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#1
第033回国会 風水害対策特別委員会 第7号
昭和三十四年十一月十日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           稲浦 鹿藏君
           重政 庸徳君
           田中  一君
           成瀬 幡治君
           小平 芳平君
           向井 長年君
           森 八三一君
   委員
           秋山俊一郎君
           井上 清一君
           石谷 憲男君
           江藤  智君
           木村篤太郎君
           草葉 隆圓君
           古池 信三君
           小林 武治君
           小山邦太郎君
           斎藤  昇君
           西川甚五郎君
           山本 米治君
           吉江 勝保君
           米田 正文君
           大倉 精一君
           清澤 俊英君
           栗山 良夫君
           小酒井義男君
           羽生 三七君
           藤田藤太郎君
           大竹平八郎君
  衆議院議員
           伊藤よし子君
  国務大臣
   労 働 大 臣 松野 頼三君
  政府委員
   労働省職業安定
   局長      百田 正弘君
   建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十四年七月及び八月の水害又
 は同年八月及び九月の風水害を受け
 た地域における失業対策事業に関す
 る特別措置法案(内閣送付、予備審
 査)
○昭和三十四年七月及び八月の水害並
 びに同年八月及び九月の風水害に関
 する失業保険特例法案(内閣送付、
 予備審査)
○昭和三十四年七月及び八月の水害又
 は同年八月及び九月の風水害により
 被害を受けた者の援護に関する特別
 措置法案(衆議院送付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) これより風水害対策特別委員会を開会いたします。
 労働省関係の法律案について政府委員より補足説明を聴取し、質疑を行います。
 まず失業対策事業に関する特別措置法案を議題といたします。補足説明を求めます。
#3
○政府委員(百田正弘君) 先般労働大臣から今回の災害についての労働省がとってきました措置並びに対策の概要を申し述べ、さらに前回の委員会におきまして提案理由の説明を申し上げたわけであります。ただいま議題になりました失業対策事業に関する特別措置法案につきましての補足説明を申し上げたいと思います。
 失業対策事業に関する特別措置法といたしましては、前回も説明がございましたように、今度の激甚災害を受けた地域におきまする地方公共団体の財政の状況にかんがみまして、失業対策事業につきましても前回昭和二十八年にとりましたと同様の特例措置をとることにいたしまして、その率といたしましては、この法律に書いてございますように、労力費について五分の四、資材費について二分の一、事務費について五分の四といたした次第でございます。その適用地域につきましては、本年の七月、八月の水害、八月、九月の風水害、両者を適用の範囲に含めることにいたしたわけでございます。
 それからその補助の期間につきましては、法律におきましては、災害を受けた日から同年十月一日までの範囲内において政令で定める百から昭和三十五年三月三十一日までと、大体災害を受けた翌月から――これは前回と同様でございますが、本年度措置法案は三十四年度一ぱいということを予定いたしておるわけでございます。なお、この政令で定める地域につきましては、現在政府部内におきましてまだこの基準がきまっておりませんので、早急にきめまして御報告申し上げると、こういうことになっているわけでございます。
 簡単でございますが、失業対策事業に関する特別措置法案の補足説明としては以上であります。
#4
○委員長(郡祐一君) 以上で説明を終ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○藤田藤太郎君 失業対策事業の具体的な範囲や、それから人員把握の問題は、この前資料をいただいたあれだけじゃちょっとつかみにくいわけです。それはいつ時分できますか。
#6
○政府委員(百田正弘君) これはただいま申し上げましたように、政令で指定する地域とこれと関連をもって参るわけでございます。われわれといたしまして一応の予想といたしましては、先般資料をもって提出をいたしておきましたように、現在失業対策事業を被害激甚地において実施している、及び今後災害のために失業者が新たに発生するであろうというような両者について考えております。これが大体の見込みとしては二億円というふうに見込んでおりますが、具体的には政令で指定する地域、それで市町村並びに府県がきまるわけでございます。それによって具体的にはやっていきたいと思います。
#7
○藤田藤太郎君 その政令というのは、この法律審議のときに出してもらえますか。
#8
○政府委員(百田正弘君) この点につきましては、先般もいろいろ御議論があったようでございますが、われわれといたしましても早急にこれはきめてやりませんと、一体どこが適用を受けるのかわからぬままになるということは適当ではありません。
#9
○藤田藤太郎君 そこで、この二十八災と同じように、労務費の五分の四、資材費の二分の一、事務費の五分の四というふうに今度の法改正でなっている。今高額補助で労務費その他の五分の四の施策をおやりになっているわけです。これは非常に地方の財源を助けていると思います。しかし今度の災害は一般のそれと違って非常に地方財源が災害のために逼迫している。非常にたくさんの被害を受けておりますから、その他のところにも災害復興のために相当の地方自治体としては財源を確保しなければならぬ。だから私はここでやる今度のようなものは、二十八災がこうだったからということでなしに、全部国が負担をしてこういう事業をやるということにされていいのじゃないか。そこで、この事業の予算を聞いて見ますと、非常に今のところじゃ少ない、国家予算の面から見ると何か一億か二億だと思う。だからこういう事業をたとえば一〇〇%にしたらどのくらいになるか、私はまさか倍にもならないと思う。この閥お聞きすると、六割五分か六割しかふえないということでありました。そういうことならば、こういう費用は全部国家負担でやってあげないと地方自治体が非常に困る、そういう工合に私は考えますが、労働省はどうですか。
#10
○政府委員(百田正弘君) ただいまお話のように、全額補助にしたらどうかというお話でございました。これはわれわれの方といたしましては、現在のところ昭和二十八年災と同様な措置にいたしておりますが、今度の災害を受けた所について考えます場合に、失業対策事業についてはすでに高率補助の制度がある、地方負担分については普通交付税で一定のものを見てやるということになっております。従いまして失業対策事業だけ取り出して高率補助ということを考えますと、これはそれ自体として理屈がないじゃないか、新たにふえるものだけでいいのじゃないかという考え方も実は一部にあるのであります。しかし今度のような場合に、全般的にその地方の災害復旧事業、あるいはその他のいろいろな復旧の事業をしなければならないということで、その地方自治体自体が非常に財政負担が大きい、これも一つの補助事業としてやっておりますが、やはり地方財政全体としての負担力ということを考え合わせながらそれぞれをどうするかということに政府としてはなっているわけでありまして、これだけを実は取り出していきますと、ほんとうに妙な議論になって参るのであります。われわれの方としては、一応前回はこうであった、だから少くともここまではということで、今度のものはやるということでやっております。
#11
○藤田藤太郎君 その他のいろいろの分野における対策、復興ということはよくわかるのですけれども、結局この失業対策事業というのは復興事業をおやりになっているのでしょう、結局災害地における復興事業が中心になってこの失業対策事業をやらなければ意味がないと思います。むしろ復興をやる源泉ですね、労力を動員するという源泉でありますが、それだけが別に全額国庫負担がおかしいという議論は成り立たないので、むしろ労力をここに動員する源泉なんでありますから、それに対して今の失対事業の状態に特別なものをプラスするということですから、大した金額にもならないと思うから、そういう配慮ができないものか、私はそう思うのです。
#12
○政府委員(百田正弘君) その点につきましては、そういう議論もあろうかと思いますが、われわれといたしましては二十八年災に劣らないということで、まあ今回はやっている段階でございます。
#13
○小平芳平君 その失業対策事業に関する特別措置法案関係という、そういう関係の資料はこれ一枚じゃないですか、要するに経費が二億円かかるというだけ……。それでこちらの法案の方は、だいぶこう分厚くはなっておりますけれども、結局国が補助する労力費五分の四、資材費二分の一、事務費五分の四、それだけしか内容がわからないので、ただいまの藤田委員の御質問のような問題が当然起きてくると思いますが、もう少し具体的に資料を御提出願いたいと思います。
#14
○政府委員(百田正弘君) これ以上の具体的な資料となりますと、大体この政令で指定する県、市町村がどこになるか、現在のワクはどのくらいか、それに要する費用は幾らかというような資料になろうかと思います。そこまでは現在政府部内でも非常に急いでいるわけでございますけれども、まだきまっておりませんので、その資料をつけられなかったので、その見込みで出したわけでございます。大体われわれが現在予想しておりますのは、愛知、岐阜、三重のほぼ全域、あるいは山梨、長野の一部地域、その他災害救助法の発動された一部地域というようなところを考えまして、その推定をいたしているわけでございます。その他、もう一つ災害のために新しく失業者が発生してくる、これも各県からいろいろ報告も徴しております。ただその地域におきましてどの程度の新しい規模になるかと申しますと、今度の予算でもあるいは救農土木事業等の実施も予定されているようでございまして、そうしたものの勘案できめていかなければならぬところも出て参ると思います。現在われわれのところでも、一応どういうような地域で新しく失業対策事業をふやし、あるいは新しく新たに起こさなければならぬかというような点も、地方から受けた報告の見込みで出しているのが、今の二億の中に入っているわけでございます。それ以上は、政令のあれを待ちまして、具体的に御説明申し上げたい、こういうふうに思っております。
#15
○森八三一君 私は労働問題はよくわかりませんが、しろうとの質問でございますので、そういうつもりでお答えを願います。政令が今もってはっきり政府の方針が定まりませんために何しているということですが、この特別立法によって措置される災害は七月、八月のすでに期間が相当経過している地域にも適用される、そのことについても今なお政令がきまっておらないということになりますと、市町村の当局なり都道府県の当局が、当然今回の改正法によって高卒補助の適用があるものと考えつつ実施をした結果、その地域が指定されないというようなことになりました場合に、どういう措置をなさるつもりなのか。これは非常に災害のために窮迫をしている都道府県、市町村の財政の困窮状態から考えますると、その市町村なり都道府県の将来の運営の上に非常な大きな問題を投げかけてくると私は思うのでありますが、そういう点は一体どうお考えになっているのか。
#16
○政府委員(百田正弘君) そういう事態を憂慮いたしまして、われわれも一日も早く政令の基準を作るということで努力をいたしているわけでございますが、現在までのところ、各省ごとにやっておりますために、なかなかきまらないというのが現状でございます。われわれといたしましては、その基準を作る場合におきましても、今言った地方の実情も聞いております。今お話のございましたような事態が起こらないように、そういうところは全部網がかぶってくるようにいたしたいというようなことでやっているわけでございます。地方のことは大体われわれも承知いたしておりますので、基準を作った結果、それがぽかんと抜けたというようなことのないようにいたしていきたいと思います。
#17
○森八三一君 まあそういう親切に考えていただくというお気持はよくわかります。わかりますが、政令がきまった結果、そういうような措置をすることができなくなるような地域が発生いたしました場合には、その日までの実施をした事業に対しては、都道府県なり市町村が独自の考えに基づいて実施をいたしました実施部分については、何かこの特例法による助成を与えるというようなことに措置されることが可能ですか。そうでございませんと、今あなたが希望的なことをおっしゃいましても、規則、命令によって範囲というものがきまってしまえば、それを越えて措置をするということは、諸般の規定その他からしておそらく不可能であろうと思いまするし、そういう措置をいたしますることは、他日検査院の検査等にも関連してくる問題ですから、あなたは簡単に今そうおっしゃいましても、実質上はできないのじゃないか、できないことを希望的におっしゃっておってもそれは困る、こう思うのですが、それはどういうことによって、市町村なり都道府県が認定をして、自己の一方的な感覚によって認定をして実施をしたものは全部網の中に入れてしまうということが可能かどうか、その点お答えを願いたい。
