くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第033回国会 本会議 第19号
昭和三十四年十二月十六日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和三十四年十二月十六日
    午後一時開議
 第一 炭鉱離職者臨時措置法案(内閣提出)
 第二 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(第三十一回国会、内閣提出)(参議院送付)
 第五 医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案(田中正巳君外八名提出)
 第六 クリーニング業法の一部を改正する法律案(第三十一回国会、大石武一君外九名提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの件
 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(本院提出)(参議院回付)
 日程第一 炭鉱離職者臨時措置法案(内閣提出)
 日程第五 医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案(田中正巳君外八名提出)
 日程第六 クリーニング業法の一部を改正する法律案(第三十一回国会、大石武一君外九名提出)
 日程第二 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 日程第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(第三十一回国会、内閣提出)(参議院送付)
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 新安保条約草案における在日米軍の域外出動の取扱いに関する緊急質問(田中稔男君提出)
 国連軍と安保改訂との関係に関する緊急質問(内海清君提出)
    午後一時四十八分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 松村謙三君から、去る十月二十六日の表彰決議に対し、発言を求められております。この際、これを許します。松村謙三君。
    〔松村謙三君登壇〕
#4
○松村謙三君 先般、本会議におかれまして、私が勤続二十五年のために決議をもって御表彰を賜わりました。まことに感激にたえません。(拍手)ちょうど当時外遊中でございまして、ごあいさつを申す機会がおくれまして、ただいま、はなはだおくればせでございますけれども、深甚なる感謝のごあいさつを申し述べさしていただきたいと思うのでございます。(拍手)
 私がこの二十五年の月日を今日までどうかこうかやって参りましたのは、ひとえに先輩、同僚、各位の御厚誼、それと、長い選挙区の清い支援のたまものでございまして、往時を顧みて、ほんとうに感謝の言葉もないわけでございます。(拍手)
 私が議会へ初めて出ましたのは昭和三年でございまして、顧みますれば、三十幾年の以前でございます。ちょうど時が日本の政治の繁忙期へ入ったのでございまして、世は、非常時に、戦争に、その間、力が足りませんで、国が終戦のあの姿に陥りますことを議会人として阻止することができなかったことは、まことにざんきの至りでございました。終戦後、追放にあい、七年の後、再び議会に列することを得まして、何とか、さきの力の足らなかったことを、公のために償いたいと思うて今日まで参りましたが、まことに微力でありまして、何ら貢献することができなかったことは、申しわけないことであります。それにもかかわらず、このように本会議の決議をもって御表彰を賜わりまして、ほんとうに心から感謝感激にたえぬのでございます。(拍手)
 この上、国会におります限り、微力を議会政治の正しい発展のために尽くしたいと思うのでございます。(拍手)どうか、これまでにもまして一そうの御厚誼を賜わりますことをお願い申し上げまして、私の深甚なるごあいさつとする次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 漁港審議会委員任命につき同意を
  求めるの件
#5
○議長(加藤鐐五郎君) お諮りいたします。
 内閣から、漁港審議会委員に小田賢郎君、鮫島茂君、井出正孝君、齋藤静姫君、原捨思君、室崎勝造君、佐野寅雄君及び溝淵熊雄君を任命したいので、漁港法第九条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#7
○議長(加藤鐐五郎君) 次に、内閣から、鉄道建設審議会委員に佐藤博夫君、鈴木清秀君、今里廣記君、關桂三君、楠見義男君、酒井杏之助君、今野源八郎君及び平山復二郎君を任命したいので、鉄道敷設法第六条第二項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#9
○議長(加藤鐐五郎君) お諮りいたします。
 参議院から、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#11
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
#13
○天野公義君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第一とともに、日程第五及び第六を繰り上げ、三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○議長(加藤鐐五郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程の順序は変更せられました。
 日程第一、炭鉱離職者臨時措置法案、日程第五、医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案、日程第六、クリーニング業法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#16
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長永山忠則君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔永山忠則君登壇〕
#17
○永山忠則君 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法案、医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案及びクリーニング業法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、炭鉱離職者臨時措置法案について申し上げます。
 御承知のごとく、石炭鉱業は、近時、エネルギー消費事情の変化等に伴い、深刻なる不況に見舞われているのでありますが、それらの結果、石炭企業の合理化の促進に伴い、関係地域における炭鉱労働者の離職者数は急増の一途をたどり、しかも、地下労働たる特殊事情によって他に再就職することが困難であるため、一部の地帯に滞留し、その生活はきわめて悲惨な状態にあって、重大な社会問題を惹起しつつあるのでございます。かかる現状にかんがみまして、炭鉱離職者の職業と生活の安定に資するため特別の措置を講じようとするのが、本法案の目的であります。
 次に、本案のおもなる内容について申し上げますれば、まず第一は、労働大臣は、多数炭鉱離職者が居住している地域以外の地域において、それらの者が職業につくことを促進するために広域職業紹介の計画を作成し、その計画に基づいて必要な措置を講ずることであります。
 第二は、就職できない炭鉱離職者に対して暫定的に就労する機会を与えるため、その多数発生している地域において炭鉱離職者緊急就労対策事業を計画実施し、国はこの事業に対し高率の国庫補助を行なうことであります。
 第三は、炭鉱離職者の職業訓練について特別の措置を講ずることとし、一般職業訓練所における職業訓練に要する費用については、国は、職業訓練法の規定による経費負担のほかに、予算の範囲内において経費の一部を負担することであり、第四は、鉱業権者が新規に炭鉱労働者の雇い入れをする場合には、炭鉱離職者を優先的に雇い入れるようにしなければならないこととしておるのであります。
 第五は、炭鉱離職者の再就職等に関し必要な援護を行なわせるため、炭鉱離職者援護会を設立することであります。その業務内容は、移住資金の支給、職業訓練受講者に対する手当の支給、寄宿舎の設置等の援助、炭鉱離職者を雇用する雇用主に対する労働者用宿舎の貸与、職業講習の実施、その他、求職活動に関する協力、生業資金の借り入れあっせん、生活指導等であります。この援護会の経費は、国の補助金及び石炭整備事業団からの交付金のほか、寄付金をもってこれに充て、その監督は労働大臣及び通商産業大臣が行なうこととなっております。
