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#1
第033回国会 予算委員会 第6号
昭和三十四年十一月十九日(木曜日)
   午前十時五十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員青柳秀夫君辞任につき、その
補欠として吉江勝保君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     小林 英三君
   理事
           大谷藤之助君
           佐藤 芳男君
           館  哲二君
           西田 信一君
           秋山 長造君
           亀田 得治君
           鈴木  強君
           千田  正君
           杉山 昌作君
   委員
           青田源太郎君
           泉山 三六君
           太田 正孝君
           草葉 隆圓君
           木暮武太夫君
           小林 武治君
           斎藤  昇君
           下條 康麿君
           杉原 荒太君
           手島  栄君
           苫米地英俊君
           一松 定吉君
           堀木 鎌三君
           武藤 常介君
           村松 久義君
           湯澤三千男君
           吉江 勝保君
           米田 正文君
           阿具根 登君
           占部 秀男君
           木村禧八郎君
           久保  等君
           小林 孝平君
           佐多 忠隆君
           永岡 光治君
           松澤 兼人君
           辻  政信君
           東   隆君
           田上 松衞君
           加藤 正人君
           岩間 正男君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   外 務 大 臣 藤山愛一郎君
   大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
   文 部 大 臣 松田竹千代君
   厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
   農 林 大 臣 福田 赳夫君
   通商産業大臣  池田 勇人君
   運 輸 大 臣 楢橋  渡君
   郵 政 大 臣 植竹 春彦君
   労 働 大 臣 松野 頼三君
   建 設 大 臣 村上  勇君
   国 務 大 臣 赤城 宗徳君
   国 務 大 臣 石原幹市郎君
   国 務 大 臣 益谷 秀次君
  政府委員
   内閣官房長官  椎名悦三郎君
   法制局長官   林  修三君
   自治庁財政局長 奥野 誠亮君
   外務省アジア局
   長       伊関佑二郎君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
   大蔵省主計局長 石原 周夫君
   大蔵省為替局長 酒井 俊彦君
   通商産業省石炭
   局長      樋詰 誠明君
   運輸政務次官  前田  郁君
   労働省労政局長 亀井  光君
   建設省河川局長 山本 三郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十四年度一般会計予算補正
 (第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十四年度特別会計予算補正
 (特第1号)内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十四年度政府関係機関予算補
 正(機第1号)(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小林英三君) ただいまより委員会を開会いたします。
 まず、委員の変更について御報告申し上げます。
 青柳秀夫君が辞任いたされまして、その補欠として吉江勝保君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(小林英三君) 次に、昨十八日委員会散会後の委員長及び理事打合会におきまして協議決定いたしました事項を御報告申し上げます。
 一、一般質疑は二十、二十一、二十四日の三日間これを行ない、補正予算三案に対する討論採決は、二十四日日没時までに完了することを目途とする。
 二、各会派の質疑時間割当は、自民党、社会党それぞれ百四十四分、無所属クラブ三十分、社会クラブ二十分、緑風会十六分、共産党十分とする。なお、質疑の順序は総括質疑の例にならう。
 三、亀田委員の要求にかかる安保改定日米交渉の資料については追って理事会で協議することとする。
 四、小林委員の残余の質問は、永岡委員の次にこれを行なう。
 委員長は右の決定に基づいて委員会の運営をはかりたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(小林英三君) 御異議ないと存じます。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(小林英三君) 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第1号)、同じく政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。
 前回に引き続きまして、総括質疑を行ないます。阿具根登君。
#6
○阿具根登君 私は、石炭問題につきまして、総理以下関係閣僚に質問申し上げますが、まず労働大臣に質問申し上げます。
 今回出されました離職老対策法案は、現在非常に労使血みどろの戦いをやっております炭鉱の問題と別に、今までの炭鉱の失業者の対策である、かように考えますが、どうですか。
#7
○国務大臣(松野頼三君) 昨日提案いたしました離職者の臨時措置法につきましては、この三十年以来――石炭合理化以来の離職者というのが約五万人くらい数えられております。もちろん三十二年、三十三年、三十四年の本年中に大体二万人という離職者というものが一応数えられております。これらの対策として、今日非常に要対策として必要が認められておりまするので、今日緊急な要対策者に対してこれを措置したいと、これを本年の予算に計上したわけでございます。
#8
○阿具根登君 そうだとすれば、その原因は何にあるかということを考えてみますと、この離職者対策臨時措置法案にも言われておりますように、三十年九月一日以降の炭鉱離職者ということになっております。そういたしますと、当時合理化法で二万六千名の人が失業している、そういう対策が非常に不完全だったということになりますが、そう了解されますか。
#9
○国務大臣(松野頼三君) もちろん過去の離職対策が完全だったとは私も申しません。しかしことに近来において、すべての雇用というものが伸びている中に石炭だけがなかなか雇用が伸びない、それには石炭に対する特別な特殊性があるのじゃなかろうか、これはもちろん職業の技能にもよりましょう、地域的原因もございましょう、あるいは経済的原因もございましょう。従って今回特に石炭だけにとったということは、ほかの産業に関係なしに特別のいろいろの条件があるという意味で石炭たけをとったわけでありまして、もちろん過去においてよかったとは申しませんけれども、その不況状況が他の産業に比較して日立ってきたという意味で、特に石炭の離職だけ先にやらなければならないと、こう考えております。
#10
○阿具根登君 離職者法案につきましては、他の委員会で十分御質問申し上げたいと思いますから、これには触れませんが、そういたしますと、労働大臣は、現在石炭の業者側から言われている、いわゆる三十八年までに約十万名の離職者を出すというようなことまで言われておりますが、労働大臣は出てきた離職者の対策だけを考えて事足りると思っているのか、労働大臣として、離職者が出ないためにどういう努力をされているかお伺いしたい。
#11
○国務大臣(松野頼三君) 今後の石炭の事情からいろいろ多数の離職者が出ると、いろいろの方面から言われておりますが、労働大臣としてこれを承認したわけじゃございませんし、またそういう話を直接公式に聞いたわけでもございません。私の心とするならば、離職者というのは一人でも少なくしてやってもらいたいというのが私のほんとうの偽らざる精神であります。といって、これは政府が、首を切ってはいけないとか、企業合理化しちゃいけないとか、逆にこの人を殖えとか、そういうことを、政府自身の権限でこの雇用契約が成り立っておるわけでもございませんので、私の気持としては、一人でも少なく離職者を出してもらいたい。あるいは一人でも少なく、離職者を出すことを遠慮してもらいたい、こういう気持は常に持っておりまして、私に能力があるならば、また私に権限があるならば、そういうことも言えましょうけれども、民間の雇用契約でありますので、私の介入する限度あるいは立場というものは、おのずから限界があるのじゃなかろうか、こう考えております。
#12
○阿具根登君 経済閣僚の一人としてただいまの労働大臣の御答弁はまことに不満でございますが、総理にそのあとを一つお答え願います。
 総理は国内産業である石炭を主に油を従に考えておるということを本会議でも言われておるが、一体どういう政策を持っておられるか、それをはっきりとお示しを願いたい。
#13
○国務大臣(岸信介君) 最近の石炭鉱業の不況というものは、美は単純に一時的の現象と軽く見ることはできないと思います。国内産業の基本であるエネルギー源の問題といたしまして、あるいはそのエネルギーの経済性の問題、また最近の科学技術の発達に伴って、石炭のエネルギー源としての従来の立場が大きく動揺を来たしておると見なきゃならぬと思います。そこでわれわれはこのエネルギー源をどういうふうに確保していくかという上におきましては、いろいろ考えなきゃならぬ。第一は、やはりこれが供給が常に安定した供給を持つということが産業にとって必要である。またその経済性を、言葉をかえて言いますというと、その価格というものかやはり一般産業に影響を持つことでありますから、これが価格の低廉であることを望んでいかなきゃならぬ。ところが、また日本の立場から申しますというと、国際収支の点からも、日本経済の全般から見て重要に考えなきゃならぬ。また石炭鉱業が御承知のように非常な、雇用の問題として日本の産業の上において大きな意義をもっておるというような点から考えまして、やはりエネルギー源として、石炭というものを、国内資源であり、国内雇用の上からも重要な面を持っておる、ここに重点を置いて考えていくことが産業政策の基本でなければならない。そこで問題になるのは、価格の点において重油やその他のものと競争ができないという点において、この単価をどういうふうにして引き下げるか、生産の点もありましょう。あるいは配給の点もありましょう。輸送の点もありましょう。そういう点をあらゆる面から検討して他のエネルギー源と比較して、その経済性に劣らないような方策を立てていく必要があると思います。こういう各種の方策を総合的に立てて、そして国内資源であり、国内の雇用問題に重大のあれを持っており、また日本の国際収支の上も重大な影響を持っておる石炭業というものを合理的基礎のもとに維持し、そうしてそれが経営されていくように考えるのにはどういう方策をとるべきかという点を総合的に根本的に実は検討いたしております。その案につきましては、さらに具体的な案を定めて通常国会に提案するつもりでございますが、方向とし、また内容として考えおることは、先ほど来申し上げたような方向でこれを検討し、具体的に定めて通常国会において御審議をいただきたい。かように考えております。
#14
○阿具根登君 ただいま言われたことは私どももよく知っておるのです。だからそういう情勢の中にあって、どういう政策を持っておられるかということをお聞きしておるわけなのです。実際、総理は今通常国会ということを言われておりますが、最近の新聞紙上でも御存じのように、すでに人員整理、合理化ということで非常な労使の争いが深刻化しておる。そういうのは、漫然と政府は見ておって、そうしてそのあとで政策を考えるというようなやり方ではないか。そういうことが起らないためにも、ただいま言われましたような事情のもとに政府はこういう政策を持っておるのだということを早く示すべきである。石炭の問題は日本だけではありません。諸外国でも相当深刻化しておる。それに対しては、政府がいち早く政策を発表しておることは御承知の通りであろうと思う。今のままでは、今の状態を続けていくことを好んでおられるかどうか。そうでなかったならば、今の時点においてどうあるべきだという政策を総理として示すべきであると私は思うのですが、どうですか。
#15
○国務大臣(岸信介君) 先ほど労働大臣も申しておりました、また私が先ほどお答え申し上げましたことでも関連をいたしておりますが、もちろんこの石炭の合理化、石炭業の将来の発達の上においていろいろな方策がとられる。第一段に考えなきゃならぬことは、言うまでもなく、これは石炭業の経営の問題でございますから、経営者並びに労務者の間におきまして私は十分な、話し合いをして、この産業の危機に処すべき企業のあり方について話し合いが行われるということは、これは当然でなければならぬと思います。この意味において、私が本会議におきましても、労使の間において現在話し合いが行われておるが、この石炭業の置かれておる立場というものを労使両方が十分に理解して、そうして、これに対処する方策が立てられることを望むということを申しておりますのもその趣旨でございます。今日の状況に対して政府がこれに介入してどうするという私は段階ではないと思うのであります。もちろん先ほどから申し上げましたように、石炭業全体に対する一つの総合的な方策としては通常国会において御審議を願う、こういう考えであります。
#16
○阿具根登君 それでは政府はつい二年前に長期エネルギー政策を立てられた、そうして発表された。昭和三十七年度で六千四百万トンの石炭を使う、昭和五十年度で七千二百万トンの石炭を使いますということを発表された。その線において今日まで炭鉱は労使ともやってきたと私は思う。その政策が変っておるか変っていないか。
#17
○国務大臣(池田勇人君) 以前にそういう資料に基づき政府として考えたこともございまするか、その後経済事情の変化に伴いまして、ただいまではそういう数字は持っておりません。せっかくどうあるべきかということにつきまして検討いたしておるのであります。
#18
○阿具根登君 それでは現在の石炭の混乱は政府の責任であると断じても過言ではないと私は思う。なぜかならば、こういう方策を立てたならば、炭鉱はそれ自体相当な投資をして準備をしなければならない、労働者も多数採用しなければならない。そういうことをしておいて、それは経済状態に合わなくなったといって、つっぱなされたのでは、労使におのずから血みどろの戦いをしなさいという、それを作ったのは政府でないか、私はこう思うのですが、どうです。
#19
○国務大臣(池田勇人君) この数字は一応の目算でありまして、こうしなきゃならぬということを政府から指令したわけでも何でもないのです。お互いに業者と話し合ってこのくらいになるだろうという見込みの数字でございます。
#20
○阿具根登君 あなたは簡単にこれは見込みの数字だ、責任はないというようなことを言われるが、政府の政策によって事情はいろいろと考えていかれると私は思うのです。おそらくその場合には、重油はどれくらいであったと十分きめておられると思うのです。ところが政府は逆に経済状態の変化ということで、重油に対する外貨は相当高くやっておられる。炭鉱に設備、人員その他を充実させておいて、そして一方には重油を入れるような政策をとっておられる。こういう政策をとったのは政府日本ではないか。大臣はただそのときにこういう計画でいきましょうと言ったと、こういうことを言われますけれども、政府がそういう政策を立てたならば、それに順応するように機構を整備していくのは当りまえだ。ところが、一たんそれだけの準備をしてそして今度は、政府はあのときは話し合いだけだったというようなことで逃げられたのでは、お互いがこういう血みどろの戦いをしなければならぬ。私は政府の責任をもう少し明らかにしてもらいたい。
 それからもう一つは、今度の離職者対策臨時措置法案でも、御承知のように、昭和三十年の九月一日以降ということになっておるのは、これは合理化法が発足してから以降のことなんです。三十年の国会において合理化法案が出されたときに、合理化法で石炭山を買い上げるならば、そこで働く労働者の対策ができないようなら、必ず失業者が充満してそうして非常な混乱を巻き起すから、これに反対をして社会党はこの失業対策を迫ったわけです。そのときに政府は何と言っている、公共事業で完全に吸収します、川崎線の新設をやって失業者が一人もいないように吸収しますと言ったじゃありませんか。それをやっていないから今日こういう法律案を作らねばならぬようになっている。一つも政府は責任を感じていないじゃないか。
 この一点の問題についてどういうふうにお考えですか。
#21
○国務大臣(池田勇人君) 政府といたしましては、そのときの状況におきまして、一応の見通しがこうあるのじゃないかという発表はいたします。それは従来五カ年計画、いろいろな計画でしております。たとえば、本年の経済成長率につきましても、半年くらいでずっと変ってくる。これは業界の方でも承知していただいておると思います。一応の見通しでございます。だからそれが狂ったからといって、これは政府の責任だということは私は言えないと思う。
 第二段に、合理化法を作りましたときには、相当石炭は下がると考えておったのであります。しかるところ下がりません。しかも三十一年、三十二年の好況によりまして炭鉱労務者は一万五、六千人増加したわけです。従ってそのときは失業者が出なかった。しかるところ、三十二年暮から三十三年にかけまして、先ほど総理が計われたように石炭事情がよほど世界的にも変って参りまして、ただいまのような失業者が続出状態になったので、政府は今までの対策よりももっと進んた、今回御審議願っておるような法案を出した次第でございます。
#22
○鈴木強君 関連。通産大臣の御答弁は今度の総括質問の中でも非常に不親切ですよ。慎重論をとられることはわかります、その点についてはようわかりますが、しかし、もう少し日本の経済の今後の見通し等に十分触れられて、そうしてその具体的な御答弁をいただきたいと思うのですがね。私は三日間こう聞いておって、非常にぶっきらぼうに一言二言言って引っ込んでしまう。そういうようなことではわれわれは審議ができませんから、もう少し親切に答弁してもらいたいのです。
 そこで、あなたの本会議における石炭問題に対するわれわれの質問に対して、現在の炭主油従政策は堅持していく、こういうことをあなたはおっしゃっている。それならば、炭主油従政策というものをエネルギー的にどう換算して、日本の必要量を石炭と重油でまかなっていくか、こういった基本政策をやはりはっきり示して、その上に立って石炭政策を考えてもらわぬと、口では炭主油従政策と言っておるのだが、現実にはどうもそうでないような私は気がしますから、具体的な炭主油従政策を堅持していくというなら、どういうようなあなたは見通しを持っておるのか。その点を承っておきたい。
 それからこの機会に総理に承りたいのだが、あなたは、今後のエネルギー対策についてはいろいろと御検討になって、近く通常国会にお出しになる、こういうことですがね。現に原子力にエネルギーが依存するような形で、コールダーホール型の原子炉を日本に持ち込む、これは今問題になっていることですが、そういうふうなこともありまして、今後原子力に依存するものと重油に依存するものと石炭と、おおまかに分けて三つあると思うのです。こういうふうなエネルギーをどういうふうに日本で今後基本的な政策として持っていくか、こういう点を明らかにしてもらいたいと思うのですよ。現実に、阿具根委員がおっしゃっているように、政府の政策の欠除から今日労使の間にいろいろと紛争が起きている。これは合理化が進み、政府の政策、あるいは世界の石炭事情の変化から、日本がその方向にいかなければならないことはわかります。しかし現実に長年の問、非常に日本の重要なエネルギー政策の一環として政策に協力してきた人たちが、合理化という形、あるいはその政策の変化によって職を失うということに対して、もっと思いやりのある措置を出しておやりになればいいのだが、そうでないような私は気がする。そういった点を今後総理はどうお考えか、この点を一つ具体的に私は聞きたいと思う。
 それからもう一つ関連をして通産大臣、大蔵大臣にお伺いをしたいのは、輸入関税の問題で、あなたの方では今の軽減措置を廃止するというような考え方を持っているようなんですが、これも石炭問題と非常に関連がありますから、あなた方は輸入関税の軽減の措置を廃止する見通しをはっきり持っておられるのですか。ことに重油関係について関連がありますから、この際これは通産大臣、大蔵大臣、両方から聞きたいと思う。
#23
○国務大臣(池田勇人君) 炭主油従の政策は私も堅持していきたいと考えております。なぜこういう問題が起りますかというと、石炭が非常に弱くなった。弱くなったから弱いものを助けなければならぬというのが炭主油従の政策であります。しからばどのくらい弱くなったか、どれだけ弱くなるかという現在と将来の問題がございます。たとえば重油と石炭との関係で、メリットの問題にいたしましてもあるいは七%というし、あるいは一五%、これはまあ産炭地ではそういうことはございません。京浜、名古屋、大阪方面ではかなり違っておるわけです。しこうしてこの違うメリットが今後どうなるかという問題も研究しなければいけない。そういう点でただいま検討いたしております。最近大手十八社がいろいろ研究をいたしまして、昭和三十八年には八百円程度下がる、それから消費者側ではその程度じゃとても問題にならぬ、こういうふうなことで議論しておりまするが、私はもう少し両者とも掘り下げて、石炭はどのくらいの値段でいくべきか、これをまず出しまして、しかるのちそれでもなお足りないときにどういう方策をとっていくか、あるいは関税の問題もありましょう、あるいは石炭事業についての合理化の問題もある。たとえば最近の開山した山で、一人あたり五十トン出すという山がございます。非常に単価が低い、合理化してやっておるから。今後石炭をどういうふうにしたならば重油と競争し得る程度にいけるか、石炭自体。そうしてそれでもどうしてもいかぬというときには、石炭をどのくらいの生産に押えるか、そうした場合に、エネルギーがどんどんふえていくときに外貨にどういうふうな関係があるか。たとえば一千万トン違いますと一億五、六千万ドル違います、外貨が。こういう点を研究いたしまして、なかなか動く経済のもと、また重油の値段が下がり気味でございます。なかなかむずかしいのでございます。まず第一、石炭業者につきまして、合理化の根本方策を立てさしております。そうしてそれによって消費者がどういうふうにそれにマッチしていくか、私はきのうもそういうことを指示しておったのでございまするが、生産を合理化すると同時に、消費についてどれだけの合理化ができる、そうしてどれだけいわゆる長期契約ができる、こういう問題を検討いたしておるのでございます。私の今当面しておる一番重要な問題として日夜苦慮いたしておりまするが、まだ結論まで至っておりません。しかしこれは長引かすわけにいきませんので、次の通常国会、とにかく年内には大体の方針をきめたい、こういう気持で進んでおるのであります。
#24
○国務大臣(岸信介君) エネルギーの問題を総合的に検討する必要はあると思います。そうしてエネルギーの問題は科学技術の発達や、いろいろな変化等によりまして比較的長期の見通しと、また比較的現実の問題としての問題と、二つを考えなければならないと思います。原子力の問題は、将来の原子力の平和利用の問題としてまだ未開発の領域が相当多いと思います。従って今日直ちに、今の石炭油の問題のような現実の問題として、原子力の問題を同じ段階で考えるということは適当でない、しかし長期の問題としては、私は重要な問題として考えなければならぬ。現在のところで一番問題は、先ほど来御議論になっておる、石炭と油の関係をどういうふうに処理してゆくべきか、という点に頭を置いて考えていきたい、こう考えております。
#25
○国務大臣(佐藤榮作君) 石炭と石油の関係において、関税において何か工夫する余地はないかというお尋ねであったと思います。御承知のようにエネルギー資源としての石油、あるいは原材料としての石油、これらの産業に及ぼす影響等を考えまして、今日まで関税の面で暫定措置をとっております。最近、ただいま通産大臣からもお答えいたしましたように、価格は下りぎみでありまた船賃等も安い、そういうような点から、このままにしておくことがいいか悪いか、これは十分検討に値することでございまして、ただいま実は検討中でございます。こういう点を明確にどういう方針たと、かようにお尋ねでございますが、これが影響するところが各方面でございますので、ただいま私どもも慎重に検討して、しかる上で来年度予算編成にとりかかりたい、かように考えております。
#26
○阿具根登君 途中で質問が変わりましたのでちょっとあれなんですが、先ほど池田通産大臣が言われました、経済情勢が変わったから長期エネルギー対策は変わったと言われたが、それでは総需要量においては変わったのか変わらないのか、エネルギーの総需要量において変わったか変わらないか、それをお尋ねいたします。
 それからもう一点、先ほどの合理化法の問題ですが、三十年九月一日以後合理化法で、あのとき政府が説明したのを実行したかしないか、お伺いいたします。
#27
○国務大臣(池田勇人君) 総体のエネルギーの需要量は御承知のように相当ふえております。年に一割あるいは一割二、三分ずつふえております。石炭自体はあまりふえません。ふえを考えますと重油の方は四、五年間に八割あまりふえている。電力の方は六割程度、それから石炭の方は四分、四%くらいの状況でございます。これは日本ばかりではございません。各国ともそういうふうな状況に相なっております。できるだけ石炭をふやしたいというので、いわゆる炭主油従の政策としては、ボイラー規制法等を今もなお強行しておるような状況であるのでございます。今度のボイラー規制法につきましても、どういうふうにするかということも今考えておるのであります。先ほど大蔵大臣が申しましたように経済全体に非常に影響がある、いわゆる物価面の元をなすものであるから慎重に考えなければならぬと思います。
