くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第033回国会 本会議 第7号
昭和三十四年十一月十四日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和三十四年十一月十四日
    午後一時開議
 第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(第三十一回国会、臼井莊一君外七名提出)
 第二 日本学校安全会法案(第三十一回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)
 昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)
 次期戦闘機決定に関する緊急質問(淡谷悠藏君提出)
 日程第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(第三十一回国会、臼井莊君外七名提出)
 日程第二 日本学校安全会法案(第三十一回国会、内閣提出)
    午後六時二十六分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 昭和三十四年度一般会計予算補正
  (第二号)
 昭和三十四年度特別会計予算補正
  (特第一号)
 昭和三十四年度政府関係機関予算
  補正(機第一号)
#3
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#6
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長小川半次君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小川半次君登壇〕
#7
○小川半次君 ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同特別会計予算補正(特第1号)及び同政府関係機関予算補正(機第1号)の三案につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本予算補正三案は、去る十月二十八日予算委員会に付託され、自後、ほとんど連日にわたる審査の末、本十一月十四日、討論、採決せられたものであります。
 今回の予算補正は、三十四年度本予算成立後に生じました事由により、当面必要とされる経費、すなわち、去る九月の伊勢湾台風、その他今年度の累次にわたる風水害に関する災害対策の経費を主として、さらに、義務教育国庫負担金等の義務的経費及び石炭離職者対策費等を追加するための予算補正であります。
 一般会計の予算規模は、歳出追加額が六百十四億円余・修正減少額が七十五億円余でありまして、差引五百三十八億円余の純増であります。これを既定の予算額に合わせますと、昭和三十四年度の一般会計予算総額は、歳入歳出とも一兆四千九百八十一億円余となるのであります。
 歳出の内容を申し上げますと、まず第一に、直接災害対策にかかわる諸経費として三百四十三億円余が計上されております。災害対策として特に重視されておりますのは、被災地における民生の安定と生業の回復でありまして、災害救助の内容の改善、住宅及び農林漁業施設の復旧の促進等、従来の措置に比して大幅の改善、充実がはかられております。
 災害対策としては、さらに新たな構想による大規模な高潮対策、河川等の公共土木施設の復旧、あるいは文教施設の復旧、その他所要の経費を追加するとともに、新しく三十六億円余の国庫債務負担行為を予定し、さらには、予備費追加のうち相当程度を災害対策分として予定する等、できる限りの措置が講ぜられております。
 また、地方公共団体に対しては、災害対策を推進するため、国の補助負担の対象及び率について、それぞれ拡大、引き上げの特例を設定し、他面、地方交付税の増加、地方債起債ワクの拡大等の財源強化が行なわれております。
 災害関係費以外の経費としましては、地方交付税の増八十五億円余のほか、義務教育費国庫負担金、国民健康保険助成費等、法令の規定に基づく義務的な経費九十一億円余、石炭鉱業離職者対策費七億円余、予備費八十億円、その他が計上されております。
 以上の歳出をまかなう財源としましては、租税及び印紙収入の増加四百九十億円、税外収入の増加四十八億円余、既定経費の節減七十五億円余等が見込まれております。
 特別会計の予算補正は、交付税及び譲与税配付金特別会計、開拓者資金融通特別会計及び食糧管理特別会計の三特別会計についてであります。
 また、政府関係機関予算補正は、中小企業信用保険公庫の信用保証協会に対する貸付金のワクを十億円増大せんとするものであります。
 なお、財政投融資について申し上げますと、今回の災害対策及び年末中小企業金融対策として、総額五百一億円の投融資の追加が決定されております。
 以上が予算補正三案の内容であります。
 次に、委員会における質疑について若干御報告いたします。
 まず、災害対策に関しては、激甚地指定の問題に焦点が置かれ、「二十八年災害の場合より不利な基準を作るようでは被災者に対する公約を踏みにじることになる。また、基準を前年度の標準税収入に置くのは、災害を受けて住民の担税力がなくなったという実態に即さない。さらに、最終的に決定した基準によると、高率適用事業の全体に占める比率が当初予想の六割を上回ることになるから、第二次補正を組まざるを得ないのではないか」との質疑がありました。
 これに対して、政府は、「災害復旧事業は、全体として、従来の線を上回る初年度二八・五%の進捗率を予定しており、基準の取り方は二十八年災の場合といろいろ異なるが、決して当時を下回ることはない。ただ、当時と比べると、地方自治体の財政が相当充実していることは考慮に入れる必要がある。災害による地方自治体の減収部分は、交付税、起債等によってある程度補われるから、前年度の標準税収入を基準としても格別の支障はない。さらに、高率適用の事業が当初の見込みよりふえたのは事実であるが、予備費もあることだから、この補正予算の範囲内で十分やっていける見込みである。従って、ただいまの見通しとしては、第二次補正を組むつもりはない」との答弁でありました。
 なお、災害対策についての基本的な考え方として、「災害は天災であるという考えをなくして、戦争による被害と同じように、すべて国の責任において負担する、罹災者の財産喪失及び人命喪失に対しては国が補償するという建前をとるべきだと思うが、どうか」との質疑がありましたが、政府の答弁は、「災害の予防及び災害の復旧に対して国が相当の負担を行ない、あらゆる便益を与えるということは当然であるが、個人の被害そのものを国が全部補償するという考えは今直ちに採用できない」とのことでありました。
 次に、ベトナム賠償に関する質疑について申し上げます。
 「南べトナムはサンフランシスコ条約の調印国であるから賠償請求権があるのだと政府は主張するが、南べトナム政府は当初からフランスのかいらい政権にすぎない、それが全べトナムを代表する合法的にして正統な政府であるといろ論拠を示せ。しかも、平和条約に調印した南ベトナムの代表トラン・ヴァン・フー氏はフランス人であって、べトナムの国籍を有しない。従って、この調印は無効ではないか。また、賠償あるいはこれまでの経済協力には、南ベトナムの軍事計画に協力するものが多いようだが、これはジュネーブ協定の精神に違反しないか」というのでありました。
 これに対する政府の答弁は、「ベトナム独立に関しては、一九四六年、フランスとホー・チミン政府との間にハノイ協定が結ばれたが、これは必ずしも北ベトナムを正式な独立国として承認したわけではない。のみならず、引き続いて両者が戦争状態に陥り、フランスが北ベトナムを否認したため協定は無効となった。その後、一九四八年にアロン湾宣言が出され、南ベトナムが全ベトナムを領域とする独立国であるとフランスによって承認されたが、現在は世界の四十九ヵ国が南ベトナムを承認している。このような歴史的経過から見て、南ベトナムは全ベトナムを代表する正統政府である。また、トラン・ヴァン・フー氏は当時二重国籍を持っていたが、全権委任状を持って平和会議に出席し、その委任状が審査されて妥当なものと認められた以上、調印は有効である。さらに、日本はジュネーブ協定に参加していないが平和外交を推進する立場から、この協定の趣旨は尊重すべきである。従って、賠償の内容に軍事施設の建設等を含めるつもりは毛頭ない」とのことでありました。
 なお、質疑は、以上のほか、安保改定、石炭鉱業離職者対策、次期戦闘機種決定、貿易自由化、原子力発電炉その他各般の問題にわたって行なわれましたが、その詳細は会議録でごらんを願うことにいたしまして、ここでの報告は省略させていただきます。
 本日、質疑終了後、日本社会党及び社会クラブより、それぞれ予算の編成替を求めるの動議が提出され、その趣旨説明が行なわれました。
 次いで、討論の後、採決しました結果、この二つの動議は否決されました。
 最後に、政府原案について討論の後、採決いたしましたところ、予算補正三案は多数をもって原案の通り可決されました。(拍手)
 以上、報告申し上げます。
    ―――――――――――――
#8
○議長(加藤鐐五郎君) 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)外二件に対しては、佐々木良作君外二名から編成替を求めるの動議が提出されております。
    ―――――――――――――
#9
○議長(加藤鐐五郎君) この際、その趣旨弁明を許します。佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#10
○佐々木良作君 私は、社会クラブを代表いたしまして、政府提出の今次予算補正三案に対しまして、これを不満とし、わがクラブ独自の立場から、これら三案の編成替を求めるの動議を提出するものであります。(拍手)
 組みかえ案の内容は、すでに印刷物としてお手元に配付してありますので、御一読願いたいと存じまするが、要するに、政府原案に対しまして約四百三十八億円の増額を行ないまして、この増額分をもって災害対策と石炭離職者対策を全からしめようというのが、私どもの組みかえ案の趣旨であります。(拍手)これらの組みかえの内容につきましては御一読を願うといたしまして、おそらく、問題は、その場合にそういう財源があるかないかというのが論議の中心になろうかと存じまするので、私は、特に財源論を中心といたしまして、政府案に批判を加えながら、御説明をいたしたいと存ずるわけであります。(拍手)
 まず、最初に触れたいのは、今次予算案編成に対する政府の態度についてでありますが、政府案は、財政政策として一体いかなる方針のもとに編成されたのか、全く不明確でありまして、私どもの最初の不満はここにあります。総理は、答弁にあたりまして、「災害予算はこれで十分である。第二次補正をする必要は全くない」と、臨時国会当初から明言をされているのでありますけれども、御承知のように、一方、災害対策経費の支出のかぎとなります激甚地指定の基準が決定されましたのは、ようやく一昨日の午後のことであります。本来でありまするならば、この指定基準がきまらなければ災害予算の総額は分明にならないのでありまして、二次補正が要るとか二次補正が要らぬとかいうことは、本来言い得なかったのではないかと存じます。(拍手)予想を上回るゆるやかな指定基準を被害地域全域の六割に適用し、しかも、進度は年度内に三割を堅持するというのでありますが、その保証は全く政府より明らかにされていないのでありまして、この辺につきましては、予算委員会や災害地対策特別委員会における質疑応答におきましても、大蔵大臣は全く自信のなさを示しておられまして、まことに私どもの遺憾にたえないと存ずるところであります。(拍手)従いまして、政府の予算編成を見ますときに、一体、財源の制約をまず置いて、そのワクの中で災害予算を作り上げたのか、それとも、財源問題とは別個に、災害対策経費なるものは、まあ、大体この程度でよい、災害予算というようなものをあまり重視し、あまり増額することは、かえって剰費を生み出すものであり、また、地方財政を圧迫するようなものである、こういう観点にでも立っておられるのであろうかと私ども疑はわざるを得ないのでありまして、いずれにいたしましても、われわれは、今回の補正予算編成を通じて、岸内閣の予算編成に対する疑いと不信の念をますます深めざるを得なかったのであります。(拍手)
 われわれの見るところによりますとまず財源論でありますが、補正財源として外国為替特別会計のインベントリーがあるわけであります。この資金を円資金にかえて一般会計予算経費に繰り入れることにつきましては、財政学者のうちにいろいろと意見のありますることを、私も承知いたしております。しかしながら、これが使用し得る財源でありますることは、大蔵大臣も予算委員会で認めておりまするし、また、社会党が組みかえ案の動議を出された際にも、この考え方は支持をされているところであります。要は、このインベントリーを災害復旧事業に使用しても財政インフレを起こさず、国際支払いに支障を与えず、しかも、国富の蓄積となし得る経済見通しと政策プランを持っているかどうかという、政治確信の問題だと私は思うのでございます。(拍手)
 また、租税収入の自然増につきましても、政府は災害による減収分を差し引いて四百九十億円を計上いたしているのでありまするが、われわれは、この自然増の伸びの推定根拠につきましても政府を信用し得ないのであります。昭和三十年度以来の決算を見ますと、歳入対歳出の差額、すなわち歳入超過は、昭和三十年度の一千八十二億円が最低額でありました。政府の今度の説明によりますと、本年度の税収の増加は、前年度同期に比べまして、九月末までに五百五十四億円であり、これは四月から九月までの半年分でありまするから、一年分に直しますると、年間千百億円の増加となる。しかるに、本年度の税収見込みは昨年度実績より九百億円多く見積もっていたのだから、差し引き純自然増は千百億円から九百億円を差し引いた二百億円にすぎない。その二百億円であるのを、それを四百九十億円も計上したのだから、自然増収額としては精一ぱい出している、こういうのが政府の説明であります。しかし、これは、政府が自分の都合のよい面の資料だけを取り上げて説明しているものと私は思います。
 政府は、本年度経済の成長率を、当初の六・五%を一一%に改定いたしております。しかも、政府は、常々、国民所得の伸びに対する租税収入の伸びは平均一・五倍と常識的にみなしていると言明をいたしているのであります。しかも、最近の経済動向は、通産省が十日に発表いたしましたごとくに、昨年度に対する本年度の鉱工業生産の伸びは、去る四月に一〇%と予測いたしましたのを、九月に二四%に改定をいたしましたが、さらにこれを修正して、二五、六%に想定せざるを得ないと発表いたしております。すでに政府の改定、拡張した経済見通しそのものの再改定、再拡大が必要になっているのであります。
 租税の自然増の見積もりをふやすということに対しまして、一部の批判もあるようでありますけれども、われわれは、本年九月決算期以来、大法人活動が飛躍的に大きな収益を上げている事実に注目しております。また、明年三月期決算にはさらに収益増となる情勢であることを確認いたしている次第でありまして、政府当局の相も変わらぬ財源隠匿政策に対抗いたしまして、当然国の収入になるべき大企業の租税負担を正しく評価することこそ、私ども革新政党の当然の任務かと存ずるわけであります。(拍手)
 かかる観点から、私どもが本年度の自然増を推定いたしましたところ、本年度租税収入総額は一兆二千百四十六億円が可能であり、これより税制改革によります減収百三十三億円を差し引いた一兆二千十三億円と、政府の当初予算の計上額一兆千二百十四億円との差額、すなわち八百億円が今年度の租税の自然増と確信をいたすのであります。これより災害減収分百二十億円を差し引きましたところの六百八十億円が見込み得るものとなるわけであります。われわれは、年度内に当然期待し得る租税収入、すなわち、生産活動と健全な国際収支じりの裏づけのある租税収入を確保し、これをもって当面の災害予算の財源に充てることを要望するものなのであります。
 この点、政府案は、財源補正の面でも、きわめて不誠意といわざるを得ないのであります。なぜに政府がこのように歳出、歳入の両面にわたってあいまい不明確な予算編成を行なったのか。それは、言うまでもなく、第一に、政府はすでに今から明年度予算編成にあたっての財源難に陥っているからだと思います。第二には、しかも、政府は、そういう財源難でありまするので、ついに、官房長官談話として、明年度は防衛六カ年計画の実施は中止すると公表いたしたのでありまするが、それにもかかおらず、ロッキード戦闘機の購入と製造に莫大な予算をつぎ込むことを、すでに方針として決定しているからであろうと存じます。(拍手)このように、政府は、明年度は国土保全の名を表面に打ち出しておりながら、実は着々と軍事予算の実を上げんといたしているのでありまして、このような基本方針のもとでは、今回の災害予算に十分な財源を振り向けることは当初から困難であったに違いないと思わざるを得ないのであります。(拍手)
 今回の補正歳出のもう一つの柱となっておりまするものは石炭離職者対策費でありまするが、これも、同じような政治的理由のもとに、全く無力な対策だけが打ち出される結果となったのでありまして、私ども社会クラブは、保守政治のもとにゆがめられた今次補正予算案に反対をいたしまして、お手元に配付いたしておりまするような、わがクラブの組みかえ案によりまして、そこから捻出されております財源をもって、そして、その案に示されておりますような当面の災害復旧並びに石炭離職者対策に万全を期するように、政府が今次補正予算案をもう一度再検討し、再提出されるように要望いたしまして、説明を終わりたいと思います。各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(加藤鐐五郎君) これより補正予算三件に対する討論と動議に対する討論とを一括して行ないます。順次これを許します。上林山榮吉君。
    〔上林山榮吉君登壇〕
#12
○上林山榮吉君 ただいま議題となりました昭和二十四年度一般会計予算補正外二案に対し、私は、自由民主党を代表いたしまして、政府原案に賛成の意を表し、社会クラブの組みかえ案に反対するものであります。
 あらためて申し上げるまでもなく、今回政府が補正予算を提出するに至りましたおもなる理由は、本年度に入って相次いで発生を見ました風水害の復旧、被災者に対する救助その他の対策等のため急速に支出を必要とすることとなったためであります。わが国は、本年に入って、六号、七号、十四号、続いて十五号と、数回にわたって台風の襲来を見、そのつど各地に甚大な被害を生ぜしめたのでありますが、特に、九月下旬に襲来した台風十五号は、本州中部を縦断しまして激甚な被害を及ぼし、なかんずく、伊勢湾海岸地帯における異常な高潮によって、中京地区より三重県東部にわたる一つ帯は未曽有の惨害を招き、死者、行方不明者合わせて五千三百名、被災世帯約三十五万四千世帯、建物の全壊・流失等合わせて約四万棟、公共土木、農林水産業施設の被害のみでも千二百五十億円に達しているのであります。
 この際、私は、まず、多数の犠牲者の方々に対して衷心より哀悼の意を表するものであります。(拍手)また、被災者に対しましては、深く深く御同情にたえません。どうぞ一日も早く物心ともに立ち直られることを心から祈ってやまないものであります。(拍手)今回、政府が急速臨時国会を召集し、これら災害復旧のため予算上の応急の措置をとられたことは、当然のことと存ずるのであります。
 さて、私が今回の補正予算に対し賛成いたす理由は、災害対策において積極的にその内容の充実をはかり、復旧の迅速を期して、被災地における民生の安定及び生業の再建に格段の意を用いていることであります。さきの七号台風等による災害に対しましては、政府は、そのつど予備費の支出等によりそれぞれ措置を講じて参りましたが、今次の伊勢湾台風の襲来に及んで、新たに補正予算の編成を決定するに至りました。しかして、その災害たるや、大規模であり、これが対策費も巨額に達するため、政府当局は、予算の編成にあたり、財源の問題、明年度予算との関連並びに一部に景気過熱論すら出ている現下の経済界への影響等、諸般の情勢より種々困難な場面に直面したことと推察されるのでありますが、このたびの災害復旧に対して政府は異常な熱意をもって臨み、財源調達については、年度間見込み得る限りの財源を充当するほか、七十六億円に達する既定経費の節減という異例の措置まで講じたことを考えますとき、政府においては、災害対策等につき、その内容の改善並びに復旧の進度率引き上げ、ひいては民生の安定に格段の意を用いたものと、深く敬意を表明するものであります。(拍手)
 以下、私は、これらの諸点について、少しく具体的に論じてみたいと思うのであります。
 第一は、予算補正における災害対策費の策定にあたりましては、事業全般にわたって被害の実情に即して補助の範囲を拡大するとともに、特別の高率補助をするため、別途、立法措置を講じ、格段の考慮が払われているのであります。二十八年災の場合においても、災害復旧事業に対して特例法を設け、国庫補助額を増額していることは、御承知の通りでありますが、今回の補正においても、被害激甚地の国庫補助については、二十八年災とほぼ同様の取り扱いをいたしているのであります。特に災害関連事業については、今回は、一般災害復旧、直轄災害復旧とも、特にその補助率の引き上げを行なっているとともに、その事業量の増加を見込んでいるのであります。
 また、伊勢湾高潮対策については、被害の甚大な事実にかんがみまして、その復旧にあたっては、単に原形復旧にとどまらず、災害防止の見地から、科学的検討を加え、海岸及び河川部堤防の本格的工事を計画的に遂行することといたし、干拓工事中の堤防に対しては全額国庫負担で施行し、愛知、三重両県の施行する対策事業中、関連事業の部分については、特に八〇%の高率補助を予定しているのであります。なお、この工事の工法等については早急に調査研究することとなっているのでありますが、これらに対しては、本補正に追加された予備費及び国庫債務負担行為を充てているのでありまして、工事の完璧を期しているのであります。
 さらに、公立並びに私立文教施設、公営住宅施設等、公共事業以外の災害復旧につきましても、ほほ二十八年災と同様の措置を講ずるほか、特に、今回は、激甚被災部落共同化施設、共同利用小型漁船復旧、緊急排水事業等について、それぞれ高率の補助を行なうことといたしているのであります。また、災害救助についても、十分の配慮をなすとともに、救農土木事業を企図して、被災者の生活の安定についても格段の思いをいたしているのであります。
 なお、復旧工事の促進をはかるために、木曽川外三本の直轄河川については、復旧費の計上を従来の五〇%より六〇%に引き上げ、災害復旧補助事業全体について申しますれば、二十八年災当時は初年度一六・六%の計上にすぎなかったのでありますが、今回は、いわゆる三・五・二の原則に従って初年度二五%を補正に計上するほか、さらに、国庫債務負担行為により三・五%を加えて二八・五%といたし、明年度の作付等に支障なからしめるよう取り計らっておりますことは、民生安定上きわめて適切な措置と信ずるのであります。
 第二は、地方交付税についてであります。二十八年災当時は、いわゆる平衡交付金制度のもとにありましたため、災害に伴う予算補正に際しても、その増額は行なわれておらず、被災公共団体の追加財政需要に対しては、もっぱら、特例法による国庫補助率の引き上げと、地方債の政府引き受けの増加等によって対処したのであります。しかるに、今回においては、特例法の制定及び地方債引き受けの増加のほか、補正予算に伴う地方交付税の増加額八十五億円中、四十一億円は、特別交付税として被災地を中心に交付することといたし、さらに、普通交付税の四十四億円の相当部分も被災自治体に配分されることが予定されているのであります。従いまして、さきの特例法による高率補助と特別交付税の交付とをあわせ考えますならば、今回の予算措置は地方財政に対する関係におきましても、二十八年災の場合に比して、はるかに充実するものと断ずることができるのであります。第三は、財政投融資による災害対策費でありますが、財政投融資につきましては、郵便貯金及び簡保資金等において現在見込み得る原資の増加をすべて充当するほか、既定計画の一部振りかえ及び公募債の増額等により所要資金を捻出し、中小企業対策として百六十億円、農林漁業関係対策として四十一億円、住宅復旧対策として四十億円、さらに、災害に伴う地方自治体の資金需要の増加に応じて地方債百六十億円、計四百一億円の追加を行なつっております。このたびの被災地は、わが国の産業・経済上重要な地位を占め、特に伊勢湾沿岸には金属、機械、車両、化学、紡績等の大工場及びその下請中小工場が密集している上に、これらの従業員の住宅その他生活上の被害も甚大なるものがありますとき、これら財政資金による援助はきわめて適切なものと考えられるのであります。
 次に、炭鉱離職者対策費でありますが、かつて黒ダイヤとうたわれました石炭は、一般景気の立ち直りをよそに、世界的不況に直面したのでありまして、石炭産業をいかにすべきかは、きわめて重要な問題であります。特に、わが国では零細炭鉱が多く、炭鉱町という独特の居住組織を形成しております関係上、炭鉱の衰微は社会的影響もきわめて大きいものがあるのであります。従って、今回、特に七億円余を計上して、離職者の再就職のための職業訓練に要する費用の一部を負担し、さらに、新たに設立される炭鉱離職者援護会の援護業務に対して補助する等の措置を講ぜんとしておることは、適切な措置と考えるものであります。
 概略、以上の見地に立ちまして、私は、政府提案の補正予算に賛成の意を表するものでありますが、なお、今回の災害の痛ましい惨状にかんがみ、かかる惨害を二度と繰り返さぬよう、将来に向かって政府は一そうの努力を傾注してもらいたいことを切に願うものであります。戦後、日本の一つの大きな不幸事は、台風による被害がきわめて多く、年々数千億円の国富の消失を見ていることであります。しかして、かかる災害を一種のあきらめと不可抗力として見ることなく、科学の進歩、技術の飛躍的発展を遂げつつある今日においては、進んで自然と戦い、自然を克服するという方向に向かって、災害の克服に格別の考慮を払われんことを切望するものであります。
 なお、日本社会党並びに社会クラブより予算委員会に提出されて否決を見ました予算組みかえ案について、一言触れてみたいと思うのであります。
 日本社会党の提案によりますと、歳出は、災害復旧事業に関し、被害激甚地指定を拡大するほか、国庫補助率を平均九〇%、進捗率を四五%に引き上げ、その他の諸対策等につきましても大幅の増加をはかり、歳出規模は政府原案より七百二十億円を上回る千三百四十億円となっております。災害対策費の増加により、被災地が一日も早く復旧し、被災者の方々が安んじて生業にいそしめるようになることは、私ども心から願うところでありますが、しかしながら、災害対策諸費等の増加は、財源の問題、工事の消化能力、地方公共団体の負担力、過去の災害との関連並びに財政の経済に与える影響等々を慎重検討の上決定しなければならぬことは、申すまでもありません。かかる観点より社会党案を拝見いたしますとき、いまだ熟せざる案と申さなければなりません。
 一例をあげますならば、年度内四五%の進捗率の計上でありますが、向こう四、五カ月の年度内にかかる工事量を実施することは、従来の実績に照らして実行不可能であり、予算の不消化を来たすことは火を見るよりも明らかであります。さらに、歳出規模一千三百四十四億円の財源の主たるものを、外為会計資金の取りくずし及び防衛庁経費、貴金属会計等に求めているが、あらゆる立場からの検討が浅く、非現実的であるので、賛成できないのであります。
 また、社会クラブの提案に対しましては、防衛費の削減を見合わせる等、現実的で、傾聴すべき諸点なしとしないのでありますが、おおむね社会党案について述べたと同じような趣旨で賛成いたしかねるのであります。
 以上、私は、政府提案の補正予算に賛成いたすものであります。(拍手)
#13
○議長(加藤鐐五郎君) 鈴木一君。
    〔鈴木一君登壇〕
#14
○鈴木一君 私は、社会クラブを代表いたしまして、社会クラブ提出の補正予算案組みかえ動議に賛成いたしまして、政府原案に反対をいたします。(拍手)
 社会クラブの組みかえ動議の内容は、政府原案の欠陥を是正し、第一には、真に災害復旧に役立ち得る予算、第二には、罹災者並びに死亡者に対しても国の責任を果たし、援護金や弔慰金を支給し得る予算、第三には、石炭関係離職者の皆さんの生活援護と職業保障について万全を期し得る予算に組みかえんとするものであります。
 すでに、社会党はもちろん、自民党の各位もよく御承知のように、政府の計上しました三百四十三億円の災害関係予算と五十億円の予備費では、政府の示した高率適用の基準を実際に実施することは明らかに不可能なのでございます。(拍手)すなわち経費が不足するのであります。もしこれ以上財源がないというならば、われわれも、政府補正予算案を次善の策といたしまして認めざるを得ないのでありますが、補正財源といたしましては、社会クラブの組みかえ動議が示していますように、本年度の租税、印紙収入においては、政府の見積額を上回る自然増収を計上することが可能なのであります。
 また、最近の経済動向は、これが可能であることを明らかに実証しているのでございます。また、社会党も、先ほどの委員会におきます組みかえ案で示しているごとく、外為会計のインベントリーは、一部を一般会計補正財源に繰り入れることは法律的にも直ちに可能なのでありますし、財政的にも外為会計に何らの支障をも来たさないのであります。すなわち、現実的に補正財源といたしまして活用し得るものなのであります。もし政府が真に災害対策、石炭離職者対策につきまして誠意を持って対処するならば、これらの財源を活用するのが当然なのでありまして、社会グラブの組みかえ動議こそが、現在の財政事情に即応した、最も積極的かつ現実的予算編成の方針なのでありまして、われわれは、かかる観点から、全面的にわが会派の案を支持するものであります。従って、社会クラブとしては、ここで、政府に対し、社会クラブの案通り政府案を組みかえることを強く要望するものでございます。(拍手)
 次に、政府原案に反対の意向を明らかにいたします。
 政府原案の歳入補正、すなわち財源措置につきましては、先ほどわがクラブの佐々木議員が指摘した通り、政府として当然計上し得る財源を放置しているのでありまして、われわれは、このような政府の怠慢を断じて許すことはできないのでございます。(拍手)
 また、政府案の歳出補正面を検討いたしますと、われわれが絶対に見のがすことができないのは、第一に、災害関係費の編成についてであります。今回の政府原案の一般会計歳出は六百十四億円でありまして、そのうち、災害関係費は、予備費のうち五十億円を加えて三百九十三億円、つまり、歳出総額の六四%を占めているのでございます。しかも、これら支出につきましては、政府は、あらかじめ、進捗率はおおむね三〇%であり、高率適用地域はおおむね被災地全体の六割程度であると基準を示しておりますが、予算の配分を行なうにあたりまして最も肝心な要素となる高率適用を行なうべき被害程度の基準につきましては、一昨日ようやく決定されたのであります。そこで、この最も重要なる基準に基づいて予算を配分した場合、はたして計上されている予算額だけで十分であるかという保証は全くないのでございます。(拍手)これは、大蔵大臣の答弁に見る通り、全くあいまいもことしているのであります。
 第二に、われわれは政府が災害復旧事業について何ゆえに進捗率を三〇%で押え、高率適用地域を被災地全体の六割で押えたのか、全く理解に苦しむところでございます。大蔵官僚流に申すならば、災害対策費は、三カ年に分割いたしまして、三・五・二の割合に配分すべきものときめているのであります。さらに、本年度は、十二月以降に予算が執行されるのであるから、総事業費の三〇%程度の執行が限度であると説明しております。しかしながら、被害地は、北海道のように冬期間復旧事業が渋滞することはあり得ないのでございます。また、交通運輸の面からいたしましても、あらゆる復旧建設を投入することも可能なのでございます。また、予算措置といたしましても、補正予算総則によって、年度内に使い残り金を生じた場合は、これを全額継続費といたしまして翌年度に使用し得るよう措置することも可能なのであります。従って、進捗率三〇%は、政府の決意次第では、もっともっと、さらに伸ばし得るのであります。また、高率適用地域にいたしましても、政府は大体六割の地域を見込んでやるようでありますが、被害総額があくまでも中間報告でありまして、最終報告ではない点、並びに、復旧事業が原形復旧ではなく、根本的に改良復旧を目標とすべきである点、この二点まり見るならば、高率適用地域は当然八割程度を見込むべきであります。
 次に、石炭離職者対策費につきましては、援護会が中心となって離職者の生活と転業の世話をすることになっておりますが、援護会の機能は全く弱く、しかも、離職者数の査定を過小評価しており、これでは、炭鉱の山元現場のお気の毒な現状を無視した対策といわざるを得ないのでございます。(拍手)
 また、財政投融資の面におきましても、中小企業、農林漁業、住宅金融の各方面において、災害復旧の現実の要求を満たし得るものでないことは当然でございます。(拍手)
 われわれは、政府案がこのような原案のままでは残念ながら賛成することはできないのでございます。(拍手)
 最後に、日本社会党の御批判について一言触れたいと思います。(拍手)
 社会党は、わがクラブ提出の補正予算組みかえ案に反対する第一の理由といたしまして、わがクラブが見込んでいる自然増収を強く非難しておりますが、これは事実の認識を誤った議論といわざるを得ないのでございます。(拍手)われわれは、自然増収の見積もりにあたっては、広く学者の意見を求め、権威ある機関を動員いたしまして、冷静に、客観的に、その算定を行なったのでございます。従って、これによって厘毛たりとも税の増徴を来たすものでないことを確信いたすものでございます。われわれは、あるべき財源を公正かつ客観的に把握し、これを財源に充てたのでございます。
 第二に、社会党は、政府案に賛成し、わがクラブ案に反対する態度をとっておりますが、この点に至っては、社会党の無方針、無原則を完全に露呈したものといわざるを得ないのでございます。(拍手)社会党が予算委員会に提出の組みかえ案は、政府案の細部に至るまで組みかえを行なっており、その内容は政府案とは根本的に見解を異にしているものでございます。(拍手)にもかかわらず、予算委員会において、おのれの組みかえ案が否定されるや、直ちに態度を変えまして、自己の案にほど遠い政府原案に賛成し、自己の案に近いわがクラブの案に反対するのは、あまりにも無定見であり、かかることは、わが国国会史上にも全く前例のないことでございます。(拍手)われわれは、その真意の理解に苦しみ、心から遺憾の意を表するものでございます。
 以上をもちまして私の討論を終わりたいと思いますが、言葉の過ぎた点はお許し願いたいと思います。(拍手)
#15
○議長(加藤鐐五郎君) 島上善五郎君。
    〔島上善五郎君登壇〕
#16
○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま上程されました昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)外二件に対し賛成し、社会クラブ提出にかかわる編成替を求むる動議に反対の討論を行なわんとするものでございます。(拍手)ただし、われわれの賛成は、政府案を十分なもの、けっこうなものとして自画自賛する与党の賛成論とは異なりまして、この予算補正ははなはだしく不十分なものであり、被災者の要望にほど遠いものであることを指摘し、これに関するわが党の考え方を明らかにし、これがための第二次予算補正を強く要望して、事態の緊急性にかんがみまして、百歩譲って賛成せんとするものであります。(拍手)
 本年九月二十六日、史上最大といわれる伊勢湾台風が襲来し、その前の六号、七号、十四号台風と、わが国は相次ぐ台風に見舞われ、被害はきわめて甚大であったのであります。伊勢湾台風だけをとってみましても、被害総額は六千億以上に上るといわれ、罹災世帯は約五十万世帯を数えているのであります。災害地を訪れた岸総理、盆谷副総理、村上建設大臣らは、金は惜しまぬ、政府としてはできるだけのことをすると言明したのでありますが、政府が実際に国会に提出して参りました予算補正は、災害対策費三百四十四億、予備費五十億、計三百九十四億にすぎないのでありまして、これが、はたして、金は惜しまぬとの言明を実行する岸内閣の災害予算でありましょうか。
 この予算補正の第二の問題点は、石炭対策であります。約十万名の炭鉱離職者を出し、現在なお企業合理化の名に隠れて首切りのあらしが吹きすさび、昨日は二十四時間ストが行なわれ、今や大きな社会問題になっているこの石炭危機に対し、また石炭離職者に対し、政府の予算補正は、たった七億二千万にすぎないのであります。災害対策、石炭対策、いずれの面を見ましても、今度の予算補正は、はなはだしく不十分であるといわなければなりません。(拍手)
 第一は災害対策の問題でありますが、わが党は、今度の伊勢湾台風が民間に対しきわめて大きな被害を与えている事実を考慮し、災害対策にあたっては特に民生安定に重点を置くべきであると考え、約五十万世帯に上る全罹災者に対して一戸当たり三万円の見舞金、また、死者、行方不明者約五千名に対して一万円ないし三万円の弔慰金を支給すること、さらに、生活再建資金として、十万円を限度に、二年間据え置き、十年返済、無利子貸付を中心とした罹災者援護法並びに生活保護特別措置法を提出いたしましたが、政府は、これらの民生安定に対し、見るべき対策を示さなかったことは、きわめて残念であります。(拍手)災害対策で最も必要なものは民生安定であることを忘れているのではないかといわざるを得ません。
 次に、農地、農業用施設、公共土木施設等の復旧工事について、政府は、従来、三・五・二の比率で復旧をはかるという方針をとっていたのでありまするが、今回の災害に関しては、初年度はこの従来の比率以下であることは、全く納得のいかないところであります。わが党は、従来の比率を引き上げ、五・三・二の比率にするよう主張してきました。今度の災害補正予算程度では、来年の雨季、台風期までに災害を復旧することは、とうていできません。これでは災害復旧の意味が全くなくなってしまうと言っても過言ではないのであります。(拍手)また、災害復旧にあたっては、原形復旧にとどまることなく、改良復旧を旨とすべきことを主張したのでありますが、このいずれの考えも予算補正には盛られていないのであります。
 次に激甚地指定の問題でありますが、政府は、今回の災害をきわめて過小に評価し、激甚地指定を小範囲に限定したことから、災害市町村の多くが激甚地から除かれ、橋一つかけるにしても、負担率の高いのが半分、低いものが半分というふうに、きわめて珍妙な激甚地の指定を行なったのであります。また、激甚地の指定が政府当初の考えより変更されたことにより、当然に補正予算額が相当変更してくるにもかかわらず、もと通りの予算額でこれを糊塗しようとしております。わが党の激甚地指定の基準は、一、都道府県の指定については、被害額が当該府県の標準税収を上回る府県、災害救助件を八割以上の市町村に発動した府県、二、市町村については、市町村の負担にかかる被害額と当該市町村の区域内の都道府県の負担にかかる被害額の合計額が当該市町村の標準税収入と都道府県税との合計額をこゆる市町村、また、市町村の災害救助法第二十三条に基づく救助費のうちの県の支弁した金額が当該市町村の標準税収の百分の一をこえるものとし、三、旧市町村の指定については、市町村指定の方式と同様といたしました。これによって初めて災害地のすべてが含まれることになるのであります。地方財政窮乏のはなはだしい今日、国の補助率を高めることは政府の義務といわなければならないのであります。
 われわれは、以上の見地から、今回の災害補正予算については、八百二十八億余の予算補正を要求したのであります。
 予算補正の第二の問題は、石炭対策であります。わが国の石炭埋蔵量は約二百十一億トン、確定炭量は六十四億トンで、国内エネルギーの乏しいわが国においては、最大のエネルギー資源であります。この重大資源の危機に対し、政府は何らの施策を施さず、わずか七億円余の予算を石炭離職者対策費として計上したにすぎません。われわれは、石炭の基本対策はここにではしばらくおくとしましても、石炭離職者対策については、政府の予算補正のほかに、転職移動資金、離職者公営住宅建設資金、炭鉱離職者失業特別手当などが緊急に必要であると考えます。政府は、石炭政策については抜本的な対策を講じ、新規失業者の発生を防止するとともに、当面の離職者に対し徹底的な民生安定の政策をとり、予算補正を組むべきであります。
 次に財政投融資の問題でありますが、民間災害が甚大であったにかかわらず、財政投融資の増額は、災害、年末を合わせて五百一億にすぎません。この程度で、深刻な災害の中から、はたして商店が立ち直り、農村が生業である農業を営むことができるでありましょうか。われわれは、一般会計と同様、ほぼ倍額程度に増額することが必要であると存ずるのであります。伊勢湾台風といい、石炭危機といい、文字通りの非常事態であります。政府は、補正予算の編成にあたり、財源のないことをしきりに言っておりまするが、財源のないはずはありません。国際的に軍縮傾向にある際に、防衛費の削減がわずか三億四千万円とは何事でありますか。われわれの計算によりますれば、防衛費三百億円程度の削減は決して無理ではありません。(拍手)防衛費に手をつけずに民生安定をはかろうとするから金がないのであります。(拍手)また、接収貴金属にもいろいろ問題はありまするが、一般会計、特別会計、公益営団に帰属するはずの二百八十九億円のうち、百五十億円程度は十分に使えるのであります。また、外国為替資金一千六百億のうち、三百五十億円程度は取りくずしてしかるべきであり、この程度では決してインフレになる気づかいはありません。(拍手)防衛関係費、接収貴金属、外国為替資金だけでも八百億の財源があるのであります。われわれは、政府に断じて金がないとは言わせないのであります。(拍手)
 また、このたびの予算がきわめてずさんであることを申し上げておかなければなりません。金額が十分でないことはもちろん、激甚地の指定が予算委員会の中途で行なわれ、予備費五十億を災害費に充当することにしておりまするが、計算の基礎がきわめて不明確であります。これでは、災害復旧の進捗によって予算が不足することは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)このような場合、ともすれば陥りやすい、官僚の手による冷酷不当な査定を強行することなく、被災現地の実情にあたたかい思いやりを持って、政府はぜひとも第二次補正予算を組むべきであり、われわれはこれを強く要求するものであります。(拍手)
 以上申し上げました通り、今回の補正予算には不満足な点が多々あるのでありまするが、罹災以来二カ月、寒空にふるえる災害被害者を思うとき、また、壁と屋根だけの家で飢えに苦しむ炭鉱離職者の身の上に思いをいたし、これら対策の緊急性を思うとき、補正予算の成立が一日でもおくれることは、われわれの欲するところではありませんので、ここにわれわれの対策と考えを明らかにした上、政府案に賛成するものであります。(拍手)
 最後に、社会クラブの編成替の動議に一言触れます。
 最近まで同志であった諸君に対して多くを申し上げようとは存じませんが、肝心な財源について、所得税、法人税、酒税等につき、政府案よりも百九十億も自然増を多く見積もっておることは、税収入の見積もりはでき得る限り安全を見て過大にならないようにすべき財政の基本原則を無視しておる点、国民への苛斂誅求、転嫁のおそれがある点、並びに、政府においてすら、防衛費に対してわが党の要求に譲歩し、当初の方針を一部変更して三億四千万円余りを削減しようとしているのに、これに全然手を触れようとしないのは、つい最近まで、われわれと同じく自衛隊を違憲なりとして否認する立場をとっていた社会クラブの諸君が、自衛隊を認め、再軍備に賛成する態度に豹変したのではないかと疑わざるを得ないのであります。(拍手)また、この編成替を求める動議提出の動機につきましても、政治的にいささか首肯しがたい点もありまして、残念ながら賛成いたしかねるのであります。(拍手)
#17
○議長(加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#18
○議長(加藤鐐五郎君) これより採決に入ります。
 まず、佐々木良作君外二名提出、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)外二件の編成替を求めるの動議につき採決いたします。
 佐々木良作君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(加藤鐐五郎君) 起立少数。よって、佐々木良作君外二名提出の動議は否決されました。(拍手)
 次に、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)外二件を一括して採決いたします。
 三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○議長(加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、淡谷悠藏君提出、次期戦闘機決定に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#22
○議長(加藤鐐五郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 次期戦闘機決定に関する緊急質問を許可いたします。淡谷悠藏君。
    〔淡谷悠藏君登壇〕
#24
○淡谷悠藏君 政府が国防会議で決定した次期戦闘機購入に関し、日本社会党を代表して質問し、岸総理大臣、佐藤大蔵大臣、池田通産大臣、赤城防衛庁長官に答弁を求むるものであります。この問題は、長い間国民の疑惑に包まれた問題であり、国の防衛上、また財政上、重要なものでございますので、詳細に、かつ、責任を持って御答弁をお願いいたします。
 質問の第一は、政府が、さきに国防会議で内定した次期主力戦闘機、すなわち、グラマンF11F―1Fを取り上げ、今回一転してロッキード機に乗りかえた真相は何かという点であります。また、グラマン機は当時存在せず、また、国防会議が同機を決定した背後には、グラマン社、ロッキード社その他の猛烈にして醜怪な売り込み運動が行なわれ、政界、官界を通じて幾多の汚職や涜職のうわさが立ち、特に、天川勇なる怪人物をめぐって、岸総理を初め、自由民主党の川島幹事長、河野総務会長、廣岡国防会議事務局長らが国会で追及されたことは、記憶に新たなるところであり、当時の決算委員長田中彰治氏が、与党でありながら、敢然としてこの追及の第一線に立ったことに見ても、事件の複雑怪奇さがわかるのであり、事件の核心を握る天川勇を証人として決算委員会に召喚することが決定するや、政府は周章ろうばいして、田中決算委員長に意を含め、委員会の流会をはかって混乱を与え、事件は国民の深い疑惑に包まれたまま葬られていたものであります。(拍手)政府は、かかる国論の反対、国会の追及の中にあっても、がんとして、国防会議の内定を理由に、グラマン機の優位を長い間主張し続けるかと思うと、急に白紙還元、再調査と転換し、このたびは、さらにロッキードF104Cに決定を見たのであります。転換には転換の理由がなければなりません。その理由の表明もなく、一応白紙に返したのだからそれでいいだろうなどという態度は、まことに無責任きわまることであって、この際、グラマン機に内定したのは明らかに誤りであったのなら誤りであったと、国民の疑惑を解くだけの理由表明を行なうべきが当然と思いますが、政府はどう考えられますか。(拍手)
 第二に、さきにグラマン機を内定したことにまつわるさまざまな疑惑を一掃する意思があるかどうかという点についてであります。政府は、この際、一切を明らかにして、疑惑をロッキード決定にまで持ち越さぬ決意を持たねばなりません。グラマンに内定する当時、防衛庁は、永盛調査団、佐薙調査団と、二度にわたってアメリカに調査団を派遣し、多大の日時と国費を使って十分に調査研究をいたしましたと言っております。十分責任ある調査研究をした上で決定したグラマン機をロッキード機に変えたという理由が、いまだに明らかになっておりません。おそらく、この両調査団あるいはそのいずれか一つがグラマン社の猛運動を受けたか、あるいはグラマン社と利害相つながる財界、政界から誘惑または脅迫を受けたか、いずれにしても、われわれが強く主張いたしました、グラマン機は実際に存在しない幽霊機であったという事実を承認されたものと思うより考え方がございません。(拍手)実際存在しなかったものを、ぎょうぎょうしく軍事専門家と称する人々が調査したというのは、一体何を調査していたのか。それをまた次期戦闘機種として国防会議が内定したというなら、これまた、どんな協議によって内定が行なわれたのか、了解に苦しむもりのであります。
 なお、この防衛庁のグラマン機決定には、天川勇なる怪人物が暗躍していたことが明白になっております。新三菱重工や三洋電気という軍需会社の顧問をやり、防衛庁、大蔵省、通産省の機密書類を手に入れ、連夜それら官庁の幹部と酒色にふけっていた事実のあがっている天川勇の作った諸元比較表がグラマン機決定には大いに力になっていたというが、その天川勇に次期戦闘機の調査を委託したのは岸国防会議議長その人であります。天川勇をどんなふうに考えてそんな重大な問題の委託調査を命じたのか、お伺いいたしたい。(拍手)もし、あなたが知らないというのであれば、あなたの委託書というものは、廣岡事務局長の偽造したものなのか、偽造しないまでも、勝手にあなたの名前を使っていたものかどうか、国防会議の威信のためにも伺っておきたい。あなたは、天川勇を委託したのは事務当局がやったのだと答えられるかもしれないけれども、国防会議議長の判は、一つ十円のめくら判みたいに簡単につかれていいものかどうか、お伺いいたします。(拍手)
 私は、国防会議が軍事専門家の会議でないことは承知しております。機種決定についても、防衛庁の決定が決定の重要資料になることは、あたりまえであります。その防衛庁が反対派を圧迫してまで強行決定した戦闘機種を、二年たたずしてまたくつがえさねばならなかったとせば、国防の権威などといったところで、当てになったものではございません。今回のロッキード機決定について、源田報告を全面的に受け入れたというが、前にグラマン機をあれほど強く支持し、国民世論の反対、国会の反撃がなければ幽霊機グラマンに国防を担任させようとした防衛庁幹部の責任はどうしてとるおつもりなのか、防衛庁長官に、あえて質問するものであります。(拍手)白紙に返しましたというだけで簡単に翻し得るほどに無責任であり、ずさんであるのが防衛庁の決定であり、国防会議の決定であるならば、われわれは、今回の決定についてもまた大なる疑惑と不信とを持たざるを得ないのであります。(拍手)
 質問の第三点は、国防会議の権威についてであります。国民は、国の自衛の大綱を統べ、巨額の予算を使う国防の大本を定めるのは国防会議であると信じております。それが、今度のように簡単に次期戦闘機の機種の変更をせねばならなかったり、機数三百を百八十に減じたりするようでは、国防会議そのものに強い不信を抱かざるを得なくなるのであります、そもそも、グラマン機に内定した当初の国防計画そのものがはなはだしくお粗末であり、不明朗であったことが、次々と事件を複雑にし、怪奇にしているにほかならないのであります。政府は、このたびの源田調査団を、最高の権威があり、正確無比なものとして、ロッキード機へり変更を理由づけているけれども、それでは、以前の永盛調査団、佐薙調査団は権威なきもの、正確ならざるものと断じて差しつかえありませんか。そのような権威なき調査、報告に基づいで立てられた防衛計画は、国を守るに値しないものと考えてよろしいか。二百機で済む戦闘機を三百機に水増しして国費を乱費せんとしたものであると思ってよろしいか。そうしたずさんな防衛庁の国防計画をうのみにのみ込んでいた国防会議が、真に国防を議する場ではなく、戦闘機購入会議といわれるロボット的存在であったと断じてよろしいか。あるいはまた、戦闘機数を三分の二に減じたのは、将来核装備に切りかえる余地を残して計画を変更したとでもいうのでしょうか。もし、今回の新しい防衛計画が、それに基づくロッキード・ジェット戦闘機の機種の選定にも機数の決定にも誤りがないというならば、国の防衛を誤らんとし、国に多大な損害を負わせようとしたグラマン支持の防衛庁の幹部の責任を問いなさい。永盛調査団、佐薙調査団の責任を究明しなさい。そんな決定をうかうかと信じ、いや、国防会議にそれを信じ込ませるために、天川勇に調査を委託し、秘密資料に基づく軍事講演をやらせたりしていた廣岡事務局長ら国防会議の腐敗、不明の徒を一掃しなさい。さらに、岸総理大臣、そうした不明な行為、国防会議の内定に関することは、すべて国防会議議長岸信介の名によってなされていたことを、あなた自身、はっきり知らなければならない。それによるあなた自身の責任を感じなければならない。すでに防衛庁の加藤防衛局長でさえ責任を感じて辞表を出し、今井次官もまた辞意を漏らしている。白紙還元したからいいだろうとか、その後さまざまな状態の変化がありましたとかいうことで、そんなそつのない答弁で済むと思ったら、あなたには断じて一国の運命をになう国防を論ずる資格はございません。(拍手)
 赤城防衛庁長官の言うところに従えば、このたびの源田報告書は膨大なものだということであります。宮城県松島から自衛隊の航空機で飛び込んできた源田空将からその報告書を受け取るや、間髪を入れずして、防衛庁全幹部にその報告をのませ、国防会議で短時間に決定させたという手ぎわは、まことに、ありし日の真珠湾作戦の神速果敢なる奇襲にほうふつたるものがあります。一体、岸総理を初め、赤城、佐藤、池田の各大臣は、この会議で決定するために、短時間にその膨大な報告書を読むことができたのかどうか、これが質問の第四点。
 読まずして決定したとせば、国防会議は、防衛庁の決定の前に単なるロボットにすぎないのか、これが質問の第五点。
 さらに、質問の第六点は、生産会社の決定はいかにして行なわれたかという問題であります。グラマン機に決定されたときは、新三菱重工が製造会社に指定され、これに対し、ロッキード社と技術提携のあった川崎航空機会社が、政界と通じ、特に河野一郎君などを通じて猛烈な反対をしたことは、周知の事実であります。(拍手)ロッキードに変更しても、依然として主契約者は新三菱であり、従契約者は川崎航空機となったのは、どういう経緯をたどったのか。F86Fジェット戦闘機の製造を終わらんとする新三菱重工が次の戦闘機の製造を当てにして待っていたことと関連し、しかも、報告書提出と同時に決定を見たことは、事前にすでにこれら会社と防衛庁、通産省、国防会議との間に何らかの取引のあったことを思わせますが、その間の事情を御説明願いたい。(拍手)
 このたび購入するロッキード・ジェット戦闘機は、一機百万ドル以上、すなわち三億六千万円以上と赤城防衛庁長官は言っており、さらに、百三十万ドルともうわさされております。しかも、国防会議は、価格には触れず決定したと言っておりますが、さきに廣岡国防会議事務局長ね、衆議院決算委員会で、ロッキード社の申し入れ価格を七十五万六千ドルと発表しております。ロッキード社が売り込み競争のために故意に価格を安くしたもので、信頼すべき数字ではないと赤城防衛庁長官はまた言っているが、そんな信頼できない会社と契約して、要求よりさらに一機二十五万ドル以上も高く払って戦闘機を生産しようとするのは、一体どこの国の買いものの常識なのか。特に、赤城防衛庁長官がロッキードのハル社長と会って、契約について話し合った事実がございますので、その点につき詳細に御答弁を願いたい。(拍手)これが質問の第七点であります。
 質問の第八点は、核兵器時代に戦闘機はほんとうに必要なのかということであります。国際連合八十二ヵ国がこぞって軍縮決議が行なあれるという時代に、平和を守るという岸総理の言葉にうそはないなら、なぜ巨額の国費を投じて戦闘機を作る必要があるのか。平和の衣の下によろいをまとって、ひろかに再軍備をやろうとするのであっても、あるいは、しんかも自衛のために作ろうとするのであっても、パイロットの数が、すでに時代おくれになったF86Fジェット戦闘機の数にもはるかに足らぬことが明らかにされ‘いる今日、新しい型の戦闘機をさらに二百機も作らせて、一度も使わずに廃物になるF86Fもあるはず。その始末はどうつけるおつもりですか。中古エンジンの轍を踏んで、また二束三文に捨て売りでもいたしますか、はっきりお伺いいたしたい。人間の乗る最後の戦闘機だと誇るロッキード・ジェット戦闘機にしたところで、花の命は短くて、六年後完成するころには、F86F同様、また時代おくれになって、いたずらに航空機会社の利益に役立つようになると政府はお考えになりませんか。戦闘機を作るのは、自衛のためでもなければ、平和のためでもなく、国内防衛産業育成助長のためではないのか、率直にお答えをいただきたい。(拍手)
 次に、政府は、目の前に迫る災害対策費と、疑惑の多い防衛費と、いずれに重点を置くか。ありもしない敵の侵略におびえて、国費の乱費を少しも意に介しない政府は、現実に災害に襲われた人々が、近づく冬を前にして今なお水浸しになっている事実には目をおおって、対策費も出し惜しみをしております。価格も定めずに高価心戦闘機購入に同意を与えた大蔵大臣は、一体どのような見地から同意をしたのか。社会保障、生活安定、平和産業の開発に何ら財政的圧迫を与えずに、戦闘機購入も含む防衛六カ年計画を財政的になし遂げる自信を持っておりますかいなか。戦闘機の購入は、防衛第一次五カ年計画の最終年度分として行なうつもりが、第二次六カ年計画の初年度分として行なうつもりか、はっきり御答弁を願いたい。日本の経済の行き詰まりを、国防に名をかりた軍需産業の助成で切り抜け、所得倍増論などではとうてい救えそうにもない国民大衆の出活の苦悶は捨てて顧みないつもりなのか。今回の臨時国会並びに通常国会における次年度予算において、防衛六カ年計画と、災害対策をも含む平和産業施策とに矛盾相剋を起こすことなきやいなや、御所信を承りたい。これが質問の第九点であります。
 最後に、岸総理に質問いたします。われわれは、グラマン機にきまろうが、ロッキード機によろめこうが、それを問題にしているのではありません。そのいずれにいたしましても、それは日本の平和には無意味、有害であることを、おわかり願いたいのであります。それは、平和のだめでもなければ、自衛のだめでもなく、実に、しばしば総理みずから言われる通り、国内防衛産業の育成助長のためであり、利権によって政治をゆがめ、財政を混乱させ、ひいて国民生活を圧迫するがゆえに、購入に反対するものであります。ロッキードも、グラマンも、その意味においては変わるところありません。グラマン内定を賢明にも白紙還元された総理は、倉卒の間に決定強行されようとするこのたびの戦闘機購入にも、いま一度冷静にして透徹した反省をなすの勇気があるかないか、これが質問の第十点であります。
 以上十点の質問に対し、そつのない御答弁は求めません。まじめにして誠意あるお答えをそれぞれ所管大臣からいただきたいと思うのであります。
 以上、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#25
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 次期戦闘機の問題は、国防会議におきまして、第一次の防衛計画の一部として、この戦闘機の問題が計画されたのであります。しこうして、その次期戦闘機の決定につきましては、昨年の四月の国防会議におきまして、当時ありましたあらゆる資料を検討をいたしましてグラマン機に内定したことは、淡谷議員の御指摘の通りであります。これを内定するにつきましても、調査団を出し、当時としましてわれわれが集め得るあらゆる資料をもとにして内定いたしたのであります。しかしながら、これは最後の決定ではなくして、なお検討すべきいろいろな問題を含んでおるとして内定をいたしたのであります。この内定をするということは、その後におけるいろいろな計画を具体的に検討し、これを立てていく上から必要がありとして内定をいたしたのでございます。しかるに、その後、当時はまだ十分開発されておりませんでしたロッキードのF104が開発をされまして、アメリカにおいても採用され、両ドイツも採用するというふうな事情がその後に起こってきておるのであります。これらの事情の変化、さらに、実際に内定をした当時におきましては、グラマンもロッキードもまだ十分な実績を示しておらなかったのでありましたが、その後において実績を明らかにすることができるような状態になりましたので、本年の七月でありましたか、一応この内定を取り消して、白紙還元をして、さらに、権威のある調査団を出して、そうして現実に搭乗もしてみ、また、あらゆる技術的な点からの検討も加えて最後に決定するという方針を定めまして、源田調査団を送って、八十日にわたって各種の機種について現実に搭乗もし、あらゆる調査をいたしました結果、その結論に基づいてロッキードを採用することが適当であるという結論に達して、防衛庁においてその原案が作られ、国防会議においてこれを決定した次第であります。その間において何らか疑惑があるというふうなお話でありますが、そういう点は、私どもは、一切ないことを、かたく信じております。
 また、天川勇に対して、私が国防会議の議長として調査を委託したことがあるかという御質問でありますが、そういう事実はございません。
 さらに、最後に、最近の国際情勢と、また、軍事科学の発達等に顧みて、この次期戦闘機の採用について、もう一度反省して、これを白紙に返すような意向はないかというような御質問でありますが、私どもは、先ほど来お答えを申し上げましたような経緯において慎重検討した結果、日本の防衛計画の第一次計画の一部として次期戦闘機を決定をいたしたわけでございまして、これは、国防会議において決定をいたしました今日におきまして、これを取り消すような意思は持っておりません。(拍手)
    〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#26
○国務大臣(赤城宗徳君) 機種決定がグラマンから一転してロッキードに移ったのじゃないかという御質問であります。機種決定に至るいきさつ等につきましては、総理から申し上げましたので、省略さしていただきます。ただ、淡谷議員は、ほとんど検討もせずに大急ぎで決定したのはどういうわけか、こういうお尋ねでございます。この点につきましては、ちょっと誤解がおありではないかと思います。確かに、最後に決定しました防衛庁議あるいは国防会議の時間は六時間か七時間だと思います。しかし、その前に、ことしの六月十五日に白紙に還元いたしましてから、源田調査団を出しましたのは八月八日であります。帰ってくるまで七十五日、報告を出すまで八十数日にわたって熱心なる検討を続けたのであります。源田調査団におきましても、米国におきましても、これくらい熱意を持って、これくらいのスケジュールでもって検討した調査団はないというくらいに熱心な検討を続けた、その検討を続けた結果も含めてお考えになりませんと、――最後の防衛庁あるいは国防会議だけの時間だけで短時間だということではなくて、八十数日の検討を加えた結果によって決定いたしたのでありますから、決して軽率に決定したわけではありませりん。(拍手)
 それから、グラマンに内定したこと、あるいはロッキードにきめたこと等につきまして、疑惑があるのじゃないか、幹部の責任はどうか、こういう御質問であります。このことにつきまして疑惑のあるというお話でありますが、疑惑の事実は全然ございません。それから、幹部の責任はどうかということでございますが、確かに、グラマンを内定するときには、その当時集められる最大限の資料を集めて、グラマンが適当である、こういうふうに内定いたしたのであります。しかし、その後、御承知のように、また、総理から答弁いたしましたように、F104Cが開発されたり、あるいはまた、これが米軍に採用されたり、西ドイツに採用されたり、それからまた、資料もだんだん集まってきました。こういうことになってきまするならば、やはり乗ってみると乗ってみないとでは相当違いますし、乗ってみないで、資料を集めておるだけでは、慎重を期するわけには参りませんから、日本の現在の状況におきましては、最も権威ある調査団をアメリカに派遣いたしまして、――これも、ただグラマン、ロッキードだけではございません。五つの機種につきまして、みずから操縦し、あるいは技術の点も検討し、武器体系の中における検討も加えまして、その結果、国防会議に諮ってF104Cが決定いたしたのであります。でありますから、前に内定し、あるいはその時期右左においてグラマンがよいという説明もいたしましたが、それは、そのとき集まった資料によって、まじめに検討した結果、そういうことになったのであります。しかし、実際には操縦しておりませんし、新しい問題等も操縦によって発見したのであります。みずから操縦した場合と操縦しない場合との間に結論が違ってくるのは当然なのであります。
 それから、価格の――価格といいますか、生産会社を指定いたしましてから、ハルというロッキードの代理店の人が来たが、どういう話をしたか、こういうことでございます。これは、主契約を新三菱にし、従契約を川崎にするということになりましたので、ロッキードの方から、川崎の方を主契約にならぬか、こういう陳情がありました。しかし、それはできない、こういうことで回答したのであります。それから、有人機が必要なのか、有人機が無用になるのではないか、こういうようなお尋ねでございます。この点につきましては、私どもも非常に検討を加えたのでありますが、各国とも、有人機を減らしてミサイルにかえていくという傾向は非常に強いのであります。しかし、全然有人機を不必要とするというような段階ではございません。わが国の自衛のためにも有人機は必要である、こういう見解に立って有人機の決定をいたしたわけでございます。
    〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
#27
○国務大臣(佐藤榮作君) 防衛力整備計画、新戦闘機国産等に要する予算、財政負担の検討についてのお尋ねでございました。御承知のように、防衛力は、わが国におきましては、国力に相応する漸増計画というものを持っております。巷間、防衛力整備六カ年計画であるとか、あるいは第二次計画であるとかいう言葉を使われておりますが、おそらく、防衛を担当しております防衛庁内部において検討中のものであろうかと思います。ただいままでのところ、大蔵当局、また国防会議にも、その案はかかっておりません。従いまして、ただいま批判する筋のものではございません。
 また、新戦闘機の国産に関しまして、価格を決定しておらないではないかという点をお尋ねでございました。もちろん、この新戦闘機の国産に要する費用等につきましては、今後の対米交渉あるいは製作担当会社との交渉等によって決定されることであります。従いまして、今日、現在のところ、この点について申し上げるわけに参りません。差し控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、新戦闘機の国産あるいは防衛力の整備等によりまして、当面の急務である災害復旧、その他民生の安定向上のための経費を圧迫することのないよう措置する方針でございます。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#28
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 航空機の製造許可は、航空機製造事業法によりまして、通産大臣の専管事項でございます。しこうして、それが防衛庁の使用する飛行機でありますときは、防衛庁長官と協議することに相なっております。今回は、防衛庁機でございまするから、長官と協議の上、決定いたしました。
 しからば、なぜ通産大臣は新三菱重工業を主たる契約者とし、川崎航空機を従たるものとしたかと申しますると、私は、両会社の設備能力、技術者数、あるいは技術の能力、経験、試験設備、その他経営状況を調べまして、これによってきめたのでございます。
 次に、なぜそんなに早くきめたか、こういうお話でございまするが、今、日本におきましてジェット機の製造をやっておりますのは三会社でございます。従やまして、われわれは、従来より、この三会社につきまして、ただいま申し上げました経験、技術、設備能力、技術者数等を常に研究いたしておりまして、大体の結論は出ておったのでございます。機種が決定と同時に、私は判断するだけの資料を持っておりましたから、私の権限において決定いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#29
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第一、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法立案、日程第二、日本学校安全改正法、右両案を一括して議題といたします。
#30
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。文教委員長大平正芳君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大平正芳君登壇〕
#31
○大平正芳君 ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その要旨並びに文教委員会における審議の経過を申し上げます。
 本案は、市町村の設置する定時制高等学校の校長、教諭等の給料その他の給与が、現行法第二条の規定に基づいて都道府県の負担となっているのを、今回、政令で特に指定するものについては、その設置者たる当該市町村が負担することに改めるとともに、これに関する身分の取り扱い及び在職期間の通算等、必要な経過措置を規定するものであります。
 本案は、去る第三十一回国会において、臼井莊一君外八名から提出せられ、以来継続し、今国会においては、去る十月二十六日当委員会に付託されたものであります。
 当委員会は、慎重審議の結果、十一月十一日、本案は、地方自治の本義にかんがみ、また、教育行政の円滑化のため時宜に適したものと認め、これを全会一致で可決いたしました。(拍手)
 次に、日本学校安全会法案について、その概要及び文教委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本案の要旨は、学校安全の普及充実に関する業務を行なわせるとともに、義務教育諸学校、高等学校及び幼稚園の管理下における児童、生徒等の負傷その他の災害に対し必要な給付を行なわせるために、日本学校安全会を設立しようとするものであります。
 日本学校安全会は、特殊法人として、本部を東京都に置き、支部を必要な地に置くことができることとなっており、その役員は文部大臣が任命し、その任期は二年となっております。また、安全会の理事長のもとには、諮問機関として、文部大臣の任命にかかる二十人以内の委員からなる運営審議会が置かれることになっております。
 次に、安全会の行なう業務としては、第一に、学校における安全教育及び安全管理の普及啓発事業、第二は、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒の災害につき、医療費、廃疾見舞金またはり死亡見舞金、すなわち、いわゆる災害共済給付等を行なうものであります。
 この災害共済給付は、学校の設置者が保護者の同意を得て安全会との間に締結する契約により行なわれることになっており、設置者についても、保護者についても、その加入は任意制と相なっております。共済掛金の額につきましては、政令で定める範囲内で安全会の定款が定める額とし、契約を締結した学校の設置者がその支払い義務者となっております。同時に、学校の設置者は、原則として、共済掛金の一部を本会に加入した保護者から徴収することになっております。高等学校及び幼稚園の災害共済給付についても、大体において義務教育諸学校の規定を準用いたしますが、ただ、共済掛金は、その全額を保護者から徴収することを原則としております。一方、国は、安全会に対し、その事務費の一部を補助することができるとともに、公立学校の設置者が当該契約にかかる要保護及び準要保護者から共済掛金の負担分を徴収しない場合には、政令の定めるところにより安全会に補助することができるものといたしております。
 以上が本案の概要でございますが、この法案は、去る十月二十六日に付託せられ、十一月六日、政府より提案理由の説明を聴取したのでございます。文教委員会といたしましては、学校の管理下における児童、生徒等の災害事故の防止及び被災者の補償については、かねてより非常な関心を持つところでありまして、全員、慎重かつ熱心に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録によりごらん願いたいと思います。
 かくて、十一月十三日、自由民主党を代表して加藤精三君より、本案に対する修正案が提出されました。その要旨を申し上げますと、第一に、学校安全会に類似のものにつき、現に掛金に相当する寄付金の全額を設置者が負担している場合におきましては、当分の間、保護者より徴収しないことができるようにすること、第二に、当分の間、保育所の乳児、幼児等の災害についても幼稚園の幼児の災害と同様に取り扱い、災害共済給付を行なうことができるようにすること、第三点といたしましては、両親が死亡している場合等など、後見人を選任しなくても、事実上の扶養者が災害共済給付を受けることができるようにし、また、保護者があっても里親に出されている場合には、里親が災害共済給付を受け得る道を開こうとするものであります。さらに、第四点といたしましては、安全会の余裕金の運用について金銭信託をなし得るようにし、第五に、本案の施行期日を、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日に改めることであります。
 次に、日本社会党を代表して堀昌雄君より、本案に対し修正案が提出されました。その要旨を申し上げますと、第一に、憲法にいう義務教育無償の原則にのっとり、災害共済給付の掛金は、国及び地方公共団体等の学校設置者が負担責任を持ち、父兄より徴収すべきではないとの見地を原則とし、保護者からの徴収は当分の間に限定することであります。第二に、高等学校及び幼稚園に対しても安全会は災害共済給付を行なうものとし、第三に、昭和三十七年四月以降は、前述第一の原則を貫くために、新たなる法律の制定を予定していることであります。第四は、国は安全会の災害共済給付に要する経費の一部をも補助するものとし、第五に、保育所の乳児、幼児をも災害共済給付の対象とし、最後に、里親等事実上の扶養者にも給付を受け得る道を開こうとしているごとであります。
 この堀昌雄君提出の修正案について、委員長から内閣の意見をただしましたところ、文部大臣より、これに対し賛成いたしかねる旨の発言がございました。
 次いで、両修正案について、日本社会党櫻井奎夫君、自由民主党加藤精三君よりそれぞれ討論があり、続いて採決の結果、両修正案の共通する部分については全会一致をもってこれを可決し、共通部分を除く堀昌雄君提出にかかる修正案は起立少数でこれを否決、共通部分を除く加藤精三君提出にかかる修正案は起立多数をもってこれを可決し、修正部分を除く原案は起立多数をもって可決せられ、本案は、ここに、加藤精三君の提案通り修正議決章れました。
 右、御報告申し上げます、(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(加藤鐐五郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○議長(加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#35
○議長(加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト