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#1
第033回国会 本会議 第12号
昭和三十四年十一月三十日(月曜日)
   午後二時三十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十一号
  昭和三十四年十一月三十日
   午前十時開議
 第一 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、文化財保護委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、文化財保護法第九条第一項の規定により、河井彌八君、矢代幸雄君を文化財保護委員会委員に任命することについて、本院の同意を得たいとの申し出がございました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○一松定吉君 私はこの際、国会デモに関する緊急質問の動議を提出いたします。
#7
○阿部竹松君 私はただいまの一松定吉君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(松野鶴平君) 一松君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。一松定吉君。
   〔松定吉君登壇、拍手〕
#10
○一松定吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本月二十七日、国会の周辺に起こりましたあの事件につきまして、総理大臣以下各関係閣僚に質問をいたしたいのであります。
 まず、安保改定交渉の即時打ち切りを要求する陳情デモ隊が国会構内に乱入いたしまして、警備の警官と激突、双方に七百有余人の重軽傷者を出したことに対し、私どもはきわめて遺憾に思うのであります。今度の陳情デモは、社会クラブの声明にもありましたように、全く陳情に名をかりて、かくのごとき乱暴を働いたものであるということは、だれが見ても一点の疑う余地はないのであります。社会党は、その声明で、今度の国会陳情は正当なる請願権によるものであると言っております。しかしながら、いつ暴動化するかもしれない前衛分子を含む五万余の大群集を動員して国会周辺にデモをかけさせ、それが憲法第十六条にいう平穏に請願する行為であると言うことができるでありましょうか。思想及び良心の自由は民主主義の主柱である。しかるに、国会に対して集団の威迫による強烈なデモをかけ、また、陳情と称して大衆によるつるし上げを行なってどうして議員の政治的良心が保障されますか。議員に対する有形的な強迫は民主主義の敵であります。デモ隊が国会に乱入したのは初めてのできごとだとは言いますけれども、この大衆的威迫を是認するがごとき言辞をもてあそぶことは、議会主義に対する反逆であると言わなければなりません。(拍手)請願は平穏に行なうことが議会主義のルールであります。そのことは、憲法の第十六条に、国民は法律の定める事項に関し、平穏に請願する権利を持つということの規定があります。また、国会法の第七十九条によりますれば、請願者は議員の紹介によって請願書を提出するということがありますから、紹介の権利を有する淺沼議員らが紹介の手続をしておることであるならば、何も請願者が議長に面会する必要はありますまい。今までのわれわれの請願を受理するところの慣習は、紹介議員のところにその原本を持ってこられて、紹介議員が紹介の署名をして、これを議長あてに送ることが慣例になっておることは皆さん御承知の通りであります。しかるに、そういうことじゃなくして、それに違うようなやり方をしていることは、全く暴力行為を隠蔽する一つの口実にすぎないと言わなければなりません。(拍手)何となれば、本件は多衆集団の上に行なわれ、しかも赤旗を打ち振り、労働歌を歌い、白だすきを肩にかけて威力を示す態度であったことは言うまでもありますまい。請願書を所持しておった者は数万人のうちわずか三十人内外であったことは顕著な事実であります。暴力をもって門扉を破り、あるいは門の柱を破壊し、禁止区域に侵入し、そうして、はなはだしきは、深厳なる天皇陛下のお出入りをするところの、このドアに放尿するというような不謹慎きわまるような行為のありましたばかりでなく、国会を三万より取り巻くというようなことで、そうして国会を目ざして行進するというような事実のあることを思いまするならば、請願は一つの口実であって、実際は国会の審議に暴力的弾圧を加え、そうして安保条約改正法案の成立を妨げる暴力的行為であると断言せざるを得ないのであります。(拍手)換言いたしますれば、議会否認の革命的行為の一種であると断言することが正しいと思うのでありますが、この点に対する総理大臣の御意見はいかがでありましょうか。
 労働関係者を擁護する学説のうちには、憲法第二十一条、すなわち集会、言論、出版、表現の自由、憲法第二十八条、勤労者の団結する権利及び団体交渉権とある、この権利の中には、いわゆるデモ権、スト権、面会強要権、すわり込み権、ジクザク権等を認めているかのごとく解釈するものがありますけれども、この解釈は誤りである。なぜかと言うと、憲法第十二条には「国民に保障する自由及び権利」というものは、「これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定しております。また、憲法第十三条には、国民の権利について、「公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定してあるのであります。これに対しまして、反対解釈をするものはどう見ているかというと、憲法の第二十二条や第二十五条、第二十九条の三カ条には、公共の福祉云々という規定があるけれども、憲法の第二十一条及び二十八条の規定には公共の福祉云々という規定がないから、憲法第十二条、十三条の制限を受けないというのであるが、これは全く一つの曲解であると私は考えておりまするが、この点に対する総理の御所見を伺いたいのであります。
 ここに参考のために請願について外国の法規を見まするに、イギリスは一六六二年、不穏当請願禁止法の中に、十人以上の者が徒党を組んで請願してはならないとあり、また、一八二七年制定の不穏集会防止法の中には、議会及び裁判所周辺においては、一・六キロメートル以内において五十人以上のデモは禁止せられております。また、アメリカ合衆国では、議会中心集団行列禁止法中に、五十五ヘクタール以内に立ちどまり、または動くこと、または党派、団体、または運動を公衆に知らしめる意図をもってする行動、またはその他のものを掲げることはできないという禁止規定があります。また、西ドイツでは、連邦もしくは邦の立法機関の建物を囲む所定の禁止区域の内部において屋外集会、行参進を禁止している規定があります。また、フランスでは、弁論または文章により、公道上の人の集会に対し、請願申し立て、または陳情論議し、または請願を国会に対して提出する目的をもって扇動をなした者に対しては刑罰の規定があります。
 こういうようなことであるのみならず、わが国においても、国会周辺に今度のようなことがあるばかりでなく、往々にして裁判の判決に対して威圧を加え、そうして自分らに有利な判決を得たいというような考えでデモ行進をしたり、あるいはいろいろなことをして裁判官を脅迫するというようなことのあるわが国の現状におきましては、こういうような行動を取り締まるための必要があろうと思うのであります。これに対しては相当の法規の制定が必要であると思うのでありますが、総理大臣の御所見はいかがでありましょうか、お尋ねいたします。
 以上について、左記の犯罪、すなわち交通妨害の行為をした者、建物損壊、あるいは公務執行妨害、あるいは傷害、あるいは公労法、学校規則、国家公務員法、東京都公安条例等に違反した者に対しましては、これは相当の制裁を加えなければならぬと思うのでありますが、この点に対する総理の御所見はいかがでありまするか。次に、右のほか、衆議院議員淺沼稻次郎君外数名に対する不法行為に関しまして政府の所見を問いただしたいのであります。なかんずく淺沼代議士の問題につきましては、今度の統一行動は、淺沼君らによって統括せられているところの安保改定阻止国民会議によって計画されたものであり、そしてまた実行されたものでありまするから、国会乱入という反民主的事件の最高責任は、当然これらの主催者側に責任のあると思うことは当然であります。この会議は今申しましたように、社会党や総評その他の団体で結成され、当日の請願には、社会党の淺沼書記長、総評の岩井事務局長らが指揮をとっていたということは、証拠によって明らかにこれを認められると思うのであります。これらの人々がやったようなことに対しまして、私は責任をとることは当然であると思うのでありまするが、これらに対しまして、これらの諸君が不可解なことを発言しておることは新聞記事によってこれを見ることができるので、これらに対しても私は不思議な考えを持っておりまするが、淺沼君はどういうことを言うたか。自分はこの陳情団の代表者を政府と衆参両院議長にあっせんするために構内に入ったので、自分は先導して乱入せしめたことはない。一部の乱入者に対しては退去を要求することに努めたのであると主張しておる。また岩井氏は、これら乱入者は、警官の誘導というか、政府、自民党の挑発によって構内に入ったもので、自分は関係はないばかりでなく、整然と退去すべきことを命じたにかかわらず、これらのことができなかったのは遺憾である。かように申し合わせて、いかにも両君の主張が符節を合わせるような弁解的言辞になっておりまするが、私どもは自民党の扇動、さようなことは絶対にありません。何の必要があって自民党がかような暴動を教唆しなければならないか。そういうことは少しも考えられないのであります。わが自由民主党が彼らの主張するような行為をとったということは断じてありません。もしあるとするならば、どういうことがあるのだという具体的の証拠を示してこれを反撃するのが紳士の態度であると言わなければならぬ。全くこういうようなことは、無実のことを主張してわが党を傷つけんとするがごとき言動であって、断じてこれは許すことはできません。次に、淺沼氏らが構内に乱入した人々に対して後に退去するように声をからして叫んだという事実はあるように思います。しかしながら、これは乱入者が予期以上の乱暴をすることに驚いて、これはということで彼らが態度を変えてこれの退去を要求したものであると見ることが事実の真相であると私は思われるのである。なぜそういうことを言うか。もし淺沼君らが初めから退去を要求するつもりであったならば、何も乱暴し始めてからそういうことをしなくても、門に入るまでに、こういうことが、あってはならないからということを十分に納得せしめた上で、これを入れなければならないのに、そういうような事実があったというけしきは少しもありません。無届け集会、無届けデモという、都公安条例の禁止規定を無視して、集団陳情という名をかりて行動するように気を配りながら、今度のデモ隊の一部に国会乱入の計画があったことをあらかじめ知らなかったという態度は、私どもの承服できない態度であります。もし計画を知っていたとするならば、意識的に乱入計画実行を扇動した結果になるのであって、議会主義にみずからの手で反逆したものと断定しなければなりません。(拍手)また、このような計画があることを、わが国の代表的なる政党の大幹部である淺沼君や岩井君がこれを知らなかったというがごときことは、むしろ私をして言わしむれば、こっけいだと思うのであります。そういうようなことでは、私どもは両君が世間に顔向けができないじゃないかと思って、両君のために大いに惜しむのであります。また乱入事件が計画的であるか、偶発的であるか、また両君が全く不知であったかは、いずれそのうちに明らかになることでありましょうが、その前に、憲政史上初めてというこの不祥事を起こした主催者側は、事件の起きた理由をあげて弁解するよりも、まず率直に国民の前に、私どもが不行き届きであった、至らなかったということを、自分から率直に事実を告白してあやまるのが紳士の態度でなければならぬと私は思うのであります。(拍手)
 で、私は以上の理由によりまして、淺沼氏に対しまして左の諸点をあげてその責任を問わなければなりません。すなわち、演説をして集団人を扇動した事実、請願者を誘導して国会内の禁止区域に入れた事実、また多衆が門内に乱入した原因は淺沼君らにおいて開門を強要して門を開けさせた結果である、こういう事実、以上の諸点により、法律上共謀もしくは教唆行為の責任があるという事実であります。このことが明らかになりました上は、国会法第百十六条の、議員が「議場の秩序をみだし、又は議院の品位を傷けるときは、」懲罰に付せられるという規定がありますから、場合によっては淺沼君らもこの懲罰に付されることがないとも限らないと私は思うのであります。淺沼君はこの関係事実を明確にしなければなりません。これを明らかにするためには、法務大臣配下の検察官、または国家公安委員長配下の警察官等において証拠を集めなければ、うわさがあったからといって淺沼君らが否認しておる事実をとらえて直ちに起訴もできますまいし、そういうようなことについて十分の力を用いなければなりませんが、昨日の夕刊、今朝のの新聞によって見ると、すでにこれらの点について当局者が手をつけておるようであります。果たしてそうでありまするならば、差しつかえがない限りにおいてこの議場に事実を発表してもらえないものであろうか。この点を一つ関係大臣において御考慮をお願いしたいと思うのであります。
 次に、新聞記事によりますると、淺沼君以外の国会議員の中で、衆議院議員六名、参議院議員七名の諸君がなお集団行動を指導したとの事実があるようなうわさがありまするが、私は自分が直接に聞いたのでありませんから断言はいたしませんが、そういううわさのある以上は、これを捜査する必要があります。関係大臣のこの点に対する所見はいかがでありましょうか。
 次に、全学連問題について文部大臣に質問いたします。私は全学連に所属する学生諸君の一部が終始このたびの国会乱入の先頭に立っていた事実を重大視するものであります。彼らが構内になだれ込んでからも、主催者側の退去指令に服せず、かえってそれを妨害したと言われておりまするが、実質的には、今度の統一行動は一部の学生たちの意のままに動かされ、社会党も、共産党も、総評も、ことごとくこの全学連に引きずり回されたような疑いもないではありません。われわれは、この全学連の態度は、国家、社会の秩序を無視したところの革命的行動にひとしいと思うのでありますが、今度の事件後、全学連より発表された声明によりますれば、警察法や小選挙区法案が「院外の大衆闘争によって不成立に終わった」ことを理由に、安保改定阻止の国会デモを正当であるかのごとく彼らが考えて、そうして国会を無視しておるような状況にありまするが、これは議会民主主義の否認であると断じなければなりません。彼らは大衆闘争を最高至上の方法と考えながら、その大衆が選挙という最も民主的な手段で選んだところの国会を否定するという矛盾すら黙殺しているのであります。そればかりではありません。彼らは自分が考えている革命の先達をもって自認しているのであります。これでは全学連が革命団体と言われても仕方がないでありましょう。全学連の幹部は今の共産党にすらあきたらないほど先鋭的だと言われているのであります。現に社会党は安保阻止国民会議から全学連の離脱を要求している。こういう全学連に対して、学生は学生らしくその本分の学業に専念せよと言っても、むだでありましょう。何となれば、彼らは学生服を着た革命家であって学業を放棄し、革命に打ち込んでいるからであります。しかしながら私は、この全学連に所属するすべての学生諸君がそれほどまでの意識を持って今度の行動をやったものとは思っておりません。多くの学生諸君は一部の幹部にあやつられて無意識的に動いたものもありましょう。若い世代の学生たちが今の政治や社会情勢に不満を爆発させることは、それは私はわかりますが、しかし破壊するだけでは改善とはなりません。私は、近く社会人として巣立つ多くの学生諸君に、この際、冷静なる態度をもってその過去を反省せられますよう要望するものであります。何も一部の者の策動に踊る必要はないと思うのであります。文部大臣に対して、これに関する所見と、将来これら学生に対する取り締まり方針をお伺いしたいのであります。
 以上のほか、日教組のある者がこの暴挙に参加しておったといううわさがありまするが、果たしてそういう事実があるのか。文部大臣はこの事実についても一つ十分に調査して適当な措置をとる必要があると思いますが、この点に対する文部大臣の所惑いかん。
 最後に、日教組の授業の放棄問題、あるいは郵政省の職員の郵便電報の配達遅配の問題、あるいは公務員の職務放棄の問題に関しまして国民に迷惑を及ぼさないように、職務を忠実に行なうということが官公吏の役目であるにもかかわらず、近ごろこういうことがしきりに行なわれておりますことは遺憾千万でありまするが、本日はこれに対しては質問というようなことはいたしません。いずれ他日の機会をもってこれを明らかにしていきたいと思いまするが、本日はただいま申し上げました諸点について政府当局は率直明快にお答えあらんことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 去る二十七日の国会周辺におけるデモ隊の一部が請願に籍口して国会構内に乱入し、そうして秩序を乱したというこの行為は、私は、日本の民主政治、国会政治というものの上から見まして、非常に遺憾にたえないところであります。私はあくまでも、従来もしばしば申し上げておるのでありますが、民主政治というものの要諦は、一切の暴力行為を排撃することであり、また法律、秩序を守るということを前提として初めて成り立つのでありまして、そういうことを一切無視したあの状況というものはまことに遺憾でございます。私は、国会が国会の権威と国会政治を守るために、これに対して将来そういうことが再び起こらないような適当な処置がとられることを、心から望んでおるものであります。
 第二に、憲法上認められている各種の自由、すなわち集会あるいは請願の自由というものは、いうまでもなく憲法第十二条及び十三条の公共の福祉というものを前提としてこれらが認められていることでありまして、従って、自由があるからといって乱入し、公共の福祉を害するようなことは、これは私は憲法が認めている自由権を逸脱しているものだと考えます。
 次に、国会周辺の多数のデモ取り締まりの問題につきましては、イギリスやアメリカその他の例をあげて御質問になりましたが、かねてこの問題につきましては、昨年以来自民党と社会党の間におきまして話し合いが行なわれている問題でございます。不幸にして途中におきまして、社会党側においてこれの審議なり話し合いを拒否されるような態度をとられまして、いまだ結論を得ておらないことは、非常に遺憾とするところでありまして、私は十分今回のことにも顧みて、各党が超党派的に国会政治を守り議会政治を守る見地から、立法権や司法権の神聖な行動ができるように、適当な話し合いができることを心から望むものであります。
 なお、今回の行動が、交通取り締まりその他の現在の法規に照らしてこれを無視し、違反している事項につきましては、厳に法規に従ってこれらに対して処罰を加えるべきものである、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣石原幹市郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(石原幹市郎君) 今回の不祥事件につきましては、すでに学生の一部の検挙を見ておりまするように、断固としましてその責任を追及する所存でございます。本件は引き続き調査中でありまするので、調査中のことにつきましては、ここで申し述べることをお許し願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣井野碩哉君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(井野碩哉君) 淺沼議員が今回の集団デモ事件にいろいろ関係しておられますことは報告を受けておりますが、扇動その他法規違反の事実の有無につきましては、該事件が目下捜査中でございますので、いまだ内容を申し上げるまでに至っておりません。(拍手)
   〔国務大臣松田竹千代君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(松田竹千代君) お答えいたします。
 去る二十七日のデモ事件において、これに参加した数千人の学生が、全学連の指導のもとに、たえず激越な行動の先頭に立って未曾有の不祥事件を引き起こすに至りましたことは、学生にあるまじき許しがたい行動であると存じます。まことに遺憾にたえないところでございます。最近における学生運動が事あるごとに激越な様相を示す傾向のあることに対してこれまで常に重大な関心を払って参りました文部省といたしましても、各大学の学生自治会が、極左的革命方式を信奉する少数の全学連指導者によって引き回されているという実情を重視いたしまして、その不当な影響を排除するために、積極的に適正な学生指導を強化するとともに、不法不当な事態の発生したような場合には厳正な処分を行なって学生の反省を促すよう、各大学に対して要望いたして参ったのであります。今回の事例は真に重大でありまするので、さらに真剣な対策を考慮しなければならないと考えます。すなわち、各大学の学生に対する指導をさらに徹底いたさせまして、そうして学生自治会が全学連指導者によって引き回されている実情を改善し、あわせて全学連運動に職業的に従事する、学生の本分を忘却している者を、学園から排除する必要があると考えているのであります。さらに学生の反社会的行動に対しては、これが学内において行なわれた場合であっても、学生の教育指導の任にある大学として責任ある処置を行なうようにいたしたいと存ずる次第であります。
 なお、全学連の運動については、一般学生の中にも次第に批判の声が高まりつつあります。そこで、これらの学生が暴力革命的な非行に陥らぬように、今日の学生として、民主政治の発展のためにいかに考え、いかに行動すべきかについて、大学当局者、学生も真剣に考え、話し合うような雰囲気を、大学の中に醸成することが大切であると考えております。文部省としても、このような学生補導の発展のために今後一段の努力を払いたいと考えている次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#15
○議長(松野鶴平君) 日程第一、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長加藤正人君。
  
    ―――――――――――――
   〔加藤正人君登壇、拍手〕
#16
○加藤正人君 ただいま議題となりました酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 現在、酒類の価格統制は物価統制令によって行なわれておりますが、このような物価統制令による最高価格制度は、経済の正常化に伴い漸次廃止され、米、酒等について行なわれておるにすぎず、酒類の場合も撤廃の機運が熟しております。本案は、廃止された場合を考慮して酒類業界の安定と国家財政に重要な地位を持つ酒税の保全に支障を来たさないよう、あらかじめ万全の価格制度を法的に準備しておこうとするものであります。
 内容の概略について申し上げますと、大蔵大臣は、酒税の保全の必要上、酒類の取引の円滑な運行に資するため、酒類の標準的な基準価格を定めることができることとし、現行の協定価格のほかに、制限販売価格及び再販売価格の制度を新たに設けようとするものであります。その他、酒類業組合に代表理事を設けるとともに、法定計量単位をメートル法に改める等の改正を行なっております。
 委員会の審議におきましては、公定価格撤廃の時期いかん、公債制度を撤廃しても本改正案により自由競争がチェックされるのではないか、基準価格等価格決定の審議会を設ける意思はないか、消費者に対する方面の配慮が足りないのではないか等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、天坊委員より、協定価格の維持のため、協定違反の組合員に対し大蔵大臣の勧告ができる旨の修正案が提出され、修正の上賛成するとの意見が述べられ、次いで採決の結果、天坊委員提出の修正案は全会一致をもって可決され、修正部分を除く原案についても全会一致をもって可決され、本案を修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#17
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案の委員長報告は修正議決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案は委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#18
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#19
○議長(松野鶴平君) 参事に報告させます。
   〔参事朗読〕
     ─────・─────
#20
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、ただいま報告いたしました風水害対策特別委員会報告にかかる「昭和三十四年九月の暴風雨により被害を受けた農地の除塩事業の助成に関する特別措置法案」外二十六案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。風水害対策特別委員長郡祐一君。
   〔郡佑一君登壇、拍手〕  
#22
○郡祐一君 ただいま議題となりました昭和三十四年九月の暴風雨により被害を受けた農地の除塩事業の助成に関する特別措置法案外二十六件につきまして風水害対策特別委員会における審議の経過及び結果について御報告いたします。
 右の諸法案は、今次の風水害等に関し、その対策を講じようとするものであります。以下その要旨を簡単に御説明申し上げます。
 まず、農林水産関係六件について申します。農林水産業施設の災害復旧事業については、農地、農業用施設及び林道につき十分の九、共同利用施設及び開拓地の入植施設等については三万円以上の工事につき十分の九の補助を行ない、また災害関連事業についても三分の二の補助を行なうものであります。塩害をこうむった農地の除塩事業については、灌漑排水施設の設置等につき十分の九、客土については二分の一を補助するものであり、衆議院において、法律施行前の事業についても適用する旨の修正が行なわれました。また、被害を受けた沿岸漁業者の小型漁船の建造については、漁業協同組合が組合員の共同利用に供する場合は十分の八の補助を行なうものであります。天災による被害農林漁業者の資金の融通については、畜産物を被害農業者の損失として認定し、経営資金の貸付対象に、家畜、家禽及び小型漁船の取得等を追加するとともに、貸付限度額を、通常の場合は二十万円に、家畜等の購入及び果樹栽培の場合は三十万円に、畜産専業者及び真珠等の養殖施設の場合は五十万円にそれぞれ引き上げ、果樹栽培の償還期限は延長して七年としたのでありまして、衆議院において、政令で定める水産養殖施設についても貸し付けられる旨の修正が行なわれたのであります。また、米穀を生産する被害農家に対しては、その飯用米穀を確保するため、おおむね生産者価格をもって米穀を売り渡すこととするのであります。なお、被災農家の建物にかかる任意共済事業については、保険金の支払いに充てるための資金を農業共済基金から農業共済組合連合会に対し融通することができる等の措置がとられたのであります。
 次に、建設関係四件について申し上げます。公共土木施設の災害につきましては、地方財政の状況にかんがみ、復旧費に対し、標準税収入の二分の一までは十分の八、標準税収入までは十分の九、それ以上は全額とする高率の国庫負担を行ない、さらに、再度災害防止のため、災害関連事業に対しても三分の二の高率負担を行なうものであります。伊勢湾等に面する地域については、被害の実情にかんがみ、これを高潮対策事業として、その災害復旧に関し前述の補助負担率によることとし、改良事業等については十分の八の高率負担をしています。また、災害による堆積土砂及び湛水の排除については十分の九の補助を行なうことといたします。
 さらに、公営住宅の建設は建設戸数及び補助率について、産業労働者住宅は貸付金の償還期間延長等について、それぞれ特別の措置を講じております。
 次に、文教関係二件について申し上げます。公立の学校の災害復旧については、その建物等に対しましては四分の三の国庫負担、公立の社会教育施設の建物等に対しては三分の二の国庫補助を行なうものであります。また私立学校の災害復旧については、二分の一の国庫補助を行なうほか、私立学校振興会からの特別貸付の道を開いております。なお、公立学校等の改良復旧につき必要な措置を講ずることとしております。
 次に、厚生関係七件について申し上げます。まず、公衆衛生の保持については、伝染病予防費等についての国の負担率を高め、上水道及び簡易水道の復旧について二分の一の国庫補助を行なうものであり、衆議院において、汚物処理等に対し三分の二の国庫補助を行なう旨の修正が加えられました。社会福祉事業施設については、保護施設及び児童福祉施設の復旧について国の補助率を引き上げるものであります。災害救助費については、都道府県の災害救助費及びこれに対する国庫負担について特別の措置を講ずるものであります。母子福祉資金の貸付については、被災者に貸し付ける生業資金等について据置期間を延長するとともに、貸付金の財源を確保するため所要の措置を講ずるものであり、衆議院において、事業継続資金及び住宅補修資金の貸付について、据置期間を生業資金と同じく二年に延長することの修正が加えられました。国民健康保険事業については、同事業を行なう保険者で災害により保険料または一部負担金を減免したものに対し国が補助金を交付するものであります。公的医療機関の復旧については二分の一の国庫補助を行ない、私的医療機関の復旧についても特別な金融措置を行なうものであります。被災者に対する福祉年金については特例を設け、支給停止の要件を緩和しようとするものであります。
 次に、労働関係二件について申し上げます。まず、失業対策事業の特別措置として、被災地における失業対策事業の実施について労力費五分の四、資材費二分の一、事務費五分の四の高率の国庫補助を行なうこととしております。失業保険の特例措置としては、災害に基づく事業所の事業停止による労働者の休業を失業とみなして、これに失業保険金を支給するとともに、休業期間前後の継続雇用期間を一定の方式により通算することとしております。さらに衆議院において、三十日以上の失業については待期期間を撤廃する旨の修正が加えられました。
 次に、中小企業関係四件について申し上げます。罹災中小企業者に対する災害復旧資金の融通円滑化と、その事業の再建促進をはかるため、商工中金に対し利子補給を行なうとともに、中小企業信用保険の填補率の引き上げ及び保険料の引き下げ等を行ない、また中小企業信用保険公庫に対して政府出資を十億円増額して災害地の信用保証協会に貸し付け、その保証能力の増大をはかり、さらに国有の機械等を時価の五割以内で売り払い、交換し、または貸し付けようとするものであります。なお、衆議院災害地対策特別委員会提出で、事業協同組合等の施設復旧費につき国庫補助を行なう等の措置を講ずることといたしました。
 次に、地方自治関係の二件について申し上げます。起債の特例につきましては、被災地方公共団体に対し、地方税の減免等について地方債の発行を認めるとともに、公共土木施設、公立学校施設、市町村の行なう農地その他の農林水産業施設の小災害復旧事業にかかる地方債について、国が一定率の元利補給を行なうものであり、衆議院において、公共土木災害等いわゆる激甚地指定の政令の基準との関係で、所要の修正を行なったのであります。また、市町村職員共済組合が組合員に支給する災害見舞金の額について特例を設け、給料の二月分以内の額を割増しすることができることといたしております。
 以上が法律案の要旨であります。
 次に審議の経過について申し上げます。
 まず特別委員会の設置とともに直ちに風水害対策の調査を開始いたしました委員会は、法案が予備審査のため付託になりますと同時に法案の審査に入り、連日にわたり熱心に討議を重ねて、関係者大臣に質疑を行ない、本付託になるとともに、岸内閣総理大臣以下関係大臣に対して総括的に質疑し、さらに四個の小委員会を設け、慎重に審議を尽くした次第であります。特別委員会は、これを開会すること二十回に及んでおります。
 以下、その間における質疑応答のおもなる点について、その概要を申し上げます。根本的な問題として、
 第一に、「年々相次ぐ台風あるいは豪雨等による大きな災害は、防災対策について、統一性においても技術面においても重大な欠陥があるのではないか。また抜本的対策の樹立については、財政上の制約の関係でいかに処理する考えか」との質疑に対し、政府から「今後は原形復旧にとらわれず、改良工事ないし関連工事を行ない、治山治水対策、防潮対策については、企画庁を中心に協議して、その規模、期間、財政的裏づけを決定し、三十五年度から長期にわたって挫折しないよう実施していき、防災基本法についても検討しており、また財政上はあくまでも健全財政を維持する建前はくずさず、これから予算編成までにその財源の捻出に努力する」旨の答弁がありました。
 第二に、今次補正予算編成に関し「初めに予算のワクを定めてそれに応じて査定をするというやり方でなく、被害の大きさに応じた予算を組むべきではないか」との質問に対し、「在来のような、いわゆる財政的立場で物事をきめるという考え方でなく、すでに発生した災害の額に応じ、それを予算化するという考え方に基づいて、あらゆる財源を調達し、予算を編成した」旨の答弁がありました。
 次に、「小型漁船の建造については共同化をはかっているが、他の農林水産業施設の災害復旧についても共同化をはかるべきではないか」との質疑に対し、「今回の法律は漁船についてであるが、行政指導でできるものは進めていく方針でやっておる。今後も大きな施設の災害復旧や部落の復旧についても行ない、農林水産業の経営の合理化をはかっていきたい」との答弁がありました。
 また「治山及び森林保全は災害防止対策の根本であるが、これが拡充強化については万全を期すべきではないか」との質疑に対しては、「来年度には従来の構想を改善して、十カ年計画で実施する方針である」との答弁がありました。
 次に、「災害によって困窮者となっている者に対する救助措置は、どのようになされたか」との質疑に対し、「今次災害において、災害救助法による救助の期間延長、救助基準単価の引き上げ、また世帯更生資金の期間延長、貸付金額の引き上げを行ない、母子福祉資金については、ワクの拡大、据置期間の延長、長期にわたる困窮者に対しては生活保護法の生活扶助、医療扶助等を適用いたしておる」との答弁がありました。
 次に、「失業保険特例措置に要する経費は、次年度一般会計から失業保険特別会計に繰り入れるのが適当ではないか」との質疑に対し、「この範囲の措置は失業保険法で処理してもその根本原則を乱すものではないから、特に経費を一般会計から補てんする必要はない」旨の答弁がありました。
 また、今回の特例法を適用する災害激甚地の推定基準については、政府の説明を聴取した後、その具体的な内容について、活発な質疑が行なわれたのであります。なお、
 一、国土保全、防災対策の基礎として、高精度の全国地形図の作成並びに主要都市における地盤図の作成の必要性、
 一、わが国工業の臨海性にかんがみた高潮及び地盤沈下の対策、
 一、国土保全と開発のための水行政の一元化、
 一、個人災害の問題、
 一、文教施設復旧費の国庫負担率または補助率の問題、
 一、地方負担分等については、地方財政計画あるいは個々の地方団体との関係からの財源の問題、
 一、標準税収入との比較で、国の負担率の特例の適用が変わってくるが、標準税収入とは具体的に何を指すかの問題、
 その他、多岐にわたる各般の事項について、きわめて熱心な質疑応答が行なわれたのでありますが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて本三十日質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、自由民主党を代表して重政庸徳君、社会党を代表して安田敏雄君、無所属クラブを代表して大竹平八郎君、社会クラブを代表して向井長年君、緑風会を代表して森八三一君から、それぞれ賛成の意見が述べられました。
 次いで二十七件の法律案を一括して採決を行なったところ、全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 なお、法律案議決の後、委員全員発議にかかる次の附帯決議が全会一致をもって決定された次第であります。
   附帯決議
  今次災害の地域の広大性と激甚性に鑑み、再びかくの如き災害を繰返さないよう恒久的対策を樹立し、国土の保全と産業の興隆に資し、民生の安定を期すべきである。これがため政府は、今回の風水害対策諸法律の実施に当り、予算措置並びに機構の整備等に意を用いると共に、特に左記事項につき格段の施策を講じ、遺憾なきを期せられたい。
 一、各種工事の施行に際しては、原形復旧にこだわることなく、改良復旧を充分におりこみ、再度災害を繰返さないよう措置するは勿論、過去の慣例的年次別比率にこだわることなく、速かに完成すべきである。
 二、各省に関係のある復旧工事については、その間に有機的連絡をとり、計画、施行、工程及び完成期にそごを来たさざるよう万遺憾なきを期すべきである。
 三、農林水産業並びに公共施設災害の小災害施設復旧につき、農林災害にあっては一個所の工事の対象となる被害個所の間隔五十米を百米に、公共土木にあっては二十米を五十米とし、なお災害関連事業についてもその適用範囲の拡大を図るべきである。
 四、除塩事業の助成に当っては、塩分を含んだ被害わらの処分に必要な経費を補助の対象とすべきである。
 五、小型漁船の建造に関する特別措置については、補助の対象及び条件等につき実情に即し適切な措置を講じ、もって被害漁民の救済に万全を図るべきである。
 六、農業共済組合及び同連合会の行う任意共済事業は極めて多くの問題点を有しているから、政府は速かに根本的な検討を行い、確固たる方策を樹立すべきである。
 右の決議に対し、佐藤大蔵大臣から政府を代表して、「趣旨のあるとこりを十分検討して、法律の適切な運用をはかって参る所存であります。」との発言がありました。以上をもって報告を終わります。
 (拍手)
#23
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 二十七案全部を問題に供します。二十七案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めなす。よって二十七案は全会一致をもって可決せられました。(拍手)
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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