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#1
第033回国会 地方行政委員会 第4号
昭和三十四年十一月十二日(木曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 渡海元三郎君
   理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君
   理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
   理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君
      相川 勝六君    加藤 精三君
      亀山 孝一君    津島 文治君
      富田 健治君    山崎  巖君
      太田 一夫君    加賀田 進君
      川村 継義君    佐野 憲治君
      中井徳次郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
 委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      木村 行蔵君
        警  視  長
        (警察庁保安局
        交通課長)   内海  倫君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部長)     梶本 保邦君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部旅客課長)  伊東 道郎君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部貨物課長)  中川 楽水君
        警  視  長
        (警視庁交通部
        長)      富永 誠美君
        警  視  正
        (警視庁交通部
        交通総務課長) 井口 孝文君
        専  門  員 円地与四松君
    ―――――――――――――
十一月十日
 全日制市町村立高等学校教職員の退職手当全国
 通算に関する請願(淺香忠雄君紹介)(第一六
 六号)
 同(堀昌雄君紹介)(第三〇四号)
 新市町村育成強化に関する請願外四件(渡海元
 三郎君紹介)(第一六七号)
 遊興飲食税の税率及び免税点の改正に関する請
 願(原茂君紹介)(第一六八号)
 町村道橋りよう架替工事費の起債及び国庫補助
 に関する請願(池田清志君紹介)(第二七三
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十一月十二日
 国際観光事業に対する地方債わく拡大に関する
 陳情書(神戸市議会議長成瀬佐太郎外十九名)
 (第二一五号)
 町村税として酒類消費税創設及び煙草消費税の
 課税率引上げに関する陳情書(福岡県町村議会
 議長会長松木富士雄)(第二一六号)
 人命救助等による被害者の家族に対する補償制
 度に関する陳情書(村上市議会議長富樫元次郎
 外五名)(第二六九号)
 退職手当債の存続に関する陳情書(東京都議会
 議長内田道治外九名)(第二八〇号)
 市町村民税の所得割課税方式統一に関する陳情
 書(福岡県町村議会議長会長松木富士雄)(第
 二八九号)
 町村に自主財源を付与する税財政制度確立に関
 する陳情書(福岡県町村議会議長会長松木富士
 雄)(第二九〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 警察に関する件
     ――――◇―――――
#2
○渡海委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は濱地委員長にお差しつかえがありますので、指名によりまして私が委員長の職務を行います。
 警察に関する件について調査を進めます。
 まず警察庁当局から最近の道路交通事情について特に注目すべき問題を中心として説明を聴取することにいたします。木村警察庁保安局長。
#3
○木村説明員 最近の交通事情あるいは交通事故につきましては、もうすでに新聞紙上で毎日のように報道されておりますので、大体におきましては御案内かと思いますけれども、かいつまんで概略を申し上げたいと思います。
 一言にして申し上げますと、交通事故の状況が毎年々々非常にふえております。まことに大きな問題であるのであります。大勢を申し上げますと、戦後、交通事故がどんどんふえておりますけれども、特に最近におきましては昭和三十一年に目立ってふえております。その状況を申し上げますと、昭和三十一年に交通事故による死傷者、これが十万八千八百二十三名ということで、前年の八万二千八百八十名に比較して三〇%も死傷者がふえております。この年の状況をわれわれは神武天皇以来の交通事故の増加の最大のものであるということで、非常に注目いたしたのでありますが、その後さらにふえまして、三十二年には十三万二千百五名の死傷者を出しておりまして、その前年に比較すると二二%の増加であります。さらに昨年は十五万三千六百八十名、十五万の線を突破いたしまして、非常にふえまして、前年に比較して一六%の増加を示しております。十五万といいますと、ちょうど浦和か長野市くらいの相当大きな都会の全人口に匹敵するような犠牲者を出しておるような状況でありまして、非常に痛ましい社会問題ではないかと思います。特にまた、さらにことしになりましてこの情勢がますます激しくなってきました。本年九月までの状況を申し上げますと、本年九月までの状況は、死者において昨年同期に比較いたしまして二二%増加を示しております。非常な急カーブを描いて死者のふえ方を昨年よりもさらにいたしておるわけであります。それからけが人はやはりこの九月までの状況が二二%増であります。これも非常な数になっておるわけであります。この状況でことし一ぱい、すなわち九月までの統計でありますので、十月、十一月、十二月、あと三カ月の状況を推移していきますならば、死者において一応推定の計数といたしましては一万二百九名――一万人を突破する、こういうふうな状況になっております。それからけが人におきまして十七万七千四人、すなわち十八万近くのけが人を出す、こういうふうな状況でありまして、死傷者合わせて十九万近くの非常に多くの犠牲者がことし一ぱいにおいて出されるのではないか、こういうふうに思うのであります。ことし死者の上がり方は非常に激しゅうございまして、昨年中における死者の状況を一日平均で計算いたしてみますと、一日に二十二人の死者が昨年は出ておりましたけれども、ことしの一月から九月までの統計でいきますと、一日二十六人の死者を出しております。すなわち、一時間に一人以上の死者を出しておるような計算でありまして、かりに真夜中の十一時ごろからまだ世間の活動を開始しておりませんところの七時ごろまでの、そういう時間を省いて計算してみますと、おそらく一時間に世の中の活動時間においては二人近くの死者を出すというような計算でありまして、非常に大きな犠牲者を出しているような状況であります。
 こういうふうに非常に大きな犠牲者を出しておりますところのいろいろな事情というものをある程度解剖してみましたのでありますが、その一番大きな原因は、やはり車両の激増であります。これは七月末現在だったかと思いますが、七月末現在の自動車の数が二百五十五万という数になっておりまして、ただいま現在では、おそらく二百六十万をオーバーしておるのではないかと思います。この数はちょうど現在の道路交通取締法が制定されました昭和二十二年の年末ごろの自動車の状況に比較いたしますと、二十二年の年末の自動車の全国の数は十八万八千台、まあ十八万台でありますので、最近の二百五、六十万という数は十四倍前後になるというような非常な激増ぶりであります。しかも毎月三万台以上の自動車がふえておりまして、年四十万近くあるいは四十万以上の自動車が毎年々々ふえております。こういうふうな勢いでいきますと、おそらく一九六四年のオリンピックの開かれる年には、全国で四百九十万前後の非常な数の自動車になるのではないかと思われる。こういう車両の激増ということが一つの大きな問題であります。その激増の状況に対処いたしまして、警察としては、指導なり、取り締まりの面において非常に努力いたしておりますけれども、ただいま申し上げたように、毎年々々交通事故はふえる一方である、こういうふうな状況であります。
 さらに一つの問題点といたしましては、最近の砂利トラックの問題、いわゆる神風トラックと呼ばれる非常にたくさんの事故を起し、また残酷な犠牲者を出しておりますところの神風トラックのような問題が、ここ一両年はなはだしく社会問題として生起して参ったのであります。これらの問題は、運転者にももちろん順法の精神が欠けておるために、その無理な運転からくる交通事故の派生ということが考えられますが、その背景には、それを使っておりますところの雇い主、事業主などの労務管理の問題もありはしないかと思われるのであります。積載量を成規の倍も積むというような積載量違反なり、あるいは非常なスピードで飛ばしていくというようなことの陰には、やはり無理な積載をさせ、無理なスピードを出さざるを得ないような背景として、労務管理の問題がありはしないかと思われるのであります。そういう意味で最近はトラックによる事故というものが非常に多うございます。
 それから最近特に新らしい問題として生起しましたカミナリ族の出現であります。これは主として二十歳前後、七十%くらいは二十歳以下の若い少年が、いわゆるマッハといいまして、秒速三百四十メートル、時速千二百キロというようなものすごい音速というものを夢想して、そういうふうな超スピードのスリルを満喫するというような、無謀きわまる運転をいたしまして、その間にかよわい歩行者あるいはかよわい幼児というものに対して非常に大きな死傷事故を起こして犠牲者を出している、こういうのが非常に目立ってきております。これは最近の八月までの統計によりますと、このカミナリ族によっていわゆるオートバイ、軽自動二輪車の運転によって起こしている八月までの事故は、全体で三万八千七百七十件でございます。そして死者千四百三名を出しております。この状況は昨年同期、すなわち昨年の一月から八月までの同期に比較いたしまして、三五%の激増ぶりであります。いろんな事故のうちで、このカミナリ族によりますところの交通事故のふえ方というのが最高のふえ方であります。しかも前年に比較して約二倍になっておる、こういうふうな状況でありまして、このカミナリ族が、最近最も事故が多かったトラックの事故よりも、さらに上回っておるというような状況であります。この社会の悪風潮といいますか、カミナリ族一連の、法を無視し、またものすごいスピードを満喫するというような、そういう心理状態からくるところのこの事故に対しましては、警視庁初め神奈川県あるいは静岡県などでは、非常に力を入れまして取り締まりをいたしておるのであります。警視庁では、毎月カミナリ族の検挙においては六千件前後の、非常に数多い取り締まりをいたしておるような状況であります。
 以上申し上げましたように、交通事故による犠牲がどんどんふえております。ことし一ぱいでは十九万近くの死傷者を出すのではないかというような状況でありまして、私たちも非常に心を痛めておりますところの大問題であるのであります。
 以上申し上げて御報告といたします。
#4
○渡海委員長代理 質疑の通告があります。順次これを許します。田中榮一君。
#5
○田中(榮)委員 ただいま木村保安局長から、最近における交通事故の状態について詳細なる御報告がありましたので、それを加味いたしまして若干の質問をさしていただきたいと思います。
 最近の自動車の激増に伴いますところの交通事故の増加というものは、全国の世論としてやかましく論ぜられまして、昨年の二月以来、この問題が政治問題として取り扱われまして、三十三年二月以降本委員会におきましても小委員会が設けられまして、いわゆる神風タクシー撲滅の方策につきまして、ただいま委員長をされております渡海小委員長の主宰のもとに、数次の小委員会が開催されまして、本問題につきまして同僚議員が真剣に論議をせられました結果、四月二十二日の小委員会におきまして、すでに決議がなされまして、その決議は、それぞれ所管の公安委員会あるいはまた運輸省方面にも、本問題の対策について十分に検討するようにというような意見で、地方行政委員会からそれぞれお手渡してあると思いますが、この点について、国家公安委員会として、あるいはまた運輸省としていかなる措置をとられ、いかなる趣旨の徹底をはかられたか、まずそれについて一つ御説明を願いたいと思います。
#6
○木村説明員 昨年の四月二十二日の衆議院の地方行政委員会の決議の趣旨に従いまして、国家公安委員会の管理のもとにおいて、私たち警察の側においても、交通事故防止に関する要領というものを細目にわたって制定いたしまして、それを各第一線の府県に指示いたしておりますので、この決議の中にありますような道路、交通環境の整備、安全運転の面、歩行者保護の徹底あるいは交通法令のPRというようなことについて、それぞれ努力して参りました。いろいろ手を打っておるのでありますが、特に交通取り締まりの警察の強化ということについては、現在交通専務員が全国で八千人ございます。その中で千百四十七台の白バイ隊を持っております。この白バイ隊によって、たとえば歩行者保護の観点から、砂利トラックなり、あるいは神風タクシーなり、這般の特に悪質な交通違反に対しては街頭で徹底的な取り締まりをいたしておるのであります。それ以外にさらに一般の外勤警察官に対して、極力専務の交通警察官とタイアップいたしまして、街頭指導なり街頭取り締まりに従事するように指導して参りました。さらに、何せ最近の交通事情からいたしまして、これだけの陣容ではなかなかうまくいきません、非常な手不足でありますので、昨年も一般の警察官の増員の中に交通警察官の増員というのを非常な大きなウエートとして予算要求いたし、また幸いある程度要求が認められたわけであります。来年度の予算要求においても、交通警察官の増員というような観点から、千七百六十名の増員というものを織り込んで、一般の警察官の増員とあわせて要求いたしております。また白バイ隊の充実についても、毎年二百台前後の増強をいたしておりますけれども、最近のカミナリ族の横行にかんがみて、まだまだ増強する必要もありますし、またオートハイが非常なスピードで走っておりますので、こちらの追っかけて取り締まる方も、十分に安定性を持った、できるだけ優秀な単車などで十分に取り締まりがやり得るような措置を講ずべく、また予算要求をいたしております。
 またそれ以外に、交通規制の面、いろいろな面において交通の流れを円滑にする、あるいは道路環境を整備していくというような点から、交通規制の強化というものをここ一両年相当増強いたして、一方交通とか、あるいは駐車禁止の範囲の拡大とか、這般の交通上の制限、こういうような面について相当力をいたして参ったような状況でございます。
#7
○梶本説明員 ただいま警察庁当局の方から、交通事故の最近の動向につきましてお話がございましたが、運輸省といたしましても、最近の事故の激増につきましては、まことに監督官庁として申しわけないことだと考えております。ただいまお話のございました、昨年来問題になりました、至るところ新聞紙上等におきまして、非常にわれわれにとってありがたくない名称でございます神風という言葉が、タクシーあるいはトラック等にかぶせられたのでございますが、運輸省といたしましては、昨年の六月に運輸規則の一部改正を行ないました。それは先ほどお話のございました交通事故防止対策本部の決定されました御趣旨にのっとりまして、運輸規則の一部改正を行なった次第でございます。
 タクシー等につきましては、一般世上にもずいぶん話が行き渡っておると思いますが、例の最高走行キロの制限を東京都においては三百六十五キロにするとか、あるいは京都、大阪、神戸におきましては三百五十キロの最高制限を設けるというふうなこともいたしましたし、あるいはまたいわゆるノルマの禁止というふうなこともわれわれとしてはいたしたわけでございます。その他過労防止のために適当な休養施設を設けるとか、あるいは乗務員の適正なる配置、それから乗務交番の適正化を期するというふうなことによりまして、従業員の過労からくるところの事故の防止というような手を打って参ったわけでございます。
 ごく最近に、長距離路線トラックにつきまして運輸省が監査をいたしました結果を、御参考までに申し述べたいと思います。ことしの六月と七月の二カ月を費やしまして、主として東海道、山陽道を運行しておりますところの長距離路線トラックの三十六業者を対象といたしました監査を行なったのでございますが、その結果、非常に悪いと思われる点、たとえば居眠り運転それからめいてい運転、そういったことが原因であると思われます悪質なる事故、それからまだ運転者の服務紀律が十分にできていないもの、それから乗務交番の適正化がまだ期せられていないもの、そういったことが交通事故に関係すると思われますので、さっそく監査の結果に基づきまして勧告を行なったような次第でございます。
 なお労務状況について申し上げますと、ただいま申し上げました会社の運転者を対象として監査をいたしたのでございますが、月間の平均の休日は大体三日でございます。実働も一日当たりの労働時間は十二時四十分、そのうちで乗務時間は七時間と三十分でございますが、この乗務時間の中には二時間三十分の仮眠が含まれております。それから十二時間四十分から乗務時間の七時間三十分を引きました五時間十分でございますが、これが乗務時間以外の時間になるわけでございますが、その中には洗車あるいは点検、休憩、こういったものが含まれておるわけでございまして、大体一般産業の平均が九時間というふうに伺っておりますので、それを少し上回った数字を示しております。
 それからよく問題になります、歩合給が多いから非常にむちゃな運転をするのじゃなかろうかというふうなお話もよく伺うのでございますが、この点につきましては、だんだんとよくなってきつつあるようにわれわれとしては考えております。今度の監査の結果によりますと、固定給と歩合給の差は三十六対六十四、固定給が三割六分、それから歩合給が六割四分、こういうことになっておりまして、全体の給与は三万一千八十六円、こういう数字を示しておるわけでございます。平均年令は三十四歳、それから勤続年数は平均七年、扶養家族は二・四人、こういった運転手の平均における給与が三万一千八十六円、こういう状態でございます。ただ、先ほど申し上げましたように実働時間が一般平均産業より上回っておる傾向がございます。全産業の平均が一カ月二百七時間、トラックの長距離運転の場合の平均は大体三百十時間となっておりますので、三万一千八十六円を三百十時間で割りますと、一時間が大体百円、こういうことになるわけでございまして、この金額は大体全産業の中間に位しておる、非常に飛び抜けていいわけでもないが、それほど下の順位でもない、かようにわれわれとしては考えておるわけでございます。もっともこの長距離路線のトラックは、トラック会社といたしましては非常に企業体の大きな会社でございますので、もちろんこれだけをもってわれわれとしては安んじて甘んじておるわけではございません。これ以外の小さな会社等もいろいろ事故を起こす率も多うございますので、その点につきましては私どもも、今までも十分に心がけて参りましたが、今後も事故の防止につきましてはより一そうの努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
#8
○内海説明員 先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、補足いたしまして、この前の当委員会の決議に基づきまして私どものとりました措置の概要を簡単に御説明申し上げることにいたします。
 道路の整備の決議につきましては、何分にも私どもの権限の範囲が狭うございますので、関係省と十分連絡をいたしまして、極力の努力はいたしておりますが、率直に申し上げますと、その成果はまだ目に見えるような形では上がっておりません。
 それから交通環境の整備につきましては、路上の放置物件の取り締まり、あるいは路上の放置自動車の取り締まりにつきましては、この決議をいただきまして以来、各県ともにきわめて積極的な努力をいたしております。特に路上放置物件につきましては、屡次取り締まりを徹底いたしまして、ある程度の整備はやり得つつある、こういうふうに考えております。路上放置自動車につきましては、法律上なお若干の問題点がありますので、目下道交法の改正案を検討中でございまして、その点におきましてさらに強くその措置を盛り込みたいと考えております。その他警音器の問題につきましては、御承知の通り騒音防止運動を大幅に展開いたしまして、これも大都市におきましては、在来の状態に比べますと五分の一、あるいは十分の一以下の状態に押えておるかと考えております。
 三番目の運送事業の適正化につきましては、ただいま自動車局の業務部長から御説明がありましたように、主として神風タクシー、あるいはその他につきましての措置をとりまして、着々その成果は上げつつありますが、なおその効果に至りましては今後の問題に属するかと考えております。
 自動車の安全運転につきましては、先ほど局長が申し上げましたような形で取り締まりをいたします。歩行者保護の点につきましては、さらに今後の道交法の改正と相まちまして徹底する方策を続けていくつもりでございます。
 以下われわれの仕事に属する点につきましては、いろいろな形をもってその仕事を展開いたしておりますが、ここで率直に私どもお願い申し上げておきたいことは、どういたしましても、交通問題というものはいろいろな方面にわたりますので、警察取り締まりだけをもってはその成果に限度があるという点でございます。そういう点を加味いたしまして、今後の道路交通取締法の改正におきまして、相当そういうふうな点の改善も考えていくべきではないか、また各省とも諸般の点につきまして検討をお願いしておきたいと考えます。
#9
○亀山委員 ただいま内海交通課長から、わが小委員会の決議に対しての御説明がありました。今のうちで、路上放置物件の問題については確かに前よりやや改善されたと思います。えらいよいよなったようなお言葉でありましたが、私どもそうは思わぬ。警視庁管内を見ますと、他の府県よりもこれはややよくなっております。けれども、警視庁管内を見ましても、それはもう一度よく見てもらいたいと思うけれども、あれではほんとうに放置物件の取り締まりをしたとは思えぬ。しかも消防活動の点を考えますと寒心にたえない。いま少しこの問題に力を入れていただきたい。これは今申し上げたように、東京都内においてはややよくなった。しかし全国的に見ますと、あまりそう改善の跡はない。交通専従巡査の取り締まりにばかりまかせることなく、一般の警察官もこれに対して協力するように特に御指導が願いたい。あとで機会を得ますれば、陸運局関係当局に、車庫なし自動車の取り締まりの問題をお聞きしたいと思うが、警察庁として、いわゆる交通警察としてみずからの手でやり得る最も大きな仕事は、私は路上放置物件の取り締まりだと思う。これによって、今の交通警察問題、今の交通事故防止のために私は多少の交通警察官の増員はやむを得ぬと思う。このまま放置できません。従って交通事故の防止及びこういう意味の路上放置物件の取り締まりに対して、もう少し力を入れて一つ調査していただきたい。これは私は警察庁としてまず第一に励行なし得る交通事故の防止だ、かように思うので、この際特に公安委員長のこれに対する御所見をお伺いしておきたい。
#10
○石原国務大臣 先ほど来当局からお話し申し上げておりますように、最近の警察関係の仕事として一番懸案となっておりますのは、交通警察の問題ではないかと思います。ただいまいろいろお話もございましたが、何といいましても、交通取り締まりに当たりまする警察官の教養並びに増員、こういうことについても考えなければならないと思っておりますし、本年度からいろいろお世話を願っております警察官の一万名三カ年増員計画を、三十五年度におきましても強力に推進いたしまして、この中で適当な人員を交通警察の方に振り向けていきたいと考えております。
 それから道路交通取締法を通常国会には必ず提案して御審議を願いたいと思っております。これらの措置によりまして、さらに一そう取り締まりの徹底を期していきたいと思います。
 それから今お話のございましたように、これらの問題は、やりようによってまだまだ私はやれると思います。国家公安委員会におきましても、いつも
 一番話題になっておりますのは交通警察の問題であります。しろうとの方でも一番よくわかる問題で常に話題になっておるのでありますけれども、今後とも御趣旨を体しまして物件放置なり、さらに一般の交通取り締まりについて一そう徹底を期するように十分注意をして参りたいと考えております。
#11
○亀山委員 今公安委員長からも、われわれが全く賛成するような御答弁がありましたが、この問題は、実際は、交通事故防止というのは、一般民衆の社会道徳の高揚という問題である程度解決できると思うのです。ところが実情を見ますと、とてもできない。この際、やむを得ないから、結局交通警察官の増員によってこれを処置せざるを得ない。先ほど保安局長の御説明のよらな交通事故の監査、これによる損害、及び最も遺憾とする多数の死傷者という問題を考えますと、どうしてもこれを未然に防止して、今激増しつつある自動車交通事故を防止することが、私は何よりも公安上大事だと思うのです。われわれはできる限りの協力を惜しみませんから、この交通事故防止のために、交通警察官の増員をこの上とも一つ強力に御努力願いたいと希望申し上げておきます。
#12
○安井委員 ちょっと関連して。きょうの内容につきましてお聞きしたい点が数点ありますけれども、公安委員長は今お帰りの時間だそうでございますので、一点だけ石原委員長にお伺いしたいわけです。
 交通事故の非常な増加、一年間に十四万人もの人が死傷するといったような事態の中にわれわれ置かれておりまして、もう、うかうか道路も歩くわけにもいかないし、車に乗ってもあぶないし、あるいは省線電車に乗っていても、都電に乗っていても、いつ何どきどうなるかわからないといったような、戦国時代の中にわれわれいるような気がするのであります。そういう祭におきまして、国家公安委員会が取り締まりの立場に立つわけですし、それから運輸省もそれらの事業全体の指導監督の立場に立っているわけだと思います。これは単に取り締まりの面だけが強化されましても、事故が減少したりなくなったりするということはとうてい考えられませんし、あるいはまた運輸省が幾ら力んでも、現在担当されている業務部門だけで事故を完全に防ぐということはできないと思います。そういうような意味では、やはり取り締まりの当局と運輸省の当局、その他関係のいろいろな諸官庁が緊密な連絡をとって問題の処理に当たるのでなければならないと思います。たとえば事故が起きまして、その事故の原因が十分に探究された末、これは営業者の労務管理の問題でありますとか、その他営業業態の中に問題があるというふうな場合も非常に多いと思うのです。そういうような場合には、すぐに警察当局から運輸省へ連絡されまして、適切な措置がとられる。こういったような非常に緊密な連絡というものがなければ、つまり総合的な対策というものがなければ防げないと思うのです。そういうような意味におきまして、国務大臣というお立場からも、これは政府自体としても非常に大きな問題だということを一つお考えをいただき、対策を立てていただかなければいけないと思うわけでございますが、それについてのお考えを一つ伺いたいと思います。
#13
○石原国務大臣 ただいまお話しのように、運輸省といいますか、陸運事務系統と交通警察関係との緊密な関連を持ってやらなければならないことは言うをまたないところと思うのであります。実は私も、この問題につきましては、運輸大臣とも時おりいろいろ話し合っておるのでありますが、連絡を密にいたしますことはもちろんのこと、機構の問題におきましても、いろいろ検討しなければならない問題が私はあるのではないかと思います。御案内のごとく、昔は交通関係に関するものはほとんど行政警察として警察が主管しておった面が非常に多いのでありまして、運輸事務と分かれた形になっておるのでありますけれども、交通の問題がこれほどやかましい、また危険な問題になって参りますれば、いわゆる行政警察としての交通警察という面で、もう少し伸ばしていい部門が相当あるのではないか、直接衝に当たらないにしても、意見を述べるとか。意見を徴してもらうというようないろいろな問題があると思うのであります。そういう問題についても、事務当局同士のいろいろな話し合いをある程度研究をさしておりますし、運輸大臣ともいろいろ話し合いをしておるわけでございます。また、皆様方の御意見等も参酌いたしまして、連絡を密にしていくことはもちろんのこと、機構上の問題につきましても、私は、ある程度の考慮を払っていかなければならぬ面が相当あるのではないかと考えておりますので、いずれ別な機会にいろいろ御意見を承りまして、こういう問題に対処していきたいと思っております。
#14
○安井委員 今大臣の御答弁がございましたが、交通事故は表を歩いているときだけの問題ではなしに、家の中にいても交通事故があるわけです。トラックが飛び込んで来たりするわけですから、交通事故という言葉が当たるかどうか知りませんが、座敷の中で飢を食っていて交通事故にあうというような事態にまでなってきているわけです。そういうような意味において、今の話し合いをするとか、連絡を緊密にするとか、それもけっこうなんですが、もう少し恒久的な、機構的な立場で対策をお進めになるというお考えはありませんか、さらにお尋ねをしたいと思います。
#15
○石原国務大臣 御案内のように、交通事故防止対策本部というものがありまして、そこでいろいろやっておるわけでございますが、今ちょっと申し上げましたように、あなたがお話しになったような機構的その他の問題についても、私なりの一つの構想を持っておって、いろいろ話をやっているわけでありますが、御案内のごとく、行政部間の問題というものはいろいろ関連するところが多いのでありまして、私の考えているような構想通りにいくということもなかなか具体的にはむずかしいと思います。また、固まらない前にいろいろ構想を何していたずらに問題を起こしてもいかがかと思います。警察並びに運輸行政、さらには道路等の問題も関連を持つと思うのでありまして、この問題は、道路交通取締法なんかを御審議願う契機に具体的に取り上げていろいろ御検討を願い、ともどもに何らかの筋の通ったものにしていかなければならぬと考えているということを重ねて申し上げまして、お答えにさしていただきます。
#16
○加藤(精)委員 非常に簡単にやります。道路交通取り締まりにつきまして、子供でも、ばかでもわかることが、そのままほったらかしてあるような気がする。狭い道路に大きなバスを許可するなんというばかげたことがその一つ。それから、そういうところに建物を建てて見通しを悪くすれば必ず自動車の事故が起こるのに、そういうものをどんどん建築させているということが一つ。それから、青少年がスリルをおもしろがって人に迷惑をかけるようなことを可能ならしめている。そういう速度が出る自動車ないしオートバイを作らせるということは、ずいぶんばかげたことと私は思う。大体速度のあまり出る構造の自動車、オートバイを作らせなければ、カミナリ族というものは起きない。私は九十五キロとかなんとかいうことを聞いたことがあるけれども、カミナリ族やマッハ族の目標はもっと上にあるようです。そういう自動車を作らせることがそもそも間違っている。日本の道路は非常に悪いということを言いながら、世界的なスピードのまねをすることを放任しておくのは取り締まり当局、政府の怠慢というものだと思う。そんなような気がします。さらに警察の方では取り締まらなければならぬから、警察用の車や、それから道路のいい外国に国産自動車をどんどん売り出すことは、わが国経済のホープだそうですし、トランジスター・ラジオとともに将来一番輸出が伸びるものだそうですから、それは百十キロなり百四十キロなり――時速百四十キロなんというものは作れないものかもしれませんけれども、何ぼ天井まで作ってもいいのです。日本の道路の非常に不完全でそして狭隘であるところに、そんな速力の自動車の製造を許可するということが間違っているというふうに思うのですが、そういうような点、何か抜本的な、速効散で根治薬のような法律をもっと大臣の方でお考えいただきたいと思います。そういうしろうとでもわかるようなばかなことをしているということ、たとえば学生の登山です。あんなものは、快感を味わらために、小説家が登山についてのおもしろいような小説を書くと、それに心酔して、そんなものに非常に刺激されたと思うのです。そんなものを、本人は非常に快感を感ずるでしょうけれども、そのためにどれだけ家族や友人や、一般の観光関係者、官吏、公吏その他みんなが非常に心配し、憂い悲しむものを、ほったらかしておくというのは政治じゃないと思うのです。学生登山禁止法というと悪いけれども、天候の関係で測候所がだめだというときに、その禁止に従わない者はもはや重罪に処する。あまりにあっちこっち文化人の顔色なんかうかがいながらやる政治は、そんなものはほんとうの人民の幸福を守るわけじゃないということを考えております。特に昔の都道府県知事、地方長官というものは、これは皆さん御承知のごとく、警察も、それから市街地建築物行政、道路行政、運輸行政、かなり広範な力を持っておった。そういうようなことの連絡が非常に悪くなっておる。そういうことについて、もうちょっと抜本的な改革を加える。私たち地方行政の部会で道州制論なんというようなものを非常にまじめに考えておるのですけれども、そういうようなことを考えざるを得ない時期になった。そういう点でもうちょっと抜本的な、そして速効散で、根治薬であるような政策を至急にまとめていただくために、特別の努力をして下さる御意思があるかどうかを一つお聞きしたい。
#17
○石原国務大臣 先ほどからちょくちょく申し上げておったのでありますが、ただいまの交通あるいは運輸の行政全般の問題につきましては、今の登録の事務であるとか、あるいは車体検査の事務であるとか、こういうものが今のままの形でいいのかどうかということについても、いろいろ問題があるという私も意見を持っております。それから乗り合いその他の営業の免許に際しまして、通れないようなすれすれのような、道一ぱいのような大型バスが至るところ運行しているとか、ああいう事態につきましても、もう少しやはり公安委員会の意見を徴するとか、あるいは同意を得るとか、そういうようなことも一つの問題じゃないだろうかと思います。それから先ほど来言われた建築の部門についても、町かどに方々の見通しを害するような建物ができるようなこともあるのでありますから、そういうような問題についても、公安委員会等の意見を求められるとか、都市計画あるいは道路上の問題建築上の問題等についてもいろいろあると思います。そういう問題全般につきまして、私、いろいろ研究を命じてはおるのでありますけれども、関係各省と関連する問題も非常に多いのでありまして、でき得れば、むしろこういう委員会等でいろいろ御検討をいただき、鞭撻をいただくということになれば、非常に仕事を推進する上において便宜じゃないか。登山の問題はこれは少し路線をはずれておるように思います。
#18
○渡海委員長代理 加藤君、簡単に願います。
#19
○加藤(精)委員 大臣たちは相当利口ですから、閣議で大臣たちが御相談なさるとき、こういうことをやったら名案じゃないか。たとえばあの花火製造所の取り締まりなんかは、長いこと通産省でやっておった。ところが、これはさっぱり実効が上がらぬで、ところどころ大爆発をやらかして人を殺傷しておる。これは通産省という役所の花火加工工場の取り締まりについて勤務評定をしてみると、落第点です。こういう仕事は警察がやると従来非常にうまくいっておったのであります。勤務評定で落第した省はその仕事を他にくっつけるということをする。それから自動車の許可とか取り締まりとか、こういうようなことは運輸省は落第点だと、正真のところ私は思う。だから運輸省からもうとってしまう。何で落第点であるかというと、狭いところを大型のバスなんかどんどん通す。これは子供でもばかでもわかる。こういうように実際の運用においてばかなことをやっておる。勤務評定をやると運輸省は落第点です。しかるがゆえに警察に移す。そういうように一つ一つ勤務評定をやる。自動車が生まれてから何十年にもなるのに、何でもないことで許可、認可など引き延ばしたりする。そう言うと、あとから大へんしかられるかもしれませんが、とにかくいろいろな点で自動車行政については運輸省は落第点だというふうに、こうやって勤務評定をしてみて、そして成績の上がらなかったところは他省に移すということを閣議で御相談になることを希望します。
#20
○石原国務大臣 今お話しになりました危険物警察についても、今通産省と話し合いをやっております。戦後警察の面が非常に制約を受けておりますけれども、交通とか、危険物とか、あるいは保安警察については、もう少し行政警察の面が伸びていいのじゃないか、伸ばすべきだという考えで私はおりますので、皆さん方の今後一そうの御鞭撻を願いたい。
#21
○田中(榮)委員 それでは交通警察と陸運行政の本論にまた戻しまして、ただいま木村局長なり交通課長から、本委員会において決定いたしました決議の内容の今後の進め方その他につきまして詳細御説明があり、また運輸委員会におきましても、昨年の四月十七日に小委員会が開催されまして、やはり陸運行政についての、これは決議はありませんが、小委員会におきまして報告があったのでございます。ただいま御説明になりまして、大体小委員会の決議の内容につきましては、相当尊重されましていろいろ実施せられております、今度の道路取締法ですか、それぞれその趣旨によってできたものと私は解釈いたしまして、今後こういうふうな精神を尊重して十分に一つ御検討のほどを願いたいと思うのであります。
 そこでまず第一にお伺いを申し上げたいのは、最近におきまして白タクシー、共済タクシーが非常に横行いたしまして、去る十月一日には、運輸省の国友自動車局長以下が横浜、鶴見、横須賀方面に夜、御自身出張されましてお取り締まりになったと思うのでありますが、最近の報道によりますと、東京都タクシー運転手共済組合は、十月二十九日再び運行を開始するという声明を発しまして、そして堂々と今後この共済タクシーを運転するということを中外に声明したのであります。私どもは、この共済タクシーの実態につきまして、その当時からこれは違法であるということをはっきりわれわれは確認をいたしておったのであります。さればこそ法曹団におきましても意見書を出しまして、この共済タクシーは違法であるということをはっきり声明をされております。どこに違法があるかと申しますと、この共済タクシーは、一般の乗客を組合員と仮装いたしまして、そして第一回の払い込み十円として、組合員としてこれを見なしまして、その組合員だけに便宜乗車せしめる、こういう建前で進んでおるのであります。しかるに組合というものは、総会とか、あるいは法律によってきめられたいろいろな会合がありますが、その会合もできない組合というものが、はたして法にいうところの組合と言えるかどうか。それから第一回の払い込み金を十円ずっとっても、第二回以降の払い込み金をどうして払い込ませる方法があるか、一回の通知状を出す費用にも十円では足りないのであります。それからまた、はたして乗客が組合員として届け出る際に、ほんとうの名前を名乗るばかがどこにあるか。あるいはアベックの男女が車に乗ろうとするときに、ほんとうの名前を真実報告するばかがどこにあるか。かようなことを考えますと、常識的に考えましても、私は共済タクシーというのは違法であるということを考えておるのであります。
 しかるに現在全国に違法タクシーと思われるやみタクシーが盛んに横行している。現に国友自動車局長が視察されておる。この違法であるということがはっきりしているにかかわらず、警察当局はなぜ早くこれを違法であるとして取り締まりをしなかったか。今日違法タクシーが横行しているのは、警察の取り締まりがその直後にすぐなし得なかった、法律的にどうだこうだというようないろいろな解釈から取り締まりが非常にずれておった。先月でありましたか、何でも新宿三光町における組合の事務所を手入れいたしまして、そして三人の幹部を逮捕しております。かようなことをなぜ早くやらなかったか。これにつきましては、警察としても少し手の打ち方がおそかったのじゃないか、今日のやみタクシーの横行は警察の責任にあるのじゃないか、かように私は考えるのでありますが、その点について一つ木村局長から御答弁願います。
#22
○木村説明員 ただいまの共済組合のやみタクの問題でありますが、これにつきましては確かに非常に目に余るものがありまして、警察としてもいろいろ注目いたしておりました。すでに御案内の通り、道路運送法第四条による運送事業をやる場合には、運輸大臣の免許を要するわけで、これにも明らかに違反になりますし、さらに百一条の自家用自動車が有償行為で運送してはならない、こういう法にも違反するわけです。この点につきまして、実は運輸省あるいは法務省あるいは検察庁とも当初から非常に密接に連絡いたしておりました。しかし、ただいま田中先生から御指摘のように、取り締まりを具体的に開始したのは確かに相当ずれておったことは事実であります。その一つの事情といたしましては、御案内の通り、この共済組合のやみタク、あるいはそのグループの動きというものの一つの大きな関連事項といたしまして、輸送事業に関する個人営業というものを認めてもらいたい、こういうような大きな動きが一つの問題として関連してきておったわけであります。これに関しましては運輸省といたされましても、いろいろ研究をしておりまして、その問題について、実際は具体的に明確な回答がなかなか出ていなかったのです。そういう事情もありまして、若干その問題も事情を含みながら情勢を待っておりました。それからもともとこれは第一次的には運輸省の所管といたしまして、運輸省が厳格な態度をもって、その違反に対しましては行政処分をするなりあるいは告発をするというのが一応の前提であると思います。その運輸行政の第一次の所管官庁において十分にそれが果たし得ない。警察の協力を求めて、捜査の段階においても十分に協力しなければならないというような状況に至れば、当然法執行の機関でありますところの警察が、十分にそれに積極的にタイアップして参らなければならぬのであります。そういう事情も若干見ておりました。それから率直に申し上げまして実は法解釈がなかなかむずかしい問題もありまして、法務省あるいは最高検察庁との打ち合わせにおいても、ある程度の結論が出るまでには相当日にちがかかりました。この点については、若干事務的に満点でなかったかと思いますけれども、事実若干この点についてタイミングがおくれたということがあります。
 さらにもう一つの問題といたしましては、警察がそれについてタッチいたす以上は、捜査の問題でありますけれども、証拠収集が要るわけであります。街頭において有償運送の違反をやっておるからといって、すぐそれをつかまえてやるのには、今後の起訴あるいは公判維持という観点からいたしまして、どうしても捜査の証拠資料、証拠物件、その他の傍証を十分に固めて、むしろ問題の中心というものの実体をえぐるというような捜査の資料収集ということからいたしましても、相当の時間が要るわけであります。現に警視庁といたしましても、ここに警視庁の交通部長が見えておりますけれども、一カ月の期間にわたって相当の取り締まり班を専従させまして、ずうっとこれについて内偵をいたしておったたのであります。そうして資料が固まりましたので、これについてはっきりした材料を持って中核を追及したような事情であります。
 結論的に言いまして若干おくれたことは御指摘の通りであります。決してこれを見のがすという意味でおくれたのではないことを御了承願いたいと思います。
#23
○田中(榮)委員 ただいまの御説明で、大体共済タクシーの法律的解釈が、法務省の見解であるとか、検察庁の見解であるとか、そういった意見の一致を見るために相当おくれたということについてはよくわかるのでありますが、運輸省といたしましてこの問題が起こったときに、国友局長が行かれたのが十月の一日ごろだと思うのですが、この点、この問題が起こりましたのは、おそらく昨年の秋ぐらいから起こっておった問題だと思います。それ以後ようやく一年たってから国友局長が現場を視察するなんということが、すでに私は運輸省としても少し手ぬるいのではないか。なぜもっと早く手を打たなかったがということを、われわれは非常に不思議に思うくらいでありますが、その点について業務部長から御説明をいただきたいと思います。
#24
○梶本説明員 共済組合の実態につきましては、ただいま先生が非常に詳しく論じておられるところでございますので、あらためて繰り返すことはいたしません。この問題が起こりましてから、警察当局と運輸省がお互いに手をこまねいて何らの連絡もなしに事態の推移にまかせておったというわけではございませんので、その点につきましてはどうぞ御了承を得たいのでございますが、十分に連絡をとってやっておったのでございます。ただ、法解釈の問題につきましていろいろ詳細に検討をしなければならぬ部面がありました関係上、御指摘のように見受けられる点もあったことは、われわれとしては非常に遺憾なことであったと考えておりますが、今後この問題につきましては、十分により以上の対策を立てていきたい、かように考えております。先ほど保安局長からもお話がございましたが、二つの問題がある。一つは、天下晴れて個人免許を獲得しようという道路運送法に正面から四つに取っ組んだ問題、一つは、道路運送法をもぐって、もぐり営業をしていこう。それが自家用の共同使用であるとか、あるいはまた共済組合組織によるとかいうふうなことがございますが、とにかく頭から道路運送法というものを無視してかかろうという問題、片一方は正当に免許を天下晴れて得ようとする、その二つの火が噴火山からふき出しておったような形でございまして、遠くからながめました場合には、その噴火山の火というものがどっちの火であるかわからないというようなこともあり、また世論としても、一般のマスコミ等におかれましても、この問題を混同して論じておられたようなきらいがあるように見受けられます。ところが、この問題はやはり厳格に区別さるべき問題でございまして、個人営業獲得の問題と白ナンバーのもぐり常業の問題は明らかに区別さるべき問題である、かように考えておるわけでございまして、先ほど保安局長のおっしゃいましたように、私どもとしては、特に東京都内のようなところにおいて個人タクシーに踏み切りますにつきましては、やはりいろいろな問題があったわけでございまして、その点を検討しておりますことも事実でございます。しかし今日におきましては、個人営業を天下晴れて認めよう、それによって業界に新風を吹き込もう、こういう大臣声明もなされましたことでもありますし、また現に個人タクシーの聴聞会も開始をいたしておりまして、できるだけすみやかに免許をいたしたい、かような方向でただいま事務当局は鋭意進めておるようなわけでございます。片一方で個人タクシーの道を開くわけでございますから、取り締まりの方は断固として取り締まる、これで初めて行政が完璧を期し得るものだと私どもは考えております。今後もより以上警察当局のお力によりましてこの問題を円満に解決していきたい、かように考えております。
#25
○田中(榮)委員 大体了承いたしたのでありますが、最近におきましては、都内のハイタク三団体が今の共済タクシーに対抗いたしまして、寄り寄り深夜運転を開始いたしたいというような話し合いがあるそうであります。需要者側から申しますと、深夜運転をしてもらうことはけっこうでありますけれども、こうした問題までいかなくて、やはり違法なものならばこれをびしびし取り締まりをされて、そうしてただいまお話しのような正当なる、天下晴れてのタクシー営業を早く許可していただいて、そうして利用者の要望に応ずるような措置を願いたいと思うのであります。
 次にただいま業務部長からお話がございましたが、個人タクシーの許可の問題につきまして、ちょっと御意見を伺いたいと思うのでございます。さきに東京陸運局におかれましては、自動車運送協議会が決定しました二千八百両の増車を取り上げまして、そして二千八百という数字に基づいて、現在個人タクシーなり法人タクシー等の許可をすべくいろいろ準備されておるのでありますが、現在の東京――大阪もそうでしょう、六大都市みんな同じような状況でございますが、現在の東京都の人口比率から申しまして二千八百台でいいものかどうか。この自動車運送協議会が二千八百台という答申をされた数字の根拠というものは、どういうところから割り出されたのであるか、それを一応御説明願いたいと思います。突然この二千八百台という数字が新聞紙上に発表されまして、一体二千八百台という数字は、今日の大東京都の需要にそれでよろしいのかどうか。多過ぎるのかどうか、少な過ぎるのかどうか、われわれしろうとでわかりませんが、ただ最近の利用者側の希望から申しますと、できるだけ便利にタクシーを獲得いたしたいというのが利用者の希望でございまして、利用者側から率直に申し上げますと、個人タクシーであろうが、既存のタクシーであろうが、あるいは新しく許可されるタクシーであろうが、その経営主体のいかんを問わず、利用者が利用できればよいというのが利用者の一般の考え方でありまして、陸運局といたしましては、この機会に運転手の多年の夢を実視させるという親心から個人タクシーを許可しようということは、私は非常にけっこうなことであると考えておりますが、現在の人口数、現実の需要度、そういう点から見まして、二千八百台という数字が出ました根拠を少し御説明願いたいと思います。
#26
○梶本説明員 このタクシー問題というものは、非常にいろいろのむずかしい要素を持っておる問題でございまして、自分のことを申し上げて恐縮でございますけれども、現に私が大阪の陸運局長をいたしておりまして、在職中に京都、大阪、神戸の増車を約一千両行なったのでございますが、そのときの経験にかんがみてみましても、増車を一挙にするということは、いろいろの問題をはらんでくる問題でございます。ただ私どもとしては、やはり世の中が進んでいくという事実を十分に認識して、ハイタクの需給状況というものを常に考えていかなければならない。と申しますことは、長い間、たとえば数年間、人口がふえ、経済活動が活発になるというのにもかかわらず、一両の増車も行なわれていなかったというところにいろいろの問題が伏在しておったのではないか、かように考えておるわけであります。そういった社会、経済的な背景のもとに白タクというふうな問題も生まれたのではなかろうかというふうに、運輸省当局といたしましては、率直にただいま自己批判と申しますか、反省をいたしておるわけでございまして、そうして東京都の場合も、お説のように昨年すでにハンカチ・タクシー等によって、世上いろいろとこのタクシー問題の需給が世論に上がったことは事実でございます。私どもも十分そのことを承知いたしておるわけでございますが、現在の道路運送法のもとにおきましては、自動車運送協議会に陸運局長が諮問をいたしまして、委員九人、その委員も学識経験者、関係官庁というグループの方々が三人、利用者代表が三人、業界代表が三人、一般に業界代表はトラック関係から一名、ハイタク関係から一名、バス関係から一名、こういうふうな構成になっておりますが、三、三、三の比率で委員会が構成されておる。その上に、その地方々々の問題を論議する場合には臨時委員として三人を置く。しかもその三人の委員も、ただいま申し上げましたようなグループごとに一名ずつが出されるというふうなことで、この協議会の構成がなされておるわけでございまして、この協議会が御審議いただいた結果を陸運局長は尊重しなければならない、こういう法律の表現になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、二千八百両という答申が出されましたのにつきましては――もちろん私は協議会に列席したわけでもございませんが、おそらく最近における経済状況の動向、特に経済活動が活発になってきておるということによる需給のアンバランス、それから最近数年間東京都内においては増車が行なわれていなかったというこの客観的事実、しかも片や白タクだとかいろいろのものが出て、それが案外と世論の支持を受けておるというこの事実、こういった観点からいろいろと御検討の上に答申をちょうだいしたものだと私は考えております。
 それで、東京には現在二十三区におきましては一万二千百二十五台というハイタクがあるわけでございますが、大体一車当たりの人口で申しますと、六百三十五人に一車、こういうことになっておるわけでございまして、この点は他の六大都市に比べますと、やはり一車当たりの人口は少な目になっておりますけれども、やはり東京は政治の中心であると同時にまた経済の中心でもございます。地方からおいでになる方も非常に多いわけでございますから、夜間人口というふうな静態的な数字からの比較だけでは必ずしもでき得ないかもしれませんけれども、数年間増車が行なわれなかったところに今度増車を行う、やはり一挙にそう大幅な増車を行なうということが、たとえば運転手を雇い入れなければならぬとか、いろいろの面等もございますので、私としましては、おそらくいろいろの観点から御検討になった上、妥当な数字としてこの二千八百両の答申をちょうだいしたものだ、かように考えておるわけでございます。
#27
○田中(榮)委員 今回の免許申請は、道路運送法の第六条第一項第二号の「当該事業の開始によって当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること。」この規定から運輸大臣が自由に判断をされまして、三千台であろうが、千台にしようが、これは運輸大臣の裁量にまかされておるのでありまして、私は、今この二千八百台が多いとか、少ないとかいうのでなくして、もしこれによってやるとしたならば、かりに年末年始等における非常に需要量が多いときに、はたしてこの二千八百台でいいか悪いか、こういう問題が起ってくるわけであります。最近、既存の業者の中で、一つ免許に弾力性を持たして、一千台くらい臨時増車をやってくれぬかという声があるわけでありますが、利用者側といたしましては、楽に、自由に、簡単にタクシーに乗りたい、また乗れることが希望する状態でございまして、私は、この免許というものは五年間だけくぎづけにするとか、あるいは十年間をくぎづけにするというだけでなくして、社会情勢の推移によりまして、弾力的に臨時増車というようなものを認めることが、陸運行政としてはほんとうに社会の要求に合致したものじゃないかと考えておるわけであります。その点につきまして、陸運側としましては、なるべくなら少なく、三百台ぐらいにしようとか、あるいは五百台ぐらいにしようとかいう意見があるようでありますが、私は、臨時増車でありますから、こういうものにつきましては需要者側の意見、希望、要望というものを十分に御参酌願いたい。同時に、これはあくまで臨時増車でありますから、一定期間が来たならば必ず鑑札を返してもらう、これは一つぜひ励行さすべきじゃなかろうかと思います。
 それから先ほどの二千八百台の免許につきまして、巷間うわさされるところによりますと少なくともタクシーの鑑札、いわゆるナンバー・プレートは一枚二百万円ほどに評価されるということであります。従って、二十台の免許を受けたならば、少なくとも四千万円の財産が評価される。しかも免許された者が、実際自分がやらずに、これを他人に譲渡した場合におきましては、少なくとも四千万円から七、八千万円の価格によってこれが他へ譲渡できる。いわゆる権利売りといいますか、権利の売買によりまして不当な利得を得ることになるわけであります。従いまして、そういう点を十分に御観察の上で、陸運局において免許をされるものと私は考えておりまするが、かかる免許につきましては、あくまで慎重に、実際に運営をやる能力のある者、また意思のある者について一つ御審査を願いたい、かように考えておるのでありますが、この点についてはいかがでありましょう。
#28
○梶本説明員 ただいまお話しの通りでございまして、私自身現地の陸運局長としてやりました際にも、先生のおっしゃいましたような心がけでやって参りましたわけで、幸い免許いたしました者全部無事営業を開始いたしまして、今日それぞれ成果を上げておるということを聞きまして、私も喜んでおるわけでございますが、特に東京におきましては、世論注視の中で増車を取り扱い、増車が実施されるわけでございますので、先生のお話の通り、われわれとしては慎重の上にも慎重な態度でこの問題を処理していくべきである、いかなければならない問題である、かように考えておるわけでございます。
#29
○田中(榮)委員 さらに一つ、こまかくなるのでありますが、今回のタクシーの個人営業の免許につきまして、聞くところによりますと、道路運送法第六条の規定に基づきまして、まず運転者の個人の性格その他について御審査をなさるそらであります。まず申請者の経歴と職歴、第二は運送技術の優秀性、第三には人物と順法精神、第四には一般教養、第五には賠償能力、この五つが審査の基準になるのでございますが、申請者の経歴、職歴はわかるといたしまして、運送技術の優秀性というものにつきましては、その免許証の経歴、何年間運転をやっておったかということについてやるのでありますが、先般参議院の運輸委員会におきまして、社会党の重盛委員からの質問で、四十才以上、また優秀マークをつけた者だけを陸運局においては認可するという御方針のようで、四十才以上で優のマークをとった者だけを先に聴聞会を開いたということを聞いておるのでありますが、これ一つの方法でありましょう。重盛委員は、そんな者だけに許可されては困る、優でなくたってもっといい者があるのだ、こういう御質問のようでありますが、この点についてはどういう御意見であるか。
 それから、その人物と順法精神となっておりますが、これは免許証を見て、違反がない者は順法精神が高い者だと一応見るが、人物の考査というものはどうしてお調べになるのか。警察庁とも連絡をとって、警察庁が調べるのであるか、その辺のことを一つ承りたい。
 次に賠償能力でありますが、本人の資産、資力の点、また自動車損害賠償保険に加入しているかどうか。それからまた運転者個人がいわゆる損害賠償の保険会社との契約をしておるかどうか、契約をするとしたならばどの程度の契約をさせることが必要であるかどうか、その点について一つ御意見を承りたいと思います。
#30
○梶本説明員 第一のお話のございました運転技術の優秀性の問題でございます。この問題は、端的に申しますと、過去において責任事故を起こさなかった人、これが私、一つの要件になると考えております。また事実そういう面等から聴聞会等におきましても審査を進めておるわけでございます。
 それから人物はどうしてわかるか。その短時間の面接だけでわかるのかと言われますと、まことにこの点につきましても、その人間を一人々々の人格者として考えます場合に、そう短時間の面接によってあるいは十分なる調査もでき得ないかもしれませんが、こういう方法を今回はとっておるわけでございます。それは聴聞会に入る前に、ちょうど私どもが二十何年か前に採用試験を受けます際に、いろいろと身上調査的なものを書かされた記憶があるわけでございますが、同じような考え方で、いろいろのこと、聴聞会等において聞くであろうようなこと、あるいはまたそこで聞いておっては非常に時間がとられるような事柄につきましては、あらかじめ項目的に書いてもらっております。それによって、その文章の表現だとか、字の書き方だとか、そういったいろいろのことから総合的な判断をする以外に、この問題はないのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
 最後の賠償能力の問題でございますが、これは御承知の通り、今から三年前に自動車の損害賠償責任制度ができましたので、あの法律ができない前の個人タクシーと、できてから後の個人タクシーとでは、やはり違ってくるのじゃないかというふうな考え方を私ども持っておるわけでございまして、この点につきましては、保険に入ってもらうことを条件にして、私どもは免許を考えておるわけでございます。当然現在の保険制度が自動車についても行なわれて参りましたので、それを活用することによって賠償能力という問題はカバーしていきたい、かように考えておるわけでございます。
#31
○田中(榮)委員 そこで今度は免許された後の運輸省の規制の方法でありますが、運輸省といたしましては、事業の譲渡、相続を禁止する。これは一人一車一代限りという方針でありますからごもっともと思います。そこで個人運転手というのは非常に資力信用が少ないものである。それから燃料の獲得そのほかいろいろな点につきまして、ある数人が共同をして将来運営に当たっていこうじゃないか、たとえば燃料も共同購入することによって非常に安く買える、それからまたいろいろな点につきまして、お互いに共同して事業を進めていきたいというようなことが将来だんだん起こってくるのじゃないか。その場合において、これらの者が組合を作って、企業組合としてこれを運営していこうという形にもしなった場合においては、共済組合と同じような組織になってしまうのじゃないか。それからまた既存の営利会社のタクシー会社と同じことになってしまうのじゃないか。事業そのものの相続、譲渡は禁止されておりますから、事業そのものは他人に譲渡しなくても、同士が集まって組合組織でいこうというような場合も想像できるのでありますが、そういう場合においては、どういう御方針でこれを取り扱っていくのでありますか、お伺いしてみたいと思います。
#32
○梶本説明員 単独の個人で事業を遂行いたします場合よりも、ただいまお話しのように、共同して保険に入れば保険料金も安くなり、あるいはガソリンの購入その他資材の購入等にいたしましても、一緒に集めて買った方が安くなることは、私どももその通りだと考えまして、免許いたしました後のそういった運営につきましては、ただいま十分に検討をいたしております。たとえば東京都内一円を一つのそういう組合的なものにしたらいいのか、あるいは二十三区各区ごとにそういったものを作るという方が個人タクシーを認めた趣旨にふさわしくなるのか、あるいは警察署単位に交通安全協会というふうなものがあるようでございますが、そういった警察署単位の組合にした方がいいのか、いろいろなことが考えられますので、その点につきましてはただいま十分に検討をいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういった組合的なものを考えていく方がよりベターなのではないだろうかというような気持がいたしております。
#33
○田中(榮)委員 次に、個人タクシーは、他の運転者を雇用してはいけないということになるということでありますが、かりに本人が不測の病気になった場合においては、事業はそのまま停頓してしまうということになるのでありますが、そうした避くべからざる正当な事由によって運転のできなかった場合において、他の者をしてこれを代行させるということができるのであるかどうか、それを一つお聞きしたいと思います。
#34
○梶本説明員 その点につきましては、個人タクシーを認めて、しかもその個人が他に雇用者を持ち得るということになりますと、現在でも非常に問題になっておる労務関係と申しますか、労務状況がより一そう悪くなるのではないだろうか、大企業に雇われておる場合と個人に雇われておる場合と、そういう場合を考えますと、この問題は、われわれが再び繰り返してはならない大きな失敗をするようなことになるのではなかろうかという気持もありますので、ただいまのお話のようなことは考えていないわけでございます。またそうすることが個人タクシーを認めた趣旨にも合うのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。
#35
○田中(榮)委員 さらに一日の乗務距離についてお尋ねしたいと思うのでありますが、現在のタクシーは労務管理の意味、また運転者の身体擁護の意味からいいまして、一日三百六十五キロに走行距離が制限されておるのでありますが、今回の個人タクシーにつきましては一日八時間、百八十キロ、一カ月の走行キロ数がこれで四千八百キロということになるのであります。そこで会社経営のタクシーでありますと、労務管理等が非常に取り締まりがやりやすいと思うのでありますが、今後この走行キロ数の取り締まりであるとか、一日八時間の労働基準法にきめたところの労働就業時間の制限を守らせるとかいうことにつきましては、どういう方法でお取り締まりになるのであるか、その点について伺いたいと思います。
#36
○梶本説明員 会社を対象にいたしました場合に、走行キロというものを三百六十五キロ、こうきめたわけでございますが、それは一日十六時間勤務をいたした場合が三百六十五キロ、こういうふうな計算の基礎になっておることは御了承の通りでございます。一人一車でいきますような今回の個人タクシーにおきましては、やはり原則として一人八時間勤務ということが通例の状態だと考えますので、私どもとしましては、走行キロを大体たとえば百八十キロなら百八十キロ程度に押えるということによって、無謀な運転あるいはまたそれから起こる事故ということがないようにしてはどうだろう、かようにただいまのところ考えておる次第でございます。
#37
○田中(榮)委員 ただいまの私が申しました第二の、代行運転者は絶対に禁止する、それから一日の乗務距離数が八時間、百八十キロというような制限を設けておるのでありますが、これを取り締まるのは、これは運送法の建前から申しますと、運輸省が取り締まるということになるのでありますが、これにつきまして一体警察側としましてはどういう御意見をお持ちになっておるか。警察側でそれに対して臨時に検察、調査、臨検と申しますか、検査をしたときに、こういうところまで取り締まりをするのであるかどうか、その辺一つ承りたいと思います。
#38
○木村説明員 個人営業の問題あるいは事業経営の問題、これは直接には運輸省の関係でございますので、運輸省がそれぞれ監督をされることと思いますが、警察に協力を求めて参りました場合には、協力し得る妥当な範囲において十分協力いたしたいと思います。ただ走行距離その他の問題になりますと、走っているだけではわかりません。ただ事故を起こしたり、非常なスピードを出して交通法規違反をやっているというような面が現われてきますと、その面で間接的に走行距離が非常にオーバーしているという事実がつかめる場合があろうかと思いますので、そのつかんだ事実によってすぐ運輸省にも連絡いたし、運輸省の監督の参考にしたいと思いますが、ただ事業経営面にタッチする面につきましては、警察としては、非常にデリケートな問題でありますので、直接にはタッチすべきではないと思います。しかし、労務管理が悪いために交通事故を起こしかという、交通事故の面からいいますと、目に余るものはやはり警察から、あるいは公安委員会から警告をいたすということはあり得ると思いますけれども、今申された個人営業そのものの問題については、ただいま直ちに警察が経営についてもタッチするということは考えておりません。
#39
○田中(榮)委員 ただいまの警察側の御意見によりますと、直接本問題については取り締まりしない。たまたま事故が起こったときに、そういう事実を発見したならば陸運局の方へ報告するということでありますが、そうなってきますと、個人タクシーの取り締まりということは事実上やっていないということになるのであります。なぜ私がこういう質問をするかと申しますと、事故のもとというのは、先ほども木村局長からもお話がありましたし、また業務部長からもお話があったのですが、従業員の過労から交通事故が起こってくる、こういうことであります。そこで個人タクシーを許可したが、就業時間の取り締まりもできない、一日の走行キロ数の取り締まりもできない、そうなった場合は、個人タクシーというものは一日三百キロでも五百キロでも走れるということになるわけです。会社タクシーにおきましては、車庫を出るときにそのキロ数をチェックし、帰ってきたときにまたキロ数をチェックして、それによって一日の走行キロ数を計算しているそうでありますが、個人タクシーになりますと、そうしたチェックの方法がないために、一日に三百キロ、四百キロという長い間走ったために、しかもとにかく個人営業でありますから休まなくてもいい、一カ月三十日間走りっぱなしで走れる。こういうことになってくると、どうしてもそこに過労というものが起こってきて、事故発生の原因にもなり、ひいては一般都民なり一般国民に非常な迷惑をかけることになるのであります。どうも今お話を聞いておりますと、両方とも出たとこ勝負でいこう、その辺は何とかなるだろうというような、軽い気持でやっておられるように私は思うのでありますが、これはどうも利用者側としましては非常な迷惑でございまして、そうした無責任な取り締まりのタクシーが都大路を走るということは、通行人に非常な迷惑を来たすことになるのであります。その辺は警察側でも、十分に個人タクシーの特殊性というものを勘案されまして、もう少し協力する態勢でいってあげたらどうか。
 きょうは時間がありませんから、あとでまた私は質問いたしますが、損害賠償保険についても私はさように考えるわけであります。先般警視庁に参りまして、警視庁は損害賠償保険組合に加入しておるかどうかについてはチェックしているかと聞いたところが、そんなものは個人の自由であり会社の自由であるからチェックしないということであった。問題は、一体被害が起こったときに賠償するかしないか、完全にその負傷が直るか直らぬか、こういう問題なんであります。従って私は、今のお話ではきわめて不満足でありまして、いま少し警察庁なり運輸省というか陸運局が、その辺を協定を願わなければ、こうした個人タクシーがこの町を走ることは非常に危険である、かようにわれわれとしては断定せざるを得ないのでありますが、この点はいかがですか。
#40
○梶本説明員 個人タクシーの問題につきましては、今お話の点がいろいろと心配になってくる点でございます。そういうことだからこそ、われわれとしても、この問題についていろいろと慎重に検討を続けておりましたような次第でございます。
 まず、ただいま考えておりますことは、車体に個人タクシーであるという表示をしてはどうか。個人タクシーというのは、先ほどお話しのように、世上間々うわさの対象になっておりますような、権利金が二百万も二百五十万もする、一つおれももうけてやろうというような、宝くじでも当てるような気持の申請ではなくて、やはり長い間無事に勤めあげた運転手の諸君が、年をとってから一つの夢を与えられるというふうな気持で、私どもはこの個人タクシーを考えておるわけでございまして、従って個人タクシーの免許を得たということは、その御本人に一つの誇りと責任を持っていただきたい、かように考えております。そういう意味で車体に個人タクシーであるという表示をする。そうしてそれによって町を走る場合に、あああれが今度問題になった個人タクシーか、じゃ、あれは優秀な、事故も起こさない運転手さんなんだなということでお客がつく。しかも乗ると非常にサービスがいいというふうなことになってくれることを、私どもは心から念願いたしておるわけでございます。
 それから、一日にどのくらい走ったかわからぬじゃないかというお話でございますが、この点についても、私どもは運転日報を記載していただくような方法をとることを、ただいま事務的には考えております。それによって、その日のスタートから一日にどのくらい走ったかということがわかるようにする。免許状と車体検査証と同時に、そういう運転日報というものを本人が常時携行して都内を走ってもらうというふうなことによって、その面もわかり得るんじゃなかろうかと考えておるわけでございます。そうして戦前いわれたような雲助タクシーを再び現出しないように、できるだけの措置は、警察当局とも連絡をとりまして、いろいろと考えていきたい、かように考えております。
#41
○木村説明員 先ほどお答えしましたことを補足して申し上げたいと思いますが、個人営業が現実において近い将来路上に動くわけでございます。これにつきましては、警察といたしましても非常に重大な関心を持っております。これの運営が正しくいたされませんと、交通事故がさらに激化される可能性も非常にあるわけでございます。従いまして、この問題については、交通事故防止の観点から、運輸省とは積極的に、ほんとうに真剣に、一体になって、あるいは許可の条件についても、あるいは許可後のその条件の励行につきましても、できるだけ裏づけが実践されるように、警察においても、協力し得る面はできるだけ協力して参りたいと思います。
#42
○田中(榮)委員 きょうは時間がございませんから、ここで打ち切りたいと思いますが、この次の委員会で一つ質問を続行させていただきたいと思います。
 もう一つ、今の点について、先ほども同僚委員からお話がございましたが、どうも警察と陸運局との関係と申しますか、その辺がすっきり歯車がいっていないような気がするのでありますが、こうしたことをわれわれ自身も心配しておりますので、どうかそういうことのないように、一つ十分緊密な連絡をとって、今後交通取り締まりの面において御努力願いたいと思います。まだ警視庁なり警察庁に対していろいろこまかい質問がございますが、これは次の委員会に譲りたいと思います。
#43
○門司委員 ちょっと今の文言の中から聞いておきたいのですが、車をふやすということですね。東京でも二千何百台かふやすということですが、個人の営業を許した場合に、ほんとうに稼働する車がどれだけふえるかということがわかっておりますか。私の聞いているところでは、今の営業車を許しますと、一台が一日に二十時間走っていますね、二時から六時まで休むとしましても。そうすると、個人は走りたくても二十時間は走れない。個人の場合は、二十時間走ろうとすると少なくとも二台ないし二台半要るということになる。この関係をあなたはどういうふうに算定されているか。個人を許して車はふえる。ふえても実際上道路を走っている車はそんなにふえないとわれわれは感ずるのですが、その辺の数字的解釈はどういうふうになりますか。
#44
○梶本説明員 その点につきましては、輸送力の算定と申しますか、輸送供給力の算定と申しますか、その面からは、今お話しのように、片一方は十六時間勤務で三百六十五キロ、片一方はかりに八時間で百八十キロといたしますと、輸送力の面からすれば約半分、かようになってくると私どもは考えております。従って個人タクシーが一人一車で動き、しかも八時間しか動かぬ。そして百八十キロで押えられるということになれば、たとえば他の既存の会社等に免許いたします場合の輸送力に比べまして約半分の輸送力になるのじゃなかろうか、数字の上ではさようになってくると考えております。
#45
○門司委員 そうすると、こういうふうに解釈しておいてよろしいですか。人間ですから結局半分しか能力がありませんね。二十時間も十六時間も一人でやるわけにはいかぬので、時間的にそれだけの制約を受けるということは事実だと思う。そうすると車のふやし方は、営業車をかりに十台ふやす場合に、個人経営を二十台ふやしても、路面を走っている車の数は同じだというふうに解釈してよろしいですか。
#46
○梶本説明員 その点につきましては、事務当局においてもただいま十分検討を続けております。それで先ほど田中先生からお話のございました自動車運送協議会の答申二千八百両というのは、二千八百両という現実のなまの車そのものなのか、二千八百両によって現出される輸送力のワクそのものを答申としてちょうだいしておるのか。その点につきましては、とにかく数千件の免許申請が出ておるわけであります。この審査が済むまでに結論を出したい。その結論を出すにつきましては、自動車運送協議会にお諮りをしなければならない問題だ、かように考えております。ということは、自動車運送協議会の答申の二千八百両をどう解釈するかということについて、陸運局長としては、自動車運送協議会にもう一度御相談しなければその解釈は確立できない問題ではないか、かように考えております。
#47
○門司委員 どうもそういう答弁だと工合が悪いのだがな。いかにも協議会に責任を負わしたようになる。私は、あなた方の考え方を聞いておるのです。実際にどうするかということについては、事故のはんらんする原因は車が多いのと人間が多いことです。人間が少なければ事故も少ないと思う。それと車が少ないか、どっちかです。車はふやしてもよろしい。ただふやし方について、今個人タクシーの問題が問題になっておる。個人をふやせば非常に車がふえはしないかという錯覚があるのです。しかしわれわれは、個人営業を許しても、片方は十六時間も二十時間も走る、片方は八時間か十時間しか走れない。ほんとうに動いておる車の数は少ないということになれば、やはり輸送力と事故との関係がそこから割り出されてくるのじゃないか、こういうことで御自身がそういう考え方を持つべきだと思う。協議会が何できめるかわからぬからというので逃げないで、あなた自身の方はどういうふうにお考えになっておるかということが基本になるのじゃありませんか。
#48
○梶本説明員 この問題は決してそう解釈しておりませんので、事務当局としては、輸送力を半分に考えられるということははっきり申し上げておるわけで、従って千台の個人タクシーをふやしたと仮定します。そうしますと、輸送力としては五百台ということであります。そうすると、二千八百両のワクを輸送力としてのワクと考えれば、車の数は三千三百両になる、二千八百両プラス五百両ということになる。そうすると、自動車運送協議会としては、責任を転稼しておるのじゃなしに、二千八百両という答申をいただいておるのですが、その二千八百両に千台個人をふやせば三千三百両の車が都内で走る。かりに二千台の車をふやせば三千八百両ということになる。それを事務当局が幾ら車をふやすかによって現実の車の数というものが違ってくる。それはせっかく法律で自動車運送協議会という制度がりっぱにあります以上は、やはりこれにもう一度こういう考え方でいくということでお諮りするのが、私は現在の法治国家においては筋だと考えております。
#49
○渡海委員長代理 残余の質疑はこれを次会に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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