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#1
第033回国会 文教委員会 第4号
昭和三十四年十一月十二日(木曜日)
   午前十時四十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     相馬 助治君
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           吉江 勝保君
           松永 忠二君
   委員
           大谷 贇雄君
           剱木 亨弘君
           迫水 久常君
           杉浦 武雄君
           野本 品吉君
           二見 甚郷君
           千葉千代世君
           豊瀬 禎一君
           柏原 ヤス君
           東   隆君
           岩間 正男君
  国務大臣
   文 部 大 臣 松田竹千代君
  政府委員
   文部大臣官房長 齋藤  正君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤譽三郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省調査局長 北岡 健二君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査の
 件
 (教育白書に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。
 先ほど開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について報告をいたします。
 本日は教育白書について、当局よりの説明を聞き、後、質疑を行なうことになっております。
 次回委員会は十一月二十六日午前十時より開会、派遣委員の報告を行なうことにいたしました。その他の案件につきましては、当日の理事会においてあらためて協議をいたすことにいたしました。
 なお、さきに決定を見ておりました調査派遣につきましては、名古屋地方一班三名、二班福岡地方二名を議運において決定を見ましたので、さよう調査団を派遣いたします。
 以上、報告の通り、本日取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(相馬助治君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(相馬助治君) それでは教育白書について、調査局長北岡君より説明を求めます。
#5
○説明員(北岡健二君) 今度、文部省が出しました「わが国の教育水準」につきまして御説明を申し上げます。わが国の教育水準につきましては序文にございますように、教育関係のいろいろな問題をお示しすることによって、教育に対する関心を高めまして、それで相伴う問題の解決に資していただきたいという趣旨で害いたものでございますが、教育水準を考えますにあたりまして、歴史的にわが国の教育水準がどういうように発展してきたかということ、並びにこれを横に各国の教育水準に比べてどんな位置にあるかというふうな点に問題をしぼって取り上げてみたのでございます。その際に使いました資料につきましては、巻末にそれぞれあげてございますが、関係のある国々の公の資料なり、国連あるいはユネスコ等の資料、そういうものをもとにしまして、横の比較を試みましたし、また過去から現在までの比較につきましては、文部省の持っております多くの資料によって整理いたしたわけでございます。なお、その際に関係の資料の不十分な点がいろいろございましたので、多少完全な比較でない部分が出て参ります。この点もやむを得なかった次第でございます。わが国の教育水準を見るにあたりまして、いろいろ要系があるわけでございますが、ポイントを教育の普及度、教育内容の水準、教育条件、その他の条件的なもの並びに教育費、こういうようなものにしぼってみまして、それぞれの事項についてまた必要な資料を集めまして、目次に掲げましたような個々のテーマにいたしましてこれを取り上げたわけでございます。なお、その際に各国の教育改革の、最近十年くらいの間に教育改革の方向が出ておりますので、その教育改革の方向がわが国のこれらの諸問題に対して何らかの示唆になる点がありはしないかという意味で、それに関連させて取り上げることにいたしました。それが第一章でございます。
 大体構成は以上のようでございますが、以下内容について申し上げます。
 第一章の教育の普及度について取り上げました問題は文盲率、それから学歴の水準、義務教育の状況、義務教育後の中等教育、高等教育、こういうような観点を取り上げました。で、それぞれについて大ざっぱに申しますと、過去からずっと今日までやってきましたわが国の教育の努力が、たとえば文盲率とか、あるいは学歴の水準に現われております。そうして現在の教育の状況は、義務教育の普及度であるとか、義務教育後の中等教育の普及度、あるいは高等教育等に現われて参ります。それで、それぞれについてできるだけ外国との比較を試みた、こういうわけでございます。
 内容について申し上げますと、第一章は一ページから始まっておりますが、最初に取り上げました文盲率について申しますと、二ページ、三ページに表及び図表をあげました。わが国の文盲率は二ないし三%であります。アメリカ合衆国と大体類似しておって、イギリス、西ドイツ、フランス等のおもな国々も大体文盲率においては同じでございますが、三ページに図で出しましたように、この国民一人当たりの国民所得の状況と文盲率とを対照して見てみますと、国民所得においてずっと低い位置にあるわが国が、文盲率が非常に低くて、わが国よりも国民所得の低いフィリピン、エジプト、インドネシア等の国々においては文盲率が非常に高くなっております。いろいろな教育上の水準の問題を考えます場合に、国の富とか環境をできるだけ取り上げてみたいというつもりで、最初にここに国民所得の状況と文盲率とを対照してみたわけでございます。
 次に、五ページへ参りまして、学歴の水準を見ることにいたします。
 わが国は、明治二十年から四年の義務教育をやっておりまして、これが六年の義務教育になりましたのは明治四十一年からだったと記憶いたしております。そういたしますと、おとなの教育においては、わが国はイギリスやアメリカに比べておくれて始まっておるわけでございますので、その状況が五ページに図表で現われております。わが国で九年以上の教育を受けた人口は二五%程度でございました。アメリカ合衆国では五〇%をこえておりますし、イギリスでは九〇%近くになっておるわけでございます。これをもっとこまかく見ますと、十三年以上の学歴というところにいきまして、アメリカが非常に十三年以上の学歴というのが多いのに比べて、わが国及びイギリスがそれほど多くない点が目につくわけでございます。これで見ますと、現在のおとなの学歴構成からいえば、イギリスは最高学歴というのが比較的少なくて、中間に非常に多くのパーセントを与えておるということになるわけでございます。
 過去に蓄積しましたものは以上で終わりまして、次に、現在の義務教育の状況を比べてみることにいたします。
 最初に、義務教育の年限はどんなふうになっているかということをあげて比べてみますと、七ページにその表をあげたわけでございますが、わが国が現在九年の義務教育でございまして、入学年令と義務教育終了年令の関係は、六才から始まって十五才で終わっております。アメリカ合衆国は全国一律ではございませんが、大体九年ないし八年でございます。この表の備考にございますように、九年が圧倒的に多くて三十四州、八年制が七州、十年制が三州というような状況でございます。イギリスが一番義務教育年限が長くて十年で、五才から始まります。西ドイツ、フランス、ソ連、イタリア等の国々は、八年の義務教育をとっております。で、こういうような点から見ますと、わが国の九年の義務教育というのは世界におけるまあ一番高いレベルに属するものだと言うことができるわけであります。この義務教育年限につきましては、ヨーロッパ諸国で八年を延長しようという動きが出ておることを注意しておりますが、この義務教育年限のもう一つの形として継続教育の義務性というのがヨーロッパにおいてとられております。八ページのまん中のところにございますが、「第二表で比較した義務教育年限は全日制課程のそれであって、西ドイツやフランスでは全日制課程の義務教育終了者に対して、さらに十八才まで特定の定時制機関への就学が義務づけられている。また、イギリスでも十八才までの定時制義務教育が近い将来実施に移される予定であることに注目を要する。というふうに書きましたのは、継続教育の義務教育制がとられておる国があるが、わが国ではこれが実施されていないということを申し上げたわけであります。この義務教育の就学率は、主要国は大体九九%以上に達しております。しかし、以上見ますと、義務教育の普及の度合いはわが国は非常に高い位置にあるわけでございますが、たとえば特殊教育機関の在学者の比較をいたしますと、九ページでございます。九ページでごらんいただけますように、義務教育就学者千人に対して、特殊教育機関の在学者の数は、わが国が三人、アメリカ合衆国が十七人、イギリスが九人というふうな状況でございまして、わが国は特殊教育の普及度においてはだいぶん劣っております。また、就学前教育すなわち幼児教育の面を見ますと、十ページでございます。十ページの第五表にございますように、アメリカ合衆国の五八%、それからイギリスの一五%、西ドイツの三一%というふうな中で、わが国は、保育所と幼児園を合わせて見ましても一九・三%というふうな割合になって参ります。なお、幼児園の教育の普及というのは、九ページにございますように進んでおるわけでございます。
#6
○岩間正男君 せっかくの説明中ですが、これを見てわかるような点は省略してもらって、それで、何かあれを読むにあたって必要なことを先に二、三伺いたいので、そういうことでいいのじゃないですかね。
#7
○委員長(相馬助治君) 今岩間委員が言われたように、きわめて特徴的なことを、あとで読む場合に注意してくれというようなことを中心として取りまとめてお話し下さるように希望します。
#8
○豊瀬禎一君 この内容の説明というよりも、これを作られたねらいなり、それからここに現われておるものから今後文部省としてどういう施策を打ち出そうとしておるかといった点を主として説明してもらいたいんです。これを読めばわかるようなことは、大体必要ないと思います。ねらいと今後の目的ですね。
#9
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(相馬助治君) 速記回復。
#11
○説明員(北岡健二君) 次に、義務教育後の中等教育、これは戦前に比べてだいぶん普及してきておりますが、ここで十二ページにございますように、義務教育後の学校在籍の率を見ますと、わが国はかなり高い率を占めております。もう一つ、各国において中等教育の段階でたんだん数が減っていくのでございますが、わが国はその減り方が非常に少ない点が特色的でございます。その脱落といいますか数が減っていく事情等については、わが国で卒業証書――免状といいますか、その卒業資格というのが非常に重視されておるに対して、他の国は定時制の教育機関があるとかあるいは技能の検定というふうなものによって就職が行なわれるとかいうようなことが影響しておるものではないだろうかという観測をいたしております。
   〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
 なお、ここでさらに継続教育について触れておりますが、次に高等教育の機関につきましては、ここで高等教育と言っておりますのは、戦前においては、大学、大学予科、専門学校、高等学校、師範学校の二部、そういうようなものを高等教育と考え、言いかえれば、中等教育を終わったあとの教育というふうに考え、それから戦後においては、大学、短期大学の教育を高等教育と考えまして、これをわが国の国内の様子で見ますと、戦前に比べまして男女とも学生数が増加いたしております。特に女子の増加率は、戦前を一〇〇としました場合に七〇〇、七倍になっておるということが見られます。ところで、この高等教育機関の普及の状況を外国と比べましたのが十九ページの図でございます。これで見ますと、アメリカ合衆国の普及率が非常に高い、高等教育機関が非常に普及しておるのに、ヨーロッパ諸国における高等教育機関が、率から見ますとずっと低くなっておることが注意されます。この理由はどこにあるか。これは高等教育機関が国によって多少建前が違っておる関係ではないだろうか。広く知性と専門知識というふうなものを備えた社会人の養成機関というつもりで高等教育機関を考えている国と、それから、特に選ばれた人間の教育機関だというふうに考えておる国との遅いであろうと見られます。
 次に、わが国の教育人口の将来を展望いたしましたのが、以上の普及度の問題と多少ずれて参りますが、ここで触れましたのが、義務教育人口の将来、あるいは中等学校卒業者の推計というふうなものを企てたのでございますが、義務教育の人口については、すでに御承知のように、この図でございますと、二十一ページにありますような形で、小学校も減っていきますし、中学校は三十七年をピークにして、以後減っていく。従って、それ以後の教育人口は順次減っていくという方向を見ることができるわけであります。この義務教育人口が次の段階では、中学校卒業者という形で現われて参りますが、それは二十三ページでごらんいただきますように、三十四年から三十六年まで中学校の卒業者は減少し、三十六年から三十八年まで増加して、ずっとこの今までの水準を越して参ります。それから引き続いて減っていくわけでございますが、この中学校卒業者の人口の動きを考えてみますと、そこに二つの問題が出てくると考えます。一つは、高等学校教育がこれに対してどう対処するかという問題でございますし、もう一つは、それと一緒に、いわゆる勤労青少年といいますか、全日制の学校へ入らない者がこの場合にどういうふうな動きを見せるか、それに対していかなる対処の方策を考えるべきかという点でございます。そういう人口の推計を二十二ページから二十三ページ、二十四ページにかけて出しまして、それぞれパーセントや概数をあげて考えたんでありますが、この場合、高等学校教育の収容力と、あるいは高等学校への進学率と、それから、そこへ進学しない者の教育というのがいつもうらはらになってくるというところに、この推計の場合に、ちょっとごちゃごちゃした数字の出し方になって参ります、概数でそれぞれ示しております。中等教育の、中学校卒業者の教育の状況がそういうように問題があって、しかも、十五才から十七才の総人口の増加ということが見込まれておる状況から推しますと、高等教育段階の人口の推計は非常に困難になって参ります。大体、現在の状況では、高等教育機関の学生数というものは足踏み状態になっておりますが、今後、中学校卒業者の増加と、一方では、国民の生活水準の向上というようなものとからみ合わさって、高等教育人口は今後どうなるかということ、そのほかに、もう一つ、科学技術者の養成というような、社会的要請に対処して、高等教育人口に対していかなる施策をとるべきかということによって、人口の推計は変わって参るということを取り出しておきました。この人口の問題は、あとで第五章でもう一ぺん触れるようにいたします。
 以上、大体数字によりまして教育の普及度を見て参りましたが、教育そのものの水準の問題に第二章で入ることにいたします。
 この場合に考えましたのは、教育内容という場合に二つありまして、一つは、国民が学校あるいはその他の教育機関でどういう教育を要求しておるか、この要求しておる教育の水準はどんなものであるかという点を、外国と比べてみようというのが一点でございます。次に、その要求されておる教育水準に対して、生徒児童がどこまでその目標に到達しておるか、到達した水準というふうな、言いかえれば、学力というようなものになりますが、学力の水準という問題と、二つの観点から見ることにいたしました。
 第一の、要求される教育水準につきまして、これは、その一番基本になりますのは学校制度でもあり、それから、その学校制度内における、どの学校でどういう教科をということになり、また、その教科を何時間、どの程度までというようなことを比べることになりますので、最初に学制の比較をいたしたわけでございます。
   〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕
 その学校制度の状況は、二十八ページ、二十九ページに大ざっぱな図にして示すことにいたしました。わが国とアメリカとが、かなり似た学校制度をとっておりますが、イギリス、西ドイツ、フランス、ソ連等におきましては、これとかなり違った形のものをとっておりまして、これがわが国及びアメリカが単線型といわれ、ヨーロッパ諸国が複線型といわれておる形でございます。もう一つ注意したいと思いますのは、西ドイツでは、上級へ進学する場合には、国民学校の四年でいわゆる中等教育が始まり、フランスでは、五年を終わったところで中等教育が始まるというような点でございます。イギリスは教育改革の結果、初等学校六年で中等学校へいく形に変わりましたが、その前には、ドイツやフランスと同じような、非常に複雑な形をとっておりました。初等学校の修業年限は今の図にございますようなところから御判断願うことにいたしまして、また、中等教育、高等教育それぞれの年限等もその図で御判断いただくことにいたしますと、同じ中等教育といいましても、わが国やアメリカの中等教育の年限や内容と、それからイギリス、西ドイツ等の中等教育の状況とにいろいろ違いがあることがわかるわけでございます。
 そこで、こういうような制度の違いを前におきまして気がつきますのは、いわゆる複線型といっている場合の特色は、中等教育が始まるところで子供の進路が変わってきて、その進路に応じて別々の学校を設けて教育をする、それに対して、わが国では小学校を終わって全部の生徒に一様の、中学校という単一の学校制度をしき、それからその次に上の段階である高等学校についても、高等学校という一種類の学校があって、その中で職業課程と普通課程が分かれておる、こういうような形をとっておる。
 そこで、このコースがいつから分かれ、また分けるのにどういうような目安を置いておるかという点が複線型及び単線型の問題の一つの要素になると思いますので、三十三ページからはその中等教育の、あるいは初等教育も含まれますが、コースの決定の問題をあげてみました。先ほど御説明いたしましたように、学校教育が、初等教育の終わりといっても非常に早いところでその分化が行なわれるところもあるし、六年が終わって分化が行なわれるところもあるし、いろいろに分かれます。わが国ではそれを中学校まで同じくいって、そして高等学校で初めてコースが分かれる、こういうような行き方になります。ところで、そのコースを分ける時期は、ただいま申しましたように、小学校の四年の終わりであったり五年の終わりであったり六年の終わりであったりしておりますが、それらの国々でこの分化の時期を高めようという方向とが出ておりますし、また従来初等教育の段階に入っていた完成教育の部分を中等教育に格上げしようという方向が出ております。そういうように方向が出ておりますが、その場合におけるコースの決定の方法につきましては、イギリスでは初等学校の終わりのときに試験によってコースの決定を行なう、フランスにおいては同じように進学希望者に対する試験を行なう、ドイツにおいては試験あるいは観察授業というものを行なってその区分をするというふうな方法を従来とっております。それがその進路の、コースの決定にあたってできるだけ児童の適性を見分けて、その志望と、適性、能力とに応じたコースの決定をしようという考え方が強くなって参りまして、西ドイツやフランスの教育改革の構想では、中等学校へ入ったあとの二年間を適性観察コースにして――もう分かれておるわけですが、適性観察コースにして、その間に適性あるいは能力を見分けて進路をもう一度きめられるようにしようという考え方が出て参っております。そういうことになりますと、従来複線型といわれた場合には、甲の種類の学校から乙の種類の学校へ途中で転学するというようなことができなかったのでございまするが、この改革の方向としては、途中で適性、能力に応じて他の学校へ転学することができるようにしようという方向が出て参りました。それからもう一つは、やはり複線型の欠陥といわれておりますのは、一つの学校へ入ると、その人間の教育はそこで行きどまりになってしまうという袋小路の性質であったのが、その袋小路を取り去って上級への進学の道をあけるようにしようという方向がとられております。このことは、後に教育改革のところにも出て参りますが、ここでもその点には触れておきました。
 制度はそんなふうでございますが、そういう制度、いろいろの各種類の学校においてどういう教科を教えようとしておるかというのが教育課程の問題でございますので、教育課程について三十八ページから比較してみましたが、第一に教育課程の編成に当たって、国で教育課程の基準をきめるところと、国がきめないところとありますので、これを簡単にそこで説明することにいたしました。この編成の問題をどうして取り上げたかといいますと、教育の水準が維持向上をされようとするためには、その教育の内容の基準がどういう形で定められ、しかもそれの統一がはかられておるはずであろうというふうな考えから、この教育課程の編成の様子を比べてみたわけでございます。
 次に、その教育課程における教科・科目の内容は、初等教育においては名前は違っておりますが、各国とも大体初等教育の教科というのは共通でございます。また選択制というふうなものはとっておりません。これが中等教育に入りますと、単線型の学制のところではある程度選択制をとるかわりに、教育内容は一つ、一種類であるということになり、複線型の形をとるところにおいてはそういう選択制をとらないで、職業課程は職業課程の教科内容がきまっており、進学課程は進学課程の教科内容がきまっておる、こういうような形になって参ります。で、そうなってきますと、横に比べることが非常に複雑になってくるわけでございますが、この選択制の場合に、将来の進路との関係を多く考慮して選択を行なうということになれば、選択のワクが縮まってきますから、自然コースに近くなるわけでございますし、そのことを考えなければ、コースと関係なしに教科の選択が行なわれるということになって、同じ一つの学校といっても、子供の学んでくることはずいぶん違うというような状況ができてくるわけであります。それらの教科について授業時間がどうなるかというのを調べてみました。これは年間の授業日数、それから年間の授業時間数、それを、初等教育の六年間で授業時間数が教科ごとにどういうふうになるかというような点がここで問題になるわけでございますが、国によっていろいろやり方があったりしますので、わが国では最低基準をとり、それから他の国では実例をとるというようなことをやって比較してみましたのが、四十六ページにあります教科別の授業時間数等でございます。こうやって比べてみました結論を、それをさらに中等教育まで及ぼし、大学教育まである部分について及ぼしてみますと、わが国では割合に教育時間を多くとっておる方の部類に属しております。
