くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第033回国会 本会議 第22号
昭和三十四年十二月二十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十九号
  昭和三十四年十二月二十一日
    午後一時開議
 第一 衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
 第二 日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
 日程第二 日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
    午後四時七分開議
#2
○副議長(正木清君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
#3
○副議長(正木清君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
  衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案
 右の議案を提出する。
  昭和三十四年十二月十七日
   提出者
    淺沼稻次郎  山本 幸一
    矢尾喜三郎  多賀谷真稔
    山花 秀雄
   賛成者
    阿部 五郎外百二〇名
    ―――――――――――――
   衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議
   衆議院は、議長加藤鐐五郎君を信任せず。
   右決議する。
    ―――――――――――――
#5
○副議長(正木清君) 提出者の趣旨弁明を許します。山花秀雄君。
    〔山花秀雄君登壇〕
#6
○山花秀雄君 私は、日本社会党を代表して、衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案の趣旨弁明をいたすものであります。(拍手)
    主 文
  衆議院は、議長加藤鐐五郎君を信
 任せず。
  右決議する。
    〔拍手〕
 衆議院議長加藤鐐五郎君は、去る十一月二十七日の日米安全保障条約改定阻止のための国会陳情行動に籍口して、一方では憲法に保障された国民の基本的人権を剥奪するデモ規制法の提案に策動し、他方、去る十二月十七日、突如、何らの理由なく、また、正当なる手続を経ることもなく、わが党淺沼書記長を初め、岡田春夫、小林進、柏正男等の四名に対し、議長職権による懲罰宣告を行なったのであります。
 本来、十一月二十七日に行なわれた国民大衆による国会陳情は、政府・自民党のベトナム国に対する賠償案件の審議に見られておる疑惑や、国民の血税を浪費する戦闘機購入をめぐる悪政を、国会の多数横暴による運営によって隠蔽し、押し通さんとする、その強引と暴挙に対する国民大衆の心からなる憤りの現われであります。(拍手)しかるに、加藤議長は、これら非民主的国会運営のあり方を反省することなく、デモ規制法の制定を策動したり、わが党議員の懲罰を自由民主党の圧力に屈して強行せることは、衆議院議長としての権威ある職責にかんがみて絶対に許すことができないと同時に、われわれは、議会政治擁護のため、かかる不見識きわまる議長の在位を一日といえども黙許することはできないのであります。(拍手)
 私は、今、私の議長不信任案の趣旨弁明を、本来ならば加藤議長が議席に着かれて聞いておられれば一番いいのであります。しかし、加藤鐐五郎君は議席に着いておられませんが、私は加藤鐐五郎君に申し上げたいことがあります。それは、昨年、本国会に警職法の一部改正法律案が提案されて、国会審議が混乱し、その収拾のために、十一月二十二日に、自由民主党岸総裁と、わが党鈴木委員長の両党党首会談が行なわれた。その詳細なるいきさつは、加藤議長が最もよく知っておられるところであります。そして、あなたが議長に就任されました。議長の職責を公正に果たされるために、党籍をも副議長と同時に離脱されたのであります。このことは何を意味しているかということは、あなたの政治的信念と良心に静かに自問していただきたいのであります。(拍手)
 当時の岸、鈴木の両党首会談においては、国会の権威と正常化のために三つの要点を話し合いなされたのであります。
 その一つは、会期延長の問題であります。岸総裁は、今後は軽々に国会の会期の延長はしない、警職法の一部改正は廃案にする、衆議院はこのまま開かなくてもよろしい、だが、予算と予算に伴う関係法律案は何とか参議院で一日だけでも開いて通してもらいたいという哀願でありました。会期延長は間違いだということを岸総裁は自認されたのでありますゆえ、わが鈴木委員長は、これに暗黙の了解を与えたのであります。その二つは、岸総裁が、国会周辺の正常化について、デモ規制法はやらない、このことに関しては数多くの関係諸法律をお互いに信頼し守っていくことで解決したいと鈴木委員長に申し出て、解決したのであります。その二つは、会期延長問題に関連して、当時の星島二郎議長、椎熊三郎副議長のとった非常識きわまる国会運営のあり方については、岸総裁もその非を十分認めて、自由民主党としても善処したいが、会期もない今日ただいまというわけにはいかないので、すぐ召集される通常国会で解決するということになり、今後は、議長、副議長の職責を公正に行なわしめるために、両党、すなわち、与野党より推薦し、就任の暁は党籍離脱を条件として、なお、重要問題については議長、副議長ともに相談して合意に達することによってその職務を実行することをも申し合わせをし、一応昨年の国会混乱の跡始末をつけたのであります。(拍手)しかるに、何ごとぞ、わずか一年たった今日、両政党の最高責任者が国会の権威保持と正常化の問題を中心に申し合わせしたことが一方的に破棄される結果を生む会期延長やデモ規制法の提出に狂奔せる自由民主党は、天下の公党として信を置き得ず、また、その圧力に屈して、いたずらに特定政党の願使に甘んじ、尊厳たるべき議長の職責を汚せる加藤鐐五郎君の責任を本院において追及されるのは、また当然のことであります。(拍手)国会が開設されて以来、議長職権による議員懲罰事犯は、今日まで三たび行なわれたと聞いておるのであります。これらの事犯は、いずれも、明らかに、国会法の規定による議院の品位を汚し、院内の秩序を乱したものであります。しかるに、このたびの問題は、その理由に何らの根拠なく、全く政治的意図によって行なわれたものであります。重大なる悪例を議会政治の上に残し、かつまた、汚点を加える結果となり、われわれ議員一同、まことに遺憾千万と存ずるものであります。(拍手)わが日本社会党は、常に国民の権利行使を忠実に守って今日に至りました。十一月二十七日の集団的、大衆的な国会に対する請願・陳情運動は、憲法によって保障されたる国民の権利行使であります。(拍手)国民大衆の政党であるわが日本社会党が、その中にあって岸総理や衆参両院議長にあっせんの衝に当たることは当然の行為であります。国会の権威と正常化をはばんでいるとして、わが党淺沼書記長外三名の本院議員に懲罰の宣告をしたが、各位も御承知のごとく、淺沼書記長ほか多数の社会党本院議員は、陳情団の本院前広庭に参集した人々に身を挺して早急引き上げ勧告をなし、事なきに至った功績を高く評価されてしかるべきものであります。(拍手)にもかかわらず、議長職権によって懲罰事犯とは、まことに不可解千万なことであります。私は、思うに、国会の権威と正常化を否定した行動をとっているものは、皮肉にも、わが党議員に懲罰事犯を宣告した加藤鐐五郎議長そのものであると断定するものであります。(拍手)あなたは、わが党より議長不信任案が国会法に基づいて提出されたことは熟知のはずであります。何を血迷ったか、議長不信任案を議題として提出を受けながら、加藤議長は、これを先議とせず、自民党の圧力に屈して、議事運営の規則を乱し、みずから議長席に着いて懲罰事犯の宣告を行なうがごときは、許すべからざる行為であり、この懲罰事犯そのものは、国会法に照らして、当然無効であります。(拍手)同時に、加藤議長は、議長としての職責を果たす能力にもはや限界を来たしたことを如実に示しているものであります。昨年、両党首、岸・鈴木会談で申し合わせ、確認された重要案件については、国会運営正常化のために、正副議長の同意のもとにこれを行なうということにも反し、このようなことでは、どうして国会の権威と正常化の具体化がなされるや、加藤議長みずから反省すべきことであります。(拍手)この際、私は一言申し述べたいことは、あなたも、先ごろ、本院在職二十五年の永続議員として表彰されました。この期間、幾たびか本院を代表して海外旅行をなされたこともあると存じておるのであります。私も、戦後五回外地におもむく機会を得ました。そして、三回米国に渡ることになりました。米国の首都ワシントン市にある米国国会をもたびたび訪れる機会に接してきました。率直に申して、米国国会は、民主主義にふさわしい国会と国民のつながりでありました。さんさんたる太陽の光を浴びながら、多くの国民が国会の正面玄関から喜々として自由に出入りしているありさまを見て、まことにうらやましい限りであると思いました。(拍手)そのとき、私は、日本の国会のあり方にも、主権在民の憲法を制定した上は、主権者たる国民が国会の前庭や院内通行に表正門や正玄関が開放されてしかるべきものであるというふうに感じました。わが国憲法は、従来の帝国憲法と異なり、国民主権をうたった民主憲法であります。天皇の神格化は、人間天皇として誕生されたのであります。現在の国会と国民との関係は、帝国憲法の残滓が払拭されないまま残っておるのであります。いたずらなる権力主義がそのまま国会の中に座を占め、主権者たる国民を近寄りがたいものにしておるのであります。真に国会の権威を保持し、その正常化を期するというならば、国民が親近感を持ってもっと自由に国会に近寄りやすい環境を作り出すべきであろうと私は思うのであります。(拍手)このことは、将来のため、議長も政府も政党も検討されるべき重要なる事項ではなかろうかと思うのであります。国民と国会の中をはばんでおる権力主義の観念を現在の国会から一掃することが、真に国会の尊厳を高め、正常化する唯一の道であると同時に、これこそが真の民主主義政治の真髄でなかろうかと私は思うのであります。(拍手)私は、十一月二十七日の国民大衆の陳情運動に若干遺憾の点があったからといって、この際権力弾圧を用いることは本末転倒であると思います。結果論を追及する以前に、その以前の問題として、主権者たる国民大衆がなぜあのように憤激したかを冷静に反省・判断することが、われわれ一同に与えられたる機会ではなかろうかと思うのであります。(拍手)鶏三羽に二百億円とうたわれておる南ベトナムの賠償問題や、米国で廃止した戦闘機ロッキードを一千億円以上の予算をもって買付を発表したり、民族の運命を左右する、間違えば戦争の渦中に巻き込まれる危険性を持つ日米安全保障条約の改定問題等を、深夜国会を連続したり、会期延長までして強行せんとする政府や自民党の多数横暴の国会運営のあり方が、十一月二十七日に行なわれた国民大衆の集団的な陳情・請願運動になったことを、各位は深く反省する必要があります。(拍手)本院全体が自己批判することが今次問題の解決の焦点ではなかろうかと存ずるのであります。今、国民大衆が政治に要求しておることは、将来に物議をかもす南ベトナム賠償は南北統一後に残し、米国で不用になったロッキードの購入をやめ、それらのすべては災害対策や石炭産業の不況対策、その他民生安定のために活用されんことを、国政の上にすべての国民が望んでおるのであります。(拍手)さらに申し上げたいことは、今日、議長と自民党の関係は、ちょうどお家騒動を脚色せる歌舞伎芝居のごとく、悪ざむらいにさんざん利用されたそのあげく、ごほうびちょうだいと思ったとたんに、下郎は口のさがないやっとばっさりけさ切りの運命に置かれておる立場が、あなた、加藤鐐五郎君の立場である、ということをお考え願いたいと思うのであります。(拍手)今日、国会の権威保持と正常化のための国会のあり方は、一片のデモ規制法や議員の懲罰事犯を強行することによって解決するものではない。公正な議長のもとに、議員各位が、真に国家の前途を憂え、愛国の熱情を傾けてその職責を果たしてこそ、真に民主的な理想国会が実現可能となるのであります。(拍手)そこで、最後に一言したいことは、加藤議長、議長就任のいきさつにかんがみ、党を離脱した精神を生かし、この際、十二月十七日、わが党淺沼書記長初め岡田、小林、柏議員等に対する懲罰事犯の宣告を手違いであったと取り消されて、議長の公正なる任務を全うして最後を飾られんことを願うものであります。(拍手)いずれは自由民主党より追い打ちをかけられる運命にあるあなたの立場でありますから、この不信任案採決以前に、十一月二十七日夕刻とられたような、あのきぜんたる態度のもとに出処進退を明らかにされて、政治家としての反骨を示されんことを願って、私の趣旨弁明といたす次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○副議長(正木清君) これより討論に入ります。順次これを許します。菅家喜六君。
    〔菅家喜六君登壇〕
#8
