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#1
第033回国会 農林水産委員会 第15号
昭和三十四年十二月十六日(水曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
   理事 高石幸三郎君 理事 永田 亮一君
   理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君
   理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    天野 光晴君
      今井  耕君    金子 岩三君
      金丸  信君    笹山茂太郎君
      田邉 國男君    野原 正勝君
      長谷川四郎君    松岡嘉兵衛君
      松田 鐵藏君    三和 精一君
      保岡 武久君    足鹿  覺君
      角屋堅次郎君    金丸 徳重君
      神田 大作君    栗原 俊夫君
      高田 富之君    中澤 茂一君
      西村 関一君    松浦 定義君
      小松信太郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        農林政務次官  小枝 一雄君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  大澤  融君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (蚕糸局糸政課
        長)      筒井 敬一君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 委員三和精一君、栗林三郎君、實川清之君及び
 日野吉夫君辞任につき、その補欠として長谷川
 四郎君、金丸徳重君、栗原俊夫君及び足鹿覺君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員長谷川四郎君及び金丸徳重君辞任につき、
 その補欠として三和精一君及び栗林三郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十五日
 保安林改良事業予算確保に関する請願(長谷川
 峻君紹介)(第一六九八号)
 昭和三十四年産米生産者価格引上げに関する請
 願(菅家喜六君紹介)(第一六九九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出第一号)
     ――――◇―――――
#2
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
    ―――――――――――――
#3
○吉川委員長 本案に対し中澤茂一君外十一名より修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。
 まず修正案につきまして提出者の趣旨説明を求めます。中澤茂一君。
#4
○中澤委員 日本社会党並びに社会クラブを代表いたしまして、今回の臨時措置法の一部改正法律案に対する修重案を提案いたします。案文を朗読いたします。
   繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  本則中「生糸を同法によらないで売り渡すことができる。」を「生糸のうち九百トンまでは同法によらないで売り渡すことができる。この場合において、売邊は、競争に付して行うものとし、売渡価格は、標準生糸については一キログラム当り三千八百二十三円をこえず三千三百円を下つてはならないものとし、標準生糸以外の生糸については一キログラム当り三千八百三十三円に政令で定めるところにより算出される額を加減して得た額をこえず三千三百円に政令で定めるところにより算出される額を加減して得た額を下つてはならないものとする。」に改める。
 右が修正案の本文であります。
 この本文について説明いたしますと、何ゆえ九百トンという数量を決定したかと申しますと、春繭の高騰という危険が非常にあるのでございまして、その場合、現在の政府手持ちの四万五千俵のうち三万俵は春繭の高騰防止のために政府が手持ちをする必要がある。そのゆえ、九百トンすなわち一万五千俵はこの際この修正によって放出してもいいであろう、こういうわが党の政策的な見解のもとに九百トンという数字を入れたのでございます。
 それから、二千三百円を下回らないことということは、政府の出した製糸白書の中に、明らかに生産費は二十万円という数字が出ておるのであります。ゆえに、われわれは、生産費をどうしても保障するというこの安定法の第三条の基本原則に立って、三千三百円を下回らない、こういう意味におきまして二千三百円という数字を入れたのであります。
 なお、三千八百三十三円は、価格安定法によるところの二十三万円の最高価格をこの修正案に入れたのでございます。
 そういうことで、生産費補償を原則とする繭糸価格安定法の本旨をどこまでもくずしてはならない、こういう立場から本案の修正案を提案する次第でございます。
    ―――――――――――――
#5
○吉川委員長 これより修正案及び原案を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、これを許します。
 高田富之君。
#6
○高田(富之)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました修正案に賛成、原案に反対の討論をいたしたいと思います。
 ただいま提案者から説明がありましたように、わが党並びに社会クラブで出しました修正案というものは、きわめて理論的にも正しく、また、実際的にも最も実情に適合いたしました理想的な修正案であると確信をいたしております。昨日の質疑の中におきましても、この趣旨を申し述べましたところ、農林大臣も、これは考慮に値する考え方であるといって、ほぼ賛成の意を表明せられておるわけであります。もっとも、あとでまた時間を置いて若干訂正されましたが、しかし、その訂正の意味も、もしこの法律案が通れば実施面でそういうふうにやろうという意味だというふうな答弁であったように記憶をいたしておるのでありまして、いずれにいたしましても、この意図するところについては、良識ある方であれば何人もこれは反対するいわれのない修正案である、こう思うわけであります。と申しますのは、いずれにいたしましても、政府の出しました需給関係の推定におきましても、ただいま政府保有糸を全量放出した場合に必ず市中に三万俵ないし四万俵のものが滞留するということであり、これは実需以上の数量でありまして、政府が手持ちをするか、あるいは放出して業界が手持ちをするか、いずれにしても手持ちになる数量であるということは、政府みずからが公にしておる通りでありまして、三万俵ないし四万俵は余るということ。そういう余るものを市中に投げ出すという必要はないわけでありまして、仮需要にまでこたえる必要はないのでありますから、当然滞留推定量のうち少ない方の三万俵をとりまして、三万俵程度のものを保有しておくということは、理論的にも実際的にも最も適切な処置であります。いやしくも、価格安定制度、安定法が現存いたします以上は、若干の保有量というものがなければ、安定法は事実上機能を失うわけでありまして、安定法を廃止してしまった後ならともかく、現在厳としてこれが存在する以上は、何ほどかのものを手持ちしなければならないのは大原則であります。従って、ただいま市内において放出しても当然残るだろうと想定される程度のものを保有することは必要であります。従って、三万俵程度のものは保有されて、残余のおおむね一万五千俵程度のものを売り出していって、本生糸年度における需給のアンバランスをある程度補っていくということが適当であろうと思う。
 この一万五千俵程度のものを出すといたしましても、これは厳密な意味における時価で放出する以外違法になるのでありますから、公正な競争入札によりまして、正しい成り行き相場を反映する価格で売り渡すということになりますと、これまたおおむね生産費とんとんということになるわけでありまして、政府の計算する生産費が一俵おおむね二十万円というところでありますと、現在の成り行き相場とそう違わない、これとほぼ見合う相場で、きわめて妥当なこれは売り渡し価格の最低限界であろうと思うのであります。従って、三千三百円を最低限界といたしまして、残余の一万五千俵程度のものだけは売り渡しを認めることは、非常に当を得た措置であると思うのであります。
 こういうことでありますので、もちろん皆さんの御賛同を得て修正案が通ると私は確信しますが、まかり間違って万一これが通らないということになりましても、実施面においてこの修正案と同様の実施がなされるであろうという確信を、大臣の昨日の言明から持っておるわけであります。
 いずれにいたしましても、今度の原案というものは、質疑の過程で余すところなく明らかになりましたように、これはきわめて当を失したものであります。単に当を失した案であるばかりでなく、不法な行為をあとから裏づけるようなものでありまして、好ましからざるところである。元来、十八万円を実施上の最高価格なりと公称しまして今日までやって参りました価格操作のやり方は、政府当局の一大失敗でございます。こういう失敗をいつまでも繰り返しておったのでは、蚕糸業は、伸びるべきものも伸びられなくなってしまい、非常に萎縮した状態、混乱した状態に追い込められるのでありまして、業界のために私は非常に悲しまざるを得ないのであります。昨年のあの大きな失敗にこりまして、あれから教訓を学び取って、これからはいたずらなる干渉はしないということをあのとき言われたわけであるし、白書の中にもそういう精神がある程度出ておるのであります。にもかかわらず、今年度もまた再び去年と同じ失敗を繰り返して、――去年は下値ささえでもって失敗をしたのですが、今度は上値ささえで失敗し、同じことをまた繰り返しているということになるわけであります。こういうふうなことは今後絶対に避けてもらわなければならぬと思う。質疑の過程でも明らかになりましたように、実質最高価格十八万円説は違法であるということ、最高価格はあくまで二十三万円と法に定められたもの以外はあり得ないということも、統一見解によって明らかになりました。従って、提案理由の中で述べられました本法提案の第一前提が質疑の過程でくずされたわけであります。大臣の言明によっても明らかに訂正されてしまっておるのであります。従って、これは提案の理由をすでに失ったのであります。こういう違法なもの、ありもしないものを最高価格なりと称しまして、これを貫徹するために、業界、取引所に加えましたいろいろな規制、これまた不法であります。不法の連続であります。あまつさえ、強迫に類するような誤まった行政指導のやり方までいたしまして、なすべからざる規制をなし、思惑でなく実勢で相場が上がっておるにもかかわらず、思惑なりとこれを称し、そして、これに対する規制と称しまして、取引所の機能を麻痺させ、清算取引が茶番劇化するという状態にまで追い込められてしまったのであります。角をためて牛を殺したのであります。そういうふうな行き過ぎた干渉、こういうことが昨年のあの経験の中から悪いということは重々承知のはずであるにもかかわらず、またそれを繰り返した。こういうことは今後二度と再び繰り返してもらっては困るのであります。そういう不法な行政措置の連続である。なかんずく、最終段階においてとりました買いかえ措置のごときは、何人といえどもこの違法性を疑わぬものはないのであります。無理な前提に立った十八万円最高なるものを押し通すために違法の手段まで使ってやってきたというものに、国会が事後承認を与える、しりぬぐいをするというような役割を果たすべきものではないと思うのであります。国会は、立法されたものについては行政府の法の忠実なる執行を監視監督する責任があるわけでありまして、不当な行政指導が行なわれ、不法なやり方があった場合にはこれを是正する、厳としてこれを正すというのが、われわれに与えられました使命であります。従いまして、あのような不当かつ不法なやり方を連続いたしまして、しりぬぐいに出したのがこの法案であり、しかも、この法案たるや、臨時措置法というものを全く運用いたしまして、あの大暴落に対しまして最低を守るためにできた臨時措置法を、今度は逆に上値ささえに用いようというふうなことは、立法の趣旨精神とは正反対のものを織り込んで活用していこうというふうな行き方であります。これは法の精神から言っても邪道でございます。そういうやり方が違法だとは言えないかもしれないけれども、これは邪道であって、そういうときには、状態が変わったのでありますから、臨時措置法は廃止いたしまして、そしてあらためて別の立法をしなければならないのは当然でありまして、そういう便宜主義、単なる便宜主義のために国会が利用されるというようなことは、これは立法府の権威を守る点から言いましても受けつけてはならぬと考えます。本年から言えば、この法案は撤回されて、そして、もし何らかの措置が必要ならば新しい別の立法をしなければならないものであります。しかるにもかかわらず、面子にこだわり、今までやってきたというその政府の面子のために、これをどこまでも通そうというようなことをお考えになることは、まことに遺憾しごくであります。しかし、このことは与党の皆さんといえども実はよく御承知のところなんでありまして、われわれが今日まで五十何日間にわたりまして慎重審議をし、政府の御反省を求めつつ参りましたその過程においては、与野党一致の体制で参ったのであります。委員長といえども、非常に苦しいお立場にありながら、常に熱心に政府与党幹部の間に御意見を申し述べられまして、そうして何とか事態を、あまり恥をさらさないで収拾しようというこの御苦衷を、われわれはほんとうに御同情申し上げておる次第であります。いずれにいたしましても、高石委員を初め与党の委員諸君の御質疑の中を速記録を繰ってよく御熟読願うならば、言葉こそやわらかく、政府に対して野党の言うような直截簡明な御主張はなされておらないまでも、精神においては全く一致しておるわけでありまして、これらの審議の過程を見ますならば、本委員会における与野党を通じての意向が那辺にありやということはきわめて明瞭であります。私どもは、こういう点で、この法案を通すなんということが万一ありとすれば、これは国会の権威の問題である、こう考えます。特に、この十八万円説なるものが違法なるものであることは、もはや統一見解ではっきりいたしましたが、単に違法であるばかりでなく、不当である、正しくないということもまた明らかになったわけであります。すなわち、十八万円なるものを考えられました根拠が、あの最悪段階の去年の異例の場合における暫定措置としてこしらえた最低価格の上へ、ただ四万円をくっつけた最高価格にすぎないということ、これは理論上も実際上も全く無意味なものでありますし、また、あの最悪事態において十六万円で需給が均衡すると考えた一学者の学説、これもまたその当時の状況の中でこれを合理化した理論にすぎないのでありまして、あの当時と今日とでは、需要が十万俵も違うという、全く予想せざる需給関係が展開されておるのでありますから、十八万円なるものが理論的にも実際的にもいかにとるべからざる最高価格であるかということも明瞭になったはずであります。従いまして、こういうふうな支離滅裂な案をなお固執して押し通すということは、まことにあり得べからざることであり、おそらく本委員会におきましては満場一致をもって否決されるであろうと私は考えますが、かりにもそんなものが通るということになれば、私は、ほんとうに、この国会の権威をしょって立つ大政党たる天下の自由民主党の面目いずこにありやと言いたいのでありまして、自由民主党の諸君のためにも、この法案は反対をされて、そしてこの筋の通った修正案に全会一致御賛同なさるということにいたしまして、ぜひとも国会の権威、本委員会の権威を保たれますように、私は切に皆さんにお訴えをいたしまして、原案に反対、修正案に賛成の意向を表明した次第であります。(拍手)
#7
○吉川委員長 高石幸三郎君。
#8
○高石委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、社会党提案の繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に反対し、原案に賛成の討論を申し上げるものであります。
 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案が本委員会に提案されましてから、慎重な審議、質疑応答の過程におきまして、社会党の諸君がこの改正案の修正案を提出された意図はよく了解できないわけではありませんが、もともと、この繭糸価格の安定に関する臨時措置法というものは、昨年中の蚕糸業界の異常な情勢に対処するため、従来ありまする繭糸価格安定法ではどうしてもその事態を解決する法律としては不適当である、こういう見地からして、臨時的に特例法を制定してこの事態に対処いたしたものでありますからして、その特色は、安定法に欠けておりまする弾力性を持たせるということによって、できる限り蚕糸業の情勢の変遷に即応して臨機適切な対策を実施いたしまして、蚕糸業の安定振興に寄与したいということがねらいであることは御承知の通りであります。元来、産業経済行政というものは、常に変化してやまない業界に対する施策でありますから、弊害のない限度におきましては、自由裁量の余地がある弾力性のあることが望ましいのであります。従いまして、この臨時措置法の適用には、こうした立法の精神をよく理解いたしまして、慎重な態度と的確な判断をもって、その必要機関である蚕糸業振興審議会であるとか、あるいは繭糸価格安定審議会等の意見を求めたり、衆知を集めて適切な施策を実行し、内外の蚕糸業界はもちろん、あまねく一般国民の納得と信頼を得るようにしなければならないことは申すまでもないのであります。かような点から申しますると、本法成立後の政府の措置は必ずしも万全ではなかったということは遺憾でありますが、いずれにいたしましても、この臨時措置法の主眼点としては、できるだけ弾力性を持たせて運用に幅とゆとりを持たせることが必要であります。
 こういう意味において、社会党御提案の修正案が、繭糸価格安定法によって政府の保管する生糸の売り渡しに関し数量の点でもまた価格の点でも数字を明らかにすることによって法の適用を窮屈にしてしまうということは、実際に適応する施策を行なう上におきまして、本法である安定法以上に弾力性を欠くという心配があるのであります。しかしながら、社会党の諸君が、従来政府のとってきました措置に対し、あるいはその所信に対しまして信頼が置けないという見地から、すべて法律で縛ってしまえというお気持もわからないではありませんが、すでに、政府におきましても、本案上程以後の審議の過程におきまして、かような従来の行政態度については十分反省いたしまして、少なくとも本改正案成立後においては、生糸の売り渡しの価格にせよ、またその方法にせよ、できる限り安定審議会等に諮って合理的に決定するという方針を言明しまするし、進んで、安定制度を含む蚕糸業全般の総合対策につきましても、すみやかに所定の機関に諮って、抜本的な成案を得て、来たるべき通常国会の審議に付したいという意向をも表明していることであります。ことに、臨時措置法によって買い入れましたところの生糸四万数千俵を、本年の生糸年度の安定帯価格である十四万・十八万の線に沿いまして、実質上の最高価格であるところの十八万円にて売り渡しを行なってきております。そして、これに続きまして、一連の措置として、安定法保管の生糸売り渡しに関しまして、政府としての所信なり施策なりをすでに宣明し、かつ実施に移していることであります。このことは、ある程度、政府の蚕糸業、特に生糸価格の安定に対する熱意のほとばしりというものは認めないわけには参りません。ですから、われわれは、これが今後円滑な、しかも妥当合理的な進め方ができますように、ぜひそれを期待して、そして、その期待する必要からしても、限定的なこの修正案にはどうも反対せざるを得ないのであります。
 かような意味からいたしまして、政府原案がある程度の幅を持たした弾力性のある改正でありますので、私どもは、その運営については、政府たびたびの言明に反せざるような十分な措置をすることによってこれを実施するならば、むしろこの改正案の方が現状に即して適切じゃないか、こういう意味において原案に賛成をいたすものであります。
 しかしながら、重ねて申し上げます通り、社会党の諸君がこの修正案を提出されるに至った事情なり、修正案に盛られた内容というものは、大いに参考となるべきものがあると存じますので、政府におかれましても、特にこの間の経緯を十分賢察されて、現下複雑多難な情勢下にありますところの蚕糸業の発展に対する各般の行政施策を執行するにあたっては、誓ってあやまちなきよう慎重適正にいたすべきであると思うのであります。自民党があえてこの原案に賛成するゆえんのものは、さように適切な幅のある法律改正によって政府にその行政上の権限を移行する反面、その行政を執行するにあたっては慎重に善処されたいという希望をもって賛成するものでありますし、これがまた法律審議の過程における少なくともわれわれ与党の立場であったと、かように存ずるのであります。
 以上申し述べたことによりまして、社会党提案の本修正案には反対し、政府原案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
#9
○吉川委員長 次に、小松信太郎君。
#10
○小松(信)委員 私は社会クラブを代表いたしまして、政府提案の繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し反対、そして、この法律案に対する修正案を社会党が出されておりまするが、これに対して賛成の討論をするものでございます。
 農林委員会のこれまでの審議の過程を振り返ってみましても、政府はあまりにも十八万円というこの価格に執着し過ぎております。それは、昨年のあの暴落に対しまして、その大きな原因が政府の時局に対する見通しのあやまちから出たであろうことを、責任の上から非常に深く考えておりまして、今日においてもあの暴落に対する亡霊がいまだにつきまとっておるのではないか。そのためにのみ十八万円というあの価格に非常に大きな執着を持っている。今日市場において二十万円をこえているこの姿は、生糸が持っている本来の値段に立ち返ったものであると私は考えております。政府は十四万・十八万のあの安定帯があるがために今日ここに至ったということを繰り返し主張されておりますけれども、確かに、世界的な好況、それも大きな影響でありましょうが、これまで絹を扱っておりました業者以外に、最近アメリカあたりではもっと大きな大手筋がこの絹に対して取り扱いを始めております。でありますから、これまでの細いパイプよりも、もっと太いパイプによって絹が消費者に流れておる。これがより大きな原因であろうと私は考えております。
 思うに、アメリカのごとき生活程度の高い国におきましては、単に値段の少しぐらいの相違からばかり、品物が売れたり売れなくなったりするのではないと考えております。そのもの固有の持ち味、それがより大きな作用をなしておると考えております。これまで確かに絹があるいは忘れられたような形になっておったかもわかりませんが、これは、アメリカ人の国民性から見ましても、化繊ができ始めまして、あの化繊というものは確かにその国民性に合っておったかもわかりません。従って、化繊が非常に大きな勢いで伸び出してきた、そして、その陰に絹が隠れてしまった、こういうこともありましょうけれども、さてそういうことで数年の間過ぎて参りましても、ここにおいて再び絹の持ち味というものが再確認されてきた。従いまして、今日の絹に対するブームというものは、そう簡単に消え去るものではないと私は考えております。
 そういう事態であるにもかかわらず、政府におきましては、この値段の値上がりをそのままにしておくことによって再び昨年の暴落状態に陥ることを憂うるがために、どうしても十八万円を確保しなければならないようにお考えになっておられるようであるかもわかりませんが、これは少し焦点のそれた見方ではないか、私はさように考えております。
 従って、事ここに至りましては、臨時措置法が生まれたあの目的は十分達したのでございますから、そういうことにあまりとらわれないで、今度はもともとの姿である価格安定法によって処理すべきときに立ち至ったものと考えております。
 従って、私は、政府提案のこの臨時措置法の一部を改正する案には反対、そして、今日のこの局面を正しく把握して、絹本来の正当な姿に持っていこうとする社会党の修正案に対しては賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
#11
○吉川委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○吉川委員長 これより採決いたします。
 まず、中澤茂一君外十一名提出にかかる修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○吉川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○吉川委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○吉川委員長 ただいま議決いたしました法律案につきまして、田邉國男君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際その趣旨説明を求めます。田邉國男君。
#16
○田邉委員 この際、ただいま可決されました繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表して附帯決議を付する動議を提出いたします。
 まず決議文を朗読いたします。
   繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 繭糸価格安定に関する現在の制度は極めて複雑であり、多くの検討すべき点を有しているので、政府は、本法案成立後、蚕糸業総合対策、価格安定制度等について、速かに、蚕糸業振興審議会に諮って成案を得、通常国会において審議を求めることとし、なお、本法案成立後、左記各項の如く措置すべきである。
    記
 一、速かに、繭糸価格安定審議会を開いて意見を聴いたうえ、実勢価格を正しく反映せしめ、かつ、実需者をして公正な競争により確実にこれを入手せしめるよう、政府保有生糸の売渡価格及び売渡方法を決定すること。
 二、速かに、蚕糸業振興審議会を開くこと。
  右決議する。
   昭和三十四年十二月十六日
      衆議院農林水産委員会
  提案理由の趣旨説明をいたします。
    〔「配付の内容と違うじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
#17
○吉川委員長 御静粛に願います。
#18
○田邉委員 ただいま朗読いたしました前文につきましての内容というものは、繭糸価格安定法の抜本的改正を来たる通常国会において一つ提案して審議をするということでございます。それから、この法案が通りましたならば、この記の方の内容というものは、競争入札によって実需者に確実に入手せしめるということ、それから、売り渡し数量については効果的に数量を決定すべきである、それから、もう一つは、十八万円にこだわらずに実勢を反映した価格で売却する、こういう趣旨でございます。
 ぜひこの提案につきまして御賛同を願いたいと思います。
#19
○吉川委員長 ただいま芳賀貢君より委員長に要求がございまして、配付された附帯決議案に相違があるということでございます。これは、提案者からこの一部を削除したいという要請がありましたので、委員長はこれを認めましたから、さよう御了承願います。
    〔「異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
#20
○吉川委員長 この際芳賀委員の発言を許します。芳賀貢君。
#21
○芳賀委員 ただいま自由民主党の田邊委員から提案されました本法案に対する附帯決議の件につきましては、当委員会に成規の手続を経て配付されました決議の案文と比較した場合においては、その文言の中に重大なる過失があるということをわれわれは発見したわけであります。ただいま、委員長からは、提案者からの申し出があって別個の決議案文が配付されたがごとき発言がありましたが、これは全く委員長の不信行為であるというふうにわれわれは断ぜざるを得ないのであります。特に、この案文につきましては、本朝の理事会においていろいろ打ち合わせを行なったのでありますが、この取り扱いについては、社会党としては修正案を提案している関係もあるので、附帯決議については共同提案を行なうことができない旨の立場をわれわれは宣明しているわけであります。その後に委員長を中心とされまして附帯決議に対する案文の整理が行なわれまして、この案文については私ども理事としては内容を承知しているわけでありますが、それが一方的に突如として案文の内容が変更されて提案されるような事態については、これは国会の前例においてもかかることはないのであります。従って委員長におかれては、直ちにこの委員会を休憩して、あらためてこの案文の取り扱いについて理事会に諮った後に結論を得て再開すべきであるということを要求いたします。
#22
○吉川委員長 芳賀委員の申し出はもっともでございますので、理事会に移します。
 暫時休憩いたします。
    午前十一時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時四十二分開議
#23
○吉川委員長 それでは、再開いたします。
 田邉國男君提案の附帯決議の採決をいたします。田邉國男君提案の附帯決議を付すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○吉川委員長 起立多数。よって、動議のごとく決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして政府の所信を求めます。農林大臣。
#25
○福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府におきましても、極力その御趣旨に沿うごとく法の執行に当たりたい、かように存じます。
    ―――――――――――――
#26
○吉川委員長 次に、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○吉川委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
 午後一時より再開することとして、これにて休憩いたします。
    午前十一時四十三分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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