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#1
第033回国会 本会議 第15号
昭和三十四年十二月十一日(金曜日)
   午後五時三十分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十四号
  昭和三十四年十二月十一日
   午前十時開議
 第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第二 日本学校安全会法案(第三十一回国会内閣提出、第三十三回国会衆議院送付)
 第三 新市町村職員の給与改善に関する請願
 第四 新市町村建設促進のための国庫補助継続に関する請願(十二件)
 第五 地方交付税の合併補正特例期間延長に関する請願
 第六 へき地手当の一般財源に関する請願
 第七 地方交付税の寒冷補正適正化に関する請願
 第八 特別交付税増額等に関する請願
 第九 地方財政の健全化に関する請願
 第一〇 地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の復元に関する請願
 第一一 未開発地域の開発促進事業費国庫負担率引上げに関する請願
 第一二 遊興飲食税減免に関する請願(四件)
 第一三 積雪寒冷地帯の固定資産税軽減に関する請願
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、会期延長の件についてお諮りいたします。
 議長は、会期の延長について議院運営委員会に諮りましたところ、本院といたしましては、会期を十二月二十七日まで十三日間延長すべきであるとの決定がございました。会期を十二月二十七日まで十三日間延長することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔「賛成」、「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって会期は十二月二十七日まで十三日間延長することに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、
 日程第二、日本学校安全会法案(第三十一回国会内閣提出、第三十三回国会衆議院送付)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。文教委員長相馬助治君。
    ―――――――――――――
   〔相馬助治君登壇、拍手〕
#7
○相馬助治君 ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、日本学校安全会法案の二法案について、文教委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案は、市町村の設置する定時制高等学校の校長、教諭等の給料その他の給与が、現行法第二条の規定に基づき、都道府県の負担となっているのを、今回、政令で特に指定するものについては、その設置者たる当該市町村が負担することに改めるとともに、これに伴う身分の取り扱い及び在職期間の通算等必要な経過措置を規定したものでありまして、これにより、同一市町村の教職員相互間における給与待遇の条件が均等化し、人事交流等、教育行政の円滑化を期さんとするものであります。
 本委員会におきましては、定時制高等学校教員間における現在の給与の不均衡の実情、給与負担区分の原則、本法通過後の見通し、特に政令に指定される予定のいわゆる五大市以外の市町村に対する影響等の諸点について、提案者並びに政府に対し慎重な質疑が行なわれましたが、詳細は速記録によりごらんを願います。
 かくて討論に入りましたところ、自由民主党の吉江委員より、本案中の「政令で指定する市町村」を、「地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市」に改める旨の修正案が提出され、本修正案の意図するところは、「政令で指定する市町村」が、提案者においても、政令立案者たる政府においても、ひとしく地方自治法に規定する指定都市に限定することを予想しておりまするので、この点をさらに明確にするものであるとの趣旨説明が行なわれました。続いて日本社会党の松永委員より、修正案並びに修正部分を除く原案は、ともに現状に即したもので、定時制教育振興の立場から賛成であり、さらに、政府が今後、本教育振興のために現在停止中の公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法の復活に努力されたいとの要望がなされ、賛成意見が述べられました。
 採決いたしましたるところ、修正案、修正案を除く原案ともに全会一致をもって可決いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、日本学校安全会法案について報告いたします。
 政府の本案提出の理由とするところは、義務教育諸学校の管理下における災害事故は、年々次第に減少の傾向にはあるというものの、災害のために要した医療費等は、損害賠償または社会保険の給付を受けた部分を除きましても、相当な額に上っているのであります。このような状況にかんがみ、学校安全を普及充実するとともに、義務教育諸学校等の管理下において発生した児童生徒の災害に関して適切な措置を講ずべきであるという決議または要望が、衆参両院の文教委員会を初め各方面からなされ、また一方、相当数の県においては、すでに財団法人の学校安全会が設立されたのでありますが、これらの学校安全会は、主として保護者の寄付によってまかなわれている関係上、相当の公費負担による新しい制度が法律により確立されることを、これらの学校安全会からも強く期待されていたのであります。政府は、ここに日本学校安全会を設立して、学校安全の普及充実に関する業務を行なわせるとともに、義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の負傷その他の災害に関して必要な給付を行なわせようとするものであります。
 法律案の内容を要約して申し上げますならば、日本学校安全会は、特殊法人組織として、義務教育諸学校の設置者が、児童生徒の保護者の同意を得て、安全会との間に締結する契約により、学校の管理下における児童生徒の災害について災害共済給付を行なうことといたしております。共済掛金は、安全会との間に災害共済給付契約を締結した学校の設置者が、安全会に対して支払わなければならないことに規定しております。学校の設置者は、当該契約にかかる児童生徒の保護者から、共済掛金の額のうち一部を徴収する建前とし、一方、国は安全会に対してその事務費の一部を補助することにいたしております。安全会は、高等学校及び幼稚園の管理下における生徒及び幼児の災害についても、義務教育諸学校に準じて、災害共済給付を行ない得ることとし、この場合の共済掛金は、原則としてその全額を保護者から徴収するものといたしております。
 以上が本法律案の提案の趣旨及びその内容の概略でありますが、本案は衆議院より修正議決の上送付されております。衆議院における修正点を簡単に申し上げますと、次の五点であります。
 第一に、この法律施行の際、財団法人で、学校安全会類似の業務を行なうもののうち、現に掛金に相当する寄付金等の全額を学校の設置者が負担している場合は、当分の間、学校安全会の掛金の全額を設置者の負担とし、保護者からは徴収しないことができるように措置いたしております。
 第二に、日本学校安全会の業務の特例として、安全会は、当分の間、保育所の管理下における乳児、幼児その他児童の災害について、災害共済給付を行なうことができることに改めております。
 第三に、政令により、里親等事実上の扶養者を保護者と同様に取り扱い、契約締結の同意、共済掛金の徴収及び災害共済給付の受領をなし得るように改めました。
 第四は、安全会の余裕金の運用の幅をひろげて、金銭信託をもなし得るようにした点であります心
 第五は、本法案の施行期日が「昭和三十四年十月一日」となっておりましたのを「公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日」に改めたことであります。
 委員会の審議にあたりましては、慎重に審議し、衆議院における修正案の提案者に対し、数次にわたって各委員からきわめて熱心な質疑を展開し、政府に対しても種々質してその慎重を期しました。質疑の過程において問題となりました主要点と、これに対する答弁の概要を、特に本法案の性格に照らしまして、ここにあらためて報告いたしておきます。
 第一に、「憲法第二十六条の義務教育無償の精神にのっとり、保護者からの掛金の一部徴収を廃して、国または地方公共団体による災害給付の全額負担を実施すべきではないか」との質問に対しては、「安全会は災害防止を目的とする共済組織であるから、保護者が掛金の一部を負担することによって関心を深めることが望ましく、社会全体の連帯観念の涵養にも資したい。将来は漸次父兄負担の軽減をはかる方向へ努力したい」旨の答弁がありました。
 第二に、政令で規定すべき「学校の管理下」という言葉の内容については、事実上将来種々なる誤解なり解釈の広範な問題になることが予想されますが、これに対しては、教育課程の実施中、すなわち、各教科及び道徳教育の授業時間中であるとか、あるいは特別教育活動中並びに学校行事たる運動会、学芸会、修学旅行、学校給食、健康診断の実施中とか、あるいは休憩時間中、あるいは授業開始前及び終了後における在校中で、その在校について、校長が一般に児童のいることを承認している場合とか、登校及び下校帰宅のための通学の経路中等をさすことが明白に示されました。
 第三に、「現に各県に設置されている安全会から、日本学校安全会への加入移行の際の権利義務の関係について」の質問については、「本法成立の暁には、各県における安全会はそれぞれ解散されることとなり、残余財産は、定款の趣旨に従って日本学校安全会に寄付されるが、これを安全会本部に受け入れることとはせずに、各県支部の収入として、それぞれの支部において有効に使用させる予定である」旨が政府によって述べられました。
 第四に、「本案第一条の目的に照らして、修正により保育所が加えられたことは必ずしも適正とは考えられない」との質問に対して、「保育所は厚生省の管理下にあるけれども、安全会の業務の内容に関する限り、これを含めることに矛盾はないと思われる」旨の答弁があったのであります。
 また、災害給付の内容、給付申請の手続、掛金について事務費の計上について、掛金徴収事務の処理責任者と事務手当の支給関係について、役員並びに中央事務局の構成内容等について、慎重に質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 質疑を終局し、討論に入りましたるところ、日本社会党を代表して松永委員より、送付案に対する修正案が提案されました。修正案は、現在義務教育に要する父兄の負担がきわめて大きいにもかかわらず、さらにこの法は、ともすると負担を加重する意味をもなすことは遺憾であり、本案の措置は、憲法第二十六条の義務教育無償の精神に反する疑いなしとしない。義務教育諸学校については、共済掛金は全額設置者負担を原則とするが、地方自治体の財政事情により、当分の間、父兄から掛金を徴収することができること、災害給付を国が負担する建前をもって新たなる法律が将来制定されることを期待し、国立及び公立の学校の児童及び生徒についてのこの法律による災害給付を、昭和三十七年三月三十一日までに限ること等を骨子としたものであります。次いで、自由民主党を代表して北畠委員より、社会党提案の修正案に反対、送付案に賛成する討論があり、日本共産党岩間委員より、修正案賛成の意見が述べられ、直ちに採決を行ないましたるところ、修正案は少数をもって否決され、送付案は多数をもって可決し、結局本法案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定されたのであります。
 以上御報告いたします。(拍手)
#8
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 まず、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。
     ─────・─────
#10
○議長(松野鶴平君) 次に、日本学校安全会法案全部を問題に供します。本来に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(松野鶴平君) 日程第三より第十三までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長新谷寅三郎君。
    ―――――――――――――
   〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕
#14
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました請願二十五件について、地方行政委員会における審査の結果を御報告いたします。
 日程第三の請願は、新市町村職員の給与改善を、日程第四の請願十二件は、新市町村建設促進のための国庫補助の継続を、日程第五の請願は、地方交付税の合併補正特例期間の延長を、日程第六ないし十一の請願六件は、いずれも地方財政の実情にかんがみ、これが改善のための措置を、それぞれ要望するものであります。
 次に、日程第十二の請願四件は、飲食店における遊興飲食税について免税点の引き上げを、また、日程第十三の請願は、積雪寒冷地帯における固定資産税の軽減を要望するものであります。
 地方行政委員会におきましては、以上の請願二十五件は、願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#16
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#17
○向井長年君 私はこの際、公務員並びに日雇い労務者の越年資金等生活安定に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#18
○田中茂穂君 私はただいまの向井長年君の動議に賛成いたします。
#19
○議長(松野鶴平君) 向井君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#21
○向井長年君 私は社会クラブを代表いたしまして、公務員並びに日雇い労務者の越年資金等生活安定に関して、岸総理、大蔵大臣、労働大臣、人事院総裁等に所見をお伺いいたしたいと存ずる次第でございます。
 国家公務員法第二十八条によれば、給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要があるときは、国会及び政府に対して、適当な勧告をしなければならないことになっているのでございます。今回の人事院の報告によれば、公務員給与と民間給与との差は五・七%下回っていることを認め、かつ、家計調査に基づく消費支出の伸びが、公務員給与の改善をはるかに上回っていることを認めながら、ベース改訂の勧告を行なわず、単に中級職員等の給与の中だるみ是正について勧告を行なっていることは、われわれとして納得することができないのであります。特に民間給与との比較については、その調査対象に、臨時工、臨時職員を含ませるなど、きわめて不合理な比較が行なわれ、民間給与水準を低く評価せんとするふしが認められるのであります。こうした報告においては、給与改訂の諸条件の変化を認めながら、勧告においては、ベース・アップを全く認めていない。これについて、人事院総裁はいかなる所見を持っておられるか、お尋ねいたします。なお、政府としては、今回の人事院勧告を妥当なものと考えているか、岸総理大臣、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 第二は、ベース改訂の諸条件が成熟していながら、数年来、人事院は勧告に際してこの問題を見送ってきた。人事院の態度は、政府の圧力に屈して、公正な中立性を保持し得なくなった結果であるという人事院に対する不信の念が、特に労組間、あるいはまじめな組合員の中で広がりつつあるのであります。また、一般世論も、人事院の性格について批判の声が出ていると考えているのでございます。まことに遺憾と言わなければなりません。この点について、人事院総裁は、ベース改訂の勧告が何ゆえできなかったのか、また、しなかった理由は那辺にあったか、お伺いいたしたいと存じます。
 次に、今日、人事院が中立性を保持できない状態にあるが、この際、政府としては、人事院の改組、改革あるいはこれを廃止して別の機関を作ること等により、本来の中立性を強化し、公務員の労働条件を円満に解決していく考えはないか。むしろこの際、人事院はこれを廃止して、公務員に団体交渉権、争議権を認めて、民間と同様、自主的解決にゆだねるべきだという意見も出てきているが、政府の所見をお伺いいたしたいと存じます。特に外国等では公務員に争議権を認めている例も多々あります。かつILO条約も基本的に、すべての労働者の労働基本権の確立を規定していることは事実でございます。日本の場合も、管理職を除く公務員に争議権を認めるべきであるとする意見も少なくないのでありますが、政府の見解をただしたいのでございます。特に以上三点につきましては、岸総理並びに労働大臣にお伺いいたしたいと存ずる次第でございます。
 次に、われわれとしては、率直に言って今回の人事院の勧告には不満であります。しかし、われわれは人事院勧告が、争議権、団交権を剥奪された公務員にとって、唯一の救済保護手段であるという考えから、今日までこれを尊重すべきであるという立場を堅持してきたのでございます。従って、勧告の内容については多くの不満はあるといたしましても、その不満をほかに解消する手段がない現状においては、これがすみやかなる実施をはかるべきであると考えます。
 去る十一月十九日に、わが社会クラブは、政府に対し次のような申し入れを行なったのでございます。
 本年七月、人事院は国家公務員の給与に関し、一、夏期手当を〇・一カ月分増額すること、二、中級職員並びに研究職員及び医師の給与を改善することを内容とする勧告を行ない、これがすみやかなる実施を政府に要望したのでございます。これに対し政府は、当初その実施を約束しながら、今日に至るまで何ら適切なる措置を講じていないことは、きわめて遺憾である。人事院勧告の実施は、争議権を剥奪された公務員に対する唯一の代償であるから、政府はこれを尊重し、すみやかに適切な措置を講ずべきである。なお、勧告が本年三月の調査に基づいて行かわれたものであるから、その実施は当然四月にさかのぼって措置されるべきものと考える。以上の観点に立ち、この際、政府は右人事院勧告をすみやかに実施すべきである。
 右申し入れる。
 以上がわが社会クラブが申し入れた趣旨でございます。これに対しましても政府はその措置を怠っていることは、まことに遺憾といわなければなりません。政府は、勧告を尊重することを明言しながら、一向にそれを実施しようとはしないのでございます。この際すみやかに実施する意向をお持ちのことと思うが、いかに考えますか、お答えをいただきたいと存じます。特に、これは岸総理、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 次に、本来であるならば、勧告実施に必要な経費は補正予算において当然措置さるべきであると思うが、補正予算に計上しなかったのは何ゆえか。今後の実施にあたっての予算措置をどのような形で行なうつもりか、大蔵大臣に御答弁をお願いいたしたいと存じます。
 地方公務員並びに公共企業体職員についても国家公務員と同様に措置すべきであると考えるが、これらの取り扱いについて政府はどのような態度で措置するつもりか。なお、地方公務員に対する国庫負担、公共企業体職員については企業体のワク内操作によって、勧告の実施をはかる具体的用意があるか、お尋ねをいたしたいと存じます。
 今回の人事院勧告は本年三月を基準として行なわれたことは、報告の中で明らかにされております。従って、その実施も当然本年四月にさかのぼって行なわるべきであると考えるのでございますが、なお、人事院総裁は、十二月十日の内閣委員会で、私の質問に答えて、政府は四月実施しないのはまことに遺憾であると言っております。政府としては四月にさかのぼって実施する用意があるか、お尋ねいたしたいと存じます。
 人事院勧告の時期がいつも七月であるために、公務員の給与改訂は当初予算に織り込まれず、民間給与に比して常に一年おくれの結果になっているのでございます。人事院勧告に対する今日までの政府の態度も、昨年も同様でございますが、勧告を尊重すると言いながら、常に実施の引き延ばしを行なっているのでございます。公務員、民間の給与の均衡をはかることは、国家公務員法の精神でもあり、公務員給与が民間に比して常に一年おくれであるという現在のこのあり方は、すみやかに是正されなければならないと考えるのでございます。そのためには、勧告の時期を当初予算編成前に出すよう法の改正等を行なうか、あるいは政府が進んで四月実施の慣行を打ち立てるかのほかにはないと思います。人事院勧告の権威を高め、あるいは勧告に対する労組等からの不信を取り除くためにも、この点は早急に再考されなければなりません。政府としては今後どのように処置するお考えがあるか、所見をお伺いいたしたいのでございます。
 次に、日雇い労務者の期末手当の支給について政府の所信をお伺いいたしたいと存じます。御承知のごとく、日雇い労務者の期末手当につきましては、その就労の実態が長期就労化して、本来の日雇いという形が失われ、すでに今日の段階では一般常勤労務者とほぼ同様の状態にあるにもかかわらず、雇用形態が日雇いであるという理由だけで、期末手当についての制度化が行なわれず、単に賃金増給という形で、夏期四日、越年九日分が支給されている現状でございます。日雇い労務者の生活実態については、労働省においてすでに調査されている通り、その半数近くが生活保護の適用を受け、また適用を受けていない残余の人々も、ほとんどがボーダー・ラインとして、二重構造の最下層に低迷している現状であります。こうした人々にとって、楽しきはずの正月はむしろ苦痛の数日となっております。その理由は、申すまでもなく、年末年始における出費の増加であります。政府は口に低所得者の階層に対する厚い保護を叫びながら、その政策は実行されていないことは、われわれはまことに遺憾と存ずる次第でございます。現在の日雇い労務者の就労実態から考えて、その期末手当はこれを早急に制度化し、公務員に準ずる形で期末手当を保証すべきと考えるのでございます。しかし、当面した急を要する問題といたしまして、その制度化が困難であるとするならば、現在の期末手当をいかなる形にせよ増額する措置を講じ、日雇い労務者諸君の要望にこたえるべきであると考えますが、政府は本年の越年手当について増額する意思があるかどうか、その制度化の問題とあわせて労働大臣の誠意ある御回答をお願いいたしたいのでございます。
 以上をもって質問を終わりますが、最後に、公務員は争議行為を禁止せられ、団体協約権を認められず、労働基本権の重大な部分を取り上げられている。そのかわりに、労働条件の保護手段として人事院が設置せられているのでございます。従って、人事院はその精神に基づき、公正な中立性を保持し、法で定められた公務員の労働条件、救済、保護を大胆に推進せられることを要望すると同時に、政府においては、口だけでなく、事実上勧告を尊重せられ、直ちに予算措置を講じ、勧告通り四月にさかのぼり実施されることと、なお、日雇い労務者の就労のワクの拡大、越年資金の増額、制度化をされるよう、強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(岸信介君) 御質問の最初に私、席におりませんでしたために、あるいは御質問の趣旨と違っておることがありましたら、あらためてお答えを申し上げます。
 第一は、国家公務員法第二十八条に規定する状態になっておるのに、ベース・アップを含まぬ今回の人事院勧告について、政府はどう考えておるかという御質問であります。国家公務員の給与につきましては、御承知の通り、人事院の勧告に基づいてこれを実施するという建前になっておるのでございまして、政府としては、この人事院の勧告を尊重してこれを実施するというのが従来の方針でありますし、今後もそういうふうに考えて参りたいと思います。本年七月の人事院勧告におきまして、各俸給表の中級の職員並びに研究職員及び医師につき、俸給の改善措置を講ずるよう勧告しておられるのでありますが、政府としては、国家財政を考慮の上、できるだけこれを実施していくように考えております。
 第二に、人事院が中立性を保持すべきものであるということにつきましては、これは言うまでもなく、人事院の性質からいって、そういう性格をわれわれは従来も持っておると考えておりますし、失っておるとは考えておらないのであります。ただ、この問題は、公務員制度のあり方とも関連して、人事院制度の、人事行政の機構の問題として、政府としては慎重に検討して、なお、十分将来も研究をしていきたいと、こう考えております。しかしながら、あくまでもこういう人事行政というものが中立性を保持するように考えていかなければならぬことは当然でございます。
 人事院の勧告について、政府が尊重すると言いながら、一向に実施に移されておらないということでございますが、政府としては、従来から人事院の勧告については、私もしばしば申し上げておるように、これを尊重して、これを実施するという建前をとってきておるのであります。従って、七月のこの勧告に対しましては、来年度の予算編成にあたりまして十分にこれを考慮するように、この実施をするように努力をいたしております。
 地方公務員及び公共企業体の職員に対しての問題でありますが、これは言うまでもなく、地方公務員につきましては、地方公共団体において、国家公務員及び民間の企業の給与状況等との均衡を考慮して自主的に決定すべきものでありますが、政府としては、国家公務員の給与が改善される場合は、各地方公共団体においてもおおむねこれに準じた措置がとられるものと考えております。また、公共企業体の職員の給与は、一般の国家公務員と異なって、これは団体交渉によって定められる建前になっておるのでありますが、政府としては、国家公務員の給与その他の事情を考慮して、適切に決定されるというように期待いたしております。
 今回の人事院勧告は、本年三月を基準としているから、その実施は当然四月にさかのぼってやれという御質問でございます。人事院の勧告を実施するといたしますと、国及び地方を通じまして、おおむね三百億見当の財源を必要とするのであります。現在のこの財政事情から申しますと、これを本年度から実施するということはとうてい実現できないと、かように私は考えております。人事院の勧告が例年七月に行なわれるために、現実の問題として実施が一年おくれるという点についての御質問でございますが、これは、この人事院の勧告が、例年三月における民間給与の実情を調査をして、そうして七月中旬に行なわれるということになっております。そうして政府は、その勧告をさらに検討を加えてこれを実施するようにいろいろと検討していくわけでございます。そういう関係上、相当この勧告を実施するためには、言うまでもなく多額の費用を要するわけでありますから、それを年度の中間においてそういうものを実施するということは、事実上これは非常に困難な場合が多いのであります。従ってわれわれは、この勧告の趣旨を十分に尊重して、次年度においてこれを実施するようにはかっていくほかは、現実の問題としては実際上むずかしいということを御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま総理が詳細にお答えいたしましたように、政府は公務員制度にかんがみまして、人事院勧告はこれを尊重するという態度をとっております。今回も尊重するという考えで、それぞれの処置をとって参っておるのであります。ところが、この人事院勧告が適正なものであったかどうかということでございますが、ただいま申し上げますように、政府自身が人事院勧告が適正であるとか適正でないとか、かような批判をすべきものではなくて、政府は人事院勧告を尊重しなければならぬ、かように実は考えて、これに対処して参る考えでございます。ところで、ことしの人事院の勧告は、申すまでもなく、国及び地方を通じまして年間約三百億をこす金額になっております。ところで、この問題の処理でございますが、御承知のように、三十二年度以降、人事院勧告がありますと、その翌年度からこれを実施に移しておる実例もあるのでございまして、これがほとんど例になっております。従いまして、本年度これを実施することにいたしませんで、来年度編成の際に、これを尊重する趣旨で、この勧告の趣旨に沿って慎重に予算を編成して参る、この態度をとっておるわけでございます。その場合におきましては、申すまでもなく、中央の公務員、地方の公務員、その間に区別することなく、十分この勧告の趣旨が実現するように努力したい、かように実は考えております。
 日雇いの問題は労働大臣からお答えすることと思いますが、日雇いの問題については、公務員の年末手当あるいは期末手当等と関連いたしまして、そのつど対策をとって参ったのでございますが、ことしの年末手当につきましては一・九を実施することにいたしまして、ことしはそのままと申しますか、ふやさないでこれを実施いたします。従いまして、日雇い労務者につきましても今回はふやさないという考えでございます。ところで、日雇い労務者についてのこの種のものを恒久化しろ、制度化しろという御意見であったと思いますが、この点は、日雇い労務者の性質から見まして恒久化すべきものでない、かように私ども考えております。(拍手)
   〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(松野頼三君) 失対就労者に関しましては、まことにその生活がお気の毒な状況でございまするので、政府といたしましては、極力安定した民間就労の紹介によってこれを解消して参りたいと存じておりますが、本年は、毎年のことでございますが、年末には特別措置をとっております。本年は九日分をとりました。これは予算も決定しておりますことでございますし、公務員が一応年末のベースが変わっておりませんので、そういうことを勘案して、一応九日分ということを措置をいたしました。しかし現実には、民間就労のワクをふやす、あるいは実質的に就労日数をふやすということで、実質賃金はなるべく多くとられるように、行政で特に努力をいたして参っております。年度末の分を恒久化するということは、これは日々の雇用契約でございますから、これを恒久化するということは制度上はなはだ困難ではないかと考えております。(拍手)
   〔政府委員浅井清君登壇、拍手〕
#25
○政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。
 第一に、国家公務員法第二十八条の問題でございましたが、われわれは、同条は必ずしも一律ベース・アップのみを意味するものではないと考えております。いかなる内容の勧告をいたすかは、人事院の判断に委せられている問題だと思っております。ベースは総平均でございまするから、今年の勧告におきましても相当のベース・アップになっておりまして、これによって利益をこうむる者は給与法適用者の九三・九%になっておる次第でございます。ただ一カ年実施がおくれている云々のお話がございましたが、御指摘のごとく、人事院は三月現在をもって調査いたしておりまするので、四月からこれが実施されることは最も望ましいことと考えております。ただ人事院は財政上の権限を持ちませんがために、抽象的になるべく早く実施を望むという表現を使っておる次第でございます。ただ、従来の取り扱いを見ますと、これが来年度に持ち越されておりますることは、これは団交権のある職員と制度上の差はあるにいたしましても、まことに遺憾に思う次第でございます。私は時節がら公務員の規律の厳正なることを望みまするとともに、与うべき給与はすみやかに与えられんことを望むものでございます。(拍手)
   〔向井長年君登壇〕
#26
○向井長年君 私は、岸総理が私の質問の途中で来られまして、要点を十分聞かれなかった点もあろうかと思いますが、特に私ここで再度岸総理にお尋ねいたしたいことは、人事院総裁がいわゆる人事院勧告を出した、これが少なくとも四月にさかのぼって実施されることが望ましい、こういうことを言われております。しかしながら、これに対しまして、きのうの内閣委員会におきまして、私は、政府が四月に遡及しないということは、これはどうなんだと、遺憾と考えるのか、あるいはやむを得ないと考えるのかどちらかと、この質問に対しまして、人事院総裁は、まことに遺憾であると言っております。まことに遺憾であるということは、少なくとも四月に実施をすべきである、こういう立場に立って勧告をいたしておると思います。こうなれば、政府はこの人事院勧告を尊重するという立場をとっている以上は、少なくとも、内容とかいろんな問題は別といたしまして、一応四月にさかのぼって実施をすべきと考えます。で、予算措置を今大蔵大臣は講じていないと言っております。過去におきましての例は大てい一カ年おくれると言っております。従って、これは予算措置の点はやむを得ないといたしましても、四月に遡及して予算措置を講ずるということが人事院の勧告の趣旨と考えるのでございます。従って、尊重するという意思と、いわゆる人事院の勧告に対してまことに遺憾であるという、この点に対しましては尊重しないことになるのですが、この点を再度岸総理にお伺いしたいと思う。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(岸信介君) 先ほどもその点につきまして一応私の考えを申し述べておいたのでありますが、実際上この給与の点におきましては財政の点も考えなければならぬと思います。もちろんわれわれは、財政上の理由だけでこの人事院の勧告そのものを無視するということはいけない。人事院の勧告はあくまでも尊重して、これが実施に政府としては努力をしなければならぬことは当然でございます。しかしながら、財政の点も同時にわれわれとしては責任を持って考えなければならない。こういう点を考えて、実際上一年おくれるということは、予算をわれわれが編成し、また相当額に上るものでありますから、これを責任を持って実施する上から言うというと、これはやむを得ないことであると、かように考えておるのであります。(拍手)
#28
○議長(松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、会期延長の件
 一、日程第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案
 一、日程第二 日本学校安全会法案
 一、日程第三乃至第十三の請願
 一、公務員並びに日雇い労務者の越年資金等生活安定に関する緊急質問
ソース: 国立国会図書館
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