 以上、総括して要求された教育水準というふうな見方で申しますと、大体型は違っておるけれども、教科の種類とか、それからそれの年限であるとか、授業時間数というようなものについては似たところで、わが国はそういう意味からいった教育程度は必ずしも低くないということがいえると思います。
 次に、そういう要求された教育水準に子供がどこまで到達しておるかということにつきまして、学力調査を文部省がやっておりますので、その資料によって書きましたのが五十ページ、五十一ページ、五十二ページ、五十三ページ等の、それ以後にありますところでございますが、どの学科がどんなふうであるかというのは五十一ページでごらんいただきますと、数字が小学校、中学校、全日制高校、定時制高校とも点が低いということ、それから高等学校の理科系の方も割合に低いというようなことがごらんいただけるかと思うのであります。それらの中身のこまかいことは五十二ページに書いてございます。
 以上、平均を見た学力でございますが、子供たちがどんなふうな状況で学力を得ておるかというのが五十三ページにございますが、ここでごらんいただけますように、個人差がずいぶんあるということでございます。個人差があるということ。それから、これを今度学校にまとめて学校ごとの得点という形で見ますと。同じようにやはり学校差がございます。学力の個人差、学校差があるということ。もう一つの問題は、地域的に見た学力差というのがあるかどうかということを調べてみましたのが五十三ページ以下の状態でございまして、地域間にかなりの差がある。大都市、中都市と、それから農業とか鉱業とか山村地域というのに比べてみると、小学校、中学校ともかなりの差が出てきておるということがごらんいただけるかと思うのでございます。で、これらの点、個人差、学校差、それから地域差というのがいろいろな形で後に問題に出て参りますが、なお、学力の国際比較というのについては、たまたまイギリスのやった例を、オーストラリア、アメリカ合衆国等の一部で実施してみて、三国の比較がございましたので、それを持ってきて、わが国でためしにやってみたのを参考のためにここに掲げておきました。私どもはこういう教育内容の水準に、教育条件や、それから教育の実施の手段や、あるいは教師というふうなものが大きな関係があるだろうというふうに考えましたので、次に教育条件その他についての水準を調べてみることにいたしました。
 第一に取り上げましたのは、教師一人当たりの児童の数でございます。これは御承知の、わが国では一学級に入っておる子供たちの数が非常に多くて、いわゆるすし詰め学級等の問題として取り上げられておりますが、ただ平均的に教師一人当たりの児童数というものを外国と比較します場合に、小規模といいますか、一教師学校というふうなものが占める場合には、教師一人当たりの児童数というのは自然減って参ります。そういうところから、一教師当たりの一教師学校というものもついでにここに上げて比較してもらうことにしました。一教師学校というのは、わが国では割合に少なくて、アメリカであるとか、ソ連であるとかいうふうな非常に国の広いところでは、こういう形の学校が必要になってくるようでございます。それらを差し引いてみて、教師一人当たりの児童数を比較する必要があるわけでございますが、わが国では、戦前は小学校で教師一人当たりの児童数が五十人であったのが、戦後は改善されておりまして、一人当たり三十六人というふうに減ってきておるという点は御留意いただきたいと思うのでございます。その教師と児童との関係は、一方では学級規模の大きさに関連するわけでございますが、過大学級の問題が起こってから、最近過大学級の減少はやっておりますけれども、たとえば四十人以上の学級が全学級において占める比率というふうなものを見ますと、わが国は非常に高くなります。その四十人以上の中に、五十人以上の学級というふうなものの占める率になりますと、これはもっと諸国に比べて大きいものになります。これに対しての措置としては、一方では都道府県がきめる教員配当の基準といいますか、これを改善する必要がある、同時に子供が入れるだけの教室を作る必要がある。そうしてその教室を作ることによって過大学級を分割した場合に、教員配当をする必要がある、こういうような三つの関連した問題になって参りますので、それがすし詰め学級解消の問題であり、文教施策五カ年計画の形で取り上げられておるということに触れておきました。
 次に、教育条件の一つである校舎の面積でございますが、七十ページ以下に校舎の不足の状況、これもやはり基準の問題があり、その基準が漸次改善される必要があるということを取り上げております。外国においても校舎の不足、それから不良教室の改善というふうな問題が取り上げられておるということを付記しておきました。
 その他の教育条件として、教材や教具についての状況は、これは数字的な比較が割合困難でございますので、わが国における教材、教具の一般的状況や、それから教科書の無償というようなことがほかの国で行なわれている状況や、理科教育振興法によって進められている理科教育設備の充実されない状況や、その他のことを、あるいは教材費一般の状況などを取り上げてみました。視聴覚の点ではわが国はかなりの線までいっておることも同時につけ加えておいたわけでございます。
 こういうような教育条件を見ますと、一般的にいいまして、教師一人当たりの児童数等から始まって、わが国は高い水準にはないということになるわけでございます。
 次に、先ほど普及度のところで触れておきましたいわゆる教育の谷間といわれている部分に対してどういうような施策が行なわれているか、そういう観点からの問題として、教育の機会均等施策というふうなテーマで七十八ページからございます特殊教育について、先ほど申し上げましたやつをもう一度詳しくここに書きまして、わが国で盲ろう教育や特殊教育は、戦前に比べて戦後順次伸びてきておるけれども、盲ろうの教育においては歴史が古いだけに割合充実しておって、外国の状況から見てそんなに遜色があるとも思われないのに、精神薄弱児教育とか、肢体不自由児の教育においては、ずいぶん立ちおくれをしておる状況にあるということを指摘しました。
 次に、学力のところで地域差のあることを申し上げましたが、それから教材、教具等が、教育条件の一般的の説明の中にも、個々に地域差があることを触れておきましたが、そういう地域差の一つの部分であって、教育の谷間といわれておりますのが僻地の教育でございます。僻地の教育状況は八十二ページに簡単な表にして出しておきましたが、僻地の中学校について見ますと、長期欠席者の比率においても 無資格教師の比率においても全国平均を上回っておって、反対に進学率であるとか、学力とかいうようなことにおいては、全国平均を下回っておる。こういうふうな状況にあるこの僻地の教育を振興するための施策というのももっと進めないといけないというふうに書きました。
 それから次に、同じく谷間の問題は、貧困児童に対する就学奨励でございます。これについて、外国比較が数字的にできなかったのは残念でございますが、若干の例を引いて貧困児童に対する就学奨励の振興を問題にしてもらいたいと考えたのであります。
 次に、一般の学生に対する奨学、それから育英、こういうような状況について見ますと、わが国では戦前から始まったこの育英、奨学の制度は、かなり広がって拡張してきておることは事実でございますが、奨学金の受給率、それからその金額、あるいは貸与、給与というような制度上の問題、そういうような点で外国の行っておる奨学、あるいは育英の事業に比べて劣っておる点があるということを比較してみたわけであります。
 なお、続いて給食の状況、それから健康管理の状況、その他の補助施策について簡単に触れておきました。
 これらで一括して申しますと、地域差あるいは谷間というふうなものを解消するためには、そこの教育条件が悪いということが結果的に谷間を生んでおるというふうな状況が見られますので、これらの問題は、次に掲げようとする教育費の問題にからんでくるという点を取り上げておいたつもりでございます。
 教育の要求しておる水準と期待される水準との間にあって、いわゆる教育活動によってその効果を上げておる教師の状況について次に書きました。
 第一は、学歴構成の問題でございますが、これは歴史的な制度の動きが戦後において起こった関係から、わが国の教師の学歴構成はほかの国に比べてよいとは申せません。それから、教師の資格の点で、いわゆる無資格と有資格というふうな観点から考えてみますと、無資格者の率というのが減ってきてはおりますが、まだ十分までいっていないということ。
 それから、教員養成の現在の制度を比べてみますと、諸国で専門的な養成をやっておるのに対して、わが国とアメリカが一般的な大学で教員養成をするという建前をとっておる。しかし、それぞれ考えておる教員になるための年限というようなものは似ておるということ、それからヨーロッパの国には仮任用、あるいは試補制度があるというようなこと、こういうような点を指摘したいと思っております。
 以上の、今のような専門的な養成と、そうでない養成との違いを教員養成機関における教育内容で比べてみましたが、この面ではあんまり顕著な差は見つかっておりません。
 それから、教師の待遇や勤務量の状況を百四ページから先で見ましたが、給与の国際比較をやるにあたって、国民所得との対比で見ることにいたしました。それから、勤務量を週当たり授業時間というふうなものについて比べてみたわけでございます。
 それから次に、教師の団体の状況につきまして、おもな教師の団体、職能的な団体及び労働組合というふうなものについておもなものをあげて、わが国の教師の団体についても簡単に触れておきました。
 それから、教師の資質向上のための現職教育の方法について、これは百八ページから百十ページまで書き、それからもう一つ、教師を指導する、あるいは教師の評価を行なう組織としての視学の問題について、視学制度をとっておる国と、それからわが国やアメリカのような指導主事といいますか、コンサルタントの制度をとっておる国とがあるということを書き、そうして教師の勤務成績の評価等が視学によって行なわれる場合に、これにもいろいろな形があるということ、それから、そういう評価を行なうことのできないところでは、勤務成績の評価のために、別のたとえば勤務評定というような制度がとられるということを書きました。
 以上のいろいろな問題で、教育水準の向上をはかるためには経費の問題になるわけでございますが、わが国の教育費の水準について次に最初に考えましたのは、国民所得と教育費との関係でございますが、これについては、国民所得のうちのどれだけの部分を教育に投じておるかというのを国別に比較してみまして、わが国は国民所得の多くの部分を教育費に充てておるという点を指摘いたしました。
 次に、百十八ページになりますが、百十八ページ以下におきましては、行政費の中で教育費がどれくらいの割合を占めておるかという点を検討いたしまして、わが国では行政費の中で教育費の占める割合がほかの国に比べて高いということを発見いたしました。しかし、そういうようになっておるにもかかわらず、今度は百二十ページでございますが、割合を高く教育費に投じておるにもかかわらず、実際に生徒学生一人当たりの教育費ということになりますと、ほかの国に比べてずっと低くなるということ、これが地域差の問題という形でも現われるし、それから、ある学者が批評しておりましたような、義務教育等の普通教育を充実しながら、幼稚園であるとか特殊教育であるとかいうところまで手が及ばないのはこのためだというふうにいわれておるような、要するに、国民の富としては努力を払って教育の振興をしておるのに、実際に一人に当たってくる教育費というのは少ないのだという点が指摘されます。
 次に、百二十四ページから、その教育費がどういうように使われておるかということを調べました。第一に初等、中等の教育費と高等教育との比率をどうしているかということ、それからその教育費が消費的な面に使われておるか資本的な面に使われておるかという点、それから人件費と物件費との割合はどうなるかというような点を調べてみまして、初等、中等教育と高等教育費との比率においては大体各国並みである、人件費、物件費等の割合では、物件費が比較的わが国では少ないのではないかということ、それから消費的な面と資本的な支出の面とをわが国の場合に歴史的に見ると、多少資本的支出が安定してきた状態が見られるのではなかろうかというような点を、この部分で取り上げております。
 最後に、百三十ページから、父兄負担の教育費の状況を見まして、第一には、父兄負担の教育費が全体として増加しておるが、その父兄負担教育費の増加の大きな要素を占めているのは家庭教育費の増加であるということ、もう一方では父兄負担の教育費が上がっているのと時を同じくして国民所得そのものも全体として上がっておるということを指摘いたしました。
 それから次に、学校の教育費が公の負担する部分と父兄の負担する部分とに分けたらどういう形になるかというのを、百三十二ページで調べてみました。この父兄負担の教育費の中からは、先ほど申し上げました家庭教育費は取り去っておるわけであります。取り去ってみますと、小学校で、六三%の公費負担に対して、父兄負担が三六%ある。アメリカでは、初等、中等の場合に六八、三一というような比率になっているが、その原因はどこにあろうかということも調べてみまして、この父兄負担の学校教育費の中に公費に切りかえられる分があるならば、それは公費に切りかえていくべきであろうというふうに考えております。この教育費の問題は、今までにいろいろあげました問題のすべてに共通して、国民が努力をしている割合に一人当たりの教育費が少ないという事柄から、いろいろの判断ができるわけでございまして、解決の一つのポイントであろうと考えております。
 最後に、第五章で、各国の教育改革の状況を簡単に述べまして、その要点をまとめましたのが百三十八ページでございます。教育改革を推進しておる観点としては、第一に国民全体の教育水準の向上問題、第二に児童の進路決定の時期を高めて、進路を児童の適性、能力に応ずるようにしようとしている点、第三に中等教育の改変、その場合に学校を分化して目的をはっきりさせて教育効果を上げようとしておる点、第四は科学技術の発展に即応するように基礎教育の教育課程を変え、あるいは科学技術行養成のために中等及び高等の教育の発展をめざしていくということ、第五に教育水準の維持向上というふうなことに対して国の責任であるという考えから、行財政の各面について国が積極的に乗り出してきて、地方分権、あるいは私学の自主性というふうなものに対して、従前に比し、幾らかずつ改めてきておるという点でございます。
 そこで、こういうような観点から見て、わが国の当面する若干の問題について考えてみますと、第一に教育水準の確保と向上のためには、個人差も、先ほど申しましたような個人差があり、学校差があり、地域差がある、そして、その個人差、地域差、学校差というふうなものが教育条件の違いに基づき、あるいは教育費の違いに基づいて出てきておる。しかも、こういう状況を前にして、この教育改革の線からいいますと、国が財政負担をやって地方の教育費の状況の改善に当たり、従って教育条件の改善に当たっておる。そういう状況に対して、わが国の中央財政と地方財政との負担関係は、戦前よりはずっと戦後において国庫負担が増加しておるけれども、最近多少足踏み傾向が見えるのではないかというような点から、この教育水準の確保と向上について財政的な面、教育条件の改善というような面の問題が残っておるというふうに考えます。なお、教育水準の向上、確保というような点から考えなければならないのは、教員養成とそれから教員の指導、助言というような面における活動の改善であるというふうに考えます。次に、第二の問題は、一方では社会の教育に対する要請があり、それは科学技術者の養成というふうな端的な形で現われている部分でありますが、そういうものがあり、一方では教育水準全般を向上させるというふうな面から考えて、現在ある単線型及び複線型というふうな方向を考慮に入れて考えてみると、わが国の中等教育及び青少年教育について改善の問題が当然出てくるのではないだろうか。そうしてそれらの問題は、先ほど指摘した教育人口の今後の傾向が異常であるということにからんで現われてくるであろうというふうに問題を取り上げてみました。この「わが国の教育水準」が出ましてから、青少年教育のことを全然扱っていないという批判を受けたのでありますが、それらの青少年の部分は、先ほどの教育人口の部分と、それからここの部分とで取り上げたつもりでございます。もう一つは、科学技術教育の振興というふうな体制の問題です。大半教育の日本の現状が、理工系に非常に重きが置かれていなくている。従って今後、高等教育機関の卒業者を見てみてもなかなか増加していかない。こういう状況下において、大学教育、局等教育機関が社会の要請に応じて改善しなければならない点があるのではないかというような問題の取り上げ方を、これは百四十八ページから以下にいたしました。
 こういうようなところで全文をまとめたわけでございますが、普及度というところから始まって、それぞれの教育条件や教育内容やそういうものについて述べて、最後に教育費の問題にからんで、一つ一つの取り上げられるべき問題がこういう全部の問題に触れているのだということを現わしたかったのでございますが、力足らずにそこまで行ったかどうか懸念いたしております。なお、資料については、百五十三ページ以下に、各国の主要な統計とそれから本文の基礎資料を掲げております。
#12
○委員長(相馬助治君) 以上をもって説明が終りました。これをもって休憩いたしまして、午後は一時十分より開会をいたします。
   午後零時八分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#13
○委員長(相馬助治君) これより委員会を再開いたします。
 午前中説明を聴取いたしました教育白書について質疑を行なうことにいたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○吉江勝保君 午前中に局長からわが国の教育水準、最近出されましたいわゆる教育白書の大体にわたりまして、簡潔要領を得た説明を受けたのでありまして、つきましてはその説明に対しまして、少しく質問をさせていただきます。その前にこの白書をお作りになりました努力に対しましては、私も敬意を表するのでありまするが、先刻もちょっと出ておりましたが、これを発表されまして、実は私どもも承知したのは、外部から注意を受けまして、この書籍を探したというような次第でありまして、これだけのものを文部省が発表されるのでありますれば、衆参両院の文教委員の人たちにも、発表の際には、ある程度の機会を与えて説明をしていただくとか、あるいは事前にお話でもいただいておきたかった。国の文教政策に携わっておる者が、こういうものが出ておることを、外部の者から知らされるというような立場に置かされたということは、非常に不満足な感じを抱いたのであります。この点につきまして、大臣、将来につきまして、一つ御意見、御所見を先に伺っておきます。
#15
○国務大臣(松田竹千代君) わが国教育の現状はいかにあるかというものをこうした形で出したのでありますが、これをいよいよ出すということにつきましては、十一月の一日から一週間までを教育文化週間と指定することにして、その間に教育文化に関する各種の行事を、すでにやる計画のものを、その期間に集中してやっていくようにしたい。それについては、一つわが国の教育の現状といったようなものを、あまりこうかんなものではまだこれをまとめるに時間もなし、読んでもらいやすい程度のものにしてよいから、一つ時間はないが出すようにしようではないかというようなことで始めたのでありまして、教育文化週間をきめるということも、これは外国でもやっていることでもあり、一つ教育のことは常に国民一般から考えてもらいたいのであるが、特にこの期間に考えてもらうようにしよう、それには教育の現状をありのままに記録して、そしてこれを出して、国民に、一つ一般に批判してもらうようにしたい、こういうようなところから出したのでありまして、期間もきわめて少なかったのでありまして、これを作成する担任の人々は夜なべでやったというようなわけで、最後のぎりぎりのところへ来るまで、この週間のぎりぎりのところへ来るまではできなかった、そういうような事情がありまして、いち早く皆さん方には御相談も予備的にするということが順序であったろうと思います。それができなかったことはまことに申しわけありません。また配付するに当たっても、申したほかに、もっと適当な機会もあったろうと思うのですが、今申し上げるように、できるのがおそきに過ぎたのでありまして、そういうふうになったことは、まことにそういう事情でありまするので、一つ御了承願いたいと思います。
#16
○政府委員(齋藤正君) 皆様のお手元に差し上げる時期、方法等について、不行届の点がありましたことをおわびいたします。ただ、ただいま大臣の申し上げたような事情でございまして、実は一日からの文化週間の前日、私どもとしては一応お届けするように、各会館を回ったのでございますけれども、そのお届け仕方等が、実は十分でなかった点等につきましては、今後こういう場合には、十分気をつけるようにいたしたいと思います。
#17
○吉江勝保君 早急の間にお作りになって、また配付につきましても手落ちがあったことをお認めをいただきましたので、その点はもうこれ以上は申しませんが、将来一つ御留意をお願いいたします。
 この問題につきまして、教育白書の内容につきまして、まずお尋ねをいたしまする前に、今度のこの白書の説明を聞いたのでありまするが、私が今聞こうとすることは、大臣が今お述べになっておりますることでお答えいただいたような感じもいたすのでありますが、このとっておられまする資料なのですが、現在のわが国の教育の水準を作られまする資料でありまするが、大体これを国内あるいは外国の資料について、比較検討されておりまするが、大体その資料の扱い方、それの集め方というようなものが、一応文部省の手元に現在ある資料というものによって、作られたような感じがいたしているのであります。これは早急に作られたから、そういうふうになったのかと思うのであります。各国との比較も相当あげておられまするが、各国の中にはもっと知りたい国もあるのでありまするが、そういう各国の資料につきましても、十分に資料をお集めになっていなかったのは、あるいは手元にあるような資料でおやりになったためではないだろうかというような感じがいたすのでありまして、大体この資料につきましてどれだけの苦心をされたか、どういうふうな資料の集め方をされたかということにつきまして、これは局長からでけっこうでございますから、御説明を願いたいと思います。
#18
○説明員(北岡健二君) 資料の点につきましては、大体手元にありました資料を使いました。国際連合の資料、ユネスコの資料、それから私どもの方で資料を作って何か出しますと、それを外国に送って交換にもらってくる資料がございます。従いまして、基本的な統計とかそういうようなものにつきましては、交換資料として継続的に入ってきております、そういうものをおもに使いました。国内の資料につきましては、これは文部省の調査局自体が統計課なり、それから調査課でやります調査なりで、継続的に行なっているもの、及びテーマをきめてそのときどきにやっておりまするもの、そういうものがございますので、その資料を使いました。なお、調査局では外国の教育事情について、常に一定額の予算をもって、これは標準予算でわずかな金額でありますが、継続的に昔からずっと外国の資料を集めて、それぞれのテーマについて答えが出るようにいたしておりますので、そういう資料を使ったわけでございます。特にこの計画のために、新たに求めた資料としましては、一つは学力の外国比較を何らかの形でやれないかと思って、この本に出ております学力の国際比較のところでやりました試験問題及び外国の成績をとりました。それから、そのほかは本年度の資料について各国にできておったらすぐ送ってくれるように手配をして、これで若干これに間に合うように入ってきたものもございましたが、編集後になって入ってきたようなものもあるわけで使えなかったものもございます。大体そんなような状態であります。
#19
○吉江勝保君 一度こういうものを出されますと、これに対する批判も相当起ころうと思いますし、こういうように、国会でもいろいろな質疑また要望をいたしますので、次回にいつ出されますか知りませんが、重ねてこういう白書を出されますときには、今度は資料も十分に間を置いて収集していただいて、そうしてわれわれが国策を立てるのに非常に参考になるような資料の上に立った教育白書というものに作り上げていっていただきたい。これは要望いたします。
 その次は、この白書が十分なものができたにいたしましても、これは現状の把握という程度のものでありますので、この上に立ってこれからどういうようなわが国の教育をやっていくか、政策をきめるかというような問題、あるいはこの白書の中に示されておりまする各国と比較いたしまして劣っておるような点とか、おくれておるような問題とか、こういうような問題もこれを今後文教の責任者が実際にこれを実行していくと、実際の政治の上にこれを実現していくと、こういうようにしなければ、白書が幾ら出されましてもこれは意味が半減してしまうだろうと思うのであります。そういう意味で、文部大臣はこの白書につきまして示されておりまするような、わが国の教育の不備な点とか、おくれておる点とか、こういう点につきましては、どういうような気持をお持ちになっておるか、どういうような態度でこの白書に臨んでおられますか、そういう点を大臣からお聞きをいたしたいと思います。
#20
○国務大臣(松田竹千代君) この教育白書と申し上げていいのか、これを出すにつきましては、とにもかくにも教育の振興発展ということは、広く国民一般の教育に対する理解を深めるということが一番大きな力になると考え、従いまして、とりあえずわが国の教育の現状を、できるだけありのままに率直に統計その他をもって示し、そうしてそれが諸外国の、特に先進国、主要なる国と認められる国の教育の状態と比較をして、諸外国と対比した場合、どういうような状態であるかというようなことも、あわせ検討してもらうという考えによって出したわけでありまして、これによって世間一般の大方の批判、特に皆様方からもいろいろと批判を仰いで、そうしてわが国の教育の不備な点、諸外国と比較して劣勢にある点がいずこにあるかというようなことが明らかになった場合には、むろんその方面に対して今後文教政策の上に力を注いで、これが振興を見るようにやって参りたい、かような考えを持っておるわけでございます。
#21
○吉江勝保君 私は、もちろんそれは当然そうあるべきだと思うのでありまするが、文教というものは短期間の間にその効果が上がるものでないので、大臣が在任されておりまするうちに、こういうような白書の欠陥を全部是正するというようにもなかなか参りませんでしょうが、まあ大臣としましては、こういう教育白書の示されておりまする不備な問題につきましては、大臣が在任はもちろん、おかわりになりましても、そういう方針はずっと引き続いて教育白書によって見出されておりまするような弱い点、劣っておるような点を、常に大臣は熱意を持って当たってもらいたい。これは重ねて要望をいたします。
 それとともに、この白書で比較を見てみますと、諸外国からおくれておりまするような点もありまするが、また相当よくやっておる点もあるのでありまして、そういうような教育に当たっておりまする教師の人たちでありますとか、あるいは教育行政に携わっておる人たちが非常に努力をして、相当わが国の教育も世界の教育の水準に比べまして進んでおるとまでは言えないにしても、そう劣っておらない。あるいは平均以上にはいっておるというような面も相当あるように見たのでありまして、そういう点におきまして、教育行政に携わっておられまする人、あるいは教育の第一線に当たっておられる人が自信を持って、勇気を持って教育に一そう私は邁進をしていただきたい、こういうことも特にお願いをいたしておきたいのであります。どうも教育の問題になりますというと、何か日本の教育はまずいことばかしがあって、教育がどうも劣っておるようなことがややもすると耳に入るのでありますが、まあ白書に示されました内容から見まして、相当よくやっておるというような点につきまして、私はある意味におきましてまあ敬意を表し、さらに勇気を持って自信を持ってお当たりを願いたい、こういう点は要望をいたしておきます。
 それからこの白書につきまして、いろいろな問題の不備な点があるのでありまして、不備な点と申しますか、おくれておるような点の二、三について要望をし、御所見を伺ってみたいと思います。
 まず第一に、教育予算、教育費の問題でありまするが、これは戦後におきまして、予算が相当に上昇いたしております。しかし、まだその予算の内容を見てみますというと、一人当たりの教育費というものは非常に低いと、こういうようなことがはっきりわかってくるのでありまして、あるいは教育の機会均等というような面におきましても、まだおくれておるようでありますし、また僻地の教育等につきましても、おくれておるようでありまして、こういうようなおくれておりまする点を引き上げていきまするためにも、やはり文教予算というものがもっと力強く要求もされ、それが計上され、それが成立するというふうに努力することが、まず何をおきましても必要であろうと思いますので、概括しての要望でありまするが、この不備な点につきまする予算要求等につきましては、特にどういう点に弱い点があるかということがはっきりいたしておりまするので、現在予算も編成され、大蔵省に要求もされておりますものの中で、この教育白書が本しておりまするおくれておる点、弱い点、こういうような点について、要求されておりまする予算につきましては、特に大蔵省に対しまして十分な努力を払っていただきまして、その点につきましては遺憾のないよう予算を獲得していただきたい、こういう点につきましての大臣の御所見をいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(松田竹千代君) 全くお話しのように、わが国の教育の現状は、ある点については、日本の国民全般が非常に教育というものに熱心であるがために、先進国と比例してもあえて劣っておらない、いなすぐれておるという点もなきにしもあらずであるということは、お説の通りだと私どもは確信いたしております。さればといって、よい方の面を必ずしも強調するの必要はないのでありまして、お話のように、劣っておる点に対してどうするか。たとえば、国民全体の所得に対しての教育にわが国が使っておる率は諸外国に対して少しも劣っておらない、最も優位にある。しかしながら、国民一人当たりの教育費は何ぼ使っておるかというと、これははるかにわが国の生徒学童一人当たりに対する費用は、英国やアメリカやあるいはその他フランス、西ドイツに対比いたしましても非常に劣っておるということがはっきりいたしておるわけでありまして、これは要するに、いまだわが国の国民全体の所得はそこまでいっておらぬという点にあるのでありまして、国民所得がはるかにこれらの諸外国の先進国に比して、わが国の国民所得全体が低いというところにあるのであるかと思います。にもかかわらず、日本の国民の教育に対する熱心さは、国民所得全体に対する比率は相当高いところへ持っていっておる。で、この劣っておる点に対しましては、明年度の予算においてとりあえず相当程度の要求をいたしておるのであります。私は、できるだけこういう点に対しては飛躍的な考えを持って予算の要求をしなければ、とうていわが国の教育を希望する点へ持っていけないと考えまして予算を組んで参っておるのでありまするから、どうぞ皆さん方の御協力も得まして、達成できまするように一ついたしたいと思います。
#23
○吉江勝保君 最初に申しましたように、白書がいかにりっぱに出ましても、これに基づいて文教の政策なり教育が実施されていかなければ何にもなりませんので、そこで手っとり早く、明年度の予算要求が出ておりますので、この教育白書を検討してみまして、この教育白書の中で、今申しましたような、こういう点にもっと力を入れなければならぬという点が教育白書ではっきりして参っておりますので、そういうことを検討されて予算をお組みになって、要求されたものとは私は思わないのであります。この教育白書の後に予算を要求されたとは思わないのであります。予算を要求されておいた後にこの教育白書が出たものだと思うのでありまして、そこで、教育白書でこういう点が日本の教育には弱いのだと、こういうことがはっきりしてきましたので、まずその問題については、今要求しておりまする予算において一歩も引かずに、その問題の予算につきましては必ず成立させてもらいたい、この点を特に御要望した次第であります。
 その次に、この白書の作り方を見てみますというと――というよりも、まあ一応私の考えたところを申してみますというと、世界各国の教育水準と比較をするというような場合におきまして、現在の世界の国々を見ますときに、資本仁義の国とか、あるいは社会主義の国家とか、あるいはまあその両陣営に属しまするか、後進国家というような国もあるのでありまして、こういうような大きく分けまして今申しまするような三つの類別について考えましたときに、この日本の教育というものの現状を比較いたしまするときに、今言ったような、資本主義の国の教育とも比較をし、あるいは社会主義国家の教育のやり方、その水準とも比較をし、あるいはまあ後進国と比較する必要はないとも言えるかもしれませんが、数多くの国があるのでありまするから、そういう国の資料もあわせて集められまして、そうして、そういう国の教育制度、あるいはその国の教育の水準というものとはっきりわかってくるような比較をしていただきますと、これも非常に資料として私は貴重なものになるのではないかと思うのでありまして、たとえば後進国家におきましては、初等教育が問題になっておりますので、初等教育の問題に重点を置いておるだろうと思います。その他の国におきましては、問題が中等教育から、あるいはある国々におきましては、特に今度は大学の問題等が取り上げられて大きな問題になっておろうかと思うのでありまして、そういう資料をとりまする相手の国の何によりまして問題の重点の置き方が違っておるようにも見受けるのでありまして、そういう点につきまして、日本の教育の現状を調べますときに、そういう違ったやり方をしておりまするような国との比較をし、そういう国がどういう点に特に重点を置いておるかというようなことは、これはもう書かなくても、資料の上で十分にわかってくるのであります。あるいは、今度の教育白書も、そういう点が自然にわかるように編集されておるのかとも思いまするが、いま少しそういう点につきまして明快に資料をとって説明をしていただきたいような感じがいたすのであります。そういう点につきまして、調査局長はどういうような方針といいますか、態度でお臨みになっておるのか、御所見を承ってみたいと思います。
#24
○説明員(北岡健二君) 世界の教育の問題を考えてみますと、たとえば、あるテーマだけとりまして、科学技術者の養成というようなものをとってみましても、これを、大学レベルに重点を置いておる国、中等レベルに重点を置いておる国、あるいはその両方に置いておる国、それからその中間に置いておる国、あるいはもっと下の技能者養成に重点を置いておる国、それから後進国などで参りますと、国内で技能者養成をやって上の方は外国へ留学さしてやるのだというような行き方をとっておる国というように、いろいろなその国のやり方があるわけでありまして、ただいま御指摘になりました通り、そういうようなものがここに取り上げました問題の多くにわたっていずれのところにもあるわけでございます。従いまして、世界各国との比較ということをやろうといたしますれば、ずいぶん広い範囲の資料が要るわけでございまして、先ほども申し上げましたように、そこまでの資料の収集ができていないという事実と、それから相手国が案外そういうような資料を外へ出していないということ、そういうような事情がございまして、結局ここにあげたような国との比較にとどまらざるを得なかったというような実情でございます。将来機会があれば、できるだけ手を広げて広く、かつ問題の範囲を広げ、対象の国も広げるというふうな方向に努力いたしたいと思います。
#25
○吉江勝保君 この白書は初めてお出しになりましたので、決してこれに完璧を要求するものではありませんが、勤労青年の教育、あるいは青少年の教育、こういうような点につきましていま少しくまとめて各国との比較というようなものはできなかったのでしょうか。
#26
○説明員(北岡健二君) 勤労青少年の教育につきましては、わが国の方の学校教育の面と社会教育の面と同じように、諸外国でも学校外で扱っている教育、それから職場で現実にやっておる教育、それから継続教育というような形でやっておる教育、それからもっといいますと、一度社会に出た者が非常に短期間学校へまた入ってきて特別なコースについて学ぶというような教育と、いろんなものがございまして、かなり実情を把握するのに実は自信が持てなかった点がございます。資料も実は少なかった、そういうようなことから多少急いでこれをまとめるというふうなこともあって、これから勉強してそういう内容の把握をするのでは大へんだったというようなことがありまして、やむを得ず断念したような次第でございます。ただ、勤労青年の教育につきましては、第五章の一部で若干の資料を出して、中学教育の問題と一緒にこの点に触れて、将来の大きな問題として掲げておいたつもりでございます。
#27
○吉江勝保君 今説明があったのでありまするが、私はその次に社会教育のことについて伺いたかったのであります。今度のこの教育白書というものはいわば学校教育といいますか、そういう面に限っての白書であったのか、いま少しく広い意味で社会教育の面まで包含して、この中に取り入れようとされなかったのか、こういう点が感じられたのでありますが、まあ初めてでありますので、社会教育の面は間に合わなかったというような今お話がありましたので一応了解はできるのでありまするが、次に作られまする場合には、学校教育と社会教育の面につきましても、各国の資料とある程度比較検討したものを出していただけると非常に幸いだと思います。この点を要望いたしておきます。
 内容につきまして、もう少し具体的な点を一、二申してみますというと、この白書の中でいろんな問題を取り上げておられます。取り上げられておられまするから大体問題点は上がってきております。しかし、その中で先ほども申しましたが、学校教育というものに重点を置いておられるように思えるので、その学校教育と継続しまする、あるいはそれ以前のもの、あるいはその周辺にあります教育、こういうようなところに広げていただくこと、つまり幼稚園の問題でありますとか、あるいはその教育の内容におきましては、女子の教育の問題、女子教育の就学者の数は非常にふえておるということは表でわかるのでありますが、女子教育の内容というものがどういうようになっておるか、あるいは教育の条件としまして学級でありますとか、あるいは学校の規模構造でありますとか、あるいは一部は出ておりまするが、教師の学歴でありますとか、あるいは勤務条件でありますとか、こういうような点、あるいは教育行政についてもそうでありまするが、こういうような点につきましてはなお不備なような感じもいたします。そういう点につきましても、さらに国内におきましても、もう少し資料をお集めいただき、また諸外国との比較もしていただきたいのであります。今申しましたような点につきましては、この教育白書を作られますときに、どういうような感じをお持ちになっていたのでしょうか、お伺いいたします。
#28
○説明員(北岡健二君) 普通教育の周辺にあります部分、それから社会教育、それから継続教育そういうような分野、あるいは教師の状態等につきまして一応はみんな触れたつもりでございますが、何しろ分量が百五十ページ程度にしよう、しかも資料をその中に入れて百五十ページというような見当でやりましたものですから、詳細に一つ一つについて触れる余裕ができなくて、勢い普通教育を中心にするような形になってしまったわけでございます。それぞれの事項については調査局といたしまして、あるいは指定統計の分野あるいは任意統計なり、調査なりの分野で毎年継続してというところまでは行っておりませんが、できるだけそういうようなものについての資料は統計調査の形で集めておりまして、少しずつ国内の実態等についても資料ができていっているような実情でございます。この際においては、そういう資料だけ持ってきましてもかなり使えたわけでございますけれども、全体のバランスの関係で、その点まで触れなかったという点があるわけでございます。
 なお、社会教育につきましては、これは海外の一応の、たとえば図書館の数であるとか、蔵書数であるとか、それを読みに来た人の数であるというふうなものの比較はユネスコ等で持っておりまして、ある程度できるのでございます。ところが、その質の問題や活動の内容になりますと、なかなか違うわけでございまして、中には高級な専門家が入ってくるような図書館で非常に大きな、世界の学界がそれを対象にしているような図書館があるかと思うと、わが国の図書館のように閲覧人口の中に本を読みに来るのでなく、受験勉強に来る者が何割かおるというようなことになりますと、ちょっと簡単に数字だけの比較は実はできないという点がございまして、もう少し勉強しませんと、ちょっと比較ができないからというようなことで避けたような点もございますので、御了解いただきたいと思います。
#29
○吉江勝保君 大体これで終わりにいたします。一応、説明を午前中聞きまして私の感じたことをお尋ねいたしたのでありますが、最後にもう一問、けさからの説明によりますと、わが国では学校はたくさん設置されておりまして、学齢児三の九九%以上の者が入学をしておりまして、文盲の率というものは非常に少ない、しかし、その学校の水準というものがあまり高くない、低水準であり、また設備がことにお粗末であって、また教員の資質も各国と比較いたしまして高いとはいえない、こういうような実態が概括してつかめるのでありますが、こういうような問題が提起されておりまするときに、私ども国民がこの教育水準をいかにして高めていくかということが、この教育白書が出たことによって非常にはっきりと国民に知らされてきたのでありまして、そういう意味におきまして私はこの教育白書の価値を認めるのでありますが、いま一応、最初に申しましたように、手持ちの資料で急いでお作りになりました教育白書でありまするので、私は将来もっと完全な資料によってこういうような実態がもっと明白に国民にも示されていくというようにしていただくとともに、こういう白書のようなものによっては、あまり白書から結論的なものを早急に出さずに、資料というものをまとめて、その資料から集約されるものが真に各自に判断されるというような形におままして、将来ともによりよい教育白書が出まするように要望をいたして私の質疑は終わります。要望に対しまして、これは大臣の一つ御答弁をいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(松田竹千代君) いろいろお話しでございますが、まことに、御指摘になりましたように、たとえば青少年の問題に対する扱い方、あるいは社会教育に関する問題等について、あるいはまた文教行政上のあり方について、そういうような点についても、まことに言葉を繰り返すようでありますが、実は網羅して入れたかったわけでありまするが、あまりに、一つは、最初に高価なものを出しても、これに対する予算も何にもあったわけではありませんし、まずとりあえず学校教育に対する最も重要な点と思われる点をとりあえず出して、世の批判を仰いだというようなわけでありまするので、私の気持といたしましては社会教育などの面につきましては、国でやっておる、文部省でやっておる事柄以外に、これは、その幅でも、その各部門におきましても、民間においていろいろのものが行なわれてきておるのであります。その点についてはやはりこれも相当の、あらゆるものが網羅されて、国と民間とで現に行なわれておるということは言い得ると私は思うのでありまするが、しかし、その程度、何と申しますか、人の関係、金の関係等において、名は枯れ、実落ちて、実際のほんとうの行き届いた社会教育ができておるかどうかというと、まことにあわれな姿ではないかと思われるような点も多いのでありまして、こういう点もあからさまにこれを示して、そうして一般の御理解を賜わるというふうにしていきたいと思うものであると考えておる次第でありまして、今後はこれらの点も十分に考慮に入れて、必要な資料も集めて、できるだけまとまったものにしていきたいと、かように考えております。
#31
○吉江勝保君 ちょっと私の言うたポイントと違うのであります。つまり、白書のようなものは――客観的に正確な資料を編集されて、これによって皆が判断をする基準といいますか、そういうものを私はお出しを願っておる――そしてこれによって、あまり早急な結論的なものを特に出されないようにした方がよいではないか。それは、各自がこの資料をよく検討しますと、おのずからそこに一つの批判が、あるいはわかってくるのであります。そういう結論を急くようなものは、かえってお出しにならぬ方がいいのじゃないかと、こういうことを申し上げたのであります。
#32
○国務大臣(松田竹千代君) 私もそういうふうに申し上げたつもりであります。できるだけありのままの姿を表わして、そうして世の御批判を仰げばこの白書の任務はそれでほぼ達成できるのじゃないかと、かように考えております。
#33
○豊瀬禎一君 今の大臣の答弁によっても大体わかったのですが、私はかつてない、文部省が教育白書というものを出して、文部省の教育行政の欠陥を率直に国民の前に白状され、過去十数年にわたる戦後の教育をいかに放棄しておったかという実際を勇気をもって明らかにされた大臣に対して、まずお礼を申し上げたいと思います。
 私は、前回も簡単に触れましたが、日本の教育に三つの特徴があると思います。この白書の中にも幾分触れておりますが、その一つは、教育の具体的内容に対して、五十万の義務教育に携わる教職員が、自分自身の研修と責任において戦後の教育を積み立ててきたという事実。第二には、国あるいは地方自治体によって、放置されておった学校校舎あるいは施設、教具等に対して、父兄と一体になって施設充実の面に対しても献身的な努力を払ってきた。第三点には、教員殉職者あるいは生徒の犠牲者等、いわゆる生徒、教師ともに、死後になっても大阪にある教育塔の中に葬るという、死後まで教職員自身の責任においてこれを処理しておるというこの事実、これに対して現在まで文部省はあまりに日本の義務教育に対して無責任であり、無関心であったと思います。この点が非常によくこの白書の中の随所に出ておると思いますが、これの指摘は先ほどの約束に基づきまして次回に譲るといたしまして、まずきょうは主として質問だけを行なって、資料不足の点がありますので資料要求も同時にいたしますので、次回までそれを出して、十分次回の討議に資していただきたいと思います。
 その前に、数点だけ指摘しておきたいのは、資料が約四十ページにわたりまして参考文献があげられておりますけれども、この参考文献の内容と、ここの中にあげられた二、三の資料を見てみますと、非常にちぐはぐな感じがいたします。資料を十分活用できなかったのではないか。これは大臣が発表を急いだという点で了承いたしますが、特に私が疑問に感ずるのは、不正確な点がきわめて多いということです。まず一、二指摘しておきたいのは、六十六ページの二十七表の生徒数と、百六十六ページの生徒数は、あとで御答弁いただければいいと思いますが、答弁されなくてもけっこうと思いますが、もちろんその中に単に義務制だけではなくて、いろいろなものが含まれておるのではないかと思いますが、数的な根拠の違いが明らかになっていると思いますけれども、これを対比して見ます場合に、その数字の食い違いというものがまず目につくところであります。またついでに、同じページの、六十七ページの第十三図を見てみますと、それの説明として六十六ページの終りから四行目に、「第十三図で見られるように、この四年間に小学校では五十一人以上の学級数の比率は三四%から二九%へ、」とありますが、上のかけじるしのあれを見てみると、どうもそういうふうに見られないような気がするのですが、まあそのことは抜きにして、資料に不正確なところがありはしないか、こういう気がするのですが、次回にこういった点についても明らかにしていただきたいと思います。
 それで、まず第一番に大臣にはっきりとお尋ねしたいのは、吉江さんからも指摘されましたように、予算要求の方が先に行なわれて、白書作成があとになったとはいえ、この白書ができて一応世に出された以上は、この白書の意味しているものについては明らかになっていると思います。そこで、この自書によって日本の教育の欠陥が浮き彫りにされているものが幾つかあると思いますが、その重要なものを三つあげるとすれば何と何であるか、まずこれを大臣が御答弁願いたいと思います。そうしてその、たとえば三つ――五つも、十も、百もあるのですが、重要なものをまず三つあげていただきたい、大臣の方で把握しているもの。そうしてそのことを、現存予算要求をされておりますが、その中でどういうふうにそれを具体的に実現していこうとしているか、これをまず第一番に大臣にお答え願いたい。あとは局長さんの方でけっこうでございます。
#34
○国務大臣(松田竹千代君) まずわが国の学校の施設、義務教育関係の施設、いわゆるすし詰め学級解消五カ年計画に基づくもの、これをまずもって達成しなければならぬということが一つの大きな重点であると考えます。またこれに伴う設備、特に科学技術方面の設備はきわめて不備なものがある。なお、中学校、高等学校等の備品などについてもきわめて不備なものがある。これをできるだけ充実せしめたい。これは今日の要請の大きなものであると考えているわけであります。
 また、大学教授の給与というような問題、研究費というような問題、こういう点に非常に、今日はあまりにも劣勢過ぎるという感じを持っておりますので、この方面の充実に意をいたしております。
 それからまた特殊教育の面においては、一般児童に対する設備、準備というようなことと対比いたしまして、これは教育全体としてはある程度諸外国の主要国と対比しても相当比肩できるような程度にあると思うのでありまするけれども、特殊教育の面においては特に劣勢を感ずるわけでありまして、この点に対してやはり重要な件として新たに予算の要求もいたしているような次第でございます。
#35
○豊瀬禎一君 資料を見る関係ですわって質問いたしますので、局長さんの方も遠慮なくすわってやって下さい。
 まず第一番に、第三章の教育条件、機会均等等のその問題でお尋ねしたいのですが、まず第一に、すし詰め学級の問題ですが、ここでは教師一人当たりの生徒数だけが出ているようです。
   〔委員長退席、理事松永忠二君着席〕
 そこで出していただきたいのは、このほかに一学級当たりの教員数、それから一学級当たりの生徒数も同年次のものをぜひとも出していただきたいと思います。これは教師一人当たりの生徒数だけですし詰め学級の状況は判断できないと思いますので、まずその資料を出していただきたい。
 それから第二に、先ほど局長さんも御説明になった、もちろんこの白書の中にも出ておりますが、六十六ページの中段に出ているところですが、一教師学校の比較数が出ておりますけれども、第二十五表をごらんになるとわかるように、アメリカ合衆国は人口密度二一であるし、ソ連は九です。それに対して日本は二四一という、アメリカ、ソ連と、日本との比較はおよそ無意味だと思うのです。その意味においてイギリスとの関係はやや明らかになっているのですが、この中でイギリスの年金別の、日本のように二十四、二十六、二十八、三十とあげてありますね、こういう年度別の変遷の資料があったらぜひとも出していただきたいと思うのです。これはイギリスと日本が類似しているという意味においてです。それから六十九ページの二十九表ですが、私も十分まだ文部省の資料等見ておりませんので間違いがあったら訂正していただきたいと思うのですが、イギリスの四十人以下というのは、文部省の前に出された資料では一九四二年のもの、それからドイツにおいては、五〇年、フランスにおいては三六年、ソ連においては三五年度のものではないかという気がするのですが、その年次の当否は別として、もしそのころの総計と現在において全然変わりはないかどうか。
 大体十四、五ぐらい質問がありますので、このくらいで区切った方がいいと思うのですが、一応御答弁願いたいと思います。
#36
○説明員(北岡健二君) 第一の、教師一人当たりの児童数に対して、一学級当たりの児童数でございますね、六十五ページにイギリスとわが国が一学級当たり教師数はともに一・二人であるというふうにしております。
#37
○豊瀬禎一君 いや、その表は先ほど言ったように次回までに出していただけばいいのですが、二十六年も二十八年も全部一・二というのがいつなのかもわかりませんし、どう変遷しているかも見て、その後の問題を提供したいと思います。
#38
○説明員(北岡健二君) それから六十九ページの第二十九表、これは今確かめましたところ、現在もこの通りでございます。学級編成の、日本の小学校五十人以下、イギリス四十人以下というのは現在もこの通りでございます。
 それからもう一つは、一教師学校の数のイギリスの年度別編成、これは調べてみましてありましたら申し上げたいと思います。
#39
○政府委員(内藤譽三郎君) 先ほど豊瀬委員からお尋ねの一学級当たりの教員数というお話が出ましたけれども、世界各国でやっておりますところを見ますと、大体ティーチャー・ピューピル・レイショー、いわゆる一人の教員が何人を持っておるのかというのが、世界共通のものさしになっております。日本のように、学級数をおいて、それに何人になるかというのは、これは世界的にやってないのです。ですから、この六十四ページの表というのは、共通のものさしをとればこういうふうになる、こう思うのでございまして、今お尋ねのような資料は、世界的には、アメリカあたりの資料にも全然ございませんので、この点は御了解願いたいと思います。
#40
○豊瀬禎一君 日本のやつはあるんですね。
#41
○政府委員(内藤譽三郎君) ええ。
#42
○岩間正男君 今の問題は、これはできるでしょう。学級数はわかるでしょう。これはないですか。これでやればできるんですよ。
   〔理事松永忠二君退席、委員長着席〕
そういう点からも、やはり比較をやらないと、これは私もあとで触れようと思ったんだが、日本の教育行政の中では一つのポイントになっておりますね。こういう問題については、もっとやはり多面的に、しかも、問題の性格を掘り下げる努力をしなくちゃならない。ところが、これは非常に算術平均的な簡単なものですよ。全体の児童の数を教師の数で割って、そういう平均で、ちょっと見るとよく見えます、よく見えるけれども、正確はこれだけでは非常にあぶないと思う。これで全体を推すということになっておるところに、この白書の特色があると思う。私はこれはできると思う。全体の数を学級数で割って、それから教員の数を配当すればどういうふうになるか。それから、もう一つつけ加えさせていただきたいのは、そういうことについては作業をやればできるんであって、ちゃんと資料で作業すればできる。
 それから、もう一つの問題は、先ほどの、要求と関連してお聞きしたい問題は――ちょっと忘れましたので……。(笑声)
#43
○政府委員(内藤譽三郎君) 同一学年主義の学級編成をしているのは日本だけだと私は思うんで、アメリカあたりですと、一人の先生が三十人なら三十人、あるいは三十五人となりますと、同一学年だと半端が出るわけですね。その端数をどっちかに切り下げ、切り上げしている。ですから、日本の場合は同一学印主義をとっていますから、五十人のところもあれば、四十五人のところもある。小さな学校では四十人のところもある。アメリカの場合は、三十五人なら三十五人で線を引いておる。そこで、三十五人について一人の先生が受け持っておるのです、現実に。で、勤務時間が大体一週五日制で、五時間でございますから、二十五時間を持っている。そして、級外の先生というのはいないのです。日本の場合は級外担当教員というものを配当している。こういうこともアメリカにはない。で、総数でアメリカの数を割ってみると、ここに、アメリカが二六・三ですか、イギリスが三〇・四というような、割れば数字が出た。日本の場合には、学級を、同一学年主義の建前をとっておって、それで一学級に何人、多少多いところでは、級外教員というものを置いておく、その総数を割ったものが三六・四ということになるので、共通のものさしをとれば、このものさしでいいと私どもは考えます。これ以上比較するものさしはないわけでございます。
#44
○豊瀬禎一君 そこで、今、内藤局長の言ったのは、一応了承しますが、日本のやつはずっとあると思いますので、それをぜひとも出していただきたいと思います。
 それから、六十六ページの二十七表に戦前のやつが出て五〇・一とありますが、これは全国平均だと思いますが、この教師一人当たりの生徒数、これは全国平均ではなくして、都市と農村部でかなり食い違いがあると思う。都市の方は大まかに言いますと、五十人以上の学級が非常に多くて、農村の方は逆になっていやしないかと思う。これを、できたら各県別に資料を出していただきたいのですが、なければ、都市と農村の関係の資料を出していただきたいと思います。
#45
○説明員(北岡健二君) ちょっとお尋ねさしていただきたいのですが、それは小学校の教師一人当たりの児童数を計算するに当たって、都市と農村に分けて、都市の学校では一人当たり何人、農村については一人当たり何人、こういうように年次別に出す、こういうことでございますか。
#46
○豊瀬禎一君 こういうことでいいのです。都市と農村をどう分けるかということが問題でしょうから、六大市なら六大市、抽出調査でけっこうです。農村を適当に指定されて……。
#47
○説明員(北岡健二君) 基礎資料を調べてみないと、そういう区別が初めからできておるかどうか、その辺がわかりません。
#48
○豊瀬禎一君 そこで、大体第三章を貴いておるものは、先ほど申し上げましたように、戦前からかなりよくなったと言いながら、ここでも出ておりますように、二十四年が三六・四、三十四年が三六・四、ほとんど改善されていない。むしろ、ある時期においては悪くなっている。こういう実態だと思うのです。そこで、大臣が、まず施設の充実の方に第一の重点を置きたいということですが、すし詰め学級の解消策として、来年度の予算要求の中で、生徒数がどれだけあるか、これに対する教員数の増加がどれだけか、さらに、それでは自然増だけの数字ですから、それ以上にすし詰め学級解消のための予算要求は、教員数にして何ぼ、金額にしてどれだけ増額要求を現在やっておられるか、この点は今わかりましたら明らかにしていただきたいと思います。
#49
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#50
○委員長(相馬助治君) 速記復活。
#51
○豊瀬禎一君 それでは今の線に従って質問を続行いたします。
 次に、校舎面積の問題ですが、これについても割に軽く白書の方は扱ってあるようですが、年次別に一応のデータが出ておりますので、私が危惧しますのは明治、大正時代の残りの校舎や戦後のバラック、かまぼこ兵舎等の改築もこのパーセンテージの中に含まれておるのではないかという気がしますので、文部省の補助された校舎建築の中で鉄筋のもの、それから木造のもの、それから明治、大正時代の老朽校舎の改築のもの、あるいは戦後のバラック、かまぼこ兵舎等の改築、こういう類別した資料をお願いいたしたいと思います。
 それから次に、不正常授業解消のための必要な教室の数、小学校が一万五千五百、中学校が四千二百となっておりますが、この場合の生徒一人当たり、昔は坪で言っておりましたが、何平方メートルのものを見てあるかどうか、これは今答えられると思うのですが。それから同じくページ七十一の五行目あたりに校舎面積が出ておりますね、これは何を基準とされたか。それから教師の給与、勤務についての項ですが、大体百六ページあたりからの第五十四表あるいはその他の文章の中にいろいろ出てきているのですが、教師の、これも全国の教師ということは無理と思いますので、抽出調査でけっこうと思いますが、本務と雑務との、本務外の事務の時間数、これも小中別にして、しかも若い層、中年、教頭層、大体こういうものを出していただきたいと思います。といいますのは、これも日本の最も大きな教育の欠陥の一つだと思うのですが、本務以外の事務に教師が非常に追われておる。これはまさかそういう時日を多くして、教師に物事を判断する余裕と能力を与えないという政策のしからしむるものではないと信じますので、そのような資料をぜひ出していただきたいと思う。こちらの方には数年次にわたる教師の勤務量の調査がありますので、それと対比して文部省の見方を見てみたいと思います。
 それから第四章の「教育費の水準」のところにある、百十四ページ、五十六表、教育費の比率の五・三%はなるほどきわめていいようですが、この中で義務教育国庫負担法に基づく費用が何パーセントを占めておるか、海外派遣とか、管理職手当とか、あるいは現職教育とか、こういったあるいは文部省の必要な諸掛り、諸役人の人件費等もある面では含んでおると思うのですが、そういう中で義務教育国庫負担法による負担がどれだけあるか。同じ問題でこの中に県、市町村の負担の分を含んでおるかどうか。それから、生活保護者の生徒に対する教科書代、給食費、修学旅行費等をできればこれで増加しておるかどうかを見たいと思いますので、ここ近年のものを数と金額を何年か、二、三年でもけっこうですから出していただきたいと思う。
 それから同じ百十六ページの後段、百十七ページの第五十九表による国民所得云々という表現がしてありますが、国民所得は次第に上昇してきておるとこの中では見てあるようですが、ここ数年間の国民所得の上昇係数あるいは傾向、これがないと、先ほどからしばしば申し上げておりますように、国民所得によるパーセンテージと一人当たりの負担金額との数年間の傾向、これに対する文部省の努力という点が明らかになってきませんので、それを出していただきたいと思います。
 それから、この白書でも言っておりますし、また先ほどから申し上げましたように、最も大きな問題は父兄負担の問題です。これは白書の中にもそのことを認めてはおりますが、PTA会費、それから寄付金――会費以外の寄付金ですね、校舎建築、こういうものの――これも抽出調査以外に方法はなかろうと思うのですが、会費の方は全国平均が出はしないかと思うのですが、こういうものの資料を出して、できればここ数年の分を小、中、高に分けて出していただきたいと思います。私の方で調査したものによりますと、高等学校でもそうです、中学校でも父兄の負担が七千何ぼに及んでおるようなものも一カ月にありますので、またそうでなくても、教育費に対する父兄負担は大きなものがありますので、これの是正策も同時にお尋ねいたしたいと思うのですが、まずその資料を出していただきたいと思います。
 それから、義務教育における最も重要な問題の一つは、裕福な家庭と貧困家庭の差であると思います。これは先ほどお尋ねした生活保護児童の調査でも出てくると思いますけれども、直接最低限度学校に納める費用と、家庭自身が負担しておる子供の教育費用、家庭教師とか、その他いろいろな、これを何らかの形で裕福な家庭と貧困な家庭との、学校に義務的に納める教育費と、家庭が自主的に負担しておる教育費の調査資料をお願いいたしたいと思います。私の調べておる資料では、貧困な家庭におきましては、学校に義務的に出しておるものと、家庭が負担しておるものを比較いたしまして、学校に義務的に出しておるものが九三%を占めておるような状態にあり、ほとんど家庭教育は放置されておる。こういったところに今日義務教育の重要な問題があると思います。
 大体資料要求は以上ですが、言いたいことがありますけれども、大臣が去られましたので気抜けがいたしましたので、私の方は資料の要求だけにきょうは終わっておきたいと思います。
#52
○岩間正男君 僕は二つ、三つ……。今もだいぶん出たから、ここへ詳しく出してくれるでしょうが、豊瀬君のやつはこれ出ればいいのだが、その中で二、三お願いしたいのです。
 さっきちょっと忘れたのは、基準数ですか、日本は五十人以下、こういう制限がある。これはイギリスは四十人以下、そのほか世界各国のがありますが、この制限は、学級の編成基準というか、これは最高児童数でしょう、これを越えてはならぬという。これを各国のやつを出しておるが、現状はどうなっておるか、これは守られておるか、現状はどうであるか、これをオーバーしておるのは、オーバーしておるとすれば一体どうなっておるか、この点一つ。これは資料要求。
 第二の問題は、国民所得の問題と関連するのだが、国民所得の絶対量、経過、こういうものは出されるのですが、百三十一ページ、この問題と関連しておるけれども、国民所得がふえておる。父兄負担もふえておる。しかし、百三十一ページの最後を見ると、「最近の父兄負担教育費の増加傾向は、必ずしも憂慮すべきものではない。」といっておるが、これは大へんなことだと思います。あとでやりますが。それでお聞きしたいのは、具体的に……。
#53
○委員長(相馬助治君) 資料要求ですか。
#54
○岩間正男君 資料要求です。これをやって下さい。というのは、国民所得がふえているのは、鉱工業生産指数が高まっているのだ。つまり、独占資本の法人所得がふえているのだ。これははっきり出ている、予算のあれの中にも。だから、この比較をやらないと、こういうことをやるというと、国民一般でやられたのでは、これははっきり階級的ななにがわからないわけだ。それで分析をやらなければ、これは非常に不誠実ですよ。国民所得はふえたのだということで、一方では千二百万の失業者を出しているのにかかわらず、こういうような形では、まあ全体はふえているという形で押されたら、それで尽くされてしまうものが非常に多いわけだな。そういう点から、この点の法人の所得はふえて、しかも資本金何十億の会社の――何かわかるでしょう。こういうやつ、大体出しておりますからね。こういう中でのはっきりしたやはり分析を出したものを資料として出してもらいたい。これはできませんか。これをやらぬと、とてもだめだ、これを全体でやったのでは。これを一つ第二として、この点を明確にやってもらいたい。
 それから第三に、これに抜けているのだが、何というかな、やはり教員教育労働者、先生々々と言っておりますが、教育労働者なんですね、やはり。ですから、この教育労働者に対する保護政策、労働保護政策に何ら触れていない。これはどういうことになっているのか。従って当然これと関連して、結核補助教員とか、産休補助教員とか、こういう問題にこれは発展せざるを得ないし、事務職員の問題にもこれは発展せざるを得ない。さらに、その他いろいろな、これは福祉施設の問題が出てくるのですが、これは世界各国との比較をなぜしなかったのか。これはなぜしなかったのか。これはわからぬのだ。これは重大なんだ。教育行政の中で非常に大きな部分を占めなくちゃならないのだが、これは消えているのだな。これはちょっと見のがすことのできない問題ですよ。私はまあ……。
#55
○委員長(相馬助治君) 資料要求ですか。
#56
○岩間正男君 ですから、この点をぜひ各国の比較として、資料があるでしょう。
 それから第四に、もう一つつけ加えておいていただきたいのは、この資本主義国のものは出ているのだな。ところが、社会主義国の資料というやつは、あなたたちの手に入らないといえば、それきりだが、ソビエトなどがちょろちょろと出ておりますが、これなんか表なんかでは省かれているのだな。特に中華人民共和国に至っては、ほとんどこれは触れていない。それで、私はときどき錯覚して、中華民国なんというのがあるから、はっと思ってみたら、これはやはり中華民国で、これは中華人民共和国ではなかったわけだ。だから、どうして世界の四分の一の人口のある中華人民共和国の資料をこれは入れないのか。これを単に情勢がわからないからということだけでは、私は非常にやはり調査の仕事としては足らないと思う。隣の国の姿をやはりやらなくちゃならない。
#57
○委員長(相馬助治君) 若干触れておりますがね。
#58
○岩間正男君 若干だな。だから、その点で、これは具体的にあとでやります。具体的にやりますが、この資料の中でずっとアメリカのことだの、フランスのことだの、イギリスのことだのは書いているのだ。これとの比較はやっているのだけれども、社会主義国のことになると、ぱっと消えちゃうのだな。これではちょっと困るのだ。これでは世界の情勢ということにならないのだから、非常にかたわですから……。
#59
○政府委員(内藤譽三郎君) 御協力を願います。(笑声)
#60
○委員長(相馬助治君) ただいま資料の要求が出ましたが、お出しになれるものと、なれないものとがあると思いますが、できるだけ努力をして、次回にお願いをいたします。
#61
○豊瀬禎一君 委員長、もう一つ忘れておりましたから……。
 百十一ページに視学の役割の中で、(e)項に勤評問題でまことにつつましやかに言及しておりますが、名国の勤評実施の状況と、その国におけるこれに関する教育諸学者の説ですね、意見、こういったものを同時に添えて出していただきたいと思います。
#62
○委員長(相馬助治君) 何分よろしくお願いします。
 本日はこれをもって散会します。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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