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1959/11/13 第33回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第033回国会 文教委員会 第3号
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1959/11/13 第33回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第033回国会 文教委員会 第3号

#1
第033回国会 文教委員会 第3号
昭和三十四年十一月十三日(金曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 大平 正芳君
   理事 稻葉  修君 理事 簡牛 凡夫君
   理事 木村 武雄君 理事 高見 三郎君
   理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君
      池田 清志君    加藤 精三君
      木村 守江君    坂田 道太君
      高橋 英吉君    竹下  登君
      田邉 國男君    谷川 和穗君
      濱野 清吾君    柳谷清三郎君
      西村 力弥君    長谷川 保君
      堀  昌雄君    本島百合子君
      山崎 始男君    横路 節雄君
      鈴木  一君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松田竹千代君
 出席政府委員
        文部政務次官  宮澤 喜一君
        文部事務官
        (大臣官房長) 齋藤  正君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     内藤譽三郎君
        文部事務官
        (体育局長)  清水 康平君
 委員外の出席者
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
十一月十二日
 委員横山利秋君辞任につき、その補欠として山
 崎始男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
 委員高橋英吉君、八木徹雄君、松永東君及び堀
 昌雄君辞任につき、その補欠として田邉國雄君、
 柳谷清三郎君、池田清志君及び横路節雄君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員田邉國雄君、柳谷清三郎君、池田清志君及
 び横路節雄君辞任につき、その補欠として高橋
 英吉君・八木徹雄君、松永東君及び堀昌雄君が
 議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月十二日
 義務教育施設費半額国庫負担等に関する陳情書
 (鳥取県町村議会議長会長山木昇造)(第二一
 八号)
 教育課程改悪反対に関する陳情書(北海道空知
 郡上砂川町議会議長皆木留吉)(第二一九号)
 公立小中学校用地買収費国庫負担に関する陳情
 書(福岡県町村議会議長会長松木富士雄)(第
 二九一号)
 へき地教育振興に関する陳情書(北海道議会議
 長徳中祐満)(第三三六号)
 高等学校の理科教育振興に関する陳情書(盛岡
 市上田全国高等学校長協会長両角英運)(第三
 八六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本学校安全会法案(内閣提出、第三十一回国
 会閣法第一二一号)
 学校教育に関する件
     ――――◇―――――
#2
○大平委員長 これより会議を開きます。日本学校安全会法案を議題として審査を進めます。本案に対し、加藤精三君及び堀昌雄君よりそれぞれ修正案が提出されております。
    ―――――――――――――
#3
○大平委員長 両修正案の提出者よりそれぞれ趣旨説明を聴取いたします。まず加藤精三君。
#4
○加藤(精)委員 提案者一同にかわりまして修正案の要旨を御説明申し上げます。
 修正案の案文を朗読いたします。
 日本学校安全会法案の一部を次のように修正する。
 第十八条第一項第二号中「に対し」を「又は政令で定める場合には里親(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号に規定する里親をいう。以下同じ。)その他の政令で定める者に対し」に、「「災害共済給付」という。以下同じ。」を「以下「災害共済給付」という。」に改め、同条第二項中「専科大学の前期の課程及び上を削り、「災害につき、」の下に「当該生徒及び幼児の保護者又は政令で定める場合には里親その他の政令で定める者に対し、」を加える。
 第十九条第一項中「以下」を「第三十六条の場合を除き、以下」に、「児童又は生徒の保護者」を「児童若しくは生徒の保護者又は政令で定める場合には里親その他の政令で定める者」に改め、同条第三項中「第一項の契約」を「第一項の規定による災害共済給付契約」に改める。
 第二十条第一項中「共済掛金」を「第十八条第一項第二号に掲げる災害共済給付に係る共済掛金」に改め、同条第三項本文中「当該契約に係る児童又は生徒の保護者」を「当該災害共済給付契約に係る児童若しくは生徒の保護者又は政令で定める場合には里親その他の政令で定める者」に、同項ただし書中「当該保護者」を「当該徴収されるべき者」に改める。
 第二十一条中「災害共済給付」を「第十八条第一項第二号に掲げる災害共済給付」に改める。
第二十二条中「規定により」を「規定による」に、「当該契約」を「当該災害共済給付契約」に改める。
 第三十一条に次の一号を加える。
 三 信託会社又は信託業務を営む銀行に対する金銭信託(運用方法を特定する金銭信託を除く。)
 第三十五条第二項中「保護者」を「同項に規定する者」に改める。
 第四十六条第二号中「第十八条」を「この法律上に改める。附則第一条中「昭和三十四年十月一日」を「公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日」に改める。
 附則第七桑中「翌年」を「昭和三十五年」に改める。
 附則中第十五条を第十七条とし、第十四条を第十六条とし、第十三条を第十五条とする。
 附則第十二条中「第五条六」を「第五条第六号」に、「及第二項ニ掲グル給付及」を「、第二項及附則第十一条第一項二掲グル給付並二同法」に、「二規定スル災害共済給付契約(同法第二十三条二於テ準用スル場合ヲ含ム)」を只同法第二十三条及其ノ準用規定二於テ準用スル場合ヲ含ム)二規定スル災害共済給付契約」に改め、附則中同条を第十四条とし、第十一条を第十三条とし、第十条を第十二条とし、第九条の次に次の二条を加える。
 (共済掛金に関する特例)
第十条 この法律の施行の際、民法第三十四条の規定により設立された財
団法人で、児童又は生徒の学校の管理下における災害に関してその名称の何であるかを問わず災害共済給付に相当し、又はこれに類する給付を業務として行うものが現に存し、かつ、当該給付に要する経費の財源が、学校の設置者ごとに、及び学校の種類ごとにみて、当該学校の設置者又は当該学校の所在地の都道府県の補助又は出えんに係るものであり、当該学校の児童又は生徒の保護者等又は当該保護者等を構成員とする団体等の出えんによっていないものである場合においては、当該学校の設置者は、当分の間、その旨の文部大臣の認定を受けた上、第二十条第三項の規定にかかわらず、当該児童又は生徒に係る同項に定める額の全部を徴収しないこととすることができる。この場合においては、当該学校の設置者は、あらかじめ、当該学校の児童又は生徒につき、当該額の全部を徴収しない旨を規定で定めておかなければならない。
2 文部大臣は、政令で定めるところにより、前項の権限を都道府県の教育委員会に行わせることができる。
 (保育所の災害共済給付)
第十一条 安全会は、当分の間、第十八条に規定する業務のほか、保育所(児童福祉法に規定する保育所をいう。)の管理下における同法に規定する乳児、幼児その他の児童の災害につき、当該乳児、幼児その他の児童の保護者又は政令で定める場合には里親その他の政令で定める者に対し、災害共済給付を行うことができる。
2 前項の災害共済給付については、第二十三条の規定を準用する。
3 安全会が第一項の規定により同項の災害共済給付を行う間は、第四条第一項第八号中「学校」とあるのは「学校又は保育所」と読み替えて、同条の規定を適用する。
4 第一項の災害共済給付に関しては、第三十七条中「児童、生徒又は幼児」とあるのは「附則第十一条第一項に規定する乳児、幼児その他の児童」と読み替えて、同条の規定を適用する。
 ただいま修正案の全文を朗読いたしましたが、その修正案の要旨は、第一に、学校安全会に類似のものにつき、現に掛金に相当する寄付金の全額を設置者が負担している場合は、当分の間、保護者から徴収しないことができるようにすること。第二に、当分の間保育所の乳児、幼児等の災害についても、幼稚園の幼児の災害と同様に取り扱い、災害共済給付を行なうことができるようにすることであります。第三点としては、両親が死亡している場合など、後見人を選任しなくても、事実上の扶養者が災害共済給付が受けられるようにし、また保護者があっても里親に出されている場合には、里親が災害共済給付を受け得る道を開こうとするものであります。さらに第四点としては、安全会の余裕金の運用について、金銭信託をなし得るようにし、第五に、本案の施行期日を公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日に改めることであります。
 以上提案趣旨の説明を終わります。
#5
○大平委員長 堀昌雄君。
#6
○堀委員 社会党を代表いたしまして、日本学校安全会法案に対する修正案の御説明を申し上げます。条文は皆さんのお手元に配ってありますので、それを御参考にしていただきまして、私の申し上げる要旨をお聞きいただきたいと思います。
 この日本学校安全会法案は、義務教育の諸学校を中心といたしまして、高等学校、幼稚園等をこれに付加してできております共済的な法律でございますけれども、私どもはこの安全会に対する考え方といたしまして、憲法第二十六条で、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」ということがはっきりとうたわれておりますように、やはり義務教育の諸学校につきまして、現在非常に大きな父兄負担をいたしております中で、こういう災害に関する給付までも負担をさせるということははなはだ遺憾であるというふうに考えます。これが私どもの修正案の骨子でございます。
 そこで、具体的には、第一条の「義務教育諸学校等」を「学校」に改めまして、学校安全会は高等学校その他を含む学校を対象といたすことにいたしました。そうして、その中で、第二十条第3項というのを削りまして、義務教育の諸学校に対する分につきましてだけ、共済掛金は、父兄負担ではなくて設置者の負担であるということにいたしました。それに関連をいたしまして、第三十五条第2項を改めまして、1項から申し上げますと、「国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、安全会の事務に要する経費の一部を補助するものとする。」というふうに改め、第2項を、「国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、安全会の行う学校の児童及び生徒に係る災害共済給付に要する経費の一部を補助するものとする。」こういうふうに改めたいと考えるわけであります。これは、ただいま申し上げましたように、義務教育無償の原則で設置者である地方自治体と国が、おのおのその責任において負担をするのが正しいのではないかという考え方に基づくわけでございます。
 そこで、これに関連をいたしまして、附則の第一条第2項に、「この法律の規定中国立及び公立の学校の児童及び生徒についての災害共済給付に係る部分は、昭和三十七年三月三十一日までに限り、適用するものとする。ただし、当該日までに生じた事由に基く災害に関しては、なお従前の例による。」という項を加えることにいたしました。これは、私ども昭和三十七年三月三十一日まではこの安全会によって行なうことにいたしますが、それ以後は当然国の責任をもっと明らかにして、国が負担をするという建前のもとに、新たなる法律が設定をされるということを期待しておるわけであります。
