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#1
第033回国会 外務委員会 第25号
昭和三十四年十二月二十三日(水曜
日)
   午後三時二十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員辻武寿君辞任につき、その補
欠として石田次男君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      草葉 隆圓君
  理事
           井上 清一君
           剱木 亨弘君
           吉田 法晴君
  委員
           梶原 茂嘉君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           森 元治郎君
           大和 与一君
           石田 次男君
           佐藤 尚武君
  事務局側
   委員部第二課長 土屋 政三君
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  説明員
   外務大臣官房審
   議官      三宅喜二郎君
   外務省欧亜局西
   欧課長     木本 三郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在日朝鮮人の帰国促進に関する請願
 (第九八号)(第一三二号)(第三
 六四号)
○サハラ砂漠における原水爆実験中止
 に関する請願(第三六五号)
○沖縄における米国民政府新市会第
 二十三号刑法並びに訴訟手続法典撤
 回に関する請願(第三六六号)
○日米安全保障条約改訂反対に関する
 請願(第四〇七号)
○沖縄周辺海域の航行、漁ろう禁止措
 置撤廃に関する請願(第五五六号)
○南ヴィエトナム賠償協定反対に関す
 る請願(第九六八号)(第九八八
 号)(第九八九号)(第一〇三〇
 号)(第一二二〇号)(第一三〇七
 号)
○日中国交回復に関する請願(第九八
 七号)(第一二二二号)
○日米安全保障条約改訂交渉即時打切
 りに関する請願(第九九〇号)(第
 九九一号)(第九九二号)(第一二
 二一号)(第一三〇八号)(第一三
 〇九号)(第一三一〇号)(第一三
 一一号)(第一三一二号)(第一三
 一三号)(第一三一四号)(第一三
 一五号)(第一三一六号)(第一三
 一七号)(第一三一八号)(第一四
 三九号)(第一四四〇号)(第一四
 四九号)(第一四五〇号)(第一四
 五一号)(第一四七二号)(第一四
 七三号)(第一四七四号)(第一四
 九八号)(第一五三八号)
○核非武装宣言決議に関する請願(第
 (一二五七号)(第一三一九号)
 (第一三二〇号)(第一三二一号)
 (第一三二二号)
○国連における軍備全廃提案の支持等
 に関する請願(第一四七一号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、辻武寿君が委員を辞任され、その補欠として石田次男君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(草葉隆圓君) 請願の審査を行ないます。
 お手元に資料を配付いたしてありますから、便宜、この資料に掲載された順序によりまして審査を行ないます。
 まず、南ベトナムの賠償協定反対に関する請願六件を議題といたします。
 これは、御案内のように、先刻本会議で議決されましたので、不採択と決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
#4
○吉田法晴君 ちょっと待って下さい。これはまあ今までに提出をされておるんでしょうが、この提出した時期はうんと前でしょうが、そのときから言えば、これはもう請願は採択してしかるべきであったろうと思うんだが、それをしなかったから云々ですが、今までの慣例からいうと、そういうことですか。
#5
○委員長(草葉隆圓君) 大体、そうなっております。
#6
○剱木亨弘君 第一、あれですね、会期中に提案になっている法案に関する請願は採択しないことになっている。第一、それは否決しておりますから、これは問題ないと思います。なおさら。
#7
○吉田法晴君 関係法案については請願を採択しない……。
#8
○剱木亨弘君 しないんです、その会期には。
#9
○参事(土屋政三君) 同一会期に議案と請願と同一趣旨のものが出た場合は、議案の態度が決定するまでは請願の審査を保留する。で、議案の態度が決定した後の請願の処理は、議案と同じ処理をするというのが今までの先例になっております。
#10
○委員長(草葉隆圓君) 御承知のような状態でございますので、不採択と決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(草葉隆圓君) さよう決しました。
 次に、日米安全保障条約改訂交渉即時打切りに関する請願二十五件、日米安全保障条約改定反対に関する請願一件を、一括して議題といたします。まず、専門員から説明いたさせます。
#12
○剱木亨弘君 説明をお聞きする前に、これも、今と同じく、改定即時打ち切りに関する決議案が出まして、これは一応処置が決定したわけです、本院で。だから、本件に関しては、説明をお聞きするまでもなく不採択と決定していいんじゃないかと思います。
#13
○吉田法晴君 これはまあさっきの案件と違って、この本国会の議題になっている案件ではないのですが、それについてその意見を述べる、請願をすることは憲法に保障されたこれは権利ですが、ただ国会としての意思については、即時打ち切り要求決議を上程して否決されたという事実は、これは否定しているわけじゃございませんけれども、否定されたからといって国民の請願権を奪う必要はないので、正規の採択をしてしかるべきだと思います。国民の意思が国会に出され、これが事務的に、とにかくまあ請願権に基づいて成規に出されたものを否決をすべきというような理由は、不採択にするべしという理由は何もないと思います。それを、採択して政府に送って、政府がそれから先どうするかということは、これはまた別の問題です。
#14
○剱木亨弘君 今吉田君の言うのは、その請願があれば採択するというふうに聞こえましたけれども、これは請願を採択するかどうかはその内容によりまして、おおむね願意が妥当と認めるというので、内容についてもわれわれは賛否をやって、これはやるわけです。特に今会期におきまして同一の問題についてすでに決議案が出されておる、否決されておる今日におきまして、この会期中の問題といたしましては採択すべき問題じゃないと考えます。
#15
○吉田法晴君 そうすると、とにかくいわば国会の分野が、自民党なら自民党で多数を占めておる、この自民党にすれば、気に食わんというか、法律と違って請願は全然受けつけんという結果になりますね。送って、それから先、政府がその民意をどういうふうな工合に反映されるかは別問題として、選挙と選挙との間においては、これは少数意見というものを述べるという機会も、私は、国会にも認められておるのですが、国民が意思を国会に請願するという権利が認められている以上、国会でこの安保問題について決議がなされたからといって、それだけで請願を拒否するという理由には私はならんと思うのですが……。
#16
○剱木亨弘君 請願をする権利は国民の全部にあるわけでございまして、すでにこれらのものは請願になっておるわけであります。それを採択するや否やは各委員会で審議をいたしまして、その願意おおむね適当と認めるかどうかということになるわけでございます。従って、この会期中において、これは多数党とか何とかいうことでなしに、すでにこの決議案は国会の意思として、参議院の意思として決定されております。否定になっておりますから、それを願意おおむね適当という――この会期中の問題としては、私は採択すべきものじゃない、これははっきりしていると思います。
#17
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#18
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
 それでは、これらの請願はいずれも不採択と決定いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。
 次に、核非武装宣言決議に関する請願五件を議題といたします。
 まず、専門員に説明をいたさせます。
#20
○専門員(渡辺信雄君) お手元に請願の文意はついておりますが、あらためて私ここで読ましていただきます。
 これは、国会においてすみやかに核非武装宣言をしてもらいたいというのが一つ。次は原爆被害者の援護する措置をとってもらいたい。そうしてさらにそこには被爆者の完全な擁護法を設定するよう国会ですみやかに決議してもらいたい。それから次は安保改定は海外派兵と核武装につながるものであるから戦争に巻き込まれるおそれがあるにかんがみて、この不安を取り除くため安保改定交渉を直ちに打ち切るよう国会で決議してもらいたい。次は、これは後にも出て参りますが、フランスのサハラ原爆実験の計画を直ちに中止するようにフランス政府、国連に積極的に働きかけるように国会で決議してもらいたい。それと同時にジュネーブで進行しておるところの核実験禁止協定がすみやかに成立するよう日本政府が先頭に立って米英ソ三国並びに国連に働きかけるように国会で決議してくれ。それから、なお第五といたしまして、この過日の原水爆禁止世界大会の広島アピールを引用いたしまして、日本政府が国連で完全な軍縮案を支持し、かつ自衛隊の漸減措置を含む全面かつ完全な軍備撤廃実現の先頭に立つよう国会で決議し、日本国民の平和愛好の精神を全世界に示すようにしてもらいたいというのが、この核非武装宣言の決議の請願でございます。
#21
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記やめて下さい。
   午後三時三十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十四分速記開始
#22
○委員長(草葉隆圓君) 速記を起こして下さい。
 核非武装宣言決議に関する請願、これは保留にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○吉田法晴君 今の問題について、これは異議ありを保留ということにきめられたようですが、言葉の端じゃなくて、願意の主流がどこにあるかということを考えて、国民の意向、要望は、できるだけ政治に反映するというのが民主政治の建前だと思うのです。そういう点からいって、言葉にけちをつけて採択をしないで保留にするという態度は私は賛成することはできません。異議を申し立てておきます。
#24
○委員長(草葉隆圓君) それでは反対もありまするが、多数保留ということで決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(草葉隆圓君) では、さよう決定いたします。次に、国連における軍備全廃提案の支持等に関する請願、これはちょっと専門員から説明していただきます。
#26
○専門員(渡辺信雄君) これを読まさしていただきます。「わたくしたちが、平和にしあわせに生きてゆくためには、絶対戦争をおこしてはなりません。原水爆やロケット兵器がうまれたいまでは、わたくしたちの平和への願いはいつそう痛切なものがあります。世界の平和のために軍拡競争の中止が必要なことはいうをまちません。最近、世界の大勢は大きく平和の方向に激動をつづけており、軍縮問題についても、フルシチョフ首相の軍備全廃提案、八二カ国軍縮決議などによって大きく促進される気運をみているのは、まことに喜びにたえません。国会は、国連における軍備全廃提案を支持し、日本政府が平和憲法をまもって、自衛隊の漸減措置をふくむ全面かつ完全な軍備撤廃実現の先頭にたつよう決議してください。このたびの国会における岸首相および藤山外相の答弁によって、安保条約の改定は海外派兵と核武装につながるものであり、日本を戦争にまきこむおそれのあることがますますあきらかになってきました。国会は、このような国民の不安をとりのぞくため、日本政府が、日米安全保障条約改定交渉をただちにうちきるよう決議してください。」。(「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり)
#27
○委員長(草葉隆圓君) これは反対と賛成との御意見がありまするが、一応別に採決をせず、反対の意見もありまするけれども、不採択として御異議はございませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(草葉隆圓君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#29
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
 それでは千四百七十一は反対がありまするが、多数が不採択のように見受けますので不採択といたします。(「反対、そういう態度は国会の請願権をじゆうりんするものだ」と呼ぶ者あり)
 次に、三百六十五、サハラ砂漠における原水爆実験中止に関する請願。
#30
○専門員(渡辺信雄君) 「フランス政府は今秋サラハ砂漠において原水爆の実験を行うと発表したが、このようなことは世界の平和に対する脅威となるばかりでなく、放射能障害による白血病患者が増加しつつあるとき、まさに人命を軽視する暴挙でもあり、その上、冷戦から緊張緩和へと向いさらに人類の宿願である全面的軍縮の方向へと進みつつある現在の世界の大勢に逆行するものであるから、今秋サハラ砂漠における原水爆の実験を中止するようフランス政府に強く要望せられたいとの請願」でございます。
 これについて少し説明さしていただきます。この文書表の次に、御参考までに、国連におけるサハラ核実験の取り扱いを書いておきましたが、簡単に申し上げますと、八月十四日に、モロッコがサハラ砂漠実験問題を国連の総会議題にするように要請いたしました。それからAAグループの決議案が国連に提出され、日本もこれに入りまして、それから十一月二十日に、このAAの二十二カ国案を修正の上採択いたしました。それで、その決議案は次に書いてございますが、最後のところが、これが帰するところ、本問題に関係がございますので、読まさしていただきます。「1核実験を実施するというフランス政府の意向について、総会の重大な憂慮を表明し」次に、「2フランスに対し、このような実験を差控えるよう要請する。」こういうものがございます。なお、国連第十四回総会におきましても、決議をもちましてこういうことを言っております。ジュネーブ交渉関係国に対し、現在の自発的実験中止を継続するよう、及びその他の国」に対し、この種の実験を差し控えるよう訴えるという文句がございまして、この「その他の国」と称するものにおきましては、フランスも含まれているものと私どもも解しますから、こういう情勢において、国連はこのサハラ砂漠の実験中止を要望しておる、こう私は思います。しかも、これは日本も一役買っているのでございます。
#31
○委員長(草葉隆圓君) その後フランスはどういう態度でやったか。
#32
○専門員(渡辺信雄君) フランスは二十日の日に、「決議にとらわれない」、こう声明しております。それで日本政府におきましても、フランス政府に何らか申し出たということを、当時新聞でちょっと見ましたから、詳細は外務省の方がよく知っておられると思いますから、説明していただいたらどうかと思います。
#33
○説明員(木本三郎君) その後フランスの方の動きといたしましては、一応この決議を無視いたしまして、従来の態度を変えるつもりはない、こういうことであります。それから日本政府の態度でございますが、国連において共同提案国になりましたが、その前に、フランス政府に対しまして、そういううわさがあるけれども、もし万一そういうことを行なうならば、日本としてはこれを非常に遺憾とするものであり、また、ぜひそういうことを差し控えてもらいたいということを、九月三日に古垣大使からフランス外務省に申し入れてございます。
#34
○委員長(草葉隆圓君) 速記をやめて。
   〔速記中止〕
#35
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
 それでは本件は採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないと認め、採択することに決定いたしました。
 次に、在日朝鮮人の帰国促進に関する請願、これは御承知のような進行状態になっておりまするので、大体願意は実現しつつあると存じまするから、採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないと認めて、採択することに決定いたしました。
 次に、日中国交回復に関する請願十一件。
#38
○専門員(渡辺信雄君) これの内容を申し上げます。「中華人民共和国は建国以来十周年を迎え、六億の中国人民を結集して飛躍的に発展しつつあり、わが国が台湾との関係を清算し、中華人民共和国を承認し、国交を回復し両国の関係を改善することは日本の平和的発展に不可欠の要件であるから、政府をして中国敵視政策を改め、すみやかに日中間の国交回復の措置をとらせるよう適切な措置を講ぜられたい」、こういう趣旨でございます。
#39
○委員長(草葉隆圓君) 速記をやめて。
   〔速記中止〕
#40
○委員長(草葉隆圓君) 速記を起こして。
 それでは、本委員会といたしましては、本件は不採択といたしたいと存じます。
 次に、第三百六十六号、沖縄における米国民政府新市会第二十三号刑法並びに訴訟手続法典撤回に関する請願。これをちょっと説明して下さい。
#41
○専門員(渡辺信雄君) 米国民政府が去る五月十八日に発表し、六月五日から実施することになっていた刑法並びに訴訟手続法典は、沖縄の日本復帰運動を困難にし、国旗日の丸の掲揚までも禁止するもので、日本国民として忍びがたいものである。すでに現地沖縄においても、立法院を初め、県民あげて反対の意志を表明しているため、米国民政府も、実施を八月十五日まで延期せざるを得なくなったものであるから、沖縄県人の心情を十分に了察されて、新市会第二十三号刑法並びに訴訟手続法典の撤回を関係当局に要請せられたい、こういう趣旨でございます。
#42
○説明員(三宅喜二郎君) 御承知の通り、この市会は、アメリカが平和条約によりまして持っておりまする、施政権を有する地域に施行する刑法でございます。従いまして、沖縄内部における制度でございます点が、まあ考えていただく第一点だと思います。ただ、実際上沖縄の住民の大多数は日本国民でございますので、日本政府におきましても、この内容を慎重に検討し、法務省の専門家に研究していただいた次第でございます。この意見によりますと、今度の新刑法と申しましても、従来から米民政府が出しておりまする刑法を修正したもので、それに若干の補正を加えたものにすぎない。これが直ちに基本的人権を侵害するものとは認められないし、諸外国の例を見ましても、その類例がないというようなほど過酷なものではない、こういう意見であったのであります。ただ、自由はできるだけ制限しない方がいいのでありまするし、なお、運用面においても適正に、乱用されないようにするのがいいわけでございますので、法務省で研究されました意見をアメリカ側にも伝えましたところ、アメリカ側でも、非常に参考になるということで、自分の方でももう一度研究しましょうということを申しております。それからまた、現地におきましても、琉球政府及び立法院の方で、もしできるなら、軍の立法によらないで、沖縄の立法院の民事立法にするようにしたいという意見を申し述べました。アメリカの民政府当局におきましても、それならば、琉球側で研究をもっとしてもらいたいということで、最初六月五日から実施するはずでありまするのを、八月十五日に延ばして、さらになお研究が終わりませんので、追って民政官から発表があるまでこの実施を延期すると、実際上無期延期のような形になっている次第でございます。そういうこともございまして、先ほども申し上げましたように、米国が有する施政権に基づき、その施政権の中に施行する法令あるいは制度でございますから、日本が正面からその撤回、撤廃を要求することは穏当でないというふうに思いますが、できるだけその内容を改善してもらうように、アメリカに対しても従来から話しておりますし、今後ともそういうふうに努力いたしたいと思っております。
#43
○剱木亨弘君 これを採択した場合に困るのですか。
#44
○説明員(三宅喜二郎君) この請願は、撤廃を要請してもらいたい、撤廃を要請しろといわれますと、先ほど申しました法理論からいいましても、また、アメリカ側の方でも、若干改正できるものは、できるだけ意見を聞いて――日本側の意見、現地の意見を聞いて、そのように努力したい、こう言っている最中でございますから、撤廃を正面から要求することは、私は、穏当でない、外務省としても、そういうことは困難であるというふうに考えます。
#45
○剱木亨弘君 手続上の問題は別として、やはり、さっきから議論がありましたけれども、願意おおむね妥当と認めるという場合があって、その趣旨はいいけれども、手続の問題について少し困る点がある。これは、請願の通りに政府は実施する義務を負うわけじゃないのです。国会で採択して、一応政府に通告しても、政府としては、適当に願意おおむね適当と認むという線に沿って行動するという意味にとれば、採択したって差しつかえないのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
#46
○説明員(三宅喜二郎君) 先ほど申しましたように、第一次的には、アメリカが施政権を有する地域における制度、法令の問題でございます。それがまっこうから、人権を侵害するとか、あるいは文明国に類例のないような過酷なものであるという場合は、実際上またここに日本人が多数おるわけでございますから、日本政府として撤廃なり再修正を要求するということはいいかと思いますが、そうでない限りは、むしろ内政干渉の印象を与えるというふうに私どもは考えております。
#47
○吉田法晴君 国会で、沖縄、小笠原の施政権返還に関する決議だとか、あるいは沖縄復帰に関する決議というものが行なわれているわけですが、サンフランシスコ条約によって、沖縄の施政権をアメリカが持っておる。それを認めてやられるとすれば、その施政権を返還せいということ自身が内政干渉といえることだと思う。これは、岸総理は、本会議でも、あるいは委員会でも、沖縄の復帰のためには大いに努力をする。日米新時代に入るという声明が出たあの渡米のときには、沖縄の日本復帰のために大いにがんばってきたいと言っておられる。それは、国会の決議や何かを体して努力をしたい、こういうことだろうと思うのですが、沖縄の復帰運動は、八十万の沖縄県民だけでなく、日本国民もひとしくこいねがっておるところで、それから、ここにも書いてございますけれども、日の丸についても、日の丸を送る運動が日本で行なわれておる。同じ日本国民の沖縄県民が、日の丸も掲げられない、あるいは祖国復帰運動も押えられるというようなこの刑法あるいは訴訟手続法典というものができるということは、これは困ると、こういうことで、これは東京都の中野区議会一議長ですか、国民の中から請願が出てきて、それをとにかく、これも踏みにじろうという底意であれば別問題であるけれども、できるだけそうした国民の祖国復帰の運動あるいは復帰せられないで困難をきわめておる、あるいは人権を制限されるひどい法典の改正について、日本も努力してもらいたい、こういうとにかく、まあいわば必死な願意が出ているのに、これを取り上げないという法は私はなかろうと思う。
#48
○説明員(三宅喜二郎君) 今お述べになりました問題の中で、国旗の問題でございますが、一般民家が国旗を掲げることは、決して禁じておらないわけであります。この法令によりまして禁止される――まあ従来からもそうなんでございますが、この法令によって禁止されまする国旗の掲揚は、琉球における公の宮衙ですね。公の官庁の建物等に、それはつまりアメリカの施政の機関でありますが、その機関に日本の国旗を掲げることは禁ずる、こういうことであります。まあこれとても、新年には、従来からも、そういう特殊の場合は掲げることを許しております。
 それから、第二の点でございますが、施政権返還運動等を秩序正しく正常にやることは、決して今度の刑法によっても禁止されない。それが暴力を伴ったり、サボタージュを扇動すると、そういうものである場合に禁止、制限される、こういうことにすぎないことでございます。
#49
○吉田法晴君 日本の政府の代表から、アメリカの政府の説明のような反駁を聞こうとは私は思わぬ。質問したわけじゃない。私はまあ委員会に意見を述べたのだが、今までの経緯を。国旗が自由に掲揚される、民家において掲揚されるというけれども、そうじゃないのですよ。祝祭日等には掲揚することも認められておるけれども、平日においては、民家といえども、これは国旗を掲げさしておらぬ。これは事実です。で、国会が祖国復帰なりあるいは施政権返還について意思表示をされるというなら別問題です。あるいはそれも押えようというなら別問題です。そうでなければ、これは、刑法あるいは訴訟手続法典が直接の主題になっておりますけれども、底に流れておるものは、やはり日本復帰の切望であるし、それから、その間における苦労を救ってもらいたいと、こういう願意ですから、私は取り上げてしかるべきだろうと思う。
#50
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
#51
○委員長(草葉隆圓君) 速記を起こして。
 第三百六十六号は、この願意を採択し、その場合において、慎重に外務省は、今まで懇談会で委員のいろいろ意見のありました点をくんで、お取り扱いをいただくということを含みとして、採択することに決定いたしたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
 次に、五百五十六号、沖縄周辺海域の航行、漁ろう禁止措置撤廃に関する請願。
 専門員から簡単に。
#53
○専門員(渡辺信雄君) 最初に説明させていただきます。
 沖縄周辺海域は、遠洋漁業のカツオ、マグロ、サバ等の絶好の漁場であり、また南方海域漁場への最短航路でもある。その上、本県、すなわち鹿児島県でございますが、水産業特に遠洋漁業は、李ライン、鳥島等海域の制限を受けて、経営上の不安を除去し得ない実情である。同海域の演習場設定は、漁民の経済上の立場から、また船舶、人命の安全確保の上からも大きな打撃であるから、これら海域の演習場撤廃を早急に交渉の上善処せられたい。こういう趣旨でございます。
 これにつきまして、ちょっと説明をさせていただきます。これは、前委員長のときに、やはり鹿児島県の業者の代表が来られまして、同じような趣旨を述べられまして、当時嘆願書はお手元に配付いたさせたのでございますが、なお、この問題につきましては、ちょうどこれが九月ごろでございましたが、外務省の方にもこの嘆願にまた行かれたらしいのでございます。それから、本院の農林水産委員会では、この問題を十一月十二日に取り上げて、種々論議を重ねられました。これには、水産庁の方と外務省のアジア局の担当官がおいでになりまして、詳細事情を述べられたのでございます。と申しますのは、ここにこう書いてございますが、実はこれが起こった動機は、私は業者からも聞きましたし、なお、農林水産委員会における政府側の説明にもよりますが、実は沖縄周辺には、相当な米国の演習場があったのだそうでございまして、これを業者の方は十数カ所と言っておられますが、水産庁の方は八カ所と言っておられます、とにかくあったのだそうでございます。これが起こりましたのは、実はことしの八月に那覇の海岸無線局の放送がございまして、それが動機となっているので、この地方はナイキの演習場になるというので、非常に漁民が不安を感じたことからしてこういう問題が発生したのでございまして、これは、外務省の方が当時受理をされ、なおそのときの水産の説明によれば、外務省もこの問題について米当局と交渉しておるらしいのでございますから、この点は、むしろ外務当局から御説明があってしかるべきと存じます。
#54
○森元治郎君 演習場は大てい補償があると思うのですが、その点どうなんですか。
#55
○専門員(渡辺信雄君) これは、実は千田さんなんかも、このときに、ほかの、九州だとか、四国などをあげられまして、同じように制限を受けておるので困るというので、政府の善処を求められておりましたが、今回は、特に問題がナイキの発射というようなことがございまして……。(「関連ないよ」と呼ぶ者あり)
#56
○説明員(三宅喜二郎君) その問題につきまして御説明さしていただきたいと思います。
 この沖縄周辺における演習場地域の設定につきまして、琉球側の放送の内容あるいは言葉が不適当であるために、不必要にわが方を刺激し、誤解を与えているというふうに思われるのでございます。米国の布告におきましては、永久的に沖縄周辺の海域を封鎖するのではない。それからまた、その地域の漁業や航行を禁止するのではない。米軍は、演習を行なうことあるべき地域、及び行なう場合に、何時から何時まで行なう予定であるということをあらかじめ予告しておるのであります。実際に演習を行なう場合には、あらためていつ幾日、あるいはいつ幾日からいつ幾日まで行なうということを告示する次第でございます。従いまして、その地域がいつも漁業ができないとか、禁止されているということではないのであります。なお、アメリカ側におきましては、そういう方法をとっておりますが、危険の防止及び日本側の漁業の損害をできるだけ少なくするために気をつけておるということを申しておりまするし、なお、日本側で必要があれば、その地域なり時期については、調整の話し合いに応ずる用意がある、こういうことを申しております。
 それから、国際法上のことでございますが、公海において漁業する自由があると同時に、また各国の公海において演習を行なう自由があり、そうして演習区域を設定する自由もある。他国の利益に妥当な考慮を払う限り、それは国際法違反でないということが、昨年の海洋に対する国際法会議におきましても、ほとんど大多数の意見であったわけであります。従いまして、二国以上の利益、漁業上の利益と演習の利益の衝突いたします場合には、調整するということは必要でありますし、また、そうするほかはないのであります。演習区域というものを撤回するということを要求することは、国際法のいろいろの立場からいいましても、また、沖縄をアメリカが軍事的に使用している以上は、公海上においても演習を行なう必要があるということから見まして、全部撤回してしまえ、演習を行なってはいけないということは、行き過ぎであるように思うのであります。
#57
○剱木亨弘君 外務省のおっしゃることは、ちょっとおかしいと思うのです。演習場の撤廃を交渉、私の方では漁業上困るからやめてくれという交渉をすることは、一つも差しつかえないので、法理論的に権利がないとか何とかいう問題じゃないのじゃないですか。これはできるのじゃないですか。
#58
○井上清一君 演習せぬでくれということは言えるだろう。
#59
○説明員(三宅喜二郎君) ここの場所は絶対困るのだ、あるいは、この時期は日本の漁業上から見て絶対困るから、そういう地域なり時期を調整してもらいたいということはいいのでございますが、この演習地域を全部撤廃しろということは、国際法から見ましても、また実際上の……
#60
○剱木亨弘君 要求するのでなしに、交渉するのはいいのじゃないですか。要求じゃない、交渉だから。ここは困るといえば、交渉に応じないかもしれないけれども……。
#61
○委員長(草葉隆圓君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#62
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
 ただいまの請願は、これを採択し、ただいま御懇談の中に出ておりました意味を含んで、政府で善処されることを条件にして採択したいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認めます。
 以上、今まで採択いたしました請願は、いずれも内閣に送付を百要するものと決定して御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認めます。
 それから、審査報告書につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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