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#1
第033回国会 本会議 第17号
昭和三十四年十二月十一日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和三十四年十二月十一日
    午後一時開議
 第一 炭鉱離職者臨時措置法案(内閣提出)
 第二 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 会期延長の件
    午後三時四十六分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 会期延長の件につきお諮りいたします。
 本国会の会期は来たる十四日をもって終了いたすことになっておりますが、十五日から二十七日まで十三日間会期を延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。
    ―――――――――――――
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。兒玉末男男君。
    〔兒玉末男君登壇〕
#5
○兒玉末男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました会期延長の案件に対しまして、絶対反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 第三十三臨時国会は、去る十月二十六日に召集され、十一月十四日をもって終了することに相なっておりまするが、ただいまの会期延長の件につきましては、日本社会党といたしましては絶対に納得できないところであります。以下、会期延長反対の立場を明らかにし、各位の御賛同をいただきたいと存ずる次第であります。(拍手)
 そもそも、今臨時国会を召集した最大の目的は、伊勢湾台風を中心といたします未曽有の災害に対する復旧と、罹災者等に対する救援を中心といたしました予算の補正並びに関係法案の制定にあったわけであります。今国会が災害対策国会とまでいわれたゆえんは実にここにあると思うのであります。このことは、すでに予算の補正を初め、災害対策あるいは救援に関するところの各種の法律案が十分なる審議を経ましてそれぞれ成立を見たところでありまして、今国会の最大の使命を、もはや、すでに完了したと確信するものであります。(拍手)
 しかるに、今次国会におきまして、多くの疑惑を持たれまするところの南ベトナム賠償協定が上程され、これに関する本院の本会議あるいは予算委員会、外務委員会において行ないましたところのわが日本社会党の追及に対しまして、政府の答弁は、はなはだしく明瞭を欠き、しばしば答弁に詰まるという醜態を見ましたことは、賠償協定に対するところの政府の無定見を暴露したものといわざるを得ないのであります。国民大衆はこの賠償協定問題に多くの疑惑を持ち、さらにまた、国会の審議が進むにつれて、国民の不信の声はますます高まってきておるのでございます。少なくとも、権威ある国会の審議におきましては、一点の疑問も残さぬよう、徹底的な糾明が行なわるべきでございます。にもかかわらず、自民党の多数の力による審議の強行突破が行なわれたことは、国民の賠償問題に対する疑惑をさらに一そう深めたばかりでなく、政治に対する不信を抱かせる結果を招来いたしましたことは、政府・与党の重大なる失態であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)さらに加えて、政府・与党は、この大きな疑惑と問題に包まれたベトナム問題を強引に本院を通過させたばかりでなく、会期内での成立をあやぶむや、大幅な会期延長によってこれが自然成立をさせようという企図を持つことは、明々白々だといわざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、国民の納得と理解を得ないままにおいて二百億円もの血税を支払うことには絶対に反対するものであります。なしくずしの賠償承認自然成立には、いかなることがありましても同意できない。これが、われわれが会期延長に反対する第一の理由であります。(拍手)さらには、会期延長を前提といたしまして、通常国会は御用納めの翌日の十二月二十九日に召集されることに相なっておりまするが、これまた、憲政史上にその例を見ないところの未曽有のことであり、この政府の措置はきわめて遺憾であると存ずるのであります。
 第二の理由といたしましては、昨昭和三十三年十二月十日、警職法審議の紛糾をめぐって、会期延長問題を中心として国会正常化の話し合いが行なわれた際、国会正常化の申し合わせ事項といたしまして、院内における議事の円満なる運営をはかるために、法規、慣例、申し合わせ、議決を厳に尊重し、必要により国会法の改正を考慮することが確約されたのであります。なかんずく、会期延長につきましては、昨年十一月四日の不祥事もあり、この申し合わせによって当然両党間の十分なる意見の調整を行なうべきにもかかわらず、再びこの挙に出ましたことは、みずからの申し合わせをみずから破棄し、国会の正常化をじゅうりんするものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第三の問題といたしましては、十一月二十七日の国会構内デモ事件に関連してデモ規制法問題が取り上げられまして、そのことが会期延長の理由となされておりまするが、少なくとも国会周辺の秩序維持に関しましては昨年十二月十日の両党間の申し合わせにも明らかにされておりますように、特別委員会を設け慎重に検討することになっており、今直ちにデモ規制法の制定をはかることには多くの問題が残されようと思うのであります。
 特に、デモ規制法の問題点といたしましては、第一に、事前にデモを規制することは、集会・結社の自由を保障するところの憲法二十一条に明らかに違反すること、第二は、法案の第五条に請願、陳情のための行動をも含むとしておることは、正当なる国民の請願権を制限するものであります。(拍手)第三、罰則規定につきましても、東京都公安条例第五条以上に重刑を規定しておりまするが、都公安条例すら違憲の地裁判決のあるものを、立法府たる国会がこのような法を制定するならば国会の権威にも波及することなどの問題を含んでおりまして、軽々しく法制化すべきではないと思うのであります。いやしくも主権者でございますところの国民に、かかる法をもってその権利を制限するがごときは、みずからの政治の失敗を糊塗するためには手段を選ばぬという明らかなる押しつけ政治であり、ますます国民の信を失墜する結果を招くことを、私は指摘したいのであります。(拍手)主権者であるところの国民から真に理解と信頼を得る政治を行なうことこそが、百の法律にまさるところの真の民主政治であるということを、この際、岸総理は深く銘記すべきであります。
 以上、反対の理由を申し上げましたが、要するに、十三日間の会期延長の根拠というものがきわめて薄弱であるということでございます。要するに、五十日間という会期の土俵を十三日間延ばして、そうして、デモ規制法に名をかりて南ベトナム賠償協定承認の自然成立を意図することは明らかであり、このことは、国会の権威を失墜し、国民の信頼を裏切る行為であることを、私は全国民の前に明らかにいたしまして、私の会期延長反対の討論を終わります。(拍手)
#6
○議長(加藤鐐五郎君) 久野忠治君。
    〔久野忠治君登壇〕
#7
○久野忠治君 ただいま議題となりました会期延長の件につき、私は、自由民主党を代表し、賛成の討論を行なわんとするものであります。
 このたび会期延長を行なわんとするのは、現在、衆参両院における重要案件の審議状況にかんがみ、その審議を十分尽くし、国会に課せられた国政処理の重大なる責任を完遂せんとするものであります。ただいま、日本社会党の兒玉君は、会期延長に反対の意見を表明され、ベトナム賠償の審議に関してしきりに攻撃しておられましたが、われわれは、さような見解は絶対に容認し得ないところであります。
 ベトナム賠償協定の審議に関しては、去る十月二十七日国会に提案されて以来、自由民主党としては、その重要案件たることにかんがみ、尽くすべき審議は十分尽くして参ったのであります。衆議院においては、十一月四日より二十五日夜まで十六日間、日曜、祭日を除く以外は連日会議を開き、特に、社会党、社会クラブ委員の諸君に対しては、延べ三十五時間という、いまだかつて例を見ないほど十分な質疑の時間を与え、その審議日程についても、われわれは、誠心誠意、隠忍自重、円満なる話し合いに終始努力いたしたのであります。(拍手)しかるに、社会党の諸君は、執拗なる議事引き延ばしとかけ引きに終始し、夜を徹して暁国会となること連続三カ日、国会史上空前の、先例を見ざる長期徹夜審議を尽くしたるも、ついに妥結を見るに至らず、最後には社会党の諸君みずから神聖なる国会の審議権を放棄し、さらに、政府、与党を誹謗せられるがごときは、議会主義を標榜せる社会党の公党としての態度を疑わざるを得ないのであります。(拍手)その後、ベトナム賠償協定の審議は、連日会議が開かれているにかかわらず、参議院において遅々として進まず、会期を余すことすでに数日よりなき今日、当然これを延長し、十分審議を尽くすべきものと思うのであります。
 去る十一月二十七日の国会乱入事件は、わが議会史上いまだかつて見ない不祥事態であり、再びかかることを絶対に惹起せしめないよう努力しなければならないと思います。本問題については、その後、四派首脳者会談に続き国会対策委員長会談が開かれ、責任所在の明確化、国会周辺の秩序維持の立法化について再三協議が重ねられましたが、意見の一致を見ず、去る八日に至って、ようやく、加藤衆議院議長より、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案要綱により立法化の試案が示されたのであります。われわれは、国会が国権の最高機関たる使命にかんがみ、議事堂周辺の平穏を保持し、議員行動の自由と国会審議権の公正なる行使を確保するための法的措置を講ずることは当然であり、世論も全面的に支持している今日、すみやかに案の成立を期さなければならぬと思います。(拍手)
 ただいま、兒玉末男君の反対討論において、当初、今会期決定の際、延長しない旨の両党間の申し合わせ事項に反するものであり、さらに、昨年警職法問題処理の両党首会談における国会正常化の趣旨に反する旨、意見が述べられました。かかる見解は、国会会期決定の現実を見ず、国会正常化申し合わせの内容を曲解せる意見であると思います。
 言うまでもなく、当初の会期決定は、当時の政治情勢を前提としてきめられたものでありますが、その後の衆参両院の審議状況は重大なる情勢の変化があり、さらに予期せざる不祥事件の惹起等もあって、当然、予定された会期内では案件を議了することができなくなったのであります。昨年の両党首会談の申し合わせの内容も、第二項に、院内の議事の円満な運営をはかるため、法規、慣例、申し合わせ、決議を厳に尊重し、必要により国会法の改正をうたっているのみで、会期延長等重大案件は両党指し合い一致の上提案すべしなどとは書かれておらないのであります。しかし、われわれは、国会運営の正常化、話し合いによる民主主義の確立という建前から、自民党正式機関の決定により、福永国会対策委員長が昨日十一時半ごろ加藤議長に会期延長の件申し入れの直前、私自身が、わざわざ社会党、社会クラブの控室をたずね、多賀谷国対副委員長、春日国会対策委員長にこの旨報告し、御協力を懇請した次第でありまして、唐突に、しかも無断で、野党諸君を無視して会期延長のような重大案件を処理しようなどとは決して思っておらないのであります。むしろ、円満な議事運営のため、我を曲げて時間をかけ、話し合いの場を作ったのでありまして、野党を無視し、単独提案を強行しようなどとは断じて考えておらないのであります。
 今回の臨時国会の使命は、災害復旧対策と予算措置、ベトナム賠償問題、炭鉱離職者臨時措置の急速処理でありますが、ようやく災害対策問題は両院を通過せるも、ベトナム問題は参議院において遅々として審議が進まず、暗い谷間に救援の手を待ち望んでいる石炭関係失業者救済法も、ようやく本院の成立を終わろうとする段階であります。しかるに、突如として起きた、十一月三十七日の、予期せざる、憲政史上いまだかつてなき不祥事件の惹起等、審議案件は山積しているのであります。
 かかる現状にかんがみ、われわれとしては、これら重要案件の今国会成立を期し、外、国際信義を守り、内、国民生活安定向上の施策を実現し、国会の神聖を保持し、国民の負託にこたえるよう努力せなければならぬと思います。
 以上申し述べた見地に立ち、自由民主党を代表して、ここに、議長発議にかかる、十三日間、二十七日まで会期延長の件に対し、賛成の意を表し、討論を終わるものであります。(拍手)
#8
○議長(加藤鐐五郎君) 池田禎治君。
    〔池田禎治君登壇〕
#9
○池田禎治君 私は、社会クラブを代表いたしまして、ただいま提案されました会期延長の案件につき、反対の討論を試みんとするものでございます。(拍手)
 大体、毎国会におきまして会期の延長が行なわれて、その会期の延長をめぐって常に紛乱が起きておることは、これは与党、野党ともに大きな責任のあるところであります。
 一体、会期は、国会の召集前に相談をするのでありまするが、そのときにおきましては、大がい与党はごく内輪な会期を主張する、野党は大幅に主張する、そうして、最後になると、政府・与党の方が、今度はあべこべに延長してくれというので、いつでももめておるのが、過去の例でございます。(拍手)今回におきましても、野党は五十日間を主張し、与党は四十日間を主張した。けれども、結局、最終的には五十日間ということで円満なる話し合いがついたのであります。しかも、そのときの申し合わせでは、あくまでこの会期を厳守しよう、延長はせぬぞということの申し合わせをした。しかるところ、本日の時限に至りますと、十三日間の大幅の延長を与党は求めて参ったのであります。
 私は、最近の国会というものを見ますと、自分の思う通りにならなければ何ぼでも会期を延長するというやり方は、国会運営の円満なる話し合いとは断ぜられないのであります。(拍手)先ほど、久野忠治君は、この壇上から、議会政治というものは話し合いの場である、その通りであります。一党が、みずからの主張のみを通して、他党の主張を退ける、専制政治的なやり方は許されません。同時に、また、少数派といえども、自分の主張が絶対通らないときには、いかなることをしてもこれを防止するということは、これは避けなければならないのであります。そこに、常に、互譲の精神と、謙虚なる姿がなければならないのであります。その謙虚なる姿をいずれに求めるかというならば、絶対多数を持つ政府・与党が一番先に大きな襟度を持って謙虚な姿を見せることが、最も円満なる議会政治の話し合いにおける重大な拠点ではなかろうかと私は思うのであります。(拍手)
 今は多数を持っておる自民党の諸君、戦前の帝国議会のことを思って下さい。会期の延長は一日にするか、二日にするか、三日にするかということは、天皇政治のもとでは大へんなことでありました。たとえば、各省所管の大臣が、自分が責任を持って提出した法律案がその会期の中において審議未了に終わったときには、その閣僚は責任を負って辞任したものであります。今日、自分の提案したものが、自分の省の提案が通らなければ、十日でも、二十日でも、三十日でも、何回でも会期延長をして、多数の力で通すということは、これは私は最も民主的な運営とは思わないのであります。会期という定められたものの中で責任を持ってこれを通過さすということは、国会運営上の与党の責任でなければなりません。しかるところ、与党は国会運営を責任を持ってやらぬ、さぼっておいて、会期の終わりになって延長だ延長だということは、責任政治とは申されません。そこで、この定められた期間の中で通過することができないならば、それは廃案にして、あらためて次の国会においてこれを提案するのが、これ、政治家としての民主主義のリールを守る最大の拠点ではなかろうかと私は思うのであります。(拍手)
 私は、この国会の冒頭におきまして、政府の提案されました農地被買収者問題調査会設置法案について、政府に対しまして、前国会でこれは審議未了になったのであるから、これをこの短期の限られた国会に提出するということは、政治道義からいっても、これは不当ではないか、と自由民主党にも申し入れをいたしました。政府も、自民党も、それぞれの所要の機関で決定をしておるのであるから、それはできない。そこで、さらに、わがクラブの対策委員長を立てて、岸総理大臣にも、川島幹事長にも、あるいは福永国会対策委員長にも申し入れをした。今や少数派であるわれわれの主張であるけれども、大多数である自由民主党といえども、道理の前にはこれに従う、この謙虚な姿があって、初めて、国民が民主政治というものを育てていき、これを尊重するというところの姿を如実に示すものであるから、これは大多数を持つ自民党において責任を持ってこの国会への提案をとどむべきである、すなわち、撤回すべきことを、申し入れをいたしました。これに対して、岸総理大臣は、深甚なる考慮を払うと申された。私は、おそらく、岸総理大臣は、この国会から提案を撤回するものと思っております。
 こういうような、ほんとうにあなた方が小数派の意見を聞いて、この議会政治のルールというものを尊重されるということがあるならば、私は、国会の混乱というものは将来とも漸次減少していくものと思うのであります。ところが、この会期延長の問題については、一つも耳を傾けておらない。しかも、十三日間という大幅な延長である。これほどの見当違いをしたところの政府・与党の責任というものは、自分らがとらないでもって、これを他に転嫁しておるのであります。先ほども申しまするように、昔の閣僚ならば責任を負ってやめるでしょう。近ごろの政治家というものは、民主主義に名をかりて、何ら責任を負わない。去る二十七日の国会乱入事件を口実にして会期の延長を主張しておるが、さようなことは、百の法律を作る前に、衆参両院の議長が、あるいは乱入の責任者が、みずから責任をとるならば、百の法律の必要がいずこにかありましょうか。法律を作って、監獄を作って、国民に責任を転嫁する前に、みずから責任の所在を明らかにすることが、今日、民主政治家のとるべき最大の急務ではなかろうか、と私は主張するのであります。(拍手)
 この観点に立ちまするならば、政府のやっておることは、野球で申しまするならば、九回戦というものを、負けそうになったら十三回まで延長する。相撲の土俵は十五尺というが、負けそうになったら十八尺に延ばす。自分が勝つまではどんなことでもする。ちょうど昔の戦争のときのように、がんばりましょう勝つまでは、こういうようなことは、多数党政治の横暴でありまして、新しき憲法のもとにおきましては、断じて私はやめてもらわなければならない、かように思っておるのであります。
 こういう観点から申しまして、あらゆる角度から申しましても、多数を握っておる政党が行なおうとするならば、議会では何でもできるのであります。しからずして、多数を持つといえども、常に反省をし、謙虚にし、少数派の意見もただし、そうして、みずからもルールを守って国会の運営に当たるとするならば、私は、ほんとうに、口に国会の権威を唱える前に、国民も心から尊重し、国会の権威を認められることになろうかと思うのであります。
 こういう観点に立ちまして、十三日間の延長は絶対私はいけないと主張しますが、せめて、その前に、数日間ではどうかというような話し合いができなかったか。私は、この点で、こんな大幅な延長を勝手にやる、そういうところに、ベトナム賠償を自然成立せしめよう、そこには何かくさいものがありはせぬかということを思っておる人々に、疑惑の眼を集めさせる、あるいはまた、デモ規制法を作って、そうして、あの乱入事件の責任を国民に転嫁しようとするような、憲法じゅうりんの方法というものにつきましては、遺憾ながら、わが社会クラブは根本的に反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 本日、私は、この席上におきましていかように申しまするとも、三百名の多数を持つ自由民主党は、もはや、党議をくつがえすわけにはいかないでありましょう。しかし、それでもって今後といえども議会政治をこのまま運営していこうとするならば、常に、私は、混乱は免れない、紛糾は避けられないと思う。どうか、将来といえども、私は、多数を持つ政党がほんとうに謙虚に反省され、正しき民主政治の殿堂、国会を守るということに心から反省せられんことを望み、私は、あえて反対の討論をいたすものでございます。(拍手)
#10
○議長(加藤鐐五郎君) 本島百合子君。
    〔本島百合子君登壇〕
#11
○本島百合子君 私は、民社クラブを代表いたしまして、ただいまの議長発議によりますところの会期延長に対し、反対の意思を述べるものでございます。(拍手)
 先ほど、自民党の代表が、参議院におきまして審議が遅々として進まない、こういうことを言われたのでありますけれども、過日、三日の日に、自民党は七役会議を開かれ、しかも、参議院の自民党幹事長である安井謙氏並びに国会対策委員長である齋藤氏を呼び、そうして、参議院の審議状況を聞かれたはずであります。そのとき、順調に進んでおるから会期一ぱいに議案は終了できるということを言われておるのであります。そのことは、当日の新聞にも発表されておるわけであります。従いまして、会期最終の十四日以内において審議は終了できると確信を持って自民党幹事長が言ったにもかかわらず、本日十三日間の会期を延長しなければならないという理由は、一体どこにございましょうか。(拍手)
 本臨時国会は、御承知の通り、伊勢湾台風による異常なるあの犠牲をいかに救済するかということと、政府の無責任なる、いわゆる無為無策の結果、炭鉱の離職者がたくさんに出たわけであります。明らかにこれは政府が責任を持ち、この離職者に対する救援対策は急速になさなければならなかった事件でございます。これがすでに衆議院において議了されております。そういたしますと、残る問題は何かというと、南ベトナム賠償ということになるでございましょう。
 皆さん、今日、十三日間の会期を延長されるという、この理由をどこに見出したかということを私検討してみましたところが、衆議院から議案が参議院に回されまして三十日を経過いたしますならば、その議案は参議院の議決があるなしにかかわらず成立するということになっておるそうであります。しかも、会期は、もし延長したいと考えるときには、国会の先例集によりますと、会期延長の議は、当日であるか、あるいは前日か、もしくは前々日に提案されるものとされておるわけであります。にもかかわらず、今日、会期の終了四日前にこの十三日間の延長が提案されたというのは、一体どういうわけでございますか。(拍手)どちらから考えてみましても、これは明らかに南ベトナムに対する賠償の問題を成立させたいというのが、今日政府・与党が考えられたこの延長の動機であるということを忘れてはならないはずであります。(拍手)
 皆さん、過去の歴史を考えていただきたい。特に、岸総理は、静かに戦後の民主国会のあり方を考えていただきたい。今まで会期を延長して混乱をいたしましたのは、警察法、破防法、教育法、昨年の警職法、このような反動立法が出されたときに、会期が間に合わないというので延長され、しかも、その瞬間におきまして時間切れとなり、野党の激しい攻撃にあって国会が混乱を来たしたことは、お忘れでないはずであります。今日、このような問題が外にないと皆さん方はお思いになるでしょうか。
 過日、外務委員会におきまして、多数をもって質疑の打ち切りをいたされた、あの状態はどういうことであるか。国民がどのように批判をしておるかということは、皆様方静かに考えて見られればわかるわけであります。国民が疑惑を持ち、しかも、俗にニワトリ三羽といわれ、そして二百億円の血税を払っていこう、こういうような問題が、質疑が十分に整わない、なおかつ、野党の議員から、御承知の通り、日本におけるところの算定基準になった資料を提出されたいと迫られたにもかかわらず、政府は、特に岸総理、藤山外相は、これに対して納得のいく資料を出されていないはずであります。(拍手)国民は、ばかではございません。今日、失業に悩み、生活困窮に苦しんでおる人々、風水害のために生活もできない人々に対しても、疑惑を持たれておるこの血税を支払っていこうということに対して、何で承服できましょうか。この十三日の会期を延長するというならば、その当時、衆議院において、いま少しく審議の日時を与え、資料を十分提出し、国民ともに納得のいくだけの責任を持って答弁をされなければならなかったはずであります。(拍手)このようなことを考えて参りますときに、私どもは、賠償に反対ではございません。戦争により、相手国にその犠牲を負わしたとするならば、喜んで賠償は払っていくだけの心がまえを国民は持っておるわけであります。しかし、その算定さえわからない。思惑により、また疑惑さえ持たれておるものに対して、これを何としてでも成立させなければならない、そのためには十三日間を延長していかなければ成立しないということは、卑怯未練といわざるを得ないのであります。(拍手)
 このような事態に際しまして、いま一つ申し上げたい。衆議院の外務委員会が二十五日、六日の払暁にかけて行なわれ、暁国会で、あの議案は本院を通過させたわけであります。翌々二十九日、北ベトナムは、日本に対して、この賠償は無効であるということを声明しておるではございませんか。無効であるばかりでなく、なお、北ベトナムは日本に賠償を請求するところの権利を保留すると世界に声明したわけであります。皆さん、南北の統一も行なわれていないこの際、何をあわてて、自然成立を待ってまでも、この案件を通さなければならないのでございましょうか。(拍手)むしろ、国際信義の上に立っても、南北の調整がとれ、日本の賠償が真に南北ともに受け入れられるときに初めてこの協定に賛成すればよろしいわけであるはずであります。にもかかわらず、何がゆくえに会期延長をしてまでも自然成立を待とうとするのか、岸総理を初めとし、自民党、与党の方々の考え方に、私は非常な疑惑を持つわけであります。(拍手)国民もひとしくこの疑惑を持っておると思います。今回の、この疑惑は、やがて不安となり、次に起こってくるものは憤激であるはずであります。国民は黙っておりません。憤激に変ったときに、一体、国会の信義、また、信頼というものを、どこに持たせて参ることができるでしょうか。この案件のために会期を延長するというお考えならば、通常国会に持ち込んで、慎重に継続審議されるのが当然だと私は考えるのであります。(拍手)国民もこのように望んでおります。
 今日、外には日米安全保障条約改定の反対並びにベトナム賠償の協定に反対という声が盛り上がっておることは、皆さん方、すでに御承知の通りであります。また、一方、憲法におきますところの二院制度を、これは冒涜するものではないでしょうか。参議院においてどのような結論が出ようとも、それが出なくとも、自然成立を待つということは、参議院の審議というものを軽視しておる証左であると思います。二院制度におけるところの憲法上の審議を政府みずから破っていこうといたしておるわけであります。このような理由から、民社クラブにおきましても、この会期延長には絶対反対であります。(拍手)
 どうか、政府・与党といわれる自民党の皆様方、このような観点を十分にお考え下さいまして、会期延長に御反対をなさることを心からお願いいたしまして、私の討論を終わりたいと存じます。(拍手)
#12
○議長(加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#13
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。会期を十二月十五日から二十七日まで十三日間延長するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#14
○議長(加藤鐐五郎君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#15
○議長(加藤鐐五郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#16
○議長(加藤鐐五郎君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#17
○議長(加藤鐐五郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百五十九
  可とする者(白票) 二百三十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 百二十八
    〔拍手〕
#18
○議長(加藤鐐五郎君) 右の結果、会期は十三日間延長するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
 会期を一二月一五日から二七日ま
 で一三日間延長するを可とする議員
 の氏名
   安倍晋太郎君  相川 勝六君
   逢澤  寛君  青木  正君
   赤城 宗徳君  赤澤 正道君
   秋田 大助君  秋山 利恭君
   足立 篤郎君  天野 公義君
   綾部健太郎君  荒木萬壽夫君
   荒舩清十郎君  新井 京太君
   井原 岸高君  飯塚 定輔君
   生田 宏一君  池田 清志君
   池田 勇人君  石井光次郎君
   石坂  繁君  石田 博英君
   稻葉  修君  今井  耕君
   今松 治郎君  岩本 信行君
   宇田 國榮君  植木庚子郎君
   臼井 莊一君  内田 常雄君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   遠藤 三郎君  小川 半次君
   小川 平二君  小澤佐重喜君
   大久保武雄君  大久保留次郎君
   大倉 三郎君  大坪 保雄君
   大野 市郎君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大平 正芳君
   岡崎 英城君  岡部 得三君
   岡本  茂君  奧村又十郎君
   押谷 富三君  加藤 精三君
   加藤 高藏君  鹿野 彦吉君
   賀屋 興宣君  鍛冶 良作君
   金丸  信君  上林山榮吉君
   亀山 孝一君  鴨田 宗一君
   川崎 秀二君  川島正次郎君
   川野 芳滿君  菅家 喜六君
   菅野和太郎君  簡牛 凡夫君
   木倉和一郎君  菊池 義郎君
   岸  信介君  清瀬 一郎君
   久野 忠治君  倉石 忠雄君
   藏内 修治君  黒金 泰美君
   小泉 純也君  小枝 一雄君
   小金 義照君  小島 徹三君
   小平 久雄君  小林 絹治君
   小山 長規君  河野 孝子君
   河本 敏夫君  佐々木盛雄君
   佐藤 榮作君  佐藤洋之助君
   齋藤 邦吉君  坂田 英一君
   坂田 道太君  櫻内 義雄君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   始関 伊平君  椎熊 三郎君
   椎名悦三郎君  重政 誠之君
   篠田 弘作君  島村 一郎君
   進藤 一馬君  周東 英雄君
   鈴木 正吾君  鈴木 善幸君
   砂原  格君  世耕 弘一君
   瀬戸山三男君  關谷 勝利君
   園田  直君  田中伊三次君
   田中 彰治君  田中 龍夫君
   田中 正巳君  田邉 國男君
   田村  元君  高石幸三郎君
   高瀬  傳君  高田 富與君
   高橋 英吉君  高橋清一郎君
   高橋 禎一君  高橋  等君
   高見 三郎君  竹内 俊吉君
   竹下  登君  竹山祐太郎君
   武知 勇記君  谷川 和穗君
   千葉 三郎君  中馬 辰猪君
   津島 文治君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  辻  寛一君
   綱島 正興君  寺島隆太郎君
   渡海元三郎君  徳安 實藏君
   床次 徳二君  富田 健治君
   内藤  隆君  中井 一夫君
   中垣 國男君  中川 俊思君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   中村 梅吉君  中村 幸八君
   中村三之丞君  中村 寅太君
   中山 マサ君  永田 亮一君
   永山 忠則君  灘尾 弘吉君
   楢橋  渡君  南條 徳男君
   二階堂 進君  丹羽喬四郎君
   丹羽 兵助君  西村 英一君
   西村 直己君  根本龍太郎君
   野田 卯一君  野田 武夫君
   野原 正勝君  羽田武嗣郎君
   馬場 元治君  橋本登美三郎君
   長谷川四郎君  長谷川 峻君
   服部 安司君  濱田 幸雄君
   濱田 正信君  濱地 文平君
   濱野 清吾君  早川  崇君
   林  唯義君  原 健三郎君
   原田  憲君  平井 義一君
   廣瀬 正雄君  福家 俊一君
   福井 順一君  福井 盛太君
   福田 赳夫君  福田 篤泰君
   福田  一君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  藤本 捨助君
   藤山愛一郎君  船田  中君
   古井 喜實君  古川 丈吉君
   保利  茂君  星島 二郎君
   細田 義安君  堀内 一雄君
   堀川 恭平君  前尾繁三郎君
   前田 正男君  益谷 秀次君
   増田甲子七君  松岡嘉兵衛君
   松澤 雄藏君  松田竹千代君
   松田 鐵藏君  松田竹千代君
   松野 頼三君  松本 俊一君
   三池  信君  三浦 一雄君
   三田村武夫君  三和 精一君
   水田三喜男君  南  好雄君
   村上  勇君  村瀬 宣親君
   毛利 松平君  森   清君
   森下 國男君  八木 徹雄君
   保岡 武久君  山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  巖君  山下 春江君
   山田 彌一君  山中 貞則君
   山村新治郎君  山本 勝市君
   吉田 重延君  早稻田柳石エ門君
   渡邊 本治君
 否とする議員の氏名
   赤路 友藏君  赤松  勇君
   淺沼稻次郎君  足鹿  覺君
   飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君
   井伊 誠一君  井岡 大治君
   井手 以誠君  伊藤よし子君
   猪俣 浩三君  石川 次夫君
   石野 久男君  石橋 政嗣君
   石村 英雄君  石山 權作君
   板川 正吾君  小川 豊明君
   小沢 貞孝君  大貫 大八君
   大原  亨君  太田 一夫君
   岡  良一君  岡田 春夫君
   岡本 隆一君  加賀田 進君
   加藤 勘十君  柏  正男君
   勝間田清一君  角屋堅次郎君
   金丸 徳重君  上林與市郎君
   神近 市子君  神田 大作君
   川村 継義君  河上丈太郎君
   河野  正君  木原津與志君
   菊地養之輔君  北山 愛郎君
   久保 三郎君  久保田鶴松君
   黒田 寿男君  小林  進君
   兒玉 末男君  五島 虎雄君
   河野  密君  佐々木更三君
   佐藤觀次郎君  佐野 憲治君
   阪上安太郎君  櫻井 奎夫君
   實川 清之君  島上善五郎君
   島口重次郎君  下平 正一君
   杉山元治郎君  鈴木茂三郎君
   田中織之進君  田中 武夫君
   多賀谷真稔君  高田 富之君
   滝井 義高君  館  俊三君
   辻原 弘市君  戸叶 里子君
   堂森 芳夫君  中井徳次郎君
   中澤 茂一君  中島  巖君
   中嶋 英夫君  中原 健次君
   中村 高一君  永井勝次郎君
   成田 知巳君  西村 関一君
   野口 忠夫君  芳賀  貢君
   長谷川 保君  原   茂君
   原   彪君  日野 吉夫君
   平岡忠次郎君  穗積 七郎君
   堀  昌雄君  松浦 定義君
   松平 忠久君  松本 七郎君
   三鍋 義三君  森島 守人君
   森本  靖君  八木 一男君
   八木  昇君  矢尾喜三郎君
   安井 吉典君  柳田 秀一君
   山口シヅエ君  山崎 始男君
   山下 榮二君  山田 長司君
   山中 吾郎君  山中日露史君
   山本 幸一君  横山 利秋君
   和田 博雄君  池田 禎治君
   内海  清君  大矢 省三君
   春日 一幸君  佐々木良作君
   鈴木  一君  堤 ツルヨ君
   土井 直作君  西村 榮一君
   廣瀬 勝邦君  松尾トシ子君
   水谷長三郎君  武藤 武雄君
   今澄  勇君  大野 幸一君
   木下  哲君  菊川 君子君
   田中幾三郎君  中村 時雄君
   北條 秀一君  門司  亮君
   本島百合子君  正木  清君
#19
○天野公義君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#20
○議長(加藤鐐五郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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