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1959/11/10 第33回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第033回国会 逓信委員会 第3号
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1959/11/10 第33回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第033回国会 逓信委員会 第3号

#1
第033回国会 逓信委員会 第3号
昭和三十四年十一月十日(火曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 佐藤洋之助君
   理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君
  理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君
 理事 早稻田柳右エ門君 理事 大野 幸一君
   理事 片島  港君 理事 森本  靖君
      上林山榮吉君    寺島隆太郎君
      船田  中君    渡邊 本治君
      小沢 貞孝君    金丸 徳重君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 井野 碩哉君
        郵 政 大 臣 植竹 春彦君
 出席政府委員
        法務事務官
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        郵政政務次官  佐藤虎次郎君
        郵政事務官
        (大臣官房人事
        部長)     佐方 信博君
 委員外の出席者
        郵政事務次官  加藤 桂一君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      甘利 省吾君
        日本電信電話公
        社副総裁    横田 信夫君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     野村 秀雄君
        参  考  人
        (日本放送協会
        副会長)    溝上 けい君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   前田 義徳君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   小野 吉郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        総務局長)   赤城 正武君
        参  考  人
        (日本放送協会
        経理局長)   春日 由三君
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十一月七日
 委員池田禎治君辞任につき、その補欠として伊
 藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月六日
 簡易郵便局法の一部改正に関する請願(進藤一
 馬君紹介)(第三七号)
 結城郵便局舎新築に関する請願(佐藤洋之助君
 紹介)(第一〇三号)
 結城電報電話局舎建築に関する請願(佐藤洋之
 助君紹介)(第一〇四号)
 旭町郵便局移転反対に関する請願(森下國男君
 紹介)(第一〇五号)
 白馬山頂郵便局の独立局舎建設に関する請願
 (小沢貞孝君紹介)(第一四三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本放送協会昭和三十二年度財産目
 録、貸借対照表及び損益計算書
 郵政事業に関する件
 郵政監察に関する件
 電気通信に関する件
 電波監理及び放送に関する件
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 郵政事業、郵政監察、電気通信、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。
 上林山榮吉君。
#3
○上林山委員 私は法務大臣と郵政大臣に対して特に緊急な問題を含んで質疑をいたしたいと思います。
 まず最初に法務大臣にお伺いいたしたいのでございますが、最近行き過ぎた労働争議のために人権が無視され、中には自殺をする者がだんだんふえてきたというこの事実、ことに多数の暴力あるいは傷害あるいは脅迫、こういうような事案が非常にふえておりますが、これは三権分立の立場からわれわれにも質問の節度があり、法務省側においてもお答えの限度があり、また裁判所側も、それぞれの手続を経てわれわれは適当な機会に質疑をしてみなければならぬと思っておるのでありまして、その前提に立ってお答え願っていいのでありますが、この大きな社会の混乱を行政府の法務省としてあるいは検察庁側としても、それぞれ努力はしておられると思いますが、われわれがわきから見たところあまりにも歯がゆい。これは法務省側だけを責めるのは酷かもわからぬけれども、そういうように受け取れてならないのでありますが、こういう問題に対して実際真剣にどの程度お考えになり、また具体的にどういうふうに熱心にやっておられるのかどうか、これをまず一つ承りたい。事は人間の生命に関する問題でございます。単なる行政、単なる司法、狭い意味の裁判、そうしたようなことも考慮に入れなければならないが、人聞の生命に事が運ぶということになれば、これは一皮むいた考えを持ち、また一皮むいて言いにくいことも法務大臣としてはお答えにならなければならぬ日本の今日の実情だ、こういうふうに私は考えるのでありますが、一つ議会答弁でない――議会答弁でないというとおかしいけれども、儀礼的な答弁に陥らぬように、一つ真剣な御発言が願いたい。
#4
○井野国務大臣 ただいま上林山委員からお話の通り、最近の労働事件につきまして暴力的な行為がだんだんとふえておりますことは、私もほんとうに残念だと思っております。法務大臣としてこういう問題に対して、一つできるだけそういう問題をなくしていくことが責務だと感じておりますが、検察側の方面といたしましても、最近あるいは検事長会同において、あるいはそういった関係の検事の会合において、極力この問題については検察側としても厳正な立場でそういう問題をなくなすように努力することを私ども訓辞もいたして参っております。各地方において、お話のように歯がゆい点も多少ないではないと思いますけれども、しかしだんだんとそういう問題につきましても検察官の認識が深まってきておりまして、最近においてはいろいろの検挙その他の起訴の事実も相当上がってきておりますので、だんだんとそういう問題も解消していくことと考えております。
#5
○上林山委員 国民の一部、私もそうでございますが、検察側あるいは裁判所側を含めて、はたして健在なりやというふうに疑わしめております。なかんずく、これはあなたの所管ではないけれども、裁判所側の健在がはたしてあるだろうか。もちろん裁判官の大部分の人はそうではないでありましょうけれども、一部裁判官の行動や、あるいは弁護士側も一部責任はあろうと思いますけれども、裁判をあまりにも引き延ばしておる。慎重審議するのはけっこうでありますが、あまりにも長く引き延ばして、むしろ裁判を故意におくらしているのではないかというようなことすら考えます。私は日本の裁判官ははたして健在なりや、偏向的な裁判をする者はないのか、あるいはそういう思想を持っている者はないのか、あるいは今申し上げるように裁判を故意に遅滞せしめている徒輩は巣食っていないのか。これはあなたの所管ではないが、法務大臣という立場から、ことに裁判の促進ということについては裁判所側と話し合いの方法もあろうし、あるいは規則に従ってそれぞれの打つ手もあるだろうと私どもは考えるのであります。言いにくいことでもありましょうけれども、この機会にあなたの立場から、決して裁判所側の権限を侵すというのでなくて、いわゆる批評でもよろしい、批評は自由だと思います。国会であっても法務大臣は批評してよろしいと私は思うので、これに対して率直な御意見を承ることができれば幸いであります。もちろん裁判所側には、先ほども申し上げた通り委員長なりその他の御了解を得て、適当な機会にここの委員会なり他の委員会なりに来ていただきまして、また質疑を試みたいと考えておりますので、それはそれとして、あなたの立場から一つ明快な御批評なり御意見なりが伺えれば幸いだと思います。
#6
○井野国務大臣 上林山委員も御承知の通り、憲法で法務大臣は裁判所の問題に関しましては関与できないことになっておりますので、その点をお含みの上の御質問と考えております。裁判が非常におくれておって訴訟者に迷惑をかけておるということは、これはもう裁判所側も検察側もともにそういう反省のもとに、その訴訟を促進すべくいろいろの考慮を払っております。現に東京の第一審では最近訴訟を非常に簡素にすべく、いろいろの方法を講じておるようなわけで、検察側としても十分訴訟を促進すべき点につきまして指導いたしております。ただ、今仰せのことは個人の資格におきまして批評をしろということでありますが、私も普通の参議院議員ならば批評も申し上げますが、法務大臣として批評するわけにはなかなかいかない立場にありますので、その点は御了承願いたいと思います。ただ裁判の促進につきましては裁判所と協調して、極力そういう方向に進んでおるということだけお答え申し上げます。
#7
○上林山委員 法務大臣としても参議院議員としても、それぞれの立場を尊重しながら自分の立場からこうありたいという願いはあっていいと思う。そうなければ政治家と言えないと私は考える。しかしそれはさておいて、次にお尋ねいたしたいことは、先ほど申し上げる通り集団の暴行傷害あるいは公務執行妨害、あるいは多数の威圧によって、圧力によって団体交渉を深更に至るまで行なう、あるいは団体交渉、面会を拒否しているのに組合員が自宅に闖入してきて面会を強要する、あるいは疲労こんぱいの上に結局は自殺をする。本日の新聞でも御承知の通り、団体交渉中の電報電話局長が自殺をしておる。姫路市の相生電報電話局長の太田宇一という人が自殺をしております。また大阪市の夕陽ケ丘高校の校長が御承知の通り死亡した。これも労働争議の結果であるということは、常識のある人ならばだれでもわかる。こうしたような事件が起こっておる。しかるに、検察庁側は、たとえば夕陽ケ丘高校の場合でございますが、校長が、大したことはないのだから、まあ穏便に済ましてもらいたい、こういうふうに言えば、いわゆるいろいろな立証の事情が困難であるというようなことで起訴しないで、そのままにほっておく。これで、はたして健在なる警察や検察官側の行動といえるのかどうか。よく調査をすれば証拠はあがる。ことに、この夕陽ケ丘高校の問題やらあるいは京都府に起こった鴨沢高校の問題などは、これは証拠がわれわれしろうとが見ても相当あると思っておる。こういうものが、穏便に済ましてくれと言ったというので、親告罪ならともかく、親告罪でないところの問題について検察側が穏便に済ましていくという態度は、これは私はどう考えても納得がいかない。これでは社会の治安の確保はできないと私は考えるのであります。こういう具体的な事件の取り扱いに対してどういうふうにお考えになっておるか。
 また、これは全特定の問題でありますが、岩村田裁判所で起こった事件です。法廷があまりに騒いで、拍手が起こり、ヤジが飛びして結局裁判ができない。裁判所側に私は罪があると思います。責任があると思います。しかるに、こうしたようなものに対して、法務大臣は、それならば、裁判所側に対して、裁判がスムーズにいくように裁判所側はしっかりやってもらわないと困ります、こういうようなことを言ったことがあるのかどうか。あるいは話し合いでもせられたことがあるのかどうか。私は、どうもこういう点から見ましてこれは人手の不足の点もあるだろうと思う。だから、事務の能率を上げることができないならば、もう少し人員や予算を思い切って一つふやし、そうして事務の能率を上げるように法務大臣としては努力をされなければならぬ。私は、そういうふうな意味において、こういう具体的事件を申し上げましたが、その一つ一つについて、それぞれニュアンスは違っているわけですし、事件の内容は違っているわけでありますから、この…つの問題に対してどういう考えを持っておられるか、法務大臣もしくはその局に当たっておられる人からもお話を伺っておきたいと思います。
#8
○井野国務大臣 具体的なこまかい問題は政府委員から答弁させますが、ニュアンスだけをお答え申し上げておきます。私としましても、労働事件がいろいろ起こっており、そのために法廷においていろいろな騒ぎのために裁判官なり検察官側が迷惑をこうむっておる事態があると思います。しかし、京都の事件にいたしましても、また長野県の事件にいたしましても、いろいろ調査はいたしておりますが、その検察側が非常に手落ちのあるためにそういう事件が起こったということでないために、あまり深い干渉をしておらないようであります。しかし、詳細はまた政府委員からお答えを申し上げます。
#9
○竹内政府委員 具体的事件の取り扱いについて、検察側ないし法務省の所管の事務といたしまして御疑念があるやに御質問でございました。仰せの通り、今朝の新聞にも、姫路の電電局長太田氏が団交の過程において自殺を遂げられた記事が出ております。こういうふうに団体交渉、あるいは集団的に面接しておる、そういったようなことが一つの原因になって死を選ばれるといったような事故が、一、二にとどまらず発生いたしておりますことは、人権擁護という面からいたしましてもきわめて重大なことでございまして法務省におきましては御承知のように人権擁護局がございまして、この方面の人権につきましては鋭意調査をいたしまして処理に遺憾なきを期しておるのでございます。この問題と関連いたしまして、御指摘のありましたこういう事件について検察的に手が打たれていないのはどうかという点でございますが、これは証拠が集まらぬというようなことで手を抜いておるのじゃないかということでございます。私、ごもっともな御質問だと思いますが、この事件の処理をいたします場合に、あとからになっていろいろと状況を総合してみますと、いかにもそういったような御批判を受けるのはごもっともだとは思いますが、こういう過程の中で、あるいは私宅をたずねてきて、そういったような脅迫なりがあった場合に、当の脅迫を受けた被害者が脅迫を受けたということを申し出てくれなければ、捜査に着手しようがないのでございましてさらにまた、そういうことをあとからでも聞きつけまして、調査に乗り込んで参りました場合に、自分は脅迫を受けたことがないのだというようなことになりますと、これは刑事事件としてはどうしても固めていくわけには参らないのでございます。しかしながら、そうだからといって、そういうものが放任されていいのではないのでございまして、これは刑事事件としては取り上げられないといたしましても、そこはまた、そういう校長先生等の人権というものは保護されなければならないのでございましてそういう刑事事件としてのギャップは、人権擁護という面から埋めていくという形で、その保護に遺憾なきを期して参りたいのでございます。
 こういう校長先生方が、なぜ自分が被害を受けておるのにもかかわらず被害を受けていない、あるいはそういうことは官憲に申し出たくないという気持が那辺にあるのか、ということは、これは刑事問題以前の問題でございますが、こういう問題につきましても、校長先生方がなぜそういう態度をとられるかについて、私どもとしては検討も加えておるわけでございます。こういう方々は非常に孤立化しておる、強い気持になれないというところに私は問題があるのじゃないかと思います。勇気づけるような何らかの方法がとられなければならぬと思うのであります。
 なお、第三点として御指摘のありました岩村田支部の事件につきまして、検察側は裁判所と何らかの交渉をして、事件の円滑な審理を進めておるのかおらないのかという点でございます。これはもちろん、検察官は訴訟の当事者でありますし、また法益の代表者として、この種の事件に臨んでおるわけでございます。事件がすみやかに、しかも円滑に審理されますことは検察官の最も要望してやまないところでございます。本来、裁判というものはきわめて静かな雰囲気のもとに、冷静に行なわれてしかるべきものであります。しかるに、長野の岩村田事件のごときを見ますると、過去数回公判が開かれておりますが、第六回の公判期日における証人尋問に際しまして、組合員が多数傍聴しておりまして喧騒をきわめたことは、私どもにも顕著な事実でございます。これにつきましては、裁判官の方に、法廷の規模等からいたしまして、傍聴人の制限その他法廷秩序を維持しますのに必要な措置をとりますように、検察官から特に申し入れておったのでございますが、比較的経験の乏しい裁判所でございますので、まずはうまくいくだろうという判断のもとにとった措置であったと思いますが、遺憾ながら結果は喧騒をきわめたということでございます。つきましては、その後の公判審理に際しましては、さらに私どもの方からも申し入れ、万端の注意のもとに裁判所も非常に協力されまして、最近の第七回の公判期日におきましては比較的静粛に審理が進められております。岩村田事件も今後は漸次平静に、裁判に支障のない進行方向をたどっていくのじゃないかと考えております。この事件の処理にあたりましても、検察官としましては、裁判所の自主性を尊重しながら、できるだけ審理の円満を期するように最善の努力をいたしておるのでございまして、全く放任してあるわけではございません。
 以上、簡単でございますが、経過報告を申し上げます。
#10
○上林山委員 岩村田裁判所の支所で行なわれた裁判事件について、裁判所側とも話し合いの上で能率を上げて審理を促進していくというお言葉でございますから、これ以上追及しませんが、これは言うまでもなく全特定と全逓との間に起こった傷害事件でありますので、ことにこういう問題については個々の事件として純粋に考えると同時に、できるだけ急いで黒白を明らかにしないと、これが全特定と全逓との一つの闘争の具になってしまってこれを導火線としてさらに不必要な問題を起こすことは、公益事業に奉仕する職場におる者としては感心しないことであります。私としては特にこの問題を取り上げたわけでございます。
 そのほかにも全逓に関する傷害事件あるいは住宅侵入あるいは暴力行為あるいは公務執行妨害、こうした事件がたくさんございます。ことに最近行なわれた東京都内の中野郵便局の傷害事件、こういう問題も急いでいただかないと、この問題のために不必要な摩擦が起こる。十日間も郵便の遅配があって、国民の多くがどんなに迷惑をしたか。はなはだしきは、自分の将来をきめる職場の採用試験に間に合わなかった、あるいはもう葬式が済んでから葬式の通知状をもらった、こういうように被害はあまりにも大きい。東京都内で、何が原因にせよ十日間も遅配するということは、これはあとで郵政当局に伺いますが、まことに遺憾なことなんです。だから、いずれにいたしましてもこういう事件の進行を慎重にやらなければならないが、一つ裁判所側とも相談されて、急いで審理の促進をやる、こういう方向に進んでいただきたいということを私は要望いたしまして、法務省側に対する質疑は終わります。
 ただ最後に、もし情報が法務省側に入っておれば知らしていただきたいのは、きょうの姫路の相生電報電話局長の自殺、これが団交中に疲労こんぱいして行なわれたというふうにどの新聞にも書いてございますが、おそらくそれに近いものだろうと私どもも推察するのでありますが、何か情報が入っておれば知らしていただきたいし、これに対してもほっておかれないでそれぞれの手続を得て緊急な処置をお願いいたしたい、こう思います。
#11
○竹内政府委員 姫路のケースにつきましては、まだ国会に出ますまでの間に報告を受けておりませんので詳細を明らかにいたしませんが、いずれ私どもが役所に帰りましたならばあるいは報告が到着しておるかもしれません。いずれにいたしましても真相がある程度明らかになりましたならば、機会を得まして御報告いたしたいと思います。
#12
○上林山委員 この際電電公社の総裁なり副総裁からその事情がわかっておれば報告願いたい。
#13
○横田説明員 ただいままでに判明しておる事情を申し上げます。
 相生局長は平素非常にまじめな、非常に優秀な男でありまして、今回赤穂の電報電話局の改式に関連いたしまして赤穂の電報電話局の市外を相生局の方に集中する、相生局の方に赤穂の人員を受け入れる、こういう関係の仕事が今進んでおるわけであります。赤穂電報電話局の自動改式予定は二十二日でありますが、そういう関係において団交の一番むずかしいところは赤穂の局になるわけですが、それに関連する局も団交が行なわれ、相生の電報電話局におきましても一週間、十日にわたって団交がずっと続いておったわけでありますが、一昨日は夜十一時まで団交がありまして、交通事情等のために局長は家へ帰らずにそのまま局に宿泊いたしました。昨日の朝自分の家に帰りまして、自分の奥さんを用事で外に出して覚悟の自殺をしたようであります。
#14
○上林山委員 ただいま電電公社の副総裁から真相に近いような御報告がありました。私はその通りだろうと思う。多数の人が団交という名前のもとに威力をもって、しかも無秩序に、場合によっては半ば脅迫をして深更まで団交を続ける。これはもう道徳的にいえば人権の侵害、法律的にいっても、この段階にきたならば法律上の解釈もあるだろうと思う。だから、いずれにいたしましても法務当局におかれてもこの真相を一つよくきめられて、ことに全逓、日教組あるいは全電通というような仕事は公益事業です、だからいかに国民に迷惑をかけるか、同時にいかに人権を侵害しておるか、こういうことを慎重にお考えになって一段と研究と努力をされ、予算が足りなければ、人が足らなければ大蔵大臣に強く要求してそういう整備をはかるべきだと思います。私はそういう意味において要望いたしましてこの程度できょうは終わりますが、いずれ裁判所側と適当な機会に委員会で質疑を試みた上、あなたにまた質疑をいたしたいと思っておりますから、お含みおきを願っておきたいと思います。
 次にお尋ねをいたしたいことは、年末闘争に関する問題でございます。新聞は、「年賀郵便でにらみ合い」という見出しで、郵政省側と全逓との間のいろいろな事情を報道しております。国民はこれを見て、またいやなことをやる。つまらなことをやる。しかも、お祝いことにけちをつけるような心なきしわざをする。年賀郵便は一つのお祝いことです。そうしたような印象を受けております。それぞれ理由のある点もありましょうが、まことに遺憾のきわみであります。こういうことをいつまでも繰り返しておるということはまことに残念しごくでなりません。私は時間を十分にもらって、今度の機にとことんまで郵政省のお話も聞き、またわれわれの考えも述べて、この問題の解決に当たりたい。そして国民の、年ごとにくるこの年賀郵便に対する闘争、これをいやに思っている空気を一掃してみたいものだ、こういうように考えておるのでありますが、残念ながら時間の関係もあるので、要点だけを質疑いたしたいのであります。
 郵政大臣にまず伺いたいのですが、一口に言いますと、郵政大臣初め管理者側が国民の期待にこたえるように、しかも、常識的に誠意をもってこの問題を解決するという意思を持っているのか、持っていないのか、また、全逓側も自分たちはこういう祝いことに手を出さないで、ほかの方面で闘争をやるならば闘争してもいいはずなのに、なぜこの国民の祝いことに目をつけて闘争をやるのか、私はその心理状態がわからない。いわゆる管理者側の弱みにつけ込んで、あるいはまた腰の弱いのにつけ込んで、祝いことだからまあこの程度に全逓側が無理押しをすれば、祝いことにけちをつけられては郵政省もたまらぬから、国民にも済まぬから、まあいいところで手を打って責任を一時のがれよう、こうしたような考えなのかどうか、この辺のことをまず伺いたいのです。
 敷衍して言いますれば、私はこういう闘争はいかなる名においてもやるべきものではないという考えを持っているのです。やるならほかの方法でやつたらいいという考えを持っているのです。年賀郵便に対してやるということは、国民の祝いこと、全逓がこれを悪用しておるんだ、こういう印象を私は強く持っておる一人です。これはいろんな義理合いやその他で判断すべき問題じゃない。これは大上段に、大臣としてははっきりとお考えにならなければならぬと思う。
#15
○植竹国務大臣 お答え申し上げます。私たち郵政大臣並びに郵政省の任務は、円滑に、平和に、迅速に、負託された郵便物の送達にあると考えております。そのためにあらゆる努力を払っておるのでありますが、万が一にして、どうしてもそれが円滑、平和にいかないときには、確固不動の方針をもって臨むことをはっきり言明申し上げておきます。
#16
○上林山委員 できるだけ円満に話し合いもするが、あまりひどいことを全逓がやる場合は、国民の名において、政府の責任においてそれぞれ照らして断固たる処置をとる、あるいは場合によっては、今まで手ぬるいといわれておった行政処分ももっと厳格にやる、あるいは行政処分もそれぞれ照らして十分にやるのだ、あるいは司法事件になるような問題は、郵政省も今まで以上に証拠を出してやる、いわゆる検察側に協力していく、そういう態度をもって臨んでいかなければこういう問題は解決しないと私は思う。あなたのその大方針については、私は、誠意をもってお答えになったものと信じますから、われわれも誠意をもって協力を申し上げたい、国会議員として協力を申し上げたい、こういうように考えております。その中で、この十二月に入って全逓がそれぞれ闘争態勢に入って、たとえば三割休暇、一斉休暇をやるとか、あるいはほかの局から来た年賀郵便は全然取り扱わないとか、こういうことがきめられておるようでございますが、もしそれが事実だとすれば、ほかの局から来たものを取り扱わないということは、それこそ服務規律ではない、むしろ法に違反するではないか、あるいは三割休暇が出たら、管理者側はそれを仕方のないものとしてその休暇願いを受理するものかどうか、もし受理しないといって聞かない場合は業務命令をもちろん出しますが、それに違反したものは、それこそ先ほど大臣が言われたように思い切った処置をやる意思があるのかどうか、この点を一つ明確にしてもらいたい。
#17
○植竹国務大臣 処罰の問題と事務運営の問題とを分けてお答え申し上げたいと思います。
 この事務運営の問題につきましては、冒頭に申し上げました通りに、あらゆる平和的方針のもとに、平和的手段を尽くしまして、納得してもらって、ほんとうに従業員と管理者側が一心同体となって国民の年末年始に対する要望におこたえするように努力いたします。もしそれが達成できないときには、非常勤の従業員を急速雇い入れまして、出動人員およそ十五人と考えます。延べ人員三百万人と考えております。この人たちを短期訓練いたしまして――その訓練の方法の詳細につきましては事務当局から申し上げることにいたしますが、この業務に支障ないように万全の努力を払って参ります。
 処罰につきましては、これは法律規定に照らしまして、行政的の処罰の範囲は郵政省がこれを担当し、また、司法当局に引き渡すものは司法当局の手でその処断をいたすことと存じます。私たちの権限の範囲におきましては、行政的にその秩序を完全に保持したい、さように念願し、かつ努力いたして参ります。
#18
○上林山委員 三割休暇闘争の問題と、他の局から到着した年賀郵便物は一切取り扱わないという問題について御答弁願いたい。
#19
○佐方政府委員 単に年末だけに限りませんで、国家公務員法の立場からいきましても、それから公共企業体等労働関係法の立場からいきましても、正常業務をしないということは公共企業体職員に許されていないわけであります。従いまして当然の役所の仕事に協力しないということに対しましては、これは違法行為でございますから、当然処分の対象になります。
 それから三割休暇の問題につきましては、一昨年から去年の初めにかけましてそういうことがありましたけれども、当然そういう許可はしません。そしてまたそのときも支部長等から一括持って参る場合もありますが、もちろん許可いたしませんし、働かなかった分につきましては賃金カットをします。
 それから処分は個々の実情等を見ましてやっております。今年のやり方につきましては、全逓が今そういう計画を持っておるだけでございまして、まだ指令等を出しておりませんので、われわれの方としましても、そういうことが起こらないようにいろいろな対策を考えて、そうしてまた努力もしていきたい、こういうふうに考えております。
#20
○上林山委員 大臣初め事務当局がしっかりしたお考えを持っておられるし、国民に迷惑をかけない、こういうお考えを持っておられるようでありますので、これ以上申し上げませんが、しかし事はきわめて重大な問題であります。私はこの問題を簡単に考えておらない。だから郵政当局におかれても、今まではこうだったからこうで士かろうというような考えでなしに、今まではこうであったけれども今後はこういうふうにしていくのだという大方針を持ってお進みにならなければいけないだろうし、ことに最悪の事態に陥らざるように努力をしなければならぬけれども、最悪の事態に陥った場合は延べ三百万動員すると言われますが、これももう今からそのうちの一部の者は訓練して、全逓が協力しない場合でも、早目に訓練を受けた者があとから入ってくる臨時の人たちを指導できるくらいに準備をしなければ、私はせっかくのお祝いことが水のあわに帰すると思う。しかもこの年賀郵便の中にはお年玉つきのはがきも相当あるわけで、これを期待しておる国民もそれぞれの分野においてあるわけなのです。そういうことをお考えになって万全の処置を講ぜられるように私はお願いをしておきたい。
 最後に委員長に申し上げたいと思います。今お聞きの通り、時間の関係で私は十分に質疑ができませんけれども、これは重大な問題だと思います。年賀郵便の問題がどういうふうになっておるか、またなるだろうかはきわめて重大なことで、国民も関心を持っておる問題でありますから、当委員会がこれを取り上げて調査をいたしたい、こういう考えを持っておりますので、適当な方法で一つ善処せられんことを要望いたして、一応私の質疑を終わりたいと思います。
#21
○佐藤委員長 御発言の趣旨はよくわかりましたから、いずれ理事会で相談をいたしまして善処したいと思います。
 森本靖君。
#22
○森本委員 まず最初に、電電公社の副総裁がおりますので、けさ私は新聞を見まして姫路の相生の電報電話局長がなくなられたことについてここに哀悼の意を表しておきたいと思うわけでありますが、ただしかし、この自殺の原因というものが一体那辺にあるかということは、感情的に新聞記事を見て判断すべきでなく、具体的に実際あった問題をよく調査いたしまして、その結果においてこれは判断すべきものでありますから、この問題については副総裁としては、よく冷静に調査をして、その冷静に調査した結果、これを冷静に判断できるような雰囲気における調査をぜひお願いしたい、こういうことを讐に副総裁に言っておきたい。このことについてはあえて答弁は要りません。
 それから今、上林山委員が質問をして帰りました。いっそおってもらえばよかったのですが、まあ仕方がないのですが、何か年賀郵便の問題について大臣あたりも非常に誤解をしているのじゃないかと思うのです。それから、これは事務当局はよく知っておると思うのですが、全逓が今闘争をやるとかなんとかいうことをきめておるようでありますけれども、新聞その他で見てもそんなに強硬な闘争をやるということは出ておらない。ただ場合によったら年末に三六協定をやらないということをきめておるだけである。ただしこの三六協定をやるやらぬについては労働組合の自由であるから、三六協定を結ばないということによってこれを処罰するということはできないはずです。大臣そうでしょう。
#23
○植竹国務大臣 御意見の通りであります。ただ、忙しいときにはうんと働く、ひまなときにはひまなように力を抜くというのが、われわれ日常生活上当然のことであり、公務におきましても、年末時にはほんとうに従業員諸君にがんばってもらって、忙しく仕事をしてもらうことは気の毒であるけれども、年賀郵便を円滑に送達してくれということを国民が要望いたします。それに際しましては、やはり普通の時間内勤務だけでなく超勤にも応じていただいて国民の要望にこたえるということを、私の立場としては従業員諸君に望む。これは無理からぬ私の希望で――私の希望ばかりではございません、全国民の希望であると考えます。そこで、この超勤を拒否なさる、なさらぬということは、なるほど法律的には御自由であるわけですが、私から全逓の職員に期待いたしますところは、法律的にはそうであるけれども、国民全体の要望ということを十分に勘案されまして、超勤にも応じていただきたいという強い期待を持っておるわけでございます。
#24
○森本委員 私が聞くところによると、何も忙しいときに超勤をせずに云々というようなことを言っておらないのは、すでにこの前この委員会においても私が略言をした通りです。私の選挙区においても、九月なり十月にはこの三六協定を結ぼうということを再々郵政省に言っておるわけです。ところが郵政省の方が、支部長なんていう名義では団体交渉ができないからいかぬといって結んでおらない。郵政省自体が結んでおらないのです。組合は結ぼうということを今まで何回も言っておる。それをあなたの方が法律違反だから結ばぬと言っておる。だから組合の方は、法律は法律通り、結ばぬなら結ばずにやろうということなのです。あなた方のように、勝手に都合のいいときには法律々々と言って、都合の悪いときには人情的にやってくれというばかげた発言はない。この三六協定は組合はこの正月から何回も何回も結ぼうと言っておるのです。そのときには結ばずにおいて、十二月の一番忙しいときには結んでくれなければ困る、こういうことでは私は話にならぬと思う。そういう点はやはり感情的にならずに、あなたが最初に言われたように、平和的に業務を円滑に遂行していこうという考え方に基づいて、これはやはり話し合いに話し合いを重ねていかなければいかぬと思うのですよ。今のように大上段に振りかぶっておったのではなかなか話し合いがつかない。あなたに事務当局がどういう説明をされているか知らぬが、私は二十年間郵政事業の仕事をやってきてよくわかっておる。三百万人の非常勤を雇ったところが、全逓の組合が三六協定を結ばなければ絶対はけっこない。しろうとの非常勤の職員を郵便局に雇ったって年末年始できっこない。それは三百万人入れたって五百万人入れたって同じことなんだ。それはやはり本来の局員というものが、三六協定をやって初めてこれははっきりできるわけですよ。だから、それは事務当局がおどかしの意味において、あるいはまた世間一般の言いわけの意味において三百万人動員をするということを言っておると思うけれども、そんなことをするよりも、やはり問題はきのうの予算委員会で井手委員も言っておったけれども、これを解決をつけ得る方向に両者がお互いに話し合いをしていく。あなたの方は何か法律違反をやったら断固処罰をする、首切りをする、人事部長も上林山委員の質問につられてさらによけいな答弁をしている。そういうことを言うからます、ます感情的になる。そういうことではなしに、やはりお互いに誠意を持って何とかこの年末年始を乗り切ろうという気にならなければだめだ。郵政省側と組合側とがそういう機運になるように、われわれ国会議員としては努力をする、そういう意味なら大いに賛成、そういうふうにするのがわれわれ国会議員としての任務だと思う。そういう方向にいっておる際に、どういう勇ましい質問があったにしても、それにつられてあまり大きなことを言っておったのでは実際に解決をつけようとして努力をしてもまたこわしてしまう。そういう点は大臣も政治家だから、何といったって現職の郵政大臣だから、その郵政大臣が先頭に立ってこれを解決をつけ得る方向にいかなければならぬ。今は非常に微妙な段階ですから、質疑応答、答弁等についても――今言われたことについても一つ一つ反駁していけば、いろいろ法律的に反駁できる問題がたくさんあります。たとえば先ほどの全特定の問題についても、そうなったことについてはそうなった一つの原因があるわけだ。その原因を探求してその原因をなくしていくような方向を考えていかなければ、その問題だけが解決ついても、また出くるわけだ。そういう点を一つよく大臣は考えて微妙な段階でありますから、できる限り平和的に解決をつけることをわれわれとしても望み、そういう方向に努力をしておるわけでありますから、大臣としても、こういう微妙な問題の答弁というものは、よく一つ政治的に配慮してやってもらいたい。それから事務当局の方は、与党が非常に強硬だから、そのしり馬に乗ってということでなしに、法は法として守らなければならぬということは当然だが、労働問題というものは、そういう法律一片で片がつく問題ではないということは世界の歴史が示す通りだ。お互いに相手があって初めて労働問題ができているわけだから、そういう通り一ぺんのことではできないわけでありますから、事務当局としてもそういう点については細心の努力を払ってもらいたい。さっきの答弁を組合の幹部が聞いておったら、おれらが言うことを聞かなかったら、向うはいつでも首を切ってくる、そんならやつてやろうかということに人間というものはなりかねない。そうではなしに何とか両者が話し合いをして解決をつける、そういう方向べの努力というものを委員会あたりでも見せるべきだと思う。そういうことを特に大臣に要望しておきたいと思うのだが、大臣もその点についてはっきりした見解を述べておいてもらいたい。
#25
○佐藤委員長 先ほどの上林山委員の発言中、不適当な個所があれば調査の上委員長において処置されたいとの上林山委員の申し出がありますので、さよう取り計らいます。
#26
○植竹国務大臣 お答えいたします。私は絶対感情的にならない。もし多少なりとも私に感情的という言葉が当てはまるとすれば、あたたかい感情的になって冷たい冷酷な感情的には絶対にならぬもそういう考えであるので、上林山委員へのお答えを処罰の問題と運営の問題とを切り離してお答えするという、その私の気持を御理解いただきたい。そこで私は、運営としては今森本委員の言われましたような方針で運営して参りますけれども、万が一違反のあった場合にはどうするか、その違反の程度によりましては遺憾ながら厳然として行政的処分をしなくてはならない場合もあり得るという不動の精神を披瀝したのでございます。さてこの運営が非常勤では十分にいかないという点は御指摘の通りであります。やはりこれはもちはもち屋で、くろうとの長年修練されましたほんとうの従業員がやってこそ万全が期せられるわけでありますけれども、それならば忙しくて超勤を三六協定を結ばなければやっていけないのは明らかでございまするので、それは森本委員も御回感と思います。そういう際には私たちの立場としては、年賀郵便を送達しないというわけにいきませんから、そうい、う場合を万が一おもんばかりまして、あらかじめ計画を立てその際にも万全とまでいかないでも、つまりくろうとのようにはいかないでも、しろうとながら国民の要望にこたえていく程度にりっぱに責任を果たしたい、そういう念願から実は訓練のこともどういう方法でやろうか、また郵便物の区分につきましてもどういうふうにやろうかという具体案を今検討中でございます。もう二、三日するとその具体的の操作方法が決定いたすことと思います。そういうふうにいたしまして万が一、三六協定を結んでもらえなくても
 国民の要望にこたえていきたい、その点が勤めを完全に果たすという意味で確固不動の態勢をとっているというわけであります。(森本委員「処罰の方は」と呼ぶ)処罰の方は、先ほど申し上げましたことを繰り返すようになりますが、事と次第によりましてはやはり厳然たる態度をもって処罰をしなければならない、これは具体的事実が起こりました場合の話でございます。それで処罰の問題と運営の問題とを切り離してお答えしたようなわけでございます。
#27
○森本委員 私は大臣の言うのは非常におかしいと思うんだ。この間武石郵便局長の問題について、私あるいは原委員からも質問をしたときに、もし武石郵便局長の任命の方法について誤りがあったとするならばその任命を撤回するかと聞いたら、それに対して政府当局はどういう答弁だったと思う。そういうことはないと思います。そういう仮定の問題についてはお答えができませんという答弁だ。ところがこれから先、かりに年末闘争をやって、組合が三六協定だけの拒否をやって、合法的な闘争をやるのか、あるいは法に触れるような闘争をやるのか、これはわからぬのだ。あなた方が、何かやったら首を切っちゃいますよというような大きな網を張っておるところに、首を切られるような闘争をやるばかはないと思う。そんなことをするよりか最大の効果を上げるような闘争をやった方がましなんだ。そういう司法権を犯すかどうかわからぬような仮定の問題について、今から、もしやったら処罰するということを片一方では言っておって、郵便局長の任命のときにはそういう仮定のことにはお答えができませんと、非常に都合のいい答弁をしているから困る。処罰云々の問題を今ごろ言うべき必要はない、なるべくならば円満にこれが解決がつきますように一つわれわれとしても努力したい、従業員の方もそういう方向において歩み寄ってもらいたい、これでけっこうなんだ。それを初めからあなたの方は、何かやったらだんびらを振るというようなことを言うからよけいいかぬ。そういうことをやるのは政治家じゃない。最後の橋の問題は最後の橋の問題として心の中で考えておけばいい。仮定の問題はそう軽々に大臣が言ってはいかぬ。そういうことを言うとやはり紛争になる。
 もう一つ私は大臣に御忠告をしておきたいと思うのだが、私はあなたよりもっと下部の方の仕事の内容というものをよく知っておる。おそらく郵務局長なり事務次官が、非常勤態勢をこうこうやったからこの運営面については万全の態勢をとっておりますという報告を、あなたのところには持ってくるだろうが、それは万全の手配でも何でもない。こけおどしにそういう対策をやっておるのであって、どこの統轄局に行ったって具体的に非常勤を雇って年末が乗り越せるということは絶対にない。かりに三百万人の動員をしても実際に従業員が超勤をやらなければ、年賀郵便が着くのは早くして一月の二十日だろう、おそかったら二月になる、そういう状態になることは今の郵便物を見たら歴然としておる。だから、そういう点については、大臣は事務的にあまり詳しくないと思うから、事務当局の報告を――部下ですから、部下は信頼せざるを得ないと思うけれども、部下の方も、適当に出してそのうち何とかなるだろうぐらいのことで出しておるわけだから、それで、この年賀郵便が、万全の手配で、国民に対して責任が果たせると考えておったら大間違いだということを私ははっきり大臣に言っておきたい。とにかく、そういうことをだんびらをかざして言うよりも、やはり大臣は大臣としてこの問題を何とか政治的に解決をつけ得る方向にあなたは努力をすべきだと思う。われわれ国会議員も及ばずながらそういう努力はいたしましょう。あなたの方はあなたの方としてあるいはまた与党の内部に、あるいはまた労働部会に、あるいはあなたの方の政調会にいろいろな難点があろうと思う。われわれの方としても、やはり社会党の政調会あるいは組合の内部にそれを諮って、円満に解決をつけ得る方向に努力するのが任務だと私は思う。そうじやなかったら、政治家はやめたらいい。やはり政治家というものは、そういう方向に努力をしてこそ初めて政治家です。できなかったら頭から首を切るというようなことで考えるなら、これは事務官僚と同じなんです。われわれは、一応国会議員としての席を置いておる以上は、やはりこういう問題は、なるべく国民に迷惑がかからぬように、円満にいくようにという方向に努力をするのが、私は国会議員としての任務だと思う。大体そういう方向で大臣は今のところすべての答弁に当たるべきだと思う。これから先の仮定の問題について云々ということを言うから問題になると思う。仮定の問題については仮定の問題として、これは答弁できません、こういうことでけっこうだんです。これは政務次官がこの間答弁をしておる、仮定の問題については答弁できませんと。そうでしょうが、大臣。
#28
○植竹国務大臣 仮定にもよりまして、仮定の問題では答弁できない場合も多々あるわけでございますが、仮定によりましては、こういうふうな場合にはこういう方針であるということを、上林山委員のように、こういう場合にはどうするかと言われますと、答えられる範囲内ではできるだけ仮定の問題に対しても今後もお答えして参りたいと存じます。しかし、仮定の問題であるためにどうしても答えられないという場合も今後承あろうかと存じますが、それはその問題といたしましてただいまの森本委員の、できるだけ円満に平和に努力を払うべきだという御説明に対しましては全然同感でございます。その御趣旨尊重いたしまして、この問題を一生懸命にやって参ります。
     ――――◇―――――
#29
○佐藤委員長 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題とし、質疑を行ないます。
 念のため、本日御出席の日本放送協会の参考人の方々を申し上げます。野村会長、溝上副会長、前田、小野両専務理事、赤城総務局長及び春日経理局長、以上六名であります。
 質疑の通告があります。これを許します。森本靖君。
#30
○森本委員 それではNHKの決算に関連をいたしまして、電波の問題について若干お聞きしておきたいと思います。
 電波監理局長に聞きたいと思いますが、この問題は非常に大事な問題でありますから、私は特に政務次官も大臣も聞いておいてもらいたいと思うのですが、今新聞でいろいろ報道せられておりまする、今度の欧州における会議の状況等も、この前の委員会において大臣から説明がありましたが、その中で、中波の波を韓国側がかなり要求をして、日本が今使っておるのを韓国側に返還――返還じゃなしにくれというのか、そういうことが出ておるそうでありますが、その内容をちょっと説明を願いたいと思います。
#31
○甘利説明員 韓国側が四十数波の中波放送を相当の電力でやりたいという申し出は、ジュネーブのIFRBに対して出ております。しかし、ちょうど会議をやっておる最中でございまして、IFRB――周波数登録委員会でありますが、そこではなかなかこれをさばき切れない。判断をする基準等がむずかしくて判断できないから、ちょうど日韓両国の代表が出席しておるわけだからそこで相談してきめてほしい、こういうようなことになっております。請訓が参りまして、これに対して当方で検討した上で適当な指示を与えておりますが、何しろ問題が電波の権益に関する非常に重要な問題でありますのと、両国とも引くに引かれないような立場にありますので、その折衝過程に非常に苦心しております。非常に微妙な折衝を行なっておる最中でございますので、それは向こうの提案の内容がどういうことであるかというようなことであれば、これはもう事務的に簡単に申し上げられます。新聞に出ておりましたのも、一々チェックしてみたわけではございませんが、大体当たっているようでございます。ただこれに対して日本としてどういう態度をとるかということは、今の段階では、かくかくであるということをあまり公表したくないと考えております。
#32
○森本委員 日韓両国において折衝をせられておるから公表いたしたくないというその趣旨はもっともでありまして、それは、私の方もあえて折衝の内容を聞こうとは思っておりません。ただしかしこの問題がどうなるかということによって、NHKのみならず、民放の今の放送局のあり方についてもやはり根本的に言ていかなければならぬ問題であります。そういう点から、われわれといたしましても、将来のNHKのあり方ある、は民放のあり方あるいはFM放送の問題ともこの問題はやはり関連して考えられるわけであります。そういう点から、この際今までの新聞報道と違って、委員会を通じて国民に明らかにしてもらいたいと思うことは、その韓国側の提案による四十数波というものは、一体何KCから何KCまでの波であるか、明らかにしてもらいたい。
#33
○甘利説明員 これは中波の標準放送のバンド内の電波でございます。これは日本も韓国も同じ周波数の幅の中でやっておりますから、全然同じものでございます。
#34
○森本委員 今、日本で中波放送で使っておる波は幾つありますか。
#35
○甘利説明員 全部で百七波、うち七波が混信で使用ができない、あと五波が駐留軍放送、残り九十五波を放送に使っております。
#36
○森本委員 九十五波のうちのその四十数周波というものはどういう内容ですか、韓国の要求しておる……。
#37
○甘利説明員 相当多数のものが、こちらの使用する周波数と同じものを要求しております。ただこれは、同じ九十五波を使っておりましても、国内でも一つの波を、相当距離の隔たったところでは、電力を制限すれば使えるわけでございますので、周波数が同じだから必ずしもこれはだめだというわけでもないのです。要するにその電力、指向性、運用時間、そういったものがわれわれの方とどういうふうにかち合うかという点が問題でございます。
#38
○森本委員 私が聞いておるのは、同じ一千二百KCでも、それは北海道と鹿児島とによってあるいはまた釜山とによってあるいは地理的、電力的に違うということは私も十分知っておりますが、ただ韓国が要求しておる周波数というものが、もしその通りになれば、日本の今のNHKと民放との、いわゆる放送局におけるどれに影響するかということを具体的に聞いておるわけです。
#39
○甘利説明員 どれが混信するような状態できまるかということですが、そうなっては全然困るわけです。それで、そういうふうにならないように両方で話し合いをしてきめていきたいというのが、今の段階でございます。
#40
○森本委員 今韓国自体は中波放送はどのくらいやっておりますか。
#41
○甘利説明員 もし正確な数字が必要であればあとで詳し調査いたしますが、何十局かやっておるようでございます。しかし、現在のところはそう大電力ではやっていないようです。ただ朝鮮の内部で、普通の中波受信機を夜動かしますと、中共、ソ連、北鮮、日本、それらの電波がほとんどのべったらに入るというような状態でございます。
#42
○森本委員 私が聞いておるのは、韓国の放送局が、釜山なら釜山、あるいはどこならどこに大体何KCの何キロワットの放送局があるかということを聞いておるわけです。大体、向こうの中波放送というものが、現在において韓国内に行き渡っておるかどうか、今韓国が使っておる中波放送の波はどのくらいですか。
#43
○甘利説明員 やはり日本で使っておるのと同じような電波を使って、主要都市には大体置いてあるわけです。ただその電力が小さいというようなことで混信をしないでおるわけですが、今回はそういう電波の、もちろん周波数の入れかえと同時に増力を要求しております。その増力をされると、提案の通りであれば相当の数の混信が生ずる、そういう状態であります。
#44
○森本委員 大体今韓国で出力の一番大きいのはどのくらいですか、十キロワットぐらいですか、どうですか。
#45
○甘利説明員 これは正確には登録された局名録を見ないとはっきりお答えできませんが、多分十キロくらいだろうと思います。
#46
○森本委員 これ以上私はこの問題についての質問は、電波局長はそう用意してきてないようだから、いたしませんけれども、なぜ私がこういう質問をするかというと、この問題は日韓の政府当局だけが交渉してあって、こうなりましたからこうやらなければ仕方がないということでは話にならぬと思うのであります。やはりこういう委員会なら委員会等を通じて今こういう折衝が行なわれている、政府としてはこういう考え方を持っておる、こういうことに対してわれわれは国民の立場からこういうふうに韓国と交渉して、われわれの方の波についてはこういうふうにやってもらわなければ困るということは、やはり国会としてこういう際に意思表示をするということは、そういう交渉におけるバック・アップにもなると私は思うし、また日本国民の考えておる中波放送に対する考え方を明らかにするという意味でも、非常に大事な問題だと思うのです。あなたの方にまかせておいたら、うまいごときれいにやってくれるということならまだけっこうですけれども、やってしまったそのあとで、けしからぬじゃないかといってあなたを怒ってみたところで話にならぬ。そういう意味で私は聞いておるわけです。だから、あなたの方がこの問題については答弁の要旨がまだ明らかにならないからということなら次会でもいいのですが、この問題は相当大事な問題だと思う。だから、われわれとしても、われわれはこう考える、政府はこういう考え方のもとにおいて韓国と交渉しておるというふうなことについて、十分に質疑応答ができるような形に、一つ次の委員会あたりではしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
#47
○甘利説明員 ただいまの森本委員のお説ごもっともでございますが、今回の会議の大体の動き方と申しますと、大体電波を各国がどういうふうに使うか、その使い方に、各国はそれぞれの国に応じて平等に使う権利があるという考え方と、電波というものは先に使ったものがそのあとから出てくる混信を排除して使う優先権があるのだという二つの考え方がございまして、いずれもこれは理屈としては通る理屈でございます。しかし、最近後進国、独立国等が多くなりましてそういう国から電波の需要が非常に多いので、会議全体として先進国が後進国にどの程度どういう態度で波を譲って発達をはかるかということが、一つの研究グループで今論議されております。従って、そういった大きい方針といいますか、結論といいますか、そういうものが出ましたなら、こういう個々の問題もそういう線に沿って話し合いがつくと考えております。従ってこういう問題についてあまりに一方的に、国内だけで日本としてはこうだああだと言ってみても、これはやはり国際的な話し合いですべてがきまる問題ですから、そういう意思表示をすることがはたして会議にとって有利であるかどうか、その辺に非常にむずかしい点がございますので、微妙な交渉段階であると申し上げたのはそういう意味でございます。
#48
○森本委員 あなた方政府当局の立場としてはそれはよくわかりますが、しかし、せっかく放送局を作って、実際に従業員を雇って、そうして放送しておる側の立場に立ってみれば、これはまたいろいろの意見があろうと思う。だからそういう意見は、日本国民の意見として国会を通じて反映をするのだから、これはよいと思う。そういう論議はやはり私はしなければならぬと思う。今折衝しておるから黙って見ておってくれということでは、日本の国民の意思というものが発表にならぬ。そういう点で、国会を通じてこういう問題について論争するということはいいと思う。政府は政府として折衝すればいい。そういう面で、この問題についてはNHKにも影響があるが、民放にも影響がある問題であるし、そういう方面から私は論議していきたい、こういうことを言っておるわけです。この問題についてはきょうはこれ以上の論議はしませんが、いずれ私は、この問題にからんで、今後の放送のあり方についても相当論議をしなければならぬ、こう思うわけです。そういう点について、電波監理局長としては、今折衝しておるから遠慮してというふうなあれですけれども、こういう問題は国会は国会として質疑応答を通じて明らかにしていくようにしたい、こう思うわけです。
 それは次の機会に聞きますが、それからこの間私が電波当局に申し上げてありました福島の民放のテレビの開局の問題について、これは郵政省としても一応の責任があるから早急に解決がつけ得るめどができるようなことを考えて一つ政治的に配慮せよということを、一つの注文として出してあったわけでありまして、またこれは私が注文として出さなくても、当然郵政省としてやらなければならぬ問題であります。これは電波監理局長の問題ではなくして郵政大臣なり政務次官の問題になってくるわけです。その後福島の民放のテレビの開局についての動向はどうなっておりますか。
#49
○甘利説明員 この前の委員会で大臣に御質問があったあとで、私が出たら聞くとおっしゃいまして、私ちょうど時間切れで御答弁できなかったのですが、かわりまして申し上げます。あそこは地元に御承知のように新聞が二つ張り合っておりまして、この前の田中大臣の当時の免許のときにも、この両者を合わせて一つの会社を作るというように指導されたはずですが、どうしても話し合いがつかなくてとうとう免許を出すことができなくなりました。こういう事態は全国でも非常に珍しい事態でして、かと言ってあの土地に二つ作っても営業が成り立たないということで、これは要するにNHKなら別ですが、民放ですからこれを作れと郵政当局が言うわけにも参らない。やはり地元の要望がそれをできるような形に盛り上って適当な申請者が出なければ、われわれとして審査のしようもないわけでございます。ただ東北の電波監理局では地元の有力者等にいろいろ話をしましてでき得れば県民のために早急に話し合いをつけてその地元に密着した一つのりっぱな会社を作るように話はしておりますが、なかなか地元もそう騒ぎませんし、やはり新聞社がお互いに張り合って一本になっておりません。しばらくそういう様子を見るしか手がないのじゃないか、こういうふうに考えております。
#50
○森本委員 これは大臣一つよく聞いておいてもらいたいと思うのですが、民間テレビの開局については御承知の通りテレビ合戦といわれるほど新聞でもにぎわす。そして非常に紛糾を来たしたが、結局全国的に民間テレビが今日のように一応の開局をされた。ところが全電波監理局長が言った通り福島だけが最終的に新聞社が三つどもえになって競ったというのが真相なようであります。それで結局最終的に予備免許はおろしておったけれども、その予備免許を取り消さざるを得なかったということで、今免許は一切ないわけです。だから、福島は今NHKのテレビはありますけれども、民間テレビがないわけです。全国でこういうのは珍しいと言うが、全国でこういう問題になっておるのはたった一カ所です。これはもはや技術的な問題ではないのです。政治的な問題です。政治的に解決つけなければならない。今電波監理局長の答弁では、どうも地元も熱意がないしと言うが、熱意がないということはない。これは民間のテレビを見たいという声は地元には相当あるのです。これはこの間私が武知委員、椎熊委員と一緒に視察に行ったときも十分聞いたことでありますが、これは郵政当局が何とかそっちの方からやってくるまで待っておったのでは、三つの有力な新聞社なりそのものががっちり組んでけんかをするわけだから、いつまでたってもできっこない。何とかこういう問題については一つ超党派的というか、超派閥的というか、そういう面で福島県民に民間テレビを見せるのが任務である。一般の普通のところと同じようにやるのが私は郵政省の任務だと思うのです。私は電波監理局長の今の感じでは、向うが何とか解決をつけて持ってくるまでこれは見ているよりほかに仕方がないという考え方だろうと思うが、そういうことではなかなかこれは百年河清を待つがごとしで、郵政省が積極的に乗り出していって、地元がみな解決をつけて、民間テレビもやらなければいかぬじゃないかという方向へ持っていかなければ、これはとても結末がつかないのではないか。これが一つ残っているわけですから、この前たしかこの委員会で大臣に言ったはずだ。これはそういうふうに一つしか残っていない問題でありますから、郵政省としてはもっと積極的に乗り出して解決をつけるべきだ。これは自民党や社会党という問題ではない。たったあそこ一つだけが残っているわけだから、これは技術的な問題でもないのです。どうですか、これは大臣。
#51
○植竹国務大臣 私は日本の放送会社についてはまた一つの別個な考えを持っておりますけれども、しかし現在の状態、日本にこれだけ波の数がたくさんあって、それがずっと分布されておりますから、現在の状態から見ますと、森本委員の言われるのと私も、現状から見た結論は同感になります。そこでこれはよく、私も実は大がいの地方的の問題は勉強しておりますが、福島の問題はまだ核心に触れてまでは勉強いたしておりませんので、さらに大至急検討を続けまして、今の御意見を尊重しましてこの問題の解決に当たって参ります。
#52
○佐藤委員長 金丸徳重君。
#53
○金丸(徳)委員 私は実は少し時間をちょうだいして郵政大臣にいろいろお伺いしたい点がたまっておる気がいたすのでございますが、大臣と私とは妙にすれ違ってばかりおります。きょうも時間がありませんで、私も時間がありません。大臣の御都合もあることと思いますので、大臣へのお尋ねは次会に譲ることにいたします。せっかく協会の方から会長がいらっしゃっておりますので、この機会にちょっとの時間協会の方へお伺いいたしたいと思います。
 新放送法が実施せられまして以来半年になるわけです。協会は異常な決意を持って諸般の計画をお進めになっておられるのでありますが、料金が改訂せられ、サービス内容が向上せられて、今日まで加入者の増減の状況というようなものはどういうふうな足取りになっておりましょうか。まだ正確な数字はまとまらないかもわかりませんが、およその傾向をお聞かせ願いたいと思います。
#54
○野村参考人 ラジオとテレビの状況を概略御説明申し上げます。ラジオは今年の国会において六十七円を八十五円に値上げをしていただきましたが、ラジオの受信者そのものは決して減っておりません。むしろ前よりもふえておるような状況であります。しかし遺憾ながら受信の契約をして下さる方がそう新しくふえない。むしろかえって減少する傾向にあるのであります。それはわれわれとしても非常に遺憾に存じましてあらゆる方法、すなわち難聴地域を解消するとか、あるいは老朽施設を改善するとか、または番組内容を充実していくとか、そういう方法を講じて、低開発地域を開拓していくように、新しい受信者を得るように、またやめられる受信者を食いとめるようにあらゆる努力を尽くしておりますが、やはりテレビの増加に伴うてラジオは減る傾向にあるのであります。今、私、正確な数字を記憶しておりません。あとでほかの参考人に説明させますが、ラジオはとにかく逐次減少し、九月、十月は横ばい状態で、本年度の予算編成当時の見積りよりは減っておるように思います。しかしテレビは漸増の傾向にありまして、十月の初めには三百万に達し、なお十一月現在では三百万を相当上回っておるのではないかと考えるのであります。以上がラジオ、テレビの受信状況の概要でありまして、われわれはラジオ、テレビ両方とも受信者の維持、拡張ということに対していろいろの面において努力を払っておるわけであります。
#55
○金丸(徳)委員 予算編成当時予想したような足取りでなく、何といいますか、思うような進み方をしていないというようなお答えでございます。全体としましては、テレビがふえることは当時もほとんどみんな一致した見通しであったのでありますが、ラジオの受信者も新分野の開拓、難聴地域の改善というようなことからして減ることはあるまいということでございました。私どももそうありたいと念願しておったのでありますが、今のお答えによりますと必ずしもそうでない。そこで私は、ラジオを聴取する人、ラジオ受信機を備えつける人々の数というものは必ずしも減っておるのじゃないように思う。これは何となしの感じでありますから、数字をもっていろいろ御調査願ってのお答えをいただかなければならないわけでありますが、メーカーの状況あるいは販売店の売れ行き工合というようなものから想像されるものは、必ずしも減っていないのではないか。むしろふえているのではないかと思われるのにかかわらず、協会への加入届け出と申しますか、申し込みというものはふえない、要するに料金の納入の対象が減っているということのように思われるのでありますが、この辺の実情はいかがでありましょうか、お答えをいただきたい。
#56
○野村参考人 その通りなんです。受信者はふえております。それはメーカーの上からいっても販売店の上からいっても、われわれはふえておると思うておりますが、その受信を契約して下さる人が減る、いわゆるラジオを廃止するということをいわれる方が多くなっておるのに困っておるわけなんです。その廃止せられるということ、いわゆる契約を解除せられるということはどこに原因があるのか。テレビを持っておるからもうラジオは要らぬというような単純な意味で廃止せられるのか。あるいはまた、実際はラジオを聞いておるけれども、まあこれを口実にして廃止するといわれるのか、おれはラジオは聞いておるけれども契約はしていないんだ、何と申しますか、そう悪意はないかもしれないけれども、いわゆるいたずらのような気持でやっておられるのか、そこがわれわれとしても捕捉しがたいのであります。要するに今後われわれも十分努力を続けていかなければならぬと思いますが、ある意味から申したならば、モラルの問題にも帰するのではないか。しかし、それだからといってほうってはおけないから、できるだけ契約をしていただくように、また廃止しようとせられるお方に対しては、廃止しないように食いとめていくように、いろいろの手を講じておるわけであります。決してこれを放置しておるわけではありません。家庭において主婦の方々で、仕事をしながらラジオを聞いておられる人はたくさんあると思います。テレビはそういうわけにはいかぬけれども、ラジオは仕事をしながら聞くことができる。契約を解除せられる人のうちにも、いろいろの時間を利用してラジオを聞いておられると思いますが、決して聞いておられる人が聞けなくなったとは思いません。多くなったと思っております。
#57
○金丸(徳)委員 非常な苦心にもかかわりませず、原因不明の原因でどうも思うようにふえない、あるいは逆に減っておるというような事実のようであります。そしてその原因の一部として想像せられるものに、モラルの問題がありはしないかというようなことでございましたが、私もそれが大きな原因のようにも思われますけれども、やはりNHKに対して、料金を喜んで納めるというような条件を、積極的に作っていかれることも大切なことのように思われる。どうせ聞かないんだからということで廃止申し込みをする。ラジオは十分聞いておる、ほかのラジオを聞いているんだというようなことで、おそらくこれは道徳上の問題ということになる、あるいは法律無知の問題ということになりましょうか、そこに大いに周知の必要もありましょうし、その他の問題もあろうかと思います。まだ実施後半年の実情でありますから、料金の値上げがすぐにそうした響きになったかどうかにつきましては、私ここでかれこれ申し上げるだけの自信もございませんが、それらをも勘案して十分に原因を究明せられつつ今後に処していかれる必要があろうかと、これは老婆心ながら考えておるのであります。
 そこで、放送法の改正のねらいました番組審議会あるいは番組内容の向上というようなことにつきましてその後ずいぶん実施上御苦心を重ねておられることと思いますが、番組審議会の活動状況、この前中間報告は拝聴いたしたのでありますが、その後における状況、それから番組の内容などについて、ずいぶん世間からはいろいろな投書その他によって反響があろうかと思います。その反響をどう将来の番組の内容の改善あるいは番組の編成上への心配りに参考とせられておりまするか、経過及びその実績とでも申しますか、その効果とでも申しますか、そういうものについて概略を承りたいと思います。
#58
○前田参考人 大体この七月に番組基準を設定いたしまして、それから放送法の改正直後、法のきめました期間内に番組制作委員をお願いいたしまして、大体東京では中央番組審議会と、それから関東・甲信越の地方審議会、それからその他中央局の所在地に七つの地方番組審議会を設けまして、毎月一回、放送法に基づく会長の諮問事項と、それから番組審議会独自の意見の申し出をいただきましてれ会議は順調に進んでおります。
 中央番組審議会は、大体編成の基礎方針及び具体的な番組の内容について、会議のつど文書をもって会長からその諮問事項に対する取り扱い、あるいは意見の具申に対する取り扱いをはっきりお伝えし、また重大な問題はさらに番組審議会の要請に基づいて私どもが会長の命令でそれを実際的に検討し、さらにNHK執行機関として経営委員会にも重大な問題を御報告申し上げて経営委員会の決議をもいただいてこれを毎月具体的に処理して参っております。そのほか、この前御説明申し上げたと思いますが、各地方局においてもこれに準ずる事実上の制度を継続いたしまして、この点についても所期の効果を上げているかと考えております。
 番組の向上につきましては、ことしの六月以降さらに考査室を拡充強化いたしまして、テレビ、ラジオのすべての番組に関連して事前考査と事後考査を行ないまして、これに対して番組制作各現場に考査の結果を連絡いたしまして、訂正すべきものは訂正し、それからすでに放送すべき段階にあったものでも番組基準及びNHKの性格から見て好ましくないものはこれをやめてもらうというところまで実施いたしております。
 それから考査室は同様に、これはごく最近、十月のことでございますが、全国各地に大よそ三百名内外のモニターを新たに委嘱いたしまして、各地区の実情に応じたモニターの報告を聞きましてそれをも実際考査の重要参考材料といたすようにいたしております。それからまた各種新聞、投書はたんねんにこれを検討いたしまして、すべてそういう問題についてきわめて真撃な態度でこれを考査の上に反映して参るという方針をとっております。
 さらに実際運営上の問題といたしましては、編成関係の各局長会議を毎週二回開きまして、その席上、考査の問題についても慎重に検討いたし、また毎週一回開きます番組審議会におきましても、考査室長から番組の運営状況あるいは考査の内容について詳細な批判をいただいてそれによって番組審議会が個々の具体的な番組の運営についての方針をきめていくという態度をとっております。
#59
○金丸(徳)委員 大へん万全の策を講じておられるようであります。大へんこまかいことになっていけませんけれども、考査室はどれくらいの人が活動されておられますか。それから今日まで世間からの反響その他によって訂正もしくは放送者に警告をしたというような事実がありますれば、およそのところを承りたい。
#60
○前田参考人 現在東京にあります考査室の人員は三十六、七名になっております。そのうちテレビ、ラジオを通じて報道、芸能、社会、教育、教養番組の各部門にわたって主査と副主査を置いておりまして、この主査が専門的に担当番組を検討いたしております。また全国組織はまだ完備しておりませんが、各中央局ごとに主査的な人を二人ずつ配属いたしまして、これも組織の上では編成部の中に入っておりますが、自主的な見解で番組の考査を行なっております。新しい放送法が施行されましてから取り消しをいたしましたのが一回ございます。それはごく最近でございますが、朝のラジオの「趣味の手帳」の時間で松方コレクションと関連する話なんですが、松方幸次郎氏が破産したという出演者の話がありまして、これに対して翌日訂正の申し込みがあり、考査室を中心にしてまた編成局もこれを再検討しまして三日後の同じ時間、「趣味の手帳」の時間でこれを訂正しております。これが放送法施行後たった一回の事実でございます。
#61
○佐藤委員長 次会は来たる十七日火曜日午前十時より理事会、十時半より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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