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#1
第033回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
昭和三十四年十一月十三日(金曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 鍛冶 良作君 理事 高橋 禎一君
   理事 古川 丈吉君 理事 島上善五郎君
   理事 矢尾喜三郎君
      藏内 修治君    高橋清一郎君
      中井 一夫君    三田村武夫君
    早稻田柳右エ門君    滝井 義高君
      山下 榮二君    土井 直作君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (自治庁選挙局
        長)      松村 清之君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (自治庁選挙局
        選挙課長)   皆川 迪夫君
        総理府事務官
        (自治庁選挙局
        管理課長)   櫻沢東兵衛君
    ―――――――――――――
十一月六日
 公職選挙法の一部改正に関する請願(池田清志
 君紹介)(第七八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 前回の委員会において理事の諸君と話し合いの結果、先般私が英国の総選挙施行状況、並びに西欧諸国の選挙制度視察のため、当院より英、仏、独、伊、スイスの各国に派遣を命ぜられましたが、現地視察の状況について委員会に報告するようにとのことでありますので、本日は、英国の総選挙を中心とし、その他各国の選挙制度等について、私の見たままを以下簡単に御説明申し上げまして、公職選挙法改正に関する参考に供したいと存じます。
 まとまったことは、ここで申し上げますと長くなりますので、都合によってこれを本日の会議録に掲載し、これによってごらん願いたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じますが、ちょっと特別に私が感じましたことを簡単にざっと申し上げて、また御質問等もありますれば、お答え申し上げたいと思います。
 イギリスの総選挙ではっきり感じましたことは、選挙が日本と違って非常に静かな選挙だということです。これはもう私が申し上げるまでもなく、皆様よく御承知だと思いますが、ほんとうに静かな選挙で、第一に、特徴的に言いますれば、これは小選挙区制の関係からそうなるのだと思いますが、法律はむろん個人の選挙ではありますけれども、実際上においては政党の選挙になっております。個人的な選挙運動が従であって、政党の選挙運動が主というふうなことになっております。従って、個人的な動きというものが非常に少ない。それが静かな選挙ということの結論になるのだと思います。
 第一に、ポスターが、全然個人的なものがないのです。ポスターがところどころありますけれども、これも日本みたいな派手なポスターではなくて、小さなので地味にできているポスターなんですが、これは各党のポスターであって、写真なんか、むろん党首のマクミラン、ゲィツケルというふうな人の写真であって、個人の候補者の写真は一つもありません。これは、今申し上げました政党の選挙を主としている関係でもありまするが、また選挙費用の関係にも関連するらしいので、御承知のような理想選挙が実際に行なわれている英国ですから、六、七十万円ないし百万円の法定費用内でポスターなんかを個人で作ったりして張りますと、たちまちにして費用超過というようなことにもなるそうでして、そういうふうな二重、三重の関係から、ポスターなんかも個人的なのは全然ありません。
 それから、日本のようにトラックで縦横無尽に街頭を荒らし回るというようなことはむろんないので、私ども、日本ではトラックに乗ってやるのだと言いますと、日本人は、人間が万物の霊長だという古い昔からのことわざがあるのを知らぬのだろうかというふうなことで、人間を荷物扱いにしておるということに対して非常にワンダフルだ、そういうふうな批判もあったくらいなんです。そういうふうな工合で、私どもも顔を赤らめたのですが、日本でもやはり物と人間は違うのだけれども、終戦後の自動車もない時代に、というふうなことで弁解しておきました。御参考のために一つ……。
 そういうふうなので、街頭荒らしをやるというふうなこと、交通妨害等のことはありません。街頭演説は許されております。運動方法についてはほとんど制限がないようでして、街頭演説はむろん許されておるのですが、しかし、日本みたいに繁華街に立って、少しでも交通に支障を来たすような街頭演説はないそうです。住宅街に勤労者なんかが帰ったときをねらって、もしくは留守宅の細君連中をねらって、いわゆる住宅街、ことにアパートなんかに対して、盛んに、日本みたいな政見放送ではないようですが、ごく簡単な、わが党を支持してくれ、この候補者を支持してくれというふうな意味の呼びかけを繰り返し繰り返しやるので、これは安眠妨害になって困るというふうな説もあったようです。従って、住宅地方面に対しては、そういうふうな自動車からの呼びかけ、街頭演説的なものはたくさんあるようです。日本みたいに、住宅と営業所とがごっちゃになっているようなところはイギリスみたいにもいきますまいけれども、とにかくこれも一つの参考になると思いますが、要するに、交通妨害的な日本独得の街頭演説風景はないようであります。
 それから個人演説会も非常に少ない。二十日の選挙期間において、二、三回か五、六回、多くて七、八回が最高だといっておりますが、私がリバプールのノートンという保守党の候補者の、選挙日の前日の演説会を傍聴しましたところが、ロイド外相が応援演説に来ていまして、盛んに熱弁をふるっておりました。ヤジは盛んです。日本における立会演説よりもまだヤジがひどいようですが、演説の妨害になる程度の騒々しさはないようです。それから、演説が済んだら、これが個人演説会の花形的な役割をするそうですが、質問戦です。聴衆の方から盛んに質問して、それに一々ロイド外相が答弁するというふうなことで、これが非常におもしろい風景のように見受けられました。こういうことで、個人演説会もむろん制限はしていないようですが、個人演説会よりももっと違う方面に選挙運動として力を入れて、比較的日本のように演説会をしていないようです。これは結局、小選挙区との関係上、今さら個人的にいろいろな自己宣伝をしなくとも十分選挙民に周知徹底しているので、従って、こういう演説会が少ないのだというふうなこともいわれておったようです。
 それから、日本の選挙と違ったのがすなわちテレビの活躍、テレビでの選挙運動です。テレビが非常に重要な役割をやったが、これも個人的なテレビの放送ではなかったです。要するに、政党同士のテレビの宣伝放送であって、しかしこれが、とにかく保守党か労働党かというので、この選挙の動向というもの、選挙の結論というものに非常に重大なる影響を及ぼした。すなわち、テレビが非常に重要な役割を、今度のイギリスの選挙に演じたというふうなことがいわれております。テレビの演出もなかなか派手な演出で、それぞれ目先を変えたいろいろな演出をしたようでございまして、非常に評判がよかったです。
 そういうふうな関係でありますから、従って、個人的には選挙費用が比較的少ないというふうなことで、結局六、七十万円から百万円の法定費用――これは有権者の数によって違うわけなんですが、そういう選挙費用の中でりっぱに選挙が終了したというふうなことがいわれておるので、イギリスの選挙運動はほとんど制限がないのでありますけれども、いわゆる自律自粛といいますか、そういうふうな観点から理想的な、静かな選挙が行なわれる。しかし、これは一つには選挙費用の制限もそういうことの裏づけをしておるというふうにもいわれておりますから、これも一つ御参考にしていただきたいと思います。
 要するに、党活動を主として、それから個人的な選挙運動方法としては、日本と違った、家庭訪問という言葉を使っておりますが、日本でいう戸別訪問、これを盛んにやります。候補者もこれをやって差しつかえないということになっておりますが、候補者はほとんどこれはやっていない。すべて党員がやっておるそうです。地方支部というものがそれぞれ小選挙区内にあって、それが日ごろからクラブというものをこしらえておって、一つの建物内にクラブ式のものがあって、常に党員の同志的結合を強めるために日常そこに執務をしておるそうですが、そういうようなものが、いざ選挙になると、ぱっと喜んで手弁当で飛び出していって、そういうふうな家庭訪問をやる。しかも、それぞれ組織的に、合理的に、一人が何軒持つとか、何百軒持つとか、どの方面を持つとかいうふうなことが手ぎわよく整理されて、戸別訪問をするのだそうですが、その戸別訪問は、日本のようにだれそれに入れてくれというのじゃないので、あなたの支持する人に投票してくれというふうな勧誘の仕方をするのだそうです。しかし平素から、党活動によって労働党の方も保守党の方も大体党の支持者がわかっておるので、支持者以外のところには行かないというふうなことが原則になっておるそうです。大体御承知のように、各四〇%が保守党と労働党の票であって、あとの二〇%ですか、そういうものが自由党ないしは浮動票というふうなことになっているので、その活動票をねらうということ以外には選挙の意義がないとまでいわれておるようですから、まだその支持者をきめていない方面には非常に力を注ぐそうですけれども、それも今言ったように、個人的な名前を言って勧誘するのではなしに、あなたが信ずるところの党並びに候補者に入れてくれという家庭訪問的な勧誘をするそうです。
 こういう点が大体特徴的なことと思いまするが、そのほか、欧州大陸の方の選挙制度なんかを通観して考えられますことは、大原則として、すべて選挙というものは、政局の安定をもたらすような方法の選挙制度でなければならないという、そういうふうな建前になっておるようです。そういう意味において、イギリスの小選挙区制は、御承知のように死票が多いですから、労働党のごときは大いに批判的であり、反対せざるを得ない立場にあると思われるのでありますけれども、労働党も双手をあげてこの制度に賛成しておって、死票がたとい多くても、結局政局の安定に資すること大であるから、その大目的に沿うこの選挙制度がいいというようなことを言っておるようです。自由党のみが御承知のような状態ですから、比例代表を強く主張しておるというふうな立場になっておるようでございます。そういうふうな関係で、欧州大陸、イギリスを通じて、政局安定ということの目標を達成するための選挙制度というものができ上がっておって、はなはだしいのには、一定数の議員数をとったら、プレミアムがついて三分の二に当選者がふえるというふうな制度、あのフランスのような選挙制度も生まれてきているという状態。私が見聞しましたところでは、西ドイツの選挙制度が一番いいと思うのですが、これはいずれ詳しく申し上げる機会もありましょうし、それからまた、この報告書にもその点も御報告申し上げておりまするから、この程度にとどめたいと思います。
 何か御質疑があればお答えいたしますが、この報告を読んでいただいた上でされても差しつかえないと思います。
#3
○土井委員 ドイツの選挙法がいいという、その内容を一つ簡略に説明してくれないですか。
#4
○高橋委員長 ドイツの選挙法ですね、ドイツの選挙法は、私が聞いたところでは、定員数のある一部が小選挙区制になり、ある一部が政党投票になって、政党の比例代表というふうなことに、抽象的に言うとなるわけなんですね。具体的に言うと、たとえば神奈川県で十二人の定員とかりにしますと、これは分けようは幾らでもありますが、六人を小選挙区制として選挙を争うというふうなことになる、当選者を定めるということになる。そうすると、神奈川県を六つの小選挙区制に分けるわけです。そこから各党が公認候補を出して、当選を争うということになる。非公認の立場の人が無所属なんかに出た場合には、たといそこで小選挙区制で最高点をとって当選しても、最低五人以上一つの政党団体から当選者が出なければいけないとか、その政党団体が、あるパーセンテージの得票がないといけないというふうな制限があるので、たった一人の無所属から出たような人たちは、せっかく当選しても無効になるというふうなことになって、非常に大政党に有利というふうなことになっております。大政党といったところで、泡沫団体に不利益であって、今の社会クラブのごときは大政党ですから、これはむろんその問題はないわけですが、そういうやつが半分。これは半分にしたわけです。それから残りの半分の六名は、政党投票になるわけですから、たとえばドイツでやっているのは、一つの投票で、右の方には、個人の小選挙区制のその小選挙区での候補者の名前を書き、左の方には、政党の名前を書くわけです。そして神奈川県全体で合計したところの政党の投票数に応じて、按分比例で当選者をきめるということになっておる。だからその場合に、神奈川県のごときは社会党系が優勢だから、四人とるかもしれないし、三人で済まされるかもしれないというふうなことになる。そうすると、この県々に順位をあらかじめ党として定めて、登録しておくわけなんです。一位から六位まで――六人の定員ですから一位から六位までやった場合に、社会党が、四人当選する場合には、一位から四位までは当選ということになる。だから、党の最高幹部のごときは、個人的な選挙運動なんかせず、党のためにうんと活動しながらゆうゆうと当選できる。学識経験者の中に、国家のためにどうしても出さなければいかぬというふうな有為な人物がいた場合には、昔の勅選的に、各政党が一位とか二位とか、必ず当選できるというふうな順位に置いておけば、これは寝ておって当選できるというふうな制度、しかも、そのために死票が少なくなるというふうな特徴もあると思いますので、私はこれが一番いいのじゃないかと思っていますが、こまかい点については、いろいろ日本的に直さなければいかぬところもありましょう。ドイツにおいては、その順位を定めるのが一番むずかしいというふうなことで、政党法で、その県々の党員の秘密投票によって順位がきまるということになっておりますが、日本はなかなか、県々でやるというと、県のボスが実際いろいろな弊害をもたらすような活動をするおそれがあるので、やはり党本部で、政党法をこしらえて、厳格な選挙委員会でもこしらえて、そうしてそこで順位を決定することが可能だと思うのです。保守党の方でも、われわれ自民党も、公認争いは、御承知のように派閥争いがひどいから、なかなか難産的なことになっておりますけれども、結局話がつきますから、この順位問題も何とか解決がつくんじゃないかと思います。だから、十年選手においては、これはもうぜひ双手をあげて賛成してもらってからに、寝ておって当選されること、これは日本民族のために、そういうふうな有意義な人はどうしても出てもらわなければいかぬ。西ドイツのやつは、私は賛成するわけですが、大体そういうふうなあれです。しかし、私が言ったほど的確なものじゃない点もありますから、よく調べながら――しかしこれはドイツを研究しなくても、大体その構想によって日本的にこしらえればいいわけです。
 ほかに御質問がなければ……。
#5
○中井(一)委員 委員長は、公私御多端のところ、わざわざヨーロッパまでおいでになって、親しくかの地の事情をごらんになり、御報告いただきましたことは、われわれにとって非常に参考になり、感謝にたえません。
 つきましては、お伺いいたしたいことは、この委員会はどういうふうに御進行になり、どういうめどに結論を得られようとするのでありましょうか。申し上げるまでもなく、自由民主党におきましては、選挙制度の調査会を特に創設しまして、そうして現にその調査を進行いたしつつあり、政府におかれても、選挙制度調査会を再開して、しかも本年十二月中には一応の答申を得るために、御努力のあることを承知いたすのであります。従いまして、本年内に、当委員会といたしましても、何らかの進行とその結論、少なくともめどだけは立てておかれる必要があるのではないかと思われるのであります。申し上げるまでもないことでありますが、わが国の選挙制度を今日改正をして、現時の国情に適応するような状態に改正するということは、これはもう全く国論の一致するところであります。従って、われわれの切望するところは、次の通常国会においてはぜひこの改正案を成立せしめたい、かように思うのでございまして、当委員会の委員の皆さんにおいても、同じお気持であろうと存ずるのであります。つきましては、この際、委員長におかれましては一つ理事諸君ともよく御協議をいただきまして、本委員会が円満に、かつ迅速にその審議を進められ、しかるべき結論を得られるように、その目途をどこに置かれるかということにつき、委員長の御意見を承っておきたいと思うのであります。
#6
○高橋委員長 委員長独自の見解を申し上げますれば、それぞれ意見がありますが、大体御質問の点については、理事の諸君と相談いたしまして、的確なとりきめをいたしたいと思いますが、大体は、こういうふうなことになるのだと思います。政府の調査会と自民党の調査会と、それから社会党、社会クラブのそれぞれの組織によってこの問題が検討されておりまするから、その進行とにらみ合わせて、そして当委員会の審議をすみやかに進めたいと思いますが、大体考えられることは、この臨時国会では、おそらく具体案もできますまいし、間に合わないと思いますが、通常国会においては、どうしても選挙法の改正を行ないたい。必ずこれは行なわれると思います。しかし、少しでもすみやかにやりたいというふうな希望を持っておりますが、第一に、選挙運動方法だけの選挙法の改正になるか、第二に、その選挙運動方法のほかに、中井先生らが熱望されておるところの定員の改正という段階まで解決することになるか、さらに進んで、選挙区制の大原則、根本的な選挙区制度にまで改正の手が伸びることができるかどうかということが、問題になってくると思います。選挙運動方法の改正というものは、これは必ずできます。その次に、定員数の改正という問題、これも不合理であり、一日もすみやかに改正しなければならないということは、よくわかっておるのでございますが、これをいじると、選挙区制度の根本にまで影響するのではないかというふうなこともありますので、これのみを取り上げるということの困難性も痛感されますが、しかし、今申し上げましたように、だれ人も不合理は認めておるのですから、根本的な選挙区制度だけ切り離してでも、この点だけは解決しなければならないと私どもは思っておりますし、委員諸君一同もさように考えられておると思います。少なくとも自民党の調査会においても、そういうふうな気持を持っておると思いますので、その点についてもわれわれは大いに努力したいと思っております。選挙区制度の根本的な改正、これは内閣の強弱とかなんとか、根本的な問題なんかありまするし、社会党の態度なんかもありますので、ここで予定はなかなか困難だと思いますが、でき得るならば、これも通常国会中に、まとめ上げることができればまとめ上げたいというのが委員長としての考えですが、その点については、見通しがはなはだ困難じゃないか、かように考えておりますが、その点、よく理事諸君と相談いたしまして、委員の方ともまた相談してから、なるべくすみやかにすべての問題を解決しますように、順序を立てて相談をしたいと思います。
#7
○中井(一)委員 ただいま委員長の御所見は、まことに実情に適合した御所見でありまして、私どもも御同感に存ずる次第であります。ただ、御意見のうちにありましたが、選挙区制を改正するということは、何分にも社会党及び自由民主党、両党の関係がありますから、その意見が少なくともある程度において一致いたしませんと、円満にこれを決定することは無理であろうと思うのであります。今日の実情をもってしますれば、それに手をつける、たとえば今日の中選挙区制を小選挙区制にするというようなことは、なかなか容易なことではないと思うのでございまして、これはまたいずれにしても議論のあるところでありますから、将来を期せられてもしかるべきものではないかと思います。ただしかし、現在の定員の改正ということにつきましては、これはぜひともこの際断行すべきだと思うのであります。
 最近各方面において論議の起こっておりますることのうち、特に政府側並びに自由民主党方面から出ておりまする意見につきましては、もとより定員改正ということも重要なる一議題とされておりますけれども、ややもすると、その論議は選挙方法あるいは選挙費用、罰則等というような方面に論議が傾いておりまして、その根底をなすところのものは、候補者が選挙をいたすのにやりよいように、また取り締まりの方から見てその取り締まりができやすいように、そういうようなことばかりなのであります。選挙法において一番大切なことは、国民の選挙権をどう取り扱うかということが、その根本議題でなくてはならぬと思うのでございます。しかるに、この問題が第二次的なように考えられたり、取り扱われたりする傾向にありますことを、きわめて私は残念なことと思うのであります。しかも、その不都合であるということは、すでに世論の決定しておるところであるのであります。ぜひともその意味におきましても、定員改正の問題につきましては、万難を排して決定をしていただきたい。しかも、幸いにして本日御出席でもありますが、自治庁における選挙管理会のベテランである松村委員長は、その私案を御発表になりました。きわめて妥当なることを発見するのであります。その私案を中心として定員改正を一応御決定になるということだけでも、この選挙法改正にきわめて国民の世論を実現するという形を備えることができて、はなはだけっこうなことだと思います。委員長におかれましては、何とぞ右ようの事情もごしんしゃくいただきまして、各派の理事の皆さんとも御相談の上、善処せられんことを切望いたす次第であります。
#8
○高橋委員長 承知いたしました。
#9
○島上委員 私も、今のことに関連をして一言。これはあえて御答弁は要りませんけれども、申し上げておきたいと思います。というのは、これは委員長の報告の言葉じりをとらえる意味では毛頭ございませんが、政局の安定を目標とした選挙制度であるというふうに観察をされてきたようでありますが、それも一つの見方でしょう。一面の見方であることは私も認めます。しかし、理屈を言うわけではありませんけれども、民主政治のもとにおける選挙制度というものは、いかにして民意を、国民の意思を正しく反映するか、こういうところに根本がなければならぬと思う。ですから、私どもは、選挙法を改正する際に、国民の意思が正しく反映することを妨げている、そういう事柄を排除する、妨げるような運動方法も排除する、妨げるような制度を排除する、そうして国民の意思が、すなおに選挙を通して政治に反映するということが一番大事なことであって、その結果、政局が安定するならば大いにけっこうだが、国民の意思がすなおに反映しないと、与党に都合のいいような制度を作って、この間のゲリマンダーのような制度を作って、無理に政局安定をはかろうとすることは間違いだと思う。欧州を見てこられた御報告を聞いて、非常に参考になりましたけれども、私は今言ったような考えを持っておる。そういうふうに考えますならば、選挙法の改正は、この通常国会で政府も用意されておるようですし、自民党も研究されておる、私どもも相当広範な改正をしたいと思って今着々準備をしております。今までの当委員会においては、非常に激烈な対立をして争った場合もございましたが、比較的両者が意見が一致して――かつて五党があった時分には、五党が小委員をあげて、意見が一致して大幅な改正をしたこともあります。運動方法のごときは、よく話し合えば一致する場合が非常に多いと思う。これは全然なしというわけにはいかないでしょうけれども、党利党略を離れて、今言ったようにどうしたら国民の意思が途中で、金やいろいろな情実やその他でもってゆがめられることのないように、すなおに反映することができるかということを、よく冷静に党派を越えて研究する、そういう態度で、次の通常国会では大幅な改正をぜひとも実現したいと思います。私どもは私どもの案を用意していますけれども、自民党及び政府の案を拝見した上で、相当一致する点もあろうし、一致しない点についてもよく話し合ってやる、それから一致しない点については、無理やりにやるというような態度じゃなしに、一致しない点については、じゃ次の機会にやろうというような、そういうおおらかな気持でやりたいと思う。
 それで、今お話しがありましたけれども、人口と議員のアンバランスの問題を取り上げるのは、世論でもあるし、当然でもありますので、私どもこれはぜひ取り上げたいと思いますが、それをやると、区制の根本にも多少は関連してきますけれども、しかし、小選挙区制、大選挙区制、西独のいわゆるドント式を採用するかしないかという問題と現行の制度のもとにおける人口のアンバランスとは、理屈の上からいっても、一応切り離して解決すべきものだと思うのです。この今言った区制の根本問題となりますると、これは当然参議院の区制の問題、それから地方議員の区制の問題とも関連して解決しなければ、ほんとうの合理的な解決はできないと思うのです。地方議員よりも狭い範囲から国会議員が選ばれるなどということは、これは矛盾を通り越してナンセンスだと思う。ですから、参議院の区制、地方議員の区制、衆議院の区制とも関連して、その関連の上で合理的な解決を見出すとなれば、これは相当慎重に世論も聞き、先進諸国の実例、経験等も十分参酌して解決する、これには相当時間をかけてもいいと私は思う。しかし、今中井先生からお話しもありましたが、人口と議員の極端なアンバランスを、戦後、来年の国勢調査で三回、十五年間、普通でない、異常な人口のはなはだしい異動のあったこの十五年間一ぺんも変えずに置いて、都市の三人の有権者と農村の一人の有権者と、同じ権利であるというような矛盾をすみやかに解決しなければならぬと思う。このことについては、今言ったように、ほんとうに党派を越えて、それから自分の選挙区が多いから、少ないからということじゃなしに、一つよく話し合っていきたいと思います。そういう意味で、今後この委員会の運営をはかっていただきたいし、今委員長の言われたように、通常国会でそういう問題と本式に取り組むということになりますけれども、今度のこの臨時国会においても、継続審議の案件もありますし、継続審議の案件を審議しつつも、そういう方向に向かってみんなで努力していきたいということを、私は自分の希望意見として申し上げておきたいと思います。
#10
○高橋委員長 御説一々ごもっともで、反対するものはありませんし、欧州各国の政局安定を目標とするところの選挙制度といったものも、欧州各国がそれぞれの国情によって、そういうふうな制度をそういう目標のもとにとっているというだけのことであって、日本には、日本としてそれぞれまた情勢の違いがありますし、条件の違いもありますから、御説のような経過によって結論を出すのがほんとうだと思います。また、民主政治はお互いの立場を最も尊重し合って、結局最大公約数的に、協調といいますか、妥協といいますか、そういうふうなところに結論を出すのがほんとうだと思います。ことに、私はその方の最の信奉者ですから、島上さんが言われるように慎重に、民主的の委員会の運営をいたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、これで一応打ち切りまして、次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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