くにさくロゴ
1959/12/03 第33回国会 参議院 参議院会議録情報 第033回国会 商工委員会 第5号
姉妹サイト
 
1959/12/03 第33回国会 参議院

参議院会議録情報 第033回国会 商工委員会 第5号

#1
第033回国会 商工委員会 第5号
昭和三十四年十二月三日(木曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 利壽君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
           栗山 良夫君
           大竹平八郎君
   委員
           井川 伊平君
           岸田 幸雄君
           斎藤  昇君
           鈴木 万平君
           高橋進太郎君
           阿部 竹松君
           岡  三郎君
           近藤 信一君
           田畑 金光君
           奥 むめお君
           島   清君
  国務大臣
   通商産業大臣  池田 勇人君
   国 務 大 臣 中曽根康弘君
  政府委員
   科学技術政務次
   官       横山 フク君
   科学技術庁長官
   官房長     原田  久君
   科学技術庁原子
   力局長     佐々木義武君
   科学技術庁原子
   力局次長    法貴 四郎君
   通商産業政務次
   官       内田 常雄君
   通商産業省重工
   業局長     小出 栄一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   特許庁長官   井上 尚一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核燃料物質の加工の請負に伴う外国
 人等の責任の免除等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○経済の自立と発展に関する調査の件
 (技術導入と特許に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。
 まず、委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。
 本日は、核燃料物質に関する法律案について質疑を行ない、質疑が終了した場合は、討論採決を行ないます。さらに調査事件について質疑通告がございますから、これらについて質疑を行ないます。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(山本利壽君) それでは、核燃料物質の加工の請負に伴う外国人等の責任の免除等に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。速記をとめて。
   〔速記中止〕
#4
○委員長(山本利壽君) 速記をつけて。
 それでは核燃料物質について質疑のある方は順次これを許します。
 その前にちょっと長官から……
#5
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般の委員会に際しましては、私の手落ちによりまして、審議の上に大へん御迷惑をおかけいたしまして申しわけございませんでした。以後注意をいたします。御了承をお願いいたします。
#6
○栗山良夫君 私実はこの前質問をいたしまして、問題が非常に複雑であったものだから、少し質問の要点が御理解願えなかったと思うのでありますが、しかしその後、科学技術庁の方から図面をもって説明をされたので、ある程度わかりました。この図面は各委員に渡っておりますか。この図面について、もう一度正式にちょっと説明を願いたいと思います。
#7
○国務大臣(中曽根康弘君) あとでお手元にお配りいたす予定でございますが、栗山委員の御質問は、燃料加工に出した場合の法的関係はいかんというお話でございます。ウラニウム、天然ウラン、それからウラン235、濃縮ウラン、プラトニウム、あるいはトリウム、ウラニウム233すなわちトリウムですが、こういうものを米国、英国、国際原子力機関、カナダ、この四つの国と国際協定を結んでおるわけであります。そしてこれらの国から日本政府が購入する、あるいは賃借する、あるいは購入予定を行なう、賃借予定を行なう、そしてその加工を外国人または外国法人に請け負わせる、そしてそれを原子炉用燃料として加工させる、あるいは臨界集合実験装備に用いる燃料として加工する、研究用のための核燃料物質として加工する、これが加工という場合の範囲であります。
 それから燃料加工と再処理との関係を申し上げますと、核燃料物質を燃料要素に加工いたします。つまり天然ウランで、金属ウランでできたものを、それにいろいろと被覆をいたしたり何かいたしまして、燃料要素に加工いたしますと、できた燃料要素を飛行機あるいは船で輸送いたしまして原子炉に装荷いたします、中へ充填いたします。そして原子炉を運転いたします。そうすると、使用済みの燃料が出てくるわけであります。この中に残存のウランもございますし、プラトニウムの副生産物も出て参りますし、そのほかに、いわゆるアイソトープ類が、核分裂生成物が出て参ります。そのできたものを今度は再処理のために、現在日本は再処理の能力がございませんので、アメリカとが、イギリスの会社へ輸送いたします。そうして輸送してまずやるのが、燃料の被覆をまず除去して、それを硝酸の中に入れて溶解して、そうしてプラトニウム、あるいはそのほかのアイソトープに分離する、これが再処理という形でございます。大体それが今の加工と再処理の明細でございます。
#8
○栗山良夫君 そこにあります米国、英国、それから国際原子力機関、カナダ、四つあげてありますが、このうちで国際原子力機関というものは、今どういう構成になっており、そうしてこれらの物質を扱うのにどれほどの力があるのか、この国際原子力機関のことについて、説明を願いたいと思います。
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際原子力機関は、正確な数字は記憶しておりませんが、ほとんど全部の国際連合に加盟している国が現在加盟しておる。大体八十カ国ぐらいであります。それで今実はそこの事務総長のコールという人と、次長のジョリスという人と、セリグマンという人が日本へ来ている最中であります。
#10
○栗山良夫君 私の伺ったのはその加盟国でなくて、その国際原子力機関が、どれほどの力を持っているかということは、こういう核燃料物質をどの程度自分で保有をし、それでそれを各国の平和利用に貢献し得るような準備態勢をとっておるか、また国際原子力機関というものは、ある意味における危険物質の安全保障についてどういう構想を持ち、どういう力を持っているか、そういう点について伺いたい。
#11
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際原子力機関の設立当時に期待されたほど、現在はまだ活発な活動をしておりません。その理由は、各国それぞれいろいろな事情がございまして、原子力政策の推進ということが、国によっては停滞している国もありますし、それから石油の関係とか石炭の値段が、少し下がってきたというかげんもあったりして、原子力計画を一部延期した国もある、これは事実でございます。しかしイギリスとかフランスとかソ連とか米国とかいう大きな国は、今までの既定計画をたくましく推進さしておるようでありますが、東南アジアの国とかそのほかの国々は、一部そういうふうに停滞ぎみの国もあるのであります。そういう点等からいたしまして国際原子力機関に各国が力を集中させる努力が、足りないように思います。一つにはアメリカとソ連という関係の対立も内部に若干ありましてお互いが力を減殺しているという要素もございます。しかし日本は国際原子力機関を中心に、原子力政策を国際的には進めるという根本原則を堅持しておりまして、おそらく世界八十カ国の国で、日本ぐらいこれに力を入れて育成してきた国はないと思います。そこで天然ウラン三トンを国際原子力機関が正式に日本と協定して供給するということをやったのは、これは初めてであります。そういう意味で、国際原子力機関は、日本の努力を非常に多としております。それからわが国としては藤岡さんをアイソトープ部会に入れましてその中枢にも人を入れて努力して参りました。
 それから国際原子力機関が今やっておりますことは、この間もコール事務総長もわれわれと会いまして言明いたしましたが、災害補償のスタンダードをできたら作りたい。英国、米国、ドイツ、おのおのの方式がございまして国によってばらばらであります。そこでそれを国際的にどうせ世界の保険プールができなければできないことでありますから、こういうような協定ができますと、国際的な基準を数理統計的にも統一する必要がある。そこでその確率を探して災害補償に関する国際基準を作ろうということを、今専門家を集めてやっております。
 それから第二には、放射線の許容量という問題も非常に大事な問題で、これは日本側といたしましても強く今要望しておりまして別の機関として国際連合の放射線関係の科学者の委員会がございますが、これは大体政治的な委員会です。それに対して純科学的な委員会はこの国際原子力機関が担当してやるべきだというので、専門家を網羅いたしまして全世界におけるフォールアウトを、スタンダードを作って検出して、そうしてどれくらい放射能がふえているかふえていないかということを調べてもらっうように、これは日本側がイニシアチブをとりまして、私もこの間会いまして、非常に強く要望してこれを今検討し、準備中でございます。そのほか原子力商船、あるいは原子力潜水艦等が七つの海を遊よくするようになりますが、この場合の国際法をどうするか、港に入ってくる場合の汚染防止をどうするか、これもやはり国際的な問題になるわけであります。これに関する調査研究も今実施しております。目下のところはそういう準備行為をやつておりまして、実際のこういう業務の受け渡しのような実施行為はちょっと遠のいておるようでございます。
#12
○栗山良夫君 この国際原子力機関というのは何ですか、加盟国の財政負担はどんなふうになっていますか。それからこの国際原子力機関の運営規定というのですか、そういうものは成文化されたのがあるのですか。
#13
○政府委員(佐々木義武君) 各加盟国からそれぞれ分担金と申しますか、そういうものを出しましてそうして運営資金を各国でそれぞれ持っております。わが方でも毎年予算にこれを計上いたしましてそうして支払いをしているわけでございます。
#14
○栗山良夫君 その運営規定の方は……。
#15
○政府委員(佐々木義武君) 運営規定に関しましては、憲章がございまして、総会あるいは理事会あるいは事務局等のそれぞれの運営の権限の範囲あるいは運営の仕方等を詳細に規定してございます。それで年間の予算あるいは事業計画等は理事会を通しまして、総会で毎年やっておるような形でございます。総会は年に一ぺん開きまして理事会の方は数回年に開くようになっております。場所はウイーンであります。
#16
○栗山良夫君 大体その国際原子力機関のことはおおよそのことはわかりましたが、そこで私はこの法案と国際原子力機関の今日の状態あるいは将来の研究発展の過程との間に非常に密接な関係がある点が一つあります。この点は後ほど質問をいたします。
 そこで今いただいたこの図面を見るというと、燃料要素に加工を――まあ外国へ出して頼むわけでありますが、そのたのむ場合の責任の持ち方が非常に複雑でありますから、その点を少し細別して伺っていきたいと思います。
 これによるというと、当該燃料を日本が所有をする場合は明確であります。それから購入をする場合もこれは所有をするわけですから明確でありますが、賃貸をしたときですね、賃貸のときは、これはやはり責任は日本にあるわけですか。
#17
○政府委員(佐々木義武君) 賃貸いたしました場合には、まずその所有権の問題が一番先でございますけれども、まあ賃貸でございますので、所有権は貸しました貸主国にあるわけでございます。ただいまの段階では米国のみでございますが、米国が所有いたしまして日本は借りるという、濃縮ウランはその形態にあります。そこで今お話しの点は、借りた場合、それを炉に入れてこの燃料を、使用済み燃料のようになった場合の、いわば果実のようなものの所有権がどうなるかという御質問じゃなかろうかと思いますが、そういうふうに理解して答弁してよろしゅうございますか。
#18
○栗山良夫君 そうでなくてね、賃貸をして所有権は向うにあるんですね。
#19
○政府委員(佐々木義武君) そうでございます。
#20
○栗山良夫君 それを日本が借りて加工をする、その加工をするものについてこの法律が適用されるわけでしょう。そうすると、日本に所有権のあるものと全く同じ扱いになるように私は思うんですがね、その点はどうなんです。その賃貸の条件として、一たび貸した以上は、相手国、日本の所有権のあるものと全く同じ運営をする、こういうことになるのかどうか。
#21
○政府委員(佐々木義武君) 賃貸いたしますと、もちろん使用権は日本側で持つわけでございますので、その使用権に基きまして加工をいたす、こういう格好になります。
#22
○栗山良夫君 使用権がもちろん日本にあることはわかりますが、そうすると、賃貸をしてそして使用権が日本にあって、日本がそれを加工をし経営をする、その途中で本体そのものが、燃やしてかすになる場合はいいでしょうが、そのほかの事故かなんかで賃貸物件というものが重大な変形をしたというようなときの補償はやはり日本がすることになりますか。
#23
○政府委員(佐々木義武君) 賃貸した場合、その燃料加工に基くものでなくて燃料そのものに事故が起きた場合、その場合には、燃料の所有者はただいま申し上げましたように米国政府でございますが、条約に基きまして米国政府はそれに基いた責任は、義務は一切負わないということになっております。今度は一たん日本が賃貸をいたしまして、それを加工いたしましてそして原子炉に入れた、その加工の段階でいろいろなきず等が生じましてそれがもとで事故が起きたといった場合には、本来であれば加工業者が負うはずのところでございますけれども、その法律を出しましたゆえんのものは、こういう際でも加工業者は責任を負わないという規定になるわけでございますので、燃料の製造あるいは所有者である米国政府並びにそれを加工する米国の民間業者、その両者とも責任を負わない、こういう格好になります。
#24
○栗山良夫君 その事故の始末の問題は別ですね。その本体の所有権と使用権両方から分れて出てくる場合のことなんですがね、たとえばアメリカに所有権があって日本は使用権を持っておる、その使用権を行使して加工をする、加工したものが一定の約束に従って炉に装置されて、そうしてある仕事をして残滓が残っていく、こういう正常なルートで運営されていればいいわけです。ところが加工したものが、極端な言い方をすれば、核燃料の加工品そのものの事故でなくても、あるいは積んでいる船が沈んでしまって、これが海底に没してしまった、あるいは途中で暴発してこれがなくなってしまった、そういうようなときに損害は別ですよ、その本体の所有権に対して、日本というものはどういう立場をとるんですか、こういうわけです。それに対して明確な協定はあるんですか。
#25
○政府委員(佐々木義武君) その場合、加工云々の問題は一応抜きまして、所有権そのものに対する何と申しますか、賃借の正当な義務を果たさぬという格好になるわけですから、もしそういう事故、過失等が起きた場合には、当然所有者である米国政府に対して、損害賠償等の処置が生じるというふうに考えています。
#26
○栗山良夫君 私は常識的にはそうだと思いますが、そういうことが協定で明白になっておりますか。
#27
○政府委員(佐々木義武君) 協定内部には、そういう通常の場合と申しますか、普通核燃料に伴う特殊な現象以外の法律行為等は、それほど具体的には規定してございません。
#28
○栗山良夫君 長官に伺いますが、そういうときは一体どうなりますか。たとえば太平洋の船積みの途中にたまたまその船が沈んでしまつて、これが海底へ没してしまったというようなとき、賃貸契約はもうできておる。日本が使用権を持ったままで太平洋の海の中へ沈んでしまった、あるいは陸揚げする途中その他における事故で紛失をする、あるいは暴発をしたと、そういうことはないと思いますが、そういうことが起きたときは一体どうなりますか。
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) その場合は普通の法律関係、国際間における民法上の損害賠償、その他の法概念で処理すべきものだと思います。しかし所有権がアメリカ側にあって、日本側が賃貸して、そうして一たん受け渡されたものを、日本の責任において、輸送したり何かする場合日に事故が起きた場合は、これは所有権者に対して、日本は損害賠償しなければならぬ責任があると思います。そのことは国際原子力協定や、日米協定には書いてございませんが、それは普通の法律行為の概念で処理さるべきものという考え方で書いてないんだろうと私は思います。
#30
○栗山良夫君 今加工したときの事故発生についての責任、免責のことをここで取り上げておるわけですが、それもなるほど重要なことだけれども、その以前の所有権の帰属の問題について、今のお話を聞いているというと、非常にあっさりしているといえば、あっさりしているんだけれども、法律的には将来にトラブルを残すような内容のままで、きわめて常識的に扱うようなお話ですけれども、それでいいものですか。
#31
○政府委員(佐々木義武君) その問題の発生している一番深い意味は、加工燃料を日本に持って参りまして、そうして原子炉にこれを装荷した場合、その際もし万が一この燃料の被覆等がとれたりなどして、そうしてそれが空気を汚染し、あるいは水にまじって、川その他を位したといった場合には、いわゆる第三者、この炉の設置者以外の第三者に、非常に大きな災害を及ぼすおそれがある、そういう際にその第三者に対する責任というものが、非常に膨大なものになった場合に、一体だれが責任を負うかという点が一番問題になる事項でございまして、財産権としてのその貸与したウランそのものが喪失した、なくなったとかいう対価の問題はそれほど実は、この問題の対象にならぬ事項でございまして、むしろただいま栗山先生の御質疑の点は、単に船が沈んだという事項でなくて、船が沈んで、その沈んだために非常に海が汚染されたというような場合、その汚染に基づいて魚類が非常に汚染された。それをとる漁民に非常に損害を及ぼした。その損害をどうするかという問題が、主たる内容になってくるわけでございまして……。
#32
○栗山良夫君 私先ほどから繰り返して申し上げておりますように、事故が起きたときの補償問題は、これは重要なことだから、こういう工合に特別な法律を考えられていることはわかりますよ。わかりますけれども、それはそれとして、やはりこういう一つの物質を所有をする、あるいは借用して使用権をとるというときには、これは個人間と同じことで、やはり債権債務が発生するわけだから、その点を明確にしておかなければ、常識的にただ解釈をしているだけでは、非常に不安定ではないかという疑問を持っているわけで、私はこの法律以前の問題として、その点を伺っているわけです。特に今のようなお話しをして伺って、よく何か事故が起きたときには、やはり国際法規に照らして、日本が所有権者に対して何がしかの弁償をする責任が、やはりあるということをおっしゃるならば、この冒頭からこれは全部日本の所有にして、購入をしてしまった方がよくはないか。賃貸などというわずらわしいことをしないで、いきなり全部購入、所有権も使用権も日本に全部帰属させる。そういう方法でいった方が明解ではないですか。どうしてこういうことをおやりになったか。その点が私わからないものだから申し上げているわけです。
#33
○政府委員(佐々木義武君) 私の説明が少しぼんやりしておったかもしれませんが、要するに事故の中には二種類ございまして、核燃料そのものを喪失したといったような事故、従って相手方の財産権を侵害したというような事故と、そうじゃなくて、そのものを使用して、その結果生じた膨大な第三者に対する事故、与えた事故に対する始末問題と、二つに分かれるわけでございまして、その財産権の問題に対しましては、もちろん賃貸借でございますので、細目協定等に詳細な、これに対する支払いの仕方、あるいは責任がいつ、どういうふうに発生するか、そういった点は、はっきりうたっているわけでございますが、ただその財産権が通常の商品のように、喪失した場合の始末はどうするかといいますと、普通の商法、民法の規定によりまして損害賠償の義務が生ずるということを申し上げたわけでございます。
 それからなぜそれでは貸借なんてしないで、買わないか、お説の通り、買ってしまえば一番簡単で、よろしいのでございますが、ただいまの段階では、米国の政策からいたしまして、研究用のものは賃貸が原則で、それにはいろいろ特典と申しますか、そういうものも加味しておられまして、賃貸が原則でございます。実用炉のような膨大な燃料でございますと、これは原則として購入、売るという形式になっております。そういう原則で向うでやっているものですから、わが方といたしまして、法律的にはいささか複雑になりますけれども、借りるという形式もあわせてとっているわけでございます。
#34
○栗山良夫君 その点をちょっと私理解しにくい点があるが、その程度にして、現状がそうだということですから、そういうことを承っておくことにいたします。いいですね、それで。要するに賃貸協定の中には、財産権が、いろんな理由があるでしょうけれども、その物資がなくなったときのことについては明文はない。それはやはり国際慣習に従って弁償すべきものであるとただ心得る、その程度のことですね。
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下のところさようであります。それからちょっと今原子力局長が申しました特典という話は、アメリカと研究用の原子力協定をやりました際に、正確には忘れましたが、ある特定の研究用原子炉につきましては、向うが炉の費用を一部負担してサービスしたということがございまして、ある一定期間内に締結したものについては、全部そういうことで、イタリアにやったのにも、あるいはドイツにやったのにもあります。そのときには、たしか賃貸ということに協定はなっておるように思います。そういうことと関連があると思います。
#36
○栗山良夫君 時間がありませんから簡単にお尋ねしますが、そうすると、先ほど来の原子力局長のお話だと、研究用のものは賃貸をすることがあるが、いわゆる工業用としてと平和利用エネルギーを対象とした実用炉に使うようなものについては全部購入一本でいく。こういうことは間違いありませんか。
#37
○政府委員(佐々木義武君) 間違いありません。
#38
○栗山良夫君 そこで、この間図面を提示せられ、燃料加工と再処理の相違の問題ですが、一番最初に、核燃料物質を燃料要素に加工をする。これはアメリカですね。アメリカなり、相手国になる。
#39
○政府委員(佐々木義武君) そうです。
#40
○栗山良夫君 それからあと輸送が始まって、原子炉に装荷するまで、これは日本へくるわけです。それからずっと日本で。使用済み燃料の出口の所からまた外国になる。そうすると、この免責をする場合に、日本の国内と、外国で起こる場合と、二色あるわけですね。問題はそうですね。
#41
○政府委員(佐々木義武君) そうでございます。
#42
○栗山良夫君 事故が起きた場合の事故の起き方というのは、日本の国内で起こる場合と、外国で起きる場合と二色あるわけですね。それからそのいずれにも属さない公海で起きることもあるでしょう。大分けすれば三つになる。そのときに、三つの場合の相手の会社は免責される。外国法人に請け負わせた場合ですから、外国法人は免責されますが、日本の国は免責されないわけですね。国は免責されない。国は補償の対象になる、相手になるわけですね。そうなりますと、国内の場合と公海の場合、それから外国の場合、この補償のやり方というのはどうなりますか。国が補償する。どういうやり方ですか。
#43
○政府委員(佐々木義武君) この法律では、日本政府が債務者でありまして、債権者は加工業者という形になるものでございますから、もし、加工後日本へ持ってきます、日本で炉に入れて日本で事故が起きて、その起きた事故に対する責任をどうするかという場合には、米国の業者は免責されるわけですから、かりに米国業者が裁判で敗訴した場合に金を支払ったとしても、その金額は日本政府が最終的に責任を負うというような格好になります。
 それから輸送の場合も、加工の際は、蔵出し、工場渡しでございますので、工場から出ました以後は全部日本政府が責任を持ちますから、向うのMアンドC、ボストンの近くでありますけれども、そこの工場から渡しますと、それ以後は全部日本政府の責任になります。従いまして、その間にいわゆる財産権の喪失のような事故が起きた場合におきましては、MアンドCとの関係でなくてAEC燃料を貸与した、そこに対する損害賠償の問題が生じて参ります。そうじゃなくて逆に今度は、その燃料の加工のきず、――そういうことは実際あり得ないのでございますけれども、まあ観念的にお話を申し上げますと、加工に基づいた原因で、輸送の途中等で事故が起きたときに、事故というのは財産権の侵害という問題ではなくて、第三者に損害を与えるような事故が起きた場合にはどうするかというような点だろうと思いますが、そういう点に関しましては、もちろん加工業者は免責をされまして、全部日本政府が責任を持ちます。それから米国内部で加工中に起きた問題はどうなるかという点でございますが、もし加工中に燃料がなくなったというような場合の財産権の補償問題は、もちろん使用権はこちらで持っておりますので、製造業者がその燃料そのものに対して日本政府にその金を支払う義務を生ずるのであります。それから日本政府に対して加工業者がその燃料に相当する値段を支払うという格好になります。それからもし燃料の加工中に問題が生じた場合には、もちろん日本政府の関係じゃございませんので、受け渡し以前でございますから、全部製造業者が、MアンドCが全責任を持つ、こういう格好になります。
#44
○栗山良夫君 まだ私の質問全部に答えられていないわけですがね。米国で加工中財産権を喪失したときには、製造業者が日本政府に支払う。もし事故が起きたときには、日本には関係がないから、製造業者が持つということのようですが、そういうことは、今このことだけお尋ねいたしますが、こういうことは相手の加工業者との間にはっきり契約されるわけですか。
#45
○政府委員(佐々木義武君) その通りでございます。
#46
○栗山良夫君 そのわけですね。
#47
○政府委員(佐々木義武君) はあ。
#48
○栗山良夫君 そうすると、その次に、今度加工を完了して、例をとりますと、米国の領土、領海内において同じことが起きた。それから米国の領土、領海を離れて、公海中に起きた。それから日本の領海なり日本の領土へ入ってから起きた。それぞれの場合のことをもう一ぺんちょっとお聞きかせ願いたい。
#49
○政府委員(佐々木義武君) そのボストンの近くの工場でわが方が検査を済ませまして、引き取った以後は全部わが国の責任でございますので、その輸送中に起きましたのが、かりに領海であろうと公海であろうと、そのいかんを問わず、全部日本側の責任でございます。
#50
○栗山良夫君 そこで問題になるのは、そのいずれかの事故が起きたときの補償のやり方ですね。そのやり方は一体どうなるかということです。二つに分けますと、日本の領海内、日本の国内へ入ってから、不幸な事故によって第三者に放射能その他のことがありましょうが、重大な損害を与えたというときには、補償はどういう工合にしてやる、その法的根拠はどういう根拠でやる、この問題。
#51
○政府委員(佐々木義武君) これは本来非常にあり得ないようなことを、万が一ということでこういうふうな法律を作っているわけでございまして、現実の問題からは非常に離れたような説明になるかと思いますが、もし国内で財産権の喪失といったような事故じゃなくて、実際の原子力災害に基づく第三者に対する損害を与えた場合に、もちろん国内で起きた際には、その損害を受けたいわゆる民衆ですか、皆様は、設置者に要求するのは当然と思います。この際設置者は原子力研究所でございますので、原子力研究所に要求するはずでございます。従って日本政府は原子力研究所との間において契約を結びまして、そしてそういう場合の責任は一切原子力研究所でもって、実際の燃料を使用する原子力研究所でもってそれを持てというような契約を結んでおりますので、現実の問題としては原子力研究所がそれを負担するという建前になろうかと思います。ただ事故が起きたが、日本の原子力研究所では持ち切れないといったような場合に、かりにそういったような場合があったといたしますと、米国のMアンドCを相手取りまして、米国の裁判所へこれを提訴することができます。そこで提訴した場合に、かりにMアンドCが敗訴いたしましてそして金額を支払った。原研で払った以上の金額を支払ったといった場合に、その金額は一体どこが負担するかと申しますと、それは免責しておりますから、日本政府がMアンドCに支払いをして決済をする、こういう具体的な格好になろうかと思います。ただしこれはこの法律の段階ではこういうことでございまして、次に出します国家補償法と申しますか、災害補償法の法律等が出て参りますれば、これが通りますれば事態は非常に変って参りますけれども、ただいまの段階ではそういう法律がないものでございますので、具体的に現在もし事故が発生したといいますと、ただいまのような道順を一応考えるということになります。
#52
○栗山良夫君 今佐々木局長は私の質問について、そういう事態が起るということは万々ない、概念的なことだけれどもお答えをすればこうだという前置きをされましたがそういうことを言われるのならば、この法律は要らないわけです。今度これは長官に伺いますが、「当該加工を行った工場から積み出された後に生じ、かつ、当該加工に基く事実に対するすべての責任について」責任を免かれさせると、こういうことですよ。そうすれば「積み出された後に生じ、かつ、当該加工に基く事実に対するすべての責任」というのはどういうことですが。
#53
○国務大臣(中曽根康弘君) これはたとえば今後のCP5に装荷する燃料につきましてボストンで加工をいたしまして、それを加工ができたということで工場から引き渡しを受けて、そして日本へ持ってくる。そしてかりにもし今原研で来年の三月とか二月に装荷して運転して、その結果加工に基く事実によって損害ができてきた、そういう場合にMアンドCに対して免責する、そういうことであります。それで損害補償法――原子力に対する第三者災害補償法という法律が今我妻教授を中心に草案を練っておりますが、それができますと、炉の設置者に責任集中制という形をとりまして、これは、……
#54
○栗山良夫君 そのことは別ですよ。まだこれから質問しようと思っていることだ。
#55
○国務大臣(中曽根康弘君) そうなりますと、そっちへ行くわけです。その前に、もし、つまり法律の制定が一年とか二年おくれますというと、これが発動してくるわけです。つまり日本政府というものが関与してくる、そういうことになると私は思います。
#56
○栗山良夫君 それは、今あなたのおっしゃったことは、加工に基く事実、これは炉に装填したあとで何らかの予期しない事故が起きたときという意味だと、こうおっしゃったのですが、法律には「工場から積み出された後に生じ」というのがありますよ。「生じ、かつ」と書いてあります。だから僕の質問が概念的だとおっしゃるなら、この法律の文章も概念的じゃないですか。
#57
○国務大臣(中曽根康弘君) 栗山委員の質問は概念的であるとは思いません。私は今のように災害補償の成立というものは必ずしもそう早くできるかどうか、国会の模様によってわからぬものですから、積み出されるという事実は来年の一月か二月にはあり得るわけです。従ってその後にはそういう可能性はないとは言えないと思いますので、もしそういうふうに観念的という言葉が使われましたのならそれは誤りでありますから、私から訂正いたします。
#58
○栗山良夫君 そこでそうすると、また前に戻ってあとに「生じ、かつ、当該加工に基く事実に対するすべての責任」というのだから、どういう事態が起きようと、外国法人にはもう免責をして日本政府で全部の責任負う、こういうことですね。日本政府が全部の責任を負う。しかも日本政府と原子力研究所との関係においては、日本政府が一応負うけれども、当面の責任者は原子力研究所で、日本政府と原子力研究所との間に、そういう契約というものは取りかわしてある、こういうことですね。そこまではわかるのです。ところが今おっしゃったように、しかし製造の方法が悪かった場合には、米国に提訴することができる、こういうことをおっしゃったのですが、これは今度は私の方から逆に切り返すのじゃないのですが、少し話が飛躍し過ぎやしないか、ただ自分が向うで作ったものを素手で受け取って来るのじゃなくて、立会検査をして、これでよろしいということで受け取るわけですが、そういう場合に米国に提訴するということは法律的に可能ですか。
#59
○政府委員(佐々木義武君) 通常の場合には、十分検査をして引き取るわけでございますから、これは問題はなかろうと思います。そうじゃなくて原子力の問題でございますので、放射線等の影響で燃料等がどういうふうに変化するかといったような問題は、ものによっては必ずしも全部理解がついているという段階にはまだ行っていないと思います。そういう未知の問題等でかりにその燃料の加工が主たる原因で災害が起きたといったような場合に対して、加工業者自体でも今の知識をもってしてはそこまでは責任がカバーできない、こういうことでありますので、そういうことについては責任は持てませんぞと、こういうふうになっておると私は思っております。
#60
○栗山良夫君 今の御説明で、かりに事故が起きたときに、米国に提訴するというのですが、米国政府なのか、米国業者なのか、あるいはまたその提訴のことについては、これこそ国際法的なもので、協定には何にもそういうことはないのか、あるいは若干の覚書程度のもので、こういうことが取りかわされるか、その点を一つ。
#61
○政府委員(佐々木義武君) 私のさっき概念的と申しましたのは、事故が起きるということはあるいはあり得るかもしれないというのが、一つのこれも仮定であります。それから起きた場合に、それでは必ず外国の業者を相手どってそれに損害賠償の請求をするかと申しますと、おそらくそうはならない。国内の原研なり、国でもって処分するという格好になるのであって、外国の業者をその際提訴する、そうして外国の、アメリカの裁判所で争うということは事実上はあり得ないと思いますけれども、かりにあったとすればということを申し上げたわけであります。従いまして、そういう災害がかりにあったといたしますれば、もちろん相手方はMアンドCという製造業者であります。
#62
○栗山良夫君 今、日本の国内に着いてからのお話しのようだけれども、先ほどから何回も繰り返しているのは、アメリカのボストンの工場から立会検査をして受け取って、そうしてアメリカの国内で飛行機に積むのか、汽車に積むのか、トラックに積むのか知りませんが、太平洋岸に持ってきて、船積みして持ってくるわけでしょう。その途中でパッケージされたままで完全なる第管理のもとに輸送されればもちろん事故は起きないと思いますが、しかしどういうことが起きるかわからない、起きたときに放射能があちらこちらに振り回されたとき、日本の施政権の及ばぬところに起きたときには、一体どうなるかということが問題だから私は聞いておるわけです。そういうことはこんりんざいないということであれば、私はそのような質問はいたしません。
#63
○政府委員(佐々木義武君) 積み出されました以後に、かりに米国内でそういう問題が事実上輸送の途中で第三者に損害を与えたという、そういう意味の損害はあり得ないのでありまして、財産そのものを喪失した、なくしたという理由からの損害賠償の問題はあろうかと思いますが、実際にはないのでありますけれども、かりにそういうものがあったといたしますと、その際はもちろん国際私法ですから行為地法による問題でありまして、当然アメリカの国内法でそういう問題がありますれば、その規制を受けるわけでございますけれども、そういう際にはもちろんこういう法律ができておる関係もございますから、日本政府がそれに対しては全部責任を負う、もちろん加工業者も米国政府の責任の対象にならないで、日本政府が全部責任を負うということになるわけであります。
#64
○栗山良夫君 そうしますと、問題は私は二つに大体しぼられてきたと思いますが、第一点は、日本の国内で災害が事故が起きたときに、その事故の補償のやり方というものは一体どうされるのか。これは今は原子力研究所が全部の責任をもって始末をするのだというその一言で済まされておりとますが、そういう簡単なことで済まし得るものであるかどうか、この点私非常に疑問だと思いますから、それはどうされるのか。
#65
○政府委員(佐々木義武君) ただいまの段階では、まずこの原子力保険プールを結成いたしまして、炉によっても違いますけれども、大体今五十億くらいの限界をもちまして、炉の設置者には必ず強制保険でその保険に加入させるという体制をとらすために、この前に御審議をいただきました規制法の一部を、ことしの春でございましたか、皆さんの御審議をちょうだいして通していただいたわけでございますが、それに基づきましてただいま保険プールを結成中でございます。
 そこで、もし日本の国内で事故が起きた場合には、まず第一次的には保険でカバーしようとしております。ただいまの段階では小さい炉一基動いているだけでございますので、おそらく今の保険の問題は、プールが実際に結成されまして動き出しますと、その金額で十分カバーできるだろうと思います。そこで、それ以上の大きい災害を予想されるような、たとえば実用発電炉のような場合にはどうなるかという問題が次に起きてくるわけでございますが、その問題に関しましては、先ほど大臣も御指摘いたしましたように、保険プールで、保険約款でカバーできない問題につきましては、国家補償等の措置を講ずべく、ただいま原子力委員会の下部機関である安全保障部会で検討中でございます。
#66
○栗山良夫君 それで大体考えておられる点はわかってきましたが、国家補償法というのはそれじゃしからばいつの国会に御提出になりますか。
#67
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在原子力委員会の下部機構にあります災害補償の部会におきまして大綱を作っております。おそらく十日前後くらいには、その大綱草案が答申されるかと思います。答申されましたら大蔵省その他とも調整をいたしまして、できるだけ次の通常国会に間に合わせるようにいたしたいと思っております。
#68
○栗山良夫君 その何ですか、補償法の、今答申されようというので研究中のものというのは、大体その法体系としてはどんなようなことを構想されておりますか。
#69
○政府委員(佐々木義武君) 法体系と申しますとなかなか広範囲の御質問でございますけれども、要は従来あります民法あるいは商法等の規定に基づいても、故意、過失等の損害責任、あるいは責任の所在、たれが責任者になるか、あるいは大きい事故になった場合には、その責任者がどの程度まで負担し、あるいはそれ以外に、たとえば国家とかがどういうように関与していくかといったような問題等、非常に広範な問題がございますけれども、ただいまの大体の要綱の要旨は四つくらい大きく分けられておりまして、一つはいわゆる責任の集中制で設置者が全部責任を持っていく、それ以外のものには責任をかぶせないという、いわばそういうことによって、いわゆる第三者の保護というものが明確になる体制になるわけでありまして、設置者に対してはその際に無過失責任を課しまして、これは従来の民法の構成からいいますと違った新しい概念になるわけでありますが、無過失責任を課しまして、過失がなくとも責任を持たすというような体制にしましたのが一番の眼目であろうかと思います。二番目は、今度は先ほど申しましたように、設置者そのものが責任を負う場合、どういう責任を負わせるかということで保険の問題、原子力保険の問題、第三番目には、その原子力保険でカバーできない場合には国がどういうふうな発動をするかという点を規定いたしまして、最後にそういう事故が起きたときには、どういう機関がその裁定に乗り出すかという委員会制度のようなものを考えるといった主たる内容に相なろうかと思います。
#70
○栗山良夫君 私がなぜこういう法案とまるで関係のないようなことを御質問申し上げているかと申しますと、いよいよ、新聞紙上の報道するところによると、実用原火炉の輸入契約の調印が迫って参りまして、とにかくコールダーホール型か知りませんが、実際に注文するという段階にきておるようです。そうするならば、数年ならずして日本には何万キロかの原子力発電が動き出すわけです。そのとき事故が全然ないということならばいいのですけれども、イギリスだって現に事故が起きたのです。相当大きな被害を与えたわけです。ですから、これのやっぱり関係罹災者に対する安全保障体制というものが完備しなければ、これは国民もやっぱり安心し得ないと思うのです。補償だけではなかなか済まない問題が残りますけれども、社会問題としては残るけれども、まあその問題の次に行なうにしても、たとえばビキニなり広島なり、最近は種類も違いますけれども熊本の水俣の事態にしても、なかなかうまくいかない、非常にみんなが困っているわけです。そういう問題を明確にしないでおいて、こういうものを強引にどんどん入れて、作るということは社会問題として私はよくないと思うのです。ですからこういう点をやはり明確にしておくということが必要なので、そこで、ちょっとこの本法案の質問としては飛躍してくるかもしれませんけれども、たまたまいい機会でありましたから、この点をお尋ねしているわけです。そこでその無過失の責任というものを設置者に負わせる、こういうことをお話しになりましたが、これは私は非常に重要なことだと思うのですね。で、もしこういう理念が国際的に通れば、無過失の責任というものを設置者なり加工業者が負うと、こういうことが国際通念上通っていくということであれば、何も法律は要らないと思います、この法律は。大体この法律そのものがおかしいですよ、そういうことになれば。ですから国際原子力機関の考え方というものは一体どうなんですか。こういう問題についてやはり保障をとっていく、先ほど国際原子力機関では安全保障のスタンダードを作ることに今研究中だとおっしゃったのです。ですから、国際原子力機関のやはり動向、考え方と歩調をあわせて、日本の国内法の整備もしなければならぬし、また国際的な発言も日本はしていかなければならぬと思うのです。そういう点は一体どういうことですか。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際原子力機関の考え方の趨勢は、やはり設置者に無過失責任を負わせる方向に進んでおります。現に今保険をやっておる、今のような無過失の責の法体系をもっておる国は、アメリカがそうでありますし、イギリスもそうでありますし、ドイツもそうであります。そういう主要な国々が参加国になっておりまする国際原子力機関の思想も、やはりそういう方向に進むと私は考えております。なぜ無過失責任ということを作つたかといいますと、これは第三者保護ということに非常に重点を置いたからであります。原子力は、大体科学的面においては安全であるといわれても、まだ未知の学問の分野も相当ありますため、何が起こるかわからぬ、その場合に相当、因果関係とか、今までの因果論だけで保障ということをやったのでは、まわりの人も不安であるし国民も不安である、それでは原子力政策は推進されない、そういう意味で、政策的にこれを前進させるため、置く方に責任を全部もたして、そうしてまわりの人や国民に安心感をもたせるという意味で、どっちかというと、手厚い保護的政策を進めておるのであります。それがこの無過失の責任の中に入ってきております。それで、一応設置者にすべての事故に対して、たとえ因果関係かないように思うことでも、原子力の災害から出たものが損害を負わせる、その損害に対しては、一般は保険でまず力バーして、保険で払いきれないものは国家が乗り出してめんどうをみてやる、そういうことで、最終的には国も責任をもってめんどうをみてやるのだという態勢を示して進めておる。しかしその内部関係では、私は設置者にもし余力があればそれをまた補償としてとる、そういうことも内容にはあるようであります。こういうわけで、現在の国際的な趨勢というものは、原子力政策を進めようという意味から、無過失責任という方向へ進んでおるわけであります。
#72
○栗山良夫君 私のお尋ねしたいところが、大要は、今の段階では一応済んだわけで、いいと思いますが、これからスタートをしようという一つの事業ですから、今までのように、まあ完全にコンクリートになったいろいろな問題をお尋ねするような工合にお尋ねしても困られることがあるということはわかります。わかりますけれども、こういう問題はイージーに扱われては断じていかぬと私は思うのです。その場その場でイージーにやられては困る、たとえば、先ほど大型のものはまだやらないのだ、実験用のものだけ入れるのだから大したことはないとおっしゃるのですけれども、実験用のものだってもっているエネルギーというものは相当なものですからね。相当なものですよ。一つ事故を起こせば大へんですよ。小さなものでも。今までの既成概念で、大物小物というような概念では律しられないものなんです、こういうものは。そういう意味の説明でやはり当面を糊塗していくということは、私は考え方としてよくないと思うのですね。これは何十万キロという原子力発電所が、もしこの前イギリスで起きたような事故を起こせば、これは大へんなことになることは、これは論ずることはありませんけれども、しからばといって、それじゃ東海村にある実験炉が事故を起こしたときに、これはきわめて軽微なかすり傷で済むかというと、そういうものではないと私は思うのです。これは事故の起きようですけれども、もし間違ったときには、これはあの辺には大へんなことになる。そういう意味で、ことはやはり慎重にかまえてもらわなければならぬし、それからまあ考え方の根本には無過失の責任を負うという思想があるようですからね。この点は、おそらく法律じゃいろいろ問題があると思いますが、常識的には、私は原子力を扱う場合には、あながち不賛成ではありません。ありませんが、どうか、なるべく早い機会に、将来社会問題として発展するような、そういう不幸な事態が未然に防げるような、完成した法的措置を、専門省である科学技術庁でとられることを私は強く要請をしておきたいと思います。
#73
○大竹平八郎君 時間がないですから、簡単に要点だけしぼってお尋ねいたしたいのです。まず第一に、法案のおそらくこれは対象になっておると思うのであらますが、原子力研究所の今のCP5、小型の動力炉がむろんこれは使われるのだと思います。従ってこの加工の道程としては、濃縮ウランを、いわゆる合金にして、これを板状に加工する、これを燃料要素として使用するように聞いておりますが、この法案の対象は、単にこれに限っておるのか、あるいは今後こういうような形のものが出てくるのか、これをまず伺いたい。
#74
○政府委員(佐々木義武君) ただいま予定されておりますのはCP5、今お話のありました炉が当面差し迫った問題でございますが、引き続きまして、いろいろ臨界実験装置というものを作りまして、これは規模は小さいのでございますけれども、しかしやはりそれにはアメリカから借りました濃縮ウランを加工いたしまして、その加工した燃料を使う予定にしておりまして、その小さい炉が、三つばかり実験装置を予定しておりますが、それに対する燃料も大体この法律で規定されるというふうに考えております。
#75
○大竹平八郎君 MアンドC会社の内容です。これはあくまでも民間会社だと思うのですが、その内容についてちょっと御説明を願いたいと思います。
#76
○政府委員(佐々木義武君) MアンドCは、燃料の製造会社でございまして、米国では、現在燃料製造会社が約二十社ばかりあるようでございますが、その中で、その製造工場の面積を比較してみますと、その面積は各社と比較しまして一番大きいようでございます。それから扱っている燃料、たとえば天然ウラン、濃縮ウラン等、過去に扱いました数量を比較いたしましても、一番大きいようなランクに入っておりますので、もちろん民間会社でありますが、その内容は、非常に充実した、大きい最大の会社の一つになるのじゃないかと、かように考えております。
#77
○大竹平八郎君 日本以外の、他の国と契約をされておる事実もあるのですか。
#78
○政府委員(佐々木義武君) まだ加工契約という段階になったものはございません。
#79
○大竹平八郎君 日本と米国との間の、いわゆる原子力関係については、すでに燃料取引の点も含めて、昭和三十三年六月に調印されて、そうして、第三十国会で批准をされたことは御承知のことだと思います。日米原子力一般協定において、アメリカ政府と日本政府との間においては、もうすでに免責条項というのが御承知の通りあるわけです。だからアメリカの原子力委員会自体で加工するか、あるいはアメリカの原子力委員会がいわゆる加工業者になって、下請に出し、そしてあくまでも原子力委員会自体が親企業的な立場から、責任をもって、そうして日本政府に賃貸するなり、あるいは売却するなりするならば、わざわざ何かこう日本政府が、そういった民間会社との間に、そういう日米協定があるにもかかわらず、またあらためてこの免責問題で協定をしなければならぬ、そうしてその免責条項の責任を日本政府自身が負わなければならぬということがどうも私にはわからないのですがね。これで、これはまあアメリカでいろいろ国内事情もあると思うのでありますが、この点について一つ大臣の御見解を伺いたい。
#80
○国務大臣(中曽根康弘君) 私もそれが非常に望ましいと思うのであります。ところが現在アメリカのAECは、自分で加工してそれを外国政府に引き渡すというところまで政策を持っておりません。まあ向こう側としては、なるたけトラブルを少なくして自分たちのめんどうの範囲を小さく限定しょうという政策があるように思います。従いまして、加工に出してそれからその後できた問題までも、いろいろかりに免責されるにしても、この際問題が起こるのはなるたけ少なくしょう、手間を少なくしようという考えだろうと想像いたしますが、今先方はそういう政策でございませんので、燃料の種だけを受けて、受けたものが向こうの業者に加工させるという方式をとらざるを得ないのであります。
#81
○大竹平八郎君 そこで私は、まあ日米原子力一般協定が締結される前後に、これはまあ当時としてあなたの責任じゃないかもしらんけれども、こういうことは私は大体想像ができていたのじゃないかと思うのでありますがね。それでそういった締結に際して、何かそういう意味において、これは事務当局にお尋ねしますが、やはり日本政府が、一つくぎが抜かれたというか手抜かりがあったという感じを持つのですが、これはどうなんでしょうか。
#82
○政府委員(佐々木義武君) ただいま大臣の御説明したのをちょっと付加して御説明しますと、その間はっきりいたすかと思いますが、米国内部の濃縮ウランというものは米国政府が民間の企業者に賃貸するのでありまして、これは所有権はあくまでも国で持っています。何となれば、これは非常に軍事等に転用される危険性もあるものでございますので、あくまでも国がそれを所有するという態度を変えておりません。そういった際に、民間の会社が自分でやはり加工を加工会社に依頼しましてそうしてやるというのが、米国内でもそういうふうになっておりまして、一方加工業者は、燃料の加工というものは非常にまあ従来の金属の加工会社の経験というものを生かさなければならぬ点もございますので、なるべくこういう点は政府の企業にしないで、自由な民間企業にしたいというのが米国の基本的な態度のようでございますので、先ほど大臣から御説明ありましたように、加工は大体もう民間にやらすというふうな建前にしておるわけでございます。
 そこで、協定を結ぶ際にそういうものは予定していなかったかという点でございますが、実はもちろんそういう点も考えておったのでございます。ただその際には、まだ私ども契約の経験がなかったものですから、あるいは日本政府がかりに所有権を持ったもので加工を依頼したものであっても、かりに一つの例をあげますと、その日本政府の持った債務を、免責の債務を原子力研究所なら原子力研究所に代位をさす、債務を代位さして、それを債権者である製造会社が認めれば、そうすれば日本政府の負担ということにならないから、そういう際には、こういう法律はなしで済むのじゃなかろうかというので、そういう点も、実は希望的であったのですつけれども、そういう要素も加味して実は考えておりまして、向こうの業者というものはどの程度までこういう免責条項に対して強い態度に出るかわからぬ。ところが、実際やってみますと、どうしても国で責任を持ってもらいたい、それ以外には作らぬというのが全部の会社の意見でございますので、先ほども申しましたような意味合いから、やむを得ず今度のような法律を作りまして、そうして、財政法の十五条から見ましても疑義の起こらぬようにはっきりした体制をとっておこうとこういうふうにしたわけでございます。
#83
○大竹平八郎君 そうすると、アメリカの原子力委員会がかりに加工を下請に出すと、そういう場合において、アメリカ政府自体が――これはアメリカの国内問題ですが、免責問題についてはやはりアメリカ政府自身が持っておられるのですか。まあこれはたとえば一九五七年にアンダーソン・プライス法というものができたわけなんですが、これは主として原子炉についてやるのかどうかわれわれ知りませんがね、これはアメリカの国内として、その請け負わせる加工業者との関係の免責条項というものは、これは一体どうなるのでございますか。
#84
○政府委員(佐々木義武君) アメリカ政府自体がアメリカの加工業者に委託加工させる場合の免責条項というのは、私実ははっきりは存じ上げておりませんけれども、しかしこの交渉の経過等を聞いて考えますと、同じく、他国政府に対すると同様、米国政府に対しましてもやはり免責条項が必要であるというふうに解釈しております。
#85
○大竹平八郎君 それから、この日米原子力一般協定では、責任の発生時期を引き渡しを受けた後としてあるわけでありますね。これはさっきも何か質疑応答の中にもちょっと出たように聞いておりますが、この法案では、「工場から積み出された後」としてありますね。協定より非常に条件がきびしいような印象を受けるわけなんですがね。この点はどうなんでしょうか。ことに私どもは、もう第一、こういうような重要な問題が、民間業者と政府との間に取りかわされるということ自体がおかしいので、あくまでも国自身を相手にとってやられる。従って、日米協定の中に含めるというのが、これは私の主張なのでありますが、しかもそれよりさらに今度きびしいようにこの条項がなっておる。
 この点についての一つ所見を伺います。
#86
○政府委員(法貴四郎君) 日米原子力協定との関係を申し上げますと、一般協定では、引き渡し、港で引き渡しを受けてから以後、AECを免責するということになっておりますから、正確に申しますと、アメリカ国内にある間はその加工した燃料要素の中の濃縮ウランについては、これはAECを免責しないことになるはずであります。しかし、燃料要素として加工いたしましたものの中には、アルミニウムその他日本の所有にかかるものがありまして、そこが非常に複雑なのであります。がこの法律では、向こうの工場を出ましてから、アメリカ国内にあっても向こうの加工業者を免責するということになっておりますので、全般的には、その他加工業者は国内にありましても免責されるわけです。しかし、日米協定によると、その中の濃縮ウラン分についてのみはAECを免責しないというふうな建前になっておりまして、その点がちょっと複雑な、まあ二重な規制――何といいますか、二重の取りきめがなされてりおる。政府とAECの間の協定と、それからこの法律によって、その国内にあっても加工業者を免責する。それは日本の所有権を持ったものも一緒になっておりますから、そういうようなことになっておるわけでございます。
#87
○大竹平八郎君 それから法案で、責任を免れさせ、損害を与えぬようにすると、こういうことですね。これはまあ実際問題としてどういうことを意味しておるのか。それから、損害賠償を請求しないというだけなのか。あるいはまた何かほかに権利の放棄があるのか。この点を一つ伺いたい。
#88
○国務大臣(中曽根康弘君) これはまあ一般の意味における表現でございまして、特にこまかい特別の意味はないと思いますが、外国法人に対して損害の事実に基づいてこちらがなお提訴して損害賠償を請求したり、あるいはそういう、どこまでも責任を追及して措置をするということはやらないと、やらないようにすることができると、そういう意味でございます。特別のいろいろな事態を考えてみましても、大体一般の意味において免責するという概念でカバーできるように思います。
#89
○大竹平八郎君 次に、この免責の問題が当然日本の国内の財政関係にいろいろ問題があるので、これはまあ長官のこの間の説明の中にも出ておるのでありますが、この問題について少しく大蔵当局との交渉とか、その点について一ついきさつを御説明願いたい。
#90
○政府委員(佐々木義武君) 本件に関しましての交渉は、実は非常に長い間大蔵省との間に、いわば法的解釈をどういうふうにすべきかということで、ずいぶん議論を戦わせた問題でございます。その要点は、要するにこの免責条項なるものの法律的な内容というものは、いわば未必不確定債務といったような性格のものなりやいなや、それからその債務が、かりに不確定債務と名づけられるものであっても、それが国家の債務、国庫の負担というものになるものやいなや、あるいはそれがかりに国庫の負担ということになると解釈しますとした際にも、それがいわゆる債務負担行為というような、憲法あるいは財政法で考えているそういうもの、こういうものまで予定した一つのものだったのかどうかという点に、非常に問題がございまして、今までこういう例というのはないわけでございますので、そういう点の議論がいろいろありましたけれども、やはりこの際は、法は広く解釈しないで厳格に解釈すべきではなかろうかという見解に、私ども大蔵省同様最後にはその見解に立ちまして、そうして、こういう債務負担をする際には、不確定であろうがどうであろうが、一応法律あるいは予算でこれをやるべきであるという見解がはっきりいたしましてそうして予算にはなかなか書きにくい問題でございますので、法律ではっきり規定しよう、こういうふうにしたわけでございます。
#91
○大竹平八郎君 先ほど大臣が言われた通り、要するにまだ原子力は未知の世界であるわけでありますから、従って絶対安全ということは言えないわけで、これはあとの、通常国会にさっき出されると大臣言われましたが、国家補償との問題に関連するのでありますが、一応免責問題と財政関係との関連を中心にしまして、そうしてわれわれはそういうことが絶対あっては相ならぬと思うけれども、まあ万々一のことを予想と言っては悪いけれども、何かこう算数的にこれは発表してもらわぬでもいいのですが、出されたことがあるかどうか。たとえば、これは国家補償の問題とも関連するのでありますが、さっき私が申し上げました、アンダーソン・プライス法ができたときにあたって、これは民間からその保険が六千五百万ドル、そうして足りない分には政府自身が五億ドルまで原子炉の問題の事故の一件について補償すると、このときにあたって、この国立原子研究所が専門家に災害の、この被害を厳密に計算をさせたことが、これはアメリカのことですがあるわけなんですが、そのときの発表のあれを見ますと、電気出力をこれは十五万キロワットですか、大体今度の、今計画しておる英国のコールダーホール改良型と大体形は同じだと思います。これは今審議中のこの試験炉とは大きさもまるで違うわけでありますが、このときの発表が、かりに原子炉の中にたまっていた灰が半分放出されたという最悪の事態を考えて、大体三千四百人が死亡し、四万三千人がその放射障害を受けて風下百キロまで緊急退避しなければならぬ、こういうようなことが、これもまあ決して絶対的なことではないのですが、こういうことが発表されているわけなんですね。そこで、これはあなたの方でもアメリカの、いわゆる会社方面についての免責は一応そうだが、しかし国内でそういう事故があった場合には、当然そういった補償問題というものが起り得る。そういうわけで、一つ一応はこれは発表する段階にはないのじゃないかと思うのだが、一体この程度の原子炉において万一事故があった場合の損害状況、こういうものを一体仮定したことがあるのかどうか、伺いたい。
#92
○政府委員(佐々木義武君) これはいわゆる事故解析と申しまして、炉の安全の申請を出す際に、設置者は必ずその条項を炉自体のそれぞれの特殊性に従いまして出してくることになっているのでございます。ただいま一番厳密にこの点をやりましたのはコールダーホール改良型、実用炉でございまして、ただいままで繰り返し繰り返し議論の中心になっているのはその点でございまして、この点に関しましては、非常に実はむずかしい問題でございますが、ただいまの段階では、英国のファーマーというAEAの保険部長でございますが、責任者でございますが、この人がこの春にイタリアで、ローマで発表した論文がございまして、それが英国の大体の支配的な見解になっているわけでございます。その人にもわざわざ日本に来ていただきまして、そうして解析の仕方、あるいは日本で導入する改良型を、さらに日本では地震対策等いろいろ加味して、より以上に、英国における以上に幾多の安全に対する対策を講じてありますので、そういう二重、三重の安全を講じた際には、一体事故解析の結果どうなるかといった点をいろいろディスカッションいたしました結果、ただいまの段階では、非常に事故解析の結果は、被害というものは万が一の場合を予想しても小さいものだというふうな解釈になっておりまして、もちろんそれを金額に出した場合にどうなるかというところまでは出してないわけでございます。
#93
○国務大臣(中曽根康弘君) その問題は一番重大な問題でありましたので、原子炉の設置の基準の基本的態度という意味で、原子力委員会において一番重点を置いて検討したことでございます。それで現在どれくらいの放射能が出ることが許容されるかという許容量の基準がまず中心になります。で、現在一般に言われているのは国際放射線防護委員会、いわゆるICRPというのがございまして、その勧告が一つの基準になります。科学技術庁ではこの国際放射線防護委員会の基準を参考にして、さらにそれより厳格な数字で科学技術庁の基準を作りまして、この限度は厳守しなければならぬという基準ができているわけでございます。そういうのを参考にしまして、原子力委員会の中に安全の基準委員会というものができておりまして、伏見康治教授が主査でそれを専門に検討しているのでございます。それでその委員会におきましては、国際的にもまだ確立した基準はないので、日本だけ先走って幾らというふうにはまだきめにくいのであります。というのは、遺伝の問題やら、その他まだ経験的に出てきていないものもございますから、にわかに日本だけ独走してきめがたい。そこで一番安全なことは、最も厳格な国よりさらに厳格にしたらいいだろう。今の基準で行きますと、一番基準がゆるやかになっているのはアメリカであります。アメリカは緊急時の一般大衆に対する放射線の事故許容量というものを約千レムないし二千レムと非常に大まかにとっております。そのほかの国々はそれを二百レム、百五十レムぐらいにしてございます。ところがイギリスにおいて、医学界でいろいろ検討し、決議して、幼児に対する緊急事の事故許容量は二十五レム、これならば大体安全であるという基準をとつて、これが一番厳格なわけであります。二十五レムというのは沃度に対するものであります。そこでわれわれの方としましては一番厳格な二十五レムを基準にして、いわゆる、つまり二百レム出てくるときよりも、二十五レム出てきたらいけない、そういう意味の基準で、設計の審査等もやりまして、現在のコールダーホール・タイプにはもちろんこれが確保されておりますし、今の原子研究所が持っているのもそれが確保されているのであります。それで今のファーマーの原則によりますと、この構造によってどれくらいの緊急冷却装置を作り、どれくらいの自動ストップ装置を作り、どういう地震に対する対応策をとっておけば、かりにガスダクトに何インチの穴があいて、何秒後に空気がどれくらい入って、それがガスの方へ入っていって、そして燃料要素の、ちゃんと被覆してありますが、そこにピンで作ったくらいのかりに穴が幾つあった場合に、そこから空気が浸入していってそこでガス事故を起こして沃度がそこから出てくる。そういう解析を厳格にやっておりまして、その炉の強さや構造によってみんな基準が違ってくるわけであります。それで、現在のコールダーホール・タイプの審査におきましては、そういういろんな全部の解析をやりましても、緊急時における二十五レムが確保されることになっております。ファーマーの基準によりますと、たしか三つくらいの一つの工地条件の基準がございまして、一つは四百五十メートル以内に人家がないというようなこと、たしか四百五十メートルだったと思います。それから第二は、炉の中心から三十度の扇形に線を描きまして、そして一・六キロの範囲内に五百人以上の人間が住んでいないということ、それから、たしか八キロでありましたか、一万人以上の人口がないことが望ましい。それから飛行機の滑走路の線上にないということ、そういうのがファーマーの論文の要旨になっております。原研が今度やろうとするものは、もちろんその条件に適合しておりますが、ただ一つ久慈という町が一万一千五百人口があるのです。これは約四キロくらいのところにたしかあるので、その基準にははずれておりますが、しかしファーマーがそれを作りましたのは、いろいろ放射線の測定をやつておって、それから保健管理をやっておるために、あまり人口が多いというと、いろいろ複雑になってきて手数がかかる、できたら保健管理の上から人口が少ない方かやりいい。前の一、二に比べましてそう重点的なものではない。そういうことでありまして、ファーマーも大丈夫であるということでありますので、われわれば久慈町がありましても、いろいろモニタリング・ステーションその他万全を期してやろうと思いますので、大丈夫だろうと思っております。
#94
○大竹平八郎君 今長官のお話しのファーマー氏の私はステートメントをこの九月四日に発表せられたものも見ておりますし、またおぼろげながら私もこの点についての研究もしておるのでありますが、しかしこの問題についての巷間いろいろこのファーマー氏の声明については御承知の通りいろいろ批判があるわけであります。しかしこれは今ここで論議すべき問題ではございません。これは各方面で取り上げられて相当論議もかわされてきた問題じゃないかと思います。これも今私は問題にするわけじゃございませんが、結局これは原子炉の今度の発電会社のコールダーホール改良型にいたしましてもそうでありますし、それからまた今原子力研究所の試験炉においてもそうだと思うのでありますが、根本的は、いろいろ私ども読んでみても、日本の土地というものが御承知の地震の問題が一番大きいわけで、最初にこのコールダーホールのことについて、あれは何というのですか、ヒントン卿ですかが来られて、この問題について正力さんが最初に話し合って、そして会社設立まで行ったわけなんですが、そのときのいろいろいきさつを見ましても、耐震関係というようなことについては、そう私は大きな関心を英国自体というものも持っていなかったように思います。これは私は米国でもそうじやなかったかと思うのです。その後日本から学術団が向こうに参りまして、関東大震災等の映画も持っていって、そして英国でこれを学者間に公開をして初めて日本のこの地震のひどさにあわてて、そしてこの耐震関係について、いわば何といいますか、おざなりといっちゃなんですが、非常に耐震関係に急遽これの対策を講じなければならぬというのが、非常に技術的にあせったというようないきさつを私ども聞いておるので、そういう意味において、これはもう原子力発電会社にかかわらず、あるいはこの原子力研究所の試験炉にかかわらず、一番根本の問題はそういう意味において耐震的な問題ではないかと思うのでありますが、これについてはいろいろ学者間にも必ずしも一致した今意見というものは私はないと思うのです。東大の人あるいは名古屋大学の教授あたりにしても、相当なこれについての意見を持っておるのでありますが、これについて政府はどうお考え、あるいは近く電力会社につきましては何か許可が下るようにきのうあたりの新聞にも見えておるのでありますが、この点について一つ耐震関係の問題についてお答え願います。
#95
○国務大臣(中曽根康弘君) 耐震関係につきましては、お説の遮り、アメリカ、イギリスにおきましては、その立地条件からそう重大な関心は払っておらないようであります。しかし日本側といたしましては、この点を最初から非常に重要視いたしまして、コールダーホール・タイプにしてもその他の炉にいたしましても、日本の今までの地震の経験にかんがみ、また将来に起こると予想される最悪の地震に耐え得るかどうかということは非常に重要なポイントとして、最初の調査団のときからこれはあったのです。そうして向こうともいろいろ協議いたしまして、大体これで大丈夫であるという設計ができました。しかしそれよりもっとベターなものにしなければいかぬ、そういう強い要請もありまして、イギリス側はこれだけやっておけばそんなに心配する必要はないのだ、くどいと思われるくらいのところをさらにこちらとしては念を入れまして、また人を派遣いたしましたりいたしまして、黒鉛の積み重ね方にいたしましても、蜂の巣型に継ぎ合わせるという形を作りましたり、非常にいろいろ構造上の工夫をこらしまして、地震関係は私は学者もほんとうに自信を持っておるだろうと思うのであります。私もいろいろなものを調べてみまして、地震関係はほとんど絶対と言っていいくらいに大丈夫だ、普通に通常に言われますように、水平動に対しては〇・六、それから垂直に対しては〇・三、そういう関東大震災の三倍程度のものに耐え得るという設計と施工をやることになっております。それが厳重にその通り実施されれば、私は安全であると思います。
#96
○大竹平八郎君 それから、時間がございませんから、あと一点簡単にお尋ねいたします。さっき国家補償の問題が出てきたのでありますが、通常国会に出されるこれについての、何ですか、大体補償金額、これは災害の状況によって検討しなければならぬと思うのであります。大体その目安というものは、事務当局で一応これは確実だというか何か知らぬが、これがつけられておるのですか。
#97
○国務大臣(中曽根康弘君) 保険プールでまず第一次的に五十億円の限度は保険会社から払う、そういうことは方針の大綱としてきまっておりますが、それ以上国家がどの程度カバーするかということは、まだ事務的に固まっておりません。大蔵省側の空気を私から申し上げるのはどうかと思うのでありますが、金はなるたけ出すまい出すまいという消極的な態度であります。しかしわれわれはこういう文明を改革するような仕事を前進させていくためには、国家が相当思い切って引き受ける、国家の責任においてこれはめんどうを見るということを示さなければ国民も納得しないと思います。その点は外国の水準等も考えまして、できるだけ国民が安心するような措置をとるようにいたしたいと思います。
#98
○大竹平八郎君 最後に、事務当局にちょっと参考にお尋ねするのですが、三十何年ですか、三十三年かなんかにウィンズケールの英国で事故がありましたね。あの炉はたしか軍用炉なんだけれども、大体しかし今度日本の原子力発電会社が使うものと大体同型のものと私は聞いておるのですが、あのときの一体被害状況というものはどんなですか。
#99
○政府委員(佐々木義武君) 被告額は私ども承知いたしますには大体三千万円程度であります、円に直しまして。たたお言葉でございましたのですが、ウィンズケールの炉と今度のコールダーホール改良型とは根本的に違っております。ウィンズケールはそういう点もございますので、全然むしろ違ったものだというふうに御理解いただいてけっこうじゃないかと思います。
#100
○大竹平八郎君 今の金額がごく大ざっぱに三千万円という、私は三千万という金額よりも、農作物に対する被害とかあるいは酪農関係に対する被害とかあるいは人畜に対しての被害とか、そういうことの調査がむろん来ておるのだろうと思いますが、それを参考に聞きたいのですが。
#101
○政府委員(法貴四郎君) ウィンズケールの事故の被害は、主としてミルクでございます。それも結局先ほど長官からもお話しがありましたように、燃料が熔けまして、中のヨードが出たわけでございます。放射性の沃度が出まして、それが牧草等に付着したものを牛が食べる。それから取るミルクが許容度を越すおそれがあるというので、相当広い地域にわたってそのミルクを飲むことを禁止したわけでございます。その補償を原子力公社が支払いましたわけでございます。その額が大体七千万円程度、今局長三千万円と申しましたが、七千万円程度と覚えておりますが、そういう程度でございます。それは英国人のことでございますから、ミルクを非常にたくさん飲みますので、そういう額になった、そういうことです。そのほかのいろいろ問題は全然起こっておりません。
#102
○大竹平八郎君 人畜は……。
#103
○政府委員(法貴四郎君) ございません。
#104
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#105
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
 一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十七分開会
#106
○委員長(山本利壽君) これより委員会を再開いたします。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。
#107
○阿部竹松君 ただいま議題になっておりますこの法案については、二、三疑問の点ございますけれども、私はこういう措置も必要であろうということで賛成でございますので、あまり質問はたくさんないわけですが、四、五点だけお尋ねしたいと思うわけであります。
 私ども衆議院と違いまして、衆議院には御承知の通り、科学技術専門の委員会がございまして、専門に原子力とか、その他科学技術振興の問題を討議するわけですが、参議院の場合は御承知の通り、商工委員会でバナナの輸入の問題から原子力までやるということで、参議院の方はきわめて専門的に研究する時間もございませんし、なお中曽根長官に至るまでは、正力さんとか、あるいはまた高碕さん、商人としてはりっぱな方でございますが、原子力についてはあまり知識がない。表現が悪いかもしれませんけれども、その点オープンで論議しただけで、専門的に論議したことございません。ところが中曽根さんは大臣になられる前から、本件等に関しては、きわめて研究、勉強されて、閣内有数の原子力問題の通だということを承ったので、非常に心強く思っておるんですが、私どもは勉強することができませんし、また朝永先生とか、あるいはまた有沢広已先生等から意見を聞いたり、あるいは情報センター等から得る情報によって、ああこういうことになっているかということを察知するたけですが、その情報センターは、科学技術庁長官の監督下にある団体だと思うわけですが、どうも情報センターから得る情報が、前の、発足当時のお約束ときわめて違う。なかなか資料も手に入らぬという状態ですが、情報センターは一体どういうことになっているかということを、まず原子力問題に非常に関係の深い団体でございまするから、御意見を伺いたいわけです。発足当時はきわめてこの情報センターによってこれこれだ、これはお金をもうけてだんだんと仕事をふやして、そうして国に役立つという機関で、政府も相当金を出しているはずです。ところが現在逆コースをたどっているというようなことを、われわれが資料を求めんとすれば聞くわけですが、こういう点はいかがですか。
#108
○国務大臣(中曽根康弘君) 情報センターが御期待通り動いていないのは、まことに遺憾でございますが、何しろ設立早々でございまして、何かと不行き届きの点もあるかと思います。ただいまは、なるたけ早く独立採算制をできるようにやれというので、大蔵省がなかなか金を出さぬものでございますので、そのために鋭意努力させまして、外国からとっておる情報の範囲は、ほかの国の制度と比較してみますと、それほど落ちてはおりません。一番進んでおるのはソ連でありまして、ソ連はほとんど全世界の情報の、まず入手しなければならぬというものの少なくとも六〇%から七〇%は全部手に入れて、翻訳処理機関まで作って学者の手元まで送り届けるように、非常にいいサービスをしております。日本の情報センターがカバーしておる範囲は、まだそれから比べると少ないのでございますが、しかし、アメリカ、イギリス、フランスの次くらいの組織と、カバーする範囲はカバーしておるようであります。そして各専門分野における学術雑誌及び主要な論文に目を通しまして、そして必要なレジュメを作りまして、毎月定期的に各専門別に、御要望のある関係者や研究機関に配布して、またその代金をいただいているという状態でございます。
 それで、数字は正確なことは忘れましたが、現在の情勢からいきますと、当初予定した通りの発行部数には到達いたしまして、ことしの計画通りの情勢でいくようであります。しかし一番の問題点は、その情報をいかにして有効に各研究機関に届けて実らせるかという点であります。この点は、今まだ非常に足りないのです。それはなぜかと申しますと、日本の大学や研究機関で、だれがどういう研究をしているかということが的確にまだわかっておらないのであります。しかし、ソ連とか豪州なんかの例を見ますと、文部省的なところで、何大学のだれは何を研究している、どの分野をカバーしているということが一目瞭然としておりまして、こういう論文はここへ出せ、こういう論文はここへ送ってやれということが的確にわかっておるのであります。そういう点について日本の機構はまだまだ足りませんので、今後はそういう方面を十分充実さしていくようにいたしたいと思っております。
#109
○阿部竹松君 中曽根長官は常識で御答弁されておるけれども、僕はそういう、ソ連とかアメリカとかに匹敵しているとか劣っているとか何とかということを言っているのではありませんよ。一昨年御承知の通り発足したのですから、これはアメリカ、ソ連どころか、イギリス、フランス、あるいは西ドイツ等よりも落ちておっても、これはやむを得ないと思うのです。しかし、ただ、当時の約束と今とは雲泥の相違でして、たとえば三年前に、当時の政府の説明、三輪大作君ですか、現在の情報センターの理事か理事長をやっておる人の政府答弁、大臣答弁、これだけでも、一回一千七百部で、一カ月二回出す。これが十部門で、一カ月三万四千部出す。こういうことを速報でやりますということを、一つの例ですが、発表している。大臣のお話を承ると、部数はその通りだ、予定通りいっておるというけれども、十分の一くらいしかいっておらぬということを僕は聞くのです。おそらく大臣はお調べになっておらぬし、長官に就任して間もないことで、全部をおわかりになっているとは思いませんから、僕はこれ以上追及しませんが、きわめてでたらめである。こういうふうに思うのです。
 それから、大蔵省が金を出さぬものですからと言っても、大蔵省は、これこれの予定でやりますよという予算の金額は全部出しております。予算の金額を出さなければ、これは大蔵省がけしからぬとか、出さぬという御答弁になるでしょう。しかし、これだけでやっていきますという額は、大蔵省は出しておるのです。これを、大蔵省が金を出さぬからうまくいきませんという理由の一端にすることは長官、どうもあなたの御答弁としては僕は了解できないのですが、あまり年若いうちに政治的発言をするのもどうかと思うのですが、いかがですか。
#110
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、就任しましたときに、情報センターをくまなく調べて、現場も視察いたしましてそのときに聞いた部数が、われわれが考えておったよりだいぶ少なかったので、これはいかぬ、大至急各方面にこれを頒布する手段を講じろ、要すれば、科学技術庁長官名で、各会社、研究所に対して正式に手紙を、依頼状を出して、これこれの内容のものがあると見本をつけて出して、そしてとってもらうようにする、それと同時に、必要なアドバイスを得るようにしろ、そう言いまして自来、理事が私の名前を使い、また関係者や研究所には理事にも電話をかけさせまして、そうしてこういう文書が行っているはずだが、何口とってくれるかということをやらせまして、十月ごろの中間報告では、いよいよ予定の部数を出すことができます、こういう報告を受けたものですから、そういうふうに申し上げたのです。私が後段で申し上げましたのは、今後の問題でありまして、それは私のところの官房長がこの間イタリア等へ行って情報収集の組織等を見てきたのであります。それから三輪理事長は、同じく情報関係の国際会会議へ出まして、たしかあれは共産圏のワルソーでありまして、そこへもおいでになって、その聞いてきた結果によりますと、日本のカバーする範囲はそれほど劣ってはいないが、これを伝達する組織が非常に落ちておる。目録とか、だれがどこで研究して、どこへこれを配ったらいいか、そういう点が非常に落ちているということがわかりましたので、そういう点も充実していこうと思っておるのでありますが、その点はまだなかなか大蔵省が言うことを聞かぬ、そういうことを申し上げたのでございます。
#111
○阿部竹松君 ところが、大蔵省に若干尋ねてみたのですが、大蔵省の方では、逆に、あなたたちの計画通り売れ行きが全然行っておらぬので、かえって責任を追及しました、こういうことを大蔵省の方が言っておるのですがね。そうすると、長官と逆なことになるような気がしますが、そういうことは全然ございませんか。
#112
○国務大臣(中曽根康弘君) おそらく、そういうふうに鞭撻されたことはあると思います。それはおそらくことしの夏か、夏の終わりころの話ではないかと思います。最近の趨勢で見ますと、計画が予定通り達成される見込みが確実になってきたと思います。
#113
○阿部竹松君 そうしますと、長官が就任されてから、逐次その成績が良好になったというように伺えるが、日刊工業新聞に身売りしなければならぬといううわさが出たり、この状態で行くと、もう経営が不振で、半年もやっていけるかどうかということを私は聞くわけです。しかし、長官の話になると、そういうことはないようですが、そういう事実はございませんか。
#114
○国務大臣(中曽根康弘君) そのような事実は断じてございません。
#115
○阿部竹松君 そうすると、現在職員九十八名ですか、それから労務者もおるわけですが、給与の遅払いをしたようなことはないか。それから現在のベースは一般官公庁の皆さんと同じ並みで給料を払っているのですか。
#116
○国務大臣(中曽根康弘君) 本年度といたしまして、五千五百万円の予定の収入は確実に収入されるという報告を受けております。ベースその他は、私はこまかに知悉しておりませんが、一般の公務員並みには行っておると思っております。
#117
○阿部竹松君 私も伺った話でから、しかし、これは出発当時からとても心配でしたから、相当これは当委員会で論議になったわけです。しかし、ただいま長官の話を承っていると、全く心配がない、こういうことなんで、そうしますると、これ以上私はお尋ねしませんが、しかしどうもあなたの御答弁を聞いていると、私の知っておるのは誤報か、あるいは単なるうわさ話に過ぎないということになりますが、できればもう一応速記録をお読みになって、長官みずからでなくてもけっこうですから、その事情をお調べになっていただきたい。その上で、もししかるべき打つべき方法が必要とすれば、やはり国費の膨大なものをつぎ込んでおるのですから、ただ漫然と国費がだんだん食い荒されてしまつて、しまいには手を上げて、日刊工業新聞に売るというようなことのないようにお願いします。
 それで本論に入るわけですが、原子力問題については、日本と米国ですか、あるいは英国とは、やはり免責条項が入っているが、本質は違うけれどもカナダとも原子力問題については協定を結ぶようですが、今度の国会で批准になるわけですね。カナダの協定は内容が違いますが、しかしこれは三つとも政府対政府の問題であろうと思う。今度はアメリカの一民間会社と科学技術庁が結ぶことですから、これは政府と民間会社ということになるわけです。従って私ども、しろうと考えですが、こういう協定を結ぶのに、日本に原子力研究所という機関がございますね。そこで政府と政府間ならこれはやむを得ないとしても、民間会社と政府というのはあまり前例を見ない。それからもう一つはこういうものが次々となされれば、どこまでもはびこっていくのではないかという懸念がある。従ってなぜ民間会社と政府が協定を結ばなければならぬか、この会社と日本の原子力研究所と結んだらどうか、というようなところの内容についてお尋ねをいたします。
#118
○国務大臣(中曽根康弘君) 本件は国際協定から派生いたしまする事態に即応するために、こういう異例の措置をやらなければならないことになりました。すなわち政府間において免責の規定がありますので、その政府間の仕事を実施する下請の方の機関に対しても、同じような原則がある程度適用されませんと、政府間の協定も実施できないという状況がありますのでまことに遺憾でありますが、原子力政策を推進するためにやむを得ない措置になっておるのであります。イギリスの場合のように、政府関係機関あるいは政府が加工してやるという場合には、それは当然要らないわけであります。しかしアメリカのような場合にアメリカの原子力委員会が自分で加工を行なわずに、自分の国内における使用でも、民間の会社その他に燃料を貸与している場合に、これは政府はやらないで民間にやらせるということになっております。その場合は政府は免責されているということになっておりますのですから、まことに遺憾でありますが、今の趨勢からみればやむを得ないと思うのであります。
#119
○阿部竹松君 国際慣行でやっておるということになると、たとえば今申し上げました、七月二日ですか、調印した日本とカナダとの協定ですね、内容は違いまするけれども、こういうような項目がないわけですよ。なんで日本とアメリカと結ぶときばかりこれは国際慣行であるとかいう理屈がつくんですか。カナダとの内容は若干違いますが、内容が違っても、そういうことであれば当然カナダともつかなければならぬので、そうすると理屈が合わぬということになって、国際慣行なら一本のベースでいくべきだというようにも考えるのですが、これはどうでしょうか。
#120
○政府委員(佐々木義武君) 技術問題のようでございますので、私から御説明申し上げます。カナダとの協定の実益と申しますか、何を対象にしてカナダと協定を結んだかと申しますと、現実の要請といたしましては、ウランのイエロー・ケーキ、つまり精鉱というものでございまして、まだ金属ウランになる前のものでございます。イエロー・ケーキというものを輸入いたしまして、そうして日本でこれを精選して金属ウランを作るという、原料をカナダから輸入したいというのがカナダ協定の悲願でありまして、このイエロー・ケーキに対しましては、カナダでは査察の権限は保留するけれども、免責はもちろん要求しない、なぜならばイエロー・ケーキが一種のやはり鉱石を処理した段階のものでございますので、それ自体に対して責任を問われることはないわけでございます。そこでカナダ協定に、それでは金属ウランあるいは濃縮ウラン等そのもの、あるいは加工等に関して免責条項が入っていないじゃないかと、こういうお尋ねでございますけれども、これはもちろん入っておりません。入っておりませんけれども、議定書の中にその点をうたいまして、そうしてこれはそういう必要があるけれども、実際必要が生じた際には、その際に別途取りきめをしようということで取りきめを延ばしているわけでございます。従いましておそらくは、もしカナダに加工という問題等が起きて参りますれば、こういう条約をさらに取りきめるという問題が起こるかもしれません。しかし単に国内で生産したものをカナダで加工させるというような場合には、ただいま御提案いたしておるような法案さえ、国内法さえ通れば、その部分については条約を結ばんでも施行できるというような解釈で、ただいま進んでおる次第でございます。
#121
○阿部竹松君 佐々木局長の理論が正しければ、きょう午前中栗山委員が国際原子力機構、ウィーンにありますが、ことし八月僕は行っていろいろ話を聞いてみましたが、私は英語ができないものですから完全ではないのですが、たとえば三トンの第一号の燃料は入ってくるでしょう。そうすると契約を結んでおるでしょう、これなんかも全然今そういう免責条項も何もないじゃないですか、かえって向うの方で責任をとるというところまでいっておるのじゃないですか、あなたの説と全然話が違うじゃないですか。いい悪いは別ですよ。やっぱり一本そういうふうに筋が通っておらぬということは、それはおかしいじゃないですか。
#122
○政府委員(佐々木義武君) カナダからもらいます三トンのウランに関しましては、これは金属ウランそのものでございまして、これに関しましては免責条項がついております。その免責条項というのはどういうものかと申しますと、ちょっと変っておりまして、提供したウランの範囲内においては、向うは損害賠償の責を負うが、その上は責を負わない。従ってそれ以外のものは全部引き受け国で、もちろん責任を負うのだ、こういう建前の規定になっております。これは国際原子力機関からもらう三トンは金属ウランそのものでございまして、これを加工する際にはどうすべきかという問題があります。カナダに加工さすか、あるいは米国に加工さすか、加工する製造業者は方々の国にございますので、それに対しましては、まあいわば日本の所有物であるものですから、任意の加工契約というものは結べるわけでございます。その際原子力機関からもらったこの天然ウランの三トン、日本の所有物でありますこの三トンを、かりにカナダヘ加工さす場合にはどういう関係になるか、こういう問題になりますと、先ほど申しましたように、国内法で、かりに政府の所有したものでありますれば、さっき申しました、今御審議をいただきます法案さえ通ればそれで処理できるというふうに解釈しておる次第でございます。
#123
○委員長(山本利壽君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#124
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#125
○栗山良夫君 大臣に大へん申し上げにくいことですが、ちょっと申し上げたいのですが、というのは、当委員会はことしの臨時国会の冒頭に衆議院の方の委員会は火、水ですか、参議院の方は木金と連続して二日続けてやるということにきめたわけです。そのかわり週二回の委員会においては調査案件その他法律案の審議等がありますので、関係閣僚には全員出席を求めて衆議院と重複しないように委員会同士でよく連絡をとって円満な、しかも迅速な進行をはかろうと、こういうことをきめたわけです。ところがいざ進行してみますと、通商産業大臣の出席を求めたところが、少なくとも私の知る今臨時国会においては、あなたは御存じないかもしれませんが、事務当局を通じての委員長に対する返事では積極的な出席の意思を表明されたことはないわけです。きわめて消極的であり、しかもその消極的なことは、この前の委員会のごとく、私のところに秘書官か何かしりませんが、ずっとつきっきりでおられて、どうしても大臣が出られないからよろしく頼む、しかしそれじゃちょっと困るが、どうなんだというと、ビジネス・インターナショナル会議なんかに出るのでどうしても出られないということなんです。それならそれでいいです、大臣はいけないという話だから、しかし、一ぺんこの席にきてもらってその理由を述べてもらって退席してもらったらどうか、ということを言っているときに大臣がここにこられて、そうして答弁された、こういうことなんです。けさも競輪、火薬その他の発言を求めて、それがあらかじめわかっておったから、理事会のときも大臣の都合はどうだろうかということをお尋ねしたところがきょうもだめである、明日もだめであると、こういうことなんです。きょうはだめだというのは衆議院における社労との連合委員会でだめである、特に三時からは災害地の陳情団との会見があるから出席はだめである。明日も委員会があってだめである、こういうことであります。そうすればいつまでたっても通産大臣に対して質疑をする時間がないじゃないかというので、そこで先ほどきょう幾ら衆議院の議事があっても、十時から五時までぶつ通しということはないのだから、途中で若干の時間は抜けられるのじゃないか、一ぺんよく衆議院に行って相談して参れということで相談してきた結果が、二時から陳情団との会見が始まる三時までの間一時間出ましょう、こういう返事なんです。それで一応了承したような格好になって議事進行をしておるわけですが、私は非常にそういう委員長報告に発言はしなかったのですが内心は不満だったのです。というのは木曜日と金曜日は商工委員会を開くことにきまっているわけです。それにもかかわらず三時という時限を切ってそうして陳情団との会見を行なう、そのかわり参議院の商工委員会には、午後三時までの間は委員会に出ましょうということになると、当委員会の任務と陳情団と会見される任務といずれにウエイトを置くかということについて、疑問を持たざるを得なくなってくる。そこで非常に困っていたところが、また今、明日は出るからきょうは勘弁してもらいたいということでありますから、そこで大臣が明日当委員会に長時間出るという約束をなさっても事務当局の方ではだめですと言っておる、一体どうなんですか、こういってお尋ねをすると、やっぱり無理だ、明日は出られない。これではやはり委員会は満足しないと思う。この間の関係は、通商産業大臣は非常にお忙がしいのですから、しいてしょっちゅうこの委員会に出席を願うという意味ではないが、重要なやはり火急の問題がありまして、調査権を執行しながら当委員会が調査をしようということですから、もう少し積極的な出席の意思表明をしていただいて、委員会の運営が円滑にいくように協力を願いたいと思うのです。私の今の所信を申し上げておきます。
#126
○国務大臣(池田勇人君) 本国会が始まりましてから、御承知の通りガットの総会がございまして各国の代表者がたくさん来られ、いろいろ約束したこと等もございましたし、またインターナショナルの会議等で今お話のようにこの審議に出る時間が非常に少なかったことはまことに遺憾であります。火曜水曜が衆議院、木、金が参議院ということは承知いたしております。しかるところ御承知の通り炭鉱離職者臨時措置法案がずっとかかっておりまして、きょうとあしたが商工委員会と社労委員会の合同のあれだというので、実はけさから出ておったわけであります。あすはそれが終りになって総理が出られるそうでございます。事務当局の方では、あすもやはり合同審査会だからそちらの方に出なければならぬというので、あすもむずかしいと言ったと思うのでございますが、午前中か午後に私はそちらの方をできるだけあかしてこちらの方に来たいと思います。
 それから三時からの問題は、これは名古屋の商工会議所並びに中部日本の主催によりまする災害についての、陳情でなしに、何と申しますか、結末のテレビ報告等をやるのだということで、前から十月二十五日の予定だったのですが、きょに延びたために総理以下行かれる予定であったのであります。私も行くつもりでおったのであります。しかしお話の通り、きょうこちらの審議にどうしても必要であればやめることにやぶさかでございません。あしたやるということであれば、きょう行かしていただければ、商工会議所その他の方々の陳情も聞きたいし、また自分の考えも言いたいと思いますから、それはどちらでもよろしいわけです、行く行かないは。どうしてもきょうやるというのなら欠席して差しつかえございません。
#127
○栗山良夫君 そういうこまかいことはどうでもいいようなものですが、商工会議所の関係というと、私も地元のことでもあるので念のために伺っておきたいのですが、それは水害地向けのなま放送を東京でなさるという意味なんですか。
#128
○国務大臣(池田勇人君) そういうふうに聞いております。
#129
○栗山良夫君 今は御承知のようにビデオテープもあることですから、これはなま放送とちっとも変わらないわけですから、国会の方の審議に支障がないように、やはりその催しを企てる方で善処してもらわなければならないし、これは今度の場合に限らないですけれども、いろいろなそういうインタビュー放送などはやはり善処をせられることが必要じゃないですか。なま放送のように幾らでもできるわけです。時間的に三、三時間違うだけですから、あるいはせいぜい違っても一日しか違わないわけですから、そういうことにしたらいいと思いますが、しかしこの問題、きょうの通産大臣の御出席の問題は発言要求者の岡委員のことですから、御本人の質問の都合がありましょうから、それによってやればいいと思いますけれども、今後はそういうことにしたいと思います。
#130
○委員長(山本利壽君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#131
○委員長(山本利壽君) 速記を起こして。
#132
○阿部竹松君 今の佐々木原子力局長から伺った点はわかるような気もしますがね。第一号の燃料として入ってくる天然ウラン三トン、これは国際原子力機構を通じて入ってくるわけでしょう。この協定を結ぶとき、第二条の申にこういうことが書いてある。「機関が最善の努力を払ったにもかかわらず、原料物質の売却者としての責任を果さなかったときは、機関が政府に支払う損害賠償金は」云々と書いてある。これの解釈はどうですか。
#133
○政府委員(佐々木義武君) 先ほど申し上げた通りの解釈をしております。先ほど御説明したのはこの条項でございます。
#134
○阿部竹松君 ですから、先ほどのあなたの解釈はこの条文と照らしてわかるような気もするけれども、あなたの解釈通りにいかないのではないかという懸念がある。そういうことを心配でございませんか。
#135
○政府委員(佐々木義武君) 日英、日米の場合には、引き渡しの済んだ分は、一切の責任を負わないということになっているようでございますけれども、国際原子力機関の方はちょっとその間にあやをつけまして、供給したウランの範囲内において、いわゆる財産権の喪失というような、財産権の問題に関しては、賠償金によって支払いますけれども、第三者に対する損害のような大きい問題は、自分の方で責任を負わない、こういう趣旨と解釈しております。
#136
○阿部竹松君 あなたが日英、日米協定のことを云々されるのであれば、すでにその協定を結ぶ当時、こういう法律が必要であるということはおわかりになっているはずなんです。あの協定は去年出されてことしの春の国会か臨時国会でうんうんやったが、しかしそのときすでにわかっておったことじゃないですか。そういうことであれば、何か交渉する幅かあるいは問題があって今臨時国会に出したのかどうか、そういう、日英、日米と関連あるとすれば、当然、当時から、ウランをアルミ合金にして燃料にしなければならないことは、あなたは百も承知のはずです。そういうちゃらんぱらんに、あなたのところから出てくる法律は、みなそうだ、ばらばらで一貫性がない。それは対国外の問題ですから、日本で国内法を作るというわけにいかんでしょう、そういう苦しみはわかるけれども、すでに当時から僕はわかっておるはずだというふうに、これはしろうと考えかもしれませんが、そういうふうに判断する。
#137
○政府委員(佐々木義武君) 先ほど大竹委員の方からも同じ質問が実はございまして、御答弁申し上げたわけでございますが、日米協定を結ぶ際に、こういう問題があらかじめ起こり得るという見通しは持っておったのでございます。ただ日米協定の場合には政府対政府の問題でございまして、政府対向こうの業者の問題ではこれはない。でありますから、その範囲内には入りません。そこで今度は、同じ政府対政府の問題を政府対民間というケースに当てはめた場合にどうか、という問題で私ども考えておりましたことは、かりに米国の製造業者が免責条項を要求してきましても、最大限、日本政府が、実際この燃料要素を使う原研に債務を肩がわりさしていくという条件は、アメリカにおいても製造業者はのむだろう、そういたしますれば、実際に使うのは原子力研究所でございますから、研究所対向こうの製造メーカーとの契約になりますので、国庫負担という問題も起こりません。そういたしますと、何もこういう財政法十五条の特別措置というのは必要なくなるわけですから、実は何しろ初めは半年ばかり、その点で実に執拗にこちらの方で交渉したわけでございます。何しろ初めての交渉でございますし、何しろ向こうの方も、国内的にはそういう措置になっているのでございます、日本だけ例外にするわけにいかないからというので、どうしても政府でなくては困るというので、原研に対する債務代理ということを、債権者としてのMアンドCという会社は認めないのであります。これはしまいまでその点で交渉いたしまして、最後には私ども政策課長までアメリカにやりましてボストンで会議を開いたのでありますが、どうしてもやはり向こうでは納得しないというので、そういう事態になりますれば、これはもうはっきりそれでは財政法十五条の規定に従って国内法を作って、そうして加工というものを全うさせよう、こういうふうに決心したわけでございます。
#138
○阿部竹松君 まあ長々と答弁いただいたわけですが、結論的に言うと、アメリカと交渉したのだが、やはりわずかの差で押し切れなかったのだ、従ってやむなしに、あの当時からやらなければならぬということは理解できておったけれども、今回出した、こういうふうに理解してもいいわけですか。――その次に、これはMアンドCというアメリカの一民間会社ですね、相手は。
#139
○政府委員(佐々木義武君) ええ、民間の会社でございます。
#140
○阿部竹松君 この会社はアメリカでは三流会社だという話があるのですが、なぜそういう三流会社と契約を結んで……、日本国政府がやるのですから、なんぼアメリカと日本との差があっても、日本政府と一民間会社じゃ、やはり一流会社とやらなければならぬというふうにわれわれは理解するのですがね。
#141
○政府委員(佐々木義武君) 実はMアンドCというのは三流会社ではないのでございまして、これも先ほど御説明申し上げたのありますけれども、米国で燃料製造会社は現在約二十社くらいあるそうでございます。日本にオファしたのは四社でございますが、この二十社のそれぞれの規模、それから取り扱い量と資料を収集して調べてみますと、実はこのMアンドCという会社は、工場面積におきましても最大でありますし、天然ウランとか濃縮ウランの取り扱い量からいいましても決して二流三流という会社でなくて、むしろ最大のメーカーの一つだというふうに見ていいのじゃないかと思っております。
#142
○阿部竹松君 まあ原子力を担当される佐々木局長ともあろう人が、工場面積が大きいから一流会社だというような答弁はこれは納得できませんが、しかし僕聞いたのでは、今あなたのおっしゃる通り、二十会社あってまだ優秀な会社がたくさんある。しかし、アメリカ政府のどこがサジェストしたかわかりませんけれども、MアンドC会社にという話があったという話を聞いてきて不愉快に思っているのですが、あなたの答弁では工場面積が大きい――。この種の工場面積の差によって僕は物事がきまるものではないと思うのだが、それはそれとして、そのMアンドC会社と日本国政府と協定を結ぶと、日本と原子力研究所の関係はどういうことになるのですか。向こうと結んで、日本政府と、同じようなことで逆になるわけですか。どうですか。
#143
○政府委員(佐々木義武君) 濃縮ウランは御承知のように日本政府しか所有権を持つことを許されません。従いまして、原子力研究所に対しましては、賃貸契約を政府と原子力研究所の間で結びましてそうして貸すわけでございます。もちろん賃借料その他は回収いたしますが……。その賃貸契約の中に、先ほど申しましたように、使用等に基づく一切の責任は原子力研究所が持つという免責条項を逆に入れまして、そうして原子力研究所との間に契約を結ぶつもりでございます。
#144
○阿部竹松君 この引渡しのときは相当厳重な検査が必要になってくると思うのですが、どこが大体検査するものかということと、もう一つは、実際問題として、これは仮定の事実ですから局長にお尋ねするのはちょっと当を得ないかもしれませんが、この引渡しのとき厳重な検査を行なって管理その他を万全を期せば、はたして起きるかどうかという仮空の事実ですね、起きるかどうかということなんですが、まあ見通しのことで将来の問題ですから、答弁できなければこれはお尋ねしませんが、どうですか、局長のまあ見通しとしてお尋ねいたします。
#145
○政府委員(佐々木義武君) 今の日本の実力たけで検査をするということでございますと、御承知のように、またそれで技術的に確実だというように判断するわけに参りません。実際の検査する場合には、もちろん日本の責任官が主体にはなりますけれども、同時にこの分析業者、あるいはその他、この道の大家をコンサルタントに選びまして、このコンサルタントを通じまして技術的に検査をするというふうにしておりますので、まあ今の段階では、このコンサルタント自体がどれほど一体信用があるのかということになりますと、これはまた問題でございますが、まずできる範囲の最善の方法をとっておるというふうに私どもは考えておるのでございます。
#146
○阿部竹松君 そうしますと、まあ現在予想されておるところでも東芝あり、あるいは日立あり、あるいは立教大学が、まあ立教大学から聞いたわけではありませんけれども、武山に炉を設置する、そういうことになると、どんどんそういう燃料が必要になってくる。それもやはり一切原子力研究所と同じようなことで、政府が外国のMアンドC会社との一手契約で、責任をもって政府が契約を結んで、やはりそういう所も一般並みに同じ取り扱いということに相なりますか。
#147
○政府委員(佐々木義武君) その道りでございます。それで、あまりそういうケースが多くなりますので、これは燃料の加工淘汰の段階で済めばいいんですけれども、使用済み燃料の処理という問題が非常に煩瑣になりますから、できますればこういう点を全部まとめまして、来年度から核燃料特別会計を作りまして、その特別会計で処理したいというので、法案の準備、それに予算の請求をただいまいたしておる最中であります。
#148
○阿部竹松君 さいぜんのお話と関連するのですが、今一切原子力研究所も、立教の武山も東芝も日立も同じたと言いましたが、このMアンドC会社以外に、アメリカに十五も二十もあるわけですよ。どこかその会社の中で、日本の民間会社と直接取引してもよろしい、政府が責任を負うとか何とかしなくてもよろしい、という会社があるというように私は聞いておるわけですがね。長官はそういうお話は聞いておりませんか。
#149
○国務大臣(中曽根康弘君) 私まだ不肖にして聞いておりません。
#150
○阿部竹松君 それから、重ねてお尋ねいたしますが、さいぜん申し上げました通り、日本とアメリカ、あるいは日本とイギリス、今回の問題、こういうことで免責条項が一切日本国が責任を負うと、しかし、原子力国際機関ではこういう免責条項は、アメリカとかイギリスのようにやかましく言わぬ、少なくとも日本は国際原子力機関の理事国なんです。今もそうだろうと思うのですが、理事国なんです。その理事国である日本が、アメリカとかイギリスとか、こういうまあ僕は怪しげな免責条項等を結ばんで、一切あげて国際原子力機関を通じて取引を行なう、というふうな方法にいかないものかどうかということについて、一つ長官にお尋ねいたします。
#151
○国務大臣(中曽根康弘君) 私もそういう全体の国際機関によって統一されることが望ましいと思っております。ただ衆議院の科学技術特別委員会でも付帯決議していただきまして、政府はその線に沿って努力するということを申し上げた次第であります。
#152
○阿部竹松君 その衆議院の付帯決議というのは私不承知なんですが、それは今回この法案を上げるについての、この法案に対してなお合わせての付帯決議ですか。それとも前にやったのですか。
#153
○国務大臣(中曽根康弘君) そうです。この法案の付帯決議です。
#154
○阿部竹松君 そうしますと、結局その長官の御努力によって、将来、理事国ですから、少なくともアメリカ、イギリス、カナダ等の各国から入れないで、一切取引は原子力機関でやるように、まあことしできるか来年できるか別として、そういう御努力をするということですから、当然私もそのように御努力していたたきたいと思うのです。
 それから、これは局長にお尋ねすることになるわけですが、非常にこれをやると重水がよごれるということを聞いておるのですが、こういうところはどういうふうになるのですか。
#155
○政府委員(佐々木義武君) 重水に対する免責条項の話は存じ上げておりますけれども、よごれるというのは私実は承知してないのでありますが、操作の過程においてでございましょうか。炉に入れますと重水というのは、普通燃料のようにしょっちつゆうかえるものじゃないのでございまして、ほとんど半永久的に入れたままでございますが、これが特別にCP5などでよごれるというふうな話は私一切承知しておりません。
#156
○阿部竹松君 わからなければ仕方がないのですが、それから最前話の中に出ましたですね、七月二日調印したカナダ国との協定ですね、これは今臨時国会に出すわけですか、批准を。それとも通常国会になるわけですか。
#157
○国務大臣(中曽根康弘君) 通常国会に出す予定であります。
#158
○阿部竹松君 そうしますと、大体わかりましたが、最後に長官に一つお尋ねしたいのは、今まで歴代の長官にいろいろと原子力についてお尋ねしてきたわけですが、実際に市場に商品となっていつごろ出るものか。商品になって、たとえば東海村でやるかどこでやるかわかりませんが、東海村の試験炉を拡大して商業電気として出すかもしれませんが、大体いつごろできるものですか。新聞を見ると昭和四十年、その四十年が四十六年になって、また四十六年が五十年になって、七万五千キロが十万キロとかになって出るのですが、大体いつごろ商品化されるものか、その点の長官の構想として承っておきたいわけですが。
#159
○国務大臣(中曽根康弘君) 商業という意味はよくわかりませんが、(「電力として商売になる……」と呼ぶ者あり)今原子力研究所に入れようとしておりますアメリカからの濃縮ウランでございますが、ボイリング・ウォーター・リアクターというのは二年くらいで発電を行ないます。これはできた電気は売電いたしまして、おそらく東電系統のカーレントに入ることになっております。それは二年半くらいでできます。それは協定ができて、建設に入ってから二年半かかる。それからあとはコールダーホール・タイプでございますが、これは昭和三十七年から八年にかけて実際のカーレントに入るだろうと思います。
#160
○阿部竹松君 大体何キロワットくらいになるのですか。
#161
○国務大臣(中曽根康弘君) コールダーホールは十五万キロですが、原研の動力試験炉はたしか一万キロでございます。
#162
○阿部竹松君 どちらが何年で、どちらが何年ですか。
#163
○国務大臣(中曽根康弘君) 原研の方は早うございまして、建設開始後二年半、コールダーホールで三年半くらいかかると思います。
#164
○阿部竹松君 その長官の答弁はきわめて巧妙なんで、建設から二年半というと、昭和五十年にやっても建設後二年半になる、四十年にやっても建設後二年半になる。大体いつごろから建設を始めて、いつごろできるかということを、建設を始めてから何カ月というそういう小さい数字は要りませんけれども、そういう話でなしに、大体いつごろから建設を始めて、大体いつごろ十五万キロなら十五万キロ出るのかという話を聞いておきたい。
#165
○国務大臣(中曽根康弘君) 原研のボイリング・ウォーター・リアクターは今協定を結んでおりまして、おそらく年内、早くて来年早々には協定が締結できると思います。それから二年半。それからコールダーホールは今原子力委員会で審査しておりまして、もしこれが今月くらいに認可ということになりますれば、おそらくすぐ協定が成立すると思いますから、それから三年半くらいと、そういう見当でおります。
#166
○阿部竹松君 そこで、日本は世界有数の地震国で、なかなか適地がなくて困ったものであるということを原子力局あたりでは言っておりまして、大体、どこへ据えつけるわけですか、たとえば東海村なら東海村、武山ならっ武山という構想はおそらくおありだろうと思うのです。
 それからもう一つは用地の話。たとえば東海村なら問題はないと思うのですが、ほかの土地であると用地の問題ですね、まあ名古屋に持っていく、これは試験炉でしょうが、そこで問題が起きているのですが、そういうことについて、もし構想があればこの際お尋ねしておきます。
#167
○国務大臣(中曽根康弘君) 原研の動力試験炉は、原子力研究所の構内にすでに敷地も予定して、基礎工事をやつております。それからコールダーホールも同じく原研の北の海岸寄りの所に敷地を予定して、これもその敷地を中心に検討しておるわけでございます。
 それから今お話にありました武山に作ります立教大学のもの、あるいは東急が川崎の奥の多摩川の上流に作ろうとしておりますもの、これも敷地が大体内定しております。
 それから関西原子炉が問題になりましたが、阪大と京大の対立もようやくまとまりまして、おそらく今月中には関西原子炉の敷地も内定するだろうと思います。十五口くらいまでには私はきまるのじゃないかと観測しております。それでどういう所がどういう炉に適しているかという基準をきめることは非常に大事でありまして、われわれはそういう観点もありまして、原子力地帯周辺整備法という法律を作ろうという、炉の大きさによって周辺はどういう環境にしなければならぬとか、そういう考慮もしようということでやっておりますが、大まかに申し上げまして、普通の研究炉でしたらそれほど大きな地域をとる必要はない。現にスエーデンあたりでは、大学の地下室の構内でやっておりますし、私が見ましたノースカロライナ大学のウオーターボイラー・タイプのものは同じ大学の一構内でやっております。そういうわけで、研究炉はそれほど保全管理を十分にやればおそるべきものではないように思います。しかし動力炉の大きいものになりますと、これはファーマー報告やその他のことも十分考えまして、できるだけ人に不安感を与えないような措置をすることが必要であろうと思います。現在コールダーホール・タイプの次に、では何を入れるかということはまだきめておりません。最近のいろいろな情勢をみまして、原子力の長期計画もある程度検討し直したいと思っておりまして、それとからみまして敷地等の問題も検討して参りたいと思っております。
#168
○阿部竹松君 最後にお尋ねいたしますが、コールダーホールですね、この炉はまだ完全でない、こういうお話を聞きましたが、その後これは一度佐々木局長にお尋ねしたことがあるような気がしますが、日進月歩ですからその後どうなったか、コールダーホールの原子炉は完全なものか、そういうことと。
 もう一つは、日本で原子力を使うのに、平和利用の三原則ということで出発しているわけです。しかし日本で原子炉で燃料をたいて火をつけてやる。しかしプルトニウムは――いや、日本でないアメリカですね――しかしアメリカでこれはもう原子力を利用されるの区ですから、しょうがないと言つてしまえばそれまでですが、日本の原子力利用の平和三原則にどうも反するような気がする。そういう点について、私はこの前外務省の方にお尋ねしたことがあるのだが、日本でやる場合にはプルトニウムを兵器産業に使うということはあり得ないけれども、アメリカに持って帰られてしまってから兵器産業に使ってもこれはどうも仕方がない。それまで協定や議定書によって縛りつけることはできません。まあ、こういうことでしたが、こういうことなのか、それとも何か別途なことがあるものかどうか、最後に長官にお尋ねしておきます。
#169
○国務大臣(中曽根康弘君) コールダーホール・タイプの炉は運転の実績はもうすでに二年以上こございますし、それからまたイギリスはあの炉の改良型をさらに建設を続行しておりまして、チャペルクロス、ヒンクレイ・ポイント、ブラッドウエルとか、十五万ないし三十万キロの炉を続々と今までの既定方針に従って建設中であります。そういう実績の点から見ましても、私はまずこれはある程度安心ができるものと考えます。