 さらに、第十条として、地方自治体のいろいろな事情によりまして、私どもの念願しております設置者負担というものが現実に行なわれない場合においては、当分の間を限って父兄から掛金を徴収することができることといたしました。これは、私ども、現実に二十三府県しかないものが、全国に広がります中で、一斉に設置者が負担し得る状況であるかないかということについて、まだ詳しく調査検討がされておりませんので、当分の間このような弾力をつけまして、地方自治体が円滑にこの問題を処理することができる道を開いておるわけでございます。
 第十一条におきまして、現在幼稚園と保育所の問題がございますが、幼稚園には比較的恵まれた家族の子弟が参り、保育所には比較的貧しい家庭の子供たちが通っております現状の中で、幼稚園と保育所を差別いたしますことには問題があろうかと考えますので、私どもは、保育所をも含めて安全会の対象にいたしたいと考えておるわけでございます。
 さらに本則の方で、自民党の修正案にもございましたけれども、私どもも里親に対しても安全会のいう保護者の資格を与えるのを適当と考えまして、第十八条第1項の中を改正をいたしました。
 以上が私どもの修正案の大要でございます。何とぞよろしくお願いをいたします。
#7
○大平委員長 以上をもちまして両修正案の趣旨説明は終りました。質疑の通告がございませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。この際、堀昌雄君提出の修正案について、内閣において御意見があれば聴取いたしたいと思います。
#8
○松田国務大臣 政府といたしましては、ただいま御説明になりました修正案に対しては賛成いたしかねます。
    ―――――――――――――
#9
○大平委員長 これより原案並びに両修正案を一括して討論に付します。討論の通告があります。まず、櫻井君。
#10
○櫻井委員 私は、ただいま説明されました法案についての討論を行ないます。
 最近におきまして、学校の生徒、児童の学校の管理下におけるところの災害が頻発をいたしまして、それに対しまして何らかの救済の道を講ずべきであるという全国的世論が巻き起こりまして、わが党といたしましては、いち早く児童、生徒の災害法、いわゆる罹災法といわれる法律案を昭和三十年の七月二十七日、第二十二回の国会に提案をいたしました。その後引き続き二十四回、二十六回、二十八回、二十九回、三十回、三十一回、三十二回、三十三回と国会が開かれるたびに連続この法案は継続審議となって今日に至っているのであります。このことは、この法律案を、やはり自民党といえどもこれを一概に否決されることができなかったということをはっきりと物語っておるものと私どもは確信しております。私どもが累次の国会に提案をいたしました罹災法の精神というものは、先ほどわが党から出しました修正案の提案者である堀君から説明がありました通り、由来、義務教育に関する限り、これは憲法二十六条にはっきり明記してあります通り、無償とするのがわが日本国の義務教育のあるべき姿である。そういう建前に立つならば、学校の管理下にあるときの児童、生徒の災害というものはこれは当然政府がその責任を負うべきである。そういう建前から、一切の義務教育にかかる児童、生徒の災害に対しては、これを政府が補償する、こういう建前をとって今日まで参っておる次第であります。ところが、このような世論を背景にいたしまして、政府の児童、生徒の災害に対する態度が明確にならないままに、全国に、何とか児童、生徒の災害を救助しなければならない、こういう趣旨から、いわゆる共済制度の学校安全会というのが設立をされまして、それが累次数をふやして参りまして、ただいまにおいては二十三府県に及んでいる。こういう現実の事態の前に、ついに政府も先国会においてこの安全会法というものを提案して参ったわけであります。しかし、この安全会法は、私どもが罹災法を出しておる、やはりこういう大きな国民の要望、こういうものに押されて、これは出したものと思われるのでありますが、この安全会法の趣旨はあくまでも共済制度をとっておる。今日義務教育における父兄負担の軽減というものは全国的な大きな世論である、そういう中において、たとえ児童、生徒の災害を救助するというりっぱな目的があるとしても、それを父兄負担においてまかなうということは、やはり憲法の精神に反するのでなかろうか、こういう建前から、私どもはこの政府提案の安全会法というものについては今日まで反対の立場をとって参ったわけであります。しかしながら現実には、先ほど申しましたように、全国において二十三都道府県においてすでに安全会というものが発足をしておる。そうするならば、やはり今日次善の策として、このようなすでに発足を見ておるところの安全会に対して混乱を避けしめるために、政府の提案されておるところの安全会法というものを一部修正をして、そして将来はこれを地方自治体なり国なりがこれらの費用を負担するという大前提のもとに一応現状を認めてもいいのではないか、こういうような趣旨のもとに、実は自民党の方とも折衝をいたしまして、ある程度その成立の見通しがついたわけであります。しかし自民党におかれましても再三党内において調整をはかられたわけでありますが、ついに私どものこの大前提となる父兄の負担においてこれを行なわない、共済制度ではなくして、これはやはり地方公共団体なり国が負担すべきものであるというこの大前提において両党の意見の一致を見るに至らなかったわけであります。従いまして、残念ながら今日の両党の共同の修正案ということがついに不成立に終わったのを私どもは返す返すも残念に思うわけでございますが、そのような趣旨において私どもは今日の安全会の現実の姿は、これを是認するといたしましても、あくまでも将来はこれを父兄の負担において児童、生徒の災害を救助するのでなくして、憲法の精神において国と地方公共団体、設立者、こういうものに災害の当然の最終的の責任を帰すべきである。このような精神を今日といえども私どもは堅持いたしておるのであります。従いまして、文部当局におかれましても、将来においてはぜひとも私どものこのような念願がかなうような措置を講ぜられるように、私は特に今日文部大臣にお願いをいたすわけであります。
 以上のような趣旨によりまして、私どもは今日自民党の修正案というものに遺憾ながら賛成をいたしかねるということを説明しまして、反対をいたす次第であります。
#11
○大平委員長 加藤精三君。
#12
○加藤(精)委員 本案の討論をいたします前に、特に私の感想を申し上げますと、社会党の委員諸君も、自民党の委員たちも、きわめて真摯に同一目的の方向に向って努力したということについて非常な喜びを持つということを申し上げたいと思うのであります。全国数百万の保育所の子供たち、乳児、幼児の安全補償につきまして、こういうまたとない機会に、各省のなわ張り争いを越えましてここに立法に至りましたことをまことに喜びとするものであります。
 なお、堀委員が社会党修正案の提案の中に申された点の全部を肯定するわけではないのでありますが、保育所の児童というのは、幼稚園の生徒よりも概括的にいって一般により貧しい家庭の子供が多いので、そのより貧しい家庭の負担軽減及び児童教育についての安心度を増すために、これを同一に取り扱おうと思うのであるということを言われたのに対しましては、われわれが望んでおりますのとまことに同様趣旨でございまして、その部分のみに限りましては賛成するものであります。
 しかしながら社会党の修正案が全然問題にならないというのは、何といいましても国会においての議案審議の方式に違反しておるのでございます。と申しますのは、社会党はすでにこの児童、生徒の安全補償につきまして、国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案を提案しておりまして、三十四年十一月六日、辻原委員よりその提案理由の説明があったのでございますが、この法律に規定しておりますところと、内容におきまして今度の修正案とはほとんど重複しておるのであります。ある提案者たちの意思、ある政党の政策が一つには災害補償の法律というので三十四年十一月六日に辻原委員より説明され、その提案の中に表現されており、そしてまたその同一政党、同一提案者たちの修正案が本日堀委員よりその意思を表明されているということは、これは非常に奇異なことでございまして、わが国の国会の委員会におきましてこういう不整備な提案の仕方というものはおそらくいまだかつてなかったろうと思う。これは全然問題にならぬ。委員長におきまして御採用になられ付議せられました点につきましては、私ある理由があると思うのでございますが、その概念包摂の範囲におきまして若干の差異があるのであります。問題は政党の政策の遂行という面から見まして、もう少し社会党におかれましてはまじめな御提案を希望するのでございます。
 次に社会党の提案の法案につきまして申し上げますが、この提案そのものは、その指向するところはわれわれも一応は考え得られるところでございまするが、これを国立または公立に限りまして、私立に対して何らの一顧をも加えないということは、私立の学校、ことに義務教育を受けているもの、幼稚園の生徒等はそれを愛護する必要がないかのごとき印象を与えるのでありまして、これまたきわめて遺憾なことであります。
 次に最もまじめな議論といたしまして、こうした制度は、自然発生的に全国二十数府県におきまして積み上げられてきた制度でございまして、そうした現実に即応いたしまして、制度の暢達をはかるというまじめな考え方から見ましても、とかく理論に走る傾向があるというように感ずるものでございまして、適当でないと信ずるものでございます。
 その他の字句の整理等におきましても、また制度の運用に関する二、三の面につきましても、自民党側の委員の提案は十分に制度の実際運用面を考慮して立案せられたものでございまして、私は社会党側の委員さんたちも、十分に私が詳述いたしました趣旨を御了解下さいまして、満場一致本案に、社会クラブの委員さんも加えまして、全員御賛成あらんことをお願いいたしまして、私のつたない討論といたしたいと思います。
#13
○大平委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○大平委員長 これより採決に入るわけでございますが、念のため採決の順序を申し上げます。
 加藤君提出の修正案と堀君提出の修正案には共通部分がございますので、まず両修正案の共通部分について採決し、次に共通部分を除く堀昌雄君提出の修正案について採決し、次に共通部分を除く加藤精三君提出の修正案について採決し、最後に原案について採決することにいたします。
 まず両修正案の共通部分について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立]
#15
○大平委員長 起立総員。よって両修正案の共通部分は可決されました。
 次に共通部分を除く堀君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
    [賛成者起立]
#16
○大平委員長 起立少数。よって共通部分を除く堀君提出の修正案は否決されました。
 次に共通部分を除く加藤精三君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#17
○大平委員長 起立多数。よって共通部分を除く加藤君提出の修正案は可決されました。
 次に修正と決した部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#18
○大平委員長 起立多数。よって修正部分を除く原案は可決され、日本学校安全会法案は加藤精三君提出の修正案の通り修正議決することに決しました。
 なお修正議決に伴う字句の整理及び委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#20
○大平委員長 次に学校教育、社会教育、教育制度等に関し調査を進めます。質疑の通告がございますのでこれを許します。西村力弥君。
#21
○西村(力)委員 去る八月、小学校の教育課程の研究協議会が持たれましたが、その際この研究協議会に出席をしなかった者に対して、過般山形県の教育委員会が戒告処分をいたし、また一名には懲戒免職、三名には停職三カ月、こういう重罰に処したのでありますが、このことはただ単に山形県に関係あるばかりではない。これは教育行政の上からいって相当重大な意味を持つものであると思いますので、この際文部省の見解を十分にただしておかなければならないと思うのでございますが、山形県の教育委員会に当たって聞いてみますと、この処分に際しては文部省に問い合わせをしてあった、こういうことを言っておりますが、そういうことは事実でございますか。
#22
○内藤(譽)政府委員 別に処分について御相談を受けたことはございません。
#23
○西村(力)委員 それではこの処分の結果について何か御報告のようなものがあったかどうか。
#24
○内藤(譽)政府委員 処分の結果についての報告はございました。
#25
○西村(力)委員 それでは事件の内容、あるいは処分のあり方全部御承知とは思いますから、詳しくその点については前もって話をすることをやめたいと思うのでございますが、しからば山形県教育委員会のとった処置というものに対しては、文部省はこれに対するどういう見解を持っておられるか。
#26
○内藤(譽)政府委員 妥当な処置であったと思います。
#27
○西村(力)委員 それでは妥当だという見解を立てられると、その根拠は一体どういうことであるか、そのポイントについてお話を願いたい。
#28
○内藤(譽)政府委員 教育委員会の職務命令に従って受講した。それに対して一方が実力で講習会を阻止する。その阻止したところの責任者が処分を受けることはやむを得ないことであると思うのでございます。
#29
○西村(力)委員 今のお考えですと、教育委員会が職務命令を出したということでありますが、職務命令は学校長が出しておるのですが、その点はどうなんですか。教育委員会が職務命令を出しておるのではない、校長が出しておる。
#30
○内藤(譽)政府委員 教育委員会から職務命令を出すようにということを校長に伝え、校長が各個人に対して職務命令を出した、これは当然のことであります。
#31
○西村(力)委員 それでは職務命令に違反したから処罰したんだということになりますが、そもそもこの研究協議会はあくまでも研究協議会であって、何も法的な拘束力を持つ、いわば伝達講習というか、そういうような性格のものではない。県教委の方においてははっきりこういう工合に言っておるのでございますが、根本的に講習会に行って研修する、それはいわば教員のあるいは教員といわずとも、一般国民の学問の自由に属するものである。そう私たちは考えておるのでございますが、その学問の自由を侵してまでも業務命令を出すことができるかどうか、そういうものが有効に成立するという根拠は一体どこにあるのであるか、それを一つ聞かしてもらいたい。
    〔委員長退席、木村委員長代理着席〕
#32
○内藤(譽)政府委員 公務員が絶えず研修を励んでよりよい行政をし、行政能率の向上をはかるというのは、国民に対する義務だと思うのです。ですから思想の自由を侵すものではございません。従って今度の研修につきましては、御承知の通り小学校は昭和三十六年から、中学校は三十七年から全面的に教育内容が変わるわけでございます。同時に教科書も変わるわけでございます。従ってこの講習会を受けなければ、新しい教育の実施に支障を来たす。特に小学校は三十四、五年と二カ年にわたって移行措置が講ぜられている。特に子供たちに新教育への断層が起きないようにという趣旨で移行措置が行われる、こういうような重要な研修会でございますので、これは公務員として当然出席していただかなければならない性質のものでございます。ですから絶えず教育職員が一般的な研修を積んで、そうして教育の内容を充実していくのは当然でございます。今回の分は今申しましたように、新しい教育課程でございますので、それに伴う移行措置か行なわれておる現在において、この講習会を拒否するということは、私どもは公務員として行き過ぎであり、またこれに対して命令をしてこの研修に参加させることは、当局として当然なことだと考えておるのでございます。何ら学問の研究の自由とは関係ございません。
#33
○西村(力)委員 このことは命令を発してまでさせられるということに対する理由としては――ただ文部省側が、重要であるから努めてほとんど全部受けてもらわなければならぬのだという希望意向は、確かにあると思うのでございますが、私がお聞きした業務命令を出してまでやれるという根拠がどこにあるのかということ、これは学問の自由とは違うんだということを言っておりますが、しかしながらそれを侵してまで命令を発してそこに受講せしめる、こういう拘束性を持たしても不当ではないんだという根拠について、もっとはっきり答えてもらいたい。あなた方の希望意向は、十分聞かずともわかっておることなのでございます。
#34
○内藤(譽)政府委員 教育課程の編成というものは教育委員会にございますし、公務員として上司の命令に忠実に従わなければならぬ義務があるわけでございます。ですから教育委員会から命令が出た場合には、教員もこれに服する義務がある、こういう趣旨であります。ですからいかなる命令が出るかというのは、職務に関連した命令が出た場合には、これに従わなければならぬ義務がある。現在の地方公務員法にも明記されておるわけでございます。
#35
○西村(力)委員 命令が出た場合にそれに従うことが公務員として当然だ、こういうことでございまするが、しかし業務命令に重大なるきずがある場合、それに従わなくても決して違法ではないということになるわけですが、あなたのおっしゃるのは、私の質問と違いまして、業務命令が出たということに対しては公務員としてこれに従うべきことは当然であるということで、その前提である業務命令を発してもよろしいという、そういう根拠はどこにあるかということを私は聞いているのです。あなた方が希望することと別個ですよ。そういう場合に業務命令を出しても拘束することができるのだというはっきり根拠を示してもらいたいということを私はお伺いしているのです。
#36
○内藤(譽)政府委員 学校の管理運営は教育委員会の責任でございます。ですから管理運営に関する職務命令を出すことは当然のことであります。従ってただいま御指摘の点については、教育委員会が直接、あるいは校長を通じて職務命令を出すことは、法律でも認めているわけでございます。
#37
○西村(力)委員 一般的な問題になりますとそういうことが言えるでございましょうが、しかし教職員の研修というのは、これは常に努めなければならぬということになっておるが、かくかくの方法によってその研修を行なわなければならぬという、そういう規定はどこにもないはずでございます。それとともに、また教育委員会の主たる研修における任務というのは、法律のあちこちを調べてみましても、そういう研修の機会を作るということ、そういう機会を与えるということ、そういう程度にとどまって、まことに消極的である。そういう機会を与えてある、環境を提供してある、そういうふうにとどまっておって、それ以上にこの講習会という工合に限定して、それに参加せしめるということは、教育委員会の仕事としては、そこまで進むことは、法律のほとんど全部の規定を見ましても除外されている。それが本質であるとは認められていない。こう言わざるを得ないと思う。地方公務員法の第三十九条を見ましても、あるいは教育公務員特例法の第十九条を見ましても、あるいは地方教育行政法の第四十五条を見ましても、これははっきりいたしていることであると思っております。ですからこの件に関しては、教育委員会が業務命令を発するという、そういう本質的な法規定のほんとうの趣旨と反する非常手段に出てまでやらせるということは、よくよくの理由がなければならないと思うのでございます。そういう点から、今の学校の管理運営が教育委員会にあるのだから、何でもかんでもやってよろしい、こういう工合に押しつけるということは非常に行き過ぎであると私たちは思うのであります。
 しからばお聞きしますが、こういう教育課程の編成にあたって文部省で示した学習指導要領を知らなければならぬということは、あるだろうと思うのですが、講習会の方式以外でこれを習得する方法は絶無なものであるか、それはどうです。
#38
○内藤(譽)政府委員 いろいろ方法はあろうと思います。しかし私どもはこの教育内容が全面的に変わるような場合には、特に教科書もそれに従って全部変わるわけでございますから、どういうような教育をするかということについて、趣旨の徹底をはかることは当然の責務だと思うのであります。今お述べになりましたような研修は、公務員としていついかなる場所においても研修を積んで行政能率の運営向上をはかるのが建前だと思う。しかしある制度なり内容なりが全面的に変わった場合には、これは管理者側の意図に従って運営をはからなければならぬと思います。こういう趣旨から、ものによっては当然にその趣旨の徹底をはかるために業務命令を出すことは、これは他の場合でもあるわけでございます。
 そこでこの研修会以外に方法はないかというお尋ねでございますが、この研修会につきましては、議会の議決を経まして、予算を支出し、三年計画で全教員に徹底するようにしたわけでございます。これ以外にあるいはラジオとかテレビ等による番組ももちろんございますけれども、全教員に一様に徹底させる方法は、この講習会を考えておるのでございます。
#39
○西村(力)委員 私は、今あなたがおっしゃったように、方法は他にもある場合、問題は学習指導要領の中身を教員が知るということなんです。目的はそこなんですから、そういう目的を達するために、他の方法がある場合に、本人の自由意思を束縛する、こういうような工合にして、そして業務命令を発するということは、明らかにこれは憲法あるいは教育基本法というものの精神に反する強権措置であるのだ、私はそう考えるのです。他の方法があるならば、いかなる方法によってもこれをやってよろしいという自由差というものはあるはずです。それを希望はどうあろうとも、問題は、憲法第二十三条に保障されている学問の自由を束縛するということである、あるいは教育委員会の本来の職務である研究の機会を与えるという程度にとどまるべきである。本質はそこにある。そういうものを一切越えて強権を発する措置というものはおかしい。終局、業務命令を発する根拠というものは、ただ自分だけの希望で発しているのだ、そういうことはよろしくないのだ、こういうことを考える。
 しからば、この研究協議会に出ないと、これはすばらしく公益に反する結果になるかどうか。憲法の条章に保障された国民の権利というものは、公共の福祉に反しない限り尊重せられなければならないということになっておる。だからあなた方は業務命令をやるということになれば、このことをやらないと児童にすばらしい被害を与えるとか、学校が大混乱するとか、教育というものは消滅するとか、そういうような公共の福祉にすばらしいマイナスを、償うべからざる損害を与えることになるのかどうか。他の方法があって、他の方法によってそれを修得することができるということは、私はこの協議会よりも、別の方法によって研究したいという自由意思が存在する限り、それを認めて何ら差しつかえないはずだと思うのです。公共の福祉に反しないということになれば、やはり基本法である憲法の学問の自由というものは保障されなければならないと思う。他の方法があるということははっきりしましたから、しからば他の方法はあっても、これでやらないとすばらしく公共の福祉を阻害するのだ、償うべからざるものになるのだということを、あなたはどういう工合に言われますか。
#40
○内藤(譽)政府委員 この問題は、憲法でおっしゃる公共の福祉と関係ないわけです。ですから、一般的に国民の権利義務というものは尊重しなければならぬし、この場合に御指摘のように、公共の福祉に重大な影響がある場合に制限ができる。しかし教員は公務員でございます。ですから、公務員であるから、管理者側の意図に従って教育してもらわなければ困る。つまり管理者側として、新しい教育課程というものはできた。ですから、この新しい教育課程に従って教育してもらわなければならぬ義務があるわけです。この場合に一人で勉強するということもあるだろうし、ラジオやテレビを通じてやることもあるでしょう。しかしながら、改正の趣旨、そういうものが十分理解されなければならぬ。自分で自学自習するだけでは不十分でございますので、改正の趣旨に対して当局側から十分な説明をいたし、また疑問があればその疑問を解明する、こういうふうに考えておるのでございまして、この講習会については全員が出席をしていただきたいと思っている。決して学問の自由とか思想の自由には何ら関係のないことでありまして、職務上の必要に基づくところの義務でございます。
#41
○西村(力)委員 学問の自由と関係ないということは、公務員としてそういう身分上からくるなにであるから、業務命令を発したその後においてはそういう身分上のいろいろな問題があるでしょうが、しかし私はその公共の福祉にどういう工合に反するようになるか、そういう言い方をしてお尋ねをするんですが、憲法の規定は、公共の福祉に反しない限り、立法その他行政上においても最大に尊重されなければならぬという規定ですから、やはり教育という行政においてもあるいは公務員を律する行政関係においても、これは最大限に尊重されなければならない。憲法の規定からいうてはっきりそう私は思うのです。そしてまたあなたは憲法二十三条の規定の学問の自由とこの問題とは違うんだとおっしゃる。しかしながらそこで修得することはやはり教育上の学問の問題です。先生方はそこに行って単に一つの指令、指示というものを受け取ってくるというものじゃない。研究協議会という名称の通り研究協議をする、やはり学問に属するものであると私は思うんです。ですから単にそういう行政においても十分に公共の福祉というものを尊重されなければならないということである、この憲法の条章からいうても、これを分離して学問の自由とこの研究協議会というものは別なんだ、ただ受け取ってくる、そういう形式のものではないんです。研究協議とはあくまでも研究協議をする、そういう学問をやる、勉強をやる、そういう会であるんだ、その点ははっきり同一のものとして考えて参らなければならない、こう思うのです。どうでしょう、あなたの考えはこれでもやはり変わりなくさようにお考えであるかどうか、再度お尋ねしたい。
#42
○内藤(譽)政府委員 これはどういうふうに教育するかということでございまして、教育の内容について新しく変わったそのための勉強をしていただく、そうしてよりよい教育をしていく。これは別に学問や思想の自由とは関係はなく、職務上の必要なことで、学校教育をよりよくしていくための研究でございますので、それに対する命令が出るのはあたりまえである。公務員といえども管理者の意図に従って教育をしなければならぬ責任があるわけですから、学問の自由とは関係がないと思います。
#43
○西村(力)委員 考えを変えないようでありますが、業務命令を発する場合においては、その職員の本務に関係することでなければならないと思うのです。しからばこの研究協議会に行くのは本務であるかどうか。これは学校教育法の何条かに規定されている通り、教育は、小学校の場合は、児童の教育をつかさどる、これが本務です。なおまたそのほかに関連することでは、教育課程は学校で作るといいますから、教育の主体者である教員がその教育課程の編成そのものを命ぜられた場合においては、これは本務に類するものだ、こう言えるかもしれません。しかし今回の研究協議会は県教委、地教委において教育課程を作るために研究してもらうのだ、討論してもらう協議会なのだ、こういうことを山形県教育委員会では言っております。県教委、地教委が教育課程を編成するための研究協議会である、こういうものには参加しなければならないという。それが本務であるかどうかということになると、自分の学校の教育課程を編成することは、それは本務に類するものでありましょうが、しかしながら、今この研究協議会をやるのは、教育委員会が教育課程を編成する、その準備的な、それをよりよくするために研究討議をしてもらうのだ、こういう性質の講習会なんです。そこが教員の本務であるかどうかということになると、これは全然違う、こう申さざるを得ないと思うのです。一体これが本務であるかどうかそれは理屈をつけると、あなたはいろいろ理屈を言われるかもしれませんが、純粋に考えて、子供の教育をつかさどる、そういう教育の問題とか、あるいは学校で教育課程を編成するその仕事、そのところまでは本務であるけれども、地教委や県教委が教育課程を編成する、それに応援をして、討議して、そうしてよりよいものを作るためにやるものにまで本務として参加しなければならないのか、その点についてはどうですか。
#44
○内藤(譽)政府委員 御説の通り、教師は児童、生徒の教育をつかさどるわけであります。その教育の内容が変わった場合には教えることができなくなると思うのです。ですから、内容の精神なりあるいは内容の具体的な事柄について、十分に御理解をしていただくことは当然の義務であって、これは本務だと思う。県の教育委員会が県の教育課程を作るために一つの参考案を出すということは、もちろんこれは県の職務ではございますけれども、教員の意見を聞いてよりよい教育をしていきたい、それぞれの県の特殊事情を加味していきたい、こういうことだと思う。もちろん国の段階において全国的な基準はできておるわけでありますが、その基準について、その各地の実情があれば、各地の実情を加味することも必要だし、またその学校の特殊性を加味することも必要だと思う。ですから、子供の教育をつかさどる場合、その内容が変わったのでございますから、当然にこれは勉強をしていただかなきゃならない事柄だと思うのであります。
#45
○西村(力)委員 山形県教育委員会の行なったこの研究協議会というのは、私が先ほど申し上げた通りの趣旨においてやられたのですが、その研究協議会に参加しなければならないという義務性が生まれるということは、それが本務であるからということなんです。しかし、あなたの言うのは、講習会の性質を全然別個のものにして、国の学習指導要領が変わった、それを知る必要があるからこれに参加する義務が出るのだ、こういうふうに言われておるのでございますが、話はちょっと違ってくるのじゃないかと思う。そういう場合に、国できめたから、それを知る必要があるから参加する義務があるのだ、また業務命令を出してもいいのだという工合に持っていくとするならば、やっぱり私が先ほど繰り返したように、他の方法があるならば、強権をもってそういう工合にやらないでもいいではないか、やることが不当ではないかというふうに、逆にまた先ほどの話に戻らざるを得ない、こういうことになって参るのです。山形県教育委員会が言うがごとく、教育委員会が教育課程を編纂するためにその研究討論をしてもらうのだという趣旨の協議会であるとするならば、これに参加しなければならないという本務としての義務が発生するということはないと思う。それを前提としての文部省の、あなたの方の見解はどうです。
#46
○内藤(譽)政府委員  山形県は山形県の教育課程が考えられます。ですから、国の規定に基いて山形県なりあるいは各市町村のそれぞれの教育課程の基準がきめられるのです。その場合に、その基準はとりもなおさず自分の学校教育内容に重大な影響があるわけなんです。ですから、これは、自分の学校教育との関連において当然本務といえると思うのでございます。
#47
○西村(力)委員 今日の研究協議会もはっきりとそういう伝達講習というような意味であるならば、あなたの言うこともそれは論理的に言えるかもしれません。私たちはその点に関してだって決して了承するものではないのですが、はっきりと研究協議会で討論をしてもらう、いいものを作るための一つの準備行動であるのだ、こういう協議会には参加しなきゃならぬということを、そういう業務命令を義務づけて発するということは、これは越権行為である、私たちははっきりさように言わざるを得ないわけなんでございまするが、その点は、あなたの方は力でもってそういう工合に有権解釈というか、そういう解釈をとられて、どこまでも平行線をたどるであろうと思うのであります。それでは処罰までの手続の問題でありますが、この処罰をやる場合において、本人の弁疏というか、そういうような機会を一切とらない、そうして一方的に断を下したということになっておりますが、それは刑事訴訟法の精神からいいましても、本人に弁疏の機会を与えないでやるというようなことは考えられない。また、裁判において、財力が不足のために、弁護士を使うような場合には官選弁護士をつけるという工合になっている。これは行政処分と刑事処分とは違うのだということがあるかもしれませんが、しかし、処分をされた本人にとっては重大な問題なのであります。ですから、この処分の手続上において本人が弁疏する機会を全然与えられないで、こういう工合にやるということはまことに不当であると思う。こういうやり方ではまるで非文明国のやり方そのままである。その結果としまして、事実誤認というものが次から次へと現われて、地教委側では行政処分をした者に対して取り消しをするというような事態がたくさん起きて参っております。この手続は決して適当なものではないと私たちは考える。こういう場合に文部省のとられる見解はどういう工合でありますか。
#48
○内藤(譽)政府委員 職務命令が出ておって、その職務命令に違反した場合には、これはいかなる場合でも処分の対象になると思う。行政運営というものを阻害したというその事実だけで処分の対象になり得るわけです。いろいろと抗弁の御事情はあろうと思いますけれども、その行政命令を阻止したという点について当然責任を持っていただかなければならぬと思っております。
#49
○西村(力)委員  それは本人の自由意思で、行かない、こういうはっきりした立場の者は多いのですから、これはあるいは相当明瞭であるかもしれませんが、しかしながら松川裁判にせよ何にせよ、もう事実究明をやればやるほどとんでもない問題が発生する場合が多いのです。ですから、これが妥当であるというような一方的な考え方、本人に何ら弁疏の機会を与えないでやるということは、まことに危険きわまることであると思うのです。あなた方はその業務命令が出たことに従わなかったという事実、それさえあれば処分をしてもよろしいんだ、こうおっしゃるけれども、しかしながらやはりそのことが絶対に誤りなく行なわれるというようなことは保証されない。どうしても近代国家のあり方としては、本人に機会を与えて弁疏をさせる、こういう工合にいくべきが妥当であると思うのです。私はただそういう事実さえあれば、権力を持っておる側において、その事実に基づいて処分をすることができる、この事実というものは誤認されておるものがたくさん出ている事実からいっても、これはほんとうにあぶない限りではないか。一体その点はどうでしょう。
#50
○内藤(譽)政府委員 そういう場合もあり得ると私は思うのであります。ですから、人事委員会に提訴の道も開かれているし、裁判の道も開かれているわけでございます。ですから不当な処分に対しては、十分抗弁する機会はあるわけでございます。
#51
○西村(力)委員 そうおっしゃるけれども、これはあとの人事委員会の提訴あるいは裁判において本訴を起こすというようなこと、そういうようなこともあるけれども、行政処置としてかりに免職になったら、その次の日から一体どうなるのです。これはもうほんとうに生活の根源を失ってほんとうに苦しい、失業というようなことになってしまう。そのことによってあるいはその苦しみから本訴によって、裁判によって、こっちが勝つまで待つことができずに、いろいろな事態が発生するということが考えられるのです。簡易手続があるということは、何も前の方の手続を一方的にやってよろしいとか、簡略にやってよろしいとか、そういうものではないと思う。裁判にだって一審、二審、三審と最高裁判所まであるわけですが、そういう工合に一審制度でなくて、何審も重ねていく、上訴をするということを認められておるということは、何も一審において簡略な裁判をやっていいということではないということと同じことなんだろうと思う。一般的に文部省は、そうすると、こういう場合において本人の弁疏の機会を与えないでも、事実さえあれば行政処分をやってよろしい、行政処分においては弁疏の機会を与える必要はないのだ、こういうような態度をとっておられるかどうか。
#52
○内藤(譽)政府委員 行政処分というものは、行政命令に違反した場合、これはいつでも処分の対象になると思うのであります。
#53
○西村(力)委員 今の御答弁は本人の弁疏の機会を与えることを要しない、こういう見解をとっておる、こういうことですか。
#54
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
#55
○西村(力)委員 それじゃ大臣にお尋ねしますが、確かに文部省の見解としては業務命令も発することができるのだ、これに違反すればもういやおう言わせず、一方的に処断してもよろしいのだと、こういうような強権的な態度をとっておられますが、しかしこの講習会に参加しない人々は、こういう文部省の基準というものが出て、かりにそれが法的拘束力を持ったにしても、それを修得する方法は他にもあるのだ、自分は別な方法でやりたい、そういう希望もあるし、根本的には業務命令によって拘束して、その講習会場に連れ込むというようなことは、これは正しいことではないのだ、こういうはっきりとした自主的見解によって参加をしなかった人が多い。教育の場においてこの目的として掲げられている大事な点は、個人の尊厳、お互いの尊厳をたっとぶとか、あるいはさまざまありますが、あくまでも自主的精神が旺盛で心身ともに堅固な国民を育成していくんだ、こういうことが教育の基本的な立場です。こういう自主的な立場を教育の中においてはあくまでも貫いて参らなければならぬ。ところがそういう自主的な見解をとってき然たる行動をする人々を処分する、こういうようなことであったのでは、これは教育のほんとうの大事な中心である自主的精神、自主的な行動、こういうものが完全に学校あるいは教育の場から失われていくのではないか。これは日本の将来にとってまことに重大ではないかと、こう思うのです。それはその一方的な解釈によって、文部省できめたものをこの講習会で受けないのはよろしくないのだという考え方はあるかもしれぬけれども、そういうことを強権でやることによって、自主的な判断と行動というものが、一切が圧迫されて、教育の場から消えてしまう。そういうところに自主的な精神を持った子供たちが育つはずはない。それでずっと新聞記事を見ましても、また世の中の実情を見ましても、あるいは各県の状況を聞きましても、もう講習会に行く人々を朝早くからバスに詰め込んで、そして何か屠場に送るがごとくカン詰にして、そうして講習会場に無理やり連れていく、そんなことでは、そこの中に入っておる諸君こそまことにどういう心境であるか、はたから見れば気の毒しごく、あるいは日本の教育の将来というものを象徴したおそろしいことではないかと私は思うのです。ですから、こういう学問研究の自由というものが存在する、あるいはまた研究協議会をかりに開いたにしても、それによって得なければならない学習指導要領の内容というものは別な方法によっても修得することができる、あるいはこれに行かなかったからといって、公共の福祉というものにはなはだしい損害を与えるということもないということ、しかもまた教員の本務というものからはっきりと離れた講習会である、こういうものに対して強権を発動して業務命令を発する、それに反対して自主的な立場からその命令の違法性、あるいはその教育の自主性を守るという気持から、自分の判断で行動した人々を処罰するということでは、日本の教育の将来というものはまことに暗たんたるものになってくるではないか、こう思うのです。こういう私の憂いに対して文部大臣は一体どういう見解をおとりになるか。
#56
○松田国務大臣 重要なる教育の問題を進めていく上におきましては、私は当事者なりあるいは管理者は常にその緩厳よろしきを得るという基本的な考えが必要であると思っております。まあささたる、大目に見ても差しつかえないような事柄に対しては、これを大目に見ていくという寛大さを持っていくということが必要である。同時に、いやしくもその管理者なり、あるいは当事者の命令、しかもそれは教育課程の内容を改めるにあたってその必要なる研修会なり、研究会なり、講習会なりを開くにあたって、当事者の命令に明らかに服さない、抗争して命令に服しないというようなことに対しては峻厳にこれに当たっていくということでなければ、教育の秩序は守っていけない。児童の自主的な精神を発達せしめていくということはもとより重要でありまするから、これはやっていかなければならぬのでありまするけれども、やはりそうした命令に服さないような行為を処罰しないで大目に見るということは、それ自体自主的な発達をむしろはばむ結果になる、そういうことであって、自主的精神というものは、規則を守り、命令に服することが前提的に大事なことである、かように私は考えております。
#57
○西村(力)委員 いろいろ先ほどから申し上げましたが、重複いたしますのでこの程度にとどめたいと思いますが、今の文部大臣の見解、緩急よろしきを得るということでありますが、しかし子供の教育をあずかる場合において、これが違法な、強権的なものであるという場合に、教員がこれに批判をする自由というものは、教育の場において認めなければならないと私は思う。これは一般の行政事務とは違うのだ、私はそう思う。はっきりそういう確固たる立場をとって反対する場合を認めるという、これだけの考え方を私は持たなければならないと思う。
    〔「とんでもない話だ、速記録に残るぞ上と呼ぶ者あり〕
そうしないことによって子供たちに重大なる影響がある場合はとにかくとしまして、そういうきぜんたる教員を存在させるということは、日本の教育の将来にとってほんとうに重要なことであると私は思うのです。今加藤君は、速記録を見ろ、とんでもない話だ、こういうことを言われましたが、教員というものは、そういう適法ではないものを強権をもって圧迫することに対しては、きぜんとした態度をとるというそれだけの気がまえがなければ、教育者として立つということは私はよろしくないと思う。日本の歴史というもの、あるいは各国で歴史を作り上げていった教育者は、すべてそういう方向をとっておる。そうでなくてただ便々としておるような教員であったとするなら、圧力に屈して、まるで屠場に急ぐ羊のようにバスに積み込まれていくような教員が教育をあずかって、どんな教育ができるか、そういう工合に思われるのです。ただ一がいに私はそういう人たちを責めるわけではない。ないけれども、ああいう姿にしておいて、そして一方きぜんたる自主的な立場をとっておる、それも理屈がないわけではない、はっきりした見解を持っておる、そういう場合に対しては、緩急よろしきを得るという基本的立場に立ってそれを是認していく、――是認とまではいかないにしても、処罰の対象にしない、こういう気持で教育の仕事をやらせなければ、日本の教育というものは私は憂うべきものがあるだろうと思うのです。これは私の個人的見解でありまするから答弁は求めませんけれども、今のやり方は、これは一方的にぐんぐん教育を圧迫してくる、教員を圧迫してくる、政治に名をかりて圧迫してくる。これが日本の将来にとってどういうふうにはね返ってくるかということを、教育の責任をとっておられる文部大臣は真剣に考えていかなければならぬときであると思う。文部大臣は就任当初には相当幅のある立場をとっておられたようでございますけれども、いろいろ今の大勢というものに押されて、あなたは少し退却したように私は見受けておるのです。あるいはまた、文部省の官僚陣の抵抗に会って後退したような工合にも見えるのです。しかしこの際、就任された当時の清新な、フェアなお気持に立って文部行政を担当していただかなければならぬじゃないか、私はそういう気持を強く持っておるわけであります。私の質問は大体そのくらいにいたしますが、ただ内藤局長の解釈、それは私たちとしては決して正しいものではない、しかしこれ以上時間をかけてあなたと言い合ってもお互いに平行線であると思いますので、これでやめておきますが、どうか一つ大臣においては真剣に御考慮ありたい、これだけを申し上げまして終わりといたします。
#58
○加藤(精)委員 関連して。私の質問はもっぱら内藤局長に対する質問であります。
 今度の学習指導要領の改正は、学校教育法の第二十条によるものでありますか。
#59
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
#60
○加藤(精)委員 次に、今度の講習は教育委員会が主体であるような場合におきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第二十三条の第一項の第五、これに該当するものだと思うんですが、それに間違いありませんか。
#61
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
#62
○加藤(精)委員 そうしますと、文部省がそれを指導勧奨する場合においては、同じく第四十八条第二項第四号に関連している、そういうふうに解釈して間違いありませんか。
#63
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
#64
○加藤(精)委員 そういうふうでございますと、これはこの法令に従って文部大臣は行政を執行すればいい、それに関して、行政内容についてかれこれ国会が言う権限はないものと私は考えておる。それに関して先ほど西村委員からの御発言は、最後に至りましては文部省や教育委員会のただいま朗読いたしましたような法令の基礎に基づいて実施しております事項につきまして、これに違背する勇気がなければならぬ、法規、法律または行政行為に対して、これをじゅうりんし、違背する勇気を持たない者はほんとうの先生じゃないといわれる思想は、日本国の議会の議員さんから出る言葉とはどうしても思われない。中共はりっぱな国である、ソ連はりっぱな国である、日本の国は悪い国だから現状を打破して革命しなければならぬ、日本の教育者は労働者である、しかるがゆえに団結しなければならぬ、団結して日本の悪い国を改革するための革命の戦士を養成しなければならぬ、そういう思想に基づいていると私は考える。その例証といたしまして、往々にして教育委員会あるいは文部省あるいはその共催の講習会等において、講習会場に乱入し、またはこれを妨害する際の教員組合その他革新政党の状況を見まするに、まず赤旗を立てる、共産党の指導者が妨害陣営の先頭に立っている。そうして共産党に……(「見てきたようなことを言う」と呼ぶ者あり)今不規則発言で、見てきたようなことを言うといいますが、私はそういう実況をまのあたりに見ている。そうして西村委員が特別深い関係、前の委員長でありました山形県の県教組の状態を見ましても、ある都市の会場におきまして、講習第二日目におきまして、共産党ときわめて関係が深いと見られる指導者がバイヤーを降りますと、直ちにこの講習会を妨害すべく列を組んでおりました連中が一斉に最敬礼をする、それから拍手をするのであります。当該指導者は、明らかにたびたびの会合におきまして日本共産党のグループ会議に出席していると認められるのであります。そういうふうな立場からの西村委員の御質問に対しまして……(「質問じゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)私はその論旨の中におきまして、法規に従わず、行政命令に従わず……(「質問じゃないじゃないか」「委員長注意しろ」と呼ぶ者あり)これをじゅうりんすることが真に正しい教師であるという御発言がありまして、それが速記録に載っているということは、私は当委員会といたしましてまことに遺憾に考えるのであります。西村委員がこれは個人の見解であると若干の御考慮のもとにおっしゃったことの中に、私は尊い尊い人間性を見るのでございまするが、しかしながら依然として……。
    〔「個人の名前を出してなんだ」「委員長注意しろ」と呼ぶ者あり〕
#65
○木村(武)委員長代理 加藤君……。
#66
○加藤(精)委員 それでございますから、私は内藤初中局長におかれましては、当初より私がお尋ねした脈絡に従って、法規を引用されまして御答弁になられることであるならば、おそらくは西村委員も先ほどのような御質問をしなかったのじゃないか、こう思われるのでありますが、私の特にお尋ねしたいところは、こうした全国的な行動を、西村委員のごく身近な立場にありますところの日本教員組合その他が持ちました根拠の中に、国立の大学教授が公然と朝日新聞その他におきまして、教育課程の改正を片々たる訓令、通牒によって出すことは適法と思われないという議論を展開していることを思い起こすのであります。しかもその教授は日教組の講師団の一人であります。ことあるごとに最も大きなページをさいて朝日新聞その他に執筆させられるところの教授であります。これらの国立大学の教授の言動が人事院規則の政治行為にならないかという点につきましても、私は多大の疑問を持っている。それでこれら一連の現象に対しまして、もう少し突っ込んだ御措置が必要ではないかというような気持が私はするのです。そしてそうした一連の現象をはしなくも暴露したものがただいまの西村委員の質問である、私はそう考えます。これらの事態に対しまして文部省はもう少し徹底した御措置をとる必要がないかどうか。ことに新学習指導要領PRの面におきまして、いかにも不安定惑を加えるがごとき原因を作りましたところの国立大学の教授の言動に対しまして、何らかの措置をとる必要があるということを質問申し上げます。
#67
○内藤(譽)政府委員 大学の教授が学問研究の自由のあることは私どもよく存じておるわけでありますが、それはそれなりの理由があると思うのであります。一方的に当局の措置に対して行き過ぎた教唆、扇動は慎んでいただきたいと思うのでございます。今御指摘になりました某新聞に出ました大学教授の説も一つの説だと思います。しかし教育条件という場合に、何か文部省は予算だけ取ればいいのだ、こういうようなお考えが根底にあるようでありますが、教育条件の中には建物の問題もあろうし、教員の問題もあろうと思う。しかし一番大事なのは教育の中身だと思います。この教育の中身を規定するということは当然なことであります。もっともこの中身がきまらなければ、各学校への転校もできなければ、上級学校への進学もできないと思います。そこで国が国家的な基準をきめていく。これについては私どもはあの論旨に非常に誤謬があるように思うのであります。ですから教育の中身をきめることは、今加藤委員が御指摘になりましたように、法律の規定に基づいて当然の行政措置をしておるのであります。何か教育の中身をきめることが大へん越権であるような御意見でございますが、これは私どもとしては承服いたしかねますので、あらゆる機会にこの点については論駁をしておるわけであります。
 それからこういう点で今何か適当な措置がないかというお尋ねでございますが、できるだけ大学教授の良識に基づいて、良識ある行動をとっていただきたいと思っておるのでございます。
 それから先ほど西村委員からいろいろお話がございましたけれども、私どもはいろいろな教育内容についての御批判のあることはけっこうだと思います。それなら教育研究協議会に出て十分意見を述べていただきたいと思います。ただ一方的に当局の意向を知らないで、これを一方的に拒否するという行き方も、私どもにははなはだ理解しかねるのであります。御意見があるなら、まず当局の意向を一応聞いて、その上で御意見は十分述べていただきたいと思うのです。私どもは、講習会に進んで出てきて御批判を聞かしていただければ大へん幸いだと思うのであります。
#68
○西村(力)委員 私の名前をあげての加藤委員からの話しがございましたが、見解は双方並行してい錢が、明らかにこの業務命令は適法なものではないのだという考え方に立って、自主的な立場でそれを拒否するというような教員は、むしろそういう立場をとる教一員こそ日本の教育を担当する上において大きなプラスをするものだという私の見解を言ったのです。それでその場合において、緩急よろしきを得るという文部大臣の話しからいえば、緩の方に該当した措置をするのがほんとうじゃないか、それこそ教育を大きく守っていく道じゃないかという考え方を私は言ったのです。何も加藤君が私のあれをとらえて、法規にあろうと何があろうと反対していくのが正しい教員だと私が言ったというようなことは、それはいささか解釈が一方的であると言わざるを得ません。
 それから内藤局長が今言われたような工合に、その会に出て研究して、意見があれば討論していったらいいじゃないかという御意見ならば、これは明らかに業務命令を出して強制すべき性質のものではないというまた逆な意見が出てくるのです。どうか一つ、そういう自分たちの意向だけが先に走っていくような解釈をやることは慎しんでいただかなければならぬのではないかということを付加しておきます。
#69
○木村(武)委員長代理 横路君。
#70
○横路委員 内藤局長にお尋ねをしますが、全国各ブロックで開かれている小学校、中学校の教育課程研究協議会はあとどれだけ残っているのか、全然残っていないのか、その点まず答弁していただきたい。
#71
○内藤(譽)政府委員 第一段階として、ブロック別に文部省が主催して小学校、中学校、技術家庭科、この三つの計画を行ないまして、これは全部終了いたしました。残っておりますのは、各府県でそれぞれ小学校あるいは技術家庭科、中学校、こういう段階になっておると思いますが、技術家庭科につきましては各府県段階も全部済んだと私は聞いております。小学校につきましては、大体のところは済んだように聞いております。中学校は、まだ残っておるところがあるように聞いております。
#72
○横路委員 それからその教科課程の研究協議会の目的ですね、これはもう終わったことであるけれども、文部省の意図がどういうところにあったのかお尋ねしておきたい。
#73
○内藤(譽)政府委員 それは先ほど西村委員にも申し上げましたけれども、教育課程が小学校の場合は昭和三十六年から、中学校の場合は三十七年から全面的に変わるわけでございます。その場合に教科書も全部変わる。そこで、完全に移行する前に、程度が上がったりしますと子供たちが戸惑いますので、戸惑わないように小学校の場合には三十四年と二十五年のニカ年に分けて、なめらかにするための移り変わりの措置が必要なんであります。また中学校の場合は三十五、六と二カ年にわたってその移行措置をするわけでございます。そこで今度の改正は大幅な改正でございまして、各教科にわたっての全面的な改正でございましたので、この趣旨を十分に理解していただく。同時にこれを現場に持ち帰った場合にいろいろまた問題もあろうかとつ思います。それについての研究討議を遂げるのが今度の改正講習会の趣旨でございます。
#74
○横路委員 あなたは今ブロックとそれから都道府県の教育課程研究協議会と両方一緒にされたのではないか。ブロックの教育課程研究協議会は、これは指導者の養成が目的でございますね。その点どうですか。
#75
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
#76
○横路委員 それでは今内藤局長から、ブロックの小、中学校の教育課程研究協議会は指導者の養成が目的だ。そうするとブロックの教育課程研究協議会の参加者は、当然次の段階におけつる都道府県の教育課程研究協議会の講師になる人ですね。その点あなたから一つ御答弁いただきたい。
#77
○内藤(譽)政府委員 大体そういう趣旨でございます。
#78
○横路委員 内藤局長に、大体そういう趣旨ということでなしに、あなたから一つはっきり答弁してもらいたい。
#79
○内藤(譽)政府委員 大体そういう趣旨でと申しましたのは、参加した人は今度各府県段階において指導的な役割を果たしていただくわけでありますが、若干いろいろな都合で出られない人もあり得るかもしれませんけれども、大体と申しましたのはそういう趣旨でございます。
#80
○横路委員 そうするとたとえば北海道地区における小学校の教育課程研究協議会に、指導者の養成の目的からはるかにはずれて、講師にはなれない者一を、あなたは主催をして命令を与えて呼んできて研究会に参加さしている。これは今私があなたに聞いた目的からはずれている。だから私は二回にわたってあなたに聞いた。ブロックの教育課程の研究協議会の目的は指導者養成だ。それからその次の段階の都道府県の教育課程研究協議会はそれが講師になっている。そうすると前の段階のブロックの小、中の教育課程の研究協議会に出る者は指導者たり得るものでなければならない。それを何であなたは一体、文部省が主催して、たとえば北海道における小学校地区の教育課程研究会においては全く指導者になり得ない者を呼んだんですか。そういうことがないかどうか。なければないでいいんです。
#81
○内藤(譽)政府委員 私どもは府県の推薦を受けまして、指導者たり得るという者を講習したのでございます。ですから御指摘のように中に指導者たり得ないという事実があるなら一つお示しいただきたいと思います。
#82
○横路委員 それではその事実をだんだん明らかにします。その次に、ブロックのが文部省主催であるという点からいけば、相当な経費を負担しているだろうと思う。どういう程度を負担をしておるのか。ブロックにおける、たとえば小学校なら小学校、中学校なら中学校の教育課程研究協議会において文部省が主催をしておる。主催をしておる以上は当然経費を支出していると思う。どんな経費を支出しているかお尋ねしたい。
#83
○内藤(譽)政府委員 小、中学校の教員の指導に当たる人で、校長その他教員につきましてはこれは国庫負担で旅費は見ております。それから会場費を見ております。それから資料についての資料費を見ておるのでございます。今どれだけ一ブロックに支出したかということはちょっと資料がございませんけれども、本講習会のためには全体で大体三千万円ほど予定しておるのでございます。
#84
○横路委員 これは北海道ブロックにおける小学校の教育課程研究協議会の問題については非常にトラブルが起きた。これは九月の末から十月にかけて道議会が開かれて、そのときに予算委員会に出された資料を私持ってきているわけですが、その資料に、この国費の支弁に関して報償費十万円、教職員研究費五万円、合計十五万円を国費で支弁をしているようになっている。私がこの報償費というのを実は三十四年度の一般会計の文部省予算で調べてみたところが、文部省予算には報償費という名目はない。ないのに何で一体あるのか。これはあなたの方でそういうことがないならないとここで言っていただけばいいのですよ。ここに今出されているのは、これが問題になったときに、道議会に教育委員会から出された予算の説明書の中に、国費支弁として報償費となっておるじゃないか。そこで報償費があるところもありますよ。たとえば公安調査庁とか外務省にはあるけれども、しかし文部省にはない。ないものを何で持ってきたか。これは間違いかどうか。それは北海道の教育委員会の間違いなら間違いでよろしいのですよ。その点だけ明らかにしてもらいたい。
#85
○内藤(譽)政府委員 報償費というものは、私どもの所管にはございません。従って何らかの間違いではなかろうかと思います。
#86
○横路委員 今の問題は私も一般会計の予算を見たが、少くとも文部省にはないはずのものなんだから、あなたの方で間違って向うに指示したということがなければ、北海道の教育委員会が国費の支弁事項として報償費という費目を出してきているのは間違いなんですね。これは何で出したんでしょうね。謝礼金ですか、何ですか。
#87
○内藤(譽)政府委員 これは経費に分類すれば、おそらく謝金と賃金あるいは旅費その他雑費でしょうね。こういう系統に分類されるだろうと思います。
#88
○横路委員 これは都道府県教育委員会の主催になるのか、それとも文部省も一緒になって共催になるのか、その点どうですか。
#89
○内藤(譽)政府委員 ブロックにつきましては文部省と会場地が主催でありますが、都道府県の段階におきましては文部省から委託経費を出しておりますので、文部省が主催することの列に入るということが建前になっております。これは名前の関係でございますので、必ずしも固執はいたしませんけれども、原則といたしましてはやはり文部省の主催という形をとりませんと、委託費の支出に若干困るというような場合もあるわけでございます。
#90
○横路委員 今のお話の委託費の支出というのはどういう内容になりますか。
#91
○内藤(譽)政府委員 これは庁費、会場費、会場費の中には謝金、それから資料費、これは印刷物等を配ります資料です。それから講師の旅費、こういうものがあるわけでございます。そのほかに小、中学校の先生につきましては、旅費は義務教育国庫負担法で半額を負担しますから、これは別途に支出する予定であります。
#92
○横路委員 そうすると、前のブロック別の教育課程研究協議会において文部省が持つのは、会場費を持つでしょうし、資料費も持つでしょうし、講師の謝礼その他も持ちますが、いわゆる国立学校付属の学校の教官が参加しているとか、こういう場合における費用の支出はどこですか。
#93
○内藤(譽)政府委員 国立学校が参加いたしますれば、その参加する人が講師に当たれば講師謝金は出します。しかし本人が自発的に出てくれば、委嘱したような場合には現に支出しております。
#94
○横路委員 これはあとで文部大臣にお尋ねをしたいと思いますが、この講習会にあなたは八月六日付で、北海道教育委員会の尾見教育長あてに、講習会の万全を期するため、警察官の警備出動をあらかじめお願いしておいてもらいたいという、会場や日時を書いてない文書を出している。たしかこのときはまだ予算もきまってなかったのじゃないか。それであるのにあなたは八月六日付でこういう文書を出しているわけだが、御記憶はありますか。
#95
○内藤(譽)政府委員 日時は記憶しておりませんけれども、北海道において大へん妨害の措置が講ぜられるという情報を手にしましたときに、あらかじめ出動の準備をお願いしたことはございます。しかし八月の六日かどうか私は記憶がない。というのは北海道の場合は御承知の通り七月の終わりから始まる予定でした。それが道議会の関係で延期になって、八月の終りから九月にかけて行われた。ですから八月の六日という日は私ちょっと理解いたしかねます。
#96
○横路委員 出したことは出したわけですね。
#97
○内藤(譽)政府委員 出しました。
#98
○横路委員 文部省における公文書というものは一体どういう文書を言うのか。内藤局長にも公印というものがあるんだろうと思う。局長に公印があれば課長にも公印がある。公文書というものは公印を押して出したものが公文書であり、当然送達簿というものがあってそれに送り先、向うで受けた公文書の番号をつけてやるものだと思う。あなたの方は八月の二十九日に、文部省の初等教育課長の上野芳太郎さんという人の認め印を押して、警察官要請の文書を出している。これは一体どういうのですか。これは公文書といえるのでしょうか。文書を読んでみます。要請文ですから、文部大臣、あなたもぜひお聞きを願いたい。「今般実施の教育課程研究協議会の参加者を八月三十日午前七時に集合させ、バスにより会場まで輸送することになりました。この研究協議会に対しては、種々妨害が予想されますので、参加者の集合から旅館の到着まで、警察官の警備方何分御配慮をお願いいたします。上野さんの認めがある。同じく八月二十九日、これは一つは札幌の中央警察署長、一つは札幌の東警察署長。文部大臣、こういうことを許してあるのですか。一人の課長の認め印ですよ。これは公文書なんです。こういって警察にやって下さいといっている。さっき文部大臣は、行政上の立場においてあくまでも服務紀律その他に対しては、峻厳でなければならぬと言われたが、このやり方は峻厳ですか。課長が自分の認めを押して警察に持っていって、これは公文書なんだ、だから警察官の配置をして下さいなんていうことは、行政官としては明らかに越権行為だと思う。この見解について文部大臣にお尋ねしたい。
#99
○松田国務大臣 私もすべての文書を見るわけではございません。しかし警察官の要請というようなことを、一事務官は自由自在にやっていいとは思っておりません。しかし北海道の場合は、先ほど初中局長からも話がございました通り、非常に不穏の形勢があるということであったので、現地の事務官の判断にまかせるような場合もあり得ると私は考えております。
#100
○横路委員 文部大臣、この場合の警察官は千名をこえているのですよ。あとは警察官自体の問題ですが、けがもしておる。こういう警察官の出動に関して、文部大臣から大幅の権限をそういうように初等教育課長にゆだねてあるか、私はゆだねていないと思う。それが課長の自分の認めで、上野なら上野という認めでもって、そういう警察官の要請ができるように、一体今日の文部省における行政機構というものはそうなっておるのですか、一つの文書、一つの許可その他にしても、きちっと公文書として持ち回りでもって判をついてやるじゃありませんか。最後には公文書でお出しになるじゃありませんか。こういう警察官の出動に関して、一課長が自分の認めでもって警察官に対してこれは公文書なんだ、これでやりなさい、こういうようなことが許されますか。私は許されないと思う。もしも文部大臣が許されると言うならば、先ほど文部大臣が西村委員に言った、あくまでも秩序を守るために峻厳でなければならぬ。私も峻厳でいいと思う。しかしそれはそういう一人々々の教員について峻厳であって、自分の中における行政官、何千もの警察官を動員するようなこういうものに対して――認めでもってこれが公文書であると言うのですよ。私は実際に北海道の警察本部長にこの問題だけ聞いたのです。これは公文書ですかと聞いたら、公文書だ。私は公文書というのはおかしい。公文書であるならば、送達簿があるはずです。それもないのです。私は上野という課長を文部大臣がかばわれる気持はわかります。しかしそういうように文部大臣が一人々々の課長に警察官要請のこういう大きなものに対して権限を与えているとは、私は絶対思わぬ。文部大臣が与えているとしたらこれこそ全く職務規律違反ですよ。これは文部大臣も苦しい答弁だと思うのですが、この事実は知ってもらわなければならぬ。こういうことを二度となされないようにしてもらわなければならぬと思う。一課長が県警の本部に行って、自分の認めで勝手に出しておいて、そして警察官を何千人も要請して、これで公文書だと偽っているのです。文部大臣どうですか。
#101
○松田国務大臣 私の考えとしては、教育上の問題で警察官の出動を仰がなければならぬというようなことは全く好ましからざることであるという考え方に常に立っております。私もめくら判を押す場合もありますが、重要な問題に対しては必ず自分の承認を得なければならぬぞということは言うております。しかし非常な場合といいますか、現場において急を要するような場合においては、今御指摘のような場面もあり得るんではないか、かように感じます。そういう場合において、一々私の許可を得ておるいとまのないような、より非常の事態をかもすことのないようにというような処置を現場における者がやむを得ずとったようなことであろうかと思います。しかしそういうことは好ましいことではない。従って自今そういうことのないように厳に言い渡すつもりであります。
#102
○横路委員 二度とこういうように地方に出向いた一課長が自分の認めで、これは公文書なんだと言って、強引にそれぞれの都道府県の警察本部長に対してそういう要請をするということに対しては、文部大臣から厳として将来はいましめる、今こういうお話がありましたから、私はこの問題はこれで終わりたいと思います。
 次に内藤局長にお尋ねをしますが、実は先ほどのブロックにおける教育課程研究協議会は指導者の養成が目的なんだ。従ってその参加者は指導者になり得るものである。あなたのおっしゃる通りその通り北海道の六月の道議会においても尾見教育長は答弁している。そこで道会議員の諸君の要請にこたえて参加者の名簿を出した。しかも教育長は学校教職員に関しての参加は本人の自由である、自由意思にまかせる。しかし指導主事その他については当然それぞれの命令系統によって最後は業務命令を出されたわけです。だから六月のときには出したわけです。ところがその次八月の三十日、三十一日、九月一日の講習会を終えてから参加者についてどうも疑義がある、こういうので、再び九月の末から十月にかけての道議会並びに予算委員会で実際に参加した者の名簿を出してくれ、そう言ったら、そのときの答弁が――ここがあなたに聞きたいことですが、九月六日づけであなたの名前で北海道の尾見教育長にこういう電報を打った。「参加者の人権確保のため名簿の提出見合わせられたし内藤初中局長」こうなっておる。そこで尾見教育長は、私は道会議員の要請があるから出さなければならないと思うが、なにせこれは文部省の共催でございまして、文部省の内藤初中局長から出すなという命令の電報が来たから出せません。あなたはそういうことを北海道の教育長に対して命令する権限がありますか。私はそのことをお尋ねしたいのです。電報を打ったことはあなたもよもや否定すまいと思う。私は電報の写しを持っておりますから、いかにあなたでもそんなものはありませんと言わないでしょう。あなたに聞きたいことは、見合わせられたし、見合わせよという電報ではない。見合わせよという電報ならまさに命令だ。見合わせられたしと打ったあなたの真意は、文部省では出してもらいたくないぞ、しかし最終的なことは当然北海道教育委員会における教育長がやるべきことだ、だから、されたしと打ったものだと思う。これは、せよというのか、この点はどうですか。
#103
○内藤(譽)政府委員 私の方は、たまたま北海道を会場としたのでございますけれども、このブロック講習については文部省が全責任を持っておる。ただ北海道は会場をお借りした。当初東北ブロックまでも含めて北海道で全部やる予定でございましたけれども、北海道に関する限りは、どうも道議会の関係で予算の関係もありまして延期せざるを得なかった。そこで東北の六県については東京で開催した。と申しますのは、東北については夏休み中に伝達講習が計画されておって、その計画を円満に実施したいという考え方で、東北六県については東京で開催した。たまたま北海道については北海道の地域だけだったけれども、これは北海道の責任じゃない。文部省の責任においてこのブロック講習は行なっておるわけです。ただ私どもは全国的な影響も考えて出したくないという考え方であります。名簿は出していただきたくない、こういうことであります。
#104
○横路委員 ですから私が聞いておるのは、出したくないという気持だろうと思う。しかし出すなという命令ではないですね。その点だけお聞きしたい。出すなという命令をしたのか、出してもらいたくないというあなたの意思表示をしたのか。出すなというのと出してもらいたくないというのは違うのですよ。内藤さん違うでしょう。あなたは文部省においては一番頭がよくて法律専門家である。僕は昔からよく知っておる。あなたは有能で一番いい。だから聞いておる。出すなと命令したのか、出してもらいたくないという意思表示をしたか、その点を聞いておる。僕は何も議論しておるんじゃない。そのことをあなたが答弁してくれれば何も意見なんか述べません。
#105
○内藤(譽)政府委員 先ほどからこの点は申し上げているように、ブロック講習は文部省の責任においてやっておりますので、そこで、文部省としては名簿は出していただきたくないという強い希望でございます。
#106
○横路委員 あなたはしきりに文部省の責任だ文部省の責任だと言うが、この全体の予算のうち道費の負担は八十八万円ですよ。文部省は十五万円ですよ。文部省がやったのなら全部出したらいい。全額国費負担しておいたから文部省の責任だというならばわかるけれども、道の方で八十八万円も出しておる。あなたの方は十五万円しか出していない。これでは文部省が全面的に責任を持ってやったからということにはならぬと思う。どうもあなたの話ははっきりしない。出すなと命令したのか、それとも出してもらいたくないと言ったのか、その点どうもよくわからない。きょうの議論はそんなごまかしをしないで、出すなと言ったのなら出すなでいいのです。それとも出してもらいたくない、こう言ったのか、その点をはっきりしてもらいたいのです。言葉の議論で長い時間を費しても仕方がない。大臣がそばにいらっしゃるのだから、内藤さん、はっきり言いなさい。
#107
○内藤(譽)政府委員 私の方は出していただきたくない、だから出すなということです。
#108
○横路委員 それでは、出すなということについては、何の法律の根拠に基づいて出すな、こういうことが言えるのですか。
#109
○内藤(譽)政府委員 これは文部省主催の研究協議会だから、文部省の責任において出すなと申し上げたのです。
#110
○横路委員 それなら今、文部委員会で私から正式にあなたに、この受講者名簿を出してもらいたいと要求したら、国会なら出しますね。向こうは都道府県の議会だから出すなという命令をしたから出さない、それならここで、文部委員会において出してもらいたい、こういう要求をすれば出しますね。
#111
○内藤(譽)政府委員 国会の議決がございますれば出しますけれども、私の方としては、この講習会の受講者名簿については出したくないという気持は変っておりません。
#112
○横路委員 それでは私の質問の一番あとで、この北海道における受講者名簿については疑義がありますから、文部省に受講者名簿を出すように、本文部委員会として委員長に最後に要求します。私がこの問題をあなたにお聞きしているのは、一体町村の教育長というのは指導者になれるのですか。都道府県教育課程研究協議会の講師になれますか、その点聞いておきます。
#113
○内藤(譽)政府委員 もちろん町村の教育長でも、その人によって、りっぱな識見をお持ちの方はなれます。
#114
○横路委員 町村の教育長は全部なれますか。あなたはしかるべき適当な人なら、りっぱな識見があればというが、識見という言葉ではだめです。何の資格に基づいて、町村の教育長がその都道府県の教育研究協議会の講師になれるのですか。
#115
○内藤(譽)政府委員 これは大学の教授でも同じでございます。だれでなければならぬということはない。つまり新教育課程についての十分な理解を持ち得るような方であればこれは差しつかえないと思います。
#116
○横路委員 今あなたは資格であるとか免許状であるとか、そういうことにはかかわりなく、ただ識見が確かであればなれるという解釈ですね。そういう解釈なんですか、お尋ねします。
#117
○内藤(譽)政府委員 さようであります。
#118
○横路委員 そうすると、りっぱな識見があるというのは何で判断するのですか。
#119
○内藤(譽)政府委員 大学の教授でも別に資格はありません、免許状もありませんけれども、りっぱな方で、教育委員会が適当であると判断された方はあると思います。
#120
○横路委員 それでは、町村の教育長については参加できる、こういうわけですね。だれがそれを判断するわけですか。どこで最終的に判断して講師になれるとかきめるのですか。今一番大きい問題になっているのは、実際にこれから都道府県というものは――あなたはほとんど小学校、中学校の都道府県の教育課程研究会は終えているようなことを言っているが、北海道はまだ一つもやっていない。この問題が解決しないからやれないのです。その場合における町村の教育長はこれは学識経験者だ、なるほどりっぱだ。大学教授というのはやはり公立学校に勤務しているのです。しかし町村の教育長というものについては、これはだれが最終的にきめるのですか。それぞれの教育委員会でやるのか何でやるのか、その点一つお尋ねします。
#121
○内藤(譽)政府委員 最終的には文部省が了承したわけでございますが、都道府県教育委員会の推薦によってきめたわけでございます。
#122
○横路委員 次にあなたにお尋ねをしておきたいのだけれども、たとえば福島県に開かれた東北、北海道の中学校の教育課程研究協議会では、百何名かのうち十何名くらいしか参加していないわけなんです。ああいう場合には予算は残っていきますね。これは当然次の年度に繰り越しているわけですね。この予算の措置についてちょっとお尋ねしておきたい。
#123
○内藤(譽)政府委員 不用額が出れば、これは繰り越しを認めておりませんので返還をいただきます。
#124
○横路委員 それでは来年の三月まで、北海道において小学校、中学校の今の研究協議会が全面的に開催ができるかどうかはわかりません。あるいは全面的にできないかもしれません。こういう場合には、一応文部省からは補助金その他が都道府県議会に入っているわけですね。それはどうなりますか。あとで返してもらうのですか。
#125
○内藤(譽)政府委員 あとで返還していただきます。
#126
○横路委員 それでは、先ほどの北海道における教育研究協議会における参加者名簿の点ですね。これはこういうような分類で出すことについても拒否をされますか。たとえば指導主事、校長、教員、教育長、地方事務局、大学の教官、こういう分類別で、氏名をあげないで、ただ講義については指導主事は何人出た、こういう形で出されることも拒否されますか。
#127
○内藤(譽)政府委員 それならけっこうでございます。私どもは具体的に人の名前をあげますと、いろいろ人権侵害になるおそれも聞いておりますので、控えていただきたいという意味です。
#128
○横路委員 ちょっと内藤局長にお尋ねしますが、さっきからの、参加者名簿を出せば人権侵害になるということは、どういうことなんですか。それを明らかにしてもらいたい。
#129
○内藤(譽)政府委員 私どもの聞いておるところによりますと、大へんまじめに受講された方々に、一々出かけていって、お前は今度の伝達講習の講師になっちゃいかぬというようなことで、ひどく脅迫がましいことも言われておる、こういうようなことも聞いておるわけであります。そこで、特に北海道の講習会を横路先生もごらんになったと思いますが、相当しつこく、講習会が終ったあとまでも食いついて離れない。そうして受講生に対していろいろいやがらせをしておることは聞いておるわけでございます。ですから、私どもは人権侵害にならぬようにという趣旨でございます。
#130
○横路委員 その問題とあわせて、あなたの方ではこういうことを指示していますか。たとえばブロックごとにこういう研究協議会が開かれる。トラブルが起きる。実は私たちもこれにはいろいろ意見はあります。話し合いで解決すべきだと思うのです。これは一つの考え方としては、内藤局長も言ったように、現場の教員もどんどん参加して、文部省のやり方が不当なら不当だ、こういうように議論をして、文部省がもしも一方的にお前らの意見を聞かないというなら退場していけばいい。――その点は私はもっと自由なやり方もあろうと思う。実は八月三十日の日に現場の講習会が開かれる前に、旅館の前にバリケードを文部省の指導で張りました。私はそこのバラ線のところをくぐり抜けて中へ入りまして、そして、教育長にぜひ会って話をしたい。――私も、何もこんなことは好ましいとは思いません。そうしたら、中に教育長はおるのですが、私には会わないということなんです。私もずいぶんこういう勤評問題その他で地方に参りましたが、都道府県の教育長、教育委員会の委員長、都道府県の本部長、知事その他にお会いしましたけれども、だめだと言われたのは尾見教育長が初めてですよ。そこで九月末の道会でそのことを聞いたら、文部省の指示で、会ってはならないと言われた。内藤局長にお尋ねをしたい。あなたの方ではそういう指示をしておるのですか。私だって国会議員なんですよ。それで話し合いをしよう、こういう事態を解決しようというので行っているのに会わない。それをあとで正式に地方議会で聞いたら、文部省の指示で会ってはならないというから私は会えなかったのですと尾見教育長が言っているのです。それはそういう指示を与えているのですか、それとも現場における間違いか、その点をお尋ねをしたい。
#131
○内藤(譽)政府委員 私どもとしては、講習会を既定通りやりたいと思う。大体この講習会に対して、高知大会でピケを張ってもこれを絶対反対だ、阻止するという態度をおきめになっている。そこで話し合いとおっしゃっても、私は非常に不思議に思うのです。一方においてピケ戦術でこれを阻止しようというお考えなんだ。そうして話し合いという名のもとにいつも混乱を起こされている。これは東京その他各地においてそうなんです。まあ北海道はどうであったか私は知りませんけれども、おそらく――私はそういう混乱が起きないことを願っておるのです。ですから無用な混乱が起きないように、なるべく外部の方にはお会いしないという建前をとっておったのです。
#132
○横路委員 外部の者というけれども、話を聞いておるのは私ですよ。衆議院議員である横路が会いたいとこう言った。あなたは国会議員にも一切会ってはならないという命令をしたのです。そういう命令をしておりますか。もしもそういう命令をしているとすれば、全くあなたの方で、話し合いによって解決をしようという文部大臣の考えとは違いますよ。私がどういう考えで会うかどうかは、私が教育長に会って話をしてみなければ判断ができないと思います。それを文部省が地方の教育長に対して、国会議員といえども絶対会ってならぬ、こういう指図をしているということが、明らかに今日の教育に対しては全部文部省の官僚統制だ、文部省のいわゆる中央集権化だ、こういうことを言われるのです。本人個人が判断をして、この事態で会うのがうまくないといって会わないのなら仕方がない。しかし本人は会って話をしたいという気持があっても、文部省から会ってはならぬという指示をされたから会えないのだ、こういうことを正式の地方議会で答弁するような、こういう指示を与えているというやり方が今日の文部省の、文部大臣これですよ、文部大臣お聞きになって下さい。これが今日の教育について、せっかく戦後伸びてきた地方の自主的な立場に立つ地方教育――もちろん私は、教育については国の一貫した方針というものもあってよろしいと思う。しかしそういう地方教育委員会が自主的に判断をして行動することまで一切文部省が指示を与えて――文部大臣が指示をするならまだこれはわかるけれども、内藤局長が指示をして会ってはならみとこう言ったから絶対会わないのだ、それは越権ですよ。どうですか文部大臣、こういうことを地方で何とか話し合いで――私らも意見があるのですよ。必ずしも今日のピケを張ってやるやり方がいいかどうか意見があるのです。だから私たちも現場で即応して話をしてやろうと思うのに、文部省の、これは官僚だ、文部大臣どう思いますか。一々そういうささいなことまで、自主的に判断して行動できるようなことまで、これまでそういうような指示命令を与えるというのは越権だと思う。
#133
○松田国務大臣 私は講習会に限らず、勤評問題その他いろいろの問題について、文部省それから日教組の両側において常に対峙して紛争の起きることをまことに遺憾に思っている点から、こうした紛争の現場に行きたいと思ってずっと心がけておったのですが、ついにその機会が得られない。私は自分自身で地方の実情、現場の実情というものを見て、そうして自分の判断を持ちたい、こういうふうに考えてきておるのでありまするけれども、文部省というのはべらぼうに忙しいところでございまして、私就任以来まだ一日も、ほんとうに休みがないというような状態であるわけです。従って事務当局から話を聞く、あるいは新聞でこれを見るということよりない。地方の教育委員会からの報告なんというものも見ることもあるが、見ないときもあるというような実情でございまして、その点ではもう一つ自分の勉強がまだ行き届かないといううらみがあります。しかし今おっしゃるような事柄は決して望ましいことではありません。従って私といたしましてはそういう点について十分注意をし、重要な問題について私の意見を持って対処したいと心得ますけれども、いろいろの場合に一々報告を受けられないような場合もあります。しかし地方のこの問題については教育委員会は中心としてどこまでも自主的に進んでいっていかなければならぬのであるが、文部省としては非常事態に対しては指示を与えるということもこれまた当然であろうかと思います。事態の非常な紛糾が予想されるような場合に対しては、それが防止という観点から指示、指導するというような場合もあり得る、かように考えております。
#134
○横路委員 実は文部大臣、私は文部委員会の議論を通してほんとうは文部大臣といろいろ意見も、お尋ねもし、私たちも実は必ずしも今日の日教組がとっている教育課程研究会に対するピケだけのやり方というものがいいかどうか、これは私らも意見がある。だから私もあの場合にぜひ話をしたいと思ったのはそこなんです。そこでもう一つ私は文部大臣にぜひお聞きをしていただきたいと思いますことは、教育の政治的中立確保に関してすでに国会では法律を通してある。ところが八月三十日に北海道の定山渓で開かれた北海道ブロックの小学校の教育課程研究協議会に、毎日新聞の夕刊の伝えるところでは、きょうは持ってこなかったのですが、上野課長は、教育は政治的に左右されるものであってはならないというのが基本方針だが、現在の情勢ではやはり政治権力を持っているもののいわゆる教育方針というものに左右されるのはやむを得ないという答弁をしている。これは私あらためてその新聞を持ってきて当委員会で私は大臣にお尋ねをしようと思っている。これは私はまことにこういう考え方が――上野さんというのは初等教育に関する一つの行政上における責任者なんです。私はこの影響は実に大きいと思うのですよ。今度はその載っている新聞を持ってきて大臣にお示しをして、大臣の意見を聞きたいと思うが、大臣はよもやこういう考えは絶対にあり得るはずはないと思う。私はこの問題、あらためて大臣の意見を一つお尋ねしておきたいと思いますが、文部省の中に次第にそういう考え方がはびこってきているということについては、内藤さん、あなたはよく肝に銘じて一つ」……。これは今ほんとうに教育をだれが一体政治的な権力のもとに動かしつつあるかという――文部大臣が御答弁なされたように――あなたが北海道地方の教育委員会に対して国会議員といえども会ってはならぬ、どんな話し合いに応じてもならぬ、それは引き延ばし戦術だ、何だ、こういうことはあげて教育のいわゆる自主性というものを阻害するやり方なんです。この点については文部大臣にあらためて資料を持ってきてお尋ねしたいと思う。私は文部大臣に非常に期待しているのです。私ばかりでなく、私たちといいますか、ぜひあらためて一つ文部大臣も正式委員会のほかに全般的な教育問題について一つお話ししたいと思う。
 内藤さん、先ほど言った受講者名簿についてはこれはほんとうは人権問題をもう少しやりたいと思うが、一時半になったし、私たちは皆さんの人権もあるのだから、あまりこれ以上言ってもあれですから、あなたがさっき約束した北海道における小学校の教育課程研究協議会での国語、社会、算数、理科、音楽、図工、家庭、体育、道徳、教科外指導、一般という課目、指導主事、校長、教諭、町村教育長、地方教育局、大学本校教官というものについて、そういうただ分類に従って何人参加したかということだけは出せる、こういうことであれば、私は先ほど委員長に言ったけれども、受講者名簿についてはこの次あなたの方でそれを出していただければ、もう一ぺん私もそれを検討しようと思う。それでまず区分については出していただきます。それだけ答弁して下さい。
#135
○内藤(譽)政府委員 お尋ねの件は区分に従って人数を出す、氏名は明らかにしない、こういうことに了解いたしておりますので、これは提出したいと思います。
 それから私ども何か話し合いを阻止するという考えは毛頭ないのです。静かな環境の中でできるだけ話し合いをしていきたいと思っています。ただああいう集団のピケの中で話し合いをすることは非常に困難だということを申し上げたのであります。
#136
○横路委員 ちょっと私……。内藤さん、あなたはさっき西村委員の質問に対してもそうだけれども、こちらがわれわれの意見を述べたら、あなたは質問の範囲を越えないでしてもらいたい。あなたがそう言うから言いたくなるのですよ。ああいう集団の中で――あなた、現場を見ていないのに……。私は話をしようと思っているのに断わっておる。そういうやり方はどうかといっているのに、そこはそこでとめておかないと、この委員会はあなたのそういう答弁によっていつまでも紛糾する。この次私が先ほど言いました今日の文部省の中における行政に携わっておる諸君が教育上いかに偏向を犯しているか、前にも学校教職員の偏向という問題があったが、そうでなしに、文部省における行政官の教育偏向について今度一つ委員会でやらなきゃならぬ。ぜひ文部大臣の見解もお尋ねしたい。それではだいぶ時間もたちまするし、人権問題ももう少し聞きたいと思いましたが、一時半になりますので、これで一応きょうのところはおいておきます。
#137
○木村(武)委員長代理 本日はこの程度とし、次回は来たる十八日午前十時より開会をいたします。これにて散会いたします。午後一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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