということを言つてまいつております。まだ安本長官に對する質問は濟みませんでしようか。
#56
○花村委員 もう少しで濟みます。向うでも必要ならこちでも必要だ。むしろこつちの方が議案が出ているのだから、こつちにおるべきものです。
 そこで安本廳が經濟警察を握るということがはたしていいか、悪いか、これは大きな問題だと思います。經濟警察というものは、すでに警察廳内にある。あるいは地方へ参りますれば縣廳にある。ある機構を大きくすればいいと私は思う。それを殊に切離すというと語弊がありますが、安本廳にまた一つそういうものを設けることは、私はどうしても納得がいかない。經濟警察も一つの警察権をもつのでありますから、警察権をもつならば、これはやはり内務省系統へもつてくるのが當然ではないでしようか。要するに内務省の官制の第一條には、内務大臣は他の各種の主任事務とともに、また警察に関する事務を管掌す。内務大臣は一般社會の安寧秩序を保持するために警察権を行う権能を有す。こういう規定が設けられておつて権能がある。警察権の行使に関する問題に對しては、内務大臣が主管をすべきことは當然であります。あるいは農林行政について、あるいは財務行政について、それぞれの主管大臣が一部の警察権をもつているのではないか、こう言うかもしれぬと思うのでありますが、それはもつているに違いない。しかしそれはその省の権限所管事項についてもつているのでありまして、司法警察権なんていうものはもつておらない。これは司法警察官というようなものは行政の一部をなしているのでありますけれども、實質においては、司法権の運用のうちに含まるべきもので、司法権の作用のうちの一つなんでありますから、こういう經濟違反を取締つていく司法警察官のごときを安本廳でもつてしいるということは、大なる間違いである。間違いどころでない、大きな危險があると申し上げてもよい。なぜこれを内務省へもつていつて、東京都ならば東京都の警視總監の管轄下に屬せしめないのであるか。現に警察においても、そういう統制經濟違反を取締る經濟警察がある。その點をお尋ねしたいと思う。
#57
○和田國務大臣 私はその點については、官制ができた時の經緯をよく知つておる者からお話するのが一番適格だと思うが、お話の點は非常に議論になつた點だと思います。その場合に經濟統制の總合官廳である經濟安定本部に、經濟警察の権能をもたせて、しかしそれはどこまでも司法省の方と十分な連絡をとり、また人的にも司法省の方から人をいただき、また内務省の方とも十分連絡をとつてやつていくという建前で、經濟行政警察の権能を經濟安定本部の方にもたせたのだろうと考えておるのでありまして、各行政について、警察というものはすべて内務省にもつのが通常であるという議論も、從來のシステムそのものを是認するならば、十分成立つと思います。しかしやはりそれぞれの官廳が經濟警察をもつておるのであり、むしろこれは外國の例はどうかよく知りませんが、經濟警察については、それぞれのものが所管の事柄についてもつていくという傾向もあるやに聞いておるのでありまして、經濟安定本部が總合の行政をやつていく建前、また經濟行政の官廳の監査その他をやつていく建前からいつて、その他隠退藏物資、そういう仕事をやるについて、そういう権限をもたらしたどうかということで、現在のような官制に落ちついたのだろうと理解しておるのであります。
#58
○花村委員 今の御説明では満足いたしませんが、最後にもう一點だけお尋ねいたしておきたいと思う。社會黨の中心内閣でありまするから、計畫經濟を主張しておられるのだから、今の内閣においでも統制經濟を擴張強化するという方向に進んでいくのじやないかと思うのですが、そういうことはありませんか。そうしてまた今日はすべての物資について統制されているような形でもあり、また統制されていないような形であつて、一般國民もいかなる物が統制されておるのか、戰時中の統制がそのまま残つておつて、すべての物資に對してやみでもやれば罰せられるというのであるか、あるは一部は解除されて主要なる物資についてのみ統制が行われておるということになつておるのであるか、その邊が國民にもあまりはつきりしておらない。でありますから、まずこれからは統制を強化していくのであるか、あるいは強化しないのであるかという御意見がまず第一、第二にいかなる物が統制され、どういつたものが統制から除かれておるのであるか、そうして今後の統制機構の上から見て、やみは大體において撲滅できるとお考えになつておるかどうか。それをひとつお尋ねいたしたいと思う。
#59
○和田國務大臣 統制というものが強化されるかどうかということでありますが、それはやはり私は日本の經濟の回復のしかたにかかつてあると思うのであります。今の状態においては、やはり基礎的な生産財であるとか、消費財については、統制が續けられていこうかと思います。しかしだんだんとそういう統制方式によつて資本が蓄積され、また有效なものにそういうものが使われていつて、經濟上に實力が出てくれば、だんだんと統制の分野は狭くなつてくると私は思うのであります。これは日本の今の經濟の實情からいつて、今すぐ統制を解くことは、とうていできない相談でありますが、何でも統制するということを私どもは考えていないのでありまして、經濟再建に非常に必要な生産財、國民生活になくてはならぬ消費物資というものについて統制をやつていこう、こう考えておりまするし、大體そういう線で今までとしても來られたとも考えております。從つて今回の物價體系に伴いましても、やはり物價の統制からはずす物も相當にあるのでありまして、それはただいまわれわれの方で價格改訂をやるものについて、今急いでやつておりますので、これができますれば、物價統制からはずすものが、相當に出てこようかと思います。これらのものについては、價格改訂がきちんときまりました以後、一般經濟に、統制をはずしても、あまり影響のないものは、ぜひはずしていきたい。こう考えて、ただいまやつておるのであります。われわれとしては、何も統制のために統制をしておるのではなくして、統制をして流通秩序をそこに確立していかないと、おもな物資、あるいは消費財については、自由放任にしておくことの方が弊害が多いという觀點に立つておるのであります。ただいま統制でやみがなくなつたとおつしやいますが、これはやはりだんだんと統制によつて社會の秩序が回復してくれば、自然にやみの部分は少くなつてきておるのでありまして、最近においては、その點はむしろ相當轉換期に來かかつてきておるのではないか、かように考えるのであります。やはりやみをなくするためには、一つの手段ではいけないのであつて、隠退藏物資等についても、徹底的な調査をやるなり、各品目について、あるものは公團の組織、あるものはそうでないようにして、流通の秩序を確立していくことをやりませんと、とうていやみの撲滅はできないのであつて、できるだけ國民の生活の上からも、やみの生活をなくしていくように、政府としては努力を拂つておる次第でありまして、さようにひとつ御了承をお願いしたいと思います。
#60
○花村委員 もう一つだけお聽きしておきたいのですが、安本長官の言われることはよくわかりました。しかもそれはむしろ自由黨の經濟政策の線に沿うていくように、私は今拜聽したのですが、必要ある物に限つて統制をし、不必要な物はやめていくという方向に向わなければ、いかぬのである。これはごもつともで、われわれも双手をあげで賛成します。そこでいろいろ不合理なものもありますけれども、その一つの例をあげてみますと、魚であるとか、あるいは野菜のようなもの、これは統制いたしておるのでありますが、これが一旦統制を解除されたということが新聞に出まするや否や、東京都等においても、野菜や魚がどんどん出てきたのであります。しかるに本月の十五日からこの統制が強化せられる、野菜などは嚴重に統制するのであるということを農林大臣か何かが發表いたしましたところが、十五日までは相當の野菜が出ておつた。十六萬何千貫という野菜が出ておつたものが、十六日から統制を強化して取締りを嚴にすることに相なりましたところが、その翌日の十六日には三萬貫に減つてしまつたその後もずつと減つて、西瓜のようなものが多く出ておるだけで、野菜は依然としてなお出ておりません。われわれもろくろく配給を受けておらない。でありますから、こういうものに對しては、これは統制すること自體が無理なんだ。東京都等においては都民の中では、自分でつくつて自給自足でやつていく人もあれば、八割だけ自給自足で二割だけ買う人もある。半分は自給自足で半分買う人があり、あるいは全部買う人があるということに相なつておりますので、これを統制して、すべての人に同じように配給してやるという機構が間違つてることは當然です。でありますから、こういうものは私はずべからく統制を解除するのがいいと思いますが、魚や野菜についてはどうお考えになつておりましようか。
#61
○和田國務大臣 それは自由黨でしよつちゆう主張されておることでありますが、私は今の段階ではできないと思います。野菜の統制なり魚の統制についてただその統制の表面の現象だけをみられて、僕は統制の可否論は決せられないと思います。野菜や何かにつきましては、根本的な自由經濟にする條件が缺けておると思うので、それを自由にして野菜が出てみたところが、それはたかがしれておるのであります。全國で今特産地というものがほとんどなくなつてしまい、ただ近縣の商業利潤を追つておる農民の野菜が大部分であるときに、これをただそのまま放任しておくといえば、一部の農民層がうまい計を吸うだけであつて、消費者といえどもそれによつて決して全面的に私はこの計畫によつては潤おわぬと思うのであります。そうでなくして、やはり生産の面が回復するような手を講じ、今度肥料をリンクしてやるようにしましたが、肥料をやつて特産地を培養して、漸次野菜の供給量を殖やして、統制のルートに乘せるものが殖えていくようにやつていくことを、現在の日本の經濟としては、他の主食の關係もありますので、とつていかざるを得ないと私は思うのであります。お話のように野菜や魚の統制がむずかしいということは、世界各國が戰時中においても戰後においても悩んできた問題であります。しかし私は今の日本の經濟の實情においては、どうしてもそういうやり方をかえてやつていくのがいいかと思うのであります。從つて御承知のように野菜の統制につきましては、配給部面については登録制をやりながら、消費者の意思がそこに反映するようにして、できるだけある面からは自由競爭的な要素を植えつけてきておるわけであります。しかし何といつても、もともと生産面においてはそういう條件が充たされないと思うのであります。そういうものをやつていくことについて、私はやはりまだその條件がないだろうと考える次第でありまして、いろいろとこの問題については議論もあると思いますが、さように私としては考えておる次第であります。
#62
○花村委員 そうすると本月の十五日までは野菜がどつさり出てきておつたものが、取締りを強化すると言われた十六日から一向出てこないという現象はなんとごらんになりますか。それは統制の取締りを強化した所産でないとお認めになるのですか。大體自由に賣られておつた、十五日まではどんどん野菜が出てきて、われわれも困らなかつた。ところが十六日から以降は實際出てこない。現に出てきておらない。それをあなたは統計の上からごらんになつたかどうか。ごらんになつて、もしそうだとすれば、その傾向は何とごらんになられるか、これをお尋ねしたい。
#63
○和田國務大臣 統制を撤廢するかどうかということを、おつしやるから、私は統制を撤廢する時期ではないということを申し上げておるのであります。統制の間においても、相當に出てきておる時期もあるのであります。ただいろいろなことで政策をぐるぐるある面においてかえたようなことも、これは影響しておると思うのでありまして、この統制を強化すれば出なくなつてくるというようなことは、これはおそらく近郊のものについては、農民の方がもうすでにこういう投機的な考えで、やつておるのですから、おそらくやみに流れていつたりなんかすると思うのです。しかしその現象は是認するのじやなくて、これはむしろ正規のルートに載つてくるようにいろいろな手を講ずるという方面に努力すべきであろう。かように私は考えるわけでありまして、大分御意見は違いますが、私はさように考えます。
#64
○花村委員 もうこれで濟みますが、統制の點は、ひとつとにもかくにも出るようにしてもらいたいですね。統制を解除しないならば、出るような方法を講じてもらわなければ――統制の取締りを嚴にするというので呼びかけて、一向出てこないで、出てこないままじや國民が困る。それでひとつ出るように、あなたの方で工夫を願いたいということを注文いたしておくのであります。その他にもまだ質問したいことはありますが、私はこの程度で、安本長官に對する質問はやめます。
#65
○石川委員長代理 佐瀬君。
#66
○佐瀬委員 私は本案の審議の前提として、基本的問題についで、若干法制局長官並びに司法大臣にお伺いしておきたいと思います。
 經濟安定本部令は、勅令第百九十三號に基いて設直されたのでありますが、その後これが改正されて、今日にまいつておる。新憲法が施行されてから後は、いわゆる勅令に代つた政令が執行命令の範圍内においてのみ認められておるのであります。從つてこの經濟安定本部令、その改正というものが、新憲法の上からは希望すべからざる性格のものであると考えて、官制の制定大権が舊憲法において天皇陛下に認められ、勅令に委ねられておつた時代は別でありますけれども、これが法律によつてきめられなければならぬという今日におきましては、私はかかる重大な官廳――形式的には内閣の補助部局ではありますけれども、本法案の提出によつても明らかなごとく、きわめて他の行政官廳及び國民に對して重大な組織、権能をもつておるその官廳を、かかる形態のもとに認めておくということについては、新憲法の運用上重大な疑義があるものと考えておるのであります。この點について、成立以來及び改正以後の事態をお考えの上に、法制局長官から御意見を承つておきたいと思います。
#67
○佐藤(達)政府委員 お答えいたします。この經濟安定本部令なるものは、現在のこの制度はたしか本年の五月一日に全面的に改正されまして、それが今日までずつと續いてきておるものと考えるのであります。すなわち憲法施行前に一應全面的な改正を見ておるわけであります。そこでただいまの法律関係の御質疑の點につきましては、御承知のように本年の昭和二十二度法律第六十九號をもちまして行政官廳法、すなわち新憲法に基きましての行政機構の大網をきめました法律といたしまして行政官廳法ができておるわけでございます。その行政官廳法は、實は憲法施行早々の立法でありますために、大部分憲法が實施されました現在において、從來の機構をそのまま取入れて、大體これに法律の根據を與えたという形の立法になつております。從つて暫定的の效力をもつて、來年のたしか五月二日までは行政官廳法が行政機構の根本をきめておるというように御承知願つてよろしいと思う。從いまして、現在の安定本部の制度、組織をきめておりまする經濟安定本部令というものは、この行政官廳法のもとにおいてのものであるということに相なる次第でございます。
#68
○佐瀬委員 ただいまお伺いすると五月一日に根本的改正があつたように承われますが、新憲法の施行される前々日に、かような勅令をもつて、かく重大な内閣における補助部局を設置するということは、新憲法に對する脱法的措置のように、われわれから見ると感ぜられるのであります。なるほど行政官廳法によつてその後法律的な根據が與えられたとしても、前々日に何ゆえかような根本的改心を急速にしたかということについて、私は少くとも憲法の精神を蹂躙するものではないかという疑いを抱かざるを得ないのであります。その點はいかがでありましようか。
#69
○佐藤(達)政府委員 ごもつともな御疑念だと存じます。この安定本部令はもとよりただいま申しました五月早々に初めてできたのでないことは御承知の通りで、前からありましたものを改組したものであります。改組と申しますか、この全面的改正は今御指摘のような點からのものではございませんので、あたかも時がそういう時に際會して、この改正を必要としたということでありまして、今御指摘のような動機は全然ございません。その點ははつきり申し上げることができます。
#70
○佐瀬委員 この勅令はどういう性質の勅令であつたのでありましようか。具體的に言いますると、いわゆるポツ勅というものには關連がないと思うのでありますが、その點をひとつ伺いたい。
#71
○佐藤(達)政府委員 御推測の通りポツ勅ではございません。普通の憲法のもとにおける行政組織法とお考えになつて差支えございません。
#72
○佐瀬委員 この機會にポツ勅あるいはポツダム政令というものについて、一應御所見を承つておきたいと存じます。新憲法下の今日においても、政令等によつて國民の重大な自由、権利がかなり制限されつつあるのでありますが、最近においては料飲店の緊急措置令、あるいは本日の新聞を見ますると、經濟力集中排除法という近く提案される法案におきましても、その經濟力集中の基準を政令によつて認めていこうという内閣の成案になつているように承知しております。冒頭に申し上げましたごとくに、政令の範囲が新憲法下において、非常に局限されている。にもかかわらず、昭和二十年勅令第五百四十二號のポツ勅を基礎として、しかもなお經濟罰則をも設けられるように昭和二十年勅令第五百四十三號をもつて備えております。かかる勅令は、私ども舊憲法の理論においても、いわゆる概括的立法の委讓として、授権法たる點において、憲法違反であるという解釋をもつておつたのであります。あたかも國家總動員法におけるがごとく、かかるポツ勅、政令等を今日においてなお活用するということであるならば、新憲法が國民に對して自由、人権を保障し、立法機関をもつて最高の國家機關とした意味も、まつたく没却されてしまうという懸念があるのであります。よろしく立憲政治の大道に即して、法律によつてきめていかなけれぱならぬ鐵則に相なつていると考えるのであります。かかる憲法違反の政令が、なおここに根據をおいて認められるということになると、はなはだ將來の憲法の運営上重大なる問題にならざるを得ないと考えます。この昭和二十年の勅令第五百四十二號及び第五百四十三號というものが、なお今日有效なもものとして、新憲法上效力を認められるものであるかどうか、政府の御意見を承知いたしたいと思うのであります。
#73
○佐藤(達)政府委員 御指摘の昭和二十年のいわゆるポツダム緊急勅令なるものを、今日なお存置しておかなければならぬというわが國の地位に對しましては、その觀點においてわれわれ國民として非常に悲しく思つているわけであります。その點は皆様御同様であろうと存じます。ただそういう感情は別といたしまして、この法律の理窟といたしましては、この緊急勅令は結論を申し上げますならば、新憲法のもとにおいても有效のものであるとわれわれは考えております。その理由は非常にこれは幅の廣い委任の形にはなつておりますけれども、この緊急勅令に明らかになつておりますように、連合國最高司令官のなす要求、これに事柄は限られているわけであります。しこうしてその要求なるものは、具體的な事柄を押えての要求でありますので、形はきわめて廣い委任のやうになつておりますけれども、個々の條件が明らかに客觀的に規定されるというようになるのであります。のみならず今日のわが國の立場といたしましては、連合國最高司令官の要求を忠實に實行するということが、國家公共の福祉を維持し増進する上において、今日のところは第一の條件になつているというようなことも考えられますので、これらは實體上の問題でありますけれども、法律の理論といたしましては、すでに申し上げましたような理由によつて、憲法には違反しないというように考えております。
#74
○佐瀬委員 ただいまの御説明によると、最高司令官のなす要求にかかわる事項に限定されているから、無限な委任立法でないという御解釋をおとりになるという趣旨が判明したのでありますが、最高司令官のなす要求事項ということに、はたしてこれまでの政令が限定されているかどうかということについて、責任ある御解答を願いたいと思うのであります。
#75
○佐藤(達)政府委員 これはもちろん先方の要求を實施するに必要な限度に止めております。ちよつと速記を止めでください。
#76
○石川委員長代理 ちよつと速記を止めてべださい。
    〔速記中正〕
#77
○石川委員長代理 速記開始。
#78
○佐瀬委員 日本政府の内部的な事情でありますが、政府でもこの種の政令を出す場合には、いわゆる主務官廳に限らず、内閣全體の閣議の決定事項というようなことにして、運んでおられるのでありましようか。
#79
○佐藤(達)政府委員 この緊急勅令によりますと、政令できめますことのほかに、各省の省令というようなものによつて、省令を定めますことも授権されております。しかしながら、事柄は國民の権利義務に重大な關係のある場合が多いのでありますために、政令はもとより當然の手續として閣議を經ておりますが、その他の省令あるいは總理廳令をもつて規定いたします場合においても、普通の總理廳令ならば、閣議なしにどんどん總理大臣で實行しております。特に愼重を期しまして、この關係の總理廳令あるいは省令は、特に閣議にはかりまして、實施するように、努めて實行をいたしてまいつております。
#80
○佐瀬委員 その點は了承いたしました。次に經濟安定本部の性格権限について、法理的な御解釋を承つておきたいと思うのであります。經濟安定本部は、沿革的に見ても、またこれを根據づけた勅令等を見ましても、企畫官廳としての限界を有することをもつて、本質とすべきものではないかと思うのであります。先ほど和田安本長官の説明によると、行政官廳及び公團に對する監査が、安本の主たる任務であるということが言われておりました。私はその根據から見ましても、新しい分野の監査として、國民の権利自由を侵害するような臨檢檢査といつたような實行機關としての活動をすることは、安本の性格に矛盾するのではないかと考えるのであります。この點に對する法制局長官の御意見を承りたいと思います。
 なお同時に、鈴木司法大臣にも一言質しておきたいと思うのでありますが、先ほど司法警察官吏として、經濟査察官が經濟安定本部令附則並びに大正十二年勅令第五百二十八號に基いて、司法警察の職務を査察官において行い得るということになつてる。これは司法警察官制度が現在どういうふうに改正さるべきか。その形態的な、所屬的な問題がある今日において、企畫官廳たる經濟安定本部が、さような司法警察官吏をもつということは、實質的にはこの司法警察官制度の體形を乱すものではないか。またその責任ははたしてだれが負うべきであるかというような問題も起ることと思うのであります。將來の司法警察官制度に對する改正の方向とともに、この問題をどう處理すべきかということが、今日の問題として、愼重に政府において内務省の廢止に相伴う案件として、考慮をめぐらしてもらいたいと思うのであります。この際これに對する鈴木司法大臣の御意見も承つておきたいと思います。
#81
○石川委員長代理 まず第一に法制局長官からお答え願います。
#82
○佐藤(達)政府委員 ただいまお尋ねの第一點につきましての實體上の問題は、おそらく和田總務長官からお答えになつたのではないかと思いますので、私は私の受持であるところの別の角度からひとつ御説明してみたいと思います。
 企畫官廳というものであるべきではないか、これは私も御説の通り安定本部というものが、まず第一のねらいは企畫官廳としてできたものであろうと思います。ただそれに公團法その他において権限がつけられた點がありますほかに、この安定本部令自體におきまして、すべての査察の實行の推進とか、あるいは監査とか、あるいは統制の勵行というような事柄が附け加わつておるのであります。これらの推進なり、あるいは監査なり、勵行なりという事柄は、これは本來の企畫の責任を完全に完璧ならしめるために、結局これらのことははね返つて企畫の面に流れこむ面をもつておるのであろうと私は思います。そのゆえに生み放しの企畫であるとか、企畫し放しという形でなしに、かような権限をもち、相まつて本來の安定本部の職責を完全に果すということになるのではないかと私は考えておる次第でございます。
#83
○鈴木國務大臣 ただいまの經濟安定本部が司法警察のことをやるために行政官廳の事務の分配、権限の紛淆を來すのではないかという御質問でありますが、その點は經濟安定本部というものが、先ほどからいろいろ御議論がありましたが、結局各省のほかに一つの總合的企畫官廳としてできておるのでありまして、しかもその企畫を實行に移し、實行の先までも見届けることが、危機突破という特定の目的をもつて、しかもある限られたる機關もつて存立しておる官廳でありますから、なおさら大切な役割になつてまいるのでありまして、その意味において、ややいろいろな點で権限が重複することはやむを得ないと、私どもは思つております。極力その機能を助けまして、できるだけわが國經濟の安定と危機突破に資したい、こう考えるほか他意ないのでありまして、その見地からこの司法警察の職務を行わせることもまた必要である。その責任は結局安定本部總裁、すなわち總理大臣がこれを兼ねておるのでありますから、内閣制度の上から申しますれば、責任の所在が曖昧になるということはないと存ずるのでありまして、もしそれ御質問のような司法警察をどうおくべきか、いかにすべきかということになりますと、問題はあまりにも根本的でありまして、今簡單にお答えをいたしかねることを残念に思うのでありますが、少くもこの問題について権限の紛淆を來すことはない、こう信ずることをお答え申します。司法警察のあり方という問題について、特に説明せよということでありますれば、私見をお答え申し上げてもよろしいが、問題があまりに抽象的にもなり、また實は政府におきましても、いろいろ考案いたしておりまして、ただいま確定案をもつてお答え申し上げることが、ちよつとむつかしい實情にありますので、なおさらこういう考え方もある、こういう主張もあるということを申し上げなければならぬかと思いまして、十分御満足を買うことができないと思いますから、悪しからず御了承を願いたいと思います。
#84
○佐瀬委員 經濟安定本部令第十五條によりますと、「總裁は、開係官聽の長に對して、必要な事項を命ずることができる。」というふうに規定されております。一般の司法警察官の機能を發揮せしめることによつて、本提案のような目的を達し得られる部分がかなりあるのではないかと思われるのであります。否本提案の窮極のねらいは、政府が緊急經濟対策としての重要な事項はやみの撲滅にありと呼號しておる手前から見ましても、終局の目的はそこにあると、私どもは考えておるのであります。從つて今後司法警察官のあり方が、今日のような状態にあらずして、われわれの考えておるような檢察機能を十分に發揚し得るような態勢にさえなれば、あえて本法案のような機構をもつてせずといえども、その新たな司法警察官制度の活用によつて、目的の多くは達成されることと考えるのであります。從つて今後も司法警察官制度はどうあるべきか、またどうなるかということは、本案の審議上不可分の関係をもつておるのであります。ただいま司法大臣はまだ関係するところが多方面であり、構想の過程にあるので申し上げる事情になつていないというようなことでありますけれども、私は本案の審議上必要な程度に政府委員として、御説明を願いたいと思うのであります。
#85
○鈴木國務大臣 お言葉でありますからお答えいたしますが、私どもといたしましては、ある希望をもつておりますけれども、それが必ずしも達せられる見透しはつかないのでありまして、そうでありますと、この經濟安定のための施策について、たとえば檢察當局が強力に司法警察を指揮命令し、行使し得るというようなことは、ちよつと近き將來に實現するという見透しをもたないのであります。やむを得ませんから、この法案のごとき形において、經濟安定本部の經濟査察官にも、また監視官にも、それぞれ司法警察の権限を與えまして、その足らざる點を補わしめるほかはない。こういうような考えをもつておるということを申上げておきます。
#86
○石川委員長代理 本日はこれで散會いたします。
    午後三時十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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