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#1
第033回国会 農林水産委員会 第14号
昭和三十四年十二月十七日(木曜日)
   午前十時五十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十六日委員亀田得治君及び片岡
文重君辞任につき、その補欠として秋
山長造君及び羽生三七君を議長におい
て指名した。
本日委員東隆君辞任につき、その補欠
として棚橋小虎君を議長において指名
した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀本 宜実君
   理事
           櫻井 志郎君
           仲原 善一君
          小笠原二三男君
           戸叶  武君
           森 八三一君
   委員
           秋山俊一郎君
           石谷 憲男君
           岡村文四郎君
           重政 庸徳君
           田中 啓一君
           田中 茂穂君
           秋山 長造君
           大河原一次君
           北村  暢君
           清澤 俊英君
           中田 吉雄君
           羽生 三七君
           千田  正君
           北條 雋八君
           棚橋 小虎君
  国務大臣
   農 林 大 臣 福田 赳夫君
  政府委員
   農林政務次官  小枝 一雄君
   農林省蚕糸局長 大沢  融君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○繭糸価格の安定に関する臨時措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(仲原善一君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 最初に、委員の異動について御報告いたします。
 昨日亀田得治君及び片岡文重君が辞任され、秋山長造君及び羽生三七君が選任されました。本日東隆君が辞任され、棚橋小虎君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○理事(仲原善一君) 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題にいたします。
 この法律案は、昨日の衆議院本会議において多数をもって原案通り可決され、本院に送付、当委員会に付託されました。
 この法律案については、去る十一月五日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありまして、ただいまから審査を行なうことにいたします。まず、補足説明を求めます。
#4
○政府委員(大沢融君) 提案理由の御説明を申し上げてからだいぶ日がたっております。生糸のことでありますから、多少の事情の変化もございますので、それでは多少補足説明を申し上げます。
 御承知のように、今生糸年度に入りますときには、安定法で買いました約五万俵の生糸と、臨時措置法で買いました約五万俵、合計十万俵の生糸の政府手持ちがございます。そこで、三月の安定審議会に意見を聞きまして、法律上の最高価格は二十三万円据え置き、それから、実質的に最高価格の役割を果たしますところの臨時措置法の糸の売り渡し価格を十八万円ときめまして、本生糸年度の間は、実質的には十四万円――十八万円の安定帯で安定をさしていくということで来たわけです。そこで、その後、生糸の売れ行きがいろいろの事情で非常によくなりまして、政府の十八万円で売れる臨時措置法の生糸がぼつぼつなくなりかけるというようなことから、糸の値段が上がる傾向がある。そこで、今回のように、あとの安定法で買って政府が持っております生糸をも時価で売り払うことができるようにして、十四万、十八万という今までの安定の方針を貫いていきたいということで、この法案の御審議をわずらわしたのでございます。そこで、いろいろ資料はお配りしてございますが、御参考のために、衆議院の方で御要求のありましたものもお配りいたしましたが、その中で大きなグラフがございますので、それを一つごらんになっていただきます。
 七月ごろからの生糸の横浜の清算相場と現物相場をグラフ、絵に書いてあるのでございますが、横の長い線で下から四番目くらいのところに三千円、十八万円と書いてありますが、これがキログラム当たり三千、一俵当たり十八万円の線になっております。それから、ちょっとわかりにくいんですが、実線で図に示してありますが、現物と書いてございますのは、これは横浜の問屋の方々が集まって。きょうの現物の手配はこんなものだということを毎日出しておるわけです。それを現物価格と、こう言っております。二十一中のA格について示されるものです。それから、その次の当限価格ですが、これは横浜の清算取引の当限の価格。それから清算先限と書いてございますのは、これは六ヵ月先物の清算取引所の価格、こういうことでございます。これをごらんになっていただきますと、七月ごろ徐々に上がりかけて、八月の二十日ちょっと過ぎのころに、先物価格がえらい上がっております。それに引きずられて現物なり当限が上がっておりますが、このごろはちょうど臨時措置法で持っております生糸がそのうちなくなるんじゃないかというようなことで、一日に何千俵というふうに政府の糸に対する買い物がついて、それがなくなったら、あとは二十三万円の糸しかないということで、こういう上がり方をしたわけですが、そのようなことは不健全なことであって、そのときにまだ政府はたくさんの糸を持っておるんだから、必要があれば法律を改正して、今と同じ値段に売れるようにするという農林大臣の声明で、がたっと落ちているわけです。そのときに申し上げた、法律改正もできるかもしれないということが、今の法律改正になっているのですが、その後、三千円を中心にしまして、ずっと動きまして、現物、当限、大体三千円ベースをとっておりますが、法案を提出いたしましたのが十月の二十七日だったと記憶いたしますが、その後、政府の売り物もなくなっているということで、十一月に入りましてから、ちょうど十一月の初めごろから、政府の売り物もない、それから、あとの東京で見ると、十一月中は製糸業者も売り控えをしているというようなことから、十一月中は異常な供給状態であったために、このような絵のように価格が上がり始めた。しかし、これが生糸の一般的な需給情勢をそのまま反映した価格というわけには私はいかないと思うのですが、その後、現物価格をごらんになっていただくとわかりますように、十月二十七、八日ごろ、衆議院で審議が活発に行なわれるような時期とちょうど一致するのでありますが、そのころから一週間ぐらいの間に、大へんな糸の暴落的な下がり方をしてきて今日に至ったという状態であります。
 そこで、生糸の需給関係を今後あるいは今年どういうふうに見ていくかというようなことが、御審議をいただく場合に非常に大事なことかと思うのですが、お配りした資料の中に「昭和三十四生糸年度生糸需給見透し」、こういう表がございますが、ここで「需要高」というところをごらんいただきますと、「需要高」の「合計C」ということが書いてありますが、これは昭和二十七年からのが書いてありますが、二十七年が三十六万俵、二十八年が二十四万、ずっと来まして三十年が三十九万、三十一年が三十一万、三十二年が二十八万、そして昨年はああいうことで二十七万というように、非常に落ちております。そこで、三十四生糸年度、つまり、この六月から来年の五月の末までの期間が三十四生糸年度に当たるわけですが、この需給の今後を含めた見通しがどうだろうかということの推算をしてみたわけであります。そこでAとBと、二通りの考え方がございますが、A案の方は、数字といたしましては、農林省の統計調査部で、あるいはまた、蚕糸局でマンスリー・レポートで報告を求めておる、そういうものから出しております。Bの方はそれでなくて、むしろ、通産省の方の、たとえば織物業者が実際使った生糸が幾らであるというような報告、いわば実需、何といいますか、実需的な数字をよく反映しておるような数字を使ってやったというようなことでありますが、こまかいことは抜きまして、大体「供給高」の方をごらんいただきますと、生糸の生産高がAの考え方でも、Bの考え方でも、大体三十二万俵から三十三万俵の間ということが考えられるわけであります。それから「需要高」の方を見ますと、「輸出高」のところに「生糸」「絹製品」、こうございますが、「生糸」のところでは、これはA案では今申し上げましたような数字、これを一月から十月までの実績を見まして、こういう状態で今後も推移していったならば、今後の毎月の生糸の輸出はこうなるだろうというような季節変動的な要素を取り込んで推算をしました。Aで九万八千――十万俵程度、Bでは九万俵――八万七千というようなこと。絹製品と申しますのは、これも今言ったような同じ推算をしておるわけですが、織物になって輸出される生糸の量を俵数で表わしておるわけでありますが、A案なら六万六千、B案なら九万三千、多少開きがありますが、根拠にした数字が違うので、こういうことになっております。それから一つ行を置きまして「純内需」、これは今のような計算をしますと、Aで二十一万、大体両方で二十万俵から二十一万俵という線です。合計しまして需要の合計が三十七万俵ということになるわけであります。そこで、生産が三十二万、三十三万の同ということで、先ほど申し上げましたように、政府の手持ちが十万俵ほどある。それが過不足高というところに書いてありますように、政府の手持ちが五万俵ないし六万俵出て需給がとれていくということになろうかと思います。そのために今生糸年度から来生糸年度には、期末在庫というところに書いてございますが、三万俵ないし四万俵のものが、政府の手持ちになってそのまま残るか、あるいは民間の在庫として残るかは別としまして、いずれにしても来年の供給力として来年に三、四万俵のものがある、こういう考え方からの需給推算をしてみれば残るのではないかというふうに考えられます。
 糸値の動きそれから今後の需給見通しというようなことを簡単に申し上げて、補足説明にかえさせていただきたいと思います。
#5
○理事(仲原善一君) ただいまから質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑をお願いいたします。
#6
○中田吉雄君 今度の繭糸価格安定に関する臨時併置法の一部改正、まあ提案理由の説明もあり、ただいま補足的な説明があったのですが、やはり世界経済なり、あるいは景気変動等の関連で生糸事情をどら見るかということがまあこの一番ポイントじゃないかと思うのですが、幸いまあ蚕糸局で蚕糸白書ともいうべき蚕糸業安定化のための検討資料第一分冊、第二分冊、第三分冊を出されて、これがまあ臨時措置の背景だと思う。これはまあやはりこういう考えに基づいて臨時措置法の一部を改正して安定した蚕糸業を作っていこう、こういうまあいわば臨時措置法の改正の基本的な考えはこの白書、白書とも称するものだと思う。ですから、一つこれについてやはり詳細な説明を受けて、そうしていく方がかえって審議を促進する非常に大切な問題である。まあ今、生糸相場は高騰していますが、やはり一まつの不安なきを得ないし、それにはどういうふうに蚕糸業を見ていくかということが根本だと思いますので、幸い、かなりボリュームのある資料を出しておられるので、これについてまず説明をいただいて、そういうところから一つ入っていきたいと思いますので、お願いいたします。
#7
○政府委員(大沢融君) 蚕糸白書と言われましたけれども、私どもまあ蚕糸白書というまでには至らないものだということでございます。そのために、まあ蚕糸業安定のための検討資料というような名前をつけておりますが、実は昨年のあの混乱のあとを受けまして、一体これからの蚕糸業を安定し、さらに発展させるというためには、どういうふうにしていったらいいのかということを私ども内部で検討を始めたわけです。そのためには、まず第一段階として蚕糸業についての考え方を一つ確定する必要があるということで、今言われたように、蚕糸白書というようなものを作り上げていこうという野望を持ったわけでありますが、実際やってみますとなかなかこれがこういう考え方がいいんだというふうにまではなかなか結論が得られない。そこで、私どもとしては、検討の過程において一応の考え方――いろいろまだ議論があって固まっていないのだけれども、考え方を出しまして、むしろいろいろの方の御批判をいただいた方がいいという気持でこれを出したわけでございまして、これが即私ども農林省のそのものの考え方であるということではないのであります。そこで、この考え方が基礎になってこの法案が出ておるということではないということを御了解願いたいと思います。ただ、せっかくのお話がございましたので、簡単に申し上げますと、お読みいただいておることだと思うのでありますが、まあ総論的な部分で、全般的なことを扱い、さらに第二分冊では、需給の戦後における趨勢を見て、一体蚕糸あるいは生糸の需給状態というものはどうなるだろうというようなことを分析をし、さらに第三分冊では、養蚕業は合理化を中心にして展開していかなければならないじゃないかという気持を書き表わしております。繰り返して申し上げますが、これが私どものいわばオフィシャルな考え方だというふうにとっていただいては困るのでありまして、むしろ皆さんあるいは、もっと広く検討をして、意見を聞いて、役所のオフィシャルな意見にまとめ上げて、これを基礎にして将来の対策も考えていきたい、こういう気持のものでありまして、今の御審議をお願いしておる臨時措置法の一部改正というものと必ずしも通ずるものではないということを申し上げておきたいと思います。
#8
○中田吉雄君 まあこの検討資料をざっと見て、昨年桑園整理をやられた、減反をやったということが、その後非常に高騰して、政府の政策に従ったら大へん損をしておると、政府のやることの裏を行けばいいというような感じを与えて、そうしてこれを一貫して流れるものは、あの減反、桑園整理が正しかったんだという弁明がまあ随所に出ていますし、しかし、オフィシャルな考えではないという点は了解しますが、しかし、非常にこの全体を流れるものと非常な関係があるというふうに私見ているんですが、しかし、まあこれを、ただいまのようなことではやはり十分でないので、もう少し詳しく世界経済の動向あるいは化繊との関連とか、いろいろな重要な問題を提起しているのです。オフィシャルでないと言われるが、しかし、実際これを流れている、執筆をまとめられた考えと措置法とは決して関係がないとしない。一つもう少し詳しい説明をいただかぬと十分でない。その方が早く進むんですよ。
#9
○政府委員(大沢融君) 御質問の点で、再びお言葉を返すようではなはだ恐縮でございますけれども、私、実はこうしたものを検討資料を出しまして、最後は振興審議会に、この検討資料とともに、大体私どもの今後の蚕糸業の安定と申しますか、発展と申しますか、そうしたことをやるためには、一体どういう手を打っていったらいいかというようなことまで一応の考え方をまとめまして、そういうものを蚕糸振興審議会というようなところに持ち込みまして、いろいろ御討議を願い、御審議を願って、最終的には今後の蚕糸業のあり方をきめていきたいという気持で、研究過程の資料でございますのでそういうふうに御了承願いたいと思います。
#10
○中田吉雄君 だから、研究過程としては了解しますが、そういう前提で詳しく説明してもらいたい、こういうことなんです。
#11
○政府委員(大沢融君) それでは御説明を申し上げます。目録を見ていただきますと、第一分冊でございますが、「蚕糸業の不安定は克服されたか」というようなことで書いてございますが、これはむしろ第二分冊で明らかになっておりますけれども、これの九ページにグラフがございますが、第2図として、二十二年から二十六年まで上糸の生産数量というのは飛躍的に増加しておるわけです。あとの点に触れていますが、この間の増加というのは、桑園の増加というよりは、糸の増加とか、あるいは反当収量の増加ということにささえられてきているわけですが、その後、二十七年から三十一年のグラフが十ページにございますが、その後、生糸の生産数量というのは二十六年までよりは落ちておるわけですが、この間の増加というのは主として桑園面積の増加にささえられております。そこで、この間の価格の関係はどうなったかというようなことが十三ページに4図、5図ということでグララが書いてございますが、生糸の価格は二十四年から二十六年は大体年率一・二%くらい、多少上がってきておる。しかし、その次の一十七年から三十一年、十四ページにございますが、この間にはむしろ価格が年率マイナス五%ということで、だんだん下がってきたということでございます。そこで5図をごらんになっていただきますと、二十四年から二十六年は価格も第4図に示すように上がり、それから生糸の消費価額も十三ページの下の図でごらんになられるように年率一三%でずっと上がってきておる。しかるに、その十四ページで見ていただきますように、二十七年から三十一年になると、その価格は下がるのに、さらに、消費価額の方も年率わずかではありますが、だんだん減退の傾向を示しているというようなことです。その間に一体生産費の方はどうなったかというふうなことを見ますと、これは二十七年から三十一年の間には、生産費はむしろ年率四%くらいずつ上がってきた。それはちょっと文章の中に書いてございます。それから二十六年までは、生産費は徐々に下がってきたというようなことだったのです。そういうような生糸の需給状態、価格の状態というようなものが、二十七年以降から需要は減退傾向である。しかし、生産は相変わらず、ことに桑園増反というようなことで増加傾向であります。従って、価格はかえって低下傾向である。しかも、逆に生産費は上がる傾向にあるというような矛盾があるわけです。そういうような矛盾をはらんでおったのでは、蚕糸業の不安定は克服されたことにはならないのではないかということが第一の書き出しであります。
 そこで、こういうような事情になったのはなぜなのだろうかということを、第一分冊に戻っていただきまして、「戦後における蚕糸業の推移」ということで述べております。終戦直後の蚕糸業の再建計画をここでは批判しておりますが、需要に見合う以上のものが、ここで製糸設備ができた、それが今日まで温存されているということが一つ原因である。それから自由経済へ移行とともに、蚕糸業も自由経済の中で活発な自由競争をするという羽目に陥らざるを得なかったにかかわらず、さらに統制時代の思想を続けていろいろの意味でのささえがされたということ、そのために、今申し上げたように、需要の減退、増産の継続があり、そうしてその結果が昨年のように蚕糸業の混乱になったということが書いてあります。
 そこで、それじゃ今後これを安定させるためにはどうしたらいいのかということが「蚕糸業安定化の考え方」ということで、ここに一応の考え方を述べておるのですが、一体「当面の課題は安定か登展か」、これはよく誤解をされるのでありますが、農林省は拡大均衡をやりめて縮小均衡に移ったのだ、こういうことをよくいわれるのでありますが、私どもは拡大均衡をするためには、まず安定をしなければいけない。先ほど申し述べたように、需要の趨勢はマイナスだ、生産はプラスの傾向、価格はマイナスの傾向だ、生産費はプラスの傾向だ、そういうようなことでいきなり拡大ということに移ることはできさない、だから、まずそういう要因を取り除いて安定をして、しかる後に拡大をしなければいかぬ、こういう考え方です。
 それからそれと第二に「輸出産業という考え方の反省――競争力ある産業へ」、これはここもよく誤解をされるのでありますが、農林省は輸出産業というふうに蚕糸業を見ないのだ、そういう考えは捨てたのだということをよくいわれるのですが、私どもは輸出に力を入れなければならぬということはもちろんでありますが、ただ輸出産業だという一本だけで政策をやったら間違いじゃないかという反省であります。特に副題としてありますように、中共生糸、あるいは化繊糸との競争、ことに、ここに触れてありませんが、今後の自由化というようなことを考えれば、ますますもって「競争力ある産業へ」という力を尽くさなければいけないということを、まあ考え方として述べておるわけです。そのためには需要増進をしなければならない。しかし、需要増進というのは、これは従来は、あるいは政府だけがやる仕事だというようなことの観念があったけれども、そうじゃなくて、業界自体、自分の販売対策なり、生産対策なりでやるべき仕事なんだという考え方を述べております。
 そこで次に、それじゃこういうことで安定をするために、どういう問題があるだろうということが四以下に述べてございますが、製糸業の合理化、過剰設備というのは、先ほどちょっと触れましたように、終戦直後の蚕糸業の再建計画の中にあったわけですが、それが最近自動機のいわば技術革新とも言うべきような、ああいう進んだ機械が出てきてに、製糸業というのは再編成の過程にある、しかし、それをどうしていったらいいかということはまた別でありますが、再編成の過程にあるのじゃないか、そういう問題がある。いずれにしても、製糸業というのは合理化の方向へ進む必要がある。しかし、まあ自動化、自動機の発達というようなことで、そういうことに進む素地は大いにあるのだと、こう思うのでありますが、また、その場合に原料繭の調達に不合理なことがあればそれを直さなきゃいけないだろうということ、さらに養蚕業の合理化については第三分冊で触れておりますが、考え方といたしましては、地域的な集中傾向があるわけでありますが、養蚕業の合理化をしていくのには、やっぱりコスト切り下げ、そのコスト切り下げということのためには、普通考えられるのはまあ機械化というようなことでしょうけれども、ここで機械化というようなことはなかなか考えられないので、やっぱり労力節約といいますか、そういうことを中心に考えていかなきゃならない、労力節約をする場合には、並行的に掃き立て規模の拡大というようなことが相伴うものであって、そのためには反当収量の増加、場合によっては桑園の増ということを考える必要がある。さらにまた、蚕作の安定ですか、そういうようなことも並行的に考えていって、徹底的に合理化――生産費の切り下げということに徹していかなければいけないということが、養蚕業の合理化の点であります。さらに価格安定制度でありますが、これは安定制度の堅持というようなことが書いてございますが、養蚕業あるいは製糸業あるいはこれに携わっておられるもろもろの関係の方の経営の安定というようなことを考えても、さらに、輸出増進あるいは需要増進というようなことを考えても、安定制度というものは今後もとっていかなければならないということ、安定制度を考えます場合に、今までの生産費――現行の生産費基準方式というものであっては、ここに一等おしまいの方、三十八ページに書いてございますが、現行方式による生産費水準で価格を安定させようとすることは、農家がこのような生産費を採算の尺度にして生産の増減をしていないので、実勢から遊離した価格支持に陥るということ、このことが昨年の混乱の一つの原因であったと思うのです。そこで、一体、生産費基準ということをどういうふうに考えたらいいのかということが一番大きな問題になるのではないかということを問題点として指摘しておるわけであります。今まで出しましたものについての御説明を申し上げますと以上の通りでありますが、くれぐれも申し上げておきたいのはこれはオフィシャルな見解ではございません。従って、今の安定法改正、臨時措置法改正とはつながってはいないということを再度申し上げておきたいと思います。
#12
○清澤俊英君 今までの御説明が、この十八万円での売り出しと、臨時措置法改正と、全然つながっておらぬとはおかしいじゃないですか。今御説明になったことを全然抜きにして、ただ、十八万円出したというのは、どこで出したんですか。
#13
○政府委員(大沢融君) 十八万円の問題は、ただいま申し上げたことと別個の問題でございます。これは、お配りしている資料の中に、ことしの三月の繭糸価格安定審議会の速記録がございますが、それでごらんになっていただけますように、十八万円と申しますのは、先ほどもちょっと触れましたが、昨年の二十三万円のこの最高価格はそのまま据え置く、しかし、臨時措置法は時価でいくということになっておりますので、十八万円になったら申し込みに応じてだれにでも売りますよという制度にして、自主的に経済的な最高価格の役割を果させるという意味で、繭糸価格安定審議会に御相談してきめた数字でありまして、そういう意味に一つ十八万円を御了解願いたいと思います。
#14
○清澤俊英君 この十八万円というものをきめられた中心がどこにあるか、こう聞いているのです。今言いましたように、検討資料によって考えて、将来はここらでどうしても押えなければならぬとかなんとかいう考え方なのか。何かはかに理由があって十八万円が妥当と、こう考えるのですか。こういうことが一つと、いま一つ私がお伺いしておきたいのは、三月三十一日の糸価安定審議会にお諮りになって、そうしてここで大体十八万円という線を出して、そうして十八万円で申し込みがあれば売り出す。これは手離されたのでしょうね。こういうことに一応なったように私は了解しておるのです。そこでお伺いしたいのは、臨時措置法で持っておりました売ることのできるものは約五万だ、いま少し多いかと思いますが、五万俵だと、こういわれておるのでありますが、それらのものがいつから大体十八万円で売り出されたのか、こういう資料を一つ至急出していただきたい。いつから十八万円で各月どれくらいずつ売り出されたのか、何かここにちょっとあったようでありますけれども、これを一つ……。
#15
○政府委員(大沢融君) 四月十五日から売り出しております。そこで、四月は千六百三十九俵、五月は二千三百三十二俵、六月は三千五百八十九俵、七月は千四百二十一俵、それから八月が一万五千百五十七俵、これは先ほど申し上げましたように、二十一、二十二、二十四というような日に、二千五百とか二千二百とか申し込みがあって、さらに大臣の声明される日は七、八千俵の申し込みがあって、それが声明によって取り消しになったということがこれはございます。九月が二千百十六俵、十月が七千五百六十四俵、こういうことでございます。
#16
○中田吉雄君 局長の御説明通り、この資料がオフィシャルなものでない、また、この臨時措置法の改正と全く別個のものであるということは説明通りに了解しますが、しかし、これは一つのいろいろな問題を提起されておるわけなんです。しかし、問題を提起するからには、問題の取り上げ方は、一つの流れる基準なしにはいろいろな分析をやるにしたって、ないのです。それとまた、全然これと関係なしに今度の臨時措置法の改正をするということはおかしいと思います。やはり全体の見通しを持って、この一つ一つの政策というものは、そういう全体との関連で私は出てこぬと、そういう全体の見通しのない、全くそれでははなはだ一貫性のない問題を提起された。そうして提起するからにはいろいろな考え方がある。それを取り上げるには一つの意義があると思うのです。まあ別としましても全体の見通しを立てて、そうして一つ一つの布石をしていけば、その蚕糸業を安定するという方向にいくという、そういう結びつきは当然なくちゃならぬと思うのですが、それはどうなんですか。
#17
○政府委員(大沢融君) 今後の蚕糸業の先ほどから申しますような安定あるいは発展というような方策を確立するということは、私どもに与えられた課題であります。従いまして、今のよらな検討をし、最終的には蚕糸業振興審議会に諮って、さらに国会で御審議を順うということになろうかと思います。そういう宿題があります。そこで、そういうことを解決しなければならぬというために、安定法、この本法自体で今年の価格安定をするということでなくて、そういう宿題があるものですから、臨時的に臨時措置法ということでやっておるわけであります。ですから今後の大きな見通し、大きな方向というようなことは、これからいろいろの機関に諮って検討をさしていただかなければならぬ、こういうふうに思っております。
#18
○中田吉雄君 私は疑念がありますし、まとまった時間をもってこの提起されておる問題についていろいろお伺いしたいと思いますが、まあ臨時の措置にしても、一つの見通しと全体の関連において正しく取り上げられないと、臨時措置が生きてこないというふうに私は思っておることを申し上げて、これはまとまった時間をもってこの問題と取り組んで一つ御質問したいと思います。私はこれまでで終わります。
#19
○清澤俊英君 今お伺いしますと、十八万円で申し込みがあることが三月の三十一日にきまりまして――いま一つの資料の方にあったかと思いますが、それで読みますと十八万円、八月までは十八万円以下でずっとたどっておる。八月にちょっと一時十八万円以上土を出ているのですが、こういう際に十八万円で、これだけの申し込みがあったでしょうか、十八万円で売られたでしょう、ずっと。
#20
○政府委員(大沢融君) その通りでございます。
#21
○清澤俊英君 それはどういうわけですか。ちょっとそういうところがわれわれにはわからないのです。わざわざ現物の値段も全体が下がっておる、この表で見ます通り、資料から見ましても下がっておる。下がっておるときにわざわざ高いものを買ってどうするつもりなのでしょう、そこに何かがあったのではないでしょうか。
#22
○政府委員(大沢融君) 売りものの中に三千円で買ってもいいというような品物があったためだと思います。たとえば七月の初めにずっと値段が安くなっておりますが、二十日前後のところで値段が三千円に近くなっております。そういうときに、やはりたくさん売れているということになっております。
#23
○清澤俊英君 それは趨勢としてはわかるのですが、とにかく三月三十一日に締め切ったのですね、それから始まったのです。四月は高値十七万八千円、五月が十七万九千円、六月がようやく十八万円を出ていますが……、このグラフでいくとちょっと出てないのじゃないかと思われる。これは出ています。平均値段としますと、あなたにもらった資料で見ましても、十月の月になりまして、ようやく平均価格が十八万一千円というものが出ている。九月までは十七万八千円の平均価格になっている。清算取引で申しますと、七月までが十七万一千円、安値が十六万三千円、この時期に相当の数量を売り出されたことになっている。これはどう説明していただけるのですか。
#24
○政府委員(大沢融君) 必ずしもそのときの高値が十八万円以上になるというときでなくても、十八万円に近くなれば、政府のものが買い安いとかその他のことで、売れるということは当然ではないかと思います。
#25
○清澤俊英君 私はわからない。もうちょっとはっきりした説明をしていただかぬと私らわからないです。結局、現物も下値であり、清算も先売りが下値である、こういう立場のとき、相当数最が売れているわけです。
#26
○政府委員(大沢融君) そういう時期にはほとんど売れておりません。ですから、今申し上げたようにこのグラフでごらんいただきますと、七月に何千俵か売れた。ほとんど高いときの日に売れているということになっております。
#27
○清澤俊英君 言われるが、問題は下値でまだついているときに、十八万円なら売ります。こう出ているのだから、あるいはここまで追いついたかも知れない。政府は十八万円ならいいと出しているから、そこで思惑ができたのじゃないでしょうか。そういうところに思惑が生ずるのじゃないでしょうか。私はそうじゃないかと思われる。一体まだ下値にあるうちに、申し込みがあったからといって十八万円で売るというのは、どうも私には要領がわからない。損して商売しようなんていうのはない。どこかで十八万円以上で売れている物がその当時あったのだろうと思う。どこかであったと思うのです。あったから、結局すれば、買いもついただろうし何かもしたのだろう。それは言いかえますと、これはどういう人にお売りになったか知りませんけれども、買った人が、その物をもって正式に清算市場の、局長の言われるような、清算品としてこれを使うとか、あるいは直ちに現物市場へ出して売買するとかいうことでなく、何か別なところで実質上の価格が出て、それでやっておったのじゃないでしょうか。そういう下含みを持っておったのじゃないだろうか、こういうことなんです。そういうものに対して検討があったのか、ないのか。
#28
○政府委員(大沢融君) 御質問の意味を私取り違えているかもしれませんが、政府の物が数万俵あって、さらに十八万円でいつでも売れるのだというようなときに、そういう思惑はあり得ないと思います。
#29
○清澤俊英君 局長は思惑はないと言いますけれども、思惑を防止してそうして正常な価格を作るために十八万円で売るのだ、こう提案理由の説明には書いてある。そう書いてありますね。思惑がないということはおかしいじゃないですか。思惑というものを始終考えないでものをやっておるのですか。
#30
○政府委員(大沢融君) たとえばこういう場合が考えられると思います。織物をされる方が先約定をしておりまして、その先約定をするために生糸が必要だという場合に、たまたま二十一中の三A格というようなものがほしい場合に、それが市場になかった。製糸家から手に入らぬ、間に合わなかったというような場合には、政府のものがそういうときに売れるということも考えられます。そういうような、糸の種類によって売れる、格によって特殊なものが売れているというようなことがあり得ると思います。御心配のようなこういう状態で、思惑を助長するというようなことにはならないと私は考えます。
#31
○清澤俊英君 まあ思惑議論なんか私はあなたとしていたってしょうがないと思うのです。大体思惑とは何か、これから先に検討しなければならなくなるが、それは後にしたいと思います。
 それでちょうど三十四年三月三十一日の安定審議会の会議録をいただいて、まだ少しばかり残っておりますけれども、大急ぎで読んでみますと、ある委員は「私はこちらにも意見がありますよ。現在、私は十八万で商いをしております。海外にも売っております。お得意には十八万五千円で売っている。それで今、十八万の商いが相当あって、アメリカでもヨーロッパでも糸がなくなっているんですよ。去年は極力十九万円を、全財産を上げて維持したんです。」云々と、こう書いてあるのです、あとにずっと。「現在」は三月三十一日のことでしょう。こういう下値があるのです。だから十八万円で出しても、相場と別なものが飛び歩いている。それと、売り出されたということとの関連は一体どうお考えになっているのか、こう私はお伺いしているのです。
#32
○政府委員(大沢融君) 今お読みいただいたところは、安定審議会で一体臨時措置法の糸を、時価が十八万円になったら売るのがいい、あるいは十九万円になったら売るのがよかろうという議論でありまして、大体、十八万円がいいか、十九万円がいいかということで御議論があったように記憶いたしますが、その議論の過程で、十九万円の方がいいのだという方の御意見だと思いますが、そういう議論を尽くしたあげく、十八万円ということがきまったわけでありまして、それがきまってからというものは政府の六万俵、五万俵の、臨時措置法の糸が十八万円の上値を押えるという力を発揮してずっと今日まで来たわけです。
#33
○清澤俊英君 上値と言っても、表はそれでいっておりますよね。表はいっておりますけれども、表はそうなっていないのだ。十八万円で出されると言っても、ずっと八月以降出している現物は二十万円と言っているのだ。ずんずん上がってきているのです。だから、底力がどこにあったかと、こういうことなんですね。これは端的にいうと、いろいろ政府では相場を思惑と称して抑えてはいるが、現実は、私は、こういうふうな趨勢の中で商売しております、こういうことを言っているのです。それだから、やたらに値段などを抑えてもらいたくないと、この人の意見はこうだ、この人の意見が妥当として私は取り上げているのではないのです、そういう実勢があったということなんです。それが実勢なんです。事実なんです。だから、これを通じて見ますと、局長の言うことがわからぬというのが七割だ。何だか、何を言うておられるのかわからない。これが大体のなにになっているのだ。まあ一回くらい読んで見ても話にならないと思います。いま一度読み返そうと思っておりますが、結論として、十八万円がどういう形できまったかということはまだ調べておりません。だから、それに対して申し上げることはできないのですが、一体、こういう価格をきめまする際に、養蚕家が会い、製糸家が会い、価格の方では対立しております。製糸家から問屋に行きます。おそらくは製糸家と問屋は一本であるが、なには対立しておると、こう考えていいと思います。一本である場合も非常に多いと思います。問屋さんが今後機屋さんに売る。機屋さんに売る場合も一本であり、対立の関係にある。価格においては対立の関係にある。商売の内容においては、私は一本であると思う。それが輸出になって外国にお得意さんがある。今度機屋さんは自分の作りましたものをデパートとかなにかに、大きな織物問屋に渡していく、ここにまた価格の対立がある。そういうものが錯綜して、値段が安かったらいい、高かったらいいと、こうして議論しているのが、これに相当出ております。そこでこれが、そういう人たちを集めてお聞きになったというが、今申しまする通り、今も中田君の質問しました際に、農林省としては検討資料というものを作っておられるが、作っておられたそれを中心にして十八万円として押し切られたんじゃないかと思う。結論は、そういうものの調整というものはなかなかできるというものじゃないだろうと思うのです。われわれが聞いているところによりますと、業界の人が、農林省がああ言うているんだから、まあこれに逆らっちゃにくまれると、将来ひどい目にあうから、一つ言うことをきかなければならぬ。どういうわけでそういうものが出てくるのだろうといろいろの人に聞いてみますと、結論はそれなんです。腹がみんな別なんです。別な腹のものであるが、そこに出て参りますれば、利益に向かっていろいろな芸当を打つ、私はそう思うのです。芸当を打ちます。損しようと思う者は一人もない。そういう点をどう見きわめて、どう考えて私は十八万円をきめられたんだ。これを見ますと、ほとんど、この前の方にもありますが、十八万円ということが一つの諮問条項であって、相談条項である、これまで言うていられる。しかも、これをきめまする際に、このたびのはきっとそれでもいいというつもりかもしれませんが、中には昨年の例をいろいろあげて、そうしてその次にものの値段をきめるときには、価格安定審議会に諮っていただけるかどうか。実勢がそういうものであれば、諮らなければならぬ、こう思うと言っておる、前の方で。ところが、最後の大相場になりましたね。糸価安定法という法律で国がたくさんの金を出して、そうして上値を押えて安定させようというものを、手持ち一ぱい出してもらおうというと、なぜ系価安定審議会に正式におかけにならないか、それで私は、この情勢におきますところの糸価の重大問題に対するものとお考えになるのかどうか。だから当時政府が、安定法――旧法による手持ち五万俵をみんな使い尽くしたならば、糸価は青天井になるだろうといずれも言うております。一斉に新聞は書きたてた。だから、われわれは繭糸価格安定審議会におかけになったらどうだ。そのきまり方によっちゃ、われわれとしてはいかようにきまってもよろしい。養蚕家の立場として、値段のきまり方によっては大へんであるから、一つ振興審議会に一応の意見くらい聞いてもらいたい。何べんも請願書を持って大臣のところへ行った、局長のところへも行った。何も手続していない。そこのところを強くわれわれにはっきりのみ込めるようにして下さい。
#34
