くにさくロゴ
1959/11/26 第33回国会 参議院 参議院会議録情報 第033回国会 本会議 第11号
姉妹サイト
 
1959/11/26 第33回国会 参議院

参議院会議録情報 第033回国会 本会議 第11号

#1
第033回国会 本会議 第11号
昭和三十四年十一月二十六日(木曜日)
   午後零時二十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十号
  昭和三十四年十一月二十六日
   午前十時開議
 第一 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)
 第二 昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)
 第三 昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 昨日、内閣総理大臣の出席がないため補正予算の会議を開くことができなかったことは、参議院としてはなはだ遺憾であります。議長といたしましても、今後かかる事態が生じませんよう周到な配慮をいたしますが、内閣においても今後十分に注意されんことを強く望みます。
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。岸内閣総理大臣。
   〔国務大臣岸信介君登壇〕
#4
○国務大臣(岸信介君) 昨日の参議院本会議に私の出席がおくれたために、会議の円滑な進行に支障を来たしましたことは、政府におきましてもまことに遺憾に存ずる次第でございます。今後はかかることのないように十分注意いたしますから、このたびのことは御了承願いたいと存じます。将来、両院及び政府間には緊密な連絡をとりまして、本会議と委員会が競合いたし、同一の大臣を要求されます場合におきましては、政府といたしましては、原則として大臣は本会議の方へ出席する方針でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)。
 日程第二、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)。
 日程第三、昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)。
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。予算委員長小林英三君。
   〔小林英三君登壇、拍手〕
#7
○小林英三君 ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)の予算委員会におきまする審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の予算補正は、伊勢湾台風等、今年発生災害の災害対策を主眼としたものであります。累次にわたる今年発生災害に対しましては、すでに予備費の使用等によりまして各般の対策が進められているわけでありますが、今回さらに大幅な災害関係費の追加を行なうため、各種の特例法とともに補正予算が提案されたわけでございます。この予算補正にあたりましては、あとう限りの財源をこれに充当することといたしましたために、その他の経費につきましての補正も同時に行なわれたわけでございます。一般会計予算の補正による歳出の追加額は総額六百十四億余円でありますが、うち災害関係費は約三百四十四億円、その他の経費が約百九十一億円、予備費が八十億円となっております。災害関係費のおもなるものは、三十四年発控災害復旧事業費百七十九億円、伊勢湾高潮対策事業費六十二億円、その他、緊急治山及び緊急砂防事業費、三十四年発生住宅施設災害復旧事業費、公立文教施設災害復旧費、災害救助費等で百三億円であります。災害復旧事業費百七十九億円は、被害額の調査がいまだ完了していないものもありますため、推定分を含めて算出されたものでありますが、台風七号以前の分場については当初予算計上の予備費によって大体措置済みであり、それ以後の分については、この百七十九億円及び補正予算計上の予備費から措置されることになっておるのであります。また、この災害復旧事業については、歳出予算のほか二十九億円の国庫債務負担行為ができるようになっておりますので、初年度二五%という従来の復旧率に対し、二八%半まで着工できることになっておるのであります。伊勢湾高潮対策事業費六十二億円は、伊勢湾台風に際し海岸河川部の被害が特に激甚であったことにかんがみまして、特別の高潮対策事業として、原形復旧にとどまらず、大規模な改良工事を急速に実施するために計上されたものでありまして、この事業に対しましては、すでに予備費から十一億円支出されておるのでありますが、さらに、今後の工事の実施状況に応じ、補正予算計上の予備費の使用のほか、県営工事分については七億円の国庫債務負担行為の活用が可能になっておるのであります。その他、緊急治山及び緊急砂防事業費、三十四年発生住宅施設災害復旧事業費、公立文教施設災害復旧費、災害救助費等は、いずれも激甚地の地方公共団体に対する起債の元利補給、補助準、補助単価の引き上げ等、各般の特例措置を見込み、所要額が計上されたものであります。その他の経費のおもなるものは、地方交付税交付金八十五億円、義務教育費国庫負担金等、法令の規定に基づく義務的経費九十二億円及び石炭対策費七億円等であります。予備費八十億円については、うち五十億円は災害対策関係に充てられ、残り三十億円はその他の今後の不測の財政需要に充てられることになっております。これらの歳出追加に必要な財源は、法人税を中心とした租税の自然増収四百九十億円及び専売納付金を中心とした税外収入の増加四十八億円をもってこれに充て、さらに不足する七十六億円については、公共事業費等、既定経費の節減により充当されることになっておるのであります。以上の補正の結果、三十四年度の一般会計予算の総額は、歳入歳出とも一兆四千九百八十一億余円となります。
 特別会計予算並びに政府関係機関予算補正の内容は説明を省略いたしたいと存じます。
 なお、以上の各予算補正に関連いたしまして、財政投融資においても総額五百一億円に上る投融資の追加が行なわれておるのでありますが、このうち災害対策関係の追加額は、中小企業、農林漁業、住宅、地方債等で合計四百一億円でありまして、年末中小企業金融対策関係の追加額は百億円となっておるのであります。
 これらの補正三案は、去る十月二十八日、国会に提出せられ、十一月十四日、衆議院において可決の上、本院に送付されたものであります。委員会におきましては、十月三十一日、佐藤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取いたしまして、衆議院からの送付を待ち、十六日から昨二十五日まで、正味七日間にわたり、岸内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行ないました。以下委員会における質疑応答のうち若干の事項につきまして簡単に御報告申し上げます。
 まず、災害に対する根本的な対策につきましての質疑といたしましては、「今回のような災害を再び繰り返さないようにするためには、治山治水の根本対策がぜひ必要と思うが、総理の考えを示されたい」、また、「恒久対策の立案にあたっては、財源の裏づけが必要となるが、公債、借入金等による方法も、長期にわたり国民に恩恵を残すものであるからよいのではないか」、「治山治水特別会計の設置についてはどう考えているのか」等の質疑がありましたが、これに対し、総理大臣及び大蔵大臣から、「日本の国土保全については、今回の災害にかんがみ、治山治水、防潮等、総合的見地から抜本的な対策を立て、通常国会に提案をいたしたい」、また、「その実現のためには予算の裏づけ、法制の整備等を考えていきたい」、さらに、「その財源については、公債、借入金等によれという主張もあるが、日本経済の健全性を害しないことを根本条件として検討することが必要であると思う」、また、「治山治水事業について特別会計を設置するかどうかについては、事業の性格からいって問題もあるが、目下検討中であって、まだ結論に到達していない」旨の答弁がありました。
 次に、災害関係費についての質疑といたしましては、「災害復旧補助事業費は、千五百五十八億円の被害報告額に対し、査定額は千七十二億円であり、六九%の査定率であるが、これでは少なきに失しないか」、「災害関連事業費も何%というワクを設けず、現地の実情に即するようにはできないか」、また、「伊勢湾高潮対策事業費についても、これでは改良復旧は不可能で、原形復旧に終わりはしないか」、また、「単独災害復旧事業で助成を受け得る事業量はどのくらいであるか」等の質疑に対しましては、大蔵大臣、建設大臣及び自治庁長官から、「査定見込事業費千七十二億円は従来の実績から算出したものであり、災害関連事業費については、建設省関係の河川等は率にこだわらず話し合いがつき、農林、運輸関係は、従来よりそれぞれ率を相当に上げている、また、「補正に計上したのは、明年の台風期までに原形に戻しておくための予算であって、工事の進捗率からこれ以上必要はない。単独の災害復旧事業費の額は二百四十億円で、そのうち起債の対象となるものは二百九億円、うち小災害が三十七億円で、今年度措置する額は十九億円であるし旨、答弁がありました。
 次に、激甚地の指定の問題についての質疑といたしましては、「大蔵大臣、あなたは衆議院の予算委員会で、今回の補正で足りない場合は通常国会で善処すると答弁しているが、この補正予算編成にあたり、激甚地の指定をどの程度と見ていたか、また、激甚地指定基準の決定により、どの程度の額が必要となるか」との質疑に対しまして、大蔵大臣から、「災害復旧費は、災害という事実に対処するものであり、財源に合わせて査定する性質のものではない、激甚地の指定については、編成当時六制程度を予想していたが、指定基準決定の結果、公共土木施設は六七%、農地農業用施設は七一%ぐらいとなり、金額的には初年度数億円程度の増加にとどまるので、第二次補正は出す必要はないと思うが、事態の変化に対しては政府の責任で善処する」旨の答弁がありました。
 さらに、地方財政につきましての質疑では、「本年の地方財政は一般に悪化すると憂慮されているのであるが、今次の災害のため地方財政が一そう圧迫を受けるのではないか」との質疑に対しまして自治庁長官及び大蔵大臣から、「地方財政については、各種の特例法による補助率の引き上げが予定されているほか、交付税についても、今回の補正による特別交付税四十一億円のほか、既定の特別交付税の中で災害関係に回し得るものが二、三十億円はある。起債についても、当初の起債ワク三十五億円のほかに、今回百六十億円が追加されており、また小災害についても、前回はワクを下げて補助事業としておったのであるが、今回は起債を認め、元利を補給することになっている。その他特別交付税の配分の方法についても実態に即して行ない、税の減免等による歳入欠陥については歳入欠陥債を認め、その償還にあたっても、ある程度のめんどうを見ることになっている。地方財政は今年は大体まかなえるのであるが、むしろ問題は来年度以降にあるので、今後とも災害によるしわ寄せを受けないよう健全化の方向に努力したい」旨の答弁があったのでございます。
 次に、石炭産業離職者対策につきましての質疑といたしましては、「今回提案されている離職者臨時措置法の対象となっているところの離職者の数は幾らであるか。大手石炭業者は今後十万人の人員削減を目標として合理化計画を進めているのであるが、政府はこれを傍観するのか。石炭業界は従来政府の長期出炭目標に沿うて開発に努めてきたが、今エネルギーの総需要は増加しているのに逆に石炭が不況に陥った原因は、政府が無計画な外貨の使用により重油を輸入したからではないか。政府の責任ではないか。また炭主油従政策はどうなっているのか」等の質疑に対しまして、総理大臣、通産大臣及び労働大臣の各大臣から、「今回の臨時措置法の対象は、昭和三十年九号以来の離職者五万人と今年末までに予想されている離職者二万人のうち、緊急要対策者として予算措置をしているものは約二万一千名である。石炭の不況は世界的であって、経済情勢が急激に変化したために、政府としては、従来のエネルギー需給計画を根本的に再検討を加えているのである。炭主油従政策は堅持するが、単純に重油関税を引き上げればよいというものではなく、石炭業みずからがなすべき合理化の限度、重油価格の動向、需要の趨勢等を慎重に検討した上、各種の根本対策を通常国会に提出したい」旨の答弁があったのでございます。
 また「明年度予算は、財源面で相当苦しくなると思うが、いかなる性格の予算となるか。租税等の自然増収は幾らか」等の質疑がありましたが、これに対しまして大蔵大臣から、「明年度は剰余金の減少、たな上げ資金の減により、相当額の租税の自然増収があっても新規政策に回せる財源が少ないことは事実である。明年度予算は災害復旧と国土保全が中心となるであろうが、経済を刺激しない予算を組みたい」旨の答弁があったのでございます。
 なお、当面の外交懸案であります安保改定の問題とベトナム賠償協定につきましては、当委員会におきまして終始熱心なる質疑が行なわれたのであります。
 その他、MSA協定と防衛費の関係など、内外の政治経済上の諸問題につきましても幾多の質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存ずるのであります。
 かくて昨日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、社会クラブを代表して東委員が反対、自由民主党を代表して大谷委員が賛成、日本共産党を代表して岩間委員が反対、日本社会党を代表して鈴木委員が賛成、無所属クラブを代表して千田委員が賛成、緑風会を代表して杉山委員が賛成の意見をそれぞれ述べられました。
 討論を終局いたし、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十四年度予算補正三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました次第でございます。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#8
○議長(松野鶴平君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。基政七君。
   〔基政七君登壇、拍手〕
#9
○基政七君 私は社会クラブを代表して、政府提出の補正予算三案に反対の意向を明らかにするものであります。
 今度の臨時国会は、伊勢湾台風までの本年度の自然災害に対する復旧対策と南ベトナムに対する賠償支払い承認が、政府より提出された主要な案件でありました。ところが両案が衆議院に上程されて以来今日に至るまで、われわれは一回といえども両案につき納得のいく説明を政府より受けたことはございません。南ベトナム賠償につきましては、政府はほとんど一年をこえる国会答弁の準備が可能であったはずであるにもかかわらず、少々細部にわたる質問があれば、たちまち答弁に詰まる状態であります。これでは膨大な国費を賠償支払いや借款供与に充てている財政支出を、われわれは軽々しく承認できなくなるのは当然なのであります。国会における承認がはなはだしく遅延する形勢にありますのも、責任はすべて政府にあると言っても過言ではないのであります。今回の補正予算案について言えば、予備費五十億円を含めてわずか四百億円の予算規模をもって災害復旧対策に充てているのでありますが、この程度の歳出をもって、激甚地指定が被害地域の約六割、復旧事業の進度が平均三〇%という政府の本年度の計画がとうてい実現できるものでないことは、大蔵大臣みずからが衆議院における予算案審議の最後の日に、経費不足の場合には歳出追加もあり得ると苦しい答弁をしたことでも明らかであります。また本院としてはきわめて遺憾にたえない点は、政府みずからが歳出不足があるかもしれないと明言している予算案を、いかに自民党と社会党の妥協の産物であるとはいえ、平然として本院に提出している点であります。これは本院を軽視するもの、侮辱するものと言わざるを得ないのであります。さらに加えて、昨日は岸総理が本院の予算採決の本会議に定刻を過ぎるも出席せず、ついに総理の全責任において本会議を流会に至らしめたことは、まさに前代未聞の本院軽視の重大事と申すべきでありまして、われわれがはなはだ遺憾に存ずるところであります。
 私ども社会クラブが政府提出の補正予算三案に反対せざるを得ない理由は、第一に、同じように財政支出を伴う南ベトナム賠償支払いについての政府の答弁が今日のようにあいまいである以上は、同じ本年度の歳入財源に依拠している災害予算案を軽々しく承認することは不可能なのであります。これは安保改定中間報告や、戦闘機の機種決定についての政府の答弁についても同様であります。明年度の戦闘機計画が二百機であったのか三百機であったのか、責任者の答弁が食い違うような政府を相手にして、五千人の死亡者を出し、三十万四千戸の罹災戸数を生じ、いまだに浸水地域が残されている状態にある中部地方三県の災害復旧に対する予算案が、何ゆえに政府原案通りで十分と認め得るのか、これを承認せんとする会派諸君の精神を疑わざるを得ないのであります。
 私の第二の反対の理由は、災害対策費並びに石炭産業離職者対策費の双方を含めた政府の歳出補正規模は、政府の提案した歳入補正の財源を上回る歳入を想定することが可能であるから、当然に歳出補正をもっと増額してもよいはずであったのであります。私ども社会クラブは、政府が本年度租税収入の自然増として四百九十億円を計上している点は明らかに過少評価であると思うのであります。大蔵省が今月二十日に発表した十月末までの本年度一般会計税収実績は六千三百十八億円でありまして、これは補正後の税収予算の五四%の税収割合であります。これから年末にかけてのボーナスによる源泉所得税が昨年度を上回る伸びを示すことが必至であり、九月期決算の好調を反映して法人税が昨年度を相当に上回ることは必至であると、大蔵省みずからが認め、補正後の歳入予算はすでに確保できたと、十一月二十日現在、政府みずからが認めているのであります。すなわち本年度の租税収入の自然増は四百九十億円を上回ることは、本案を審議している過程において政府みずからが承認している事実なのであります。私は政府に対し、四百九十億円を上回るプラス・アルファを、罹災者の方々並びに石炭産業離職者の方々のために補正予算案に計上することこそが、政府の行政当局としての責任であると思うのであります。また、このようなプラス・アルファを補正予算案に計上せしめることが立法府の任務であると思うのであります。さらに加えていえば、このような衆議院で審議し尽くされなかった点を審議し是正することこそが、本院の当然の義務であり責任であると思うのであります。私ども社会クラブは、政府みずからも誠意を尽くしていない予算編成を認めることはできないのであります。
 私が政府案に反対する第三の理由は、政府はすでに明年度予算の編成に着手しており、今回の補正予算案は当然に明年度予算につながる財政措置となるべき予算案なのであります。ところが政府の明年度予算編成は、いまだに編成大綱さえきまらぬスロー・モーションぶりであります。この原因が、深刻な財源難、これに加えて、表面的には国土保全予算と宣伝しながら、実は安保改定後に防衛分担金をすべて防衛庁費に振り向けようとする、実質的には軍事費の増強をねらっている財政膨張の二つの原因があるのであります。このような財源難と財政膨張の矛盾に当面し、しかも、なおかつ国土保全と自衛隊の増強という二兎を追っているのが、政府の明年度予算編成の現状なのであります。今回の政府提出の補正予算案は、政府みずからの矛盾と二兎を追う無定見との犠牲になって、当然計上されるべき災害対策費も計上されていない予算編成なのであります。
 社会クラブはすでに衆議院に予算組みかえ動議を提出し、一般会計予算規模は政府案より四百三十八億円を増額して約一千五十二億円とし、特に災害対策費は政府案より三百七十五億円を増額して、約七百十九億円を計上することを政府に要求しました。私どもの要求は少数否決されたのではありますが、歳入補正の財源は政府計上額や政府編成項目のほかにもあることは、政府も自民党も社会党も認めているところであります。災害対策費が政府計上額で不足している事実は、これまた政府、自民党、社会党が認めているところであります。私どもも災害予算の緊急性を認めており、これの成立に対しては積極的に協力してきたものではありますが、民主国会は、緊急性のゆえに立法府の自主的な審議権を放棄すべきではありません。私どもが政府原案に反対する理由は、政府の手によって、今日現在において、よりよき予算案が編成できるはずであることを国民の権利として要求するための手段なのであります。私は、緊急性のゆえをもって、みずからの主張を簡単に放棄して政府案に同調した社会党の態度をはなはだ残念に思うのであります。願わくは、自民党、社会党の諸君は、みずからの政治識見のために政府案を再検討し、政府案反対、政府案を組みかえ再編成の社会クラブの意見に賛成されんことを希望して、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(松野鶴平君) 西田信一君。
   〔西田信一君登壇、拍手〕
#11
○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする昭和三十四年度一般会計予算補正外二件に対し、賛成の意を表するものであります。
 申すまでもなく、今回の災害関係補正予算は、本年七月以降四次にわたる未曽有の台風、風水害に対処せんとするものでありまして、政府はこの事態に対処し、急拠臨時国会を召集して、これら災害復旧等の予算並びに特別立法の措置をとられましたことは、機宜に適し、かつ当然のことと存ずるのであります。政府は、今次補正予算の編成にあたりまして、被害の実態把握、財源の調達、明年度予算との関連、現下経済界への影響など種々の困難を乗り越えて、異常なる熱意をもってこれに臨み、きわめて短時日にその編成を了したことと、災害復旧内容の改善充実、事業進度率の引き上げ、その他特別な配慮が加えられましたことはまことに当を得たものと存ずるのであります。
 私は賛成の理由を以下数点につき簡潔に申し述べてみたいと存じます。
 第一は、今次の予算補正はその重点が災害対策に置かれているという点であります。まず災害対策費として一般会計に計上されたのは三百四十四億円でありますが、予備費の追加額八十億円の大部分も災害対策のために使用せられる予定でありますので、直接の災害対策費は四百億に上るわけであります。なお、このほかに災害復旧工事の促進並びに高潮対策の実施に資するために、国庫債務負担行為が三十六億円計上されており、さらに、地方交付税交付金の増加八十五億円のうち四十一億円は特別交付税として被災県に重点的に交付されるのでありまして、補正額の大部分は災害対策に充てられているわけであります。いわゆる災害予算と呼ばれている今回の予算補正の特色がここに明瞭に現われているものと存ずるものであります。
 第二は、災害復旧のため特別に高率の補助ないし国庫負担を行なうことといたした点であります。今次災害の規模の大きさにかんがみまして、被害の実情に即して補助の範囲を拡大するとともに、補助率及び国庫負担につき特別措置を講ずることといたし、これら立法措置については別途それぞれ審議が行なわれておりますが、特に被害激甚地に対しましては昭和二十八年災の例と同程度の取り扱いをいたしておりまして、地方交付税の増加配分、地方債の政府引き受け増加等の措置とあわせまして、被災公共団体の財政の関係におきましても十分の配慮がなされておるものと言い得るのであります。
 第三は、災害復旧の初年度進捗率を二八・五%といたしておる点であります。災害復旧工事の約七割に相当する緊要工事につきましては、いわゆる三・五・二の原則に従って実施され、従って初年度分予算は、従来、工事費の二五%を計上されて参ったのでありました。しかるに今回の補正にあたりましては、原則による二五%を計上いたしたほか、さらに三・五%に相当するところの債務負担行為を加えまして二八・五%といたしたことによりまして、前例のない高い初年度進捗率となるのでありまして、復旧の迅速をはかって明年度の再生産に支障なからしめるように取り計らっておりますることは、民生安定上特筆すべき点であると思うのであります。
 第四は、いわゆる被害激甚地の指定につきまして、その基準が広く適用することを予定している点であります。台風による災害は全く特異なる突発的事件でありまして、その復旧のための経費は地方公共団体の一般の経費とはその性質を異にしていることは申すまでもありません。また、第十五号台風によりまして特に大きな被害を受けました地域は、わが国四大工業地帯の一つでありまして、その復興がすみやかに、しかも完全に行なわれるかどうかということは、ひいてはわが国産業の消長に影響するところも少なしといたしません。これらの理由によりまして、被害地方団体に対し広く高率の補助率を適用してその復旧の促進をはかったことは、きわめて適切な措置と申すべきであります。
 第五は、伊勢湾高潮対策として、新たなる構想によって災害防止の完璧を期することといたした点であります。伊勢湾台風の悲惨きわまりない激甚なる被害を生んだ、この不幸なる事実と体験とにかんがみ、伊勢湾沿岸の堤防につきましては、原形復旧の観念を捨てまして、災害防止の立場から科学的検討を加え、本格的な改良工事を実施いたしまして、万全の防御体制を整備することといたしました。これがために、災害復旧部分については、いわゆる公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によるところの全額国庫負担を行ない、関連事業部分につきましても特に八割の高率補助を行なうことといたしまして、工事の完璧を期している点をあげなければなりません。
 第六には、公私立文教施設、公営住宅施設等の公共事業以外の災害復旧につきましても、ほぼ二十八年災同様の措置を講じましたほか、今回、特に部落共同化施設ないしは共同利用小型漁船復旧、緊急排水事業等につきまして、それぞれ高率補助の道を開いたという点であります。
 第七に申し述べたいのは、財政投融資によるところの災害対策でありますが、政府は、現在見込み得る原資をあげて充当するほか、資金の捻出に努めまして、所要の追加を行なっているのであります。すなちち、災害対策のために、中小企業対策として百六十億円、農林漁業対策としては四十一億円、住宅復旧対策といたしまして四十億円、さらに災害に伴うところの地方債百六十億円、合わせまして四百一億円の追加は、被災地の産業復興上きわめて有効適切なものと考えるのであります。
 次に、私は炭鉱離職者対策について申し述べたいのでありますが、これが対策費といたしまして七億二千八百万円が計上されております。経済の変動によりまして石炭鉱業から多数の離職昔を生ずるに至ったことは、まことに遺憾にたえません。かかる石炭不況の根本原因は、世界的な傾向としてのエネルギー革命によるところが多いのでありまして、この危機打開のためには抜本的な対策を必要といたしますことは申すまでもございません。今回の補正予算におきましては、当面急を要する離職者対策のみが取り上げられておることもやむを得ないところであります。その内容といたしましては、広域職業紹介、職業訓練によって、新しい職場への移動を楽にするとともに、現住地に残留する者については、地方公共団体が緊急就労事業を行なって吸収することといたしているのでありまして、妥当な措置と考えるのであります。政府のすみやかなる、しかも積極的なるところの対策樹立を特に要望いたしますとともに、労使双方におかれましても、大乗的立場から、問題の本質的解決に対し、一そうの努力を払われますることを期待してやみません。
 次に、私は追加補正の財源措置について一言いたします。
 今回の追加補正額は六百十四億円でありますが、その財源として法人税を主体とする四百九十一億円の租税収入と、専売納付金等四十八億円の税外収入が計上されております。しかも、なお不足する財源に充てるために、既定経費の節減によって七十五億円が生み出されているのであり、災害対策を重視した政府の苦心のほどを十分察することができるのであります。この財源調整につきましては、税の自然増収に関する見積り過少論ないしは既定経費節減不要論等もあるようであります。しかしながら、自然増収の額につきましては、今回の台風被害から生ずるところの約百二十億円に及ぶところの減収をも当然考慮すべきでありましょう。経済界は好況を続けているとは申しながら、今回の補正につきましてすら景気過熱警戒の世論もあるのでありまして政府案は妥当なものと考えるのであります。なお、既定経費の節約については、世界災害史上まれな惨害に対しまして、国民はあげて義援金品を拠出し、さらにまた諸外国からもあたたかい援助の手が差し伸べられておりまするとき、国の予算の中から比較的不急の経費を節約いたしまして若干の財源を生み出すことは、むしろ当然の処置であると信ずるものであります。
 以上、私は本補正予算案に対し賛成の理由を明らかにいたしたのでありますが、最後に私は、本予算の完全なる執行並びに将来の防災対策につきまして万全を期せられまするように政府当局に強く要望いたしまするとともに、今回の荒々しい台風の爪あとがすみやかに拭い去られまして、被災者の方々が一日も早く立ち直られまして。復興から発展への躍進を遂げられまするように祈り、かつ期待をいたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(松野鶴平君) 鈴木強君。
   〔鈴木強君登壇、拍手〕
#13
○鈴木強君 私は日本社会党を代表してただいま議題となりました予算補正三案に対し、以下申し述べる意見を付して賛成せんとするものであります。
 まず最初に、わが党が賛成の態度をとったことに対してその理由を明らかにしておきたいと思います。われわれの賛成は、ただいまの自民党西田君のごとく政府原案を自画自讃するものとは違うのであります。すなわち、わが党は、この予算補正はきわめて不満足なものであり、被災者の要望にはなかなかこたえられないという観点に立って衆議院の予算審議において一千三百四十四億七千八百万円に上る組みかえ案を提案したのでありますが、自民党の反対によって遺憾ながら否決されてしまったのであります。わが社会党は、安保条約の改定、ベトナム賠償問題等については妥協のない戦いを続けて参りますが、この予算補正はきわめて緊急を要する災害対策を中心としたものであることの性格にかんがみ、また審議を通じて佐藤大蔵大臣が、必要が生ずれば災害第二次補正についても善処するとの言明をされておりますので、この言明を信ずるとともに、わが党は、政府原案によっては、とうてい前古未曽有の今次大災害に対する救済措置と、改良方式を加えた復旧工事の完全な進捗は絶対不可能であるということを確認し、今後も執拗に第二次補正を強く要求することとし、わが党組みかえ案が否決されたという現実の上に立ち、次善の策として、ここに、きわめて不満ではありますが、政府原案に賛成するという態度をとった次第であります。従いまして本予算補正が成立し、実施段階に入ってから、幾多の矛盾と問題点をかもし出すことは必至であると考えますので、この際、順を追ってわが党の意見を申し述べることにいたします。
 さて意見の第一でありますが、政府原案によりますれば、予算補正総額六百十四億円で、その内訳は災害関係費三百四十三億円、地方交付税増額分八十五億円、義務教育費国庫負担金等義務費増額分九十一億円、石炭対策費七億円、予備費増額分八十億円となっております。これが財源として、租税の自然増収は四百九十億円、税外収入四十八億円、既定経費の節約七十五億円をもって充当することになっております。これで従来の成立いたしました予算一兆四千四百四十三億円に加えて、予算総額は一兆四千九百八十一億円となります。政府が一兆ヨイクニ予算と盛んに宣伝した昭和三十四年度予算は、くしくも一兆四苦八苦予算になり果てて、あまりにも皮肉と言わなければなりません。いずれそのうち一兆五千億を突破して一兆御臨終予算になることは間違いないでしょうから、今から哀悼の意を表しておきます。
 本年度の風水害は、御承知の通り七月に入っての局地的豪雨に始まり、八月十四日には山梨、長野に台風七号が、また九月には愛知、三重、岐阜等に未曽有の台風十五号が襲来し、日本全土のほとんどが長大なる被害をこうむる結集となったのであります。被害の概況は、死者、行方不明者合わせて約六千名、建物の全壊流失が約四万五千、半壊十五万、被害世帯五十万世帯、公共土木施設、農林水産施設の被害は総額二千億円をこえており、その他民間個人災害等の被害額を加えますと優に六千億円を突破する巨額に達しているのであります。かくのごとく、六千名に上る尊い犠牲者と莫大なる被害を出した台風災害を、単に天災によるものとして片づけるわけには絶対に参りません。むしろそのほとんどの原因が今日までの歴代保守党内閣の治山治水に対する根本政策と予防措置の欠除にあったことは明らかであり、まことに許すことのできない重大責任問題だと言わなければなりません。
 鍋田干拓の悲劇はなぜ起きたのか、私は岸総理以下各大臣に反省を求めるために一つの実例として申し述べておきたいと思います。鍋田干拓は、昭和二十年十一月、時の幣原内閣が緊急開拓実施要領をきめ、六カ年間に十万ヘクタールを干拓して、失業した工員や復員軍人を救済する構想を立てたが、この中に鍋田干拓も入っておったのであります。最初の計画では、堤防による潮どめ工事は農林省がやることになっていたのでありますが、昭和二十一年末に着工したときには、いつの間にか堤防の設計施工は運輸省の所管に移っていたのであります。その理由を調べてみますると、当時農林省には技術者が少なく、干拓事業をもて余していたのに対し、運輸省は港湾事業があまりなく、手が余っていたということにあるようでありますが、すでに今回の悲劇を起こす大きな種が一つそのときにまかれていたのであります。すなわち、荒波の脅威をまともに受ける干拓堤防と港湾とか河川護岸の堤防とは全く構造が違うものを、手が余っているとかいないとかの問題で簡単に所管庁を取りかえたことは、大きな間違いであったと言わなければなりません。伊勢湾台風では潮位が最高五・三メートルに達し、波返しではね上がった荒波が風に吹かれて堤防の内側に流れ込み、堤防の裏側や天端がコンクリートで固められていなかったため、堤防を越えた波は堤防の土をどんどん掘りくずし、盛り土をえぐり取り、支えを失った石垣を倒してしまったのであります。昭和二十六年、農林省郷運輸省から工事を引き継いだ際、農林省は天端が盛り土だけでやっているのに不安を感じて、昭和三十年度に補修工事を行なっていますが、これも天端と堤防の裏側を十センチの粘土で固めたにすぎません。このようなその場限りの思いつき的やり方が鍋田干拓全滅の最大の原因であったことを知るとき、わが党は大いなる憤激を感ずるとともに、政府の責任をどこまでもきびしく追及せずにはおられません。七号台風によって山梨県の武川部落がほとんど流失した原因も、水源より河口に至る一貫した水防工事がなされていなかったことに起因することは明らかであります。甲斐駒は山津波によって随所に山はだを見せ、山腹砂防が何らなされておらなかったことを立証しています。今度の災害が人災だと言われる理由はここにあると思います。岸総理は何とお考えでありましょうか。
 国土の防衛は、憲法違反の自衛隊の増強にあらずして年々歳々必ず来襲する台風の脅威からいかにして祖国を守るかにあると信じます。(拍手)そのための予防対策と抜本的治山治水の大政策を確立することが焦眉の急務と思います。今や自衛隊に対する国民の世論は、銃を持つ手からシャベル持つ手にと、国土建設隊への切りかえを強く要求するわが党の政策を絶対支持していると信じます。(拍手)一機五億四百万円もする戦闘機を二百機も購入するよりは、そんなお金があるのならば根本的な災害対策に使ってもらいたいというのは、全国民の切実な願いであります。
 東京、大阪を初め臨海地域の都市住民は、もし十五号台風が東京や大阪等に上陸していたらどうなっていただろうか、また来年あのような台風が襲来したらどうなるだろうかと、耐えきれない不安と焦燥と危惧にかられているのでありまして、一日も放置できない重大問題であります。政府はよろしく過去のあやまちを率直に反省され、全国民が安んじてそれぞれの生業にいそしむことができるように、あらゆる努力を尽くして台風の災害からわが国を守るよう、確固不抜な台風防止対策を打ち立てられんことを強く強く要求しておきます。
 災害地を訪れた岸総理初め各大臣は、金は惜しみなく出す、心配するなと激励をされておったのでありますが、それにしては、本予算補正の中の災害関係費が、予備費八十億円のうち五十億円を使うとしても三百九十三億円で、あまりにも少な過ぎると思います。総理の言明を信じていた被災地の人たちはほんとうにがっかりしていると思います。そして岸総理の言うこととやることとが違うことがよくわかったと言って、ぷんぷん怒っているのであります。
 第二に申し上げたいことは罹災者援護についてであります。わが党は、本年度災害が民間に対してきわめて大きな被害を与えておりますので、民生の安定に重点を置くべきだと信じ、約五十万世帯に上る罹災者に対して、一戸当たり三万円の見舞金、また死者、行方不明者約六千名に対して一万円ないし三万円の弔慰金を支給すること、さらに生活再建資金として十万円を限度に、二年間据え置き、十年返済、無利子貸付を内容とした、罹災者援護法案並びに生活保護特別措置法案を提出いたしましたが、政府はこれに対しては見るべき対策を示さず、きわめて遺憾であります。
 第三に、農地、農業用施設、公共土木施設等の復旧工事については、従来三・五・二の比率で復旧をはかってきたのでありますが、今回は初年度がこの比率以下、すなわち二八・五%以下であることは納得できません。わが党は、従来の比率を引き上げて五・三、二の比率とすることを主張して参ったのでありますが、いれられなかったことは非常に残念であります。またわが党は、災害復旧にあたっては、過去の苦い経験にかんがみ、単なる原形復旧にとどめることなく、改良復旧を旨とすべきことを要求して参りました。この点については岸総理の施政方針演説の中に取り上げられており、わが党の主張を認めておられたのでありますが、実際には、予算審議の中で明らかになりましたように、たとえば仮締め切り工事費の単価、これは建設省が一メートル当たり二十万円を要求したのに対して、大蔵省が一方的に十五万円に押え、堤防の高さも、建設省が七メートル五十必要だと言うのを、大蔵省は六メートル七十でよいと言っている。伊勢湾高潮対策も九十七億円の要求が五十四億円に減らされ、また公共土木施設復旧費百八十六億円が百四十六億円に、さらにまた砂防工事の中で特に緊急を要すると認められる分十五億が九億円に、それから都市災害四億七千万円が二千万円にと、それぞれ削減されてしまったので、これでは来年度の雨季、台風期までに原形復旧することさえ困難ではないかと案ずるものであります。また、激甚地の指定問題でありますが、政府は、当初激甚地指定を二、三の県に限定して、補正予算の編成を終わり、国会に提案したようでありますが、わが党の追及にあって、十一月十二日に至り、ついに政令基準は大幅に変更されて、十六府県が激甚地の指定を受けることになり、予算算定の基礎が大きくくずれてしまったのであります。従って、補正予算のかなめである激甚地指定が大きく変更を見た以上、あらためて基準拡大に伴う予算の増額措置をすべきことは、けだし当然であるにもかかわらず、このことは行なわず、しかもわが党要求の政令基準によって、具体的に十六府県の中の幾つかの市町村が指定を受け、その結果、予算が幾ら増大するか明らかにしてもらいたいという要求に対しても、調査不十分のゆえをもって、これを意識的に行なわず、言を左右にして、予備費もあり、何とかやれると逃げを打っていることは、まことに卑怯だと思います。前述の通り改良復旧が大蔵省の一方的査定によって不可能になっていることの事実と激甚地指定の拡大問題とを考えるとき、本補正予算だけではとうていまかない切れないことが明々白々となって参ると存じます。わが党が強く災害予算の第二次補正を要求するゆえんのものはここにあるのであります。
 第四の意見は、石炭対策についてであります。国内エネルギーの総体の四七・六%は石炭によって占められていることを見ても、エネルギーの乏しいわが国においては、石炭が最大のエネルギー資源となっていることは明らかであります。この重要資源である石炭鉱業が、今日重大な危機に当面し、合理化の美名に隠れて首切りのあらしが吹きまくっておりますが、根本的には石炭鉱業に対する政府の無為無策が今日の事態を招来し、その犠牲が労働者の上にしわ寄せされているという矛盾した姿を出しておるのであります。
 従って政府は、みずからの責任において今後の石炭鉱業のあるべき基本方針を直ちに決定して、具体的な解決策を実行に移さなければならないにもかかわらず、このことは来たるべき通常国会に持ち越し、今回の予算補正においては、わずかに七億円余の離職者対策費を計上したにすぎません。これでは、当面大きな社会問題となっている石炭問題を解決することはできません。わが党は、離職者対策については、政府の予算補正のほかに、転職移動資金、離職者公営住宅建設資金、離職者失業特別手当の支給などが緊急に必要であると考えて強く要求をしたのでありますが、認められなかったことは非常に遺憾にたえません。今後政府は、これらのことについても慎重に検討を加え、実施に移されるよう要望しておきます。
 第五に既定経費の節約について申し上げます。本予算補正のため七十五億円の財源を既定経費の節約に求めておりますが、私は、この内容を検討してみまするときに、まことに不可思議に思われてなりません。すなわち全額を防衛庁予算の節減に求めるならば、不要不急の存在である防衛庁費だけに、国民は納得をすると思うのでありますが、こともあろうに農林、建設、文部等、当面の緊急実施を必要とする関係省の経費を節減することは了解に苦しむところであります。特に文教関係については、公立文教教育施設整備五カ年計画が昨年度より実施に移されておりますが、実際には予算の裏づけが十分でなく、右に左によろめいていることは周知の事実であります。かかる実情があるにもかかわらず、今回一億五千万円の文教関係費の節減を行なったことは暴挙であり、国民の絶対納得できるものではありません。この点については政府に対し厳重な警告を申し上げておきます。
 第六に地方財政について申し上げます一大蔵大臣は、地方財政が昭和二十八年当時より好転していると見て、各種の特例法の国庫負担または補助率を二十八年災以下に押えようと努めたらしく、二十八年災より率がよくなったものは、海岸堤防の国庫負担分を政令地域に限り一律に八割としたくらいのものであります。また、自治庁は地方公共団体の起債の特例分として二百億円を要求したのでありますが、結局大蔵省に百六十億円に押えられ、しかも特例法のうち国が元利補給するのは農地等の小災害についての地方債だけで、あとは結局地方団体の借金として残り、今後地方財政が相当に圧迫される要因を作り上げているので、この点に対する政府の特段の配慮を強く要望しておきます。
 最後に財政投融資について申し上げます。財政投融資による災害対策として、年末融資分百億円を含めて総額五百一億円の追加を行なっておりますが、民間被害のきわめて甚大なる本年度災害の特質にかんがみるとき、これではまことに不十分でありまして、中小零細商工業者や農民が立ち上がることはできません。わが党が一千億円の追加要求をいたしましたのは当然のことでありますから、大蔵大臣の答弁にもありましたが、今後引き続き最善の努力をなさるよう希望しておきます。
 その他、本予算補正に際し、大蔵省初め二、三の省が、各省被害要求額と大蔵省査定額を故意に公表を避けた態度や、政府関係機関のうち特に被害の大きかった国鉄、日本電電公社等に対する予算補正を行なわなかったことの不満等々、申し上げたいことはたくさんありますが、時間の関係で省略いたします。
 以上申し述べましたように、本予算補正案には幾多不満の点はありますが、罹災以来すでに数カ月、寒空のもとにふるえながら言語に絶する悪戦苦闘を続けておられる気の毒な被災者の身の上と、壁と屋根だけの家の中で飢えに苦しむ炭鉱離職者の心情に思いをいたし、この悲惨な緊急事態をひとまず乗り切るため、ここに政府原案に対し賛成の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(松野鶴平君) 千田正君。
   〔千田正君登壇、拍手〕
#15
○千田正君 私は、ただいま上程されておりますところの昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)並びに他の二件に対しまして、多くの不満の点を残しつつも、現在寒さに向かい、年末を迎えつつある今日、罹災者あるいは離職者の立場に思いをいたしまして、無所属クラブを代表いたしまして賛意を表し、二、三点につきまして希望を付しつつ、簡単なる賛成討論を行ないたいと思うのであります。
 今次補正予算の主たる眼目は、申すまでもなく風水害対策と炭鉱離職者援護の二点であります。
 わが国は例年の台風常襲地帯として、その惨害は毎年のごとく繰り返され、しかも十年一日のごとき政府の無策に災いされて、その被害は次第に大きくなり、政府に対する不信の念の増大とともに、あきらめにも似た感情が支配し、これがため毎年多くの識者によって政府の施策の不備が各方面から指摘され、追及されて参ったことは、各位のひとしく御存じのことと存じます。史上空前の惨事とさえ言われる伊勢湾台風による中京地方の一大被害の発生を見るに及んで、その規模のあまりに大きく、その打撃のあまりにも深刻であったことは、国民各層に甚大なる衝撃を与え、ここに臨時国会の開催と補正予算の提出を見たことは、当然のこととは言いながらも、そのおそきに失したことを多くの国民とともに深く遺憾とするところであります。今後この種の災害発生に際しては、一段と強力にしてすみやかなる予算措置を講ずるよう、この際強く要望する次第であります。
 次に、今次補正予算は、伊勢湾台風による被害の復旧に関して応急の措置を講ずるための臨時的支出の性質を帯びるものが大部分であり、その限りにおいては、災害に対応せんとする政府の労を多とするものでありまするが、同時に、その内容を省みまするときに、幾多の危惧の念を表明せざるを得ないのであります。ここに忘れてならないことは、今次伊勢湾台風とその被害は、いわゆる人災であって、決して避け得ることのできない天災ではなかったという事実であります。そしてまた、それが人災である限りにおいて、もし政府の従来の施策のよろしきを得ているならば、その被害の大部分を避け得たであろうことは理の当然と言うべく、この点について、従来の主とし工公共事業費の予算とその執行及び被害の臨時対策の適不適に関して、政府の反省を促すところまた大であると考える次第であります。
 次に、補正予算の内容について若干触れてみたいと思うのでありまするが、その総額を押えに押えて六百十四億余円、しかるに政府提出の昭和三十四年発生災害復旧補助事業費所要見込額調査によって見ましても、一千七十二億が査定見込み事業費となっており、現行法による所要国費だけでも七百九十九億に上り、これらはいずれも被害報告額の三分の二程度であります。われわれはいたずらに誇大なる数字をもてあそんで政府の無策を責めるものではありませんが、しかしながら、これらの事実と数字は、もしも政府が災害復旧と民生の安定を現下政治の第一義的要請として受け入れるならば、すなわち、おそらく実戦には何ら役にも立たないであろうところの飛行機に五億四百万円の巨額を投じて国民の不信をかうよりは、今寒空にふるえて救援を待つ多くの被災者のために万全の策を講じ得るであろうことは容易にわかる道理であります。
 これを前提として補正予算を見るに、たとえば一番力点を注いだと思われる三十四年度発生災害復旧事業費、伊勢湾高潮対策事業費等々をとってみましても、政府側の説明によれば、前者については二十八年災害と同等に、後者については原形復旧をやめ、干拓工事中の堤防に対して全額国庫負担、三重、愛知二県にわたる対策事業の関連事業には八割の高率補助等々となっておるのでありまするが、その実態は果していかがでありましょうか。また一般に災害復旧補助事業の適用率二割八分五厘となっておりまするが、総予算額の不足はおそらく適用範囲の拡大と進工率の成長に伴って、計画通りの実現は不可能となることは火を見るよりも明らかであることを考えざるを得ないのであります。さらに民間災害の復旧に深くつながる財政投融資による災害復旧費について見るならば、その内容はおおむね農林漁業関係に四十一億、中小企業関係に百六十六億、住宅復旧関係に四十億、地方債百六十億等々となっておりますが、中京地方は言うまでもなくわが国の重要工業地帯であり、金属、化学を初めとする各種産業の密集する土地として、人口密度もきわめて高く、ために今回の災害においてもその被災世帯数が約五十万といわれておる現況において、年末金融の分まで含めての歳出が以上の通りであるとするならば、そのあまりにも過小であることを指摘せざるを得ないのであります。
 しこうしてわれわれが了解に苦しむのは、今次補正予算の財源措置を講ずるために既定経費の節約が行なわれたという点であります。本年度一般予算のうちから総額六十九億円を見込み、農林、建設、文部、運輸、厚生等の重要な建設面から棚上げを行なっている事実であります。これらはいずれも漁港であるとか、港湾、河川、道路、校舎等々の建設改修を内容とするもので、さなきだに少ない本年度予算からこれらを削減することは事の本末転倒というほかはなく、ここにもまた政府の根本的施策の欠如と認識不足を言わざるを得ません。しこうして、ただいま簡単に論及した若干の問題は、今次補正予算の示す幾多の諸問題のうち、ほんのわずかな点であります。時間の関係上きわめて簡単に申し述べたのでありまするが、われわれは伊勢湾台風の残した被害と教訓の大きさの中から、今後に残された対策の万全を期することを政府に対し強く要請するものであります。
 次に、現在の石炭危機の克服と炭鉱離職者の援護措置について見るならば、現在の深刻なる石炭危機の実相とその全体的把握、今後の見通し等々、総合エネルギー対策の観点よりする政府側の明快なる答弁に接し得なかったことをきわめて残念に思う次第であります。わけても伊勢湾台風の被災者と同様に悲惨な状況におかれている炭鉱労務者、その離職者の援護措置について、政府の確信に満ちた態度と対策の樹立を聞けなかったこと、七億二千万円の予算計上と炭鉱離職者援護臨時措置法案が貧弱な政府の対策を物語っているかのように示している事実は、まことに遺憾至極というよりほかはありません。これらはただ単に通例の失業問題として見るにはあまりにも深刻であります。すなわち、それは貧困という事実に関連して、収入の劣悪化、転職の見込みの薄いこと、学童の就学不能と浮浪児化、治安の悪化等々、各種の社会問題を一つに集約したかのごとき諸問題を発生させ、これが対策に力を尽くさなければならないことは言うまでもなく、かりにも各民間団体の援護運動や、いわゆる黒い羽根募金運動等々に、あたかも責任を転嫁するかのごとき失態を招いて風ならないと警告するものであります。すなわち、この際、政府としては、確固たるエネルギー対策のもとに、今日危機にあえぐ多くの離職者に対し、災害対策の場合と同じく、あくまでも民性安定に主眼を置いた各種の総合的緊急対策を立てるべきであると考える次第であります。
 最後に、現在昭和三十五年度本予算案の編成期に直面しているおりから、国土総合開発計画を前提として真の災害対策を恒久的に樹立し、その予算上の裏づけを可能ならしめるような政府の積極的施策を、さらに、それを英断をもって実施することを切に政府に期待しつつ、また多くの被災者あるいは離職者諸氏が打撃から回復され、一日も早く立ち直ることを心から祈って、私の賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(松野鶴平君) 杉山昌作君。
   〔杉山昌作君登壇、拍手〕
#17
○杉山昌作君 私は、ただいま議題となっております補正予算三案に対しまして、緑風会を代表して賛成の意を表そうとするものであります。
 補正予算三案のうち、その中心をなすものは一般会計の歳出補正増六百十四億円でありまするが、そのうちで、予備費の一部五十億円を含む三百九十四億円が災害復旧関係の経費となっております。本年はしばしば台風の来襲を受けまして、災害も各地に続出いたしましたが、九月の伊勢湾台風は史上まれに見る強烈なものでありまして、その被害は言語に絶するほどの激甚なものでありました。これに対する援護と復旧とは何をおいても実施しなければならない国の大きな施策であります。政府が急遽補正予算案を編成し、必要な災害復旧関係の経費を計上して国会に提出されましたことは、わが意を得た措置でありますけれども、しかし、この予算は、編成を急ぐのあまり、幾つかの難点を包蔵していることもまたやむを得なかったことかと存じます。しかしてその難点の一番大きいものは、今までの討論でも触れられましたごとく、計上せられた予算額をもって、はたして完全に事業ができるかどうか、換言すれば、予算額は少なきに失しはしないだろうかということであります。すなわち、予算編成当時、実態の調査未了のために、一応の見当で計上された費目が多いのでありまするが、その後事態の判明するに従いまして、計上額をもってしてはまかないきれないではないかというおそれがだんだんと出て参っておるのでございます。たとえば、特に高率の補助金を交付すべき被害激甚地の指定の問題にいたしましても、また、高潮対策として築造する海岸堤防の延長の問題にいたしましても、さらにはまた、補正予算執行の基礎となりまするもろもろの特例法に関しましても、すでに衆議院段階において、あるいは本院の段階において、数々の修正が行なわれようとしておりまするけれども、これらはいずれも経費の増額を伴うものばかりでございます。しかしながら、現に困窮のどん底にある被災者を援護し、将来に万全の備えを築こうとする以上、予算がないからということで途中で事業を打ち切り、または縮小するようなことがあっては絶対になりません。必要があるならば、さらに予算の補正増額をも回避すべきではないのでございます。この点に関しまして、政府におきましては、善処して遺憾なきを期するということでございますので、私は、この政府の善処に大きな期待を持っているものであることを特に申し述べておきたいと存じます。
 次に、今回の補正予算を加えまして、本年度の一般会計予算は一兆四千九百八十一億円、約一兆五千億円となったのでございます。長い間、いわゆる一兆円というワクをもちまして予算の膨張を抑制して参りました政府が、去る三十二年度予算において一兆一千三百七十億円、初めて一兆円のワクをはずした予算を組みましてからわずかに三年目の本年度予算が一兆五千億円に躍増いたしたということは、これは、一方に国民経済の目ざましい成長があるにいたしましても、大いに注目をすべき態度ではないかと存ずるのでございます。しかも、この予算の膨張と並んで、財政資金の撒布超過も非常に巨額になっている事実は、さらに一段と注目しなければならないと存じます。すなわち、本年度の財政資金撒布超過は、当初は二千四百億円と見込まれておりましたのが、今回の補正予算と同時に発表せられたところによりますると二千九百六十億円ということになっております。もちろんこれは、今回の補正予算増または財政投融資の増額によるものでなく、食管会計及び外為会計の支払い超過によるものであるということが言われておりますけれども、とにかくこの数字が、三十年度の二千七百六十億円を上回る戦後最大の数字であることは事実でございます。これが今後の景気動向に及ぼす影響は、かなり刺激的なものがあることは否定できないと存じます可しかも一面、物価におきましても最近注目すべき傾向がございます。八月以来、特に伊勢湾台風の後におきまして数種の物価が急騰いたしましたが、これは一時的なものであると見ましても、なお過去一年間の物価の足どりを見まするならば、日銀の卸売物価調べによりまするならば、十一月初旬における一年間において四・八%の増、十一月七日経企庁調べの昨年九月のそこからの動静を見るならば、実に七・四%の増ということを示しているのでございます。しかもまた、今度の予算補正によりまして追加されたところの災害経費三百九十余億円が、これから年度末にかけて、物価の動向に対してはこれを押し上げるところの需要力として働いてくるということは、大いに心しなければならないことであると存じます。かような状況のときにおきまして、今回の補正予算が通過し、それによって増額されたところの本年度予算の執行をいたすものでありますので、政府は、これによって景気の過熱を来たさないように、十分の金融方面その他の配慮がなされなくてはならないと思うのでございます。この点、政府の善処を要望する次第でございます。
 以上、私は二つの点に関しまして所見を申し添えまして、議題となっておりまする三つの補正予算案に対して賛成をいたすものでございます。(拍手)
#18
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#19
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#20
○相澤重明君 この際、私は、危険物管理に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#21
○田中茂穂君 相澤重明君の動議に賛成いたします。
#22
○議長(松野鶴平君) 相澤君の動議に御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。相澤重明君。
   〔相澤重明君登壇、拍手〕
#24
○相澤重明君 私は日本社会党を代表いたしまして、爆発物その他危険物管理に関する緊急質問をいたすものであります。
 去る十一月二十日午前十時三十分ごろ、横浜市金沢区釜利谷町一、東洋化工横浜工場、責任者は泰道三八社長、三国直福工場長、従業員は約四百人の火薬工場爆発事故等についてであります。
 第一にお尋ねいたしたいのは、岸総理大臣に対してであります。前三十二国会におきまして、わが日本社会党の藤田進議員より、爆発物その他による事故対策について緊急質問をいたしたのでありますが、その際あなたは、花火工場あるいは火薬を貯蔵しておるところ等において爆発事故の惨害はまことに遺憾である、従って、より計画的に徹底して、ひんぱんに検査監督を励行し、さらに従来の規定において不備の点があれば十分検討して、将来そういう惨事を生ぜしめないよう未然に防ぐと、あなたは答弁されておったのであります。しかし、その答弁の終わった直後においても、すでに山口県においても宇部市において事故が起きております。一体あなたは、検討し、あるいは措置をすると言ったが、いかなる措置をなされたのか、御答弁を願いたいと思うのであります。
 過去五カ年において、事故件数は三千百三件、死者八百三十九人、その他重軽傷者四千三百五十六人でありますが、本年に入って一月から六月までに全国で発生した火薬の爆発事故は二百六十一件、死者八十七人、負傷者六百五十四人といわれ、わが日本社会党は、人命の尊重と被害を最小限に食いとめるために、特に緊急対策、また予算上、立法上の措置を講ずるよう警告をいたしておったのであります。今日「真昼の恐怖」を起こした東洋化工の惨害は、被害区域二キロ半にも及び、一瞬にして同工場施設四棟一千六十七平方メートルを跡形もなく吹き飛ばし、同時に起きた火災で、全焼九棟二千二百四十四平方メートル、半壊六棟一千六百十平方メートルを出し、同工場は全滅、さらに強烈な爆風で付近の東急車両工場はガラス六万枚破損、製造中の国鉄車両等もその影響によって被害を起こしまして、これらの被害額は五千万円余といわれておるのであります。また、横浜市立大学は、この工場の裏山一つ隔てたところにありまして、約一千人の学生が授業を受けておったのでありますが、ガラス等の破片によりまして顔や手足に傷を受けた者が実に七百人にも及んだというのであります。学校の被害は二千万円余といわれておるのであります。さらに付近には、文教地区でありますので、金沢高校、金沢中学、六浦、釜利谷、大道小学校等の児童、かわいい子供が実に三百六十一人もこれによってけがをしておるのであります。しかも、かよわい子供は重軽傷を負い、血のついた教科書あるいはハンカチがその場に散乱をしていることは、まことに無残な状態であります。しかし、これでも当時この被害が最小限度に済んだというのは、受け持ちの教師が冷静沈着に児童の負傷を最小限度に食いとめたからであります。避難行動をとったからであります。現地においては、これらの教師については関係者から非常に激賞されておるのでありますが、岸内閣は、あるいは文部大臣は、勤務評定等の問題で口をあければ弾圧を考えておる、まことにけしからんのでありますが、こういうことをどう政府は考えておるか。また、横浜市立大学を初め各学校は、このために授業も行えない惨状であるが、その責任は一体どうするか、ただ、あなたが検討するというだけでは問題になりません。
 また、東洋化工泰道社長は、一、医療費は会社側が持つ。二、家屋の破損については、警察、消防、区災害対策本部と会社側対策本部との合同調査によって公平な調査をして補償する。三、学校や隣接工場の被害は別途に補償の方法を講じる等、誠意をもって補償すると言っているが、横浜市の学校、住宅等の関係だけでも、今調査した結果によると九千万円ないし一億を必要とするというのであります。これらについて、一体この大きな被害あるいは補償をどうするというのか。総理、自治庁長官もこれは当然関係あるのでありますから、ぜひ一つ誠意ある答弁を願いたいと思う。
 次に、池田通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。この東洋化工会社は、昭和二十七年九月旧海軍第二航空技術廠の施設を、戦時中は軍の被服を扱っておったミシン加工業の泰道三八君が引き継ぎ、泰道化工の名で創立をしたのであります。そうして土十八年三月東洋化工と名称を変更し、約二十万七千平方メートルの敷地に六十六棟の工場、事務所を作り、産業火薬の一種TNTの製造加工業を行なっておったのであります。この会社は、朝鮮事変中、中国火薬、昭和火薬等とともに年間五千三百トンのTNTを生産したというのであります。現在は米軍から五百ポンド爆弾あるいは防衛庁から耐用年限の切れた払い下げを受けた弾薬からTNT爆薬を取り出し、一部は民需、一部は台湾、東南アジア等の軍用向きに輸出されていると聞いているのでありますがどうか。また、鉄のスクラップと分離する解撤作業と、溶解がまでTNT爆薬からヘキスホーゲンを分離して、ハッパ用の産業爆薬を生産している通産省直轄工場であります。池田さん、あなたの直轄工場であります。従って、許認可、保安検査などの監督責任は、政府、通産省にあるのであります。東洋化工の創立当時、横浜の地元の人たちは、この工場ができることは反対である、こういう陳情があったのを、政府はどう処理いたしたのでありましょうか。また、操業を開始してから数回にわたって事故を起こしているのであります。その事故を起こしているにもかかわらず、今日まで漫然としておったその責任は免れません。監督者としていかなる措置を講じたか。保安設備、警報設備について監督指導を行なっているかどうか。従業員の多くの人たちに婦人がいるのでありますが、保安、安全教育というものが十分行なわれているかどうか。保安、安全教育が行なわれておらない臨時工の人たちにまで解撤作業を行なわしめたというのが、との大きな事故を起こし、あるいはまた、その原因になると思うのでありますが、監督官庁としてはいかに考えるか。爆発事故現場である第二溶工場に対する通産省の最大許可量TNT一トン半が適切であったかどうか。爆発によって生じた同工場跡の漏斗孔の大きさから見て、一トン半以上の爆薬を扱っていたと思われるが、監督官の検査をした時期、その結果、これはいかにあなたに報告をされているか。また、一トン半以内であったとすれば、火薬の強さ、この工場のまわりにおける土手の強度、保安物件から見て、通産省に判断の誤りがあったのではないか。また、死亡した安藤君の試験がその原因になっているのかどうか。半径二キロ半にも及ぶ被害を及ぼしたということは、どうしてもそれらのいわゆる監督上の誤りがあるのではないか、こう思われるのであります。
 今日の事故にかんがみまして、火薬取締法の不備を認めていると思うが、法及び規則の改正を行なう意思があるのか、関係大臣にお尋ねいたします。国会の答弁で言いわけだけをしても、決して火薬惨事は防げないのであります。自民党の諸君といえども、現地調査をして、このいいかげんであるということにはあきれたといろのであります。警察庁はこの五日、火薬取締法を改正して、警官の随時立ち入り、監督、安全管理を監視できるよう申し入れたと聞くが、通産省は一体どうしたか、役所間のなわ張り争いによって一般国民大衆の生命財産をないがしろにされてはたまりません。また、今回の事故を含め、この種の事故について国の災害救助法の適用はないが、どうするというのか、具体的な御説明を願いたいと思うのであります。
 次に労働大臣にお尋ねいたします。横浜市の消防局、神奈川労働基準局は、東洋化工の工場管理が非常にずさんであるとして、本年六月、配電関係、廃液処理などについて、二十三項目にわたる改善要求をしたというが、一体どうなっているか。労働者に対する安全教育は、どうしてあなたは指導されているか。さらに、花火工場、火薬工場等、爆発物を扱うところの労働者の低賃金は目にあまるものがあると思うのでありますが、これら労働者に対する低賃金、労働条件の悪化の是正の指導監督はどうしているか。さらに、東洋化工以外の労働者の災害について伺いたいのであります。けたたましいサイレンの音とともに、救急車が作業者のままの血まみれなけが人を病院に運んできました。病院は、どす黒くよごれた人々と、家族の安否を気づかう人たちでごった返しておったのであります。死なないでくれ、こういって泣き叫んだおばあさんたちもおります。家族も全く言いようのない気持であったと思うのであります。しかし、自分の工場の場合には災害補償が受けられます。自分の工場でない、もらい事故の工場の人たちには、業務外ということで言われているのであります。東急車両、日本製鋼、木川製作所、蒲地組等、これらの人たちの補償はどうするというのか。また学生、児童等、被災者に対する補償は一体どうするのか。これは総理大臣も通産大臣も真剣に考えて答弁をしてもらいたいと思うのであります。特に労働大臣は、業務外災害補償について、現在も病院に入院して苦悶している人たちが非常に多いのでありますが、けい肺法の改正と関係して御答弁を願いたいと思うのであります。
 次に、赤城防衛庁長官にお尋ねをいたします。この東洋化工は、米軍及び防衛庁の払い下げによる作業を行なっておるというが、年間幾らの払い下げを行なっているのか、また、TNT爆薬は、一部を台湾、東南アジアに向けておるというが、数量、価格を明らかにしてもらいたいと思うのであります。防衛庁としては、本年七月、藤田議員の質問に対して、あなたは十万トン以上の弾薬を貯蔵しているというが、事故発生は絶対にないと言えましょうか。国民は、現在のこのような政府の無施策によって、全く火薬庫の中に住んでいると言わなければならないのであります。国民が安心できるように、具体的な措置を明らかにしてもらいたいのであります。
 最後に、大蔵大臣がいなくなったから総理大臣にお願いしますが、火薬の爆発事故はまことに悲惨きわまりないものであります。本院において、七月、警鐘を乱打した直後、これは先ほど申し上げましたように、宇部市においても醸造工場が爆発しているのであります。この二工場を見ましても、大小数えれば、これは枚挙にいとまがありません。要は、これら関係経営者も、資金的あるいは財政的に思うにまかせず、現状に苦悩していると思うのであります。従って、との抜本的対策として、国費あるいは金融措置により、都市近郊よりこれら爆発物工場を山間地帯に移転するよう措置できないものかどうか。
 また、国家公安委員長等は、総理大臣みずからもそうでありましょうが、今回の事故を最小限に食いとめたのは十七人の消防官の決死隊がいたからであります。そうして山火事を防ぎ、その次のたくさん貯蔵してあるところの誘爆を阻止したからであります。また同時に、火の燃えている中に警察官が飛び込んで、そうしてけがをしている人たちを救い出し、先ほど申し上げましたように、かわいい子供を、先生が適切な処置によって誘導をしたからこそ、この被害というものが少なくて済んだのであります。これらの挺身的な努力をされた人たちに対して、政府はいかなる謝意を表そうとするのか、これをお聞きしたいのであります。また、今後危険物管理に対し、立ち入り検査等についていかなる措置をとるか、具体的に説明されたいと思うのであります。
 最後に、地元学生あるいは商店、住民等が、東洋化工の操業再開に絶対反対をいたしております。婦人等も街頭に出て署名運動も行なっている。まことにもう心から、これらの人たちは惨状を再び繰り返してはいけないと叫んでおります。
#25
○議長(松野鶴平君) 時間が超過しております。
#26
○相澤重明君(続) そういうことでありますから、政府としてはいかなる措置をとるか、関係者の明確な御答弁を願いたい。私はもし答弁いかんによっては再質問をすることを留保して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 過般の東洋化工の爆発、これによって多数の死傷者を出し、また付近に非常な損害を与えましたことは、まことに遺憾に存じます。火薬工場あるいは花火工場等の爆発事故が近来相当数に上っている、これに対して取締法としての火薬取締法がございますが、これの監督を励行し、こういうことを未然に防ぐということは、これはぜひやらなければならぬことであり、また、この前の緊急質問に対しましても、そのことに関しまして、私は今、相澤議員の御指摘になったようにお答えをいたしております。従って、直ちに主管大臣である通産大臣に命じまして、これに対する監督の措置、また、火薬類の法令等については、十分これを検討するような措置を命じたのでありまして、この具体的なことにつきましては、通産大臣よりお答えをすると思います。
 なおまた、こうした惨害に際しまして、ことに過般の東洋化工の爆発の事件に関しまして、消防団であるとか、あるいは警官その他の学校の教員等の非常に適切な措置によって、損害を最小限度にとどめているという事実も、私ども承知いたしております。これらの人々のそうした行為に対しましては、政府として適当な方法によって表彰して、それに謝意を表するつもりでおります。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(池田勇人君) 先般、横浜金沢底にありまする東洋化工の爆発事件が起こりましたことは、まことに遺憾でございます。監督官庁の私として申しわけないと考えておるのであります。
 従来いかなる措置をとっておるか。――これは御承知の通り、先年、日本冶金あるいは昨年の一月でしたか日本カーリットの爆発が起こりました等々の事故がありましたが、そのつど直轄工場並びに各府県知事に対しまして注意をいたしております。また、今年七月、藤田議員の緊急質問の際に、七月にも各府県知事に出しております。御質問の広島県知事へのお話もございました。特に出しておるのであります。しかもまた、この取り締まりの重要さを考えまして、十月には通産省に各府県の火薬関係の警察の方々にお集まりをいただきまして、対策を協議して、そうして来年度の予算には相当の金額を要求し、人員をふやすつもりでおるのでございます。
 で、御承知と思いまするが、この火薬工場の取り締まりは相当の専門技術でございまするが、今通産省には三人しかおりませんという状態でございますので、先ほど申し上げましたごとく、火薬、花火の取り締まりにつきまして万全の方法をとるべく、今準備をいたしておるのであります。従って、役所の縄張り等の争いはございません。私は、火薬類取締法につきまして、制定後十年たっておりますし、経済事情も変わっておりまするから、今法案の改正案を検討中でございます。府県知事等、また保安関係、警察関係と十分な連絡をとるよう、法律改正を今企てておるのであります。
 で、東洋化工に対しまする検査はいつやったか。――これは今年の五月の末に定期検査をしております。これは火薬類取締法によりまして、少なくとも年一回は検査することになっております。その検査の結果は適正でございます。何ら異状ございません。しかし、今度の爆発が起こりまして、係官を直ちに派しましていろいろ調査し、その後も調査しておりまするが、今の調査の結果では、この工場内に新しい装置による試験器具を持っておったようでございます。これは法律上違反でございます。絶対にやってはならない。法律は、各作業場ごとに従業員の数も、いろいろな規定を厳重にいたしておるのでございます。こういう法律違反がなかったならば火も起こらなかったと私は考えられます。また、あの爆発の状況を見まして、工室といわれる作業場と土手との間のあき地に、結果から見ますと、一トン半くらいのいわゆる最高限度をうんとこえるTNTを保管しておったようでございます。これもまた法律違反でございます。今の火薬取締法は、あらゆる場合を考えまして、あらゆる制限を置いて、爆発による危険が大きくならないようないろいろな規定を置いておるのでございまするが、業者がそれを守らぬときにこういう不祥事を起こすのであります。従いまして、私は、業者に対しまして十分の注意をいたすよう、明後日全国の直轄工場の社長並びに技術の最高責任者を集めまして、とくと注意を与えると同時に、来年度におきましても、できるだけの態勢を整えていきたいと考えております。
 なお、東洋化工が軍事用の火薬をやっていないか。――これは、われわれの許可は産業用の火薬だけでございます。台湾に本年七十三トン輸出した実績はございまするが、これは土建用として輸出いたしておるのであります。
 なお、東洋化工に対しまして、ただいまは製造を禁止いたしております。今後、原因その他を見まして、これを許可するかどうかは慎重に考えたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(松野頼三君) 基準法によりまして、危険物の防止に対する規則あるいは安全衛生に対する規則というものに従いまして、労働省といたしましては、こういう危険物については、特に安全衛生と危険防止について監督を厳重にいたしております。今回の工場につきましては、特に、本年基準局を通じまして再三諸種の問題について監督官を派遣いたしております。この中には、賃金の問題、時間外の問題、あるいは安全教育の問題というものを含めて、数回実はこの工場には監督官、指導官を派遣しております。ただいまの相澤議員の質問のごとく、ここは非常に臨時工の多いところで、特に労働省といたしましては、こういう危険物を扱う工場であり、しかも従業員が非常に臨時工が多いという意味で、たびたび実は指導に参っております。将来ともに、今日安全の定員の規則はございませんけれども、今後やわり危険物というものにつきましては、ある程度の技能とか、職員というものの基準をきめることも必要じゃないかと考えております。
 災害の賠償につきましては、今日の災害規定を今回の実情に合わせまして、近接の工場についても災害賠償問題を労働省としては適用いたしたいと、ただいま近接工場の実情を調査いたしております。
 なお、総合的な産業災害は、総件数から見ますると、ある程度最近この一、二年は減少を来たしておりまするが、逆に重大災害が非常にふえております。これは、今後災害防止対策を講ずるとともに、注意をしなければならないことだと思いまして、昨年以来産業災害防止五カ年計画をきめまして、鋭意この問題について内閣総体として対策を練っておるやさきでございますが、なお重大災害がふえたということはこれは非常に労働大臣としても注意しなければならないことだと思って、十分今後の対策を立てたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(赤城宗徳君) 東洋化工に対しまして防衛庁が弾薬の払い下げ等をしているかということでございますが、これはいたしておりません。ただ、東洋化工からは三十三年度に七十五ミリ用の空包等が約一万五千発契約をしまして、すでに納入をいたしておりますが、三十四年度は、こういう事情もありまして、東洋化工を除いて近日中に弾薬の入札を行なう、こういうことにいたしております。
 それから、自衛隊といたしまして弾薬を現在約十一万トン保有いたしております。貯蔵その他の取り扱いにつきましては、火薬類の取締法の技術的基準に従って管理をいたしておりますが、自衛隊としまして特に注意をいたしまして、訓令あるいは達し等によりまして、技術的細部規定を設けて、十分事故のできないような管理をいたしております。なお一そう注意いたしたいと思います。現在まで幸いに自衛隊発足以来事故はないのでございますけれども、一そう注意をするつもりでございます。(拍手)
#31
○議長(松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)
 一、日程第二 昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)
 一、日程第三 昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)
 一、危険物管理に関する緊急質問
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト