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#1
第033回国会 社会労働委員会 第8号
昭和三十四年十二月十日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 武徳君
   理事
           高野 一夫君
           吉武 恵市君
           阿具根 登君
           木下 友敬君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           片岡 文重君
           小柳  勇君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   労 働 大 臣 松野 頼三君
   国 務 大 臣 菅野和太郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  前田佳都男君
   厚生省社会局長 高田 正巳君
   通商産業省石炭
   局長      樋詰 誠明君
   労働政務次官  赤澤 正道君
   労働省職業安定
   局長      百田 正弘君
   建設政務次官  大沢 雄一君
   建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      岩尾  一君
   文部省体育局学
   校給食課長   平間  修君
  参考人
   北海道炭礦汽船
   株式会社社長  萩原吉太郎君
   日本炭鉱労働組
   合中央執行委員
   事務局長    古賀  定君
   日本石炭鉱業連
   合会専務理事  長岡  孝君
   全国石炭鉱業労
   働組合中央執行
   委員      加藤 俊郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○炭鉱離職者臨時措置法案(内閣送
 付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから会議を開きます。
 炭鉱離職者臨時措置法案を議題といたします。本日は、本法案審査に資するため、参考人各位の御出席をお願いいたし、御意見を拝聴することになっております。
 この際、委員長といたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人の皆様には年末お忙しいところを御出席をいただきましてありがとうございました。当委員会におきましては、ただいま炭鉱離職者臨時措置法案を審査中でございますが、その参考に資するため、各位の御出席をお願いいたしまして、御意見を拝聴することにいたしました。資料等につきましては、あらかじめお手元に御送付申し上げた通りでございますが、時間の関係もございますので、重点的に御意見の発表をお願いいたしまして、次に各委員の質疑にお答えを願いたい、かように考えておるのであります。なお、御意見の発表の時間は、お一人二十分以内にお願いをいたしたいと考えているのであります。この点御了承賜わりたいと思っております。
 次に、委員各位にお諮りをいたします。参考人の方の御都合もあるようでありますので、お一人の御意見が済みましたら、十分程度簡単に御質疑をお願いいたし、次の方に移る、かような運びにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それでは参考人の方の御意見を拝聴いたしたいのでありますが、まず最初に、北海道炭礦汽船株式会社取締役社長萩原吉太郎君にお願いをいたします。
#4
○参考人(萩原吉太郎君) ただいま御紹介にあずかりました萩原でございます。それでは私の意見を申し述べさせていただきます。
 今般の石炭鉱業の離職者についての問題を村議するためには、どうしても、石炭鉱業の位置がどういうところにあるか、これを認識しないで議論することは違うと思うのであります。それで私の申し上げることは二段に分かれておりまして、第一段に石炭鉱業の位置、見通しについてお話と、第二段で、その中での労務対策はいかにすべきかということを述べまして、そのうちに今般の法案に関連して申し上げたいと思うのであります。時間がございませんので、私の総括的の意見は、先般私は石炭政策に関する意見書を発表しております。その前言を読み上げまして、それに私の若干の補足の意見を述べまして、前段を終わりたいと思うのであります。
 「世界は今や、原子力の出現を契機として、過去に起った三回の産業革命に比べさらにその規模も大きく、その質も高い第四次産業革命の段階に入っている。その第一段階として起りつつあるのが燃料革命である。
 石炭鉱業は、この燃料革命の過程に入ろうとしているとき、たまたま石油が豊富低廉に生産され出したためにエネルギー消費構造の変化が促進されて今日重大な危機に直面している。
 従来のいわば平時における経済政策は、既存の事実を前提としていかにこれを円滑に発展させるかにあった。しかし、石炭鉱業は、その既存の事実が今や根底から変ろうとしているのである。石炭政策は、この根本的変化にいかに石炭鉱業を適応させるべきかということにある。したがって、石炭鉱業者は、一企業の立場をはなれ、この危機の実体に身を徹して石炭鉱業を国民経済のなかにおいて正しく位置づけることを考えなければならない。
 また関連産業も国民経済の一環が混乱に陥入らないように更に協力して欲しい。石炭鉱業の混乱は経済全体の混乱を招くであろう。
 まして一国の政治経済をあずかる政府は、確固たる信念のもとにこれを正しく指導する重大な責任がある。
 ひとり通産省だけの問題ではない。大蔵省、労働省、建設省、運輸省、厚生省、そして企画庁、科学技術庁などの政府機関が一体となって内閣を挙げて石炭鉱業危機の本質の上に立ち指導と助成の二本の柱を大胆に打ち立てるべきである。そしてその態度は一時の摩擦を倶れ安易な均衡を念い根本解決を回避するようなことがあってはならない。
 炭労もまた、石炭鉱業危機の真相を認識し、楯の半面であることを自覚し、協力すべき責任がある。
 今や時間的にも極めて重大なときである。従来のように後日に至って政策のやり直しによってすまされる段階ではない。今日を失しては政策遂行の効果を発揮するときを失うであろう。
 私が欧米の石炭事情視察に出かけたのも石炭鉱業の救済策を見い出そうとしたのではない、況んや一北炭のためではない。石炭鉱業を国民経済のなかにおいて正しく位置づけたい一念からである。もとよりここに提案する石炭政策について幾多の議論が生ずるであろう、しかし徹底した政策でなければ終極において効果なき政策となることを認識していただければ幸いである。」
 これが私の今般の石炭政策の意見書に出したところの自分の気持を述べたものでございまして、こうした考えで私は意見書を作ったのでございますが、私は各国を回りまして、大体いろいろ考えていた自分の考えというものについて確信を持って帰ってきたのであります。そうして私は四つの点を唱えておるのでございますが、第一に、石炭鉱業は何ら景気的なものではない、あくまでエネルギーの消費構造的変化の促進過程によるものである、従って、これは今後好況時代がくるというようなことを考えちゃならぬ、従って、それから生まれる政策というものは、これは石炭政策は重油の攻勢を受けるが、その攻勢に対して、さらに十五年と私は見ておりますが、十五年後の原子力発電に対応し得る能率炭鉱だけを混乱と破綻なく円滑に残すということを目途とした縮小の政策でなければならない、これが第一に考えたことでございます。
 第二は、エネルギー政策は供給と入手の安全という要素を常に考慮に入れなければならない。政治的または経済的事情によって輸入エネルギーが途絶した場合、また、経済の基盤であるエネルギーが外国資本に抑えられて、経済活動に不安を来たすことのおそれを常になくしておくために国内資源の確保が必要である。こういう考えで、これが第二点であります。この二点につきましては、各国の首脳部また業界の首脳部、各界の人に会いましたが、この二点についてはほぼ意見が同じでございました。
 第三は、そうは申しましても、エネルギーは国民経済上、経済的なものでなければならないということが当然のことであります。石炭の価格が現在のように高いままで救われてよいという立場は完全に捨てなくちゃならない。能率のよい炭鉱だけを残し、価格の引き下げをはからなければならない。この価格の引き下げのためには、政府は燃料革命を背景とするものであることを認識して、これが助成策は直ちに実施してもらいたい。しかもこの助成策はもちろんあくまで暫定処置である。そういたしまして、この価格の引き下げに、また、縮小に関連して簡単に申し上げますと、非能率炭鉱は閉鎖して、これを能率ある炭鉱に集中生産すべきである。従って、そのための処置として、政府は長期低利の財政投融資を行なってもらいたい、これが第一点であります。それから集中生産の能率向上のためには、当然鉱区の整理を伴うものでありますが、これは各石炭業者が隣接する鉱区を他企業に譲渡する方が石炭鉱業全体から見て能率向上に役立つと見たら、その所有者は譲渡すべきである。譲渡するよう政府は指導してもらいたい。こういうことであります。この二点で縮小の政策を推進していきたい。
 それから価格の引き下げでありますが、私はこの問題について二つの点を提案しております。輸送費軽減特別措置と石油関税引き上げの実施であります。輸送費の軽減と申しますのは、わが国の地理的条件が主要消費地が遠隔の地にある。そのために山間地においてはほぼ外国のエネルギーと競合し得るにもかかわらず、主要消費地の京浜、阪神に持ち来たった場合に非常に高いものについておる。しかし、これを一朝にしてその価格まで下げることは困難である。従って、暫定期間輸送費の半減の措置をとり、政府がこれを政府資金で補てんしてもらって、可及的すみやかに重油または外国炭との値差をなくしたい。できれば来年度においてもこの処置がとられたならば、石炭業者自体の価格引き下げの処置と相待って値差は非常に少ないものになる。というのは、そうしなければやがて四年も五年もかかって引き下げていったのでは、能率増進の効果を上げたときには、その効果は確保できない。まかり間違えば、これは貯炭のための能率増進というようなことがあってはならないと思うのであります。
 石油関税の引き上げでありますが、これは法律に定むる固定税率まで引き上げてもらいたい。固定税率を引き下げた理由というものは、タンカー運賃が非常に高いために重油の輸入が困難であるという理由で、一時免除または軽減をしている、その理由は今日なくなっている。それから石油関税の引き上げが重油価格の値上がりを来たすということは即断できない。これは石油価格の構成を調べればわかることでございますが、こうして石炭価格の大幅な引き下げが実現すれば、わが国のエネルギー価格の総体的な水準を引き下げる結果になる、こういう二点で申しておるのであります。
 以上簡単に申し上げましたが、ここでこれを要約いたしますと、ともかく今日の石炭鉱業の危機というものは、景気、不景気の問題ではないのだ。これは燃料革命の第一歩として起こる消費構造の変化によるものである。こういうことをまず認識していただきたい。
 第二に、石炭鉱業はなお国民経済上必要である。これは縮小していくにしても必要である。国内資源確保をしなければならない。しかし、そのためには競争力をつけなくちゃならない。その競争力をつける間、これは政府が助成してもらいたい。こういうのが骨子になっているのでありますが、ドイツにおいて関税法案を提出しておりましたが、それも息抜きの場を与えて石炭鉱業の立ち直りをやるのだということはエアハルトが発表しておる通りであります。
 そこで、この縮小の計画に伴って当然起こるのが労務問題であります。今日一般の経営者あるいは使用者の失敗の場合、または不況の場合の失業者というものは国家的ではないのでありまして、石炭鉱業の場合は、これは一つの産業構造の変化をもたらすものであるという観点から見れば、国家としてこれは取り上げていかなければならない問題であると思うのであります。産業構造の変化に即応して縮小していく、それに関連して労務構造の新しい体制を作るということにおいて国家が取り上げていかなくちゃならない。さらにまた、最大の雇用の場を従来与えてきたのは石炭鉱業である。そういう点から見てもこれは重視していただきたい。また、これは縮小して失業者を出すという問題でありますが、石炭鉱業を縮小することがエネルギー全体のバランスで国民経済のためによいであろう、また、そうすることが将来石炭鉱業の能率のよいものだけを残して競争力を持たして生き残る道である。また、その上で国民経済の上でもなお役割を果たさせることができるということであるならば、人間の人員を減らしていくことは原因においてやむを得ない理由があると思うのであります。しかし、そこで問題となるのはその手段であります。これは石炭鉱業の立ち直りのためには首切りだけでは不可能であります。これは石炭鉱業の構造なり体質の改善をはかっていく、その結果としてやむを得ず首切りが起こるというものであるならばよい。最初から合理化は首切りから始ますものであるということではないと思うのであります。まず、石炭鉱業の経営者としては、最大の雇用場を与えていたこの石炭鉱業が、今日の事態においても能率増進をしながらもできるだけの人員を収容し得る余地がないのか。また、何らかの方法はないのかということにおいてまず考えなければならないと思うのであります。さらにもしやむを得なくなったとしても、急激な変動を業者に与えてはならないと思うのであります。ここに急激な変動を与えないための政府の助成が必要であります。過般日本に参りましたドイツのウエストリック経済次官と会いましたところが、あの関税法案の趣旨というものは、労務者に急激な不安の念を与えないためのもので、私はエアハルトの自由主義の経済思想と石炭政策と矛盾するのではないかと質問したときに、これは十分な理由がある、なぜならば労務者に不安の念を与えないということだけでもこれはりっぱな理由で、矛盾してもいいのだとはっきりと割り切って申しておりました。ところで、それではどういうことなのかというと、これはわれわれとしては自然減耗を活用するのがよいのじゃないか。私の調べにして間違いがなければ、これは中小では自然減耗の形でやめて、また再雇用しても、大手、中小を通じるならば五千名以上の自然減耗が年々ある。これを活用して一挙に過激な手を打たぬでも、活用して、これによって集中生産して能率を上げていくということができないか。また、この自然減耗を補充せずにいくということを、これを可能ならしめるものは配置転換が行なわれなければ、これは不可能であります。人的場所割りの構成が均衡してくることもあるし、また、非能率の山から能率のある山へ集中するということを行なってこそ、これは切り抜けられるのでありますから、自然減耗の未補充ということを生かすためには配置転換ということが可能にならなければならない。この点について、全般においては経営者というものが自分たちと両輪となって働いておった――事業というものは経営者と労務者と二つがあって成立していくものであって、経営者だけでもできないし、労務者だけでもできない。そうするなれば、この重大危機に直面した場合に、いきなり首切りだけにもっていくということは、これは違う。ともに手を携えてきたものを、これをいかに収容するかということに十分の留意を払わなければならないと同時に、組合もまたこの事態を認識して、その中で多くの人を収容し、また、この危機を、石炭鉱業の危機を乗り切るためには、これに対してこの会社の能率を上げていくというためには、協力すべきこれは事業の半面の負担者としての責任であると思うのであります。このためには配置転換については組合も十分考えなければならない、こう思うのであります。
 最後に、今般の臨時措置法について申し上げたいと思うのでありますが、ただいま申し上げました通り、石炭鉱業の今般の離職というものがただいま申し上げました国家的の性格を帯び、また、産業構造の変化に伴なって起こっておるということの上に立って、こうした際の特に処理をとるという方向を示していただいたということについては、非常によいことだと思うのであります。またしかし、これはすでに発生しておるのです。それに対する臨時の措置としてはけっこうだと思うのであります。しかしながら、もし業界の石炭業者の言うように、これが石炭鉱業全体として今後ももしもあのような多くの失業者を出すというならば、これでは跡始末ではだめなのであります。それではそういう機関ができ、そういう措置をとられたところで労務者は依然として不安であります。緊急就労、当面の処置としてはけっこうでありますが、今後においてはこれは炭鉱失業者をなくした形にはなるでしょう。しかし、それはワン・クッションおいて別の名の失業者となって現われることを考えなくちゃならない。あくまでもそれはある期間の、長期あの安定した雇用のものでなければならない、こう思うのであります。
 それから援護会において、職業あっせん、これは非常に日経連でも説いておるところでありまして、友情の経済と申しますか、これはドイツにおいては一年間に最も変わった現象の一つであります。友情の経済でなければ、今日の事態は切り抜けられない。友情の経済、これはフランクフルター・アルゲマイネ紙がこれを常に説いているところであります。エアハルトもこれは共通の問題であるということで説いている。シュナイダー博士も同様の友情をもってしなければ、これは乗り切れぬと言っております。そういう方向をこの日経連の手によって示されたということは、非常に喜ぶべきであり、ありがたいことでありますが、このあっせんがだれがとってくれるのか、そうしてまた、どうしてだれがこれをやるのか、この一点が欠けておると思うのであります。そういうふうにあっせんするといってみても、そのあっせんをはたして各産業でその通りに受け入れをとってくれるか。今回は各財閥関係で若干のものがとってくれても、将来にわたって年々失業者が起こるという石炭協会の発表の通りであるとするならば、これはそういうことが各産業の内容を個々に当たってみたならば、これははたしてそういうことが言えるかどうか疑問だと思う。少なくともそうであるならば、政府はこれを計画的にあらかじめ対応して、やむを得ず生ずる離職者については、政府の処置、他産業の協力を得て、継続的な計画受け入れ体制を検討してもらいたい。大よその見込みを立てておかなくちゃならぬ。そうでなければ、そういう形をとってもおそらく結果において予期したような結果が出ないのじゃないかということをおそれるものであります。それでも私は困難じゃないか。そこで私は、ここに法案の中に労務対策として三つの点を唱えておるのでありますが、これは国土建設労務公団を設置してもらいたい。炭鉱離職者を公団が採用し、一定期間特別訓練を行ない、道路、港湾、河川その他の公共土木事業に労務を提供する。訓練期間中は賃金の一部を政府が保証する。なぜこういうことを言うかというと、公共事業において臨時に雇い入れて働いている者が百万人あります。この百万人というものが、いろいろな形において各企業内部ではなくして、臨時に雇われて公共土木事業に当たっておる。その中に炭鉱の失職者を受け入れる余地がないのかどうか、しかもばらばらではこれはどこでも受け入れないであろうから、これを公団を作ってここに収容して、安定の場を与えてもらいたい。こういうことで私は受け入れ体制の整備、国土建設労務公団の設置、住宅政策を提唱いたしました。今回の臨時措置法というものは、この火急の場合その一つの方向を示したものとして私は非常にけっこうなことでありますが、今後はさらに一歩を進めてもらいたい。というのは、常にこれが夫業者を生じた跡始末のものでないようにしてもらいたい。それでなければ労務者はいかにいろいろな形のものができても不安であります。
 それから、これは跡始末を今回行なっているとしても、すぐさま第二段として、今後に対する事前の計画的な処置を講じていただきたい。これが石炭鉱業の特異な背景から生まれる失業者であるとするならば、国家においてこれだけの処置をとっていくべきであると私は考えるのであります。エアハルトが三十マルクの関税法案を出したときに、その言葉の中で、ルールの地域における多数の労務者に不安の念を与えないためにこの法案を提出するものであると述べておる。しかもドイツは完全雇用の国であります。その国においても石炭鉱業の将来に対して多数の労務者が不安の念を持つということに対して、それだけの処置をとろうとしておる。英国は社会保障の十分に発達した国であります。しかも私がプロクター動力次官に会ったときに、英国は保護政策をとるのかどうかという質問をしたときに、いやそんなことよりも何よりも、われわれの最大の問題は、これは閉山し、競争力を作るのでありますが、しかし、これすらも労務者の福祉ということを考えずしてわれわれはこれをやることはできないのだ、こう述べております。その点から見ても、この労務対策というものはこうした万やむを得ない、経営者が悪いとか組合が悪いとかいう責任の問題ではなくして、そのままの形で受け入れなければならない。根本的な変化によって生じたものであるならば、国家は、わが国においては、ことに完全雇用の国でもなし社会保障の国でもないならば、この労務対策については、離職者については、この法案はこれでよいとしても、次に直ちにこれだけでいいのだということでいかないで、さらに進んだ対策をこの次において進めていくように御配慮願いたいと思うのであります。
 以上で私の話しを終わらしていただきます。
#5
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。ただいま御意見を拝聴しました萩原参考人に対して、御意見がありましたらお願いをいたしたいと思います。
#6
○吉武恵市君 時間がございませんので、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。萩原さんのただいまのお考えは、大体私どもも同じような気持を持っておるのでありますが、ただ一点、萩原さんが外国を回って感じられた結論は、やはり石炭鉱業は縮小をしていくものである。原子力等も十五年くらいすれば出てくる可能性もあるし、従って、それに対処していく必要があるぞということであります。私どもも今回の石炭の危機は、ただ景気の変動ではなくて、やはりエネルギー源の変化から来たものであると深刻には考えておりますが、昨日本委員会でも、池田通産大臣にいろいろとお尋ねをし、政府としては四千八百万トンは維持していきたいという考えを持っておられますが、私どもも何とかして、甘い観察はしておりませんが、少なくとも四千八百万トンというものを維持できれば、不必要な失業者というものを出さずに済むんじゃないか。こういう感じを持つのでありますが、それには石炭というものを用いる需要面というものを開拓していく必要が一方にあるだろうと思います。石炭というものは、まあ使いにくいという点もあるし、重油が入ってきたその当初を考えますると、毎年のようにストライキなんかがあって、石炭が入手できにくい場合も考えて、まあ重油にということも一部にはあったように思うのでありますけれども、それらは今後お互いに考え直していくといたしましても、何とかこれを維持していきたいと思うのでありますが、その点につきましていかがでありますか。私は昨日も申し上げましたのですが、日本には幸い電力というものが今後需要が増していく。水力もけっこうでありますけれども、こうした国内資源としての石炭をかかえておるのだから、これを何とか電力の方に使って、その方に回していくならば、まあ半分程度はその方でも吸収して維持できるのじゃないかという意見を持っておるのでありますけれども、この点についてお考えを承りたいと思います。
#7
○参考人(萩原吉太郎君) お答え申し上げます。私が縮小の政策をとるべきであると申しましたのは、これは各国でもその通りでありますが、決して無制限に減らしていくという考えではないのでありまして、これが国内資源の確保を必要とすると言った理由でありまして、私の考えといたしましても、理想として、でき得れば現状の、池田通産大臣は四千八百万トンというお話でありますが、エネルギーは、たとえば電力にすれば十年間で倍になるのが、これが世界の現状であります。わが国においても、この電力の需要は十年後には今日の倍になる。そうした中においては、少なくとも今後増大させるということでなくて、現状を維持すべき線で努力しなければならないものである。しかし、努力しなければこれは縮小していくべき運命にあるものである。これは消費構造の変化として、構造上からそうあるということでありまして、もちろん現状を維持する。これも世界を回って、今後石炭を増産しようなんという考えの国は一国もありませんでした。少なくとも現状を維持すべきか、若干減ったところでこれを国内資源確保のために維持しようということであります。
 それから石炭の他の用途を開拓するようにということでありますが、これはもちろんそうあるべきでありまして、われわれも努力するのでありますが、しかし、これはその石炭鉱業をさらに維持する程度以上に増大するような意味で、これは他産業にこれをしいることはいけないと思います。これは石炭鉱業の持つ性質というものを考えて、現状をもって維持して、国内資源確保で安全を保つという程度にとどまっていって、今後もし需要が増大していくならば、これは他のエネルギーによるのがよいと私は考えております。それが国内経済の発達のためにも役立つし、この燃料革命にもさからわない、こう考えて、今後石炭鉱業の現在の生産額をふやして、さらにふやすということは考えるべきでないと思います。他の用途と申しますのは、私ははなはだなまいきなような申しようで恐縮でございますが、四年前に私は今日の事態を、協会のある新聞に発表して予告しておる。これは消費構造の変化によるものであって、今は神武景気であるが石炭鉱業はこうした運命になるぞということを私は説いたが、聞いてくれる人が当時ありませんでした。それは石炭が当時羽が生えて飛んで売れる時代でありましたので。それで先のことを考えると、それではいけないと、私の会社自体としまして、自分の会社で恐縮でございますが、今日の事態を予想して長期販売契約を結んでいました。これは十年間数量をきめてあります。それで私のところの八〇%は長期販売契約になっております。売れるようにしてあります。しかし、これは一北炭でありまして、石炭鉱業全体のためにはなっておらない。それではならないと私は今日考えておる。北炭だけがよくてもこれは何にもならない。国民経済全体のために役立つように、石炭鉱業全体を力をつけなければならないと考えております。また、その長期販売契約と同時に、私は、石炭化学工業の研究に着手いたしました。これは亀山博士、各大学の燃料研究所長、それから黒川技術院長、これらわが国の石炭化学工業の最高のメンバー全部集めてやりました。それで四年前から研究に着手してだいぶ進んで、企業化も数年後に迫っております。しかし、これは新しい産業をわが国において興こすということにはなりますが、石炭鉱業を遺憾ながらこの窮境から救うことにはならない。というのは、これに使う石炭の数量というものは微々たるものである。燃料として使わなくて、化学原料として使う石炭の数量はわずかなものである。こうした石炭化学工業を興こしてもこれは役に立たない。それで私はさてそこで固体から液体、気体に変わっていくというので、今春新聞発表したように、これはソビエトで行なおれておるだけでありますが、地下ガス化の研究に着手いたしました。これはたまたま、この方面でわが国で最高といわれる人は以前満鉄におった人ですが、その研究者を私の方で遊ばせておった。それでこの人をここで活用しようというので始めましたが、私は海外に参りまして、英国でこの点について調べましたが、英国では以前地下ガスをやっておったのを、これを廃止しておる。これは動力次官並びに石炭庁のコリンズ次官などをたずねまして、なぜやめたのかと尋ねましたら、採算に合わない、経済的でない、出るものが非常にカロリーが低いということであります。ドイツにおきましても、ウエストリック次官に聞きましたところが、ドイツでも以前やっておったが、やめさせたということを聞きました。しかし、私は、これは経済的に合わないということを言っておりますが、私は依然としてわが国において、日本だけでもこの問題は取っ組んでいってみよう。各国もこれを放棄したのではなくて、一時そういう結論に達してやめておりますが、完全に放棄したとは見ておらない。いずれまたやっていくだろう。現にソビエトでは八カ所のステーションがあります。ただ能率の低いのが非常な難点、カロリーにおける難点になっております。ソビエトがかつて地下ガス化に成功したとき、レーニンがソビエトは資本主義国家の技術に勝ったという演説をしただけに、いまだにこの点に執着をしてやっております。一国でもやっている以上は、これはほうっておく問題ではないので、地下ガス化については、さらに取っ組んでいこうと思っておりますが、何としても、用途を開くとしても、根本的には燃料として考えた場合に、石炭化学、石炭というものは選手交代していく、長い目で見て。これは遠い将来を考えれば、十五年後に始まる原子力というものから見れば、原子力の出現を契機として重油は出る、非常に安く出るということで、結局においては石炭鉱業はやがては変わらされる。ただ必要な限度においてとどまるエネルギーの資源であるということ、しかし、それまでは何としても石炭鉱業というのは大宗を占めております。しかし、今日石炭鉱業がそれであるからといって、ほうったならば、わが国のエネルギー資源は根本からくずれてしまう。将来はそうであるからといって、たとえ、そういう時代が来るのが十年、十五年、二十年先でなくても、石炭鉱業に携わっておるものとしては、最後までお役に立つということを使命としていかなければならないと私は考えております。これはいたずらに悲観してはいかない。悲観していてはわが日本の国内経済の発達のために役立たすことはできない。私はそう考えておりますが、御質問のように、需要の増大という点については、これは私は悲観的な見解を持っておる次第でございます。
#8
○阿具根登君 非常に有益なお話を承りましたので質問が非常にたくさんございますから、端折って質問を申し上げたいと思います。
 第一に、ただいまの問題でございますが、石炭が縮小の運命にあるということを言っておられると思いますが、私は石炭の縮小ということでなくて機構の縮小、品質の改善を言っておられるのではないかと思うのです。諸外国をつぶさに研究して参られました萩原さんにこういうことを言うのは失礼でございますが、米国で三億数千万トン、英国でさえも二億一千万トン近く、西ドイツで一億三千万トンの石炭を使っておる。ただし日本は水力というものに恵まれておりますが、水力はすでに限界が来ておるものと私は思います。そういたしますと、総合エネルギーが現在でも一億三千四、五百万トン、昭和五十年には二億七千万トンのエネルギーを使う、この量はこれは変わらない、ふえても減りはしない。そういたしますと、エネルギーの中の重油、あるいは水力、あるいは石炭、あるいはガス、こういうものの比率になってくると思うわけです。その比率になってくる場合に、日本は他国に比べて一番油の資源に乏しいところです。それを世界の趨勢がこういうようになってきたから日本もそれにおくれてならじということで油のみに依存していく、そして石炭は減少するものである、こういう考えでいくものは非常に私は危険ではないか、かように思うわけです。日本は日本の特殊性がある。労働力から比べてみても、西ドイツはおっしゃいましたように完全雇用でございます。今度石炭問題でも少しの失業者は出るけれども、これは冗談で言われたことをある本で見たこともありますが、日本でも石炭でおそらく十万人くらい将来来てもらわなければならないようになりましょう、こういうことまで言っておる。そういたしますと、問題は石炭の値段が高いからだと、こういうことに私は落ちついてくると思う。そこで次の質問に入りますが、ボイラー規制法はこれは廃止してもよろしい、しかし、重油に対して、燃料油に対して課税すべきである、こういうことを、萩原さんの言葉を何かで見たことがあると思いますが、ただいまのやつではテン・パーセントの輸入税を復活させればいいんだというような言葉ではなかったかと思いますが、それだけではボイラー規制法を廃止していいのかどうか、私どもは重油に対しては消費税でも考えなければならない。重油を持たない、油を持たない日本の姿というものを直視する場合には、やはり一応考えなければならないのじゃなかろうか。ドイツでさえも二千五百七十一円、三十マルクの税金を取るということを、ただいまおっしゃいましたように、閣議でこれがきまっておる、問題にもなっておりますが、そういう現実を見る場合に、私はもっと日本の置かれておる立場、それに従事しておる労働者のことを考える場合に、税金というものを考えなければならないのじゃなかろうか、これが二点でございます。
 それから三点目は鉱区のことをおっしゃいました。私ども非常に賛成でございます。鉱区の開放をする場合、租鉱権を一体どういうようにお考えになっておられるか、租鉱権の、炭鉱というものは、私はおそらく機械化の進んでおらない非常に保安問題で心配の多い、実際から言うならば、炭鉱がこういう事態にあるのにそういうただ人力のみで長時間の労働で、それから一人当たり政府が言っておるように、業者が言っておるように、二十六トンからの石炭を出すというならば、これは私は現在の炭鉱のあり方から見て非常に矛盾しておる、かように思うわけです。そうすると、まず租鉱権の開放をやらなければならない、租鉱権をます維持しなければならない。さらに明治以来の先願式であるこの鉱区はこういう状態に突き当たったならば直ちにこれは開放しなければならない。現在政府が調べております九州、宇部、常磐、北海道、こういうところでも非常に有望な炭層は調査済みでございます。しかし、それが各業者の鉱区の問題で手をつけられる以上、そうしてそれが反面炭鉱が縮小しなければならないというようなことを言われておるのに、御承知のごとく、合理化法案で百六十の石炭山を買い上げれば、直ちに百五十七の石炭山を新しく作ることに賛放しており、それは機械化も何も進んでおらない小さな炭鉱が大部分である。そうすればまた、これは萩原さんのお説を聞くまでもなく、買い上げのうき自にあう。こういうことを考える場合に、ます租鉱権を一つ撤廃していただくわけにいかないだろうか、さらに鉱区は開放すべきである、こういう点についていかにお考えでございましょうか。
 それからもう一つは、売炭の問題でございます。石炭が不況になれば必ず売炭の問題が出て参ります。たとえば昭和石炭株式会社、たとえば配炭公団こういうことになってきて、一応炭価の安定をする、こういうことが叫ばれて今日まできて実施されてきたわけでございます。そうしますと、ただ石炭は大口のみを対象にされておるならば、国鉄もやがてなくなるでしょうし、あるいはガス等も石炭をたかないようになってくる時代も近いようであります。そうならば、これは北海道のことで一番詳しい萩原さんに申し上げるまでもなく、お互いが石炭を使えるような、お互いの家庭の中にまで入るような政策をとらねばならない。ところが、萩原さんはお使いになったかどうか知りませんが、私が東京に参りまして、ふろをたくのに、常磐炭でもトン一万円からいたします。おそらく常磐炭の山元ではそういう値段ではないと思う。それが数人の手を経て、そうして非常に大きな置き場を置かなければならない商人の利潤等も考えてみますと、個人の場合に、手に入るときは一万円をこしておる。こういう姿であるから、私は石炭に対する怨嗟の声が出てくるのではなかろうか。そうならば、ここで何かの強力な売炭施設を作らなければならない、こういう考え方が一つ。それからもう一つはポケットが要るのではないか。今石炭が余っておるからこういうことを盛んに言われるけれども、近々三年前、五年前、終戦直後、こういうことを考えてみますと、政府はかね太鼓で、石炭を出して下さい、これは国民の食糧にも匹敵するエネルギーの唯一のものでございます、ということを言ってやった。そうして石炭がいよいよ軌道に乗れば、今度は雨が多かったとか、あるいは重油が入ってきたとかということで、貯炭の山積みになってきたわけです。私は去年質問した場合には、去年だけで雨のために四百万トンの貯炭ができた、こういうことを聞いております。そうならば、これは一挙に掘りなさい、あるいはやめなさいということはできない石炭産業の運命を持っておる。とするならば、たとえ二百万トンであろうと、三百万トンであろうと、ポケットを持っておらなければならない、こう思うわけです。ところが大手で昭和石炭株式会社ができて、百万トンが実施されておりますが、これは大手のことであって、これは政策としてとるべきでない。中小炭鉱すべてを含めて政府はそれだけのあたたかい措置を考える、また、いざという場合には、いつでも放出できる、また、余った場合にはいつでも吸収できる、こういう機関が必要ではなかろうかと私は思っておりますが、それについてのお考えをお伺いいたします。
 最後に労務の問題についてお尋ねいたしますが、萩原さんがおっしゃいました国土建設公団設置ということには私もほんとうに賛成でございます。今日までこの問題を審議して参りましたが、萩原さんの言われたように、西ドイツにして―も、英国にしても、労働者に不安を与えるなということが為政者の合言葉になっております。しかもドイツでは、商議できまったのが上院で問題になるくらい政府そのものは失業者、労働者に対して非常な責任を持っておる。それは両ドイツの人に言わせるならば、ドイツ経済の今日あらしめたのは、労働者の責任きわめて大きかった、その労働者を今日不安にさらすということは、政治家としてあり得ないと、こういうことまで言われておることを聞いておるわけです。そうしてそれの対策として、たとえば別居した者には別居手当を出す、炭鉱をやめて他の職業についた人は、収入が減った場合にはその差額は国が見て上げましょう、こういう政策までとっておるにかかわらず、今度の離職者法案では、二万一千名と言われますが、私は、これはちょうど合理化法案がきまったときのような結果に終わるのではないか、かように思いますが、いかがでございましょうか。
 それからもう一つ非常に重要な問題は、現在毎日の新聞をにぎわしておりますような労使激突のところもございます。あるいは双方に意見はあるかもしれませんが、ただいまのような考えでいくならば、また萩原さんのおっしゃったような考えでいくならば、これは非常に無理をされておると私は思うのでございますが、いかがでしょうか。ただいまおっしゃいましたように、自然減耗、あるいは配置転換、あるいは炭価引き下げのために能率に寄与するというような点で話し合いがあるならばいざ知らず、まず合理化は首切りからだという大前提になったものであると私は考えておりますが、これはいかがお考えでございましょうか。現在起こっておる問題ですから、お答えにくかったならばけっこうでございますが、以上五点につきまして御質問申し上げたいと思います。
#9
○参考人(萩原吉太郎君) お答え申し上げます。
 第一の御質問は、たしか今後石炭鉱業というものは縮小していくという点であったと、こう思うのでございます。これは、なるほど各国では膨大な生産がある。しかし、まず理論は別としましても、各国を通じてこれは今後石炭を増産していこうという考え方はなかった。それが一つ。それから理論的に言うならば、これは消費構造の変化という前提であって見るならば、それは期間的にはこれを円滑に伸ばすように努力はしていって、急激な変化を与えないようにすることは必要でありますが、私は、石炭鉱業というものは今が最大限の数量であるという見方に立って議論を進めておりますのは、そうした燃料革命の一端であるという事実からしまして、私は、現在の数量が最大限度であり、また、そうしていく方が、なるほど今後は需要が増大しますが、これはわが国における国内資源であるからといって、海外の資源をむげに断わることは競争力の上においてもいかぬ。というのは、価格の問題が主であります。しかし、価格の問題が主でありますが、同時に、これはたとえば消費構造――鉄道もそうでありまするが、各家庭の御質問がございましたが、各家庭におきましても石炭というものは使わなくなってくる、だんだんそういうふうになっていく過程にあります。そういうふうで、消費者の方が使うものを買い、ちょうど炭、まきの時代が変わって、石炭、電気に変わったというような、これは一つの消費構造の変化であるということであるなれば、途中に起伏はあるにしても、そういうことを目途として考えていった方が間違いない、こういうふうに私は考えております。
 ボイラー規制法の、たまたま私の書きょうがああいうふうになりまして、あたかも、一、二の新聞も、石油関税を引き上げれば重油ボイラー規制法を廃止してもいいんだというふうに伝えられましたが、よくごらん下されば、非常にそれは無理な書きょうでございましたけれども、要すれば、もし政府がある助成策をとって、すみやかに、石炭とまた他の重油あるいは米炭なり競合燃料の値差をなくす処置を即座にお取りになって、同じ価格の近くにまで持っていってくれるならば、ボイラー規制法というものは廃止してもよいと申し上げたのであって、関税だけでなくて、要するに値差をなくするような処置をとってもらいたい。それならばよろしい。値差もなくして、なおかつ使わせないようにしていくということは、これは、私の言うような一つの消費構造の変化によるものであるという前提からは矛盾するものであると、こういうふうに考えまして、その何を使うべきかは、なるべくならば消費者の自由にまかせる。しかし、それでは国内のエネルギーというものが混乱に陥るので、このボイラー規制法というものが生まれて、とにかくこれが防ぐとりでとなって、今日エネルギー消費構造が緩慢に変化するのに非常にこれは役に立った法律でございます。しかし、役に立ったからといって、これは理論上からいけばいつまでも放置すべきものじゃない。しかし、価格が、競争し得る価格まで、自分の力ばかりでなく政府の力も借りてやっていってから廃止しなければ、これは大へんなことになるという意味であって、関税を引き上げてくれればそれでいいという意味じゃなく、その一面から言えば、たとえば輸送費の軽減というものも、できれば、この地区まで行くのに、遠くまでの輸送費の半分はこれにかわって、その間に合理化を進めていきたいと、こういうふうに考えたのでございます。
 それから策三の租鉱の問題でございます。私は、これは四年前から言って、一度鉱区開放論を唱えて非常に物議をかもしたのでございまするが、でき得るならば、能率の悪いものを締めて能率のよいものを残すというのが私の思想の根本でありまして、これは租鉱でなく、あえて租鉱区というものに執着をいたすべきものではないと思っておりまするし、ただいたずらに小さなものがたくさんできるということはよくないので、できれば、非能率炭鉱の閉山、整理というものと関連して、この鉱区問題というものは、同時、並行に解決していくべきものであると思います。元来、鉱区というものは――たまたま、われわれ北炭が最も未開発の鉱区をたくさんに持っております。持っておりますが、これは国のものをわれわれがお預かりしていると私は考えている。従って、国民経済に役立つようにこれを使わなくちゃならぬということをかねがね考えている。であればこそ、四年前に、鉱区開放を行ない、また、鉱区を出すから、政府で、もし何なればこれを取り上げて、百万トンの山を何個でも開いてもらいたい、で、北炭はこれを提供いたしますといって、現実に当時出しておる。われわれ北炭としては、優秀なる鉱区を持って、現在稼働しております。しかし、これを眠らしておいていいのかという考え――で、御承知の通り、同じ道を歩んでこられたので御承知でしょうが、新鉱になれば非常にコストが下がる。それで、新鉱を開発して、非能率なものを廃止して置きかえていく。そうして、そうなれば、自分の鉱区である、だからこれをどうしても眠らしてかかえていくのだ、そしてほかへいけばこれはよくなるけれども、これは自分のものだ、譲れぬという考えは捨てていかなければならぬ。これは、先ほど私が申し上げた、石炭鉱業は正しい位置づけをしなければならぬから、経営者が一企業の立場を離れるということが、これを救う非常に大きな問題になると思うのでございます。
 それから売炭の問題でございます。売炭の問題につきましては、もし、お説の通り確かに常磐炭が非常に高くなっているということになれば、この販売機構においてはわれわれ考えなくちゃならぬと思う。ドイツには、集中販売会社があり、ここの組織によってやっておる。われわれも学ぶところもあるので、それについて消費者に、なるべく中間なくしてやるということについてはむろん私は賛成であります。
 それからポケットの問題、貯炭場の問題でありますが、これは三年前のことであります。通産省で室蘭に貯炭場を置くことを考えたのでございます。そしてこれはやると、あのときやればよかった。それで当時われわれ石炭鉱業者は反対しましたが、私はこの場ではっきり申し上げますと、村田前石炭局長に断固としておやりなさい、これは必要なんだ、勇気を持ちなさいと言って勧めたんですが、当時わずかの損得の問題でこれが行なわれなかった。しかし、今後においてもこの点は大きく取り上げて考えなくちゃならない問題だと思っております。あえて私が意見書にこれを考えながら、述べなかったという問題は、問題の焦点をたくさん並べれば、従来言ったことをやられた場合には、従来通りのことをまあ言っているうちにぼかされて一つも実を結ばないことをおそれてこれをはずしたわけでございます。お説の通りでございます。
 それから国土建設労務公団について一応賛成の御意見を伺って私は非常に心強いのでございますが、この運用についてはもちろんこれから議員の皆さんに、もしできるならば御審議願って、これが完全なものと仕上がっていくように希望いたす次第でございます。
 それから最後に、まあ現在の各社の企業整備に、首切りについての御質問でございますが、最も激しく今三井鉱山でやっております。これは会社側は会社側に、労務者側は労務者側で、これは大体わかっておりながらもその立場を直接よく聞き、また中の実情も調べてみればまたいろいろなことがあると思うのです。それを知らずして同業者の私がこうした公式の席上で申し述べることはいかがかと思います。私ももしこれを十分炭労側の言い分、三井鉱山の会社側の言い分というのを十分に聞き、研究してなら別ですが、大体の概念を持っている程度で、私は三池にもちろん行っておりません。そうした立場の人間が、どうしても同業者がこれをかれこれ言うことはいかぬと思いますので、もしお許し願えれば私はこの問題に対する見解はかんべんしていただきたい、こう思うのでございます。いかがでございますか。
#10
○阿具根登君 時間が過ぎておりますが、繰り返してもう一点、私忘れましたのでこれは簡単にお伺いいたしますが、輸送費の軽減ということは非常に私どもも考えております。九州から東京まで来るのに輸送費が二千円かかる、北海道からは千数百円かかる。これをどうして解消をしたならばいいか、その問題について私はお尋ねをいたします。
#11
○参考人(萩原吉太郎君) これにつきましては、むろん埠頭の設備、荷役の敏速化をはかり、また、船――現に自分のことばかり申し上げますが、日本で最初で世界で最初です、ああいう形のは。実にハッチをつけてやるのに二時同かかるのが十二分で済む。先般お知らせ申し上げたと思うのですが、それらの完備したあれによって船主がああいう船をたくさん作る、石炭専用船をたくさん作りたいと考えております。まず最初に、無理な中から自己資金で一そう作りまして、しかしこれをするのに約五億の金がかかる。われわれがこれをうちの炭を運ぶだけでも、少なくともこれをやれば十そうからの船が要るが、これを申せば非常な何になるが、私はこれによってもうけようとは思わない。これによって石炭値下げに役立たせたいと思っておる。一そうでもと思ってやっておる。これはまた、来年も一そう作ろうと財源を探しておりますが、この輸送船なり、また、その埠頭の設備、埠頭は室蘭には日本通運を説きまして、私の方の地所を譲りまして、やっと東洋一の埠頭ができ上がりました。それで荷役が非常に促進され、こういうふうにわれわれの努力が払われるのでございますが、今申しました通り、いいとわかっていても急には作れない。そうすると、その間にもう非常に需要確保、市場を確保したくても、いろいろな法律を作り何をしていたところで安いものに、便利なものに流れるのがこれは自然で、だめなんです、そんなはずじゃないとか言っているうちに。この事態を見るならば、どうしても問題の解決は市場の確保をまず最初にしなくちゃならぬというので、輸送費を半減した。その半分は政府で三年ぐらい負担してくれ。その間にわれわれはこの切り下げを行なって、その後においては自分の方の合理化によって能率増進によったものと入れかわっていく。ともかく先にまずわれわれの石炭業界では五年かかるのです、これから八百円下げるのに。それではどうしてもしようがない。一度に千円ぐらい下げる措置をとってもらいたい、こういって私は今頼んでいるわけでございます。何としても石炭鉱業は輸送業だと言われた。そういう人があるくらいで、輸送費は最大のものである。輸送費を解決することによって、まず私どもは外国燃料と競争できるのです。ですから主要消費地を確保することができれば外国燃料と競合できる。競合できる立場に立ってから、さて石炭鉱業はどうするのだということで努力をして実を結んでいくようにしなければ、今日私たちも言っておりますし、阿具根さんのお考えの通り、いろいろな意見もあります。関連産業におきましてもいろいろな意見もあります。あるけれども、まず高い炭であるということ、これ以上の意見は言えない。われわれは外国燃料と、いずれにしても政府の力を借りて、一応競合し得る値段にまで来たならば、そのときには国内資源確保の上からいっても、これは当然友情をもって、国家国民経済のためにある企業々々において、その企業の収益問題というより、国民経済の立場に立ったならば、国内資源を使うべきじゃないかと言われるのですが、それも言いにくい立場にあるので、非常に私は今度意見を差し控えているのでありますが、どうしてもそれをやるのは、この輸送費の問題は、自己の努力だけでは四年も五年もかかる。これを一挙にやっていくならば、一つの大きな問題を、価格の点を解消したならば、道は開けると思います。しかし、それが価格において競合し得るところまでいかないうちは、この場ではどうだ、こうすべきじゃないかということも同業の立場にあるので差し控えておるのであります。まずお説の通り、輸送費の問題を解決して、石炭の価格というものを一挙に下げるということに意味があるので、三年も四年もかかって下げていったのではこれはだめだと思います。そういう点で、自分のことをこの機会を利用してお願いして恐縮ですが、輸送費軽減の特別措置ということについては、議員の皆さんの格段の御研究と御配慮をお願いしたいと思うのでございます。こういう席を利用してはなはだ恐縮でございますが、お願いする次第でございます。
#12
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 それでは萩原参考人に対する質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。
 どうも御貴重な御意見をありがとうございました。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#14
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(加藤武徳君) それでは次に、日本炭鉱労働組合中央執行委員事務局長古賀定君に御意見をお願いいたします。
#16
○参考人(古賀定君) 私は日本炭鉱労働組合事務局長の古賀定であります。本日、炭鉱離職者臨時措置法案について、参考人として意見を述べさしていただく機会を得ましたので、昭和三十年の石炭鉱業合理化臨時措置法の実施以来、職場を追われました多くの仲間の意見をしんしゃくし、かつ現在、炭労の組織に加盟をしておる二十万組合員を代表して、意見を述べたいと思います。
 この法律は、第一条の目的において、「炭鉱離職者が一定の地域において多数発生している現状にかんがみ、炭鉱離職者緊急就労対策事業及び職業訓練の実施、再就職に関する援護その他の措置を講ずることにより、その職業及び生活の安定に資することを目的とする。」といっております。
 私はまず第一に、炭鉱離職者が全国では十万人をこえ、特に筑豊炭田地帯では、五万五千人に及ぶ多数を示し、社会問題にまで発展するようになった原因、つまり現在までの石炭鉱業に対する政府の政策並びに経営者の経営のあり方について指摘しなければなりません。わが国の石炭鉱業は、英国に比較し三十年、フランスに比較し二十年程度おくれておると一般にいわれております。石炭鉱業を今日に至らしめたのは、政府並びに経営者が、長期展望に立っての責任ある総合的エネルギー計画に欠け、戦前、戦中、戦後を通じて、時々の情勢に対応した場当たり的政策の欠陥にあると言わざるを得ません。まず、戦後だけを取り上げてみましても、それが立証できます。終戦直後、石炭鉱業は日本の経済復興の基幹産業として、傾斜生産方式による重点政策がとられ、当時の貧弱な国家財政の中から、財政的には復金融資や見返り資金による援助が行なわれ、また、マル炭制度、炭住、報奨物資などのまきえによって、大量の労働力を投入し、出炭目標の達成に努めたのであります。ところが、昭和二十五年、戦後第一回目の不況に見舞われますと、経営者は労働者の解雇によって、その不況を乗り切っております。昭和二十五年及び二十八年の二回にわたって、二十万人以上の労働者が解雇され、六十万家族が路頭に迷わされたのであります。そうして、それは、石炭鉱業の真の合理化には何ら役立っておりません。逆にこのような、好況期には労働力を投入し、不況期には労働者の解雇によってそれを克服するという単純な経営者の経営理念と、政府の保護政策に依存をしてきた経営の放漫性は、合理化の達成を二十年も三十年も先進諸国におくれさせ、さらには、今日競争燃料との競合にあわてさせる結果になっております。
 第二の原因は、石炭鉱業の古い生産機構にあると思っております。すなわち、日本の炭鉱は、明治の初めから、三井、三菱など、財閥系炭鉱が優良鉱区を独占をして、鉱山地代を労せずして手に入れてきたこと、過剰人口を利用した極端な低賃金によって利潤を上げてきたのであります。石炭資本家は機械化や技術改良等、生産力を引き上げるための投資にはあまり意を用いす、もっぱら鉱区の買収、拡張に暗躍をしたり、財閥系の他の産業に多額の金を回してきた、こういう点を指摘しなければならないと思っております。ちなみに鉱区所有状況についてみますと、三井、三菱、住友、北炭の四社で金鉱区の四九%、大手十二社で八八%を占めているのであります。
 さらに、日本の石炭鉱業をおくらせている原因の中に、中小炭鉱、租鉱炭鉱の問題があると思います。中小炭鉱では、極端な低賃金で労働者を使い、親会社は掘り出された石炭を安く買いたたき、いながらにして超過利潤を手に入れてきております。このような欠陥が、不況期においては、石炭鉱業が他のエネルギー商品との競争力を減殺するとともに、好況から不況への移行期には、世界にその類を見ないような大量首切りとなって、中小炭鉱の閉鎖等の連鎖反応を繰り返すことになっておるわけであります。
 さらに、第三の原因は、政府の従属エネルギー政策にあると思います。戦後、日本経済がアメリカに支配されていることは、だれでもが知っています。この中でも、経済発展の米であるエネルギーは、アメリカへの依存を強めています。石油株の五一%は米英資本であることは、周知の通りです。外国商社のマークをつけましたガソリン・スタっンドが、日本国中至るところに散在していることは、御承知の通りであります。
 各国のエネルギー構造には、二つの型があるようであります。一つは、流体燃料が五〇%以上をこえておるアメリカ型と、もう一つは、石炭が六〇%以上を含めておるヨーロッパ型の二つであります。わが国は、戦前ヨーロッパ型に属していましたが、戦後は二十八、九年ごろから、急速にアメリカ型に、政治的に変えられつつあります。政府の計画によりますと、昭和五十年には、石油四〇%、石炭三四%、水力二〇%で、全エネルギーの中の輸入依存率は四八%になるように計画されています。西欧の資本主義諸国でも、石炭鉱業が危機に陥っているということは事実であります。
 しかし、ここで注目しなければならないことは、西欧各国が強く自国のエネルギー資源に立脚した政策をとっていることであります。昨年の五月、英国議会下院において、モードリング国務相は、英国におけるエネルギーとしての石炭の地位は、他のいかなるものをもってしてもかえることができず、英国政府は、あらゆる方策を尽くして、いかにこれを適格な企業として存続させるかに努力するであろうと答えています。また、西ドイツは、ただいま萩原参考人の意見の中でもありましたが、炭鉱労働者は戦後の経済後輿に大きな功労があったのだから、政策上退職を余儀なくされる労働者に対しては、当然補償すべきだといたしまして、その財源として、重油に対し石炭トン当たりに換算し三十マルク、日本円で二千五百七十一円の関税を課しています。このような政策に比べて、わが国だけが従属国並みにエネルギーの半分を外国に依存しようとしています。このような政策が石炭危機を鋭くしておる第三の条件である、このように私どもは思っております。従って、斜陽化とかあるいは石炭危機、こういうものは宿命的なものではなくて、明らかに制度的あるいは政策的に起こっているものである、このように申し上げることができると思います。私が今まで過去の問題と現在の政策について触れたのは、本法案によって、石炭鉱業の抜本的な問題解決にならない、こういうことを指摘したいからでございます。私たちは、昭和三十年石炭鉱業合理化臨時措置法案の審議が行なわれました際にも、参考人として、この法案は、炭鉱労働者の解雇を促進し、失業者の増大をもたらすだけであって、炭鉱合理化には大きな期待が持たれないということを指摘して参りました。
 現在の政府のいう、炭鉱離職者が、一定地域において多数発生しているということは、昭和二十八年の不況に解雇された労働者と、合理化臨時措置法に基づいて買い上げられた炭鉱から離職をした労働者であって、政府の責任として十万人に及ぶこれらの人々に対して、本法案の目的で示されるような耳就職の機会を与えることが当然であって、おそきに失した感があると思っております。
 私は、この法案が、先に指摘した過去の離職者に就職の機会を与えることに限定し、適用されますれば、今後社会党を通じて主張していただく予算措置や、一部条文の修正等を含めて、原則的に賛成をいたします。
 しかし、この炭鉱離職者臨時措置法案は、私の指摘する失政の犠牲者である過去の離職者十万人の救済を目的としたものでなく、炭鉱離職者を救済するという形をとって、国民の目をおおい、世論をつくろい、今後石炭経営者の強行しようとする首切りを促進し、援護をしようとしているものだと言わざるを得ません。従って、次の諸点から反対をいたします。
 その第一には、本案によって、石炭鉱業は、平和的、自立的発展の政策にはならないということであります。
 現在石炭経営者は、三十八年度までに、大手炭鉱十八社で約七万人、中小炭鉱で約三万人、計十万人に及ぶ労働者の解雇によって、石炭鉱業の体質改善をはかる計画をいたしておりますが、本法案はこの十万人の首切りに対する経営者の依存心を高め、真の合理化としての技術改良及び機械化設備改善その他鉱区開放等をあげることができますが、それらをおくらせるだけでなく、その行為を側面的に助長し、われわれ炭鉱労働者を失業のちまたに投げ出すだけであって、合理化臨時措置法の矛盾が今日露呈していると同様の結果をもたらすだけである、このように思考いたします。
 また、生産の直接担当者である労働者の協力体制なくして、石炭鉱業の発展がないことも明確であり、首切りが石炭鉱業の本質的合理化にならないことは、過去の実証をあげてただいま指摘した通りであります。
 本法案実施に伴う本年度の予算は、約十三億円と聞いていますが、その使途は、全国の職安との就職あっせん協力費、職業訓練のための車両購入費、海外移民促進援護、遠隔地就職者のための短期宿泊所の建設費、雇用主が件宅を建設する場合の補助費、遠賀川汚水処理費、鉱害復旧費、失着対策事業費等がおもな費用であって、これらはすべて離職者だけに使用されるものでなく、しかも救済対象者は約二万一千人ですから、これだけでも救済できない額だと思っております。
 なお、現在筑豊の黒い飢餓地帯におる五万五千人に及ぶ失業者を含め、全国十万人の失業者並びに経営者が、今後十万人の解雇計画に基づいて強行する解雇を考えますと、十三億の予算は、焼け石に水ほどの効果しかないのではないか、このように考えられます。
 また、職業訓練にいたしましても、失業保険受給中に行なうことになっておりますが、失業者の大半は四十才以上で、妻子をかかえている者だけに、大きな期待が持たれません。
 きのう、NHKの討論会でも、その実相が述べられておりましたが、現在田川地区に出ている失業者のほとんど五〇%以上は、四十才以上の人たちであって、妻子があり、非常に遠隔地への就職には困難性がある、このようなことが、報道の中でも主張されているわけです。
 また、他産業への転換についても、現在各重要要産業部門で、オートメーション化や機械化等の合理化によって、人員縮小が実施されておるときではありますし、転換実施の保障がない。これは、萩原参考人も主張されましたが、そのような点等を配慮いたしますと、将来に光明を求める安定した有望な転職産業があるということは期待できないのではないか、このように考えられます。
 このような状態から判断をいたしますと、炭鉱労働者の落ちつく先は、干拓地、あるいは開拓地や、公団住宅建設、道路建設などの事業で、就業が不安定な土方仕事をやる、こういうことになるのではないかと思います。これに海外移民を加えて考えますと、離職時対策は、結局炭鉱労働者を社会の外に投げ捨てていく結果になる、このように言わざるを得ません。
 また、政府発表によりますと、石炭一千万トンについて、七十五万人の雇用があるといわれていますが、このうち、炭鉱労働者は六万人ですから、一人の炭鉱労働者が首を切られることは、十人の労働者の雇用に影響することになります。これらの関連産業の労働者対策について何ら考慮されていないだけでなく、炭鉱地帯における住民の対策も考えられておりません。これらの対策もあわせて考えるべきだと思っております。
 また、西独では、重油関税による三億マルク、二百五十七億円の大部分は、五万人と予定される炭鉱離職者に対し、手当、転業資金、転職先の貸金との差額補償に向け、国を興こすものは労働者であるという前提に立った政策をとっていると聞いておりますが、これと比較するときに、人権尊重ということが、日本とヨーロッパとでは、同じ資本主義国でもこれほど違うものかというふうに、私たちはあぜんとしなければならないと思っております。
 第二には、政府の石炭政策についてであります。昭和三十二年、経済企画庁のエネルギー部会で樹立いたしました五ヵ年計画がありましたが、その計画は、第一次年度においてそごを来たしております。このことが、巷間言われておりますエネルギー革命、流体エネルギーの進出と相待って、今日の状態をもたらしていることは、何人も否定できません。
 政治経済の主導的立場にある政府は、日本経済の総合的展望に立って、総合エネルギー計画、その中における石炭鉱業の基本政策を確立することが先決だと思います。私たちは早くから石炭鉱業の共本政策確立について、政府の当事者に要請をして参りました。しかし、なかなかその実施を見ませんでしたが、先般石炭鉱業審議会に基本問題部会が設置され、現在検討されつつあるやに聞き及びますが、本法案にもまして緊急かつ必要な政策は、完全雇用の立場に立って、鉱区の問題、租鉱権の問題、流通機構あるいは中小炭鉱を含む最低賃金制の設定等を含めて、石炭鉱業の発展を促進する基本政策の樹立であると思っております。その基本的問題に付随して、労働者の生活安定の諸問題が解決されなければならないと考えております。
 以上の観点から、今後十万人の解雇を前提とする考え方と首切りの強行を中止し、炭鉱労働者の次の強い要求を取り入れ、真の国民的な石炭鉱業の基本政策を検討、樹立されることを希望いたします。
 ます第一には、閉山問題が起きた場合には、民主的方法によって選出された委員会を構成し、国家資源の利用と、地方経済、労働者並びにその家族の将来についての保障を十分に検討をする。
 第二には、離職する労働者に対し、これにかわる炭鉱、または永久性のある、しかも今までと同じような生活が維持できるような職業を保障していくということ。
 さらに第三には、新しい雇用は、閉山された炭鉱と同じような地帯にある所か、また、その近辺に何らかの工業を興こして与える、こういう方法を講じていただきたい。
 第四には、無期限無制限の失業手当の支給を目ざして、当面、現在の失業保険給付額を八〇%に引き上げ、支給期間を二ヵ年間にしていただくということ。
 第五には、生活保護法の適用範囲の拡大と、基準額を倍増し、予算のワクを理由とする支払いの制限を行なわないこと。
 第六には、失業及び半失業労働者に対して、一ヵ年間の技能教育を行ない、その後の適正な労働条件による就業を政府の責任において保障していただく。このようなことをさんしゃくをしていただきたいと思っております。
 以上の点を強く申し上げまして、私の意見を終わりたいと思います。
#17
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
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#18
○委員長(加藤武徳君) 次に、日本石炭鉱業連合会専務理事長岡孝君にお願いをいたします。
#19
○参考人(長岡孝君) 私はただいま御指名のありました長岡でございます。大へん時間も迫っておるようでございますから、きわめて簡単に考えておりますることを申し述べさしていただきます。
 私ども日本石炭鉱実連合会と申しますのは、俗にいう大手十八社と違いましたその他の全国に、炭鉱で申しますればただいま五百幾つかに上る大ぜいのものの団体でございまして、いろいろの席上で申し述べておりまするように、国の資金を使うというチャンスにおきましても、さよう広範には実際しただいまの金融機関、金融機構のもとではそうは使えないというようなことも特徴的には申せる。また、企業の組織にいたしましても、多くは一つの炭鉱をやるという方がむしろ多いのでございまして、平生から好不況に対する影響はまず先に来るということを考えておりまして、昭和二十四年のころ、それから昭和二十九年、三十年の不況のころ、いずれも相当の鍛練を経たわけでございます。このたびのこの困難は全く油の非常な世界的増産の影響と私どもは考えておりまして、まあ一つの井戸当たり、合衆国で私どもがサンフランシスコあたりで聞きましたところでは、十二、三バーレルというのがアベレージでありますのが、四千バーレルも出るような油がサウジアラビアとか、クエイトとか出て参りましたのは、全く世界中でみな予測ができなかったようなことだったと思うのであります。従って、五七年のころにルールを中心といたしました西ドイツ共和国の貯炭がコークスにいたしました分まで混ぜて七十万トンしかございません。なまの石炭の貯炭などは見られもしませんでした。それかうちょうど満二ヵ年たっただけでございまして、ただいま千五、六百万トンになりましょうか、西独全部の貯炭があるというようなことは、外国においても日本においても予測できなかったことである。従いまして、私どもは、わが国の政府においてもそういう点は予測し得なかったことだと思います。経営者、また、われわれ比較的そういう調査機関などを持っておりませんものからいたしますれば、まことに見通しの悪かった姿であったかと思うのです。しかし、そういう影響は昨年春くらいからしみじみ感ぜられて参りましたので、政府にいろいろ進言をいたしまする場合でも、私どもはぜひ転換される労務者のために、石炭鉱業からよそに離れて行かれる方の取り扱いについてはぜひ安定した仕事に手早く入れるように措置をすべきである、国の力でなすべきである、こういうことをいろいろの機会に申し述べて参ったのでございます。従いまして、今度の離職者特別措置法案といいますか、臨時措置法案につきましては、自分らの考え方としては、国でみずからなさる仕事――道路とか、あるいは港湾の整備とか、あるいは隧道を開さくする、これも道路の一部になるかもしれません――鉄道の一部になるかもしれませんが、さような事業をみずから国が行なわれるようにということをかねがね申し述べて参りました建前上、この臨時措置法案にはさような事業のこと、そのことをうたってはございませんけれども、第二章でございましたか、もっぱら緊急就労事実というものを計画せられまして、さような仕事につかれることの一つの機動力にしておられるように拝承いたしましたので、まことにけっこうなことだと思っておるのであります。
 次に第二章でありましたか、援護会という組織が法案に盛られておるのであります。私どものかねがねの申し条は、国が大規模な事業をお興こしになることを希望いたしておるのでありまするから、必ずしも会というようなものはなくても、たとえば特別会計というようなものを国でお興こしになりまして、国みずからが事業もおやりになることができるのではないかということを考えておりましたのでありますが、せっかく特別の法人を予定せられて促進をせられると、こういうことでございまするので、これもよかろう、そういう考えに統一いたしました。援護会のおやりになりまする事業の内容につきましては、なおいろいろのことが考えられるのでございます。けれども、この法案そのものにも公団の方には包括的に一応書いて示してあるもの以外にも関連するものが行なわれるというふうに法制しておありになるようでありますから、これで私どももけっこうだと思って今後長らく時間のかかることのないようにてきぱきと進行せられることを希望いたす次第であります。
 最後に、援護会の費用のことでございます。その一部分は現在ございまする炭鉱整備事業団の方から交付されるように案がなっております。炭鉱整備事業団のまた資源は、金の源は、ただいまのところは炭鉱みずからの直接の負担金というのと、炭鉱が会社その他政府機関から借りております金利の一部をそちらに回すという措置等から成り立っているのでございますが、その方からお金をお回しになる、この援護会の事実にお回しになるということになりますれば、自然穴があくといいますか、残りは補充しなければなりませんので、いずれ現在の炭鉱整備事業団の仕事を完全にやりまする以外に、負担としてはずっと将来に、やはり現在のような一トン二十円以内というような負担を予期しなければなりません。もとより現在の一トン二十円という負担もなかなか仕上がりを切り詰めます上におきましては容易でないわけでございます。今日直ちにその上に何かが加わるというようなことはとうてい想像もできないのでございます。将来に負担が伸びるという点につきましてはなかなか容易ではない。むしろ願わしいことは、最高二十円の負担というのがたとえば長くなっても十円になるというようなふうに実際の負担がなるように願わしいものである。仕上がりの低下ということにつきましては、先ほど来いろいろな参考人の方からもお話がございましたが、なかなか困難でもありますし、奮励努力いたさなければなりませんでしたが、この点は特に負担のなるべく少なくなりまするように率直に希望を開陳いたしておきたいと思います。
 その他、本法案に関連いたしまする諸君炭政策につきまして、多少考えておるところもございまするけれども、この際は以上で私の陳述を終わりたいと存じます。
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#20
○委員長(加藤武徳君) それでは、次に全国石炭鉱業労働組合中央執行委員加藤俊郎君にお願いをいたします。
#21
○参考人(加藤俊郎君) 全炭鉱の加藤俊郎であります。私ども全炭鉱といたしまして、今日までの石炭政策を振り返りますときに、それからまた、今後の石炭政策について考えますときに、数多くの意見を持っておるのでありますが、本日は炭鉱離職者の臨時措置法案に関する問題でございますので、直接これに関連する事柄につきましてお話し申し上げたいと思う次第であります。
 私どもは、炭鉱の体質改善ということが、これから強力に行なわれなければならないというふうに考えております。しかし、その体質改善を行なうにあたりまして、非常に重要な柱となるということが今論議されております。この法案が円滑に運営されるかどうかということに非常に大きくかかるのではないかというように思うものであります。私どもは、この法案が意図しておりますところ、また、この趣旨につきましては基本的に賛成であります。従いまして、ただいまからこの法案が実施されるにあたりまして、その運用がより一そう円滑であり、より大きな効果が期待できる、そういうことを望みまして幾つかの問題を申し上げてみたいと思います。
 本日、ここに炭鉱離職者に関する若干の実情の調査資料を持参いたしましたので、これを御披露しながら、問題点について申し上げてみたいと思います。私の手元にありますこの資料は、石炭鉱業整備事業団が腕づくで買い上げました四つの炭鉱につきまして、炭鉱住宅に居住をしております三百四十六人の離職者を対象に調査したものでございます。これは各人別にアンケートをとりまして、それを集約いたしております。
 第一に、そのような離職者が就職希望の時期を、いつを最も就職希望の時期として望んでおるかということでありますが、直ちに就職をしたい、こういう回答をいたしました者が回答者の中の八六・三%を示しております。残りの回答者は、調査の時期から一ヵ月以上あるいは二ヵ月、三ヵ月というあとの時期に就職をしたいという希望であります。これはそれぞれの離職者につきまして、就職希望時期に関するいろいろの事情が介在しておるものというふうに考えられるのでございますが、ともかく今日このような状況におります炭鉱離職者に対して直ちに職を与えるということがいかに緊急であるかということは、この調査に待つまでもなく明らかであると思います。
 第二に、就職の希望地でありますが、これについての調査におきましては、どこでもよい、海外でもいい、あるいは自分が住まっておるところの県内であればよろしいというような回答をいたしました者が三三・九%でございます。残りの六六・一%が通勤を希望しております。また、新しい職につくにあたりまして、労働者自身、単身で赴任できる、それがどの程度あるかと申しますというと三九・四%でありまして残りの六〇・六%は単身で赴任することが不可能であるということを訴えておるのであります。このことから考えられますことは、すでに御承知の通りに、これらの労働者の現住地でありますところの炭鉱地帯におきましては、ほかに産業があるわけでもなく、自分の家から通勤して仕事につきたいと申しましても、これはおよそ不可能な実情に置かれておるわけであります。しかるに多くの離職者が自分の住んでおる所で通勤が可能な仕事につきたい、こういうふうに希望をいたしておりますのは、これは一にかかって住宅事情にあることが明らかであろうと思うのであります。住宅の確保につきましては、本法案の第二十三条の第一項第四号におきまして、雇用主に対しまして労働者用の宿舎を貸与すること、こういうことが書かれておるわけでございますが、この点に関しましては、一つあらゆる可能な方法を講ぜられまして、ただ単に雇用主に対して労働者用の宿舎を貸与するということだけではなくて、広範な措置をお願いしたいわけでございます。離職者本人に対しましても、これは離職者みずからが家を借りる、あるいは間借りをする、こういうようなこともあり得るわけでありますから、このような点に対しても援助を行なうことができないか、あるいはまた、住宅公団を活用する、パィフ・ハウスなどを活用するというようなことを通じまして、もっと広い角度からこの問題の解決に大きな精力を注いでいただかなければ、先ほど申し上げましたたように、六六%の人間が現在の炭鉱地帯で仕事を求めようとしておる、これはもう解決できない問題でありますので、この数字を減らさなくちゃならぬわけでありますから、どうぞ一つ住宅問題については熱心にやっていただきたいことを訴えたいのであります。
 それに関しまして、なお二、三の実例を申し上げますというと、ここに炭鉱地帯から東京並びに埼玉県、山梨県などに炭鉱離職者が参りまして新しい仕事についているのがあるわけでありまするが、そういう事業所をたずねまして調べて見ますというと、そこにおります労働者のほとんど全部が早く家族を呼びたい、早く家族を呼んでそして東京で暮したいのだ、自分が今働いている所で家族とともに生活をしたいということを非常に強力に訴えております。また、先ほど申し上げましたように、何とかして部屋借りでもしたいのだ、しかし、都会におきましては、御承知の通りに高い権利金を取られ、敷金を払わなくちゃならない、そういう金の用意はとてもできないし、そのことを新しい雇用主に対して要求することもできない状態だ、こういう悩みを訴えておるのであります。また、雇用主側におきましても、土地を持っているから住宅を建ててやりたい、また、そういう努力をいたしておる、あるいはパイプ住宅をやりたい、一日も早く彼らのために家の問題を解決をしまして家族を呼んでやりたい、その暁には、家族に対して内職をさせることさえも考えておるのだというような事情を訴えております。また、埼玉県や山梨県等に行っております者の状況につきましては、これは宿舎がないために社長の家に合宿をしておる、あるいは重役の家に合宿をしておるというような例もあるのであります。これは非常に親切な経営者であると思うのでありますが、このように率先をして、この炭鉱離職者の再就職について協力しておられる関係におきまして非常にこの住宅の問題がネックになっておるわけでありますので、この問題に関連してさらに若干の点を申し上げてみたいと思います。
 それは二十三条の第一項第四号と第一号の移住資金との関係でありますが、その第四号におきまして「労働者用の宿舎を貸与する」、これはどの程度解釈上の幅がありますのか私にはわからないのでありますけれども、ただいま申しましたような点からいいまして、この点について必要あるならば、条文の修正等も考慮していただかなければならないのじゃないか。それから移住資金の問題でありますけれども、これは引っ越しの費用という意味でありましょうか、その引っ越しの費用ということの中には、今指摘をいたしましたような家を買いたいとか、部屋を借りたいというような場合の住宅の手当をする費用などもこの中に考慮されておられるのかどうか、この第四号で解決できなければ第一号の方で解決すると、そういうような方法を講じていただかなければなりません。それからこの第二十三条の節二項の第四号と第五号でありますが、第四号におきまして「この法律の施行後において新たに安定した職業に就いたことのないこと。」こういう工合に書いてございます。これから申し上げますというと、ただいま私が実例を御紹介を申し上げましたが、すでに職安のお世話などを通じまして離職者が東京その他の地方に行っておるわけでございますが、こういう離職者に対して移住資金あるいは住宅のあっせんというような関係がこの法律が成立をした後にどのように取り扱われるのか心配になるのであります。これらの諸君は、多数おります離職者の中で、いわば開拓者として率先をして出て参っておるわけであります。これらの諸君が新しい雇用主のところにおきまして、しっかり働くことができるかどうかということは、あとに続く多くの離職者の就業の問題に東大かつ密接な関係を持つわけでありますから、これらの労働者に対する処置を忘れてはならないのではないかと考えるのであります。さらにそこの第五号におきまして、炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住しておる地域に住所を有すること、こういう工合になっておりまして、そういうものでなければ、たとえば第一号の移住資金はもらうことができない、こういうことになりますというと、これも今申し上げましたように、率先をしまして遠隔の地に出て行き、そして新しい仕事についてがんばっておる、こういう労働者に対する取り扱いというものが、これから移住資金をもらう離職者との間に非常に不均衡になるのではないかということを心配するのであります。この点に関しまして何か政府の方においてお考えがあるかと思いますけれども、どうぞ一つこういう労働者に対しての処置を熱心にやっていただきたいこともお願いをしたいのであります。
 次に、離職者の定義でございますけれども、これに関しては第二条の第二項に「「炭鉱離職者」とは、」ということで書いてございます。聞くところによりますというと、この「炭鉱離職者」というのは、いわゆるホワイト・カラーと申しますか、職員層は含まないというようなことであるそうでありますが、私はやはり職員層も、職員であった者も炭鉱離職者としてこれに含めるということにすべきであろうと思います。職員層の中には、特に中小炭鉱の職員の中に、学歴もなければ特に技能についても持っておるものもない、そういう階層も非常に多いわけでありまして、今後の炭鉱の成り行きを考えます場合に、これらの人たちが整理の対象になりやすいということは容易に予想できることであります。しかもまた、こういう人たちはかえって転職が困難でありまして、これらにはいろいろの事情があるわけでございますけれども、こういう労働者の中で、やはり自分も今度は肉体労働に従事して働くのだ、職業訓練も受けるのだ、こういう希望があるにかかわらず、職員であったということによってこの法律の対象から除外されるということになるのは、はなはだしく妥当性を欠くのではないか。また、そのように希望をしないいわゆる純粋なホワイト・カラーでありましても、これはこれなりに対策というものをこの法律の中に盛り込んでいただかなければいけないのではなかろうかという考えを持っております。
 次に、訓練手当の問題でありますが、第二十三条の第一項の第二号に「職業訓練を受ける炭鉱離職者に対して手当を支給すること。」とこういう工合に出ておるのであります。この職業訓練の手当を私が特に申し上げますのは、今日まで炭鉱地帯にも職業訓練所が数多くあるわけでございますけれども、それでは一体どれくらいの炭鉱離職者が職業訓練を受けておるかということになりますと、その数はきわめて少なかったというのが実績であります。大体職業訓練所は新規に学校を卒業した者が入る学校のような形になっておりまして、どこの訓練所に行きましても失業者が職業訓練を受けておるという事例はわずかしかないのでありますが、炭鉱地帯におきましてもまさにその通りであります。先ほど申し上げました宇部地区の離職者についての調査によりますというと、該当者のうちにわずか二・八%の者しか職業訓練を受けていない実情でございます。職業訓練を受けていない者の中で三七・九%の者が職業訓練の希望を申し述べております。これだけ多くの希望者があるにもかかわらず、実際には二・八%ぐらいしか訓練を受けていないというのは、要するに訓練中の生活維持の問題であります。生活が維持できる状態にしてやって訓練を受けさせるということでなければ、この職業訓練所を政府におかれまして新たに作ってやられましても、成功は期しがたいのではないか。また、職業訓練を受けさした上で新しい職業につけてやるということでなければ、ほんとうに安定した仕事につくことができないのではないかという関係でございますので、現在考えられておりますところの職業訓練手当というものは、ぜひとも一つ予算を増額せられまして、生活維持ができるような額において支給をせられたい。その場合におきまして、その離職者の生活の実態に応じまして、家族を持っておる者、あるいは単身者というような実情に応じての訓練手当の額の相違というようなことは、これはいろいろ工夫があろうかと思います。やはりそれぞれ離職者の実態に応じたこういう点も措置をやってもらいたい。特に政府は、失業保険の受給期間の延長について一ころ考慮されておったようでありますが、今回それが出ていないわけでありまして、それに返るという意味ではありませんが、それに返るということも含めまして、職業訓練手当を増額するということをぜひお願いをしたいのであります。
 次に、生活指導の問題について申し上げてみたいと思います。これも二十三条の第一項の第八号に、援護会が行なう業務の一つとして明記せられております。でありますが、このようなことがあるわけであります。新しい仕事につく、そこで日給五百円、あるいは六百円という金をもらうよりは、生活保護を受けておった方がましだという気分が現在滞留しておる、離職者の中に相当蔓延をしているということを憂慮するわけであります。そのようなぬるま湯につけてしまいますというと、どのような対策を講じようといたしましても、それに乗ってこない。たとえば、筑豊地帯の職業安定所におきましては、求人はあるけれども求職がないというようなことがあったりする。これについて職業安定所の方では、応募者が思ったより少ない、特に直方では、離職者の連盟が、これは今、日自労の関係らしいのですが、応募を阻害しているらしいというようなことも言っているのであります。いろいろもちろん事情はあるわけでございますが、やはり離職者に対して、みずからの生活をみずから建て直すんだ、こういう意欲をしっかり植えつけるような生活指導をこの援護会は強力に行なう必要があるというように私は考えるのであります。言いかえますならば、これは援護会が炭鉱の離職者に対して行なうところの一つのPR活動だろうと思うのです。同時に、このPRということに関連をいたしまして、私は炭鉱離職者を雇っていただくべき全国の雇用主側に対するPRを援護会は強力に行なってほしいのであります。これはなぜかと申しますというと、炭鉱離職者に対する一般の先入感がある。あるいは炭鉱労働者は使いものにならないとか、日が当たる所では働けないとか、あるいは組合運動が激しいとか、まあいういろいろだらない先入感がある。こういう雇用主側の事情に対しまして、ほんとうに炭鉱労働者がどういう考え方を持っておるか、どういう状況であるかということを、いいことはいいなりに、悪いことは悪いなりに、一つPRをしていただく必要があろうと思うのであります。先ほど例に引きました東京関係の雇用主側では、炭鉱離職者を雇ってみた、いいことも言っておりますが、悪いことも言っております。作業についてはひけをとらない。従って、第二回分を追加申し入れをしておる。話し合いをするのに、最初は全部の人間が固まって来たので驚いたというようなことも言っております。それから、仕事は非常によくやる、しかし、時間が長いのをきらう、あるいは選考を安定所で責任を持ってやってもらいたい、あるいは人柄、知識等は、従来の労働者よりも上回っている、視野が広い、性格が明るいというようなことを言っておる雇用主もあります。それからまた、安全帽をよくかぶるので、他の労働者の模範となる。これは当然でありましょうけれども、そういう話も出ておるのであります。従いまして、こういう雇用主側に対しまして、炭鉱労働者の今までの生活の実態、考え方というものについてよく知ってもらう必要があるし、新しい雇用先の状況がどういうものであるかということにつきましても、今度はまた離職者側に対して十分のPRが行なわれる必要があろうかと思うのであります。
 次に、これだけのこの離職者を、理想として一人の失業者もないような状態に持っていくということでなければならぬわけでありますが、これについては、職業安定所の方の人員や予算は、はたして対応できるように仕組まれておるのかどうかということを一つ心配をいたします。現状におきましては、聞くところによりますと、離職者一人に対する職業相談は、一分半から二分くらいのものだというようなことだそうであります。そういうことでは、いかに安定所の方で努力をされましても、これは不可能なことでありますので、この法案と同時に、安定所に関する予算の関係、人員の関係等につきましても、十分な配慮をお願いをしなければならぬと思うのであります。特にその点につきましては、すでに安定所におきまして、広域職業紹介を実施しておられますから、それがどの程度実績を上げておられるかというようなことなどもお調べになるというと、その間の実情なども明らかになるのではないかと思います。
 なお、この援護会の運営に関しましては、中央、地方の組織におきまして、われわれ労働組合を含めて、民間人の活用をはかってもらいたい。さらに、これは臨時措置法でありますけれども、数年続けるべき法律でありますので、毎年十分な予算をつけていただかなくちゃならぬ、こういうことを考えるわけであります。
 最後に一点申し上げたいと思いますのは、この法案の六条に関連をいたしますが、鉱業権者は、炭鉱離職者を優先して雇い入れよ、こういうようなことになっております。この点は、炭鉱離職者を他の産業にこれをお願いをして雇ってもらわなくちゃならぬという立場にわれわれ炭鉱人は立つわけでありますから、もっと強力な規定の仕方によりまして、鉱業権者が新しく炭鉱労働者を雇い入れる場合には、炭鉱離職者を雇い入れるようにしなくちゃならぬということをやれないものかどうか、御検討をいただきたいのであります。
 あわせまして、この裏返しの問題でありますが、大手炭鉱におきましては、真にやむを得ざる事態におきまして離職者を出さざるを得ない場合、その離職者の中から一人でも失業者を出すな、こういう覚悟が絶対に必要である。大手炭鉱におきましては、それなりの資力を持っておるわけでありますし、あるいは系列会社、あるいは関係の深い会社等も多いわけでありますから、そういう関係に就職をあっせんをいたしまして、一人の失業者も出さない、こういうことを厳重にやらせる必要がある。その点におきまして、この法案があるために離職者を出しやすくなったというようなことが絶対にないような運営を考慮していただかなくちゃならぬ。さらに、中小炭鉱の離職者の場合は、多くの場合に、山が閉山になっておりまして、どこかに就職をしようとしましても、前歴を証明するものがなかったり、あるいは保証人になってくれる者がなかったり、いろいろ不利益な点があるわけであります。従って、この援護会が掌握をしました炭鉱離職者の中におきまして、中小炭鉱からの離職者であるがために、大手の離職者よりはみじめな目にあわなくちゃならぬというようなことのないように配慮をいたしていただかなくちゃならぬと思うのであります。言いかえますならば、援護会は、ある意味におきましては、このような中小炭鉱の離職者のために、親身になって世話をする機関だということが言えるくらいに活動をしていただきたいということをお願いするわけでございます。なお、本法案が一日も早く実際に動き出すことができるように、特別の考慮を払っていただきたい、業務方法書を作り上げたりなんか、いろいろめんどうなことがあるようでありますけれども、事態は非常に急ぐべきことでありますので、最大のスピードでころがり出しますようにお願いをいたしまして、私の申し上げることを終わりたいと思います。
#22
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 それでは参考人に対して質疑がございましたらお願いいたします。
#23
○吉武恵市君 時間もだいぶ過ぎましたので、簡単にお尋ねをしたいと思うのでありますが、長岡さんが、大体中小炭鉱を代表しておいでになる。先ほど時間がないために石炭そのものの対策についての御意見が端折られたような感じがいたしましたが、中小炭鉱が特に現在影響をこうむっているように思いますが、これに対して石炭対策、事業そのものの対策として、どういうふうな御要望をお持ちか、お聞かせいただきたい。
#24
○参考人(長岡孝君) 基本的には、光ほと申し述べましたように、世界的の影響を受けて、なかなか容易でないという点からいたしまして、できるだけ早く仕上がりの低下も考えなければなりませんし、売り値の下がる手だてもいろいろ考えなければならぬと思っておりますが、何を申しましても、炭鉱主と労働者諸君と一緒になってやっているというようなのが大体中小炭鉱の姿でございますので、急激に変革のありますことは絶対に望ましくない。従いまして、現在まで三十年以来行なわれておりまする重油のボイラーの規制の法律のごときは、私どもの主張といたしましては五年間延ばすべきである。ぜひ延ばしてもらいたい、これは国の財政施策からいわれることであるかもしれませんが、本来ございます油の関税率、これもある時期にでなしに、毎年いたして参りました。数年前にやっとそれが原油で二分、B、C重油で六分五厘というのがとれるように臨時になって、毎年なっているのであります。これはただいまではさようなものを置く理由はないと思いまするので、一刻も早く国定税率通りおとりになるのがしかるべきではないか、それによる日本の産業経営上の影響という点は、私どもの観察では、必すしも全部消費者の御負担になるようなものではなかろう。いかんとなれば、油の値段というものは、仕上がりいかんというような点から採算をされる要素よりも、むしろ世界じゅうの油に生産の関係のある大きな企業のものの政策的な値段でくるのであろうと思いますので、関税は上げましても、上げたものの全部が、あるいは大部分は売り値の方ですばやく下げてくるのではないか、従って、関税を上げることによって値段の下がらないというような期待を持つのではなくて、当然お上げになってしかるべきだという主張でございます。流通機構のお話もよく出るのでありますが、目的としてはなるべく中間の経費が少なくなるように、これはだれしも考えることなんでございます。実際にしからばやっておりまするもののことを見て参りますと、どんなに値段が高くてもいいようなときならば野放しに費用を重ねて売っているかと思いますけれども、ただいまのように、むしろ売り値が押されているときには、生産者としてはできるだけ手取りのいいようにということを、工夫に工夫を重ねてやっている最中であります。いたずらに、といいますよりも、見方を大きく、国の行政の方からごらんになれば、いろいろの見方があると思います。生産をしております者から見ますると、できるだけ手取りをよくするように、自分らのためにも労働者諸君のためにもはかっているつもりなんであります。現在のこの経済機構の中で、はたしてどれだけ切り詰めができましょうか、それでなくてさえ手取りをよくしようと努力しているのでありますから、その中で、あるいは数人の者が寄って共同していろいろな施設をするとか、あるいは積み込み施設などについての改良合理化を、これは自治体なり国家そのものなりの協力、あるいはお力を得て至急にやってもらったりいたしております。もっと積極的に流通関係のことを申せば、数年うちに何とかして重油の売り値に近いようなものに持っていくためには、ある期間、鉄道運賃のようなものを全国的に半分にすることができないものだろうか、船運賃は、先ほど萩原さんの御意見にいろいろございましたが、これはもう全く自由企業家でございますから、直接どういうふうになさるか、いろいろ御意見がございましょう。国有鉄道の運賃のごときは、なるほど国有鉄道の貨物の半分ほどが、半分近くが石炭であることは承知いたしておりますが、何か方法を講ぜられないものだろうか、かように考えております。
#25
○阿具根登君 時間がございませんので、長岡さんに三点にしぼって御質問を申し上げたいと思います。
 まず一点は、フランスを見ましても、英国を見ましても、ドイツを見ましても、国が石炭に対して責任を持っておるところは、それだけに中小炭鉱の集約がまず第一に実施されたわけです。五百もの炭鉱を掌握されておるので非常にむずかしいと思いますが、今後もこの経済の中において買い上げが続くと思うのですが、その対象はほとんど中小炭鉱である。そうして今後の政策によって相当多くの中小炭鉱が買いつぶされると思うが、その対策はどういうように考えておられるか、これを一つ。
 それから五百以上にも上る中小炭鉱の実態から考えてみましても、その大部分は大手のしわ寄せを受けておる。さらに、同じ石炭業者でありながら、中小炭鉱の石炭を大手が買い取って、混炭その他で販売をやっておるということは、販売の機能を持たないと、こういうことに起因すると私は考えるわけです。こういうことを考える場合に、大手では先ほど申し上げましたように、昭和石炭株式会社等のことが考えられておる。私どもは、それでは大手だけしか助からないから、だから、国でそういう販売機構を考えるべきではないか、こういうことを主張しておるわけでございますが、中小炭鉱は中小炭鉱なりのそういう集約した販売機構を考えておられるかどうかという問題が第二点。
 第三点は、非常に言いにくいことですが、それが実情であろうかと思いますが、中小炭鉱は経済の波の間に間に浮き沈みしておる、一つも自主性がない、少し好況になれば雨後のタケノコのごとく続々と炭鉱ができてくる、少し不況になれば失業者も知ったことじゃない、次々に炭鉱はつぶれていっておる、これが実態だろうと私は思うのです。ところが、現在ここまで炭鉱が斜陽産業だと叫ばれておる中で、たとえば協会の話を聞いてみますと、大手で六万人の失業者を出さなければ、重油との太刀打ちもできないし、経済の要請にもこたえることができないんだということが言われておる。六万人もの失業者を出すとするならば、一体、どこの山がその経済の要請にこたえ得るか、どの山がそれにこたえ得ないかという問題を考えてみる場合に、約二十二の炭鉱を閉山しなければならないだろう、こういうことまで言われておるわけです。そうすると、中小炭鉱の方では三万七千人の人がおそらく職を離れなければならないだろう、こういうことが言われておるが、日本石炭鉱業連合会からは何の発表もまだ私は聞いたことがございません。一番、あらしのさ中にあるこの中小炭鉱をかかえておられます鉱業連合会というものは、相当私は突っ込んだ研究もされておると思う。そうするならば、今、政府がやっておるような線でいくとするならば、そのしわ寄せば一番多く連合会にくるはず――中小炭鉱にくるはずならば、今の政策そのままでいったならば一体どれだけ中小炭鉱は生き残るのか、どれだけつぶれるのか、はっきりお示し願いたいと思います。
 以上、三点、集約して御質問申し上げます。
#26
○参考人(長岡孝君) 御質問にぴたりと当てはまりますかどうかはわかりませんと思いますが、集約して生産をしていくことがどうかというように伺ったのでございますが、実は五百と申しましても、非常に生産量の大きい、月産四万トン以上ございますものもございますし、ほんのもう月産で百、二百というのも一炭鉱と数えておるわけです。現在の整備事業団にどしどし売っておるではないか、御説の通り、数は相当ございます。しかし、その中には、ただいままでに出ましたのでは、あまり大きい、骨になるようなものはなかったかと思っております、あまり大きいものは。従いまして、はなはだ御質問の趣旨に合うのかどうかわかりませんけれども、私どもの観測では、中小炭鉱の生産額というものは、値段もさることながら、大体三―五年はそう落とさぬつもりです、生産総額は。それの生産の担当者は相当かわっていくだろう。事業団に売るということもございますけれども、他の近所のあるいは他の地方の経営者、やはり十八社以外の経営者がそれを担当して、炭鉱一つ当たりの規模はふえていくのだろう。俗に私の方の言葉では、役者はかわるけれども生産量はあまり落ちないし、あまり伸びることもむずかしいだろう、伸びまいというような観測をいたし、業者自身もそうであろうという見通しをいたしております。
 第二の、販売の方法について、国の力という御示唆もあったようでございます。先ほどおっしゃいました昭和石炭会社という意味が、前の昭和七年に設立いたしました昭和石炭株式会社ではなくて、たしか今回の新昭和石炭のことだろうと思いますが――そこで、私どもの方ではできるだけのチャンスをとらえて、実は数人の心を許した間柄のものが組み合って信用力を多少でも強めまして、一般からの金融並びに販売方法を講じたい、そういうふうに考えております。ただ、これまでの実情を申しますと、なかなかお互いに個々に仕事を仕上げてきた方が完全に共同責任に入るということが実情上、なかなかむずかしかったので、あまり進展はしませんでした。しかし、北海道、西九州、常磐の一部などには幾らかずつさような方面で何人かが手を取り合って金融の道を講ずる、また、販売先に当たるというようなことをしようという機運は見えておりますので、私どもといたしましては、なるべくそういうふうに固まって、金を借りる方面と同時に、相手方にアプローチするように、需要者にアプローチするのに一緒になっていくようにするようにしむけております。
 第三の、大手炭鉱では、三十八年度までに六万有余でございますか、六万でございますかの人を炭鉱から離れさせなければなるまいだろう、こう言っておるのに、その他の、連合会からは何らの発表はない、お説の通りでございます。私どもは十八社と組織が違っておりまして、連合会は五つの地区の鉱業会から成り立っておる。しかし、五つの鉱業会はそれぞれメンバーがあるのでありますから、シラミつぶしにおのおのの方々の計画なり何なりをとるということは、できないことではないのでありますけれども、まあみずから言うのもおかしいのでありますが、事務的能力あるいは将来の計画などについて三年先、五年先を正確に図面に色分けにいたしまして毎年の進展を入れておるということが大手の実際でありますが、その通りにやっておる人が全部であるというわけでもないので、従いまして、中小炭鉱のうちのおもなるもののうちにはというよりも、おもなるものはそれぞれ少なくとも三年あるいは五年の事業計画を持っております。これは一人々々の方についてはあるのでありますが、全体としてはとってもそう確実に十八社のごとくにきちんとしたものはとりにくいと。なまじっかそういうものでないものを材料にいたすか、あるいはそういうものを全部用意できないといたしますれば、まあ机上で私どもだけが計算をするわけであります。そういうことはむしろ不正確であるというような心配から、積極的に私どもは外部に対して、中小炭鉱連合会の将来計画というものを、計画という名前であっても、発表というか、そういうものを作ることをいたさないと、今のところはいたしております。ただ、おもなる炭鉱のおもなる事業者の三ヵ年ないし五ヵ年の計画というものはそれぞれありますので、これは私どもも大体承知はいたしておるつもりでおります。
#27
○阿具根登君 最後にもう一点質問いたしますが、ただいま言われたように、中小では役者が次々にかわると、私はそれが実態だと十分承知いたしております。ということは、非常に不安定であるということだと思うのです。で、一つの例を申し上げますと、今度福岡のある炭鉱から整備事業団に買い上げを申請されて、そしてこれは、組合もやむを得ないということで、労働者の方も賛成されたので、もちろん整備事業団で取り上げて、そしていざ買い上げようとするようになりますと、この炭鉱は民法によって鉱害の復旧をやっておるので、鉱害の損害賠償をしなければならない。そうすると、労働者にやる金も一銭もない、こういう実情でございます。そういたしますと、この中小炭鉱の業者の方々が日本経済に非常に協力されておることは、私も百も知っておりまするし、りっぱな方々ばかりであろうと思いますが、一般中小の企業と違いまして、炭鉱というものは非常に他に与える影響が多い。一般善良な市民に鉱害を与えておって、それを払う能力もない。また、自分が計画をしておるのがそごすることは、これはいつの場合にもあるでしょうけれども、次々に業者がかわらなければならない。こういうことが今の石炭事業に当てはまるかどうかということを考えてみる場合に、私はこういう石炭に関する業者というものは、これは考え直さなければならないのではなかろうかと思うのです。この中小炭鉱が幸いに買い上げの対象になったところは幾分救われますけれども、ただいま申しあげたようなところは、中小炭鉱でも零細の方ではないのです。小炭鉱でも裕福なのです。そうなってくると、これは炭鉱を許可する場合に、それだけの能力、資力、あるいはそれだけの計画のあるところでなければ許すことはできないと、こういうことになってくると思うのです。おそらく今政府が考えておる月当たり二十六トンなら二十六トンという能率を考えていく場合に、大手炭鉱でも閉山しなければならないというならば、機械化の非常におくれて人力で原始的にやっておる中小炭鉱では、おそらくこの規格にマッチする炭鉱は非常に少ないのではなかろうかと、こう思うのです。で、今後の炭鉱許可については、私どもは、これは相当厳選しなければ、わざわざ非常な不幸な人を生み出す結果になるのではないかと、こういうことを考えるわけです。だから、そういうわずか大手炭鉱の掘り余りの非常に条件の悪いどこかを掘られる、あるいは炭層の非常に薄い、おそらく炭鉱を知らない方は、そんなところで人間が仕事をするかと、立って歩くこともできない、立ったままで、すわったままで岩の下で石炭を掘っておる、こういう実情というものは、石炭の今日から見るならばもう実情に沿わないのではないか。そうするならば、それにかわる鉱区――萩原さんも言っておりましたように、いわゆる休眠鉱区等をもって、何十年、何百年の夢を見ておるこういう人たちに、鉱区を早く開放していただいて、中小炭鉱はいさぎよく早くやめて、そういう大きいところに移っていかなければならないと、こういうことになると思うのですが、いかがでしょうか。
#28
○参考人(長岡孝君) ただいま御指摘のありましたように、炭鉱を整備事業団に売りました場合に、相当量の鉱害並びに鉱害予想額があるために、その他の一般の債権者の方が債権があっても、これが十分行なわれないというような実情も承知いたしております。これはまことに、ただいま御指摘のありましたように、炭鉱といわず、鉱山をやりまする以上は、鉱業権者が責任を負うことは昔からきまっておることでありますから、十分準備をすべきであったので、これをせずにおって、こういう際に今のような処分をして、なかなかみずからの責任が果たせずに処分をするということになることは、悲しむべきことだと思っております。一方、御案内のような炭鉱の困難さを、総合燃料からも、いろいろ需要の構造からも、自分の企業の内容からも、認識を新たにしてきておるはずでございまするし、私ども団体としては、ことにそういうことは自分たちの中で考えなければならぬということを繰り返しておるのでございまするから、将来に向かいましては、ただいま御指摘のありました、残炭だけを目指して掘るというようなことにはあまり向かわずに、新床を堂々と交渉をいたしまして手に入れて、機械力を十分駆使できるようなことに、新規の方々はだんだんやっていくだろうと私は考えております。ただ、制度的にこの資格をいかなるものに付与すべきであるかというような点につきましては、まだ頭を統一いたすに至っておりません。
#29
○委員長(加藤武徳君) 参考人に対する質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
 参考人の各位に、一言委員会を代表いたしまして御礼を申し上げます。参考人には、きわめて貴重な御意見を長時間にわたりましてお聞かせ下さいましたことを心から厚く御礼を申し上げます。委員会といたしましては、皆様の意のあるところを汲み取り、本法案審議の上に参考にいたしたいと、かように考えておるわけであります。長い間大へんありがとうございました。
 それでは、暫時休憩いたします。
   午後一時九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#31
○委員長(加藤武徳君) それでは午前に引き続いて再開いたします。
 引き続き炭鉱離職者臨時措置法案を議題といたしますが、ただいま政府からは松野労働大臣、労働省からは百田職業安定局長以下係官が出席いたしております。通産省からは樋詰石炭局長、建設省からは大沢政務次官、鬼丸官房長、川村河川局治水課長、千葉調査官が出席しております。大蔵省からは前田政務次官、岩尾主計官が出席しております。厚生省からは三浦保護課長が出席しております。
 それでは質疑の御希望の方は逐次御発言を願います。
#32
○藤田藤太郎君 私は、この炭鉱離職者臨時措置法案の内容を昨日から承ってみますと、石炭の買い上げ法案、あれに付随した二万一千を対象にした、こういう工合に承るわけでございますけれども、しかし、石炭の離職者を、全体の離職者をこう見てみますと、石炭の各府県の出している資料を見ても十一万四千百人もおる。で、きのうはこの数字が違いましたけれども、阿部委員の質問で、六万幾らの離職者かというと、やっぱり離職者という、こういうお話がございました。で、府県の資料を見ると、十一万四千百人という数字になっているわけです。ですから、この二万一千人に対する手当として今度の法律ができた。しかし、労働者が就職しようとする希望の社会というのは就職するところがないという状態だと思うのです。ですから私は、この炭鉱離職者臨時措置法案、それにつけ加えて今の失業者をどうするかという問題が十分に論議をされ、そういう対策が講じられないと、なかなか今の失業者に対する対策というものが出てこない、こういう工合に考えるわけでございます。で、一番最初に事務的な面からお尋ねしたいのですけれども、一番新しい数字の、失業保険を今もらっておる人が何人おるか、それから職安に登録されている人がどれだけおるか、職安に申し入れている人がどれだけおるか、この事務的なやつを先にお尋ねしたいと思います。
#33
○政府委員(百田正弘君) 本年の九月の統計でございますが、失業保険の受給者の実人員が三十三万八千百三十五人、それから同じ九月における安定所における有効求職者の数は百十六万一千一名でございます。それから日雇い有効休職者の数は五十一万六千百八十八ということになっております。
#34
○藤田藤太郎君 そこで私は、この出てきた数字の母体というのはこれは的確に近いと思います。要するに職安の窓口で収集されるわけですから。ところが、この労働力調査というものに出てくる労働力と失業との数字その他はなかなかこれと合わないわけであります。そうすると非常に、われわれが今就職をされている人がどれだけおって、失業されている人がどれだけおるかということの把握が非常にむずかしいわけでございます。そこで、経企長官にきょうおいでを願って、政府のこのような雇用対策は直接は労働省でございますけれども、労働問題の中心をなすのは国のやはり経済政策だと思いますので、その面をどういうふうにお考えになって国の経済政策をお立てになっているか、これをお聞きしたいのであります。見えておりますか、委員長。
#35
○委員長(加藤武徳君) 間もなく入ります。しばらくお待ち下さい。
#36
○藤田藤太郎君 それじゃ、それはあとにしまして、通産省は見えておりますね。
#37
○委員長(加藤武徳君) 通産省は大臣差しつかえまして、先ほど申しましたように石炭局長が出席いたしております。
#38
○藤田藤太郎君 通産局長は……。
#39
○委員長(加藤武徳君) 通産局長は来ておりません。
 なお、菅野経済企画庁長官は二時十五分には入るという約束でございましたが、まだ参っていませんので、ただいま催促させております。――ただいま菅野長官が出席をいたしました。なお、御要望の通産局長には……。
 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#40
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
#41
○藤田藤太郎君 経企長官がお見えになりましたからお尋ねしたいのですけれども、政府は経済政策をお立てになるにあたりまして、雇用問題というものをどういう工合にきめてお立てになっているか、これをお聞きしたいのです。一つの面では所得倍増し論というものが出ておりますが、所得倍増しというのは、やはり勤労の中で生活を打ち立てていくというのが正道だと思います。そういう面から雇用問題というものをどういう工合にお立てになっているか、お考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#42
○国務大臣(菅野和太郎君) 長期経済計画の目標は、国民生活の向上と完全な雇用関係ということを目標にいたしておりますので、大体雇用関係につきましては、増加さるべき人口を、これを完全雇用するというような目標で一応計画を立てるということになっております。
#43
○藤田藤太郎君 そうすると何ですか、人口増加に対しての経済計画をお立てになる、こういう工合に今お話しでございましたけれども、実際の問題として、長官、よく御存じだと思うのですけれども、今、石炭の問題で審議をしているわけです。先ほどお話ししたのですが、今度の離職者法案は二万一千の離職者を対象にして法案が作られている。ところが、府県の資料を見ると、今日までの石炭の離職者は十一万四千という離職者がおるという資料が出てきておる。そうしますと、この九万に近い人をやはりどこかの場所につけて生活を確保させなければならぬ、こういう問題が出てくると思う。石炭の離職者ばかりでなく、今の産業活動の状況を見ますというと、機械化、オートメーション化に進んでおります。どんどん進んで、生産はどんどん上がりますけれども、新しい新規労働者というものはふえるどころかどんどん減っている。生産が上がると、比例して近代産業といわれるところは労働者が減ってきているわけですね。それが今の現実だと思うのです。今お話しになりました今後増加される人口に対しての云々というお話がありましたけれども、私はそれだけではその問題は解決しないと思うのです。それで私たちは社会労働委員会で労働大臣との間にいろいろと政府の施策を聞くわけであります。それで、労働大臣自身は、今の失業者をどうして就職の場を見つけるかということを熱心におやりになっておる。しかし、労働問題の根本というのは私はやはり経済政策だと思うのです。それで、経済政策は労働政という内容と密着して考えてやらぬ限り、労働行政というものは国家経済政策を立てたやつのおこぼれの下請だけを処理していくということになる。これじゃ労働問題というものは、雇用問題というものは解決しないと私は思う。そこで、昨日ちょうど通産大臣と経企長官とがおいでになっておりましたから、ぜひ、どういうお考えか、経済政策の面から企画されておる、実際上運営されている通産省の面から、どういう工合に考えているのかということをお聞きしたかったのでありますけれども、時間がありませんでしたので、きょうまた来ていただいたわけですが、そういう面をどういう工合に立てていこうとしているか、また、どういう工合に見ておられるかということのお話を聞かしていただきたい。
#44
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま申し上げました通り、長期経済計画は国民生活の向上と完全雇用ということを目標にいたしておりますので、そこで、たとえば国民所得が十年後には何ぼ増加するかということをまず一応目標にしまして、そして将来増加さるべき人口は何ぼかということで、そこで、それによって各人の生活がどれだけ向上するか、それからまた、その就職の雇用関係が完全に雇用できるかどうかということを検討して、それでたとえば、まだそこまで計算できておりませんが、この雇用関係を展開しようと思いますと、どうしても日本では機械産業を盛んにしなければならぬ。そこで、今後われわれが長期経済計画を立てるときには、今後の日本の産業は機械産業に重点を置いていかなければならない、そうすれば雇用関係がよくなるのではないかというようなこと、また、ここはただ今までの経過から考えておるだけで、まだ具体的にこれから調査研究するわけであります。そういうようなことで、できるだけ雇用関係をよくするような産業を今後進めていくということをやはり考えていかなければならぬ、こう思っております。
#45
○藤田藤太郎君 どうも今の長官のお話では何だか納得できないのです。機械産業が雇用を拡大するから機械産業をふやしていく、これも一つの私は方法だと思う。しかし、そうかといって化学産業をとめるかということであれば、それはやはりそういうわけにもいかない。これはやはり国際的な他の国との貿易という関係もあるし、日本の経済が立ち直っていくという関係から見ると、そこにできるだけふやして雇用を拡大するということもうなずけますけれども、総体的に機械産業にしても、あらゆる産業にしても、新しい機械化、オートメーション化という格好で生産向上ということが出てきている。これはもう私は人間の能力の、今までの努力の集約だと思います。だから、そういうことによって国民や広くいえば、世界の人類の幸福になるということは私はいいことだと思うが、これをとめる手は何もないだろう。それに加えて国民の消費物資、必要の物資がたくさんそういう機械化によってできていくことになりますれば、それによって幸福な生活を送っていくということにならざるを得ないと思う。そうかといって、仕事もしないで生活をするというふうな環境というのは人生の中で一番不幸だと私は思う。だから、そういうことを締めていったらどうなるかというと、結局仕事を分け合ってみなが仕事をしていくという、結局、労働時間を短くするということが近代国家がみな行なっておる姿だと思う。それで失業者のいない中で栄養も十分にとる、生産に応じて国民の生活水準を上げていく、そこで完全雇用という道が開かれるのではなかろうかと私は思う。だから、そういうことがまず基礎でなければ、私は、ただ機械産業になるということだけでは納得できないように思います。長官の御説明のことが私が申し上げたような御趣旨であれば私も了解いたします。その点どうですか。
#46
○国務大臣(菅野和太郎君) 全般的には今あなたのおっしゃる通りであります。私も同じ意見です。ただ私は、具体的に雇用関係をよくする一例が今何かないかといえば、日本でいえば機械産業がほかの産業に劣っておる、世界的に見て劣っておるから、それで現在機械産業はわれわれの調査では一番雇用が大きく要望されておるから、そこで、さしあたって具体的に一例を申し上げればということで申し上げたので、全体の意見はあなたと私と同じ意見であります。
#47
○藤田藤太郎君 よくわかりました。そこで、私はあなたが長期計画また企画をお立てになるわけです。今日の設備投資の状態なんかを見ておると、今までならば百万円投資すれば一人の就労の場ができた。産業によって違いますけれども、最近では三ヵ月、半年という工合に、設備投資額と、就労の場というのは非常にものすごく変わってきておるわけであります。だから、そういう例が一つ重要な問題としてあるわけです。ですから、政府が計画をお立てになるときには、やはり今の失業者をどれくらいに把握するかという統計の問題になってきまずから、あなたとの間の意見に入るかどうかわかりませんけれども、しかし、どれだけの失業者を把握するかという問題が一つ出て参りまするが、今の失業者をどうして完全雇用の道につけるかという、こういうやはり施策に対しても、設備投資という、政府が政策としてめんどうを見ておるところの面に対してやはり制肘を加える、というと言い過ぎかしれませんけれども、やはり雇用というものを計画を立てて経済の政策というものをお立てにならなければ、雇用問題というものは私は解決しないと思う。石炭の問題にしましても、斜陽産業だといわれております。しかしそこには、いろいろあとほかの委員が議論されると思いますけれども、一つの言葉では炭主油従ですか、そういう日本の資源から生まれてくるものを中心にしてやったらどうかというようなことも一つあるわけです。石炭の今の失業者が九万も、この対象からはずれた者が九万もある。その他の失業者がある。しかし、ここで聞いておいていただきたいのは、労働力調査というものがあるわけです。今月あたりの労働力調査で出てくる完全失業者というのは、新しいなにはございませんけれども、七月の数字で五十八万、そうして今、少し条件がよくなって参りましたけれども、九月の数字で、今聞いたところが、失業保険をもらっておる人が三十三万、要するに失業者として職場に登録を認められた者が五十一万、これで八十何万かになるわけです。これは失業者といわないのかどうかという問題も出て参ります。多少それは定年でやめる人もあるでしょうけれども、そういう問題も出てくる。いずれにいたしましても、その他、潜在失業者の調査の記録は政府はいたしておりませんけれども、失対審議会なんかでやっておるところを見ても、それとマッチした、ほんとうにどれだけが失業者で、どれだけが半失業者で、どれだけが希望をしておるという数字が全然ないわけです。それでぴったり合った数字を労働力調査の中で現われてくるだけでそのものを除すということには、私たちは非常に不満を持っておるわけです。しかし、とにかく日本は潜在失業者が五百万とか六百万とかいわれるように、現在把握されていないのでありますから、そういう失業者がおるのであります。経済計画をお立てになるときにも、一つの施策として、五年なら五年の計画にはどういう工合にして吸収していくか、単に増加する人口云々ということじゃなしに、今の働きたくても仕事がない、働く場所がないというような人を経済政策の中でどうして救済していくか、働かして、その人の力によって生産を上げて、日本の経済拡大をしていくかという、こういうやはりものの考え方というものが、日本の経済政策の中で出てこなければ、失業問題というものは私は解決しないと思うのです。今の炭鉱の問題にいたしましても、そういう工合に政府がいつも言われる完全雇用の道を、経済企画庁で完全雇用をやるのだと、こうおっしゃいましてから、相当な年月がたって、今、鋭意努力中だと思うのですけれども、完全雇用という一つのコースで、ほんとうに貧困な、経済力というものがなくて、働きたい者が働けるという状態であれば、炭鉱のたとえば燃料の問題で根本的な石炭対策というものがむろんありますけれども、万が一、多少その問題にズレが参りましても、雇用問題で計画が私は立つと思うのです。今まで全然計画が立たないということじゃないかと僕は思うのです。そこらの点を経企長官は十分にお考えになって政策を私は立てていただいて、その立て方というのは、余ってきたとにかく石炭ではずばずばと買い上げが行なわれて首を切られる、このあとを労働省はやれということじゃなしに、要するに国全体が、政府全体がそういう雇用問題、こういう問題をやっぱり頭に入れて経済施策というものをお立てにならぬというと、とにかくこれはものにならないと私は思うのです。そういう点を、根本的には私の申し上げたことにその通りだとおっしゃったのですから、そういう具体的な計画を今年、たとえば名目は所得倍増論というような格好から出ておりますけれども、しかし、そうでなしに、どういう工合にお立てになっていこうとするのか、今年の問題、雇用計画それから長期計画の中でもう一度一つお尋ねをいたします。
#48
○国務大臣(菅野和太郎君) お話の通り今後の雇用問題につきましては、今やはり計画を立てておるのでありまして、第一次産業にはおよそ何人収容するとか、第二次産業は何人、第三次産業には何人というようなことを一々やはり計画を立てておるのであります。今、国民所得の倍増の長期経済計画はこれから計画を立てるのでありますからして、その点について具体的なお返事はできませんが、今、現にやっております新長期経済計画、いわゆる五カ年計画には、ちゃんと第一次産業には何人という数字を出しておるのであります。それはお話の通り、やはり産業経済を成長せしめることが先決問題であって、そこで、その経済を成長せしめる、また一方では、人口も増加してくるし、就職希望者もだんだん増加しますので、そこで、それらの人をどういう方面へ収容するかということで、第一次産業には何人、第二次産業には一体何人、第三次産業には何人というように、ちゃんと数字を出しているのであります。そうして、この計画通りにすべてが運んでもらいたいというようにわれわれの方では念願いたしているのであります。
#49
○藤田藤太郎君 五ヵ年計画は昨年お出しになった。私も見ましたが、五カ年で四百六十何方か吸収されるという計画でございます。昨年度の雇用問題を論議しますと、百二十万から百三十万の新規労働者に対して、雇用は六十五万しかできぬ。その中で十万は失業だ、あとの四十五万は中小企業、農業に自家就労させる、これは未就労なんだという議論が出てくるんですよ、実際問題として。そうなってくると、結局、この四十五万も失業に入ってしまう。そういうことで、片一方では五カ年計画で何々産業にはこれだけやるという形の上では出しておられますけれども、実際問題として年度ごとに現われてくる問題はそういう格好になっている。今年は政府の方も具体的な問題をお出しにならないのであって、いずれまた通常国会の中ではお出しになって、この問題の計画を発表になると思うんですけれども、しかし、そういう格好でいっていちゃ私は、雇用問題なんというものは、経済拡大と完全雇用というだけで終ってしまう。だから今度の、長官は、私が申し上げましたそういうことでなければならぬとお考えになるなら、ほんとうに腹に入れて、その問題を年度ごとの問題として解決してもらいたいと思うのです。解決するような具体策を出して、踏み切ってもらいたい。そうでなければ、この炭鉱の問題、また、その他の失業問題というものは私は解決しないと思う。どうですか、昨年の例を一つ話しましたけれども。
#50
○国務大臣(菅野和太郎君) 私の方の計画は、五ヵ年計画または国民所得倍増の長期経済計画は十年後の大体経済を一応目標にいたしまして、いろいろその間の雇用関係はどうかということをやっているのであります。それで具体的に昭和三十五年度の大体雇用関係はどうかということは、労働省あるいは通産省、農林省という方面と御相談して、主として労働省が主管されることでありますが、それについてわれわれの大体計画を参照していただいて、そうして毎年々々の計画を立ってもらうということをやっているのであります。私の方では毎年々々の計画は今申し上げた通り、長期経済計画を立てているのでありまして、それによって各省で毎年々々の計画を立ててもらうということをやっているのであります。もちろん私たちもお手伝いさしていただいているのでありまして、そういう事情でありますから、さよう一つ御了承を願います。
#51
○藤田藤太郎君 そうすると何ですか、あなたの方では長期計画だけを立てるけれども、それに応じた具体的の施策はこっちにまかしてある……。
#52
○国務大臣(菅野和太郎君) まかしているというわけじゃない、私の方で御相談に応じて御相談しているわけです。私の方では、雇用関係であれば、雇用関係については、私の方のまた雇用関係の課がありますから、そこで一々御相談によってきめるわけであります。
#53
○藤田藤太郎君 だから、具体的にはあなたの方が計画を立てて、その計画をいかにしてうまくやろうかという担当省であるわけでしょう。そうすると、昨年のようなことになってくると、これは計画が狂うわけですわね。そうでしょう。計画が狂ってきたら直すというのも、あなたの方でお考えになることじゃないでしょうか。私はそうだと思うんです。だから今炭鉱の離職者の問題として、私はこの法案を審議をするわけですけれども、それを取り巻く日本の経済の活動の中で、どのように、要するに就労の場につけるか、配置をしていくか、こういうことは、私はやはり計画を立てて、計画を立てたやつが狂ってきたら、やはりそれを直していくということでなければいけないのじゃないかと思うのです。だから、どうせ今度の予算を目がけていろいろ施策をお出しになるのでありますから、そういうときには明確に一つ、去年のような轍を踏まないようにやってもらいたいと思うのです。
#54
○国務大臣(菅野和太郎君) お説の通り、炭鉱の失業問題ですが、本年度はさしあたり二万一千人の失業対策ということで、この法案が出ておるわけでございます。来年度、一体この石炭産業の動きについて、どれだけ失業者が出るかというようなことは、実は労働省の方で御調査願って、そこで、私の方と労働省と通産省あるいは農林省で、それに対して一体その失業者をどうするかということは、今、目下みな寄って相談中であります。
#55
○藤田藤太郎君 もう一つ、それじゃ申し上げておきたいと思う。ここ二、三代の労働大臣は、労働問題、特に雇用問題が中心になりますけれども、労働問題というのは、やはり労働問題自身の問題じゃなしに、国の経済政策の問題だ。だから、雇用問題というものをどれだけ計画し、どういう工合に雇用をしていくかということが基本でなければ、経済計画を立てたらいかぬ、そういうことを非常に強くおっしゃる。私もその御意見に賛成をしている。実際問題としてはそういう格好に出てきていないのです。ただ労働省の行政を見ると、国が経済計画を大筋として立てられ、残ったものを労働行政の中で処理しなさいと、私が見ているとそういう感じがするわけです。だから私は申し上げたのですが、今後はそういうことはないと私は思うのですけれども、ただ今のような轍を踏まないように注意していただきたい、こう思うのです。この関係は、具体的におやりになっている通産省の関係が非常にやはり関係をしてきているわけです。それで通産大臣にお尋ねしたかったのですけれども、きょうはおいでになっていないから、いずれあとに譲りたいと思うのですけれども、やはり根本的に政府が経済計画を立てるときには、労働問題というものは、やはり雇用問題というものを中心に労働経済政策を立てるということを、あなたはここで確約していただけますか。
#56
○国務大臣(菅野和太郎君) その点は、そういう考え方については、私はあえてあなたの御意見には反対はいたしませんので、私が今度大臣になってみて、経済閣僚懇談会というものがありますが、これに労働大臣と運輸大臣は入っていない、おかしいじゃないか、経済という場合には、労働とか運輸ということは重要なエレメントであって、これらの大臣が懇談会に入っていないのはおかしいということで、今度は労働大臣も運輸大臣も経済閣僚懇談会に入っていただいたのであります。これは私の主張であったのであります。お説のように、今後の、今後じゃなしに、今までもそうですが、産業行政という面においては、労働行政ということは、これは重要なエレメントであるというように考えておりますから、その点につきましては、今後労働大臣とよく連絡をして、この問題については解決したい、こう考えておるわけであります。
#57
○藤田藤太郎君 そこで、炭主油従というお話が出てきましたが、国内の資源について資源をできるだけ活用していこうということで、たとえばイギリスだとかドイツだとかラランスとか、石炭の出るところは、そういうところへ相当力を入れていると思うのです。これについて長官はどういう工合にお考えになっておりますか。
#58
○国務大臣(菅野和太郎君) 炭主油従ということは、これは内閣の政策になっているわけでございます。私もその政策を重視すべきであると、こう考えております。そこで問題は、今のような状態で石炭の炭価が非常に高いということで、重油の方の値段が安いということになってくると、まあ経済界では重油を使うというようなことで、今度の石炭問題が起こってきたと、こう思うのでありますが、そこでこの問題は、やはり日本としては炭主油従であるが、しかし重油という問題は、日本全体の産業の発展のためには、やはりないがしろにできない、そういうことでこのエネルギー問題が重要になってきまして、私の方の関係している経済審議会では、まず長期経済計画を立てるためには、エネルギー問題を先に解決しなければならぬのじゃないかという議論が出まして、ことしの四月から、エネルギーの部会というのを設けまして、そうしていろいろ各方面からの知識を集め、また各方面からこれを観察して、いろいろ研究いたしております。できるだけ早くこれの結論を得たいと、こう存じている次第であります。それによって今後の日本のエネルギー問題について、政府としてとるべき態度をきめたいと、こう存じている次第であります。
#59
○藤田藤太郎君 そこで、方針はわかりましたけれども、具体的にどう動いていくかということが非常に関連してくると思う。今日の問題ですね。その前にちょっと大蔵省に聞きたいのですけれども、今、開らん炭の輸入ですね、それから石油関係の関税の問題がどういうふうになっているのですか。

#60
○政府委員(前田佳都男君) お答え出し上げます。重油関税につきましては、現在特別措置を講じておりまして、元来は基本税率は一〇%でございますが、それが軽減税率を用いております。先般、石炭対策の一つといたしまして、重油関税の特別措置を撤廃するとか、あるいはこれを変更するとかいたしまして、その変更によりまして、あるいは撤廃によりまして獲得いたしましたその原資をもちまして石炭対策に充てるというような考え方も、私は一つの考え方だと思うのです。しかし、その点につきましては、なかなかいろいろ影響するところが大きいというようなわけで、目下それらの措置を全部を通じまして慎重に検討中でございます。
#61
○藤田藤太郎君 今の一〇%の重油税が減免されているということは、今どういうふうになっておりますか。
#62
○政府委員(前田佳都男君) その金額でございますか。
#63
○藤田藤太郎君 何%ぐらい、減税ですから一〇%から減免していくという、そういうことですか。
#64
○政府委員(前田佳都男君) 元来は一〇%でございますが、それが暫定現行税率といたしまして、原油につきましては二%、それから原油のガス用につきましては六・五%、B重油につきましては六・五%、潤滑油につきましては二%、そういうふうになっております。
#65
○藤田藤太郎君 今、大蔵省のお話がありましたが、それと次官のお話も、廃止とか、そういうことを考えている、こういう工合でいいんじゃないか、そういうお話がありましたが、長官はどういう工合にお考えになっておりますか。
#66
○国務大臣(菅野和太郎君) 重油の関税をどうするかという問題につきましては、私どもでまだ具体的に研究いたしておりませんが、この問題につきましては、通産大臣と大蔵大臣が主管であります。この問題をどう考えているかということは、私の方から今尋ねている状態にあるのであります。
#67
○政府委員(前田佳都男君) その問題は先ほど先生にも申し上げましたように、いろいろそういう考え方もある、それに対しても検討中であるということをお答え申したのでございますから、どうか一つ……。
#68
○藤田藤太郎君 そこで、もう一つだけお聞きしておきたいのですけれども、石油化学には日本の産業は非常に力を入れている、石炭化学にはあまり力が入っていない、こういうこと、たとえばイギリスや西ドイツですか、相当石炭化学に力を入れているということを私も聞いているのですが、そういう点についてどうでございましょうか。
#69
○国務大臣(菅野和太郎君) お話の通り、私は、この石炭産業を打開する一つの方法として、石炭化学ということが重要な問題になってくるのじゃないかということで、科学技術の方面には、この石炭化学ということを一つ特に今後取り入れてもらいたいということを科学技術庁の方にお願いしておるのであります。今後これは、私は研究さえすれば、相当また石炭産業の活路を見出すのではないか、こう考えておる次第であります。
#70
○藤田藤太郎君 具体的に施策が動いているような状態にはないわけですか、今まで、政府として。
#71
○国務大臣(菅野和太郎君) 通産省から……。
#72
○政府委員(樋詰誠明君) 石炭化学につきましては、今までたとえば北炭の会社におきまして、御承知だと思いますが、戸田橋において相当りっぱな研究所を作りまして、石炭の新しい用途検討のためにすでにいろいろな実験に入っております。それと並行いたしまして、二、三日前にこれは業界から出てきたのでございますが、大手の石炭業界が集まりまして、新しく技術研究のための財団を作ること、そして今までは個々の会社でそれぞれ小じんまりでやったわけでありますが、これからは業界全体の力をあげて、一つ石炭化学について、あるいは新しい採炭方法あるいは輸送方法というようなことについても、個々の会社ばらばらでなしに、総力をあげて一つやりたい。それについて政府にも何分の一つ援助をしてほしいといったような申し入れ等ございまして、実は今それらにつきまして、業界の意見等も十分に聞きながら、政府としてもできるだけの援助をすべきではないかということの検討をしていただいておるわけでございます。
#73
○藤田藤太郎君 それでは労働大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今も経企長官にお尋ねをしていたのですが、雇用の根本問題なのですが、十一万四千百人ですか、この石炭の、各府県から出てきた資料によりますと、これだけの石炭離職者がある。今度は二万一千人を対象にされているのですが、このあとの九万三千ですか、こういう数字が出ているということは、把握されているのでしょうか。それでどういう対策をされたか、それでまたどういう工合にそういう九万という離職者が動いているか、そういう点。
#74
○国務大臣(松野頼三君) 十一万という数字が、いつを起点に計算されたかわかりませんが、昨日の質疑応答の中に、六万三千という数字が出ましたのは、昭和三十二年以降の、いわゆる離職者の総数としては一応私たちも了承しております。十一万という数はどういう計数が出たか、それは私の方も正確にまだわかりませんし、きょう実は初めてそのお話を開いた、昨日の六万三千というのは、三十二年以来の離職者の総数というので、その中にはみずから家に引っ込まれた方もありましょう。あるいはまた、みずから営業された方もありましょう。定年によってやめられた方もありましょう。御病気によってみずから退職された方もありましょう。そういう者の総数を六万三千と、三十二年以来のものは私どもは一応その程度はありましょうという御答弁を申し上げたわけで、十一万の話は、実は昨日は出ておりませんでした。なお、先ほど石炭合理化によりまして買い上げられました炭鉱の二万一千というのと、今回措置いたしました二万一千とはたまたま数字が一致しておりますけれども、この関連性はございません。二万一千は、六万三千の中に二万一千の買い上げられた数字も入っておるわけであります。そういうものを含めました要対策人員を今回実態調査しまして、はじき出したものが二万一千である。たまたま二万一千と二万一千と偶然に数字が合いましたけれども、買い上げられました二万一千の数字を対象に、二万一千の対策を今回立てたものではございません。私の方は六万三千という離職者の中で、今回緊急な対策人員はどうだというのを調査しましたところが、二万一千六百数十名のものが出ましたので、その対策人員を使っただけであって、この辺は、私の方の昨日以来の答弁はそういう意味で御答弁を申し上げた。十一万は、あれはもう少し前、ずっと前からおとりになれば、あるいは十一万になるかもしれません。しかし、その中には好景気、不景気もございますので、ある方は再び就職された方もございましょうし、現実に昭和三十二年には三十万をこえた。実は三十一年よりも三十二千は一時的には労務者がふえております。一回離職された方でも再就労された方もたくさんある。やりくりをいたしますので、離職者が直ちに要対策人員かというとそうでもございません。そういういろいろな統計上の取り方があるし、現実に即してほんとうに対策の必要な者はどうなのかということが今日緊急の問題でありますので、それを調査いたしまして、本年、三十四年の予算で調査をいたしましたその結果が九月に判明しましたものが二万一千でございます。その十一万というのは、私の方は、実はだいぶ前からおとりになればそういう数字が出るかもしれませんけれども、昨日の六万三千という数については、三十二年以来の離職者だけの総数は六万三千ぐらいはございましょうという御答弁を申し上げたわけでございます。
#75
○藤田藤太郎君 今度二万一千の施策をおとりになるわけですから、その六万三千というものが、たとえば仮定といたしまして、三十二年以降、そういう方々にはどういう施策をおとりになっておりますか。
#76
○国務大臣(松野頼三君) みずからは就業の非常に緊急な希望というものは出ておりません。従って、それは御本人の御意思によって、しばらく自分でほかの仕事をしようとか、あるいは家庭の仕事をしよう、あるいはむすこが働いているからおれはいいんだ、あるいは親類の仕事でも手伝おうというふうな方向に吸収されたんではなかろうかと存じますが、今回こういう措置をとりますと、そういう方々が再び就労希望者として現われる、今後。ということは、私も予想いたします。来年こういう対策が出るんなら、おれもまた一つ、今まで遊んでおってからだが元気だから就業しようじゃないかという方が現われましょうし、中には一般失対事業の中に今日働いておられる方もおるかもしれません、そういう方々が今後において、二万一千の処置以後においては、三十五年度の予算のとき、そういう方の御希望がいずれ出て参りますから、それを安定所で登録いたしますから、今後は登録すればはっきりもっと明確にわかる。今のこの二万一千という方は、職安を通じて調べまして、非常に仕事をしたい、急いでやりたいという方が二万一千というわけであります。それで全部済んだとは申しておりません。六万数千の方がおられるんですから、あと四万の方も、今日はそんなに緊急じゃなくても、来年、三十五年度においてはおれも一つ新しい職をぜひ希望したいという方が出て参りましょう。そういう方が次の三十五年度の予算の対象に私ども予想される数字の基本にはなりますけれども、六万三千から二万一千引いて四万二千、そうは出て参りません。しかし、相当数はあるいは出てこられるかと思う。従って、今後はカードを整備いたしまして、職安に、そうして家庭の実情及び希望場所、転勤可能、家族人員というものを考えながら、来年からは援護会及び職安でお世話をする、こういう段取りになるわけでございます。従って、六万三千の数は、私も把握しておりますけれども、直ちにその方々がどういう御意思かということは私ども調査して、あるいは御本人のお申し出を聞かないと、私どもがそれを軽々にそうだとか、そうでないというわけに参りません。それが三十五年度予算の編成当時の基本数字には私たちは出てくるんじゃないかと払います。
#77
○藤田藤太郎君 そうすると、今のお話ですと、今度の法の六条で、昨日のお話では全部離職者は登録をする、こういうお話であったと思います。そうすると、この六条関係で雇い入れようとするときには、炭鉱の離職者を雇い入れるようにしなければならないという建前で、事務的には今までの離職者は全部その登録をされる、そうすると来年度はどのくらい、それでは今の三十五年度ではどれくらい、離職者を今のような処置に入れられるおつもりかどうか。
#78
○国務大臣(松野頼三君) 一応ただいまの質疑で、六万三千から二万一千を引いて四万というものが残ります。今日失業保険の受給中の方が約二万人おられます。この方たちが当然出てこられる。だいぶ古い方はあるいは出てこないかもしれませんから、四万の方はだいぶ実際に出てこられるのは少ないだろうと私は考えます。二万の方は大体半数くらいは出てこられるのじゃなかろうか、半数くらいの方は縁故もあり、あるいはいろんな家庭事情もあります。半数くらい出てこられるのではないかと一応想定される。とすると、一万というのは、失業保険の継続中の中からも出てこられるだろう、これは予想されます。それからもう一つは、来年度はどうなるのか。これは労使関係ですから、いきなり労使関係のものを、どの程度と予想することはこれはできません。従って、本年出た程度のものを今予想するということは常識的に考えていいのじゃないか。やはりこういうのはある程度幅を持たして、対策を立てることが好ましいのではないか。ぎりぎりにして、あとから足りないということ、これはやはりあまりいい政策ではない。ある程度数字は正確でないかもしれませんが、ある程度の幅を持った統計と見通しを立てて私はやっていきたい。そうすると本年が大体四万人くらいですから、その半数にしますとまあ二万、本年失業保険の受給者が一万、このほかにまたさらに四万の古い方が登録されますから、この登録の大体の適用率がどの程度かということを勘案して、来年予算というものは一応今は考えられるところであって、詳細には今、事務当高でいろいろやっておりますが、はたして私の言っている通りの数字が出ているかどうか、それは知りません。しかし、まあ大きな項目としてはそういうものがあげられて、それで詳細に各資料を通じて統計を出して、そうして来年の予算編成に間に合わせたい。この六条関係でありますが、今度は新規の問題、ある片方は首を切る、片方は入れるという出し入れの統計だけは出ておりますが、今日石炭において籍があった方が、新規雇用者になり得る第一雇用者ですから、ある程度ですが、把握できるのではなかろうか、対策も立てらるべきではなかろうか、こういうわけで、今は作業中でございます。ただいま私が申し上げました通りの数字が出るかどうか、それはわかりません。しかし、私が今日考えられますことは、こういうものが基礎になって三十五年度予算が組まれるだろうということで、ただいま事務当局に数字を命じております。私の考えはそういう立場から実は考え出したわけでございます。
#79
○藤田藤太郎君 今の三十二年、六万三千、ここで府県から提出されているのが十一万四千と出ている。これは残念ながら、いつからかということは的確につかんでないのですが、ことしの十月に策定した各府県統一の石炭不況対策委員会から持ってきた資料なんです。ですから、このいつごろからかということだけを、私が申し上げられないのは非常に残念でございますけれども、大体二十九年ですか、その時分からの、以前のものはないと思うのです。大体二十九年か三十年、一年か二年のズレだと思う。この石炭離職者でも、こういうたくさんの離職者がいて、その中から何人どこかへ就職したか、職安の、要するに失業の中に何人入ったか、それからまた、どこかの親戚、友人その他の中へ、潜在失業者として非常に気の毒な状態でいるか、そういうことはなかなか把握のできないことでございます。今の統計調査の面からすれば。だから実際問題として、今の雇用、失業の問題なんか、もっともっと的確な統計調査を作らなければ把握できないというのが私は実態論、この議論はきょうはいたしません。だから、これは思い切って、今のようなあいまいな調査を改めるということでなければ、実態がつかめない状態にあるのじゃないかということを非常に強く考える、そういう点も一つ一段と努力をしていただきたいと思います。一応私の質問は終わります。
#80
○吉武恵市君 関連して私も簡単に経済企画庁長官にお尋ねをしたいのですが、先ほど藤田君からの質疑がありました中に、完全雇用の問題が取り上げられた。これは先ほど来長官は、国民生活の向上と、そして完全雇用を目途として計画した、こういうことでごもっともでありますけれども、実は石炭対策として私心配いたしまするのは、けさほども業界の萩原さんからも御意見を承ったんですが、石炭業界といたしましても、非常に悲観的な考え方をお持ちになっている、もう漸次縮小する一途であるというお考え方、私はそういうふうに厳格に考えられて臨まれることはけっこうだと思います。石炭は御承知のように、非常に雇用量をよけいに持つ産業である、私が今あなた方にそういうことを言うまでもなく、御承知のところだと思うのです。国内資源であり、雇用量も多く持ち、しかも、外貨を使わずに済むということであるならば、何とかしてこれを維持するという努力を払いませんと、萩原さんあたりの意向を聞いても、自分たちも維持したいけれども、しかし、世界の大勢はなかなかうまくいかない、どうせ縮小の一途をたどるだけだ、こういうお話であります。それで私は先般来、昨日も通産大臣にお聞きをして、通商産業大臣も四千八百万トンは維持したい、こうおっしゃっておる。政府はそのおつもりでありましても、よほど検討しておかかりになりませんと、維持したいといっても、私はだんだんとこれは縮小していくと思うのです。それで政府は経済性を考えるから、コスト引き下げを今やらしておるんだということで、業界の方もまあトン八百円からの引き下げを考慮すると言っておられる。私はまだ余地があると思うのですけれども、しかし、昨日も申し上げましたように、ただ机の上でコスト引き下げといっても、石炭業の特殊性として、やはり遠隔の地から運んできまずから、輸送費というものに相当食われる、約三分の一くらいは輸送費にかかるんですから、そのあと残りにおいて八百円というののコスト引き下げをするということは、机の上では簡単でありまするけれども、私はなかなか容易じゃないと思います。しかし、それもやらしてけっこう、また、やる余地は私はあると思う。しかし、どうしても重油の今日の状況というものは、なおさらに私は下がっていくと思うのです。ですから先ほど申しましたように、完全雇用の点も考えておるぞ、こうおっしゃっても、具体的にこの問題をどうするかということを、腹をきめておかかりになりませんと、ただ抽象的にそういうおつもりであっても、どんどん入ってくる、そうして離職者がどんどん出ていく、離職者をほうっておくわけにいかないですから、今回のように政府は相当の財政支出をして、暫定的な救済の処置をとる、ところが、これは暫定的の救済処置で五年ということですが、五年で解消すればけっこうですけれども、五年というのは、一応の暫定的なことであって、私はそう簡単でないと思う。萩原さんのけさの話あたりによりますと、もうどうせ先は石炭というものは縮小の一途、こういうことになると、ますます数がふえるわけです。ですから、もし長官が先ほどおっしゃったように、国民生活の向上と、完全雇用をねらってもしお考えであるならば、この際、この石炭の問題からやはり真剣に取っ組んで、コストはどこまで下げさせる、しかし、それ以上無理だったら、その場合は政府はこういう処置を講ずる、これは主として通商産業大臣の権限の場合が多いと思いますけれども、やはりこれは計画的に考えなければならぬ点でありまするから、経済企画庁長官としても、ただ抽象的でなしに、当面問題になっているこの問題から一つ足を踏み入れて御検討を願いたい、かように存ずるわけであります。
 それでちょっと簡単にお聞きしたいのでありまするが、昨日は池田通産大臣が四千八百万トンを維持したい、こう言っているんですが、経企長官として、一体石炭というのは、ここそう遠い将来は別として、この四、五年間一体どういうふうにお考えになっておるか。四千八百万トン維持という線でお考えになっているのか、経済の成長率に応じて多少とも増加をするという見込みでお考えになっているのか、それとも、けさほど萩原さんあたりが言われたように、やはり世界の大勢として縮小の一途はやむを得ない、こういうお考えであるのかお聞かせ願いたい。
#81
○国務大臣(菅野和太郎君) 今の当面の問題と、それから根本問題と二つお話があったと思いますが、当面の問題といたしましては、将来生ずべき石炭失業者をどうするかという問題、これが大きな問題だと思います。それからこの問題については、主として通産省の方で石炭鉱業審議会というものを設けまして、そしていろいろ今審議していただいているはずであります。まだその結論は出ていないと思いますが、しかし、来年の予算の関係もあるので中間報告を近いうちに出すということを承っておるのでありまして、四千八百万トンという話も、実は昨日私は初めて通産大臣からここで聞いたのでありまして、まだ私の方は全然その相談には乗っておりません。そこで、はたして四千八百万トンで維持ができるかどうか、そういう問題について、おそらく、近く石炭鉱業審議会の方で報告があることではないかと思っております。それから、それによって大体今後失業者がどれだけ出るかということがわかるのじゃないかと思います。そこで、その今後の失業者がどれだけ出るかということについては、先ほども申し上げました通り、今後どうするかということ、これは政府としてはほうっておけぬ問題ですからして、また大きな問題ですから、その問題については、私の方と労働省と通産省と、それから大蔵省と、いろいろ事務的に相談している最中であります。これはお話の通り、現われてくるべき石炭失業者に対して根本的に対策を考えなければならぬ、こう考えておる次第であります。
 それから今の長期的な考え方でありますが、先ほど申し上げました通り、エネルギー部会というものを設けまして、これで今後のエネルギーはどうあるべきかということを今研究しておるのでありまして、今後は固形エネルギーでいくべきか、液体エネルギーでいくべきかというようなこと、これは世界の大勢も研究しなければなりませんし、お話の通り、経済性ということ、また労働問題あるいは外貨の問題、いろいろの方面から研究して、各方面から意見を今承っておるのでありまして、まだ結論は出ていないのであります。これはなかなか各方面々々でみな見方が違いますからして、なかなか簡単には結論が出しにくいのでありますが、しかし、これも私の方の長期経済計画を立てる上においては根本でありますので、まずこれを立てて、そして国民所得倍増の長期経済計画を立てていく、こういう考えでおりますので、早く結論を出してもらうようにエネルギー部会にもお願いしておるのでありまして、これが決定しますれば、閣議決定して、そして政府の方針として、今後のエネルギーの問題はこうあるべきだということで一つきめていきたい、それによって、それぞれ通産省なり、あるいは労働省なりでまた対策を一つ考えてもらいたい、こう存じておる次第でございます。
#82
○吉武恵市君 時間がございませんから、重ねてお尋ねをするのは控えますが、もう石炭不況という声は一年前から出ておるのであります。それが国の経済の計画の上に、いわゆる民間の専門部会の意見が出るというのを待つまでもなく、一応政府として計画はお考えになってしかるべきじゃないかと私は思うのであります。それで、ただ、この前のときのように、あなた方の方で抽象的に計画を立てられましても、実際の面と食い違ってくる、これは今日の経済の立て方からやむを得ぬと思いますから、やはり実情に即した計画を立てられることが望ましいのですけれども、計画を立てて、そうしてその方に努力する道が全然ないわけじゃないと私は思うのです。政府の施策の方法いかんによっては、その計画に近つける方法というものはあるわけであります。でありまするから、それを早く立てられて、それの実際の具体的な処置については、民間の意見をお聞きになることは私はけっこうだと思うのですけれども、一応の目途というものをお立てになりませんと、ただ出たところでということではおそくはないかと思いますから、一つ至急にお立ていただくようにお願いを申し上げます。
#83
○阿具根登君 逐条審議に入る前に、それぞれの主管の大臣に御質問申し上げますが、その順序として、今、企画庁の長官に質問があっておりますから、それに関連して質問を申し上げておきたいと思います。長官の話を聞いておりましても、通産大臣の話を聞いておりましても、みんな自分の責任をのがれようとしておる。これに何かの対策を立てれば、自分がボタをかぶる。炭鉱ではボタをかぶると申します。炭鉱の問題を審議していますから、覚えていただきたいと思うのですが、ボタをかぶる。それを避けておられる。あなたがたは、審議会が答申をしてくるから、審議会の意見を待っております、――審議会の意見でそのままきまるなら、大臣も長官も要らぬ、審議会だけあればいい、この問題については。しかもですよ、すでに数万人の失業者が出てきておる。とするならば、何で今時分に何の計画も持たぬ。予算折衝に入っておられるはずですよ。何の計画もなくて審議会の結論を待っておる、それは民主的な口実に藉口されて自分の重任をのがれておる。私にはこうしか考えられない。そうして今問題になっております四千八百万トン、きのう通産大臣が四千八百万トンと思いつきのことを言ったが、私はわざと取り上げなかった。なぜかというと、需要者側では三十八年度に五千万トンということを言っておるわけです。それを責任のある通産大臣や企画庁長官、きのう聞いたと言われますが、四千八百万トンというのが実質的な数字になってきつつある。私はこれは大へんだと思う。こういうことを質問する前提として、政府も新聞その他も非常にPRされて、いかにも石炭産業は下り坂で、もうつぶれる、斜陽産業どころか、もう日没だ、こういう印象を盛んに与えておる。私はこう思うのです。こういうときに、政策も何も持たずに、ただその声を津々浦々に響かしておいて、そうすれば石炭産業がうんと値段を下げてくるだろう、その上で一つ手を打とう、こういう考え方のようで、非常に他人の責任で仕事をなされようとしておると思うのです。ところが、需要者の方は五千万トンということを言っておりますが、今、問題になっておりますトン当たり八百円、これは通産大臣も言っておるように、現実は千二百円の低下になるわけです。そうして、現在業者が言っておる三、四百円の赤字をカバーするから八百円だ、事実は今の値段から千二百円下げないとできないのだということを言っておるが、その裏づけは、昭和二十八年度に五千五百万トン、五千五百万トンで八百円下げてこのくらいだ、六万人の首を切り、三万七千の中小炭鉱の首を切る、合計九万七千人、約十万です。これの首を切る裏づけは五千五百万トンという数字があるはずです。これをもしも四千八百万トンとするなら、まあ算術計算で申し上げると、大体一千万トンに七万人、こういうことになる。そうすると、七百万トンからこれは差がある。そうすると、五万人以上、より以上にふえてくる、こういう結果になるわけです。ここで現状維持の四千八百万トンなんて言っておったら、さらに十万人のプラス五万人の失業者が出る、こういうことになるのですよ。だから、あなた方は審議会が何か出すだろうということでなくて、もうあなたの腹の中にあるはずだ。私がきのうから言っておるように、総エネルギーという一億三千数百万トンというのは、そう動かない。あなたのやられたやつでも、五百万トンしか動いていない。そうすると、その中の比率の問題ですよ。比率をきめるためには、日本の外資の状況から見てみても、外貨はどのくらいしか切れないんだと、そうすると油は何%しかならないんだ、水力はふえる余地はない、そうすればどうしても石炭をどのくらい出してもらわねばできないというのがなくてならぬ。あなた方の責任は免れません。それはあるはずです。それをあなたはこわくて言わぬのでしょう。それを一つ教えて下さい。
#84
○国務大臣(菅野和太郎君) その点についてちょっと誤解がおありかと思いますが、私の方は長期経済計画を立てておりますので、毎年の計画は通産省がやられるのでありまして、そこで、通産省が石炭産業審議会というのを設けられて、そして来年度一体石炭をどうするかということで今審議されておると思うのです。そこで、通産省の方におそらく、四千八百万トンを通産大臣言われたのですからして、通産省の方で大体のそういう見積もりをされておるのが、私もきのう初めて承ったのでありまして、それで、それが具体化されれば私の方にも御相談があると、こう思っておりますが、そんなことでありますから、私に出せと言われると、私としては、私の手元に今一つも材料持っておりませんから、さよう一つ御了承願いたいと思います。
#85
○阿具根登君 どうも長官の話を聞いておると、最後があって最初がない、目標があって出発がない、こういう計画というのはありませんよ。出発があって初めて最後があるんです。最初があって目標が出てくるわけなんです。その最初の問題で今もめておる。通産省としては、あなたがおっしゃるように、実施計画に基づいてこれは計画するでしょう。しかし、あなたはそれに対して予定計画を持たにゃならぬ。あなたはどのくらい使うべきだという今まであなたの線によってやってきた。三十二年の末に長期計画を立てられておる。それを私は数字を持たぬということじゃどうなりますか。そういうことじゃないと思うのです。あなた方三十二年の暮れからちゃんと長期経済計画を立てられておる。それが一千万トンもの石炭の開きが出てきた。だから今審議しておるんだと、こういう結果になると思うのですよ。しかし、それではもうすでに通常国会に入ろうとしておる、これは間に合わぬじゃありませんかと、こう言ったわけなんですよ。一応大綱を、私が言っておるようにあなたは計画を立てられる最高の責任者です、この経済問題について。そうするならば、あなたが一応これだけのものをやることを示さなければならない。それに従って通産当局はこれに合わせるためには、どうしなければできない、しかし、現実問題としてどこにひずみがあるんだと、こういう問題が出てくると思うのですが、それをあなたの方でないとするならば、あなたは何の仕事をされるのかわからぬじゃありませんか。今のことは知らぬ、先のことは知らぬ、今のことがあって初めて先のことが出てくると思うのですが、いかがでしょうか。
#86
○国務大臣(菅野和太郎君) 長期経済計画の立て方についてちょっと御説明申し上げたいと思いますが、今、私の方で国民所得倍増の長期経済計画をやっておりますが、これは昭和三十四年度を、ことしを基本といたしまして、三十五年度を初年度といたしまして、四十四年で終わります。そこで三十四年度を基本として、そして十年後の昭和四十四年に日本の経済がどうなるかという見通しを立てておるのであります。で、この間の経済の伸展が、あるときは伸びるときもあるし、あるときは下がるときがあるかもしれません。そこで、およそ、その前年度において翌年の大体計画をそれぞれ通産省なり、あるいは各省で立ててもらう、そのときは一応私どもにも御相談があるのであります。でありますからして、私の方は一応目標を示し、それによって各年々は、これは各省で一つやってもらう、それは各省でやるのが私は至当だと思う、そのときそのときの情勢もよく御存じであるから。そういうような計画を立てておるのであります。今、私の方で現在やっておるのは新長期経済計画で、昭和三十三年から始まっておる経済計画で、これはきのうもお話の通り昭和三十七年には何ぼという計画を立てております。そこで、今度三十三年度こういうふうに何ぼということで計画を立てている。三十四年度にも大体相談して昨年末に立てたわけです。今度三十五年度を立てなきゃならぬということで、三十四年度は先ほどもお話のように石炭需要が非常に減ってきたから、そこで、まあこれについては、もう一ぺん根本的に考え直さなければならぬということで、通産省の方で石炭産業のまた審議会を設けられて、まあ各方面の人の知識を網羅して今審議されておるわけであります。でありますからして、そこで、今その結論が出ないから、それは得てないというので中間報告をさそうということで、近いうちに中間報告が出るというように私も承っておりましたが、その三十五年度の計画には、もちろん私どもも局長あたりも、また計画には参画いたしております。そこで、通産省と私の方で相談し、また、その審議会の方でも審議をして、そうして最後をきめるということに相なると思うのであります。今お話の通り三十五年度のことについては、まだ私のところではそれだけの成案ができたという報告は承っていないのであります。私が承っておれば私から御報告いたしますけれども、私はまだ全然承っておりませんから、あるいは通産省の方でそういう御計画、すでにそういう成案を得ておるのか、まあ池田通産大臣が四千八百万トンと言われたのは、何がしかの審議会の審議の結果によってそういう結論から、そういうことを言われたのじゃないかと、私は想像しておる次第であります。
#87
○政府委員(樋詰誠明君) 昨日大臣が四千八百万トンというようなことをおっしゃいましたが、そのあとでいろいろ御説明のときに、一応本年度は生産が四千八百万トンだ、大体現在の生産規模は五千三百万トン程度である、需要は五千百六十万トンある。それをわざわざ四千八百三十万トンに自分の方で生産制限を指示したのは、貯炭が非常に多いから三百万トン余り貯炭から引き出そう、早く正常貯炭の形に戻すということでやっておる。大体、今年度でも五千百六十万トン、来年度以降もできるだけこういうことでいこうということで続けるように努力したい、今よりももっと規模を拡大することに努力したいということをおっしゃったのでありまして、そのときに、たまたま生産制限の数字は四千八百万トン、需要はことしですら、五千百六十万トンということを大臣が申し上げたはずでございますので、念のために。
#88
○阿具根登君 それでいいのです。私も、それだから四千八百万トンという数字には固定していなかったのです。ところが、今日になってきてから、いかにもここで論争をやっておれば四千八百万トンというのが政府の計画だということになるから、今のような論争を私はしたわけで、きのう聞いた場合は、それだから私は一切触れなかったのです。ところが、だんだん人の質問を聞いておれば、四千八百万トンが固定されたようなものの口ぶりになってくるから心配して質問したわけですが、長官とお話をしておりますと、どうも私は錯覚を覚えるような気がしてならない。あなた方が計画されたのは昭和四十二年度で六千四百万トンですね、そうでしょう。それをことしのやつは聞かないからわからない。これじゃ、おかしいじゃございませんか。昭和五十年度七千二百万トン、石炭に換算すると二億七千万トンのエネルギーの総量があるとはっきり出されておるのですよ。自由経済、自由経済とおっしゃるけれども、自由経済は出たとこ勝負じゃないはずです。やはり一つの計画、目標があるはずです。その目標を示しておられる。しかも、その目標が変っておらないのですよ。ほとんど変わっておらない。総エネルギーは変わっておらない、一億三千万トン使っておる。その分でいけば昭和四十二年度には石炭が六千四百万ドン要るかもしれない。昭和五十年に二億七千万トンの総エネルギーの量が要るかもしれない。ところが、変わったのは、あなた方が考えておったのと違って、石炭は八二%しか使わなかった、そのかわり重油は一一二%も入ってきた、ここが違うのですよ。だから、こういう政策がいいか悪いかということで論争がきのうからされておるわけです。そこで、あなたが計画をして、これが一体総エネルギーの中で重油は何%使うべきである、あるいは石炭は何%使うべきであるということをお立てなさらねば……一千万トン違ってきたじゃありませんか。そういたしますと、あなた方は、私たちは今の問題を知らずに計画の目的を立てたのだとおっしゃるけれども、石炭はあなた方がそう言ったから出たり引っ込んだりするものじゃございません。あなた方の言われた数字を出すために、機械化して人間を入れて五千三百万トン出すだけの準備をしたじゃありませんか。そうしておいてあなた方は変えないようにしたじゃありませんか。一一二%油が入ったというなら、あなたの計画よりもうんと外貨を切ったから日本に油が入ってきたわけです。そうすると責任はだれにあるかということになる。政府にあるでしょう、認めますか。
#89
○国務大臣(菅野和太郎君) 繰り返して申し上げることになりますが、私の方は五年先、十年先の目標を示しまして、そうして毎年々々は通産省が主として計画を立てるのであります。その通産省が計画を立てることについては私の方の作りました計画に準じて毎年々々の計画を立てるということになっております。毎年々々計画は私の方ではやっちゃいかぬ、これは通産省でやってもらうということになっておるのでありますから、三十五年度は今通産省が主としてやっておるので、まだ私のところに何の相談にもきていないということであります。そこで今、先ほどの見込み違いと言われることは、もう確かにわれわれの見込み違いであったということについてはその点は私認めます。(「進行、進行」と呼ぶ者あり)
#90
○阿具根登君 これは同じことを繰り返して、与党の理事さんから進行進行と言われておるが、与党の理事さんも納得できぬはずですよ。それなら計画をする必要がないでしょう。あなたの言われるように、あなたは何も関係ない、それは通産省がやるというなら、何のために計画を立てられますか。あなたの計画に従って石炭を出すように準備して石炭は出るわけです、五千三百万トンは。樋詰局長の言われた五千三百万トン出ますよ。それを四千八百万トンと抑えた責任は政府にあるじゃございませんか。重油も入らずに、そうして石炭が使えなくなったというなら別ですよ。重油は一一二%とうんと入っておるわけです。そうすると、責任は政府にあるはずですよ、政府に。だから、政府にあるからといって、政府にどうしろというのはあとの問題で、政府は率直にわれわれの政策が誤りであった、ということを言うべきです。失業者がこれだけ出てきて、そうして労使がこれだけ血みどろの闘争をやっているのに、政府が知らぬ顔で、しかも経済企画庁長官が、その年々のやつは通産省だ、おれはずっと先の五年先、十年先しか知らぬのだ、五年先、十年先は現在を基礎に立てなければ出てくるわけがないですよ。現実を基礎にされて五年先、十年先をはかっておられるはずだ。そうすると、あなたのおっしゃるのはおかしいじゃございませんか。通産省がきめるのだからおれは知りませんというなら、計画をする必要がありません。あなた方の計画されたものに従って五千万トンなり六千万トンなり、四十二年度には六千四百万トン使うと言われるならば、それは縦坑も掘らなければできぬでしょう。切羽も延長しなければできぬでしょう。いろいろの準備をしておるはずです。それをそのときになって、これは通産省だからとおっしゃるならば、あなた方の示された数字によって仕事をした業者も労働者もこういう塗炭の苦しみに入らなければならなかったじゃないですか、こういうことを言っておるわけですよ。
#91
○国務大臣(菅野和太郎君) 三十四年度、三十三年度の計画を立てましたにつきましては私たちもそういう相談に乗ったわけであります。だから、その点何の責任もないということを申し上げておるのじゃないんです。五年先の目標を立てて、そうして三十三年度、三十四年度――その前の年の終わりに大体次の年度の計画を立てるということになっておりますから、それによって重油の割当とか外国炭の輸入の割当とかいうようなこともきめるわけだから、それについて責任があるわけです。三十五年度はまだそこまでいっていないということを申し上げておるわけであって、三十三年度、三十四年度については責任がありますから、その点ははっきり申し上げておきます。
#92
○阿具根登君 長官との押し問答はこれでやめますが、これは当初と同じ答えしか得られないからこれでやめますが、三十五年度の予算はもうすでに組みつつあって、大蔵省には相当予算の問題で陳情もされ、申し出もされているというならば、もうそれだけの計画を立っておらねば一体どうして外貨を切っておゆきになるかという心配が私らにあるわけです。もうすでに腹案がなければできぬ、しかし、おそらく審議会で審議途中であるし、早急にその結論も出る今日、長官がここで自分の腹案がどうだと言うことは、審議会に対してもこれは非常におもしろくないからここでは答えられないのだというなら、その点私も了解して先に進みますが……。それで非常に急いでおられるようですから、大蔵政務次官にお尋ねいたしますが、予算問題で、私は企画庁から聞いた数字を今申し上げたのですが、一一二%も重油が入ってきている。そうすると重油も相当入ってきているわけですね。去年から今年にかけてどれだけの外貨を切られたのか。どれだけ原油が入ったか。重油がどれだけできたか、その点おわかりだったらお知らせ願いたいと思いますのと、今日まで非常に石炭に対しては援護措置をとってこられたのも事実でございます。開発銀行その他から相当な資金を貸し出しておられると思いますが、その金額は一体どのくらいになっているのか。その借入金に対して返済がどのくらい進んでいるのか。その返済の条件はどういうものであるか。その点、詳細に一つお知らせ願いたいと思います。
#93
○政府委員(前田佳都男君) 最近原油がどのくらい輸入されたかという数字につきましては、残念ながらただいま手元に持ってきておりませんので、その点はお許しを願いたいと思うのでありますが、開銀の石炭向けの融資の状況、これにつきましては申し上げたいと思います。昭和二十六年から昭和三十三年までにおきまして復金及び見返資金承継分を含め七百七億一千三百万円、開銀から石炭向けの融資をいたしております。なお、回収されました額は現在のところ四百五億二千八百万円でございます。それからまだ昭和三十四年度は全部済んでおりませんけれども、大体六十億近く出る、五十八億程度と考えております。現在までに融資した実績は十二億二千万円でございます。それからこの融資の条件でございますが、利率は六分五厘で二年据置、七年償還と相なっております。
#94
○阿具根登君 石炭の問題は一応わかりました。総額が七百七億、回収が四百五億、こういうことで、六分五厘の二年据置ということですが、電源開発株式会社ですか、こういうものには大体条件はどういうふうになっておりますか。
#95
○政府委員(前田佳都男君) ちょっとその点につきましては説明員から説明さしていただきます。
#96
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#97
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして。
#98
○政府委員(樋詰誠明君) 私からお答え申し上げます。大体水力電気で、でき上がるまで据え置きまして、でき上がってから二十五年というのが電気のあれでございます。利子は六分五厘でございます。
#99
○阿具根登君 そういたしますと、政務次官にお伺いいたしますが、石炭の場合は二年据置の七年償還ですか、電源開発株式会社と石炭とは違うけれども、一方は二十五年、一方は七年、これじゃ少し差が開き過ぎやしませんか。どういうふうにお考えですか。一方は二十五年です。一方は七年。あまりにも差が開き過ぎていやせぬかと思うが、これは政務次官矛盾をお感じになりませんか。
#100
○政府委員(前田佳都男君) この点は、私の考えでは、石炭の場合と電力の場合は、施設費を償却いたしますためには相当の期限を要する、そういうような点等、多少石炭と電力の事業の性質の違いによりましてこういう差異が出てきたのだと私は思います。
#101
○阿具根登君 そういう考えで差異ができたのであると思いますが、今日いわれておるのは、石炭の値段が高い高いということがいわれておるわけですよ。そうするならば、先ほど経企長官とも論争いたしましたように、政府にも相当の責任があるではないか、そうすれば、金利方面、あるいはそういう償還年限等についても相当それは考え方を改めてもらう必要がありはしないか、そうして少しでも単価が下がるように、こういうことこそ考えるべきじゃないかと思うのですよ。期限七年というのが、二十五年にはいかぬにしても二十年くらいに延ばす意思があるかどうか、お尋ねします。
#102
○政府委員(前田佳都男君) この開銀の利率を、六分五厘をさらに下げてはどうかというふうな意見につきましては、現行のこの金利の体系からいいまして、六分五厘というのは相当低い利率であるというふうに私は考えておりまして、従いまして金利の点はこれ以下にするということはなかなかむずかしい問題じゃないか、しかし、目下石炭対策というような大きな国策の問題でございまするので、ちょうど今財政投融資等の検討をいたしておりますので、ただいまの阿具根委員の御意見等も十分私も参酌いたしまして、いろいろ検討いたしたいと考えております。
#103
○阿具根登君 ここであまり言ってもできぬと思うのですが、償還年限もあわせて十分一つ考慮していただきたい、かように思います。
 それから、これはいろいろ関連で質問が出ておりますが、関税の問題につきまして、新聞で散見いたしますと、大蔵省は何とか一つ一〇%の復元くらいはやらなければいかぬだろう、こういうことを考えておられる。もう諸外国のことは何回も言いましたから言いませんが、私どもは、燃料油について、C重油に対しては消費税をかけてはどうか、こういう考えを持っておるわけです。おそらくこれも考え中だとおっしゃるかもしれないけれども、もうそういう時期じゃないと思うのです。通産大臣にきのうお尋ねしたところが、これは大蔵省の所管であって、大蔵省できめられることであって、私がきめるわけにはいかぬ、こうおっしゃったので、大蔵質としてはどういうお考えを持っておられるか。新聞で私の見るところによりますると、税源が非常に不足したから、たばこも上げたい、酒も上げたい、こういう大衆課税まで発表されるくらいですから、こういうものはもう審議中ということではなくて、おそらく腹にきまっておると思いますから、率直に一つ御発表願います。
#104
○政府委員(前田佳都男君) 先ほど、藤田委員からも御質問がございましたときにちょっとお答えを申し上げましたが、現在の重油の関税の特別措置を、あるいは撤廃するとか、あるいはまたこの率をもう少しまた復元するとか、こういう問題、それによって油の値段をつり上げて、そうして石炭との競争力を緩和する問題、そういう考え方もあると思います。また、あるいはその財源の一部を石炭対策に使うという考え方もあると思います。いろいろまあそういう考え方、いろいろあれやこれや、まことに阿具根先生に明快なるお答えをできなくて申しわけございませんが、いろいろそういうような対策もひっくるめまして、通産当局とも検討中でございまして、残念ながらまあ現在はそれ以上お答えはできないのでございます。
 それからもう一つ消費税の問題でございました。この問題もやはり慎重に今検討中でございますので、どうぞ一つ……。
#105
○阿具根登君 この問題、もうこれ以上突つ込んでも、とてもお答えできないとは思いますが、永久にそういうことをせいと言っているわけでは私はない。よその国でもほとんど時限であると思うのです。そうすると、こういうときに、私はきのうも申し上げておりますように、日本の経済がともかくも今日まで伸びてきたことは、これは皆さんの努力もそれはたくさんありますが、働いている労働者の努力というものも決して忘れることはできない。そうするならば、やはり政府の施策として十分考えていただかなければならない、かように思うわけです。次官お帰りになるそうですから、それでは逐条審議の中の一つをお尋ねいたしますが、第二十三条ですね、独立して事業を行なう炭鉱労働者に対する資金貸付に対する考え方、炭鉱の離職者が独立して事業を行なう場合に、この法律では、その資金のあっせんをするようになっております。そうする場合の大蔵省の考え方――利子、あるいは損害補償、こういうもの、どういうふうにお考えになっておるか、お尋ねいたします。
#106
○説明員(岩尾一君) 援護会の仕事といたしまして、第七号に「独立して事業を行おうとする炭鉱離職者に対して生業資金の借入のあっせんを行うこと。」となっておりますが、ただいま実際に失職された方のいろんな援護の手段といたしまして、生業資金でございまするとか、それから中小企業への貸し出しでありますとか、いろんな制度がございます。そこで援護会の方は、そういったいろんな制度について、実際、炭鉱の離職された方で、そういったことを御存じない方もあると思いますので、そういう方につきまして、できるだけ援護会の方でめんどうを見て、この方には、生業資金をこういうふうにして貸せばいいということを親切にやっているわけです。こういうことでございます。
#107
○阿具根登君 今のに関連して、石炭局長から御答弁を願います。資金あっせんをする場合に、だれが保証をするのか、利子はどうなるのか、損失はどうなるのか、その点を。
#108
○政府委員(樋詰誠明君) われわれといたしましては、府県にございます信用保証協会といったようなものを活用して、そしてできるだけ、そこからの保証等によって金が借りられるようにというので、特別の利子といったようなものについては、今のところ考えておりません。
#109
○阿具根登君 それでは、わざわざこういう法律案を作る必要もないと思うのです。それは、そういう借り方はほかにも幾つもございますので、私は、これは石炭の離職者が、特にこういうちまたにほうり出されて困っているから、特別な措置を講じていただいておるもの、かように思っておりましたが、そうじゃないのですか。
#110
○政府委員(樋詰誠明君) 衆議院におきましても、この点につきまして、生業資金の借り入れにかかる債務の保証については、できるだけすみやかに成案を得るように努力するという付帯決議をいただいたのでございますが、今の段階におきましては、この法案自体におきましては、今私が申し上げましたように、先ほど大蔵省から御説明申し上げた程度のこと。それから保証については、信用保証協会を活用すること。それ以上のことは、この法案では実は考えておらないのでございますが、今のような、いろいろな方面の御意見もございます、ただいま阿具根委員の御要望も、これだけでは不十分じゃないかといったようなことを御指摘のようでございますので、何とかいい方法があるならばということで、その成案を得るべく努力はいたしたいと思っておりますが、必ずこうしますということにつきましては、それは私限りで申し上げることはできません。とにかくこういういろいろな方面からの御意見もいただいておりますので、成案がえ得るものならば得るように努力いたしたいということで今後研究を進めていきたいと思います。
#111
○阿具根登君 局長は、これ以上答えられぬとおっしゃいますと、これは困るので、今のお約束では、あしたはこれは上がる法律案なんです。そうすると、直ちにこういうことが実施されるわけなんです。だから、参議院であした決議を出すまでに一つ考えをきめていただきたい。そうしなければ、この法律案は上がるのになかなか困難いたしますから、これはお願い申し上げておきます。
 次に、厚生省にお尋ねいたします。
 五万数千人の失業者を出しておる福岡県あるいはその他の県で、相当な生活に困っておる方々がふえておると思いますが、その実態はどうであるか、またそれに対する対策はどういうようにお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
#112
○政府委員(高田正巳君) お答えを申し上げます。今阿具根先生御指摘のように、生活保護法によりまして保護を受けられる方々が非常にふえております。県によって事情が違いますが、一例といたしまして福岡県を例にとって申し上げますると、私どもの調査では、三十三年の四月と三十四年の六月、約一年二ヵ月ばかりでございますが、それだけの期間におきまして、三十三年の四月では、保護を受けておられまする人員が県全体で六万九千八百三十人でございましたのが、三十四年の六月に至りまして、九万四千五百四人、指数にいたしますと一三五・三三、三割五分余りふえておるわけでございます。これは県全体の模様でございますが、この県の中でさらに地方的に見ますると、たとえば直方市におきましては、ただいまの三十三年四月と三十四年の六月と比較いたしてみますると、人数は省略をいたしまして、指数で申しますと、一〇六という指数を示しております。それから田川におきましては一九九・九、約二〇〇でございます。大体二倍になっております。それから、田川郡で――田川市を除きました田川郡で押えますと、一六〇ぐらいになっております。大体そういうような例でございます。
#113
○阿具根登君 ただいま数字をお聞きいたしまして、今さらながら驚いた次第です。そうすると、これに対しまして、その地方々々の市の負担はどうなっておりますか。現在、市でやっていけるような状態にあるかないか。
#114
○政府委員(高田正巳君) 生活保護法の費用は、御案内の通り、国が八割持ちまして、郡部におきましては県が、それから市部におきましては市がそれぞれ二割ずつ負担をいたしておるわけであります。国が八割持ちますので、これの金の流し工合が非常に地方の財政に影響するわけでございますが、私どもといたしましては、生活保護法の金の性格からいたしまして、地方に御迷惑をかけないように迅速に概算交付をいたしております。残りの二割分の問題でございますが、地方負担の問題でございますが、それぞれのまあ主として市等におきまして、この二割負担分について非常に骨が折れるので、何とかこの負担区分を変えてくれないかというふうな御要望も実は若干承っております。これは御存じの地方財政の方の交付税の基準財政需要といたしまして、生活保護法の二割分というものは非常に大きな要素でございます。従って、自治庁の方で財政需要を十分見ていただきまして、そちらの方で調整していただくべき筋でございまするし、またさようにお取り計らいを願っておるわけであります。まあ負担区分を変えるということも、一応何と申しますか、御要望としてはそういう御趣旨はわかるような気がいたしますけれども、やはり今のような趣旨でいくべきものではなかろうかと、私どもかような考え方をしておるようなわけであります。
#115
○阿具根登君 そういたしますと、生活保護を受ける人が市部においては倍になっておると、そういたしますと、その地方は鉱産税もこれは非常に下がっておると、今までおそらく鉱産税というものは一番大きな財源ではなかったろうかと私は思うのです。そこで、生活保護法が近々この一年間で倍にふえなければならないということになれば、二割であっても相当な負担になる。収入の減と合わせて支出が増してくるのであるから、これは非常な大きな負担にあえいでおると私は思うのですが、厚生省の方では、これは自治庁の方で見ろと、こういうようなことを言われておるが、生活保護法の建前から、私は国がもっと責任を持つべきじゃなかろうか、かように思うわけです。
 それからもう一点は、生活保護に関しては、一定の基準に達した人は、これは憲法の示すところによる最低生活を国民に営ましめなければならないから、だから、しぼってはおりませんということをいつもお聞きいたしますが、現実はこれ以上の人が非常に出ておると思うのです。そうして生活保護の対象にもされておらないと、それは市の財政の窮屈さからと、国の財政の流すのの手おくれですか、いろいろな面から、当然生活保護を受けなければならない人が、これよりももっと、私は漏れておる人がふくらんでおるのではなかろうかと思う。その点はいかがですか。その二点について一つお伺いいたします。
#116
○政府委員(高田正巳君) 第一点につきましては、負担区分を、特に石炭不況の影響をこうむった市について、特に負担区分を変えたらどうかという御意見でございますが、まあそれも一つのお考えであることはこれは間違いないと思いますけれども、あえて石炭関係の不況のみならず、たとえばある市町村が、今回の災害のように非常に大きな災害を受けたというふうな場合におきましては、そこで生活保護法の適用者というものはふえて参る。いろいろな原因でさような事態が起こるわけでございます。従って、それらに一々負担区分を変えるということになりますと、あれに変えてこれに変えないのはどうだとか、いろいろな問題が起こってくるのはこれはまあ当然なことであります。何しろ二割・八割という負担区分は、ほとんど他の法律におきましてないような高率の国の負担率でございます。従って、まあさような高率の負担を国がいたしておるのでもございまするし、先ほどのような事情も勘案をいたしまして、やはりこの地方の二割の負担分につきましては、それこそ地方財政調整の対象として取り上げるのが、むしろ私は筋ではあるまいかというふうにまあ考えておるわけでございます。
 それから、第二点の、もう少し生活保護法の要保護者がふえるべきものが、実際にはしぼられて、ふえてないのじゃないかという御意見でございますが、先ほどの数字は三十四年の六月でございますので、その後もう日にちもたっておりますので、さらにまたふえておるのではないかと私は予想をいたしておるわけでございますが、保護を受けるべき者が財政的な事情によって保護を受けられないようになっておるというふうには実は私どもは考えないのでございます。むしろ外からごらんになって、あれほど気の毒なのにまだ保護の対象にならないというようなことがかりにありといたしますれば、それはむしろ生活保護法全般を通じまする保護基準が低過ぎるかどうかという問題になって参るのでございまして、さような点でもう少し甘く保護をすべきであるというふうな見方をなさる部面があるいはあるかもしれないということも考えまするけれども、同時にまた、新聞の報道等によりますと、少し保護が甘過ぎるのじゃないかというふうな実は批判も受けておるような部面もあるわけでございます。まあその辺のところはケース・バイ・ケースの問題でございまするので、一がいに保護が甘過ぎるとか辛過ぎるとかいうことは申せないと思います。私どもといたしましては、一般の生活保護法の適用方針に従いまして、この際においても適正に保護をするようにということで、現に現実の実施機関を指導いたしておりますし、また現実に私どもの方の係官が福岡県等に参りまして、いろいろ実態等につきまして、県当局なりあるいは福祉事務所なりの指導をいたしておるわけでございます。ケース・バイ・ケースの問題でございますので、私ども御指摘の点は十分尊重いたしまして、生活保護法の適正実施に努力いたしたい、かように思っておるわけでございます。
#117
○阿具根登君 私が言っておるのはその点もありますけれども、そのほかの問題としては、生活保護には一定の基準があって、その基準に達した人はこれは当然国が見なければならないのであるが、それかといってその予算も多分に、だぶつくほど持っておらないので、一応そういうことを言っておりながらしぼられておるということなんですよ。だから、その基準に達しておる人でも生活保護が受けられないのだと、そういう何が一つあるというのと、市自体がその二割にたえかねて、そうしてなるべくこの基準に一応合致しておる人でも予算の範囲内からこれがはみ出されておる、これを私は言っておるわけなのです。だから、厚生省にお尋ねする場合には、いつも基準に達した人は、それが何ぼふえてきょうとこれは憲法の示すところで、この問題だけは決してしぼりはいたしませんと言っておられるけれども、現実に現場に行けば、これはやはり予算というものは何ぼふえてもいいぞということはないのだから、これに一つの制約を受けて、当然この中に入るべきものが入れないでおるのではないか、三十四年六月でこれだけの数字が出ておりますが、それ以外のはみ出しておるのがありやせぬかということが一つと、先ほど言われましたように、たとえば水害があって、そうして今度の名古屋地区のような大水害があって、そうして極端に生活保護者がふえるというような場合とか、あるいはこのような場合には、やはりこれは適切な処置をその地域に限ってやるべきではないか、こういうことを言っておるわけなんです。
#118
○政府委員(高田正巳君) 本年度生活保護法の予算に若干窮屈さを感じまして、御審議をいただきましたように、三十七億円でございましたか補正をしていただきました。
 それからいま一つは、なるほど炭鉱離職者で非常に保護を受けておる方がふえておりまして、たとえば先ほど指摘いたしましたような、地方におきましては二倍になっているということでございますが、全国の生活保護法の対象者は大体百六十万人見当でございます。その数字からいたしますると、別にそのために四百数十億の予算が非常に大きく狂うというふうな比重でもございません。従いまして、補正も成立をいたしておることでございまするし、国の予算が窮屈で保護ができないというふうなことは、これは私としましては、まずないと申し上げて差しつかえないかと思うのでございます。
#119
○阿具根登君 それでは、私どもが地方に行く場合に、生活保護をなぜ受けさせてくれないか、自分よりもっといい人も生活保護を受けているではないか、こういう陳情をしょっちゅう受けるわけなんですね。そうすると、国の方では私が先ほどから言っているように、一定の基準に達した人は、これは予算がないからできませんということは言えないのだ、これだけは予算外にはみ出してもやむを得ませんということをいつも言われるわけなんです。しかし、一応の基準を示して、その上でその規格を、あなたのところはどのくらいだという標準をちゃんと示しておられる。だから、それからはみ出さないように地方ではやっている。と相待って自分の、地方財政からにらみ合わせてなるべくしぼろうしぼろうとしているのが現実ではないか、こういうことを質問したわけなんです。そういう点は一つ十分御注意を願いたい、かように思います。自治庁の方とも十分御相談になってやっていただきたい。きさようは自治庁は私要請しておりませんのでお見えになっておりませんから、今からでは間に合いませんから、一つお願いいたしておきます。
 引き続きまして文部省にお尋ねいたしますが、ちょうど今の問題と同じで、最近の写真等をごらんになりますと、学校に行って、弁当を持っておらない人が水を飲んで、よそを向いているとか、あるいは弁当を持たないから学校に行かないというのが非常にふえておるし、そういう人たちの給食をやるために今度は学校が赤字になってどうにも困るというのがふえておるが、一体そういう人員がどのくらいあるのか、それに対して文部省としてはどういう対策をとろうとしているのか、お伺いいたします。
#120
○説明員(平間修君) 炭鉱不況によります影響は単校給食の方にも相当深刻に現われているようでございまして、全国的の数字は今まとめ中でございますが、一番早くこちらに連絡をいただきました福岡県の場合においてちょっと申し上げてみたいと思います。学校給食におきましては、もちろん現在義務制でございませんので、実施校と未実施校とがあるわけでございます。その実施校におきましては、学校給食費というものは父兄の負担になっております。それをまず生活保養法による教育扶助によりまして学校給食費の免除と申しますか、補助をする。で、その次には学校給食法による準要保護児童といたしまして、これは文部省の方で毎年予算を取りまして補助をしているわけでございます。そういう生活保護法による分、それから準要保護児童分といたしまして、すでに補助をしている分以外に、この炭鉱不況によりまして大幅に給食費の支払いが困難なものがふえてきているわけでございます。その分がこの福岡県において現在報告を受けております程度では、大よそ一万二千名ばかり、こういう報告でございます。私どもといたしましては、この一万二千名に対しまして給食費の補助を何とかしなくちゃならないのじゃないかということになるわけでございますが、これに対しましては、第一に、たまたま災害、風水害の方が起こりまして、この分にも同じような問題が起こりましたので、それに対する給食費の補助をただいま予備費でもって大蔵省と折衝中でございます。それと同時に、この炭鉱不況によりまする準要保護児童の方の給食費の補助も予備費として要求したいと思いまして、目下最後の数字をまとめ中でございます。
 それから未実施校の方の問題でございますが、これは文部省といたしましては、パンとミルクとによる――応急給食とかりに名づけておりますが、この応急給食をやる場合には、政府あっせんの物資、それから脱脂ミルクとか、こういうものをあっせんすることにしております。それから、目下のところ、この学校給食と申しますのは全校一斉にやるということが建前になっておりまして、つまり教育の一環として取り上げておりますので、従いまして、これを全校一斉にやるという希望のところは目下のところはございません。ある点におきまして、市町村で支払いに困ると申しますか、あるいは弁当の持ってこれない子供と申しますか、そういう子供のためにパンとミルクを買って与えているという例がございますが、この福岡県の例を申し上げますと、福岡県の六市の分に対しましては、県の教育委員会の方で計画を立てまして、黒い羽根運動本部からちょうだいした学校給食用のクラッカー、これを約五千人の弁当を持ってこれない子供、あるいは休みがちな子供、そういう者のためにクラッカーを配給することになりまして、ちょうど十二月の十日からこれを実施しておるはずでございます。それに伴いましてミルクも同時に飲ませたい、こういう考えで、それに必要なそのミルク飲用の食器及びそのミルクを運搬いたしますミルク・ポツトでございますが、これらは五千人に対する分としまして日本ユニセフ協会から寄贈を受けるように私たち中に入りましてお話いたしまして、まだ現物は到着しておりませんが、そういう計画で、なるべく早くこれを寄贈するように今取り運び中でございます。大体実施校に対しましては給食費の二分の一の国庫補助を新たにいたしたい、こういう考えでこれから折衝を始めたい。市町村の残りの負担分につきましては、やはりこれは特別交付税かあるいは起債でもってできるだけ市町村の負担を軽減したいという考えで、これもまだ具体的な数字は、近く行ないますが、自治庁と折衝しなければならない、こういう段階でございます。
#121
○阿具根登君 ただいまの問題につきまして大蔵省はいかがお考えでございますか。たとえば実施校につきまして一万二千名、それに対して予備金の折衝をされておるということでございますが、大蔵省としてはいかがお考えですか。
#122
○説明員(平間修君) 今申し上げたように、大蔵省にはただ話だけを持っていきまして、まだ具体的な数字というものはまだ持っていっておりません。
#123
○阿具根登君 そうすると、一万二千名の人には給食をやっておらぬのですか。
#124
○説明員(平間修君) いや、現在もちろん実施中でございます。それは未納額として上がってきておるわけです。
#125
○阿具根登君 その未納額はどれくらいになっておりますか。それを一体どうするつもりですか。
#126
○説明員(平間修君) その給食費の、先ほど補助と申し上げましたのは、結局はその補助金でもって未納額を消していくと、こういう格好になるわけでございまして、もちろんこれは今年度は三月までのことをやっておりますから、今後のことも入るわけでございますが、それだけが、ただいまいわゆるパン屋さんやあるいはミルクを取り扱う学校給食会というのがございますが、そういうものに対してまだ未払いということになっておるわけでありますが、子供たちが普通ならば払うべき給食費をまだ持ってきておらない。従って業者に払っておらない。それを国からなり、あるいは場合によっては県で一部補助をいたしましてこれを払っていく。ですから、私どもといたしましては大蔵省と一日も早く具体的な折衝をいたしまして、これを支出しようということで、今大わらわになって準備中でございます。
#127
○阿具根登君 大蔵省は見えておるのでしょう、政務次官は。
#128
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#129
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして。
#130
○阿具根登君 それでは大蔵省にまだ折衝していないということですから、早急に折衝をしていただきたいと思いますし、それからもう一つ意外に感じますことは、未実施校だからやむを得ないと言われるかもしれませんが、黒い羽根とかあるいは協会の寄付金で昼食を持ってこない子供にまかなう、これは常態ですか、これが通常の状態と言えますか。これは政府が何かしなければならないのを、民間のそういう運動に便乗して、そういうところから学校の児童が弁当を持ってきておらない弁当代に充てるということは、私はこれはどうしても考えられないのですが、そういうことをやっておられる。まことに意外だと思うのですが、これに対してほかの対策は持たないのですか。
#131
○説明員(平間修君) 県の方におきましてその市町村と相談の上、応急的に学校給食をパンとミルクとでやる。こういう場合には政府あっせんの物資を使ってもよろしいという考えでおりますし、従ってそれに対する応急給食は、一応完全給食と申しますが――普通はパンとミルクとおかずの完全給食と申しますが、それに準ずるものとして取り扱いをいたしたいと思いますので、そういう政府あっせんの物資を使ってやるような場合には、学校給食費の補助と同じに考えたいと思いますが、ただいまのところでは、県の方でやる五千人だけ、つまり弁当を持ってこれない子供だけについて一応そういう措置をとりまして、今、ただいま申し上げたような応急給食というものはしばらくこれはやらないでいこう、こういう考えでございますので、せっかくの好意でございますし、県の方でそういう考えでございましたので、その点についてそういう措置をとることを私たちとしても了承したわけです。
#132
○阿具根登君 あなたを責めるわけではないのですがね、あなたの子供が弁当を持っていけなくなった場合に、普通給食でさえも肩身が狭いのに、クラッカーを与えて、しかもそれが黒い羽根の運動募金の金であったり、あるいは何々協会のものであったり、クラッカーを与えられて、食い盛りの非常に感受性の強い子供にクラッカーを与えて、それで私は学校の完全な教育ができるとは思わないのですが、どうですか。
#133
○説明員(平間修君) 今の計画はクラッカーとミルクの関係でございますけれども、この取り扱いについては確かに教育的な配慮を要する点があると思うのでございます。それで学校長としては非常にその取り扱いを苦慮しておるようでございまして、そういうようなほかの子供に対する卑屈感とかなんとかいうものを与えないような方法でもって、苦心の上で教育に影響を与えないような措置を非常に苦慮しておるようでございます。
#134
○阿具根登君 先ほど厚生省に質問いたしまして、生活保護法はほとんどやっておる。予算でしぼっておらないということを言われたのですけれども、今あなたの話を聞いても、弁当を持っていけないような子供が五千人もおる。これは未実施学校です。その他の学校で一万二千人もおる。そうすれば生活保護法の適用がほんとうに行なわれておるとはいえない。まあ厚生省帰ったようですから、これはまたあとで厚生省にお尋ねいたしますが、私は文部省当局が大切な子供をあずかっておって、その子供にこういう差がつけられた場合、いかに道徳教育を叫ばれても守れるわけじゃないと思うのですよ。そうするならば、もっと強く同じような給食ができるように私は努力をしていただきたい、かように思います。ここまで悲惨だとは知らなかったので、私は大臣の要求をしなかったのですけれども、ここまできたならば、文部大臣に来てもらうつもりだった。文部大臣が道徳教育を説く前に、こういう問題を解決しなくて何が道徳教育かと私は言いたいのです。しかし、きょうは私呼んでおりませんので、一つ課長から大臣の方にもよくお伝えを願いたいと思います。
#135
○小柳勇君 今の問題で、一つ技術的に、まあ各未納の大体見込みも立つと思いますし、それからそういうような児童に対しては、当分やはり文部省として具体的な対策を立てられなければならぬ、救えないと思いますが、そういうような案があるのかないのか。今直ちに動き出さないとしても、事務的にいつごろ問に合うのか、政府に見通しがあったら伺いたいと思います。
#136
○説明員(平間修君) このさしあたりの予備費の問題は、これは一日も早く組みたいと思って、今数字をまとめ中でございます。それから、先ほどからもいろいろお話で、結局今後学校給食をそういうものに一斉にやるということになれば、施設やなんかも要するわけでございます。これは、たとえば今年度どうしてもやりたいというところがありますれば、それは目下調査中でございますけれども、既定予算の流用で一応希望に沿うように補助金も上げたい。それから来年度一度にそういうことをできる市町村は、今までの風水害の上からいっても必ずしもございませんので、そういうような来年度早々に建てたいというような場合には、既定の予算内で重点的にそういうものに国庫補助を考え方としてはやっていきたい、こういう機会に学校給食を同時に普及啓蒙もしていきたい、かような考えを持っておるのであります。
#137
○阿具根登君 それじゃ逐条お尋ねいたしますが、大臣がお見えになりましたので、第二条の、この法律で「炭鉱労働者」とは、石炭の採掘又はこれに附属する選炭その他の作業に従事する労働者をいう。というのは、直接従事するのであるか、あるいはその指導監督の任にある人もいうのか、その点をお尋ねいたします。
#138
○政府委員(百田正弘君) ここに書いてございますのは、石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の作業」選炭、運搬、排水いろいろございます。従って、もちろんそれを指揮監督する人たちが入っております。
#139
○阿具根登君 そうすると、この炭鉱労働者というのは、職員を含めた炭鉱労働者である、離職者というのは、職員を含めた炭鉱離職者、こういうことに解釈してよろしいですね。
#140
○政府委員(百田正弘君) この炭鉱労働者に特別の対策を講ずるというのは、炭鉱という特殊な地下作業に従事し、これに順応したいろいろな身体条件を持っておられるために職業転換に非常に困難を感じられる人ということ、それからまた、そういう方々が大体長いことやっておられますので、他の職業についての知識経験もなかなか十分でない。従って、他産業に転換するのにも非常になじみがたいというような特殊性にかんがみまして、この特別措置を考えたわけでございますので、たとえば職員というお言葉がありましたけれども、いわゆる事務職員といったようなものは、結局この炭鉱労働者には含めてはおりません。
#141
○阿具根登君 私の職員と言った言葉は、非常に高級職員という意味を含めておるわけじゃないんです。いわゆる課長とか、それ以上の方々を含めて職員と言っているわけじゃない。非常な下級職員、こういう方々も私どもは炭鉱の労働者と言っております。事実労働者でございます。また、そういう方々が炭鉱を離職をされた場合に、非常に長い間炭鉱でそういう下級の職員であっても、この人たちは、炭鉱の仕事しかできない人がたくさんいる。ほとんど大部分がそうだと思う。そうならその人たちも含めて炭鉱の離職者というふうに解釈してよろしいかというのでお尋ねしたんです。
#142
○政府委員(百田正弘君) さように解釈して差しつかえないと思います。
#143
○阿具根登君 次に二条の「炭鉱離職者」とは、離職した炭鉱労働者であって、現に失業しているか、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるものをいら。これは一体どういうところで線を引こうとされているのか。たとえば一ヵ月のうち三日とか、五日仕事しているのを、これは失業とみなすのか、あるいは一ヵ月仕事してもわずか何千円か、非常に微々たるものである人も含めているのか、それはどういうことになりますか。
○政府委員(百田正弘君)この著しく不安定という意味は、われわれはその実態によって判断することになりますけれども、かりに若干の収入がございましても、社会通念上この人の従事している職業が安定したものと認められないもの、これはいろいろあろうかと思いますが、そういったものまで広くこれは考えていっていいんじゃないかというような考え方で判断していきたいと思います。
#144
○阿具根登君 これは職業紹介所でその判定はするのですか、それともどっか他の人が判定いたしますか。
#145
○政府委員(百田正弘君) 職業安定所で判定いたすことになろうかと思います。
#146
○阿具根登君 次に、第三条についてお尋ねいたします。労働大臣は、多数の炭鉱離職者が居住している地域について、所用状況から判断して、云々といわれておりますが、多数の炭鉱労働者が居住しているということは、これは社宅を意味していると、かように思うんですが、そういうふうに解釈できますか。
#147
○政府委員(百田正弘君) 常識的に炭住所在地というふうなことになろうかと思いますが、しかしながら、それのみには限らない、一部に通勤している人もあるというふらに聞いておりますので、一つの労働市場として、そこに炭住の所在地であるということが中心になるんじゃないかと考えております。
#148
○阿具根登君 それでは炭住の所在地ということではなくて、その炭鉱の所在している地域、こういうふうに解釈してよろしいですか。
#149
○政府委員(百田正弘君) 実際上はそういうことになろうかと思います。
#150
○阿具根登君 次に、あまりこまかいことを尋ねてもいかぬと思うんですが、次に3ですね。地方公共団体又はその長が第一項の計画に基づいて実施する云々の一番最後に、労働大臣が大蔵大臣と協議して定める算定基準に従い、その五分の四を補助するものとする。と、こういうことになっております。そういたしますと、あとの五分の一は、これは地方公共団体が持たなければならない、こういうことになるわけですね。
#151
○政府委員(百田正弘君) さようでございます。
#152
○阿具根登君 そういたしますと、先ほども論争しておりましたように、失業者がたくさん出て、鉱産税も固定資産税も入らないようなところに五分の一を持たせるというのは、他県から比較しても、相当これは重荷になる、この五分の一についてどういうお考えを持っておられるか。
#153
○政府委員(百田正弘君) 従来の失対事業については、御承知の通りに三分の二の国庫補助でございますが、この炭鉱地帯の、特に自治体の財政負担の状況を考えまして、特に高率の五分の四という補助をいたしたわけでございます。従って全額ということは望ましいかもしれませんけれども、現在の失対事業が他よりもこれは相当高率になっております。それであとの五分の一の負担をどう考えるかということでございますが、第一には普通交付税の算定の基礎になると思います。第二には、その負担分につきまして、非常に自治体が、直ちにそうしたものが困難であるという場合には、起債その他の道が開かれますように、自治庁とも協議中でございます。
#154
○阿具根登君 協議中ではこれは困るので、実際普通失対でも、地方財政が非常に困難なために仕事を断わるようなところも出てきている現実があるわけなんですね。ところが、この場合は、普通の失業者がおるのに、今度の問題でたくさんの失業者が出てきた、そうした場合に、五分の四持てばこれは非常に有利じゃないか、一般は三分の二じゃないか、こういう御意見のようですが、私はそんなものじゃないと思うのです。とするならば、五分の四補助するならば、たとえばあとの五分の一を起債にするとか、あるいは利子を免除するとか、あるいは長期にこれを償還させるとか、いろいろな方法を考えておられるものと思うのです。それがただ五分の四になったからいいではないかというものじゃないと思うのですが、これはいかがですか。
#155
○政府委員(百田正弘君) そういう点につきましては、今後もいろいろこの実施の状況を見まして、考えるべき問題が出てくるかと思いますが、現実に現在関係府県とわれわれが折衝し、計画を聞きまして、一応これで実施できるという見通しが現在のところではついております。
#156
○阿具根登君 関係府県とおっしゃると、私たちも関係府県から非常なたくさんの陳情をいただいておりますが、この五分の一の財源捻出が地方ではできませんという陳情でございます。だから、これは何とかして全額国庫負担していただきたい、これは今までの失業者にプラスしたやつで何とか全額国庫負担していただきたいというのが第一の陳情であり、もしもできなかった場合も、起債の償還期限を長く一つつけてやっていただきたい、こういう切なる陳情があったと思うのですが、労働省の方には緩和した陳情が来ましたか。
#157
○政府委員(百田正弘君) 自治体の方からは全額国庫食掛をしてもらいたい、こういうことでございます。これがどうしてもできない場合も、十分の九ぐらいまでにはしてもらいたい。これは鉱業市町村連合会の陳情でございまして、その後いろいろわれわれの方といたしましても、それができなければ、起債その他の方法も講じてもらいたいという考えもございます。そこでわれわれといたしましても、五分の四の補助までするということは、これは相当特別の措置でございます。あとの五分の一につきましては、われわれといたしましては、できるだけ地方で負担してもらいたいということで、具体的な計画としては、幸いに今年度の分は実施可能な見通しになっております。あとその地方負担分につきましては、自治庁も、今後起債は、普通交付税その他の問題で支障のないようにやっていきたい、こういうふうに考えております。
#158
○吉武恵市君 今の点ですが、大体予算が通ったので、各地方団体の方では計画を立てて、労働省の力にも交渉中じゃないかと思うのですが、現在のところ、この地方公共団体は、府県が主体になって計画をしていますか、町村が主体になっておりますか。実情はどういうふうですか。
#159
○政府委員(百田正弘君) 府県の主体になっている部分が多うございますが、しかしながら、市町村で直接計画をしておられます分もございまして、現在のところ大体両方ございます。福岡は大体事実のうちの半分が県、半分が市町村といったような状況でございます。
#160
○藤田藤太郎君 関連して。今の地方自治体の負担分ですが、これは予算の中で八十億の予備金があるわけです。その中で災害関係には四十二億ですが特別会計を作って、いろいろ出たやつを交付税で一々見る、新しく出たやつをそういう格好で順次見るということを自治庁の長官は言っておりますね。だから、今度の炭鉱離職者の二万一千人を対象にされたこの高額補助についても、これ自身は五分の四にして、五分の一の方は交付税で特別に自治庁が指示して見るとか、それから起債の問題とか、もう少し具体的な交渉ができていないのですか。
#161
○政府委員(百田正弘君) この五分の四の負担をするということになっておりますと、予算的には五分の一は普通交付税その他の対象になり得る、また起債の問題につきましては、自治庁と最後的には、具体的な問題になりますので、格地方公共団体と自治庁の間の話になりますが、原則的には大体自治庁としても、これを拒否するというような考え方は、現在のところございません。
#162
○藤田藤太郎君 私の言っておるのは、そういう状態だから、この法案を成立さして具体的に動くには、一番肝心な根本ですから、そういう折衝がもっと具体的にできているものだと私は思っていたのだが、してくれるだろうとか、そういうことだから、これはどういうことですか。
#163
○政府委員(百田正弘君) 本年度分については実施は完全にできるわけであります。来年度予算につきましても、これが地方負担分がどのくらいになるかということにつきましては、具体的には自治庁とわれわれが話し合って来年の計画が現実に実施できるような措置は講じたいと思っております。
#164
○藤田藤太郎君 ちょっと理解がしがたい、五分の四についてはいいですが、五分の一の分について、自治庁との話し合いがもっと具体的にできていなかったかということです。ことしの分ですよ。
#165
○政府委員(百田正弘君) 五分の四が国の負担だということをきめる際には、大蔵省と自治庁とわれわれの意見が一致してきめておりますから、五分の一負担分については、自治庁も当然地方が負担すべきものとして、すべての基礎になっていると私は考えております。
#166
○藤田藤太郎君 私の言っているのは五分の四と五分の一で、五分の一は地方自治体が負担するから、こういうところは地方自治体が非常に困難な状態だから、それをめんどう見るような交渉が具体的にできていなかったのかと言ているのですよ。今の自治体が、たとえば交付税で見てやるとか、または起債で見るとか。
#167
○政府委員(百田正弘君) 自治庁の方におきましても、五分の一の負担ということは承知いたしておるわけでございます。その点につきましては、普通交付税という格好になるか、起債ということになるか、その点についてはどちらかできめる、こういうふうに考えております。
#168
○阿具根登君 これは非常に重要な問題でございますので、大臣の御答弁をお願いしておきますが、この五分の一というのが、わずか五分の一だということでなくて、非常に赤字の上の五分の一でございますので、地方の要請というものは非常に強いものがある。ところが現実は、それ以上に失業者の対策を立てねばならないので、私は追い込まれていると思うのであります。だから、この全額補助することについて、大臣は特に努力願いたいと思うのですが、大臣の御答弁をお願いしておきます。
#169
○国務大臣(松野頼三君) この五分の四というのは、もちろん五分の五の補助ということは一つの望ましいことでございますが、今日ほとんどこれは公共事業というものが対象になる、そうしてこれは河川と道路が今出てきておるのであります。やはり公共事業の負担分、災害の負担分あるいは一般失対の負担分というものの中においてやはりこれを考えなければ、緊急就労だけ五分の五ですべてが緊急就労に参ったら、公共事業の仕事も緊急就労でやれ、失対も緊急就労でやれということでは、これはやはり緊急就労の本来の目的、人員吸収というその目的から見れば、やはり私はある程度他の例も考えなければいけないのではないか。また、地方自治体というものはまあ負担は非常に過大でございますが、これを五分の五にしたから、では地方自治体はいいか、そういうわけでもなかろう。やはり総合的に地方自治体のすべての財政の立て方、負担分という一つの基準に合わせて私は緊急就労というものはあるべきだ、こういうふうに希望するのでございます。問題は失対でももっと上げろ、あるいは生活保護でももっと上げろ、すべて実は同じような負担分というものがございますが、しかし、そういう負担分は、一応この基準に合わせて逆に地方財政のあり方というものについて政府が起債を認めるなり、平衡交付金で補助するなりということが、今までのすべての立て方でございますから、災害でも十分の十、それはなかなかございません。やはり十分の九とかいう程度で、あとの一は何だ、一緒に十やればいいじゃないか、しかし、それは国と地方の負担分の基本的な問題だという中において、今回この緊急就労というものはやったものでございますから、従って一応もちろん五分の五を希望する地方団体も、負担が多い、それは承知しております。従ってそれは今回の場合起債で見るか、あるいは平衡交付金で見るか、あるいは災害と予備金の特別平衡交付金で見るかということは、自治庁におまかせするとして、負担分の対策は、自治庁も必ずその対策を立てるという了解の上でやっておるわけであります。これは何にするかということは、自治庁が各府県の内容を見て、内容がどういうふうになるかでこれをきめるわけでしょうが、年方自治体の財政を見るということだけはこの法案を提案するとききまったわけであります。見方がどうかということは、今日問局長の話の中にきまっていませんというのは、見方は何で見るかということは、これは地方自治庁へおまかせいたしましょう。見るということだけは五分の一、この法律をきめるときにきめたわけであります。その先のことは多少問題があるかと思います。
#170
○阿具根登君 それではこの問題は、地方自治庁の御意見も伺わなければできませんので、私は了解することができませんから、保留いたしておきまして、あとで地方自治庁の長官をお呼び願いまして、長官からはっきり起債で見るのか、交付金で見るのか、はっきりした姿を示していただきたいと思います。次に参ります。第五条の二項、それは一般職業省線所のことであると思いますが、それにつきまして「政令で定めるところにより、その一部を負担することができる。上政令にまかせられてあるわけでありますが、政令の内容は何であるかお示し願います。
#171
○政府委員(百田正弘君) 一般職業訓練所の運営費につきましては、三分の二、施設費については二分の一でございます。現在職業訓練法三十四条一項による負担はいずれも二分の一でございまして、駐留軍離職者の臨時措置にとった場合と同様でございます。
#172
○阿具根登君 これが一番問題でございまして、資材については二分の一、運営費については三分の二、私はこれではおそらく職業訓練は完全にできないであろう、かように思うわけです。これこそ資材も運営も五分の四は見るべきであると私は思うのですが、いかがですか。
#173
○政府委員(百田正弘君) この点も負担率の問題は高いほど望ましいわけではございますが、今申し上げましたように、いろいろな特別措置、他の特別措置との均衡の関係もございますのでこういうことにいたしたわけでございます。あわせまして労働省といたしましては、失業保険特別会計によりまする総合訓練所における施設の拡充等によりまする措置も考えておるのでございます。これが年度内は予備費で約二億円をもって千人分の施設を拡充し、来年度から直ちに役立てる、こういった措置も考えております。これは地方財政の負担にはならないわけであります。そういう点とあわせまして考えたわけでございます。
#174
○阿具根登君 そういう御説明を聞けば、これは全部何も私どもは修正をお願いするところ、あるいは改正をお願いするということは何もできぬことになっ、てしまう。衆議院はそれで了解いたしましたか。
#175
○国務大臣(松野頼三君) これは阿具根委員、もちろん負担の問題ですからどこでもいろいろな問題ありましょうが、それ以上にやはり増設してくれ、設置してくれという御要望が非常に強いのです。一般におきましても、職業訓練所、今の二分の一、二分の一の負担でも非常に希望が多い。もちろん地方財政、豊かではございませんが、その仕事の中で特に訓練所というものは御要望が強いというのは、地方においてやはりこの消化が非常に可能だ、それでは、しかし、今回は非常に御負担かけていかんから、運営質を三分の二にするのだ。私どもこれでいいとは言いません。いいとは言いませんが、やはりそれぐらい地方財政のいろいろな仕事の中で職業訓練というものが、二分の一でもたくさんやるんだという御希望がありましたから、私の方はさしあたり負担分をふやすよりもまず増設をすることだということで、増設という方に踏み切ったわけで、もちろん政府の予算でも財源に切りがございますから、この三分の二にすれば増設の場所が減ってくる、訓練の人数が減ってくるということを考えてみれば、やはりそのもととなるものは何だといえば、より以上多くの訓練所を作って、そうしてより以上多くの訓練生を出すということが労働省の主目的であります。その意味で同じ財政ならば消化の可能な限度において、なるべく地方と国と協力するという意味で三分の二と二分の一にしたわけであります。もちろんすべて多いにこしたことはありませんが、財政だけいえば。しかし、やはり訓練所の目的と方法と、それから今日の状況を考えれば、その負担にたえても地方はやろうじゃないかという御熱意のある予算でありますので、私ももちろんこれは地方財政が楽だとは思っておりません、その苦しい中でも職業訓練が、自分の方はこれでやりたいんだ、増設希望も非常に多いものですから、従ってもしも地方財政が不可能だというなら、この予算の消化はおそらくできなくなりましょう。しかし、今日職業訓練所に対する要望は非常に強いんですから、従って私は財政に余裕があるとは申しません、ない中でもこの程度の消化は十分可能だ、そしてより多くの私の方は訓練生を出すということが労働行政であります。財政論からいえば切りがございませんが、労働行政からいうならば、多くのものを訓練したいという方向におのずから私の頭の向くことも御承知願いたい、こう考えております。
#176
○阿具根登君 これは予算では千百万ですか、になっておるようですが、この増設、どのくらい考えておられますか。
#177
○政府委員(百田正弘君) 補正予算では職業訓練所関係といたしまして、新設分としては千百四十一万八千円、既設のものに併設するものが三十五万九千円。これは補正予算におきましては一カ所新設、二カ所増設、計三百二十名ということになっております。その前に予備金支出によりまして六百四十名、これは一カ所新設いたしまして一カ所拡充増設、四カ所が既存併設、こういうことになっております。
#178
○阿具根登君 この予算では一カ所新設、三カ所増設、その一カ所はどこに新設で、二カ所はどこを増設、一カ所の新設には何人収容、二カ所増設では何人収容か、お知らせ願います。
#179
○政府委員(百田正弘君) 予備金支出といたしましては、新設は福岡県の田川でございます。それから夜間の定時制の訓練所を併設いたしましたものが、福岡県において飯塚及び直方の訓練所に設備いたしました。そこで田川においては百六十名の訓練――昼間八十、定時制八十で百六十名、飯塚だけで二百四十名、直方が百六十名、それから福島県の石城で四十名、小野田が四十人、これで六百四十人でございます。それから補正予算分といたしましては、長崎県の江迎地区に新設をいたします。訓練人員二百四十人ぐらい、さらに既存の併設分といたしはして北海道の美唄四十、佐世保の四十ということになっております。
#180
○阿具根登君 大牟田はどうですか。炭鉱の一番失業者が多いのは、田川、飯塚、直方、大牟田、これはいずれも劣らぬところだと思うんですが、大牟田は予算には入っていないんですか。
#181
○政府委員(百田正弘君) 本年度の計画におきましては、まだ具体的なところまで行っておりませんので、計画はいたしておりませんが、将来は当然考えていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
#182
○藤田藤太郎君 きのうからもそうですけれども、今度の予算書の中で、今のような具体的な数字、計画はちゃんと立っておられるわけでしょう。われわれに資料をなぜ出さないんですか。単価が幾らとか、その中でどうするとかいうような資料を、われわれにもらえぬのですか。それはどうです。
#183
○政府委員(百田正弘君) 差し上げます。
#184
○阿具根登君 人員で、これによって何人増加を考えておられるんですか。
#185
○政府委員(百田正弘君) 年度内定員は、これで六百四十と三百二十で九百六十になるわけでございます。そのうち新設につきましては新年度からに、今度の補正予算の新設分につきましては、できるだけ年度内にこれを開始したいということで進めておりますが、この分が少しおくれるかと思いますが、大体九百六十人で年度末までにやる、こういうふうに考えております。
#186
○阿具根登君 ちょっと速記を落として下さい。
#187
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#188
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
#189
○阿具根登君 次に、第六条はすでにきのう大臣の所見もお聞きしておりますから、長く時間をとろうとは思いませんが、新聞の社説等を見てみましても、この法律で、第六条は非常に問題になっている。大臣の御答弁を聞きますと、これは訓示規定ではないのだ、これは義務づけられている、こういうことを言われますけれども、私、何回見直してみても、そのものが義務規定だとはどうしても考えられない。これは非常に抜け穴がある、かように思うわけです。これが義務規定であるならば、はっきりとこれは義務づけているということで法の解釈もやっていかなければならないと思いますが、これは一般が見る場合に、決して義務規定ではなくて、これは訓示規定である、こういうこともいわれておりますし、私どももそういうふうに感ずるのですが、これはいずれですか。訓示規定ですか、義務規定ですか。義務がついておりますか。
#190
○国務大臣(松野頼三君) この条文そのものは、必ずしも義務規定とはなっておりませんが、この条文の裏にある母法を併用して、行政的にやりますと、相当強い規制の規定だ。義務とまでは言い切れませんが、強い規制によってやり得る。その最終的には、義務的な違法という、罰則のあることも母法にございますから、それを適用すれば、これは相当強い規制による義務的な規定だ。従って、この条文だけをごらんになれば、どこにも義務という言葉はないじゃないか、罰則もないじゃないかと、こう言われますが、基本的にはそういう裏の母法をたてにとって職安においてやると、相当強い規制の法律だと私は考えております。
#191
○阿具根登君 それは職安に報告をしなかったとか、あるいは虚偽の報告をしたとか、そういう場合の規制でございます。私は、これを炭鉱離職者を雇い入れなかったから罰則があるとは、これで考えられないと思うのですが、罰則はありますか。
#192
○国務大臣(松野頼三君) 炭鉱離職者を雇い入れなかったから特に罰則ということはありません。炭鉱離職者を雇い入れるときには公共職業安定所に申し込まなければならないというのが、この規制の法律であります。その公共職業安定所が今後は紹介の運営をいたします、そのあとにおいては年次報告をとります。そういうことに規制があって、罰則がありますから、運用上においては、公共職業安定所というものが行政機関にございますから、これに、求人も、あるいは今後解雇するときも、あるいは離職者を出すときも、すべて報告をさせますので、相当私は強い規制だ、こち考えております。
#193
○阿具根登君 それは公共職業安定所が職業のあっせんをする場合ですね。そうすると、これには緩和されたようになっておる。この前も申し上げましたが、あとの項では、炭鉱離職者というものを雇い入れようとする場合は、これは職業安定所等を通らなくてよろしい。だから、これを裏返していえば、炭鉱労働者以外のものを採用しようとするときにはここに申し出ろ、こういうことになると思うのですが、そうですか。
#194
○政府委員(百田正弘君) おっしゃる通り、第六条の一項については、これは罰則がございませんので、強行規定とはいえません。しかしながら、ここでは、炭鉱労働者の離職者を雇い入れてもらうことがその者の経験から最も得策ではないかというようなことで、こうした原則を示しておりますが、第二項といたしましては、炭鉱労働者を募集する場合には安定所に求人の申し込みをしなさい。ただし、今お話のあったように、炭鉱離職者のみを雇い入れようとする場合はこの限りでない。そこで、炭鉱労働者を募集する場合には、直接鉱業権者がやれますのは、通勤可能の区域内で直接募集する場合には、炭鉱労働者を安定所に何らの連絡もなく採ることが可能であります。ところが、これが文書で通勤地域外から募集しようとするときは、これは安定所に通報の義務がございます。人に頼んで募集する、あるいはその他の地域から募集する、すべて安定所長の許可を必要とすることになっております。従いまして、確かに通勤あるいはその間に、もちろん――もちろんと申しますと語弊がございますが、やみで雇い入れるということがあるかもしれません。しかしながら、こういうことで縛っておきますことによりまして、通勤可能地域以外からは雇えないのでございますからして、そこで必要とする場合に安定所に申し込みをさせるということにいたしておきますと、安定所に、炭鉱離職者はその地域々々にたくさんおられるはずでございますので、これを登録してございますので、その人の職業紹介のきっかけを作ろうということでございます。
 しかし、それは義務規定でございませんので、脱法といいますか、これをのがれる行為もあるいはあり得るかもしれません。そういうことがございますので、四十条におきまして、労働省で一ヵ月に一ぺんときめたいと思っておりますが、どういうものをどれだけ採用したのか、あるいは解雇したのかという状況を安定所に報告さして、間接的にそうした心理的な強制を加えたい。それには、出す報告義務違反については、三万円以下の罰金ということを決してある。従いまして、純然たる野放しの訓示規定というよりも、ややその点において担保があり得るのじゃないか、さように考えております。
#195
○阿具根登君 そうしますと、公共職業安定所は炭鉱離職者をあっせんしなければならないというのはどこにありますか。公共職業安定所に、鉱業権者が炭鉱労働者を募集する場合には求人の申し入れをする。その場合に、公共職業安定所は炭鉱の離職者をあっせんしなければならないというやつは何もないでしょう。
#196
○政府委員(百田正弘君) これは、私どもは、当然の規定で、当然のことでございますので、そのことを規定しなかったわけでございますが、安定所の紹介の原則というものから考えましても、そこに最も適した労務者を送る。従いまして、前職がそのものであった場合には、まず安定所は適格紹介という原則のもとに、できるだけその者を送るということが安定所としては当然なすべき仕事でございまして、しかも、このことは行政措置によっても十分やり得る。わざわざその点を書く必要はない、国のやることでございますので。
#197
○阿具根登君 しかし、公共職業安定所にそのことがはっきり明記されておらない限り、たとえば炭鉱労働者を募集される場合でも、松野労働大臣は、炭鉱労働者は非常に移動が大きく、だれでも勤まるのだというようにお考えかもしれませんけれども、その炭鉱によって、電気工夫なら電気工夫を募集する場合には、それだけの資格のある人でなければできないわけです。採炭夫なら採炭夫を持ってきて、はい、お前は炭鉱を下がっておったから、今度はこの炭鉱で坑内の電気屋になりなさいといっても、できない相談なんですよ。そうですね。そうすると、そういうのにひっかかって、炭鉱労働者じゃない者を職業安定所はどんどんあっせんすることもできるわけです。これをあっせんすることもできるわけです。そういう抜け穴がここにあるから、それはしりがつぼまっておらないと私は思うわけですが、どうですか。
#198
○国務大臣(松野頼三君) 第六条の労頭に、「鉱業権者は、炭鉱労働者の雇入れについては、炭鉱離職者を雇い入れるようにしなければならない。」という、相当の規制がここにできております。従って、これは鉱業権者に言うと同時に、今度は私たちの職業紹介所においても、炭鉱離職者の優先雇用に対する措置としては、まず優先的に離職者を就職させるようにあっせんしろということは、労働大臣が各職安を通じて命令しなければなりません。従って、当然この法律の体系からいって、労働大臣もこの法律に従わなければなりません。従って、当然行政的には、同じ条文の労働大臣命令というものを各職安を通じて労働大臣は指令するわけです。従って、この法律の趣旨というものは、これは炭鉱労働者も鉱業権者も、政府の労働省も、同じ意味でこの法律には規制されます。政府ほそれに応じた措置をとるという趣旨であって、ここに政府はこうしろとは書いてございませんが、この法律はすべてそういう優先雇用という題目に応じて、行政にはこうする、炭鉱の鉱業権者はこうするという趣旨がここに書かれてあるわけであります。
#199
○坂本昭君 今、優先雇用の問題について、六条の点を説明されましたが、実は優先雇用について、六条の規定は非常に弱いと思う。今まで諸外国で優先雇用の一番いい例は、身体障害者雇用法ですね。ああいう場合には、こんな「雇い入れるようにしなければならない」というような、こんな程度じゃないですよ。もっと強いものです。場合によれば、職種を留保する、それから罰則を設ける。少なくとも日本の場合、職種を留保するということは憲法二十二条の職業選択の自由に反しますから、これは問題かもしれません。しかし、ある程度、少なくともパーセントを規定する、あるいは雇い入れない場合に罰則を設ける。ところが、第五章ですか、全然罰則がない。こういうことでは、この六条というものは死に文になってしまって、ほとんど生きてこないじゃないか。少なくとも優先雇用というものの立法化というものはもっと強いものでなければ、実際的に役立たぬ。そういう点で、この第六条の問題は、身体障害者雇用法を政府でもいろいろと計画されておられるようだけれども、こういうことでは、これは用をなさないのじゃないか。もっと強い内容にし、罰則の規定を設けるべきだ。私はそういうふうに思うのですが、いかがですか。
#200
○国務大臣(松野頼三君) 坂本委員の御指摘のように、一番それがはっきりしておりますのは、西ドイツではある程度雇用のパーセンテージをきめておるということも聞いております。相当強い罰則があることも聞いております。しかし、その運営を見て参りますと、その雇用者は任意雇用者ですから、その雇用者が任意の場合はそれで有効に働きますけれども、必ずしも、その通りやっているかというと、やはり求人と求職の関係というものもありますから、そううまくその法律通りはいっておらない。これはそういう報告は私も拝聴しております。日本の法制から見まして、今度の問題、実は優先雇用のこの問題は一番規制の強いやつです。これ以上強いというと、なかなかむずかしい。憲法論議まで出て参りまして、なかなか実はむずかしい議論で、今回これを踏み出すには、相当、私たちは最高の規制をしたと思っているわけです。従って、いろいろ職安を通じたり、いろいろなことが書いてあるので、非常にはっきりこうだと割り切っておりませんけれども、内容的には今日私たちが考えられる行政の範囲内では一番強いものだ。今後身体障害者の雇用、これはぜひ出したいと思いますけれども、こういう方法くらいの強さは、私はある程度出せるんじゃなかろうか。一つの柱として、今回この条文をいろいろ研究した結果書いたので、その上になりますと、今度は日本の憲法論というものを考えなきゃいけないわけです。ぎりぎりじゃないかと私は考えておるのです。
#201
○坂本昭君 ただいま西ドイツの例、私、西ドイツに行ってつぶさに見ていませんから、そんなこと言ってごまかされたってしょうがないのですけれども、イギリスの場合を言えば、イギリスの職種の場合でも徹底的にやっています。たとえばエレベーダー勤務員、自動車駐車場の勤務員、これなどは実際に、イギリスの人たちの話によると、ちゃんとやっている。だから、私は、この六条がぎりぎりだとか、これ以上になったら憲法論だとか、憲法論ならもっと大きい問題幾らでもある。こんなところで変なぎりぎりの憲法論など出されてもらっては困るので、私は、優先雇用についてはこれは弱いですよ。罰則というのが一つもないじゃないですか。こんなことでは、私はなかなか実行できない。ごまかしてもらっては困るのです。
#202
○国務大臣(松野頼三君) ただいまのお話のように、雇用の中でパーキングの番人、エレベーター・ボーイとか、そういうふうに、ある意味においては身体障害者向きなものを身体障害者の雇用法に規制している国は、私も実は拝見いたしました。今回そういうものも考えようかと実は思っておるわけであります。もちろん、その問題のあるときにはいろいろまた御審議願いますけれども、今回、石炭離職者というのは、総合的にいって、大体すべての石炭鉱業者が今日これほど世論で騒がれておる、この空気の中で作りますには、もうまずこれを違法する方は、まずない。私はもうあり得ないと実は思っておる。特に炭鉱離職者を極端に排斥する者はおらない。ただしかし、それじゃ訓示論でいかぬじゃないかということで、行政的にそれじゃずっと問題をしぼって、こういうふうに条文を書いたわけであります。雇用が逆の場合なら、いろいろ問題があります。今日、だんだん縮小しつつある不況産業の中で離職者を出し、離職者以外の者を雇うというのは、よほどのものでなければ現実的にはあり得ない。そういった訓示論的な規定じゃないかというので、こういうものを行政的にもっと穴を埋めてきたものですから、よほどのことでなければ違法行為というものはあり得ない。しかし、それじゃいけないから、ここにはっきり第六条に規制をしようというので規制が今回出たので、私は、今日この問題については十分やれるのだ、またこれが破られることは万々ないと思いますけれども、それだけじゃいかぬから、条文を書こうというので、条文を書き足したのがこの六条で、これに基づいて計画を立てようと思います。
#203
○坂本昭君 関連ですから、この辺でやめておきましょう。
#204
○阿具根登君 次に進行しますが、第三章の援護会に入りますが、第九条の「援護会は、主たる事務所を東京に置く。」として、これはわかりますが、従たる事務所をどこに考えておられるか、その構成はどういうようにお考えになったか、お知らせ願います。
#205
○政府委員(百田正弘君) 東京に本部を置きます。九州に支部。そしてその支所といたしましては、福岡県では飯塚、田川、直方、佐賀県では唐津、長崎県で佐世保、山口県で宇部、福島県で平、北海道で札幌。そして駐在員を枢要の地に置くことにしております。大牟田、江迎、武雄、小野田、高萩、釧路、滝川。総人員が役職員を含みまして九十八人、その他に常勤の協力員を二百名置く、こういうことになっております。
#206
○吉武恵市君 関連してお聞きしたいのですが、今のお話だというと、本部が東京で支部は九州に一つだけですが、何か支部は九州にあって、あとは支所として列挙されたようですが、どうなのか、もう一度はっきり言って下さい。
#207
○政府委員(百田正弘君) 九州は特に業務量が多いものですから、九州に特に支部を置いて、その下に支所を貫いた。それから、あとは本部が直接支部のかわりをやってもいいじゃないかというので、特別に支部は九州以外には置いておりません。
#208
○吉武恵市君 そうしますと、九州の中の直方だとか飯塚だとかいうものも、本部が直轄でおやりになりますか。
#209
○政府委員(百田正弘君) 大体九州支部というものの管轄といいますか、その中に、九州にありまする五つの支所がその傘下になっております。あとは本部の直轄になる、こういうようなことを考えております。
#210
○吉武恵市君 もし、直轄でおやりになるなら、なぜそれを支部としておやりにならないか。規模の大きい小さいは、それは炭田によって違うであろうけれども、支所というものと、それから今の支部というものと区別して置かなければならぬ理由は、どこにあるか。
#211
○政府委員(百田正弘君) その点は、全部大体支所というもので各地で、やっておりますけれども、特に九州地方は数が多いものでございますから、これを中間的に統轄するといいますか、ある程度の事務を委任して、本部の事務を委任してやらせるために、九州に支部を置いたということであります。ですから、おっしゃる通りに、本部の下に直接全部支所あるいは支部でもけっこうでございますけれども、本部の出店を一つ九州に置いて、九州の五つの支所と三つの駐在員事務所まで中間的に統轄しようということであります。
#212
○吉武恵市君 どうも今の説明では私納得できないのですがね。石炭整備事業団につきましても、本部が東京にあって、各炭田地区にそれぞれ支部というものがあるのですから、特にこの組織についてだけ、そういう構想を変えられる必要はないのじゃないか。どうせこれは、整備事業団とお互いに手を握ってやらなければできない仕事だと私は思うのです。安定所とも関係があるが、同時に、整備事業団とも関連を持って、そうして整理した人間を世話するという態度でないというと、円滑な運用はできないと私は思うのですよ。で、九州は確かにそれは大きい炭田地区ですから、それは支所としての規模も大きいことは当然です。そうして各炭田地区に分かれておりますから、それに支部を置いて統轄させるのもけっこうと思います。今の宇部炭田、あるいは常磐炭田、北海道炭田は本部直轄はけっこうですけれども、やはりそれは支部としてそこに責任者を置いて、そうしてやらせる以外に方法はない。特にそれを支所として支部の中にある支所と混同するような名称を用いておやりになるということは、私はいいことじゃないと思うのですがね。どうしてもそうせねばならぬという理由が私は了解できない。これは大臣、どうですか。
#213
○国務大臣(松野頼三君) これは北九州及び山口というのが一つの大きな問題点でありますので、支部を一つ置くことはいいじゃないかということで支部とし、そのほかに各地方ごとに今度は支所、各府県に支所というものを置いたということで、整備事業団と同じにすればいい、それも一種かもしれませんが、整備事業団は買い上げるのだ、調査とか目的も目標も違いますので、そこは人間和平のことでありますから、一番今日離職者の問題点というので、北九州及び山口を中心に当然支部というものを一つ置くことが妥当じゃないかと、こう考えて、本部を東京に置いて支部を福岡に置く、あとは支所です。言葉は本部、支部、支所、こういう形で私の方は置いてある。仕事は、東京のものよりも、実際いうと、福岡の方が現実的に仕事の量は多いかもしれない。しかし、予算関係とか、あるいは総合的に東京に本部を置くことが妥当だというわけで……。あるいは現実的には福岡の方が仕事が私は大部分だ、こういう意味で福岡に本部を置くには、また北海道もありますから、東京を本部にして、まず北九州、山口、相当たくさんの県がありますから、ここに一つ置こうじゃないかという構想から出たわけでございます。そうでなきゃいけないというわけじゃありません。しかし、一応そういうことも考えてこの構想を練ったわけでございます。
#214
○吉武恵市君 その点は、従来の炭鉱関係の事情を私は御了承になっていないからだと思います。やはり、その炭田地区に関連した一つのあれがあるのです。そして整備事業団は買い上げだけだとおっしゃるけれども、買い上げたあとの始末をしなければならない責任がありますよ、事業団にも。ただ、人の世話は、それは安定所が専門ですから、その方でやられてもいいのだけれども、やはりうらはらになって密接な連絡をとられなければ、買い上げる方はおれのところだ、あとは知らないぞということじゃ、円滑にいかない。でありまするつから、私は、これをわざわざそうして区別して、惑わしいような方法をとられる必要はちっともないじゃないですか。陣容の規模というものは、それは相手方の、対象の数によって私はうんと違うと思うのですけれども……。ですから、機構としては整備事業団とタイ・アップできるような方法にして、そして両方が責任もって世話をするということは、私は実際の実情に合うと思うのです。それでないと、九州に支所を置かれて、そしてまあ支所、支部と……。私は名前にはこだわりませんけれども、何だか惑わしいようなことにして、本部が直轄する。本部から直轄されるのはけっこうだと思います。ぜひそうしてほしいと思うのですけれども、それだったら、それぞれの炭田地区に、規模の大小はそれは対象によって異なってけっこう、またそうあるべきである。ただ、やたらに多くの陣容を置いて、そうして人件費を食ら必要は私はないと思う。やはり、まじめに世話をするという態度は、同じに責任をもっていかれればいいと思う。もう一度御考慮を願いたいと思います。
#215
○政府委員(百田正弘君) その点は十分私どもも検討いたします。
#216
○阿具根登君 吉武さんからただいま言われたことは私も同感でございますから、十分考慮願いたいと思います。
 そこで、東京の本部は何名か、九州の支部は何名か、支所は何名考えておられるか、出張所は何名考えておられるか、九十八名の按分を。
#217
○政府委員(百田正弘君) 現在のところは、役員として四名、これは専任で四名、無給の理事及び監事各一人でございます。これは理事長一名、理事二名、非常勤監事一人でございます。今申し上げました理事のうちの一名は福岡支部長を兼任させます。職員は九十四名でございます。東京に二十二名、九州に十九名、あとの支所は大小がございますが、飯塚六人、田川、直方は各五人、佐世保が七人、肝津が六人、宇部九人、平八人、札幌七人、このうちから駐在員が、大牟田に九州支部から三人、江迎に二人、武雄に一人、小野田に二人、高萩に一人、釧路、滝川にそれぞれ一人、ほかに協力員を置く。
#218
○阿具根登君 そういたしますと、先ほどの職業訓練所も、大牟田は拡張もならない、新設もならない。現在登録労働者だけでも五千人、そのうちの大部分は炭鉱労働者である。今また一番問題になっておるのは、二千二百人の失業者だ。そうすると、七千人以上の失業者が、炭鉱離職者があそこにおる。これが出張所の三人でこれの世話ができますか。
#219
○政府委員(百田正弘君) これは、これでどうしてもやらなければならないということじゃございませんので、業務の遂行状況を見て、この点は、あるいは人数がこれで不十分だったら増員ということも考えていかにゃいけませんし、また支所の増設ということであればその点も考えていきたい、こういうふうに考えております。相当この点は融通性を持って現在は考えております。
#220
○阿具根登君 非常に、労働運動も会社側の圧迫も非常に強いところで、一番問題になっておるところですから、行かれる方は御苦労だと思うのですけれども、その大牟田を出張所にというようなお考えがあるなら、私は大牟田をお知りにならない、御存じにならない。松野労働大臣は幸いお近くですから、私が御案内いたしますから、一ぺん一つおいで願えれば、どういうところであるかわかると思う。こういうところを出張所扱いにしたり、あるいは訓練所も置かない、こういうまま子扱いをされるなら、私らもそういう態度で一つ進まねばならないと思うのです。あまりにもこれはまま子扱いにされておる、こういうことになってくる。失業者の数も決してよそに劣らない。そうして近隣に中小産業というのが一番少ない。これは三井の大企業ばかりです。どこの大企業へ行っても、あなた方が頭を下げて頼み込んでいただいても、この七千人からの失業者はどこも雇ってくれない。ただ、百田局長と松野労働大臣、この二人は、これは一つ大牟田周辺にあっせんしていただくならば幸いだけれども、そこには中小企業も非常に少ないのです。八幡、小倉、その方面、これは相当あります。一番これは問題の多いところですから、もう少し考えていただきたいと思います。これはあとで御相談を申し上げます。
 その次に役員人事に入りますが、「理事長一人、理事三人以内一、まあこれはけっこうだと思いますが、もうそこまできめている以上土、理事長の選任もおそらく腹案がおありと思います。理事長はだれであるか、あとの理事三人は理事長があなたに相談してきめるんだけれども、一体どういう構想を持っておられるか。
#221
○国務大臣(松野頼三君) 大牟田のことは、もう御案内いただかなくても、百も承知いたしております。なお、この今の問題は、当面現在おる者を基準にして九十八名を割りふればという、一応の案でございます。ただいま吉武委員からの御発言がありましたが、機構につきましては労働大臣及び通産大臣の認可を受けてきめますので、本日の御意見を十分拝聴して、支所であろうが支部であろうが、そういうことは今後の問題として、一応大蔵省と予算折衝のときの腹案として出したわけであります。人数とか名前というものは、今後考慮する余地が十分ございます。また、初めてのことでございますから、なるべく実情に沿うように、いかようにも、私どもはそういう機構にこだわる気持はございません。
 従って、会長につきましても、やはりこれは援護会の本質から見て、なるべく離職者があの人が会長ならおれの方も進んで引き取ろうというだけの信用のある方を、まずほしい。従って、役人という考え方は持っておりません。役人がやるなら、職安を拡充すればいいじゃないか、こういう考え方がありますが、なるべく日本のすべての雇う方の立場で、あの人ならよかろうというような信用のある民間人を登用したいというので、ただいま人選中で、二、三の方は候補者を持っておりますが、まだほんとうにこの法案が通りませんので交渉しておりませんが、私の腹案はそういう意味で人選を二、三、個人的に考えております。今日まだ交渉はしておりませんけれども、名前は発表できません。しかし、そういう意味で、役人とかそういう感じのないなるべく穏便な方で、また労務者もこの人ならと信ずる、今度は逆に雇う方の産業の方もあの人ならというような方でないと、これは色目で見られるようなことはよくない。また、あの人が援護会長ならおれをえこひいきをするだろう、こういう離職者に不安を与えてはいけませんし、両方の面を考えて、なるべく民間人ということだけはきめております。従って、九十八名のうちに、なるべく炭鉱について現実に労務者の方の実情を非常によく知っている方を過半数入れたい。九十八名の過半数の方はいわゆる炭鉱の経験のある方、労務者と接触のある方という意味で、民間の方を九十人名入れたいと思っておるわけであります。
 しかし、これは行政の一部でありますから、これは法律ができますと、これは行政機関になる。もちろん、公務員の身分を持つものでありまするから、各省の連絡もやらなければいけない。大蔵省とか、もちろん、労働省、通産省と連絡の役人もある程度入れさせていただきまして、しかし大部分の役人は私は民間の現実の方を上から下まで入れたい、こら考えているので、特に役人という考えを持っておりません。その辺で本日の私の構想の一部を御了解願いたいと、こう考えております。
#222
○阿具根登君 松野労働大臣と初めて意見が一致したようですが、これが単なる役人のらば捨て山にならぬように、ただいまの労働大臣の構想で進んでいただきたい。なるべく民同人を採用していただきたい。そうして特に炭鉱のことを知っておる人、またその末端に至っては、炭鉱労働者で十分できる仕事がたくさんあると思いますので、炭鉱労働者をまずこれに一つ雇用していただきたい。
 それから、協力員が地方に二百名。これは全員で二百名ですか、一地方、九州なら九州で二百名であるのか、これの待遇や処遇はどういうふうにお考えになっておるか。
#223
○政府委員(百田正弘君) この二百人は、全国で二百人でございます。従いまして、これは常勤というよりも非常勤でございますが、いろいろ援護会だけで仕事をやっていくといっても、限りある人数でございます。そう十分なあれはできないことになろうかと思います。従いまして、できるだけ求職者との連絡もつき得るような、あるいはそうした人の相談に乗り得るような人々を、その地方々々においてそれぞれ適任者を選んでお願いしていくというやり方でございます。従って、それに対するお礼程度のものを差し上げるということになろうかと思います。援議会としましても、これも今大臣からお話のように、できるだけ親身になって、炭鉱労働者の離職者に理解ある人たちになってもらうようにお願いするわけでありますが、これだけでは必ずしも十分でないので、そういう制度を考えているわけであります。
#224
○阿具根登君 特に、地方の二百名は非常勤でもございますし、それこそ炭鉱の問題に詳しくなからねばできないと思いますので、ぜひ御考慮をお願い申し上げておきます。
#225
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#226
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
#227
○藤田藤太郎君 今の阿具根委員の理事会の問題がありましたね、その理事会の人事の問題なんかでも、今大臣はいろいろお答えがあったのですが、協力委員というような格好で、これはやはり具体的な相談は三者構成の協力委員で相談をしてやっていくという考えはどうなんですか。評議委員会とか、援護会の評議委員会とか何とか、そういう名前をつけて、参与会とか……。
#228
○政府委員(百田正弘君) これは衆議院でもその話が出まして、援護会に労使、関係方面の代表者からなる運営協議会を設けるような御意見がございました。これは援護会の中にそういうものを作っていくように、よく研究してやっていきたいと考えております。
#229
○藤田藤太郎君 これは三者構成でやるわけですね。
#230
○政府委員(百田正弘君) そういうことでございます。
#231
○阿具根登君 二十三条の一項の「炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域からその他の地域に移住する炭鉱離職者に対して移住資金を支給する」ということですが、移住資金はどのくらい考えておるのか。それから「居住する地域からその他の地域に移住する」一というのは、一体どういうところをきしているのか。県であるのか、市であるのか、町であるのか、村であるのか、炭鉱の地域をさすのであるのか、これははっきりさせていただきたいと思います。
#232
○政府委員(百田正弘君) この援護会の予算の基礎になっておりまする移住資金額は、一人平均七万五千円の四千人分、三億円、そういうことになっております。そこで、この具体的な支給の方法につきましては、正式にいえば業務方法書できめるということになると思いますけれども、一応、しばしば通産大臣その他からもお話があったと思いますが、標準世帯で、かりに大阪辺まで九州から出かけて移住されるという場合には、十万円程度にはなるということを一つの基準といたしまして、単身者の場合と家族持ちの場合で一つの基準を作っていきたいということで、現在われわれの方でもいろいろと試案を作りつつあるところでございます。まだ最終的には決定いたしておりませんが、目安をその辺においているということでございます。
#233
○藤田藤太郎君 何人ですか。
#234
○政府委員(百田正弘君) 一人平均七万五千円の四千人分。
#235
○阿具根登君 これはむずかしい御質問かもしれませんが、それはどういう推定で出されたのか。四千人移動するということは、どういう根拠によってこの数字が出てきたのか。
#236
○政府委員(百田正弘君) 一応の四千人という数字を出しました根拠は、今日までの発生いたしました離職者のうちの要対策者の数を基礎といたしまして、それに先般労働省の方で実施いたしました実態調査によりましての住居移住の希望率、どの程度移住してもよろしいといったようなのが出ておりますので、その率をかけかまして、四千人という一応推定をしたわけでございます。
#237
○阿具根登君 そうなると、その地域はどうです、九州から大阪というのはわかりましたが。
#238
○政府委員(百田正弘君) この地域は、「炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域」ということになっておりますので、これは地域といたしましては、炭鉱の所在地または炭鉱離職者が多数居住する地域ということになる。また、それ以外の地域に行くわけでございますので、その場合の地域の考え方といたしまして、現在われわれの方でそこの労働市場の状況というものを至急に調査いたしておるわけでございますが、どういう範囲で指定したら一番いいか、あるいは今のように県単位とした方がいいか、郡単位にした方がいいか、あるいは町村単位がいいか、または町村の一部を単位にした方がいいかというような点においては、検討中でございますが、問題は、こちらの方をゆるくいたしますと、「その他の地域」ということで、移住しても同じ地域だからということで、移住資金がもらえないという結果にもなりますので、その点も考慮しながら、現在われわれの考えでは、原則として市町村の区域ということで指定していったらどうかと、こういうふうに考えております。
#239
○阿具根登君 市町村単位にするということになりますと、炭鉱はあっても社宅はその市町村にない、こういう所もあるわけですね。それから社宅はあっても本人は隣の村から通勤しておる、こういう人も相当あるわけなんです。そういうのは、一体どういうふうになりますか。
#240
○政府委員(百田正弘君) 「炭鉱労働者及び炭鉱離職者」と書いておりますのは、かりに、福岡県のある地区のように、炭鉱はすでに全部閉山してしまった。しかしながら、炭住だけ残ってそこに多数の離職者がおられる。炭鉱の方はゼロでございますが、炭鉱離職者の方は多数おられるわけでございます。逆に、炭鉱離職者は多数居住していないけれども、炭鉱があり、炭鉱労働者が多数住んでいるというところは、今後かりに離職者がそこから発生いたしました場合に適用を受けられなくなるおそれもありますので、それは炭鉱離職者の方がゼロだけれども炭鉱労働者の方が多数居住する地域ということで、そこもかかってくるということを考えております。それから、衆議院でも問題になりましたが、通勤している区域といったような点は、その実情を考えながら、通常通勤する地域を入れていくべきじゃないか。その辺はもう少し、しゃくし定太なきめ方じゃなくてきめていく必要がありやせぬか、こういうふうに考えております。
#241
○阿具根登君 炭鉱の実態は、御承知のように、炭鉱に働いている人はほとんど農家の二、三男の方が炭鉱に来られたのが多い。だから、炭鉱の近隣の農家から通っておられる方も非常に多いわけなんです。そうすると、そういう方々はおそらく現在おられるその農家から出ていかれると、移住する場合はそうなると思うのですね。だから、そういうのも非常に多いと思いますので、その点も十分考慮しておいていただきたい、かように思います。
 それから七号……。
#242
○徳永正利君 ちょっと関連して。一人当たりの額は非常に多いのですが、移住資金というのは税金はどうなるのですか。
#243
○政府委員(百田正弘君) この点は大蔵省と話し合いをしまして、税金がかからない、かけないということになっております。それは一つは、この移住資金の性格は、何といいますか、補償的な性格と申しますか、そういう意味が一つ、それから一定の額以下は、一時金は十五万円でございましたか、これは全然税金がかからない。税金につきましては話はついております。
#244
○阿具根登君 七号と言いましたが、ちょっと、前にだいぶあるようですから、二号からいきますと、「職業訓練を受ける炭鉱離職者に対して手当を支給すること。」、たしか三百円だったかと思うのですが、そうですか。
#245
○政府委員(百田正弘君) 二百三十円です。夜間の場合は百三十円。
#246
○阿具根登君 これは職業訓練を受ける場合に、失業保険をもらっておらない者もそうですか。
#247
○政府委員(百田正弘君) さようでございます。
#248
○阿具根登君 失業保険をもらっておらない人が、夜間で百三十円、昼間で二百三十円というなら、これは生活保護よりも少ないわけです。実際は、そういうふうにしても、おそらく訓練に来ないと思うのです。その実態は、炭鉱労働者の中で失業する人の大部分は四十才以上と見なければならない。これは三池で問題になっております二千二百十名のうち、二十五才以下というのはたしか五十九名だったと思う。会社が勧告しておるのがですね。そういたしますと、非常に単身の若い方というのは少ないわけです。そうすると、ほとんどが世帯主である、こういうことになるわけです。そういう人たちがこの法によって救済されるというようになってきますと、一番職業の訓練を受けなければならない人たちは、またその人たちだと思うのです。それがわずか二百三十円で、半年なり一年なり――これは何年ですか。半年ですか。まああとでいいですが、それを二百三十円で訓練を受けなさいといっても、事実上はこれはとても不可能ではないか、こう思うのですが、いかがですか。
#249
○政府委員(百田正弘君) 私ども実は二百三十円では、その人方にもよりますけれども、非常に困窮しておられる方については不足ではないかというふうに考えております。従って、今後はできるだけこれを増額するように予算要求等で努めて参りたいと考えておりますが、さしあたり現在のところ、二百三十円で出発いたしておりますが、先ほど生活保護法とのお話もございましたけれども、これについては生活保護費は差し引かないということに、これはなっております。
 それから、この金額は一応、今の生活保護なり失対の賃金というものとのかね合いの上で、こういうことにきまったのでございます。われわれ今後これの増額には努力して参りたいと考えております。
#250
○阿具根登君 衆議院でも一部問題になっておったようでもございますが、そういう方々が他に職を得る間失業保険を延長するとか、これを援用するとか、こういうことは考えられなかったのですか。
#251
○政府委員(百田正弘君) この点については、大臣からも御答弁があったわけでございますが、われわれといたしましても、一般的に炭鉱離職者に限らず、職業訓練を受ける、失業保険の受納期間中に職業訓練を受けている人たちについては、終了までこれを延長するといったような方法を現在検討中でございます。いろいろまだ問題が残っておりますので、結論に至りませんが、そういう方向で一つ考えて、これは全般的に広げていくというような方法を考えていったらどうか、これは現在検討中でございます。
#252
○阿具根登君 非常にこれは問題があると思いますし、非常に苦しいところだと思うのでございますが、せっかくこれだげの訓練を施して、そうして他に職につけてやろう、こういう親切な考え方でございますので、これが非常によく利用できるように、先ほどだれかも言っておりましたが、現在は中学を出た人のこれは訓練所になっている、こういうことなんです。これを炭鉱の離職者に対して特別に訓練をしようというのであるならば、やはり二百三十円や、夜間の百三十円、こういうのではせっかくの構想がこれは実を結ばない。せっかく訓練所を拡充されても、あるいは新しいのを新設されても、実際訓練してそらして就職しなければならない人がこれに寄れない、来れないという結末になると思いますので、この点は十分お考えを願いたいと思います。
 それから、次の三号ですね。
#253
○藤田藤太郎君 ちょっと二点、関連。今の生活保護法は併給、それから今の失業保険も併給ですね。それからもう一つ、ついでに一緒に聞いておきますが、大体何人ぐらい予定をされておるのですか。
#254
○政府委員(百田正弘君) 失業保険は併給というお話でございましたが、失業保険については併給のことは現在考えておりません。と申しますのは、できるだけ失業保険受給期間中に訓練を受けていただくというふうな考え方でございます。現在対象になっておる人たちは、すでに失業保険の受給期間の切れた人たちばかりでございます。失業保険金との併給はできるだけ避けて、いきたい。失業保険ももらえない、あるいは失業保険が切れたという人たちを対象にしていきたい、こういうふうに考えております。
#255
○藤田藤太郎君 対象の数は何人。
#256
○政府委員(百田正弘君) この対象といたしましては、今度の予備金支出並びに補正予算にかかわる九百六十名全員について考えております。開始月がそれぞれ違いますので、延べ人員として一万九千八十四という、こういうことになっております。現在の予備金と補正予算で訓練所に入る、この定員令部について処置をしているということです。
#257
○藤田藤太郎君 先ほども、職安局長は、失業保険を訓練中は延長していくというような方法を考えていると、こら言うたのです。今の話で、失業保険をもらっておる者はこの手当はもらえぬことになると……。
#258
○政府委員(百田正弘君) 先ほどの考え方は、失業保険の受納期間中にできるだけ訓練を受けられるようにいたしたい。しかしながら、六ヵ月、長くても九カ月でございますので、はみ出して参る。途中から入りますと、はみ出して参る。その人方について、失業保険が切れたから訓練を続けられないというようなことでは困るから、その分について失業保険の受給期間を延長したいという考え方でございます。従いまして、この訓練手当につきましては、そういち性格も持っておりますので、従って失業保険とは併給をしない、こういう考え方でございます。
#259
○藤田藤太郎君 ちょっとおかしいじゃないか。それじゃおかしいではないですか。失業保険の切れるまでの間に訓練をしたい、こういうことでしょう。そうして失業保険をもらっている間に訓練をするということでしょう。失業保険をもらってこの手当をもらうということになるのではないですか。
#260
○政府委員(百田正弘君) いえ、私が先ほど失業保険法の改正を検討をしておるというのは、できるだけ失業保険の受給期間中に、何らか、その期間に訓練を受ける者については、その間生活を支えるものが必要である。だから、一番オーソドックスな方法は、失業保険の受給期間を延ばしたら、それがいいのじゃないかということです。現在まだそれが検討中で結論に達しておりませんが、何らかのここで措置をする必要がある。失業保険をもらっていて、しかも九ヵ月の人がすぐ訓練所に入られまして、受給期間中に訓練所を終了されて就職されたというならば、特別に訓練手当の必要はないのではないか。ただ、しかしながら、現在実際今度の対象になっておられる方は失業保険の受給期樹の切れた方がございますし、従って失業保険ももらえない、あるいは失業保険の初めから受給資格もなかったという人方に対しては、こういう訓練手当を支給していく。額は確かにおっしゃる通り問題がございますが、そういうものにかわるべきものとして考えていくべきではないか、これが訓練手当の考え方でございます。
#261
○藤田藤太郎君 そうすると、何ですか、失業保険を受給している期間、六ヵ月とか九ヵ月の間に訓練する人にはどういうめんどうを見るのですか。
#262
○政府委員(百田正弘君) その人に対する特別の措置はいたさないので、できるだけその間に生活が、まだ退職金ももらっておる人であれば退職金も残っておるし、失業保険ももらって、その月の生活の支えができるうちに職業訓練を受けてもらいたいということでございます。それがなくなって、切れたという人たちに対して訓練手当は支給していく。それが、できるだけ広くこうした援護ができるのじゃないかというふうに考えております。
#263
○藤田藤太郎君 そうすると、失業保険をもらっている間に訓練所へ入っても、手当はやらぬということですか。
#264
○政府委員(百田正弘君) その通りでございます。
#265
○阿具根登君 この二項は相当問題が残っているようですから、これは一応保留しておきます。
 次に、三項に入ります。「職業訓練を受ける炭鉱離職者の宿泊施設を設置する」ということでございますが、これはどういう構想の宿泊施設であるのか。その宿泊した場合には、その費用は全額無料であるのか。その二百三十円の中からそれをお取りになるのであるか、一つお知らせ願います。
#266
○政府委員(百田正弘君) これは具体的に申し上げますと、総合訓練所に寄宿舎を設置するということ、具体的には、北九州では小倉、八幡に今度実習所をふやし、そこに宿舎を付設する、こういうことにいたしております。そこで、この費用につきましては、できるだけ安くはやると思いますが、二百三十円のうちから、こういうことでございます。
#267
○阿具根登君 なんぼ安くされても、小倉、八幡だったら、炭鉱労働者いないのですよ。小倉に少しおるだけですよ。そうしたら、炭鉱離職者をこれに入れるというのなら、筑豊から大牟田から全部入れなければならぬわけですよ。それに失業保険の切れておる人が二百二十円の中から食費や宿泊費を取っていたら、一銭も手に残るわけないじゃないですか。しかも、失業保険をもらっている人なんかも、宿泊施設でそれに費用を取ったならば、家族は何で食いますか。これは宿泊施設作ってくれても、泊まる者おりませんよ。それは無料でおやりになるでしょうね。これから金取るとおっしゃるのならば、あなた、食費だけでもそのくらいかかりゃしませんか。
#268
○政府委員(百田正弘君) 食費代、実費いただくことになっております。
#269
○阿具根登君 これ、まあ局長はお考え方そのまま言っておられますが、それであなた、これはここに入っただけで、手当も何も一切取られてしまう。これはちょっと、どうしても考えられぬのですがね。
#270
○政府委員(百田正弘君) 今申し上げましたように、まあ食費は実費でできるだけ安くするということでございますが、これは今年度中に建設して、来年度からやっていくわけでございます。来年度予算におきましてはいろんな費用が軽減されますように、たとえば寝具その他の問題もございますので、そういったものは全部この寄宿舎の方でやっていく、こういうふうに考えております。
#271
○吉武恵市君 関連質問。今の訓練所の寄宿舎に収容して訓練する期間は、種類によるでしょうが、およそどれくらいの期間を予定されておりますか。
#272
○政府委員(百田正弘君) 修得の緊急性のあられる方でございますので、大体六ヵ月を予定しております。
#273
○阿具根登君 ちょっと質問のしようがなくなったのですがね。これはせっかく、あなた、寄宿舎作っていただいて、しかも炭鉱のない所に宿泊所を作ってやる。八幡なんか炭鉱はありゃしません。小倉なんか、とても小さい小倉炭鉱が一つあるだけで、そうすると、この訓練所に入る人は全部これは宿泊せにゃいかぬわけでしょう。そうして、しかも、あなた、食費だけとおっしゃっても、今こちらから自衛隊とおっしゃったですが、自衛隊の食費は幾らになっておりますか。これはわからぬな。食費をお取りになるなら、二百三十円まるまる取られると。私は、これではせっかくお作りになっても、入る者はおらぬと思うのですがね。
#274
○国務大臣(松野頼三君) 今の総合訓練所は、立場は全部食費自弁、授業料だけはもちろんいただいておりません。今回はこういう立場ですから、日当を差し上げるという方がプラスになったわけです。食費は自弁という建前は、一般訓練所と同じという立場をとったわけであります。そのかわり、こちらから日当を支給するという方向にしたわけです。なお、炭鉱離職者の地域から総合訓練所が離れますから、それで寄宿舎を増設するというので、これはもちろん、地域がそこならば、一般の場所ならば宿舎の必要はないので、多少離れた地域の総合訓練ですから、相当、どっちかといいますと、労務者の中でも技能者だろうと思う。総合訓練所というのは相当これは高度なものだと思う。今日その訓練の立場をそのまま準用して、しかし、これでは炭鉱離職者にお気の毒ですから、援護会から経費を出そらじゃないか、こういう考えでいったわけで、もちろん差し引きされるとゼロじゃないかと言われれば、まことに手薄過ぎる感じはいたしますが、一応総合訓練所の問題の立場を、これはまあ総合訓練所は今の事業団でやりますもので、それをもってやらせるその費用で、それにこちらから付属施設として宿舎と日当を差し上げる、こういう並列の考えを持ったのですが、総合的にというと、手薄過ぎて何も残らぬと言われるけれども、その方面からいうとごもっともかと思いますが、行政の建前からいくと、今日の失業保険のあの積立金の中の総合訓練所を増設しろ、そしてその足らない分を援護会でやるというので、宿舎と日当というものをつけ加えたから、結論的にこうなるわけであります。そういう考えで、これを増設という考えで、二つの制度を併用したという考えでこの制度を作ったわけであります。
#275
○藤田藤太郎君 ちょっと関連。二号では、「職業訓練を受ける炭鉱離職者に対して手当を支給する」ということは、職業訓練をして新たに職の道を開いていこうということが一つです。それから、その解釈として私も納得がいかぬのだけれども、その失業手当の切れた人をやるために二百三十円支給をする、だからほそぼそ、これは額は私はいいとはいいませんけれども、何らか生活を支えながら職業訓練をして、そうしてその次の道を開いていこうという思想でしょう、この思想は。その思想と、今出てきている、今度は具体的に職業訓練を受けるところなんです。受けるとなったら、その離職者の多いところに職業訓練所ができてあたりまえだけれども、その受けるところが八幡、小倉というようなことになってしまったら、せっかく手当をもらっていても本人がみんな使ってしまって、家族の生活を支えることができなくなってしまうのです。そらでしょう。だから、二号の精神でいくなら、二号の精神に沿うような訓練所というものを作らなければ意味ないじゃないですか。
#276
○国務大臣(松野頼三君) 一般職業訓練所は離職者の多いところへ作るわけです。今のは総合訓練所の話です。総合訓練所というものは、八幡、小倉というのは総合訓練所で、もう少し高度の高いものというのが今の八幡、小倉で、一般訓練所は田川、直方にもこの間作りました、予備金で。一般訓練所の話と総合訓練所の話と、今二つの訓練所の話が出ております。従って、一般訓練所は離職者の多いところに作る。先ほどの佐賀にいたしましても、直方にいたしましても、田川にいたしましても、一般訓練所は離職者の多いところに作る。これにはやはり同じように日当を支給する。総合訓練所は多少離れるから宿舎をここで用意しようという、二つの実は制度の訓練所の話を今しておるわけです。
#277
○藤田藤太郎君 そうすると、一般訓練所でしょう、ここで言われている二号の方は。一般訓練所と総合訓練所との訓練の内容はどれだけ違いますか。
#278
○政府委員(百田正弘君) この離職者対策としてやります場合には同様でございます。ただ、一般訓練所だけでいきますと、先ほどのお話のように、その府県の負担という問題がからみ合って参りますので、できるだけその近くにある総合訓練所を失業保険の保険施設として増設拡充していった方が、収容力も多くなりまして、使えるところはそういうふうにしてやっていった方が地方の負担その他を考えてもいいじゃないか、よりましじゃないかということで、特に今度の場合には総合訓練所を活用する、こういうことにいたしたわけであります。内容につきましては、同様な過程でやって参ります。六ヵ月終了ということでやって参りますので、同様でございます。
#279
○藤田藤太郎君 そうすると、結局、炭鉱離職者は総合訓練所には、今のような第二号の考え方からいえば、はいれないということですね、さっき阿具根委員が言ったように。そういうことになりますね。
#280
○政府委員(百田正弘君) 必ずしもそう割り切っておしまいにならなくても、私はまあそれで可能な人があるんじゃないかと思いますが、おっしゃる通り、二百三十円で宿泊、そこで寄宿舎に入っておったのではつらいじゃないかという面もあろうかと思いますが、現在におきましても、手当も受けないで、失業保険も受けないで入っておられる方もありますので、これは絶無とは申し上げられない。しかし、われわれとしても、できるだけ将来利用が多くなりますように、この改善ということは考えていかなければならぬ、その実施状況を見て考えていかなければならぬというふうに考えております。
#281
○小柳勇君 本人については、私は寄宿舎に入れば訓練できると思うけれども、その場合に、半年問の間やっぱり家族の生活については相当な赤字が出るが、そういうものについてはほとんど考慮されていないのですね。その点どうなんですか。
#282
○政府委員(百田正弘君) 家族の生活援護の面までは、これが一般の失業保険なり、あるいは生活保護という問題になって参りますので、そのために特に家族の分まで何らか特別な生活の援護をするというところまでは、これでは参っておりません。
#283
○小柳勇君 一般失業対策としては、私はこれでもできると思いますけれども、今この法案の主体とするものは、大体四十才くらいの高年令の生業者を中心として考えなければならぬことであるので、もしこういうことであるならば、生活保護などについても家族については特別な配慮をしなければ、家族の生活を心配して、ほんとうの職業訓練ができないと思いますので、その点については配慮は全然ないのかどうか。
#284
○政府委員(百田正弘君) そのためにできるだけ、第一には地元ということで、九百六十名のあれは、地元の新設、増設を考えていったわけであります。先々のことを考えまして、やはり訓練所、総合訓練所等も増設しておいた方が、将来においては、さらにその他で……。一ぺんできますと、それは将来いつまでも使えるあれでございますので、こうした総合訓練所も活用したいという考えであります。実際の問題としてお話のような事情もございますので、われわれは実施状況についてもいろいろ今後十分その推移を見ながら考えていきたいと思いますが、やはり比較的若い人たち、あるいは単身者もおりますが、単身者等が事実上は総合訓練所に入る、こういうことになりはしないかと思っております。
#285
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#286
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
#287
○阿具根登君 そうしますと、第三号で、宿泊施設には何名収容されるのか、それから宿泊はただなのか。今、食費だけは言われたけれども、宿泊は無料であるのか、八幡と小倉で何名収容されるのか、その点お尋ねします。
#288
○政府委員(百田正弘君) これは全国四ヵ所でございまして、四ヵ所で千人を予定いたしております。そこで、その宿泊料はもちろん無料でございます。なお、この点について補足して申し上げますと、これは大体三十五年度からになるわけです。そこで、この二の手当の問題と関連いたしまして、われわれも現在この予算の要求中でございますが、ただいまお話のあったようなことを十分頭に入れまして、今後の来年度予算の折衝に当たりたいと考えております。
#289
○阿具根登君 そうすると、三十五年度からになるとすれば、一応今度の期間には間に合わない。そうすると、三十五年度の予算で相当ふやしてもらわなければできない、こう思うんですが、そのためには、やはり訓練所に四ヵ所で千人お入れになる。それで、八幡と小倉の訓練所は私もよく存じておりますが、そうすれば、せっかくのそういう宿泊施設をお作りになるならば、来年の予算では食費を取らないように、こういうようにしていただかねば、おそらく一千人という人は集まるまいと思いますし、集まる人は比較的に楽な方じゃないか、こう思うわけです。ほんとうに訓練所にでも入って、早く家族引きまとめて他の職業に転職をしていただきたいという皆さんのお考えは、これでは私は実現できない、こう思うんですが、これに対する考え方を労働大臣にお尋ねいたします。
#290
○国務大臣(松野頼三君) しかし、この職業訓練というものが、雇用者からも、または労務者からも、非常な希望を受けておりまして、今日はほとんど、手当ももちろん出しておりません。失業保険が切れても、何らの措置をしておりません。今回特別に炭鉱離職者という特殊性にかんがみて、援護会というものができて、その援護会からこういう措置をやろうというので、失業保険を直ちにここへ使うというわけには参りませんので、援護会を設置したわけでございまして、今の予定ではたして訓練ができるかできないか、こういう考えですが、私は、相当希望があるし、そう遠隔な地というわけでもありませんから、まあ通勤には不適当だというので、宿舎をここへ増設すれば、今回の措置はそれは大体可能じゃなかろうか、こういうつもりでやっているわけであります。
#291
○阿具根登君 いや、そのお考えと理論的なことはわかるのですけれども、現実問題としてですね、二百三十円もらっておる人が、食費を取るとすれば、おそらくまるまるこれは取られてしまらのじゃないか。そうすれば、せっかく入所したい人が入所できないようになるではございませんかと。それよりも、ほかの一般訓練の方に行く率が多くなって、総合訓練所に来ないようになってくる、こういうふうになると私は思うのです。だから、まあ食費がただということができないならば、やはりその手当はふやしてもらうとか、あるいは特殊な問題でございますから、食費も半年分は一切取らないということでやっていかなければ、せっかくの宿泊施設が使われないららみがあるのじゃないか、こう考えるわけです。
#292
○国務大臣(松野頼三君) 一般訓練所に御通勤の方は、もちろん日当は差し上げますけれども、食費はやはり自弁であります。総合訓練所も自弁であります。この辺は同じであります。ただ、遠い、遠隔地ということで、問題は宿泊設備だけが、どちらがプラスでどちらがマイナスだという相違点があるというので、宿舎を準備すれば、一般に自宅から通われても食費は自弁でありますので、その辺は同じじゃないかということで、一般訓練所に入る方も、特別訓練所に入る方も、同様の条件を備えさせようということで、宿泊施設というものは遠隔になる可能性が多いから、場所、地域的に宿泊施設だけを創設したいという意味で、私は両方とも均衡を保ったつもりでおります。もちろん、金額がこれで十分だとは私ども思っておりません。しかし、まあ失業保険の方が六割、今回はほとんど失業保険の切れた方ばかりですから、特別の対策としても二百三十円というものを一応予算に充てたわけであります。私の方としては、新しい制度として、出発点としては最大限に努力した、受け取る方から見れば僅少過ぎる、この相違はありましょうが、六ヵ月すれば、今度は十分な雇用というものが待っているわけですから、大体訓練所卒業者の方は過去において百パーセント就職すると申し上げてもよかろうと思います。卒業後はりっぱに雇用されるという建前ですから、六ヵ月の間御苦労もありましょうが、私はこれでやっていただきたい、また十分希望者の方が多いのじゃなかろうか、こういう感じでございますので、もしも非常に希望が少なくて制度が悪かったということであれば、援護会のことですから、援護会内においてはこれは善処しなければならない。一応これで私たちはやれるのじゃなかろうかという感じで、この法案を提案したわけであります。
#293
○阿具根登君 これ以上この問題で御質問申し上げるのはやめますが、二百三十円という金額はおそらく、大臣がお考えになっても、非常に微々たるものだと思いますが、実際、失業保険も切れて就職もしておらない人にとっては、非常な大金なんです。そういたしますと、やはり、その金でいかに乏しくとも家族一緒に食いたいというのが、これは人情なのです。ほかに収入は何もないのです。そういたしますと、本人は家におっても飯を食らではないかとおっしゃるけれども、非常に乏しい中を分けて食っていくのと、自分だけが宿泊施設に泊まれば、おそらくごちそうはたくさんないと思いますが、自分の家で生活するよりも金はうんとかかると私は思います。個人的に考える場合、一人のものを考える場合……。そうしたら、その人たちは非常に行きづらくなるということを考えますので、しっこくこれを質問しておるのでございますが、これと関連いたしまして、八幡がこれだけ宿泊施設もでき、あるいは訓練所も拡張される。小倉、八幡がそうなって参りますと、現在の小倉、八幡は一つの総合訓練所になっておるようです。これは地域的にも近くではございますが、もうほとんどこれは別個な能力を発揮しておると思うのですが、これを分離する意思はございませんか。八幡には八幡の総合訓練所、小倉は小倉の総合訓練所、こういうような考え方はございませんか。
#294
○政府委員(百田正弘君) この点につきましては、直接現在労働福祉事業団がいたしております。事実上は二つの独立した訓練所というような運営を行なっております。いずれはそういう方向で、あるいは近き将来に実現するかもしれませんが、事業団の方ではそういうふうに考えております。われわれも別にそれに対しては異議を持っておりません。
#295
○阿具根登君 これは私も現地に行って見てきましたが、もうはっきり独立して両方がやっておりますから、どちらに行って見ましても、非常に評判もいいし、まじめに勉強もしているし、大臣が言われたように、百パーセント近く、ほとんど就職もしておるわけです。それが、所長が一人で両方を兼務されておりますので、かえって所内の空気というものが私は心配されるわけなんです。だから、一つ早急に、何も金のかかることではございませんから、これは独立をさして、そうしてやっていただきたい、かように思います。
 それから、第四号に入りますが、「炭鉱離職者を雇い入れる事業主に対して労務者用の宿舎を貸与すること。」ということになっておりますが、これはどういう宿舎を、どういう形式によって貸与されようとしておるのですか。
#296
○政府委員(百田正弘君) これは当初考えておりますのは、炭鉱離職者を就職あっせんする場合に、先般来お話がございましたように、やはり建設関係の事業が多いのではなかろうかということで、そらしたところについての移動式宿舎ということで、飯場がないためにそこに行けない、あるいは非常にひどいところにおるというような事実がかつてあったこともございますので、そういう意味におきまして、いわゆるパイプ住宅でございますが、これを援護会が事業主に貸与することにいたしたいと考えておりまして、予算的には、一棟三十坪のものを百棟ということで考えておるわけでございます。
 ところで、最近の状況を見ますと、むしろ建設以外の一般事業所にも相当入っていっておられます。また、この間申し上げましたように、現在八百三十九名の就職者のうちで、土建関係は四割ですが、あとの六割は一般の事業者ということです。きょう、全炭の加藤さんからもお話がございましたが、一部の東京地区の状況を見ますと、土地は持っている、土地はあるから、何とかしてパイプ住宅でも貸してもらいたいというような要望も、二、三の事業所からあるわけでございますので、そういう点にもこれは活用すべきではないかというふうに現在考えております。
#297
○阿具根登君 それでは、これは宿舎ですか。住宅ですか。宿舎ということになれば、これは家族ではなくて、本人だけでしょう。本人だけの宿舎を貸す、こういうことになると思うのですが、いずれですか。
#298
○政府委員(百田正弘君) この予算の基礎といたしましては、いわゆる単身ということで、一棟二十五人収容というようなことを考えております。その後のいろいろな状況を見ますと、これはパイプ住宅でございますから、簡単に、と申しますとおかしいのですが、世帯住宅になり得る可能性があります。そういう点まで拡張して考えていっていいのではないかということで、運営の面ではそういうふうにしてやっていきたいというように考えております。
#299
○阿具根登君 宿舎ということになれば、現在土木関係の方々が、ビルディング一つ建てる場合でも、コンクリートに戸板をぶっつけて、そうしてここで生活されておるわけです。これはみな単身なんです。ところが、この法の考えているのは、単身ではなくて、家族ともどもに移住してもらいたい、炭鉱離職者を雇い入れる事業主は、少なくとも別居生活をなるべくしないように雇っていただきたい、これが私は本心でなければならぬと思うわけです。そういたしますと、宿舎ということでなくて、これはやはり家族も住んでいける家屋にならなければならぬ、こう思うわけですがね。あくまでも、これでいけば単身の宿舎である。そうすれば、おそらく土建業でも、雇って下さる方々は、単身の宿舎というものはその場ででも作っておられると私は思うのです。現在も、単身者は宿舎がないから雇わないということではないと思うのです。だから、これは家族もともどもに出活のできる家でなければならない、かように思うのですがね。
#300
○政府委員(百田正弘君) この四号に考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、原則としては移動式の飯場といったようなものの考え方でございます。しかしながらそれに世帯としてはいれられるということも、拡張して考えていいということでございます。今お話しのように、私は住宅の問題が最も大きな問題になって参るだろうと思います。しかしながら、これを援護会が一々建ててやる、あるいは作ってやるというところまでは、手があるいは届かぬかもしれませんが、この問題については、今後われわれといたしましても、いろいろな方法で現在考えておるわけでございまして、一つは現在建設省と話し合い中でございますが、産業労務者住宅の特別ワクをもらいたいというようなことで、現在交渉中でございます。
 さらにまた、いろいろお話もございましたが、貸同あるいは借家といったようなものの権利金の問題、こらいったものを移住資金の中にどう含ましめていくかということもある。さらにまた、そうしたもののあっせん、あるいはそれをやる場合の一時的な金を貸すといったような方法はとれぬものかということを、現在われわれの方でも検討中でございます。現在の広域職業紹介の人につきましては、今言ったようなパイプ住宅を貸してもらいたいというような要望もありますし、同時に、あるいはあるととろではアパートを一つ買ってくれとか、これは家族も住めるといった事例もございます。現在まだ新しく再雇用されて二ヵ月程度でございますので、今後の大きな問題になるかと思いますが、住宅の問題につきましては、別の方法でわれわれとしても援助する方法を今後一そう検討いたしたい。方向としては、今申し上げたようなことを考えておる次第であります。
#301
○阿具根登君 事業団が買い上げた炭鉱の住宅がいつも問題になっておりますが、この住宅はどのような構想を持っておられますか。
#302
○政府委員(樋詰誠明君) 事業団の買いました炭住につきましては、これはできるだけ早く処分いたしまして、事業団も、これは、たとえば借地に建っているところの宿舎もございますので、そういうものはできるだけ上を早くきれいにして、建物を撤去して、もとの地主に土地を返してやる。いつまでも地代を払わなければならぬといったこともございますので、原則としてこれは売却するか、あるいは出ていっていただいて、建物を撤去するということで処分するということでございます。
#303
○阿具根登君 私どもが散見すると、買い上げ炭鉱の住宅はもう非常に荒廃してしまって、そして人も住めないし畳もない、建具も全部ない、こういうのが多いし、事業団に買い上げを頼むような炭鉱は、ほとんど住めるような家ではないことは事実なんです。しかし、そういう住宅が一応骨組みとしてでも、あるとすれば、こういうものを適用するというようなことはできませんか。
#304
○政府委員(樋詰誠明君) そういう今の御質問の意味、ちょっと恐縮でございますが、そういうものには住宅をただでやったらどらかとおっしゃる意味でございましたら、先ほど申し上げましたように、一応事業団としては、これは金を出して買った住宅でございますので、家を出ていっていただくという方々には、今までのところ一万五千円ばかりの立ちのき料的な移動資金というものを差し上げて、とにかくこれだけ差し上げるから、一応事業団としてもあとの財産処理上困るので、一つ六ヵ月の間に立ちのいていただきたいということを申し上げておりますが、しかし、実際問題として、そのくらいもらってもほかに行くところがないということで住んでおられる方が相当おられるわけでございますが、それを無理やりに追い立てるということは、これは人道問題でもございますので、いろいろ法律的には問題があるかもわかりませんが、実際問題としては、おられる方は仕方がないということで、現在住んでいただいておるという格好でございます。じゃ、それを合法化してこのままただでくれてやるということになりますと、これは今後この法律ができますと、これはむしろこれらの炭産地において、あまり思わしい仕事もない、そのためにむしろ新しい地域を求めて、新しい技能を身につけてほかの地域に移っていただくというのが一番再建のためにいいんじゃないかというのでこういう法律を考えておるようなことを考えますと、ただ、いつまでも今までおった炭住にしがみついておる、というと語弊があるかもしれませんが、いつまでもしがみついておるというのは、これは適当な方法じゃないのであります。また、無理やりに出て行って下さいということは申し上げられないけれども、出て行っていただくなら、これくらいのめんどうを見ましょうということを、この法律が出る前に事業団としては、本来そういう金の余裕がないはずでございますが、いろいろの経費を節約して一万五千円は差し上げようということでやってきたわけでございます。今後援護を目的とする新しい法律ができましたり、援救会が御審議いただいて発足することになりますれば、そういうことをこの援護会が引き続いてすることによって、できるだけ今後は円滑にやっていきたいと思っております。
#305
○阿具根登君 私はそのことをお尋ねしておったのです。私はこの法律ができるまでは、ただでやりなさいと、どうせ立ちぐされになるのだから、そんなことをいわずにやりなさいと言っておったのですが、この宿舎ということを考える場合に、同じような性格の援護会ができたならば、たとえば移住資金の一万五千円なら一万五千円差し上げて、あるいは今度は生業につかせる場合に資金のあっせんをするとか、あるいは国に帰られる場合に平均七万五千円の金を差し上げられるというようなことになりますれば、これは十万円からの金が入ってくるので、あるいは出て行かれる方が多くなるんじゃないかと、そらした場合にその家を――土地は別ですからね、その家をそのままこちらの方に渡すようにすれば、これが即宿舎なんかの材料になりやしないか、家になりはしないか、こういうことを言っておるわけなんです。
#306
○政府委員(樋詰誠明君) その点今後ざらに検討さしていただきたいと思いますが、大体私個人的にはただで援護会に差し上げるというわけには、これは事業団として参らぬと思いますが、一応事業団から援護会にできるだけ安くという格好で譲渡するということによって援護会が本来の援護というような方向にそれを適用していただくということは、これは私は方法としてはけっこうなことじゃないか。ただしここでくどいようでございますが、今度とにかく家があるということに、逆になれてと申しますか、そのためになかなか出ていかぬということで、いつまでもこの地方は生色を取り戻さないといったような、逆なことになってはまずいのじゃないかと思われますので、そのあたりにつきましては、職業訓練とか、あるいは職業紹介という方向に参るべきものがたくさんあると思いますが、しかしまた、たとえば遠くに行かなくても地元で援護会がある程度の宿泊設備を持つようにというようなことがございますれば、それは今の阿具根委員がおっしゃるような方法で、われわれただでなしに、ある程度の安い値段で事業団から援護会の方へ譲り渡すというようなことは、これは十分検討に値するものと思っております。
#307
○小柳勇君 今石炭局長が言われたことは、私もさっきから質問したかったのですが、事業団と援護会の関連は、交付金を交付するという以外に明文化された関係がないと思うけれども、今言ったような、住宅を払い下げなければならないというような、何か義務づけるような事業の関連があるようなことを考えておられるのですか。
#308
○政府委員(樋詰誠明君) それは事業団は本来は労務者のめんどらを見るというところまでは目的にはいたしておらないのでありますが、ただ合理化のために非能率炭鉱の買い上げということをやろうということで、今までやってきたわけでございますが、当然それに伴って起こる失業者という方々が、あるいは非常に困っておられるということのために、とにかく自分の金のやりくりのつく範囲においては世話をしようということで、今まではなはだ不如意の中からでございますが、できるだけお世話しようということでやってきた。従いまして、たとえば炭住につきましても、非常に安い価格で三千円とか五千円という値段で、とにかく自分はこの家を買い取って、自分のものにして、ある程度修理もして、そこを生活の根拠にしてやっていきたいという方々には、非常に安い値段で今まで払い下げてきたわけです。ただそれを無償でということになりますと、片方で有償で払い下げを受けて自分でいろいろやってきたというものと、いろいろ公平、不公平という問題等もございますが、それからまた、借地の上に建っているということでは困りますから、とにかくほかの土地の炭住に移って下さい、それならそれは差し上げましょうというようなことで、できるだけ今まで援助の便宜をはかってきている。しかし、今回この援護会ができましたならば、当然それは裏表のような関係になりますが、援護会の仕事というようなものは、一応われわれとしてはこの援護会の方におまかせをしたいと思っておりますが、この二十三条、あるいはどうなっておりますか知りませんが、たとえば産炭地からその他の地域に行くような人々には、ここでは金が出ますけれども、産炭地以外に出る人は一銭も金が動かないということは、事業団の方は、現在その炭住から出て、同じ村の中でどこかの百姓の一間を借りるというような人には、立退料として一万五千円差し上げておりますので、そういったようなあれで両方重複はさせませんが、援護会の現在の規定で十分だ、及ばないというようなところについては、従来通り事業団の方でできるだけのめんどらは見ていこう、そういうふうに考えております。
#309
○藤田藤太郎君 こういうことはできないのですか。たとえば簡易住宅を建てても、一定の年限が来ればもうほとんど無料に近いような額で払い下げてしまう。だから、この炭住というものはほとんど償却が済んでしまっている、事業団としては炭鉱の山をお買いになったのだから、それに付随してついているのですから、それにただはいかぬということだから、ただでないという格好でみんなにあげたらいい。実際問題として、そこで就職ができる人が何人いるかということは、ここでわからぬわけですから、それで就職する人はその家を処分して出られる、永住する方は自分の家として直していく、ただ追い出すというようなことでなく、そういう方法はとれないものか。
#310
○政府委員(樋詰誠明君) 大体今の御質問のような趣旨で、とにかく買いたい、これはただじゃないといって、とにかく安く譲ってくれという方には、できるだけ安くお譲りいたしましょうということを現在やってきておるわけでございます。もら一つ、たとえば援護会の方で今度はその村の中で適当な宿舎を作りたいといったような場合には――これは大体炭住は非常にボロボロで、移改築には適さないものが多いと思いますが、しかし、中にはある程度使用に耐えるものがある、そういう場合、援護会の方で、おれの方に安く譲ってくれ、移改築なり何なりして適当なところに宿舎を建てるということであれば、当然われわれの方としては、できるだけ援護会の方に安い値段で差し上げるというようなことにして、離職者の援護に使っていただきたいと思っておるのであります。
#311
○阿具根登君 次に進みますが、この第五号の「講習を行うこと。」、これは訓練所でもない、総合訓練所でもない、「再就職を容易にするため必要な知識及び技能を習得させるための講習を行うこと。」、これはどこで、だれがやるのですか。
#312
○政府委員(百田正弘君) 援護会が直接やることになります。そこで、これは特に職業訓練という程度まで至らない簡易な講習ということを考えております。そこでまあ二ヵ月かそこらで終了可能なもの、これはいろいろ具体的な事情に応じまして、援護会の方で事業を考えてもらいたいと思いますが、私の方の関係でも、たとえば女子に対しては、婦人少年局の方では、ぜひ二ヵ月でやる家事サービスの補導的なことをやってくれという御要望もあり、こういった点はさらに検討いたしまして、これをどうしてやったらいいか、大体一ヵ月か二ヵ月くらいでやれるようなものということを考えております。
#313
○阿具根登君 そうすると、これは先ほどの構成を見てみますと、まあ少ないところで三人から五、六名くらいの人がおるのだが、この人たちがこういうことまでできるのか。あるいは別個に講師か何か雇ってこういうことをやるのか。やるとすれば、一体どういう所をお使いになるのかですね。そういう場所はみんなどこにもあるのか。そういう点は一体どうなっているのですか。
#314
○政府委員(百田正弘君) こういう点につきましては、具体的な計画はその地方々々の事情によってきめなければならぬと思いますが、たとえば炭鉱関係の施設その他であいているもの、利用できるものがある、そういったものを使う。それから人は、職員を使ってやるということでなくて、やはり講師をお願いしてやる、こういうことになります。
#315
○阿具根登君 そうすると、それは二ヵ月なり三ヵ月なり短期でやると、こう言われるけれども、二ヵ月、三ヵ月の講習というものはなかなかこれはそう簡単に私はいかないと思うのですがね。これを各地域別にやられるのですか。
#316
○政府委員(百田正弘君) これは、どこの地域でも同じようにこういうことをやるというのではなくて、適当なことがあればこういうこともやり得るというようなことで、あとは創意工夫でやっていただきたいと考えております。
#317
○阿具根登君 これは費用どのくらい組んでありますか。
#318
○政府委員(百田正弘君) 本年度分としては百九十六万三千円でございます。
#319
○阿具根登君 時間がかかるばかりですから少し急ぎましょう。
 次に七項の問題、先ほど少し質問いたしましたが、もう少し掘り下げてお尋ねをいたしたいと思うのです。「独立して事業を行おうとする炭鉱離職者に対して生業資金の借入のあっせんを行うこと。」こういうことになっておるわけですね。これは、駐留軍労務者の組合員に対してもこれと同じのがあるわけなんです。ところが、事実、駐留軍労務者が五人なり十人なりで一つの企業組合を作って、その組合が資金あっせんをお願いしても、非常にひまが要っている。事実私が関連したものも、二十万円の金を借りるのに、中小企業金融公庫はこれはどうしても貸してくれない。いわゆる保証がないわけで、貸してくれない。こういうことで非常に困っているわけなんです。だから、事実そういうのがあるのに、同じようなことを書かれても、実際はこれは実用できぬのではなかろうかと、こう思うのですが、その保証とかあっせんの方法とかというのはどういうようにお考えになっておられるか。
#320
○政府委員(百田正弘君) これはもらすでに何回も答弁のあったところでございまするが、この形といたしましては、今御指摘のように、駐留軍離職者臨時措置法の場合と同様なことになっております。そこで、今お話しのように、わずかの金でも借りるのはなかなか困難だというような問題があろうかと思いますが、これはまあいろいろの、たとえばその事業そのものが金融のベースに乗るか乗らぬかという問題もありましょうし、あるいは担保力の問題もあろうかと思います。そこで駐留軍離職者の場合にも、現在まで、過去一年十ヵ月ばかりにわたりました実績といたしましては、普通貸付と更生資金の貸付と両方、その他の貸付も入れまして、国民金融公庫から、件数で八百二十件、金額では七千八百万円程度の貸し出しがすでに行なわれております。そこで、これだけで決して――今の話のような事例も多々あるかと思いますし、われわれ自身も相談を受けているような問題もあるわけでございまして、さしあたり炭鉱離職者の場合におきましても援護会が中に立って貸付をすることによって、できるだけ実績を上げていくようにいたしたいと考えております。
 なお、保証の問題につきましては、駐留軍でもそうしたお話が出ましたので、この点につきましては、われわれとしても具体的な成案を得るように今後努力して参りたいと考えております。
#321
○阿具根登君 駐留軍の離職者法案の場合は、御承知のように、企業組合なんです。企業組合に対するあっせんなんです。これは個人です。個人に対するあっせんというものは、これは相当問題が起こってくると思う。やはりその裏づけというものがない限りにはおそらく貸してくれる人もおらないであろうし、非常に困難なことではなかろうか。そらするならば、信用保証組合を作るなり何なりをして、だれかが保証してやらなければできない。そうすると、保証にはまた裏づけが要るわけなんです。そういう点をもう少しはっきり御説明願いたいと思うのです。
#322
○政府委員(百田正弘君) 駐留軍離職者の場合も、必ずしも企業組合でなければ貸さぬということではございませんでした。法律の形式としては個人も入っております。しかしながら、事実上みんなが退職金を持ち寄って、それをもとにいたしまして企業組合としてやっていく。最近は企業組合でなくてもまた会社形式でもやっております。ですから炭鉱離職者の場合にも同様なことを考えられると思いますが、実際のケースとして、はたして駐留軍離職者のときのようにこっちの方が希望者が多いかどうかということにつきましては、われわれもまだ十分な認識を持っておりませんが、駐留軍に対してとったと同じようなことで援護会がやはり援助していくということにすべきじゃないか、また、そういうように運用していくべきものであると考えております。
#323
○阿具根登君 駐留軍の場合は、個人の事業というのはおそらく非常に少ないのじゃないかと思うんです。これは技術屋でございますし、相当な金額の借り入れが行われているようでございますが、たとえばトラクターを使って整地事業をやる、いわゆる土木事業を自分でやるというように企業組合であったり、あるいは運転の技術者の人がたくさんおりますから、そういう人たちが一つの自動車の企業組合を作ってそうして認可を受けるそのための借入金だ、こういうような次第で、比較的借りよかったのではないかと思うのであります。個人の問題だと非常にそれが少ないのではなかろうか。一例を申し上げますと、三人の方で印刷の企業をやりたいというようなことで、先ほど習いました二十万円の金でもどうしても貸してもらえなかったという例もあるくらいなんです。そういたしますと、特に炭鉱の労働者といち人は、単純なというのか、あるいは坑内でからだを使ってやっておりますので、非常に独立して事業を行なうというのもまあ少ないのではなかろうか。また、非常にそれに対して貸す方の方も危惧の念を持つのではなかろうか、こういう心配をするわけなんです。だから何かの形でこういう保証をするものを作っていただかねばこれは決してできない、また、それができるような人は個人でもできる能力のある人だと思うわけなんです。だから一つこれには保証協会を作るなり、それに対する担保を心配していただくなり、こういうことをしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
#324
○政府委員(百田正弘君) この点につきましては、われわれも今後一体どういう事業をこれらの人が行なわれるのか、また、行なら希望をしておられるのか、また、それがどの程度あるのか、その借り入れの難易がどんなふうであるかというようなことも十分検討いたしまして、衆議院の附帯決議もある通り、この保障の方法についても具体的な成案をそういう実態の上に立ちまして検討いたしたい、早急に結論を得たいと、こういうふうに考えております。
#325
○阿具根登君 次に第八号ですが、これは生活の指導を行なら、非常に御親切に四段にも五段にもなっておるわけです。生活の指導を行なう、今度は講習を行なら、それから一般訓練所で訓練をする、さらに総合訓練所で訓練をする、非常に親切に書かれてはございますが、生活の指導を行なら、非常に大切なことではございますが、ほとんど大部分の人は、これは変な指導をされたらかえって笑われるんじゃなかろうか――極端なまで低下した生活をされているわけなんです。そういう方に指導するというようになれば、これは指導されるような方は相当な生活もあるいは生活設計も持っておられる方であると思うのですが、どういうような方法を考えておられるのでしょうか。
#326
○政府委員(百田正弘君) この点につきましては、先ほどの参考人の御意見にもありましたけれども、これは具体的にやはり炭鉱離職者の生活に御理解のある人たちが――そのために協力員等も置いてあるわけでありますけれども、その実態に即して第一番に生活の相談ということから始まって、あるいはわからないところをいろいろ教えてあげる。あるいはまた、その相談に応じてあげるといったようなことから始まっていくべきものだろうと思いますが、この点につきましては、やはりそうした炭鉱離職者の実態並びにそれに大へん理解のある方々で実情に即した方法でやっていただくことが望ましい、また、そういったことを援護会の一つの仕事にしておくことも必要じゃなかろうか、こういうことで八号というものはここに記してあるわけでございます。
#327
○阿具根登君 言われることはわかりますけれども、生活の指導を行なうということで、生活が非常に苦しい方に何らかの援護をするとか、あるいは生活を援助してやるとか、そういうことならばわかりますけれども、生活保護法を受けるか受けないかというような方々に生活の指導をする。逆に言えば、そういう人だからこそ指導しなければいけないという理屈も成り立つと思うのです。しかし、おそらく指導しようという方はそれだけの生活を自分自身でしたことのない人だと思うのです。そうすると、逆にたとえば生活指導をする人が、たとえば栄養士なら栄養士が行ったとするならば、これではとてもじゃないが栄養が足りませんよと、逆に追及されるような結果になりはしませんか。だから生活の指導を行ならというならば、生活が立っていくように、それは最低生活でございますけれども、そういう何かの援助をされるならばわかるけれども、そのなけなしの金で、米を買う銭もないのでいもを食っている。それに対して生活の指導をどうするか。これは非常に私は問題があると思うのですがね。文章で書けば非常にきれいなことであって、これが要らないとは私も言えないわけです。しかし、現実問題としては、先ほどから言いましたように、二百三十円の金でも非常にのどから手が出るようにほしい方々で、自分のかわいい子供に給食費も渡せないという人だったら、おそらく親はおかゆを食っておるか、あるいはそうめんを食っておるか、いもを食っておるか、そういう極端なみじめな生活をされている方が対象になるのではないか、こう思うわけなんですよ。そうしますと、きれいに生活をどうしようということよりも、生きることをどうするかということになってくるのではないか、こう思うわけなんですがね。
#328
○政府委員(百田正弘君) この点を具体的に私がどういうふうに生活の指導をするというようなことは、ここで申し上げるにはあまりにこれ問題が深刻でございまして、人間と人間の触れ合いの問題でございます。これはやはりそうした理解のある人が力づけ、励ますということによって、実情に即した一つの私はやはり援助だ、援護だというふうに思いますが、やはり人を得ることが最も大事だというふうに考えております。
#329
○徳永正利君 この今の生活指導の問題ですがね。これは、ただ慰めたり、元気出せと言っただけじゃ、これはやっぱり何にもならぬだろうと思うんです、やらないよりいいかわかりませんが。
 それで、第二項の、この二百三十円と百三十円の手当を支給すると、こういうところにひっかかってきて、この二号ではずいぶん議論があったんですが、実際もう、収入がこれ以外になくて、家族は別に、自分だけ宿舎に入って手当をもらっておるというような場合には、これはもう生活保護法からいきますと、当然これはもう、生活保護法の、理屈の上からは全部適用になるはずです。まあそういうふうな面も、この生活の指導というようなところをやってもらわなきゃいかぬ。まあ民生委員的な活躍をここで期待しているわけなんです。この点についても、労働者の方でよろしく生活指導者の指導を一つやってもらいたい。
#330
○小柳勇君 たくさんこの業務の内容について書いてありますが、さつき説明聞きますというと、まず発足については九十八名ですね、職員が。二百名の協力者というのは、ほとんど、その実態をそういう職員に知らせるぐらいが精一ぱいだと思うんですよ。その九十八名の者で、これだけの形で書いてありますが、こういうことをやるにはまあ大へんなことだと思うが、将来一体どういうふうに――これはまあ五年間の限定立法ではありまするが、五年間も九十八名でやろうと考えておられるのか。一つこれは大臣から、見通しのほどをお聞かせ願いたいと思う。
#331
○国務大臣(松野頼三君) 将来九十八名でやれるかどうかということは、これはまあ予想は私も不可能であります。しかし、さしあたり九十八名というのは、一応まあ、今日の常識的に考えられた――まあ事務的に考えたわけで、これがふえても、定員法じゃありませんから、業務内容で、いつふやしても、いつ減らしてもそれはいいんでありますから、まあ二百名の協力員というものの活動――実際事務的には九十八名で一応始めようじゃないか。まあ、なるべく経費を、冗費を省いて能率を上げたいという最小数字をはじいたわけですが、業務内容がどんどん拡張してきまして、いろいろな手が要るというのは、これはもちろん、直ちに予算に関係するということじゃなしに、援護会だけの予算でふやして私はいいんじゃないか、こう思いますので、特に私は定員がどうだというふうな感じはしておりません。なるべく、しかしこういうものに予算を食ってしまって、大事な援護の手がそれでいかないということじゃいけないというので、事務的に最少限じゃどうであろうかというようなわけで、九十八名に――先ほど三名でどうだ、五名でどうだという、いろいろ御非難がありました。しかし、なるべく私の方は、援護の方の実務の方に金を回したいということで、事務費はなるべく削れ削れという趣旨で、この予算を編成したものですから、やってみれば、私はおそらくこれは人数は減ることはありません。足りない方が多いのじゃないか。そのときは、協力員とか、あるいは賛助員とかいう方も、志願的にあるいはいろいろ御委嘱しながらやらなければいけないのじゃないか、こう考えておりますが、何といいましても、予算の内容を、なるべく事務費、管理費は削るということで、この業務を発足したものですから、もし足らなければ、それはふやさなければならないが、同時にこの生活指導につきましてもいろいろありましょうが、実を言うと、こういうものを、これは普及宣伝して、こういう道があるのだということも、生活指導者が、あなたは訓練に入る道ができましたよと言うこともありましょうし、この生活指導ということはいろいろ議論もありましょうが、まあ総合的に道を教えるということも、こういう方法もあるこういうこともできたのだということで普及徹底するのに大事なことじゃなかろうかということで、生活指導という言葉をここに入れたわけで、どここどうだ、そこをこうだという、そういう固い意味じゃなしに、本来の、あらゆることを想定いたし、なるべく援護会は手広く、温情味のあることをやりたい。条文に書くと、いつもこういうふうになってしまうのです。しかし、実際の心は、あらゆることをやりたいというので、条文に書くとこういうふうになってしまいまして、不明朗なこともあります、この文面上においては。しかし、私の気持は、あらゆることを想定して、何でもかんでも入れたい。文面に書くと、ばらばらなようなことになってくるが、運営は私どもは総合的にやっていきたい。従って、定員もそう私の方はこだわっておることはありません。なるべく冗費は省きたい、事務費、管理費で、ぜひ私は足りることはやりたい、こういうわけで、九十八名をはじいたわけであります。
#332
○小柳勇君 関連いたしまして、もう二百名の協力者に対する、さっき局長は薄謝でもお礼をしたいということでありましたが、これは非常に熱意がありませんと、協力者を依願いたしましても、なかなか実績が上がらぬと思うのですが、そういうものにも関連いたしますが、参考のためにお礼のことも聞いておきたいし、それから協力者の問題についてもさっき大体の概念はわかりましたけれども、もう少し何かこういうふうな選考の問題についても基準的なものでも腹案でもありましたらお教え願いたいと思います。
#333
○政府委員(百田正弘君) 予算的には今の二百名の中に月手当五千円の人が百名、一万五千円の人が百名ということで、予算的には、それにこだわるものではございませんが、そういうことにきまっております。それからどういう人を人選するかということは、いろいろ目的から考えていかなければならぬ。実際問題としては今度の援護会につきましてもいろいろ炭鉱に理解のある方々、その他の方々がいろいろあげられると思います。そうした方々の常識的な配慮によれば私は適任者を得られるのじゃないかと、こういうふうに考えます。
#334
○小柳勇君 最後に要請だけいたしておきますけれども、大臣のお考えもわかりましたけれども、一支部と八支所とそれから駐在員、数ヵ所の駐在員もあるようでありますが、そういうものを勘案いたしますと、九十八名では非常に志立ってなかなかそういうふうなねらいがいかないような気がいたしますので、事務費を節約される気持はわかりますけれども、できるならば今非常に緊急な事態にありまするので、ほかの職員を削減してでもこの方面の職員をふやして活動が十分できるように希望いたしておきまして、私は質問を終わります。
#335
○吉武恵市君 だいぶ時間がたちましたので、大体きょうこのあたりでやめて、あとは明日に一つ続行するようにしていただいたらどうかと思います。
#336
○藤田藤太郎君 先ほどから阿具根君の質問は、大蔵省に対しても労働省に対してもあったんですが、しかし、私はやはり七項の生業資金のあっせんというものはこれは非常に言うはやすくしてできない。非常にむずかしい問題だと思うので、だから、たとえば政府においては資金運用部資金で、ある一定の額を預託をしてそうしてやるということまで腹をきめなければこの問題はなかなかできないと思うのですよ。実際に担保条件があるわけではないのだからね。よほどしっかりしたところでも、独力で担保条件のある人はいいけれども、ない人は何らかの形で預託してやらなければしょうがないから、そのところは腹をきめて七号を生かすように考えていただきたいということを……。
#337
○委員長(加藤武徳君) 速記を落として。
   〔速記中止〕
#338
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
 それでは本件に関するきょうの質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#339
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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