#18
○政府委員(百田正弘君) 特に今おのありましたのは、災害のために失業者がよけい出て、新たに増ワクをする、あるいは新たに失業対策事業を起こさなければならぬというようなところの問題になろうかと思います。そこで、そういうところはわれわれのところで大体わかってはおりますけれども、この政令指定の結果、そういうものが入ってこない、不幸にして入ってこないという場合を考えました場合には、これは現在失業対策事業につきましては、その市町村の財政と比べまして一定のワク以上の失業対策事業をやったところにつきましては、現在でもこれと同じ高率補助制度を持っておるわけでございます。それによって、その基準によってこれに対して当てはめていく、こういうふうに考えていきたいと思います。
#19
○森八三一君 そうすると、現在の規定によっても、ワク以上に失業対策事業を実施した場合には高率補助の適用の道があるとおっしゃれば、どうもしろうとでよくわかりませんが、こういう特例法を作る必要がないというようにも解釈されるのじゃないですか。
#20
○政府委員(百田正弘君) 現在の高率補助制度というものは、その地方の標準財政需要額に対しまして、失対事業が一定の率以上の失対事業を実施しているというところにつきましては、現在もそれの一定の基準をこえる部分についてはこの高卒の補助を適用すると、こういう形にやっております。で、今度の場合におきましては、その基準のきめ方になると思いますが、どういう基準になるか、それが全く同様になれば、もう災害要素は全然入ってこないということになってくると思います。その点が多少食い違ってくると思います。一つの町村におきまして、そういうことのために失対事業のワクをふやすという場合には、非常にそれで財政が苦しいという場合には、現在持っている高率補助制度によっても救い得る道はあり得るということを申し上げたのであります。
#21
○森八三一君 もう一ぺん重ねて結論をお聞きしたいのですが、今回の災害によって失業対策事業を実施いたしました場合、他日政令が確定した結果、この改正法適用の地域から除外をされるというような事態が発生いたしました場合には、その日までの施行事業に対しては、改正法による高率補助適用によって、あるいは本改正法を適用いたしませんでも、既存の高率補助制度の適用によって高率補助と同様の結果を関係都道府県市町村に供与するということで、政令制定がおくれることによって何らのめいわくを与えないというように了解していいかどうか。
#22
○政府委員(百田正弘君) その点は誤解のないように申し上げますが、失業対策事業を実施するという場合に、新たに実施する場合におきましては計画を立てまして、労働省の方に言って参ることになります。そのワクがどのくらいになるかというようなことで、それで実施を決定すると、こういうことになるわけでございます。従いまして災害のためにこういう失業対策事業を実施しなければならなかったという町村等につきましては、労働省におきましては、はっきりその規模その他についてはわかっております。これを全然連絡しなかった。おやりになったあとで失対事業にしてくれ、これは無理でございますけれども、失対事業としてはこれはできるわけでございます。従いまして、われわれは新たに今度の場合に災害のために失対事業を起こさなければならんといったような所につきましては、これを同率補助で見ていくようにしていきたいということで、現在基準を作りつつあるわけでございますが、いろいろな関係であるいはそういうものがはずれるという場合も考えられるかもしれません。それは政令が出ませんので、その点今から確かに入るということは申し上げかねますけれども、今お話のようなそういうことがあり得るかもしれない。その場合には一般の失対事業の実施の場合の高率補助の基準と同じようなものさしを適用してやっていけます。こういうことを申し上げます。
#23
○森八三一君 そうしますと、結局改正法の適用によって措置されるように十分考慮をする。もし不幸にして政令がおくれるためにその措置も不可能という事態が発生した都道府県市町村に関しましては、既存の規定、法律に基きまして、結果的には同様の措置をするというように了解していいかどうか。ただ希望的にそういうつもりであるとか、そういう見込みであるということだけでは、やってしまったあとで困るという事態も発生するので、くどいようですが、さらに明確に一つお答えを願います。
#24
○政府委員(百田正弘君) これは具体的な事例がわかりますと、きわめてその点は簡単になると思うのでありますが、私はこういう方法があり得ると申し上げておるわけであります。従って一定の基準に該当するかどうか、一般の現在やっております高率補助の適用の基準に該当するかどうかということは、もう一つのそこの規模なり財政の状態等によって判断しなければならんことになるわけでございます。
#25
○森八三一君 どうも私不勉強であるせいか、よく了解いたしかねますが、しろうとにわかりやすいように一つ御説明を願いたい。それは計画を立てて労働省と打ち合わせ、実施をするのでしょう。その計画を承認なさった限りにおいては、他日政令制定の結果、地域がはずれるようなことになってもその部分は救済をするということで了解していいですか。
#26
○政府委員(百田正弘君) 現在われわれのところにもうすでに連絡のあった地区がございます。すでにこれはございます。そういう地区については、これが今回の適用区域になるような工合に現在努力をいたしておるわけでございます。
 それから第二の問題といたしまして、政令の指定が今できておりませんので、これが全部そこに、今必ず入るということはこれは断言できない月越です。そこでその次の問題といたしまして、これはまあ補助、一般的な原則にかえるわけでございますけれども、一般的な原則といたしまして、その地方公共団体におきまして、その標準財政収入からみまして、失対事業が一定率以上のものであるという場合には、現在高率補助制度というものを持っております。第二段階としてはそういうもので救い得るようにいたしていきたい。ただその財政の内容ないし失対事業の規模というような点が具体的になりませんと、これは必ず入る入らないということは、現在ここでは言い切れない。制度としてはそういうものがある、こういうことを申し上げたのであります。
#27
○森八三一君 ただいままでの質疑を通しまして大体わかりましたが、そこで大臣にお伺いしたいのですが、すでに数カ月を経過しておる災害に対しましてすら、なおかつ政令がきまっておらぬという事態は、これは関係の地方公共団体としては非常に迷惑だと思うのです。他日政令がきまった結果、いろいろの措置を講じていただく、親切に扱っていただきましても、なおかつ不測の損害といっては言い過ぎかもしれませんが、困窮しておる財政に非常に悪影響を与えるというような地域が発生いたしました場合には、これは政令がおくれておるという政府の、極端な言葉でもって表現いたしますれば手おくれといいますか怠慢といいますか、そういう結果の損害と見てもよろしいと思いますので、そういう部分については何らかの措置によって救済をするということははっきりしてやらなければ、ほかの事業とは違って失業対策ですから、食うに困っておる人に職を与える仕事なんですから、一日延ばし二日延ばしというわけにはいかん仕事なんでございますね。そういう措置をお考えありますかどうか。これは非常にむずかしい質問かもしれませんが、そうしてやらなければこれはおかしいと思うのです。
#28
○国務大臣(松野頼三君) 失対事業は御承知のように市町村と県の負担の問題でありますので、市町村と県がはたしてそれだけの地方財政としての余力があるかどうかということが、最終的には問題になるかと思います。これはすべての災害に共通の問題でありますので、いずれこれは地方財政計画の跡始末と、災害に対する地方財政の計画の跡始末ということが問題になるかと思いますが、直ちにそれをどうするこうするということは、これはすべての地方財政の中でやっていただくことであって、この失対だけが地方財政に影響するわけでもございませんし、まだたくさん地方財政の大きな影響は災害であるんですから、そういうものと一緒の問題でなかろうか。ただ失対だけが特別だと私は考えておらぬ。やはりすべて地方財政の負担というものは、道路にしましても農地にしましても、すべてに私はあるのではなかろうか。結局それだけのものが地方財政が負担できるかどうかということが最終的には問題になることであって、従ってその地方財政の負担ができない場合には、激甚地という意味で今度の高率の適用をするということで、さしあたって今度はそういう申請が来たらどうするのだ、そういう申請が来たら一応失対事業の施行における認可と、それから施行における予算三分の二という現行予算を配付していく。その後においては最終的には地方財政によって激甚地と指定されたときには、さらに五分の四を追加してこれを財政援助をする。最終的にはこれは地方財政の財政援助ということになるんじゃなかろうか。こう考えております。
#29
○森八三一君 僕はそこに非常に大きな問題がかもし出されてくると思うのです。というのは地方財政がそういうものを負担し得るかどうかということは、これは物理的な標準によって算定されるのではないですね。それはおのおのの認定によってそういう事態が判定されると思うのです。そこでどうしても地方財政の現状においてたえ得るんだというように追い込めていけば、これは追い込め得ると思うのです。弾力性のある地方財政ですから。その結果としてはその市町村は一般の民生が非常に圧迫されるという結果になると思う。極端にいけば、市町村吏員の給与にいたしましても、他町村と並びの給与をしたいと思っても、それは財政が困難だからしばらくその町村だけは給与の引き上げをストップすべきであるというような措置が行なわれますれば、そこに余裕が出るんですから、そういうことによっても負担力はあるということにもなるのですね。今お話のようなことが将来には非常に大きな圧迫を市町村の財政に及ぼす。及ぼす結果として市町村民の民生、産業の発展に影響を及ぼすという結果が生まれてくるのですよ。だから地方財政の負担力負担力とおっしゃいますが、五分の四を補助してもらうつもりでやった仕事が、そのようにしてもらえぬという結果として、その市町村民は非常に迷惑をこうむるという結果になることは、過去にも幾多の例があるのです。そういう点を十分一つ考慮してもらわなければならぬと思うのです。私はこの問題はこれ以上質疑をいたしましても、おそらく明確な御答弁は、政令がきまっておりませんから不可能と思います。でございますので、そういうような迷惑を一生懸命にやっておる地方公共団体に与えませんように、すみやかに政令を定められるべきではないか、そういう政令の施行を早急に望むわけであります。
 次に、「大蔵大臣と協議して定める算定基準」というのは、一体どういうものをお考えになっておるのか、これはしろうとでございますので、すでにきまっておるものがありましても、私が承知をせぬために御質問を申し上げるかと思いますが、算定基準とは一体どういうものをお考えになっているのか。
#30
○政府委員(百田正弘君) これは失対事業費につきましての労力費、事務費、資材費、こういうものの単価でございます。
#31
○森八三一君 その単価と申しまするのは、大体今日でも御発表願える標準があるのか、あるいはその公共団体の実施いたしました内容に従ってその都度算定なさるのか、一定基準がございますか。
#32
○政府委員(百田正弘君) これは現在の失対事業につきまして補助の基本日額がきまっております。大体これが基礎になると、こういうふうにお考え願います。
#33
○森八三一君 大体基準になるというのか、現在きまっておる日額というものをそのまま採用するというのか、はっきりして下さい。大体とか標準というのでなしに。
#34
○政府委員(百田正弘君) 大体と申しましたのは、全国的にいろいろ具体的な額が違いまするので、現在のその地区地区におきまする補助基本日額を基礎としてやる、こういうことになるのであります。
#35
○藤田藤太郎君 私は政令が出れば、範囲というものがわかってくるから、それまできょうは質問を控えようと思っておったのです。しかし、だいぶんその内容について質疑がありました。だから私は今の話を聞いていると、だいぶん今の実態とは違ったような質疑が行われておる。問題は今日の失対事業の中に高額補助があるというのは、地方庁がやろうとしたらその額が与えられるのだというお話があった。そんなものじゃない。地方の自治体が失業者が多くてやろうとしたって、標準税収入云々ということでなかなか高額補助のワクが与えられておらないのです。だからそういうことを私は承知しておりますから、その議論はやめますけれども、しかし問題は、だから五分の四というものを一〇〇%にしたらどうかということを言ったわけです。
 それからもう一つは、地方の自治体が失業対策事業をやろうとしても、三分の一という負担をしなければならぬから、地方財源がないからなかなか失業対策事業をやれないという現状にあるのですね。だから、今度のような災害が起きたときに、一〇〇%でなくともこの五分の四をやるという点を明確にしてあげなければ、地方自治体が失業対策事業を起こそうとしたって起きない、地方財源がないものですから。ですから、私は単に今度の災害は一定区分じゃなしに、全国的に非常に広範囲に行なわれているわけなんです。ですから、ここで二億円というように頭の中でワクをきめて政令をおきめになるようなことのないように、具体的に被害の状況に応じて地方財源が捻出されて、失業対策事業をやって失業者を救済できるような政令というものを考えていただいて、それが二億円がたとえ三億、四億、五億になっても、実際問題として失業救済をするというのがこの緊急失業対策事業の本旨なんですから、だから、それをここで災害に対して特別にワクをきめてやろうというのですから、そういう意味で一つ政令のワクを実際に当たってみてやってもらいたいと思います。その上に立ってここでまた議論になると思いますから、至急に政令を一つ出してもらいたい。
 それからもう一つ、さっきお願いしました五分の四ということでなしに、地方財源が逼迫しておりますから、一〇〇%を国が負担するという建前でこの失業対策事業というものを考えてもらいたい、災害復興の源泉になるわけですから、ぜひそういう工合に考えてもらいたい。
#36
○栗山良夫君 私労働大臣にちょっとお尋ねいたします。
 実は過日建設大臣がお見えになりましたときに、私はこの集中した災害地へ大工、左官その他の特別技能者を全国的に動員をいたしまして、そうして安定した労賃で浸水地、非浸水地を問わず、また新築、修理とを問わず、一刻も早く各個々の住宅、中小企業の工場等の復興ができるように協力を願いたい、こういうことを要請をいたしました。これについて建設大臣は大体御異議はなかったようでありますが、事は労働省の所管に関することであるから、労働省とよく相談をして善処をしたい、こういう意味の御発言をいただきました。で、問題は、もう十一月も中旬になりますし、正月前を控えておりますのに、まだ水没家屋が現にあるばかりでなく、やっとトタンで雨漏りを防いでいるようなものがだいぶありますので、こういうものについて緊急に手当をしなければならぬと思いますが、労働大臣は建設大臣からかかる御相談を受けられたかどうか、これを承りたいと思います。
#37
○国務大臣(松野頼三君) 建設大臣からか、あるいは災害対策の本部長からか、正確な記憶はございませんが、災害が起きまして、しばらくした閣議の席上で、左官、大工が非常に逼迫しているから何とかしろという御希望があったことは閣議の席上でございます。その後早速各職安を通じて、大工、左官について災害地に行くように、いわゆる広域的な職業の補導をやりまして、本人の希望をだいぶ募っておりますけれども、集団的に何十人どこから出たというふうに、集団的にはなかなか大工、左官の希望者が出て参りません。というのは、大工、左官は今日の平常な状態でも、東京でも必ずしも余っておる職種ではないものですから、大体平常においても大工、左官というのは、そう失業者が余っておるような状況でありませんので、希望者がなかなか実は出て参りません。しかし調査をいたしてみますと、縁故的に名古屋の災害地方面に大工、左官の方が行かれたという事実はございますけれども、職安の窓口を通じて集団的にまだ大工、左官の希望者が出て来られないというので、私の方の職安を通じて、そのことは、つい先日も、災害直後における閣議の席上で建設大臣であったか、災害対策本部長であったか御希望がございましたので、その方向に各職安を通じて今日もやっております。
#38
○栗山良夫君 私が建設大臣にお尋ねをして所信をただしたのは十一月の四日――はっきり記憶いたしませんが、四日か五日です。ですから、そのときの大臣発言が労働省の方へ通じていないということは、私はこれは不本意といたします。ある程度具体的な意見を述べていただきたいと申し上げておきました。従って、建設大臣あるいは建設省の担当局長に一ぺんおいでを願って、どうしてそういうことになっておるのか。あるいは労働省の局長がお聞きになっておるのかもしれませんが、局長間の話し合いが進んでおるのかもしれません。この点非常に緊急な措置をしなければならぬ問題について、そういうマンマンデーなことでは困る。事態をはっきりしていただくように委員長にお願いをしたいと思います。これは即刻お願いをしたい。
#39
○政府委員(百田正弘君) この問題につきましては、具体的に建設省の局長から云々ということはございませんけれども、そういうことを待たず、われわれの方は直ちにそういった事態が当然起こることが予想されますので、現地の労働部、職業安定課とは連絡をいたしておるわけでございます。そこで、先般も実は畳工につきましてもそういうお話がございました。さっそく東京にも連絡をいたしております。そこで愛知の安定所におきまして具体的な求人の内容、それからどのくらいの期間になるか、賃金はどうか、宿舎関係はどうなるのか、その他の条件はどうなるのかというようなことを具体的に向うの求人者の方が安定所の方に連絡をとって、それを取りまとめまして、われわれの方では早急に関係県、特に新潟でありますとか、そういう方面、あるいは近県に適当なものがありますれば、そういうところに至急連絡をしたい。そういう措置は現地の安定機関とは連絡済みでございます。
#40
○栗山良夫君 私は、この問題について建設大臣にお尋ねをいたしましたときに、あわせて資料要求がしてありますが、その資料要求もまだ出ておりません。そのほかたくさんな資料要求をしてありますが、資料らしいものはまだ一つも来ておりません。これは委員長の方において各省に早く資料を提出するようにお督促を願いたいと思います。委員会の決定として資料要求をしておるわけでありますから、資料要求の資料も作らないということになりましては、ここでいかなる発言をいたしましてもちっとも緊急性を伴っておりません。そういうことでは私どもはなはだ遺憾でありますから、さようにお願いをいたしたいと思います。
#41
○委員長(郡祐一君) その資料につきましては、ほとんど連日督促をいたしておりますが、私もまた、不十分な点は認めております。各省から出ておりません。さらに厳重に督促をいたします。
#42
○栗山良夫君 それから、ただいま労働省が災害直後に自発的に、しかも誠意を持ってそういう点について着目せられて、あとう限りの現情勢下における措置をせられようといたしましたことについては感謝をいたします。その点についてはいささかも言葉を返すものはないわけであります。ただ、現地の事情を見ておりますというと、にもかかわらず非常に不十分である。しかも例を愛知県なり名古屋市当局にとって見ますというと、理事者側においても議会側においても私のそういう意見についてだれ一人反対する人はありません。ぜひともそういう工合に願いたいという積極的な意思表示がございました。しかし、技能者の動員体制というものが終戦後ないわけでありますから、従ってただいまの行政能力をもっていたしましては、にわかに効果を上げることができないような実態にあるわけです。従って、いわばこういう緊急事態に対する臨時措置、緊急措置の一つの盲点であろうかと思う。その盲点を、今後いかなる災害が起きないともだれも保証できないわけでありまするから、やはりこういうときに自衛隊の建設工事に対する動員が現地で非常に感謝されておる。私はこれについてはさらに具体的なお尋ねを総理にもいたしたいと思っておりますが、それと同じように罹災された各罹災者個人々々の力では何ともしょうがない、そういう人々について国としてやはり地方の自治体と十分に連絡をとられ、そうして善処をされるということが必要であろう。この問題は私建設大臣にお尋ねをして善処をお願いしたことでありますので、一体建設大臣は何を考えておるのか、これを緊急に一つこの席上でその経過を報告受けて、それからあと引き続いて労働大臣に私の考えておることを詳しく述べて、そうしてお考えをただし、でき得るならば善処をしていただきたい、こういう工合に考えるものであります。委員長は一つ建設大臣か、あるいは所管局長をすぐここへお呼びを願いたい。
 それから続けてお尋ねをいたしますが、今度の災害に対するいろいろな法的な措置が、あるいは予算的な措置が提案をせられておりまして、一応私も拝見をいたしましたが、その中で労働省の所管事項の一つでありますところの労働者を中心としたところの融資機関と申しますか、金融機関である労働金庫に対してしかるべき融資の措置をとるということが一つも配慮になっていないようであります。被災地における労働金庫の労働者の生活を守るために貢献し得る余地というものはたくさん残されておるのでありまするから、従って労働金庫に対して、農林中金あるいは中小企業の三庫と同じように労働金庫に対してこの際は相当思い切った国の資金の預託をせられて、そうしてその活動が十全に行なわれるように協力をせられるということが必要ではないかと私は思うのでありますが、これについて御提案がなかったことは一体どういうことでありますか、また、将来御提案をせられる御用意があるかどうか、その内容について伺いたいと思います。
#43
○国務大臣(松野頼三君) 労働金庫は御承知のように、農林の公庫とかあるいは中小の公庫と多少その性質が違いまして、政府の出資というものでなしに、また政府の管理ではなしに、いわゆる労働者自身の金融機関ということで政府機関というわけではございません。しかし今回は労働者の問題が災害地におきましては非常に逼迫ということも想像されます。あるいは金利も安くしろという御要望もございますので、すでに政府の資金を県に流しまして、預金部の資金を県から労働金庫に融資をいたしております。さしあたり愛知県には五千万円一週間ぐらい前でございますか融資をいたしました。そのほかには三重県にも融資をいたしました。そのほか各府県からまだ全部要求が出ておりませんので、要求が出ましたのは愛知県と三重県、それから和歌山県から少々出まして、あとからは要求は出ておりません。ということは、労働金庫の大体預金は愛知県が六億数千万円のうち貸出が四億何千万円で、二億円ぐらいは災害前までには余っております。しかし、恐らく二億円というものが余裕金としてあり、このほかに政府から五千万円出しました。このほかにまだ労働金庫の連合会にも相当な余裕金がありますので、この連合会の金をおそらく流用されるという……、総額的にはそんなに逼迫したという報告も来ておりません。そのほかに政府としてはすでに五千万円愛知県だけには出しました。さしあたり特にこれで逼迫したという要求もありませんし、まあこの五千万円を政府でもすでに一週間前に出しました。ただ、一般公庫と違いますために、府県を通じて預金部の資金を流すという性質は直ちに政府資金ということではありませんが、政府資金五千万円を労働金庫に融資をいたしました。
#44
○栗山良夫君 その点は伺いまして私もけっこうだと思います。ただ問題は、ただいま労働金庫は相当な余裕金があるという工合におっしゃったわけでありますが、その通りであります。その通りですが、これはやはり支払い準備金的な性格を持っておりまして、一般銀行のように日銀と直結しておるわけでありませんから、従ってやはり経営の安全性のためにこういうことをやっておるのであります。従って、余裕金があるからというので、そのことが直ちに労働金庫の資金面が今急に必要ではないのだということには通じないのでありまして、この点は御了解を願っておきたいと思う。
 それからさらに、労働者の諸君が自分の家を何とか修理をいたしたいというような場合に、いろいろな今度の特別の弁償によりまして資金を借り入れることになりましょうが、とにかく御承知のように罹災者は非常に多いのでありまするから、従って労働金庫といえども、やはりそういう資金供給の一つの窓口に十分なり得るわけであります。またしなければならぬと思う。その場合に、労働金庫が十分に活動をし得ない一番問題点は何かと申しますというと、金利が高いからであります。労働金庫の金利は一割近くになっておるわけでありますが、そういう高金利の金を低額所得者がまとまった金額融資を受けて、そして家屋の修繕等をいたした、あるいは家財道具の買い入れ等をいたしましたときに、やはり返済には非常に生活上の脅威を受けるわけです。従って金利を思い切って補給をするということでなければならぬと思う。この点については、労働場省として何か格段な措置をとっていただけるかどうか。
 さらに、今のお話によりますと、資金の要求がないので、愛知県には五千万円という程度で一応やっているのだがというお話でありますが、年末を控えて、そして中小企業の経営者側も罹災を受けて、大へんに資金的には窮屈であると思いまするから、年末手当その他におきましても、経営者の保証において労働組合が借り入れをするというような、そういう今までやって参りました年末手当の資金獲得の問題が、今年度は特に私は旺盛ではないかと思うのであります。そういう意味で、年末資金の地方自治体からの預託等についても、災害用と合わせて御配慮をいただけるかどうか、この二点について重ねてお伺いいたします。
#45
○国務大臣(松野頼三君) 今回の預金部の資金は、貸付利率が二銭五厘、さらにこれは各府県で七厘の補助をいたしておりますので、その当人に渡りますのは一銭八厘になります。一般の労働金庫も、三銭三厘というのが今までの全国の平均利率でありますけれども、今回は特に災害でありますから、そういう意味で安い資金を流して利率を引き下げたい、こういう方向で、これは一般銀行でありますから、一般銀行にいきなり政府が利子補給ということは、一般市中銀行と同じ性格のものでありますから、直接その手当はできません。その手当としては、県に金を回し、県が七厘の利子補給をして本人には一銭八厘、こういう手当を愛知県ではとっておるわけです。
#46
○栗山良夫君 年末の金融等につきましても、おそらく罹災地からは重ねて自治体を経て、あるいは直接労働省に対してか、要請があろうかと思いますので、そういうときにも今のような御趣旨で一つ善処をお願い申し上げておきます。
 それから次にお尋ねをいたしたいのは、今度罹災によりまして、事業場が休業のやむなきに至った、こういうようなために労働者が職場を一時失っておるわけであります。そういう休業者に対しまして、失対事業を起こしてその生活の若干の保障をしようという計画でありまして、しごくけっこうでありますが、その場合に、今まで失対事業には相当なあぶれがあるわけであります。従って失対事業のワクをふやしました場合には、当然待機しておるあぶれの失業者の諸君が熱心に就労を希望するであろう。しかしわれわれの考えとしては、やはりこれは失業者の適格性の問題ももちろんありますが、この罹災によって失業した労働者諸君には優先的に就労をせしむべきである、こういう考え方を持っておりますが、労働大臣としてはこの点はいかがお考えですか。
#47
○国務大臣(松野頼三君) 工場、事業場が災害を受けてその職がなく直ちに失対になる、こういうことは非常に不幸な事態でありますので、失対事業にいかないように、就労者の方が事業場によって休業状態になった場合に、今回特に失業保険法の特例を出しまして、失業保険法でその間保険金給付をいたすということで、直ちに失対ということにならないように、雇用者がそのまま休業状態であるときには、特に失業保険の特例でこれをまかなうという方法をとりまして、なるべく失対という方向にいかないように私どもは処置するために、今回特に失業保険法の特例というものを提案いたしまして御審議を得たわけであります。そのほかやはり災害が起こりますと、今回の補正予算が通りますと、おそらく公共事業が相当大幅にその地方に起こるだろう、おのずから公共事業における吸収人員というものも相当な数が私は逆に希望されるのではなかろうか、こういうことでありますから、直ちに失対ということではなしに、公共事業に吸収される方もあろう、その前にはなるべく失対事業にいかなくていけるように失業保険法によってこれを給付する、こういう工合に考えております。
#48
○栗山良夫君 大体方針はわかりましたが、そういたしますと、中小企業の中ではおそらく復興のために若干の期間休業することによって操業の期待の持てるものと、それから全然操業の見込みのないものと、大分けにすれば二つに分かれるのです。操業の見込みの全然立たない、要するに事業場閉鎖の悲しい運命に陥るような人々について労働省はどういう工合にこれを就労せしめようとしておるかということが一つ。
 もう一つは、若干の期間休業することによって操業の期待の持てる事業場の中で、失業保険の給付期間というものはおのずから定めがあるわけでありますから、その給付期間よりも長期にわたって休養しなければならぬ、操業はするけれども長期にわたる、そういうような事態が起きましたときに、それらの失業者、休業者に対してどういう措置をするか、この点が問題であろうと思います。その二つについて。
#49
○国務大臣(松野頼三君) 昭和二十八年も同じ措置をとりまして、同じような状況がございましたが、幸い昭和二十八年は休業のままで廃業されるという事業場は幸いに非常に僅少でございまして、ほとんど統計的には出て参りませんでした。今回は経済の事情によるものが大きな影響でありますが、名古屋地方は特に日本でも一番大きな中小企業の大産地であり、日本の今日の経済状況から見て非常に立て直りができないという経済情勢ではございません。考えますのは、立ち上がるためにいかなる対策を立てるかという、立ち上がりの開業までの資金の融通ということが一番大きなかぎではなかろうか。今日通産省も中小企業として非常にすべての融資対策というものを立てておられますので、私の労働省なんかも今回の災害を受けた産業を全部立ち上がるように対策を立ててもらいたい、その方法として、政府としては一連の実は中小企業に対する融資、復興資金というものを決定したわけであります。
 なお、そのほかにもそういうものがあったらどうするのだという御質問でございますが、もしそういうものがしばらく待てば開業される、あるいはしばらく待てば復興する、しかし、その間に保険金が切れたというような場合も想定されますので、今回はおそらく直ちに失対ということでなく、公共事業に暫定的に就労していただけば、おそらくこれは復興までその対策は立つのじゃなかろうか。公共事業は相当な金額になりますが、ある地方においてはもう実は労務者が足らないという声も今日出ておりまして、私は、おそらくそういう方はそうなるだろう。それからその後災害を受けて休業した方について、もし転業しなければならぬ場合には、もちろん優先的に雇用条件などを私どもは扱うつもりでおりますが、今日のところは、復興ということに第一の目的を貫いておりますので、もしそういう場合には、そういう方法をとらなければならぬ、こう思っております。今日は、おそらく復興ということを目標にして、全部復興してもらいたいというふうな対策を立てることが第一義でございます。最後に、私の方は、そういうものがもしありましたならば、職業紹介をして最優先的にそういう方を雇用させる方法を講じたいと思います。まだそこまで出ておりませんので、みな失業保険でやれると思います。
#50
○栗山良夫君 大方針はもちろんそれでけっこうですが、私が心配いたしますのは、中小企業が壊滅的な打撃を受けました所では、復興のいろいろな仕事をしていきまする場合においても、たとえば二百人の労務者を持っておったのが、完全に壊滅状態にあるという所でありますと、最初復興して操業するまでは二百人の人が要らない、せいぜい二十人、あるいは五十人、七十人と、漸次ふやしていく、そうして最後に完全操業の状態になる、被災前の状態に戻る、こういうことになる。その場合に、給付期間がまあかりに六カ月としますというと、六カ月以内に完全操業に入ればいい。ところが、一年かかるという場合には、一つの事業場の中の相当部分の労働者の諸君は、仕事につけないということになる。そういうときに、失業保険で見るということは、あるいは困難かもしれませんが、その場合には、やはりただいま大臣のおっしゃった復興資金の融資の面で運転資金としてめんどうを見るとか、そういうやはり配慮というものが必要になってくる。労働省だけではあるいは総合性を持たないかもしれませんが、この点はやはり中小企業庁等とも通産省ともよく横の連綿をとっていただいて、そうしてただいまお話のように、公共土木に従事させる、完全にもう閉鎖して就労できない人には、職業安定所を通じて就労の機会を与える。一度に失対事業まで落とすような不幸なことはなるべく避けていく、そういうような方針で貫いていただきたいということを切に要望いたしておきます。
 先ほどの建設省いかがですか。
#51
○委員長(郡祐一君) ただいま建設大臣または担当政府委員を督促しておりますので、間もなく参ると思いますが、建設大臣は、御要求のありましたときは、衆議院の予算委員会で答弁をいたしておりました途中でございます。再三再四早く参りますよう要求をいたしております。いかがでございましょう、ただいま理事の諸君とお話し合いをいたしましたが、御質疑も失業保険の方に入っておる部分もあるように伺いまするので、百田職業安定局長から、あわせて失業保険特例法案の補足説明を聴取いたしまして、栗山君御要求の大臣または政府委員が参りましたら、先ほどの保留されました質疑に入っていただく、その他の諸君からも失業対策特別措置法案に関する質疑をいただくことにいたしまして、理事諸君と申し合わせました通り、失業保険特例法案の補足説明を聴取することにいたしたいと思います。
#52
○政府委員(百田正弘君) それでは失業保険の特例法案についての御説明を申し上げます。
 この特例法案の目的といたしますところは、先般の提案理由の説明のときにも大臣から御説明申し上げましたように、本年の七、八月までの水害、八、九月までの風水害によって事業場が休止または廃止して、そのために事業者が休業して、そこの従業員が働こうとしても就業の機会が得られないというような状態にあるというような者につきまして、これは雇用関係はそのままでございますけれども、実態は失業状態にあるということを認めて、これを休業を失業とみなして、現在の失業保険法を適用していこうと、こういう趣旨でございます。
 従いまして、この特例法案におきましては、お手元の資料に逐条説明もついてございますが、第三条におきましては、通常の失業保険法の場合の離職の場合と違った手続をとったわけでございます。通常の場合でございますと、被保険者の資格の喪失届というものを安定所に届け出てくる、五日以内に届け出てくるということになるのでございますが、この場合におきましては、休業という事実を確認する。そしてその休業の最初の日において従業員が離職したと、こういうふうにみなし、一般の失業保険法上のいろいろな手続は、これには適用しないということを第三条、第四条において規定いたしておるわけでございます。
 第五条は、失業に関する特例といたしまして、労働の意思、能力を有するにかかわらず就労することができず、かつ賃金も受けることができない状態にある者、これは失業の定義でございますが、そういう休業者につきまして、これを失業者と同様に考える。その時期でございますが、法律には災害の状況を考慮して、地域ごとに三十四年八月三十一日から来年の三月三十一日までの間におきましての人を政令で指定いたしまして、その期間ということを定めてございます。これにつきましては、先ほどの失業対策の事業の場合と違いまして、災害が起こって、その地方の財政がどうだこうだという問題とは、これは政令指定の意味合いが違って参るわけでございます。七月、八月、九月の水害または風水害によってその事実があって、災害救助法の発動があったという地域につきまして、こういう事業場が休業した事実があったという所につきまして政令で指定していく、こういうふうに考えております。これは、現実に各地につきまして現在調べておるわけでございますが、従って、ここに八月三十一日といたしましたのは、七月の分が、大体一番おそいもので八月から九月にかかっておりますので、その辺の月を最初の月と指定いたしました。また愛知県におきます津島地区のごときは、来年にまたがるというような状況になっておりますので、三十五年の三月三十一日までと、その間に指定期日を、その地域の状況によりまして、大部分の所が休業状態にあるというような所につきまして、地域によって違うわけでございますから、地域ごとに指定していく、こういうふうに考えております。
 第六条は、待期に関する特例でございますが、これは現行の失業保険法で待期日数の七日というのがございますが、これは短期の失業につきましては、原則として現在の失業保険制度においては、これを補償するというような制度をとっておらないのでございますが、本特例法におきましても、現行の失業保険法によって実施するというわけでございますので、短期間――七日の間は失業保険の支給をしないということになるのでありまして、しかしながら、これを現行法のごとく、安定所に最初の求職の申し込みをした日からということになりますと、実情に適しないし、今回の場合、この求職の申し込みを要件としないということにいたしておりますので、この特例を設けた次第でございます。同時にまた、失業の認定、あるいは被保険者の資格の取得ということにつきましては、ただいま申し上げたと同様な方法で失業の本法施行後は、休業の確認を得られれば、従来の分については一括して失業保険の支給をする。それからその後におきましては二週間に一ぺん失業状態を確認して支給していく、こういうふうに現行法の一週同二回の認定、一週間一回の支払いというようなことにつきましての特例を設けてあるわけでございます。それから、ここまでは前回の場合と同様でございますが、ただ前回、二十八年の特例を設けましたとき以後におきまして、昭和三十年におきまして長期の継続雇用者につきましては給付期間を長くするというような措置を講じたわけでございます。五年以上につきましては二百十日、十年以上については二百七十日といったように、長期の雇用者につきましては失業給付期間を長くする。こういうことにいたしたのが三十年でございますが、今回の措置をとりました場合に、前回、二十八年の場合と同様でありますと、継続雇用者につきましてはその利益が失われるおそれがあるのでございます。それを救済して参りたいというのが九条の規定でございます。非常にやっかいな規定になっておりますが、大綱を申し上げますと、現在の失業保険の給付日数というのは、九カ月以下の場合には九十日でありまして、十カ月以上の場合が百八十日と、こういうことになっております。そこで、第九条におきまして、今回の場合におきましては、これをできるだけ有利に取り扱っていきたいということでございまして非常に短期な九カ月以下の雇用者を除きまして、十カ月以上離職とみなされる休業の人まで被保険者として同一事業主に雇用されておった者が、今度事業の再開によりまして再び前の事業所に雇用される。そうして十カ月以上被保険者として雇用された。それで、当然新たな失業保険の受給資格も得て、その後に離職した場合につきましては、この前の休業前の期間とあとの期間を一定の方式によって通算していく。従って、その前の期間がかりに三年くらいあった、一カ月くらい休業して、あと二年半くらいしてやめたという場合におきましては、本来ならば百八十日の給付日数になりますけれども、前のものと一定の方式で通算していくことによりまして、これが五年以上ということになりますので、この場合には二百十日を支給していく、こういうことになるわけでございます。そこで、この通算の場合に、第二項といたしまして、その場合には同じ一定の被保険者期間というものをただ通算いたしますと、給付の場合に二回使う、前の休業の場合に一回使い、あとの場合にもう一回使う。同じものが二回に計算される関係になりますので、今度の休業によって失業保険の支給を受けた日数十日について一月というものを前の被保険者期間から引いて計算する、こういうことにいたした次第でございます。三項は、これは第一項によりましてあとの雇用期間、再開してから九カ月以下で離職したという非常に短期の雇用になるわけでございますが、そういう人たちにつきましては、九カ月以下の場合は九十日しかもらえないということになります。通算いたしませんのでそういうことになるわけでございます。ただ、休業まで非常に長い期間同一事業主に雇用されていたということになる場合は不利になります。従いまして、その場合におきましては、前の受給資格、つまり五年以上その者がそこで休業までに雇用されておったという場合に、二百十日の給付期間があるわけでございますが、この二百十日の期間から、かりに三十日間今度の休業によって失業保険金をもらったという場合には、残りの百八十日間を、新しい離職のときに、その百八十日間だけもらえるようにしていきたい。通常ならばもらえない、あるいは九十日間程度しかもらえない場合があるわけでございます。この点の不利を救っていきたい、できるだけ有利にしていきたいというのが三項の規定でございます。
 第十条でございますが、これは通常の場合、現在のような災害がありまして事業所が休業する。外国等の例を見ますと、こういう場合にはレイ・オフということで、失業保険の適用を受けております。いわゆる一昨解雇であります。現在の失業保険法におきましても、運用上こうした例ができ得るわけでありますが、わが国の場合にそれを離職――解雇することによって雇用関係においていろいろ紛争が生じますので、こうした休業ということを失業とみなすという制度を特例としてこれを規定いたしたわけでございますが、今回の場合に、やはり非常に困るからすぐ失業保険金をもらいたいということで、再雇用条件づきで一時解雇ということでやってほしいという要望もあり、特に愛知、三重、岐阜地区においてそういう要望が強かったわけであります。そういう事実があったわけであります。それを今度はこれと全然別に見ていくということはいかがなものであろうかということで、この第十条におきましては、そういう形で一時解雇、これはほんとうの意味の解雇でございますが、解雇されて失業保険の給付をもらう人たちにつきましても、この休業の場合と同様な措置をとっていって、通算その他の措置を休業の場合と同様に認めるということが非常にごたごた書いてございますが――十条の内容でございます。二項につきましては、確認につきましては休業の場合と同様な方法をとる。三項は先ほどの三項と同様な規定でございます。
 あとは技術的な規定でございまして、審査の請求等につきましては、資格確認処分について不服のある者は、資格得喪確認の処分に対する不服の例による、あるいは時効の中断につきましては現行法をそのまま準用していくということになっておりますが、今回の場合におきまして、この法律が施行になるのは、すでにあるいはこういう事態が終わったか、あるいはその休業ということがもうすでに済んでしまっておる場合でございますので、この施行前の休業、離職について適用していくこととし、その方法は、一括して確認していくというような措置をとっておるわけでございます。
 非常に簡単でございますが、以上をもってこの大体の内容の御説明を申し上げました。
#53
○委員長(郡祐一君) ただいま補足説明を聴取しました失業保険特例法案と、先ほど来御質疑願っております失対事業に関する特別措置法案、両法案についての御質疑をお願いいたしたいと思います。
 なお、栗山君の先ほどの御要求のありました建設省の主管政府委員である鬼丸官房長が出席いたしておりますので、栗山君の御質疑をお願いいたしたいと思います。
#54
○栗山良夫君 先ほど、私、建設大臣に災害地向けの特殊技能者の派遣の問題についてお尋ねをいたしましたところが、大臣から、所管は労働省であるので、労働大臣とよく打ち合わせをして善処をしたいという御答弁がありましたので、ただいま労働大臣に、建設大臣からさような御相談がありましたかと言って伺ったところが、ないという話でありますが、一体どういうことになっておりますか。
#55
○政府委員(鬼丸勝之君) 先般の委員会におきまして建設大臣からお答え申し上げました伊勢湾台風による災害復旧工事に従事する技能者の動員の問題につきまして、あの委員会の直後、私どもといたしましては、労働省の雇用安定課長に、栗山委員からこういうお話の旨がありまして、建設大臣としてはこういう答えをしておりますが、よろしくお願いするという旨の事務的な連絡をいたしております。なお、その後も労働省の方とは緊密に御連絡を申し上げるべく努力はいたしておりますが……
#56
○栗山良夫君 労働省のどこと連絡をしたのですか。
#57
○政府委員(鬼丸勝之君) 労働省の雇用安定課でございます。
#58
○栗山良夫君 そうすると、雇用安定課長というのは、きょう来ておられるのですか。上司の方にはそういう報告はされていないそうでございますが……。局長はご存じないわけですか。
#59
○政府委員(百田正弘君) 実は、そういうことを含めまして、私が前々から指示しておりますので、本人は当然のことと思っておりますことと存じます。
#60
○栗山良夫君 いや、私は建設大臣に資料を要求してあるのですよ、資料要求を。そうして労働省として自主的にもちろんお考えになっておることは労働大臣から伺いましたが、それではどうも不十分だ、この際、何らかの将来の対策としても一つの機軸をこの部面に開いておく必要がありはしないかと、そういうことで発言をしておるのでありまして、そういう思いつきの軽い気持で発言したのじゃないのです。その点は、建設大臣がいきなり雇用安定課長に連絡をとる、そういうことがただ横の連絡上正しいものかどうか、そこにまず第一に疑問がありますね。官房長は、建設大臣の答弁でそういうものがあれば、少なくとも労働省の官房長に連絡をとるべきである、あるいは次官にとるべきである。いきなり雇用安定課長に連絡をとるというようなことをするから、問題が何か行政の事務的なささいな問題のように取り扱われてしまう。そういうところに少し問題が残っていると思うのです。
#61
○政府委員(鬼丸勝之君) 従来から建設省の仕事に関しまして、労働省の失業対策その他雇用安定上の問題がいろいろございまして、私どもといたしましては、従来も緊密に労働省事務当局と連絡して諸般の対策を考究しておるわけでございますが、今回の問題も、さっそくまずやはり事務当局として連絡をいたしまして、事務的に検討をする必要があると考えまして連絡をしたわけでございます。これはまあ必ずしも労働省の官房長、次官に直接連絡しなくても、事務的には取り運ぶものであるし、また、労働省においてもそのようにいろいろ考えておられるということを承知しておるわけでございます。
#62
○栗山良夫君 これは雇用安定の問題ではないのですよ、たまたま雇用安定課長の所管かもしれませんが。それで、私がお尋ねした意思について、官房長のお話で十二分に労働省に意思が通じて、そうして労働省はしかるべく善処をしておるであろう、こういう御答弁でありますから、しからば労働省にお尋ねいたします。私が建設大臣に私の意見を述べて善処をいたした内容は御承知かどうか、これを伺います。
#63
○政府委員(百田正弘君) この問題につきましては、私、先般も栗山先生からここで伺っておりましたので、その内容につきましては、これが単なる思いつきとか何とかいうのじゃなくて、当然、大工、左官、特に建設関係が不足するということで、組織的にと申しますか、そういうことで至急何らかの手配をしてもらいたい、こういう御趣旨のように承知いたしております。これにつきましては、われわれもそう考えておりましたし、全く同感であります。その点につきまして、現在におきまして一つ実施いたしておりますことも、ちょっと実施始めましたかどうですか、建築関係の職業訓練所につきましては、支障ない限りこうしたものが実習作業として実施可能であるというならば、これを直ちに一つそういう方面の一つの実習材料というとおかしゅうございますが、そういうことで教育資料にもなり、同時に災害地の復旧に一役買うだろうということで、やったらどうかということで、現在そういう手配もいたしておるような状況でございます。
#64
○栗山良夫君 それでは、まあそういう押し問答をしておってもしようがありませんから、具体的に今度労働省にお尋ねいたします。
 私が今非常に現地で困っておる事情をある程度まとめてみまするというと、各家庭々々においては、ふだんは大工、左官等とほとんど連絡というものがないわけです、実際問題として。ですから、もう軒並みに家庭がやられれば、一体だれに頼むか、頼む相手に困っちゃう。水道やガスなら向うに主体がありますから、すぐできますが、完全な町の自由職業ですから、これはどこに頼んでいいかわからない。頼みに行ったところへはたくさんの人が集中してしまうから、いつ来てくれるかわからない、こういう実態なんです。しかもそういう状態であるからこそ、日雇い賃金という言葉が適切かどうか知りませんが、日当ですか、これも非常にばらばらになってしまう。そうしてつり上げられる。材料の手配にしても材料の方は何とか手に入るが、さしあたって手間賃の問題。それで、水没しなかった地域、水没してもう排水が完了をして、壁その他の手当を、年末を控えてしなければならぬ。現に水没をまだしている、おそらく年内には排水が完了するでしょうが、そういう所は何とかしなければならない。そういう所が軒並みにあるわけですから、そこで技能者――そういう大工、左官の特殊技能者を何とかして計画的に災害地に集めて、そうして非常に困難なことでありますが、同時に多数の要望に早く沿えるようにする、そういうことが行政的に必要ではないかということを私は考えておる。そこで、そういうことには事実実施をどうしてやるかということになりますと、これは非常に困難な問題で、なかなかできない。たとえば電気会社が災害を受けたというので、東京なり関西なり、ある程度支配統制のきく労務者を大量に動員して、これを復旧させるとか、あるいは堤防のために自衛隊を動員するとか、そういうような格好にいかないわけです。そこで、これをやるただ一つの方法は、労働省が中心になられて、災害県の自治体とよく相談をせられて、そうして全国の、災害を受けなかった地域から何名かずつの特殊技能者を罹災地に派遣するように、そういうめんどうを見てほしい。それから罹災地の方では宿舎その他の用意をする。また受付の窓口を一つ作る。こうして最も効率的な作業のできるような計画を立てる。派遣地と、それから技能者のおられる所との往復の旅費の負担をどうするか、そういうようなことを、ある程度計画的に、迅速にやらなければいけない。そういうことを私は労働省にぜひやってもらいたいという意思を持っているのです。ところが、いつまでたってもそういう動きがなかなか出てこない。ですから、けさから私はやかましく言っているのです。そういう御意思があるかどうか。
 それからもう一つのやり方としては、日本には二十ぐらいの大土建会社があるのです。この大土建会社は全国的な組織を持っております。土建会社が動かし得る大工、左官等の技能者は相当の数おられるわけであります。これらはもちろん全国的な、たくさんの仕事をしておるでありましょうが、そういう人の影響力で罹災地に人を集めて、そうして県なり、市なりと話し合いをつけた一定の賃金でもって仕事をやる。そういうような態勢を、火急の場合には、やれないわけではない。やろうと思えば全然方法がないわけではありません。それをやってもらいたいと言うにもかかわらず、現に建設省は、今お聞きの通り、それから労働省の方も気づいてはおるというもののなかなか動き出しておらない。そこで、私はこの問題を、労働大臣のおられるところで、どうされるかを承っておきたい。特にこの問題は今回限りの問題ではなくて、こういう問題が、不幸でありますけれども、もし将来他の地区で起きた場合にも、直ちにそういう態勢で私は臨むべきじゃないか。一つの考え方として一ぺんやってみる必要がある。今度完全にいかなくても、一部でもやってみてほしい。そういうことを考えているのです。
#65
○政府委員(百田正弘君) 実は一つのあれといたしまして、さしあたり訓練所の訓練生の実習という形のもので、現在、岡崎の訓練所から三十人ばかり名古屋に行っておるわけであります。そこで、今お話のようなことにつきまして、たとえば、一番大事なことは、需要される方は、今お話のように個人の家もあれば、いろいろあるのでございます。従いまして、これを個々的な求人の受付をして、そうして紹介、連絡をしてやる。これは実際問題として非常に困難である。一番の問題は、現地における受け入れの態勢をどういうふうに作るか、ほかの地区から来る技能者との労働関係をどう持っていくか、労働条件をどうきめるかというようなこと、それもやはり強制というわけには参りませんけれども、その点がはっきりしておりませんと……。先般もその事例を一つ存じ上げておるわけでありますが、畳工がほしい。ところが、どのくらいの時局で、どのくらいの賃金で、いついかなるときまでそこにおらなければならぬのかということもわからぬというような不安な状態では、なかなかこの問題は解決しない。その点の組織化は必要である、といっても、動員するわけにも参りませんが、そうした形になれば、ある程度のことは可能ではないか。この点を実は先ほどお話のございましたように、雇用安定課長に現在計画を立てさせておるわけでございますが、労働省としてはそういう気持を持っておるということを申し上げておきます。
#66
○藤田藤太郎君 この法律で、休業という範囲についてもう少し詳しく御説明を願いたい。どういう状態とどういう状態……。この支給の範囲について、もう少し詳しく御説明願いたい。
#67
○政府委員(百田正弘君) この法律で休業と申しますのは、災害によりまして事業所の一部または全部が休止した、または廃止したということによって、労働者が働き得ない状態ということでございまして、災害に基因してと、こういうことになります。
#68
○藤田藤太郎君 その一つの例としてあげますと、災害によって事業が休止、廃止した場合に休業ということで保険の対象にされる、これは一つの問題だと思うのであります。それからもう一つが、たとえば事業が行われておっても、働く意思があっても、通勤のできないという人がある、こういう人は通勤ができなければ働く意思があっても働けないから賃金が入らない、収入がないということになるわけですが、こういう場合はどう見ておられますか。
#69
○政府委員(百田正弘君) これは私が先ほど補足説明で申し上げましたように、事業所が休廃止した、災害のために休業をした、事業所が休止された場合におきましては、労働者は働く場所を失うわけでございます、通常の場合におきまして。外国の事例を引くのはどうかと思いますが、そういう場合にはいわゆるレイ・オフということで、それは一時解雇というような性質のものになるわけでございます。しかしながらその場合に、先ほども申し上げましたように、わが国の場合に解雇という形をとるのは、あとが不安定だというようないろいろな問題もございますので、現実の状態としては、その働く場所がなくなっておる、これは失業と全く同一の状況でございますので、それを解雇という形をとらないでも、失業と同じものにして扱うのが適切ではないかというのがこの法律の趣旨でございます。従いまして、今お話しになりました交通機関の途絶等によるために行けないというのは、非常にこれはお気の毒な事例でございます。特に今回の場合、相当長い交通途絶等もあったようでございますが、しかしながらこの場合におきましては、事業所は存在し、かつまた仕事がなくなったわけじゃございませんので、われわれとしては、こういう場合には事業所は災害も受けておらぬのでございますので、そういう場合には、むしろその救済というものは事業所に期待していいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#70
○藤田藤太郎君 事業所が全然被害を受けなかった場合、それでその会社が、天災で通勤ができないから補償する、こういう場合は、私はいいと思うのですが、しかし、事業所自身も災害を受けて、何とかまあ再開をした、被害を受けながら再開をする、それでも通勤ができないということだったら、これは全然その会社の能力でその従業員を補償することができないということになってくると、非常にそこに働いておる人はお気の毒だと思うのですが、そういう場合に、やはり認定をして補償してあげるとか何とかしないと、私はやはり問題があるのじゃないかと思うのです。それからまた、たとえば事業所があって、災害地で部落または町内、こういうことで勤労奉仕とか復興、跡始末とか、そういうことで、それに出なければつき合いができないとか、生活ができないという環境の人がある、こういう場合も一つの例として取り上げられるのですけれども、こういう場合にはどうなるのか、こういういろいろの点が私はあると思うのです。単に会社が休業したとか廃止したとかいうことだけでなしに――これはそういうところへお出しになるというのですからいいのですけれども、そのほかに、私が申し上げましたような通勤の問題、それからある一定の期間この地元部落や町の復旧のためにどうしても出なければいかぬという人も、これは働けないから賃金がもらえない、こういうお気の毒な人が、愛知や三重のあの水没地帯には、そういう地帯がたくさんあるのじゃないか、こういう場合にはどういう考慮をお払いになるか。
#71
○政府委員(百田正弘君) 今、藤田先生からお話があったように、私は今度の災害の場合、いろいろなお気の毒な事例があろうかと存じます。従って、それらの人々に何らかの措置を講ずる必要があるかもしれませんが、現在の状況で、それらを全部それでは失業保険でかぶせてやっていくかということには、私は問題があろうと思う。やはり失業保険につきましては、失業保険のベースにのせて、そしてその間の休業というものを、事実上失業であるから、労働する意思があり能力があるが、働らく場所を失い、働らけないということでありますので、これを失業と見たということが、この法案の趣旨でございます。今おっしゃったようなことまで広げていくということになりますと、失業保険の上にのっけていくということは、少しあるいは無理じゃないかというふうに私は考えております。
#72
○藤田藤太郎君 そこで、少し議論になるのですけれども、失業保険というのは、やはり労働者、使用者、政府が三分の一ずつ出している財源なんです。だから、今お困りになっている方々に対して、その失業保険の財源がある、財源があるという言い方はなんですけれども、それを一時適用しようというのなら、本来言えば、建前としては来年度の予算で一般会計からこの支出分は補うという建前でなくてはいけない。で、罹災者を救済するという建前にこの方面からやるとすれば、そういう建前がとられなければならぬと思うのです。だからそういう罹災者を救済するという建前からいけば、単に休業、廃止ということだけでなしに、通勤のできない、または今言いました非常に少しの例でございますけれども、そういう方々の、働いておられたから救済するという概念を含めて、次年度の一般会計予算で補う、補給するということにいかなければいかぬ、そういう建前なら救済ができると思う。そういう考えはどうですか。
#73
○政府委員(百田正弘君) 失業保険制度は、御承知の通り三者の拠出の上に立っておりまして、常時その上に立ちましての保険経済が組み立てられ、その上のいろいろ原則があるわけでございます。失業保険が現在剰余金があるからということで、ここまで原則をはずしてまで失業保険で金があるから救済をしていくということとは、私は別個の問題じゃないかと考えております。
#74
○藤田藤太郎君 問題は、私は議論としては、今三分の一ずつ出している基金が六百億も失業保険の積み立てができた。今まで政府がおやりになっている考え方から言えば、六百億も金ができたから、今度は政府の拠出を四分の一にしよう、そういう考え方に流れてきたと思うのです。基金が、余裕財源が保険経済の上からできたら、それだけやはり失業保険の支給期間の延長であるとか、内容の改善ということにその基金がつぎ込まれるべき性質のものである。それを政府が三分の一のやつを四分の一に減らそうというような考え方で、今度六百億の中からお使いになる。緊急の事態ですから私もそれをあえて反対はいたしません。それでやむを得ないと思います。しかし、もしも基金がなければどうなるか。積立金が、保険経済のほかの一般失業の財源に満たされるだけで一ぱいであった場合には、こういう措置は私はとれないと思う。補正予算を組むかして、または何らかの格好でその失業者を救済するという特別の手を打たなければならぬという事態が私は出てくると思う。そうすると、やはり今の休業、廃止というばかりではなしに、実際にお困りになっている、働らく意思があっても働けないというような方々に対しては、共通なやはり被害者ですから、その方々を守っていくというところが本筋でなくてはならぬ。だから、もう一つ進めば、この失業保険の一時払いの金は、来年度の、次年度の予算からこの保険財政に差し入れるという建前を貫くなら、これは単に保険経済の面から、保険の法律のワクの中でやるからそこまでは無理だとおっしゃるなら、そういう概念に、災害対策という建前からいえば、私は進んでいい問題だと、そういう工合に思うのです。だから、その点大臣はどうお考えになっておるか、ちょっと聞いておきたい。
#75
○国務大臣(松野頼三君) 保険経済は、使用者と労務者と政府の、三者からなっておりまして、今日、幸い雇用関係が順調に進みましたから、今のところ、ある程度黒字を持っておりますが、年間やはり四百億から四百二、三十億という支出をした年もございますし、六百億というと非常に膨大のようでありますけれども、一たび経済事情が変わりますと、これは相当な大きな支出ということも予見されますので、なるべく失業保険というものはそういう安全な意味で、私は少し余ったからすぐ使うのだ、足らないからすぐ補給するのだということはなるべく避けて、公正な意味で安定をしていきたい。
 それからただいまの事例のお話ですが、当然それは使用者の方に、災害を受けておらなければ、それだけの余力がある。もちろん使用者と雇用者という二つの一体の立場ですから、雇用者の方が、労務者の方が災害を受けた、使用者の方が災害を受けないというならば、こういうときには、やさしい愛情をもってある程度のものは見ていただける、また日本中の者が義援金をつのっている今日ですから、幸い工場に災害を受けなかったという方で、その労務者が災害を受けた、二日休んだから直ちに賃金を切るのだというようなことは――これは法律的にはいろいろ議論もございましょうけれども、おそらく安定した今日では、やっていただけるのじゃなかろうか。どうしても困るのだというなら、一時離職という形をおとりになれば、今回の特例で保険の対象になりますけれども、まあそういうことをしなくても、おそらく災害を受けなかった工場の方はそういうことをやっていただけると思う。良識に期待しまして、どうしてもいやだというなら、一時離職という形をおとりになれば、今度の失業保険の対象になるのでありまして、なるべくその離職ということを抜きにして、私はこの災害を皆の気持でやっていただけるのじゃないかと、こういうふうに思います。この保険金の給付の問題は、これは大事なことでございますし、一応、中央審議会にも諮らなければならない問題でありますので、政府が独断でやるとすると相当大きな問題……。ただ、災害という緊急の問題だけに限って今回は特例というものを認めたわけで、もちろんいろいろな問題はございましょうけれども、一応大きな問題である失業保険の一時休業、あるいは一時離職というものを救えば、大部分の労務者の方はこれで救われるのじゃないか。個人的なものはどうするのだ、先ほど栗山委員からも御指摘のように、やはり労働金庫というものは個人融資の対象に今回はなるのだ、こういうふうに考えて、どれもこれも万全とは思いませんけれども、一応、大筋として政府は対策を立てた、こう考えております。
#76
○藤田藤太郎君 そうすると、通勤のできない方は一時離職ということで、この法律のあとにある通算ということを認める、こういうことになるわけですか。
#77
○政府委員(百田正弘君) これは一時離職の手続、つまりこの法律に書いてございますように、十条では、「災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより当該事業所に被保険者として雇用されている者が離職した場合」十条のかぶる範囲は、災害を受けたため、やむを得ず事業の休廃止で離職した、一時解雇になる、こういう場合でございます。そういう場合が通算の対象になる。今のお話の場合には、その場合に一時離職という手続をとった場合におきましては、その間は現実に働けない状態で離職であり、現実に働けないということであれば、失業保険の給付対象になりますけれども、十条に言う通算の対象にはならない、こういうことであります。
#78
○藤田藤太郎君 そうすると二カ月なら二カ月とまっておった。それは離職すれば失業保険がもらえるのは当然です。あとで通算がないというのは、あとで恩典がないわけですから、その二カ月間というものは、会社が支払わぬ限り、一銭も金が入らぬということになるわけですね。そういうことになりますね。今、大臣のお話を聞くと、大臣は、経営者は何とかあたたかい仕組みで見るだろう。それじゃその中の通勤ができないところは労働省がめんどうを見て、その給与は払わすということの約束ができるでしょうか。できない限りは、二カ月とか二カ月半の通勤――たとえば三重県と愛知県の名古屋市との間は、まあ通勤できないですからね。だからそういう意味からいったら、その問題が出て参ります。そうするとその通勤できない人は、二カ月とか二カ月半というものをどうするのかという問題が私は出てくると思う。そこのところ、どうなんですか。いずれその方々に対して、会社に支払へということで、労働省が補償さすということであれば、これは別でございますが、補償をさすと言ったって、期待をするぐらいじゃ……。そういう人がたくさんおいでになることを私は開いている。そういう処置をどうするのか、大臣に一つ。
#79
○国務大臣(松野頼三君) 工場が災害を受けた場合は一時離職ができますが、災害を全然受けなかった場合には、一時離職というものは通算というものが出て参りません。そういうときにおきましては、やはり使用者の方が当然被害を受けていないのですから、支払う能力がある。ただし、働かないからおれは金をやらないのだ。こういう形になりますので、法律的にはいろいろ議論がありますが、こういう際ですから、やはり良識を持っていただきたい。同時に、それだけじゃ困るという事例がございますので、職安及び基準局を通じまして、その事業者の方の御意思も聞かなければなりません、個人企業でありますから。私の方はその期間は何らかの処置をとってもらいたい。どうしてもおれは払うのはいやだという強い御意向があるならば、それじゃ一つその期間はこの方はどうするのだ。これは公共事業で吸収するとかあるいは失対で臨時的にしばらく見ていただくとか、これは今後も問題がございましょうけれども、職安及び労働基準局を通じまして、今事業者の方にはそういう方向で、私の方は話を進めていかなければならない、こう考えております。
#80
○藤田藤太郎君 問題は、休止、廃止の工場は、この法律が施行されたら遡及して一時一括払いをするということなんですね。だから工場が一つも災害を受けていない所もあるし、それからまた十分の一ぐらいの操業をする工場もあるでありましょう。それが一定期間雇用していくというような所もあることもございましょう。そういうものか通勤ができないからということで、公共事業とかというお話がございました。それはしかし先ほどの保険経済の金を支出するとか、一般会計からまかなうとかいう格好からくると、災害を受けてこういう悲惨な状態になられた人に対しては、もう少し幅を広げて私は救済をすべきじゃなかろうか。それでなければ、非常に気の毒な人がたくさん出ておる。
  もう一つ、先ほど栗山委員からお話がありましたが、そのときに労働金庫の問題がございました。一体労働金庫というのは、今の何と言ったって年末融資に、低利、長期の年末融資のようなああいう金を、相当な預託を労働金庫におやりになるというのならこれは別です。だけれども、労働金庫にはなるほど預金は余っております、余っておりますけれども、労働金庫の利子は高い。それじゃなかなか借りられない。そういう者に対して、あるいは一定の失業保険にも入らない人もございましょう、五人以下の所とか失業保険に入っていないような非常に困った方のために、私は労働金庫に相当な金を預託して、それを困った労働者や一般住民に貸すという処置が、さっそくとられなければならないと思うのです。先ほどお聞きしたら、五千万円を愛知に出したというお話がありましたけれども、どういう金か、内容についてはよくわかりません。そういう処置が、やはり困っている零細企業がつぶれて、そこで働いていた方にはそういう大胆な処置が講じられなければ、全部が救われるということにはならないと、私はそう思うのです。だからこの保険については、まだあと議論があると思いますけれども、ここのところは、私はやはり通勤ができないような人については、もう一度考え直すということでなければ、途絶のために通勤ができないで困っている人、片方では、会社が、あたたかいといいますか、支払いをしなさい、何とか見てやりなさいという行政は積極的にやってもらうと同時に、それからはずれた方については、やはり考え直すということでなければ私は困ると思う。この法律一本で、それで二カ月とか二カ月半の間は公共事業といったところで、そう簡単にあるものではありませんね。府県にはワクがあって失業、登録、適格云々というようなことから始まっていけば、相当な問題がたくさんあるのではないか。そういう問題、そういうことについて一つ考えてもらわなければならぬ、こう思うのです。
 それからもう一つは、今の失業保険の経済、それから失業保険のベースの中からこういう処置をとるのだから、待期の問題に触れられない――待期期間七日間ですか、六日間ですかにも触れられないということがあったわけです。地元のその日の生活に困っている人から見れば、大業保険という法律そのものはあっても……。特別に災害地域の労働者に対してこの失業保険の財源を捻出しようというのだから、やはりこの際大胆に、特例として待期期間をくずす、こういう考え方に立つべきじゃないか、また、そうしてもらいたいという非常に強い要請があるわけです。この点についてはどうですか。
#81
○国務大臣(松野頼三君) 失業保険は、御承知のように相当長期的な雇用者に対する長期的な安定ということが焦点になっております。失業保険の対象は、六カ月以上の勤続ということがまず第一条件であり、その上で将来九カ月までその保険金を給付するという、ある程度雇用の方も失業の方も安定した長期をねらっておりますので、一週間というものは考えてみれば、一方的に言えば長いかもしれないし、一方的には短いかもしれませんけれども、やはり一週間程度の待期日数がどうしても因るのだというよりも、これは災害の問題でありますから、長期的な方に重点を置くべきだ。日雇いにおきましても四日間という待期日数がやはりあるわけでございます。一日休んだから直ちに失業保険、翌日はまた働くというようなことでなしに、やはりある程度の将来の長い意味の給付ということを考えますと、一カ月のうちに一週間ということでございますから、私は必ずしも――長いといえば長いかもしれませんし、短いといえば短いかもしれませんが、そういうものがこの失業保険の立法の趣旨じゃなかろうか。それを生かす、現行法の上において今回の災害について特例を設けるということで、基本的に考えれば、やはりその趣旨は私はくずさなくても今回やれるのではなかろうか、こう考えております。
#82
○大倉精一君 関連して。今の藤田君の質問に対する答弁の中で、どうも私は大臣少し錯覚を起こしているのではないかという節がありますので、その点についてお尋ねしたいと思うのですけれども、通勤不能の者に対して経営者、事業者があたたかい気持でもってやるべきである、こういう御答弁があり、それに漏れた者に対しましては公共事業等によって吸収することを考える、こういう御答弁があった。ところがこの人々は、私も現地へ行ってみますというと、長い間相当の深さのある水の中につかっている人であって、通勤が不能なんです。そういう人々を公共事実に吸収するといっても、現場へどうやって行くのか。そういうこと、公共事業の現場まで行くことができれば、事業場へ行けるわけなんです。行けないから藤田君が非常に心配をして、そういう、事業者にしても支払いの意思がないという漏れた者に対しては、何らかの方法によってやはり考えるべきではないか、こういうことを言っておられるわけなんです。大臣が、そういう人は公共事業に行くのだと言ってみたところで行けないのだから、交通不能なのだから、そういう点に対して少し錯覚がおありになるように思いますので、私からも質問をしておきたいと思います。
#83
○国務大臣(松野頼三君) まあ災害でいろいろな場面も想定されましょうが、第一義的には、やはり事業者が被害を受けなかったということは、ある程度支払い能力が――過去において雇用されておるのですから、支払い能力はある、従って、当然そういう方には支払っていただける、こういう趣旨が第一義であって、いきなり払わなくていいのだというような法文をたてにとるには、あまり今回の災害は冷酷じゃなかろうかということで、そういう行政指導は、私どもの職安及び基準局を通じてやりたいというのが第一義的でしょう。どうしてもおれはいやだと言って頑強に拒否される方があるならば、それは雇用という関係はある程度薄らいで参りますので、それでは離職されるのか、こういうことになる。離職されるならば、公共事業で吸収する以外にないのじゃなかろうかという前提で、使用者が支払い能力があるのですから、あるというのは、被害を受けなかったという意味でありますから、使用者が被害を受けなかったのでありますから、放任ができない。お前は日当もやらぬぞ、こう言うのはあまり過酷じゃなかろうか。こういう行政指導を私たちはやって参りたい。まあ基準法とかいろんな法律をたてにとれば、雇用者が来なければやらなくてもいいということはあると思いますけれども、今回、すべて国中がこの災害に対して義援金をつのり、すべての国民が一生懸命やっているときに、工場が災害を受けなかったからといって、おれは払わないのだと言うのでは、あまり雇用者、使用者という労使一体の空気からいってもひどいじゃないか、そういう行政指導を私はやりたい、こういうことでありまして、特別に私は公共事業を強く言ったわけじゃございません。なるたけそういう者が出ないように、公平にやりたいという意味であります。どうぞその辺は、多少言葉が足りませんでしたが、つけ加えさしていただきます。
#84
○藤田藤太郎君 私は、きょうは法案説明に対する認識を深めるための質問ですから、いずれあらためてやりますけれども、私はここで少し明確にしておきたいのですけれども、今の、使用者が払わないでどうにもならなかった場合に、公共事業云々というのは、今、大倉委員からもお話がありましたように、非常に困難な問題でございまするから、これは積極的に雇用者にやる。漏れた方は、もう時間が相当過ぎておりますけれども、何らかの対策を講ずる。これは今のような話ですと、最後の段階の問題があいまいになっている。二回も答弁を承っておるが、あいまいなのです。問題は、だからその保険経済の中、保険の法の趣旨というものの中からいけば無理ができるというのだから、やはりこのような問題は、出したものは次年度一般会計から繰り入れる、こういう精神でいくならば無理ができてこないから、今のような問題は、私は、災害者を救済するという建前から処理できる。だから、そういう保険経済、保険に対して逃げ場を作らない、災害者を救済するという建前の筋を一本貫いてもらって、そしてそういうところで大胆にいけるというなら、保険経済の中でそれで処理をしていこうということで、われわれが理解できるならそれでいいですけれども、保険経済がたてになって処理ができないというなら、やはりあらゆる面における災害であるから、国の一般会計から繰り入れる。三者で出している金から出すのですから、それに無理があれば、一般会計から補てんをして、単に休止、廃止という問題ばかりじゃなしに、通勤の不能であるとか、または現地が、行きたくてもどうしても一週間とか二十日とか、地域の相互扶助的な従業関係でどうにもいかないというような、どうしてもどうにもならぬというような場合の処理であるとか、そういう問題をやはり考えてもらうために、そういう筋を、一つ大原則の問題を考え直していただけないかということを要望しておきます。
#85
○小平芳平君 先ほど御説明があったか、あるいはなかったか、ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですけれども、社会保障制度審議会からの答申がこの資料に載っておりますけれども、それには、全般的な災害対策の一環として考えるべきことであって、失業保険をこのように拡張援用することは非常におかしいというような趣旨の答申があるのですが、これに対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。それから、その費用は何らかの形で補てんするよう検討されたいとなっておりまするが、これは検討されていらっしゃるかどうかということ。それから、特にその次の、日雇い労働者及び五人未満の零細事業所の労働者、これが漏れるように思われますが、この救済の方法が立っているかどうか。以上です。
#86
○政府委員(百田正弘君) 社会保障制度審議会の答申といたしましては、今ちょうど藤田先生からお話しのような御議論があったわけでございまして、失業保険をこれに使うのは適当じゃない、むしろ一般会計でこういうものを支出すべきではなかろうかと、こういう御意見であります。従って、今これ自体については反対ではないけれども、これでやるならば、一般会計から、あとで使った分については繰り入れるように、こういう御答申の趣旨だと私たちは承知しております。そこで、そういたしますと、一つの所得の消失に対しまして、何らかこの災害に対して一般的なそうした制度を新しくここで作り出すということになるわけでございまするが、これは、まあわれわれの方といたしましては、前回の二十八年の災害の例に従いまして今回この処置をとったわけでございますので、この点につきましては、失業保険の特例としても、失業保険の根本原則を乱すものでもないと考えまするので、この原則におきまして、私、特にこれを一般会計から補てんしたりする必要はないのではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 第二点の、日雇い労働者の問題につきましては、特に労働省といたしましては、特別失対事業の方々でございまするが、災害によって安定所に出て来て働くということが困難であるというような実態でございましたので、これに対しましては、直ちに、実は愛知、三重、岐阜の三県につきまして早急に特別措置をとることにいたしまして、その間、十月四日まで出頭することのできなかった日数分の賃金相当額を補償するという形で、これをその後の出頭した場合における賃金に増給をするという形で実は措置いたしたわけでございます。それによりまして、三県におきまして合計一万三千七百円、四百二十万程度の特別の賃金増給措置をいたしたような次第でございます。
#87
○小平芳平君 一般会計で補てんする必要がないというのは、額が少いからというわけですか。
#88
○政府委員(百田正弘君) そういう意味合いじゃございませんので、これを特別会計に補てんするということになりますと、これは失業保険の会計を利用してそうした新しい制度を作ったことになる。失業保険でやるのはどうも適当でないのじゃないかというお考えが基礎に立っているわけでございますが、われわれがここに提案いたしましたことでございますれば、外国の例等にもございまするように、一つの例でございまするので、これを失業とみなして失業保険金を支給していくということは、これは、この場合でも、全部再雇用条件の中の一時解雇ということで処置していきますれば、九条、十条の特例だけがあればいいわけでございますので、ただ、この場合に解雇という措置をとることが、わが国の雇用、労使関係の現状から見て、わざわざそうしたことをとらせるのは不適当だということからして、休業というものは、現実に働く職場がないということでございますので、本来ならば、外国等の場合には、あるいは解雇という措置に出るかもしれませんが、そうした事態と同じでございますので、失業保険法のこの範囲でございますれば、失業保険法で持っていく。従いまして、失業保険の特別会計で措置していってしかるべきものであって、むろん一般会計から三分の一の負担はいたすわけでございますけれども、それ以上に特に負担する必要はないんじゃないか、こういうふうに考えております。
#89
○小平芳平君 そうすると、日雇い労働者の方はそういうふうになっていて五人未満の零細事業所は……。
#90
○政府委員(百田正弘君) 五人未満の零細事業所につきましては、これは現在五人未満の適用促進措置を講じておるのでございますが、五人未満につきまして、全部が全部は強制適用にはなっておらぬわけでありますが、これには失業保険を適用していくのは困難である、こういうふうに存じております。
#91
○小酒井義男君 一点だけお尋ねしておきたいのですが、第三条の休業の確認ですね、これに「災害を受けた政令で定める地域」というのがあるのですが、この「政令で定める地域」というのはどういう基準できめられるのか、いつごろきまるのか、お尋ねしたいと思います。
#92
○政府委員(百田正弘君) これは、七月、八月、九月の風水害によって、こういう事実があった所につきましてきめるわけでございます。従いまして、現在地方に照会いたしておりますが、具体的にそういう事実があれば、これは適用していきます。現在わかっておりますのは、新潟、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、京都、兵庫、奈良、和歌山、山口、福岡、これで大体十五万人くらいになると思いますが、これよりあるいはもう少しよけいになるかもしれません。落ちがあっちゃいかぬと思って、現在措置しております。
#93
○小酒井義男君 いわゆる問題になる例の地域指定が、ほかの災害等でも問題になっておりますね。ああいうものとは別に考えてやる、こういうことでございますね。
#94
○政府委員(百田正弘君) 全然別になります。ほかの指定地域の問題の、その地方団体の財政状況とかは、これはございません。全然別個でございます。
#95
○委員長(郡祐一君) 労働省関係二法案につきましては、なお質疑があるようでありますが、それは後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#96
○委員長(郡祐一君) なお、この際、予備審査で付託になりました衆議院議員提出の被災者援護に関する特別措置法案について、提案者から説明を聴取いたします。
#97
○衆議院議員(伊藤よし子君) 私は、発議者を代表して、日本社会党提出の昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案に関しまして、提案の理由及び内容のおもな点を御説明申し上げるものであります。
 言うまでもなく、去る九月に東海地方を襲った第十五号台風の被害は戦後最大のものであり、あらためて台風による災害の常襲地帯であるわが国の実情というものを考えさせられたわけであります。家、田畑など財産を流され、親兄弟、夫や妻に死なれていまだに生活に立ち上がることができず、日々を辛うじて過している人々は、今日なお多きを数えております。政府の出された資料を見ましても、七号、十四号、十五号の三つの台風によって受けた被害状況は、罹災世帯は実に四十万世帯をこえ、家屋の全壊、半壊、流失は十五万棟、床上および床下浸水に至っては、六十三万棟にも達しておるのであります。
 こうした気の毒な人々に対しましては、災害救助法が発動されまして、とりあえずのたき出しとか、被災者が雨露をしのぐ程度のことはなされております。また、各地の同胞からあたたかい救援物資が送られて、被災者の一部には配給されております。
 しかし災害救助法の建前を考えますと、これはもともと非常災害に対しての応急的な救助が目的でありまして、せいぜい、比較的富裕な自治体におきまして最低限度に必要ななべ、かまや当座の衣類が支給されている程度であります。この発動の期間も、十五号台風のように特に被害が甚大でかつ長期的な場合を除きましては、二週間なり三週間程度の短い期間に限られております。
 現実に災害救助法の適用されておる地域の実情を見ますと、法律に規定する程度のたとえば被服、寝具その他生活必需品の給与とか、医療や生業に必要な資金の給与とか、あるいは災害にかかった住宅の応急処理等は、ほとんど実施されていないようであります。確かに医療救護班で負傷程度の手当はしてもらえますが、水に長い時間浸ってかぜをひいたとか肺炎を起こしたとかということになれば、近所の医療機関で手当をしてもらわねばなりません。その費用はもちろん被災者負担であります。床上浸水で水の引いた後の家は壁がくずれ落ちて夜など寒くて寝られません。そこで家の周辺から板きれを拾ってきて、ともかくも破れた所に打ちつけ、寒さを防いでいると、もう災害救助法による住宅補償をやってもらえない。これが実情であります。生業に必要な資金の給与などというものは、ごく一部の例外を除いては、先ずないといってよろしいのであります。
 このように一、二の例を見て参りますと、災害救助法の運用というものが、全くその場しのぎの応急措置にとどまっていることがわかるのであります。これは、法そのものの建前が応急措置を目的とするものでありますから、やむを得ないといえばそれまででありますが、なお行政運用上の問題として大いに不備の存するところであります。
 私ども日本社会党としましては、こうした不備を是正するため、別途に災害救助法の改正を検討しているわけでありますが、ともかく災害救助法が、あくまで応急措置を目的とするものであり、被災者の立ち上がりのため何らかの措置をとり得るものでないこと、また現実にそのように運用されていないことは明白であります。
 しかし、被災者が現実に今求めているのは、痛ましい被災の跡から生活の再建に立ち上がることであり、そのための跳躍台であります。すなわち、風水害によって破壊された生活の基盤を、とりあえず最低限度、正常に戻すための必要な資金であります。
 災害地におきましては、各種法律の特別措置法が設けられまして、特に事業資金の融通については、たとえば被害中小企業に対する資金の融通等に関する特別措置法や農林漁業者等に対する天災融資法などの法的措置がございます。また、住宅につきましても特別ワクによる資金融通が行なわれております。
 その他、被災に伴う特別措置は数多くあるわけでございますが、これらの根本である被災者あるいは被災世帯の立ちあがりのための生活資金は、何ら考慮されていないのが現状であります。
 災害救助法が、このような意味で生活の再建を援護する任務にたえ得ないことはすでに述べた通りであります。もし、かかる事態を放置するならば、被災によって資産を失い、立ち上がる機会を失った人々の中には、ついには生活保護を受けざるを得ない立場に追い込まれる人も多々発生するであろうことは、火を見るより明らかであります。市町村の窓口では、世帯更生資金などの貸付ワクもあるわけでございますが、現実にこれら貸付資金の運用状況を見ますと、財源そのものが言うに足りないほど乏しい上に、保証人その他の貸付条件がきびしく、事務的にめんどうなため、何かと混雑した被災現地におきましてはほとんど用をなしていないのが現状であります。罹災証明書を持って役所に行けば、直ちに必要な資金の貸付なり何なりの措置が迅速にとられる、そういう機動的な行政の体制を、今、被災者は切実に望んでいるわけであります。
 従いまして、台風の甚大な被害が一般世論の批判と関心を喚起しておりますこの際、被災世帯の立ち上がりのための生活資金貸付、見舞金の支給、死亡者に対する弔慰金の支給、災害時の負傷、疾病の治療費についての国庫補助等を中心とする生活の援護と、自立更生のための特別措置が、ぜひとも必要であろうと思うのであります。
 これが本法律案を提案いたすおもな理由であります。
 次に内容の大綱を御説明申し上げます。
 第一に、本法の目的でありますが、これは右に述べました趣旨に基づきまして、被災者に対し必要な援護を行ない、かつ、新たな生活に再出発できるよう、その自立更生に資することを目的とすることを、はっきり明記いたしました。
 第二に、被災者の範囲でありますが、これは政令で被災地域を指定いたしましてその地域で風水害の被害を受けたものといたしました。この中には、本人あるいは当該世帯は直接被災しなくても、たとえば勤務先の会社、工場がつぶれて生活の方途を失ったような場合で、しかも失業保険制度の適用を受けていない場合を含むことにいたしました。
 第三に、生活資金といたしまして十万円をこえない範囲で、市町村が被災世帯及び前に述べましたような間接の被災で生活の方途を失った世帯に対し、貸付をすることができるようにいたしました。この際の貸付金は無利子とし、据置期間を貸付の日から起算して二年といたしまして、償還期間は据置期間を含みまして十二年以内といたしたのであります。問題は、生活資金の貸付を受ける資格でありますが、本法案の趣旨としましては、被災地の現状にかんがみ、原則として市町村の発行する罹災証明書の有無によって資格を定めることにいたしたのであります。
 第四に、この貸付に要する財源は、当該市町村において地方債を起こしまして、その地方債を国が資金運用部資金または簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金をもって全額まかなうことにいたしました。
 第五に、国は政令で基準を定めまして、地方債の毎年度分の利子に相当する額の利子補給金及び貸付金を貸し付けたことによって受けた損失の十分の九に相当する額の損失補償金を、当該市町村に交付することにいたしました。
 第六に、国は被害地域で風水害により被害を受けた世帯の世帯主に対し、政令で定める基準に従いまして、一律に三万円の見舞金を支給することにいたしました。
 第七に、国は、風水害によって死亡したものに対して一万円から三万円までの弔慰金を支給することにいたしました。この際、風水害によって負傷したり疾病にかかったりして、この法律の施行の日から起算して一カ月を経過する日までに死亡したものについても同様の扱いをすることにいたしております。
 第八に、風水害によって負傷したり疾病にかかったものが診療、手当、薬剤の支給を受けた場合は、厚生省令で基準を定めまして、患者が現に支払った自己負担分を国が肩がわりすることができるようにいたしました。ただし、この医療費支給期間は、本法律施行後六カ月の期間に限定いたしたのであります。
 第九に、見舞金、弔慰金及び医療費につきましては、被災者の最低限度の生活保持と自立更生のための費用でありますから、所得税の課税対象から除外したわけであります。
 最後に、生活保護との関係でありますが、弔慰金につきましては、生活保護における収入認定から除外し、併給できるような行政措置を講ずべきであります。見舞金につきましても、第一条の目的にいう被災者の自立更生に資するための最低限度の費用でありますから、生活保護法の自立助長の趣旨に合致するわけであり、当然併給とすべき性質のものであります。従いまして、これも併給できるよう行政措置を講ずべきであります。
 以上で本法律案の大綱の説明を終わりますが、最後に一言だけ申し上げたいことがございます。
 それは、たとえいかなるよい法律ができても、その法律を運用する行政機関と行政担当者に本当に被災者の身になって考えるあたたかい心とそれに伴う予算の裏づけがない限り、せっかくの法律上の条文が空文に終わることがあるということであります。現に、私が先ほど例をあげて述べましたように、災害救助法が発動されましても、救助の実態を見ますと、法律で明記されている水準から、なおほど遠いのであります。また、生活の援護に関係の深い生活保護法の運用を見ましても、災害など急迫時の適用条件緩和を規定する第四条三項は、現実の運用の面ではいかようにも幅広く解釈できるのでありまして、この法律の効果いかんは、かかって中央から地方にわたる行政担当者の意思と心にあるのであります。
 本法律案の提案に当たりまして、特にこの点を御指摘申し上げ、行政府のあたたかい措置と指導をお願い申し上げる次第であります。
 何とぞ、十分な御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
#98
○委員長(郡祐一君) 以上で提案理由の説明を終わります。本案の審議は、これを後日に譲りたいと思います。次回は……
#99
○小酒井義男君 ちょっと速記を……。
#100
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#101
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
 ただいま聴取いたしました説明につきまして、説明者より申し出の点があるように存じますので、説明者から申し出のありました際には、委員長において若干速記録に訂正を加える点を御了承いただきたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認め、さように取り計らいます。
 次回は明十一日午後一時から開会し、文部省関係の法律案について補足説明を聴取し、質疑を行ない、時間の状況によりましては、引き続き厚生省関係の法律案について同様に審議することにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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