○国務大臣(福田赳夫君) 蚕糸政策の大目標は、やはり蚕糸の需要を現実に増加する、これにあると思うんです。それで、この春、十八万円がどうしてきめられたか、ということでございまするが、まあ、当時のこととして、十八万円見当の高値であれば、国内市場ではナイロンと何とか太刀打ちもでき、また、国際市場におきましては、アメリカなんかでも需要を喚起し、また、ヨーロッパ市場では、中共の糸なんかとも相当の競争ができはしまいか、こういうことじゃないかというふうに私は思うわけであります。その考え方自体は、私はそういう考え方でいいと思いまするが、その後、御承知のように、最近になりますると、国際経済の好調、こういう新要素が出てきておるわけです。かようなことから、生糸の需要が、その当時は三十万ちょっとこえる程度というふらに想像されておったのが、非常にふえまして、三十八万俵前後は必要があるのではあるまいかというふうに想像されるくらいまでなってきておるわけなんです。私はこれは非常にけっこうな傾向であろうと思います。もっとも、三十八万俵という見通しが出る前提といたしましては、先ほど申し上げましたように、この生糸の価格が国際間において競争に耐える価格ということがもちろん前提になるわけでございますが、しかし、前提と申しましても、さような安定した価格に立って日本の生糸の需要というものがふえてきたのでございますから、従って、価格にも、また、それが反射的に強含みの影響を与えるということになるのは当然でございます。そこで、考え方といたしましては、さらに、この好調に乗じて需要をふやすというためには、価格がなるべく安定しておった方がよろしいと、こういう考え方になるわけなんでございます。これが臨時措置法によって保有しておりました生糸を売ることによって、安定を持続してきたわけでございますが、その生糸が今やほとんどなくなったと、そういう際にどうなるかということを与えると、相当急激にこの生糸の価格が、今までの十八万円からさらに上がってくるのっではあるまいか、そういう際になりますると、これは国内におきまして、もうそういう空気もあるそうでございまするが、化学繊維、合成繊維の方にしようじゃないかということも起こってくるでありましょう。また、ニューヨークあたりで、買い控えという傾向もすでに出ておるというふうなことも伺っておりますが、そういうことにもなりましょうし、それをまた、もとに戻すということになると、大へんな努力が必要であろうと考えるわけです。そこで私としては、十八万円という価格、これは三月に皆さんの意見が結集されてきめられた価格でございまするが、これが長く続くことは望ましいわけでございまするが、しかし、一面において、そういう経済の、この価格強含みという影響もある、傾向もある。そこで、今後の価格水準ということにつきましては、需給の態勢とか、そういう最近の価格の傾向とかいうものをいろいろかみ合わせた考え方をしなければならぬかというふうに考えておるわけでございまするが、いずれにいたしましても、政府が、臨時措置法じゃありませんが、安定措置法によって生糸を四万五千俵保有しておるのですから、その保有した生糸を処分し得る状態に置くことが先決である、こういうことで、今法律案をお願いしておるわけでございます。法律案が通過した後におきまして、私ども、先のことで、価格が一体どういうふうな足取りをたどるか、これは想像もできません。十八万円を切るというようなことも、これは想像としては、あり得ざる想像ではないかもしれませんが、しかし、現実はそう動きそうもないようにも存じますが、ともかく、今まで時価だと見てきた十八万円が、実勢と違うという事態におきましては、今お話のように、安定審議会の開催をお願いいたしまして、広く皆さんの御意見を伺いまして、そうして、その線にのっとってこの価格なり売り方というものをきめていきたい、こういうふうに考えておるわけなんです。どうも、それがあと先になりまして、まことに恐縮でございますが、さような考えで、ただいまこの法律案成立後の措置を進めたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきます。
#35
○清澤俊英君 ほかの人が質問もありましょうから、これで一つちょっと休みますが、今の御説明はいろいろ需給関係、経済関係等を中心にしてのお話は十分わかっております。わかっておりますが、みんな農林大臣と同じ頭で商売してくれれば問題はないんです。これは問題がないですよ。現に今年の繭は三十四年の春繭以来、そういう線は破れておる。政府が一生懸命出して製糸機械の整備をやっておりますけれども、これはほとんどスクラップにしていいような機械が整備されただけで、動いておる機械は少ししか整備されていない。従いまして、実勢で動いたとすれば、四千万か四千七、八百万、五千万近くは要るのじゃないですか。これだけの力を持った機械がある。だから、繭は現実の価格と遊離して、もうそこに思惑があって繭が高く買われておる。また、農林省としましても、手持ちの繭を一月の三十日にお放しになり、それの売価は十六万円の基準で十二月までの金利をつけた繭を出しておられる。そうしますと、表の計算でいきましても、生産費は四万七千円、こう言っておられる。五万円近く……。これだけでも二十万円の糸というものが出てきておる。政府でもそういうことをして売り出しておられる。従いまして、二十万円ぐらいになるだろうというので、三十四年度の繭年度になりまして、それが高く、千七百円だの、千六百円だのというような値段で買われるのは、それはそれとして、ただ、指導価格一本押えただけでは、それはおさまりがつかぬことじゃないですか。もし、かりに、十八万でぴたっと押えられるとしたら、この高い繭を買った中小製糸はどう処置したらいいでしょうか。ここで、また問題が起きやしないかと思う。だから、当初この問題が起きましたときに、一番反対したのは中小製糸じゃなかったかと思う。あまり関係がないから、われわれのところには直接の響きではありませんが、回り回ってきております。一番なんです。こういう言葉さえありました。この間もちょっとこれは農林省が機械整備をやるために、大製糸を、自動機を持った大製糸と結託して、そうして高いものを買わして知らぬ顔をしておって、そうして、ここへ来て十八万円に糸の値段を下げて、ぴしゃりと押えますならば、中小製糸業者というものは自動的に整理ができとるんだと、これまでの極言をはいて、そういう言葉さえわれわれの耳に入るようになっている。あなた方の考え方はいい。私はそうあってほしいのだ。それでなかったら養蚕農家は全くかないませんから、ほしいのでありますが、それは考え方がいいからといって、現実に行なう上には問題がある。その問題に対する措置が、ただ農林省だけの頭でやっていたんじゃないか、こう私には思われる。そこには製糸家もおれば、小さい製糸家なんかは、製糸だけではやつていけない、必ず大きな糸屋さんがうしろから金融とともに、何かをやっているに違いない。小さい製糸家自身が、全部の機屋さんに売りますというような、こんなばかげた芸はやれません。大製糸でもそうだと思う。大きな岡屋さんを中心とした、非常に金融の力の強いものと、そこにもう抜くべからざる一つの因縁ができてきている。そうして一つの業態というものがずっとでき上がっている。それが機屋さんに売る。その機屋さん自身が、あなたは群馬県でおいでだからよく御存じだと思う。糸屋さん、群馬県ならより屋さん、より屋さんが、即、糸問屋だと思う。それのほとんど下請の状態に入っている、こういうような業界の状態を考えてみましたならば、ただ単なる考え方でこれを抑えようとせられることに私は無理、があったのではないかと思う。そこで、こんな混乱が起きたり、あるいは思惑ができたりして、一大激変動を来たしたのではないか。そういう点を大体農林省はどういうふうに考えておりますか。自分が考えていることに、この十八万円でぴしゃりと押え切れていきますのか、いけませんのか。
#36
○政府委員(大沢融君) 先ほど補足説明で申し上げましたような、ああいう需給見通しでございます。そこで、あの需給見通しからいけば、今、清澤先生が言われたようなことで、年間推移し得る条件が十分にあるというふうに私ども見ております。ただ、ただいま大臣から言われましたように、これからの扱いの問題としては、大臣の言われたような扱い方で衆知を集めてやることになると思います。
#37
○小笠原二三男君 いろいろ論議に入る前に、どうもけさからこの委員会の様子を見ておりますと、質問があるなら質問せいというような態度で、何ら政府の方は積極的に、この十八万円でどうしても売り渡さなくちゃならぬ、そのことによって将来の見通しはこうなるのだ、大丈夫なんだ、これは繭糸価格の安定に資することについては政府は責任を持つ、現状はかようなんだという、積極的な説明が何らない。補足説明といいながら、局長の言っていることは、全く事務的な、聞いても聞かぬでもいいようなことを答弁しているという程度のものなんです。この法律案はどうなってもいいのですか。もう少し熱意を持って、親切に御答弁を願いたいと思うのです。
 まず、さっきから言っておられる三月の安定審議会における速記録の一部を読んでみますと、ある委員は、ちゃんと先手を打ってこういうことを言っている。審議会でわれわれに諮問をして、われわれが一生懸命答申してやっても、政府は適当にやるんじゃないか。今回諮問になったことについては、答申したら答申通りやるのかやらぬのか、まず、その点を初めはっきりお聞きしたいなどという、審議会の委員の中でそういう文句まで言っておる人がある。そうして、あの繭の大暴落の際に、私はかようかようのことを言って、そういうことをさしたら必ずもう大暴落する、だから、いかぬということを言ったにもかかわらず、結果はそうなっておる。だから、今回はわれわれの意見をそのまま用いるというような考えがあるのかどうかというようなことを聞いておる。そういう点からいっても、私はこの法案を、政府が独自の案として出す前に、この安定審議会に、現行の臨時措置法による買い入れ生糸はもう減ってきておる。安定法でそれを取りくずして、時価十八万円で売ることによって、実勢価格、また市場価格が安定するかどうか、こういうような衆知を集めた論議をこの審議会で願うべきではなかったかと思うのですが、そういう手続をとられてこの法案が提出されてきておるのかどうか、お伺いしたい。
#38
○政府委員(大沢融君) 私の説明の至りません点は、これから気をつけたいと思います。ただいまお話のありました点でございますが、速記録をお読みいただくとわかるのでありますが、本生糸年度は、自主的には十八万円の最高価格でいこうということが、この諮問の結果、きめられたことなんであります。この審議の過程で、先ほども私、清澤委員の御質問に対して申し上げましたように、十八万円がいいのか、十九万円がいいのか、非常に議論が多かったのであります。結局は政府の諮問案が十八万円になったらということで御相談を申し上げておりましたので、結論的には、そこにも書いてございますように、この審議会で出た意見をよく含んで、政府が善処しろという結論が出ておりますが、私どもの見た空気では、十八方円、大体、今そういうふうにしていただいていいんじゃないかというような雰囲気になったと思います。そこで、そういうふうに一度さめられて、十四万円――十八万円という安定帯で今生糸年度はいこうということでありますので、これを変更するならともかく、変更するような場合はまた諮られたいというようなことを委員の方々は言っておられますが、その通りでありますが、変更しないで、既定方針通りやるということでありますので、特に安定審議会に諮らなければならないということではないというふうに考てえたわけであります。また昨年のような臨時措置法を出しますときも、審議会に諮ってやるというようなことはしなかったように記憶をしております。
#39
○小笠原二三男君 この審議会では、安定法の方の最高最低価格を諮問せられておる。これは公式のものなんですね。それから十八万円というのは、あなたもおっしゃっておるように、実質的な最高価格というふうにかたくなな態度でなく御相談になっておられる、こういうような様子なんですね。そうしますと、もう臨時措置法による買い上げ生糸を売り渡す分において十八力円の決定はいいでしょうけれども、安定法で最高最低をきめられておるこの方の二十三万円で売り渡すこと、それにきまっておる生糸を取りくずしてくるという段階、また取りくずしても十八万円で売るべきであるという政府の方針があるならあるほど、そのこと自体を審議会に諮問して、それでいいかどうかということを、この中間的な市場価格がこういうふうに暴騰してきておる、こういう時期においてこそ諮問すべきではないか。政治的に臨時措置法の五万俵なら五万俵を売る分においては、来年度までの、かりに三十五年の五月三十一日までこれを売るときめたんだから、あとは諮問する必要はない。市場価格が、実勢価格がどうなろうと、安かろうと高かろうと十八万だ、こういう点は問題はあるにしても、それはやり得るかもしれぬ。しかし、それだって、もしも十八万円以下に暴落しておったならば、政府は十八万円できまったんだからというので、どこまでも十八万円でだれでも買いたいという者に売りたいといったって、だれも買う者はないんですから、そうなれば、この十八万円というものをくずして審議会にかけなくちゃならぬということが起こってくるわけですね、この年度中にも。臨時措置法の中の生糸を売る段階であっても、市場の推移によっては、そういうこともあり得る。まして安定法の、ちゃんと売り渡し価格のきまっておるそれを取りくずしてきて、十八万円台でなお売って本年度の市場価格を安定させよう、こういうことであるなら、この転機に当たって審議会に諮問しないということは、私は審議会を作っておる精神からいって、納得できないんです。あくまでも政府責任でやるといって強行してきておる精神こそが、私はおかしいと思うのですがね。これは大臣とも御相談なすって、そんな配慮は要らない、大臣の責任だけでやっていく、こういう部内の取りきめをもって審議会に諮らなかったのですか。
#40
○国務大臣(福田赳夫君) 審議会にお諮りするということにつきましての小笠原委員の御意見、まことにごもっともだと思うのです。それでしからば、それにお諮りする時期の問題なんですが、私どもはこの法律案が成立した後において、これを執行する方法等につきまして御意見を承りたい、こういうふうに考えたわけなんです。で、とにかく臨時措置法による生糸がもうなくなってしまう、そういたしますると、政府が二十三万円以下の価格で売り得るところの生糸というものは、もうないわけなんでございますから、とにかく、そういうものは政府において処分し得る状態を作ることをまずお願いいたしまして、しかる後、その処分の方法等につきまして御意見を承りたい、こういうあとさきのことなんですから、私どもも決して独走というようなことではないので、広く各界の御意見を承りまして、その御意見の動向に順応して事を進めていきたい、かように考えておるわけであります。それが、そういう審議会を先の方、法律案を出す前にというお話でございまするが、まあ審議会でお願いするのは、そういう価格をどうするかとか、あるいはその売り渡しの方法をどうするかとか、そういう点につきまして、法律案が出た後に十分御検討をいただきたい、こういう趣旨でございます。
#41
○小笠原二三男君 私、その点は、いつもの大臣のおっしゃることなら、ごりっぱな御意見で、ああそうであろうと思うけれども、どらも今の大臣の御答弁には納得できない。この法律案は、前後しているだけでなくて、二十三万円のものを十八万円に売ってしまうのだということで提案しておるわけです。それであるなら、この安定法の二十三万円の生糸も、十八万円で売ったらいいのか、十九万円で、もう実勢価格がその辺に行きそうだから、それで売っていったらいいのか、こういうようなことをあらためて審議会に諮って、そうしてこの転機に当たって、どういう価格でこれを持っていくかということが諮問せられて、そうして自信を持って国会に、さて、この生糸を取りくずしてくるのだというものを出すべきだと思う。もう国会では無条件に、この法律が通れば十八万円で売るのです。十八万円は動かぬのです。そうして、十八万円での売り渡しの方法だけをあとで審議会にあれする、審議会の方は、それはいかぬ、二十三万円のこの五万俵なら五万俵を十八万円にそのまま落として売るということはいかぬ、三月の当座においては十八万円台であったけれども、この状況でいくならば、今や十九万円でいいじゃないか、今、十八万円放出の法案が国会上程になっておってさえも、二十万円台で、相場が下落しながらもその辺で最近までもっておる。そうするなら、十八万円でなくてもいいのではないかという議論もあるかもしれぬのですがね。それを、三月にきさめたのだからあくまで来月の五月まではべたで十八万円、それを強硬に押しておって、そうして二十三万の生糸だけ取りくずしてくるということを国会の承認を求める、私はこれは前後しておる、総合的にこういうものこそ審議会に諮るべきであろうと、どうしてもそう思うのです。違いますか。
#42
○国務大臣(福田赳夫君) この臨時措置法は、これを売る際の価格は時価なんです。時価によって売るべし、こういうことになっておるわけなんです。それで、この法律案を提案をいたしました当時の私どもの見通しといたしましては、時価はすなわち十八万円だというふうに、実はこれは実際問題で、法律問題じゃありませんが、考えておったわけなんです。ところが、その後の推移を見ておりますと、現物の取引などは、十八万円を相当上回っておるような状況は、お話の通りでございます。さようなことになりますると、私どもが今お願いしておる法律は、時価で売るべしということに関しまして、政府の権限を得るというための法律でございまするから、この法律の執行というものは、十八万円にこだわるというわけにはこれはいくまい、こういうふうに考えておるわけです。そこで、この法律案が通ったときの状況が、あるいは十七万円なんということであれば、これは論外でございまするが、十八万円をこえておるという状況におきましては、これは安定審議会の御意見に諮りまして、そうして時価で売るという法律をいかに適正に執行するかという方法について御意見を承り、それに従って行政措置をしていきたい、こういうふうに考えておるのであります。でありまするから、ここで委員会の皆さんに申し上げておきたいのでございまするが、提案理由をずっと前にここで御説明いたしたわけであります。そのとき、時価、すなわち十八万円で売り渡すのだ、こういうふうに申し上げてありまするが、その後の経過におきまして、多少事情が変わっておりまして、すなわち十八万円と言えないのであります。時価によって売るところの権限をお願いしたい、こういうふうになっておるということを御了承をお願いしたい。
#43
○小笠原二三男君 それでだんだん問題はわかってきたのですが、あなたがここに本日御出席になる前に、局長はやはりこの審議会で三月にきまった十八万円、これで売るんだということを主張しておられる。現にさっきまでもう来年の五月三十一日まできまっているのだから、十八万円で売るんだということを言っているのですよ。それは違うんだというなら、じゃ、もう具体的に今々の問題ですから、審議会に諮る諮らないでないですよ、そんな余裕ないですよ。多分幾らくらいで売ろうと今試算しておられるのですか。
#44
○国務大臣(福田赳夫君) これは売り出しの価格が一体幾らになるであろうということは、これは私どもは忠実に法律を執行するつもりでございますから、そのときの時価ということになるわけなんです。この相場というものは常に浮動しまするから、幾らで売るかということを今ここで申し上げるわけには参りませんけれども、大体のそのときの糸価というものの動きがあろうと思います。しかし、これには現物の相場があり、いろいろありまするから、そういう御検討とか、それから糸価が一体、時価がいかに適正に表現されるかという売り出しの方法の問題があると思うのです。そういう点につきまして、本法案成立後、すみやかに審議会を開催いたしまして、御相談申し上げようという、そういう考えでございます。局長が先ほどそう説明したことと、私が今申し上げたことと何かそごがあるようなお話でございますが、これはそごがないのです。局長は、法案をおそらく提案をいたしましたときの状況を申し上げたかと思うのでございまするが、その後、さような事情の変化等もありまして、法律を適正に執行するという見地からは、十八万円にこだわるという考えは持っておらない次第でございます。
#45
○小笠原二三男君 しかし、その中で、この提案理由の説明ですよ、提案理由の説明で、大臣の取り消された「この売り渡しは、現在行なっております売り渡しと同様に、申し込みに応じ十八万円で行なうことといたしたい考えであります。」、この点は削除せられるのですね。こういうことになりますが、この提案理由の骨子になりました本文では「今もし、政府保有生糸が数万俵残っている現状において十八万円維持の努力を放棄するようなことがあれば、繭糸価格安定制度に対する信頼は再び失われ、需要者は、価格不安の少ない他繊維に転換することになります。かくては昨年の混乱を経てようやく再出発の糸口についた生糸の需要増進に多大の悪影響を及ぼすことになるのであります。」、こういうふうにね、大前提は十八万円でなくちゃならぬということをきめられて、この法案が提案されておるのですよ。それを今そういうふうに時価で今度はやる、時価とはすなわち実勢価格ですから、十八万円より上回ることは必至なんです。そうしたらこれは信頼を失う、再び混乱をする、こう断定しておるのですよ。だからもしも大臣が今おっしゃるようなことであれば、すらっとこの提案理由を、一応速記録で幾つか出ているのなら取り消すわけにいかぬですから、加除訂正、本文としてしっかりしたものをあらためて御提案なすっていただきたい。一々つべこべと、それはそう解釈してもらうのだ、あれはこう解釈してもらうのだと言われると困るので、最初の提案理由は提案理由でいいから、
   〔理事仲原善一君退席、委員長着席〕
本日の提案理由を文書でいただきたい。委員長においてそういう扱いを政府と相談していただきたいと思います。根本的に変わったのだから。
#46
○国務大臣(福田赳夫君) それは別でありますから、この前の提案理由の御説明を申し上げたのは、事情の変化によって十八万円というところは違っているのです。それでただいま小笠原さんからお盾の前の方ですね、十八万円堅持の方針云々と言われますが、従いまして、糸価安定ということにつきましての努力を払っているんだと、これがこの努力がくずれたら大へんだというふうな御理解となるわけでございますから、十八万円にあるいはなるかもしれませんよ。これは先の話で私もよくわかりませんから、わかりませんが、十八万円にこだわることは私はない、しかし、糸価安定の努力はあくまでもしなければならぬ、しかし、法律でお願いをいたしておりますことは、十八万円で売るというお願いをいたしておるわけではないのです。時価によって売ることの権限をお願いしておる、こういうわけでございますから、その権限の執行については、また糸価安定審議会また当委員会の御議論等も十分、この線においてやっていかなければならぬ、かように考えておるわけです。
#47
○小笠原二三男君 しかし、そういうふうに言えば言うほど大臣因ると思うのです。その前を読んでみますが、「しかし一方、海外、国内ともに、生糸需要者は、本生糸年度の実質的最高価格十八万円を信頼して先約定を結んでおりますので、今もし、」云々という文言があるのですよ、いいですか、ニューヨークであろうがなんであろうが、十八万円というものがずっと先約定になって、そして契約がある状況で、途中でこれが変換になったら、いわゆるそれが価格安定の信頼を失い、市場を混乱させ、生糸の需要増大に多大の悪影響があると断定しておるのです。だから、大臣はもうこれ以上それにまた理由を付せられないで、これはこれでようござんすから、あらためて提案理由を全体として文書で出していただいて、それを土台にして審議をしていくというふうにさしていただきたい。委員長におかれて政府当局とそういう相談をしていただきたい。時間もありませんから暫時休憩いたしたい。
#48
○清澤俊英君 その点について、衆議院では大臣の変更宣言という形で新聞等で書き立てているのです。
#49
○小笠原二三男君 まあいいや。
#50
○委員長(堀本宜実君) ここでしばらく休憩いたしまして、午後は一時半から再開をいたします。
   午後零時四十分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時一分開会
#51
○委員長(堀本宜実君) 午前に引き続いて、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
 午前の委員会における小笠原委員の質問に対し農林大臣の発言を求められておりますから、これを許します。
#52
○小笠原二三男君 私、質問したのではなくて、委員長に取り扱い方を一任したのでありまして、いまだ文書の配付はございませんが、いかがなったか、委員長から経過を伺いたい。
#53
○委員長(堀本宜実君) 大臣と相談協議をいたしまして、いろいろ協議が長引きましたが、結局、提案の理由あるいは補足の説明等をいたしまして、一応答弁とするというふうな状況になっておりますので、大臣からの発言でお聞き取りを願いたい、かようなことでございます。
#54
○小笠原二三男君 委員長はそういうふうに了承したのですか。
#55
○委員長(堀本宜実君) 了承しました。
#56
○小笠原二三男君 私は、文書で出して下さいということで、委員長にその取次をお願いしたわけですが、文書でなくてよろしいと委員長が了承したのですか。
#57
○委員長(堀本宜実君) ちょうど私と交代であったものですから、文書というふうには考えていないので、一応大臣からの発言で御了承が願いたい、こういうふうに考えまして、内容につきましては別にいたしまして、一応大臣から発言を求める、こういうふうな考え方を持っております。
#58
○小笠原二三男君 じゃ、私の要請ということだけでなくて、委員長の判断も入って御相談になられたということですから、私の要請とは無関係なことですから、それはそれで発言していただいてけっこうです。
#59
○国務大臣(福田赳夫君) 午前中の質疑応答にかんがみまして、先般の当委員会におきまして繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を行なったのでございまするが、この説明に対し、さらに補足さしていただきます。
 提案の当時は、従来通り、申し込みに応じ一俵十八万円で売り渡すことといたしたい考えでありました。しかし、その後臨時措置法による買い上げの政府手持ち糸の残量も僅少となり、市場の取引価格は上昇する傾向を見せて参りました。従って、御審議願っている本法案の成立後、政府保有糸を売り出す場合、従来通りの売り渡し価格、売り渡し方法は、会計原則から見てこれを変更する必要がある場合が予想されるのであります。その場合は、繭糸価格安定審議会に諮って売り渡し価格、売り渡し方法を定め、価格安定に万全を期したい所存であります。
#60
○小笠原二三男君 午前中の大臣の御答弁では、現在の市場価格から見て十八万円のそれというのは不適当である。不適当であるということは、十八万円以下ではないが、十八万円ではない。この点だけははっきりする趣意の御答弁があったと私は了承しておる。将来の問題を仮定して、そういうような事態には変更するとか変更しないとかでなくて、変更するという意思が政府としても明確である。そういう意味が含まれて提案理由が訂正せらるるというふうに、私、了承したのですが、そうでもないのですか。そらでもなければ、午前中の速記録を調べてお尋ねしなくちゃいかぬ。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) 午前中申し上げておりましたのは、先のことはこれは何人も私はこれを予測しがたいと、かように思うわけでございます。私も、この法律案が通った後において実勢というものがどういうものが出てくるかということについては、確信は持てませんのでありますが、ただいま現在の時点から見ますると、とにかく実勢は十八万円よりは相当上がっているわけです。それで、法律案が通過した後におきまして十八万円をこえる状態が出てくるであろうということは、これは想像できるのです。できるのでありますけれども、これを断定することはできない。そこで、法律案通過後実勢が十八万円をこえているというならば、そこでこの十八万円の売り渡し値段の改訂と、それから売り渡しの方法、そういうものすべてを含めまして、一つ御感見を承る、こういうようなことで安定審議会をすみやかに開催する、かようにお答え申し上げたわけでございます。
#62
○小笠原二三男君 それから、もう一点、午前中に大臣の明言せられたことは、臨時措置法に基づいて売り渡す価格は時価である、時価によらなければならぬ、こういうことをおっしゃっておられましたが、それならば、この法案の提案当時の市場価格は幾らであったのか、局長からお答え願いたい。また、その当時は上昇の傾向があったのか、なかったのか、お尋ねしたい。
#63
○政府委員(大沢融君) 提案の当時は、先ほどもグラフをお配りいたしましたように、時価は十八万円ということであったというふうに見ております。
#64
○小笠原二三男君 それから、後段の方……。
#65
○政府委員(大沢融君) これもグラフで御説明申し上げましたが、八月ごろから政府の手持ち十八万円で売り得る糸が僅少になって、それがなくなるのではないかということから、上昇の傾向が出ております。
#66
○小笠原二三男君 そうしますと、この提案理由の説明――もとの提案理由の説明の中では、あなたが今おっしゃったように、「政府保有生糸の残量が減少するに伴い、各種の思惑から見込み買付が行なわれ、この面より市場の不安を濃くしている傾向が見られるに至りました。」、提案当時にそういう傾向が見られるということは、上昇気配であるということが見られる、こういうことでしょう。
#67
○政府委員(大沢融君) 上昇傾向が見られると、こういうことでございます。つまり、政府の手持ちの糸のうち、先ほど来申し上げました臨時措置法のあれが約五万俵ある、これが売れてなくなりますと、あとの糸は同じ値段では売れないということでございますので、その糸がなくなればもう十八万円に価格を押えることはできなくなるのだということから、値上がり傾向を見せたわけでございます。それだからこそ、あとの糸も時価で臨時措置法の規定によって売れるようにという法律改正をお願いしておるわけであります。
#68
○小笠原二三男君 そうすると、この法律案がいつごろ通過して、そして審議会にかけ、いつごろから五万俵の放出ということが市場に反映すると、現状のような価格の変動を見ないで済むという見通しだったのですか。
#69
○政府委員(大沢融君) 法律案が通過いたしますのが早ければ早いほど、そういうことが考えられると思いますけれども、先ほどから申し上げましたように、需給関係から見まして、あとの糸が市場に出るということになれば、価格安定ができるというふうに考えております。
#70
○小笠原二三男君 現在、かりに時価が二十万円であるとしますと、当然時価で今後売り渡すのだと。過去も実はそうしなくちゃいかぬことであったようでありますが、今後においてははっきりそうするのだと、こういうことになれば、さっき提案理由の一部を抜いて話しましたが、先約定を結んで取引をしておる、こういう方面に対してはどういうふうに影響してくるのですか。
#71
○政府委員(大沢融君) 先ほど大臣のお話で、この法案が成立した場合には時価が十八万円以上になるというようなことが想像できる、しかし断定はできない、こういうお話でございました。そこで、ただいまの時価が幾らであるかということは、私、いろいろ疑問、むずかしい問題があると思うのでありますが、この法案が成立した後に、あとの糸が、繭糸価格安定審議会の議を経まして、売り渡し方法なり何なりを相談をして、政府が決定をして売り出すということになる場合には、まったおのずから時価というものは私変わってくるだろうと思います。ただ、見通しとして言えますことは、先ほどの需給関係というようなことから判定をいたしましても、今のような値段より下がっていく、こういうことは考えられるのじゃないかと思います。ただ、ここにこういうように十八万言以下で必ず品物が入るんじゃないかというふうなことを期待しておられた方については、多少のその期待はずれがあるということは考えられると思います。
#72
○秋山長造君 議事進行について、ちょっと。せっかく小笠原さんの御質問の途中ですけれどもね、さっきの大臣が読み上げられた補足説明とおっしゃったもの、それは局長あたりがやられる単純な補足説明ではないと思うのですがね。これは相当やはり、私も一々は覚えておりませんがね。さっと読み上げられたから。このわれわれの聞いた提案理由の説明に対するある程度の変更を含んでおるんじゃないかと思う。まあいずれにしても、書いたものを読み上げられるくらいですから、大臣も相当重大な内容のものだと思っておられるに違いないと思うのですが、一応このままで進まないで、その今読み上げられた補足説明なるものを、印刷をしてわれわれに配っていただきたいと思うのです。今すぐ配っていただいて、それを検討して、さらにわれわれの聞いた提案説明を検討し、また、けさほど来の局長や大臣のおっしゃっておること、私もはっきりせぬ点が多々あるんです。それらの点を検討した上で質問を続けた方がいいんじゃないかと思うのです。ちょっと、われわれそばで聞いておってわからないのですがね。暫時休憩してでも、それを検討する時間を与えていただけませんか。ぜひお願いしたい。
#73
○小笠原二三男君 今の提案のようであればですね、私は今聞いているのはその内容的なことではなくて、大臣の補足説明に戻っていって、ものを申したいことがあったんですが、まあ今そう話が出たからね、端折って、それはそれでやってもらえば。そうならば、衆議院で補足説明をしたものと、こちらで補足説明になったものと対比して見なくちゃいかぬ。それで、衆議院の速記録を取り寄せられて、どういう趣旨の補足説明で衆議院の委員会で了承を得てきているのか。これも知りたいと思います。記録を至急取り寄せていただきたいと思う。それで検討したい。
#74
○委員長(堀本宜実君) 速記をとめて。
   午後二時十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時三十五分速記開始
#75
○委員長(堀本宜実君) 速記を始めて。
 それでは、本日の本件に関しまする質疑はこの程度にいたします。
  ―――――――――――――
#76
○仲原善一君 本日の議題にはなっておりませんけれども、仄聞するところによりますと、あすの閣議で通運料金の問題を諮るようになるということでございますので、本委員会といたしましても、数次にわたってこの問題の議決をしております。そういう意味合いから、閣議の決定してしまったあとでいろいろ申し上げても、あとの祭りになりますので、この際、ちょうど大臣も見えておりますので、この問題について善処方なり、御意見がございますれば拝聴しておきたい、そういう点でございます。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) 通運料金につきましては、累次本委員会からも御要請もありますので、私どももできる限りさような線に沿って気をつけたいというふうに考えておる次第でございます。あしたの閣議に云々ということはまだ報告を受けておりませんが、私の考えといたしましては、農産物に特別に影響があるというような措置につきましては、これはもうどうしてもこれに反対をしなければならぬというふうに考えております。ただ、一般的な、まあ軽微な点で、会社の実情等も考えますると、その要請にこたえなければならぬというふうに考えられる点も、これもあるわけでございます。御趣旨はよく含みまして、なお検討してみたい、かように考える次第であります。
#78
○森八三一君 大臣のお答えで私は了承いたしますが、実は大臣はこの席にはお越しにならなかったときの運輸当局との質疑でございますが、もう十分大臣御承知の通りに、道辻業者というものは運輸省の資料によると五百三十社ぐらいある。その中にいわゆる日通が一社あるわけです。その日通の事業分量は全体の六三%を占めておる、残りの五百二十何社で三七%前後のものをやっておる、こういう内容になっておるということを運輸当局が説明しておる。そこで、大多数を扱っております日通の収支の状況はどうかということを、運輸当局から資料をちょうだいして見ますると、三十二年度におきましては一割四分の配当をしており、形式上は決算ができております。三十三年度には一割二分の配当はいたしましたが、その内容に、従業員の退職手当等上期で十億四千幾ら、下期では四億幾ら、合計して十五億ほどのものが未計上のままに、十五億ほど三十三年度には未計上で一割ぐらいの配当がされておる。もし、これを正式に計上いたしますれば、当然赤字ということになる。そこで、三十二年度には一割二分の配当をして、なおかつ完全に経理ができたものが、三十二年度に至って配当率を二分引き下げて、なおかつ十五億になんなんとする赤字が実質上できたということは、一体どういうことだ。取り扱い数号が激減したのか、あるいは一般的な物価の事情が変わりまして経営費がよけい要ったことなのかどうかという点を、だんだん究明していきますと、最初の御答弁は、事業分量は変わりはなかったという答弁であり、第二回目には、日は違いますが、事実分量が減少いたしましたという御答弁があった。物価の事情は、政府の努力によって漸次安定してきておる。だから、三十二年と三十三年とではそんなに物価状況というものは変わっておらない。その間に、日通のいわゆる経営合理化というものが相当推進せられまして、六千何百名かの人員縮小も行なわれておる。十八億幾らの節約ができておる。しかし、個人的なものについては、またベースアップしたから、十六億幾らの支出が増しておる。だから、人件費に関する限りにおいては、経営の合理化によって二億くらいのプラスがあったけれども、多くはありませんというような御答弁がございまして、その面に関する限りは、経営に要する費用が非常に増大したという事実はないのです。そこで、その事業分量が減ったのは一体どういうことだかとだんだん聞いてきますると、それは神武景気のあおりを食って、相当よかったのがだんだん落ちついてきて、そういう現象が現われた。そこで、少なくとも全物資に関係いたしまするような通運料金の改訂ということは、ただ現時点だけの現象を見て判断すべきではなくて、相当長期にわたる見通しというものを持って善処をしなければならぬ。そうすると、最近の政府の施策その他を通しまして、国際的にも非常に経済は拡大しつつある、こういうときですから、先を考えますと、また神武景気のときのような神武景気ではなくて岩戸景気といわれるほどよくなっておるのですから、そう今の現象だけでばたばたしてはいかぬということを申し上げまして、そういうことについて確たる見通しを立てて、われわれも納得いくように御説明をいただきたいというところで切れておるのです。
 そういうことが究明されないのに、一方的にどんどん進んでしまうということはおかしいと思いますし、今の大臣のお話で、農林当局としては十分一つしさいをきわめて、遺憾なき措置をするという大臣のお話、私は大臣を信頼いたしますから、とやかく申すわけではありませんが、当委員会の経過としてはそういうようなことで、まだわれわれがやむを得ないとかいうように納得をする段階には至っておらぬという現状があるのですから、そういう現状も十分御了承願いまして、あまり拙速的にばたばたとおやりにならぬように、特に御注意願いたいと思います。
#79
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会をいたします。
   午後一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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