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#1
第033回国会 農林水産委員会 第14号
昭和三十四年十二月十五日(火曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
   理事 高石幸三郎君 理事 永田 亮一君
   理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君
   理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    天野 光晴君
      今井  耕君    加藤 精三君
      金子 岩三君    金丸  信君
      坂田 英一君    笹山茂太郎君
      田邉 國男君    中馬 辰猪君
      野原 正勝君    松岡嘉兵衛君
      松田 鐵藏君    保岡 武久君
      角屋堅次郎君    神田 大作君
      栗原 俊夫君    栗林 三郎君
      高田 富之君    中澤 茂一君
      西村 関一君    日野 吉夫君
      松浦 定義君    小松信太郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        農林政務次官  小枝 一雄君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  大澤  融君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (蚕糸局糸政課
        長)      筒井 敬一君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十二月十一日
 委員栗原俊夫君、高田富之君及び楯兼次郎君辞
 任につき、その補欠として實川清之君、永井勝
 次郎君及び西村関一君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として
 高田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員三和精一君、足鹿覺君及び栗林三郎君辞任
 につき、その補欠として加藤精三君、日野吉夫
 君及び栗原俊夫君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員加藤精三君及び栗原俊夫君辞任につき、そ
 の補欠として三和精一君及び栗林三郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 理事野原正勝君同日理事辞任につき、その補欠
 として田口長治郎君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月十一日
 はげ山対策に関する請願(五島虎雄君紹介)(
 第一四七九号)
 遠別町に営林署設置の請願(芳賀貢君紹介)(
 第一四八〇号)
 漁業共済制度の改善に関する請願(鈴木善幸君
 紹介)(第一五二八号)
 魚価安定対策に関する請願(鈴木善幸君紹介)
 (第一五二九号)
 漁船損害補償法の一部改正に関する請願(鈴木
 善幸君紹介)(第一五三〇号)
 東北海区の漁、海況調査事業強化等に関する請
 願(鈴木善幸君紹介)(第一五三一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出第一号)
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(栗原
 俊夫君外十六名提出、第三十一回国会衆法第五
 五号)
     ――――◇―――――
#2
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び繭糸価格安定法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。
 質疑の通告があります。順次これを許します。栗原俊夫君。
#3
○栗原委員 今回、生糸の価格の問題に関連して、安定法によって買い上げてある糸を臨時措置法におろそう、こういう法案が出ておるわけでありますが、これは、率直に言って、わが国の蚕糸業界の方向を非常に変えていく内容を含んでおるように思われます。
 そこで、まず最初に農林大臣にお伺いするわけでありますが、大臣も、就任当初から、蚕糸業については非常に関心を持たれて、ほんとうに蚕糸業の安定化した方向を打ち出すことをお約束なさっておるわけですが、やはり、蚕糸業の中心をなすものは蚕糸業法によって一応取りきめられておるわけでありますけれども、蚕糸業法というものをまずお守りになり、これを中心にして各般の施策を具体化していく、こういうことでなければならぬと思うのでございますが、蚕糸業法に対する農林大臣の所見をまず伺っておきたいと存じます。
#4
○福田国務大臣 政府は法律を尊重し、法律を執行するのですから、もちろん蚕糸業法に従いまして蚕糸行政をやって参りたいと思います。
#5
○栗原委員 そこで、お伺いするわけですが、実は蚕糸業法の中に蚕糸業振興審議会というものが新たに設けられました。ところが、蚕糸業法の中に新たに設けられた振興審議会――実は私もその振興審議会の委員の一人であるわけでありますけれども、新たに任命されて、今日まで一度の顔合わせも行なわれておりません。もちろん、今回のこの法案の提出については、あるいはこれは価格に関連する問題であるから価格安定審議会、こういう方向の問題だというお考え方もあるかもしれませんけれども、やはり、私は、単に価格の問題だけでなくて、後ほどいろいろお伺いしたいと思いますが、重大な一つの傾向、内容を持っておると思うのですが、蚕糸業法をお守りになる当局が、蚕糸業界の重大な問題を諮問する、こういう立場でお作りになった蚕糸業振興審議会に対しては、どのようなお考えを持っておられますか、お伺い申し上げます。
#6
○福田国務大臣 日本の繭糸業界は一昨年から昨年にかけまして非常な事態を迎えたわけでございますが、世界景気、それから、この非常事態に対する政府の諸施策等が相待ちまして、また安定向上の線に向かってきているわけであります。それで、新しい事態に即応いたしまして、この安定向上の線に向かいました蚕糸業界が今後誤りないようにやっていくためには、また思いを新たにして、この蚕糸振興対策というものを考えなければならぬ、さような考えを持っておるわけであります。そこで、蚕糸対策につきましては、政府におきましてもいろいろと検討しているような次第でありますが、御承知のように、ただいま、過渡期と申しますか、そういう段階にあろうかというふうに思うのであります。さようなことで、今後の推移におきましても多少検討しなければならぬということで、蚕糸振興の基本政策につきましては、まだどういう方向でいくという線も出しておらないわけであります。しかし、もうそういう時期にも到達しておりますので、本法案成立後には、すみやかに政府としての腹案を得て蚕糸業振興審議会を開催し、意見をお聞きしたい、かように考えています。
#7
○栗原委員 大臣も振興審議会についてお心にかけておることは、今の答弁で一応はわかったわけでありますが、実は、振興審議会には、私たち国会の承認をいただいて出た者が八名おるわけであります。しかも、その同意をいただいた国会は、参議院の選挙の済んだ直後の臨時国会で私たちは審議委員に同意をいただいておるわけなんです。今日まで一度もその招集もございません。従って、審議会の構成さえまだできておらぬ。こういうことで、はたしていいのかどうか。率直に言えば、これは国会の同意まで求めて審議委員を要求しておきながら、半年を過ぎてもまだ委員会の構成もできない、こういうようなばかげたことがはたして許されるかどうか。これは、国会の同意を求めて審議委員を出させておきながら今日まで委員会の構成もやらないということは、全く国会の無視と言っても言い過ぎではないと思うのですが、これに対して率直な御意見を伺いたいと思うのです。
#8
○福田国務大臣 ただいまも申し上げましたように、蚕糸業界は非常に浮動しておる過渡期の状況です。従いまして、私どもといたしましても、蚕糸業の根本的なあり方について、会に臨む態度をきめにくかった。これは御了承願えると思うのです。さようなことでございまするが、いよいよこの臨時国会にも法案を提出しております。この法案成律後におきましては、すみやかに審議会を開き、御意見を伺う、かようにいたしたいと思います。
#9
○栗原委員 どうも御意見があちこちになっておるように思うのですが、もちろん、諮問機関でありますから、政府で一応の施策を立てて、その可否等をお問いになるのも、もちろん諮問の基本的な型かもしれませんけれども、非常に混乱をしており浮動しておるからこそ、こうして作ったものを利用する価値もまた出ておるのではないかと思うのです。従って、コンクリートされた案を諮問するといういき方ばかりでなくて、フリー・トーキングというようないき方の中から意見を取りまとめて資料の一つにするというのも、一つの方法でもあろうかと思います。特に、今回出てきたこの法案のごときも、やはり、日本の蚕糸業というものを方向つける非常に重大な問題が含まれておると思うのです。それは、この八月を中心に蚕糸局の線から出された――、私たちはこれを白書と言い、当局は、白書ではない、いろいろ研究した一つの資料にすぎない、こうおっしゃるわけでございますが、これには蚕糸業の方向を方向づけるかなり重大なことが大胆率直に書きおろされておるわけです。こういうもの等も当然振興審議会の諮問を経る案件だと、私は審議会委員の一人として考えておるのでございますが、こういうような案件等は、決して審議会等に諮問する案件ではなくて、全然別ワクのものなんだ、このようにお考えなのか、この辺を一つ明らかにしていただきたい、こう思います。
#10
○大澤(融)政府委員 蚕糸業振興審議会についてのお尋ねでございますが、蚕糸業の安定に関する検討資料は、私ども、昨年のああした混乱のあとを受けまして、今後の蚕糸業を安定させ、さらに発展させるためにはどういう方策、どういう方向をとるべきかということについていろいろ掘り下げて研究をいたして参ったのであります。そこで、早く方向を見定めて蚕糸業振興審議会にお諮りできるという段階に実は持ち込みたかったのでありますが、私自身の無能力、力の不足から今日までそうしたことのできませんでしたことは、深くおわびをしなければいけないことだと思います。実は、蚕糸業安定に関する検討資料は、蚕糸白書ともいうべき、政府のはっきりした蚕糸業の見方あるいは見解というようなものにまで固めて、蚕糸業振興審議会にお諮りして、さらにその上で今後の政策を立てていただくということを考えておったのでありますが、最終的な結論にまでなかなか至らないということで、検討の過程の検討資料ということでまとめ上げました。蚕糸業振興審議会の委員の方々、あるいは価格安定審議会の委員の方々、あるいは関係諸団体の方々に配付をいたしまして、いろいろ議論をして、それを聞きながらさらに私ども方向を見定めて検討をいたしておるわけであります。先ほど大臣からお話がございましたように、対策というようなこともわれわれある程度の目鼻をつけておると思いますので、そうしたものを持ちまして、蚕糸業振興審議会を早く開いていろいろ御意見を伺い、蚕糸業の安定、発展という方向をはっきり見定めて、その線に沿って早く行政ができますようにということを念願しております。
#11
○栗原委員 大澤局長が御答弁せられたので、これは少しきつい追及になりますけれども、大体局長が、審議会委員の任命が終わったら、まずこれを集めて審議会の構成くらいしないなんていう、そんなばかげたことはないですよ。今日まで、委員を任命して半年もほうっておく、しかも全然初顔合わせもさせない、従って、会長がだれになっておるかもわからない、こんなでたらめがありますか。これは、大臣を責めるのは酷なんで、局長が実際でたらめ過ぎるのです。しかも、われわれも、そういうばかげたことがあってはならぬ、こういうことで、幾たびか、審議会委員を集めなさい、そして、諮問する案件がなくても、少なくとも委員の任命が終わった以上は委員会構成をするのは当然だと言った。このことが全く手ぬかりであるということをはっきりと陳弁してもらわなければ、われわれ委員として承知ができません。委員がここでそういうことを言うことは筋違いのように思うかもしれませんけれども、私は単なる委員でなくて国会から国会の同意を得て出された委員の一人であるだけに、特にそういうことを強く私は要求したいのです。従って、このままでよかったのだと思っているなら、これは大へんですよ。今後、集めてごらんなさい、それはえらい騒ぎになろうと私は思います。それで、その点について、まずかったならまずかったということを率直に表明してもらいたい。これがまず一つ、
 それから、今回提案されたような法案は、振興審議会に諮る必要のない案件なのかどうか、この点を一つ明確にしていただきたいと思うのです。これは振興審議会なんぞに諮るべき案件じゃないのだという確信を持って出されたのではないかと思うけれども、われわれはそうは思いません。その内容はこれから私質問をしながら明らかにしていきたいと思うけれども、これは当然振興審議会にもかけるべきものであったと思うのですが、この点いかがですか。
#12
○大澤(融)政府委員 最初の問題に関しましては、私、反省をしております。
 実は、振興審議会の委員をお願いいたしまして、白書も作り、対策も作る、――六、七月ごろにはそういうものができ得るのじゃないかと思っておったのでありますが、次々とおくれ、さらに今の糸価高の問題などに追いまくられて今日に至っておるのでありまして、その点は、栗原委員御指摘の通り、深く反省をいたしております。
 それから、第二の問題でございますが、これは、昨年臨時措置法を作りますときも、振興審議会あるいは安定審議会というようなものにお諮りをしなかった例もございますのですが、ことしのこの法案が、先般来御議論いただいておりますように、本年最低・最高価格はこれでいくんだという既定方針の上に乗りまして、糸の売り方を変えていこうということでございますので、振興審議会あるいは安定審議会に必ずしも諮る必要がないのではないか、こういうふうに考えまして仕事を進めてきたような次第でございます。
#13
○栗原委員 それでは、次にお話を伺いますが、繭糸価格安定法の中にきめてある最低価格は何を目的として作られ、最高価格は何を目的として作られるわけですか。具体的に言えば、最低価格は生産者の保護、最高価格は消費者の保護というか業界の安定というか、いろいろな見地もあろうと思いますけれども、その精神は何なんですか。
#14
○大澤(融)政府委員 これは、繭糸価格安定法の第一条に目的として書いてございますように、生糸の輸出の増進、蚕糸業の経営の安定をはかるためには、繭及び生糸の価格が異常な変動をしては困るということで、異常な変動を押えましょうということを目的として最高・最低という安定帯が定められるというふうに理解しております。
#15
○栗原委員 安定のねらいは単にそれだけですか。いま少しほかにも何か問題点があるんじゃないですか。最低・最高は、ただ安定帯を作ればいい、どこへ作ってもかまわない、そういう精神ですか。
#16
○大澤(融)政府委員 安定帯を作る目的はただいま申し上げた通りでございますが、しからば、最低・最高価格をどういう基準で作るかということは、やはり法律の三条によってやるわけでございます。
#17
○栗原委員 第三条はどんなことがきめてありますか。
#18
○大澤(融)政府委員 標準生糸につきまして最高・最低をきめる場合は、繭の生産費、生糸の製造・販売に要する費用を加えた額を基準として、その他ここに書いてありますような経済事情を参酌して農林大臣が定めることになっております。
#19
○栗原委員 安定した価格で売らねばならないが、しかし、その安定というものは、生産費を守りながら売っていける方向を打ち出そう、こういうことがねらいだろうと思うわけです。ところが、あなた方が出した、いわゆる白書ではなくて検討資料だという中には、この繭糸価格安定法の精神を大きく変えていこうという意図が強く出ておるわけです。その最後の方にはその問題が詳しくしかも意欲的に書かれておる。生産費を基準にした価格の安定
 は、言うならばもう時代が変わってきて、やはり均衡によるところの価格安定をしなければならぬというようようなことが強く主張されておるわけでありますが、今日ただいまの時点において、日本のこの混乱しておる糸価の問題をどう安定するか、これについてどのように考えておりますか。
#20
○大澤(融)政府委員 ただいまの御質問でございますが、八月の末以来糸価がいろいろの原因から上がって参ったというようなことで、ただいま御審議を願っておるような法律を作って、これが成立いたしましたならば、安定法によって買った糸も放出をするということで糸価の安定をはかって参りたい、当面そのように考えております。
#21
○栗原委員 そうすると、裏を返して言えば、ただいまの時点において考えておる糸価の安定の方式は、生産費というものには何ら関係なしに、いわゆる蚕糸局の皆さん方が価格安定審議会に諮って作ったんだと言いますけれども、生産費とは縁もゆかりもない点で価格の安定をしようとしておるのですか。
#22
○大澤(融)政府委員 ただいま最低価格としてきめております十四万円、あるいは繭の一貫目千円というのは、御存じのように、この法律第三条を受けました政省令によってきめておるものでございまして、この基準からはずれて勝手にきめたということではないと承知しております。
#23
○栗原委員 もちろん、どういう数字を出しても、生産費が数字で出て、また皆さんが出す数字が具体的に出れば、それが何%に当たるという、それは強引に説明をすれば全然無関係という数字はおそらく一つもないでしょうけれども、十八万を中心にして、特に時価すなわち十八一万円だという物の考え方で当初提案されたわけですが、考え方の中には、少なくとも生産費に関連した物の考え方は一点もないように思われますけれども、この点はどうなんですか。
#24
○大澤(融)政府委員 この前のときもお話があったと思うのでありますが、十八万円と申しますのは臨時措置法の売り渡し価格をきめたものでございます。なぜ十八万円にしたかということですが、十四万円という最低価格をきめまして、――従来から繭は十九万円・二十三万円で四万円幅の安定帯が大体あったわけです。そこで、異常な価格の変動を防ぐ幅として従来からとっております四万円をそのままとって、十四万円プラス四万円で十八万円というふうなことをきめたわけでございます。
#25
○栗原委員 計算から言うとそういう計算になるかもしれませんが、端的にお尋ねしますと、皆さんの発行した文書の中にも、生糸の生産費は大体一俵二十万円かかるということを言っておるわけですが、生産費よりも二万円安いところへ安定する、こういう安定の仕方が臨時措置法の施行のワク内だといえば一つの条件があるわけですけれども、そういう形で将来日本の蚕糸業というものを持っていきたいという希望であるならば、これも一つの希望として成り立つかもしれませんけれども、生産費と安定する価格が二万円も逆ざやである、こういうことで、これでいけるんだと、ほんとうに腹の底から信じておるんですか。
#26
○大澤(融)政府委員 御承知のように、検討資料でも述べておりますように、従来の、現行算定方式による生産費基準というものについてはいろいろ問題があるわけでございます。それを基準にしてきめた十九万円というものが、去年いろいろ問題があったわけでございます。そこで、ことしは、一年臨時措置法を延長していただきまして、並行的に、その価格算定方式を、一体現行の生産費基準方式でいいのかどうかというようなことを検討を重ねておるわけでございます。最終的な結論はまだ出ておりませんが、そういう意味で、そこにこそ問題がありますので、ただいま臨時措置法を施行していただいて本年度の価格安定をしておるわけでございます。
#27
○栗原委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、日本の蚕糸業の将来の希望的な考え方は、いかようであってもこれは自由であり、けっこうであろうと思うのですが、当面二十万円でなければできないものを、実質上最高十八万円で押える、こういうことについての大臣の率直な御所見を承りたい。
#28
○福田国務大臣 今安定法では最高価格を二十三万円というように言っておるわけでございます。私も二十三万円という価格が出てくるように念願しております。もっと高く売れるということならなおいい。なおいいんでございますが、しかし、要するに、買い手がなければそういうことにはならないのですから、私どもはまず何よりも生糸の需要を喚起するということに重点を置かなければならぬと考えておるわけです。昨年ああいう苦しい状態に追い込まれました蚕糸業といたしましては、とにかく低い姿勢で需要を求めよう、こういう政策に乗り出してやってみたところが、最近におきましては大へん工合がよくなってきておる、こういうことです。とにかく、まだ半年先はどうなるかといって心配しておったわけです。それが今日思いがけないくらい工合がよくなってきておる。ここで十八万円にくぎづけするのはどういう御意見でございますか、私どもは、これは高くなって高いままで売れればこれに越したことはないと思うのです。しかし、それにいくにはしばらく低い姿勢がよかろうという趣旨で臨時措置法というものができたのですから、その考え方をここですぐ変えてしまうわけに参らぬ、そういう情勢に向こう前進の過程としてこれはやむを得ないんだ、かように考えておるわけであります。
#29
○栗原委員 当局とすれば一応もっともらしい考え方であるわけですが、最低価格は十四万円で、これ以下は売りませんぞというのが十四万円ですから、従って、上へ値が上がってくるのは、こっちから売りませんぞと言うから上がってくるという商取引のなにもありましょうが、制度的には、十八万円以下では売りません、十九万円以下では売りません、こういうことでなくて、実需がだんだん買い上げてきておる。ここに見解の相違もありましょう。皆さんの方では思惑だとおっしゃるのだけれども、先般の石橋さんの提出した書類によれば、十八万円にくぎづけのような相場を形成しろと仰せられても周囲の強力なる実勢によって政府の方の御満足するそういう相場は形成できないのだ、こういうことを言っておるわけなんです。実際に買い上げてきておるのだ、こういうことを言っておるのですから、こういうときに、とにかく生産費が二十万円かかるものを強引に十八万円に押えていこう、こういうことはどうもわれわれとしては納得ができない。臨時措置法のできたときにも、今から言えば、あのときの状態は、実際のことを言って下値の問題で臨時措置法ができたのだから、上値のことはほとんど論議されておりませんでした。さらに、あのときの時価でもって処理できるという問題が逆に使われて時価とは最高価格の二十三万円でなくても売れのだ、こういうようなきわめて不明確な中に理解されておったけれども、率直に言って、私の理解では、十九万円で買った糸を時価で売ってもいい、こういうことなんだから、少なくとも買った値よりは安くはなかろう、あるいは常識的に言えば生産費を割ってまで売るようなことはなかろうというようなおぼろげな考え方をしておったけれども、具体的には質疑応答を通じて時価とは何ぞやという点について臨時措置法ができるときには深く掘り下げられてなかったわけです。そういう中で十八万円というものが出てきておるわけなんですが、実勢は決して十八万円でないということは取引所の諸君さえも言っておる。現実に現物は二十万円をこえて売れておる。これでもなおかつやはり十八万円を強行しようと考えておられるかどうか。
 さらに、一体、今持っておる品物全部がなくなった暁に、具体的にはどのような方法でそれでは糸価の安定をしていこうとするのか。この点一つ大澤局長の構想を明らかにしてもらいたい。
#30
○大澤(融)政府委員 二つ御質問があったと思うのであります。
 最初の時価の問題でございますが、先般もこれは政府の統一見解として農林大臣が述べられましたように、時価の算定、一体何は幾らが時価なんだということはなかなか判定が困難な事情がございますから、もしかりに時価が十八万円ではない、これをこえるものであるというふうに考えました場合には、もちろんこれは国の会計法の原則に従いまして処置をする、売り渡し方法などについてもその場合変える必要があるというようなことが予想されるわけです。そうした場合は、もちろん安定審議会を開きましてお諮りした上できめるというふうに御理解いただきたいと思います。それから、第二の問題でございます。私ども先般需給の見通しをお配りしてございますが、私どもといたしましては、ことしの需要供給の関係から見ますならば、三万俵ないし四万俵のものが来年の供給に持ち越される、これは政府の手に残るかあるいは民間に放出されて民間の在庫として残るかという問題はあると思いますけれども、いずれにいたしましても、来年度にそれだけの潜在的な供給力として二、三万俵あるいは四万俵のものが持ち越されるということで、ただいま御質問のありましたような御心配な状態はないというふうに確信をいたしております。
#31
○栗原委員 まあそれはあなたの確信で、あなたの確信は次々くずれてきておるわけです。仮定の問題には答えられない、こういうことになれば、先のことは全く論議はできないわけですけれども、政府に手持ちが一つもない、そのときに糸価の安定をする、――今は臨時措置法で時価で売れるという形で具体的な品物があるから時価で売れるわけですけれども、具体的な品物がない場合に一体安定の最高限をどのように考えるか、こういうことなんですよ、私が聞こうとするところは。それは安定法の本法にある生産費に関連した最高価格という今の二十三万と違った意味の安定帯の最高限というものが考えられるのかどうか、ここのところを明確にお答え願いたい。これが一番われわれが聞きただしておきたい重要点なんです。これはどうなんだ、こういうことなんです。
#32
○大澤(融)政府委員 来年度の価格は、原則としまして三月に価格安定審議会に諮ってきめて参るということになります。そこで、ただいまのこの法案の結果どうなりますか、あるいは糸の放出がどうなるかというようなことも、そのころには見通しがついております。来年度の値段はそういう一般的な見通しを立てた上で審議会の意見を聞いてきめて参る、こういうことになろうと思います。今からどうなるというようなことを軽々に判断すべきことではないというふうに考えております。
#33
○栗原委員 大臣にお伺いしますけれども、大臣はいろいろの機会に、これは当面の対策であって、基本的には繭糸価格安定法を根本的に考えなければならぬ、こういうようなお話をされておるわけですが、繭糸価格安定法の第三条で明確にうたっておる生産費に関連して価格を安定していく、こういう精神をそのまま貫いていくのか、あるいは、蚕糸当局が非常に強く考え出しておる需給均衡で安定をしていく、こういう方向をとろうとするのか、この点についての大臣の考え方はいかがでしょうか。
#34
○福田国務大臣 私は、生産費を見て価格がその上に立って安定するという形が一番望ましいと思う。しかし、統制というのは大きな経済常識をはずれてこれが行なわれるということはとうていできないと思うのです。生糸について言いますれば、十九万円・二十三万円というものがあった。しかるに、実際は十四万円、十五万円という相場が出るというような事態がつい一年前にあったわけです。そういうようなことで臨時措置法というものができて、経済の実態と合わして再出発というか、また目標に向かって進もうというような考え方が進められたわけなんです。だから、私は、二十三万円というような価格をきめた思想そのものは、これはどうしても私の目標として実現したいと思います。しかし、同時に、そういう価格ではこれは生糸の需要を圧迫するというような客観的情勢があるというにおきましては、これを、臨時的というか、経済の実勢と調子を合わして、そうして、これが二十三万円に逐次いくようにするための需要の増加についての努力をしなければならぬ、こういう考えです。
#35
○栗原委員 大臣も、生産者を守りつつ消費をふやしていこう、こういう考え方なんですが、十八万をこえると一体どこが困るのですか。われわれは十八万円をこえたらだれがどう困るかということが一向に理解できないのです。蚕糸当局に言わせると、十八万円をこえると蚕糸業界が今にも破裂してしまうような物の言い方をしておるのだが、十八万円をこえるとどなたがどんな工合に困るのか、この点一つ私たちが全くなるほどなと納得のできるような説明をしてみてくれませんか。
#36
○大澤(融)政府委員 安定制度というものは、原則として一生糸年度の間は同じ安定帯でやっていくということが原則であると思います。そこで、一度きめられた安定帯があるならば、消費者も、あるいは生産者も、それは年間変らないのだというような期待があるわけです。そこで、そういう期待の上に物事がすべて運んでいると思います。そこで、十四万円・十八万円というものが、いろいろ御議論はございましたけれども、今生糸年度の安定帯というふうに定められて進んでおるわけです。そこで、まだ政府の生糸が当初十万俵あり、そのうち約半数が売れたわけでございますが、残りなお五万俵もあるのにもかかわらず途中で価格が変更されるというようなことは、年間十万俵の生糸をもって十四万・十八万の安定帯が維持されるということを期待して物事を進められた方々にとっては、この期待を裏切ることになるわけです。つまり、安定制度自体の信頼を裏切るということになろうと思います。先般田邊委員からお話がございましたが、ことしの五月のミュンヘンの絹業大会のおりにも、世界各国の需要者は十四万・十八万という安定帯が今生糸年度一年間は続けられるのだということに深い信頼と期待とを持っていろいろな取引を進めていくということであったわけです。そうした価格安定制度の信頼を裏切らないということが一番大切である。価格安定制度があるからには、これを維持していく、この信頼を裏切らないような運用をしていかなければならない、こう考えるわけです。
#37
○栗原委員 お説はごもっともなんですが、昨年のことを言うとまた悪い夢も見るわけですけれども、今度の十四万・十八万というものは、臨時措置法によって買い上げた糸を時価で売る、その時価の中から十八万円という私たちからすれば納得のいかない数字が出ておるわけです。これは十八万円で売りました。昨年はどういうことかと言えば、昨年は価格安定法があって、しかも臨時措置まで作って、繭は千四百円、生糸は十九万円、こういうことでやっております。これこそ法律をもって約束をしたもんですよ。これは百五十億も金を注ぎ込んだというけれども、あと金がないわけじゃない。法律を破って、下は抜け抜けとやっておるわけですけれども、今回は、とにもかくにも約束通り措置法で買った生糸については約束通り売っているわけですから、私は世間に発表した安定の線については少しもさしさわりはないと思う。あるのは二十三万円でなければ売れないところの生糸がある、こういうことだけなんですけれども、これを強引に出そうとしておる。従って、これを十八万円で出さなければ一番困るのは、今横浜、神戸で立ち会いが停止しておる、この約束が果たせない、それが困るただ一つの理由じゃないですか。どうです。
#38
○大澤(融)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、生糸の需要者、織物業者もちろんのこと、輸出業者もちろんのこと、あるいは取引所で取引をされる方、この方々すべて十四万・十八万の安定帯は堅持するという政府の方針に従って物事を進めておられると思います。ですから、もしこの方針が堅持できないということになれば、これらの方々を裏切るということになろうと思います。
#39
○栗原委員 それでは、繭は法律によって千四百円で買ってもらえると期待をしておった農民を裏切ることは何でもなかったのですか。これはどうなんです。
#40
○大澤(融)政府委員 昨年はいろいろいきさつがございますけれども、特別会計にあります資金がなくなればさらにこれを追加する、それだけでは済まなくて、さらに臨時措置法を作って百五十億の資金を追加して、さらに十九万円、千四百円の維持をはかったわけでございます。はかって、最後にそれははかり切れないということが明らかになって価格改定ということになったわけでありますが、下値をささえる場合にも手を尽くして最後までやったわけでございます。ことしの場合も、なお生糸が政府の手持ちが五万俵もありますのに、ここで十八万円・十四万円のあれを放棄するということは、まだ手持ちの生糸があるのにそういうことをするということは、私としては、許すべきことではないのではないか、こういうふうに考えております。
#41
○栗原委員 それは、今売ろうという糸がはるかに生産費を上回って、言うならば悪どいような、利潤を加算したような値段になっておるというならとにもかくにも、生産費は二十万円かかるということをはっきり政府みずから認めており、そして、今ようやくにして需要というものが生産費まで買ってくれようという実態になってきつつあるのに、これを生産費で売ってはならない、生産費よりも二万円安く売らなければならない、そういう理屈がどこにありますか。なるほど、一つの方策として安定帯の十四万・十八万をきめた段階もあったでしょう。しかし、それこそ全く異例の措置であって、二十万円かかるものを十八万円で売らなければならないというような、そんなばかげたことをやるということがありますか。生産費が二十万円かかるのだから二十万円以下は売りませんよ、こういう形をとるのではなくて、下から二十万円でも買いましょうと買い上げているのではないですか。制度的に二十万円以下は売らんと言っておるわけではない、実需から値が上がってきておる、こういう形なんだと私たちは認識しておるけれども、政府の方では、今の値でなくては売らぬとがんばるからやむなく値が上がっておる、こう考えておるらしいのだけれども、これは重ねて申し上げる。政府の方では十八万円を御希望なさる、しかし、周囲の実勢がこれを許さない、こういうことをはっきり言っておる。こういうことで生産の立場にある農民やあるいは糸を加工しておる業者の対策というものがこれでいいのだ、こう思い切っておるのですか、ほんとうに。この点、大臣、いかがですか。
#42
○福田国務大臣 私は、十八万円というのは、とにかく今までそういう線でこの生糸年度はやろうと言ったのですから、政府は最善のそういう努力をすべきものであるし、また、それを期待して輸出は行なわれるし、また、内需もナイロンと拮抗してやってきておる、こういうふうに思うわけです。でありまするから、この価格の安定、それから需要を喚起していくという努力は、どうしても続けていかなければならぬ、こういうふうに思うのですよ。これは、つまり、蚕糸業といえばいろいろな業者もおります。しかし、私は、一番その立場を尊重しなければならぬのは零細な養蚕農家だと思うのです。養蚕農家の立場を思えば、ここで生糸の価格が浮動をして、そして、国外においては輸出競争に負ける、あるいは国内においてはナイロンに圧倒される、こういうことになったのでは、私は、養蚕農家に対しましても業界に対しましてもまことに申しわけない、かように考えておるわけなんです。さればこそ、先ほどから申し上げておる通り、生産費を償う価格は念願するけれども、これは経済の実勢に応じてやらなければならぬ場合もあるので、そういう場合に際会しているから、まあそこはそうあせらずに着実に目標を実現するようなことを考えていくべきものである、かように考えておるのです。
 今十八万円を二万円こえているからというようなお話でございまするが、取引所の立ち会い停止前の当限価格は十八万円内外、それがちょっと出たところのようです。はたしてこの実需というものに対する価格がいかにあるべきかということにつきましては、私もなかなか判定困難だというふうに思うのです。でありまするから、さような場合におきましては、本法案によりまして売り渡しの権限を獲得いたしました生糸につきましては、法案ができましてから安定審議会に諮って、その皆さんの御意見もよく承って売り渡し方法等はきめていく、また、政府の方の――政府というか、法律等も、時価によってこれを売るべし、かようになっておりますので、さようなことを基準といたしましてやっていく、こういう考えでございます。
#43
○栗原委員 農林大臣の御意見は一応筋が通っておるように見えるのですが、これは養蚕の問題だからそういう説明で説明がつくと思うのですよ。一つ事を肥料に変えて農林大臣の蚕糸業との関係を言えば、肥料は四割も輸出される、こういうもので、海外では四十ドル見当で勝負をやられておるから、じゃあ生産費は五十五ドルもかかってもこれにそろった値段に肥料ができるかといえば、これは大資本家に対してはおそらくできないのだと思うのです、大臣にも。相手が農民であるからどうもこれは軽くひねってくるような、ひがみかもしれぬけれども気がしてならぬ。輸出の方がこれでないと売れぬのだから、生産費を割るだろうけれども一つこれでがまんしろ、こういうことを今仰せつけているわけなんです。では、肥料もかようなことができるか。輸出するにはいわゆる国際価格がこういうことなんだ、生産費はそれだけかかるだろうけれども、輸出が困るから、じゃあ一つここまで下げて売れ、こういうことはおそらくできませんよ。蚕糸業だけなんです、そんなばかなことを強要しているのは。それは、率直に言って数多い農民が政治的にも弱いからこういうことを押しつけられておるのだけれども、そんなばかげたことはできない。
 で、ただいま、立ち会い休止前の当限が十八万円そこそこだと言われる。それはあたりまえだ。渡すものは十八万円で品物を渡すと言っているのですから、それは十八万円で渡せるのがあたりまえなんで、これこそ、取引所の公正な価格形成を約束したとかしないとかいろいろ論議があるらしいのですけれども、政府みずからが公正な価格形成を完全に干渉しておると言っても言い過ぎではないと思うのですがね。先ほど農林大臣のおっしゃる通り、また蚕糸局長も言う通り、いわゆる十四万・十八万の約束はしたのだ、従って、これは今年は守るべく最高の努力を払う、それには安定法で買い上げた二十三万円でなければ売れないものも臨時措置法でおろして一つお約束の十八万円を守ろうとして努力をしておるのだということで、そこまでは政府としてはなさるかもしれません。しかし、これを議会にまた諮ってみたところが、どうもそれはよろしくない、こう言うなら、これもまたやむを得ない、こうお考えなんですか、この辺はどうですか。
#44
○福田国務大臣 御理解のある農林水産委員会の各位がさような結論を下すまいことを確信いたしております。
#45
○栗原委員 時間もございませんから、最後に一つ希望と御意見を伺いたいと思うのですが、再び逆に戻るわけですけれども、少なくとも、繭糸価格安定法の第一条は安定を規定し、第三条は生産費を守るということを規定しておる。私たちは、もちろん安定して消費を伸ばすということは当然でありますけれども、やはり、生産に従事して生活を立てておる多くの農民、また多くの業者がおる限り、生産費を無視した安定帯というものは、これは何としても承知できません。そこで、蚕糸局が白書としてあるいは検討資料として出した基本的な方向の中に、需給均衡価格という方向を打ち出そうという強い意思表示をなさっておるのですが、そういうことを頭に入れておくことはけっこうでございますけれども、具体的な方向としてはどこまでも生産費に密着した安定の施策というものを続けていく、ただ、でき得る限り生産費というものを下げていく施策をあわせて行なっていく、こういうことで生産費と密着した安定方向をぜひとも続けて確保していってもらいたい、こういうことを強く念願するのですが、これに対する大臣の固い信念を承っておきたい。
#46
○福田国務大臣 栗原委員の御意見の通り、生産費を償う価格で繭糸価格の安定が実現されることはまことに私も同意見です。生産費を下げるための努力を一方においてすべしという御意見、これまた全く同意見なんです。ただ、今全体の質疑を通じましてだいぶ私どもの考え方に御不満があるようでございまするが、私どもはそういうことがスムーズに行なわれるというための努力をしているのです。これを努力をしないでそういう結論を得ようといたしましても、これは経済の大道からそれる、こういうことに相なるわけでございます。どこまでも、私は、日本の養蚕農民を守り、蚕糸業界、また関連業界を守るというためには、やはり、基本的には生産を合理化して、そうして、その上に立って、ナイロンその他の競合繊維と国内においては打ち勝ち、また国際価格におきましても中共その他の競争生糸に打ち勝つという体制を固めなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
#47
○栗原委員 そうしますと、この案件については、質問を通じて明らかなように、まことに不満であり、率直に言えば納得できないのですが、われわれの立場から言えば、これが立法化され、そして不幸にして現在の安定法による手持ちの糸がゼロになる、こういう事態がきたときに、次の段階において安定帯の最高限というものが、いわゆる安定法の第三条の精神にのっとる最高価格ならばこれでいいわけですが、そういうものと遊離して、現在の臨時措置法のような物の考え方で、需給均衡価格という安定帯の生産費を遊離した最高価格などということを絶対に行なってもらいたくない、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#48
○吉川委員長 高田富之君。
#49
○高田(富之)委員 ただいま、栗原委員から、安定法の基本精神である生産費の問題を中心にいたしまして、今回の改正案に対するいろいろな御質疑がありました。私、前回御質問をいたしましたところ、政府から統一見解が出されておりますので、この統一見解につきましてなお若干補足の御説明を願いたい、こう思うわけでありますが、その前にちょっと伺っておきたいのですが、このたび取引所が清算取引を休止いたしたのであります。取引所の休会というようなことは、正常な状態においてはあり得べからざることであり、業界にとっても、またわが国の経済界にとりましても好ましからざることであることは言うまでもありません。こういう重大な意思決定を取引所がされるにあたりましては、日ごろ非常に関係の深い、こまかいところけで微に入り細をうがって御指導をし相談相手になっておる蚕糸当局としては、当然事前に御存じであり、相談を受けられ、あるいは蚕糸局長あたりの方からもある程度のサゼスチョン等ありましてああいう措置をとられたのではないかとさえ考えたいくらいであります。この休会に至りました事情と、これに対する政府の当局当面の善後措置、対策、こういうものを一言伺っておきたいと思うわけです。
#50
○大澤(融)政府委員 先般からいろいろ問題になっておりました受け渡し品の確保ということについて疑義が生じたということで取引所が自発的に立ち合いを休止いたしておるのであります。私どもといたしましては、立ち合い休止がよかろう、あるいはした方がいいというような指示はいたしておりません。ただ、法案の審議の模様が今後どういうふうになるであろうかというような点についての意見は求められておりますけれども、その程度以上には出ておりません。現在立ち会い休止をしておりまして、休止をするというような事態は確かに異常な事態でございますが、政府といたしましては十四万・十八万の堅持をしたいという気持でこの法案の審議を願っておりまして、そこで、この法案の御審議の結果によって取引所の方もそれに対処していくということになろうと思います。私どもとしましては、法案御審議の過程でございますので、どうこうせよというようなことは今でき得ない状態でございます。
#51
○高田(富之)委員 取引所の休会はどうしてしたかということは、ただいまちょっと御説明がありましたが、清算取引の受け渡し供用品について、政府の手持ち生糸を十八万円で売り渡すという約束があったのでありますが、その約束が先般の統一見解の発表を見ますと何かぐらついてきているんじゃないかという心配を業界に与えたというようなことから休止されたということになっておるわけであります。私どもは、もちろん取引所が正常な状態で業務を開始し、そうして業界に一つの指標を与えるような公正な相場をあそこで早く示す状態にしなければならぬと思うのです。しかし、極端に不具な形で、界常な形で、本来の機能を発揮しないような形で再開させるというようなことは必ずしも望ましくないと思うのです。いずれにいたしましても、この法案の審議はそういう点で非常に重大であります。今後取引所の正常な機能を回復した形で再開されるか、それとも、不具な形、かたわな形で再開されるか、あるいは再開されないかというようなことにも関係するのでありまして、将来の業界の長い目で見ました安定というものを基本的な立場からわれわれは考究しなければならない、こういう考えで慎重審議が今こそ私どもは必要だと思う。ちょっと取引所が休んだからといって、これは大へんだ、ほら法案を通せ、いやしくもそういうような考え方を持つならば、将来非常に大きな禍根を残すこともあり得ると思うのです。ですから、私は、この問題にからんで取引所はいかにあるべきかというようなことはこれから御質問したいと思いますが、この際冒頭にぜひただしておきたいことは、取引所が休んだというようなことがいやしくも一つの圧力のようなものになりまして、そうして法案の審議を促進し、原案通り早く通過させなければ大へんだというような雰囲気は、絶対に本委員会は持ってはなりません。そういう圧力をかけてはならない、また、そういう筋合いのものじゃないと私は確信いたします。慎重な審議をぜひこれからもお願いしたいと思いますが、この点について一言政府当局側の御見解も承っておきたいと思います。
#52
○大澤(融)政府委員 提案理由の説明にもありますように、慎重に御審議いただいて、すみやかに御可決あるようにということを希望いたしております。
#53
○高田(富之)委員 そこで、取引所のいかにあるべきかというような問題についてもいろいろこまかい点をお伺いしたいと思いますが、その前に、先ほども申し上げましたように、先般の私の三つの質問に対しまして、大臣から大へん御懇切な政府側の一致した御見解というものが発表されまして、これは取引所その他関係業界にも大きな影響を与えておるわけであります。いやしくも政府の決定的な意見ということになりますと、これは明確で何人にも疑いを差しはさむ余地のないものであることを理想といたしますので、私自身がこれを承りましてなお若干補足説明を願った方がいいじゃないかと思います点が二、三ありますので、これを順次お尋ねいたしたいと思うわけであります。
 まず、一番初めに、時価ということについて大へん御苦心をなすった御答弁をいただいておるわけでございます。これは、確かに、時価すなわち十八万、こういう当初の提案理由説明の際にお述べになりました機械的な御見解から見ますと、相当進歩した、常識にだいぶ近づいた御回答であると思うのであります。しかしながら、まだその点で、もう少し奥歯にもののはさまらないような物の言い方をしておきませんと、はっきり今後に心配がないというわけに参りません。その点、この文書を読みますと、何か時価は今わからぬということなんですね。なかなかむずかしくて時価というのはわからぬ。捕捉しがたい、特に国会における法案の審議の状況などが反映してわからぬということをおっしゃっておりますが、時価のわからぬのを国会の審議の責任にかぶせられたのではたまらないのでありまして、こういう言葉は慎んでもらいたいと思う。大臣、一つよく聞いてもらいたいと思うのです。時価がわからないのを、国会の審議状況に責任があるみたいなことをおっしゃられますけれども、私はそういう答弁はちょっと困るのじゃないかと思うのです。大体、時価というものが、あなたがここで言われておるように、当限の十八万ちょっとこえているという程度のところと、それから現物の二十万をちょっとこえているところと二つあるのだ、どっちだかわからぬということです。それで、国会の方の法案審議のことは私はちょっといただけないと思うのですが、かりにこの二つのことをとりましても、さっき栗原委員から説明がありましたように、どっちが自然の姿であるかということは、これは問題ないと思うのです。清算取引の方は、十八万の現物を政府が渡す約束をしてしまってあるし、建玉の制限もしてありますので、これを中心に取引をしているにすぎないものでありますから、十八万からそんなに上下する道理がないのであります。これはいわば人為相場です。政府が自分で十八万の相場をこしらえていて、これが時価だということは、意味がないのでありまして、やはり、自然の取引の結果生じておる現物の取引の相場の方が時価を表現していると見るのが、これまた常識だと思うのであります。こういう点にもまだ非常なこだわりが感じられるわけでございます。
 そこで、私は、法律用語というものはあまり政府で拡大解釈をされますと、せっかく法律を作っても何にもならないので、やはり、ある程度こういう問題が起こりましたときに解釈を確定しておくということが、この問題の処理についてももちろんですが、今後の場合にも必要ではないかと思うのです。そこで、時価ということにつきましての法律家の解釈を調べてみますと、法律上の時価というのはこういうふうに解釈されているのです。これをそのままお認めになっていただけるかどうかということでありますが、時価というのは、「その時々において、一般にその物が取引されている実際の価格をいう。この場合に、その物について取引の市場と認むべきものがあるときは、その市場における取引相場が時価となる。公定価格が時価といい得るかについては問題がある。新しい法令では、公定価格があるものについては公定価格、これがないものについては、時価と、この両者を別しているものもあるが、単に時価を参酌して又は時価によるというような場合においても、これをもって直ちにやみ値を公認したものと解すべきではなかろう。」、こういうようなことで、要するに、そのときどきにおいて一般にそのものが取引されている実際の価格、市場のある場合にはその市場取引相場が時価だ、こういう法律家の解釈なんです。法制局意見長官佐藤達夫編「法令用語辞典」というのにこれは出ておるのですが、大体常識でもそうですけれども、法律的にこういうふうに明確に解釈してもらえばそう疑義が生じないと思うのです。ですから、ほんとうの時価は、われわれの常識で考えるように、そのときどきに変わるものだ、こういうことでなければならぬ。だから、現在の時価は何かといえば、現在の市場のあるものでは市場の価格をもって、これが時価だ、こういうふうにすなおに認めるべきではないか、こう思うのでございます。これでよろしゅうございますか。
#54
○大澤(融)政府委員 時価の意味、大体そういう御趣旨だと思います。
#55
○高田(富之)委員 そうしますと、だいぶはっきりして参ったわけでございます。そこで今度は、時価をそういうものというわけですから、初めにおっしゃったように、政府が一たん十八万が時価なりときめたら、一年間通じてこれが時価なりということはあり得べからざることで、これは完全に御訂正なすったわけでございます。従って、訂正されたという意味において了といたします。
 さらに、その次のページにやはり御説明いただいております、今度この法案が通った場合に会計法の原則に従って処置すると、こういうふうに言われておるわけでございます。会計法の原則に従って処置するということになりますと、原則としては競争入札ということになろうかと思うのです。ちょっと例外的な規定もあるようですけれども、原則的な考え方は競争入札によってそのときの時価が表現されるような形で売れ、こういうようなことだろうと思うのですが、この会計法の原則に従って処置する、ここまで明白に言われました以上は、ただそのとき安定審議会にかけて相談するというようなことでなく、御相談なさるには必ず案というものをお持ちになって相談なさるわけなんでしょうから、この会計法の原則に従って、こういう案を安定審議会にかけて、大体政府としてはこういう考えで処置したいのだというところまでおっしゃらないと、いろいろ疑惑が生じ、そこに思惑も生ずるわけです。やはり、この際、ほんとうに時価を表現する方法の一つとして、公正に売り渡す方法として会計法の原則でやる、その場合には、この売り渡しの方法はこういうふうにやるのだということとを明らかにしなければならぬ。特にここで申し上げたいのは、先ほど申しましたように、清算取引の現物を両取引所で二万俵というものを当てにしておるわけでありますので、その受け渡しがどうなるかというような心配が取引所に非常にありますと同時に、実需方面においては、清算の取引なんかの受け渡しにそんなものを使うくらいならば、実需のおれたちに渡してくれないかという陳情もあるわけです。おそらくたくさんの陳情が行ったと思うのですが、先般の参考人からもそういうお話があったわけです。出してもらえるならおれの方にというようなお話も各方面からあるわけで、この際、どういうような方法で会計法の原則に従ってやるかということも明白にされないと、相当に動揺を与えると思うのです。現に与えておりますので、一つその点も御説明いただきたい。
#56
○大澤(融)政府委員 最初に、時価が十八一万円だというのは訂正されたのだという点、ちょっと誤解があるといけませんので申し上げますが、十八万円というのをきめましたのは、時価が十八万円で、十八万円で申し込みがあれば売りますよという意味で、時価十八万円のときに売ります、こういう意味の十八万円でございますから、誤解をしていただかないようにお願いいたします。
 それから、第二段の問題でございますが、会計原則に従って売るということは会計原則に従えばいろいろの売り方があるわけでございます。実需者に的確に糸が入るようにというようなことを考えてやる場合には、いろいろの方法があると思いますけれども、入札というようなことも一方法かとも思います。それから、取引所の受け渡し品確保の問題でございますが、これは、取引所で受け渡し品が手に入らないというようなことから異常な相場が出てくる、それが逆に実物価格をミスリードするというようなことがあってはならないことだと思います。そこで、一般市場で入手し得る条件で、同じ条件では清算市場の受け渡し品も事欠かないように手当ができるというような方法は考えていかなければいけない、こう思っております。
#57
○高田(富之)委員 この問題は取引所の問題と関連してもう一ぺんあとでもう少しこまかくお伺いしたいと思うのですが、いずれにしましても、会計法の原則によって公正に売り渡しをするというときに、こっちのグループに幾ら、こっちのグループに幾らというような工合に、実需方面にはこう、清算にはこれというような工合のことをおやりになるのでは、ほんとうに公正な売り渡しができるかどうか、私は非常に疑問じゃないかと思うのです。だから、そうでなくて、あの会計法の原則通りのやり方でフリーの入札であればまだほんとうに公正な値段が出てくるんじゃないかと思うんです。今あなたのおっしゃるのを聞きますと、やはり清算取引の方にはどうしてもおやりになりたいというような御希望があるように聞き取れるわけです。しかし、これは非常に大きな問題を含んでおることなんで、私は、特定のところへ渡すというようなことはこの際しない方がいいと思う。そうするから、やはり実需方面でも、そんなところに渡さないで、おれの方に渡せ、おれたちが実際使うんじゃないか、こう言うことになるんです。グループ、グループに分けて配給みたいなことをやって、そこでやったならばほんとうの公正な売り渡しに私はならぬと思うのです。ですから、そういう方法はおやめになるべきだと思いますが、どうでしょうか。
#58
○大澤(融)政府委員 高田委員が言われるようなことをみな含めまして、最も公正な方法でやらなければならぬ、こう思っております。
#59
○高田(富之)委員 最も公正な方法でぜひやってもらいたいと思うのです。これが万一通過した場合の仮定の話なんですけれども。
 それから、この間実は日本経済新聞の十二月十一日の記事を見ますと、そのことがこんなふうに書いてあるんです。「法案の成立後、実施される政府手持ち糸の入札に対し、入札価格がもし一俵十八万円を上回った場合は十八万円で受け渡し供用品を確保することが不可能となるのではないかとの見方が出ていることに対し、政府部内では入札用生糸と受け渡し品は政府手持ち糸のなかから銘柄、品質で区別するので実質的に問題は解決されるとの見解を示している。」、こうありますが、これは政府のほんとうの見解ですか。
#60
○大澤(融)政府委員 政府の売り出す同じものについて、同じ時期に別の価格があるというようなことは考えられないと思います。
#61
○高田(富之)委員 ですから、そういうことは考えられないということになりますと、ここの記事に出ているような心配をしているのは当然だ。現在の取引所の心配はもっぱらここにかかっているわけですからね。ですから、こういうことを政府が新聞に出しちゃったんですが、これはうそだということならはっきり取り消してもらわなければならない。虚偽の報道になる。十八万円で必ず渡してやるようなことを書いて、それは入札用生糸と受け渡し品というものを別してしまうから実際問題としては解決するのだというようなことをほんとうに述べたとすれば、今のあなたの言明とは違うわけです。だから、はっきり、こんなことはないのだ、この記事にあることは誤りであるのだということを一つ言明していただきたいと思います。
#62
○大澤(融)政府委員 その新聞記事は私見ておりませんので、農林省の見解ということでもなかろうと思いますけれども、政府は、春以来十四万・十八万堅持の方針をとって参った。さらに、八月の末あのような暴騰をしたときに、十四万・十八万を場合によっては法律を改正しても堅持いたしますということで、終始一貫しておるわけです。そこで、取引所の取引をされる方方、あるいは織物を織られる方々、輸出に当たられる方々も、一方には、今年政府の糸も十八万円で出るのだから、十八万円でずっと手に入るという期待を持っておられると思います。そこで、事情が変わってくれば、たとえば極端な場合を言えば、途中で価格を変更せざるを得なかったというような場合には、それが十八万円でそのまま手に入るのでなくして、十九万円になるということもあると思いますが、そうした場合に、期待を持っておられた方を先ほど申しましたように裏切ることになる、そういうことだと思います。
#63
○高田(富之)委員 ですから、この統一見解ではっきり大臣から御説明をいただきましたように、売り渡しは時価でやる、そして十八万円がいつでも時価だというようなことは訂正されまして、今のところ時価はなかなか捕捉しがたい、いずれにしましても、さっき私が法律上の解釈で申し上げましたようなことを時価と考えて、会計法の原則でやる、こういうことになったのです。だから、かりに約束がしてあるとすれば、その約束なるものがどの程度の効力があるかということも問題ですが、しかし、約束をほんとうに政府がしたということになりますと、これは一種の民法上の契約みたいなものになるわけですね。だから、そういう約束に対する契約違反の問題が当然起こると思うのです。しかしながら、ただいまの政府の答弁としましては、約束ですから必ず十八万円で出すということはないと思う。この統一見解でそれは一切否定されているわけですから。せっかくそういう統一見解をお出しになった以上は、その趣旨があいまいではいかぬと私は思う。十八万円で期待している向きがあって、そういう人たちが契約違反の問題を起こすかどうかは別として、そんな固い約束をしてはおらぬと思います。いずれにしても、それとは別問題でありまして、この統一見解の解釈といたしましては、そういうふうに十八万円で清算の受け渡し物を確保するということは、今のこの段階においては統一見解によってあなたの口からは言えなくなっている。だから、そういうことは原則としてまず考えられない、こういう統一見解は解釈されると解してよいか、こういう問題です。
#64
○大澤(融)政府委員 価格の問題は別といたしまして、政府は、この前、石橋理事長が参考人として出られたときだったと思いますが、あのような見解から、十四万・十八万を堅持する方針を遂行するための一つの方針として、受け渡し品については確保する措置を講ずるという方針をうたい出しておるわけでありまして、その方針、つまり、清算受け渡し品に事欠くというようなことで実物市場をミスリードすることがあってはならないという考えは、今でも変わりませんが、価格については、おっしゃるような問題が一つあるわけであります。
#65
○高田(富之)委員 いずれにいたしましても、今問題にしております個所は時価の解釈に関連する部分であります。取引所の問題、どう約束したかというようなことにつきましては、取引所のことについてこのすぐあとで御質問をいたしますので、その際もう少し明快にお答えをいただきたいと思います。ですから、時価ということについては、ただいま私が申し上げました法律上の解釈、これに従ってやる、しかも、会計法の原則に従って公正に売り渡しをやるということが確認されたもの、こう解釈をいたします。御異議があれば申していただきたいのですが、そう解釈して、なお、この統一見解の第二の点について伺うことにいたします。
 第二の点では、最高価格が二つあるということにつきまして、政府の見解をここに確定的な見解としてお出しになりました。これによりますと、最高価格は、本生糸年度においては二十三万円一本である、二十三万円というのが法律上の最高価格であって、法律上の最高価格は二十三万円以外には存在しないということがここに書かれていると私はお聞きさしたわけであります。ただ、ここに少しただし書きがついておるのでちょっとややこしくなりますが、この十八万は何だということになりますと、政府の御見解は、これは要するにそのときの時価として政府が売り渡した売り渡し価格だ、別に最高価格というものじゃない、ただ、時価の十八万円で政府が売り出したということによって、相場に及ぼす影響が、実際上それ以上価格が上がらないで、最高価格としての役割を実質的に果たすんだ、こういうふうに説明してあるわけなんです。そのためにこれがまたちょっとややこしくなっちゃうわけなんですけれども、いずれにしましても、売り渡し価格である、売り渡し価格は時価なんだということがはっきりいたしました。これは最高価格じゃないということであります。従って、政府はそれが経済上最高価格としての実際の役割を果たすものと期待をしたかもしれないのです。これはここに書いてある通りだと思うのです。また、当時それを考えついた三月ころはおそらくそうだったろうと思うのです。十八万円という時価になったら売り出せば、糸価もそれ以上は上がるまいし、場合によってはそれ以下に落ちるかもしれない、五万俵もあればたくさんだ、おそらく五万俵を使い切れないで十八万円より下がるだろう、安定するだろうということで、最高価格の役割を果たすというのは、三月ごろの御見解としてはわかるのです。しかし、その後の実態が政府の予想したものと違いまして、時価とそのときの政府の売り渡し価格との間に開きができてしまった。時価が上へいってしまって、政府の売り渡し価格が下になっちゃった。こういうような事態も、この統一見解ではむろん生じ得るわけです。ただこれは経済的な効果を予想しておるだけの話ですから、政府の売り渡し価格が時価なんですから、当然十八万円と時価との間に不断に乖離が生じてくる。これは、言うまでもなく、政府の考えた十八万円の方が時価の線へ訂正さるべきであって、時価の方を引きずりおろしてしまって、十八万円の方まで引きずりおろしてくっつけるための努力をするということは何ら法的根拠も何もないことなんで、政府の統一見解は正しいと思うのです。ですから、もしもそういうことであるならば、やはり、時価と十八万円の間には不断に乖離が生ずる可能性があるわけです。政府の御期待がどうあろうとも、実際問題としてはそれよりも時価がはるかに下へいってしまうこともあるだろうし、実際問題のように糸価が不断にそれを上回ろう上回ろうとする形勢を示しておる。こういうことはあり得ることなんでありますから、こういう事実を率直にお認めになればこの解釈で私は差しつかえないと思います。そういうような解釈でよろうゅうございますね。
#66
○大澤(融)政府委員 高田委員の申された範囲ではその通りだと思います。
#67
○高田(富之)委員 その通りでよろしいですね。それでは、その通り最高価格は二十三万円一本であるということがはっきりいたしました。
 それから、第三の、買いかえのことにつきましても、この前の御説明よりはだいぶ率直におっしゃっておるようです。ただ、ここがもう少しどうして割り切れないかと思うのですが、買いかえを実行する時期の選定にあたって、副次的に生糸価格の安定という効果をねらったとおっしゃっておるのです。しかし、これは副次的というよりもこの方が主目的なんです。このためにおやりになったということは、これは天下公知の事実であって、当局自身もよく御承知の通りだと思うのです。要するに、私がここに特に申し上げておきたいことは、今度のような違法行為ですね、買いかえと称して価格の操作をねらって売ったというのは、明らかに違法行為で、今後再び起こしてはならぬことであって、先ほど栗原委員の御質問の際にも冒頭に大臣がおっしゃったように、政府が法律を守る、法律を執行するのが政府の任務でございますという名答弁がございました通りなんで、これは言うまでもないのですが、たまたま今度のような違行法為もときとしては起こることもあり得ると思うのです。そこで、われわれは、どうしてもこういうことが二度と再びあってはならぬと思うのです。この最後の方では、法律の趣旨に反しないようになるべくすみやかなる機会に買う方も実行するのだ、こう言っておりますけれども、実際問題としては相当安くなってからでなければ買えっこないのでしょう。今売る方が一生懸命なんだから。ですから、私は、こういうふうなことで解釈をあいまいに残しておきたくないと思うのです。今後だって起こるのですからね。そこで、買いかえということを同時期にやらなければならぬということについては、やはりこの疑問の起こりました機会にもう一ぺん明確にしておきたいと思うのです。買いかえというのは、買いと売りが同時期でなければならないのだということを明確に規定しておきませんと、今後いろいろの点で法律違反のような疑いを起こす行政処分が起こり得ると思うわけです。そこで、同時期ということについての確定的な解釈です。私は実はこれを法律の専門家にも聞いてみたのですけれども、同時期というのは、この法律の精神から解釈しなければいかぬそうです。この法律の全体の精神の中からこの条文における同時期というものを解釈しなければならぬ、そうすると、これは要するに市場価格が同じ時点という意味だろうと言うのです。これを要するに、最高・最低の価格のとき以外には政府は価格操作をしてはならないのだから、最高価格にきたときは政府はそれを押えるための市場操作をやる、最低価格にきたときはそれをつり上げるための市場操作をやる、その中間における政府の買いかえであるとかその他の若干の処分をする場合がありますが、それによって市況に変動を与えない、市場操作というような機能を果たさせない、自然の形の価格形成に政府が干与しない、してはならないという精神が流れておるので、買いかえの場合には売りと買いというものは同じ市況にあるときにやる、ですから、買いものを見つけたらその買いものに見合うだけの品質・数量のものを売っていけばいいので、買いものを見つけて売る、こういう形にすれば、同時期に行なわれまして、需給関係に何らの変動を及ぼさない、市況に対して政府が操作するというような機能を与えない、こういうことになるわけでありますので、この場合の同時期というのは、やはり、そういう意味で、市況に変動を与える作用を営まないようにするという意味で、市況を同じくするとき、こういうことだろうと思う、こういうふうに解釈するのが正しかろうというのが専門家の御意見でもあり、また、われわれの常識でもあります。この法律全体を流れる精神はそうだと思う。だから、こういうふうにはっきりと解釈を確定しておく必要がある、こう思います。これについての大臣の御見解を承りたい。
#68
○福田国務大臣 法律的に見ますと、これを確定しろというお話でございますが、これはなかなかむずかしい問題じゃないかと思うのです。同時期というふうな文言を法律上使っておりますが、法律全体の精神から論じまして、その同時期なるものは、幅はあるにせよ、どういう性格のものであるべきかということはおのずから限界が出てきょうと思います。これを一つの言葉で
 一定の定義を与えるということでなくて、やはりそのときどきの状況においてその法律の精神と照らし合わせて適当なころ合いにこういうことを見なければならぬ問題かと、かように考える次第であります。
#69
○高田(富之)委員 買いかえは、売るということと買うということとが離れていないのですね。法律の文章を見ても、売り渡しと買い入れというふうにくっついて書いてあります。買いかえである以上は、買う品物がなければ買いかえなんかできっこないのですから、いわば買う方が目的です。買う品物を見つけて、こっちにあるものとにらみ合わせながら見つけるわけです。そして買いかえは一種の物々交換に近いようなものです。だから同時期ということが言えると思うのです。ですから、今度のような御措置は明らかに拡張解釈で、とんでもないわけなんで、そういうふうに解釈を広げてしまって、法律の精神そのものがどこかに吹っ飛んでしまうような解釈をされたのでは、これはほんとうに立法府たるものは一言なかるべからずです。実際これをああそうですかと言うわけに参らぬと思うのです。ですから、こういう点は明確にしておかなければならぬ。今度は副次的効果というようなことでおやりになっているようですけれども、これは明らかに違法です。厳密に言えば許すべからざる違法行為を一やったわけなんですけれども、いずれ一にしましても、今後こういうことをなからしめるということは、初めて大臣も、「法律の趣旨に反しないようになるべくすみやか」と言っておられ、御良心が多少おとがめになっておると思うのでありますが、そういう点もある一ので、一つこの際そういう法律解釈だけはこういう機会に明確なものを打ち立てておくということが私は必要であると思う。だから、どうかその点は率直にその通りと御答弁を願いたい。
#70
○福田国務大臣 法律的に言いますと、これはなかなかむずかしいだろうと思うのです。同時と言っていないで、同時期と言っておるわけでございます。従いまして、それがある一定の売買のタイプをきめておるのだというふうに私は解釈はできないのじゃないかと思うのです。しかし、法律の精神というものは、ただいま高田委員のおっしゃられた通りです。ですから、その買いかえの行なわれる環境、そういうもの等によって違いますが、法律の定める精神というものはちゃんと見てこれはやらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
#71
○高田(富之)委員 でありますから、さっきも私が申し上げましたように、価格が動かないうちに、そのときの市況の中で買いと売りが行なわれる、こういうことでなければ、価格操作を行なうことになるわけであります。今度の場合は、幅次的とおっしゃったけれども、実際は主目的なんです。価格操作を行なうために売っておるわけですから、これはまっこうから全然問題にならない違法行為であるわけです。だから、こういうふうなとんでもないまっこうからの違法行為だけはやらないように、これはもうほんとうに強くこの機会に私どもは警告したいと思うのです。ですから、ただいまの正しい解釈は正しい解釈として、今までやったことについての責任をどうする、不法行為をやってどうだ、やめろということを今言っているのではないので、この機会に一つ正しい解釈だけは確定したい、こういう念願から申し上げておるのでありますから、その点は率直に、同時期というのは、法律全体の精神から見て、価格に影響を与えたり、需給関機に変動を与えたり、市況に影響を与えたりすることのないように、同じ価格水準にある時期に買いと売りが並行的に行なわれるということがこの法律の正しい解釈だ、こういうことを一つ認めていただきたい、こういうわけです。
#72
○大澤(融)政府委員 買いかえの制度というのは安定制度の中でやる制度でございますので、今お話がございましたように、原則としてそうした気持でやるのが穏当かとも思います。ただ、同時期でございますので、同時と違って幅もあり、今のような精神から言ったならば、その幅が非常に短くなくて多少のゆとりがあるというような場合もあり得るということを前提として、高田委員のような御意見には賛成したいと思います。
#73
○吉川委員長 午後二時より再開して質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十一分開議
#74
○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。
 高田富之君。
#75
○高田(富之)委員 午前中統一見解についての補足的な御説明をいただきました。この三月安定審議会を開きましてから法案提出に至るまでの間の政府当局のやり方、今日までずっとやって参りました価格操作と申しますか、政府の考え方に基づくいろいろな政策をとって参られたわけでありますが、この経過の中から、私どもいろいろとふに落ちない点もありますので、やはりこの機会に明確にしていただくということが法案審議の前提としてきわめて重要であろうと思うわけであります。
 その中で特にお伺いしたいと思いますことは、政府が十八万円の時価売り渡しをいたしましたけれども、それにもかかわらず、実勢は、時価十八万というところを示さず、絶えずそれよりも上回ろうとする非常に根強い動向を示してきましたことは、事実が証明しておる通りであります。これに対しまして、政府は、何とかして売り渡し価格の十八万というところへ持ってこさせなければならぬということで、一連の措置を継続的におとりになっておるわけであります。これは何といっても商品取引所に対しまして措置をとるということをお考えになったのも自然であると思うのでありますが、大体、取引所に対しましてこの間政府がおとりになりました主要な措置につきまして、概略でけっこうですから、経過的にまず最初に御説明を承りたいと思います。
#76
○大澤(融)政府委員 商品取引所に対しましてとりました措置といたしましては、九月の初めでございますが、臨時措置法で取得した生糸を清算取引の受け渡し用に再検査をして渡すということを九月から実施しております。それから、十月の十四日でございますが、清算受け渡し供用品の範囲の拡大という措置をとらしめることがあるという警告を発しました。また、先限各月についても再検査生糸の確保をする措置を講ずるという方針を宣明しております。それから、十月二十一日に、横神両取引所の理事長に来ていただきまして、十月十四日に述べました受け渡し供用品の範囲の拡大、品質制限の撤廃ということについて協議をいたしました。その結果に基づいて、十月二十三日だと思いますが、両取引所が供用品の受け渡しの範囲の拡大を業務規程の変更としてやっております。大体そういうことでございます。
#77
○高田(富之)委員 そういたしますと、最初にとりました措置は、臨時措置法で取得しました生糸を清算取引の受け渡し用に再検査をして渡すという措置をおとりになった、こういうわけでございます。そこで、この問題についてちょっとお伺いいたしたいのですが、この間も横浜の取引所の理事長さんが参考人にお見えになりましたのでお聞きしてみたのですが、これはむしろ政府の方からお聞きするのが至当なことだと思います。再検査をするというのですが、一体、生糸の検査規則によりまして検査し、そして封印され証票が張られたものは、相当権威のあるものとして、これを現物を見なくとも売買できるという信憑性のあるものであろうと思うのです。みだりに一たん検査したものを――あの規程に従って特に必要のある特殊な場合は別ですけれども、ただまた再検査をするというのはどうも私にはわからないのでありますが、これは実際に封印を解いてばらばらにしてまた新規まき直しの検査をやられるのですか、また、どういう必要があってそんなことをされるのですか。
#78
○大澤(融)政府委員 取引所で当限落ちのときには現品の受け渡しがあるわけです。その受け渡しの適格としましては、従来は二十一中のA格と二十一中の2A、それも多少品質制限をしておりますが、そういうものについて生糸検査所の検査後六カ月以上経過していないもの、これが受け渡しになるわけでございます。そこで、政府が売っております糸は、すでに検査後六カ月以上の期間を経過しておるものばかりであります。そこで、そういうものが一般市場について値押えになっておりますのにかかわらず、それが清算取引所の方では受け渡し品として通用しないために値押えにならないということがあるわけです。そこで、清算相場が妙な値段になって、逆に現物市場の方の値段をミスリードするということがあってはならないので、政府が持っている適格品でないものを適格品にしてやって受け渡し品に通用できるという措置をとって、清算取引所の相場がミスリードしないようにというために、そういう再検査ということをやったわけでございます。この再検査と申しますのは、同じような検査をやることでございます。
#79
○高田(富之)委員 同じような検査。そうしますと、一ぺん検査したものをまたもう一ぺん検査をし直すというのですか。検査をし直す実際の必要というものはこの場合ないのじゃないか。ただ、必要があるというのは、今あなたがおっしゃるように、取引所は検査後六カ月以内のものでなければいかぬというので、六カ月以内だという形式を作るために検査をやる、これはどうもおかしいと思うのですが、それならば、検査しないでレッテルの張りかえだけをやったのか、こういうことを聞きたいわけなんです。
 それから、そういうことをするのだったら、また反面、どうせ業務規程の変更までやらせるくらいなんですから、その六カ月以内のものでなければいかぬという規定を変更させてしまって、検査さえ済んでいるものならいいじゃないか。こういうふうに直したっていいようなものは、二度も検査する必要はないじゃないか、こういう気がするのですが、そこはどうなんです。
#80
○大澤(融)政府委員 レッテルの張りかえだけでなくて、実際に検査をするということでございます。
 それから、もう一つは、考え方で、確かに、業務規程の変更によって、検査後どれだけたっておってもいいのだという業務規程の変更でやる方法も一つ考えられると思いますが、その方法はとらないで、再検査ということで提供する方法をとったわけであります。
#81
○高田(富之)委員 ですから、結局、理由は、業務規程に六カ月以内のものとあるので、それに適応させるために、前に検査したものはまた新しく検査をして、六カ月以内のものにするのだという形をとったわけなんでしょうが、そうなりますと、業務規程の中でせっかく六カ月以内のものときめてある精神というものは、やはり新しい糸というこれは精神だろうと思うんですね。ですから、業務規程の変更をしてしまったのならば、新しいのも古いのも検査が済んでいればみんな通用することになるわけですが、このままにしておいて、古い糸を新しく見せるというような形をとったのは、これは、商取引の上から言いましても、信義則の上から言っても、信用の上から言っても、思わしくないことではないでしょうか。
#82
○大澤(融)政府委員 六カ月以上たったものが適格品にならないというだけのことでありまして、商取引の信用阻害とか、そういう問題はないと思います。
#83
○高田(富之)委員 しかし、せっかく六カ月以内というものを受け渡し品に業務規定で取引所がきめているということの意味は、やはり、私は、そういう必要がなければ、そんなことはそういう検査が済んでいるものなら何でもいいわけですか。六カ月以内と区切っているというわけは、やはり、新しい品物ということの信用性がないといけないという見地だろうと思うのですが、それをただ古いものでもみんなもう一ぺん検査するのだそうですから、それにしましてもむだなことだと私は思うのですが、いずれにしても、古いものが新しいもののように通用させられるという形になることは、これは、異常事態は別として、正常な状態で考えてみた場合にはちょっと好ましくない、あり得べからざることではないか、そういう点、検査の権威というものもくずされますから、ちょっとこれはおもしろくないことではないか、こう思うのですが、そこをもう少しわかりやすく御説明願いたい。
#84
○大澤(融)政府委員 これは先般石橋理事長さんからお話があったと思いますが、新糸、古糸というような制限をしておるわけではなくて、保管中きずがつくとか、あるいはカビがはえるというようなことを考えて、検査後六カ月という規定になっておるのでありまして、今回のような措置をとったことが、高田委員の言われるような支障になる、あるいは御心配になるようなことにはならないと思います。
#85
○高田(富之)委員 それでは、もう一つの方の供用品拡大の措置ですが、この供用品の拡大の問題につきましても、正常な取引といたしますと、やはりきめられた範囲のもので契約が行なわれておるわけでありますから、突如として範囲が拡大されるというようなことになりますと、これはやはり、取引所の根本精神である、また商取引の基本原則である信義誠実の原則、そういうものに反する非常な不信行為みたいなことをやることになるのであって、やはり既契約にまで及ぼしておるわけでありますが、そういうふうな措置をとったということは、正常の状態で考えれば、好ましからざること、容易にこれは行ない得ないこと、商取引をやっておる当事者としてはなすべからざる信義則に反する行為、こういうふうに正常の場合ならば考えて差しつ
 かえないことじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
#86
○大澤(融)政府委員 確かに、通常の場合はそのようなことはないと思います。ただ、今回のような場合にはそういうことがあり得るということを予定して取引所の取引というものは行なわれておるというふうに理解すべきものだと考えます。
#87
○高田(富之)委員 この間の参考人の方からも非常に詳細なこの問題についての事情の御説明を実は聞いておったわけでありますが、そういった措置を政府が指示されましたけれども、なかなかこれは自主的には取引所としてはやれない、とうてい自主的にやれる仕事じゃないということで、この文書にもあります通り、これは理事長さん自身の配付された資料で、この間もお読みになったのでありますけれども、「既存限月に供用品の拡大を実施することは取引所としては到底自主的には行い得ないので」、こういうふうに言われておる。ほんとうに、先般の御説明でも、断腸の思いでやったというような、忍ぶべからざるを忍ぶ思いでというような表現を用いられておりましたが、実際その通りではないかと思うのでありまして、そういうふうなことでやった。ですから、それなればこそ、自主的にはとうていやれないことをやるので、命令の形でやりたい、命令ならば、指導官庁の命令ということで話は割合スムーズに通ると思うけれども、自主的にということでは何としてもやれないことだということを、実に詳しくこの間は説明されたわけです。そこで、私は特にお伺いしたいのですが、それだけの商取引の信義則に反し、通常の場合考え得べからざる非常の措置をやるというようなときに、これほどまでに決意をして、当局の命令には従うという非常に当局に対する忠誠心を持った理事者の方が要請されておるのに、何を好んで命令の形をとらなかったかということです。なぜあんなに苦しませて――これは自主的な形でやらせるということで実に苦しませておると思うのです。それを命令でちゃんとやればいいのに、命令の形でおやりにならないで、不当な苦しみを与えて、了解工作にも、声明にも、どんなに骨を折っておるかということは、この間の参考人の方の御意見を聞いて想像にかたくない。私は、指導官庁としては、もう少し思いやりのある、実効のあがるやり方を関係団体に対してはとらなければならぬと思う。ですから、目的ははっきりしておるのでしょうから、あなたの方から見れば、当局としてはぜひそういうことをやらせたい、やらせることが正しいんだ、必要なんだ、こう思っておられるならば、要請にこたえて、当然これは命令としてやってあげることの方が親切で、しかもその方が周知徹底が早くて混乱を免れる。なぜあなたはその命令という形を回避されたのですか。
#88
○大澤(融)政府委員 先般も御説明申し上げたのでありますが、価格安定制度があるという場合の取引所のあり方はどうあったらいいかということについては、いろいろ問題があるわけです。そこで、この間もお話が出ましたように、取引所が二十六年ですか生まれますときに、政府の価格政策に反するような取引所の運用がないようにということが条件になって取引所も生まれておる、こういうことでございます。そこで、八月以来、さらに十月ごろに入りましてからの、この間もお話しいたしましたように、取引所の相場の動きが現物価格をミスリードする、それが悪循環になるということで、取引所の動きが価格安定制度というものと矛盾をするという現象が現われたわけであります。そこで、私どもは、そういうようなことを放置しておいて、価格安定制度、十四万・十八万の維持の方針ということがこのためについえてしまってはいけないということ、取引所が生まれるときにそういう条件なり前提を置いて生まれてきているということで、そのようなことになる場合には取引所の立ち会いの停止ということも命令しなければならない事態に立ち至るというふうに判断をいたしたわけです。それでその旨を伝えた。そこで、この間議事録を読まれたように、このまま放置するならば立会停止という命令を政府としては出さざるを得ないという場合に、次善の策として、このような業務規程の変更をしたならば、そういうような取引所が安定制度のワクをはみ出るような動き方にはならないだろう、最悪の事態も避け得ることができるということで、あのような措置が行なわれたわけであります。
#89
○高田(富之)委員 いいですか、私の聞きたいのは行政当局の指導のあり方なんですが、あれほど信頼し、――取引所の理事者は非常に当局を信頼しておるわけですよ。蚕糸当局、農林大臣を非常に絶対信頼をしておるんですね。その理事者が、自主的にやれない、通常の商慣習でとてもやり得ない、信義則に反するから、何でもかんでも一つ命令にしてくれといってあれほどのお願いをしておるのに、命令という形でなぜやれないかというのですよ。あなたは今おっしゃったのですが、場合によっては取引を停止するんだ、こういうふうなことをお言いになりますが、停止なんということはよほどの場合でなければやるべきものでないこと、これは言うまでもないと思うのですよ。あなただって、そうは言っても、次善の策で済むなら済ましたい、そう言っている。だから、現に次善の策で済ましてしる。そうでしょう。ですから、取引所の立ち会い停止命令までも出そうというくらいのお考えがあなたにあったとするならば、次善の策である定款変更命令くらいなものは出しても何でもないと思うのです。理事者があれほど強く定款変更命令を出すことを希望しているんですからね。取引停止命令まで出すぞというくらいならば、向うが希望しておる定款変更命令ならば、喜んで出してあげたらどうなんですか。それで事が済むものを、何も立ち会い停止だなんといって大上段に振りかぶるようなことをする必要はちっともないのです。これはあなたは事実次善の策で済むとお考えになっておったのですからね。だから、その場合はこの定款変更命令を出してやるのが当然だと私は思う。それをどうして出さなかったかということです。
#90
○大澤(融)政府委員 問題になりますことは、清算相場が現物をミスリードして、それが悪循環になるということであります。ですから、このこと自体を消滅させるためには、取引所の立ち会いがなくなった方がいいということが一つ考えられるわけです。そこで、今の業務規程の変更の問題でありますが、これは、そういうことをやって今のような清算相場が現物相場をミスリードするということをなくする目的を達し得るものかどうかということについては、的確な判断はなかなか私ども出てこないわけです。そこで、命令を出すならば、本来の認可したときの考え方に戻りまして立ち会い停止の命令を出すべきだ、こういうふうに判断をしたわけであります。
#91
○高田(富之)委員 しかし、この間の参考人のお話を聞いておった皆さんは、みんな同じ感じを持っていると思うのですが、こっちをとるか、こっちをとるか、二者択一、――総会の速記録にもありましたね。二者択一で、あなたが、これはきわめて強い言葉で、再三にわたって、言うことを聞かなければ停止だぞ、どっちを選ぶのだというような形で出されたために、もうやむなく次善の策の方を選ぶわけですが、そのときに、命令にして下さいという最後のお願いをしているわけですね。その方が受け入れやすい、そういうお願いをしているわけです。ですから、これがいやならこれだぞといったような形で無理押しに押しつけて、自主的な形をとらせるというような責任回避的なやり方、これはもうきわめて行政指導のやり方としては私は排斥しなければならぬやり方じゃないかと思う。そういうやり方でなく、やはり、親切に、それほど要請があるならば、当然これは定款変更命令でスムーズにやってみてもらって、それでだめだったら、それで効果があがらなかったら停止でいいのです。次善の策をまずやってみなければならぬ。まずやってみるというならば、命令で出して悪い理由がどうしてあるのですか。どうも納得がいかないのですね。命令でどうしてやらないかというのです。
#92
○大澤(融)政府委員 何度も申し上げますように、命令を出すならば立ち会い停止の命令が本筋だというふうに判断をしたためであります。
#93
○高田(富之)委員 という意味は、その定款変更命令の内容がいささか良心に反するものであるのじゃないかと言わざるを得ないのですね。公然と法に基づく命令として定款変更命令を出すにしては、この定款変更命令の内容が、全く取引の信義則を破壊し、空前絶後の暴挙を命令するような形になるのでまずい。特に法律に従って定款変更命令を出すためには、商品取引所法第百二十四条によって、「主務大臣は、取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則及び取引に関する慣行について、商品の流通高に比して余りにも過当な売買取引が行われることを防止し、又は取引所が商品」云々というようなことで、「必要且つ適当であると認めるときは、当該取引所に対し、これらの変更を命ずることができる。」、こうなっておって、これに基づいて変更命令を出す場合には、第百二十五条の規定によって聴聞を行なわなければならない。そうして、聴聞をして、政府の方の定款変更を命令する理由を十分公にして、そうしてそれに対しては反対の意見等を十分述べさせ、参考人の意見等も述べさせる機会を与えて、そうして命令を出さなければならぬことになっているわけですね。これは非常に民主的な正しい規定だと私は思うのですよ。せっかくこういういい規定があるのですから、自信があればあなたはこれを当然とったと思う。ところが、あなたは、定款変更命令の内容なるものが、いかにもあんまり命令をしたと言われては困るようなものであるので、自主的にやったという形をぜがひでもとらしたい、こういう責任回避のためにやったのでしょう。そうじゃないのですか。
#94
○大澤(融)政府委員 今お読みになられた百二十四条でございますが、私どもは、取引所におきますところの取引自体が、ここでいろいろ述べておるように何か悪いことがあるということではないのであります。その動きが安定制度との関係において不工合なんで、そこで、本来の議論に立ち戻って、安定制度を阻害するような動きが取引所にあってはならない、そういう動きが出たならば安定制度のもとにおいては取引所もやめざるを得ないじゃないかという理論でやっておるわけであります。
#95
○高田(富之)委員 それでは、その安定制度ということを盛んに強調されるわけですが、さっきもあなたがおっしゃったのですが、理事長さんからもこの間御説明がありましたように、かつて昭和二十六年に時の農林大臣廣川弘禪氏あてに横浜取引所理事長から念書が入っておる。さっきもあなたがこれを引用されたわけですね。この念書があるのだからというようなこともおっしゃっている。ところがこの念書なるものを読んでみますと、「弊取引所に於て行われる取引に就ては昭和二十六年三月八日附物二第五一号に依る生糸基準価格に関する物価庁告示の趣旨を遵守し、些かも違背することなき様万全の注意を払います。右念の為一札差入れます。」、こういうふうで、これはちゃんと当時の物価統制令による法的規制、この法律に基づく価格というものを遵守するのだということがこの念書で入っていると思うのです。このときと全然条件も違っておるし、法律も変わっておるし、まして、いわんや、先ほどの政府の統一見解できわめて明瞭に農林大臣から御説明のあった通り、法律に基づく最高価格というものは二十三万円しかないのですから、それしか最高価格というものはないのですから、そういうときに、この古証文の、物価統制令時代のもので、しかもこれは要するにやはり法律を守るというのですから、こういうことを何か念頭に置いてこれを振り回して取引所の立ち会い停止までもお考えになったということは、これはどうかと思うので、ちょっとその点について念のため取引所の立ち会い停止のできるところの条文を見ますと、立ち会い停止はそう乱暴にやれるはずのものではないと思う。取引所の行為またはその開設する商品市場における売買取引の状況が公益上有害であると認めるときは業務の全部または一部の停止を命ずることができる、こういうふうになっておるわけです。ですから、この規定の公益上有害ということがどの程度までのところを指しているか。あなたはそれをこの念書にひっかけてさっきも御説明になったわけですね。けれども、それと今度の場合とは全然前提が違うのではないか。政府のこの売り渡し価格は時価なんです。これは統一見解通りに私は申し上げておる。時価で売っている。時価で売っておった。ところが、実勢が強いものだから、あなたが考えたよりもこれは実勢が上にいってしまっただけの話なんです。これをもって公益上害があるとかあるいはこの念書の法律違反だとかいうようなだんびらを揚げて立ち会い停止を云々するということはきわめて軽率ではないですか。そんなことはできないのじゃないですか。
#96
○大澤(融)政府委員 念書の問題でありますが、これはそのときはその言われる通りです。価格安定制度は発足をしていなかったわけでありますが、この念書で言われているような趣旨は今日も生きているわけです。さればこそ、安定制度がいろいろ動いている場合に取引所の無用論が出たりいろいろあるわけで、私どもは、こういうような取引所と安定制度というものがやはりこのような考え方から出発していかなければいけないというふうに考えておるのであります。
 それから、百二十一条の問題でございますが、二号に、公益を害すると認めるときは云々、この公益というのは何かということになろうと思いますが、先般から御議論のあったように、法律上の最高価格は確かに二十三万円でございますけれども、本年度の実質的な最高価格として十四万・十八万ということがあるわけです。しかも、この措置をとりました当時、臨時措置法の十八万円で売るべき品物が相当多数あった。そういうものがあるにもかかわらずあのような動きが出てくるということは、翻って十四万・十八万という公益を阻害すると認めることができるということにも判断ができるわけでございます。
#97
○高田(富之)委員 それを言われますと、また話がもとへ戻ってしまって、初めからやり直さなければならない。せっかく統一見解がはっきり大臣の口から御説明をいただいて、そして、十八万円というのは最高価格じゃないということがはっきりした。最高価格は二十三万だということが明確になりました。さっきは時価ということの法的説明まで確認を願ったようなわけで、要するに、政府の売り渡し価格が十八万だったのだ、こういう御説明であるわけなんですね。そうでしょう。ですから、それを言われますと、その最初の前提をまたひっくり返して、実質上の最高価格は十八万だから、十八万に違反すれば公益違反だということで、またもとへ戻ってしまうのですが、それでは非常に困ると思うのです。第一、一番最初に私が申し上げましたように、十八万円というものを本年度の最高価格として一年間通用させるなんてばかなことは、三月の安定審議会でも全然きめていないのです。これは速記録がちゃんと明瞭に証明しておるのであって、そういうことをあなたが相談したら、委員会はとんでもない、これは法律違反じゃないかという意見まで出て、だいぶ議論して、最後に文書をもって、これで一つ結論にしようということでお開きになっておる。この問題については、逆に政府に対して、政府は慎重にやれという申し入れになっている。こういうようなわけであって、結局、あなたはそのとき答弁されましたが、要するに、政府が自分できめたのだということを言っておる。自分で勝手にひとりぎめに十八万ということをおきめになっておって、法的な根拠も何もない。しかもその時価からはずれてくれば、それは違法なものだと言う。そういうふうなものをたてにとって取引所停止とかなんとかいうことは、これはとんでもないことだ。その前提条件はさっきの統一見解でもう解決したのですよ。どうですか。
#98
○大澤(融)政府委員 先ほどから申し上げましたように、二十三万円の法律上の最高価格、これのみにとらわれないで一つお考えいただきたい、こう思うのですが、十四万・十八万ということを安定帯と考えて、現にそのときまだ十八万円で売るべきものがたくさんあるというようなときでございます。そういう意味で、先ほど申し上げたような公益を害するというふうに認められる、こう思います。
#99
○高田(富之)委員 十八万でまだ売るべきものがたくさんあるとあなたおっしゃいますけれども、十八万で売るべきものがということがすでに間違っておるのであって、最初売ったときはちょうど時価は十八万であったかもしれません、三月にきめたときはあるいは十八万であったかもしれない。しかし、こういういろいろな非常措置を講じているこのときの時価は十八万よりもはるかに高いのですよ。でありますから、もしこのときにまだ臨時措置法で残っているものを引き続いてお売りになりたければ、法に従って、これは臨時措置法のいう時価で、また会計法の原則に従って競争入札で売る、こういう方法しか売り方としてはないわけなんです。それにもかかわらず、最初に申し上げた通り、一度三月に政府の売り渡し価格をきめたからといって、きめた売り渡し価格の方に時価を逆に引きずりおろそうといっても、それでは政府の売り渡し価格というものは違法になる。時価の方へ逆に売り渡し価格を合わせていかなければならないわけなんです。だから、そんなことを理由にして、何の法的根拠もないものを、だんびらを振りかざして公益違反だとかどうとか言うことは、私は非常に大きな間違いだと思う。どうですか。
#100
○大澤(融)政府委員 先ほど来お答えした通りでございます。
#101
○高田(富之)委員 とにかく、せっかく統一見解が出ましたけれども、十八万円が本年度の最高価格なりという考え方を蚕糸局長はお捨てになっておらない。今の答弁で明瞭でございます。
 そこで、農林大臣にお伺いいたしたい。農林大臣は、先ほどの統一見解の中で、十八万円すなわち時価、こういう見解ではない、そういうものではないということを明確にされました。そうして、売り渡し価格については慎重に検討する、今までの十八万というのは、あれは政府の売り渡し価格であった、そして、それが経済上実質的に最高価格としての役割を果たすと思ったのだ、しかし、現在及び将来における時価は、変わっておれば変わったように処置をしなければならないのは当然だ、こういうお考えを表明されたのです。すなわち、十八万というものにこだわっておらないのです。こだわるべきでないのです。そういうことを大臣はお答えになりましたが、今の蚕糸局長は、あくまでも本年度は最高価格実質上十八万、この十八万の線を上回ったものに対しては規制措置を講じなければならないのだ、こういう考えをまだお捨てにならないのですが、大臣の御所見を承りたい。
#102
○福田国務大臣 蚕糸局長が今お答えになったのを聞いていますと、これは十八万円という相場が生糸の需要を最も広範に推し進める価格である、これを維持したいという熱意があるのですよ。そこの熱意が、どうも高田委員の方は、それはだいぶ違うのではないか、それから、その熱意を持つに至る経済判断といたしまして、もっと高くても売れるのじゃないかということが高田委員の方にはあるのじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、前提がどうも少し状況判断が違うので、勢いその結論がすれ違いになる、こういうふうな感じでございます。
 それで、当時の状況といたしまして、十八万円はこれは一番いい価格である、これは、養蚕家から見ましても、あるいは生糸業者から見ましても、これが一番生糸の需要を伸ばしていく、従って養蚕の需要を伸ばしていくこの大道である、かように確信したからそういうふうなことを言っておるので、しかし、私は、法律的に見ますと、これは最高価格は二十三万円だ、これはそういうふうに考えています。そういうふうにぜひ持っていきたいと思います。しかし、その過程といたしまして、それに行く道筋といたしまして、二十三万円と言ってもなかなかこれは経済の実勢に即しまい、そこで、逐次そういう考えをとるほかはない、こういう考え方をするわけなんです。それで、状況の推移を見て売り払い等については検討しなければならない、かように考えております。
#103
○高田(富之)委員 大臣のおっしゃることはよくわかるのです。その通りだと思うのです。ですから、蚕糸局長の言われたことは、大臣のお言葉で考えますとこういうことになるわけですね。十八万円というのは非常に適当な相場なんだ、ぜひこの辺の値ごろのところにおさまってほしい、そうすれば輸出もどんどんふえるしいいんだがな、こういうことで非常な御熱意を持っておられたというのですね。これはそうだろうと思うのです。それは御熱意はけっこうなんです。しかし、あなたがいかに御熱意を持たれようとも、その御熱意に反するからといって、取引所の立ち会い停止を命じたり、これはとんでもないことなんです。御熱意の問題と法律は別ですからね。だから、いかに御熱心で御熱意をお持ちになって、十八万円はいい値ごろなんだとお思いになっても、法律がそうでない限りは、これをたてにとって公益違反を云々して百二十一条でどうじゃということは、とんでもない間違いなんです。今の大臣の御答弁ではっきりいたします。どうですか、蚕糸局長、それは間違いでしょう。
#104
○大澤(融)政府委員 大臣のお話は時の経過を中に入れてのお話だったと私は聞きました。先ほど私が申し上げたことは、まああのようなことと御理解願いたいと思います。
#105
○高田(富之)委員 いずれにしましても、これは、せっかく統一見解を出していただいたあとだけに困るんですね。ですから、今の大臣の見解の通りでなければいかぬと私は思うんですよ。蚕糸局長、それは率直に認められなければだめだと思うんですよ。蚕糸局長の御説明のような、そんなばかな話はない。あなたが御熱心だったということを大臣も認めているのですから、十八万が非常にいい値だということで、あなたが非常に御熱心だったということは認めているんですよ。その通りなんでしょう。
#106
○福田国務大臣 私の答弁と蚕糸局長の答弁、別にそう変わりはないんですよ。それは人でありますから言い回しは違いますよ。言い回しは違いますけれども、言っている趣旨はちっとも違わない。別に十八万が法定の価格ではないと、これは蚕糸局長もはっきり言っているのですから、二十三万円は法律上の価格であって、十八万というのは政府の手持ちの生糸を売り渡す値段である、こういうふうに言っているのです。ちっとも違わないのです。ただ、私が申し上げております通り、その十八万円という価格の見方が、私の方は、そういうふうな形であることが、農家のためにも、企業家のためにも、また輸出業者のためにも、みんなのためにいいんだということで、そういうことを熱望しているわけなんです。あなたの方はそこが少し見方が違う。そこで、少し答弁の行き違いがありますが、まあ私と蚕糸局長の間には答弁の食い違いはございません。
#107
○高田(富之)委員 それでは大臣にお伺いしますが、そういう非常に御熱心な、十八万というのは非常にいいんだ、値ごろなんだ、これでいけば養蚕家もいい、蚕糸もいい、製糸もいい、何とかこの辺に落ちつけたいという非常に御熱心なお考えを持っているというわけですね。だからといって、それより相場が上へいったらこれは公益違反だ、百二十一条によって停止を命ずる、これは念書が入っているからお前も取引停止を命ずる、こういうことが言えますか。これは行き過ぎでしょうね。
#108
○福田国務大臣 これは、そういう熱意を持っているのですから、それはいろいろのことを言いますよ。あなただって政治家ですからいろいろなことを言うでしょう。こっちだって、行政をやっているのですから、いろいろなことを言います。言いますが、結論はそういう熱意を持っておるということなんですね。実際、取引を停止するとか、そういうことをやりたくはないでしょう。私もそんなことは考えておりません。しかし、事の運びというか、そういうことをしないでも済むような手段としていろいろなことを言う、こういうふうに御了解を願いたいのでございます。
#109
○高田(富之)委員 定款変更をやらなければ立会い停止をするぞ、二者択一だ、どっちがいいか、こういうようなわけですな。とうとう万策尽きて、泣くに泣かれないで、泣きの涙で定款変更をやった。この間るる速記録まで読み上げられて総会の模様をお聞きしたわけです。そのときのことは、そんなことまで蚕糸局長がやったということは、大臣は御存じなかったのでしょう。どうなんですか。
#110
○福田国務大臣 私も、一々、どううふうな言葉で言われておりますが、そこまでの詳しいことは承知いたしません。しかし、取引所に対しまして、投機があってはならぬ、こういうことにつきましては厳重に申し渡しておいてもらいたい、こういうことは言っておるわけであります。
#111
○高田(富之)委員 そうすると、投機的なこと、故意に買い占めをやったり何か不当な価格のつり上げをやったりするようなことのないように戒めろ、こういう指示を大臣はなすった、こういうわけであります。そうすると、蚕糸局長は、この自分の考えた十八万円という適正相場を上回ってきたからといって、これに対しまして取引所の閉鎖を口にして二者択一を迫るというようなところまでしてやることが、適当だったと思うのですか、行き過ぎだったと思わないですか。
#112
○大澤(融)政府委員 適当だったと私は思いますけれども。そういうことであります。
#113
○高田(富之)委員 大臣は、そういう行政の指導のやり方というものはいいと思いますか。大臣もこの間参考人からお聞きになっておったと思うのですが、言うことを聞かなければ閉鎖だぞ、こういうわけです。既存限月に対する供用品の拡大というようなことはとてもやれない、どうしてもやれというなら命令を出して下さいと言うんですよ。ところが、命令だと思え、命令は出さないけれども命令だと思ってやれ、いやならバサンだぞ、こういうわけでとうとうやったということを非常にるる説明されておるのです。理事長から参考書類を出されておるのですが、こういうふうなことを指導官庁がおやりになるということはいいことだと思いますか、大臣の御所見いかがですか。
#114
○福田国務大臣 考えてみますが、しかし、農林当局といたしまして、先ほど申し上げましたように非常に強い熱意を持っており、その熱意を実現するためにそういうことは間々あるわけでございまして、そういう間々あり得ることをやった、こう考えております。
#115
○高田(富之)委員 先ほど来申し上げているように、定款変更というものは、もしやろうと思えば命令でできるわけです。ちゃんとここに法文にあるのです。百二十四条にあるのです。命令でやるべきなのです。ちゃんとこれには聴聞をやらなければならぬという規定がついているのです。だから、こういうわけでこういうことをやるんだということを発表して、そして意見を徴しながらオープンにやって、そうして命令を出せばすんなりいくわけですよ。やれるのです。そういう手続を故意に回避して、そうして、もっとひどい、――お前殺すぞというのと同じですよ。取引所に対しては、立ち会い停止、こういうことで脅かしながら、一方の方を無理に自主的にやらせる。これは一種の強迫ですよ。何と言っても、この間の文章の中に強迫されていることが実によく出ている。ほんとうに強迫されて、何とも万策つきて涙をふるってこういう措置をとるのだということを書いております。ほんとうに、そういうふうな行政指導というものは最も愚劣なものであって、これは戦時中のいなかの交番のおまわりさんか何かにはずいぶんありましたけれども、いやしくも中央官庁の大臣の代理で行政をおやりになる方がそういう方法をとるなんということは、厳に戒めなければならぬと私は思う。定款変更命令を出そうと思えば出せるのです。ちゃんと法文があるのです。それで、一方で、できもしない立ち会い停止――立ち会い停止なんかやる根拠は少しもない。先ほど来の大臣のお話を聞きましても、幾ら熱意があっても、これは昔の大名か何かなら、おれの好みに合わないやつはということでばっさりやれたかもしれないが、この法治国において、いかに十八万円に御熱意を持っておっても、法律ではないからとてもそんなことはできませんよ。だから、そういうふうなことについては、もう少し官紀を粛正していただいて、そうして民主的な行政指導のあり方を確立しなければいかぬのではないか。確かにこの問題は職権乱用罪にもなりますよ。職権乱用罪そのものですよ。刑法上の犯罪にもなるくらいのやり方だと私は思う。ですから、ぜひ、こういう点については、あまりいいかげんなことではなく、大臣もこの点について今御存じなかったようでありますから、そういう事実が明らかになりました以上は、一つ大いにその点を戒慎されて、そういうことのないようにするということをこの際言明していただきたいと思うんです。
#116
○福田国務大臣 法律をその通り法律の精神に従って実行することにつきましては、今後も大いに努力いたします。
#117
○高田(富之)委員 今私は冗談みたいに職権乱用と言いましたけれども、事実、先ほど来聞いておりましても、その供用品の範囲を拡大して既契約に及ぼすなんという、とてつもない、取引の信義をまっこうからじゅうりんするような定款変更を要請したりするということ、――これは当然やらなければならない義務があってやることではないのです。取引所としてもそんなことをやる必要はない。だから、義務のないことをやるわけでしょう。そうして、一方においては停止命令をもっておどかしつつ、強引に自主的にやった形をとらせるという手段をとった。これは確かにその通りですよ。刑法第百九十三条に、「公務員其職権ヲ濫用シ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ……二年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス)、(笑声)ほんとうにこれは笑いごとじゃないですよ。これは警察官や何かにはずいぶんあるのです。もっとも警察官の場合には特殊な公務員としてまた別ですけれども、いずれにしましても、中央官庁ではいやしくも行政指導が最も民主的に最も合法的に行なわれるということでなければならぬ。ところが、今までずっと見ましたところでは、違法の連続で、今言いましたように、義務なきことを強要するというようなことであったのでは、とてもまともな蚕糸業の振興はあり得ない、こう思いますので、ただいま大臣も言明されましたが、今後は大いに一つ御注意願いたい、こう思うわけであります。
 それから、そのときに、同時に、交換条件というわけでもありませんでしょうが、十八万円くぎづけ政策を行なうために、約二万俵の政府手持ち糸を両取引所に対しまして清算の受け渡し供用品として確保する、こういうことを約束したわけです。これは、確かに、各限月、来年の五月までの全部につきまして大体二万俵、これを確保するということを取引所に対してかたく約束をしたわけなんですね。
#118
○大澤(融)政府委員 十八万円にこだわるようですが、当時の考え方といたしまして、十四万・十八万というものを堅持していこうという方針があるわけです。この方針を実現する考え方といたしまして、先般も申し上げましたが、先物価格が上がって現物をミスリードするのを防ぐという意味で、当限落ちに対してしておりますのと同じように、先限各限月につきましても受け渡し生糸を確保する措置を講ずるという方針は、確かに宣明しております。
#119
○高田(富之)委員 そうしますと、取引所の方では、これを確約を得たものといたしまして、来年の五月までは大丈夫だ、十八万円の政府の糸が来るんだ、こういうことで建玉制限を行なった。十二月九日現在建玉、横浜一万一千九百六十俵、神戸三千二百九十俵、合計一万五千二百五十俵、こういうようなわけですから、建玉制限も行なわれ、政府の裏づけもあり、これによって清算取引が行なわれる、こういうことになったわけですね。
 そうすると、第一の問題点は、これを確保すると約束をしたと言いますけれども、そのときは、政府が自由に約束できる、引き渡し供用品として出せる範囲の臨時措置法の糸――これは時価ですよ。十八万円で出せるとは書いてないですが、時価ならばとにかく出せるという臨時措置法の糸は、この当時幾らあったかというと、すでに一万俵ないのですよ。それを来年の五月までと約束するには、まだ政府の権限の中にない、動かせないものがその中に含まれている、そういう言明をして、来年の五月までの清算取引を建玉制限までして、それによって規制されて現在動いているのです。権限にないものをどうしてそんなところに約束できるのですか。
#120
○大澤(融)政府委員 ただいま申し上げましたように、方針を宣明しておるわけであります。取引所に限らず、八月の末に、法律改正を場合によってはしても十四万・十八万の線は堅持いたしますということを政府として態度を明らかにしておるわけであります。それの一環として今のような方針を述べたわけでありますが、このことはまた、――今お話のありましたように、政府の手持ち糸は、確かな記憶ではありませんが当時一万俵程度だったと思います。そこで、将来法律が通らなければ動かせない糸についても約束をするというようなことはできないからこそ、方針の宣明にとどめたわけであります。このことは、十四万・十八万を政府は堅持するという方針に従って、織物の方も、輸出の方も、あるいは取引所の方も、みなその方針がずっと堅持できるものだという予想のもとに動いておられると思うのでありまして、これが変わるということになれば、取引所に限らず、輸出の方も、織物の方も、期待がはずれるという結果になるわけであります。
#121
○高田(富之)委員 大まかな方針を政府が述べたという程度なら、それはまた政府のそのときの方針で、それを議会に出してどうなるかということはおのずから別になるわけですけれども、具体的に両取引所の清算の供用品として確保する、こういうことになりますと、これはもう相手がきまっているのですよ。特定の者に対して確実に約束したのと同じことなんです。これはきわめて重大だと思うのです。一般的政策表明なら、これは、途中で変更になりましても、変更したという声明をして、それを了解させればいいわけですよ。しかし、具体的な物の受け渡し、しかも値段がくっついた物の受け渡しで、これを相手方が予期しているということになりますと、事は重大なんです。現に、取引所においては、来年五月まではその方針で建玉制限をしてやっているから、現実にそうなっちゃっているのです。これはあなたが具体的な特定の者に対して特定の価格で特定の物がいくという約束をしてあるからこうなるのでしょう。こういうことが許される法的根拠は一体どこにあるのですか。
#122
○大澤(融)政府委員 先ほど来述べましたように、あくまでも一般的な方針でございます。そこで、確かに市場関係者から、その具体的な措置の確保について、数量あるいは確保の仕方ということについていろいろ御要望は聞いておりますが、法律を提案中であり、法律が通ってから処置すべきことでありますので、今までに具体的な措置というものは何らしておりません。一般的な方針の宣明をしたというにすぎません。
#123
○高田(富之)委員 横浜生糸取引所の石橋理事長さんが、御自分の談話を印刷物にしてこの間ここに配って、芳賀委員もこれについてだいぶ執拗に質問を繰り返しておられたようでありますが、これにちゃんと書いてあるのです。「その際臨時措置法の糸は残り少なかったので二〇、〇〇〇俵確保につき不足分は安定法の糸を放出して貰えるかどうかということを糺した処、買換えの措置により不足分は提供するとの言明であったので、当局の言明を確信した次第である。なお買換えについては十月八日付蚕糸局長よりの通達によりすでに制度化していただいたので何等疑いを持たなかったのは当然である。」、これで総会に諮っているわけです。そうしなければ、総会だっていうことをきかないのです。だから、あなたが、しつこく聞かれたのを、そうなんだ、買いかえをやってもそれは出すのだと言われたので、その通り承知しておるわけですよ。一般的政策の表明じゃないでしょう。どうですか。
#124
○大澤(融)政府委員 この間読まれた議事録にもこのようなことは書いてございません。確かに、ここに書いてありますように、一万五千俵あるいは五千俵、あるいは買いかえでどうであるというようなお話は、お話し合いの間に出たことは記憶しております。しかしながら、一般的な方針のワクを飛び越えて具体的な確保あるいはその取り扱い方をきめるというようなことは、私としては越権行為でありまして、そういうことはいたしておりません。また、いたすべきことではないと考えております。
#125
○高田(富之)委員 これは石橋さん聞いておられるかどうかわからぬのですが、先ほど午前中見えたようですが、石橋さんは、この前はこの点を非常に強調しておられました。うっかりして、来ると思ったのが来なかったら大へんなことになりますから、これは冗談ごとではないので何べんもしつこく繰り返して聞いたところが、必ずやってやる、買いかえをしてやってやるから心配ないと言った、しかも買いかえ措置は、その前に声明もし、現実に実行した、だから、自分としては、政府は買いかえ措置を行なっても約束通りのことはしてくれる、こういう確信を持っておった、こう言っております。それが果たせないからというので今取引所が休んじゃった。取引所を休ましたのはあなたの責任ですよ。そういう権限にも何もないのを、具体的な約束をどうしてあんたがするかということです。業界を撹乱しておるのは結局あなたの責任だということになりますね。どうですか。
#126
○大澤(融)政府委員 先ほど来申し上げたような事情でございます。ただ、私として非常にモラルなオブリゲーションを感じますことは、この取引所に限らず、十四万・十八万という方針を八月以来堅持して、これは法律も出し、これを実現するんだという気持で私はやってきた。あるいは業界の方を御指導と言っては何ですが、そういうことを期待さしております。先ほどから申し上げておるように、織物の方も、輸出の方も、取引所の方も、そういうふうに政府の方針を信頼して動いていただいておったかと思います。それが信頼を裏切るようなことがあるということについては、あるとすれば、私はモラルな道徳的な責任を非常に強く感じております。
#127
○高田(富之)委員 とにかく、法的に許されていないことですから、これが法律でも通過するなりなんなりということになるとか、あるいは買いかえ措置が合法的であるという解釈でもできれば、これはいいかもしれない。しかし、全然非合法な、きまり切っておることを、こういうふうに約束したということは、何としても重大な失敗だし、これは単にモラルな責任では済まない。非常に大きな実害を経済界に与える。これに対しては当然国家賠償法によって損害賠償の請求もできる。こういう契約をあなたが責任ある立場にあってこれだけ強く言明されたということは、普通のところで文書のやりとりをやったよりもっと信憑性のある約束をしているのと同じことですから、これに対する責任は当然持たなければならぬ。もし損害賠償の請求があれば当然応じなければならぬ。請求がなくても、今度の損害があれば損害を埋めなければならぬ責任が政府にあるんじゃないか。モラルな責任ばかりでなく、具体的なこういうことによって与えた物的な損害に対しては、あなたはどうお考えになりますか。
#128
○大澤(融)政府委員 高田委員の言われる前提が違いますので、お答えのしようがないのでありますが、私としては、先ほどから申し上げますように、あくまでも方針として十四万・十八万を堅持すると宣明しておるのでありまして、具体的な数量その他についての確約はございません。
#129
○吉川委員長 中澤君の関連質問を許します。
#130
○中澤委員 そうすれば、国家公務員としての行政官の立場から、政府の方針さえ出れば、法的根拠がなくてもやってもいいという見解なんです。あなたの見解は、法的根拠がなくても、政府の方針で、法律違反だろうが何だろうがやってもかまわないという見解ですか。
#131
○大澤(融)政府委員 法的根拠がないからこそやらなかったのであります。
#132
○高田(富之)委員 やらなかった、あなたそんなことが言えますか。現実にあなたが、二万俵、すなわち、横浜一万五千俵、神戸五千俵を十八万で供与しますと約束したから、現にバイカイが組まれておるのです。だから、二十二日に迫ったこの引き渡しが、十八万でこれができないというので、今神戸ではもはや解け合いの話し合いをしている。横浜でも、総解け合いをやらなければいかぬ、こういう段階に追い込まれているのです。そういう現実はあなたが約束したからこそ出たんじゃないか。そんなことで責任のがれをするのはよしましょうよ。
#133
○大澤(融)政府委員 責任のがれではなくて、先ほど来申し上げるように、モラルな責任は私感じます。事、取引所に限らず、織物業者、輸出業者、皆さんに対してモラルの責任を感じます。しかし、このことの事実に関しては、先ほど申し上げた通りで、それに間違いございません。
#134
○中澤委員 私は関連ですからこれ以上はよしますが、それなら、このとき七人立ち会い者がいたそうですから、――これは、小島副理事長がはっきり、当日、私ばかり聞いたのではない、七人の立ち会い人がいたんだ、そこへ来た人は横浜、神戸取引所長を中心に立ち会い人がいるから、みな呼んでくれということを言われたんですよ。あなたがどこまでも約束しないとがんばるなら、証人としていま一度その立ち会った七人を当委員会に来てもらって、そこで事態を明確にする以外仕方がないと思うのです。だからこれで保留しておきますが、この問題はあと理事会に諮ります。
#135
○高田(富之)委員 ただいまの証人喚問の問題は、あとで理事会に諮られるように、ぜひ一つ委員長にお願いいたします。いいですね、あとで理事会を開いてやって下さい。
#136
○吉川委員長 理事会でとくと相談をいたしましょう。
#137
○高田(富之)委員 今あなたがおっしゃることは、法律にもないことなんだから、従って、そんな約束はしてはいないんだ、ただ方針を宣明しただけなんで、違法な約束をするはずがあるもんか、これがあなたの言うことであるわけなんです。それで、行政当局は、一応の方針を持って、こういう方針だということを宣明されることはいいと思うんですよ。しかしながら、いよいよ具体的にそれが特定のところに影響を及ぼすようなことになると問題になる。事が法律問題であれば、当然改正案なり何なりを国会に出してからの問題になるわけで、国会へ出してからでなければ確約的な話なんということはできるはずのものじゃないと思うんです。ところが、今ここで言う通り、証人をこれから呼んで事実を確かめるわけですけれども、実際にこれは蚕糸局全体にそういう空気がある。だから、間違いなく言ったとわれわれは思わざるを得ない。
 それで、あなたの方に為永技官という方がおりますね。
#138
○大澤(融)政府委員 おります。
#139
○高田(富之)委員 為永技官がこういうことを言って歩いている。日本経済新聞の十一月二十六日の記事によりますと、「農林省蚕糸局糸政課の為永生糸係長は二十五日神戸取引所で開いたシルクフレンドとの懇談会で、十八万円堅持策はあくまでも守り通すと当局の基本方針を次のように語った。一、繭糸価格安定臨時措置法の改正案は国会通過の自信があり、その線で準備している。二、安定法生糸の第二次放出は法案通過後一度に行なう模様だが、申し込みの際保証金を徴収する。三、安定法生糸四万九千俵のうち一万五千――二万俵を清算受け渡し用に確保し、一応神戸分三千八百俵、横浜分一万四千余俵を予定している。四、こんどの通常国会に繭糸価格安定法の改正案を出すが、最低、最高価格の算出方法を需給均衡価格にするか生産費積み立てでいくかなど根本的な改正を考えている。」、こういうことを言っているのですよ。これは十一月二十五日のことなんです。こういうふうに、今これほど慎重審議をし、国会においてこの法律をどうするかというさなかに、これは通る自信があるのだ、だから、横浜分、神戸分それぞれ何俵、何俵と、ばかに詳しい数字まで出して、ちゃんと用意をしている、心配するなということを言って歩いているじゃないですか。こんなばかなことが許せますか。
#140
○大澤(融)政府委員 その詳細な話は私知りませんが、為永技官が出張して新聞記者その他に会っているという事実はございません。
#141
○高田(富之)委員 しかし、全然種のない空なことを書くはずはないと思う。また、多少内容がどうとか、言い回しがどうということはあると思う。だが、少なくともあなたがちゃんと確約しているのででなければ、ほかの事務官や技官なんかが、心配するな、ちゃんと神戸分三千八百俵、横浜分一万四千余俵を予定しているなんていうことが言えるわけがないでしょう。一般的政策を宣明しただけだとあなたが幾ら言ったって、これほどまでに事が具体的に進んでいるのですからね。だから、何としてもこれは証人を呼んで、これは一技官が言ったことだなんというわけにはいきませんから、ぜひその点は明らかにしたいと思います。
 それでは、今までいろいろ議論をしてきましたが、十八万ということについてはさっき一応統一見解で解決をしたはずで、あとでまた局長さんのおっしゃるところではどうもすっきりいっていないような節があるけれども、一応それはたな上げにしまして、今度は、十八万というのは一体どこから出てきた数字なのか、ということです。
 あなたは、非常に御熱意を持って、これが一番いい値なんだとおっしゃっておられる。熱意のほどはいいとしましても、その理論的根拠は一体どうなのか。十八万円というものがそれほど万難を排しても法を犯しても何をしても守り通さなければならぬりっぱな価格なのだというその根拠、万人を納得せしむるこの根拠を一つ御説明願いたいのです。
#142
○大澤(融)政府委員 これについてもすでに御説明を申し上げておると思うのでありますが、十四万円という最低価格をきめまして、従来の安定帯の幅である十九万円と二十三万円の幅の四万円をここにとって、その意味で十八万円にしたのであります。十八万円が売値の値ごろか、あるいは十九万円がいいかということにつきましては、安定審議会でいろいろ御議論でありまして、あのような答申を得て、結論として私どもが四万円の幅で十八万円ということをきめたのであります。
#143
○高田(富之)委員 そうすると、十四万円というものが下にあって、それに十九万円・二十三万円の差額の四万円をそこへ持ってきてくっつけたのが十八万円、こういうわけなんですね。ところが、この十四万円という下値は、繭の千十五円ですか、あれに相応している最低価格であって、去年の異常事態のまっさなかにきめられたものです。すなわち、十九万円を守ろうという異常な努力をして、臨時措置法まで出して、莫大な国費を使って、最大の努力をしたけれども、とうとう十九万円は守り切れなくなって、下がるところまで実勢のおもむくところを見きわめようというので、とうとうおっぱなして政府は見ておった。そうして、いよいよどん底まで落っこちてきたけれども、千円までは落ちそうもなかった。生糸も十四万円までは落ちそうもなかった。その落ちそうもない一番底値のところならば、政府としては一銭も金を出す必要はないのですから、そこで、とりあえず、最低価格を十四万円、繭は一千円、こういうところできめた。そのきめたときのきめ方は、万やむを得ず、万策尽きて、実勢のおもむくところ、最低の底値を見きわめて作ったものである。だからこそあれは臨時措置ですがね。それで、政令そのものだって改正していないで、臨時特例に関する政令などと、政令のまた特例みたいなものを出して、やむを得ざる臨時措置としてあの千円をこしらえたものなんだ。あの異常事態に臨時措置として暫定的にきめた十四万というものを基準に置いて、そうして正常なときの十九万・十四万の差額をその上へ足すなんということは、全然乱暴きわまるものじゃないですか。あのときには、最低はきめたけれども、最高はきめておりません。あの異常事態において、やむにやまれざる暫定措置としてきめた最低なんだ。最高はあのときわざわざきめなかったんです。その異常事態のどん底値に四万足した十八万というものを、どうしてあなたは、これこそがこれこそがといって言わなければならないか。その理由はまだほかにもありそうですね。それだけじゃないでしょう。
#144
○大澤(融)政府委員 安定制度の建前から、年間一本の安定帯でいくということが通常の場合期待されているところです。そういう意味で、一度きめたものはそのまま一年守り通したい、こういうことでございます。
#145
○高田(富之)委員 暫定措置として一度きめたものは底値だけなんです。底値だけは、あの異常事態で暫定措置として一応きめた。しかし、これは暫定措置なんです。そこへ四万円足したものが上値だなんということは、一度きめたから守らなければならぬという――きめたといったって、先ほど来言っているように、安定審議会で正式にそういう答申も何もしていない。政府が勝手に自分できめただけだ。その説明を今求めている。なぜ自分で勝手にきめた十八万円がそんな金科玉条のようなものなのかと聞いたところが、その底値のところへ四万円足したんだと、こう言うのでしょう。それでは不当じゃないかと言うのです。
#146
○大澤(融)政府委員 安定制度の建前からは、安定帯の幅というものは異常な変動を避ける幅だ、こういうふうに理解できると思うのです。そこで、この幅をいかほどに考えたらいいかということは、基本的にいろいろ問題がある。臨時措置法を今生糸年度に適用いたしましたのも、そういう問題も含めて検討をするということだと思います。そこで、基本的な検討はしないで従来の幅をそのまま使った、こういうことにすぎないのであります。
#147
○高田(富之)委員 これはこういうことだと思うのですよ。去年は最底十九万を維持しようということで相当の努力をしたわけです。あのとき政府が言ったことは、十九万じゃ多少高いかもしれないけれども、安定さへすればここでまた売れる道はついてくるから、何としても安定が先なんだということで、十九万絶対確保の線をやったわけだ。しかし、とうとう万策尽きたんですね。尽きて、今度はどっとせきを切ったように反動を食って落ちるところまで落ちた。その底値だけを暫定的にきめたものが十四万円なんです。従って、これはあくまでも異常事態なんですから、早く回復することを希望しているわけなんだ。だから、法律だって臨時措置法だし、あれだって暫定的な最底価格なんだ。早く正常状態にまで戻ることを希望している。正常状態に戻った後に、その正常状態における最高・最底はいかにあるべきかということをきめるんなら話はわかるのです。けれども、正常に戻っていないその底値のところで四万円の幅をくっつけちゃったのですが、そうすると、そこのところが正常状態みたいになる。こういう去年みたいな大暴落の状態がこれから三年も五年も十年も続くという見通しなら、それはそれでいいかもしれない。しかし、あれはあくまでもあの年度における異常事態なんだから、それからあとある程度正常のところへ戻ってくる。戻ってきてから考えなければいけないから、あのときは最高価格をきめなかったんだ。きめられないんです。だから、あの異常事態における考え方で今もって押し通そうということは、あのときと現在との状況の違いというものを全然度外視したことになる。これでは実態に合わなくなるのは当然だと思うのです。繭の底値を千円、生糸を十四万円にきめた当時の需給の見通しにしましても、あれから後の、ことしの初めごろに考えた需給の見通しにしましても、今とうんと違うと思うのですが、どうですか。
#148
○大澤(融)政府委員 確かにその通りだと思います。しかしながら、安定制度の建前から、やはり一度きめたことはそのまま守ろう、せっかく政府の手持ち糸の放出でできることなんですから、そういうことをしたいということで法案の審議をお願いしておるわけであります。
#149
○高田(富之)委員 十八万円を守るというのが絶対目的で、ほかのものはみんな犠牲にしてしまってもかまわない、これが最終目的だというなら話はわかる。また、言い出した人の面子とかなんとかいうことなら別です。けれども、問題は、これは手段でしょう。十八万云々というのは、蚕糸業を発展させ、今後の振興をはかるための手段にすぎないじゃないですか。手段を目的と取り違えたんでは、事がまるでさかさまになってしまう。だから私が言うんですが、状況が変わったら考え方を変えなければいかぬじゃないか。あなたはこの三月あたりにも安定審議会でもって話をしておる。この速記録を見てもその当時の見通しというものは、去年の最低値段をきめたときの見通しと変わらないのだとあなたは説明している。三月のときにはそれほど大きな変更をする状況にはなかったかとも思われるのです。三月当時では確かに無理もないかと思う。それにしても若干変わってきていることは事実なんです。三月だって、上値を考えているだけ状況が変わってきていると思う。あなたの説明では――これはたしか去年の暮れあたり、最低価格十四万をきめたときですよ。需給均衡のことが説明してあったはずだが、ちょっと今見つからないのですが、あなたは、この当時、需給均衡価格は十六万円である、これから一年ないし二年ぐらいの近い将来を見通してみた場合に、生産したものをみんな消費するという前提に立った適正価格は十六万ぐらいに安定するんじゃないかということを去年の暮れあたりに考えたのですね。そうして、三月のころにも、まだそれを訂正するほどの条件はないから、これをこのまま自分は採用したいんだ、今のところこれが一番権威のある推定の数字じゃないかということで、某々教授だとか某某博士がそういう推算をしておるのでこれなんかが一番権威があるんじゃないかということをあなたはこの中に説明をしておるわけですが、その説明の条件というものは今とは非常に違うと思うのです。一体、そのころは、生産消費をどのくらいの数量に見ておったのですか。
#150
○大澤(融)政府委員 当時私どもの考えておりましたのと今とずいぶん変わっていることは事実だと思います。当時は三十万俵程度のものが需要され供給されるというふうに考えておりました。ところが、ことしは、十八万円という値段で、この間需給の見通しとしてお示ししたような見方をすれば、三十七、八万、人によっては四十万ぐらいまでというようなお話でございます。ですから、当時と事情が大いに変わっております。しかし、しからば需給均衝の水準がどこにあるかという問題は、まだ生糸年度半ばを過ぎたばかりで、あるいはまだ半ば過ぎてないですか、その程度のところで、今後半年あるわけですから、それを見なければ、一体ことしの水準はどの辺に推移したかということは、なかなか判定がむずかしいと思います。ただ、ここで申し上げたいのは、安定制度という建前から、その当時いろいろと予測し得る経済事情その他は織り込んでおるわけでありますが、予測し得ない事態、生糸の売れ行きが特によくなるということが出てくるわけでありまして、その当時との事情が変わっていることは事実であります。しかし、変わったからといって直ちに安定帯の価格を変えなければならないという議論にはならないのじゃないかというふうに私ども考えております。
#151
○高田(富之)委員 ですから、あなたが三月ごろに考えたことは、去年の暮れごろの最低価格をきめた当時の推算の基礎とあまり変わっていないという前提で考えた。しかも、そのころは三十万俵ぐらいの需要と見たのでしょう。三十万俵ぐらいでもって需要と供給が見合っていくという前提で、十六万ならば適正価格ということで、その辺で落ちつくべき筋合いだというような、何か非常にこまかい計算を学者がやったらしいのですが、あなたはそういうようなものに非常な信憑性を置いているわけなんですけれども、しかし、これは前提が非常に変わってきている。三十万俵が四十万俵に変わったということは、前提条件の激変だと思うのです。ですから、その当時そういうふうな推定があっても、三月ごろそれを言っていることは、もうすでに少しおかしいと思うのだが、三月程度ならまだまだです。しかし、その後の経過を見れば、早いとても大きな変動で、見通しの違いがあったということに思い当たらないのは、私はうそだと思う。第一去年の事態は異常の事態です。一たんは正常状態に戻るのですから、正常状態に戻ってからの落ちつきを見なければわからないはずだと思う。どん底で推算するから、そんなおかしい推算をしたり悲観的な推算が出て、十六万円でなければ三十万俵は売れないのだということが出てくるのであって、状況が著しく変わってきたときには、やはりもう一ぺん白紙に戻って考え直さないと、今言ったような無理が出てきてしまう。
    〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
 ですから、あなたは、思惑だ思惑だと、盛んに何でも思惑呼ばわりをしてやってきたわけですけれども、事実ははたして思惑なのか実需なのかということを、あなた自身は率直にすなおに反省しなければならなかったと思う。取引所はみんな思惑でやっているのだ、けしからぬということを言って、来年の五月までみんな十八万で糸を渡すということにしてしまえば、思惑はなくなるけれども、取引所は機能を停止してしまってなくなったのと同じなんです。角をためて牛を殺すと言うけれども、完全に牛を殺してしまった。要するに、もう少し謙虚に経済の実態を見ながら、その当時の状態において前提条件に変わりがあるのかないのかということまで考えていく、こういうことぐらい蚕糸局でやらないということはとんでもない間違いだと思うのです。何々教授がそういうことを説明したと言うけれども、あなたはその教授に最近の需給の関係についての予想を聞きましたか、その教授はだれですか、それを一つ御答弁願いたい。
#152
○大澤(融)政府委員 専門委員会で絶えず研究を続けております。私最近直接聞いたことはございませんが、蚕糸局の職員は一緒に研究を重ねております。
#153
○高田(富之)委員 最近はどう言っておりますか。需給均衡価格はどうですか。
#154
○大澤(融)政府委員 来生糸年度の価格をきめますときに一つの材料として使うという意味でいろいろ研究を重ねておりまして、年度の途中でことしの需給均衡価格が一体幾らなんだろうというような試算は今しておりません。
#155
○高田(富之)委員 だから、去年の暮れに聞いたことであって現在のことは聞いていないわけなんです。おそらく、その学者も、今聞けば、需給均衡価格は間違いなくもっとずっと上のことを言うにきまっていると思うのです。一体、こういうことをあまり言いたくないのですけれども、あなたが振興審議会にも諮らずに、国会の意見も――休会中でも国会は開けるのですが、その意見も聞かず、安定審議会の意見を聞いてみたというだけで、あなたの意に沿うような返事ももらえず、そういう条件の中で、去年の末に一学者の言ったことを金科玉条に守られたのでは、これはたまらないと思うのです。大体、学者でも、相場の見通しなんかを立てるのは、経済学者としては、――名前も聞かないうちだからいいですが、私はあまり感心しない。ほんとうの経済学者なら相場の見通しが立たないと思うのです。立たないのが資本主義社会の原則ですよ。それが立つならば学者はみんな金持ちになる。学者は、本を書いて印税をもうけて、それで相場を買って損をしているのですから、そういう学者の説を信じて、十万俵の生糸を預かっている政府がぽかぽか仕事をやられては、とてもたまらない。ですから、それも多少の参考にはなると思うけれども、やはり、しかるべき機関の意見を聞くべきです。業界の意向を聞いたり、また実際の相場の動向を見たり、あるいは国会の意見を聞いたり、そういう中から慎重にきめなければならないことで、政府がやたらに価格の問題なんかに干渉するのはいかぬというのが安定法の精神なんです。安定法では、最高と最低の間では政府は価格の操作をしてはならないと厳重にきめておる。人為的な操作はまかりならぬというのが安定法の精神です。上下だけなんです。だから、あなたの十八万円説なるものがいかに根拠薄弱であるかということなんです。去年の暮れごろに需給均衡価格は十六万という推算をした。そのときの条件はまるっきり変ってしまった。おそらく、その先生は、今連れてくれば、とんでもない違ったことを言うに違いない。ですから、そういうことをもとにして、法律でもないものを最高価格と讃称して、だんびらを振りかざして規制を加えてくる、そうして混乱を招くというようなことは、もっとも戒めなければならない。今日まで十八万円というものを基礎にしてきたのだということは、そういう点で非常に間違いである、軽率であったと思うのですが、蚕糸局長どうですか。
#156
○大澤(融)政府委員 今日まで十八万円ということをやってきたのは非常に軽率ではないか、こういう御意見ですが、これは考え方だと思うのですが、私は必ずしもそうだとは思いません。しかし、今後の問題については、先般来大臣が時価論でお話しになったような取り扱いをしていくということだろうと思います。
#157
○高田(富之)委員 ですから、今までのは、とにかく十八万円の方が目的になってしまって、蚕糸業の安定とか振興の方は手段みたいになって、目的と手段が逆になってしまったのです。特に顕著なる現われは、あの買いかえ措置であるといって売り出したときに十倍の買手が殺到したというのが実によく証明しています。結局十八万円のものが右から左にすぐに二万円もうかるということをされることは、国有財産を管理する者としては実に重大なる失態ですよ。そういう面からもこれは相当な問題になるのではないかと思うのです。これは、会計法の原則によって処理しなければならぬものを、また、安定法の時価によって処理しなければならぬものを、十八万円を金科玉条にして過信したために、特定の者に不当な利得を与えてしまった、しかも、こういうときにこれをやれば特定の者に不当利得を与えることは、時価の方が高いのですから、当然わかっているはずです。それなのに安いものを売るのは、特定の者に不当利得せしめる目的でやったとは言いませんが、しかし、不当利得を得る者があることを常識的に知っておりながらああいう措置をとられた。現在持っている糸は十九万円で買った生糸、倉敷料や利息その他をまぜると二十一万くらいになる。こういう国有財産を預かっている者が、そういう特定の者に不当利得を与えるような売り渡しをしたということは重大なる問題だと思う。こういう点は、誤りは誤りとして率直に認めてもらって、これから正しい運用をしていかなければならぬ。あるべき姿というものは、業界が生き生きとして洋々と発展するような姿を与えなければ、業界は萎縮してしまう。ですから、この際私が申し上げたいことは、十八万円というものにあなたが非常に御熱心で、これがいいと思っておられる、――先ほども大臣が言われましたけれども、それすらも何にも根拠のない間違いであって、現状認識から非常にずれたものである。だから、そういう十八万円説もこの際はきっぱりと一つ清算されて、正直に時価を見ていく、そうして会計法の原則でいく、こういうことに方針を根本的に転換しょうという気持になって大臣と一つ歩調を合わしていただきたい。さっきも大臣との間にズレを感じましたけれども、今度は大臣とすっかり歩調を合わしていかれるように希望いたしますが、もう一ぺんあなたの御所見を伺っておきたいと思います。事は重大ですから。
#158
○大澤(融)政府委員 私ごとき者でありますので、始終足らないところがあると思います。高田委員初め各委員の鋭どい御批判を得て、仕事がまっすぐにいくようにということで努めたい、こう思っております。
#159
○高田(富之)委員 それから、大臣にお伺いしたいのですが、安定法には御承知の通り適当な保有量というものが予定されておるわけですね。最高価格を押えるためには常時適当な保有量は確保しておかなければいかぬ。もちろん、最低価格をささえるためには、予算の許す限りというようなことになっておりますが、必要とあれば予算をできるだけ出すほどいいわけだ。ただし、最高価格を押えるためには、現物がなければ幾らうたっておいても全然できませんから、これはやはり常時適量のものを政府が手持ちをしているということがあって初めて安定法というものの存在は可能なんでありまして、安定法の条文にもありますように、適当な保有量を持っていなければいかぬ、もし適当な保有量よりもばかに多かった、十万俵も二十万俵も持っていたときには、適当な保有量のところまでは、時価で、市況にあまり変動を与えない、悪影響を及ぼさないでという条文があるわけでありますが、その適当な保有量ということは、大臣はどのくらいとお考えになりますか。
#160
○大澤(融)政府委員 ただいま適当な保有量というようなものはきめておりません。持たなければならないという趣旨ではなくて、持っている場合、不必要なものがあればそこまで売ってよろしいという規定があると思います。
#161
○高田(富之)委員 ですから、持たなければならないという規定はなくても、初めこの安定法ができたときに、すでにないところから始まるわけですから、最低価格に落ちたときに買うわけでしょうが、一定のものが持てた場合には、余分なものは市況に悪影響を及ぼさないように減らしてもいいんだと書いてあるんですよ。という意味は、逆に、正常な姿では、安定法というものが存続する限りは、上限を押えるための押えというものは毎年度考えていなければいかぬわけです。ことしあたりはこのくらい持っていなければならぬ、ことしあたりはこのくらいが適正だという気持で、必要な程度のものは保有しているという考えがなければならぬと思うのです、あの条文を見ましても。だから、大体大まかの、どのくらいという見は当ついているでしょう。
#162
○大澤(融)政府委員 保有し得るものなら保有した方がいいと思いますが、無理をして保有するというようなことは避けるべきことだと思います。
#163
○高田(富之)委員 しかし、これは法律の条文をお読みになっていただきたいと思うんですが、そういうことではないと思うんですよ。無理をして持つ必要はないということになると、法律の精神とだいぶ抵触する。法律には、そんなに余分に持っている必要はないから、余分なものはぼちぼち市況に影響を与えないように売りくずしていってもいいということになっておるんですよ。これは、当然、最高の値段を押えるためには、保有生糸を売り出すことによって押えるんだという条文もちゃんとあるわけですからね。だから、最高を押えるためには保有生糸があるということが前提条件なんですよ。そうでなければ、最高価格をきめても何にもならなくなる。ですから、その前提になっている保有というものについても、ある程度常識的に、この程度のものはというものが考えられていなければならぬと思うんです。それをお聞きしているわけです。
#164
○大澤(融)政府委員 たとえば、今の状態を見ますと、また十八万が出て恐縮ですけれども、十四万・十八万を維持するために、六万俵も売り、さらにまた五万俵も出そうというような、十万俵も持って最高値を操作するというような事態もあるので、何万俵でなければならないというようなことはなかなかきめられないと思います。
#165
○高田(富之)委員 この安定法というものを全然軽く見て、なくなったもののように考えると、そういう御発言もできるかと思うのでありますが、安定法は厳として存在するわけです。常時最高価格を押えるに足るものは保有しておかなければならないということは、この法律の大前提であるわけです。いつでもみな売っ払っていいというものではない。十八万円の問題はさっき議論した通りの話で問題にならないが、法律的には二十三万というものがあるわけです。これは、将来法そのものを改正していくとか、法律に基づく政令で最高・最低の価格を正式にある程度変更すればまた別ですが、その可能性はあると思うんです。いずれにしても、法律がある以上は、保有量というものは大事に持っていなければならぬ。売って、からにしてしまったら、最後はどうなるか。買い戻しといってもなかなかできるものではない。ほんとうに最低に落ちたときに買うよりしようがない。ですから、最小限度のものは値を押えるために持っているというのが原則だと思うのです。そういう思想は政府は全然ないんですか。
#166
○大澤(融)政府委員 将来の価格安定のために現在の価格の安定を犠牲にして品物を持ち越す必要はないと思います。また、そういうことをすべきではないと思います。
#167
○高田(富之)委員 それは十八万円が最高価格の場合にはそういうことが言えると思うんです。さっきから議論済みの話です。あくまでも行政措置は合法的であることが必要です。安定法を廃止してしまったらかまわないと思うが、しかし、安定法というものはあくまでも守りますと政府は言明し、事実現存しております。最高価格は二十三万円であるとさっきも大臣がちゃんと言明されている。だから、そういうときにからっぽにしてしまうということは、実際問題としては、安定法を事実上空文にしてしまうのと同じでしょう。安定法を将来多少改正するにしても、あるいは抜本的改正をするにしても、現在存在する以上は、上値をささえるものを持っていなければならぬ。ある程度は持っていなければならぬ。これは常識だろうと思う。
 しからば、お伺いしますが、あなたは十八万々々々と言われますが、これなら安いから売れ行きはいいと思う。安ければ売れるにきまっているから、どんどん売れて、からになってしまった、あとはどうするつもりなんですか。からっぽになったら、最高価格にぶち当たったときに物をもって売りくずすという方法はない。どこまでも上がるところまですっ飛んで上がってしまったら、それこそ手放しで見ているよりしょうがない。その反動たるやまたものすごいことになりますよ。そういうことをお考えにならないんですか。
#168
○大澤(融)政府委員 物がなくなる場合のことでございますが、ほんとうに実需が強くて物がなくなって、そのまま続く状態でいくというときには、価格も高いし、そこで需要も安定してずっといくということで、反落のおそれはない、こう思います。それから、思惑的にはね上がった――この間どなたか参考人の方が、山高ければ谷深しということをおっしゃられたんですが、思惑的にはね上がるときには、必ず反動があると思います。そういう反動があって暴落するというときには、その際にこそ、安定法の規定で、九条の二だと思いましたが、政府糸を持っていないときでありますから、反動で下がつたために生産者を危うくするというようなことがないように、九条の二で中間値で糸を買うということもできるわけです。ですから、望ましくないことですけれども、一度高くなって下がる、下がったときにだれを害するかといえば、生産者を阻害する、そういう場合には九条の二というものを発動してやるというようなことが考えられると思います。
#169
○高田(富之)委員 ですから、かりにあなたがお考えになっていた通り――今はお考えになっていないということですが、かつてお考えになっていた通り、十八万でみな売ってしまうということになると、からっぽになってしまう。来年の需給ということは、常識的に考えましても、生産はそんなにふえっこない。現に減反政策をいまだにおやりになっている。そんなようなところですし、桑は三年も五年もかかるのですから、原料の上から制約を受けておりますから、生産量はそんなにふえるわけはない。そして、需要の方は、大体どの方面の常識的な判断からしましても、強い人は四十万俵の上を言い、弱い人でも四十万俵をちょっと欠ける程度のことを言っている。そういう事態が予想されておるときなんですから、手持ちがからっぽになれば、実需といったって思惑なんです。あなたはばかに実需と思惑を分けますけれども、普通の状態から言ったって、需給の関係から言って値が上がるのはあたりまえなんですね。値が上がるのはあたりまえなんですが、全然自然に置いた場合は、需給均衡で、上がってもすぐこれを訂正して、そうばかなところでない高値安定になると思うのです。けれども、無理に十八万で強引な手段で押えてきて、おもしがなくなって吹っ飛んだときには、逆の思惑ではね上がることになる。今の思惑は、政府の一挙手一投足が生んでいるわけです。ほうっておけば思惑になりもしないものを、軽気球を上げてみたり、あっちを突っついてみたりこっちを突っついてみたり、そういうことが全部思惑材料になっている。だから、ここで全部売り飛ばして全部なくなったあとの思惑は当然出てくる。そういうときには、正常な需給均衡価格が出てくるのではなくて、一時的な思惑的な大暴騰がくる、そしてその反落がくる、それからあとでなければ安定しない、そういうふうにお考えになりませんか。
#170
○大澤(融)政府委員 来年の生糸の需給の見通しというようなことについては、これは非常にいろんな見方があってむずかしいと思いますけれども、先般来申し上げておりますように、政府糸がたとい今の値段でずっと売り出されたといたしましても、少ない人でも二万俵くらい、多い人は五万俵くらいは、政府のでないかもしれないけれども、民間の倉の中に在庫として来年に持ち越すであろうと見て、それだけの数量は来年の潜在的な供給力になるということも考えられますので、来年度の生糸の需給見通しとしては不自然な形になるというようなことは、私どもは考えておりません。
#171
○高田(富之)委員 ことしの三月に安定審議会を開いて、それ以後七月、八月ごろから逐次相場が上がってきたのを、あなたは思惑で上がったのだ、こういうふうに断定していたそうでありますが、さっきのお話の通り、需給の見通しが非常に狂っていたわけなんで、三十万俵で需給が安定する、十八万最高、十六万均衡価格と思っていたのが、需要が四十万俵ときたから、値が上がるのがあたりまえの話なんです。あの当時の上げ足は実勢であって十八万の方で押えようとしたことが人為的なんであります。来年もしもこれがなくなっていきますと、同じような需要が見込まれる現在の状況下からしますと、やはり、比較的高いところで安定すると見るのが常識なんです。だから、ここで十八万で売り出すといえば、みんな要りもしないものを飛びついて買ってしまいますよ。あなたがおっしゃる通り、現在の需給から言ったら残るだろう、民間の倉に六万俵残るだろうといいながら、要らないものをなぜ買うかといえば、もうかるから買うのであって、倉へ入れておけば、来年すぽっと売れる。だから、十六万で需給が均衡するといった前提に立った十八万最高論なんというのは、現在の段階では論外です。もし安定するとしても十八万以上だろうということは常識ですよ。そうすると、安定線が十八万以上ならば、最高価格はずっと上になる。二十万とか二十一万とか二十二万というようなところにいくわけです。
 いずれにしましても、今年度一ぱいは十八万を死守するのだと一ぺん言ったのだからというようなことで面子にこだわって強引な手段でやる、そのために国家の持っておる十万俵の生糸を投げてしまって、もうけの材料に与えてやる。国はびどい損をしますよ。売ってしまって、そのあとは最後になくなってしまう。こういうようなことをやるのが得策か。やはり、ある程度のものは残しておくべきです。特に実需の伴わないものまで売り出す必要はないのですから。――あなたの計算では四万俵余ると言う。政府が持っておるか民間が持っておるか、こういうようなことではっきりあなたは発表しておられるのですが、何も民間をもうけさせるために国民の税金で買ったものを投げ出す必要はないのですよ。ちゃんと政府は持っておって、これから異常の騰貴に対するにらみにしておく、おもしにしておくということの方が、はるかに賢明な、また合法的なやり方ではないですか。
#172
○大澤(融)政府委員 そういうようなことを心配いたしますので、売り方等については特に注意をしていかなければならぬと思います。仮需要と申しますか、思惑需要と申しますか、そういうもので生糸が売れていくというようなこと、そうして政府の在庫が民間の在庫になって持ち越されるというようなことのないような方法を考えてやっていくということが必要だと思います。
#173
○高田(富之)委員 そうすると、あなたの計算で言っても、大体常識から言っても、仮需要みたいなものでみんな一度は飛びついて買ってしまう。こういうようなことで政府の持っておるものを売ってしまうということは好ましくないと思う。実際の現物、現在の市況などを見た相場程度のところが、それよりちょっと高い程度のところで、――少なくとも、今生産費を計算しますと、政府の生産費の計算によりましても二十万円くらいで、これで損得なしの生産費かつかつの線というのが出ておるように思うのですが、二十万円が生産費だとするならば、できるならば生産費というものを割らないところで、しかも大体常識的な時価というようなところで売るか。それにしましても、もし先高見込みならば、それでも相当仮需要で買うかもしれない。ですから、無制限に何も売ることはないと私は思う。あなたの計算では三万俵から四万俵残るだろうという計算だから、やはりその程度、三万俵なら三万俵程度は売らないでとっておくというのを原則にして、残りのところをその程度の値段で売り出していく、これならば市況にそんなひどい影響も与えないし、国もばかに損するわけではないし、生産費にも阻害にならないし、倉にしまっておいて思惑的に持っていることも防げるというようなことでいいのじゃないかと思うのですが、あなたのお考えではどうですか。御賛成をいただけますか。
#174
○大澤(融)政府委員 誤解があってはいけないので申し上げておきたいのですが、私どもの需給見通しとしてお出しいたしましたものは、あれに備考がついておりますように、一月なり十月のような輸出なり国内の引き渡しなりの状況で今後も推移するならばこうなるであろうという見通しであります。そこで、そういう見通しから言えば、三万俵なり四万俵政府の倉か民間に残るであろうという需給推算であります。ですから、逆に三万俵残せば需給がこれで見合うじゃないかということは、あの計算からは必ずしも言えないということをお断わりしておきます。
 それから、今の売り方の問題でありますが、先ほども申し上げましたように、ほんとうに実需者がちゃんと買えるという形での方法を考えれば、今言われたような御心配はなくなる、こういうふうに思っております。
#175
○高田(富之)委員 それで、いずれにしましても、もしあなたのお考えで、年度一ぱい、かりに仮定しまして十八万なりそこら辺のところで安定したとしましても、先行きは、――そこで一ぺんにぽんと四万俵も投げ込めば、幾らかそれは下がるかもしれないと思うのですよ。しかし、それは一時的なものであって、来年の需給関係から言うと、生産が三十一、二万俵、多くて三十四万俵、需要は四十万俵ということになりますと、これはどうしたって来年は需給が逼迫しますし、そういう状況のもとでは来年度は高くならざるを得ない。そうすると、価格安定帯というものは毎年きめればいいのだからといって、去年とことし、ことしと来年の安定帯価格がしょっちゅうぽかぽか動くようでは、これは安定帯価格の意味をなさぬと思うのです。年度がわりになるとこの安定帯価格がぽかんと変わるというのでは、話にならぬと思うのですよ。だから、安定帯価格というものは、その年度できめるとはいうものの、ある程度長期の見通しも織り込まれて初めて安定だと言えると思うのです。あなたは、最高十八万、均衡価格、落ちつく価格は十六万だというようなことが来年度もそうなんだということは、とうてい言えないでしょう。どうですか、言えますか。
#176
○大澤(融)政府委員 来年度の価格は原則として三月に安定審議会にはかってきめるべき問題でありまして、三月にきめるというふうになっておりますのは、いろいろな見通しがそのころになればできるのではないかということが前提になっていると思います。
    〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、私どもも三月になってからいろいろと見通しを立てて来年の価格を考えていきたい、こう思っております。
#177
○高田(富之)委員 ですから、それにしましても、需給推算というものは来年度までやっているわけです。また、やるのが当然だと思うのです。ですから、ある程度の見通しというものを持って価格というものは考えていかなければならぬと思う。来年度の需給推算というようなことをずっと政府でもおやりになっている。そういうことを見ましても、ことし幾ら無理をしてあなたが強引な手段でやってみたところが、来年は、一番あなたの思う線に近づいたとしても、十八万が均衡価格であれば、最高価格二十万ですよ。しかし、おそらくそれでは済まない。これは物がなくなっちゃっているのですから、物がなくなっちゃっているという強みがありますから、政府の押えがないという強みがありますから、必ず来年これは大幅に改定しなければならなくなる。そういうようなことは、これは愚の愚たるものだと思うのです。そんなに年度がわりにぽっかりぽっかり変わるということでは、安定しているという意味がないと思うのです。だから、今年度あなたが十八万をこの間まで固執してきたということは、これは間違いだった、思惑ではなかったのだ、あれが実勢だった、自分の考えたのがとんでもない実勢から離れたことを考えていたのだという認識に立たれないと、えらい混乱が業界の将来に予想されるのです。あなたの方のあの白書を見ますと、こう書いてある。去年何を学んだか、去年はとにかく実勢をよく見きわめなければならなかった、実勢から遊離してはならなかったという非常に深刻な体験をしたというようなことが書いてあると思うのですがね。そういう中で、ことしおやりになったことは、まるっきり逆のことをやった。白書とまるで逆のことをあなたはおやりになった。だから、異常状態が正常状態に変わってからでないと、ほんとうの安定帯価格なんというものはなかなか考えられない。ですから、ことしあわてて十八万を固執したということは、非常な間違いである。あなたは、思惑的要素を取り除くのだ取り除くのだと言いながら、思惑的要素でなかったのですから、結局、取り除こうと思ったら、清算取引を半身不随にするという結果になったのじゃないか。相場も何も立たないようなことにしてしまった。結局思惑的要素ではなかったわけです。
 そういう点に対する深刻な一つ反省をして、この法案のようなものはあの当時の誤った認識に基づいて出された法案なんですから、提案理由の説明も全部間違っていたことが明らかになっちゃったのですから、いさぎよくここらでこの法案を撤回して、考え直す、もう通常国会もすぐ来るのですから、その間に審議会をお開きになってよく御意見を聞いて、そうして通常国会において安定制度の根本にさかのぼったいい方針を立てて、長い目で業界を伸び伸びと発展させていく、こういうふうにすべきだと思うのです。去年のあの白書に出ているような、これはどん底で書いたもので、萎縮しちゃって、今は発展ではなくて安定だというようなことを言って、需給均衡価格は十六万だ、三十万俵が精一ぱいだというようなことを言っているが、今はそういう時代ではないので、やはり、今度の通常国会あたりを目標にして、その間考え直すのが妥当なんですから、この法案は誤りに基づいた立案であったということで御撤回なさるのが一番最良の方法であると思う。それがまた一番あなたにも傷がつかないことだと思う。無理に十八万に固執して意地をつっぱる、面子にこだわるということは、われわれあなたのためにとらないところですから、一つこの際これに対する大臣の御所見を伺いたい、こう思うのです。
#178
○福田国務大臣 高田さんのお話を承っておりますと、どうも前提が私どもの考えと違うのですよ。それは、今売れ行きがいいいいと言いますが、それは、十八万円というこの安定価格が売れ行きを支持しておる、かように私といたしましては考えるわけなんです。かりに、今あなたは実勢は二十万円をこえるというようなお話でございまするが、二十万円になって一体輸出の状態がどうなるであろうかというようなことを考えますと、最近、相場が浮動しておるというようなことで、きのうも石橋さんから御意見がありましたが、海外でも買い方をちゅうちょしておるという傾向も出ておる。それから、福井だ何だという機業地におきましてもいろいろな現象が出てくると思います。結局、国内においては、私は、主たる生糸の敵――敵という言葉が適当であるかどうか知りませんけれども、これはナイロンである、かように考えるわけです。国外におきましては、これは外国の生糸である、こういうふうに考えるわけです。これに打ち勝って需要をなるべく伸ばしていく、こういう考え方こそ今最も大事な時期であり、しかも、今調子がつきかかっておるここで、日本の生糸を世界に進出させ、また化学繊維、合成繊維に打ち勝つ体制を今こそ作るべきときである、かように考えるわけです。
 この臨時措置法の改正が成立いたしまして、そして現実に生糸を売るという際の売り方につきましては、私どもは大いにこれは検討しなければなりませんし、広く権威者の意見も求めるというような意味におきまして、安定審議会の開催を予定しておるわけでございますが、しかし、とにかく、売るべきある種のものを持つということは、これはもう当然私はそういうことになると思うのです。
 さようなことで、蚕糸業、すなわち、養蚕家、また機屋、織物屋、輸出屋、各種の総合的な利益を考えますと、ここで本法案がすみやかに成立するということが一番いいのだという確信を持っております。
#179
○高田(富之)委員 十八万を政府がつっぱっているから売れていると言いますけれども、実際の相場は二十万をこえておるし、かりにそれが多少高過ぎるということになれば、これは実需の面から訂正されてくるわけです。心配がないわけです。売れる線に戻ってくるわけです。十八万が適正だからといって、適正々々で、そのために、これを守るためにというので、政府が干渉するということは、実際の市場価格に対する政府の干渉になるわけです。最高価格ならば政府は死にもの狂いで押えてもらっていいと思うのですけれども、十八万が適正だとあなたはおっしゃるが、適正価格のためには、政府が十八万円に力こぶを入れて、これが適正だ適正だといって、施策をすることは間違いであり、それは安定法の精神にまっこうから逆らうものです。適正価格は自然に生まれるもので、とてつもない最高を押えるのが政府の役目であって、十八万が適正だからといって、その維持のために一生懸命になって、あたかも最高価格であるのと同じような措置をとるということは、違法であり、また誤りである。経済界の最も好まざるところなんです。現に二十万で売れているのですから、これが高過ぎればこの価格は自己訂正をするわけなんです。ですから、あなたのおっしゃるのは、やはり事実と相違しておると思うのです。ですから、これはやはりすんなりと御撤回なさる方が一番いい、こう私は思うのです。さもなければ、先ほど私が申し上げましたように、あなた方の考えでも、ちゃんとことしは三万俵、四万俵はどこかの倉へ眠るものなんです。眠るものまで売る必要はないのですから、その程度のものは、今後の値押えににらみをきかすためにとっておく。そうして、若干のものをここで売るとしても、その売る値段は、競争入札か何かによって、現在の適正な市価で、実需に見合う程度の実勢価格で売る。それですっと市場に消えていくわけです。しかも、残るべきものは政府の手に残るということになる。こういうふうに抜本的に改正でもするか、その点についての大臣のお考えはどうですか。
#180
○福田国務大臣 ただいまのあとの方のお考え方、これは私は一つの見識だと思います。さようなお考えも、私は、大いに検討しなければならぬ、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、高田さんからもおしかりを受けておりまする通り、政府は独走してはいけないのですから、安定審議会の皆さんの御意見も広く伺いまして、そして、これが最も養蚕家にも機業家にもあるいは輸出業者にもいい、こういう方向できめていきたい、かように考えております。
#181
○高田(富之)委員 それでは、そういったような考え方で、さらに十分政府の皆さん並びに与党の皆さんも御検討をいたされまして、最良の方法を講じていただきたいと思いますので、さらに慎重御検討をお願いしたいと思います。
 一応私の質問はこれで終わります。
#182
○吉川委員長 芳賀貢君。
#183
○芳賀委員 私はもっぱら農林大臣にお尋ねしたいと思います。
 第一点は、先般十日の日に当委員会に横浜の取引所の理事長を参考人として出席を求めていろいろ意見を聞いたのでありますが、その際の発言の、取引所に対して蚕糸局長を通じて安定法によって政府が保有している生糸の中から買いかえの方式で十八万円で二万俵の引き渡しを行なうという確約があったということに対しては、これは、農林大臣もそういうことは全然関知しておらぬ、蚕糸局長もそういう確約はしておらないということが委員会において明らかになりましたので、その点をわれわれは疑うものでありませんが、これと関連して十二月の十日に横浜の取引所が立ち会いを休会にしたのですね。そこで、この休会に関係して、確約の問題と休会の問題との間にどういう関連があるかということについてお尋ねします。
#184
○福田国務大臣 これはもう繰り返し蚕糸局長からお答えしてありますが、要するに、向っておりますと、蚕糸局長と理事長との間の会談におきまして、蚕糸局長より政府の方針についてお話があり、それを取引所の方では約束というふうに理解していろいろ話が進められた、ところが、それが国会の審議の過程を通じましてどうも怪しいというようなことになって、これでは混乱を生ずるからというので立ち会いを停止した、さように理解をいたしております。
#185
○芳賀委員 ですから、確約していないということは、これは先般の委員会で農林大臣並びに蚕糸局長の言明で明らかになった。ですから、そのことをわれわれは信じますが、そういう確約はしていないということが明らかになってなお休会をしなければならぬという理由はどういうことになっているのですか。取引所側が休会をした理由を伺いたい。
#186
○福田国務大臣 ですから、確約はしないけれども、政府の方針宣明があったんだから、これは約束と同様のことだというふうに取引所側は理解をいたしたわけです。そういうふうなことでずっと取引が続けられてきておる。しかるところ、当委員会におきましてその方針がどうも怪しいというような雲行きが出てきたので、それじゃ取引ができないということなんです。
#187
○芳賀委員 ですから、そのような事態に対しては、農林当局としては何ら責任がないのか、関知しないのか、いかがですか。
#188
○福田国務大臣 その事態に対しましては、まことに私は遺憾な事態であると考えます。私どもは、そういう方針を私どもが宣明して、それに順応して取引所が動いてきたということにつきましては、責任を感じ、私どもの施策が当初の方針通り皆さんにも御理解をいただけるようにということを念願いたしております。
#189
○芳賀委員 それじゃ、当初の方針通りということになれば、まあかりにこの法案を通した暁には、十八万円で二万俵を取引所に渡すということなんですか、最初の方針に沿うということは。
#190
○福田国務大臣 取引所に二万俵渡すというのではなくて、とにかく取引所の現在の手当ができるようにこの法案を成立させる、こういうことなんです。それができますように私どもも全力を尽くし、また皆さんにも御理解を願っておる、こういうような次第であります。
#191
○芳賀委員 ですから、取引所の現在の場合は、十八万円の糸でなければならぬということになるのですか。十九万円でも二十万円でも、その場合は差しつかえないのですか。
#192
○福田国務大臣 その値段につきましては、私どもは、実需をどんどんふやしていくというような見地からすると、蚕糸局長からるるお話し申し上げております通り、まず十八万円見当というところがいいところではあるまいかと私は考えておりますが、実際の価格がそれよりも上回るという情勢でありますれば、これは安定審議会にお諮りいたしますが、別な方法で売り渡すほかはないと考えております。
#193
○芳賀委員 そうであればいいのですよ。今まで大臣のお話を聞いておると、結局は十八万円で取引所に所要数量を渡さなければならぬ、そういうような意味を含めておるのですが、ただいまの御答弁によると、そういうことはしない、もし法案が通っても、直ちに安定審議会を開いて、そこで諮って、しかる後、売り渡す方法あるいは売り渡し価格等の方針をきめる、そういうことなんですね。
#194
○福田国務大臣 さような考えであります。
#195
○芳賀委員 そうであれば、何も取引所がわざわざ休会をする必要はないと思う。もし、休会をしなければならぬ目的が、休会することによって法案の審議を促進するという目的を持つか、あるいは蚕糸局長の確約に対してその不信を追及する、そういうような目的を持って休会したとすれば、これは業務上から見ても重大な問題であると思いますが、その意図がどこにあるかということはおわかりにならぬのですか。
#196
○福田国務大臣 取引所がやめた意図那辺にありやということは、私にもよくわかりませんが、しかし、いずれにいたしましても、十八万円で手当がされるというふうにのみ込んでおった、それがどうも怪しいという事態が出てきたので、立ち会いを休止した、こういうことのように伺っております。
#197
○芳賀委員 そこで、取引所が立ち会い休止をする根拠は、おそらく取引所の業務規程の第三条に基づいた措置だとわれわれは考えております。臨時的な措置として臨時的な休会あるいは休止をすることができるということになっておりますが、そういう臨時的な措置であるとすれば、これは商取法に基づいて当然主務大臣にそれを届けなければならぬということになるわけですが、そういう手続は当時行なわれたかどうか、いかがですか。
#198
○大澤(融)政府委員 すでに口頭では届けがございます。それから、書面での届出は、まだ私確認しておりませんが、そういう手続はあったんじゃないかと思います。確認はしておりませんが……。
#199
○芳賀委員 あったんじゃないかというのはおかしいじゃないですか。じゃあ、どこへ届けたんですか。主務大臣に届けなければならぬということが法律で明記してあるにもかかわらず、蚕糸局長も知らない、農林大臣も知らぬということになると、一体取引所はどこへ届けを出したんですか。
#200
○大澤(融)政府委員 私の申し上げ方が悪かったと思いますが、口頭で直ちに私のところへ届出がございました。
#201
○芳賀委員 ですから、その場合の理由はどういうふうに記載してあったんですか。
#202
○大澤(融)政府委員 口頭と申し上げましたが、電話でございました。そして、そのときは、受け渡しの確保について疑義が生じたから、これこれで休止をしたということ、そのことの届出がございました。
#203
○芳賀委員 ですから、そういうことは理由にならないじゃないですか。農林大臣も蚕糸局長も十八万円で二万俵を引き渡すということを確約しておらない。確約しておらないものに対して、いかにも確約したるがごときそういうことを理由にして、そうして今後取引ができないから、それで不信を追及して立ち会いを休会しておる、そういうものは理由にならぬと思うのですが、農林大臣、いかがですか。
#204
○福田国務大臣 これは、理由はどうか、私も存じませんけれども、とにかく、取引所は立ち会いを休止する、そのいきさつは先ほど申し上げましたような事情なんです。それで、政府の方じゃ渡しますという確約を別にしておるわけじゃございませんが、そのときの蚕糸局長と理事長との会談のいきさつから、取引所側では、これは受け渡しが保証されたんだ、こういうふうに見て、それで取引所がずっと動いてきた、それが少し方向が変わってきた、こういうことのように私も理解をいたしておるわけであります。
#205
○芳賀委員 それでは、休会の期間は何日ぐらいということになっておるんですか。
#206
○大澤(融)政府委員 取引所側の届出によりますと、当分の間ということになっております。
#207
○芳賀委員 それは、たとえば法律が通るまでとかなんとか、そういうものを目途にした当分ですか。
#208
○大澤(融)政府委員 特にそのようなことはございません。当分の間とあるだけでございます。
#209
○芳賀委員 これは事務的な問題になりますが、先般の理事長の発言によると、当限の納会は十二月の二十二日ということになっておるという説明がありましたが、休会がずっと年内続いて、明年度もさらに続くというようなことになれば、当限の取引の決済というものは一体どうなるのですか。
#210
○大澤(融)政府委員 会員が協議をしてきめるということになろうと思います。
#211
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。これは取引所の理事長並びに役員の責任というものは何らないんですか。ただ取引所の会員を集めて、たとえば単に解け合いにするとかなんとか、そういうことが簡単にできるとすれば、これはあるいは表面上は問題がないかもしれぬが、今回の休会の措置というものはそういうものじゃないでしょう。多分にこの法案の審議あるいは法案の成立の成否に関連した政治的な意図ですね。そういうものを多分に持った休会の行為であるということは言えるわけです。ですから、取引所を預かる理事長あるいは理事が中心になって、このような休会の措置を業務規程に基づいて行なったということに対する結果というもの、納会になってもまだ再開されない、決済もできないという事態に対しては、監督官庁としてどういうふうな指導を行なわれるんですか。
#212
○大澤(融)政府委員 事態の推移を見、また、よく事情を調べた上でないと、どういうことかという判断はつきませんが、事態を調べ、事態の推移をながめて処置をして参るということだと思います。
#213
○芳賀委員 ですから、この法案審議は、臨時国会が今月の二十七日までですから、場合によっては成立するかもしれぬが、場合によってはこれは不成立に終わるという公算も非常に大きいのです。ですから、取引所の考えでいくと、これは法案審議と関係があるとすれば、とにかく年内に再開しない考えと見て差しつかえないですか。これは、国会に対するか、あるいは農林大臣に対するか、挑戦ですからね。こういう取引所の運営というものに対して、これは好ましい事態かどうかということは、当然農林大臣としては政治的な配慮を行なう必要がある。こういう状態が続くとすれば、場合によっては解散させるか、必要ないという態度に出るか、これは相当明確な態度に出ないと、わが国の蚕糸業の制度の安定というものはこの一角からくずれると思うんですよ。いかがですか。
#214
○福田国務大臣 取引所は蚕糸業の発展のために非常に貢献をいたしてきているわけなんです。それがかようなことで取引が休止しているということは、まことに遺憾にたえませんが、なるべくすみやかにこれが再開されんことを念願をいたしておるわけでございます。私どもの立場といたしまして、国会やあるいは政府に対する挑戦行為だというふうには毛頭考えないのであります。これは、全く経済的な、先ほど申し上げましたような事情に基づくものである、こう考えております。
#215
○芳賀委員 この点に対しては、先ほどの中澤委員の関連の中で、後刻理事会において、再度理事長を証人として喚問するかどうかということは相談することになっておるので、あとに譲りますが、ただ、この場合、このような取引所の政治的な運営の方法については、結局は、商品取引所法等の規定に基づいて、これはやはり取引所の理事長あるいは理事の任務を怠った行為であるということも判断できると思う。ですから、そういう場合には、この取引の決済等について生ずる事態、あるいは関係者に対する損害等については、これは理事長または理事全体の責任でその損害の責めを負うくらいのところへいくのが当然だと思いますが、監督官庁である農林大臣はどう考えますか。
#216
○福田国務大臣 これは、取引所におきましては、理事長はその取引組合員の選任された方でございまするし、また、その出処進退につきましても、取引組合員の御相談できめられる問題でございまして、全く取引所の自治の問題でございます。ですから、私どもはそれには介入するというようなことはいたしませんが、しかし、取引所というものはわが国蚕糸業の健全な発達の上から見ましてまことに重大な地位にあるわけでございますから、それが円滑に運営されていくということを念願するわけでございます。そのように私どももできる限りの努力をいたす所存であります。
#217
○芳賀委員 なお、この際大臣にお尋ねしておきますが、取引所の運営に関してですが、今の規定から言うと、取引所の会員総会において役員を選挙するということになっておって、兼職の禁止規定等はありますか、選挙される者の役員資格というものは、別に特段の規定がないわけです。ただ、われわれが考える場合において、取引所の業務というものは全く公平に行なわれていかなければならぬわけですから、その運営の中心になる理事長とかあるいは理事諸君の場合においては、取引所の業務に関係した職業に従事するような人たちが理事長あるいは役員等になることについては、相当慎重に検討する必要があるのではないかと考えるわけです。たとえば、先日の参考人を呼んだ委員会の場合においても、わが党の中澤委員からの質問で、石橋理事長が十九日に蚕糸局長と面会して重要な問題等について話し合いがあったというようなこと、こういうことをわれわれが想起した場合においても、やはり、取引所の中心になる責任者の場合においては、あるいは製糸業をやるとか商事会社をやっているとか、あるいは株の取引の売買に参加するというようなことに直接関与しない場所の人が業務の中心になるということが最も望ましいし、そのことが取引所に対する信頼の度合いを高めることになるのではないか。これは今後の問題でありますが、やはり、監督の任にある立場から見た場合においては、いずれが好ましいかということに対しては御見解があると思いますので、その点についてお尋ねしておきます。
#218
○福田国務大臣 取引所の理事長が、実際御商売に関係されている方がいいか、あるいはそうでない人がいいか、これはいろいろ利害得失があると思うのです。私ども、なお、これはどういう形がいいか、さらに検討してみることにいたしたいと思います。
#219
○芳賀委員 そこで、次にお尋ねしますが、特にこの際明確にしておきたい点は、今後の安定法による糸の処理の問題でありますが、先日の農林大臣の御答弁によると、かりに法案が成立した場合においては、実勢価格を十分見きわめて、十八万以上であるような場合においては安定審議会を開いてその意見を聞いて善処したいというような答弁がありましたが、そういうことでなくて、かりに法案が通った場合においても、直ちに安定審議会を開いて、そこで十分審議会の意見を徴するというような努力をされて、しかる後に売り渡し価格の設定の問題であるとかあるいは売り渡し方法等については明確な方針を立てて臨むということが当然なことであると思いますが、その点はいかがですか。
#220
○福田国務大臣 私はきわめて法律的というか理詰めに言っているわけでありますが、常識的には、おそらく安定審議会を直ちに開催するというような運びになると思うのです。それは、実勢価格が十八万円をこえる場合にはというように言っておりますが、ただいま見ますと実勢価格は上に出ておりますから、これが非常な変化がなければ、そういうことになると思います。しかし、変化があるかもしれぬから、そういうようなことも想像して、また御質疑等がないようにという用意のために申し上げておるのであります。
#221
○芳賀委員 この点は非常に大事な点なんです。わが党としては直ちにこの法案に賛意を表するというわけでないのですが、しかし、これは非常に大事な点ですから、十八万円を実勢がこえる場合には安定審議会をまず開く、――こえない場合には開かないというふうにもこれは聞きとれるわけです。ですから、これは原則として必ず安定審議会を開いて、しかる後方針をきめて処理に乗り出すという順序であるかどうか、この点はひとり委員会だけでなくて社会的にも非常に大事な点であると思うので、責任のある答弁を願います。
#222
○福田国務大臣 今後のことは予測することができませんから、こえる場合にはというふうなことを言っているわけです。しかし、大体見通しから言えば、直ちに安定審議会を開くことになる、かように御了承を願います。
#223
○芳賀委員 それから、具体的な問題だけを逐次お尋ねしますが、安定審議会をお開きになって、そうして売り渡し価格とかあるいは売り渡し方法等に対しても当然意見を聞かれると思いますが、一体、現在農林大臣がお考えになっている売り渡し方法というものは、どういう形を想定しているのですか。
#224
○福田国務大臣 これは安定審議会の皆さんの御意見を伺わなければ私どもは結論を得られませんが、常識的には一般競争によって売るというようなことが考えられますが、万事これは安定審議会の各位の御意見を広く承ってきめていきたい、かように考えます。
#225
○芳賀委員 それでは、政府が案を携えて審議会に臨まれるのか、全然何らの腹案がなくて審議会に臨んで、そうして審議会の具体的な意見を徴して、しかる後に方針を立てるのか、その点はどうなんです。
#226
○大澤(融)政府委員 少なくとも幾つかの考え方を持って審議会に臨むということになろうと思います。
#227
○芳賀委員 答弁はなるたけ農林大臣にお願いしたいと思います。
 今の局長のあれは、両方の態度を同時に持って臨むというのですが、そういうことはちょっと変じゃないですか。具体案があればその案を持って審議会に臨んで提示しなければならぬわけで、これはこちらから案を提示して意見を徴する。なお、審議会としては、それにも関連をするわけでありますが、審議会独自の立場でまた建言することもできるわけですから、まず案を持って臨むのかどうかという点に対しては、これは農林大臣の責任において答弁願いたいと思います。
#228
○福田国務大臣 最終的にどうするかきめておりませんが、おそらく何かこういうふうにするのが一番いいのだという私どもの案を示すことになると思います。
#229
○芳賀委員 今までの政府保管糸の放出方法というのが非常に誤まりがあったということについては、これは農林大臣もお認めになっておるわけです。ですから、また再びそのあやまちを繰り返さないために、最も効果的な方法としては、たとえばこの対象、売り渡すべき相手方の範囲等についても明確にする必要があると思うのです。たとえば実需者にその範囲を限定するとかですね。そして、売り渡しの方法等についても、やはり、大臣が言われる通り、会計法から見ても、国の財産の善良なる管理者たるの注意をもって当たるべきことは当然なことでありますから、そういうことになると、当然、これは、競争入札か、あるいは実需者を指名してそうして指名競争入札をやるべきか、大体そういうことに限定されていくと思いますが、その点はいかがですか。
#230
○福田国務大臣 指名競争ということがいいかどうか、これはいろいろ問題がありますが、とにかく、実需者に渡るということにつきましては十分配意をいたしたいと思います。
#231
○芳賀委員 それでは、実需者を対象にして行なうということは全然間違いないですな。
#232
○福田国務大臣 実需者に渡るように配意をして参る、こういうことであります。
#233
○芳賀委員 それは変なんですよ。それじゃ、実需者に渡る前に実需者以外の者にまず渡って、それから実需者に渡るということもあるのです。それが今までの例なんですが、最終的に実需者に渡ることは間違いないが、直接政府の放出糸が実需者に渡るという方式をとるべきであるというのがわれわれの見解なんです。その点をお尋ねしているのです。
#234
○福田国務大臣 これは、趣旨においてはそういう考え方をいたしておるわけですよ。そういう趣旨をもちまして、どういうふうな売り方がいいかというようなことを安定審議会にお諮りをする、こういうことに相なろうと思います。
#235
○芳賀委員 そうでなければ、たとえば前回のごときは、子供であっても相当数量の申し込みをする、そして最後に抽せんのような形で十八万円の政府の保管糸が売り渡される、それを今度は現物市場では二十万にすぐ売れるということが行なわれておったのですよ。そうなると、たとえば一俵二万円ずつ格差があっても、五万俵放出した場合においては十億円というものは、何ら成果をあげないで国がそれだけ出血をするということにもなったわけですね。ですから、そういうあやまちの絶対ないようにするためには、当然その点を根本的に改め、そうして新たなる方法を立てて、それによって臨むということが一番望ましいと思うわけであります。その点をお尋ねしておきます。
#236
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、実需者に渡るということにつきまして、どういう方法にいたしますれば実需者に渡るのかという方法についてお諮りをいたしましてきめていきたい、かように考えております。
#237
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、売り渡す相手方を大体限定して競争入札を行なうということになると、大体政府の予定価格というものをお立てになるわけですが、その場合非常に大事な点は、一体どの程度の価格をめどにして競争入札に付すかということになる。実勢というものを十分反映させて、そうして政府が予定価格を持って競争入札に臨むか、あるいは、今日まで固執されておるように十八万円というものを予定価格にして競争入札に臨むかということは、これは非常に大事な問題だと思いますが、農林大臣の大体のお考えはどうなんですか。
#238
○福田国務大臣 でありますから、これは安定審議会の各位の御意見をよく承ってきめていく、こういうことなんです。入札をする場合に、予定価格を幾らにするのだというようなことを公に表示するというようなことはありはしないのですから、これは皆さんの御意見を聞いて、その御意見を頭に置いて、最も経済的に見て常識的なことを目途としてやる、こういうことになろうかと思います。
#239
○芳賀委員 私は、予定価格を表示するとか、そういうやぼな質問をしているのではないのです。そういうものは当然外部へ出すべき筋合いのものではないと思います。ただ、政府として臨まれる予定価格のきめ方というものに問題があると思うのですよ。ですから、その場合には、考え方としては十八万という線を一つの限度にするのか、あるいは実勢をそれに反映させたような形で予定価格というものを一応作られるのか、それは微妙な点だと思いますが、その二者いずれかじゃないかと私は大体思うのです。その点を、でき得る限り大臣の意のある点を表明されたらどうかと思う。
#240
○福田国務大臣 経済の大きな立場から見まして、常識にはずれないようなところでそういうものを見ていきたい、かように考えております。
#241
○芳賀委員 それに付随して、わが党の委員もみな心配されておりましたが、この保管生糸の特別措置による放出の場合ですから、もちろん一定の糸価安定をねらっての行為になるわけなんですが、ただ、問題は、全部まる裸になるかならぬかといこうとが問題なんですよ。ですから、逐次効果を見定めながら処理するという現実的な方法でいくか、前提として必ずこれは全部放出するのだということでいくかということでは、相当内容あるいは影響においても相違点が出てくると思うのです。その点はいかがですか。
#242
○福田国務大臣 これも安定審議会の各位の御意見を承った上きめていきたいと思います。
#243
○芳賀委員 私は、原則論として全部出してはいけないとかどうしろということを言っておるのではない。ただ、所期の効果をねらっての行為であるとすれば、大体この線で効果が達成されたというその限界で一応の役割は済むわけですが、それ以上に無理に放出しなければならぬということはない。むしろ弊害が起きるということになるので、今の農林大臣のお考えから言うと、大体御意思のほどがわかりましたが、その点はいいとして、その次にお尋ねしたいのは、私ども、しろうと筋といいますかその立場から見ても、一部の業者の中には、早く政府手持ちの糸を全部放出させてしまって、何ら材料がなくなってからの値上がりというものを期待して手持ちをしておる、そういう業者が、しかも有力な業者の中にはそういう者がおるというふうにも聞いておる。この点は、たとえば製糸業者関係の製品の在庫というものを調べれば大体わかると思うのですが、そういう調査というものは適正に行なわれておるかどうか、いかがですか。
#244
○大澤(融)政府委員 製糸業者の在庫調査はマンスリーレポートでとっております。
#245
○芳賀委員 それでは、在庫の傾向といいますか、これは、たとえば大きく大企業とか中小企業等に分類した場合において、どの階層の方に手持ちがよけい在庫しておりますか。その点はどうなんです。これは十分判断しなければならぬ問題だと思う。
#246
○大澤(融)政府委員 ただいま持ち合せの資料では、製糸工場一本の数字しか持っておりませんので、後ほど、国用糸、それから器械製糸等に分けて資料を差し上げたいと思います。
#247
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、これは今回の法案審議に重大な関係があるのです。一部のたとえば大企業等が、ことさらに売り惜しみして、そうして、法案の通ることを期待して、政府の手持ち生糸を全部放出させる、その後ある程度低落するとしてもまた実勢が反騰するということを見越して、そうして早くやれ早くやれというような動きが、これは決してないとは限らない。その点は委員長としても判断されておると思いますが、こういう大事な問題について、当委員会においてもう審議開始から五十日もたって、業者の手持ちのいわゆる在庫の内容等が把握されておらぬということになると、これは大へんな問題だと思う。こういうものが出されなければ、われわれとしては確実な資料の上に立った審議はできないということになるのですが、委員長はどう考えられますか。
#248
○吉川委員長 今農林省の方に問い合わせておりますから、質疑を続けて下さい。
#249
○芳賀委員 それでは保留しておきます。
 次にお尋ねしたいのは、前にまた質問が戻るようでありますが、実は、十月二十三日の横浜生糸取引所の日報によりますと、この日報には、取引所の三十六回の臨時総会の議事の経過とか、あるいは総会の内容が記載されておる。この場合の議案は、一号議案といたしましては、政府の指示する受け渡し供用品の範囲拡大について、それを総会は諾否いずれにするかという点が一号議案。そうして、この指示なる内容は、指示は命令と解して、これに対する諾否をきめるということになっておる。この点については、そういう指示は命令であると解釈して満場一致で承認になった。それから、第二号議案は、業務規程の一部変更に関する件ということになっておって、これも政府の指示通りに満場一致で承認した、というのです。ですから、これによると、一号議案も二号議案も、政府の命令と同様の指示に基づいて、総会を開いて、これを総会に付議して、そうして政府の命令であればやむを得ぬということで、形式的には総会が満場一致にこれを承認したという経過をたどっておるわけです。ですから、このような総会の開き方、あるいは一号、二号議案の提案の方法等については、これは主務大臣としていかように御判断になるか、お尋ねいたします。
#250
○大澤(融)政府委員 この前もお話し申し上げましたように、あのような事態をとって命令と了解して相談をされたというふうに私どもは理解いたしております。
#251
○芳賀委員 それは全く不満足な答弁です。ただ、命令とか確約とかいうものに関連して、どういう確約が行なわれたかという点に対しては、この議案には出ていないのです。この政府の指示というものは、おそらく十月十四日の蚕糸局長の指示とわれわれは理解しておるのですが、あるいは十月二十一日に具体的な指示をさらにされたか、いずれかは別として、これはとにかく蚕糸局長が指示を行なった。この政府の指示の内容というものは二号議案に添付されておるわけであります。各項目が並べてありますが、末尾の八項目にこういうことが記載されております。「清算渡の政府糸の確保及びこれが取扱いについては追てきめるが取引所の申出があれば或る程度の相談に応じる。」、これが議案に政府指示として添付されておるのですが、これは蚕糸局長が指示された内容ですから、この今私が読みました指示の意味するものは何であるかということを局長かち説明願いたい。
#252
○大澤(融)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、ああいうような方針を私ども宣明しておるわけでありまして、その方針に基づいて、具体的な数量なりあるいはどういう確保の仕方をするなりというようなことはきめていくということになろうかと思います。先ほど申し上げたような事情で、法案が通ってない前にそういうことを具体的に取りきめすることはできないという意味で、ここに指示事項となっております。ここにありますように、政府の一般的な方針は宣明したけれども、その確保及びこれが取り扱いについては追ってきめるというふうに話し合ったという意味で、ここに指示と書いてあるのだと思います。それから、「取引所の申出があれば或る程度の相談に応じる」という表現がございますが、これは、数量その他について、あるいは確保及び取り扱い方などについて、一体どういうことが一番いいのかというようなことは、一つ法案が通った上でゆっくりいろいろ相談をしていこうじゃないかという気持がここに出ているのじゃないかと思います。
#253
○芳賀委員 今の局長の説明は、その通りだとすれば、これは何も政府が十八万円で二万俵を取引所にやるという何ら確約が行なわれていない。しかも、総会に付議された二号議案に添付された政府の指示の内容にもこれは全然載っていないのですよ。それにもかかわらず、いかにも政府と確約したごとき言辞を弄して、そうして取引所を運営した石橋理事長というものは、これは非常に無責任な行為をしたということになると思うのですが、農林大臣、いかがですか。
#254
○福田国務大臣 理事長が無責任だというか、よくそういうことはあり得ることなんでございまして、こっちはこう言う、あっちはこうとる、さようなことで行き違いが多少できておるというふうに存ずるわけでございます。政府といたしましては、さような方針を宣明したわけでございますから、その方針にのっとって取引所が行動するということは想像にかたくないところでございます。政府の方としてはその道義上の責任を大いに感じておるわけでございますから、その責任を果たすために、ただいま全力を尽くし御理解を願う努力をしておる、こういう次第でございます。
#255
○芳賀委員 農林大臣の御答弁によると、たとえば蚕糸業振興審議会を速急に開いて、今後の蚕糸業の総合対策全般等に対しても十分検討するというような言明がありましたので、この法案審議にからんで今長時間論議する考えはないのですが、今後の蚕糸業全体の安定方策について確たる方針と体制を立てる必要が当然あると思うのです。たとえば価格安定等の問題についても、先般の参考人の意見の中には、あるいはこの際繭と糸を分離して、そうして、たとえば繭については農産物価格安定の立場から強力な繭価の価格安定の制度を作るべきであるというような意見もありまして、国会の中にもそういう論議はしばしば行なわれておるわけです。ですから、農林省としては、やはり養蚕農民あるいは養蚕業の振興を基礎にしたそういう根本対策を立てていくというのが筋ではないかと思うのです。今の安定制度というのは、むしろ糸を中心とした安定方式をとっておるようなところに相当無理があるのじゃないかと思うのです。ですから、こういう点に対しても、繭と糸のそれぞれの立場における価格安定とか、あるいは流通対策等についても、これはもう当然今日までに十分の検討を遂げておってしかるべきだったと思うのです。こういう点に対する農林大臣の御所見があれば、構想が固まっておれば一応述べてもらいたい。
#256
○福田国務大臣 振興のための総合対策というのは、ただいま当省におきましても検討中でございます。さようなことでいろいろ資料等も整えておる次第でございます。今お話しのように、安定価格の問題も重大な一つの問題でございますが、それにつきましては今後どういうふうにすべきであるかということが一つある。それからまた価格の機構の問題が一つはあるわけでございます。今事業団ができておりまするが、事業団を発展させるような方向というものも考えていく必要があるという意見もあり、また、さらに、公社式な、公団式なやり方はどうかというような御意見もありますので、そういう点も考える。それから、もう一つは、やはり繭の生産性の向上というか、繭の生産費をなるべく安くしていくという努力、これも重要な問題であるというふうに考えておるわけでありまして、そういう方の問題。それから、さらに、需要の開拓という方面の問題がございます。国内において、また海外におきまして、需要をどういうふうに開拓していくかという問題。それらの各種の問題につきまして、ただいま成案を得べく努力をしているところであります。できましたならば振興審議会にお諮りをする、こういう考えであります。
#257
○芳賀委員 次に、法案に対してでありますが、先ほど同僚の高田委員から、政府提案の改正案に対して具体的な意見を述べられて、そうして、農林大臣としては、高田君の意見についても、これは十分尊重する点がある、それで、後刻これは検討をさせてもらいたいというような発言があったと私は聞いておるわけです。そういうことになれば、これはわれわれとしても常に国会審議は誠心誠意やっておるわけですからして、今のような政府側の御見解が明らかであれば、これは、この法案に対しても、先ほど高田委員が述べたような点をもさらにこれに付加して調整するようなことも必要じゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#258
○福田国務大臣 先ほど高田さんからこの法案につきましては二つの意見があったのです。一つは、この法案を撤回するかというお話であります。これは絶対に私は撤回する意思はない、これを通過させることこそ全関係者の利益を擁護するゆえんである、こういうふうにお答えを申したわけであります。それから、第二の問題は、しからば通過後において三万俵程度残すかというお話でございまして、それについてもいろいろ理由を述べられております。それに対して、私は、これは一つの見識であるというふうに考える、しかしながら、いずれにいたしましても、さようなことをどういうふうに実行するかということにつきましては、安定審議会を開きまして皆さんの御意見を承ってきめていきたい、かようにお答えを申し上げておる次第であります。
#259
○芳賀委員 これは、農林大臣、あとで速記を調べてみればわかるのですが、先ほどの大臣の発言は、高田委員の、法案審議の過程で政府提案の法案の内容に対して別の角度で検討してもらうという点については、これは傾聴すべき御意見であるというような、そういうことをあなたは答弁しておるのですよ。それが誤りであったとすれば御訂正になっても差しつかえないと思うのです。わずか短時間のうちに君子豹変するということは遺憾なことであります。
#260
○福田国務大臣 これは先ほど私が答えたので私が一番よく覚えております。ただいま申し上げましたような言葉を使いましてお答えを申し上げておるわけでありますから、さように御了承願って、速記とそう間違いないと思います。
#261
○芳賀委員 まだ資料が来ませんから、もう一点お尋ねしておきますが、今日までの法案の審議を通じて、われわれとしては、担当者である蚕糸局長の今日までの行為に対して、了承できがたい点が多々あるのです。それは、仕事の上で熱意の余りとはいえ、そのことばかりに認めるとしても、やはり、今日まで局長が中心になってとった数々の行為というものは、違法的な、あるいは越権的な行為があったということは、これは否定することができないと思う。しかも、農林大臣が全然関知してないようなことさえも、あえて主務大臣の名のもとにおいてやっておるという事実もあるわけです。これは、当然、行政官としての業務上の責任とか権限の分野等はいろいろありますが、その点に対しては農林大臣はどうお考えになっておるのですか。
#262
○福田国務大臣 私が知らないことを局長がやっておるということですが、これは、ひとり蚕糸局長のみならず、各局長――私も、何千人という人がおるわけですから、一々その人たちのやることにあずかっておる次第でもございません。さようなことはできないのです。そこで、しかしながら、蚕糸局長がやっている基本的な考え方、これにつきましては、私は常時連絡をとりましてやっておることでございまして、蚕糸局長にもし間違いがありますれば、さような意味におきまして、これは私の責任でございます。蚕糸局長が糸価を維持し日本の蚕糸業を発展せしめようという非常な熱意を持ってその職に当たっておるということは、ただいま芳賀委員におかれましてもお言葉がありましたが、私もその通りに局長を信頼いたしておるわけです。そこで、そういうふうな関係から、やっておる仕事に、多少皆さんから御批判を受けるようなことがあるやにも感触を受けるわけでございますが、さような熱意の余り、職務執行に忠実なる余りやっておるということで、これは御了承願いたい、かように考える次第でございます。私も、今後は、法律に従いまして法律を誠実に実行するということにつきましては、ひとり蚕糸局のみならず、全省をあげてそういうことの努力をさらにやっていきたい、かように考えております。
#263
○芳賀委員 私はみだりに政府当局の人身攻撃をやるなんという考えは全然ないのです。たとえば、十日の当委員会で、取引所に対する確約問題等についても、これは非常な政治的な含みを持った重要な問題でありますが、あの場合に、農林大臣は、いや私は全然そういうことは関知しておらぬ、そういうことは知りませんというように、私たちが考えても、これは大臣として部下に対する思いやりというのはさっぱりないような、蚕糸局長を突っ放したような答弁じゃないかというような印象を受けたのです。そういう点から考えると、むしろ本問題については農林大臣が逆に蚕糸局長に振り回されているというような、われわれはそういう判断さえもせざるを得ないのです。そういうことになると、大事な農林省の世帯を預かる最高の農林大臣として、けじめがつかぬ場合もだんだん生ずるのではないか、そういうことをわれわれはむしろ老婆心として憂慮して、今後けじめをただす意味において、農林大臣はきぜんとした態度で命令系統を明らかにしてやられる御所信であるかどうか、当然その場合には信賞必罰で臨まれるということもあり得ると思いますが、その辺を老婆心ながらお尋ねしておきたい。
#264
○福田国務大臣 決して蚕糸局長に振り回されているわけではございません。二人三脚、一心同体でございます。
#265
○吉川委員長 先刻芳賀委員の要求された資料について、蚕糸局長、わかりましたら報告を願います。
#266
○大澤(融)政府委員 十月末と十一月末の数字でございます。器械製糸、十一月末が四千三十一俵、十月末が四千三百七十五俵、ですから、これは減っております。それから、国用糸、十一月末が五百五十三俵、十月末が三百七十八俵、これは十一月がふえております。それから、玉糸は、十一月末が二百二十三俵、十月末が二百六十八俵、これは減っております。このほかに、検定所がございますが、検定所は、十一月末が四百四十五俵、十月末が四百六十一俵、これは少し減っております。締めまして、十一月が五千二百五十二俵、十月が五千四百八十二俵。十一月の方が在庫が多少減っております。
#267
○芳賀委員 ただいま局長が読み上げた内容を資料として後刻委員会に配付して下さい。きょうはこの程度にしておきます。
#268
○中澤委員 関連。
 先ほど関連でお聞きした問題、これは、事実二万俵の十八万円供与という約束をしてやったということで、今、神戸取引は総解合をやろう、それから横浜も解合をやろうということになってきて、相当の実害を与えておるわけです。だから、これについては、蚕糸局長は約束しないと言うし、それから、理事長、副理事長は、約束したと、先日参考人として言っておる。これはどうしても事態を明らかにしておかないと、やっぱり国家賠償法――業界が損した場合、損害賠償問題が出てくると思うのです。だから、約束したかしないかということは、当委員会が明らかにしておかなければならぬと思うのです。それについて後刻理事会で諮るようにということをさっき申し上げておいたが、これはどうしても参考人じゃなくて今度は証人としてお呼びして、この事態だけは明らかにしておかなければいかぬということだけを最後に申し上げておきます。
#269
○高田(富之)委員 資料要求。
 先日お願いいたしました資料の、横浜の取引所の理事長の農林当局との面談の日記に基づくメモは御提出をいただきましたが、つきましては、さらに十月一日から十月三十日までの横浜生糸取引所の玉じり明細書を御提出願いたい。これは重要な問題がありますので、ぜひ審議の必要がありますから御提出願いたいと思います。
#270
○吉川委員長 高田委員の要求されました資料については、委員長においてそのように取り計らいます。
     ――――◇―――――
#271
○吉川委員長 この際、理事の辞任及び補欠選任の件につきましてお諮りいたします。すなわち、理事野原正勝君より理事を辞任いたしたき旨の申出がありますので、これを許可することとし、その補欠選任につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。以上に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#272
○吉川委員長 御異議なしと認めます。
 よって、理事に田口長治郎君を指名いたします。
 これにて休憩し、理事会を開会いたします。
 暫時休憩いたします。
    午後五時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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