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#1
第033回国会 農林水産委員会 第3号
昭和三十四年十一月六日(金曜日)
   午後一時三十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀本 宜実君
   理事
           櫻井 志郎君
           仲原 善一君
           森 八三一君
   委員
           青田源太郎君
           秋山俊一郎君
           岡村文四郎君
           重政 庸徳君
           藤野 繁雄君
           北村  暢君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           千田  正君
           北條 雋八君
           棚橋 小虎君
  委員外議員
           矢嶋 三義君
  政府委員
   水産庁長官代理 高橋 泰彦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   経済企画庁調整
   局参事官    高尾 文知君
   外務省経済局次
   長       高野 藤吉君
   厚生省公衆衛生
  局食品衛生課長  高野 武悦君
   食糧庁業務第二
   部長      村田 豊三君
   通商産業省企業
  局工業用水課長  藤岡 大信君
   通商産業省軽工
   業局軽工業課長
   補佐      代永 久寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査の件
 (国際小麦協定に関する件)
 (水俣湾における漁業問題に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 国際小麦協定の件を議題にいたします。
 去る十月三十一日、内閣から、千九百五十九年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件が提出され、外務委員会に提出されておるのであります。わが食糧政策上、当委員会においても、この際政府当同から説明を聞き御検討を願うことにいたした次第であります。まず当局の説明を求めます。
 なお、この件について政府から出席は、外務省経済同次長所野藤吉君、外務省条約局国際協定課長根本博君、農林省振興局普及部長江川了君、食糧庁業務第二部長村田豊三君であります。
#3
○説明員(高野藤吉君) 今回の国際小麦協定につきまして簡単に経緯を御説明申し上げます。
 御案内の通り、本協定は、ことしの今回の改定は四回目でございます。第一回が一九四九年、それから五二年、それから五六年、今度は四回目の改定になりまして、この春ジュネーブで改定の会議がございまして、妥結いたしまして、七月十六日までに受諾の意思を表明し加入する予定になっておりましたが、各国の国内事情によりまして、十二月一日までに正式の加入を申し込めばいいということで、臨時国会でございますが、政府といたしまして御承認を得るように提出いたした次第であります。
 それから今回の案のおもな改定された内容を簡単に申し上げますと、第一に、最高価格が今まで一ブッシェル二ドルだったのが一ドル九十セントに下がった。それから今までの内容は、輸入関が一定の量の買付義務量を数量で規定されておりましたのですが、今回の改定におきまして、各国ともパーセンテージということになりまして弾力性を持たしたという点が大きな点。それから今までは脱退の規定がなかったのを、各国が自分が不満と思えば、ある条件のもとに脱退できるという点が、また一つの弾力性が持ち得た。それから第四番目といたしまして、今までイギリスが入っておりませんでしたが、今回の協定におきまして、第一の輸入国であるイギリスがこの協定に入りまして、この国際小麦協定も非常にしっかりしたものになったというのがおもな内容でございます。輸入国としての日本の立場から申し上げますると、毎年二百万トンずつ輸入しておりますが、今回の協定におきまして、日本は従来百万トンの義務量でございましたが、これを五〇%というパーセンテージで表わしまして、そのパーセンテージも、要するに年度の終わりに輸入をした全輸入額の五〇%でいいということでありまして、たとえば二百万トンが百八十万トンしか輸入しないということになれば、今まで義務量が百万トンであったが、パーセンテージになりますと、総輸入額が少なくなりまして、従って、それだけ義務が減る、百八十万トンが九十万トンになる、そういう弾力性ができたわけでございます。今回の協定は輸入国といたしまして非常にまあ有利に改定されたという点で、今回も日本としてはぜひ入りたいということで皆さまの御承認を得たいと考えた次第でございます。
 以上簡単でございますが、経緯と内容をちょっと御説明申し上げました。
#4
○委員長(堀本宜実君) ただいまの説明に対し御質疑の向きは、御質疑をお願いします。
#5
○櫻井志郎君 少し詳しい説明をしてもらいたい。
#6
○説明員(村田豊三君) お手元に資料をお配り申し上げておりますので、資料につきまして若干補足的な御説明を申し上げたいと存じます。
 資料の第一ページは、最近の小麦の国際小麦協定並びに非協定別の国別輸入数量及び買付価格を御参考までに提示したものでございます。三十一協定年度、三十二協定年度、三十三協定年度別にわが国の総輸入量が一番左の欄に載っております。それに対しまする輸出国別の、国別の輸出数量、さらに、それを協定によるものと、しからざるものとの区別をいたしまして、そこに載せておるような次第であります。もちろん、ここにあがっておりますのは、旧協定の時代の輸入実績でございます。ただいまお諮りいたしておりまする新協定のものとは内容的にはもちろん違うものでございまするが、過去においてどういう傾向をたどっておるかということをこれで御了承いただけるかと存じます。同様に、次の欄にありまする買付価格につきましても、これによって傾向が把握していただけるのではないかと存じます。
 それから次の第二ページに国際小麦協定の推移と現状という資料を掲げてございますが、これは、ただいま外務省の高野次長から御説明のあった通りでございます。特にこの説明の後半にございますように、これは御参考までに朗読してみますと「よって一九五九年協定更新にあたって協定加盟国間の取引量の増加拡大を企図し、従来の保険的な制度を改め輸入国は商業輸入量の一定割合」、これがただいま次長から説明のありましたように、わが国はこれを五〇%というふうにパーセントで、従来の旧協定では百万トンという数量で表わしておりましたのをパーセントに変更いたした点であります。一定割合を協定最低価格以上、協定最高価格未満で輸入する義務を持つ、協定上の義務はこれがその最たるものでございます。「市場価格が協定最高価格を上廻った場合には輸入国は過去の一定年度間における加盟輸出国からの商業輸入量の平均数量まで、協定最高価格で、輸入しうる権利を有する権利」を持っておる、従って、価格が非常に高くなりましても、一定数量だけは、国際小麦協定で定めております最高価格で輸入が確保できるという権利を持っているという仕組みに改められた次第であります。わが国は、一九五一年八月一日から保証数量五十万トンで、一九四九年協定に加盟し、その後一九五三年協定において保証数量を、先ほど申しました百万トンに増加し、以来、西ドイツに次ぐ大量輸入国として協定の運営に貢献してきたのであります。一九五九年協定については、本年の四月二十三日に協定に署名した。六月二十二日に国会の承認を受けることを条件として加盟する意思のある旨を通告を行なっているというのが現状でございます。
#7
○北村暢君 一つお伺いしますが、従来の小麦協定に参加しておって、この協定最高価格の、何といいますか、協定による恩恵をこうむったという効果、これは過去どんな工合になっているのでしょうか、お知らせ願いたい。
#8
○説明員(村田豊三君) お手元にお配りしてあります資料の第一ページ左側に、買付価格がそこに載っております。過去におきまする買付価格、それからただいま調査室の方からお配りを申し上げております「世界主要国の小麦価格」というのもございますが、あわせごらんをいただきたいと思うのでございますが、この買付価格をごらんいただきますように、国際小麦協定で最高価格をきめております。現実にはその額を突破しているという国防価格は、この年間においては出ておりません。従いまして、具体的に、ただいま御指摘のありますように、この協定によって、なるほど権利が義務づけられてはおりまするけれども、その権利が具体的に援用されたという事例は過去においてはございません。そういう事情でございます。
#9
○北村暢君 そうしますとね、国際的に小麦は今、相当生産が過剰になっている、そういうようなことからすれば、最低の価格で五〇%ですか、輸入しなければならない義務を負っているわけでしょう。でありますから、そういう義務の方が、輸入の方の義務の方だけ負う形が出てくるのじゃないか。この協定に参加する利益というものが、義務だけ受けて、権利の、そういう国際的な小麦の過剰の状況において、この協定に参加している意義というものが、生産国に対する利益になって、輸入国に対する利益がどの程度になるのか、そこら辺のところが過去の例からいってどうなっておるか御説明願いたい。
#10
○説明員(高野藤吉君) 今、御指摘のございましたように、小麦はある程度だぶついてきており、最高価格によって輸入国が利益を受けるプロバビリティよりも、値段が下がって、輸入国の義務づけられる方が多いのじゃないかという御質問はごもっともでございますが、この協定は、世界の自由主義陣営、世界のほとんど各国が入っておりまして、日本だけが抜けがけして得するかと申しますと、逆に結局、協定国から買うという建前で、抜けがけで、非常に下がった場合、下がった値段で買えるかということは非常に疑問に思っております。
 それから第二点としまして、協定国以外から買えるかと申しますと、現在ソ連と中共がございますが、これは、ソ連は東欧諸国に輸出しておりますが、それ以上の日本の需要に応ずるような輸出能力はございません。そういう状態と、第三点には、今後どういうことになってまた上がるとも限らない。そういう保険的な意味におきまして、結局、本協定は、生産国と消費国との相互の利益の妥協ででき上がったもので、現状におきましては、そういう利益が少ないかもわかりませんが、保険的意味におきまして、これに入っているということが有利であると政府は判断しておる次第でございます。
#11
○櫻井志郎君 多少今の御質問と関連もするのでありますし、また、ただいま資料をもらったので、まだよく内容を承知しないで質問するわけでありますが、一九四九年の協定を見ますと、最低だけを見ていきますと、初年度は一ドル五十セント、漸次下がって、四年度、つまり一九五二年になりますか、が一ドル二十セントにまで下がっておる。翌年の協定が、一躍最低価格が一ドル五十五セント、五六年あるいは王九年という順序で、結局少し、五セントばかり下がっておる。そういう趨勢にあるわけですが、世界の小麦事情からいうならば、やはり生産過剰という問題が一つあるのであります。そこで、今度三年間据え置きで、最低価格一ドル五十セントときめた、こういうことの何か根拠があるのかどうかということが第一点。
 それから一ドル五十セントというのは、輸出国の倉庫渡しですか、価格基準がどの価格基準になっておるか、それから加盟国各国ともが、同じ条件下においては同じ協定価格になっておるか、以上お答え願いたい。
#12
○説明員(高野藤吉君) 今回の協定の改定の際におきましても、最高価格を下げるばかりでなく、最低価格を下げるということを日本も強力に主張したのでありますが、結局、そのあれは通りませんで、その理由は、この協定が、需給一ドル五十よりも、協定期間中には、大体それ以下には下がらないだろうという見通しの国が多かったという事情で、昇低価格が下げられずに、最高価格だけが下げられた次第でございます。
 それから第二点の価格の算定でございますが、これはカナダのマニトバ第一号を基底といたしまして、輸出銘柄によりまして、これが大体一番いい小麦といたしまして、その銘柄によりまして各輸出国の倉庫渡しの価格を基準として、一つ一つきめるわけでございます。
 それから第三点の御質問は……。
#13
○北村暢君 私の第三点は、たとえば最低価格の一ドル五十セントというのは日本だけに対して、つまり各国それぞれ輸入国の立場でいえば、各国多少の価格の異同があるのか、あるいはどこに対しても同じ最低価格であるかという意味でお聞きしたわけであります。
#14
○説明員(高野藤吉君) それは国別に大体一つの銘柄で、そういうふうに最低価格がきまれば、国によって差異はないということでございます。
#15
○北村暢君 ちょっとお伺いしたいのですが、資料にある輸入数量、過去における輸入数量は、協定によるものと協定によらないものと、ずっと見てみると、やや半分ぐらいづつ、協定によるものと協定によらないものを輸入されているようですが、その協定によるものとよらないものとの輸入価格、買付価格は一体どういうふうになっているのか、協定によるものは高くなっておるのか、協定によらないものが安くなっているのか、そこのところをちょっと御説明願いたい。
#16
○説明員(村田豊三君) ここに資料として仕分けをしておりますのは、総輸入数量のうち、協定によるものの数量が幾らか、協定によらない輸入数量が幾らかという仕分けをしているのでございます。従って、年間輸出国の内訳でごらんいただきますように、たとえばアメリカは協定によるものが五十八万八千トン、三十一協定年度にはあります。それから協定によらないものが七十三万二千トンというふうに分かれておりますが、価格はいずれも同一条件でございます
#17
○北村暢君 そうしますと、これは協定によるものとよらないものと、こういうふうに輸入ができて、価格が同一だということになるというと、この協定に入っていることの利益ということが、あまりはっきりしないのですがね、どうなんですか、そこの点は。
#18
○説明員(村田豊三君) さしあたり、当面非常に国際的に小麦価格の変動が激しいようなときは別といたしまして、一般的には、すなわち、正常に国際的な価格が維持されているようなときには、御指摘のように、直接当面の何といいますか、受益というものは直接には現われてこない、御指摘の通りだと思います。ただし、過去においてもそういう事例もあったのでございますが、かなり輸出国の作柄であるとか、あるいは国際的な変動要素であるとかというようなことがございまして、一たん価格に異常な変動があった場合には、一種の保険的な措置といたしまして、その際も安心して一定数量は一定価格で確保できるという趣旨の協定で、もともと協定の本旨そのものがやはりそういう趣旨の協定になっておるわけです。
#19
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(堀本宜実君) 水俣湾の漁業問題の件を議題にいたします。
 かねて熊本県水俣湾沿岸に奇病が発生し、水俣病と称せられ、これは水俣湾において漁獲された魚類を食用することによって発病するといわれ、そのため漁民が困窮し、最近は乱闘事件さえ引き起こされ、また、その原因について熊本大学医学部の諸説が伝えられておりますので、この問題に対する政府当局の見解及びこれが処置等について説明を求むることにいたしました。まず、当局の説明を求めます。
#21
○政府委員(高橋泰彦君) それでは水俣病につきましての従来の経過を概略御説明を申し上げます。
 昭和三十一年五月ごろから熊本県水俣市の漁民部落におきまして、中枢神経障害をおもな症状といたしまする原因不明の疾患が続出いたしました。この病気は昭和二十八、九年ごろから徴候があった模様でございますが、届出によりましてはっきりいたしましたのが、昭和三十一年ごろからでございます。この症状はきわめて悲惨でありまして、死亡率も従来の実績を見ますると三〇%をこえておりますし、幸い死亡を免れた方々も小児麻痺と同じような症状を呈しまして、きわめて憂慮すべき状況でございました。従いまして、まず、この奇病の対策といたしましては、厚生省が中心になりまして、原因の究明の開始に当たったわけでございまするが、中央におきましては水俣奇病対策連絡協議会、熊本県には、水俣奇病総合研究連絡協議会というのをそれぞれ設けまして、原因の究明に当たったわけでございます。その結果、この奇病の原因は、水俣湾に産しまする魚及び貝類を多量に食べるということによる食中毒の一種だということが判明して参りました。従いまして、漁家に発病率の多いのは、貧困な漁家が湾内でとった魚をほかの住民よりも多量に摂取するというようなことも漸次判明して参ったのでございます。
 なお、この原因となる一体物質は何かということにつきましても、引き続き厚生省を中心として研究が進められておるわけでございまするが、そのほか、それぞれの必要な治療対策及び更生援護措置も、厚生省を中心に進められて参ったのでございます。
 なお、漁業対策といたしましては、これらの魚が水俣湾でとられるということから、湾外の魚をとるように漁場を転換させる必要があるんじゃないかということを中心にいたしまして、沿岸漁業振興費の中から、三十二年度及び三十三年度におきまして、それぞれの国庫補助金を支出いたしまして、湾外に魚のつくいそを作るというようなことで今日に来たわけでございます。
 なお、昭和三十二年ごろ、一時これらの発病がなかったわけでございまするが、さらに最近新しい患者が出て参りましたわけでございまして、さらに問題が深刻化してきたようでございます。今日までの患者数を申し上げますと、昭和二十八年から現在までを通算いたしまして七十六名でございまして、うち、死亡者が二十九名、現在なお治療を継続しておる者三十四名、ほぼなおったかと思われる者がわずか十三名でございます。
 最近、最近と申しましても、本年の十月の六日の発表でございまするが、従来からこの研究に――原因の究明に参加されておりました熊本医科大学の研究班は、中間報告といたしまして、本年の十月の六日の発表によりますと、原因の物質が有機水銀ではないか、そう考えるのが非常に有力であろう、まだ断定はできないにしても、ほぼ有機水銀ではないかという御趣旨の発表がございました。従いまして、この有機水銀ということに相なりますると、この水俣市にございます新日本窒素肥料株式会社の水俣工場から相当水銀の排出がございまするので、これらの原因ではないかというような話が出て参ったわけでございまするが、しかし、この工場が直接の原因であるかどうかということにつきましては、工場側はただいまのところ、まだ否定的な見解を発表いたしております。いずれにいたしましても、そこら辺の原因が判明いたさないにいたしましても、現実に水俣湾でとれまする魚類並びに貝類を多量に摂取いたしますと、このおそろしい病状を呈することは、これは明らかでございますので、従いまして、この地元漁民は魚を売ることもできませず、かなり困窮している模様でございます。
 なお、以上のような概略の経過でございますが、私どもといたしましては、従来この発病が漸次拡大する傾向が最近明らかとなりましたので、従来の協力のほか、一そう水産の研究機関を通しまして、この原因の究明に今後とも御協力申し上げたいというふうにえている次第でございます。
 なお、対策でございまするが、三十二年及び三十三年度においても、ただいま説明申し上げましたような施策をとって参りましたけれども、三十二年及び三十三年において作りましたそのいその所が、また現在の調査によりますと、相当あぶない場所となってしまいましたので、従来のやり方では不十分であるということが明らかになりましたので、今年度はさらにもっと被害の少ない、できますれば湾外の遠い場所へのある種の漁場転換的な施策を考えざるを得ないというふうに思いますので、ただいま熊木県の御当局と、そこら辺の関係を打ち合わせて、三十四年度においても必要な対策をさしあたりの対策として考えたい所存でございます。しかしながら、拡大しておりまする現状からいいますと、このような対策ではあるいは不十分かとも思いますので、その点につきましては、なお実情を調査した上で、必要な対策を講じたい所存でございます。
 以上が従来の経過の概略とただいまとっておりまする対策の概略の御説明でございます。
#22
○委員長(堀本宜実君) ただいまの説明に対し御質疑の向きは御質疑を願います。
 なお、本件について当局からの出席は、水産庁長官代理水産庁次長高橋君、厚生省公衆衛生局環境衛生部食品衛生課長高野君、通商産業省企業局工業用水課長藤岡君、通商産業省軽工業局化学肥料第二裸高田君外一名でございます。
#23
○秋山俊一郎君 ただいま水俣病につきましては、かなり前、数年、あるいは二十七、八年ごろからでございますか、ただいまの説明にもありましたように、奇病の現象が現われてきておったのでありますが、漸次それが拡大されて、ただいまの説明にもありましたように、七十六名というような患者が発生した。これがために、水俣付近の魚というものが非常に危険視されてきたということも伝えられているところでありますが、最近に至たりまして、新聞によりますと、漁民手数百名が工場に抑しかけて、相当荒っぽいことをやったというような事実も承わっております。そこで、これらの原因につきましては、今の説明によりますと、熊本医大で研究班を設けて研究をしておると、そうして最近無機水銀が魚あるいは貝類の体の中へ入って有機水銀に変化する、これを食った者がその奇病にかかるといったようなことが発表されたようでございます。これにつきまして、水産庁ではいろいろ今後研究するということでありますが、厚生省ではこの原因の探求についてどういう処置をとっておられますか、まず第一点、それを厚生省から伺いたい。
#24
○説明員(高野武悦君) ただいまの御質問、要するに厚生省は原因追求についてどういうことをしているかという御質問だと思います。これは、私たちは初めに、先ほど御説明にもございました通り、昭和三十一年のころは伝染病ではないかというようなことから、日本脳炎と疑いまして、いろいろ研究をして参ったわけであります。その年の暮れになりまして、どうも重金属によるものではないかというようなことになりまして、昭和三十二年の当初から、その三十一年の暮れに、抗生科学研究費というのが私どもの方にあるのでございますが、その経費を特別に取りまして研究を始めたわけであります。大体予算関係で申しますと、抗生科学の研究費は、昭和三十一年に十七万、昭和三十二年に五十万、昭和三十三年三十万、計九十七万でございまして、昭和三十三年、去年の十月ごろになりまして、この問題の原因が早急に究明されなければならないということから、予備金要求をいたしまして、行政費として、原因究明に百万円をいただいたわけであります。本年も同様に百万円をいただいております。現在までに研究に要した経費は、国として二百九十七万円、厚生省関係だけでございますが、出しております。私たちの研究の機構といたしましては、大臣の諮問機関である食品衛生調査会というのがございます。その部会として水俣食中毒部会というのを特に作りまして、それは現地に当時おられました鰐淵熊大学長を班長といたしております。そして原因を水産学、地質学の方面まで広く多角的に研究せよというようなことで、いろいろなそういう面の方に中へ入っていただきまして、現在までその食中毒部会が中心になって調査研究を行なっているわけでございます。去る十月の六日に私どもの方で常任委員会を開催いたしまして、現在は学長ではございませんが、その鰐淵班長にこちらに来ていただいて、常任委員会で十分検討を加えたわけであります。その結果、大体有機水銀化合物が疑われるというような段階で、相当その場でディスカッションが行なわれたわけでありますが、約一カ月おいて、もう一度皆さん集まって討議しようというようなことで、その場は別れたわけであります。ほんとうにそれこそ近日中でございますが、ただいま予定していますのは、十二日の予定でございますが、十二日の日に再度食品衛生調査会常任委員会を開催いたしまして、なおこの問題について確認いたしたいということで、努力を続けております。ただいまのところ、先ほど御説明がありましたように、水俣病は水俣湾近辺の一定水域において漁獲された魚介類を多量に摂食することによって起こる病気である、そしてその魚介類中の有毒物質は、おおむね有機水銀化合物と考えられること、ということまではきているのでございます。
 非常に簡単でございますが、経費面と機構と、現在の結論を申し上げたような次第でございます。
#25
○秋山俊一郎君 そういたしますと、かねがねあそこにあります新日本窒素肥料株式会社の工場から排出するところの廃水の中にそれが含まれておると、前にはマンガンであるとか、いろんなものが有害物質であろうということがいわれておったが、最近有機水銀であるということに大体わかってきたというお話でありますが、その工場廃水との関係はどういうふうにごらんになっておるか。
#26
○説明員(高野武悦君) 私の方では、人間がどうしてその病気になるかということを主体的に研究をし、同時に、魚がどうして有毒化するかということを主体に研究しております。そしてこの問題は、ちょうど先般衆議院の視察団が参りましたとき私もお伴して参ったわけでありますが、この問題につきましては、通産省側、水産庁側、厚生省側が一致して研究しなければその結論までは持っていけるかどうか疑問である、と申しますのは、工場で排水しているのは無機水銀である、私の方で問題にしていますのは有機水銀である、どこでそれが有毒化するかという疑点がわからない以上は、答えは工場であるというふうに私の方で申し上げることは現在控えているわけでございます。
#27
○秋山俊一郎君 かねがねこの工場側と漁民側とは廃水をめぐって確執といいますか、トラブルが起こっておったようであります。従いまして、工場としても、聞くところによると、その廃水の浄化装置を急いでおるということでございますが、そういうことは工場側においてもある程度浄化装置をする必要がある、これが漁業に影響するということを認めておるようなふうにも受け取られるのでございますが、その点はどういうふうに見ておられますか。
#28
○説明員(藤岡大信君) その点につきましては、おっしやる通り、一般的に考えますとそのように考えられますが、工場側といたしましては、従来いろんな疑惑を持たれておって、それがために漁民との感情的な問題が起こるということを解消するために、社会不安といいますか、そういう不安を除くために、水質改善の処理をする装置を作るということで、これは地元の漁民の方もその点を御了解なすっておるわけでございます。除害装置と申しましても、現在害があるかないかということについてもきまっていないんでございますけれども、それでは工場廃水であるかもしれないという不安を除くわけには参らない。この不安を除くためには、処理装置を早急に作って社会不安をなくしたいということでやっておるわけでございます。通産省におきましては、軽工業局長が会社の社長をじきじき呼びまして、その点をさらに進めるようにということで、できるだけ早い機会にその完成を期するように、そうして一刻も早く社会不安をなくするようにということを行政指導いたしまして、その完成を急いでおるわけであります。大体以上であります。
#29
○秋山俊一郎君 そうしますと、その浄化装置はいつごろ完成するお見込みですか。
#30
○説明員(藤岡大信君) 聞きますところによりますと、大体初め計画いたしましたのは、来年三月末完成ということで計画をいたしたのでございますが、そういうことでは、現在そういう不安な状態になっておるのに軽工業局としても忍ぶわけには参らないというわけで、軽工業局長が少なくとも十二月末ないしは一月までには何とか完成するように努力しろ――これは請負に出しておりますので、請負の納期が問題でありますが、その納期を何とか早くして年内あるいは一月くらいには完成するように努力せよというように行政指導をいたしております。社長はそれを了解して帰っております。
#31
○秋山俊一郎君 ただいまの厚生省のお話によりますと、まだこのいわゆる有機水銀というものが工場廃水によるものかどうか確認されない、これを急いでどこから出て来るかその原因を突きとめなきゃならぬということで研究を進めるということでありますが、そうなりますと、問題はまだ一向解決のめどには進んで来ないようでありますけれども、かりに工場廃水がその遠因なり、あるいは近因をなしておるといたしました場合に、私どもしろうとから考えまして、この窒素工場と同じような仕事をしておる工場が全国には相当数あるのじゃないかと思うのですが、同じような成分の廃水を出しておる工場はどれくらいございますか、そしてどこにございますか。これは通産省か厚生省ですか。なお、それらの工場の廃水によって同様のいろいろな病気あるいは障害が起こっているという事実がありますかどうか、あわせて一つ。
#32
○説明員(藤岡大信君) 原局の課長が参っておりますので、私、そのほかの工場の詳細について存じませんので、原局からやっていただきます。
#33
○説明員(代永久寿君) 私、代永であります。今の御質問の件につきまして、同質なものを作っているような会社工場が水俣以外にありはせぬかという御質問は、今、全国で水俣工場と同じような主製品を作っているのは、一つはカーバイトからアセチレンを発生しまして、そのアセチレンから有機合成化学製品を作る工場があります。おもな製品は酢酸とか無水酢酸とかというようなものがございますが、それは全国で六社七工場あります。それからこれはもちろん水銀で、酸化水銀というものを触媒に用いているわけでございますが、もう一つ、有機化学製品としまして、最近の脚光を浴びている塩化ビニールというものがありますが、この塩化ビニールも、これは実は塩化水銀を使う――触媒でございますが、これは全国で十三社十六工場ございます。ただいまのところ、その廃水による被害というものは、われわれの手元には全然参っておりません。で、ブロックごとにどこらあたりにあるかという御質問が今ございましたが、日本海側に面しておるところ、いわゆる酢酸系統を作っているのが、日本海側が大体四工場、日本海側といいましても、それは河川をほとんど使っておりますので、直接海には流していないという状況でございます。それから九州地区に一つ、日本合成という会社がありますが、これはやっぱり直接海には流しておりませんが、三角の湾の側にあります。塩化ビニールを作っておる工場と申しますと、これは北海道と九州を除きまして全地区にまたがってありますので、詳しく説明せよと申されれば全部申しますが、これは、九州と北海道を除いて全部あると思っていただければけっこうであります。以上であります。
#34
○秋山俊一郎君 今のお話だと、そういう工場の廃水によっては、水俣以外にはかつて今まで……。
#35
○説明員(代永久寿君) 今までに参っておりません。
#36
○秋山俊一郎君 この問題は、非常に役所側としても微妙な取り扱いをされておるようでありますし、最近有機水銀によるものであるということがほぼ確定したとなれば、これに対する対策は非常に急がなければならぬ問題だと思います。それで、われわれ農林水産委員の立場から考えますると、そういったような奇病の原因をなすものがあの付近の魚にありとするならば、あの付近における漁業者は、魚をとりましても、これが商品としての価値が非常に少なくなる。まあ今までのお話によると、主として貧しい漁師がその病気にかかっておって、一般人はほとんどその病気にかかっておるということを聞かないのでありますが、これはお話のように、その辺でとる魚を多量に食べるということによるということをまあ言っておられますが、いずれにしましても、そういうふうな危険な状態があるということになりますと、一般の人は水俣付近でとれた魚はうっかり食べられぬということになって、商品にならないのじゃないか。最近伊豆半島方面でとれる魚で、アジやなんかのなまを食べた者が非常に腹くだしをしたりして障害があったということが新聞に出ました際に、われわれとしては非常におびえて、そういう魚はちょっと遠慮するような格好になったのでありますが、これほど問題が大きくなりますと、その付近の魚というものは、とっても売れないし、また、もちろんとって食べるわけにもいかないような格好になりますので、必然的に漁業者の生活というものに非常に影響を及ぼしてくるのであります。それで、水産庁の方のお話によりますと、いそを作った、湾内にいそを作ったが、これはあぶないから、湾外にいそを作るように転換の方法を考えているというようなことでありますが、どうもその辺がまことになまぬるいような感じがする。わずかの漁区ではないと思いますが、今後浄化装置を作る、そうしてもうこれで心配はないのだということが確認されるまでは相当時間がかかるのじゃないか、その間に。もしもそういう廃水が原因だとしても、そういったような浄化装置ができて、もうよろしいというまでには時間がかかるのじゃないかと思いますし、もしもまた、工場廃水でないということになりますと、これまた迷宮に入ったような格好で、非常にむずかしい問題になる。その間漁業者はどうするかということが、われわれとして一番大事な問題じゃないか。病気の原因を究明することも、それは非常に必要なことでありますが、さしあたり、これに従事する漁業者あるいはその家族たちの生活を脅かす問題であって、どうするかということになると思うのでありますが、聞くところによりますと、会社側もある程度の見舞金といいますか、何かを出して、一時をしのいでおるということを聞いております。金額も私は聞いておりますが、これはまあ一時的のものであって、将来そこの漁業者は一体どうして生活していくかということについては、これは水産庁が考えなければならぬ問題である。沿岸振興対策費で幾ら出したかしりませんが、いそを作ったぐらいではとても漁業者は生活できない。土地の漁業者の陳情によりますと、禁止区域を設けてくれ、危険な区域を除くような禁止区域を設けてくれということを言っておるようでありますが、これも技術的あるいは法的にそう簡単にいけないだろうと思いますし、とにかく、そこの漁業者が安心して生活できるような方法を講じるためには、その付近でなしに、その付近の漁場を放棄して、よその方で魚をとるか、あるいは漁業から足を洗うかといったような道しかないと思うのでありますが、水産庁としては、どうも今のお話によると、真剣な考え方になってはおらぬように思う。その点、厚生あるいは通産省等との連繋もあって、だれが責任を持っているかわからぬような格好になっているために、なまぬるくなっているじゃないかと思いますが、少なくとも水産庁としては、漁民の生活に直接関係のあることであるから、病気の原因が何であろうとも、そこの魚が売れないということであるならば、何とか考えなければならぬじゃないか、こう思うのですが、それは水産庁としては、もっと突き進んだ考え方を持たないのですか。これに対する相当の経費でも計上するとかというようなことで、持っておるところの振興費――振興費といっても大したことはないのですが、その中からいそを作るぐらいの金を少々出したところで問題にならない。また、そこの付近にいそを作って漁をさしても、買う方で、ちょっとよう買わないじゃないか。水俣付近でとれた魚ということになると、もう危険がないと断定されるまではむずかしいじゃないか。たとえば、この前の原爆のとき、とってきたマグロなんかというものは、あぶなくなくても、あぶない、あぶないといって売れ行きがとまったといったような事実もあるし、そういう点から考えますと、水産庁は水産庁なりに、そういう原因究明をほかに考えなければならぬ。その点については、深い研究といいますか、努力はされておりませんか。
#37
○政府委員(高橋泰彦君) この原因が工場側にあるかどうかという点はもちろん問題でございましょうが、とにかく、とらるべき魚が有毒であるということは、これはもう間違いのない事実でございます。従いまして、これは今発生しておる地帯の漁民が、事実上売りものにならずに、生活に困窮しているばかりではありませんでして、最近におきましては、不知火海全体の魚に対する一般的な危惧の念が持たれて参りました。従いまして、過日のはなはだ遺憾な事件だったのでございますが、工場側に対してある程度の危害を加えたのは、実は地元の水俣の漁民ばかりではありませんで、むしろ対岸の漁民の方々もこれに参加しているやに聞いておる次第でございます。従いまして、単に、この問題は、工場側から地元の漁民だけに補償金が出ればよいという問題ではないと確信いたしております。従いまして、水産庁としては、こういうはなはだ憂慮すべき事態でございますので、従来の施策ではとうていこれは十分ではないという考え方を最近持っております。先ほど御説明申し上げましたのは、まず、今、にわかに大きなスケールとして問題を取り上げることは、もちろん進めなければなりませんですが、さしあたり、まず水俣の地元漁民の転換対策は、これはもう早急にただいま手持ちの予算でやっていきたいということを申し上げた次第でございまして、三十五年度におきましては、とうていこのようななまぬるいやり方では解決にならないというふうに考えられますので、三十五年度予算にはもう少し役に立つような、実際の漁民の方々がお困りになっておることの手助けできるような何らかの対策を予算としてぜひ計上することを要求してみたい、このように考えておる次第でございます。
#38
○秋山俊一郎君 私一人が質問するようでありますが、もう少し。こういう問題は、特にこの問題は、何も去年、ことしに起こった問題ではなくて、数年前からこういうきざしがある。私どもも日ごろ水俣の奇病ということは非常に不思議に聞いておったわけでありますが、結局、本州製紙の問題といい、水俣の問題といい、こういう騒動が起きなければ手が打てないということは、はなはだ遺憾なことであります。そういうことは水産庁としてはいち早く察知しまして、手を打ち、また、それをやらなければならぬのは、こういったような問題になってきて、足元に火がついてからじたばたしなければならぬということはまことに遺憾なことだと思います。しかしながら、もう過ぎ去って、今日ここに至っておる以上は、早急に方法を考えなければならぬと思いますが、私どもは大体今までの、新聞その他陳情等によりまして、概略の状態は大体把握しておりますが、ただこれをいかに処置するかということについては、漁業者の救済の面からいうと、水産庁が主になって、そうして相当の予算も計上して方法を講じなければならぬが、今お話によりますと、予算を来年度に要求することになりますが、予算だけ要求しても方法がなければだめだ。もちろんその方法はあるから予算が要求できるのでありましょうが、将来その予算をとってどういうことをしようとするのかということが一点と、それから通産省及び厚生省といたしましては、一そうこの点を深刻に一つ研究されて、一方は浄化装置を早急にやられる、これは工場側としてもこういう問題を起こされれば非常に迷惑しましょうし、漁民の方は一そうの迷惑を感ずる。これを監督しておるところの官庁としては、これに対する十分の措置を講ずべき当然の義務があると思うのであります。また病原の究明につきましては、厚生省としては、今まで十七万円とか三十万円とか五十万円という金を出したそうですが、ちびちび出しておったのでは一向要領を得ない。これはひとりこの水俣の問題ばかりでなく、私は、先ほどお伺いしましたように、全国にまたがってこれらの、同様の排水を行なっておる工場がある。それは今のところ、そういう原因は、症状が出ていないということでありますが、そうすると、水俣の工場だけがそういう現象が出てきたということにも幾らかの疑問が出て参ります。これは水俣の湾が非常に湾形をなしておって、その水の交流が少ないために沈澱がよそよりも多い。また、よその方は、そういうふうな湾でないために早急にこれが散って沿岸の魚にそれが吸収されるということが少ないということもいえるかもしれませんけれども、いずれにしても、そういったような廃水が全国各地で出ておるということになりますと、いつ、どこでこういう問題がぱあっと広がらぬとも限らない。そういうことを考えますと、これは早急に、果して有機水銀が工場廃水によるものかどうかということをはっきりときめて、これに対してそういうふうな害のあるということになれば、この廃水を出しているものには漏れなく一つ廃水の浄化装置をさせるべきじゃないか、起こった場合にのみ、ばたばたしておったのでは間に合わぬと思います。これらの点は一にこの厚生省が病原をなすところの原因を突きとめるところにあるのでありますけれども、一応私は一昨日の新聞で見ましたが、熊大の神原助教授が結論を出したところによりますと、有機水銀によるものらしいということ、そうすると、これは水俣だけに起こる現象であるとするならば、どういうわけだと、あるいはそうでなしに、たまたま水俣に起こったのであるが、あとからも起こるおそれがあるとすれば、これは十分考えなければならぬ。かつて水質汚濁の問題につきまして、一昨年来非常に議会でも問題になりまして、そうして水質汚濁を防止するような法律も、なまぬるい法律ではありますけれども、できております。これらもそういう精神にのっとったものでありますので、各工場に対して十分の調査をされるとともに、将来こういう問題が各地で起こらないように、一つ処置をどうしても考えてもらうように私は要望いたします。同時に、今第一点にお尋ねしました、水産庁が来年度予算にどういうことを計画しているか、このことを一つお伺いしたい。
#39
○政府委員(高橋泰彦君) この点につきましては、県御当局の方から要望が三点ございますが、第一点は、御指摘のように調査を十分にやってもらいたいという要望がありまして、これについても当然に私どもの方でやらなければならぬというふうに考えております。第二の点は、危険海域というものをきめて、ここで漁業の操業を禁止してもらいたい。従いまして、この禁止措置に基づく漁民の損失を補償する措置を講じていただきたい。こういう要望が第二と承っています。第三としましては、漁民が危険な海域の外へ出漁することを促進するために、必要な補助ないしは資金等についての措置を講じてもらいたいということでございます。
 それで第二の、まず操業禁止区域の設定をしてもらいたいということでございまするが、これはいずれにいたしましても原因がまずはっきりいたしませんと、なかなかむずかしい問題ではないかというような感じがいたしております。特にこれはなかなか大へんな問題でありまして、漁業者がみずから生活の場所を放棄するということを漁業者側で考えるということはよくよくのことであろうかというふうに考えておりまするが、この問題を解決するためにも、まず研究調査を進める必要があろうというふうに考えることが一つと、もう一点は、このような禁止区域を設けることが、現行法ではちょっとできないのではないかというような解釈をしておりまするので、実際こういうことをやるためには、何らかの法制的な措置についても研究する必要があろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、禁止区域を設けてくれという漁民側の御要望に対しては、今直ちにこれはぜひそうしたいということを申し上げるわけにはいきませず、これは重大な問題でございますので、なおよく私どもの方で検討を続けさせていただきたいというふうに考えます。
 第三点でございまするが、これは要望としては危険海域外に出たい、こういうことでございまするが、この危険海域外と申しましても、危険海域が一体どこであるのかということにつきましては、必ずしも判然といたしません。なお、この点については、水産庁としてかなり重大な見通しの誤りを犯した点は先ほど申し上げました通りでございまして、水俣湾外に、つきいそを設ければ大丈夫だろうと思ったのがそうではなかったという、従来の科学的な根拠なしにやった若干の見通しの悪さもありますので、この点につきましても、今、にわかに危険区域外といっても、場合によってはこの不知火海外にまで持っていかなくちゃならないかどうかということも考えて、そういう意味での単なるつきいそとかなんとかという問題ではなくて、場合によっては、そういったような指導船と申しますか、そういうものの船の問題あるいは出漁を援助するための補助の問題、資金の問題、あるいはそういったような場合に、場合によっては、県外出漁にもなりまするので、長崎県あるいは鹿児島県との間の入会の問題、その辺も考えた上で、ただいま知事さんからの要望の海域外への出漁の必要な措置というものを考えたいと思っております。従いまして、端的にもう一度要約して申し上げますと、これはとても従来のようなちょっと沖合いへのつきいそという格好では、今までのようなそういったような程度のやり方では、解決にはならないだろうと、従いまして、もっと遠くへ行くような、また危険区域がはっきりしないにしても、なるべく遠くへ船を持っていくというような考え方で、何とか来年度の予算を要求してみたい。まだ具体的に、ただいまのようにいろいろな対県関係の問題その他の問題もございますので、まだ具体的に御説明できないのははなはだ残念でございますが、いずれにしても、具体的に検討いたしまして、必要な措置を講ずる所存でございます。
#40
○秋山俊一郎君 もう一点だけ。今の第二点の問題、禁止区域を設けてもらいたいということは私の方へ陳情があっておりますが、これは今、お話のように、非常に法制上にもむずかしい問題があるということも聞いております。これは漁民が禁止区域を設けてもらいたいということを言ってくる理由には、二つあると思う。一つは、ここは危険区域として禁止されておるから、われわれはここではとりません、だからわれわれのとった魚はこの危険区域でとった魚じゃございませんということを一般に公表して安心感を持ってもらうということが一点と、それからもう一つは、そこを禁止すれば、禁止したなりに国家の補償、どこかの補償をもらおう、この二つが理由じゃないかと思うのです。しかし、この補償云々は、今、御説明があったように、禁止区域というのは、一体どこまでが危険区域ということが判然としないのに、いたずらに広範囲な禁止区域を設けるということも、かりに法制上できたとしても非常におかしい。そうするとそういう理由のもとに、やっぱり禁止区域内でとっておるやつが、あるかもしれない。だからして、これは非常にむずかしい問題だと思いますから、その他の方法で、今の沖合いへ出すということについては、船を大きくする必要もありましょうし、どういったような漁業をやったら生活ができるか、あの付近の漁民としてはどういう方法があるかということを十分検討して予算をとらないと、予算をとっても使い道がない、こういうことになると思いますから、その点は一つ十分に検討しまして、ぜひ早急に漁民の救済を一つはかってもらいたい。
 それからもう一点、私はしろうと考えですが、厚生省の人にお聞きしますが、魚あるいは貝類を食べるというと害が起こる。そうすると、その貝類の中に有機水銀があるのだ、ところが、その貝類とかそういう動物は、その有機水銀によって何らの損傷を受けないが、それも病気にかかっているような状態があるのかどうか、そういう点はどうなんでしょうかね。
#41
○説明員(高野武悦君) 先般の調査会の発表では、やはり魚にも脳の変化があるようでございます。これは小脳の顆粒細胞が主として侵されるのでございますが、やはり魚にもそういう変化が見られておる……。
#42
○秋山俊一郎君 死にはせぬですか。
#43
○説明員(高野武悦君) 非常に弱るということなんですが、そのために死んだかどうかわかりません。非常に魚もまた死んでおるということも聞いておるわけでございます。
#44
○秋山俊一郎君 それでは、私の質問はこの程度で終わります。
#45
○委員外議員(矢嶋三義君) 委員外発言をお許し願いたいのですが、お諮りいただきたいと思います。
#46
○委員長(堀本宜実君) 矢嶋議員より委員外発言の要求があります。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員外議員(矢嶋三義君) お許しいただきましたので、若干お伺いいたしたいと思います。
 まあ、現場では漁民は工場をつぶせと言って、再三再四にわたって相当遺憾な大規模の騒動も起こっておりますし、社会不安を招来いたしております。で、申すまでもなく、この四つの島が海に取り囲まれて、そうして工業立国を目ざしていくということになりますというと、こういう類似案件というものは今後相当予想されのではないか。従って、これ一つのケースになるわけですが、将来を見通して十分対策を講じなければならぬと思っておったわけでありますが、ちょうどこの時期に本委員会でこの問題を取り上げられて、そうして調査されることにつきましては、委員長初め同僚各位に対しまして敬意を表する次第であります。ごく簡単に若干委員外発言のもとに質疑させていただきます。
 先般衆議院の関係三常任委員会が十八人の調査団を構成して調査をされました。私はちょうど帰郷しておりましたので、現地には参ったことはありますから参りませず、県議会の議事堂で現地公聴会が行なわれましたのを傍聴いたしたわけでありますが、その席に関係各省からも担当の方が御出席なさっておられたわけです。従って、本日、本委員会に出席されておられる政府委員並びに説明員の方は、直接視察された方もありましょうし、また、そうでなくても、視察したところの部下から復命を受けている方だと思います。従って、私は伺いたいことは、この現地を視察した結果として、現状をどういうふうに把握をされたか。また、この解決に対して、行政官としては具体的にどういう方法をとらなければならぬという構想が頭に浮かんでおられるか。それに基づいて、今後上司に、いかなる復命をいかなる具申をされようと今お考えになっておられるか。そのなまのところを一つお聞かせ願いたいと思います。
#48
○政府委員(高橋泰彦君) 私が直接現地に参ったわけでございませんが、部下から復命されておりまするので、かわってお答え申したいと思います。このたびの現地の調査で一番感銘の深かった点は、従来この問題は水俣市の漁民だけの問題というふうにまあ県の方からも御報告もありましたし、私どももそのように理解しておったわけでございましたのですが、このたびの調査では、どうもそういうごく小範囲の地方的な、局部的な問題ではないということ、そうしてこの影響は相当広い問題であるというのは、先ほど私が御説明いたしましたように、この問題のために、水俣の地元だけではなくて、周辺の漁業者も間接的に信用失墜と申しますか、魚に対して信用がなくなりましたために、従って、従来割方無関心であった他の地方の漁業者も、この問題については深い関心を示すようになった、こういう点が、私どもが従来必ずしも十分に把握していなかった問題でございまするので、はなはだその点は従来不明であったということを申し上げるほかないと思いますが、その点は、従来のような局部的な考えではなしに、現実に漁民が広い地域にわたっての、不知火海全体の漁民が、これに関心を持っておることも事実でございますので、そういう視野でこの問題を取り上げなければならないという点がわかったことが、今度の復命の一番の私自身が感銘を受けましたポイントでございます。
#49
○委員外議員(矢嶋三義君) 厚生省それから通産省、それぞれおいでになったんですが、簡単にお答え願いたいと思います。要点を尽くして。
#50
○説明員(高野武悦君) 私は現場へ行った一人でございます。特に感じました点は、今まで原因究明をわれわれの及ぶ範囲最大の努力をしたのでありますが、今後は水産側、通産側、そうした権威者を多数網羅して、この問題の原因究明に当らなければならないという決心をしてきたのが最大であります。第二点は、現状、はなはだ気の毒な状態であるということ、生活困窮者が非常に多く出ていたということを感じましたので、これは社会局の方にも十分連絡してございます。そのことから、私帰りましてさっそく私自身の考えをまとめてみたのでございますが、生活困窮者対策といたしまして、現状は実に悲惨であるので、生活保護法による各種扶助及び社会保険各法の給付について遺憾のないよう万全を期する。その次には、第二として原因究明でございますが、先ほど申し上げましたが、近日中に食品衛生調査会ということで、これは十二日にきめたのでございますが、そこで十分討議し、病因物質を明らかにするようにし、現段階で発表し得られるものを全部公表する、先生方にもこれは特に私、お願いしてやりたいと思っております。それから、危険魚介類の判定でございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。この魚が有毒であるということを判定することは非常にむずかしいことでございますけれども、この方法も同時にきめて参りたいと思っております。これがすぐきまるかどうかわかりませんが、将来の研究の方法としてもこれは考えていこうと考えております。それから原因究明について各省庁との連絡協議でございますが、十一日に、これはかねて約束してありましたのですが、各省庁の出先機関と省庁とみんな集まっていただきまして原因究明と緊急対策について協議をいたしたいということを考えております。それから、これは先ほど水産庁で心配されている点でございますが、水産庁の調査海域といいますか、危険海域はとても大へんなので、調査海域ということで、それを一つ厚生省も協力してきめていきたい。それから、これは通産省の方に特にお願い申し上げまして、工場側のあらゆる資料を食品衛生調査会水俣中毒特別部会の研究に資するために提供していただくように、通産省に特に私、お願いしたいと、これは思っていることでございます。それからまた、先ほどから御質問等もございましたが、ちょうど水俣と同じような類似工場が全国に散在しておる、その除害施設並びにその効果――どういう効果になっているかということを、これも通産省の方にお願いいたしまして、原因究明の資といたしたいということでお願いしたいと思っているわけでございます。まあ非常に簡単でございますが、私自身のこれからやらなければならないことを一応まとめておきましたので、お話を申し上げた次第であります。
#51
○説明員(藤岡大信君) お答えいたします。現地に行って見て参ったものの報告を聞きまして、この根本対策といたしましては、先ほど厚生省から御答弁がありました原因究明をやることにつきまして、従来われわれもうかつであったのでございますが、工学関係と申しますか、化学関係の方があまり深くタッチしていなかったようにも聞いておりますので、そのことにつきましてはできるだけ協力をして、この方面の原因究明を厚生省と共同して調査をしていきたいということは根本対策として必要じゃなかろうか、こういうふうに考えたのであります。そういいましても、それは根本対策でございまして、これは時間も相当かかるのじゃないかという憂いがございまして、問題は、現在の社会不安をいかに早く取り除くかということが、とりあえずの緊急対策として必要ではなかろうかということで、先ほどもお答えいたしましたように、軽工業局長が社長に命じられましたその行政指導をされましたことをなるべく早くやるという処置を一つ考えておる。先ほど申し上げましたことのほか、もう一つ、去年から新しく排出口を裏側に設けたことがあって、これがために新しく二人の患者が出た。このことが今度の不安の直接の原因になったと思いますので、その不安をすみやかに取り除くようにというので、十月中にこの工事を完成しろということで、その水については反対の方に流すようにということで、軽工業局長がお命じになったわけでございますが、会社といたしましては、それをもう流さないで、その水はまた会社の工場の中で使う――水をきれいにしてそのまままた使うということをして、いつも繰り返しその水については使う、結局、ほかには流さないでいいというものを完成したようでございます。その完成したのは、先ほどの調査団で御確認いただきましたようでございます。この点は会社の社長が行政指導をしましたその通りにやっておりますので、あとの廃水処理につきましても行政指導の通りにやってくれるものというふうに信じております。これによってとりあえずの不安を除いて、なるべくすみやかにこの現状を打開したいというふうに考えております。
#52
○秋山俊一郎君 関連して。今の厚生省の御発言の中に重大な問題があると思うのです。それは近く十二日に開かれますところの食品衛生調査会の会合によって発表したいということのうちに、魚種を――魚、貝類の種類を、どういうものが危険であるかということもあわせて発表したいということでありますが、御承知の通り有明海――不知火海は広い湾内でありまして、貝類にしましても魚種にしましても、同じような魚はどこにもおるのです。それを単に、たとえばサッパがあぶないとか、あるいはアサリがあぶないとかいいますと、もう有明海の奥の方の福岡、佐賀、長崎方面の貝類も魚も売れなくなってしまう、その点は非常にむずかしい問題であって、どこでとれた魚というのはしるしがついておりません。従って、それを発表するについては、よほど慎重にやってもらいませんと、だんだんこれは問題を広げてしまいます。もうよその県からわいわい言って、そういうことをやったために、おれのところの魚が売れなくなったと言ってきます。その点は魚種を発表することもよろしいが、これはよほど慎重に考えていただきませんと、うっかりやりますと大へんな問題になる、この点は私御注意申し上げておきます。
#53
○説明員(高野武悦君) 私の発表が非常にへたなものでございまして、実は、たとえば一匹の魚をつかまえまして、この魚は毒か毒でないかということをきめないと、たとえば、ここらへんの魚はとっていけないかということがきめられないかと思います。そういう問題があるのでいわゆる魚介類に含まれている有毒物質がどのくらいあるかということをきめたいというふうに私は考えております。しかし、この問題は非常にむずかしい問題であります。いわゆる魚種ではございません。水俣湾地域の魚はどのくらい有毒物質を持っているだろうか。それから少し北の津奈木付近に行けばどのくらいの有毒物質をその魚は持っているだろうかということを調べたいという意味でございます。それを発表すると先ほど申し上げましたが、とうてい、そのときにこれはできるかどうかは非常に疑問だというふうに私は考えております。
#54
○秋山俊一郎君 それでその点が、貝類はあまり動きません。魚は動きますよ、ずっと。だから水俣の沖でとれる魚がずっと沖の方の三池の海でとれたり、あるいは諫早の沖でとれたりする魚がたくさん泳いでいるのですから、その魚種を発表するということは慎重に考えて下さいませんと、あなた方あとで収拾のつかないことになりますよ。
#55
○説明員(高野武悦君) 承知しております。
#56
○委員外議員(矢嶋三義君) 水俣湾の海底に水銀を含んでいる泥が三メートルくらい堆積しているのですね。従って、それを食った魚が泳いでもう鹿児島の北まで行っているわけです。島原半島に、秋山さんの長崎県の島原あたりにもそのうちに私は参るようになると思うのですね。それだけにこの問題は重要だという立場で行政当局の方で心配いただいているわけですが、高野課長、さすがは現地に視察においでになられたので頭の中を整理して克明な草案ができている点は敬意を表します。ただ、これを総括論としては具体化して参ることを強く要望しておきます。
 大体私三時四十分を目途に具体的に若干伺わせていただきます。
 まず伺いたい点は、現地は何もやってないのかどうかということですね。これは先般公聴会で傍聴していましたところが、国会議員諸君から相当きびしい声が出ました。私はそれほど国会ではきびしくなかったと思うのですが、翌日の新聞にはトップ記事にものすごく議会も県も何もやっていないという記事が出た。これは相当漁民を刺激したと思うのですね。それがやはり漁民に一千万円の損害を与える大暴動になった一つの要因に私はなっているのじゃないかと思うのですが、この際、私の調査では、あの水俣市は小さな市ですが、約二千四百万円出しておる。それから県にしても約七百万円出してやっておるわけですが、これは率直に承りたいと思うのですが、指導的な立場として。地元としてこういうことはやれるのじゃないか、こういうことをやるべきじゃないかということを調査の結果認定されたことがあれば率直にお答え願いたいと思う。そして指導していただかなきゃならぬと思うのです。まあ地元としては問題が多くてもてあまして行政府あるいは立法府にお願いしているというのが実情じゃないかと私は判断しているわけですが、この点簡単に一つお答えを願いたい。
#57
○政府委員(高橋泰彦君) 私どもの調査によりましても相当の額の補償金が地元の組合に出ている模様であります。それから、一体どういう施策をしたかということでございまするが、これは私どもとしては、県と連絡をとりながらいろいろな御説明したような施策をしたわけでございまするけれども、今になってわかるわけですが、これは確かにただいま秋山委員からの御指摘のように、あまりこれが必要以上に大きくなりますと、県全体としてのいろいろな問題に対する差しさわりがあるということで、地元だけの問題という格好で、やや私どもの方に上がってくる問題が、御相談を受ける問題が少し、いわゆる対策という関係では少なかったのじゃないかという感じを受けております。だけれども、それは今までのようなスケールの問題としては、私は、県当局のやり方を非難する気はないのでありまして、これは慎重にいろいろあれやこれやと考えた末に、こういうことになったのであろうと思いますが、しかし、今になって振り返ってみますと、ややその点は、もちろん国も入りますが、県の行政的な手の打ち方が、いかに漁民側の要求が表面に出なかったとはいえ、それとは無関係に県並びに国の施策がやや足りなかったという点はもう認めざるを得ないのじゃないかというふうに私は感じております。
#58
○委員外議員(矢嶋三義君) 全くその点同感であります。次に承りたい点は、厚生大臣の諮問機関として食品衛生調査会があり、その水俣食中毒部会というのがございますが、これは私は部会の責任者鰐渕元熊大の学長に対してこのスタッフで十分なのかと反問してみたのですね。ところが、やはり十分のような言葉を返事されるわけです。ところが、会社側ではこのスタッフで相当の予算を使って反論研究をやっているわけですね。それで私、しろうとなんですが、私、しろうとの立場から言ってもこれだけのスタッフではやはり会社側と学問的に十分対決すると言っては言葉が適当でないけれども、論争をやって、そして、原因を究明するということは不十分なのではないかという感じを私は持つわけです。個人はいけないというのじゃなくて、専門学の構成から不十分ではないか、かように考えるのですが、それに対してはどういう見解を持たれたか。それから予算の面ですが、まあ厚生省のお骨折りで二百九十七万円今まで出していただいている。県は単独経費で百万円出して、本年度二百万円の研究費になっておりますが、しかし、水俣湾にある泥土を取り上げて研究するのに、理学部に二万円しか与えられていないというわけですね。だから、この程度の研究では、理学部に対して泥土の研究が二万円、全部で、一百万円という程度では私は原因究明というのはできないのじゃないか。そして原因を究明するということは、国の責任、厚生大臣の責任だということは、橋本厚生大臣以来歴代の厚生大臣が言明していることで、そういう立場からいえば、大臣の言明もあったわけですから、この原因究明の予算をふやすことと、それから大臣の諮問機関であるこの部会の委員の構成ですね、これをもう少し専門学科を広めてやらなければ、私は、いつまでも究明はできないのじゃないか。究明が伸びれば伸びるほど問題が混乱して参りますので、その点について、これは厚生省関係でお答えができるかどうかわかりませんが、どういうふうにお考えになっているか、簡潔にお答え願いたい。
#59
○説明員(高野武悦君) 今まで私が現地を見てきたとき以後と今までとは少し考え方が違っておりますが、現地を見て参りまして感じましたことは、先ほども魚の遊泳のお話がございましたが、非常に水産関係の内容の研究はむずかしい問題である、それから同時に、工場の廃液の問題もむずかしい問題であるということがつくづくわかってきたわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、私たちの関係だけではとうていできないということを強く感じますので、各省庁の協力を得てこの原因究明に当たろうという決心をしたわけでございます。それまでの段階といたしましては、鰐渕前学長が矢嶋さんにそういうふうにおっしゃったということでございますが、実際は現地でネコをいじり、死んだ患者を剖検するというようなことは、ほかの大学の方を動員いたしましても、現実にはできないのであります。そうしてみますと、やはり熊大に中心を置かなければならないということで、私の方としては、熊大の組織と、それからそれにいろいろ研究者を合わせまして、中央ではトップレベルの人を集めて、その人たちと協議していこう、こういう態度でございました。で、今まではそうであった、今後はなるべく御意見に沿うように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
 それから次に予算の問題でございますが、これは先ほどの二万円という問題は、実際に現物で発表されたわけでありますが、これは理学部関係の旅費が二万円で何ができるかということでございます。私の方としては、百万円のうち五万円だけを旅費に使って差しつかえない、その他は庁費としてお願いしたいというふうに申し上げておったので、五万円を分けますと、理学部、なるほど二万円になるのでございます。で、まことにこの点は予算の取り方が少なくて申しわけないのでございますが、今後は一そう努力して参りたい、こう考えております。
#60
○委員外議員(矢嶋三義君) その点は一つ善処をお願いしておきます。次に伺いたい点は、水俣湾の無毒化がこれは可能と判断されたかどうかということです。難波教授の研究結果によると、大体水銀があの川に六百トン出された、そのうち三百トンが湾外に出されて、湾内に三百トン残っておると判断すると、こういう発表をされておりますが、水俣湾の無毒化が可能とお考えになったかどうかお答え願います。
#61
○説明員(高野武悦君) これは非常にむずかしい問題で、私がお答えするのが適当であるかどうかちょっとわかりませんけれども、実際問題としてあれだけ堆積した泥でございますので、泥が全部取り除かれればいいのではないかとも思われますが、私よくわからないのであります。
#62
○委員外議員(矢嶋三義君) まあそうでしょう。きょうはこれだけにしておきますが、不可能なことだと思うのです。時間がないから次に伺いますが、せめてこの範囲内は危険だというのを、指定が悪ければ認定といいますか、そういうことはできないでしょうかね。これはお互いに見通しを誤ったわけですけれどもね。それで水産庁がお世話いただいた金が捨て金になってしまったわけだけれども、今まだ漁をしているわけだけれども、補償関係なんかと関係がいろいろあって、法制上むずかしいかもしれませんけれども、現在、水、それからあそこに泳いでいる魚をつかまえてみれば、この範囲内は完全に危険だ、やや危険だ、ここなら安全だというラインは私は引けると思うのです。それだけ指導上といいますか、何か認定していただくことはできないのか、やろうと思えばそれは簡単にできると思います。いかがですか。
#63
○政府委員(高橋泰彦君) 確かに最もあぶない地帯と思われるところに線を――どういう意味の線かは別にして、ある線を引いて、それで現在漁業をほとんどやってないような状況になっておりますので、そういう線をきめることは、私はそういうこと自身は可能だと思っております。しかしながら、それを引くということは、その線外のところはもう大丈夫だという確信がないと、これはなかなかむずかしい問題じゃないかと思っておるわけであります。その点はどうしても調査を――これはむずかしい問題かもわかりませんが、調査を進めた上で、どうするか、いずれにしてもそういう問題があろうかと思いますので、もうちょっとその点は時間をかしていただきまして、調査を進めた上でのお答えにいたしたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。
#64
○委員外議員(矢嶋三義君) 次に通産省の方に伺いますが、水俣工場の従来の廃水に対する浄化装置というものは、他の工場に比べて劣っていたでしょうか。それとも並みであったでしょうか、優秀であったでしょうか、どういう評価をされておられますか、伺っておきたいと思います。
#65
○説明員(代永久寿君) 今の御質問の点でございますが、今までアセチレンから作っていたそういう塩化ビニールならビニールとか、酢酸系統の工場の廃水施設というものは、非常に歴史が、特に酢酸関係等においては歴史が非常に古い工場が多いわけでございまして、その点は地元並びにその近在に多分有害でないような措置をいたしておったと思っております。だからこそ今になってもまだ害は出てきていないわけでございますが、たまたま水俣の問題が出てきたので、水俣の窒素工場の内容を検討し、さらにその類似の会社、工場の実態等もあわせこの際安全を期するようにいろいろ調査し、指導したい、こういう工合に考えております。特に今そういう類似品をやっている工場に対しては、現に調査依頼を、データを出すべく要求しております。
#66
○委員外議員(矢嶋三義君) 私の伺っておるポイントは、よくわからなかったが、従来水俣工場の廃水に対する心がけは、普通の評価であったのか、不十分であったのか、どういうふうに判断をされておるのか。
#67
○説明員(代永久寿君) 水俣工場としては、従来からみると、自分としては自信を持ってやっておったんですが、われわれからみると、若干手ぬるかった面もなきにしもあらず、というのは、廃水の量が年々ふえて参りますので、百間港と八幡プール、新しく八幡プールを作ったわけですが、従来の百間港の措置のときには、十分その対策はやっていたと思います。たまたま廃水の量が多くなって、八幡港の問題が出てきてから、それがはたして十分である措置であったかどうかということは、若干まだわれわれも、不十分な点があるいはあったかもしれませんが、それは今度の措置でその方には廃水を流さないということにしまして、その廃水の上ずみは全部工業用水に使ってしまおうということにしましたので、大体解決できるのじゃないかと思います。
#68
○委員外議員(矢嶋三義君) 続いて。日窒工場の社長が軽工業局長の部屋に来た場合に、局長から口頭で浄化装置に対する処置を行政指導すると、これは新聞で報ぜられて、熊木県知事寺本氏が工場側に行って話したところが、そんな連絡は何も受けていない、こういうことであったということを知事の寺本氏に言っておるが、軽工業局長が行政指導されたということは、それは非常に適切であると私は思う。これを口頭でなくて、別にかどはたたないと思うが、あらためて工場の社長に対して文書で行政指導をして、その写しを熊本県寺本知事に送付していただきたいと思いますが、お約束できますか。
#69
○説明員(代永久寿君) ただいまの御質問の件につきましては、事前に手を打ちまして、局長名で再度従来やっていた措置は措置として進めるということと、それから今やらんとしている新しい沈澱設備等は、先ほど用水課長からお話があったように、極力年内にするよう、それはあらためてその通知を出すべく、今、きょう大体でき上がったと思いますが、その写しは県側にも出すという工合にきのう協議しました。
#70
○委員外議員(矢嶋三義君) さすが優秀なる心がけです。敬意を表します。ぜひそういうふうにやっていただきたい。最後に承りたい点は、秋山委員からさきに指摘されておりましたように、当面としては地元の漁民の問題です。これに対して水産庁次長さんの答弁では、従来までは不十分であった。それで今、手持ちの予算で地元の漁民の転換対策だけは早急にやりたい。しかし、それだけでは三十五年度以後は不十分であるから、それに対しては秋山委員に答弁されたような云々のことを考えられておる、こういうことなのですが、具体的にお答え願いたい点は、今、あなたが手持ちの予算で早急な問題として地元漁民の転換対策をやられるということは、具体的にどういうことをやられようとしておるのか。そもそも非常に貧乏なんですね。それから零細漁民なのです。だからお米なんかあまり食べないで、とった魚ばかり食べているから病気になってしまう。あれは魚を少なくしてお米や野菜をよけいとればあるいはかからないかもしれないけれども、とにかく、こういうのに一ぱいも二はいも魚を食べる、自分でとったやつ以外ないから。大体が所得が低くて貧乏なのです。それに関連があるわけです。それで当面、あなたがお持ちになっている予算のワク内で地元の漁民の転換策を早急にやりたいというのはきわめて適切な構想だと思うのですが、どういうことを具体的にやられようとしておるのか、お答え願いたい。
#71
○政府委員(高橋泰彦君) 実は具体的な対案を持って九日に県の水産課長が上京の予定になっておりますので、その案を拝見した上で、手持ちの約三百万円ないし四百万円の金が回わせると思っておりまするので、その具体策を見た上でと思っております。ただ、秋山委員にもお答えしたのですが、ただいまの御指摘の通り、この水俣の今非常に困っている、零細漁民の漁業経営の状況を見ますと、容易に遠いところに行ける漁民ではなさそうでございます。ところが、どうも付近で魚をとられたんでは問題の解決にはならない、こういうことでございまして、非常に対策も実は苦慮しておるわけで、その意味で水産課長とも相談したいわけですが、できれば技術が拙劣にいたしましても適当な技術改良、普及員の指導も取り入れまして、できるだけ大きな船で、なるべく遠くのところへ持っていくような対策が、どうしても地元漁民にまず第一に受け入れられないかどうかという点を、十分に地元の漁民と打ち合わせてきめてもらいたいということを水産課長に申し伝えてあります。従いまして、もしそれが地元漁民側に受け入れられれば、私の今考えているやり方が可能になるわけですが、しかし、現実の問題として、それだけの技術と意気込みがあるかどうかという点に若干危惧の念を持っております。ただし、その資金、補助等については万全の措置をとりたいと思いますが、一体その技術と気力があるかどうかという点については、いささか心もとない点がありまするので、この点は十分地元側に連絡の上、可能な、具体的な案を水産庁の方に持ってきてもらいたいということでただいま打ち合わせ中でございます。
#72
○委員外議員(矢嶋三義君) 私の質問の総括として承りたい点は、結局、この問題はローカルな地域の問題でなくして、これは相当広い問題だと思う。この解決策は今の法律のワク内では根本の解決はできないと思う。何らかの立法措置を伴わなければ解決できない、かように私は判断しているのですが、あなた方はそういう研究をされているのかどうか、その御見解を承って、お約束の時間が参りましたので、私の質問は終わります。それをお答え願います。
#73
○政府委員(高橋泰彦君) これは率直にお答え申し上げますが、私どもの従来持っている法律と、従来のような考え方ではなかなか解決が困難であろうという意見具申を大臣にしてございますが、どうするかということについては、もう少し検討した上でやろうじゃないかということでございますので、その点はもう少し時間の御猶予をいただきたいと思います。
#74
○北村暢君 一つだけお伺いいたしたいのですが、ただいまいろいろ伺っておりますと、非常にむずかしい問題のようでございますが、前々からこの問題は非常に水産庁当局にも要望されている問題であったのですが、食品衛生課長の話では、その立場々々によって研究する態度というものが違うので、非常にその原因究明についても困難な状態にあるというふうな意見だったようですが、これに対して経済企画庁では、公共用水域の水質の保全に関する法律がこの前通っているわけですが、一体、初めてのこのケースとして、企画庁では一体こういう問題について指定地域なり、あるいは水質の基準なり、そういう問題について、水質の審議会等の今後これらの果たす役割というものは非常に大きいじゃないかと思いますが、企画庁に対する質問というものは今までなかったようです。一体、企画庁としてはこの具体的な水俣の問題について、どんな考え方、対策を持っておられるのか。法律の通ったばかりで、この政令施行の期日等も実施になっているのかどうか、私はわかりませんけれども、政令についてはわかりませんが、この点について、一つ企画庁として各省の調整をどういうふうにしてやろうとされるのか、この点を一つお伺いしたい。
#75
○説明員(高尾文知君) ただいま御質問のありました点でございますが、今度の水俣事件のような具体的なケースが起こった場合、それの病理学的の原因の究明、調査というものは、水質保全法の建前からいいますと、すぐにやらないということに、従来の立法の趣旨なり、各省の話し合いではなっているようであります。と申しますと、はなはだ迂遠なようでございますが、この法律自体は各関係業種間の相互協力というような点を非常に強調いたしまして、しかも、公衆衛生あるいは紛争の解決に資するという、先ほど他の先生からお話しになりましたように、いわば、ややなまぬるいという表現を使われましたが、そういう感じのする法律でございまして、われわれといたしましては、課の設置以来努力をいたしておりますが、特に従来問題のありました地域なり、あるいは湾等につきましての調査をやっているわけでございます。それがこの法律の第四条によりまして、調査基本計画というものをさしあたり作るようになっております。と申しますのは、第五条にありまする公共用水域におきますところの指定水域、それと同時に、水質の基準を定めるということには、これが全国的におしなべて行なわれる場合には、相当長年月を要するということで、これは国会の修正で四条というものが入って、さしあたり、調査基本計画を立てて、それを水質審議会にかけて、いわゆる事前調査と申しますか、指定水域をきめ、それから水質の基準を定めるための事前調査の計画を作れということになっているわけであります。従いまして、水質審議会の部会に基本調査の方法部会というのがございますが、それを近々、来週の九日でございますが、開きまして、われわれの調査基本計画をかけて御審議願う、こういう段取りになっております。こういう突発的なと申しますか、さしあたりの緊急な問題の処理については、水質保全法による仲介制度の活用、これは現地の知事に申し出がありますと、仲介員というものが整備されております。そういう意味で、まず紛争の処理は、仲介制度で解決をしていくようなことになっております。これがはたして県御当局の力その他で十分に活用されておりますかどうか、私の方からも、先ほどの衆議院の方の調査団の方には、担当の水質保全課長が同行して参っておりまするが、まだ帰っておりませんので、これは遠賀川の水質現況あるいは遠賀川の問題、そういうものを調査して帰って参りますので、これは明日になっております。そういう報告等も聞きまして、具体的に問題を……、しかし、企画庁として全然手を引くとか、やらないというわけではございませんので、そういう理想的な調査はもちろん進めて参りますが、さしあたりの問題の解決といたしましては、ただいま先生方から御指摘がありましたように、従来関係各省でいろいろ苦心をしてそれぞれやっていただいております。行政指導の面でやっていただく。もちろん各省の連絡協議でございますが、それには企画庁も参画いたしております。大体そういう状況でございますので、あるいは企画庁のこの水質保全行政ということの立場と申しますか、これから申しますると、ただいまのようなわけでございます。各省間に非常な水質保全行政についての衝突が起る、そういう場合に初めて調整機能を発揮いたす、こういうことになっております。
 それからただいまちょっと申し上げましたが、水質の基準の設定と公共用水域の指定ということをいたしますにつきましても、先ほど来るる御説明ありました通りに、ただいまの有機水銀というものの関連、どのくらいにするかということがはっきりいたしませんと設定がなかなか困難でございます。それが相当因果関係といいますか、それがはっきりいたしましてから初めて企画庁の調査が始まるわけでございます。大体そういう仕組みになっておるわけでございます。
#76
○委員長(堀本宜実君) 他に御質疑もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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