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#1
第033回国会 予算委員会 第5号
昭和三十四年十一月九日(月曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 小川 半次君
   理事 上林山榮吉君 理事 北澤 直吉君
   理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君
   理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君
   理事 今澄  勇君 理事 田中織之進君
   理事 佐々木良作君
      青木  正君    稻葉  修君
      内海 安吉君    江崎 真澄君
      岡本  茂君    川崎 秀二君
      久野 忠治君    倉石 忠雄君
      小坂善太郎君    佐々木盛雄君
      椎熊 三郎君    田中伊三次君
      床次 徳二君    橋本 龍伍君
      保利  茂君    松浦周太郎君
      水田三喜男君    山崎  巖君
    早稻田柳右エ門君    淡谷 悠藏君
      伊藤よし子君    石村 英雄君
      岡  良一君    岡田 春夫君
      加藤 勘十君    北山 愛郎君
      黒田 寿男君    小松  幹君
      島上善五郎君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    館  俊三君
      成田 知巳君    鈴木  一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        法 務 大 臣 井野 碩哉君
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
        文 部 大 臣 松田竹千代君
        厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
        通商産業大臣  池田 勇人君
        運 輸 大 臣 楢橋  渡君
        郵 政 大 臣 植竹 春彦君
        労 働 大 臣 松野 頼三君
        建 設 大 臣 村上  勇君
        国 務 大 臣 赤城 宗徳君
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 松本 俊一君
        法制局長官   林  修三君
        国防会議事務局
        長       廣岡 謙二君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
十一月九日
 委員阿部五郎君、加藤勘十君及び河野密君辞任
 につき、その補欠として伊藤よし子君、館俊三
 君及び滝井義高君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員伊藤よし子君、滝井義高君及び館俊三君辞
 任につき、その補欠として阿部五郎君、河野密
 君及び加藤勘十君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)
 昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
     ――――◇―――――
#2
○小川委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同特別会計予算補正(特第1号)、同政府関係機関予算補正(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑を続行いたします。川崎秀二君。
#3
○川崎委員 私の質問は、災害対策と貿易の自由化をめぐって、これが二つの柱であります。
 まず総理大臣にお伺いをいたします。政治の大本は正しきにあり、そうして民の憂えに先んじて憂え、民の楽しむ後に楽しむ、いわゆる先憂後楽の精神というものは、単に水戸光圀公の故事にはとどまらぬのであります。常に為政者のもって手本とすべきかがみであると私は考えておるのでありますが、今回の伊勢湾台風の惨害は、台風直後にも事態の重大性を伝えまして、ああいう重大な異変は、最初の報道よりも二回目、三回目とだんだん深刻になるものが、実は一番惨苦が多くなるという予想もできるのでありますから、総理はあの報道を聞いたとき、率先民の憂えに先んじて憂え、これに対処せられる気がまえと対処策がなければならなかったのではないか、こう私は思うのです。そういう意味で、施政の心がまえと、台風突発時の感懐からまずお伺いしてみたいと思うのであります。
#4
○岸国務大臣 お話の通り、今回の伊勢湾台風の惨害につきましては、交通、通信そのものが非常な被害を受けておりましたために、われわれのところに参りました情報が二次、三次と、だんだん深刻な様相がはっきりいたして参ったのであります。当時の新聞等の報道につきましても、実は最初の報道におきましては非常に被害の状況等は明瞭でなかった。しかし、今回崎委員の御質問のように、かねてその他の台風の被害等も、一般に最初の報道以上に被害が出てくることは通例でありまして、今回もその意味において、風速あるいは台風の中心気圧等の関係から、私どもも、その及ぼしたところが非常に大きいことは直ちに予想ができたのであります。ただ、しかし名古屋、伊勢湾を中心として、今日なお水没しておる地域が広範にわたっておるというふうな非常に大きな高潮惨害があったことは、一両日たってから後にその情勢がわかった。そこで、政府としては、もちろん、直ちに中央に対策協議会を作り、また現地にもいち早く対策本部を設けましたようなことでございます。
 今回崎委員の御意見のように、政治の要諦は民に先んじて憂え、楽しみをあとにするという心がまえは常に持たなければならぬことでありますが、今回の災害に際しましては、そうい事情で、最初は情勢が十分にわからなかったという点はございますけれども、これに対して政府として措置すべきこと、また対策等につきましてはできるだけ迅速に、かつ政府をあげて当たるという心がまえで処したわけであります。
#5
○川崎(秀)委員 ただいま総理の御答弁でありましたが、今回の台風の被害をまず応急に救う、それから対策として原形復旧にあらずして改良復旧とする、さらには進んで、国土保全という見地から国家経済力の向上を期する、これが三段階に分けた今後のわが党の対策であるわけであります。それにはまず為政者の心がまえと構想が後々に与える影響というものを無視することはできない。かように考えまして、私は、このたび一体日本が過去百年間ぐらいの間に受けたるところの惨害というものと比較をして考えてみますと、今回の災害が戦後最大のものであったことはもちろんでありますが、明治近世以来の大災害のうち、まさに大正十二年の東京を中心とする関東大震災に次ぐ災害であったことは数字も示しております。もちろん、この関東の大地震というものは火災を伴い、密集人口の東京市、横浜市を襲いまして、その財力を一瞬に焦土と化したのでありますから、歴史の記録を調べてみると、民家の焼失、金銀財宝、重要文化財まで計算すると、当時の金で百一億ということが発表されておる。これを現在に換算すると十二、三兆にはなるでしょう。でありますから、これには比較にはなりません。しかし当時の衆議院の速記録の論戦を見てみると、実にわれわれは教えられるものがある。これは一度総理が衆議院の図書室から借りられて読まれたらいいと思うのですが、本会議、委員会を通じて損失の計算の論戦が一番先に中心になっておる。後の勝正憲逓信大臣、あなたの大先輩でありますが、この人が当時ニューヨークの財務官でありましたが、ニューヨーク・タイムスに、今度の地震の災害は十八億六千万円だと言った。これは百一億とうんと違うのですが、そういって、日本の富は当時九百八十八億円であったのでありますから、日本の富に比すれば百分の二%である。これは日本が惨害は受けたけれども国力は損耗しないのだということを言うために財務官が言った。それが国会において非常な問題になって、井上準之助大蔵大臣はさんざん油をしぼられておる。これをその十八億に比較すると、今度の災害は大体関東大地震の十五分の一という災害です。しかし、二十八年災害があったから、これが記録としては接近しておりますけれども、何としても人命の喪失あるいは民家がやられたということを勘定すると、関東大地震が第一で、第二は今回の台風で、第三はまずないという程度の集中被害である。してみれば、指導者の態度というものも大いに先人に学ぶべきではなかったか。関東大地震のときに、当時の天皇は、お身内の皇族を失われた関係もありましたでしょうが、一汁一菜を仰せ出された。また歌舞音曲三カ月停止ということも実施をされておる。総理大臣山本権兵衛伯は、組閣直後、皮きゃはんをつけて、東京市内の焦土を三日間も歩いている。また、これは当時の写真です。首相官邸が焼けたので、閣議を戸外に開いておる。こういう深刻なる状態が示されておって、それが八十才に近い老首相にしてかくのごときだったと私は記憶しております。今日皇室は政治に関係がないからお引き出しするのはまことに恐縮でありますが、さすがに民の上を思う仁慈の血筋というものは争えず、今回皇太子をしていち早く災害地におもむかしめたのは現天皇の御措置だと私は御推測しておる。それから、ここにオランダの水害のときに、これはその翌日です、ユリアナという現在の女王が水害地を見舞っておる。これは濁水にひざまでつかって現地を視察しておる状況がある。こういうことでありますが、なるほど首相は災害地を一週間後に見舞わられた後に、そつなく各方面の陳情に耳をかし、また対処策を練られておる。しかし、重大事に際会しての最高指導者として十分であったとは、私には思えない。皇太子とともに初の視察をする、あるいはヘリコプターが一つしかないから同乗される。陣頭に立つべき首相としては、私は、決して名誉な記録とは申しがたいと思っております。大体今回のことについては、内閣なども、被災地以外の国民の気持を引き締めるなら、まず外国高官との宴会以外は一切の宴会、パーティはある一定の期間遠慮するくらいの方針を打ち出してこそ、国民に与えた影響はもっと深刻であり、そして、復興政策にも筋金が入ったというふうに考えております。しかし、これだけで答弁を求めると、答弁と質問とが非常に鋭角的になり過ぎますから、これから対策の根本観念を聞いておきたいと思うのであります。
 第二は、根本観念である。ただいま仰せのごとく、応急処理というものはようやく進んでおりますが、愛知県の
 一部と桑名の付近はまだ水が引かない。三重県の桑名市でなくして、太平洋の桑名市か、あるいは伊勢湾の桑名市かという状況であります。まことに惨たんたるものである。そこで総理大臣も知っておられるように、外国で日本のニュースといえば、毎年夏には、台風がまたまた日本にダメージを与えたとか、あるいは死者は何人である、東京は幸いにして災厄を免かれた、こういうのが、外国で新聞を見ておると、大体のニュースです。そういうことは、台風日本というものが今や一つの世界の行事にまでなったような印象を受けておるので、この感覚を世界的に払拭するだけの対策を立てなければ、私は真の対策ではないと思う。総理大臣は、まずこの「台風日本」の汚名を返上する気概と長期の計画を災害対策を持たなければならぬと思うのですが、それには一番――私はきょう問題にしたい問題はあとで必ず出しますが、それにはときには重要な歳出項目と災害復旧費、あるいは治山治水費というものが衝突する場面がある。それを乗り越えても、あなたの内閣の一つの使命とされまして、党の要求するがごとく実施をされる気がまえがあるかどうか、この二点を承っておきたいと思うのであります。
#6
○岸国務大臣 御意見のように、年々歳々日本が台風に襲われまして、いわゆる日本が台風常襲国というふうな状況にあり、年々相当巨額の損害と、そうして多数の人命が失われておる。世界的に見ましても御指摘のように、日本としてはこういう問題に根本的に対処して、――もちろん日本の地理的な立場からそういう台風の襲来を受ける、これはまあ一面において台風そのものが非常な惨害を与えると同時に、日本の農業方面に及ぼしている好影響もあるのでありますから、われわれが科学的な、技術的な力を総動員して、その惨害を最小限度にとどめるようにしていかなければならぬと思います。この意味から根本的な対策、従来のようにただ応急的な、その場に応ずるだけの対策や、あるいはその地域における一応の復興ということを目ざしたような対策だけではなくして、根本的にやらなければならぬ。これは特に今回の災害にかんがみまして、従来特に欠けておった科学的な見地からの調査また施策というものもこれをあわせ行なおうということをきめておりますので、この根本的な対策につきましては、そういう意味から、総合的なまた科学的な見地から十分な検討をして、そうして治山治水、国土保全に関する根本策を通常国会に提案したいと思います。お話のようにそれが日本の財政規模の全体から見、他の予算の、財政上の支出との関連においてどう考えるかという問題に関しましては、私は通常国会におきましては、最優先的にこの治山治水、災害対策の根本的の問題はぜひ考えていきたい、こういう考えのもとに来たるべき総予算の編成にも当たる決意でございます。
#7
○川崎(秀)委員 「台風日本」の汚名を返上するくらいの長期的な計画で進まれるかということを一つ承っておきたい。
#8
○岸国務大臣 ぜひそうしたいと考えております。私が総合的、科学的な見地から十分検討して、根本対策を立てるということは、今回崎委員の質問の趣旨と同じようなことをぜひ立てなければいかぬ、こう思っております。
#9
○川崎(秀)委員 外務大臣にお伺いいたしますが、今回の災害に同情しまして、外国からの義援金がかなり寄せられているように思いまするし、感謝にたえませんが、最近の統計はどういうことになっていましょうか。資料を要求しておきましたのでお答えを願います。それから中共からも義援金があったように聞きましたけれども、いかがでありましょうか。
#10
○藤山国務大臣 今回外国から見舞状あるいは義援金等、多数いただいておりますが、政府が直接関係しておりますものの調べられるものは、天皇に対して見舞電がフィリピン大統領外十七件、見舞金がエチオピア皇帝の三千万円、それから総理大臣あての見舞状がインドネシア大統領外十八件、見舞金がローマ法王外五件、千六百七十二万円、それから外務大臣あて及び外務省に対しまして見舞電がセイロン首相外三十二件、見舞金がニュージーランド首相外九件で三千六百六十八万円、なお見舞品としてニュージーランド首相からドライ・ミルク五十トン、ほかに在京各国大使館等より食米、医薬品等六件ございます。その他日赤あてに対しましてハンブルグ首相外十六件見舞電、また米国赤十字社外十三件から千三百七十六万七千五百円の見舞金がございます。また在日米軍より医薬品、食糧、衣類、及び機械等、また航空機、船舶等の派遣を受けております。今申し上げましたのを総計いたしますと、見舞状が大体合計数八十三件、見舞金が九千七百十六万七千五百円であります。
 なおこのほかに民間団体に対してのいろいろな見舞金あるいは見舞状、見舞品等があろうと思いますけれども、それらについてはわかりかねるところでございます。なお国連総会におきましては、九月二十八日の本会議においてベラウンデ議長から深甚なるお見舞の言葉をいただいておりますので、松平代表からお礼の言葉を本会議場で申し述べております。
#11
○川崎(秀)委員 一億という金は、外国からでありますから、同情金としては非常に大きなものじゃないかと私は思うのですけれども、総理大臣の所信表明の中にも、きわめて通り一ぺんなあいさつでありましたけれども、今の外務大臣のお話で深甚なる謝意を表してもらったことはけっこうであります。震災当時でも、山本権兵衛総理大臣は、本会議でこういう演説をしておるのです。「世界各国ガ上下ヲ挙ゲテ我ガ国民ニ最モ深厚ナル同情ヲ表シ、慰問救血ニ尽サレタルハ、即チ人道的精神ト友誼ノ発露トシテ、我ガ国民ノ永ク紀念スベキ事柄デアリマシテ、私ハ本日茲ニ政府ヲ代表シテ各国ニ対スル感謝ノ念ヲ表明スルノ機会ヲ得マシタコトヲ、甚ダ欣幸ト致スノデアリマス、我が国民タルモノハ友邦ノ斯カル、同情ヲ深ク感銘スルト共ニ、国際間ノ共助共存ノ真義ヲ十分会得シテ、将来益益各国民間ノ友交関係ヲ進メ、世界恒久平和ノ確立ニ一層ノ力ヲ致サネバナラヌ」こういう感覚を軍人でも持っておるのですから、現代平和日本の首相には一そう多く持っていただきたいと思います。
 それから中共からも今回見舞金が寄せられた。ただいまの統計は外国官辺から日本の当路者が受けたものですから入っていませんですけれども、紅十字会であったか何か相当な金額の義援金が寄せられたことは、私は相当に重視してよいと思っておる。なぜならば、先ごろ中共に大洪水があった際、わが方はこれに対し贈るの贈らないのと言って、閣内でもだれか少壮閣僚がそういう発言をしたら、ひやかすような発言があったと、これは新聞記事でありますからわからぬけれども、とにかくうやむやになったことは事実です。こういうときにこそ私はヒューマーニズムはイデオロギーの差別を越えねばならない。中共は政治と経済を切り離せないと言って、そうして驚くべきことには政治的立場は一切優先で、スポーツでさえ参加しないというかたくなな心を持っておるにかかわらず、隣国が人命の大量犠牲という事態を見るに及んでは、政治を越えてこの同情があるわけだ。わが国は政治と経済が切り離せる、こう言っておるのですから、政治と災害というものはどういうものなのか。進んで見舞をし、義援金を贈るべきではなかったか。これは相当この内閣にとっては大きな反省になることではないかと私は思うのですが、総理大臣のお考えを伺っておきたい。
#12
○岸国務大臣 人道的立場から人類の福祉あるいはその繁栄のために協力するということはイデオロギーを越えてやらなければならぬ、また特に災害等のこの不幸に際して、これをお互いに慰め合い、またそういうことに際してこれを救恤するというようなことに協力すべきことは当然でございます。私どももその点に関してもちろん今お話がありましたが、閣議におきましてそういう発言があり、これをひやかしたというような事実はございません。その当時におきましてもこれのことについて適当な方法を一つ考えようということになったのでございます。これに対してはあるいはいろいろな御議論もございますが、中共側におけるこれに対しての意向は、外からそういう救恤を受けるということは受けたくないというような意思も、間接にわれわれがその当時確かめ得たところでありまして、そういうような事柄がからまって十分なことができなかったことは、大へん私ども遺憾に考えております。
#13
○川崎(秀)委員 ひやかしたことはないということは事実かもしれませんけれども、とにかく向こうの意見を打診してそしてよそから救恤を受けなくてもいいという、それはだれでもそうでしょう。これはやはり自発的なものでありますから、自発的に出したらよい。もうこれ以上は遺憾だと言われましたから申し上げませんが、将来のこととしてお考えを願いたいと思います。
 さて本論に入ります。災古対策の本質というものと軍事費の関係を論じてみたいと思うのですが、明治以来の日本の政治史と予算の推移を見てみますと、非常に興趣も深いけれども、まことに残念でならぬものがあります。明治以来治山治水というものに一番力を注いでおったのはやはり政党内閣の時代でありまして、岸総理大臣も尊敬しておられるが、原敬という人は、施政三年半の長きにわたるけれども、その間に鉄道、堤防、郵便局、港湾、その他いわゆる平和的建設のあらゆるものを大体大正の中期において行なっておる。それから数年後の超然内閣を経て加藤高明内閣に再び建設の大きな業績が残っておりますけれども、この二人の政党政治家が倒れた後は、いわゆる軍閥の台頭となって、昭和初頭以来の日本の予算は軍事偏重に押しつぶされておったことは、これはもう皆様の御存じの通りであります。終戦後もその余韻が残っておる。自衛の必要は私も大いに認めますけれども、これが過度となると再び往年の愚を繰り返さないとは言えない。
 ここに、明治五年以来過去三十年間の日本の軍事費と、目下問題の治山治水関係の予算調べというのがある。これは大蔵省の主計句が一週間前に私が要求しまして作ってくれた調査である。きょうは全委員の方に御参考に配付していただきたいと言ったら、それは私にだけ。個人依頼だからというので印刷が間に合わなかったということであって、はなはだ残念ですが、これを見ると抽象的な言葉を並べるよりも、数字は厳粛であり、冷たいが事実を教えておる。それはわずか二枚の印刷物ですけれども百ぺんの議論よりも雄弁に日本の政治の悪政をついておる。ある意味では日本の政治の犯罪史一覧表といってもよい。これをぜひ読んでもらいたい。
 試みに数字を拾ってみると、満州事変の勃発する直前昭和五年の総予算が十六億一千三百万円、軍事費が四億七千五百万円で、総予算に対して二九・四%、治山治水費は二千三百万円で一・四%。ところがこの時代はまだよかった。軍事費は支那事変が勃発してからウナギ登りに上がったことはこれはもう当然ですけれども、昭和十二年七一・七%、十三年七五・五%、大東亜戦争終結当時は十九年が八一・二%で、二十年が八一・七%という、「ほしがりません勝つまでは」ということか何か知らぬけれども、この数字は近代文明史始まって以来の世界最悪記録です。終戦当時の治山治水費は実に哀れにも〇・二%です。八一・七%に対して〇・二%というのですから、これは民衆圧迫の最高記録と言わなければならぬ。この記録を見ておると、ほんとうに過去の政治というものに対して涙しない者は私は人間ではないと思う。そのことの天罰が十五年目にやってきたと私は思っておる。もとより終戦後軍事費は日本軍が解体して激減しましたが、駐留米軍費で二十一年度が三二%をピークとして二十八年一二%になるまでにだんだん減ってきた。そしてその間にふえたものは社会保障費、文教費、これは内閣の政策がずっとこういうものに力を入れ、政党が民生安定に力を入れた現状ですけれども、なおかつ今指摘をしたいのは、軍事費は現在一〇・二%となってパーセンテージは減っておるが、予算額は減らないで、池田元大蔵大臣がおととしがんばって十五億くらい減らしたのが関の山だ。三十四年千五百三十六億六千五百万円となっておる。これに反して治山治水費は、終戦後はさすがに荒れ果てた国をわずかながら直すという意味で当事者が気を配って参りましたが、治山治水費も二十一年の〇・三%から次第に上って、現在は総予算の三・三%となっておる。この表には災害復旧費を含んでおりませんので、二十八年災害のときには治山治水費が三・六%と書いてありますが、私の考えではやはり災害復旧費を入れれば八%以上、二十九年も七%くらいにはなっておると思う。しかしこれはこういう数字を持続しなければならぬ。災害復旧はのど元過ぎれば熱さを忘れるというので二十八年、二十九年は上がったが、三十年、三十一年はまたずっと落ちておる。そうして三・三%、こういう姿勢では今後の国土保全ということはいけないということを私は申し上げたいのでありまして、原形復旧よりも改良復旧ということが目的である。それから首相のただいま確認していただいた台風日本を返上するという意気込みがあるならば、これは歳出予算について来年度は相当な大方針を立ててもらいたい。私は軍事費が過重であるということも指摘したいけれども、とにかく災害復旧についても、災害復旧というよりはむしろ国土保全ということに対する予算が戦前あまりにも哀れである。戦後もまた十分ではないということを御確認願って、一つ歳出項目で国民の要求するものでないものについてはわれわれはやはり大なたをふるうという覚悟がなければ今後の予算の編成というものはできないと思う。現に大蔵官僚は早くも軍事費の過重であるということを指摘しておる。大がいの場合、大蔵官僚といえば一般から憎まれておるけれども、こういう場合については私はやはり過去の数字から見て正論を吐きつつあると思っておる。これはそういう意味で総理大臣はどういうお考えであるか伺いたい。
#14
○岸国務大臣 台風のいわゆる治山治水、国土保全の対策につきましては、先ほど来お答え申し上げておるように、第一は今回の伊勢湾台風に対する復旧、これを完全にやるということであります。それには原形復旧だけではなしに、改良復旧、関連事業等をもって将来に備えていかなければならない。さらに日本全国にわたるところの国土保全、従来からも治山治水についての五カ年計画であるとか、あるいはいろいろな計画を関係閣僚において、あるいは調査会において研究したものがございます。この日本全国の国土保全に関する、いわゆる台風常襲国であるという汚名を返上するという心がまえでもって立てる根本策は相当の年限を要する、この間において他の予算の影響を受けてそれがいわゆるのど元通れば熱さを忘れる的なものであってはならぬと思います。十分に長期にわたる根本対策を立てて、そうしてこれに対しましてはもちろん財政の規模であるとか、いろいろな他の支出も考えなければなりませんけれども、十分優先して国土の保全について万全を期するような予算を編成したい、かように思っております。
#15
○川崎(秀)委員 そこで問題はまず歳出項目中の重要項目と競合することになるわけですが、私は何も軍事費だけを目のかたきにするわけではないけれども、赤城防衛長官に伺っておきます。明年度の防衛計画費というのは事務的には今日どのくらい要求しておるのですか。またおととい、はしなくもロッキード104C改良型二百機を購入するという方針がきまった。五カ年の年次計画で整備をするということも聞いておりますが、来年度はこれに対してどのくらいの経費を要求しておるのか。一台幾らでどれだけこの中に入るか、そのパーセンテージは防衛費全体に対してどのくらいになるのか、大体聞いておきたいと思う。
#16
○赤城国務大臣 お答えいたします。三十五年度の防衛費として概算要求いたしております額は一千六百九十八億であります。それから次期戦闘機種が決定して、四十年までに百八十機及び訓練機二十機を整備することになっております。来年度どのくらいの予算を要求しておるか、こういう御質問でございます。これは決定いたしませんでしたから一千六百九十八億の中には入っておりません。これから追加要求する予定でございます初年度といたしましては、私どもとしては三、四十億程度と思っております。しかしこれは財政上の都合もありますので、大蔵当局とよく検討した上で要求いたしたいと思っております。私どもの考えでは、まだ額の点においては違った額になろうかとも思っております。今まだ検討中であります。
#17
○川崎(秀)委員 私はこの軍事、ことに戦闘機が必要であるとかあるいはどうこうであるとかいうのは常談論しか持っておらぬ。またあまり深く興味を持ちません。将来の政治家はあまり軍手に興味を持つべきものではないということに腹をきめておるのであまり知らないけれども、この戦闘機を使用する目的はどこにあるのか。第一、戦闘機の目的には単に防空という抽象的な目的ではなく、戦闘爆撃機用であるとか、あるいはその地点で高度に飛翔して迎撃をするとか、あるいは長距離迎撃用だとか、あるいは全天候の迎撃用というような四つの目的があるそうです。そういう目的を全部完備するように作らせるのか。現に西ドイツあたりでやっておりますのはF―104を多目的にしたということですが、現在の防衛庁の方針はどうなんです。
#18
○赤城国務大臣 ただいまお話のように、日本の防衛機につきましても、国防会議の方針によりまして、国力、国情に応じてと、こういう方針が一つありますので、戦闘機につきましても今お話のように西ドイツでもそういうふうにいたしましたが、各機能を備えたような、すなわち多目的なもので優秀なものがほしい、こういうことで選定をいたしたような次第であります。
#19
○川崎(秀)委員 佐藤大蔵大臣に、予算編成のすでに第一段階を迎えたわけですからお伺いしておきたいのは、来年度は、今岸総理大臣が言われたように国土保全ということが一つの大きな目的であり、また自民党の政調会が、これとともに池田通産大臣等が言っておる、やはり産業の育成というものにも大きな力を入れなければならぬ。これが二つの柱だと自民党の政調会は打ち出そうとしておる。そういう線に沿うてやられるものであるか。それからもう一つは、防衛費の急増ということは絶対に避けなければならぬ。急増ではない、今の範囲内におさめるということを目標にした予算の立て方をするものであるか、大体のあなたの腹がまえというものをお聞きしておきたいと思うのであります。
#20
○佐藤国務大臣 来年度予算編成につきましてただいまいろいろ研究中でございます。そこで最近のお話など聞きまして、与党におきましても基本方針についていろいろ検討しておられる。また政府はもちろん、もうすでに各省からも要求数字をとりまとめておりますので、これの編成についていかに処理するか、十分検討しておる最中でございます。しこうしてただいま御指摘になりました国土保全、あるいは治山治水、災害対策、こういうような費目についての予算計上の気持、考え方でございますが、これは過日来この予算委員会にも、私どもの考え方を率直に御披露いたしておりますが、来年度予算編成のこれは大柱の一つである。これは私どもも、十分考えておる次第でございます。同時にただいま関連しての御意見でございます防衛費の問題でございますが、防衛費については、すでに第二次の第一期防衛計画、ただいま進行中でございますその残がございまして、その増備計画の残部、これを今回取り上げる。ただいまお話しになりました次期戦闘機の決定等は、この第一期防衛計画の整備内容の一部でございます。これらのものはできるだけ計画を変更することなしに遂行ができるならば、そういう方向で考えたい、かように実は考えております。しかし何にいたしましてもこれらの計画は全部、治山治水の計画にいたしましても、あるいは防衛計画にいたしましても、十分財政的にも実現性のある計画でなければならぬことは申すまでもないのでございます。そういう意味におきまして、私どもは政策の基幹として取り上げる事柄は、予算編成上にいかになる数字にこれを計上し得るか、さらに検討して参りたい、かように考えております。そこで防衛費が急増するということは今日の状況から申しましてまず考えられない。これはどういう数字になりますか、十分まだ検討しなければなりませんが、急増ということはまず考えられないことである、かように考えます。
#21
○川崎(秀)委員 増加は。
#22
○佐藤国務大臣 増加の点につきましては、一般の経済も拡大されることでございますし、民生も向上することでございます。その程度の問題がはたして防衛計画の上に取り入れ得るかどうか、そういう点を検討すべきだ、かように考えております。
#23
○川崎(秀)委員 こういう大災害があったあとでありますから、急増はもとより、増加ということに対しても大きく考えなければならない。むしろ国民が非常に要望しておるもの以外の経費というものは引き締めていくという方針で、来年度予算に私は当たっていただきたいと思うのです。もとより一部の論者の中には国防の努力というものは他とは比較にならぬほど重大である。あるいは風水の害は局地的で、侵略の害は根こそぎだから防衛費を優先せよなどと言う者がある。これは関係者はそうでしょうが、国民の雰囲気は違う。外側の情勢も非常に違う。現に今までの「力による平和」の情勢から抜け出そうという努力が払われておることは、世界各国の首脳者間において目ざましいものがある。現にアメリカは来年は七、八%軍事費を減らそう、ロシヤも事実数字の上では大きくはなっておらぬ。こういうときに、日本の防衛費がふえるということだけでも非常に危険でありますから……。ある自由主義政治家がこう言っておった。軍事費というものは、もう一回ふえたら翌年度からとめることはできない。とめようとすると当局や軍備論者が「国賊だ」という言葉を吐く。ここに非常な大きな問題があると言っておった。今日は日本の防衛当局というものは昔の陸海軍のような野放図でない。しかしやはり外にはこれを業としておる防衛兵器の業者がある。なかなか油断はならぬです。そこでわれわれはこの際軍事費と民生費あるいは治山治水費の関係は総理大臣に非常に考慮を払っていただきたいと思うのです。私は二十五年前に牧野良三先生が軍人の政治不関与という問題で、杉山陸軍大臣と渡り合っておった。そこでこれをこの予算委員会の部屋で当時学生であったが傍聴しておった。そして軍事費が多過ぎると非常に理論的に解明をされたけれども、これは単に予算委員会の議場における名論として葬られた。浜田国松さんでもあるいは齋藤隆夫氏でも、予算委員会の席上あるいは本会議の席上で軍事費が多過ぎる、これを押える者はないかということを大蔵当局に迫って、大蔵当局の中には藤井真信氏のように軍事費と渡り合った結果ついに命を縮めた大蔵大臣もあったけれども、日本の歴史を振り返ってみると、みんなこの軍費の膨脹を押えようと試みた惜しい人が命を落としておる。斎藤先生の粛軍演説のときでも、議場から出てきた議員はいずれも興奮して、その演説がほんとうだと勇敢さと正義をたたえておったけれども、一時間くらいすると軍の強硬申し入れ。政党の幹部に申し入れると、幹部は、すぐ頭を下げて、そして総務会は齋藤隆夫氏除名を一時間の後に決議した。われわれはそんな歴史はもう二度と起こるとは思わないけれども、ふやしていくといつの間にか第二の軍閥的なものができるし、防衛兵器産業者がこれをあおるような結果になるのだから、防衛費というものは何としてもとどめよう――ある程度のものは必要です。私は社会党とは違うから防衛の必要は存じておる。存じておるが、一〇%、二〇%だんだん上がっていくと、国を滅ぼすもとになる。現にここにあるシナの格言集の中には、相当戦争を謳歌したものもあるが、中には、小国と財力と軍備という関係で、こういうことを言っておるのがある。老子は第一に「兵は不祥の器にして、君子の器に非ず。己むを得ずして之を用う。」もう一つ、これは日本にとって一番いい言葉は、「兵は民の残なり。財用の蠹なり。小国の大蓄なり。」と書いてある。この通りなんです。ですからぜひともそういう意味で、明年度予算における国土保全ということを第一に貫いていただいて、赤城防衛庁長官、――私の親友であるが、これはえらいところへはまったものだ、あなたも。仕方がない。仕方がないから、あまりふやさないように村長さんらしくやっていただきたい、こういうふうに思うのです。
 次に建設大臣は今回の災害対策について、各国の例なども相当引いて対策を立てられたと思うのです。やはり最近における……。いないのですか、いないものはしようがない。
 そこで総理大臣にもう一点お伺いしたいのは、一歩進んで現在日本の沿岸地域というものが水位の高さから、あるいは高まりや、あるいは地盤の沈没、その他あらゆる影響からして非常に危険であると思う。現にこの予算委員会でも議論が出たのは、単に今回の伊勢湾台風だけでない。東京がやられたらどうするか。最も危険なのが大阪だ。田中伊三次君から科学的な根拠を交えて御質問があったことは御承知の通り。私はやはり中曽根大臣の言うように台風の目を上陸以前に撃砕する、彼の表現によれば撃砕というのですから、撃砕するのも一つの方針でしょう。しかしもう少し大きな構想に立って、たとえば臨海産業の開発委員会というものを作られたらどうか。というのは工業地帯、東京、横浜あるいは阪神、それから北九州、こういうところが危険な状態であるわけですから、これに伊勢湾を入れて四つの工業地帯を守る意味で恒久的な防災委員会的なものを組織して、専任の大臣を任命されるということがいいのではないかと思う。現に大震災の後の東京が復興した。今日もこの自動車がひしめく東京で、ようやく交通の核心を握っておるのは、あれは昭和通りというものを後藤新平さんが大ぶろしきでやったからだ。そういう構想がやはりこれから先の臨海工業地帯には必要なのではないか、こう私は思うのですが、そういうことに考慮をめぐらされてはいかがかと思いますが、御答弁を承りたい。
#24
○岸国務大臣 御指摘のように、今回の伊勢湾の台風の経験から見ますというと、日本における東京を中心としての東京湾、また大阪、神戸を中心としての大阪湾、さらに有明湾を中心としてのこれらの地域が、やはり台風に対して現在の状況においては十分でないということがいろいろの点から考えられております。しかも日本の地理的立場から申しますと、また国土の上からいって、臨海地にだんだん埋め立て等が行なわれて工業地帯を作るという傾向になっております。現在そうして東京湾、大阪、伊勢湾等が発展してきておるという実情から見まして、これに対する対策を根本的に立て、今回の経験を十分に生かしていかなければならぬということは広くいわれておることであり、政府としてもその点については十分留意して施策をきめていかなければならぬと思います。ただ、そのためにそれだけの意味で特別の省を作って、あるいは大臣を置いてどうするという問題につきましては、一般行政機構の問題とも関連をいたしますので、直ちにここでそういう機構を作ることについて私は意見を申し述べることは適当でないと思いますが、趣旨としては、そういう地域に対する計画を総合的に立てて、また総合的見地からこれが実施を遂行していくように考えなければならぬという御趣旨の点につきましては私は同感でございます。
#25
○川崎(秀)委員 建設大臣も一つ出席要求をしておいて下さい。
 大蔵大臣に伺います。これは菅野経済企画庁長官に申すべきでございますが、あなたが代理をされておるというので、この数字をぜひ出してくれということを事務官に申しておきましたので。実は今回の災害について最も大きな特徴的なことは、わが国産業界の新しいホープとして非常にポテンシャリティを持っておる、こういうことをいわれておる伊勢湾臨海工業地帯がたたかれた、これは人命を流失したことも大へんなことである、復旧対策も大へんですが、やはり日本経済の伸びるべき要素の一つの翼が一時的にもへし折られた、もっとも割合早く立ち直っておるところもあるそうですが、その点経済企画庁では、四日市、桑名、名古屋を中心とする石油工業の損失、それから繊維工業とか自動車工業の打撃は相当今まで出ておりますが、これがフルに回転したときの姿というものと、それから何カ月間か復旧に手間取っておるというようなことの損失というものは数字で出て予測してありませんか。――ちょっと前に言っておきましたが、なければあとにします。
 それから楢橋運輸大臣に伺っておきます。災害復旧について現地側で一番不可解に思っておりますことは、日本のかつては幹線の一つであった関西線の復旧の見込みが立たぬとはどういうことであるか。非常に不可解です。最初は十月の下旬と言ったのです。次には十一月下旬には開通だ、このごろでは十二月一ぱいどうだか怪しいのじゃないか。御承知のように、関西線というものは、昔は、相当の幹線であった。弾丸道路にしても、第二東海道線にしても、いずれかは関西線と並行した方がよかったのです。しかし、いかなる関係であるか、鈴鹿峠はトンネルが掘れないというようなことで、関ヶ原を通るようなことになったわけでありますけれども、いずれにしても、現在関西線へ行ってみると、まるで終戦直後のあの鉄道の状態ですな。私は十日前にこっちに来ておりますから、十日前から今までのことは知りません。しかし、約一カ月半というものは、一日に五本か六本しか通らぬ。まるで僻遠の地の交通と同じです。ダイヤがしょっちゅう変わるので、民衆も信用しない。ところが、通勤列車になるとわんさわんさと詰めかけて、窓から人が出入りしている。こんな状況をいつまでも放置しておいて――これが大阪と名古屋を結ぶ一番短い距離の線で、今までは急行も走り、準急行も走っておった。いつ回復するものかということを承りたいとともに、この方面では関西線の電化ということが非常に重要な問題になっておる。複線工事という問題も重要になっておりますが、この機会に、忘れられた幹線としての関西線の問題について、楢橋運輸大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#26
○楢橋国務大臣 今お尋ねの関西線の復旧の問題でありますが、現在の被害の状況を申し上げますと、関西線の不通個所は永和―弥富―長島の区間で、そのほとんどが線路に冠水しておるのであります。そのために、運転は名古屋方から永和の場内信号機まで、四日市方は長島構内まで折り返し運転を行なっておる次第であります。
 なお、長島構内下り線も不通で、長島構内は上り線のみ単線運転をやっておる次第であります。復旧開通の見込みでありますが、弥富―長島間の締め切り工事が、旧東海道の道路敷の木曽川と日光川にはさまれた部分に施工されるのが地元と自衛隊で各個所とも分担して盛んにやっておりますが、締め切り工事の完成は十一月十五日の見込みで、排水に約五日間を要しまして、鉄道の応急工事の着手は二十日ころとなり、開通は十一月二十七日ごろの見込みであります。
 なお、お尋ねの複線化の問題でありますが、関西本線の複線化につきましては、大阪方の奈良―王寺間を工費約二億四千万円で本年度から着工をいたしまして、来年度は完成の見込みであります。これができ上ると湊町と木津間四十八キロが複線となりまして、全線百七十五キロの約三割は複線化する予定になっておるのであります。
 なお、電化につきましては、第二期、すなわち、昭和三十七年度から五年間のこの期に電化の問題は組まれておるのでありまして、今御指摘のありました関西線の複線という問題、関西線は国鉄有数の赤字線でありますが、今申し上げましたように、奈良―王寺間十五キロが複線になりますと、木津から湊町までは複線となるのでありまして、残りの木津―名古屋間につきましては現在まだ具体的な計画は立っておりませんが、近い将来四日市は非常な発展が予想されますから、名古屋からの輸送力等の増強の計画を早急に検討したいと考えておる次第であります。
#27
○川崎(秀)委員 前々からお知らせしておいたので、十分な御答弁でけっこうであります。
 局地的な問題でありますけれども、やはり災害児出身の議員としてこれはお尋ねをいたしたいと思うのであります。今回の台風は各所に局部的な被害を与えておりますが、中には、常時雨の災害にあって苦しんでおりまして、それが今日建設省の河川政策の犠牲になっておるところもある。それは木津川の上流の長田川ですが、三重県の河川というものは大体伊勢湾に注いでいるのが例ですけれども、この名張川、長田川は合流して淀川に入っている関係で、淀川の治水政策のためにこの合流点が犠牲になっている。河床が上昇しておって、雨が降れば一時にはんらんするというようなところにもかかわらず、何も手をつけてくれない。これは、こういうことを言うよりも、手っとり早く言えば、伊賀上野の荒木又右衛門のあだ討ちで有名な鍵屋の辻のすぐそばであります。台風の翌朝、この鍵屋の辻が大洪水だというので、行って見ると、六百町歩ほど埋没しており、農家も数百軒床上浸水している。鍵屋の辻の記念碑だけ二、三尺ぽつんと頭を出しておるというような状態で、付近の住民に非常な影響を与えておるわけですけれども、この合流点の岩倉峡というものを開さくする気はないか。将来人命にも非常に影響をもたらしますので、直轄河川にする必要があると私は思う。
 もう一つ、隣の奈良県の分も聞いておきたいのですが、奈良児の五条、それから伊賀地方の名張、この二つは、川のはんらんと上流の汚水、それから泥土の攻撃で、泥水が町じゅう全部を埋めた。非常に珍しいケースです。桑名、四日市は全部水びたし。片方は泥の攻撃、自衛隊が四日目にかけつけてくれましてようやくこの泥を搬出しましたが、それまでの市あるいは公共団体の努力と経典というものは莫大なものである。そういうものをどういうふうに補償するのか、この二つを建設大臣から伺います。ほかは申しません。
#28
○村上国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘の場所は狭窄地帯がありまして、これを開さくすることが適当であるか、あるいはまた河川の堤防をかさ上げをしてかかる水害から免れることが適当であるかどうかという点につきましては、ただいま研究をいたしておるのでありますが、いずれにいたしましても、抜本的な対策をする必要があろうと思っております。従いまして、直轄河川にするかどうかにつきましては、直轄河川の申し込みが全国からたくさんありますので、それは十分検討した上でその方向をきめたいと思っております。なお、伊賀上野地区につきましては、ただいま工事中の輪中堤防工作が完成いたしますれば、荒木又右衛門の鍵屋の辻など、そういうところに水のつくおそれはない、こう思っております。
#29
○川崎(秀)委員 名張は。
#30
○村上国務大臣 名張につきましては、今調査費をつけて調査いたしておりますが、ダムサイトの適当なものがあれは――ダムの建設等もいわゆる砂防と多目的にこれを行なうことがよいか悪いかということにつきましては、調査費をつけて今調査いたしておる次第であります。
#31
○川崎(秀)委員 今回の災害は、災害対策委員会で根掘り葉掘りいろいろ各種の質問が多彩に行なわれておりますから、深くはお尋ねいたしません。ただ、どうも文化財の保護ということはあまり御発言がないようでありますけれども、愛知県でも三重県下でもかなり文化財はやられております。その中で一番大きな問題は、芭蕉さんのいろいろな記念物ですが、これは幸い伊賀上野の台地は無傷であったから何でもなかった。しかし鬼ヶ城とか、伊勢神宮の各建物だとか、こういうものがまるで損害を受けておって、天然記念物、重要文化財のうち重要なものがやられておる。これに対して文部省としてはどういう保護政策に出ておられるのか。
 このついでに文部大臣に聞いておきますが、今、来年度予算の編成を前にして、一番国民の関心をあおっておるのは、国立劇場が敷地だけ決定した後、どういう建物を建てようとするのかさっぱり案がきまらない。あれは第一劇場と第二劇場を並立して建てるという方針のもとに進んでいるのですから、やはり古典的な芸術も保存するとともに、世界に普及性のあるものをやる意味で、やはり二つ劇場が要ると思うのです。ところが文部当局は実に不用意にもあの辺が住宅地であるということを知らないで、東京都から押えられてしまった。三十メートル以上の建築物は許さぬということで今その方針が立たないというのは、はなはだ残念なことです。あれは文部大臣が政治力を発揮すれば例外は作れるはずです。東京都知事などはあなたが申し込めば、国家的なことですから条例に例外をつけてくれるだろうと私は思うですけれども、そういうことも進んでお世話をしていただくのが文部大臣の立場じゃないか。文化財保護委員長や協議会長は何しろ年寄りです。なかなかモーションがおそくてうまくいかぬですわ。どうかその点を一つ御答弁願いたいと思います。
#32
○松田国務大臣 文化財につきましても、相当各方面に、今次の風水害によって被害を見ております。三重県におけるこの関係でもお話のように亀山城史跡、白魚塚、天然記念物イヌナシ、アイナシ、名所赤目の滝、鬼ヶ城等きわめて重要なものが災害を受けております。お話のように、文化財のことにもお心をとめていただいて、これが復旧に力を尽せということでありまして、ゆめゆめこれをなおざりにしておるわけではございません。せっかくこれが復旧に対して意を用いて、応急を要するものに対しては予備費の支出をお願いして、これに対処する。また残余は明年度の予算にこれを適当に措置するということにいたしております。
 さらにまた川崎さんからだんだんと御心配になっておりますように、国立劇場の問題については、お話のように三宅坂の敷地は多くの人で決定を見たのでありまして、文部省の調査が疎漏であったというおしかりもあるかと思いますけれども、第一劇場、第二劇場を――あすこの敷地は狭隘に過ぎるので、四つを建てるということは難儀である。従って一応は第一劇場二つを建てる、その内容についても、これはまだ一時ほどやかましく言っておらぬ。私は直接国立劇場の委員の方々にもむろん会っておりますし、事務当局から報告も受けております。また熱心な芸術家の人々にもしばしば会っておりますけれども、この方面では必ずしも意見が完全に一致しておるというところへきておりません。これが私の認識であります。従って、こうしたものを建てるにあたって、莫大な費用を投じて建てて、そうして何だとあとでおしかりをまた受けるようなことがあってはならぬ。従ってもう少し的確に確実にこれが決定するに至るまで今待っておると言うたらまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、そういう事態であることは事実です。従って今度は二つの劇場を建てるということをもって、その設計等についての予算を要求しておる、こういう状態でございます。
#33
○川崎(秀)委員 文化財の話が出ましたので、私は総理大臣にお聞きしたいことがあります。これを私が質問するのはややおかしいのでけれども、尾崎行雄先生の記念会館が国会の前に建設をされておる。むしろ御説明申し上げつつ御答弁を願うわけですが、これは昭和三十二年五月十五日に衆議院の議院運営委員会の社会党と自民党両党の申し合わせによりまして、尾崎行雄記念会館を国会の敷地内に建設する。これは超党派の協力により財団を作って推進をする。それから完成後は財団から国会に寄付して、寄付された後は衆議院の予算をもって維持管理をする、その運営は衆議院と記念財団が協議して行なうということが申し合わされまして、目下工事は八割方進捗しておりますし、工費の六割五分は寄付金が集まっています。この点につきましては、岸総理にも多大の御協力をわずらわしております。この際感謝を申し上げるとともに、これは岸総理だけではない。社会党鈴木委員長にも、また社会クラブ西尾末廣先生あるいは各党の指導者や幹事長、議員諸君にも私からお礼を申さなければならぬ立場でありますので、決して片手落ちのごあいさつはいたしません。
 さて、私が聞こうとしておるのは、現在のことではない。これは寄付した後にどうなるか。それは国会に寄付した後は、政府あるいは、ものによりましては文部省予算にも関係してくると思うのですが、御承知のように、尾崎記念会館は議会政治を守った尾崎翁の高潔な人格と信念を顕彰する意味で建てられたものであります。名前こそ尾崎メモリアルでありますけれども、尾崎先生と同様憲政に尽くされた方々で、骨堂と交遊のあった方々の遺品や記念品を収集して、そうして来年は列国議員同盟の会議もあることですから、やはり堂々たるメモリアルにする必要があると思います。そういう保存の方法について首相と大蔵大臣に伺っておきたいと思う。
#34
○岸国務大臣 尾崎記念会館の建設については、川崎委員が非常な苦心をされ、努力をされておることに対して、私は敬意を表しますとともに、これが完成した後において、これが管理及び維持についてのお尋ねでございます。もちろんこれは各方面の人々の協力によってできたものであり、同時に日本の民主政治の一つの記念すべき殿堂であり、将来日本の民主主義政治の発達の上にわれわれはこれを十分に役立たしていくようにしなければならぬ、こう思っております。従ってまだ具体的に維持管理についてどういうように予算を立てていくか、あるいは維持管理についてどの機構がどう当たるかというようなことにつきまして、もう少し具体的に具体策を定めて、これに対する処置をきめるようにいたしたい、こう思っております。
#35
○佐藤国務大臣 ただいまの総理のお答えでいいかと思いますが、川崎さん先ほどお話しになりましたように、でき上がった後は、この法人が国に寄付するということになっておりますので、国は寄付を受けた後にいろいろの処置を考えるわけですが、大体伺っておりますところでは、この十一月に完成する。従いましてその後に国は寄付を受けて、来年度予算におきましては、御指摘になりました維持管理費等についての予算を計上しなければならない、かように実は予定をいたしております。もちろんその金額等につきましては、今後折衝を要する問題だと思いますが、その寄付を受けました後に、具体的にその点は編成するつもりであります。
#36
○川崎(秀)委員 これは来年の二月の二十五日に竣工式を行なう予定で衆議院の事務当局と折衝しておりますから、それもあわせて申し上げまして、すでにいろいろな要求を出しておりますので、十分に御検討いただきたいと思います。
 次に井野法務大臣――井野法務大臣といってもあんまりぴんとこないのですけれども、とにかく法務大臣にこれを伺いたいと思います。最近検察庁は悪質な選挙違反を追及しております。このごろ検察庁というものはまことに黒星続きであって、松川事件以来の各種の社会事件、また一連の選挙違反、上訴事件などもそうでしょう、みんな検察の大敗北である。これは証拠裁判になって、疑わしき者は罰せずの新しい時代の裁判によるのでありましょうけれども、検察の正義派側から見れば、石が流れて木の葉が沈むというような印象を持っておるだろうと思う。ことに権力者、大物は罪にならぬという暗黒時代のように思っておる者もないとは限らぬ。私は過去において検察の行き過ぎやあるいは人権じゅうりんというものをしばしば聞いてもおるし、また見てもおる。しかしことしの地方選挙、参議院選挙、こんな大っぴらな違反や事前運動が行われたということは日本の歴史にない。買収供応、旅行案内、利便提供、至らざるなきところの大醜悪なる選挙です。この前のような選挙が続いて行なわれれば、清潔な選挙、公明選挙を地で行く者はいつか敗北するでしょう。そこで検察も腹をきめて一罰百戒で今度の行動に出てきたと思う、検察の今回の動きは世論の支持を受けておる。そこで私は法相に選挙違反の摘発について厳格にこれを実施するつもりかどうか伺いたい。また捜査の費用などというものは十分ですか。どうも費用が十分でないと聞いておる。今話が出た尾崎行雄先生はあなたの大先輩、三重県の出身です。かりにもあなたは爪のあかを飲んで大いにやろうと思えば、三権分立、しこうして司法部の権威のために、裁判は別として、検察の動きをしっかり支持するかどうか、この点を伺っておきたいと思う。
#37
○井野国務大臣 私も法務大臣を拝命しました以上、不偏不党の精神で検察官を指導しております。選挙違反に対しましても厳正な態度をもって臨みたいと思っております。
#38
○川崎(秀)委員 捜査の費用は十分であるかどうか。
#39
○井野国務大臣 捜査の費用は今のところ検察庁には十分ございます。
#40
○川崎(秀)委員 同県のよしみをもってあまり追及もしません。
 さて私は問題になっております貿易と為替の自由化については、これは本格的に、最後の議論として、総理大臣それから大蔵大臣に、貿易自由化に対する基本的な構想、もっと突っ込んで、池田通産大臣がどんどん発表されておるのが果して閣内統一をして政府の方針として打ち出されておるか、こういう諸点を聞いておきたいと思うのであります。しょっちゅう大蔵、通産両大臣は打ち合わせされておることでありますから、先週の金曜日かに池田通産大臣が対米ドル地域の輸入制限十品目を明年上半期中に自由化したいと記者団に語ったことも大蔵省と打ち合わせ済みと思いますけれども、私は大蔵大臣から伺いたいのです。大蔵大臣は先般の本会議の席上、自分がIMF総会などへ行き、また今度のガット総会の調子を見ても、日本が貿易自由化についに踏み切るべきときであると言われておりますが、その基本的な構想というものは出ておらない。どういう手順でやっていくのか、この点をお伺いいたしたいと思います。総理大臣はけっこうです。大蔵大臣……。
#41
○佐藤国務大臣 為替貿易の自由化、これはただいま御意見にもありましたように、IMFやガットの基本的方針でもございます。従いまして、わが国におきましても長い間その方向でいろいろ準備を進めて参ったのであります。
 過去におきましてこの貿易為替の自由化をはばんでいた一番大きな原因は、申すまでもなく外貨保有が非常な不安の状況にあるということであったと思います。最近におきましては外貨準備も十二億五千万ドル以上になっておりますので、外貨、国際収支決済の面からの大きな自由化を阻害するような点はなくなったと思います。しかしなお今日この自由化をはばんでおります大きな原因は、従来とっております国内産業に対するいろいろの保護政策、これを一体今後どういうように処置していくか、あるいはまた国際関係における双務的な関係のものを、この自由化を採用した場合においていかに処理していくか等々の実は問題が残っておるわけであります。しこうして私どもがこの問題を取り上げました基本的なものは、IMFやガット等が指導しておりますと同じような実は考え方でありますし、ことに外国貿易に依存しなければならないわが国の経済といたしましては、特にこの貿易為替が自由化であることが日本の経済の本質から見ましても望ましいことである、実はかように考えております。そういう意味の準備が今日まで続けられて参りました。
 そこで岸内閣におきましては、これは数カ月前でございますが、ドル地域に対する制限をまず撤廃しよう、また引き続いて、原材料にとどまらず、一般製品についてもさらにこれを緩和していくというか自由化の方向へ持っていくというような実は準備をいたしておるわけであります。これが大体の基本的構想であります。
 先ほどの自由化をはばむ原因の中にもう一つ明確に申し上げておきたいことは、業界の過当競争の結果が非常に業界に混乱を引き起こすであろう、こういうことが予想される。そういう場合のものについて今までいろいろ制限や管理方式をとっておった。しかし今後の自由化という場合にはこの点をやはり考えのうちに置いて、先ほど申しますように第一は過当競争の問題であるとか、あるいは国内産業保護の見地からいかに処理していくか、あるいはまた各国間の双務的な立場をいかに調整するか、こういう三つの点が今後の自由化の方向として特に私どもが気をつけなければならない問題だ、かように考えております。
#42
○川崎(秀)委員 もちろん自由化についてはいざ具体的な問題になりますと、今まで大蔵大臣があげられたいわゆる自由化をはばんでおる隘路を打開しなければならぬという問題も非常にあるわけです。しかし問題はその方針のきめ方にあるのであって、自由化ということが大きく打ち出されて、そして明年の春までにはこういうものも逐次やっていくんだということを段階的にいえば通産大臣が言ったのも一つの案だと思う。そうすると日本経済のリーダーたちは有能ですから、だんだんそれに順応するようなことをやるだろう、これは木内君もあるいは堀江さんなどの意見もそういうような意見であって、もう自由化に踏み切るという大きな旗振りが必要だということは、私は今日の課題であると思うのです。もとよりこの自由化という問題が世界の大勢になったのは、昨年末の西欧における通貨の交換性回復ということが大きな契機になったと思うのですが、最近はイギリスが対米ドルの輸入制限をはずす。どういうものだか、日本に対してこれを適用しておらないので、村八分みたいな感じを受ける。だから先週の金曜日に池田通産大臣がああいう発表をされたのも、どうもアメリカの圧迫によったものだ、この圧迫はいい圧迫です。それは軍事費と違う。世界の大勢に順応させよう、日本経済は、もうほかの力をかりて、今までのような温室育ちであってはならぬ。むしろ一本立ちで、十分日本経済を駆使することができるんだということを悟らせるために、アメリカ国内の問題もあって、ああいう発言になったのだろうと思う。それを受けて立った池田通産大臣の先般の言明だと思うけれども、私はやっぱり大蔵大臣がその気持になってもらわなければ、なかなか自由化ということは急速には運ばない。そして、慎重にやれ慎重にやれということによって、むしろ非常な大きなマイナスがあるのではないかというふうに私は思うのです。保護は保護であります。必ず、自由化の結果中小企業が打撃を受けるとか、あるいはある産業、繊維産業などでは一時的な打撃もあるでしょう。しかしこのままで済ましておくと、欧州経済共同市場、あるいは南米の共同市場も先週の木曜日かに東京で発足しておるのです。そういうようなものに対して対抗することができなくなるのではないか、こういうふうに思うので、長い目で見て、一時の風雪を忍んでも自由化への道を急ぐことが、大局的には得策だ、こういうふうに思うのです。そこで為替管理という温室の中で日本産業を甘やかすことは得策ではなくして、産業の体質改善を待って為替の自由化をやるというのではなしに為替の自由化によって産業の体質改善を促進することの方が、今日の課題ではないか、そういう考え方に大蔵大臣は立っておるかどうかということを伺いたい。この点については池田通産大臣の御意見も承りたいと思います。
#43
○佐藤国務大臣 ことしの三月に内閣といたしましては、為替貿易の自由化の基本的な方針を決定いたしております。従いまして、大蔵省ももちろんその考え方でございます。先ほどこれをはばむ隘路を二、三点指摘いたしました。こういう点についての準備を完了すること、これが非常に大事なことだと思います。幸いにして川崎委員も私どもと同じように、為替貿易の自由化を強く御主張なさっていらっしゃるようでありますから、どうかこの上とも御鞭撻、御協力を賜わりたい。
#44
○池田国務大臣 私の自由貿易論はアメリカからとやこう言われたからではございません。私はもともと自由主義経済学をやって参りました。従いまして今から十年前に、私は統制経済をはずして国内に自由を完成いたしました。国内の生産力その他経済基盤が強化されましたから、もう待つわけにはいかないというので、自由貿易をやつておるのであります。もちろん最近におきましては、お話の通り、欧州の共同市場の点がありますし、またわが国の輸出が他の国よりも非常に飛躍的に伸びておる。しかも外貨もたまっておる、こういうふうな関係がありますので、非常に声が多くなりまして、むしろ村八分になる前に、私は準備しなければならぬと考えておるのであります。しかもまた、実際からいってできることであり、これが日本の経済を伸ばす今残された一番大きい道だと私は考えまして、自由化によって経済基盤を強化すると同時に、経済基盤は強化しつつ自由化に持っていく、この両面から考えたいと思います。
#45
○川崎(秀)委員 大蔵大臣はなかなかあいそうがよくて――今のはあいさつですな。答弁じゃないな。通産大臣も自信ばかり持っちゃって――もう少し具体的に明示して下さいよ。それじゃ具体的に聞きましょう。
 自由化の第一歩として、国際競争力のあるものから自由化にする。現在日本の輸入自由化率は三三%、西ヨーロッパではお互いには九〇%、他の地域に対しても六五%。対米ドル地域で六五%くらい、相互間では九九%出しておる。もうベネルックスなどは、関税もなければ何もないという状態にまできたわけですから、これに対抗していくためには、国際競争力のついたものからでも断行する。トランジスターあるいは扇風機というようなものの三十六品目、これが今問題になっておりますが、それをやりますか。
 それから第二点は、商社の為替持ち高集中制度、これをいち早く採用すべきだという意見が非常に高くなっておる。大蔵省ではどうか知らぬけれども、通産省の中では高くなっておると思う。この二点について伺いたい。
#46
○池田国務大臣 持ち高集中制度につきましては私は大いに賛成で、再三大蔵省に申し出ておるのであります。そのうち大蔵省でも実現してくれると考えております。またトランジスター・ラジオ、扇風機等につきましては、お話の通り相当競争力が強うございます。しかしこの問題は、今総じて貿易協定をやっておりますから、そういう関係がありまして今ここで直ちにこれをやめるというわけには申し上げられません。ただ今の問題としては、私は対米の差別待遇の問題、これを一番先に手をつけたいと思います。
#47
○川崎(秀)委員 対米ドル地域の自由化は。
#48
○池田国務大臣 それは今年内において少なくとも二品目、できれば、二三品目やりまして、来たるべき通常国会に準備をいたしまして、三十五年度できるだけ早くその他のものもやってしまう。そうして今後貿易協定をいたしますときに、特定の国と特定品目について貿易協定をいたしておりますが、その場合においては他の国に対してもある程度のグローバルで認めようとか、あるいは機械につきましても、最近も、六十五品目くらいでありますが、機械につきましてもまた相当拡大することを考えまして、できるだけ支障のないようにどしどしやっていきたいと考えております。
#49
○川崎(秀)委員 それから通産大臣に伺っておきますが、競合産業の問題です。これを実施をしていくと、たとえば石炭と重油の競合問題が、今日ああいう悲惨な石炭界の現況を示しておる。これが自由化が進めば従来の石炭危機というようなもの、また第二、第三の石炭危機が起こらないとは保証できない。たとえば石油化学の進出によってカーバイド・アセチレンと石油系のアセチレンの競合、あるいは醗酵化学と石油化学の競合とか、いわゆる既存の産業と新しい科学技術を採用した競合問題がどんどん出てきて、既存のものが圧倒される、それによって失業問題が出てくるわけですが、これは技術革新、産業構造の変化という形から見ると当然の姿で、優勝劣敗の世の中ですからやむを得ぬにしても、既存の産業には、これまで国家資金、民間資金を相当投入していますけれども、この問題を放置しておくと非常な社会不安を起すことになりますが、これらの競合産業、今一ぱい材料がありますけれども一々申しませんが、そういうことについてどうお考えなのか。
 さらに一緒に論じてしまいますけれども、こういうものに対する調整委員会というようなものを、財界方面あるいは一般が非常に希望しておりますが、独禁法の改正とか、あるいは輸出入取引法の改正とか、いろいろな問題を含めて、こういうことに対する調整委員会というようなものを作る考えはあなたにはないかということをお聞きしておきたいと思います。
#50
○池田国務大臣 競合産業の問題で一番大きく出ておるのは、今の石炭と重油でございますが、これにつきましては、石炭合理化法に基づきます石炭鉱業審議会に付議いたしまして、審議会の委員の中から十名ばかり選びまして、基本問題研究会として今週土曜日から発足して、重油と石炭の問題につきまして検討を加えていきたいと思います。また個々の産業で、たとえば石油化学と醗酵工業でアルコールが出てくる場合どうするかということにつきましては、せっかく大へんな金を出してやっておりますいわゆる醗酵工業に
 つきまして、それが立ち行かぬというようなことになってはいけませんので、これは通産省だけで調整を加えていきたいと思っております。いずれにいたしましても、お聞きになる問題は機械工業等でございまして、優秀な機械が向こうにある、しかしこっちには競争力がないという場合には、こっちの競争力を強めることが先か、経済全体として向こうの優秀な機械を入れることが先かという問題になってくるのでございますが、私の考えといたしましては、国内の産業保護をいたしますと同時に、やはり刺激としてある程度――事務当局では三%くらいと言っておりますが、ある程度の新しい機械を入れていくことが、全体として日本の経済の振興に役立つのじゃないかという考え方で進んでいきたいと思います。ある程度は入れていく、こういう考えでございます。
#51
○川崎(秀)委員 自由化の問題に関連して、一番心配な点は、先ほど私が指摘をしましたヨーロッパ共同市場の歩みが非常に堅実である、それからヨーロッパの繁栄を今日見ておるということ、それが単にヨーロッパだけの繁栄にとどまらず、彼らは余力をかって東南アジアあるいは中近東に安い商品を出してきてわが国と競争する、こういう可能性があるということは、現にイギリス、デンマーク、ノルウエー、スエーデン、オーストリア、スイス、ポルトガルの七カ国の専門家は、欧州貿易連合体を作り上げて、関税引き下げをやろうとしておる。明年七月には工業製品の関税を二〇%も引き下げて、次の十年間に関税は全部撤擁しようというところまでいっております。こうした共同化がヨーロッパの商品のコスト引き下げ、輸出競争力の強化となって現われることは事実でありますので、この形勢は私は決して油断はならぬと思っておるのであります。わが国は現在非常に景気がいい、輸出入の順調をうたっておりますが、ヨーロッパ向けの輸出は、本年度の目標だと三億五千五百万ドルということで、貿易全体に占める率は大したことはないが、中近東、東南アジアにヨーロッパ製品が進出してくる、もうすでに気配じゃなしに現実がある。そういうときに、このせり合いに対抗していくにはどうするか。通産大臣は東南アジア域内貿易圏の確立ということを、しばしばいろいろな経済会合で言われておるそうですが、それを一つ具体的に申していただきたいと思います。
#52
○池田国務大臣 御承知の通り、欧州共同市場はいち早くアフリカに対しまして、彼らの植民地と経済交通をやっております。従いまして従来東南アジア、中近東から入れておった原材料も、主としてアフリカでまかなうというふうな格好になっておるのであります。そういたしますと、さなきだに外貨不足の東南アジア、中近東は非常に困ります。われわれはこういう場合にあたって、われわれの力をできるだけ中近東の方に持っていって、彼らをして日本の物を買い得るように、日本と共同でいくような精神的また物理的の態勢を、この際整うべきだと私は考えておるのであります。
#53
○川崎(秀)委員 総理大臣に、ことし現われた世界政治、経済の大きな変化ということについてのお考えを最後にお聞きしておきたいと思います。
 これは少しく説明を要しますので申し上げたいと思うのですが、最近におけるヨーロッパの経済の飛躍を見てみますと、この二、三年の世界政治、経済の動向は著しく変化しておる。それは経済においては共同市場、政治においてはブロック主義、すなわちヨーロッパにおいてはヨーロッパ連邦、南米においては南米連邦というような、一つの大陸を中心とする結合的な動きが現われ始めた。第二次大戦が終わったときにウォルター・リップマンが早くもこれを指摘して、次の時代はブロック競争の時代で、それは経済的結合から始まると予測したのですが、これが現われてきたと思うのです。とにかくヨーロッパの病人だといわれておったフランスも、今日は経済がよくなってきている。これはやはり共同経済体のおかげだと思うし、自由化への踏み切りによるのであります。西ヨーロッパ諸国が近年とみに国内経済、対外収支ともに向上を見せているのは、もちろんマーシャル・プランを中心とするアメリカのヨーロッパ復興援助計画によるものだと思っておりますが、ことしに至ってアメリカの国際収支の赤字、インフレというものは、アメリカはやはり依然として世界経済のリーダーではあるけれども、世界の自由経済圏における地位というものは相当低下してきた。それがかなり政治にも大きな影響を与えていると私は見ている。そこに東西の融合というものをやってもいいのだという考え方が、マクミランあたりに現われてきて、とにかく最終的にはフルシチョフとアイクの会見になった。世界をながめてみると、自由主義国のヨーロッパは未曽有の繁栄である。共産圏は共産圏で、自由圏に比べれば貧窮ながら次第に安定をして、さらに向上する気配を見せている。共産圏もこれは過小評価してはならないと思うのです。ここに平和の風が吹かないわけがない。民生が安定してきている。三木武夫氏が最近帰ってきましたが、ドイツのアデナウアーに会ったときの話では、経済は共同市場でいく、しかしあの共同市場は自由主義ヨーロッパ連邦への足がかりなんだ、政治の方が先なんだと言って、指導者らしい見解を示している。私が総理大臣に伺いたいのは、雪解けであるとか雪解けでないとかいうことは別にして、各国の経済状態というものは、自由主義諸国も安定してきて、どんどん向上している、そして共産圏も安定してきているということは、私は第三次世界大戦というものは少なくとも遠のいた、それから緊張緩和の方向にあるのであって、決して緊張激化の方向にはないと思う。それからもう一つ大きく言えることは、第二次大戦後の世界の科学技術の進歩というものは、やはり原子力、電子力学を生み、ロケットを生んだ。さらにマス・コミュニケーションが絶えざる大波で世界をおおうている。ソビエト・ロシヤもスターリン時代には鉄のカーテンを引いておったけれども、これをはずした。はずした以上は、戦争を独裁者が吹っかけるということはなかなか不可能な時代に次第に陥りつつあるのではないか、そのときに、やはりこの平和の風に調子を合わせていくということが、政策の中心にならなければならぬのじゃないか、私はこうほんとうに思うのです。そういう意味で総理大臣の御見解を承っておきたい。それが最高の政策ではないか……。
#54
○岸国務大臣 私も本年七月から八月にかけてヨーロッパ諸国をたずね、指導者とも親しく会って意見の交換をしたのでありますが、今川崎委員から御指摘のありましたように、ヨーロッパ各国におけるところの経済も繁栄し、民生の状況も安定の方向に非常に著しく進んでいる。そして一方ヨーロッパ共同市場という考え方――私にもアデナウアー首相がはっきり、ヨーロッパ共同市場ということは、経済的な観点だけではなしに、むしろこれは政策的な、政治的な意義が非常に大きいのだということを、アデナウアー首相みずからも言っているように、従来歴史的にいって、仏独の関係というものは長い間非常に対立し、抗争してきておったにもかかわらず、経済的のみならず政治的にも最近非常に協力しているというこの立場というものは、これは自由主義国内においては、自由主義国の結束なり協力をかたくしようという傾向が非常に強く見られていると思います。これによっておのおのの繁栄と、またそれを基礎として話し合いによって世界の平和を作り上げようという努力が払われていると思うのであります。そしてその基礎には科学技術の発達ということも非常に大きな理由があり、また同時に経済が安定してきたということにも非常に大きな理由がある。また同町に原子兵器の発達により、いわゆる最終丘器としてのこの兵器のもたらすところの、もし一たびこれが用いられたならば、非常な人類の破滅的な結果を及ぼすということに対して、これを防止しなければならぬという考え方、こういうことがいろいろと動いて世界が話し合いの方向、話し合いによって、平和的手段によって物事を解決していくという方向に進む傾向にあることは、私も全然川崎委員と同じように考えております。ただ問題は、なかなか共産主義の理論的のものの考え方、人生観、世界観というものと、自由主義の考え方というものの根本がこれによって融和するとか、あるいはこれによって一方が他の方を完全に支配するというようなことではなくして、要するに話し合いによって両方とも共存の道を見出し、これによって共存的に繁栄していくという道を見出そうという方向に進んでおると思うのであります。私はこれらの世界的な傾向というものをすべての政策の基礎に置いて、そうしてわれわれが念願しておる世界の恒久的平和を作り上げるという上において、今後ともあらゆる面から努力をし、これらの態勢をますます助長していくように努めなければならぬ、かように思っております。
#55
○川崎(秀)委員 私の質問を終わりますが今年は災害のあった年であります。また明年度予算の編成を前にいたしまして非常に重大なときでありますので申し上げますけれども、やはり指導者の心がまえというものも政治の上に大きな影響のあるものと思います。昭和三十一年の六月でありましたか、鳩山元総理大臣が伊勢神宮へ参拝されまして、そうして、たしか在任中三度目のお参りをされたと思うのですけれども、鳩山さんは足が悪いものですから、宇治橋を渡らずに五十鈴川のほとりで長い黙祷をささげられておった。そのあとで新聞記者団に囲まれて、「あんなに長く何を祈ったか、政権の強化でも祈ったか」と聞かれたときに、「このたびは二つのお願いをしてきた、それはことしも豊作でありますように、災害のない年になりますようにと祈ってきた」と言っておられた。宰相としては、平和を願い、国土を保全するということはその任務でありますが、民の衣食住に不安なからしむるという素朴な、常に庶民の上を考えておるということはいい響きを持っておるので、岸総理大臣と私は、政治上はなはだ遠距離にございますけれども、これを総理大臣に申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#56
○小川委員長 外務大臣より発言を求められております。この際これを許します。藤山外務大臣。
#57
○藤山国務大臣 先般の委員会における岡田委員の御質問にありましたトラン・ヴァン・フーの国籍につきましては、調査の結果、人種的にはベトナム人でございます。また、当時二つの国籍を有していたということで、はっきりいたしております。なお北越承認の国につきましては、調べもできておりますので、御必要がありますれば、政府委員から答弁いたさせます。
#58
○小川委員長 岡田委員に申し上げます。あなたの持ち時間は、先週の御質疑ですでに時間が超過しており、理事会で協議の結果、本日は十五分となっておりますから、あらかじめ御承知願います。岡田春夫君。
#59
○岡田委員 私は実はこの前の質問に対して御答弁を願いたいことがたくさんあるわけでありますが、今委員長から十五分という話でありますので、きょうは主として藤山外務大臣の答弁のありました点だけを中心にいたしまして質問をやりたいと思います。しかしこの点についてもおそらく十五分の時間内ではやり得ないと思いますので、貸間の経過の中において私自身の態度を明らかにしたいと思います。
 ただいまの藤山外務大臣の答弁を伺っておりますと、人種としてはベトナム人である、そして二重国籍で二つの国籍を持っている、このように御答弁になったと思いますが、この点間違いございませんか。
#60
○藤山国務大臣 その通りでございます。
#61
○岡田委員 この点については外務大臣はどこからお調べになりましたか。
#62
○藤山国務大臣 フランス政府に照会をいたしましてきめたわけであります。
#63
○岡田委員 それではお伺いをいたしますが、トラン・ヴァン・フーという当時の総理大臣の出身地はどちらでございますか。ベトナムの地域の中にもトンキン、アンナン、コーチシナと三つの地域によってそれぞれの状況が違うのであります。その出身地はどちらか、お調べになった結果をお答え願いたい。
#64
○藤山国務大臣 事務当局より説明をいたさせます。
#65
○高橋(通)政府委員 出身地につきましてはまだ調査いたしておりません。
#66
○岡田委員 これは非常に重大な問題であります。トンキン、アンナンの場合とコーチシナの場合とは非常に違うのであります。ですからこの点について明らかにしていただかなければ、この国籍の問題も明らかになって参りません。この点はす調べをいただいた結果をもう一度御研究を願いたいと思いますが、どうされますか。
#67
○藤山国務大臣 われわれとしてはなかなかそういう問題につきまして一々出身地はどこだというところまで調べられませんけれども、できるだけのことは調べてみることにいたします。
#68
○岡田委員 外務省が非常に不勉強だということはこれで明らかになりました。どうしてかといえば、あなたはまだこれを御存じにならないでしょう。コーチシナというところとトンキン、アンナンというのは違うというのは、フランスがこのコーチシナあるいはトンキン、アンナンを支配しておりましたころには、トンキン、アンナンというのは保護国であります。ところがコーチシナの場合においてはこれは明らかに植民地であります。もしここで植民地の出身であるとするならば二重国籍ということは絶対にあり得ない。なぜならば、朝鮮の場合を皆さんお考えになったらおわかりになるじゃありませんか。台湾の場合でも。日本が現実に朝鮮を侵略して支配しておったときに、朝鮮の人が二重国籍であったということは絶対に言い得ないからであります。これはあなただっておわかりになるでしょう。ですからこの人がコーチシナの出身であるか、トンキン、アンナンの出身であるかによって、あなたの二重国籍であるという立証が、正しいか、ほんとうかということが明らかになるわけです。私が二重国籍ではなくてフランスの国籍であるということを明らかにしている点は、具体的な立証の根拠に立っている。あなたが二重国籍であるということをおっしゃるなら、いかなる立証の根拠にお立ちになっているのか、そのはっきりした挙証責任を明らかにしていただきたいと思います。
#69
○藤山国務大臣 政府委員より答弁いたさせます。
#70
○高橋(通)政府委員 これはフランス側に問い合わせた結果、そのような回答を得ておる次第でございます。また、二重国籍と申しますのは、サンフランシスコの条約当時、すなわち独立後そのような二重国籍の状態であった、こういうように考えております。
#71
○岡田委員 それではお伺いいたしますが、ステート・オブ・ベトナム、いわゆるベトナム国には国籍というものの法律的な根拠はございますか。これを伺いましょう。
#72
○高橋(通)政府委員 ベトナム国は、当時御承知の通り独立早々でございます。従いまして、まだベトナム国の国籍法というようなものが成立する間がなかった。すなわち一九五五年初めて正式の国籍法ができた次第でございます。
#73
○岡田委員 それでは藤山外務大臣にお伺いいたしますが、今高橋条約局長の答弁の通りにベトナム国としては国籍法がなかったとするならば、国籍はないということになりませんか。それでは二重の国籍ではないではありませんか。この点はどうなんですか。
#74
○藤山国務大臣 当時はむろん建国早々でありますから、いろいろな法制が整備いたしておらぬと思います。しかしながら、その後整備されまして、二重国籍を持っていることは事実でございます。
#75
○岡田委員 二重国籍とおっしゃるけれども、何によって国籍があるということをあなたは立証されるのですか。国籍法がないと言っているじゃありませんか。何によって国籍を立証しますか。
#76
○高橋(通)政府委員 補足させていただきます。
 国籍法がないと申しますのは、旧来の国家におけるような詳細な手続を伴った国籍法というものが成立していない、これは当然考えられることでございます。ただ、ベトナムが独立いたしましたから、その事実によりまして、生来のベトナム人はベトナムの国籍を持つに至った、このように考えております。
#77
○岡田委員 それでは了承ができません。というのは、これは藤山さんだってお考えになったらわかるでしょう。植民地の状態のときにおいて持っているのはフランスの国籍であります。フランスの植民地としての国籍、ちょうど朝鮮において日本の国籍を持っていると同じであります。ところが、これに対してあらためてベトナム国としての国籍を持つということになるならば、新たにこれに対する何らか法律的な裏づけがなければならない。これはベトナム国それ自体の立法的な措置によって、法律上の措置によっての国籍を持たなければならない。こういう点からいいましても、これは植民地のベトナム人というものとベトナム国籍というものは違うのであります。この点、あなたまだおわかりになりませんか。ベトナム国籍を持っているとおっしゃるが、その立証はあなたはまだしておられないじゃありませんか。国籍を持っていることの根拠を明らかにしていただきたい。
#78
○藤山国務大臣 どうも私には岡田さんの御意見がよくわかりませんから、政府委員から答弁いたさせます。
#79
○林(修)政府委員 ただいまのお話でございますが、どこの国でも、これは独立すれば、当然にその国としてはその国の本来のいわゆるネイティヴと申しますか、生国の者はその国の国籍と認めるのは、これは当然だと思います。国内法として国籍法というものが整備されるかいなかという問題は、それとは直接の関係はないと私は考えます。これは日本におきましても、御承知の通りに、明治時代になって国籍法ができております。その以前において日本の国民は日本人でないということはあり得ないことであります。
#80
○岡田委員 いよいよ三百代言始まりましたな。
 それではあなたに一つ伺いましょう。ベトナムの人種であって、外国におる人がベトナム国籍を持つ者――その当時においてベトナムの人種であって、そしてたとえば日本なりアメリカにおった人がベトナムの国籍を持つということになりますか、どうですか。
#81
○林(修)政府委員 いわゆる二重国籍問題につきましては、外国の国籍を、外国において住まっておりまして、外国で持っておる者について、その本国においてどう扱うかということは、いわゆる国際私法の方でいろいろの取り扱い方があるわけでございます。しかし、その国に住んでおりまして、その国の本来の生まれである者を、国が独立した場合において当然にその国人と認めるということは、これは従来どこの国でもその通りだと思います。国内法的に国籍法ができるか、できないかという問題とは無関係のことだと思います。
#82
○岡田委員 それでは藤山外務大臣、もう一度お伺いします。あと五分しかありませんから……。
 そこで、この人がどこの出身であるかということについては、あなたはお答えがなかった。この点については、お調べになって答弁をされることを願いたいと思いますが、いかがでございますか。
#83
○藤山国務大臣 その点につきましては、むろんわれわれとして御要求があれば調査をいたしますけれども、現状においてはわかっておりません。
#84
○岡田委員 いや、御要求があればといって、私は要求しているんじゃありませんか。これに対してお調べにならなければなりません。そうでなければ、賠償協定の審議は今後進められていかないことになりますので、御答弁を願いたいのであります。
 それから、ここであと四分しかありませんので、私はきょうは時間を守りますが、その他の非常にたくさんの問題は、私はこれは岸さんにもまた来てもらいますよ。外務委員会でどんどんやって参りますから、今から十分準備をしてもらわなくてはなりませんからね。ともかくあなたの方は、トラン・ヴァン・フーという人は二重国籍であるという意味のお話をなすったのですが、それではフランスの国籍を取得しておるということは事実でございますか、どうですか。
#85
○高橋(通)政府委員 その点は事実でございます。
#86
○岡田委員 これは事実であると答弁がありました。
 そこで、私は問題を展開して参ります具体的な足がかりとして、この前の委員会の質問において、明らかにステート・オブ・ベトナムというその国、少なくともサンフランシスコ条約において調印をした当時におけるこのバオダイ政権というものはかいらい政権であるということを、具体的な事例をあげて立証をいたしました。これは私は何も感じで言ったのではなくて、外務省の本で立証をいたしました。あなたの方はこれをかいらい政権であると認めておるのか、どうなんですか。この点について、外務大臣はっきりお答えを願いたいと思います。
#87
○藤山国務大臣 合法的にできております政府の首脳者がどういうふうな形において各国と親善関係を持っておるか、そういうことについては、特にそのこと自体がサンフランシスコ条約調印に影響を与えるものだとは思っておりません。
#88
○岡田委員 そんなことを私は質問しておりませんよ。バオダイ政権はその当時かいらい政権であったと私は思うが、あなたはどのようにお考えになるかということを聞いておる。それに対する御答弁を願いたい。
#89
○藤山国務大臣 私はかいらい政権だとは考えておりません。
#90
○岡田委員 かいらい政権でないとおっしゃるなら、その立証の明らかなる根拠をお答え願いたい。
#91
○藤山国務大臣 フランスとの間に協定ができまして成立した政府であります。その首班者でありますので、当然一国の十分な主権者として立っておるわけであります。その性格がかいらい政権であるかどうかというようなことは問題にならぬと思いますし、われわれもそういうことを認めてはおらないのであります。
#92
○岡田委員 私の発言の時間がなくなりましたので、このかいらい政権であるかないかは、いずれ外務委員会においてはっきりあなたの御意見を伺いますが、今度のトラン・ヴァン・フーという人が、たとえば二重国籍であるとしても――二重国籍だということは、私は政府の意見を了承いたしません。これについても、あとで外務委員会で明らかにいたしますが、トラン・ヴァン・フーという人がフランス人であり、しかもバオダイ政権からサンフランシスコ条約のベトナム国を代表するものとして委任状を受け取ったとしても、これはサンフランシスコ条約は無効であります。サンフランシスコ条約の調印によるところの賠償請求権は無効であります。なぜならば、バオダイ政権がかいらい政権である。かいらい政権がいかなる委任状を渡しましても、その委任状によって正当にベトナムの人民を代表することにはならないからであります。こういう点についてはいずれあとで、外務委員会で具体的に一つ一つ私は立証をいたしたいと思います。それ以外に電電公社の問題もまだ答弁ができないで、この前ふらふらしておりましたし、いろいろたくさんあります。それ以外に、岸さんも十分勉強してもらいたいと思うが、まだほかの問題もたくさんあるのであります。ですから、いずれ外務委員会には、岸総理大臣あるいは藤山外務大臣、その他関係大臣全部の御出席を願いまして、もっと徹底的に追及をいたします。岸さんは、これに対して十分な御答弁がなくて、今度の賠償協定が成立しない場合には、この前の私の質問の場合において、責任をとるとあなたはお話しになったのですから、その点ははっきり責任をとっていただくように、今から再度念を押して、私の発言をこれで終わっておきます。(拍手)
#93
○小川委員長 午後一時三十分より開会することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#94
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井手以誠君。
#95
○井手委員 本日は石炭問題について岸総理以下関係各大臣にお尋ねをいたしたいと思います。なおあとでILOの問題あるいは外交問題についても若干触れたいと思います。
 まず総理からお伺いをいたしますが、総理は本会議において、石炭問題についての積極的施策を推進して、通常国会に関係の法律案並びに予算案を提案したいということを言明されておるのであります。私もさように受け取っておりますが、非常に重要な問題でございますので、この根本的対策を必ず提案なさる御用意があるかどうか。この石炭問題は非常に事態が急迫をいたしております。四、五日前の福岡通産局の発表によりますと、四月から九月まで、九州の管内においても六十七の炭鉱が休廃山をいたしておるのであります。私の地元の町においても最近二つの山がつぶれました。この状態で推移して参りますると、相次いで炭鉱がつぶれていく、こういう状態でございますので、この根本的対策もすみやかに提案してもらいたい。通常国会の初頭でもお出しになる御意思があるかどうか、この点をお伺いいたします。
#96
○岸国務大臣 この臨時国会におきましても、石炭業界の離職者に対する援護についての緊急措置に関する法律案等を提案をいたしておりますが、かねて申し上げておる通り、石炭業というものに対する根本的の一つの対策、方策というものを決定して御審議を願う必要があります。従って、通常国会のなるべく早い時期に提案をいたしまして、御審議を願う、こういうことにしたいと思います。
#97
○井手委員 その根本的対策に対する総理の決意、心がまえについてお伺いいたしたいのであります。石炭鉱業を今日の事態に追い込んだのは、生産指導を誤まった政府と、設備の近代化、この努力を怠った経営者の責任がきわめて重大であると私は考えておるのであります。今日石炭の炭鉱の労働者は約二十八万といわれておりますけれども、これに職員、臨時工、請負夫などを加えますと三十五万、さらにこの輸送に従事する者、販売に従事する者、あるいは豆炭などの加工に従事する者、さらに炭鉱内における商工業者などを加えますると、石炭に依存して生活をいたしておりまする者は、大体三百万世帯から四百万世帯だといわれておるのであります。石炭鉱業の盛衰についての影響は、きわめて大きいのであります。しかも石炭鉱業における雇用量、これは御存じのように、機械工業に次いで非常に大きい。ここに例をとりますと、一億円の投資をいたした場合に、肥料や電力や石油においては大体三人から四人、ところが石炭鉱業においては五十数名という数字が出ておるのであります。その上に貴重な国内の資源であり、この石炭問題を解決するのには、大きな雇用問題を含めた国民経済全体の立場から私は解決していかねばならぬと思うのであります。御承知の通り、イギリス、フランス、西ドイツ、こういう資本主義の国においても、炭鉱の国有化あるいは鉱区の国有化には、イデオロギーを越えて断行いたしておるのでありまして、最近西ドイツが石油の輸入に二十マルクの税金をかけ、さらに三十マルクの消費税をかけるにあたっては、エアハルト大蔵大臣は、何よりもまずドイツの人々の職場を確保しなくてはならぬ、こう言って全国民に訴えておるのであります。従って今度の対策というものは、危機といわれるほどに――不況ではない、危機だといわれるほどにこの根本的対策というものは重大でございますので、従来のような場当たり的な対策ではなく、場合によっては石油界の大きな抵抗もあるでありましょう、いろいろな影響もあるでありましょうけれども、この国内の資源を守っていく、民族産業を保護していくという大きな立場から、私は勇断を持って実行してもらいたいと思う。これに対する総理の決意をまず承りたいのであります。
#98
○岸国務大臣 いわゆる石炭業の危機という問題は、単に一時的、場当り的な救済措置等において、いわゆる対策が、その実効を上げるものでないことは私どもも十分承知いたしております。しかして国内資源の問題、また雇用の問題、これが日本の経済上占めている重要性というものを十分に頭に置かなければならぬと思います。しかも、こういう危機を生じた原因の基礎には、エネルギーの総合的な対策を考えていかなければならぬという問題がございます。この産業経済の上からいって重大なエネルギーについての問題を総合的に考え、しかも今申すような国内資源の問題や、雇用の問題、日本の国民経済上における石炭鉱業というものの重要性を考えまして、私どもはこれに対処すべき根本的な方策を立てていき、そうして国会の御審議を経なければならぬと思います。いろいろな他のエネルギーとの関係もございますから、今御指摘のようにいろいろなほかの産業に及ぼす影響もございましょう。また石炭鉱業自身も根本的に建て直し、その体質を改善するということになれば、経営者の面におきましても、あるいは労働者の面におきましても、御協力を願わなければならぬことが少なくないと思います。いずれにいたしましても、政府としてはそういう意味の総合的、基本的な方策を立てて、これが体質改善と将来の石炭鉱業のあり方についての根本策をきめたい考えでおります。
#99
○井手委員 この機会に総理に念のためにお伺いしたいのでありますが、そういった国内資源優先、民族産業保護、雇用政策、外貨節約、こういう立場から政府は今後も炭主油従の方針を堅持なさるおつもりであるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
#100
○岸国務大臣 エネルギーの問題は、当該石炭業というエネルギーを供給する事業の立場と、これを利用する各種の産業との関係を考えなければならぬと思います。最近の科学技術の発達等の現状から申しましても、そういうことを考えて全国民経済の発展に資するように考えていかなければならぬと思います。しかしながら、石炭の問題は、今御指摘になりましたように、経済の上から、大事な外貨の点から、また雇用の面から非常に重要な意義を持っておりますから、私どもはエネルギー源としてはできるだけ石炭を主に考え、しかも油のエネルギーに対して経済性の劣らないような改善を加えていく、こういう見地に立って処していきたい、かように考えております。
#101
○井手委員 それでは端的に申しますると、よくいわれる炭主油従の方針でございますね。念を押しておきたいと思います。
#102
○岸国務大臣 私は今申したように石炭を中心に考えたい。ただ炭主油従という考え方が、石炭の非経済性をもそのままに認めて、そうして何でも石炭でなければいかぬというような考え方でなしに、私は石炭業というものを合理化して、それを基礎に炭主油従という方向に進んで参りたい、こう思っております。
#103
○井手委員 従来も炭主油従、今後も変わりないという御答弁であります。ところが最近のエネルギーの需要の実績によりますと、三十三年度は五年前の二十八年度に比べて、石炭はわずかに四・五%しかふえておりませんのに、石油は八三%の激増、すなわち二倍近いのであります。これは従来の炭主油従の方針と反するものである。それというのも、石油の外貨割当をふやしたり、あるいは関税の特例措置を続けた結果であると私は考えるのであります。こういった点に政府は反省すべき点が私はあると思うのですが、その点いかがでございますか、通産大臣にお聞きしたいと思います。
#104
○池田国務大臣 お話のごとく数年前から見ますと、石炭の伸びが非常に少なくて、重油並びに電力の伸びが非常に多いことは認めます。しかし、この傾向は日本ばかりでもございません。各国ともそういう状況に相なっておるので、今石炭問題につきまして、イギリス、ドイツ等、日本も同様でございますが、悩みがそこから出てきておるわけでございます。従って、われわれといたしましては、重油規制等いろいろなことをやっておりまするが、ずっと押し寄せてきまするエネルギー革命に対処いたしまして、この際根本的に石炭対策を考え直さなければならぬ時期が来たというので、せっかく調査、検討いたしておるのであります。
#105
○井手委員 それでは通産大臣にお伺いいたします。考え直す時期がきたという御答弁でございますが、従来政府が持っておりました長期エネルギー計画、それによりますと、二十八年度には、石炭は四八・八%、石油は一三・七%の比率であったのに対して、五十年度には石炭を七千二百万トン掘るといたしましても三四・四%、石油は四〇%、輸入エネルギーの依存度は実に四八%にも上っておるのであります。もしこれをその通り輸入するとすれば、外貨は二十億ドルを必要とする、外貨のことを考えてはおるでしょうけれども、四八%もの輸入エネルギーに依存するというこの長期エネルギー計画、これは私は再検討すべきではないかと思うのであります。この点についてはいかがでございますか。
#106
○池田国務大臣 昭和五十年度を今から想像いたしますとそういうことも起り得ますので、いわゆる外貨の点あるいは石炭の経済性をどの程度まで持たして、外貨がどの程度節約できるか等等を検討いたしておるのであります。
#107
○井手委員 具体的に申しますと、長期エネルギー計画というものはすでに再検討されておるわけでありますか、どうですか。
#108
○池田国務大臣 再検討いたしております、経済企画庁におきましても、また通産省におきましても。
#109
○井手委員 そこで総理にお伺いをいたしたいと思います。最近の国際石油資本がどういうふうに日本の経済に食い入っておるかについては、ここでは多くは申し上げません。ただ一言申し上げたいのは、アメリカを中心とする国際石油資本、これは日本の市場はまたとないいい市場であるというので、ダンピングの動きさえあるといわれておるのであります。しかし独立国のエネルギーが、国内資源すなわち石炭があるにもかかわらず、外国資本の支配を受けるという、こういうことは断じて許されないのであります。先刻通産大臣からは、欧州各国も石油がふえて非常に悩んでおるというお話がありましたけれども、しかし私は先般向こうの方も回って参りましたが、イギリスやフランス、西ドイツ、こういう資本主義の国であっても、石油の消費というものは国によって若干の開きはありますけれども、各国とも二〇%以内に押えておる、そして国内資源である石炭を七〇%、八〇%使用しておる、そういう計画を立てておるわけであります。そういうふうに欧州各国は自国中心のエネルギー政策を立てておる。先刻総理が言われたように炭主油従である、そうであるならば、私はだんだん石油の消費がふえてくる、五〇%近くになるという計画は根本的に改めて、西欧諸国がやっているように、せいぜい今の程度で押えるべきではないか、かように考えますが、総理の所見を承りたいのであります。
#110
○岸国務大臣 先ほども申し上げましたように、このエネルギー源の確保ということについては、やはり国内エネルギー源というものを第一に考えるということは、将来の安定した供給を確保するゆえんでもございます。また国際収支の上からも、また雇用の面からも、それが必要であることは先ほど申し上げた通りであります。従いまして、われわれがエネルギー対策を総合的に立てます場合におきましても、やはりその見地を基礎に置いて考える必要がある。ただエネルギー源というものは、私が申し上げるまでもなく、これを使って各種の産業経済が発展していく基礎でございますから、それの経済性というものがやはり重要になり、その経済性を無視してやるということになると、産業、経済全体が、ことに日本のように輸出産業を重要に考えなければならぬ国におきましては問題になるわけでございます。従いまして、国内資源に第一の重点を置くか、その国内資源を、他の海外資源に比して経済性において劣らないような合理化なりあるいはこれの生産性を高めるということをあわせ考える必要がある、かように考えます。
#111
○井手委員 そこで佐藤大蔵大臣にお伺いをいたします。それは関税定率法の問題であります。先日大蔵大臣は、参議院の本会議並びに記者会見において、関税の臨時特例の復活は当然考究せねばならぬ、軽減税率をやめて基本税率に戻すことになるかもしれない、こう述べられております。かねがね非常に大きな利益を上げておるといわれておる石油業界、二、三日前の新聞によりますると、上半期の決算においては、この石油業界は数量ブームに乗って実に前期に比して二五四%というずば抜けた驚異的な利益を上げておるのであります。かように考えて参りますと、今までいろいろ総理との間に質疑応答をいたしましたその経緯等にかんがみても、どこを考えても、もはやこの関税の臨時特例、重油に対する臨時特例を存続する必要はないと私は思うのであります。租税公平の原則から言っても、私はすみやかに基本税率に復活をしてもらいたい。これに対する佐藤大蔵大臣の確たる見解を一つ承りたいのであります。
#112
○佐藤国務大臣 ただいまお尋ねの中にもありましたように、私も今まで参議院の本会議を通じまして、大蔵当局と申しますか、私の所信の一端を披瀝しております。ただいまの御意見も十分拝聴いたしまして、この問題をさらに慎重に研究したい、かように考えております。
#113
○井手委員 もう慎重に研究する必要はないと私は思うのですが、これほど重大化して、石炭問題をどう扱うかというこういう重大なときに、研究の段階ではないと思う。いろいろな影響もあるでありましょうけれども、やはりこれほど重要な問題、今度の臨時国会においても石炭問題は大きな中心議題になっておる。そういうときでありますので、やはりこの機会に大臣の所信を披瀝してもらいたい。
#114
○佐藤国務大臣 エネルギー資源の問題――資源というか、エネルギーの問題は、これは私が申すまでもなく、産業各界に及ぼす影響が非常に甚大でございます。そういう意味におきまして、この扱い方は十分影響する面に対する検討を遂げた上で処置するのが当然でございます。御承知のように、重油関税に特例を設けました当時、これは価格も相当高いとかあるいは貨物運賃等も非常に割高だとか、こういう点がございました。しかし最近特にこれを保護しなければならないような情勢、ただいま申すような点はよほど変わって参りまして、重油の価格はだんだん下降の方向にありますし、また海上運賃等もただいまは非常に安くなっております。それらの事情も考え、各方面に影響をするところ等をも勘案いたしまして、そうして対策を立てるというのが私どものただいまの考え方でございます。ただいま石炭と重油と直ちに結びつけての御意見、これまた私どもが結論を出す上におきましての重要なポイントであります。この点をも考えまして、この問題と取り組んでいく考えでございます。
#115
○井手委員 大蔵大臣が基本価格に戻さなくちゃならぬかもしれぬという談話を発表された翌日の新聞に、石油業界はあげてこれに反対であるということを唱えておるのであります。もし今のような御答弁でありますと、佐藤大蔵大臣はまた石油界にやられたかなという印象を与えることを私は非常におそれるのであります。それで私はここで重ねてお伺いいたしますが、そういう政治的配慮をも加えて、あなたは基本価格に戻すお考えであるかどうか、そういう方向であるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
#116
○佐藤国務大臣 この問題は純経済的な問題でございます。そういう意味でこの問題を扱うつもりでございます。
#117
○井手委員 先刻総理は石炭の経済性についていろいろと強調されておりますが、もちろんその点が大事であります。石炭対策の中心をなすものは、何といっても炭価の引き下げ、これはどういう立場のものであろうと、やはり競合燃料との関係から炭価の引き下げについては考えなくてはならぬ問題であります。そこで私が通産大臣にお伺いしたいのは、今後のことをも含めて炭価をどのくらい下げたならば――もちろん関税の問題も、いろいろな問題もありましょうけれども、どれくらいトン当たり引き下げたならばいいのか、その点の見通しをお伺いしたいのであります。
#118
○池田国務大臣 なかなかむずかしい問題でございまして、石炭ばかりの問題じゃなく、競合しておるエネルギーがございます。御承知の通り今重油と石炭を比べますると、B、C重油は平均で一カロリー九十七銭ぐらいでございます。石炭は大体、ところによって違いまするが、山元では七十数銭でございますが、東京、中京になりますると八十七、八銭に相なっております。しかし重油のメリットを考えますと、やはり十五銭ぐらい下がほんとうだと思います。それならば今十五銭下げて競争力がついたときに、重油はどういう傾向になるかと申しますと、御承知の通りほとんど大部分は原油で入れまして、重油はふえたと申しましても、下期に、九十万キロリットルぐらいでございます。大部分原油から取っておるのが現状でございます。しかして原油から精製した場合におきまして、わが国におけるガソリンと重油との比較というものは、他の国とまるで逆になっておる。重油が高くてガソリンが非常に安くなっておる。もし原油に対して相当課税し、また重油に対しても課税した場合において、主として重油の供給は原油でございますから、原油から精製したガソリンの値をどうするか、重油の値をどうするかということによって、石炭をどれだけ下げるかということは変わってくるわけでございす。原油から精製された重油をガソリンとのかね合いで幾らの値段にするか、片一方の石炭はどうなるか、イタチごっこも起り得るものでございますから、私は課税の問題、石炭をどれくらい下げるかは十分慎重に検討しなければいかぬと思います。日本の石炭企業の問題として、今の四千八百万トンを維持する場合に、中小炭鉱を除きますが、大手十八社の今生産しております三千四、五百万トンをどれだけ下げるか、とにかく千円下げ、千五百円下げた場合には、どれだけの山がつぶれて、どれだけの山が残るか、こういう問題もございますので、重油、原油の課税ばかりとかあるいは石炭の値をどれだけ下げればいいかという結論はなかなか出にくい問題であるのであります。
#119
○井手委員 もちろん動く経済の問題でございますから、確たることは言えないと思う。しかしこの重要な石炭の根本対策を立てるには、一応の目安を置かねばならぬと思う。お話しのように、石炭協会では八百円、それでもなお通産省では低いではないかという。特に通産省というよりも通産大臣は低いというおしかりを協会にやっておるということを私は承っておるのであります。対策を立てる上の目安、それはどこに置いておりますか。
#120
○池田国務大臣 大手十八社の意見として私のところに参った案はございますが、私はこれに対して何ら批評を加えておりません。今検討中でございます。どれだけ下げられるかという問題は、どれだけ下げたら重油がどうなった場合の競争力ができるかという問題で、今数字的にお話し申し上げましたように、メリット関係からいえばカロリー当たり十五銭ぐらい下であるべきものだという結論は出ております。
#121
○井手委員 ただいまメリットの問題を含めて、価格の比較が行なわれたのでありますが、私は冒頭に総理に質問いたしましたように、目先の価格問題ばかりで解決すべき問題ではないと思うのであります。これほど重要な雇用の問題を含んでおりますならば、同じ企業内で整理された産業の人間を吸収するか、あるいは同一産業で吸収するか、その限度内でしか私は整理することができないと思うのであります。通産大臣は、もっと下げなくてはいけないとか、もっと整理しろということを盛んに言われておるように新聞は報道しております。私は政治の要諦として、首を切れなどということは通産大臣がお考えになるはずはないとは思っておりますけれども、通産相はどのようにお考えになっておりますか。その点をお伺いいたします。
#122
○池田国務大臣 石炭の合理化につきましては常に苦心をいたしておるのでございまするが、私は、もっと下げろとか、もっと首を切れとかいうことは一切申したことはございません。誤報でございます。
#123
○井手委員 それではさように受け取っておきます。以後一切そういうことはないものと私は信じておるのであります。
 そこで、さらにお尋ねを進めて参りますが、この重要な炭価の引き下げの問題について、人を減らさなくとも千円前後の引き下げということは可能であると私は考えておるのであります。やり得ると考えるのであります。それは通産大臣も、かねがね非常に勉強しておる、りっぱなものを作るためにせっかく勉強中であるというお言葉があったのでありまするし、またここに切り抜きを持って参っておりますが、ことしの七月三十日の新聞にも、石炭業再建に関する通産省の構想が詳しく報道されておるのであります。相当石炭再建に対する構想が固まっておると私は思いますので、どうすれば人を整理せずにやっていけるかということについての質問を続けたいと思うのであります。
 第一に、私は、生産の集約化、新しい炭鉱を興してやれば相当の引き下げができると思うのであります。結論から申しますれば、御存じでございましょうが、北海道における住友の赤平炭鉱、これは最近縦坑を掘っておるのでありますが、それが完成いたしますると、従来トン当たり三千九百円の生産費が三千円に下がるということは各方面で認められておるところであります。これ一つ例をとりましても、生産のやり方では、千円とまではいかないかもしれませんけれども、私はそれに近い引き下げができると考えるのであります。そこでこの点についてお伺いをいたしますが、まず第一に石炭の再建にとって、とらなくちゃならない問題は鉱区の整理統合、それから未開発炭田の開発だと思うのであります。今日わが国における石炭埋蔵量――二百数十億トンといわれておりまする埋蔵量のうち、確定炭量は六十数億トンといわれております。そのうち五〇%が三井、三菱、北炭で占められておる、独占をされておる。これは御承知の通りであります。ある炭鉱は、今の調子で掘っていって二百年、三百年の寿命を持っておるにもかかわらず、隣の鉱区は千人以上の従業員をかかえておりながら、もうあと二、三年で終鉱とする、全員解雇しなければならぬという状態のところが方々にあるのであります。私は、本日は鉱区のことについて多くは申し上げませんけれども、こういう鉱区の状態、大企業が独占をしておるという状態、しかもその鉱区が非常に乱脈である。ほんとうに石炭の生産を集約化していくとするならば、まずこの鉱区の整理から始めなくてはならぬと思う。先刻も私は西ドイツ、フランスの例を申し上げましたけれども、そういう国々でもすでにやっておる。この際思い切って石炭の集約化をやるならば、近代化を断行しようとするならば、鉱区の整理と休眠鉱区の開放をしなくてはならぬと思うのでありますが、これに対する通産大臣の御意見を承りたい。
#124
○池田国務大臣 休眠鉱区の定義がなかなかむずかしいのでございまして、君のところは二十年、三十年測れるところがあるからそれはやめてよそへ譲れということもなかなかむずかしいと思います。従いまして、石炭鉱業合理化法におきまして、未開発のところにつきましては、通産大臣はある程度の協議をさせ、決定ができますが、既存の鉱区につきまして、鉱床、鉱区の錯綜している場合は、鉱業法の八十九条の場合は別でございまするが、既存の鉱区、今掘っているところを整理統合するということはなかなか厄介な問題だと私は考えておるのであります。
#125
○井手委員 通産大臣のただいまのような態度では非常にむずかしい。石炭鉱業の再建ということは、そのくらいの決意では簡単にできないと思う。大体、鉱区というものは国民のものだと思う。ただ、明治の初めころに、地下資源の発見、開発という立場から先願主義をとられた。何も資本を投下していないけれども、鉱区を持っているという一枚の図面が今日貴重なものになっており、売買をされている。元来国民のものであるべき地下資源、それは通産大臣も御存じのように、志免炭鉱の一例でもおわかりになるでありましょう。総合開発をすればりっぱな炭鉱ができる。ところが、現在の実情ではそれがなかなかむずかしい。この際はやらなくてはならぬと私は思うのですが、鉱区の整理、これについて思い切って今度おやりになるお考えはございませんか。重ねてお伺いをいたします。
#126
○池田国務大臣 これは、直方、飯塚等遠賀川流域付近の炭鉱につきましては、総合的に調査いたしまして、そうして縦坑その他合理的に能率が上がるように見当がつけば、ある程度は相談の上考えられますけれども、全体に、あなたのおっしゃるように、日本の既得の鉱区を政府の力によりましてどちらへ譲れ、あちらへよこせというようなことは、私はただいまのところ考えておりません。
#127
○井手委員 総理もお聞きを願いたいと思うのですが、石炭は御承知の通り運搬業であります。地下資源を地上に運び出す運搬業。当初は優秀な炭鉱でありましても、だんだん掘るに従って坑道は長くなって参りますし、維持費はかかる、労務費もかさんでくる。従ってコスト高になるということは、これはもう申し上げるまでもないのであります。そういう炭鉱、戦時中のあの無理やりな開発、その後戦後における傾斜生産の開発、そういったあとに、炭鉱の経営者は、もうかったものはほかの産業に回すようにして、近代化を怠ったことは事実でありますが、そういうふうにして最近の生産費は非常に高くなっておりまするから、この際鉱区を必要なところに――私は全面的とは本日は申し上げませんけれども、必要なところには、そういう鉱区を整理して、そうして縦坑を掘る。そうすれば、先刻赤平の例を申し上げましたように、千円近くのコスト・ダウンによってこの危機を乗り切ることができると私は思うのでありますが、縦坑を中心とした新鉱用発について、通産大臣はどのようにお考えになっておるか。
#128
○池田国務大臣 未開発炭田といたしましては、政府の方でも相当力を入れて、北海道において釧路付近並びにもう一カ所、そうして常磐地方、九州の有明湾、これは相当の調査費を出してやっておるのでございます。従いましてあなたのおっしゃるように、未開発地区の炭田につきましては、政府も相当力こぶを入れられますが、既開発のところについて、この鉱区をこっちにしろというふうなことは、なかなか今のところ調査も不十分でございます。ただ私は例外といたしまして、遠賀川付近、すなわち直方あるいは飯塚方面の調査をして、お話のようにただ縦坑を掘って、そうして一つの山では成り立たぬようなところを合同させて縦坑を掘り、合理的な採炭ができないものかと実は調査費を要求いたしまして、遠賀川の点につきましてはやろうといたしております。
#129
○井手委員 通産大臣に重ねてお伺いをいたしますが、未開発炭田の開発、これについては私は特殊法人の会社を作るべきである。それに採掘権を与えて、大がかりの採掘をすべきであると思いますが、通産大臣はどういう構想でありますか。
#130
○池田国務大臣 国策会社を設けなくても、有明湾付近につきましては、鉱区を持っておる人が相当の意気込みで開発に手をつけております。また鉱区を持っていても、自分でやりにくい人は、その鉱区を他に売って、相当合理的な採炭を計画しておるようでございます。私はこの際未開発につきまして特殊法人を作ってやるということよりも、民間の人に、彼らの創意工夫でやらすことが適当だと考えております。
#131
○井手委員 こういう重大な石炭の根本対策について、鉱区権を持っておる者にやらせる、民間会社が採算本位であることは申し上げるまでもないのでありますが、国策としてやらねばならぬ問題を鉱業権者にやらせる、そういう態度だからなまぬるいと思うのです。しかし私は、その点については議論になりますのでこの程度で打ち切りますけれども、もっと大きな根本的な方策が必要だ、かように私は申し上げておきます。
 そこでこの石炭の生産については、やり方では相当の引き下げができるということをただいままで申し上げたのでありますが、次に石炭の根本対策として重要なことは、輸送販売の合理化、すなわち流通機構の合理化がきわめて重要であると考えておるのであります。御承知の通り、今日の石炭はいろいろな商社の手を経て、生産者から京浜、阪神の消費者に至るまでには何十という手を経ていっておるのであります。また規格もきわめて多いのであります。三千といわれておる規格をこの際整理をして、規格の統一、荷役の設備、計画輸送、あるいは石炭専用船、そういったものを含んだ輸送販売の一元化が私は絶対に必要であると考えております。通産省がさきに構想を発表されたものの中にもそういったものがあるようでありますが、その点に対する通産大臣のお考えを承りたいと思います。その前にもう一つ申し上げておきたいことは、大口の消費は東京において六千二百カロリーで六千円、七千円でありましょう。それは契約の内容によってあるいは契約の数量によって異なると思うのであります。しかし小口になりますと、山元では三千五百円前後で販売されたものが、東京に参りますと一万一千円で売られておる。三倍になっておる。これは小口ですから全部とは申しません。この輸送流通機構の合理化が生産の合理化とともにきわめて重要な問題である。この流通機構を合理化して参りますならば、トン当たり千円前後の引き下げができるかもしれない、あるいは五百円程度で終るかもしれませんが、やりようによりますけれども、この流通機構の合理化、一元化ということは非常に大事だと思いますが、これに対する通産大臣のお考えを承りたいのであります。
#132
○池田国務大臣 誤解があってはいけませんのでお断わりいたしておきますが、新聞に出ているとおっしゃる通産省の石炭根本対策というのは、私の案ではございません。通産省として発表いたしておりません。どうぞ御了承願います。
 それからお話の通り、流通機構の整備は炭価引き下げに非常に必要なことでございます。今のお話の六千二百カロリーで、山元すなわち九州におきましては四千百円でございますが、大阪へ持っていきますと千二百円上ります。東京へ持ってきますと千五百円余り上ってくる。その千二百円あるいは千五百円のうちの八〇%が輸送費でございます。従いまして炭価引き下げにつきまして、採炭の方面と同様にまたそれ以上に輸送費の合理化をはからなければならぬことは、われわれも非常に感じておるのでございます。その場合にはもちろん港湾の整備も必要でございましょう。また三千種類に上る各種の石炭、たとえば電力等につきましては、三つ四つの種類の分を混炭すればそれでいいわけなのでございますから、そういういわゆる混炭の制度、規格の統一、港湾の整備、輸送関係等々、よほど改善しなければならぬ点があると思っております。せっかくそれにつきましても検討を加えておるわけであります。
#133
○井手委員 通産大臣は通産大臣の発表ではないとおっしゃいますが、そういう構想があることは、これは事実です。そこで私はこれを根拠に申し上げるわけではございませんが、大臣は輸送、販売の一元化、あなたの方では一番考えやすい今の業者の共同販売組織、そういったことについてどのようにお考えになっておりますか。
#134
○池田国務大臣 私は、生産者もそうでございますが、消費者側が非常に数が多いのでございます。一元化ということよりも、いわゆる炭鉱業者の大手の方、これから先に手をつけていくことが効果的だと考えております。前の石炭公団のようなものは、私はただいま考えておりません。個々に石炭業者と消費者との間で長期契約を結ばし、運送につきましての合議をするということが必要だと思います。
#135
○井手委員 それでは共同販売組織という一元化あるいはそれに近い構想ではなくして、個々の取引を有利にやっていくというお考えですか。
#136
○池田国務大臣 大手と申しますか、電力関係者、ガス関係者あるいは鉄鋼等々、こういう大きいところがまず石炭業者と話をつけていく。これを先にやっていきたいと思っております。
#137
○井手委員 まず最初は大口をやる、次には小口でございますが、小口が先刻も言ったように三倍も値段が上がっているというこの事態、家庭生活に非常に重要な影響を及ぼす小口消費あるいは中小企業の問題、そういったものはどういうお考えでございますか。これはどうでもいいというお考えではないと思いますけれども、念のためにお伺いしておきます。
#138
○池田国務大臣 大手の方からだんだん行きますれば小さい方にも行くと思いますが、今の九州の山元の値段が三千円で東京が一万円というふうな例は、私聞いておりませんが、しかし手っとり早くできることからどんどんやっていくことがこの際の施策だと考えております。
#139
○井手委員 そういう程度では根本対策というものはなかなか期待できないようで、残念に思うのでありますが、この生産の合理化、販売の合理化、次いで私は石炭対策で重要なことは、需要をふやしていくこと、これもまた大事であると考えるのであります。従来の固体燃料から流体燃料に移っていく、この要請にこたえて、原料ではなくして製品を輸送する、そういう考え方、それに立って第一に考えられますことは、低品位炭を山元で発電して超高圧線で消費地に送るという、このことはすでにあなたの方でも相当研究をされておるようであります。各方面で山元発電を非常に期待をされている。石炭地帯においては非常な期待をかけておるのであります。私は先般チェコに参りましてユージョ炭鉱を視察いたしましたが、その炭鉱は非常に低品位である。露天掘りで六十メートルの炭層を持っておりますけれども、その炭鉱は大きな豆炭工場を持って、三千カロリーの低品位炭を四千五百カロリーに引き上げている。そしてその隣に設けておる火力発電で早速合理的に活用しておる。こういうことを私は見て参ったのであります。低品位炭を山元発電、これに対する構想がありますれば、この機会に承りたいのであります。
#140
○池田国務大臣 石炭の流体化でまず第一に上がってくることは山元発電でございます。常盤炭におきましてもやっておりますし、九州でも計画いたしております。しかし遠距離に送るということはなかなか厄介な問題でございまして、通産省で研究いたしましたところでも、福岡から阪神地区に送るのに、まあ三十八万ボルトくらいならば大体採算がつくんじゃないかというふうな研究ができておりますが、さあ三十八万ボルトの送電線が日本でできるかというと、ただいまのところではできません。こういう関係で、将来はそういう方向に向かっていくべきであるということは感じておりまして、検討を続けておるのであります。
#141
○井手委員 水力発電がだんだん進んで参りますと、経済効果から参りますとだんだん単価が上がってくることは御承知の通りです。私は、すでに今から建設される水力の一キロ当たりの単価は四円前後になろうかと思う。火力とほとんど変わらないようになる。そうなって参りますと、超高圧線のそういう問題はありましょうけれども、必ずしも山元ばかりで発電しなくてはならぬこととも限らぬわけであります。従って低品位炭の発電ということは、私は石炭鉱業を生かしていくという上からはもっと大きく考えなくちゃならぬことではなかろうかと思うのです。ただ山元から送るのに困難だということで中途半端にすべきものではないと思いますが、水力とのそういう関係、経済の問題をも合わせて、私はもっと大きく考えてもらいたいと思うが、通産大臣はどうお考えですか。
#142
○池田国務大臣 一時水力を主にして火力は従だといっておりましたが、このごろは火力が主でありまして、水力はどちらかといえばかえって従だというふうなことになりつつあるのでございます。従いまして低品位炭というのは、さなきだに輸送費がたくさんかかりますから、私は低品位炭の活用は、やはり山元でやるよりほかにはないと思います。そうして送電線を整備いたしましてよそへ送る。それで火力の方が非常に重きをなしてきた場合において、そこで問題が起こるのであります。重油の方が楽じゃないか、輸送費のかかる、また単価の高い石炭ではやりきれないというのが、電気関係業者の言い分であるのであります。そういう点を調整いたしますのには、先ほど来お話しの通り、できるだけ炭価を下げ、またそのもとをなす輸送費を軽減することに努めていかなければならぬと思います。
#143
○井手委員 需要の拡大で次に考えられますことは、完全ガス化ということです。山元で完全ガス化をはかって、消費地にパイプ・ラインを敷設して燃料ガス、あるいは合成燃料ガスを供給するという問題、これについて、この新聞によりますと、政府でも特殊の法人を作り、政府出資五億円、資金七十億円でやりたいということも出ておったのでございますが、これに対するお考えはいかがでございますか。
#144
○池田国務大臣 検討は続けておりますが、なかなか厄介な問題でございます。石炭の完全ガス化をいたしますには、やはり消費地が相当大消費地でないといけない。たとえば常磐炭を使って東京のガス源にするかということも、事務当局で検討しておるようでございますが、片っ方でLPGの問題もございますし、またガス管が一本だけではだめだろうとか、こうやってみますと、必ずしも採算が合うか合わぬか、今のところではまだ結論が出ておりません。われわれといたしましては、一般炭等をガス化するために、これが可能であるかどうか、いわゆるドイツの類似方式によるかどうか、見本を送って向こうで検討していただいておりますが、しかし少しぐらいの見本ではこういう大企業のしっかりした結論が出ないので、もっとたくさん送ってみるかということを、今相談している最中でございます。
#145
○井手委員 次に重油ボイラーの規制について伺いたいと思います。これも炭主油従の原則から、来年十月に期限の切れる重油ボイラーの規制法。私どもは先刻来いろいろ申し上げておりますように、石炭をもっとよけいに使わせる、それが必要だという立場から、電力用重油の使用をある程度規制すべきであるとも考えておりますが、この重油規制の強化について、通産大臣はどのようにお考えですか。
#146
○池田国務大臣 ただいまも相当の規制をいたしております。今後石炭問題につきまして一つの大きい問題でございますから、重油規制についてどういう結論を出すか検討中でございまして、ただいま結論を申し上げる段階に至っておりません。
#147
○井手委員 ただいままで通産大臣に、炭価を引き下げるいろいろな問題、生産、流通あるいは需要拡大についてのいろいろな問題をお伺いしたのでありますが、もちろんこの国会に提案されるものではありませんけれども、そのくらいの対策、お考えでは、私は危機といわれる石炭鉱業の重要な段階を乗り切ることは困難だと思う。従来の所有権を尊重していこう、そうしてあまり摩擦を起こさないように除々に改めていこうという、その程度の熱意ではとてもだめだと思う。岸総理大臣にお伺いいたします。この石炭鉱業再建の問題、これは九州、山口、常磐、北海道あるいは関係者にとっては、非常に注目しておるところであります。政府が一日もすみやかに根本政策を立てられることを熱願をしておる。今日までほかに、石炭の問題について質問した人はございません。この私の質問に対しても非常に関心を持っておる。そういうときに、ただいままでの通産大臣の御答弁は、あまり熱意がなさ過ぎると思う。今までお聞きでありましょうけれども、その程度で大丈夫だと総理はお考えですか。この程度の通産大臣の考え、通産省の考え方で、この石炭鉱業の再建ができるとお考えですか。
#148
○岸国務大臣 石炭につきましては、考え方自体としては、これに対して基本的な対策を立てなければならない。ただ、それを具体的にどういうふうに具現していくかということにつきましては、最近の技術の面も検討しなければなりませんし、また私は経済性という言葉で申しておりますが、今、井手委員の御質問のありました炭価の点、それには生産コストの引き下げ、さらに運搬、配給等の機構や、あるいはその途上における費用の節約、さらに消費の合理化、その増強というような点等の面々にわたって検討しなければならぬ。その検討はやはり技術的の面から、また経済的の面から十分に一つ検討をしていかなければならぬ問題であると思うのであります。先ほど来通産大臣が答弁をいたしておりますことも、私は、その途上におけるいろいろな点において主管省として現在真剣にこれに取り組んでおるものであって、決して熱意がない、あるいはその問題についての重要性に対する認識が欠けておるというようなことではないと思います。通産省におきましても、今申したような技術の点や経済的の点、各般の点を十分に考究して、石炭に対する根本的な対策を通常国会に提案するように立案を急がせるつもりであります。
#149
○井手委員 私は通産大臣に全然案がないとは申し上げませんけれども、その程度の熱意では、この重要な石炭鉱業の再建はむずかしいということを申し上げた。そういうことのために私は最初に総理に対して、この石炭合理化の再建案に対する心がまえ、決意を聞いたわけであります。今日までのような政策ではとても困難であるという立場から私は申し上げた。そうなって参りますると、今石炭協会がやっております七万人の整理、労働者は六万人、職員を加えて七万人、中小企業を加えますると十万人をこえるでありましょう。昭和二十四、五年には十万人、二十八、九年にはこれまた十万人、今度また十万人前後の労働者が失業してしまう。しかも従来二十万人を上った失業者の多くの人々が、なお停滞失業者として悲惨な生活にあえいでおる。私は今日の離職して困っておる人々の救済、これはもちろん当面大事な問題でありまするけれども、こういうことを続けさせてはいけないから、この機会に根本政策の一部でもお持ちであるならばお伺いしたいと思って、私は本日質問に立ったわけであります。
 そこで私は通産大臣に重ねてお伺いをいたしますが、もう予算編成の時期も迫っております。もう具体化せなくてはならぬせっぱ詰まった時期に私は来ておると思う。それで通産大臣はこの臨時国会中に、決定案ではありませんけれども、先刻総理大臣はできるだけ通常国会の初頭に具体案を提案したいという決意を述べられた。従って通産大臣は、この臨時国会の半ばに通産省としての石炭鉱業に対する根本方策の大綱でも発表なさるお考えがあるかどうか。私はその点を特に申し上げたいのは、全国から集まっております陳情団、市町村長その他は、今度は離職者対策、しかしこの次は政府は恒久対策を考えてくれるそうだから、そういう期待を持っておるのであります。上京しない人でもみんなそう期待しておる。通産大臣は臨時国会中に大綱でもお示しなさるお考えがおありになるかどうか、その点を私ははっきり承っておきたいと思う。
#150
○池田国務大臣 ただいま検討中でございまして、結論がいつ出るかということを申し上げる段階に至っておりません。なるべく早く結論を出したいと思っております。
#151
○井手委員 検討中でございますから、何月何日に結論が出るというわけには参りません。それは私もわかります。しかし、予算編成の時期というものは御存じでございましょう。総理大臣は、通常国会の劈頭にはなるべく提案したい、こういう決意を述べられた。そうでありますならば、三十五年度の予算に組まなくてはならぬ。あるいはそれに関する法律案も提案しなければならぬならば、この臨時国会中にはある程度の具体案ができてしかるべきであると私は思う。それを示さなくては、私は石炭鉱業に対する政府の熱意は認められないのであります。重ねてお伺いいたしますが、まだ時期はわからないとおっしゃるのですか。あれほどみんな困っておる、電気も切られ、水道は打ち切られた、住宅は追い立てられておる。十万程度のこの停滞失業者、それにまた十万人を加えられる。零細炭鉱はどんどんつぶれていっておるというこの急迫した時代に、少くともいつごろまでには具体案を発表したいという心がまえ、熱意があってしかるべきだと思う。重ねてお伺いいたします。
#152
○池田国務大臣 すでに職を離れておられる二万人余りの方につきましては、御審議願っておるあの措置で、私は十分ではないがやっていきたいと思います。お話しの七万人とか十万人ということでございますが、これはいつどういうふうにして出るのかわかりません。またどういう根拠でさような数字が出るのかわかりませんが、もともと石炭の合理化ということは、今の経済の建前からいけば、石炭業者並びにその関係の方々がまずお考えになるべきであると私は思います。しこうしてそこにおいて政府ができるだけこれに対しての、援助をいたしますが、政府が先に立って石炭をどうしろとか、一人当たりの出炭をどうしろとかいうわけのものではないのであります。業者の間で十分審議せられて、政府としてこれに金融的にどうあるか、輸送の面についてどういうふうな政府補助をしていくかということにつきましては、人後に落ちません。しかし、根本はやはり業者自体、関係者が十分相談されて、そうして政府がその間に立ってどうやるかということが根本の問題であると思うのであります。従いまして今出ておられる離職者に対しましては、御審議願っておるようなこと、またその後におきましての状況によりましてまた特別の措置を講ずることがあれば措置いたします。
 ただ重油規制法の問題等々につきまして、先ほどお話しの関税の問題、いろいろ複雑な点がございますので、そういう問題につきましては、他省との関係もありますので、できるだけ早い機会に結論を出したい。こういうことがほかの石炭企業の合理化と並行していくのでございます。何分にも大きい問題でございますので、企画庁の方としましてもエネルギー対策をやっておりますが、われわれの方といたしましても、石炭審議会の中に特別委員を設けまして、基本問題につきましての検討を始めようといたしておるのであります。
#153
○井手委員 私のほんとうに尋ねる趣旨についてのお答えがないようでありますが、いつごろ今お考えになっておる再建の根本策、具体案を発表なさるお考えであるか。何月何日とは私は申し上げません。私は相当余裕を持って申し上げておるはずであります。この臨時国会中か、あるいは十一月中か、予算編成が迫っておりますから、時期というものはおのずからきまってくると思うのであります。その点をお伺いいたします。
#154
○池田国務大臣 いついつまでにできるとは申し上げかねます。予算に関係がございますので、予算がきまりますときには一部の対策は出てくると思います。
#155
○井手委員 それでは通産大臣は、先刻もちょっと触れましたけれども、大臣並びに周囲の人々の関係から石炭には冷たいという一般の評判を受けておられるのであります。私はそれがどうも当たっておるような気がする。ただいままでの答弁によりますると、これほど大きい問題にもかかわらず、熱意がいささかも見られない、片鱗も見られないような気がする。
 そこで総理にお伺いいたします。先刻決意をお伺いしましたついでにお伺いいたしますが、その松本対策の大綱でも臨時国会中に発表なさるお考えはないのか。もう予算編成も迫っておりますから、一日も早く政府はこういう考えを持っておるということを――その点についてただいまの通産大臣の御答弁では、これは現地においては大へんなことになります。どうぞそれを緩和する意味においても、総理大臣から、いつごろまでには具体案を発表されるであろうという見通しを、この際お示し願いたいのであります。
#156
○岸国務大臣 この問題はきわめて重要な問題であり、また関係する方面も非常に多いのでございます。ただ単に思いつきの方策でもってこうやるという性格のものでないことは御承知の通りであります。私ども政府として、関係方面において、この重要性を持っておると同時に緊急性を持っておることも、井手君の御指摘ごもっともだと思います。従いまして、できるだけすみやかにこの対策についての大綱をきめるように各省を督励したいと思います。今、私自身が直接これに取り組んでおるわけでございませんから、それぞれの関係省におきまして一つ真剣に、できるだけ急速に立てるように督促をするつもりであります。決して通産大臣がこの問題について冷淡であるわけでもなければ、幾たびか閣議におきましてもわれわれこの問題を論議しておりますけれども、御承知の通り、及ぶところの影響が日本の経済全体に関する問題であります。施設もそういう意味において総合的に考えなければなりませんから、関係省において慎重に検討さしておりますが、同時に緊急性も頭に置いて対策を立てるようにいたしたいと思います。
#157
○井手委員 総理が通産大臣をかばわれる気持はわかりますが、やはり答弁というものは議会を通じて国民に示すものでありますので、十分注意してやってもらいたい。と同時に、私はもう一点念を押しておきたいのは、その根本対策――臨時国会中にははっきり発表することはわからない、しかし先刻お話のように、通常国会の劈頭には具体案を示したいというお話でございました。当初にそういう話でありました。その点は間違いはないと思いますが、その点だけ一つ念を押しておきます。
#158
○岸国務大臣 先ほども申し上げました通り、もちろん通常国会のなるべく早い機会に出したいというつもりであります。もちろんこれは予算にも関係ございますから、予算の編成のときにはその重要な大綱は決定しなければ予算が編成できないと思います。従ってその成案は通常国会の劈頭に近い機会に出すということを私は先ほど申し上げたのであります。この考え方は変っておらないということを重ねて申し上げておきます。
#159
○井手委員 この点は総理に対して希望を申し上げたいと思うのですが、大体現地がどういう状態であるか、御承知ではありましょうけれども、一つ、一週間でも回ってもらいたい。どういう生活をしておるか、どういう状態であるか、一つ見てもらいたい。熱海へいらっしゃったついででもけっこうですから、その点をぜひ私は心からお願い申し上げておきます。ついでと申しましたのは私の言葉の不足でありまして、そういう時期があるならば、そういう余裕があるならば、ぜひ現地に出向いてもらいたいことを強く希望をいたしておきます。
 次いで総理にお伺いいたしたいのでありますが、この筑豊炭田、一番炭が出ております筑豊炭田、これは老朽化したとは言われておりますが、埋蔵量の四分の一もまだ掘っていないのであります。深いところにはまだ炭がたくさんあると言われている。そういう深部石炭の開放あるいは開発、さらに先刻通産大臣から話がありました有明海の海底炭の開発、その他低品位炭の利用、最近問題になっております石炭化学工業、地下ガスの問題、汚水処理の問題、こういったせっかくの国内資源を活用する方途、これに対して、これは当座の問題ではありませんけれども、国内資源を活用するという意味においては、これは何とか努力をして成果をあげなくてはならぬ問題だと思っております。農業には農業試験場がある、あるいは工業には技術院もある、各方面にそういう総合的な研究所を持っておるのでありますから、一つ石炭のこういう重要な貴重な資源に対して、北九州あたりに国立の石炭総合研究所というようなものをお作りになるお考えはないのでありますか。この点を、これは総理から一つ御答弁いただきたいと思うのであります。
#160
○岸国務大臣 最近の科学技術の発達に伴いまして、石炭の利用につきましても、ただ単にエネルギー源としてだけではなしに、新たな化学工業の原料としてこれを用いるというような研究も相当進み、これが実際に企業化されるような方向にまできておるのでございます。石炭全体について従来、あるいは地質調査の面から、あるいは鉱害を予防し、十分に鉱物の採掘を経済的に可能ならしめるようなことに対してもそれぞれ研究が行なわれておると思います。今お話しの筑豊炭田の日本の重要石炭地区に総合の研究所を作ったらどうだという御意見でございますが、これはまだ実は私、そういうことを従来考えておりません。しかし石炭についていろいろな問題がこういうふうに重要化してきております際におきましては、さらに他の一般方策とともにあわせて検討をすることにいたしたいと思います。
#161
○井手委員 次に離職者対策についても承りたいのでありますが、これは別に法律案も出るでありましょうし、その機会に詳しい御審議もあると思いますので、私は時間の関係もありますので、この点については深くはお聞きしないことにいたしたいと思いますが、私は、この程度の対策では、とても困窮しております離職者を救うことは困難であると思っております。数字についてはいろいろな見方もあるでありましょう。しかし、私どもは現地におりますと、各市町村からの報告によりましても、今日十万以上の停滞失業者がおると思いますが、そういう人々はもう就職活動の気力も余裕もないと思う。そういう悲惨な状態であります。地方からの発表によって当面救済を要する者は二万数千人だといわれておりますけれども、それは最近離職をした一部の数であって、私は、ほんとうに救済しなくてはならぬ数は決してそんな少ない数字ではないと思う。せっかく働く意思と能力を持っておる者を、そういう悲惨な就職活動もできないような、気力もあるいは余裕もないような状態に追い込むというその状態、それに対して私は今日の離職者対策は非常に少ないと考えておりますが、この点については別の機会に譲るといたしまして、この機会にお伺いいたしたいのは、この離職者対策について、さすがに九州から出ておられます楢橋運輸大臣は非常に熱意を持っておられるようであります。この離職者に対して、鉄道の建設について大いに協力をしたいということが新聞にも報道せられておりますが、その腹案がありますならば、一つこの機会に承りたいと思います。
#162
○楢橋国務大臣 今いろいろお話がありました炭鉱離職老の悲惨な状況は、新聞あるいはラジオ、映画等においても紹介されて、非常に大きな問題になっておりますことは申し上げるまでもありませんので、炭鉱地区における国有鉄道の新線建設の工事にこれを吸収するという方法はないかということでいろいろと研究をしてみたのですが、在来失業対策事業といたしますのには緊急失業対策法第四条各号に示す条件のすべてに該当しなければなりませんのですが、鉄道建設工事は同法第四条の第一号及び第三号ないし第五号の事業に該当しがたいものがあるのであります。そこで同法第十二条による公共事業として行なう場合が考えられますが、この場合には法律を改正する必要があるとともに、工事に要した費用を国が負担する等の措置をいたしませんと十分な目的を達し得ない状態であります。井手さんも御存じのように、さきに油須原線で炭鉱労務者の失業対策の一環としてやりましたけれども、どうもそういう点の法の不備等の関係から十分な所期の目的を達することができなかったのであります。従いまして、新たに立法措置を滝じまして、国が工事費を負担するか、もしくは補助金を交付する等の措置を考慮して、日本国有鉄道の建設する新線のうちに特に定めのあるものを緊急失業対策事業の公共事業と同様にいたしまして、離職者救済の一端に備えたいということで研究をいたしておるのであります。以上のような措置をいたしまして新線建設にどの程度吸収し得るかということを申しますと、離職者を救済することのできる一般土木事業が全工事費中に占める割合は、現在国鉄で行なっております建設線のうち数線の実績から算定いたしてみますると、五五%となっております。またこれらの一般土木工事のうち労務費の占める割合は三五%となっております。そういう点から考えますと、労務者総数のうちに無技能者の割合は二〇%、右技能者の割合は八〇%となっております。従いまして、建設工事費一億円について離職者を救済し得る人数は延べ約一万人となっておるのであります。私は、ただいま中座いたしまして、鉄道建設審議会に出て参りましたが、ちょうど今決議を受けまして、これは岸総理大臣、佐藤大蔵大臣、池田通産大臣、私と、松野労働大臣、経済企画庁長官菅野大臣あてに石井会長から今決議文をもらったので、各大臣のお手元にはまだついていませんが、この機会にその決議文の内容を御披露申し上げたいと思うのであります。「鉄道敷設法第四条第三項に基く炭鉱地区における鉄道新線建設に関する建議 鉄道建設審議会の決議に基き左のとおり建議する。現下の石炭鉱業合理化に伴う企業整備の進展により増大する離職者の救済はわが国当面の緊急の問題である。よって政府はこれが救済の一環として炭鉱離職者が多数発生する地域において、日本国有鉄道が行う新線建設工事にこれらの離職者を吸収し得るよう、関係法令の整備及び予算措置により、工事に要する費用を国が負担してこれらの地区における鉄道新線建設を行わしめ、炭鉱離職者の救済に寄与するよう要望する。という決議を実は受けて参ったような次第であります。
#163
○井手委員 ただいま新線建設における炭鉱離職者の吸収方策についてのお答えをいただいたのであります。一億円の工費について延べ一万人の吸収、総計どのくらいとお考えになっておりますか、一億円だけの工事ではないと思いますが。
#164
○楢橋国務大臣 油須原線の炭鉱の失業者の吸収の現況を申し上げますと、油須原線の一工区の本年一月から九月までの実績を見ますると、工事費が六千八百万円の決算額に対しまして炭鉱失業者延べ二千八百四十八人を使用しております。従いまして離職者吸収の割合は工事費の一億円当たり約四千人になるわけでありますが、これらを公共事業費として公的措置が講じられていないために完全な吸収ができなかったということを先ほど申し上げたのであります。
 炭鉱失業者の吸収の来年度の見通しでありますが、現在炭鉱地帯において着工中の建設線については、九州では油須原線、北海道では白糠線があります。来年度のこれらの建設線の工事費が今年度とほぼ同額程度であり、新たに立法措置が講じられて工事費が一億円当たり延べ一万人という今言ったような吸収ができるのでありますが、油須原線は、年間工事費約三億二千万円に対しまして吸収し得る人数は年間延べ三万二千人、白糠線は、年間工事費約四億五千万品に対しまして吸収し得る人数は年間延べ四が五千人となっております。
#165
○井手委員 炭鉱地帯における離職者の吸収は、もし法作の改正ができれば七万人以上の吸収があるというただいまの御説明があった。労働大臣もお聞きのことと思いますが、せっかくそういういい方法もあるのであります。これに対して労働大臣も協力する意味で法律の改正をなさる必要があると思うのであります。労働大臣のお考えを承りたい。
#166
○松野国務大臣 先般の閣議で運輸大臣からのせっかくの御発言もございまして、ただいま両事務当局で、法律改正をするならどういうところをする、か、しなければどういう方法でやれるかということを検討中でありまして、ことにただいま御発表の審議会からの発言はただいま初めて私も聞いただけで、私の方も前もって閣議での御発言もありましたので、検討はしておりますが、まだ結論は出ておりません。
#167
○井手委員 結論は出ていないでしょうけれども、せっかくのそういういい就職先でございますので、これに対して協力するためにそういう改正をなさるお考えであるかどうか承っておきます。
#168
○松野国務大臣 吸収ができるように措置いたしたい。これを法律改正でやるか、どういうことでやるか、これはただいま検討中でありますが、吸収ができるように検討をいたす、こういうわけでございます。
#169
○井手委員 この機会に労働大臣にお伺いをいたしますが、今回の離職者対策でどのくらい吸収されるお見込みでありますか。簡単に要項別に実人員をお示し願いたいと思います。
#170
○松野国務大臣 九月で、補正予算で合わせまして今回の一般会計の七億二千三百万、これに遠賀川の調査費が入りまして七億二千八百万、このほかに訓練所が二億円、石炭鉱業からの三億円、こういうものを合わせまして約二万一千数百人と計算しております。この内容は、この前の予備金で約八千人、今回のが約一万三千人でございます。一万三千人の内訳は、援護会関係が約四千人、緊急就労四億円の一般会計、これが約五千五百人、このほかに広域職業紹介の強化、これも予算の中に入っておりますが、これが千七百人、このほかに公共事業の吸収強化、これが千五百人、合わせまして一万三千人、このほかに予備金で出しましたものが約八千人、合わせまして二万一千人が来年の三月までに吸収できるという予算の消化でございます。
#171
○井手委員 私は、その程度の予算措置ではきわめて不十分であると存じますが、その詳細については、本日は総括質問でありますので、別の機会に譲りたいと思います。以上で私は石炭問題についての質問を終わるわけでありますが、先刻来何回も申し上げましたように、エネルギー革命に処するこの石炭の根本対策については、従来のようなお考えではなくして、イギリス、フランス、西ドイツがとったような、また資本主義の国であっても、石炭の打つ特殊性からできないはずはないので、根本的な革命的な対策を立てられますように強く私は要求をいたす次第であります。以上で石炭に対する質問を終わります。
 次に簡単でございますので、ILOの問題について若干お伺いをいたしたいと思います。久しい間問題になっておりますILO条約八十七号の批准、これに対して九月十日開かれた結社の自由委員会が、日本政府に批准の手続の報告を求めてきたようであります。政府は、これに対して十月の二十日でございますか、委員会に対して報告をなさったと私は聞いております。いつどんな報告をなさったかお伺いします。
#172
○松野国務大臣 まだ報告をいたしてはおりません。
#173
○井手委員 まことに恐縮ですがもう一回。聞き取れなかったのであります。
#174
○松野国務大臣 九十八号の話ではございませんか。九十八号は年次報告でございますから、いずれ報告をする予定はいたしております。ただいままだ報告はいたしておりませんが、準備はいたしております。
#175
○井手委員 私が承ったのは、従来問題になっておる八十七号であります。
#176
○松野国務大臣 八十七号はまだ報告はいたしておらないと私は記憶いたしております。
#177
○井手委員 大臣のお話ですから間違いはなかろうと思いますけれども、こういう報告があった。国内の批准態勢を早めるつもりであるから十一月の理事会には結論を出さないように、こういう了解を求める報告があったそうでありますが、それは御存じありませんか。
#178
○松野国務大臣 存じておりません。
#179
○井手委員 存じておりませんというお話ですが、出しておりませんね。報告書あるいはこれに類する文書、そういったものは一切出しておりませんか。
#180
○松野国務大臣 労働大臣の責任としては出しておりませんので、私は出しておらないと言っておるわけで、またほかに聞いたこともございませんので、出しておらないというわけであります。
#181
○井手委員 出していなければ出していないでけっこうであります。私が聞いたところでは、どうも日本政府の言うことが、ジュネーブで発言されたことと国会の答弁とは違っておる、こういうことを特に世界自由労連の事務局長あたりから再々情報が入ってくるのであります。情報はよく入りますから、あなたの方でうそをおっしゃったってすぐわかるのであります。日本政府の発言は信用ができない、そういったことから、きょうはお見えになっておりませんが、前の労働大臣であった倉石さんが六月の総会に行かれたときに、相当努力はされておりますけれども、各国の了解を得られなかった。そのために議長の立候補を辞退なさってしまっておるという醜態まで演じておるのであります。しかも時の労働大臣の倉石さんは、ラマディエ結社の自由委員長に対して、次の国会には必ず提出して批准を求める、そういうことを約束なさっておる。これは国会の関係の委員会においても、そういうことが述べられている。どうもジュネーブでの発言とこっちの発言とは違う。私は、きょうはあまり時間もありませんのであまり追及いたしませんが、私がただしたかったのは、報告をなさったかどうか、その点であります。
 そこでついでにお伺いいたしますが、この大事な国際的信用に関する国内法の整備、そして批准、これはどうして今度の国会にお出しにならないのか。倉石労働大臣はそういう約束をしておるという立場から、私はお答えをいただきたいと思う。
#182
○松野国務大臣 倉石労働大臣がジュネーブからお帰りになりまして、引き継ぎのときに詳細にいろいろな引き継ぎの内容を私も伺いました。その中で、次の国会に提出するように努力するというふうなニュアンスで私は引き継ぎを受けました。必ず出すというのではない、努力するということで、あるいは必ずというような言葉を使えば必ず努力するという印象かもしれませんが、そういうような言葉で、必ず出すということは私は聞いておりません。おそらく努力するということであったと、これは明快に引き継ぎのときに伺いました。なお、その以後になぜ出さないかということでありますが、井手委員御承知のように労働問題懇談会が二月十八日かに答申を出しまして、政府は全面的にその趣旨に沿って、二月二十日に閣議決定をいたしました。この中にもございますように、いろいろな国内の問題、諸条件がございます。第一は公共企業体という国民の大事な機関でございますから、この正常化、正常なる運営と国内法の順守、そういうこともございますし、なお国内的には法律の改正、四条三項以外にも関連法規の改正ということもございますし、諸般の情勢を考えて、すべての条件を整えた上で批准をするということが当然なことでございます。すべての条件を順調にただいま整備をいたしておりますけれども、ただ一つ、公共企業体の中で一部の違法組合がいまだにあるということは正常化といえませんので、やはりそういうところが今回、批准をしたいと政府は方向をきめておりますけれども、批准手続あるいは国会にこの批准が出せないという状況は、片手さん御承知の通りでございます。
#183
○井手委員 ILOに対する批准の基本的態度、これは先般あなたも参議院で御答弁なさったように、二月にはっきり政府は発表している。ただ国内法がそれに抵触するので改正しなくちゃならぬ、公労法を改正しなくてはならぬ、そういう手続が要るからしばらく時間が必要だということでありました。ただいまおっしゃっている組合との関係、これは懇談会の答申にも触れてはおりますけれども、それは重要な問題ではない。ここで一番大事なことは、法律改正の手続に、きょうきまったからあしたというわけにいかないという、その時間的な手続だけが必要であると考える。もう半年以上になって、公労法の改正その他の法改正の手続ができないはずがないと思う。もしそれ今おっしゃったように一部の組合がおもしろい関係ではない、そういうことが理由とするならば、これはむしろそういう一組合に対する問題を解決することのできない政府の無能を全世界にさらすものだと思う。そういうものは、むしろあなた方は世界各国に対しては隠しておいて、隠した間にすみやかに解決する、そういう態度でなくてはならぬと思う。諸外国に対しては、国際信用の土においてあくまでも法改正の手続という、その時間的余裕が私は必要であると考えます。政府はどのようにお考えでございますか。組合の態度ですか。むしろ公労法の改正の手続じゃございませんか。
#184
○松野国務大臣 懇談会の答申の中には付属的なものというよりも、同様な意味で国内法の整備と、それから公共企業体の正常な運営ということは、これはどちらが従でどちらが主だというのではなしに、お互い同じ力を持つのじゃなかろうか。しかも、やはり私たち政府は、国民の公共企業体に対する、ことに国民に責任を負わなければならぬことが第一でございます。従ってILOの批准ということも当然必要でございますが、ILOの批准さえすれば、すべてがいいというものでございませんので、やはり国内の公共企業体が国民に責任を負える正常な姿、そしてよき労働慣行というものがなければ、ILOの批准をいたしても、それではILOの精神にも反すると思います。ことに八十七号は、御承知のように第八条には、いかなる批准がありましても、すべてのものはやはり国内法を守るということがILOの精神でございますから、やはり名実ともに備えるには、正常な状態というものがあって、今後安心してそういうものがやれるのだという、法律的地利を要求されるならば、まずその前に法律的実行もしなければならないと私は考えております。
#185
○井手委員 先刻労働大臣は、ある一部の組合がとおっしゃったように、この問題は軽くお考えになっているようであります。そのくらいの問題であるならば、私はすみやかに政府はその一部の小さな組合ぐらいのものは、あったかい気持でこれをすみやかに解決する、そういった気持が私は正しいと思う。そんなことを世界各日に示すような態度はとるべきことじゃないと思うのです。しかし、私は本日はその論議をする時間を持ちませんので後日に譲りたいと思いますが、一つこの点については、すみやかに国内法を整備して批准をやってもらいたい、公労法の改正をやって批准をしてもらいたい、これを強く要求をいたしておきます。
 次に私は郵政大臣と大蔵大臣にお伺いをいたしたいのであります。
#186
○小川委員長 井手委員、大蔵大臣をただいま呼びに行っておりますから……。
#187
○井手委員 じゃこのまま待っております。――もう時間の余裕はございませんので、一点だけ大蔵大臣、郵政大臣、労働大臣に、答弁は一々求めませんけれども、特にお聞き取りをいただきたいと思います。それは全逓に対する二百五十円の問題であります。ここに持って参っておりますのは、本年三月三十日の参議院予算委員会における会議録、これに佐藤大蔵大臣が次のように答弁をいたしております。その答弁によりますと「予算総則では仲裁裁定が出た場合における移流用であるとか、あるいは予備費の使用というようなことを規定はいたしおりますが、仲裁裁定が出ない場合においてのかような処置をつけるという方法が、実はないものでありますから、この点では手続的に相当検討を要する、裁定が出ておらないから知らないというわけにもいかない問題だと思います。」私は今までの経過なりあるいは議論にわたることは、本日は避けたいと思いますが、通常国会におけるわが党議員の質問に対して、こういう答弁をなさっておる。全逓に仲裁裁定が出ていないからといって出さないわけにはいかないであろう、これは当然だと思います。また前の郵政大臣であった寺尾さん、公式の発表ではありませんけれども、特定に出して、二十何万の全逓の諸君に出さないわけにはいかない、そういうことを何回も申されておりますし、またそれに似たようなことを国会でも答弁をなさっておるのであります。大蔵大臣の答弁によりますと、仲裁裁定が出ていないから移流用については問題がある、しかし出さなくてはならぬであろうということは、補正予算を組む機会があれば当然そうすべきであるというお答えであると私は解釈をいたしておるのであります。幸い今回臨時国会が開かれて、補正予算が提出されました。おそらく大蔵大臣は何かの間違いでお落としになっておると私は思うのです。これははっきりした御答弁があっておるのに補正予算には計上してないことは、サルも木から落ちると申しますか、弘法も筆の誤まりと申しますか、落ちておると思いますがいかがでありますか。
#188
○佐藤国務大臣 その当時ただいまお読み上げになりました通りのことをお答えいたしております。事情が許しますならば何らかの処置をとりたいと思っております。ただいまのところ、まだその段階に事態は固まっておらないという実情でございます。
#189
○井手委員 その事情とはどういうものでございましょうか。金がないという事情ではないと思いますが……。
#190
○佐藤国務大臣 やはり基本的には、十分今の実際ありますところと話し合いを完了さすことが必要だと思います。まだそういう段階になっておらない。この点は私どもも非常に遺憾に思います。
#191
○井手委員 それでは遺憾な点がなくなる、事情が解決すれば、補正予算をお組みになるおつもりでございますか。
#192
○佐藤国務大臣 そういう点が処理された後におきましては、私どもも何らかの処置をとるべきであろうということであります。
#193
○井手委員 何らかの処置というのは、予算を計上するか、あるいは計上しなくても、移流用がきけばそれでも出すというお考えでございますか。
#194
○佐藤国務大臣 さようでございます。
#195
○井手委員 大体わかりました。何らかの事情、その点について私は大蔵大臣もそうでありますけれども、労働大臣や郵政大臣に特に私は申し上げておきたいと思う。仲裁裁定がなくとも、ほかの組合にこれを出した例は一つだけではございません、ほかにもございます。また全逓が仲裁裁定を受けて、全特定などが受けない場合でも、全逓に準じて出しておる。これは政府として当然の道だと思う。政府が使用しておる者、言葉をかえて言いますならば、自分の家族に対して、ある子供は少し気に食わぬような顔をしておるから、あれには御飯は一ぺんやめさせておこうなどというような差別待遇は、許されることではないと私は思うのです。それは憲法あるいは労働法に照らしても、差別待遇はできないはずであります。私は先刻ILO等についても一言申し上げたのでありますが、政府と一組合との問題、これを解決し得ないというのは、政府に解決するだけの力がない、能力がない、愛情がないということを私は申し上げたい。ふがいない話ではありませんか。それはどっちも言い分はございましょう。政府にも言い分はございましょう、組合にも言い分はございましょう。そうして対立激突しておる。しかしその及ぼす影響を考えるならば、どっちも筋があり、言い分があるといって、そのままずるずるべったり引き延ばすべきことでは絶対ないと私は思っておる。そういう内輪な問題を外国にまで知らさなくてはならぬということ、私は国際信義の上からもはなはだ遺憾しごくと申し上げたいのであります。同じ部内に勤めておる者に、片方は二百五十円昇給してやり、片方は仲裁裁定が出てないからこれはやらない、そういうことをすべきじゃない。そこに障害があるならば、よく世間ではけんか両成敗ということがいわれておりますが、たとえ一歩下がって考えても、そういう事態になっておるということは、やはり政府においても猛省しなくてはならぬ点が私はあろうと思う。どちらにも同じような言い分があるならば、それをまとめていくだけの力を持つのが私は政府だと思う。そういう愛情を持たなくちゃならぬと思う。その点について直接の担当である郵政大臣のお考えを承りたい。今のような事情でいいのかどうか。今度の年末は三千万か三億か知りませんけれども、臨時雇を使う。しかし臨時雇はどうなっておるのか。中野局においては国民の貴重な信書が相当捨てられておる。私はそういうことのないように、年賀郵便はやはり元日に配達ができるように、それはあなたの方にも言い分があるかもしれませんけれども、そういうことができるような努力をすることが、私は政治家の任務であると信じております。今のような状態で、政府の言う通りにならぬからといって、そのまま持ち越すことは絶対にいけません。私はこの点について総理大臣初め各閣僚の反省を促すとともに、当面の責任者である植竹郵政大臣に対して、その所信を承りたいのでございます。
#196
○植竹国務大臣 お答えいたします。同じ屋むねに苦楽を共にしております従業員のことでありますから、どうにかして出したいと思う気持は非常に強いわけでありますけれども、まず一番初めに井手委員の言われました、他に例があるというお話でございますが、それは確かに私も実例のあることを存じております。たとえば国鉄の機労に対しますときの態度でございましたが、実は郵政省といたしましては、あの機労のときのような人数でありますれば、また財源の措置もできるわけでありますが、今の場合、郵政省の立場といたしましては、この二十二万からになります全逓に対しましては、なかなか財政上むずかしいわけでございますけれども、幸いにして全逓におかれまして正常化せられて、団交も再開し、従って仲裁裁定も必ずおりるという段階になりますると、これはどうしても払わなければならないと予算総則に出ておりますので、その場合には何としても財源をつけなければならない、さように考えております。
 また、年末年始のはがきが正常に届かなければならないというお話につきましては、私たちもさように考えますので、どうしても全逓の方で起勤や何かをやってくれないという場合には、いたし方ございませんので、非常勤の臨時約実動人員十五万人を雇いまして、年末年始の郵便配達処理をいたす方針にいたして、ただいま全部その準備をいたしております。どういうふうな手続でどういうふうにやっていくかということは、ほとんどこの二、三日うちには決定いたすような次第になっております。
#197
○井手委員 時間がございませんので、私は別の機会にこの点は譲りたいと思います。いずれにいたしましても、この問題は解決しようという誠意があるならば、まず使用者である政府の方から案を持って当たるべきだと思う。それが順序だと思う。私は、そういう差別待遇をするようなことではかくして、政府もこの際従来の態度を改めて、この全逓との解決に一段の努力を払われますことを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
#198
○佐藤国務大臣 先ほどの、話がついたら移流用あるいは補正予算、そういう処置をとるかという、この移流用に関しましては、裁定が出ない限り移流用という処置はとれません。この点は私の答えが不十分でございますから、その点をはっきり申し上げます。裁定があった場合に移流用という処置ができる。それから人件費そのもので処置をつけるならば、これは別でございます。移流用ということになりません。しかしこの金額は相当の多額になりますから、それらの点は予算の使い方の上で実際に問題があるだろうと思います。私どもは大蔵省でございますから、別に組合のあり方等について注文をつける必要はございませんが、しかしやはりこの点は政府側についても強い要望をされますが、また組合も、同時に皆さん方からもこれは正規の組合であるように、どうか一つ御指導を賜わりたいと思います。お願いいたします。
#199
○井手委員 移流用の問題について、解釈については、すでに今日まで仲裁裁定を受けていない組合にも出した事実は、先刻郵政大臣からも答弁された通りであります。できないずはないと思う。金額が少ないから、人数が多いからということで、区別さるべき問題では私はないと思う。しかし私は、その点についての議論はもう申し上げません。問題が解決すれば、補正予算を組んで出すということを重ねて御答弁いただければ、それで終りたいと思います。
#200
○佐藤国務大臣 何らかの処置をとるということはお約束ができますが、今補正予算全額というような考え方になるか、あるいは人件費で一部まかなうか、それらの処置は考えるということでございます。
#201
○井手委員 何らかの方法で、仲裁裁定と同じものを実施するということに受け取ってよろしゅうございますか。
#202
○佐藤国務大臣 さようでございます。
    ―――――――――――――
#203
○小川委員長 小松幹君。
#204
○小松(幹)委員 私は政府の軍備拡張の一環として、次期戦闘機の決定を見た今日、これにまつわる一切の疑問、疑惑を国民の前に明白にしたい、そういう意味で質問をいたしたいと思います。
 まず最初に外務大臣に承りたいと思いますが、藤山外務大臣は去る十四回国連総会の劈頭において、列国代表の前で演説をいたしました。その中の言葉を引用するわけでございますが、その中に、ただ言葉の上だけで平和を唱えるのでは何の役にも立たない。平和の意思が行為によって裏づけられなければならない。東西両陣営の対立と相互不信感は、両者間の軍備競争という形で現われておる。そしてその軍備競争はさらに相互不信を増大し、ことさらに軍備競争を激化させているという悪循環を示している。軍備競争こそは人的及び経済的資源の浪費であるばかりでなく、戦争の可能性を増大すると大みえを切って、軍縮の意図をはっきりここで言っておりますが、はたして言うことと実際とはどうなのかということをお尋ねしたいのでございます。岸総理は常に言われて、国連中心の外交をやるのだ。そうしてその総会において、あなたが一番信頼しておるところの藤山外相が、堂々と諸外国の者に向かって、平和の意思を行為をもって裏づける、そうして軍備縮小を説いております。しかも呼びかけておりますが、あなたは実際に日本に帰ってやること、日本の政治においてやっていることは、はたして軍備縮小の政策をやっておるのか、反対に軍備を拡張する政策をやっておるのか、どちらなのか、その辺を藤山外務大臣と岸総理にお伺いをしたいのであります。
#205
○藤山国務大臣 ただいま御質問のありましたように、国連におきまして、私といたしましては、日本の平和外交の趣旨を述べ、また本国連総会におきましては、御承知の通りフルシチョフソ連首相も来て、軍縮問題を提案しているのでございまして、そういう情勢下におきまして、軍縮というものが数年来各国の希望であったことは当然でございます。そういうことでございまして、御承知のように国連においても八十二ヵ国の委員会となり、あるいはジュネーブにおいてパリティ方式による十ヵ国の軍縮委員会が成立いたしておりよす。従ってまず今日の事情から申しまして、大国間においてこれらが不信感を払拭しながら、一歩々々そういう方向に進んでいきますことは必要だと考えております。従って、そういう傾向を助成していきますこと自体が、われわれがとらなければならぬ外交の一つの方針であり、国連としてもまた、国連がそういう方針をとっていきますことは望ましいことでありますので、日本の態度としてはそういう態度をとっておるのであります。われわれとしては、何も国内に帰りまして軍拡の方針を支持しておるわけではございません。
#206
○岸国務大臣 ただいま外務大臣がお答えをした通りであります。われわれは国内的に軍拡をやっているとか、そういう考えでは毛頭ございません。
#207
○小松(幹)委員 ただいま答弁を聞きますと、国連における意思はそれでいいが、国内に帰ってから、いわゆる内政において軍備の拡張政策をとっていない、こういうようにおっしゃいましたが、はたしてそうであるか。いわゆる軍術の拡張政策――あるいは六カ年計画寺を出し、あるいはロッキードの戦闘機を購入するという決定を見て、軍備の拡張を急いでおるということは、これは間違いでありますか、その点を総理大臣にお伺いします。
#208
○岸国務大臣 日本は御承知の通りの憲法のもとにおきまして、今国際的な問題になっておる軍拡競争に入って軍拡するという考えはございませんで、われわれは自衛の意味における最小必要限度のものを作る、これは最初から日本の方針としてきまっておる、この計画をそのままに遂行をしていっておる、こういうことでございまして、決して世界で問題になっておる軍拡問題の渦中にわれわれが入っておるとは、私ども初めから日本の立場においては考えておらないのであります。
#209
○小松(幹)委員 そのことはあとでまたお尋ねしますが、国連政治委員会における一九五九年十一月二日の八十二ヵ国共同提案による軍縮決議案は、満場一致で決定しておりますが、この点について総理のお考え、あるいは外務大臣のお考えを承りたい、このように考えます。
#210
○藤山国務大臣 御承知のように、今回の国連の総会におきまして軍縮の問題が論じられております。しかし先ほど申し上げましたように、軍縮の主たる進行をはかって参りますのは、ソ連も承諾いたしましたが、パリティ方式による十ヵ国委員会だと思います。従って国連としては当然十ヵ国委員会が相当の成果を上げて、そしてお互いに信用を回復しながら漸次進んでいくことを希望いたしておるのであります。そういう意味におきまして、八十二ヵ国がほとんど一致してそういう決議案を提出するに至ったというのでありまして、われわれとしても当然そういうことを今日まで希望いたしておりますから、これに賛成もいたし、また提案国にもなった次第であります。
#211
○小松(幹)委員 そこで総理にお伺いしますが、総理は先ほどいわゆる国連における軍縮のワク内ではない、日本のは特別な防衛のための整備をしておるのだ、こういう言い方をいたしましたが、はたして国連のワク外で単独に日本だけがそういう考えをやっておるのか、あるいは日本は日米の共同安保体制のもとで、アメリカが軍拡をやっておれば、その共同体制のもとに日本も軍拡をやっておるのじゃないか、私はそう思うのですが、その辺はどう考えますか。
#212
○岸国務大臣 日本は独立国として、将来その独立を維持していくために、国情、国力に応じてわれわれの防衛力を増強するという基本方針に基づいて今日まで努力をしてきておるのでございまして、アメリカから何かしいられてどうしておる、こういうことではないのであります。
#213
○小松(幹)委員 あなたは、アメリカは軍拡をやっておるけれども、自分の方はそれと一緒にやっておるわけではないと言われるが、それはどうもおかしい。日米の共同体制で日本の国防整備をやっておるということは、防衛庁長官がはっきり言っておる。かつては日本独自の防衛だ、あるいは真空地帯で侵略を予想するからという、いわゆる日本独自な防衛という格好を言っておった。けれども最近はそうではない。日本とアメリカと共同的に軍備体制をやるのだ、こういうようにはっきり防衛庁長官自身が言っておる。それはどうなんですか。
#214
○岸国務大臣 アメリカと安全保障に関する条約を結んで、安保体制によって日本の安全と平和を守っておることは、御承知の通りであります。そのことをおそらく防衛庁長官は申したのであろうと思います。日本の防衛計画というものは、日本の国防会議において、日本の国情と国力に応じて漸増するという基本方針が日本の立場から決定された。しかし日本の国情と国力でもって完全に日本の安全が保持できるだけの防衛力を持ち得るかというならば、それはできませんから、アメリカとの安全保障条約のもとに、アメリカの力を借りて日本の安全と平和を守っておる、これが日本の体制であると思います。
#215
○小松(幹)委員 日本の防御力を伸ばしておるということは、軍備拡大と違うのか。たとえたならば、サイドワインダーを日本の自衛隊が新しく持ったり、あるいは機関砲を持ち、サイドワインダーをつけられるFX戦闘機を二百機も購入するようなことをして、それは軍備の拡大といえないのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。
#216
○岸国務大臣 先ほど申しましたように、われわれが防衛力を漸増するという計画のもとに、全然無であったものを自衛隊を作りまして漸次増強してきておることは、これは事実であります。しかしてその増強は、数を増すと同時に、内容的にも近代の科学を取り入れた有効なものにしておかなければ防衛力とならぬと思います。しかしこれは、今世界の不安を引き起こしており、不信として世界平和の上に一つの脅威を与えておるところの、列強相互間のいわゆる軍備拡張競争というようなものとは、その質におきましても、量においても、規模におきましても、全然これと同視すべきものではないということを申し上げたのであります。
#217
○小松(幹)委員 私はここで軍縮論争をしようとは思いませんけれども、総理は、防衛力の漸増は軍備拡張ではないと言いのがれる。一体岸総理の考えておる軍備拡張は、どこまでいったらそれは防衛力の漸増で、それから先が軍備拡張になるのか。列強だけの――列強というのはどこの国かわからぬが、列強だけのやっておることが軍備拡張で、それ以下の列強でない弱小国のやっていることは軍備拡張にならないのか、その点はどうですか。
#218
○岸国務大臣 私が申し上げているのは、今国際連合、世界における非常に大きな脅威であり、不安となっておるところのいわゆる軍備拡張の問題は、大国の間において非常な予算と莫大な内容を持ったところの軍備が拡張されておることが、世界の平和の脅威であり、いわゆる各国が自衛のために必要な最小限度のものを持つという考え方の上に立って自衛力を持つということが、実は世界の平和に対して脅威を与えておるようなものではないのです。御承知の通り日本の持っておりまする自衛力というものは、また自衛隊につきましてもいろいろな議論はございますけれども、しかしながらこれが国際法上にいう軍隊と同様な権利権能を持つわけでございません。そういう性格のものである。従って今問題になっておるいわゆる軍備拡張問題というようなことの中へ、日本が初めから巻き込まれておるわけでもないし、また将来においても巻き込まれてはならないことだし、巻き込まれようという考えを持っておらないということを申しておるのであります。
#219
○小松(幹)委員 それでは、軍隊でないのに、戦闘機を日本で生産して一体何に使うのですか。どういうわけですか。これは旅客機に使うのじゃあるまい。その辺はどうなんですか。
#220
○岸国務大臣 われわれが持っておる自衛隊は、われわれが急迫なる他からの直接間接の侵略を受けた場合に、この祖国日本を防衛するということでございまして、従ってそのことは、同時にそれが有効に行なわれるというには、ただ数だけではなしに、最近の列国におけるところの軍事科学の発達等も、兵器の発達等も頭に置いて、今言ったように、われわれに急迫なる侵略が来た場合に、これを排除するに足るだけの備えをしていく、これが私どもの考えでございます。もしもそういう侵略が行なわれた場合におきましては、これを排除するのには、戦って排除する、実力を行使して排除するという事態が起ってくる場合もあります。従ってわれわれが現在持っておる飛行機といえども、これはもちろんそういう場合におけるところの侵略を排除する一つの実力として持っているわけであります。
#221
○小松(幹)委員 侵略を排除すると言うが、一体侵略というのは、どこの国がどんな形で侵略をするのか、それを一つ、あなたの描いておる侵略というのは、どういう形でどこの国が侵略しようとするのか。私に言わせれば、先ほど読み上げましたように、藤山さんは互いに信頼をしておらない、信頼しておらないがゆえに、不安が募って、そこに結局軍備というものが増強される、それがまた軍備拡張の要素にもなる、だからこれを排せよ、そう言っている。それであるのに、最初から侵略がある侵略があると、みずから不信感を作り上げておる。一体何という国が侵略するのか、その侵略の想定をはっきりここで言ってもらいたい。
#222
○岸国務大臣 私が申し上げたことが、あるいは言葉が少し不足しておったかと思いますが、私は侵略があるということは、今どこそこに具体的にあるということを申し上げているのじゃございません。一国がその独立と平和を守るためには、いかなる場合においても他からわれわれの侵略されることがないようにしなければならぬと思います。従って、これは戦前における日本の軍備の場合のように、仮想敵国を設けて、その国の兵力なり軍備と対比して、これに劣らないような軍備を持つというような考えは、われわれは今日の自衛隊の増強については考えておらないのであります。そういう意味において、具体的にどこからどういう侵略があるということを想定して、それに対応するための何をというようなことではございませんで、われわれが独立国として立っていく以上は、他から侵略をされない、国民がそれによって安心感を持つような一つの態勢をとっていくということが、私どもの考えでございます。
#223
○小松(幹)委員 侵略がどこの国から来る侵略がわからない。明白でないのですが、侵略を予想して戦闘機を買うのでしょう。そうすると、戦闘機を買うから、空から侵略が来るのでしょう。それはどうなんです。
#224
○岸国務大臣 侵略は空から来ることもありますし、日本の地理的立場からいって海から来ることもあります。
#225
○小松(幹)委員 ちょっとはっきりして下さい。戦闘機を買って防衛しようというのだから、これは地の底から来るわけじゃないでしょう。空から、一体どこの空から来るか、戦闘機を対象にして私はものを言っているのです。
#226
○岸国務大臣 戦闘機の行動は空でございますが、われわれの守るべき日本の立場から申しますれば、国境を陸地でもって続いておるというところはございませんから、あるいは海から、あるいは空中からあることを予想して、これに対する備えとしては飛行機が最も有効な一つの手段である、かように考えております。
#227
○小松(幹)委員 空から来るのには台風もあります。台風を戦闘機で防ぐわけじゃないと思いますが、そうなると、台風でもない。一体空から何が来るのですか、それを一つお伺いします。これは侵略の問題ですからね。大臣がこの点侵略されると言うのだから、台風が侵略するのか、あるいは何が侵略するのか、その侵略の玉をはっきり出していただきたい。台風が侵略するならそれでいい。戦闘機で受けるのですから、具体的に何が侵略してくるのか、それを言ってもらいたい。
#228
○岸国務大臣 今申しますように、われわれは一つの仮想敵国を設けて、どこそこからどういうふうな何が来るということを考えて、これに対するわれわれの軍縮を作るという考えではございません。戦前のようではないということを申し上げます。しかし飛行機は、もちろんお話のように台風の防衛のために作っているわけではございません。日本が独立国となっておる場合に、その独立を脅かし、もしくは日本の領土や領海、領空を侵害するものがあるならば、これを排除するために必要なものとして、われわれは航空機やあるいは海上自衛隊という姿のものを設けております。
#229
○小松(幹)委員 私は常に岸総理が侵略をされるという前提で言っているから、そこで台風は一応侵略でない、台風の侵略なら、戦闘機を買わないでほかのものを用意すればいいわけだ。七百六十億の金をもってすれば、台風の侵略をあるいはドライアイスでどこかへやることもできると思う。ところが戦闘機を買うという。戦闘機を買う以上は、どこかの、何の侵略があるかというその侵略の方向、あるいは南から、北から、どちらでもいい、何も仮想敵国を私は今あなたに言えというのではない。ソ連から、あるいは中共、それを言わなくて、何が侵略してくるのか、飛行機か、あるいは爆撃機か、ミサイルか、その点をはっきりして、侵略の方向と、具体的にその戦闘機で防ぐ侵略の素材は何か、それをお伺いしたい。
#230
○岸国務大臣 今申し上げているように、私は飛行機の性能の上から申しまして、あるいは空中から来る侵略に対するところの、それを排除するということが、一番大きな目的だろうと思います。しかし今申すように、海上からも来る場合もありますし、そういう場合において、海上の自衛隊と協力してこの侵略を防ぐということも場合によってはあり得る、かように考えております。
#231
○小松(幹)委員 侵略の問題は一応これで終わりましょう。はっきり岸さんも侵略の方向もわからない。何が侵略してくるかわからないで、ロッキードの戦闘機を買うのですから、そこで防衛庁長官にお伺いしますが、ロッキードF104Cの採用を決定いたしましたが、その性能をちょっと説明していただきたい。
#232
○赤城国務大臣 詳しい性能資料は今ここに持ち合わせておりませんので、いずれ調査の上お知らせします。
#233
○小松(幹)委員 そういう答弁をなされば、何のために防衛庁があるのか、答えるのはだれが答えたらいいのですか。私はきょうはロッキードをきめた源田空将に出てもらいたいと思った。ところが制服は困るからというので、だれにしたらいいのか、防衛庁長官。それだったらロッキードの性能はちゃんと防衛庁長官が知っているわけだ。今正式に国民の問題になっておるロッキードの説明を聞く場所はここだけ以外にないと思います。それならばロッキードはどういう性能があるのか、承りたいのです。
#234
○赤城国務大臣 数字の点において通る資料は申し上げられない点もありますし、また申し上げられる点もありますが、そういう点は後日申し上げたいと思います。性能の大体を申し上げまするならば、上昇力については無類の上昇力を持っておる。速力でありますが、それは最高速力において非常にすぐれております。しかも高空において余剰エネルギーが最大で、戦闘力としては最強である。こういう性能を持っております。それから超音速における操縦性が優秀であるという性能を持っております。それから地上におけるもろもろの操作が簡単である、こういう性能を持っております。それから安全性についていろいろ心配されるような面もあったのでありますが、最近はすでに、あるいは近く解決済みとなっておりまして、特に不適当だという理由は発見できない、こういうことであります。それから安全性に関連しますが、訓練の安全を期するためには、若干の複座式の訓練機が必要である。これは現地調査団が調査した結果によりましても、アメリカ空軍においてもそれを使っておりますので、事故が非常に減った。そういうことで事故の方においても特に不適とするようなものはなくなった。それから行動半径でありますが、行動半径あるいは所要滑走路の長さについてもいろいろ議論があるのであります。これも要求を満足する範囲に入っております。なお全天候性を付与し得ることができますから、雲の中でも雨の日でも夜でも使える、こういう対応性を持っております。こまかいデータ、数字等については、先ほど申し上げましたように、発表できるものもありまするし、発表できないものもあります。そのこまかい数字につきましては、調査の上発表できるものについてはお知らせ申し上げます。
#235
○小松(幹)委員 先にグラマンの内定をして防衛庁は、グラマンがいいのだ、こういうように言った。そのときに、ロッキードは安全性が低いのだ、こういうことをしきりに言われておりました。なるほどこのロッキードは着陸のときの安全性が悪いと聞いておりますが、このF104Cの最近の事故の様子を見ておりますと、ことしの五月十五日までの事故の統計をあげてみると、アメリカには二百九十機しかないのですが、その二百九十機の中に八十五回のいわゆる事故が起こっておりますが、きょう私が入手した事故の率では、十万時間に死亡が三十七人、脱出が五十九人、大破九十六機、小中破百四十四機、こうなっております。相当事故が多い。ごく最近でも日本海の方でこのロッキードが事故を起こしておりますが、先週でも四件の事故を起こして、二人が死亡して民家に突っ込んでおります。ごく最近でもこういう事故がどんどん起きておりますが、一体この事故の起こりやすいロッキードは、防衛庁としてはどういうように考えておるのか、あるいは国防会議としてはどんなふうに考えておるのか。
#236
○赤城国務大臣 グラマンを内定した当時いろいろ検討されたときに、ロッキードの方に相当事故率があるし、安全性に欠けるところがあるということを論議されたことは、今お話の通りでございます。そういういろいろな点がありましたので、御承知のように源田調査団を派遣いたしまして、内定当時はできておりませんでしたから、グラマンにおいてもF104Cにおきましても、現地において操縦試験をし、技術的にも検討をして、そうしてその結果次期戦闘機をきめようということで、調査団を派遣したことも御承知の通りであります。その調査団の報告を聞きますと、その事故率等もこちらで考えておったのと非常に違っております。十万時間に六十五だと思います。そういうような報告で、今の報告と違っております。正確な数字はなお後刻御報告申し上げます。というのは、これがこちらで考えておったのと、向うへ行って現地で乗ってみたのとでは、非常に違っておる。たとえば地上の操作にいたしましても、乗って空中へ飛び出してからの安定性についても、非常に安定しておる。それから着陸時に非常な速力で着陸いたしますので、脱出するのに、下から脱出するというようなことでありますると脱出するいとまがない。こういうことで非常に事故も多かったようでありますが、これは上の方へ飛び出せるような装置になりまして、そのために事故率も非常に減っておる。あるいは滑走路の長さ等におきましても、こちらで考えておったのと違って、現実に操縦してみた結果は、日本の飛行場における滑走路においてもこれは十分着陸ができる。あるいはまた先ほど申し上げましたように、アメリカにおきましても、訓練用の戦闘機でF104の複座式のものを使わない前においては事故も非常に多かったそうであります。ところが複座の訓練用の飛行機をどこの隊でも備えております。その訓練を経てF104Cに塔乗するということになりましてから、事故はずっと減っております。こういうようなことでございます。
#237
○小松(幹)委員 それじゃ防衛庁は、先般グラマンを推薦したときと今日では、ロッキードの見方が誤っていた、こういうことに聞きましたが、そうでございますか。
#238
○赤城国務大臣 決して誤ってはおりません。去年の四月に内定いたしました当時には、御承知のように、まだ今できておるグラマンにおきましても、ロッキードにおきまして、飛行機ができておらなかったのであります。それでそのときにおいていろいろ検討いたしました当時においては、グラマンのFHF―1F、これを98Jというふうに、日本型に直そうということで内定したのでありますが、そのときの比較対象になったのは、ロッキードの方におきましてもF104Aであります。そういうふうにまたできていないものをともかくもきめていこうということでありましたので、決定をいたしませんで、内定をいたしたのであります。その後新しい機種も開発され、あるいはまた西ドイツ等においてもF104Cが採用された。その後またカナダでも採用されましたが、そういうことで六月になりまして、これはなお慎重にできておる機種について、現地においてこれを乗り、操縦し、技術的にも検討してきめた方が適当であるということで、内定を白紙に戻したわけであります。そういうことから現地に、日本の調査団としては私は源田空幕長を団長とし、操縦パイロットもほかに三人、技術者も二名、民間からも三名、この調査団を出して慎重に検討いたしたのであります。でありまするから、この調査団の結果報告というものは、私は十二分に信頼するに足るものだと思います。そういうことでロッキード系のF104Cにきまったのでありますが、前にきまったときには、そのきめた当時、内定した当時に、それぞれの理由があったのでありますが、その後新しい機種ができ、またそれを現に見た者も乗った者もなかったのでありますが、行ってみて、乗って試験して、その結果が、今まで心配しておった点等の比較をいたしましても、心配するようなこともない。そうしてすぐれておる、こういうことでF104Cを日本型に変えて、日本の戦闘機としてこれが適当だ、こうなったのでありますから、前の時とあとの時との時の違い、それからまた新しい機種ができたという違い、それから現実に操縦試験した、こういう違いによってきめたのでありますから、私は前もあとも間違ってはおらない、こう思っております。
#239
○小松(幹)委員 そういうことはへ理屈であって、今度104C、Cも単なるCじゃないので、日本向けのJがついて、しかもその出るところを上に作るというのだから、それには乗っておらないのですよ。今から作るのでしょう。改造は今からやるのでしょう。それならやはり乗っていない。もとの飛行機を改造するという予定にして買うというのだから、あなたの言う論理は成り立たない。同じことです。下から出るのに乗ったので、上から出るのに乗っていない。それと時がたったから違ったといえば、来年、再来年まで待っておってごらんなさい、またいいのが出る。またグラマンがようなるかもしれません。そういう時限を引き延ばして問題を解決するならば、百年でも待っていた方がいい。りっぱなものができるから……。一体防衛庁というのは、そういうことでグラマンがいいだの、いやロッキードがいいだの、そういう時限の引き延ばし、あるいは乗ったとか乗らぬとかで、ものを解決しておるのかどうか。その辺をもう少しはっきり、――責任があるなら、私たちが間違ったなら間違ったとはっきり言えばいい。それを責任があるような、ないような、知っておるような、知らぬような顔をしてずべろうというのは間違いだ。はっきりしなさい。
#240
○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、上へ抜け出る、脱出する方法ができたから、事故がなくなったと申し上げたのでありますが、向こうに上へ出るものがもうできているのです。その点は何も日本に来てから変える必要はないのであります。変えようとするのは、火器管制装置のナサールというものを入れよう、こういうことが変わるということであります。それから時点で違うということでありますが、時点で違うのは、内定のときと今度決定したときと違うということでありまして、それは何年かたてばみな違うのはあたりまえだと思いますが、しかしそれによって今お話しのように、グラマンがもっといいものができるのじゃないか、こう言われますけれども、グラマンはもう開発しているだけであります。これ以上の開発はやらぬようであります。今開発しておるのは、これはN117でございますが、これは開発中であります。しかし私も専門家でありませんから、そうあまりみえを切るようなことも言えませんけれども、しかし今私どもの選定いたしましたところのこの有人戦闘機というものは、有人戦闘機としてはこれが最後のものじゃないか。開発に開発を続けると言いますけれども、これ以上開発を続ければ、人が乗れないものである。今の二マッハ以上の速力を持っているものは、今がこれは限度に来ている。こういうことでありまするから、日本の自衛隊に備えるのには最も適当だ、こういうふうに考えております。
#241
○小松(幹)委員 開発し尽されたと言っておりますけれども、まだまだ開発はこれは無限に続くと思いますが、とにかく事故率はやはり依然として多いのです。先ほど十万時間であなたはちょっと安目の資料を出しておりますけれども十万時間の私の入手した資料は、死亡が三十七人、脱出五十九人、大破九十六機、中小破百四十四機、これがなくて、もちろんさっきあなたが言われた上の方から出るという改造は、おそらく何機しかしておらぬから、それは統計に出ません。そんなものは統計に出ませんから、将来わからない。統計にとってみなければわかりませんが、現在これを日本の事故率に引き直してみますと、日本で大体全天候といいますけれども、大体年間六万時間ぐらいの引き直しをしてみますと、年に二十二名くらいの自衛隊員が大体事故を起こして死ぬという結果が、数的な引き直しの数が出ます。特に日本の場合は気候が悪い。技術水準が低い。しかもあなたは飛行場が現在のでいいと言っていますけれども、浜松の飛行場、松島の飛行場、千歳の飛行場、飛行学校のある小月の飛行場、宇都宮の飛行場あるいは福岡県の築城飛行場にしても、このジェット戦闘機F104Cを本式に動かすのには、滑走路を延ばさなければならぬ。一体滑走路はどの程度の長さを考えておりますか、それをちょっと伺います。私の調べたのは、大体しろうとで最初乗るのでしょうから、二千百メートルから三千メートルは要る、これは数字的にいえば、クランド・ロールに一・七五かけて、これが離陸の距離で、七千七百フィートはロッキードでまずまず要るだろう、こういうふうに言われておりますが、そうすると滑走路も延長しなければならない。それにしても、滑走路から離れたところは全部日本の場合は人家が多いのです。今でさえもジェット・パイロットは、人家が目の先にちらちらしてどうも事故を起こしそうになってしょうがないと言っておるのですから、この二マッハ以上のスピードで、上昇率で上がっていく戦闘機を使うのには、相当飛行場も拡張しなければならない。同時に気象調査等もありますが、事故率もアメリカの事故率よりも私はもっと大きいと思っておるのです。アメリカのような、カリフォルニアのような広大なところで飛行機を飛ばせるのと、鼻先に家があるようなところで飛ばせる日本のような場合には、事故率は、私は今のアメリカの統計よりももっと大きいと思っているのです。そういう点から考えて、やはり事故率は相当あるのじゃないか。しかし、その事故率をなお克服して、アメリカさんがやれるなら――源田さんの言葉をかりれば、源田さんは、初めは、ロッキードを採用すれば航空自衛隊員は平時の訓練においてどんどんそのパイロットを死なさしてしまうだろう、と一時は談話に発表しておって、今度帰ってきたら、そういうことを克服して、アメリカ人がやれることなら日本人もやれないわけはない、こういう言い方をしておるわけなんです。ということは、相当の事故率を覚悟の上でやる、こういうことなんでございますが、最初のロッキードを作るときには、事故率があるから安全性を求めると、こういった防衛庁の考えはどうなんですか。ロッキードの、少々の危険率を冒してでも、戦闘機を買ってパイロットを養成するのだ、そういう御決意のもとにやっているのかどうなのか、その辺をはっきりしていただきたい。
#242
○赤城国務大臣 事故率の、上から脱出するものができてからの統計はない、こうおっしゃいますが、やはりここに統計はあります。その統計から見て、これから非常に少なくなっていく、こういうことに相なっておるわけであります。
 それから、パイロットを犠牲にしてまでそういうものを選ぶのか、そういうことではありません。こちらで考えていたのと、現地で乗ってみたのと大へん違ってきた。これは現実に乗った人がそういうのですから。そこで、安全性等につきましても、こちらで考えておったのと現実に操縦してみたのとだいぶ違ってきた。それは安全性を冒してはいけないのですが、しかし、こちらで考えていたのとずっと違って、その点もまず要求を満たしている。
 飛行機の滑走路でございますが、滑走路につきましても、大へん長い滑走路を必要とするように行く前には考えておって、私どもそういうふうに聞いておりました。しかし、現実に乗ってみますと、七千五百フィート、八千フィートあれば離着陸ができる、こういうことでありますから、日本の現在のままの飛行場でもこれを使える場所が相当あるわけでございます。
#243
○小松(幹)委員 今、日本のジェット機に乗れるジェット・パイロットというのは、何人くらいおるのでございますか。そうして、それの教育期間は何年くらいかかるのですか、それをお伺いします。
#244
○赤城国務大臣 現在ジェット戦闘機を乗りこなすパイロットは二百五十六名あります。そのうち、七十名ほどはまだ学生であります。
 それから、訓練にどれくらいの年月を要するかということですが、約三年を必要といたします。
#245
○小松(幹)委員 私の本年の調査では、ジェット・パイロットは百四十八名ですから、学生等を加えればそういうようになると思いますが、三年の教育期間を立てて、戦闘機の方が多くなって、パイロットの方が足りないではないか、こういうように考えるのです。うわさに聞きますと、三十二年度末アメリカから渡されたF86Fジェット戦闘機は、木更津の飛行場で、モスボールという油を塗って格納庫に二年間置いてあった。ところが、二年間もほったらかして置いてあるから、アメリカから返せというので、四十何機返したというのですが、ジェット・パイロットが少なくて、要らぬものがたくさん日本にあるようにも思うのですが、どうなんですか。その辺は、生産だけはやるけれども、人が足りないのではないか。一体どういう格好に将来なるのか、それをお伺いします。
#246
○赤城国務大臣 お話しのように、当初においてはパイロットが十分に充足されない傾向もありました。しかし、最近におきましては、充足されつつありますし、この戦闘機ができるころには搭乗するところのパイロットは十分養成される、こういうように考えております。
#247
○小松(幹)委員 せっかくF104Cジェット戦闘機にきまった以上、けちをつけることもどうかと思いますが、やはり速力が二マッハ以上早い。それは早ければ、上昇しても空中操作がきわめて私はやすいと思っている。それから、反転をしたり宙返りをしたりするのにも、操作は簡単だと思う。やはり私は、離陸よりも着陸のときが一番問題だと思うのです。そのときにおおむね事故が起こりやすい。特にこういう早いスピードのものは事故が起こりやすい。そういうわけで、今後このジェット戦闘機を乗りこなすにも相当な教育が要る、また犠牲もあるのではないか、こういうように考えて、今後も相当な被害を日本がこうむるのだ。しかしきめた以上は、よい戦闘機というから、これ以上はけちをつけませんが、やはり沈下率あるいは事故率というものは十分考えてやってもらわなければならない、こういうように考えます。
 そこで、もう一つお伺いしますのは、行動半径は幾らですか。私の調査では百九十キロ、直径にして百里、こういうように聞いておりますが、新聞あたりを見ますと、日本列島を軽く行くのだ、日本列島に沿うていくのでは話にならぬ。先ほど岸さんが言われたように、侵略というのだから、日本列島の上を縦に行っても侵略防衛にはならぬ。日本列島を縦に切って日本海の方に出ていかなければ、行動半径はだめだと思う。そうすると、日本海を横切って一体どこまで行動半径があるのか、ウラジオまであるのか、ないのかいわゆる地点要撃点はどの辺まであるのか、それを伺いたい。
#248
○赤城国務大臣 お話の事故率を防止する方法あるいは養成等につきましては、御注意の通り、慎重に対処していきたいと思います。行動半径がどれくらいあるかということでございますが、これはこちらで考えておったときよりも、行動半径は長いようで、二百マイル以上の行動半径があるということが実証されております。
#249
○小松(幹)委員 最初防衛庁がグラマンを内定して押してきた場合には、日本は戦闘機を一種類しか持たないのだから、なるべく多方面的に余裕ある使い方をするので、そういう多方面的な利用価値のある戦闘機がほしい、だから、そういう意味ではグラマンがほしいのだ、こういうように言ったと思います。しかるに、今度はグラマン転じてロッキードとなったわけでありますが、ロッキードはきわめて鋭角であります。単純なる全天候のいわゆる迎撃機と見ておりますが、一体このロッキードF104Cはどんな戦術に、あるいは戦闘に使おうという考え方に立っておるわけでありますか、それをお伺いします。
#250
○赤城国務大臣 主として迎撃用でございますけれども、お話のように多用途性も相当あります。あるいは今お話がありましたが、非常に上がってから安定性もあるし、行動半径も相当広い。それから余剰エネルギーが非常にいいというようなことから、戦闘用にも使えます。それから偵察用にも使えます。それから地点に対するいろいろな点にも使えます。それから防空侵犯等に対して、早く侵犯地域から退去してほしいというようなこと等にも使えます。全天候性でありますことは、これはもちろんであります。
#251
○小松(幹)委員 迎撃機に使うけれども、上空におけるところの滞空時間というか、長いから、そこで問題が戦術的に出てくるのは、やはり地点攻撃といえば、日本列島を縦に地点攻撃をやったって、北海道を地点攻撃をしても、九州を地点攻撃してもしようがないから、結局海を渡って地点攻撃をするという格好になってくると思う。そうなれば戦術的にこれはある基地を攻撃する一つの要素にもなるわけです。いわゆる迎撃機だけに使わないで、あなたが今言うように、迎撃機だけでなくして、滞空時間が相当長くいくから、地点攻撃もやれるということならば、戦術的に基地攻撃もやり得るということになるわけです。あなたは今そういうふうに言われたが、私は先をとったかもしれませんが、迎撃だけでなくして地点攻撃、いわゆる基地攻撃までやるのかどうか、その辺はどうなのか。
#252
○赤城国務大臣 御承知のように日本の自衛隊は、そこまで出てこれを攻撃するというような性格等を持っておるものではございません。入ってくるおそれがあれば、これをやれるだけの態勢を整えておくということが主であります。地点の攻撃ができるといたしましても、もしもかりに日本の地点がある程度占領されたというときに、それをやれるということはあり得ますけれども、何も外へ出ていく、そういうような目的を持っておりませんし、またそういうことはやるべきものじゃない、こういうふうに考えております。
#253
○小松(幹)委員 防衛庁長官とか、あるいは岸総理は、侵略があるときとか、侵略されたときとかというようなことをよく使いますが、そういう言葉を使えば、一体どこが侵略するかということになるので、そういう言葉はあまり軽率に使うべきじゃないと思うのです。そこでいわゆる迎撃機として単純に考えてもようございます。そうすれば迎撃ならば、向うが攻めてくるとするならば、やはり戦闘機かあるいは爆撃機、おそらく爆撃機を迎撃する格好になると思いますが、ソ連の空軍の主力であったジェット爆撃機パイソンはすでに一九五八年から旅客機として、TU144として改造されて、重爆機は去年から旅客機になっておるわけであります。そういう観点から考えて、どうなんですか、日本にどこが爆撃機をもって攻めてくるとお考えなんですか。その辺のところを、ただ迎撃するのだといっても、一体どこがどういう爆撃機をもってくるんだとか、戦闘機でくるんだとかいうような一つの想定がなされなければ、台風がくるから戦闘機を買ったんじゃ話にならぬでしょう。そうなれば爆撃機がくるのだから戦闘機で迎撃するのだといえば、一体どこが爆撃機あるいは戦闘機でくるのかという想定を私は尋ねたくなるわけです。防衛庁としてはどういう考えに立っているのか、その辺を戦略的にお伺いしたい。
#254
○赤城国務大臣 アメリカの爆撃機の性能なども調べてあるわけであります。またほかの国のものは直接に調べるわけには参りません。しかし侵略があった場合にはということで用意をしておるということでありまして、何もそれを予想してということでなくて、そういうことがないことを期待するために、そういう用意をしておるということでありますから、どこが爆撃機をもってくるか、こういうことについては、これはどこから来ないとも限らないということを言うよりほか申し上げられません。その保障がないわけでございます。
#255
○小松(幹)委員 さらにもう一度お伺いたしますが、かりにマッハ二以上の速度のミサイル兵器が日本海を渡って飛んで来た場合に、わがF104ジェット戦闘機は迎え撃つことができるのかどうか、それをお伺いします。
#256
○赤城国務大臣 ミサイルは上から下までありまして、大陸間弾道弾のようなミサイルもありますならば、ごく少距離を飛ぶサイドワインダーみたいな、ごく短距離のものもあります。どういうものでありますか、ICBMとかIRBMなどに対しましては、これはいかなる方法をもってもこれを阻止し得るというような方法はありません。まして次期戦闘機においてこれを防止するというようなことはできないと思います。私も専門家でありませんから、あまりこまかいことは申し上げられませんが、二マッハ程度のものならば、これは戦闘機によりまして、あるいは地対空のミサイル等によって防御するというようなことも考えられておりますが、こまかいことは専門家でありませんから、申し上げることはできません。
#257
○小松(幹)委員 私は地対空で防ぐということを尋ねたので、戦闘機で防ぐのには、ICBM大陸間弾道弾と言わなくてもいいのです。近距離弾道弾でもいいのです。そういう日本海を渡ってくるだけの力のあるミサイル兵器でもって日本を攻撃されたならば、戦闘機で迎え撃つことはできない。それならばもう一つお尋ねしますが、あの戦闘機にサイドワインダーを積まれる。そうするとそのサイドワインダーでやったらソ連のミサイル弾道弾というものを捕捉爆破することができるのかどうか。
#258
○赤城国務大臣 中距離弾道弾、ICBM等に対しましては、戦闘機をもって阻止することはできません。日本ばかりではありません。世界でもできないといわれております。サイドワインダーでそれを防御できるかということでありますが、サイドワインダーは飛行機から飛行機に撃つものでありまして、そういう小型の、飛行機から飛行機を撃つようなサイドワインダーで、もちろん中距離弾道弾、ICBMを攻撃するということはできません。
#259
○小松(幹)委員 防衛庁が今考えているそういう構想を考えてみたときに、少なくとも今から三年か四年先にこの飛行機ができると思います。いよいよその飛行機を三年、四年先に日本の自衛隊が使うというときに、どんな空中戦が日本海上で展開されるか、空中迎撃戦であろうと思いますが、ソ連のミグ31ジェット戦闘機あるいは21ジェット戦闘機あるいはグローランプ等の爆撃機が来たのを迎撃するという構想に立たねば、このロッキードの使い道がない。はたしてこういう戦闘というものを予期しているのかどうかということを私はひそかに考えると、そういう原因もなければ、そういうことはあろうはずがない、あり得べき戦闘ではない、ミサイル時代にそんなことがあるはずがない。今日はミサイル兵器の発達した時代で、GM誘導機でも日本海を飛んで日本列島を爆撃することができる時代である。現に防衛庁が入れようとするボマークですか、あれでも石川県に備えつければウラジオまで届くと言われておるわけですが、戦闘機による空中迎撃などはおそらく将来はナンセンスである。昔われわれが戦争にかり立てられたときに、ぶんぶん赤トンボという戦闘機の時代があった。昔の戦闘機零戦のはなやかな電撃より考えたときに、はたしてあの零戦のはなやかな空中戦がB29の侵入を防ぎとめたかどうかということを静かに反省してみたときに、今日のミサイル戦闘機時代に零戦にもひとしい戦闘機を持って、それをさも人が乗る最後の飛行機だといって誇って、日本の民族を守ったり、国を防げるということができるかということを考えるときに、私は不可能であると思う。しかもその当時零戦は一万台から持っておった。今日一万台のジェット戦闘機をそろえるのにはどれだけの金を食うかわからない。こんなことを考えたときに、確かに私はロッキード、あのF104Cジェット戦闘機はりっぱなものに間違いないと思う。人間の乗る最後の飛行機であることには間違いないでしょう。しかしながらロッキードが迎え撃つに歩調を合わせて、相手の方が空中戦でやってきてくれれば、これは相手ができる。しかし向こうは人間の乗らないロケット兵器で出てくれば、幾ら優秀な人間の乗る最後の飛行機でも、人間の乗らないロケット兵器とは勝負にならない。私は、いたずらに源田サーカスの名誉ある空中劇を演ずるんだ、こうしか考えられない。これは防衛庁長官どうなんですか、この辺のところのお考えは。
#260
○赤城国務大臣 やはり日本といたしましては、日本の空を守る、こういう態勢は必要だろうと思います。でありますから、そういう優秀な戦闘機でありますが、戦闘機だけで日本の防空の目的が達するとは思いません。
    〔委員長退席、八木(一郎)委員長代理着席〕
これはやはり空対空のミサイル、あるいは地対空のミサイル、あるいは高射砲、この三者の総合の力によって守る態勢を整える、こういうのがやはり日本の空を守るところの方法としてとるべきである、こういうように考えます。
#261
○小松(幹)委員 それは何も私は戦闘機だけで迎撃をしていく、あるいは迎え撃つというだけで言っておるのじゃないでしょう。それはいろいろな形の総合迎撃をやるわけでありましょうが、しかし問題は戦闘機というものの範囲に限った場合に、日本は限りある財力であります。無限に金があり、無限にそういうものが設置できるだけの能力があればいいでしょうが、金がない貧乏な日本の国が意味のない戦闘機というものを持ってミサイル時代に仰えあうということは、これは私はミサイルと戦闘機ではすれ違いだと思う。春樹と真知子ではないけれども、常にすれ違った、いやあとから追っかけている軍備じゃないかと思う。常にもう会うことがない。すれ違いかおくれておるかどっちかなんだ。ここに私は高価なF104Cジェット戦闘機は、およそ今日の賢明なる判断をするならば、無用の長物、空中サーカスの練習機にしかすぎないと私は言い切りたい。それ以外にこの戦闘機の価値はない、こういうふうに考えます。これは一人乗りだから旅客機にはならぬでしょう。早くパイロット養成のために全力を注げる、そしていつでも民間航空用ジェット機のパイロットに転用できるように、精一ぱいジェットパイロットの養成をしてもらいたい。
 そこで私は価格の点を聞きたいのですが、ロッキードF104Cの価格は一体何ぼであったか、これは通産大臣にお聞きするのがいいのか防衛庁長官でもどちらでもいい、お聞きします。
#262
○赤城国務大臣 機種がきまってから日本で生産することになって、初めて価格は決定するわけでございます。でありますので、あまり初めから予想価格を出しますと、いろいろ価格決定に支障があると思います。われわれが調査した範囲におきましては一機百万ドルをこえます。
#263
○小松(幹)委員 こういう兵器の価格というのは、おいそらとやらない、これはわかります。しかしながら一応予定価格としての価格を決定しなければ、ただ買うんだ、どこに頼むんだ、そんな殿様の買い方みたいな買い方はすべきじゃない。一応わかっておると思います。グラマンの問題が出たときに、ロッキードは安い、大体百万ドルとか百六万ドルとか言っておったが、西ドイツはもっと安かった、こう言った。西ドイツは八十万ドルで最初契約をした。いよいよ輸入してみたり、生産してみると、八十万ドルと言ったのが輸入機は百三十八万ドルになっておる。生産機は百九万ドルになっておる。こういうことになりますと、相当これはおかしな話で、西ドイツの場合は契約したときとずいぶん値が違っておるのです。日本もそういう殿様のような買い方はせぬで、大体百万ドルと言ったのですけれども、一体そういう契約というか、予定価格は百万ドルですか、もう一回お伺いします。
#264
○赤城国務大臣 生産担当会社をきめまして、それを通じて本社の方と交渉いたしませんとはっきりいたしません。予定価格百万ドルと言ったわけではありません。百万ドルをこすと言っておる。百万ドル以上であります。(「一百万ドルにもなるかもしれぬ」と呼ぶ者あり)ただそう二百万ドルとかなんとかあまり違ったものではありません。百万ドル以上、ドイツの価格との問くらいのことを予想しております。予想価格というものは、請負でも何でもあまり初めからはっきりしますと商取引上ちょっと困りますので、その点は差し控えさせていただきます。
#265
○小松(幹)委員 取引上なかなか値切りがかかるような言い方をするけれども、それは反対である。最初にきまっておって、指定会社まできめておって値がわからぬ、向うの言いなりほうだいと言っても過言ではないのです。だけれども、それは兵器の取りきめですから、そう簡単に出ないかもしれません。そこは譲歩しても、私は予定価格というものははっきり立てて国防会議できめるべきだと思うのです。それを値はあとでいいんだ、早う今晩のうちに、夜が明けぬうちにきめてしまえ、こういう考え方はどうもおかしい。これはあとで申し上げます。
 そこで一体契約者はだれにしたのか、それで随意契約にしたのか、競争入札の線にしたのか、その辺をはっきり伺いたい。
#266
○赤城国務大臣 契約につきましては通産大臣が防衛庁長官と相談してきめるということになっておりますので、通産大臣の方からお聞き取り願いたいと思います。
#267
○池田国務大臣 飛行機の製造につきまして、製造会社の指定は通産大臣でございます。製造会社がきまりましたら、防衛庁長官と会社の方で契約なされることと考えております。
#268
○小松(幹)委員 ちょっとここで私は疑問に思うのですが、工場指定は通産省でやる。そうすると工場指定あるいは工場認定の基本要綱か何か通産省にあるのですか。防衛庁にあるのですか。それは飛行機だけじゃない、軍艦などもみんなやっているでしょう。一々通産省がやるのですか。その辺どうですか。
#269
○池田国務大臣 飛行機製造事業法でやっております。
#270
○小松(幹)委員 防衛庁長官にお伺いしますが、戦艦の場合はどうなっておりますか。
#271
○赤城国務大臣 防衛庁が契約の当事者であります。
#272
○小松(幹)委員 そこのところがはっきりしていないのです。防衛庁の方では工場認定の基礎要綱というのを作って、工場に監査官みたいなものを派遣してやっておりますが、この飛行機の問題になるととたんに通産省が出てくるのです。その辺のところは、飛行機の問題は全部通産省に移管してあるのですか。どこまで防衛庁がやるのですか。そこら辺をはっきりして下さい。
#273
○池田国務大臣 飛行機の製造につきましては、先ほど申し上げました通りに、飛行機製造事業法という法律がございまして、それに基づく省令によりまして、飛行機を製造する場合におきましては、通産大臣が指定した会社のみ特殊の飛行機の製造権が出てくるわけでございます。
#274
○小松(幹)委員 工場認定の基本要綱というのは防衛庁にあって、飛行機でもやる。ただ通産省は民間のはあるけれども、防衛庁としては別にそれがないから、民間の飛行機と一括してやっているのか、その辺の防衛庁と通産省との境目ですね。そこをはっきり防衛庁長官答弁して下さい。
#275
○赤城国務大臣 飛行機の生産をどの会社にやらせるかという認定は、通産省で先ほど通産大臣が申し上げた法律によってすることになっております。
#276
○小松(幹)委員 そうすると認定はしたが、あとの問題は全部防衛庁でやるわけなんですか。たとえば計算方式、これはおそらく市場価格でいくのじゃなくて、原価計算をやらなければならぬと思う。すべて防衛庁の品物は原価計算でやっているのですから……。その原価計算のようなことは防衛庁がやるのですか。それから工場の監査、管理、あるいは一切の工場のあれはどうですか。
#277
○赤城国務大臣 お話しの通り、その手続は防衛庁でやります。
    〔八木(一郎)委員長代理退席、委員
  長着席〕
#278
○小松(幹)委員 飛行機製造事業法が通産省にある、こうおっしゃるのですが、それは民間の場合でしょう。防衛庁はただ飛行機のところだけちょっと肩をはずして、通産省に認定だけお預けにして、あとは防衛庁がやる。少なくとも軍備――と言うたら悪いでしょうが、防衛設備ですか、防衛の施設をする場合に、なぜ飛行機だけちょっとはずしたのか。そのほかの船やあるいは一切のものは全部防衛庁でやる。ところが飛行機の認定だけは通産省でぽっとやる。飛行機製造事業法というのは、私はおそらく民間の飛行機の生産として考えているのだろうと思うのです。その辺もっとはっきり、どういうわけで防衛庁のやるところをそこだけは通産省が肩がわりをしてやるのだということを答弁していただきたい。
#279
○池田国務大臣 飛行機は高度の生産技術を要しますし、これは民間とか、軍用とか、防衛用とかいうことを考える余地はないのであります。飛行機に対しまする行政は一元化した力がいいというので、飛行機製造事業法ができているのでございます。
#280
○赤城国務大臣 飛行機ばかりではありませんで、たとえば大砲とか戦車等につきましても、武器等製造法という法律がありまして、どの製造会社を選ぶかという認定は、やはり通産省がやることになっております。飛行機ばかりではないのであります。
#281
○小松(幹)委員 そこで原価計算をする場合、私は標準の設定も必要だと思うのです。しかし兵器の生産ですから、これは非常に例が少ないのですから、実績価格というものは当然見なければならぬ。これはアメリカあたりでも、いわゆる民間の実績を見て、以前は利益を奨励金的に引き上げるというようなのもありましたが、朝鮮戦争以後は事後調整法というのが成立しているのです。これをアメリカはどういうふうにやっておりますか、はっきり知っておればお答えを願いたい。
#282
○赤城国務大臣 先に利益をきめる場合もあるし、あとで利益をきめる場合もあります。両方だというふうに聞いております。
#283
○小松(幹)委員 それはちょっとおかしいのですが、それは予定価格であって、いわゆる事後調整法という名で出ておると思うのです。一応原価予定を立ててやらせて、実績を見てそこで事後調整をして、余ったものは余分に利潤を引き上げる、こういう契約方法をとっておると思います。事前にして事後にするというのは、その法律の趣旨じゃないと思いますが、とにかくいわゆる兵器といいますか、防衛機といいますか、こういう契約には、実績価格との差を納入させるとか、あるいは事後調整する法律、いわゆる利潤を制限する法律か、あるいは価格を調節する法律か何か、結局事後調整法のようなものを作る必要があると思うのです。アメリカでは最初には利潤を制限してみたり、あるいは価格を制限してみたりいろいろしました結果、朝鮮戦争以後事後調整法ということで、利潤を見たり、あるいは原価計算をし直したりして調整して、最終的な判定を下している。たとえばあのロッキードの会社は四百十一万ドル水増ししておったというので引き揚げられたという実績もある。そういうことからきますと、やはりロッキードであり、その中には丸紅商社が入り、あるいは新三菱重工が入る、こういうようにアメリカの本社から、貿易業者から、製造業者から、三段階のルートを通って納められる兵器でございます。単純なる契約の段階を踏まない兵器でございますから、これは原価計算も相当むずかしいし、またひまもとることだし、絶対の原価計算というものは出ないと思うのです。そういう意味からすれば、こういう問題は事後調整法という法律案でも用意して、あらためて調整をするというようにしたらどうかと思うのですが、その点はどうなんです。
#284
○赤城国務大臣 契約の仕方に確定契約の仕方もありますが、今のお話しのように、契約の中に利益制限条項というものを入れまして、あとにおいて調整する。こういう利益がたくさん出るというような場合にはそれを制限させる、こういうような約款条項を入れることに今やっております。法律ではありませんが、これで制限をいたす。こういうことに相なっております。
#285
○小松(幹)委員 ちょっと私は先ほど価格のところで、もう一つ聞くのを忘れましたが、廣岡国防会議の事務局長さんおりますか――おりますね。あなたは決算委員会ロッキードは七十五万六千ドル、こういうように言っておりましたが、だいぶ価格が違ってきておりますが、これはどっちがほんとうなんですか。その辺を廣岡国防会議の事務局長さんにお尋ねをいたします。
#286
○廣岡政府委員 昨年の八月のロッキードのプロポーザルの中に、そういう金額がございました。
#287
○小松(幹)委員 そうすると防衛庁長官、昨年のときは七十五万六千ドルの、いわゆるこれは会社から指示したのだろうと思いますが、今度は百万ドルに上がって、しかも百万ドルを上回る。上回る額は大したことはないとしても、だいぶ違いますが、一体どういういきさつでこんなに金が違うのですか。七十五万ドルと百万ドルとは大きな違いです。子供の計算よりはなお悪いです。どうなんです。
#288
○赤城国務大臣 七十五万ドルということは私は聞いておりませんでしたが、ことし白紙還元する当時におきましては、ロッキードも百万ドルをこえる見積もりに相なっております。
#289
○小松(幹)委員 そこで次に参ります。戦闘機は一応決定いたしました。そこで次期戦闘機が決定するまで両三年以上かかって参りましたが、昨年四月十二日グラマンの内定を見てより本年十一月、ロッキードの決定に至る間を反省してみますと、まことにその間奇々怪々である。疑わぬでもいいようなことでも疑いたくなるくらいに疑惑を感ずる。そのうちだれが得をしてだれがばかを見たか。おそらく私は国民がばかを見て、だれかがその得をしたのだろうと思います。今の七十五万六千ドルの指示価格から、今日百万ドルにはね上がった指示価格、将来もまだはっきり値がわからない。しかもグラマンを内定しておきながら、しかも権威ある国防会議において内定しておきながらひっくり返して、そうしてまた再び調査団を派遣するとかあるいは夜中にロッキードをあわててきめるとか、しかもそのたびたびを考えてみると、いつも選挙の前にその重要な決定が行なわれてきておる。昨年衆議院選挙の直前にグラマンが内定したのです。ことし六月の参議院選挙の前に白紙還元ができた。しかもその白紙還元のときにグラマンが直ちにロッキードに変わった。グラマンを白紙還元しただけでなくて、直ちにロッキードに変わるような様相を呈して、特に岸国防会議の議長さんは、ロッキードにほんとうに本気になって変わってきた。日本の兵器の決定がかくも不合理と不明朗ないきさつの上にやられておるということ、これは昨年の一年間の決算委員会を通しても与野党から突っ込まれたところです。まことにずさんきわまるものであり、その間に国防会議の見識のなさ、防衛庁幹部の不統制、全く国民に申しわけないようなできごとだけが繰り返されてきておるのです。一体国防会議の議長である岸さんは、こういうものの責任をどう考えるのか、あなたは責任なしとしないのか。そのときはそのときの情勢なんだ、金が変わるのも、機種の変わるのも時が変われば変わるのだというような、そういう考え方に立っているのか、何か深い意味があるのか、その辺を議長さんにお伺いしたい。
#290
○岸国務大臣 昨年の四月国防会議において次期戦闘機の機種を決定しようということで、前年来いろいろと調査をいたしました資料に基づいてこれが議論されたのであります。しかし先ほど赤城長官が答えましたように、当時まだグラマン機にいたしましても、ロッキードにいたしましても、その他の機種にいたしましても開発中であり、実際動いて相当な実績をまだ示すだけの状態に達しておらなかったのであります。しかも日本の航空機工業の実情やあるいは防衛計画の遂行の上からいうと、なるべく早く機種を決定して、これに対処するところの計画を定めることが必要であるという当時の事情から、一応グラマン機に内定した。これは実は今回の決定を見たように、機種がこれでもってはっきり国防会議としてきまったわけではございません。なおいろいろな具体的の事実等についても調べる必要があり、その調べる必要上一応内定するという決定を見たのであります。そこでその後いろいろのデータ等も集め、これがさらに検討を続けているうちに、いろいろまだできなかったところの試験機もできるとが、あるいはその後におけるところの実際のロッキードの実績もはっきりしてくるとか、あるいはまたドイツ、カナダ等において新しい次期戦闘機の機種がきまるというような国際的のこともありまして、さらにその後における事情の変化や、あるいは飛行機の開発された実情について、さらに検討し直すという必要を認めて、国防会議において従来の内定を取り消して、白紙の形に還元して、そうしてこれはどうしても権威ある調査団を出して、実際に飛行機に搭乗して試験をする、また技術的な権威者を送って各方面の研究をする、調査をするという必要を認めて源田調査団を組織して、これをしてアメリカに渡り、各種の機種について約八十日に近い期間、詳細なる検討を続けさせたものでございます。私は一方においては、機種の選定につきまして、大事な問題として、これを慎重にする必要があり、また国防計画その他の上からいって、なるべく早く結論を出す必要もあるこの問題につきまして、国防会議がそういう経過をとったことは、顧みてみまして、やはり今日から見て、あるいはロッキードになったことから見て、グラマン機と内定したことが早計であったのではないかという批判も出ることかと思います。当時の事情から申しますと、当時われわれが持っておる資料をあらゆる点から検討してグラマンに内定する、しかもそれは決定でなくして内定で、さらにいろいろなデータを調査するという意味において内定をしたのであります。しかし、今申しましたように、その後の事情の変化に基づいて白紙とし、さらに今回権威ある調査団の真剣なる調査の結果に基づいて国防会議においてロッキードに決定したということでございますから、結果的にいろいろ変わったことをとらえて、それでは前の決定についての何か責任があるんじゃないかというふうな御議論は、国防会議としては今申したような経緯をとっておることでありまして、その間におけるいわゆる責任問題ということはございません。のみならず、ただ、国会を通じていろいろな論論が行なわれ、その間においていろいろ報道機関等において疑惑があるがごとき記事等が出ましたことは、これは私ははなはだ遺憾でございます。しかし、幸いに今回そういう権威ある調査団の周到なる調査に基づいて、われわれは確信を持って機種を決定したことでありますから、国民においても十分その間の事情を了承していただきたい、かように考えております。
#291
○小松(幹)委員 グラマンを白紙還元をした場合に、防衛庁の前伊能長官は最後までグラマンを固執して聞かなかった。そこで、とうとう伊能防衛長官のおらないときに、岸総理と佐藤大蔵大臣等で大体白紙還元と同時に、ロッキードの方にしたらいいんじゃないか、こういうような話をされたということを聞いておるんですが、防衛庁長官はあくまでもグラマンを固執しておるのに、どうして岸さんや佐藤さんは白紙にしてロッキードの方をしいて推したのか、その辺のところをお答え願いたい。
#292
○岸国務大臣 白紙にしたことは、今申しましたように、このグラマンを内定した当時と違ったいろいろな事情が起こって、国際的にもありますし、それから基礎的には、現にロッキードも、あるいはグラマンも十分試験機ができ、相当な試験の成績も出ておりますし、それからロッキードについては、現にアメリカにおいて採用し、その他の国においても採用して、先ほど来おあげになっておるようないろいろな統計的数字も出ておる、こういう事情でありますから、ここに白紙に還元したわけでありまして、私どもはこの問題について大蔵大臣と話してロッキードに変えようとかなんとかというようなことは、どういうことから誤り伝えられておるか知りませんけれども、今までのグラマンを内定したということにおいて、グラマンに重点を置いて進めるということでなしに、ほんとうに純粋に白紙にして、そうして技術的にも、あるいはパイロットとしても権威ある調査団を出してその結果に待とうということに純粋になったわけでございます。
#293
○小松(幹)委員 私は、岸総理を不純なものだとかというように考えておるわけじゃありませんが、そういうように当時言われておりますので、何か防衛庁長官が固執するのに、あなたたちだけがロッキードの方に向いておるんだ、こういうように感じたので、それをお聞きしたわけです。
 さらに、これは私的なことで相済まぬわけでありますが、岸さんは本年の五月ごろ児玉誉士夫さんとこの件でお会いになり、何かこの次期戦闘機の問題で相談を受けられたことがあるでしょうか。
#294
○岸国務大臣 私は児玉君と飛行機の問題について話し合ったことはございません。
#295
○小松(幹)委員 それでは北海道炭砿汽船の萩原氏ですか、大映社長の永田氏等が児玉さんと岸さんの中に入って話をした、こういうようなことが言われておりますが、それはどういうことなんですか。ありませんか。
#296
○岸国務大臣 私は全然そういう記憶はございません。
#297
○小松(幹)委員 六月七日の朝ロッキードの日本の販売会社の社長のハル氏が南平台の岸信介氏の宅を訪れております。六月七日の朝です。一体ロッキードの販売会社の社長ハル氏と岸さんは何を相談なすったのでございますか。
#298
○岸国務大臣 私はハル氏と会ったことは全然ございませんし、南平台の私の宅を訪れたという事実もございません。
#299
○小松(幹)委員 それでは、私の入れている情報は、六月七日の朝ハルさんが南平台の岸信介氏のところを訪れたことをはっきり言っておる者がありますし、また、児玉氏がこの問題で相当あなたに圧力をかけた、こういうようにも聞いているのです。それが事実でなければまことにけっこうでございますが、何だかこういううわさを聞くたびに、ロッキードの問題とこういう問題が引き合いに出されることは、岸さん自身としてもまことに面目ないことだと思うのです。あらためてお伺いしますが、そういうハル社長と南平台の自宅で会ったことはございませんか。もう一回聞きます。
#300
○岸国務大臣 私はハルという人に会ったことは今日まで一度もございませんし、いわんや、南平台を訪れたという事実はございません。
#301
○小松(幹)委員 そこで、防衛庁長官にお尋ねします。当時防衛庁はしきりにグラマンを推して、その内定を推し進めておりましたが、今度グラマンから一ぺんにロッキードに変わったんですが、もう一回お伺いします。この間に対して何か反省しておることはないのか。一部では政治家に押えられたんだ、おれたちはグラマンを推しておったけれども、政治家が決算委員会でわんわん言うて、とうとうグラマンを押しつぶしてこういう結果になったんだ、国軍の面目にかけてもわれわれは意思を通したかった、こういうような空気が防衛庁の方にあると承っておるが、その辺はどうなんですか。はっきり投げ出して、そうだ、ロッキードの方がよかったんだ、こういうような気持になっておるんですか、どうなんですか。
#302
○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、内定の時点、あるいは白紙の時点、その当時においてはいろいろ考えがあったと思います。しかし、最も権威ある調査団を出して、その調査団の報告は尊重するということは、私もしばしば申し上げておった通りでございます。でありますから、かりにグラマンと出ましても、私はそれを尊重するつもりであります。ロッキードと出まして、いろいろ事情を聞いてみますというと、なるほどよろしいということになりましたから、報告を聞いて、直ちに防衛庁の庁議を開いて、それに対しまして三、四の質問がありました。質問がありましたが、それは調査団長の明快なる回答によって解消しております。でありまするから、防衛庁内におきましても、この調査団の報告を尊重してきめることが至当だ、こういうふうに考えていますので、今お話しのように、庁内におきましてグラマンがいいんだ、ロッキードは間違っているのだというような考えは持っていませんで、調査団の報告を信頼いたしておりますから、御懸念のような点はないと私は信じております。
#303
○小松(幹)委員 防衛庁の中に――これは防衛庁の内局か、あるいはそうでないかもしれません。今防衛庁長官がはっきり言っておりますけれども、あなたたちは、あるいは内局の人は一応そういうことを考えたり、あるいは外局の人、制服のユニホームの人たちとの考えがどうなっておるか知りませんが、何だか私の聞いたのでは、どうも決算委員会のやろうどもががんがん言うもので、この際われわれは国軍の支柱となってこういうものをやるのだから、政治家の圧力には屈しないという骨のあるところを見せようじゃないか、こういうような空気が、外局か内局か知りませんが、おそらく外局になるかもしれません、あるとも承っておりますが、まあなければ幸いであります。そこで防衛庁内に、老人である、博士とか何とか言っておりますが、天川勇なる人物が非常に重要視されておる。今日はどうか知りませんが、過去何年間か天川勇などというものがほとんど特別待遇をもって、天川参りをしなければ防衛庁の人事に、出世もしない、ましてやこういう国防に関する問題の知恵もつかない、見識もつかないということになって、通り相場になっておる。それがためにこのグラマン戦闘機の内定あるいはロッキードの決定に至る間の陰の振り回し役を、天川勇という人が防衛庁の方々と一緒になってした。これは決算委員会の討論なり報告なりに出ておりますが、この辺は現在どうなのですか。それはどういう原因でこういう格好になってきたのか、あなたからお答え願いたい。
#304
○赤城国務大臣 天川勇という人が相当飛行機のことなどで明るい、こういうことで話を聞いたという事実は、私が官房長官の時代あるいは決算委員会等におきましてもそういうことは承知しております。しかしその後防衛庁内の人事に関してとか、あるいは機種決定に対しまして相談をしたとか介入したとか、そういう事実は全然ございません。
#305
○小松(幹)委員 あなたに問い詰めたからといって、防衛庁長官はかわっておりますからわかりませんけれども、昨年あるいは今年にわたって、決算委員会の数次にわたる証人喚問あるいは討論の中に、天川勇なる人物が多く活躍をしておる、しかも防衛庁のこういう機密に類する問題まで、もっといえば国防会議の事務局に出される各戦闘機の諸元表は天川勇が作った、しかも天川勇が捏造したというところまで出ておる。それは森脇将光なる人の森脇メ
 モにちゃんと写真にとられておる。これは関係がないのかどうか、どうなんですか、その辺はどうなんですか。
#306
○赤城国務大臣 私が官房長官時代に聞きましたところによりますと、国防会議におきまして、一回か二回天川勇から話を聞いた、こういう事実、あるいはまた各機種について比較をするのには一つのレベルをそろえないと比較ができないので、レベルをそろえる方法論を聞いた、こういうようなことは、私も官房長官時代に耳にいたしたことがあります。しかし先ほど申し上げましたように、私が防衛庁長官になる前、いろいろ問題になった以後におきまして、機種決定。参考意見を求めるとか、あるいは介入をするとか、あるいはまた人事の点に口出しをされたとか、あるいは天川参りをするというような事実は全然ない、こう信じております。
#307
○小松(幹)委員 国防会議の事務局長にお尋ねいたしますが、あなたは、年間一千二百万円の金を財政支出をしながら、その見識も低く、天川勇なるものに委託費を出して、情報の収集をはかって、しかも情報収集でなくして、逆に天川勇なるものから秘密書類を入手されておったという事実があるわけなんですが、その辺に対して、どういう考えを持っておるのか、こういう事実があったのか、なかったのか、国防会議の事務局長にお尋ねいたします。
#308
○廣岡政府委員 その問題につきましては、決算委員会並びにほかの委員会におきましても、天川勇氏から会社筋に対してわれわれの機密の情報を流したというような事実は、全然ございません。そういうことは、今までも何回も繰り返して申し上げたところであります。
#309
○小松(幹)委員 それでは大蔵省主計局ナンバー七、極秘印を押した書類が、昭和三十二年四月十二日付の大蔵省主計局ナンバー七の極秘印を押したのが森脇将光なる市井の人の手に入っておるのは、これは一体うそかほんとうか、これは大蔵大臣もおるが、大蔵省主計局のナンバー七の極秘の印を押してある書類が森脇将光氏の手に入っておる。これは決算委員会で証拠を突きつけられてはっきりしておるのですが、こういう事実があったのかなかったのか、これはどうなんですか。
#310
○石原政府委員 天川勇という人が申し述べました意見を、大蔵省で複写をしてくれという話がございまして、複写をいたしました書類が、今小松委員が仰せになったもので、これはそういうことで天川氏の個人的な意見を複写したものが今おっしゃった書類であります。
#311
○小松(幹)委員 大蔵省主計局の極秘印というのはだれが押すのでございますか。そうしてそういう書類は森脇将光なる市井の人にどうして極秘書類が渡るのでございますか。どういうふうにすればそれができるのですか、それをはっきりと……。
#312
○石原政府委員 極秘の印を押しましたのは、当時におきましてそういうようなものの研究と申しますか、それをいたしておりますことを秘密にいたすという趣旨におきまして、極秘の印を押したわけであります。
#313
○小松(幹)委員 秘密の意味があったから極秘の判を押したのでありましょうが、それが天川勇の手に渡って、天川勇から森脇将光に渡ってきた。極刑書類はそういうところに流れてもいいのですか。
#314
○石原政府委員 ただいま申し上げたようないきさつの書類でございますので、天川氏本人に渡したものが森脇氏に渡ったのだろうと思います。その切のことにつきましては、大蔵省当局は承知いたしておりません。
#315
○小松(幹)委員 大蔵省としてあるいは私は承知をしないといっても、それで済むわけはない。これは責任のあるものだ、大蔵省の主計局の極秘のものが極秘でないで、そういうところに流れていくということは、所管からいえば大蔵大臣の所管の問題だと思う。しかしそれは一歩譲って大蔵大臣の知らぬことで、主計局長も知らぬことだ、こうしましても、問題は大蔵省から派遣しておるところの国防会議の参事官から移った。そうすればやはり国防会議の事務局の中の事務局員か、あるいは参事官の問題になってくるわけです。この辺のところを、多く語れば長き物語になってくるわけです。決算委員会の議事録を読むだけでも、全部読もうとすれば三日くらいかかる、そのくらい。しかも国防会議の事務局の乱脈ぶりというか、赤坂の紅馬車に行ったり、毎日飲んで回って国防を論じておる。バーに行ったり、キャバレーに行ったりして、そうして戦闘機の諸元表を作っておる。こういう事実を思うたときに、一体国防会議の事務局長何をしておるかと私は言いたくなる。責任はないのか。今言っておることは、責任のないようなことを言っておるが、事務局長、もう一回はっきり言ってもらいたい。
#316
○廣岡政府委員 大蔵省主計局印という極秘の判を押された書類は、国防会議の事務局から流れたものだというようなことは、私は絶対にないと思います。また吉村参事官は、その問題のときには大蔵省へ帰っておったときでございまして、われわれのところへ在任中おった時期ではございません。この問題についていろいろ疑惑を受けておられるようでありますけれども、私の監督いたしまする限り、また十分調査いたしました結果に徴しましても、決して機密書類が他に渡っておるというようなことはないことは、この機会にも重ねて申し上げておきたいと思います。
#317
○小松(幹)委員 総理にはっきりお伺いしますが、まあ書類は大蔵省の参事官から出たのでしょう。大蔵省から出たに間違いはないのです。ほかの者が言ったわけではないが、それが国防会議の機密に類することとか、それがために機密保護法を作れと言うのではないのです。そうではなくして、もう少し少なくとも官吏の粛正あるいはそういう派遣官吏、たとえば大蔵省からそういうところに出ている人、あるいは防衛庁から、あるいは通産省から川崎航空あるいは新三菱重工に派遣しておる監督官なりあるいは差し出しておるところの参事官、調査官というものがあるはずだ。こういう人たちの監督が不行き届きである。だからおそらく私は、そういうところに出入りしておる者はついにその会社の代弁役を勤めるか、あるいは重要なる役所の機密書類を持って売り込むか、あるいは市井の天川勇などという全く詐欺師みたいな方の手に渡って、それが移っていくわけなんです。そういうことを考えたときに、もう少し機構をあるいは官吏の粛正を考えていかなければ、国防会議なんと言いますけれども、針の穴からすべてが逆転してくる。今日戦闘機の問題を繰り返してみると、こういうところに一切の疑惑の種がまかれておるのだということを考えれば、岸さんの一つの御所見なりあるいは御反省なり、今後のお考えを承りたい、こう思うのです。
#318
○岸国務大臣 実は私の前世は、御承知の通り役人でございまして、官庁に勤めておったのでございますが、この官庁の書類の扱い、また官庁事務の機密をいかにして保持するかという問題に関しましては、これは非常に深刻に考えなければならない点が私たくさんあると思います。一つは、官庁においていわゆる秘とか極秘とかという判こを割合容易に押している傾向がある。その結果、秘とか極秘とかという判こが押してあることがいかに重要であるかという観念を割合失いがちである。どの書類にもそういうことをべたべた押すという慣行がややともするとあるのでありまして、これは書類の扱い等につきましても、私は自分の体験からいって、ほんとうに極秘のもの、一体秘という判があり、その上に極秘とか厳秘とか書いてあるのでございますが、いろいろそういう書類の扱いの問題も考えなければならぬ。それから戦前の公務員とまた戦後の公務員とのいろいろな服務規律その他の点につきまして、監督の点につきましてもやや違った情勢が出てきております。しかしながらいやしくも公務員として国家の大事な機密の事項を扱うというようなもの、それがいろいろな方面に重大な影響を持つような事項につきまして、これの取り扱いというものは非常に慎重にまさに極秘にしなければならぬというような点に関して、いわゆる今御指摘のありました綱紀を粛正して、公務員がその点を守ることについてなお一そう注意をしなければならぬ。今回のこの機種決定の問題に関しましても、実は半年以上決算委員会において論議されました。またそれにおいていろいろな事実が現われたことにつきましても、私はこの機種決定そのものについて少しも今日――その当時においてはみな真剣にこれを検討して、その時点において正しいと思うことをきめたことでございますから、それについての責任とか何とかということは考えておりませんけれども、書類の扱いその他機密事項についての将来のこういう、ことに国防会議等の重要事項についての扱い方につきましては、特に留意しなければならぬということをこのときにも痛感をいたしておりますし、また関係の事務局におきましても、事務局長を初め特にその点については注意を喚起し、事務局長等も十分な考えを持ってこれに処しております。将来そういう意味において、この公務員の職務執行についての綱紀ということについては一そう留意しなければならぬ、こう思っています。
#319
○小松(幹)委員 そういうお考えでけっこうでございますが、もう一つ最後に関連して言いますが、これはちょっと言いにくいことになっておりますけれども、岸さんがかつてアメリカに行って帰るときに、ゴルフの道具を持って帰ったということもありますから、この程度はいいか悪いかは御判断にまかせますが、ロッキードの本社から源田空将へ贈りものとして、たてが贈られておると聞く。持っておるかどうか知らない。これはロスアンゼルスのサンペドロ・ストリートのある――あるにしておきます、スポーツ店のおやじが誇らしげに、これは源田に贈るんだ、ロッキードから贈るんだといって、相当りっぱなものが用意されておることを私は入手しております。こういうことは源田さんに尋ねなければわかりませんが、そういう情報がアメリカから入っているわけなんです。そういうことがいいのか悪いのか、これは架空の問題ですからわかりませんが、とにかくアメリカあたりで贈りものをするときには、形式的に贈るのはきわめて粗末なものをぱっと贈ります。本式に贈るものは外は悪くても、外は銅であっても、中にダイヤが入っておったり、金が入っておったりするのがアメリカの通有性になっておるそうでございます。(笑声)中身がよくて外が悪い、たてとかゴルフとか贈ってくるということになっておるのでございますが、そういうことがアメリカのロスアンゼルスのあるスポーツ店から出ておるのですが、りっぱなものだそうでございます。そういうことは、まことに言いにくいことなんですが、これは関連しますから、将来も傷がつかぬようにした方がいいのじゃないか、こういうふうに考えます。
 以上をもって終わります。
#320
○赤城国務大臣 ただいまのお話しでありますが、この二マッハ以上のクラスの飛行機に搭乗した者に対しましては、たてを贈る慣例になっておる、こういうことで外国の調査団もたてを贈られたそうです。しかしこれはロッキード会社から贈られたんじゃありません。各会社から二マッハ以上の飛行機を操縦した記念のたてが贈られた、これが事実であるというように聞いております。
#321
○小松(幹)委員 終わります。
#322
○小川委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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