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#1
第033回国会 文教委員会 第5号
昭和三十四年十一月二十六日(木曜
日)
   午後二時三十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十一月二十五日委員剱木亨弘君辞任に
つき、その補欠として鹿島守之助君を
議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     相馬 助治君
   理事
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           吉江 勝保君
           松永 忠二君
   委員
           杉浦 武雄君
           野本 品吉君
           荒木正三郎君
           千葉千代世君
           豊瀬 禎一君
           柏原 ヤス君
           東   隆君
           常岡 一郎君
           岩間 正男君
  衆議院議員
           臼井 莊一君
  国務大臣
   文 部 大 臣 松田竹千代君
  政府委員
   文部大臣官房長 斎藤  正君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
   文部省体育局長 清水 康平君
   文部省管理局長 小林 行雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○日本学校安全会法案(第三十一回国
 会内閣提出、衆議院送付)
○市町村立学校職員給与負担法の一部
 を改正する法律案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。
 まず、委員に変更があったので御報告いたします。
 昨日、剱木、弘君が辞任され、補欠として鹿島守之助君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(相馬助治君) 本日の委員長及び理事打合会の経過について概要御報告いたします。
 本日の会議に付すべき案件といたしましては、すでに前回、派遣委員の報告及び教育白書の二件を議題とすることに御了承を得ておりましたが、その後、十一月十四日、本学校安全会法案並びに市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案が衆議院から送付されて参りました。従って、それを含めて本日の議題として進めることについて協議を行ないましたところ、まず、派遣委員の報告を聞き、質疑がありますれば、これを行なった後、日本学校安全会法案、続いて市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について趣旨の説明を聴取することといたしました。なお、日本学校安全会法案については、修正送付がありますので、あわせて修正部分の説明を聴取することにいたしました。
 次に、教育白書に関する質疑を行なうことにいたします。
 以上、御報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(相馬助治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、まず派遣委員の報告を行なうことにいたします。第一班吉江勝保君。
#5
○吉江勝保君 第一班の調査報告をいたします。
 第一班は、荒木委員、柏原委員と私のほか、調査室から前田調査員が参加いたしまして、去る十一月十六日から十九日までの四日間、愛知、三重両県におきまする伊勢湾台風によりまして災害を受けた教育施設の災害状況、児童生徒の避難状況並びに被災地の視察をいたしました。さらに、大阪府岸和田市に起こりました山滝小学校のいわゆるいたずら事件及び常盤小学校のつづり方事件を調査して参りましたから、以下、順次御報告いたします。
 まず、愛知県におきまする災害の概要から申し上げます。
 去る九月二十六日夜半、東海地方に襲来した伊勢湾台風は、昭和二十八年の第十三号台風をはるかにしのぐ猛威をふるったため、県下各地とも海岸及び河川の破堤、溢水、山くずれ等による人命の損傷、家屋の倒壊、流失等は激甚をきわめ、惨状は実に言語に絶するものがあったのであります。特に、今次の台風による被害は、中京工業地帯を中心に、伊勢湾及び三河湾沿岸の人家密集地再及び低地においてはなはだしく、死者二千八百二十二名、行方不明二百八十三名、負傷者二万七千九十二名に達しており、罹災者総数は三百万を突破し、その被害総額は約二千七百八十億円と推定されております。文教関係の分だけでも約三十億円に達しております。名古屋市におきまする公立学校施設の被害状況を見ましても、小学校百五十一、中学校五十九、高等学校八、それに幼稚園三、合計二百二十一校が被害を受け、これがため、復旧についても、公立学校施設災害復旧国庫負担法に定める負担率三分の二を十分の九とされたい。全壊、半壊、流失、長期湛水等による施設の復旧は、同法第五条にかかわらず、鉄筋コンクリート作り、または鉄骨作りによる改良復旧として認められたい。復旧費の算定は、同法施行令第一条ないし第五条の算定基準にかかわらず、実際に復旧する全坪数及び復旧に要する全経費を対象とされたい。さらに、国庫負担の適用は、同法施行令第七条の額に達しない場合でも、一校の被害額が五万円をこえるときは負担の対象とされたいことが強く要望されており、また、すでに実施した応急対策費についても補助対象とされたいことなども要望されておりました。
 また、名古屋市における授業状況を申し上げますと、特に名古屋市南部方面一帯は堤防の決壊によって浸水したため、これら地域の学校は罹災者の避難所となり、台風直後は全市内の学校が一時休校、または不正常授業のやむなきに至ったのであります。その後、学校施設の応急復旧とともに、避難所の長期化する情勢にかんがみ、罹災者を他の施設に分散収容計画を立てて、長期収容に応ずるとともに、あわせて学校授業の再開に意を用い、罹災児童に対しては教科書、学用品を支給し、仮入学あるいは集団避難により授業を行なう等、極力授業の再開に努めたのであります。現在においても、なお多数の学校が罹災者を収容しているため、これらの学校は不正常授業のやむない状態でありますが、漸次避難者も退去しつつありますので、学校授業においても、本月末までには大部分の学校が正常授業に復する見込みであります。
 学校給食の状況は次の通りであります。すなわち、収容罹災者の三食給食またはたき出しを実施したためと、パン工場が罹災地へパンを救援物資として送ったため、学校給食は一時中止しましたが、その後の状況によって、学区の実情に応じてパンとバターあるいはジャムによる給食を実施しております。完全給食は十一月二十四日から行なう予定でありますが、調理所の整備未了の学校は、行事食等の特別食による給食を行なう予定であると言っておりました。
 罹災地の現地視察として私どもの最初に参りましたのは南区の道徳小学校であります。森校長の語るところによりますと、災害発生当時の状況は次のようなものであります。
 九月一十六日、台風がくるという警報がありましたので、児童に対しては、それに対する心がまえや用意等を話し、学校は暴風防備体制を整え、宿直員一名を増加したのであります。午後五時半、最初の避難者が見えたので、市教委に連絡して、その処置は校長の判断によるとの指示によって、校内通用門等を開き、風向きを考慮し、校舎の入口を開いて避難者の便をはかりました。七時ごろには停電、八時ごろにはすでに二十世帯八十五名を収容し、その旨、市教委に報告、と同時に、電話は不通となりました。避難命令はまだ出ていないようでありました。風雨はつのり、避難者はきびすを接し、人名を記録することができない。校長と宿直員二名、作業員はその誘導や負傷者の手当をするのが精一ぱいでありました。突然、濁流が来たのが九時半ごろで、負傷者の応急手当中であったが、流れというよりは水を叩きつけるような勢いでありました。書類搬出より、まず人命をと、玄関の内外及び階段に位置し、先に避難した人々の協力を得て、流れてくる人々を救い出しました。五分後には水は胸までに達し、危険な状態になったので、お互いに名を呼びかわしながら階段に上がりました。二階建校舎、四棟十三教室に避難者は充満、水は二メートルをこし、廊下にあった図書戸棚、理科戸棚等はもちろん、金庫まで浮かび上がって倒れました。最高水位は、二十七日零時三十分ごろで床上二メートル八センチで、低い校舎は二メートル三十センチとなりました。これから察して、道路では三メートルをこえたものと思われます。午前四時、人員調査をしましたが、六百五十名で、一緒に家を出たがきておらず、行方不明と推定された者五十二名、乳幼児二十一名、負傷者四十名でありました。校長が中心となり、各教室から代表者を決定して連絡に当たることにしました。学校に自衛隊の舟がきたのが七時二十分ごろで、ここに初めて警察、区役所、市教委に連絡することができました。そのころから、付近民家の二階から、また屋根から、急造のいかだで学校へ被災者を収容しました。その数は四百名ほどです。ようやく徒歩連絡ができるようになったのは半月後の十月十二日ですが、そのときでも正門の水深は四十二七ンチでありました。十四日からへどろとの戦いが始まりましたが、教室内のへどろは十センチほどあって、これを撤去して、やや学校らしくなったのが十一月十三百であります。職員四十五名中罹災した者十二名、事務員、作業員八名中罹災した者六名、学校医、歯科医、学校薬剤十三名とも罹災しております。しかし本人及び家族に死傷者はありませんでした。児童は在籍二千百八十三名中、水の犠牲となった者十四名で、学区の約四千世帯、一万六千名は全員罹災し、しかも長期浸水しており、死亡者八十名を出しております。
 以上は被災当時の模様でありましたが、授業再開までのいきさつや、その後の見通し等々についてただしましたところ、次のような事情が明らかになりました。それによりますと、災害発生当時は、児童は辛うじて家族とともに思い思いに避難したのです。緊急避難所に、あるいは縁故をたどり避難しても、連絡ができなかったため、その実態はつかみ得なかったのであります。学区は全部冠水し、連絡はわずかに舟、いかだによるのみでありますから、授業再開というよりも、いかにして命を保つか、いかにして安全地帯に避難するかに重点がおかれたため、混乱ははなはだしく、堤防決壊付近は潮流が早く、ボートも三百メートルあたりまでしか近づくことができず、それがため、中には三日間も欠食していた者さえありました。縁故避難もせず、集団避難にも参加せず、自分の家の二階に残った者が二百八十六名もおりました。この学校の授業再開はまだ無理でありましたが、一応、十月二十日と決定したことは学区全体の驚きでありましたが、再建に、復興に拍車をかけ、その意欲を高めたことは大きな収獲でありました。全校二部授業により合併してあった学級を旧学級に戻して、三年以上一部、二年以下二部授業とするようになったのは十一月十六日からで、すでに千五百六十五名の児童が復帰しております。さらに校長は、児童の学力進度のおくれに関しては、精神的にも身体的にも、また授業中止期間の長かったことにもいなめないものがありますが、これに対しましては、教育課程移行案をさらに重点的に指導するために、指導室にて用意された参考案により、より効果的に指導する考えでありますが、精神的にも身体的にも授業時間の増加等を行なうべき時期ではないと思いますと語っておりました。
