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#1
第033回国会 地方行政委員会 第12号
昭和三十四年十二月二十四日(木曜日)
    午後零時八分開議
 出席委員
   委員長 濱地 文平君
   理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君
   理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君
   理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君
   理事 門司  亮君
      相川 勝六君    加藤 精三君
      津島 文治君    山崎  巖君
      石村 英雄君    太田 一夫君
      加賀田 進君    川村 継義君
      佐野 憲治君    大矢 省三君
 委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁警務局 坂井 時忠君
        長)
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
十二月二十四日
 委員下平正一君辞任につき、その補欠として石
 村英雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員石村英雄君辞任につき、その補欠として下
 平正一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十月二十二日
 駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付
 金等に関する請願(田中正巳君紹介)(第二五
 六一号)
 全日制市町村立高等学校教職員の退職手当全国
 通算に関する請願(高見三郎君紹介)(第二五
 六二号)
 行政書士法の一部改正に関する請願(下平正一
 君紹介)(第二六二六号)
同月二十三日
 駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付
 金等に関する請願(中村幸八君外三名紹介)(
 第二六七五号)
 同外二件(丹羽兵助君紹介)(第二六七六号)
同月二十四日
 地方交付税法に算定される義務教育費の基準財
 政需要額確保に関する請願(北山愛郎君紹介)
 (第二七四九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 警察に関する件
     ――――◇―――――
#2
○濱地委員長 これより会議を開きます。
 警察に関する件につきまして調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。石村英雄君。
#3
○石村委員 警察当局にお尋ねいたしますが、ことしの秋十月か、九月かだったと思うんですか、山口県の宇部市で警察官が二人の人を自動車ではね飛ばして重傷を負わしたという事件がありますが、御承知でございますか。
#4
○坂井説明員 監察の問題として承知しております。
#5
○石村委員 この問題は御承知ということですが、警察官が職務時間中に泥酔して、しかも自動車の運転は無免許で、しかも自動車は無灯火で宇部市内を運転しておった。そうしてまっ暗なやみでぶつかってはね飛ばした、こういう事件です。ところで、こういう二人の人に重傷を負わした。一人の人はたしか脳底骨折のために意識不明だということであります。いま一人の人もなおやはり病院に入っておるという状況であるわけですが、警察当局はこれに対して何も責任を感じていないように受け取れるわけです。もちろんそういう事故を起こした警察官は、翌日直ちに免職にしたということはありますが、監督者等に対する責任の問題からの処置ということがどのようになされておるかということと、またそういう重傷を負わされた人に対して、警察当局としてどのような処置をとったかということ、この二点をお知らせ願いたいと思います。
#6
○坂井説明員 御指摘の通りまことに遺憾な事態が発生いたしまして、私どもといたしましても申しわけなく存じておる次第でございます。山口県の本部におきましては、ただいまお話にもございましたが、本人につきましては直ちに懲戒免官にいたしますし、また相乗りをしておりました巡査につきましては減給処分にし、上司の巡査部長、それから宇部警察の署長、次席、それぞれ処分をいたしておるわけでございます。まことに申しわけないことであると思うのでありますが、しかしそれはそれとしまして、まずわれわれとしましては、被害者の方になるべく早く回復していただきまして、その関係のごめんどうも被害者の方の納得のいくように解決しなければならぬことは申すまでもないことでございまして、そのように県本部でもいろいろ努力をしておるように聞いておるのであります。事態を私ども聞いて参りますと、現在懲戒免職になった本人の父親が、家屋敷等を処分して金を作って、納得のいくような弁償をしたいというふうにやっておるようでありまして、その点を早く解決できるように実はこいねがっておる次第でございます。
#7
○石村委員 まだ未解決のようでありますが、ところで問題は、なるほど警察官がそういう事故を起こしたのだから免職ということは当然の処置だと思いますが、これに対して警察の責任というものが、さっきお話がありましたが、単に署長に対する戒告か何か知りませんが、その程度のごく軽い処置だけで、けがをした人に対する賠償と申しますか、具体的な負傷者に対しての責任という点については、警察としては何ら関知しない。これは県会でいろいろ議論されておるようです。私はきょう県会の質疑応答録を持ってきておりませんが、いずれまたお返事によってはそれをもとにしてお尋ねしたいと思うのです。警察本部長の答弁というものは、もう本人のことであって、警察は何ら責任はないのだといって知らぬ顔。県会でいろいろ論議をされましたが、結局そういう形で終わっておるようであります。おそらく本部長の言い分は、警官には何も人をはね飛ばせという職務があるわけではないし、無灯火で走れという職務があるのではないから、職務外のことだから知らぬ、こういう考えではないかと思うのです。しかし一般に個人会社なんかでも、自分のところの運転手が事故を起こしたら、会社として責任を感じて処置をするということは社会の常識なんです。ところが警察に限って、本部長は、そんなものは職務外のことだ、勤務時間中とはいえども、泥酔してそんなことをしろなんという職務はないのだから、責任は知りません。免職したのだから、文句があれば本人のところに行って金をもらいなさいというような非常識な態度で負傷者の家族に対しても応答しておられるようですし、県会の答弁もそのようだと聞いておるわけであります。一体警察庁としてそういう考え方を是認されるんですか、どうですか。お考えをお聞きしたいのです。
#8
○坂井説明員 もちろん本部長以下警察といたしましては、警察の内部からこういう不都合な警官を出したことにつきまして、申しわけなく存じ、謝罪の意味も十分表しておることと思うのでございます。直ちに署長も病院にくだものとかあるいは金子若干を持って行っておるのでありますが、ただ御指摘の点を推測いたしますと、賠償責任といいますか、金銭的な賠償責任をだれが第一義的にやるかということにつきまして、あるいは誤解を招いておるのではないかとも思うのでございます。国家賠償法あるいは自動車損害賠償保障法等をいろいろ検討いたしまして、県当局もいろいろ研究しておられるのでございますが、金銭的な賠償責任は、第一義的にはその加害者である巡査であった者が負うものだ、こういうことを言っておるものだと思うのでございまして、決して警察として遺憾の意を表していないというようなことはないはすだと考えております。
#9
○石村委員 警察本部長が、このことはちっとも遺憾なことじゃありませんなんていうことはもちろん言っておるわけではありません。口の上ではまことに遺憾なことでございます、こう言っておるのですが、具体的に責任を感じての態度というものが全然見られないということなんです。先ほど本人の家族が、何か財産を処分して何とかしようと考えておるということなんですが、これは本人の家族にどれだけの財産があるか知りませんが、かりになければそれっきりということにならぬともいえない。まず警察自体の責任という立場から、家族に対してはっきりした態度をもって臨むべきだと思う。家族の人がこれは処理しますから、まあそれで足りないときは何とかするかもしれませんというようなことでは、きわめて不都合な話だと思います。私は法律家でないから知りませんが、たしかいつかどこかで警察官が強盗を働いた。そしてそれは国家賠償の判例として出ておるということを聞いておるわけなんです。そういう判例もこれは確かにあるのだと思います。もちろん私、責任を持って必ずあるとは今ここではよう申しませんが、弁護士の方の話によりますと、そういう判例がある。こういうことなんです。そういう点から考えても、山口県の警察本部長の態度というものはまことに不謹慎だと思う。ここに質疑応答録がないから、こういう答弁は不都合じゃないかと言うわけにもいきませんが、警察庁としては、何はおいても警察の責任だということだけははっきりさして、そういう指導をしていただきたい。警官が、これは勤務時間外というならばまだまだ恕すべき点があるかもしれませんが、勤務時間中に泥酔して無灯火で警察のジープを運転して人をはね飛ばす、それに対して警察が責任がない、職務外だなんていうことは許されぬと思う。家族が何とかけがした人には処置するだろうからまあそれで、というようないいかげんな態度で臨むということはもってのほかだと思う。このような警察本部長をあなた方がそのままにしておいていただいては困る。何も警察本部長をやめさせろというわけではないのですが、そういう考え方をたたき直すことが警察庁の仕事だと思う。何はおいてもそれは警察の責任だ、どのようなことがあろうとも、たとい勤務時間外において警察官がそういうことをしても、私は警察の責任だと思うのです。本部長はその責任の重大なことを痛感しなければならぬと思うのです。ましてそれが勤務時間内なんです。しかも事故を起りこした車は警察のジープなんです。こんなことをしておいて、これは家族が何とか財産を処分してあなたには弁償しますからがまんして下さい。くだものを持っていった、たしか金は一万円とか包んで持っていったそうですが、そんなことで済むものじゃないと思うのです。本部長のまず態度が間違っておる。警察の責任でないなんという考え方を徹底的に改めるようにしていただかなければ、警察というものはいつまでたったって民衆のものにはならないと思うのです。これは常識的に間違っておると思うのです。会社なんかで事故を起こしたら、会社の社長は必ず、それはまことに相済みません、会社としてちゃんとした処置は講じますというあいさつをするのが社会の常識なんです。それを警察官がやったのを職務外だとかなんとか理屈をこねて、しかも判例まであるそうですが、それを知っておるのか知らないのか知りませんが、警察が、もう本人は免職した、あとは家族が処置しますからやって下さい。さらに奇怪なことは、お前たちがそんなにぐずぐず文句を言うなら、親も何も払わぬようになるかもしれぬぞ、本人は何ら財産がない。一応親は、それは家か何かはあるでしょう、文句を言うなら本人からもらえ、親も知らないぞ、この親という人は実は警察に関係のある人なんです。そういう態度にさえ出ておる、こう聞いておるわけです。全く私は、警察本部長の考えが間違っておるからこういうことになっておると思うのです。もう少し警察庁ではお調べになって、そういう誤った考えを持っておる警察本部長に対する処置あるいは今後の指導というものをどのようにおやりになる御決意であるか、御説明願いたいと思います。詳しいことは次の通常国会において、私は県会における本部長と県会議員との質疑応答等を資料にして具体的に必要があればお尋ねしたいと思いますが、とにかく警察庁としてのこういう警察本部長に対する態度について、お考えをお示し願いたいと思います。
#10
○坂井説明員 御質問のお気持は私どもよくわかるのでございます。ただ警察が金銭的に賠償をするという場合は、法律でいろいろきまっております。たとえば国家賠償法であるとか、あるいは自動車損害賠償保障法であるとかいうのがございまして、それによって正当な支出としてやらなければならないのでございますが、これに関する判例等もいろいろ調べまして、本部長としてはずいぶん苦心を現在しておると思うのでございます。根本は、何と申しましても被害者の納得のいく解決をすることが先決だと思うのでございますが、われわれとしましては、よく検討をして御趣旨の点を生かしていきたいと考えております。
#11
○石村委員 これらに対しては留保しておきますが、さらに続いて次の通常国会でお尋ねしたいと思うのです。しかし、実に奇快なことだと思うのです。さっきちょっと申しましたように、家族に対しておどしをかけておるのじゃないかという点なんです。この程度のことで話を聞かなければ親はもう知りませんぞ、本人から取るよりしか、あなた方どうにも手はつきません。本人は無一文です、それでもよろしいか。だからこれで一つ了解してくれというようなおどしをしておるのじゃないかというように受け取れるのですが、こんなことは全くもってのほかのことだと思うのです。警察庁の方ではどのようにお考えですか。まず出発点は、警察に責任がありという出発点から被害者に対しての話し合いをするというならわかりますけれども、警察には責任がないという出発点から被害者と話をしておるということは全く間違ったやり方だと思う。法律上いろいろ題がある、こういう御説明でしたが、そういう点もあるいはあるかもしれません。また、その法律の解釈について本部長に間違いがあるのかもしれませんが、少なくとも考え方の基本において私は誤りがあると思うのです。これを明らかにしなければならぬと考えるわけですが、この点はいかがですか。
#12
○坂井説明員 御指摘のようなことは本部長も全然考えていないと思うのでございまして、私どもとしましては、そういう点がもしあるとすれば誤解であろうとかたく信じておる次第でございます。いろいろ御趣旨の点を検討いたしまして、早く解決をいたしたいと思っております。
#13
○石村委員 それではこれで終わりますが、とにかく警察に責任があるという大前提をもって話を進めていただくこと、それで交渉するということを警察庁としても一つ十分指導していただきたいということを要望いたしまして、この次の通常国会で次第によっては事態を明らかにしていきたいと考えるわけでございます。
#14
○加賀田委員 関連。今の問題に関して、警察庁としてはまだ明確な態度は発表されておりませんけれども、国家賠償法に基づいても、やはり国または公共団体が損害を与えた場合には賠償をする義務がちゃんと規定してある。しかもそれは公権の行使に当たる公務員がその執務中に起こった損害ということになっておりますから、たといめいていしておろうとも、執務中であれば公務とみなすべきだ。故意であろうと過失であろうと、賠償法にちゃんと載っておりますから、この点はそういう見解をとることが正しいと思いますが、警察庁としてはどういうふうに考えておりますか。
#15
○坂井説明員 国家賠償法にもございますように、「公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、」云々とあるわけでございます。問題は、公権力の行使に当たっておる公務員ということと、その職務を行なうについてということでございます。私ども詳しく調べていませんが、事実これに当てはまるかどうかという認定の問題であろうと思います。勝手に認定しますと、本部長としましては会計法上の違法を行なうことになりまするし、いろいろ苦労しておる点ではなかろうか、こう考えておるわけであります。
#16
○加賀田委員 そうすると、山口県の警察の方では、これらの問題に対して、今質疑応答を聞いておりますと、執務中であろうとも、めいていしておった、あるいは上司の命令以外の職務という形で無灯火で自動車を飛ばしたのだから、おれたちには責任はないのだ。こういう無責任な態度をとっておるように私は聞いたが、これは一般行政中に起こった問題である。まして警察は国民の生命、財産等を特に守らなければならないという義務があり、しかもそういう意味では民主警察として住民に特に接触し、親しくしなければならないのに、そういう被害を与えて、そうしてそれは警察官個人が悪いのだ、おれたちは知らないのだという態度は、住民と警察との間になお断層を作る大きな要素になってくるのではないかと思う。わが国の警察行政の将来に対して大きな危険が住民との間に生まれてくると思う。ですから、一般のそうした事件以上に、警察としては、これら被害者に対してはあたたかい手を差し伸べて、被害者に対する賠償的な行為も積極的にやらなくてはいけないし、警察としては、過失は過失として住民に十分の手当をするのだという印象を与えなければ、山口県の警察はもちろん、全国の警察行政もうまくいかないのではないか。単に一万円の見舞金を持っていったとか、病院へくだものかごを持って行ったというような、普通の形式的な態度だけでは大へんなことになると思う。警察庁としては、山口県に対してこの問題について何か指導をされたのか、それともただ向こうの報告を聞いただけで傍観していたのか、その点はどうなんですか。
#17
○坂井説明員 よく御趣旨はわかるのでございますが、結局、公権力の行使というような事実認定と申しますか、法律解釈と申しますか、非常にむずかしいことになっておるようでございます。過去の事例といたしまして、警察署長を警察の車で送った帰り道に交通事故でけがをさした事例があるわけであります。これが国家賠償法適用の対象になるかどうかということで裁判になりまして、この裁判は、それは公権力の行使に当たっておる警察官が職務執行行為としてやったのではない、そういうような反対の判決もある次第でございます。そういうことで山口県警察当局としましても、いろいろ苦慮しておることであろうと思うのでありますが、お話しのように、警察には全然責任がないというような考えでやっておるようなことは万々ないと私は信じておる次第でございます。
#18
○加賀田委員 山口県の警察との現在までの関連は……。
#19
○坂井説明員 監察の問題としていろいろ聞いておるのでありますが、そういう法律解釈の問題と、それから先ほど申しましたように、事故を起こしました当人の賠償の問題をなるたけ早く解決するように努力しておるわけでございます。私どもとしましては、法律解釈の問題としましては、いろいろ一緒になって研究をしておるわけでございますが、何はともあれ、山口県という一つの自治体警察と申しますか、山口県の公安委員会の中に起こっておる事件でありますので、その方にまかせておる次第でございます。
#20
○加賀田委員 そういう過程を通じて、警察庁としてはもっと積極的に指導をするような態勢をやってもらいたいと思います。山口県の警察としては、自主性をもって独断の権限でやるという態度はもちろん好ましいと思うのですけれども、今の答弁と、いろいろ県会における警察本部長の話を聞くと、これはちょっとふに落ちない点もあるのです。積極的に指導して、もちろん法律的解釈に基づいて賠償云々という問題も必要でありましょうし、あるいはそういうものを離れて民主警察の行政の一環として、住民の安心する態度というものを公にする必要もあると思う。その二点を早急に対策を講じてもらいたいということを要請いたしておきます。
#21
○濱地委員長 この際暫時休憩いたします。
    午後零時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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