くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第033回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十四年十一月十九日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十一月十八日委員前田久吉君辞任につ
き、その補欠として植竹春彦君を議長
において指名した。本日委員藤田藤太
郎君辞任につき、その補欠として千葉
信君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 武徳君
   理事
           高野 一夫君
           吉武 恵市君
           木下 友敬君
           阿具根 登君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           草葉 隆圓君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           小柳  勇君
           坂本  昭君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
  政府委員
   厚生大臣官房長 森本  潔君
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省保険局長 太宰 博邦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省公衆衛生
  局環境衛生部長  聖成  稔君
   厚生省保険局医
   療課長     館林 宣夫君
   通商産業省企業
  局工業用水課長  藤岡 大信君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する調査の件
 (水俣市に発生した奇病及び工場廃
 水の処理に関する件)
 (保健所の整備及び健康保険の問題
 に関する件)
 (保険医の監査制度に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから会議を開きます。
 まず、委員の異動を報告いたします。十一月十八日付をもって、前田久吉君が辞任し、その補欠として植竹春彦君が選任されましたので、御報告をいたします。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(加藤武徳君) 社会保障制度に関する調査の一環として、水俣市に発生した奇病等に関する件を議題といたします。本件につきましては、前回この委員会で取り上げて質疑等を行なったのでありますが、その後の経緯につきまして厚生省から説明を願いたいと考えます。
 なお、渡邊厚生大臣もやがて出席をいたしますし、ただいま出席をいたしておりますのは、尾村公衆衛生局長、聖成環境衛生部長、やがて川上医務局長、太宰保険局長も出席をするはずであります。なお、通産省からは藤岡工業用水課長が出席をいたしております。
 それでは厚生省から説明をお願いいたします。
#4
○説明員(聖成稔君) 前回当委員会で御質問ございましてお答えいたしました以後の経過を申しげたいと存じます。九月末に至りまして、熊本県の津奈木と申しますのは水俣市の北方約六キロの水俣市外のところでございますが、ここに患者が三名発生いたしまして、合計初発以来七十六名の患者に相なったわけでございます。この津奈木の三名発生というものは、これが地形から申しますると、従来患者の発生地域が不知火海の中の内湾である水俣湾の内部に限られておったものが、水俣湾外の地域に患者が出たということによりまして、有毒地域が拡大したということで非常にまあ大きな意義を持ち、また同時に、これが発表されたことによって漁業に大きな影響を与えるに至ったということでございます。で、その後とって参りました措置でございますが、十月六日の日に東京で食品衛生調査会の常任委員会、これには食品衛生調査会の水産技術等の部会の方々も参画いたしまして、かねて現地の熊本大学を中心に水俣病原因究明のための特別部会が設けられておりましたので、これの部会長の鰐淵博士の御上京を願いまして、この食品衛生調査会にいろいろ御報告を願ったわけでございます。特に熊本大学はかねて提唱しておられました有機水銀説に関しまする御報告を願ったわけでございます。この際は席上いろいろの質疑が行なわれましたが、特に臨床的な面につきましての御説明が十分でなかったというようなことから、決定に至りませんで、十一月になりましてから再度この調査会を開き、また、現地からも御上京を願って重ねて検討をするということでこのときは終わったわけでございます。で、一方政府といたしましても、十月の二十二日には厚生省が中心になりまして、水産庁、通産省、あるいは経済企画庁等の関係各省庁から関係官にお集まり願いまして、いろいろ対策の問題、あるいは今後の研究の問題等につきましていろいろ打ち合わせをいたしました。さらにその後の情勢の推移にかんがみまして、いまだ有機水銀説というものは確認されていない、同時にまた、現地にございます日窒の肥料工場の廃液等の関連もいまだ明らかにはなっておりませんが、しかし、問題点といたしまして、従来昨年まではもっぱら工場の廃液を水俣湾の湾内にのみ排水をしておりましたものを、昨年九月ごろから一部湾外に、不知火海の方に廃液を流し始めたという事実がございまして、まあこれとあたかも因果関係があるかのように、先ほど申し上げましたように、湾外にも患者が出だしたといったような関連からも、もう工場廃液との関連性は断定はされていないけれども、とにかく何らかの因果関係があるような疑いがきわめて濃厚であると、こういうような点から十月三十一日に通産当局にお願いをしまして、特にこちらの公衆衛生局長から通産省の企業局長並びに軽工業局長に文書をもちまして水俣病の原因としてはまだ確定をしておらないけれども、上場の廃液が関係あるかのように見られるので、とりあえずこの際除害施設を、つまり廃液をきれいにいたします除害施設を早く作らして、ほしい、それからまた、湾外に流しておった廃液は、これを元通り湾内に流すようにやらしてほしいといったような趣旨の通知を出しました。すでに通産省の方におきましても、その線に沿いまして現地の工場を指導していただいておる、こういう状況でございました。その後十一月の初旬に、すでに御案内かと思いますが、衆議院の方から調査団が組織されまして現地にお出かけになり、これには各省からお伴して参ったわけでございますが、その際に現地でいろいろ漁業関係者の決起大会等が行なわれて、いろいろ紛争がありましたことはすでに御案内のことかと存ずるのでございますが、去る十二日にかねて先月から予定しておりました食品衛生調査会の常任委員会を再び開催いたしまして、これに現地から熊本大学の前学長である鰐淵博士に再度御上京をいただき、また、主としてこの水俣病患者を臨床的にいわば主治医となって見ておられました熊本大学内科の徳臣助教授、この方に同行していただきまして、そして調査会で詳細に御説明を願ったわけでございます。その結果きわめて明快な御説明がございまして、まず水俣病というのは、水俣湾並びにその周辺に生息する魚介類を多量に摂食することによって起こる、主として中枢神経系統を侵す中毒性の疾患であるということが断定されまして、しかもその原因となりますものはある種の有機水銀化合物であるということが断定されたわけでございます。
 そこでその理由といたしましては、第一には、この有機水銀化合物のうちある種のものは運動失調、中枢性視野狭窄、あるいは知覚障害といったようなものが主要症状として現われてくるということが内外の文献に記載されておりますが、水俣病患者におきましては九〇%以上の発現率をもちまして、これらの症状が必ず画一的に現われてくるというのが確認された臨床的な点であります。
 第二点といたしましては、病理解剖的な所見で、脳のうち特に小脳の顆粒細胞の強い退行性変化、これが有機水銀化合物の場合の特徴であると言われておりますが、これらが、病理解剖で確認された。さらに患者の尿の中に水銀が多量に排泄され、さらに解剖の結果、脳、肝臓、じん臓等に多量に水銀が排泄された。水俣湾の泥上の中に、泥の中に多量の水銀が含まれている。また、この地区から採取いたしましたある種の貝の体内にも多量の水銀が発見され、しかもこの貝をネコその他の動物に投与することによりまして自然発生と同じ水俣病を臨床的に起こす、また、病理解剖的にそういった組織を確認することができる、こういったようないろいろの理由があげられまして、調査会の常任委員の方々全員が、これはもはや有機水銀化合物によるところの中毒であるということに間違いないということを全員一致で断定されたような次第でございます。
 そこで、水俣病問題はただいま申し上げましたように、かねて水俣湾並びにその周辺に生息いたします魚介類を多量に食べることによって起こる中枢神経を侵す病気であるということまではかねてわかっておったわけでありますが、魚介類の何がその原因であるかという点がはっきりいたさなかったのでありますが、ただいま申し上げました結論によりまして、即日食品衛生調査会の阿部委員長から厚生大臣に答申が出されまして、本病の原因は、ただいま申し上げたような原因によって有機水銀化合物であるということが断定されたわけでございます。
 そこで、しかしながらこのことだけをもって、それじゃあ直ちに現地にあります工場の廃液、工場においては触媒として水銀をかねて相当量使っており、また、廃液の中には無機の水銀を相当量に含んでおるというようなことも事実でございますが、この無機の水銀がいかにして魚介類の体内に入りまして、いかにして有機水銀になってくるかという、そこの疑点がいまだ不明でございまして、そこでこの点につきましては、今後どこが中心になってやるかということにつきまして、その十二日の発表以後、経済企画庁、通産、水産、私どもいろいろ協議をいたしまして、三日ほど前には、私どものところ、厚生省で会議を開きまして、その際、これはやはりどこの省だけというわけにもいかないと、つまり今までやってきた段階では、まさに医学の範疇の問題であり、厚生省のやらなければならぬ問題であると私どもは考えますが、これから先通常もっていない水銀というものをなぜ生きている間に魚介類が体内に多量に摂取するに至ったかという問題になりますと、必ずしも医学だけで解決つかないという点を私ども強調いたしまして、水産関係方面の相当の協力を得なければならぬという点を申し上げたわけでありますが、昨日に至りまして、そこで、経済企画庁が幹事役を務め、そうして水産、通産、厚生、関係各省が協力いたしまして、そういう体制のもとに今度の最終的な原因の追及ということに当たっていこうという申し合わせができまして、経済企画庁もその線でまとめ役をやって、今後この原因究明とさらに必要な諸般の対策をやって参ろうということも先日話がまとまったような次第でございます
 なお、現地の熊本県の寺本知事も先日来上京されておりまして、一昨日御帰郷になったのでございますが、一応この結論によりまして、現地において工場側と漁民側と非常に対立関係にあるような状態を仲介――この結論の段階において可能な範囲で仲介の労をとるということで、一昨日急遽御帰郷になった、こういうような経過でございます。
#5
○委員長(加藤武徳君) ただいま聖成環境衛生部長から説明がございましたが、本件につきましての質疑をお願いいたします。
#6
○坂本昭君 今の食品衛生調査会の結論は、それでわかりましたけれども、それに相前後して東京工大の清浦教授から水俣病の原因は工場廃水とは考えられないというような、そういう調査報告が出ているらしいけれども、その内容について若干説明をいただきたいと思います。
#7
○説明員(聖成稔君) ただいま坂本先生のお話のありました点は、当日の食品衛生調査会におきましても問題になりました。しかしながら、清浦先生の御研究は、水俣湾の海水を御調査になって、海水中における水銀の含有量をお調べになって、この程度の水銀の含有量であれば何も水俣だけでなくてほかにもあるといったような内容のことがおもなものであると思います。先ほど私が申し上げたように、臨床学的にあるいは病理学的にあるいはまた、特に地勢的に問題になっておりますのは、水俣の海底の泥土、この泥が厚いところでは三メートルくらいの深さに泥がたまっている、そういう泥の中に多量の水銀が含まれているということで、単に海水中における水銀量が、特にまあ最近は工場側も自粛をして沈澱池を設けて、直接かつてのように廃液を海に放流しない、ある程度の時間、沈澱池にとどめて、重いものをある程度沈ませ、上澄みを捨てるというような操作も最近はやっているというようなことから、単に海水だけを調べただけで、直ちに本病の病原に水銀は関係はないということは、ちょっと学問的にもおかしいじゃないかというようなことが、食品衛生調査会において議論をされたおもな内容でございます。
#8
○坂本昭君 これは当然厚生省所管の問題であるし、特に通産省に関係の深いところから、しかも病気についての研究をあまりしてない人たちの意見を新聞にいろいろ出すということは、はなはだ私は不穏当なことであると思います。
 なお、今無機水銀の問題と有機水銀の問題が出ていますが、湾底にあるのはもちろん無機の状態で残っているのだろうと思うのだけれども、その無機水銀が有機に絶対にならないという証明はないと思うのですが、その専門的なことはどうなんですか。
#9
○説明員(聖成稔君) そこが一番むずかしい問題だと思うんですが、現に魚の、無機の形で魚の体内に入って、魚の体内で有機に変わるのかというようなことも考えられたようでありますが、熊本大学のいろいろの研究では、すでに魚自体が脳を侵されて水俣病にかかっておる。その魚の脳の病理組織的な所見は人間の場合と同じようなものが認められる、従って魚の体内に入る前にすでに有機化しているのではないか、それには何かプランクトンが関係をしているのではないか。いろいろの状態が、その辺の問題になってくるとまさに仮説で判明しない。ですから、今後の究明の点にかかっている。坂本先生の言われる無機がどこで有機に変わるかというところが今後の研究の焦点になると思います。かように考えるわけでございます。従って、現在のところ、私どもはその点については何ともお答えができないという段階でございます。
#10
○坂本昭君 この水俣病の問題は、ずいぶん私が知ってもう二、三年以来のことであるし、その間にこうした工場の廃液を使って小さい実験をし、やって、実際に魚介類にそれを飲まして、その変化を見るとか、そういったことが、この数年の間には当然しておらなければならなかったと思うのだが、その間こういうことをやらなかった。何か私は別な化学的な理由というよりも政治的な理由があるやに感じますが、これはいかがですか。そうしてその点がやはり現在でも現地の処理について何か圧力をかけているのじゃないか。この間、阿具根委員が、もうはっきりわかっているじゃないか、それは医学的にとことんまで証明するというとむずかしいけれども、廃液を湾の外へ出せば、今度は湾の外で中毒患者が出てきた、こういうような事実からいうと、廃液に関係があるということはわかっているじゃないか、にもかかわらず、その処理ができないのは、別に医学的な理由じゃなくて、政治的な理由に基づくものではないか。そういうことがかなり強調されていましたが、そういうことのためにこの調査研究が阻害されたという事実はありませんか。
#11
○説明員(聖成稔君) 私はそのような事実は全くないと考えております。で、熊本の大学の医学部を中心にいたしまして、最初から非常に熱心にこの原因究明が続けられ、私どもも事が非常に重大な問題でございますから、一日も早く、一刻も早く結論を出したい。しかしながら、事は影響するところ非常に重大な問題でございますから、軽率に断定を下すようなことがあってもい汁ないという点で、学者の方々の意見を十分に聞きながら慎重にやったという点は事実でございますけれども、何らかの政治的な圧力等によりまして、故意に原因の追及を怠るとか、あるいは結果がわかっておってもその発表を差し控えたというようなことは全然ございません。
#12
○坂本昭君 それではいよいよ化学的に明確になった場合に、現地においてはどういう最終的な処理をされるつもりであるか。それからこういうふうなこれに似た同種の工業というものは、日本のほかの地域ではあるかないか、その点御説明願いたいと思います。
#13