 なお、教育効果を向上させることに大きな役割を果たりしたPTA備品は、十余年にわたって累積されたものでありましたが、その八〇%、金額にして約四百万円程度のものが損害を受けました。しかも学区全体が長期冠水した事情からみて、当分の間、PTAから援助を仰ぐことができなくなったことは事実でありますから、政府はこの点にも十分留意していただきたいと語っておりました。道徳小学校に隣接している大江中学校にも参りまして、小島校長から災害当時の状況等をつぶさに聴取いたしましたが、ここも同様の惨状を呈したことがうかがわれました。
 次に参りましたのは大同工業高等学校であります。同校は私立学校でありまして、大同製鋼株式会社の研究所長が学校法人の理事区長であります。また同社の会長、社長、重役はいずれも理事、監事になっております。しかし、これら役員は無給でありまして、授業料等の学校収入は全額生徒の教育福祉に還元されております。学校法人の性格に基づいて、経営上は全く独立採算制をとっておるのであります。従来は学校の事業には相当援助をしておりましたが、今次の災害においては、会社自体も兵大な損害を受けておりまするから、会社からの財的援助を全然期待できない事情のもとにある旨、語っておりました。
 新校舎は竣工したばかりで、まだ完正式も済んでおりません。鉄筋四階建ての新館には、台風当夜から十月二十七日までの一カ月問、最大二千余名、平均千五、六百名を収容救済し、かつ、屋上は地区唯一のヘリポートとなり、職員生徒の救援活動と相待って傷病者の搬出、物資の搬入、医薬、医師の導入等、敏速に応援処置がとられたのであります。最も悲惨の極にあった一週間くらいは、地区唯一の組織あり、活動力のある団体として、めざましい活躍をしたのでありますから、地区住民感謝の的となって賞賛されておりました。
 この土地は、一瞬にして流木が高潮に押し流された所でありますから、逃げる間もなく家もろとも濁流に呑まれ、町内からは一千名の大量溺死者を出したのでありますが、住宅は水中に没しても、大同校舎のみは水面高くそひえ、高潮や強風にも堪えていたので、住民は泳いでここに避難し、これがため二千余名が命拾いをしたのであります。これら命拾いした人々が中心となって、同校も公立学校並みに補助金が得られるように、また、避難収容によって生じた損害に対して賠で金が得られるように請願しておるのであります。
 草ケ谷校長から深刻な復旧計画が述べられましたが、それによりますと、同校の被害総額は一億二千万円で、補助金は二千万円、同額の融資をみましても、なお八千万円の自己負担となりますから、復旧の窮状もうかがわれました。さらに校長は「この校舎の完成を楽しみにしておりました。まだ落成の披露も行なわれておりませんが、あれだけの人命を救っただけで校舎を建てた意義は十分です。学生たちも自分の家さえあと回しにして避難民の救済によく働いてくれました。今後はりっぱな教育をして彼らに報いて参ります。」と語っておりました。
 それから私どもは海部地方の冠水地帯の学校を視察いたしました。災害日から五十一日を経過していたのでありますが、十四山村、飛島町、弥富町は一面の海で、東部小学校及び西部小学校へ行くのも、竹内十四山村長の案内でボートに乗って参ったのであります。深さ一メートル以上の海水の中に浮かんでおります大破した校舎をめぐって、これを眺めただけで帰りました。
 次に、三重県における教育関係の災害状況と授業のありさまを申し上げます。
 児童生徒の死亡者は二百五十七名、重軽傷者は六百五十八名、罹災児童生徒総数は六万四千三百五十二名に達しております。施設関係の被害も、甚大と見なされるものは小中学校合わせて七十三校、高等学校五校、ろう学校、公民館等、被害総額は約十億円に達しております。
 復旧については緊急応急措置が講じられておりますが、災害は各方面多岐にわたっているので、特に特別措置法による高額の国庫補助と、被害激甚地の指定を県下一円とされるように、また、緊急融資の増額も強く要望しておりました。
 三重県における伊勢湾台風は、津気象台においては開設以来の瞬同最大風速五十一・三メートルを記録し、また、大王崎灯台におきましては六十一メートルを記録して、風連計が破損するほどの猛威をふるったのでありますから、被害は極大で、手数百年来そびえていた神宮の巨木も横倒しになり、神宮神域の姿が、これがため一変するという惨状を受けたと聞きました。
 被害学校の授業再開については、その実情に応じて、二部授業、分散授業、短縮授業、複式授業、学級統合等をして、必要な最小限度の応急工事を施し、また、仮校舎の使用等で早急に授業を再開いたしておりました。特に被害のはなはだしかった北部浸水地帯の木曽岬村、長島町の六校については、緊急集団避難を実施して、正常な授業を行なうために、各学校単位に再編成の上、授業を再開しております。避難所七カ所に収容した児童生徒数は千九百五十二名で、それに教員七十名、炊車婦三十五名、県職員二十一名が参加して、収容所における授業を実施しておったのであります。私の参りましたころは、四校はすでに復帰して、三校のみが収容所の授業を受けておりました。しかし、これも十一月末までには復帰する予定だと言っておりました。私どもは津市に参った際、県立大学に集団避難しておりまする伊曽島小学校児童二百五十三名の授業状況を視察いたしましたが、児童たちは元気で朗らかに、衛生もなかなか行き届き、給食業務もきわめて順調に軍営されておりました。
 今次の災害において、三重県が採用している各学校学位の集団避難がいいのか、それとも愛知県が行なった縁故先の仮入学の方法がいいのか、避難はそのときの実情に応じて即刻行なわれるものでありますが、今度の場合のように相当長期にわたった場合、それが児童生徒に及ぼす影響を考慮した場合、十分研究すべき問題だと思いました。
 三重県の文教関係の要望事項の内容は、大体愛知県において述べたものとほぼ同様のものでありました。三重県における現地の視察には、木曽川のデルタ地帯にあって、数日前にょうやく排水事業が終わったばかりだという木曽岬小学校に参りました。堤防から学校までの約四百メートルは泥道であったため、ゴム靴でようやくたどりつきました。五百名ほどのお母さんたちが動員されて、清掃作業をしていたところでした。校庭にはまだ水たまりが残っており、校内は教室も廊下も泥、教材、教具の破片で目も当てられぬ惨状を呈しておりました。しかし、三階の教室はようやく清掃を終わり、使用できますので、同村の小・中学校の児童、生徒の二部、三部授業を考えておりますと、校長も村長もようやく元気をとりもどしたところでありました。
 今次台風による文化財の災害は、愛知県におきましては、文化財自体は大した異状もなく、付属施設に被害を見た程度だと聞きました。私どもは熱田神宮に参り、本宮板垣や手水舎が大破し、参道の立木が折れながら倒れている状況を痛ましく眺めました。また、神社、寺院等の被害約二十九億円に達しており、愛知県、岐阜県の宗教法人団体の代表者から、災害復旧のため金融措置の陳情を受けました。
 最後に、大阪府岸和田市における調査について報告申し上げます。
 まず、岸和田市において関係者と懇談する前に、私どもは大阪において教育委員長並びに教育長らと懇談し、事件の概要経過について聴取いたしました。岸和田市におきましては、山滝事件聴取の際には、山滝小学校長、PTA会長、副会長、地元代表、市会議員、教組代表等、また、常盤事件聴取の際には常盤小学校長、PTA会長、副会長、同教育対策委員長、同校教組分会代表等の諸氏が出席いたしました。
 事件は別々に聴取することにいたし、山滝小学校の懇談の際には、教員組合代表としては大阪教組書記長、同文化部長、同情宣部長、岸和田市教組委員長、同書記長、同書記次長、元委員長、それに山滝小学校教諭三名、さらに、本事件の主人公の一人である元山滝小学校教諭木村慎治氏も出席いたしました。府教委事務局からも関係者三名、また、市教委事務局からも関係者君名が出席いたしました。
 まず、事件の概要を報告いたします。
 本年八月二、三両日、大阪府泉南郡淡輪における臨海学舎で、山流小学校の五、六年生九十二名につき添った二教諭が、六年女生徒にわいせつな行為を行なったという疑いから起こった事件であります。淡輪から帰った女生徒はそのことを父兄に告げ、父兄からPTA役員の耳に入り、PTA会長から校長に善処方を申し出たため、校長はその旨を市教委に伝え、市教委は二教諭の希望により転任をはかったのであります。その当時は、二教諭も郷里和歌山への転任を希望して、転任先へも交渉し、市教委学事課長にも相談に行き、一応解決に向かったのでありますが、八月十八日に至り、新聞がこのことを掲載して波紋を投げたのであります。
 たまたま、当日聞かれた岸利田教組大会においてこの問題が取り上げられ、二教諭の弁明によって、これは父兄の策謀であるから、二教諭を擁護するために徹底的に戦うことが決議されたのであります。これにまた刺激された父兄は、八月二十日に至り二教諭を告訴し、市教委は、混乱回避の一策として二教諭の配置がえを行なったのであります。その後、九月十八日に至り、二教諭は刑法第百七十六条強制猥褻罪で起訴され、府教委は十月二十六日、一教諭の懲戒免職を発令いたしました。これに対し大教組は、処分撤回要求の運動を起こしているというのが現状のようであります。
 山滝小学校には、その直前に、君が代事件という事件も起こっております。君が代事件というのは、真実は講堂問題のことであります。地元が多、平の念願である山滝小学校の講堂建設のために約二百六十万円を寄付し、総丁費約六百万円で講堂が完成したので、その竣工祝賀会を行のうため、校長は式次第の作成を一任されたのであります。こうして決定した式次第の中から、国歌合唱をめぐって教員側と町民側との間に意見が対立しましたが、結局、教員側が協力せず、レコードで国歌を吹奏し、来賓と父兄だけが合唱して式を挙行したというのがその真相のようであります。この結果、町民は講堂問題に関する対策委員会を設置し、教員と話し合いを行ない、教員側は、学校運営は対内的と対外的とを問わず校長を中心にして行なうこと、授業に差しつかえる組合活動はPTAと話し合いの上に行なうこと、地域社会と協調してその意見を尊重すること、のほか三項目を確約したので、一応おさまったのであります。
 その後、半月もたたないうちに起こったのがさきの事件だったのであります。私どもは、この事件はすでに起訴されておりまするので、事実の真相等に触れることを避け、主として教育面の影響、学校運営等について関係者からの発言を聴取することにとどめました。
 また、常盤小学校に起こったつづり方事件でありますが、これは、六年女生徒の作文「大仏殿」が、偏向教育の疑いがあるとして非難の声があがった事件でありますが、PTA代表と全教員が長時間にわたって天皇批判の作文に関して論議した結果、教員もその手落ちを認めましたので、七月一日、校長以下教員全員とPTA実行委員会との同に、(一)校長を中心として何事もやっていくこと、(二)動員のある場合は実行委員会の承諾を導けること、など六項目について確約をして問題は解決しておるようであります。この常盤小学校のつづり方事件については、社会科を正しく教えることがいかにむずかしいかということが示されており、担任の山本睦教諭も認めているように、教え方の問題であったのであります。山本睦教諭には大仏殿を造った当時の背景の説明が不足していたのであります。水尾校長も浅田教諭も、あの作文は偏向教育の所産ではないと思います。その証拠には、天皇は悪魔だというような表現を持った作文はこのほかには見当たらなかったと言っておりました。
 山滝事件、常磐事件を通じて、地域住民父兄と教育担当者、校長と教員との閥に信頼を持つことが何より大切であることがよく認められたのであります。
 幾多の問題を含んでおりますこれらの事件については、また次の機会に譲ることにいたしまして、その概要を報告して第一班の報告を終わります。
#6
○委員長(相馬助治君) 以上をもって第一班の報告を終わりました。
 次に、第二班豊瀬禎一君。
#7
○豊瀬禎一君 第二班の調査報告をいたします。
