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#1
第033回国会 大蔵委員会 第2号
昭和三十四年十一月十日(火曜日)
   午前十時三十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 正人君
   理事
           上林 忠次君
           山本 米治君
           大矢  正君
           平林  剛君
           天坊 裕彦君
   委員
           青木 一男君
           梶原 茂嘉君
           木内 四郎君
           木暮武太夫君
           河野 謙三君
           西川甚五郎君
           堀  末治君
           木村禧八郎君
           椿  繁夫君
           永末 英一君
           成瀬 幡治君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           天田 勝正君
  政府委員
   大蔵政務次官  前田佳都男君
   大蔵省主税局長 原  純夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○酒税の保全及び酒類業組合等に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)(第三十二回
 国会継続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。
 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提案理由の説明を聴取いたします。
#3
○政府委員(前田佳都男君) ただいま議題となりました酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を説明いたします。
 この法律案は、最近における酒類の取引の状況等に顧み、酒税保全措置を補完するため、酒類の価格について基準販売価格、制限販売価格等の制度を新設するとともに、酒類業組合等の業務の円滑な運営に資するため、これらに理事会を設けることとする等所要の規定の整備をはかろうとするものであります。
 酒類の価格につきましては、現在、猿酒、合成清酒、しょうちゅう、みりん及びビールについて物価統制令による最高価格統制が行なわれておりますが、このような最高価格統制は、経済の正常化に伴い、漸次廃止されて、現任は米、酒類のほかには一、二の例外的なものについて行なわれているにすきません。酒類の供給が十分となった現在、具体的な廃止の時期や方法は別として、物価統制令に基づく酒類の最高価格統制は、早晩廃止の方向にあるものと考えられるのであります。
 しかしながら、現状におきましては、物価統制令に基づく酒類の最高統制価格が酒類取引の基準価格としての役割を果たし、ひいては酒類業界の安定と酒税収入の確保とに役立っている実情にあり、その廃止は、影響するところが大きく、特に慎重に実行に移さなければならないと考えられます。
 他面、将来公定価格が廃止された場合を考えてみますと、現行法では不況事態に至るまでは価格についての酒税保全措置がありませんので、酒類は取引の基準となる価格を失って酒類の取引が乱れるおそれがあり、また、乱れた後に対策を講じても酒税負担が大きいために手おくれとなることが多く、酒類業界の安定、ひいては二千億円を上回る酒税収入にも悪影響を及ぼすことが予想されるのであります。従いまして、将来物価統制令に基づく最高統制価格が廃止された後においても、酒類業界の安定をはかり、国家財政に重要な地位を持つ酒税の保全に支障を来たさないように、あらかじめ万全の価格制度を法的に準備しておく必要があるわけであります。このような見地から、今回、酒類の価格制度として、現行の協定価格のほかに、新たに基準販売価格、制限販売価格及び再販売価格の制度を設けようとするものであります。
 すなわち、大蔵大臣は、酒税保全のため必要があると認める場合には、酒類の取引の基準となるべき販売価格を各酒類について定めることができることとし、同時に、級別の区分のある酒類については、級別を通ずる酒税収入を確保するため、下級酒類の最高制限価格を定めることができるようにいたしております。また、取引の状況から見て適当と認められる酒類については、大蔵大臣の指定した種類の酒類につき、その認可を受けて、再販売価格維持契約を締結することができることこいたしております。
 なお、最近における立法例や現行法の実施の状況に顧み、酒類業組合等について、理事会制度を設けるとともに、合理化のためのカルテルを締結するここができるようにし、あわせて尺貫法系計量単位が法定計量単位とみなされなくなることに伴い、メートル法系計量単位に改める等の所要の規定の整備をはかることといたしております。以上が、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(加藤正人君) 次に、補足説明を聴取することといたします。
#5
○政府委員(原純夫君) ただいま政務次官から申し上げました提案理由の説明で、法律案につきましての説明は概略申し上げたわけであります。なお、詳細につきましては、後刻御質問にお答えして申し上げるということもいたしたいと思っております。特に、この法案につきましては、先般の通常国会で衆議院可決でこちらに回りましてこちらでは継続審議になっておりますので、その後の経過につきまして、概略を申し上げることといたしたいと存じます。
 御記憶のように、この法案につきましては、酒の業界、特に清酒の製造業者の業界におきまして、かなりに不安を感じましていろいろと議論があったりであります。それは、ただいま提案理由の説明でも申し上げましたように、酒の製造販売の面におきまして戦中戦後を通じて、売り手市場というものにバックされて、マル公あるいは原料統制ないしすべての末端に至るまでの統制ということに立って動いてきておりました業界が、だんだん自由な時代になるに従いまして、自由競争という段階に入ってきたわけであります。特に清酒の製造業は、四千軒をこえます多数の業者を擁し、その中には、かなり規模の小さいものもあるというようなことで、こういう風当たりの強い時代に処するのになかなか困難を感ずるというようなことから、かなりに不安を感じたわけでありますが、その後清酒の業界におきましても、またそれ以外の製造販売関係の各酒類の業界におきましても、この法案につきましてかなりに深く検討が行なわれまして大体この法案の企図します大勢的な判断につきましてはいずれも同調する、ただし、そういう新しい自由競争という方向に行くについて、できる限り足がもつれないようにしたいというような意味から、若干この法案に対して、運用上ないしまた法案自体のきめ方についても、ある種の意見があるというようなことも聞き及んでおります。
 私ども、提案理由で申し上げましたように、自由競争のよさというものをやはり酒の業界にも取り込んで、大いに競争し、合理化し、安い酒を供給するという角度の努力がなくてはならないというふうに思います一方、反面で、酒の製造販売が非常に高い酒税の負担を負うて行なわれておるということから、私ども財政の局におる者といたしまして、もろもろの製造販売の関係が円滑に、不当な摩擦がなく推移しますようにという気持ちがありますので、それらの運用上の注文ないし法案に対する修正の注文というものにも同感する面がある向きがかなりにございます。これらは、またいずれ本案の御審議の際、いろいろとお話の出ることと存じます。
 特に業界一致して欲しておりますのは、価格あるいは出荷数量等について協定ができるということは現在の団体法にあるわけでありますが、その協定の実施について違反者が現われた場合に、組合自体がこれを押えるという努力はもちろんするわけでありますが、政府もその際そういう違反の防遏について協力をしてほしいという意味の修正の希望が、法案の修正希望としては多いというように聞いております。これは御審議の委員様方にそういう意見の開陳が別途あることと思いますが、私ども、ただいま申しましたような角度で、こういう問題について考えているわけでございます。その他運用上いろいろの注文がございますが、ただいま申しましたように、大いに競争はして、より強い、より合理的な業界になるように、同時に、それがあまりに行き過ぎるということで足がもつれましたり乱れてはいけないと、私ども酒税の確保のためにも困ると思いますので、その間の寛厳よろしきを得ながら、これらの実施の時期その他につきましても十分慎重にいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
 概略でございますが、補足説明といたします。
#6
○委員長(加藤正人君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
#7
○木村禧八郎君 ただいま提案理由を承りましたが、この提案理由によりますと、現状においては物価統制令に基づくマル公ですね、これが基準価格としての役割を果たしている。そして、酒類業界の安定と酒税収入の確保とに役立っているという説明になっているのですね。ところが、このマル公を廃止する中間段階としての措置をとらなきゃならぬと言っておるのですが、このねらいはどっちにあるんですかね。廃止する措置を経過的にとっていくというところにねらいがあるのか、酒税の確保という方にねらいがあるのか、それからまた、酒税は大体どのくらい税収として政府としては予定しているか、そういうところを……。
#8
○政府委員(原純夫君) さっき申し上げました両面の考慮、つまり大いに自由化、合理化ということで能率を上げるということと、それが行き過ぎますと非常に競争で倒れるものが出てくる、混乱する。そうしますと、酒税も滞納ということで不納欠損ということになる。その両面の考慮がございます。この考慮は一時的な考慮でなくて、酒についてはいわばこういう重い税がある限り続く考慮であろうというように思います。従いまして、ただいまお話しのマル公廃止、徹底的自由化ということは私ども考えておりません。マル公廃止になりましても、重い税を負担しているのであるから、足がもつれないようにという意味で、なるべくこういう団体法あたりをもちまして、足並みのそろった、ただそれが独占禁止的なことにならない、不当な業界のなににならないということでいかなくてはならないのじゃないかと思っております。従いまして、本来は、いわば将来酒税が重い限り酒の業界についてこういうふうな体制でいきたいという考えのものであります。
 それから、酒税収入は、昭和三十四年度の予算におきましては、当初予算二千九十億、今回お願いいたしておりまする補正予算で三十億円の増を見まして、二千百二十億円というのが本年度の予算額といたしておるわけであります。大体、毎年々々国民消費資金が五、六%ずつ伸びておりますが、大体それとほぼパラレルな伸び方をいたしております。まあ酒税の税率が、たびたび申し上げるように非常に重くて、特に戦前との比較における他の各税との比較において重いというようなことから、減税の要望が非常に強くて、これもやはり考慮に入れなければならないと思っておりますが、財政需要がなかなか多く、他の各税においてもかなり問題があるというようなところから、大きくは税額を減らすということはできないのではないかというふうに考えております。
#9
○木村禧八郎君 大体、財政収入としての酒税が、大体私ども承ったのが二千億程度ですね。こういう見当の酒税を確保するという建前で業界の安定というものを考えていく、こういうような考え方なんですか。
#10
○政府委員(原純夫君) ただいま申し上げましたように、酒税につきましても、減税の要望があり、また私どももその問題はあると思っておりますので、今の税率による酒税がそのまま相当長い間続くべきかどうかということになると、いろいろ議論があると思います。議論がありましても、その議論の結論として出てくるところは、三割も四割も減らすというような議論ではなくて、一割とかその前後のオーダーの場に来るだろうと、これは私個人の感じでありますが、思うております。従いまして、お尋ねの意味の二千億前後ということは、そういう意味において当分の間、やはり酒にはそういう重い税負担が乗っかるということがきわめてありそうだと私は考えておる次第でございます。
#11
○木村禧八郎君 このマル公があるために消費が押えられる。それで、今度の改正によりまして基準販売価格とか制限販売価格というようにしていく場合、それによって消費がふえる、そうすれば減税しても予定する税収が確保できるという見通しですか。減税しても、それは減税によりますが……。
#12
○政府委員(原純夫君) ただいまお話しの、減税したから安くなってくるという面と、それからもう一つ、こういう制度でやっていけばというお話もありますが、こういう制度でやっていくこと自体は、消費が必ずしもふえるということにすぐに結びつくかどうかは問題かと思います。ただいま申し上げましたように、それが自由競争のよさを確保するという意味で、いい酒質のものが安くできるという力が働く限りは、おっしゃるようなことがあるかと思いますが、これは、そう申しましても、非常に多額の税が入っており、製造コスト、販売コストというものはかなり切り詰めてありますから、あまり顕著なことにならないであろう。反面、減税して消費が伸びるかどうかということは、今までの実験といいますか、経験でも、減税いたしますと消費はある程度伸びます。しかし、ちょうど今申しましたような、大体酒に使う消費資金というものは減税しても大体同じような趨勢でいくということは、減税すればその分だけはやはりお酒の消費はする、しかし、税が安くなっておりますので、バックしても完全にはバックしないというのが、今までの経験から割り出した大体の結論でございます。
#13
○青木一男君 私は、この法律案は酒類の価格体系を整えるという点において機宜を得た立法であると、前から思っておったのであります。戦時立法である物価統制令を利用して、これで間に合わせるというやり方は、酒税確保という重大な目的から見て適当を欠いておったことは当然でございまして、こういう法制の整備をされるということは、私はむしろおそきに失したのではないかとすら考えておるわけでございます。ただ、これは御承知の通り、この法案が出ましたために、酒税の関係団体間において足並みが乱れておる。従来、酒税確保の上からいいまして、酒類関係の各民間団体たくさんありますが、これらの間においてうまく足並みをそろえ、歩調がそろって、酒税確保という目的も十分達成されたのでありますが、この法案が出たために、一時非常に各団体間の調和が乱れたということを非常に心配されたのであります。これは大蔵省も非常に憂慮されたことと思いますが、幸い、先ほど主税局長のお話がありましたように、その後民間の酒類団体の間でもだんだん検討の結果、また再び歩調を合わせるようになった、最低限の修正でもって皆一致してこの案に賛成していこうという空気になったことは、非常にこれはけっこうなことだと思います。
 それで、参議院においてはいずれ、皆さん委員間の御相談の結果、こういう情勢に応じた修正案を提出することになると思うのでありますが、私は、こういう経験にもかんがみまして、酒の業界において各組合閥における統制というか規制が必要であると同時に、この異なる組合問の利害が対立する場合には、ややともすれば非常に深刻な対立を起こすということは今後とも考えられるのでありまして、この点は、主務官庁である大蔵省は特に細心の注意をもって、そういうような摩擦の起きないように十分これは指導される必要があると私は思う。これは各組合は一種の自主統制のような形でありますけれども、大きくは政府の大きなワクの間においてそれぞれ一種の自主的な統制をやっておるのでありますから、その大本の大蔵省の締めくくりが公平に、しかもしっかりしていないというと、足並みが乱れるおそれがあると思います。そういう点において大蔵省は、今後こういう酒類業間の足並みをそろえるようにするために、どういうふうなお考えを持っているか、大体のお考えを伺っておきたいと思います。
#14
○政府委員(原純夫君) 大へん重要な点でありまして、私どもといたしましては、ただいま御指摘の点は、今後酒に関しまする立法ないし行政をやっていきます場合の一番中心的な問題点であると思っております。先ほど来申しておりますように、戦中戦後を通じて酒でさえあればかなり有利に売れたということで、各団体ともやって参られたわけでありますが、だんだん需給がゆるやかといいますか、供給の方が豊富になって、そうして競争というものがだんだん前面に出てくるということになって参りましたので、今までのように皆が、大きさの差こそあれ、すべてがいいというのではなく、やはり相当マイナス面と申しますか、おくれた業界、苦しい業界と盛んな業界というようなものが、端的に対立するようなことになりがちであります。そういうような際に、私ども政府の側といたしましては、問題はやはりほんとうに苦しいものに対して楽な方が力を添える、そうしてそれらのことについて、各界はいずれも消長があるわけでありますから、苦しいときに直ぐにそれに追い打ちをかけてたたいてしまうというようなやり方をしましては、業界としても混乱するし、また政府の酒税収入も確保されないということになりますので、今後の酒に関しまする行政の要諦は、業界の間のそういうプラス、マイナス、苦しさ、楽さということを十分政府としても、正確に見きわめ、また同時に、業界相互にもお互いにそれらを認識し合う、わかり合うということに努力をしていただく。じっくりとそういう点の判断をみんなが大きな見地で持ちながら、苦しいものは助けながらやっていくということでなければならないというふうに私は考えております。従いまして、今までのように、多かれ少なかれいい状態であったというものから比べて、非常に問題がぎりぎりで苦しくなりますが、これはまた経済の当然の論理でもあり、勇気を持って、同時に、ただいま申しましたような深い研究と、そうしてしっかりした判断を持って、事に処していかなければならないというふうに私は考えております。
#15
○青木一男君 今の問題は非常に機微であり、また深刻な問題を含んでおりますので、細心の注意のもとにしかるべく善処せられんことを希望します。
 それから、問題は違いますが、最近国際間に貿易自由化の傾向が顕著に進んできているのでございまして、わが国もその大勢にやはり順応と申しますか、立ちおくれないように態勢を整えて進まなければならぬ必要があるわけであります。それで、貿易自由化の問題と酒類の輸入との関係でありますが、専売品でありますならば、幾ら貿易が自由化になっても、専売品を自由にすることはできないことは、これは言うまでもありません。酒は専売ではございませんが、財政収入その他の建前からいえば、専売に準じて考えなくちゃいけない。単なる商品でなく、国家の財政資金確保ということが大きな目的となっているところの酒類であります。そういう点においては、私は専売品に準じて考えてみなければいけない。この業界の安定とか、あるいは酒税の確保とか、そういうような点の必要性は、私は専売に準じて考えられなくちゃいけないものだと思う。そういう点から考えますと、いかに貿易が自由化いたしましても、こういう特殊な財政目的からする酒類については、私は特殊の考えを持っていかなければいけないものだと思いますが、それに対する局長の考え方を伺いたい。
#16
○政府委員(原純夫君) ただいまのお尋ねは、酒類の貿易、特に輸入酒数についてのことと伺いますが、ただいまも酒類は、主として各般の貿易協定の必要上、相手国に対する一種のバーター的なといいますか、取引的な条件で、ある程度の輸入をするというようなことが相当行なわれ、まただんだんとお話のように自由化の傾向に従いまして、割当も特定の国相手でなしに、それが自由化してきて、いわばグローバルというのは日本語でどういうのか知りませんが、相手国がだんだん特定しないというような趨勢にございます。これらの特定国相手の輸入ワクないしグローバルのワクをきめますにつきましては、お話のような観点があるようなわけで、私ども酒の行政に関与する者は、貿易為替の当局から相談がございまして、慎重に数量、条件等を考えまして事に処しているわけでありまするが、今まではだいぶそういうことでこの特別のワクが多かったというようなことで、きちんとしておりましたが、だんだんこれがグローバルというようなことになってき、また自由化というようなことになってくると思います。これはまあこの貿易全体の趨勢でありますから、それをどうというわけにはいかないのではないか。まあ量といたしまして、私の記憶では、たしか全体の輸入割当量が百三、四十万ドルであったかと記憶いたしております。だんだんまたこのグローバルからさらに自由化というようなことも、趨勢としては考えられるかと思います。
 翻って、これを受けます国内の経済においてそれがどういう状態にあるかということは、御案内の通り、輸入酒類はかなりに関税、酒税を払いましても利潤が多いという状況がございまして、たびたびそういう観点からこの議論がなされるのでありますが、どうも例の差益徴収の制度に乗せるのもどうかというようなことで、いつもさたやみになっておって、問題点としては議論されておりますが、まだこうしょうというはっきりした新しい措置を結論として持っておらないというようなのが現状でございます。
#17
○青木一男君 まあ酒につきましては、もちろん全体の酒ではございませんが、外国酒というものが無制限に入りますれば、せっかく国内で隔離しておったこの業界が、これがために基礎を脅かされるということは容易に考えられるわけであります。そういう点については、政府でも十分お考えのことと思います。ことに、私は、先ほど申した通り、自由化というような一般の波にこれが便乗と申しますか、そういうことのために、こういう特殊なる税収確保という大きな使命を持っておるこの酒類の輸入にまで、それが無差別に及ぶというようなことのないように、これは十分政府でも一つ考えていただきたいということを、希望として申し上げておきます。
 それから、先ほど木村さんからも触れられた点でありますが、衆議院でもやはり、酒税は何としても高いから、できるだけこれを軽減するような措置をはかれというような意味の付帯決議のいきさつがあったと思うのであります。従来、いろいろ、税制調査会等におきましても、酒税の高いということはほとんど定評であると申してよろしいかと思うのであります。先ほど主税局長も二千億前後の税収を確保したいということは、私はごもっともだと思うのです。その点は財政上私ども認めるわけでありますが、ただ、酒の税というものが取りやすいから、理論上あるいはほかの税との振り合いその他の関係から、下げなければいけない場合も、どうも取りいい税であるから下げたくないということは、ややもすればあり得るのでありますが、私は、この酒というものは割合に国民の負担能力に関係なく払う税金である。ことに数回の税制改革で所得税の基礎控除その他も引き上げられ、所得税を納める人の数はだんだん減ってきておるわけであります。あるいはまた、事業税等も最近はだんだん軽減してきまして、そういうふうにだんだん税の負担というものが負担能力の少ない人に有利にだんだん解決してきますると、残るものは酒の税とか、そういうものが結局残っていくのじゃないだろうか。そういうような意味で、今後のこのいわゆる負担能力の少ない人の税負担をさらに軽減するということは、一番酒の税等に残るのじゃないか、こういうような気がいたしますので、大きく税金を減らすことはお困りでございましょうが、先ほども触れられたと思いますが、税金が下がるとやはり消費もふえるのでありますから、国庫の財源にあまり影響のない程度において、私は、こういう万民ひとしく負担するような税は、なるべく機会あるごとに下げていかれるべきものと思います。まあこの考え方は、おそらく主税局も大体私は同意見だと思いますが、こういう酒税の引き下げということに対する基本的な考えを一つ伺っておきたい。
#18
○政府委員(原純夫君) いろんな税があります。そして税負担は全体として重い、それをどう軽減していくかということが、ここ長年の間の問題であり、今後もなお相当の期間続くわけであります。そしてその中で、所得税、法人税という直接税が特に重過ぎるということで、間接税の方はなおがんばってもらって、直接税の軽減に主力を注ぐというのが過去十年ばかりの趨勢でございましたし、その趨勢はまだ、毎年の税制調査会、あるいはその他のいろんな会議での声からいたしまして、まだ続いておると私は思います。しかしながら、これは非常にはっきりそうだという時代は過ぎまして、お話の通り、やはり間接税においても負担が重い、そして特にその中で重いものもあり軽いものもあるという面が、具体的な問題として、やはり並行して取り上げる時代になったということも、これも事実でございます。
 それを反映いたしまして、私ども事務屋といたしましても、毎年やっております調査会に対して、一昨年あたりからぼつぼつ、間接税関係の問題を全面的に検討するというようなかまえをとり、酒税につきましては、昨年の税制懇談会に対しまして、今までほとんどやったことのなかったところの各酒類間の税率のバランスというようなものを検討する素材を出して、御検討願うというようなことをいたしております。まさにお話のような趨勢が、ただいま申しましたような、かなりニュアンスはむずかしいのでありますが、あわせて間接税も検討するという時代になっておりますので、私どもこの検討は今後も続けて、そして全体を通じて減税ができます場合の割り振りについてただいま申しましたような各面の考慮を十分慎重に払いまして、妥当な結論を出してやって参りたいというふうに考えておる次第であります。
#19
○木村禧八郎君 ただいま青木委員も言われましたが、酒税の減税の問題ですが、これはもう前からわれわれ主張しておるわけですが、今の主税局長のお話ですと、まあ直接税の方も、法人税とか個人の所得税につきましても、税負担が重いからだんだん軽減をしてきたし、まだやっぱり軽減しなければならない方向にあるし、今度は間接税についても軽減の措置を考えなければならぬというふうに言われましたが、特に最近は、所得税を納めることのできないほどの低所得層については、ほとんど減税がないのですね。減税がないばかりでなく、消費者米価が上がったり、鉄道運賃が上がったり、それからラジオ、新聞代、そういうものが上がってくるものですから、所得税を納めることのできないほどの低所得層は、むしろ減税のたびに、抱き合わせにそういう料金が上がるわけですからね、かえって生活が苦しくなるという、そういう逆の効果があると思うのですね。ですから、そういう点から考えても、どうしても、直接税の軽減も必要でありましょうが、やはり間接税の軽減は、これからかなり真剣に取り上げなければならぬと思うのです。
 そこで、今後の税体系について、やはり大蔵当局としてはどういうふうに考えておられるか。どうも、減税、全般的にまあ所得税も間接税も減税しなければならぬという方向にありましたが、来年度におきましては、伊勢湾台風あるいは石炭の離職者対策等で、一般支出が多くなってきておりますので、自民党では何か減税を取りやめるというようなことが新聞には出ております。大蔵当局としては、この減税について、酒類だけではないのです、もちろん酒類を含めて、減税について、来年度の措置についてどう考えているか。それで、酒類も二千億以上というかなり大きい比重を占めていますがね。将来、税体系として、この酒税についてどういうふうに考えておるのですかね。一番大きいウエートですよ。ほかの間接税は、酒でも、将来売上税みたいなものをどうも新設するやに伝えられておるのです。それは特に、国民年金の財源として売上税なんかが必要じゃないかというような議論が、一部の学者あたりからも出ているわけですね。そういう点について、この際ちょうどそういう今議論が出ましたから、伺っておきたいと思う。
#20
○政府委員(原純夫君) 非常にむずかしい問題で、私がこういう質問を受けるなり、ちょっとお答えするには荷の勝つような問題ばかりでございますが、私の、大へん恐縮でありますが、個人的な感じを主として申し上げたいと思います。
 第一の、この三十五年度の減税についてでありますが、先ほど来申しましたような大きな趨勢で、税制の改正の歴史が動いておるというふうに私は考えておりますが、さしあたり三十五年度につきましては、御案内の通り、使える前年度剰余金が非常に大きく減る。その上に、たな上げ資金を、本年度使っておりますのが、来年度はないというようなことで、まあ八、九百億、そういう勘定で減が立ちますので、租税その他の自然増収が相当多額にあると仮定いたしましても、財政は非常に苦しいという状態でございました上に、先般の十五号台風の被害はまたきわめて大きくて、それの三十五年度に対する影響だけでも、二百五十億あるいは三百億というような数字が言われておるようなわけでございますので、先般来省内でもいろいろ議論はいたしておりますが、三十五年度は減税はむずかしかろうという気分が支配的になってきつつあります。
 それから、第二段として、しからば将来の問題としてはどうかという点については、先ほど申し上げましたように、直接税間接税のこの体系的なバランスという見地からいいますと、まだやはり直接税をより軽減したいという考えの方がどうも多いようでありますが、しかし、直接税一本やりであっていいという時代から、だんだん間接税の方にも考慮を払わなければならぬという時代にはすでになって、政府といたしましても、一昨年の税制特別調査会以来、家計調査の分析その他に基づいたいろいろ間接税体系の根本的な検討を始め、それに裏づけを得て、先般の通常国会では、額はそう多くはありませんでしたが、物品税の各品目について相当詳細な検討をし、数品目にわたる改正をお願いし、入場税につきましても相当な改正をいたしたというような歴史がございますし、今後もそういう角度での検討、さらにこれに基づく措置というものは相次いでやるのではないかというふうに私は考えております。ただその際、非常に多く間接税における軽減を期待し得るかどうかということになりますると、なかなかそうはいかないだろう。といいますのは、まあ財政が、いろいろなことで毎年毎年、千億あるいはそれをこえる大きさでふえて参っております。と申しますのは、まあ一割にまでならぬでも、七、八%あるいは八、九%の増になっております。これはまあ一般会計について言うのでありますが、それに対する裏打ちとしての各種の歳入項目を考えますと、まあ税外は別として、税の中で間接税体系では大体歳出増の八%前後、あるいは一割がらみというところの伸びが、まあ大体この間接税の伸びとしてそんなところではないかというふうに、まあごく大ざっぱに言えるわけであります。直接税は、御案内のような次第で、財政支出の伸びよりもさらに多く伸びるというような制度的な構造になっております。ですから、減税をしないでおいておきますと、直接税のウエートがだんだん大きくなる。それを、主としてそのふえます分を直接税の軽減に当てて、ちょうど五割五割の直接税とその他との比率が大体近年維持されておるというのが実情でございますので、これを間接税の方に減税財源を相当振り向けて直接税のウエートを増すということになるかどうかというあたりは、これはもう私結論めいたことを申し上げるのは非常にむずかしい問題であるので申し上げませんが、まあそんなようなところに問題が差しかかっておるというふうに考えております。
 最後に、売上税の問題は、なおさら非常にむずかしく重要な問題でありますので、はかばかしいことも申し上げ切れません。国民年金の財源として、あるいは直接税軽減のために、あるいは税制全般の整備といいますか、きれいにするものはきれいにして、こういうものでかえようという議論は、議論としてたびたびございましたし、またあり得るものでありまするが、なかなか売上税につきましては、いろいろな政治的な角度での議論が、何と申しますか、論理的な検討がなかなか進まないというような実情、これはやはりまあ過去の歴史もありますし、また売上税というものの持つ本来の大きさと申しますか、そういうものに対するいろいろな警戒もあろうと思います。まあそういう意味で、やはり相当大きな財政需要がある場合に具体的には問題になるのではなかろうかと私は考えております。まあ反面、事業税と売上基準というような問題で、事業税の一つの問題として売上課税の問題というものがやはり理論的にあり得ると思いますが、これはまた別な問題だろうというふうに考えます。
 大へん舌足らずであり、不十分でありますが、私の感じを主として申し上げますとそういうことになります。
#21
○木村禧八郎君 それでは、行政協定に伴うこの関税の特別措置によって、駐留軍が国内に無税で酒類を持ち込む量はどの程度のものですかね。まあ自動車なんかずいぶんひどかったですがね。で、今、今度は行政協定でその問題がやはり、アメリカ側と交渉しているのですかな、そういう関税に関する問題。
#22
○政府委員(原純夫君) ごもっともな御質問なのでありますが、本日、私その関係の資料を用意して来ておりません。かつ、問題がかなり外交上の機微にもわたる問題でありまするし、外交当局と一緒にお答えする方が穏当かという感じもいたしますので、大へん恐縮でありますが、そういうような機会にお譲りいただけたらというふうに思います。
#23
○木村禧八郎君 あとでもいいんですがね、何かその資料みたいなものがありましたら……。私もよくわからぬのですが、前にこの行政協定に伴う関税の特別措置ね、これ審議したときに、イギリスなんかでもウイスキーがずいぶん入ってきて、無税で困ったという例をいろいろ聞いているんですが、日本なんかどうなんですか。
#24
○政府委員(原純夫君) その資料でございますれば、後ほど申し上げることはけっこうでございます。酒類では、私の記憶では、ビールがやはり額としては多かったように思います。数字はただいま持ってきておりませんので、後ほど申し上げさせていただきますが、ウイスキーももちろんございます。
#25
○木村禧八郎君 そういう資料がありましたら、どれくらい入っておるものですか、あとでけっこうですから……。いただいたそうです。
#26
○上林忠次君 私もしろうとなんですけれども、大体酒は平時に比べて減りつつある。また、最近米の関係から、原料米の関係から、造石高はふえておりますけれども、ふえ方が少ない。年に先ほど五%、六%というような話も聞きましたが、これに反して、ほかの蒸留酒、合成酒がどんどんふえておるというようなことから考えますと、酒の税金が高いから、酒の価格が高いから消費がふえないのじゃないか。この消費のふえないうちから、まあ税金が取りやすいからというので大きな酒税を課している。こういうようなことでは、このただいまの酒税法の改正の問題も、そういう酒の消費が少ない、しかもそれから所定の財源をお求めになるというようなところから、この改正の問題も出たのだろうと思いますが、見当は違っておるかもしれませんが、酒の税というのは、清酒税がほかのアルコール飲料に比べて特に高いのじゃないか。日本酒の税率が高いのじゃないか。昔からの変遷は知りませんが、現在の状態としては、清酒の税が少し高過ぎるのじゃないか。このままでいきますれば、ますます酒の需要は減るとは申しませんけれども、ふえ方が少ないのじゃないか。かような清酒から多くの税を徴収しようというのは無理なのじゃないか。抜本的にもう少し酒を飲まして、大衆の要求するだけの酒を安易に飲ませるというようなことをして、税収入を確保していくというようなことをする必要があるんじゃないか。昔からの、ほかのアルコール飲料に対しての割合は知りませんけれども、現在の状態としては、清酒の税が高過ぎるのじゃないか。このままでは税は取れません。酒業界は縮小していくのじゃないかというような感じがしますけれども、先ほどアルコール税は相当考慮する、これから考えていかなければならない問題だということは聞いておりますけれども、ただいまの問題として清酒について特に税を低く下げて量でいく、一般の大衆を喜ばせながら税を確保していくというようなことが必要じゃないかと思いますが、これに対する考えを一つ。
#27
○政府委員(原純夫君) 酒類の中で清酒と他の蒸留酒、特に合成清酒、しょうちゅうというようなものとの比較でいきますと、私どもの見るところでは、どうも清酒よりは他の蒸留酒の方がこのところ伸び悩んでおるように思います。蒸留酒でも、雑酒系統のものは非常に伸びがよろしいのですが、グループとして清酒、合成酒、しょうちゅうというような、何と申しますか、日本式な酒類は伸びが悪い。雑酒、ビールというようなグループが非常に伸びがいいということがありますが、日本式のものの中ではどうも、近年、清酒の伸びは割合に、年々七、八%ずつ堅実に伸びておる。しょうちゅう、合成酒は時によって一〇〇。パーセントを切って九四、五%というような年が、一年置きあるいは二年置きに入るというようなことになっております。この辺に、先ほど青木委員のお話もありましたが、かなりむずかしい問題の焦点が実はあるというように感じて、寄り寄り検討いたしておる次第でございますが、概略申しますとそういうことで、ただ、そう申しましても、清酒を含めての日本的な酒類全般は、まあ平均しまして年々五%、六%ぐらいは伸びておりますけれども、やはり他のビール、雑酒との関係は、かなりいい伸びの較差があるというあたりに、先ほど来申しました各酒類間の問題のやはり一つの焦点があるというふうに考えております。
#28
○西川甚五郎君 ちょっと伺いたいのですが、最近清酒の一級酒と二級酒の値段の差があって、その間にもう一級何か酒を作ったらどうかという案と、もう一つは、合成酒の米の配給ですね、一〇%、一割上げるというようないろいろ意見があるのですが、これの二点について大蔵省の考え方をちょっと伺いたいのですけれども。
#29
○政府委員(原純夫君) 第一の、準一級酒の問題といいますのは、清酒の税率が三段階になっている。特級、一級、二級となっておりまして、その税率の差が相当大きくて、従って、小売価格も非常に大きな開きがある。そして、どうも実勢から見ると、もう少し刻みのこまかい酒の値段があってしかるべきだという考え方から、お話の準一級というものを設けて、一級と二級の間に一つ級を設けろという話がございます。私どもはこれはもっともな御要望だと思っております。もともと一級、二級という値段が、一級が八百三十五円でございますが、二級が四百九十円ばかりで、その間倍半分以上の違いがあるというのは、まあ戦前もそういうような現象はないではありませんが、戦中戦後の売手市場にバックされた特別な構成であって、だんだんそれが苦しくなり、特級、一級の売れ行きが最近顕著に苦しんでおります。そういうようなところで、準一級というようなこの面の解決を要望する声というのは、私どもはきわめてもっともな声というふうに考えております。従いまして、将来何らかの機会にこの手は打ちたいと考えております。
 ただ、これを具体的にいつ問題にするかということにつきましては、先ほど申しましたように、三十五年度の減税ができるときの問題、また準一級というものは減税になるのか、あるいは清酒の業界では、準一級ができれば、一級にずり落ちてくるものももちろんあるが、二級の中に準一級に上がるものも相当あるというような話でありますので、この辺をどう観念するかというあたりにからめて、なお今後検討して参りたいと考えております。
 それから、第二の、合成清酒の業界から、合成清酒に使う米の量の限度を上げてほしいという要望がございますのでありますが、これはただいまのところ、政令で合成清酒一石あたりお米を五升ですね、五%までは使ってよろしいというふうになって、これが昔でいいますと香味液というようなことで、合成清酒の味、においに大いに寄与しておる。先ほども申しましたような、清酒との比較において合成清酒が伸び悩んでおるというようなことから、合成清酒の業界で、この使える米の量を倍にしてくれないかという御要望があります。そのほか、合成清酒の業界からは、名称につきましても、合成清酒というのはいかにも人をばかにした名前だ、もう少し通りのいい名前にしてほしいというようなこととか、なお一、二つけ加えて御要望があります。
 この問題につきましては、先ほど青木委員のお尋ねに対してお答えいたしましたように、今や酒の業界は、今までのようにどの業界もまあまあいい、いい程度が違うという時代じゃなくて、ほんとうに苦しい、売れ行きが減っていくというような差し迫った状態になってきておるということであれば、業界相互に、また役所側も、この清酒と合成清酒との苦しさ、つらさというものを公平に判断する。もちろん、そこにはなまけておって苦しい苦しいでは済まないという点まで入れてのことでありますが、公平な判断をもって、そしてそれをできる限り関係の業界がお互いに理解し合ったべースに立って、何といいますか、なかなか理解ということはむずかしいかとも思いますが、なるべく理解し合い、役所も理解し合うように努力をして、そして持ちつ持たれつのなにをやっていかなければならぬ。いわば戦後の楽な時代からこういう苦しい時代に顕著に入った第一発が、この合成清酒の問題だというふうに考えますので、ただいまこれについてのお答えは、私どもとしては、両業界がお互いにその実情についてわかり合い、できれば思いやり合う意味で話を進めてほしい。しかし、役所も最終判断の責任はとります。とるについては十分検討しなければならぬので、今せっかく役所側も一生懸命勉強をしておるという段階でございます。これは、それらの経過を待ちまして、しかるべき私ども責任のある態度をとりたいと思っておりますが、ただいまのところはなお検討中でございます。
#30
○永末英一君 この法律は、まず第一に、酒税の保全、その保全をやるために酒類業者の組織を作るというふうに考えられるのですが、主税局長の御説明の中に、酒を安くしたいという言葉があったのですね。これはお話を聞いておると、間接税なんというものは急速にどうも安くなりそうもない。ということになると、一体酒を安くしたいという主観的な御意図が、どのように具体的に努力として現われてくるか、あるいはどういうような方法で安くしたいと考えておられるか。消費者の方は別段、酒税の保全とか酒類業界の組織の問題について興味があるのでなくて、酒が高くて困っているのが実情だ。従って、御承知のように、酒を作っているのも、二級酒ばかりが九割以上も作られているのが実情なんです。そこのところを一つお答え願いたい。
#31
○政府委員(原純夫君) 先ほど来申し上げましたのが、少しそういう意味で二様に聞かれたとも思いますが、率直に申しますと、酒税を下げることによって酒を安くするということも、やはり問題になり得る情勢にはなったけれども、その面で大くを期待はできない。それは五%とか一割とか一割五分とかいうオーダーのものとして、検討の対象になる時代にはなりました。それからもう一つは、戦中戦後を通じて、酒は作ればどんな酒でも、というと語弊がありますが、そうよくなくても作れば飛ぶように売れたという時代であったし、そしてその時代の制度として、免許制度だけでなしに原料の割当、それからマル公というようなものがあって、ぴっちり統制のワクができておった。そしてかなり、その品質とそれの実際の価値ということから考えれば、いかがかと思われるようなものが、量が足らないということのために、飛ぶように売れたという時代が長く続いたわけであります。そのために、酒の業界はそういう意味で非常に温室に入ってしまったという面がある。やはり競争によって、同じ清酒にしても同じ合成酒にしても、努力をして同じ値段でいいのを売るというところがやはり栄える。また値段にしても、あまり値くずしは困るというのがこの法案の趣旨でありますが、やはり同じ酒ならば安く供給できるという努力を業界がするということは、これは経済の当然であり、また経済倫理の当然であるというふうに考える。それが戦中戦後を通じて非常に何といいますか、薄れて、合理化の気持が自然少なくなるような環境にあった。その現われの一つがマル公というものがありまして、マル公というのは、戦争中いろいろな物の値段が上がっちゃいかぬから、これより高く売っちゃいかぬということで作った値段である。ところが、今やこれより安く売るのはやめましょうというようなものに使われておる。そういうものが要ると言うのです、私どもは。ある程度要るけれども、要るならば、はっきりとそういうものですということをお願いして、法律上きめたいというのがこの法案の趣旨で、やはりそういうささえは打ちたいのですけれども、やはりある程度競争によるよさというものは実現して、それによって、同じ値段ならばよりよい酒を、同じ酒ならばより安くするというような努力を、業界がこぞってするような態勢に持っていきたいという考え方ですから、減税の問題とこの面と両方あるわけで、両方についての気持ちはそういうわけです。
#32
○永末英一君 局長さんの御説明を聞いておると、何か自由競争というものは日本の酒業界にいささかでも行なわれ得るかのような錯覚を与えられるのですが、一体同じ値段ならいい酒を、同じ酒なら値段の安いといいましても、こうやって業界を組織させれば、業界はやはり協定価格を作り、そうして協定価格によってお互いを縛り合うということが行なわれる。いわんや大もとである造石数の割当というようなことの制度が変わらない限り、そう局長さんの言われるような、望ましいかどうかわかりませんが、経済倫理なんというものが行なわれるのかどうかということになると、今の酒の業界でやられておる今のやり方ですね、これらについて何か新しい考え方でこの法案を実施することについて考えておられなければ、消費者の側から見ますと、この法案をやることによって、実施することによって、酒が安くなったり、あるいはまた質がうんとよくなったり、どの程度一体飲めるかに非常に不安を感じるわけなんで、そういうようなことについての腹案があれば伺いたい。
#33
○政府委員(原純夫君) その問題は、マル公を廃止して新しい価格制度に移るという問題だけでなくて、たとえば、ただいま清酒の原料米を一体幾らにするかという原料米の総量の問題、それからその割当を、よく権利石数といわれますが、今まで業者がその割合で作っておった、それとぴったりと並行的、相似形的にふやすのか、あるいは能率のよい企業によけいふやすのかという問題にも、同じように現われておるものなんです。いわば酒類業界全般に、もうそういうあらゆる問題が相次いで起こっておるのであります。
 その間に処して、私どもの考え方は、酒には非常に重い税を背負ってもらっておって、そうしてそれが取引が乱れては困る、財政収入上も困る、業界も困るというわけで、たとえばマル公を廃止するといっても、その時期については慎重でなければならぬとか、また廃止しても、ここにお願いしておるように、基準価格というものを設けてできるだけ定価売りをやらせたいという気持ちが一方にはあるわけです。その反面、やはり大きな自由化ということには、自由競争に内在する能率を高めるという衝動を、これを十分に働かせるという角度をできる限り組み込むという配慮も要る。この価格の面にも出ておりますし、今申しました原料米の割当数量あたりにしても、業界がまあかたくかたくといけば、なるほど量を控え目にしておけば、これは数量が少な目だから売るのは条件よく売れるということになります。しかし、それでは消費者全体に対して一種の、何といいますか、稀少価格を払わせるということになりますから、この辺は少なく少なくというだけでもいけない反面の考慮が要る。割当を権利石数通りにやるということは、これは権利の上に眠るということにまあ従来なっておるのですが、それをある程度くずして、そしてやっぱり能率のいいものにという努力もさせるというようなことが必要だろうというようなことで、それらについてそういう態度でやっておりますわけで、まあごらんになりようでは、非常に足らぬという面もあるかと思いますし、またそのやり方にいろいろ問題があると思いますが、気持ちの根本は、そういう点を十分考えてやりたいと思ってやっている次第であります。
#34
○永末英一君 そのお気持ち、非常にけっこうだと思うんですが、今の酒業界は、いわゆる権利の上に眠ろうとする業者が、数多いかどうか知りませんが、相当あると見えて、これを実施するとすれば、局長さんのお見込みのようにやるということになれば、相当やはり造石数が大きくなり、総量が大きくなって、自由競争の余地が生まれて――自由競争が望ましいかどうかは別ですよ。しかし、そういうことが行なわれて初めて値段における競争、品質における競争が酒としてはできるということになりますと、今の一部に現われているような、もう酒の造石の総量はこれでいいのだ、これでおれたちは左うちわでゆっくり暮せるのだというような風潮を払拭させるために、これは日本全国の米の問題とも関連し、あるいは輸入の問題とも関連をして参りますが、そういう御準備をされてでなければ、にわかにこれを実施されても、消費者としては喜べない、こういうことになるのじゃないかと思う。大体かようなお気持ちだと伺いましたが、そういう方針で大いにやっていただきたいと思います。
#35
○委員長(加藤正人君) 別に御質問がなければ、本日はこの程度で散会したいと思います。
   午前十一時四十三分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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