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#1
第033回国会 社会労働委員会 第8号
昭和三十四年十二月一日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 永山 忠則君
   理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 田中 正巳君 理事 藤本 捨助君
   理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君
   理事 滝井 義高君 理事 堤 ツルヨ君
      大橋 武夫君    藏内 修治君
      河野 孝子君    齋藤 邦吉君
      古川 丈吉君    柳谷清三郎君
      亘  四郎君    井手 以誠君
      伊藤よし子君    大原  亨君
      岡本 隆一君    河野  正君
      八木 一男君    今村  等君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  池田 勇人君
        労 働 大 臣 松野 頼三君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (石炭局長)  樋詰 誠明君
        労働政務次官  赤澤 正道君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      百田 正弘君
 委員外の出席者
        労働事務官
        (職業安定局職
        業訓練部長)  有馬 元治君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十二月一日
 委員吉川兼光君辞任につき、その補欠として井
 手以誠君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員井手以誠君辞任につき、その補欠として吉
 川兼光君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 石炭産業の離職者対策に関する陳情書(東京都
 千代田区平河町二の六全国鉱業市町村連合会長
 坂田九十百)(第四〇八号)
 海外抑留同胞引揚問題解決促進に関する陳情書
 (東京都議会議長内田道治)(第五六六号)
 民生委員法施行費の国庫負担に関する陳情書(
 東京都議会議長内田道治)(第五八一号)
 元満州及び北朝鮮地域の遺骨処理に関する陳情
 書(東京都議会議長内田道治)(第六〇一号)
 社会保険診療における地域差撤廃等に関する陳
 情書(岐阜市端詰町四七岐阜県医師会長吉村良
 雄)(第六二三号)
 陶磁器業の労災保険料率引下げに関する陳情書
 (東京都議会議長内田道治)(第六二八号)
 失業対策事業推進に関する陳情書(東京都議会
 議長内田道治)(第六二九号)
 失業対策事業就労者の就労日数引上げに関する
 陳情書(東京都議会議長内田道治)(第六三〇
 号)
 母子相談員の常勤化等に関する陳情書(東京都
 議会議長内田道治)(第六三一号)
 簡易水道事業費国庫補助増額に関する陳情書(
 東京都議会議長内田道治)(第六三二号)
 原爆被害者の援護に関する陳情書(東京都議会
 議長内田道治)(第六三三号)
 精神衛生予防費及び結核予防法に基く医療費公
 費負担の国庫補助率引上げに関する陳情書(東
 京都議会議長内田道治)(第六三四号)
 精神薄弱児施設拡充整備に関する陳情書(東京
 都議会議長内田道治)(第六三五号)
 し尿消化そうに対する国庫補助増額に関する陳
 情書(東京都議会議長内田道治)(第六三六
 号)
 低額所得の結核患者に対する医療保障制度確立
 に関する陳情書(東京都議会議長内田道治)(
 第六三七号)
 医療金融公庫設置に関する陳情書(東京都議会
 議長内田道治)(第六三八号)
 国民年金制度実施経費増額に関する陳情書(東
 京都議会議長内田道治)(第六三九号)
 国民健康保険の財政確立に関する陳情書(東京
 都議会議長内田道治)(第六四〇号)
 保健所費の国庫負担率引上げ等に関する陳情書
 (東京都議会議長内田道治)(第六四一号)
 労働行政の簡素化に関する陳情書(関東商工会
 議所連合会長足立正)(第六四二号)
 国民健康保険実施に関する陳情書(名古屋市議
 会議長大西泰助)(第六四四号)
 国民健康保険事業等に対する国庫補助金の適正
 化に関する陳情書(岩手県町村議会議長会長菅
 原良士)(第六四六号)
 簡易水道施設費国庫補助増額に関する陳情書(
 岩手県町村議会議長会長菅原良士)(第六四七
 号)
 未帰還者留守家族等援護法による療養給付期間
 延長に関する陳情書(静岡県浜名郡浜北町於呂
 国立療養所天竜荘山田寅三郎)(第六四九号)
 同(宮城県亘理郡山元町合戦原一〇〇国立宮城
 療養所荻原庄八外一名)(第六五〇号)
 同(三重県安芸郡豊里村中村豊春外十四名)(
 第六五一号)
 同(三重県一志郡白山町国立療養所静澄園大西
 良明外一名)(第六五二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 炭鉱離職者臨時措置法案(内閣提出第三一号)
     ――――◇―――――
#2
○永山委員長 これより会議を開きます。
 炭鉱離職者臨時措置法案を議題とし、審議を進めます。質疑を許します。滝井義高君。
#3
○滝井委員 先日私は、炭鉱離職者に対して職業訓練なり、あるいは再就職を順当にやっていくためには、職業紹介に関する計画、それから就労対策事業に対する計画というものがきちんと、石炭の根本的な対策と関連をして立てられなければならないという点をいろいろ御質問いたしました。しかしどうも政府の方で根本的な石炭対策というものがはっきりしないために、それに対応する計画もまた必ずしも明白でありませんでした。これは一つ早急に根本的な石炭対策と関連をする計画を、できるだけ早い機会に御説明できるようにしていただきたい、こう思うわけです。
 そこできょうは次に進んで参りますが、この緊急就労対策事業というようなものは、いわばきわめて暫定的な措置でございます。炭鉱離職者に当面生活できるだけの職を与えて、そして暫定的にそこで足踏みさせながら、次のよりよき就職の機会を見出そう、こういう措置で緊急就労対策の事業が行なわれると思うのです。その場合に、そういう暫定的なものから恒久的なものに炭鉱離職者を就職せしめるどういう具体的な方策を一体政府は考えておるのか、これをまず御説明願いたい。
#4
○百田政府委員 この点については、緊急就労対策事業は、あくまでも今お話のように、暫定的な就労の機会を与えるものでございますが、具体的にはこの法案で明らかにされておりますように、やはり炭鉱離職者の基本的な対策といたしましては、転職の対策もございましょうが、われわれは第三条に掲げました他産業、他地域に対する職業紹介というものを第一義的に考えなければならない。しかしながら一時にこれを行なうことはきわめて困難でございますので、その間暫定的に就労いただくことになろうかと思います。従いまして具体的な対策といたしましては、この緊急就労対策事業に就労しておる者を、機会あるごとに、できるだけすみやかな機会に他の産業、また他地域に就労せしめるということ。第二には、その地域における開発事業等とも関連いたしまして、そうした就労の機会ができることによって、それに対しての就労転換をはかる、こういうことを考えておるわけでございます。
#5
○滝井委員 他産業に紹介をしていく、それからその地域の開発事業に職場転換をさせていくということでは、どうもきわめて抽象的で、当面年々七万程度の解雇者が出ていく、そして現実に五万人以上の離職者がおる、さらにその上に三十八年までには相当の失業者が、首切りで出てくる、こういう状態でございますから、もっとそこらあたりの見通しのある、具体的な御説明を願いたいと私は思うのですが、もう少し何か、今のような抽象的なことでなくて、具体的な、こういうところとこういうところにこういう工合に持っていくという点はありませんか。
#6
○百田政府委員 今お話の点は、これから何年間に何万人出るというようなお話もございましたが、われわれ差しあたりは、現在多数発生している人たちにつきましての、できるだけすみやかな転職をはかろうというのでございます。先般の予備金支出によりまして政府といたしましては、この人たちの転職ということにつきましての広域職業紹介というものを、十月から大々的に開始いたしたのでございます。すでに今日まで一カ月半くらいのうちに、六百七十名程度の常用就職を見ておるわけでございます。これを年度内に当初の計画通りに進めたいということで考えておるわけであります。今お話しの点はおそらく、たとえばある地方にどういう事業を起こして、それに何人吸収するというような計画を示せというお気持じゃないかと思いますが、政府といたしましては、先般齋藤委員からも御質問がございましたように、できるだけ政府の関係する事業あるいは公共事業その他の事業等につきまして、労務をどの程度吸収するかということは、今後総合的、具体的に計画を作りまして、その労務が充足でき、またそれらの人が転職できるように持って参りたい、こういうふうに考えております。
#7
○滝井委員 広域職業紹介で一カ月半の間に六百七十人職があったというお話でございますが、実は私のところに、その広域職業紹介で何々土建会社、何何工務店というようなところに就職をした人から、手紙がたくさん来ておるのです。その手紙を見ると、驚くべき状態であるということなんです。たとえば、行ってみたら、変な長屋みたいな、タコ部屋みたいなところに入れられて、そこで働いてる人たちはみな酒を飲んでおって、持っていった物がなくなる、金がなくなる、油断がならぬ、六人一緒に来たのだけれども、帰りたいと思うというような手紙が来ておる。そこで一体広域職業紹介をやる場合に、それが具体的にどんなところに就職しておるかということです。現在、おそらくそれは筋肉労働の土建か何かだろうと思うんです。今日本の重要産業というものは合理化が進んでおるので、そう有望な転職産業が炭鉱労働者のためにあるとも考えられないです。すると新聞や、この前齋藤さんもいろいろ言っておりましたが、考えられるものは干拓地か開拓地の優先入植、それから今度は移動式の組み立て家屋を持つ失業土木事業、それから財政投融資による電源開発、公団住宅の建設、有料道路事業、こういう事業です。これらのものを検討してごらんなさい。みんなこれは就業の不安定な土方仕事です。ある人が、これじゃ社会の外かうちに炭鉱労務者を投げ捨てるようなものだ、こう書いておったのですが、そういう形になる可能性が非常に強い。そうしてしかも今度の法案を見ても、家族と一緒に行って住めるだけの住宅対策というものが欠けておるわけです。そうして何か有望な職につこうとすると、どういうことになるかというと、これはすでにこの前ここで私は一応触れてみたのですが、炭鉱労務者にもおそらく私はそういう傾向が出ておるのじゃないかと思うのですが、大阪のある繊維問屋が、大牟田市の某高校に就職希望者の推薦をかねがね依頼していたが、最近三井鉱山の鉱員の子弟を推薦から除外されたいと文書で申し入れてきたということがあった。三井鉱山、これをもっと広げれば炭鉱労務者の子弟さえも、炭鉱というところは団結が強くてストライキをやるのだから困るということになっている。三鉱連のたとえば中核の大牟田、これは九州大学の向坂教授の指導を受けている。思想的にはマルキシズムできたえられている。行動的には、職場闘争、大衆闘争、職場つるし上げなど、今日の総評が模範としている戦術を作り出した。だからもう三井の者は雇わぬのだ、こういうことが大新聞にも書かれるし、それからこの前私が言いましたように、十一月二日ですか、朝日の夕刊の「今日の問題」のところに、そういう意味の就職の締め出しというのが出ております。そうして二、三日してから、相談を受けてやはりある会社の就職担当の人が、今度は朝日の朝刊だったかの投書欄に、自分たちもやはりそういうことをするんだということが出ておる。そうしますと、大牟田なら大牟田の高等学校の卒業生に対してさえもこういう態度をとる社会なんですから、いわんや炭鉱労務者にいい就職口なんかは見つけてくれぬということになると、どういうことになるかというと、今言ったようなその場限りの生活の不安定な日雇い的な土木工事になってしまう。こういう状態では、今あなたが開発事業に持っていくとか、その他職業紹介へ持っていくと言っても、これはむずかしいところが出てくると私は思うのです。だからまずものの考え方をやはり雇う側の資本家に変えてもらわなければならぬと思う。昔、私は予防衛生の担当をやっていたが、ある私の先生がこういうことを教えてくれた。滝井君、働く労務者の公衆衛生の教育をすることもいいけれども、会社に行ったら、労務者に公衆衛生の教育をやる前に、まず会社の経営者、おやじに公衆衛生の教育をやらなければだめだということを私に教えてくれた先生がおるのです。まさにその通りです。日本の経営者というものは非常に公衆衛生の知識がない。労務者を掘立小屋みたいな長屋に住まわせて、そうして共同便所、共同浴場で平気で住まわしておる。結核患者が出ても、その患者を隔離することも知らずに、一部屋か二部屋のところに患者と一緒に健康な人間を寝かせるというのが今までの公衆衛生のあり方です。福祉施設なんかに金をつぎ込むということなんかはだんだんやめてきている。たとえば今度の大手の会社のいろいろな経費を節約する条件の中に、厚生福祉の経費を削る傾向が出てきているのですね。こういう経営者なんですから、これはあなた方がかねや太鼓で言っても、なかなかうまくいかぬというところが出てくるのです。なるほど先日日経連から出たものには、一つ各会社共同でやろうじゃないかという機運が出ておりますが、そういう機運が出た割合に、現実の底流というものはそれに反発しているというのが事実です。従ってこういう点については、やはり政府がもっと積極的にやらなければいかぬのじゃないかと思うのです。そのためには、今のような抽象的なことではなくて、やはりあなた方が具体的に計画を立てなければならぬと思うのですが、そういう点は一体どうお考えになっているか、あるいはどういう認識を持っているか。
#8
○百田政府委員 御承知の通り広域職業紹介をまっ先に始めましたのが、伊豆の災害復旧工事に五百人送ったことであります。この場合に、地元の工事等は比較的短期間に終わりましたので、これは早く工事から引き揚げました。そのうちの一部が、労働条件に対する不満等で他の職場にかわったのでありますが、しかし残った人は現在やっております。その後今度は奈良県の建設業協同組合等に行くということで、われわれが予備金支出でやりましたときも、実は転職先きにつましては滝井先生が今お話しになったような懸念を持っております。要するに、建設業的なものにしか行けない、またそれがきわめて短期間に限られた不安定なものでしかないというようなことをわれわれも初めは非常に心配しておりました。今年九月に全国的に福岡県におきましての広域職業紹介計画に基づく会議をやりましたときに、賃金におきましては少なくとも五百円以上であること、できるだけ常用になり得る人、建設業ばかりではなくて一般の工場、事業場に対しての求人を積極的に開拓すべきことといったようなことで現在までやって参ったのでありますが、その結果といたしましては、幸いにいたしまして、建設関係もむろん比較的多うございますが、同時にまた一般の製造業等においての求人が相当ございます。一例を申し上げますと、東京では東京鋼板があります。これは圧延関係の仕事をやっている工場で、日当七百円で常用、年令も二十才から三十五才までであります。神戸におきましても、神戸製鋼の下請の会社における作業をやっております。大阪等におきましても、あるいはそうした圧延関係の仕事、または伸鋼関係の仕事といったような一般の製造業方面の求人が多く、またそういう方面との結合を進めております。現地におきましても、特に最近そういう面の希望が多く、また職業訓練におきましても、先般予備金で措置いたした分につきましても、定員の倍以上の希望がございまして、これらの者に対しましてはそういう方面へ転向できるような措置も講じてございます。今先生が一部の例を申されましたけれども、極端な事例はあるかもしれませんが、われわれ全般的に見まして、これが行ってすぐ首になる、あるいはきわめて不安定なものだというようなことにならないような細心の注意を払っております。従いましてあまりに適当でない求人は――もうすでに二千以上の求人が参りましたけれども、五百幾つはそでにしたというようなこともやっておる状況でございます。考えておるところは全く同じでございまして、そうした気持で現実に紹介を実施しているような状況でございます。極端な事例のみを見て全般の状況を誤解なさらないようにと特にお願い申し上げたいと思います。
#9
○滝井委員 広域職業紹介で六百七十人就職をしたということでございますが、その六百七十人は主としてどういうところに参っておりますか。
#10
○百田政府委員 実にきまり次第ずっとわれわれ一覧で作っておりますものですから、産業別に後刻整理して御報告申し上げます。
#11
○滝井委員 それではあとでけっこうです。実はわれわれはこういう広域職業紹介というものの前提には、職業訓練があって、そしてできるだけ就職先というものが安定をした、しかも長期の見通しに立ったものでなければならぬと思うのです。そういうことになると、当然これはあとで援護会のところで問題になります住宅の問題、その他がこの政策においては幾分欠けておるところがあるわけです。そういう問題は当然考えなければなりませんが、その前に、この離職者というものの定義は、先日松野労働大臣が大ざっぱにいって、まず第一に一定の期間炭鉱に勤務をしておる、しかも対策を必要とする、同時に炭鉱地帯に住居があるという三つの条件をおあげになりました。ところが、そういう人を政府は正確に把握しなければならぬと思うのです。いろいろアンケートその他である程度の数はおつかみになっておるのでしょうが、具体的に一人々々の人間が、この人は炭鉱離職者であるということを正確に把握する方法は、一体どういう方法をとっておるかということなんですね。この際一応政府自身の認定とあわせて、自発的に労務者の方からも届け出をしてもらう、登録をしてもらうという方法をとったらどうかと思うのですが、その具体的な政府の把握の方法はどうお考えになっておりますか。
#12
○百田政府委員 第一は、従来の失業保険を受給した者につきましては、すでに切れた人たち――数年前に切れた人たちもおると思いますが、それをもとといたしまして、実はこの間の実態調査もいたしたわけでございます。第二は求職者でありまして、その前職を聞くわけでありますので、炭鉱離職者につきましてはこれを記録していく。第三が、今お話がございましたように、積極的に呼びかけていって安定所登録を進めることでございます。
 そこで福岡県における現状を申し上げますと、先般、たとえば失業保険の受給者につきましてアンケートをやり、また直接訪問をしまして、いろいろな本人の特技ないしは他への就職希望その他を聞いたわけでございますが、その後におきましては、その人たちが全然音信不通になるということがございますのと、市町村役場等の援助も得て、積極的に求人を持って参りましても、勤労意欲がきわめて乏しいと申しますか、その辺には何か特殊な事情があろうかと思いますが、現実にはなかなか職業紹介のベースに乗ってこないという人たちも相当あるようでございます。われわれといたしましては、できるだけこういう人たちの労働の意思があり、その能力があるものについて、安定所に、これによってできます援護会と協力いたしまして、これの登録をすることによって積極的な活動をいたしたい、こういうふうな準備で現在進んでおるわけでございます。
#13
○滝井委員 そうしますと、失業保険の方から把握する方法と求職のときにその前職を聞く――こういう求職のときに前職を聞くということは、本人が出てきたとき以外にはないわけですね。そうしますと、今あなたのおっしゃるように、勤労意欲に乏しくて、なかなか職業紹介のベースに乗らないというような人々は全く把握できないわけですね。福岡県下の中小零細炭鉱二百で、三十三年度中に九十九閉山した。福岡県の民生部の五月末の調査で、退職金をもらえなかった者が九七%、失業保険もなかった者が四四%、それから生活保護世帯の中で四九%は三千円以下の収入しかない、こういうのを私どこかでちょっと見たのですが、九十九山閉山した労務者の中で、失業保険のない者が四割四分おるのですね。そうしますと、失業保険からたぐっていくということになると、少なくとも半分程度の労務者というものは職業紹介に現われてくるまでは把握できない、こうなるわけです。そこで私はこういう場合には、政府も幾分金がかかるかもしれませんけれども、すみやかに炭鉱離職者の現実を把握するためには、市町村の行政機構を通じて、登録なり届け出をしてもらって、積極的に政府の方が乗り出して、職業訓練なり職業紹介というものをやっていくような政策を講じないと、ただ職業紹介のベースに乗ってくるものを待っておったのでは、これはなかなかうまくいかぬと思うのです。大衆というものは役所に行くことはなかなか好まないのです。市町村の窓口、いわゆる昔の町内会、部落会ですか、ああいう隣り組のような行政組織を通じて尋ねてくると割合早くわかってくるけれども、自分から職業紹介所に行ってということになると、なかなかはっきり数が把握できないのです。今の職業紹介で登録をされておるということですが、それは積極的に職を求める人が行った場合にそういうことができるので、これはなかなかうまくいかぬと思うのです。援護会ができても、膨大な下部の行政機構を持つわけじゃないですから、その点何か市町村の協力を得て、すみやかに離職者の実態を把握する必要があると思うのですが、そういう方法を何かおとりになる考えはありませんか。
#14
○百田政府委員 私、言葉が足りなかったので申しわけなかったのですが、先ほど申し上げた第三の方法というのが実はそれでございます。安定所が、向こうが出てくるのを待つという意味じゃございません。第一に、失業保険の受給者であったものについても、現に求職者でないものも相当ございます。これをも追っかけて把握しておるという現状でございます。それから来た者については、その者の前職から見まして、炭鉱離職者であるというものについては区分けいたします。第三の方法といたしまして、市町村役場の協力を得まして、炭鉱離職者についての情報を提供してもらい、それによってこっちが追っかけていく、こういう形を現に福岡県でもとっておるわけです。そこで今度援護会ができました場合には、この援護会に協力員というものを置くことに予算上いたしておりますので、援護会の業務の内容にも、求職活動に関して炭鉱離職者に協力する、というのはそういう意味を書いたものでございますので、今先生のお話の点はごもっともでございます。われわれ積極的にそこまで持っていき、炭鉱離職者の現在の実態を明らかにすることによって、その実態に即した措置を講じて参りたい、こういうつもりでおるわけでございます。
#15
○滝井委員 ぜひ一つそういう形にやっていただきたいと思います。そういう積極的な面が実はこの法律に現われていないものですから、できればそういうことを法律の上で明文で示すことが私は必要じゃないかと思うのですが、どこかに現われておりますか。
#16
○百田政府委員 政府のやることといたしまして、具体的には公共職業安定所がやることでございますが、これは当然の業務としてやるわけでございますので、特に書いてございます第二十三条の一項の六号に援護会の業務として「求職のための公共職業安定所との連絡その他求職活動に関して炭鉱離職者に協力すること。」ということは、そういうことを意味しておると了解しております。
#17
○滝井委員 ぜひそういうことを、積極的に二十三条なり職業安定所の機能を働かしてやってもらいたいと思います。
 次には、関係地方公共団体のいろいろな意見を、緊急就労対策事業の計画を立てようとするときには聞くことになっておるのですが、これは具体的にどういうことを意味しますか。
#18
○百田政府委員 関係地方公共団体の長の意見を聞くというのは、どういう事業をどの地域でどの程度吸収するのが必要だということを抽象的に国が立てましても、これは絵にかいたもちになりますので、具体的にはそうした県から、ここにこういう事業がある、これをやることが最も離職者吸収に望ましいのだ、しかも吸収率はこの程度やっていけるのだというようなことを聞くわけでございます。従って、ここにはこういう形に書いてございますが、現実に今すでにいろいろわれわれとして地方と相談してやっておりますのは、福岡県なら福岡県におきまして、実はこの地域にこうした事業があって、事業費がどの程度で、吸収はどのくらいできるといったような、その緊急順位と申しますか、地方の知事からそういう資料をとりまして、それに基づいて国が地方公共団体と相談しながらきめていく、こういうふうに具体的にはやっております。
#19
○滝井委員 問題は、地方公共団体の長の意見を聞く場合に、事業、地域、それに吸収する人員というようなものを聞いてやることになる。今の御説明の通りになるのですが、一番大事なのは経費の問題になってくるわけです。当然こういう事業をやるためには相当の地方負担が出てくる。今回は幸い政府が五分の四の補助金を出すことになっておりますが、この五分の四というのは、いわゆる労務費と資材費と事務費の総額の五分の四ということなのですか。
#20
○百田政府委員 そういうことです。
#21
○滝井委員 五分の四の経費を出して、相当のお金でやることになると思いますが、その充てる経費、労務費と資材費と事務費の総額は一体幾らなのですか。そしてその配分をちょっと言ってみて下さい。
#22
○百田政府委員 予算単価といたしましては、一人一日八百五十円ということになります。この配分につきましては、事業の内容によって資材費の多寡、それから地域における賃金の差等もございますので、具体的にはそこまでは拘束をいたさない、こういうことにしております。
#23
○滝井委員 しかし八百五十円の総ワクの中で、全国的に見たならば、平均は大体このくらいの事務費とこのくらいの人件費とこのくらいの資材費だという大よそのめどがなければ、自治体はなかなかうまく仕事がやれぬと思うのです。あなた方が人件費は三百五十円くらいやろうと考えておったのに、自治体は四百五十円もやったということになると、そこに争いが出てくる。ですから、それに基準というものが必要だと思うのですが、一体どれくらいの基準を事務費、資材費、労務費に置いておるのですか。
#24
○百田政府委員 ごく大ざっぱに申し上げまして、資材費が三百円程度あるいはもうちょっといけると思います。賃金は三百五十円前後、その他が二百円、これは場合によっては用地の買収費が入る場合もありますので、事務費、用地費、雑費ということで、その残りの二百円を考えているわけであります。従ってこれによりまして、この操作によりましては八百五十円のワク内で、資材費がもう少しましなものができるということになろうかと思いますが、大ざっぱなワクとしてはそういうことを考えております。
#25
○滝井委員 そうしますと、もう一ぺん繰り返しますが、資材費は三百円、あるいはそれをちょっと上回る程度、賃金が三百五十円で、その他が二百円、この中には用地費、事務費、こういうようなものが入る、こういうことですね。なかなか予防線を張って、二百円の中にもう用地費が出てきたのですが、問題は私は用地の買収費にあると思うのです。普通の失業対策事業とは異なって、比較的労働能力の高い炭鉱労務者を使うわけですから――御存じの通り三井あたりの退職条件は五十才以上、二十五才以下ということになっておりますが、今平均寿命が延びて参りましたので、五十や五十五、六だったらぐんぐんまだ働けます。それで二十五才以下の青年というものがここに
 いくわけです。そうしますと、最近の炭田地帯というものは一般の失業対策もやっているのだから仕事がない、そうすると、どうしても用地その他を買収して新しく事業を興す以外にないわけですが、それは開発事業といってもなかなかないので、新しく道路を作るとか住宅の敷地を作るというようなことしかない、というと、これは全部用地買収がからまってくるわけです。そうすると、自治体が今までは用地買収をほとんど全部自分で負担しておったということになると、これはなかなかうまくいかない。その他二百円と、こう申しているのですが、この中には事務費も入るのですから、この用地買収費に対する考え方というものをもっと何とかしなければならぬのじゃないかと思うのです。われわれがいろいろ地方自治体の意見を聞きますと、八百五十円では緊急就労対策事業というものは無理だ、少なくともやはり千円から千二百円なければ無理だということを強く言っている。そういう点、大臣はどうお考えになりますか。
 それからもう一つは、だんだん仕事をする場所が遠くなってきたわけです。もう町の交通の便利のいい所に仕事がなくて、新しく道路を作ったり住宅を作ると、みな遠い郊外地とか山の中あたりにだんだん仕事場が隔たっていく、こういうことになると、これはどうしてもトラックその他の運送費というものがかかってくるわけです。従って表面はなるほど五分の四になっておりますけれども、用地の買収費とか運送費というものをだんだん加えていきますと、実際に国の負担する分は五割かそこらになって、あとのやはり五割程度は自治体が負担しなければならぬという状態が出てくるのですが、こういう点、何かもう少し松野大臣、政治力を働かして打開しないと、これは絵にかいたもちになる可能性があると思いますが、その点、大臣はどうお考えになりますか。
#26
○松野国務大臣 福岡県からはもうすでに要望がきておりまして、この単価で至急やりたいというので、十二月の法律が通る前でも自分の方ではやりたいのだという、逆に十一月中にも計画を出したいという御要望がありました。そのときに知事さんに、お宅は用地費はどうなさいますかと聞きましたら、実は用地買収がほかの予算で済んでいるところで着工のできないところがあるのだ、そういう意味で用地問題は御心配かけませんというお話が福岡県の知事さんから直接ございまして、至急にこの予算で自分はやりたいのだということで、実は逆にいうと非常に急いだ計画さえ出ております。従いまして、これだけですべての事業をするのには問題がありましょう。しかしやはり各地方には公共事業の計画があり、あるものは買収が進みつつも事業費がなかったとか、これだけですべてをやるというならば、滝井委員のおっしゃるようにいろいろ議論はありましょうが、やはりあらゆる町村においては、公共事業とか都市計画とかいろいろやっておられるのですから、その上に緊急就労をあわせてやっていただくということが一番妥当なことであって、もしこれをほうっておくならば、結局失対事業に落ちてしまいます。失対事業に落ちるその方たちが、今回はそういう意味で新しい仕事につかれるのですから、失対事業ならば町村の負担も非常に膨大だ、同時に起債費もないという、そのこととおのずから違ってくるので、必ずしもこれで満足して、これで永遠に大丈夫だとは言いませんが、さしあたり今日の緊急就労という名前に当てはまる緊急度合いとしては、各市町村おそらく消化をしていただくし、また逆に希望がうんとふえはしないか。福岡では知事は、県営でやるのだといって、この予算は全部自分のところで使いたいというお話さえありましたが、そうはいきませんよという話をして、そういう計画も出ておりますから、十一月中にも実はこの予算は使いたいというお話があった。そのときに用地のお話を私がお聞きしましたら、用地は買収が済んでいるので、仕事の事業量がなくて困っているときに、この緊急就労はまことに旱天の慈雨だというお話もありますから、これは地方々々によって一がいに言えないかもしれませんが、そういう計画をして、この予算の消化は完全にできるという見通しをつけて今回提案をしたわけであります。もちろん用地費が多ければ多いに越したことはありません。しかしこれを多額にすれば、公共事業の緊急就労、特別失対をすればいいではないかという議論に展開するならば、せっかくの親心も無になってしまう。今回八百五十円の単価を割り出したのはそういう意味でありまして、なるべく遠隔の地は私は避けたい。なるべく炭鉱の離職者の多い地方にこの問題を持っていきたいというのが、国も地方も同じ考えではないか、こう思いますので、遠隔地という問題は、だんだん仕事が進んで将来は出てくるかもしれませんが、しかしことし一年、半年にはこういうもの以外に、仕事はどんどん計画が出てくる、こういう見通しを立てております。
#27
○滝井委員 今福岡県のお話がありましたが、幸い今手元に福岡県の予算書を私持っております。石炭鉱業離職者緊急対策費として、その科目の中に石炭鉱業離職者対策緊急就労事業費三億六千八百万円という予算額があるのです。その財源を見てみますと、国庫支出金三億六千八百万円、寄付金ゼロ、雑収入ゼロ、県債ゼロ、一般歳入ゼロ、従って福岡県の予算は全部国でやってくれ、こうなっているのです。そしてこの予算書は三十四年の十月から十二月までの三カ月分を計上しておる。三億六千八百万円の財源は、国庫支出以外には計上していないのです。今鵜崎知事がそういうことを言われたというのは、知事としてはぜひ国に早く予算を計上してもらってやりたいという一心から、そうおっしゃっておられると思うのだが、今はすでに用地を県費で買っているものもある。しかし今後やるとすれば、これは当然やはりまた県費をつぎ込んでいくということになると、県だけの問題ではなくて、市町村にもやはり同じような問題が出てくるわけです。しかしこの点について、ここで労働大臣に全部これを国で見なさいと言っても、あなたも大蔵省その他といろいろ御相談をした上でこういうことになったと思うのです。私はこの点についてはまた大蔵省その他も来てもらって一応尋ねてみたいのですが、現在炭鉱のある市町村の地方財政がどういう状態であるかということは、私がここで申し上げるまでもなく御存じの通りだと思います。きょうの「日本経済」か何かの社会面をごらんになっても、地方自治体の財政、特に炭鉱地帯の財政が非常に苦しい状態にあるということは、社会面をにぎわす程度になってきたのです。鉱産税も入らないし、住民税も入ってこないし、固定資産税もなかなか入ってこないわけです。だから、こういう点から考えて、この点松野さん、次の通常国会あたりに、この五分の四の負担は一応五分の四にして、その自治体の負担をした、たとえば用地買収費五分の一、二割に当たる分の用地買収費というようなものを、全部一挙に国が見ることができないならば、当面炭鉱所在地の市町村の財政状態を考えて、まずその使った分については起債をしてあげましょう、そうしてできればその財政の状態によっては、それを普通の交付金か特別交付金で元利を長期にわたって償還をしてあげるとか、何かこういう対策を講じてやらないと、あなた方がせっかくこういうりっぱなものをお出しになっても、どんどん消化をしろといえば、苦しまぎれに消化をするかもしれないけれども、あとにおいては、その団体は非常に苦しい禍根を背負うことになる。ことに、筑豊炭田の市町村は、いわゆる地方財政再建促進特別措置法の十二条適用の団体が案外多いのです。そういう点から考えても、そういう考慮をあなたは将来おやりになる必要があるとお考えになりませんか。
#28
○松野国務大臣 ただいま滝井委員がお読みになった福岡県の予算は、この法案が出る前の実は提案でありまして、この法案が出てからはおそらく計画を変えていただいたと思います。これはおそらくこの法案が出る前に三億六千万円を計上された、一つの希望的なものであって、五分の四が出てからは、知事はそれでけっこうですと、さらにおっしゃったのです。今の予算はその前の、臨時国会が始まる前のものですから、大蔵省と折衝前のものです。これはもう鵜崎知事が了解されておりますから、お互いの質疑に行き違いがないように明確にしておきます。
 なお、平衡交付金は、当然平均税収入に関係がございますから、一般の平衡交付金にかかるわけであります。ただ、平衡交付金の算定基準は、御承知のごとく一月一日現在で一年間おくれますので、ことしの一月一日現在というと、昨年の計算しか実は出ておりません。そういうことで、おそらくその間の差が出てくると私は思います。しかし、二、三年たてば財政支出は一般の平衡交付金の中で計算されますけれども、来年入ってくるかというと、来年は多少ずれますので、実はその辺は私も心配しておりますから、自治庁大臣と相談しまして、実は多少その辺を加味してもらいたい。特別平衡交付金よりも一般平衡交付金として、相当恒久的なものだから加味してもらいたいということを要請するつもりでおります。ことに、今回こういう事業をやります以上は、自治庁大臣も御承知の上でこういう法案を提案しておるのですから、従ってその間の一年間のずれが算定基準の上に出てくるから、そのことは自治庁大臣に、算定基準というものは三十四年のものは出て参りませんので、何とか加味してもらいたいということを私も実はお話ししております。それがどの程度かということは自治庁でなければわかりません。おのずからそういうものは平衡交付金の算定基準に出てくるべきであり、また出てくると思います。ことしのものが来年出てくるかといえば、そこには決算と予算の差がありますので、多少ずれる。その辺は自治庁の方で弾力的に勘案していただきたい、こういうことを話しておりますので、相当的確にその辺が加味してもらえるだろうと思います。
#29
○滝井委員 松野労働大臣がそこまで考えていただいておることは、非常にけっこうなことだと思います。そこで市町村の負担分は交付税で、特に普通交付税で考えていただくが、とりあえず用地費や五分の四の残りの五分の一、二割に当たる分はやはり自治体が出さなければならぬ。そうすると、何億という仕事をする場合に、五分の一なり用地費の額というものは、莫大なものになってくるわけです。さいぜん申し上げるように、へまをして高い土地を買うというと、五割は持たなければならぬということになる。そうすると、小さい市町村になると、今まで炭鉱で持っておった市町村、炭鉱とともにあった市町村が多いが、とてもそれでは財政負担ができぬという場合が出てくるから、そういうものについてはやはり起債によってある程度まかなっていく道をあなた方の方で側面的に――われわれも自治庁に申し上げるが、あなた方の方も、こういう事業をやるのだからということで、一つ自治庁に対する積極的な勧告と申しますか、そういうことは労働大臣できるでしょうね。
#30
○松野国務大臣 もちろん自治庁にはそのようにやるようにいたしております。つい先般の予備金の消化の際にも、この問題はあわせて自治庁長官の了解を得ておりますので、ことしの九月からの予備金消化の部分につきましても、地元負担分については同様の措置を自治庁にとっていただきましたので、これが今後恒久化するならば、なお私ども自治庁に要請するつもりでおります。
#31
○滝井委員 緊急就労対策事業に対する市町村なり県の地方自治体の負担する分については、起債なりあるいは交付税でできるだけまかなってもらうように労働大臣努力をして下さるそうですから、さよう承っておきます。ぜひ一つ御努力をお願いいたしたいと思います。
 そうしますと、もとに返りますが、今度は三百五十円程度の賃金でございます。この三百五十円というのは、実は私が非常に気になるのは、現在生活保護の標準世帯で大体一万円前後なんですね。これは二十五日出ていくとして、三百五十円だと八千七百五十円なんです。さいぜん炭鉱離職者に勤労意欲が乏しい諸君がおられる、積極的な求人のベースに乗ってこないという御発言があった。この賃金という問題はここにも関連してくるわけです。一体この三百五十円というもので、現在の炭鉱の離職者の非常に大幅な吸収が生活保護との関連でうまくいくかどうかという点ですね。これは一体どうお考えになっておるかということが一つ。
 もう一つは、資材費が三百円、賃金が三百五十円、その他二百円、こういうふうなものを決定する機関は一体どこですか。
#32
○百田政府委員 先ほど申し上げましたように、一日八百五十円の事業費の単価の中で、事業量によっても総額が変わって参りますが、事業主体がきめていくことになろうかと思います。そこで賃金が具体的にどういうことになるか、これは緊急失対みたいに労働大臣がきめるということはございません。その職種あるいは労働程度、その他の要素を考慮いたしまして事業主が妥当な金額を決定するということにいたしております。
#33
○滝井委員 そうしますと、労働大臣が決定せずに、事業主体が適宜に自分のやる仕事の状態を見て、資材費を減らして労務費を四百五十円にすることも可能だ、こういうことで理解して差しつかえありませんか。賃金、資材費等は自治体の事情に応じてある程度自由に事業主体が勘案してきめることができる。そこには、たとえば賃金は四百円以上にしてはいかぬというような一定のワクは労働省ははめない、こういうことで理解して差しつかえありませんか。
#34
○百田政府委員 その点は労働省としては考えておりません。ただおのずからそこには、その地方の賃金の状況なりその他で限度もあり、また一定の事業をやるという場合に、この仕事をやるならばこの程度の資材費がかかるという限度はございましょうから、それはおまかせしておいても非常識な結果にはならないと思います。
#35
○滝井委員 問題は生活保護費との関係なんです。われわれがもろもろの賃金を決定をする場合に、PW等も問題になりますが、問題はやはり何と言っても生活保護費なんですね。そうしますと、働いて生活保護費よりも少ない賃金をもらうより、働かなくて生活保護をもらった方がいいという考え方、そういう考え方はよくない考え方だけれども、現実にそういう制度がある限りにおいては、ちょうど経済人がアダム・スミスの見えざる手によって利潤に導かれるように、炭鉱離職者だって働かなくてよけいに生活保護費をもらえるならばその方がいいという気持になるのは人情の自然だと思うのです。その生活保護費との関係をお考えになってあなた方はこれを決定したのか。
#36
○百田政府委員 先ほどから申し上げましたように、賃金につきましては大体三百五十円程度といたしましたのは、各地域におきまする現在の失対事業の賃金単価よりも相当高額でございます。それから三百五十円程度と一応の見当をつけましたのは、今度事業が実施される福岡、佐賀、長崎、山口、福島、北海道といったようなところにおきます職種賃金を勘案いたしましての大体の見当がこの辺になるということで基準をきめたわけでございます。生活保護費との問題が、それは家族の数によって違い、土地の生活状況によって、都市と農村と非常に大きな開きがあるわけでございますけれども、賃金を決定する場合には、一応その職種別賃金等も参考にするのが妥当ではないかということで、予算単価といたしましてはそういう算出の根拠を出しております。しかしながら、これにしなければならぬと縛る必要はございません。事業費単価一本できめた次第でございます。
#37
○滝井委員 三百五十円の算定の基礎はそれぞれ福岡、佐賀、長崎、山口、福島、北海道等の炭鉱所在地域におけるPWを基礎にしておきめになったということであります。なるほど三百六円の全国平均より三百五、六十円になればそれは多いことになる。ただ問題は、今までの炭鉱労務者の賃金、それから現実に炭鉱労務者が転落をして受けておる生活保護の実態、こういうものを比べて幾分やはりここに問題があるという感じがいたします。きょうは問題があるという点だけ指摘をして先に進みますが、いよいよ求人のべースに乗って緊急就労対策事業の中に入って参ることになりますと、労働大臣は、当然その緊急就労対策事業の計画に基づいて、炭鉱離職者の数以上の離職者を使用しなければならぬということになるわけですね。その場合に、炭鉱離職者の数以上の数というのの把握、これはどういう把握の仕方をするのですか。数以上を使用しなければならぬというその数ですね。
#38
○百田政府委員 これは吸収率として八五%以上であります。
#39
○滝井委員 そうしますと、AならAという地区に炭鉱離職者が百人おれば、その八十五人以上は使わなければならぬという、こういう意味ではないでしょう。
#40
○百田政府委員 どうもあまり簡単に表現いたしましたので恐縮でございます。事業に使用される一日平均の実労働者数の八五%、あと一五%というのは技術者とか何とかそういったものが必要でございますので。これは現在特別失対等におきましては八〇%、臨就が七〇%の吸収率であります。それより多少高めの八五%、こういうことに、あれと同じ基準であります。
#41
○滝井委員 それで大体そこらあたりはいいです。
 次に、あなた方が今度職業訓練をやる場合に、労働大臣は、炭鉱離職者が炭鉱以外の職業につくことを容易にするために職業訓練をやりますが、その場合の特別の措置を講ずるというのは具体的にどういうことなんですか。
#42
○百田政府委員 特別の措置を講ずるというのは、第一には入所時期につきましての特例措置、これは現在普通の訓練所におきまして四月、十月というような形で募集し、またそういう時期まで待たなければならぬということになりますので、それをできるだけ便宜な時期に入れるようにいたしたいという方法で、いろいろその訓練の仕方も具体的には検討いたしまして、現にすでに新たに設置したものにつきましては、直ちに開始いたしておるわけでございます。第二には訓練期間の問題でございます。訓練期間の問題はおのずから訓練方法とも関連いたしますが、できるだけ短期間に、しかも一定の技能を修得するようにいたしたい。それで六カ月を考えております。第三には職種でございます。これは炭鉱離職者の従来の経験等もございますし、また労働市場の状況等も考えて、両方にらみ合ったところで適当な職種をきめていきたいということであります。同時にまた炭鉱離職者の希望も従来実態調査等においてとっておりますので、そういうものを勘案しながら職種をきめていきたい。それから特に必要な場合に特別措置と申しますのは、特に炭鉱離職者を吸収いたしますため、従来の訓練所の増設あるいは新設をして参りたい、こういうふうなことを考えております。
#43
○滝井委員 現実の問題として、これは炭鉱労務者の間接夫、直接夫によっていろいろ違ってくると思いますが、むしろ向いておる職種というものは、一体どういう方面が最も集中的に向くという技術的、心理的な結果が出ておりますか。
#44
○百田政府委員 現在予備金で措置しましたもののうち、すでに訓練を開始し始めましたのが飯塚と直方でございます。それに小野田を加えまして、そこの現在の職種につきましては、当初予定していましたのは自動車整備、電気器具等でございましたが、現在飯塚ではその後の状況等を考えまして、自動車整備と電工、直方においては、これも当初と違いまして、その後の状況を見まして仕上工、旋盤工、鋳物工といったようなもので、一番多い種目は自動車整備工と電気、これは労働市場で一番多くなっております。またこれにつきましては今後の訓練の状況、成果を見て参らなければいかぬと思いますが、現在地元の希望等もそういう点が強うございますので、そういうことでやっております。訓練の状況、成果等を見まして、漸次これを検討して参りたいと思っております。
 こういう職種につきまして現在までの応募状況等を見ますと、飯塚、直方それぞれ八十人の募集でございます。しかもこれは今度の措置法が通る以前の問題でございますが、それに対しまして約二倍応募者が参っております。従いまして現在非常に応募が多いものですから、定員を突破して、八十名を九十四、五名にいたしまして訓練を実施しておる、そういう状況でございます。職種につきましては今先生のお話しのように、十分われわれも訓練しながら検討していきたいと思っております。
#45
○滝井委員 今主として飯塚、直方その他でやっておる状態の結果の御報告がございましたが、傾向としては機械工業なり電気器具等を扱う仕事に従事する者がふえておることは、私は非常にいいことだと思いますので、ぜひ一つこれは相当拡大をしてやっていただきたいと思います。そうすると問題は、職業訓練をやる経費、費用の問題になってくるのですが、職業訓練法の三十四条の一項によりますと、一般職業訓練所及び都道府県が設置する身体障害者職業訓練所に要する経費の一部を国が負担をすることになるわけです。これは政令で定めるのですが、国が持つのは八割ですか、幾らですか。
#46
○百田政府委員 職業訓練法に基づく経費の負担は、施設費、運営費ともに二分の一でございます。今回の特別措置によりまして、運営費につきましては三分の二ということにいたした次第でございます。これは駐留軍離職者に対して特別措置をとったと同じ考え方によるものでございます。
#47
○滝井委員 運営費だけが三分の二ですね。
#48
○百田政府委員 さようでございます。
#49
○滝井委員 そうしますと、三十四条一項の規定による負担のほかに、予算の範囲内で政令で定めるところによりさらにその一部を負担する、プラスアルファがついて三分の二、こういうことになるわけですね。
#50
○百田政府委員 そうでございます。
#51
○滝井委員 こういうところも、やはりもう少し出すべきじゃないかと思うのです。こういう仕事を都道府県の経費の負担にさしておくことは、なかなか出費多端の、財政的に苦しい自治体でございますから、やはり私は問題があるのじゃないかと思うのです。こういうところにも、私は全額とは申し上げませんが、国がまあ八割ぐらいは、五分の四ぐらいはみる。緊急就労対策事業と同じ形をとっていいのではないかと思う。むしろ私は力の入れ方としては――緊急就労対策事業というものは暫定的なものでしょう。ところが職業訓練はこれからこれを基礎にして電工さんの技術を身につけ、旋盤工の技術を身につけたならば、それはもはや炭鉱労務者ではない、恒久的などこか違うところにいくという形になる。技術を身につけているから、こういう人たちは就職の範囲が広くなってくる。そういうところに政府はやはり重点を置く政策を講じなければならぬと思う。ところが今までの職業訓練法にちょっぴり一部負担を増加するというような行き方は、何か政策の重点の置き方に少し間違いがあるような気がする。この点、職業訓練に五分の四、少なくとも八割程度をプラスするということでなくて、現在の二分の一を三分の二に引き上げるというような方策では、非常事態の非常対策としては間に合わぬのではないかという感じがするのです。石炭が斜陽産業であり、エネルギー革命だと、かねや太鼓で業界や政府も言っているのに、やる仕事というものは、何か災害がちょっぴり起こった、それの補助金の引き上げみたいな政策しか講じていないということでは、政府の認識というものが私と同じようなエネルギー革命でないという認識ならば、こういうことでいいかもしれない。ところが政府はエネルギー革命だ、もう三井さんも三菱さんも住友さんも首を切るのもやむを得ない、こうおっしゃっているのに、あとのしりぬぐいはそれぞれ県が金を出してやりなさい、政府は幾分の加勢はしましょうというような消極的な態度ではいかぬと思う。これは一つ政務次官の方から、こういう点はもっと打開をして全額と言いたいところですが、全額と言っても、前が五分の四ですから、前にならって五分の四、八割程度は必要だと思うのです。法律で予算の範囲内となっておりますから、あと行政措置でできることなんです。だから答弁さえしてもらえばいいのです。
#52
○百田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、補助率が高ければ高いほどいいと思いますが、駐留軍離職者臨時措置法との関連もございまして、大体あの先例にならったわけでございますが、特に早急にやっていくという場合には、やはり一般公共職業訓練でやれば直ちにやれますので、こういう処置を講じたのでございます。あわせまして本年度の失業保険特別会計の予備費におきまして二億円を支出いたしまして、炭鉱離職者のために総合職業訓練所の施設の整備拡充をはかることになっております。これが四カ所考えておりまして、北九州、現在小倉と八幡にございますが、これに実習所を増設する。山口にもございます。これは増設する。福島も増設します。さらに需要地、つまり労働需要の多い地域に一つ増設するということで、大阪を考えております。これに年度内に建物、機械器具を整備いたしまして炭鉱離職者を吸収する。これは地方負担とは関係ございません。これは相当りっぱな設備になると思います。これによって定員一千名、半年訓練として年間二千名を訓練していく、こういう計画を別途持っておるわけでございます。
#53
○滝井委員 政府が失業保険の特別会計の予備費の中から二億円を出して総合職業訓練所をやるということは、先日齋藤さんの御答弁の中にもあったし、私はよくわかっておったのですが、しかし問題は、政府がやるのじゃなくて地方自治体がやる一般職業訓練の問題なんですね。総合職業訓練じゃなくて、やはりこれは北九州その他の地元にもあるということもよろしいのですが 直方とか飯塚とか、そういう地区にあるところというのは、炭鉱労務者の一番密集しておる地区ですから、そういうところにやはりこの際並行的に力を入れる必要があると思うのです。これは予算の範囲内でお出しになることができることになっておって、法律では全部政令にゆだねておる、行政にゆだねておるのですから、あなた方が腹をきめればできることなんです。大蔵省といろいろ折衝があるかもしれませんが、駐留軍の問題が三分の二だからというならば、今度駐留軍もこれを契機にやはり五分の四に上げていただくということになれば、多々ますます弁ずるでいいことだと思うのです。それで、これはあなた方がそういう答弁ができなければ、われわれの方でここらあたり法律を書きかえて、政令で定むるというところを削って五分の四にすればすぐできるわけなんです。どうですか、われわれに法律の修正をさせなくて、赤澤さんの方でこの際政令で定めるというところを、五分の四にぜひしたいという御答弁をいただければ、五条の修正はきまることになると思うのですが。
#54
○赤澤政府委員 予算のことでございますので、ここで私が一存でどうというわけに参りませんが、よく協議しておきます。
#55
○滝井委員 一つこの法案は、今、四日を目途に上げることにしておりますので、三日の午後くらいまでにはぜひ御検討をしていただきたいと思います。
 次には、六条に炭鉱労務者の雇い入れについては「鉱業権者は、炭鉱労働者の雇入れについては、炭鉱離職者を雇い入れるようにしなければならない。」となっておるわけです。このしなければならぬというのは単に訓示規定ですか、それともこれは新しく雇い入れる場合には義務的に雇い入れるということになるのですか、この点の解釈はどうですか。
#56
○百田政府委員 六条一項には罰則がついておりませんので、その意味におきましては訓示規定といえると思うのですが、国としての一つの方針をここに明示したというように御解釈願います。
#57
○滝井委員 そうしますと六条二項との関係、炭鉱労務者を募集する場合には公共職業安定所に求人の申し込みをしなければならぬとなっておるわけです。今までは縁故募集みたいなのが多いわけですが、今後は一切そういうことはいかぬ、全部職安を通せ、こういうことで、はっきりこれは六条二項で義務になるわけですね。
#58
○百田政府委員 鉱業権者が人を雇い入れようとする場合の方法といたしましては、安定所に対する求人の申し込み、ないしは今お話しになった縁故募集というか直接募集、それから直接募集も自分の通勤地域内ならば可能ではないか。その他の地域は安定所に通報ないし許可を得なければならないというような安定法の規定がございまして、従ってそういう場合にはチェックできるわけでございます。通勤地域内からの、現在安定法に許されている範囲内での直接募集、求人申し込みは安定所を利用してもらいたい、こういうことでございます。同様にこれも罰則規定はございませんけれども、第四章雑則四十条におきまして、鉱業権者は定期的に炭鉱労働者の雇用状況を安定所長に報告する、これについては強制しておりますので、これによってチェックができるという考えで、特にこれに対して罰則は設けておりませんが、実質上の担保はあるわけであります。
#59
○滝井委員 六条は、私はこれはある程度義務的なものにする必要があるのじゃないかという感じがするのです。なるほど第二項との関連において、四十条で強制力をある程度持つかもしれませんが、やはり六条全体を流れる精神は、今の御説明から聞くと、訓示規定という傾向が強いわけです。はなはだ失礼な言い分だけれども、今までの日本の炭鉱資本家のいき方から考えてみますと、六条の一項と二項はへまをすると空文になるおそれがあるわけです。だとすると、何かここに義務的なものを入れる必要があるという感じが非常にするのです。そうでないと、特別の技能を持っておる離職者以外はなかなか再雇用ができぬと、こういうことにもなる。ここらあたり何か政府の方で、これをこういう形で書きかえて提案されるまでの過程において、義務的なものにすべきであるという御意見はなかったのですか。
#60
○百田政府委員 実はこれを義務的な規定で義務づけるということが必要ではないか、そうしなければ実際の効果が上がらないではないかという御意見はもちろんありました。ただこれを義務づけるということになりますと、実は憲法との関連におきましてもいろいろなむずかしい問題が出て参ります。従いましてここでは義務づけるということではなくて、優先雇用の原則だけを示したことになっております。従って雇い入れにつきましては、炭鉱離職者を優先的に雇い入れるということに書いておきまして、炭鉱労働者を雇い入れようとする場合には安定所に求人の申し込みをしなければならない。つまり直接雇い入れによって炭鉱離職者を雇い入れる場合以外には、安定所の手持ちの炭鉱離職者を紹介できるような方法を二項にしぼり、四十条によってその状況を監督する、こういうことにいたしたわけであります。
#61
○滝井委員 どうも私もおそらく憲法との関係を言われるだろうと思っておったのです。だけれども、長年、たとえば三井にしてみれば、大三井の財閥を築くためには実に幾多の炭鉱労働者の血と汗が三井の財閥の今日を築いておるわけです。ところがその築いた労務者を、不況になったらぽんとみな首を切っておるのです、こういうことが憲法違反でないのですよ。会社の都合でいつでも首を切ってしまう。ところが切られてしまった人が今度筑豊で失業したら食うところがない、だから青空会なんといって作って、買い上げられたあのあばら屋になった炭住で生活保護を受けてみな住んでおるのですが、もし一片のヒューマニズムがあったならば、当然優先的に長年使っておった人を、企業を新しくやったり拡大したりする場合は、使うべきだと思うのですよ。それは別に年をとってどうにもならぬ人を使えというのではなくて、二十五才以下はだめだとおっしゃるのですが、二十五の人がなお炭鉱で働きたい、新しく拡大が起る、こういうことで条件が一致をしておれば、私はそれを使うことにすべきだと思う。ところが最近は大手の会社の条件を見ると、今までは、おやじがやめたらむすこを雇うといっておったのが、もうそれはやめたと、こうおっしゃっておるわけです。炭鉱を自由企業にまかせておいて、そうして好況のときはどんどん雇うけれども、不況になったら首を切って、あとは国がしりぬぐいをするでは許されぬと思う。自分は首を切る自由は持っておるけれども、今度は、雇い入れるときはだめだというようなことでは、これはどうにもならぬと思う。それならば炭鉱企業というものを国が管理をするとか――イギリスにしても、ヨーロッパの先進諸国の石炭企業というのは多く国が管理しておるのだから、そういう方向にでもいかなきゃしようがないということになる。自由企業にまかしてやるというなら、首を切られた労働者がまた炭鉱に働きたいといい、しかも自分のところで新しく雇い入れをやるというときは、これを雇うくらいの義務というものは負ってもいいと思うのです。そういうことも憲法違反だといってやらぬということは、これは政府の手落ちだと思う。そういう点で、この六条は訓示規定的なものであって、私はどうも少し納得のいかぬところがあるのですが、そうすると、この六条は憲法のどの条章に関連してきますか。
#62
○百田政府委員 一つは憲法二十九条一項の財産権の問題に関連してくると思います。財産権の中には営業権も含まれております。労働者雇い入れの規制というものも営業権の制限に該当します。こういうふうな解釈であります。
#63
○滝井委員 二十九条は「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうになっておるわけです。そうすると、炭鉱労務者の首を切って、そしてあばら屋に住まして、生活保護にたたき込んで、これが一体公共の福祉に反しないかということですよ。これくらい公共の福祉に反することはない。しかも炭鉱地帯を社会的な不安に陥れ、地方財政に重大な影響を及ぼしておる。そうして、しかも鉱害というものはうんとほっぽり出しておる。これくらい公共の福祉に反することはないですよ。そういう場合にはちっともこの二十九条は出てこないんですね。たとえば鉱害のために無辜の農民や中小企業の家をひっくり返すような状態にほっておいて何もやろうとしない。これは明らかに公共の福祉に反しておる。しかし、それによって炭鉱の資本家が監獄に行ったという例を私はまだ聞かない。だから、こういう点から考えても、首を切った労働者を雇ってもらうということについては、これは憲法違反どころか、むしろ公共の福祉を促進しますよ。これは、あなたとのあれは水かけ論になると思いますけれども、労働省は、この二十九条との関係で義務規定はだめだ、こういう断定的な法解釈というものが成り立ってそういう形になったのですか、そういう点はどうですか。
#64
○百田政府委員 この点については憲法二十九条なり二十二条なり十四条なり、いろいろな問題がございます。そこで労働省としては、できるだけこの炭鉱離職者を――とにかく一番炭鉱には適しておるのでございますから、その者を優先的に雇い入れてもらうということが最も望ましい形であるということにつきましては、労働省も強く見解を持っておるわけでございます。従って、気持としては滝井先生と全く同じでありますが、政府部内におきまして、特に法制局の意見等もございますので、こういうふうな表現にいたしたわけでございます。従いまして、われわれとしては、これが空文に終わらないような行政的な運用をやっていきたいと考えております。
 なお、憲法論につきましては、われわれ専門家でないものがやりますととかく間違いを起しやすいのでございますので、この場では私差し控えたいと思います。
#65
○赤澤政府委員 滝井委員の言われること、全く同感であって、今日炭鉱が不況だといわれましても、やはり事実年間五万ないし七万の人の動きはあるわけであります。片一方で失業者がたくさん出る状態であるのに、なお年間五万ないし七万の新規雇い入れも事実あるわけであります。そこで、私どもといたしましても、今滝井委員が言われました通りに、この六条をもっと強い形で義務づけたかったわけで、そういう方針でずいぶんわれわれもこの立法に当たったわけでございますけれども、しかし、法制局その他をまじえて検討いたしますと、ぎりぎり表現がここにしかならぬということになったわけであります。精神は全く滝井委員がおっしゃることと同じでありますので、今局長が申しましたように、行政指導でこれは厳に御趣旨に沿う方向に持っていきたいと考えておりますので、御了承願います。
#66
○滝井委員 まあ六条を空文に終わらせないように、一つ行政指導で御努力をお願いいたします。
 次は、炭鉱援護会ですが、この援護会は、労働大臣と通産大臣の両方の監督下にこの業務を運営していくことになるのですが、その場合に、援護会の「従たる事務所」はどことどこに置くのですか。
#67
○百田政府委員 本部を東京に置きまして、これが大体全国を総括すると同時に、あわせて東日本を総括するということになります。それから支部を九州に置きます。そのもとに、主要な地区に支所を置きます。申し上げますと、九州、福岡地区においては飯塚、田川、直方、長崎県においては佐世保、佐賀県で唐津、山口県で宇部、福島県で平、北海道で札幌。そのもとに必要な地区に駐在員を置く。大牟田、長崎の江迎、佐賀の武雄、山口県の小野田、茨城の高萩、北海道の釧路、滝川であります。
    〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕
#68
○滝井委員 ちょっと今援護会に入りましたが、その前に、赤澤さんの御答弁の中にもありましたが、現実においても新しい雇用が五万ないし七万ある、こういうことです。これは一応過去の実績は確かにそうなっておりますが、今のように大手が三十八年までに六万、中小が三万七千、その他職員を入れて約十万前後の解雇者を出そうとしておるときに、今後三十八年までにやはり依然として新しい雇用が五万ずつあるか、この見通しなんですが、この質問を抜かしておりましたので、これは労働省でも通産省でもどちらでもいいです。その見通しについては、今までのような動きをしていくと見て差しつかえないのか。それとも今までのような新しい雇用が五万あるという見通しは甘い、こうお考えになるのか。その点を一つ御答弁願いたい。
#69
○百田政府委員 全国的な雇い入れと解雇の状況を見てみますと、毎年四月が多くなるようでございますが、昨年三十三年度におきまして五万三千四百・従って月平均が四千五百足らずでございます。そこで、昭和三十四年度に入りまして、三十三年度よりも減っておりますが、九月までの状況を見ますと毎月三千数百の新しい雇い入れがございます。従いまして、この不況になってきている現実下におきましてもこういう状況がありますので、従来のように決して多くはないと考えておりますけれども、この程度の数字は出てくるのじゃないかというふうに考えております。
#70
○滝井委員 先日通産省でございましたか、説明していただましたのは、二十九年以来六万台、それから三十二年度が八万台になって、三十三年度から急激に落ちて五万九千、三十四年度は五万、三十五年度になりますと五万を割るという――今の九月までの実績から考えて、三千台ですから五万を割る、こういう情勢になると、三十八年までにぐっと伸びる情勢というものはそう考えられない。そうしますと、問題はその内容なんですね。三十三年度の五万三千四百、三十四年度九月までの一カ月大体三千数百人の、この新規雇用の内容というものは、これは炭鉱労働の経験者が主たるものなのか、全くフレッシュな、高等学校等を出た新しい労働力が炭鉱労務者として入ってきているのか、その内容の問題はどうですか。
#71
○百田政府委員 これはごく最近の事例につきましてはちょっと承知いたしませんが、労働省で行なっているたしか労働異動調査だったと思いますが、これによりまして、新規採用者というものの前職との関係を調べてみますと、炭鉱の場合におきましては、これは他の産業の場合と著しく異なって、前職がやはり炭鉱労働者であったという者の率がほかのよりも相当高くなっております。この詳細な数字は後刻でも、休み中に取り寄せて御説明申し上げたいと思います。
#72
○滝井委員 おそらく私もそうだと思うのです。大体私の知っている狭い範囲の経験を通じてみましても、多く炭鉱労働者の前歴を持っております。この資料はあとで一つぜひ出していただきたいと思います。
 次に進みますが、この離職者援護会は、さいぜん申しましたように労働大臣と通産大臣の共管の形になっておりますが、たとえば三十六条の監督、それから二十九条なんか、さらに大蔵大臣と協議をしなければならぬところも出てくるわけですね。まずこの運営の問題について、労働大臣と通産大臣との意見の異なった場合は一体どういうところで処置しますか。
#73
○百田政府委員 労働大臣と通産大臣の意見が異なる場合でございますが、これはとことんまで絶対対立するというような問題はないと思いますので、この点につきましては御心配はないというふうに考えます。しかしながら大臣同士の意見が違うという場合は、最後は総理が裁決するということに事実上はなると思いますが、そういうことは万々あり得ないと思います。
#74
○滝井委員 まあなかなかどこの世の中にも派閥というものがありますから、理事長の任命なんというものは労働大臣及び通産大臣が、監事もそうですが、任命するんですね、二人が任命するんですよ。だから当然これは話し合いが行なわれなければならぬことにもなるのですが、一体二人が任命するという法律がほかにもありますか。
#75
○百田政府委員 中小企業金融公庫は通商産業大臣と大蔵大臣、住宅金融公庫の総裁は建設大臣と大蔵大臣、こういう例がございます。これについても、今お話しになったようにとことんまで行ったということは聞いておりません。
#76
○滝井委員 そうしますとこの理事とか理事長というものは、それぞれ通産大臣、労働大臣が理事長を任命する、理事長がさらに理事を、労働大臣、通産大臣の認可を受けて任命するということになるのですね。任期は三年ですが、一体どのような傾向の人がこういう援護会の理事とか理事長になるのですか。何かこの中にはやはり炭鉱労働に関係のある労働者の代表でも入れるのですか、そういうことはどうですか。
 それからもう一つは、今までこういうものができると、大がいそこにいろいろ意見を聞く諮問機関的な運営協議会というものがあるわけですね。ところが今度はそういう運営協議会みたいなものがないわけですが、これはどうしてそういう運営協議会みたいなものを作らなかったのですか。
#77
○百田政府委員 第一の問題でございますが、この役員につきましてはできるだけ労働関係、それから炭鉱関係の、やはりそうした仕事に知識経験のある人たちから選ばれるということになろうかと思います。具体的にどうこうということはきまっておりません。
 さらに第二の運営協議会ということですが、原案におきましては、その内容といたしましては、大体法律で大きなワクをかぶせております。特に援護会の敏速な活動を理事長の責任において実施していくという必要がございますので、しかも大ワクは法律でほとんどきまっておりますので、業務方法書等も認可を受けて、それに基づいて実施していくということでございますので、特にこれにつきましては運営協議会というものをここで置かなかったわけでございます。
#78
○滝井委員 なるほどこれは理事長一人で理事三人ぐらいで援護会は運営されていくことになりますが、非常に多岐にわたる仕事をやることになるわけです。職業の訓練を受ける人に手当をやったり、宿泊から、それから労働者の金を借ることから、生活の指導から、すべての広範な業務をやることになるわけですね。そうしますと、これはどの程度の機構になるか知りませんが、その機構も今からお尋ねしたいのですが、これはやはりある程度諮問機関的なものを少なくとも中央、地方に作っておく必要があると思うのです。これは中央、地方といったってそう多く作る必要はないので、三カ所かそこらに援護会の支所があるところに作るか、あるいは中央に一カ所中央のものを作るということになっても、そう経費もかからぬし、むしろ運営がスムーズにいくのではないかと思うのです。理事長が能率的にてきぱきとおやりになるというけれども、そう人間は万能ではありませんから、そういう点で、私はやはりここらあたりである程度運営協議会を作って、そして労使、学識経験者、地方自治体の長もその学識経験者の中に入れてやることがやはり必要ではないかと思うのです。前にも緊急就労対策事業をやるときに地方公共団体の長の意見を聞くということもありました。しかしやはり援護会はそういう緊急就労対策は直接やらなくても、そういうものとの関連が非常に出てくるわけですね。従って私はこういうものを作る必要があると思うのですが、大体赤澤さん、こういうものをするときに御検討にならなかったのですか。
#79
○赤澤政府委員 検討しております。私もそういうものが要ると思うのです。これは諮問機関というか、運営委員会といいますか、労使それからまた地方団体の関係者、あるいは労働省の出先などの加わったものが私は必要と考えておりますし、また部内でその問題について検討を進めております。
#80
○滝井委員 私と全く政務次官同感であるということでございますので、いずれこれは与党の皆さんと話し合いまして、できれば一つ法案のどこかに修正として入れさせていただきたいと思います。これは入れてもそう大して予算を食うものではないと思いますので、政務次官が同感を表明されましたから……。
 そこでこの援護会の役員はわかりますが、その機構と申しますか、職員と申しますか、人的構成は一体どの程度になっているか。東京の本部、九州の支部、それから、支所はそれぞれ筑豊炭田や東北その他にあるのですが、この職員構成その他内容、それから、予算、これを一つ御説明願いたいと思います。
#81
○百田政府委員 職員は九十四名、そのほかに、先ほど申し上げました協力員といたしまして二百人、予算といたしましては、年度内の予算が六億円でございます。国の補助金が三億、事業団からの交付が三億でございます。内容を申し上げますと、移住資金で三億、その他支給事務費がこれに加わります。これが百七十八万四千円。それから、職業訓練協力費といたしまして一億四千万円、この中身といたしましては、宿舎の設置が一億二千三百万円、職業訓練手当が千四百万円、講習会費が約二百万円ということになっております。端数はちょっとあります。それから、労務者用の宿舎費が八千七百万円、その他就職あっせん協力費、生活相談及び生業資金のあっせん費が合わせまして約千七百万円、管理費が二千七百万円、予備費が同じく二千七百万円であります。
#82
○滝井委員 大体予算はわかりました。あとで内容はまた少しくお尋ねいたします。
 この援護会の利益と援護会を主宰する理事長の利益とが相反するような場合というのは、どういうような場合をお考えになっておりますか。
#83
○百田政府委員 現在のところ具体的な場合を想定いたしておりませんが、たとえば援護会が――よい例に当てはまりますか、援護会と理事長個人と取引関係にあるというような場合なんかも出てくると思います。その他そうした理事長個人としての場合と援護会としての関係という場合が考えられると思います。
#84
○滝井委員 取引関係がある場合は、利害が一致する場合の方が多いんじゃないですか。
#85
○百田政府委員 例として適当じゃなかったかもしれませんが、相反する場合があるいは出てくることもあり得る。この適例は、現在ちょっと考えておりませんが、そうした場合が主として考えられるということであります。
#86
○滝井委員 これは法文の体裁で、こういうこともたまにあり得るだろうと思いますので……。
 次は業務です。これが一番大事なところですが、これを少し聞きたいのです。この移動資金の額については、この前齋藤さんの質問に対して、大体筑豊地区で標準世帯扶養家族三・三人、その労務者の年令が四十二才で、十二年勤続、そして九州から関西―大阪へ行く場合に十万円程度の移動資金を考えておる。単身の場合は三ないし四万円である、こういう御答弁がありました。これは間違いありませんね。
#87
○百田政府委員 多少の変動はあろうかと思いますが、標準世帯が福岡から関西方面に行くということは、大体十万円ということを今基準に置いて検討いたしております。大きな開きはないと思います。単身の場合につきましてもいろいろ検討しておりますが、大体そういう標準ではないかと思います。
#88
○滝井委員 そうしますと、たとえば九州から北海道に行くとか、関西より近い岡山あたりに行くということになると、その十万円の額というのが、距離によってだんだん多くなったり減ったりするということがあり得るわけなんですね。
#89
○百田政府委員 そういうことを考えているわけです。
#90
○滝井委員 移動資金十万円というのは、九州から関西まで四十二才で三・三人の家族を持っている十二年勤続の人を標準にして作っているということになると、それをどういう工合に動かすのか、その十万円の上下になる基準みたいなものをちょっと教えてくれませんか。
#91
○百田政府委員 最後的に決定はいたしておりませんから、これが最後的なものだとお考えになられると困りますが、一応われわれの今案を作っております段階の考え方といたしましては、一定の基本額というものを考えまして、そのほかに、その者の年令、勤続年数による加算、扶養家族数による加算、それから遠方に行くいわゆる遠距離加算金といったようなものを考えて参りたい。そのほかに、実費弁償的な移転料、旅費といったようなものをつけ加えていく。単身者の場合の基本額をどうするか、勤続年数加算をどうするかという問題は残りますが、年令加算につきましては、定の年令以上のものはなかなか就職しにくいというような事情もありますので、そういう人たちは多くする。勤続年数は、一つの炭鉱に対する長い間のサービスに対する褒賞として考える。扶養家族数の加算は、単身者が行く場合よりも、扶養家族全部移住していくということはそれだけでも大へんなことでございますので、これにも加算を考える。それから、遠距離に行くものとごく近いところへ行く、今の九州から岡山に行く場合と北海道に行くという場合では、それだけでも相当に気持の上で違って参りますので、そういう意味も含めましてそういう加算金を考えたらどうか、こういうような考え方をいたしております。しかし、最後的な決定ではありません。
#92
○滝井委員 私が知りたいのは、この前の齋藤さんに対する御答弁は、今のような基本的な御答弁のほかに、今答弁をいただいた勤続加算、年令加算、扶養加算、遠距離加算、移転費、それから、同時に一定の基本額――まず、一定の基本額というものを十万円の中から一体どの程度とるのか、これが知りたいわけです。それから、勤続加算をやる場合に、一体何年が基本になって上下に増加したり減ったりするのか。それから年令加算、これは一体どの程度が基準になって、その年令の上下によって加算額が上下するのか。扶養加算にしても、標準三・三人ということになると、地域によって非常に違う。たとえば、大手の山をとってみましても、家族的に長らく勤務しているものと非常に移動のはげしいものと、山の性格と伝統によっていろいろある。だから、そこらあたりの基準を今わかっていれば教えてもらいたいし、わかっていなければ、これは後ほど法案が通るまでに資料として印刷したものでいただきたい。地方からどんどん来て尋ねますから、やはり法案を通す前にわれわれ知っておく必要があると思うのです。この法案の眼というので、一番主眼は援護会の移動資金の十万円です。みんなは十万円もらえると思っておるわけです。ところがその十万円がいろいろ今度は動くんだということになると、その動き方は一体どういう動き方だということをみんな知りたがるわけです。これはわれわれも知りたいところなんです。それは今おわかりになっておれば御説明願いたい。なかなかそんなこまかいところまでまだ検討していないというならば、法案の通るまでに検討して出していただきたいと思うのです。
#93
○百田政府委員 これは実はまだ検討中でございます。一応の試案を作っていろいろやってみましたが、いろいろそこにも意見がございまして、最後的には決定は部内でもまだ検討しておりませんが、労働省だけでも早急に結論を出しまして御報告申上げたいと思います。今の事務の段階におきましてのものといたしましては、年令は、三十才以上については加算をつけたらどうか、それから勤続年数については一年刻みでやったらどうか、それから扶養親族加算については、基本額をもととして、たとえば配偶者の場合が基本額の五〇%、その他の扶養親族は二〇%、こういった加算をして参りたいというような考えであります。これは早急にきめまして御報告申し上げたいと思いますが、こういう点は特に考えなければいかぬじゃないかという御意見等がございましたらお教えいただきたいと思います。
#94
○滝井委員 ぜひ一つ今おっしゃったような一つの基準を、年令についても、扶養についても、距離についても出していただいて、そしてそれを上下するところをこの法案が通るまでに出していただきたいと思うのです。それによってまたわれわれの意見も述べさしてもらいたいと思うのです。
 次は、非常に微妙な問題になってくるのですが、「炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域」、この地域というものの範囲を一体どう見るかということです。「多数居住する」というその概念ですね、これは一体どういう工合にあなた方は御説明になるのか。
#95
○百田政府委員 炭鉱労働者が多数居住する地域というのは、これは主として炭住の存在する地域になると思います。それから炭鉱離職者が多数居住する地域、炭住におりますればそれをかぶりますが、そうでないところにおきまして多数居住しておるという場合にはそのものを指定しておる。そこでこの単位としましては、原則として市町村の区域単位で考えていきたい、ただし例外といたしまして、市町村の一部の区域を指定するという場合もあり得ると思います。たとえば最近町村合併等におきまして相当広範な地域になって、特に新しい市におきましてそういうあれがあるわけであります。そういう場合について全部が全部についてこれをこの地域として指定することが適当かどうかという問題も出て参りますので、そういう場合にはその市町村内の一部の地域を例外として指定していく、こういうふうに考えております。
#96
○滝井委員 そうしますと炭鉱労働者、炭鉱離職者が多数居住する地域というのは、炭住のあるその地域、そしてこれは市町村単位か県単位か、たとえば筑豊とか宇部とか、そういう大きな呼称の単位でいくのかなと思ったが、市町村単位だということで、よくわかりました。そうしますと、「多数居住する地域からその他の地域に移住する」という、そのその他の地域ということになりますと、結局その市町村以外ということになるのですね。この解釈からいくと、その市町村以外ならばいいということになるわけですか。
#97
○百田政府委員 これで指定いたしますわけですが、先日も実は齋藤先生から御質問がありましたのですけれども、われわれの原案といたしましては、産炭地域から産炭地域へということは考えておりません。と申しますのは、こうした地域というものを指定いたします理由といたしましては、そういう地域において非常に就職が困難である、他に転出しなければ再就職が困難であるというようなことでございますので、こういう地域を特に指定するわけであります。従いまして、わざわざと申すとなんですが、そういう非常に需要のない、労働市場の条件の悪いところへ行くという場合については、原則として支給しないという建前をとっておるわけです。ただこの前、そうした問題につきましては親切な気持でやらなければいかぬのじゃないかという齋藤先生からの御指摘もありましたので、それらの点につきましてはどう考えるかということもわれわれ検討しておるわけでございます。ここに書きました意味は、指定地域から指定地域以外へ、こういうふうな気持であります。
#98
○滝井委員 そこらあたり、もう少しはっきりしてもらわなければいかぬのですね。まず今あなたのお使いになっておる言葉で、産炭地という言葉があるわけです。これはこの前齋藤さんの質問のときにも産炭地という言葉を使ったのですが、産炭地とは一体何かと思っていたら、今日も産炭地という言葉をお使いになっておる。そうすると、その産炭地というのは炭鉱労働者、炭鉱離職者が多数居住する地域と同じに考えていいわけですか。
#99
○百田政府委員 これは非常に俗な言葉で申しましたが、法律的には炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域というふうに考えております。
#100
○滝井委員 同じだと考えてよろしいということであります。そうしますと、三井の例ばかりとって非常に失礼ですが、今三井が非常にクローズ・アップされておりますから申しますが、三井の希望退職の条件の中に、影響の比較的少ない家庭の人というのがあるのですよ。すなわち退職をさせられても家庭に影響の少ない人というのはどういう人であるかというと、兼業農家、こういうのをいうわけです。この兼業農家の二男、三男が通勤で炭鉱に勤務しておるわけです。
    〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕
そうするとAという村から、最近は皆さん御承知の通りオートバイが発達したわけですが、オートバイで通勤をしてくると、三十分くらいで四里も五里もある先からやってくる。産炭地じゃない。山の中の農家から炭住のある市町村の産炭地にくるわけです。別の市町村から産炭地にやってくるわけです。これはこの二十三条の一項の一号には入らぬわけです。そうしますと、炭鉱は影響が比較的少ないといって首になってしまったわ、今度新しく、じゃ一つ職業訓練を受けて大阪に行こうかといった場合に、君、産炭地にない、炭住に住居がないからいけない、この条文からいくとこういうことになる。そういう場合はこの中に入るでしょうね。
#101
○百田政府委員 この指定地域、これは指定することになりますが、指定地域に入らなければこの解釈では移動資金の対象にはならない、こういうことになるわけです。ただそうした事情が一般的であるかどうか、そうした点も十分具体的な指定に当たっては考えなければいかぬと思います。われわれとしましては、通勤というものは比較的少ないであろう、こういう見方をしておりますが、都市に近いところについてはそういうところもあるように聞いております。こういう点については、さらに指定に当たっては検討をする必要があると思います。
#102
○滝井委員 二十三条に「援護会は、第七条の目的を達成するため、次の業務を行う。」と書いてありまして、別に政令で指定する地域とは書いていないのですね。法律ずばりそのものです。そうしますと、これは筑豊のことをとってはなはだ失礼ですが、たとえば今三井鉱山というのは大牟田のまん中にある。あるいは田川市のまん中にあるわけです。ところが今度はその市を中心にした周辺には郡部があるわけです。そうすると郡部からその大牟田市の炭鉱なりあるいは田川市のまん中にある炭鉱に通ってきているわけです。そうしてその三井鉱山の炭住がどこにあるかというと、大牟田市と田川市にあるわけですから、周辺の郡部からオートバイに乗って通ってくる、あるいは汽車に乗って通勤してくるということになりますと、これは産炭地でない町村から産炭地の市にやってくるわけです。炭住のない、いわゆる人里離れた山の中の三軒屋の中から通ってくることになるわけですが、この解釈でいくと、そのものずばりでだめなのです。通勤の炭鉱労務者というのは非常に多いのですが、しかし産炭地以外の町や村から通勤している労務者というのはこれは入らぬことになるのです。だからこれは何かここにあなた方新しく考えてもらわぬと、同じ炭鉱労務者が非常に不均等な待遇を受ける。これこそ憲法違反です、機会均等じゃない政策は。こういう点はもう常識だと思うのですがね。今三井鉱山なんか、みな農家はやめてもらいたいと言っていますよ。家庭に影響の少ないものは全部希望退職の中に入ってもらいたいと言っていますよ。そうすると、これは希望退職の中に入って行っても、あなたがおっしゃるようにこれに入らないでしょう。
#103
○百田政府委員 そういう事情のあるものにつきましては、この多数居住する地域をどう見るかということになって参ると思います。従いまして先生のおっしゃるように、筑豊というのは大体炭鉱地帯というように言われておるようでございますが、そういう地帯から御通勤になっている人が非常に多いという場合に、これを除外するわけに参らないと思います。従ってこれは、どういうふうな業務方法を定めるかというときに、その実情に合わした措置をとるべきだと考えております。
#104
○滝井委員 これはぜひそうしてもらわないと、この法律の通りにしゃくし定木に読むと、今のような解釈は出てこないのです。そうするとこの法律の条文というのがまずいことになるわけです。だからこれは今の産炭地ということを、この法律の条文でいけば、炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域として、カッコして、通勤着を含むとかなんとかしてもらわぬことには、これはなかなか解釈できないことになるのです。けれども行政解釈として、そういう通勤者というものは当然に入る、こういう御答弁でございますから、それ以上追及しませんが、これはこの条文に問題があるところです。
 次には、職業訓練手当の額は、この前、百三十円が夜間で昼間は二百三十円でございました。これは齋藤さんへの答弁です。そうすると、この職業訓練手当というものは、失業保険と二重にもらえるのか、生活保護との併給というものは可能かどうかという点を御説明願いたいと思います。
#105
○百田政府委員 この法律自体にはそのことは出てきておりません。しかしながら失業保険との関連につきましては、われわれは原則として失業保険の切れた者に対して支給するというような方法をとった方が適当ではないか、こういうふうに考えております。
 第二に生活保護との問題であります。生活保護は訓練手当をもらうことによって減額しないという話し合いがついております。
#106
○滝井委員 生活保護と職業訓練手当は併給をする、失業保険については二重支給はしない、こういうことです。失業保険のことが出ましたから申し上げたいのですが、炭鉱労務者が職業訓練に入るには、定員その他があって全部の希望者が入れない、わんさ殺到していてなかなかだ、こういうお話もありました。ところが失業保険の特別会計は御存じの通り六百億の積立金ができているわけです。そうして今大蔵省は残酷にも、三分の一の国の補助金を四分の一に削ろうとしてその立法を出しております。われわれはあの立法は審議未了だと思っておりますが。しかし余っているわけですから、この際こういう炭鉱離職者に対して、これは駐留軍なんかも同じだと思いますが、失業保険の期間をこの際全部に延長をする必要があると思うのです。金は余っておるのですから、余っておる金を積んでおいて大蔵省から削り取られる必要もないと思いますので、この際一つ六カ月のものは一年くらいに延ばしていく、九カ月のものはさらにそれに六カ月を足して十五カ月くらいに延ばしていく、こういう方途を講じてみたらどうですか。失業保険をこの際延期するというお考えはありませんか。
#107
○百田政府委員 その問題についてはわれわれもいろいろ検討中でございますが、一つの考え方といたしましては、今六百億の積立金がある一方において、金があるから失業保険の給付期間を一般的に延長するということになりますと、これは恒久的な制度になるわけであります。従いまして極端に申し上げますと、年度々々の赤字が六百億の中に食い込んでいきまして、そうして食い込んでしまったあとは今度はずっと永久に赤字ということになって参りますので、恒久的な制度とすることについては相当検討を必要とするかと思います。さらに第二の問題といたしまして、石炭離職者のみに特別措置としてこれを延長するかという問題でございますが、これは現在も失業保険はすべての人について保険料率は同じにしてやっております関係上、特に石炭離職者ということについてだけ特別措置を本法においてとるということにつきましてはいろいろ問題もございます。御趣旨のような点はわれわれもいろいろ考えなければならぬ問題もあると思いますけれども、現在この点につきましてはいろいろな角度から検討中でございます。
#108
○滝井委員 六百億の積立金ができて、大蔵省というか、内閣はこれを削ろうとしているわけです。これを削られる前にいい施策をやるということは福祉国家の目的にもかなっておるわけですから、削られずに出してもらうべきだと思う。そうしてまた現在の日本経済の状態、岸内閣の政策から考えてみても、岸内閣は完全雇用をやっていくのだとおっしゃっているわけですから、まさか六百億の積立金を切って失業者を困らせる意思は岸総理にはないと思うのです。そうして日本経済は神武以来の好景気だと言われておったが、それを上回るほどの景気上昇傾向にある。昨夜も美濃部先生の講義をいろいろ聞きましたが、大体そう今景気というものは行き詰まる情勢にないのです。政府の政策は完全雇用の政策、景気が行き詰まって苦しいのは炭鉱と海運と繊維の一部くらいである。こういうことになれば・炭鉱離職者だけでなくして、全般的に失業者については一年くらい延長しましょうという政策はとってもいいのじゃないかと思うのです。特にこの突破口を、六百億の積立金があって減らそうとしておるのだから、まず隗より始めよで、炭鉱離職者から始めましょう、駐留軍もあれば駐留軍もいきましょうというので、こういう政策というものは重点的にとっていいと思うのです。みんなが失業保険でためた金ですから、失業したときに持っていっても、これは文句を言うはずはないと思います。そのものの考え方は間違っておるので、そのときに炭鉱だけよけいにやるということはいかぬとおっしゃるかもしれないが、炭鉱だけではない。それは駐留軍の離職者にもよろしい、海運にもよろしい、繊維にもよろしいという形だと思うのです。あるいは地域を指定して、災害のために愛知なら愛知によけいに金をつぎ込むように、特にこういう多発地帯のものについては暫定的に一年なら一年を限って、そういう政策をとるという方法もあると思うのです。不公平にならぬような政策は、いくらでも打ち出す方法はあると私は思うのです。そういう意味で、これはこの際この法案と一緒に、ぜひ一つ考えてもらわなければならぬ政策だと思うのです。まあこれはあなた方御検討中だということでございますから、ぜひ一つ検討していただきたいと思います。
 次は、そういう訓練手当や移動資金をやることになりますが、石炭合理化によるところの整備事業団の移動資金と、この移住資金は二重にもらえるかどうかということを一つ……。
#109
○百田政府委員 移動資金と移住資金というのは、多少条件の違うところはございますが、同じ趣旨のところは併給はしない、こういうことになろうかと思います。従いまして、移動資金の場合は、一定の期間以内に炭住を明け渡すということでございます。それからこの移住資金の場合は、炭住に住んでいると住んでいないとにかかわらず、この者が他の地域に移住する、生活の本拠を移すということでございます。同じ目的になるようなところは、その点を調整をする必要があろうかというふうに考えております。
#110
○滝井委員 同じ趣旨のものには併給をしないというその意味がよくわからないのです。御存じの通り、今年五月十五日から八月十四日までであったと記憶をしておりますが、その三カ月間で、それはあともう三カ月くらい延ばすことができるらしいのですが、三カ月間で炭住を――特にその炭住は整備事業団で買い上げられた炭住でなくてはならない。買い上げられた炭住から、しかも遠方にというのはどこまでか知らないが、やはり関西の大阪のような産炭地でないところに出ていった人には一万五千円を上げます、こういうことになっておるのでしょう。これは趣旨は同じものなんですよ。同じものをやらないということになれば、全部やらないということになっちゃうのです。そうすると、片一方は合理化でやるものです。こっちは援護会という別な目的をもってやる方法です。これは同じ趣旨というのは、法律は違いますが、出ていけということでは同じでしょう。産炭地に置いてはいかぬ、散らさなければいかぬ、置いておったら暴動が起こるのだ、こういうことでしょう。だから散らさなければならぬ。散らすということにおいては同じでしょう。そうすると、原則は絶対に併給しないということになるのですか。あなたの今の御答弁では、目的が同じでなければ併給するということをおっしゃるのだが、併給する場合はどうなのか。併給しない場合はどうなのか。
#111
○百田政府委員 移住資金は、法律で炭鉱離職者に実施するものでありますから、一定の条件に合致するものについては移住資金をやるということになります。その場合に、整備事業団が移動資金の方をいかに調整するかという問題があるわけです。その点については石炭局長から……。
#112
○樋詰政府委員 事業団で移動資金、あるいは遠距離加算というのをやってきたわけでありますが、事業団限りでそういうことをするだけでは不十分だということを考慮いたしまして、今回この法律によって援護会を作っていただくということを御審議をお願いするわけでございます。しかもこの援護会の財源は、半分は事業団から渡すということになっております。従いましてこの新法が成立いたしまして、移住資金というものが支給されるというふうになりました場合には、それと重複する移動資金は、これを併給されると同じことになりますので、この今までの移動資金にかわって、移住資金が支給されることになるわけでございます。ただ一つここでお断わり申し上げておきますのは、この二十三条第一項にございますように、たとえば産炭地以外のところに行かなければいかぬという条件がございます。ところが事業団の方の移動資金は、先生御承知のように、炭住を明け渡してもらいたいという炭住の処理促進という意味がございますので、移動資金の方は、たとえば、ただ炭住を明け渡して産炭地内に出ていく、その地域から必ずしも外に出ていかないという人間でも、事業団からの移動資金というものは従来通り支給していきたいと考えております。従いまして移住資金がもらえない者でも、炭住に住んでおってその炭住が買い上げられて、事業団からできるだけ早く出ていっていただきたいというふうにお願いしておる方が出ていかれる場合には、たとい同じ村の中に引っ越しされても移動資金の方は差し上げるということになります。
#113
○滝井委員 そうしますと、買い上げられた炭住を明け渡して同じ村の中に出ていく、それで移動資金はもらえる、しかしその人はまだ同じ村におるのだから移住資金はもらえない、しかし、その人が今度別の炭鉱のない町村に行けば移住資金ももらえるわけですね。さいぜん言ったように、まん中の田川市なり大牟田市から、郡部の全然炭鉱のない農村地帯の町か村に行けばもらえるかということです。もらえるならもらえるとはっきりしてくれれば話はわかるわけです。
#114
○樋詰政府委員 今申し上げましたように、大体本来の移動資金というものにかわって、より手厚い法律的な裏づけのある移住資金というものに衣がえさせたいということからきておりますので、今のわれわれの考えといたしましては、今先生の御引用になりましたような例の場合は、これは正直のところ非常に好ましくないように考えております。ただ、たとえば本人が炭住から出ていって、しばらくそこの地域におって何か職を探して、なくて一定期間炭鉱離職者のような姿になって、しばらくしてからまた外に出ていった場合に、移住資金が出るか出ないかという問題等につきまして、検討の要があると思われますので、その点は検討させていただきますが、いわゆる二重取りというようなことを目的として出ていくというようなことは、われわれとしてはできるだけそういう二重取りにならないように、広く皆さんにこの制度が行き渡るように活用していただきたいと考えております。十分検討したいと思います。
#115
○滝井委員 そこが一番大事なところですよ。それは検討するでは工合が悪いのです。だから私はさいぜん、この距離加算とか基本額のきめ方というものは一体どうするのか、炭住の多数あるところの地域、すなわち産炭地からその他の地域というのは、一体どこからどこまでの地域を言うのかはっきりしてもらいたいと言ったのです。私は今逆の場合を言ったわけです。すなわち田川市という産炭地に、すぐ隣の農村から通ってくる場合は、あなたは認めてくれたわけです。そうしますと、炭鉱が合理化になって、田川市なら田川市にある炭住が買い上げられてあけなければならぬ、これはもう自分の家でないのですから、あけるということは法律上の建前です。今行くところがないからおりますが、どんどんあける人もおります。そうしますと、あけると有無を言わさず移動資金を一万五千円くれる。それをもらって、とにかく村の中に家を見つけて住んでおるうちに、職業訓練に行って電工さんの技術を身につけて、今度は隣の町の九電の住宅に入って九電の職員になった。こういうことになれば、当然移住資金をくれなければいけないですよ。その場合に、それは十万円ではないでしょう。それでは一体幾らになるかということですよ。その額は十万円の三分の一になるか半分になるか、それは二重になってもここで調整ができると思うのですが、それは一体どういうことになるのですか。くれますかくれませんか。
#116
○樋詰政府委員 この点につきましては、さらに主務の労働省とよくお打ち合わせしたいと思っております。しかし、先ほど私は、いわゆるこの制度は二重取りというふうな悪用は避けたいということを申し上げたのでございますが、無技能者が炭住にいつまでも住んでおっては事業団に迷惑をかけるからというので、事業団に迷惑をかけないように出た。そのかわり、自分の将来のためにということで職業訓練所に入って、そこで半年なり訓練を受けて、そして今度は産炭地以外に出ていくというような場合には、今回の法律の立法趣旨からいいまして、支給いたして差しつかえないのじゃないかという気がいたしますが、この点につきましてはさらに今後よく検討いたしたいと思っております。先生の御質問の趣旨をよく体しまして、そっちの方向で一つ検討を進めていきたいと思っております。
#117
○滝井委員 これは通産省も労働省もうかつ千万だと思うのです。私が説明するのは一番多いケースです。なぜならば、整備事業団は、まず第一に炭住をあけてくれという要請をみな労働者にしますよ。炭鉱の合理化で炭住を買い上げたら、まず出てくれということが第一です。五月の十五日から八月の十四日までに出なさいよと期限を切っておるのですから、期限内に出なければ一万五千円もらえぬのですから、みな期限内に出てしまう。エビでタイをつっておるわけです。エビでタイをつっておって、今度はその人が産炭地以外に行ったら、あとの十万円はだめだということはいわれない。ですからこれはどうしても二重払いになるのです。これは二重払いが原則ですよ。二重に払わぬということの方が作為的です。どうですか。それは二重払いにすることが原則です。何か趣旨が同じならとかいうようなあいまいな答弁ではだめですよ。
#118
○百田政府委員 移住資金の関係からいいますと、先ほど私が御答弁申し上げました通り、この要件に合致する者につきましては支給するということになるわけであります。ただ目的の同じものといいますか、そういう点についてどうかという点には調整の必要があると申し上げましたのは、移動資金につきましては、今先生のおっしゃったような事例が善意で行なわれるといった場合は別に問題はないと思いますが、移動資金の場合におきましても扶養家族を有する者とそうでない者とは区別がございます。片一方には扶養家族の加算金等もございますので、そうしたところにおいてはダブっている面もあるのじゃないか。それから遠距離に移動する者についてはどうこうということもあります。そういった点につきましては調整の必要があるのではないか、こういうことであります。
#119
○滝井委員 そうしますと、基本額についてはダブっても差しつかえないわけですね。一万五千円なら一万五千円、そのほかに、関西とか東京に行く場合には、プラスの一万円とかなんとかいう遠距離加算がつくのですよ。その者については、これは隣に行くのですから初めからつかないのです。隣の町に住む、あるいは同じ村の中に住むのですから、炭鉱のあるところに住むのですから、それはつかないと思うのです。私の言うのは基本額について言っているわけです。そこで今度はいよいよ隣の町に行って就職をした、こういう場合には二重にもらえるのでしょう。そこだけはっきりしてもらえればいいのです。
#120
○百田政府委員 この趣旨は、御承知の通り、炭鉱労働者または炭鉱離職者が多数居住する地域からその他の地域に行くという場合に移住資金を支給する、その場合に基本額はどう何がどうこうということをきめていくわけであります。その場合は当然基本額というものに必要な加算はつけられる、こういうことであります。
#121
○滝井委員 この援護会の目的は、炭鉱離職者に対して再就職及び生活の安定に関する援護を行なうことが目的なんです。それから整備事業団の方の移動資金は、炭住から出ていってもらうことが目的なんです。目的は違うのですよ。従って炭鉱労働者、炭鉱離職者が多数居住する地域というものが一つあって、その他の地域というものは一体どう見るかという点が問題なんです。あなた方は、多数居住する地域というのは行政区でいく、市町村単位でいくとおっしゃったから、隣の町や村に行けば行政区は違うわけですから、そこに炭鉱がなければその他の地域になるわけです。そうでしょう。炭鉱があれば、これは別かもしれません。炭鉱があったらいかぬのでしょうね。その二つの場合がある。炭鉱がない隣の町と、炭鉱のある隣の町と、二つあるのですが、炭鉱のあるときはどうなのか、炭鉱がなかったらよろしいのか、これだけはっきりして下さい。
#122
○百田政府委員 炭鉱があったらどうか炭鉱がなかったらどうか、この点は、炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域として指定する指定のやり方になると思います。従いまして私は、通常の場合、そこに通勤であろうと多数居住しておるというような状態にある場合、離職者もおり、炭鉱の労働者もそこから通っておるという状況のところは当然指定していくべきだろうと考えております。従いまして、その点につきましては、特に実情に即した指定の仕方をすればいいのであって、市町村区域で指定するからといって、その市町村区域の指定の結果が、その区域全体を指定するような結果になるかもしれません。それは実情によって地域の決定をしていくべきだと考えております。その点につきましてそうめんどうな問題は起こってこないのじゃないか。また今の先生のお話でございますが、石炭局長から申し上げましたのも、二重取りになるとか、そうした意図のもとにやるということは何とか調整したいという気持で言っておるわけでございます。現に五月からああいうことを始めておるわけなんですが、すでに早く炭鉱住宅を引き渡せというようなことで、すぐ隣かどうか知りませんが、少なくとも指定地域に居住しておって、今度訓練所ができたからそこに入って、広域職業訓練の線に沿ってどこかに就職するという場合もあり得るわけであります。これは当然移住資金を支給していくべきものだと考えております。
#123
○滝井委員 それが隣の町でもよろしいかと言っておるのです。その隣の町というのがあなたの言う産炭地だったら、今のような解釈でいくとだめになってしまうのです。そうしますと、あなた方の今までの説明では、同じ労働者でありながら、一方は遠距離加算を別につける、距離の近かったということでその労務者はもらえない、こういうことになる。だから問題は、この多数の炭鉱労働者や離職者が住んでおるということを、市町村単位でいくのか、それとも筑豊という広い地域でいくのかということによって、移住資金の支給の状態がずいぶん違ってくるのです。今までくどくどと私が言ったように、どうもそこらあたりが、詰めていくと、あなた方の答弁はうやむやになるのですが、どうですか。この二つの場合がある。Aという町に住んでおる。産炭地です。ところが、隣の町に職業訓練を受けて就職していく。その場合、この隣の町が炭鉱のないところなら産炭地とはいえない。行政区でいく。しかしたまたまそこに炭鉱が一つでもあれば産炭地になるわけですから、あるいは産炭地というのは、最近の状態では別の解釈が出てくるのです。今までは炭鉱があった、そしてもうそこには住み得ないのだ。ところがほとんどもうどこの炭鉱も息が絶えて、どこもやっていない、離職者が炭住に住んでおる、これを産炭地というかどうかという問題が出てくるのです。こういう厳密なところまでこれをやっていないとどうして困るかというと、筑豊炭田全部困るのです。移動資金をくれるかくれないかということになると、そこらあたりが問題になってくるのです。だから産炭地というようなものについても、現在すでに動いてない、全部死滅している炭鉱で、そこはもぬけのからで、労働者だけが住んでいるという産炭地もあるのです。これはやはり産炭地というのです。この点については一体どう見るのか。だから三通りあります。隣の市町村が全然炭鉱がないという場合が一つ、炭鉱があったんだけれども、もう現在は失業者だけしかいないというところ、それから現実に一つか二つかまだ炭鉱が動いている場合、こういう三つの場合があるので、この三つの場合に、一体どの場合には移動資金を適用して、どの場合には適用しないのか、全部適用してくれるのか、これを一つ一つ言って下さい。
#124
○百田政府委員 原則として市町村の区域と申し上げましたために、その点の問題が出て参るわけであります。こういうふうにやりました趣旨は、その地域において、主として炭鉱がそこの経済の重要収入になる。そこに離職者が大ぜいいる。その地域での労働使用の状況では、その地域ではなかなか就職しにくいというような状態、従って日本におきましても、労働市場区域というものが外国みたいに明確でございますれば、そういう区域の指定の仕方があり得るわけです。従って私は、原則として市町村の区域と申し上げましたけれども、その地域の実態によっては指定の仕方は変わってくる。例外としては、あるいは市町村の区域の指定もあろうし、あるいはその町村を含めた何々郡という指定の仕方もあるであろうというふうなことを申し上げておるわけでございます。従って今ここに炭鉱がない、かつてはあった、離職者がたくさんおる、ここは私は当然入れるような区域の指定の仕方をいたしていかなければならぬというふうに考えております。
#125
○滝井委員 そうしますと、その地区に新しくセメント会社が興った、全く違ったものが興ってきた。筑豊炭田は石炭とセメントしかない。白ダイヤ、黒ダイヤしかないのですから、セメント、いわゆる石灰工場が囲った。そうすると、職業訓練を受けて石灰工場に就職をした、こういう形になると、あなたの今の解釈でいくと、その人はもらえないのですよ。私はそれでいいかというんです。あなた方は広域々々で、東京、大阪と言うけれども、筑豊炭田で長らく飯を食った者が、すぐに親類縁者を捨てて大阪や東京には行けませんよ。今広域就職で六百何十人か行ったと言うけれども、家族を連れてきていません。みんな家族は筑豊に置いてきている。本人だけしか来ていない。それはどうしてかと申しますと、さいぜん申し上げましたように、道路工事とかトンネル工事にみな来ているんです。だから飯場に親を連れてくるわけにいかぬですよ。そういうのが実態でしょう。そうすると、やはり人情としては近くに何か仕事を探して、そこにつくというのが人情になるのです。またそうやることが政治ですよ。あなたも地域の開発とおっしゃった。筑豊炭田の深部開発というような問題、あるいは遠賀川汚水処理公団を作るというような問題をすぐにやれば、何千人という労働者が働けるわけです。そうすると、そういうところに行ったときは、それも相当長期のものに行ったときには、だめだということになると、この援護会の一番大事な移住資金というものは、非常に限られたものしかいかぬ、こういう結果になる。どうもそこらあたりがまだ百田さんと樋詰さんの意思統一が十分できておらないようですけれども、もう少し私が言ったような例で検討して、こういう場合はやる、こういう場合は十万円はやらないということを一ぺん意思統一して、これは午後でもけっこうですから、もう一ぺん答弁して下さい。今はっきりできればけっこうです。
#126
○百田政府委員 移住資金と申しますのは、そこから移住をするということで、移住を要しない、あるいはその地域で産業が興って、そこで就職できるということならば、私はこういう移住資金というものを支給する必要はないと思います。
#127
○滝井委員 援護会の目的は、移住させるために援護会ができるのでなくて、炭鉱労働者に対して、特にその離職者に対して、再就職及び生活の安定に関する援護をやるのです。よそに追っ払らうのが目的じゃない。だから、そこで技術の訓練をして隣の町で職業についたら、これは生活の安定を得たんですから、移住資金をやってもいいじゃないですか。これをやって悪いということになれば、じゃどういう工合に産炭地というものを指定しますかという、こういうもとの私の質問に返ってくる。だから、あなたが市町村だとおっしゃるから、じゃ隣の町はよろしかろう、こういうことになる。私のこの質問によって、まず百田さんの産炭地の解釈はぐらつき始めたわけです。筑豊を指定するかもしれない、地域によって違う、地域によってああでもこうでもということになると、これはなかなか問題が出てくるのですよ。だからそこらあたりもう少し意思統一をしてはっきり答弁をしてもらわないと、ここがこの法案の一番大事なところですよ。十万円の移住資金がどうなるかということ、どういう条件ならもらえるのか、これをみんな知りたがっておるのです。今のような御答弁ではどうもはっきりわからぬですよ。どんな場合にもらえるのか。私の言った三つの場合について、もらえないならもらえない、もらえるならもらえる、それは関西かなんかに行かなければだめなんだ、こういうことを言ってもらえばはっきりわかる。じゃもっとわかりやすいところで言いますと、こういう場合はもらえるでしょう。宮崎から筑豊炭田に仕事にやってきた。そうしてまた宮崎に帰る、これは当然もらえるわけでしょう。
#128
○百田政府委員 もらえます。
#129
○滝井委員 そうしますと、宮崎でもらえるのと隣の町でもらえるのとの違いはどこにあるかというと、距離だけの違いですね。
#130
○百田政府委員 これは距離だけの違いです。従って私が問題にいたしておりますのは、どういう地域をこの地域としてきめるかというところになるわけでございまして、そこは別に私がぐらついたというわけでじゃなくて、法律でこういうふうに書いて、特に何か具体的な地域を指定いたしませんのも、これは業務方法書で書かせることによってその地域の実態に即したやり方をいたしたいという意味で申し上げておるのでございます。
#131
○滝井委員 法治国家の法律というものは、何ものよりも仕事をする上にものさしになるわけですよ。あなたの方は、二十五条によって移住資金の支給の基準及び支給の方法を業務方法書で決定しなければならぬ。その場合に、「多数居住する地域からその他の地域に」とこうなっておるのですから、多数居住する地域とその他の地域は別でなくちゃならぬ。そうすると、その他の地域とは一体どういうものなんだということになるのです、私の質問を簡単に要約すれば。そうすると、その他の地域というものは、今言った宮崎ははっきりしてきた。関西もはっきりしてきた。隣の産炭地でない町はどうなるかというと、宮崎にやって、産炭地でない隣の町にくれないはずはない、こういうことになります。これは距離の違いだけになる。そうすると、その場合には距離加算というものだけ減らしたらいいのじゃないか、筋はこういう議論になるのです。
#132
○百田政府委員 隣の町がこの地域の指定に入ってないというのであれば入ります。移住資金の支給の対象になるわけです。
#133
○滝井委員 隣の町が指定の地域に入っていないということになれば入るというのですが、それならば、多数居住する地域というのは何によってきめるか、炭住によってきめる、こうおっしゃる。隣の町には炭住がないのですから、だからその他の地域に入るのじゃないですか。だから、どっちかをはっきりしてくれれば、あとの方がはっきりするのですよ。多数居住する地域というのは、居住ということを書いてあるからには炭住がなくてはならぬ、住居がなくてはならぬ。住居のある地域が、それが多数居住する地域です。そして隣の住居のない地域は、その他の地域になるのじゃないですか。それは、社会党と共産党は紙一重で、だから社会党と共産党は一緒だという議論と同じです。紙一重でもあるのですから、社会党と共産党は違うわけです。それを世の中の人が、社会党と共産党は紙一重だから、社会党と共産党は一緒だというのと同じ議論をあなたはしておる。法文にはちゃんと書いてある。だから、まずあなた方が多数居住する地域の定義さえはっきりしてくれれば、その他の地域の定義ははっきりしてくるのですよ。多数居住する地域はどこだと言ったら、産炭地だとおっしゃる。しかも鉱産税やら住民税やら、みなその地域を中心にして、その市町村を中心にして行なわれる。ところが、隣の町に坑道でもあって、そこに何軒か炭住が建っておる、こういうのは、私は産炭地でよろしいと思うのです。ところが町村といっても、町村合併をして広くなってきたのです。たとえばわれわれのところに添田という町が彦山という山の下にあります。ところが、彦山のふもとに上添田炭鉱があって、やめてしまった。失業者はまだそこにおりますよ。「世界」のグラビアに載っている。有名なところです。一番早く合理化にかかったところです。ところが町のまん中では炭鉱は動いております。山の中には失業者がたくさんおってどうにもならぬという状態にあるわけです。こういう特殊なところもあるわけです。だから、産炭地といっても、市町村単位に指定すれば、相当これは広くいうわけですが、炭住の、今の山の中の閉山になった地区の諸君というものは、町まで来るのに一里以上ある。町にいって就職する場合に、そういう場合まで適用しろとは私は言わない。そういう場合でも適用してもらえればなおいい。しかし、隣の町といっても、山越え谷越えて行かなければ隣の町にならないかもしれない。だから、そこらの解釈をもう少しはっきりしてもらわぬと、筑豊炭田といったって広うござんすで、山があり谷があるわけなんですから、隣といったって、そうすぐ手の届く隣じゃないわけです。だから、もう少しあなたの解釈をはっきりしてもらわぬと、どうもあなた方のようなやるがごとくやらざるがごとく、やらざるがごとくやるがごとき答弁じゃ困るのですね。これはもう少し意思統一をして、統一的な答弁をしてもらいたと思います。
#134
○百田政府委員 その点は、実ははっきり意思統一いたしておるわけでございます。ただわれわれの運用といたしましては、できるだけ有利に持っていきたいという気持があるわけです。そこでこれを指定する、鉱区を指定する、さっき私が町村合併その他で広くなった一部を指定する場合もあると申しましたのは、たとえば山口県の宇部等を考えてみた場合にちょっとあるわけです。炭鉱離職者が宇部の市のまん中に移住して、宇部の何かに就職するという場合に、宇部市としてはその人に何にもできなくなる。それじゃ気の毒だ。逆にあまり狭く指定いたしますと、先ほどのお話のように、すぐ近所から通勤しておった連中があれにならなくなる。それでは気の毒である。その辺の実態を見て指定すべきであるというふうな考え方が底流にあるわけです。従ってこれを定木できしっとやるような工合に今ここできめる必要はないのじゃないかというふうな気持をそこに盛っておるわけです。
#135
○滝井委員 どうも産炭地からその他の地域に移住するという、産炭地の定義と申しますか解釈、その他の地域の解釈というものは、どうも今の説明じゃ納得がいきません。もう少しわかりやすく一つ説明をしてもらいたいと思うんです。これはこの法案の中の一番大事なところだと私思います。
 その次には宿泊施設の設置の場所その他の構想、どういう構想をもって宿泊施設をやるのか。それから労働者に貸与する宿舎、これは事業主に貸すことになるんですが、その貸付の条件、それから生業資金の借り入れのあっせん。一体この資金源はどこに求めるのか。国民金融公庫にでもするのかどうか。その貸付の条件と申しますか資金源、それからその貸付の条件、こういうような点はどういう工合にお考えになっておりますか。
#136
○百田政府委員 三号の「職業訓練を受ける炭鉱離職者の宿泊施設を設置すること。」これは職業訓練所に寄宿舎を付設するという形で実施いたします。そこで現在の計画といたしましては、先ほど二億円で四カ所について総合職業訓練所を拡充すると申しましたが、これに一千人でございますが、この宿舎を設置する、こういう計画でございます。それから四号の労働者用の宿舎でございます。これは職業安定機関におきまして、できるだけ事業主に対しまして炭鉱離職者を雇い入れるように勧奨するわけでございますが、その場合において、雇い入れるのはいいが宿舎が十分でないというような場合がございますれば、主として移動式住宅、パイプ住宅でございますが、これを無償で事業主に必要な期間貸し付ける、こういうふうなことを考えております。それから金融の生業資金の借り入れのあっせんでございますが、具体的には国民金融公庫その他になろうかと思いますが、これは借り入れのあっせん、大体炭鉱離職者が何らかの事業を興したいというようなことの場合に、どうしていいかわからない、どういうふうにすれば借りられるかわからないというようなこともございますので、そういう借り入れの主として相談に乗り、またそういうところに口をかけてやるというようなサービスをやる、こういうことでございます。
#137
○滝井委員 その二十三条の七号の生業資金のあっせんが、今の点の相談に乗る程度では、だれも貸してくれませんよ。炭鉱離職者で今やめる多くの人たちは、大がい借金があるわけです。借金があるので、その退職金を借金に充当してやめよう、こういう人が多いわけです。あと残るのは裸一貫です。何もないです。中小炭鉱をやめた離職者の家に行ってごらんなさい、何にもないから。それこそ何にもないです。ある人もあります。ある人もおるけれども、何にもない人もおるんです。あるのはなべ、かまと古びた衣服みたようなものだけです。そういう人に生業資金のあっせんをやるのですから、やるとすれば、これから国民金融公庫か何かに、それらの人に貸すだけのワクをとってくれといっても、なかなか大蔵省、この前だいぶこのワクの問題でやりましたが出すとは言いません。言いませんが、やはり炭鉱離職者の借入金のあっせんをやるならば、援護会が保証くらいに立ってやる気持がなければとてもだめです。いわゆる信用保証を援護会が見てやる。そのワクは何万円くらいまでは見てやる。しかしそれはきちっとある程度の保証人を連れていらっしゃいとか、物を担保にしてというようなことは不可能です。だからこの七号の、規定の一番大事なところは、全く書いてあるだけのことになってしまう。だからこれは信用保証でも援護会がある程度やってやる。むしろ援護会の金で貸すのだというようなところまでいかないととてもだめです。だから援護会の中に別に資金をとって、それも何億とする必要はない。試みに二、三千万円の金をとって貸す。確実なる事業計画が出て見通しがあれば貸しましょう、これくらいの積極性がないと、援護会というのは移住資金を出すだけの機関になってしまいますよ。私はむしろ移住資金をやるということよりも、ほんとうに生活指導をしたり、職業訓練をしている間家庭を見てやる、あるいは新しく立ち上がろうとするならばその金も貸してあげましょう、このくらいの積極的なものに援護会が動かないとだめではないかという感じがするのですが、そういう点、政務次官どうですか。援護会は資金のあっせんでなく金を貸します、そのワクはわずかでもいいから試みにとってやったらいい。たとえば世帯更生資金のように事業計画を持ってきて、これの見通しがいくというならば貸してやる。そして貸してやったあとの生活指導もやる。それは指導員が回って見てやったらいい。あまり国は損をしないように、損をしないようにということで――もちろん税金ですから損をしてもらっては困りますが、ときには五重の塔のてっぺんから目をつぶって飛びおりるくらいの勇気がやはり政策の中に必要だと思うのです。これでは一つも勇気のあるところはないですよ。今の移住資金の問題でも、だんだん論議をしていくと、どうも固くなってしまうということがあるのですが、どうですか。
#138
○赤澤政府委員 微に入り細をうがっての質疑なんですが、実は私どものこの立法の趣旨は、ずいぶんあたたかい気持でこれを作ったつもりであります。ただ微に入り細をうがって規定しなければならない法律もありますが、かえって大筋をきめて、最後は行政に大幅に移譲するという方がいいこともあるわけですから、要は私は実績を上げることだと思うのであります。実績を上げるというのは何かというと、失業者を追っ払うことではないのであって、一人々々についてやはりあたたかい援護を行なうということで援護会を発起したつもりであります。そういうことでありますので、これはもちろん国民の血税も入っておりまするけれども、寄付金も相当入ってくるわけでございますので、この質疑の間に大体運営というものを明らかにした方がいいのではないか。先ほど滝井さんは修正案を出すとか、いろいろなことを言っておられましたけれども、あまりこまかく縛ってしまうことはかえってまずいんじゃないか。今いろいろ質疑の間に私感じたことですが、この移住資金の問題にしても、ダブって一向差しつかえない。一人々々のめんどうを見る生業資金の借り入れのあっせんにつきましても、お説の通り、信用のない人には、お互いに知っている通り、金の出道はないわけでございます。これには各県に信用保証協会等もございますから、ここに信用供与をするなり、積み立てをして信用を与えてもいいですし、さらに一歩進んで援護会の金を直接貸し与えることもいいと思います。また先ほどから問題になっております地域の指定の問題ですけれども、これも町村でしぼるとか、安定局長もいろいろ部内で検討しておりますことの一端を漏らしておりますが、これもあまりしゃくし定木にやりますと、かえって滝井委員の指摘される通り、こまかくすればするだけ変なものが私は出てくると思うんです。だから要は、やはり離職者が転業をする、しかも遠くに行く場合には、おっしゃる通りに身の回りを整理して、転宅でもしようと思えば借金の整理もしなければならぬし、いろいろな問題が出てくる。そういう問題を解決するためにこそ、先ほど滝井君が言われました、これを運営する上において諮問機関も要るじゃないか、あるいは運営委員会的なものも要るじゃないか、私はそういうことを実は内々予定をしているわけでございますけれども、あまりこまかくこれを責められますと、今の段階では政府委員の方でも答弁いたしますのに困る面も出てくるし、それがまた将来になって大きな禍根になってもいけないと思いますので、その精神だけはぜひ滝井さんもおくみ取りを願いたいと思います。
#139
○滝井委員 赤澤政務次官が名答弁をしてくれましたので、大体私の気持はわかっていただいたようであります。事業団から出す移動資金、それからこの法案から出ていきます移住資金の関係、それから同時に生業資金の借り入れのあっせんについても、これは結局文章だけに終わる可能性が十分あると思うのです。むしろこの際勇断を持って、援護会がある程度の金を出すことができなければ、あるワクを限って損失補償を――それは中小企業に銀行がやるように七割とか八割とは申しません、五割ぐらいでもいいと思うのです。何かそういう独立自営の業をやろうとするならば、資金の借り入れについては、これは単なるあっせんでなくて、もう一歩も二歩も踏み出ることが必要だと思います。これは整備事業団等の関係になりますが、本会議のベルが鳴りましたから、これでやめましょう。
#140
○永山委員長 本会議散会後まで休憩いたします。
    午後一時二十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十四分開議
#141
○永山委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。
 質疑を続行いたします。百田政府委員。
#142
○百田政府委員 先ほど午前中に御質問のありました点につきまして答弁を保留しておった点を申し上げます。
 第一に炭鉱離職者の職業紹介の産業別の状況でございますが、建設業が三百二でございます。鉄鋼業が百二十四、機械器具製造業が百二十七、運輸通信業が九、窯業、石採集業が二十五、その他が八十二となっております。その他と申しますのは、化学工業、ゴム製造業、木製品製造業、食製品製造業、繊維業、サービス業、そういったものでございます。計六百六十九。
 さらにもう一つの問題は、石炭鉱業の求職者で、前職のある者がどの程度になっておるかということでございますが、労働異動調査によりますと、新規求職者の前職の経歴別を見ますと、総数におきまして、未就業者が全産業につきますと四九・六、その他が五〇・四となっておりますが、そのうち、既就業者を一〇〇といたしまして全体の一一%が前職の経験のある者、こういうことになっております。石炭鉱業につきましては、新規入植者一〇〇に対しまして、今まで全然就業したことのない者が一六・一%。それからすでに何らかの職業についておった者が八三・九%でございます。その全体の一〇〇のうちに、かつて石炭鉱業におったことのある者というのは四一%となっておりまして、その他のものについてみますと、繊維が一五・五%、化学が二一九%、鉄鋼が一八・二%、機械が一九・四%、これらに比べますと、石炭におきましては非常に大きな比率を占めております。以上でございます。
#143
○滝井委員 次に、少し急いでおもな点だけやらしてもらいます。援護会と石炭整備事業団との関係をちょっとあとで触れることにして、この法案の続きで、二十三条の二項のところを少し御説明願いたいと思うのです。それは、次の各号に該当する炭鉱離職者に対して、前項の第一号、第二号に掲げる業務並びにそれに付帯する業務は行なうことになるわけですが、当該離職者がその者の都合によるものでないという、こうなんですがね。希望退職者はこの法律の離職に入るか入らぬかということです。現在希望退職というものが非常に行なわれているわけです。これは「その者の責に帰すべき重大な事由又はその者の都合によるものでない」と、こうなっているのです。それに入るか、入らぬか。
#144
○百田政府委員 「その者の都合によるものでない」、いわゆる任意退職でございますが、これの解釈といたしましては現在、今までもございましたけれども、企業整備等におきまして、いわゆる指名解雇を避けまして希望退職という形で企業整備を実施しておるというものにつきましては、形はその者の希望でございますが、こういうものにつきましては、いわゆる任意退職ではないということで、失業保険法の取り扱いにおきましては、正当の事由による任意退職であるというような考え方をしておりますので、それと同様の方針で扱う、こういうことでございます。
#145
○滝井委員 そうしますと、これは炭鉱離職者としての対象になるわけですね。
 次は、今問題になっておる職場活動家、あるいは業務阻害者、これは今度炭労なり三鉱連と、三井鉱山なら三井鉱山が激突をしていく。そしてしゃにむに首を切った場合に、それは重大なるその者の責に帰すべき事由になるのかどうかですね。
#146
○百田政府委員 職場活動家であるとか、業務阻害者であるということだけで解釈するわけに参りませんが、その離職が、その者の責に帰すべき重大な事由によるものかどうかということで決定すべきものだと思います。その者がいわゆる懲戒解雇であるという場合には、その者の責に帰すべき重大な事由があれば、この者は該当いたします。単なる職場活動家であるということで離職したということでは、必ずしもこれに該当しない、こういうふうに考えます。
#147
○滝井委員 今の中山あっせん案が出まして、そのあっせんがうまくいかない。従って経営者と労働者が実力でやめる、やめぬの問題を決定しようとしておるわけです。そうなった場合に、単なる離職といっても、そこに指名解雇というものが出てくるわけです。あれは段階があって、希望退職、勧告、そして指名と、だんだんきておるわけです。だから指名までのものも、この法律の対象である炭鉱離職者になるのかならぬのかということですね。これはやっぱり非常に重要なところなんです。これは一人、二人じゃないのです。何百人という指名解雇者が今後出る情勢ですから、そういう場合に、そういう人は対象になるのかならぬのかという問題ですね。
#148
○百田政府委員 企業整備の場合には、先ほど私が申し上げましたように、希望退職と指名解雇と二つの場合があり得ると思います。単なる企業整備の一手段として指名解雇ということであれば、この対象になる。懲戒解雇という場合になりますと、その者の責に帰すべき重大な事由によって解雇されたということであって、これの対象にはならないのでございます。
#149
○滝井委員 指名解雇というのは懲戒解雇の範疇に入らない、皆さん方はこういう解釈ですか。
#150
○百田政府委員 指名解雇イコール懲戒解雇ということにはならないと思います。
#151
○滝井委員 その場合に指名解雇をした、ところが今御存じの通り、あの炭労の実態というのは、なおどんどん坑内に下がっていっています。坑内に入っていって、そして仕事をみんなが守りながらやっている。炭鉱側は就業を拒否しようとするし、労働者は入っていこうとするわけです。そうすると指名解雇をしておったが、そういうことをやったというので懲戒解雇に切りかえる可能性もあるわけです。そうしますと、そういうものが何百人と出る可能性もあるわけです。今、三池炭鉱三百人と言われておりますから、ここらあたりは全部今度は指名解雇を懲戒的なものに切りかえると、非常にこれは懲罰的なにおいが強いわけです。指名解雇というのは、単なる言葉の上では指名ですけれども、職場を阻害をするから君らは解雇だ、こういうのは懲罰的なものです。実を言うとそういうにおいがするわけです。そこらあたりは表面に出てきたところは、きちっとした解雇理由にはよるだろうと思う。単なる指名ならば、それは炭鉱離職者のこの法案の対象になって、失業対策その他を受け得る。しかしそうでないとこれはだめなんだ、こういうことになると、これは今後この法案の解釈によって非常に重大な問題が起こってくるわけです。そこらあたりをもう少し明白にしてもらいたい。指名解雇というのは懲罰的なものを含んでおるのです。なぜならば、それは職場阻害者なんだから力で解雇するわけです。そうすると、単なる指名解雇はよろしいと、こうおっしゃっておるのですが、指名というのは懲戒的なものが入っておると私は思うのです。
#152
○百田政府委員 実はこの法律の適用上どう解釈すべきかということにつきましては、私はその実態によって判断すべきだと思いますので、軽々しく申し上げられないと思いますが、その前提といたしましては、第一に、基準法上の解雇予告の条項との関連もあります。第二は、労働協約上の退職金をやるとかやらぬとかいう問題もあるわけです。そういった点が第一に問題になろうかと思います。本条項の適用につきましては、その実態によって、しかもそれがその者の責に帰する重大なる事由であるかどうかということによって、それらの他の事情も勘案しながら判定していく、こういうことになろうと思います。
#153
○滝井委員 指名解雇でも懲戒的な意義をたとい経営者で含めたとしても、この法律の解釈によって対象になり得ると解釈して差しつかえありませんね。
#154
○百田政府委員 差しつかえございません。
#155
○滝井委員 それだけ言っておけば、あとは労働問題になりますからそれ以上申しません。そうすると、この法律は三十年九月一日以降の離職者に限っておるわけですね。これは一体どうして三十年の九月一日以降としたのか、むしろこの際もう少し前にさかのぼることができなかったのか。三十年九月
 一日というのは、石炭鉱業合理化法との関連でそうしたのですか。その点はどうですか。
#156
○百田政府委員 すべての石炭離職者に対して適用することはもちろん望ましいと思いますけれども、これを無限にさかのぼるわけにも参りません。どこかで区切りをつけるということであれば、石炭鉱業合理化法施行の日をもってやっていくのが適当ではないかということでもってこの目を選んだわけでございます。
#157
○滝井委員 そうしますと、一応三十年でよろしかろうと思いますが、三十年にしても約四年程度過ぎておるわけです。その間にいわゆる新たに安定した職業についたという者は入らぬことになるわけですね。
#158
○百田政府委員 これは四号におきましては、法律の施行後において新たに安定した職業についたことのないこと、従って四年間におきまして何らかの職にはついたけれども、その後におきまして現在離職しておるという者については、この法律からは適用になると思います。
#159
○滝井委員 この条文は、二条の2の「職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態」という文句とうらはらの関係になるわけですね。だから、従って私はこの前、職業が著しく不安定であるため失業と同様な状態ということをだいぶん押し問答したわけです。そうすると、今度はこの法律の施行後に新たに安定した職業ということが問題になるわけです。安定した職業とは一体何かというと、緊急就労対策事業の賃金が三百八十円か三百五十円程度だったですね。三百五十円程度以下であれば、これは安定した職業でないと言えますか。この前、著しく不安定な職業というのは、日々雇われる日雇い労務者は不安定だとおっしゃった。これは平均が三百六円です。そうすると、そういう程度以下のところは不安定だと、こうなった。ところが今度は安定した者だといっても、筑豊炭田の今の状態では、緊急就労対策事業ができて、三百五十円とか三百八十円の賃金ができると、今の自分のやっておる仕事よりそれの方がよいということになると、安定とか不安定とかいうことは相対的な問題になるわけです。従ってその場合には、自分はぜひそちらの方に行かしてもらいたい、緊急就労対策事業につかしてもらいたい、こういう形になると、その者にとっては、今の職業というものは、新しく生まれるであろう三百五十円の緊急就労対策事業より不安定な職業に、その者から見ればなるわけです。その場合に、あなた方の方から見たらそれは一体どうなんだ。こういう線がやはりはっきりされなければいかぬと思うのです。
#160
○百田政府委員 この安定、不安定の問題は、単に賃金だけのことからは私は言い切れない問題じゃないかと思います。もちろん、いかなる産業といえども未来永劫安定するということは言い切れないと思いますので、これはやはり社会通念上考えなければならぬのじゃないか。そこで、緊急就労対策事業につきましては、ここにも書いてございますように、職業紹介の措置によっても職業につくことのできない人たちに暫定的に就労の機会を与えるという意味でございますから、三百五十円でありましても、三百八十円でありましても、これは安定したとは称しにくいというふうに考えております。的百五十円より安くて、いわゆる常識的に、三百四十円でございましても、それが社会通念上考えられるところの安定した、いわゆる常用的なものであるということであれば安定した職業と言い得るだろうと思うのであります。
#161
○滝井委員 そこらあたりは、「著しく不安定であるため失業と同様の状態」という解釈と同じように、行政上の問題として弾力を持って解釈していただきたいと思います。
 そこで次は、こまかいことを抜かしまして、三十六条の二に参ります。三十六条の二というのは、附則の十五条にある三十六条の二です。援護会に対する交付金です。「事業団は、援護会に対し、その業務に必要な費用に充てるため、政令で定めるところにより、通商産業大臣が定める額の交付金を交付しなければならない。」こういうことになっておるわけです。これは、整備事業団はどういう時期に交付金を、どういう方法で援護会に交付することになるのですか。
#162
○樋詰政府委員 ただいまの御質問の意味をお聞き返ししてはなはだ恐縮でございますが、たとえば毎四半期ごとに交付金を交付するというふうにするのか、あるいは当年度当初に一年分ぽっきりやれというふうに定めるのかといったような意味でございましょうか。――大体今のところは、その後さらに労働省と実際にはよく相談してきめたいと思っておりますが、一応毎四半期ごとに計画を立てまして交付するというふうにしたい、そういうふうに考えております。
#163
○滝井委員 今度援護会の経費に三億円出しておるわけでしょう。そうすると、それはこの事業が今年度発足するにあたって、一挙に三億円出すのですか。それとも分割して出すのですか。
#164
○樋詰政府委員 この法律が成立いたしまして実際に援護会が発足するといいますのは、やはり早くて今月中旬以降になるではないかと思われます。それから具体的に若干内部的な手続等を済ませまして、実務に入りますのはやはり一月早々、早くても年末非常に押し迫ってからということになると思われますので、今回の三億円はほぼ一・四半期分というふうに考えまして、これは設立に初度経費もございますから、大体一度に交付するという格好でいきたいと考えております。
#165
○滝井委員 そうしますと、通産省としては、一カ年を通じで援護会に十二億くらいの金を出すつもりなんですか。どの程度のお金を出すつもりですか。
#166
○樋詰政府委員 三十四年度は御承知のように三億出しまして、国の金と合わせて六億の事業をやりたい、こう思っております。三十五年度につきましては、これはこの前申し上げたと思いますが、大体三十五年度どれだけの要対策者があるかというようなことを今関係各省の間で検討しておりますので、三十五年度の予算の作成の過程におきましてそれをはっきりさした上で三十五年度の数字はきめたい、そういうふうに考えております。
#167
○滝井委員 どうも大事なところになってくると石炭の基本政策にからまってはっきりしなくなるのですが、第三条の労働大臣の職業紹介に関する計画と、四条の暫定的な緊急就労対策事業に関する計画と、援護会の作成する二十七条の事業計画、これとの関連は一体どうなっておるのですか。
#168
○百田政府委員 第三条の職業紹介計画に関する計画と申しますのは、先般も御説明申し上げたと存じますが、その地域における炭鉱離職者の状況に応じまして、しかも、これの他地域に対する就労希望、その中に、どの程度のものをどの程度どういう産業に職業紹介するかという計画を立て、同時に、そうした事業地につきまして求人開拓計画を立てるわけであります。そのもとにつきましては、国の大きな事業なりその他につきましても、政府全体といたしまして吸収計画を一応作り、それによりまして、直ちに他地域に就業できないもの、あるいはその行くについても、この職業紹介計画の不十分なものにつきましては、地元においてどの程度の緊急就労対策事業をするかということが決定されるわけでございます。その場合におきまして、他地域への就業を必要とするもの、あるいは職業訓練を必要とするもの、あるいは事業主が宿舎を必要とするものといったような事業の計画が出て参ります。それと一体になりまして援護会の計画を作る、こういうことになろうかと思います。
#169
○滝井委員 援護会の仕事をやるのは、手当を出すばかりでなくて、宿泊施設の設置やら労働者用の宿舎を貸すというような計画が要るわけです。それは何によってそういう計画ができてくるかというと、緊急就労対策事業の計画やら、職業紹介の計画ができて初めて車の両輪の関係で援護会の計画ができてくるわけです。そうしますと、このもとの計画というものがきちっと立つと同時に援護会の計画が立たなければならぬ。援護会の計画が立つためには、国の一般会計からこれに何ぼかの金を注ぎ込み、整備事業団の納付金の中から交付金としてここに金が出てこなければならぬ、こういう関係になってきているわけです。そこで、もとの緊急就労対策事業の計画なり職業紹介事業の計画というものは、一体どの程度石炭の離職者が出てくるかということから問題が発端してくるわけです。そうすると、回り回って整備事業団の計画というのも、石炭のもとの計画になってくるわけです。結局今の段階では、私が質問しておっても堂々めぐりになって池田さんのネックを押えているところがはっきりしないために、ここから進まないのです。二、三日前からわっしゃわっしゃ言って、だいぶ質問もしているのですけれども、なるべく早目にここらあたりをはっきりしてもらわないと、予算になってから、予算になってからと言うけれども、地方自治体はあなたたちのおっしゃるようにその場限りの暫定的なものだけじゃないわけです。道路工事とか電源開発とか住宅というような恒久的な、少なくとも三、四年――今私の恒久的というのは三、四年です。そういう仕事をやろうとする場合、あるいは干拓をやるというようなことになりますと、ある程度国の見通しというものを今ごろ立てておかぬと、これは自治体は大へんですよ。まず昭和三十五年度になったら一体援護会に整備事業団は幾らの金を出すかという、これもわからぬということでは困ると思うのです。池田通産大臣、そこらあたりは一体どの程度の金を出すつもりなのか。これは大臣も御存じの通り、実は私も整備事業団の内容をよく知っているが、整備事業団は金はありませんよ。これはあとで私触れていきますがそんなにどんどん出す金はないのです。そうすると、今度三億出すのは、血のにじむような金を出しておるのじゃないかと思うのです。そうすると、来年度も幾ら金を出すということがはっきりしなければ恒久的な計画は立ちませんよ。これは今から来年三月までの計画なら立つけれども、今ごろから私はやはり三十五年度の計画はどういうふうにするかということを立てなければならぬと思うのです。一方では首切りが行なわれ、一方では七転八倒しておる失業者、離職者がおるわけですから、ここらあたり池田通産大臣はどうお考えになっておりますか。
#170
○池田国務大臣 私は今検討いたしているのですが、滝井さんのような専門家でもおわかりにならぬ。だからこれは今後の石炭企業について労使の間でいろいろ検討されまして再建整備計画をお立てになると思います。しかし通産大臣としては、今御審議願っておるのは、現に存在する二万一千人、予備で出したものですが、二万一千人の方についてこういうふうな緊急措置をとらなければいかぬというので臨時国会で御審議を願い、一日も早くお気の毒な方々にあたたかい手を伸ばしていこうというのが私の考えでございます。それでは来年の予算はどうするかということは、石炭企業のあり方そのものの情勢によって考えなければなりませんから、今想を練っておる次第でございます。
#171
○滝井委員 石炭企業のあり方というものは、今の段階では私はそう大きな変化はないと思うのです。大体大手の企業家たちも手の内を示したわけですから、三十八年度までにはとにかく六万人、職員を含めて七万人は首を切らなければなりません。しかし年次計画は、三十五年は幾らで六年は幾ら、七年は幾ら、八年は幾らということは示しておりません。しかし三十八年度までの土俵は示したわけです。それまでは六万人、中小は三万七千人切らなければならないとはっきり示したわけです。ただそれが妥当かどうかということについての検討の余地はあると思うのです。これはわれわれは妥当だとは思いませんが、妥当かどうかということについての検討の余地はありますが、整備事業団というものが一体どの程度の金を出し得るかという財政上の問題というものは――日本の石炭の出炭というものは今五千万トンのちょっと上か下に動いている程度ですから、納付金というものはトン当り二十円を出すことにきまっておるわけです。開発銀行の利子が六分五厘です、九分三厘と六分五厘の利ざやはさまっておるわけです。出炭というものは五千万トン、下がったところで二百万トンがそこらだ。こういう形になると、整備事業団の財源というものはきまっておるわけです。そうすると、財源がきまっておるなら、そこから最大限幾ら出し得るかということは、何ぞ来年度の石炭の基本的な政策を待たんやだと思うのです。だからことし三億出したものが、どの程度のものを援護会に来年度の予算において出し得るか。こういうことは、入ってくる財源がきまっておるのですから……。
#172
○樋詰政府委員 現在の石炭鉱業合理化法に基きます寄付金の徴収期間は、御承知のように三十六年八月までというふうになっております。そこで御承知のように今までに約三百三十万トン買いまして、年度の末までに三百五十万トンくらいまでになるだろうと思っておりますが、八十万トンから百万トン程度のものが三十五年度以降に買い取りが延びざるを得ない、こういうことになっておるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、この次の通常国会には、今大臣がおっしゃいました石炭の基本的な線に関連いたしまして、合理化法の改正ということも当然お願いせざるを得ないのじゃないか、そういうふうに考えておりますが、とりあえずそれまでの段階といたしましては、現在きまっております三十六年夏までの納付金、それを一時ここで繰り上げて、それを担保にいたしまして資金運用部から金を借りてくるということで三億円の調達をして、緊急に離職者の対策を要する方々に所要の救済の手を伸べたい、そう考えておるのでございまして、今後三十五年以降どれだけの金を事業団から出して、どれだけの援護をしなければならないかということは、石炭の基本政策との関連におきまして、別途法律改正によって、徴収の期間あるいは方法というものについても必要の検討を加えていきたい、こう考えております。
#173
○滝井委員 それで問題はだんだんはっきりしてきました。三十六年の八月までの納付金を一時資金運用部から金を借りて、その中から三億円出した、こういうことになれば、三十六年の八月までには一体どの程度の出炭があるかということをおよそ見込んでおらなければ、担保にして金を借りることはできないはずです。だから、三十八年まで言う必要はない。三十六年八月までに一体どの程度の出炭を見込んでおるかということがわかればいいのです。そうすると、そこに納付金の額がきまってきますから、その金は一体あなた方はどの程度見込んで三億円の金をお借りになったかということです。
#174
○樋詰政府委員 今年度は大体四千八百三十万トン程度でございますが、三十五年、三十六年は五千万トンから、若干それを上回る程度の出炭があるのじゃないかということで一応納付金を計算いたしております。
#175
○滝井委員 三十四年四千八百万トン、三十五年、三十六年は五千万トン以上だといいますと、ここ二年は大体現在の出炭ベースというものを保っていけるということです。そうしますと、今この中から三億円出したのだが、来年度一体幾ら出せるかということです。それから先幾らとっても、三十六年の夏までのものについてはそう大きな狂いはないと思うのです。それから先よけいに法律を延ばしたところで、今の法律の三十六年八月までの限界でものを考えたらいいと私は思う。それから先のことは、むしろそう大きな狂いというものがくることはない。こうなりますと、来年度の三十五年度予算編成に当たって援護会に一体幾らの金が出せるかということが問題だと思うのです。これから幾らか出ないことはないと思うのです。幾らしぼり出せるか。すでに三億しぼり出した。そうすると一体どの程度の担保力が出てくるかということは、すでに過去において三百三十万トン程度買い上げ、なおまた百万トン追加しておるから、三百三十万トン買い上げた実績によって、大体どの程度の金が借りられるかということがわかってくるわけです。そこで、そういう出炭ベースというものが現在のべースで、買い上げの実績にどの程度の金が要る。今すでに申し込んでおる炭鉱というものの実態はおよそわかっておるのですから、そうしますと、援護会に幾らの金が出せるか、私はわかると思うのですが……。
#176
○樋詰政府委員 現在の納付期間を延長しないのでそのままということにいたしますと、大体今回の三億円以上三十五年度に新たに出すという財源はほとんどないという計算になります。
#177
○滝井委員 よくわかりました。そういう答えをしてもらえば一番いいのです。従って今後援護会に、この法律が通った後に整備事業団から金を出そうということになると、これは無理だということがはっきりわったわけです。そこで援護会と事業団との関係です。今援護会と事業団とは――さいぜん私は触れましたが、移動資金と移住資金との問題で一つの交流点が出てきております。ところがもっと大事な点は、この交付金を援護会に整備事業団が出すという財政的な結びつきがここに出ておるということです。そうすると法律の中には、職業安定所と援護会とは密接に連絡をしなければならぬということは四十一条等に書いております。ところが整備事業団と援護会との密接な連絡と申しますか、仕事の有機的な連係と申しますか、そういうものはどこもないのですね、これは一体どういうことなんですか。
#178
○樋詰政府委員 整備事業団は通産大臣が監督いたしておるわけでございます。それから今度の援護会は労働大臣と通産大臣との共同管理のもとで、両大臣が御相談になって大体どういうふうにやっていくかということをおきめになりますので、実際問題といたしましては、これは通産、労働、両大臣の御協議のもとに、われわれ事務当局が援護会と事業団と両方の機能をかみ合せて、円滑に事を進めて参りたい、こう思っております。
#179
○滝井委員 そういうことになっておりますが、この法律の上では、円滑に連携をするというようなことも何も書いてないんです。書いていなくたって当然やることになるんでしょうけれども、職業紹介所と援護会とは密接に連絡してやらなければならぬということは書いてあるのです。ところが整備事業団と援護会とは――あとで私だんだん言っていきますが、非常に密接な関係があることは、移住資金、移動資金の関係でも明らかです。さらに炭住の問題でも密接に関係しておりますけれども、たとえばそこで事業を興す場合には、その住宅がさっそく職業紹介における施設にもなり得るわけです。そういう点についての協力関係というものが、非常に私は必要だと思うのです。三億円の金だけもらっておって、あとは事業団は何も関係がないというわけにはいかぬと思うのです。非常に関係があると思うのです。そういう点が法案にははっきりしておらない。
 それから労働省設置法の一部は、この法律ができることによって改正をされておるんですよ。ところが通産省設置法の一部改正というものは出ておらぬわけです。これは立法技術上の問題になりますが、これはどういう理由ですか。
#180
○樋詰政府委員 まず前半の問題でございますが、事業団と援護会が実質上非常に密接な関係があるということは、御指摘の通りでございます。しかしこれは実際上、そういう関係があるということでございまして、たとえば援護会と職業安定所あるいは職業訓練所というものは、とにかく法律上特殊の関係を持っておる。職業訓練も現在職業訓練所で行なわれておる、それに対する橋渡しをここでやる、いろいろな関係等もございますので、書いたわけでございますが、実質的な関係にとどまる事業団と援護会の関係は、事実上の両大臣の緊密な意思の疎通があれば十分ではないかということで、法律に書かなかったわけです。
 それから通産省設置法についてでございますが、これは各省の設置法をごらんになればすぐおわかりになると思いますが、通産省の方は非常に抽象的に大まかに書いてございますので、特に今回援護法に対する監督というようなことをいわなくても、大体従来のままで読めるというような、非常に抽象的な、概括的な規定になっておりますために、現行のままで特別の改正を加えなかったわけであります。
#181
○滝井委員 実は私それを研究してみたのです。法制局へ行って尋ねてみたけれども、どうして通産省が通産省設置法の一部改正法律案を書かないのかよくわからない。労働省は書いてあるわけです。通産省設置法を読んでみますと、なるほどあなたのおっしゃるように、非常に抽象的になっておるということはわかったのです。ところがこれは通産行政とは別個のものなのです。通産行政から離れた指導のことをやるのです。石炭の離職者ですから、石炭の労働者ではないわけです。そういうものをやるときは、やはりきちんと通産大臣の権限のもとにおいて行なわなければならぬ。何かあいまいもこたる状態で、責任の所在がぼやけるおそれがあると思うのです。それである人がいわく、何かこの法律は、もともと石炭の基本的な政策に関連をして、われわれこれをやると思っていたところが、いつの間にか労働省に行っちゃって、そして通産省の方は何かお客さんみたいな格好になっておるのはけしからぬじゃないかと言う人がいるのです。そういう注意をする人がおったのです。なるほどしろうとが見たら、そういう感じがする。私もそういう感じがしたのです。これはやはり、通産大臣と労働大臣の共管というならば、もう少し通産省の方にも、離職者に関する援護会というようなものはおれの方もやるんだということを、きちんと書いた方が責任がはっきりしているような感じがした。これはそういう感じがしたということです。
 そこで整備事業団に具体的に入るわけですが、御存じの通り整備事業団のやっておる事業というものは、鉱害復旧事業に非常に重大な関係を持っておるわけです。それは整備事業団が炭鉱を買い上げた後に、第一義的に行なわれるものは鉱害復旧です。ところがこの復旧がもはや現時点においては進まないということです。非常に買い上げの業務が進行しない状態が出てきておる。これはなぜかと申しますと、いろいろの点がありますが、一番の問題点は、鉱業権者の炭鉱を整備事業団が買い上げますと、整備事業団と鉱業権者が連帯責任になるということです。問題はここなんです。従って買い上げの業務が終わってしまいますと、あそこここから鉱害の問題が出てくるわけです。鉱害問題というものは、炭鉱地帯における失業対策事業をやる一番大きな事業です。ところが鉱害復旧をやるそのもとの仕事が片づかないために、鉱害復旧の事業ができないという事態が起こっておるわけです。それはなぜできないかというと、整備事業団に金がないからです。どんどん出していく金がないからです。御存じの通り、今整備事業団では納付金と開発銀行の利ざや以外には金がない。国がこれに一銭も金を出しておらぬ。あるいは開発銀行の利ざやは国が出したということになるかもしれませんが、自由になる金がない。こういう点に、すでに事業の進捗をしないという隘路が出ておるわけです。従って今のままの事業団の姿では、買い上げ業務が進まない。炭鉱地帯における失業対策事業は、鉱害復旧というものが今後相当大きな比重を占めることになるわけですが、それが進まない、こういう形が出てきておる。一体整備事業団の買い上げ業務がうまく進捗していくためには、今のままでいいかどうかということです。
#182
○池田国務大臣 今のままではいけません。それは今までトン二十円取っておった分は、おおむね買い上げをやっておったわけであります。従って今度新たに離職者に対して事業団が金を出すということになりますと、こういう問題も石炭問題と関連して考えなければならぬことでございます。いろいろな点がございますので、この法律を早く施行して、そうして状況を早く見たいという気持もあったのですが、来年度の予算に間に合わないかもわかりません。従ってわれわれとしては、一応の目算をつけてやるのでございまするが、何と申しましてもこういう重大なことでございまするから、今回やりましたような、あるいは予備金という手もありましょう。それから今回は三億円ずつにいたしておりますが、永久に国と事業団が半分々々というわけのものではないのでございまして、いろいろな点があるのでありますから、われわれ石炭業の離職者に対して十分な、できるだけの措置をとりたい、こう研究しておるのであります。
#183
○滝井委員 そうしますと大臣は、整備事業団の根源をなしておる石炭鉱業の臨時措置法というものを改正をして、そしてトン当たり二十円取っておる納付金と開銀の利ざや以外に、国が一般会計からこの整備事業団の事業を円滑に運営するために金でも入れるというお考えですか。
#184
○池田国務大臣 今私は、事業団の方に一般会計から入れるという約束はできません。しかしいろんな点を考えて――あるいは施行期間を長くして前借りする手もありましょう。それからまた、九分三厘と六分五厘の差につきましては、お話しの通り、どっちが出しておるのかという疑問の点もございます。しかしこれを石炭業者の方から事業団へは自分が出さなくてもいいということになった場合に、二十円を動かすかどうかということは、やはり根本的な問題でございますけれども、一つの要素にもなりましょう。いろいろな点があるので、私は今一般会計からどうこうとか、三億というものをどうとか、あるいは御承知かもわかりませんが、経済団体が一億円の寄付をするやに私は聞いております。いろいろな点がありますので、これはとにかく、ああでもない、こうでもないということももちろんございますが、できるだけのことを考えて、措置いたしたいという考えでございます。
#185
○滝井委員 少し専門的になりますが、さいぜん私が申し上げたように、現在整備事業団というものが、炭鉱を買い上げても、これはもとの鉱業権者と連帯責任になるわけです。そうしますと、買い上げてもらったもとの鉱業権者、炭鉱業者というものは、親方日の丸で、整備事業団があるというので十分鉱害を片づけず、整備事業団に入ってしまうわけです。そうしますと、整備事業団は、買い上げ代金の中から鉱害の金を目算してとっておったわけです。ところがそのとっておった鉱害の金で足らなくなっておるわけです。そうすると、今度は出す財源がないわけです。こういう問題が現在出てきて、それは一体どこに根源があるかというと、財力のない炭鉱を買わなければならぬという無理がそこにきているわけです。無理がきておるが、納付金と利ざやだけの金でこれが十分まかなっていけるかというと、まかなっていけないので、事務が停滞するわけです。それはどうしてかというと、連帯責任というところに問題がある。そこでこの連帯責任を切ろうとするならば、これはどこで切るか、結局そういう力のない鉱業権者の持っている炭鉱というものを整備事業団が引き受けずして、これは臨鉱法の六十六条でやったらいいのです。臨鉱法の六十六条でやるというのは何かというと、国がやるということです。そうしますと、失業対策事業全部進捗していくわけです。これは法律六十六条で、無資力のものについてはやるということになっているわけです。ところがこの六十六条というものは、今まで伝家の宝刀で、あまり使われていないのです。これをこの際この石炭企業の難関に直面をして、なかなか業者からの納付金を取り上げるということは問題だ。納付金を出さぬでやってくれとか、あるいは利ざやを何とかしてくれというような、いろいろな要望が石炭業者からあります。現在法治国家の法律である六十六条というものを活用して、積極的に鉱害というものについて国が乗り出していくということを考えると、相当財政的な余裕が出てくるわけです。これは一般会計から金を無理に入れなくて、自然に法律を発動する形で出てくるわけですが、この点どういう工合にお考えになっておりますか。
#186
○樋詰政府委員 いろいろな点につきましての御質問があったわけでございますが、まず連帯責任、これがいいかどうかというようなことは、これは申し上げるまでもなく、鉱業法自体の問題にもなり、これを論じていきますと、行く行くは、現在の先願主義がいいか能力主義がいいかというところまでさかのぼらざるを得ないということになりますので、この離職者の援護を当面の主務とするこの法律、あるいは非能率炭鉱の買い上げということを主務とする事業団といったものの機能の関係において、いきなり連帯責任を云々するというところまでは、ちょっと法的に躍進できないのじゃないか、これは別途鉱業法の根本的な改正を現在やっておりますので、そういう際に十分その方面で検討さるべき問題だ、そういうふうに考えております。
 それから臨鉱法の六十六条で、結局国と県とで半々ずつ金を出して処理したらいいのじゃないかというお話でございますが、これは無資力というものの認定が非常に困難でございます。たとえば裁判所で破産の宣告でも受ければ、これは確かに無資力ということになるのでございましょうが、そうでない、とにかく確かに会社は一応ほとんど破産状態みたいになっている。しかし御本人は隆々として、法人的にはいろいろな仕事もしておられるといったような場合が大部分でございますし、実際に、一体無資力かどうかということの認定が非常に困難なために、われわれといたしましては、従来、裁判所で破産といったような宣告でも受ければ、それは一応法的に無資力が認定されたということで、復旧に国と県で半々ということでやっていきたい、こう思っておりますが、それ以外の場合につきまして、軽々な無資力認定ということは、それをやりますとかえって悪用されまして、そして政府のといいますか、全国民の負担において自分のやった鉱害の跡始末をしてもらっておいて、そしてきれいになった鉱業権だけは残っていくというようなおかしな格好にもなりかねない。そこでそういう場合に、無資力認定で復旧したあとの鉱業権の始末をどうするかといったようなこともあわせ考える必要があるのじゃないかと考えますので、これもそういう意味で、基本問題につながる問題として別途検討さしていただきたい、そういうふうに考えております。
#187
○滝井委員 実はその点の基本的な考え方は、長年自分が使っておった労働者を、自分の都合が悪いといってぽんと首を切って、そして今度はあとのしりぬぐいは国でやりなさい、こういうことなんですから、人間については言っておって、自分の鉱区の鉱害についてはというわけにはいかぬと思うのですよ。人間について、今国が法律まで作ってやっておるのですから、鉱害も、臨鉱法なり特鉱法を作って国がやったのです。ところが臨鉱法や特鉱法、合理化法では、臨鉱法の六十六条以外には今法律がないのです。これを動かす以外にその鉱害地が救えないとすれば、これを動かす以外にはないと思うのです。結局、今整備事業団の業務というものは行き詰まりつつあるのですから、行き詰まりを打開するためには、今の日本の立法的な措置を新しくやらないとすれば六十六条以外にはないのじゃないかということを言っておるわけです。そうしないと、その地方における失業対策その他も進みませんよ。こういうことを失業対策の面から言っておるのです。これは整備事業団だって、援護会だって、離職者だって、みんな循環論法ですよ。みんな関係があるのです。援護会には事業団が三億今を出しておる、この三億の金は何だ、炭鉱事業主が出した金なんです。そこに援護会が救う労務者は何か、これは炭鉱企業家がおっぽり出した労務者なんですから、みんな関係があるのです。この問題はいずれ根本的な政策ができたときにやりますが、もう一つの例として、たとえば整備事業団が非常に困っている例で、失業対策に役立つのはボタ山です。現在ボタ山は、私ちょっと調べたところでは、今事業団の持っておるボタ山が三百個くらいあります。ところが、これは探鉱がやんだボタ山ですから、災害があれば山くずれがある。そしてそれが民家なり田地田畑に及んで非常な被害を起こしておるわけです。そうしてこれがほおっておると、いろいろボタ山からそのボタをとって洗炭その他をやられるということもあり得るわけです。あるいはシャモットにとられるということもあり得るわけです。そこでこのボタ山に砂防工事をやる、あるいは植林をやるという意見が相当現地では濃厚です。ところが砂防工事をやったり、植林をやる金が整備事業団にはないのです。そうするとボタ山の三百の砂防工事をやる、植林をやるだけでも莫大な失業対策になる。整備事業団にはその金がないのです。三億の援護会に出す金はあるけれども、現実の現地における整備事業団の本来の仕事をやる金がないというのが今の姿なんです。だからこういう点こそむしろ私は整備事業団が金を出すところがないならば、一般会計から植林の形でやる、そうすると材木というものは国の財産にしておいたらいいのです。たとえば村の共有林に国が補助金を出して国有林とか県有林を作って、半分は地元にあげます、そのかわり半分は県だというような法律もあります。だからこういう点は、あなた方ボタ山を一体どう考えておりますか。
#188
○樋詰政府委員 ボタ山は、事業団が買いました以上は、それから生ずるいろいろな鉱害、これはすべて鉱業権者としての事業団が負わなければなりませんので、ただいま仰せのございました砂防工事とか、あるいは植林とかいったようなボタ山の崩壊を防ぐに足る有効ないろいろな手段というものはできるだけ積極的にとらしていきたい、そういうふうに考えております。今までのところ確かに御指摘のように、必ずしも十分でないといった面はあると思いますが、今後は植林に適するというようなものについては植林をさせる、それから砂防工事のゆるがせにできないというものはできるだけすみやかに砂防工事をすることによって、被害が起こってから跡始末では膨大な金がかかりますので、できるだけ被害を未然に防ぐ予防措置に万全を期していきたい、そう考えます。
#189
○滝井委員 樋詰さんが幾らやらせたいといっても、現地は金がないのです。それだけやる予算を全然とっておりません。今整備事業団がずいぶんたくさんの炭住を持っておりますけれども、炭住の管理もよくやっておりません。炭住の管理人を、もとの職員一人置いておるだけです。それも広い範囲を受け持ってやっておるという形でしょう。だから、これはやはりそういう点に予算を出してやれば、失業対策事業というものは、現地でそばにころがっているのです。そういう点の金をもう少し積極的に出すためには、やっぱり一般会計から出す以外に方法はないのです。これはもう少し積極的に、整備事業団というものにまかせずに、政府が積極的にそういう点に金を出して、一つ国土保全の意味からも私はやるべきだと思うのです。
 次には根本的な石炭対策の問題に入るのですが、どうも政府の根本的な石炭対策というものが出ていないので、池田通産大臣の答弁、なかなか隔靴掻痒の感があってうまくいかないのですが、端的に私はそのものずばりで一つお答えを願いたいと思うのです。この前私は、日本の石炭産業というものが重油に押されていっておる、その過程においては、重要な国の基幹産業である燃料というものを通じて、だんだん日本の経済というものが外国の資本に隷属をしなければならぬという形が出てきておるということを指摘をしたのです。日本の石炭産業は今までは、たとえば雇用の問題が大きくあったために、雇用をたくさん吸収できるという点で石炭産業をささえておったのだと思うのです。それからもう一つは、石炭政策、そういう意味もあって、政府が保護政策を明治以来長い間とってきておった。それから世界の石油の貯蔵が必ずしも明白に確認をされていなかった。ところが最近は石油の埋蔵量が三百五十億トンぐらいあるというようなこともわかってきました。そして一年十億トンぐらいの石油が出ておりますが、だんだん事態が変わってきた。こういうところから非常に石炭産業の悲惨な状態が出てきておると思います。この際私は池田通産大臣にずばりそのものをお答え願えれば、そこから具体的な対策が出てくると思うのですが、現在石炭が重油より割高であるという理由は、一体何と何なのかということなんです。
#190
○池田国務大臣 割高であるのは何と何であるかという御質問でございますが、これはいろいろな点で、出てきたところが高いというのであります。いわゆる原価が高い、原価は何で構成するか、それは採炭についての費用が違う点もありましょう、運搬の点もございましょう、いろいろな点があると思います。
#191
○滝井委員 原価が高いということ、あるいは運賃が高いということ、それを一つ一つたぐっていけば政府の具体的な政策が出てくると思うのです。原価が高いということはなぜか。これは生産の条件が悪いということを意味するのだと思うのです。日本で重油よりか石炭が割高であるというのは、これは生産の条件が悪い。一体生産の条件のどこが悪いのだ、こういうことに私はなってくると思うのです。そうしますと、それは日本の筑豊炭田、典型的なものでいえば筑豊炭田というものは、縦坑一本掘るにしても五十億も六十億もかかる、古くなればだんだん坑道が長くなる、こういう老朽化の問題があるでしょう。これは生産の条件が悪いということに明らかになってくる。それから労務費が五割ないし六割もその生産原価の中に占めているというようなことも一つの問題点に私はなってくると思うのですが、一体政府はその原価が高い、すなわちそれを言葉をかえて言えば、輸送の問題も出ると思います。あるいは鉱区の問題も出ると思います。それらの一つ一つをやはりここに出して、そしてそれに対する対策を政府は一体どう今後考えておるかということの答弁、それを私はいただけると思うのです。それらのものを総合して、どれをとりどれを捨てるかということが政治の上における石炭対策だと思うのです。そうすると、日本の石炭産業がきわめて生産条件が悪いということは、これは現実に石炭産業の危機になった大きな病気の原因だと思うのです。そうすると、この石炭産業の生産条件が悪いということについては、池田通産大臣は抜本的な対策をやる場合に、一体どういう点で直そうとしておるのか、こういうことなんです。原価が高い。これは端的に現われておるのは、生産条件が悪い。これは一体どういう点で直そうとするのか。
#192
○池田国務大臣 通産大臣が第一義的にこの山をどうせい、あの山をどうせいということはございません。(滝井委員「一般論です」と呼ぶ)だから、会社経営者が、労資の間にいろいろ相談の上で、この山は採算が合わなくなったから廃山にして新しい鉱区を開発しよう、こういうことにも相なると思うのであります。
#193
○滝井委員 大臣御存じの通り、個々の山については、それは君の山は斜坑より縦坑の方がいいのだとか、あるいは石炭の炭層が浅いのだから露天掘りがいいのだとか、これはいろいろ個々の山についてはあると思うのですが、これは日本の石炭産業の一般論として、一体政府がこの際一般的なものさしとしてどう考えていくかということが問題だと思うのです。それが端的に現われておるのは、日本の石炭産業の古い生産機構というものがあるわけです。その古い生産機構というものを少なくとも重油と太刀打ちさせていこうとするならば、すでに古い生産機構というものを全部つぶしてしまっていいかというと、私はそれはいけないと思うのです。これはたとえば昭和十年ごろは、第一次エネルギー総量の六割は石炭であった。ところがこれが昭和三十三年になると四割が石炭です。これは昭和十年から昭和三十三年まで約二十年かかって、六割を占めたものが四割になった。これは二割減っておるのに二十年かかっておるわけです。これは重油ボイラー規制法等で守られておるから二割で済んだのだろうと思います。ところがこれから十年――まあ安保条約も池田さんの政府は十年としておるわけですが、一応安保条約と同じように十年の期限で見てみますと、その十年の期限をつけて一応石炭産業というものを考えた場合に、一般論としてそういうような古い生産機構というものを一体どういう工合に直したならばいいのか。こういうことが当然政治の上では一般論として、政府の方針として出てくると思うのです。それでその一般論の上に立って、三井のこの山はこういう方法、それから三菱のこの山はこういう方法、小さい中小の山はこういう方法というものが出てくると思うのです。しかしやはり政府は一般的な方向として、生産機構の古い状態を打開をしていく、そしてある程度重油に太刀打ちのできるような、しかも日本の経済というものが、その燃料において外国の経済に従属をしないという形を作るのにどうしたらいいのか、こういう形は当然一般論としてはなくちゃならないと思うのですが、その点をもう少し述べて下さい。
#194
○池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、原価を安くすること。原価を安くするのには、その企業を合理化する。企業を合理化するところには機械的の問題もありましょう。生産能力の引き上げの問題もありましょう。いろいろございます。従って私のところへ大手の各炭鉱会社の各山につきましては、いろいろそういう点の合理化再建計画が出ております。それをわれわれは今検討いたしておるのであります。
#195
○滝井委員 どうもその原価を引き下げるためには合理化する、合理化するためには機械化すればいいのだということでございますが、実は日本の石炭山に限らず、世界の石炭産業というものがずいぶん合理化の問題で論議をした。ずいぶん論議をしたけれども、今から四、五年くらい前ですか、大手の資本家の諸君は通産省に、相当の人員を減らしますということを申し出たわけです。現在大蔵省あたりは、石炭資本家というものは約束を守らぬじゃないか、こういうことを言っておるわけです。機械化というものについても、日本の炭層が非常に薄層であるということから、これは限界があるわけなんです。三池の大牟田のように炭層が二・七メートルというのは、そう日本の筑豊炭田にはないわけです。みんな八尺かそこらのものが一番厚い層であって、あとは尺なしとか三尺とか、こういうところですから、機械化というのも限界があるわけです。それは大きいところは合理化し、機械化して生産を集中したらいいんでしょうが、日本の石炭山一般について、今全体で七百幾つかの坑口があると思うのですが、それは池田通産大臣が言われるように一律には私はなかなかそうはいかぬと思うのです。なるほど合理化し、機械化すればいいということも私は一つの意見として、たとえば三池なら三池には適用していくと思うのです。ところがそのほかの山には、これは必ずしも適応していけない場合があるわけなんですね。そうしますと、まず一般論としては、機械化、合理化というものが原価を下げるために一つ出て参りましたが、私はそれだけではないと思う。日本の古い石炭生産機構が重油に負ける原因になっているのは、それは機械化が行なわれなかっただけじゃなくて、もっと私はいろいろなものがあると思うのですがね。
#196
○池田国務大臣 いろいろな原因がございます。たとえば九州産炭地におきましては重油に対して負けておりません。これは運送についてのいろいろな点がございましょう。各山また各地におきましていろいろ事情があるのであります。
#197
○滝井委員 大臣が言われるように、生産条件が悪い。従ってこれを合理化し、機械化していくということも炭価改訂の一つの方向だと思います。それから炭産地から消費地に運賃がかさむから、この運賃の合理化をやる。九州や北海道では油には勝っておるんだからそれもよかろう。これも一つの案です。そうしますと、その次に問題になるのは、日本の石炭産業というものが今までずっと歩いてきた道を見ると、鉱区の独占による鉱山地代の取得です。いま一つは農村における産業予備軍である労務者を低賃金で使ってきて機械化、合理化をやらなかったということです。その点についてさらにわれわれが考えなければならぬのは、低賃金と鉱山地代の取得によって上がってきた利潤というものは、一体どこにつぎ込んだか、石炭山の再生産にはつぎ込まなかった。昔ながらのもろ手掘りでカンテラ下げて、背負いかごをかついでいくような状態が最近まで続いてきた。ようやく最近になってから幾分合理化の方向になってきたが、坑内外の設備の近代化というものを怠っていたということは事実です。これは今大臣がそういうことを言われたんだから、これはそういう方向にいかなければならぬと思います。そうすると、そのほかに、今の鉱区の独占によって鉱山地代を取得してきたという、その鉱区の問題です。これはまた前の整備事業団に返りますが、現在整備事業団が一番困っておるのは何かというと、鉱区の限界をきめることができないということです。
    〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕
鉱区の限界というよりも、鉱害の限界というものをきめることができない、これが大問題です。同時に、鉱害の限界というものは二重、三重になっておる。これは鉱区の問題にも関連をしてくる。二重鉱区、三重鉱区では、これが炭鉱の非能率の大きな原因になっておるわけです。この鉱区の問題は、憲法第二十九条ですか、私有財産の問題にも関連をしてきますけれども、こういうように石炭産業というものが、その首を切った労働者の点において、あるいは鉱害の点において、国家国民に、公共の秩序にこれほど大きな影響を与えるとするならば、鉱区については何らかの処置をこの際やはり講じなければならぬ段階がきていると思うのです。これが石炭が重油に負ける一つの大きな隘路になっておるわけです。この鉱区に対する問題について大臣はどうお考えになっておるか。
#198
○池田国務大臣 いつも聞かれる問題でございまして、その点で今来るかと思っておりましたらはたして参りましたが、これは今鉱業法の改正等によって検討いたしております。お話の通りに所有権の問題もございますので、今直ちに離職者をどうするか、今後石炭業をどうしていくかという問題のときに――これは将来の問題として考えるべきであって、今審議会で研究いたしておりますが、結論は出しておりません。
#199
○滝井委員 これもなるほど離職者には直接関係がないようでございますが、金を出す整備事業団の立場になると非常に関係が出てきておるわけです。その問題があるために整備事業団というものは仕事ができない。それが同時に日本の石炭における価格の問題を規定する、その価格が重油よりか石炭が高いので失業者が出るという形で、現在の日本の石炭企業においては、ここがやはり根本的なところになってきているわけです。それを現在の大手の何社かが、国の大事な資源であり、国民のものであるところの地下資源というものを独占的に抱きかかえている。こういう点にある程度のメスを入れずして日本の石炭産業の将来をトするということは、木によって魚を求むるのたぐいで、私はほとんど不可能に近い点だと思うのです。そこでこういう点はどうしてもすみやかに検討をしていただいて、打開策を見つけてもらわなければいかぬ、こう思うわけです。どうも検討中々々々であまりいい答弁が出ないので、質問をするのがいやになりますが、少し根本的なところを飛ばしまして、石炭の根本的な問題はいずれ通常国会でやらしてもらいましょう。予算委員会における井手君の質問に対してもあまりはっきり言われませんので、ここで言うことはかえって時間の浪費にもなりますし、またこの次にやるのに質問の重複になりますから、答弁できそうなところだけお尋ねしますが、大臣の見通しとしては今後どういう用途に石炭が残るとお考えになりますか。
#200
○池田国務大臣 どういう用途に残るかというのは、私は科学技術者でございませんので、どういう分野がこれから開けるかということはなかなか答えにくいのでございます。現状で言えば、一大事業者は電気、その次はガスと鉄でございます。その次はセメント、機械工業ということに相なっておると思います。
#201
○滝井委員 電気、ガス、鉄、セメント、機械工業、こういうものが結局石炭の用途に残る産業だということになりますと、電力やガスと石炭との結合と申しますか、直結と申しますか、こういう政策は当然私は考えられてくると思うのです。さいぜん大臣も九州なり北海道では重油に負けないのだとおっしゃるわけですから、そうすると電力や鉄、ガスにこれは何らかの形で結びつけなければいかぬ。鉄は当然外国炭、粘結炭との競争もありますけれども、現在いろいろ進歩して、ここ五年や十年は鉄を作る場合には石炭というものは絶対必要だと思うのです。それから電気も、この前の計画では、昭和五十年には火力発電用には大体五千万トンくらいの石炭が要るということになっていたのです。そうすると、ある程度重油に食われる分をマイナスにしても、これは大臣の言われるように相当使える。原子力発電というものは、この前電力会社の社長さんに来てもらって聞いたところでも、まあ十年か十五年先だ。こういうことになりますと、鉄や電気と石炭というものを一体政策としてはどういう工合に結びつけていくかということですが、何か一つ御構想でもあればその片りんをお漏らし願いたいと思います。
#202
○池田国務大臣 やはり現状から、いわゆる大手の消費者につきましては、生産者が直結いたしまして長期契約をなすと同時に、輸送その他につきましても、消費者と生産者との間にいろいろ話し合う余地がたくさんあると私は思います。そういうことは石炭対策の一つの大きい要素に相なっておるのであります。
#203
○滝井委員 そうしますと、現在、大臣としては、両者の結びつきというのは、鉄なり電力の業者というものが石炭業者と長期的な契約を結ぶ、こういうことのようでございます。ただ問題は、現在、御存じの通り石炭と鉄、電力の業者の間に不信感がただよっておるのです。たとえば電力会社に行ってみても、石炭会社のことを信用しない。景気がよくなると君たちはすぐ石炭の値を上げるじゃないか。不景気になったら、頭を下げて買ってくれ買ってくれと言うてくるけれども、景気がよくなったときにもとの安い値段で売ってくれるかというと、すぐ値段を高く上げる。高く上げて、それではだめだということになると、すぐよそに持っていってしまうので、われわれは仕事の計画が狂うのだ、こういう言葉をよく聞くのです。従って石炭と電気の間には多く商社が入っています。これは結局流通機構の問題にもなってくるわけです。これは大臣もこの前おっしゃっておったように、現在日本の石炭の銘柄は三千種もあって、北海道で出た石炭がわれわれの福岡にやってきて、そこでどこかの炭とまぜられて、今度はまた北海道に戻っていく、あるいはまた東京に持ってこられておるという、こういうばかげたことが行なわれておるのです。だから、今のように長期契約を結ぶためには、やはりそこに入っている流通機構と申しますか、そういうものの合理化というものが当然私は必要になってくると思う。これは今おやりにならなくとも、石炭の長期対策を通常国会にお出しになるときは当然おやりになるのでしょうね。
#204
○池田国務大臣 これもやるやらぬということは私は申し上げるわけにいきません、業者間のお話でございますから。通産省としてはそういうことが望ましいからということは申したいと思っております。
#205
○滝井委員 もう少しこういう離職者対策や何かに税金を出すというか、われわれも税金を出すのですから、私はむしろ積極的に石炭企業を指導していただく方がいいんじゃないかという感じがするのです。これはいずれ岸総理が来たときにお尋ねをいたします。
 次に、日本の石炭産業の状態を見ると、多くは単独経営なんですが、合理化途上の問題として、石炭のみが単独経営ですることの方が今後の石炭産業のあり方としていいかどうかという問題、これは大臣どうお考えになりますか。
#206
○池田国務大臣 単独経営という定義はどういうのですか。
#207
○滝井委員 例をあげて説明いたしますと、たとえばアメリカの石炭鉱業というのは鉄鋼会社と一緒になっていっております。それからドイツで見ても、鉄鋼業あるいは化学工業とぴちっとくっついています。ソ連においても鉄鋼と石炭はくっついています。ヨーロッパでも鉄、石炭の共同体という超国家的な組織ができているわけです。こういう意味なんです。さいぜん大臣は、今後石炭の使われるところは、電気、ガス、鉄、セメント、機械工業だ、そうしてそれは長期契約だ、こうおっしゃった。そういうことの中に私は何かヒントがあるような気がするのです。ヨーロッパ諸国でも、石炭だけを石炭会社がやるのではなくして、そこには何か違ったシステムがある。石炭産業が悪くなればなるほど、石炭だけ、三井鉱山だけということになると、大牟田の東洋高圧からも三池合成からも三井銀行からも見放されてしまうという、いわゆる危険分散の度合いというものが非常に薄くなるという点もあるんじゃないかと思うのです。これはそういう意味で今後の産業政策の上に非常に重要な点じゃないかと思う。
#208
○池田国務大臣 やはり各国におきまして産業のおい立ちの歴史が違っております。従いまして、たとえば三井を見るならば、三池におきまして三井財閥が石炭と他の関連化学工業をやっておった。また宇部興産なんかもやっております。しかし最も石炭を消費いたしまする電気、製鉄というものが、公益的な考えで財閥を許さないというふうな点もありました関係上、これは日本の軍国主義と申しますか、そういう関係上、おい立ちがいかないのであります。従って、今それじゃどうかということになりますと、これまた一緒になるのに相手が悪いというようないろいろな点がございまして、なかなかむずかしいのでございます。それはどちらがいいかということは、いろいろ問題もございましょう、一がいには言えません。たとえば、銀行経営なんかにしても、兼営銀行がいいか、商業銀行主義がいいか、いろいろ議論のあるところでございます。私は日本の経済発達の過程が今のような状況に相なってきたのであると思います。それじゃこれを一緒にした方がいいかということにつきましては、なかなか結論は出にくいと思います。
#209
○滝井委員 池田通産大臣の石炭政策に対する基本的な考え方は、今後石炭産業を縮小再生産に持っていくのか、それともこの際、危機ではあるけれども拡大再生産の方向に持っていくのか。
#210
○池田国務大臣 私は合理的な拡大再生産に持っていきたいのであります。しかし合理的という前提がつきます以上、経済を離れてむちゃなことはできません。従って拡大再生産に導くべくいろいろ合理的な方法を見出すように研究いたしておるのであります。私は、早い結論を出すならばお喜びになるかもわかりませんが、早くてまずいよりも、将来のことでございまするから、ゆっくり勉強しておそくとも通常国会には、全体はできないかもしれませんけれども、当座の対策につきましては処置いたしたいと思っております。
#211
○滝井委員 いつかも申しましたが、徳川家康のように、鳴くまで待とうホトトギスではどうも工合が悪いので、一つ通常国会までにはぜひ合理的な拡大再生産をやるような政策を出してもらうことを要望しておきます。
 最後にお尋ねしますが、御存じの通り、石炭産業が非常に不況になったために、石炭産業に関連をする産業、鉄とかガスとかいう大きな産業でなくてもっと小さな中小企業的なもの、筑豊における直方市の炭鉱を中心とする鉄鋼業、それから炭鉱地帯にあるたくさんの中小企業、たとえば、大きな問屋筋は、筑豊炭田の商店には品物をおろすな、あれは掛になってしまうぞ、そして最近は大阪方面の大きな問屋筋がいろいろ銀行その他を穏密裏に調べまして、信用状態、掛の状態等を調べて、なかなか商品をおろさないという状態も出てきているわけです。こういう、いわば直接石炭産業に関連のある佐賀、長崎、福岡、宇部、福島等の中小産業の対策に対して、通産省としては何かお考えになっておりますか。
#212
○池田国務大臣 これは、まずもとの石炭業の繁栄を企図するよりほかにございません。しかし、繁栄を企図しようとも、古い山で役に立たぬというようなときには、今のような整備によりまして、離職者に他に適当な職業を見ていただくより仕方がないのであります。それによって労働者が少なくなって、中小企業ということになりますと、また別個の考え方でいかなければならぬと思います。
#213
○滝井委員 それから、西日本の方の新聞には大々的に出ましたが、遠賀川の悪水の中に、六十万トンくらいの微粉の低品位炭が入っておる。従って、これを一つ遠賀川の汚水処理公団というようなものを作って、途中に微粉バッグを幾つか作りまして、それを一つ火力発電に売ろうというような計画が相当報道されたわけです。これは調査費か何かを計上するとかしないとかいうことを聞いたのですが、この遠賀川の汚水処理の問題については、大臣はどうお考えになっておりますか。
#214
○池田国務大臣 私は遠賀川の汚水処理並びに直方、飯塚の方面に、未開発と申しまするか、縦坑を掘って、大々的にやるという場合におきまして、一つの所有者の山では足りないというときに、たとえば住友と三井との山を一緒にする、あるいはほかの鉱業権者のものも一緒にして縦坑を掘って、これで新たに開発ができるかどうか、こういう万般の問題等につきまして、あの遠賀川周辺を調査してみたい。で、調査費を本年度におきまして五百万円予算をとりまして、調査してみようと思っております。
 新聞は見ませんが、遠賀川に沈澱しておる微粉炭、あるいは今後洗炭で出てくる微粉炭等をどう処理していったならば採算がつくか、あるいはそれが農地の灌漑にどういう影響を及ぼすか、あるいはこれを工業用水に使ったら、どれだけあの筑豊炭鉱の工場誘致になるか等々の問題を検討いたしてみたいと考えておるのであります。
#215
○滝井委員 今言われたことは、まさに筑豊炭田の立地条件を再編成する、いわば総合開発的な構想になるわけです。現在筑豊炭田の一番の隘路というのは、北九州と同じように、工業用水がないということです。それは坑木その他をとったために、山がみんなまる裸になっておりますから、従って、これは今の筑豊炭田における深部開発の問題、それから遠賀川の汚水の処理の問題、それから同時にそこから出る工業用水の問題、それから石灰石と低品位炭との結びつきの問題、石灰石はたくさんありますから……。こういういわば産業政策を関連せしめた総合的な政策を、一つぜひ通産省で御検討になっていただきたいと思います。
 これで最後になりますが、ボイラー規制法その他は、またいずれ機会をあらためてゆっくり聞かしていただきますが、問題は、現在石炭産業の支出面に当たる鉱産税、これは売り上げの一%の鉱産税がかかっておるわけです。それから御存じの通り、坑道に固定資産税がかかっておるわけです。もちろん整備事業団が買い上げるときには、坑道は相当高く評価しておりますが、これは固定資産税が一・四%、千分の十四かかっておるわけです。それから償却の問題もあります。こういう石炭企業に対する税制の問題、これは池田さんは大蔵大臣もやられ、税務畑の出身だし、一番得意中の得意な点ですが、これはどうお考えになっておりますか。
#216
○池田国務大臣 立場が違いますから、いろいろ申してもから鉄砲になるかもわかりません。しかし私……。
#217
○滝井委員 個人的な意見でもけっこうです。
#218
○池田国務大臣 個人的の意見とおっしゃいますから、個人的なあれで申しますが、しかし通産大臣として言ってもよろしゅうございます。石炭について、鉱産税につきましては私は軽減すべきだと考えております。ことに中小企業等の鉱産税は、他の事業税におきまして中小企業を軽減しておる関係上、当然やるべきだ、軽減すべきだと思っております。また石炭業自体がこういうふうな状態にありまするときには、鉱産税につきましても軽減することが、政府としてのあたたかい措置だと自分は考えておるのであります。それから坑道の問題につきましては、いろいろ前から問題がありまして、鉱区の償却とか坑道の償却につきましてはいろいろの問題がございましたが、以前は坑道に対しては固定資産税がかかっておりませんから、償却の問題だけだったのです。今は償却と固定資産税の問題と両方が加わってきております。私は坑道の償却という税法上の法人税法、所得税法の取り扱いにつきましては、三年ほど前に相当軽減をしたと思います。しかし、それではまだ今の実情からいって足りないのであります。ことに、今の三井とかああいう大きい炭鉱の償却と、中小企業の償却とは、その年数その他においてよほど違った方法をやっておると思いますが、もっとやるべきじゃないかという気持を持っておりますし、地方税の固定資産税の問題につきましては、今の実情から見まして、ああいうものを陸上の建物――もちろんそれよりも低くしておりまするが、もっと実態に沿うように軽減することが必要であるということは、私は個人並びに通産大臣としての意見でございます。しかし、これは政府として申しますると、大蔵大臣並びに自治庁長官に関係いたしますので、商工委員会の皆さん方が一つわれわれと一緒になって、今の坑道並びに鉱産税あるいは法人税の軽減につきまして、声を大にしていただけば、私は非常にいいことだと思います。
#219
○滝井委員 それでは私はこれで終わります。最後の点だけ池田さんがはっきり言ってくれました。いずれ根本的な問題はまた機会をあらためて勉強させてもらって質問さしていただきます。
#220
○大坪委員長代理 藏内委員。
#221
○藏内委員 滝井委員の質問でこまかい点を大体網羅しておりますので、この臨時措置法の具体的な内容、そういうもので、まだ未確定な要素はできるだけ除いて、基本的な問題で二、三の点について質問をするようにいたします。
 第一に、この法案で対象としている炭鉱離職者という言葉でありますけれども、この離職者という言葉は、第二条二項には、「離職した炭鉱労働者であって、現に失業しているか、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態」、こういう工合になっておりますので、「現に失業している」というのは明瞭にわかりますが、「著しく不安定であるため失業と同様の状態」という言葉について、具体的にどういう状態をさしているのか、御説明を願いたい。
#222
○百田政府委員 これは前回も御答弁申し上げたと思いますが、先ほどの職業の安定ということと関連いたしまして、逆のことになると思います。結局実態によって判断いたすことになろうと思いますが、何らかの就労はいたしておって、若干の収入はありましても、社会通念上それが安定したと認められないもの、たとえば具体的な例で申し上げますと、行商をしているとかあるいは内職をしておるとかいったようなものは、これに入るのではないかと思います。さらにまた、先ほども申し上げましたが、緊急失業対策事業に就労しておる、こういったものについても、当然これは安定した就労とは認められません。そういうものもすべて含ましめる、こういうふうに考えております。
#223
○藏内委員 次に、今もお話のあった炭鉱離職者という状態は、あとに出て参ります援護会の規定の中にいろいろとまた制限条項がありまして、現実には数字がかなり減ってくるわけであります。
    〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕
たとえば何日以降離職した者であるとか、その他いろいろな制限条項があるために、そういうネットの数はかなり減ってくると思うのです。現実には本法案は五年間の時限立法でありますから、向こう五年間にわたってこのような状態になっていく気の毒な労務者、言いかえれば、いろいろな事由から発生すると推定される者を全部含んでおるという工合に理解してよろしゅうございますか。現在その状態である者と、将来そういう状態になる者すべてを含んでおるというふうに理解してよろしいですか。
#224
○百田政府委員 その通りに私ども考えております。
#225
○藏内委員 そういたしますと、当然現在すでに離職しておる者、それから将来いろいろな事由で離職をする状態になってくる者、たとえば合理化法によって閉山していく者、それから経営不振でやめる者、租鉱権が消滅して職場がなくなる者、そのほかに今度の企業整備というか、大幅の企業整備というものの中に出てくる者、そういう者も一応この範疇に入れていいのかどうか伺いたい。
#226
○百田政府委員 炭鉱離職者でありますれば全部入る、こういうことであります。
#227
○藏内委員 そうなりますと、結局発生を予想せられる離職者の数が問題になってくるわけでありますが、その離職者の数の問題を少し先に触れてみたいと思います。
 この間から石炭局長あるいは安定局長からお話の数字は、いずれも日経連や、石炭経協、こういう面から発表された数字であって、石炭局あるいは安定局自体が政府としてつかんでおる数字、こういうものがはたしてあるのか、ということはどういうことかといいますと、要するに将来の石炭のあり方と直接に関連してくるわけでありますけれども、将来の石炭はやはり非能率炭を整備して集約的に能率炭を開発していかなければならぬということであるとするならば、当然そこから出てくる離職者の数というものが予想せられるわけであります。この程度の、基準以下の炭鉱というものは当然整理せられなければならぬという一定の基準というものが石炭局あたりにも考えられていいんじゃないか。そうして石炭局あたりで非常に有効な能率炭鉱の集約的な開発が行なわれるとするならば、将来にわたってどの程度の炭鉱が閉山をせられていって、どの程度の離職者が出てくるかということは、監督官庁であり、また炭鉱に対して財政投融資をしていくという立場からも、当然通産当局がつかんでおらなければならぬ数字じゃないか、こう思うのでありますけれども、その点、政府独自の数字というものをお持ちになっているかどうか伺いたい。
#228
○樋詰政府委員 統計法に基づきまして、指定統計として生産動態統計というのを毎月徴しておるわけでございますが、大体その中に、各炭鉱におきましてどれだけの労務者を雇い入れたとか、解雇させたかということを報告させることになっております。一応われわれの利用しておりますのは、この指定統計に基づく雇い入れ並びに解雇の数であります。ただその中で、はたしてどれだけの石炭の前歴者があったかどうかということは、今の統計ではわからないわけでございますので、今度の新しい法律の第四十条によりましてもさらに報告を徴することができるということになっておりますから、今後は新法等を十分に活用してそのあたりの実態をきわめていきたい、こう思っております。
#229
○藏内委員 現在までに整備事業団によって買収せられた炭鉱は、一炭鉱当たり平均生産量を言うと大体一・八万トンくらいに整備事業団の調査ではなるそうですが、生産規模別から言うと、大体合理化にかかっている炭鉱というものは、一万トン以下の炭鉱が半分以上を占めている。それからまた、今度生産量の方からいきますと、一万トン未満の炭鉱というものは、生産量の総量から言うと非常に少ないわけです。大体三万トンないし五万トン以上の生産規模を持ち、生産量を持つ炭鉱というものは、これは一応整備の対象になっても、これはまた別な方法で開発がある程度可能であるという状態になっているそうであります。そういうことを考えると、一応今まで整備事業団で整備していった炭鉱の中から、ある程度の将来閉山の基準となるべき一つの線が生まれてきやしないかと思うのですが、その点のお考えはどうですか。
#230
○樋詰政府委員 現在の事業団の買い上げの基準を変更するというようなことにつきましては、いろいろ実態については調査しておりますが、今のところ現在の平均の能率あるいはコストの六割以下のものを買うというのを特に変更しなければならない積極的な理由はまだわれわれの方ではっきりと確認するまでに至っておりませんので、しばらく現在の基準でやっていきたいと考えております。
#231
○藏内委員 今の合理化法の改訂せられた基本計画によりますと、買収した炭鉱の一人当たりの月の出炭量は大体二十三・五トンというものを基本計画としては持っておられる。ところが現実には、はるかに低いところに低迷しているために、合理化にかけなければならぬという実態になっている。ところがこういう基本計画が二十三・五トンという出炭を予想されているということならば、これ以下の炭鉱は一応非能率という見解に立たれるのか、そうでないのか、この点はいかがですか。
#232
○樋詰政府委員 今の二十三・五トンとおっしゃいますのは、どの部分のことをおっしゃっておりますのか、基本計画の四十二年度のあれでございますね。――これは四十二年度の基本計画において二十三・五トンということでございますし、現在買っておりますのは十トン程度のものである、こういうことでございます。そこでわれわれは、従来は大体四百三十万トンという既存のものを買う、さらに二、三百万トン程度非能率と目されるものは残りやしないかと思いましたが、その中の半分くらいのものは自分が努力して能率炭鉱の方に体質改善をやるであろうし、あとの半分くらいは事業団自体で買うだけのあれもない、ほんとうに終期で。御承知のように事業団は五年以上の残量がなければ買わないということになっていて、そういう資格に欠けるものも百万トンくらいあるというようなことから、大体四百三十万トンくらい買えばそれで一応非能率の要措置のものは済むのではないかということで四百三十万トンということをきめていただいたのでありますが、さらにその後石炭の不況の深刻化等に伴いまして、今その根本的な見直しをいたしているわけであります。
#233
○藏内委員 それから本法による離職者対策というものは、結局石炭産業の将来にわたる恒久対策と密接な関連があり、どういう計画が策定せられるかということによって実際に内容はかなり変わってくるのじゃないかと思われるのですが、この恒久対策の内容については、今の大臣のお話でもまだ未確定の分が多分にあって、今質問の段階でもないようでありますからしばらく省略するといたしますが、大体の目途としては、策定せられる時期はいつごろであるか。ということは、いつごろまでで一応軌道に乗せようとなさっておるのか。換言すれば、失業者がこれ以上発生しないと思われる段階になるまでには、大体どのくらいの年月を予想せられるか。
#234
○樋詰政府委員 総合的なエネルギー計画につきましては、ただいま経済企画庁において取りまとめて、再検討いたしておりまして、大体年度内、結局三月くらいには何とか結論を出したいということで、関係各省もそれに協力いたしております。なお、われわれといたしましては、その三月までということでなしに、先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、通常国会で少なくとも石炭についてここ二、三年間の必要な措置については十分な予算措置あるいは立法措置ということについて、国会で御審議願える程度の資料は整えたいということで、事務的には大いに努力をいたしておる最中でございます。
#235
○藏内委員 この法案は一応五年間の時限立法にせられましたが、大体当初十年間の時限立法であったのを半分の五年間に短縮せられた。そういうことから考えても、相当な離職者を消化していく自信があったのじゃないかという工合に考えるのですが、その点はいかがですか。
#236
○百田政府委員 ただいま合理化計画との関連のお話もございましたが、われわれ一応この法律で対象といたしておりますのは、今日までの状況におきまして、炭鉱の買い上げないしは中小炭鉱の閉山、休山によって相当数の離職者が発生してきておる、そういう状態を頭に置きまして、今後こういう状態が続くのではなかろうか。しかしながら、合理化計画あるいは国の施策もそれに加わりまして、相当数の離職者が短期間に出るということになりますれば、これ以上の措置もあるいは考えなければいかぬと思いますが、現在においてはそういうような措置で考えておるわけでございます。従いまして、この五年間という期間も、五年間のうちにはこの対策をもって処理して参りたいという考えでございます。
#237
○藏内委員 五年間に消化できないときには、この法律案を延長せられますか。
#238
○百田政府委員 五年間において特別の対策をとる必要のない状態にいたしたいというつもりでございます。しかしながら、事情の変化によりましては、この法律を延長するのかあるいは強化するのかという問題は残って参ると思います。
#239
○藏内委員 現在の離職者数は大体二万少し、それから今後石炭産業の企業整備を徹底して参りますと大体七万ないし八万くらいの離職者が発生してくるということがいわれる反面、自然減耗がやはり毎年二万余りずつ出てくる。従って新規採用を控えればある程度のところに数を押えることができるという考え方も一つあるのですが、炭鉱のように職種がさらに複雑多岐に分かれておるところでは、炭鉱経営自体が相当合理化されていかない限り、新規採用によって離職者の数を押えていく、新規採用を押えることによって内部で調整していくということは、現実には不可能ではないかと思う。そういうことで、将来もまた多数採用し、多数離職をしていく状態が繰り返されていって、離職した者自体の失業の質というものはますます悪くなるということがどうも感じられる。といいますのは、現在すでに整備事業団が買い上げて、未処理のまま炭住に住んでおる離職者が、当時全国で二十六カ所あって約六千七、八百おったそうでありますが、その当時に完全な失業状態にあった者が大体四〇%くらいであった。それが現在では二千人程度に居住者の数は減ってはいるけれども、離職者の比率というものは五〇%以上にふえておる。そういうことで、多数の者は炭住をだんだん離れていって実際には産炭地から遠ざかっているけれども、産炭地に残った失業者の質というものははるかに深刻な状態になってきている。そういうことから考えますと、どうしても離職の発生の初期において救済していかないと、よけいな経費もかかるし、あとの処置が非常にめんどうになると考えられるわけで、そういう意味においてもやはり年次の失業者の発生推定数の把握ということと就労計画というものの策定を非常に期待するわけでありますけれども、実際の問題といたしまして、今後企業整備によって比較的年令構成の若い離職者が多数に発生してくるということになりますと、現在あるいは将来、中小企業の老朽炭鉱から出て参ります失業者、こういう二つの新旧の失業者が競合してくることになる。こういう新しい、やがて発生を予測される離職者と、現在すでにある離職者との競合をどういう工合にやっていかれるか、その構想について少しお話をいただきたい。
#240
○百田政府委員 ただいま先生のお話の通り、できるだけ早期に職業の転換を講じてやるということが私ども一番大事なことであろうと思います。そこでわれわれといたしましても、できるだけ失業保険の受給期間中にこれらの職業あっせんが成功いたしますように努力いたしておるわけでありまして、現実の問題といたしまして、失業保険を支給中の者は、やはりそのうちには何かさらにいい仕事があるのじゃないかというようなことで、なかなか動かないのが現状でございます。先ほど申し上げました職業紹介の現状から申し上げますと、ほとんど失業保険の受給期間の満了者あるいはそれも相当以前に満了した人たちでありまして、先生の今のお言葉をかりますれば、質的には相当長い期間失業しておった人たちが多いわけでございます。その点に非常に困難を感じておりますが、幸いにいたしまして、年令的には二十才代から五十才までと相当広範囲にわたっております。
 そこで新しい失業者、それから旧失業者の競合をどうするかというお話でございますが、この点は安定所としては、その者の能力それぞれに応じましての職業紹介を考えなければいけませんが、特に今回緊急就労対策事業といったようなものを計画いたしましたのも、その者の労働力が一般失対その他にやむを得ず落ちていって、磨滅してしまうというようなことのないようなことを配慮いたしまして計画いたしたわけでございます。できるだけ早期に職業相談をすることによって職業紹介をしていくということに今後一そう努力いたしたいと考えております。
#241
○藏内委員 今後企業整備によって発生を予想せられる新しい離職者でありますが、これについては、これが経営者の首切りによる場合と、あるいは炭鉱の必然的な宿命として、非能率炭鉱の整理という形で発生する場合といなとを問わず、結局やむを得ずというか、不可避的にそういう失業者が出てくるということであるならば、やはり現状から、今度の援護会の業務といいますか、この法律案の趣旨について炭労にも協力を求めることが必要である。炭労は常にこれを一つの首切りの正当化の手段というふうに理解して参りますから、そういうことを避けるためにも、また離職した者を、現在ある古い離職者のような転落した状態にまで陥らせないためにも、PRが非常に必要ではないかと思うのですが、そういう炭労に対する一つの啓発といいますか、PRについては、どういう工合にお考えですか。
#242
○百田政府委員 特に炭労に対してどうこうということは現在のところ考えておりませんが、できるだけ広くこの趣旨を理解していただく。それからまたこの法律全体といたしましては、炭鉱離職者のすべてを対象にいたしておるわけで、ただ援護会の業務のうちの二つ、移住資金の問題と訓練手当の問題を、援護会の業務の性質をもちまして、通常の人に通常の場合以上の手厚いものをやるわけでありますので、石炭産業にできるだけ貢献をしたものということで、これだけはしぼりをかけてございますが、その他の職業紹介、職業訓練ないしは緊急就労対策事業あるいは優先雇用といったような問題は、すべての炭鉱離職者について適用されるものでございます。われわれとしては、できるだけその点あたたかい気持でこの法の運用に当たりたいと思いますし、またそういう趣旨は広く世間に知っていただきたい、こういうふうに考えております。
#243
○藏内委員 それから、これは大手よりも特に中小の場合に顕著に出てくる現象なんですが、離職者が急速に転落をしていく原因として、離職者が離職をする直前の状態が、すでにきわめて不安定な、離職と全く変わりない状態に置かれておる。要するに経営者は数カ月前から賃金を未払いにして、従業員との交渉にも全然応じないというような状態で推移して、終わったときにはもう何もなかった、実際整備事業団と経営者との話し合いが済んでいたというような状態になるのが、大体中小炭鉱の場合の一般の状態なんです。そういうことで、原則として整備事業団が買い上げる炭鉱は、経営者と労働者が協議して、そうして納得のいくものについてだけ対象として、まず未払い賃金を先に払うということに建前はなっておる。そうして現在すでに買収代金から支払われた未払い賃金というものは、一億五、六千万円になっているそうですが、現実にはこれがいっていな
 いのが非常にあるのではないか。大部分の場合、労務者の泣き寝入りの形で未払い賃金を処理されておって、本来の形では支払われていないという状態にあるのじゃないかと思うのですが、実態はいかがでしょうか。
#244
○樋詰政府委員 事業団の買い上げました炭鉱の申し込み以前までの未払い金につきましては、大体今先生御承知のように、申し込みの日までの未払い賃金について、六カ月を限度として優先的に払うということになっておるわけでございます。これにつきましては、たとえば国税あるいは地方税といったような公租公課の徴収率が、返済率が三割、それから開発銀行その他市中銀行への返済が二割というものの中で、未払い賃金だけは大体今までの実績で八七%というふうに、非常に高率を示しているわけでございます。ただ問題は、事業団に申し込みをしたときにはほとんど未払い賃金はなかった。ところが申し込みから実際に買い取りの契約ができるまでは、相当の期間かかるわけでございますが、その申し込み後に賃金をさっぱり払ってくれないといったようなものが出て、そのために非常に労働者が泣かされておるという事実は、先生の今御指摘になった通りでありまして、これはわれわれ非常に困ったことだと思っておりますが、現在の建前では、債務全体が大体において非常に大きい。しかもそれを担保する財産の方は比較的少ないという関係がございますために、全体の債務者に対する返済と、未払い賃金と、どういうふうなかね合いで、どっちをどう優先させるかということになると、やはり申し込みの日までくらいに一応確定して、その分は一番優先するんだということをとらざるを得ないというふうに考えて、今申し込みで押えておるわけでありますが、確かに非常に一部の悪徳の中小炭鉱あたりに、先生御指摘のような例もございますので、このあたりの事情についてはよくわれわれも調べてみたいと思います。
#245
○藏内委員 事業団が買収する物件を大きく分けますと、鉱業権と鉱業施設と二つに分かれますが、これの買い上げの基準が安きに失しておるという非難といいますか、批評を聞くのですが、この点について石炭局長いかがでございましょう。
#246
○樋詰政府委員 われわれの方は決して買いたたきというようなことで非常に安く買っておるというふうには思わないのでありまして、簿価を参酌いたしまして、一々評価基準に従って評価いたしておりますので、むしろ一般公売の場合に比べまして有利に買っておるのじゃないか、そういうふうに思っております。
#247
○藏内委員 整備事業団で持っておられる資料に基づいても、大体時価よりも少し高目に買っておるのは確かなようです。ところが現実にはかなり鉱業権者には有利に解決してやっても、特殊な、非常に内容のいい、借金のない経営者、あるいはいわゆるボス的経営者といわれる、会社の経理内容の皆目わからないような一部の経営者を除いては、ほとんど鉱業権者に金が残らないというのが実態ではないか。それは一体どういうところに原因があるとお思いになるのか。
#248
○樋詰政府委員 まず第一に鉱害が多いということと、借入金あるいは未払い金といった債務が多いということのために、相当いい値で買っても、鉱業権者には金が残らないという格好にならざるを得ないわけであります。
#249
○藏内委員 そういうことで、現実には炭鉱の借入金というものは非常に多い。これは整備事業団の買い上げ価格の四十倍も借金を背負っていた極端な例があったそうです。そういうことは中小では一般の情勢になっておるのですが、大手といえども必ずしもその例外ではないと思うのです。現実に今の大手炭鉱の財政面というものを実質的に検討してみても、かなり大きな借入金をかかえておる。しかも高利で相当短期間の借入金をかかえておる。こういう傾向であって、最近は長期借入金が減少して、自己資本がふえておりますけれども、再評価積立金というものを引いてみると、実際に炭鉱の財政というものは必ずしも大手でもよくなっておるとは考えられない。これを根本的に解決する方法というものは、やはり国家資金を大量に、しかも長期に投入する以外にないのですが、今通産大臣のお話で、炭鉱に対する開銀の融資も考慮せられているということを言われ、大へんけっこうなことだと思っていますが、実際現実に今大手、中小に出ておる開銀の融資の総額はどのくらいになっておりますか。
#250
○樋詰政府委員 大体本年度の九月末で大手、中小合わせて二百六十億程度でございます。最近少しふえて、あるいは二百七十億くらいに現在はなっておるかもしれません。
#251
○藏内委員 それから整備事業団の問題に戻りますが、整備事業団は労務者の離職と同時に離職金を支払っており、これが相当な金額になっておりますが、この離職金は一体どういう時期に払っておるのか。と申しますのは、その払う時期によっては、離職金が将来離職者の生計上有効に使われ得ない時期に出るということがあっては困ると思うので、一応念のためにお聞きをするわけです。
#252
○樋詰政府委員 離職金は、大体現実の契約というものはいろいろなことで非常におくれる場合が多いわけでございます。あまりおくれますと、六日のあやめ何の菊というように意味のないことになりますので、大体契約予定日を定めまして、できるだけそれに間に合わせるように事業団と鉱業権者の間で努力するということをいたしておりますが、大体契約予定日になったら離職金を払うということにいたしております。
#253
○藏内委員 今申し込みから契約まで、平均八カ月ないし十カ月かかっておるのが現実ではないですか。
#254
○樋詰政府委員 大体八カ月くらいかかっております。
#255
○藏内委員 そうすると、実際離職をしてから失業保険が切れ、要するに生活保護の段階に入って初めて今の離職金が入ってくるということで、生業資金として非常に有効に働く時期を、現状でも少し失しているのではないかと思うのです。もし出すならばもっと有効に働ける時期に出した方が効果的じゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#256
○樋詰政府委員 確かに実情におきましては、先生御指摘の通り、時期的に非常におくれて、せっかく出しても非常に効果が薄いといったようなことは、否定できないと思うのでございますが、しかし現実には、申し込みましても、いろいろ思わざるところで鉱害が出てきたり、あるいはその他いろいろなことで非常に手間取って、中には当然契約ができると思いながら、途中で契約をやめざるを得ないといったようなことも出ておるという事情が相当ございますので、われわれもできるだけ早く払えるように今後とも努力したいと思いますが、今の段階におきまして、すぐ申し込みと同時に払ってやるというところまでは踏み切りかねるということを、一つ御了承いただきたいと思います。
#257
○藏内委員 最後に一点伺っておきますが、先ほど滝井委員の質問に対して、整備事業団のやるいわゆる援護事業というものと、この援護会のやる事業との関連を、移動資金について安定局長から御説明がありましたが、今私が申しました離職金は、将来援護会の業務が軌道に乗った場合にいかように取り扱われますか、この点を最後にお伺いしたい。
#258
○百田政府委員 離職金は全然性質の違うものでございますので、援護会とは関係がないと思います。
#259
○樋詰政府委員 離職金はすべての方に差し上げるということでございます。
#260
○永山委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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