 剱木委員と私、それから調査室から滝調査員並びに文化財関係につきまして滝本記念物課長が同行いたしまして、十一月十六日より十九日まで福岡県に調査に行ったのであります。
 調査対象は、炭鉱不況に伴う児童生徒の欠食、欠席、給食その他各方面にわたる教育状況の把握、並びに福岡城見の保存状況を見ることでありました。
 まず、炭鉱不況に伴う教育状況の問題についてでありますが、本問題は、昨年来の炭界未曽有の不況下にあって、わが国の出炭高の五割を占める福岡県におきまして、炭鉱賢い上げによる離職者、企業整備のための人員整理あるいは休山、廃山、閉山等の続出による離職者をかかえ、これが今後もさらに増加の見込みであり、また他面こうした山々におきましては、賃金の遅払い、不払い等の会社が続出の状況でありまして、炭鉱地域の児童、生徒がどのような状況にあり、どのような問題を教育面に投げかけているかを調査したものであります。もちろん、皆さん御承知の通り、また本国会におきましても問題になっております通り、この問題の根本的な解決は、教育問題以前の産業、労働、あるいは厚生方面の根本対策の解決に待つことは当然でありますが、一日たりともゆるがせにできない教育面、特に子弟の義務教育に与えている影響は重大であり、この立場に立ちまして調査を行なった次第であります。
 まず、私どもは福岡県教育委員会に立ち寄りまして、大かたの説明を聴取した後、直ちに福岡県におきまして最も深刻な影響を受けているといわれております田川郡、田川市、嘉穂郡、飯塚市等の小、中学校十校について実態調査をいたしました。ここではこれらを集約いたしまして御報告を申し上げますとともに、いささか私どもの考えを述べてみたいと思うのであります。
 福岡県におきます炭鉱不況地区と申しますのは、大体太市五郡にわたっており、これを教育面から見てみますと、小学校が百八十四校、その児童数が約二十一万四千人、中学校八十八校、約七万一千人、総計三十万に近い生徒、児童がこの炭鉱不況地域にあるわけであります。これら生徒、児童の保護者の職業別調査を見てみますと、児童二十一万五千人のうち――児童と申しますのは小学校ですが――四四・三%に当たる九万五千人が炭鉱関係の子弟であり、また一〇・六%に当たる二万二千八百人が失業者の子弟であります。さらに中学校生徒七万一千人の三九%に当たる二万七千六百人が炭鉱関係の子弟であり、また一〇・五%の七千五百人が失業者の子弟であるわけであります。
 以上によりましても、炭界不況が生徒、児童に及ぼす影響がいかに直接的なものであるかがわかると思うのであります。
 次に、このような炭鉱に深いつながりのある地区にある学校の給食状況について調査いたしました。今日、いわゆる完全給食を行なっている学校は、小学校百八十四校のうち百十二校、中学校八十八校のうち五校であります。またC型給食を行なっている小学校は、十三校、中学校はありません。補食給食を行なっている学校は、小学校十八校、中学校一校であります。全体として見ました場合、何らかの給食を行なっているのは小学校で八〇%、中学校でわずか三・九%であります。この給食が不況下にあるこの地区の学校では非常に学校教育上効果を上げており、完全給食を行なっている学校では児童の欠席が非常に少ないという現象として現われ、給食を行なっていない学校の欠席率は非常に高いのであります。もちろん欠席卒の固い学校では、また欠食率も高いわけであります。しかしながら、一面学校給食を行なっている学校では、給食費の未納が月ごとに多くなり、学校当局も、PTAも、市町村も困り抜いているというのが現状であります。たとえば、嘉穂郡の頴田小学校は、児童数八百八十四人ですが、そのうち要保護児童は百四十九名、準要保護児童が百五十四人になっております。児童数の約三五%が保護を必要としているのであります。本町におきましては、昭和二十九年当時の炭界不況のおり、弁当を持参できなかった児童、生徒が二割以上になっておりましたが、この中におきでましても、議員の定数まで減少して、小学校、中学校に給食施設を設け、完全給食に踏み切っているわけですが、今年度も町費の給食費補助になっているのが二百万円に及んでいるとのことで、人口わずか一万人の町ではこれ以上給食を続けることは町財政を破綻に導くという町長の悲鳴にも似た陳情がありました。私どもがたすねました十八日の前々日に、枝下の吉川炭鉱が九十名分の給食費を預かったまま学校に支払わないという事件が起き、学校当局も町当局も思案の最中でした。この炭鉱は閉山一歩手前で、賃金も半分しか支払っていず、給食費は前々から貨金より差し引いて学校に一括して納めるという制度をとっておったわけですが、炭鉱不況のためにこれも今のところ未払いという格好になっているわけです。ともかくこうした現状の中でも、児童、生徒のために給食は曲がりなりにも続けられ、校門に入りますと、すぐ一番目につきますところに、一遍間分の給食の献立表が掲示されております。普通の学校に行きますと、週訓が書かれておりましたり、あるいは何かその週の努力目標的なものが書かれていることが普通ですが、そうした観念的なものよりも、あすは何を学校が食べさせてくれるかということが子供たちを学校に引きつけている要因であり、また子供たちも喜々として献立表を見ながら学校に登校しているという状況であります。このような学校は中、小炭鉱の密集した地区では特に珍しいものではなく、今や普通となっております。全国一ともいわれている要保護家庭、準要保護家庭、それに近い家庭の児童、生徒をかかえた学校や市町村当局では今や学校給食費の未納がかさみ、生徒、児童の教育にとって最もささえになっている給食がこれ以上今のままでは継続することができないというのが真相であります。県教委当局でまとめました調査資料によりましても、A型の完全給食を実施している児童十三万一千人のうち、教育扶助を受けている要保護児童八千九百人、国庫補助を受けている準要保護児童四千六百七十名、市町村が単独に補助している児童千七百五十人、合わせて一一%が補助対象になっております。しかしながら、未納者が続出しているため、なお九千六百人分の補助を必要とすると陳情いたしております。未納者の月別集計を見てみましても、本年の四月には八千二百六十七人であったものが、十月には一万四千八百二十六人にふえており、今後さらに増加の見込みであります。
 次に欠席、欠食等の問題については、先にも触れましたように、給食未実施校にそれが多いということで、たとえば田川市の猪位金という学校におきましては、児童数九百六十五人のうち、十月一日現在において五十日以上長期欠席が九名、一週間以上が二十八名、時おり欠席するというのが九十一人であります。また、この学校におきましてはミルク給食を行なっておるのですが、十月中の欠食児童が六十一名にも及んでおります。要保護児輩が二百五十五人、準要保護児童が百三十七人と五割以上を占めておることからも以上のことがうかがわれるわけであります。このような学校におきましては、ミルク給食を行なうだけでも大へんなことで、町当局は準要保護児童のワクを広げて補助をしたいにも町財政の緊迫からどうにもならぬ、むしろこのままいけば、町財政の危機を救うためにも廃止のほかはないと嘆いていたわけであります。また、田川郡の勾金小学校は児童数千八十人のうち、長欠が十月において十日以上三十人、十口以下四十五人となっており、欠食十日以上十五人、十日以下二十八人となっております。雨の降る日は雨具がないため欠席が急激に増すとのことであったのですが、まず、たとえば川崎小学校のごときは雨降りは二百四十から二百五十名の欠席者を出し、六月のある雨の多い日なんかは四百七十名欠席したということです。これは単に子供たちが学校をなまけるということでなくして、雨具等がないために登校できないということが真因で、これらの学用品不足は著しい状況を示しております。六市五部全体の給食未実施の小学校四万三千六十人のうち、十月における長期欠席は六百六十一人、欠食は千二百五十八人となっております。また、中学校六万八千百九十六人中、長期欠席は千七百五十三人、欠食が千三十五人であります。
 次にこの地域におきましては、こうした給食状況でなくして特に重要なことは、青少年の体位、学力、素行等についていろいろな問題が起こっておることであります。また、教育委員会もこれらの点につきましては全体的な調査結果ができておりませんが、私どもの高接見たり聞いたりした範囲内で要点的に申し上げます。
 第一に、学力、知能指数等について見ましても、一つの大きな特徴は、いいものがごく少数、いいものと悪いものが全体の大多数を占めて、中間に入る児童が少ないということであります。また、先般文部省がやった学力調査の結果を見てみましても、国語、算数等、あらゆる学科にわたりまして全国平均、県平均よりもはるかに下回っております。
 第二に体位につきましても、身長においては著しい差はまだ現われておりませんけれども、体重が平均よりも少なく、トラコーマや近視等がふえております。これらは栄養失調と同時に皆さん御承知のように、廃山、休山、あるいは炭鉱が不況になると電源を切ったり、電灯がつかないといった炭住の中で生活しておるために、こうした現象が出てきておるのであります。
 第二の素行状況につきましては、大多数の小学校におきましては、まだ炭鉱不況のために直接的な非行についてはあまり心配にならないと言っておりましたけれども、中学校におきましては不良化の傾向が漸次増大しつつあるということであります。いろいろな中学校の資料を見てみましてにも、いわゆるおとなの犯罪行為に類似する諸非行が資料の中に少しずつ出ておるようでありますし、また一般的な傾向としては忍耐力、向学心に乏しく、万事投げやり的な性向が強くなっておるようであります。また、これは当地方の一つの特色と思われることですが、弁当を持参しないとか、あるいはいろいろな学用品不十分といった点に子供たちが非常にひけ目を感じておるためか、従来なかった一つの様相としては、休み時間において、炭鉱関係の子弟だけが特別に集まって運動場の一隅で遊んで、他の農村その他の子弟とは遊びも一緒にやらないといったような現象が出てきておって、学校当局としては頭を悩ましておるようでありました。こうした状況から非行少年の問題を解決するために、専任の補導教師設置の声が全地域にわたって強く叫ばれております。
 また、通学用品不足が目立ってきっつあります。たとえば準要保護の希望者もどんどんふえておるようでありますし、中学卒業予定者の就職希望は、ほとんど県外希望をしておるという状況です。たとえば川崎中学校の例をとってみますと、昨年は県外希望がわずかに四名であったものが、今年度は全就職希望者八十二名のうちに県外希望が六十二名の多数に上っておるということも、この間の状況を物語っておるものと思います。
 以上が炭鉱地帯の教育状況の実態でありますが、炭鉱合理化法による整備によって、問題はさらに今後深刻さを加えることが予想されるわけで、現地の各市町村、学校、県教委では、大体次のような要望を私どもに提出いたしました。その第一は、炭鉱不況のための不就学児童不良化防止対策として、補導教師を設置されたい。第二、準要保護児童、生徒に対する教育扶助(給食費、教科書代、修学旅行費等)のワクを拡大されたい。第三、補食給食のワクを拡大できるよう、措置されたい。第四、学校給食の運営費、特にまかない婦の人件費を特別交付税において明確に見てもらいたい。
 等でありますが、私どもも義務教育の正常な運営を期待する見地から、この際政府あるいは文部省がこれらの問題に対しまして、抜本的な対策を樹立し、早急に実施されることを切に望むものであります。すなわち、本県の学校給食は、全体的に見ましても、十分普及しているとは考えられず、その上実施している学校では、給食費未納が莫大な額に上っており、今後の運営が保障できない段階にあります。従ってこの際、未実施校には実施できるように、できれば現行三分の一の施設設備費国庫補助を大幅に増額するとともに、準要保護児童のワクを拡大し、給食費等の国庫補助ができるよう、緊急に予算措置をしていただきたいのであります。また、補導教師の問題も同様に早急に解決していただきたいと思うのであります。
 以上で炭鉱地帯の報告を終りまして、次に文化財関係の報告をいたします。
 福岡城址に関する問題は、さきの委員会でもたびたび取り上げておったところですが、この史跡福岡城址は黒田長政の築城によるもので、十三万坪に及ぶ広大な地域でありますが、終戦と同時に陸年の管理から離れ、その後野球場、競技場、学校、病院等、数多くの国や市や民間施設等の乱用するところとなっております。昭和三十二年には、文化財保護委員会が史跡としての指定を行なったのでありますが、依然として諸種の施設は存置されたままであり、その上、土塁の一部などが無断で現状変更されるという事態も起こりました。
 昨年、厚生省は総合的基幹病院を、県や市の了解の上でこの地に建設することをきめましたが、県教育委員会の文化財専門委員会は、国や県、市が文化財保護法の精神をじゅうりんするもはなはだしいとの立場に立って極力反対いたしましたが、文化財保護委員会が厚生省と話し合いをして、現福岡病院のある本丸跡を撤去し、北の丸跡に基幹病院を新設するとともに、北の丸の周囲の土塁は完全に保護することを条件として、文化財専門審議会の承認を得た上で、本年一月、現状変更に同意を与えております。ここで県の文化財専門委員のほとんどがこれを不満として、福岡県における文化財保護の責任を果たすことができないし、教育委員会は全く誠意が認められないと、いう立場に立って総辞職をいたしたのが問題の真相であります。私どもは県教育委員会の代表者、旧文化財専門委員の代表五名、新文化財専門委員の代表者五名に集まっていただきまして、従来の経過について、それぞれの立場からの御説明、御意見を求めるとともに、今後の方向についてもいろいろと懇談をいたしました。従来、ともすれば文化財保護について遺憾な点のあった保護行政を、今後は一そう県と市が協力して力を入れること、特に福岡県は京都、奈良等に次いでわが目有数の文化財の多い県であり、新専門委員はもちろんのこと、旧専門委員の御協力を得て十分な保護に当たること、福岡城址については今後の整備保全に待つところが多いので、早急に県と市の間で整備委員会的なものを設けて、直ちに活動を開始する等、非常に建設的な意見の集約ができたことを喜んでおる次第です。懇談の後、福岡城址を実地に視察いたしましたが、あれほどたびたび注意をいたしておりましたにもかかわらず、その調査当日、病院工事によって土塁が新しく切りくずされているという事態を発見しました。やはり今後も十分な指導が必要であると判断するわけであります。
 また、炭鉱地帯の学校視察の途次、世界にも類例を見ないという約千五百年以前の特別史跡王塚古墳を調査して参りました。この古墳は、雨季になりますと相当雨漏りが激しいとのことで、中に入ってみましても壁画の色が、雨が二尺くらいに中にたまるために、次第に色あせつつあり、ある場所においては、ほとんど壁画が識別できないような状態になっております。文化財保護委員会の適切な処理をお願いしたいところであります。
 以上をもちまして報告を終わります。
#8
○委員長(相馬助治君) ただいまの両君の報告に関し、質疑のある方がございますか。
#9
○荒木正三郎君 私は先ほど報告がありましたように、この愛知、それから三重、大阪等を調査したわけです。現地に参りまして痛切に感じた問題が若干ありますので、この際、文部省の方に質問をしたいと思います。このあと法案審議がありますから、私はこの質問をきょうは簡単にしておきます。
 第一点は、学校給食に関係した問題ですが、この台風が九月二十六日にあった関係で、学校給食費をまだ徴収しておらぬ、月末に給食費を徴収する、そういう関係で、大体九月分の学校給食費が未徴収になっておるというのが被災地の現状です。ところが、これをどういうふうにして徴収するかということになると、その子供たちは被零を受けておることとて、とうていその給食費を出すことのできない子供が相当ある。これは愛知県の教育委員会の話ですが、こういうものに該当する子供の数は約六万名、こういう数字に達しておるようであります。全部が給食費が出せないということはないと思いますが、しかし、私の聞いたところでは、そのうち一万名は給食費を出すことができない。もう家が流れてしまって、ないとか、あるいは家も、その父兄も、子供も、ほかに移ってしまったとか、あるいは帰ってきても、もう出せない。この穴埋めをどういうふうに処置するかということで、教育委員会は非常に困惑をしておりまして、これはやはり私は、政府の方で適当に処理されるように考えるのがいいのではないか。金額にすれば大した金額にはなりませんけれども、しかし、学校給食費からこれを穴埋めするという余裕のある人はないと思うし、また後々給食費を占めていって、ほかの子供からも一様に取るということもできないので、これは何とか政府の方で考慮したらどうか、こういうふうな考えを持っております。
 それからもう一つの問題は、教材とか備品の問題です。これは御承知のように、小中学校の教材はPTAの寄付によるものが多いのです。ところが、今度これが流れてしまって、その補充がつかない。しかし、これについて格別な措置がないということで、その補給に非常に困惑をしているという問題があります。これをどう措置するか。これは文部省の方でも相当な考えがあるのではないかというふうに思いますので、その点を伺います。
 その次に、これは三重県の伊曽島小学校で校長さんから聞いた話ですが、これは学校がこわれかかって、今県立の医大で勉強を受けている学校です。この学校一つだけで、この水害で両親ともに失った子供、遺児が十名ある。片親だけ失った子供が十八名というような説明でありました。校長さんは、この子供をどう今後見ていくか、このことについて非常に心配したという話をしておられました。全く同感でして、若干あちらこちらからその子供をもらいたいという話もあるけれども、身元等も調査できないし、また安心して渡せるかどうかわからない。結局これは非常に校長としても困る問題でして、しかし、何としてもこの子供たちを見なければならぬ。そういう子供をどう処置するか、どういうふうに救ってあげるかという問題ですね。私もこのことは気がつきませんでしたが、現地へ行って、校長さんの悩んでおられることを聞いて、これは何とか考えなければならない問題だというふうに感じたわけです。
 それからもう一つは、これはこの前に質問をしたのですが、被災地の、特に中学校です。これは来春には高等学校へ進とするわけです。被災地の中学生はやはり相当期間勉強ができない。これは自然学力が低下してくる。そうすると、高等学校の進学において非常に不利益な立場に立つ。この問題について、私は政務次官であったと思うのですが、質問をしたときに、不利益にならないように考えます、こういう答弁があった。しかし、それでは具体的にどういうふうな具体策があるのか。私は現地に行って中学校の校長さんに会ったら、やはり具体的な解決策はないわけです。やはり学力は低下してくる。一斉に試験すればどうしてもやはり悪くなる。これは自然の理だと思います。これをどういうふうにやっていくのか、これは政府の方では、文部省の方では、それは十分考えて不利益にならないようにしますという答弁はあったけれども、具体的にどういうふうにお考えになっているのか、具体策を聞かしてもらわぬとこれは安心できないという問題があるということです。
 それから、これは予算上非常に大きな問題になると思うのですが、長期湛水地帯の父兄にもだいふん会いました。まだ水につかっておるところもありますし、ようやく水の引いたところもありますが、それらの学校はこわれてなくなってしまったというわけじゃないわけですね。水の中に建っておるわけです。そうしてみると、全壊のところも少しありますが、半壊か大破か、大破にもならないような学校が相当多いわけです。ところが、今度のあの悲惨な経験でもう木造の校舎じゃ困る、そして半壊にもなっていないけれども、鉄筋で建てかえて、そうして万一の場合には避難場所にもしなければならないというのが現地の実情です。この点は私は、文部大臣もしみじみ感じておられるのじゃないかと思います。ところが今度は、そういう現地の要望に沿うようには今度のなにではなっていないわけですね。これをどう解決していくか。これは吉江委員も柏原委員も同感であったわけです。私の申し上げておることはみんな同感であると私は思うのです。この現地の要望は私は無理がないと思うのです。無理があればそれは仕方がないけれども、無理のない要望をどういうふうにして実現していくか。今の特別立法では救済できないこういう問題があるわけです。これは相当多数の学校があるわけですから、特にこういう今度の被害を受けたところは、非常に低い土地にあって、もし将来こういうことが起こるとすればまたそういう問題が起こるわけ弔、です。どうしてもこの際、鉄筋で一つ改築しておきたいというのは当然の要望である。こういう点について御答弁を願いたいと思います。きょう答弁できない問題があれば私は後日でもよろしい。これらはどうしても親心をもって解決をしなければならないという問題であるというふうに思いますので、ちゃんときまっている問題があればきょう説明してもらって、きまっていない問題は今後研究してもらって、私は私の言う要望に沿うようにやってもらいたいと思います。これは私個人の要望だけでないと思いますので、文部省も同じ考えだろうと思うのです。ただ、どうやってこれを実現するか、いろいろ御研究も願い、御努力願いたい、こういうふうに思うのです。
#10
○国務大臣(松田竹千代君) 給食費の支払い不能になった問題、また教科書その他の備品の問題、また孤児になって校長の困っている問題、これらの点についてはそれぞれ担当政府委員より答弁させますが、後段の改良復旧にして再建したいという学校の問題につきましては、今も実は激甚地の代議士諸君から、すでに今度の補正予算が通過した後でありますが、あらためて、現地の状況では地元住民の熱烈に希望する改良復旧ができないという見通しである、そこで何とかこれをしてもらいたい、われわれも極力大蔵省にも陳情をするが、何とか考えてもらいたいという陳情を受けたところなのでありますが、そういう熱烈な希望があることはむろん私も承知いたしておりましたけれども、さて事実一々多くの学校のすべてとはむろんいかぬのですが、ある程度までいけるのではないかと、私は考えてみたのでありますが、現実にはなかなか地元民の希望をそれぞれの地域において一つなり二つなりの改良復旧をするだけでもなかなか困難であるという実情を私はあらためて認識しているようなところなのであります。これらに対しては今後も一つ何らかの工夫をして、明年度の予算には力を入れて、ある程度その希望を満たしていかなければならぬという気持になっているのでありますが、これは担当の管理局長もおりますので、一つよく協議をしてその希望をある程度まで満たしていけるように努力したいと考えているわけであります。
#11
○政府委員(清水康平君) 災害地におきます学校給食費の支払い困難な児童につきましては、ただいま実情を調査しているわけでございます。先ほど荒木先生から九月分の学校給食費の払えない者の話がございましたが、現にまた学校給食の始まっているところもございます。九月分の学校給食費を払えないのはもちろん、今後ずっと払えない人が、いわば準要保護児童に準ずるような児童が担当大幅にふえてきていることを認めているわけであります。現地の報告によりますと、ただいまお話のございましたように大体六万という報告を受けておりまするが、この問題の処置につきましては実情に即しまして、予備費から支出をいたすことになっております。学校給食の調査について文部省から現地に行って参りましたけれども、よく実情を調査いたしまして、それに基づきまして予備費から支出してもらうべくただいま大蔵省と折衝中でございます。
#12
○荒木正三郎君 国庫の予備費ですか。
#13
○政府委員(清水康平君) さようでございます。
#14
○政府委員(小林行雄君) 災害を受けました学校の教材と申しますか、備品関係についてのお尋ねでございますが、これは御承知のように災害復旧の一般法におきましても、また今回の特別措置法にいたしましても、いずれも校舎と並行いたしまして、国の負担において復旧をはかると、いうことになっております。ただ、お尋ねのでございましたPTA等の所有の名義になっているものはどうかということだと思います。これは実は私どもも、たとえば愛知県……。
#15
○荒木正三郎君 PTAの所有でなしに、その学校の名前になっているのです。
#16
○政府委員(小林行雄君) PTAの寄付等につきましては、これはもう寄付が済んで学校の備品になっているものは問題がございません。ただ、現在まですでに相当長い間、学校の管理下にありながらPTAの名義になっているというようなものについては、これはある程度問題がございます。しかし、相当年数を経ているもので、しかも学校の備品として長く使われているというような状況がありますれば、この予算の許す範囲内で公の備品と同様に扱っていきたいと思っております。
 それから、校舎の復旧に関連いたしまして、長期湛水地帯の学校の校舎でございますが、私ども大体新築復旧をいたします分につきましては、その被害の程度が、全壊または半壊になっておるということを現在条件といたしておるわけでございます。お話のございましたように、まあ大破はいいけれども、一部に半壊があるというようなものにつきましては、その半壊の部分については私ども改良復旧を認めて参るつもりでございます。ただ、大破にもなっていない、ただ水をかぶっただけであるというようなものにつきましては大体新築の復旧を認める建前になっておりませんので、こういうものにつきましては今回の災害復旧でこれを取りこわして新しく鉄筋校舎を建てるということは非常に困難でございます。ただこれは、たとえば愛知県等におきましては、現在調査中でございますが、外見はそれほどいたんでいなくとも、よく精査をいたしますと、土台なり、あるいははり等に相当被害があるというものもございますので、そういった精査の結果に待ちたいと思っております、なお、一応現在ではそういうことになっていないけれども、使用していくうちに、耐久度があまりないというようなものについては危険校舎の取り扱いをして、将来の小中学校の整備でぜひともそういうものにつきましては、低湿帯でございますので、できるだけ鉄筋校舎を復旧していく、そういうように私ども考えておる次第でございます。
#17
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま孤児のお話が出ましたが、今度の災害で両親を失う、あるいは片親を失った大へん不幸な子供があることはよく聞いております。で、できるだけ親戚あるいは縁者に引き取っていただくことが筋ではなかろうか。しかしながら、引き取り先がないような場合には、厚生省の保護施設と十分連絡をとって子供たちに不安のないように措置いたしたいと考えておるのでございます。
 もう一つ、入学試験のお話が出ましたが、私どもは今度の災害によって父兄たちに御心配のないようにいたしたいということで、関係の府県と十分連絡をとっておるわけでございます。で、今ここで具体的にどうこうということを申し上げる時期じゃございませんけれども、今度の災害を受けたということによって、お話のように、学力低下もございますので、父兄が大へん御心配をしていらっしゃるし、また補習授業等が行なわれていることも聞いているわけでございます。この不安をなるべく早く解消したいというので、関係の府県が具体的に計画を進めておりますので、遠からず具体的計画を発表いたしまして、県民の皆さん方に御心配のないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
#18
○荒木正三郎君 特に孤児の場合どういうふうに措置されたか、そういうことをお聞きして、私は自後でけっこうですから報告をしていただきたいと思う。特に両親を失った孤児ですね、これは非常に気の毒だと思うのですよ。この点は一つ自後でけっこうですから、あまり数も多くないと思いますので御報告を願いたいと思います。
 しかし、進学の問題は、それはだれが考えてもこれは容易によい具体案というのはなかなか得にくい問題のように私は思うのです。文部省もこれは真剣に考えてもらいたい。
#19
○吉江勝保君 今、荒木君から伊勢湾被災地帯の問題について数項目あげられました。私も実際に行っておりまして同感なんでありまして、ことに今その答弁を得まして大体明るい見通しといいますか、幾らか持った点もあるのでありますが、いま一つ、先ほど言うておられましたが、この私の報告にもございましたが、冠水地帯の学校の一部にしましても、改築をしまする場合、こういう場合に地元ではとても前の木造の建築は、村民の感情からしてもこれは村長としてとうていできない。で、高率の補助が得られなくても、村の財政が苦しくても、これは鉄筋の建物にならなければ村民が承知をしないと、そこでどんなことがあっても、そういうことをやるのに非常に村の財政も苦しいので、特にそういう点について突き詰めて、補助がもし得られないならどうやるかというところまで一つよく考えてもらいたいと、いうのが地元の人たちの陳情であったのであります。先ほどあるものについては改良復旧を認めるというようなお話がありましたが、もし認められないような校舎につきましても、地元がそういうような措置を講じなければどうしてもおさまらぬというような実情にありますので、そういう点につきましてさらに突き進んだ御検討をしておいていただきまして、いすれ重ねてこういう席でまたお伺いすることもあろうかと思います。つけ足して申し上げたいと思います。
#20
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#21
○委員長(相馬助治君) 速記をつけて。
 ただいま質疑中でございますが、議案の都合上、次の議題に移りたいと存じます。
  ―――――――――――――
#22
○委員長(相馬助治君) 日本学校安全会法案を議題といたします。
 まず、提案理由の趣旨説明を求めます。松田文部大臣。
#23
○国務大臣(松田竹千代君) このたび政府から提出いたしました日本学校安全会法案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法案は、学校教育の円滑な実施に資するため、学校安全の普及充実に閲する業務を行なわせるとともに、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の負傷その他の災害に関して必要な給付を行なわせるため、日本学校安全会を設立しようとするものであります。
 義務教育諸学校等の管理下における災害事故の防止につきましては、かねてより配慮いたしているところであり、災害も減少の傾向にありますが、なお学校の管理下において児童、生徒の不慮の災害が発生しており、これに要した医療費等は、損害賠償または社会保険の給付を受けた額を除いても相当の額となっております。
   〔委員長退席、理事松永忠二君着席〕
 こうした状況にかんがみ、学校安全を普及充実するとともに、義務教育諸学校等の管理下において発生した児童、生徒等の災害に関して適切な措置を講ずべきであるという決議または要望が、衆、参両院の文教委員会を初め、関係各方面からなされていたのであり、また一方相当数の県において財国法人の学校安全会が設立されるに至ったのであります。これらの学校安全会は、主として保護者の寄付によってまかなわれているものでありますが、これらの学校安全会においても、相当の公費負担をもって法律により新しい制度が確立されることを要望してきたのであります。
 政府といたしましても、かねて学校の管理下における児童、生徒の災害について実態調査をいたしますとともに、種々検討の結果、この法案を作成いたした次第であります。
 本法により設立しようとする日本学校安全会は、学校安全の普及充実に関する業務として学校安全の普及啓発事業を行なうとともに、義務教育諸学校の等理下における児童、生徒の災害につき、災害共済給付を行なうものであります。この災害共済給付は、義務教育済学校の設置者が児童または生徒の保護者の画意を得て安全会との間に締結する契約により行なうものとし、共済掛金は、安全会との間に災害共済給付契約を締結した学校の設置者が安全会に対して支払わなければならないものといたしております。そして学校の設置者は、当該契約にかかる児童、生徒の保護者から、共済掛金の額のうち一部を徴収する建前としておるのであります。一方、国は、安全会に対して、その事務費の一部等を補助しようとしております。このようにして義務教目語学校の管理下における児童、生徒の災害について、教育的配慮のもとに、公共的性格を持つ特殊法人たる日本学校友全会に災害共済給付を行なわせるものであり、他の一つの業務である学校安全の普及充実に関する事務と相待って、学校教育の円滑な実施に資そうとするものであります。
 なお、宏全会は、高等学校及び幼稚園の管理下における生徒及び幼児の災害についても、義務教育諸学校の場合に準じて、災害共済給付を行なうことができることといたしておりますが、ただこの場合は、共済掛金は、原則としてその全額を保護者から徴収するものといたしております。
 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
#24
○理事(松永忠二君) 次に、清水体育局長から補足説明を求めます。
#25
○政府委員(清水康平君) 日本学校安全会法案についての文部大臣の趣旨説明を補足しまして、その内容の概要を御説明申し上げます。
 この法案は、学校教育の円滑な実施に資するため、学校安全の普及充実に関する業務を行なわせるとともに、茂務教育語学校等の管理下における児童、生徒等の負傷その他の災害に関して必要な給付を行なわせるため、特殊法人として日本学校安全会を設立し、その組織、業務、財務・会計、監督等に関し所要の規定を設けたものであります。
 以下順次その要点を御説明申し上げます。
 第一は、日本単校安全会(以下「宏全会」といいます。)の法人格及び組織についてであります。安全会は、法人とし、主たる事務所いわば本部を東京都に置くこととし、従たる事務所いわば支部を必要な地に置くことができることにいたしております。支部は、各都道府県に置く予定であり、支部における事務の処理については、安全会の職員を置くほか、附則第九条の規定により、当分の間、都道府県の教育委員会から相当の協力を得ることができることになっております。安全会の役員としては、理事長一人、理事三人以内及び監事二人を置くこととし、これらの役員は、文部大臣が任命し、その任期はいずれも二年といたしております。なお、安全会の役員及び職員は、その業務の公共的性格にかんがみ、第四十三条以下の規定により、刑法のいわゆるわいろ罪の適用については、公務員と同一の取り扱いを受けることといたしております。
 次に、安全会には、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、特に所定の重要事項については、理事長において、あらかじめ、運営審議会の意見を同かなければならないにとにいたしております。運営審議会の委員は、二十人以内とし、安全会の業務の運営に関係を有する者(これは、学校の設置者側、保護者側及び学校側の代表を予定しております。)及び安全会の業務の運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することとし、安全会の業務の運営について、広く関係者及び学識経験者の意見を求めて、その運営の適正を期することといたしておるのであります。
 第二は、安全会の業務についてであります。安全会の行なう業務のその一は、学校安全(学校における安全教育及び安全管理をいいます。)の普及充実に関することであります。これは、学校安全に関し、学校、教育委員会、文部省等に協力する意味であって、主として学校安全に関する普及啓発事業を行なうものであります。
 なお、学校安全の強化につきましては、文部省においてもさらに一そう力をいたすよう、附則第十条により文部省設置法の一部を改正し、体育局の所掌事務に学校安全に関する事務を明記することといたした次第であります。
 業務のその二は、義務教育諸学校(以下「学校」と略称します。)の管理下における児童及び生徒の負傷、疾病、廃疾または死亡(以下「災害」といいます。)につき、当該児童、生徒の保護者に対し、医療費、廃疾見舞金または死亡見舞金の支給(以下「災害共済給付」といいます。)を行なうことであります。
 次に災害共済給付は、学校の管理下における児童、生徒の災害につき、学校の設置者が保護者の同意を得て当該児童または生徒について安全会との間に締結する契約により、政令で定める基準に従い定款で定めるところにより行なうものとしております。すなわち、災害共済給付の種類は、前述のように医療費、廃疾見舞金または死亡見舞金の三種類でありますが、それぞれの内容、程度等については、政令で基準を定め、安全会はその基準に従って定款で定めるところにより給付を行なうのであります。
 なお、この政令においては、社会保険に関する法令等の他の法令による療養その他の給付もしくは補償を受けられるとき、または損害賠償を受けたときは、それらの価額の限度において災害共済給付を行なわないものとすることを規定いたすことになっております。また、災害共済給付は、学校の設置者が保護者の同意を得て安全会との間に締結する契約によって行なわれるのでありますから、設置者についても、保護者に対しても、加入は任意となっております。しかし、この災害共済給付は、学校教育の円滑な実施に資するため、特殊法人たる安全会を設立して行なわせるものでありますから、より多くの学校の設置者がより多くの保護者の同意を得て加入することを期待いたしておるのでありまして、安全会としても所定の正当な理由がある場合を除いては、災害共済給付契約の締結を拒んではならないことにいたしております。
 なお、学校の管理下における児東及び生徒の災害の範囲については、政令で定めることにいたしております。学校の管理下の範囲としては、教育課程の実施中、学校の休憩時間中、授業開始前及び終了後における在校中でその在校につき校長が一般的に承認している場合、学校へ登校し及び学校から帰宅するための通常の経路中等を予定いたしております。
 次に共済掛金の額は、政令で定める範囲内で定款で定める額とし、安全会との間に災害共済給付契約を締結した学校の設置者が、共済掛金の額に当該契約にかかる児童及び生徒の数を乗じて得た額を安全会に対して支払わなければならないことといたし、一方、学校の設置者は、当該契約にかかる児童、生徒の保護者から、共済掛金の額のうち政令で定める範囲内で当該学校の設置者の定める額を徴収することにいたしております。ただし、経済的理由によって、共済掛金のうち保護者が納付すべき分を納付困難と認められた保護者からは、これを徴収しないことができることといたしております。
 前述のように、学校の設置者が、安全会との間に締結する契約の当事者となり、また共済掛金の一部は必ず拠出して、共済掛金の全額を安全会に対して支払わなければならないこととしておりますのは、学校の管理下において発生した災害については、設置者の立場として、重大な関係と関心を有しておるという教育的配慮によるものであります。
 次に災害共済給付にかかる給付金の支払いの請求及びその支払いの手続等は、政令で定めるところにより行なうものとしておりますが、支払いの請求及び支払いは、すべて学校の設置者を経由して行なうことにいたす予定であります。
 なお、安全会は、義務教育諸学校に関する災害共済給付の業務のほかに、高等学校及び幼稚園の管理下における生徒及び幼児の災害についても、災害共済給付を行なうことができることにいたしております。この場合において、設置者は、共済掛金の額の全額を保護者から徴収することを原則としていることを除いて、他は義務教育諸学校に関する規定を準用することにいたしております。
 以上が、安全会の行なう災害共済給付事業の概要でありますが、なお、第三十七条以下の規定により、安全会は、災害共済給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、給付を行なったときは、その給付の価額の限度において当該災害にかかる児童、生徒または幼児が第三者に対して有する損害賠償の請求権を収得することとし、また給付を受ける権利の保護、公課の禁止等に関する規定を設けております。
 また、第三十六条の規定により、この法律に基づき学校の設置者が処理すべき事務は、学校の設置者が地方公共団体である場合においては、当該地方公共団体の教育委員会が処理するものとしております。
 第三は、安全会に対する国の補助についてであります。国は、予算の範囲内において、安全会の事務に要する経費の一部を補助することができることとし、なおまた、国は、公立の学校の設置者が要保護及び準要保護児童生徒にかかる保護者の共済掛金の納付分を徴収しない場合にその一部に充当するため、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、安全会に対して補助することかできることといたしております。
 第四は、安全会に対する監督等のことであります。安全会は、第三十三条の規定により、文部大臣の監督を受けるのでありますが、その業務の公共性に基づき、定款、業務方法書、収入支出の予算、事業計画、財務諸表等につきましては、文部大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしたのであります。
 以上、日本学校安全会法案につきまして、その内容の要点を御説明申し上げた次第であります。
 なお、本法案につきましては、衆議院において一部修正がありましたので、その概要を申し上げます。
 その一は、日本学校安全会の業務の特例として安全会は、当分の間、保育所の管理下における乳児、幼児等の災害につき、災害共済給付を行なうことができることとしたこと、その二は、この法律施行の際、財団法人で、学校の管理下における児童、生徒の災害に関して災害共済給付に類する給付を業務として行なうものが現に存し、かつ、当該給付に要する経費の財源が、学校の設置者または都道府県の補助または出えんにかかるものであり、保護者等の出えんによっていないものである場合においては、当該学校の設置者は、当分の間、共済掛金の額のうち保護者から徴収する分の額の全部を徴収しないこととすることができるとしたこと、その三は、日本学校安全会の行なう災害共済給付は、学校教育法第二十一条第一項に規定する保護者に対して行なうことになっているのをその保護者または政令で定める場合には里親その他の政令で定める者に対し行なつうとしたこと等の京であります。
   〔理事松永忠二君退席、委員長着席〕
#26
○委員長(相馬助治君) 本案は衆議院修正送付でありまするので、修正部分について説明を求めます。衆議院文教委員会理事臼井莊一君。
#27
○衆議院議員(臼井莊一君) 日本学校安全会法案に対する衆議院修正の趣旨説明を申し上げます。
 まず第一に、この法律施行の際、財団法人で、学校安全会類似の業務を行なうもののうち、現に掛金に相当する寄付金等の全額を学校の設置者が負担している場合は、当分の間、学校安全会の掛金の全額を設置者の負担とし、保護者からは徴収しないことができるように措置したことでありましてこれは本法の制定によりかえって保護者の負担を増すことのないようにとの考慮からなされたものであります。
 第二は、日本学校安全会の業務の特例として、安全会は、当分の間、保育所の管理下における乳児、幼児その他の児童の災害につき、災害共済給付を行なうことができるとした点であります。
 元来保育所は、幼稚園と類似の仕事をしており、かつ児童福祉施設である関係上、幼稚園に比べ比較的に経済上恵まれない乳、幼児が多いため、これについても幼稚園の幼児の災害の場合と同様の取り扱いをすることが妥当であると考えたからであります。
 第三は、政令により、里親等事実上の扶養者を保護者と同様に扱い、契約締結の同意、共済掛金の徴収及び災害共済給付の受領をなし得るように改めた点でありますが、これは学校の設置者が安全会との間に締結する契約について、保護者の同意を計ることの困難または不適当な場合、共済掛金の徴収及び災害共済給付について、保護者を対象とすることの不適当な場合を考慮したものであります。
 第四は、安全会の余裕金の運用の幅を広げて、金銭信託もなし得るようにした点でありますが、これは安全会の行なう災害共済給付が、いわば短期給付的な性格のものであっても、金銭信託により業務上の余裕金を運用するという場合もあり得ると考えられますのでこれを加えたのであります。ただし、運用方法を特定する金銭信託は、元本の保証がないのでこれは除いてあります。
 最後に、本法の施行期日について最初法案に記載した「昭和三十四年十月一日」がすでに経過しておりますので、「公布の日からも起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日」に改めたのであります。その他保育所を対象に加えたことに伴い関連規定の整備を行なったことなどでありますが、以上が修正案を提案いたしました理由でございます。
#28
○委員長(相馬助治君) 次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 まず、発議者に提案理由の説明を求めます。発議者代表衆議院議員臼井莊一君。
#29
○衆議院議員(臼井莊一君) ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 現在、市町村の設置する高等学校には、通可の課程、いわゆる全日制を置くものと、定時制の課程を置くものとがあり、これらの学校の校長、教諭等の給料その他の給与は、前者は設置者たる市町村が負担し、後者は現行法第二条の規定に基づいて都道府県の負担となっております。この後者が、都道府県の負担となっていることは、市町村の負担を軽減し、もって定時制高等学校の開設を奨励しようとする意図に出たものでありますが、これを地方自治の本義から論じますならば、むしろ学校の設置者たる自治体みずからが、その所要経費を負担するのが本則であると考えるのであります。従って戦後すでに相当の年月を経過し、漸次、社会の安定を見つつある現在となりましては、市町村のうち、比較的に財政力の強いものについてこの際、地方自治の本義にかえりみ、その設置する定時制高等学校の教職員の給与費を、その市町村みずからの負担に移そうとするものであります。かようにいたしますと、同一市町村の教職員相互間における給与待遇の条件が均一化することとなり、ひいては人事の交流等、教育行政の上に有益な結果を招来するものと考えます。すなわち本案は、地方自治の本義にかんがみ、教育行政の円滑化のために、政令で指定する市町村の分に限り、その給与費を当該市町村の負担に改めようとするものであります。
 本案は、第三十一回国会において私ども九名のものが提出し、以来、継続して審議され、去る十一月十四日、衆議院を通過したものであります。
 何とぞ御審議の上一、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
#30
○委員長(相馬助治君) ただいま説明を聴取いたしました二法案に対する質疑は、これを次回に譲ります。
  ―――――――――――――
#31
○委員長(相馬助治君) 先に戻って質疑を継続いたします。
#32
○松永忠二君 これからさっきの災害の報告についての質疑をやるのですか。そうすると、きょう予定した教育白書の質疑ができないと思うのです。だから特にそういう方向をとるか、前々から予定をしているので、この報告に関係した事項については、さっきの説明で満足しないし、また少しそれでは困る点もあるけれども、この際その点はこの次に延ばして前々から用意をしていることを、もうすでに人もそろっているので、あと残すところわずかだけれども、前から質問を続けている人に一応とにかく五時くらいまでやってもらって、きょうはこれで打ち切るか、あるいはそういうことでは工合が悪いから、きょうは短かいから災害の調査報告に関連したことを質問するということにするか、皆さんの意見を聞いて、もしそうでなければ予定した通りやってもらうか……。
#33
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#34
○委員長(相馬助治君) 速記を復活して。ただいま松永委員の発言のことは先ほど私が申した通り、報告に対する質疑の問題を継続いたします。御発言ありますか。ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#35
○委員長(相馬助治君) 速記を始めて。
#36
○豊瀬禎一君 私が先ほど報告いたしました炭鉱地帯における学校教育の現状について、時間もありませんので、基本的な一、二の問題について質問をいたしたいと思います。
 すでに御承知のように、福岡県における炭鉱地帯は、二十九年から三十年にかけての炭鉱不況による失業者が、現在もなお放出されたままでありまして、このことは、今日まで数ヵ年にわたって福岡県における教育に支障を来たしておったわけです。と同時に、炭都で持っておりますこういう地方におきましては、炭鉱が不況になると同時に、関連産業も立ちどころに不況に追い込まれていく。そうして特に留意すべきことは、青少年が労働基準法に違反して、洗い炭や、拾い炭作業を家庭作業として、生計を立てるためにこれに従事すると同時に、一つの企業をなしておるところに雇用されて学校を休んで働いているという現状です。また、中学生の女生徒のごときは料飲店等に勤めておるということも幾つかの例があるわけです。こういう現状の中におきまして、今、報告申し上げましたように、炭鉱関係者の子弟が小中学校合わせて十万トンで二千五百人の大きに上り、その中におきまして欠食児童が二千二百九十一名、給食費の未納が一万四千八百二十六と、こういった膨大な数に上り、準要保護児童のごときも八千九百、要保護四千六百七十、市町村が単独に補助しておるものが千七百五十と、こういった膨大な数に上っておるわけです。そうして頴田の一例を申し上げましたように、市町村は給食費の補助を、わずか人口一万名の中で二百万も負担しておるために、町財政は危機に瀕しておる、こういう現状にあるわけです。私、当該地域出身ですので、この間の事情をつぶさに知っておるのですが、炭住街に行って見ますと、障子の桟はおろか、屋根、畳、ひどいところになると、ほんの寝るだけの板を敷いて、あとはほとんど燃料に使って、大きい子供が小さい子供を体温であたため合いながら生活をしているということは決してニューズ的なものでなくて、あらゆるところに現出しておるというのが状況です。幸いに政府は離職者法案を作られまして、炭鉱の離職者を救済するような措置をとっておられるのでありますけれども、現状において、こういう状況なのに、現在もなお首切り、整理は拡大される方向にあります。こうした大企業と同時に中小企業の倒産破壊というのは日々増大しておるわけです。こういうときに、先ほど申し上げましたように、御飯を食べるということが生徒にとってただ一つの希望と申しますか、非常に大きな生きがいを感じて、学校が何かをくれるから学校にくると、こういった悲しむべき現状にあるわけです。私はこの際、従来の関係諸法規を改正するなり、あるいは臨時立法を行なって、この十万に及ぶ炭鉱関係者の子弟に対しまして、教育の正常化をはかるために、給食あるいはその他の学用品の補助等を早急に、補助費の増額等を行なう必要があると痛感しておるわけですが、この件に関しまして、離職者法案のごとき臨時措置を講じて、山の不況による不正常な教育下に置かれておる青少年を救済する意思があるかどうかを文部大臣にお尋ねするとともに、体育局長に対しましては、すでにこうした状況が福岡県教育委員会からも出ておると思いますので、その間の数的な把握なり、また具体的な試案でもありましたならば説明願いたいと思います。
#37
○国務大臣(松田竹千代君) 炭鉱地区の極端な不況事態からくる、それにまつわる問題として、お話のように、いろいろの点が出てきておるであろうということは容易に想像できるわけでありまして、これに対して急遽これが救済の立法をするような考えがあるかどうかというお話でございますが、これは立法を待つまでもなく、さらに取り急いで、政府として関係各省ともいろいろ協議、協力してその救済の方途を考えなければならぬ問題でありまして、これはしばしば話題にも、閣議の話にも上っておるわけでありますから、何らかの方法は講じられるものと考えております。また、なお必要とあればそういうことも――立法措置というようなことも考えられるのではないかと思いますが、ただいまのところはそれ以上に急速を要する問題があるのではないかというふうに考えておる次第であります。
#38
○政府委員(清水康平君) 炭鉱の不況、特に福岡県の六市五郡は全国的に見ても非常に何と申しますか悲惨な状況で、私どもといたしましていろいろな方法から考えていかなければなりませんが、学校給食の立場から報告もとり、また派遣もいたして調査いたしたのでございます。六市五郡の状況は、ただいまの報告と同じところと違うところとございますが、私ども調査いたしました結果を見まするというと、六市五郡の生徒、児童総数は大体二十八万五千人になっておりますが、そのうち完全給食が十五万三千、約五三%六になります。それから補食給食が二万一千と相なっておるわけでございます。それで炭鉱不況が次第に深刻になって参りまするに従いまして、学校給食費の未納その他を調査いたしましたところが、たとえば完全給食の十五万三千のうちを調べてみましたところによりますと、準要保護児童といたしまして五千五百三十八人というふうになっております。これは予算的に申しますというと、大体全国的に二%ということになっておるようでございますが、これは三・六二%に大体伸びておる。というのは、言いかえれば、さなきだに炭鉱地帯には貧困階級児童が多いということになるのだろうと思うのであります。その他いわゆる給食補助を受けている生活保護法の適用を受けているものが六・五七%、一万五十六人に相なっております。この人たちだけはまあどうやらこれで救えるわけでございますが、それ以外に今までどうやらこうやら払っておったのだけれども、いろいろな関係で払えなくなったというのが、この十月一日現在を見ますというと、徴収見込みのものを除きまして六千名をこしております。約六千三百名ほどになっております。ところが、それ以外に市町村で単独で補助をいたしておるものが二千名あるわけでございましてこれは向こうの報告でございますが、大体八千名というものが学校給食費を払えないで困っている、あるいは市町村単独で補助してもらうというような事情になっておるわけであります。これは何とかして、この事情をもう少し精密調査をいたさなければなりませんが、これを一応報告を対象にいたしまして調査も十分いたしまして、何らかの措置を講じなければならぬと思っておるわけであります。先ほど風水害の問題につきましては、実情に即しまして予備費から支出するように、ただいま折衝中であるというふうに報告申し上げましたが、でき得れば、これも準要保護に準じまして、それと同じような方向に持っていくべく、ただいま努力中で、検討中でございます。それから、先ほど補食給食の問題がございましたが、これをどうするか、この補食給食について支払い困難な人もあるわけでございます。これについては、学校給食物資については何がしの国の援助はありますけれども、準要保護としては今までは取り扱っておりません。こういう事態に直面してこれをどうするかということにつきましては、なお検討を要しなければならぬ問題があると思います。それから欠席児童が非常に多い、特に学校給食をやっていないところに欠席児童が多い、少なくとも学校給食をやることによって欠席児童も少なくなるのじゃないかと思います。全く私どもは同感に思うわけでありましてこの点につきましては現地にも照会いたしまして、完全給食、補食給食を問わず、学校給食をやっていないところでも応急給食と申しますか、ミルク、あるいはまたそれにパンだけでも添えてやるような意思があるかどうかということを、ただいま現地と交渉中でございます。ただいま私ども考えておりますのは、その点でございます。国全体といたしまして、どういう根本的な対策という問題が残りますけれども、これは他省の関係もございますので、私からここで申し上げるというところまではいっておりません。
#39
○豊瀬禎一君 大体、残念ながら県教育委員会におきましても、現在まだ学力の問題なり、体力の問題あるいは非行調査等は、警察当局には資料があるのですけれども、教育委員会として正式に調査ができ上がっておりませんので、きょうは報告から落としたわけですが、いろいろあなたの方から言われましたけれども、現地の方におきまして、たとえば補食給食をやるにしても、そういう意思があるかどうかを照会しているとおっしゃるのですが、そういう現地において補助金を出して何らかの補給なり、あるいは完全給食をやるような財政状態にないというのが炭鉱不況地の状況なんです。従って、先ほどから申し上げましたように、すでに体重においても平均よりずっと関係子弟は低下しつつある。学力においても同様である。こういう現象が生じておるのですから、災害地の救済と同様に、この際、従来の二分の一補助というのを、そのままワクの拡大ができて、五分の四なり、あるいは全額負担をするという方向に、できればされてもいいと思いますし、どうしてもそれが法律的に困難であるとすれば、ここ当分の間、一まず離職者対策が完全にいき、山の不況状況がどうにか曲がりなりにも救済できる時期まで、来年の三月まででも、ここ一ヵ年の臨時措置として、抜本的な政府の補助の拡大といいますか、あるいはこれを完全に政府の責任で給食を実施していくということが、現在、府県においても、市町村当局も学校も困り抜いている教育不正常の問題を解決するポイントであると私は思うのです。こういう点に対しまして、もう一度、大臣の方から、緊急対策として、早急にこのことを何らか措置する意思があるかどうかを簡潔にお答えいただくと同時に、大体、今、局長の御説明の資料に基づいて政府が完全給食を実施するとすれば、どの程度の費用が要るのかどうか、わかっておりましたら聞かせていただきたい。
#40
○松永忠二君 ちょっと関連して。時間もありませんので、関係して一つお答えいただきたいと思うのですが、具体的に滞納したのをどうするのか、滞納されている給食費をどうするつもりなのか。この前にも私はあれしたように、六市五郡の滞納費が二千万円ある、福岡県でやっている一年の予算は一千万円なんです。そういう一体滞納をどうするつもりなのか。それから、二%の準要保護児童のワクを一体幾らに拡大するつもりなのか、具体的にですよ。それから小麦粉と脱脂乳なんか、ばかに学校給食はえらい施設が要るというお考えのようだけれども、炭鉱地の子供に小麦粉を無償配給してそしてそれで作ってやる、作ったものを、学校で別になべ、かまを作らぬだって、パンをくれてもできるわけです。給食は実施できる。脱脂乳を無償配給するということだって、それでできるわけです。何も施設を作らなければできないというものじゃなくて、給食は、完全給食はできないとしても、一時のしのぎの、とにかくそう、いう状況の中でやる措置とするならば、商店へ小麦粉と脱脂乳を無償配給して、それを作らせて渡せば、それでできることだ、そういう考え方は実際あるのか、ないのか。それから、実施校のワクを拡大することについて、具体的な一体設備とか施設の補助のことはどうするのか。今あなたは、だいぶ率の高いようなお話を言われているけれども、御承知のように、あなたのところで出している資料で見ても、中学校は福岡は五・一%です、実施しているのがですよ。それから愛知県も、たとえば災害地も同じことですが、九・一%です。とにかく今話に出ている地域は中学校は九・一%、完全給食と、いわゆる不完全給食と合わせて小学校が八七・六%で、この前にも私も資料をいただいてよく調べてみましたが、田川市のごときは中学校は全然実施していない。小学校でも実施していない学校があるわけです。その猪位金という小学校の一番困っている小学校は給食施設がない。全然給食していない学校なら、準要保護児童、生活保護なんて言ったって、給食していないところの生活保護の子供には給食費が行かないんです。だから給食を実施していないところには、生活保護の、教育扶助の中でも実費の給食費は支給されていないのだから、これじゃ生活保護法だなんていったって何にもならない。だから、とにかく粉でパンをこしらえて、ミルクを添えて、不完全に実施もしていない学校には全部実施をさせる、そうしてその点については、そういう措置をするという用意があるのか、ないのか。
 それからもう一つは、初中局長もおられるのだが、教科古代、医療費、修学旅行というようなものが出てきておるわけです。これらはもう直ちに実は金が行き詰まってくることは御承知の通り。これらの実際の増加、負担増という問題を具体的にどうするのか、災害地は今おっしゃる通り予備費から出すといったところが、予備費の中から一体幾ら出すつもりか、これは災害関係だから長くなりますから……。こういう点について具体的に、ただ努力するとか何とかでなしに、一体、滞納費をどうするつもりなのか、二%のワクをどのくらい拡大するのか、小麦と脱脂乳を無償配給して、完全にそれを実施するというのか、それとも緊急な実施対策を作って、そういう六市五郡にはどこでも実施させるという方向にやるというのか、どうなのか、そこを一つ話してもらいたい。大臣には、今お話もあったけれども、私は実際のところ、現在のこの因っている子供に教科書代と医療費と修学旅行と給食だけでは、実は困ってしまっているわけなんです。で、せめて給食について特別立法をするとか、あるいはこういう際に一般教育費について具体的に補助金を考えてみるとか、まあ私は、視察をされた方も与野党を通じて、今の法律では工合が悪いので、できないのじゃないかというけれども、実際のところ努力してみてもできないのじゃないかという気持もあるので、今言ったことを具体的に一体いつごろまでに検討してもらえるのか。局長にはそのことを今ここで答弁できないにしても、そういう点については、いつまでには必ず具体案を出して皆さんにお話ができるというめどを聞かして下さい。それでなければ欠食している、滞納費はふえる、今報告を聞いてみても、こんな中で文教の対策が行なわれているということについて、言わなくてもいいことだけれども、あんまり努力の点が違っているのじゃないかということをわれわれは感ずるのですよ。文部省の対策がこういうところに徹底して行なわれていないということを、まず先に努力してもらわなければ、われわれとしても理解できないのです。これを一つ具体的にお答えをいただきたい。
#41
○国務大臣(松田竹千代君) 窮迫せる者に対して何かの方法によって救助しなければならぬということは先ほども申し上げましたが、私も認識は十分持っております。そこで、至急に正確な資料を求めて、次の閣議にも一つ相談をしてみるつもりでおります。
#42
○政府委員(清水康平君) 御承知のごとく、将来、特別立法を作るということは一応抜きにいたしまして、現在の学校給食法の建前から申しますというと、学校給食は義務にはなっておりませんので、いわば奨励法になっております。その関係上、学校給食の実施をするのは、設置者――市町村であります。学校給食費は父兄負担というふうに法律では規定されたわけでございます。その範囲内におきまして、学校給食の事務をやっているわけでございますが、こういう炭鉱不況とか、あるいは災害とかが発生いたした場合には、その精神に沿いましてやっているというのが現状でございます。ただ問題になりますのは、現実問題といたしまして、九月の学校給食費も払えない、これからの給食費が払えないという何千人という人が、しかもふえるという傾向にあります。これをどうするかということでございまするが、設置者が持った場合にはそれの半分というのが今の建前でございます。しかし、設置者が持った場合に対して、それに対して国が二分の一補助をするという、こういう建前でございますが、あとの二分の一を設置者が持つ力が今ないんだというお話でございます。それで文部省といたしまして、全部学校給食をただで、ただという言葉は何でありますが、そのままやるということよりも、やはり設置者に負担してもらって、その二分の一という気持はただいまのところは持っていきたいと思っているのでございますが、あと設置者が持つ二分の一というものをどうするかということは、これも実はまだ努力中で、ここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、何とか地方特別交付税か何かでもって見てもらえないだろうか、まあこれをここで申し上げるのはまだ早いのでございますけれども、そのことなども今折衝いたしているようなわけで、ここでまだ申し上げるところまでは……。そのようなことも実は考えて、関係官庁とも一応折衝はいたしているような事情でございます。
 それから、準要保護児童は本年二%になったのでございますが、率直に申しまして、二%でもって準要保護児童が全部救われると私ども思っておりません。何とかしてこのワクを広げなければならぬと思っておりまするので、まあ少なくともこれを倍にする必要があるのじゃないか。学校給食につきましては、これは大体今のところは全部やっておりませんが、先ほど来、先生からお話がありましたように、小学校は児童で六三%、中学校は平均一〇%にすぎませんけれども、その二%にいたしまして、大体、準要保護児童は二十二万程度になるわけでございます。それをもしかりに最小四%とれれば、大体準要保護児童は救われるのじゃないかと思いまして、その線に沿って一応私どもは今後努力していかなければならぬと思っている次第でございます。
#43
○松永忠二君 災害地について炭鉱地について何%ですか。
#44
○政府委員(清水康平君) 炭鉱地につきましては、これは災害が出て参りますから、特別にこう出てくるものでございますから、その際には、でき得ればそのつど、予備費なり適当な方法をとっていきたいと思っているわけでございます。
 それから、先ほど補食給食の話がございましたが、一例を申しますというと、昨年の狩野川の台風でございます。あの付近は全部が全部学校給食をやっておったわけじゃございませんけれども、先ほど私が申しましたような応急給食をぜひともやりたい、またこちらもやってはどうかということで、あの狩野川付近の学校はすべて応急給食をやりまして、そうしてでまるだけ早い機会に、大部分本年からと思いましたが、完全給食に移ってきております。そういう方向にできれば持っていきたいと思っておりますが、地元の県その他の意向も、ただいま照会いたしておるような次第でございます。
#45
○松永忠二君 給食の施設を作らぬでも、小麦粉や脱脂乳をやれば、これで作って分ければいいんだから、その手当は……。
#46
○政府委員(清水康平君) 応急学校給食の問題でございます。これは給食施設とは別で、パンとそれから脱脂ミルクだけでございます。応急施設設備等は一応考えておらないわけでございます。あと必要なら考えるということでございます。
#47
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど教科書と医療費の話が出ましたが、実は教科書と修学旅行費は私の方の所管でございますので、教科書、修学旅行費につきましては万全の措置をするつもりでございまして、実は大蔵省ともすでに話し合いは済んでおりますので、そういう事態になりましたものにつきましては、いかようの便宜でもはかるつもりでおります。
#48
○松永忠二君 内容はどうですか、いかようの便宜と言うけれども。
#49
○政府委員(内藤誉三郎君) 教科書を買えない者、それから修学旅行に行けない者、これが行けるように、教科書が買えるように、十分の措置をする考えでおります。
#50
○豊瀬禎一君 大体の構想はわかりましたが、時間は過ぎましたし、結論的には次回の文教委員会ごろには具体的な解決の方策を出していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 その際に、今、内藤局長からも出た話ですが、一、二つけ加えておきたいと思うのです、研究事項を。と申しますのは、教育扶助費を父兄がもらっても、それは教科書代や修学旅行費として直接なっていないということです。何になっているかということは申し上げなくても、その日その日の食べる金がないために、学用品ということでなくて生活費になっている。こういう面もやはり学校当局としては、それが何らかの形で学校の方にくれば学校から買ってやるのだがという、ここにも現在の法律の適用の不備があると思う。こういう点もいろいろ関係各省と御研究をお願いいたしておきたいと思います。
 もう一件は、これはいずれ現地の方から文部省にも要請してくると思いますけれども、炭鉱不況の救済のために、現在、横浜に小麦粉が四十五万ポンド、ミルクが十万ポンドですか、輸送費と倉敷料を負担すれば原料は無料でやるということになっておりまして、アメリカから送られてきている。米十六俵もキリスト教教会から山の児童に送られてきているということで、そのうち、費用の関係で十万ポンド早急に児童用として放出してほしいという要望が出ているわけであります。こういう点も、どこからどういう趣旨でどれだけのものが来て、それをどのように解決しようとされているか、それも同時に検討して、次回の文教委員会までに、もっと進んだ具体的な案を出していただいて、私がるる申し上げましたように、一日も早く、飯も食えないで、学校にも行けないで、部落の中でしきりに非行を重ねている青少年を放置することのないように、ぜひとも救済方をお願いしておきたいと思います。
#51
○岩間正男君 私も同意見ですが、この次に具体的な案が出されるのだと思いますが、今お話を聞いておりますと、現行法の建前からというようなことが非常に問題になっているようでありますが、そういう面もあるかもしれぬが、しかし、問題は非常に大きな社会問題になっている。この不況の問題、それから罹災地の問題、そういう点で、やはり具体的なもっと実情に即した案を出していただきたい。そういう案でやはり検討して、何か検討の段階だからというようなお話があったけれども、やはり私たちのやる仕事もあると思うのです、文部省がその気になりさえすれば。そういう点で、やはりこの問題をほんとうに乗り出して解決するのだという私は熱意を持ってやっていただきたい、この点特につけ加えておきたいと思います。われわれもやります。そうしてわれわれも及ばずながらバツク・アップするつもりでありますから、そういうつもりでやったらどうですか。
#52
○委員長(相馬助治君) 次回は十二月一日開会いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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