○菅家喜六君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました社会党淺沼稻次郎君外四名提出にかかる加藤衆議院議長不信任決議案に対し、強く反対の意思を表明するものであります。(拍手)ただいま、提出者たる社会党代表の趣旨弁明を承りまして、まことに驚いたのでございます。本院に議長不信任案が第一回国会以来今日まで九回提出いたされておるのでございますが、今回のごとき理由によって不信任案が提出されたことはございません。まことに常軌を逸したる不信任案であります。(拍手)内容を点検いたしますると、ことごとくこれは自家撞着の弁でございます。(拍手)私どもは、この見地に立って、われわれの党は社会党に勧告をいたした。かつて、かくのごとき理由のもとに不信任案が提出されたことがないのであるから、国会の権威のためにこの不信任案を撤回せよと勧告をいたしたのでございます。しかるに、われわれのこの勧告に応ぜず、今この理由書と趣旨弁明を承りますと、第一に、突如、何らの根拠なく、正当な手続を経ずして、淺沼稻次郎君外三名を懲罰に付したというのでございます。社会党の諸君、速記録を調べてみたまえ。今日まで、第一回国会以来、議長職権による懲罰というものが四回行なわれておるのでございますが、第一回は、社会党の諸君が選びました松岡議長が、議長職権による懲罰を扱っておる。これは二十二年の十二月五日、各派交渉会において、松岡議長は、だれだれ君を懲罰に付しますということを宣言し、直ちに、本会議場において、当時の倉石君外二名を懲罰に付したではありませんか。また、第二回目は四国会、次は十国会、十九国会において議長職権による議員の懲罰が行なわれておりますが、いずれも、即刻、議長の職務権限において懲罰に付されておるのであります。いずれの場合を見ましても、むしろ、私の方から言うならば、議長の懲罰の宣言はおそきに失したと考えておるのでございます。(拍手)これ以上、正当なる理由――しからば、淺沼稻次郎君のとった議員としての行動が懲罰事犯に値しないか。諸君、十一月二十七日に本院に起きましたあの不祥事件――テレビ、写真、あらゆる問題によって、淺沼君が総指揮官になって、ここに入れているではないか。(発言する者多し)この事実を諸君が否定しようと思っても、この事実は否定することはできない。あらゆる証拠によって、淺沼君が総指揮官となって暴民を中に入れ、しかも、この構内を乱したるこのさまは、あらゆる事跡によって、これは明らかなのでございます。(拍手)これらの不祥事件を再び本院に招来しないために、議長は、あらゆる調査をしまして、慎重にこれを検討し、ついに議長職権によって四君を懲罰に付したことは、まさに私は正当なる方法であったといわざるを得ないのでございます。(拍手)一体、社会党の諸君は、自家撞着の議論に陥っておる。これを称して、世の中では堅白異同の弁というのでございます。(拍手)みずから放火をしておきながら、火をつけておきながら、その火を消しとめなかった消防が悪いからといって責めるがごときことが、この不信任案でございます。みずから暴力を働いて国会の内部を乱しておきながら、その責任が議長にあるというがごときは、まさに、これは牽強付会の言といわざるを得ません。(拍手)社会党の諸君は、国会の正常化を主張して審議権を放棄しているではないか。これが国会の正常化でありましょうか。(拍手)諸君は、議長の不信任案を出しておきながら、欠席をしておるではないか。(拍手)これが国会の正常化でありますか。こういうことは、国会の正常化とは言わない。諸君は、議会政治を守るといって暴力を排撃しながら、ことごとく暴力をやっているではありませんか。(拍手)これが今日の社会党の姿である。従いまして、諸君の政党は、心ある人は続々党を離れていっておるではないか。(拍手)諸君が今反省をしなかったならば、おそらく、明年の一月にはまた脱党者が出て、振り返ってみたときは、鈴木委員長のもと、淺沼稻次郎君ほか数名だけ残る政党になってしまうでありましょう。(拍手)まず、社会党は、今日の事態を強く反省すべきである。政党も政治家もみずからを反省せずして政治の進歩はあり得ない。諸君が、今日のごとく、すべての責任を他に転嫁して、みずから反省するところがなかったならば、政党の前途というものは崩壊を来たす時期が近いといわざるを得ないのでございます。(拍手)
 私どもは、この観点に立って、このたび加藤衆議院議長がとりました態度はまことに正当であったと考えるのでございます。私は、何ら加藤衆議院議長不信任の理由というものは存在いたさないと思うのでございます。しかも、昨年行なわれました両党党首会談の問題も、ここに出される何の関係があるのでございましょうか。両党首会談の主たる目的は何であったか。それは衆議院議長の権威を高めること、再び社会党のやる暴力をこの国会から払拭すること、これが両党首会談の主たる目的だったのでございます。この観点に立って、加藤議長は、正しく、正確にものを見、調査をいたして、許すべからざる罪を犯しましたる淺沼稻次郎君ほか三名を議長職権による懲罰に付したということは、議会政治を守る意味において、私は当然なる措置であったと思うのでございます。(拍手)全部の新聞、ラジオ、世論を静かに見たまえ。われわれは、憲法の与えましたる国民の請願権を否定するものではない。言うまでもなく、国民の請願権は尊重いたすのでありますが、しかし、その憲法の与えましたる請願権とは、正当な方法によって行なわれなければならないのでございます。(拍手)去る十一月二十七日、本院に行なわれましたあのデモ、請願・陳情は、正当なる方法による請願権の行使であったでありましょうか。諸君がいかに否定いたしましても、国民は、あの様子を見て、これが正当なる憲法による請願権の行使とは見ておらないのであります。(拍手)この請願権を不当に利用いたしまして、院内にあの醜態を演ぜしめたる社会党の責任はまさに重いものでありまして、この懲罰の前に、淺沼君のごときは議員を辞職すべきものである、と世論は言うておるのであります。(拍手)これを要するに、加藤議長のとりました今回の処置は、憲法、国会法、衆議院規則、先例、すべてに照らしまして、まことに正当なものでありまして、むしろ、加藤議長を信任こそすれ、不信任案のごときことは断じてこれは賛成するわけにはいかない、強く反対をいたすものであります。(拍手)私は、社会党の、この責任転嫁をして、その罪を議長に負わせんとするがごとき、この理不尽なる不信任案に強く反対の意を表明し、鎧袖一触、直ちにこれを葬り去るべきものであると考えるのであります。社会党の反省を促しまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
#9
○副議長(正木清君) ただいまの菅家喜六君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。島上善五郎君。
    〔島上善五郎君登壇〕
#10
○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であることは、皆さんが御承知のように、憲法第四十一条に明らかに定められているところであります。国会がこの憲法に定むる権威を名実ともに備えるためには、民意を正しく反映し、国民に信頼されることが何よりも必要な大前提でございまして、そのためには、公正・公明な選挙によってよき代表者が選ばれるということと、一つには、国会運営が、常に話し合いをもととし、十分に論議を尽くし、納得のいく民主的運営であるということが、絶対に必要な条件でございます。(拍手)前段の選挙のことにつきましては、ただいまの議題と直接関係がございませんから申しませんが、国会の運営につきましては、議長がその最高の責任者であることは言うまでもございません。私は、ここで、昨年の第三十国会までの数度にわたるクーデター的国会運営と、加藤議長、正木副議長が選ばれるに至った経緯を、諸君に想起していただきたいと思います。大方の皆さんは身をもって知っておられることでありまするから、詳しく申し述べる必要はございませんが、スト規制法を通さんがための堤議長の会期延長、国民の総反撃を浴びていた警職法改正案を通さんがための椎熊副議長の会期延長は、その強引さ、不法・不当さは前代未聞であり、わが国会史上に恥ずべき記録を残したのであります。(拍手)このために、国会の機能は一時全く停止し、議会政治そのものが危機に瀕したのであります。この非常な事態に際しまして、昨年十一月二十二日、両党首会談が行なわれ、危機打開のための申し合わせを行なったことは、今なお記憶に新たなるところであります。この両党首会談の申し合わせに基づき、国会を正常化し、国民の信頼を回復せんがために、三十一回国会が召集された四日目に、両党話し合いの上に、加藤議長、正木副議長が選ばれ、党籍を離脱して、一党に偏することなき公正な国会運営を行なうこととなったのであります。従いまして、加藤議長は、いかなる圧力にも屈することなく、不偏不党、きぜんたる態度をもって、常に正木副議長とよく協議をし、国会運営の正常化、民主化のために努力すべき義務があるのであります。わが党は、議長がこの任務を全うするよう心から期待し、そのために協力して参ったのであります。しかるに、政府と自民党は、今回の臨時国会も半ばを過ぎたころ、ベトナム賠償協定についてその不当性が鋭く追及され、窮地に追い込まれまするや、がぜん、議長に圧力をかけ、国民の不信と疑惑を残したまま、十分なる審議を尽くさずに、ベトナム賠償協定の理不尽、強引なる通過をはかろうと、横車を押し始めたのであります。このとき、大局的、国民的見地に立って、その横車を押えるべき立場にあった加藤議長は、何らそれをしなかったのみか、圧力に屈して、この重大案件を十一月二十七日の午前零時五十分からの深夜国会で通過させるという、常軌を逸した国会運営を行なったのであります。このために、国民の不信と怒りは極度に高まったことは、申し上ぐるまでもございません。私は、こう申したからといって、十一月三十七日の集団陳情団の一部の者が国会構内に入ったことを、すべて正当だと申すのではございません。しかし、常軌を逸した非民主的国会運営が国民を憤激せしめ、学生などを刺激して、あのような事件の重大な一因となったことは、深く反省する必要がありましょう。(拍手)しかるに、この陳情団の事件が起こるや、政府と与党は、自己の非をたなに上げて、得たり賢しとばかりに、かねてから考えていた国会周辺デモ禁止法の制定にやっきとなり、さらに、ベトナム賠償で窮地に立たされた逆攻勢のチャンスとばかりに、淺沼懲罰を持ち出して参ったのであります。(拍手)しかるに、議長は、再度政府と与党の圧力に屈して、議長発議の形でこの二つの問題を出して参ったのであります。国民と国会を遮断しようとする国会周辺デモ禁止法の不当なことは申し上ぐるまでもございませんが、これは、どうやら議長提案とはならないようでございますから、ここでは省略いたしまするが、淺沼書記長外三議員の懲罰宣告に至っては、公正なるべき議長の措置として、その軽率と不当をわれわれは鼓を鳴らして糾弾しないわけには参りません。淺沼書記長の懲罰は、一議員淺沼の懲罰ではなくして、実に、唯一の野党たる社会党に対する挑戦であり、侮辱であります。(拍手)このような重大措置を議長が軽々しく扱うべきものでないことは、申し上ぐるまでもございません。いずれ、近く事態の真相が明らかに立証され、懲罰の理由がないことが明白になると思うのでありまするが、淺沼書記長ほか社会党の議員は、あらかじめ、前日来、議長その他との事前の話し合いに基づき、陳情団代表三十名と議長、副議長の会見がスムーズに整然と行なわれまするよう、そのあっせんの任務を持っていたのであり、たまたま代表者以外の者の構内進入という事態が起こった際には、それらの者を説得し、早期に退散せしむる役割を果たしたのであって、そのために、警察官との正面衝突、流血の大惨事という最悪事態を回避し得たのであって、議長からは、むしろ、御苦労であったというねぎらいの言葉があってしかるべきものでありますペ拍手)その上、このような異例の重大措置をするにあたって、何がゆえに副議長と事前に十分協議をしなかったのか。副議長の存在を一体何と考えているかといわざるを得ません。また、与党の言うことのみを聞いて、野党となぜ十分話し合わなかったのか。一たびは、わが党山本国会対策委員長の言をいれて、十二月七日に鈴木委員長とこの問題について話し合ったのでありまするが、懲罰宣告にあたりましては、単に一枚の便せんに数行したためた書簡を委員長に送っただけでございます。これは、野党総裁に対する礼を知らざる行為であり、野党を無視し、侮辱するものであるといわなければなりません。(拍手)あるいは、与党の圧力に屈したのではないと強弁するかもしれませんが、しかし、皆さん、十八日の朝刊を見てごらんなさい。「自民党の圧力で踏切った議長宣告」と、大見出しをもって一斉に報道しているではありませんか。(拍手)議長のとったこのような行動は、両党首会談の申し合わせを踏みにじり、国会正常化を破壊したのは加藤議長自身であると非難されるのも当然でございましょう。(拍手)さらに、私は、もう一つの事実を指摘しなければなりません。それは、十七日の国会において無謀なる懲罰宣告をするに際して、その前に成規の手続によって議長不信任決議案が提出されていた事実、そして、この場合には、国会法、議事運営の慣行から申しまして、当然この決議案が先議さるべきものであったにもかかわらず、これを無視した不法・不当行為についてであります。(発言する者多し)この場合、議長としては、まず議院運営委員会に不信任決議案の取り扱いについて諮るのが当然であったのに、それをしようとせず、そうして、わが党の代表者がこれを要求して会談中に、用便に行くと称して部屋を出て、そのまま自民党議員に促されて議長席に着いて本会議を開会してしまったのであります。これは、昨年、参議院の委員会で、岸総理が、用便に行くと称して逃げ出した故知にならったのかもしれませんが、公正なるべき議長の行動としては、何んとしても承服しがたい、不当にして卑劣な行動と言うほかはございません。(拍手)不信任決議案を突きつけられた議長は、一まず副議長に席を譲り、不信任問題の結末をつけてからでなければ議長席に着かないのが、議事運営の常道であります。与党に要求されるまま、こうした、きわめて当然な議事運営の常道を無視し、しかも、与党と一部社会クラブのみが入った、りょうりようたる議場において、一方的に懲罰を宣告するという、非常識にして軽率なる行動をとるに至ってはまさに、さたの限りと言うほかはございません。(拍手)先ほど、菅家喜六君は、議長懲罰の先例を引かれましたけれども、これはもう一ぺんよくお調べを願いたい。これらの先例は、いずれも、議運において、やむなきものとして了解しての、議長懲罰の宣告であります。(拍手)だからこそ、議長不信任も何も出されなかったではありませんか。私は、最後に、加藤議長に一言呈したい。あなたが議長就任直後記者団に語った言葉、今、一番大事なことは、国会が国民から信頼を得ることだ、国民から国会が軽視され、軽侮されることのないよう最善の努力をする、この言葉を、いま一度胸に手を当てて静かに思い出していただきたい。そうしましたならば、ただいま提案されている不信任決議案の採決の前に、みずからの責任を明らかにすることが、国民から国会の信頼を回復する最もよい道であるということに気がつくことでございましょう。(拍手)加藤議長があえてそれをしないのであるならばやむを得ません。われわれは、ここに、国会運営の正常化と国会の権威保持、そうして国民の信頼回復のために、このような、一党に偏した、一党のかいらい議長と成り下がった加藤鐐五郎君を不信任し、すみやかに皆さんの賛同を得たいと考えまして、以上、私は討論をいたした次第でございます。(拍手)
#11
○副議長(正木清君) 田禎治君。
    〔池田禎治君登壇〕
#12
○池田禎治君 私は、社会クラブを代表いたしまして、ただいま上程されました衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案に賛成の意見を述べんとするものであります。ただ、この際明確にいたしておきたいことは、先ほど、提案者でありまする山花秀雄君から、加藤議長不信任案の趣旨弁明の中におきまして、デモ規制法を提案した、淺沼稻次郎君以下の懲罰を突如として正規のルールなくして行なった、この所見については、私は異にしておるものであります。なぜかといいまするならば、デモ規制法は、本日十一時五十五分、自由民主党が議員提案として行なっております。さらに、懲罰につきましては、これは、議長の行なったことについて、こういうことをやる前に、議長としてのとるべき道があるということを、わがクラブは早くより主張して参ったのであります。本来ならば、去る十一月二十七日の国会乱入事件につきまして、われわれクラブとしては、すみやかに衆議院議長は責任をとって、政治的責任を明らかにせよ、ということを主張して参ったのであります。(拍手)私は、明確に申しまするならば、あの乱入事件というものは、加藤議長の力をもって防止することはできなかったとは思います。けれども、今日、国民の殿堂としての国会を守るという議長は、この責任の所在を明らかにすることにおいて、すなわち、懲罰の事犯に対する刑量にあらず、政治家として、衆議院議長として、こういう自分の在任中にでかした不祥事件につき深く責任を痛感するということを議長みずからが感ずるならば、全議員が、この導入をした議員が、すべての国民が、国会の権威を守るためにこういうことが行なわれたということをひとしく銘記いたしまして、そういう乱入事件のごときを絶滅することができると思うのであります。(拍手)従いまして、議長みずからが責任の所在を明らかにせずしておいて、そうして、一方的に懲罰にかけて、私には責任がないのだというようなことをしておっては、口にいかに国権の最高機関である国会の権威を守ろうとしても、それは口頭禅に終わるのであります。しこうして、また、議長みずからがその責任をとることにおいて、社会党の人々はあの乱入事件には何らの罪もないということも、またこれは当然考えられてしかるべき道はそこに生じてくるであろうということを思うのであります。従いまして、こういう理由で加藤議長の不信任案ということでなく、衆議院議長としての大きな政治的責任をとってあなたはおやめになることが至当であるということを、われわれは、あの事件発生以来、主張して参ったのであります。今回につきましても、私どもの原則は、懲罰に付してもって事が足りるとすることではない。法律をもってデモを規制することで将来ああいう事件の絶滅をはかるということではないのであります。その前に、口に民主政治を唱えるならば、民主政治家というものの政治的責任をお互いが痛感するならば、ああいう種類のことは将来なくすることができる、このことを全国民とともに体得をいたして、監視せしめなければならぬと思うのであります。(拍手)従来、閣僚の不信任案がよく乱発されました。その閣僚の不信任案の中で、私どもは、その不信任に値しない、すなわち、内容の何もない人々を閣僚にしておいて、それが失敗をするから不信任案を出す。私は、個人として思うときには、不信任案を提出して一人前の閣僚として権威をつけることはまことに悲しき限りであるというので、よく反対をして参ったものでありまするが、今日、議長の不信任案がこういう形であろうとも出されたということは、確かに加藤議長みずからの不徳のいたすところであり、至らざるところが多々あることを痛感しなければならぬ。さらに、逆なことを申しますると、この不信任案がもし否決をされると、加藤議長さんや、自由民主党の諸君は、信任されたといって、てん然としてで居直りを策するであろう。私は、数の政治を論ずる前に、ほんとうに多数決であれば何でもできるんだという考え方を、国民に与えてはならないと思うのであります。多数を持つといえども、誤ったことは、謙虚に、誤ったといって、国民の前にその意思を表明するならば、国民は長くこれを追及しないでありましょう。間違ったことをしておいても、間違わぬのだ、間違わぬのだと言っておると、しまいには、あきれ返って、そういう政治家に対して信頼の念をなくするであろうということを感ずるのであります。かかる観点をもちまして、私は、本不信任案には、自由民主党の諸君といえども御賛同願って、全会一致で通過されるようにお願いをいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
#13
○副議長(正木清君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○副議長(正木清君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#15
○副議長(正木清君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#16
○副議長(正木清君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#17
○副議長(正木清君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#18
○副議長(正木清君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数三百四十
  可とする者(白票)   百十六
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百二十四
    〔拍手〕
#19
○副議長(正木清君) 右の結果、衆議院議長加藤鐐五郎君不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 淺沼稻次郎君外四名提出衆議院議長
 加藤鐐五郎君不信任決議案を可とす
 る議員の氏名
   赤松  勇君 茜ケ久保重光君
   淺沼稻次郎君  足鹿  覺君
   飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君
   井伊 誠一君  井手 以誠君
   猪俣 浩二君  石川 次夫君
   石田 宥全君  石野 久男君
   石村 英雄君  石山 權作君
   板川 正吾君  小川 豊明君
   小沢 貞孝君  大貫 大八君
   太田 一夫君  岡田 春夫君
   岡本隆一君   加賀田 進君
   加藤 勘十君  風見  章君
   柏  正男君  片島  港君
   勝間田清一君  金丸 徳重君
   上林與市郎君  神近 市子君
   川村 継義君  河野  正君
   木原津與志君  北山 愛郎君
   久保 三郎君  久保田鶴松君
   栗原 俊夫君  栗林 三郎君
   黒田 寿男君  小林  進君
   小林 正美君  河野  密君
   佐々木更三君  佐藤觀次郎君
   佐野 憲治君  坂本 泰良君
   阪上安太郎君  櫻井 奎夫君
   實川 清之君  島上善五郎君
   下平 正一君  東海林 稔君
   杉山元治郎君  鈴木茂三郎君
   田中織之進君  田中 武夫君
   多賀谷真稔君  高田 富之君
   滝井 義高君  館  俊三君
   辻原 弘市君  戸叶 里子君
   中井徳次郎君  中澤 茂一君
   中嶋 英夫君  中原 健次君
   中村 高一君  中村 英男君
   永井勝次郎君  成田 知巳君
   西村 関一君  西村 力弥君
   野口 忠夫君  芳賀  貢君
   長谷川 保君  原   茂君
   原   彪君  日野 吉夫君
   平岡忠次郎君  穗積 七郎君
   松浦 定義君  松本 七郎君
   三鍋 義三君  三宅 正一君
   森本  靖君  八木 一男君
   安井 吉典君  柳田 秀一君
   山口シヅエ君  山田 長司君
   山中 吾郎君  山花 秀雄君
   山本 幸一君  横路 節雄君
   和田 博雄君  池田 禎治君
   今村  等君  大矢 省三君
   加藤 鐐造君  春日 一幸君
   小平  忠君  小松信太郎君
   竹谷源太郎君  堤 ツルヨ君
   廣瀬 勝邦君  松尾トシ子君
   武藤 武雄君  今澄  勇君
   受田 新吉君  木下  哲君
   菊川 君子君  田中幾三郎君
   北條 秀一君  門司  亮君
   本島百合子君  志賀 義雄君
 否とする議員の氏名
   安倍晋太郎君  相川 勝六君
   逢澤  寛君  青木  正君
   赤城 宗徳君  赤澤 正道君
   秋田 大助君  淺香 忠雄君
   足立 篤郎君  天野 公義君
   天野 光晴君  綾部健太郎君
   荒木萬壽夫君  荒舩清十郎君
   新井 京太君  井出一太郎君
   井原 岸高君  飯塚 定輔君
   生田 宏一君  池田 清志君
   池田 勇人君  石井光次郎君
   石坂  繁君  石田 博英君
   一萬田尚登君  稻葉  修君
   今井  耕君  今松 治郎君
   岩本 信行君  宇田 國榮君
   植木 庚子郎君 臼井 荘一君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   遠藤 三郎君  小川 平二君
   大久保武雄君  大倉 三郎君
   大島 秀一君  大坪 保雄君
   大野 市郎君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大平 正芳君
   大森 玉木君  岡崎 英城君
   岡部 得二君  岡本  茂君
   奧村又十郎君  押谷 富三君
   加藤 精三君  鹿野 彦吉君
   賀屋 興宣君  金子 岩三君
   金丸  信君  亀山 孝一君
   鴨田 宗一君  川崎末五郎君
   川崎 秀二君  川島正次郎君
   川野 芳滿君  菅家 喜六君
   菅野和太郎君  簡牛 凡夫君
   太倉和一郎君  木村 守江君
   菊池 義郎君  岸  信介君
   北村徳太郎君  吉川 久衛君
   久野 忠治君  倉成  正君
   黒金 泰美君  小泉 純也君
   小島 徹三君  小平 久雄君
   小林かなえ君  小林 絹治君
   小山 長規君  河野 孝子君
   纐纈 彌三君  佐々木盛雄君
   佐藤 榮作君  佐藤虎次郎君
   佐藤洋之助君  坂田 道太君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   始関 伊平君  椎熊 三郎君
   重政 誠之君  島村 一郎君
   進藤 一馬君  周東 英雄君
   鈴木 正吾君  鈴木 善幸君
   砂原  格君  瀬戸山三男君
   關谷 勝利君  園田  直君
   田口長治郎君  田中伊三次君
   田中 榮一君  田中 角榮君
   田中 龍夫君  田中 正巳君
   田邉 國男君  田村  元君
   高石幸三郎君  高瀬  傳君
   高田 富與君  高橋清一郎君
   高橋 禎一君  高橋  等君
   竹内 俊吉君  竹下  登君
   武知 勇記君  谷川 和穗君
   千葉 三郎君  中馬 辰猪君
   塚田十一郎君  辻  寛一君
   綱島 正興君  渡海元三郎君
   徳安 實藏君  富田 健治君
   内藤  隆君  中井 一夫君
