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#1
第033回国会 本会議 第13号
昭和三十四年十一月三十日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和三十四年十一月三十日
    午後五時開議
 一 十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問(倉石忠雄君提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一 十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問(倉石忠雄君提出)
    午後五時九分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 一 十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問(倉石忠雄君提出)
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 本日の日程に掲げました緊急質問を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。
 十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問を許可いたします。倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
#5
○倉石忠雄君 私は、自由民主党を代表して、去る二十七日多数の群集によって長時間にわたり国会構内を不法に占拠せられましたる一大不祥事につき、治安責任の立場にある政府当局に緊急質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 日本社会党外十二団体を幹事役として構成する安保改定阻止国民会議の統一行動が、ついに国会構内に約一万余名の暴徒の乱入となり、その手に赤旗を振りかざし、労働歌を歌い、国家の象徴たる天皇または外国貴賓以外に使用することなき正面玄関までも、ついにこれら暴徒のじゅうりんにまかせ、心なき暴徒の汚物によって汚されるがごとき醜態を生ぜしめたることに関し、国民の負託を受けて国政審議の責めに任ずるわれら議員一同は、この事態を断じて黙過することはできないのであります。(拍手)
 私は、まず、国家公安委員長たる石原国務大臣にお尋ねをいたします。
 第一は、安保改定阻止国民会議の責任者は何人であるか。しこうして、十一月二十七日行なわれたものは不法集会ではないか。
 第二、六万と称せられる民衆の大動員に対し、しかも、全学連等の参加しておる集会が、いかなることを企図しておるかということを、予測できなかったかどうか。
 第三は、国会構内乱入のデモ隊の先頭に立ってそれを誘導した者はだれであるか。現場写真並びにテレビ・ニュース等によって明白であると存じますが、この点も明確に御答弁を願いたい。
 第四、国会内に乱入したことは、もちろん違法でありますが、その人の何人たるとを問わず、国民の納得を得られるごとく断固たる捜査をなすべきであると思うが、その決意を示されたい。
 第五は、警察当局の声明を新聞の報ずるところによって見ますれば、これ以上正門で実力行使をすれば流血の騒ぎになるという第一線からの意見を重んじたと言明しておるが、まことに驚くべきことであります。もし、この声明が事実であるとすれば、この次の機会には正門で流血がなくなっても、院内の中枢部において取り返しのつかぬ流血事が行なわれるのであります。二十七日は、その第一ステップである。警察当局に対する国民の信頼に応ずるために、法律的、制度的に再検討を加える必要があると思うが、いかん。
 第六、将来再びかくのごとき不祥事をなからしめるために、今回の事件を参考にして万全の態勢を整備すべきであると思うが、当局のこれに対する御意見はいかがでありますか。
 申すまでもなく、国会は国権の最高機関であって、国民によって選ばれたわれら国会議員が、その信託に基づいて国政を審議する、神聖なる殿堂であります。主権者たる国民が期待する民主主義政治は、議会の神聖を保持することなくしては断じて成立し得ないのであります。(拍手)しかるに、身みずから国会議員の職責を有する者が、暴徒の先頭に立って国会内に乱入せしむるがごとき行為をなすに至っては、われら議員として断じて許しがたき不逞の行為であります。(拍手)
 今般、衆議院議長は、その声明文の中で、「安保改定阻止の第八次統一行動のデモ隊が、計画的に、国会への請願に籍口して、法規を無視して、一部国会議員の先導により国会議事堂の構内に乱入したことは、わが議会史上いまだかつてない反憲法的行為であって、遺憾にたえない。国会を守ることが国民を守ることであると信ずる。われわれは、この不祥事態の真相を究明し、国会の権威保持に、重大なる決意をもって対処するものである。」と述べておられるのであります。議長の断固たる決意の実行がいかに具体化されるであろうかということについては、国民みなひとしく注目しておるところでございます。(拍手)議長は、すべからく、議会民主主義の権威のために、きぜんたる態度をもって臨まれることを要望すると同時に、政府は、その捜査途上において、容疑者の何人たるとを問わず、厳正なる処置をとらるべきことを、国民の名において強く要望するものであります。(拍手)この点に対する政府の決意を承りたいと存ずるのであります。
 今回の不祥事態発生の直後、日本社会党より発せられた声明によれば、正当なる請願権の発動であると申しておられるのであります。このたびのデモ行為は、明らかに国民の請願権に名をかりた群衆の強訴であり、この大衆を動員して不法集会を行なわしめ、その指導的役割を演じたものが社会党議員諸君であることは、天下の報道機関あるいはテレビ・ニュースを通じて、すでに九千万国民周知の事実であります。(拍手)
 ここに一つの資料を申し上げましょう。「都連(安保特委)通達第六一〇号、一九五九、一一、一八発、日本社会党東京都連合会執行委員長重盛壽治、各支部長、各支部国民運動責任者、各級役員、地区オルグ殿。安保改定阻止第八次統一行動を中心とする行動についての動員要請」記といたしまして、最初の三つは略しますが、「第四、二十七日第八次統一行動について、1、国会に対し『安保改定反対、交渉即時打切り』を要求する大衆動員を行ふ。労組は五号の二倍(六号)を最低規制とし、ストライキ決行の場合は全員参加とし、学生一万五千、計七万五千、ほか社会党、共産党、全日農、人権を守る婦人協議会、平和団体等二千名。」「3、要領、イ、総指揮をチャペル・センター前に置き、淺沼書記長を総責任者とする国民会議幹事会が当たる。ロ、動員部隊は左の三方面に結集するものとする」略図を添付いたしておきました。「社会党、共産党、都労連、学連、農民、婦人、平和団体」。これは社会党本部の指導による東京都連の通報であることは御承知の通り。(拍手)「一九五九年十一月十一日、中央執行委員会特別指令、日本社会党本部委員長鈴木茂三郎、書記長淺沼稻次郎。各支部連合会会長、各支部長、安保闘争活動家殿。安保改定阻止闘争の重大事態にあたり、全党直ちに闘争配置に着け」時間の関係上、内容を省略いたしますが、先ほど読み上げたものと同一のものであります。(発言する者多し)
 皆さん、かくのごとく、日本社会党は、その党の責任者を大会の総指揮者と指定して、その命令のもとに一切の行動が行なわれましたことは、この通達の示す通りであります。(拍手)しかるに、社会党の責任者たちは、その全責任を学生団体及び労働組合に転嫁して社会の公正なる批判から免れんとするがごとき態度は、卑怯未練、国会議員としての政治的良心を疑わざるを得ないのであります。
 ここに思い起こすことがあります。去る昭和二十九年、日本社会党によって惹起せられた国会の暴力事件であります。あの事件収拾のために、同年六月十五日、本院において全員協議会が持たれ、当時議長たりし堤康次郎君が座長に着き、司会者松村謙三君のもとに、時の日本社会党書記長より党を代表して国民に対する陳謝の発言がありましたことは、皆様よく御記憶の通りであります。そのときの発言を記憶のままに呼び起こしましょう。「私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま全員協議会で声明をされた国会振粛に関する共同声明に賛成するとともに、わが党の立場を宣明したいと存じます。去る三日の国会運営が非常なる混乱に陥ったことは、議会政治のためまことに遺憾と存じ、主権者たる国民に対し深く謝する次第であります。(拍手)わが党は、民主主義の徹底の中に社会主義の実現を期せんとする民主社会主義の立場に立って、暴力はあくまで否定するものであります。われわれは、今後、力による政治を排撃し、議会政治と民主主義を守り、国会の権威を高むるとともに、責任政治確立のために一段の努力を払わんとするものであります。以上、責任を感じつつ、われわれの立場を明らかにした次第であります。」
 諸君、あやまちを改むるにはばかることなかれとは、古来、東洋紳士の倫理であります。(拍手)昭和二十九年の国会における暴力を国民に陳謝いたした日本社会党代表の発言が、はたして真実であるならば、何ゆえに今回の責任をすなおに認めようとなさらないのでありますか。(拍手)社会党や総評の幹部諸君は、今日に至るも何ら反省をなすことなく、かえって警察の謀略で国会構内に入れられたのだというがごとき論弁を弄しつつあるのでありますが、警察の謀略であったといたしまするならば、どうしてこの暴徒の抵抗を受けて百四十二名もの多数の警官が負傷者を出したのでありましょうか。言論機関を初め、社会党に対する世論の総攻撃の中に立って、一片の良心的反省もなき社会党及び総評の諸君に対し、私は、ここに、あらためて、良心の前には謙虚であれと叫びたいのであります。(拍手)
 今回の騒擾が決して偶発的なものでなく、当初よりの計画に基づいたものであることは、議長の声明にもある通りであります。政権奪取のために院外大衆の威力をもって議会政治を破壊することは、社会主義革命家の常套手段であります。(拍手)諸外国の例にもあるごとく、民主議会の権威を守るために、特別の立法措置をとる必要ありと思いまするが、政府のこれに対する御所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。(拍手)
 さらに、法務大臣に対してお伺いをいたします。近時、法廷における秩序の混乱は目に余るものがあります。ことに公安、労働関係事件においては、なかんずく、はなはだしい。国際共産主義は教育、税金、裁判に主力を注いでおるが、法務大臣は今日の状態をどのようにごらんになるのでありますか。これに対する法務大臣の御所見を伺いたい。
 およそ、社会主義独裁国家と異なり、民主主義国家における司法権の独立に対して、われわれはこれを十分に尊重するものであります。三権の分立なくしては、民主主義はとうてい実行不可能であります。しかしながら、われわれは、戦後わが国の裁判の傾向に対しては、国民とともに、その憂いを深くいたすものであります。(拍手)もし、それ、神聖なるべき裁判が大衆の威圧に屈服して、裁判官の良心を動揺せしめるごときことがありましたならば、国民の不安これよりはなはだしきはなしと申さなければならないのであります。(拍手)刑事裁判官の会同において、最近、田中最高裁長官が「荒れる法廷」ということを申しておりまするが、かくのごとき事態は、法治国家として、不名誉この上もないことであります。(拍手)多数の暴徒が国会を占拠したり、法廷の神聖が、モッブの威圧や部内職員の思想的策動によって、裁判の公正を欠くがごときおそれありとされるならば、立法府の立場に立つわれわれが、根本的にこの機構に対して再検討せざるを得ないと考えるのも、また当然である。(拍手)
 私は、ここで法務大臣に資料を要求いたしたいと思いますが、最近一カ年間における公安、労働関係等を含めて、裁判所の秩序の混乱をいたし、法廷の威信の失われたような事件の一年間の統計を本院に提出することを、法務大臣に要求いたすものであります。(拍手)
 最後に、内閣総理大臣にお伺いをいたしたい。今回の計画的暴動が、しかも国会議員指導のもとに行なわれた事実を深く認識され、今にしてこれが対策に万全を期せざれば、深い禍根を将来に残すでありましょう。一時を糊塗する安易なる妥協は、結局、国家の将来を誤るものであります。ことに、二十七日の騒擾を見ますると、国会内に乱入いたした者の中に多数の国家公務員及び地方公務員が存在いたしておることであります。われわれは、官紀の振粛ということについて責任の衝にある政府当局が、この事態について重大なる関心を払わねばならない必要があると思うのであります。(拍手)
 今や、圧倒的世論は、議会民主主義擁護であります。この世論を背景として、この国民の付託にそむかざるよう、政府は重大なる決意のもとに政治の大本をただすことに万全の努力を進めていただきたいのでありまするが、この点に関する岸内閣総理大臣の御決意を最後に承って、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#6
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 去る二十七日の、多数のデモ隊による国会の不法占拠の事態は、国民がひとしく非常な憂慮をもってこの事態を考えておると思います。私が、従来、民主政治を守るために、一切の暴力と一切の不法行為というものを断固として取り締まらなければならぬということを申しておるのは、かくのごとき事態が発生することによって国会政治の危機を招来するおそれがあると思ったからであります。(拍手)昨年、私が社会党の鈴木委員長と会談をいたしまして、国会の正常化に触れて、国会周辺におけるデモの取り締まりにつきまして、両党が真に民主政治を守り、国会の権威を高めるために話し合おうということを提案をいたしたのも、こういう考えに基づくのであります。(拍手)しかるに、この問題が、その後、社会党の拒否によって、その結論を得ない間に、かくのごとき不祥事が発生したことは、まことに私としては遺憾にたえないのであります。(拍手)私は、民主政治を守り、国会政治を守るために、ぜひ、超党派的な立場に立って、社会党の諸君も、昨年鈴木委員長と私との間に話し合いをいたしましたように、国会周辺のデモを取り締まって、そうして、真に国会が国権の最高機関としての使命を果たし、民主政治、国会政治を擁護することができるようになることを、心から念願してやまないものであります。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
#7
○国務大臣(石原幹市郎君) 倉石議員の御質問にお答えいたします。
 第一問は、安保阻止国民会議の責任者はだれかというような趣旨の御質問でございました。安保条約阻止国民会議には議長、委員長というような特定した責任者はおらないようでありますが、社会党、総評等十三の幹事団体を中心とする組織体でありまして、国民会議側の称するところによりますれば、参加団体百三十四団体、構成員七百万人に及ぶものであります。なお、日本共産党は、中央においてもオブザーバーとして幹事会に参加し、地方組織の大半には正規に重要なポストを占めておるようであります。
 十一月二十七日の集団行動は、請願という名目ではありますが、事前にチャペル・センター前ほか二カ所に集合を命じて、国会に対し集団で行動するものとしており、当日の国民会議の行動から判断いたしましても、明らかに公安条例に違反する違法な集会、集団行進であり、不法な集団示威運動であると解しております。
 第二問は、今回の大衆大動員に対しまして、しかも、全学連の参加しておる集会で何か行なわれるかという予測はできなかったかという御質問でありますが、八万という動員予定や、国民会議としての正規なスケジュールにつきましては、大体承知しておりました。また、全学連等のはね上がり的行動もあるやもしれすとの情報も事前には承知しておったのでありますが、しかし、国会乱入等の過激な行動はこの一部のものに限られるとの判断で、まさか社会党の幹部諸氏の指導する大衆がかかる行動に出るとは考えていなかったのでありまして、かような意味で、警察措置にも若干判断の甘き点があったのではないかと反省しておるところであります。
 第三問は、国会乱入のデモ隊に先だち誘導したものはだれかということでございますが、国民会議の計画によりますれば、総指揮所を設けまして、総指揮は淺沼議員、チャペル・センター前は赤松議員、人事院前は江田議員、特許庁前は山花議員がそれぞれ方面責任者とされまして、当日のそれぞれの現地において指導したことが確認されておるのであります。このほか相当多数の議員が参加しておりますことは事実でありまするが、当日の大集団の複雑な行動の中で、どのような行動をとったかは、デリケートな問題もあり、ただいま申し上げる段階ではないと考えておるのであります。
 第四問は、国会内に乱入したことは、もちろん違法であるが、その人の何人たるを問わず、国民に納得されるごとく処断する決意ありやという御質問であったと思うのでありますが、このたびの事件につきましては、すでに学生の一部の検挙を見ておりまするように、断固として責任を追及する所存であります。目下調査続行中でありまするが、調査して不法と判明いたしましたならば、それぞれ処置するつもりでおります。
 第五問は、警察が甘かったではないかというような趣旨であったと思いまするが、われわれといたしましては、第一次的には、民衆が再びかかる不法行為を繰り返さないことを期待いたしまするとともに、警備の方法の改善、装備の充実等によりまして現行法の適切な運用をはかり、国民の信頼にこたえたいと思っておる次第であります。しかしながら、集団的暴力行為を敢行する今回のような不祥事件が今後も跡を断たない限りにおきましては、少なくも国家として最も重要な国会及びその周辺につきましては何らかの法的措置をとられることが望ましいのでありまして、今後、国会と十分に連絡をして研究して参りたいと思っておるのであります。
 将来再びかくのごとき不祥事をなからしむるために、今回の事件を参考として万全の態勢を整備すべきであるが、その決意いかんというのが第六問であったと思うのでありまするが、先ほども述べました通り、今回の事件につきましては、情勢判断が甘かったのではないかという反省もあり、その他、警備措置の方法、装備等につきましても研究を重ねて、今回のような不祥事態を絶対に防止するように十分な態勢を確立いたしたい所存でございます。
  [国務大臣井野碩哉君登壇]
#8
○国務大臣(井野碩哉君) 最近、国外、ことに共産圏の諸国から、わが国裁判の公判に対しまして、審理に反対の立場から批判や抗議が加えられ、さらに、国内におけるこれら裁判に対する闘争を支援するための行動がしきりに行なわれておりますることは、わが裁判の独立という点から、まことに遺憾に存じておる次第であります。従って、裁判所が、いかなる圧力にも動揺することなく、きぜんたる態度をもって、適正なる訴訟指揮と法廷警察権の行使を行なわれることを、深く期待いたしておるのでありまするが、先般、全国刑事裁判官会議において、田中最高裁長官が、法廷秩序の維持につき厳然たる態度をもって臨むよう訓示されたことは、まことに適切であり、これに即応しまして、検察官側におきましても、同様の態度をもって臨むよう十分指揮をいたしておる次第であります。
 なお、御要求の資料につきましては、できるだけそろえまして提出いたしたいと考えております。
     ――――◇―――――
#9
○議長(加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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