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#1
第033回国会 本会議 第18号
昭和三十四年十二月二十三日(水曜日)
   午前十一時三十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十七号
  昭和三十四年十二月二十三日
   午前十時開議
 第一 日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 クリーニング業法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第五 簡易郵便局法の一部改正に関する請願(四件)
 第六 石川県七尾市和倉温泉に簡易保険加入者ホーム設置の請願
 第七 広島県神石町に無集配特定郵便局設置の請願
 第八 高知県安田町間下部落等に公衆電話架設の請願
 第九 熊本県三名電話局の自動改式に関する請願
 第一〇 鹿児島県指宿湊特定郵便局の普通局昇格に関する請願
 第一一 簡易生命保険、郵便年金積立金の融資範囲拡大等に関する請願(十七件)
 第一二 簡易生命保険の制限額引上げに関する請願(十七件)
 第一三 茨城県結城電報電話局局舎新築に関する請願
 第一四 茨城県結城郵便局局舎新築に関する請願
 第一五 宮崎県北方村川水流簡易郵便局の無集配局昇格に関する請願
 第一六 熊本県清和村に無集配特定郵便局設置の請願(二件)
 第一七 岐阜県中津川簡易裁判所の支部昇格等に関する請願
 第一八 鹿児島地方裁判所鹿屋支部の甲号昇格に関する請願
 第一九 大分地方裁判所庁舎改築促進に関する請願
 第二〇 鹿児島地方法務局鹿屋支局垂水出張所庁舎新築に関する請願
 第二一 九州地方更生保護委員会及び福岡保護観察所の合同庁舎新築に関する請願
 第二二 岐阜県明智町の法務局明智出張所存置等に関する請願
 第二三 岐阜地方法務局岩村、明智両出張所の統合に関する請願
 第二四 死刑廃止の立法化に関する請願
 第二五 軍人恩給の加算制復元に関する請願
 第二六 軍人恩給の加算制復元等に関する請願
 第二七 傷病者の増加恩給等是正に関する請願(三件)
 第二八 恩給改訂等に関する請願
 第二九 北海道開発局勤務の定員外職員の定員化に関する請願(四件)
 第三〇 建設省勤務の定員外職員の定員化に関する請願(十件)
 第三一 建設省等勤務の定員外職員の定員化に関する請願(二件)
 第三二 公共企業体職員等共済組合法の一部改正に関する請願(二件)
 第三三 下関市内河川砂防工事促進に関する請願
 第三四 滋賀県瀬田川しゆんせつ工事促進に関する請願
 第三五 埼玉県芝川改修事業促進に関する請願
 第三六 緊急砂防治山工事促進に関する請願(二件)
 第三七 治水事業五箇年計画完全実施に関する請願(三件)
 第三八 治水治山事業促進に関する請願
 第三九 大阪府淀川等改修工事促進に関する請願(十二件)
 第四〇 新潟県新井市に国立地すべり試験地設置の請願
 第四一 京都府福知山市段畑区内土師川築堤による全区民移転実現の請願
 第四二 福岡県八木山川、那珂川総合開発事業等実施に関する請願(二件)
 第四三 山形県最上川遊水地対策に関する請願
 第四四 宮城県増田川改修工事促進に関する請願
 第四五 西大阪地盤沈下対策に関する請願(六件)
 第四六 淀、木津両川の堤防補強改修工事促進に関する請願
 第四七 木津川堤防ゆう水箇所の復旧工事早期施行に関する請願
 第四八 大阪府寝屋川水系改修事業促進に関する請願(九件)
 第四九 京都府宇治川宇治、観月両橋間右岸築堤工事等促進に関する請願
 第五〇 福島県伊南川上流に多目的ダム建設促進の請願
 第五一 治水事業促進に関する請願
 第五二 一級国道八号線中一部改良工事促進に関する請願
 第五三 県道熊本南関線中内藤橋の永久橋架替に関する請願
 第五四 宮崎県都城市、鹿児島県指宿市間県道の二級国道指定に関する請願
 第五五 道路整備促進に関する請願
 第五六 埼玉県県道浦和調布線中一部道路改修工事等施行に関する請願
 第五七 宮城県県道閖上港線補修工事促進に関する請願
 第五八 秋田県県道大曲角館線等の二級国道編入に関する請願
 第五九 昭和三十五年度道路交通確保五箇年計画予算に関する請願
 第六〇 東海道第二国道建設に関する請願(八件)
 第六一 鹿児島県鹿屋市、佐多町間県道の主要地方道指定に関する請願
 第六二 二級国道平新潟線改修工事促進に関する請願
 第六三 道道留辺蘂西足寄線等の国道編入に関する請願
 第六四 東北高速自動車道早期実施に関する請願
 第六五 都市計画街路環状七号線建設促進に関する請願
 第六六 新潟地区地盤沈下対策事業に関する請願
 第六七 公営住宅の譲渡処分承認に関する請願
 第六八 住宅政策に関する請願
 第六九 都市防災不燃化促進に関する請願
 第七〇 首都高速道路建設による東京都西大崎一丁目区画の土地減歩等に関する請願
 第七一 戦傷病者の医療制度確立等に関する請願
 第七二 動員学徒犠牲者援護に関する請願(四件)
 第七三 未帰還者留守家族等援護法による療養給付期限延長等の請願(三件)
 第七四 未帰還者調査の徹底化に関する請願
 第七五 水俣病対策樹立促進に関する請願(四件)
 第七六 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法の一部改正に関する請願(二十一件)
 第七七 熊本県菊水町立病院整備に関する請願
 第七八 未帰還者留守家族等援護法による療養給付期限延長の請願(八件)
 第七九 精神薄弱者福祉の立法化等に関する請願
 第八〇 中小企業退職金共済事業団の組織運営改善に関する請願
 第八一 原爆被害者救援対策に関する請願(三十七件)
 第八二 療術の禁止解除に関する請願
 第八三 東京都に国立酒癖きよう正院設置等の請願
 第八四 業務外の災害によるせき髄損傷患者援護の請願(六件)
 第八五 簡易水道事業費国庫補助増額に関する請願
 第八六 国民年金事務費全額国庫負担に関する請願
 第八七 保育所措置費基準引上げに関する請願
 第八八 国民健康保険事務費国庫負担等増額に関する請願
 第八九 失業対策事業就労者救済に関する請願
 第九〇 結核治療費全額国庫負担制度確立に関する請願(二件)
 第九一 国立療養所の看護人員増員及び設備改善に関する請願(二件)
 第九二 在宅結核患者の入院促進に関する請願
 第九三 結核コロニー施設設置に関する請願
 第九四 結核回復者寮設置に関する請願
 第九五 らい療養患者の援護対策に関する請願
 第九六 鹿児島県国立療養所奄美和光園施設整備に関する請願
 第九七 国立病院の営利化反対に関する請願
 第九八 基準看護、基準給食の内容充実に関する請願
 第九九 後保護施設の内容充実に関する請願
 第一〇〇 結核回復者の就職確保等に関する請願
 第一〇一 生活保護家庭に対する期末扶助予算化に関する請願
 第一〇二 結核新薬カナマイシン早期使用に関する請願
 第一〇三 奄美群島地区の生活保護費国庫負担率引上げに関する請願
 第一〇四 精神薄弱成人の収容保護施設設置に関する請願
 第一〇五 国立療養所菊池恵楓園施設整備に関する請願
 第一〇六 らい療養所の予算増額に関する請願
 第一〇七 らい療養患者の障害年金に関する請願
 第一〇八 東京都三宅島神着等の診療所に潜水病診療用高圧タンク施設設置に関する請願
 第一〇九 身体内部障害者の身体障害福祉法適用に関する請願
 第一一〇 国立療養所大島青松園施設整備に関する請願
 第一一一 社会保障施策の整備に関する請願
 第一一二 国立療養所栗生楽泉園の医師、看護婦増員等に関する請願
 第一一三 原爆被災者援護の立法化に関する請願
 第一一四 町村営国民健康保険事業費国庫負担増額に関する請願
 第一一五 保育所措置費改訂に関する請願
 第一一六 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関する請願(二件)
 第一一七 戦傷病者のための単独法制定に関する請願(二件)
 第一一八 国民年金法の一部改正に関する請願
 第一一九 国民健康保険法完全実施のための国庫負担金増額に関する請願
 第一二〇 日雇労働者健康保険法の一部改正に関する請願
 第一二一 北海道広尾港拡張工事促進に関する請願
 第一二二 全国港湾水面貯木施設建設に関する請願
 第一二三 鉱石類の鉄道運賃特別等級扱調整措置存続に関する請願
 第一二四 凍氷の鉄道運賃特別等級適用に関する請願
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、本院議員小山邦太郎君を蚕糸業振興審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。同君が同委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同君が蚕糸業振興審議会委員に就くことができると議決されました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、漁港審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、漁港法第九条第一項の規定により、小田賢郎君、鮫島茂君、井出正孝君、斎藤静脩君、原捨思君、室崎勝造君、佐野寅雄君、溝淵熊雄君を漁港審議会委員に任命することについて本院の同意を得たいとの申し出がございました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、鉄道建設審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、鉄道敷設法第六条第二項の規定により、佐藤博夫君、鈴木清秀君、今里広記君、関桂三君、楠見義男君、酒井杏之助君、今野源八郎君、平山復二郎君を鉄道建設審議会委員に任命することについて、本院の同意を得たいとの申し出がございました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#12
○松浦清一君 この際、私は、韓国抑留漁船船員の早期帰還に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#13
○田中茂穂君 私はただいまの松浦清一君の動議に賛成いたします。
#14
○議長(松野鶴平君) 松浦君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。松浦清一君。
   〔松浦清一君登壇、拍手〕
#16
○松浦清一君 私は、社会クラブを代表いたしまして、韓国抑留漁船船員の早期帰還につきまして、岸総理、藤山外相並びに福田農相に対し、その所管事項について質問をいたしたいと存じます。
 昭和二十七年一月十八日に、韓国政府が海洋主権宣言を行ない、いわゆる李承晩ラインを設定いたしまして以来、その李ライン付近の海上において、日本の漁船が時には銃撃や追走を受けまして韓国艦艇に拿捕されるという、漁船の拿捕事件は、今日に至りまするまでなお続いていることは御承知の通りであります。そうした漁船拿捕があるたびごとに、それら漁船の乗組員は、釜山の収容所に入れられ、長い間、困苦窮乏の抑留生活を強制されていることも、これまた御承知のところであります。こうして今日までの八年間に、すでに拿捕された漁船は百五十七隻に及び、抑留された乗組員の総数は三千二百七十三名という多数に上っているのであります。そのためにこうむった業者の損害、また船員の苦痛と、その家族の不安と困窮は、まことに見るに忍びないものがあるのであります。毎年暮迫るころともなりますれば、この年の瀬をどうして乗りこえるか、氷雪寒苦の抑留生活を余儀なくされておりまする夫や父を案じまして、借金をしてまで旅費の工面をして上京して陳情をいたしております。この悲惨な現実を救い得る道がないとすれば、これはわが国政治の貧困と申しましょうか、まことに残念な話であります。現在、釜山の収容所にはまだ二百一名の船員が抑留されているのであります。最も長い者は四年二カ月、すでに三年に近い者さえ非常に多数に上っているのであります。その人たちの家族は、ことしもまた昨年と同じように苦しみ、同じ悩みを繰り返しております。まことに同情にたえません。もとよりこの問題の解決につきましては、政府がいいかげんな折衝をしているなどと決して思ってはおりません。しかし、これまで行なわれた政治折衝を見ておりますと、いつも韓国側にリードされ、ほんろうされているようにさえ見えるのであります。これは抑留船員の早期送還という、こちらには若干の弱みがあり、韓国側はそこにつけ込んで無理難題をふっかけている。いわば韓国が抑留船員を人質にいたしまして交渉を有利に解決しようとする非道な措置とも考えられるのであります。このことの責任が全部政府の負うべきものではないといたしましても、このままでは永久に漁船の拿捕や船員の抑留はなくなることはないのであります。たとえば、韓国の法律に触れまして漁船が拿捕される。その法によって乗組員が裁判にかけられ、罪を受ける。ここまではあるいは仕方がないと言えるかもしれません。しかしながら、刑に値しなかった者、刑の終わった者は、直ちに送還するというのが国際法上の常識であることは申し上げるまでもないのであります。その常識をわきまえない韓国と交渉するのでありますから、外交当局の苦心も想像にかたくはありません。これまでの経過を振り返って見ますと、これは尋常一様の手段では根本的な解決は得られないと思うのであります。最近の交渉経過を見ましても、日韓会談の無条件再開、釜山に抑留中の日本人漁船員と大村収容所の不法入国韓国人の相互の送還、これを韓国側から申し入れて参ったのは七月の末ごろであったのであります。そのころ問題になっていたことは、北鮮送還には関係なしとの了解であり、相互送還は人道問題であるから、他の問題と切り離して早急に実現したいという話し合いが行なわれた由であります。しかし、送還はいまだに実現されていない。その後、正式な会談も行なわれてはおりません。韓国のこの申し入れば、実は北鮮送還を阻止するための策謀であったとしか思われないのであります。十二月十四日には日韓共同声明を出すとか、十二月二十四日には相互釈放をするとか、主として韓国側のアドバルーンによって希望を持たせられてきたにすぎないのであります。今にして考えてみますれば、韓国のいう相互釈放とは、実はまっかなうそで、その真のねらいは単に北鮮の送還を食いとめようとする一種の策謀であり、国際信義を無視し、人道を無視したインチキ外交といわなければなりません。その証拠には、いよいよ北鮮送還が具体化すると、その態度は次第に強硬になり、会談の無条件再開を申し入れた柳泰夏大使の同じその口から、「韓国駐日代表部は、一方的に在日朝鮮人を追放しようとする日本政府の行動に対し、最も強硬な抗議をする」と申し、また李承晩大統領も、「日本は韓国民の一致した怒りと抵抗に直面するであろう」と語っているのであります。私の貧弱な調査の中では、日本はいまだかつて外国からかくのごとき激烈な言葉を聞いたことはありません。岸総理や藤山外相は、中ソがきらいでアメリカがお好きということで頭が一ぱいになって、その他のことは無感覚になっているのではないかとさえ思われるのであります。(拍手)私は、このような李承晩大統領や柳大使の言動に対する怒りの言葉を、総理及び外相の口から聞きたいのであります。そうして、それを抑留漁船員の留守家族に聞かせてやりたいのであります。これが質問の第一であります。
 第二にお伺いいたしたいことは、今日までの韓国の態度を集約して考えてみますると、抑留漁船員を帰さないということは、第一に懸案の日韓交渉を有利にするため、第二には北鮮送還を妨害すること、そのことのために抑留漁船員を人質として帰さないのではないかと思うのであります。今やそう断定する時期に達しているのではないかと思うのであります。岸総理や藤山外相はいかにこの事態を判断しておられますか、率直にそのお考えをお答え願いたいと思います。
 第三に、この断定の上に立つとすれば、もはやこの問題は、単に日韓相互間の談合だけでは解決できるとは考えられないのであります。今日までの日韓会談に対する韓国側の態度から見て、もはや国際的な機関に訴え、国際的な世論の支持を得て、これを解決するの足がかりとするほかに道はないと考えるのであります。本年の六月、ILOの総会が開かれた際、日本の労働代表はこの問題を提起いたしまして、この総会に参加いたした八十カ国の労働代表は、これはゆゆしい人道院の大問題なりとして、全員一致の同意をもちまして、李承晩大統領にあて、「抑留漁船員を即時釈放すべし」との要請電報を打ったのであります。この種の問題について外交権を持たない労働組合の諸君さえ、時に触れ、折に触れてこのために努力をいたしておるのであります。国際赤十字、国連等に提訴し、あるいはアメリカにあっせんを依頼するという方法もあるように思えるのでありまするが、外相は、今後は直接日韓相互の会談などには応ずることをやめて、今申し述べました方法に切りかえるべきだと思いますが、その御所見を承りたいと思います。
 第四にお伺いいたしたいことは、大村収容所の収容者を即時送還する考えはないかということであります。釜山の抑留者も、大村の収容者も、北鮮送還と同様、ひとしく人道問題と考えて、相互釈放などということでなく、一方的な送還でもよろしい、まず日本が率先して人道的な措置をとり、これを世界の世論に訴え、それによって韓国側を反省せしめる機縁とすべきだと思うのであります。もしできない理由があるならば、その点を明らかにして世論に訴えれば、それはそれで日本の立場を理解せしめることができると思うのであります。もしそのようなことが絶対にできないとすれば、その理由は何かをお伺いいたしたいのであります。
 最後に、韓国代表部を退去させるための強硬な措置をとる考えはないかということであります。韓国は日本代表の韓国駐在を認めていない。韓国代表部が東京――京城間を往復して交渉に当たっております。その動きの中には、日韓交渉を円満にまとめようとする善意は認められず、李承晩大統領の私兵として日本に派遣され、日本の外務官僚を愚弄して快哉を叫んでいるにすぎない存在であります。従って、韓国代表部の存在はわが国にとって何の益するものもありません。わが同胞を人質にとり、その番をするのなら、あえて東京にいなくても、釜山におってもたくさんであります。とにかく強腰でやってもらいたいと思います。岸さんの山口県からは六十五人以上の漁船員が連れていかれて抑留されております。今や朝鮮の釜山にも氷雪寒苦の年の瀬が迫りつつあります。日本政府はこの際、乾坤一擲の手段を講じて、この人たちを妻や子供のもとに帰れるようにすべきことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 李ラインの付近において操業しておる日本の漁船が多数拿捕され、漁船船員が釜山に抑留されておりますことは、今、松浦議員の御意見のように、私ども同じ日本人同胞として実に遺憾であり、また同情にたえないところであります。政府といたしましても、これが早期送還につきましては、今日まであらゆる手段を講じ、あらゆる方法において交渉をして、その早期送還を実現するように努力いたしております。言うまでもなく、この日韓の間の関係が今日のような状態であり、また、李ラインが、依然として韓国側が一方的にこの線を維持し、その付近における日本漁業を阻害しておるという事実そのものをなくしない限り、将来にわたってこの事態をなくするということはできないのであります。実は李ライン問題というものは、御承知の通り、これが日韓交渉の一番主要な眼目をなしておることも御承知の通りであります。私どもは、その根本を解決すると同時に、それに先立って、実は人道的立場から、日本の漁船船員の早期送還についてはあらゆる努力をいたしております。すでに御承知の通り、国際赤十字に日本の考えを述べて、そしてそれの介入によってこれを人道的立場から実現するように、この春以来努力をしておることも御承知の通りであります。しかして、日韓会談の交渉の経過につきましては外務大臣からお答えを申し上げますが、私どもとしては、年内にこれを実現するように実は努力をして参り、日韓の間に相当な話し合いが進みまして、この年内に実現できるということを一時は希望が持てたのでございますが、現在のところはまた逆行いたしまして、それが非常にむずかしいという状態は、松浦議員も御承知の通りであります。ただ、このために直ちにあるいは何か国際機関に提訴してその形においてやるとかいう問題に関しましては、先ほど申しました国際赤十字にはすでにわれわれの意思を通じ、国際赤十字の介入によっていろいろな点が講ぜられておるということは事実でございます。そういう状態でございますので、今直ちに今までの交渉を全部打ち切って、そしてやるということは、私は今日までの経過から見てなお適当ではないと思います。これは非常な複雑な関係、今までの経過から見ましても、われわれとしては、なお、しんぼう強くこの点を交渉して、そして日韓の根本問題も解決し、その前提としての抑留漁船船員の早期送還については、今後ともなお一そう努力していかなければならぬと思う。なおまた漁船船員のこちらに残されておる家族に対しての措置につきましては、政府は万全を尽くしてこれに対する措置を講じていっておりますし、なお、必要があればこれを強化していく考えでございます。私どもとしては、そういう意味におきまして、まことにこの事件は遺憾であり、また同情にたえない次第でございまして、政府としては誠意をもって今後とも対処していくつもりであります。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします。
 釜山に抑留されております方々はまことにお気の毒でありまして、同時にその家族の方々のことを考えますと、われわれもじっとしていられない気持がいたすのはむろんでございます。従いまして、この送還が一日も早くできますように努力をしなければならぬことは申すまでもないことでありまして、われわれとしても最善を尽くしておるつもりでございます。御承知のように、本年二月、北鮮帰還の問題を決定いたしました際に、日韓会談を韓国側から決裂いたさせたものでございまして、その際において私といたしましては、この釜山の漁船船員だけは、ぜひとも抑留者だけは返してもらうことが必要でありますので、日韓会談の根本的な李ラインの問題を解決いたしませんと、漁船の拿捕、漁船船員の拿捕ということが、これがとまらないわけでありますから、日韓会談と並行していくべきでありますけれども、しかし、日韓会談を韓国側が決裂させました以上、釜山の漁船船員の早期送還ということをはからなければなりませんので、国際赤十字に対しましてこの問題を訴えたわけでございます。国際赤十字におきましても、この問題は特に人道上の問題として取り上げられまして、数次韓国側にいろいろな勧告をされたとわれわれ承知いたしております。八月の初めに韓国側が日韓会談無条件再開ということを言って参りました際に、私といたしましては、はっきりと釜山の抑留者を帰してもらいたいということを申して、その前提の上に立って、日韓会談を無条件で再開するという立場をとったわけでございますが、しかし、向こう側としては、大村の収容所の人と相互送還だということを主張しておるわけでございます。大村の収容所におります人と釜山に抑留されております方々との地位というものは全然違うのでありまして、片方は、李ラインを犯したという、国際法上にないような線を引いて、その侵犯によって一方的に抑留されている方々であって、片方は明らかに不法入国者でございます。従いまして、これを一緒にいたしますことは適当ではございませんけれども、しかし早期送還ができますことなら、相互送還をいたしてこの問題を解決いたしたいと思いまして、そういう話し合いをいたした結果、その話し合いがととのいまして、名簿の交換をいたし、また、それに対する調査を続けて参ったわけでありまして、従って、十月の末ぐらいにはそれらの調査が終わって、十一月の適当な時期には相互送還が期し得るという考え方のもとに、また事実そう実行して参ったわけでございます。ところが十一月になりましても、韓国側は言を左右にいたしまして、調査未了というようなことを申しておったわけでありますから、十一月の二十八日に柳大使を呼びまして、山田次官から厳重な抗議をいたしたわけであります。同時に日韓交渉におきまして、韓国側は韓国人の集団的な帰還という問題を持ち出しますと同時に、日本に引き続き残っております韓国人の処遇の問題についての委員会を開くことになったわけであります。われわれといたしましては、北鮮帰還者と同じ待遇であるならば、集団的な韓国に対する帰還については尽力をするように承知はいたしました。しかし同時にまた、日本に残る韓国人の処遇の問題につきましても、ある程度の話し合いをいたしまして、そして共同声明を作って同時に、その共同声明によって、二十四日には釜山の漁船船員を帰すのだという話し合いをいたして、ほぼその話し合いがつきましたところに、御承知の通り十二月八日に、突然韓国側から国際司法裁判所に対して北鮮帰還の問題を提訴するということを申して参ったわけであります。われわれは当然これを拒否すべきでありまして、われわれといたしましては、李承晩ラインなり、あるいは竹島問題という法律的問題であるならば、これは国際司法裁判所の判断も必要でありましょうけれども、北鮮帰還の問題につきましては、人道上の見地、居住地選択という国際通念の上に立ってやっております仕事でございますから、そういうものは国際司法裁判所の判断にまかすべきものではないということで、これを拒絶いたしたわけであります。韓国側におきましては、ただいま申し上げましたような国際司法裁判所に提訴するというような申し入れをいたして、話し合いがほぼ確定して参りました共同声明の問題は一時停止しているのが現状でございます。ただ、これらの問題につきまして、韓国側にもいろいろ内部に議論が分かれているようでありまして、現在、先ほど申し上げました共同声明の話し合いがまだ一方では打ち切られているわけではございません。従って、われわれとしては、できるだけ早急にこれらの問題を片づけまして、そして釜山に抑留されております漁船船員の方々の早期帰還ということを実現をして参りたいと思っております。ただ、韓国側に対します態度として、われわれは、お話のように非常に弱いようにお考えでありますけれども、われわれは決して弱い態度をとっているつもりではございませんし、また、やはり日本としての立場をはっきり維持いたしますことが、韓国側を将来ともに日本の主張に同意せしめるゆえんだと思うのでありますから、若干時間をかけましても、私どもとしてはそういう態度でもって終始して参りたい、こういうふうに考えているわけでございます。同時に、第二の御質問のように、先般の国際司法裁判所提訴というようなことは、北鮮帰還の妨害であったと思うのでありまするが、北鮮帰還も円満に実施されております段階においては、韓国側においてもそういうことの不利益を察して、今後は共同声明のラインに乗ってくることではないかと、こう感じているわけであります。むろん、われわれとしては、国際赤十字にこの問題を過去において訴えまして、国際赤十字もわれわれの主張を十分了承しておりますので、もし今後これらの問題の解決にあたりましてなお困難を感ずるようなことがございますれば、国際赤十字に重ねて今日までの経過を申して、そして十分な国際赤十字の理解のもとに解決の方途を見出して参りたいと思っております。
 なお、大村収容所におります収容者をすぐに帰したらどうだというお話でございますが、これは当然、先ほど申し上げましたように、性格が違っている収容者でございますから、いつでも日本側は、一週間くらいの猶予さえございますれば帰すことができる状態にございます。従って、韓国側がこれを引き取りますれば、いつでも日本側としては帰すだけの準備を現在いたしているわけでございます。ただ、これを国内に釈放いたしますことは、非常にこういうような多数の不法入国者のことでございますから、みだりにそれはすべきことではないように考えております。
 最後に、代表部の問題でございます。今日、われわれはまだ根強く日韓会談をやりまして、そうして当面の問題であります釜山の漁船船員の送還、あるいはその基本をなします李ラインの問題を解決をはかって参らなければなりませんので、今にわかに代表部を退去させるということは適当でないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(福田赳夫君) お答えをいたします。
 韓国に抑留されている漁船船員の帰還の問題につきましては、ただいま外務大臣から報告いたした通りでございます。実は、私どもは外務大臣から今度こそは年末までに抑留者の帰還が実現するという見通しであるという話を伺いまして、これに非常な期待を持ち、また抑留者やその家族のためにまことに心からこれを喜びとしておったのでございます。しかるところ、ただいまの報告のように、まことに遺憾な事態になりまして、返す返すも残念だと思っております。しかし、ただいまのお話のように、私どもといたしましては、外務省を通じまして、人道的の見地から、抑留者の帰還ということにつきましてはますます努力をいたし、またお願いもいたしてやっていきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#20
○議長(松野鶴平君) 日程第一、日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、
 日程第二、日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)、
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長草葉隆圓君。
  
    ―――――――――――――
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#22
○草葉隆圓君 ただいま議題となりました日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、及び日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を一括して御報告申し上げます。
 この両件につきましては、さきに本会議において藤山外務大臣より趣旨説明が行なわれましたので、その経緯、内容に関する詳細な説明は省略し、簡単に両協定の骨子を申し上げますと、まず賠償協定は、わが国が三千九百万ドルに等しい円に相当する生産物及び役務を五年の期間内に賠償としてベトナムに供与することを約束したものであり、借款に関する協定は、わが国が七百五十万ドルに等しい円の額までの貸付を三年の期間内にベトナムに対して行なうこと、また、この貸付は、わが国の生産物及び役務のベトナムによる調達に充てられることを定めたものであります。
 この両件は、去る十一月二十七日、衆議院より送付されたのでありまするが、自来、委員会は、総理、外務、大蔵、通産、郵政の各大臣の出席を求めて、審議を行なうこと十七回に及び、その間、二回にわたって参考人より意見を聴取する等、慎重審議を重ねたのであります。
 次に、質疑応答の主なるものを申し上げます。
 まず、賠償は戦争損害があったことを前提として支払われるという点から、賠償額の決定にあたっては戦争損害の実情を正確に調査すべきであるが、日本側としては、戦争損害がどのくらいあったと考えるか。実際には、今回の賠償額は、損害とは別に、ダニム発電所の建設その他の経済協力の金額を集計して決定されたのではないか、との質疑がありました。これに対し、政府は、戦争損害の全般を適当に評価することは困難であった。戦争損害が基礎となることはもちろんであるが、わが国の支払い能力、他の国に対する賠償との均衡等をも勘案して交渉の上・賠償額を決定した。なお、わが方で損害額を積算して資料としてまとめることは交渉上不適当と考えた、との答弁がありました。
 次に、戦争損害査定の起算点として、日仏間の戦争開始の時期が論議され、戦争開始日としては、ドゴール亡命政権が対日宣戦を行なった昭和十六年十二月八日ということも考えられ、政府の言う昭和十九年八月二十五日は必ずしも正確ではないのではないか、との質疑があり、この点について、連合国人の工業所有権の保護に関してフランスとの戦争開始日を十六年十二月八日とした昭和二十五年の通産省告示が引用されました。これに対し政府としては、工業所有権の問題は特殊の問題であり、ビシー政府が倒れ、ドゴールがパリを回復した日、すなわち昭和十九年八月二十五日が戦争開始日として最も妥当と考える、との答弁がありました。
 なお、賠償は昭和十五年九月の平和進駐以来の実害をもカバーすべきではないかという質疑、及び日本側の主張する戦争開始日前の損害に対して将来請求権が提起されることはないか、との質問があり、これに対し政府は、平和条約は戦争した国との条約であり、従って、賠償は法律的に戦争状態にあったということが基準となること、及び、将来の請求権の問題に関しては、今回の賠償協定に定める場合のほか、日本に対する請求権は存在しない旨をベトナム側も確認している、との答弁があり、その確認の文書も提出されたのであります。
 次に、賠償を現在の南ベトナム政府に払うことが正当であるかという点、また、ベトナムの南北統一まで支払いを待つべきではないか、との点につきまして、ベトナムの独立からゴ・ディン・ジュム政権成立までのいきさつ、ジュネーブ休戦協定、バンドン会議の精神、南北統一の可能性等をめぐって種々質疑が行なわれましたが、政府は、全ベトナムを代表する政府として、サンフランシスコ平和条約を批准したいわゆる南ベトナム政府に支払うのが正当であり、南北統一の早期実現は希望はするが、近い将来に実現は困難であり、便々とその日を待つのは、国際信義上からも、また東南アジアにおける経済協力促進の面からもなすべきではない、との答弁がありました。
 次に、今回の賠償並びに借款がいわゆる南ベトナムの軍事力強化に寄与するために行なわれはしないかとの疑点につき質疑が行なわれましたが、政府としては、常にベトナムの平和建設に寄与することを念願としており、賠償実施計画の承認にあたっては、軍事的施設の建設に賠償の履行を充てることのないように留意していく方針である、との答弁がありました。
 その他、仏印特別円残高の決済に関する諸問題、沈船引揚協定と本賠償協定との関係、わが国とベトナムとの貿易等につき、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 委員会は十二月二十一日、多数をもって質疑を打ち切り、翌二十二日、社会党の提出した外務委員長不信任動議を多数をもって否決し、次に外務大臣から仏印特別円に関する確定見解を聴取した後、討論に入りましたところ、両件に対し、日本社会党を代表して森委員より反対、自由民主党を代表して井上委員より賛成、社会クラブを代表して曾祢委員より反対、緑風会を代表して佐藤委員より賛成の意見がそれぞれ述べられました。
 以上をもって討論を終局し、採決を行ないましたところ、両件とも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#23
○議長(松野鶴平君) 両件に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。小林孝平君。
   〔小林孝平君登壇、拍手〕
#24
○小林孝平君 私は、ただいま上程されましたベトナムに対する賠償並びに借款に関する協定両件に対し、日本社会党を代表して反対討論を行なわんとするものであります。
 申すまでもなく、賠償の本質は、戦争と、それによってもたらされる損害に対する贖罪の意味を持つものでありますが、同時にまた、賠償は結局国民の税金によって支払われるものでありますから、何よりもまず、国民が心から納得し、協力するものでなければなりません。ところがベトナム賠償に関しては、かねてから数多くの疑問点が指摘され、論議されてきたのであります。従って、この国会の審議を通じ、これにまつわる数々の疑惑や暗い影を徹底的に解明し、国民を十分納得させることが政府の当然の責任であり、義務であります。しかるに、審議にあたっての政府の態度はどうであったか。必要欠くべからざる資料をみずから準備もせず、また、国会への資料の提出を怠り、あるいは拒み、著しく審議を渋滞させたのであります。さらに政府の答弁に至っては、ことさらに問題の論点をそらせ、ときに三百代言的言辞を弄し、終始混迷をきわめ、しどろもどろの醜態を見せてきた次第であります。(拍手)かくしてこれらの疑義は、質疑応答を通じて解明されるどころか、むしろかえって深く濃くなっていくばかりでありました。それにもかかわらず、自民党の諸君は、外務委員会において政府答弁の食い違いを直接総理にただしている最中に、強引に質疑を打ち切り、今これを本会議に上程し、数を頼んで強行突破をはかろうとしているのであります。しかし、かかるやり方は、みずから議会政治を軽んじ、かつ、それを傷つけるものであると言わなければなりません。(拍手)われわれは断固としてこの両件に反対し、政府はこれを白紙還元すべきであると主張するものであります。
 以下、本件に対する反対の論点を具体的に詳細に申し述べます。
 第一の問題点は、今政府が賠償を払おうとしている南ベトナム政府の正統性についてであります。一体、南ベトナム政府が全ベトナムを代表し得る資格と能力を有する適法な正統政府と称し得るでありましょうか。現在の南ベトナム政府というものは、一九四九年三月八日の、いわゆるエリゼ協定によってフランスから分離独立を認められたとされているものであります。政府はこれを唯一の根拠として南ベトナム政府の正統性を認めておるわけでありますが、これは、ベトナムの代表政府について考慮しなければならない重大な事実を故意に見落とした議論であります。第二次世界大戦後のベトナム独立の過程を正確に史実に徴して考えて参りますと、大要次のような経過をたどっております。一九四五年八月、日本がポツダム宣言を受諾して降伏するや、戦争中、日本軍に対して抵抗を続けておりましたベトミンが、ベトナム民主共和国の独立宣言を発したのであります。続いてその翌年一月総選挙を行ない、ホー・チミン大統領を首班として国家の建設に邁進したのであります。そして同年春、すなわち一九四六年三月六日、フランス政府はこのベトナム民主共和国の独立を承認したのであります。この三月六日の、いわゆるハノイ協定の第一条では、フランス政府は、ベトナム民主共和国を「自由な国家として承認する」と明らかに規定しております。そしてこの協定は、第三条によって、署名と同時に直ちに発効したのであります。フランスがベトナム民主共和国を新国家として承認した何よりの証拠に、その年の九月十四日にはいわゆるフォンテンブロー協定が結ばれております。フォンテンブロー協定は、ハノイ協定に基づいて、フランス政府とベトナム民主共和国との間に、経済、文化、通貨、関税、交通通信、外交関係、治安等についての細部を定めており、同年十月三十日には発効しております。特にその署名の欄を見ますと、一方は「フランス共和国臨時政府のために、フランス海外領大臣マリュース・ムーテ」となっており、他方は「ベトナム民主共和国政府のために、ベトナム政府首席ホー・チミン」となっております。これらはりっぱな国際条約と言わなければなりません。何より大事な点は、この時期にベトナム民主共和国はフランスから分離独立して、母国政府から独立国家として正式に承認されていたという明らかな事実であります。外務委員会における質疑に対して政府は、「これはフランスがベトナム民主共和国を将来フランス連邦内のインドシナ連邦の中の一自治州として認めることを予約したにすぎないものである。」と答弁して参りましたが、これは全くの便宜主義による詭弁であると言わなければなりません。条約文上いずこに「承認の予約である」と書いてあるのか。決してそうではなく、「自由な国家として承認する」と明らかに書いてあるのであります。政府は何がゆえにこのような曲げた解釈をするのか、はなはだ理解に苦しむものであります。フォンテンブロー協定は、その名称は確かに「暫定協定」という名称であります。しかしそのことは、ホー・チミン政府の承認の暫定性を意味するものでは決してないのであります。以上は法律上の議論でありますが、実際問題としても、ホー・チミンを首班とするベトナム民主共和国は独立以来今日まで引き続いて存在していることは、何人も否定し得ない事実であります。この厳然たる事実に目をおおって、ことさらに曲げた法律解釈を試みようとすることは、明らかに不自然であり不当であります。
 再びベトナムの歴史に戻りますが、一九四六年十二月、フランスはすでに独立国となったベトナムに対し武力攻撃を開始したのであります。これがインドシナ戦争の発端であることは御承知の通りであります。インドシナ戦争の最中に、フランスはフランス軍が占領した地域にかいらい政権を作ったのであります。これがバオダイ政権であり、このかいらい政権を作るための処置がエリゼ協定であります。この当時フランス政府が「ホー・チミン政権を相手にせず」と声明し、バオダイ政権を作った経緯は、あたかも戦争中、日本が「蒋介石政権を相手にせず」と声明して、汪精衛政権を日本軍占領地内に作ったことと全く似ていると言わなければならないでありましょう。蒋政権を相手にせずと声明した当時の内閣の岸商工大臣が、今日、中国の実態を全く無視して、蒋介石のみを相手にし続けていることもまことに皮肉なことであります。(拍手)新国家なり新政府を一たび承認をすれば、承認は撤回できないというのは、国際法の原則として一般に認められているところであります。フランスのこの声明は法律的に全く意味をなしません。かいらい政権を作るために行なわれたエリゼ協定は、すでに独立国となったベトナム民主共和国に対する重大な内政干渉であったか、あるいは同一国家に対する二重承認であったわけであります。内政干渉も二重承認も、ともに国際法規の認めないところであります。日本政府が、このような国際法無視の結果できた、かいらい政権を、ベトナム唯一の正統政府として認めるということは、不見識もはなはだしいと言わなければなりません。と同時に、現実に存在を続けているベトナム民主共和国を全く無視するその態度は、文字通り耳をおおって鈴を盗むという態度にほかなりません。バオダイ政権がかいらいにすぎないという点は、一九五二年わが外務省発行の書類にすら次のように明らかに書いてあります。「フランスのかいらい政権、これがバオダイ政権に対するべトナム人の偽らざる声である。」また「ベトナム大衆の支持を受けているところにホー政権の絶対的な強みがあるわけだが、この点、対蹠的なのはバオダイ政権である」と断定しているのであります。これはわが外務省の発表であります。これによって明らかなことは、この資料の出ました前年のサンフランシスコ会議の当時、バオダイ政権の実体がかいらい政権であったことは何人も否定し得なかったという点であります。さらにそれに加えて、外務委員会の審議の過程で、参考人学習院大学教授大沢博士によって明らかにされた通り、サンフランシスコ会議当時において、バオダイ政権は、条約、なかんずく平和条約の締結権を持っていなかったという重大な事実があることであります。この点はフランス第四共和国憲法を見れば明らかなことであります。このたびの賠償支払いの根拠は、サンフランシスコ条約第十四条であるという態度を政府はとっているのでありますが、南ベトナムのかいらい政権は実体を伴わないのみならず、平和条約締結権を持たない存在であったのであります。サンフランシスコ会議のときには、わが国は敗戦国として、いわば被告の座にあったわけであります。ですから、数多い連合国の一つ一つについてその適否を吟味する立場になかったとも言えましょうが、今日において、なおその惰性によって、正当な判断もできずに、相手かまわず国民の血税を流出するということは、わが国政府の自主性いずこにありやと反問せざるを得ないのであります。(拍手)今かりに百歩を譲って、フランスのかいらいであったバオダイ政権並びにその後継者である現在のゴー・ディン・ジェム政権が、何らかの実体と形式とを整えていると仮定しても、それが全ベトナムを代表し得るものとは決して言えないのであります。一九五四年七月のジュネーブにおける休戦協定によって、北緯十七度が暫定軍事境界線とされており、南ベトナム政権の支配権は十七度以北には全く及んでいないのであります。事実的にも法律的にも南ベトナム政権は北ベトナム地域を支配していないし、支配できないのであります。このような天下公知の事実が現存するにもかかわらず、南ベトナム政府が全ベトナムを代表するものであるという詭弁を弄する政府の胸の中には、おそらく、うしろめたいものがあると存じます。ジュネーブ会議の結果によって、南北ベトナムは将来統一さるべきものとされているのであります。わが国はジュネーブ協定の当事国でこそはありませんが、世界の平和を達成することを目的として作られたこの協定を尊重し、その達成に役立つように努力することは当然であります。この点に関しては政府側も、しかる旨を答弁されているのであります。しかしながら、真に答弁のごとくジュネーブ協定の精神を尊重し、世界から国際緊張をなくしようとするならば、ベトナムの統一を促進する政策こそがとらるべきでありまして、ベトナムの統一を破壊する政策をとることは厳に慎まなければならないと考えるものであります。現在のベトナムの政情からいって、南ベトナム政府にのみ巨額の賠償を支払おうということは、実際には南ベトナムの軍事強化を意味し、このようなことは国際緊張を激化する方向にあるものであって、緊張を緩和する政策でないことを考えなければなりません。われわれは太平洋戦争でアジア諸国の人民に与えた苦痛の償いを怠ろうというのではありません。ただ、最も遺憾なことは、かつての戦争の責任者の一人である岸首相が、再び国民の血税を投じてアジアにおける国際緊張を激化しようと試みているという事実であります。ベトナム賠償はベトナムの統一が実現してから支払っても決しておそ過ぎないのみならず、国際平和の観点からも統一後に支払われるべきものであります。現に北ベトナム政府は、この南ベトナムに対する賠償に反対し、対日賠償請求権を留保すると述べておるのであります。政府は、今回の賠償は統一政府によって継承されると独断しておりますが、統一政府よりあらためて賠償請求のあった場合、これを拒否する国際法的正当性は根拠きわめて薄弱であります。政府はよろしくこの賠償協定を白紙に返し、南北統一後あらためて賠償交渉を開始すべきであります。
 第二の問題点は、いわゆる二重払いの問題であります。すでにわが国は、昭和二十五年に金塊三十三トンを、また、一昨昭和三十二年三月十六億六千万円相当のドル及びポンド貨をフランス政府に支払っております。そして、今回また、フランスから分離独立したベトナム賠償を支払おうとしております。政府の説明では、すでに支払った金塊等は、戦前の日仏間の特別円に関する協定に基づいて日本が支払うべくイヤマークされていたものを引き渡したものであり、賠償とは無関係の戦前債務と考えているから、今回賠償を支払っても、二重に支払ったことにならないと申しております。しかし、これは問題の本質を逆転した説明にすぎません。この説明は、いかに説明すれば二重払いの非難を避けられるかということ、及びいかにして日本政府の外交上の失態を国民の目からおおい隠そうとするかという目的のため考えられた理屈であります。しかし、こうした無理な理屈には、必ず説明のつかない不合理な点が露出するのであります。その最も不合理な点の一つは、日仏開戦の時期の不明確なことであります。サンフランシスコ条約第十四条によると、賠償は、戦争中連合国に与えた損害及び苦痛に対して支払わるべきことになっております。また、特別円による支払いは戦前債務であると説明するならば、当然いつからいつまでが戦争の存在した期間であるかが確定されなければなりません。なかんずく戦争開始の時期は最も合理的でかつ明瞭なものでなければならないわけであります。日仏開戦の時期に関しては、従来各方面でいろいろの論議がなされたところでありますが、大体次の五つの説があります。第一は一九四一年十二月八日、第二は一九四四年八月二十五日、第三は一九四四年十月二十三日、第四は一九四五年三月九日、第五は戦争状態不存在論、以上五つの説のうち、政府は、一九四四年八月二十五日を開戦の日であると答弁しているのであります。結論から言えば、この政府の説明は、五つの説の中で最も根拠薄弱な、最も合理性の乏しい説であります。今ここでは、日仏間に戦争状態は存在しなかったという議論はしばらくおくとしても、一九四五年三月九日には、現実に仏印で日本軍は武力行使を行ない、仏印を初めアジア各地に散在していたフランス軍部隊を武装解除して、日本軍の管理下に入れております。従って、第四番目に申し述べた一九四五年三月九日を開戦日とするという説には相当の論拠があるのであります。ところが、ドゴール政権は、一九四〇年六月ロンドンに亡命してから自由フランス委員会を作り、一九四一年十二月八日には対日宣戦を布告しているのであります。このドゴール政権が、その後ビシー政権の滅亡とともにフランス本国に帰り、今日のフランス政府を形成しており、平和条約に署名したのもこの政府であります。ところで、現在のフランス政府をフランスの正統政府として日本が承認した以上、一九四一年十二月八日の宣戦布告の効果は、法律的にはさかのぼって認めなければならないとする有力な意見があります。この点は、私がここで詳細に申し述べるまでもなく、本年八月二十日の官報に掲載されておりますサンタフェ号捕獲審検の再審査決定書の中で、最も有力な専門学者が、多数の国際先例をあげて意見を述べております。これらの問題については委員会において論議をしたかったのでございますが、自由民主党の強引なる審議打ち切りのため、この重要な問題がついに質疑できなかったわけであります。それはともかくといたしまして、これらの国際法の専門家の意見によれば、日仏開戦の時期は一九四一年十二月八日であると断定しているのであります。政府は、フランス政府承認の効果についての遡及効は認めながらも、開戦日を一九四四年八月二十五日としております。八月二十五日はドゴールのパリ入城の日であります。この日は、ドゴール政権にとっての歴史物語上の記念日であるかもしれませんが、法律的には何ら意味を持たない目であります。パリに入城したというものの、フランス全土に支配権が及んだわけでもなく、連合国がドゴール政権を承認した日でもありません。連合国の承認したのはその年の十月二十三日であります。現実に政権ができて、外国からも認められた時期といえば、むしろ十月二十三日説の方が根拠が強いわけであります。政府は、この賠償問題に関しては四四年八月二十五日説をとりながら、昭和二十五年九月十五日に官報に掲載した「連合国人工業所有権戦後措置令第二条に基く通産大臣告示」では、日仏開戦の時期を昭和十六年十二月八日としており、それ以後この官報告示が変更されていません。また、極東裁判においても、日仏開戦の目は一九四一年十二月八日とされております。もしも、ただいま申し述べた専門家その他の見解通りに、四一年十二月八日が開戦日であるとするならば、金塊三十三トンと十六億六千万円は誤って支払われたものであります。なぜならば、平和条約第十四条(b)項で、連合国はこのような請求権を放棄しているからであります。また、もし四五年三月九日を開戦日とするならば、今次の賠償は理論上半減されなければならないのであります、このように見て参りますと、なぜ政府が根拠のない八月二十五日説に固執しているかという理由が明らかになって参るのであります。すなわち、対仏外交の失態を、政府承認の遡及効という、はなはだ、しろうとわかりの困難な理屈を用いておおい隠そうとしているにほかなりません。ドゴール政権は、一九四四年八月九日の、オルドナンスでビシー政権が行なった一切の寸法行為を、その名称のいかんにかかわらず無効としているのであります。ころが、ビシー政府の日本と結んだ特別円協定に基づく勘定は、日本政府からあらためて協定を結んで受け取っているのであります。一昨年三月末、国会の承認も得ずして支払いを行なったのは、当時の外務大臣岸信介氏であります。そして今回は、フランスから分離独立したベトナムに、なぜかあわてて賠償を支払おうとしているのも、また岸信介氏であります。一九四四年八月二十五日を開戦日と考えるというのは、このような不手ぎわの言いのがれのために考えついた、まことに苦しい弁解にほかなりません。
 問題の第三点は、賠償算定の根拠についてであります。総額五千五百六十万ドルの数字は一体どうして算出されたのか、委員会における質疑でもついに一向明らかにならず、それのみならず、ますます疑惑を深める一方であったわけであります。平和条約第十四条によって連合国に賠償を支払う場合は、戦争中生じた損害及び苦痛に対して支払われるべきものであります。ベトナム国民にいかなる損害、苦痛を与えたかということが確定されなければ、賠償額はきまらないはずであります。伝えられるところによりますと、自由民主党の川島幹事長は、賠償とは別れた女に出す手切れ金のようなものであると言ったそうでありますが、心事まことに俗悪なことと言わなければなりません。一体賠償を何と心得ているのか、不謹慎もはなはだしいと申さなければなりません。政府が今次の賠償算定の基礎を明確にし得ない理由は、思うに次の三つの理由が存するからであります。その一つは、戦争中のベトナム人に与えた損害や苦痛のほとんどすべては、いわゆる北ベトナム地域におけるものであるということであります。南ベトナム政権は、北緯十七度以北には何らの支配権も及んでおらないから、先方でも実際こうむった損害を算定することは不可能でありましょう。それにもまして損害額に触れたくないのは日本政府であります。それは、正確に発表すれば、与えた被害のほとんどすべてが北ベトナム地域にあることを暴露することになるからであります。実害をはっきりさせればさせるほど、賠償を南ベトナム政府に支払えばこれで全ベトナムに対する賠償は終了するというそらぞらしい説明が、ますますそらぞらしくなるばかりであるからであります。(拍手)このことは、鶏三羽二百億円という言葉が最も雄弁にこれを語っております。第二の理由は、賠償金額は、与えた損害や苦痛を換算してきめられたものではなく、実は土建業者の机の上でセメントや鉄筋の量を積算することによって決定されたものであります。外務省調査員、日本工営株式会社社長久保田豊氏が請け負って設計したダニム・ダムの建設見積り金額と賠償金額とは、完全に一致して、びた一文の違いもないのであります。第三の理由は、沈船引揚協定の際の額とあまりに大きな隔たりがあるからであります。一九五三年の沈船引揚協定交渉においては、総額を二百二十五万ドルとし、これがベトナムの賠償の主要部分を占めることとなっていたわけであります。わずか数年の間に、この金額が二十数倍の五千五百六十万ドルにはね上がったことは、説明がつかないのであります。かくして賠償額算定の根拠は、全くあいまいであります。国民に対して支払い金額の根拠を納得するまで説明するのが政府の重大な義務であります。国民にとって、その血税を、たとえ一円たりとも納得のいかない支払いに充てられるということは、たえがたいところであります。いわんや、二百億円に上る巨額の賠償、どんぶり勘定で支払われるということは、絶対に承知できないのであります。(拍手)
 第四の問題は、政府の秘密外交と国会軽視についてであります。御承知の通り、先般の外務委員会で、わが党委員の追及によって、この賠償協定には付属の秘密文書があったことが初めて明らかにされました。この秘密交換公文の内容についても問題とすべき幾多の点があるところでありますが、何よりも問題なのは、参議院での追及を受けるまで交換公文を国会に対して秘密にしていたという政府の態度であります。外交の秘密に籍口して、従来も国会を軽視する風潮があったことは事実でありますが、条約に重大な関係のある交換公文を作成しておきながら、国会の追及を受けなければ発表しないという態度は、はなはだけしからぬと申さなければなりません。かくのごとき秘密外交は、われわれは絶対にこれを許すことができません。外交は政府や一部の外交官僚の独占物ではありません。
 第五の問題は、岸内閣が国民の大多数の疑惑や反対を押し切ってベトナム賠償を強行しようとしている真の意図はどこにあるかという問題であります。結論を先に言えば、第一は、岸内閣が、アメリカの東南アジア政策、なかんずくその軍事政策のお先棒をかついでいるということであります。第二は、岸内閣が国内の土建業者や兵器産業の擁護者となっているということであります。この賠償が南ベトナムの軍事強化と密接不可分の関係があることは、委員会における審議において明らかにされたところであります。今次の賠償は、緊張激化のために用意された、かいらい政権の補強工作である以外何ものでもありません。こうした下心がない限り、ベトナム政府の承認についての選択の問題や、日仏開戦の時期についての見え透いたからくりは、決して出てくるべきはずがないのであります。このベトナム賠償問題は、率直にものを考える国民にとっては全く不可解千万な問題の一つであります。それは問題の性質が相当に複雑であり、これを十分理解するためには、過去の経緯や専門的知識を必要とするという面が多いということもさることながら、全体として岸内閣の持っている外交の方向に対する深い疑惑がつきまとっているからであります。特に、この賠償交渉の経緯を考えますに、正常な外交交渉が行なわれたのではなくして日本側で主要な役割を果たしましたのは実に土建屋と兵器製造業者であります。
#25
○議長(松野鶴平君) 小林君、時間が超過いたしました。
#26
○小林孝平君(続) わかりました。(「結論は」と呼ぶ者あり)これからやります。なぜ、これら一部資本家がこの賠償支払いに熱心であるのか。それは賠償支払いによって彼らが潤おうからにほかならないのであります。賠償はもうかるものだという考え方があるのは困ったものだと、政府の内部、外務省の中でさえ、ささやかれているではありませんか。岸内閣は、一部資本家、いわゆる死の商人を太らすために、国民に割勘で賠償を支払わせようとしているのであります。(拍手)急がなくてもよい、いな、現段階では急ぐべきではないベトナム賠償を、あわてて支払おうとしている真意は、まさにここにあるのであります。(「結論を言え」と呼ぶ者あり)これから最後の結論に入ります。
 以上論じ来たったところで明らかなように、ベトナム賠償はあまりにも疑義が多過ぎます。しかも、そのことごとくがいまだ明らかにされていないのであります。かりにこのままこれが成立するとするならば、国民は永久にこの賠償に対して疑惑を持ち続けるでありましょう。いや、国民だけではありません。今これを強引に成立させようとして議席からヤジっておられる自民党の諸君すら、諸君のうち、はたして何人が何らのためらいもなくこれに賛成することができますか。(拍手)さらにこれを提案した政府それ自身すらも同様であります。国会の審議を通じて、あの確信のない態度、あの醜態の根本原因は、実は政府自身この賠償に疑問を持ち、割り切った立場をとることができないからにほかならないのであります。それにもかかわらず、政府、与党は、参議院における自然成立を期待し、衆議院における審議を急ぎ、強行突破をなし、先例をじゅうりんして、官庁御用納めの翌日、すなわち暮れの二十九日に通常国会の召集をしてまで、この国会の会期を十三日間も大幅に延長するという暴挙をあえてしたのであります。岸総理は、与党が衆参両院において絶対多数を占めていることにおごりたかぶっておられますが、国民は、政府や自民党に何をしてもよいという白紙委任状を渡したのではありません。(拍手)賛成、反対は別として、このように国民の大多数が幾多の疑問を持ち、納得ができないまま国会の審議を終わることは、いまだかつて先例を見ないところであります。かかる問答無用的なやり方が行なわれるならば、国民はやがて国会の審議に対して権威を認めなくなるでありましょう。諸君、自由民主党の諸君、諸君にして一片の良心と国民の負託にこたえて議会政治を守ろうとする誠意があるならば、よろしく本案に対し反対の投票をなし、ベトナム賠償はこれを白紙還元すべきであります。
 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(松野鶴平君) 笹森順造君。
   〔笹森順造君登壇、拍手〕
#28
○笹森順造君 ただいま議題となっております日本国とヴィエトナム共和国との聞の賠償協定の締結について承認を求めるの件並びに日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件について、私は自由民主党を代表し、賛成の討論を行なわんとするものであります。
 以下賛成の理由を申し述べます。
 第一点は、これによってわが国が戦後において処理すべき最も重大な賠償問題が全面的に解決せられ、わが国独立完成の実があげられるということであるからであります。すなわち、わが国が十四年前に終わった戦争の跡始末をつけるために、一九五一年九月八日にサンフランシスコ市において締結した平和条約によって負わされたわが国の賠償支払い義務が、これによって全部完遂せられるからであります。わが国に対して賠償請求権を得た国のうち、アメリカ等九カ国は賠償請求権を放棄しましたので、わが国は、ビルマ、インドネシア、フィリピン及びベトナムの四カ国だけに賠償の義務を負うことになりました。そのうち三カ国に対する賠償協定はすでに成立し、今やベトナムに対する賠償協定の成立によって、賠償問題が全部解決する運びとなるのであります。賠償問題の解決は、単なる条約上の義務履行ということにとどまらず、わが国外交の基本政策に基づく高度の政治的考慮を伴う政策であり、これによって今後わが国の外交路線が大きく開かれていくものであって、この前途の希望をはばむようなことがあってはならないのであります。
 第二点は、賠償額が妥当なものであるということであります。賠償額を決定する基本となる要素としましては、一つには相手国にこうむらしめた有形無形の損害苦痛に対し、二つにはわが国の支払い能力につき、三つには他国に払った額との均衡につき、つぶさに勘案され、結局、当事国間の折衝と合意とによって政治的に決定せらるべきものであります。すなわち、ベトナム共和国は当初二十億ドルという巨額の要求額を算定したのに対し、わが国が忍耐深く、思慮深く、条理を尽くして交渉した結果、ようやく合意に達したのは、木協定の三千九百万ドルにひとしい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を賠償として供与し、また、七百五十万ドルの限度の貸付を行なうことによって本件の妥結を見るに至ったことは、上述の三つの基本から最も適当な額に落ちついた政治的解決として、私はこれを強く支持するものであります。(拍手)
 第三点は、この賠償と借款の実施は、ベトナムの平和経済発展と民生安定とに寄与するところ大であり、両国の親善協力に役立つからであります。すなわち、現在ベトナム共和国政府の施政権下にある地域の発電量は、火力と水力とを合わせてわずかに七万二千キロワットで、わが国の二百分の一にも達しません。このたびの純賠償としてダニム水力発電所建設費として三千七百万ドルが予定され、機械工業センター設備費として二百万ドルに相当する日本生産品と役務が供与され、さらに借款協定により、同発電所建設のために必要な現地通貨分七百五十万ドルと、尿素工場建設費九百十万ドルに相当する日本生産品と役務とを借款として供与する予定であります。これによってベトナム国の発電量は一躍三倍以上に増大し、化学肥料の二割を自給し、輸入を減じ得、同国の平和産業を開発し、経済を振興し、民生を安定し、購買力を増大し、市場を拡大する。これと相待ってわが国との通商航海条約を結ぶことによって、両国の経済協力関係を有利に進展せしめることになるのであります。従って、この賠償協定に反対することは、これらの善悪の平和繁栄の構想をことごとく水泡に帰せしめ、わが国の国際経済政策の発展を阻害する誤った議論と言わなければならぬのであります。(拍手)ベトナム賠償協定に対して、社会党初め野党の諸君は強く反対しておりま一が、私はその反対論の主要な論拠を取り上げ、そのすこぶる薄弱であり、または誤りである点を指摘したいと思うのであります。反対論の第一として、ベトナム国は現在南北の二つに分かれており、ベトナム共和国政府をもってベトナム国全体を代表する正統政府と認める見解に異論を差しはさむ点に対してであります。この反対論は、ベトナム共和国成立の経緯と国際社会における現在の地位とを無視した謬論にすぎません。フランスが一九四九年にフランス連合のワク内におけるベトナムの独立を承認し、ベトナム国に対し大幅に独立国の権限を移譲いたしました。一九五〇年には、米英等の自由諸国も相次いでベトナム国を独立国と認め、その正統政府として承認をいたし、かくして一九五一年九月にはベトナム国は対日平和条約に調印したのであります。次いで一九五四年四月に、フランス及びベトナム両国の共同宣言により、フランスはベトナム国の完全独立を認め、一九五五年秋には政体を君主制から共和制に改めて、ベトナム共和国となったのであります。これに対して、列国は政府の継続性を認める旨の通告を相次いで行ない、自来今日に及んでおるのであります。現在、このベトナム共和国政府をベトナム全体を代表する正統政府として承認しておる国をあげるならば、わが国のみならず、自由諸国やアジア諸国を含めて四十九カ国に及び、その他、領事を交換している国やベトナム共和国の国連加盟に賛成した国は十三カ国に上っておる次第であります。一方、フランスは終戦後にホー・チミン軍の討伐を開始し、長らく武力衝突が続いたのでありますが、ホー・チミン政権を承認している国は共産圏の十二カ国にすぎないのであります。(拍手)しかるに、北ベトナムを認められた国とする論拠として、先ほどもジュネーブ休戦協定を持ち出しておったのでありますが、この協定の内容、性質から見て、全然根拠のないものであります。この協定は単に戦闘行為をやめる純軍事的な協定にすぎません。ゆえに、その共同宣言には、「軍事境界線はいかなる点においても決して政治的または領土的境界線として解釈することを許さない暫定的な線である」と明記されてあります。いずれにいたしましても、ベトナム共和国はベトナム全体を代表する正統政府であることは、国際法上の厳然たる事実であります。この政府と平和条約において調印し、この政府に賠償支払いの義務を負ったのを、交渉によって妥結した協定に従って支払う以上、これは全ベトナムと日本とを有効に拘束することは、国際法上何ら疑義を差しはさむ余地のないところであります。(拍手)
 反対の論拠の第二は、北ベトナムのホー・チミン政権にあたかも賠償の請求権があるかのごとき観点から、この協定に反対する立場であります。しかるに、ホー・チミン政府は、元来、わが国に対して賠償請求権が全然ないのであります。本来、戦争賠償なるものは、戦争終結の必然的な要件ではなく、当事国間の合意によってのみ成立上得るものであります。国際慣習法によれば、明示の取りきめがない限り、講和後において賠償の請求ができないのであります。それは、サンフランシスコ平和条約に署名し批准した国に限るのでありまして、ホー・チミン政権はその要件を全く欠いておるのであります。戦争賠償を要求する権利を持たない政権であります。反対論者は、往往にして、今後なおいずれかの政権が賠償請求権があるかのごとき言説をなす者がありますが、これはわが国民に無用の負担をになわしめんとする不謹慎きわまる暴論と言わなければなりません。(拍手)
 この反対論に続いて、ベトナムの南北統一の行なわれるまで賠償問題を延ばすべきであるとの論があります。しかし、今のところ、南北の統一を希望しても、東西両陣営の対立を背景とする南北統一の問題は全く見通しが立ちにくい状態にあります。わが国が国際社会に復帰してすでに七年余、他の求償国との賠償問題が解決したのに、ひとりベトナム共和国だけには、南北統一が実現されぬとの理由で、この上いつまでも賠償義務の履行を引き延ばすことは、はなはだしく国際信義に反することであり、しかもまた、ベトナム国会が本協定に対しすでに本年七月二日に承認を与えておる以上、わが国会においてこれに反対するがごときは、国際信義にもとり、両国の親善関係を破壊するものと言わなければなりません。将来ある時期においてベトナムに統一政権が成立した場合においては、その政府はベトナム共和国の条約上の権利義務関係に拘束され、別途に賠償の要求をなす権利が発生しないのは明らかであります。日本もこれを認めないことは、また言うまでもありません。いずれにしても、われわれは、これによってわが国の賠償完全完了の国策を宣明し、わが国民をしてこの点において安堵せしめんとするものであります。
 反対論の第三は、昭和二十八年の沈船引揚協定によって賠償の主要部分が解決せられることになっておるにかかわらず、今はその二十四倍に上る別の賠償額に変わったのは解しかねるという論であります。しかも、南ベトナムにはほとんど戦争の被害がなく、これは不当な額であるという議論であります。この反対論もまた事実を曲げておるわけであります。サンフランシスコ条約に基づいてわが国に提示された賠償要求は、ビルマ三十億ドル、フィリピン八十億ドル、インドネシア百七十二億ドル、ベトナム二十億ドルという、それぞれ膨大な額でありました。それで、わが国としては、直ちに賠償総額について交渉することを避けて、中間賠償として沈船引き揚げに関する交渉を行なうこととし、昭和二十八年中に、フィリピン、ベトナム及びインドネシアと、それぞれ中間賠償協定を議したのであります。東京で仮調印されたベトナムとの沈船引揚協定においては、二百二十五万ドルの範囲内で沈船引き揚げが予定せられたのでありますが、当時ベトナム側は、この二百二十五万ドルはベトナム賠償の一ないし二%であると主張し、わが方は賠償総額は非常に少ないはずだと主張し、総額の決定は将来に譲られたのであります。今回の三千九百万ドルの賠償額は総額であります。よって、先般の中間賠償と考えられた額と比較して何倍に当たるかというような議論は、全くその意味を持たないナンセンスな議論であります。ベトナムは、戦争によって南北全体がこうむった有形無形の損害、苦痛を合算して、当初二十億ドルの要求を示したのでありますが、前段に申し述べました通り、わが方の根強い交渉によって、借款を加えて五千五百六十万ドルという線に切り下げるに一致を見たことに対して、われわれは全幅の支持を表明するものであります。
 反対論の第四は、ベトナム賠償の背後には一部の独占資本家が暗躍し、利権を占めんがために賠償額をふくらましたのではなかろうかという邪推から来る論であります。この推測は、賠償の内容として予定されておるダニム発電所及び機械工業センター建設のための調査が前から行なわれていて、しかも、妥結した賠償額がこれらの建設費とほぼ同額であるところから来ているのであります。しかし、これは何ら異とするに足らないことであります。その理由は、賠償は相手方の巨額な要求を合理的な額に引き下げるため、まず相手方の希望する賠償の具体的用途を明らかにさせ、その多数の用途の中から相手方の欲する優先順位の低いものから削っていくやり方は、合理的かつ実際的な方法であります。ダニム発電所については、フランスと日本工営の両方に調査を依頼し、両者から調査報告を受けたベトナム政府が両方を比較検討した結果、日本工営の報告書を採用することになったのであります。そして日本工営は調査費用の支払いを受けて契約は完全に履行されたのであります。日本工営はいわゆるコンサルタントにすぎず、みずから建設に当たるものでもなく、建設者の選定を行なうものでもありません。将来、協定発効後に、実際の建設に当たるのは、ベトナム政府の行なう入札によって決定される日本の建設業者や製造業者であります。従って、そこに、たくまれた利権賠償であるという疑惑を残す余地は全然ないことが委員会の審議によっても明白にされたのであります。
 以上をもって反対論の主要な論意と疑点とは解明されたのでありますが、そのほかにも若干の問題が解明せられました。すなわち、仏印特別円支払いは、ベトナム賠償とは二重払いではない。これは日本とフランスとの間の債務の決済であって、戦車によってベトナムがこうむった損害に対する賠償とは全く性質を異にするものだということが明らかにされました。また、日本とフランスが戦争状態に入った時期の問題は、政府の認定している通り、ドゴール政権確立の時期と見るのが最も適当であると信じます。また、平和条約調印者の国籍問題は、任命権者の正当性と参加諸国の同意によって何ら問題とすべきではないのであります。反対論は、ベトナム共和国をフランスのかいらい政権との烙印を押そうとする意図にすぎないことが明らかにされたのであります。
 最後に私は、本協定の審議決定が、わが国会の二院制度と参議院自主性との観点から、本会期終了前に結論をあぐべしとの理由によって賛成するものであります。反対論者は、政府与党が十分なる審議に応ぜす質問を終局せしめた不服を述べております。しかし、本件に関しては、衆議院外務委員会においては三十七時間五十分の質疑応答があったのに比し、参議院外務委員会においてはおよそ五十一時間にわたりきわめて熱心に慎重に質疑応答が重ねられ、しかも、本件の核心に触れて自由民主党委員が行なった質疑に対する政府の答弁によって、問題の一切が明快になりました。その間に、社会党はその時間の大部分を費やしたのであります。
 最後に私は、本件をわれわれが審議を全うして、本議場において絶対多数の賛成によって成立して、国民を代表する本院の意思の決定がなされて、自然成立に至るがごときことにならないということは、反対党を含めてわれわれ参議院の権威のために喜ぶべきものと信ずるのであります。(拍手)わが国の戦後国際名誉の完全回復のために、賠償支払い完全終了のために、ベトナム国興隆のために、国際親善平和、経済協力のために、ひいては本院権威のために、本件が圧倒的多数の賛成によって成立せしめるべきものであることを強く訴えて、私の賛成討論とするのであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(松野鶴平君) 曾祢益君。
   〔曾祢益君登壇、拍手〕
#30
○曾祢益君 私は、社会クラブを代表いたしましてただいま議題となっておりまするヴィエトナム国との賠償協定並びに借款協定について承認を求める件、両案件に対して、反対の討論を行ないたいと存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 反対の第一の、そしておもなる理由は、この賠償が、南北二つの政権に分かれて相争うところのベトナム国の現状を無視して、事実上、南ベトナムのみを代表するところのベトナム共和国政府に対してなされるからであります。われわれは、サンフランシスコ平和条約に定められたわが国の賠償の義務は、正当なる求償国に対してはこれを実行しなければならないと信じます。しかして、現在のベトナム共和国政府の前身であるベトナム国政府が、サンフランシスコ条約の調印国であって、求償国の資格を持っておった事実も否定いたしません。しかしながら、その後、北ベトナム政権すなわちベトナム民主共和国政府が、そのフランスとの戦争を通じて、またジュネーブ協定で確認されている通り、十七度以北の地帯に対しての支配権を持つに至ったこと、また逆に、ベトナム共和国の方は南半分に対してのみ事実上支配権を持っているにすぎないというこの事実も、また否定し得ないところであります。しかも、ジュネーブ協定に基づく自由選挙による南北統一は、世界にまたがる冷戦の現状から見まして、遺憾ながらその実現の見通しは現在全く立たないというのが真相であります。従って、一つの民族国家に二つの相争う正統政府が存在している事実を無視いたしまして、一方の政府に対して国家と国家との間の戦争終結の基本的要素の一つである賠償を実行することは、かりに冷戦を激化するというそしりはしばらくおくとしましても、他日統一が実現した場合、あるいは逆に完全なる国家分裂が起こった場合に、累を残すことになることは疑問の余地のないところであります。この点に関する政府の説明は、単に国際法の通念によって、正統政府に対する債務の支払いは統一国家にも引き継がれるべきであるという主張にとどまるのであってなるほど一般的にはかかる主張にも一理があるといたしましても、分裂国家の場合とか、また、共産政権が受け継いだような場合には、この議論は通用しない。かつ、外交史上から見ましても、これは単なる一方的主張にすぎないことは争う余地のないところと信ずるのであります。加えてベトナムの場合は、北ベトナムが明確にこの賠償に反対を表明している事実から見まして、政府の主張は、法理的にも不備であるとともに、事実においては無理であることは言を待たないところと信ずるのであります。私どもは、賠償は、前に申し上げましたように最終的解決でなければならない、しかも国民の税金によってまかなわれるものであるから、将来二重払いのおそれがあったり、ないしは少なくとも国際紛争の種を残すようなあいまいな状態において実行すべきではないと信じ、この賠償に反対する次第であります。(拍手)ただここに明らかにしておきたいことは、われわれのこの賠償に反対する理由は、われわれのベトナム共和国に対する政治的な反対を意味するものではない。また逆に、北ベトナム国政府に対する政治的な支援という意味ではないということであります。さらにわれわれは、いつ実現するかもわからない南北統一まで一切の賠償や経済援助を差し控えるべきであることを主張するものでもありません。われわれは、南であれ、北であれ、ベトナム国とその国民に対して、不幸なる冷戦の現状からしまして賠償の義務履行ができないことを了解せしめ、あわせて南北べトナム、特に日本政府が承認しておるベトナム共和国政府に対して、賠償にかわる借款と経済援助を与えることによって、過去の償いと今後の援助の実をあげることが、両国、両国民のために適当であることをもっと真剣に説得すべきであったし、また今でもそうである。これこそまさしく、サンフランシスコ平和条約の義務を尊重しつつ、しかも冷戦に逆らわず、その激化を避け、東南アジアの新興国民との親善を増進する唯一の道であると、良識ある国民が考えておることを確信するものであります。(拍手)かかる意味合いから、われわれは、政府に対してしばしは再考を促したにかかわらず、全く反省の色を示さないので、今回の協定に対しては、賠償協定のみならず、これと不可分一体の関係にある借款協定を含めてこれに反対するものであります。反対の第二の理由は、本件賠償とフランスに対する旧仏領インドシナ関係の特別円などの支払いとの関係がきわめてあいまいであり、かつ少なくとも特別円関係の一部は二重払いの疑いが濃厚であるからであります。政府の説明は、一方におきましては、仏印関係りフランスに対する支払いは、一九四四年八月二十五日、すなわちドゴール政権のパリ入城の日であり、政府の確めるところの日仏間の戦争開始の日以前の債務に限ると言っておきながら、他方ではフランスの主張に属しまして、その後終戦当時までの支払い残高をも含み、従って戦争中の債務をも包含することを認めておるのであります。われわれは、また他面において、南ベトナム側からも、日本政府に対して特別円の支払いと金塊の引き渡しをおれの方にしろという要求があったことを知っております。すなわち結局において、今回の南ベトナムとの賠償の中には、開戦後のインドシナ銀行残高に対する支払いが二重になっていることは否定できないと信ずるのであります。このゆえにわれわれは、このようなずさんな賠償の支払いに反対いたします。
 反対の第三の理由は、本件賠償の実施が北ベトナムとの貿易に累を及ぼし、かつビルマ賠償の再検討に波及するおそれがあるという実際上の見地に基づくものであります。周知のように、南ベトナムとの貿易は主としてICA資金にささえられたわが国から輸出の片貿易であり、これに反し北ベトナムは、その地下資源の賦存から見ましても、また、今後の経済開発の進展から考えましても、わが国の有望な輸出入市場であります。北ベトナム側の本件賠償に対する政治的反対の当否はしばらくおくとするも、賠償実施の結果、北ベトナム貿易を失うことのわが国貿易経済上の不利不便は決して少なくないのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
さらに本件がビルマ賠償に及ぼす影響については、すでに、ビルマ政府から賠償協定に基づく再検討の申し出がなされておるのであります。われわれは、当時のビルマ社会党政府が大きな英断と英知をもってわが国との永続的な友好のために賠償協定に踏み切ったことを、高く評価しておるものでありますとともに、正直者がばかを見ないようにするために、その後の日本政府の賠償に対する甘い態度に照らして、この際ビルマからの再検討の申し出に対してはこれに応ずる、そうしてわれわれとしても好意的考慮を払うべきであろうと思っておるのであります。しかし、そうなればこそ、ますます本件賠償のように、二重払いのおそれのある、むだづかいは、これを厳に慎しむべきであると信じ、本件賠償に反対するものであります。
 以上反対の理由のほか、戦争損害が南よりも北に多かった事実、戦争開始の日付についても首尾一貫しておらないこと、賠償のおもなる目的がすでにダニム水力発電所建設費に引き当てられておって、その建設費総額がほぼ賠償総領と見合うことから起こった疑惑などがあげられております。しかし、綿本問題としては、政府が初めから確たる自信と用意と決意なく、混然とこの協定を締結し、しかも国民の良識に序して十分なる説明を行なわず、ひたすら多数の力をもって本国会における協定の強行突破をはかったことと、政府がみずから加わって作りましたバンドン会議の決定をじゅうりんして、南北統一前の南ベトナムの国連加盟を支持し、また、本件賠償の実施によってさらに南ベトナム強化をいちずにはかるなど、冷戦激化の片棒をかついだところに、根本的な外交の誤りがあったことを強く指摘しなければならないと思うのであります。(拍手)これととまに、社会党、共産党の反対論の一部にもまた、北ベトナム支援と、冷戦激化というか、少なくとも冷戦における一方の立場にくみしたような議論がございまして、両々相待って本件賠償問題に対する冷静にして公正なる国民の判断を曇らしたことも、また遺憾であったと思うのであります。われわれは、これらの立場を批判しつつ、前に述べましたわれわれ独自の理由に基づいて、本件両協定案双方に対して明確なる反対の意思を表明し、あわせて、この参議院の良識にかけまして、本件に対して各議員が反対の意思を表明されんことを強く訴えまして、討論を終わりたいと存じます。(拍手)
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#31
○議長(松野鶴平君) 佐藤尚武君。
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
#32
○佐藤尚武君 私は緑風会総会の決議によりまして、ただいま議題となっておりますベトナム共和国に対する日本の賠償及び借款協定に関して賛成の意を表するものであります。
 問題の根本として私の最も重きを置くところは、日本は、自己の署名した条約に対してはどこまでも忠実でなければならぬという点であり、これは当然のことでありまするが、かくしてこそ初めて日本は世界から信頼される国となるのでありまして、自分自身の署名さえも重んじないようでは、とうてい国際信用をかち得るわけには参りません。(拍手)対ベトナム賠償問題におきましても、でありまするから、私はサンフランシスコ平和条約に規定された賠償条項を文字通り忠実に履行するのが、日本としての建前でなければならぬと考えるものであります。しかるを、この平和条約、ことに賠償条項に疑問を差しはさみ、あたかも日本が賠償の責任を回避するがごとき印象を世間に与えるようなことがありましては、日本の国際信用上重大なる汚点を印する結果となり、日本として絶対に避けなければならぬところであると信じます。ベトナム国は正規の手続を踏んで平和条約に署名し、かつこれを批准した国でありますれば、同国は当然日本に対し条約上の請求権を持つ国となっておるのであり、しからば、日本は、この国に対し、条約の規定通りその希望を受けて、すみやかに賠償の交渉に入るべきであり、また首肯し得る期間内に妥協に到達すべく努力するのが当然の義務であります。政府は、昭和二十八年六月の同国との沈船引揚交渉から起算しまするなれば、実に六年の長日月を費して、ようやく本年五月、現在のベトナム政府、すなわちゴ・ディン・ジェム総統を首班とするベトナム共和国政府との間に、賠償額三千九百万ドル、借款額一千六百六十万ドルとして、賠償並びに借款協定を締結するを得たのであります。しかして現在のベトナム共和国が平和条約締結当事国の一つでありました当時のベトナム国の正統の継承者であるということは異論のないところであります。本件賠償問題の外務委員会における審議中、賠償額の適否について大なる論争がありました。しかし私は、このような賠償交渉においては、相手国も、またわが日本も、正確なる賠償算定の基礎の上に賠償総額を算出するということは、とうてい不可能であり、日本側の一応の計算の目安はあったとしても、結局は、被害国の諸般の事情を考慮し、戦災の程度を考慮し、また自己の支払い能力と考え合わせた上、既決の諸国に対する賠償額とにらみ合わせつつ、相手国の要償額を引き下げ、適当の金額をもって妥協に達するほか解決の道はあり得ないと信ずるものであり、この見地よりして、私は政府のとった態度を是認し、かつ協定額をおおむね妥当のものとして受け入れるものであります。(拍手)
 私はまた、今回のベトナム賠償交渉の妥結をもって、サンフランシスコ平和条約に、よる対日賠償請求国の最後の賠償義務の完遂でありとする政府の説明を重要視するものであります。わが国の賠償義務は平和条約の規定から生ずるものでありまして、平和条約の規定に従い、わが国に賠償を請求してきた国々に対してのみ負うところの義務であります。大東亜戦争によって生じた各国間の戦時状態を平和状態に引き戻すために結ばれたのが平和条約であり、戦争のために相手国に与えた損害を補償清算するというのが、平和条約の賠償条項であるといたしまして、日本との戦争状態を清算して平和状態に回復しようとする希望をもって平和条約に署名した国々に対して、日本は初めて条約上の義務を負うのであり、また日本の賠償義務はそれに尽きるのであることを明確にしておかねばならぬと信じます。(拍手)
 わが国が、ビルマ、フィリピン、インドネシア三国に対して負担する既決の賠償借款の合計に今回のベトナム賠償借款額を加算いたしますれば、総計実に十九億五百六十万ドル、この邦貨換算額六千八百六十億一千六百万円という膨大な数字に上るのであり、これは今後十数年間にわたり、わが国の負担する賠償、政府借款、経済協力上の義務となって参ったものであります。以上の四カ国に対する日本の賠償負担額は年額概算二百七十億円ということであり、そうしてこの金額は十数年も引き続いて毎年負担しなければならぬ金額であり、また国民の血税によってまかなわれる経費であります。一兆五千億のわが国一般会計予算にとりましては軽からざる負担であります。してみれば、この巨額の賠償支払いについては日本側として甚大な関心を払わざるを得ない問題であります。賠償額は主として相手国の民福増進に向けられるべきでありましょうし、そうしてまた、賠償協定の規定に従い、それぞれの使途に向けられるのでありましょうが、日本政府としても、その責任上、その使途が何らかの形において日本の利益にもなるべく考慮するを要する問題であると思考いたします。つまり、日本の供給する生産物なり役務なりが、協定の目的に従い、相手国において利用されると同時に、供給国たる日本にも何らかの形の利潤として帰ってくるよう工夫をこらすことが肝要と思われます。たとえば、現地の住民が日本の生産品に慣れて将来に対する需要を増大する方法はないかとか、あるいは現地の天然資源の開発に役立ち、その結果として原料品の日本向け供給を増加せしめるとか、いろいろの方法を講ずる余地のある問題と考えられ、もしこのような道が開けまするならば、賠償支払いによる国民の負担は長年の間には逐次軽減されることになり得るとの期待が持たれるでありましょうし、また結果的には、日本に対する原料輸入の増加により生産力増進に寄与することにもなりましょう。もし幸いにこのような希望がわいてくるならば、自然、国民も賠償支払いに勇気づけられることになろうかと思うのであります。
 いずれにいたしましても、ベトナム賠償成立を期とし、この際、無条件降伏より立ち上った日本国民の国際復帰に対する自覚を促し、条約上の義務完遂の固い決意をもって立つふうの国論を起こすことが肝要と信じます。
 ここに最後に一言つけ加えておきたいと考えますることは、政府においてこの機会に相手国との親善関係増進に努むべきはもとより、広く東南アジア諸国との友好関係の増進に一段の努力を払われんことを切望いたす次第でありまするが、同時に、ここに深甚の注意を払わなければならぬ事実は、今回の賠償交渉ないしは安保条約改定問題が、はなはだしく世上の物議をかもし、種々の疑惑を生み、このことが政争の具に供せられた感を深くせしめる点でありまして、私は、はなはだしくこれを遺憾とするものでありまするが、(拍手)かくのごとく世論を紛糾せしめた責任の一半は、政府の態度ないしは国論啓発の不十分に帰せざるを得ないと直言せざるを得ません。この点、政府の注意を喚起し、今後の善処を切望せねばならないと存じます。
 以上述べました理由により、かつ希望を付しまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(松野鶴平君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#34
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、ただいま本院に批准を求められているベトナム賠償協定並びに経済協定に断固反対するものであります。
 反対理由を述べるにあたってまず指摘しなければならないことは、この賠償協定の審議にあたって政府側の答弁がしどろもどろで、国民の疑惑が一そう深まるばかりであったこと、しかもその強引な通過をはかるために、政府と自民党が、衆議院のみか当参議院においても、まだ審議続行中にもかかわらず数の暴力で委員会の採決を強行した、重ね重ねの態度についてであります。これは最近、岸内閣になってからことに露骨になってきた、国会の審議権を一方的に制圧する非民主的な態度の現われであり、国民とともにわれわれの断じて許すことのできないものであります。と同時に、政府、自民党がこのような態度に出なければならなかったところにこそ、本賠償問題に対する岸内閣のうしろめたさや、その成立過程や、内容の奇怪さが、隠そうとしても隠し切れない姿として、国民の目の前に一そうはっきり写し出された点を強調せねばなりません。
 私は、南ベトナム賠償についてその内容に立ち入る前に、その成立のいきさつについて一言触れておきたい。南ベトナムとの賠償協定の折衝にあたって、植村経団連副会長が岸首相の特使として、正常な外交ルートを飛びこえて二度も現地に行ったばかりか、その間、岸首相みずからゴ・ディン・ジェム大統領と政治折衝を行なったこと、さらに五九年四月四日アイゼンハワー大統領がゲティズバーグで演説を行ない、アメリカにとって南ベトナムと日本は軍事的に極力重要であると指摘して、日本と南ベトナムに対するアメリカの新しい政策をはっきり示したが、これと符節を合わせるように、五月十三日に日本政府が急いで賠償協定に調印したのであります。この事実は少なくとも次の二つの重要な点をわれわれに浮き彫りに示しているのであります。一つは、アメリカがその極東戦略を再編強化するために、日本とベトナムを軍事的に固く結びつけて、安保改定による日米新軍事同盟を前提としてアジアの軍事ブロックを強化しようとしていること。いま一つは、日本の独占資本が特に軍事産業を維持育成し、将来の発展の条件を作るために、このアメリカの軍事政策を利用しようとしていることであります。それだからこそ経団連並びに兵器産業の代表として植村氏が積極的に乗り出し、外務省を無視して交渉の立役者となり、岸首相みずからがまた折衝に乗り出すという熱の入れ方をしたのであります。このようないきさつと背景を持つ南ベトナム賠償が、岸首相もその指導的一員であった侵略戦争の償いを果たし、ベトナム人民と日本国民の友好親善関係を促進し、両国の平等互恵に立つ経済交流に役立つはずは絶対にあり得ないといわねばなりません。さらに、この賠償の内容に立ち入るならば、そのねらいと、それが何に使われるかは、あまりにも明々白々であります。ここに、もはや一々指摘するまでもなく、衆参両院の論議の中で完膚なきまでに暴露されたことであり、白を黒と言いくるめようとする政府の態度は、近来たぐいまれな厚顔無恥と物笑いの種を残したのであります。私はここに賠償と借款二百億円の本協定に反対するものであります。
 その反対理由の第一は、本南ベトナム賠償協定はジュネーブ協定並びに最終宣言をじゅうりんし、南北ベトナムの統一を妨げるばかりか、南ベトナムのアメリカの手による軍事基地強化に役立てられること。第二に、北には独立と繁栄の道を進むベトナム民主共和国が事実厳として存在しており、南は、かつてのフランスの植民地から今ではアメリカの軍事植民地にされているという現実を全く無視していること。
 第三に、この賠償が実際の被害を与えたベトナム民主共和国を対象としないこと。
 第四に、この賠償は、日本国民の経済的負担を増すことによって、独占資本だけに利益を保証するものであり、独占資本の東南アジア進出の橋頭堡にしようとしていること。
 第五に、本賠償はベトナム民主共和国はいうまでもなく、中国に対する敵視政策を一そう露骨に示すことになること。
 第六に、本賠償は、アメリカの新しい戦略体制のもとに、安保改定による日米新軍事同盟の一環として、アジアの軍事ブロックに結びつけられ、アジアにおける侵略と戦争準備に巻き込まれる危険が十分にあること。
 以上、私が述べた反対理由は、今日、日本国民の多くが、政府のごまかしにもかかわらず、次第に、はっきり理解をし始めているところであります。安保改定反対とともに、このベトナム賠償に対する国民の反対運動が、労働者のみならず、経済界をも広く巻き込んでいる事実は、何よりもこれを証明しているのであります。
 私は、ここに日本共産党を代表して、これらの国民とともどもに、本協定に絶対反対するものであります。(拍手)
#35
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。両件全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。両件を承認することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#36
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#37
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#38
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数   二百八票
  白色票   百二十四票
   〔拍手〕
  青色票    八十四票
   〔拍手〕
 よって両件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
 賛成者(白色票)氏名 百二十四名
   加賀山之雄君  白井  勇君
   林田 正治君  森 八三一君
   下村  定君  手島  栄君
   鈴木 万平君  安部 清美君
   野本 品吉君  三木與吉郎君
   秋山俊一郎君  上原 正吉君
   佐藤 尚武君  苫米地英俊君
   岩沢 忠恭君  大谷 瑩潤君
   近藤 鶴代君  村上 義一君
   太田 正孝君  笹森 順造君
   黒川 武雄君  杉原 荒太君
   山本  杉君  谷村 貞治君
   天埜 良吉君  米田 正文君
   鍋島 直紹君  谷口 慶吉君
   村山 道雄君  鳥畠徳次郎君
   徳永 正利君  村上 春藏君
   前田 久吉君  仲原 善一君
   西田 信一君  青田源太郎君
   松野 孝一君  大谷藤之助君
   稲浦 鹿藏君  佐藤 芳男君
   後藤 義隆君  江藤  智君
   柴田  栄君  塩見 俊二君
   岡崎 真一君  武藤 常介君
   田中 啓一君  松平 勇雄君
   山本 米治君  小林 武治君
   田中 茂穂君  館  哲二君
   村松 久義君  堀  末治君
   藤野 繁雄君  杉浦 武雄君
   西川甚五郎君  迫水 久常君
   高橋進太郎君  吉武 恵市君
   永野  護君  下條 康麿君
   林屋亀次郎君  小林 英三君
   寺尾  豊君  大野木秀次郎君
   草葉 隆圓君  平井 太郎君
   大沢 雄一君  小幡 治和君
   前田佳都男君  宮澤 喜一君
   横山 フク君  田中 清一君
   櫻井 志郎君  櫻井 三郎君
   岸田 幸雄君  北畠 教真君
   金丸 冨夫君  堀本 宜実君
   二見 甚郷君  井川 伊平君
   石谷 憲男君  植垣弥一郎君
   中野 文門君  増原 恵吉君
   平島 敏夫君  勝俣  稔君
   山本 利壽君  鈴木 恭一君
   最上 英子君  佐野  廣君
   小沢久太郎君  剱木 亨弘君
   青柳 秀夫君  井上 清一君
   加藤 武徳君  大谷 贇雄君
   重政 庸徳君  安井  謙君
   斎藤  昇君  谷口弥三郎君
   新谷寅三郎君  西郷吉之助君
   木内 四郎君  紅露 みつ君
   堀木 鎌三君  野村吉三郎君
   郡  祐一君  一松 定吉君
   木村篤太郎君  伊能繁次郎君
   鹿島 俊雄君  川上 為治君
   大川 光三君  岡村文四郎君
   高野 一夫君  高橋  衛君
   梶原 茂嘉君  小山邦太郎君
   石原幹市郎君  野田 俊作君
   井野 碩哉君  植竹 春彦君
    ―――――――――――――
反対者(青色票)氏名  八十四名
   石田 次男君  牛田  寛君
   柏原 ヤス君  小平 芳平君
   須藤 五郎君  岩間 正男君
   中尾 辰義君  白木義一郎君
   辻  武寿君  北條 雋八君
   天坊 裕彦君  竹中 恒夫君
   辻  政信君  千田  正君
   鶴園 哲夫君  米田  勲君
   山本伊三郎君  武内 五郎君
   小柳  勇君  大矢  正君
   森中 守義君  藤田藤太郎君
   相澤 重明君  松永 忠二君
   占部 秀男君  木下 友敬君
   平林  剛君  秋山 長造君
   久保  等君  岡  三郎君
   近藤 信一君  大倉 精一君
   中田 吉雄君  小酒井義男君
   佐多 忠隆君  光村 甚助君
   重盛 壽治君  野溝  勝君
   藤原 道子君  清澤 俊英君
   戸叶  武君  藤田  進君
   中村 順造君  安田 敏夫君
   千葉千代世君  向井 長年君
   北村  暢君  横川 正市君
   鈴木  強君  坂本  昭君
   永末 英一君  森 元治郎君
   大河原一次君  伊藤 顕道君
   田上 松衞君  田畑 金光君
   亀田 得治君  加瀬  完君
   阿具根 登君  椿  繁夫君
   大和 与一君  片岡 文重君
   矢嶋 三義君  成瀬 幡治君
  小笠原二三男君  江田 三郎君
   松浦 清一君  阿部 竹松君
   高田なほ子君  小林 孝平君
   荒木正三郎君  田中  一君
   東   隆君  曾祢  益君
   羽生 三七君  千葉  信君
   加藤シヅエ君  吉田 法晴君
   栗山 良夫君  内村 清次君
   山田 節男君  松本治一郎君
   赤松 常子君  棚橋 小虎君
     ―――――・―――――
#39
○議長(松野鶴平君) 日程第三、郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。内閣委員長中野文門君。
   〔中野文門登壇、拍手〕
#40
○中野文門君 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、郵政省の大臣官房に官房長を設置しようとするものでありまして、政府は、本法律案の提案の理由として、郵政省の大臣官房は、二十六万余の職員を有する行政官庁の官房として、省の発足以来、人事部等三部を含む大きな機構であったのであるが、電波ないし電気通信行政をも行なうようになり、その事務が質的にも量的にも発展してきており、それに伴い、省外との接触、総合調整、その他内外にわたる官房の事務を一そう適切確実に行なう必要度が増大してきたので、今回新たに官房長を設置しようとするものであると述べております。
 なお、郵政省設置法の一部改正法律案は、第二十八回、第三十回及び第三十一回国会においても政府から提案されましたが、諸種の事情により、いずれも審議未了となり、今日に至ったものであります。
 次に、本法律案に伴う定員及び予算の点でありますが、官房長設置に伴い、定員の増減はなく、官房長設置のための経費六十一万二千円は本年度予算に計上されております。
 内閣委員会は、前後三回委員会を開き、その間、植竹郵政大臣その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案の審議に当たりましたが、その審議において問題となったおもな点を申し上げますと、まず、官房長の設置の問題に関連して、行政機構簡素化の立場より官房長新設の当否の点並びに官房長の行政組織上の地位とその待遇の点について質疑応答が重ねられ、次いで、この法案に関連して、今回の政府提案では省名変更が含まれていないが、すでに他の法律で「逓信省」または「逓信大臣」と改められているものについて、政府はすみやかに改正の措置を講ずべきではないかとの質問に対し、植竹郵政大臣より、すみやかに措置する旨の答弁がありました。なお、近時の郵便物遅配の問題に関連し、この問題を解消するためには大幅な郵政職員の増員を必要とし、一歩進んで、郵政業務に当たる現業職員は定員法の適用から除外すべきであるとの質問に対し、行政管理庁当局より、この定員法からはずすやいなやの問題については、できるだけすみやかに解決する意向で目下検討中である旨の答弁がありました。
 かくて、質疑を終わり、昨日の委員会において討論に入りましたところ、日本社会党を代表して横川委員及び自由民主党を代表して増原委員より、それぞれ賛成討論が行なわれました。
 次いで、本法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#41
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#42
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#43
○議長(松野鶴平君) 日程第四、クリーニング業法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。社会労働委員長加藤武徳君。
    ―――――――――――――
   〔加藤徳武君登壇、拍手〕
#44
○加藤武徳君 ただいま議題となりましたクリーニング業法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 まず、本法律案の要旨を申し述べます。第一点は、従来常時五人以上の従事者を使用するクリーニング所ごとに一人以上のクリーニング師を置くこととなっていたところを、最近における各種化学繊維製品の急速な発達等に対応し、かつ、公衆衛生上の必要から、今後二年間にすべてのクリーニング所にクリーニング師を必ず置くことに改めたこと。第二点は、洗い場の床は、コンクリート、タイル等、不浸透性材料をもって作り、かつ、排水を完全にしてネズミ、蚊、ウジ、ハエ等の発生を防ぐこと。第三点は、最近における高温洗剤の普及等に伴い、従事者の手や腕その他の健康の保全をはかり、あわせてその労働過重を防ぐために、今後二年間に業務用の洗たく機と脱水機を必ず置くこととしたことであります。
 本改正案につきましては、発議者衆議院議員長谷川保君の説明を聞いた後、同君及び政府委員に対し熱心に質疑を行ないましたが、これに対する政府の答弁のおもなるものは、今回の改正によって直ちにクリーニング料金を値上げするようなことは考えられないこと、山間僻地における学歴の低い者等については、特に受験資格認定講習会を受けさせ、あるいは実務的な技能試験に重点を置く等の考慮を払い、既存業者を廃業させないように努力すること、また零細営業者に対しては、機械設備、構造の整備に要する長期低利資金のあっせん、供給、経営の指導等によって、クリーニング業の経営に支障を来たさないように努力するとのこと等でありました。
 かくて質疑を終わり、討論、採決の結果、全会一致をもって原案の通り議決すべきものと決定した次第であります。
 次に、吉武委員より、本法律案に対し次の附帯決議を付するの動議が提出せられました。
   クリーニング業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、本改正案の円滑なる実施を図るため、次の事項について、すみやかに適切なる措置を講ずべきである。
  一、洗たく機、脱水機その他本法改正に伴う施設の整備を行うことになる場合、当該業者の必要なる資金につき、金融措置等ができるだけ円滑に行われるよう配慮すること。
  二、新たにクリーニング師の資格を取得せんとする既存業者に対しては、講習その他適切なる指導を行い、廃業等のやむなきに至る者の生じないよう配慮すること。
 右について採決を行ないましたところ、これまた全会一致で本法律案の附帯決議とすることに決定した次第であります。
 以上御報告いたします。(拍手)
#45
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#46
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#47
○議長(松野鶴平君) 日程第五より第十六までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。逓信委員長柴田栄君。
  
   〔柴田栄君登壇、拍手〕
#49
○柴田栄君 ただいま議題となりました請願四十八件につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本請願の内容は、簡易郵便局制度の改善を要望するもの四件、簡易生命保険の制限額引き上げ及び簡易生命保険、郵便年金積立金の融資範囲拡大を要望するもの等三十五件、郵便局の設置、昇格及び局舎新築を要望するもの等六件、電話局の改式及び公衆電話の架設を要望するもの等三件であります。
 逓信委員会におきましては、慎重審査の結果、これらの請願はおおむね願意を妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、かつ内閣に送付すべきものと全会一致をもって決定いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#50
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#51
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#52
○議長(松野鶴平君) 日程第十七より第二十四までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。法務委員長大川光三君。

    ―――――――――――――
   〔大川光三君登壇、拍手)
#54
○大川光三君 ただいま議題となりました請願に対する法務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 請願第百十六号、岐阜県中津川簡易裁判所の支部昇格等に関する件、請願第三百五号、鹿児島地方裁判所鹿屋支部の甲号昇格に関する件、請願第千百八十四号、大分地方裁判所庁舎改築促進に関する件、請願第百九十二号、鹿児島地方法務局垂水出張所庁舎新築に関する件、請願第二百六十七号、九州地方更生保護委員会及び福岡保護観察所の合同庁舎新築に関する件、請願第三百三十二号、岐阜地方法務局明智出張所の存置等に関する件、請願第六百九十五号、岐阜地方法務局岩村、明智両出張所の統合に関する件、請願第千三百六号、死刑廃止の立法化に関する件、以上いずれも裁判所並びに法務省当局から意見を聞き、慎重に審査いたしましたるところ、請願第千三百六号、死刑廃止の立法化に関する件については、今後重要な研究課題として慎重なる検討を要望するものと解し、内閣において適当なる機関を設置して研究されるよう善処せられたいとの趣旨の意見書案を付し、その他いずれも願意は妥当と認め、これを採択して、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#55
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 日程第二十四の請願については、意見書案が付されております。
 日程第十七より第二十四までの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#56
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#57
○議長(松野鶴平君) 日程第二十五より第三十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。内閣委員長中野文門君。
    ―――――――――――――
   〔中野文門君登壇、拍手〕
#59
○中野文門君 ただいま議題となりました請願二十四件につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 内閣委員会は、本月十一日までに当委員会に付託されました請願につきましては、去る二十一日の本会議において御報告申し上げましたが、ただいま議題となりました請願を内容別に分類いたしますと、恩給関係の請願六件、定員関係の請願十六件、共済関係の請願二件、計二十四件でありまして、当委員会は、昨日の委員会においてこれを慎重審査いたしましたところ、右請願は、いずれもその願意妥当なものと認めまして、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#60
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#61
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#62
○議長(松野鶴平君) 日程第三十三より第七十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。建設委員長岩沢忠恭君。
    ―――――――――――――
   〔岩沢忠恭君登壇、拍手〕
#64
○岩沢忠恭君 ただいま議題となりました日程第三十三から第七十までの請願七十三件について、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 内容を大別しますと、河川に関するものは下関市内河川砂防工事促進に関する請願の外四十六件、道路に関するものは一級国道八号線中一部改良工事促進に関する請願の外十九件、その他都市計画街路、地盤沈下対策及び住宅等に関するもの六件であります。
 以上、いずれも国土の保全開発に関するものとして、願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 なお、日程第七十の首都高速道路建設による東京都西大崎一丁目区画の土地減歩等に関する請願については、意見書案を付することといたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#65
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 日程第七十の請願については、意見書案が付されております。
 日程第三十三より第七十までの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#66
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#67
○議長(松野鶴平君) 日程第七十一より第百二十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。社会労働委員長加藤武徳君。
    ―――――――――――――
   〔加藤武徳君登壇、拍手〕
#69
○加藤武徳君 ただいま議題となりました請願につきまして、社会労働委員会における審査の結果を御報告申し上げます。
 委員会におきましては、審査の結果、第十八号戦傷病者の医療制度確立等に関する請願外百二十九件の請願は、おおむね願意妥当なものと認めまして、いずれも議院の会議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたした次第でございます。
 右御報告いたします。(拍手)
#70
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求ます。
   〔賛成者起立〕
#71
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
     ―――――・―――――
#72
○議長(松野鶴平君) 日程第百二十一より第百二十四までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長平島敏夫君。
    ―――――――――――――
   〔平島敏夫君登壇、拍手〕
#74
○平島敏夫君 ただいま上程になりました日程第百二十一から第百二十四までの請願について、運輸委員会における審議の結果を御報告申し上げます。
 日程第百二十一は、北海道広尾港の拡張工事促進に関する請願、日程第百二十二は、現在の全国の港湾水面貯木施設は狭隘で、かつ不備であるので、今次のごとき台風災害に備えるためにも、すみやかに国家の助成措置により整備拡充してほしいというものであります。日程第百二十三及び第百二十四は国鉄運賃に関するもので、前者は、鉱石類に対して実質的に運賃の引き上げとならぬよう措置してほしいというもの、後者は、凍氷に対して価格及び溶解性等を勘案し特別等級を適用してほしいというものであります。
 委員会におきましては、以上四件につき審議いたしました結果、いずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#75
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#76
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。
 よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)
 一、漁港審議会委員の任命に関する件
 一、鉄道建設審議会委員の任命に関する件
 一、韓国抑留漁船船員早期帰還に関する緊急質問
 一、日程第一 日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件
 一、日程第二 日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件
 一、日程第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案
 一、日程第四 クリーニング業法の一部を改正する法律案
 一、日程第五乃至第十六の請願
 一、日程第十七乃至第二十四の請願
 一、日程第二十五乃至第三十二の請願
 一、日程第三十三乃至第七十の請願
 一、日程第七十一乃至第百二十の請願
 一、日程第百二十一乃至第百二十四の請願
ソース: 国立国会図書館
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