 なお、本法は、その目的にかんがみ、施行後五年以内に廃止することとなっておるのであります。
 本案は、十一月十四日本委員会に付託せられ、同十八日労働大臣より提案理由の説明を聴取した後、通商産業大臣の出席を求めて数回にわたり慎重敵る審査を行なったのでありますが、その間、十二月二日には、国民経済研究協会理事長稲葉秀三君外七名を参考人としてその意見を聴取し、同三日には商工委員会との連合審査会を開き、また四日は、特に岸内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行なった次第であります。これらの質疑応答はきわめて真剣に行なわれたのでありますが、詳細については会議録によって御承知願いたいと思います。
 かくて、四日の委員会において質疑を終了し、採決に入りましたところ、全会一致、原案通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
 なお、本案について、自由民主党、日本社会党及び社会クラブの共同提案にかかる次の附帯決議を付すべき旨の動議が提出せられ、自由民主党の大坪委員より趣旨の説明がございました。
 朗読いたします。
    炭鉱離職者臨時措置法案に対する附帯決議
  政府は、炭鉱離職者臨時措置法の実施に当り、左の諸点に留意すべきものとする。
 一 一般職業訓練所の運営費については、その負担割合を引き上げるよう努力すること。
 二 炭鉱離職者援護会に労使その他関係各方面の代表者よりなる運営協議会を設けること。
 三 生業資金の借入に係る債務の保証については、できるだけすみやかに成案を得るよう努力すること。
 四 炭鉱離職者緊急就労対策事業については、その効果的実施を行い得るようこれが改善を図ること。
 かくて、本動議について採決を行ないましたところ、全会一致をもって附帯決議を付することに決した次第でございます。
 次に、医師等の免許及び試験の特例に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 現在、医師または歯科医師になるためには、それぞれの国家試験に合格しなければならないのでありますが、終戦前に、朝鮮、満州、樺太等において、その地の制度によって免許を得て開業していた者で、終戦により日本に引き揚げた人々につきましては、医師等の免許及び試験の特例に関する法律により、選考または特例試験により免許を得る措置が講じられております。また、昭和二十八年二月以前に引き揚げた者と、終戦前、満州方面向けの医師の養成を目的として内地に設けられた医学校を卒業した者等につきましては、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律によって、国家試験予備試験の受験資格が与られております。しかるに、この両法律による特例措置は昭和三十四年末をもって期限が切れるのでありますが、これらの該当者は現在なお若干名ありますので、今回、これらの措置を一年間延長して、医師または歯科医師となり得る道を開き、将来に希望を持たせようとするのが、本法案提出の理由であります。
 本法案は、十二月五日本委員会に付託され、同月九日提出者田中正巳君より提案理由の説明を聴取した後、翌十日、質疑を終了し、直ちに採決を行ないましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 次に、クリーニング業法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 昭和二十五年、本法の制定に伴いまして、各都道府県においても、それぞれ所要の条例、規則が制定せられ、公衆衛生の向上に寄与して参ったのでありますが、従来における本法の実施状況にかんがみ、今回さらに所要の改正を行ない、環境衛生の向上をはかろうとするのが、本法案提出の理由であります。
 次に、本法案のおもなる内容について申し上げますれば、第一に、従来クリーニング師を置く義務は、常時五人以上の従事者を使用するクリーニング所に限られておったのでありますが、最近における各種化学繊維製品の急速な発達等を考慮するとともに、かつ、公衆衛生上遺憾なきを期するため、今後二カ年を期して、すべてのクリーニング所にクリーニング師を必置しなければならないことといたしたことであります。
 第二は、ネズミ、蚊等の発生を防除するため、洗い場の床は、コンクリート、タイル等、不浸透性材料をもって築造し、かつ、適当な勾配と排水口を今後一カ年を期して設けなければならないことといたしたことであります。
 第三は、最近における高温洗剤の普及等に伴い、従業者の手肢、健康の保全等をはかるため、今後二カ年を期して業務用の洗たく機と脱水機を少なくとも一台備えなければならないことといたしたこと等であります。
 本案は、第三十一回国会以降継続審査となっておりましたが、本国会においては、十一月二十八日審議に入り、十二月十日質疑を終了し、採決を行ないましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案について、自由民主党、日本社会党及び社会クラブの共同提案にかかる次の附帯決議を付すべき動議が提出せられ、自由民主党中山マサ委員よりの趣旨の説明がございました。
 朗読いたします。
    附帯決議
  政府は、本改正法の円滑なる実施を図るため、次の事項について、すみやかに適切なる措置を講ずべきである。
 一、洗たく機、脱水機その他本法改正に伴う施設の整備を行うことになる場合、当該業者の必要なる資金につき、金融措置等ができるだけ円滑に行われるよう配慮すること。
 二、新たにクリーニング師の資格を取得せんとする既存業者に対しては、講習その他適切なる指導を行い廃業等のやむなきに至る者の生じないよう配慮すること。
 かくて、本動議について採決を行ないましたところ、全会一致をもって附帯決議を付することに決した次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(加藤鐐五郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本放送協会昭和三十
  二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
#20
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第二、日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。
    ―――――――――――――
#21
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員会理事進藤一馬君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔進藤一馬君登壇〕
#22
○進藤一馬君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書に関し、逓信委員会における審議の経過と結果とを御報告申し上げます。
 本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て、内閣より去る三月四日国会に提出されたものであります。
 本議案の内容を概略御説明いたしますと、昭和三十二年度末現在における協会の資本総額は四十八億六千三百余万円であり、これに照応する資産は百二億七百余万円、負債は五十三億四千三百余万円で、資本総額において、前年度末に比し一六%強の増となっております。
 損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が百十三億二千七百余万円、テレビジョン関係が二十三億九千百余万円、事業支出は、ラジオ関係が百八億七千百余万円、テレビジョン関係が二十一億五千三百余万円で、差引当期剰余金は、ラジオ関係において四億五千五百余万円、テレビジョン関係において二億三千八百余万円となっており、協会の事業収支全体から見ますと、差引当期剰余金六億九千三百余万円となっております。
 なお、本件には、会計検査院においては特に記述すべき意見はない旨の検査結果が添付されております。
 逓信委員会においては、十月二十六日本議案の付託を受け、十一月六日以降数回にわたって会議を開き、郵政省並びに会計検査院当局より説明を聴取したほか、特に参考人として日本放送協会の会長等の出席を求め、慎重審議を行なったのでありますが、質疑応答の詳細はすべて会議録によって御承知願うことといたしたいと存じます。
 かくして、委員会は、十二月四日討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって本議案については異議なきものと議決した次第であります。
 これをもって御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。
 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 郵政省設置法の一部を改正する法立案(内閣提出)
#25
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第三、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#26
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事岡崎英城君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録週録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔岡崎英城君登壇〕
#27
○岡崎英城君 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、大臣官房の事務の質的及び量的発展に伴い、省外との接触、総合調整、その他、内外にわたる官房の事務を一そう適切に行なうため、新たに官房長を置くことであります。
 本案は、十月三十一日本委員会に付託され、十一月十日政府より提案理由の説明を聴取し、十二月八日質疑を終了、討論の通告もなく、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 酒税の保全及び酒類業
 組合等に関する法律の一部を
  改正する法立案(第三十一回国
  会、内閣提出)(参議院送付)
#30
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第西、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#31
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長植木庚子郎君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔植木庚子郎君登壇〕
#32
○植木庚子郎君 ただいま議題となりました酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、去る三十一回国会におきまして政府より提出せられ、本院においては、原案通り可決の上、参議院に送付、自来、同院において継続審査となり、去る十一月三十日、修正議決の上、本院に送付されて参ったものであります。
 まず、政府原案の趣旨及びその概要について申し上げます。
 清酒や合成清酒、ビールやしょうちゅうなど、大部分の酒類につきましては、現在もなお物価統制令による最高価格の統制があり、いわゆるマル公制度が実施されているのでありますが、御承知の通り、このマル公制度は、戦中・戦後の物資不足の際、消費者保護のために採用せられたものでありまして、その後、経済の正常化に伴い漸次廃止となり、今日では、お酒やお米など、二、三の、ごく例外的なものについて認められているのにすぎないのであります。ところが、この酒類につきましても、現状では、その供給はすでに十分となっておりまして、具体的な時期や方法は別といたしまして、そのマル公制度も早晩廃止されるべき運命にあるものと考えられるわけであります。よって、将来酒類のマル公制度が廃止された場合を考えてみますと、現行法のままでは、取引の基準となるべき価格を失いまして、多分にその取引が乱れるおそれがあるのでございます。そのために、酒類業界の安定や、ひいては国家歳入の重要な財源たる酒税の収入に悪影響を及ぼすことが予想せられることがあるのでございます。従って、この法律案は、将来酒類のマル公制度が廃止せられた後におきましても、酒類業界の安定や酒税収入の保全に支障を来たさないよう、あらかじめその価格制度に関する十分な法的準備を整えておこうとするものであります。
 すなわち、この法律案によりますれば、酒類の価格制度として、現行法でも認められている協定価格のほか、新たに基準販売価格、制限販売価格及び再販売価格の制度を設けることといたしまして、大蔵大臣は、酒税保全のため必要ありと認めた場合には、各酒類につき、その取引の基準となるべき販売価格を定めることができることとし、同時に、たとえば清酒のごとく紋別の区分のある酒類については、級別を通ずる酒税の収入を確保するため、下級酒類の最高制限販売価格を定めることができることといたしており、また、酒類の製造業者は、大蔵大臣の指定した酒類に限って、その認可を経た上、当該酒類の販売業者との間において再販売価格を決定し、これを維持するための契約を締結することができることといたしておるのであります。
 なお、この機会において、以上のほか、最近における立法例や現行法の実施状況に顧みまして、酒類業組合等につきまして理事会制度を設けることとするとともに、合理化のためのカルテルを締結することができることとし、あわせて、酒類の計量単位を尺貫法系からメートル法系に改めるなど、所要の規定の整備をはかっているのであります。
 以上のような政府原案に対しまして、先ほども申し上げました通り、参議院で若干の修正がありましたので、右修正点について簡単に説明申し上げます。
 まず第一点は、酒類業組合がこの法律に基づいて価格等の協定を実施した場合におきまして、その協定を守らない組合員があるためにその実効を上げられないというときには、大蔵大臣は、当該組合員に対しまして、その協定に従うべき旨を勧告することができることにいたしておるのであります。
 第二点は、この法律の施行時期を、原案では本年四月一日からと規定してありますのを、公布の日から起算して十日を経過した日と改めることにいたしておるのであります。
 以上が参議院から送付して参りました法律案の内容の概略でありますが、この法律案は、去る十一月三十日大蔵委員会に付託となり、十二月三日政府より提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、自来数回にわたって慎重審議いたしました。
 質疑応答のうち、おもなものについて申し上げます。
 まず、酒税の減税に関して質疑が行なわれましたが、これに対しましては、政府側から、「酒税が軽くないということは認めている。また、税制調査会等においても毎回そのことが指摘されているので、減税を行ないたいのであるけれども、国家財政の現状においてはまだ困難である」という答弁がございました。
 次に、マル公を撤廃して新しい価格制度へ移行する時期について質疑が行なわれましたが、この点については、政府側から、「この法律の公布後、半年以上一年以内になると思われる」、こういう答弁がございました。
 また、小売マージンの増額問題についての質問に対しましは、「今後十分検討いたします」という答弁がございました。そのほか、酒類の原価と税率との関係、酒類の製造免許並びに原料米配分の問題等につきましての熱心な質疑応答がかわされましたが、この詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、去る十日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決を行ないましたところ、全会一致をもって参議院送付案の通り可決をいたしました。
 以上、報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 繭糸価格の安定に関する臨時措置
  法の一部を改正する法立案(内
  閣提出)
#35
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#36
○議長(加藤鐐五郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#38
○議長(加藤鐐五郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長吉川久衛君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉川久衛君登壇〕
#39
○吉川久衛君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告いたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 政府は、さきに、繭糸価格安定法に基づいて約五万俵、また、繭糸価格の安定に関する臨時措置法に基づいて約五万俵の生糸の買い入れたな上げを行なって価格安定に努め、また、第三十一回国会においては、三十四生糸年度は繭糸価格の安定に関する臨時措置法を一年延長することによって当面の事態を収拾して参ったのであります。しかるに、その後、景気の好転、最低価格の引き下げ、絹の流行等の事情を反映して、生糸に対する内外の需要は急速に増進し、生糸価格は漸次上昇してきたのでありますが、この新事態に対処し、政府、本年四月以来、臨時措置法により取得し時価で売り渡すことができることになっている生糸を、申し込みに応じて本生糸年度の経済上の最高価格と定めた十八万円で売り渡す措置を講じ、糸価の高騰を抑制することに努めて参ったのであります。しかし、臨時措置法により取得した生糸の残量が減少するに伴い、だんだんと糸価が高騰する趨勢が現われている状態につき、政府としては、これを実需の伴わぬ不自然な思惑相場と見、かかる異常な高値を抑制し、需要の確保をはかるため、繭糸価格安定法により買い入れた政府保育生糸であって、同法に規定する法律上の最高価格約二十三万円で売ることになっているものを、この際、時価十八万円で放出できる道を開く目的をもって、本案が提出されたのであります。
 その内容は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法中に、新たに第十条として、政府は、繭糸価格安定法に基づいて取得した生糸を、昭和三十五年五月三十一日までは繭糸価格安定法によらないで売り渡すことができる旨の規定を加えようとするものであります。
 本案は、去る十月二十七日に政府から提出され、ようやく十一月二十七日提案理由の説明を聞きましたが、その後、委員会としては、本案の重要性にかんがみ、関係業界代表者の意見を聴取し、また、十数回にわたって与野党間の意見交換を行なう等、慎重細る調査を行なったのであります。その間のおもなる論点は、繭糸の需給並びに価格の将来の見通し、売り渡し価格と売り渡し方法の妥当性、生糸取引所の運用の実態等であります。
 かくて、十二月十六日質疑を終了したのであります。
 本案に対しましては、日本社会党を代表して中澤委員から修正案が提出されましたが、その内容は、政府原案が、政府保有生糸を繭糸価格安定法によらないで、すなわち、時価で売り渡すことができるとありますのを、政府保有生糸のうち一万五千俵までは繭糸価格安定法によらないで売り渡すことができる、ただし、その売り渡しは競争入札に付して行なうものとし、売り渡し価格は、標準生糸については最高一俵約二十三万円、最低十九万八千円の範囲内とするというように修正したいという趣旨のものであります。
 次いで、討論に入り、日本社会党高田委員より、修正案賛成、原案反対、また、自由民主党高石委員より、修正案反対、原案賛成、次に、社会クラブ小松委員より、修正案賛成、原案反対の討論がなされました。
 続いて採決を行ないましたところ、修正案は少数をもって否決され、原案は多数をもって可決されました。
 なお、本案に対し、自由民主党田邊委員より附帯決議を付したき旨の動議が提出され、多数をもってこれを付することに決しました。
 その趣旨は、繭糸価格安定に関する現在の制度はきわめて複雑であり、多くの検討を要する点があるので、政府は、本法案成立後、蚕糸業総合対策、価格安定制度等について、すみやかに蚕糸業振興審議会に諮って成案を得、来たるべき通常国会において審議を求めることとし、なお、本法案成立後、すみやかに繭糸価格安定審議会を開いて意見を聞いた上、実勢価格を正しく反映せしめ、かつ、実需者に公正な競争により確実に入手できるよう政府保有生糸の売り渡し価格及び売り渡し方法を決定すること等の内容を含むものであります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(正木清君) 討論の通告があります。順次これを許します。栗原俊夫君。
    〔栗原俊夫君登壇〕
#41
○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の意思を表明せんとするものでございます。(拍手)
 この法律案の内容は、政府が繭糸価格安定法により最低価格一俵十九万円で買い上げた生糸、すなわち、同法の規定によって、最高価格、すなわち二十三万円でなければ売ってはならない約五万俵の生糸を、たった十八万円で売り払おうという、とんでもないしろものでございます。(拍手)
 現在、生糸の現物の相場は約二十万円を上回っております。このようなときに、政府が国民の税金によって十九万円で買い上げた約五万俵の生糸、しかも、二十三万円でなければ売れない生糸を、買い値よりも一万円も安く売り払おうというのでありますから、これはどなたが聞いても納得のいくはずがございません。従って、与党の方々の中にも、これはおかしいぞと、にわかに賛成できない方々も数多くあるわけであります。蚕糸業界は、農民の作る繭、糸を作る製糸業者、その売り先も、輸出あるいは国内消費と、多岐にわたっておりまして、相場の変動もなかなかはなはだしく、そのために、農民が窮地に追い込まれ、製糸業者も興亡定まりがないというので、繭糸価格安定法という法律が制定され、生糸につきましては、最高二十三万円、最低十九万円、繭につきましても、最低値一貫目千四百円というものが保証されて参りました。ところが、御承知の通り、お得意先であるアメリカの不況を機会に、昨年は糸価が大暴落をいたしまして、いまだかつて見ない大混乱を引き起こしたわけであります。そこで、政府は、臨時措置法なるものを立法して、百五十億円に上る国費を投入いたしまして、非常事態の処理に当たったわけでありますが、ついに糸値も繭値も法律の保証する最低値を維持することができずに、生糸は十九万円の保証値を突き破って十五万円台まで、さらに、繭の値段も、一貫目千四百円の保証値が突き破られて、ただの千円というような、農民も業者も死の苦しみに追い込まれたわけであります。ところが、本年に入りますと、蚕糸業界は事情が一変して参りました。アメリカの不況が底をつき、立ち直ってくる、国内事情もなべ底からぼつぼつかま首をもたげてくる、こういうことで、生糸、絹織物等が、がぜん、売れ行きがよくなって参りました。年の初めには年間の需要量が大体三十万俵見当と見込まれていたものが、今日、ただいまでは、四十万俵の需要があるというような状況になってきておるわけであります。
 政府は、このような事情に対応するために、約十万俵の生糸を持っておりました。すなわち、その半数の五万俵は、臨時措置法で買い入れた、時価で売ることのできるものであり、残りの約五万俵が、繭糸価格安定法で買い上げた、すなわち、二十三万円の最高価格でなければ売れないものでございます。今回問題になっているのは、この五万俵の生糸であります。政府は、当初、臨時措置法で買い上げた、すなわち時価で売ることのできる五万俵を、十八万円で売り出すことにきめておったわけであります。しかし、さきにも述べました通りの事情の変化によって、十月ごろには、早くも、この五万俵の生糸は底を払ってしまったわけであります。このような事情のもとに今回の法律案は提出されてきたわけであります。
 わが党は、昨年に起こった蚕糸業界の大混乱を全く異常な事態と考えております。さればこそ、臨時措置法まで制定してこれが収拾に当たることに賛意を表したわけであります。従って、臨時措置法によって買い入れた五万俵の生糸は、これは異常事態の尾を引く状態の中でございますから、十八万円で売り渡すことについて、さして異論は申し上げて参りません。しかし、十九万円で買い上げたものを、時価とはいいながら、買った値よりも一万円下値の十八万円で売るということには、これは決して問題がないわけではないのでございます。
 今回の、この事案は、この問題とは全く趣を異にするものでございます。繭糸価格安定法、本法に基づいて買い入れ、これは今日現存する法の定むる最高価格、すなわち二十三万円を維持するための政府手持ちの五万俵の生糸でございます。この五万俵の生糸を、安定法によらずして、臨時措置法によって十八万円で売り出すことは、繭糸価格安定法を全く骨抜きにすることでございます。価格の安定と生産費の維持とを二本の柱としてできておる繭糸価格安定法を廃棄するにもひとしいことになるわけでございます。
 わが党は、この意味において、反対的な立場に立って、委員会において質疑を行なって参りました。すなわち、繭糸価格安定法による生糸の最高価格二十三万円をたな上げして、実質的な最高価格を十八万円と押えることにいたしますと、これは大へんなことになってくるわけであります。政府の調査による資料によっても、生糸の生産費は約二十万円かかるということになっておりますから、十八万円でこれを押えれば二万円の赤字ということになってくる。これでは製糸業者が生きていけるはずはございません。勢い、製糸業者は繭代金にその苦しさのしわ寄せを行なって参るわけであります。これまた政府の資料によるわけでありますが、製糸の加工費は大体一俵四万五千円かかるという。そういたしますと、繭代金に振り向けられるものは、十八万円引くことの四万五千円、たった十三万五千円ということになる、繭代金は一貫目最高千三百五十円ということに相なりてくるわけであります。繭の生産費も、これまた、政府の調査によっても千五百五十円はかかるということでありますから、こうなりますれば、養蚕農民は一貫目二百円赤字の養蚕を強制される、こういうことになる。これでは、養蚕農民は死ぬよりほかに道はございません(拍手)こういう意味におきましても、わが党は、本案には絶対に賛成できないのであります。
 ところが、審議の過程において、この法律案には、ほかにもっともっと重大な目的を持っておるということが明らかになって参りました。すなわち、去る十日から突発いたしました横浜、神戸の生糸取引所の立会停止という、蚕糸業界にとっては非常事態の中から、取引所と農林当局との間にきわめて不明朗な約束ごとがあるということが表へ現われて参りました。横浜取引所の石橋理事長の農林水産委員会における発言によりますると、政府は今生糸年度の糸値を高値十八万円で押えようとしているけれども、清算市場は、強力な周囲の実勢を背景として十八万円を上回り、政府が満足するような相場、すなわち、十八万円ということは示現しない、こう言っておるのであります。すなわち、十八万円を突破しておる相場というものは、決して政府のいう思惑ではなくて、実勢によって相場が出てきておるのだということを、理事長は、はっきり述べております。さらに、十月九日には、当局から、このようなことでは一時取引所を閉鎖してくれというような話を持ち込まれたと申しております。十月十二日には、正副理事長の出頭を求められて、しばらく市場を閉鎖するか、当局で考えておる受け渡し供用品の範囲を拡大して立ち会いを継続するか、いずれかを考慮してもらいたい旨を申し渡されております。さらに、十月十四日には、蚕糸局長の声明と称するものを手交されております。十月二十一日、当局の最後通牒とも思われる「一、政府の十八万円堅持の妨げとなるから、取引所市場を商取法百二十一条によって立会停止を命ずる用意がある。二、もし立ち会いを継続したければ、十月十四日の蚕糸局長声明の指示に従い、受け渡し供用品を八格に拡大して立ち会いを行なわれたい」と、二者択一を迫られた。同日は、横浜、神戸両取引所理事長ほかが出頭を命ぜられたので、その際、横浜の一万五千俵、神戸の五千俵、合計二万俵を、一俵十八万円で受け渡し品確保について局長にただしたところ、供用品の拡大を実施するならば数量の保証ができると局長の言明があり、横浜、神戸に二万俵の政府糸による確保を条件として、当局の方針に沿い立ち会いを続けることにした。なお、その際、臨時措置法による糸は残り少なくなっておるので、二万俵の不足分は安定法による生糸を放出してもらえるかどうか、こういうことをただしたところが、不足分は安定法による生糸で提供するとの言明があったので、何ら疑いを持たなかった、これが横浜生糸取引所の石橋理事長の発言の概要でありますが、これによっても明らかであるように、政府は、十八万円の糸価を守るために生糸取引所に干渉し、圧力をかけ、その代償として、政府所有の生糸、二十三万円でなければ売ることのできない生糸二万俵を、十八万円で取引所に引き渡す約束をしたことになるわけでございます。その約束を果たすために立案されたのがこの法律案であると言っても決して過言ではないと思えるわけであります。(拍手)
 なお、この二万俵の約束につきましては、委員会の発言を通して聞きますと、取引所においては、確約をもらっておると言い、当局においては、それは約束ではないのだと述べておりますけれども、事が重大でございますので、この事実を明確にするために、取引所側を証人として喚問してその事実を確かめることに決定をしておりますので、このことは近く明らかになると存じます。わが党は、このように、今回の法案審議にあたりまして、その不当を明らかにしながら、たとい理由がいかようであろうとも、とにもかくにも、取引所が長期にわたって停止されておるという業界の非常事態を何とか収拾すべく、いろいろと考慮を払って参りました。そうして、本日、先ほど委員長の報告にもありました通り、政府は、その所有生糸約五万俵のうち、繭糸価格安定法の精神にのっとって当然保有すべき数量約三万俵を確保しながら、残余の約一万五千俵を放出する、ただし、この放出は、臨時措置法によるものとは全く意味が違うという見地に立って、生産費を割り込まない価格、すなわち一俵十九万八千円以上で、競争入札の方法によって売り渡しを行なう、このような旨の修正案を提出したわけでございますけれども、ついに与党の諸君のいれるところにならずに、否決という悲運にあってしまいました。
 要するに、本法律案は、繭糸価格安定法の、生産費を守る、安定という、その精神を骨抜きにして、需要均衡による、生産費を無視した価格安定をねらうものとして、私たちとしては絶対に賛成はできません。さらに、本法律案は、不当にして違法の疑いさえある。農林当局と取引所との、政府所有生糸二万俵を、一俵十八万円で引き渡すという約束を実行せんとする野望を持つものとして、絶対に反対をするものであります。特に、取引所が立会停止という異常な状態のもとに圧力をかけておる中で、この法案は審議されております。もしこれに屈するようなことがあるならば、将来に重大なる悪例を残すものといわなければなりません。
 政府は、すみやかにかかる法案を撤回して、慎重なる立場に立って、将来の需給というものを見通し、農民も、製糸その他関係業者も、安心して業に従事することのできる繭糸価格安定法の根本的改正を行なうよう心から望みまして、私の反対討論を終わるものでございます。(拍手)
#42
○副議長(正木清君) 小松信太郎君。
    〔小松信太郎君登壇〕
#43
○小松信太郎君 私は、社会クラブを代表いたしまして、ただいま上程されました、政府提出の繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 政府は、さきに繭糸価格安定法によって約五万俵、繭糸価格の安定に関する臨時措置法によって約五万俵、計約十万俵の生糸を手持ちしておりましたが、このうち臨時措置法によって手持ちしたものにつきましては、繭糸価格安定法によらずに、時価によって売り渡しができることになっております。ただし、時価売り渡しにつきましては、市場に不安感を与えないように売り渡しのルールをきめることになっており、本年三月、繭糸価格安定審議会の議を経まして、申し込みに応じて十八万円で売り渡すことにきめられたのであります。それが、この春以来、内外景気の著しい上昇や、忘れられておりました高級品としての絹に対する郷愁等が原因をなしまして、生糸の売れ行きは、がぜん、好調の波に乗って参りました。ついに十八万円を突破するに至りまして、政府は、これをあくまでも十八万円に押えるために、臨時措置法に基づいて取得いたしました生糸の売り渡しを行ないましたが、その効がなく、保有残量が少なくなりましても、市場相場はますます高騰を続けるばかりであります。政府は、かかる情勢のもとにあって、十八万円に押えておくためには、臨時措置法の一部を改正して、政府がさきに繭糸価格安定法によって取得してある約五万俵の生糸についても、安定法によらないで、臨時措置法によるものと同じく、十八万円で売り渡すことができるようにしようとするのがその趣旨であります。
 政府は、その理由を、今日の繭糸価格の不安定は、もっぱら、臨時措置法に基づく政府保有生糸の残量が減少するに伴い、各種の思惑から見込み買付が行なわれて、その面から市場の不安を濃くしているのであるから、この際、安定法に基づく政府保有生糸を売り出すことによってその不安を取り除くためであるとしております。一応もっとものように聞こえますが、これは、昨年来今日に至るまでの繭糸業界の動きを、自分の都合のよいように作文されたものにすぎません。
 第一に、政府は、昨年の暴落に際して政府のとった措置の誤りについて、一言も触れておりません。なるほど、昨年三月の、繭糸価格安定法の一部を改正する法律、また七月の、繭糸価格の安定に関する臨時措置法、さらに十二月の、臨時措置法の一部を改正する法律等、これら一連の法律改正の跡を振り返ってみますると、それだけでも、昨年、政府が繭糸価格安定法によって定められてありまする下値十九万円の線をいかに真剣に守ろうとしたか、その努力の跡は認められるのでありますが、かくもひんぴんと法律を改めざるを得なかったこと自体に、情勢の見通しに対して政府が少しも自信がなく、いたずらに周章ろうばいした姿がよく出ているのでありまして、暴落の原因の大きな理由は、政府自身のこのあやふやな態度であったことは、否定し得ないのであります。あの際、もしも、政府が、各国の情勢と、それに対する見通しとを正しく把握しておって、繭糸の買い入れ資金を百億だ、百五十億だ、二百億だなどとせずに、春蚕のときに、二百億円と腹をきめて、ポンと胸をたたくだけの信念があったならば、あれほどの混乱は起こらなかったのであります。政府みずからが信念がなく、目前の現象に引きずられてしまった結果が、ついにあの惨状を招いてしまったのであります。
 海外商社が、常に日本生糸、絹織物に対して要望しておりますものは価格の安定ではありますが、これは何も安値を意味するものではありません。採算を無視してまで売り込みに狂奔する日本商人の乱売をやめてもらいたいのが、そのねらいであります。このことは、イタリアにおける一例をあげてみましても明らかであります。日本生糸の安定帯が、十四万円から十八万円と、このように大幅では、たとい十八万円の中間限度が設定されているとしても、実際上、真の安定ではない。これによって見ましても、イタリアでは、日本政府のように、十八万円を実質上の最高価格などとは考えておりません。
 また、安定問題については、こんなことを言っております。「不安定と日々の疑惑を除去するに足る方針を断固確立しなければならない。しからざれば、自由市場の価格を信頼して、製造業者に危険な幻覚、その他困難の素因を生ぜしめない方がよい」、また「日本が生糸の輸出を増進しようと欲するならば、その競争圏諸国に、ことにダンピング的価格で絹織物の販売を推進することを停止しなければならない。なぜなれば、他の事項がひとしいものとすれば、絹織物の輸出の増進は生糸の輸出を阻止することを意味するものであるからである」これらの言葉を翫味いたしますならば、イタリアの要望するところは、日本政府はことさらに十八万円などにこだわらずに、むしろ養蚕農家も納得させ得る価格をもって安定帯を設け、そのかわり、それに対しては断固たる決意を持って、いかなることがあろうとも、それを守り抜くとともに、これまで、織物業者が、昨年のように値下がりしたときには安定帯を下回る安値で買いたたき、また、今年のように値上がりしたときには、安定帯を上回る高値で買いあさり、低賃金による低コストの製品をダンピング的に輸出しましたが、今後は断じてかかることのないようにしてほしいとの意味であろうと解されます。
 さて、現在、生糸相場は二十万円を上回っておりますが、これは、昨年度の暴落が、誤った見通しによる行き過ぎであることに気づいて、実勢価格にまで引き戻してきたまでのことでありまして、政府は何もあわてることはないのであります。昨年、十九万円の維持に失敗したからといって、何も、今年こそは十八万円を維持してみせるなどと、けしきばむ必要はどこにもございません。しかるに、政府は、保有生糸を十八万円で放出することによって、この実勢価格と太刀打ちをしようとしているが、昨年のあやまちを再び繰り返すおそれが多分にあるのでございます。なぜならば、今日の市場価格の中には、農林省の言い違いか、取引所側の聞き違いかは別といたしましても、取引所の理事長さんの話では、理事長さんは、きわめて最近まで、具体的に申しますならば、十二月十日農林水産委員会においてこのことが問題化されるまで、政府から二万俵の生糸をもらえるものと信じておったとのことであります。さすれば、現物の引き渡しが行なわれませんでも、相場の上ではすでにそのことが織り込まれているはずであります。政府の保有生糸が品切れとなったとき、それこそ、青天井にふき上げられる危険性がきわめて濃厚なのであります。政府は昨年の暴落の亡霊に取りつかれているのではないでしょうか。そんなつきものはきれいに洗い落として、秋晴れのようにすっきりした気持で今日の世界の情勢を見きわめるべきであります。十八万円を固守しなければならない理由などはどこにもございません。
 以上の理由によりまして、私は、政府提出の繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、せっかく正常な状態に戻ってきた蚕糸業界に再び波乱を巻き起こすものであって、蚕糸業の健全な発展を念願するわれわれの断じて容認し得ざるものであることを表明いたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)
#44
○副議長(正木清君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#45
○副議長(正木清君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます
    〔賛成者起立〕
#46
○副議長(正木清君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 新安保條約草案における在日米軍
  の域外出動の取扱いに関する緊
  急質問(田中稔男君提出)
#47
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、田中稔男君提出、新安保条約草案における在日米軍の域外出動の取扱いに関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#48
○副議長(正木清君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 新安保条約草案における在日米軍の域外出動の取扱いに関する緊急質問を許可いたします。田中稔男君。
    〔田中稔男君登壇〕
#50
○田中稔男君 私は、ここに、日本社会党を代表して、新安保条約草案においては、在日米軍、特に国連軍の資格におけるその域外出動に関し、いかなる規制が加えられることになっているか、政府の明確なる答弁を求めんとするものであります(拍手)
 政府は、かねて、在日米軍の域外出動に関しては、新安保条約草案に付属する交換公文に事前協議の規定を設け、場合によっては、その出動を拒否することができるから心配は要らない、と説明してきたのであります。しかし、われわれは、事前協議は事前同意ではなく、また、在日米軍はあくまで米軍であって日本軍ではなく、米軍の出動が事前協議によって制約されることはアメリカとして絶対に許すわけはないと主張して参ったのであります。そして、自由民主党の諸君の中にも、わが党の主張に賛同する者が現に少なくないのであります。また、平和を愛する国民の大多数は、とうてい政府の説明に安心することを得ないのであります。
 しかも、東京新聞の坂井特派員が十一日付ワシントン発電として伝えるところによりますと、同日発行のワシントン・スター紙は、新安保条約は、極東の他の地域に米兵力を使用することについて日本側に拒否権を与えるものではない、と明確に書いているのであります。安保改定問題に関する同紙の慎重な態度から見て、この記事は、おそらくアメリカ政府の真意を正確に反映しているものと考えます。
 もし、政府が真に国民の疑惑を一掃したいと望むならば、新条約草案の日本文において、事前協議という用語を事前同意に改め、同時に、英文において、コンサルテーションという用語をアグリーメントと改めて、日本側における拒否権の所在を明らかにする意向はないか、この点に関する藤山外務大臣の答弁を戒めるものであります。(拍手)
 最近、参議院外務委員会において、在日米軍の国連軍としての域外出動について重大なる質疑が行なわれつつあります。一九五〇年七月七日、朝鮮戦争勃発の直後、安保理事会の決議に基づき、アメリカ軍を主力として、いわゆる国連軍なるものが編成されたのであります。翌五一年九月八日に至って、日米安全保障条約の付属文書として、吉田・アチソン交換公文が調印されたのであります。これによりますと、国連加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には、加盟国がこのような軍隊を日本国内及びその付近において支持することを日本国が許し、かつ容易にすることが約束されているのであります。また、右に伴い、当該加盟国による日本の施設及び役務の使用も当然のこととして認められているのであります。
 言うまでもなく、現行安保条約においては、在日米軍の域外出動に関し何らの規制が加えられておりません。新安保条約においてはこれを事前協議の対象とするというのが、政府の説明でありますが、それがごまかしであることは、すでに述べた通りであります。ところが、この吉田・アチソン交換公文が存する限り、在日米軍が国連軍として域外出動を行なう場合、初めから、事前協議の対象とすらなすことができないのであります。
 しかるに、藤山外務大臣は、去る十二日の参議院外務委員会において、在日米軍が国連軍として行動する場合も事前協議の対象になるという了解が、すでに米側との間にできている、と答弁されているのであります。自由民主党の党としての解釈もそのように決定したということを聞いております。しかしながら、この藤山答弁は強弁ではないか。はたして外務大臣は自信を持って答弁されたのであるか。外務省事務当局は、事前協議の対象とする方向に話し合いを続けていると述べているが、まだアメリカ側の了解はついていないのではないか。
 毎日新聞の石塚特派員の十二月十一日ワシントン発電として伝えられるところによれば、参議院における藤山答弁に関するワシントンの外交筋及び国連筋の見解は、大よそ次のようであります。すなわち、「朝鮮に出動する国連軍は、事実上米軍であっても、あくまで建前は国連軍の一部である以上、日米両国間の交渉だけで地位を変更し、権利を制約し得るものではなく、安保理事会の決定及び関係国間の話し合いが必要である。従って、これを新条約の在日米軍の域外出動に対する事前協議の対象に含めるような取りきめは困難であり、朝鮮は除外例となる」かくのごときアメリカ側及び国連筋の見解、並びに、さきに私があげた外務省事務当局の談話に関連して、私は藤山外務大臣の明確なる答弁を要求するものであります。(拍手)
 次に、吉田・アチソン交換公文の中において、本来朝鮮戦争のために編成されたいわゆる国連軍の行動範囲を極東全域に及ぶものとしている点は、特に警戒を要するところであります。さきにあげた毎日新聞の石塚特派員の十一日発電は、そのあとに続いて、アメリカ側の態度は、この点に関し、「極東での東西対立の焦点として重視する朝鮮、台湾への出動を事前協議によって制約されることを避けようとしている」と伝えているのであります。ここにいわゆる国連軍の出動地域として朝鮮と並んで台湾の地名があげられていることは、昨年八月以降台湾海峡に起こった軍事的紛争を想起するとき、きわめて重大な危険を含むものでありす。
 かくして、吉田・アチソン交換公文が存する限り、極東全域における在日米軍の出動が、国連軍の隠れみののもとに自由に行なわれることを承認しなければならない結果となるのでありますが、私は、この点に関する藤山外務大臣の所見をただすものであります。
 さらに、先般、本院において、藤山外務大臣の安保改定交渉に関する中間報告が行なわれたのでありますが、その報告において、吉田・アチソン交換公文には一言も言及されなかったのであります。外務省事務当局の言によりますと、このことは日米双方にとって、交渉の初めから重大問題となっていたことは明瞭であるにもかかわらず、あえてこの点に触れなかったことは、まさに国会と国民を愚弄する非民主的な秘密外交といわなければならないのであります。(拍手)藤山外務大臣は、この際、率直に、みずからのあやまちを認める考えはないか、誠意ある答弁を要求するものであります。(拍手)
 最後に、特に岸内閣総理大臣に質問したいと考えます。
 一九五〇年七月七日の安保理事会の決議により、国連加盟十六ヵ国によって編成されたいわゆる国連軍は、名称は国連軍であっても、国連憲章第四十三条の規定に基づいて正規に編成され、国連本来の精神に合致した真の国連軍では断じてないのであります。それはアメリカ軍のまたの名にすぎないのであります。アメリカ合衆国のもとにある統一司令部の指揮を受けて行動し、その統一司令部の裁量によって、各加盟国の国旗と並べて、わずかに国際連合の旗を使用することが許される、やみの国連軍にすぎないのであります。右の安全保障理事会の決議なるものは、たまたま、ソ連のマリク代表が蒋介石の残存政権によって行使される中国代表権に不満を感じ、安保理事会をボイコットしたすきに乗じて行なわれたものであります。さらに、いわゆる国連軍の行動の目的となった朝鮮戦争そのものが、米韓合作による反共予防戦争の性格を帯びていたものであったのであります。朝鮮戦争が熾烈に戦われ、日本が施設及び役務の提供を通じていわゆる国連軍に協力を余儀なくされた当時、わが国はアメリカの占領下にあり、そのために行動の自由を奪われ、国際的責任をみずから負うことができなかったのであります。吉田・アチソン交換公文が調印された一九五一年の九月のころは、朝鮮戦線は幸いにして戦闘が一時おさまっておりました。しかも、今日、韓国の李承晩大統領は、依然として武力による北進統一を主張しておるのであります。もし、また、今後不幸にして朝鮮戦争が再び起こり、在日米軍が国連軍の資格において出動する場合、この交換公文が存続しているために、わが国がこのいわゆる国連軍に対して意識的に軍事的協力を行なうことがありましたならば、わが国は、朝鮮民主主義人民共和国及びこれを支援する社会主義諸国の直接の攻撃をこうむる危険なしとしないのであります。
 フルシチョフ首相とアイゼンハワー大統領とのキャンプ・デービッドにおける会談以来、相異なる社会体制間の平和共存の可態性が漸次増大を見ようとしておるこの際、かかる危険をあらかじめ排除するために、その内容においては国の安危にかかわる重大性を持ちながら、しかも、いまだかつて一度も国会の審議を経たことのないこの吉田・アチソン交換公文は、すみやかにこれを廃棄すべきではないか、あえて岸内閣総理大臣の責任ある答弁を要求するものであります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#51
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
 朝鮮戦争に関して、いわゆる国連軍が朝鮮におりますが、これは、言うまでもなく、一九五〇年七月七日の国連の安全保障理事会の決議に従って、その勧告に基づいて編成されたものでありまして、これは全く合法的なものであります。今日、なお、この決議は依然として取り消されず、そのまま効力を持っておるのでありますから、少なくとも国連に協力をすべき日本の立場として、この国連軍を非合法的なものであり、また、国連軍の活動やあるいは韓国の態度に対して非難を与えるがごときことは、私は基本的態度としてとるべきものでない、こう考えております。
 また、吉田アチソン交換公文は、交換公文の形におきまして、安全保障条約が批准されるときに、国会にやはり提示して、その承認を得たものでありまして、この点は田中議員の誤解であろうと思います。しこうして、これは、先ほど申しましたように、朝鮮における正当なる国連軍の行動に対して、日本がその決議を尊重して、これに対して支持を与えるという趣旨のものでありますから、私は、その決議が有効である限り、やはり、日本の支持する義務は存続すべきものと考えております。これを廃棄するという考えは、そういう意味において持っておりません。(拍手)
    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
#52
○国務大臣(藤山愛一郎君) 在日米軍の域外出動について、交換公文で事前協議と書いてあるが、事前同意にすべきではないか、という御意見でございますが、私どもといたしましては、協議が成立いたすためには同意が必要でありまして、その上に立って協議が成立するのでありますから、当然こういう了解のもとに仕事をいたしておるのでありまして、現在の通り事前協議で適当であると考えております。
 また、吉田・アチソン交換公文は、朝鮮事変に関する限りにおいて有効であることむろんでございまして、それは国連軍協定を通じてみましても明らかでございます。従って、朝鮮事変が終了いたしますれば自然にこの交換公文は終わりますけれども、その限りにおいては存続をいたしております。日本におります米軍、すなわち、国連軍として活動をいたしております米軍、これは、現在でも日米安保条約と行政協定の適用を受けておるのでございます。今回、条約を改正するにあたりまして、事前協議の条項は当然これにかぶさっていくこともちろんでございまして、われわれとしては、その原則の上に立ってこの扱いをして参ることにいたしておるのでありまして、この点は明らかにアメリカも同じであることを、はっきり申し上げておきたいと存じます。
 また、私がなぜ中間報告でこれを読まなかったか、何か秘密外交ではないかと、いう御指摘であるように思います。私は、ある程度合意に達し、まとまって参りましたものについては、むろん、申し上げるにやぶさかでございません。しかしながら、交渉をいたして参ります場合におきまして、これらの交換公文の処理というものは、最終的に条約及び行政協定をやりました後に、今の原則に従って処理して参りますものでありますから、まだ今後の問題でありますので申さなかったわけであります。特に秘密をもって処理しているわけではございません。
 国連軍は、総理も答弁されました通り、国連憲章第七章第三十九条によります侵略の決定、その侵略の排除を国連の安保理事会が一九五〇年七月にアメリカにいたしまして、アメリカにその統一司令部を作ることを勧告いたしたわけであります。それによって作られまして、その他の問題、それの協力関係につきましては、当時も四十七ヵ国がアメリカと相談をしておりますので、この交換公文というものは、朝鮮事変に関する限り、アメリカと取りかわすのが当然でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国連と安保改訂との関係に関す
  る緊急質問(内海清君提出)
#53
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内海清君提出、国連軍と安保改訂との関係に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#54
○副議長(正木清君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。国連軍と安保改訂との関係に関する緊急質問を許可いたします。内海清君。
    〔内海清君登壇〕
#56
○内海清君 私は、ここに、社会クラブを代表いたしまして、国連軍に対する安保条約上の事前協議の効力に関し、岸総理並びに藤山外務大臣に対し緊急質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 岸政府の安保条約改定交渉はいよいよ最終段階となり、明春一月には、日本代表が渡米して、新条約に調印しようとしているのであります。
 政府の安保条約交渉は、何ら国民の理解と納得のもとに行なわれず、秘密裏に行なわれて参ったのでありますが、このたび問題になりました吉田・アチソン交換公文に基づく国連軍の行動が、新安保条約並びに付属交換公文の事前協議の対象になるかどうかも、今日まで、国民はもちろん、国会にも、何らの報告がなされていなかったのであります。政府は、おそらく、われわれがこれを問題として取り上げなかったならば、吉田・アチソン交換公文による国連軍の行動は、日米安保条約とは全く無関係なものとして、その行動を自由にしようとしていたのではないか、この点を、まず政府に質問をいたすものであります。
 第二の質問は、吉田・アチソン交換公文は、安保条約によってカバーされる米軍以外の国連軍、言いかえますならば、極東における国際連合の行動に従事する加盟国の軍隊の日本における施設及び役務の使用を許したものであると考えるのでありますが、この点、政府は吉田・アチソン交換公文をどのように考えているかにつき、内閣の所信を承りたいのであります。吉田・アチソン交換公文の効力が今日ありとするならば、新安保交渉には無関係であり、効力がないというならば、わが国と国連との間で交渉さるべき問題であると思うのであるが、この点いかがであるか、伺いたいのであります。
 第三は、吉田・アチソン交換公文のような協定は、日本と国連との間に結ばれるべきであったし、また、今後、必要がありとするならば、すでに国連加盟国となっている日本と国連との間に結ぶべきものであります。そのゆえに、藤山外務大臣が、去る十二月十二日の参議院外務委員会の答弁において、国連軍も在日米軍と同様に事前協議の対象となると言われましても、それは、それ自体事前協議の対象にならないよりはよいとしても、この種の問題は、日米間で打ち合わせ、協議すべき事項ではなくて、国連と交渉すべきものと考えるのでありますが、この点、藤山外相はいかなる考えを持っておられるのか、お伺いいたしたいのであります。
 藤山外相の今までの言動を伺っておりますと、在日米軍が直ちに国連軍に肩がわりするかのようにとれるのでありますが、吉田・アチソン交換公文を交換した講和条約締結当時と今日の事情は全く変わっているのであります。朝鮮戦争は、国連軍と中共・北鮮軍との間の停戦協定によって、事実上終わっているのであります。また、法律的には、一九五〇年七月七日の国連における安保理事会の決議や、同五一年二月一日の国連総会の決議が生きた形式になっておりますが、三十八度線において戦争行為が再発することは事実上あり得ないと考えるのであります。かりに、そのような事態が起こったとしても、米軍の行動を直ちに国連の行動と認めるわけには参りません。かかる意味合いからいたしまして、不幸にも国連軍出動のような事態が起こりましても、国連で新たな決議が行なわれるのであって、米軍の行動が直ちに国連の行動であるということはできないと思うのでありますが、政府の見解はいかがであるか、伺いたいのであります。われわれは、国連軍の立場における米軍の行動については、新安保条約では規制できないと存ずるのでありますが、政府はいかに考えるか。この吉田・アチソン交換公文の取り扱いについて問題を持ち出したのは、日本側であるか、それともアメリカ側であるか、お伺いをいたしたいのであります。
 何ゆえにこの点をお伺いするかと申しますと、安保改定に関連してこの問題を取り上げることは、藤山外相の答弁のごとく、米軍の行動を事前協議の対象にするためでありましても、かえって米軍に国連軍という便利な逃げ道を教えるものであって、米軍行動の事前協議を根底から底抜けにしてしまうものと思うのでありますが、この点についても政府の見解をただしておきたいのであります。
 日米安保条約を日米対等にするため、米軍の装備、出動・行動範囲について事前協議を行なうことにしたと言っているのでありますが、在日米軍に、米軍と国連軍の二面性を与えるならば、国連加盟国としてこれに反対できないこととなり、国連軍の名において行動する場合は、事前協議は全く寝言にひとしくなるのであります。多数国を対象とする国連軍の行動と米軍の行動とは全く別個の問題と知っていながら、これを持ち出すアメリカ側も、われわれとして全く納得がいかず、そこに何かがあるのではないかと疑いたくなるのであります。国連軍の問題を安保改定交渉で取り上げますならば、いわゆる国連軍の行動は朝鮮のみを対象としているのであり、一方、安保条約の、極東を作戦行動の範囲とするこのたびの交渉とは、その行動範囲で大きな相違があり、かりに、台湾海峡に出動する場合も、国連軍の出動があり得る結果となるのであります。これは、日本から見て不当であるばかりでなく、国連から見ても、きわめて危険な事態を招くものといわねばなりません。世界が雪解けに向かいつつある今日の国際情勢のもとで、このようなことは断じて許されないのであります。国連軍のわが国における行動について、政府はどのように考えておられるのか、この点を伺いたいのであります。
 最後に、わが国は、れっきとした国連加盟国の一員であって、国連軍の立場における米軍のわが国並びにその周辺における行動の規制については、新安保条約とは全然別個とすべきであり、新しい協定を国連と締結すべきであると存ずるのでありますが、その意思があるかどうかについて政府の所信をただしたいのであります。
 終わりに臨みまして、総理並びに外務大臣は、本問題の処理いかんによってはわが国の将来にきわめて重大なる危機を招集するおそれがある点を国民とともに深く憂え、その善処を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#57
○国務大臣(岸信介君) 吉田・アチソン交換公文は、御承知のように、現在の安保条約と一体をなして交換された公文であります。従って、今回、安保条約の改定交渉にあたりましても、この吉田・アチソン交換公文の効力等について、やはり、これを確認していくような交換公文を作る必要があるのであります。先ほど来外務大臣がお答えしております、たとい国連軍であろうとも、日本に駐留しておる米軍は、新安保条約のもとにおいてその行動が規制されるのであって、域外に出ていく場合においては事前協議の対象になるという、この原則を、やはり明確にする必要があることは当然であろうと思うのであります。しこうして、この吉田・アチソン交換公文は、先ほど外務大臣がお答え申し上げましたように、今日の韓国における国連軍というものの成立、編成の初めからの経緯から考えまして、当然、統一司令部がアメリカのもとに作られる。これに対して兵力その他の支持を与えるということを各国がやっているわけでありまして、従って、国連と条約を結ぶべきものではなくして、この統一司令部を持っているアメリカと、各国はそれぞれ協定その他の方法を交換公文等によってすべきものであるということであります。将来の問題に関しまして、言うまでもなく、この吉田・アチソン交換公文は、韓国における今日の国連軍の行動について、国連における決議が有効の限りにおいて存続しておるのでありまして、これが効力を失うというようなことになれば当然なくなるものであり、また、それ以外に、極東において、もし事態が起こり、国連軍が編成されるというようなことになりますならばそのときの事態において別に考えるべきものであって、この交換公文が当然そういうものにまで援用されるという性質のものではないのであります。(拍手)
    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
#58
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先ほどの田中議員の御質問に対する御返事と、今総理の答弁で、大体問題の御回答をいたしておると思うのでありますが、つけ加えて申しておきますれば、一九五〇年の決議によります国連軍というものは、現在なお韓国におるわけでありまして、十ヵ国の兵力がそこに駐屯しておるのでありまして、引き続き国連軍の行動というものは現に行なわれております。従いまして、吉田アチソン協定によります日本のこの支持と、また、国連協定も存続しておるわけでありまして、これを認めていくというのが、今回の改正における一つの現状を認めていくという事実でございます。
 それから、こういう協定は、アメリカとしないで国連としたらいいじゃないかというのは、すでに先ほど申し上げましたように、一九五〇年七月の安保理事会の決議によりまして、憲章第七章三十九条によりまして、侵略と決定し、それをアメリカに対して包括的に一任して、アメリカが統合司令部を作って、そうしてアメリカが大将になりまして連合国を組織したのでありまして、そのアメリカとこういう協定を結ぶことは当然合法的に行なわれることでありまして、私どもは、その限りにおいて、国連とこういう協定をいたすことは考えておりません。(拍手)
     ――――◇―――――
#59
○副議長(正木清君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト