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1959/12/16 第33回国会 参議院 参議院会議録情報 第033回国会 本会議 第16号
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1959/12/16 第33回国会 参議院

参議院会議録情報 第033回国会 本会議 第16号

#1
第033回国会 本会議 第16号
昭和三十四年十二月十六日(水曜日)
   午前十一時九分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和三十四年十二月十六日
   午前十時開議
 第一 熊本県相良、神瀬両ダム建設促進に関する請願
 第二 新潟市周辺の地盤沈下原因究明に関する請願
 第三 零細企業対策強化のための商工会組織の法制化促進に関する請願
 第四 鉱業法の一部改正等に関する請願
 第五 花火工場等の爆発事故防止に関する請願
 第六 東北地方の硫化鉱対策に関する請願
 第七 石炭産業不況対策に関する請願(五件)
 第八 九州地方開発促進法附則第二項に基き国の負担率等引上げの特別法制定に関する請願
 第九 日朝間直接貿易許可に関する請願(七件)
 第一〇 大島つむぎ業者の未交付転廃業資金交付に関する請願
 第一一 中国産羽毛直接輸入実現に関する請願(二件)
 第一二 国立石炭総合研究所設置に関する請願
 第一三 中国地方開発促進に関する請願(三件)
 第一四 農業共済制度改正に関する請願(四件)
 第一五 果樹農業振興の立法等に関する請願(四件)
 第一六 自作農維持創設資金わく拡大に関する請願(二件)
 第一七 昭和三十五年度畜産会事業予算に関する請願(二件)
 第一八 森林共済制度確立に関する請願(二件)
 第一九 不振開拓農家負債整理の立法化に関する請願(二件)
 第二〇 乳価値上げによる酪農経営安定の請願(二件)
 第二一 果樹農業振興のための立法促進に関する請願
 第二二 昭和三十四年産早場米検査等に関する請願
 第二三 福島県小名浜港の外国産麦類荷揚港指定促進に関する請願
 第二四 防災営農振興資金融通措置の立法化に関する請願(二件)
 第二五 米に関する農政施策確立等の請願
 第二六 だ捕船船主中保険未加入者援護対策に関する請願
 第二七 鹿児島県鹿屋市等に国有林解放の請願
 第二八 鹿児島県肝付地区国有林道網整備拡充に関する請願
 第二九 大分県東国東郡海岸線一帯の防潮、砂地造林造成事業促進に関する請願(二件)
 第三〇 沿岸漁業の振興対策等に関する請願
 第三一 甘しよ、でん粉の政府買上げに関する請願
 第三二 奄美大島の零細製糖業者救済に関する請願
 第三三 治山事業特別会計制度創設に関する請願
 第三四 新生崩壊地復旧促進に関する請願
 第三五 北海道の農家負債整理対策促進に関する請願
 第三六 甘しよ、でん粉の価格対策に関する請願
 第三七 新潟県出雲崎漁港修築工事促進に関する請願
 第三八 蚕糸業振興対策に関する請願
 第三九 漁船損害補償法の一部改正に関する請願
 第四〇 漁業共済制度改善に関する請願
 第四一 魚価安定対策に関する請願
 第四二 漁況海況調査の強化拡充等に関する請願
 第四三 積雪寒冷単作地帯の農林業振興促進に関する請願
 第四四 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の適用期限延長に関する請願
 第四五 北海道占冠村に営林署設置の請願
 第四六 水俣病による漁業被害対策に関する請願
 第四七 中海干拓事業等早期着工に関する請願(三件)
 第四八 福島県県南総合農地開発促進に関する請願
 第四九 農業災害補償制度の拡大強化に関する請願
 第五〇 木炭生産合理化に関する請願
 第五一 保安林改良事業予算に関する請願
 第五二 開拓営農振興臨時措置法改正に関する請願(三件)
 第五三 国立療養所特別会計設置反対に関する請願(二件)
 第五四 占領期間中における連合国将兵による被害補償の請願
 第五五 水道事業の用に供する国有財産払下げに関する請願
 第五六 酒類小売マージン引上げに関する請願
 第五七 教育費を所得控除の対象とするの請願
 第五八 たばこ販売手数料引上げに関する請願(百六十八件)
 第五九 鹿児島県鹿屋市に国民金融公庫支所設置の請願
 第六〇 農業課税の適正化に関する請願
 第六一 九州地方開発公庫法制定等に関する請願(二件)
 第六二 九州地方開発公庫設置に関する請願
 第六三 漁業課税の適正化に関する請願
 第六四 積雪寒冷地帯の寒冷による諸経費を所得控除とするの請願
 第六五 松川葉たばこ収納価格引上げに関する請願
 第六六 日本専売公社経営の自主性増強に関する請願
 第六七 上越線長岡、新潟両駅間鉄道電化促進に関する請願
 第六八 北陸本線鉄道複線電化促進に関する請願
 第六九 甲府、長野両駅間鉄道電化促進に関する請願(二件)
 第七〇 関西線鉄道電化区間を加茂駅まで延長するの請願
 第七一 名古屋、中津川両駅間のジーゼルカー運転区間延長等に関する請願(二件)
 第七二 飯山線のジーゼルカー増発等に関する請願(二件)
 第七三 飯山線輸送改善に関する請願
 第七四 石炭輸送用貨車増強に関する請願
 第七五 鉄道貨物輸送力増強に関する請願
 第七六 鹿児島本線西鹿児島、上伊集院両駅間に簡易停車場設置の請願
 第七七 国鉄別府駅駅舎改築等に関する請願
 第七八 国鉄大隅高山駅駅舎移転改築に関する請願
 第七九 国鉄吉備線貨車取扱存続に関する請願
 第八〇 飯田、三留野両駅間鉄道敷設促進に関する請願
 第八一 野岩羽線鉄道等建設促進に関する請願
 第八二 福島県野沢、西方間鉄道敷設実現促進に関する請願
 第八三 福井駅、勝原間鉄道敷設促進等に関する請願
 第八四 国鉄貨物運賃等引上げ反対に関する請願
 第八五 身体障害者の国鉄運賃割引拡大に関する請願
 第八六 小、中学生用紙製品の国鉄小口扱運賃軽減に関する請願
 第八七 文部省基準ノートの国鉄運賃軽減に関する請願
 第八八 秋田市に第三種空港設置の請願
 第八九 佐賀県唐津海員学校移転に関する請願
 第九〇 海難防止及び人命救助対策に関する請願(三件)
 第九一 鹿児島海上保安部に航空機配置の請願
 第九二 福島県の農業気象、水理気象業務の拡充強化に関する請願
 第九三 北海道の気象観測施設整備強化に関する請願
    ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。相馬助治君から、海外旅行のため、九日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) この際お諮りいたします。
 日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案(松澤兼人君外四名発議)(委員会審査省略要求事件)。
 本案は、発議者要求の通り委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。
 まず発議者の趣旨説明を求めます。松澤兼人君。

   〔松澤兼人君登壇、拍手〕
#7
○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案に対し、提案理由の説明をいたしたいと思います。
 まず決議案の主文を朗読いたします。
   日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議
  本院は、政府がアメリカ政府との間に行っている日米安全保障条約の改定交渉を即時打切ることを要求する。
  右決議する。
 以下数項目にわたり、その理由を申し述べます。
 第一の理由は、安保改定交渉が全く秘密裏に進められ、国家と国民の運命に重大な関係のある内容につき何ら知らされていないという事実であります。現在の臨時国会劈頭に、わが党の強い要求により、きわめて簡単な中間報告がなされたのでありますが、これについて、本会議、委員会を通じてわが党から質疑を行なっても内容を明らかにせず、その答弁はあいまいであるのみならず、真実をひた隠しに隠して、国会に対してすら内容の詳細を発表しておりません。われわれはしばしば、国会を解散して、主権者である国民の前に一切を明らかにして、賛成か反対かの意思を聞くべきであると主張してきたのでありますが、これに対しても政府与党は耳をかすことをしないのであります。政府はすでに調印の日程を作り、全権団の人選までいたしておるのに、国民は、いかなる改定がなされるのか、新聞その他によって断片的な内容を知らされているにすぎないのであります。これこそ全く秘密外交、独善外交というべきであって、戦争内閣の閣僚たりし岸総理の本性を遺憾なく露呈しているものといわなければなりません。(拍手)
 第二の理由は、安保改定交渉が、現行安保条約の改正という形をとっておりますが、実質は全く性格の異なった軍事目的を内容とするものであり、日本にとってはかえって不安全を保障する条約となる点であります。新条約はバンデンバーグ決議をその内容の中に生かし、「自助及び相互援助により、武力攻撃に対抗するための能力を維持し、かつ発展させる」ことが規定されることになっているし、日本の施政下にある領域において、いずれか一方の締約国に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものと認め、共通の危険に対処するため行動することになっているのであります。これらの内容を見ますと、新条約は現行条約と全く性格の異なったものであり、明らかに日本国憲法に公然と違反するものといわなければなりません。自衛権、自衛力の問題は議論のあるところでありますが、かりにその言葉を認めるとしましても、防衛義務の双務性は、憲法の規定を逸脱したものであることは言を待たないところであり、憲法第九条は明らかに空文となるのであります。憲法が条約を制約することは理の当然であるのに、条約が憲法を制約するという、法治国においては許すことのできない非理、没理をあえて強行することになるのであります。砂川判決は明らかにこの事実を認識した法理によっているのでありまして、すべての法律、条約は、憲法の明文の中においてのみ正しいという法律常識に基づくものであります。砂川判決に対する上告は、最高裁の判決がただいまあったのでありますが、今後は東京地裁において検討審理されることになり、問題はさらに将来に残されることになったのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)政府は違憲性の明白である改定交渉の打ち切りをなすべきが当然の責務であるといわなければなりません。
 第三の理由は、新条約の締結により、日本と中国との間の関係に救うことのできない破滅をもたらすことを懸念するからであります。岸総理はしばしば、自分は中国を敵視したことはないと述べているのでありますが、現行条約ですら、中国としては不安を感じ、親善友好の障害となってきたのでありますが、新条約においては、共同防衛体制の強化により、防衛能力の増強により、一そうの不安と危険を感ずることは明らかであります。今回の改定により、日中関係はさらに悪化し、事実上は中国を敵視し、仮想敵国と見なすことになりはしないかを、われわれはきわめて憂慮するのであります。国会における藤山外相の答弁によっても、新条約案中に規定されることが予想される極東の概念の中には、中国沿岸から沿海州に及ぶことは明白であり、この地域における作戦行動に協力することは当然に中国国民に対する脅威であり、新条約は、中国に対する公然の敵対関係を設定するものであることは明瞭であります。自民党の有力者が相次いで中国を訪問し、友好関係の回復に努めて来られたのでありますが、おそらくは新条約交渉を打ち切らない限り、現在の状況のもとにおいては日中国交の改善は不可能と見て来られたものと思います。アメリカと運命を共にすることにより、アジアにおいて最も有力であり、長年の友好国であった中国を敵に回すことは、日本民族として断じて容認できないところであります。(拍手)新安保関係に入り込むことによって、かえって危険が増大する事実を忘れてはなりません。(発言する者多し)
 第四の理由として、新条約の内容には不確定要素がきわめて多いということであります。報道されている条約案を検討してみましても、まず「極東」とはいかなる地域を言うのか、在日米軍に対する基地の提供には制限があるのか無制限なのか、事前協議は同意権または拒否権を含むものであるかどうか、米軍の装備の中には核兵器は含まないのか含むのか等々の問題は、日本社会党の同僚議員からの質疑に対して、その答弁はきわめてあいまいであり、全くつかみどころのないものであります。「アメリカ軍隊の配備及び装備に関する重大な変更を行なおうとするとき、日本国内の施設及び区域を日本防衛以外の目的で作戦行動に使用するときは事前協議する」との規定を、条約中にまたは交換公文の中に挿入することにより、何らの不安を感じないと政府は答弁しているのでありますが、このようなあいまいな取りきめでは、国民は納得することができないのであります。作戦、用兵は緊急の事態であります。アメリカ軍隊がすでに日本防衛以外の作戦行動に入った場合、用兵上の必要が事前協議における同意などを無視することは容易に想像されます。戦争、作戦、用兵は常にそういうものと考えることがむしろ当然であります。さらに一歩を譲って、協議が同意を含むものであれば、何ゆえにこれを明文化しないのか。さらに、なぜ条約の本文の中に明記しないのか、国民は納得がいかないのであります。さらに、行政協定に至っては今なお交渉中であり、その詳細は明らかにされておりません。このような不確定要素をそのままにして、アメリカの善意をのみ信頼して条約を締結することは、国家の運命と国民の幸福とを白紙委任の形で譲り渡す結果になることをおそれるものであります。(拍手)国民は、その内容とともに、このような無条件委任の形に恐怖ともいえる不安を感じていると言っても過言ではありません。
 この際、特に総理並びに各位の注意を喚起したいことがあります。それは、最近の新聞紙上に取り上げられている吉田・アチソン交換公文と新安保条約との関係であります。この吉田・アチソン交換公文が、その効力を継続し、新条約の中に何らかの形において取り入れられるとすれば、事前協議は空文にひとしく、全く実効を持たなくなる疑義が生じてくるのであります。アメリカ軍隊が国連軍として行動する場合は、吉田・アチソン取りきめにより、行動の自由が保証され、個々の行動についても、全体の戦略決定にも、日本の発言権はないことになっており、当然のこととして、これまで日本基地から朝鮮に出動する場合にも、アメリカ軍は日本の制約を受けていなかったのであります。万一、朝鮮に新事態が起こり、アメリカ軍が国連軍として新たな行動をとった場合に、もしも吉田・アチソン交換公文が新条約の中に取り入れられるとすれば、日本政府は、アメリカ軍の行動に関し、また日本基地の目的外使用に関して、国連軍の資格を有する限り発言権を有せず、同意を与える以外に拒否の態度を表明することができないのではないか。在日アメリカ軍が、現に固有のアメリカ軍として、また国連軍として、二重の性格を持っているとすれば、日本政府は、いかにしてこれを識別し、事前協議の条項をこれに適用し、事前協議をアメリカ側に要求し、または事前協議なきことに対して抗議を申し入れることができるでありましょうか。また、新たに台湾海峡に事態が発生し、在日アメリカ軍が国連軍の資格を取得した場合には、事前協議の対象とならず、無制限に日本基地を使用することができることになる可能性が生じてくるのであります。これは明らかに新条約の事前協議の趣旨を没却する結果となることは当然であります。外相の中間報告においてこの点に言及がなく、今に至ってこの事実を指摘された場合に、国連軍として行動する場合にも事前協議の対象とするとのあいまいな答弁では、われわれは納得ができかねるのであります。過日の外務委員会において、同僚吉田、佐多両委員の質問に対して、「吉田・アチソン交換公文は継続するが、米軍の出動に対しては、国連軍の資格の場合でも事前協議の対象とすることに両国が原則的な了解に到達した」との発言があったのでありますが、米国側の報道によれば、国連軍として朝鮮において行動する場合は、事前協議を必要としないし、米軍の出動に関して日本に絶対的な拒否権は与えられないとの見解が明らかにされているのであります。これは、明らかに意見の一致をみたのではなく、両者の間にはなお調整を要する重要な問題を含んでいることを示すものであります。原則的一致をみたということは日本側の認識であって、米国政府の態度に信頼するというだけのことであり、国民としては、はなはだ不安に感ぜざるを得ないのであります。要するに、新条約の内容は、現在においてもなお日米間に意見の食い違いがあり、いまだ完全に消化されておらず、今後もこの種の問題が発生する可能性が多いとともに、この意見の食い違いが枝葉末節の問題ではなく、日本の外交そのものにかかわる、また従って、日本国民の運命にかかわる重大な問題であり、これを調整する場合に、いわゆる日本の自主性は尊重されず、一方的にアメリカの要求するままになる結果となり、われわれがアメリカ従属外交という不安と恐怖の性格がいよいよ濃厚となってくるのであります。(拍手)端的にいえば、この新条約は、さらに検討を要する問題点を多く含み、性急に調印すべき段階には至っていないことが明らかとなったのであります。岸首相は、この際、権勢に対する野望を一擲して、一切を白紙に還元して、交渉の打り切りを断行すべきものと考えるのであります。
 第五の理由としては、米ソ両巨頭の相互訪問により、また国際情勢の最近の変化により、緊張が著しく緩和されている今日、相互防衛を中心とする安保の改定を強行する政府の不可解な態度をあげることができます。米ソ両巨頭が、国際問題を力によらず交渉による平和的方法で解決することの合意を見たという歴史的な事実を、政府、自民党は何ゆえに率直に認めず、これを過小評価しているのでありましょうか。国際情勢に対する認識不足か、さもなければ何か底意あってのことではないかと疑わざるを得ません。それは、政府、自民党が本質において、力による平和、軍事力増強による安定という、旧観念にとりつかれているからと断ぜざるを得ません。日本も加わっている国連の軍縮決議や兵力の引き離しの考え方、バンドン会議に示された中立と平和の観念など、新しい国際関係の動きは見のがすことができません。日本こそ、平和憲法を持ち、世界の軍縮を促進する人類的責務を遂行するにふさわしい立場にあると考えなければなりません。それにもかかわらず、新安保条約案は、日本に対し、武力攻撃に対抗するための能力を維持し発展させなければならない義務づけをしているのであります。言葉をかえていえば、日本の代表も支持した軍縮決議の趣旨にもとる軍備拡張を条約の中でうたっているのであります。かかる考え方が、米ソ両首脳の会談の意義を否定し、その成果を過小に評価する原因となっているのでありまして、認識不足、時代錯誤もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)
 最後に、防衛費の増大とその国民生活への圧迫について申し述べます。新条約における防衛力の増強の要請については、上に述べた通りでありますが、現在ですら、防衛関係費は国家予算の相当の部分を占めていることは、われわれのつとに指摘しているところであり、三十四年度予算について見ましても、防衛関係費は一千五百三十六億円であって、国の総予算の一一%を占めております。総額においては著増を示しておりませんけれども、これは防衛支出金が累年減少しているからであって、固有の防衛庁費は明らかに著増を示しており、この傾向は、安保改定により、能力の発展という至上命令によって、さらに急増することは明らかであり、安保改定と表裏一体をなす第二次防衛整備計画によれば、昭和四十年度には約三千億円に達することが予想され、防衛費の国民生活圧迫が漸次顕著となってくるのであります。固有の防衛庁費のほかに、国庫債務負担行為及び継続費の増加は実質的な庁費の増大であるから、一応は一般会計予算からはずされていても、その増大は国民生活に対する圧迫となり、治山治水、農林水産業、中小企業、教育、社会福祉に対する財源の不足となり、国の健全なる発展の障害となることは当然であります。われわれは、本年一年の風水害や台風の被害を振り返って見ますならば、これらが天災にあらずして、人災であり政治災であるとの声は、災害地に強く起こっていた事実を忘れることはできません。この災害に多大の損害を受けられた罹災者の間に、ロッキード一機買う金があったならばという悲痛な叫びがあったことは、総理もよく承知せられていると思うのであります。(拍手)防衛に使用される予算が国民生活にいかに密接につながりがあるかを、災害の場合には特に身にしみて感じたことでありましょう。国家予算や財政について深い知識や関心のない国民でも、こういう事態に遭遇すれば、災害復旧のための国庫支出を要望し、それが不可能の場合や不足の場合には、本能的に防衛費の国家財政圧迫を理解するのであります。国家総予算に対する防衛関係費の割合がなお憂えるに足らないとする見解もありますけれども、今にして防衛費の急増を押さえなければ、ここ数年のうちに、これが、日本国民の健康で文化的な生活の確保に対して、重大な、致命的な影響を与えるであろうことは必至であります。(拍手)しかも、このことは、日本国民の知らない間に、知らない所で、アメリカの戦略目的のために惹起された戦争に対して、新条約の規定から当然に日本も引き入れられ、アメリカの基地があるという理由によって日本が爆撃される危険にさらされることになるのであります。日本国民はだれしも日本の独立を愛し、平和をこいねがい、世界の平和の中に、豊かに文化的な生活を営みたいと念願をしております。世界の指導的政治家が、話し合いによって緊張を解きほぐし、話し合いの場を広くして、武力の制限と軍備の縮小をはかり、人類を絶滅する核兵器の使用を禁止して、平和的共存に進もうとしているときであります。日本政府は、この平和的進歩に対して、力によらなければ平和は確保されないという、およそ前時代的な旧思想に支配された外交を進めていることは、時代逆行もはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)外交は、国民の素朴な気持を正しく代表するものでなければなりません。歴代の保守政党がとってきた、岸内閣においていよいよ露骨になってきたところのいわゆる安保体制なるものは、戦時体制の近代版でありまして、教育を統制し、労働者の基本権を抑圧し、自由と人権に制約を加えようとするものであり、やがては、新安保条約に派生する秘密保護法や国家保安法のごときものが当然日程に上がり、警職法の改正も随伴することは、容易に想像されるのであります。これは、やがて憲法の改正を強行し、国家あって国民なく、防衛あって自由なき、みじめにして希望なき国民生活を強要する結果となるのであります。(拍手)良心的な学者や、将来を思う勤労国民が、改定を阻止し、打ち切りを要望する悲願の真意は、かかる危険を予想するからであります。
 われわれは、政府、自民党が、この際、国民の率直な平和愛好の声を聞き、国際情勢の新段階に対処して、現在進行中の安保改定交渉を即時中止して外交路線の切りかえに踏み切ることを強く要望して、この決議案の提案理由の説明を終わります。(拍手)
#8
○議長(松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。井上清一君。
   〔井上清一君登壇、拍手〕
#9
○井上清一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程されております日米安全保障条約改定交渉の即時打ち切りを要求する決議案に対しまして、反対の意を表明いたしたいと思います。
 そもそも現行安保条約の改定は、ここ数年来の国家的懸案であり、かつ、国民のひとしく念願してきたところでありますが、幸い、日米両国政府間の交渉も現在きわめて順調に進捗し、遠からず妥結を見る段階にあるのであります。しかるに、社会党、共産党は、安保条約の一方的破棄を示唆しつつ、改定交渉の打ち切りを主張しておられるのであります。この点、われわれとの間に根本的な認識、考え方の相違があるのであります。私は、ただいま交渉打ち切りの決議案について提案者の趣旨弁明を承ったのでありますが、その主張は、国際情勢の認識把握等におきまして、きわめて独善かつ一方的な見方に終始し、その立論は、わが国の平和と安全を心から念願する者にとりまして実に危険千万、あたかも薄氷を踏むの思いがいたしたのであります。(拍手)ことに、決議案の提案者諸君は、従来、現行条約が不平等であるとか、片務的であるとか、あるいは米国に従属するものであるとか言って、一貫してその改定を主張してきたのでございますが、政府が、今回その片務性、不平等性の改定にとりかかりますや、にわかにその態度を一変し、安保条約改定阻止を提唱するに至ったのであります。このことは、国家の存立にも関する重大な外交問題に関し、きわめて無責任なる態度でありまして、遺憾しごくと申さなければなりません。さらに、改定交渉打ち切りの主張あるいは現行条約の廃棄論を検討いたしまするに、いずれも抽象的なる話し合いによる平和論に終始し、従来発生いたしました多くの国際紛争の歴史的現実を全く閑却したものでございまして、わが国の平和と安全を保障する手段としての日米安全保障条約にかわるべき、現実的な、しかも効果的な代案を何ら示しておらないのであります。(拍手)このような議論は、われわれとして、とうてい納得し得ないところであります。また、この問題をさらに掘り下げて考えまするならば、たとえば、全学連の安全保障条約改定阻止大会のごとく、国政に直接の責任のない人々の集会でありまするならばともかく、いやしくも国権の最高機関である国会におきまして、きびしい国際的現実に眼をおおい、何ら建設的な代案を伴わない、空虚にして独断的なる論議を繰り返しますこと自体、はなはだ軽率不謹慎のそしりを免れないと考えるのであります。(拍手)私は先般、安保改定阻止を叫び、国会になだれ込んで参りました国会デモ隊の姿を目のあたりにし、わが国の民主主義のために実に暗たんたる気持を抱いたのであります。本決議案の提案者は、理由書の末尾を、「安保条約の改定は、主権者たる国民の意思に反する暴挙であって、民主政治を根底よりくつがえすものである」と結んでおりますが、先般の国会乱入事件こそは、無責任なる一部左翼指導者の扇動による暴挙でありまして、これこそ、まさに議会政治を根底よりくつがえすものと断ぜざるを得ないのであります。
 申すまでもなく、われわれは、人間の自由と尊厳に立脚した自由民主主義の理念をあくまでも追求するものでありまして、これこそまた、わが憲法の根本精神であります。国際情勢が緊張緩和に向かっておるといないとにかかわらず、このような理念をあくまで追求しようとするわれらの決意は絶対に変わらないのであります。しかるに、現在の世界情勢を冷静に観察いたしまするならば、一方において、このような理念を否定し去ろうとする巨大なる勢力が常に働いていることを見のがし得ないのであります。このような勢力は、あるいは直接に武力攻撃の形をとり、あるいはまた、一見平和的な装いのもとに、間接的に浸透作戦の形をとって現われるのであります。われわれといたしましては、たとい現在武力紛争の危険が世界から遠ざかったように考えられましても、自由民主主義の理念に対する潜在的攻撃は、形を変えて常に執拗に続行される可能性があることを十二分に意識し、また警戒しなければならないのであります。(拍手)しこうして、わが党といたしましては、わが国がこのような理念をあくまで守り抜くためには、政治理念をひとしくする諸国家と固く結びつくことにより、一致してこのような破壊的勢力の侵入を防ぎとめることが絶対に必要であると判断するのでありまして、日米安保条約こそは、ひとえにこのような趣旨に基づくものであります。この条約が本質的に防衛的平和的なものであることは、その内容によっておのずから明らかであります。これを目して、軍事同盟であり、また、故意に危険な緊張状態を作り出すものであるというがごときは、その本末を全く転倒するものであります。(拍手)このような考え方こそは、わが国を孤立化し、ひいては、われわれの信奉する自由民主主義の秩序を危うからしめようとする勢力に乗ぜられる危険があるのであります。
 日米安保条約が戦後今日までわが国の安全と繁栄のために果たして参りました役割、そうして今日さらに合理的に改定しようとする趣旨及び改定条約の具体的内容等につきましては、すでに岸内閣総理大臣及び藤山外務大臣より、おりに触れて十分に説明されたところでありまするので、ただいま私がこれに言及することを避けたいと存じます。ただ、本決議案の持つ重大なる誤謬の二、三点について、特に申し上げておきたいと思うのであります。
 本決議案の趣旨弁明によりますと、安保条約改定の本旨をしばしば曲解しておりますが、われわれ国民にとって最も大切なことは、安保条約そのものが必要であるかどうかという本質的な問題であります。すなわち、
 私が第一に指摘したいことは、われわれは、現実の国際情勢のもとにおいては、日米安保条約を絶対に持続しなければならないという認識に立つものであります。一方、提案者は、必要なしという前提に立って、交渉打ち切りの本決議案を上程されたのであります。もとより、完全なる軍備の撤廃、世界平和確立の推進は、われわれのかねてから念願といたすところであります。この目的達成のため、国連を中心とする国際外交におきまして、わが政府代表が果たしておりまする世界平和への努力は、衆目のひとしく認めるところであります。しかしながら、完全なる軍備の撤廃、世界平和確立の理想の達成は、国連の努力にもかかわらず、遺憾ながらなお日時を要するものと思われます。従って、今日、自由国家たると共産国家たるとを問わず、世界の各国間では、二国間あるいは多数国間で集団安全保障体制を作り、自国の安全をはかるという、集団自衛方式が依然としてとられておりまするのが現実の姿でありまして、わが国もまたその例外であり得ないことは理の当然であります。提案者の方々は、一体、現在の国際情勢のもとにおいて、集団安全保障体制そのものを否定されるのであるかどうか。あるいはまた、共産陣営に隷属することを希望されておるのかどうか。私は、はなはだ理解に苦しむのであります。
 第二に、日米安全保障条約を持続するといたしまするならば、現行条約を現実の情勢に合致するよう合理化することが必要であります。すなわち、現行安保条約は、わが国の独立回復に備えてとられました暫定的なものであり、その後わが国の国際的地位も著しく向上し、国力も充実発展して参りまするとともに、不平等な点、不備な点、実情に合致しない点が明らかになってきたのでありまして、これを現実の姿に即応するよう改定することはまことに当然の措置であると言わなければなりません。従来、片務的、不平等であると攻撃して参りました諸君が、たとえ戦術的方法によるにせよ、現行安保条約を存続し擁護しようとするような態度は、全く不可解千万と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 第三に、趣旨弁明は、安保条約の改定を、ことさらに日米間の軍事同盟を強化すると申されますが、先般、藤山外務大臣の国会に対する中間報告でも明らかなごとく、改定案は、特に日米間の政治、経済、防衛の三面にわたる緊密化を強調しており、ことにわが国憲法との関係については十分な考慮が払われているのであります。いわゆる軍事同盟とは、趣旨におきましても形式におきましても全然異なるものであります。全くいわれなき言いがかりであると言わざるを得ないと思うのであります。
 以上が趣旨弁明に対する反対の理由でありますが、安保条約の改定は、国民大多数の熱望するところであると同時に、変転する国際情勢のもとにおいて、緊張が緩和するといなとにかかわらず、わが国の今後の安全と平和を守り、その民主主義的繁栄を保障する最良の手段であることを固く信ずる旨を明らかにいたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(松野鶴平君) 吉田法晴君。
   〔吉田法晴君登壇、拍手〕
#11
○吉田法晴君 私は、ただいま議題となりました日米安全保障条約改定交渉の即時打ち切り要求決議案に対して、日本社会党を代表して賛成の討論をなさんとするものであります。
 賛成の第一の理由は、何よりも、この安全保障条約の改定は、名は安保条約の改定でありますが、実はバンデンバーク決議の内容を取り入れ、日米の軍事共同行動を可能にする新しい軍事同盟条約を作らんとするものであって、緊張緩和、雪解けの世界の大勢に全く逆行して、緊張をアジアにおいて激化せんとするものであるからであります。(拍手)原水爆の大量生産を背景に、巻き返し政策を推進せんとするアメリカを中心とする力の政策は、ソ連をして、これに対抗し、原水爆の発展と、これを運ぶ大陸間弾道弾の研究にかり立てました。力の政策は力の対抗を呼び、原水爆の製造、実験、貯蔵は、その増加の一途をたどり、全人類の死滅を意味する最終戦への道を刻一刻たどらしめつつあります。しかし、この大国間の原水爆の大量生産と、IRBM、ICBMなど、これを運ぶ弾道弾兵器の発達は、いかなる国においても、アメリカにおいてさえ、原水爆の攻撃に対してみずからを守り、自国民の死滅を防ぐことは不可能だということを教えました。いかなる戦争も、たとえ局地戦、限定戦争と呼ばれるものであれ、それが原水爆を使う限り、直ちに原水爆の世界戦争となり、人類の死滅をもたらす最終戦になることは、スエズ動乱あるいは台湾海峡の緊張を通じてもわれわれは知ることができました。このような人類の死滅を意味する最終戦への危険を取り除くこと、これが今日最も重大な世界政治の課題であります。力の政策は明らかに行き詰まったと言わなければなりません。力の政策は、人類の死滅を望まない限り、明らかに転換されなければなりません。力の政策から外交による話し合いの政策に、政治、信条の相違にかかわらず、競争的に共存する政策に変わらざるを得ないゆえんがここにあります。キャンプ・デービッドの会談の結果、「今後あらゆる問題は、武力によって解決するのでなく話し合いによって解決する」という共同声明が発せられたことに対し、世界が歓呼の声をあげて歓迎したのは、けだし当然でありましょう。岸政府が安保条約に調印し、批准を強行せんと意図しておる来春には、さらにアイゼンハワー米大統領がソ連を訪問し、引き続き四大国首脳会談が開催され、世界の雪解けが決定的なものになろうとしておりますが、日本だけがアジアにおいて、戦争の危険、侵略の危険をことさらに強調し、アメリカが話し合いと対立の緩和をはかろうとするソ連、また、国際緊張緩和の話題の中に必ず入ってくる中国、アジアにおける日本の最大の関係国たる中国を、しいて仮想敵国とし、それに対する共同の軍事体制を強化しようとする条約の調印を行なおうというのであります。かかる安保条約の改定は、何らその必要がないばかりでなく、世界の大勢にまさに逆行するものであることは明白であります。(拍手)こうしたソ連、中国を仮想敵国とする軍事体制の強化をはかりながら、中国を敵視せず、貿易だけはやりたいと言っても、それは、右手でこぶしを振り上げ、左手で握手を求めるものであって、不可能と言わざるを得ません。かくて安全保障条約の改定は、日中の国交回復を不可能にするばかりでなく、日本をアジアの孤児たらしめるものであります。
 安保改定交渉即時打ち切り賛成の理由の第二は、安保条約の改定が、従来の軍事基地提供のための条約から軍事的共同行動をとるための条約に切りかえられ、日本及び日本の周辺において戦争を可能にするものであり、核兵器の持ち込みや自衛隊の核武装と相待って、日本を原子戦争に実際に巻き込む危険を持つものであるからであります。改定草案第五条は、日本の施政下にある領域におけるいずれかの一国に対する武力攻撃があった場合には、日本及びアメリカの平和及び安全を危うくするものと認め、共同行動をとることを規定し、第四条は、日米いずれか一方の国が極東または日本国における国際の平和と安全が脅かされていると認めるときは、共同行動について協議すると書かれる予定といわれております。協議の実体が実質的なものでないものであることは先ほど触れられました。日本はこれにより戦争に巻き込まれるだけでなしに、積極的参戦の義務を負うことになるのであります。米軍の核兵器の持ち込みについても、これを交換公文の中に譲り、事前協議に譲っておりますが、これを拒否し得る規定と権限が明確でないことは、国民のひとしく憂うるところであります。現に沖縄には、すでに原子兵器が持ち込まれ、アジアにおける最大の原水爆基地ができており、日本の基地がこれを守る役割を課せられていることは周知の事実でありますが、韓国にも原子兵器がすでに持ち込まれております。原子兵器をすでに持っているアメリカの陸、海、空軍と共同行動をとるべき日本の自衛隊も、第二次長期防衛計画の中で、漸次弾道弾兵器の開発と装備を強化すること、及び近代装備と称して原子兵器を持とうとしていることも事実であります。われわれは、新安保条約が相互軍事同盟条約であって、極東の平和と安全のためと称して米軍が勝手に行動し、日本の施政下にある領域内の米軍の基地に対する攻撃を日米の平和と安全を危うくするものとして共同行動をとることになると、日本が戦争に巻き込まれる危険性があると従来主張をして参りました。政府は、事前協議が同意を含むものとして、日本が同意しなければ米軍が勝手に出動することはないと答弁をして参りましたが、しかし、吉田・アチソン交換公文と同趣旨の交換公文を取りかわすということから、従来のわが党の主張が全く正しかったことが証明されました。この問題については、別に緊急質問も予定されておりますから、私は結論だけを指摘するにとどめますが、第一、国連軍が朝鮮に出動する場合は協議を要しないで、従前同様日本に断わりなしに出動できるという趣旨の交換公文を取りかわしたい、こういうのであります。藤山外相としては、この国連軍の出動も協議の対象としたいと考えている、あるいは了解がついていると答弁をしましたけれども、すぐその翌日には米国側から否定的な見解が伝えられて、大きな問題として残っているということを明らかに示しております。(拍手)協議の対象としても、日本が国連の決議と国連軍の行動を支持する建前をとる以上、協議は形式的で、断われない、あるいは断わらないだろうということが明らかに考えられるのであります。第二は、国連軍と米軍とは区別しがたいということ。第三に、国連軍は、いわゆる朝鮮動乱関係だけでなく、その他の地域についても、国連が決定をすれば、国連軍の範囲は拡大するということが明らかになったのであります。協議というものがいかなるものであるか、事態は今や明白であります。戦争の危険は明白にございます。
 安保改定交渉打ち切り要求決議に対する賛成の第三の理由は、安保改定が、再軍備の強化と、これによる国民生活の破壊をもたらすのみならず、警職法の改悪、秘密保護法、防諜法のみならず、多くの弾圧法規や民主主義を全面的に否定する諸法令と体制ができ、再び、過去の失敗、いな、再び繰り返すことのできない運命の失敗を繰り返すだろうとして、国民各階層があげて反対しているからであります。安保条約改定の内容や条文のことなどを知らぬ国民も、こうした危険性を皮膚で感ずればこそ、いろんな角度から心配もし、条約改定に反対をし、その交渉打ち切りを政府に要求をしておる次第であります。(拍手)労働者や学生はもちろん、国民のあらゆる階層を網羅し、全市町村に及んでいる原水爆禁止運動の代表者は、安保の改定が原水爆戦につながるものとして反対し、夫と子供の安全、家庭の平和と幸福をこいねがう全国の母親などは、その大会において、家庭の幸福と夫や子供の生命をおびやかす安保条約の改定に反対の意思表示をいたしました。さらに、文化人やジャーナリスト、宗教界、教育者は、かつて満州事変前後、言論の抑圧と人権の制限、戦争の拡大と軍国主義のばっこを防ぎ得なかった失敗を再び繰り返してはならぬと、安保条約改定阻止のために必死の努力を続けておるのであります。草案第三条により、武力抵抗の能力、近代装備による再軍備強化の義務を負う日本は、それによって国民生活を破壊されると、合理化首切りの犠牲を負わされる労働者は安保につながるこの首切りに反対し、災害関係者は、ロッキード一機分の金が工事当時あったら伊勢湾台風による惨害はなかったであろうと、ロッキードの金を災害対策に回せと真剣に主張しております。ロッキード二、三機分で赤い羽根の一年分の金額に相当し、年の瀬も越せぬ生活要保護者に年越しのもち代が支給できるし、炭鉱失業者に救済の手が差し延べられると、ロッキードより社会保障にという要求が国民の中から起こっております。(拍手)
 最後に私は、これら国民の素朴な感情を表わすものとして、十一月二十八日の一会社員の妻の投書記事を紹介したいと思います。それにはこう書いてありました。「デモに参加はしなかったが、私たちのように、コタツに入ってお茶を飲みながら、家計簿とにらめっこしながら反対している人もいるのです。夫のように、よくやったと手を叩いている人もいます。夫も中小企業ですので、私は夫の気持もよくわかります。夫は、問題は今の政治のやり方だよ、ロッキードにしろ、ベトナム賠償にしろ、シャクにさわらないかと言います。政府の反省を促すのに、われわれは一体どうしたらいいんだ、ちっとも反省しないじゃないか」、こうして安保条約の問題について論及をしております。
 私は、日本社会党を代表するだけでなく、平和を愛し、幸福をこいねがい、何よりも人類の滅亡をもたらす原子戦争への道を何としても防がねばならぬという真剣な国民の悲願を代表して、良識ある参議院の同僚議員諸君が、この安保改定交渉即時打ち切り要求決議に賛同あらんことを切望して、賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
#12
○議長(松野鶴平君) 永末英一君。
   〔永末英一君登壇、拍手〕
#13
○永末英一君 私は、社会クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました日米安全保障条約改定交渉即時打ち切り決議案に対しまして、賛成の意見を申し述べたいと存じます。
 一年有半にわたります岸内閣による安全保障条約改定交渉は、今や大詰めに近づきつつあります。ところが、この交渉を進めるにあたって岸内閣がとりきたった独善的秘密主義は、国民の共感を得るところではございません。さらに、その内容が国会における論議によってほぼ明らかになりました現在、なお国民はこれに対して大きな不安と疑惑をもって迎えておるのが実態であります。事が国内の問題でありまするならば、政府、国会の決定は敏感に国民の世論に反映をいたし、その世論の力によって、もし世論がこれを否といたしまするならば、早い機会に改めることができます。しかしながら、国際的な問題はそうではございません。日本国だけの理由によって勝手に国際的取りきめを変更することは容易ではございません。従って、外交に関する問題は、十分に世論に問い、世論の熟するところを待ってこれを行なうべしとせられておるのはあたりまえのことでございます。昔の専制君主国ならいざ知らす、外交の失敗を生命をもって尻ふきをさせられて参りました現代の大衆民主国家の国民が外交の問題に大きな関心を持つのはあたりまえのことであり、わが国の国民もまたこの観点に立って安保改定交渉の成り行きを見守っているのであります。安保改定に対して幾度となく行なわれました世論調査の結果は、一様にわれわれに次のことを教えております。すなわち、岸内閣の方針通り安保改定を行なえというのは、その力わずかに国民の一割にも満たないという事実であります。安保条約そのものを廃棄せよと主張するほぼ同じ力の人々を反対の極に置きながら、国民の大多数は、この問題の意味をはかりかね、判断を下しかねて、ちゅうちょ逡巡しているのが実態であろうと存じます。一体、このような状態は何に基づくか、われわれはそれを静かに考えなくてはならぬと思うのです。
 私どもはこの世論を生み出す二つの柱があると思う。
 第一は独立への願望であります。間違った戦争指導の結果、与えられた敗戦の廃墟に立った国民は、アメリカ軍の占領に対して激しい反応を示しはしませんでしたが、日本人らしい英知をもってこれをこなして参りました。しかしながら、だれ一人としてこの占領を手放しで歓迎した者はなかったはずです。さればこそ、一九五一年、サンフランシスコにおける平和条約の締結にあたっても、世論の大勢は、この内容を十分検討することなく、独立への第一歩として認めたにすぎません。今や、独立を指向する国民の世論は、軍事的なアメリカへの従属の鎖を何とかして断ち切りたいと期している。さればといって、それが同時に、ソビエトや、あるいはまた中国につながれる結果になりはしないかということを危惧しております。独立の道は何か、この国民の模索が世論を生み出す第一の柱であります。
 第二は平和への希求です。戦争と平和はわが掌中にあるというような思い上がったでっち上げの天孫民族の思想は、敗戦によって徹底的にたたきのめされました。戦後十五年にわたる国際社会での経験は、われわれに次のことを教えている。すなわち、われわれ日本国民だけが戦いを求めずにおれば日本の国土には平和の女神が永遠にほほえむであろう、というようなセンチメンタリズムだけでは、平和を確保することはできないということであります。平和の維持には、われわれ日本人の努力はもとよりであるが、世界各国民の平和への協力が不可欠のものであります。平和の道はどこにあるか。この国民の探求が世論を生み出す第二の柱であると存じます。
 これら二つの柱によって生み出される世論のいわんとするところを率直にくみ取るならば、次のようになると存じます。第一、独立への要望は、何よりもまず国際政治における自由な手を取り戻すことを要求しております。従って、安全保障条約改定は解消への方向を指向すべきであると存じます。(拍手)第二、平和への希求は、流動してやまない世界の情勢に即応し縛る柔軟性を要求しております。日本の安全をいかにして守るかということに対して、われわれには考えがある。安全保障条約は、このわれわれの方針に照らして段階的に改変せらるべきであると存じます。
 しかるに、岸内閣は、これらの世論の望むところ、われわれの言うところに従わず、しかも、安保体制に重要な影響を持つ砂川事件に対する最終的な判断も下されないうちに、一方的に安保改定への道を驀進しつつあります。一週日前、実質上の交渉の終結が報ぜられたり、明春早々に調印の日程を組んだり、また、全権団の人選を進めているなどと伝えられておりますが、これは民主主義に反する独裁への転落であると断ぜざるを得ません。(拍手)さればこそ、世論は、岸内閣のやり方に対して深い疑惑と不信の念を持って、判断を下すのにちゅうちょ逡巡しているのが実態であろうと存じます。私どもは、岸内閣が世論を尊重する民主的政府でありたいと望むならば、よろしくその安保改定の手続を凍結して、静かに国民の世論を聞くべきであると考え、以下二つの論点をあげましてわれわれの見解を明らかにしておきたいと存じます。
 第一、政府はこの改定によって、バンデンバーグ決議を実質的に盛り込んだ相互防衛条約をアメリカとの間に取り結ぼうとしております。すなわち、伝えられる案文によれば、第三条において、自助および相互援助による防衛力の増強を約束し、第五条において、共同防衛義務を負担するなどという、憲法違反の疑いきわめて濃厚な取りきめをしていることは、われわれの断じて容認し得ないところであります。さらに、極東の平和と安全のための米軍出動や、米軍の配備や装備に関する重要な変更を、事前協議というきわめてあやふやな言葉に託して逃げ込もうとする態度は、吉田・アチソン交換公文の問題とともに、無責任きわまりないものといわなくてはなりません。従って、保守勢力内部でも、常時駐留を取りやめ、有事駐留にすべきであるとか、米軍駐留目的を厳格に日本防衛に限れとかいう意見があるのは当然であります。これらの所論への十分な配慮すら払わず、一気に押し切ろうとする態度は、岸、藤山両君の政治的延命への狂奔の現われであると見られてもいたし方があるまいと存じます。政府はこれらの点をごまかすために、この改定が日米両国間の経済的協力とも取り付けるものであるかのごとき、うたい文句をつけておりますが、このことによって、政府みずから逆に、かえってこの底意をあらわにしたものというべきであります。私どもは、このような危険な内容を持つ改定の進め方をここでぴたりと停止すべきであると考えます。
 第二に、大戦による各国民経済の荒廃はようやく回復の糸口がつき、さらにまた、成長の道を歩んでおります。ところが、他方、核兵器と誘導弾、弾道弾の開発は、右のような経済的発展の前途にどす黒い暗雲を投げかけている。(「学校へ行ってやれ」と呼ぶ者あり)すなわち、戦争の勃発は、その参加国に勝敗を帰結するのではなく、人類そのものの破滅をもたらすものと考えられるに至っている。学校の話ではございません。みんなそう思っている。人類がその英知を誇り得るとするならば、それは史上最大の破壊力を持つ核兵器を生み出したところに求められるのではなくて、今や、その巨大なエネルギーを制御し、進んで、核分裂、核融合、ロケット推進力やエレクトロニクスに関する知識を、全人類の平和としあわせのために統制し得るかいなかにかかっている。この問題を解決することは、二十世紀後半における人類が長い全人類の歴史に対する最大の課題であります。国連における軍縮決議案の可決、フルシチョフ首相の訪米、アイゼンハワー大統領のヨーロッパ・アジア各国訪問、さらに、これら両者の会議が予定せられているのは、この世界世論の象徴である。これをおわかりにならないのは頭がかたい。(拍手)さらに、さらさらと流れ落ちるこの雪解けの流れに、われわれ日本国民もまた積極的に参加して、人類史への責務を果たさなければなりません。しかるに、岸政府は、この流れに抗して、軍事同盟強化を内容とする安保改定を一方的に強行しようとしております。安保改定は、アメリカの国際政治にとっては一小局所の話でございます。しかし、われわれ日本国民にとっては、すべてである。岸政府の偏狭固陋な政策は、直ちに中国の対日警戒心を激化し、ひいては、その核武装にまでも至らしめるおそれがあります。このような危険な状態をさらに十年も続けようと企てるに至っては、一体、岸首相は目おおいをした競馬馬のように、どこへ一体われわれ日本民族を引っぱっていこうとするのか。(拍手)国際情勢の動きを体得し、彼我の力を正確に評量し得たシーザーは、ルビコン河を渡って成功しましたが、しかしながら、世界政治の流れをつかまず、我の力を過信して彼の力の計算を誤った東条君は、清水の舞台を飛び下りて、一体われわれ日本民族に何をもたらしたか。岸首相、あなたこそがそれを一番よく知っている人間ではないか。われわれはこのような観点から、安保改定交渉はこの時点で打ち切り、日本の平和と安全とを世界の平和の中で体制化する新たな方途を求めるべきであると考えております。
 以上、打ち切りの提案に賛成する次第であります。(拍手)
#14
○議長(松野鶴平君) 田中茂穂君外一名から、成規の賛成者を得て、討論終局の動議が提出されております。
 これより本動議の採決をいたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって討論は終局することに決しました。
 これより本案の採決をいたします。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#16
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#17
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#18
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数  百九十二票
  白色票    七十四票
  青色票    百十八票
 よって本案は否決せられました。
     ―――――・―――――
 賛成者(白色票)氏名  七十四名
   市川 房枝君  須藤 五郎君
   野坂 参三君  岩間 正男君
   竹中 恒夫君  辻  政信君
   千田  正君  鶴園 哲夫君
   野上  元君  山本伊三郎君
   武内 五郎君  小柳  勇君
   森中 守義君  藤田藤太郎君
   相澤 重明君  松永 忠二君
   占部 秀男君  木下 友敬君
   平林  剛君  秋山 長造君
   久保  等君  岡  三郎君
   近藤 信一君  大倉 精一君
   中田 吉雄君  小酒井義男君
   松澤 兼人君  佐多 忠隆君
   光村 甚助君  野溝  勝君
   藤原 道子君  清澤 俊英君
   戸叶  武君  藤田  進君
   中村 順造君  安田 敏夫君
   千葉千代世君  向井 長年君
   北村  暢君  横川 正市君
   鈴木  強君  坂本  昭君
   永末 英一君  森 元治郎君
   大河原一次君  伊藤 顕道君
   田畑 金光君  亀田 得治君
   加瀬  完君  椿  繁夫君
   大和 与一君  天田 勝正君
   村尾 重雄君  片岡 文重君
   矢嶋 三義君  山口 重彦君
   成瀬 幡治君  小笠原二三男君
   江田 三郎君  松浦 清一君
   阿部 竹松君  高田なほ子君
   小林 孝平君  荒木正三郎君
   田中  一君  曾祢  益君
   羽生 三七君  加藤シヅエ君
   吉田 法晴君  栗山 良夫君
   内村 清次君  山田 節男君
   赤松 常子君  棚橋 小虎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名  百十八名
   杉山 昌作君  石田 次男君
   牛田  寛君  柏原 ヤス君
   小平 芳平君  原島 宏治君
   林田 正治君  中尾 辰義君
   手島  栄君  鈴木 万平君
   安部 清美君  北條 雋八君
   野本 品吉君  秋山俊一郎君
   佐藤 尚武君  天坊 裕彦君
   大竹平八郎君  苫米地英俊君
   岩沢 忠恭君  近藤 鶴代君
   笹森 順造君  黒川 武雄君
   杉原 荒太君  山本  杉君
   谷村 貞治君  天埜 良吉君
   米田 正文君  鍋島 直紹君
   村山 道雄君  徳永 正利君
   村上 春藏君  西田 信一君
   松村 秀逸君  青田源太郎君
   松野 孝一君  大谷藤之助君
   稲浦 鹿藏君  吉江 勝保君
   後藤 義隆君  江藤  智君
   柴田  栄君  塩見 俊二君
   岡崎 真一君  古池 信三君
   武藤 常介君  田中 啓一君
   山本 米治君  小林 武治君
   田中 茂穂君  館  哲二君
   杉浦 武雄君  西川甚五郎君
   高橋進太郎君  吉武 恵市君
   永野  護君  下條 康麿君
   小林 英三君  寺尾  豊君
   大野木秀次郎君 草葉 隆圓君
   平井 太郎君  小幡 治和君
   前田佳都男君  横山 フク君
   田中 清一君  櫻井 志郎君
   櫻井 三郎君  岸田 幸雄君
   北畠 教真君  金丸 冨夫君
   堀本 宜実君  二見 甚郷君
   井川 伊平君  石谷 憲男君
   中野 文門君  増原 恵吉君
   平島 敏夫君  勝俣  稔君
   山本 利壽君  鈴木 恭一君
   最上 英子君  佐野  廣君
   小沢久太郎君  剱木 亨弘君
   青柳 秀夫君  井上 清一君
   加藤 武徳君  大谷 贇雄君
   重政 庸徳君  安井  謙君
   斎藤  昇君  小柳 牧衞君
   谷口弥三郎君  新谷寅三郎君
   西郷吉之助君  木内 四郎君
   紅露 みつ君  重宗 雄三君
   堀木 鎌三君  野村吉三郎君
   郡  祐一君  一松 定吉君
   木村篤太郎君  津島 壽一君
   伊能繁次郎君  鹿島 俊雄君
   川上 為治君  大川 光三君
   岡村文四郎君  上林 忠次君
   高野 一夫君  高橋  衞君
   梶原 茂嘉君  小山邦太郎君
   石原幹市郎君  野田 俊作君
   湯澤三千男君  井野 碩哉君
     ―――――・―――――
#19
○議長(松野鶴平君) この際、お諮りいたします。
 児童の権利に関する決議案(紅露みつ君外十七名発議)(委員会審査省略要求事件)。
 本案は、発議者要求の通り委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。
 まず発議者の趣旨説明を求めます。紅露みつ君。

   〔紅露みつ君登壇、拍手〕
#21
○紅露みつ君 ただいま上程されました決議案につき、提案者を代表いたしまして提案の理由を申し述べ、全員の賛成を仰ぎたいと存じます。
 まず、案文を朗読いたします。
   児童の権利に関する決議案
  国際連合総会は、昭和三十四年十一月二十日「児童の権利宣言」を決定したが、右はわれわれが常に考えている児童の福祉に関する願望と全く合致するものである。
  よって、本院はこれを全面的に支持し、かつ宣言の趣旨徹底を期す。
  右決議する。
 続いて提案の理由を申し述べます。
 国際連合総会は、去る十一月二十日「児童の権利宣言」を公布し、児童が幸福な幼児期を持ち、個人の利益と社会の利益のために、そこに示されたすべての権利と自由を享受する権利のあることを宣言いたしました。そしてすべての親、個人としての男女、民間団体、地方行政機関並びに国の政府に対し、十項目からなる原則に従って積極的に講ぜられる法的その他の措置により、これらの権利を認め、その順守に努力するよう要請いたしたのであります。もとより児童は身体的精神的に未熟であるため、出生前はもちろん、出生後も、適切な特別の保護配慮を必要とするものであります。このような特別の保護の必要は、一九二四年の児童の権利に関するジュネーブ宣言に述べられたところであり、世界人権宣言及び児童福祉に関する専門機関並びに国際団体において承認されたところであります。すなわち、この「児童の権利宣言」は「人類は児童にその持っている最善のものを与える義務を負う」という理由から発せられたのであります。この宣言は、次に述べます通り、十項目にわたって児童の権利をうたっております。すなわち、
 その第一は、すべての児童は、自分自身あるいは両親の人種、はだの色、性別、言葉、宗教、政治その他の意見、国民的または社会的出身、財産、門地その他による差別を受けず、この宣言に述べられたすべての権利を享受する権利があるとしたことであります。この思想は、国際連合が世界人権宣言においてとった、人類の平等と人間の尊厳の思想から発することはもとよりでございます。
 第二に、児童は、特別の保護により、身体的、知能的、道徳的、精神的、社会的に、自由と尊厳という状態のもとで育てられる機会と便宜が与えられなければならないとしております。すなわちそれは、すべての児童は、心身ともにすこやかに生まれ、育てられ、その生活を保障されなければならないという、わが国児童憲章の精神をうたったものにほかなりません。
 第三に、児童は、その出生のときから、姓名と国籍を持つ権利があるとされております。
 第四に、児童は社会保障の恩恵を受ける権利があると述べられております。すなわち、児童は健康に発育する権利を持ち、そのためには児童とその母親に対して特別の保護が与えられなければならないのであります。これは母子衛生に対する社会的保障の充実をうたったものにほかならないのであります。わが国児童憲章において、「すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また疾病と災害からまもられる」と述べているのも、この思想から発するものであります。
 第五に、心身に障害のある児童や非行児童等には、特別な処遇、教育、保護が与えられることとなっております。あやまちを犯した児童の適切な保護指導とともに、心身の機能が不十分な児童に適切な治療と教育と保護が与えられなければならないのであります。
 第六に、児童は、いかなる場合でも、その両親の保護と責任のもとで愛情と理解に包まれた雰囲気の中で育てられるものとし、家庭に恵まれない児童には、社会及び公共機関が特別な保護を与える義務を持つこととされております。これは児童の養育について、調和のとれた発達のためには、愛情と理解が不可欠であることを示すとともに、社会や公の機関の児童の保護に関する責務を述べているのであります。
 第七に、児童の教育については、無料かつ義務制とし、社会の有用な一員とするためのものとされております。さらに教育のための遊戯とレクリエーションの機会を十分に持つことが要請されております。
 第八に、児童は、あらゆる場合に、最初に保護と救助を受けなければならないとされておるのであります。
 第九に、児童は、虐待、放任、酷使されることなく、また心身を害し、教育、道徳的発達を妨げる職業に従事してはならないのであります。
 第十に、児童は、民族、宗教その他の差別を助長するおそれのある慣行になじませられることなく、また各国民間の愛と理解の中で育てられ、人類の平和と文化に奉仕するように導かれることをうたっております。
 以上が児童の権利宣言に述べられた十原則であり、基本的人権及び人間の尊厳と価値を信ずることにより、児童が幸福に育てられることを期待しているものでありまして、今回この児童の権利宣言が国際連合に加盟する多数の国家によって宣言せられたことは、まことに喜ばしいことであります。
 一方わが国におきましては、昭和二十二年、児童福祉法が制定され、さらに昭和二十六年には児童憲章が決定されたのでありまして、これによりわれわれは児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかることを決意いたしたのであります。今回の国連総会による宣言は全くこの思想と合致するものでありまして、深く敬意を表するものであります。しかしながら一歩ひるがえって、わが国の実情を顧みますとき、必ずしも満足すべき状態ではありません。児童を育てることは、まず第一に保護者たる父母の責任ではありますが、今日の社会生活において、父母の手だけで児童を健全に育て上げることは、必ずしも容易ではなくなってきております。たとえば児童を取り巻く社会環境は、時として児童の健全な育成を阻害する要因を数多く持っております。従いまして、国家社会は積極的に児童の健全育成に努力しなければならないのであります。まして、父母を失った児童や心身に障害のある児童などに対して国家社会が進んであたたかい保護の手を差し伸べることは、福祉国家として当然の責務であります。このような考えから、児童福祉のために直接活躍する児童相談所を中心といたしまして、第一線行政機関の整備はもちろん、心身に障害のある児童あるいは社会的条件に恵まれない児童については、保育所、養護施設、精神薄弱児施設、肢体不自由児施設等の児童福祉施設が整備されて参ったのであります。しかしながら、なお現実の需要にはとうてい応じ切れないというのが実情であって、今後の充実が切に要望されているのであります。また現在の社会環境が児童の健全育成に好ましからざる影響を与えていることは重大な問題であります。最近青少年犯罪が悪質化し、児童の非行が増加して参りましたことは、まことに寒心にたえないところでありますが、さらに児童福祉の見地から憂慮すべきこととして、児童の事故死の問題があります。最近の統計によりますと、児童の死因の第一位は溺死、交通事故などとなっており、一才から十四才までの児童が年間約九千人もこれら不慮の事故によって死亡しております。このような児童の事故死と非行の現状から、児童の健全な育成を妨げるあらゆる社会的要因を取り除き、さらに積極的に、よりよい社会環境を与えるための対策が強く要望されるところでありまして、そのために、児童遊園、児童館等の早急な整備、優良文化財の積極的な提供、子供会等、児童の福祉のための地域組織の普及等が特に必要であります。
 さらに、次代の社会をになう児童の保健については、母子保健対策が積極的に推進されなければなりません。妊産婦及び乳幼児の健康状態は近年次第に改善され、特に母子保健の指標ともいうべき乳児の死亡率は最近十年間に半減するほど著しく低下を示してきたのでありますが、それでもなお海外先進国に比べますと二倍以上の高率を示しており、改善の余地が多分に残されております。保健指導の強化徹底、未熟児対策の充実、母子健康センターの拡充など、国民保健の基盤としての母子保健対策にはさらに一そうの努力を傾ける必要ありと考えられます。
 最後に、母子世帯に対する福祉対策は、戦後著しく拡充強化され、生活保護法による保護や母子福祉資金の貸付を初め、住宅、課税など各般にわたり充実され、特に本年国民年金法が制定され、母子世帯に対する年金支給の道が開かれましたことは、まことに喜ばしい限りでありますが、今後とも一そう母子家庭の福祉増進がはからるべきであります。
 以上述べました通り、児童福祉対策については、なおなすべき幾多の問題が残されております。今回国連総会が児童の権利宣言を公布したのに際し、われわれはここに、すべての児童は心身ともにすこやかに生まれ、育てられ、その生活を保障されるという、児童憲章の理念を再確認するとともに、明日の社会をになう児童育成についてはさらに積極的な努力を行なうことを、特に政府に対し期待するものであります。何とぞ満場の御賛成をお願い申し上げます。(拍手)
#22
○議長(松野鶴平君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。坂本昭君。
   〔坂本昭君登壇、拍手〕
#23
○坂本昭君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました児童の権利に関する決議案に対し、強くこれを支持して賛成の意見を述べんとするものであります。
 わが国におきましては、昭和二十二年、児童福祉法、さらに二十六年、児童憲章が制定され、児童福祉対策は自来次第に強化されてきたのであります。しかしながら、今日、児童福祉対策の実態は、わが国児童憲章の精神に必ずしも沿っているとは申せません。たとえば今日全国六十数万人の子供たちを保育している約九千カ所の保育所の実態を見ても、まことに憂慮にたえないところが多いのでございます。公立と私立とを問わず、保育所はいずれも経営困難であり、国の交付する児童措置費と地方自治団体のみずから負担するところの財政によって、辛うじて運営しているのであります。しかるに、今回の児童権利に関する宣言を草するにあたって国連において行なわれました討論をしさいに読みますと、児童の教育や育成に対する責任は、両親が持つべきか、あるいは国が持つべきかということにつきましては、宣言第七条の制定にあたり、国連第三委員会においても議論が二つに分かれ、国がその責任を持つべきであるとするソ連側の主張はひとまず押さえられて、責任はまず第一にその両親にあると決定されたのでありますけれども、いわゆる貧乏人の子だくさんといわれる多子家庭の生活維持のためには国が援助を与えることが望ましいという第六条の宣言につきましては、国の責任を強調するソ連の意見がつけ加えられたのであります。要するに、社会保障の一環として、児童の権利を国が責任を持って守らなければならないとする議論は、国際的にも次第に固められ、承認されてきているのであって、わが国といたしましても、かかる国際的な動きを理解しなければならないのであります。
 中華人民共和国では昨年八月から人民公社が組織せられておりますが、社会福祉の面で見ますときに、最も特徴のあるのは、乳児、幼児に対する施策であって、ただの、ロハの、無料の乳児院と保育所とが、農村の至るところに無数に開設されております。北京並びにその周辺の例をとりましても、昭和二十五年にわずかに四カ所であったものが、昭和三十三年秋におきましては四千カ所という保育所の数にふえているのでございます。大切な子供を安心して託することのできる保育所、そして金のかからない保育所、これこそ幼な子を背負って働かなければならない母親たちにとって、国境を越え政治体制を越えた、世界の母親たちの共通の切実な要求でございます。(拍手)保育所は働く母親にとって必要であるのみならず、子供たちの幸福にとって必要な施設であり、それはすべての子供たちの権利として要求する施設であります。しかるに、わが国の保育所は、昨年七月以来保育料が上がり、経済的理由で保育所を出なければならない子供がふえつつあり、特に低所得層の勤労階級の家庭にとってゆゆしき問題となっているのであります。しかも、児童福祉法でいう、保育に欠けた幼児で、まだ保育所に入っていない幼児の数は、三十万名をこえるといわれております。今や保育ということは単なる生活保護の対象の問題ではありません。むしろ同時に教育上の積極的意義が果たされなければならない段階に到達しているのでございます。イギリスでは初等義務教育の開始年令は五才に引き下げられております。また、欧米各国におきましては、幼児教育は最近特に重視されているのでございます。幼稚園は文部省、保育所は厚生省といった行政上のセクショナリズムを打破して、児童の権利の立場から幼児問題を根本的に再検討する時節に至っておるといわなければなりません。
 さて、わが国の児童憲章には、今回の国連宣言の内容はほとんど盛られていて、新しいことはないといってもよろしいのでございますが、大事な一点に根本的な差があります。すなわち、わが国の児童憲章は、すべての児童が人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられ、よい環境の中で育てられ、そして、これらを通してすべての児童の幸福がはかられるというのでありますが、わが国のこの児童憲章は、新しい憲法に従って児童に対する正しい観念を確立しようという、いわば、おとなの申し合わせであります。しかし、国連のこのたびの児童権利宣言は、主体はあくまで児童そのものであって、おとなの申し合わせではないということに皆さんの注目を特にお願い申し上げたい。すなわち、児童がみずからその権利を、親に向かい、さらにそれぞれの政府に向かい、そして世界人類に向かって、その権利を明確に積極的に、力強く主張、宣言しているのでありまして、これを国連の名において採択しましたことは、加盟諸国民並びにその政府に対して、より強い、より高い道徳的制約と義務づけとを考えるものと申すべきでございます。(拍手)
 宣言の各条項について、日本の子供たちの権利のために政府は具体的にいかなることをすべきかを、今ここで論じようとは思いません。しかしながら、今日われわれは、日本の子供たちがその権利をいかに多くそこなわれているかということを、あらためて再確認すべきでございます。例をあげるならば、第一は、児童相談所であります。これは児童福祉法の行政の中心をなし、全国に百二十二カ所ありますが、相談所の機能をほとんど失っているものが全体の三分の一、また、児童福祉の第一線業務を担当する児童福祉司は、基準の数の六〇%を満たしているにすぎないというのが行政の実情であります。次は、児童福祉施設であります。宣言第五条は、身体的、精神的に不利な児童には特殊な取り扱い、教育、配慮が与えられるべきだとしてありますが、一体わが国の実情はどうでございましょうか。一例をあげると、白痴、痴愚といった強度の精神薄弱で、さらに、盲、ろう、あ、等の二重障害を持っている子供、さらに加えて肢体不自由や、てんかんなど、いわゆる二重、三重、四重の苦しみを受けている不幸な子供たちがあります。全国に重症の精神薄弱児は四万名から六万名いるといわれており、特に重症で三重苦等の子供を収容する国立の養護施設は、ただ一つ、昨年創設されました国立秩父学園だけであります。しかも、その現在入園児はわずかに百名で、入園を切望して家庭で待ちに待っている子供が現在五百六名あります。すみやかにかかる国の施設を増床し、内容を充実して、児童の権利を守らなければなりません。
 問題はこれだけではありません。二重の芳しみ、三重の苦しみを持った秩父学園の精神薄弱児百名に対して、わずかに医師は二名、看護婦は二名、そうして保母、指導員は二十一名が養護の任に当たり、定員の少ない医師も看護婦も保母も、彼らの過労と低賃金に苦しんでおるのが、国立施設でさえその実情であります。実例はまだまだあります。全国約九千カ所の保育所に働く三万の保母たちは、日雇いに出る母親の手から、子供たちを、朝は六時前に受け取り、そうして夕方は六時後になって母親に返し、目の離せない十二時間の労働をして、しかも四千五百円から六千円の低い初任給と、昇給のない低賃金で、超過勤務の手当もなく、労働基準法の保護もなく、子供たちの幸福のためという美名のもとに酷使されては病に倒れているのが実情であります。労働者としての保母の人権も無視されていますが、こういう保育所で保育される子供たちこそ、その正当な権利が守られているはずはないのであります。来年度保育所予算で、児童一人一日五円なりのおやつ代が計画されておりますが、全国六十五万人の子供たちのいじらしいおやつの望みは、総計五億円、ロッキードF104C一機分にも足らない額であります。これからの近代戦に役立たないロッキードをおとなのおもちゃにあてがうよりも、子供を太らせるためのおやつ代を確保することが、新しい国際時代の子供の権利であります。(拍手)このように日本の現状を見て参りますと、今回の児童の権利宣言は、われわれに重大なる決意を迫っているものと言わなければなりません。
 今やわれわれは新しい国際環境の中に生きております。われわれは、三年前の昭和三十一年十二月、国連への加盟を承認され、政府は常に外交の国連中心主義を標榜して参りましたが、これは外交問題のみに限られることではなく、いやしくも、わが国が参加し、国連において決議採択された事項については、わが国は率先実行の義務を負うものであって、今回、児童権利宣言が本院において満場一致決議されんとすることは、きわめて当然のことであって、さらに社会保障や労働の諸問題、特にILO条約八十七号についてはすみやかに批准すべき義務があり、これをためらい遷延させている政府は、まことに怠慢、無責任であり、国際信義に反するのそしりを免れません。この際、国連加盟国の一員としての厳粛なる義務の遂行を政府に厳重に要求するものであります。(拍手)
 さて、国際的な新しい時代の中で、もはや、あなたの子供はあなたの子供ではなく、私の子もまた私の子ではありません。われわれの子供は今や世界の子であり、人類の子であります。児童権利宣言には「人類はその与うべき最善のものを児童に尽くすべきである」と、まず書かれてあります。この新しい時代を受け継ぐべき人類の子供たちを心から愛し、そしてこの子供たちの権利を守ることこそ、われわれおとなの責任であります。われわれは、すでに昭和二十三年十二月に、人権に関する世界宣言を国連の名において発しました。今回の児童の権利宣言こそは、人権宣言に次いで新しい時代の人類の子供たちの権利を決定する重大なる宣言であります。この児童権利宣言の決議をここに採択するにあたり、私は、わが国児童対策の根本的検討を、児童の権利の側に立って、あらためて行なうべきであることを提案し、この院の決議が、真に日本の児童の諸権利を守るささえとなり、児童対策推進の力となるべきことを確認して、本決議案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#25
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
 ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。岸内閣総理大臣。
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(岸信介君) ただいま全会一致の御賛同のもとに児童の権利宣言に関する決議が可決されましたが、本決議の趣旨に対しまして心から同感いたすものであります。児童は、わが国の将来のみならず、広く世界の将来をその双肩にになうものであり、これが健全な育成をはかることは国の責務でありまして、政府におきましても、そのため鋭意努力して参ったのでありますが、なおその施策に十分でない面もございますので、この決議がなされたことを契機として、今後ともさらに児童を健全に育成するための施策を積極的に推進して参りたい所存であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#27
○議長(松野鶴平君) 日程第一より第十三までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。商工委員長山本利壽君。
   〔山本利壽君登壇、拍手〕
#29
○山本利壽君 ただいま議題となりました二十六件の請願について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 商工委員会におきましては、付託された請願二十九件について慎重に審査した結果、公報日程第一より第十三までの鉱業関係のもの八件、貿易関係のもの九件、国土開発及び公益事業関係のもの五件、その他四件、計二十六件の請願は、いずれも願意を妥当なものと認め、採択し、これを議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#30
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(松野鶴平君) 日程第十四より第五十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長堀本宜実君。
   〔堀本宜実君登壇、拍手〕
#34
○堀本宜実君 ただいま議題となりました農林水産関係の請願五十六件について、農林水産委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
 今国会中十二月十一日までに農林水産委員会に付託されました請願は六十三件でありまして、その要旨は請願文書表第一回ないし第六回報告によって御了承いただきたいと存じます。
 委員会におきましては、政府当局の意見をも徴し、慎重審議の結果、一部のものにつきましてはその結論を留保し、ただいま議題となりました農業共済制度改正に関する請願外五十五件は、いずれも全会一致をもって議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 右報告いたします。(拍手)
#35
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#36
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することと決しました。
     ―――――・―――――
#37
○議長(松野鶴平君) 日程第五十三より第六十六までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事上林忠次君。

   〔上林忠次君登壇、拍手〕
#39
○上林忠次君 ただいま上程せられました大蔵委員会付託の請願につきまして、審査の結果を御報告申し上げます。
 日程第五十三の請願外百八十三件は、いずれもその願意おおむね妥当なものと認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#40
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#42
○議長(松野鶴平君) 日程第六十七より第九十三までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長平島敏夫君。
   〔平島敏夫君登壇、拍手〕
#44
○平島敏夫君 ただいま上程になりました日程第六十七から第九十三までの請願につきまして、運輸委員会における審議の結果を御報告申し上げます。
 日程第六十七から第七十までは国鉄の電化促進に関するものであります。日程第七十一から第七十九までは国鉄のサービス改善、輸送力増強、あるいは駅舎の改築に関するものであります。日程第八十から第八十三までは国鉄の新線建設促進に関するものであります。日程第八十四から第八十七までは農林漁業者の圧迫となるような国鉄等の運営合理化方策による運賃引き上げは行なうべきでなく、他の適切な措置によること、その他運賃の軽減に関するものであります。また、日程第八十八は秋田空港設置に関する請願、日程第八十九は佐賀県唐津海員学校の移転に関する請願、日程第九十は海難防止及び人命救助対策に関する請願、日程第九十一は鹿児島海上保安部に航空機配置の請願、日程第九十二及び第九十三は気象観測施設の整備強化に関する請願であります。
 委員会におきましては慎重に審議いたしました結果、以上請願三十二件は、いずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#45
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#46
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付するここに決しました。
 暫時休憩いたします。
   午後一時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十三分開議
#47
○議長(松野鶴平君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 参事に報告させます。
   〔参事朗読〕
本日衆議院から左の内閣提出案を受領した。よって議長は直ちにこれを社会労働委員会に付託した。
 炭鉱離職者臨時措置法案
本日衆議院から左の議案を提出した。
よって議長は直ちにこれを社会労働委
員会に付託した。
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案
本日委員長から左の報告書を提出し
た。
 炭鉱離職者臨時措置法案可決報告書
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案可決報告書
    ―――――――――――――
#48
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 炭鉱離職者臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)、
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案(衆議院提出)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。社会労働委員長加藤武徳君。
   〔加藤武徳君登壇、拍手〕
#50
○加藤武徳君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず、炭鉱離職者臨時措置法案について申し上げます。
 本法案の提案の理由及び法案の概要について申し上げますと、石炭鉱業は現在深刻な不況に悩まされ、多数の炭鉱労働者が離職している実情にありますので、これらの離職者の職業及び生活の安定に資するため、炭鉱離職者緊急就労対策事業及び就職に必要な職業訓練を実施するとともに、炭鉱離職者援護会を設立して再就職等に関する援護を行なわせようとするものであります。
 法案の内容のおもなる点は、
 第一に、炭鉱離職者が多数発生している地域においては、これら離職者の就職が困難な実情にありますので、労働大臣はこれらの離職者がその地域以外において就職することを促進するための職業紹介計画を作成し、これに基づき必要な措置を講ずること、及び炭鉱離職者緊急就労対策事業を計画実施して、離職者に就労の機会を与えるとともに、この事業には高率の国庫補助を行ない、もって地方財政負担の軽減をはかること。
 第二に、炭鉱離職者の実情に即した特別の職業訓練を実施し、これに対しては一般の場合よりも高率の国庫負担を行なうこと。
 第三に、鉱業権者が新規に炭鉱労務者を雇用するにあたっては、できるだけ炭鉱離職者を雇い入れなければならないこととし、公共職業安定所の積極的な職業紹介活動と相まって、離職者の就職促進をはかること。
 第四に、炭鉱離職者が職業につくことに対して特別の援護措置を行なうことを目的として、炭鉱離職者援護会を設立し、移住資金の支給、職業訓練受講者に対する手当の支給、寄宿舎の設置等の援助、炭鉱離職者を雇用するものに対する労働者用宿舎の貸与、職業講習の実施その他炭鉱離職者の求職活動に関する協力、生業資金の借入れのあっせん及び生活指導等の業務を行なわせること。
 第五に、この援護会の財源は、政府の補助金及び石炭鉱業整備事業団からの交付金のほか、寄付金を充てること等であります。
 なお、本法はその目的にかんがみ、施行後五年以内に廃止することになっております。
 委員会におきましては、本法案の審議の敏速を期し、予備審査として数回にわたって質疑を行ない、また、その重要性にかんがみ、十二月九日には商工委員会と連合審査を行ない、次いで十日には、北海道炭礦汽船株式会社社長萩原吉太郎君、日本炭鉱労働組合中央執行委員事務局長古賀定君、日本石炭鉱業連合会専務理事長岡孝君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員加藤俊郎君に参考人として出席を求めて、本法案に関する意見を聴取いたしました。
 その意見のおもなるものを御紹介いたしますと、萩原及び長岡参考人は、今日の石炭鉱業の不況の原因が世界的なエネルギー資源の転換等によるものであるから、政府はこれらの対策に、各省、各機関が一体となって援助すること、援護会の業務は敏速かつ適切に運営されること、今後の炭鉱閉鎖にあたっては、長期雇用安定対策を立て、離職者の再就職をはかり、炭鉱労務者をして安んじて勤労し得るように努めること等を要望され、萩原参考人は、これがため国土建設労務公団の設立を提案されました。次に、古賀参考人は、この法案は石炭問題の根本的解決にならないから、完全雇用の立場に立って、鉱区、租鉱権の整理、流通機構の改善等を含む石炭鉱業の発展政策を確立すること、及び失業保険の給付期間の延長、生活保護法の拡大適用、職業訓練の実施等によって、炭鉱離職者の保護と再就職を保障すべきであると述べ、加藤参考人は、本法の円滑適切な運用により十分効果をあげることを期待するとともに、炭鉱離職者については、住居施設の強化、訓練手当の増額、援護会による生活指導の強化及び公共職業安定所の拡充等について要望する旨の意見が述べられました。
 次に、委員会における質疑のおもなるものについて申し上げます。「石炭鉱業の不況は、政府の施策がよろしきを得なかったためではないか、将来の総合燃料対策いかん」との質疑に対し、「不況の原因としては、政府の計画と実需との食い違いや、経営者の合理化努力の不足もあるが、石炭から石油に移行する世界的燃料革命によるものである。将来の石炭対策及び長期エネルギー計画については、通産省及び企画庁において、それぞれ審議会で検討しているので、近くその答申を得て方針を確定する」との答弁があり、「鉄道用炭の将来はきわめて悲観的である。石炭の大口需要を開拓するため、政府の財政的援助のもとに火力発電を促進してはいかが」との質疑に対し、「電源開発は、従前の水主火従が火主水従となりつつある。しかし、電力の主要消費地方と産炭地方とが相当隔たっているので、輸送に問題があるが、炭種の統一による輸送の合理化や山元発電の高圧送電などを検討して、石炭需要の確保をはかりたい」との答弁があり、次に、「今回の措置については、石炭鉱業の離職者対策のみであるが、将来とも石炭鉱業の合理化は必至であり、これに伴い、関連産業にも人員整理が波及することを考えねばならない。これの救済対策についていかに考えているか」との質疑に対して、「関連産業全般を考えないわけではないが、石炭鉱業の特殊性を考え、今回はまず石炭合理化等による炭鉱離職者に範囲を限定した」との答弁があり、次に、「先般の衆議院予算委員会及び参議院の運輸委員会において、運輸大臣は、鉄道の新線建設に際して、緊急失業対策法を改正して、さらに炭鉱離職者を吸収すべきであるとの意見を述べているが、労働大臣は緊急失業対策法を改正する意図はないか」との質疑に対して、「法律改正をしなければ離職者の吸収ができないかどうかを検討している。要するに、多数吸収できるような方向に進めたいと思う」との答弁があり、次に、「炭鉱離職者緊急就労対策事業に要する費用については、本法案では、その五分の四を国が補助することになっているが、これを全額国で負担すべきではないか」との質疑に対して、「貧困な地方公共団体においては、その差額を起債及び特別交付税により十分配慮していきたい」との答弁があり、次に、「政府は、鉱業権者は新規雇用に際して炭鉱労働者の雇入れを義務づけていると説明しているが、第六条は単に訓示規定にすぎないではないか」との質疑に対して、「鉱業権者は、同条の第二項において、炭鉱労働者を募集する場合は、公共職業安定所に求人の申し込みをしなければならないことになっており、また、第四十条では、雇用の状況を報告する義務があるので、本条に関連して強く規制できると考える」との答弁があり、次に、「炭鉱離職者には事務職長を含み、援護会が炭鉱離職者に対して生業資金の借り入れのあっせんを行なう場合、その保証については、具体的に実績があがるよう研究している」旨の答弁があり、また、「本法は施行後五年以内にこれを廃止することにした理由については、離職者援護の性質上できるだけ早く効果をあげるべきであり、石炭鉱業合理化臨時措置法が施行以来四年半を経過していることをも考慮して五年とした」との答弁がありました。その他、本法施行に要する予算、対策を要する離職者数、援護会の行なう業務等についても質疑を行ないましたが、詳しくは委員会会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくして質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して藤田委員より、自由民主党を代表して吉武委員より、社会クラブを代表して村尾委員より、それぞれ賛成の討論があり、続いて採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、吉武委員より、本法案に対して次のごとき附帯決議を付することの動議が提出されました。附帯決議案を朗読いたします。
   附帯決議案
  政府は、炭鉱離職者臨時措置法の実施に当り、左の諸点の実現に努力するものとする。
  一、鉱業権者の炭鉱労働者雇入れに関しては、単なる訓示規定にとどまらないようその実効をあげること。
  二、一般職業訓練所の費用については、地方公共団体の負担を軽減すること。
  三、生業資金借入の保証については、速かに対策をたて、その成果を得るよう善処すること。
 右の附帯決議を付することについて採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、本法律案の要旨を御説明いたします。終戦前に満州国、朝鮮、台湾、樺太等の地において、その他の制度によって医師または歯科医師の免許を得ていた者で、終戦により日本に引き揚げた人々については、医師等の免許及び試験の特例に関する法律により、医師または歯科医師の免許を取得するための選考及び特例試験の措置が講ぜられており、また、これらの者のうち、昭和二十八年二月以前に引き揚げた者と、終戦前満州方面向けの医師の養成を目的として内地に設けられた医学校を卒業した者等については、「医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律」によって、国家試験予備試験の受験資格が与えられておるのであります。しかるに、この両法律による特例措置は昭和三十四年末をもって期限が切れることとなっておりますが、これに該当する者が現在なお若干名実在しておりますので、今回特例措置を一年間延長して、これらの人々に医師または歯科医師になり得る道を残し、将来の希望を持たせようとするものであります。
 本案につきましては、発議者田中正巳君から説明を聞いた後、同君及び政府委員に対し質疑を行ないましたが、引揚者に対しては、講習会等によって、できるだけ医師試験に合格せしめ、職業のあっせん等によってできるだけ希望に沿うように努力するとの見解が述べられました。
 かくて質疑を終わり、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#51
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 まず、炭鉱離職者臨時措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#52
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#53
○議長(松野鶴平君) 次に、医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#54
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日米安全保障条約改定交渉の即
  時打切りを要求する決議案
 一、児童の権利に関する決議案
 一、日程第一乃至第十三の請願
 一、日程第十四乃至第五十二の請願
 一、日程第五十三乃至第六十六の請
  願
 一、日程第六十七乃至第九十三の請
  願
 一、炭鉱離職者臨時措置法案
 一、医師等の免許及び試験の特例に
  関する法律等の一部を改正する法
  律案
ソース: 国立国会図書館
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