 それから第一に、今度入れますコールダーホール・タイプの改良型の設計を厳密に検討いたしまして、今現に運転して大丈夫だと思われるものに、さらに地震の関係やあるいは日本特有のいろいろな心配を考えまして、改良を加えまして、今度の申請が出ておりますので、おそらくより安全なものになっているだろうと私は考えます。ほかの国の炉というものは、まだそういうように二年以上にわたって安全運転の実績はございませんので、日本がほんとうに実用的に入れるとすれば、やはりある程度の長期の実績を持った、経験の伴ったものを入れるというのが安全であると私は思います。
 第二に、日本でできましたプルトニウムを外国に持って行ってどう使われるかということでございますが、この点は協定を結ぶときにも非常に国会側からも熱心な御議論がございまして、アメリカ、イギリスともに日本から渡されたプルトニウムは軍事利用には使わない、そういうことが決議されております。アメリカ側は、アイゼンハワー大統領の声明にも、平和利用に使うという声明が出ておりまして、その趣旨でやるということを言ったと私は聞いておりますし、イギリス側も同様にこれは平和利用に使うということを言っておりますので、まあ日本にうそを言ってインチキをやれば別ですが、少なくとも国際的にそういう話し合いをしたという限度におきまして、私は信用していいと思うのであります。
#170
○栗山良夫君 今の質問にちょっと関連しまして、私、意見になるかもしれませんが、二、三申し上げてみたいと思うのです。
 第一は残滓から出てくるプルトニウムの管理の問題ですが、将来日本でさらに大規模の実用炉というものを拡張していくという計画がある以上は、プルトニウムはやはり日本においてレザーブしていくということが最も賢明な方法ではないか。アメリカが軍事目的に使うというなら別ですけれども、アメリカ側も日本のできたものについては平和利用に使うということを言っているならば、日本で使おうがアメリカで使おうがどちらにしたって平和利用で使うわけですから、それならば資源に乏しい日本に残して日本で使わせる、こういうことに私は強力なる交渉をして確保すべきではないかと考えますが、この点はどういう御所見であるか。
#171
○国務大臣(中曽根康弘君) プルトニウムの処理につきましては、これを外国に売却いたしますとかなりの値で実は買ってくれるわけです。そうしますと、炉の採算点という面を見ますと、たとえば一キロワット・アワー幾らにつくかという場合を考えますと、原価を引き下げるためには売った方が得だということが一つあるのであります。
 もう一つは、この再処理の方法が非常にむずかしいのでございましてかなりの金も要するのです。そこで、日本でまだ再処理をやる能力は今のところございません。近い将来もまだないのであります。そうするとその間保存しておかなければならぬ。それがもし日本で学問的な研究に使われるとか、特別のそういう目的がある場合はようございますが、単に死蔵しておくというのでは国民経済の観点の上からもどうかと思う点があるのであります。将来日本にファースト・ブリーダーというような、いわゆる高速中性子炉でもできてプルトニウムを使って発電その他にできるという可能性が出て参りますと、そのときにはプルトニウムを日本が独自に使うということも考えられますが、高速中性子炉の開発もまだ今のところ確実に有望であるというところまではきておりません。そういういろんな情勢から見まして私は平和利用に使うということを確約させてやはり売却した方が、しばらくの間は経済的に有利ではないかと思っております。
#172
○栗山良夫君 私が日本でレザーブしたいというのは高速炉のことを言っているので、おそらく将来の実用炉はこれになるだろうという一つの見通しのもとにそう申し上げておるので、もし高速炉の開発が予想し得ないような面に伸びるとかということであれば別ですか、なるべく近い機会においてその可能性があるということであれば、今の考え方はやはり改めてもらった方がいいのではないか。特にイギリスのコールダー・ホール型が採算がとれるという意味は、これはどこまでが実際上の計数上正確であるかどうか知りませんけれども、イギリスが軍事目的のためにプルトニウムを生産する、その助けをコールダー・ホールのタイプの実用炉がやっている。ですからプルトニウムの値段というものを相当高く評価しているから、従って発生した電力の採算点はとれるのだということも、これはしばしば巷間でいわれている通りなんです。その意味では今の長官の発言はプルトニウムの価値というものについて裏づけをされたようなことになりますが、それだけ貴重なものであればあるだけ、やはり高速炉というものの将来を十分に見きわめながら、日本の国内において、これは委託加工は別ですが、しかし所有権というものは日本の国内で持つ、ということが賢明ではないかということを私は述べているわけです。
#173
○国務大臣(中曽根康弘君) 今のお話は非常に大事な話であると私も思います。そこで現在原子力委員会の中の核燃料の部会におきまして、今後日本にできるであろうと思われる各種の原子炉の性格を検討しながら、その間の燃料のサイクリング、循環の関係を特別の部会で今検討いたしております。従いまして御趣旨のほどはよく考慮に入れながら検討したいと思います。
#174
○栗山良夫君 今実用炉として経験の積んでおるものはイギリスのコールダーホール型である。従ってこれをまつ先に実用炉として輸入をしたいということをおっしゃったのですが、私はイタリア等の動きから見ましても、必ずしも天然ウランが天下の大勢を制しておるものではないと思います。ですから実用炉を天然ウラン・タイプでいくか、濃縮ウラン・タイプでいくかということは、いろいろなタイプがありますが、少なくとも今世界的に大きな懸案になっておることであろうと思います。しかるがゆえにアメリカにおいてはもうありとあらゆる、と申してもいいほどの考えられるだけのタイプを作って、そうしてそれぞれ研究をして利害得失の結論を出そうとしておる。ソ連はどういうことになっておるのですか私はよく知りませんが、従ってこの原子炉の最終末点においては、いずれの燃料の、いずれのタイプのものがほんとうに世界の動力源に貢献していくかということは、今だれも断定できないと思う。アメリカの方がなぜイギリスの方式をとらないかということは、私が申し上げるまでもございません。もう御承知の通りであります。エネルギー資源に恵まれておるアメリカであるからこそ、非常にゆうちょうに理論的な研究に専念しておるとまでいわれておるわけです。そういう意味から考えれば、やはりわが国においてもそういう広い視野で保全管理の問題と合わせて、炉についての結論を出さなければいかぬとと思います。従って先を急がれる気持ももちろんわかりますし、ある意味においては必要であろうかと思いますが、一目ぼれをしないようにしていただきたいということですね。どうもその傾向が若干あるので、そういうことのないように常に一歩下って批判的な態度で臨んでもらいたい、こういう気持で私はおりますが、いかがですか。
#175
○国務大臣(中曽根康弘君) 将来どのタイプが一番経済的によろしいか、また安全から見てよろしいかという点は、常に注意して検討していかなければならないと思います。アメリカ・タイプの濃縮ウランについては非常に有望のように思われます。しかし今まで来ておるG・Eとかウェスティングハウス等の情報は、たいぶ売り込みに急いでおるような情報もあります。実際一キロワット・アワー二円五十銭でやるということを保証するか、損害した場合は君の方で赤字を負うかということまで突き詰めていくと、私は逃げるだろうと思います。そういう意味で、よほど確実性がないとうっかり乗れないと思います。研究と調査はよくしていかなければならないと思います。しかしわれわれが一番原子力政策で念願しておったのは、濃縮ウランやその他を外国からひもつきみたいな形で供給されるのは好ましくなく思っておった。国内でウランを開発をいたしまして、自給の国産燃料を使ってそうして原子方発電を安いコストでやりたいというのが、少なくとも私の当初の念願でありまして、そういう意味もあって、天然ウラン開発という意味でイギリス・タイプというものを、ほかの条件もありまして取り上げたわけであります。日本におけるウラニウムがこれからどれくらいとれるかということを見ますと、必ずしも希望のない様相でもございません。今後における人形峠や秋田県や山形県等の開発の状況もにらみ合わせまして、どの程度日本で天然ウランが国産できるか、そうして国産でイエロー・ケーキ、金属ウランというところまで持っていって、純粋に国産の天然ウランの発電原子炉を作れる、ということを一つの首帳にして進んでおる向きもあるのでありまして、しかしその点はあまり経済性を無視してそこまで走るということもできません。そういうような国産化ということと経済性というものの調和をとりながら、これから前進していきたいと思います。御趣旨のほどはよく検討して参りたいと思います。
#176
○委員長(山本利壽君) 他に御質疑はございませんか。――ないようでございますから質疑を終局し、討論に入ります。討論の通告がございますから順次これを許します。討論をされる方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#177
○古池信三君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております法律案の重要性と必要性を認めまして賛成の意を表します。
#178
○栗山良夫君 私はこれから育てていく原子力の平和利用のために、当面必要な案件として、一応本案に賛成をいたしたいと思います。ただ、だからといって十分満足をして賛成をするわけではありません。というのは、すでに衆議院におきましても、決議が行われておりまするように、また当委員会におきましても、いろいろな角度から、同僚委員から質問が展開せられましたように、いろいろと重要な問題をはらんでおります。ただ、材料の加工に対する事故の免責というような、この法案に盛られた内容を越えました各般の問題で、いろいろな問題があるわけであります。そこで、私はやはり政府に強く要望をしておきたいことは、今日原子力の平和利用ということは時代の大きな流れでありまして、国際的な連帯責任の上においてこれは発展されるべきものであります。一国が独占をすべきものでもありませんし、また一国がこれを独占して他の国に経済的な圧迫を加えるという、そういう性質のものではない。あくまでも人類に与えられた第三の火として公正不偏にこれを利用させていくという見地でなければなりませんから、そこで国際的なやはり研究、国際的な管理、国際的なサービスというものが当然第一義に取り上げられなければならぬのであります。政府の説明によれば、その趣旨に沿いまして、国際原子力機関には日本としては世界各国に劣らない協力をしてきておる、これからもするということでありますから、その点では趣旨は了承いたしますが、国際原子力機関をもっと高度に充実をさせて、そうして少なくとも平和利用に対する権威というものは、国際原子力機関が各国の上にその地位を占めまして、そうして人類の幸福に役立つようにすべきである、そういう高い理想のもとに政府も進んでいかなければならぬと私は思うのであります。例をこの補償の問題にとりましても、やはりこういう個別な双務的な協定を、必要が起きましたたびに個々に結んでいくというようなわずらわしさを省きまして、そうして国際的な補償体制というものを確立することが焦眉の急であろうと思います。従いまして、どうかさような意思味において、今後政府が善処をせられんことを強く要請をいたしたいと思います。
 それから第二番目の問題は、この法案と直接関係ありませんが、先ほど私が発言を求めて政府の所信を尋ねましたように、原子力平和利用の一番重要で、しかも一番喫緊の問題は、エネルギー源としてこれを利用していくことでありますが、この時期も刻々と具体化し迫まっております。しかもこの今日の情勢において、国内におけるいろいろな意見というものは、必ずしも一本にコンクリートに固まっておるわけではないのでありまして、この間の事情は十分に当局において洞察をせられて、そうして国際的な進運におくれないということも必要でありますが、また経済力の乏しい、研究のおくれている日本でありますから、世界各国がその国の全力をあげて研究をしているところの最終的な成果というものを、日本が取り入れていくということも、少なくとも原子力について後進的な立場にある日本のとるべき一つの立場ではないかと思います。従いまして、協力体制をとると同時に、やはり先進国のごときうぬぼれを持たないでそうして常に一歩退ぎながら、各国の研究、実用の態勢を十二分に検討を加えつつ、一番わが国に有利な情勢で国内の重要な事業に育ててていく、そういう体制をとっていただきたいと思います。
 以上二点を総括的な意見として述べまして、そうして本法案に賛成の討論といたしたいと思います。
#179
○大竹平八郎君 私も本法案に対しましては、無所属クラブを代表して賛成をいたすものであります。
 ただ、賛成に当たりまして、一、二の意見と要望を申し上げておきたいんでありますが、まず第一は、先ほど長官にお尋ねをいたしましたが、本問題につきましては、あくまで私は日米原子力協定の中に盛り込んでいってもいいのじゃないかという観点は持っているわけでありますが、しかしながら、国際的に列国に特に立ちおくれました日本の原子力平和利用という点から考えまして、現状においては私はやむを得ないと思うのでありますが、その点は私の意見として申し上げ、それから本法案が施行せられるに当たりまして特に一、二要望をいたしたいことは、原子力というと、ややともいたしますとすぐに一般は戦争ということを頭におくわけなんであります。原子力がこのエネルギーの資源といたしまして、ことに日本はすでにもう水源の関係というものも大体限度にきている。こういうような関係からいたしまして、非常に平和利用の日本における重要性というものはいよいよ大きいんであります。そういう点に対しまして、私は政府当局の原子力の平和利用ということに対する国民へのPR、こういうものが非常に私は少ないように感じております。しかしながら私が申し上げましたように、ややともいたしますと原子直ちに何かこう戦争への道というように考える向きが多いのでございます。従いまして、先ほども質疑の中に出ました、英国原子力公社のファーマー氏のステートメント一つを見つましても、あの前後におきます学界の論争というものは御承知の通り非常に盛んであります。そういうことが非常に一部に危惧の念を与えて、そうしてこの問題につきまして特に東海村地区におきましては、非常に危険性の問題を高く取り上げたというようなこともございまするので、こういう点につきまして、むろんこの学者の議論を国家の権力によって押えるなどというべらぼうなことはできないのでありますが、その点を十二分に勘案をいたしまして、そうして国民へのいま少しくPRという問題について努力を願いたい、こう思うのであります。
 それからさらに免責問題に関連をいたしまして、これもいろいろ長官からも御答弁がございましたが、国家賠償との問題でございます。すでに日本原子力発電株式会社がまさに本月中にも正式許可になっていくのではないかと思うのであります。そういう意味におきましてこの問題はきわめて重要でございます。むろん科学的に十二分の自信を持つような方法を講ずることはもとよりでありますが、さらに安心をいたしてそうして営業成績を上げて そうしてエネルギーの期待に沿うてもらうということを考えましても、ぜひ一つ国家賠償という問題につきましては、あまり一つけちなことを考えないで大幅にやっていただきたい。
 以上の私は意見を申し述べまして、賛成の意を表する次第でございます。
#180
○奥むめお君 緑風会を代表いたしまして、核燃料物質の加工の請負に伴う外国人等の責任の免除等に関する法律案に対しまして、通読いたしまして気になるところもないではありませんけれども、賛成いたします。ただ立ちおくれております日本が数年後には原子力発電も実現するであろうと、明るい新しい時代がとにかく近づいていることを考えますと、この時代にふさわしい日本の原子力研究と、そのいろいろな実現が確実に、また国民にも不安を与えないような進み方で、しっかり私たちが期待するように発展していくということを願いまして、この法案に賛成の意を表するものでございます。
#181
○委員長(山本利壽君) これをもって討論を終局し、採決を行ないます。
 本案に賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#182
○委員長(山本利壽君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。なお議長に提出する報告書の作成等につきましては委員長に御一任願います。
  ―――――――――――――
#183
○委員長(山本利壽君) 次に技術導入と特許の問題について、栗山委員から質疑の通告がありますのでこれを許します。
#184
○栗山良夫君 私はこの際、非常に個別の問題でありまして、委員会においてお尋ねをすることはいかがかと思いましたが、しかしわれわれが長年唱えて参りました国内特許と技術導入との関係におきまして、なるほど若干はうなづく点があるという観点からと取り上げたのでありまして、この点はあしからず御承願いたいと思います。
 ただいま案件といたしますのは、大阪市に工場を持ちます森安金属工業株式会社から私あてに、ごく最近速達で同社の言い分なるものを陳情にかえて送られてきたわけであります。おそらく同僚委員の手元へも商工委員会のメンバーとして届けられているのではないかと私は推察をいたします。この森安金属工業なるものは、実はその速達の陳情を受けて初めて承知をいたしたのであります。全然面識もなければ内容については知りません。従ってこの陳情の内容か妥当なものであるかどうか、そういうことも実はわからないのであります。ただこの文面に記されておる範囲内において私が調べたところによりますと、このままではなるほど通産当局の行政の進め方についてお尋ねをしなければならないと、そういう気持になったのでありまして、この点は前置きでありますが申し上げておきます。
 そこで問題は、どうもこの陳情書を見ますと、森安金属株式会社というのが研究をいたしまして、要するにチューブ、これは高圧チューブであろうと思いますが、そういうものの製造を行なっている。ところがこの森安金属工業の製品というものは市販されているようでありますが、しかし一番重要であるところの自動車の部品としては、まだ完成の域には達していないようであります。ところがときたま臼井国際産業株式会社なる会社があるようであります。これも私は知りません。その会社が米国のバンディー・チュービング・カンパニーと技術提携いたしまして、そうして外資法の許可の申請をいたし、ただいま政府部内においてこれを許可するかしないかについて、各方面から調査中であるという実情のようであります。そこで問題点は今私が申し述べましたことで、森安金属工業が不満としている点はまだほかにありますが、一応取り上げた問題点の中心はそういうところにあるようでありますから、それが事実であるかどうか、この点をまずお尋ねをしたいと思います。
#185
○政府委員(小出栄一君) 今お尋ねのバンディー・チューブの技術提携の問題につきましては、この品物の内容が私の局の所管の問題でございますので便宜上私からお答えをいたしたいと思います。
 今お示しになりました大阪の森安金嘱工業からの陳情等の経緯につきましては、もちろん通産省といたしましては十分その経緯を承知いたしておりまして、その陳情の点につきましては十分これを取り上げまして調査研究等を加えたのでございます。その検討の結果といたしまして結論から申し上げますれば、申請しております臼井国際産業とアメリカのバンディー・チュービング・カンパニーとの技術提携については、認可をする方針で進んでおります。しこうしてこれに関連して森安金属工業から指摘されております諸問題につきましては、その陳情の一つ一つの項目につきましては十分検討も加え、さらにそれについての調査も完了いたしました上での結論として、そういう結果になっております。従いましてそれらの森安金属工業から指摘されております各項目ごとについて、さらに詳細な説明の必要がありますれば御要求によりまして説明いたしたいと思います。
#186
○栗山良夫君 陳情者がはっきり言っておりますことは、米国のバンディー・チュービング・カンパニーの製品と自社の製品と比較した場合には、自分のところは劣っているということをはっきり言っております。しかしながら国内特許があるので特許に守られながらこれから急速に所要の機械等を外国から入れてそうして研さんに努めれば必ず甲乙のない製品を作る自信がある、こういうことを言っておるのであります。従って国内特許を保護するという立場からしばらくの間技術導入は待ってもらえないか、そうして自分のところの特許品を一つものにするから、これによって日本の産業に貢献できるような機会を与えてもらえないか、こういうことが陳情の趣旨のようであります。
 そこで第二の問題としてお尋ねをしなければならぬことは、ただいま自動車界においてブレーキ回りに使うチューブについては、バンディー・チュービング社の部品は全然使わないで全部国産でまかなわれておるようでありますが、たまたま今度臼井国際産業が技術提携をすることについて、自動車の主要国内メーカーに意向を尋ね、そうして賛意を表したので書類を作り上げておるということのようでありますが、このことは現実にはこれが技術導入をして国産化しなくても日本の自動車生産には支障がない。こういうことのようでありまするから、そういうことが事実であるかどうかということ。
 それからもう一つは、森安金属工業の製品というものは陳情者が言うがごとくに、若干の輸入機械を入れてそして品質の改善、製法の熟練をすれば、十分にバンディー・チュービング会社の製品に対抗し得るような純国産品というものが製造可能であるかどうか、この二つであろうと思います。そこでこの点はやはり特許庁の方の御見識も伺っておきたいと思います。
 それから第三の問題は、もし国内特許があるにかかわらず陳情者がまだ未完成である、こういうことを白状しておるにもかかわらず、今、世界的なハイ・クラスのレベルにあるバンディー・チュービング・カンパニーの製品の国産化をやれば、この森安工業というものはもう成り立たなくなる。そうして完全にこれは経営の行き詰まりを来たすではないか。そうすると国内特許を保護しながら国産化するという趣旨が崩れてしまう。そういうおそれがあるではないか。こういうことが一つの疑問として残るわけです。それらの点についてお答えを願いたいと思います。
#187
○政府委員(小出栄一君) 基本的に申しますれば、国内において開発されました技術、特に特許を得ておりますものにつきましては、その特許としての保護は特許の法律に基づきまして十分行なわれておるわけであります。ただ今回の自動車に使いまするバンディー・チューブの生産に関しまして、従来それでは日本においては全部国産でやっておったではないかという疑問の点でございますが、実は御承知の通り、日本の自動車工業がここまで高速に発展して参りまして、これからはいろいろな面におきまして国際競争の場に立たなければならないという段階にきたわけでありまして、今後日本の自動車工業が、ほんとうの意味において、性能の面におきましても価格の面におきましても国際水準に達しまして、いろいろな貿易の自由化等に伴いまする国内の保護措置がはずされて、そうして外国とほんとうに競争の場に立っていきまするためには、さらに一そう高い技術水準、それからコストを引き下げまするための量産の態勢がとられなければならないという要求は、もうかねてからの宿題になっておったわけでありまして、このチューブの面に関しましても、実はこの申請書でありまする臼井産業というのは、この森安金属工業の代表者は前にこの臼井産業におられた方だそうでありますが、この臼井産業というのは日本の自動車メーカーの方の要望に応じまして、すでに過去五年間研究をしておりましたけれども、結局日本の国産的な技術の面におきましては一つのやはり行き詰まりに逢着したわけであります。それはやはりこの製造方法が非常に特殊な技術であるということから、生産のスピードの点におきまして、こういったバンディー・チュービング・カンパニーの製品等に比べますと、約十分の一のスピードであって量産が不可能であるというような面もございまするし、あるいは製造過程中におきまするメッキをいたしました銅の溶落を防止しながら、生産スピードを確保するというような方法が見当たらないとかいろいろな面におきまして、品質の確保、性能向上の上におきましては、やはりこういったきわめて世界的にすぐれた技術を導入せざるを得ない、こういう段階にきたわけでありまして、従いまして、日本自動車工業全体の国際水準への飛躍という意味におきまして、通産省といたしましてもこの技術導入につきましてはやむを得ないと、こういうふうな観点に立ったわけであります。
 そこで先ほど御指摘の森安金属工業の疑問でございまするが、一つはただいまお尋ねの中の一つの点といたしまして、森安金属工業自体のそれでは製品は、もちろんその会社自体が自認しておられまするように、まだ十分な水準に達していない、しかしながら近い将来において必ずそういった水準に達するから、それまで全体を待ってもらいたい、こういう一応の申し出でございます。しかしながらすでにこの森安金属工業の問題は、本年の春ごろからわれわれの方にしはしばこういった申し出がございまして、そのつどわれわれはさらに工業技術院なりあるいは試験所等、あるいはまた自動車メーカー等に諮りまして、いろいろな試験をいたしまして検討を重ねてきて相当の猶予をして参ったわけであります。で、ここでまた待って果して近い将来においてこの森安金属工業が、それだけの水準に達した製品を出し得るかということにつきまして、これはすでに現在の製品等を検討いたしました結果、あるいはその他の面から申しまして関係の試験機関等におきましてはそういう確信が持てない、こういう結論になったわけであります。従いまして結局森安金属工業の申し出であります暫時の猶予をしてほしいという点につきましては、一体どこまで猶予すれはいいかということについてのめどは全然立たない状況でございまして、私どもとしてはそれは取り上げるべきではない、かように考えております。
 しからば今回こういったバンディーチューブの問題が入って参りますと、それでは需要面におきまして全面的にこれが市場を席巻いたしまして、従って森安金属工業はつぶれるのではないかという懸念の点でございまするが、これは御承知のように、このバンディー・チューブは大体用途といたしまして自動車関係あるいは電気冷蔵庫というふうな、大体自動車関係と電気機器関係との二つの用途があるわけでございまするが、現在までのところ森安金属の扱っておりまするのは、主としてこの電気冷蔵庫関係でございまして、現在もちつろん工場を拡張計画中でございまして、拡張されました暁におきましては、自動車関係への進出ということも考えられるわけでございまするが、しかし将来におけるいろいろなそういった外貨面の輸入の問題等につきましては、それはそのつど当然これは通産省といたしましても、全体の総需要推定量を測定いたしまして、輸入機械や外貨割当というような問題につきましても、技術提携を認可いたしました際におきまして、国内供給力等とにらみ合わせながら全体としての調整をとっていくつもりでございまして、従ってそのために森安がつぶれるというような事態にならないというふうに私どもは考えております。
#188
○説明員(井上尚一君) 特許の問題に関連しまして、特許庁としましての考え方を申してみたいと存じます。
 御指摘の森安金属が日本で有しまする特許は、本年三月二十七日登録の特許二十五万八百四十号という二重の成型加工ローラーに関する特許でございまして、ごく最近の特許権でございます。で、もちろん申すまでもなく技術提携契約の認可につきましては、特許庁としましては、同種の日本人の特許技術が存在するかどうか、あるいは存する場合にはそれとの優劣の関係という点から特許庁側としての意見を申しまして、企業庁あるいは通産省の原局と協議の上これがきめられるわけでございます。で、問題のバンディー・チュービング・カンパニーの技術につきましても、日本では特許になっておるわけでございまして、これ銅の被覆を接着材としますところの多重管製造法という製造方法の特許でございますが、これは二十六年の出願でございまして、特許二十万八千九百八十八号等五件でございまして、結局このバンディー・チュービング・カンパニーが持っております権利の方が特許技術としましては古いわけでございます。両者の違いはただいま申しましたように、バンディー・チュービング・カンパニーの方は多重管製造方法に関する特許である。また森安金属の方はローラーに関する、製造装置に関する特許でございます。この森安金属が有しまする特許技術としましてのローラーを使って、多重管を作ります場合にも、このバンディー・チュービング・カンパニーの持っておりまする権利に抵触することができないわけでございますから、このローラーを用いて、このバンディーの持つ権利、特許技術以外の方法で二重管パイプを製造するということになるわけでございます。こういう関係上われわれとしましても、この多重管製造方法としましては、バンディー・チュービング・カンパニーの有する特許技術以上、ないしはこれに匹敵する日本の優秀なる特許技術というものはないと、そういう考えで今回の技術提携契約についてはこれを許可するという方針に、一応われわれとしても賛成しておるわけでございます。
#189
○栗山良夫君 先ほど重工業局長のお話の中で私が一つ疑問に思いますのは、臼井国際産業が数年の研究をしていたという話でありますが、これは製造は全然していないのであります。ただ若干チューブを製造していたのは森安金属工業である。
 それからもう一つの点は、日本の自動車の輸出等の問題から考えて、ぜひこういう優秀な部品を入れるというお考えだと聞きましたが、少なくともこのバンディー・チュービング会社のチューブを輸入をして使ったものは、東京芝浦電気の冷蔵庫用のチューブだけらしいんです。自動車関係は全然使っていない、しかも今度臼井国際産業が技術提携をしたいという意思を発表したのは、自動車メ―カーからの強い要請によってではないようであります。臼井国際産業が技術導入をしたいという意思をきめて、そうして各自動車メ―カーを慫慂して、そうしてその技術導入は好ましいものである、こういう意味の証明書をずっとそろえて、そうして書類を整えて役所へ出したというのが実情のようであります。従って自動車製造業界が、これがなければ自動車の輸出について優秀なる自動車ができない、ぜがひでもこれを入れなければならぬ、そういう意味でこの問題が起きたことではないのであります。その点が少し今の局長の理屈というものはあとからつけられた理屈のように思う。問題は今特許庁の長官のお話がありましたように、ことしの三月になって森安金属が特許をとった、そこで臼井産業の方もいよいよこれは自動車に出てくるというので、あわてて技術導入の動きをしたのではないか。たまたま米国のバンディーの製品が世界的に認められておるので、そこで異議なく技術導入をするということに方針がきまっていった、こういうふうに私は道行きはいっておるんじゃないかと思うのです。そこで極端な言い方をすれば、森安金属工業が特許をとつて、まだ今日までの間に完成品ができないといっておるのは、なるほど輸入機械を入れて工作をしないとうまくいかないということを白状しておるわけでありますので、従って製品研究の過程において、まだ若干の時間的に未成熟な点があるということを認めたようであります。
 それからもう一つは、米国のバンディー会社の特許というのは製法特許である、森安金属の方はローラの特許である。ローラーの特許を駆使していってもやはり製法の特許で引っかかるところがあれば、米国のバンディーの方の了解を得なければできないということになる。こういうお話でありますからその通りであるとすれば、やはり森安金属工業のローラーによるところの製造というものを育てて、そしてバンディーの特許と抵触する点があればバンディーの方との間に話をつけさせて、そして国産的なものに育てていこう、こういうやはり腹がまえが必要ではないか。私はこういうふうに考えるのですが、その点は日本人の特許を大事にしてやるという意味から、少し問題のとらえ方がそれていやしないか。こう考えるのでありますが、いかがでしょうか。
#190
○政府委員(小出栄一君) 今栗山先生はいろいろ御指摘につなりましたが、つまり臼井国際産業というものは、いろいろまあこの需要家でありまする自動車メーカーの文書なり、要望書というものを、一つのデータとして提出していろいろやっているけれども、それはむしろ臼井国際産業自身が自分の方からメーカーに工作をして作ったのではないか。こういうようなことを、これは確かに森安金属工業はそういうことを申しております。しかしながら私どもが調べたところによりますと、臼井国際産業というものはすでに昭和十六年にできたものでありまして、それ以来主としてこういった銅あるいは銅合金等の各種合金のつぎ目なし引き抜き管の製造、あるいはそういったもののパイプ加工を主としてやって参った経験がございまして、昭和二十八年アメリカの自動車のオイル・ブレーキ・ラインで、銅メッキのストリップを三重に巻いて銅で接着した特殊な銅管が使用されているということを知って、そのころから多年研究を重ねてきたのでありまして、一般の市販は確かにしておりませんけれども、研究は非常に進んでおりまして、しかもそれは需要家でありますところの、全自動車関係の要望にこたえてやってきているわけでございまして、引き抜き鋼管の銅メッキ、これの自動車部品としての加工というようなことにつきましては、この会社は全自動車関係企業の約九〇%以上を受け持っているというような経験を持っているわけでございます。従いまして、この森安金属工業が指摘しているような、臼井国際産業が特殊な工作をしたというようなことはないのでありまして、それから森安の製品につきましては、これはむしろ先ほども申し上げましたように、少なくとも現在の製品を実地にこれは国の試験機関なり、あるいは需要者でありまする自動車業者の方につきましても、実地試験をしてみたのでありますけれども、これは自動車用としてはほとんど用途をなさない製品でありまして、もちろん将来計画を変更をいたしまして今研究しておりますものが動き出す……自動車関係のものの用途ということも計画をしているようでございますが、やはり自動車関係以外の用途の方面におきまして、主として販路を開拓する関係が種々あるというのが過去の実績でもあり、また将来の行き方でもないかというふうに考えている次第であります。
 ただこういった森安というようなところが、近い将来において自分の方も必ず技術的に確信があるから、それまで待ってくれというふうな陳情の趣旨に関しましては、われわれとしましても十分それは検討してみたのでありまして、従いましてかりに今回臼井国際産業に対しまして、技術提携の認可をいたしまするにつきましても、その技術提携の認可をいたしましたあと、一年間くらいはその製品を電機冷蔵庫――自動車関係はこれは全然競合する余地がないのであります、電気冷蔵庫関係等への販売については自粛をする、そうして森安金属がその間におきまして、工場設備の拡張なりあるいは技術の向上なりというようなことについて相当準備ができることをむしろ待ってやる、こういうような行政的な措置もするということで、大体臼井国際産業の方においても了承しておられるわけであります。それだからといってそれじゃもう少し延ばしてくれということになりますと、結局いろいろなことをいって、率直にいって、いろいろ文句をつけさえすればそれで勝ちだ、こういうような結果になることは、私どもとしてはきわめて望ましくない事態である。かように考えております。
#191
○栗山良夫君 大体こういう陳情書が、行政府の中で円満に解決されないで直接われわれのところへ飛び込んでくるということは、はなはだ迷惑なわけです。そういう意味では、私は行政府の中における話のつけ方が少し足りない点があったのではないか、ということを考えるのでありまして森安金属工業に通商産業省の意のあるところをもう少しよく……特許庁長官も今述ベられたのでありますが、よく徹底されて、そして森安金属工業が営業上の不安を持っておるようでありますから、これを解消してやる努力をせられたいと私は思うのです。特に、このローラーなるものの特許によってチューブを作るというのですが、それにはぜひとも輸入機械が必要である、どういう機械かしりませんが、輸入機械が必要であるということでありますから、その機械輸入についても便宜をはかってやつて、そして森安金属工業の努力によって、あるいは技術指導等の援助によって、米国のバンディの会社のものよりもいいものが絶対にできない、という大鼓判を押してきめつける必要もなかろうと私は思いますから、いいものができるようなやはり指導をしてやることも必要ではないかと考えるのであります。この点は、とにかくバンディーのチューブが東芝の冷蔵庫に使われておって、自動車の部品には使われていないのだということは、これは事実のようでありますから、そういうところにやはり森安が少し納得し得ない点があるのじゃないか。若干使われておってそれを国産化するというならわかるのだが全然使われていない。自分のところと競合する。電気冷蔵庫の部品としてバンディーのものが使われる。そうして自分のところは自動車の方に進出しようと思っておるときに、たまたまおれの方も自動車のものを作るのだというので正式に今度は技術導入をやる、こういうことでは話の食い違いがそこからやはり出るのではないかと私は思います。
 そこで、こんなことで長時間委員会をわずらわさなくてもよろしいと思いますが、どうか、せっかく一中小企業の業者が技術の国際的水準を上げるために努力をしておることについて、頭から水をかけるというようなことのないように、善意ある指導をせられたい。これを強く要望しておきたいと思います。
#192
○説明員(井上尚一君) 私どもはこの森安金属の扱い方につきましては、今栗山先生から御注意がありましたような趣旨で、実はできるだけいろいろな情勢も話し、また試験結果その他につきましても、直接間接きわめてひんぱんに話もし、また指導もしてきたつもりでありまして、頭からきめつけるとかいうふうなことは一切しなかったつもりでございますけれども、たまたまこういった個々の案件に関しまして、国会の先生方にも非常に御迷惑をかけた点については大へん遺憾に思っております。私どもとしては十分手を尽くしたつもりでありまするけれども、たくさんありまする案件の中では、人によりましては幾ら話してもやはり同じような動きをされる、という方もあるわけでございまするので、その辺のところは十分今後指導をいたしたいと思いまするし、また今のお話の外国機械の輸入につきましても、先ほどお答えいたしましたように、国内の全需要量というものと供給量というものを見合いまして、適当な調整措置をとっていくということは、これはそのことも森安の方には十分話しておるつもりでございます。なお、今後十分一つさらに納得のいくように説明もし、また指導もして参りたいというように考えております。
#193
○委員長(山本利壽君) では本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト