くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第033回国会 本会議 第4号
昭和三十四年十月二十九日(木曜日)
   午前十時二十五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和三十四年十月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、
朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。成瀬幡治君。
   〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
#4
○成瀬幡治君 私は日本社会党を代表いたしまして、天災でなく人災であります十五号台風、五号、六号、七号の台風を初め二十余県にわたる今年度の風水害について、総理大臣を初め関係大臣に質問をいたしたいと思います。
 最初に、院の皆さん方とともに、今次災害でなくなられた方々、被災者、関係者に対しまして、深く哀悼の意を表し、お見舞を申し上げるものでございます。
 十五号台風襲来以来三十余日になります今日、いまだ泥水の中で、荒れ果てた階上で、屋根裏で、飲むに水もなく、電灯もなく、迫りくる寒さと飢えと不衛生におののいている人たちが十万余名もいるのであります。悲惨この上なしであります。これらの人たちの願いは、一刻も早く潮どめが行なわれることであり、黒い土を見ることであります。史上最大とか空前のできごととかというような言葉だけで遅延は許されません。一体いつまでに締め切りが完了するのか、排水はいつ完了するのか、市町村別に明示されたい。また、一体何ゆえに、ここまで潮どめ工事、仮締め切りがおくれているのか、その理由が承りたい。学生生徒すら一日多いときには二千名、延べ十万余名が動員され、締め切り、土のう作りをやっているときに、何ゆえに自衛隊の大量投入ができないのか。一日平均一万名とは少な過ぎるのであります。また、せっかく出動した自衛隊が、業者の指示で潮どめの作業をするのはごめんだと言って浸水を前にしてさっさと引き揚げて行っておるのでございます。このようなことが許されるでしょうか。御所見が承りたい。
 今年の被害は人命において五千六百余名、被害総額では民間を含めて一兆億円という膨大な数字に上ります。このことは、自然災害に対処すべき防衛体制に重大なる欠陥があるからであります。
 まず台風災害に対する予報措置であります。予報伝達が迅速適切に行なわれているとしたら、こんな大きな被害は出さずに済んでおるでしょう。被害を最小限に防ぐことができたでしょう。しかるに観測用の航空機は一機もないのであります。政府は戦闘機種問題で騒ぐ前に、何ゆえに気象観測のための航空機が確保できないのか。またレーダーも最小限五百キロメートルの性能のあるものに取りかえるなど、設備の拡充をはかるべきであります。また連絡伝達も有線のため、大事なときに、最も必要なときに役に立たないのであります。無線化すのは当然でありますが、御答弁を願います。
 国土が細長く、急流河川の多いわが国では、出水が早く、また湾や入江も多いから、高潮の来襲も非常に多いわけであります。かかるゆえに、災害はきわめて短時間に発生し、すぐ危険な状態を招きやすいので、これが防衛救助活動は周到かつ迅速に行なわなければなりません。水防倉庫に備えられている資材は、土のう、くい、つちなど徳川時代以前のもので、少しも近代化されていない、原始的な情けない状態であります。宇宙時代といわれる今日、何たることかと言わなければなりません。また尊い人命救助の機材についてもほとんど備えてありません。暴風雨の中で夜間作業に備える照明具はもとより、舟艇、いかだなどの設備も全然ないのであります。このことは人命尊重という第一義を無視したものであり、人命軽視のそしりは免れません。国民の生命財産を保護するという根本的な配慮がないのであります。御所見を伺います。
 給食代一日九十円とは何たることですか。大蔵大臣は、こぶし大の握り飯一個幾らかかるか御存じですか。九十円でやっていけると計算した基礎はどこにあるか。また一日、二日ならいざ知らず、一カ月以上続いたらどういうことになりますか。栄養失調からいろいろな病気を引き起こすのは当然であります。政府の態度は、まさに、いたいけな子供をまま母がいじめている姿であります。たき出しに奉仕するお偉さんたち、屋根裏の父母のもとを離れて遠い避難所で夕食をとる、かわいそうな子供たちの姿を、蔵相はその目で見てこられましたか、思い浮かべて下さい。血の通ったあたたかい取り扱いができるはずでありますが、お答えが承りたいと思います。
 昭和二十一年以降今日まで、災害によって失われた人命は約三万六千余名で、失われた田畑は約四十六万ヘクタール、数兆億円という損害額に達します。政府は、すぐ治山治水何カ年計画とか言いますが、何にもやっていないということを、ただいまあげた被害総数が何より雄弁に物語っています。堤防、護岸、砂防、植林などの防災施設は、過去の実績主義、経験主義で、全く余裕を見ぬ、非科学的なやり方であります。実績主義というと大へん体裁のよい言葉ですが、実は予算面から、低く、弱く、決壊もまたやむなしとするもので、必要最小限度が確保されていないところの政治堤防であります。こんなことでは人命財産はとうてい守れないのであります。また、これが施工をする、あるいは設計をする官庁がばらばらで、横の連絡は全然とれておりません。端的に例をあげますと、海部郡の鍋田干拓地が農林省、桑名市の城南干拓地は建設省、日光川、庄内川が建設省と愛知県、名古屋港が運輸省、名古屋市、愛知県となっております。そうして、この継ぎ目の、責任のはっきりしておらない所が今度の災害で全部切れているのであります。政治堤防と官庁の繩張り争いが、悲惨な災害を毎年繰り返す最大の原因であります。今日の日本の悲劇はここにあり、天災でなく人災と呼ばれるゆえんも、またここにあるのであります。(拍手)行政の一元化こそ必要であります。行政がまちまちのために、被害、迷惑をこうむるのは国民であり行政は国民のためにある建前から言って、首相並びに行政管理庁長官はどのようにしようとするのか、御答弁を願います。
 伊勢湾台風の被害が甚大であった理由に、地盤沈下があげられます。昭和十九年の地震と、臨海工業地帯で地下水を工業用水としてくみ取られて参ります。従って地盤が年々沈下するので、これに備えて、絶えず測定し、不慮に備えなければなりません。また、河川堤防では土砂が累積しますから、当然堤防のかさ上げをしなければなりません。また、港湾では一定水準より堤防を高くすることはできない状況から、東京、横浜、神戸、名古屋などの港湾都市を守るために、当然二重堤防、防潮堤などが考えられなければならないと存じますが、御所見を伺います。
 政府は、改良復旧、改良復旧と、盛んに言っておられますが、問題は、どれだけのかさ上げと強度を加えるかという点であります。災害は二度と繰り返さないという立場からやるべきで、改良復旧は当然過ぎる措置であります。復旧改良補強工事は、被害個所のみではなく、被害個所のみではボロを継ぎ合わせたものになって、役に立たないのであります。従って、被害地区だけではなく、今や全国の護岸、堤防、砂防の再検討をすべきときであります。恒久対策としての治山治水計画はどうなっているのか。昨日の岸総理の所信演説で災害に触れたことはたった二分間、何ら具体的なものをあげてお見えになりません。村上建設大臣の演説は災害報告であってこれからどうしようということは全然触れておられないのであります。国民の知らんとするところは、具体的な基本方針とともに、これに伴う財政措置はどうなっているかという点であります。お答えを願います。
 さらに、防災活動についてでありますが、今次のような大災害になると、とても市町村の消防団や水防団、警察官ではどうしようもありません。組織化された自衛隊が事前に出動をし、防災活動に当たるようにすべきであります。災害地救援の自衛隊員は、その献身的な働きが感謝されております。感謝された自衛隊は、カービン銃で武装された自衛隊ではなく、シャベルをかついだ自衛隊員であり、土のうをかついだ自衛隊員であることを銘記すべきであります。(拍手)
 また、今回の死傷者が戦時における大空襲の被害をこえていることを思えば、わが党が主張して参りました防災活動、国土建設を自衛隊の主任務とすることに改編するのは、今日、国民的常識と言うべきでしょう。自衛隊の装備、訓練を、防災、建設などに切りかえるべきであります。首相、赤城長官の御答弁を伺います。
 災害直後、名古屋に中部災害対策本部が設けられました。大へんけっこうなことでした。そして岸総理を初め関係大臣が現地視察をされました。そしてそのたびに、復旧については金では支障を来たすようなことはさせない。改良復旧は八〇%以上の高率補助である。木造はだめだから鉄筋にするとか、復旧は三・五・二の比率ではなく、早期復旧のため五・三・二がよいとか、いろいろの証文を残していかれました。だが、今回提出の補正予算は、完全にこれを裏切り、あいた口がふさがらないというのが実情であります。大蔵大臣は財布の底をはたいたと言われますが、被害者はすべて赤字を出しました。地方自治体も大きな赤字を出しました。ひとり大蔵省のみが健全財政を誇ってみても、どうしようもないじゃないですか。大蔵省は苦楽を国民とともにすべきであります。ないそでは振れないと言われるかもしれないが、ジェット戦闘機をやめてみたらどんなものでしょう。一機四億円もするジェット戦闘機を当面二百機、昭和三十七年度までの千三百機計画は、金額にして約五千二百億円です。また、昭和二十五年以降、七千八百億余円の金が防衛関係に費やされておりますが、これは全くむだなことであり、この金が防災関係に回っていたとしたら、災害貧乏のない、ほんとうに住みよい豊かな日本になっておったはずであります。御承知の通り、カナダでは戦闘機採用は中止いたしました。せめてここらあたりで死の商人へのサービスをやめて、戦闘機だけでもやめて、自然災害に対する国土防衛と災害復旧に回せないものか、お伺いをいたします。
 復旧事業の高率適用の地域指定でありますが、昭和二十八年度災害より下回るといわれております。これはどういうことですか。災害救助法発動地域全域を指定すべきだと思いますが、御所見を承ります。
 民生安定のため、被災者を守るため、被災者援護法を作るべきでありますが、どのようにお考えになっているのか。一番重要な家屋問題で、応急、恒久対策がともに考慮されておりません。再検討の段階ではないでしょうか。また、家主と被災家屋の借家人との関係はどうするか、特別立法が必要と思いますが、お答えを願います。
 現在避難所となって、正常授業のできない小・中・高学校が相当数あるのであります。長期間このような状態は許さるべきではありません。これが対策はどのようにしますか。次に文部大臣に伺いますが、道路、橋梁は復旧改良工事が進められておりますのに、学校関係の復旧作業は遅々としております。いや、全然進んでいないという状態であります。これは、市町村が法律がきまらないから予算がどれだけになるかわからないということで手をつけないのでありましょうが、大臣の各関係者への指示、助言はどうなっているのか、この際承ります。また、私費を投じて日本の教育水準、文化の向上に努めてきた私学に対して、せめて災害というような異常時対策は公立並みに取り扱われるべきではないでしょうか。あわせてこの点もお伺いをいたします。
 今次被害の特色は、伊勢湾臨海工業地帯に来襲したという点であります。防災上の観点から、立地的条件を整備する計画、たとえば伊勢湾防潮堤とか、国道一号線の土盛り、名四国道の設計変更、名古屋港のうしろの土盛り、これに伴う都市計画などのもろもろの対策をどういうふうにお考えになっておられますか。また、中小企業の多い工業地帯で、これが復興についての特別対策はどうなっておるか。現在施設が過剰であるからこの際――というような方向がとられるとすれば、伊勢湾工業地帯はまさに泣きつらにハチというようなことで大へんなことになるのであります。金融措置、税制の特別配慮が望まれておるのでありますが、この点についてもお伺いをいたします。
 また、貯木場の件であります。名古屋市船見町の貯木場は運輸省、通産省の御自慢のものでありましたが、今回はこの流木が家をこわし、人命を多く奪ったのであります。流木が荒れ回ったのであります。貯木場対策はどうされるか。これは名古屋だけではなくて、大阪、東京等の問題にもなって参ります。この際御答弁を願います。
 要するに、災害は人災であります。アメリカに従属する誤った外交方針に従った無益有害の軍事予算の犠牲で起こされた災害であり、悲劇であるのであります。二度と災害は繰り返すべきではありません。愚かとは同じことを二度繰り返すことであります。政府は災害防止対策と復旧対策に特段の努力を払うべきことを強調いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  [国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(岸信介君) 本年の風水害に関しまして、特に伊勢湾台風についていろいろと具体的な事例をあげての御質問でありまして、私どももこれに対する対策については、すでに演説でも申し上げましたように、補正予算、特別措置等によって十分な措置を講じておるつもりでございます。具体的のことにつきましては関係大臣より御答弁申し上げます。
 ただ、私に特に質問されました、この今回の災害を見、またこれが復旧、復興等のことに関して、いわゆる治山治水、防災という意味において、行政機構が複雑であり、その間における権限のいろいろな摩擦や十分の連絡がないためにこういう災害を生じた向きがあるという御指摘であり、またこれについて行政庁の関係をどういうふうにする考えであるかという御質問でありますが、従来とも治山治水の事業につきましては、いろいろと関係省の間に十分な連絡をとって参っておりますが、今後におきましても、さらに今回の実情にもかんがみて、一そうこの点については意をとどめて十分な連絡をはかっていくようにいたさなければならぬと思っております。
 第二に、自衛隊を改組したらどうだという質問でございます。自衛隊の任務は自衛隊法にはっきりしておりまして、私どもは、自衛隊の本質は、やはり日本の国土の平和と安全を守るために面接間接の侵略に対してこれを防ぐということにあることは言うを待たないと思います。ただこういう災害に際して人命や財産を保護するために出動できることは自衛隊法に十分規定があります。し、また建設工事等につきましても行動できるようになっております。これらを十分に活用するならば、こういう際に十分に対応できる、こういう考えでおります。(拍手)
  [国務大臣村上勇君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。
 災害個所の復旧には十分改良を加えて、今後再度災害のないよう十分完璧を期して参るつもりであります。
 それから第二点の、水防活動で近代的資材を整備するようにとの点は私も賛成でありまして、できるだけ御趣旨に沿って参りたいと思っております。
 第三点の、全力をあげて一刻もすみやかに浸水状態を解消せよ、――これはもう私どもあの災害直後から、最も大事なことは一刻もすみやかに水浸し状態を除くことであるということで、あらゆる総力をあげて万難を排してこれとたたかっておる次第でありますが、一番最後まで残る所は大体十一月の末日までくらいかかると思っております。
 それから作目の私の演説は全く報告だけでありまして、何ら具体的に今後の復旧については触れていなかったのでありますが、しかし今回の補正予算が通過いたしますれば、必ず従前に見られない万全な復旧ができることを、私はここではっきり申し上げることができると思います。
 それから家屋の復旧につきましては、公営住宅も従来三〇%でありましたものを五〇%まで引き上げることにいたしましたし、また激甚な地域に対しましては、従来三分の二の補助金を四分の三に引き上げるというように、特に今回従来に見られないような処置をとることにいたしておるような次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡邊良夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(渡邊良夫君) 災害救助の給食費の問題でございまするが、これは私どもは五十円から九十円まで引き上げたのでございまするが、健康保険の入院費あるいは生活保護等との均衡等もにらみ合わせまして、大体これでいけるのじゃなかろうかと、かように考えておるのであります。
 罹災者援護法につきましては、長期にわたりました場合におきましては、生活保護の適用をいたしまして、あるいはまた、このたび世帯更生資金、母子福祉資金のワクの拡大、補助率の引き上げ等も十分に考慮をいたしたような次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(赤城宗徳君) このたびの災害に当たって自衛隊をもっと大量に投入すべきではないか、こういうことでございます。私どもといたしましても、台風の日から、全自衛隊に対しましていつでも出るだけの態勢を整えておったのであります。ただ、御承知の通り災害の態様と地元対策本部等の計画もありますので、それに見合って出すということに相なりましたので、当初は四千五百名程度であります。現在は一万三千程度お話の通り出ておりますが、地元の対策と見合って出しておるので、また足らぬということになれば、いつでも出すだけの用意はしておりまするし、九州からも北海道の部隊も出ておるような状態でございます。また今お話の中に、業者の仕事のために遠慮して自衛隊は引き揚げたというようなお話がありましたが、何かお間違いではないかと思います。業者の方の仕事までも自衛隊でやってくれということで、途中から自衛隊の方で引き受けました。潮どめ等も初めの計画よりももっと広い範囲において自衛隊が引き受けておりますので、業者に遠慮しておるとか、そういうことはありませんで、むしろ業者の方の仕事まで自衛隊の方が引き受けてやっておる。こういうことでありますから、御了承願います。
 それから台風あるいは気象等に対する観測飛行機その他を用意したらどうか、こういうことでありますが、気象観測につきましては、今アメリカ軍の方に依頼をしておりますけれども、お話の点につきましては、運輸省と目下いろいろ協議中でございます。
 それから災害活動に重点を置いて、自衛隊の主任務を災害活動あるいは国土建設隊にしたらどうか、こういう御意見でありますが、これは総理から御答弁申し上げましたように、自衛隊の任務といたしましては、やはり国土、民族の平和と安全のために設けられておるのであります。ただ、自衛隊法あるいは防衛庁設置法にもありますように、災害のためにも出動することになっておりまするし、また、現にこの方面に十分力をいたしたい、こういうことで、訓練あるいは装備、あるいはまた建設隊あるいは施設隊の増強、こういうことも考えて、十分災害に役立つようにいたしたいと思います。
 それから戦闘機をやめたらどうか、こういうことであります。お話の中に、千三百機全部戦闘機を作るようなお話がありましたが、これはちょっとお言葉が足りなかったのじゃないかと思いますが、千三百機全部戦闘機でありませんで、今度きめようというのは、初め三百機の予定でありましたが、今のところは二百機くらいに減らしたい。それから千三百機の全部の予定もこれは変更いたしまして、減らす予定であります。なお、カナダで戦闘機をやめたのだから、日本もどうか、こういうことでありますが、カナダで戦闘機を減らすということでありますが、戦闘機を全然やめるということではありませんで、戦闘機をやめてミサイルに変えようというのがカナダの方針のように承っておりますので、念のために申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。災害予算は昨日詳細に御説明いたしましたが、今回の災害復旧予算によりまして、従来に見ない進捗率を私どもは予定いたしております。例年は大体二五%以内が普通でございます。これはいわゆる緊急工事についての三・五・二を適用し、またその他の分が四カ年災害復旧というこの原則に見まして、大体二八・五%に平均がなるのであります。今回の予算計上に際しましては、この二八・五%を基準にいたしております。
 さらにまた、伊勢湾台風、伊勢湾高潮対策につきましては、特に三十六億円の国庫債務負担行為、これも議決をお願いすることにいたしておりまして、この方面についての万全を期しているつもりでございます。
 また、直轄河川等につきましては、木曾川等四河川については、その復旧率は、従前ならば五〇%ということでございますが、今回はこの五〇%をさらに一〇%上回る、かような意味で予算を計上した次第であります。
 また、高率適用の地域をいかにするかという問題でございますが、それについて、災害救助法発動の市町村に対して高率適用をすべきではないか、こういう御質問であったかと思います。しかし、この災害救助法適用ということと、災害復旧について高率適用――特例法を適用するということ、これは全然関係がないとは申しませんが、全然同一なものではございません。特例法は、御承知のように、災害復旧をいたします場合に、地方負担等でそれができない、こういうようなことを勘案いたしまして、被害激甚な地についてこの特例法を適用しよう、かように考えているのでありますが、この被害激甚地の定め方、これが適正でなければならない、また公平に扱われなければならないことは、十分私ども承知いたしております。また、中央、地方を通じまして、かような大災害を受けますと、財政的には非常な負担であること、これも承知いたしております。政府だけがあたたかいふところ手をしているような考えは毛頭ございません。この意味におきましては、中央政府、地方自治体協力してこの災害を克服するということでなければならない、かように考えておりますので、この特例法の適用範囲をきめることにつきましては、さらに詳細に調査を必要とするというのが私どもの考え方であります。
 また、災害地に対する金融並びに税制上の特別措置についてのお尋ねがございました。法律所定の減免税あるいは徴収猶予のこの措置は、すでに実施していることは御承知の通りであります。金融につきましては、大企業並びに中小企業等につきまして、年末金融対策をもあわせて金額を計上いたしていることは、もう昨日御説明した通りでございます。省略させていただきます。(拍手)
   〔国務大臣益谷秀次君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(益谷秀次君) 治山治水行政機構に関する御質問にお答え申し上げます。
 政府におきましては、目下災害の応急措置、復旧措置に全力をあげて努力いたしておりますので、この際、行政機構の根本的改革を行なうことは、かえって業務遂行上混乱を招来するおそれがあると考えております。しかし、将来の問題については、各省において治山治水、防災の諸対策を検討しておりますので、その結果、それらの施策の遂行上、現在の機構を改むべきかどうかについて慎重に検討する考えであります。(拍手)
   〔国務大臣井野碩哉君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(井野碩哉君) 罹災借家人の保護についての特別立法の必要がないかという御質問でございますが、すでに罹災借家人につきましては、昭和二十一年の法律第十三号によりまして、罹災都市僻地借家臨時処理法というものが成立しております。この法律の適用を政令でいたしますると、自然罹災者の借家人が保護されることになっておりますので、本月の十九日に罹災地二十四カ市町村に対しまして同法の施行をいたしました。従って現在の罹災借家人は、この法律によって保護されておりますので、特に特別立法の必要はないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣松田竹千代君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(松田竹千代君) 道路その他については、すでに復旧に着手しておるのにかかわらず、学校の方は遅々として進まぬではないか、――なるほどいまだ新築には着手いたしておりません。しかし教育のことは一日もゆるがせにできません。従って非常な混乱の中にも、私も視察に行って大いに心を打たれたのでありますが、何分にも大きな災害でありましたので、流失、全壊、半壊などの学校の多い中に、しかも避難民の多数が収容されておるという状態であります。はなはだしきは自衛隊の本拠にもなっておる。これは人命救助の重大な仕事をやるためにやむを得ないというような事情があったのであります。しかしながら、できる限りの修復で間に合うものはこれは間に合わせ、そして新編入学級を早急に組織いたしまして、各所で、すし詰めであります。また二部教授のところもあります。さらにまた、遠隔の地における方々から集まった多くの学童に、特別の教授のやり方をやっておるようなところもあります。さような状況にあることは事実であります。しかしながら、これは、できるだけ早くこの不正常な状況を直して正常な姿に持っていきたい。学力の低下も心配いたしております。従って私の方といたしましては、被害の状況がはっきり確認された、残余のことはよろしい、できるだけ自力でやれることはやって下さい、あとで特別立法ができましたときには必ず国庫で支給をするものであるから、あとはよろしい、一日も早く正常な姿に持っていきたいと、鋭意努力いたしておる姿であります。(拍手)
 なお、私学の点でありますが、大きな教育の部分を担当しておる私学は、国庫の補助で、足りないところは私学振興会の方からも金を回すようにして、ほぼ公立学校と同等の復旧ができると確信いたしております。(拍手)
   〔国務大臣楢橋渡君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(楢橋渡君) 気象庁関係と港湾関係についての御質問でありますが、まず気象庁の問題につきまして、第一に御指摘になりました予報警報の伝達を強化しろというお話であります。これはもっともなことでありまして、伊勢湾台風の襲来いたしましたときに、気象庁のとりました予報警報はおおむね適切であったのでありますが、その伝達等につきまして、放送局並びに府県庁水防機関等その他防災機関等々の間において、なお足らざる点もあったことは認めるのであります。従いまして、この点について十分なる措置を連絡して講じたいと、こう思うのであります。特に防災、保安関係等の機関が密接な連絡をとりましてやっていかなければなりませんが、それにつきましては、やはり気象庁の機関が非常に貧弱でありまして、従って防災官というようなものを次の国会にぜひとも認めてもらいたいということを私は主張いたしておるような次第でありまして、この点について、十分な機能強化に努力いたしたいと思うのであります。
 次に、レーダー観測網の整備強化の点であります。現在全国に五カ所のレーダー施設を有しておりますが、その重要性にかんがみまして、逐次全国にレーダー観測所を展開いたしたいと考えております。このたびも特に大蔵大臣にお願い申し上げまして、室戸に気象用のレーダーを設置することに予定いたしたのであります。これは特に大蔵大臣にお願いしてある次第であります。
 次に、航空機による台風観測の実施につきましては、防衛庁長官も申されましたように、現在米軍からの資料の提供を受けておりますので、この点につきましては防衛庁とも協議いたしまして、何とか日本の力によって業務をおさめて、この問題について十分な整備をしたいということを、今せっかく折衝中であります。
 次に、気象通信の無線化の問題でありますが、気象通信が有線のときにああいう問題が起りますので、無線の問題につきましては、鋭意施設の点について、整備強化について今協議しているような次第であります。
 次に、港湾の問題でありますが、護岸の問題につきまして、いろいろと関係者との間の連絡等が悪いというような点を御指摘になりましたが、この点につきましては、御指摘のように港湾は運輸省であり、あるいは干拓地は農林省がやっております。あるいは川は御承知のように建設省がやっておる。こういうような点について密接な連絡協議をいたしまして、それらの点について万遺憾なきを期したいという考え方を持っているのであります。
 港湾都市の二重堤防等の問題につきましては、高潮等に対する関係等もありまして、この計画の構造基準等につきまして、徹底的に検討を今加えつつあるような次第であります。
 なお、御指摘のありました名古屋の貯木場の問題でありますが、私も現地に参りまして貯木場の被害の甚大さを見まして実は驚いたような次第でありまして、港湾施設の計画の上に、これらの立地構造等について十分に検討する必要があるということを考えている次第であります。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(池田勇人君) 伊勢湾台風によります被害は、名古屋地区がわが国における重要な産業地帯でありますので、これが復興につきましていち早く努力をするよう指令し、ことに電気、ガスにつきましては大した被害もなく、また非常に早く復興ができたのであります。また復興資材の手配につきましてもできるだけの措置をいたしました。ことに金融方面におきましては、私はいち早く参りまして各銀行家と会い、手形の処理等につきまして適切な措置をとることを要望し、また中小企業問題につきましては特に意を用いまして、昨日大蔵大臣が説明されたように、今までにない各種の措置をとることにいたしているのであります。これによりまして、私は復旧が非常に早くいくと確信しております。先般も参りまして災害地を視察いたしましたが、予想以上に復興の意気に燃えておられることは非常に喜ばしいことと考えております。(拍手)
#15
○議長(松野鶴平君) 成瀬幡治君。
   〔成瀬幡治君登壇、拍手〕
#16
○成瀬幡治君 村上建設相に最初にお尋ねするわけですが、どうも報告だけで、もう少し具体的なことが承りたい。そういうことができないものかどうか。私が指摘しております、締め切りの完了は、今聞いておりますと、一番おそいところは十一月末だ、こういうことを言っておる。そこは一体どこなのか、一体どこが一番おそいのか。もう少し具体的に御答弁が願いたい。また、なぜこういうふうに締め切り工事がおくれておるかという点でありますが、今、赤城長官のお答えを聞くと、自衛隊を出動するように準備をしておる。ところが、地元の受け入れ態勢と見合ってそれをやっているというお話だ。あなたも現地へお行きになって、なるほど知事専決事項で、土木業者と仮締め切りについての契約をされた。ところが、そこへ人を一人も出していないような業者もあるのです。もう少しいろいろなことを言いたいのですが、こういうときですからやめて、委員会で具体的なことをもう少し指摘したいと思いますが、とにかくおくれている。地元は自衛隊の大量投入を要求しておるのです。それをなぜできないのか、どうしておくれたという理由を承らなければ納得が参りません。自民党の方でも、締め切りが早くやられるということを私は願っておると思う。
 次に、大蔵大臣に伺いたいのでありますが、激農地の指定については、非常に公平にやろうとか適正にやろうとか、十分考えるというようなことをおっしゃっておるが、すでに農林土木においては、一戸平均三万円を六万円に二十八年災のときよりも引き上げている。あるいは富裕県市町村に対してはやらないというようなことがすでに言われておる。今、これから一つ検討をするというようなことをおっしゃるけれども、すでに予算面では、もう決定を見ておるのじゃないか。そちらの方のワクで縛られてしまって、適用の地域を拡大と申しますか、あなたの方が考えておるところと、建設省がこうだこうだ、あるいは農林省がどうだ、いろいろ要求するでしょう。しかし、最終的にはあなたの方で押えられてしまうのです。あなたが検討するのだということは、予算の面においても十分考えて、たとえば、来年度にそういうものは追加予算で組んでいくとか、あるいは今度召集されるところの通常国会に、もう一度補正予算を出すというような心がまえがあるのかどうか、そういう点を一つ御答弁が願いたいと思います。
 それからもう一つ、村上建設大臣にお尋ねしなければなりませんが、あなたは、私は水防倉庫などを見ておいでになると思う。そこには人命救助の機材というものが、全然ない。ただ切れるのを防ぐという、そこまではやったのです。切れてからのことについては何ら考え方がないわけです。処置がないわけです。それでは、人は災害救助法があるのじゃないかと言われるかもしれないが、切れてからの処置というものは何ら考えられていないのであります。だから、それはどういうふうにされようとするのか、その点もあわせてお答えが願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣村上勇君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。破堤浸水の特にはなはだしい、いわゆる愛知県の海部地区の海岸堤防が最も最後に残りますので、これが大体十一月の末日まで、いかに努力いたしましても、末日までは締め切りはかかるということを申し上げたのであります。
 なお、自衛隊をもう少し投入して一刻も早くという御趣旨でありますが、これは、機材その他とにらみ合わせて、自衛隊は、私どもといたしましては、必要に応じてどれだけでも投入することができる次第でありまして、仕事とにらみ合わせながら自衛隊のその方にはお願いすることにいたしております。
 次に、業者が、締め切り工事その他請け負わしたけれども、人夫を一人も出さないというような、そんな弱小業者を指名しているじゃないかという点につきましては、これは、私は全然承知いたしておりませんので、十分調査の上善処いたしたいと思います。
 それから水防資材につきましては、必要なだけのものを取りそろえてあったのでありますが、今回の災害によって相当使い果たしておりますので、これに対しては十分補給して参りたいということを申し上げたのであります。
 人命救助の資材につきましては、これは建設省としては考えておりませんので、十分関係方面と相談いたしまして、十分な手当をするように、私の方からもよく注意して参りたいと思っております。(捕手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対する質問がなかったように記憶しておりますので……。(発言する者多し)私に対する再質問がなかったかと考えたんですが、そうでないそうでありまして、失礼いたしました。
 もっと自衛隊を大量に投入できないかということにつきましては、先ほど御答弁申し上げた通りでありますが、建設大臣が今申し上げた通り、地元の対策の態様と仕事の進め方によりまして、私の方では幾らでも投入するだけの用意はしておりますので、地元あるいは担当大臣等とも話し合いの上におきまして、必要があれば、なおいつでも投入できる用意をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 高率適用の範囲、その土地、団体等をいかに選定するかという問題でございます。先ほど私どもの考え方を御説明いたしましたがそれでは予算が組めないはずだ、こういう御意見だったかと思います。厳格な意味におきましては、ただいま高率補助適用の範囲を調査研究中でございますから、予算が組めないはずでございますが、災害復旧費の予算のうち、公共土木及び農業災害につきましては、その六〇%に対して高率適用を予定いたして予算を組んだような次第でございます。
 なお、今後補正予算を出す考えがあるかどうかというお尋ねでございますが、ただいまのところ、引き続いて補正予算を出す考え方は持っておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(松野鶴平君) 草葉隆圓君。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#21
○草葉隆圓君 私は、自由民主党を代表いたしまして、以下数点について総理大臣初め関係大臣に質問いたしたいと存じます。
 まず第一に、風水害対策についてであります。去る七、八月の水害に引き続いて、九月二十六日、三重、愛知、岐阜を中心として襲来いたしました伊勢湾台風は、その被害の甚大なる点におきまして、わが国台風災害史上空前のものでありました。その風速は、過去の二大台風である室戸台風、枕崎台風にも比すべきものでありまするが、その被害の甚大なる点におきましては、はるかにこれを上回っておる未曾有の災害をもたらしたのであります。この惨状が伝わりまするや、天皇陛下の御名代として、皇太子殿下には親しく現地を視察、激励せられ、また政府におきましては、いち早く中部災害対策本部を愛知県庁内に設け、岸総理初め各大臣がつぶさに現地を視察、指導されまする等、応急対策の実施に全幅の努力を払われましたことは、被害地の選出議員といたしまして深く感謝を申し上げるところであります。また、国会の皆様方から、いち早く義援金を拠出せられ、海外を初め、全国民からあたたかい義援金品を送られまして心からお札を申し上げる次第であります。地元被害地におきましては、この御支援に感激し、これに呼応して、全力をあげて復旧に努力をいたしておる次第であります。
 そこで、第一にお伺いいたしたいことは、このような政府、国民の御支援にもかかわらず、台風襲来後月余を経ました今日、浸水地域の四分の一に当たる地域がいまだ浸水しており、なお相当な日時を要するという点であります。その間、ただいま成瀬君のお話にもありましたように、わずか一枚の毛布にくるまって寒さをしのいでおるところすらある状態であります。また、学校などの避難所に収容されておりまする罹災者は、現在、愛知、三重両県だけでも約二万にも及んでおりまして、学校での授業は一応全部始められましたが、学用品は依然十分とは申しにくい状態であります。寒さに向っておる今日、さらに夜具、毛布等、救援を要するものが多いのでありまするが、これに対する政府の対策を伺いたいのであります。さらに、今回の災害の経験にかんがみまして、災害救助法を再検討する必要があると存じまするが、これに対する政府の御見解を伺いたいのであります。
 第二は、災害に対する特別措置についてであります。災害関係の特別措置といたしまして被害諸県が切に要望いたしておりまする事項は、広範多岐にわたっておりまするが、その中におきまして、次の諸点について関係大臣の御所見を伺いたいのであります。
 応急対策及び地方税の収入減をカバーするための特例債について。社会福祉施設等の復旧のための高率の国庫負担の増額について。個人医療機関たる診療所、病院、薬局等の災害に対する融資のワクの確保及びその増額について。学校、社会教育施設の復旧及び鉄筋建築のための国庫補助の増額について。宗教団体の被害に対する融資、各種学校に対する補助及び融資について。組合立簡易水道終末処理場、交通機関等公営企業の復旧のための国庫補助の増額について。農林漁業者に対する融資の特別措置について。被害立木の売却に対する所得税の減免について。中小商工業者に対する融資の増額について。商工団体共同施設の災害についての補助等であります。
 次に、今回の災害対策に対しまして、大蔵大臣はまことに熱烈なる御努力をいただき、この点は感謝を申し上げまするが、補正予算において、現在被害諸県の要望を、直ちに、かつ十分に取り入れていない点、また、今後になさるべき点も多々あると思いまするので、これらの点については次年度予算等において十分御考慮をいただきたいと存じまするが、この点につきまする大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
 第三は、災害復旧に当たって、原形復旧にとどまらず、災害の再発を防止するために必要な改良を十分加味した復旧を促進する意思があるかどうか。この点について地元は大へん大きい関心を持っておりまするから伺いたいのであります。
 第四は、今回の被害地域は中部経済圏の中心的な工業地帯を含んでおり、しかも、この地帯の工業生産額は全国の約一三%を占めておるのであります。その復興のいかんは、わが国産業の消長に影響するところきわめて大なるものがあります。従って、この地帯の復興のためには、単なる災害復興対策にとどまらず、より広い視野に立って総合的になさるべきであると、中部地方では強く要望し、復興開発庁というような、そういう機関を設けられたいという要望が強く出ておりますが、これに対する御所見を伺いたいのであります。
 第五は、海岸提防、河川提防、護岸等、土木工事の基準に再検討を加え、新しい、より高い、高度の基準によりまして、海岸と河口とを一つにした、いわゆる海岸対策を強力に推し進める必要があると思いまするが、これに対する御所見を伺いたい。ことに、海岸法による保全区域の指定は、いかような基準によってなされておるか。さらに、今後これを拡大される点につきまして、いかようなお考えをお持ちになっておるか。関係大臣の御所見を伺いたいのであります。
 第六は、治山治水対策の強化についてであります。政府は、昭和二十八年、治山治水十カ年計画を立て、さらに昭和三十三年には、この計画から緊要なものを特に取り上げて、新しい五カ年計画が立てられましたが、果して計画通りに実行されておるかどうか疑念なきを得ないのであります。そこで、治山治水のための基本法を制定し、将来の財政的な裏づけをも確保しておくことが、この際必要ではないかと思われまするが、政府の御所見を伺いたいのであります。
 第七は、災害のたびごとに行われまする臨時立法の特別措置を、可能な範囲において恒久立法化していく用意があるかどうか、また一歩進めてこれらを総合して一本の災害基本法を作る意思はないかどうかという点であります。この点につきましては、地方財政がだんだん健全化しておるから、その必要は認められない、必要ではないという意見もあり、確かに地方公共団体の赤字が急速に減少し、健全化の傾向を示しておりますることは事実であります。しかし、これは再建債の発行その他のいわゆる赤字たな上げの措置に負うところが多いのでありまして、特に注目に値いいたしますることは、数字は省きまして、昭和三十二年以来、地方財政健全化の傾向は鈍化し、あるいは停滞しておることであります。災害は地方財政を著しく窮乏化するのでありまするから、恒久立法化は地方財政に資するところがきわめて大なるものがあると存じます。これに対しまして大蔵大臣並びに自治庁長官の御所見を伺いたいのであります。
 第八は、気象庁予報の精密度の向上、防災体制強化の措置についてであります。精密度の強化につきましては、成瀬君もお触れになりました通りでありまするが、さらに災害防止体制の強化については、平常時におきまして気象予報を周知徹底させるだけの体制を十分整えておくことが、今回の経験から切望されております。従って、主要地域におきましては、防災要員の制度を設ける等の措置が必要であると思いまするが、これに対しまする御所見を伺いたいのであります。また、水防団体の現状は果して満足すべきものであるかどうか、水防法につきましても、この際、根本的な検討を加える必要があろうと存じます。さらに、台風襲来時におきましてしばしば起る通信機関の麻痺は、災害の防止を非常に困難にいたしております。現に今回は、台風上陸以前にすでに電話線は多数の個所で破壊され、こうした災害時に対する通信機関はきわめて不満足と思われまするが、これに対する対策について郵政大臣の御所見を伺いたいのであります。
 最後に、自衛隊についてであります。今回の伊勢湾台風の災害救助と応急措置に当たって、自衛隊の活動は真にめざましいものがあり、そのなした役割りはきわめて高く評価さるべきものでありまして、自衛隊の活動によって初めて罹災地は愁眉を開いたのであります。従って自衛隊に対しましては災害地の人々は心から喜んでおるのであります。この実情にかんがみ、しかも現在の災害地の情勢にかんがみて、政府は今後、施設隊等、必要部隊をさらに一そう現地に増強されたいという熱望がありまするが、ただいまもお答えがありましたが、十分現地の情勢を御勘案になって、至急措置をいただきたいと存じます。
 次に、炭鉱離職者問題についてお伺いいたします。石炭産業不況のあおりを受けまして発生いたしました炭鉱離職者は毎年平均二万人に及び、昭和三十四年には離職者七万六、七千人、新規就職者約五万人でありまするから、二万六、七千人の離職者と見られ、今後なお激増する傾向と見られます。こうした炭鉱離職者の生活はきわめてみじめなものがあり、その対策はようやく大きな社会問題となって参ったのでありますが、こうした炭鉱労働事情の危機は、燃料界において固体燃料から液体燃料等に切りかえるという、いわばエネルギー革命によるものが多いのでありまして、この革命は、わが国だけではなく、主要工業国でも石炭危機対策が重要な政治問題となって参ったのでありまして、従って、その対策にはよほど徹底的かつまた合理的なものが必要だろうと存じまするが、これに対する通産大臣の御所見を伺いたいのであります。また、石炭離職者は、他の産業労働者の場合とその趣をはなはだしく異にいたしております。ぜひとも合理化資金の供給なり、労働者の配置転換なり、他産業へのあっせんその他の措置が当然実行されなければならないと存じます。政府は、離職者の公共事業への吸収、職業訓練の実施、就職、転職のあっせん、自立自営の相談など、責任ある実行措置をとるべきであると考えまするが、差し当たって、すでに発生いたしておりまする炭鉱離職者への応急策及び今後の恒久的、計画的対策につきまして、労働大臣の御所見を伺いたいのであります。
 最後に、ベトナム賠償問題についてお尋ねを申し上げます。
 ベトナムは一九五一年九月のサンフランシスコ平和条約に署名、批准しておりまして、その結果、ベトナムは平和条約第十四条に基づいてわが国に対して賠償請求権を持っており、従って、条約の義務を誠実に履行することを建前といたしておりまするわが国といたしましては、この賠償支払い義務をいたずらに遷延させることは、はなはだ不適当であると存じます。しかるに、平和条約発効後すでに七年以上になりました今日、ようやくこの問題が解決するということになりましたことは、むしろ私はおそきに失する嫌いがあるのではないか。特に東南アジア諸国との賠償取りきめは、このベトナムを除きましては一応終了いたしており、今次のベトナムとの賠償協定の成立をもって、第二次大戦中の賠償は全部終了するわけでありまするから、すみやかにこれが実施に移さるべきであると存ずるのであります。岸首相は、さきに東南アジア諸国歴訪の途次、ベトナム大統領との間に、この賠償問題を早期かつ最終的に解決する旨の共同声明を出されておるのでありまするが、その共同声明後すでに二年を過ぎたのであります。しかし数次にわたる交渉の結果、両国の大幅の歩み寄りによりまして、賠償及び経済協力に関する協定が調印されたのであります。よって政府は、この賠償支払い義務を忠実に履行し、わが国の国際信用を高め、将来の東南アジア諸国との提携に一そうの努力を傾けるべきであると存じまするが、首相の所信をこの点についてお伺いいたしたいと存じます。
 ベトナム賠償については、国民の一部に相当の論議がなされており、しかも、これには相当の誤解の点もあると思われます。この際、政府は進んでその誤解に対して明快に解明すべきであると存じます。従ってこの際、私は次の諸点について政府の所信をただしたいと存じます。
 第一は、賠償支払いの相手力となったいわゆる南ベトナム政府の正統性についてであります。現在のベトナム政府は一九四九年三月八日、フランスから分離独立が認められ、一九五五年十月、選挙によりまして、政体の変更によって共和制となったものでありまするが、今日までに、現ゴー・ジンジエム政府を正統政府とするベトナム国を正式に承認いたしておりまする国は、わが国を含めまして四十九カ国、その他実際上承認の形をとって領事、代表部を置いております国を加えますと、六十二カ国に及んでおります。これに反しまして、ホー・チミン政府を正統政府と認めておりまする国は、ソ連及び東欧の若干の共産国にすぎません。もちろん、これらはわが国の平和条約当事国でもありません。従って、ホー・チミン政権をベトナムの正統政府としてこれと賠償協定を結ぶべきであるという議論は根拠のないものであり、また、今後ホー・チミン政府からあらためて賠償要求があっても、支払うべき義務がないと思いまするが、これに対する政府の所見を伺いたいのであります。
 第二は、この賠償支払いは二重払いではないかという点であります。この点については二つの点を明瞭にする必要があると存じます。
 その一つは、戦前債務の支払い問題と賠償との問題であります。フランスは昭和二十五年にわが国から三十三トンの金塊を受け取り、さらに三十二年三月三十一日に十六億六千万円に相当するドル及びポンド貨を日本から受け取っております。その上、今度さらに賠償を支払うことは、いかにも二重、三軍払いのように思われます。しかし、すでにフランスに支払いました金塊及び十六億六千万円は、昭和十六年五月の日仏間の協定によりまして、日仏開戦以前の特別円制度に基く決済、つまり平和条約第十八条に申しまする戦前債務であります。今度の賠償は同条約第十四条に基づくものでありまして、この両者は全然別のものであるのみならず、平和条約第十八条(a)項は、その最後の項目におきまして、「この項の規定は、第十四条によって与えられる権利を害するものではない。」と定め、戦前債務を履行しても戦時賠償を免れ得ないことを明示しているのであります。従って、さきのフランスに対する支払いと今度の賠償とは決して重複したものではないと思います。しかし、二重払いではないかという国民感情が一部にあります以上、政府はこの際明快にこの関係を説明して、その誤解を解くべきであると思いますが、これに対する外相の所見をただしたいのであります。
 その二は、日仏開戦の時期についてであります。第二次大戦の初期は、日本とフランス間には戦争状態はなかったのであります。従って、平時の特別円制度があり得たわけでありまするが、当時のフランス政府であるビシー政府は、ドイツ軍が敗れまして退却いたしまするにつれて瓦解し、それまでロンドンに亡命しておりましたドゴール政権がこれにかわったことは周知の通りであります。しかして、理論上は日本とフランス間の開戦時期は幾つか考えられると存じます。一つは、ドゴールが大東亜戦争勃発の日、すなわち昭和十六年十二月八日、自由フランス委員会の名において対日宣戦を布告した時、第二は、一九四四年八月末、すなわちドゴールが連合軍とともにフランスの首都パリを奪還した時期、第三は、ドゴールの組織した政府が連合国から承認されました一九四四年十月二十五日、第四は、日本がフランスに対しまして戦時国際法を適用して、フランス人を敵国人として取り扱いを開始した一九四五年三月九日、以上の四つがあると考えます。ところが、政府はドゴールがパリに帰った昭和十九年八月をとっておられるようでありまするが、政府がこれをとられた根拠を承りたいのであります。何ゆえと申しまするならば、開戦の時期によって、対外支払いが戦前債務か戦時賠償かの分かれるところであるからであります。戦前債務であれば平和条約第十八条で支払い義務が生じまするが、一たん戦争となったあと、戦争遂行中日本がとった行動から生ずる連合国の請求権は、平和条約第十四条(b)項によりまして連合国が放棄しているから、支払い義務がないのであります。他面、賠償は平和条約第十四条(a)項によりまして戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して」支払うべきこととなっておりまするから、戦前の問題については賠償は支払う義務がないと思うのであります。従って、一面、開戦の時期いかんが二重払いの疑義を解く一つのかぎと思われるのでありまするから、この点につきまして政府の所信を明快にお願いを申し上げたいのであります。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(岸信介君) 災害につきまして、締め切りがなお完成せず、水没地帯が広範囲に残っておって、罹災者の方々が非常に困難をされているということにつきましては、政府としては、できるだけ締め切りを早く完了し、排水を完了するように、あらゆる努力をいたしているわけでございますが、なお、その点についての具体的のことにつきましては、先ほど来建設大臣よりお答えを申し上げた通りでありますが、今後ともこれを促進するように、なお努力していきたいと思います。罹災地、特に伊勢湾、いわゆる木曾川、揖斐川、長良川の河口に当たっているこれらの地域について、総合的な復興の事業を推進するために特別の新機関を作る必要があるのじゃないかという御指摘でございますが、もちろん、これらの地域に関する復興につきましては、総合的に施設しなければならぬ点が非常に多いと思います。また、地元におきましてもそういう気運が動いておることも、政府として承知いたしております。十分検討をいたしまして結論を出したいと考えますが、今日直ちに新機関を作ることがいいかどうかには、なお検討の要があるものと考えます。
 ベトナムの賠償と、東南アジアの開発や、あるいは東南アジア全般に対する日本との関係について、私の所信をお尋ねでございます。御指摘のように、ベトナムの賠償は、サンフランシスコ条約によってわれわれが賠償の義務を負うており、それに対する賠償支払いの協定として最後のものでございまして、これが完了いたしますというと、東南アジア諸地域に対する友好親善、さらに貿易、経済の関係において一そう緊密な関係が私はでき上がる。このことがベトナムの経済あるいは国民の福祉に資するのみならず、全東南アジア諸地域との関係におきましても、きわめて良好な結果をもたらすものと確信をしております。
 その他の点につきましては、関係大臣よりそれぞれお答えすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣村上勇君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(村上勇君) 原形復旧であってはならない、改良復旧すべきでないかという点につきましては、今日の災害復旧は、一般的には原形復旧になっておりますけれども、かような被害の激甚であり、また再度災害を受けるおそれのあるという場合には、十分その災害に関連して改良復旧を行なうことにいたしておるのでありまして、今回の伊勢湾のごとき、あるいはまた激甚な地域のごときは、これは十分改良復旧すべきものだと思っております。また、そのような予算の要求もいたしておる次第でございます。
 それから海岸法による海岸保全区域は全海岸の何%指定されているか、さらに、指定区域を増加すべきでないかという御質疑でありますが、これは漁港、港湾区域を含めて約六〇%でありますが、必要に応じてこれを拡張したいと存じます。指定基準につきましては、今まで保全施設のある部分、現在工難中の部分、また将来計画のある部分等において必要と認める区域を指定することにいたしております。(拍手)
   〔国務大臣渡邊良夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(渡邊良夫君) 災害救助法の内容等につきましての御質疑でございますが、すでに予備費といたしまして現在までに十四億を支出をいたしておるのでございます。給食費の引き上げや、あるいは衣類、寝具等の増加支給や、仮設住宅の単価の引き上げ、学用品の追加支給あるいは単価の引き上げ等も十分にいたしましたのでございまするが、このたびの補正予算にさらに二十四億の増額を計上しておるような状況でございます。(拍手)
   〔国務大臣石原幹市郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(石原幹市郎君) 今回の災害にあたりまして、第一点の御質問の地方税の減収等のあるところに対してはどういう措置をとるかということについてでありまするが、これは必要があれば歳入欠陥債というものを認めて参りたいと思っております。これが償還等につきましては、基準財政需要額等に算定をいたしまして、将来交付税でめんどうを見て参りたいと思っております。
 それから今回の災害と地方財政との関係についていろいろお尋ねがあったのでありまするが、御指摘のように、地方財政は、昭和二十九年、三十年を赤字ピークといたしまして、三十一年に地方財政再建措置がとられまして、累積赤字を一応たな上げをした形になっておるのでありまするが、三十二年後半からさらに経済界の不況に災いされまして、三十三年度等の、その年のいわゆる単年度の計算をしてみまするというと、やはり相当額の赤字を出しておるのでありまして、地方財政につきましては引き続き憂慮すべき状態にあると私どもは考えておるのであります。そこで今回の災害にあたりまして、この地方財政との関係につきましては、重大な関心を持って対処して参りたいと思っているのでありまして、まず、でき得る限り特例法を認めてもらいまして、国庫負担をもって対処していきたい。さらに、不足分につきましては起債を認めまして、その財源措置を講じていきたい。また今回の補正予算におきまして、相当特別交付税等も増額されておりますので、これらの特別交付税等はでき得る限り被災激甚地に配分をいたしていきたいと考えておるのであります。そういたしまして地方財政に対しまして将来大きな赤字が残らないように対処して参りたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣松田竹千代君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(松田竹千代君) 学校の復旧に対しては、特に原形復旧でなしに、改良復旧に持っていかなければならぬということの地元民の強い要望にこたえて、絶対に必要なところは大体そういうことが実現できるであろうと思います。むろん半壊のようなものについては、全部まではいきませんけれども、ほぼ地元民の要請にこたえ得ると信じております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(福田赳夫君) まず、改良復旧かどうかという点につきましては、建設大臣からお話のように、必要に応じて改良復旧をとり、今後の備えを十分にする、かように考えております。
 第二に、早く工事を施行せいというお話でありまするが、その通りに考えているのでありまして、三・五・二という従来の比率もありまするが、農林省の所管につきましては、来年の植付に間に合い得るというところを根本原則にいたしまして、これに必要な予算を計上しております。なお、農林省所管で締め切りにつきましては、碧南、衣浦、鍋田、乙川、酒井川の五カ所を担当いたしております。このうち鍋田につきましては、努力をいたしておりまするが、どうも年内に間に合いかねる、来年に少しかかるのではないかというふうに考えておるのでございまするが、他の四カ所につきましては十一月までに完了いたす次第でございます。
 また、融資につきまして、どういう措置をとるかということでございまするが、天災融資法につきましては、一人当たりの貸付限度を引き上げます。また貸付の対象を実情に応じまして拡大をすることにいたしております。また償還期限につきましても、果樹などにつきまして、これを延長するということを考えている次第でございます。また農林公庫の融資につきましては、その融資ワクを百四十億円に拡大をいたします。また金利の引き下げにつきましても考慮をいたしている次第でございます。また農林中金につきましては、これは政府と緊密な連絡をとりまして、災害融資として万全を期している次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(佐藤榮作君) 予算と災害復旧の工事の関連を主にし、同時に、国の財政と地方財政との関連についてのお尋ねであったと、かように考えます。今回の補正予算を組みました根本的な考え方は昨日申し上げた通りでございまして、関係大臣からも申しておりますように、農地においては来年の作付に間に合うように、また河川等につきましては台風襲来期前に一応の工事を完成し得るように、また、校舎等につきましても重ねて災害をこうむらないように、堅牢建築ということを大幅に取り上げる方針で予算を計上いたしたつもりでございます。
 ところで、かような予算を計上いたしましても、今回の災害がまことに深刻なものがございますので、なかなか地方の負担分等においてそれをまかない得るかどうか、あるいはまた、国の負担する部分につきましても実地調査がまだできないような場所もある。そういうものに対して予算を計上いたすのでございますから、なかなか困難が伴っております。しかし、今後の工事の進捗あるいは実地調査の進行等に伴いまして、所要のものについては、先ほどお答えもいたしましたように、債務負担行為等でそれを補完するとか、あるいは予備費八十億を使って、そうして工事を完成していくと、こういうような考え方をいたしておりますので、ただいまのところ不足を生ずるようなことはまずないだろう、かように実は考えております。
 地方の負担分につきまして、すでに二十八年以来数次の災害によりまして、国並びに地方の負担分等については、事柄によりましてはすでに恒久立法化されたものもございます。従いまして、通常の状況のもとにおいては特例法等を特に設ける必要はないかと思いますが、今回の災害は申すまでもなく、従前考えられた程度の補助では今回の工事を完成することは困難だ、かように考えられますので、特例法を設ける、こういうことで法律案も二十五案件を用意いたしておるような次第であります。
 そこで草葉議員の御意見のうちに、こうたびたび災害があるのでは地方の財政を強固にするという上においても困るから、補助率等を恒久立法化する、総合的に恒久立法化する方法はないか、こういう御意見があったと思いますが、ただいま申し上げますように、普通災害、通常災害についての立法措置は今日まで随時とられて参っておると思います。問題は異常災害についてどういうような処置をとるかという事柄でございますので、今回の災害から将来の恒久的な補助率をきめるような総合的立法、これをやるということは、私どもは不適当ではないかと思います。と申しますのは、地方財政は、今日もちろん健全、まことに豊富、かように申すわけではございませんが、二十八年の災害が起こりました際に、二十七年の地方財政の状態、また、今回の災害が発生いたしました際の三十三年度における地方財政の状態、これは相当顕著な改善の跡が見られております。具体的に申しますならば、二十七年当時は、地方財政は、これは赤字でございました。しかし、今回三十三年になりますと、赤字の状態ではなくて、金額は不足だとは申しましても、すでに百六十億に上る積み立てもあるようでございます。この点は地方財政がよほど改善されたことの証左でございます。私はこういう事情だから特別立法が必要でないと、かように申すのではございません。二十八年当時そのままをという考え方には、こういう意味でさらに検討を加えていく必要があるというのが私どもの考え方でございます。これは相対の問題であります。
 そこでもう一つは、罹災県あるいは罹災地方団体相互間におきまして不公平にならないように、あるものは特例法が適用され、あるものは適用がない、そういう場合において十分説明のつくような方法でなければならない。これは先ほど社会党の議員からのお尋ねに対しましてもその通りだと申しまして、公平適正にこれを運用するようにということを実は申しております。そういう意味で私どもも十分検討を続けておるところでございます。
 そこで、地方の財政状態に関係なしに特例法を発動し得るかどうか、かような点になって参りますると、従前の例等から見ましても、地方団体相互間の財政状態はやはり十分検討いたしましてしかる上にこの特例法の適用範囲、これもやはりきめざるを得ない、かような結論でございます。(拍手)
  [国務大臣池田勇人君登壇、拍手]
#29
○国務大臣(池田勇人君) 石炭関係についての御質問にお答え申し上げます。まず第一に、石炭産業が最近非常に不振であるということはお話の通りでございます。これが原因は、お話のように、燃料エネルギーの革命に基づくことと、また、石炭業自体に内在する二つの問題があると思います。私はこの二つの問題につきまして、まず第一に石炭鉱業の体質を根本的に改善いたしまして、炭価の引き下げ、また、輸送販売等の流通面におきましても合理化をはかって大幅な引き下げをやらなくては、重油との関係が調整できないと考えておるのであります。従いまして、そういう価格の引き下げと同時に、需要の確保、ことにまた、石炭を流体化いたしまして需要面の拡大等にも進んでいかなくてはならぬ問題だと思います。従ってただいま行なっておりまする重油規制法あるいは重油関税等全般の問題につきまして慎重な考慮をいたしております。しかし、昨日も総理がお話になりましたように、石炭業に携わっておる労使自体が、石炭鉱業のにない手として合理的な解決をはかっていくことが第一でございますので、私どもといたしましては、ただいま大手炭鉱においていろいろやっておりまするごとにつきまして細心の注意を払い、また、ただいま申し上げましたような方面から石炭業の体質改善をはかっていく。何分にも石炭業は何と申しましてもわが国の重要な燃料エネルギーでございまするから、この産業を育成していくということが根本の考えでございます。
 なお、そういう対策を考えておりまするが、当面の問題といたしましては、御承知の通り、毎月二千人程度の失業者が出ますので、これが対策として、九月末に予備費二億三千万円を支出いたしまして鉱害復旧の早期繰り上げ、また、職業紹介、職業訓練に努力をいたしておりまするが、なおそれでも不十分でございます。今回特別法人の炭鉱離職者援護会を設立いたしまして政府の補助と業者の拠出によりまして大体六億円をもって今現に存在しておりまする離職者に対しての特別対策を講じていこうとしているのであります。他の離職者とは違いまして集団的に出るので、また相当の訓練を要するのでございます。この六億円は主として移住の方面に使うように考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣楢橋渡君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(楢橋渡君) 気象予報の精度向上という問題についてお尋ねがありましたが、予報の精度を向上させますために、政府といたしましては、気象の観測法の充実を常に留意いたしておりまして、電子計算機等を導入いたしましてその精度の向上に努めてきておるような次第であります。
 またさいぜんお答えいたしましたように、レーダーにつきましても、現在、東京、大阪、福岡、種子ケ島、奄美大島とありましたが、今回防災の効果等を考えまして、室戸岬に増設する予定になっておる次第であります。
 その他高潮の災害の防止のために目下自動送信式の高潮観測装置を、伊勢湾、東京湾に設置する計画を進めておるのでありまして、これらの措置によって台風の位置、動向の把握と、台風特有の豪雨並びに台風、暴風等によって生ずる高潮の予測が一段と精度を増すことの見込みがつく次第であります。
 その他防災機関の強化等についてのお尋ねがありましたが、この点はぜひとも防災官等を置きまして、各管区長並びに地方の測候所等にも防災官を配置するように案を今作りつつあるのでありまして、次回の国会にぜひ出したいと思う次第であります。
 なお、気象研究所の中に台風研究部を設けまして、基礎的にこの方面の対策を講じたいと思っておるのでありましてまた一方、国際的な気象観測に対する協力態勢等も目下考慮中であります。
 なお、港湾の問題についてお尋ねがありましたが、港湾の区域の海岸堤防に対しまして、海岸法に基づきまして運輸省の所管である海岸保全施設整備事業としてその整備をはかっておるのでありますが、今次の伊勢湾台風による被災状況等にかんがみまして、その計画構想の基準等に対しまして徹底的に研究いたし、災害を起こさせないようにいたす所存でございます。これらにつきましても各関係省との間に緊密な連絡をとって万全の策を講じたいと思う次第であります。(拍手)
   〔国務大臣植竹春彦君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(植竹春彦君) お答えいたします。
 まず御質問の要旨は、電話の破壊に対する対策いかんという御質問でございまするので、これに対しまする資金面の対策と設備に対しまする対策とに分けてお答えいたします。
 今回の災害は、電話関係は二十八億でありましたので、そのうち一億は超過勤務等の人件費に使うわけでありますが、それに対する財源は、予算の給与総額のうちから支出いたすことにいたしております。また二十億につきましては、事業収入の増収に対する弾力措置をいたしますわけでありますが、それは予算総則の第二十二条第一項に基づきまして支出するのであります。次に、建設勘定の支弁の方からは六億が必要であるわけでありますが、これは予算総則の第二十二条の第二項によりまして、債務償還の弾力分の十億のうちから六億を回すことにいたしております。次に、今度は資金面でなく、設備の方面の対策を申し上げますると、まず第一には、裸線をすみやかにケーブル化することが必要かと考えられますが、今日では年にわずか四百キロしかケーブル化する予算がないわけであります。従ってまだケーブル化していない分が三千キロあるのでありますが、これはできるだけすみやかに予算を国会できめていただいて、ケーブル化を促進していかなければならないと考えます。次には、非常の移動無線機を設備いたしまして、この移動式の無線機によりまして災害に対処していきたい。そのためには無線機だけではなりませんので、それに使います自動車を設備していかなければならないと考えますが、しかし、なおケーブル化あるいは無線機使用だけでは足りませんので、有線の方も、いわゆる網状交線、網状の電話の回線の設備をいたしまして、迂回等の方法によりまして迂回路の利用等によりまして対処して参りたいと考えております。しかしこのように設備を強化いたしましても、その設備を災害のときにどうやって運用していくかということが問題であろうと存じます。その対策につきましては、何しろ災害というのは急激にしかも膨大に一どきにどっと振りかかって参りますので、大ぜいの人を急激に必要とするわけでございますので、郵政関係の電話関係の従事者だけでは十分に能力を発揮することができませんので、この急激な振りかかってくる災害を排除いたしますためには、自衛隊等の電信電話に関しまする方面の大ぜいの人たちによって御協力を得るということは最も時宜に即した方法であろうと存じます。今回の災害におきましても、自衛隊がこの方面におきましても多大の寄与をせられましたことに対しまして深く敬意を表している次第でございます。
 以上は大体におきましておおむね市内通信、密集地に対しまする通信の対策でございますけれども、なお、長距離通信に対しまする対策が必要であろうと存じまするが、長距離通信につきましては、すでに運輸大臣から御答弁になられました通りであります。すなわち、マイクロ波等の増強によりまして長距離通信も完璧を期していかなければならないと考えまして、短距離の通信対策と長距離の通信対策と相待ちまして災害に対して万全を期したいと存じまするが、なお、御質問者の御意向を十分尊重いたしまして、今後この災害の対策につきましては、一段と研究を深めて、しかも早急に実効あるようにいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(赤城宗徳君) 自衛隊の施設部隊を現地になお増強する必要があるのではないか、こういうお話だと承りました。ただいま北海道から施設大隊、ダンプ中隊、入浴支援隊、九州からダンプ中隊、入浴支援隊等、全国各地から主要の部隊を災害地に集結している現状でございます。なお、現地と密接な連絡をとりまして、必要に応じて御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(松野頼三君) 経済の変動によりまして石炭鉱業から多数の離職者が出ましたことは、まことに憂慮にたえないところでございます。石炭の特殊性にかんがみまして、政府としては、九月に予備金をもって職業訓練及び公共事業の一部の事業を行ないました。今回新たに炭鉱離職者臨時措置法という法律案を提案いたしまして、所要の経費は今回の予算に計上をいたしております。この内容は、主として広域職業紹介によること、あるいは職業訓練により、あるいは訓練時の手当、あるいは移動資金、あるいは集団的住宅の仮設住宅等のものを含めて大幅にこの離職の対策に万全を期しております。それでもなお残余の者は地方に残りますので、地方には新たに緊急就労という、一般失対と違います緊急就労という高度なものを行ないまして、石炭の離職者と雇用の吸収に万全を尽くす覚悟でございます。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御質問の第一は南ベトナムの正統性のことであります。御承知のように、戦後仏印三国の処理の問題に当たりまして、フランスはバオダイ皇帝を認めてベトナム地区の代表者といたしまして、これと交渉いたしました。その後御承知の通り、ベトナム国家が生成して参る過程におきまして、選挙を通じて現在の共和政体になったことは御承知の通りだと思います。なおしかも、四十九カ国が、先ほど御指摘のように、すべて承認をいたしておりますという国際的事実は、正統政府と認めるに当然のことだと考えております。
 なお、賠償請求権のことにつきましては、すでに草葉議員も十分御理解を得ているように思いますけれども、サンフランシスコ条約十四条の建前におきましてわれわれは義務を負っておるわけであります。従いまして、北ベトナムにはわれわれはそういう賠償の義務を負っておりません。また、われわれとしてそういう支払いをいたす意思も持っておりません。今日、正統政府として、全ベトナムの代表としてそして南ベトナムにこれを支払うことにいたしておるわけでございます。
 この二重払いの点でございますけれども、ただいまお話もありましたように、今日までフランスに処理をいたしましたのは、昭和十六年、日仏基本協定及びその関係取りきめに基くものでございまして、戦前債務としてこれを処理いたすことは当然のことでございます。
 なお、何か誤解があるようでございますが、三十三トンの金というものはイヤマークをされた金でありまして、これは日本が新たに出したものではございません。イヤマークをされた金でフランスのものを渡したにすぎないのでございます。従いまして、戦前債務としてこれを処理したこともはっきりいたしております。
 次に、開戦の時期でありまするが、フランス政府は現在一九四一年十二月八日を開戦日といたしておりますけれども、当時ドゴール政権がロンドンで亡命政権としてこれを声明いたしたのでありまして、日本といたしましてはビシー政府との間に友好関係を持っておったわけであります。従いまして、ドゴール政権が再び帰って参りましてビシー政府の主権者となりましたときを、当然開戦日として決定するのが適当だと考えるわけでありましてわれわれとしてはその解釈をとって一九四四年八月二十五日といたすわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○議長(松野鶴平君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#36
○白木義一郎君 昨日行なわれました岸総理及び各大臣の演説に対しまして、全国の被災者諸氏の再起を心より祈りながら、私は、災害、内政、外交の三点について質問をいたしたいと思います。今次伊勢湾台風の大災害をあらゆる角度から検討、批判し反省するために、種々の問題を考えてみたいと思います。
 そこで第一に、気象台はやや満足な気象概況をキャッチしていち早く各地へ暴風雨並びに高潮の警報を発したにもかかわらず、あのような無惨な大災害が起きたことについては、寝巻姿で死んでいた人さえあったことを見ても、犠牲者の油断というよりは、頼ってはならない不完全な堤防に信頼をしていたという事実を認めなければならないのであります。これは毎年必ず来襲する台風災害に対しての政府の根本的対策の欠陥を暴露した悲劇と思うものであります。次に、政府はおくればせながら名古屋市に対策本部を設け、災害救助法を発動し、急速災害復旧に乗り出し、そこで救援物資の調達、配給、救護に万全を期せんとしたが、ようやく濁流から脱出して、水没するわが家の屋根に避難して、命拾いをした家族が、数日たっても、水一滴、一粒の乾パンすら与えられずに、相擁しながら餓死した事実も、直接風水害により起きた犠牲ではなく、避けることのできた犠牲であったと思うのでございます。これは通信網の破壊、輸送力、すなわち救援物資の運搬のトラック、ボート、救援隊の員数不足等の確保が少なく、平素よりの計画、組織等、緊急事態に応ずる機構を持たない、頭でっかちの対策本部の無能から起きた悲惨な犠牲者の姿であり一例であります。この対策本部の無能ぶりから、わが国の最高責任者である岸総理が、現地に対策本部を設置して事足れりとした安易な気持をうかがい知ることができるのは、まことに遺憾なことであると思います。真の対策本部は、行政の最高指導者である岸首相の胸の中にあるべきはずであるが、この点はいかがでございましょうか。また従来の例を見ましても、この名古屋に設けられました対策本部がしりつぼみにならないように、最後まで、名古屋の復旧の最後を完成するまで強力な対策本部を続けていくという御意思があるでしょうかどうか、お答え願いたいと思います。
 次に、この災害から生じた高価な犠牲による各種の資料を基礎にして、恒久対策を立てて急速に実現しなければならないのは、国民の代表である政治家の欠くべからざる心がまえであります。がしかし、日ならずしてこの災害対策に対する情熱が次第に薄くなるということは、まことに残念なことであるが既定の事実でもあります。今回の災害を最後の災害にするという固い決意を固めなければ、数多くの犠牲者にまみえることは許されないであろうと思います。過去十年間の風水害により、人的損失約十万名、被害総額約三兆円、毎年平均二千五百億円以上の被害をわが国は受けてきたのであります。そのつど国家予算及び地方団体予算を含め、毎年一千億円以上の金額が、治山治水対策費、災害復旧事業費として投入されてきたにもかかわらず、再び大災害を起こしたことは、過去の対策が水泡に帰したことになるが、どんなところに欠陥があったか、建設大臣にお答え願いたいと思います。
 ようやく抬頭してきた国際間の緊張の緩和、雪解け論議の努力を無視して、起きるか起きないかわからぬ戦争の予防に重点を置いて、毎年必ず起きるところの、戦争と同じ損失を生む風水害に無関心過ぎた政府に対して災害現地における被害者並びに国民の多くから、実戦に役にも立たない中古飛行機に何千億円のわれわれの税金を支出する財源がありながら、貴重な人命を損傷し、何万、何千万という国民が塗炭の苦しみに陥るこの台風被害防止のための財源がないとは絶対に言わせない、との声が上がっているのは御承知のことと思います。(拍手)このような観点から、政府は国土防衛の見地に立って、仮想敵を国際間に求めることなく、毎年必ず国土に侵入する風水害という大敵に目ざめ、今回大活躍を認められた自衛隊が、片手間式な災害救助の考えを改めて、自衛隊の主要任務を災害救助に重点を置いた国土防衛隊として、平時に役立つよう再編成する意思はないか、総理並びに防衛庁長官にお尋ねいたします。
 次に、総理及び対策本部長、関係各大臣は、さすがに未曾有の大災害にぎょうてんして、現地におもむき通り一ぺんの激励を行なってはいるが、罹災者の現況は、今度の政府の不手ぎわな救済措置と、襲い来る寒さにたえねばならぬ現実と、期待はずれの政治の貧困のために、前途に希望を失いつつも、わずかに一筋の救助の手を待ちこがれているのであります。政府は、中央における予算措置を伴う立法化のみで満足してはならないと思うのであります。これらの不幸な罹災者に対して政府は緊急かつ強力な救援の手を差し伸べなければならないが、岸総理は、民主主義政治の基本に立って、行政監督の最高責任者として、この未曾有の大災害に対する責任と誠意とを全国民に披瀝し、同時に、災害地に対しては、打てば響くような緊急施策を身をもって促進すべきではないでしょうか。首相官邸や大臣室にばかりおさまっていないで、一国の総理として真に国民の悩みを総理の悩みとするならば、あなたの情熱と確信次第で、住むに家なき不幸な人々にも再起の勇気を与え、絶望のどん底より立ち上がらせることもできるとは思わないでしょうか。昔、仁徳天皇は、民家より立ち上がる煙を見て民の窮状を思いやられて、六年間の免税を行なった故事があるが、今、岸総理は、この前古未曾有の大災害に邁進して、ぼう然として生きる道さえも失った悲劇の国民の前に、与野党を問わず働きかけて、緊急対策を総理みずから陣頭に立って推進してこそ、国民は民主主義への期待と希望を大きく抱くのではあるまいか。今からでも決しておそくはありません。今こそ総理の力と人格を百パーセント発揮していただくよう強く要望をいたす次第であります。災害というものは、一国の為政者の一念によって大きくもなり小さくもとどめることもできるということを忘れず行動されんことを希望いたします。
 次に、石炭不況に基づく諸問題については、先ほど御答弁がありましたので、省略をさしていただきますが、けさのラジオでは、離職者の受け入れを、東京都では約百二、三十人を完了したと、このようなニュースをけさ聞いたのでございますが、先ほどの話によりますと、毎月二千人の離職者が出ている。このようなことでは、一体いつになったら救済ができるのでしょうか、どこにまた政府は重点を置いてこの対策を進めていくか、お伺いをしたいと思います。
 これに付随して、現地の小学校の学童は、給食も学用品もなく、そのために不就学及び長欠者がふえ、不良化のおそれさえも増大し、教育低下の現状は児童の将来のため大問題であります。従って、児童福祉の強力な充実徹底をはからなければならないが、どのような措置をとるのか、文部大臣に説明をしていただきたいと思います。
 次に、石炭不況に伴う炭鉱地帯の疲弊は、石炭産業はもとより、全産業に及び、特に中小商工業者は極度の苦境にあえいでおります。ために炭鉱地区は全般的な社会不安を起こしつつあるのであります。よって、政府においては、炭鉱地区において多額の売掛代金を抱え、回収不態の状態にある中小商工業者に対し、税制上特別の措置を講じ、あるいは閉山地区中小商工業者がその事業を維持し、あるいは転業するために要する長期低利の資金を、簡素な手続で借り入れ得るよう金融上特別の措置を講ずる等、石炭不況に伴う関連中小企業に対する緊急対策が考えられるが、これらの問題に対し政府はいかなる対策を講ずるか、関係大臣に具体的な説明を求めるものであります。
 次に、ベトナムの賠償問題に関して、総理並びに藤山外相、池田通産相に質問いたします。およそ、賠償問題を処理するにあたっては、損害を与えた国と損害を受けた国との相互間において、賠償を支払う義務及び請求する権利が存在するかいなかの観点に立って論じられなければならないのである。岸政府は、サンフランシスコ平和条約に基づいて、ベトナム共和国に対して賠償の調印をなし、これを今国会において批准しようとしているのであるが、両国間の外交及び経済の観点を明らかにしていけば、無用の紛糾は避けられたのに、その努力を怠って今日にきたがゆえに、もろもろの疑惑を持たれておるので、その疑点を御質問を申し上げます。
 今、岸政府は、南ベトナム政権を相手として全ベトナムに対する賠償を行なわんとしておるのであるが、これでは北ベトナム国民には賠償の誠意が全然及ばないおそれが十分考えられるのであります。今次大戦における日本軍よりこうむった損害の大部分が北ベトナムであったことを考えるとき、たとえ、法理論の上から南ベトナム政府が認められるとしても、国民感情として道義的に納得できない矛盾を感ずるのでございます。この際、政府は、北ベトナムの国民にも、わが国民の賠償の誠意が及ぶよう努力すべきだと思うのでありますが、これに対して政府はいかなる方針を持ち、いかなる努力をせんとしているのであるか、総理並びに藤山外相の所見をお聞きしたいと思います。ここで町の人々の声を耳にすれば、この賠償が北ベトナムに及ばないならば、明確さを欠いた賠償金額ではあるが、半額で済むんじゃないか、というようなことも町では言っていることをお伝えいたします。
 次に、南ベトナムに対して、純賠償及び経済協力により、ダニーム水力発電所、工業センター、尿素肥料工場等の建設が行なわれるとのことであるが、これらの工事の内容がいまだ明確に示されていないのであります。サンフランシスコ平和条約の精神に基づいて行なわれる賠償ならば、平和的施設の建設にのみ向けられるべきであるが、工業センター建設という名のもとに、いつの間にか兵器の修理工場が建てられていたというようなことが、かりにもあってはならないと思うのであります。軍需設備は絶対含めないと確言できるかどうか、総理と外相にお答えをいただきたい。
 また、南ベトナムにおいて行われる役務賠償について、わが国は多くの技術者を派遣することになると思うのであるが、この派遣にあたって、政府は、心身ともに健全にして、かつ優秀な技術を有する者を慎重に選定して送らなければならない。これは将来起きる東南アジアに対する移民の政策の上からも大切なことと銘記して進めていっていただきたいと思いますが、これに対する外務大臣、通産大臣の見解をお願いしたいと思います。
 次に、もし批准ができて北ベトナムとの通商が断絶したならば、北ベトナムとの貿易によって被害をこうむるたくさんの商社があると思いますが、この貿易商社に対する政府の経済的補償をいかに考えていらっしゃるかということをお伺いしたいと思うのでございます。
 最後に今日までの政府の行き方を見ますに、ベトナム問題にせよ、災害問題にせよ、また来たるべき通常国会に上程される安保問題にせよ、常に党内調整に対しては必死の努力をもって当たっているようですが、肝心の議会に対し、また一般国民に対する了解を求める努力においては、常に欠けるところが多いのでございます。今後は国民の政府であることを忘れず、正しい民主主義政治の大道を歩まれんことを政府に強く要望して、私の質問演説を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手]
#37
○国務大臣(岸信介君) 政府が今回の伊勢湾台風に対処するために、中央におきましても協議会を作り、さらに現地に中部日本災害対策本部というものを置いて、ここを中心として最も緊急かつ適切な具体的の施策を行なうように努力してきたのであります。白木君はこれが何ら役に立たないというふうな御議論でありましたが、現地においての活動は決してそういうことではございませんで、もちろんああいう大きな災害でございますから、いろいろの点において完璧であったということはこれは申し上げかねますけれども、しかしながら、相当に現地の方々がこれによって、あの史上まれに見るような大災害にかかわらず、相当な措置が緊急に行なわれたということは十分に認められておると思います。何か食糧等の配給が不足したために餓死した者があるというようなことのお話がありましたが、そういうことは私は絶対にない、いまだかつて聞いたことはございません。それからこういう対策に関して緊急対策を行なうと同時に、恒久的な根本的な策を立てて、これを強力に実施しなければならぬことは、白木君の御指摘の通りであります。緊急、応急の対策といたしまして、われわれは今回補正予算及び特別措置に関する法律を提案いたして御審議を願っております。さらに恒久策につきましては、通常国会におきまして十分な一つ対策をとって参りたい、かように考えております。
 自衛隊の改組の問題につきましては、先ほど来しばしば申し上げましたように、これは改組すべきものではなくして、ただ、こういう災害等におきましても十分活動できる規定になっておりまして、これを十分に活用して緊急の要求に応じていくようにいたしたいと考えております。
 ベトナム賠償につきましては、先ほども答弁がありましたように、サンフランシスコ条約に基づいて、南ベトナム政府をベトナムにおける正統政府と認めて、全ベトナムに対する賠償として今回協定を結ぶわけでございます。私はこれによって全ベトナムの繁栄と民生の上に貢献することは大であると、かように思っておりますし、これによってベトナムと日本との友好関係が一そう増進されると信じております。もちろん賠償の趣旨につきましては、サンフランシスコ条約の趣旨の通りでありまして従って軍事施設等に対してこれが使われるということは絶対に私どもも考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣村上勇君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。
 治山治水対策につきましては、昭和二十八年に水系を総合的にした治山治水基本対策を定めまして、これらの事業の促進に努めておる次第でありますが、諸般の財政事情等によりまして十分な進捗を見ていないことはまことに遺憾に存じます。今後における施策の方針といたしましては、治山治水事業を一そう強力かつ計画的に実施するようにいたしまして、当面の目標としましては、基本対策による計画のうちから特に緊要な事業につきましては五カ年計画を定めて、これを実施することによって治山治水の目的を達成いたしたいと、かように思っておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(赤城宗徳君) 自衛隊の改組あるいは主任務を変えたらどうかということにつきましては、ただいま総理大臣からお答えした通りでございますが、なお、つけ加えて申し上げますが、私どもといたしましても、災害等につきましては全力を尽くして現在のままでも出動できる、こう考えております。訓練、装備あるいは施設部隊の増強等につきましても考えまして、万遺憾のないような措置がとれるようにいたしたいと、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(松野頼三君) 石炭の離職者につきましては、御指摘のように非常な多数の者が今日離職をされております。しかし離職者が直ちにすべてが再雇用かというと、そういうわけでもございません。一部の方は自営に回られる、一部の方は縁故に回られるという方もございますので、政府としては、緊急な要対策人員として、今回の補正予算及び援護会等を通じまして約二万人を対象に今回の予算措置を講じております。二万人と申しますと相当の数でございますが、今回の予算に計上されました二万人は、緊急のものは完全にこれで対策ができる、こういう予算の計上をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣松田竹千代君登壇、拍手]
#41
○国務大臣(松田竹千代君) 石炭鉱業の不振に伴う失業からくる家庭の児童が不良化していく傾向がある、それに対しては文部省はどうしておるかというお尋ねと思いますが、文部省といたしましては、まず、できるだけ学校に出席するように勧め、また学用品、教科書のごときはできるだけ無償でこれを配付するように努め、就学を奨励する。そのほか個別指導に重きを置いてできる限り生活指導をやっていきたい。さらに各関係機関と緊密な連絡をとりまして社会施設その他を通じてそれぞれ処置するとともに、児童の閑暇をできるだけ活用するようにして、その不良化を防止したいと考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(佐藤榮作君) 災害対策の基本的な政府の考え方は、総理、建設大臣からお答えした通りでございまして、私は財政的の見地に立ちましても十分検討を加えまして、万遺憾なきを期したい、かように考えております。
 また石炭鉱業の合理化に伴いまして生ずる地方の問題としての、あるいは税制上あるいは金融上、特別の措置をとる必要ありやいなや、これらの点につきましては、今後の問題といたしまして研究の問題が残っておるように思います。今日までの合理化上生じました離職者につきましては、先ほど来通産大臣並びに労働大臣から御説明いたしましたように、一応の対策を講じておりますが、本格的な合理化が進むにつれましては、地方の大きな問題を起こすことだと、かように考えますので、十分その計画の実施に伴いまして生ずるであろう事態についての検討を続けて参りまして、対策を講ずる、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(池田勇人君) 石炭鉱業離職者の方々に対しての問題でございまするが、ただいままでの失業者は、大体合理化法に基づきまする中小炭鉱の失業者が多いのでございます。従いまして、きょうラジオでお聞きになったとかいう、この百数人、これはどの部類に属しまするか、ただいま御承知の通り大手十八社が希望退職を募って、そうして退職された方々もおられるのでございます。また石炭鉱業におきましては、大手のいわゆる財閥等、関津産業を持つ会社では、相当再就職することができるのではないか。鉱夫の方方につきましては、先ほど来申し上げておるように、新たに職業訓練をしていくよりほかはないと思います。いずれにいたしましても、ただいまは、昨年来から出ておりまする主として中小炭鉱に働いておられる方々の再就職、移住等を考えておる次第でございます。
 また、ベトナムの問題につきまして、機械工業センターはどんな内容を持つかという御質問でございましたが、これは本協定が成立いたしまして、両国間で話をすることに相なっておるのであります。また、ベトナムに対しましての技術者の派遣等につきましての御注意がございましたが、これはベトナムに限らず、東南アジア等、低開発国に対しましては、技術者の派遣につきまして慎重に考慮し、両国の関係がますます緊密になり、低開発国の産業の育成を主といたしまして善処いたしたいと思います。(拍手)
  [国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま総理が答弁されましたように、今回われわれは、ベトナム共和国を全ベトナムを代表する政府として賠償の調印をいたしたわけでありまして、これによりまして、一円も早く全ベトナムにその利益が及ぶように希望してやまない次第でございます。なお、今回の条約付属書等に書いてありまするいろいろな工場その他につきましては、今後実施協定を作りまして、向こう側の希望等もとり入れてやるわけであります。希望条件が書き入れてあるということでありまして、むろんわれわれとしては、できるだけベトナムの平和の発展のために役立つようなことに努力をして参りたいと、こう考えております。心身健全な者を送る、また、北ベトナムとの貿易の関係については、すでに池田通産大臣が御答弁になっておりますので、省略さしていただきます。(拍手)
#45
○議長(松野鶴平君) 質疑は、なおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 次会は明日午前十時より開会いたします。
 議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト