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#1
第033回国会 社会労働委員会 第7号
昭和三十四年十一月二十八日(土曜日)
    午前十一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 永山 忠則君
   理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君
   理事 藤本 捨助君 理事 五島 虎雄君
   理事 滝井 義高君 理事 堤 ツルヨ君
      池田 清志君    木村 守江君
      藏内 修治君    齋藤 邦吉君
      志賀健次郎君    柳谷清三郎君
      亘  四郎君    伊藤よし子君
      大原  亨君    多賀谷真稔君
      中村 英男君    今村  等君
 出席政府委員
        厚生政務次官  内藤  隆君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      尾村 偉久君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  川上 六馬君
        厚生事務官
        (保険局長)  太宰 博邦君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    中野 正一君
 委員外の出席者
        議     員 大原  亨君
        議     員 長谷川 保君
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    大月  高君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  聖成  稔君
        厚生事務官
        (医務局総務課
        長)      鈴村 信吾君
        厚生事務官
        (医務局管理課
        長)      北川 力夫君
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      館林 宣夫君
        国民金融銀行副
        総裁      石渡忠四郎君
        国民金融公庫総
        務部次長     湯山 静夫君
        中小企業金融公
        庫理事     片岡 亮一君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 委員重政誠之君辞任につき、その補欠として木
 村守江君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員木村守江君辞任につき、その補欠として重
 政誠之君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 クリーニング業法の一部を改正する法律案(大
 石武一君外九名提出、第三十一回国会衆法第五
 七号)
 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
 改正する法律案(大原亨君外十三名提出、衆法
 第一四号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○永山委員長 これより会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。当委員会において審査中の炭鉱離職者臨時措置法案について、参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありません
 か。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 なお、参考人の選定及び日時等につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#5
○永山委員長 次に、去る十四日に付託になりました大原亨君外十三名提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
    ―――――――――――――
#6
○永山委員長 まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大原亨君。
#7
○大原議員 私は日本社会党を代表して、わが党の提案いたしました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案(原子爆弾被爆者等援護法案)に関しまして、提案の趣旨及び内容のおもな点を御説明申し上げます。
 わが党は今日まで、原爆被害者救援の問題は生きながらにして死の恐怖に直面する原爆被害者を守る運動であり、原水爆禁止の運動は実験による被害を含んで、将来一人の原水爆被害者も作らないという運動であって、この二つは表裏一体であるとの考え方より一貫して努力して参りました。
 すなわち原水爆禁止に対する固い決意を前提としてのみ被害者救援の運動が成果をあげ得るものであり、被害者救援の決意なくして原水爆禁止運動の結実はあり得ないと考えるものでございます。一部の人々が運動発展の歴史を無視いたしましてこの二つの運動を切り離して考え、原水爆禁止の運動を非難するがごときは、その意識するとしないとにかかわらず原爆の被害を過小に評価することによって戦争の準備を正当化せんとする、誤った考え方に起因するものといわねばなりません。特に広島、長崎のあの惨劇の後十四年間、歴代の保守党内閣がこの恐るべき原爆症の科学的、社会的真相を国の責任において明らかにする努力を怠っていたことは人道的にも非難されなくてはなりません。
 わが日本社会党は、昭和三十二年のいわゆる被害者医療法を抜本的にこの際改正して総合的な援護立法を制定することを主張する理由として次の四つの点をあげたいと存じます。
 その第一は、原爆の投下は国際法規に違反する、非戦闘員をも対象とする大量無差別の殺戮行為であるという点であります。日本の加盟する一九〇七年締結のハーグ陸戦法規の第二十二条は「交戦者は外敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ず」と規定し、同第二十三条A項では「毒又は毒を施したる兵器を使用すること」及び同条E項においては「不必要な苦痛を与うべき兵器、投射物その他の物質を使用すること」を禁止しているのであります。そればかりではありません。一八六三年のセントぺテルスブルグ宣言は、戦争の必要が人道の要求に一歩を譲るべき技術上の限界を決定している赤十字条約にも違反しており、空戦における軍事目標主義(空戦法規第二十四条)に反し、さらに一九二五年五月のジュネーブ議定書及び一九四八年の集団殺害防止処罰条約の精神に違反するものであることは明白であります。
 日本がサンフランシスコ条約において締約国との間における一切の賠償請求権を放棄したとはいえ、被害を受けた国民の要求権を無視したものではなく、少なくとも講和条約締結の日本国政府が被害者に対する義務を負担するものであって、賠償が戦勝国のみに保障されるものであっては、人道を名にする国際法は無意味といわなければなりません。このことにつきましては、以上二つの点にわたりまして、去る十一月十九日の社会労働委員会におきまして、藤山外務大臣を招いて質問した際も、藤山外務大臣は私のその主張に対しまして、同意を表明いたしたのであります。要するに、原爆被爆者の損害に対して国は責任を負うものであることは明らかであります。
 第二の理由は、原爆による傷害作用はいかなる凶器や毒ガス、細菌などよりも致命的被害を与えるものであり、特に被爆後の十四年の今日も放射能の影響によって死亡するものもあり、遺伝的影響をも与えることが実証されているのであります。わが国の放射能医学の第一線の権威である日赤の都築博士は「人体の細胞の中の核に放射線が作用するということが明らかになった。核の中の染色体だけに作用するという障害因子は細菌や毒薬にはなく放射能だけだ」と述べているのであります。
 第三に、いわゆる医療法は原爆症の特殊性を認めた立法でありますけれども、この医療法は実施三年にしてその法的な欠陥が明らかとなり、医療の目的を達するためには国の責任による生活保障が不可欠となったのであります。
 第四に、社会立法との均衡上の問題でございますが、今日公務員すなわち軍人軍属に国家保障を限るということは、当時国家総動員法などから見て不当であるばかりでなく、戦犯や引揚者に対する恩給や一部保障がなされていることからも被爆者の家族及び遺族に対する援護は当然といわねばなりません。
 以上の理由によりまして、わが党は次の項目を骨子とする原爆被爆者援護のための法律改正を提出いたす次第でございます。
 第一に、現行医療法の治療認定基準を拡大し、被爆者の負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に関連しているもののすべてを対象とすることにいたしました。
 第二に、医療給付を受ける被爆者に対して援護手当を支給することにいたしました。この際援護手当は栄養補給など医療中の被爆者の家族の生活援護であって、いわゆるボーダーライン層を含んだわけであります。
 第三に、医療を受けるため労働することができず、このため収入が減じたと認めるものに対しまして、援護手当とは別個に医療手当を支給することにいたしました。
 第四に、健康診断または医療給付を受ける被爆者に交通手当を支給することにいたしました。
 第五に、被爆死亡者の遺族には三年に限り、一人年額一万五千円の給与金を支給することにいたしました。ただし戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定による年金、給与金を受けるものを除外いたしました。
 第六に、被爆死亡者の遺族に、一人につき十年以内に償還すべき記名国債で三万円の弔慰金を支給することといたしました。
 第七に、厚生大臣の諮問機関として被爆者援護に関する重要事項の調査審議のため原爆被爆者等援護審議会を置き、この審議会には被爆者及び死亡者の遺族代表も加えることにいたしました。
 第八に、原爆の影響を総合的に調査、研究、及び治療をし、原爆症患者の医療と福祉向上のため原子爆弾影響研究所を設立し、付属病院を併置することにいたしました。
 以上が国際法規の精神を中心として、国が全責任を持って放射能の影響と治療の根本的研究、その上に立つ完全なる医療給付と生活援護についての方針を骨子とする援護法の内容でございます。
 言うまでもなく、日本はただ一つの被害国であります。世界ただ一つの被害国が原爆被害の実相を究明し、再びこのあやまちを繰り返さないために、この決意をこの援護法を通じて表明することは、全世界の人々が原水爆、ミサイルの究極兵器の今日、原水爆禁止と完全なる軍縮を願い、国連にもこれにこたえて討議、諸決議を上げられておる。そういう現状から見て、わが日本の政府、国会の当然の責務であると存じます。すでに本委員会におきましても、渡邊厚生大臣、中曽根科学技術庁長官、藤山外務大臣等が出席いたされました際に、すべて賛意を表し、努力を約束されておるところでございまして、特に広島や長崎を中心といたしまして、被爆関係者あるいはその地域、全国的に与野党とも一致いたしましてこのことを要求をいたしておるのでございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げまして、提案の説明を終わります。
#8
○永山委員長 以上で説明は終わりました。
 なお、本案についての質疑につきましては後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#9
○永山委員長 次に、第三十一回国会において提出され、今国会に継続されております大石武一君外九名提出のクリーニング業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
    ―――――――――――――
#10
○永山委員長 すでに本案の趣旨につきましては、第三十一回国会において説明を聴取し、十分御了知のことと存じますので、この際これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
#12
○永山委員長 質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、これを許します。田中正巳君。
#13
○田中(正)委員 私はクリーニング業法の一部を改正する法律案につき、私自身提出者の一人でありますが、慎重を期するために、この問題について若干の質疑を行なおうとするものであります。
 そこで、とりあえずこのクリーニング業法の一部改正をめぐりまして、クリーニング業界の実態について若干政府に御質疑を申し上げたいと存じます。まずとりあえず伺いたいことは、現在全国でクリーニング業所というものはどのくらいあるものでございますか。
#14
○聖成説明員 クリーニング所の総数は三万一千四百六十二カ所でございます。
#15
○田中(正)委員 現在、地方によってもいろいろ違うだろうと思いますが、全般的に見てこれだけのクリーニング所があって、クリーニング物の需給状態は一体どのような状態であるか、もっと簡単にいえば、クリーニング所は一体少な過ぎるのか多過ぎるのか、あるいはちょうどよろしいのか、こういったような傾向について、お尋ねをいたしたいと思いますが、この点はいかがでございますか。
#16
○聖成説明員 的確な数字は持ち合わせておりませんが、ただいまの田中先生の御質問の点につきましては、局部的の相違はあると思いますけれども、全般的にはクリーニング所の数はおおむね飽和状態という状態かと考えております。
#17
○田中(正)委員 飽和状態であるということで、一体クリーニング業界にはこれ以上クリーニング所というのはあまりふやしたくないというような気持というか、あるいはそういったような動きというものがあるかどうか、これは提案者とそれから政府と、両方にお聞きしたいのですが、そういった傾向がありますか。
#18
○長谷川(保)議員 確かに一部には、これ以上業者がふえては困る、こういう意向もあると思います。同時にまた、御承知のように現状の飽和状態であるということと、今までクリーニング所が機械を使いますことは、都会中心では非常に早くから進んでおりましたが、しかしいなかの方に参りますと、機械をあまり使わないで人力でだけやるという傾向がありましたために、工員と申しますか職人と申しますか、そういう傾向が非常に多かった。しかし、最近の情勢はそういうことではいけないということで、全国的にこれはクリーニング業の実態が、非常に化学繊維その他のいろいろなものが進歩して出て参りまして、その結果もう手仕事ではいけない。やはりたとえば脱水いたします、しぼりますために、いわゆる手でしぼるというようないき方ではもうできない。それから十分に水が切れておりませんと、脱色その他非常な損害を与えることにもなりまして、業者の経済的な地位の向上とともに順次機械をふやして参る。そういうような傾向から、人員の方も必ずしも、いわゆる職人と言われております人々もたくさんに業界の発展と同様に必要だということにはあるいはなってこないというようなことから、そこから飽和的な状態が出てきておるという傾向が最近見えるわけであります。まあ何とか業界の方ではもう一歩、これ以上責任の持てないような弱小なクリーニング所というようなものができる、たとえば裏長屋でごそごそ始めるというような、機械もなければ事業所も整備されていないようなところ、そういうところがおのずから、得意の洋服一着預かりましても何万というものを預かる。そういうものが入れ質をされたり逃げたりというようなことがあったり、あるいはただいま申しましたようないろいろな預かりましたものに損害を与えるというようなことのない、つまり無責任なことのないような業者でもって業界の信用を高めていこうという意向も一方にございまして、あまり今後これ以上乱雑にできるということはなるべく避けたいという意向も確かにあるわけであります。しかしまた同時に、これは矛盾したような考え方でございますけれども、この数年来の一般の人々、たとえば山村へ入りましても一般の人々が洋服を着る、従ってまたワイシャツも着るというようなことになり、このクリーニング業者の仕事というものは急速に相当一面にはまた伸びているということも事実でありまして、ここのところのあり方がなかなかむずかしい、業界の調整として非常にむずかしいところだと業者も考えておるわけであります。実態もそうのようであります。いずれにいたしましても、矛盾したようなことを申し上げるようでありますけれども、一面におきましては確かに現状は先ほどから申し上げましたような飽和状態という傾向があって、少なくとも業界としては無責任な弱小なものはふやしたくないという考え方は相当強いようであります。
#19
○聖成説明員 私どもが承知いたしましたところでは、ただいま長谷川先生がおっしゃった通りでございますが、なお業界の意向としましては、既存の業者につきましては一定の基準を設けまして、最小限度の必要な設備あるいは構造あるいは人力的要素というものを整備して業界の内容の向上をはかりたい。既存のものについては向上をはかる。それから新たにできるものにつきましては、ただいまお話のございましたように粗悪なものができることは防ぎたい、こういうような意向のように私ども承知いたしております。
#20
○田中(正)委員 もっと基本的なことを政府にお尋ねをいたしたいのですが、クリーニング業法によりますと、「「クリーニング業」とは、溶剤又は洗剤を使用して衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすることを営業とする」というふうになっておりますが、一体クリーニング業者でなしにこういったようなことをやるものが世間にありますか。またそういうことをやってよろしいのですか。
#21
○聖成説明員 いわゆる洗い張り屋であるとか染めもの屋であるとかいったたぐいのものが若干類似しておるかと思いますが、その種のものはクリーニング業法によるところのクリーニング所というふうには考えていないわけであります。
#22
○田中(正)委員 そういうものでなしに洗剤―石けんは洗剤だろうと思いますが、石けんを使ってそのままの格好で衣類その他を洗たくすることを営業とするといったようなことは、クリーニング業者でなくてもできそうに思うのですけれども、一体この点はどういうことになりますか。
#23
○聖成説明員 その点はクリーニング業法の三条にも明記してございますように、営業として行なう場合には、この法律に基づくクリーニング所でなければならない、かように私どもとしては考えております。
#24
○田中(正)委員 そこでこの内容に若干入りますが、この中で洗たく機、脱水機等を必ずつけなければならないということになるように改正をしようというのですが、この洗たく機、脱水機等というのは、一体最初どのくらいのものを設備しなければならぬか。つまりこの法律を施行するために、一体これらのものを持っていない業者は、どのくらい投資をしなければならぬかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
#25
○聖成説明員 最低価格といたしまして洗たく機は五万円、脱水機は三万円、かように考えております。
#26
○田中(正)委員 現在クリーニング所でもって、こういった脱水機あるいは洗たく機を備えていない業者というのはどのくらいあるのですか。
#27
○聖成説明員 昨年十一月に厚生省の手によりましてこの点の調査を全国的にいたしました結果、業務用の洗たく機を備えておりますものが七六・四%、従いまして備えておらないものが二三・六%、脱水機につきましては九二%が備えている、従いまして、備えておらないものは八%、かような数字が出ております。
#28
○田中(正)委員 そうすると、こういったように脱水機あるいは洗たく機を備えていない業者が、この法律を施行することによって全部でどのくらい一体これらの機械を買わなければならぬか。逆に言えば、この法律を施行することによって一体どの程度の洗たく機、脱水機が売れるか、こういうことですが、その点については一体どのくらいになるものですか。
#29
○聖成説明員 大体八億でございます。
#30
○田中(正)委員 クリーニング業者には、われわれの知っている範囲でも、非常に大きい、経済力の相当ある業者もおりますが、そうでない人もだいぶおるようであります。全部で八億かかるのですが、全体としても相当な量ですが、こういったようなものについて、一体これだけの機械を短期間に供給するだけの能力がメーカー側にあるのかどうか。それからいま一つは、そういったようなことをやらせるについて、業者側が資金の手当が十分つくかどうかという、この二つの点について聞きたいと思います。
#31
○聖成説明員 本法案におきましても、二カ年の猶予期間が設けられておるようでございますが、私どもの考え方としましては、長期の低利資金のあっせんということを考えておるわけでありまして、現在の建前では、中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫、国民金融公庫等の中小企業の金融機関の協力を要請いたしまして、十分な資金の確保をはかります一方、地方公共団体、あるいは環境衛生同業組合等によります信用保証等の措置を講じまして、特に零細な営業所に対する融資について万全を期したい、かように考えておるわけでございます。
 なお、念のためにこれらの金融機関につきまして、その資金のワクにつきまして打ち合わせを行ないましたが、目下のところその余裕は十分にある、また一件当たりの貸付の限度額も大体これらのクリーニング営業者の資金の需要をまかなうに十分であろう、かような回答を得ておる次第であります。なお、メーカーの点につきましても、おおむね二年間の期間があるならば、大体これが生産に支障を来たすことはないのではなかろうかというようにも考えております。
#32
○長谷川(保)議員 ただいまの御質問でございますが、ただいま環境衛生部長から御答弁申し上げましたように、最小限度八万円くらいのもので脱水機及び洗たく機の方ができるのでございますが、業界としては、もう少し業務経営によりよきものをということで、一昨年来非常に尽力いたしまして、全国の既成の洗たく機械のメーカー、これもずいぶんたくさんございますが、それのみならず、さらに場合によっては大手の業者にも、この点を合理的に安く、組合としまして十分によきものをあっせんしたらどうかということでいろいろと研究をいたしました。そうして全国クリーニング環境衛生同業組合では、大体普通ならば十八万円くらいで手に入りますものを――これは相当いいものであるが、それをいろいろ努力した結果、十三万円くらいで今供給できるようにいたしまして、その一方、資金手当も組合が責任を持っていたしまして、そうして大体四年月賦くらい、まあ年二千円くらいずつ払って、さらに足らぬところを一時金で払うというような形にいたしましてやっていく方法を計画をいたしまして、今実行いたしているわけであります。たとえば東京等におきましても、その資金手当は、組合が努力いたしまして、本年すでに三千万円ほど中小企業金融公庫及び国民金融公庫から弱小の店に貸し出すようにあっせんをいたし、成功いたしております、従いまして、この機械等につきましてはまずまず心配はない、こう考えてよろしいかと思います。
#33
○田中(正)委員 これは非常にこまかい御質問で、あるいはそういうようなデータはないかもしれませんが、これらの洗たく機、脱水機のメーカーというものは、一年間にどのくらい生産をされているのですか。これらについて、もしお調べがあればお聞きしたい。ということは、なぜそういうことを質疑するかということになりますと、これでもって二年間の間に八億の品物が売れるということになりますと、非常にかけ込みの生産を始めるわけですが、そうすると、これを実施することによって、あとはそういうような機械は今後取りかえその他以外はあまり注文がなくなってしまうということになると、メーカーの業界の、何といいますか、スタビリティというものが非常にそこなわれるというようなことが考えられるわけであります。業界としてもその点は十分注意をしていただかなければ、ここでこの法律がもし施行になったからといって、一応急に景気がよくなって、そのあとがたんとくる、今度は何とかしてもらわなければならぬというような事態が想像されないこともないので、この法律を施行することによって、これらのメーカーの業者が営業の波がひどくなり過ぎるといったようなことが起こりはしないかどうか、こういうことを一応心配するから聞くのですけれども、そういうような点についてはどうお考えになりますか。
#34
○聖成説明員 これらの機械類のメーカーがどれくらいあって、年間にどれくらいできるかという数字につきましては持ち合わせがございませんので申しわけないのでございますが、ただ、私どもが従来聞いておりますところでは、これらのメーカーのほとんど全部というものは、必ずしも業務用の洗たく機あるいは脱水機だけを生産している業者ではない。従いまして、今田中先生が御指摘のように、一時的にその生産がぐっと上がり、あとはずっとほとんど出なくなってしまう、そういう事態は確かに起こると思うのでありますけれども、ただいま申し上げますように、他のいろいろな機械類の製作あるいは家庭用の電気洗たく器というものの製作等がからんでおりますので、私はそのために一時的に非常に粗悪のものが出てくるというような事態は考えられないのではないかというふうに考えております。
#35
○田中(正)委員 この点については厚生省の方もあまり調べがないようですから、急に今聞かれてもお困りだろうから聞きませんが、こういったような点についてはよく御調査の上、御考慮相願いたい、こう思うのでございます。それから資金等の手当についても、いろいろ業界も、あるいは中小企業関係の金融側も考えているそうでありますが、相当に零細企業者も多いこの業界ですから、資金の手当等については十分お調べになって、この業法がもし改正になったとして、いいことには違いないんですけれども、非常にその間の制度の改正に耐えきれないような業者があって、これが非常に意欲はありながら脱落してしまうといったようなことについては、多少考えなければならぬ一面もありますので、さらに一つこれらの点についてお調べ置き願いたい。いずれまた御質疑を申し上げるかもしれませんし、同僚等の御質疑があるかもしれませんので、そういったような点につきましてはもう一度研究してもらいたい。
 次は、洗い場はコンクリート、タイル等の不浸透性材料をもって修築しなければならぬ、また勾配等もよくやっていただかなければならぬということですが、こういったようなものを今日でもなお備えない業者はやはりあるでございましょうか。あるとするならば、どの程度にあるかということについてお尋ねしたいと思うのです。
#36
○聖成説明員 洗い場の構造、設備につきましては、まことに申しわけないのでございますが、手元に調査がないのでございます。しかしながら全国的に見まして最も標準的なクリーニング所の洗い場の床面積というものは、三坪ないし四坪というようなところでございます。従いまして、まずその大部分はコンクリートなりあるいはタイル張りになりまして、不浸透性になっているものと私ども承知いたしておるわけでございます。従いまして、坪数が比較的狭小でございますので、従来不浸透性になっておらない場合におきましては、まず五、六千円程度の金をかければ不浸透性にできる。従ってこの点につきましてはいわゆる零細業者にとりましても必ずしも非常に過重な負担になるという心配はないのじゃないか、かように考えております。
#37
○長谷川(保)議員 この点、そうたくさんこういうものがあるわけではないと思います。しかし先ほど申しました業者が非常に心配しておりまする一つのものは、どこでもかまわぬ、ちょっと内職的にやるような傾向のある――内職的というと何ですけれども、いわゆる無責任なやり方で裏長屋等でちょっと板張りにして、そこで四斗だるのあきだるを買ってきて洗たくおけにし、それから業界ではざら板と申しますが、洗い板の大きなのを一つ作ってやる。そういうようなことからその下がドブ泥になってしまって、ドブネズミが来る、ウジがわく、それが方々はい回る、非常に不潔で近所に非常な御迷惑をかける。またそういうようなことが簡単にできることから無責任な業者がふえて、得意に対して非常な迷惑をかける、また業界全体が非常な不信用になる、やるならば堂々と設備をやって、どちらにも迷惑をかけないように、環境を不衛生にしないようにしたいという念願が非常に強いのでございます。私どもまたその実情を見まして、大した金ではないのだから、それくらいのことができないでは、得意の財産である洋服その他のものをお預かりするということは無理だ、どうしてもそのくらいなことは、得意にも、環境衛生上も、また周囲にも被害を与えないということは当然なさるべきだという点から、環境衛生の問題が主でございますけれども、こういう問題を取り上げていくべきだと提案者としましては考えるわけであります。
#38
○田中(正)委員 そこで第三の問題に入りますが、今度もしこの法律が改正になりますと、従来は、常時五人以上の従事者を使用するクリーニング所ごとに一人以上のクリーニング師を置かなければならないとなっておりますが、今度はおよそクリーニング所というものを営業する限りにおいては、必ずクリーニング師を置かなければならぬということになって参るようであります。そうなって参りまするとクリーニング師の現在の状態についてよく承っておかなければならないのですが、現在クリーニング師というものは全国にどのくらいある、あるいはまた各都道府県別に幾らあるかということについては、後ほど刷り物で一つ配付をしてもらいたいと思うのですが、全国にどのくらいあるか、それから一年間にどのくらい試験に合格するといったようなことについてお答えを願いたいと思います。
#39
○聖成説明員 現在クリーニング師の総数は二万六千八百九十二名でございます。現行法によります五人以上の従事者を持っております施設におきましては、必ずクリーニング師を置かなければならないということになっておるわけでございますが、かような五人以上の従事者を持っております施設の数は五千三十四でございます。従いましてこの二万六千八百九十二人のうち相当数が、五千三十四の五人以上の施設に従業しておるものと考えておるわけでございまして、現在におきましても、五人未満の施設においてもクリーニング師が相当数置かれておるということでございます。まだ全国的な調査ができておりませんので申しわけございませんが、調査を実施いたしました若干の県について実情を御報告申し上げますと、千葉県におきましては五人未満の施設が四百六十カ所であります。ここにおりますクリーニング師の総数が三百六十人、そのパーセンテージは七八%、埼玉県におきましては、五人未満の施設が五百七十カ所に対しまして、クリーニング師の数は三百六十三人、従って設置率が六三%、山梨県につきましては二百三十七カ所で二百二十五人、九五%、こういう率を示しておりますので、現在においても五人未満の従業員のクリーニング所におきましても、クリーニング師は相当数置かれておるものと考えておるわけでございます。しかしながら先ほど田中先生から冒頭に御質問がありましたように、クリーニング所の総数が三万一千四百六十二である。それに対して現在のクリーニング師の総数が二万六千八百九十二人ということになりますと、一人ずつ配置しましてもまだ足りないということになるわけでございます。そこで、クリーニング師というものが年次別にどういう推移をたどっておるかという点でございますが、これは年間、一口に申しますと、大体五千人くらいふえておる。数字で申し上げますと、昭和三十年には一万四千人でありましたものが、三十一年には一万八千人、三十二年には二万一千人、三十三年には二万六千人というような工合に伸びておりますので、三十四年つまり明年には三万二千から三万五千くらいになってくるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。従いまして、これまた二年間の経過期間中には数の上から不足を来たすということはまずないのではなかろうかと考えておるわけであります。
#40
○田中(正)委員 現在では、数の上でさっきお話のあったように、三万一千四百六十二軒に対して二万六千八百九十二名ですから、一軒に一人当たり入れても足りない、こういう傾向ですが、これもまた数字がないようなのですが、一体このクリーニング師というのは大部分大きい業者に勤めているのじゃないかというよう思われるので、五人以上のところに勤めている者は、一体二万六千人のうちどのくらいあるかということについて、数字はおわかりになりませんか。
#41
○長谷川(保)議員 ちょっと調査の日が違いますから、数字が違うかもしれません。また私の方の資料が必ずしも正確とは言い切れないかもしれませんが、昨年の十月一日現在で、四人以下の施設、つまり零細な施設でクリーニング師を置いていない施設、これが全国で三千八百六であります。私どもの方で全国クリーニング業の施設を通じて調べさせたのでは、さようになっております。
#42
○聖成説明員 ちょっと私の方にはその資料はございません。
#43
○田中(正)委員 現在クリーニング師は毎年五千人くらい合格者が出るというのですが、この五千人くらい出る合格者というものは、一体どういうところに勤めていた人たちであるか。これは五人以上のような相当大規模なところに勤めていた人が多いんじゃないかと容易に想像されるのです。相当に設備のよろしい、またお互いに教育し合えるような環境にある者は、クリーニング師の試験を受ける機会もあるし、また合格がしやすいのではないか。そうじゃない四人以下の営業所に勤めている人は、クリーニング師の試験を受ける機会も少ないし、またお互いにそういったような教育を積む機会も少ないために、存外にこの五千人の中には、五人以上の営業所に勤めている人が多いのではないか、こういうふうに想像をされるわけですが、その間の事情について厚生省等でお調べになったことがありますか、どうでございますか。
#44
○長谷川(保)議員 厚生省の方でお答えがあると思いますが、やはり昨年十月一日現在の調査では、四人以下の施設数が一万七千四百九個所ございます。その中で、ただいま申しましたようにクリーニング師のおりませんところが三千八百六という数字になっているわけでございますので、案外四人以下の事業所にもクリーニング師がおる。それからさらに組合といたしましては、最近おそらくどのクリーニング所も、いよいよこういうことでクリーニング師がいなければ事業ができなくなるかもしれない、すみやかに教育を受けるようにといって、組合が中心になって講習会等を開きまして、その試験が受けられるように、未設置のところにも努力をいたしております。おそらく法案にごらんのように、施行後二年後にクリーニング師でなければいけないということになるわけでありますが、従いまして大体二年後までには特別な例外を除きましては、全部クリーニング師が置かれるようになる。また先ほどから申しましたように、非常に複雑な化繊その他が多くなって参りまして、お預かりいたしますお得意さんの品物に損害を与えるような事態が最近非常に多くなってきておりますのを防がなければ、業界の健全な発達に支障を来たす。そういう意味で新しい繊維等の講習のあっせんをしますのは、どうしても官庁ではなくて、各都道府県の環境衛生同業組合のクリーニング業が中心になってやるよりほかに道がありません。ほかにどこからも費用が出てくるところがありません。従いましてそういう講習を非常にやって、仕事自体に損害を与えないようなことを考えるとともに、直接扱いますクリーニング所のクリーニングをやります者に十分な知識と資格を与えまして、責任を持ってそういうお得意に対する損害を与えないようにする、こういうことがこの法案提案の大きな目的でございます。御了承いただきたいと思います。
#45
○聖成説明員 ただいまの田中先生の御質問に対する的確な御答弁にならないかもしれませんが、実は山口県で調査いたしましたところでは、従業員五人未満の施設が二百二十六個所でございますが、そこに現在おりますクリーニング師の総数は一千百六名、パーセンテージにしますと四一六%という高率になっております。かような例から考えましても、一般的にはおそらく先生御指摘のように、大きな施設の方がクリーニング師を受験する件数、従って資格を取る者も多い、従って小さい方が少ないという傾向はあると存じますけれども、かような例を見ましても、小さい施設であるからクリーニング師の試験が受けにくいというようなことはあまりないのじゃなかろうか、かように考えております。
#46
○田中(正)委員 クリーニング師について若干お尋ねいたしたいのですが、一体クリーニング師というものの年は平均どのくらいになっておりますか。お調べはございますか。それからクリーニング師の標準の給与というものはどのくらいであるか。
#47
○聖成説明員 私どもの調査では大体五千円から八千円、これが全体の二五%でございます。八千円から一万円が全体の二三%、一万円から一万一千円までが二三%、一万一千円から一万四千円までが一四・八%、このように若い者で五千円から八千円くらいの間、比較的年輩の人で一万五、六千円、最高は二万円以上という人もございます。大体そんな傾向でございます。
#48
○田中(正)委員 年は……。
#49
○聖成説明員 年はちょっと資料がありませんので……
#50
○田中(正)委員 クリーニング師の合格率というものは、受験者に対して何パーセントくらいになりますか。
#51
○聖成説明員 これは御案内のように、都道府県知事が執行いたします。いろいろ報告はとっておるのでございますけれども、その資料をとっておりませんので、まことに申しわけないのですが……。
#52
○長谷川(保)議員 私どもの調べですけれども、これは全国平均いたしまして大体七四・八%になっております。これは昨年三月の調べです。
#53
○田中(正)委員 二四%くらい残念ながら受からない人があるようなんです。そこでいろいろ聞きたいのですが、どうもこの問題については、厚生省もあまり詳しい調べがないようでございます。およそクリーニング業法というものをお扱いになっておられて、環境衛生について業者についての監督をしておるのですから、もう少し綿密な資料を常時おとりになっていただきたい。そう言えば、また厚生省の方は人員を拡充してくれなければ困る、こういう場合も出てくるだろうと思いますが、そういう援護射撃はやめます。
 私がなぜこんなことをいろいろ聞くかということになりますと、これは現在クリーニング業者の中にクリーニング師を置いてない業者が、先ほどからの御答弁の中からも、たくさんあるわけでございます。そこで今日この法律が施行されますと、猶予期間は二年間あるようでございますが、究極において、クリーニング師を置くことができないために、この法律に抵触する。そのために営業をやめなければならぬといったような者が出やしないかどうかということについて、われわれは非常に心配をするわけであります。もちろんこの改正の内容については、公衆衛生の向上を期するとか、あるいは業界の実体的な強化をはかるとか、いろいろな積極面もありますが、その積極面に比較をいたしまして、そういったような法律の改正によるところの犠牲が出るということについて、それをしもあえて強行しなければならないような法律的な利益が考えられるかどうかということになって参りますと、これは比較権衡の上においていろいろな問題を含んで参るわけであります。そういった犠牲を忍んでも、どうしてもこの際こういった改正をしなければならないかどうかということになって参りますと、われわれは非常に心配をせざるを得ない一面があることは否定できないと思うのです。そういうわけで、私どもはこの点についていろいろとお尋ねをしてきたわけであります。極端に申しますと、地方等におきまして、このクリーニング師を実際に雇い入れることができないとか、また自分自身もクリーニング師の試験を受けることがなかなか困難であろう、たとえば年をとっている、あるいは自分かっての教育というものが、そういったようなものを受けるだけにはなかなかいかない――試験の内容等も拝見いたしますと、科学的な洗濯に関するところのいろいろな問題も出ておるようですし、あるいは公衆衛生法規等についても、実際こういったようなことを専門にしているわれわれでも、試験問題を見ると、あるいはどうかなと思うような問題が出ているわけでありまして、やらしてもできない者がありゃしないか。また無理に雇い入れるということになりますと、先ほどのような高給を払わなければならぬ。しかし自分の営業所の経営状態から見て、さような人を入れてはどうしても採算が合わないということになって参りますと、これはどうしても自分のところではクリーニング師を入れることができない、従って廃業をしなければならないという問題を惹起しないかということについて心配をするから、さようなことを申し上げているのであります。
 いま一つお聞きしたいのは、過日厚生大臣の認可を得ましたところの環衛法におけるところの適正化料金の問題でありますが、あの料金の算定の節に、一体このような施設あるいは人員、クリーニング師等を設置するというような要素を織り込んであのような数字をおきめになったのかどうか。もっとはっきり言えば、このような法律が施行される場合には、環衛法における適正化料金はさらに値上がりをしなければならないような情勢になっていくかどうかというようなことについて、お聞きをしたいと思うのであります。
#54
○聖成説明員 先般中央で認可いたしました環境衛生適正化法に基きますクリーニングの適正化基準でございますが、中央の基準におきましては、全国的に最もふくらみが多い施設ということで、電気洗濯機一台、脱水機一台、従業員の数が四人というようなあれを基準にいたしまして、なおかつクリーニング師が一名従事しているというようなことで計算されておりますので、先般の基準価格のあの算定の際には、大体この法律改正の内容の趣旨があって計算されておる、かようにお考えいただいてよろしいかと思います。
#55
○田中(正)委員 そうすると、かりにこの改正法案が成立をいたしましても、あの適正化料金というものは改定をする必要が――ほかの要素は別ですが、この制度に関する限りないということでございますね。
#56
○聖成説明員 その通りでございます。現実には、先生も御案内のように、ただいま問題は地方の段階に移りまして、各都道府県の組合が府県の方に適正化規定の申請をいたしておるわけでございます。その際に当該府県におきまして、中央の適正化基準で算出いたしましたものと異なるような、たとえば従業員三人というようなものが一般的にふくらみが多いということになれば、そういうところがとられるというような、そういう相違も出てくるかと思いますけれども、この法律が改正になったからといって、特にあれを置かなければならぬというようなことはないと思います。
#57
○田中(正)委員 最後にお尋ねいたしますが、先ほどちょっと触れましたクリーニング師の問題であります。この法律が施行をされまして、かりに二年間のアローアンスを経て、どうしてもクリーニング師が置けない、ないしはクリーニング師の免許をとるわけにいかないという業者が予想されるかどうかということでございますが、この点についてはどうでございますか。
#58
○聖成説明員 現実には、田中先生が御心配になりましたように、どうしてもクリーニング師を雇い入れる能力がない、従って、みずからクリーニング師の資格をとる以外に、この法律が改正になりました際に業を続ける道がない人は、当然あるであろうと考えるわけでございます。御案内のように、クリーニング師の受験資格は、現在の学校教育におきます義務教育、新制中学卒業の学力、それから昔の教育制度におきましては高等小学校卒業程度ということに、基本の学力がきまっておるわけでありますが、先生が御指摘のような、相当年とった業者の中には、尋常小学校しか出ていないというような人もあり得るかと思います。そこでそういう点を考えまして、まず受験資格を与えるための認定講習会というようなものを受けさせまして、そうしてまず高等小学校卒業と同等の学力ありと認めるような講習会を――これは従来もやっておりますが、厚生大臣が指定すればよろしいわけであります。そういう講習会をやりまして、そういう人に受験資格を獲得させまして、その上で今度は実際のクリーニング師試験を受験することになるわけであります。試験科目といたしましても、衛生法規並びに公衆衛生に関する知識ということのほかに、クリーニングに関する実務の試験がございます。これは従来他にも例があることでございますが、相当長期にわたって多年の経験を持っておるというような人の場合には、特に実務経験に重点を置いて試験を実施する、かようなことによりまして救済をいたし、極力そのために脱落をするということのないように、既存の業者の立場については十分考えてあげたい、大体そういうふうに考えております。
#59
○田中(正)委員 そういうわけで、厚生省においていろいろ考慮して、そういったような脱落をする者がないようにという御配慮もしてあるようでありますが、究極において、若干の者はこの法律施行によって廃業等のうき目を見なければならないような者が出ないとは限らぬ。そういうふうになって参りますと、今日こういったような改正をするためのプラス面と比較をいたしまして、この改正案を施行することによって廃業をしなければならない者に対して、何らかの手当てをしなければならない。現実にはどう考えてもあり得るであろうと考えますが、この法律の改正案の法益に比較して、さようなものを一挙に――二年後でありますが、廃業をさせなければならないことについては、どうもわれわれあまり進んで賛成するわけにいかぬのであります。この法律によるプラス面をお考えになって、さようなものは脱落してもよろしいのだ、公衆衛生の向上、あるいは業界の発展のためにそういう犠牲は忍んでいただかなければならないものであるか、大局の前には多少の犠牲が出ても仕方がないというふうにお考えになっておるかどうか、この点について提案者にお尋ねをいたしたいと思います。
#60
○長谷川(保)議員 先ほど来の御質問、私ども提案者といたしましても、ただ一つの点において心配しております。先ほど来のだんだんのお話でも御了承いただけますように、どんな山奥に参りましてもみんな洋服を着るということなんです。従って業界全体としましては非常な発展をしているということが言えるのであります。今お話しのクリーニング師の問題についても、一番心配になるのはいわゆる一人親方といわれている状態の方々で、しかも山奥あるいは離島等におきまして、もう跡継ぎをやる人がないというような、じいさんがやっているというような場合に心配になると思うのであります。提案者といたしましては、そういう一人の業者をも決して犠牲にしてはいけない、そういう人こそいわば正業でございますから、こういう正業についてやっていただかなければならぬのでありまして、最後までそれは救済しなければならぬ、一人も犠牲者を出してはならぬと考えておりまして、この点は当局におかれても十分な御尽力をいただけると思いますけれども、全国クリーニング環境衛生同業組合におきましても、全力をあげて、責任を持ってそれを遂行するという決意をいたしておりますので、私どもも彼らを励まして、そういう犠牲者が一人もないように、あらゆる場合を考えて努力いたして参るつもりでおります。
#61
○田中(正)委員 どうも問題の焦点はこの辺にありそうなんでございまして、われわれはどうもこの改正案のもたらすところの利益と比較して、かような犠牲者を出すことはいかがかと、かように思われるわけでありまして、これらについてはわれわれ当委員会においてもそれぞれ慎重に考慮しなければならぬと思いますが、またいろいろと質疑等もあるようでございますので、私の質疑はこれにて一応保留をいたします。いずれ同僚から同様のお話があると思いますが、本日の質疑の中においていろいろ調査不十分の点等につきましては、できる限りお調べの上、後刻また御答弁あらんことを切にお願いすると同時に、私がただいま申し上げました点について、特に本改正案をめぐるところの問題の焦点等についてはさらに御研究の上、またいずれかの日に答弁をしていただきたい。また厚生省等もそれらの問題の善後策についての具体的な措置等について、でき得るならばお考えおき願いたいという御希望を申し上げまして、本日の私の質疑を終わらしていただきます。
#62
○長谷川(保)議員 御参考までに申し添えておきますが、先ほどもクリーニングの免許を交付される者が急速にふえておる数字が当局から発表されておりましたが、私の方の調査でも、三十一年に三千六百九人新しく免許をされましたが、それが三十三年には五千九百四十一人というように、新しく免許を受けます者の数がふえて参りました。本年は十二月の六日に東京都の試験がございますが、すでにこの受験を申し出ておられます者が東京都だけでも二千何名というようなわけで、この法律が決定されるであろうという予想のもとに全国のクリーニング師未設置の事業所の諸君が急速に講習を受け、正規のクリーニング師の免許を受けようという非常にいい傾向が出てきております。ただ、一人でも犠牲者の出ないように万全の策を尽くしていきたい、提案者といたしましては、かように決意いたしておる次第でございます。
     ――――◇―――――
#63
○永山委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。木村守江君。
#64
○木村(守)委員 最近、厚生省関係の保険監査に関連いたしまして、保険医並びに保険歯科医に自殺者を出したということはまことに遺憾でありまして、この重大なる事件に関連いたしまして、本委員会においてさきに八田、滝井の両委員からいろいろ質問をされたようでありますが、私はその質問の速記録を拝見いたしまして、いまだに納得できない数点がありますので、この点につきましてこれから質問いたしたいと考える次第であります。そういう点から、きょうは実は厚生大臣以下御出席をお願いしたのでありますが、厚生大臣が出られないことはまことに残念なことであります。しかし幸いに政務次官がおられまするし、関係の役所の方々もおいでになりまするので、これから御質問をいたしたいと思います。初めに局長にお願いをいたしますが、数件の自殺者を出しましたが、私は例を最近起こりました仙台の保険医相澤氏に関することにとってお伺いいたしたいと考えます。保険局長は、相澤氏がいわゆる保険監査に関連して自殺したというようなことをお認めになっておるかどうか、ちょっとお伺いします。
#65
○太宰政府委員 お答え申し上げますが、相澤さんがなくなられましたことは、大へんいたましい事故だと私も思っております。そのなくなられた原因が監査に関係あったかどうか、これはなくなられた方に遺書があるわけではございませんので、人間が生命を断つということについてはいろいろなことがあろうかと思いますが、私どもといたしましては、その監査ということに何らかの関連はあったのではないかというふうに感じておる次第でございます。
#66
○木村(守)委員 そうすると局長の答弁によりますと、相澤氏の自殺というものは、これは監査に関係はあったかもしれないが、きわめて僅少な部分であって、他に自殺の原因があったというような御解釈ですか。
#67
○太宰政府委員 そういうことを申し上げているつもりではございませんけれども、それが僅少であるかどうかは別といたしまして、何らか関係があったのではないかと私ども常識的に予想しておるということを申し上げたわけでありまして、ただそれだけが唯一の原因であるかどうかということについては、私どもにはわからないということを申し上げたわけでございます。
#68
○木村(守)委員 そうすると局長の答弁は、相澤保険医の死亡というものは、いわゆる厚生省の監査に関係があるということを認めておると了承して差しつかえありませんね。
#69
○太宰政府委員 先ほど申し上げた通りでございます。大体同じようなことになろうかと思います。
#70
○木村(守)委員 こういうことをお伺いして死んだ人にまことに申しわけないと思うのですが、一体相澤保険医が死に至るまでの状況について、あなた方の調査した範囲内においてお答えを願います。
#71
○太宰政府委員 もうすでに御承知かと存じますが、相澤さんの監査をいたしましたのは九月の二十六日でございます。これは厚生省と宮城県当局との共同監査でございます。私の方から係の技官それから保険課長、この両者が責任者として参り、立ち会いをいたしましたのが仙台市の医師会長、それから宮城県の医師会の理事の方でございます。
 監査の内容につきまして、これは申し上げませんが、いろいろお聞きをしたということであります。その後相澤さんから弁明書というのが出ておりますが、その弁明書を出しましてから間もなく、十一月の十三日でありまするから、監査後約一月半たちましたときに自宅で自殺をされた、こういうふうに私どもは承知いたしております。それの自殺をいたしますまでに、だいぶ神経衰弱みたいなようなことで、夜も眠れなくなったということで、家族の方や友人の方もいろいろその点心配されて、それとなく注意をしておったのであるが、たまたまちょっとしたときに、朝でございましたが、なくなられた、こういうふうに承知しておるわでございます。
#72
○木村(守)委員 監査のあとに弁明書を出された、そうして監査後一カ月半ぐらいでなくなられた、そういうようなお話でございましたが、この弁明書というものはどういうものでありますか。大へん長いものでなかったらおっしゃっていただきたい。
#73
○館林説明員 弁明書を読み上げます。
   弁 明
一、診療の際は、私が患者を前にして詳しい精神医学的な問診治療を行ない、またその事実は事務員にそばでメモをとらせ、これをもとにして裏面に書かせていたため、カルテの表面に記載しない部分についても事実欄には記載されたものもあったと思います。それで請求明細書はこの事実欄に基づいて書いたので、誤りの生じた事例もあったと考えます。
一、患者の実態調査
 患者が荷物、夜具等を持参し、病院に預かっていた場合、病室を約束した場合、あるいはその間電気ショック等のためときどき宿泊していった場合等について、事務員が入院と認めて請求したものでありました。
 保険医
 コントミンの使用について御指摘のあった例については、副作用があったためです。担当規則については、勉強不十分であったので、今後十分研修して遺憾なきを期する覚悟であります。
 昭和三十四年十一月十一日
       相澤医院
         相澤  鑑
#74
○木村(守)委員 次に、これもなかなかむずかしいことであるかもしれませんが、相澤保険医の生活について知っておる程度のことをお話し願いたい。
#75
○館林説明員 相澤医師の学生時代からの友人の田中五郎という方に伺ったところによりますと、相澤医師は高等学校時代から友人であったが、非常にまじめな方で、仏教の本など読んでおられた方のようであります。
#76
○木村(守)委員 先ほど監査の状態について局長から御説明がありました。保険課長と係がこちらから行って、それから県医師会並びに立ち会いの人がおって監査をしたというようなことでありまして、それからただいままでの本人の生活につきましては、きわめてまじめな信仰心を持っておる、いわゆる自尊心の強い人であったと思うのです。特に私の調査したところによりますと、相澤博士は昭和十五年から二十五年の間東北大学の講師を勤めているりっぱな医者であります。また大精神病院の院長を勤めた、いわゆる精神医学につきましては相当の権威者であると、私は調査して承知しておるのであります。その人を監査する場合に、今コントミンの話が出ましたが、コントミンの注射というものは連続注射をしなければならないというような、ばかの一つ覚えに覚えているところの厚生省の役人が、一週間でやめるような医者ではその精神医学的な技術を疑う、知識を疑うというようなことを、いわゆる監査の過程において言っておられるのであります。こういうような態度、これが私は大きく本人の自尊心を傷つけ、いわゆる社会人としての、開業医としての面目を失墜せしめた原因だと考えております。こういうような態度がはたして正しい、適正な監査の態度であるかどうか。この一つの小さな例を申し上げましても、私は許すべからざる態度だろうと思いますが、どう考えますか。
#77
○太宰政府委員 御承知の通り、この監査は健康保険法で申しますれば第四十三条の十の規定によりまして、社会保険医療担当者監査要綱というものに基づいて監査が行なわれておるわけであります。それで現在の監査要綱によりますると、監査を受けます人の選考の標準というものが定められております。これは診療内容に不正または不当があったことを疑うに足りる理由があった場合に監査を行なうというようにしぼられておるわけであります。そのほかに、診療報酬の請求に不正または不当があったことを疑うに足りる理由があって監査を行う、こういうふうに監査をやります場合を非常にしぼっておりまして、医療行為なり診療報酬の請求に不正または不当があったということにしぼっております。従いまして、そういう事例があった場合には、たとい、その方が社会的にどういう立場である方であろうとも、これは監査をせねばならぬ、こういうふうに思います。しかしいかなる場合におきましても、やはり地方の名士の方が多いのでございまするから私どもといたしましては、監査に臨みます監査官の態度につきましては平素から、十二分に心してやるようにと申しておるつもりでございます。人間でございますので、あるいはたまたま言葉なんかで、あとから振り返って見ますると、適当でないというものもあるかとも存じます。しかしいずれにいたしましても、その監査の場所には、先ほど申し上げましたように県医師会なり市の医師会なりの幹部の人が立ち会っておるわけでありますから、そう常軌を逸したようなことは起こるはずはございません。しかしそれはそれとしまして、こういうような不必要な刺激を監査を受ける方に与えないよう今後とも十分注意して参るように指導していく、かように考えております。
#78
○木村(守)委員 どうも局長の答弁は私は承服できません。それはおそらく局長は、保険医を監査するところのいわゆる医学的な見識がないというような点から、そういう答弁をするのだろうと私は思う。監査はその四十三条の十の規定によってやるのだ、そんなことはきまり切ってわかっております。法律できまっておる。ところが監査する実態において、少なくとも医者が個人的な病気を直すために必要な薬を用い、その薬が副作用があっていけないからやめたにもかかわらず、これを継続しない、そういうような医者としての見識を疑う、この一言は全く監査する者が医学の何たるかを知らない、ほんとうにばかの一つ覚えの、法規一点張りの、その法規もこれは活用していない一つの事例だと思うのです。それは法規上やったのだと言うかもしれませんが、これによって死に至らした。これは殺したのです。みずから死んだ。それは手をとって殺したのじゃないかもしれないが、死を誘導した。それにもかかわらず、これがさも正しい監査をやったのだというような考え方は承服できない。いま一度答弁を願います。
#79
○太宰政府委員 まさに従来とも十分心して監査に当たるように指導しておりますが、この点につきましては、十分今後とも注意して参るのは当然だと思います。
#80
○木村(守)委員 どうも局長、私はわからない心して監査に当たらせるようにした。心して監査に当たった人が、医学的な非常に深いうんちくを持っておる人が、個人的に副作用が多いからやらないと言ってやめたことを、これをやらないということは医者としての資格がないんだというような断言をしておる。それが一体正しいのか。それでも心して監査していると言えるかどうか、御答弁を願いたい。
#81
○館林説明員 監査官の質問の内容を調べてみますと、今お尋ねのコントミンの供与について話題に上ったようでありますが、監査官としては、精神病の特殊の療法としての治療指針と比べて使用量が少ないので、その点について質問をしたのでございまして、一日五〇ミリ程度のコントミンを使うという精神病の特殊の療法に書かれておる基準と違うというような点から、それに対する説明を求めたものと思います。なおその監査場には、たまたま他の精神科の医師がおられましたので、監査官としては、自分の発言が精神科の普通の治療の考え方からして不適当であるかどうかを聞きながら質問を進めた、かように申しておるわけであります。
#82
○木村(守)委員 先ほど朗読してもらいました相澤保険医の弁明書にも書いてある通り、これは副作用があるから中止しておるのです。一体保険の治療指針に従えば人を殺してもいいということですか。人を殺してもこの法律に従わなければいけないということですか。もしもこの副作用があるままこれを続行したならば、その患者は死に至ったかもしれない。死に至ることをおそれて、深い医学的な体験の上からこれは続行すべきでないというような考え方でやめたのでありまして、それに対して、治療指針がたくさん用いろと書いてあるから、それを用いなかったのは精神学的な医者として適当でないというような判断を下す。これでは法律を守って人を殺せということです。法律の範囲内において病気を直して人を死に至らしめないのが医療の真義なのです。一体弁解する答弁をしておるが、その人は身分はどういう身分ですか、ちょっとお聞かせ願います。
#83
○館林説明員 医療課長です。
#84
○木村(守)委員 医療課長は医者ですか。
#85
○館林説明員 医者でございます。
#86
○木村(守)委員 今私が聞いたことはどうなんです。法律を守れば人を殺してもいいのか。政務次官いかがですか。
#87
○太宰政府委員 もちろんそういうことではございません。生命が危険になった場合においても治療指針通りやっていいということではございません。また治療指針もそういうものではございません。生命を守り、病気を直すために作ってあるわけでございますから、緊急の場合の規定はいろいろございますが、当然そういうような緊急の場合においては治療指針よりも重んじなければならぬことは確かであります。
#88
○木村(守)委員 治療指針に従わなくても差しつかえないというのなら、治療指針に従わないそういう医者では、精神病の医者としては適正でないというような発言をするのはどういうわけなんですか。
#89
○館林説明員 治療指針に従わなければ、精神科のお医者として不適当であるというような発言はしてないと思います。
#90
○木村(守)委員 それは、おそらくは、今になってしているとは言えないでしょう。テープレコーダーにでもとってあるならば、これは動かすべからざる事実なんですが、私の調査したところによりますと、立ち合いのお医者さんの話によりましても、これはまさしくこのコントミンの問題については、コントミンを中断するような精神科の医者では、精神医としての技量を疑うというような発言をなさっておるのであります。少なくともこれは、十年間東北大学の講師として、また大精神病院の院長としての経歴を持っている、しかも五十代の今働き盛りのお医者さんなんです。先ほどあなたが言われましたように、これは政府といたしましても、非常にまじめな、信仰を持っておった人だと言われておるその人が若い監査官に、どういう人が行ったかわかりませんが、若い監査官に、なまいきにも、こんなことを知らないような医者では、精神科の医者としてはその技量を疑うと言われたときに、これは全く自信を失い、ほんとうに医学というものに対していやになったろう、医療というものに対して非常にいや気を感ずるのはあたりまえだと思うのです。こういうようなことをして、いわゆる本人の長い間の自信を失わして、結局死に至らしめたような状態を作ったと考えても、これはさしつかえないと思いますが、いかがでございましょうか。
#91
○太宰政府委員 監査に臨みますものの発言については、できるだけ注意をして、不必要なことを言わないようにしなければならぬと私も思います。将来そういうことのないように、さらに注意をして参りたいと思います。しかしそれが直接の原因で、医学に対する自信を失われたということが、なくなられた原因になるかどうかということは、これはなくなられてしまったものでありますから、どうこうというわけにもいきませんし、調べる方法もございませんが、しかし私どもはそれが唯一の原因である、あるいはそれが大きな原因であるということについては、必ずしも御意見の通りとも思えない点があるわけですが、何と申しましても、やはり一番大きな原因は、こういう監査というものにかかったという点じゃないかということ、これは私個人としての考えでありますが、その点については、これのみが唯一の原因であるというふうなことまでも今判断することは、必ずしも適当ではないと私は考えております。
    〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
#92
○木村(守)委員 どうも局長の答弁は私の言うことを承認していないような、したような、きわめてあいまいな答弁のようであります。一番大きな原因がこの監査にかかったことだというようなことを承認しておるかと思うと、また小さい声で、わからないようなこまごましたような話をしておる。一体相澤保険医は性状、性格、いろいろな環境状態を考えて、この監査のために自殺しなければならない原因がどこにあったのかということを考えて参ったならば、私は明らかにこの監査が相澤氏をして死に至らしめたものだろうといってもさしつかえないと思う。特に局長は今、監査に対しては医官に対してよけいなことを言わないように言っておると言っておりますが、監査官はその監査の過程において再三発言しておることは、担当医を取り消すというような、いわゆる最後のことを発言しておる。これは決してそれだけの問題ではない。これは至るところにおいてこういうような言葉を出しておる。こういうような強迫がましいところの言葉を使って、そうして開業医というものは大体においてその地方の名望家であり、しかも長い間の学校生活、地方における最も学識経験のすぐれた人、そういう人がその自信を傷つけられるというような場合に大きな間違いが起こってくるのではないかと私は考えるのであります。特にこの監査に当たって、立ち会いの医師会の人が、もう少し丁寧に話をしてもらいたい、この人は非常にまじめな、気持の小さい人だから、いま少しくおとなしく話してもらいたいと言ったところが、気の小さいのは私ですというようなことを言っておる。これがはたしてよけいなことを言わない、ほんとうに弾圧を加えない、権力をもって押しつけないまじめな監査ということができるかどうか、御答弁を願いたい。
#93
○太宰政府委員 今の監査に当たった人は、私どもの見るところでは相当江戸弁のようなはきはきしたものの言い方の人のようで、ただ従来は相当長く監査の職に当たっておりまして、どこでもそういう間違いを起こしたことのない人でありまして、今回たまたまそういうようなことについて同じような発言をしておりましても、受ける方の人の気持もあるわけでありますから、そういうようなこともあると思いますので、そういう点については将来受ける人の立場を考えてできるだけ慎重に指導して参りたいと思います。ただそこで発言がどうでございましても、先ほど申し上げましたように、そうむちゃなことが通るはずはないのでありまして、立ち会いの人もおられるわけでありますから、立ち会いの人のお話のように、何か気が小さい人だからあれしてくれというようなことを言われておりますが、その際口ごたえしたかどうか知りませんが、そういうような点について、立ち会いの人もその程度のことで済んでおるわけでありますから、そうむちゃなことではなかったと思います。しかしこれはこれといたしまして、極力先ほど申し上げたような注意をもって臨むようには指導させていきたいと思います。
#94
○田中(正)委員長代理 答弁側に申し上げますが、速記がとれないそうですから、もう少し大きい声でお願いいたします。
#95
○木村(守)委員 監査に当たった人は、きわめてりっぱな人だから、そうむちゃなことはしないだろうというようなお話でございますが、そうむちゃなことをされたのでは、それこそ大へんなんです。むちゃなことをしないのが特別いいのじゃなくて、むちゃなことをしないのがあたりまえなんです。えてして役人というのは、上役の前に来ると大へんにいい。ほんとうにりっぱな役人の格好をする。そういう役人に限って、これはどこかに行くと、権力を振り回し、そうして考えていないような問題を引き起こす。局長は、これは江戸弁を使って、大へんりっぱな人だ、私の見るところでは大へんいいと言うけれども、あなたの前ではいいかもしれない。これは役人の通弊なんです。上役に対しては大へんにいい。そういう人に限って、地方に出て何か問題があると、権力を振り回して、間違いを起こす。そういう事実をあなたは認めませんか。
#96
○太宰政府委員 数多い役人の中には、お話しのような者もあろうと思いますが、今回の場合はそういう人柄ではないと思います。
#97
○木村(守)委員 局長の答弁では、私はどうしても承服できない。一体監査官が地方に行って、コントミンの問題、あるいはいま少し静かに話をしてもわかると立ち会いのお医者さんが言っておるのに、こっちの方が気が小さいのだから、というようなことでもって、その言葉を否定するというような、この事実をもってして、これだけでもこの監査官というものは不適任であると思う。監査官が不適任なのか、監査の規定が不適切なのか、いずれにしても、この起こった事実はわれわれは了承できない。どう考えますか。
    〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕
#98
○内藤(隆)政府委員 ただいま御質問の御趣旨をだんだんと聞いておりますると、もっともな点がございますので、われわれとしては、将来さような態度をする者がないように一つ善処したい、かように考えております。
#99
○木村(守)委員 去る十八日の当委員会におきまして、滝井君の質問に対して渡邊厚生大臣が答弁して、最近の厚生行政というものは弾圧と取り締まりの行政だ、こういうことはいけないから、これを改めなければいけないという意味のことを言っておりまするが、政務次官、その通りでございますか。
#100
○内藤(隆)政府委員 大臣のお答えの通りでございます。しかしそういう弾圧とか、そういう意味は、私その席で聞いていなかったのでわかりませんが、ともかくも、さようなことがあってはならぬと私たちは常に考えております。
#101
○木村(守)委員 政務次官にちょっとお伺いしますが、政務次官もおそらくはこういう問題にはしろうとだろうと思いますから、これはわからないと思いますが、今の問答を聞いておりまして、弾圧でなかったと思われますか。ほんとうにこれは取り締まり一点張りの気持で、いわゆる医療の真髄、人間の生命ということを考えない、これはいわゆる弾圧と取り締まりというような感じを持たれないでしょうか。これはしろうととしての政務次官に伺いますが、いかがでございますか。
#102
○内藤(隆)政府委員 たとえばそこに立ち会っておりました県なりその他の医師会の方が、その監査官に注意を与えた場合、これに反発するような答えをもししたとするならば、さようなことは不謹慎な態度である、かように私は思っております。
#103
○木村(守)委員 局長もただいまの政務次官並びに十八日の厚生大臣の滝井君に対しての答弁と同じことなんですか。
#104
○太宰政府委員 十八日に大臣がどのようにお答えしたか、実は私記憶ございませんが、私ども今日国民の公僕といたしまして、戦時中の軍部のように弾圧とかというようなものを、これはもちろん避けねばならぬと平素から心して、厚生行政でございますから、できるだけ困った方々の味方になってやらなければいかぬと思って、努力しておるつもりでございます。ただ私どもは、はなはだ人間として十分でない点がございますので、その点について、あるいは世間からそういうふうに誤解をされるようなことが、こちらでは考えていなくても、ないとも限りませんので、そういう点につきましては、こういう事件が起こりました際には、さらに一つの反省の材料として、できるだけ国民に喜ばれるようなことをして参りたい、かように考えておる次第でございます。
#105
○木村(守)委員 もちろんこれは民主政治下においては、弾圧と取り締まりの方針によって厚生行政が行われるべきものではないと私は考えております。しかしながら、こういうようなれっきとした事実がありまして、この事実の前には何者も屈服しなければいけないことだと思います。そういう点から、これからはそういうことのないようにいたしたいという今政務次官からのお話でありましたが、そういうことのないようにするということは一体どういうことか。局長の答弁によりますと、監査に行ったその技官は、きわめてりっぱな人で、間違いがないような人だと言っておる。その間違いがない人が間違いを起こすような結果に至った。そのことは、もしも局長がしいて本人に間違いがないと言うならば、監査そのものが間違っておる、監査そのものを私はやめなければいけないと思う。一体これからこういうことのないようにするということは、こういう技官を今後役人としては用いないということなのか。それとも監査をやらないということなのか。一体これからこういうことのないようにするというのはどういうことなんですか。
#106
○太宰政府委員 先ほど来申し上げておりますように、監査に当たります者ができるだけ態度、言語というようなものも注意し、それから相手方の性格というようなものもできるだけ考慮に入れまして、監査自体はこれは厳正にやらねばなりませんけれども、その間におきましても十分、そういうただいま申し上げたようなことに注意して参らなければいかぬ、かように考えて、そういう面についてもし今回あるいは過去におきまして十分でなかったものがあるといたしますならば、こういう点はさらにお互いが注意し、また指導もして改めて参りたい、かようなことでございます。
#107
○木村(守)委員 どうもあなた方の言っていることに対して私は承服できない。あなた方はここでその技官をどうするとか、あるいは監査をやめるということはもちろん言えないでしょう。言えないでしょうが、こういう事実が起こった以上は、少なくともいわゆる技官そのものをこれから吟味するか、再教育するか、あるいは監査そのものに対して根本的な検討を加えるか、どちらかでなければならない。それ以外に私は改める方法はないと思う。自分のやっていることはみんないいのだ、何もやめることはできないのだ、そうしてこれからよくしていくのだというのじゃわからない。これは根本的に考えていくためには、やはり監査をしばらく中止して、そうして監査そのものを根本的に検討するか、それともあなた方が最もよいと考えておるいわゆる監査官というものを再教育するか、それ以外に私は方法がないと考える。これに対してどういうお考えでありますか。
#108
○太宰政府委員 この仙台の事件が起こります前に、日本医師会の方から申し出がございました。これは私どももまことに同感だったのでありますが、多くの医者の中に間々間違いを起こす者があって、それが監査を必要とする、ひっかかる程度のものであるならば、これは監査をやってもらうのに異議はない、ただ最近に起こった事件などから考えてみると、どうも従来指導というものをやることに十分力を尽くしていなかったきらいがある、少なくとも指導というものをもう少しやっておったならば、かようないたましい事故を起こさないで済んだのじゃないか、この点について早急に厚生省と日本医師会その他関係の団体とで相談をして、そうしてこの指導という面に力を入れていこうじゃないか、こういうことに両者の間に根本的な相談ができまして、その具体的なやり方というものをただいま相談し合っておるところでございます。私どもといたしましては、御指摘のように監査というものにかけて、そのお医者さんの行為が適当であるかないかといって、直ちにそれをもってある場合には取り消し処分に持っていくというようなことをいたします前に、十二分にそのお医者さんの指導と申しますか――これも厚生大臣の職責としてあるわけでございます。また関係の団体としてもそれぞれの会員に対してはそういう面の指導をやって差しつかえないわけでございまして、連絡を密にしてそういう方面に力を入れていく、そういたしますれば監査というようなことにならないで済む場合が非常に多いであろう、こういうことを考えております。この点につきましては、関係団体も全く同じ立場で今日おるわけであります。かような点から、この指導をりっぱにして実施したならば最も効果が上がり、そうしてこういういたましい事故は防げた、その具体的な方策について私どもは検討いたしております。その場合において、関係団体の方にも、監査をすぐ中止すべきであるかということについて話し合ってみますと、そういうことはあまり言っておりません。早くそういう指導態勢というものをお互い協力して成り立たせようじゃないか、こういうことに、一点にしぼって今日話を進めております。これはごく近いうちに私どもは何とかしてこれをまとめて、そういう方向に改めて参りたい、かようにただいま考えている次第でございます。もしそれが実施されますれば、いろいろ御心配いただきましたようなことも非常に改善されて参ると私どもは考えている次第でございます。
#109
○木村(守)委員 こういうような問題を起こす原因には、現在の審査制度あるいは監査制度というようなものが、ややともすれば経済的な立場からのみ検討されておって、いわゆる自主的な、医療的な見地というものを没却してかかっておる、こういう現在の保険制度に基因するものだと私は考える。そういう点から考えても、たとえば一例を申し上げますと、現在の審査制度は、治療を行なっていく健康保険の方針はあるが、医師としての自主制を認めながら治療を行なっていく――そして二カ月も三カ月もたってから審査をするとか、半年もたってから監査をするというようなことで、そこに非常に、いわゆる実際の状態と監査あるいは審査に現われたところの結果が違ってくるのだと私は思う。御承知のように病気の最中には、おぼれる者はわらにもすがれ、ほんとうに保険医に対して神様のように手を合わせて治療を頼む、ところがなおってしまって二カ月も三カ月も過ぎたあとというものは、これは昔の日本人ならどうか、ことに最近の日本人は、小学校でいわゆる報恩の精神、恩というものを教えておらぬ、医者にかかってなおしてもらったその恩なんか知らない。そういうときに調べた結果では、大きな違いがあると思う。そういうものをかみ合わせてほんとうのものに作り上げようとするところに、私は間違いがあると思う。そういう点から私は、審査制度、監査制度というものを根本的に検討し直さなければいけないと考える。それにもかかわらず、さらに反省するようなことを言いながら反省しないで、また近く四国かどこかで監査をやるそうでありますが、これはしばらく検討するためにやめるべきではないかと私は考えるのですが、いかがでございますか。
#110
○太宰政府委員 来月の上旬かと記憶しておりますが、監査をいたすつもりでおります。これは中止することは考えておりません。ただし先ほど来申し上げましたような点は十分心して、根本精神を指導という点に置きまして実施をいたすつもりであります。なお先ほど医師会その他関係団体と今話し合っておるということも、きわめて近いうちに円満に話がつきましたならば、そういう点も心配要らなくなることかと考えるわけであります。先ほどお話がございましたように、監査の制度あるいは審査の制度という点につきましては、いろいろ問題は確かにあろうかと思いますが、これをだんだん突き詰めて参りますと、これは御指摘のように、現在の医療費の支払い制度の根本にやはり触れてくる、きわめて大きな問題であるというふうに私どもも考えております。この点につきましては、御承知のように各方面におきまして、何とかして今の制度をそういう根本の面から再検討したらどうかということで、御議論もあり、またそれに関する私見、私案というふうなものも、あるいはその審議会の意見というふうなものも出されておるわけであります。私どもはこういう意見を基本にいたしまして、ただいまいろいろと皆保険下のこういう制度のあり方というものについても研究を内々進めております。なかなか問題が大きいために、ただいまのところは結論が出ていないわけでありますが、今後さらに勉強いたしまして、これは確かに御指摘のように非常に根本的な大きな問題につながるというふうにわれわれ考えておりますので、検討をさらに促進して参りたいと考えております。
#111
○木村(守)委員 長くなりましてまことに済みません。ただいまの局長の答弁ですが、今回数次にわたって起こりました保険医の自殺の問題、これは重大なる問題です。人が死ぬのですよ。今医者が少ないといわれるときに、善良なるまじめな医者が自殺をするというような大きな問題なんですよ。その自殺をした原因には、あなた方も責任を感じておる。こういうような大きな問題を起こしておって、そうしていまだ結論に至らないのに、その人殺しのようなことをまた続けていくというようなことで、それでいいのですか。どういうことなんですか。中止することはできないと言うが、また人を死に至らしめるようなことがあったらどうなるのですか。これは法律的に考えたら大きな問題だと私は思う。直接手を下して死に至らしめたのじゃないから責任がないようなことを言うておるかもしれないが、責任がないとはあなたも言っていない。われわれもまた責任がないとは言わない。それにもかかわらず中止をすることはできない。しかも結論に達していないのに中止することはできない。私はここしばらく監査を中止して、そうしてほんとうに納得のいくような線を出して、それから始めるべきだと考えるのです。人を殺しているのですから、死んでいるのですから、これは死んだ人はまた生きてこないのですよ。半年くらいやめたって別に死ぬわけはない。
#112
○太宰政府委員 監査をすれば必ずそこに事故が起きるというものでもございません。これはたまたま非常に異例な痛ましい事故でございまして、私どもはそういう点につきまして、自分たちとしても反省すべき点は率直に反省して参りたいということであります。監査それ自体は国の行政権の作用で、健康保険制度の運営が適正に行われて参ります上において、今日のような制度の建前のもとにおいては、やはり監査というものについてはやらねばならないのであります。従いまして監査というものを中止するということは考えていないわけでございます。ただそのやり方なり、あるいは監査を行ないます精神というものについては、さらにさらに御期待に沿うように努力して参りたいと心がけております。今日関係団体との間におきましても、そういう点につきまして、十分にお互い裸になって率直な話し合いをしておるわけであります。何とかして円満に、また妥当な監査の行なわれるような方向へ持っていきたい、かように考えておる次第であります。
#113
○木村(守)委員 ただいまの局長の発言は、私はどうしても許すことはできないと思う。こういうばかにした考え方はないと思う。監査をやったら必ず事故が起こるとは限らない。――もちろん監査をやったら必ずまた人が死ぬというものであったならば、そんなものは許さるべきものではないのですよ。保険医が死ぬ、自殺をする、必ず自殺をするというなら、そんなことは問題ないのだ、実際今、目の前に起こった問題があるのだ、監査によって必ず起こる、監査をやったら必ず人が死ぬ、自殺をするという問題なら、論ずる問題ではないのです。そういう問題ではなくて、実際この監査によって保険医が死んでおるという歴然たる事実のもとに、今議論をしておる。そういうような考え方ではだめだ。もう少しまじめに答弁してもらいたい。
#114
○太宰政府委員 こういう事故はほんとうに痛ましい事故でありまして、二度とこういうことを起こしたくないといって、今いろいろ相談もしておるわけであります。しかしながら監査というのは国の権限でありますが、同時に法律上の義務でもございます。こういうものを中止するということとそれとは、私は一応別個の問題であると思います。もちろん監査すればそれいう事故が起こるということであれば、えらいことでありますが、そんなに起こることでもありませんし、ただできるだけ監査に臨む係官の態度なりあるいは言動なりというふうなものにつきましては、細心の上にも細心の注意を払ってこれをやる。これは監査それ自体は先ほど申し上げましたように、現在行なわれております医療保険の制度が、円滑に適正に行なわれているかどうかということを調べるものでございますので、これを中止するということは適切ではない。また今日の段階においては、そういうことを中止するということでなくして、これは先ほど申し上げたような指導という面に力を置いたやり方というものも早急に取り入れまして、この監査制度がさらにいい制度に進むように持っていきたい、このように考えておるわけであります。この点はどうぞ御了承をいただきたいと思います。
#115
○木村(守)委員 何べんも繰り返すようですが、二度とこういうことを起こしたくない。それはまた起こしてもらっては困るのです。しかし現実にこの監査によって起こったこの痛ましい事実をどうにもすることはできないと思う。この事実に対して、法律がこうだから監査をしなければいけない。それはそのあなた方の気持はわかる。法律に忠実でなければいけないという気持はわかる。わかるが、そのためにこれは中止をするのじゃなくて、延期をするということは私はできると思う。延期をしたから人は死ぬわけじゃないのですよ。一番大事なのは人間の命なんです。それはどうですか、延期はできませんか。
#116
○太宰政府委員 先ほど来申し上げておりますように、関係団体の間とも今率直に胸襟を開いてこの制度の改善について話し合っている段階で、関係団体の方でも、ただいまのところではその監査を中止するとか延期するとかいうことなしに、話し合いと申しますか。
#117
○木村(守)委員 私の聞いているのは関係団体の話じゃないですよ。
#118
○太宰政府委員 私はそういうようなことで、現実に監査いたしますまでに相当まだ時間がございます。従ってそれまでの間には十二分によりよいやり方を実施することが可能だと思っておりますので、ただいまのところは延期するような必要はないと思っております。
#119
○木村(守)委員 一体保険局長の考え方が間違っておると思うのです。いわゆる適正なる医療をせんがために監査をするのだという考え方が間違っていると思う。一体適正な医療を行なうためにというのですが、それは医療を行なわせておいて、そうして二カ月も三カ月もたってから審査をする、半年も一年もたってから監査をする、それで一体適正な医療が行なわれますか。人間の記憶力というものは科学的に一体どのくらいだと思っています。一カ月たったら、二カ月たったら、三カ月たったら、半年たったら、どのくらいだと思っています。
#120
○太宰政府委員 それは人間の記憶力という――ちょっとお話はあるいは患者の実態調査のこと、そうでございますか。
#121
○木村(守)委員 そうです。
#122
○太宰政府委員 ということかと思います。これはお互い人間でございますから、大体自分の点について考えてみましても、人間の記憶力というものは必ずしも百パーセントではないということは言えるわけでございます。期間がたてばたつほどこれは記憶もあいまいになってくるということはあると思います。もちろんそのものにもよりまして、非常に日常茶飯事のようなことでありますれば一両日前のことすらもわからない、どうも記憶が薄らぐということはある。しかしものによりましては、相当昔のことでもはっきり残っているものもあると思います。まあ病気にかかってお医者さんにかかったということはそのどれに属するか、日常茶飯事のことではないと思います。それにいたしましても、人間の記憶力というものにはいろいろあいまいになる点があるということは私どもも十分承知いたしておるわけでございます。従いまして患者の実態調査をいたします場合におきましても、できるだけそういう半年も一年も前のというようなことをしないで、できるだけ近いところのものをとりまして、それで患者の実態調査をする。またかりにそういうことをいたしましてもなおかつ間違っている点もあるということは、十分それだけのものを考慮に入れまして監査をいたしておるつもりでございます。場合によりましては、これはおかしいと思いました場合においては、実態調査を再度行なった例もあるわけでございます。その点については確かに御指摘の通り、この点の患者の人間としての記憶力というものについては、これは考慮しておかなければならぬという点は重々心得て参っておるつもりでございます。
#123
○木村(守)委員 これは記憶力が百パーセントあるとは思っていないというような話ですが、記憶力というのは、これは二カ月も過ぎると大体六〇%から七〇%、半分忘れてしまうのですよ。これはほんとうに半年もたつとほとんど忘れてしまうというのが普通なんです。そういうところに監査して、一体どこに適正なものをつかめますか。忘れてもいいのですよ。これはみんな統計的に忘れることになっている。そこに間違いがあるのだ、そういうところに考え方の違いがある。そんなものを引っぱってきて、適正な医療を行なうためだと言われる。私は世界の先進国が、一体保険の監査というものに対してどういうようなことをやっておるか詳しくは知らない。しかし私は昭和三十年にオランダ、スエーデンの方へ行って参りましたが、日本において行なわれておるのはいわゆる最も官僚的な、検察庁的な監査の典型的なものです。これは日本の恥ですよ。こういうものはなくさなければいけないのです。それも適正なものをとらえて適正化しようとするところに保険医を死に至らしめるような原因がある。一体世界の各国の状態並びにあなたが考えておる適正な医療ということについて間違いがありませんか、ちょっとお聞かせを願います。
#124
○太宰政府委員 世界各国がどういうような監査のやり方をやっておるかということは、ちょっと今ここに資料の持ち合せがないわけであります。これは先ほど来木村委員の御指摘のように、まずどういう医療費の支払いのやり方をとっておるかによっても変わってくるわけであります。結局日本の今のような支払い方式をとっております場合は、申し上げるまでもなく医療行為はお医者さんと患者さんとの間で行なわれ、そうしてつけが保険の場合、保険者の方に回ってくるということであります。その医療行為は内容がはたして保険のルールで約束されておりまするものに合っておるかどうか、あるいはやってない医療行為をつけておるかどうかというような点については、これは今日のような制度の建前ではどうしても片方の患者の方を調べて突き合わせるということでなければ出てこないわけであります。その点について、患者調査というものが一番いい方法であるか、確かに問題がありますが、それは今のような支払い方式をとっております限りにおいては、どうしてもそういうことをしなければならないということなのであります。しかしながら確かに御指摘のように、人間の記憶力というものも問題があります。かような点について、もっといい方法というものがあろうかと、従来ともいろいろな人々が検討しておるわけであります。たとえて申しますれば、これは人によりましては、今のような現物給付じゃなしに、現金給付の制度をとって、お医者さんと患者さんとの間はそれでもってやってもらう、そうしてあと患者の方と保険者との間には保険のルールに従った補償をする、こういうようなことをすれば今のような問題は相当避けられるのじゃないか、こういう意見をなす方も世の中にはございます。それも一つの意見だろうと思います。それは私どもも検討して参りたいと思う点の一つではございます。しかし同時にこれについてもまだ、そういうやり方については、自分たちが従来医療において持っていた特典がだいぶそこなわれる、社会保険の後退であるという意見をなす方もあるわけであります。今日すぐ右から左に、これがいいというわけにはなかなか参らぬ。しかしこの監査の件をだんだん突き詰めて参りますと、結局は医療費の支払い方式の問題、今日の制度再検討という問題にまで参ってくるのではなかろうかと私は考えております。この点につきましてはしばらく時間をかしていただきまして、私どももできるだけすみやかにそういう面の根本的な検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#125
○木村(守)委員 監査制度は保険医療の適正化のためにやっているのだ、いわゆる不良医を駆逐せんがためにやるのだというようなことでやっておるのですが、このことにつきましては基本的な問題で相当検討しなければならないことは、ただいま局長がいろいろ説明された通りだと私は思う。これは根本的に検討して参らなければならないと考えております。
 私はこの際資料を要求しておきます。世界の先進国のいわゆる保険医の制度並びに監査の方法、これについて資料を出してもらいたい。それからあなた方が監査を必要とする、いわゆる不良医が犯すところの保険の支出というものと、保険医を監督せんがために局長以下たくさんの役人がありますが、その役人に支払う金と、どのくらいのパーセントになるか。もっとおおらかに、役人も減らして、いわゆる自主的な診療をさせる、野放しにした方がりっぱな医療ができるのじゃないかと私は考えております。その率の資料を願います。
 それからこの際、大臣はおりませんから政務次官にお願いしておきたいのですが、いろいろ局長に話を聞きましたが、局長の立場としては、ほんとうに私の言うところを了承しておっても、行政官としての局長の身分としてはどうにもできないような点があって、答弁に相当困っておるような状態が私見受けられます。一官僚である局長に対して、これ以上話をしてもわからない問題だと私は考えます。ただいままで申し述べましたような保険医の自殺というようなことにまで数次に及んで至っておるところのいわゆる監査の制度というものにつきましては、これはしばらく検討を重ねてその後にやるべきだ、ほんとうに慎重にやらなければならない幾多の問題があると考えます。この点についてはやはり政治的に解釈してもらいまして、政治的な手を打ってもらう以外に方法がないと考えますので、しばらくそういう状態を持続してもらいたい。国民皆保険と申されますが、国民皆保険で一番大事なことはやはり医療の充実です。いわゆる医療を担当する保険医に対して、非常に戦々きょうきょうたる気持でもって保険の診療に当たらせることは医療の効果を半減するものだ。だから国民皆保険というのは名ばかりでその実がないものになってくるということを考えるわけです。この点につきましてはとくと大臣御相談の上、善処されますように心からお願いしておく次第であります。
#126
○内藤(隆)政府委員 御趣旨ごもっともでありますから、大臣とよく相談をいたしまして、御趣旨に沿うような善処方をしたいと考えております。
#127
○木村(守)委員 次に、医務局長が来ておりますからちょっとお尋ねしたいと思います。日本に幾多の国立病院がありますが、国立病院の運営をよくして、国立病院としての成果をあげて参りますためには、どういうようなことをやっていこうと考えておるのか、御方針をお聞きしたいと思います。
#128
○川上政府委員 御承知のように、国立病院あるいは国立療養所というものは、終戦後におきまして、従来の陸海軍の病院その他のものを引き受けたわけでありまして、現在の医学の面から見ますると、施設においても大へん劣っておる面があるわけでありますけれども、今非常に困っておる問題は、むしろ医療を担当いたしまする優秀な医師を確保するということが一番大事な問題であるにもかかわらず、その点がなかなか困難な状態になっておるということで、今後優秀な医師をまず確保したいというような考えを持っております。
#129
○木村(守)委員 最近の国立病院並びに国立療養所の姿を見ますると、建物だけはある。その建物も、設備のいいものもありまするが、非常に老朽をしまして使いものにならないような、格好だけの国立療養所、病院がある。その上に国立病院本来の使命を果たして参りますためには、優秀な医者をそこに集めるというところに重大な問題があると思うのですが、現在国立病院並びに療養所に対して医者が非常に少ない。ほんとうに病院ががらあきで、あばら家の格好になっておるという一つの原因も、医師の給与が悪いからだと思いますが、これに対してどういうように考え、またどういうことをやっていかれようと考えますか、御所見をお聞きします。
#130
○川上政府委員 現在国立病院の医師の給与は民間の勤務医師に比べまして三割三分ばかり低いわけであります。本年七月の人事院の給与勧告が実行されましても、なおかつ二割六分悪いというような現状でありますので、明年度の予算におきましては、少なくとも本俸の一割を診療手当として給与できるように政府に要求しておるわけであります。そのほか研究費を増すとか、あるいは海外に派遣するような費用なども待遇改善の一助として要求をいたしておるようなわけであります。
#131
○木村(守)委員 医務局長も御承知のように、医者という立場は特殊な職業だろうと考えます。これは病院勤務というような考え方――あるいは厚生省勤務というような方々と、実際医療機関に携わる病院の職員とは、おのずから非常に違ったものがあると思うのです。時間勤務で、十時に出勤して五時に帰るといわれましても、そのほかに入院患者あるいはいろいろな患者でもって、その勤務を拒否するわけには参りません。そういうような特殊性を考えると同時に、医者は、医学というものが日進月歩で進歩して参りますので、それに適応したところの勉強もしなければならないというようなこと、あるいは医者になるまでの長い間、普通の大学よりも二年長くて、しかもインターンをやって国家試験を受けるというような点から考えますれば、いわゆる現在の病院の職員の医師に対する給与では、気のきいた人は来ないということ、ほんとうに来る人はかすが来る、ほんとうに医者としてどこにも行かれないような人が国立病院に来るという格好になってしまうのじゃないか。国立病院あるいは国立療養所がそういうような状態でいいかどうか、私は非常に疑問を持つのであります。終戦後、ちょうど国立病院ができる場合には、大体において大学の教授連中がその院長になって参りましたために、その先生の個人的な人格、その個人的な識見というものに私淑して、そして先生のもとで勉強をしよう、先生のもとでりっぱな医者になろうという気持で、安い月給で行ったのです。それだから、その当時は安くてもよかったかもしれませんが、現在においてはそうじゃないのです。そういうことを考えたときに、私は早急にいわゆる基本的な医師の給与というものを考えなければ、国立療養所並びに病院の将来は、本来の使命を果たすことができない、現在のままであったならばこれはかえってつぶしてしまった方がいいとまで私は考えるのですが、これに対してどういうような考えを持っていますか。
#132
○川上政府委員 ただいまのお話は私も全く同感でございまして、確かに三十三年などの実績を見ましても、医長級の医師というものは、採用するよりもやめる方が多いというような状態で、まことに困っておるわけでございまして、私たちが大学に行きましても、国立は安いからというようなことで、大学としてもなかなかお世話をしていただけないという実情で、現在では全く学校の関係で、院長が母校の方に行って辞を低うして頼んで、やっとその幾割かを埋めておるというような状態でありまして、ぜひとも早く医師の待遇を改善いたしまして、国立病院たる使命を全うしなければならぬということで現在努力をいたしておるようなわけであります。
#133
○木村(守)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、ただいま私が医務局長に質問いたしましたこと、並びに医務局長の答弁の過程においてよくおわかりだろうと思うのです。現在のような状態では国立病院というものは本来の使命を失墜するどころか、ほんとうに医療を担当していくことができないような状態になってしまうと思うのでありまして、こういう状態を取り戻して参りますためには、何と申しましても医師の待遇が一番大事だと思うのです。そういう点、これは予算編成期も近づいて参りましたので、明年の予算においてはどうしてもこの国立病院並びに療養所のいわゆる給与の問題を大きく取り上げて参られたい。私は考えるのですが、日本のいわゆる安寧秩序維持のために、裁判官とか検察官とか警察官というのは特別の給与表がありまするが、人間の最も大事な生命を取り扱う、しかも国立の医療機関に働く方々には、この裁判官並びに検察官と同じような給与表を作って参りまして、これを優遇することによってのみ国家的な療養所の機能を発揮することができると思いますが、その点に対しましてどういうようなお考えを持っておられますか。またこれに対しまして今後御努力下さるお考えもあると思うので、お伺いしたいと思います。
#134
○内藤(隆)政府委員 御趣旨ごもっともでありまして、今日の状態では仰せられる通りの運命になるかもしれぬということも考えるのであります。それで明年度予算には一億二千万円かの、さような待遇改善の予算を計上いたしまして、これの実現に努力したいと考えております。何分皆さんの御声援のほどをお願いしたいと思います。
#135
○堤(ツ)委員 今のにちょっと関連して。今御質問がありましたが、あなた新しく御就任なさって、国立病院だとか、国立療養所対策というものをあなたの考えでどう持っていこうということも、もうそろそろ考えが確立されたろうと思うのです。いろいろな問題点があるのです。今も御質問が出ておりましたけれども、一体国立病院はどういう方向へ持っていこうというのですか、医務局長になられてから初めてですし、ちょっとこの際関連して伺っておきたいと思います。
#136
○川上政府委員 病院は、御承知のように各ブロックで、主要なものは基幹病院ということでだんだん整備をいたしておるわけであります。その他の病院はやはりその地区におきまして他の医療機関との関連を考えまして、その規模でありまするとか、あるいは性格でありますとかというような点を考えて、地方の医療の需給に即応したような整備をやっていきたい、そういう考えを持っております。療養所にいたしましても、御承知のように療養所が非常にたくさんありまして、しかも非常に交通の不便なところなどにあるわけでございます。施設の方も老朽なものが多いわけであります。先ほど申しましたように整備がだいぶおくれておりまして、むしろ地方の公的医療機関などに比べますと、そういう点ではだいぶ立ちおくれておるというような状況にあるわけであります。一そう整備をしなければならぬと思っておるわけでありますが、これもブロック別に見て主要なものはだんだん恒久建築にかえていかなければならぬと考えているわけでございます。
#137
○堤(ツ)委員 お医者さんの待遇、そう言うと今いらっしゃるお医者さんがみんなつまらないお医者さんになりますから、現職の方々にちょっと怒られると思います。けれども、待遇は悪いが優秀な医者というものもいるわけであります。たとえば私の郷里のことを申し上げて恐縮ですけれども、紫香楽療養所と比良園療養所という、実にタヌキの出そうな、こわいような療養所があるのです。ところが、これは胸部の外科手術なんかは日本的に非常に優秀なんです。ところが、この人たちが掘立小屋の中で手術をしている。しかも患者の方では、あそこの医者にすがりたいといって来るのです。ところが、看護婦が手術を終わってふろへ行って、着がえをするところもないというようなひどいところに押し込んじゃって、そうして療養所のベッドたるや、終戦直後のみんなの仮住居にひとしいようなベッドの中に患者の方が寝ていらっしゃる。一体これを厚生省はどうしようというのかということを、私現場へ行ってつくづく考えさせられるのです。なぜあれだけ技術を持った医者というものを、国立病院や療養所の中で育てないのか。たとえば京都の国立病院にいたしましても、今度美しくなりましたけれども、あれをこの間私見てきましたけれども、中途半端です。外だけ美しくなっているけれども、中は何もないのです。どうしてやるのです。あれはやはり外から、もとのこじきみたいなものをみな持って運ぶのですか。そういうものの予算を統一していかないし、京都大学のお医者さんたちは一流のスタッフですよ。あの京都大学の医者連中を関西で殺してしまってどうするのですか。私は全部知っていますけれども、その人たちがフラスコでお茶を飲まんならぬような、そういう給料しか上げないのはけしからぬですよ。やるならやる、やらないならやらないで民間にまかせる。しかしこの社会化の方向に向かっておる趨勢の中で、もっと確とした信念を持って、国立療養所や病院を中心にして、どう持っていくかくらいのことは少なくとも厚生省がもういいかげんやって下さらないと、私は十数年見せてもらって、今言われているようなことは十何年言ってきているのです。どうにもならない。そしてその中に働いている職員は、戦々きょうきょうとして、あす整理されるやら、きょう整理されるやら。もちろん働いておる人の失業の問題が出てきますから、合理的に、どうこの人たちが失業しないように持っていくか、しかも国立療養所、国立病院の使命を果たしていくかということは、もっと確たる基本理念が厚生省の中で立てられないと、一体どうしようというのかということを考えさせられるばかりです。一つこれは根本的に――今一億二千万円の待遇改善費と言っておられましたけれども、医者一人当たり幾らになるのです。それはかためて一億と言ったらよろしいけれども、全国で一人当たり一体幾らになるのですか。これはついでに申し上げますけれども、大体今日の厚生省は、医者の医術というもの、医学というものに対するところの価値評価をしないのです。そこに保険局長がおいでになりますけれども、このままいったら全国の医者は怒って協力しないですよ。絵について申し上げまするならば、私どもの子供が学校で野菊の絵を一本クレヨンで描いてきた、横山大観が描いた菊の絵も一枚だ。同じ十円ですか。そういう割り出し方をあなた方は医者に対してここ十何年来やってきた。それでよい医者が育ちますか。そういうことに対して、新しく来られた医務局長は責任を転嫁するのは気の毒でございますけれども、政務次官も横に聞いていらっしゃいますから、一つ大臣と御相談になりまして、今私はしぼって国立病院と療養所の問題だけに申し上げておきますけれども、医療対策の点と、それから診療報酬の問題は、またあらためて、はたの方々と相談をして、小委員会を通じて御意見を申し上げたり質問をいたしますけれども、今国立病院、療養所の医者の待遇問題が出ておりましたから、私も関連をして申し上げておきたいと思いますけれども、大蔵省こわさに予算の請求ができないからというので、何年たっても同じようなことをやっていては、私に言わせたら厚生省の医務局など要りませんよ。そうしてみななわ張り争いばかりして、そういうことをやっていてもらっては、国民のためになりません。一つ徹底的に御研究を願いたいという希望を申し上げ、なお、医務局長は確としたところの政策がないということが今はっきりいたしましたから、一つ御勉強願いたいと思います。
#138
○永山委員長 中村君。
#139
○中村(英)委員 大蔵省の銀行局長は見えていないそうですから、大月さんにちょっとお伺いしたいのですが、このたびの国会で、昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法案、また、昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた医療機関の復旧に関する特別措置法案、これは衆議院を通って、今参議院で審議されておるわけです。これはもちろん建前からいいますと、法律が成立して、そうしてそれぞれの金融機関と御相談なさって中小企業者に融資されるのが建前ですが、実際問題としては、災害を受けた激甚地の中小企業者は、一日も早くこの融資を望んでおるわけですから、実際問題としてどういうふうに申請を受けて割り当てされているものか、あるいはそういうことを予想されてそれぞれ融資をされているものか、あるいは準備されているものか、そういう実情を一つお教え願いたい。
#140
○大月説明員 今般の私的医療機関に対する融資の問題につきましては、一般の原則といたしまして、中小企業金融公庫と国民金融公庫から、一般の中小企業者に対すると同じような条件でお貸しするという考えを持っておりますので、従いまして、現在法律が通ります以前の段階におきましても、ある程度一般の中小企業並みの特典は受けられることになっておるわけであります。一般の原則に立ちまして、災害の融資についての特例は、閣議決定によりまして、現に実行中でございますので、法律を待たずして、現在の中小企業の範囲に入られる医療機関に対しましては、現に三年間六分五厘という条件でお貸しできるわけでございますので、その範囲の方はそれで処置いたしておるはずでございます。問題は、この法律が施行になりました後、政令によって一般の中小企業の特例を作る。その特例の部分に該当する方がまだ特別の恩典を受けられない。しかし融資自体につきましては、一部また受けられる方があるわけでございます。たとえば今般の措置によりまして、医療機関に対しての特例といたしまして、百五十万円までは六分五厘にしよう、こういうことになっておりますから、一般の方針といたしましては、百万円まではすでに六分五厘で特例を受けられる、この政令施行後、逆にまたさかのぼりまして、百五十万の恩典が受けられるわけでございます。ただ、法律施行後、従業員の数につきましては、これは現行法の特例になりますので、現在医療機関で三十人をこえる方につきましては、今借りられないということでございますけれども、これは政令施行後初めて借りられる、その点についてだけいまだ措置されていない。しかしこの方は、法律の建前からいたしまして、しばらくお待ち願うよりしようがない。しかし、いずれ法律が通りまして、こういう方向に向かうだろうということは承知いたしておりますので、それぞれの公庫におきまして、そういう意味の融資の受け入れ準備というものはさせてあるわけでございます。
 それから資金でございますけれども、これは医療機関につきまして特別のワクを設定するということはいたさないつもりであります。従来ほかの業種につきましても、全部一括して考えておりまして、金融機関として特別のワクを設けますと、結局非常に細分した金が遊ぶということになりますので、総合的に考える。この点につきましても、法律が施行されましても一般の方と同じ資金源でもって十分需要に応じて参りたい。
 それから、ついでにお話し申し上げておきたいのでございますが、現在一般の中小企業者に対しましては相当の申し込みがあるわけでございます。現に貸付決定をいたしてどんどんさばいておるわけでございますが、国民金融公庫におきましては大体需要の件数におきまして七割五分程度、中小企業金融公庫におきましては八割五分程度の件数をすでに消化済みでありまして、需要の方は十月末ごろをピークにいたしまして次第に減ってきております。しかし逆に処理能力の方は態勢が整備されまして、逐次消化の数量がふえておりまして、能率は十分上がっておりますので、医療機関に対しても特に御迷惑をかけるというようなことはないのではなかろうか、こういうように考えております。
#141
○中村(英)委員 御説明で大体のことはわかったのですが、昭和二十八年の災害のときにはどういうふうにされたのですか。同じような扱いでしたか。
#142
○大月説明員 昭和二十八年の災害におきましては、あれは閣議決定によらないで、銀行局の通牒によって一般災害関係は一律に六分五厘の適用をいたしまして、医療機関につきましても同じように六分五厘の優遇措置を講じた、こういうことでございます。ただ資金源につきましては、中小企業金融公庫はその年に発足したところでございまして、十分資金が余っておったので何ら措置いたしておりませんが、国民金融公庫は災害一般としてたぶん十六億程度を資金として追加したというように記憶しております。
#143
○中村(英)委員 中小企業金融公庫の片岡理事さんにお伺いしたい。これは一つの事例で、全体がそうなっておるかどうかわかりませんが、三重県の津市で百五銀行ですか、地方銀行の方へ、三重県の歯科医師会の方では大体累計したところ五千万円くらいの希望を持って申し込みをしたら、全然ワクがなくて受け付けてもらえない、こういう一つの事例が起きてきたのです。もちろん先ほど説明されたように、この法律が成立しないと実際には貸付業務はできないでしょうが、どうなんです。割当はすでに法律の成立を予想されて各激甚地の都市へ、どの程度のものというふうにお示し願っておるのですか、まだそこまで仕事は運んでおりませんか、そういう点を一つ伺いたい。
#144
○片岡説明員 お答えいたします。先ほど大蔵省の大月さんからも御答弁のございました通り、われわれ金融機関といたしましては、すべての法律上の態勢が整ってから金融を考えるということでは間に合わないのであります。私も災害が発生いたしまして、切符がとれますと、すぐ最初の切符で名古屋に乗り込みまして、いろいろ実情も見聞いたしました。結局従来の災害に比べましてその質において、その規模において非常に異例な大きなものであるということを痛感いたしまして、これに対する公庫としての万全の措置を考えなければいかぬという実感を持って帰って参ったわけでありますが、その当時まだ今回の補正予算の問題がはっきりいたしておりませんでしたけれども、あらかじめ三十四年度の一般予算としてちょうだいいたしておりました一般ワクのうちから流用をいたしまして、どんどん災害融資を始めたわけでございます。さようにいたしまして、災害地の方々に金融上の御不便をかけないようにわれわれのワク内で、許された範囲内でできるだけの貸付をいたしたいということで努力をいたして参ったわけでございます。ただいまの三重県の歯科医師会の実例としておあげになりましたお話は、実は私きょう初めて聞くことでございまして、今日の段階では、ワクがないからといって断わるという段階ではないと思います。と申しますのは、先般いただきました六十三億の災害融資のワクは、これは明年三月までに、借りる人の緊急度とかいろいろなことを勘案いたしまして順次使っていく建前になっております。少なくともまだ二十億やそのくらいのものはワクとしては残っているはずでございますので、ワクがないからというお断わりは、ちょっと私自身にも解せないところもあるわけでございます。そうした実情につきましては、またよく私どもの名古屋支店とも連絡をとりまして善処いたしたいと考えております。
 なお、御承知と思いますが、私どもの方の公庫といたしましては、ただいま歯科医師会も加えまして、一切のお医者さんに対して約三千件、金額にいたしますと四十億をちょっと上回る貸付をいたしております。これは総額の四%程度になるかと思いますが、統計上の業種は四十もございますし、そのうち四%でございますので、必ずしも低い率であるとは考えておらない次第でございます。
#145
○中村(英)委員 私の承知しているところでは、非常に御親切に、災害直後、当然中小企業者が困っているだろうというので、さしあたりそれぞれの出先の機関を督励して、そして従来のワクをどんどん出して復旧に協力されてきたことは、これは私もその通りだと思います。ところが、どうも正直に少し待って、政府の法律が成立してからでないと実際には貸してもらえぬじゃないか、そういうことのために、法律の成立を一日千秋の思いで待っておった、そして銀行へ行ってみたらすでにもう貸し出して、なかなか受け付けてもらえない、そういう実情が出ていると思うのです。そこであなたのおっしゃったように、これは六十三億のうち、先食いしておりますが、まだ二十億か三十億あるのじゃないか、こういうことですから、もちろんこの人たちがそれぞれ予定されたものはごめんどうを見てもらえると思いますが、現状ではなかなか銀行で受け付けてもらえないという実態が起こっております。これは一つの例ですが、なかなか災害地なんというものは事務もいろいろ混乱しておりますから、そういう点は一つ十分調査して、法律の成立を待たなければなかなか受け付けてもらえないのだと、正直に待っていた人たちが失望しないような措置を講じてもらいたいと思います。これは津市だけの問題ですが、その他にもあるでしょう。ことに従来医療機関の人たちは、私どももかねがね主張して、金融機関はできないが、中小企業金融公庫なり、あるいは中金なり、その他金融機関の中で別ワクと思われるようなことで設備資金なんかは貸し出してもらえるのだ、こういうことを言っておいても、実際にはせっかくのそういう金融機関の資金を利用して設備の復旧をしない、そういう世間にうといような人たちが案外いるのですから、こういうときに処して、法律が成立しないと金は貸してもらえぬのじゃないかと思って、ばか正直に待っておった人たちが、実際に窓口に行ったら受け付けてもらえぬというようなことが現実に起こっておりますから、こういう点は一つ十分御調査を願いたいことが一つ。
 それから、これは銀行局の方ですが、かねがね滝井君あたり強く主張しておったのですけれども、私どもも医療金融機関というものはそういう中小企業の金融の別ワクの中で――もちろんそういう機関を作れば資金が零細化して融通がきかないという点もあるでしょうが、やはり別ワクでないと、こういうときに実際には金融操作の下手な、そういうことにうとい医療機関、医療担当者の人たちが、金融が受けられないような結果にもなるかと思うわけです。そういう点もどういうふうに将来お考えになるか、あわせてお伺いしたいと思います。
#146
○大月説明員 第一の問題でございますが、法律が通らない前に受付が困難かどうかという問題でございますが、先ほどお話のございました三重県の問題について考えてみますと、中小企業金融公庫は代理店を使っております。今のお話は百五銀行だと思いますが、それぞれのワクがございます。代理店は全国に何百とあるわけでございますので、それぞれのワクがある。そうすると、ある特定の代理店へ非常に大きな希望が参りますと、その代理店だけでは、既存のワクではうまくいかぬというふうな事例はあるのじゃないか。従いまして、そういう点は公庫として常に情勢を判断いたしておりまして、足りないところにはつけて、余ったところから回す、こういうような調整なり操作をやるとこういうことで処置いたすのではないか。全体としての政府から出す資金につきましては、先ほど申し上げましたように、中小企業公庫について今般大体六十三億を予定しておりまして、全体として足りないということはない、若干のそういう具体的な問題だと思いますので、今後そういう事態に対しましては十分注意いたしまして、十分な配慮をいたしたいと思います。
 それから、医療につきまして別に特別の金融機関的なものを作るか、あるいはワクを作るかという問題でございますが、御承知のように金融の立場といたしましては、特定の業種に結びついた金融機関というものは理念的に考えられないという立場をとっておるわけでございます。それは従来ございます政府金融機関をごらん願いましても、あるいは民間の金融機関をごらん願いましても特定の業種に結びついた金融ということになりますと非常に危険が多いわけでございます。非常に、いいときはいい、悪いときには悪い。それが業種が分散いたしておりますれば、たとえば石炭は悪いけども鉄はいい、船は悪いけれどもほかの電気の方は安全だ、そういうような金融機関としての全体の危険分散という問題と、それから資金の効率と申しますか、特定のところにワクを与えて、それがかりに余った場合にほかの方へどう回すか、先ほど申し上げました代理店のワクの操作というような非常にむずかしい問題にもなりまして、できれば一般的な金融機関から融資を受けるというように考えていただきたいと思っております。現に中小企業公庫、国民公庫からも四十億にわたる医療融資も出ておることでございますので、ただいまのところ、われわれとしましては医療の特殊性は十分関心を持っておりますが、金融の制度としてはできるだけ総合的に、一般的な立場で考えていきたい、かように考えております。
#147
○中村(英)委員 それは、今の例ですが、三重県の百五銀行ですかでは一億五千万円のワクの割り当てがあって、それをすでに食いつぶしておいて、新しく申し込んでも受け付けてくれない、そういう実態が起こっておるわけです。
 それから一つ、私の聞いたのでは、どうも中小企業金融公庫の六十三億は私は少ないのじゃないかと思う。それでどうも申請が多くて、六十三億の割当で少ないものですから、申し込みが殺到して選別が非常に窮屈になってきているのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。国民公庫の実情は私知りませんが、これと中小企業金融公庫では従来対象が違い、貸し出しの金高でだいぶ違うわけですから、国民金融公庫の方では非常に少なくて困るという話は私はまだ実は知ってないのですが、あなたのところも私はこれで十分ではないと思っているのです。ないと思っているが、中小企業金融公庫の方は、この六十三億をもらうというのは非常に少ないのじゃないかと思っております。ですから、三重県のその一億五千万円のワクをもし割り当てておられるとしたら――法律の成立を待って申し込みしたけれども全然受け付けてもらえないという事態は、すでにもうそこで起こっているのです。これは一つの例ですが、全体の資金の流れを見てこれで一体まかなっていけるか、希望に応じられるかどうかということは、当局もそうですし、一つ金融機関の方では十分御検討を願いたいわけであります。
#148
○堤(ツ)委員 関連して。ただいまの医療関係の災害の特別立法に伴うところの融資の問題でございますが、医療関係と並んで、その中に含めて、滋賀、富山、奈良などの配置薬業者の人たちが災害地に薬を配置しておいた、ところがこれが災害でみんな流れてしまって、そうして品物はなし、金はもらいに行けない、こういう被害が非常に起こりまして、しかもこの人たちはみんな中小というよりも零細企業者であって、しかも法で守られた業者であります。この人たちの被害をこの医療関係のワクの中に入れて、一つ百万円を最高として融資の対象とし、救済しようということが、大蔵省と国民金融公庫と中小企業と厚生省の薬務局の間で話し合いがまとまって、そのワクの中にたしか入れられておると思いますが、間違いございませんね。
#149
○大月説明員 配置売薬業者の問題は、扱いとしてややむずかしい問題でございまして、ただいまどういうような観点から取り上げていいかということを関係者間で相談しておる点でございます。と申しますのは、現在の建前といたしまして、罹災地に事業所を持っておるということが要件になります。ところが、たとえば奈良とか富山の薬屋さんといたしますと、商品はその罹災地にあるかもしれませんが事業所自体は富山なり奈良なりにあるといいますと、正面からこれは適用にならないわけでございます。それで今商工中金の関係の法案も実は参議院に参っておりますが、そういう点から、たとえば事業所だけでなしに主要な資産が罹災地にある。たとえばかりに薬で考えますと、大部分が名古屋地方にあったのだ、主要な資産がそこで流れてしまったというところまで入れることにした方がいいのかどうか。しかしこれは特に薬屋さんだけについて特例を設けるのも非常にむずかしいわけでございまして、全体の中小企業者の罹災の状況から申しまして、どういう範囲でしぼったらいいのかということは非常にむずかしい問題でございますので、研究中でございます。ただこの問題があることはお互いに関係者の方で承知いたしまして、研究いたしております。
#150
○堤(ツ)委員 いろいろと非常に出し渋っていらっしゃるというふうに大体聞いておるのでございますけれども、この配置薬をやっておる人たちが使っておる、中で働いておる人はどういう人なのかといいますと、授産場がないので、未亡人だとか、零細な二、三反百姓とか、現金収入を求めなければ生活の成り立たない人たちが、ほとんどすがりつきたいような気持でそういう中に働いて、包装をしたり、また手内職のようにして仕事をやっておる。こういう人たちをかかえておるところの零細企業者が、やっぱり自分たちがそうした条件の中から作る薬というものが現地で流れてしまったということは、これはどう見てもお気の毒なのですから、そういうむずかしい理屈をつけて出し渋るという量見はよくないと思うのです。どうも大蔵省が一番強硬らしいですが、大月さん少し頭を改めるわけにはいきませんか。
#151
○大月説明員 こういう災害の融資につきましては、やはり公平でなくちゃいかぬということをわれわれは考えておるわけでございまして、たとえば八百屋さんと自転車屋さんと薬屋さんが並んでおって、そこで同じ様子で罹災した場合に、どういうふうに扱うかというような感じだと思います。従いましてわれわれとしては、あらゆる方に万全の御満足を得ていただきたいわけでございますが、なかなかむずかしい問題もあるということを御了承願いたいと思います。
#152
○堤(ツ)委員 それで八百屋さんや下駄屋さん、呉服屋さん、これは不公平に特定の業者だけ守ることはできないでしょうけれども、今度の災害で大きくいかれたところが大きなお得意先であって、薬業者の商品の五〇%も六〇%も注ぎ込んでおったということになってくると、これは業者自体目も当てられないわけなんです。ですからそういうことはお互い業者間でも、なるほどあの業者はあそこばかり出入りしておったから気の毒だという、被害を認める常識の線は出てくるのですから、そう疑わないで、零細企業を守る意味において、厚生省をそんなに押えないで、何とかやってもらいたいと思いますが、どうですか。
#153
○大月説明員 一般の公平を害しない範囲で考えてみたいと思います。
#154
○堤(ツ)委員 それから三人の方に聞いていただきたいと思いますが、今中村委員からお話がありましたけれども、罹災者の方が国民金融公庫、中小企業金融公庫の窓口へ行きますと、こう言うそうです、利子の高い方なら幾ら使ってもらってもいいけれども、今度の災害の利子の安い方は、できるだけ金を使いたくないんだ、だから利子の安い方を望まないで、高い方ならあるということをほのめかすそうです。どういう指令を出していらっしゃるか知りませんが、窓口は渋いんです。あなた方が一言お言いになったことが、善良なる国民の方に百倍ほどよくなるならばいいのですけれども、百分の一ほど悪い方にしぼってしまう、そしてできるだけ六分五厘の金を貸さない建前をとりたいのが代理店窓口の実情です。そういう量見は改めないと、何のために災害立法をしたかわからぬでしょう。これは大蔵省がしぼるんでしょうけれども、何も大蔵省の金じゃない、国民の金なんですから、大蔵省の官僚の言うことばかり聞いておらないでいいんですから、中小企業金融公庫も国民金融公庫も、災害の特別立法によるところの融資であるという精神に徹して窓口がサービスされるように、私はあらためて指令を出していただきたいと思いますが、どうでございますか。
#155
○片岡説明員 六分五厘の方は出せない、高い方ならあるというお話はどうも何か誤解があるのじゃないかと思うのでございます。われわれの方はもともと、御承知の通り営利機関ではございませんし、また代理店といたしましても、かりに六分五厘の低利の貸し出しをいたしました場合には、われわれの方から代理店に支払います手数料率を引き上げまして、代理店はどっちの金を出しても同じ手数料がもらえるような措置を講じておるわけでございますので、代理店の損得勘定からもそういうことはあり得ない。今先生の御指摘の例は、私どもといたしましても初耳でございますし、またそのお話がどういうところから出ましたか、何か若干の誤解があるのじゃないかと考えるわけでございます。なおわれわれの方といたしましても、ただいまの先生の御指摘によりまして、一そう代理店の指導については遺漏のないように取り計らいたいと思っております。
#156
○石渡説明員 国民金融公庫といたしましては、できるだけお客さまの便宜のために六分五厘の金を出すように努力いたしております。条件としては、たとえば床上浸水とか家屋の全壊、半壊またはこれに準ずるようなものということが条件になっておりますので、条件に当てはまる分は問題ないと思います。それで私、先日三県に行って参りましたが、岐阜の方はほとんど六分五厘でやっておりました。それから津の方もほとんど大部分六分五厘で、九分三厘はわずかでございました。それから名古屋の支所は割合に九分三厘が多いので驚いたのでございます。これは四割くらいでございますが、それは直接の被害でなく、間接の被害にも出しておりますので、そういう結果になると思います。それから熱田の方はほとんど六分五厘でやっております。御指示いただきましたので、もう一ぺん間違いのないように指示はいたしますが、国民金融公庫に関する限り、六分五厘口はないけれども九分三厘口はあるというようなことは、ちょっと考えられないと思っております。
#157
○堤(ツ)委員 それでは御配慮いただくでしょうからしばらく待たしていただきますが、直らないようなら、窓口でやられた連中をここに連れてきます。よろしいですね。
 それから大月さんにもう一度お尋ねいたしておきますが、大蔵省と国民金融公庫と中小企業金融公庫と薬務局で、大体公平な線の上には立つけれども、被害の実情に応じて、配置薬業者の融資も医療機関のワクの中で考えるという話し合いができておるというように聞いておりますが、できておらないのですか。
#158
○大月説明員 問題は二つあると思います。直接医療機関と、いわゆる薬務の関係というものは別に考えておりまして、今度の特別立法では医療機関だけということになっております。しかし薬の関係は一般の中小企業者と同様に、やはりおっしゃるような優遇措置は講じてあるわけでございますので、その範囲でお考え願いたい。その次に売薬の問題につきましては、特別の優遇措置を講じる対象としてどういう対象を選ぶかという問題でございますが、そういう点はわれわれ関係者の間で相談中でございます。
#159
○中村(英)委員 今私が例にあげました地点についての御調査を願いたい、また善処願えるものと思うのですが、こういう例から推してみて、それぞれの災害を受けた地帯の中小企業者、もちろん医療機関を含めてですが、中小企業者のそれぞれ業種別に資金の借り金の要求をお取りまとめになっておると思うのですが、その金高と、今の中小企業金融公庫の六十三億、国民金融公庫の四十二億は、大体まかなえる見込みですか、それともとてもそういう要求はまかなえないという見込みですか。
#160
○大月説明員 結論的に申し上げますれば、大体まかなえるんじゃないかと思っております。具体的に申し上げますと、毎日の数字を各県からとっておりますが、最も新しい数字で、たとえば中小企業金融公庫につきましては、二十七日現在におきまして貸付の実行が二十四億三千九百万円という数字でございます。先ほどの資金手当が六十三億。それから国民金融公庫の貸付実行が同じく十八億五千七百万、これに対しまして資金手当をいたしましたのは四十二億ということでございますから、この辺のところで御推察願えれば、大体まかなえるのではないかと考えております。
#161
○中村(英)委員 片岡さんも石渡さんも、大体この数字でいけそうたという御説明でしたが、こういうことになれば、今起こっている事例のような、法律が成立してからでないと受けつけてもらえぬだろうが、しかし実際には窓口に行ってみたが全然受けつけてもらえなかったというようなことは解消されるわけですね。そういう点はお二方どうなんです、御自信がありますか。
#162
○片岡説明員 ただいまの御質問は、六十三億で百パーセントまかなえるかという御質問と拝承したわけであります。今回の災害は御承知のように非常に大規模なものでありまして、これに伴う災害融資の資金の需要額が最終段階までで何億あるかというようなことは金融の問題でございますので、時の推移とともにいろいろ情勢が変わりますし、的確に需要額というものを把握することはなかなか、むずかしいわけでございます。われわれの方といたしましては、今度ちょうだいいたしました六十三億を上手に使いまして、年度内はやって参りたい。なおもし若干不足でもございましたならば、これはわれわれの方の企業努力といたしまして、一般のワクの流用をするとか、あるいはほかの地域のを削ってもそっちへ回すとか、また根本的な復興資金というようなものは、私どもの感じではむしろ三十五年度へ相当ずり込む分も多いでありましょうから、そうしたものは三十五年度の予算をいただいたもののうちで適当にうまく回してまかなって参りたい、かように実際的に考えておるわけでございます。
#163
○石渡説明員 国民金融公庫の方を申し上げますと、大体四十二億の資金をいただきまして、どのくらい災害に貸し出しが行くだろうか。これは伊勢湾台風だけでなくて七号台風から始まっておりますので、県は大体二十県くらいに及んでおりましょうか、非常に資金の需要は強いのであります。それで自己資金と申しますか、普通貸付の分を相当こちらの方につぎ足しまして、四十二億の上に十五億くらいそちらの方でプラスしてやれば一応いいのじゃないか。しかしそれでも足りなければどうするか。来年の三月まで災害の申し込みは受け付けますので、それに足りなくなればどうするか。これはどうしても災害は優先いたしますので、普通貸付の方を減らして、そちらは貸す、災害の方は資金がないから断わるということはやらぬ。その分はどうしても普通貸付の方にしわ寄せする、こういうことに考えております。
#164
○中村(英)委員 そうすると、一般の方から回すことになると、その利息はやはり一般の方ですか。
#165
○石渡説明員 これは本来の気持から言いますと、四十二億特別にいただいた災害貸付の範囲内は六分五厘ということが適当かと思いますけれども、しかし半壊、全壊、床上浸水等、条件に当てはまるものは六分五厘でやるのが適当だと思っております。
#166
○滝井委員 朝から昼飯抜きでやっておりますから、人権をじゅうりんしてはなにですから、簡単に二、三点お尋ねしたいと思います。
 まず国民金融公庫と中小企業金融公庫の方にお尋ねしたいのですが、二十八年の災害のときには一体私的医療機関にどういう有利な条件でお貸し付けになったのか、その実績を御説明願いたいと思います。
#167
○石渡説明員 国民金融公庫といたしましては、当時医療機関のために特にどうということはいたしておりません。
#168
○片岡説明員 お答えいたします。先ほど大月さんからその点に触れて若干お話があったと思いますが、私の方はちょうど二十八年の八年に開業をいたしたばかりでございますので、その当時のいろいろな実績というものはあまり誇らしげに申し上げるほどのことはあるいはなかったかと考えます。実は私その辺の資料を持っておりませんので、的確な御答弁ができないのは遺憾でございますが、ただ開業早々のことでもございましたし、どんなことでございましたか、あまり御期待に添えなかった面もあったかと思います。ただ、医療に対する貸付は発足の当初から相当の額に上っておりますが、ことに災害がございまして、災害融資ということでございますれば、われわれの機関の性格から相当の努力はいたしておったものと考えております。
#169
○滝井委員 二十八年の災害のときにも、今度の災害と同じような医療機関の復旧に関する特別措置法で出たことは御存じだったですか。
#170
○石渡説明員 記憶いたしておりません。
#171
○滝井委員 そうしますと、さいぜん大月さんは、二十八年のときはどうしたかというと、閣議の決定ではなくて――まあ今度は閣議の決定ですでに中小企業にはやっておるわけですが、ではなくて銀行局の通牒でやったと思う、こういうことなんですが、大月さん、二十八年には法律が出ておつたことは御存じでしょう。
#172
○大月説明員 具体的に申し上げますれば、先ほど申し上げました六分五厘という優遇措置は通牒でやっておるわけでございますが、ほかの法律に基づいて政令が出ておりまして、医療機関に対しては特別の措置を講じておるのでございます。それは別の面でございまして、たとえば取り扱い金融機関を国民金融公庫、中小企業金融公庫にする、あるいは適用の対象を国、公共団体以外の病院、診療所とし、貸付資金は土地、工作物、建物または医療の用に供する器具機械もしくは医薬品の復旧資金というように、それぞれ政令によりまして特別の措置はいたしておるわけでありますが、六分五厘という点につきましては、特に政令によることなく一般の利率による、こういうことでございます。
#173
○滝井委員 そうしますと、大月さんの方は、政令を出して、国民金融公庫と中小企業金融公庫で、それぞれ有利な条件で、六分五厘は一般のものを適用するにしても、やっておった。ところが国民金融公庫の方は、特別にそういう措置はしませんでした、こういうことになるとおかしいことになるのですが、その政令というのは一体ほんとうに動いたのですか。
#174
○大月説明員 先ほどの副総裁のお話は、多分当時の記憶がないということであったと思います。当時やらないということではなくて、特別の措置をしないという意味は、六分五厘については一般原則によっておりますから、公庫の立場といたしましては、一般原則によってやった、こういうことであろうと思います。ただ具体的に政令に書いてございましても、それは法律的に申せば、政令がなくても国民金融公庫でやり得る範囲のものである。今回の措置は、たとえば対象がかりに百人以下ということになりますと、現行法でやれないものまでもやる、そのところが違っておるのではないかと思います。
#175
○滝井委員 二十八年の法律は大月さんも御存じの通り、通常の条件よりも有利な条件で貸し付けるということをちゃんと書いてあります。そしてしかも今度よりか段階をつけて、国がその資金を出すということまで法律は書いておるのですよ。そういうことまで書いてある法律があるのに、今国民金融公庫の石渡さんが言われたように、医療機関には国民金融公庫としては全然特別な措置を講じない、こうおっしゃるわけです。あなたは政令が動いたとおっしゃるけれども、厚生省どうですか。医務局長、政令は動きましたか。動いてないはずです。この法律はわれわれが作ったのですから……。動いていないのです。
 そこで問題になるのは、こうして法律は作った、そして実際に大蔵省は政令をお作りになったと言うが、主管官庁である医務局は、そういうものは動きません、こうおっしゃる。しかも現場の第一線で金を貸すところの国民金融公庫は、そういう特別措置をしなかったと言う。それでは大蔵省だけが政令を作って、自分の手のうちに握っておるだけです。それをいわゆる天下に公表して、実際に政策として推進していない。なぜか。金がないからなんです。だからこういう点があるので、私はこの前災害の委員会でも特にこれを取り上げてやかましく言ったというのは、そういうことからなんです。銀行局が言うことと、現実にそれを主管する、実際に医療機関を主宰しておる医務局の答弁と、それから国民金融公庫なり中小企業金融公庫のやっておることとがまるきり違うわけですね。これでは法治国家で、法律を作ったって何の役にも立たぬということになってしまうのです。私は今度は絶対にこの法律を動かしてもらわなければならぬと思うのですが、この法律を動かすということになると、今言ったように六十三億の中小企業のものと四十二億の国民金融公庫の災害の金というものは、それぞれの銀行にいくと、過去の実績その他で必ずこれは配分のワクがきまってくるのですよ。ワクがきまってきますと、災害が非常に大きくて借り手が多くても、そこに所在する金融機関というものは、実績がなかったら金がいかないのです。だからまずこれをたたき破らなければいかぬわけです。
 そこで大月さんにお尋ねしたいのだが、愛知とか三重とか岐阜というような災害の密集地帯における金融機関が、この四十二億や六十三億を出す場合に、実績というものをもとにして配分をすると、今中村さんが言ったように、それはあなた方おいでになっても、もうワク一ぱいですよ、おそらくこれで断わられてしまうのです。そうするとそれぞれの医療機関にしても、窓口を開いている銀行というものは遠いところにはない。やはり近くのものだ。近くのものに実績がなかったらなかなかいかないという問題が出てくるわけです。そこでそういう場合には、あなた方の現場の金融機関は具体的にどういう処置を講じますか、国民金融公庫と中小企業金融公庫に伺いたい。
#176
○石渡説明員 国民金融公庫の実情を申し上げます。現在といたしましては、愛知県名古屋の私どもの支所では大体の予定が十億、それから熱田が十八億、豊橋が三億五千万円、津の支所が七億、岐阜の支所が今まで五億の予定にいたしておりますが、これは七億ぐらいいくのじゃないかと思っております。とにかく代理店にも多少は頼みますが、代理店の工合のいいところは手っとり早くやってくれるのですが、今お話しの通り、従来の取引先に限られる傾向がありはしないかと思いますので、できるだけ直接貸してやることにいたしておりますから、金融機関に対する実績というものは問題はないかと思います。そのかわり直接に調べますので、かなり手間がかかってお客さんを待たせるので、かなり非難があることは知っております。それから資金の関係でどうしても二十二、三万あるいは三、四万程度に平均を押えて、広く大ぜいの方に使用していただく、申し込みの件数率は大体八〇%くらいまでいっておりますが、資金の需要については、申し込みの半分までなかなかいきにくい、こういうふうなことになっております。平素から比較的零細な金を扱っておりますので、二十二、三万、三、四万というところでがまんしていただいているようなわけで、これは多きにこしたことはないと思いますけれども、そういうわけであります。
#177
○片岡説明員 お答えいたします。私の方は伊勢湾台風の最もひどかった東海三県下の支店は、各古屋だけに一つございますので、もし国民さんのように直接貸しを主体といたしますと、災害融資のように早く、広く金を散布するという趣旨にかえってもとるおそれがございますので、従来もそうでございましたが、今回の災害融資につきましても、代理店を経由いたすものを中心といたしております。従いまして、数多い代理店の中でございますので、ただいま先生の御指摘のような事例もないとは申し切れないのでございますが、われわれの方といたしましては、災害融資の性格にかんがみまして、代理店の指導については、平素の二倍、三倍の強力な指導をいたしておりまして、さような非難を受けないようにということで努力いたしておるわけでございます。なお平素の場合で申しますと、かつてわれわれの方で統計をとってみましたところが、やはり私の方の資金の三割以上のものは、新規の貸出先にみな出しておりますので、どれもこれも全部既往の取引先ばかりに出すというような非難は、必ずしも正鵠を得たものではないというふうに考えておるわけであります。
#178
○滝井委員 言いわけみたいな御答弁をしているのですが、おそらく金融上の問題を処理するときには、やはり実績が非常に大事なものになってきていることは、これは現実です。その場合問題は、担保力になってくるだろうと思うのです。やはりよその金まで回してそこに持ってきて貸してあげようとすれば、担保力の問題になる。担保力が非常によければ、これは無理をしてでも回して貸してあげましょうということになるわけですが、今度医療機関は、いわゆる半壊、全壊ということになって、これは担保力がなくなっているわけです。つまり固定資産に対する担保力というものは非常に減退してきているわけです。それは今までは、たとえば土地なんかも非常に高く評価しておった。ところが堤防が切れて水の入るような土地だったら、今までは百万円と見ておったが、今後は五十万円くらいしか見積もりませんよ。こういう低地で災害を受けた土地ということになれば、担保力は減ってくるわけです。そうして家は半壊しているというような、こういう担保力のない医療機関に有利な条件で金を貸してやろうというのですから、そういう場合には、あなた方は一体これをどういう工合に便宜を講じて貸していくかということなんです。担保力が減退している、それに今度は有利な条件で貸さなければならぬという、こういう矛盾した問題をはらんでいる金融ですが、大月さんこれを一体どうするか、あなたの方の基本方針を一つ伺いたい。二十八年には、おそらくそういうことからこの法律は動かなかったのじゃないかと思うのですが、今度は二度目ですから動かさぬというわけにいかぬと思うし、どうしても動かしてもらわなければならぬが、その場合に何といっても担保力の関係が出てくる。そうすると私的医療機関は、その家屋が復旧し施設が整えば、これは確実に保険料が基金の窓口からきちっと支払えるわけですから、将来医療機関が復活すれば、過去の実績からこの医療機関というものは、一カ月たとえば社会医療だけの請求点数というものが一万点なら一万点あったということになれば、大体これは十万円なら十万円は毎月入ってくる。だから、そういうことも勘案をして融資をやるのかどうか。依然として、それは銀行の信用その他も調べておるようでありますが、土地とか建物とかいうような、そういう固定的なものを基礎にして貸されるということになると、これはなかなか金が借りられないということになる。その担保力との関係を一体どう見るかということです。
#179
○大月説明員 先ほどの法律問題につきましては、政令が出まして、中小公庫、国民公庫を指定する。それから先ほど申し上げました内容の政令が出ておるわけでございますから、法律が動いておらないということではないわけでございます。その政令の内容自体が、法律の一般の国民公庫、中小公庫でやれる範囲のものであるだけでございまして、政令は官報に公布されて、当然それによって両公庫が貸し出しを行なった。ただその政令の内容の中に六分五厘ということが書いてない。その書いてないというのは、政令によらずして他の通牒でやった。しからばそれは通常の条件より有利だという法律上の規定に合わないのではないかというお話だと思いますが、この通常の条件より有利と申しますのは、一般の場合に貸す、今で申しますと九分三厘よりも有利な六分五厘で貸しておるわけでございまして、それで他の中小企業も同じく有利な扱いをし、医療機関についても有利な扱いをした、こういうようにわれわれは考えておるわけでございます。それから担保の問題につきましては、これは一般の中小企業者につきましても同様の問題がございまして、今回政府でとりました措置といたしましては、信用保証協会の活用ということを考えておるわけでございます。従いまして、今般の補正予算と法律改正によりまして、中小企業金融公庫に対して十億の出資をし、その十億が信用保証協会に貸し出されることによりまして、一般の保証協会の保証能力をふやす。これによって、一般の状態においては貸付を受けられない方が、貸付を受けられる適格性を取得する、こういうことが一つの制度でございます。それから一般の場合には、なるほど物的な担保があっても、こういう異常な事態でございますので、なかなか担保をとることはむずかしい。そういうような場合には、保証人を活用いたしまして融資を行なう、こういうように考えておりまして、二十八年のときも同様だと思いますが、そういう意味で担保がない、あるいは担保力が薄弱であって動かなかったということではないわけでございます。
#180
○滝井委員 そうしますと、国民金融公庫は保証人でいいらしいのですが、中小公庫は、これは保証人で大丈夫出せますか。
#181
○片岡説明員 お答えを申し上げます。私どもの方といたしましては、百五十万円以下のいわゆる災害融資につきましては、代理店がよければ、もう無担保でも、保証もなくても何でもいいということを考えて代理店を指導いたしております。その裏には、これを一つ裏づけをしなければいけないということから、従来私の方は代理貸しにつきましては、代理店に対して八〇%の保証責任を持たしておったのでございますが、今回百五十万円以下の災害融資につきましては、その代理店の保証責任率を六〇%に引き下げる措置を講ずることといたしまして、代理店が動きやすくするようなことを考えておるわけでございます。なお、もちろん保証協会の保証がございますれば、これはもうりっぱなものでございますから問題はございません。またかりに現在建物、工場その他を流失いたしまして、あるいは破壊されましたので担保がない場合でも、私どもの方から融通いたしました資金によって、新しくそこに建設されましたものは、いわゆる持ち込み担保として担保にとるということも実行いたしておるわけでございますので、災害融資の趣旨にかんがみまして、われわの方としては、できるだけの方便は考えておるわけでございます。
#182
○滝井委員 今大月さん、お聞きの通りです。保証人でも何でもよろしい。問題は代理店なんです。だから、なるほど担保力八〇%を六〇%に下げたことは、これはよろしいと私は思う。ところが六〇%の保証をするからには、やはり倍くらい以上のものをとりますよ。たとえば百万円借りれば、担保力をとるのは、少なくとも五百万くらいのものがなければ、中小企業金融公庫は金を貸しませんよ。実際代理店は保証しない。だから、そういう点で、これは保証人でよろしい、こうおっしゃるので、それならば、銀行にも代理店にも保証人でよろしいかというと、銀行はなかなかそうはいかない。というのは、今までたくさんな取引でもしておれば、それはなるほどその事業その他を見てよろしいと言います。ところが今度はいわば災害における庶民金融ですから、しかも非常に返済能力の減退しておる姿の中でやる金融ですから、そういう点で、これは今大月さんが、保証人でよろしいと言ったが、代理店はなかなかこれは聞かない。代理店が、何でも、どういうことでもよろしいから、出してくれさえすれば私の方はお貸しをいたします、こうなると、責任の帰趨というものは代理にみんなきてしまう。だからそこらあたりのことが、あなた方がここで答弁することと、第一線の窓口――ということは、何も国民金融公庫の窓口ではなくして、この代理店と、いわゆる被災金融を欲する人々、被災者で金融を欲する人々との間の折衝が、いつの間にか今言ったような形になって、今度あなた方の意図と違うような意図が代理店の口から出てくることになる。だから、そういう点に関する問題がうまくいかないと、これは法律を作ってもなかなか動かないということになる。
 それからもう一つ、大月さんは、二十八年にはこれは同じ条件だとおっしゃいますが、じゃ、国民金融公庫なり中小企業金融公庫は、特別に国から医療機関の措置として、医療機関に有利に金を貸すために、これだけの金を君の方に出しますぞという何か指令を受けたことがありますか。法律はそうなっておるのですけれども、国が貸す金については責任を持つということになっておるが、そういう指令を受けましたか、受けてないでしょう。
#183
○石渡説明員 それは記憶ありません。よく調べてみますけれども……。
#184
○大月説明員 これはわれわれの局の担当ではございませんが、私の聞いたところでも、第三項、第四項は動いておらなかったのだと思います。しかし現実に考えますと……。
#185
○滝井委員 有利な条件というところだけ動いておる。
#186
○大月説明員 それはもちろん国民に対しましてはその必要はないわけでございまして、この三項四項をかりに動かしますと、国民公庫、中小公庫の経理が楽になる、こういうだけでございます。政府といたしましては、補正予算で、先ほど申しましたように、今の資料で正確だったわけでありますが、国民公庫に対しては十六億追加をいたしておりまして、国民公庫が六分五厘で金を貸すについてはいささかも支障はなかった、こういうことでございますから、実際に必要なかったので国は措置しなかった。その結果決して国民には不便をかけておらない、こういうことでございますので、あるいはその点動かなかったということはございましても、その点は特に支障はなかったのではないか、こういうふうに考えております。
#187
○滝井委員 それは大月さん、一般論として、十六億円、六分五厘で動かしておる、それは私は認める。認めますが、あの二十八年のときも、中小企業に対する法律と医療機関に対する法律と、二本立でいっておるのですよ。そうしてあなた方は、十六億円出したものは医療にも入るんだ、こうおっしやるけれども、受ける側の中小企業金融公庫なり国民公庫は、これは関知してないのですよ。あなたの方はそのつもりで出したのかもしれませんけれども、やはりこれはそういう二つの法律が出たならば、中小企業の分はこういう形で出ていきます、それから私的医療機関に対する貸付はこういう形で出ていきましたよ、その二本の法律のものが十六億ですから、そのつもりでやって下さいということになるわけです。ところが、そういうことが伝わっていないから、ここへ出てきてこういう間違いになってくるのです。あなたの方は出したつもりだし、片方は受けておりません、それから医務局だって、そういうものは知りません、こうなるんです。だから、これはあなたの方が孤立しておる。二対一なんです。中小企業を入れたらあなたの方は三対一ですよ。それはあなた幾らがんばりになっても、それは実際に実践されていないのだからだめですよ。だから、その点は私はこれ以上ここで追及いたしません。今度はわれわれも金融問題については、幾分その後の監視を怠っておったという、われわれ自身も責任を感じております。今度は、ほんとは銀行局長にここに来てもらって聞きたいと思うのですけれども、しょっちゅう出てこないのです。大月さん一つ責任を持って、われわれもこれから注意をいたし、御協力を申し上げますから、こういう点はどうしても医務局とも連絡をし、国民金融公庫、中小企業金融公庫と連絡をして、やってもらいたいと思うのです。私は特に六十三億の中小企業のワクと四十二億のこの国民金融公庫のワク、この中から医療に対するワクをきめてくれ、こう言いましたけれども、それはなかなかできぬ。与党の方から、特に南條委員長から、それは滝井君、とにかく必要なだけは貸すんだから、ワクを作らなくても必要なだけは貸す、こういう言明があったんですよ。だから、われわれはそれを一応速記録にとどめて、了承しておるわけです。そういう点がありますので、国民金融公庫におきましても、中小企業金融公庫におきましても、十分それらの点を勘案をして運営をしてもらいたいと思いますが、そういうことはできますかしら。
#188
○片岡説明員 お答えいたします。ただいま資料をずっと探って参りましたところが、二十八年のやはり災害のときには、各代理店あてに、昭和二十八年六月及び七月における大水害並びに同年八月及び九月における風水害による病院及び診療所の災害の復旧に関する特別措置についてということで、各代理店に対して、もちろん金利は六分五厘ということでございますが、そうした一環の措置がはっきり出ております。また今回の場合にも、私ども代理店その他に通知いたしますときには、必ず医療機関を含むということは明記してやっておりますので、金額的に別ワクを設けるということはいたしておりませんが、代理店がそういうことを忘れることのないように措置は講じておるわけでございます。今後とも先生の御趣旨を体しまして、その辺遺漏のないように取り計らいたいと考えます。
#189
○田中(正)委員 関連。二十八災のときに、いろいろなお話があるのですけれども、現実にそれじゃあのような法律が動かないで、結局何にも借りられなくなったという、そのほんとうの原因は一体どこにあると思うのですか。これは大月さんの方で何か想像がつきませんか。
#190
○大月説明員 私も当時の担当者でございませんので、はっきりわかりませんが、少なくともこの二十八年の法律の考え方といたしましては二点ございまして、一つは有利な条件で医療機関に国民金融公庫と中小企業金融公庫から貸す。それから、もしそれで金が足らなければ、国がさらに有利な条件で両公庫に金を貸す。この二つが条件になっておったと思います。
 それで、前段の問題につきましては、あるいはほかの方と御意見が違うということでございますが、これは数の一対三とかいうことではなしに、現実に政令が出たか出なかったかという問題ではないかと思いますので、これは事実問題として、政令で、中小企業金融公庫、国民金融公庫を指定し、医療に関する特殊な規定が置いてございますから、これは措置したというようにわれわれとしては言わざるを得ないのではないか。
 それからあとの問題につきましては、法律論といたしましては、政令の定めるところにより必要な資金を貸し付けることができるということでございまして、もしそのために必要があれば政令で規定をいたしまして、資金の補充をする。しかし現に必要がなかったので、政令が出ない限りこういう法律は、法律の条文としては動かないという、これは立法的な解釈だと思います。
 それで次に十六億は、これは医療機関に対して出したわけではないわけでございまして、一般の中小企業向けに出したわけでございますので、その中で当然融資の対衆になる医療機関としては金を借りておられる。残念ながら当時の統計で、先ほどお話もございましたように、中小企業金融公庫発足早早でございまして、特にまた業種ごとに整理するということもやっておりませんので、わからないわけでございますが、二十八年として一体医療機関に幾ら貸したかということを、先般、これは中小企業金融公庫から伺ったんじゃないかと思いますが、数億の金が出ておるわけでございます。六億でございましたか八億、という金が出ておりますので、あるいはその中には災害関係の融資も入っておるのではないか。ただ、災害関係であったかなかったかという統計は、残念ながらございません。その点だけお話ししておきます。
#191
○田中(正)委員 なるほどあなたの方の話を信じても、お手当はまあ役所としてはすべきものはしたのだ。しかしわれわれの知っている範囲内では、二十八災のあの法律というものは完全に実際の姿では失敗したという、そういう認識に立っている。とにかく現実にあれか何か知りませんが、借りたことはあなたの方の数字に出ておりますが、あの法律をめぐって借りたということはないらしいのです。これはどういう原因からそういうことになったかというところに、実はこれが問題があると思うのです。(「一つは議員立法だということもある」と呼ぶ者あり)結局、議員立法であって、あなた方が受動的な立場から積極性がなかったのだということも言われておりますが、いま一つは、さいぜんからお話のあるように、やはりこれは金融機関側に実は原因があるのじゃないか、こういうふうに考えられる。大体代理店というものは、従来から取引のある者、年じゅう面識があって、今さら名刺を持っていかなければならないような者にはこれはよう貸さぬ、かねがね行ったり来たり、はなはだしきに至っては飲んだり食ったり、そういったような者でなければ金は貸さぬ。ところが、医療機関というものは現実にはそういったようなことをやった経験がないわけです。ことに災害等によってこのたび窓口に現われるような人は、そういう経験がないわけであります。そう言えばあなたの方では、医療機関にも相当貸していると言いますが、現実にこれらの機関から金を借りているような医療機関と、今日災害をめぐって窓口に行かなければならない医療機関とは、実は範疇を異にしているわけです。この辺あたりに実は問題があるのだ、こういうふうに実は言われておるわけでありますが、こういったようなことをめぐって今度の法律も、せっかくできながら発動をしなかった、動かなかったということになったのでは、これは国会の権威というものはありませんし、またわれわれとしても、被災民に対して申しわけないことになるわけでありまして、これらの点については大蔵省もまた中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等も十分に注意して、こういったような措置が動くように努力していただきたい。
 それからもう一つ心配になることは、この法律に規定している独特なことは、中小企業の従来ならば範疇に入らないものについても、医療機関については中小企業の取り扱いをして、その対象にするということになっておりまするが、さいぜんからいろいろ聞きますると、すでにもう相当の申し込みがあって、今後行く人には相当に門が狭いのではないか、こう言われておるのですけれども、現実にそれらの人々は、この法律が今日成立しなければ、銀行に申し出ることができないわけですが、こういうことについてもあなたの方では、今度は医療機関については、三十人の制限にかかわらず、そういったようなものも扱うことになるであろうから、こういうことについて準備をしろということを、両公庫に対してよく連絡してありますか。
#192
○大月説明員 連絡済みでございます。
#193
○田中(正)委員 両公庫の方ではそういったようなことをお聞きでございましょうか。
#194
○片岡説明員 お答え申し上げます。私実は仕事の担当として、貸し出しとは少し離れた仕事をいたしておりますこともございまして、正確にそういう申し出を文書ではいただいておりませんが、それぞれの監督官庁の事務官から、口頭その他でのお話は承っております。
#195
○滝井委員 私が尋ねようと思うところを今田中さんに尋ねてもらいましたが、そうすると、どういう条件で貸すように承っておりますか、それを一つ利率から据置期間、償還期間、それから限度額、こういう点御説明願って……。
#196
○片岡説明員 お答え申し上げます。大体数日前でございましたか、新聞に記事が出てございましたが、あの範囲で承知いたしておるわけでございます。ちょっと今それを復唱申し上げるには、記憶がはっきりいたしておりませんが、新聞記事等で承知しておる範囲のことでございます。
#197
○滝井委員 そうすると大月さんの公式のわれわれに対する答弁は、利率六分五厘です。これは三年間六分五厘、四年目から九分三厘になっていくわけです。そこで三十人以下という中小企業のワクが百人以下に広がってきたわけです。それから据置期間は一年です。そして七年間で償還することになっています。それから限度額百五十万円です。ワクは、それはその医療機関の需要のあるだけお貸しします。対象は設備資金、運転資金ですが、それは土地やら建物やらそれから医療機械、器具ですね。それから医薬品、衛生材料、こういうところまでいく、こういう大体の話し合いが国会と政府の間についたことになっている。それで政令で出すんだ、こういうことになっておるわけです。その政令が出れば、これはあとはワクが閣議できまって、六十三億なり四十二億出ていったんですから、二十八年のときとは違うと思うのです。二十八年は、政令は出ておったけれども、同時に閣議でワクはきまらずに、十六億は銀行局の通知で出ていったという違いがある。今度は政令で出ていけば、当然政令をきめるときは閣議にかかってきまっていきますから、これは当然動くと思うのです。そういうことですから、一つぜひ中小企業金融公庫――大月さんを前に置いてこれを言ったんですから、大月さん、今のに間違いないと思うのです。首をたてに振っていますから間違いないと思うのです。そういうことでぜひ御承知を願って、今度は間違いなくしていただきたいと思うのです。
 次は、こういう形で医療金融が行なわれるということは、医療機関が、最近は明治、大正、昭和の初期の時代と違って、いよいよ三十六年の皆保険を目前に控えて、とにかく医療機関の診療報酬というものは統制の報酬であるということです。それからしかも収入は源泉徴収をされるのです。税金の源泉徴収は、同じように四万円以上は源泉徴収です。サラリーマンと同じ形になってきたということです、医療機関というものが。従ってこういうところで災害を受ければどうにもならぬということです。それから新しい医学技術の進展に応じて医療機関は絶えずいろいろの器械設備の更新をやらなければならぬ。ところが今の社会保険の収入だけでは、なかなかそれはすみやかに拡大再生産ができないわけです。こういう状態が今の実態ですが、大月さん、これを契機にして医療の金融について何か特別な、たとえば医療金融公庫なんというものが今問題になっておりますが、金融の専門家としての大月さんはどうお考えになっておるかということ、そういうのを作ることがいいのか、それともあなたがさいぜんおっしゃったように、金融というものは細分化してはいかぬのだ、やはり中小は中小で全部一本にしていった方がいいという形でいくのか、こういう特殊な立法的、歴史的な経過から考えて、この際医療金融というものを別ワクで考えるということも、一つの方法としてはこの際必要ということにお考えになるのか、その基本的なものの考え方を、一つあなたの専門家としてのお考えを私はお聞きしたいのです。
#198
○大月説明員 われわれの金融制度に関する立場から申しますと、結論的に申しまして適当でないと思っております。先ほども申し上げましたように、一つは別ワクないし別の機関にいたしますと、ある機関で金が余って、ある機関で足りない、そういうものの調節が非常にむずかしくなりまして、資金の効率を害するという点が第一点であります。それから第二点は、やはり危険分散ということでございまして、経済にいろいろ変動がございまして、特定の業種に結びついた特定の金融をやっておりますと、その業種の状態が非常に悪くなる、経理状態が悪くなるということになりますれば、金融機関としてはそれと心中せざるを得ません。これは金融機関の本来の姿でないわけでありまして、現にございます政府金融機関、いずれも業種については非常に広い幅を持ちまして危険分散をはかっておる。そういう二点から申しまして――医療に対するいろいろな特別の措置は講じてはあるわけでございます。これは税制の面でもございますし、あるいはいろいろ単価の問題もあると思います。金融だけの問題として考えますれば、特別な制度を考えるということは、むしろ適当ではない。別の観点で御処置願うべき筋合いだと考えております。
#199
○滝井委員 そうしますと、金融専門家としては資金の効率が悪くなる、危険分散の範囲が非常に狭くなることは、どうもよくない。医療機関でもし設備更新その他をやるならば、税金の措置その他別の方法でやる方がかえっていいのではないかというのが大月さんの見解ですね。わかりました。これで終わります。
#200
○田中(正)委員 今のお話に関連して聞きたいのですが、資金効率、危険分散という理論も一応わかるのですが、いろいろお考えになった上の理論だと思うのですが、危険分散の議論というのは私はおかしいと思うのです。医療機関というものの特殊性を考えれば、医療機関がどうも急に不景気になったとか、鉄や石炭のような工合に景気のフラクチュエーションが非常に大きいものだとは考えられない。コンスタントにだんだん国民医療がふえて、それに従って医療機関がふえる。医療費の実態もコンスタントにふえていく。特に医療機関が鉄や石炭あるいは船のように、景気の波によって資金の需要量が減ったりふえたりするものとは考えられない。医療機関についても、そういったわけでありますから困るというふうにあなた方お考えになっておるのですか。
#201
○大月説明員 私の私見で、はなはだ恐縮でございますけれども――先ほど申し上げました点は、これは大蔵省の見解としてけっこうだと思いますが、ただいまの御質問につきましては、私は医療制度は今次第に変革の過程にあるのではないかと考えております。たとえば先ほどお話しのございましたように、国立病院をどういうような方向に持っていくのか、あるいは私的医療機関との間をどういうふうに調整するか、あるいは国民皆保険ということになりますと、今の一点単価の問題はどういうふうに考えていくのか、いろいろな根本の問題が私はあると思いまして、むしろ単なる景気変動による危険というようなものではなしに、新しい金融機関をもって措置すべきことがはたしてよいのかどうか、新しい形態のもとにおける医療というものを考えて、はたして従来考えておりましたような医療金融というような観念がむしろ成り立つのかどうかという問題があるのではなかろうか。そういう観点から申しまして、金融でこの問題を解決するということにはなかなか問題が多い、こういうように考えておるわけであります。
#202
○田中(正)委員 あなたと議論しても仕方がないのですけれども、国の医療政策あるいは医療機関のあり方等について政府はそれぞれ考えてきめるわけで、そうなってくると、あなたの論拠をそのままとれば、国の、政府の医療機関に対する施策がきまって、それがそのような措置をしなければならない、金融機関についてもそれぞれ特殊なことを考えなければならぬような、医療機関に対するところの政策が打ち立てられるということになると、必要になるというように議論は落ちつくわけですけれども、そういうふうにお考えになりませんか。
#203
○大月説明員 そういう具体的な事態におきまして、また具体的に考える問題だと考えるわけでございまして、一般論から申しますれば適当ではなかろう、こういうふうに考えます。
#204
○中村(英)委員 大月さんの御議論はわかったんですが、私は一つ大蔵省として考え方の角度が少し足りないのではないか。それはもちろん、今まで御承知のように国民保険がもう全面的に実施されてくる段階にくると、医療の企業が個人でなくて、非常に社会性を帯びてくるわけですね。社会性を帯びてくると、従来のように担当者個人の意思だけによってやらないわけですから、やはり金融もそういう意味からいくと社会性を持たしていくことが建前になってくるわけですね。そういう社会性を持たせることが建前ということはわかるが、別に金融機関を持つということは危険分散その他の点から非常にまずい、こういう御議論だと思うのですが、その御議論の中で、保険が全面実施になってくると医療機関が社会性を帯びてくるのだ、そうなってくると、金融も国家的見地に立ってそういう社会性を持たして金融措置をしなければならぬという一つの議論が出てくるのですよ。そこでもう一つ私は、大蔵省はそういう金融的な面ももちろん考えなければいかぬが、むしろ税金の面からも考えるのだ、こういう御議論を片一方でされるけれども、実際には大蔵省は――たとえば私どもは、保険の収入はこれは商行為でないから税金をかけるべきでない、こういう主張を持っておるのです。ところが御承知のように、そういう事情のために大蔵省としては、税制の立場からは筋が通らぬ、これは厚生省で処置すべきだ、こういう御議論でありましたが、単価、点数というものが適正に評価されてない現状では、保険は二八%特別措置法を作ってやってきた。しかし今日大蔵省の見解は、それはやはり廃止して、税制というそういう筋を通していくべきだという議論が一つあるわけですね。そうすると、あなたの御議論の中には、そういう社会性を持ってはおるけれども、それは危険分散という意味で別ワクを持っていく、別の機関を設けていくということは適切でないといいながら、片一方では、収入に対しては当然課税していくのだ、こういう見解をとられると、医療経営者は実際には社会性を帯びながら、税金の面、その他の面でも、大蔵省の見解に従っていけばやっていけないような、そういう実情、結果というものが生まれると思うのですよ。こういう点どうなんですか。
#205
○大月説明員 現状から申しますれば、国民公庫、中小公庫からの融資は約八十億もあるわけでございまして、一般の金融べースに乗らない、金融的に何らか措置しなければいかぬという事情はないのではないかと私は考えております。ただ先ほどもお話がございましたように、将来の医療制度のあり方というものは、また別の角度から考えられるべきものでありまして、制度が改まればそれに応じていろいろ考える余地はある。しかし現在の段階で考えまして、中小、国民から出ております金額八十億という数字は、相当業種別に見て高いものでございます。しかも収益の面から申しまして、両公庫の見ますところでは、医療機関に対する貸付はそう不良貸付はない、ほかの業種に比べて比較的いいということをいっておりますことは、必ずしも特殊な機関を作る必要は今の段階ではないということを裏から立証しておるわけでございまして、金融的には特に国民公庫、中小公庫以外にまた別途、特に金融機関から問題のある制度を作るのは適当ではないのではないか、こういうふうに考えます。
#206
○中村(英)委員 それではきょうは時間もたったし、私は朝飯、昼飯を食わずにやっていますので、医療企業の金融制度については、これは機会をあらためて一つ質問なり御議論を申し上げたいと思う。きょうはこれで終わります。
#207
○永山委員長 本日はこれにて散会いたします。午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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