○説明員(聖成稔君) 一応魚の中の有機水銀が原因であるということは断定されたわけでございますから、この段階で先ほど私が申し上げたように、現地における一応の調停といいますか、仲介の労を県知事がいろいろ現在おやりになって御心配になっているようでございます。最終的ないろいろの問題があると思いますが、それはやはり最終的に工場廃液とこの魚の体内に入りました有機水銀との関係のこういうものが明確になるということはどうしてもやはり必要な問題だろうと思います。従って、先ほど申し上げましたように、今後は現地と一そう緊密な連絡をとりながら、最終的な原因の究明ということに当たらなければならぬ、私はかように考えております。
 なお、今のあとの方の御質問は私も伺っておりますけれども、通産省の藤岡工業用水課長が来ておりますから、そちらからお答えいただいた方が適当ではないかと思います。
#14
○説明員(藤岡大信君) お答えいたします。ただいまの御質問の同種工場という点につきましては、水銀を使っておりますのは塩化ビニールとアセトアルデヒドの両工場でございまして、塩化ビニールの同種工場といたしましては、この工場を含めまして十六工場ございます。アセトアルデヒドは同様にこの工場を含めまして七工場ございます。
#15
○坂本昭君 それらの工場については、こういう水俣病類似の問題というのは起こったことはないのですか。それともまた、そういうところはどういう処理をしておりますか。
#16
○説明員(藤岡大信君) このような各社全工場にわたりまして、詳しくは調査いたしておりませんが、大体の調査をしたところによりますと、汚水処理の段階はあまり変わっていないようであります。病気の点につきましては、これは世界的に相当前からやっておるようでございますが、世界的に水俣病のような病気が起こったというようなことは、現在どこからも出ていないという段階でございます。
#17
○高野一夫君 関連して。私は途中から来ましたので、坂本委員の御質問の内容をよく承知しておりませんが、ただいま通産省側の御説明にあった日本以外にあまり例がない、こういうことが日本の水俣病発生を判断するについて有力な材料になろうとは私は考えておらないのであります。なぜかなれば、外国においては私はよく知らぬけれども、一応いろいろ聞いたところによりますと、工場の汚水処理、廃水処理ということについては、相当厳重にやっているはずなんでありまして、それを日本は一向やっておらない。つい昨年ようやく法律ができたばかりでございますから、その汚水処理を化学工場あるいはバルブ、そのほか主要なる工場について、汚水処理を完全に近いほどやっておる外国の例と、ほとんどやっておらない日本の例とを比べて、それで外国にはないということをもって日本における判断材料には私はなるまいと考えております。そこで私は通産省に伺いたいのは、そういう水俣病に対する、この水俣病発生いかんにかかわらず、汚水処理について、法律に基づく処置をするように、勧告といいますか、注意といいますか、何でもいいですけれども、おやりになっているかどうかを一つあわせて関連して伺っておきたい。
#18
○説明員(藤岡大信君) ただいまの御質問の、外国にその例はないということを申し上げましたのに対しまして、外国は非常に処理をよくやっておるということは、仰せのように相当法律等でやることになっておる外国もございますし、全然法律の制定もない国もございます。これは相当文明国でそういう国もございます。で、この化学工場につきましては、大体沈澱処理ぐらいがせいぜいのところでございまして、それ以上の処理をやっているようには聞いておりません。これはわれわれ調査をしに行って調べた結果でございます。
#19
○坂本昭君 今の通産省の御説明にはちょっと納得できない点がある。たとえばイギリスの場合、テームズ河の廃水の処理の問題など、イギリス人の常識というものは、法律で縛られなくたって、自主的に公衆に害を与えないような、そういう常識が非常に発達している。日本の場合は、日本の特に工場主というものは、自分さえもうかったらいいという考えが非常に強い。そういう中で通産省がそういう態度をとるというのは、はなはだ私は妥当を欠くと思う。ことに私は、新聞にも出ておったが、東京工大の教授が、水俣病の原因が工場廃水とは思えないというようなことを通産省側へ報告をしてあたかも百工場の立場を守るようなことをしているということは、通産省が工場の利益擁護の立場にのみとらわれて、一般大衆の公衆衛生の面を不当に軽視するのではないかと思われる。そういう点で、ただいま高野委員の指摘された通り、通産省として、もっと厳格な立場をとっていただきたい。
#20
○説明員(藤岡大信君) ただいまの坂本先生のおっしゃったロンドンの例でございますが、仰せのように、ロンドンは、われわれの聞いておりますところによりますと、水洗便所といいますか、便所の汚水が非常に上水道水源を汚濁したというような例から、汚濁問題が非常にやかましくなって参りまして、仰せのように、相当自主的にやっておるところもあるようでございます。工場につきましては、われわれ調査員を派遣いたしましていろいろ調査したところによりますと、そういう大した処理もやっていないというのが実情でございますが、これは外国の例がそうであるから日本でもそれでいいということを申し上げているんじゃございませんので、日本の他の工場につきましても、この程度の処理をしてこれまで全然問題になっていないということを申し上げたかったのでございます、ただ外国の例等も一諸に申し上げたにすぎません。それから工場が採算さえうまくいけばそれでいいというような御質問に対しましては、この問題は、原因の究明等についてまだ問題が残されておりますが、われわれといたしましては、社会不安という大きな問題を起こしておりますので、通産省といたしましては、軽工業局長から、会社の社長を呼び出しまして、厳重に忠告をいたしまして、さっそく先ほど聖成部長から言われましたような廃水の処理につきまして、方向を変える。問題になっておりますのは、この方向を変えた所へ廃水を出しているということが問題といいますか、社会不安の原因になっている。これが工場側に言わせますれば、いろいろ言いようもあるようでございますが、とにかく原因がそういうところにあるということは、これはやはり工場としてもその原因を取り除くという必要があるんじゃないかというので、緊急にやれということで、もうすでにその方向の廃水を取りやめております。
 それからもう一つ、これも廃水の処理につきまして、現状で悪いということは、ほかの工場から水は出てきませんが、ただ地元において非常に社会不安の、原因になっているということにつきましては、これはやはり会社も責任を負う必要があるだろうということで、従来排水処理施設がなかったといいますか、大した処理をいたしておりませんので、これを機械の処理にかけまして出すように慫慂いたしまして、それも大体の工期を三月末ということに考えて発注をいたしておりましたのを、できれば十二月中くらいにはできるように努力しろ、できなくても一月末にはどうしてもできるようにしろということを強硬に社長に申し渡しまして、社長も了承して帰ったような次第でございます。さらに口頭で言っただけではという心配もございましたので、軽工業局長から、そのことにつきまして社長に同様の書面をもちまして通告をいたしてございます。
#21
○委員長(加藤武徳君) 通産省からは、ただいま答弁をしました藤岡工業用水課長のほかに、軽工業局から、水間軽工業課長が出席いたしておりますので、報告いたします。
#22
○坂本昭君 ただいまのような場合に、人命の危険をおもんぱかって操業を禁止するというような処置が法的に考えられないか。これは通産省と厚生省の方にお伺いしたい。
 それからもう一点は、今のように同種の工場が、塩化ビニール十六、アセトアルデヒドで七つあるということでありますが、それらの工場の廃液並びにそれらが付近の魚介類や、あるいは人体に及ぼしている影響について、厚生省として、水俣市におけると同じように、通産省と協力して調査をやっておられるか。また、これからやるおつもりがあるか、その二点をお伺いしたい。
#23
○説明員(聖成稔君) 第一点の御質問につきましては、私どももずいぶん検討をいたしたわけでございますが、とりあえず、先ほども申し上げましたように、湾外に出しておった廃液を湾外に出さないで、元通り中に、小さな水俣の中にとどめるようにしてほしいということで、除外施設を急速に作ってほしいという点を要望いたしまして、操業をとめてしまうというところまではちょっと私どもの見解では無理があるのじゃないかということで、最小限度の措置でお願いしたわけなんです。これが先ほど来申し上げますように、工場廃液との関連が決定的に明確であるという段階になっておらない関係もございまして、その程度の措置でやむを得なかったと思うのであります。
 一方、水俣における魚介類は、現在湾内においては全然漁獲されておりませんし、従ってまた、これを少なくとも湾内においては、付近の住民がこれを摂食するということもないように保健所その他を通じて十分に啓蒙をやっておるような次第であります。
 それから第二点の問題につきましては、これはもう坂本先生の御指摘の通り、きわめて重要問題で、同種工場、同種の廃液を出しているものは多数例があるのに、なぜ水俣においてのみその問題が起こったかという点につきましては、これは他の工場の廃液、あるいはその付近の状況等を調べながら、関連して水俣の今後の追究をやっていくということが必要なことは申すまでもないと思います。昨日の経済企画庁を中心とする打合会におきましても、特にこの点につきましては、通産省が主局となりまして、その方面の究明をやる。厚生省の方は有機化合物なるものが何ものであるかということをさらに医学的に追究するというようなことで、それぞれ分担を分けたようなわけであります。今まで学者の先生方から言われておりますことは、水俣というところの地形が、すでに不知火海というものが袋のような湾であって、その中にあるまた水俣湾というものが入口に島がありまして、これが事実上一つの天然の沈澱池みたいの地形をなしておる。そういう点はちょっと他の同種の工場のところでも例がないのじゃないか。従って、こうしたことが、そういった地形あるいは海流の関係、そういったようなことがいろいろ作用しているのじゃなかろうかということが、従来からこの問題の研究に当たった学者の方々で言われておる問題であると思います。従って、そういった海流の関係とか、地形とか、地質であるとかということについて、これまた経済企画庁あるいは水産庁、それが担当して、その辺の究明を続ける、こういうようなことになっております。
#24
○谷口弥三郎君 前回のこの委員会で御報告になった――個々の経緯としてお話しになったのですが、この前の熊大で尾崎研究班長がやっておった当時はマンガン、セリュウムというのが原因じゃなかったか。水銀の原因というのはごく最近に、ことに魚類解剖の結果から言われていると思いますが、いつごろから水銀の方に出て参ったのですか、それが第一点。
 それから第二点といたしまして、無機水銀が有機水銀に変わるという状況の調査はこれはなかなか困難なことで、いつまでかかるかわからぬ。今現に出ている有機水銀の中毒の症状はちょっとわれわれが見ておりましてもわかりませんような有機水銀の中毒ばかり出ておりますが、それよりか、すでにあなた方の方におかれましては、いろいろ対策をだいぶおきめのようなことが新聞にちらちら出ておりますが、そこまで一つ経緯を少しお話を願いたいと思いますから、どうぞ……。
#25
○説明員(聖成稔君) ただいま谷口先 生の第一点の御質問でございますが、有機水銀――熊本大学が有機水銀を重視されたということが外部に公表といいますか、洩れて参りましたのは、本年七月ごろでございますが、しかし、事実は早くから有機水銀というものに疑いといいますか、注目をされておったようであります。ただそれは外部に出ていなかった。それから一時マンガン、セリウムということが問題になりましたが、これらも、やはり先生御承知のように、中枢神経を侵すという点におきましては、これらの金属類もいわゆる類似の症状を呈しておる。しかし、その後臨床的な所見あるいは病理組織学的な所見、この辺を熊本大学で非常に綿密に調査されて、それで一万、現地の魚介類の分析であるとかその泥土の分析であるとかいうようなここから、もう最終的には有機水銀に間違いないというふうに固まってきておるようでございます。
 それから第二点の問題でございますか、確かに無機水銀がどうして有機水銀に変わっていくかという基点を明確にすることは非常にむずかしい問題ではあろうと思いますが、先ほど来たびたび申し上げますように、昨日も関係の各省が経済企画庁を中心に集まりまして、それぞれ分担して、一つ最低の労力はやっていこう。世界に例のない問題であるだけに、外国でも非常にこれらの結果には注目しておりますので、日本の科学陣の名誉にかけてもどうしても解決をしなければならぬであろうというので、一生懸命やっていくつもりでございます。
 それで先生のお話しの、相当手間を食うであろうから、いろいろ対策を考えておるであろうから、その点はっきりしろというお言葉もございましたのですが、これはそれぞれの立場で、たとえば私の方は、出ました患者の医療の問題、それから御案内のように、一応医療が一段落つきましても後遺症状が強い疾病でございますので、あとのめんどうを見るという問題がございますし、また、そこには生活援護の関係あるいは世帯更生資金の貸し付けといったような問題、こういったようなことは厚生省としても水俣問題に対する対策としてやっていかなければならないし、漁民に対する対策あるいは漁業転換とかいうような問題は水産庁がやっていかなければならぬと思いますし、また、労働省において失業救済というような観点からも対策を考えてもらいたい。いろいろ、あるいは一部には、最も有害地帯である水俣湾の中にまた袋湾という小さな湾がありますが、水俣湾の海底にある泥土をもって袋湾を埋め立ててしまったらどうだというような御意見が、衆議院からおいでになりました先生方の中に、かなり強いそういう御意見があった。この点は運輸省の港湾局あるいは農林省の農地局あたりもいろいろ研究いたしておりますということで、いろいろと広範にわたっておりますので、私だけでちょっと全般を申し上げることはできないと思います。
#26
○高野一夫君 大体この問題の様子はわかりました。今厚生省、通産省の誠意ある御説明で、過去は問わずということで、大体原因がわかってきた。ただし、有機水銀化合物にどうしてなるかということは、今後の化学的の研究に待つよりほかないわけでありますが、原因がわかってきた。さらに水俣市における各種工場があるとするならば、その方面の調査もやると、こういうお話しであるし、それから通産省がとりあえずは日窒に対しても厳重な警告を発して、汚水処理の施設を講ずべく指導監督をしている、こういうお話しでありますから、今後しばらく様子を見て、本問題はこれ以上やってみたところで、今後の経過を見るよりほかないので、厚生省と通産省が協力されて、そうして十分今後の経過をわれわれの方でも監視する。同時に、損害を受けた漁民に対する補償の問題をどうするか。いわゆる本州製紙の問題もあったわけでございますが、水俣における損害を受けた漁民に対する経済的補償をどうするか、こういうこともあろうと思います。こういうこともあわせて今後の政府当局の誠意あるやり方をしばらく観察することにいたしまして、そうしてその成果が上がることを期待しておるわけでありますが、その辺で、本日のこの水俣病に関する質疑は一応打ち切って、他日の機会に譲ったらどうか、もしそれを打ち切っていただくならば、私はこれに関係してやはり別個の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
#27
○委員長(加藤武徳君) ただいま高野委員から、本問題についての今後の大方の行き方についての御発言がありましたが、他の委員の方々いかがでしょうか。今高野委員の御発言のような方向で扱ってよろしいでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(加藤武徳君) それではさよう御了解いただきます。
#29
○高野一夫君 事件が起こったわけじゃございませんが、私は高知に行きまして、実は高知の浦戸湾沿岸の漁民大会がありましてそれに呼ばれて行ったわけなのであります。その前に、一応部分的に――高知市内を流れる、鏡川といったと思うのですが、今地図を見ているのですが、川の名前が書いてないのでわかりませんが、たしか鏡川といったと思いますが、これは上流は見ませんでしたが、市内を流れている下流の方面を視察いたしました。そして漁民大会に出席したのであります。ところが、なるほどこれはまことにすごいものでありましてこの市内を流れている川、坂本さんは御郷里だから一番詳しいと思うのでありますが、ほとんど川としては……川ではない、水は流れておらない、まあ流れてないことはないわけでありまするが、まるでどぶでありまして、メタンガスがぶつぶつ出ている状態、その悪臭それから何といいますか、不潔さ、これが市内なんです。この両わきは住宅だ、町になっている、これが放置されているわけなんです。どういうわけでこうなったかといって聞いてみまするというと、上流の方に七カ所のバルブ工場がある、それから廃液が流れる。ちょうど江戸川に対する――決算委員会でわれわれ調べました本州製紙の場合と同じ状態、それのもっと濃厚な状態が高知の川に起こっているのだと思う。従って、繊維質もずっと堆積している。水はわずかしか流れない。流れて川が注ぐ浦戸湾の漁民は、魚がとれなくなってこれまた生業を脅かされる、こういう実情なのであります。
 これに対しまして私はまず一つ厚生省に伺いたいのは、これは汚水処理、水質保全の問題は、二つの法律に基づいた行政措置は通産省が所管されるわけであるけれども、まず環境衛生、公衆衛生的立場から、あのメタンガスの出るどぶの川が高知の町のまん中にあるというような状態が放置されている。私は高知の衛生部長がよっぽどどうかしていると思っているくらいです。県でも始末に負えない、市でも始末に負えない、工場もおそらくそのままだろうと思う。こういうような状態を放置することは私はこれはいかん、ゆゆしい問題だと思うので、今後事件がまだ拡大しない、起こらない前に、すでに漁民の方では事件が起こって大会なんかやっているのでございますけれども、今後、そのほかこういうような水俣病的問題が起こらないように、浦戸湾の漁業、この近海漁業がさらにこれ以上の被害をこうむらないように早く処置をしてやる必要があると思う。それにはまず通産省と厚生省なんだけれども、水産庁もそうなんだけれども、厚生省は公衆衛生的立場からこの河川をこのまま放置していいとはお考えになっていないだろうと思う。その点聖成環境衛生部長は、最近高知を視察されたというお話でありますから、私の話がうそかほんとうかよくおわかり願えると思うのでありますが、これを一体環境衛生的立場からどういうふうに始末されようとしているのか。通産省に要請をして何か工場廃水の処置を急いで講じてもらう、同時に、建設省に対して河川の清掃、改修といいますか、掃除をしてもらう、何らかの方法をおとりにならなければ、このままじゃとても間尺に合わない状態なんです。これをどういうふうにお考えになるか。私は一応公衆衛生的立場からの厚生省の見解を伺っておきたい。
#30
○説明員(聖成稔君) 御指摘になりましたその川は――鏡川という川は非常にきれいな川でございまして、江ノロ川という北側にある川なんでございます。昔はずいぶんきれいな川だったと私は聞いておりますが、実は私も戦後六年間衛生部長をやっておりまして、事情はよく承知しております。
#31
○高野一夫君 あなたを責めるわけではない。
#32
○説明員(聖成稔君) 私が参りましたときもすでに相当きたなかったと思っておりますが、その後に確かにパルプ工場ができまして、あるいは。パルプ工場とまでいかない小さな紙工場がだいぶできまして、その廃液で江ノロ川が非常に汚染されるようになったということは私も承知いたしております。現住漁民とのトラブルは、県あるいは市が間に入りまして一応解決しておるということを聞いておったのであります。御指摘のように、非常に汚濁がひどい、それで昨年公共用水域の水質保全に関する法律、あるいは工場排水等の規制に関する法律が高野先生のおっしゃるようにできたわけでありますが、この法律がほんとうに動きますためには、いわゆる水質保全による指定水域に指定をされて、その指定水域においては工場等からの排水の水質の許容基準が定められることになっておるわけであります。その許容限度の範囲まで浄化したものでなければ流すことができないということになるわけでのります。従って問題は、これを、昨年できました二つの立法を基礎にいたしまして、江ノ口川等の環境の浄化ということを、あるいは漁業への影響の排除ということをやりますためには、剛段階としてどうしてもあの地域を水質保全法に基づく指定地域に指定してもらうことが先決問題であるということで、水産庁の方からも経済企画庁の方に、これは経済企画庁の仕事になりますので企画庁の方にお願いしておるわけでありますが、同時に、私どもの方からも、ぜひ指定してほしいというふうにやっておるわけです。明年度の予算要求でございますから、まだ何とも明確に申し上げられませんが、経済企画庁としては、ぜひ浦戸湾地域を指定地域に入れてほしいと、予算要求をこれに対してやっておるという状況でございます。それによりまして何とか改良をはかっていきたい、かように考えております。
#33
○高野一夫君 通産省に伺いますが、何かこれの、私は浦戸湾だけではなくて、高知県なんか何カ所かそういうような事例があるようなことを聞いております。きょうメモを持ってきておらないから忘れましたが、この土佐湾沿岸についてあの法律に基づく指定を経済企画庁がするかどうか別問題として、パルプ工場、それは通産省の所管だろうと思うので、これに対してどういうふうに高知県の問題をお考えになっているか、一応通産省の今までの調査、研究の結果を伺いたいと思います。
#34
○説明員(藤岡大信君) お答えいたします。ただいまの浦戸湾の問題につきましては、われわれのところでわかっておりますのは、江ノロ川の沿岸にパルプ工場が一社と、和紙の工場が三社あるようでございます。仰せのように、相当によごしておるような実情があるようでございまして、ただいま聖成部長から御答弁のありましたように、企画庁が毎年調査をいたして次々に指定をしていくわけでございますが、企画庁としても各省と打ち合わせの上、来年度におきましては浦戸湾をその指定水域にするための調査をいたしたいということで考えに入れておるようであります。ほかの地域につきましては、二、三そういう問題があるところを聞いておりますが、逐次全国にわたりまして指定水域を追加していくわけでございます。順次そういう地域を追加されて廃水の問題も解決されていくものと承知しております。
#35
○高野一夫君 よくわかりました。今一社ないし三社というお話があったが、私の聞いたところでは、上流数キロの間に工場としては七カ所あるということを県並びに市から聞いておるのです。そこで水域の指定は、まだできてないけれども、この七カ所の、四カ所でも五カ所でもけっこうですが、パルプ工場に対して浄化装置、それができておるかできてないか、また、水域の指定がなければ浄化装置の勧告といいますか、そういうものはできないかどうか、あるいはされているかどうか、それを通産省の方から伺いたい。
#36
○説明員(藤岡大信君) ただいまの御質問につきましては確実なことはわかっておりません。仰せのように、相当よごれておるものといたしますと、処理施設を少なくしかやっていない、あまりやっていないという事態も考えられるものと思いますので、よく調査をいたしまして、そういうことのないように指導していきたいと思います。
#37
○高野一夫君 調査の結果、当委員会に御報告願いたいのでありますが、私もおそらく浄化装置がやってないと思うのであります。現在即刻に浄化装置をやるように通産省の方からでも、企画庁からでも、どこからでもけっこうだが、会社に注意する、こういうような意思は持たれませんか。
#38
○説明員(藤岡大信君) 現在どの程度やっておるかを調査しなければわかりませんが、通常の紙工場がやっておる程度のこともやっていないということであれば、これは早急にやらすように指導いたしたいと思っております。
#39
○高野一夫君 どうも答弁が要領を得ない。こういうような高知の非常に大きな長い間の問題であるので、この汚水問題がやかましくなって、当参議院が取り上げて以来すでに足かけ三年になりますが、その間パルプ工場が相当あるような地域についての調査がまだ不十分であると思うので、まあ過去は追いませんが、速急に一つ調査をされて、その結果並びに今後に対する対策についてできるだけ早い機会に当委員会に御報告願いたいと思います。よろしゅうございますか。
#40
○説明員(藤岡大信君) 仰せのように問題があるとしますれば、相当問題になると思いますので、できるだけ早く調査をいたしまして御報告いたしたいと思います。
#41
○坂本昭君 ただいま高野委員から非常に親切に、また、詳細に浦戸湾の、特に江ノロ川の汚水の問題について指摘されましたが、実はこの江ノロ川の汚水の調査を経済企画庁で計画しております。そのための予算もとり、いろいろな具体的な計画も私存じておるのですが、それらの計画が経済企画庁のやる評価、それからまた、厚生省が公衆衛生の立場でそれをどう判断するか、それからまた、汚水を、廃液を出す工場の監督についての通産省、この全部がばらばらになっているということを私は非常に痛切に感するのです。今高野委員が一番指摘されるのは、やはり公衆衛生上の問題だと思うのです。もちろん漁民が魚が減ったために生活上困るという問題もあるけれども、先ほど来論じられた水俣のように、いつ何どき私たちが中毒になって、また、当委員会の審査の対象になるということも、これは決して予期できないことではない。従ってこういう点で、もう少し工業用水廃液の問題、特に臨海工場地帯がだんだんとできていく現段階において、この問題を単に地区の工業の発展という面よりも、もっと公衆衛生的な面で明確に私はつかむ必要があるのではないかと思います。そういう点で公衆衛生局長の方で環境衛生の中に今のような廃液の問題、それから鉱害、ばい煙の問題、あるいはこの春以来何度も指摘している放射性物質の問題、これらについて、もっと公衆衛生上の見地から行政機構も強化し、それから立法的な措置も推進する、そういう決意があるかないか、また、具体的にどういう御方針であるか、一つ御説明いただきたい。
#42
○政府委員(尾村偉久君) ただいまの、産業とかあるいは社会生活がだんだん高度になりまして、これから発しますばい菌、廃液はもとより、今のような中毒性の物質が、直接ないしは食品、水についての間接的にも公衆衛生の立場から一般民衆に危害を及ぼすということは、これは公衆衛生、ことに最近の公衆衛生の一番大切なことでございますので、従いまして、公衆衛生上の立場からはこういうようなものを早期に発見するということがまず第一でございます、しかもそういうものがありましても、また、受ける側の環境によりまして、全然差しつかえない場合、それから必ず差しつかえが起こる場合、これは立地条件によって違うと思いますが、これと結びつけて早急に手を打つという場合と、それからまあ将来にわたってそういうことの発生のないようにという二つあるかと思いますが、この場合に、現に幾つか起こっている、水俣ほどひどくありませんが、たとえば非常に大腸菌が農家の使用水の中に出るような状況にあるというようなことでありますと、いつ赤痢の蔓延が起こるかわからぬというような類似の立場の場合には、これは保健所ないしは府県ないしは大きな市の衛生試験室におきまして、定期的また臨時にそういう疑いのあるときには検査をしておりますが、その結果に基づきまして、現行の公衆衛生の法規ないしは行政措置できめられていることで措置できることはいたしておりますし、また、今後やりますが、現在の公衆衛生で握っております権限外の問題の場合には、こういう調査に基づいてそれぞれの必要なところに勧告なり報告をして善処を求める、こういう形で公衆衛生の問題は処理していきたい、かように存じております。
 それからなお、今の鉱害、放射線を含む鉱害の問題は、現在実はよるべき法規ができておりませんので、これは先般来厚生省でも鉱害防止法、ことに生活環境に関係のある鉱害に対する防止法のごときものがぜひ必要ということで、これは立案の準備をいたしまして検討を進めておりますが、御承知のように、昨年の水質防止の法律のいきさつから言いましても、厚生省のみならず、関連の部面が非常に多いものでございますので、やはりそれぞれのそういう手続を経て、また、扱い方もあれと同様なおそらく経路が必要であろうかということで、厚生省は厚生省なりの案は作成するように、科学的な調査の裏づけを今収集しておりますが、さようなつもりでおりますので、この問題につきましては、厚生省としては熱心に今後やっていくという方針でおりますので、御了承願いたいと思います。
#43
○坂本昭君 厚生大臣に伺いますけれども、今の問題熱心にやられるということですが、どうもまだ熱心の度が足りないと思うのです。今のたとえば鉱害についてあるいは最近問題の核実験による放射性物質の問題についても、これはそれぞれ科学技術庁あたりでいろいろデータを集めている。しかし、一番人体に対する影響の面では、厚生省が特に環境衛生の面で私はもっと積極的にならなければならぬと思う。ところが、いつもそういう場合に厚生省の行政というものはあまり熱心じゃない。たとえば東京都内でこの夏以来問題になっているヘップサンダルのべンゾール中毒の場合でも、これなど当然保健所がみずから積極的に乗り出して、保健所の責任と保健所の費用をもって中毒の集団検診をやるべきだと思うけれども、一応これは労働問題として労働省がこれを取り上げてそうしてかつ労働省から公衆衛生局の方へ依頼したという格好、しかもまた、保健所にはそれだけの検査をやる能力がないために、都の各病院が相当の費用を負担して、特にその負担の一部分は家内労働に従事している人たちが乏しい経済の中から負担をしてやっている。私はこういう点をみると、厚生省の鉱害あるいは今のような家内労働の中毒の問題についてもっと行政的にも強力に推進すると一緒に、予算ももっと持たなくちゃいかぬと思うのですが、大臣の方針、ことに来年度の予算に関連して御所見を承りたいと思います。
#44
○国務大臣(渡邊良夫君) もちろん御指摘の通り、私ども公衆衛生局の立場といたしましては、その機能の許す最大限の範囲におきましてこれを措置いたそうと考えておるのでございますが、しかし、何といいましても、各省にまたがっておるところの問題でございますので、この面につきましては、もう少し有機的に将来経済企画庁を中心といたしまして、広範な、かつ総合的な、科学的な一つの見地に立ってその対策を講ぜしめるようにいたしたいと、かように考えております。あるいは場合によりましては、この行政管理庁ともよく連絡をいたしまして、機構の面におきましても十分強化をいたしたい、かように考えております。
 また、ベンゾールの問題につきましては、これは私どもの公衆衛生局の立場、あるいは厚生省の立場といたしましては、厚生省の段階におきましては、これは劇物でもあるいは毒物でもないと、こういうことになっております。しかし、これは十分にこちらから資料の提供等をいたしまして、労働省におきまするところの労働環境上におきまして善処せしめるよう十分な連絡はとらせておる次第でございます。これは労働省といたしまして、労働環境上におきまして、労働基準法等の問題といたしまして相当研究しておるように伺っております。
#45
○勝俣稔君 先ほど来、環境衛生の問題についていろいろ御意見があり、実に環境衛生は膨大な仕事であると私は思っております。なお、今大臣の仰せのように、各省との関係もございまして、私は今の局長のお話によると、今の機構においてできるだけのことはやるというようなお話でございまするけれども、これは単なる私は今の機構じゃだめじゃなかろうか、こういうように考えておるので、今大臣も機構のことも考えてやらなければならぬというように私は承ったので非常に心強く感じておる次第でございますが、どうか環境衛生問題に十分に努力できるような、効果を上げるような機構を一つ十分お考えを願いたいということを私申し上げまして、大臣の御意見を承りたいと思います。
#46
○国務大臣(渡邊良夫君) 御意見のように、さっそく事務当局とそうした対策立案といいますか、そういう面につきまして検討をいたしたいと、かように考えております。
#47
○高野一夫君 私、最後に一つ、大臣がお見えになったから大臣にお願いしておきたいことは、詳しい答弁は要求いたしませんが、きょう水の問題が出たわけなんですが、厚生省としては、われわれ当委員会としても非常に重大な関心を持たなければならぬのは、飲料用の上水道用水対策だろうと思うのです。ところで、この用水対策の問題を調べると、工業用水は通産省、農業用水は農林省、上水道用水は厚生省、ビルの暖房用水は建設省、こういうわけで、同じ水系から出る用水対策を立てるにしても、一つ一つ目的によって所管の省が違っているわけです。これでお互いに皆困っているわけなんでありまするが、そこで川をきれいにしたり、あるいは飲料の水を確保したりするためにどういう用水対策を立てればいいか。基本の工事は結局は建設省でやるよりはかなかろうと思いますけれども、途中でそれがまた工業用に流れ、農業用に使われ、上水道に使われる仕組みになっているのじゃなかろうかと思うのですが、当委員会は上水道用水の確保、それと河川の清掃による環境衛生の問題、これらのことを総合的に、当委員会は重大な関心を持っておりますので、厚生省は今後各省との用水対策について十分お打ち合わせを願って、そうして適当な機会に当委員会において検討を進めて参りたいと思います。これは大臣にもお願いしておき、委員長にも要請をしておきたいと思います。
#48
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて上手さい。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
 それでは、水質汚濁の問題につきましては、この程度で本日の質疑を終わりたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#51
○委員長(加藤武徳君) 委員の異動を報告いたします。
 本日付をもって藤田藤太郎君が辞任し、その補欠として千葉信君が選任されました。
  ―――――――――――――
#52
○委員長(加藤武徳君) 次に、保健所の問題、健康保険の問題、それから保険医の監査の問題等を一括議題にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(加藤武徳君) それでは、一括議題にいたしまして、質疑の御希望の向きは逐次御質疑をお願いいたします。
#54
○坂本昭君 公衆衛生局長に伺います。保健所の現況と問題点を簡潔に説明して下さい。
#55
○政府委員(尾村偉久君) 保健所の現況をまずごく概略申し上げます。
 現在七百九十三の保健所を全国に置いてあります。これは県立と政令の二種類になっております。問題点の第一点は、一番因っておりますのが保健所の職員の充実が非常にむずかしいということで、これが保健所法に定められております保健所のやるべき任務の遂行に非常な困難性を加えておる、これが第一の問題であります。
 しからば、その一番保健所活動の中心である保健所の職員が十分獲得できないという原因は何であるかという問題点を申し上げますと、第一は、やはりその中で医師を中心とする技術職員が、都会ではまだ比較的充実は可能でございますが、地方の大部分の保健所に行くべきこういう医療の技術職員が非常に行きにくい。それの問題の第一点は、給与の問題でございます。これは地方におけるいろいろな民間のこういう技術者の待遇と比較いたしまして、どうしても保健所の医療技術員の待遇が、いろいろなこれは公務員としての機構がございますので、非常な格差がある、そのために保健所に行かない。いま一つは、こういう医療の、ことに医師を中心とする医療の専門のものでございますと、全部がその修業中には大都会における医科大学なりあるいは理科系のそういう大学を出ておるわけであります。都会生活を長くやり、また、その内容が相当な知識的な機能的な仕事でございますので、大体地方に行った場合には、その生活が非常にそういうような素養にそぐわない、知識の供給にも欠くというようなこと等から非常に行きにくいわけであります。これが待遇改善と、それから今のようなそういう専門職に対する行きにくい理由、その他の理由の改善というようなことは今問題の一つの大きな点でございます。それからこれはいずれその職員の充実が非常に困難であることから発することでございますが、非常に仕事が過重になっている。で、今、厚生省だけでも保健所に負わしている任務が非常に多いのでございますが、これらのさばきに、人員不足のために非常に困難を来たしております。先ほどもベンゾール中毒のお話もございましたが、まあ一般の管内の民衆全部の生活に伴う健康状態を常時こまかく把握して、できるだけの対策を講ずるというのが保健所の健康指導の大事な仕事でございますが、これになかなか手が及ばぬというのが今の不十分な原因でございます。
 それから今のような、しからば待遇改善は府県ないしは政令等でどんどんやったらいいじゃないかということでございますが、先ほどの給与の問題がございます。それから同時に、このためには国庫補助がついているのでございますが、この国庫補助率が現在三分の一でございますが、実質は給与単価に四分の一近くにしかなっていないというようなこともございまして、県でもそう簡単にはこの給与の増額ということが給与体系の問題も含めましてなかなか行なわれない、こういうようなことでございますので、この国庫補助の額の増額ということが非常に重要であります。こういうようなこと、以上が概略と問題点でございます。
#56
○坂本昭君 ことしの三月の三十日に、例の医療保障委員が最終の答申を出していますが、その中に、公衆衛生のあり方について一つの勧告といいますか、意見を出しております。その意見書の中に保健所の欠陥を根本的に改善をしなければならないという点が触れてあります。これについて、保健所行政の当事者である局長として、この意見についてはどういうふうに考えておられますか。
#57
○政府委員(尾村偉久君) 保健所の再編成といいますか、根本的に保健所のやり方を改善するという点につきましては、これは現況が全部、保健所では理想的に現在のやり方がいっているとは存じておりませんので、相当改善を要すると、こう存じております。
 その中で第一点は、保健所法ができましてもう二十年ほどたつのでございますが、全国に保健所を早急に普及するという目的で、これは一応規格等は同一的にやっております。その中で分けておりましたのは、人口の大小によりましてA、B、C、というような規格のみで分けてきたわけであります。ところが、最近の社会情勢によりますとそうではなくて所管している対象人口の生活の態様によりまして保健所の業務を根本的に改める、そうしてそれに応じたやりやすいような仕事に編成するというのが非常に重要なことである、かように存じまして、現在至急に保健所を四つの型に分けまして、これに応じた予算人員、職種別の人員等を配置して、その保健所ごとの地域性に応じた特殊性を能率的に発揮させよう、こういう計画を今進めております。大まかに申し上げますと、都会型、それからいわゆる農村型、これは漁村も入りますが農村型、それから都会と農村とあわせた中間型、それから辺在にある型、こういう四つに分けまして、それぞれに応じた職種別定員なり、あるいは業務予算というようなものを配賦をしよう、こういうようなことを一つは考えております。
 そのほかに、先ほどから言いますような、職員が獲得できませんとこれは何にもなりませんので、それの獲得に対するいろいろな充実策、これらをあわせてやっていく、かように進めているわけであります。
#58
○坂本昭君 医療保障委員の指摘したところを何かそれに賛意を表して、根本的に改善しなければならないふうな局長の意見に聞こえましたが、実は私は少し違った考えを持つのです。それはなるほど従来は保健所の仕事は急性伝染病に主眼点を置いておったかもしれません。それがだんだんと結核や精神や慢性疾患あるいは成人病に主眼点を置いてきたので、医療保障委員が指摘するように、第一線機関として個人サービスを行なうのに十万人だとか十五万人というような対象は少し大き過ぎる。だから今までの十万人以上を一つの単位とする保健所の設置の基準をくずすべきだというふうな結論が生まれてきたのじゃないかと思うのですが、実はこれは保健所というものはあくまでヘルスセンターである。ヘルスセンターであって診療所と違うのです。だから十万とか十五万ということが多過ぎるということは私はあり得ないと思う。だからこういう考えになるならば、今までの保健所行政というものは全くくずれてしまうと思う。これが第一の私が反対する点であります。
 それからもう一つの点は、医療保障委員の指摘するところでは、今局長の言われた通り、多様なしかも高度な専門技術家をなかなか雇うことはできない、この委員会でも不可能に近いというふうに書いてあります。ところが、これはこういう多様なしかも高度な専門技術家がいないということか、それともあっても雇えぬということかというと、あっても雇うことができないということなんですね。だからこれは、雇うことができるようにすれば私は解決ができると思う。だから、新時代に即応する再編成が必要だとは言うけれども、その再編成の内容は今あなたの言われた四つの型に分けてやるということはちっとも新時代に即応しておらぬと思う。ことに、もし今局長の説明せられた通りの考えがこの医療保障委員の答申にあるようなことと一致するとすれば、非常な問題点がある。それは保健所というものを一種の保健衛生の技術的統括調整機関にしていくべきだというふうなことが、これには指摘されている。私はそういう意味で保健所の再編成を考えておられるかどうか、その点を一つ承りたい。
#59
○政府委員(尾村偉久君) 先ほどの御質問に対しては、要するに保健所の現況でいいかどうか、これの改善を要するかどうかという点で、総括的に改善を要するという意味で申し上げたので、個々の内容の一項目ごとに賛成しているとか、批判しているという意味ではないので、この点は御了承願いたい。
 もう一つ、ただいまの御質問の保健所を医療衛生のまあ統括機関というふうなお話でございますが、統括機関といいますと、これは何か官庁的に一切を指揮命令するようなお話といたしますと、そういうふうには考えておらぬのでございます。むしろ保健所というのは、その地区における衛生の状況を把握する、これはまあ統計もございますが、管内の国民の状況を把握するということが第一であり、その把握に基づいて管内の衛生がどういういうふうに改善されるべきかということを企画し、プランを立てる。実際にこれを行なっていただくのは、保健所の――やはりその世話役として管内の医療衛生関係の方々のそれぞれの任務を管内の衛生向上のために発揮していただくというための運転役、これが保健所の一番の任務の中心である。もちろんその場合に地区によりましては非常にへんぴな所でございますと、支所を設けて若干これは保健の指導とあわせてごくごく小部分の診療をせざるを得ないという所もございましょうし、あるいは保健所も今法律で幾つか規定されております監督あるいは認可業務、これは府県知事の出先機関としての任務を付与されておりますが、やはり根本は今のような管内の衛生状況を把握して、それ全体を改善するプラン・メーカー、それからそれに関係者が地元民を含めてやっていくためのこれは運転役、これがやはり一番大事な点、それに伴う保健所らしい健康指導、衛生教育、こういうことは実務としてやりますが、そういうところにある。それのために先ほど言った四型の分類もそういうような任務を遂行しやすいために、画一的じゃいかぬ、こういうことの再編成を考えておるわけであります。
#60
○坂本昭君 そうしますと、私が一番心配したのは、この医療保障委員の勧告に従って、あなたの方で再編成をされるのではないかという疑点が持たれたけれども、今のように伺うと、医療保障委員が勧告している、保健所の上にさらに上級の監督者を置いて国民保健の国家的管理機構を確立する。そういうことをこれは勧告をしているのです。ちゃんとそういう文章が載っておりますが、何だか小泉親彦中将が厚生大臣であったときに、国民の体位向上を国家管理でやった。ああいうふうなことをこの医療保障委員、これは厚生省の任命した委員だと思うのですが、こういう考えのもとに今度の保健所の再編成ということはできていない、そういうことによって計画されているのではないということだけは、私も一つこの際確認をいたしておきます。が次にいろいろ保健所の実態を見ますというと、今言われた通り、たとえば保健所の仕事というものは、法律だけでたしか関係の法律が公衆衛生関係だけで三十四、医事関係八つ、薬事関係七つ、その他の関係法律十七、全部で六十もある。それからまた、これは地方の保健所で予算の科目をちょっと調べてみると百三十九節、非常に多い。しかもその中には金額が千円以下というような節が二十もある。非常にひもつき予算であり、かつ、こま切れ予算であります。保健所の実態の中で、実は地区の住民は非常にいろいろなことを要望しております。たとえば一番要望されるのは、やはり環境衛生それから巡回健康相談それから赤痢だとか、結核だとか寄生虫といった、こういうものの予防、それから栄養改善、こういう地区住民が非常に熱心に保健所というものに期待し、要望を持っている。にもかかわらず、局長のさっき指摘された悪い労働条件、その悪い労働条件の中には、これは北海道の開拓保健婦九十四名の例ですけれども、この九十四名のうち五十九名が非常勤職員で、一人平均年十八万円の報酬、そして手当はない。健康保険もない。それから退職金もない。それから勤務の実態は定数内職員と少しも変わりがない。こういうふうな非常に悪い条件で勤務している。それからさらに、たとえば衛生教育などをやるのに夜やっています。夜じゃないと皆暇じゃないので夜やる。そうすると、そのための超過勤務手当なども支払われていない。これはある保健所では一年間に、たった一人平均八百円しか超勤を支払われていない。それから旅費も実費弁償がやっと入るぐらいで、結局保健所というものは、保健所の技術職員のいわば熱情とヒューマニズムで行なわれておる。従って、たとえば保健婦、その中心になる保健婦の実情を見ると、これもある保健所の実例ですが、四十八名中二十四名が結婚をしている。それが三十三年の一月からことしの九月までの妊娠、分べんの状態を言うと、出産十のうち死産一つ、未熟児の出生が三、つまり母子衛生の指導者をやっている人が一番の大きな何といいますか、被害を受けている。これは全県平均で七%しか未熟児の出生がないにもかかわらず、この場合は出産十のうち死産を加えて四つ、非常な悪い条件である。私はこんな悪い条件の中で保健所の人たちが働いているので、少なくともこの中でまず第一には業務の簡素化ということですね、これも考えなくちゃいかぬ。それから労働条件をよくするためには、今局長の言った国保の国庫補助の対象が実際は三分の一が四分の一であるということですね。たとえば国民健康保険の保健婦はたしか十六万円が頭打ちであったと思いますね。これなども非常な私は矛盾だと思います。これをどういうふうに改善するつもりを持っているのか。あるいは産休代替要員ですね。これは私たち参議院では今保健婦を含めて、継続審議中です。これなども今のような保健婦の妊娠、出産の実態からいえば、どうしても考慮しなければならない私は問題だと思う。それからさらに地区住民の要望が非常に強いのだから定員をふやさなくちゃいかぬ。ところが、今度の新しい再編成によると、全部の数が現在の定員が三万一千六十七で、現在員が二万八百八十二、今度の新しい定員でいくと三万三十四、これが相当な減員になります。これほど現在地域住民が保健所に対して要望しているにもかかわらず、なぜその定員を減らすか。ふやさなくちゃいけないのにかかわらず、なぜ減らさなくちゃいかぬか。それはあなたの方でこういう四つのタイプで合理的だというけれども、これで能率が上がり、そうして保健所のサービスができるというならばともかく、私はそういう根拠というものは少しもないと思う。
 それからもう一つは医師の給与の問題、これはほかの人の場合もありますけれども、特に医師の給与について、今度、これは公衆衛生局も医務局にも両方に関係してきますが、具体的にどういう考えを持っているか。もう少し具体的な内容を説明していただいて、さらに質問をいたしたいと思います。
#61
○政府委員(尾村偉久君) お答えの順序が逆になるかもわかりませんが、今まっ先に、最後にございました定員の減の問題でございます。ただいま御指摘の三万三十四人というのは、これは交付税に算定いたしてもらうためのいわゆる積み上げ計算です。前から、これはもう十数年来からきております計算に基づく大まかな割り振りでございます。で、実際の予算に計上いたしますのはこれではなくてことしで言いますと、約二万二千人という実際にその年のうちに採用できて、確実に使えるというのが予算に計上されるわけでございまして、いわゆる補助予算、それは本年度が約二万二千名であるのを、再編成後の来年度は確実にとれるという見込みで二万四千三百人で、一割の実質増加を予算上も要求しております。従って、予算額もそれだけ増加するわけでございます。ただいまの減少いたしましたのは、これは今言いましたような従来全国を画一的に医師と保健婦というふうに大まかな定数で前に作りましたものが、途中で削減されたりふえたりというような形で、実際の根拠が非常に薄くなっている形になっておりますので、今度はそれには関係なしに、一応新しい再編成に基づいて、必要人員を算定して、それを蓄積した結果、結果的に一千名ほど、これは職種が非常に多種類でありまして、それを全部積算した結果がそうなったということでございます。実際にはその必要定員に早くもっていくように、来年は一割を現実にとれるようになっておりますが、もっていく上にとにかく年次計画でふやしていこう、こういう目標でございますので、直ちにこれが各保健所から人を落としてしまうというようなものではないのであります。その点は御了承願いたいと思います。
 それから業務の簡素化がこういうような中ではぜひ必要でございますが、とれにつきましては、確かに先ほどの御指摘の法律なり業務が全国保健所に非常に下がっている。この中にはむしろ府県知事が当然やるべきごとを全部保健所に落としておりますが、これはむしろ直接府県の衛生部で受け付けて民衆も不便がない、また、保健所に一々負担もかけないというような種類か相当ございますので、これは府県に直轄に戻す、差しつかえないものは戻す、こいつをやります。それからさらに法律には基づいているようでありますが、調査事項が非常に多いのであります。これは厚生省の中からも、これが組み合わさって多数いきます。これを今整理をことし一部いたしましたが、これが簡素化の一番大事なもので、これをやっていく。こういうふうにいたして、それだけで万全ではございませんが、簡素化をできるだけはかっていきたいと、こう存じております。
 それから先ほどの仰せのございました開拓地の保健婦というのは、これはあるいは保健所の保健婦ではなくて、農林省の開拓農村のためにやっている保健婦ではないかと存じますが、いずれにいたしましても、各地区どこでも必ず保健所の世話にはなっているのでありますから、国保の保健婦というのを、保健所の保健婦ではございませんが、やはり同じ保健所の保健をやるのでございますから、決してわれわれ関心外ではない。とりあえずは保健所の職員の今の裏づけだけでも、われわれの責任でございまするので、やって、それに連携をとって、私どもの所管の保健婦も、タイアップする以上は待遇もできるだけそれに一致するようにと、こういうことはわれわれも要望いたしております。
#62
○坂本昭君 まだ産休予備定員の問題……。
#63
○政府委員(尾村偉久君) それから産休の問題は、やはり昨年来のことでございまして、ことしもわれわれの方から、府県にもしこの産休のための臨時職員が、どうしても、本定員で、欠員のままでこれを埋めれば一番いいのでございますが、それがとれないで、臨時の方がとりやすいという場合には、われわれの方で補助の申請があれば補助はしておいてよろしい、こういうことも指示しております。来年度も、その産休の人員が、十分確保されるような補助予算を提出中でございます。
#64
○坂本昭君 どうもその一応の説明にはなったけれども、局長としては、厚生省として、もっと保健所に対して、保健所の職員に対する愛情と、それから保健所行政の熱意を持ってもらわなければいかぬと思うのですね。たとえば今繰り返してお尋ねすると、産休の予備定員の説明もあったけれども、医師の給与のことについて今度省議では一〇%、たしか医師の給与をべースアップすることについて、公衆衛生局長、省議で決定しているのじゃないですか。それからさっきの国庫補助の三分の一を、二分の一にしてもらいたいという要望は、前々からあるのだけれども、これがどうしてなかなか実施されないか、その点の説明をしていただきたい。
#65
○政府委員(尾村偉久君) 医師の待遇改善につきまして、今の一〇%ということは、どれに当たりますか、ちょっと私、判断できませんので、むしろ総括的に、来年の保健所の医師の給与改善で、今予算提出中のを申し上げますと、現在医師の年間の給与費を、これは補助対象になっておりますが、ことしは三十五万円でございます。それを来年は三十九万円にする、約一割強、これではないかと思うのであります。そのほかに、これは全然それ以外に、研究手当といたしまして、現在約月三千円を補助対象にいたしまして、支給しておりますのを、来年は医師の研究手当一律一万円、これは毎月でございますから、今の三十九万円に年額十二万円加算されるわけであります。こういうような形で参りたい。あとは公舎を設置するとか、いわゆる現物給与的に給与を改善するという、幾つかの問題を考えております。これは給与そのものではありませんが、やっております。
#66
○坂本昭君 三分の一が二分の一にならないのは、どういうわけです。
#67
○政府委員(尾村偉久君) 実はこの三分の一と二分の一ということについては、保健所の方からも非常に要望があり、県からも要望がございます。ただわれわれといたしましても、補助対象の基本額と、それからこの補助率と、この二つあるわけでございますが、両方とも一挙にこれができればそれにこしたことはありませんが、まず何といいましても、三分の一が実際には三・五分の一か四分の一になったままで、二分の一にしても、また三分の一か二・五分の一になるだけだ、先にこの補助額の実態に合わぬのを是正するのがまず先決ということは、これによりますと、府県に補助する総額は、率を上げた場合も、基本額を上げた場合も、やはり額でなおかついくのは、財政援助になりますから同じでございますが、来年はそれに集中して、一番妥当な額を要求しようということで、今医師の一例も申し上げましたが、これに集中したわけでございまして、それがうまくいけばまた補助率の方に、それに基づいていく、こういうような順序でやりましたので、決して補助事を上げることが不必要というので、あきらめたという意味ではないので、この点御了承願います。
#68
○坂本昭君 どうも先ほど来から伺うと、今度の新しい再編成で減員になるのは、結局欠員を満たすことができない、その欠員を満たすためには、たとえば国庫補助率を上げることについても十分できてないし、それからまた、医師の給与についても、これは若干従来よりは少しよくなったように思われますけれども、まだまだ不十分な点がだいぶあるらしい。そこで先ほどの設置基準の問題ですけれども、これで今まで人口十万を一応最低基準にしておったのを、今度はもう最低じゃなくてむしろこれがスタンダードになる、そういうことになれば、従来の十万単位というものがこわれてしまうので、保健所の増設というものはもうとまるのじゃないか、これを第一に私は伺いたい。
 それから今までのABCの規格があったのを、今度は人口によって三万から二十五万ですか、非常にこまかくいろいろ分けておられる。そうして結局この定数を減らして、補助対象人員が少しふえるようなことを言っておられるけれども、実質的には最初保健所法によって出発したときに比べると、もうあのときの夢が破れてしまって、補助対象人員の増加も、これは阻止するという結果になるではないか。それから三番目に、都市だとか農村、山村僻地型だとかいうふうな新しい分類をしているが、この分類によって新しい定数ができることは、将来この分類の格差がだんだんひどくなっていって、ほんとうの保健活動というものはできないのじゃないか、この新しい再編成について、以上三つの点を、私は疑問に思うのですが、御説明いただきたい。
#69
○政府委員(尾村偉久君) 第一点のこの増設の必要がなくなるのではないかという点でございます。これは四分類をいたしましたほかに、それぞれの地域の社会状態によりまして、人口別のまた中で五段階に分けております。それらを積算いたしますと、まだまだ増設を要する計算になります。従いまして、来年も六カ所の増設を今要求中でございます。これはまだまだこの再編成によりまして、はっきりとどこの土地にはどういう種類の型に増設を要するという結論が出て参りますので、これによりまして、御心配の点は従来より一そう少なくなるわけであります。
 それから第二の補助定員といいますか、補助を要する定員の数が頭打ちするのではないかという、確かに先ほどのお話のように、今までとっておりましたこれは補助対象人員ではなくして実際交付税の算定基準でございますから、これの方が千名減ったという、現実にはそういうことになりますが、実際には先ほど言いましたように、その年々の実際の予算額ということは、二万二千名から二万四千名にふえると、こういう形で実際の獲得可能数というもので、これは予算を組むものでございますから、決して今のところ頭打ちすることはないのでございまして、ただこの再編成後そういうふうな人員が獲得されていってから、先ほどの従来総数できまっております三万名余のものにほんとうに到達した場合に、それでとどまるかといいますと、これはもうそのときには、また今増設をやります保健所で細分されていく。その地域の状態にもよりまして、そのときにはまた増加をする。これは将来変遷するものではないか、こう思っておりますが、現在は決して頭打ちをするというような原因にはならぬ、こう存じます。
 それから分類の格差が将来ひどくなるのではないか――たとえば農村型にされたものは、やはり職員の充実も、それから業務費も頭打ちして、都会地のようなものがどんどん抜けてしまって、同じ保健所でも一方に行き手がなくなるとか、そういうような格差の問題だと思いますが、これはある程度、皆が最高の東京のまん中並みの、一番何となしに大きくてよさそうなということを望むのは人情の当然のところだと思います。それが現にある地域と合わないようなものを何でもいいから、いいものをきめておけばということでは、これは不合理でございますので、これはある程度の格差といいますか、分類するための分類でございますから、実情に応じた……。ですから、これは考えによってはやむを得ないと思いますが、しかし、その農村地帯であったのが逐次工業地帯になりまして、都会型になってくるという場合には、これはもちろんそういうように格を上げるというか、分類がえをして実情に合わせる、これは当然のことでございます。そのつもりです。これで永久に固定するというつもりはございません。
#70
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#71
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて。
#72
○坂本昭君 ただいま保健所問題を議論いたしましたけれども、確かに再来年の国民皆保険を前にして公衆衛生中心の保健所問題というものは、今大きな曲り角に来ておると思います。その曲り角におる一番大きな隘路は人の問題です。いい人を得ることができない。そういうことで今度の新しい設置基準を作るということは、私はどうしても保健所を上昇させるのではなくて悪くさせるとしか思えない。むしろ、今までの隘路の点、欠員が生じてやむを得ないという点は私も率直に認めますが、これを打開するためにもっと積極的な方途を講じていただきたい、そうして、少なくとも今度のような悪い設置基準にレベル・ダウンをすることについては、これはぜひやめていただきたい。厚生大臣の今の新しい保健所の設置基準について、保健所行政の方向転換についての意見と、それから医師の待遇改善について、二つについて大臣の意見を……。
#73
○国務大臣(渡邊良夫君) 明年度予算におきまして保健所の内容の改善、それから手当の充実、こういう点につきまして十分考慮を払っております。もちろん、坂本委員の御指摘の通り、私は保健所活動というものが今後ますますわが国の保健衛生の上に最も国民皆保険と並行いたしまして充実させなければならない大きな重大使命がある、かように存じまするので、この点につきましては、とにかく内容の充実、設備の整備、こういう点と、人員の充足あるいは手当の増額、こういう点につきまして常に考慮を払っておるわけでございます。
#74
○坂本昭君 先ほど局長は今度の新しい再編成で決して能率は低下しないということを言っておられましたが、各地の保健所でそれぞれ新しい編成に基づいて定員の計算をやっております。たとえば、これは北海道地区、北海道の札幌市では従来現定員が百四十五、これが新しい定員にすると百三十一、こういうふうに低下してくるということは、私はもう必至の情勢だと思う。そういうことで、渡邊厚生大臣になって保健所行政は悪くなったという汚名をこうむらないように十分注意をしていただきたい。それから医師の待遇改善のことについて今年の人事院の調査で、すでに民間医師とこれは国立病院、療養所の医師の給与の比較でありまするが、国立病院、療養所の医師が三三・四%低い。この七月の勧告によって中だるみを若干是正して、それでも七・三四%の増額で、やはり民間とは二六%程度の差があります。それで厚生省が今度は、最初は二〇%のべース・アップを考えておられたようだが、一〇%に決定して今予算要求だということを伺っておりますが、これは医者自身のためではなくて、私は公衆衛生、国民医療のために医師の待遇をよくする必要があると考える。これについて今の具体的な予算の内容について医務局長、それからこの予算の獲得について厚生大臣の御返事をいただきたい。
#75
○国務大臣(渡邊良夫君) 本俸の約一〇%の相当額を、手当といたしまして、一人当たり三千円程度今要求しておる次第でございます。
#76
○坂本昭君 局長、確約できますか。
#77
○委員長(加藤武徳君) なお、具体的に川上局長から答弁を求めます。
#78
○政府委員(川上六馬君) 御指摘の通りでありまして、この中だるみの是正が実現しましても、なお民間の医師の給与に比べまして二割六分ほど悪いわけでございます。それで、来年度の予算におきましては、本俸の一〇%を診療手当として支給するような予算の請求をいたしておるわけでございます。その年間の所要見込額というのが、国立病院と国立療養所――国立らい療養所、国立精神療養所、国立脊髄療養所というふうに、全部を入れまして一億二千六百万円要求をしております。
#79
○坂本昭君 さっきの公衆衛生局長の説明と保健所の医師に対してはかなり積極的なべース・アップの手段が講じられていると思うのだが、それでも保健所というものは今瓦解に瀕しよとしている。それでは医務局の方はまだ及ばないじゃないですか。そうすると、国民医療というものを一応考えておられる厚生省として、国立病院、療養所というものに医者というものはいよいよ来ないということになるのじゃないですか。これについて、医務局長はどう考えておられますか。
#80
○政府委員(川上六馬君) もちろん、今これだけの来年要求しているものをかりに実現いたしましても、なお民間の給与よりも悪いわけであります。ことに、民間給与におきましては、基本給与のほかにいろいろ手当が多いわけでありますから、そういうものを入れますとなおさら悪いわけでありますから、私どもといたしましては、今後なお一そう引き続いて改善に努力をしていかなければならぬというふうに考えております。それから、なお、来年におきましては、診療手当のほかに、医長の調整号俸を上げるとか、あるいは副医長の管理職手当をつけるとか、あるいは研究費を増額するとか、そういうようなことも待遇改善のために要求いたしておるような現状でございます。
#81
○坂本昭君 どうも医務局長は、国立病院や療養所を、ほんとうの本来の使命を果たすために、特に中に働く一番大事な医師をどうするかということについて、全く熱意を欠いているのじゃないかと思われる。たとえば、本委員会で前々から問題になっている埴生の療養所のあの統廃合の問題、これも結局医者がここにおらない。聞くところによると、現在一人専任の医師がおるけれども、それも来月の中旬くらいにはやめるのではないかと言われている。そうなってくると、一体これは厚生省としてはこういう国立病院、療養所をみずからつぶすおつもりなんですか、どういうおつもりなんですか。
#82
○政府委員(川上六馬君) つぶすような考えは毛頭持っておりません。一般的に、今申しましたように、医師の待遇を改善しなければならぬということは、十分考えておりまして、また、その努力を今いたしておるわけであります。埴生の療養所に医者がいなくなるということは、これは待遇の問題も一部あるかと思いますけれども、患者が医長などを突き上げまして、前の橋詰療養所長なども、患者から突き上げられまして、そうして全くノイローゼのようになってしまって所長の任にたえないというように私どもの方は考えたものでありますから、交代をいたしたわけでありますが、新しい所長につきましても、最近また患者を入れろと、いうようなことで突き上げまして、殖生の療養所は、御承知のように、この前も本委員会で、将来医療統合をやるという方針をはっきりいたしましたにもかかわりませず、相変わらず患者を入れろと、所長の許さぬ患者を二名までも入れさせましてそういうことで所長も大へん困りまして、さらに、きょう聞いた話では、もうやめさせてくれと、私には勤まりませんということを言っておるような次第でございまして、そういうような事情で、医者がまじめに患者の診療に従事できないというようなことから、辞意を漏らしておるようなわけでありまして、そういう点が植生の療養所などには特にあるということを一つ御承知おき願いたいと思います。
   〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
#83
○坂本昭君 この前の厚生大臣の御説明によると、地区の状況を十分に検討する、そうして少なくとも患者さんを強制移転させるとか追い出すというようなことはしない、そういうように私は聞いておる。そうして医者に対しては、患者というものがその医療を拒むというようなことは、これはあり得ないことなんです。だから、むしろそれよりも、医療に関する必要な措置を行ない、それからまた、患者の意に反して転院させるというようなこともしない、そういうような約束のもとに埴生の問題も進んでおったはずであります。ところが、厚生省の指示を受けた医師が、十分な措置を行なったりあるいは転院をさせないという約束に反したことをするから、患者の方で非常に不満を述べ、反対のいろいろな陳情をするのではないかと思う。ことに、その後の状態を聞くというと、看護婦が三人もよそへ転勤させられたり、あるいはたった一人しかいない汽罐士に転勤の勧告があった。これは、汽罐士がいなくなれば、飯をたくこともできなければ、手術をすることもできない。これは多分、厚生省自体が医務出張所を通じて指示しておるのではないかと思われるが、なぜそういうことをするのですか。
#84
○理事(高野一夫君) ちょっと速記をやめて。
   〔速記中止〕
#85
○理事(高野一夫君) 速記を始めて。
#86
○国務大臣(渡邊良夫君) 埴生の問題につきましては、特に埴生の問題に限ってあれを検討すると言ったわけではございませんで、お聞きの通り、全般的な国立療養所の整備統合につきましては、その地方のいろいろな条件を勘案した上で検討を進めると言ったわけでありまして、既定方針につきましては何ら変更はしていないと、こういうことを言ったわけでありまするから、その点誤解のないようにお願いいたします。
#87
○坂本昭君 だから、地区の状況を十分検討する、さらに全般的な新しい統廃合のプランも考える。だからそれが納得のいくものならば私も積極的に支持いたしましょうが、まだそういう説明を承っておらない。きょうは委員長からも今指示があって、この問題はあらためてということなので、きょうはっきり申し上げておきたいことは、統廃合に関連して国立病院、療養所をいかに推進するかという大綱をお示しいただきたい。それをお示しいただいたならば、この埴生療養所その他若干、問題のところがありますが、そういうことについても了承いたしましょう。が、それが示されない以上は私もなかなか了承するわけにいきません。この埴生の問題についてもそのことだけ今申し上げておいて、何も厚生省から御説明がなければ次の問題に移ります。
#88
○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#89
○理事(高野一夫君) 速記を始めて。
#90
○坂本昭君 それでは埴生の問題も何かひどくその後発展しているらしいので、私もその後現地に行ったことありませんから、これはあらためて事態の推移を見てもう一ぺん取り上げることにして、そういうことでいいですね。それからあらためてあなたの方の全般的の計画を一回説明していただきたい。国立病院、療養所についての、これはあまり遠くない将来がいいのですがね。
#91
○国務大臣(渡邊良夫君) 既定の方針通りやっておりまして、きのう日患同盟の職員の方も参りまして、私はるる厚生省の既定方針を述べたわけでございます。だいぶやや了承したような顔つきで帰りました。
#92
○坂本昭君 それは日患は了承したかもしれぬが、全般的な国立病院、療養所の統廃合の問題についての説明を委員会でやって下さい。外部の団体に説明するのじゃなくて、責任のある説明をこの委員会でやってもらいたい。それを私は要求しておる。今まで聞いたことがありませんから。
#93
○理事(高野一夫君) 時間の都合で次に譲りましょう。きょうは本筋の御質疑にお返り願いたい。
#94
○坂本昭君 では次に譲りましょう。
 次に保険局長にお願いします。時間の関係で二点だけお尋ねいたします。一点は、特別国民健康保険の補助金が実際には二〇%でなければならない。ところが、一三ないし一四%程度しか交付されていない。これについてどういうふうな対策を持っておられるかを一つ御説明いただきたい。
#95
○政府委員(太宰博邦君) 時間の関係でそれでは簡潔に申し上げます。
 特別国保は御承知の通り、同業の人たちが任意に作ってそして運営しておるわけで、非常にこれはこれでいいわけでありますが、それに対する国庫負担金、現在二割の部分は市町村に関しては義務づけております関係で、その二割を全部国で見ることが建前になっております。特別国保は先ほど申し上げたような趣旨のものでありまして、大体その内容は市町村の国保に比べて見ましても相当内容がいいのであります。その場合に非常に内容のいい高い給付をしておりますので、その全部を二割見なければならないということになりますと、市町村に義務づけておる場合とバランスを失するように考えます。そこで頭打ちということを考えて実施しておるわけであります。ただし、その頭打ちの方法としましては、われわれ極力考えまして、市町村の一番高い水準というところをとりまして、そこまでのものを私の方は特別交付にいたしておる、こういう状況であります。
#96
○坂本昭君 次に健康保険の監査の問題について伺います。これはこの前にも当委員会で問題になりましたが、埼玉県の加藤医師の問題、それから最近は仙台市の相沢医師、両方とも自殺の問題ですが、それについてこの前保険局長はこれは監査とは関係がないというお話でありました。それからまた、医療課長の新聞に載っておる談話を見ると、監査を終わって一ヵ月半もたっておることであって、これは自殺の原因だと判断できないということですが、一ヵ月半もたったから自殺の原因だと考えられないということは少しおかしいので、むしろ普通の場合ならば何か直接原因があれば死ぬかもしれないが、こういう監査のような心理的なものであるというと、一月も二月も、場合によれば半年もたって私は自殺することもあり得ると思う。監査については私自身も今まで経験を持ったことがあるが、非常に不愉快なものであるだけでなくて、本来厚生省のなすべき一番大事なことは、今の保険行政によってどの程度患者が救われているか、どういういい治療が行なわれているかということの監査が一番大事なのにもかかわらず、まじめに良心的にやっている人に対しても、これをあたかも犯罪人を追及するがごとき監査が行なわれていて、少しも改めることがない。しかも再来年は国民皆保険が行われるこのときに、最近のように保険医がどんどん自殺するということは今だかつてありません。しかも医者が足りない。皆保険をやれば、無医地区では強制的に保険税をとって置きながら医者にかかることができない。その大事な医者が一方では自殺していく、こういう大きな矛盾に対して、局長からこの実態についてもう少し責任のある説明をいただき、さらに厚生大臣からこの監査について将来これを役所の側からどういうふうにセーブするか、コントロールしていくのかお話し願いたい。
#97
○政府委員(太宰博邦君) 仙台市のは相沢というお医者であります。神経科と内科で十九床ある診療所のお医者でありまして、五十五才の方であります。監査を受けましたのは九月二十六日であります。これは本省と宮城県の共同監査であります。そこには仙台市の医師会長、宮城県医師会の理事が立ち会っております。監査の内容は不正請求の疑いがある。それは健康保険及び国民健康保険を通じて四件、短いのは十四日、長いのは約六ヵ月も入院していないのを入院しているとして、不正請求が約六万八千円ほどでございます。そのほかに診療録の記載不備、診療方針が不当であるというような疑いもございます。これにつきましては御本人から弁明書を出していただいているのでございますが、十一月十三日に自殺された。こういうことでございます。これは監査とどれだけ関係があるか、これはなくなった方のことはわからぬわけであります。一応私どもといたしましては、御指摘と同じような心配をいたしまして調べたのでございます。大体のところを申し上げますと、調べましたものについては、これは当然立会者もおることでございますから、そうむちゃなことはできるわけもないのでございます。ことに最近は注意をさせておりますので、その力では遺憾の点はなかったと思うのであります。まあこの不正の中身が、入院していないのを入院していたというよなことでありまして、これは比較的明瞭な問題でもあります。あるいはその辺のことが一つの原因になっているかもしれませんが、一応その点は推測の範囲を出ないのであります。それで事のいかんを問わず、かようなことが起きますことは、私どもは遺憾に存ずるのでありまして、これにつきましていろいろ考えているところもあるわけでございますが、監査に関しましては、大体ただいまの監査の仕組みが大体不正不当の疑いがあるというものについてのみやる、こういうような監査要綱というものがあるのでありまして、どうしてもそういう点から、のっけから監査にかかったということは、そういう不正不当の疑いのあるものだけを監査にかけるのでありますから、かけられた方も非常に不愉快な思いをし、また、そういう雰囲気のもとに調査が進められた、こういうようなことであります。さような点につきましては、監査のやり方としては、私どもは、会計検査院が各役所に不正事項の疑いがあろうがなかろうが、無差別に回って行くというやり方の方が、受ける方々もまたやる方も非常に、この前ちょっとここで御質問がございましたように、そんな変な憂うつな気持でなしにやれると、こういうふうに考えております。こういう点を検討して参りたい。それからこの事案は、実を言うと事務員を雇っておられまして、一切事務員にまかせておられます。そういうような事務の点を事務員にまかせておるというようなことからかような事故が起こる。これはこの前の埼玉の事件も家族の人に一切まかせ切りにしておった。そういうようなことから非常に大きな間違いが出ておるわけであります。これはお医者さんはペンを持つのがおっくうでありますし、御迷惑でもあろうと思いますけれども、やはりこういう社会保険医療という制度の建前におきましては、制度が要請いたしまする最低限度の事務はこれは決してなおざりにされないでやっていただかねばいかぬわけでございまするが、どうもその辺の認識というものがともするとそれがやられていない。この点は私どもももっと個別指導して徹底して参りまするならば、こんな不祥事故を避け得たのではないか、かように考えておるわけであります。こういう点につきまして、ただいま関係団体の方でも同じような御意見をお持ちのようでありまして、相つないでこういう個別指導をやることに協力して努力していこう、こういうことを話し合っておる段階でございます。こういう面について早急に進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
#98
○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#99
○理事(高野一夫君) 速記をつけて。
#100
○鹿島俊雄君 ただいまの監査の問題につきまして大臣並びに医務局長に御質問したいと思います。
 この問題につきましては、前回の本委員会において、私は埼玉県の加藤医師の自殺事件の際に、再びかようなことが繰り返されるということをどうしてもわれわれは黙視できないのでありまして何とかその後の措置によって再び起こらないように御努力を願いたかったので御質問をいたしました。当時の局長の答弁によりましても、また、その後の処置が必ずしも適切にとられないという点を私ははなはだ不満に思っておったところであります。ところが、再びこの十三日に相沢医師の事件が発生いたしまして、このことは全医療担当者にとりましてもこれは非常な衝撃だと思うのであります。内容につきましては確かに手続上瑕疵があった、誤まりがあったということはあると思います。しかしながら、今局長の答弁にもありましたが、事務の取り扱いについてどうも遺憾な点がある、今後十分注意をし、もっと正確にやってもらわなければならぬという御発言もあったのでありますが、とにかく現在の保険医は大体診療行為でほとんど手一ばいであります。従って、やむを得ず補助者に事務的なものをやらせ、また、家族的な補助者にまでやらせておりますので、どうしてもその間にそそうが多い、こういった一つの原因をまず考えなければならない。単に事務上の取り扱いがまずいので、これを直せと、もっと注意してもらいたいというようなことではまずいと思います。従って、私は将来のこの社会保険運営の上におきましては、保険者、医療担当者、被保険者、この三者がほんとうに協力をしなければなかなかうまくいかぬと思うのでありまして、そういった上に立つ関係上、今回のこの自殺事件というものは別の角度から私は考えていきたい。もっと深く考えていただかなければ、将来の運営にも大きな暗影を投ずるのじゃないかと考えるのです。従いまして、この際にとかくの批判のありますこの監査方式については、いろいろ根本的に再検討を加えるということは必要だと思うのであります。従いまして、この具体的な事柄についてま私も意見を持っておりますが、本日は時間がござ、ませんので、まず第一点の質問は、大臣におかれましても、このような事態が発生したことをどのようにお考えになっているか。
 第二点は、これは保険局長にも御質問いたしますが、この際に根本的に監査方式を再検討する意向がないかどうか、お考えがあるかどうかという点であります。この点について今早急に一つお答えいただきたいと思います。
#101
○国務大臣(渡邊良夫君) 監査制度につきまして、多少近ごろ行き過ぎがあるのじゃないかという、こういう声が至るところから私も聞かされましてそれらにつきまして再検討を加えなければならぬ、こういうことにつきましては、先般衆議院の社労委員会におきましても、私がそうした旨につきまして、十分検討する旨の答弁をいたしたような次第であります。ところが、旬日ならずして、宮城県の事件が起きまして、まことに遺憾であると、こういうことについてはとにかく私どもも十分その原因あるいは客観条件、そういうものを十分追及して参らなければならない、かように考えておった次第であります。事務当局からの報告によりますというと、現在のところは別に行き過ぎというような点も見受けられないのでございます。しかしながら、やはり人の見る目、あるいは客観的な事情というものがどうであったかということにつきましては、おのずから知れてわかることだろうと思います。しかし、ただいま坂本さんあるいは鹿島さんが申されましたように、今後の方針はどうするか。いわゆる私はどうしても若い技官なりが一つの容疑をもって取り調べに当たる――取り調べというような気持をなるべく持たせないで、できるだけ懇談的に土地の医師会等の立ち会いのもとにおきまして、あるいは事前に医師会にこういう容疑があるから一応話を聞いてみるといったようなやわらかい態度で、従来も行なって参りましたが、今後もそうしたような懇談的な取り調べといいますか、懇談的に事情を聞くといったような態度でこれからも進みたいとかように思っております。ただ、いわゆる相手が病人でございますから、医者の場合でなくして、患者の場合におきましては相手が病人であったりなんかしますから、記憶違いというような点もままなきにしもあらずでありますから、そういう点につきましては、私どもの事務当局におきましても、客観的な事情等、よく意見を総合的な資料を集めまして、できるだけそういう行き過ぎの、一つの刑事の調べとか、あるいは司法警察官の調べとかいったような態度でなからしむるように、厚生行政というものは、厚生行政の本質である親しまれる厚生省、こういう厚生官僚、こういう態度でいきたいということを私どもの事務当局といたしまして、先般来寄り寄り協議いたしておる次第でございますから、さよう御了承願いたいと思います。
#102
○鹿島俊雄君 大臣のただいまのお答えの中に、この監査方式を何とか再検討すると受け取ってよろしゅうございますか。
#103
○国務大臣(渡邊良夫君) 十分に、私どもがただいま申しましたような、いわゆる取り調べる、調べられるといったような、何かそうした警察庁におけるような空気の醸成をさせないような指導をいたしたい。かように御了解願いたいと思います。
#104
○鹿島俊雄君 ただいまのお答えですが、大臣のお気持よくわかりますが、実は末端出先に参りますと、必ずしもさようにお考えになっておるようなことが行なわれない。というのは、私も長い間かようなことを見守って参りましたが、とかく出先の力では極端な表現で恐縮ですが、点数かせぎというのがどうも表われて参りまして、どうも峻烈な監査が行なわれる。特に実態調査の場合にこれが激しいのであります。従いまして、とにかく地方等におります担当医は、これらの実態調査を通じて、非常に人格を傷つけられる。そういうことが非常にショックになるわけでございます。今回の相沢医師等の事件簿も私ども聞いて見ますると、まず実態調査当初から非常にショックを受けた。その間に、先ほどもちょっと御指摘がありましたが、患者の過去の記憶というものが相当に正確でない。そういう点に立って峻烈にやられる。患者の方も非常にそういった状況から不正確な答弁をしたり、また、場合によりますると、調べられますると、担当官のいうようなことを答えてしまうというようなことがあったように思われるのです。こういったことを、改善しない限り、幾ら中央でお考えになられましてもうまくいかない。そこで実際問題として何か具体的にかようなことが起こらないように、また、今大臣が言われた趣旨が実際に末端に具現ができるようなことを一つ考えていただきたい。かように思うわけです。これにつきましては保険局長に一つ。
#105
○政府委員(太宰博邦君) 私ども先ほど大臣がお答えいたしましたような精神でいくべきだと思って指導して参ったつもりでございますが、なお、今後十分にその線を徹底させるように努力いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
#106
○鹿島俊雄君 この医師会からも大臣に対して御要望が出ているように承っております。従って、この際、かようなことが繰り返されないためには、また、われわれは決して正しからざる請求をカバーしろという点に立っていないのでありますからして、あくまでもそれはそれとして、かようなことのないように、一つ具体的の方策を立てるということを、どうか局長もはっきり踏み切っていただきたい。こう思うのですが、要するに、ここで監査方式を直ちにある方向にもっていこうということは、私はあえて申し上げません。結局、こういうことのないように、具体的な何か考えを一つ持ってもらわないと、再びまた繰り返すような気がするのです。この点私申し上げるのです。なお、しかもこのままで参りますと、担当医の間に非常な不安と不満を醸成いたしまして、ますます今後の社会保険の運営の上において大きなこれがネックとなると思うのです。この点を私は憂えるのです。
#107
○政府委員(太宰博邦君) 先 ほ どちょっと申し上げたようないろいろな点があると思うのです。特に関係団体と話し合っておりますが、案外平素まじめにやっております方の中に、そういう肝心の事務のところが抜けておったり何かするために、事故があると、いよいよ責任を感じられるというようなことで、えらいことが起こるというようなことがあるので、指導的に、お互いが今まで十分でなかった点を率直に認めて協力してやろう。これによって相当よくなるであろうというようなことで、会7早急に具体案を作っており、また、そのほかの点についても検討すべきところがあれば検討していくように努力しておるわけであります。
#108
○鹿島俊雄君 最後の御答弁につきましても、趣旨はよくわかりました。ただ、最後に一つ申し上げておきたいことは、とにかく生命を断ったという現実の事態、一貫して起こったこういうことが重大問題だと思う。従って、今局長が指摘されたように、あまりにまじめな人がショックを受けたということなれば、ますますこれは重大問題だと思う。従ってそういった面を考慮されまして、十分一つ善処されることをお願い申し上げておきます。
#109
○竹中恒夫君 国民皆保険の重大なポイントは、医師の協力並びに熱意にあると思うのですが、今回の重なる不祥事件から考え合わせまして、医師の協力なり、熱意、意欲が非常に阻害されるということをまず憂えるわけです。ただいまの厚生大臣の鹿島委員に対する御答弁によって、方針なり、考え方は全く私も同感であり、賛成であるわけです。その通りでけっこうなんですが、はたしてそういうような考え方が末端にまで及んでおるか、あるいは現実はそうであるかという点になりますと、必ずしもそうでない。そうした例を私は多数持っているわけです。
 本日、実は質問したい点を十点ばかり用意して参ったのでありますが、大臣も非常にお忙しいようでありますので、私の質問の途中で、もし予算委員会等に出席の必要がございましたならば、やむを得ませんから出席していただきまして、局長なり、課長でけっこうでございますから、あとう限りは一つ私の質問に対して御答弁になり、あるいは局長の答弁すべきような内容のものは局長でけっこうですから、大臣内容をよく聞いておいていただきたい、かように思うわけでございます。
 私、質問の冒頭に、最初に、太宰局長にお礼を申し上げておきたいと思うのですが、十月の二日、三日の当委員会で、私は監査に対しまして、かなりいろいろと質問をし、具体的な注文をいたしたわけであります。それに対しまして、実にすみやかに適当な方策を立てられ、それぞれ指導なり、措置をなさったと仄聞いたしております。従いまして、局長のそうしたまじめな態度に対して私は敬服しておるものでありますが、そうした御努力にもかかわらず、なお、こうした事件が起きたということを考えますと、相当病根は深いものであって、容易ならない私は実情があるのではなかろうかと、かように行えるわけでございます。監査は監査要綱の示す通り、不正請求あるいは不当な診療内容等について、これを対象にして監査するわけでありますが、監査方針は監査要綱によってあくまでも医療担当者の指導をしよう、こういうことになっている。決して摘発しようというようなことには方針はなっておらないことは御承知の通りである。監査要綱の示されておる通りでありますが、こういう不祥事が起きたということは、この方針を逸脱して、摘発態度でもって監査をしたというところに度は禍根があろうと、かように存ずるわけであります。
 そこで、私はまず第一にお聞きいたしたいのは、監査要綱ができましたのは二十八年の六月と記憶いたしておりますが、その後三十一年に健康保険法が全面的に改正をされ、国民健康保険に対しましては、新しい法律の考え方でもって立案されて制定されたわけでございます。従いまして、この健康保険が大幅な改革をされ、あるいは国民健康保険が全面的に改正されたにかかわりませず、この前にさかのぼっての古い健保なり、国保に対する監査要綱によってこれを当てはめていこうというところに私は無理があろうと思うのでございまするが、まず監査要綱の毒検討が私は必要だと思う。その点について局長からでけっこうですから、お考えを聞かしていただきたいと思います。
#110
○政府委員(太宰博邦君) 御指摘のように、現在の監査要綱は、二十八年にできたものであります。その後三十二年でございますか、これが指導要綱と監査要綱とに二つに割れたわけでございます。それで、できるだけ指導をやる、監査の方はお話しの不正不当の疑いあるものにやる、こういうことになったわけでございます。そこで、二つに割れたわけでございますが、これは私ども今日考えてみますると、どうもそういうことのために監査にかかるということ自体がもうすでに不当不正ということの疑いがあるということになってきて、その点からしてもうまくないというような感じがいたして、そういうようなことが私どもとしても考えねばならぬ点であろうかというように考えております。そのほかにも、そういうようなことでいろいろ考えておることは、先ほど申し上げた通りありますが、しかし、その旧法の時代といいましても、監査の精神はできるだけ指導の精神を持って当たるということは一貫しておるわけでございまして、今日まあ単に法律が変わったという理由をもってこれを改正せねばならぬということは私はないと思うのであります。精神はやはり同じような精神であると、かように考えておるわけでございます。
#111
○竹中恒夫君 これは、単に変わったという意味でなくして、その変わりようが相当私は大幅に根本精神が変わっておると思うのです。たとえば四十三条なりその他立ち入り権の問題等、いろんな問題で監査に関連して考えが相当変わっておると思いますから、もとより要綱をどう変えましても指導が根本方針だということでありますならばけっこうでありまするが、単に法律が変わったからということだけでなしに一つお考え願いたいと思うわけであります。
 次にお聞きしたいのは、監査官の監督と指導は一体だれがしておるのかという問題でありますが、もとより、技官の指導は医療課がやり、事務官の指導は保険課がやると私は思っておるわけでありますが、しかも監査にあたって中心になるのは技官だと思うのです。いろんな不祥事件が起きるのもやはり技官の態度いかんにかかってくると思うのですが、すでに過去においても三件あったと承知しておりますが、本年に入りましても二件もある。こういうようなときに、所管課長として校舎に対する指導の責任をどうお考えになっておられるか、一応館林課長の責任ある考え方をお聞きいたしたいと思います。
#112
○説明員(館林宣夫君) 監査に当たります技官の態度は特に慎重を要することと思っております。ことに、摘発的態度で取り調べをするというようなことは厳に戒めるべきことでございまして、日ごろから注意をいたしておるところでございますが、特に最近埼玉県にも事件がございまして、十分に注意をいたしておったところでございます。監査官の態度がきわめて行き過ぎであるというようなことのないように十分注意をいたしておるつもりでございます。
#113
○理事(高野一夫君) ちょっと竹中さん、大臣が一時半にここを出られますから、特に大臣に対する質問を先にしていただいた方がいいんじゃないかと思います。
#114
○竹中恒夫君 注意してもこういう不祥事件がまた重なってあったわけですから、よほどのあなたは考え方を確立されて指導なさらぬといかぬと思う。単にこの場限りの議会答弁では私困ると思いますから、その点をよく反省していただきたいと思います。
 次は、大臣に質問というよりお聞き願っておきたいのですが、監査は一審制なんですね。裁判のように三審制じゃないのですね、監査というものは。なるほど行政訴願その他の方法であるいは異議を申し立てる方法もあるかもわかりませんが、多くの場合は被監査の者は二年以内に復権したいという一つの希望を持つわけなんです。そこで、技官に迎合的に、この不正事件があったということよりも次の復権を考えまするから、行政訴願などした例はございませんし、結論的には一審制なんですね。こういう考えでもって監査をするということになりますというと、私は監査に当然萎縮、不自然が伴うと思うわけなんです。今後、監査に対するいろんな条文を、監査要綱等を変えるというような場合には、この監査制度のあり方ということについては、一審制でいいのか、二審制がいいのか、あるいは地方庁で監査を受けてそして判決が下ったという場合に、中央の厚生省の方にこれを申し出て、しかも復権には何ら関係のない萎縮しない気持でもって中央にもいろいろと申し出られるような道を開いてもらいませんといかぬと思う。そういうような点、一つお考えおき願いたいと思うわけです。
 その次にもう一つの問題は、これに関連いたしまするが、技官は判事ないし裁判長の権限と検事の権限と二つの権限を持ったような形で現在監査を行なっておるわけです。これは実際そうなんです。いやそうでないと事務局は言うかもわかりません。法律の上からはその判決は医療協議会がするんだとお逃げになろうと思いますが、医療協議会というものは、実地に調べたのは技官一人ですから、出ておりまする医療協議会の委員というものは何らの実際的な反論をするような資料を持っておらないわけですから、結局は検事の立場で調べた技官のその報告なりその技官の意見によって医療協議会というものは多くの場合にオーケーになるわけです。これは私非常に重大なポイントであろうと思うんです。特に皆保険になりますというと、これは医師の基本的人権、生活に直結した問題でございまするからして、新憲法の精神からいたしましても、基本的な人権を脅かされるようなこういう問題を処理するのに、公平な裁判官というものがなくして、しかもまた、弁護士のないような形で死刑にひとしい求刑なり判決が下るわけです。事実自殺したのですから、これは死刑にひとしいんです。死刑にひとしいような判決が下るような形でもって今後皆保険に突入するということは、これは重大問題だと思うんです。そういう点も特に大臣はお考えおき願いまして法の改正、要綱の改正等について適当に御指導を願いたい、かように私思うわけでございます。
 それからいま一つ重大なことは、監査の資料、証拠というものは記憶なんですね。医学知識のないしろうとの記憶を唯一の証拠として処罰されるわけなんです。抗弁する医師のほうはカルテなりあるいは医学的立場からの説明をするわけなんですが、軽重が反対になりまして、被保険者の言うことが重点的に取り上げられて証拠としてこれがやられるわけです。記憶というものは、私非常に不正確なものだと思うんです。三十一年の健康保険の改正案のときに私は時の神田厚生大臣に質問したことがございまするが、きのうの朝召し上がつた味噌汁の加薬は何だ、昨晩のおかずは何だと聞いたら、神田厚生大臣は即答はできなかった。それくらい人間の記憶というものはあいまいなわけです。しかもその記憶を唯一の証拠として処罰するのですから、よほど慎重にやってもらわなければいかぬと思うんです。現に、あの三十一年の当時に日赤がこの問題で非常に努力いたしまして、通院している有名の患者にアンケートを出した。あなたは何回日赤病院に通院したか、そうして何回治療したか、しかも痛い手術を何回したかというその手術の回数すらも正確にアンケートによって回答を得られなかった。三〇%くらいしか正確な通院回数、治療回数が回答せられなかったというんです。しかも、監査のポイントは、通院回数が違っている、患者の言うこととお前のカルテと違うじゃないかということによって不正だ詐欺だということで処罰されることが多いわけです。先ほどのように入院しないものを入院したというような極端な例もありましょうが、多くの場合は患者の記憶によってやられるというこういう点は、やはり当時神田厚生大臣の答弁にありましたように、医者のカルテを重点的にして医者の医学的な陳述によって判断し、患者の供述は一つの参考とする。非常に患者は官吏の前に行きますとおびえております。特にいなか、農村の純朴な農夫などはおびえておりますが、そういう精神の平衡を失ったときの陳述というものをうのみにするということのないように、重点を医者の人格を尊重し、医者のカルテによってやるという建前でなければ、先ほど申し上げましたような皆保険の医師の協力、熱意というものは出てこないと思うのですから、そういう点もただ記憶という点に重点を置かないような一つお考え方をお持ち願いたい、かように思うわけでございます。
 それから、その次の重大な問題は、もう一つ監査によって起こる事故としては、差額徴収の問題がございます。差額徴収したということによっての不正だということで、処罰をされる場合があるわけです。この差額徴収につきましては、現在すでに入院と、歯科におきましては、金冠の差額徴収を認めているわけなんです。ところが、厚生管は非常に私としてはずるいと思うのですが、保険経済の上から言うて金冠は三本までは差額徴収してはいけない、もし必要があればそれ以上は差額を徴収してもいいんだということになっているわけなんです。これは大臣事実なんです、医療課長、よく知っているはずなんです。そういうように都合のいいときには差額徴収を認めておいて、一方では認めないというような不徹底な差額徴収に対する方針が、私は災いしていると思うのです。この点も、前々の橋本厚生大臣に私は公約があるわけなんです。当時、健康保険法の診療報酬の甲表、乙表の問題のときでございましたが、いろいろと討議いたしまして、私は甲表の考え方に賛意を表して、単表に踏み切ったわけでございますが、そのときに橋本厚生大臣は私に対して、なるほど歯科についてのそういう矛盾があることはおもしろくないから、弊害のない範囲内においては、すみやかに差額徴収をして、よりよい医療を国民に与えようという公約をなさったわけです。大臣がかわられますというと、こういう大事な基本方針もそのままほっかぶりしていかれるということでは、非常に私は国民にとっても、あるいは医師なり歯科医師にとっても、これは非常に不幸な問題だろうと思います。どうか前々大臣のそうした考え方も一応お聞きいただきまして、決してこれは私のこの場限りの話ではございません。はっきりとよりよき医療と弊害のない範囲内においてはすみやかに差額徴収しよう、こういうことであったのが、栄転か何か知りませんが、かわられたことによってこうなっているわけです。そうした点も特にお考えおき願いたい。同時に、そのときに、高田前局長も歯科における特殊的な医療に関連して、差額徴収は必要である、自分の在任中にしよう、これまたお約束になったのでありますが、これまた転勤なさったということでございまして、非常にその間に、テンポがおそいと申しまするか、あるいは今日の当局の考え方――昨日の大臣の衆議院における御答弁等も聞きましたが、差額徴収についても一つ研究してみようという意味合いのようにとれたのですが、もう歯科においては研究でなくて、すでに前々大臣もそこまで言うておられるということを、この機会に御記憶願いたいと思うわけでございます。そうしたことにつきまして、いろいろ申し上げましたが、大臣の御答弁を賜わりたいと思います。
#115
○国務大臣(渡邊良夫君) なかなか大へんたくさん御質問がございまして、まず最初、現在行なっておりまするところの監査の結果につきましては、最終的には医療協議会、その前には医師会の意見を尊重して諮問をする、こういうことになっておりまするが、当然これは基本的な人権上、これは何らか今後の問題といたしまして、そこに上告制ではございませんが、上告らしいような、そういうようなことが行なわるべきものだ、それは当然であろうと思います。この点につきましては、一応私の方におきましてどういう方法がいいか、医療協議会というものは、あまり権威をなくさせるようなことであってはいけませんが、この医療協議会と運営その他につきましても、また、土地の医師会等がもう少し同業者をかばうという意味か、これは私ども今、協力的にいろいろな意味において相談をしておりまするし、この間からも、私どもの保険局におきましては、医師会の幹部とこの指導面についていろいろ相談をしておるわけでございます。もう三回もやっておるわけでございまするから、どうかこの面におきましては医師会の御協力も得たいと、かように考えておるわけでございます。先ほど私が坂本委員や鹿島委員にお答え申しました通り、やはり原因というものがどういうところから赴きているか、あるいはまた、この客観的な事情というものがどういうような真相であったかどうかということは、これは十分に今後指導面におきましても、あるいは具体的にどういうふうな対策なり行政措置をこちらからとっていくか、こういう面につきましても、十分研究いたさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
 差額徴収の問題は、人命を尊重するという建前から、やはり患者から頼まれ、あるいは家族、親戚一同から頼まれれば、医者としてはどうしてもいい薬をこれは施したい、あるいはまた、歯科医師の場合におきましても、現在すでにそういうことが行なわれているという実情に徴しまして、先般来、当省内におきましても、差額徴収が保険行政というもののくずれない範囲におきましてこれがどういうふうに行なっていくかどうかということを、目下研究しております。これは重大な問題でございまして、国民皆保険――この保険医療行政というものの体系がくずれない建前において、人命を尊重し、あるいはその実情に適した、これはある限度をもって一つ研究してみようじゃないかというようになっておりますので、また詳細につきましては、事務当局からお答えいたします。
#116
○竹中恒夫君 ちょっと事務当局が答える前に……。今大臣の御答弁がございましたが、いろいろなそういう弊害を除くために、関係団体に協力を求め、あるいは相談をしておるとおっしゃったようですが、その関係団体とはどこなんですか。……大臣にちょっとお聞きしたいのですが、関係団体はどこの団体なんですか。
#117
○国務大臣(渡邊良夫君) 日本医師会。
#118
○竹中恒夫君 歯科医師会や薬剤師会は相談なさらないのですか。
#119
○国務大臣(渡邊良夫君) それは事務当局がやっておりますから、事務当局にお答えいたさせます。
#120
○政府委員(太宰博邦君) 私からちょっと……。今の、御答弁申し上げましたのは、埼玉のあの不幸な事件が起きましたあとで、ちょうど日本医師会の方から理事者の方が見えられまして、ああいう事故が起きたということについて、まあ自分たちも従来、会員の指導というものについて十分でなかったということを反省させられるものがある、ついては今後力を尽して参りたい、まあ役所の考えはどうであるかということでございまして、いや、私どももそう言われるとこっちも申しわけなくて、もっと指導すべきであったということを考えているのだ、それじゃ一つお互いで協力して指導というものを十分にするようにいたしたならば、ああいう不祥事というものは相当防げるのじゃないか、まあこういうようなお話でありました。あの埼玉の事件に関連してのお話でございます。従いまして、私どもはただいまのところは、医師会にこのお話をしておるわけでございます。これはいずれそういうようなものは、ある時期に参りましたならば、もちろん関係の団体の方にも申し上げて、それで、相携えてそれぞれの指導の方法を十分を期したいとは思っておりますが、さしあたりはそういうような経緯でありますので、日本医師会とただいま話し合っておる状況であります。
#121
○竹中恒夫君 事の真偽は私は不明なんですが、新聞によりますと、――「監査制度を再検討」という表題なんですが、「厚生省はすでに日本医師会幹部と会い意見を聴いているが、根本的に監査を改めるよう要望する日本医師会と、制度の一部手直しで問題を処理しようとする厚生省の方針は、最初がら食い違っており、今後相当の波乱か予想される。」という新聞記事が出ておるわけですが、これは真偽はどうなんですか。
#122
○政府委員(太宰博邦君) それはどの新聞か存じませんが、そういう話し合いは監査に関する限りしておりません、ただいまのところ。
#123
○竹中恒夫君 監査査制度についてですね。わかりました。
 もう一点だけお聞きいたしたいと思うのでありますが、この健康保険法が三十一年に改正されますときに、これは新局長にお聞きするのは非常にお気の毒なんですけれども、改正されるときの二重指定の問題が論議されましたときに、当時の政府委員の答弁なり説明では、機関指定と保険医登録の二つをしておく方がむしろ医療担当者の側から言えばいいことなんだ、機関で取り消されても登録が生きてくる場合もあるし、登録が取り消されても機関が生きてくる場合もあるので、失職をしたりいわゆる。パンを失うようなことのないような配慮がこれに加わっているというようなきわめて温情的な、医療掛当者に対して温情的な意味の説明があったわけです。ところが、現実はそうではなくて、大病院は別として開業医というのは歯科医師なり医師そのものが機関指定の対象のものであり、同時に保険医として登録をされているわけです。今回のような事故が起きた場合に、この問題は機関指定において処罰をすべき問題である、これは保険医としてふさわしくないというようなことはなかなかそれは判定が下しにくいと思うのです。もとより保険医として不適当であるということで、登録を取り消すのは、診療方針を逸脱したり、あるいは診療方針がわからなかったり、理解ができなかったらやるわけでしょうが、しかし、事情によりましては、実際の監査上でいろいろと監査をする場合にはそれぞれせつ然と分けて検討しなければものが運ばないと思うのです。従って、監査を対象に選んで呼び出す場合においても、機関指定で呼び出す場合と、保険医として呼び出す場合とあろうと思うのですが、どうか立法の精神というものを十分におくみ取りを願ってやっていただかないと、私はこれまた医師、歯科医師の協力意欲を阻害すると思います。むしろおびえると思う。ある意味においては、あるいは命がけで今後は健康保険をやらなければならない、また、一つ違えば自殺をしなければならないというような、そういうようなせっぱつまった気持では皆保険というものは決して伸びていかないわけでありますので、そういう点を十分私はお考えおきを願いたいと思います。
 最後に、私は新局長に望むところは、すでに昨年でしたか、東京都におきまするところの保険の不正問題もございました。近くは長野県における不祥事もあったわけです。その他、相当私の承知いたしております範囲内におきましても、表面に出ないものでも多々ございます。で、新局長として、この点の責任を私は追及するわけではございませんがどうかそういうような役所の内輪におきましてもいろいろなことがあるわけなんですから、ただいたずらに医療担当者の監査ということだけに意を用いられることのないように、まず第一におのれを省みるという意味で役所の綱紀の粛正をはかっていただきたい。決してそういうことはないとおっしゃるのでありますならば、私はその事実をいつでも提示する用意をいたしておりまするが、こういう席上でそういうことを言う必要もございませんから、どうかそういうことを十二分にお考え合わせいただきまして、部下の指導をしていただきたいということを最後に希望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#124
○政府委員(太宰博邦君) 先ほどの医療機関と保険医の点につきましては、私はまあ何も不必要な御迷惑をかけることは、これは極力避けなければなりません。御意見のほどはよく承って検討をいたしたいと思います。
 それから不祥事件についてお話がありました。私は実は一番この点について苦慮いたしております。まことに申しわけないことだと存じております。何とかして、また職員がたくさんおるわけでございますけれども、こういうことが一つもないようにいたしたいと、それにはどうするか。まあただ声を大にしてどうこう言ったってだめでございまして、まあ私といたしましては、まず私みずからがおのれを慎み、そうしてその気持がだんだんみんなに伝わって、ほんとうに公僕という精神、あるいは古い言葉でありますけれども、吏道というものが徹底していくようにする。こういうふうに職場環境全体が、清らかで清潔で、そうして公正に進むように、こういうものを作りたいと念願いたしておりますが、また、私はなはだ微力でございまして、いろいろ御迷惑をかけるような事態が起こって参りますことは遺憾に思っております。この点につきましては、将来ともあたたかい気持で御鞭撻をいただきたくお願いいたしておきます。
#125
○鹿島俊雄君 関連して。ただいま竹中委員から非常に詳細にわたる御質疑がありまして、私もこれ以上こまかいことを申すことはございませんが、ただ一つ申し上げておきたいことは、先ほど竹中委員の御発言の通り、今回の点数表は新しい構成に立っている。従って、監査方式も当然変わっていいのだという点について、私は全く同じ意見であります。というのは、かつて甲表を、点数表と審査いたしました際に、当時まあ現在の館林医療課長も、との甲表というのは、もし点数表になる場合においては、ほとんど将来監査する必要はないのじゃないか、こういうようにはっきり言われております。その理由としてはいろいろあると思いますが、その一例とし言いますと、たとえば甲表の初診料の構成でありますが、この初診料の中には固有の初診料以外に他の技術も皆入っております。たとえば注射、投薬の技術料も入っております。従って、一つの先取り方式をとる特殊な形態の方式をとっております。従って、甲表の医療行為の請求に関して、審査し、また、これに正しからざるものがあるといっても、事実上はすでに初診料でもって取っているというようなきわめて変態別なものを持っているわけでありま丁。従って、そういった非常に変わった形態を持つこの甲表等に関しては、別の角度から考え方によって監査されてもいいんだろうと私は思うのであります。現に医療課長もこういうことを言われた。といって私はここでこれをもって何も監査方式を変えろとか、こういう一つの大きな問題で取り上げたくないのでありますが、そういった気持があることも事実なんです。従って、そういう監査方式を何とか改善をする意思はないかという先ほど来質問いたしましたが、どうもその答弁が得られないとすれば、これは一応立場上ごもっともと思う点もありますので、これ以上申し上げません。どうか一つこういうことについては深く考えていただきたい、この点を申します。
#126
○山本杉君 ちょっと関連して一言局長に伺いたいのでございますが、私も今鹿島さんがおっしゃったように、医師会の立場では、監査方式を変えてもらいたいという意図を持っているというふうに理解しているんでございますが、局長の御説明では、何か医師会の幹部が会員の指導に手落ちがあったからというのであやまりに行ったように伺ったのでございますが、そこを一つはっきりさせていただきたい。
#127
○政府委員(太宰博邦君) 決して医師会の方があやまりに来たのじゃないので、そういうあやまるとか、どちらの責任とかいうことでなしに、ほんとうにああいう一つの人間が死ぬという厳粛な痛ましい事実を目の前にして、それでまあ自分に関係のあるものとして、まあその原因はいろいろ明らかでない点もありますけれども、考えてみるともう少し指道庁ということをやっておったならば防げたのじゃないか、これは私どもも非常に残念に思っております。医師会の方も非常に残念に思ったのでございましょう。そこでそれについてお互いに率直に反省をしたと申し上げた方がいいかもしれません。それでそういうことで話し合いを進めているということでございまして、決して向こうがあやまりに来たとか、そういうようなことではございませんから、一つその点は誤解のないようにお願いいたします。
#128
○徳永正利君 最後に私は答弁は要りませんが、さっきから聞いていますと、非常にお医者さんの方の人権、基本的人権擁護の問題があるので、そうしますと、結論的にはだんだん患者に対して、被保険者に対して、一般国民に対してこれの傍証固めが強力にやられるのではないかという気がするのです。で、二、三年前に私が医者にかかって、その医者が何か悪いことをしておる。何べん病院に行ったとか、いろんなことを聞かれたことがあります。そのときの気持としては非常に不愉快な、しかも何か取り調べを受けておるような口調でやられたわけなんです。どうかそういうことのないように、特に私は気が小さいものでそういうような感じを受けたのかもしれませんが、幸いに近来にない名保険局長が就任されたのですから、万手ぬかりはないかと思いますけれども、患者方の傍証を固める場合には十分御注意をいただきたいと思います。答弁は要りません。
#129
○政府委員(太宰博邦君) 十分その点は注意して参りたいと思います。
#130
○坂本昭君 ちょっと局長と課長の御答弁を聞いておったのですけれども、犯罪を峻烈に追及することもいいかもしれないけれども、やはり犯罪を起こさせないようにするということですね。そういうふうな答弁は一つもしない。
#131
○政府委員(太宰博邦君) いや、しております。
#132
○坂本昭君 実際医者は片手にそろばん、片手にペンですよ。聴診器とかメスはすでに手から離れておる。そういうような医療を推進する、ようなことでは、これは徳永さんの言葉ではないけれども、国民も医者も非常に悲惨だと思います。一つ一考をわずらわします。
#133
○吉武恵市君 きょうの各委員の発言は私は非常にまじめであり、それから太宰局長も非常に真意のある御答弁をなさっておったと私は思う。ただ太宰局長に申し上げることは多くの数の末端にですね、あなたのそのきょうの御意思が徹底するかどうかということなんです。これが末端にはなかなか徹底しないんですよ。私はまあ一、二の例をここで申し上げる時間がないから申し上げませんけれども、ですからどうして徹底させるかということをよほどお考えを願いたい。
#134
○理事(高野一夫君) ここら辺で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○理事(高野一夫君) 御異議ないと認めます。散会いたします。
   午後一時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト