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#1
第033回国会 地方行政委員会 第8号
昭和三十四年十二月八日(火曜日)
    午後二時十三分開議
 出席委員
   委員長 濱地 文平君
   理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君
   理事 田中 榮一君 理事 吉田 重延君
   理事 安井 吉典君 理事 門司  亮君
      相川 勝六君    加藤 精三君
      亀山 孝一君    鈴木 善幸君
      高田 富與君    富田 健治君
      山崎  巖君    太田 一夫君
      加賀田 進君    川村 継義君
      佐野 憲治君    西村 力弥君
      大矢 省三君
 出席政府委員
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      江口 俊男君
        自治政務次官  丹羽喬四郎君
        防衛庁参事官
        (経理局長)  山下 武利君
 委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      中川 董治君
        総理府事務官
        (自治庁行政局
        行政課長)   岸   昌君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      緒方 信一君
        警 視 総 監 小倉  謙君
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
十二月八日
 委員下平正一君辞任につき、その補欠として西
 村力弥君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員西村力弥君辞任につき、その補欠として下
 平正一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月七日
 全日制市町村立高等学校教職員の退職手当全国
 通算に関する請願(中井一夫君紹介)(第一二
 一七号)
 同(松岡嘉兵衛君紹介)(第一二一八号)
 同(渡海元三郎君紹介)(第一二四八号)
 同(富田健治君紹介)(第一二四九号)
 同(平野三郎君紹介)(第一二五〇号)
 同(堀昌雄君紹介)(第一二五一号)
 同(堀川恭平君紹介)(第一二五二号)
 同(五島虎雄君紹介)(第一三二五号)
 同(高田富與君紹介)(第一三二六号)
 同(戸叶里子君紹介)(第一三二七号)
 同(福家俊一君紹介)(第一三二八号)
 同(水谷長三郎君紹介)(第一三二九号)
 同外三件(小西寅松君紹介)(第一三五九号)
 同(竹内俊吉君紹介)(第一三六〇号)
 同(福永健司君紹介)(第一三六一号)
 同(山手滿男君紹介)(第一三六二号)
 同(中曽根康弘君紹介)(第一三九三号)
 道路交通取締法及び関係法令規則の一部改正に
 関する請願(平野三郎君紹介)(第一二一九
 号)
 積雪寒冷地帯における固定資産税の軽減に関す
 る請願(坂田英一君紹介)(第一二五三号)
 地方交付税の寒冷補正適正化に関する請願(坂
 田英一君紹介)(第一二五四号)
 地方議会議員の退職年金制度反対に関する請願
 (菊池義郎君紹介)(第一二八三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十二月八日
 林道開設事業に対する市町村の起債承認に関す
 る陳情書(東京都議会議長内田道治)(第六六
 九号)
 法令外負担金及び寄附金等の規制に関する陳情
 書(愛知県町村議会議長会長加藤栄一)(第七
 六一号)
 起債償還年限の延長等に関する陳情書(高松市
 議会議長磯渕良男)(第七六二号)
 地方議会議員の退職年金制度確立に関する陳情
 書(愛知県町村議会議長会長加藤栄一)(第七
 六三号)
 地方議会事務局設置のための地方交付税法の改
 正に関する陳情書(愛知県町村議会議長会長加
 藤栄一)(第七六四号)
 消防力強化のための特別財源措置に関する陳情
 書(高松市議会議長磯渕良男)(第七六五号)
 町村道路税創設に関する陳情書(愛知県町村議
 会議長会長加藤栄一)(第七六六号)
 町村財政の強化確立に関する陳情書(愛知県町
 村議会議長会長加藤栄一)(第七六七号)
 新町村建設促進に関する陳情書(熊本県町村会
 長河津寅雄)(第七六八号)
 町村起債わく拡大に関する陳情書(熊本県町村
 会長河津寅雄)(第七六九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治に関する件
 警察に関する件
     ――――◇―――――
#2
○濱地委員長 これより会議を開きます。
 地方自治及び警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。田中榮一君。
#3
○田中(榮)委員 私は、ただいま新聞紙上でいろいろと論議されております東京都内新島におきますミサイル試験場の設置反対の運動につきまして若干質問してみたいと思います。
 まず防衛庁の山下経理局長にお伺いをいたしたいと思うのであります。現在新島におきましてミサイル試験場を防衛庁の技術本部において設置しようといたしておりますが、今回計画されておりますミサイルの試射場の設置につきましては、どういう規模のものであり、どういう形式のものであり、またその効果はどういうものであるか、それにつきましてまずお伺いしたいと思います。
#4
○山下政府委員 お答えいたします。ただいま御質問のありました新島試験場の概略について申し上げたいと思います。防衛庁といたしましては技術研究本部におきましてミサイルの試作をいたしておるのでございます。その試射場として全国にいろいろ適当な土地を物色いたしまして各種の条件を検討いたしました結果、新島が最も適当であるという判定をいたしまして、ここに試験場を設置する計画を立てたわけでございます。ミサイルは、御承知のように各国におきましては非常に強大なものもあるところから、つい言葉の上で誤解を受けやすいようでございますが、技術研究本部において試作中のミサイルはごく小型のものでございまして、従来の高射砲あるいは機関砲等にかわる程度のものでございます。大きさを申しますと、大体長さが五メートル程度、直径は二十センチから四十センチといったものでありまして、射程もせいぜい二十五キロないし三十キロといったくらいなものでございます。これを大体年間約二十回程度の試射をいたしたい、かような規模で考えたわけであります。
 そこで具体的に新島に作ります試射場の規模でございますが、試射場といたしましては、これはまだほんの概略でございますが、面積は約二十万坪程度、そのほかに実際に発射をいたします場合に大体同程度の安全地帯を予定しております。そのほか居住の施設、観測所、工作所、倉庫等の建物の建設をいたすための用地が大体六万三千坪程度と考えております。そのほか道路の新設をいたしますと同時に飛行場等の設置も考えております。なおまた当庁の試験場に必要な物資等の運搬のための船を着ける突堤といたしまして、現在離島振興計画として計画されておりますもののほかに、当庁使用のものを約五十メートルばかり延長するという計画を持っているわけでございます。
 それから撃ちますところの方向といたしましては、新島南方の海面にとる関係上、試射場の地点内の基点から角度は約三十度、長さは約二十五キロの扇形の海面を試射の際に使用する、こういうような計画になっているわけでございます。
#5
○田中(榮)委員 大体において今度できる試射場の規模、そのほか効果につきましては、それでわかったのでありますが、この試射場というものは、将来米軍が使用するとかあるいはこれを軍事基地化するというようなうわさもないではないのでありますが、そういう点について御説明をいただきたい。島民が非常に憂慮しておりますのは、この新島のミサイルの試射場が、あるいは試験場だけにとどまらずに、それが将来もし軍事基地となった場合におきましては、そのためまた島民が疎開をするのではないか、こういうような心配がありまして、それで島民は非常に騒いでいる。それからもう一つは、ミサイルのことはよく私わかりませんが、TAAM―2、TLRM―2というものが将来ここにおいて試験されるということを聞いておりますが、この試験用の飛翔体に核の弾頭をつけるとか、あるいは爆発物を装填するとかいうような心配があるわけでございますが、その点につきまして御説明願いたいと思います。
#6
○山下政府委員 ただいま御説明いたしましたように、新島は単なるミサイルの試射場でありまして、基地ではないのでございます。また将来これを基地にする考えも持っているわけでは決してございません。第一に新島はGMの有効距離から申しまして都市防空の意味を全くなさない地点にあるのであります。第二に全くの離島でありまして、補給が困難であるということから、基地としては全く意味をなさないということは、これは軍事的な観点から十分申し上げられると思うのでございます。従って、ここでは単に観測とかあるいは実験をするための施設を設けるのでありまして、爆発物を装填したようなものは撃たないことになっております。
 また核弾頭をつけるミサイルを撃つ計画があるかという御質問でございますが、核弾頭は、政府の方針として日本としては決して装備はいたさないということは毎回国会で申し上げておる通りでございますが、このミサイルはその大きさ、規模から申しまして、決して核弾頭をつける能力を持っていない。こういうことからもその点は十分に御納得いただけるものであると思っております。
#7
○田中(榮)委員 それによりまして、大体今回のミサイルの試験場は爆発物も装填はしない、原子弾頭等の設置もしないということがはっきりしたわけでありますが、そこで現在新島試験場の用地面積というものは、全島面積に対する割合はどの程度になるのでありましょうか。
#8
○山下政府委員 新島は式根島を合わせまして八百十七万坪、新島本島のみでは六百八十万坪でございます。防衛庁で計画いたしております試射場地区は、先ほど申し上げましたように約二十万坪でございますので、これを全村の面積に比較いたしますと、二・四%、新島本島に付しましては二・九%程度のものでございます。
#9
○田中(榮)委員 そこで将来新島のミサイル試験場が完成をした暁におきまして、大体試射は一年に何回くらい試射されるものであるかどうか。それから試射をすることによって漁業に及ぼす影響あるいは農耕、採石等にいかなる影響を及ぼすものであるか、その点を一つ御説明を願いたいと思います。
#10
○山下政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、試射の計画といたしましては、将来におきまして大体年間に二十回程度であろうと考えております。漁業につきましてはできるだけ漁業のひまなときを選びまして、これを実施するということでございます。もとより撃ちます場合には、漁業の制限等も一部行なわなければなりませんので、その間には適当な補償をしなければならないと考えております。そのほか農耕あるいは採石等につきましても、できるだけ地元の産業に害のないような方法あるいは時期を選んでやりたいと考えております。
#11
○田中(榮)委員 今回の試射場の建設に要する国費として支出すべき額は何ほどであるか。それから同時にこれに付帯いたしまして、離島振興計画とからんでこの試射場を設置するというお話でありますが、都費は大体どのくらい出るものであるか、それから新島村として負担すべき額はどの程度のものであるか、それを一つお知らせ願いたいと思います。
#12
○山下政府委員 新島試験場設置のための予算でございますが、三十三年度予算におきまして離島振興土木工事費等に三千六百万円の歳出予算を計上いたしておりました。これは現在このまま繰り越して三十四年度に至っております。三十四年度予算といたしましては、新たに歳出予算として五千三百万円、国庫債務負担行為として一億九千四百万円を計上しております。それから係船岸壁を五十メートルばかり延長するという計画を当庁としては持っておるわけでございますが、これとは別に離島振興法に基づきまして約二十メートルばかりのものを三十七年度までに延長するという計画が立てられておると聞いております。しかしその金は部費としてどの程度計上されておるか、私は詳しいことは存じません。また、この新島におきまする試射場の設置に伴いまして、村の財政上の負担というものは全くないと考えております。
#13
○田中(榮)委員 もう一つ念のためにお伺いしておきたいことは、当試験場におきましてエリコンであるとかサイドワインダー等を実験するようなことは絶対にございませんか。
#14
○山下政府委員 新島で試射をいたしますのは、先ほど申し上げましたように、技術研究本部で試作いたしましたミサイルに限られるのであります。海上に撃ちます関係から、当然に落下傘あるいはブイ等をつけたものを撃ちまして、それを海中から回収するわけでございます。防衛庁が先般購入いたしましたエリコンあるいはサイドワインダーといった飛翔体は、そういうものを予定した設備を持っておりませんので、新島では試射をする計画を持っておりません。
#15
○田中(榮)委員 ただいまお聞きした範囲におきまして、私の考えるところにおきましては、島民は現在新島村におきましては漁業と、それから採石と、そのほかわずかな農耕によってその日の生活をいたしておりまするきわめて生産の貧弱な島であるわけであります。この島に対しまして、今回防衛庁がこうしたミサイル試験場を設置するにつきまして、ただいままで質問してお答えの範囲におきましては、漁業を制限するけれども、損害に対しては十分に補償してやる。それからこれは軍事基地ではない、単なるミサイルの試験場である。そうしてミサイルの実験であって、原子弾頭の実験は絶対にやらない、爆発物も装填をしない。それから年二十回程度の試射である。それから島内に対しましては道路、水道、通信、突堤、小型の飛行場、住宅その他環境施設の改善をやる。また若干島民の労務の提供も当然あるであろうと思うのであります。そう考えてみますと、私は新島村としましては、こうした試射場の設置されることによりまして、俗にいえば島内においても相当金が落ちるし、将来新島村に対しまして就航の便も相当よくなり、そのほか往来の人々も多くなる。かれこれ考えてみますと、島民の生活がこれによってある程度潤い、また村内の公共施設の整備もある程度できるのではないか、かように考えまして、今回の新島におけるミサイル試験場の設置は、離島振興政策の一環として、新島としても決して不利益ではない、私はかように考えておるわけであります。
 そこで、この新島村におきましては、従来いわゆる島国根性と申しますか、このミサイル設置の問題が起きる以前から、村長問題であるとか、いろいろな部落感情問題等がありまして、常に村内において対立をいたしておりまして、そこに感情問題が非常にある。たまたまこの試験場の設置が起こりまして、その試験場設置の問題にからんで対立をしておるのではないかということも一応考えられるのでありますが、その点につきましては、自治庁の行政課長はどういうようにお考えになっておりますか。
#16
○岸説明員 私どもといたしましては、まだ不幸にいたしまして従来からの村民の中における対立といったようなものにつきまして、十分情報を得ておりません。
#17
○田中(榮)委員 私は、そういうことも一応今回の新島村における試射場設置問題の反対運動の中に一つの理由として含まれておるのではないかと考えておりますが、もう一つは、私はこの問題はいわゆる原水協の関係からしまして、相当外部から圧力、指導を受けておる。いわゆる原水協がやっております原水爆禁止運動の一環として、あるいはまた東京都内から総評、地評、共産党の一部の人々、こうした者が現地に乗り込んでいきまして、昨年来相当反対運動をあおっておるということも聞いておりまするが、こうした問題につきまして警視総監はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#18
○小倉説明員 この問題はだいぶ以前からの問題でございまして、それぞれの立場で反対あるいは賛成、条件付賛成と、いろいろ立場を持しておられる人たちがあるのであります。ただいまお話しのこちらから行っておる者がいないかという点でございますが、これはやはり反対の立場の方たちがあちらに行きまして指導をなさっておるという事実はあるように思います。
#19
○田中(榮)委員 私の聞いている範囲におきましては、相当総評、地評のオルグ、あるいはまたその他の各種の団体が現地に参りまして、島民の大部分の意見をある程度曲げて反対運動にやっきになっておるというようなことも聞いておりますので、この点は別といたしまして、そこで警察に対して一つ御質問いたしたいと思います。
 十一月の三十日に村議会が開かれなかった理由といたしましては、反対派が集団陳情、請願をやりまして、議長、副議長二人を軟禁をいたしまして、そうしてついに時間切れとなって流会をいたしたのであります。この軟禁の実況につきましては、われわれも詳しいことは聞いておりませんが、相当多数の威力によりまして議長、副議長を軟禁いたしまして、ついに議長としての職権を行使することができなかったということも承っておるのであります。それから同時に、早くよりこうした事情を予測いたしまして、地元の警察署長より本庁に対しまして、万が一のことを考慮して出動要請をいたしておったというのでありますが、その際には何ら警察といたしましては出動をいたしていなかった。村当局としては非常にその点が残念である、また議長、副議長も、もう少し警察の方で何とか事前の予防措置を講じておったならばこうしたことはなかったのじゃないかと、こういうことも言っておるようでありますが、その点につきまして当時のお見通しはどういうものであったかお聞かせ願いたいと思います。
#20
○小倉説明員 十一月三十日に開催予定の村議会でありますが、その際に約百名内外の反対派の人たちがここに参りまして、助役あるいは副議長等に対しまして、ミサイル反対の請願書を受理するようにということで、多数食い下がり、また議長も反対派の話し合い戦術に応じまして議場に入場できない。こういうようなことで時間切れになり流会となった。こういう事実はあるのでございます。この際新島警察署におきましては、十数名の署員でありまするが、全署員を招集しまして待機し、警告を発する等の措置に出たのでありますが、村当局におきましても、結局は流会やむなしというような態度であったので、警告のみにとどめたのであります。なお賛成派、反対派いろいろ主張がありますが、警察といたしましては、どこまでも厳正中立な立場でこの事案に臨みまして、極力不法な事案のないように、また不法な事案が不幸にしてありました場合には適切な取り締まりに出る。こういうような方針で臨んでおりますが、ああいうような島のことでありますから、できる限り円満に、平穏のうちに話し合いで問題が解決されるように、こういうような所存で当時おったのであります。
#21
○田中(榮)委員 地元の警察署長から出動要請を、動員要請をいたしてきましたのは、十一月三十日以前、いつごろにそれは要請されたものでしょうか。
#22
○小倉説明員 はっきりした日にちは、私ただいま資料を持ち合わせておりませんが、そのころであったと思います。要請はございましたが、いろいろ署長の報告をさらに詳しく聴取し、また全体の立場といいますか、状況を把握した上で、まだ応援を派遣するという状況ではないという判断で、その当時は見送ったのであります。
#23
○田中(榮)委員 私のそんたくするところによりますと、警視庁の幹部の考え方としましては、地方自治のそうした紛糾の問題について、なまじ警察官を派遣することによってかえって刺激をする、事態を悪化させるのではないかという一つの心配から、あるいは増員を早急にすることを差し控えたのではないかと思うのでありますけれども、これが都内のような場所でありましたならば、それはそういう措置をとっていいと思うのでありますが、御承知のようにほんとうの一つの離島でありまして、舟航の便がきわめて不便なところであって、片道だけでも五時間、ときに荒天の場合においては八時間、九時間もかかるような非常に距離の離れたところでありますので、私どもの考えとしては、やはり署長の増員要請があったときには、そうした地理的の状況等を勘案して、いま少し早く手を打った方がよかったのじゃないか。その後いろいろな事態が悪化しまして、後ほど質問したいと思いますが、そうしたことが発生いたしておりますけれども、その点につきましては、総監としてはそういうようなお考えで増員をしなかったのであるか、あるいはその事態そのものが少し観察が甘過ぎたのであるか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
#24
○小倉説明員 その以前から、署長以下署員は極力不法な事案のないように注意もし、説得もいたしておるのでありまするが、当時の状況から見まするならば、近いところでありますならば、何名か派遣して直ちにこれを引き揚げるということも自由にできるわけでありますが、何しろああいうような遠隔の地でありますし、さらにああいうような遠方で離れた島内でありますので、できる限り平穏円満裏に問題が進んで、そしてあとにしこりの残らないようにしたい、こういう気持も持ちましてその当時の応援派遣は見送ったのであります。しかしながら、その後の状況を見ますと、いろいろな動きがございますので、現在におきましては三、四十名の警察官を派遣いたしまして警備力を強化して事案に当たっておるような状況でございます。
#25
○田中(榮)委員 地元といたしましては署長以下十七名の署員でありまして、それでなくとも非常に島民は荒くれた漁民の人々が多いのでありますから、十七名の警察官でこうした数百名の集団を相手にしていろいろ事前措置を講ずるといいましても、これは物理的に不可能であったと思うのです。従ってわれわれとしましては、もう過ぎたことでありますが、こうした場合におきましては、そういう点も考慮されることは当然であると思いますが、この地理的、物理的の条件を勘案して、できるだけ早く増員をすべきであったということを私は考えておるのであります。
 さらに四日の午前二時ごろ、反対派が大挙して役場に集まりまして、そのうちの一部が表玄関のとびらの一部を破壊しまして、中に手を入れてかぎをあけて、それを機会に大ぜいの者が役場内に侵入をいたしたのであります。ここに一つ、そのときの状況の写真があるわけであります。この写真によりましても、はっきりとびらの板をこわしまして、手を入れてかぎをあけている。これは要するに、人の住居、建設物の中で、かぎを締めている以上は、入ってはならぬという意思がはっきりしているわけであります。それを器物を損壊して作為的に手を入れてかぎをあけて入った、このことは器物損壊と同時に、明らかに刑法の不法侵入の点にかかってくると思うのでございますが、この点につきまして、今後の事件の捜査方法につきましていかにこれを取り扱われるか、その点についてお伺いしたいと思います。
#26
○小倉説明員 警察といたしましては、不法な事案があります以上、それに対してこれを放任するということはないのでありまして、その事案の程度によりまして措置をいたしたいと思っておるのであります。御指摘の十二月四日の事柄につきましては、さらに詳細な点を現在検討中でございます。
#27
○田中(榮)委員 さらに一部の者は窓ワクをはずして侵入いたしております。そこでこれも私は同様な取り扱いを受けねばならぬと思うのであります。この現場の写真がありますので、だれが窓を割り、だれがそのかぎをはずしたということは、氏名までもはっきりいたしておりますから、これはこの事件と別に、不法侵入罪として早急に検挙して、厳重なるお取り調べを願いたいと思うのであります。
 もう一つは、これは先ほど申し上げるはずだったのでありますが、村長といたしましては、わずか十七名の警察官ではどうすることもできない、かような趣旨から、いわゆる警備員と申しますか、あるいは整理員と申しますか、そうしたものを約十五名ほど編成をいたしまして、四日の際にもこれが相当整理に当たったとか、あるいは警備に当たったということでありますが、おそらくこれは警察力が非常に不足のために、村長としては、自衛上やむにやまれずかような組織をいたしたのではないかと思うのであります。今後こうした問題につきまして、かえってこういう整理員であるとか、警備員であるとかいうものを設けさせることによって、一そう事態を悪化させるという心配もありますので、こういう点は十分御注意を願わなければならぬと思うのであります。
 それから今後の事態の推移でございますが、先般警視庁におかれましては、三十五名の機動隊を新島村に派遣いたしまして、現在待機の姿勢におるわけでありますけれども、かような小さな島で、しかも警察力が非常に小さい。そこに多数の島民が暴力をふるって、暴力が島内を支配するというようなことになりますと、それが災いとなり、長い将来に禍根を残すことにもなるわけでありまして、こうした島内の暴力というものはこの際断固として一掃してほしい。こういう希望を持っておりますが、総監としてはこれに対してどういうお気持でございますか。
#28
○小倉説明員 ただいまいろいろ御心配のありました点は、私どももよく注意をいたしまして今後善処いたしたいと思いますが、少なくとも暴力あるいは傷害というようなことがありますれば、これはもちろんいけないのでありまして、そういう際には、もちろん適正なる取り締まり、検挙をいたしたいと思います。
#29
○田中(榮)委員 大体におきまして新島村の島民というものは、従来そうした経験もありませんし、きわめて武陵桃源の境に住まっておりまして、今回のような暴力が島内を支配するような状態というものは、初めて経験したわけであります。将来こうした暴力が島内に横行するというようなことの絶対ないように、一つ警察側としましても十分御措置を願いたいと思うのであります。さらに五日のできごとでありますが、反対派島民約五十名が午前十一時ごろから村役場に再び押しかけまして、植松村長を村長室にカン詰にいたしまして、いろいろと種々なることを強要いたしております。この新島試射場の撤回を要求する、それから住民投票を行なえ、こういうことを盛んに強要いたしまして、さらに第三番目には村長は辞職すべしという、三カ条を突きつけまして、それに対しまして誓約書を書け、こういうことを多数の威力をもって強要いたしたわけであります。そこで村長といたしましては、午前九時から午後五時過ぎまで八時間以上もカン詰にされた。その間に外部との連絡も十分できない、それから便所に行くにも多数の人があとについて便所に行かざるを得なかった。かようなことは明らかに刑法にいうところの不法監禁罪に該当する。それと同時に、また非常な人権じゅうりんの行為ではないかと私は考えるのであります。かような点につきまして、警察といたしましても一つ十分事実の取り調べをなさいまして、そしてそういう事実が該当したとしたならば、はっきりこれを措置するようにお願いをいたしたいと思いますが、その点についてお答えを願いたい。
#30
○小倉説明員 ただいまお話しの十二月五日の事案でありますが、相当長時間にわたって村長が軟禁といいますか、不法監禁という程度に至りますか、そういうような事態があったことは事実でございます。その程度、状況がどういうようなものであったかということにつきましては、現在具体的にこれを検討いたしておりますので、検討の結果を待って処理いたしたいと思います。
#31
○田中(榮)委員 この五日のカン詰にあいまして、村長はついにやむを得ず誓約書を書いて、拇印を押させられたようであります。その文面は私は拝見いたしておりませんが、新聞紙の報道するところによりますと、住民投票は正しいと思う、この住民投票を行なうかどうかにつきましては今後検討する。こういう誓約書をやむを得ず書かされて、拇印を押して、ついにその強要した村民側にこれを手渡さざるを得なくなったのであります。
 この点は一つ自治庁の丹羽政務次官にお伺いいたしたいと思いますが、かように強要されまして、村長は、住民投票は正しいと思う、今後この点につきましては検討いたします。こうした誓約書を書かされたわけでありますが、強要された形において書かされたこうした村長の誓約書というものは、法律上からいいましても、もちろん無効であるし、また村長としての正式なる文書でも何でもないのでありまして、こうしたものは単なる一片の私文書みたいなものではないかと考えまするが、その点につきまして法律上において、かような村長がやむを得ず力によって書かされた誓約書が有効なものであるかどうか、その点を一つお伺いしてみたいと思うのであります。
#32
○丹羽政府委員 ただいまの御質問でございますが、もとより強要をされまして自由意思でない表現でございましたならば無効のことは当然でございます。しかしながら、ただいまの具体的事案につきましては、私どもまだ詳細を知悉しておりませんので、その点の具体的認定につきましてはただいま調査中でございます。ただいま田中先生からお話がございましたけれども、住民投票が正しいと思うというその正しいという意味でございますけれども、法律上の点に参りますと、住民投票によるという場合は地方自治法によりまして限定されております。たしか住民投票による場合は、公共団体の財産の処分の得失の場合であるとか、その他町村合併の問題ということに限定されておりまして、ただいまの新島の問題につきましては全然それに該当しない次第でございます。法律上は何ら効果がございません、こう存ずる次第であります。
#33
○田中(榮)委員 ただいまの丹羽政務次官のお答えで大体了承いたしたのでありますが、なお念のためにもう一回確認のためにお伺いしておきたいと存じますが、この地方自治法の第二百十三条によりますと、普通地方公共団体が条例に規定する財産を処分するときには住民投票を行なってもよろしい、こうなっているはずであります。それから第三項に、国に対して処分をするときには住民投票は行なわなくてよろしいのだという規定があるように私は記憶しておるのでありますが、この今私が申し上げました規定の解釈で差しつかえないかどうか。もしその解釈通りであるとすれば、この住民投票を行なうということは、全く規定を知らないために、住民投票を正しいものと思う、こういったふうに書いたものと思うのでありまして、かりに村長がその住民投票を行なわしめましても、これは地方自治法第二百十三粂の規定に反する住民投票でありますから、そうした住民投票は、たとい結果が出ましても、これは無効と解して差しつかえないと思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
#34
○丹羽政府委員 ただいまの御意見通りと思う次第でございます。
#35
○田中(榮)委員 ただいまのことによりまして、住民投票は地方自治法に規定される住民投票とは違うということがはっきりいたしまして、今の新島の試射場設置に関しての住民投票は無効である。自治法に規定する住民投票ではないということがはっきりいたしたのであります。
 そこで最後に、こうした問題につきましては、試射場というものであって、これがミサイルの試射場である。爆発物を装填しない、それからまたそのほかの原子弾頭等もつけないんだということを、はっきり一つ防衛庁としましてもPRをしていただきまして、地元においていろいろそうしたPRは十分やっておったと思うのでありますが、そうしたことによって反対側が非常な誤解を受け、また外部よりの非常な宣伝によりまして、これは非常に危険だというような考えを持っての反対が非常に多いのではないかと思うのですが、この点については今後十分PRの方にお力添えをいただきたい。もう少し活発に遠慮なくやっていただきたい。こういうことを私は希望いたしまして、この新島問題に関する質問は打ち切りたいと思います。
#36
○濱地委員長 安井吉典君。
#37
○安井委員 今、新島問題についての質疑が繰り返されておりますが、それに関連いたしまして私からもお伺いをいたしたい。警視庁の第一機動部隊を向こうに派遣されたわけでありますが、こういったケースは従来もあったわけですか。
#38
○小倉説明員 私の承知しております限りにおきましては、島に三十何名の警察官を派遣したことはないと思います。
#39
○安井委員 警視庁始まって以来、島に大ぜいの部隊を派遣するのは初めてのことだということに伺うわけでありますが、やはり警視庁としては、それまでに事態が重要だというふうにお考えになったわけですね。
#40
○小倉説明員 島でありましても、とにかく私どもの管轄下でありますので、必要な状態があれば警察官を派遣するわけでありますが、先ほどもいろいろ田中委員の御質疑の中にもありますように、賛成派、反対派いずれを問わず相当主張が対立いたしまして、激しい口論等があるのであります。その話し合いといいますか、口論程度でありますならば、何ら問題はないのでありますが、多数の力で役場内にすわり込む、あるいは村長らに対しまして軟禁あるいは監禁に近いような行為がある、そういうような不法な事案が予想される、あるいは現にあるというような状況になりました以上、必要な警察官を派遣いたしまして、その警戒あるいは取り締まりに当たる、これは私は当然のことであろうと思います。
#41
○安井委員 何しろ離れ島のことでありますから、私ども新聞その他の報道でより知る道はないのでありますが、十二月七日付の朝日によりますと、新島ミサイル闘争、これのデモは平均年令六十才のデモだと書いてあります。いわゆるデモの先入観念とおよそかけ離れたもので、たとえば臨時村議会に押し寄せた反対派のデモを見ると、ほとんどがインジイとウンバアだ、インジイというのはおじいさん、ウンバアというのはおばあさんだそうですが、しかも圧倒的に女の人が多い。平均年令六十才のデモで、いわゆるデモという観念から見ればまことに生きの悪いデモであった、そういうふうな言い方がされておるようであります。ですから、こういうふうな姿にあるというようなことを警視庁の方は十分御理解になっておるのかどうか。さらにあの島は離れ島で、本土から二百余年間隔絶された孤島である。ですから島民はほとんどが親類関係で、島民の中の姓もほとんど二、三に限られておる。だから結局親子、親類やそういったような内輪同士のけんかといったようなことで、そのときのすわり込みの情勢でも、村長や議長を前にして目の前でぶっておる。それも村長や議長のいとこなんだ。ですから、そういう姿の中で警視庁が大ぜいの部隊を派遣するというようなことが、かえって地元の人の挑発になるのじゃないか、そういうことをおそれるわけです。どうでしょう。
#42
○小倉説明員 どのような形でありましょうとも、やはりそれが不法なものである、あるいは不法なおそれが濃厚であるということでありますならば、私どもも関心を持たざるを得ないのでありまして、必要な措置に出るのは当然だろうと思います。ただお話にありましたように、こちらから指導あるいは応援に行っている者は別といたしまして、島内の者は大部分が顔見知りである。また中には縁続きの者が多いということは、私どもも十分承知しておるのでありまして、それだけに話し合いといいますか、何とか不法な事案にならないうちに円満に問題が解決され、処置されることを願っておるわけであります。私の方で応援に派遣いたしました警察官も、その点は十分考慮しつつ事態に備える、こういうような態度で臨んでおるのであります。従って、そのことによって島民を挑発するとかなんとかいうことは絶対ないと思います。
#43
○安井委員 そういうふうな御答弁の内容もわからないではありませんけれども、しかし今までは親類同士の口争いといった程度であったのが、今度は賛成派のバック・アップというわけではないでしょうが、一応そういう形で相当大きな部隊が来ることによって、それが挑発されて暴力化してくる。そういうおそれを私も持たざるを得ないのでありますが、どうでしょうか、その場合責任をとりますか。
#44
○小倉説明員 口争い程度ならば、何も私どもの方で関与するつもりはありません。先ほども申し上げましたように、現実に多数の者のすわり込み等によって村議会が開かれないというような事態がある。また村長が長時間にわたって軟禁というか、監禁というか、そういう事態にあるというような不法な事案がありますので、それで警察官を派遣しただけなのであります。
#45
○安井委員 役場占拠でありますとか、役場に対してデモをかけるとか、すわり込みをするといったようなことは、町村合併あるいはまた学校を統合する場合に、よく世間にもあるわけでありますけれども、今度のこの場合だげ大きく問題を取り上げるというふうな特殊な見解なりお考えが裏にあるのではないでしょうか。
#46
○小倉説明員 お話しの通り、他の地方でも役場にすわり込み、占拠するというような事案があることは私も承知しておるのであります。そういう事案がありました場合には、それぞれ必要な警察力を向けまして、その事態に対処しておるのであります。しかしながら、新島のような遠い地域におきましては、そういう事案があるからといって直ちに警察官を出すというような地理的な状況にもありません。そういう点と、前々から申し上げておりますように、問題は相当以前からの問題でありまして、その状況を逐次注意をしながら見ておって、警察官の応援派遣も特に慎重を期して考えておるのであります。しかしながら、現実にそういう不法事案が二度、三度にわたって出てきた、こういうようなことでありますので、やむを得ず応援派遣をいたしたということだけであります。別段何らの意図はありません。
#47
○安井委員 議会主義という形式でありましても、そこに住む住民は、がまんのできるだけはがまんをして、きめられたところの統治の方式に積極的に反対はしないということだろうと思います。しかしながら、それにもかかわらず反対に立ち上がろうというのは、よっぽどのことがあるからだ、そういうことでないかと思います。ですから住民の自由な発言というようなものは、一つ議会の中でも特に強く尊重さるべきが当然だと思います。ですから議会の機能というものをこれは無視するというわけではありませんけれども、しかしそういう中に素朴な住民の気持というものが率直に反映される、そういうものでなければならないと思います。そういうような方向で自治庁も自治行政についてのあり方を御指導なさるへきだと思うのであります。
 そこで先ほどのお話の中にありました住民投票の問題でありますが、それが地方自治法上無効だという解釈がたといおありとしても、そういうものが行なわれることによって住民の世論調査が行なわれ、その世論調査が議会の中で政治的に尊重されなければいけないという方向は当然であろうと思うわけでありますが、その点、自治庁側の御意見をお伺いいたします。
#48
○丹羽政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、住民投票は、地方自治法並びに新市町村建設促進法に限定されておりまして、それの限定された事項につきましては住民投票を行なうことになっております。その他の事項につきましては何ら規定もありません。そしてまた住民投票をもし行ないます場合におきましては、これは住民の自由意思によりまして公平に行なわれなければならないものでございます。それにつきまして住民投票をいかなる形式によって行なうか、具体的な住民投票の方法とか、あるいは有効、無効の判定であるとか、その他につきまして、ほかの事項につきましては何ら規定もありません。従いまして、それが公平なる自由意思によって行なわれるかどうかということは、技術的にも非常に問題があることかと思う次第でございまして、今回の事態におきましては、住民投票は、私どもの見解といたしましては無効である、こう思う次第でございます。
#49
○安井委員 つまり住民の世論を聞くために村長なり、村議会が、一体皆さんどう思っておるのだという自由な意思を書いてもらう。つまり法律によろうとよるまいと、そういうような方法が私は無効だとは考えられないわけであります。一般的な住民の意思が、たとえば投書という形であろうと、どんな形でありましょうとも、そこの理事者や議会はそういうものを尊重して、自治行政の上に現わしていくというのが当然だろうと思うわけであります。そういうような意味で、法律論より実質的な、政治的な有効、無効ということをこそわれわれは考えるべきだと思う。住民の意思が逆にいくというにもかかわらず、村議会がもしかりに正反対の方にいこうという世論の中にあるにもかかわらず、それを押し切って、そこの村議会が反対の議決をするというようなことは、考えるべきではないと思うわけです。その点どうでしょう。
#50
○丹羽政府委員 村政の運営上当然聞くべきものは聞くという態度でもって村政に当たる、あるいは自治行政に当たるということは、もとより当然のことでございます。かりに村の世論というものが二つに分かれる、あるいは相当の反対、相当の賛成があるというような事態に立ち至りました場合におきましては、ただいまの法制下におきましては、やはり村の議決というものが一番尊重されるべきである。これを尊重して初めて今日の民主主義というものは確立される、こういうふうに考える次第であります。
#51
○安井委員 私は村議会の議決を無視しようというわけでは決してないわけです。そういうふうに村議会が議決をする場合に、そこに住んでいる住民の意思を反映することによって議決が行なわれるべきです。住民の自由な意思を反映できないような村議会は、もう住民の信任を得ることはできないと思うわけです。そういうような意味において住民の意思を聞くことは、別に拒むべきことでも何でもないし、そういうふうな法律上の見方を越えて、政治的な見地においても、これは当然に考えらるべきだと思うわけであります。さらに一つお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#52
○丹羽政府委員 村民の直接の意思を聞こうという方法につきましては、ただいまの点につきましては、法律上は先ほど私が申しました通りの限定事項に限っていることでございまして、これはただ自分の政治上の参考として聞こうかどうかということとは、また別個の問題であります。
#53
○門司委員 関連して。今の住民投票の件ですが、私は新聞を見ただけで、ほんとうの内情というのはよくわからないのですが、これは公共団体の持っておる処分ですか、それとも私の財産を貸与する、あるいはこれを売り払うのか、どっちなんです。これはそれによって問題が変わってくると思うのです。
#54
○丹羽政府委員 ただいまの問題は、公共団体の所有しているものの処分でございます。
#55
○門司委員 そうだといたしますと、住民投票は行なわれると思うのです。法律はそう書いてありますね。これは条例がある場合ということで一応逃げてはありますが、財産の処分あるいはこれの管理あるいはいろいろな問題については、明らかに住民投票をしなければならないことになっているはずです。できることなんですよ。それでなければ議会の三分の二以上の賛成がなければ――ただしそれには条例で定めることになっておる。いわゆる重要な問題であるかどうかということについての区分はあるのです。何でもかんでも住民投票をやる、何でもかんでも三分の二ということは書いてない。法律には明らかに住民投票の信任によるということが書いてあります。だからさっきの次官の答弁は違いはしませんか。財産処分ですから当然住民投票はできるはずですよ。それは条文のどこかに書いてあるはずです。それが書いてないということはないと思うんです。だから住民投票に付してそれは無効ではない。ただ新島の条例がどうなっておるかわかりませんが、条例その他はどうなんですか。
#56
○丹羽政府委員 ただいま練達な門司委員の御質問でございますし、私の方はあまり未熟でございますので、あるいは間違っておるかもりわかりませんが、こまかい詳細の点は行政課長から補足説明をいたさせます。
 ただいま門司委員がおっしゃったのは、地方自治法の第二百十三条の二項でございまして、第三項によりますと、国または公共団体に対する使用の許可というものは適用されないという規定がございます。それによりまして、ただいま言いました直接の住民投票の該当事項ではない、こういう説明をしたわけでございます。なお詳しくは行政課長から説明させます。
#57
○門司委員 そういうことが書いてあることはその通りであります。問題は前段の一つの規定として当てはめておるということ、それからあとの三項には、ただし書きみたいなものをつけておるということであって、これはここばかりではありません。自治法にはすべてそういうことが書いてあります。国または他の公共団体が使用するというのは、どこにも使ってある。しかし、これは一つの例外的な問題であって、基本的の問題としては、今の二百十三条が私は生きてくると思うのです。そのことは次の二百四十三条の二に、地方公共団体の行なった財産の処分その他について間違いのあったときは、訴訟ができるようになっておりますね。納税者の訴訟権利が認められておりますね。これとの関連性はどうなりますか。この辺の解釈が自治法には非常にむずかしくできているのでわからないのです。納税者としての訴訟権は残されているように解釈してよろしゅうございますか。
#58
○岸説明員 ただいま御指摘の二百十三条の第三項におきましては「前項の規定は、国又は公共団体に対する処分又は使用の許可については、これを適用しない。」こう書いてございます。従いまして、ただいま御指摘の二項の規定全体といたしまして、「前項の規定」といたしまして、国に対する処分には適用がないものと私どもはかように解釈いたしております。
 第二の御指摘の二百四十三条の二の方でございますが、普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長につきまして、財産の違法もしくは不当な処分がございました場合、または財産もしくは営造物の違法な使用または違法もしくは権限を越える契約の締結があった場合に、監査委員の監査を請求いたしまして、さらに訴訟までいけることは御指摘の通りであります。そこでただいまの財産の処分が違法という問題はないと思いますが、不当な処分であるとか、あるいは違法な使用の許可であるとかいう場合には、住民の権利として訴訟ができるわけでございます。
#59
○門司委員 問題は、この二つの法律の、さっき申し上げました微妙なところに関連性がある。一方は、国その他公に使う場合には、前項を適用しないと書いておいて、二百四十三条の二には、いかなるものでもこの中に含まれている。そして納税者の権利というものが認められている。これは監査請求といいますけれども、ものの考え方としては一つの訴訟手続なんですね。そういう問題との関連性から見ますと、こういう重大な問題は、さっき言いましたように条例でどうきめているか知りませんが、とにかく一応住民投票に付するということが法の建前としては私は万全の策だと思う。これは理事者の方の見方になっても、万全の策だと思います。もしこういうことで貸し与えられると、新島のだれかが二百四十三条の二を適用して、訴訟にまで持っていくという争いが当然できてくると思います。そういうふうに解釈しておいても差しつかえないですか。
    〔委員長退席、吉田(重)委員長代
    理着席]
#60
○岸説明員 二百四十三条の二の解釈といたしましては、住民から違法または不当であるという判断をなされて、住民から監査の請求をいたしまして、さらに訴訟を出されることは可能でございます。しかし二百十三条に書いてございますのは、財産の処分の手続として、国に対していたします場合には、住民投票までする必要はない。こういうことを言っているのでございまして、これは二百四十三条の監査請求あるいは訴訟ができることとは別問題であると思います。
#61
○安井委員 住民投票の問題は、現在の法律解釈の中においての有効、無効の問題が一つと、もう一つは、いわゆる世論調査を長なり議会なりがやるということについての法律上の行為でなしに、政治上の行為としてのあり方の問題と、この二つにはっきり分けて考えるべきだと思うのでありますが、さらにこれはあとから御質問もあると思いますので、その御検討にまかせたいと思います。
 そこでこの島の様子は私もよくわからないわけでありますが、聞くところによりますと、昔、軍事基地がここに置かれたことにまつわる暗い思い出がこの島の住民たちにはあるということ、こういうことをわれわれは忘れてはならないと思うわけであります。青壮年の男子だけが当時何か義勇軍に残されまして、それ以外の人たちは全部内地の方に強制疎開をさせられる、そういうような戦時中の暗い思い出がこの住民の人たちに残っているわけです。だから、それがもう骨の髄までしみ込んでいる。おじいさんやおばあさんたちまでが、ミサイル基地になったらこわいこわいと、そういう思いに変わってきているということが言えるだろうと思います。そういう意味からいいましても、ここに住んでいる七百世帯、四千七百人くらいの人口だそうでありますけれども、この貧しい島の生活をほんとうに救ってやるという政治が今おくれているということも、この紛争の中に影響を持っていると言わざるを得ないわけであります。
 そこで私どもは先ほどの防衛庁の経理局長のお話の中にも聞くわけでありますが、ミサイルの試射場になれば、港湾もよくなるし、道路もよくなるし、飛行場もできるんだし、村の持ち出しなしに何もかもできる。そういうふうないろいろいいお話があるわけでありますけれども、こういった離れ島が、軍事基地化しなければ振興の道がないというところに、非常に大きな問題があると思います。ですから現在の政府の離島振興対策というものが極端なおくれを見せている、そういうところにも、この島に住んでいる人たちの判断を迷わす大きな原因がある、このように思うわけであります。軍事基地の問題についてはあとで西村さんの質問もあるわけでありますので、私はそれに譲りますけれども、この離島振興の措置は、自治庁の御担当ではないわけですけれども、まだまだほんとうの序の口でございまして、振興法にも筋金が入って、政府のそれらの施策について真剣に取り組むという態勢が、きわめておくれているということは大へん残念に思います。現在の情勢なり、あるいはまた今後に対する見通しなりを一つお話しいただきたいと思います。
#62
○丹羽政府委員 離島振興の問題は、実は主管は経済企画庁の問題でございまして、離島の経済状態が非常に悪いということについて、もっと活発な振興方策を立てなければならないという点につきましては同感でございますが、具体的の事実につきまして、まことに恐縮でございますが、ただいま承知しておりません。いずれまた他の機会に主管の者、あるいはもし必要でございましたならば、私ども調査をいたしましてお答えをいたしたい、こう思っております。
#63
○安井委員 私の知っている限りの離島振興対策では、たとえば経済企画庁が主管だといっても、今までその主管課もなかったわけであります。ことしようやく離島振興課という課が一つできたそうです。しかし発令されたのは課長がただ一人、あとは全部兼任の補佐官以下事務官だそうです。ですから、課長一人にまかせて、それで振興課が離島振興の方法を――日本全部で百六十一市町村、百二十五万人に上る人たちがこういう離れ島に住んでおるそうでありますが、これらに対する措置がそのような姿のままに終わっております。だから港湾だとか、道路だとか、漁港だとか、簡易水道だとか、電気の導入だとか、それらについての住民の切なる願いがいつも踏みにじられたままにあるというのが、現在の姿であります。内地でありますと、鉄道が走っておる。あるいは飛行機も飛んでおる。たとえばその鉄道だけを考えましても、ここには非常に莫大な投資が行なわれます。しかし、離れ島には国鉄の投資というものは当然考えられないわけであります。そういうことからいっても、離れ島に対する大きな投資が今後とも期待されてもいいのではないか。そういうような意味からも、今度のこの新島の問題は、政府の施策に恵まれない地域の人たち、そういう階層の人たちに対する政策の貧しさがこういう場合にも大きな影響をしておるということを、この機会に特に政府の御反省をお願いをいたしたいわけであります。いずれにいたしましても、今回の問題の中で、警察はもっともっと慎重な行動をとっていただかなければいけないし、地方自治を振興する立場の自治庁は、ほんとうの正しい意味の住民の切なる要望、素朴な希望をそのままかなえてやれるような自治行政の確立への道をお進みいただきますことを要望いたしまして、一応私の質問を終わります。
#64
○吉田(重)委員長代理 西村力弥君。
#65
○西村(力)委員 先ほど田中委員から、一部の人が現地に乗り込んで島民の意思をゆがめておるというお話がありましたが、私も十日ばかり前に行って参りました。その場合には、わが党の淺沼書記長あるいは亀田参議院議員、淡谷悠藏代議士、加藤勘十代議士、そういう諸君も現地まで行っております。そういう連中が全部島民の意思をゆがめた、こういう工合になるわけでございますが、しかしこの新島の問題は、二カ年ばかり前から始まっている問題でございまして、しかも昨年の二月には、はっきり村議会も反対を決定し、村長もそれに同意をし、村民全部をあげての反対同盟というのができた。それが、防衛庁のあらゆる工作が今ある程度の功を奏したか、こういう状況に今変わりつつある。これこそがほんとうに村民の意思をゆがめたと言わざるを得ない。山下経理局長はこの経過を承認しますか。警視総監はこれを承認しますか。
#66
○山下政府委員 新島の試射場は、先ほど申し上げましたように、防衛庁といたしましては、決してこれを軍事基地とする計画もございません。将来にわたってもそういうことは全く考えておらないのであります。また一部の人の心配されますように、これが核装備とか、あるいは将来の戦争につながる道であるというふうなことは、実は夢想だにしておらなかったのであります。不幸にして、われわれのPRが若干足りなかったということの田中委員からの御指摘もありましたけれども、そういうようなこともあったかと思いますが、地元の方の中には、そういうことを心配される方がありまして、だんだんと反対の運動と申しますか、そういうものがありまして、村議会も一度は反対の態度を表明されたことがあるわけでございます。しかし、私たちといたしましては、これは決して村のためにならない施策をするわけでもありませんし、またわれわれの意図することが、曲げてそういうふうに伝えられておるということはたえられないわけでありまして、その後、誠意をもっていろいろな行動、私たちの立場の説明、あるいは説得等もありまして、その結果、だんだんとまた村の中にもわれわれの意図するところを正当に理解して下さる方も出て参ったのであります。そういう方を通じまして、われわれといたしましても逐次PRといいますか、われわれのほんとうに意図するところを伝えて参ったのであります。その結果といたしまして、われわれの方からいえば、だんだんと村の空気も変わって参りまして、去る十月に正式に村の当局に対しまして試射場を設けさせてほしいということを申し上げたような次第であります。決して私の方として、いろいろな工作と申しますか、そういうようなお言葉がありましたけれども、われわれとしては、もともと正しいと考えておったところの道を、いろいろな機会を通じまして誠意をもって地元に説明をして参ったということでございます。
#67
○小倉説明員 一部の人の意見で全体の村民の意見がどうこうというようなことは、私は申したことはありませんし、そのようなことは聞いておりません。
#68
○西村(力)委員 経理局長から長々と説明がありましたが、私は、この経過をあなたは承認されるかどうか、これだけを聞いておるのです。しかし、今の御答弁の集約をしてみますと、その通りの経過になるのだ、こういうことであると思いますが、よろしゅうございますか。
#69
○山下政府委員 経過は今私が申し上げたようなことで進展して参ったというようなことでございます。
#70
○西村(力)委員 私が指摘したい点は、外部の者が住民をいかにも扇動して反対させているというような工合に頭からきめつけることだけはやめてもらいたい。そういうことよりも、防衛庁の数々の工作の例というものをここで披露してみましょうか。ある地区においては、全部反対であったのを、正月の二日に全員の招待をやって、その結果がぜんそれが賛成に切りかえられた。こういうような事例、あるいはあなた方の出先の人々が、どこから金を持ってくるのかわからないのだが、一生懸命菓子折を持ったりして説得して回るというようなこともたくさん事例があります。ですから、新島に関して正当なというか、表面からのいろいろな事情を説明して納得せしめようとする努力もあるでしょうけれども、そのほかにもそういう動きがなかったとは断言できないではなかろうかと私は思うのであります。その経過だけは、はっきりさように承認していただいて、これはいたずらに外部の者が扇動しているのだというようなことはてんから払拭していただかなければならないということ、それが証拠には、私が行ってみますと、先ほど安井議員からも御指摘がありましたように、お母さんたちが主体になって反対をしているのです。会合に集まってくる人たちはお母さん方、おばあさん方が主なんです。ある会合なんかに参りますと、九十のおばあさんが参りまして、われわれもう冥遂に行くのだ、行くのだけれども、あとに残る子や孫のためにこれはやはり反対なんだ。あの戦争中疎開をさせられた苦労というものは忘れられない――たまたまその疎開した先が私の村なんです。そのような事情で、ことに戦争中物質が不足してやむを得ない点もあったでしょうけれども、私たちが十分な思いやりを持って守ってあげられなかったという点はおわびをして参ったのでありますが、そういう体験からあそこのおばあさんたちは強く反対している。自分の足もとにまた戦争のにおいが間近に迫ることはもうごめんだ。こういう強い考え方に立って反対をしているのですから、そういう点をまず一つ理解をしていただきたい、こう思うのです。
 それで今の計画としては、防衛庁の技術研究所ですか、あそこの製作したものを試射するわけだ、年に二十回くらいだ。こう言われますが、将来ともそれ以外には完全にやらないのだという保障をあなたこの席でやれますか。一体その保障はどういう立場であなたは将来の責任まで持って発言できるのか。現在の計画は説明できるでしょうけれども、将来の計画までどうして説明できるのか、将来に向かってのあなたの発言がどれだけの意義があるか、あなたにそれを聞きたい。
#71
○山下政府委員 もちろん私は、将来先のことまで防衛計画についてどうこう申し上げる権限も資格もないわけでございますが、見通され得る将来につきまして、新島として考えておるところのものは、これは先ほど申し上げましたような程度の大きさのミサイルのものを考えているということでございます。それから新島は将来において決して基地として考えておらない、こういうことは現在の新島の地理的な条件、補給等の軍事的な観点から十分説明のつくことだと考えております。
#72
○西村(力)委員 それでは防衛庁としては、将来米国から買うか、あるいは供与してもらう、そういう予定のミサイルは何々と予定しておりますか。
#73
○山下政府委員 米国から供与を受けたいと考えておりますミサイルの種類といたしましては、正確な名前は今はっきりいたしておりませんが、かつて国会で申し上げたことがある通り、大体七種類のものを開発研究用としてほしいということを申しておるわけでございます。
#74
○西村(力)委員 その中で地対空のミサイルは何種類ですか。
#75
○山下政府委員 はっきりしたことは今覚えておりませんが、その一つとしてナイキ・アジャックス、ポーク等が入っておったと思います。
#76
○西村(力)委員 ナイキ・アジャックスあるいはポークというものが当然予想されておるのではなかろうかと思うのです。そういうものが入った場合に、一体どこで試射しますか。これは今の情勢から言いますと、相当早い機会に入ってくるのではなかろうかと思うのですが、その試射場はどこにしますか。
#77
○山下政府委員 最近の見通しでは、まだナイキ・アジャックスあるいはポークが近い機会に入るだろうという見通しをわれわれはつけておらないのでございます。御承知のようにナイキ・アジャックスあるいはホークと申しますのは、地対空の誘導弾でございまして、これは射程もきわめて短かいものでございます。ただこれをどこで試射をするかということにつきましては、いろいろ政治上の問題その他もあろうかと思いますが、現在のところ、どこで試射をするかということは、まだはっきりしたことはきまっておりません。
#78
○西村(力)委員 ナイキ・アジャックスはとにかく、ナイキ・パーキュリーズは核弾頭を積むことができる、ホークもそれを装填することができる、このことをあなたは説明できますか。
#79
○山下政府委員 私はその辺の専門家ではありませんので、どういったようなものかはよく存じませんが、少なくともホークはナイキよりも射程の短いものでありまして、核弾頭をつけ得るということは考えてはおりません。ナイキ・ハーキュリーズは核弾頭をあるいはつけ得るではないかという説もございますけれども、これは現在の政府といたしましては、核弾頭はいかなる方法においても持ち込まない、あるいは所有しないということは、はっきりいたしておるわけでございますので、その点は御安心を願いたいと思います。
#80
○西村(力)委員 なかなか安心できないのです。ただホークは核弾頭をつけられるんです。あなたはそういう工合に言いますけれども、射程が長かろうと短かろうと、それはつけられることになっておる。ハーキュリーズはつけることになっておる。これは沖縄で現実にやっているのですから、これはもうハーキュリーズはつけられることは常識です。それでそういうものをどこでやるかということが全然あなたの口から出てこないんですね。じゃ、新島を好適地という工合に選定したのは防衛庁のだれです。どういう機関です。
#81
○山下政府委員 これは技術研究本部でございます。
#82
○西村(力)委員 その試射場の選定は、相当前から適地を探されたと思うのですが、新島が最適である、それ以外にないのだということをきめられたのは、どのくらいかかりましたか。
#83
○山下政府委員 これはもうだいぶ前のことで、私は、当時防衛庁におりませんでしたので、はっきりどれくらいの期間をかけて選定したかということは聞きませんが、全国で至るところ、あるいはこれは地図上でございますが、当たってみて、適地というものを探したということは聞いております。ただ、いろいろ、日本は狭いものでありますから、どうしても海面上に射場を設けなければならないということ、それから本土からいきなり射場をとるということになりますと、やはり航路の関係とか、あるいは漁場の関係とかいうものと矛盾をして参る面がありまして、どうしてもある程度の離島にこれを設けねばなるまいという制約が出てくると思うのでありまして、そういう点で新島が一番適当であるという結論に落ちついたと聞いております。
#84
○西村(力)委員 私たちも、内閣委員会であったかどうか、そういう工合に答弁を聞いておるのですが、各方面探したが適地がないので、新島にしたということを聞いておる。ですから探しあぐねてあそこ以外にはなくなったという、これは防衛庁の方からいえば追い込まれた立場もあるでしょうけれども、これから再度適地を探そうとしても、なかなか見当たらないという、こういう事情がある。そういう点と、将来入るであろうそのミサイルというものを結合した場合に、島民がこのミサイルの試射場が現在技研のあのパラシュートをつけて回収できるような工合に、もったいないからそういうふうにして訓練するのだという工合に、現在の計画だけで、はいそうですか。こういうような工合にはこれは参らないのは当然じゃないですか、私たちはそう思うのです。それであそこの現地を局長は見られないと思うのですが、あの現地は、前の方は約三十メートルくらいの絶壁です。うしろは高い山ですよ。それはもう、ああいう秘密裏の訓練をするには最も適する土地である。よくもこういうところを見つけてきたものだ。私は現地を見てきたわけでございますが、前の方からは全然入れません。うしろの山に監視さえつければ、ネコ一匹だってそれは防げるくらいの要害堅固の土地なんです。こういう土地なんですが、それでそこまで行く道路はどのくらいの計画ですか。
#85
○山下政府委員 道路は、新島の港から試射場の区域あるいは飛行場の地域に至る道路を幅を広げたり、あるいは若干の観測所に至る道路なんかを新設するといったような必要があるわけでございます。現在の道路は、これは場所によっていろいろ違うのだと思いますが、大体において二メートルの幅くらい、延長約一〇・五キロ程度ということになっておりますが、これを約倍くらいに拡幅をいたしたいという計画を持っております。また新設の道路といたしましては、幅三メートルのものを二キロ半程度作りたいというような計区画を内部としては一応持っておるわけであります。
#86
○西村(力)委員 それは舗装はどの程度でありますか。
#87
○山下政府委員 側溝はつけますけれども、舗装はしないという計画であります。
#88
○西村(力)委員 それから飛行場の規模はどのくらいにお考えですか。
#89
○山下政府委員 滑走路の幅が三十メートル、長さ六百メートルでございます。
#90
○西村(力)委員 あの飛行場を作るところは村の唯一の畑地ですね。あすこは目一ぱいに滑走路を延ばした場合には、どのくらいとれる予定ですか。
#91
○山下政府委員 先ほど長さ六百メートルと申しましたが、滑走路のほかに若干余裕をとらなければなりませんので、結局は幅五十メートル、長さ八百メートル程度のものと考えております。その程度のものはとれるという見込みを立てております。
#92
○西村(力)委員 これはあなたは現地を見られないだろうし、報告もその程度になっておると思いますが、目一ぱい延ばせば二千七百メートルほどとれる。しかも先ほど申したように、一方は海で三十メートルのがけで、航空母艦の甲板から発着すると同じ形なんです。二千七百メートルあればほとんどの飛行機というものは発着できる、こういうところに飛行場を作るわけなんです。そういう点はやはり将来の拡張ということを島民はぴんと感ずるのです。クリア・ゾーンをつけて単に五十メートル幅で八百メートルということでおさまるとは考えていない。あなたは空幕というか何というか、そういう直接の方面にタッチしてないから、今の計画以外にはわからぬだろうと思いますが、そういうところなんであります。それで防衛庁のなには大体わかりました。
 それから防衛庁は、今までの例を言いますと、いろいろな条件を出されますが、あの出した条件なんかで、ほんとうに自前でやれるものはどれですか。たとえば建設省とか、運輸省とか、その他農林省とか、そういう方面の予算に依存してやるというのが多いのです。それに対する努力目標というか、そういうのが防衛庁からよく出される。しかしそれは自前じゃないのですから、えてしてその約束というものはほごにされる。そういう事例が今までたくさんございますので、その条件の中でほんとうに自前でやれるものはどことどこですか。
#93
○山下政府委員 今条件と申されましたが、条件というのは、おそらく本年の十月に防衛庁から地元の村当局に対しまして、試射場の設置に関する基本事項を書きました文書で正式に申し入れておる中に八カ条ばかりのものがございますが、そのことを言っておられるのかと思います。御参考までにその点を若干御披露申しますと、第一は、本試験場は、試験用飛翔体の実験施設であって、基地となるものではない。また、爆発物を装填した飛翔体の試射は行なわない。第二は、本試験場の設置をおおむね別添図面の通り計画をする。ただし、双方において合意する条件によって用地の所有権または使用権の取得及び海面の使用を行なう。第三といたしまして、新島黒根港の突堤について五十メートルの延長工事を昭和三十四年度より昭和三十七年度までに完成をはかる。なお、離島振興法に基づく既定計画についても昭和三十七年度までに完成するよう促進に協力する。第四項といたしまして、新島本村―若郷間に建設中の道路の早期完成をはかり、渡浮根港の整備の促進に協力をする。第五は、式根島小浜港の整備についてその促進に協力する。第六は、突堤、飛行場及び道路について、防衛庁の使用を妨げない限り民間の使用を認める。第七に、実験に伴って通常生ずべき損失については誠意をもって適正な補償を行なう。第八は、発射場地区をハバタ地区に限定し、村の了解がない限りその区域の拡張は行なわない。これが村当局に申し入れました試射場の設置に関する基本事項でございます。この事項につきましては、防衛庁といたしましては、ほぼ独力でもってこれをやり得るという自信を持っておるわけでございます。もちろん他省の管轄に属すること、たとえば離島振興法に基づく既定計画の遂行といったようなことはあるわけでございます。これは官庁間同士でもって、できるだけその促進に協力をしてほしいということを申し入れる程度でございます。そのほかのことにつきましては、大体防衛庁の自前でもってやれる、こういうふうな確信を持っておるわけでございます。
#94
○西村(力)委員 そういうおつもりだと思うのですが、しかし若郷に行く道路なんかは、防衛庁としては何ら金を出すべき場所ではない。その部落民を賛成させるためにそういうものに協力する、こういう工合に出しているにすぎない。あるいは港の問題も、離島振興法とかそのほかのものに協力するとか、努力する、そういうことが非常に多いということ、これはやはりはっきり指摘しておかなければならないことじゃないかと思うのです。
 次に警察関係の方でありますが、総監は、あとにしこりが残らないようにということを仰せられましたが、これは確かに一番大事な点であると思うのです。新島の治安を守る上において、高度に考慮すべき点はここであると思うのです。集まってくる連中はほとんど親類、縁故関係だ、こういう諸君でありまして、これがたまたまこのミサイルの持ち込みによって兄弟が分かれ、おじ、おいが分かれるというような工合になっておる。これを下手に収拾をすると、あとに非常なしこりが残って、村の平和というものは完全にくつがえされてしまうわけなんです。ですから、あとにしこりが残らないようにという配慮は非常に貴重であるし、あくまでもこの点を貫いてもらわなければならないと私は思うのです。この点は、現地の佐藤署長ともいろいろ話しして参りましたが、署長もはっきりその通り申しております。ですからそういう点からいいますと、今田中委員の質問に対しても、相当断固たる決意の中にも慎重な態度をとられている点については、私たちは同感の意を表したい気持もあるのです。ですが、やはり現地に警官を派遣すれば、現地でその空気の中で苦心して離島の治安を守っておられる署長とは違った立場で警察官の職務執行が行なわれるではないだろうかということ、これが私たちは非常に心配されるのであります。今度行かれたのは一個中隊とか新聞に出ておりましたが、指揮官が警視なわけであります。あそこの佐藤署長は警部であったように思いますが、一体こっちから出た機動隊の指揮はあの署長にまかされるのかどうか。指揮系統はどういう工合に指示してやられるのか。
#95
○小倉説明員 これはいつもの場合と同じでありまして、応援を受けました署長が中心となって指揮をするのであります。今回の場合も同様でございます。
#96
○西村(力)委員 階級といいますか、それはどうなんですか。
#97
○小倉説明員 階級の点はお話しの点がございますけれども、そういうような指揮系統で処理するのであります。なお、現地に参りました警察官に対しましても、私どもの警備部長から、よく私の気持の点を伝えて事案に当たるようにということを申してあるのであります。
#98
○西村(力)委員 そういう指示を出しても、こちらから行った指揮官が警視で、向うの署長が警部という場合に、一体警察官の職務執行の場合に障害になりませんか。私がそう申すのは間違いないでしょう、向こうさんが警部でこちらは警視が指揮官ということは。
#99
○小倉説明員 これは階級の点でなくて、通常の場合でも、応援に行きました隊の隊長が所轄の署長よりも先任の者であるという場合は幾らも例があるのであります。これは警察部内の従来のやり方通りでありまして、署長がどこまでもその所轄の内部のことにつきましては責任を持って指示をしてやる。行きました警察官の長はこれを補佐する。こういう立場で事案に当たっておるのであります。
#100
○西村(力)委員 そういうことが普通よくあることだということになればそれまでですけれども、警察というものは、指揮系統というものが職務階級によって相当厳格なものがあるのじゃなかろうかと思うのですが、長官はどうでしょうか。そういう指揮系統を作っていくことは、今までよくやっているのだとすれば問題はないのですけれども、あの島の治安は、あの島に長く住んで、そうしていかにするかということを身をもって知っている人でないと、非常に危険ですから、この点を私は聞いているのです。
#101
○柏村政府委員 ただいま総監から申し上げた通りのやり方を警視庁においてやっているわけでありまして、今度の応援にいたしましても、署長から要請があって、それをさらに検討して出しているという状況でありまして、署長も、応援隊の出動を要請したという点から見ましても、そういう非常の事態に備えて必要であるという慎重な考えのもとにやっていることだと思います。それから今の階級の問題は、総監の申した通りでございますが、多くの場合そうした警視、上官というものが相談役というような形になって、実際の全体の指揮は当然その署長がとるという建前をとっているわけであります。
#102
○西村(力)委員 その点は厳重にやって、こちらから行った機動隊が、こちらのような感覚で独自な先走った行動をしないように、くれぐれも厳重に指示を与えてもらわなければならないと思うのです。それから警察官はあくまでも公正、公平に行動するのだ、こういうことでございますが、それはいついかなる場合においてもそうでなければならぬだろうと思うのですが、そういう気持でおっても、なかなかやはりあぶない点が相当ございます。向こうに参ってみましても、あの署長さん、真剣にあとにしこりを残さないように、こういう配慮のもとに行動されておりますが、それでもやはり一部部落の代表を通じての通達なんかを出したりしております。これはどういうことかというと、今まで慣例として漁船を使って、それに幾ばくかの人間が乗って島の間を往復する、こういうようなことはもう認められておる。署長自身も、緊急の場合には、連絡船がなければ漁船を使って行動しなければならぬという事情にある。ところが、そういう事情にあるにかかわらず、近く開かれる村会を前にして、そういう漁船の使用というものは海上保安庁の何とかにひっかかるから、それに乗らないように、こういうような通達を出しておりました。そういう事例からいいましても、公正を期するというようなことは、言うべくしてなかなかその通りに全体の人を納得させるような工合には参らないところがある。その点も十分に一つ注意をしていただきたい、こう思うのです。その点も署長さんと、何も抗議やなんかでなく、お互いに話して参りまして、少し表現がまずかったかなというようなことを私語されておったような事情でございます。今まで何も問題なく、署長さん自体も漁船を利用せざるを得ないような事情のあるところにおいて、村会なら村会を前にして特別に出すなんということは、これはやはり一方的であるととられても、やむを得ないことになるのじゃないか。そういう事例がたまたま発生しましたので、御注意を願いたいと思うのです。
 それから次の点は、あそこに右翼団は入っていませんか。その情報はどうでしょう。
#103
○小倉説明員 ただいまのところ、私は聞いておりません。
#104
○西村(力)委員 はなばなしい動きもないですけれども、私たちが聞き知ったところでは、それに類する人々が相当入っているようにも聞いておりますので、そういう情報なんかにもことに注意をしていただきたい、こう思うわけなんです。
 あと住民投票の問題もありますが、それは先ほどからいろいろ論議されましたので、この程度にいたしますが、いずれにしましても、この場合は村長を軟禁したなんていいましても、これは親類同士で、村長自体が、おれは軟禁された覚えはないんだということを言うておる。そういう事情でありますので、警察権を発動するなんということはよくよくのことでなければやらないのだ、こういうつもりでやっていただきたいと思うのです。
    〔「吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
私は何もそのことによって、もう完全なる暴力事犯や何かであった場合においても、なおかつ警察権の発動はとめらるべきである、こういうようなことを言うんじゃないのです。しかし原則は、あとにしこりが残らないようにする、あの村民同士の間にしこりが残らないようにする、こういう大前提のもとに行動をぜひ慎重の上にも慎重にやっていただきたい。こういう点を申し上げまして、私の質問をこれで打ち切りたいと思います。
    …………………………………
#105
○濱地委員長 田中榮一君。
#106
○田中(榮)委員 引き続きまして私は、学園の自治と警察取り締まりの関係につきまして質問を続けたいと思います。
 国会デモ及びその後の全学連の行動は、われわれから見ますると全く無軌道でありまして、ひとしく国民の鋭い批判を受けているわけであります。全学連は十日の国会デモに際しまして、三日午前十時半から、東京駒場の東大教養学部自治会室で、安保改定反対第九次統一デモで再び国会に突入するということを、これは唐牛全学連委員長が堂々と発表いたしておるのであります。これは私は新聞記事で資料をとったのでありますから、あるいは事実に反した点があるかも存じませんが、第一は、全学連は全国から二万人の学生を動員して、もし地評が国会デモに参加しなかったならば、全学連は独自で国会突入を行なう。それから第二は、統一デモには、東京周辺の大学は九日から授業放棄ストを行ない、夜行列車で上京して統一行動に参加する。第三は、統一デモは全国大学の授業放棄ストを基盤として行なう。全学連の委員長はこういう声明を発表しているわけであります。
 私どもは、その後全学連の一貫した行動をよく見ておりますると、どうも気違いじみた、革命の予行演習に自己陶酔をしているような気持がしてならないのであります。これらの若い人々は、自己の行動に対して全然責任を持たない。いたずらに反権力的闘争をやりまして、そうしてただ感情のままに動いておる。全く常識を逸脱した行動でありまして、良識ある国民のほとんど全部が全くひんしゅくをいたしているような状況であります。一体この全学連というものは、私は前回の地方行政委員会の関連質問にもちょっと申し上げたのでありますが、すでに共産党からも、お前さん困るからもうどいてくれというように、共産党からも除名されております。それからまた安保改定阻止の国民統一会議からも、全学連がおっちゃとても困るから、こんな気違いじみた行動をされては困るから、お前さんどいてくれ、こういうように、これからもつまはじきされておる。全くこうした、いわゆる革命的予行演習の誇示と申しますか、そういったものを職業的にやっておる団体のように私は思うのであります。先般、このものに対して破防法を適用したらどうかというような議論さえ出ているわけであります。四日の午後六時に、松田文部大臣は、東京神田一ツ橋の学士会館で、東京都内の国立、公立、私立八大学の学長を集めまして、緊急学生対策懇談会というものを開きました。そのときに、名大学長からこういうことが答えられたのであります。学園の正常化をめざして努力しているが、それには、学生の真の理解と納得が必要だ。しかし、一部の過激な学生に対する処置のため、一般の正しい学生が迷惑することは忍びがたい。全学連と一般学生をはっきり区別して指導をいたしたい。こういう点を各学長は異口同音に強調されておりました。また懇談会としては、全学生を対象として、学園の自由、学園の自治、学園の秩序の問題をはっきりさせるために、教授会など全学あげて学生との話し合い、説得を行なって、これを積み上げて健全なる自治活動を育成したいという強い決意を明らかにした。こういうような報道をされておるのでありますが、私はただいまの新聞等を見ますると、茅学長と全学連の一部と、それから東大の自治会の中央執行委員会とのいろいろな現場のやりとりがあるのでありまするが、私はこの際、本日は文教の府をつかさどる文部大臣として、はっきり一つ国民の前に文部当局の決意を示していただきたい、かような意味で文部大臣、文部政務次官の御出席をお願いしたのでありまするが、いろいろの点で御出席ができません。そこで私は緒方大学学術局長に、この際、現場のやりとりは別といたしまして、文部当局としまして、今回の問題についてどういう態度をとるか、また今後どういうような方針でいくかということを、一つはっきり国民の前にお示し願いたいと思います。
#107
○緒方説明員 去る十一月二十七日のいわゆる国会乱入デモにあたりまして、全学連の指導のもとに、相当多数の学生団体が先頭に立って、あの混乱を引き起こしたということにつきましては、私ども教育行政の任に当たる者といたしまして、まことに遺憾に存じております。さらにこれに対しまして、国民全般から非常な批判を受けておりますにかかわらず、全学連がさらにこの十日には、今お示しになりましたような再度のそういうデモを行なうというようなことを申しておるということが伝えられております。このことにつきましても、まことに遺憾に存じておる次第であります。文部省といたしまして、あのことが起こりましてから大学ともいろいろ連絡をいたしまして、この事態の適正な正常化につきまして、大学の努力を要請して参っておるわけであります。ただいまの御質問の中にありましたように、文部大臣が大学の学長と懇談したというのもその一つでございます。これに対しまする対処の方法としましては、いろいろ考えなければならぬ点もたくさんございます。大学の学生の教育指導の面で反省しなければならぬ点もたくさんございまするし、またその学生の厚生、通算等に対する態勢等につきましても、なお改善をはからなければならない点がたくさんあると思います。しかしこれは大学は教育の府でございますから、これも今御質問の中でおっしゃいましたように、やはり学生の理解と納得ということをどうしてもはからなければならぬという立場に立つものでございます。教育の力によってこれを解決していくという努力を重ねなければならぬと思います。ただ全学連というものが、これは各大学の自治会の連合会とは称しておりますけれども、しかし大学の自治会というものは、学内におきまする学生生活の向上のために大学当局がこれを認めておるいわゆる自治活動でありまして、それがその連合体と称して非常な矯激な政治活動をするというのが全学連の実態でありまするし、その結びつきが問題であると思うわけでございまして、これは一般学生の批判、自覚というものが、そこに起こらなければならぬ、かように考える次第でございまして、要するに各大学の自治会の活動の適正化ということが取り上げられなければならぬ問題ではないか、かように考える次第でございます。この問題につきましては、文部省といたしまして、あるいは文部大臣といたしまして非常に遺憾に考えますので、実は文部大臣談話といたしまして、考え方を、これは学生に訴えるという形、あるいは大学当局に訴えるという形におきまして、きょう発表されたようなことでございます。以上申し上げたような次第でございます。
#108
○田中(榮)委員 私は文部大臣が非常に苦心をされまして、あるいは大学の学長と面談をしたり、あるいは意見の交換をしたり、今お話を聞きますと、文部大臣名で声明を出されたというようなことは非常にけっこうなことと存じております。
 そこで私は、学園の自由ということと学園の自治ということについて一つ承りたいと思うのでございますが、学園の自由ということをよく言われております。この学校の自由、学園の自由ということは、御承知のように憲法二十三条が「学問の自由は、これを保障する。」と、憲法の条項の上にまっこうからこれを掲げております。それから十九条には思想及び良心の自由が認められ、さらに二十一条には表現の自由が認められております。また破防法第三条によりますと、学問の自由を不当に制限してはならない、こういうことになっておるし、また教育基本法の第二条には、教育の目的を達成するためには、学問の自由を尊重し云々ということが掲げられておるわけであります。そこで学校というものは、この憲法の精神から申しますと、人格の完成を目ざして平和的な国家及び社会の形成者としての自主的精神に富んだりっぱな健康な国民の育成をするところにある、こういうようにいわれておるわけであります。学校内におきましては、教育の場として、永遠の真理を探究し、人類福祉と文化の向上に資する学問の殿堂であらねばならぬのであります。従って学園内の研究、講義等は、これは当然教育の場として、また教育の中立性からいいまして、これは憲法の精神並びに教育基本法の精神に反せざる限り、絶対に自由でなくてはならぬと思うのであります。ところが学問の自由、それからそうした教育の中立性、こうした神聖な学園の自由という意義が、ときに学園の自治ということと非常に混同されておるわけであります。私は、学園の自由は絶対に保障せねばならない。ところが学園の自治という観念は、学園の自由とは若干意義が異なっておるんじゃないか。学園の自由はあっても、学園の自治ということは、学校長の承認のもとに許された自治であって、学校長の承認を得ざる自治というものは学園内には絶対にあり得ない、かように私は考えておるのであります。こうした学園の自由と学園の自治とのはき違えからしまして、ときに学園内に起こった法律に違反したことや、あるいは秩序を無視した行動、それから学園内において不法行為が行なわれ、あるいは犯罪が行なわれ、あるいは法令違反の容疑者が逃げ込んでも、これを捜査することが非常に困難である。こういうようなことが、この学園の自由と学園の自治との観念の混同からいろいろきているのじゃないか、こう思うのでありますが、文部当局としては、これに対してどういうようなお考えでありますか。
#109
○緒方説明員 大学の自治と申します場合に、これはいろんな意義があると思います。学問の研究の自由が保障されなければならぬということは、これは当然だと思います。それがなければ学問の進歩はないのであります。大学は学問の研究と、それからもう一つ教育という使命を持っているわけでありますが、この研究、教育を推進していきます上に、外部からの制肘を受けない、自分みずからの判断によってこの使命を達成していく、そういう自治と申しますか、自由と申しますか、そういうことが保障されていることが、やはり研究、教育というものを適正に進めていく上に必要じゃないか。ただしかし、これは制度的にそういうふうになっているわけではないのでございまして、制度としてきまっておりますところは、大学教官の人事が大学の管理機関のみずからの管理にゆだねられておる。これが大学の自治として制度的にきまっておるところでありますけれども、今申しますように学問の自由とか、あるいは教育の自由とか、研究の自主性とか、そういうものは社会的に尊重して、社会的雰囲気と申しますか、習慣と申しますか、伝統と申しますか、そういうものが必要であるということが学問の自由といわれ、あるいは大学の自治といわれるものであろうと私は存じます。広くはそういわれるものであろうと思っております。そこでそういう学問の自由やあるいは大学の自治、それから今お話しになりましたように、それがゆえに大学の中でどういうことが行なわれてもいいということでは絶対ないのでございまして、もしも大学の中で犯罪が行なわれ、あるいは違法状態が起こった場合に、それが治外法権のごとく、これに対して手が加えられないということは絶対にない、かように考えております。そこは厳密に区別をして考えていかなければならないと思っております。このことは私ども行政当局者が考えておるばかりではございません。昨日実は東京大学におきまして学生一般に告示をいたしました。その中にも明確にそのことを示して、学生一般に示しております。
#110
○田中(榮)委員 そこで私は警視総監にちょっとお伺いしたいと思うのですが、この全学連の書記長の東大学生清水丈夫君、それから東大法学部緑会の法学部四年の葉山岳夫と書いてありますが、清水君、葉山君に対して逮捕状が出ておるというのでありますが、これはどういう法令の根拠に基づく逮捕状でありますか、お知らせ願いたいと思います。
#111
○小倉説明員 当日の国会デモ乱入事件に関連して、公安条例違反としての逮捕状が出ておるわけでございます。
#112
○田中(榮)委員 これも新聞紙の報道するところでありますから、私は確とした論拠で申し上げておるわけではないのでありますが、この中で、清水君は駒場に九日間立てこもった、それからさらに駒場の教養学部に立てこもったということが書いてあるのですが、これは教養学部の構内でありますか、あるいは教養学部の寮の中に立てこもったというのでありますか、その辺もし御存じでありましたらお聞かせ願いたいと思うのであります。
#113
○小倉説明員 私どもの方で見ているところでは、寮の方であろうと思います。
#114
○田中(榮)委員 この立てこもった期間に逮捕令状が出たのでありますか、そこを去ってから後に逮捕令状が出たのでありますか、その辺を一つお聞かせ願いたいと思います。
#115
○小倉説明員 先般の国会デモ乱入事件につきましては、直ちに捜査に着手いたしまして、翌早朝必要個所の捜索、また必要な者の逮捕をいたしたのであります。その際の逮捕予定者の一人でございます。
#116
○田中(榮)委員 これも新聞でありますから、私ははっきりしたことは申し上げかねるのですが、清水君に対する逮捕状は十一月の二十八日、葉山君に対する逮捕状は十二月の一日と、私の想像するところでは、この逮捕状が出たために教養学部の寮に立てこもったように私は考えるのでありますが、一体教養学部の寮というものは学校の構内とみなすのでありますか、それとも単なるわれわれの住んでいる家と同じような取り扱いを受けるのでありますか、その辺お聞きしたいと思います。
#117
○緒方説明員 大学といたしましては、これは大学の構内と考えております。
#118
○田中(榮)委員 私どもが大学の自由、大学の自治というものを認めるのは、学校が教育の場であり、しかも神聖なる真理を探求する場であるがゆえに、われわれは学園の自由であるとか、学園の自治というものを認めておるわけであります。たとい大学の構内であっても、寮の中に住んでおったというなら、われわれの家庭に住んでおるというのと同様じゃないかと思うのです。いかがでしょうか。現在の寮がたまたま構内にあったからといって、それがやはり大学の自治といいますか、学園の自治、自由というものの恩典に浴するものであるかどうか、その辺を一つ承りたいと思うのであります。
#119
○緒方説明員 大学の構内といえども、これは治外法権のごときものではないことは先ほども申し上げました通りであります。ただ大学の寄宿舎というものをどう考えるかということでございますが、これはやはり大学の教育といたしましては、教室で教授が講義をするという場面だけが教育の場ではなく、寄宿舎も教育の場として広く考えていく。こういう立場から申しますと、寮というものも教育の場というものには含まれておる、かように考えております。
#120
○田中(榮)委員 それならば、教育の場であるというふうに御認定になるならば、一体大学の寮に対して大学の教授の方々、あるいは指導者の方々がどういう監督をなされ、どういう指導を実際に寮の中でなさっておったのでしょうか。そういう事実があるのかないのか、それからないとするならば、全く学生の自治にまかしておったのかどうか、その辺をお聞きしたい。
#121
○緒方説明員 大学の寮の運営につきましては、これは大学の寮の寮生の代表による自治的な運営にまかせておるのが実情でございます。しかし、これに対しまして大学当局の指導が加わらないということはないわけでございまして、私は詳しく具体的にはここで申し上げかねますけれども、それに対しまする教官、あるいは学生部というものもございますから、そういう方面の指導を加えておるものと考えております。
#122
○田中(榮)委員 それでは小倉警視総監にお伺いしたいのでありますが、そういたしますと、清水君が駒場に九日間籠城しておったのでありますが、なぜこの際に逮捕令状の執行をなさらなかったのであるか。学園の自由であるところの大学の構内であるがゆえに警察として手は伸びなかったかどうか、どういう理由で逮捕令状を執行しなかったか、それを一つ承りたい。
#123
○小倉説明員 これは寮が学園の自由とどういう関係にあるかということは、私どもはそれほど深く考えておらないのでありまして、いずれにしましても現実に構内に被疑者はおるということで、これに対して強制逮捕の挙に出るということが、必要以上の紛糾を来たす。こういうようなおそれも考えられ、さらに学校当局から責任を持って逮捕に協力する、こういうような話もありましたので、直ちに強制逮捕に移るということをしないで参ったような次第でございます。
#124
○田中(榮)委員 従来駒場の教養学部の寮に警察として、検挙するとか、犯罪を捜査するとか、あるいは検索をしたとか、そうした例があるのでしょうか、ないのでしょうか。
#125
○小倉説明員 過去において二十何年ごろでしたか、一度そういう事件があったということを聞いております。
#126
○田中(榮)委員 それは昭和二十六年でありましたか、はっきり年代を覚えておりませんが、これは大学当局の十分なる協力のもとに駒場の学生寮に対しまして、警視庁として参りまして、そうしてそれぞれの容疑者を逮捕した実例があるわけです。警視庁としてもそうした実例があるのでありますから、私は、この九日間の間をここに空費してしまったということは、今回の問題を起こした一つの――清水君に関する限りはそうした一つの原因を作っているのじゃないか。もしあの九日間、この間にもうすでに目黒の教養学部の寮におることがはっきりしておるのでありますから、その際に茅総長なり、学部、学校当局と十分に一つ連絡をとって、そうして少なくとも清水君に関する限りは逮捕令状が執行できた、私はかように思うのでありますが、いかがでしょうか。当時の状況としてそれがなぜできなかったか、それをはっきり一つお聞きしたいと思います。
#127
○小倉説明員 先ほども申しましたように、事件直後から、所轄の署長を通じまして学校当局に協力を依頼し、また学校当局も責任を持って協力するということで、種々説得といいますか、努力をされておったのであります。しかしながら、たとえば駒場の寮についていいまするならば、あそこには相当多数の学生も住まっておることでもありますし、学校当局でそういうような話があります以上、まず第一段階としては学校当局の努力によるということが適当であろうということで参ったのでございますが、その後さらに学長に対しまして文書をもってあらためて協力方の要請をいたしましたところ、学長も、いろいろ努力をしておる、さらに真剣に努力するからというようなことで今日に至っておるのでありまして、先ほども申し上げましたように、必要以上の紛糾を来たしたくないということと、学校並びに一般学生側の協力を強く期待するということがこの際適当であろうということで、そのように処置して参っておるようなわけであります。
#128
○田中(榮)委員 学生が多数おるし、不必要なトラブルを起こしたくないという警察当局のお見通しから、逮捕令状を執行しなかったということにつきましては一応私は了解いたしますけれども、しかし、令状を執行するチャンスがあったのをみすみす逃がしてしまったのじゃないかという気持がいたしてならないのでありまして、今日かように事態が悪化するに至ったことについては、そうしたところも一つ反省をしていただく必要があるのではないかと思うのであります。
 次に、四日の日に警視庁の三井公安第一課長が東大茅総長と会見をして、三井課長から、二人を出頭させるよう協力してほしいと申し入れたのに対して、茅総長はいかなる回答をしたのでありますか。これは新聞に出ておらず、われわれわかりませんので、その回答の内容を一つお知らせ願いたい。
#129
○小倉説明員 ただいまも若干申し上げましたように、茅学長としましても、この問題では真剣に努力をしておるから、もうしばらく待ってもらいたい、こういう御意向でございました。
#130
○田中(榮)委員 この新聞紙で拝見するところによりますと、茅学長は、今回の問題については最後のどたんばまで誠意を持って説得を続けるということを言っておられるのでありまして、われわれは茅学長の誠意と努力は認めざるを得ないのであります。読売新聞の十二月三日の朝刊に、学長談話としてかようなことが載っておりました。「学外で起こった事件の責任者をかくまうのはおかしい。逃げこんだどろぼうをかくまうようなものだ。ただ学生の気持を考え、教育的観点に立つと、学内に警察の手が入って混乱が起きるのはどうにかして防ぎたい。しかし法的権限からは最後まで警察の手を拒みきれない。誠意をもって学生諸君の説得を続けるという以外にない」こう言っておるのであります。しかるにかかわらず、それからさかのぼりまして二日の夕刻、学内で開かれた東大学生自治会中央委員会が講演討論会で集会をいたしたいからということを学長側に申し出たところが、一応許可したようでありますが、いろいろの点を考えて開催を中止させたのであります。これは学部長会議で許可を取り消したために中止をさしたものと考えておりまするが、この大学側の警告を振り切って、その講演討論会もついに強行されたのであります。その際に、これを取材に行ったカメラマンのカメラが盗まれる事件が起こりまして、学生側は、カメラの盗難は警察官導入の口実だといって、教室にバリケードを作って泊まり込みの警戒をいたしたということが新聞に出ておるわけであります。
 こうした学校当局の警告も無視したり、あるいはカメラ盗難を警察官導入の口実だといって学校当局を非難して教室にバリケードを作って、まるで子供が戦争ごっこをするような気持でこれらの人々が熱狂的にいろいろな行動をとっておるのでありますが、こうしたことをわれわれが見るにつきまして、どうも今の全学連といいますか、学生の一部の先鋭分子が、ほんとうに正しい意味の学生運動をやっているかどうか、こういうことを疑わざるを得ないのであります。
 さらに六日の午後、東大学生拡大中央委員会総会が経済学部の自治会――これは経友会というそうでありますが、自治会の部屋で開かれまして、十八人の八学部代表と四十人の全学連の学生が集まって、二時間にわたって討論を行なった。その内容によりますと、われわれは葉山、清水両君が学内に立てこもって闘い抜いておることを誇りと思っておる。第二には、学長を初め大学当局が両君に自首するよう説得するのは自治活動に対する弾圧である。第三には、十日には全学ストライキを指令して学生を動員、再度国会デモを敢行する、葉山、清水両君もデモに参加する。新聞によれば、デモの先頭を切って清水、葉山両君が行くんだ。こういうことも実は書いてあるのであります。しかも清水、葉山両君は学内で新聞記者と会見したり、あるいは討論会にも出席し、ことに七日午前十時には茅学長と学生自治会代表が安田講堂会議室で会見したとき、葉山君がその代表中にいたのであります。そこで茅学長は、もし葉山君がこの代表に加わるならばこの会見を拒否すると強い態度をとったのに対して、学生側は、絶対に葉山君を引っ込ませない、代表としてあくまで出す、こういう激しい問答が繰り返されました結果、ついに面会を拒否されて自室に帰られたように書いてあるのであります。清水、葉山両君は警察から指名手配を受けている人物であって、これが学園内で逮捕できずに堂々と新聞記者とインタビューをしたり、学長に面会を申し込んだり、演説をやったり、いろいろ活動しておるのであります。
 これは学園の自治という金看板の陰に隠れて、犯罪容疑者も無事にかくまわれておるという印象を深く国民に与えておるわけでありまして、学園内においてはまるで無警察の状態ではないかということが一般に批判され、また学園内は全く治外法権だというような考え方を一般国民が持つことは、非常な悪影響を国民の思想の上に及ぼすのではないかと思う。こうしたところによれば何をやってもいい、何の犯罪をやってもこういう隠れ家におれば警察も逮捕できない、こうした感じを一般国民に与え、また将来の国民として日本をしょって立つべき若い学生諸君にも決していい影響を与えないと思うのでありますが、これに対しまして今後警察のとるべき措置につきまして、小倉総監からはっきりお答えを願いたいと思います。
#131
○亀山委員 関連。先ほど来田中委員と文部省並びに警察当局との応答を聞きまして、まことにわれわれは遺憾に思います。今回の国会侵入事件に関連する全学連の東大学生指名手配問題について、今警視総監は不必要な紛糾云々ということであります。また緒方局長も、何かわれわれにぴんとこないような御説明であります。それで今田中委員がいろいろ質問されて、ここで締めくくりをなさると思うのですが、こういう問題が今後全国の学内に起こった場合に一体どうするか。今の世論なり新聞その他の報道をごらんになればよくわかると思うが、この際私は、警察庁長官の今後に対する御所見と、きょうは国家公安委員長はおられませんが、また警視総監は今の田中委員の質問に対するお答えもあると思いますが、また緒方大学学術局長のこれに対するはっきりした今後の処置についての御答弁を願いたい。でき得ればこの委員会で文部大臣の御出席を求めて、現在起こっておる問題は大いに反省していただき、あわせて今後の問題について明確なる所信を聞きたいと思うが、そのことをお伝え願いたい。きょうは警察庁長官と大学学術局長に、今回の問題の処理と、あわせて今後の問題についての御所信を私はお漏らし願いたいと思う。
#132
○柏村政府委員 今度の事件はまことに遺憾な不祥事態であったと存じます。このような犯罪を犯した被疑者が学内に潜入して逮捕令状の執行が手間どっておるということも、これまたそれ自体として私は遺憾なことに存ずるのであります。ただ今回の事件につきましては、先ほど来警視総監の申しておりますように、学校当局がともかくも責任を持ってできるだけの協力をしたいということで、しばらく待ってくれというお申し出もあるような状況であり、今までにない学校としても非常な決意をもって事に当たっておられるような状況下でございますので、警視庁といたしましても、しばらくこれについてその成り行きを見、さらに事態の進展によりまして強硬な手段に及ぶということも考えておられるようでございます。私は、全国の大学につきましても全く同様の考えを持っておりまして、大学当局が、教育の場であります学園でありましても、事態の状況、特に犯罪を犯したというような者については、断固として今後臨んでいただきたいということを希望いたしまするし、また全学連に加入している自治会の構成員といたしましても、学生の大部分というものは、私はししとしてに勉学に努めるまじめな将来ある学生が大部分であろうと思うのでありまして、こういう人たちがこれを機会に大いに正義感を強く持たれ、勇気をふるい起こして、独自の見解に立って勇往邁進されるような雰囲気が醸成されることを期待いたしておるのでありまするし、必じそういうふうになって、この過激分子が孤立化して参る傾向に相なるものと思っております。しかしながら、そうした大学当局の態度とかあるいは学生の今後の趨勢とかいうようなことがどうありましょうとも、いやしくも犯罪を犯した容疑者というものが学内等に潜入する場合におきましては、できるだけすみやかに適切な方法を講じてこれを逮捕するというきぜんたる態度を警察は持つべきであろうというふうに私は考えまするし、そういうふうに指導をして参りたいと思っております。
#133
○小倉説明員 先ほど私から申し上げましたように、学校当局並びに警視庁の気持から今日まで逮捕に至っておらないのでありまするが、茅学長以下各学部長あるいは教授の方々は非常な真剣な態度でこの問題に臨んでおられまして、様子を聞きますると、あらゆる手がかりを求めて学生の説得に当たっておられるのであります。しかし、遺憾ながら今日までこの問題は解決に至っておりません。ただ、一般の学生のこの問題に対する関心も非常に高まって参りまして、本日聞くところによりますると、法学部の多数の学生諸君の集会の席上、この問題についての論議があり、圧倒的多数でこういうような事態はいけないのだ、早く解消しなくちゃいけないのだというような決定がなされたように聞いておるのであります。そういうような状況でありますから、私といたしましては、最後の瞬間まで学校当局の努力並びに一般学生諸君の勇気のある措置、判断というものを期待し、また信じておるわけであります。しかしながら、もちろんいつまでもこういうような事態で推移することは許されないことでありまするし、また学校構内といえども決して治外法権ではないという点もはっきりいたしたい、こう考えておるわけであります。できるだけ早い機会に逮捕するということにいたしたい。なお、この逮捕の時期につきましては、申し上げるまでもありませんが、今回の事件はこの二人の学生を逮捕すればそれで済むというような問題じゃないのでありまして、総合的な見地からも考えまして、なるべく早い機会に逮捕いたしたい、こう考えております。
#134
○緒方説明員 特に今度東大の内部に行なわれておりまするこの状態に対しまして、私どもとしましてもまことに遺憾に存じ、深く反省いたしておる次第であります。先ほど来申し上げますように、大学の構内に対しまして警察権が介入してはいけないといったような考え方は一つもない。ただ大学で警察当局にお願いをいたしておりますところは、ただいま警視総監からもお話がありましたけれども、大学というところが教育の場でありますから、大学自体の力によって何とか解決をしたいという学長以下の願いといたしまして、猶予を願っておるような次第でございます。連日学部長会議を開き、あるいは説得を続け、その努力を繰り返しておりますが、遺憾ながら今日まで解決を見ておりません。しかし、これも今お話がありましたように、一般学生に対しまする説得の効果もようやく見えてきたというふうに聞いております。これは大学における教育のことでございまして、手っとり早くいかないところはまことにもどかしくも存ずるわけでございますけれども、そういう意味であくまで一つ努力を続けたいということで、警察の捜査につきまして御猶予を願っておるような次第でございます。
 それからさらに今後の事態につきましては、これも私、先ほどお答えの中にちょっと申し上げたつもりでございますが、何と申しましても、一般学生の全学連の実体に対しまする認識を十分深めまして、学生全般が、学生運動の健全なあり方というものを学生全般の問題として取り上げ、反省していくということが一番大事なことであろうと思います。大学当局に対しまして、そういう面で今後学生の教育指導に当たってもらうように極力私どもも努力したいと思います。
#135
○亀山委員 ただいま御答弁がありましたが、教育機関に対する警察権等の問題は、ただいまいろいろ御説明によってある程度はわかります。けれども警察権の執行が、他の場合と教育機関の場合とあまりに違い過ぎるということになりますと、結局は、教育機関、大学は治外法権だという感じを与えることは明瞭なんであります。現にまたそういう空気です。従って、先ほど来警察庁長官も警視総監もそういうような趣旨のお言葉でありましたけれども、今度の場合明瞭に治外法権の感じを与えておる。その点ぜひ警察当局及び文部当局は反省してもらいたい。もう過ぎたことは言いません。今後の問題として、今のお三人の答弁では、どうもわれわれぴんとこない。程度問題だ、教育機関及び学生に対する思いやり、これはけっこうです。けれども、そのために学生、大学その他が治外法権だ、しかも警察力というものはそういう方面には非常に手かげんがある。こういうことは警察権の行使としては多分に考慮しておかなければならぬ。もう一度伺いますが、一つ今後とも、今の思いやりはけっこうですが、しかし治外法権という感じを全然与えない、またできる限りそれは大学当局、学生等の納得も必要でしょうが、これは限度がある。だから、今後こういう点に対しては十分留意をしていただきたいと思うのですが、その点を一つ明確にもう一度お答え願いたい。
#136
○柏村政府委員 学校が治外法権下にないということは、これは明瞭なことでございまして、われわれもそういうような気持では全然この問題に当たっておりません。しかしながら、ただいまお話しのように、世間にもしもそういう疑惑を与えるということでありますならば、非常に遺憾なことでありまして、われわれとしては、今後少なくとも大学の自治を尊重しながらも、そういう誤解の生ずるような余地のないように、的確なる態度をもって臨みたいと考えます。
#137
○田中(榮)委員 ただいま柏村警察庁長官並びに小倉警視総監、緒方大学学術局長から、非常に熱のこもった誠意ある回答を得ているのでありまして、私もこれをもって満足はいたしておりますが、学長は、昨七日夕刻、全学生に対しまして告示をいたしまして、他の一般の学生の関心を喚起すると同時に、協力を求めておるのであります。この告示の要旨は、三つに分かれておりますが、第一は、大学の自治は本来の使命である研究と教育を遂行するにあたって、他の権威に制約されないことである。大学は治外法権を認められた特殊地帯でなく、逮捕状の出ている者を大学自治の名でかくまうことは、かえって真の大学の自治を危うくするものである。かように喝破されておるのでありまして、茅学長御自身も、大学というものは絶対に治外法権ではない、特殊地帯ではない、かような逮捕令状の出ている者をかくまう場所ではない、こういうことをはっきりおっしゃっております。第二は、警察は大学側の要請をいれて今日まで介入を避け、大学も説得に努めてきたが、この状態の解決はもはや一刻の猶予も許されない。第三には、逮捕状の出ている学生をかばっていることを外部に誇示し、大学当局の禁止を犯して違法なる行為に出ていることは断じて見過ごせない。かようにはっきり茅学長としても、かような態度を外に打ち出しておるわけであります。私は、この告示に対しまして全面的に敬意を表するのでありますが、しかるに籠城しておりまする全学連の人々は、この告示に対しまして、なお強硬な態度を示しまして、この大学の告示というものは事なかれ主義である、葉山、清水両人を守り抜くことこそ大学の自治を守ることだと、まっこうから茅学長の告示に対して反抗の意思を示しているわけでありまして、私は、茅学長の誠意並びに各学部長の努力に対しましては深甚なる謝意を表し、また敬意を表するものでありますが、学生側においてかような態度をとる以上は、私は、最後までこの問題はおそらく解決するところまで至らないのではないかということを非常に心配しているわけであります。かようなことにつきまして、さらにもう一つ本日の新聞に、末川立命館大学総長が、去る二十七年の愛知大学事件の出張公判が、名古屋地裁上田判事らが京都に出張いたしまして、京都の法廷で開かれておりますが、その際に弁護側の証人として出頭した末川博立命館大学総長は、大学の自治と警察権の限界につきまして、かようなことを証言されました。警察が大学内に入ることは明らかに現行犯人が逃げ込んだときだけで、原則的には大学内には入れない。現行犯人が逃げ込んだ場合だけである、末川総長もかように証言されております。
 それからもう一つ申し上げておきたいのは、昭和二十五年に早大事件、東大ポポロ事件がありました際に、時の劔木文部次官から、名大学長並びに専門学校長、それから研究所長等に、かような通達を出しているわけであります。その通達の中では、かようなことを言っているわけであります。「二、学校構内における集会、集団行進及び集団示威運動等にして、法令を無視して行われるものがある場合、警察当局の実施する取り締まりも出来得る限り学校当局の要請をまってこれを行うこと。しかしながら人の生命、身体に対する危害または財産に重大なる損害のおそれがあり、その他公安維持上緊急と認められるときは、要請をまたずして構内に立ち入り法令に基く取締を行うことがあること。この場合も出来得る限り学校当局に通知して行うこと。」もちろんこれは警察が学校内に介入するときには、当然これは事前に学校当局とも連絡をした上でやることはもちろんでございます。これに対しましてさらにこういうことが言われております。「三、学校構内といえども多数の教職員及び学生生徒を収容しまたは広大な施設を擁する限り、警察当局としては、これが秩序の維持については重大な関心を有するものであって、法令に基いて行う生命、身体及び財産の保護、犯罪の捜査、被疑者の逮捕、その他治安維持に関する警察の責任と権限については、学校当局としても十分これを尊重すること。警察当局は前項の職権行使に当たっては、出来得る限り事前に学校当局に連絡し、学校当局は出来得る限りこれに協力すること。」こういうような、これは当時警察当局と十分話し合いの上で、全国の学校当局にこれを流しておるわけであります。この場合において、警視庁からこの通達に対しまして、以上は了承する。ただし、「しかしながら人の生命、身体に対する危害、または財産に重大なる損害のおそれがあり、その他公安維持上緊急と認められるとき云々の緊急事態認定の権限は警察当局にあると了解しておりますので、念のため申し添えます。」こういう申添書まで出ておるわけであります。
 そこで今回の緊急事態、私は現在は緊急事態にやや類した状態になっておるのではないかと思うのでありますが、これはもちろん警察当局が認定することでありますので、警察当局が緊急事態と認定した場合におきましては、即刻一つ、先ほど同僚の亀山委員からもお話がありましたように、警察側としても一つ断固たる措置をとっていただきたいと思うのであります。もとより私どもは警察が学園に介入するということは好ましくないことであります。しかしながら、これをこのままにしておいたならば、警察の威信を国民に問われることでもあるし、また一般の善良なる――大部分のほとんど全部の学生は善良なる学生であると私は認定いたします。これらの善良なる学生に対しましても、及ぼす影響というものは決して私はよいものではないと考えておりますので、先ほど長官、総監、局長からの御答弁によって、私どもは大体了といたしましたけれども、今後この学園の自由、学内の自治を尊重する意味におきまして、こうした虫は、一刻も早く他を虫ばまないうちにこれをつまみ取ってしまう方が、学園の自由、学内の自治というものが保持されると、かように私は考えておりますので、今後警察並びに文部当局とも十分に一つ両者御連絡をとり、また学校当局とも緊密なる連絡をとられまして、事態を悪化させないように、それからできるだけ穏便に平和のうちに事が解決するように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#138
○濱地委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもってお知らせすることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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