 それから三十一年の合理化法のとき政府がどういう約束をしたか、そのとき私おりませんので記憶がございません。後ほど調べてお答えいたしたいと思います。
#28
○阿具根登君 ただいまの問題、総理に御答弁願います。総理は十分御承知のはずでありますから。合理化法ができますときには、われわれは数万名の失業者が出るということをはっきり申し上げておる。そのときに、その失業者は公共事業と川崎線で完全に吸収することができますということをはっきり言われておるはず、それを実施されたかどうか。
 それからもう一つ、ただいま池田通産大臣が言われたけれども、五十年に二億七千万トン、石炭換算でエネルギーを使うようになっている。このエネルギーの総量は違うのか違わないのか。
 それからもう一つはこの長期エネルギー政策が変わらざるを得なくなったということになるならば、それに対応するものが早急に出されなければならぬ、またそれによる被害が、これが一部国民に与えられるとするならば、これは政府としての政策を立てなければならない、この三点についてお答え願います。
#29
○国務大臣(岸信介君) 石炭合理化法によって生ずる離職者、失業者を公共事業において吸収し、さらに川崎線の建設にこれを吸収する、そうして万遺憾なきを期するということは、当時御指摘のように政府もそういうことをはっきり申し上げておる。ところが実際にそれでは川崎線にどれたけ入ったかというような数字につきましては、あるいは労働大臣等からお答えした方が正確であると思いますが、一般的に申しまして、われわれが予想しておったようにこれに吸収された数が非常に少ないのであります。ところがそれは実は経済界各般の事情が比較的に上昇過程にありましたために、なかなかこの方面に実際に就職するというふうな数も少なく、またわれわれが予想しておったように、合理化法の施行によって多数の失業者が出なかったというような結果から、実はわれわれが予想しておったように吸収ができなかったということでありますけれども、結果的に全般的にいって、そのため非常な多数の離職者、失業者が出て、社会的不安を生じこれらの人々に非常な不幸な状態を現出して、そうして政府が放擲しておったというような事情ではなかったと思います。
#30
○国務大臣(松野頼三君) 補足して御説明申し上げます。阿具根委員も非常によく御承知のように、石炭の労務者は非常に移動性が強くて、ある場合には三十万の全労働者の中で、ある年には五万人が離職して六万人がまた石炭に吸収される。そうすれば逆に一万人ふえる。従ってその離職者たけでは石炭の失業者といえませんので、今でも御承知のように山から山への移動性が非常に強かったというところにも特徴がございますので、合理化法で毎年五千人が離職しておりますが、しかし三十一年、三十二年、三十三年と非常に石炭が好調で、ある時期には逆に労務者がふえました。従ってその当時は公共事業に吸収されるよりも、石炭部内で実は吸収されまして、三十二年ば五千何百万トンという出炭量も出ておりますように、労務者も一時的にふえた年もあるわけでございます。従って合理化で出た者が全部離職で、永遠に公共事業で救わなければならないという対策も立てましたけれども、公共事業に吸収するよりも、やはり似かよった石炭に吸収されましたので、川崎線には実はあまり石炭の離職者は吸収されませんでした。もちろんいろいろ障害もございましたでしょうが、実はその他の石炭に吸収をされたというのが現状であります。私も当時はおりませんでしたし正確には申せませんが、統計上はそういうことで今日までやっております。これは阿具根委員御承知のように、石炭離職者というのはそういう特殊性がある。従ってその特殊性に応じて、今回は特別立法が必要だった。ここにも実は石炭労務者の特殊性、そういうものが実はあるわけでございます。
#31
○阿具根登君 炭鉱の実情を御存じないから、そういう紙の上での御答弁になってくると思います。一応、大臣の方々おひまもないと思いますが、筑豊炭鉱に行っていただければわかる。それだけ移動性が強くてそうして就職が簡単であるならば、雨の降るような家の中で生活はいたしません。ほとんど吸収されておらない。それが現実の姿でございます。黒い羽根の姿でございます。私は、総理大臣並びに関係閣僚の方々が、それは政治であるからあやまちもございましょう。あれはあやまちであったということがなぜはっきり言えないのか。だれも責任を感じようとしなさらない。あの場合ああいう政策を立てたけれども、この政策が完全にできなかったのは政府のあやまちたった。だからこういう法律案を作ったんだとなぜ言えないのか。長期エネルギー計画を立てられたのは僅々二年前だ。それが今経済状態でまずい。こういうことになるならば、もうすでに炭鉱は、普通の品物をここに置いたからあとに返すというようなものじゃない。それは設備しなければならない、人も入れなければならない。それが経済状態で急にまずくなったというならば、その対策を立てる責任がある。またそういう長期エ不ルギー対策を立てて、発表されて、あのときはそういう感じで、ただ責任を負うとか食わぬでなくて、こういう考えを申し述べただけで、こういう責任をのがれることはあり得ない、許されないと、こう思うのですが、いかがですか、総理大臣。
#32
○国務大臣(岸信介君) 政府が今石炭のエネルギーの目標としていろいろ、どれくらいのものを目標としているかというようなことにつきましては、先ほど通産大臣が申し上げましたように、業界の人々とも話をして、大体の目標というものに向かって努力しようというふうな考えを当時きめて、それで進んできたのでございますけれども、私ども、いわゆる政府が計画をして、計画経済を行なって、一切の責任を政府がとっていくと、経済の発展計画について。こういう立場を実はわれわれはとっておらないのであります。従ってそういう目標というようなものにつきましても、これは今責任があるとかないという、これでもって政府が責任をのがれるということじゃございませんが、そういう計画経済の目標とは違っておるということを本質的に御理解いただかなければならないと思います。もちろん、今お話を申し上げましたように、石炭合理化法を施行いたして、そうして能率の悪い山をしめ、買い上げて、それから多数の相当数の失業者が出る。これに対する対策をどうするかということは、当時真剣に政府としても考え、今、先ほど来申し上げたような公共事業や、あるいは川崎線に吸収するということを確かに私どもも申し上げたのであります。しかし今、私は、当時の事情が、われわれ予想しておったように、公共事業や、あるいは川崎線に吸収しなければならない、またその方向に職を求めてくるということが、われわれ予想しておったようには出てこなかった。これは今、川崎線の施行についての施行方法が十分でなかったとか、いろいろな原因もありましょうけれども、私はやはり大きな原因は、当時の石炭事情、一般経済界の事情から、それらがあるいはほかの石炭の山に吸収されたり、あるいは他の産業にいって、そうして川崎線や公共事業に吸収しなければならない、またその段階にくると思ったのが、われわれが予想しておったように多数でなかった、こういう結果であったと思うのであります。
#33
○阿具根登君 総理は計画経済じゃないから政府の責任はないと、こういうことを言われるわけです。しかしこれは国内産業のみを考えた場合には、あるいは自民党の政府としてもそういうことも言えるかもしれない。しかし外貨を使って外国の油を入れておられる。そうするならば、計画ということが考えられるわけです。三十年には二億八千九百万ドルの油が入っております。それが三十二年には五億二千六百四十万ドル、約倍になっております。それを重油だけに見てみましても二百万トンから五百万トンです。こういうことを片方でするならば、片方で石炭が余るのはわかってきている。政府はこういうことになるのを一応の計算に入れていろいろ政策を立てられておると私は思うのですが、いかがでしょうか。
 それから通産大臣にもう一点質問いたしますが、現状を認めておりながら、通産大臣はどれだけ炭価が下がるか、業者において最終の案を出さしておると、こういうことを言われるわけです。そうしますと、池田通雄大臣は、自由経済であるから、だからその自由経済の中において油と太刀打ちできるだけの態勢を整えなさい、こういうことを言っている。言いかえれば強いものは残り弱いものはつぶれるんだ、こういう姿になると思うのですが、いかがですか。
#34
○国務大臣(池田勇人君) 今石炭の問題につきまして、先ほど申し上げましたごとく、全体の石炭をどこまで持っていくかというところでございます。従ってわれわれといたしましては、最近技術革新によりましてエネルギーの流体化ということが非常に問題になってきたのでございます。で、できるだけ重油採用を毎たびの外貨予算につきましてしぼっております。しかし日本の経済の上昇から申しますると、これはもう石炭の価格は高い、これをどうしても高くても買えというわけにはいかぬ。従ってできるだけ石炭の値を安くすると同時に、重油をできるだけ押える、こういう政策をとっておるわけでございます。しかしこの政策も限度がございます。ボイラー規制法のように、世界でやっていないようなことをやりましても、そうなってくるのが現状なんです。ここで根本的に考え直さなきゃならぬというので、通産省は今その仕事に手を染めたわけでございます。こういうわけで、われわれとしてはできるだけの規制をいたしておりまするが、まあ、根本的な一つ策を立てる。
 それからもう一つは、石炭の各山ごとにつきまして、一応君らはどういうふうな合理化をやっていこうとするのかということを聞かれましたが、各山ごとにやっております。しこうして、各山ごとを見まして、大体メリットを七%を一五%にする、これによって、違いまするが、重油と競争し得る山は、大手十八社のうちで、それだけの競争し得る山だとよほど少なくなってくる。しかし、これは今言ったように千五百万トンとか二千万トンでやっていくということになりますと、採算の悪いところはやめていこうということになりますから、しからばこれを、山をできるだけ残していって、大手の方で三千万トンとか三千五百万トンくらにするのにはどういう合理化をやるかということを研究しておるのでございます。私といたしましては、できるだけエネルギーを石炭に求めようということでいっておるので、いい山は助長していきますし、悪い山でどうしても立っていかぬのなら、新しい資本をつぎ込んでいって、そうして配置転換等でできるだけの石灰を確保しよう、こういう考えでいっております。
#35
○阿具根登君 まあ、御存じのようですから、私がしゃべると私の時間が減りますから、あまりしゃべりませんが、通産大臣が考えておられるようなことでいけば、石炭協会の最終の案を見ても、三分の二の労働者をやめさせなきゃならぬ、こういうことになるわけです。二十万近い労働者をやめさせなければいけない。そういうことは不可能であるということを言っております。そうして最終的にトン当たり八百円値下げしても三分の一城らさなければならない、こういうことを言っておるわけです。で、大臣がそういうことを言われるならば、油と石炭と丸裸で競争させて、勝つか勝たないか、これは今も油値下がりだといっておられますが、協会ですら八千三百円に踏んでおります。一カロリー当たり八十三円ですね。ところがこれは世界の情勢から見てももっと下げられます、もっと下がってくる。こういうことはあり得ない。そうするならば、どこで油をストップするかということを考えなければならぬ。西ドイツは御承知のように輸入炭五百万トン以上のものに対しては一千七百二十五円の関税をかけた。石炭に対してかけた。それから重油に対しては三十マルク――二千五百二十円の関税をかける、こういうことを今審議されておる。しかも重油は国内産業を守るために、この二年間国際価格よりも下げてできない、こういうことまではっきり約束されておる。その上において石炭対策をどうするかということを論議されておるが、大蔵大臣この点どういう考えを持っておられるか。日本では、具体的に申し上げると、本会議でも言われましたように、一〇%の税金がかかるようになっておるのを、臨時措置法で引き下げられた。これをもとに復元するか、あるいはC重油に対して地方税をかける考え方があるか、そうして一応のバランスをとった上で石炭対策を立てるというようなことを考えておられるかどうか、これを質問いたします。
#36
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど関税の問題についてお答えいたしましたように、これは国内産業に及ぼす影響が非常に大きい。従いまして、これは慎重に考えなければならない。同時に、私どもはこの際に一言つけ加えておきたいのは、為替貿易の自由化ということに踏み切っておりますが、それかと申しまして、国内産業を裸のままにいたしまして国際競争に当面さす、こういうような考え方は持っておりません。従いまして、一面石炭の関係だけから見ますれば、石炭をうんと使うように、私ども工夫しなきゃなりませんが、同時に国際競争力という点から見ますと、石炭業界も十分工夫していただき、合理化をはかっていただいて、そうして国内炭を十分使っても、国際競争力にひけをとらないように、そういうような適正価格にやはり持っていっていただかなければならないと思っております。とにかく、今当面しておりますのは、そういう基本的な考え方がございますが、石炭鉱業は非常に不振なんです。そういたしますと、やはり国内産業に対する保護、それともあわせて、そうして結論を出していかなければならない。だから簡単に、関税については今日臨時措置をとっているのだから、この臨時措置をもとに復せばいいじゃないかという問題だけじゃない。先ほどの重油ボイラー規制法の話が出ておりますが、為替にいたしましても、どういうような段階においてどういうようにとるか、これはなかなかそう簡単に参らない。かように申したからといって、石炭についての保護政策をやめるという考え方はないということを十分御了承願いたいと思います。
#37
○阿具根登君 どうもどなたの御発言を聞いても、石炭は国内産業であるから、これを保護しなければならないと口では言われるけれども、その対策は慎重に研究しておるということで、一切これは口を縅して言われない。現実は相当な離職者を出して、合理化とは首を切るものなり、こういうことをやっておられる。日本は御承知のように、外国から比べてみると、労働力は豊富にあります。西独にしても、あるいはイギリスにしても、同じ石炭の問題が起こっておるけれども、この労働力の少ない国でさえ、非常にこれに対する保護政策を考えられておる。そうして労使問題の紛争はなるべく避けるように政府は政策を立てられておる。ところが、今総理大臣以下閣僚のお話を聞いてみると、何らそういう対策を立てられておらない。こういうことになってくると、今のままで石炭の労使間の紛争は続けなければならない、こういうことになってくるのはやむを得ないのだ、こういうようにお考えになっておるかどうか、総理大臣からお答え願います。
#38
○国務大臣(池田勇人君) われわれは手をこまねいて見ておるというのではございません。いろいろの問題を出して検討しておるのであります。今の原油、重油に対する軽減税率をもとに戻しましても、それだけで石炭対策ができたわけでもないので、やはり石炭自体についての根本的な改善をしなきゃならぬ、こういうので策がないのではございません。いい策を今考えておるのでございます。
#39
○阿具根登君 あなた方は自分で直接そういうことを感じないからそういうことを言われるけれども、いい策を立ててもらうのはけっこうです。しかし、その間に犠牲者の出ないように、日本の経済がかくらんされないように、もっと早くそれをやるべきです。どんないい楽でも死んだ者に打っても役に立ちません。ほんとうにいい薬があるから持ってくれ、どんないい薬を作っても、死んだ人間は生きられないのです。もっとこうなる前に、その薬は死ぬ前に打つべきです。そうすれば今現に皆さんの腹の中にあるはずです。どうあるべきだということは持っておられるはずです。それをここで言えないだけだと思うのです。そうしてこの労使の紛争を見ておいて、その結果において政策を出したい、こういう私は非常にずるい考えじゃないかと、こういうふうに考えるわけですが、そうじゃないですか。
#40
○国務大臣(池田勇人君) 決して労使の紛争が解決をしてから出そうというのではない。出すのは通常国会に出すのでありますから、片一方では労使の合理化につきましていろいろ交渉なさるでしょう。しかし、それもそうでございますが、われわれはそれより、それに応じてというのではございません。石炭のあり方については、政府は政府としての考え方をきめようといたしておるのであります。臨時国会に出す程度にはまだまとまっておりません。次の通常国会まで……。
#41
○阿具根登君 そういうことを言っておられながら、一方では経営者に対して合理化を進めろ進めろと言ってこういうことをやらせている。これはほんとうであるならば、政府は政策を考えるか、政府の長期エネルギー政策によって今日まで石炭はやってきて、そうしてこういう不況時代になってきたから、今度政府は石炭政策を変える。総合エネルギー政策に対して、炭主油従のもっとはっきりした線を出すからしばらく待ちなさい、これならわかります。そうでなくて、あなた方は合理化を進めなさい、重油に太刀打ちできるように炭価を下げなさい。こういうことを言っておられます。
 で、質問を続けますが、たとえば通産大臣は、炭価は高い、炭価は高いとおっしゃる。確かに高い。山元の千数百円の石炭が東京で石炭を買うならば一万円以上します。大臣使ったことはないかもしれませんが、われわれ、ふろで使えば一万円以上だ。だれが一体もうけておるか。こういうことを考えてみます場合に、石炭の不況のたびごとに今まで業界並びに政府は、あるいは昭和石炭株式会社を作ってみたり、あるいは配炭公団等を作って、そういう販売機構の一新をして、そうして炭価のつり上げを防いでおるわけです。この場合そういう考えはないか、それが一つですね。それから一つは、こういう荷炭価の原因を探ってみますと、昔ながらの先願主義の鉱区権を握っておる。だから自分のところにはあり余るほどの石炭を持っておりながら、しかも今度は掘る石炭もないような小さいところで能率の上がらない炭鉱をやらしておる。だから私は石炭の値段が下がらないんだ。こういうことを考えてみる場合、先ほど有望な炭鉱を開発すると言われた。政府は三十二年、三十三年で八千万からの金をかけて有望炭鉱はどこかということを調査されている。三池の北部、あるいは宇部の東部、あるいは常磐、北海道、こういうところの一応の炭量を調べておられる。こういう一つ鉱区を開放して有望石炭を掘る、こういう考えはないか。鉱区の開放、それから販売機構の一新、こういうことを考えておらないかどうか。
#42
○国務大臣(池田勇人君) 石炭が非常に高いのは、やはり輸送、販売機構にその原因があると思うのです。従いまして、今お話しのように、以前行ないました配炭公団というふうなことは私は考えておりません。今の流通機構につきまして合理化をはかる。たとえば港湾施設、荷役施設、あるいは運送等につきまして、できるだけ経費のかからぬような方法で行なってみたいと思うのであります。今東京で一万円しておるかどうか知りませんが、大体阪神で千二百円ばかり九州より高い。東京で千五百円ばかり高いのであります。それ以上に高いのは、これは個人と、中小企業その他の手数料なんかで、そうして石炭の需要増大につきましては、やはり大口の方との長期契約をしまして、今三千になんなんとするいろいろの石炭の種類がある。これは火力の方でいきますと、総合して混炭してやれば運賃、その他非常に合理化されると、こう考えますので、その点も今後やっていきたいと思っておるのであります。それから鉱区の解放と言われまするが、これは所行権の問題でございまして、私は今すぐ、皆様方のお唱えになっておるような所有権を剥奪するようなことはいたしませんが、優良な鉱区につきましては、所打者が進んで開発するよう資金的にも今後考えていきたいと考えておるのでございます。
#43
○阿具根登君 それでは、今の問題につきまして鉱区の解放は考えておらない。租鉱権の解消は考えておられますか
#44
○国務大臣(池田勇人君) 具体的な問題で、たとえば直方方面におきまして、各所有者が鉱区を持つと、そういう場合において、これを合同してやった方が非常に合理的になるというようなときには、政府としても勧告をしてもいいんじゃないかという気持はございます。
#45
○阿具根登君 私が言っておるのは租鉱権の解消です。たとえば保安方面から見ても、三年や五年で完全な設備ができるわけはないんだと、それから合理化法案の一番の抜け穴はそこですよ。合理化法案の一番の抜け穴は、たくさんの鉱区を持っておって、それに坑口を持っておっても、その抗口で石炭が能率が悪くなった場合には、これは石炭局の許可も得ずに第三者にこれを譲ることができるわけです。租鉱権で、これを掘らせることも勝手にできるわけです。この租鉱権を解消する意思はないかということを聞いているわけですよ。
#46
○国務大臣(池田勇人君) 租鉱権を解放するということは、非常に重要な問題でございますので、今砿業法の改正、その他改正を審議いたしまして、これに対しての態度をきめたいと思っております。
#47
○阿具根登君 総理大臣にお尋ねしますが、高碕通産大臣の場合は、私の質問に対して、確かに租鉱権の問題については解消すべきであると、あるいは三年、五年というようなことはまずいから、長期のものにすべきであると、こういうことをはっきり言っておられましたが、通産大臣池田さんになりましてから、政策変りましたか、お尋ねいたします。
#48
○国務大臣(岸信介君) 租鉱権の問題につきましては、今通産大臣がお答え申し上げましたように、鉱業法の改正の問題として、全体を慎重に検討して結論を得たいと、かように思っております。
#49
○阿具根登君 鉱業法の改正は、すでにもう、二年も三年も前から言われておるけれども、これは言われただけで実際実施はできない。しかしここまで炭鉱が追いつめられたならば、それこそ鉱業法の一部改正でもして、こういうものは、やはり正しい姿に変えなければならないと思っておりますが、その意思もございませんか。
#50
○国務大臣(池田勇人君) 鉱業法の改正につきまして、通産省といたしましては、今年六月から審議会を開いて、ただいままで六回ほど開いて、法律問題が大いにございまするから、委員は大体法律家あるいは学識経験者をもって組織しておりまするが、これだけではいけないというので、鉱業関係団体あるいは地方団体等々、関係のある方にいろいろ意見を求めまして、そして改正の成案を急いでおる次第でございます。
#51
○阿具根登君 時間があまりないので急ぎますが、合理化法で今日まで幾つの炭鉱を買い上げたか、それから石炭局は幾つの炭鉱を許可したか、お伺いします。
#52
○国務大臣(池田勇人君) 整理したのは百六十かと聞いておりますが、正確な数字は事務当局からお答えいたします。
#53
○阿具根登君 よく御存じです。百六十です。そのかわり百五十四の炭鉱を新設されている。片一方では業者がトン二十円は出しておりますが、これは税金の引き下げ等で、政府も相当努力をして、百六十の炭鉱を買い上げられたが、その半面石炭局では百五十四の炭鉱を許可されている。
 聞くところによりますと、許可された炭鉱が、まだ三年にもならぬのに、今度は買い上げて下さいと言っている。買い上げるために許可するようなことをやっている、こういう実情がありますが、御存じですか。
#54
○政府委員(樋詰誠明君) 片一方で買い上げをしながら、片一方で坑口の開設を許可するというお話しでございますが、御承知のように新規に坑口を開設いたします際には、不炭鉱業審議会の坑口開設専門分科会というところで、厳重なる審査を行なった上で開設をしているわけでございまして、地域によって違いますが、大体平均いたしまして新しく開設された坑口が能力を発揮するようになれば、大体、能率が二十六トン以上、平均ですが、出せるというふうに認定した山だけを許可するという格好でしているわけでございます。
#55
○阿具根登君 その新規に百五十四の炭鉱を許可されている、これは法律によって十八トン以上に出る山でございます。全部十八トン以上出ているかどうか。それから代替が七十四炭鉱ある、その外に租鉱権の炭鉱が六十六あります。これを正常な姿とお考えになるかどうか。
#56
○政府委員(樋詰誠明君) 御承知のように租鉱権というのは、鉱区の一部につきまして、経済的な開発ということを大規模にやるというのでは、とても引き合わぬけれども、小規模にやるというのであれば引き合うといったような場合に、たとえば残炭掘りといったような見地から、国家資源をできるだけ百パーセント活用したいという措置で認められているというわけでございますので、この制度そのものの存廃につきましては、これは先ほど大臣から申し上げましたように、鉱業法の改正審議会、慎重に今検討いたしておりますけれども、残炭掘り、国家資源の百パーセントの活用というような見地におきましての何らかの措置ということは、やはり一応考慮するに値するのじゃないかと、そういうように考えております。
#57
○阿具根登君 どうせ局長が答弁するなら、もっと細部のことを質問いたしますが、租鉱権山、一トン幾ら取っておりますか。租鉱権利に出した場合にトン幾ら取っているか、いわゆる地主として地主代幾ら坂っているかということを聞いておるのです。
#58
○政府委員(樋詰誠明君) それは鉱業権者と租鉱権者との間の個々の契約によりまして、いろいろございますので、大体幾らくらいということは、私この席ではお答えいたしかねます。
#59
○阿具根登君 通産大臣、そういうことでいいでしょうか。国家資源が大切だから、残炭掘りを他の業者にやらせるんだということが言われております。残炭掘りになるのは、通産大臣が一東きらいな能率の低下は当然のことです。そうして人命に異常なる被害を与えるということも当然なことです。そういうことをしておいて、今度はその山から何トン出すか、何千トン出すかわからないけれども、トン当り千円なり、二千円なりの、いわゆる権利を与えた租鉱権料を取っている。先願主議で取った自分の鉱区を人に貸して、そうしてそれをピンはねしてもうかっている、こういうことが正常な姿であるかどうか。
#60
○国務大臣(池田勇人君) ただいま石炭局長がお答え申し上げた通り、これは鉱業権者と、また残炭掘り屋の契約でございますから、幾らになるか、いろいろ種類があると思います。しかし人命その他につきましては、鉱山保安局におきまして相当関心をもって監督いたしておると思います。しこうして、こういう問題を根本的に解決すべく、鉱業法の改正を今検討しておるのであります。
#61
○阿具根登君 鉱業法の改正は、もう数回聞きましたから、私もそれを待っておるんですが、目標はいつになるか、いつ、これは鉱業法を変えるということになるか、一応の目標が立っておると思うんですが、それをお伺いいたします。
#62
○国務大臣(池田勇人君) いろいろ法律関係もございますし、また、いろんな経済的にむずかしい問題もございまするから、十分私は審議いたしたい、これを一カ月、半年早まってやるより、慎重にやった方がいい。しかし、できるだけ早く結論を出したいと考えております。
#63
○阿具根登君 そこで、私の時間が切れましたので、ただいままでの質問を総括して、一つお答え願いたいと思いますが、約一時間、質問と答弁で時間をいただきましたが、私どもが期待するような答弁は一つもなかったわけです。
 しかし、現実は、石炭の不況と、あるいは斜陽産業だと言われて、非常な苦しい労使間のあつれきが起こっておることは御承知の通りです。そうするならば、総理大臣は、今のようたお答えでなくて、数字がここで述べられないならば述べられないでけっこうです。、だから、重油に対して、どういう考えを持っておるか、また、重油と石炭の比率をどう考えておるか。五十年度の二億七千万トンの総合エネルギーの量は変わるのか、変わらないのであるか、この点をはっきりお知らせ願いたいと思います。
#64
○国務大臣(岸信介君) 数字的のエネルギーの総量はどう見るかというようなこと、それから油と石炭の比率をどう見るかというようなことにつきましては、政府としては十分検討して、これに対する考え方をきめなければならぬと思いますから、目下検討中でございますから、ここで申し上げることはできません。
 ただ、私は先ほど来申し上げておるように、日本の石炭業というものと油というものとの関係を自然の成り行きにまかしているならば、現在のままに放ってまかしているならば、これは油がずんずん伸びていくという形になるだろう。その結果として、石炭に対して非常に大きな影響を与えることになると思います。これはやはりこの間を調整して、先ほど来申しているように、炭主油従ということは、われわれがエネルギーの基本として考える、それにマッチするような調整の方法を考えていかなきゃならぬ。今具体的に、あるいはボイラーの規制によって総量を規制するというようなことを、そうして、どういうふうに措置をするというようなことを申し上げることは適当でないと思います。また、これを調整する上において、あるいは関税その他の問題も一つの研究題目になることも、先ほど来、阿具根委員の御指摘になっておる通りだと思います。
 それらのことを総合的に考えて、とにかく、炭業の将来に対する比較的安定した形における石炭業というものの成り立っていくことを考えた調整を考えなきゃならない。その具体的の方法、また、それをどういう程度に調整するかというようなことにつきましては、さらに検討中でございますから、具体的にきわめて、そうして通常国会に出したい、そうして今回の臨時国会においては、とにかく、これから出てくるところの離職者に対する緊急援護の方法に関する方策について御審議を願う、根本の問題については、必ず通常国会までに具体的な方法をきめる、こういうふうに思っております。
#65
○阿具根登君 私が申し上げておるのは、経済の伸び、その他を十分お考えになって、長期エネルギー対策を立てられた、その総量においては、私は変わっておらないと思うんですよ。その中身において、これは炭主油従が逆な姿になってきておる、こういうことを考えておるわけです。そういたしますと、三十七年度は一億五百九十万トン、石炭に換算して、これだけのエネルギー源を使うことになっておる。これは変わらないはずだ。五十年度は二億七千万トン、そして、その内訳は、輸入に三十七年度に五百二十二万トン、国内産で一億六十八万トン、こういうことがはっきり示されておるわけです。
 それならば、頭が変わらぬのだから、中が変わらないためにどうするか、あるいは、変わらないようにするのだということにならなければ、今の状態でいくならば、五十年度は輸入が一億三千万トン、国内が一億四千万トンということになっておったのが、比率がうんと変わって、二十億ドルもの外貨を使わなければできないという数字になってくるわけですが、そういうことは日本の国情から許されることかどうか。許されないはずです。そうすれば、どのくらい規制するのだということがはっきりわかるはずです。国内だけのものでないのだ、外国にわざわざ外貨を切らなければいかぬのだから、どのくらいの外貨を使うのだ、日本の輸出入から見合わして、どのくらい油にこれは使うのだということは、皆さんすぐ頭の中で考えればわかるはずだ。それをお知らせ願いたいと言っておるわけです。
#66
○国務大臣(池田勇人君) 将来のエネルギーの問題につきましては、ただいま企画庁におきまして検討をいたしております。通産省におきましても検討いたしております。今お示しの数字は、私は変わるのじゃないかと思います。しかし、今これがまだ結果が出ておりません。御承知の通り、国内経済の伸びその他に非常に影響があるものでございますから、私は、今お話しの点は再検討しなければならぬと思っております。
#67
○阿具根登君 大蔵大臣、今の問題について。
#68
○国務大臣(佐藤榮作君) 大蔵大臣と申しますより、ただいま企画庁長官代理をいたしておりますので、その立場で申し上げたいと思います。
 御承知のように、所得倍増計画をすでに基本の方針といいますか、それを立て、また、与党からもその柱になるものを政府に対して示されております。しかし、企画庁におきましては、この所得倍増計画は、さらに経済審議会等に諮りまして、最終的な決定を必要とするものでございます。そこで、まだ企画庁の方の、政府の方の作業はおくれておる段階であります。
 従いまして、ただいま御指摘になりますこのエネルギー計画そのものが数字的に変わってくる、これは実は言えるのであります。さらに、この倍増計画で、国際収支の面について、どういう影響があるか、あるいはまた、国内産業の輸出の伸びにどういう影響があるか、それらもあわせて勘案して、そうして、長期エネルギー対策を立てたい、かように私どもは考えております。大へんくどいお話をして恐縮でございますが、そういう場合に、この国際収支のバランスの面だけでは割り切れないものもございますから、一面、その保護の政策は保護の政策とし、また、産業経済のあり方はあり方として、やはり双方の間に調整をとる、これは大蔵省としても、また経済企画庁としても、また通産省といたしましても、当然考えていくべきことだ、かように実は考えております。
 数字を申し上げることができないことは、まことに申しわけございません。
#69
○委員長(小林英三君) 重要な御質問ですから、時間を相当なにしたのですが、もう一問だけ。
#70
○阿具根登君 それじゃ、要望だけにいたしましてやります。ただいままで質問いたしまして、私の持ち時間は過ぎたようですから、これで、やめまして、要望だけ申し上げたいと思います。
 くどいほど申し上げましたように、すでに諸外国では、重油と石炭の問題についても、どこの国でも自分の国内産業ということを非常に強く考えておられるし、しかも自分の国の国民の闘争といいますか、あつれきといいますか、これを政府は非常に積極的に避けるような政策を立てておられる。私は日本の政府のあり方を見てみますと、強いものが残って弱いものはやむを得ないというような、闘争をこういうふうに刺激されておるのは政府の施策の緩慢からきている、かように思うわけでございます。なぜかならば、西独も、あるいはフランスも、あるいは英国も、申し上げましたように非常な政策を進めておる。しかも新聞で御承知と思いますが、同じ日本の炭鉱業者の中で、しかも一番有利な粘結炭を出しておる北炭の萩原吉太郎社長は諸外国を回ってきてこういうことを言っておられる。石炭の不況はどこの国でもあるが、英国において聞いてみたところが、英国は自由主義から国管になった、自由主義の場合はなま卵であったが、国管になったならばゆで卵になった、やはりゆで卵となまたまごと、その中間の半熟の卵というのがいいのではないかというようなことまで言われたと、この萩原さんが日本の石炭業界を見てみる場合には、日本こそこの半熟の卵に今なるべきである、今のように投げ与えられたような政策では炭鉱はやっていけない、政府がもう少し積極的に働いてもらいたい、いわゆる援護政策をとってもらいたい、こういうことを言っておられる。もうすでに私が一部述べましたように、配炭機構の一新とか、あるいは鉱区の開放とか、あるいは租鉱権の撤廃とかいうのはこれは常識です。石炭業界の、しかも一番苦労されておらない一番というような炭鉱の社長ですら、今のような資本主義の自由主義経済では炭鉱はやっていけない、少くとも半熟の卵くらいにならなきゃならない、こういうことを言っておられますことを十分お考えになって、積極的に早く対策を示されるよう強く要望いたしまして私の質問を終わります。(拍手)
#71
○委員長(小林英三君) 阿具根君の質疑は終了いたしました。
  ―――――――――――――
#72
○委員長(小林英三君) 次に米田正文君。
#73
○米田正文君 私は主として公共土木施設の災害復旧対策と、今後の国土保全の根本対策とについて質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、災害復旧対策でありますが、本年の相次ぐ水害及び風水害は物的被害の額においては二十八年災害に次ぐものでありますけれども、その質においては死者、行方不明五千人という悲惨この上もない空然の被害であって、現在なお多くの罹災者が住むに家なく毎日の生活に追われながら、しかも、まさに冬を迎えんといたしておることはまことに同情にたえないところでありまして、われわれとしては一刻も早く復旧の諸方策を決定いたし、これが実施を推進しなければならないことは言うまでもないところでございます。総理が今国会の当初に言われました、あとう限りの財源をもって災害復旧と民生の安定に万全を期する決意に基づきまして、現地においてはすでにその復旧対策が関係機関の努力によって着々と進められておるところでありますが、本格的な復旧事業はこれからでありまして、その第一年度分として今回補正予算案が提出されたものでありますので、その内容についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 この災害復旧基本方針としては、次の三点があると思います。すなわち第一に、災害復旧の早期完成をはかること、第二に、災害をふたたび繰り返さないために、総合的にかつ単なる原形復旧だけでなく、所要の改良を加えて復旧事業を行なうこと。第三に、これらのために地方公共団体等の財政の援助をするために高率補助及び負担を国が行なうことであると思いますので、これらの観点からお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一の早期完成のためには、早く予算を地方公共団体その他に交付しなければならないのでありますが、この補正予算が成立してからおよそいつごろになれば、それぞれの現地機関が使用できるようになるか、これはまあいろいろな現地機関がございますけれども、一例で地方公共団体、都道府県が代表的なものでございますが、都道府県が一体いつごろになったら、この補正予算成立後使用できるようになるかのお見込みをお伺いをいたしたいと思います。
#74
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、ただいま予算が審議をされておる最中でございます。しかし、ことしの災害のうちで、すでに査定の終わったものがございますし、それについて三十四年度一般予備費を使うことになっておりますものは、すでに工事に差手しておるものもございますし、従いまして問題は、この予算の成立後の分配もさることでございますが、できるだけ早く査定を終了すること、そうしてその査定の終わったものから順次予算を配分していく、こういうことにいたしたい。そこで関係省とも連絡いたしまして、査定を終了することにただいま全力を注いでおる状況でございます。
#75
○米田正文君 それはそうでございますが、一体いつごろまでと私がお尋ねをいたしておるのは、どうも今までの例から申しますと、相当時日がかかって、なかなか予算が決定しても都道府県警にいくのがおそくなるきらいがございますので、今回特に早くしたいという趣旨から極力早くやるように措置を願いたいという趣旨で言っておるのであります。事務的にできるだけの早い時間で届くようにお願いをいたしておきます。まあそれまでは各機関で政府のつなぎ融資だとか、あるいはいろいろな借入金によって災害復旧事業をすでに実施をいたしておるのでありますが、政府の今日まで出されたつなぎのための融資額は幾らになっておるか、お伺いをいたします。
#76
○国務大臣(佐藤榮作君) 十一月の十六日現在の集計でございます。これで災害つなぎ融資を運用部から出しました件数が二百三十八件、金額にいたしまして四十七億九千万円、また簡易保険からのつなぎ融資額が十六日現在で百五十一件、四十四億三千万円ということになっております。で、従いまして今日までに終了いたしましたものは合計して三百八十九件、九十二億二千万円という金額になっております。先ほど申しますように、今回の災害につきましてはできるだけ早く処置をとりたい、かように考えております。
#77
○米田正文君 この問題については現地に参りますと、こういうつなぎ融資貸し出しの方策をとられてもなかなか手続がむずかしくって、まあ意の通りに貸してくれないという声が非常にございます。今お聞きすると、九十億円をこすものが出ておるようでありますが、そういう点についてはこういう際でございますから、手続をあまりむずかしく言わないように措置をするように、特別な御考慮をお願いいたしておきます。
 大蔵省から今高配付されました資料によりますと、直轄の事業及び伊勢湾関係事業は除いてはおりますが、公共土木は農林水産施設及び都市等合わせて千五百五十八億の被害報告の額がありました。それに対して査定の見込額が一千七十二億となっております。これはちょうど報告額の六九%になりますが、やや過小ではないかという気がいたしますが、この見込率を六九%というのを使った理由を御説明願いたいと思います。
#78
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われたような数字になっておりますが、この場合の査定見込み事業費と被害報告額との比率は、いわゆる査定卒ではございません。申請率、言いかえますと、被害報告額と申請額との比率、これに査定率、申請額と査定額の比率を乗じて、さらに入札設計差率、入札設計差額による減額の率を見込んだ率、これは米田さん建設省におられたから、これらのことを御存じだろうと思いますが、それを乗じたものでございます。
#79
○米田正文君 そうだろうと思いますが、今お話のあったこの事業を入札に付して、そのたびに残額を生じてくるのが全体の何パーセントあるというようなことが、今までの実額から出ておると思いますが、その入札残率をここに査定見込み率の中に入れて勘定しておるわけだと、こういうお話ですが、これは大蔵大臣もやられたことがあって御承知だろうと思うのですが、入札をするときに一銭も残らずに仕事をするということは、一体できるものかどうか、そういうことは私は事務的にいって神わざに近いものであって、私はそれは行き過ぎだと思います。その点は実際に事務ができるようにしていくことが必要だ、残ったからそれだけ引いてしまうということになると、一銭一厘残さず入札しろということで、そういうことは実際問題として私は不可能たと思います。
#80
○国務大臣(佐藤榮作君) お説のような理論も成り立つと思いますが、これは今回初めてのことではございませんで、過去の実績からはじいた数字でございまして、私どもは十分これでやっていける、かように考えておる次第でございます。今回特にかような率を採用したということなら、御指摘のような点が問題になろうかと思いますが、過去の実績が主体でございます。御了承願います。
#81
○米田正文君 その問題は問題ありますけれども、そのままにして、いずれにいたしましても、先ほどお話がございましたように、災害復旧の事業の査定が完了しなければ事業費の総額は決定できぬわけでございます。各省とも今その査定をやっておる途中と思いますが、全部の査定が完了いたすのはいつごろになるか、特に建設、農林、運輸の予定をお聞きいたしたい。
#82
○国務大臣(村上勇君) 査定につきましては、非常に急いでいるのでありますが、現在まで大体六四%程度査定が終わっております。これをなお一そう督励いたしまして、来月中旬、十二月中旬までには全部の査定が終わる、かように思っております。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) 査定は目下取り急いでおりますが、東海三県の農地、農業用施設、これは十二月中に完了、それから現に湛水中の地域につきましては、明年一月末までに査定を完了する予定でございます。なお、鍋田、碧南、衣浦、酒井川、乙川などの地区につきましては、何回も申し上げましたように、もう事業に着工しているわけでございまして、鍋田を除く地区につきましては仮締め切りを完了いたしております。それから鍋田地区につきましては、一月末日までというのを目途といたしまして、目下取り急いでいる次第でございます。それから海岸災害一般の査定は、三十四年十二月中に完了の予定であります。干拓堤防の復旧と同様の方針で極力取り急ぐようにしている次第でございます。それからその他の一般災害につきましては、八月までの災害の分は、山梨、長野、静岡、石川、福井、滋賀、京都、大阪及び名古屋の九県以外はすでに完了し、この九県につきましても十二月末までに完了いたします。それから十四号台風、伊勢湾台風につきましては、東北、山梨、長野及び静岡を除く関東、中国及び九州地方は十一月末をもって終了いたします。その他の関東、北陸、近畿の全部及び東海地方の大部分は十二月末に完了、東海地方のうち現在湛水中の区域につきましては、排水後調査を行なう関係もあって、一部はその後約一ヵ月を要する見込みであります。それから十月災害につきましては十二月末に終了する予定であります。
#84
○政府委員(前田郁君) 運輸省の方はただいま査定中でございまして、来月中旬ごろに建設省と歩調を合わせてすべてのことを終わりたいと、こう考えております。
#85
○米田正文君 査定か全部完了しなければ今年度の災害の総額は確定せぬわけでございますから、各省か急いでおやりになっていることは非常にけっこうでございますが、ぜひ一そう御努力をお願いいたしたいのですが、おそらく私は今度の災害査定の結果は、大蔵省が見込まれているように、六九%でおさまらぬだろうという気がいたします。それは現地へ行ってみまして、従来よりも率が上がるという感じを非常に強く受けております。そういう場合に、予算の面へ響いてくると思いますが、大蔵大臣には一つこの対策をお考えおきを願いたいと思います。
   〔委員長退席、理事館哲二君着席〕
 災害復旧を単なる原形復旧でなく、改良復旧をやる場合には、あるものは従来から災害復旧事業費の中で、またはあるものは関運事業費を大きく、あるいは改良事業費をつけ足して行なってきているのでありますが、その場合関連事業費というものがだんたん最近は多くなってきている傾向でございますが、とかくこの問題がワクできめられる。何パーセントだというようなワクできめて査定をすることのないように、ぜひ現地の実情によって必要なものは計上するという建前に立っていただきたいのでございますが、特に大蔵省の見解をお尋ねいたしておきたいと思います。
#86
○国務大臣(佐藤榮作君) 関連事業につきまして、従来から大体八%ぐらいの見当にいたしておりました。ところで、今回は事柄が事柄、災害が災害でございますので、関係省とも十分連携を緊密にいたしたつもりであります。建設省関係の河川等につきましては十分話し合いができまして、率にこたわらず話し合いができて、金額が決定されたわけであります。そこで、農林省あるいは運輸省等につきましては、従来は原則として大体五%程度であったようです。それを今回は一般建設省並みの八%の原則、これまでに実は率を上げて参りましたので、従いまして、農林省や運輸省関係では、その点で金額がふえておる次第であります。また、林道につきましては、過去の実績は一・八%、これは非常に低かったんですが、今回はこれを二倍見て三・六というふうに、それぞれ率を引き上げまして対処して参っております。この点は、必ずしも従前の実績通りではございません。
#87
○米田正文君 それは、だんだんふえるようにしてやっていただくことはけっこうでございますから、実情に合うように一つお進めを願いたいと思います。
   〔理事館哲二君退席、委員長着席〕
 今回は、災害の激甚ということにかんがみまして、地方財政その他の援助のために二十五の特別立法が現在審議中でございますが、これに取り残されておるのが、都道府県や市町村が単独に実施をするいわゆる単独災害復旧事業でございます。これが非常に大きな地方負担となっておることはもう御承知の通りでございますが、これが地方財政の大問題でございまして、単独災害が一体どのくらいあるかという一例を申しますと、これはある県の例でございますけれども、いわゆる国から補助を受ける事業は、ある県で、県市町村を合せましてですが、個所にして千九百九十一件、金額にして十二億三千万円に対しまして、県及び市町村が単独で事業しなきゃならぬいわゆる単独事業は、個所にして、三千八百、金額にして三億五千万円ございます。これは一例でございますが、すなわち、国の補助の対象とならないいわゆる単独事業というものが、件数においては一九〇%ございます。補助災害の二倍に近い件数がございます。金額においては二八%で三割足らずでございますが、件数は非常に多い。いわゆる非常に手間のかかる仕事であり、かつ、その金額も二八%ございますから相当なもので、それが地方財政のしわになってきておるわけでございます。このうち、御承知のように都道府県においては公共土木事業に準ずるもののうち十五万円未満十万円以上のもの、市町村においては十万円未満五万円以上のものについては、これはいわゆる公共土木施設に準ずるものでございますから、そういうものについては特例法によって起債をして、そして最高三分の二までの助成をしようといたしておるのでございますが、一体その助成を受ける事業量というのがどのぐらいになろ見当になっておるか、自治庁にお伺いをいたします。
#88
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま御質問の単独災害復旧事業でありますが、これは公共査定の約二割を大体見ておるのでありまして、そのうち起債の対象になるものがその一六・四%、こういうふうに見ております。でありまするから、単独災になりますものが公共の査定総額の二割でありますから約二百四十億、それから起債の対象になりますものがいわゆる二百九億と、こういうふうに見ておるわけでありまして、今御質問の土木の小災害等につきましては大体三十七億と見ておるのでありまするが、三十四年度本年度で措置しようとする額は約十九億、こういうふうに見ております。
#89
○米田正文君 これが地方公共団体の非常な財政のしわになって、地方公共団体はこのために水害のあと数年間は非常に苦しむのでございます。でありますから、この点については今後の地域指定の問題がございますが、それらについて地方財政の点を十分お考えの上、この負担重圧が長く市町村及び府県にかからないような考慮をお願いいたしたいのであります。で、これは立法関係からいろいろつな措置を全部済まして起債許可をするわけでございますが、見込みとして、いつごろ起債許可ができるようになるか、御見当をお伺いをいたしたいと思います。
#90
○国務大臣(石原幹市郎君) 御承知のように、現年災害というのは暦年度でやっておりますので、本年一月一日から十二月末までのものを対象として見ておるわけであります。そこで地方債につきましては本年末までの申請を待ちまして、翌年の一月ないし二月、この間にこれを決定していきたい、かように考えております。
#91
○米田正文君 次に、国土の保全対策についてお尋ねをいたします。総理は、この国会の初めに所信表明演説の中において、今次災害の事例にもかんがみ、早急に治山治水対策を中心とする基本的災害対策について、総合的かつ科学的に検討を加え、恒久的災害予防の方途を樹立し、これを強力に推進して国土保全の万全を期する所存であると言明をされました。この所信については全国民非常な感銘をいたしております。その具体案を見守っておるのでありますので、この内容についてお尋ねをいたしたいと思います。もちろん具体案の詳細についてはまだ決定をいたしておらぬことと思いますので、内容の詳細をお尋ねするつもりはございませんが、その基本的な構想についてお尋ねをいたしたいと思います。総理の言われる恒久的災害予防の方途というのは、大体水系一貫の上流は植林及び治山施設等から砂防事業、あるいはダムによる洪水調節の問題、あるいは河川改修、あるいは海岸保全の事業を実施することで、そうしてこれらを国土保全のみならず、今後の水資源の開発、あるいは沿岸一体の土地の開発等もあわせて計画を立て、そうしてそれを実行していくことであって、これらの計画を立てるときにこれらの均衡をはかり、かつ総合化をはかることであると思いますが、総理の御見解を承りたいと思います。もちろん水害対策としてはこれのほかにいろいろな問題があると思いますが、考え方の中心をなす総理の御見解は、私今簡単に申し上げましたが、そういうものが中心であるかどうかをお尋ね申し上げます。
#92
○国務大臣(岸信介君) 年々の風水害の惨害を考えましても、ただ単に今回の十五号台風や今年度における災害対策を強力に推進するというだけではなく、根本的に日本の国土全体を見て、これに対する抜本的な対策を講じて、将来こういう惨害を未然に防ぐということを考えなければならぬ。従来におきましても、御承知の通り治山治水五カ年計画というようなものもございますし、あるいはまた干拓についての、土地造成についての農地の計画がございます。あるいはまた海岸堤防等の問題についても、従来それぞれの所管省において考えているものがあるのでありますが、これをやはり総合的な見地から全面的に一つ検討して、一つの長期にわたる計画を樹立することが必要である。その計画の内容としましては、今米田委員のおあげになりましたようなことがその項目になり、さらに今後の対策としては、この台風そのものの実態をさらによく把握し、これに対して最近の科学技術の発達に伴いまして、科学技術陣を動員して、科学的に日本に惨害をこうむることを軽減するという方向において、科学的な方策もあわせて計画を立てたい。そうしてその計画だけではなくして、こういう問題は、災害のありましたときには非常に国民も政府もあらゆる人々がこれに強い関心を示すけれども、ややともすると、のどもと過ぎれば熱さを忘れるというような従来のことを考えてみまして、恒久的にその計画が計画通り実施できるという一つの態勢を作らなければならぬ。それには必要な予算の裏づけと、これを遂行するところの機構や制度というものもあわせて考えて、そうして万全を期して参りたい、かように思っております。
#93
○米田正文君 今のお話によりますと、いろいろな問題は各省で考えておるが、それらを総合してお考えになるということでございますが、しかし治山治水対策が建設省で今五カ年計画というようなものを立てられておるということもお話がございました通りでありますが、それらがやはり今後の根本対策の中心になるべきものだと思います。総理の御意見と全く同感でございますが、それにつけて総理も言われたように、要するに、私は今後これを強力に推進していくためには、財源を確保するということが一番問題になってくると思います。従って、その所要の財源を確保する方法をどうするかということでありますが、これについて総理の御所見を承りたいと思います。
#94
○国務大臣(岸信介君) いうまでもなく、これは基本的には一般会計から、財政計画からこれにつぎ込むべき財源を考えていく、一般歳入から考えるべきであると思います。ただこれに対しましていろいろな財源確保の問題について具体的の研究や意見等も出ておりますが、これらは十分一つ来年度予算編成の問題として研究しなければ、今日いろいろ新聞等に現われておるような財源の問題について軽々しく意見をまだ発表すべきときじゃないと思います。しかし、何としても私はこの計画を計画通りに強力に推進していくためには、それに必要な財源をもって財政的な裏づけをしなければならぬということたけは強く考えております。財源の問題については、なお十分一つ予算の問題とあわせて検討をいたして参りたい、かように思っております。
#95
○米田正文君 私もこの財源としては一般財源から出すのが望ましいというように考えております。しかし、一般財源から出すということは、実際問題としてなかなか苦しいことになって参る。従って、ほかにいい財源はないかというのが問題の焦点じゃないかと思います。従いまして、ほかにいろいろな財源を見つけるということも一法であるし、どうしてもそれが無理ならば借入金を行なうとか、あるいは治山治水公債というようなものを出すとかいうようにして、一時の借入金をしておいて、そしてそれを資金に充てるということも私はぜひ研究をしなければならぬ問題だと思います。というのは、たとえば公債を出すにいたしましても、かような治山治水公債というようなものは、その性質がこれは治山治水事業そのものが現在のみならず将来に後世に至るまでの国民に恩恵を残していくものであって、そういう大事業でありますからして、今ここで現在払っておる税金だけで将来国家百年の大計をしてしまうということ自身が私は非常に無理だと思います。従って、公債でもそういう借り入れの形において相当長期にわたってそういうものを償還していくというような方途は当然考えられるべきだと思っております。この点について大蔵大臣の御見解をお尋ねいたします。
#96
○国務大臣(佐藤榮作君) 治山治水の長期計画を立てるとこれが災害防止の面に非常に役立つ、こういう意味において事前に対策を立てろと、この話は私どもも同感であります。またそれがいかに科学的であろうとも、財政的炎づけがないとこれが実現しない。過去の例から見ましてもそういうことだと、やはりその財政的裏づけのある計画樹立がもう絶対に必要だということでございます。また今日いわゆる災害復旧、これは将来国民全般として利益を受けるのだからと、こういう意味においてただいまの借り入れというようなことを言われますが、これは一面の理屈はございますけれども、他面におきましてそういう処置をとったことがわが国経済の基盤をもしも弱化させると、こういうことになりますならば、災害の面は一応片がついても、同時に計画実施上非常な支障を来たすのじゃないか、言いかえますならば、幾ら出したら直ちにインフレになると、こういうことは申しませんが、そういう議論はなかなかむずかしいことだと思いますが、経済が弱化して、そしてこういうような財政政策をとった結果、物価に重大な変動を来たすというようなことになりますと、計画遂行上に支障を来たす、これは当然でございます。やはりこういう場合におきましても、絶えず私どもが堅持していかなければならない点は、わが国の経済を健全な状態に組打していく、ここにいつも一つのワクが出て参るのでございまして、そういう意味でその点をもあわせて十分長期治水対策というものはこれを考究する要があるだろう、かように私考えております。ただいまその賛否をはっきり申すわけではございませんが、ただいま申すような点があると、それこそまた国家百年のために取り返しのつかないような事態になりはしないか、これは大へん議論の存するところでありますから、大蔵当局といたしましては、そういう点には非常な慎重な検討を要する問題であるということを申し上げる次第であります。
#97
○米田正文君 インフレ論もあることだと思いますが、それについてはいろいろの見解があるとおっしゃられるように、確かにいろいろな議論の生ずるところだろうと思います。その方法等によっては、私はそう懸念をすべきではなく、またひどいインフレを起こすような金額を公債に出すべきことにもなりません、結果として。従ってそういう御心配は私はあまりしなくていいというように考えておりますが、この問題を私は繰り返してお尋ねをいたしているのは、さっき総理からもお話がございましたが、昭和二十八年の水害のあとに政府の中に治山治水対策協議会というのが設置をされまして、そうして当時の緒方副総理が会長になられて治山治水基本対策要綱というものを決定いたしました。それで所要経費は一兆七千億の案ができたのでありますが、それを十カ年でやろうという原案に対して、財源措置がとうとう最後まできまらずにうやむやになって今日までやってきたようなことで、そのために一般会計の中に占める治山治水事業の割合のごときは、二十八年以後むしろ減少いたしております。二十八年には一般会計の中で占める割合は二・八%でございます。それが今年度は二・四%に下がってきております。一般会計中に占める割合が下がっているというようなことになってきておって、どうも治山治水基本対策要綱を緒方副総理がこしらえたときの勢いとは、意気込みとは全く相反する結果となってきているので、要するにこれは財政措置のしっかりした基本がきまっておらなかった、きまらなかったというところにございます。この点については総理も十分考えられておるようでございますので、ぜひ今回は間違いのないようにしてもらいたいと思っておる次第でございます。二十八年の愛知、三重両県一帯の海岸堤防の計画が当初の計画よりも縮小せざるを得ない現実になって参りまして、それが今回の大災害の一因とも言えないこともないと思います。せひ今回の災害復旧対策にはこういうことが起こらないように、これを繰り返さないように十分な措置を必要とすると思います。そうして一般財源あるいは借入金、公債というような資金を合わして私は治山治水特別会計を創設することが必要であると思います。この点に対する総理の御所見をお願いいたします。
#98
○国務大臣(岸信介君) 特別会計の問題につきましてもいろいろ研究が行なわれておる、議論もございます。私は先ほど申し上げましたように、計画倒れにならないようにこれに裏づける財政的な裏づけ、それからこれを強力に遂行していくところのいろいろな法制等をあわせて考えていきたいということを申し上げ、特別会計にするかどうかというような問題は予算編成の重要な一つの項目となりますから、全体の問題として検討して参りたいと、かように思うのであります。
#99
○米田正文君 もう時間が切れましたので、最後に申し上げたいと思いますが、今回の伊勢湾台風の被害というものは、私はこれは世界的大水害であると思います。昭和二十八年のオランダのあの大水言は全欧州を驚かせましたが、その被害は死者千七百人、被害者の数十万人と言われております。今回の台風の死者、行方不明者は五千人でございます。被災者は百五十万人に達しておりまして、これに比べますとオテンダの災害は問題にならぬほどのものでございます。このオランダの災害復旧のためには、オランダの政府は全国力を傾注いたしました。総動員をいたしてその復旧に当たりました。欧州各国からもいろいろな援助を受けて、その事業の遂行に当たったのであります。たとえば浚渫船のごときも欧州各国から援助を受けて、そうして事業の推進に当たったくらいでございます。そうして女王は何回か非公式に参列されては国民を激励して、その復旧の促進をされたのでございます。それに比較いたしまして、この十五号の伊勢湾台風は、それにも比較にならぬほど大きいものでございました。日本においてはこの水害に対してどうも少し慢性になっておって、災害等があった当座こそその対策に大わらわになりますけれども、少し時間がたつとすぐ忘れかちでございます。これは総理も言われたところでございます。これが私は根本的水害対策をはばんでおる一つの大きな原因だとすら思っております。オランダのハーレムの近くにスパーンダムという村がございますが、そこに幼い子供が、小学校くらいの子供が海岸堤防から水が漏れておるその水の小さな穴に指を突っ込んで、そうしてそれをふさいでおる銅像がございます。これは何を表わしておるかといいますと、その海岸堤防に小さな漏れ水を見つけた、見つけたが、これを今から村に帰ってみんなに教えるようなことをするよりも、そういうことをしたら、もし走り帰っている間にその小さい穴が大きくなって、全海岸堤防を破壊するかもしれない。そうしてそれが大災害となって、莫大な生命財産を失うかもしれないというので、自分はその見つけた場所にとどまって、その穴の中に指を突っ込んでその漏水をふさいでおる銅像がございます。これは、オランダが千年にわたってあの開拓をして参って、海山堤防がオランダの生命だということを、もう小さい子供からそういうことをしっかりと身につけておることを表わしておるものでございます。私は、これほどのひどい水害を受ける日本がそこまでの気力がまだできておらぬと思います。この水害対策こそ、私は全国民とともに物心両面からこの対策に当たることが絶対不可欠の要件だと思っております。これについての総理の御所見をお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
#100
○国務大臣(岸信介君) 米田委員の御意見のように、今回の水害はまことに世界的であり、また五千人をこすところの人命の被害があったというようなことは、考えようによっては日本の国際的の恥辱でさえあるという人もございますし、また私も事実いまだかつてない被害でありますから、そういう気持もするのであります。従って、今後これに対すべき措置といたしましては、もちろん政府として先ほど来御議論があったように、またお答えを申し上げましたような方針で進むとともに、国民全体が一致協力してこの災害防止に当たる必要があると思います。この意味において、あるいは学校教育におきましてもそういう場合に処すべき心がまえや、これを防ぐべき心がまえというようなことにつきましても考えていく必要があろうと思います。物心両方面からほんとうに国民的な力を結集して、今後の国土保全の根本的問題に当たっていかなければならない、かように考えております。
#101
○委員長(小林英三君) 米田右の質疑は終了いたしました。
 午後は二時から開会することにいたしまして、暫時休憩をいたします。
   午後一時一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十六分開会
#102
○委員長(小林英三君) これより委員会を開会いたします。
 午前に引き続き、総括質問を行ないます。占部秀男君。
#103
○占部秀男君 私は、今度の補正予算のうちの災害関係費と炭鉱離職の対策費の問題につきまして、主として地方財政の問題に問題をしぼって質問を申し上げたいと思います。
 最初に、岸総理に、根本的な政府の方針についてお伺いいたしたいと思うのです。今日、国で計画されます事務事業のほとんどと言っていいほど多くのものは、地方団体の手で執行運営されているわけであります。従って、地方財政のあり方のいかんによりましては、国の企画もその目的を達成できなくなる場合がたびたび起こることは、ご存じの通りであります。そこで、国の予算の効率的な軍営の立場から考えましても、常に地方財政の充実をはかる、そういう方向で国の予算を編成していかなければならないと私は考えるのでありますが、その点、総理はいかがでありますか。
#104
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、国の事業を遂行していく上におきまして、地方公共団体の方が実践の機関として実施に当たらなければならぬことが非常に多いのであります。すなわち、仕事の上でそうであるばかりでなく、また、予算の上におきましても、政府と地方公共団体とが協力して負担をきめて、そうして執行するという仕事が非常に多いわけでございます。従いまして、国の政策を実現していく上におきまして、地方公共団体というものが内容的に十分それに耐えるような内容を持っていかなければならない。特に地方財政の状態というものは、この意味において非常に重要な意義を持つと思います。そこで、御承知のように、今日、地方公共団体が独立した財源を十分に持っておらないということから、交付税の制度が設けられておることは御承知の通りであります。しかし、将来にわたってこの関係をこういう形にしておくがいいかどうか。国税、地方税を通じて、税制の根本を一つ検討して、将来のあり方も考えなければならぬという意味におきまして、政府においては、税制調査会でそういうものを検討いたして、地方財政の確立ということは、これはぜひやっていかなければならぬ重要事だと考えております。
#105
○占部秀男君 ところで、今度の災害関係費を検討してみますと、これは、私の調べたところでありますけれども、この補正予算案に載っております一般会計の項目別の件数でありますが、総件数五十六件のうちに、五十二件までが府県あるいは市町村の施行する事務事業に対する補助であります。また、これを金額で見ますと、総額三百四十三億円のうちに、三百二億八千万円までは、これまたこれに見合うところの補助分であります。すなわち、今回の補正にあたりましては、この今回の補正によって国が企画しております応急復旧のいろいろな災害関係の事務事業は、そのほとんど九割までは、実際には地方団体が施行する、こういうように言っても過言ではなかろうと思うのであります。従いまして、政府は、補正をするにあたりましては、被災地の地方団体が、財政上の理由からして、災害関係の仕事を中途半端にするとか、あるいは中途半端にしないためには、当該のその団体自体が抜き差しならないような赤字に追い込まれるとか、あるいは地方財政全体に大きく響く結果を与えるとか、そうしたことのないように措置することが今回の補正の目的の一つであると私は考えるのでありますが、この点、総理はいかがでありますか。
#106
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、今回の補正予算を編成するにあたりましては、災害対策を十分に実現していくために、地方公共団体の財政の関係も十分考慮して編成をいたしております。
#107
○占部秀男君 総理の根本的な政府の考え方といいますか、わかりましたので、そこで石原国務大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 直轄事業分は一応あとにいたしましても、今度の災害関係で、現在すぐ地方公共団体の財政に響いていくところの地方負担分はどのくらいになっておりますか。その概算でけっこうでありますから、簡単にお答え願いたいと思います。
#108
○国務大臣(石原幹市郎君) 総額にいたしまして、約百億くらいでございます。
#109
○占部秀男君 簡潔な項目別のものはありませんか、大筋でけっこうですから。たとえば、関連災害とか、災害復旧とか、大ワクでけっこうですから……。
#110
○国務大臣(石原幹市郎君) 災害復旧が六十億ばかりでありまして、関連が約二十八億、その他であります。
#111
○占部秀男君 また、災実関係についての地方への財源措置は、概略どういうふうになっておりますか。さらに、被災地の地方団体に対しては、つなぎ融資の必要があると思うのですが、先ほど米田さんから質問がありましたので、私は省略いたしますけれども、そのお答えになったほとんどが地方団体の方へ行っているのかどうか。その点についても、簡潔にお答え願いたいと思います。
#112
○国務大臣(石原幹市郎君) 地方団体に対しましては、今回の事件にあたりまして、まず、交付税の繰り上げ配付ということを三回ばかりにわたって行ないました。それから、つなぎ融資のあっせんもやったわけでありますが、私、名古屋等の現地におりました際にも、いろいろ手配が届いておりまして、大体市町村長等に当たって見ましても、つなぎ融資で困惑している所はなかったわけです。おそらくその後もそういう状態であろうと思っております。
 それから、今回のいろいろな財源措置につきましては、たびたび申し上げているのでありまするが、各種特例法によりまして高率補助をしていくということによって、地方の負担分を極力少なくするというふうに第一の措置としてとられております。それから、御水知のように、今回の予算補正によりまして増額された特別交付税が約四十一億ぐらいございます。それから年度内に配付すべき交付税が約百四十九億ございますので、やはり災害の方に回されるものが二、三十億、これは当然回し得ると思っております。
 それから、その次の措置といたしまして、やはり起債のワクの増大でございまするかり、これは、現年災害分として当初から予想されておりますものが約三十五億あるわけであります。今回の補正によりまして、約百六十億ふややされておりますので、百九十五億というものが予想されるわけであります。それから、いろいろの公共事業費等の節約によりまして、若干振りかえて回されるものもあることになっておりますので、まあ大体の大筋の三十四年度の措置としては、私はとり得ておるのではないか、かように思っております。
#113
○占部秀男君 総理にお伺いいたしますが、ただいま石原大臣から説明を聞いてみましたが、つなぎ融資の分は、これはともかくといたしまして、地方団体に対する財政措置、これがその程度のものでは、私は不十分ではないかと思うのであります。かつ、自治庁の今考えておられるような財源措置の方針では、地方団体の中には、ほんとうにやっていけない所が私は出てこやしないかということを心配しておるのであります。先ほど私が指摘しましたように、事務事業を中途半端にするということはないでしょうけれども、なかなか予定通りはできない。あるいはまた、赤字が出てきて、にっちもさっちもいかなくなる、こういうような地方団体も私は中には出てくるじゃないかという懸念を持っておるわけでありますけれども、総理は、ただいまのような地方に対する財政措置といいますか、財源関係の手当、こういうようなことで国の企画が達成でき、かつ、当該団体もやっていける、かような確信かおありですかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
#114
○国務大臣(岸信介君) 占部委員の御指摘になりましたことは、今回の補正をいたします上におきましても、最も重要な点の一つであると思います。従いまして、私ども、この補正をいたすにつきましては、予算を編成するにつきましては、特に十分その点を頭に置いて実は編成をいたして、私は、その結論としては、これで御心配のような事態は起こらないと思います。
 なお、もし数字の根拠等についての御質問でありますれば、当該の大臣よりお答えした方が適当であると思います。
#115
○占部秀男君 総理は心配ないと言うのですけれども、事実、県市町村の末端に行きますと、実際上はなかなかいかない場面が出てくるのではなかろうかということを私は心配をいたしておるのであります。そこで私は、具体的に石原国務相にお伺いをいたしたのでありますが、ただいまの御説明の中の地方債の問題でありますけれども、補助事業債あるいは単独事業債、特例債こういうようなものがあるわけでありますが、これに対する事後措置の問題は、どういうふうにお考えになっておりますか。事後措置といいますと、この起債についての国の見るべき方法といいますか、事後措置の問題については、どういうふうに考えておられますか。
#116
○国務大臣(石原幹市郎君) 事業の種類によっていろいろ違います。補助災害の事業であるとか、あるいは小災害の事業、いろいろ違いますが、将来の償還につきまして、交付税の国の財政需要額の方に元利償還についてその大部分を見ていくというようなものもございまするし、それから、小災害に対する措置といたしまして、激甚地であるとか、いろいろなことによって違いまするけれども、それについても、元利償還を頭から認めていくとか、あるいはその償還について交付税の中に相当パーセントを見ていくとか、あるいはまた、歳入欠陥債のよ〕
な、特別交付税においてある程度見ていくとか、いろいろの種類によりまして違いまするけれども、大きな負担が残らないように大体の措置はこれまた講ぜられていると私は思っております。
#117
○占部秀男君 ただいまの説明で、ある部分は国の方で元利補給もしよう、また基準財政にも入れようと、こういうようないろいろな形があるわけですけれども、ただいままだ仮定の中ですから、こまかい決定的なものは出ないと思いますので、私は、それ以上この問題については質問はいたしませんが、ただ一つ、問題になりますことは、石原国務大臣からの御説明にもありましたように、今度の地方財政に対する手当の問題で、高率補助の問題と起債の問題と、もう一つは、例の四十一億の特交の問題がある。こういうようなお話でございまして、そこで、この特交の問題については、私は、これは非常に重大な問題であると考えるのであります。
 まず最初にお聞きしたいことは、新聞等で伝えられておりますところによると、今度の交付税八十五億の配分につきましては、何か自治庁と大蔵省との間に相当対立があって、結局折衷案として、普通交付税に例の調整率をひっかけたやつの四十四億、この災害の方に四十一億、こういうことをきめられたということが伝えられておるわけであります。一体どんな点で自治庁と大蔵省と対立をしたのか、そしてその対立というものは、どういうような工合にかような妥協となって現われたか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#118
○国務大臣(石原幹市郎君) 占部委員は、何か対立があったようにおっしゃるのでありまするが、少なくとも今回の予算補正につきましては、これは全然対立はなかったのでありまして、これは、明年度の地方財政計画にあたっては、これは大きく対立しなければならないと思いますか、今回の補正については対立はないので、率直に申し上げますと、三税を、今度財源を見ることによりまして、約百八億ばかりの交付税に回すものが出たわけであります。そこで、自治庁といたしましては、明年返さなきゃならない交付税が二十三億御承知のようにあるのであります。これは、むしろこの際返して、それを財源にしてもらって、いろいろ高率補助の事業の方へ回してもらいたい。そうすると、残りは八十五億になるわけであります。八十五億のうち四十四億は、ことしの交付税を配分するにあたって足りなかったものでありまするから、調整して按分して各県から減らしておったわけであります。これも当然加わらなきゃならぬのが原則でありますから、まず、その結果、四十四億普通交付税として配分するわけであります。それにしても、四十一億特別交付税があるわけであります。この特別交付税は、でき得る限り重点的に配分しようということで、何らの対立もございません。この問題は、非常に円滑に行ったわけであります。むしろ問題は三十五年度の地方財政計画にあると、かように思っております。
#119
○占部秀男君 きわめて円滑に行ったというので、佐藤さんもそこにおられますから、私はこれ以上言うことはないのであります。非常にけっこうだと思っておりますが、しかし、われわれから考えますと、この問題は決してけっこうな問題にはならないのであります。何か石原大臣は、特交で四十一億よけい地方災害の方に見ておってやっておる。災害関係にこういう財源を見ておってやっておるというような、こう言われるようでありますけれども、これは、私は逆ではないかというふうに考えるのであります。今度の災害の内客というものが、一地方ではどうにもならない問題であって、やはり国家的見地から措置しなければならないという性格からいたしましても、本年度及び本年度以降の地方財政の見通しの点からいたしましても、この特交分は、むしろはっきりした国からの補給金あるいはその他のような形で措置さるべき筋合のものである。どうも今度の特交を災害に回した、このやり方については、地方財政の観点からいいますと、当然地方に渡すべき交付税のワクの中で、いわば共食いをさせておるような感じがいたすのであります。なぜ私がかようなことを言うかといえば、通常国会で本年度の予算を検討いたしましたときに、われわれは、所得税を初め三税の伸びというものは相当まだある、こういう点を大蔵大臣に追及いたしましたときに、大臣は、三税は当初額の程度であるということで、あれが確定になり、その結果、地方交付税も二千四百八十六億四千万円、こういう当初額になったわけであります。ところで、このために三税の補正によって生まれました交付税八十五億の配分について、今石原さんからもお話がございましたように、四十四億円を調整額として取らなければならない。かような状態、いわば基準財政需要額よりは交付税総額の方が四十四億少なかった。不足しておった。こういうような形で、地方団体としては私は相当迷惑をしておると思うのであります。で、あの当時私たちが主張したように、正しく大蔵大臣が三税を見積もっておってくれたならば、当然この八十五億というものは、すでに普通交付税の中に入って、地方へ普通交付税となって回っていたものである。また、今度の罹災による補正というものがかりになかったとしたならば、来年度五月決算期には、この八十五億というものが出ていて、翌々年度、すなわち三十六年度の交付税の中にこれが加算されて、普通の交付税となって、いわゆる交付団体であるところの各県市町村に配布さるべき筋合いの金になっていたと私は思うのであります。しかるに、それを災害関係の特交として今度災害地に主として出した。こういうことは、被災地以外の各地方団体に当然回るべきものを被災地の団体に集中的に回すことによって、国から財源措置をすべき、すべきというか、その方が正しいのではないかと思う筋合いのものを、まあいわばふところ手をして済ましてしまう、かような結果に私はなってくるのではなかろうかと考えるのであります。なぜ私がこういうことを申すかというと、ことしの地方財政全体は、御存じのように、先はまっ暗でありまして、地方団体は、自治庁が発表したところの発表にもありますように、せっかく三十二年度、三十二年度になり、単年度黒字のところまで来た団体にまで、本年度は公共事業の拡大に伴うところの地方負担分の激増、そうして地方税の減収、こういうことから、再び赤字に転落しようとするものが相当今出てきておるおりからであります。先ほど岸総理が言われました地方に対する考え方がほんとうであるとするならば、この際政府は、かような方法をとるのではなくて、この八十五億は当然普通交付税として三十六年度に回してはっきりした国からの財源措置、補給金その他、二十八災当時にあったような、ああいうようなはっきりした形の補給金を出すのが当然である、かように私は考えるのであります。かような共食い的な形はとってもらいたくない、かように私は考えるのでありますが、この点について大蔵大臣並びに石原国務相の御答弁を伺いたいと思います。
#120
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、三税を基準にいたしまして交付税の税額がきまるわけでございます。地方におきましてはこの交付税の分配につきましていろいろ苦慮しておることは占部さん御存じの通りであります。今回災害対策の国費といたしまして私ども三税の自然増収分をみた、そういたしますと、これに対しての二八・五という交付税額が当然出て参る、これを全額災害地に回せという議論がないわけではないだろうと思いますが、さような点は、この三税自身が災害県から発止しておるだけではなく全国的に発生しておる、こういうようなことを考えると、ただいま御指摘になりましたように二八・五%の交付税の金の分配方法はそこでやはり考えなくてはならぬ、それで考えた結果が四十四億は各府県全体にこれを配分する、四十一億を特別交付税としてみていく、こういう措置をとったわけであります。この観点に立ちますと、四十一億が災害県に対して支給されることはもちろんですが、残りの四十四億分についてもおそらく災害県に回っていくものもあるわけでありまして、これは先ほど自治庁長官はそこまでのお話はございませんでしたが、私ども災害県の災害費の対策として考えます場合にはそういう分配方法もやはりあるのではないか、こういうように私は考えます。これは大体交付税額の分配方法で、従前もとっておることでございまして、私はこういう措置がとられることは当然ではないか、かように考えます。
#121
○占部秀男君 石原さんけっこうです。
 今、大蔵大臣はこの八十五億の分配の方法について全部をほしいという、被災地に回せという声もあるけれども、四十四億回したいということでありますけれども、この四十四億は交付税法によって当然あとから金がくれば普通交付税で回る金であって、あえて回す回さないの問題ではないと思う。それからもう一つは、あとの四十一億についても分配の方法にはいろいろあるといいますけれども、特交の分配方法は御承知のように災害ばかりの問題ではなくていろいろの問題が、これは時間がないから言いませんけれどもいろいろな分配の方法がある、それを特交を災害だけに回したというところにわれわれの、どうも何といいますか納得できないところがあるわけです。しかも、今度のこの特交の回し方そのものが、これは御承知のように何かこれを回すことによって特別に政府がみてやったというような形をとる、そういうような私は何というか、宣伝じゃありませんけれども、そういう形の印象を与えることについては、これはもう断固としてどうも私は不満なんです。従ってどういうわけでこの四十一億の、その特交の配分方法にはいろいろあるわけですから、それを災害関係にだけ回したか、災害関係に回すことは結局地方に与えられるであろう金の共食いではないか、共食いか共食いでないか、内容のお答えを願いたいと思います。
#122
○国務大臣(佐藤榮作君) 問題は、市町村の災害復旧工事がうまくやっていけるかいけないか、そういう場合に地方団体の財源確保に万遺憾なきを期していけるかどうか、こういう点が問題の起こりであります。それは共食いであるという議論も成り立つだろうと思いますが、かように考えて参りますと、当然三税の増収で国費において措置すれば、今御指摘になりましたように、自然的に二八・五%で地方団体に回っていく金がある、その金は特別のものとしていろいろの使い方はございましょう。しかしながら、今回の災害復旧の場合に、こういう金も余計にいくじゃございませんか、従って地方団体の財源として不足を来たさないことになるじゃございませんかと、別に私どもが特にこれたけ手当てしたと言って自慢しているわけじゃございません。これは御指摘の通り当然二八・五%ということではじき出して地方財源になることは御承知の通りでございます。しかしながら、こういうこともやはり地方財源の増強をしている一つだと、こういうことを申し上げたのです。
#123
○占部秀男君 そこでこの問題について、時間がないので、もう結論をつけたいと思うのですが、いずれにしても財源関係からいって、市町村の当面の財源のために回してやらなくちゃならぬ、こういう話は私も反対たというのじゃない。従って、来年、再来年にかけて地方財政が非常に先が暗いというときに、今当然つなぎとして取った分についても、こういうような問題については相当勘案して地方財政には手当てをしてもらわないと、何かこのために地方財政自体が先が真っ暗のような形になる。そこで今はっきりしたことは言えないと思いますけれども、大まかなそういう点についての方針たけは一つ言っておいていただきたい。
#124
○国務大臣(佐藤榮作君) 来年度以降の予算編成についてのいろいろのお尋ねでございます。ただいまちょうど予算編成の調査をしている最中でございます。従いましてこれをただいまの段階でとやかく申し上げることはなかなか困難であります。しかし基本的な問題といたしまして、国からの二・八五の交付税額、金額そのものが、率は変更なくとも、相当の増収等が見込まれるだろうと思いますから、相当金額はふえて参りましょう。また占部委員は、地方税は伸び悩んでいるということを先ほど申されましたが、これは国においても相当の増収があると同様に、地方税の伸びもある程度あるのだ、かようなことを考えております。ただ今回の問題といたしまして、災害復旧の対策費、今年のわずかな期間についても非常に多額な予算を提出せざるを得なかった。来年度は、まる一年間、しかも本格的な工事の時期になって参りますので、それらのものが非常に多額に上るだろうと思います。そういう場合にどういうような圧迫を加えるか、もちろん十分検討いたして参りたいと、かように私ども考えます。まあそれらの点はいろいろ議論の存することだろうと思います。今年自身の問題としてだけでなくて、来年度以降の問題としてはそれらの点、増収分あるいは不足分、そういうのがどういことになりますか、総体によくにらみ合わしてみたい、かように考えております。
#125
○占部秀男君 私は地方税が伸びないと言ったのじゃなくて、地方財政自体が先が暗いじゃないかということを言った。そこで交付税率の問題についてはあとでまた質問をいたします。
 そこで時間がありませんので具体的に入っていきますが、今度の災害についての県段階で一番問題になるのは、やはり復旧の問題であり、また市町村の問題では、当面の問題としては災害救助費の問題が一番問題になると思います。ところでこれらの問題に関連して、政府の方で二十五の特別立法をされたわけでありますけれども、地域指定の政令は二、三出ておりますが、認定の基準、算定の基準あるいは適用対象の基準、特殊な要件についてのいろいろなきめ方というような、各法律ごとのこまかい政令というものはあまりまだ出ていないように私は考えます。どうも、手元に調べてありますけれども、これは言いませんが出ていないように考える、かような点がはっきりしなければ、実際上地方負担というものがどの程度ほんとうにあるかということは私はわからないのじゃないかと思う。こういう点にからまって、大蔵大臣としてはどういうような扱い方でこの地方負可分その他についての見通しを立てられているか。特に先ほどの同僚鈴木議員の質問に対しては、十二分とまではいかないけれども、確信があるようなことを仰せられたので、一応その点をお伺いしたいと思う。
#126
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。ただいま御指摘になりますように、特例法を相当作って用意いたしておりますが、その適用範囲をきめる政令、これが十分出ておらない。ただいま政府に対して、国会から強い要望が出ておりますが、提出の見通しだけでも、予定だけでもこの際に申し上げようかということで、けさほどからその大体の見当をつけるべく事務当局を督励いたしております。しかして、私どもがいつも申し上げますように、今回は普通の予算と違いまして、現実に起きておる災害に対する復旧費、しかもそれが公平に適正に行なわれることを念願といたしておりますし、また農地については、大体ことしと来年上期の予算等で、作付に問に合うようにということを目標にし、また台風襲来前に一応の原形復旧だけでもやりたい、こういうことを来年度の予算とあわせて計画を進めておる次第でございますし、特に私ども意を用いておりますので、御期待に沿い得ることだと、かように私は確信をいたしております。で、提出いたしました予算は、大体特例法等を、事業費から見て大体六割程度が該当するだろう、かように見たのでございますが、激甚地指定の基準を設けて参りまして、あるいは農地等についての特別措置をとるようになりまして、大体六〇%と申しましたのが、公共土木については六七%、また農地等については七〇%、わずかながらもこすだろう、こういう大体の見当がつくのであります。さように考えますと、冒頭に提出した予算ではまかなえないのじゃないか、しかも政令が出ておらない、それからあの予算で補正予算を出さないという大蔵当局ならば、政令でうんと制限するのじゃないか、こういうような御心配があるやに伺いますが、毎回私どもがこの席で申し上げておりますように、今回の予算提出に当たりまして、多額の予備費を計上いたしたり、あるいは国庫負担の金額等を議決をお願いしたりして、そういう意味で十分実地調査が進んで参りまして、ただいま申し上げる程度の変更等ならば、私どもまかない得るという実は確信を持っておるわけであります。政令等で特に査定を厳しくするとか、こういうような考え方は毛頭ございません。この点も私ども内容を明確にしておらないので、御信頼をいただくということをお願いするので、私どもまことに言いにくい点でございますが、ただいま申し上げたような考え方でおりますので、この考え方を十分御理解をいただきたいというふうに思います。
#127
○占部秀男君 これは、ほかの予算ならばそんなばかなことで予算の審議になるかということになるわけですけれども、災害予算でありますから、われわれの方も、あまりどうも、国民に影響のある問題ですから、いやな突っ込み方はしたくはないと思うのです。ただしかし、そういうような情勢にあるのですから、やはり大蔵大臣としても、まあこれで一応やってみるのだ、そうして足りないときは第二次補正を考えておるのだ、こういうようなことでも言ってもらえるなら、これはまあそうであろうということも言えるけれども、何か第二次補正は要らないのだというようなことを、はっきりとどうも確信を持っているのだということを言われると、われわれの方もそれ以上突っ込みたくなるわけであります。そこで、実は具体的にもっと県の公共事業の場合、市の災害救助法の場合、こまかい計数を実は持ってきておるのですが、やりたいのですけれども、時間がありませんから問題は、大事なことは、ことしの問題も大事だけれども、災害関係は来年、再来年が地方にとっては大事であります。
 そこで、来年、再来年の問題の見通しについて、二、三具体的に私はお伺いをしたいと思うのであります。それは第一に、今度の災害関係だけでなく、すでに自治庁の発表にもありますように、地方団体の財政状態というものは、大蔵大臣が把握されておるところとは非常に私は違って窮屈になっておると思うのであります。自治庁のこの間の見通しについても、千二、三百億の必要経費が、どうしても来年度は増として見込まれる。これに対する収入というものは、せいぜい六、七百億くらいのところではないか、収入の増加ですね。そういうような中にあるわけでありまして、そこで私は、具体的にこれは一つ伺いたいのでありますが、交付公債の問題はどうですか、来年度は、これを一つ元利補給の点を解決してもらえませんか。その点を大蔵大臣並びに建設大臣、その他一つお答えを願いたいと思うのです。
#128
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどのお話で、ことしの予算の点について突っ込まないとおっしゃったので、別に答えなくてもいいことかと思いますが、この点は、やはり明確にしておくことが必要だと思います。私ども、予算編成担当官庁といたしまして、十分確信を持った予算を提案して御審議をいただいておりますが、毎回申し上げますように、どこまでも災害対策予算でございますから、この支出に対しては、私どももこれを無視する考えはないということ、この点をはっきり申し上げまして、その事態の変化に際して私どもが善処すること、これは当然のことでございます。その点は、これはもう私ども別に申し上げてはおりませんが、そういう気持であめることを、これはもう基本的な問題でありますからつけ加えさせていただきます。
 また、ただいまの交付交債の利子の問題でございますが、もともとこれは現金で支払ってもらう筋のものである、こういうことでございますので、大蔵当局といたしましては、ただいまこの利子をやめるという考え方にはどうしても賛成いたしかねております。結論だけ申し上げます。
#129
○国務大臣(村上勇君) 大へん問題が大きくなりますので、これは財政当局とよく検討した上で十分考慮して参りたいと思っております。
#130
○占部秀男君 次に、地方税の減免の問題でありますが、これは私ども言うまでもなく、今度の災害は、個人災害が非常にひどい、そして、しかも長期の湛水がひどい。従って、都市でも中小企業はなかなか立ち上がれないし、農村関係でも、これは固定資産の問題にも関連するのですが、なかなか大へんである。かような工合で源泉収入の大宗である県民税、あるいは事業税、それの方からいえば、市町村民税、固定資産税、こういった面については、一年かっきりの減免では、とうてい、実際上取れないのじゃないか、また非常に県民の不満が多い、こういうところから、この問題は、まあ二、三年減免をするような措置を特にひどいところにおいては講ずる。同時に、その減収額については、国庫負担にする、かような形の考え方はあるかないか、この点を一つどなたからでもけっこうであります。
#131
○国務大臣(石原幹市郎君) 税の減免措置をやった場合の、あとの対処する方策でありますが、まあ私どもは、今回いろいろ配付されまする特別交付税で一応の措置をとり、それによってもなお措置し切れない面については、御承知のように、歳入欠陥債を認めるという措置をとっておるんでありまして、その歳入欠陥債の将来の償還につきましては、ある程度また特別交付税でみていく、それからその次の年からの問題になりますると、条例で減免措置の何をきめておりましたが、次年度からは、それだけ歳入が減ってきておるわけでありまするから、基準財政収入額がそれだけ落ちてくるわけでありますから、交付税の配分に当たって、それたけのものは考慮されていく、こういうことになるの正ではないか、かように考えております。
#132
○占部秀男君 この点は、またあとで地方行政の方で詳しく。
 もう一つの問題は、税外負担の問題であります。御存じのように、現在、税外負担は、PTAの会費、町内会、部落会、いろいろな問題やいろいろな負担がございますが、三十二年度の決算だと思いましたけれども、市町村の税収の二千六百七十一億の約一割、二百何千億というものが、これが税外負担になっておる。これが税外負担としてかけられておる。こういうことはまあ自治庁の発表にも、発表になっておる。ところでこの問題は、元来地方財政法で、取ってはならないというやつを実は取っておる。従って被災地では、これはもう払わないのです。税外負担はなかなかできない、ほんとうに。法律でも、取っちゃならぬと言っておる。それを取っておるのですから、これは出しはしません。これはなかなか払いません。そうすると、市町村では、特に学校問題であるとか、いろいろな厚生関係あるいは民生関係とか、非常に困ってくる。そこで、税外負担の問題を、何か基準財政の方へでも入れるとか、あるいはまた何か特別の措置をするとか、そういうことをしてもらう意思はございませんか。その点を一つ。これは大問題です。
#133
○国務大臣(石原幹市郎君) 税外負担の問題は、これは本来本筋に戻していかなければならない筋のものが多いのでありまするから、まあ本筋に戻すようにわれわれ極力やっておるわけであります。今回の災害等にあたってのあとの措置として、それを特別に、先ほど税について私が申し上げたようないろいろの措置を直接に適用するかどうかということについては、これは問題があると私は考えております。しかも特殊の事情があるというような問題については、私は今回の特別交付税の配付にあたっては、十分いろいろの実態を掘り下げてその地方の実情に合うように配付したいと私は思っておりますので、そういうときの具体的な措置として、あるいは問題にし得るかとも思いますが、全般的な問題として、これをこういうふうに処理したいという方針をここで申し上げるわけにはいかないのであります。
#134
○占部秀男君 もう一つ伺いたいのですが、今度の災害を見て、国の災害に対する措置というものが、主として公共事業の問題を中心にまあやられておりますけれども、個人災害が相当ひどいのですね。今後の災害に、個人災害の問題を抜きにして災害対策はなかなかできなくなる時代が私は来ると思うのであります。そこでまあ当面国の財政ではなかなかそうはいかないという問題があると思うのでありますが、この際、何か県あるいは市町村の団体が保険者となるような形で、国がこれを援助するような形で、公営災害的なものを、つまり火災あるいは風水害についての公営災害的なものを作らして、激甚地のようなところの、特にひどい各県民、市民の人たちには、ある程度の金が見舞金的にいけるような方式を私は今後は考えていくべきではないか、こういうふうに思っておるのでありますが、石原さん、そういう点について検討されたことがあるかどうか。また、検討していただけるかどうか。そういう点について一つお願いします。
#135
○国務大臣(石原幹市郎君) 個人災害でも、御案内のように、農地とか農業施設関係についてば、近年これに対していろいろの措置がとられ出してきていることは、御承知の通りであります。まあ、その他市町村等におきまして、いろいろ見舞金を出すとかというような方法も、ある程度はとられておるわけでありまして、そのほかの問題としましては、各種の金融機関を通じまして、低利な融資をして救済していくとか、いろいろな措置は講じられておるのでありますが、今お話しになっておりましたような、全体的な保険的性質を加味したような災害救助対策の考え方については、それはまあいろいろ議論をしてみたことはございまするけれども、私どもまだ具体的な方策について具体的に考えてみたようなことはございません。
#136
○占部秀男君 なぜ私この問題を唐突に持ち出すかというと、今言った、農村関係についてはそういう形がある。ところが今度名古屋へ行って見ても、やはり中小企業や、一般の、その農村以外の人が非常にひどいのです。従って、こういう問題には、何かやはり保険形式のそういうことを、しかも地方団体がこれをやれば把握できるのですから、そういう点は、一つ真剣に私は御検討を願いたいと思うのです。
 最後に、職員の問題ですがね。この県、市の職員が、今度の問題で、非常に、家を離れ、自分の女房、子供の死んだ葬式もせずに飛び歩いておる。しかもこれに対して、いつの場合でも、災害が終わると金が県、市にない。そこで諸手当はよこさない。悪いところでは首切りになってくる、こういうことになるわけです。これでは地方公務員が踏んだりけったりの形がとられるわけです。国家公務員は超勤は正当にもらえる。地方公務員はその、県、郡市の財政が災害に食われたからといって、超勤ももらえない。こういう状態では、これはなかなかならぬと思うのでありまして、こういう点は、特に公務員について、災害の結果とする財政上の問題が公務員の生活に非常なそういう形で及ばないように、はっきりと一つ自治庁の方で行政指導なり何なりしてもらいたいと思うですが、この点いかがでございますか。
#137
○国務大臣(石原幹市郎君) 今回の災害にあたりまして、地方の公務員が家を忘れ、寝食を忘れて活動したということは、御指摘の通りであります。別途今回の法律にも、共済見舞金の特例措置をとっておるわけでありますが、その他まあ警察官が応援態勢をとったようなものについても、今回の補正予算で若干の増額分を認めてもらっておりますが、まあ全般的に、今御指摘になりましたように、十分のめんどうを見るように、行政指導なり、できる限りの財源措置をわれわれも考えたいと、こういう気持でおります。
#138
○占部秀男君 最後に岸総理に私はお願いをいたしておきますが、それは今度のまあ災害の問題で地方へ行って私はよく聞くことでありますが、率直に言って、国は相当大幅にこの問題を処理するということをまあ言われておる。しかも、これはいやみを言うわけではありませんが、この地方選挙にあたっては、自民党は、政府に直結する知事や市長でないと金がこないから、自民党系の人たちに投票を入れろと、これは言い方はおかしいですが、そういう宣伝をば率直にされておった。そうして、これであとになってみるというと、どうも地方の方はそううまくはいっていないということで、相当批判が起きておるように私は見てきておるのですが、しかも、今度の災害でそういう点がまたぞろ出ると、これは非常に、これはもう自民党内閣に対してもこれは不幸だし、国民自体に対しても私は不幸だと思うのです。そこで、今言ったような点については、特に総理として留意をしていただきたいと思います。
 それから委員長、実は石炭の問題で聞きたいと思ったんですが、もう時間がないというので、私はあえてあれしませんが、一点だけ、一つ重大なことですから、時間はとらせませんから一つお願いしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
#139
○委員長(小林英三君) あと一分限り。
#140
○占部秀男君 特別、委員長のお言葉で一つ、まことにありがたいと思います。そこで、石炭の離職対策の問題について一、二だけ簡単に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、それは同僚の阿具根議員から、離職対策についての問題、あるいは石炭問題についての根本的な方策についての質問が午前中ございました。私は、今出されておる政府のこの対策というものは、何か途中が抜けているのじゃないかと、この対策以前の問題がもう一つあるのではなかろうかということを感ずるのであります。それは離職者に対する当面の生活対策の問題であります。で、御存じのように、政府のこのいただきました資料を見てもわかるのでありますが、これはもう私が言うまでもなく、厚生省等ではよく御存じであると思いますけれども、福岡を初め山口、あるいは佐賀というような各炭鉱地帯におきましては、この離職者の大増に伴ないまして、失業保険が切れてしまった、あるいは退職手当も食ってしまった。こういうことから、生活保護を受ける数というものは非常に激増をいたしておるわけであります。本日いただきましたこの政府側の資料を見ましても、全国平均では、三十三年度は、パーセンテージにして、全国平均で三十四年度は三十三年度よりも、三十三年を一〇〇とすれば、一〇二・七一の増加である。しかるに、福岡を見ると一三五・三三の増加になっておる。あるいはまた三十四年の八月には全国平均を一〇〇として一四二・九八に福岡の場合はふえておる、かような状態でございます。そうしてこの中の直方市、田川市、あるいは大牟田市……はないのですが、そういうようなところの福岡県下のあれを見ますと、これはおそらく労政事務所か職安で調べたと思うのですけれども、三十三年度に比べて三十四年度は全国指数に比べて二〇六のふえ方をしておる。田川市は一九九・八八のふえ方をしておる。本年の八月に至っては直方は二一八・七二、田川は一九四・三になっておる。全国平均はふえないけれども、これらの炭鉱地帯における生活保護を願うところの世帯はかようにふえてきておる。このために一例を申しますと、大牟田の場合でありますが、これは私が調べた調べでありまして、厚生省の方ともこの問題をやったのですが、その通りであるというので、一応一つ信憑性のあるものとして聞いていただきたいのでありますけれども、大牟田市はこの四、五年はずっと赤字がなかった。ところが、去年の決算期では一億七千万円の赤字が出てしまった。この一億七千万円の赤字を分析してみますと、その七〇%までは生活保護の対象がふえたということ、あとの四〇%、三五、六%近くがその他の福祉事業費、あるいは児童の保護対策費、それは生活保護の関係に伴うような形のものでありますけれども、こういうような事務、事業がふえたために一挙に赤字団体になってしまった。田川市のごときは、本来赤字団体であるが、この金がふえるために、生活保護の金がふえるために今日はにっちもさっちもいかなくなってしまっておる。そういうような状態でありますので、国の方として保護対象のワクを広げ、この対象についての保護内容というものを改善し、しかも地方団体に対しては財源的な迷惑をかけないように国がこれを負担してやる、こういう形でこれを処理しなければ、炭鉱離職者の生活というものは、今日ただいまなかなか大へんな状態になってきておるのでありまして、私は、先月の委員会でこの問題を取り上げて、厚生省、労働省、自治庁の三省の方を呼んで、この事実があるから、今度の臨時国会までに何とかこの事実に対して措置をしてもらいたいということを申し上げたのでありますが、今度の対策には、遺憾ながらその点が入っていないように考えられるのであります。従って、もしも入っておるならば入っております、その点が入っていないならばこの問題に対してどうしてくれるか、くれるかはおかしいのでありますが、どうするか、こういう点について一つ御答弁を願いたいと思います。
#141
○国務大臣(渡邊良夫君) 生活保護におきまする国の負担は、八割ということになっております。このたびの補正予算におきましては三十七億を計上いたしております。で、大体この今年七月までの生活保護者の増加指数というものは、福岡が三九%、その他の山口、九州地方におきましては、佐賀県は大体一〇%というような状況になっております。
#142
○国務大臣(佐藤榮作君) 一応この炭鉱離職者に対する対策の内容は説明しなくともいいかと思いますが、この機会に一通り申し上げておきたいと思います。
 大体本年内に、年度内に対策を講じなければならぬ数は、二万人といわれております。この二万人のうち約七千人につきましては、今日まで予備費支出によって一応の対策を講じて参りました。残りの部分について、今回補正予算によりましていろいろの措置をとるわけです。その一つは緊急就労事業、これで大体五千五百人程度吸収する、また離職者援護会の設立を通じまして四千人に移動資金を支給する、二千五百人の貸与飯場を購入する、また職業訓練所もさらに強化されることになる。そうしてただいま申し上げるように、飯場を購入しまして、職業訓練を強化する、また緊急就労事業に適さない者、いわゆる高令者であるとか女子等につきましては、一般失業対策事業のワクを広げて、そうして相当の数を吸収していく。あるいは職業安定機関及び援護会の活動により、職業紹介の強化等によりまして大体二万人に対する対策を難じて参るつもりでございます。
 ところで、ただいま御指摘になりました、そういう事業をした場合に、地方公共団体の財政負担ができなくて、せっかくの事業がやれないのじゃないかという御心配でございますが、こういう点につきましては、十分私どもも考慮いたしまして、今回の離職者の援護会の行なう事業につきましては、地元負担をゼロにする、また緊急就労事業は五分の四の高率補助にする、職業訓練につきましては運営費の三分の二を補助する、従前は二分の一でございます、これらの措置をとりまして万全を期しておるような次第でございます。
#143
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま大蔵大臣からのお話があったのでありまするが、緊急就労事業につきましては、高率補助になる。あとの地方費の負担につきましては、事業の内容によりまして、建設的の事業である場合には、これは特に起債も認めていこう、こういう考え方をとっております。
 それからいま一点の、この生活保護費その他が非常に増大して地方財政に影響している。これはその年度内で特にいろいろ事情が起こっているようなものは、これは特別交付税の配付にあたっていろいろ考慮していきたいと思います。それから、その翌年度になりまするというと、それだけ基準財政需要になってくるのであります。基準財政需要額の方でかさ上げして計算されていくことになりまするが、翌年度からまた入っても、その年にまた特別の事情が起こってくれば、年度の終わりに配る特別交付税においていろいろ考慮していく。こういう措置で今まで対処してきたわけであります。
#144
○委員長(小林英三君) 占部君の時間は参りました。これでよろしいでしょう。占部君の質疑は終了いたしました。
  ―――――――――――――
#145
○委員長(小林英三君) 次に、永岡光治右。
#146
○永岡光治君 私は炭労、全逓等の重大な紛争がただいま起きておりますが、岸内閣のこれらの問題を中心にいたしましたILO条約の批准ともあわせまして、これらの問題を中心にいたしました岸内閣の労働政策について特に質問をいたしたいと思います。私の質問に対する答弁は、従いまして、もとより必要に応じては法律の問題に触れて参りたいと思うのでありますが、労働政策という立場から、特にその面に重点を置いてお答えをいただきたいと思うわけであります。
 まず、ただいま起きておりますこの炭労あるいは全逓と政府との間に起きておる紛争でありますが、それらの問題につきましては、関係各省の方から十分岸総理は報告を受けて承知をしておりますか。まずこの点をただしたいと思います。
#147
○国務大臣(岸信介君) 時々必要な報告は受けております。
#148
○永岡光治君 それでは一体この岸内閣の労働政策として、労使双方が極力話し合って、その問題の円満なる解決に当たるということは望ましいことでありますか、望ましくないことでありますか。岸内閣はいずれの方向をとろうとしておるのか、まずその点をお尋ねいたします。
#149
○国務大臣(岸信介君) 労働の問題に関しましては、労使双方におきまして、私はなるべく話し合いの方法によって、いろいろな問題が解決されることを心から望んでおります。
#150
○永岡光治君 ところでもう一つお尋ねいたしますが、昨年の暮の場合にもそうでありますが、最近においてもその傾向が依然としてなくなっていないのでありますが、三権分立ということは、岸総理は絶えずここで明確に三権分立という立場を堅持すべきだということを述べておられますが、私もその趣旨に賛成するものでありますが、ややともすれば、立法府にある者が、特にまあ自民党の代議士諸公が、行政府にある者に対しまして非常に干渉がましいことをしておる事実を私は承知いたしております。特に昨年の年末における紛争においてもそうでありますが、本人の名誉のために私は特にその人の名前を公表することははばかりますが、郵政省において、昨年のあの紛争を解決しようとして、組合と郵政当局の間に話し合いをしようとした段階がありました。ところが自民党の代議士は、そういう話し合いをするやつは、官僚は首を切ってしまおうということでおどかした事実を私は知っておるのであります。そこで、ある職場大会に私臨みましたときに、たまたま自民党の代議士に会ったわけでありますが、どうも非常に干渉がましい動きをしておりました。おそらく、倉石委員会がどういう性格であるかわかりませんけれども、話によれば、各省に非常に威圧を加えて、物事を円満に話し合いできめようとする際に、それは法律で禁止されているから困るということで、関心を持つことは当然でありましょうけれども、干渉がましい、立法府の者が行政府に干渉する、威圧を加えてそれを阻害をするという動きがあるのでありますが、そのことを岸総理としては望ましいと思いますか。もしそれが事実であれば、それは排除するのが私は岸総理として正しい態度だと思っておりますが、あなたはどのようにお考えになっておりますか。
#151
○国務大臣(岸信介君) 立法府が行政府に干渉するとか、あるいは行政府が司法府に干渉するとかというようなことは、これはあってはならない。おのおの独立の重責を持ち、権限を持っておることは申すまでもないことであります。ただ、今お話しの点でございますが、労働問題ばかりでなしに、いろいろな問題に関しましても、政党としては、やはり強い関心をもって政党の意見なり、あるいは政党の中における機構等を通じて、その意見を政府なりその他の方に発表し、あるいは申し入れをするということは、これは私は、これをもって直ちに立法府が行政府に干渉したというようなものではなかろうと思います。ただ、その申し入れや、あるいは研究した結果で意見を述べるというようなことが、今、永岡委員のお話しのように、何か威圧を加えるとか、あるいは特に強圧を加えるというような方法によって行なわれるということは、これは私は適当でないと思います。
#152
○亀田得治君 ちょっと関連。永岡委員は首を切るぞと、こういうことをおっしゃる方があると言うのです。首を切るのは、これは行政府の長ですからね、そでこの部署の。これは明らかに干渉じゃありませんか。これは単なる、ほかの立場で一つの意見を述べているとか、そういうものじゃない。干渉ですよ。これは明らかに首を切ると、こういう表現は、岸総理はそれはそれでも干渉じゃない、そういうふうにおっしゃるのかどうか、ちょっと確かめておきたい。われわれもそういうことを聞くのです。
#153
○国務大臣(岸信介君) 首を切るとかいうことは、これははなはた穏やかでない言葉でありますが、もちろん行政府のそれぞれの権限のある者が、もしも公務員として、公務員の職責を行なわず、不適当であり、法規に照らして、この人にやめてもらわなければならないというような場合に退職を求めるということはありましょうが、しかし、それはあくまでも公務員の制度の上から申しまして政府が持っておることであります。今お話しの点は、もしも議員であるとか、あるいはその他政府のそうした権限を持っておる人でない人がやったとしますと、これは一種の脅迫といいますか、何といいますか、そういうものになるものだと思います。そういうことは、もちろん私は民主政治のもとにおいて行なわるべき問題でないと、こう思います。
#154
○永岡光治君 今、岸総理の答弁で、大体、総理の考え方はわかったわけでありますが、もちろんこれは首を切るのは行政府の長官でありますから、そうでありますが、あいつを首を切るようにおれはしてやるとか、そういうけしからぬやつは首を切ってしまえということで、大へん威圧をかける。これは自民党の代議士に特に多い。そうなると、やはりこれは官仕えの者は弱いですから、どうしても正常な運行を阻害されるようなことになりますから、どうぞ一つ、行政府に立法府が関心を持つことは、これは私も理解しておりますが、そういう不当に干渉して円満な運行が阻害をされるような、あまり干渉がましいことをされる際には、それこそ岸総理は除名をしてもらいたい。そのときこそ、あなたの権限において除名すると、こういうふうに私はしていただきたいと思いますが、どうぞその点は今後一つ十分関心を持っていただきたいと思います。
 そこで、私は郵政大臣にお尋ねいたしますが、これは岸総理にもお答えをいただきたいと思うのでありますが、政府の使命、それから郵政大臣の使命、これはサービス事業である。郵政省である、法務省でも何でもありません。郵政事業のよりよいサービスの提供を至上の使命と私は考えておりますが、あなたは何よりもこれは最上の使命である、至上の使命であると考えなければならないと思いますが、総理及び郵政大臣の所見を承りたいと思います。
#155
○国務大臣(岸信介君) もちろん郵便通信の仕事というものは国民生活の非常な大事な問題でありますから、政府内にそういう機構を作り、国民のそれらの要望に従うように法規制度を定めて、それに従って私は公正なサービスをしていくのが務めであると、かように思います。
#156
○国務大臣(植竹春彦君) お答えいたします。ただいま総理の答弁せられました通りで、自分もそれを使命と考えております。
#157
○永岡光治君 ところで、最近会国において起こっております郵便の遅配の問題、これは郵政省と全逓の間に紛争が起きた結果、こういう事態が起こっておるようでありますが、これは承るところによりますと、団体交渉ができないそのために超過勤務をしないという。協約ができないから当然のことでありますが、そうなって、その超過勤務ができないために定員が不足しておる今日の事態を解決するために、いろいろ臨時者を入れる。東京の中野の郵便局のごときにおきましては、高等学校の生徒を何か雇ておるということすら私は承ておりますが、はたして事実かどうか私はわかりません、これは聞いたのでありますから。そのために信書の秘密等も侵されておる。中には相当の通数、郵便局を一軒に百通も配達しておるとか、中にはあまりそれがつらいために、ごみ箱か何かにほったらかして、それを捨った子供が、そのはがきを折って飛行機にして飛ばしておる。こういうゆゆしき事態すら起きておることを私は承知いたしておりますが、こういうことではサービスの向上にも何にもならない。あなた方の至上命令というものは、完全にこれはその責めを果たしていないと私は思うのでありますが、しかし、それらの団体交渉を再開することによって、この問題は完全に解決すると思うのでありますが、団体交渉を再開すると、この問題は解決できるという自信をお持ちになっておるか、それは団体交渉してもこれはだめなんだと、そういうふうに考えておりますか。私は団体交渉を再開すれば、必ずこの問題は立ちどころに解決すると確信を持っておりますが、どういうようにお考になっておりますか。これは一つ郵政大臣の方が適当かと思いますので、お尋ねいたします。
#158
○国務大臣(植竹春彦君) お説の通りであります。
#159
○永岡光治君 それではそこでお尋ねいたしますが、たとえば今日、全逓と郵政省の間に団体交渉をしたと、団体交渉をすれば、首を切られるとか、罰則を受けるとかいう、その禁止をしておる法律があるのでしょうか。私はないと思うのですが、もしあるとするならば、どういう法律の第何条にあるということをお示しをいただきたいと思います。
#160
○国務大臣(植竹春彦君) 団体交渉禁止の規定はございません。それから先ほどの御質問の、この郵便局の完全配達につきます年末年始の問題につきましては、これはただいま全逓と政府との間に団体交渉が行なわれておらない状態であることは、御承知の通りでございまするけれども、この年末年始につきましては、これは各単位団体におきまして二六協定――単位団体と申しますか、明確に申し上げますれば、各郵便局ごとに三六協定を結ばれまして、それによりまして業務の運営の使命を迅速かつ完全に果たしていきたいと、さように考えております。
#161
○永岡光治君 さて、ただいままでの私が質問をいたしました答弁を集約いたしますと、政府及び特に郵政省がその主管官庁でありますが、サービスの向上、つまり郵便事業の円滑なる運行は至上命令である。それは大いにその通り努力しなければなりません。その至上命令が今侵されておる現実の状態でありますが、それは団体交渉を再開することによって解決できるということも認めておいでになる。そして団体交渉することは法律止禁止されていないということを認めておる。では、なぜあなた方は団体交渉をしないのです。その点を、私はなぜ団体交渉をしないかを明確に、そうして団体交渉をしたらどういう弊害があるのですか。国民にとって、国民は一日も早く円滑なる運行を望んでおるわけです。最近の新聞紙上をごらんなさい。どの新聞でも、組合も悪いといておりますけれども、政府も悪い。早くなぜ解決しないのだということを、口をそろえて私は言っておると思うのです。これは法律上禁止されていない。やればできることを、なぜ一体あなた方はこれをやらないのか。そうして国民に大へんな迷惑を及ぼしておる。どういうわけで、あなた方はそういうみずからの使命を放棄しておるのですか。従って、今日郵便物の遅延という紛争は、あげて政府の責任だと追及されても、そうでないという弁明はどこにも私は出てこないと思うのであります。お答えをいただきたいと思います。
#162
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま政府といたしましては、団体交渉いたしますこの完全なる相手がないためでございます。それをさらに御説明申し上げますならば、この全逓を代表せられます委員長、副委員長が法律的に欠員でありますので、交渉の相手がない、こういう立場をとっておりますので、団体交渉はできない次第でございます。
#163
○永岡光治君 私はただいまのその郵政大臣の答弁は、それこそ牽強付会だと思うのです。ほんとうに物事を解決しようという誠意意がないからなんです。あなた方は法律の解釈をいたしましても、労働組合法六条を受けて今の公労法第十条を解釈すれば、私のような解釈ができるはずです。「公共企業体等を代表する交渉委員は当該公共企業体等が、組合を代表する交渉委員は当該組合が指名する。」と書いてある。明らかにこの前の大会で、労働組合は野上委員長その他を選出したわけです。指名したわけです。なぜこれが代表にならないのですか。そうして、もう一つこれは尋ねておきますが、一体あなた方は法律の解釈を、国民に迷惑を及ぼすように解釈することがいいとか、運用するのがいいとか、法律はこれは事態によって動き得ることもあるわけです、解釈は。問題はその事態に適合するように解釈することが一番正しいと思う、これは私から申し上げることもないと思う。ほんとうに国民にサービスを提供するその使命を帯びて、それを実施しようとするならば、それに適合するように解釈される法律があるならば、なぜその法律をあなた方はとられないのですか、どうですか。
#164
○国務大臣(植竹春彦君) ただいまのお説の通り、公労法第十条におきましては、組合を組成いたしますためには、自主的に組成することができる規定になっていることは承知しておりますけれども、その自主的に役員をきめたりいたします前に、公労法第四条の三項に、十条に対する制限規定がございまして、郵政省の職員でなければ、組合員になったり、あるいは組合の役員になることができないという制限規定があるわけでございますので、そのために現在の解雇されました委員長、副委員長は、この組合員たり、あるいは組合の役員であり得ない、この解釈をとっておりますために、大へん残念でございますが、団体交渉ができない、こういう立場をとっております。
#165
○永岡光治君 ただいま例にあげられました公労法第四条三項には、「公共企業体等の職員でなければ、その公共企業体等の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」という規定があるわけですね、これを引用されているわけでしょう。ならば、現在ある国鉄の機労、かつての国鉄、あなた方は団体交渉いたしましたが、それは何の規定であったのですか。
#166
○国務大臣(植竹春彦君) 国鉄におきましてもこの非合法的と申しますか、資格のない人が組合の役員をいたしておりましたのでありますが、藤林あっせんによりまして、人事をすみやかに合法化する、法律に適合したような組合に改めるということが明らかになりましたので、法の運用上、それならば国鉄と、ことに機労と団体交渉をやってもよろしいという解釈をとって、団体交渉はいたしましたものの、この国鉄の合法化が、正常化が案外手間どりまして、六カ月の長きに延びたのでありますけれども、しかし最初、団体交渉を開始いたしますときには、まさか六カ月は延びまい、常識的に考えまして半月、おそくても一月ぐらいの間には正常化されるもの、こういう了解で団体交渉を開いたのございまして、非合法化しているから、絶対に団体交渉ができないというのではなく、そのときの時宜に応じまして、法律に照らし、そのときの実際の時宜に応じまして処置をとった次第ございますが、今回の全逓に対します場合には、この全逓が法律違反をされましてから相当長い期間があり、再三にわたりまして慫慂もし、警告も発した。しかも正常化するチャンスは再三あったにもかかわらず、正常化をされません。相変わらず法律に違反しておられますので、かくては団体交渉いたしましても、法律は守っていかれない、かように考えまして団体交渉を中止している次第でございます。
#167
○永岡光治君 藤林というある個人がそういう発言をすれば、法律を曲げることができるのですか。
#168
○国務大臣(松野頼三君) 労働の関係ですから私からお答えいたします。団体交渉は、何と申しましても労使間における非常に基本的な問題でありますから、団体交渉権というものは保護されなければなりません。同時に団体交渉というのは必ず受けなければならないという規定があります。ただし、それには条件がある。それで、守る以上は、法律によって保護された範囲で守られるのだから、その範囲以外は団体交渉に応ずる義務がないということが、団体交渉権があるかないかということでございます。従って、法律的な要件を備えたものは、団体交渉を受けなければならないという法律規定がございます。逆に言うならば、具体的な要件を備えなければならぬという、逆な組合に対する責任もあるわけでございます。それがところが、備わっておらぬときは、受けなければならぬという義務が発生しないから、消極的に申せば、これを受けなくてもよろしいということであって、はなはだ不幸な事態がそこに出てくるわけであります。藤林あっせんというのは、あのときの労使間が非常に紛争しましたので、藤林という公労委の委員長の、この紛争のためのあっせんでありまして、公労法すべてにこれが適用するわけじゃございません。あのときの紛争をあっせんするために、少なくとも委員長副委員長というものは、早く正式の四条三項に合うようにしなさい、全部の組合員に一人でも非組合員、非職員がおったらいけないという公労法の精神を踏みにじるのではなしに、あの当時の紛争の実はあっせんであります。従いまして、公労法を藤林さんが踏みにじったというのではなくて、この紛争処理に際して、両当事者はこうしたらどうだという、時の氏神という感じで出てこられたのが藤林あっせんであります。国鉄はこれを受けました。機労は団体交渉いたしておりません。機労は裁判をやりましたから、このときは拒否されました。裁判の決定は、藤林あっせん以上に実ははっきりした裁判の決定が出ておりますが、従って、機労においては、団体交渉は、機労は提訴されましたから、裁判問題で実は団体交渉はそのときいたしておりません。藤林あっせんは直ちに国鉄が正常化ということが前提となられ、そうして今日正常化されておるわけであります。ちょうど全逓も実は同じような立場におられますので、やはり藤林あっせんという、これこそよき慣行がございますから、その慣行を私たちは一つの道しるべにすることは労使ともに妥当じゃなかろうか、こう考えております。
#169
○永岡光治君 ただいまの答弁によりますと、藤林あっせんがあったからやったのであって、これは法律を曲げたのではない、こういうわけですね。私の言うのは全逓と交渉しないのは、この法律があるから交渉しない、こういうわけでしょう。そうですね。それは違反じゃないでしょう。違反かというと違反じゃないというから、やってなぜ違反かというと違反じゃない、これはやっていいでしょう、そうすると四条三項というものも、またそうすればやれたのじゃないか、こういうことを言っているわけです。当然やって悪いわけはないのですよ。あなた方が答弁している中を考えてみると、どうしても団体交渉したくない、結果は国民に迷惑を及ぼす、私は具体的な例をあげますれば、そういうようにあなた方は言っておきながら、一体地方の、単一組合である地方はどうですか、団体交渉やっているじゃないですか、三六協定結んでいるじゃありませんか。何ですか、これは。これは団体交渉じゃないですか。
#170
○国務大臣(松野頼三君) 三六協定は、御承知のように基準法によりまして、別に組合であろうが何であろうが、職員の方とお話をすればいいのでありまして、これは組合法の規定じゃありませんので、かりに組合が結成されていなくても、三六協定はだれと、組合の方でさえあればだれでもいいわけであります。これは労組法と違いますので、これは全然基準が違うことであって、これは私は問題ないと思います。
#171
○永岡光治君 いや、それは基準法に示しているのであろうと何であろうと、団体交渉の対象になることは間違いない。そうでしょう。労働条件として。それをどうして、あなた方は団体交渉において、支部長も推しているじゃありませんか。
#172
○国務大臣(松野頼三君) 団体交渉というのはもちろん団体で話し合うということならば、これは一般的に職員団体であろうと民同団体であろうと、これは普遍的なものであります。ただいま私が申しますのは、労組法によって規定されておる団体交渉という、この交渉権というものに対して私はお話ししておるんです。交渉権と団体交渉は、これはおのずから、言葉は非常に似ておりますけれども、三六協定は基準法による交渉でありますから、当然これは労組法の交渉権とおのずから条件も権限もそれは違って参ります。
#173
○永岡光治君 私はこの問題についてのあまりこまかい論議はもうやめることにいたしますが、そういう何でもかんでも自分たちが都合のいいことだけやりますけれども、組合に役立つことについてあまり応じないという、そういう考え方が私はよくないと思う。ほんとうに物事をあなた方が誠意をもって解決するようにやったかどうかということを非常に疑問に思うのであります。果たせるかな、先般何か十三、四日に郵政局長会議が開催されたことを承知いたしました。それによりますと、とにかく刑罰をもってこれを取り締まる、引っくくって。それから三百万ですか臨時職員、私はよく知りませんが、そういう新聞です、これは新聞の記事でありますが、そういうことまでしなくても、私はあなた方がほんとうに団体交渉をすれば簡単に解決すると思うんですけれども、一体誠意をもってこの問題の解決に当たろうとする考えがあったとするならば、十分話し合ったと思うのでありますが、あなた方の断圧政策は全く刑罰対策でしょう、断圧対策じゃありませんか。なぜこれをあなた方は早く円満に解決するという努力をしないんですか。どこの法律にも禁止してない。やってもこれはあなた方は何も法律に問われることはないというのになぜやらないかということですね。だから問題は、あなた方がこの問題を決定するにいたしましても、十分事前に誠意を持って話し合ったんでしょうか。
#174
○国務大臣(植竹春彦君) 決して断圧などということは絶対に考えておりません。この労働対策につきましては、最初に岸総理が述べられました通りでありまして、できるだけ話し合いをやっていく、その話し合いいで円満にやっていくというのがこのもっぱらの趣旨でありまして、この間の地方局長会議のときにもそういうふうに指示をいたしております。つまり言葉をかえまするならば、三六協定の成立を期待しておるわけでございます。おそらくそうしてくれるだろう、しかし、万が一にこの三六協定を拒否されました場合には、郵便物が十分に国民の手に、届け先に届けられませんので、それでは郵政省としての使命を果たすことができないから、万が一の場合には非常勤三百万人を動員いたしはして、それによって使命を果たしたい、こういうわけでございまするので、この刑罰のお話がございましたが、刑罰のごときは二の次三の次、これは末の末でございまして、そういうことを考えておりませんが、万が一にそういうことが、この法律違反、この郵便法第七十九条違反の事実が起こった場合には法によって処断をされることになるんだという、この解釈をいたしたのであります。
#175
○永岡光治君 あなたはその答弁、明確にしてもらって――。話し合ったんですか、全逓の代表と。
#176
○国務大臣(植竹春彦君) 年末年始の問題につきましては、全逓と話し合ったことはございませんし、ただいま全逓とは団体交渉をいたさないでおります。そうして私たちが期待しておりますことは、年末年始に際しましての三六協定にもっぱら期待をいたしておりまして、それによって解決をはかっていくのが主眼でございます。
#177
○永岡光治君 たから私はそういう考え方が間違っておると思う。ほんとうに物事を――、これをあなた方の話を聞いておると、私の怨恨です。それ以外何もないじゃありませんか。なぜ腹を割って話し合ってこの問題の解決に当たらないんでしょうか。このままの状態に放置すれば三百万人の人を採用しようとも、私はおそらく、私のささやかな経験でありますけれども、まず年賀郵便は一月中にはけないでしょう。そういうような問題なのに、なぜあなた方は事前に誠意を示して話し合わないんですか。組合が話し合いをやろうじゃないかとしきりに言っておるのに、あなた方はいやだいやだと逃げておる。そうして年賀郵便は国民に迷惑をかけた上に莫大な金を使って、何が得をするんです。国民はどれを喜ぶんですか。国民はあなた方に早く解決してくれ、こういうことを望んでおるじゃありませんか。この声をあなた方はどうして聞かないんですか。だから、あなた方が話し合うことによってこの問題は解決する糸口が開けるでありましょう。そういうことをなぜやらないんですか。
#178
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま申し上げました通りに、この問題は団体交渉によって解決する考えはございません。職場々々によります個々の三六協定を結んでもらいまして、それでこの年末にも繁忙手当も十分に差し上げる。それからまた、この超勤手当も十分に支出いたしまして、三六協定の趣旨に賛成してくれます職員諸君の協力を得てこの使命を果たしていく、こういう考えでおります。
#179
○永岡光治君 そういう考えでは解決はしないと思うのですよ。しない。話し合うことをなぜそんなにいやがるんですか。
#180
○国務大臣(植竹春彦君) 決していやがっておりません。正常化されますれば、委員長つまり全逓を代表せられまする委員を選び、副委員長ができますれば、もう私たちはいつでも待ってこの資格ある委員長、副委員長、その代表と団体交渉をするの十分な用意がございます。繰り返して申し上げますが、年末年始の問題は、先ほど申し上げましたように、団体交渉をしなくても、個々の職員との三六協定による期待をかけておるわけでございます。
#181
○永岡光治君 それは先ほど私が言うように、公労法の第十条、これによって代表ということは指名される、これは認められるわけです。法律の解釈、私の解釈でもこれはできるわけです。あなた方の解釈も明らかにあるでしょう。あなた方の今度のILOの理事会で、結社の自由委員会ですかの中で結論が出ましたように、あなた方が処分したことも、それは一つの権利によることでありますから、そのことは一応法律上違法ではないということを認めております。同時に、その結果に基づいて、組合が大会で首を切られた人を役員に選んだ、これも間違いではない、違法ではない。そうしてそれによってあなた方はこの九十八号条約は、これは日本の四条三項に抵触するということを言っているじゃありませんか。どうしてあなたこれをそういうふうに認めないんですか。こう解釈しても悪くないですよ。解釈できるんですよ。解釈できるのになぜその解釈を故意に阻止するんですか。
#182
○国務大臣(松野頼三君) ちょうど今ILOの九十八号のお話が出ましたが、日本政府は九十八号に違反しておるとは断じて思っておりません。同時に、ILOの自由結社委員会におきましても、これが違法だということは断じて認めておりません。同時に、今回の八日、九日のILOの自由結社委員会に、あとで政府から年次報告を出しまして、そうして明細に九十八号の問題を実は年次報告で理事会に提出をいたしております。ただILOの自由結社委員会のときには、この問題の年次報告が出ておりませんから、多少説明不十分の時間的ズレはございましたが、元来がILOの、自由結社委員会は、自由結社の委員会であって、理事会じゃございませんので、九十八号をそこでおそらく議論されるということは常識から言って、これは予想しなかったことは当然であります。従いまして、理事会の方に、この問題が提案をいたしておりまして、それに明確に九十八号違反にあらずということが実は出ておりまして、おそらく来年の三月の理事会におきましては、九十八号の問題は、明確に実は日本のは違法ではないということになるはずであります。従って、この問題は、自由結社委員会で議論は出ましたけれども、九十八号は何らこれは今日抵触もしておりませんし、当時の審議の模様を速記録でごらんいただけばわかるように、与野党一致して九十八号の批准に進んでいたたいておる次第でございます。これは議論がございません。ただ多少九十八号に及びましたから、私はつけ加えて明確に御答弁いたしておきます。
#183
○永岡光治君 今の点について郵政大臣にあとで答弁を求めます。これはあなたの方の政府代表が大島さんですか、大島政府代表代理というのが言ってきまして、その記事が読売の十六日、月曜日の新聞に出ておりますが、その報告によれば、四つばかり項目が出ておりますが、その第一項を読みますと、「公労法四条三項により組合の解雇役員が組合に参画する権利を失なうことは労働者に、完全な代表選出権を保障したILO条約八十七号に対する介入になりうる」それから第二項として「公労法四条三項は経営者の組合干渉を容易にする。またILO条約九十八号を完全に適用するためには四条三項を廃止することが望ましい」これは外交辞令ですから当然すべしというそういう表現はございませんが、しかもこの第三項では「この全逓問題については日本から年次報告をうけているが委員会としては早期に解決されるよう要望する」こういうあなた方の代表の報告があるんですよ。
#184
○国務大臣(松野頼三君) その結社の自由委員会のときには、まだ年次報告は出ておりません。今回の、二十日に予想されますいわゆる理事会に、私の方は年次報告として九十八号の問題と国内法の問題を明確に実は説明をいたしておるわけございます。その理事会は御承知のごとく秘密会でございますので、利害関係の代表、日本の政府代表も入っておりません。組合代表も入っておりはせん。従って、その内容は私はあえてそれが正しいとか違うとか言いませんけれども、明確にその問題は理事会では結論が出ておるわけであります。それで来年の三月まで延期して、これはその間に日本政府の年次報告も検討されるわけですから、これは今日結論が出たわけじゃございません。従って、今日は意見はいろいろございましょう。しかし、来年の三月になれば、九十八号違法にあらずということは明確になると私は信じております。
#185
○永岡光治君 これは来年の三月に延ばされた理事会にかけることは、一切これは当然の手続です。緊急でないというその緊急でない理由は、日本政府が八十七号を批准するといって言明しているからというのです。今批准するから待てというだけの問題で、三月の理事会に延期されただけでしょう。そういうことなんです。これはあなた御承知の通りです。だから、これは間違っているから理事会に延ばすということにしたわけじゃないのです。それで私の言うのは、この結社の自由委員会でそういう結論が出ているということを、専門家ですから、こういう世界の法学者が集まって、これは抵触する、これは早く日本は従って法改正することが望ましいと言っているのですから、これはやはりその権威に従うでしょう。あなた方、事あるごとに国際法が優先するとか言っておりながら、今度はそういう場合になると、いやそういうことはしないのだ、そういうようなことばかり言って、ちょっと趣旨一貫しませんよ。
#186
○国務大臣(松野頼三君) 趣旨は一貫しております。と申しますのは、いわゆるその結社の自由委員会の権限と機能という問題は、まだこれはILOの全体の意思じゃございませんから、きまっていないと私が言う方が正しいのであって、ただ結社の自由委員会において、当然そういうものが議論されたということは、これは永岡委員おっしゃる通り、それは否定するわけじゃございません。いろいろ議論があります。政府代表の意見も出れば、組合日代表の意見も出れば、あるいはいわゆる使用者代表の意見も出るでしょうから、その一つ一つの意見をとれば、どれでも正しいと存じますが、結論が出ておりませんから、日本政府がどうだ、こうだということは、まだ少し早きに失するというのが最終結論でありますから、これは永岡委員もお認めの通りであります。議論はありましたけれども、今日日本政府が悪いとかいいとか、そんなものは出ておりませんが、八十七号の問題でも、御承知のごとく、日本政府はすでに二月、内外に声明しております。批准をするのだ、こういう意思を決定しております。ただし、その中に四条三項という国内法の改正が必要であります。これには法律的手続が要る。これに合わせて関係法規の手続が要ります。これも時間的に必要なことであります。あわせて公共企業体の特殊性にかんがみて、国内法を守るということと、もう一つは労使両の正しい労働慣行を作るということも必要であります。そのほかに全般的に日本の労働法の検討をしろ、こういう条件を早く備えて批准するというのでありまして、無条件に直ちに批准するということでは、国内法の建前からいっても、また、ILOもそれを要求するわけじゃございません。なるべく早くやってくれというのが、今回の総合的な公平の意見だったと私は承知しますので、日本政府は八十七号を引っ込めるのだ、そんなことを言っておりません。もちろん促進をいたしております。その中に障害が一つ、二つまだ取り除かれておらないというので、今日臨時国会、あるいは通常国会に間に合うかどうかという問題が出てくるのであります。私の気持は、早く実は批准を通常国会には出したいと思っているであります。大体これは政府もやらなければいけないことであり、組合にも同じように、ともに協力すべき問題があることは、永岡委員よく御存じの通りであります。
#187
○鈴木強君 関連。このことは日本がILOに加盟をして、そこで決定された条約を批准する義務が負わされているわけです。ところが、その十年も近くたなざらしをして、この条約の批准をサボっておたのは、これは政府です。すでに批准がなされておれば、問題は一切なくなっているはずなんですよ。だからそういう、要するに国際的義務を果たさなかった政府の責任というものを忘れて、現行の公労法四条三項によってこの問題を起こしているわけです。私は全逓に加えた首切りというものは、不当弾圧なんです。われわれはそう信じている。しかし、まあかりに、あなた方の方がこれは不当弾圧でないというふうに理解をして切ったとしても、ILOが批准されておれば、そういう問題はないわけなんですよ。だから現在においてはあなたの方にミスがある。だから私はここに、通常国会で早くやてもらわなければなりませんが、そういう論議をしておってもこれは当面の郵政事業を守っていくということにはならぬと思う。私は郵政大臣にも伺いたいのですが、あなたは大臣になって初めての委員会の答弁ですから、多少あがっているようにも思うし、かたくなっているようにも思う。ここはホーム・グラウンドだからそうかたくならなくてけっこうですよ。あなたは郵政大臣としてもう少し信念のある答弁をして下さい。さっきから聞いておりますと、総理もこうおっしゃったから私もそうですというようなことで、まことにオウム返しのようなことを言っておるが、そうでなしに、あなたが当面の一番の責任者なんですから、労働大臣とあなたが責任者なんですから、もう少し確信のある答弁をしていただきたい。
 そこで、永岡委員が指摘しているように、十億の年賀はがきを発行する、これに対してほんとうに国民が心配しているのは、はがきを売り出して買いに行く、これがうまく着くかどうかということなんです。全逓の労使間の紛争というものは国民に大へん迷惑をかけておることは、これは事実ですよ。たから、そういう事実を何とかして政治的になくしていくというのが岸内閣に課せられた使命なんです。そういう立場に立って、とにかく行きがかりが両方あるのだからというが、両方ということは、大もとはあなた方が間違っていたのたから、そういうことでなしに、とにかく話し合いをして、そうして正常に年末年始を乗り切るようにやることが、これは植竹大臣の私は一番大事なことだと思う。なぜ話し合いができないのですか。そうして、今国民が心配している点をなくして、飛行機に乗ってはがきが飛ぶようなことにならないように、やはり正常な方向に持っていくことを考えてもらいたいと思う。これは理屈じゃないですよ。実際に国民が年末年始の心配をしているわけですから、そういう点を当該の主管大臣として私は十分考えてもらいたい。なぜできないのですか。どうしてその問題を解決できないのですか。
#188
○国務大臣(植竹春彦君) 答弁を簡潔にするために、前に答弁されました人と同意見の場合には同じでありますと言ったわけでございまするが、私としてはただいまの、どうしてすみやかに円満にやれないかという御質問に対しましては、これは団交再開できるような段階になりますれば、もう首を長くして一日も早く団交再開したい念願に燃えておるのでございますが、ただ、御指摘の年末年始の問題につきましては、先ほどから繰り返し申し上げます通りに、各職場における協定をして、そうして三六協定をやって超過勤務をしてもらう、そうしてこの問題を片づけていきたい。ですから、労働基準法に基づきます年末年始の問題と、この全逓全体に対しまする団体交渉の問題とを私は、むろん関連はございまするけれども、分けてただいまのところは解決していきたい。それから、根本的の解決といたしましては、申し上げるまでもなく全逓全体との団体交渉再開でございますが、このILO条約によって、もうどんな人でも組合員になれる、組合の役員になれるというそのお説に対しましては、それはILO条約の批准の後の話であって、現在はまだILO条約が批准されていない、批准していないということになれば、私たちは政府の立場として、行政の担当者として、現行法に基づいた行動より以外にできない。現行法におきましては、無資格者は組合委員長を名乗られましても、それは全逓という労働組合の委員長として法規上認めることはできない。すでにして委員長、副委員長をかえておる、この代表者をかえておる団体とはとうやって交渉するか、交渉してもその交渉は効力を発生しない、こういう考えから、ひたすらこの正常化、法規をお守りになるようにひたすら期待をしているわけでございまして、すみやかに、ほんとうに早くこの正常化されますことを毎日御期待申し上げておるわけです。
#189
○鈴木強君 労働大臣、あなたの責任において答弁して下さい。
#190
○国務大臣(松野頼三君) ILOの批准は、御承知のごとく世界中に、ILOの条項が今百六かございます、これを全部批准している国は、まだそれはございません。一番たくさん批准しておりますのがフランスで七十、イギリスで五十、言本は二十四、アメリカは九つ、ソ連が十幾つであります。従って諸外国が全部批准する、加盟した国が全部批准するというわけではございません。各国の国内の事情、国内法に照らしてなるべく多く批准するという趣旨でありまして、その例をごらんになればわかるように、世界中の平均は二三・幾つであります。日本は平均より少し上、こういうのが今のILOの批准であって、ILOを採択したから全部批准しなければならないというそれはございません。それは各国の実情を尊重するのがILOの精神であります。
#191
○永岡光治君 そこで、今郵政大臣は、しきりに四条三項のことを言っておりますが、この四条三項は、これは組合員にも、職員にならなかったらその組合員は認められないのでしょう、役員のみならずその職員でないものが……。あなた方の解釈をもってすれば、四条三項はどういうことかといいますと、「公共企業体の職員でなければ、その公共企業体等の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」と書いてある。組合員でもだめです。ところがどうですか、今国鉄、機労その他首を切られたものが組合の役員なり組合員になっているじゃありませんか。それはどうなんですか。片手落ちじゃないですか、そんなに全逓が憎いのですか。
#192
○国務大臣(松野頼三君) 労働法は確かにその通りであります。御承知のように昭和三十一年に労働法が改正されまして、そしてその代表者というものに非常に権限を与えられました。これがすなわち三十一年の改正であります。そのために、先ほど永岡委員の御指摘の交渉委員制度というのが、改正前は交渉委員が全権を持っておりましたから、交渉委員がいわゆる職員であれば団体交渉というものは認められておりました、三十一年に改正になりましてから交渉委員というものが非常に弱くなって、ただ交渉するだけで、最後の決定権はいわゆる組合を代表する者――労働協約で委員長、刷委員長ときまっております、従ってこの委員長、副委員長は少なくとも組合というものの存在する以上は必要だということがその逆な解釈になるわけでございます。もちろん在籍でない者は組合員であってはいけません。しかし、団体交渉というのは委員長、副委員長が正常な場合には、これはやり得るわけであります。そこに組合法においては違法状況であることは間違いございません。しかし団体交渉になりますと、委員長、副委員長の在職ということが一番問題になるわけで、その議論は、二つの議論が私はあるかと存じます。
#193
○国務大臣(植竹春彦君) 国鉄の労組と全逓との違いについて申し上げますと、確かに国鉄にもこの資格のない者が組合員になっておるのは事実でありますし、委員長、副委員長、つまり国労の代表者は正常化させて、有資格者でありますから、団体交渉をすることができる。ところが、全逓の場合にはその代表者そのものが資格がない、法規上資格のない人がやっておる、つまり違法状態にある。これでは団体交渉ができないわけであります。一体、批准の問題でありますけれども、労働組合が法規を守ってくれなければ、もしこれを団体交渉するにおきましては、政府みずから法律に違反してもこれを公然と認めるのだということになりまして、国労の場合にはきわめて少数でありましたけれども、全逓の場合には非常に大きな組合で、しかも世界に名の響いた全逓という強力な、大きな組合が、堂々と法律違反をやっておられますのでは、これは私たちとして、政府としてこの批准まで持っていくことはできない。法律を守るものは条約をも守る、でございましょう。法律を守り、条約を守る、そのりっぱな組合であってこそ、そういう組合を抱いておる国家であってこそ、初めてILOの批准に持っていくことができるのだ、さような立場をとっております。
#194
○永岡光治君 政府みずからが、法律を犯してはいかぬというあなた方が労働基準法を守っていますか。郵政省は守っていますか。あなた方の配下にある郵便局はどうですか。労働基準法違反ばかりではありませんか。なぜそれをあなた方は守らないのですか。
#195
○国務大臣(植竹春彦君) この法規の違反ということは、古今東西を問わず、それは絶対に法規違反をしないというものばかりというわけには参りません。それは全国に、あらゆる点において残念ながら法規が完全に守られないということは事実でございます。また、郵政部内におきましてもそういう事実はあるわけでございますが、しかしそれも事の大小によります。ただいま郵便局におきましては、そういうふうに指摘すべきほどの数は、(「たくさんありますよ」と呼ぶ者あり)郵便局の数がたくさんありますので違反の事実も若干ありまするけれども、これを全逓というような大労働組合が堂々と法律違反をされるにおきましては、これをILO条約の批准まで持っていくことは絶対にできない。そういう立場をとっております。
#196
○亀田得治君 関連して。ただいま郵政大臣は自分の方にも法規違反がある、はっきりあなたは今おっしゃった。岸さんそういうことでよいのですか。郵政大臣は自分のところにも法規違反が若干ある、はっきりそう言っている。総理大臣に質問しているんですよ。
#197
○委員長(小林英三君) 郵政大臣に発言を許しました。その上で総理に発言を許します。
#198
○国務大臣(植竹春彦君) 決算委員会におきましても毎年指摘されておりまする通り、残念ながら郵政省の部内――郵便局等において法規の違反と申しますか、正しくない事実のあることはこれを認めざるを得ないのでありますが、それは法規に従って厳重に処罰をいたしまして、その法の維持、秩序の維持に努めておるのでございますが、それと全逓の法規違反とは事の軽重が全然違うと、こう考えます。
#199
○国務大臣(岸信介君) 私は民主政治のあり方として、常にいかなる場合においても民主的に成立したところの法律を守るという順法の精神が基礎にならなければいかぬ。従って、もちろん私は大きないろいろな作用の上において、現行の法制に違反をしている事実が一つもないようにしょう、一つもないと旨い切ることはできませんが、そういう場合においてこれを改めていくために法規違反の事態をなくしていくように努力しなければならぬ。私は先ほど来議論がありますところの労働組合の全逓の問題にいたしましても、お互いに法規を守って、法規違反の事項をなくしていこうという努力をして、正常な関係を作り上げることが、私は問題を解決するのであって、これが法律違反であるという事態がはっきりするならば、それをなくするようにしていかなければならない。政府におきましてもそれは努力して参ります。
#200
○永岡光治君 郵政省に何か取り扱い上の事故があったとか、あるいは刑罰に該当するそういう違反事項があったということを私は知っている。そのことを問題にしているんじゃなくて、労働基準法違反というものは特定局にたくさんあるわけですから、これはあるんです、だからそれをあなた方はなぜ取り締まらないかというのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)それを言っているのです、私は。
#201
○国務大臣(植竹春彦君) 郵政省においては労働基準法違反はないと存じます。万が一あれば厳重に処断いたします。
#202
○永岡光治君 それは承知できませんね。郵政本省じゃないですよ。郵便局――あなた方の管轄をしている郵便局で、特に特定郵便局です。(「そんなにはっきり言うなら、あったら責任を取りなさい」と呼ぶ者あり)それをもっと明確にしてもらわなければならない。
#203
○国務大臣(植竹春彦君) 地方の郵便局におきましてごく小さい事犯を私も耳にいたしておりますので、その点につきましては、さっそくこれを是正する指示を与える措置をとっております。
#204
○亀田得治君 関連して。今大臣は、そういうものはないと思う、と前に言っておった、ところがちょっと二、三十秒したら、あることを開いておると、こういうこと、そんなばかな、うそをつくようなことをあなたは言っちゃだめですよ。聞いておるならば、初めからそう言わなきゃだめだ。どうなんですか。
#205
○国務大臣(植竹春彦君) 先ほど申しましたように、郵政省におきましてはないと申し上げましたが、出先の、つまり本省においてはない、出先の小さい郵便局におきましては、たとえは、この女子を時間外まで忙しいのあまり勤務させたといったような事実のあることは私は認めておりますので、それに対する是正と指示とを与えたと、こういうことを申し上げておるのであります。
#206
○永岡光治君 私は単なる勤務時間の問題でなくて、労働基準法できめられておる設備ですね、職場の設備が非常にたくさん労働基準法違反があるんです。しかし、それを今急速に改めろ、法律違反だから直ぐ改めなきゃ、これはためだとなったら仕事が回らないわけです。回らないから法律違反を認めておるわけですよ。たから私は、あなた方もかつてそういう経験があったと思うのですが、私も郵政にお世話になったときに、たとえば簡易保険の保険金の最高契約額は法律できめられております、しかしそれでは国民にはなはだ申しわけない、サービスの向上にならぬということを考えたのでありましょう、鞭撻をして、法律違反を犯して二軒も三軒もとって、その制約をこえた事実があった。そうしてその人はしかも成績優秀者として表彰されたのですね。これはやはりサービスの改善を郵政省が考えたからと私は思うのです。そこで今日の状態を考えても、法律に禁止ばしてあっても、あなた方はそういう措置をとった。だが、今度は法律に禁止をしてないことまでもなぜ、それを禁止してあっても団体交渉で円満にやるのが妥当だと思うのだが、にもかかわらず、この法律で禁止してないということをあなた方認めておりながら、なぜそういうことをやらぬのかということが非常に残念なんです。これは国民の立場で、たから岸総理も言われておりましたけれども、これは早急に話し合いをして問題の解決に当たってもらいたいと思う。そういうことを特に一つ要望したいと思いますが、岸総理の所見をお尋ねいたします。
#207
○国務大臣(岸信介君) 私は先ほど来の質疑応答においても、現実の、これだけ世間に問題になっておることでありまして、よく承知されておるように、問題は全逓の委員、これを代表すべき委員長及び副委員長等の資格に関して、現在の法規に従った委員長、副委員長を、できているとかできないとか、こういう問題が基礎になっておるわけであります。問題の解決を話し合いによって解決し、団体交渉によって組合の権利やその他の労働条件がきめられる。これは正常な関係、その正常な関係を作り上げるための前提条件であるところのこの委員長やあるいは副委員長、それを代表されるところのものをどうか一つ法規に従って……あれだけの大きな組合でありますし、人材もたくさんあることでありますし、りっぱに全逓の職員の利害を代表して、そうして団体交渉される資格を有せられる方はたくさんあるわけであります。これを作り上げてもらって、そうして話し合いによって正常化の状態において話し合いが進められる、そうして数十万にわたるあの職員の諸君が安心して職務が行なえるというふうになることを心から念願いたしております。
#208
○鈴木強君 関連して。岸総理ね、あなたの法律順法の精神は、私は全く見上げたものだと思うのですよ。これは非常にけっこうです。拝聴しましたが、そこで結局、ILOというものの批准について労働大臣はさっきおっしゃいましたが、少なくとも精神はやはりあそこで勧告をされたものを批准をしていく、早くしていく、こういうのが建前だと思うのですね。ところが、長い間これが批准されずにきて、あなたが総理大臣になられてからももう三年か四年たっておるわけです。ですから結局、そういう問題を今まで放置したことが結果的に今の事態になって、松野さんもああして頭をかかえて苦労しなければならない。植竹さんも、これは私は個人としては気の毒に思う。それくらい同情しています。そういったことが今あなたの部下の中に苦しみをやっておるわけです。だから、そういう責任をあなたも感じてもらいたいと思う。だから、あなたが言っておるように、何とか話し合いをして当面の混乱を救うような方法を、これは理屈でなしに、お互いにこれはしていかなければならないと思う。そういうことを政治的に今やる時期だと思う。それについて総理はどうお考えになりますか。
#209
○国務大臣(岸信介君) 現在あるところの全逓と郵政省の関係というものは、私は決してこれが望ましい状態ではないと思います。こういう状態を一日も早く解決して正常の状態に持っていくことが必要である。そして、こういう問題を話し合いできめるという、また、そのためにこういう大きな団体として団体交渉権というものを法律上打っておるわけであります。これによって待遇の問題なり、その他勤務の問題についての問題を話し合いによって解決する、団体交渉によって解決できるという状態を作ってこそ、初めて自由にして民主的な労働組合の発展というものがあり得るので、そういう状態を作っていかなければならぬ。それには私は、今の違法状態を一刻も早くなくしてもらう、そして話し合いをし、実質的ないろいろな要求の問題について、私は、正当に妥当にこれらの問題を解決するというふうにいかなければならぬ。政府としてこの状態をいつまでも、われわれはこれが仕方がないのだというふうな考え方では実はおりません。、どうか一つ組合の方に対しましても、皆さんの方がわれわれよりも影響力が大きいのですから、一つそういうふうに私どもの考えていることを十分に説得されて、一日も早く正常な関係が回復されるようにやっていただきたいと思います。
#210
○永岡光治君 時間があまりありませんので、問題点だけを質問いたしますから簡潔にお答えいただきたいと思いますが、ただいまの問題をめぐりまして、まず三六協定が結ばれない限り、時間外労働するかしないかは、その職員の自由であるということはもとよりだと思いますが、その点はどうか。
 それから非常勤職員、三百万人を入れて年末の対策を講じて最悪の事態を考慮されているのですが、その最悪の事態には自信があるのかどうか。私はどの程度ということが自信になるかそれはわかりませんですが、あなた方は一月いっぱいかければいいと考えておられれば、その意味では果たせるかもしれませんが、従来の、ふだんのような状況にこれが配達されるかどうか、その確信があればそれをお知らせ願いたい。できれば本委員会の終了するまででけっこうですが、資料を一つ提供してもらいたい、根拠を。
 それから第三番目、これは当然混乱が起きた場合は、私がるる申し上げたような理由から、やはり政府にも……責任は政府がこれを当然負うべきじゃないか。それから、この場合にはもうおそらくあなた方も話し合いをやらない、全然話し合いをやらないというふうに私は今までの答弁ではそういうふうに受け取れるのですが、それではあまり好ましい状態でないと思うのですが、重ねてお伺いいたしますが、やはり話し合いをする、何らかの形にしても、何でもけっこうですが。全然話し合う余地はないと、こういう考えであるかどうか、明確にしてもらいたいと思います。
#211
○国務大臣(植竹春彦君) 三六協定拒否はこれは違法でないと考えます。
 それから二番目に、その場合に、拒否せられました場合に、非常勤職員を雇い入れての操作は自信かあるかないかというお話でありますが、これは遺憾ながら専門家の、つまり常勤の人たちのやるようには参らないことはまことに遺憾でありますが、しかし、できるだけそれに近づかしめるように指導し、指揮をいたしまして、使命を果たしたい、こう考えております。
 三番目に、責任問題につきましては、どういう事態が起きますか、まだ起きておりませんので、その責任がどっちにあるかということは申し上げられません。
 四番目に、最後に、話し合いをしないかどうかということは、できるだけもう話し合いでもってやっていきたいということを強く念願いたしておりますことは御説の通りであります。
#212
○永岡光治君 それでは労働大臣にお尋ねいたしますが、先ほどの答弁の中に明確にあったようでありますが、国際的な要請もあり、ILO八十七号条約の批准は行なうという方針を決定していることは当然だと思いますが、いつこの手続をとるのか。そうして今日非常に長い期間を経過いたしておりますが、どの程度までその準備が進んでいるか。それから同時に、国会でしばしば、倉石労働大臣の当時からでありましたが、強制労働に関するILO百五号条約批准の問題も、これは批准をすると言明をいたして参ったのでありますが、この点についても、批准をするのかしないのか、大臣がかわったから変わるということであっては困まると思うのですが、おそらく私は批准するという言明をいただけると思いますが、その時期は通常国会にするのか、その準備は一体どこまで進んでいるのか、その点について御答弁をお願いします。
#213
○国務大臣(松野頼三君) 八十七号条約は、内外に声明しましたように、国内の公共企業体の正常な運営が確保されるという前提がございますので、これについて、ただいまのところ全逓労組の違法状態がその障害になっていることは御承知の通りであります。
 第二点の四条三項の削除及び国内法の整備というものは、関係各省と連絡をいたしておりまして、順調に進めております。
 第三番目の労働法の再検討も順調に進めて、その研究の委員の委嘱も始めました。三つの条件のうち、二つは、実は政府部内で今日研究を進めております。最も大きな問題は組合ですから、政府が、私は労働大臣があまり言えば組合干渉になりますから、これは今日御承知のように、永岡委員の御心配と同様に、やはり関係者の方々が外面的に悪いところは直していくという親心で御心配いたたいているわけでありまして、六カ月間私は皆さんにいろいろ御心配いただいている状況も存じております。私も、自分のところでも努力いたしますが、労働大臣として努力するということは組合干渉でありますから、自由の原則は侵かしたくない。心の中では絶えず全逓の組合が正常な姿に戻ることを望んでいるわけであります。同時にこの問題は、実は先ほどの議論の中にも少し言い忘れましたけれども、十七条の争議行為の違反から四条三項の首切り、解雇という問題が出てくるわけですから、やはり国民は争議というもの、あるいは不正常な企業体の運営というものが、一番国民に対して政府も組合も責任を負わなければならぬ、これは至上命令だと思います。それには一昨々年の争議行為というものが国民に非常に迷惑をかけた、その結果が四条三項の解雇になっているのですから、四条三項ばかりがいかにも議論の焦点になっておりますけれども、その背景は何かといえば、お互いに法律を守る――争議権がない、そのために争議を無理に違法状態でやるということが一番大きな原因でありますから、私は今後とも争議が絶対に行なわれないという保証があるならばILO条約を批准するという自信もありますけれども、そういう法律を守るという前提条件が一番大事だと信じております。
 百五号の強制労働の問題ですが、すでに日本はILOの二十九号条約は一九三〇年、戦争前に実は批准しております。今回のおそらく永岡委員の御指摘は百五号でありますから、新しく一昨年採択されました強制労働の問題だと思いますが、これは今の国内法では疑義がないから、直ちに国会で批准したいと存じております。ただこの字句の中の強制労働の定義というものについてILOに照会しております。強制労働とはいかなるものを指摘しているのか、この定義の全条件がまたILOの方から明確な返事がございませんので、その返事次第によっては、ある場合には牴触するかもしれないと考えられる条項もございますので、その定義を実は今ILOに照会しているわけであります。その定義次第で、私は通常国会で現在の国内法で批准できる、こう考えて、百五号の強制労働については通常国会で批准するようにただいま検討しておりますが、内容は、ILOから強制労働の見解がまだ来ておりませんので、ただいま検討中であります。
 もう一つ、二十六号の最賃制、これは通常国会で批准いたすつもりであります。これは国内法で特に抵触するものはございません。鈴木委員のおっしゃるように、なるべく多く私どもはやるつもりでありますから、その意味で日本政府のILO協力ということについて十分御認識願いたいと思います。
#214
○永岡光治君 八十七号の批准は、やはり今のお話では、おくれる公算が大と見なければならぬわけでありますから、それであっては非常に困るし、国際舞台での公約にも、約束にも反すると思うのでありますが、同時に、これがガットの三十五条の適用問題について、非常にやはり誤解を招いておるおそれがあると思うのですね。国際的にもこの貿易の促進、増大するという見地から考えても、こういうことに誤解ないしは、これに因縁をつけられて、そうして、あの皆さんが、日本の国民が望んでおる適用の除外ということがおくれることを私はおそれるのでありますが、そういうことのないようにしてもらいたいと思いますが、そういう関係がないのかどうか、私は相当誤解を生んでおるように承っているのでありますが、外務大臣としてはどのように考えておるのでありますか。
#215
○国務大臣(藤山愛一郎君) ガットにおきましては、今回の総会においても、いろいろな問題が論議されました。ただいまお話がありましたように、日本の何か労働違反、あるいはそういうような問題が特にガットにおいて指摘されて、そうしてそれが日本の不利になるような発言があったことはございません。
#216
○委員長(小林英三君) 永岡君、時間がもう参りました。
#217
○永岡光治君 最後に一つ。これは特に総理及び大蔵大臣、外務大臣にも、そういうやはり誤解をかなり持っておるし、かりに誤解がないにしても、故意にこれを理由にして、そういう適用除外についての渋る動きがないとも言えないわけですから、その点からも広い立場から早急に私は批准をしてもらいたいと思うのであります。
 それから最後に一つだけお尋ねいたしたいのですが、これは佐藤大蔵大臣にお尋ねしますが、前の国会におきましてしばしば、特に通常国会ではそうでありましたが、二百五十円という仲裁裁定が全逓の組合に出たわけであります。二十六万の職員のうち大体約一万程度の職員に、全特定といわれておりますが、それに二百五十円支給。他の全逓の職員にも支給しなさいという仲裁委員会としての要望が出たわけであります。そのときに大蔵大臣は、いや、これは出さぬことはない、必ず出す、こういう意味にとれる答弁をしばしばしたと思うのですね。ところが、一向にこれはされていないわけです。二十六万人の職員のうち、たった一万人の職員に支給して、あとは支給しない、そういうばかげたことをするから組合員というものは怒りますよ。何でそんなばかげたことをするのか、私はかつて組合の委員長をさしていただいて、そのポストを受け持ったときに、それは組合に所属しているものを他と区別していいのではないかということを私ども交渉いたしましたが、それはいかぬ、組合員である前に職員である、一視同仁に見なければいかぬ、こういうことでありました。ところが、今度はその一万人だけにやって、こっちはやらないというのですが、それが混乱の大きな原因の一つになっておるわけです。私はこんなばかげた子供じみたことをやる必要はないのではないかと思うのですが、この点、一体大蔵大臣としてはどう考えているのですか。これこそまさに子供です、これは。岸内閣の労働政策はこんなお粗末なものかと言われても、笑止千万だと言われても弁解の余地はないと思うのです。御答弁願います。
 それと関連して、その前にちょっと漏れましたので、特に通常国会で当時寺尾郵政大臣ですか、私には必ず出すということを約束をしたわけです。大臣が約束したわけです。それが支給されていないのですが、その前の大臣が確約したものを、次の大臣には引き継がれないということになっておるのですか、その点も一つ、これは岸総理にお尋ねした方がいいかと思いますが、そういうことはどういうことになるのか、もし、それが引き継がれないようになると、そのときの大臣の約束はあまり信用が置けないということになりますから、これも重ねて御答弁いただきたいと思います。
#218
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの二百五十円の問題でございますが、御承知のように仲裁裁定によりましてこれを実施する場合に、予算総則では財源処置を渋る規定が設けてございます。ところで、この特別会計の予算総則の十三条第一項というものを適用いたしますのは、ただいま申し上げるように仲裁裁定を実施するという場合に限るのであります。今回の場合に仲裁裁定が行なわれておらないことは、先ほど来の御議論で御承知の通りでございます。私ども考えますのに、やはり組合が正常化し、仲裁裁定が行なわれるということが、この事件につきましては最も必要な条件であります。実はかように考えております。私、まことに残念に思いますことは、きわめて職員の中の一部分で形成している組合だけが仲裁裁定を受けて、大部分の多数の従業員を擁するその組合が公労委でも認めてくれておらない、従って、仲裁裁定の手続もとれない、こういう状況は、私はまことにわが国の組合運動、組合活動の面から見まして残念しごくに存じておる次第でございまして、私ども、かように考えますと、決して全逓職員を一、二に区別する考えは毛頭ございません。しかし、やはり法規に従って処断するというのが当然の処置ではないか、かように考えております。
#219
○永岡光治君 佐藤大蔵大臣の答弁によりますと、これは法律に裁定を受けてないからやれないのだということであります。しからば、お尋ねいたしたいわけでありますが、機労には出したわけですね、裁定を受けていなかったけれども、それはどういうわけですか。
#220
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、移流用をいたす方法がないので、予算総則でそういうことがきめられていますから、許可されていない。そういたしますと、他の処置、人件費等でそういうことが処置ができるか、機労のような非常に少額の場合でありますと、この処置はあるいは可能かわかりません。全逓の場合でございますと非常に多額の資金になります。従いまして、そういう処置はとれない。だからこれは同一に取り扱うわけに参りません。
#221
○永岡光治君 これは今、臨時国会が開かれております。組もうとすれば、補正予算を出せたわけです。だから、ことごとに何か因縁をつけて、あのやろう憎い、だから、どうにかしてやろうとしかとれないわけですね。そういうことでは正常な労働慣行はできないと思うのです。予算が衆議院を通過してきたから臨時国会に間に合わぬというなら通常国会に組むのですか。
 それから、これはそういうことがなければ幸いでありますが、労働大臣にもお尋ねしておきたいと思うのですが、この前、機労にはああいうことで妥結をした、ところが、ここでまた交渉などやってほんとうにまとめてしまうと、なぜああいうことをやったのか、面子がなくなってしまうというので、国鉄管理者のしりをあなた方は引っぱって絶対そういう交渉に応じてはならぬぞと言ったと聞いておるのですが、そういう事実ですが、奇怪千万で笑えない事実です。どうもこれはほんとうらしいですが、そんなつまらぬことにこだわらぬようにしてもらいたいのですが、この二つを一つ、岸総理の答弁の前にお聞きしたいと思います。
#222
○国務大臣(松野頼三君) これは郵政省の財政と大蔵省の財政問題でありますから、私の方がしりを引っぱって出すな出すなと、そんなことを言ったこともありませんし、そういうことは考えておりません。団交はやはりこれは労働法を守ってもらいたい、また、守りいいように指導することが私の方の、実は労働省の務めであります。法律で規定されたものは、私は違法状況を推進するわけには断じて参りません。従って、もしも郵政大臣から聞かれれば、労働行政は正常化――正常化というものは法律を中心に正常化をはからなければ、お互いにこれがいい、あれがいいと判断することは誤りでありますと同時に、すべての組合が正常化されているのですから、やはりその意味においては、私は、正しい労働法を守った運営をしてもらいたいと主張するのは私の務めであって、もしも、かりにそれを怠ったならば、労働大臣は非常な職務怠慢のそしりを受ける、それは私としてはどうしてもがえんずるわけに参りません。
#223
○国務大臣(佐藤榮作君) 補正予算を組むかということでございますが、大蔵省自身が積極的にこの問題を討議する筋のものではないように思います。私は、やはり郵政省自身でそういうことについての要求が出て参る筋だろうと思います。おそらく、今のような状況では、そこまで郵政省自身としてもなかなかふん切りがつかないのではないかと思います。やはり組合が正常化され、そうして賃金値上げの問題でございますから、仲裁裁定によって結論を出していく、これが最も望ましい形だと、かように考えます。
#224
○国務大臣(植竹春彦君) 前の大臣は明確にお約束をしたと、私は聞いておりません。それから、これはどうしても早く話し合いを始めて何とかしたい、そう考えております。もっとも、話し合いと申しましても、いわゆる団交をこの段階においてはできませんので、話し合いがすみやかにできるように、一つ皆さんの御協力をお願いしたいと思います。
#225
○永岡光治君 岸総理にお願いします。
#226
○国務大臣(岸信介君) 各省においての行政方針であるとか、このきまった事柄に関しまして、大臣が更迭しましても、そういうものが原則として受け継がれていくということは、これは当然であろうと思います。そのために、大臣がかわりますような場合におきましては、重要な事項について引き継ぎ等を、庶務引き継ぎ等をいたしております。ただ、大臣がかわっておるわけでございますから、何でもかんでもすべて前大臣の一言一句を、ことごとくそれをそのままというようなわけにはいかないことも、これは何でありますが、重要な行政方針等においてはっきりきめた事柄は、これは受け継いでいくのが当然であろうと思います。
#227
○委員長(小林英三君) もう時間がありませんが。
#228
○永岡光治君 これは一つ要望です。
#229
○委員長(小林英三君) 要望……。簡単に一つお願いいたします。
#230
○永岡光治君 最後だから、そう騒がぬでいいじゃないか。
 それは、岸さんも言うように、確かに一部――全部が全部ということは、あるいは忘れていることもあると思いますけれども、事この問題に関する限りは、忘れるなんということは私は許されないと思う。これだけ大きな問題、この大きな問題を約束しておいて、それは次の大臣だから知らぬというわけにはいかないと思う。これはあなたの政党に所属している前大臣でありますから、十分これは一つ考慮いただきたいと思いますが……。
 そこで、大蔵大臣に特に私、要望しておきますし、また関係大臣、特に岸総理も聞いてもらいたいと思うのですが、しばしば申し上げておりますように、これは意地とか張りとかいうことでなくて、迷惑をこうむっているのは国民だということを、どうぞ一つ銘記していただきたいと思うのです。その団体交渉ができないために、非常に問題が起きているわけです。だから、私は、団体交渉なんという形式ばったことでなくても、これは一つのきっかけができれはいいわけですが、それをしも、とにかく話し合うことすらいやだということで今日まで来たのですけれども、法律というものはどうであれ、政治論として、政策論として、それは国民の喜ぶところでなくして、あなた方が話し合って解決したならば、国民は、たとえ法律に禁じられてあったにしても、拍手を送るだろうと思うのです。岸内閣はりっぱな労働政策をやってくれたと喜びこそすれ、非難をする者は一人もないと私は思う。だから、そういう意味で一つこれは善処してもらいたいということと、大蔵大臣にお願いするわけですが、先ほど申し上げた通りです。二十六万の全逓に入っている人、それにはやれないというのですね。これは一般の世間の人が聞いたら、どう思いますか。実に、これはおかしなものだと思うのです。だから、それはあなた方も、意地も張りもあるかもしれませんけれども、ここらあたりで考えを変えて、どうせこれは補正予算を組まなければだめだとあなたはおっしゃるならば、たくさん機会はあるわけですから、通常国会もありましょう、あるいは通常国会後もあるわけですから、あるいはまた予算的に見ましても、裁定が出れば、新しくこれからでもやれるわけですから、財源はあるわけですから、そういうことになる。だから、そう財源的に国民が迷惑をこうむるわけでも何でもないわけでありますから、そこらあたりも十分一つ考慮して、早急にこの問題が解決できるように特に私は正要望いたしまして、私の質問を終わります。
#231
○委員長(小林英三君) 永岡君の質疑は終了いたしました。
  ―――――――――――――
#232
○委員長(小林英三君) 次に、昨日留保されました小林委員の質疑に入ります。残り時間は約二分弱でございます。
 なお、この際、外務大臣から、昨日の小林君に対する答弁に関連いたしまして、発言を求められております。これを許します。外務大臣。
#233
○国務大臣(藤山愛一郎君) 昨日、私が小林委員に御答弁した点につきまして、訂正をいたしたいと思うところがございますので、この際申し上げたいと思います。
 久保田豊君が外務省に全然関係のないということを私は出し上げたのであります。調査いたしましたら、二十八年の十二月に、インド、タイ、シンガポール、インドネシア等に行っております。そのときに、公用旅券を出しております。その際、外務省の調査員という辞令を出しております。で、元来、調査員というものは、旅行が終わりますれば、それを解消することになっておりますが、同君の技術的な立場を将来活用し得るのではないかということで、調査員の辞令が解かれないで今日に至っております。昨日申し上げたことと違いますので、それだけ……。
 もう一つ、ベルギーにつきまして、承認国としてのベルギーにつきまして、アジア局長から御説明をいたしました。アジア局長は、御説明の際に、担当課長等の記憶によりまして、あるいは南だけを承認しているのではないかということを申し上げたわけでありましたが、昨日、念のために電報をいたしまして問い合わせたのでありますが、ベルギーは、五十五年の十月二十六日にゴ・ディエンディエム大統領が就任いたしまして、その後新しい公使を任命するアグレマンをベトナムに求めたわけであります。その際、最初のアグレマンには南ベトナム共和国と書いてありましたのですが、ベトナム側の話し合いによりまして、これをベトナム共和国とすることに改めた経緯があったわけであります。従いまして今日では南ベトナム共和国ではなくて、ベトナム共和国として、全域を代表する国として、承認しているということに誤りないようでございます。
 以上、私の申し上げました通りに訂正をいたします。
#234
○委員長(小林英三君) 小林孝平君。
 なお、小林君に申し上げますが、残り時間は二分弱でありますが、五分間以内に質疑を終了されんことを希望いたします。
#235
○小林孝平君 私が昨日質疑を留保いたしましたそのゆえんは、外務省のこれに関する調査はきわめて不十分、ずさんであるから、これ以上質疑をいたしても十分なる回答が得られないということと、もう一つは、この問題は、植村甲午郎氏、松下光廣氏、それから久保田豊氏の三人を、参考人として当委員会においでを願って、十分お話を聞けばこの真相が明らかになる。従って、これを呼ぶか呼ばないかきまらないうちは、質疑を続行することが不可能であるというので、留保いたしました。ところが、第一段の、外務省の資料が不十分であるということは、現在に至ってもなお私はそうだろうと思うのです。ただいま外務大臣が、きのうの、承認国のベルギーに関する件を御訂正になりましたけれども、これはその他についても、万事大体その調子ではないかと思うのです。それのみならず、この最も重要な久保田豊氏と外務省の関係を聞いたら、いささかも関係がないとあれだけ断言されたのですが、私が、本日そういうことはないのではないか、外務省においても調査したらどうか、こういうことで私が念のため外務省に御連絡し、外務大臣がここでいたずらに恥をかかれないように申し上げておいたので、外務大臣が今御訂正になったんですけれども、これは全然関係がないどころか、外務省のれっきとした調査員なんです。しかも、国会議員すら一般の旅行をするときは公用旅券が出ないのです。公用旅券が出る場合は、よほど特殊な場合でございます。国会から正式に派遣された場合、あるいはその他特別なときでなければ出ない。この公用旅券が出て、非常に便宜をはかられた。しかも、この調査員というものは、これは外務省では、今となれば大したことないようにお考えになりますけれども、外務省の調査員というものは、どのくらい高く一般に評価されておるかということは、あなたが想像以上でございます。あなたもおっしゃったように、将来この技術の才能をいろいろ活用したいと、こういうふうにお考えになって出したとおっしゃいましたけれども、現にこの調査員という身分を一二〇%活用して大活躍されて、今回のこの賠償問題が展開したんです。これは向こう側についても、この調査員の身分でもって日本政府を代表するかのごとき発言をせられて信用を博し、国内においては他の業者をこの外務省の調査員ということでみんなおどかして、そうしてみずからが独占してこの賠償関係の仕事を担当しておる。こういう事実に目をふさいで、私はこの問題を軽々しく見るわけにはいかないと思うんです。
 しかも、私がきわめてこの問題が大事だと思ってお話ししておるのに、言下に、全然関係はありませんとか何とかおっしゃっておる。そういう態度から、この問題が発生しておるのです。私は、藤山さん自身がこの問題に非常に深く関係されておるとは申しませんけれども、総理大臣以下非常な御迷惑ではございますけれども、世間では、総理大臣以上植村さんその他この問題に深く関係されておると、こう伝えられておる。従って、私がそういうことを出し上げたら、外務省は進んでそういう疑惑を解くために調査をされるべきが当然なんです。これは総理大臣に対してもそういう義務があると思う。そういうことをやるから、何かおかしいという疑惑がだんだん深まってくる、こういうふうに思うんです。
 さらに、私がここで申し上げたいのは、トラン・バン・チェット、あるいはニェン・バンホワイ、これらの諸氏は国務大臣、あるいはそれに相当する人たちなんです。南ベトナムは小国ではあるかもしれません。あるいは、まだ南北統一の政権でないとわれわれは考えておるけれども、政府はともかくそういうふうに考えておる。この国の高官が日本に来ておるのに、これはいつ来て、どういう人に会ったんですかと聞いているのに、それは調査しますというならわかります。そんなことはわかりません。――これは何です。これは今の外務省が欧米の……。
#236
○委員長(小林英三君) 小林君、時間が参りましたから、御質問の結論を出して下さい。時間が参りました。
#237
○小林孝平君 あなたに協力しますから、心配しないで下さい。ちゃんと結論を出しますから。
 欧米中心、欧米中心主義だから、こういうことになってくる。これがイギリスやアメリカやその他の諸国の大臣が来て、いつ来たかと私が聞いたら、今のようなお答えはなかっただろうと思うのです。東南アジア諸国などはばかにしておるから、こういう答弁が出るんじゃないか。あるいは、これは何か疑獄に関係があるから、おれはそんなものは知らぬといった方がいいと。こんなことで御答弁になっているから、たんだん問題になる。このうちの一人の人の旅程に関しては、外務省の情報部長談すら現在の調査においては出ておるんです、正式に。
#238
○委員長(小林英三君) 小林君、お話し中ですが、簡単に願います。時間がきております。
#239
○小林孝平君 今終わります。
 そこで、こういう情勢でございますから、私は、この外務省の調査というものは不備である。従って、これ以上質問をしても回答は得られないだろうという意味において、私は質疑をやめます。
 それから、もう一つは、要求しておるように、この三人の人を参考人としてぜひ当委員会にお呼びを願って、われわれが十分、この国家の予算を使って賠償に使い、すでにその一部分は調査費として一億数千万円払われている、こういうことは正しいかどうかということをわれわれは調査する必要がありますから、これは委員長に申し上げますが、こういうことはなるべくさわらない方がいいだろうということでなくて、ぜひお呼びを願って、われわれが十分真相をただし、そういうことがないという結論が得られるように、一つ呼んでいただきたいということを委員長にお願いをいたしまして、私の発言を終わります。
#240
○委員長(小林英三君) 小林君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。
 明日は、午前十時より委員会を開会し、一般質疑に入ります。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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