   中垣 國男君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  中村 梅吉君
   中村 幸八君  中村 寅太君
   永田 亮一君  永山 忠則君
   灘尾 弘吉君  楢橋  渡君
   南條 徳男君  二階堂 進君
   丹羽喬四郎君  西村 英一君
   西村 直己君  根本龍太郎君
   野田 卯一君  野田 武夫君
   野原 正勝君  羽田武嗣郎君
  馬場 元治君  橋本登美三郎君
   長谷川四郎君  長谷川 峻君
   八田 貞義君  服部 安司君
   濱田 幸雄君  濱田 正信君
   濱地 文平君  濱野 清吾君
   林  唯義君  原 健三郎君
   原田  憲君  平塚常次郎君
   平野 三郎君  廣瀬 正雄君
   福家 俊一君  福井 順一君
   福井 盛太君  福田 赳夫君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  藤本 捨助君
   藤山愛一郎君  船田  中君
   古井 喜實君  古川 丈吉君
   保科善四郎君  坊  秀男君
   星島 二郎君  細田 義安君
   堀川 恭平君  本名  武君
   前尾繁三郎君  前田 正男君
   益谷 秀次君  増田甲子七君
   松浦周太郎君  松澤 雄藏君
   松田竹千代君  松田 鐵藏君
   松永  東君  松野 頼三君
   松本 俊一君  三池  信君
   三浦 一雄君  三木 武夫君
   三田村武夫君  三和 精一君
   水田三喜男君  南  好雄君
   村上  勇君  村瀬 宣親君
   毛利 松平君  森   清君
   森下 國男君  八木 一郎君
   保岡 武久君  柳谷清三郎君
  山口喜久一郎君  山口 好一君
   山口六郎次君  山崎  巖君
   山下 春江君  山田 彌一君
   山手 滿男君  山中 貞則君
   山村新治郎君  山本 勝市君
 吉田 重延君  早稻田柳右エ門君
   渡邊 本治君  渡邊 良夫君
     ――――◇―――――
 日程第二 日米安全保障条約改定
  交渉の即時打切りを要求する決
  議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
#20
○副議長(正木清君) 日程第二は、提出者より委員会の審査省略の申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。
 日程第二、日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
  日米安全保障条約改定交渉の即時
  打切りを要求する決議案
 右の議案を提出する。
  昭和三十四年十二月九日
   提出者
    淺沼稻次郎  山本 幸一
    矢尾喜三郎  多賀谷真稔
    原   彪
   賛成者
    阿部 五郎外百二十八名
    ―――――――――――――
   日米安全保障条約改定交渉の即
   時打切りを要求する決議
  本院は、政府がアメリカ政府との
 間に行っている日米安全保障条約の
 改定交渉を即時打切ることを要求す
 る。
  右決議する。
    ―――――――――――――
#22
○副議長(正木清君) 提出者の趣旨弁明を許します。原彪君。
    〔原彪君登壇〕
#23
○原彪君 私は日本社会党を代表いたしまして、政府が現に行ないつつある日米安全保障条約の改定交渉を即時打ち切ることを要求する決議案の趣旨説明をいたしたいと存じます。(拍手)
 〔副議長退席、議長着席〕
 〔拍手〕
 まず、案文を朗読いたします。
  本院は、政府がアメリカ政府との間に行つている日米安全保障条約の改定交渉を即時打切ることを要求する。
  右決議する。
 〔拍手〕
 今や、世界の歴史は一つの曲がりかどに立って、国際情勢は大きく転換しようといたしております。旧来の武力依存の政策から、平和談合への道を選ぼうとしておる。少なくとも、世界の良識ある政治家は、過去の、誤った、軍備による緊張を緩和するために、真剣な努力を積み重ねようとしておることは事実でございます。(拍手)軍備縮小や核実験禁止等に関する各種の国際会議が真に忍耐強き努力を続けている現実を無視するわけには参りません。現に、米ソ両国の首脳は、相互訪問を取りきめて、その第一歩として、フルシチョフ首相は、まずみずからアメリカを訪問して、アイゼンハワー大統領と会談をいたしました。その会談後発表されました共同コミュニケにおいては、国際紛争の解決のために武力を用いないことを全世界に向かって厳粛に宣言いたしております。(拍手)また、国連総会においては、加盟八十二カ国全部が共同提案国となって、完全軍縮決議案が全会一致で通過を見、その席上、インド代表メノン氏は、力の均衡の上に平和を築こうとする企てはすべて失敗してきた、武器は完全に放棄されねばならぬ、と、まことに力強い演説をしておられます。(拍手)
 これら一連のできことは、歴史的意義を持つものであって、戦争放棄の憲法を持ち、真に平和を愛好する日本国民の一人々々が心の底から歓迎するところであります。(拍手)従って、われわれはこの国際情勢の好転に呼応して、日本政府こそ、この国際緊張の緩和と雪解けの傾向をさらに助長するために、何らかの積極的態度を持って平和への方策を打ち出してくれるであろうことを期待し、国民はこれを待望しております。(拍手)
 ところが、政府は、口に一応これを歓迎すると言いながら、心ではこれを軽視し、いな、むしろ、これを無視して、現在行ないつつあるものは何か。一つは、安保条約改定という日米軍事同盟の強化であり、他の一つは、いまだ国交の回復していない日中関係に対する相も変らぬ静観の態度であり、いな、静観に名をかりた敵視政策でさえあるのであります。(拍手)この安保改定と中国敵視政策とは、人類の理想をわきまえず、歴史の流れに正しくさおさすすべを知らぬ、過去にのみ執着して未来に何らの光明をも求めることのできない保守党内閣の旧態依然たる武力依存の思想から生まれた二またの幹にほかなりません。(拍手)国民の期待は裏切られ、願望は退けられ、日本の政治・外交のみが歴史の歯車を逆に回そうとしています。このような反動的な岸内閣の態度をまざまざと見せつけられた国民の失望と焦慮とは、今や、うっせきして憤りと変わり、まさにその絶頂に達しようとしております。(拍手)
 われわれは、安保改定に関して数多くの疑問と不安とを持っておるものでありますが、私は、ここでは、そのうちの若干の重要な点について簡単に触れてみたいと思います。
 まず第一は、日米間の軍事的相互援助の問題であります。
 藤山外相は、今年の五月、赤坂プリンス・ホテルやその他において安保改定に関する講演をしておられまするが、外相は、交渉に臨む米国側の基本的な態度として、三つのことをあげておられる。「一、相互に国連憲章を尊重し、国連を通じて平和を守ること。二、相手国が、軍事的のみならず、政治的、経済的に強くつながっていること。二、バンデンバーグ決議の精神にかなうこと。」そこで、この一、二はしばらくおいて、三番目のバンデンバーグ決議の精神にかなうことという主張が、この改定条約案文の第三条に現われています。すなわち、「両締約国は個別的及び相互に協力して、継続的及び効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を自国の憲法の規定に従うことを条件として維持し、かつ発展させる。」となっております。ここに問題があります。これによって、アメリカ側は完全にバンデンバーグ決議の精神を生かし、さらに何ら新しい義務を加重するものはありませんが、日本側は、たちまち、これによって新しく武力攻撃に抵抗する能力、すなわち軍事力を維持し、しかも、発展させていかなくてはならないのであります。この日本独自の戦闘力ある軍隊を持つことは、明らかに日本国憲法第九条の規定に抵触するものであることは、言を待ちません。(拍手)しかも、この内容こそが、岸総理の言われる日米の新しい関係を意味するものであって、国民に向かっては、これによって、従来の対米従属の立場から対等の関係に改めるものであって、真に独立国の実を与えるものであると宣伝しておられます。これこそ、保守党内閣の常套手段であって、素朴な国民感情を巧みに利用して、違憲の事実をごまかそうとする卑劣きわまる態度であって、あたかも、往年、講和独立の好餌で国民をつり、ダレスのいわゆる力の真空という言葉の魔術をもって日米安保条約を成立させた手口と全く軌を一にするものであって、国民は断じて許すものではございません。(拍手)
 しかし、政府は抗弁して言われるかもしれない、だからこそ「自国の憲法の規定に従うことを条件として」と明文にうたってあるのだと。藤山外相も、「日本として負うことになる義務は、厳に憲法の範囲内にとどめる所存であります。これは特に強調したいところであって、いやしくも憲法に違反するような義務を負うことは許されないところであります。」と、言葉を強めておられます。しかし、一体、岸内閣の閣僚諸公を初めとして、歴代保守党内閣が、口に憲法を守り、憲法のワク内でと言っても、はたして国民が信頼し、安心しておられるでありましょうか。(拍手)今日まで、勝手に憲法の解釈を曲げ、憲法の真意を軽視し、じゅうりんして、憲法違反の既成事実を積み重ね、再軍備のための憲法改悪をさえ主張してきたのは、一体だれでありましたか。ほしいままに憲法の解釈を拡張して違憲の事実を行なって、しかも、てんとして恥じない政府に、憲法の規定を云々する資格はありません。(拍手)いかに憲法のワク内でと百万べん繰り返してみましても、国民は決して信頼しないでありましょう。日米相互援助の規定は、日本の再軍備を促進し、強化して、日本国憲法に背反するばかりでなく、日本の安全を逆に脅かす結果となることは明らかであります。(拍手)
 保守党の諸君は、さきの最高裁における砂川判決をもって、あるいは鬼の首でも取ったように思われるかもしれませんが、駐留米軍が日本の戦力でないから合憲であるとはいっても、日本独自の効果的な戦力を持ち、かつ、これをさらに増強することまでも合憲であるとは断じかねておるのであります。(拍手)かりに百歩を譲って、自衛の戦力は認めるといたしましても、すなわち、それを合憲であるとかりに解釈したといたしましても、その結果が危険であるということに間違いはないのであります。今日、日本の戦力の合憲性を唱える者は日本安全の危険に対して無関心な者であると断ぜざるを得ません。(拍手)
 そこで、第二は、本条約の目的が、日本の安全保障のためのみならず、極東の平和と安全のためという点であります。ここにいう極東とは、中国本土の一部、沿海州も含まれる、また、極東の安全のためには、アメリカ軍はここにいう極東の地域以外にも出動し得る、と政府は述べております。日本に基地を持つアメリカ軍の行動範囲が、日本の隣国である中国やソ連の領土の一部にも及び得ると考えることは、明らかにこの両国を仮想敵国とみなすものであって、これはどう見ても善隣友好の政策とは言えないばかりか、親善関係を阻害して、逆に両国を刺激して、緊張を増すものでございます。(拍手)
 この極東の平和と安全という字句については、与党内部にも有力な反対があったと聞き及んでおりますが、むしろ、それは当然のことだと思います。しかるに、政府は、日本の安全と平和が害されれば極東の平和と安全が害される、その逆の関係も成り立つのだと抗弁をしておりますが、逆は必ずしも真ならず、極東の一地域の安全が乱された場合に、それが直ちにもって日本の安全を脅かすことにはなりません。この字句は、極東の地域に広く前線基地を張りめぐらし、自国の軍隊を駐屯させておるアメリカにとってこそ必要不可欠のものであるのであります。(拍手)もしアメリカ軍がその必要を感じ、みずからの安全のためと称して、いうところの極東の地域以外にまで駐日アメリカ軍隊を出動させた場合、日本の基地が報復攻撃を受けないと保証されるでありましょうか。アメリカの必要によって起こされた軍事行動によって、日本の領土や国民が損害をこうむり、あるいは日本の自衛隊が海外派兵をさせられる危険なしと断言できるでしょうか。(拍手)本条約が締結された場合、日本の安全を保障するといいながら、結果において思わざる危機を招き、安全と平和の脅かされるおそれがあるというゆえんであるのでございます。
 政府は、また、米軍が日本基地から自由に極東地域に飛び立つときは、戦争に巻き込まれる危険があるので、事前協議のことが約束されておる、そして、戦争に巻き込まれる心配は現行条約の方が大きいのだと弁解しておりますが、事前協議のことはあとで触れるといたしまして、戦争に巻き込まれる危険が少ないという理由で国民をごまかそうとすることは、陋劣であり、まことに陰険であります。国民の熱望するところのものは、戦争に巻き込まれる危険と不安の少ないということではなくて、不安の原因そのものを取り除くことであるのであります。ここに、われわれの、改定交渉を即時打ち切ることを要求し、行く行くは安全保障条約そのものの解消をも主張するゆえんがあるのであります。(拍手)
 次に、第三として、先ほど触れた事前協議ということでありますが、政府は、米軍の条約地域外出兵や、核兵器の持ち込みなど、重要事項については、アメリカと事前協議をする、協議にあたっては日本政府の同意を必要とするから、これによって米軍の行動を制限し得るものであると考える、と説明をしておりますが、このような、日本に戦争の危険が及ぶかどうかという重大な問題だから、わざわざ事前協議の手続を設けた、と誇りがましく主張するのであるならば、なぜ条約本文の中に入れないのか。なぜ交換公文に譲ったのか。しかも、協議だから、協議が整わなければ実行できないというのは、日本政府の一方的な解釈であります。確かに、事前協議を真に効果あらしめるためには、そのように解釈されなくてはならない。明確に拒否権を伴わない事前協議は無意味でございます。従って、もしアメリカ側も日本政府と同様に解釈しておるのであるならば、何ゆえに、事前協議事項を堂々と本文に加え、しかも、日本政府の同意を要すると改めないのでありましょうか。(拍手)これらの疑問に対しては、政府は納得のいく説明をいたしてはおりません。そればかりではない。本院においてわが党の同僚議員が新しく取り上げました疑問、すなわち、在日米軍が国連軍の資格において出動する場合に事前協議の対象となり得るかどうかという問題についても、政府の説明はあいまいであり、不確実であります。かくして、事前協議が在日米軍の行動を制限する実際上の効果が疑われるばかりか、その取りきめ方いかんによっては、日本の戦争参加をかえって合法化する危険さえも感じられるのであります。(拍手)さらに、実際問題として、超音速の兵器が自由に飛び回っている今日、一たん有事のときの対処策がいかに緊急を要し、敏速を求められるものであるかは、過去の比でないであろうことは、今日の常識であります。そのときに、同意を要する事前協議によって米軍の行動を制限し得るなどとは、あまりにも国民を愚弄した態度だと申さなければなりません。(拍手)
 次に、第四点として考えねばならないことは、安保改定と日中国交回復の問題であります。岸内閣は、すでに戦後の時代は終わった、日米関係の新時代に入るのだなどといって、安保改定を進めておりまするが、そもそも、日本を戦争状態に突入させたのは、往年の軍部と官僚によるファッショ勢力の、強引な満州事変から日支事変への拡大強行政策ではなかったでありましょうか。戦争の根源は、満州及び中国本土における日本軍部の侵略であって、その日本軍の軍靴によってじゅうりんし尽くされた中国本土六億の民衆とはいまだ戦争状態が続き、国交の正常なる回復がなされていないのであります。あまつさえ、さきにも触れたように、岸内閣は中国に対しては、静観と称して何ら積極的工作をしようとしないばかりか、敵視政策をさえとりつつあります。中国は、日本軍の破壊の跡から不死鳥のごとく立ち上がって、目ざましい復興建設ぶりを見せております。これに応じて、ヨーロッパ諸国は、商魂たくましく、着々としてかの地に市場を広げ、得意先を獲得しております。岸内閣は、政治と経済は別だとそらうそぶいて、国交回復はさておいて、経済交流を求めようとしておりますが、私は岸総理の常識を疑いたくなる。真の国交回復なくして、どうして真の経済交流があり得るでありましょうか。しかも、その時期が先に延びれば延びるほど、日本の中国に市場を求めることは困難となります。岸総理は、あるいは、中国敵視政策はとっていないのだと言われる。なるほど、故意に意識して、露骨に中国に対する敵視政策は考えておられないでありましょう。しかし、今回の安保条約改定が、アメリカの中国否認という基本的態度に対する追従外交であって、その連鎖反応として中国を刺激し、中国敵視政策と難じられることに気づかれないほど愚かしい岸総理とは思われません。(拍手)安保改定は、明らかに、日中関係を悪化させ、日本をしてアジアの孤児たらしめるものであります。
 最後に、安保改定がもたらす国内政策への影響をあげなくてはなりません。安保条約が、非常事態または戦争を前提としての軍事的取りきめである限り、これが内容の強化は、当然に戦前の軍国日本の状態に逆転させられ、一連の非民主的な反動政策が次々に現われるであろうことは、想像にかたくありません。憲法によって保障された国民の権利は次第に抑圧されるばかりか、軍備の増強の結果は、国民の経済的負担がさらに加えられることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手) これを要するに、安保条約は、その本質において、まぎれもない軍事同盟の性格を持ち、しかも、今回の改定はさらにそれを強化するものであります。軍事的取りきめは、常に戦争を予定し、仮想敵国をかまえて何事をも考えるものであって、それが攻撃的であろうと防衛的であろうと、変わるものではありません。戦争そのもののおそるべき形相は侵略も防衛も区別はない。しかも、一たん戦争状態に突入すれば、もはや、知性ある人間の意思を超越して、思わざる方向に進み、あらゆる非人間的残虐の限りを尽くすことは、岸総理自身が、かつての東条内閣の閣僚の一人として、つぶさに御承知のはずであります。(拍手)
 総じて、保守的な立場をとる政治家や、指導的地位にある人たちは、世界を、文化や経済の平和な見地から見るよりも、あまりにも軍事的見地からながめることにならされてしまっている者が多い。根深い猜疑や偏見ほど物事の判断を誤らせるものはありません。(拍手)コロンブスのところにさえ、地球はまるくない、平面だと主張してきた者がいたという。醜い偏見や、誤った過去の武力への郷愁は、捨てなくてはなりません。
 私は、岸総理が、年若くして権力とともに立身し、往年の東条内閣の有力なる閣僚の一人として戦争責任を分担された人であるだけに、今回の安保改定という暴挙――私はあえて暴挙と申します。翻然としてこの暴挙を即時打ち切ることを決意されて、総理就任の当初、戦争責任は深く反省しておる、今後は民主的政治家になると宣言された、その心情に偽りがなかったあかしを立てていただきたい。(拍手)もし、あえて行なわんとされるならば、かかる国の運命に関する重大なる安保改定は、さきに不当に本院を通過させたベトナム賠償問題とともに、総選挙を通じて国民に信を問うべく、まず国会を解散すべきであります。(拍手)かくしてこそ、真の民主的な議会政治家の態度と申されるでありましょう。
 私は、岸君が先年自民党の総裁に選ばれ、内閣総理大臣に就任されたとき、今からちょうど五十年の昔、お互いに未来の希望に胸をふくらませながら、ともに学んだ中学時代をなつかしく思い起こして、君が過去の権力につく官僚臭を脱して、民主的議会政治家として大成されることをこいねがう一文を草したことを、ゆくりなくも思い出しています。善事を行なうにおそ過ぎるということはありません。岸君、今こそ、その実を示してくれる千載一遇の好機です。(拍手)君が、いさぎよく安保改定交渉を即時打ち切って、すみやかに日中国交回復への積極的態度に踏み切って下さるならば、それこそ、君が戦犯の汚名をそそぎ、平和に貢献した偉大な政治家として、青史にその芳名を残すでありましょう。(拍手)私は、友人として、心から君のためにこのことあるを祈る。
 と同時に、与党の同僚各位におかれましても、戦争や冷戦の論理からは決して平和は生まれてこない、平和への新しき論理によってのみ真の平和は招来されるものであることに思いをいたされて、本決議案に全員御賛成あらんことを心からお願い申し上げまして、私の趣旨説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(加藤鐐五郎君) これより討論に入ります。順次これを許します。小泉純也君。
    〔小泉純也君登壇〕
#25
○小泉純也君 日本社会党から提案されました日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案に対しまして、私は、自由民主党を代表し、反対の討論をなさんとするものであります。(拍手)本決議案の前提をなすものは、国際情勢が緊張緩和に向かい、軍備撤廃及び平和共存の可能性が強くなったという、いわゆる世界雪解け説に出発をしておるのであります。従って、米ソ両巨頭相互訪問を契機とする東西冷戦の好転を希望することは、もとより、日本政府のかつてからの主張するところでございます。しかしながら、雪解けを希望することと、真に平和共存が可能になるということは、問題がおのずから別であるといわなければならぬのであります。(拍手)特に重要なことは欧州における東西融和の動きは東西両陣営の集団安全保障制度を基礎としておることでございまして、自国の安全を保障するための集団安全保障制度をゆるめる徴候は世界のどこにも存在しておらないのであります。(拍手)日米安全保障の体制あってこそ、講和締結後八年間、国民は安心して暮らすことができ、今日の、平和で、栄えた日本を築き上げることができたのであって、日米安全保障条約の重要なる役割というものは、歴史の事実がこれを証明して余りあるといわなければならぬのであります。(拍手)今回の安保改定は、七年前に規定いたしました不平等なる日米関係を脱却し、岸・アイク会談の成果による日米新時代を作り出さんとするものであります。戦後におけるアジアの緊張状態は、一九五一年九月日米安全保障条約が出現する前に、その一年有半前、日本を仮想敵国とする中ソ軍事同盟が締結をせられ、続いて、三十八度線を突破いたしました北鮮共産軍の南鮮攻撃が行なわれ、これら共産陣営の脅威こそは、わが日本をして安保条約の締結を促進させたものであるといわなければならぬのであります。(拍手)社会党は、安保条約の改定が軍事同盟であると独断し、これがアジアの危険状態を誘発するというがごときは、顧みて他を言う、驚くべき論理の飛躍であり、従来より繰り返されております容共的宣伝の域を一歩も出ないものと指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 以下、決議案中の各項に対しまして、きわめて簡単に反論を申し上げます。第一は、社会党は、バンデンバーグ決議の趣旨を条約に織り込むことは憲法に違反するものとして反対をされておるのでございますが、新条約は、日本の負うべき義務を厳に憲法の範囲内にとどめるということを交渉の大前提にいたしておるのでありますから、憲法に抵触する心配はごうもないのであります。元来、バンデンバーグ決議の趣旨は、条約当事国が、自由の安全を守るため、すべてを相手国に依存せず、みずからも応分の努力をなすべきであるという趣旨のものでございます。日本が自国の安全を守るため自衛力を整えることは、憲法の認むるところであるのみならず、むしろ、独立国として当然の措置でなければならないのであります。(拍手)また、米軍基地に対する攻撃を日本に対する攻撃とみなすことは、戦争に巻き込まれるものとして社会党は反対をせられておるのでございまするが、在日米軍に対する攻撃は事実上、日本に対する攻撃を意味するものでなければならぬのであります。日本が、このような事態に対しまして、自衛上これに対応することは当然であり、かかる決意を明らかにすることによってのみ日本に対する侵略を未然に防ぐことができると信ずるのであります。(拍手)しかるに、日本に対する攻撃を是認するがごとき口吻をなし、しかも、非が日本にあるというがごとき論理は、社会党の指導理念がいかなるものであるかという、その暴露以外の何ものでもないのであります。
 第二は、新条約を契機として軍備拡張が行なわれ、国民負担を増大すると宣伝をされるのでございますが、これは全く事実に反し、国民を惑わすものでなければならぬのであります。日本の防衛計画は日本が自主的に決定するものであり、新条約によって防衛費が急増するがごときことは断じてないのであります。むしろ、行政協定の改定によって防衛分担金が削除されるのであります。また、社会党は、反民主的立法がこれによって強行されるであろうと非難をしておりまするが、かくのごときは、まさに天に向かってつばきするものであり、現在日本の民主主義を脅威しておるものは何であるかと社会党に問いたいのであります。去る十一月二十七日、安保改定反対のデモ隊が神聖なる国会を暴力をもってじゅうりんしたこの不祥事こそは、まさに反民主主義的行動であり、社会党が平生言われる平和主義とはほど遠いものであるといわなければならぬのであります。(拍手)日本の民主主義を否定するものは左翼全体主義でありまして、わが自由民主党は、民主主義、議会主義を守ることを最大の使命とするものであることを、この際、特に明らかにしておきたいのであります。(拍手)第三は、事前協議についてでございます。現在の条約は米軍の行動について何ら制限がないことは、周知の通りであります。新条約は、米軍の行動について発言権を確立せんとするものでございまするので、米軍の行動については事前協議をするということを織り込んでおるのでございます。この事前協議は、当然、協議成立を前提とするものであることは、政府がたびたび声明をいたしておるところであります。また、在日米軍が国連軍の資格において行動する場合においても事前協議の対象になり得るのでございます。米国が日本の意向に反して一方的な行動をとらないということは、すでに日米間に明瞭に了解されておるところであります。社会党は、交渉を打ち切るべしと言うのでありまするから、現状のままでよろしい、米軍は自由勝手にふるまってもよいということを意味するものでございまして、その主張するところは矛盾撞着のきわみであるといわなければならぬのであります。(拍手)
 次は、極東の概念及び米軍の行動範囲についてであります。米軍の行動は極東の平和が乱された場合のみにとられるのでございまして、その行動は、おおむね極東地域内に限定さるべきものであります。社会党は、米軍の行動に対する責任を公式分担するの危険があると言っておられまするが、米軍の海外出動や核兵器の持ち込みについて、条約上の発言権がなければ責任を負う必要がないというような論旨は、独立国としての立場を失うものであり、天下の公党として断じてとらないところでなければならぬのであります。(拍手)
 第四は、条約改定が日中関係を阻害するとの点であります。さきに、私は、日米安全保障体制はアジアの緊張状態の所産であると申し上げましたが、この緊張たるや、日本の行動に基因するものは一つもないのであります。日本は共産圏を含むアジア各国との善隣関係の確立を希望し、アジア地域に平和が招来されることを熱望しておるのであります。しかるに、不可解なことには、日本国内において、日本がアジアの緊張に責任があるとか、あるいはまた、日本が中共を敵視しておるがごとき言辞を弄する者がありますることは、まことに嘆かわしい限りでございまして、戦後における日本の立場というものは全く受動的なものであることは、世界の学識でございます。さらにまた、安保改正によって日本が国際的に孤立すると社会党は言われまするが、国際的に孤立するのは、衛星国以上に共産圏の外交路線に盲従する社会党の姿であろうと思うのであります。(拍手)野党として何ら責任のない立場におるとはいえ、もし日本が社会党の言われるごとき外交路線をとるといたしまするならば、自由世界との経済交流は破綻を来たし、日本経済は破滅のほかなきに至ることは、火を見るよりも明らかであると思うのであります。(拍手)
 第五は、安保条約改定に関し、政府は国民に疑惑と不安を与えておると言われまするが、この責任はあげて社会党にありと断言せざるを得ないのであります。(拍手)かつては、現行安保条約が片務的であり、不平等であるからということで、その改正を迫りながら、藤山外務大臣の努力が実を結ばんとする今日に至って交渉打ち切りを叫び、あまつさえ、これにかわるべき何らの具体案を示さないということは、国民の何人も理解に苦しむところであります。(拍手)アメリカ、イギリス等における政党は、朝野の別はありましても、その政治理念においては共通の基盤に立って外交が推進をせられておるのであり、かくのごときが外交本来の姿でなければならぬのであります。しかるに、日本においては、民族の安危にかかる重大なる安全保障条約がよりよく改定されんとするのに、社会党はこれに反対をして、これを中止せよとの決議案がここに提出されておるのでありまして、国会未曽有の決議案であり、まさに世界外交史上空前の狂態でなければならぬのであります。(拍手)この結果、民主主義陣営の信用を失墜し、日本に対して謀略的働きかけをする国を利するのみでございまして、百害あって一利なき決議案といわなければならぬのであります。(拍手)私は、社会党の指導原理によって日本が動かされた場合、いかなる事態を生ずるかを考えまするとき、まことにりつ然たらざるを得ないのであります。(拍手)以上申し述べましたごとく、社会党提出の決議案は、ことごとく、事実の歪曲と、論理の矛盾と、反対せんがための反対以外の何ものでもないのであります。切に社会党の猛省を促してやみません。安全保障条約の改定こそは、平和を愛好する良識ある国民各層に共通する民族的要請であることにかんがみまして、私は、ここに本決議案に反対し、岸内閣はますます所信をかたくせられ、改定交渉を促進されるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
#26
○議長(加藤鐐五郎君) 柳田秀一君。
    〔柳田秀一君登壇〕
#27
○柳田秀一君 私は、日本社会党を代表して、本決議案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)今日のように、いわゆるPR、マスコミの世の中では、政治に無理は禁物であります。無理あるところ必ず破綻が起こることは、諸君も御異論ございますまい。ところが、現在行なわれておりまする日米安全保障条約改定の交渉ほど、無理また無理の積み重ねは、近世条約史したぐいまれなるものと思うのでありまして、以下、私は、この無理の数々を指摘しながら、討論を進めて参りたいと思うのであります。(拍手)無理の第一は、国連においては、過日、八十二カ国が完全軍縮決議を可決し、やがては、世界各国も日本国憲法の崇高なる精神にならわんとする趨勢にある、まさに全人類の歴史的、一大転換期に立って、こともあろうに、平和憲法を誇りとする日本が、アメリカと軍事同盟を結ばんとするところにあります。(拍手)伝えられる条約文第三条に、「自国の憲法の規定の範囲内において」と称し、「武力攻撃に抵抗するための能力を維持し、かつ発展させること」を約束させられていることは、これ、すなわち、バンデンバーグ決議の示す条件であり、明らかにわが国憲法に抵触するばかりでなく、憲法の拡大解釈を得意とする政府が、憲法の範囲内云々と、よくもぬけぬけと言えたその厚顔さに、あきれ果てるのでありまして、全くナンセンスといわなければなりません。言葉をかえて申せば、わざわざこのような文言を挿入せざるを得なかったことは、その裏に、みずからやましさを自認し、暴露しているといっても過言でないでしょう。(拍手)同時に、これは、必然的に防衛費の増大をもたらし、これによって踊るいわゆる死の商人と称せられる兵器生産大資本を除いて、国民大衆の生活はますます圧迫されること、当然の帰結であります。彼ら一連の死の商人どもが、安保改定のPR用に三億円の大金を自民党に献金せんとしている事実を忘れてはなりません。現に、なお戦争犠牲者の涙はかわいていない。働く意思と能力はあっても、失業者はちまたにあふれている。災害は年中行事のごとく国民を苦しめている。この風水害にしても、戦争によって山や川を荒廃せしめた上に、戦後もその跡始末すら満足にやらなかった結果の人災ではないと、はたして言い切れますか。伊勢湾台風だの、台風何号と呼ぶよりも、責任者の名前を冠して、岸災害何号とでも言った方が、よりはるかに国民感情にはぴったりくるでしょう。この国民感情をよそに、やれグラマンだ、やれロッキードだと、二転三転宙返り、文字通りの源田サーカスのあげく、スクラップ・ダウンの戦闘機を、血の出る思いの税金の中から買わされるざまは、一体何ですか。(拍手)国民は、アメリカ軍払い下げのズボンや中古洋服には見向きもしなくなりましたが、国防はアメリカのお古で間に合うとでも言われるのですか。無理の第二は、アメリカの極東戦略整備の一環としての軍事同盟の性格を隠蔽せんとして、木に竹を継いだように、数行の経済的協力の条章を挿入することによって条約上の体裁をごまかさんとしていることであります。こうした経済協力関係を防衛のための条約の中でうたって、はたしてどれだけの実効がありますか。松村謙三先生も言われる、金権政治の権化の岸内閣が、おこがましくも、その公約に三悪追放をうたえば、小学生でも笑い出すのと、世人信用せざることにおいて、まさに同類項であります。(拍手)無理の第三は、日本の施政下にある領域において、いずれか一方の締約国に対する武力攻撃が行なわれた場合には、自国の憲法上の規定と手続に従って、共通の危険に対処するため行動することを宣言する、というのでありますが、これまた、明瞭に憲法違反であります。すなわち、この場合、アメリカ側は集団的自衛権、日本側は個別的自衛権の発動を行なうことになるとの政府の解釈は、日本国憲法が、まさか集団的自衛権までも認めているとは、幾ら一方的な、勝手なごまかし解釈をしても説明ができぬうしろめたさからきたこじつけであって、これこそ、無理が通れば道理が引っ込むことわざの通りであります。無理の第四は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために米軍は駐留するというのであるが、この場合の極東は、使用目的の制限にはなっても、行動地域までも規制できないと理解するのが、すなおな受け取り方でありましょう。(拍手)あまつさえ、極東なる概念自体があいまいであるにおいては、在日米軍はどこにでも自由に出動し得るのであって、これが制約はとうてい不可能であります。この条項こそ、本条約の本質が、日本の防衛よりも、アメリカの極東戦略を中心とした軍事同盟であることを、端的に、如実に、遺憾なく現わしておるのでありまして、自民党内においてさえ疑惑を生み、さすがに先の見える河野二郎氏は、この条項の削除を一度は要求してみたものの、アメリカ側の受け入れ得ざることが判明するや、期限短縮に力点を切りかえたのでありまして、本条約が日本の平和に役立つにあらずして、日本国民の意思に反し、欲せざる戦争に巻き添えを食らう危険の可能性を物語っておると思うのであります。無理の第五は、条約期限十カ年をアメリカの要求により押しつけられたことであり、これは、今日の話し合い外交や平和共存に向かいつつある国際情勢を無視するものはなはだしいといわねばなりません。米韓、米華、米比各条約にすら見られないところであります。現行条約の暫定性を取り除いて、十一カ年間固定して拘束されることが、どうして改定即改善と言えるでありましょうか。政府・与党の中にさえ、一年ごとに改廃できる条項を入れよとの要求が出てくるのも当然であり、安保改定の含む危険性と時代逆行性を明らかに示しておるというべきであります。無理の第六は、例の事前協議についての交換公文であります。このことは、在日米軍の核武装に対する国民の憤りと心配をごまかさんとする窮余、苦肉の策であることだけは了解できます。(拍手)当初、外務当局の原案にあった、同意という字句が、アメリカ側からすげなく拒絶されて削除された、隠れもなき、いわば公然の秘密は、いかに政府が協議には拒否権ありと百万言詭弁をもってしても、三百代言か、しからずんば曲学阿世の徒輩はいざ知らず、カラスは黒い、サギは白いと、黒白を明らかにわきまえる人士には、およそ通用しない、へ理屈であることは、明々白々であります。(拍手)事前協議によって核兵器の持ち込みや米軍の域外出動を規制できるというのは、明らかにインチキであるのみか、特に、最近各紙の伝うるごとく、米軍が国連軍として行動する場合は事前協議の対象外であるというに至っては、何をか言わんや、事前協議はあってなきにひとしき空文であり、国民諸君は、ただ、あ然として、従来社会党が主張したることがいかに正しく、その反面、政府当局が国民をいかにごまかし続けてきたかを、今さらのごとく認識されたと思うのであります。(拍手)たとい百歩譲って、形式的には事前協議の対象になり得ても、わが国に拒否権がないことは、十二月十一日付のニューヨーク・タイムズ紙第一面に、「在日米軍の域外出動に対して日本に絶対的な拒否権を与えることにはならない」と権威筋も言明している旨外電が伝える事実に徴しても、疑う余地がありません。かくのごとき国の安危にかかわる重大関心事を新聞にスクープされ、すっぱ抜かれるまでほおかぶりをしながら、藤山外相のごとき、安保改定交渉は事実上終わったかのごとき態度で秘密外交に終始したことは、主権者たる国民を蔑視し、国権の最高機関たる国会を軽視するもはなはだしく、その責任まことに重大なりといわなければなりません。(拍手)さらに重要なことは、この規定を条約本文の中に入れること、これまた、アメリカ側の拒否した事実が、何よりも雄弁にこの効果を明白に示していると言うべきであります。すなわち、アメリカ国会の審議の対象にならない交換公文に回されたことこそ、アメリカ側の真意を最も露骨に表わしており、在日米軍の装備の強化、特にその核武装化について、日本側から何らかの拘束を受けるがごときことは、米国上院のとうてい容認し得ざるところであることを証明するものであります。(拍手)もし、しからずというならば、何ゆえにわざわざ条約本文からはずしたか、その理由を見出すのに苦しむのでありまして、結果的には、愚かしくも、日米両国の共同責任体制を確立することに相なるのみであります。以上、私は、この安保条約改定交渉が、いかに無理から無理の連続であるかを明らかにいたしました。これでは、本条約は、一名無理々々条約といわれてもいたし方がないでありましょう。かかる危険な条約交渉をこれ以上続けることは、アジア、アフリカ諸国の信頼を失い、日本はアジアの孤児となり、世界の期待を裏切る道以外の何ものでもありません。日本が、かつての戦争に対する反省どころか、戦争責任者の岸信介氏のもとで再び戦争準備を着々進めつつある今日の姿が、とりわけ、アジア民族の眼にいかに映りつつあるでありましょう。将来最も緊密に友好関係を保たねばならぬ隣邦中華人民共和国が、この点一番敏感に警戒しておるのも、決していわれなきことではありません。(拍手)国際緊張の緩和、軍事ブロックの解消、完全軍備撤廃、平和的共存と、たとい、その達成には、かすに時日を要するにしろ、世界が大きく動きつつあることは、だれしも否定し得ざるところであります。国の大小を問わず、その強弱を問わず、世界の大勢に順応するものは栄え、これに逆行するものは、やがては滅びること、古今東西の歴史の教えるところであります。(拍手)無理に無理を重ねて、世界の平和が保てる道理がありません。この際、行きがかりを捨てて、すべからく、改定交渉は即時打ち切るべきであります。国多難にして、つくづく人を思うのであります。自由民主党にも、憂国の士、燗眼達識の士は多士済々あろうかと信じます。ましてや、かつては軍国日本の輝ける指導者であり、あるときは、巣鴨プリズンでわびしく配所の月をながめながら、悔悟、ざんげの境地から、平和日本への挺進を誓われたはずの総理岸さんに、私は、最後に、心からなるはなむけの言葉を送って、本討論を終わりたいと存ずるのであります。(拍手)それは、満州事変に始まり、一九三六年二月二十六日頂点に達した軍閥独善の世相のさなか、国民の胸を一瞬強く鋭くゆさぶった千古の名言、今からでもおそくはない、今からでもおそくはないということでございます。(拍手)
#28
○議長(加藤鐐五郎君) 廣瀬勝邦君。
    〔廣瀬勝邦君登壇〕
#29
○廣瀬勝邦君 私は、ただいま上程されました日米安保条約改定交渉即時打ち切りに関する決議案に対し、社会クラブを代表して賛成の意を表せんとするものであります。(拍手)本決議案に賛成する第一の理由は、安保改定交渉の前提となる政府の国際情勢の見通しと判断の幾多の誤りについてであります。すなわち、一昨年、第一次岸内閣が成立直後、独立したわが国としては、現行日米安保条約による不平等性より脱却せねばならぬとする素朴なる国民感情を逆用して、自主的な、双務的なものにするとのふれ込みで、その実は、岸体制確立の一方便として、安易にその改定に手を染めたことに端を発するのでありますが、その重要なる背景をなす国際情勢が、この間、急激に変動し、日米安保条約の改定自体、その緊急性が薄れつつあるのが現状であります。まず、第一に、マクミラン英国首相の訪ソによって口火が切られ、本年九月のフルシチョフのアメリカ訪問、それに続く東西頂上会談への期待、さらに、最近におけるアイク大統領の十一カ国歴訪の経緯及びNATO理事会の結果など、ダレスなきあと、コンロン委員会報告、シラキュース報告等にも見られる通り、アメリカ外交路線の基底も微妙なる方向転換を指向し、東西雪解けの徴候は、今日、何人たりとも否定し得ない現実となりつつあるのであります。しかるに、岸総理並びに藤山外相は、今臨時国会において、国際情勢の変化や各国首脳の平和への努力は認めるが、今直ちに平和は招来されない、と、しいて国際情勢の好転を過小評価しようとしているのであります。政府は、すべからく、話し合いによる国際平和への努力を高く評価し、少なくとも東西巨頭会談の結果を見るまでは、わが国の安保改定は見送るべきが至当であると考えるのであります。(拍手)さらに、第二の情勢変化は、東西雪解けの方向と直接に関連する全面戦争否定への希望、軍縮の問題、ことに核兵器禁止についてであります。人類が手にした究極兵器の発達は、その決定的な破壊力、とどまるところなき膨大なる軍事出費の重圧面より、かえって逆に軍縮の進展を促進しているというのが実情であり、各国首脳の苦心の点もまたここに存するのであります。従って、政府としては、現時点において安保改定交渉を急ぐよりも、むしろ、わが国の非核武装を即時中外に宣明することにより、世界の核兵器禁止の方向に拍車をかけるとともに、特に中国の核武装を阻止することこそが、何ものにも優先する喫緊事であって、わが国安全の基本的命題であるといわねばならぬのであります。(拍手)第三には、中国の態度をめぐってであります。岸内閣は、成立以来、中国に対してはことさらに感情的となり、世上、敵視政策などといわれるくらい、かたくなな態度をとり、ことに、第四次貿易協定破綻以後、その交流は全くとだえているのであります。しかし、先般の石橋湛山氏の訪中、また、引き続いての松村氏一行の訪中は、自民党内にも中国の存在を正しく評価せねばとする良識派もあるのであって、真のわが国の外交路線は、中国を度外視し、あるいはこれを敵視しては成り立ち得ないことを如実に示しているのであります。われわれは、一部偏向分子のごとく、中華人民共和国の態度いかんによって直ちにわが国の外交を左右せねばならぬという偏見にとらわれるものではありませんが、現実に、安保改定交渉の推移が中国の対日警戒心を強めているという事実は、これを率直に認めなければならないのであります。中国との平和的な共存、台湾海峡をめぐる米・中の緊張をそのままに放置しておきながら、適時、国連軍として、あるいは米軍として、二重性格の使い分けができる在日米軍の海外出動を単なる協議事項で片づけようとするのは、あまりにも乱暴な、配慮のなさを指摘せざるを得ず、かくては、このまま安保改定交渉を続け、調印を強行することは、日本の将来をはなはだしく危険ならしめるものと断定のほかないのであります。決議案に賛成の第二の理由は、政府が、この安保改定交渉にあたって、当初より確たる見通しと成算の上に立っての何らの一貫性を持って臨んでいなかったという点であります。すなわち、日米新時代に即応する、対等にして双務的な、独立国にふさわしい手直しをするとして開始された交渉も、相互防衛方式を押しつけられ、次には基地貸与協定方式に変わり、最後に三転して、基地貸与協定プラス相互防衛方式の新条約に変わった一連の経過は、まさに、その無計画、無方針を端的に露呈したものといわざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、当初における岸、藤山両氏の考え方の相違、相互防衛方式か、基地貸与協定か、あるいは、三木武夫氏の、日米の軍事的提携を強化したり、防衛範囲を拡大するものであってはならないとする意見、また、河野一郎氏の、期限の問題等、閣内及び党内の意見の不一致は、わが国の運命を左右する安保改定を進める上に、あまりにも軽率のそしりを免れ得ないのであります。(拍手)保守勢力に連なる人々が、わが国の安全を確保するために、いましばらくの間アメリカの協力が必要であるとの立場をとるにせよ、少なくとも、米軍の常時駐留を取りやめて有事駐留にするとか、また、駐留の目的を日本の防衛に限るとかの点を真剣に考慮し、世論の一致を求めるのが当然でありましょう。かるがゆえに、われわれは、何の見通しもなく、計画性も一貫性もない、ただ漫然と相手国のペースに巻き込まれた、惰性による改定交渉は、即時、最初の第一歩から出直すべきであると主張するものであります。賛成の第三の理由は、改定の交渉内容について、国民の納得のいく論議が尽くされていないという点であります。たとえば、新条約第三条の「自助及び相互援助による防衛力増強」の約束、第五条の「わが国による共同防衛の義務負担」等は、重大なる憲法上の疑義があるのであります。岸総理や藤山外相はしばしば、「憲法の範囲内において」という表現をもって、これらの疑義点については憲法違反にならないと言明しておりますが、今日まで、政府が憲法の拡大解釈を常に行なってきた関係から、国民はこれを真に承服してはいないのであります。率直に申して、良識ある国民は、憲法第九条を持つ日本が、なぜ軍事同盟を結ばざるを得ないのか、政府のやり方に憤りを持って、深く憂えておるのであります。さらに、また、第六条及び付属交換公文における米軍の装備並びに極東の平和と安全のための米軍の出動に関する事前協議と、その適用範囲についてであります。ボタン一つ押せば敵地を壊滅する時代に、はたして現実的に事前協議が行ない得るかどうか、また、日米の力関係よりして、政府の言う通り拒否権が使い得るかどうかの点につき、国民は疑問を持っているのであります。さらに、日本に駐留する米軍が、必要に応じて、米軍としての行動と、国連軍としての行動の二重性格の使い分けができることに関し、国連軍も事前協議の対象となると言いのがれはしているものの、最近の世論が示す通り、これまた、国民は大きな危惧の念を抱いているのであります。米軍の出動範囲については、極東の安全と平和維持のためにという漠たる規定によって、その範囲はほとんど無制限に近く、戦力にあらざる自衛隊の共同行動との関連において、国民は日本のためにあらざる戦争に再び巻き込まれる危険性に対し不安を感じているのであります。条約期限の問題については、十年というのは、最近のごとく変転きわまりない国際情勢のもとでは、あまりにも長過ぎるというのが、国民の偽らざる感情であります。中ソ友好条約の期限が三十年であり、NATO協定が二十年であるから、十年が適当であるとする政府の言い条は、米韓、米比の一年の予告期間と対照して、なぜ日本のみが十年であるのか、その説得力は根拠がきわめて薄弱であります。以上例示した諸点でも明らかなるごとく、今次国会における政府の答弁はまことに不明確であり、国民は決して納得していないのであります。政府は、国民に真の意図を率直に明示すべき義務があります。しからずんば、安保改定交渉は今直ちに交渉を打ち切り、国民の理解を得るよう努力すべきでありましょう。かかる諸情勢のもとで、岸内閣が安保改定交渉の継続を強行せんとするのは、いかなる理由によるものであるか。それは、われわれの見地からすれば、日本の安全や、真に日本の将来を思う自主独立の外交のためではなく、単なる岸首相、藤山外相の党内的延命策以外の何ものでもないといわざるを得ず、われわれの断じて許すことのできないものであります。(拍手)最後に、集約として、われわれの基本的立場を明らかにし、安保改定交渉打ち切り決議案に賛成の意を尽くしたいと存じます。すなわち、われわれは、わが国外交の基本方針として、両陣営の冷戦には一切不介入の態度を堅持し、かつ、いずれの陣営とも軍事的結びつきを持たない非軍事同盟を目標とする立場に立つものであります。敗戦、その結果としての軍事占領、引き続いての朝鮮動乱からの遺産とも言える日米間の軍事的結びつきは、その密着の度合いを薄めるべきが順当であって、日米安保条約は、冷戦の緩和、国際軍縮などの諸情勢と相待って、かつは、具体的なわが国をめぐる安全保障体制整備との見合いにおいて、段階的な方法によりこれを解消すべきものであると信ずるのであります。(拍手)しかるに、政府の改定の方向とその内容は、日本の自主性の回復を名とし、かえって新安保条約によってバンデンバーグ決議を基軸とする相互防衛条約に変質させようとするものであって、このような内容の改定は、前述の軍事同盟の希薄化と、安保条約解消の基本方向に反するがゆえに、断じて容認し得ざるものであります。従って、われわれは、政府に対し、かかる内容の改定を即時とりやめ、解消の方向に沿った改定に問題を限定すべきこと、また、その場合においては、われわれとしても独自の見解を表明する用意のあることを披瀝したが、政府はこれに耳を傾けようとはせず、ただ、いちずに、原案による交渉の終局的妥結に走ろうとしておるのであります。よって、ここに、重大なる決意を持って、政府の改定交渉の即時凍結を再度要求して、賛成の討論といたします。(拍手)
#30
○議長(加藤鐐五郎君) 菊川君子君。
    〔菊川君子君登壇〕
#31
○菊川君子君 私は、民社クラブを代表いたしまして、ただいま社会党から提案されました安保交渉の打ち切り決議案に対しまして賛成の意を表明したいと思います。(拍手)私は、わが国がとらなければならない外交の基本的な方向は、両陣営の冷戦にかかり合うことなく、そして、いずれの陣営とも軍事的な結びつきを持たない、この立場をかたく堅持しながら、国連憲章の精神に基づいた平和主義を標榜すべきである、と深く信じております。(拍手)このような観点からわが国の安全保障の問題を考えて参りますと、敗戦による軍事占領、そして、朝鮮戦争の遺産である現在の日米安全保障条約は、あくまでも解消を前提としながら、順次これを改正していくようにすることが、わが国の平和と独立を保障し、同時に、世界の平和に役立つ最も現実的な道であると考えるものでございます。(拍手)ところが、今政府の進めておられる安保条約改定の方向とその内容を見ますと、日本の自主性の回復という美しい名のもとに、従来の基地貸与協定からさらに進んで、バンデンバーグ決議をもとにした本格的な軍事同盟に変えようとすることに主眼が置かれているのでございます。(拍手)このような改正は、戦争の痛手を身をもって体験し、そして、再び戦争に巻き込まれたくないと願っておる多くの国民の期待に反するばかりでなく、日本の将来に重大な影響を与えることになると思うのでございます。政府の考えておられる安保改定の交渉は、この国民の願いを無視するだけではなく、軍事同盟の緩和と解消という、わが国として当然とらなければならない外交の基本的な方向に背を向けるものといわなければなりません。私が政府の安保改定交渉に反対し、その交渉の打ち切りを要求する第一の理由はここにあるのでございます。(拍手)第二点は、政府の考えておられる安保改定交渉は、最近のいろ国際情勢の変化に対して何らの考慮も払わないで進められていることでございます。終戦後、アメリカとソ連の力の対立に始まって、朝鮮戦争を初め、いろいろな局地戦争に脅かされて参りました。しかし、この対立も最近はだんだん変わって参りまして、フルシチョフ首相の訪米を初め、ニクソン副大統領の訪ソ、また、アイゼンハワー大統領が十一カ国を歴訪するというように変わって参りました。国連では軍縮決議案が満場一致で可決されましたし、米ソの首脳会談の実現にも期待が持たれるというように、東西両陣営に雪解けのきざしが見えつつあるのが現状でございます。(拍手)このように、世界は緊張緩和の方向に向かい、軍縮の方向に向かいつつあるときに、ひとりわが国だけが、第二次自衛隊の増強計画ということで、今でさえ負担にたえかねている国民の生活をしり目に、自衛隊をふやしたり、新しい飛行機に膨大な予算が使われようとすることは、何としても納得ができないのでございます。(拍手)これは、平和を願う世界の方向に故意に目をふさぐものといわなければなりません。一方では、日本とアメリカとの関係は、今度の改定交渉を通して、より一そう強いものになろうとしておりますが、このように一方に片寄ることは、かえって他を刺激する結果になりかねないことは、私が申し上げるまでもないと思います。たとえば、身近な問題といたしまして、お隣の中国の警戒心をより一そう刺激するだけでなく、いたずらに緊張を長引かせることに力をかすような皮肉な結果になると思うのでございます。このように見て参りますと、これからの日本の進むべき道は、おのずからはっきりすると思うのでございます。それには、まず、日本が率先して軍備を縮小し、核武装化の禁止を打ち出すことが、緊張をやわらげる最も現実的で有効な手段であり、これこそが、安保改定に優先して日本の安全を守るただ一つの道であると私は信じております。(拍手)第三の理由は、今度の改定交渉は、全く無方針なだけでなく、党利党略に基づいて進められている点を指摘しなければなりません。この点は、ただいま廣瀬議員からも指摘されましたが、政府は、この交渉を始めてから、初めは安保条約の手直しをはかり、次には相互防衛方式を考え、その後に基地貸与協定方式に傾き、最後に、再び基地貸与プラス相互防衛方式の新条約にきまるというように、まことに無方針な態度に終始したのでございます。しかも、この交渉の過程におきましては、内部からも異論が出て参りまして、その調整もできず、また、世論をまとめることさえできないありさまでございます。このことは、政府が一貫した計画性に欠けていたことと、岸首相と藤山外相の独走を示す以外の何ものでもないと思うのでございます。最後に、最も重要な理由として指摘しなければならないことは、新条約の内容は多くの疑点があることでございます。その第一は、新条約の第三条に、自助及び相互援助による防衛力増強の約束を規定し、さらに、第五条で、わが国の共同防衛の義務の負担を規定していることでございます。この二点は、国際紛争を解決する手段として、武力の行使は永久にこれを放棄すると明記してある憲法上から見ましても、重大な疑義があると思うのでございます。第二点は、第六条など、付属交換公文の、米軍の装備、及び極東の平和と安全のための米軍の出動に関する事前協議の問題でございます。この点は、すでに予算委員会や外務委員会でもたびたび指摘されましたように、何ら実質的な意味を持たない、気休め程度のものであることが明らかにされております。御承知のように、吉田・アチソン交換公文は、米軍以外の国連軍の日本における施設、また役務の使用を許す約束をしたものでありまして、先日も内海議員から指摘されましたように、本来、この種の約束は日本と国連との間で結ばれなければならないことであって、政府が言われるように、日米安保条約に関連して、日本とアメリカの間で打ち合わせて協定する必要は全くないと考えるのでございます。しかし、政府は、先日の藤山外相の答弁でも明らかにされましたように、今度の安保改定にあたって、国連軍の行動も、新安保の事前協議条項によって規制できるという立場をとっておられるようでございますが、こうした見解は基本的に間違いであると思います。かりに、国連軍である米軍の出動について協議事項を発動してみても、国連の行動だから当然賛成すべきだという議論で押し切られ、協議とは名ばかりで、日本が拒む余地は全くないということになってしまいます。次は、条約の期間の問題でございます。新しい条約には、その期限を十年とし、その後一年の予告期間を置いて破棄する方針をとっておりますが、この点は、過去のアメリカと韓国、また、アメリカと台湾の条約にもその例が見られなかったことですし、また、現在のように急激な国際情勢の移り変わり、また、雪解けの進行を全く無視したものといわなければなりません。このように、新しい条約をこまかく検討いたしますと、こうした疑いは数限りなくあるのでございます。以上、私は、安保改定交渉を打ち切るべきいろいろな理由を指摘して参りましたが、最近の世論調査の動向を見ましても明らかなように、多くの疑惑を持つ安保改定にはきわめて批判的であり、もっと時間をかけて検討すべきだという声が大きいのでございます。政府・与党は、今までにも、国民多数の支持を得たということで、ずいぶん横車を押して参りましたが、事安保改定に関する限り、国民の支持があったとは言えないと思うのでございます。というのは、昨年の選挙では安保改正には触れておりません。従って、国民の意思を問うたことにはならないのでございます。もっとも、今の安保が作られたときには国民にその内容が知らされないだけではなく、調印のために一緒に出かけた苫米地さんが、サンフランシスコで、わしゃこんなものに判こをつきに来たんじゃないと言ってごねたくらい、秘密のうちに進められていたということでございますが、国の運命を左右するような重大な問題を、今の国会の議席の数だけできめるべきでなく、国民多数の意思によってきめるべきだと思います。(拍手)私は、岸首相と藤山外相に申し上げます。私どもは、幾百万という同胞の血を代償として平和憲法を獲得し、そして、民主的な国に生まれかわることができました。私どもは、平和を守るために、今日まで最大の努力を続けて参りました。しかし、今政府の考えている内容の改定を許すようなことになりますと、私どもの今までの努力も水のあわになりますし、安保を改定することによって憲法を改正したと同じようなことをやらされることになると思うのでございます。私どもは、それを一番おそれております。その意味からも、政府は、この際、こうした世論に謙虚に耳を傾げ、みずから反省して、日本の安全を誤らないように期待する国民の声にこたえるためにも、現在進めている安保改定交渉は即時打ち切るべきだと思います。このことを強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わりたいと存じます。(拍手)
#32
○議長(加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#33
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#34
○議長(加藤鐐五郎君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#35
○議長(加藤鐐五郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#36
○議長(加藤鐐五郎君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#37
○議長(加藤鐐五郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百二十三
  可とする者(白票)  百十六
    〔拍手]
  否とする者(青票)  二百七
    〔拍手〕
#38
○議長(加藤鐐五郎君) 右の結果、日米安全保障条約改定交渉の即時打切りを要求する決議案は否決されました。
    ―――――――――――――
 淺沼稻次郎君外四名提出日米安全保
 障条約改定交渉の即時打切りを要求
 する決議案を可とする議員の氏名
   赤松  勇君 茜ケ久保重光君
   淺沼稻次郎君  足鹿  覺君
   飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君
   井伊 誠一君  井手 以誠君
   猪俣 浩三君  石川 次夫君
   石田 宥全君  石野 久男君
   石村 英雄君  石山 權作君
   板川 正吾君  小川 豊明君
   小沢 貞孝君  大貫 大八君
   太田 一夫君  岡田 春夫君
   岡本 隆一君  加賀田 進君
   加藤 勘十君  風見  章君
   柏  正男君  片島  港君
   勝間田清一君  角屋堅次郎君
   金丸 徳重君  上林與市郎君
   神近 市子君  川村 継義君
   河野  正君  木原津與志君
   北山 愛郎君  久保 三郎君
   久保田鶴松君  栗原 俊夫君
   栗林 三郎君  黒田 寿男君
   小林  進君  小林 正美君
   河野  密君  佐々木更三君
   佐藤觀次郎君  佐野 憲治君
   坂本 泰良君  阪上安太郎君
   櫻井 奎夫君  實川 清之君
   島上善五郎君  下平 正一君
   東海林 稔君  杉山元治郎君
   鈴木茂三郎君  田中織之進君
   田中 武夫君  多賀谷真稔君
   高田 富之君  滝井 義高君
   館  俊三君  辻原 弘市君
   戸叶 里子君  中井徳次郎君
   中澤 茂一君  中嶋 英夫君
   中原 健次君  中村 高一君
   中村 英男君  永井勝次郎君
   成田 知巳君  西村 力弥君
   野口 忠夫君  芳賀  貢君
   長谷川 保君  原   茂君
   原   彪君  日野 吉夫君
   平岡忠次郎君  穗積 七郎君
   松浦 定義君  松前 重義君
   松本 七郎君  三鍋 義三君
   三宅 正一君  森本  靖君
   八木 一男君  安井 吉典君
   柳田 秀一君  山口シヅエ君
   山田 長司君  山中 吾郎君
   山花 秀雄君  山本 幸一君
   横路 節雄君  和田 博雄君
   池田 禎治君  今村  等君
   大矢 省三君  加藤 鐐造君
   春日 一幸君  小平  忠君
   小松信太郎君  竹谷源太郎君
   堤 ツルヨ君  廣瀬 勝邦君
   水谷長三郎君  武藤 武雄君
   受田 新吉君  木下  哲君
   菊川 君子君  田中幾三郎君
   北條 秀一君  門司  亮君
   本島百合子君  志賀 義雄君
 否とする議員の氏名
   安倍晋太郎君  相川 勝六君
   逢澤  寛君  青木  正君
   赤城 宗徳君  赤澤 正道君
   秋田 大助君  淺香 忠雄君
   足立 篤郎君  天野 公義君
   天野 光晴君  綾部健太郎君
   荒木萬壽夫君  荒舩清十郎君
   新井 京太君  井原 岸高君
   飯塚 定輔君  生田 宏一君
   池田 清志君  池田 勇人君
   池田正之輔君  石井光次郎君
   石坂  繁君  稻葉  修君
   今井  耕君  今松 治郎君
   宇田 國榮君  植木庚子郎君
   臼井 莊一君  内海 安吉君
   江崎 真澄君  遠藤 三郎君
   小川 平二君  大久保武雄君
   大倉 三郎君  大島 秀一君
   大坪 保雄君  大野 市郎君
   大野 伴睦君  大橋 武夫君
   大平 正芳君  大森 玉木君
   岡崎 英城君  岡部 得三君
   岡本  茂君  奧村又十郎君
   押谷 富三君  加藤 精三君
   賀屋 興宣君  金子 岩三君
   金丸  信君  上林山榮吉君
   亀山 孝一君  鴨田 宗一君
   川崎末五郎君  川島正次郎君
   川野 芳滿君  菅野和太郎君
   簡牛 凡夫君  木倉和一郎君
   木村 守江君  菊池 義郎君
   岸  信介君  吉川 久衛君
   久野 忠治君  倉石 忠雄君
   倉成  正君  黒金 泰美君
   小泉 純也君  小島 徹三君
   小平 久雄君  小林かなえ君
   小林 絹治君  小山 長規君
   河野 孝子君  纐纈 彌三君
   佐々木盛雄君  佐藤 榮作君
   佐藤洋之助君  齋藤 邦吉君
   坂田 道太君  櫻内 義雄君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   始関 伊平君  椎熊 三郎君
   椎名悦三郎君  篠田 弘作君
   島村 一郎君  進藤 一馬君
   周東 英雄君  鈴木 正吾君
   鈴木 善幸君  砂原  格君
   瀬戸山三男君  關谷 勝利君
   園田  直君  田口長治郎君
   田中伊三次君  田中 榮一君
   田中 角榮君  田中 龍夫君
   田中 正巳君  田邉 國男君
   田村  元君  高石幸三郎君
   高瀬  傳君  高田 富與君
   高橋清一郎君  高橋 禎一君
   高橋  等君  竹内 俊吉君
   竹下  登君  武知 勇記君
   谷川 和穗君  千葉 三郎君
   中馬 辰猪君  辻  寛一君
   綱島 正興君  渡海元三郎君
   徳安 實藏君  内藤  隆君
   中井 一夫君  中島 茂喜君
   中村 幸八君  中村 寅太君
   永田 亮一君  永山 忠則君
   灘尾 弘吉君  二階堂 進君
   丹羽喬四郎君  根本龍太郎君
   野田 卯一君  野原 正勝君
   羽田武嗣郎君  馬場 元治君
  橋本登美三郎君  長谷川四郎君
   長谷川 峻君  八田 貞義君
   服部 安司君  濱田 幸雄君
   濱田 正信君  濱地 文平君
   濱野 清吾君  早川  崇君
   原 健三郎君  原田  憲君
   平井 義一君  平塚常次郎君
   平野 三郎君  廣瀬 正雄君
   福家 俊一君  福井 順一君
   福井 盛太君  福田 赳夫君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  藤本 捨助君
   藤山愛一郎君  船田  中君
   古川 丈吉君  保科善四郎君
   保利  茂君  坊  秀男君
   細田 義安君  堀内 一雄君
   堀川 恭平君  前尾繁三郎君
   前田  郁君  前田 正男君
   益谷 秀次君  増田甲子七君
   松浦周太郎君  松澤 雄藏君
   松田竹千代君  松田 鐵藏君
   松野 頼三君  松本 俊一君
   三池  信君  三浦 一雄君
   三田村武夫君  三和 精一君
   水田三喜男君  南  好雄君
   村上  勇君  村瀬 宣親君
   毛利 松平君  森下 國男君
   八木 一郎君  保岡 武久君
   柳谷清三郎君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  巖君  山下 春江君
   山田 彌一君  山中 貞則君
   山村新治郎君  吉田 重延君
 早稻田柳右エ門君  渡邊 本治君
   渡邊 良夫君
     ――――◇―――――
#39
○議長(加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト