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#1
第033回国会 議院運営委員会 第19号
昭和三十四年十二月二十四日(木曜日)
    午後二時二十六分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 佐々木盛雄君 理事 長谷川 峻君
   理事 松澤 雄藏君 理事 三和 精一君
   理事 山村新治郎君
      安倍晋太郎君    天野 公義君
      飯塚 定輔君    加藤 精三君
      鴨田 宗一君    椎熊 三郎君
      二階堂 進君    長谷川四郎君
      古川 丈吉君    毛利 松平君
      山口六郎次君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        長)      石原幹市郎君
        法 務 大 臣 井野 碩哉君
 出席政府委員
        警察庁長官   柏村 信雄君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        議     長 加藤鐐五郎君
        副  議  長 正木  清君
        議     員 佐々木盛雄君
        事 務 総 長 鈴木 隆夫君
        衆議院法制局参
        事
        (法制次長)  三浦 義男君
    ―――――――――――――
十二月二十三日
 委員大坪保雄君、加藤精三君、鍛冶良作君、渡
 海元三郎君及び山口六郎次君辞任につき、その
 補欠として池田正之輔君、服部安司君、安倍晋
 太郎君、飯塚定輔君及び天野光晴君が議長の指
 名で委員に選任された。
同月二十四日
 委員天野光晴君、池田正之輔君、服部安司君、
 毛利松平君及び川村継義君辞任につき、その補
 欠として二階堂進君、鴨田宗一君、加藤精三君、
 山口六郎次君及び小林進君が議長の指名で委員
 に選任された。
同日
 委員山口六郎次君辞任につき、その補欠として
 毛利松平君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国会の審議権の確保のための秩序保持に関する
 法律案(佐々木盛雄君外四名提出、衆法第二二
 号)
 本日の本会議の議事等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。
 昨日に引き続き質疑を継続いたします。
 なお、開会前に日本社会党、社会クラブ、民社クラブの諸君に御出席を求めましたが、なかなか野党の諸君の御出席がないようでございます。従って、やむを得ず、遺憾ながら会議を開いたわけでございます。
 さて、この質疑にあたりまして、通告の順序によりまして椎熊三郎君。
#3
○椎熊委員 私は、ただいま議題となっております国会周辺の秩序維持に関する法律案を審議するにあたって、終戦以後、新憲法となりまして、われわれがこの国会に入りましてから今日までの状況等を回顧して、実に感慨無量のものがあります。従いまして、ただいま議題になっております本案についても、幾多の疑問を持ち、不満の点もあるのであります。従って、これよりなるべく簡潔に提案者にお伺いしたい点が数点あります。
 その前に、そもそもこういう案件が問題となりますにつきましての今日までの沿革と申しましょうか、経過を考えてみて、最近の国会の状況を知っておって古い時代のことを御存じない方には、非常に突然のことのように批判せられることもありますので、この際、私は特にこの法案が今日議題となるに至りまするまでの経過等を顧みて、特に提案者に注意を喚起しつつ質問を続けたいと思うのであります。
 終戦直後、あの混乱の中にあって、私どもは初めて国会に議席を持ちました。当時はなお旧憲法時代であったのでございます。従いまして、その当時の日本内外の国情から申しましても、国会が召集されましても、いかにも無秩序なものでありましたし、新たに作らなければならぬ多数の法案が山積しておりまして、国会の内部はまさに右往左往するような状況でありました。急激なる社会情勢の変革に伴いまして、当時、国会を中心とする団体的な一つの運動というものは絶え間なく行なわれておったのでございます。その最もはなはだしいものとして、当時衆議院に相当の議席を持っておりました共産党の議員等を中心とする国会周辺の、騒擾にひとしきいろいろな行動いうものは、実に言語に絶するものがありました。最もはなはだしいのは、これらの人々の指導、誘導によって衆議院の南口が突破せられまして、あそこに数万の大衆が殺到いたしまして、トラック上には拡声機等をつけまして、革命歌を高唱しつつ、赤旗を振って非常なる気勢を上げたことがあります。その叫音は国会の内部に反響いたしまして、委員会等の議事の進行を妨げることはなはだしいものがありました。われわれ、まのあたりこの状況を目撃して、実に日本の民主主義、議会主義の前途ははたしてどうなるのであろう、まさに革命の前夜のごとき様相に直面したのでございました。
 私は、終戦直後出て参りましたが、その当時は、議院運営委員会という名称はなくして、各派交渉会という、旧憲法時代の慣例によるものによって運営を協議せられておった状態でございます。そうして、国会法ができまするや――その国会法を作りましたときも、私どもは委員に選ばれ、特に小委員にも選ばれまして、一々長い時間をかけて国会法制定のために努力したつもりでございます。その後運営委員会ができまして、第一回の運営委員長は、社会党の淺沼稻次郎君でございました。この人のもとに、国会の運営その他国会に関する新たなる、ことに議運が担当すべき性質の多くの問題を取り扱ったのでございます。そのころは、最も国会の周辺の騒擾のはなはだしいときでありまして、当時議運の委員長たりし淺沼稻次郎君等も、こういう状態では民主主義の国会を守ることができないのじゃないか、いずれは法律を制定してこれを禁止するという方向にいかなければならぬが、とりあえず、陳情、請願、議員に対する面接等は、今のような国会の構造ではやむを得ない場合もあるし、防ぎ切れぬ場合もあるので、何とかそういうことでなしに、陳情、請願者、面会者等にも便宜を与え、そのために国会の審議に支障を来たさないようにするにはどうしたらいいかということを工夫いたしまして、当時議員面会所という木造の建物がありました――今衆議院も参議院も横の方に移築しております、それを取り払って、非常に莫大な費用をかけまして、あそこに鉄筋コンクリートのりっぱな建造物を作って、陳情、請願、面会者等は、国会の構内に入らなくとも、道路から直接面会所に入ることができて、そこには相当の設備をして、そこで堂々とお話ができる請願もでき、面会もでき、陳情もできるということにしようということになりまして、当時大蔵省はなかなかそういう費用を認めなかったのでございますが、数年かかってようやくにしてあの建造物ができました。それが今日別館と称するものでございます。これらは、当時の議運に関係しておった者が、大蔵省との折衝等にも非常に苦労いたしまして、事務局も一生懸命になって国会の議事堂はこんなにりっぱな世界的な建物だから、風致を害するようなことがあってはいけないというので、その構造といい、高さといい、あらゆる研究を続けて今日ああいうものができて、陳情者や面会者や請願者はあそこの面会所においてなすべしということになって、われわれが国会構内と称しておるかきねの中には入らなくとも目的を達することができるようにあれは考えて作ったのでございます。これで防ぐことができると考えておりました。その後におきましても、かなり不穏な状況は二、三回にとどまらずあったようでございます。しかしながら、何とかしてそれを食いとめて、大事に至らずして今日に至ったのであります。しかるに、先般の十一月二十七日、あの国会の正門を突破いたしまして、万をこえる大衆が、しかも、組織的に統一ある行動をもって、指揮者、誘導者等の役員等までもきめて、侵入して、まさに見るにたえざる様相を呈したのでございます。
 われわれの、この世界的に誇っておる国会議事堂――私は各国の議事堂を見ましたが、わが国の議会の建物だけは世界一流のものだと思っておる。このりっぱな建物の中に、ほんとうにりっぱな国会が成立するならば、日本の民主主義の基礎を固めて、ほんとうに日本の将来を世界の平和のために発展せしめていくことができると、それのみが念願で私たちは今日まで議会活動を続けて参ったのであります。しかも、われわれは、国家の最高の機関と称せられる国会の一員として、このりっぱな建物の中に入って、しかも、国会の表徴ともいうべき世界に誇る議事堂を持って、この正面玄関というものは、天皇の行幸、あるいは外国の大統領等の国賓を迎えるときに使用するという、おごそかなる場所として――そういうことも、多数集まる場所には私は必要だと思います。各党ともそれを認めて、われわれ国会議員といえども、通常は出入りを禁止して、いわば神聖視してこれを守って参ったのであります。しかるに、われわれと同じ意思をもって国会法を制定し、国会を暴力のちまたと化すことを避けようと努めて参りました、しかも、今日では社会党の書記長という重責にある淺沼君のごときは、当日のああいう騒擾の大衆の中の総指揮官という、組織の上の最高峰にあり、激励指導の演説をなし、みずからまっ先に立って正門を突破して、あのわれわれが神聖視しておりました正面玄関の前に立って演説をしております。私は、議会の委員会でこのことを言おうか言うまいかと思っておりましたが、将来記録に残ることですから、国会の恥辱でもありますから言いたくないのですけれども、一般の国民があまり知っておりませんので、実に残念ながら日本の国会の恥辱として私は発言せざるを得ない。われわれが、新憲法のもと、これほど命がけで守ってきた国会の正面玄関の前面には、いやしくも、今や日本の最高学府で学問をしておると称するところの、全学連とか申す団体の者どもだそうでございますが、それが数百名あの階段によじ登って、そうして驚くべし、口にするもけがらわしいが、脱糞の痕跡四百二十カ所でございます。これは諸君はお笑いでしょうが、私は実に残念でたまらないのです。新聞等でも、あまりにけしからぬことですから、記事にはなしがたいことであったでございましょう。これを管理する参議院の方におきましては、これを洗い清めるために、それを消毒し、痕跡を抹殺するために、非常な費用をかけて、二日間を要しておる。汚物の清掃は直ちにできましたが、痕跡はいまだに残っておるという状況、何たることでございましょうか。これが正常なる陳情でありましょうか。これが正常なる請願でありましょうか。国会を侮辱するというか、何といいましょうか、まさに革命的思想がその内部にひそんでおると私は思わざるを得ないのであります。こういう事態が現に行なわれて、彼らはさらに反省するところなく、全学連の一派は、あの陳情デモは成功したと呼号しております。さらに続いて、これを続けると天下に声明しております。しかも、これを指導したものは、天下の公党たる社会党である。しかも、書記長が総指揮官である。そうしてその書記長は、われわれとともに十五年の長きにわたって国会を守るために苦しんで、この国会法を制定した御当人である。昨日も、懲罰委員会に付せられて、委員会における淺沼君の言動をごらんなさい。何ら反省の意思はないではないか。顧みて他を言うがごとき態度、何ら反省するところなしとすれば、彼の思想もまた、国会を無視し、憲法をじゅうりんし、革命思想に彼の思想の根底があるのではないかと思うとき、われわれは日本の将来を考えて、はだえにアワを生ずる思いがするのであります。人ですから、間違いもありましょう。謙虚な気持で、あしきはあしきとして反省してもらってこそ、さらに将来の向上を期待することができましょうが、全く無反省で、このことは他の導因によって行なわれた、すなわち、政府並びに自由民主党の罪だと、平然として呼号するに至っては、あきれ果てたることだと私は思います。
 そこで、今上程になっております本案審議にあたりましても、委員長再三の督促にもかかわりませず、これほど国会に影響のある重大法案を審議するのに、社会党は、昨日以来一人も出席しない。ほんとうに彼らは議会政治を守る精神があるのかどうか、私は疑いなきを得ないのであります。のみならず、審議権は放棄しない、議会主義であると称する社会クラブの人々も、事、議長の進退の問題に籍口してこの審議に入らぬというのは一体何ごとでしょうか。社会党の左派というものは、革命主義であって、国会には方便に出ておるというならば、それは別です。しかし、いやしくも議会主義であると称する社会クラブの人々が、議長の責任問題に籍口してこの審議に参画しないということは、私は審議権放棄もはなはだしいと思う。もしそれ議長の職権を云々せんとするならば、あの人々にとっては、幸い、先般議長不信任決議案が提出せられたのであります。その席上、堂々たる議論が戦わされたのでございます。そうして結果的には、議長は信任せられたる結果になっておるのであります。議会政治は、何と申しましても数の政治でございます。多数決を無視しては、議会政治はございません。私は、少数の強圧政治というものは、われわれ人類の最高、至高の感情には適合しないものだと信じておりまして、いやしくも平和を愛好し、自由を希望するものは、議会において論争の上、納得の上に政治を行なうところに、私は民主主義の本体があり得ると思うのであります。その民主主義といえども、議論の分かるとき、これを決定するものは多数決以外にはありません。主権在民の今日、選挙によって選ばれた者の多数によってきめる以外に、何の方法がありますか。人類の長き歴史の間で、多数決というこの制度ほど、実にりっぱに民主主義の精神を表わした制度はなく、今や科学的文化の世界であっても、多数決にかわるべき制度というものは、人類の間には発見せられておらないのであります。もしそれ、それにかわるとすれば、少数の弾圧政治以外にはないではありませんか。われわれは、新憲法のもと、自由主義を信じ、民主主義の政治形態を堅持せんとするならば、やはり究極的には、多数決の原理というものを尊重せずしては、議会政治はあり得ないのであります。彼らは、多数決によって採決するとき、常に多数の暴力だと言います。暴力とは何ぞや。言論の自由というもの――ほんとうに人に妨害を与える暴力的力の行動を発揮することは、国会では許されませんが、言論はかなり過激にわたった点でも自由を保障せられておるのでありまするから、本案のごとき重大なる国会に影響のある案件が出たときこそ、常に新憲法を守り、民主主義だと称する社会党のごときは、率先して自分の信念をこの席上に吐露すべきでありましょう。そうして、論議を尽くしてりっぱな法案を作り上げていくという建設的な考え方がなければ、議会政治というものはあり得ないと私は思うのであります。
 そこで、本案についてお伺いしたい点は、提案理由の説明の中にも、最低限度においてこういうことをやりたいのだという希望的な説明がございました。現に共産主義活動の平和攻勢が日に日に深刻に進展して、先般も世界各国を巡遊して参りました諸先輩の話などをお伺いいたしましても、ソビエト労農ロシヤの今日の態度は、世間では雪解けだと称しておるが、それは雪解けにはいかないのだということを各国が考えておることでもあるし、ソビエトの平和攻勢が日本国に対するほど苛烈に行なわれているところは世界の各国にはないということを聞いて、私は思い当たる節々が大いにあるのでございます。そういう状況の中に、ただいまのような法案を作り上げ――革命をもって今日の政権を打ち倒して、共産主義的な、すなわち彼らの解放を実現せんとするなら、こんななまやさしい法律で一体とどめることができるかどうかというところに非常な不安を持っておる。そこで、あなたにお聞きしたいのは、この法案ができましても、国会議員たる者が、バッジをつけて、その集団の中にあって、自分は国会に登院するのだと称して、事実は先導、誘導しつつも、先般と同じような形、もっと巧妙な形で正門を突破せんとするがごとき状態の際、この法律では、その国会議員をいかなる方法で取り締まることができるのか。完全に取り締まることができるのかどうか。別な憲法上の保障によりまして、国会開会中の議員の身体というものは憲法上保障せられておる。逮捕、監禁といえども、現行犯以外にはできない。収監せられておる者といえども、国会の要請によっては釈放せざるを得ない場合も間々あるのでありまして、それほど保障せられたる議員が、集団デモを指導し、誘導するというような場合、今度のこの法律でいかなる手続、いかなる方法によってこれを取り締まることができるのか、その一点をまずお伺いしたい。
#4
○佐々木(盛)議員 ただいま、われわれの議会政治の多年の長老であります椎熊さん、特に議院運営についての豊富なる御経験をお持ちになっている椎熊さんから、国を思う余り、切々たる御意見の開陳がございました。私もえりを正して拝聴いたした次第であります。
 御質問は、もしもこの前の乱入事件のような場合において、国会議員が堂々と、陳情に名をかりて多数に先がけて入ってくるというような場合においては、はたしてこの法律によって取り締まることができるかどうか、こういう御質問のように考えます。お手元に配付いたしておりまする法律案の第七条をごらんいただきたいと存じまするが、この第七条におきまして、国会議事堂周辺道路において集団示威運動等が行なわれました場合におきまして、正当な理由がないのにその集団示威運動等の参加者等で、他人を指揮し、または他人に率先して国会議事堂へ入ってきた者に対するところの罰則規定がございます。議員が登院するということは正当な理由でございまするが、そうではなくして、請願運動等に名をかりて、そうして暴徒を乱入せしめるがごとき場合におきましては、もとより第七条の適用を受けるわけでありまするし、特にこれに規定いたしておりまするように、他人に先がけまして、他人を指揮し、または他人に率先して国会議事堂へ入った者に対するところの罰則規定があるわけでありますから、私は、本法の運用よろしきを得るならば、さような議員に対する取り締まりは十分できるであろう、かように考えている次第であります。
#5
○椎熊委員 私は、運用の面でいろいろあると思いますけれども、たとえば、先般のごとく、そして今度の事態のごとく、一党の最高責任者ともあろう淺沼君のごとき書記長のような地位にいる人が、この間よりももっと巧妙に、あんまりアジ演説などをせずに、目くばせや事前の相談などによって誘導、先導もできるのであります。そうしてそのデモの先頭あるいは内部にあった場合、検察当局は、それが不穏当とみなされる状況になった場合、他の一般のデモ参加者と同じような取り扱いをもって処罰、始末していくことができるかどうか、そのことなんです。何なら検察当局の方からお答え願えば、なおけっこうでございます。
#6
○竹内政府委員 お答え申し上げます。第七条の解釈といたしまして、ただいまのように巧妙な形で、外面には「率先」とか、あるいは「指揮し」とかいうようなものがなくて、いかにもまぎれ込んで入ったような形でありましても、今の「指揮し」あるいは「率先して」というものに当たるかどうかということは、これは事実問題でございます。事案によりまして、たとい平穏な形で入っておりましても、それが指揮しておるものであり、あるいは率先して議事堂内に侵入したんだというふうに事実が認められます限りは、第七条によって処断できる筋合いでございます。もっぱら問題は、事実をどう見るかということによって決定されるものであると思います。
#7
○椎熊委員 私は、本案には直接関係がございませんけれども、間接的に将来を予想すると、しばしば問題になり得ることだと思いますから、この際明らかにしてもらいたいと思います。国会の構内とは何であるか。われわれ議運の委員として国会法等を作る場合にきめた問題は、議員会館というものができた際に、これは非常に研究された問題でございますが、議員会館が、一体憲法上いうところの国会であるか、あそこまでが国会の構内に入るかということになりますと、これを取り締まったり、あるいは議員がこれを活用していく上にいろいろな問題が起こってくるので、当時は、議員会館というものは、国会の建物ではあるが、国会構外のものであるというので、議長の警察権が及ぶべきところでないというふうに了解しておったのであります。そうして、議長の警察権の及ぶ範囲は、あのさく以内ということになっております。そこで問題は、このさく以内と申しましても、参議院と衆議院があるので、参議院議長の警察権の及ぶ範囲と、衆議院議長の警察権の及ぶ範囲とを明確に図面の上で線を引いて、現在は分けておる。従って、正門並びに正玄関、そうして総理大臣室その他閣議の部屋等、あれに通ずる階段等まで、全部あれは参議院議長の警察権の及ぶ範囲だということです。私は、範囲をそう限定したことは了解いたします。しからば、懲罰事犯などの対象を考えるときに、私は、非常に不都合な事態が起こる場合があると思う。衆議院が懲罰を行なおうとする場合でも衆議院議長の職権の及ぶ範囲における事態を対象とするのであって、範囲外のできごとは懲罰にできないということになっております。そうすると、衆議院議員が参議院に行きまして、どんなに乱暴をいたしましても、どんなに議員の体面を汚すような不都合な行動がありましても、現在の解釈では、衆議院ではこれを懲罰の対象とすることができないのであります。しからば、衆議院はできないが、参議院の議長はどうかということになりますると、参議院の議長は、参議院内の警察権は職権として持っておりますけれども、事いやしくも他院の議員であるから、衆議院の議員を参議院の議長は懲罰に付することはできない、そういう解釈でございます。従って、先年社会党が、教育法案等に関連いたしまして、陳情と称して参議院に多数闖入して議事の進行を停止せしめるがごとき不都合な行動がありましたが、参議院の議長は、これを懲罰に付することができない。衆議院側におきましても、非常に憤慨いたしましたが、衆議院の警察権の及ぶ範囲でないから、懲罰することができないというので、当時は、参議院の議長から、衆議院の議長に、警告でも発してもらいたいというような連絡があったやに承っておりました。その真相はよくわかりませんが、いずれにしても、懲罰に付することができなかった。それが、たまたまこの間のような場合になりますると――あの正門から正玄関の階段の一番末端のところまで一直線に線を引いて、向こう側が参議院で、こっち側が衆議院の議長の警察権の職権の及ぶ範囲であります。そこで、管理上非常にいろいろな不便があるものですから、正門を守る衛視は、妥協の上で、衆議院の衛視もおりますし、参議院の衛視もおるというような、今日では明確でない法解釈のもとに立って、とにかく御都合主義でどうにか弥縫して参った。ところが、一たん問題が起こって、淺沼君外多数の者が入った。全部これが参議院の、線を引いた向こう側でやったのだと、衆議院では、今までの解釈だと、懲罰にできないことになるらしい。そこに非常に疑問があるのです。淺沼君は、そうではなしに、衆議院の範囲の方へも入っておりますから、そういう歴然たる証拠もあるものですから、議長の職権における懲罰に付せられたものであります。あれがもし、かすかすのところまで来ているが、一歩もこっちへ入らないということになると、何をやられても、懲罰に付することができない。また参議院の議長は、何をやられても、衆議院の議員を懲罰に付することができないということになりますと、どんなことをやっても、線一本で、懲罰動議を出すことも、議長の職権を発動することもできない場合があり得る。これは、私は実に奇怪千万なことだと思う。そこで、国会内部における議員の地位を汚し、面目を損するような不当な行為をした者は、懲罰することができると憲法にも書いてあるのですから、議長の職権の及ぶ範囲というものは、地理的な関係でそれをきめてしまうのではなくして、行為を行なう人の行動を対象としてやるべきものだと私は思うのですけれども、衆議院も、参議院も、現在までの国会法の解釈は統一されておって、そうではないということなのです。そうすると、今のような、懲罰に付することもできないような不都合な行為は投げっぱなしになるかというと、そうではなくて、それは救済する道はあるのです。それは手続を完備すれば――議員の面目を損するがごとき不当のことをなした者を、けしからぬといって国会で決議すれば、除名もできましょうし、決議でいけば何でもやれる。そもそも懲罰事犯というものは、一般刑法とは別なもので、刑の量定と申しましょうか、結論としては軽いことにできておるものですから、もっと深刻に、もっと徹底的にやるならば、両院とも決議をもって処罰していくというなら、何でもできるのでございます。しかし、議員たる身分を保障されている特殊のものですから、決議をもってやっていくというような手きびしいことでなしに、懲罰で扱うことができるようになれば、私は非常に便利だと思う。ただいま議題となっておる本案に対しましては、これはさく外のことですから、今私が申し上げておることには関係ありませんけれども、このたった一本の線で、参議院と衆議院との議長の警察権の、職権の範囲を限定して、地理的、地域的にきめた限界線によって、懲罰になるかならぬかというようなことになっておることは、私ははなはだ不満足で、行為が構内であるならば、それが参議院側に近い構内であろうと、衆議院側に近い構内であろうと、いやしくも議院の品位を傷つけるがごとき行動のあった者は、その院においては懲罰に付することができるというふうに解釈することがいいような気持もいたしますけれども、私は法律学者でありませんので、それらの点の研究がはなはだ不足であります。そこで、今回このような重要なる法案を提案せられたる提案者の佐々木君におかれましては、相当の御研究もあられるようでございますから、この際、私は関連してこれに対するあなたの見解を伺っておきたい。
#8
○佐々木(盛)議員 お説の通り、ただいまのところ、衆議院、参議院が、それぞれの警察の管轄権を持っております。従って、衆議院の議員が、参議院へ行って品位を汚すような行為を行ないましても、懲罰の対象とならないという見解を、ただいまのところ、とっておるようであります。私個人は、これに対して少数意見を持っております。申すまでもないことでありますが、懲罰というのは、憲法の中に規定をされております。憲法五十八条におきまして、「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。」という規定がございます。この基本規定に基づいて、国会法の中において、第十五章に懲罰規定があるわけでございます。そこで、議院の品位を汚し、院内の秩序を乱したということに対する解釈でありますが、ただいまのところ、衆議院の事務当局のとっておる見解は、私の見解とは違うのであります。でありますが、今ここに衆議院の事務総長をしておられます鈴木さんの「国会運営の理論」を見ましても、たとえばこういうことも書いてあります。議員が会期中に地方へ委員派遣として視察に行ったときに、議員としての品位を非常に傷つけるような行為があった場合においては、懲罰の対象となるのではなかろうかというふうな御意見もお書きになっておるように思われます。私は、院内の秩序を乱したということを、単に線を引いて物理的に管轄権を分けたというものではなくして、少なくとも国権の最高機関であるところの国会において、議員としてあるまじき行為をとった、そのことが国会の品位を傷つけ、秩序を乱したという場合におきましては、当然この解釈をもう少し拡張解釈いたしまして、たとえば、衆議院の議員が参議院に行って乱暴ろうぜきを働いたということは、明らかに院内の秩序を乱した行為であります。その院内というのが、参議院であるか、衆議院であるかというだけの相違であります。しかしながら、日本の国会は、衆参両院の二院制度をとっておるわけでありますから、一方の議員が他の院へ行って乱暴ろうぜきを働いたような場合におきましては、当然院内の秩序を乱す行為である、かように解釈すべきではなかろうかと私個人は考えておりますが、ただいまのところ、私の意見は少数意見のようでございます。
#9
○椎熊委員 ただいまの問題は、憲法上、国会法上の解釈の問題でございますので、われわれもさらに研究を進めなければならぬと思います。しかし、問題が問題でございますから、幸い事務当局もおられますし、法制局の連中もおられますから、この点について、既往の概念にとらわれず、新たなる問題としてもう一度再検討していただきたい。そうして現在は、参議院も衆議院も、事務当局は、地域的に分けて、警察権の及ばない範囲は懲罰の対象にならぬということになっておるようですが、研究の際は、その既定の事実をしばらくたな上げして、白紙に返して、この問題をもう一度研究してもらいたい。私、憲法学者等二、三の方の意見も聞きましたら、必ずしも事務当局の意見と同一でない人もかなりあるのでございます。これは、議員の身分に関する重大な問題でございますから、この際さらに諸君の御研究を深められて、何らかの機会に一つのりっぱな解釈を確立しておきたいと思うのであります。
 そこで私は、本案が、私どもの考えから見ると、各国の立法例のように、国会を中心とした周辺半マイルないし一マイルという範囲においては、そういう行動を一切禁止するという簡明直截な法律であれば、取り締まり当局も非常にやりいいだろうと思うし、いやしくも民主主義の国で議会主義を守る以上、そこに暴力的圧力を加えるなどということは、革命思想以外の何ものでもありませんから、断固取り締まるべきであることは、国民ひとしく要望するところであるのですから、遠慮会釈なくそういう方法――たとえば議長の試案でありましたA案、B案のうち、私は、B案にもやや不安はありますけれども、B案程度のものが今回上程せられておれば非常に幸いであったと思いますけれども、しかしながら、いろいろな関係からA案だということで、それといえどもなきにまさるのでございますから、この際は、この法案をぜひ成立させたいのであります。
 最後に私が一言したいのは、これだけ国会に関係ある重要法案を審議せんとするにあたって、社会党その他が審議に参画しない、審議権を放棄しておる。いろいろな意味で私はこれを深刻に考えまして、社会党の暴力をやった一派の人たちといえども、おそらくは一片の良心があるので、みずからあれだけのことをやっておったのですから、どのつら下げてこの法案の審議に当たれるかというふうにも解釈できないわけではございません。しかし、かりにも民主主義、議会主義を守るという社会クラブの方が、全然問題にならぬ議論をもってこの審議に参画しなかったということは、非常に残念でございます。しかしながら、国会をあくまで守ろうとする、われわれは、一党といえども、憲法政治のために、議会政治のために、断固この法律を確立せしめて、ほんとうに民主主義の徹底のために、国民の代表たるわれわれがほんとうに国政のために精進することができるような方途を確立しておきたい、これが私の念願でございます。よって、私見の一端を述べまして、以上質問を申し上げた次第でございます。
#10
○荒舩委員長 松澤雄藏君。
#11
○松澤委員 きのう、長谷川君の質問に関連いたしまして一、二点御質問申し上げましたが、ちょうど私は、皆さんの御承知のように、委員長並びに議長を補佐する院内における警察小委員長という建前から、当日朝の九時半から院内に入りまして、当時予測されたデモの状況等を逐一見て参ったのであります。構内を回ることだけでも十数回回っております。最後の段階におきまして、ちょうど午後三時四十五分くらいと私は記憶いたしておりますが、正門から、一部議員の先導によって、陳情団と称する連中が数十名入ったのをきっかけにいたしまして、構内に怒濤のように流れ込んできました。ところが、ただ正門から怒濤のように流れ込んできたのじゃなくして、必ずしもあそこのみから来たのじゃなくして、議事堂を取り巻いておる土堰堤、すなわち植木等を植えてあるところから、一列横隊のような格好で、何万何千というような人が、中央玄関の前におる指揮者らしい人の手の振りようによって一斉に入ってきた。従って、正面の玄関だけで警察官なり、わが方における警務部の方々が防御をしようと思いましても、とうていできない。いずこから現われたかと思うような連中が、数千の方々が入って参ったのであります。それがいつの間にやら――午後四時二十分ごろと私は記憶いたしております。幸いにして、途中でこれらが防がれまして、院内には入れませんでしたけれども、私は、当時、副議長の正木氏に御一緒に見ていただきたいという意味で、衆議院の正面玄関まで御案内をいたしました。ところが、正面の玄関のあの大きな柱を取り巻いて、とびらを破ろうとして、デモの連中が、わっしょいわっしょいの勢いでもってあの鉄のとびらに向かって猛烈な攻撃を開始しておりました。議長はいろいろ多忙のときでもありましたので、ぜひこれを副議長に一つ見ていただきたいというわけで、見ていただきました。副議長も非常に驚かれておったようであります。もしも万一、毎日われわれが登院するあの衆議院の鉄のとびらが破られておったと仮定するならば、あの日以降におけるわが国会の内容は一体どういう状態になったか。幸いにして、院内に常時派遣されておるところの警察官、並びに警務部あるいは事務職員等の数十名の方々に御努力願って、とびらを内側から完全に体力をもって押えました。ために、幸いにして今日この程度の法案の提出くらいで済んだのでございますが、あの当時を思い起こすと、全くりつ然たるものを私は感ずるのであります。こういうふうな現場から見まして、私も提案者の一人でございまして、まことになまぬるい法案である、かように思いましたが、提案者の説明のように、いろいろの関係上から、まあこの程度というふうな意味で提出をしたのであります。しかしながら、ある程度まで質疑すべきものを質疑し、明らかにいたしたい、こういうふうな意味で立ったのでございます。
 そこで、一言だけ警察当局の方にお聞きいたしたいのは、もしもあの周辺で、過般のように怒濤のようにあの堤防を乗り越えてくる――形式的な堤防でありまするので、何ら防御的なものは一つもございません。これを守ろうとするためには、もしもこの法案がなかった、従来通りのままであったと仮定するならば、一体どの程度の警察官をもってならば防げるか、これを一つ第一番に警察庁長官なり関係者にお伺いいたしたい、かように存じます。
#12
○柏村政府委員 先般ああした不祥事を惹起したことにつきましては、私どもも非常に残念に思っているわけでございます。ただいまのお話は、ああいうふうな状況が今後起こった場合に、はたして何人の警察官があったらこれを防ぎ得たかという御質問のようでございますが、これは相手の数にもよることでございますけれども、われわれとしては、いろいろ警備の仕方はございます。しかしながら、一たん国会議事堂を囲繞する道路の周辺に数万というものがこれを囲繞して、中に暴力をもって乗り込もうというようなことでありますれば、警視庁全体の警察官をここに配置しても、万全を期しがたいのではないかというふうに考える次第でございます。
#13
○松澤委員 時間もありませんので、端的に要領の点だけ御質問してみたいと思います。きのう井野法務大臣にも御質問いたしまして、現在われわれの提案いたしましたのは、都の公安条例に基本を置いてやった、そこで、憲法違反に問われておるような公安条例でもあり、そういうものをまねて作るような場面が生じて、法律としては二重の憲法違反ではないかということに対しまして御答弁をいただきましたが、もしもこの都の公安条例が最高裁において憲法違反であるという断定がかりに下った場合、現在われわれが提案をしておりまするこれがもしも立法化された場合、どういうふうに相なるか、これらに対する御所見を法務大臣からお聞きいたしたい。
#14
○井野国務大臣 かりに都の公安条例が最高裁において違憲判決を受けましても、この法律案は、公安条例を全部基礎にしておるわけではございません。公安条例のいろいろの運用の面においての利用はございますけれども、その条例に基づいての法案ではございませんから、この法案自体は憲法違反とはならぬ、こう考えております。従って、もしも公安条例が憲法違反であるという判決を受けますならば、この運用をするためには、公安条例の方を憲法違反のないように改正すればそれでいいわけであります。
#15
○松澤委員 きのう長谷川君からもいろいろ御質問がございましたが、なお念のためにお聞きいたしておきたいと思うのは、社会党の諸君や、あるいは自由文化人とか、いわば左翼的な連中が、盛んにこんな法案は要らぬじゃないかというようなことを言っております。それは現在議員の面会規則や、あるいはまた、集団陳情の取締要領、あるいは道路上における問題としては道路交通取締法、また、その他一般の刑法というふうなものがあるから、その必要がない、こういうふうに言われておりますが、先ほども椎熊委員からお話がありましたように、立法いたしましても、いつも警察当局なりあるいはまた現在における世相というものからかんがみまして、常に裏に社会党なり、あるいはこれを支持しておる団体なり、強いものがあるというふうな懸念があるのか、取り扱いが常に微温的であるような傾向にわれわれとしては見受けられます。従って、今申し上げたような法律によって、あるいは規則によって取り締まりができるものであるならば、あえて必要はないという結論になりますが、もう一度これに対して法務大臣並びに国家公安委員長の御所見を承りたい、かように思います。
#16
○石原国務大臣 昨日もこの問題に対して私お答えを申し上げておったのでありますが、先般の事例等にかんがみまして、また諸外国の立法例等からも考えまして、私は、本法のようなものがぜひ必要ではないか、かように考えております。重ねてお答え申し上げます。
#17
○井野国務大臣 ただいま公安委員長からお答えした通り、本法の必要なことは今まで申し上げた通りで、警察の取り締まりがこの法案でどうできるかどうか、公安委員長の所管でございますが、少なくとも事態が起こるまで、事前にいろいろの手段を講ずることが必要だと思うのであります。それをこの法案が明確にいろいろ規定しておりまするから、この法案自体きわめて適当に、現行法よりはうまくいくようにさえすれば、十分の取り締まりができる、このように考えております。
#18
○松澤委員 提案者代表の佐々木君に御質問を申し上げたいと思いますが、「静穏」という言葉が出ております。これを一つ明らかに国民に知らしめる必要があるのじゃないか、かように思いますので、静穏とは、どの程度のことを称して静穏という言葉を使っておるのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
#19
○佐々木(盛)議員 本法の第一条並びに第二条の中に表現されておりまする「静穏」という言葉の内容でありまするが、静穏とは、申すまでもなく、平和であるとか、平穏であるという意味で、従って、その静穏が害された場合に本法の適用を受けるわけであります。しからば、いかなる場合をさして静穏が害された場合というかと申しますると、議員の登院が不可能になったということ、あるいは国会の審議権の公正な行使ができない、そういう状態を静穏でない状態である、かように考えております。
#20
○松澤委員 それから第四条におきまして、議長の要請に基づくというふうな面が数カ所に出ております。従って、議長が認定するということに非常に大きなウエートがかかってくるわけでありますが、これに対しまして、議長の認定の基準が必ずしも明確でない、こういうふうに言われる方があるようですが、三浦法制次長から、一つあなたの立場においての見解を表明していただきたい、かように思います。
#21
○三浦法制局参事 この法案におきまして、御指摘のように、要請の点が数カ所出ておりますが、結局、この要請をいたします場合は、この法案が規定いたしておりますように、国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に著しく影響を与えるとか、あるいは現実にそういう状態が阻害される、こういうような事態の場合におきまして要請をする、こういうことになっておりまするが、結局、国会議員の登院と、それから審議権の公正な行使ということも、要するに、この法律の題目にございますように、国会の審議権の確保ということに尽きるのでございまして、それは、そのときの具体的な国会議事堂周辺の状況によりまして議長が御判断になることであると思いますが、同時に、そういう場合におきましては、議院運営委員会等におかれまして、いろいろそういう補佐もされることだと考えておる次第であります。
#22
○松澤委員 最後に、提案者代表にお尋ねしてみたいと思いますが、御承知のように、国会は衆参両院であります。そこで、両院議長からの要請という問題になってきますけれども、もしも万一衆参両院の議長が見解を同じくしない、しかも一方においての、かりに、衆議院なら衆議院にしては非常に大きな問題である、かように考えておった場合に、一体具体的な処置としてどういうふうな結果になるかを一つ提案者として考えてもらいたい。この点を一つ解明していただきたいと思います。
#23
○佐々木(盛)議員 ただいまお尋ねの点は、第四条に関することかと思いまするが、両院議長が公安委員会に要請し、あるいは警視総監に対して要請できるようにいたしたわけでありますから、両院の議長ということは、両院の議長の合意ということでございます。従って、一方の議長が他方の議長の主張に反対の場合におきましては、合意が成り立たないわけでありますから、さような場合においては、要請することができないことになっております。
#24
○松澤委員 最後に、第三条に、「国会議事堂周辺道路」というのが出ております。それには、その道路に隣接する国会用地をも含む、こういうふうな見解でありまして、当然に議事堂も、あるいはまた構内も含まれる、こういうふうに思いますが、提案者はどういうふうにお考えか、一つこの見解を最後に明らかにしていただきたいと思います。
#25
○佐々木(盛)議員 議長の警察権の及ぶ範囲は、本法の適用を受けないことになっております。従って、構内につきましてはこの適用外であります。
#26
○荒舩委員長 長谷川君。
#27
○長谷川(峻)委員 一つだけ御質問いたします。ということは、今度集団暴行が行なわれまして、議長の責任がしきりに言われたのであります。私は、これは見解を多少異にしておりまして、強盗が部屋の中に入ってきて、いろいろかっぱらって大あばれをした、そしてその上に、その家の家主さんがけしからぬ、自分が戸締まりをしないで入れるようにしたのではないかというふうな議論だと私は思っているのであります。今度のこの法律案の場合に、議長の要請に基づいて警察官が行動した場合に、外部において不祥事態が発生したとき、議長の責任はどうなりますか、この点について佐々木氏あるいは石原公安委員長にお尋ね申し上げます。
#28
○佐々木(盛)議員 議長は、本法によりまして、公安委員会ないし警視総監に対する要請の権限を持っておるだけでありまして、院外の警察権については、何ら指揮権などを持っておるわけではございません。従って、公安委員会やあるいは警視総監が独自の自主的判定に基づいて行なわれます権限の結果として、いろいろな責任問題の出ました場合におきましても、それは議長に関係のないことでございます。
#29
○荒舩委員長 古川丈吉君。
#30
○古川委員 ちょっと法案の解釈について、提案者の佐々木君にお伺いしたいのです。四条の第一項、第二項の関連ですが、第一項は、公安委員会に要請ができる、その要請は「許可の取消又は条件の変更」、こういうことになっておりますから、従って、四条第一項の場合には、許可があった示威運動、こう解釈されると思います。また、第二項におきましては、制限なくして警視総監に要請する場合には、許可があるなしにかかわらずの場合である、こう解釈して差しつかえございませんか。
#31
○佐々木(盛)議員 その通りであります。
#32
○古川委員 それから次に、第五条の解釈の問題で社会党から質問がありましたけれども、提案者が本会議で御答弁なかったようでありますから、それに関連して一つお伺いしておきたいと思いまするが、第五条第一項の場合は「前条第一項の規定による要請を受けたときは、これに対し必要な措置を講ずるようにしなければならない。」、こういう工合に義務づけられてありますが、公安委員会に要請があった場合には、前条第一項の許可の取り消しか、または条件の変更か、どちらかをやらなければならない、公安委員会において判断の自由が許されない、こういう工合に解釈してよろしゅうございますか。
#33
○佐々木(盛)議員 これは決して義務規定ではありませんので、それはもっぱら公安委員会の自主的判定にゆだねられたことであります。
#34
○古川委員 それでは、第二項の場合には、必要な限度において、示威運動の主催者に対して警告を発し、またはその行為を制止することができる、これは、この条文の文字通りの解釈からいきますと、自分の判断において警告を発し、または行為を制止することもできるし、またしなくてもいい、こういう工合に解釈されますが、第一項の、しなければならぬということと、今のような御答弁との関係はどうなりますか。
#35
○佐々木(盛)議員 これは、必要な限度において警告を発する権限を警察に与えたわけでありまするから、これまた同様に警視総監の判定によるわけでありまして、決して議長が強制権を持っているわけではありません。
#36
○古川委員 文章の書き方は違いますけれども、どちらの場合でも自由判断でできる、こう解釈してよろしゅうございますか。
#37
○佐々木(盛)議員 その通りでございます。
#38
○古川委員 それから、きのう長谷川君の質問で御答弁がありましたから、ちょっと重複するように感じられますけれども、これは非常に大事な問題でもあり、きのうの答弁は、国家公安委員長の答弁でありましたから、本日はむしろ法務大臣あるいは法制次長にお伺いしたいのでありますが、本案は、憲法第九十五条にいうところの、いわゆる一つの公共団体のみに適用される特別法に該当しないと私たちも考えておりますが、その通り考えてよろしゅうございますか。
#39
○井野国務大臣 その通りでけっこうだと思います。
#40
○古川委員 そうしますと、憲法第九十五条にいうところの、いわゆる特別法とはどういうものでありまするか。この際いろいろな意見がありますから、概念をはっきりさしていただくことが非常に必要だと思いますが、御意見を承りたいと思います。
#41
○井野国務大臣 憲法九十五条は、その特定の公共団体に対していろいろの規定をする場合であります。今度は、場所についても、しかもそこに集まってくる者が、特殊の公共団体の個人でもなければ、都民でない者も集まってくるのでありますから、こういう場合には憲法九十五条に抵触しない、こう思います。
#42
○荒舩委員長 なお、社会党及び社会クラブ、民社クラブに御出席をお願いいたします。
 他に御質疑はございませんか。――別に御質疑がないようでございますから、本案に対する質疑は、これにて終了してよろしゅうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○荒舩委員長 それでは、以上をもって質疑を終了いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○荒舩委員長 なお、日本社会党、社会クラブ、民社クラブの委員にたびたび出席を求めておりますが、遺憾ながら出席がございません。やむを得ず討論に入ります。日本社会党、社会クラブ、民社クラブは討論の通告がございません。討論の通告は、長谷川峻君だけでございます。長谷川峻君。
#45
○長谷川(峻)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、このたびの、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案について、賛成討論を行なうものであります。
 何と申しましても、明治以来の日本の興隆は、アジア以東において、わが国だけが議院政治をしいておったからだと思うのであります。第二次大戦以後、独立国がアジアに生まれましたが、中共を除いては、それぞれ議院政治をしております。しかして、その議院政治の一番根源は、国会議員が、審議権を公正に、静穏のうちに行使することだろうと思うのであります。しかるに、終戦以来、数回にわたって国会にデモが入り、しかも、十一月二十七日のあの暴挙というものは、議院政治の上において世界に恥ずべきものであったことは、議長声明にもある通りであります。すなわち、わが国の将来は、一に議会政治の健全なる発達にかかっておるのであるから、国会を守ることは、すなわち国民を守ることであると信ずるという議長声明こそ、われわれ国会議員並びに全国民が、民主主義議会政治下において、お互いの信条でなければならないと思う次第であります。しかして、昨日以来、私たちは、社会党、社会クラブその他の諸君と提携いたしまして、議院運営委員会の提案にしてこの審議をやろうと思っておりましたが、約束は守られず、ほんとうに心から遺憾ながらわれわれだけが単独審議することになり、その間においても、全国民が、あるいは反対者の一部の人々が危惧しておりますところの請願の問題、あるいはまた、一般通行人と集団デモの規制の関係等々について、詳細に、逐条にわたって審議した次第であります。その審議の経過からいたしまして、お互いは、今においてこそ議院政治を確立し、擁護するために、この法案を通過させなければならない。しかも、議会政治の先進国である英米、西ドイツなど、国会周辺を広範囲にわたって制限しておる実情と比較いたしますと、この法案というものは、非常に全国民の民主主義政治というものを信頼して、ゆるやかにしておるのであります。これにさえも反対する者がありとするならば、これこそ私は、まさに革命の意図を持っておる諸君のしわざであろうと思う次第でありまして、(拍手)私は、自由民主党を代表いたしまして、心からこの法案の可決成立をお願いする次第であります。
 これをもって私の討論を終わります。(拍手)
#46
○荒舩委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#47
○荒舩委員長 これより採決いたします。
 本法律案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#48
○荒舩委員長 起立総員。よって、本法律案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
 本法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、前例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#50
○荒舩委員長 お諮りいたします。ただいま可決いたしました法律案を、本日の本会議に緊急上程することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼び者あり〕
#51
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本法律案に対する本会議における討論の通告は、今日のところ、日本社会党、社会クラブ、民社クラブからはございません。自由民主党の二階堂進君から賛成討論の通告がありますが、討論時間は、前例通り、十五分程度といたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、お諮りいたしますが、本法律案の採決は、記名にいたすか、あるいは起立にいたしますか。
    〔「起立」と呼ぶ者あり〕
#53
○荒舩委員長 起立という声が多いようでございますので、起立採決といたすことにいたします。
    ―――――――――――――
#54
○荒舩委員長 それでは、本日の本会議は、四時十分予鈴、四時二十分から開会することといたします。
#55
○荒舩委員長 次に、お諮りいたします。次回の本会議の件でありますが、次回の本会議は、明二十五日定刻から開会することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 明日は、午前十一時から理事会を開き、理事会散会後に委員会を開会することといたします。
#57
○荒舩委員長 なお、お諮りいたします。養鶏振興法案が委員会を通過しておりますが、いかがいたしましょうか。
#58
○山村委員 この法案は、全会一致の法案と承っております。従って、本日の本会議に上程されんことを望みます。
#59
○荒舩委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#60
○荒舩委員長 速記を始めて。
 それでは農林水産委員会からあがっております養鶏振興法案、これは明日の本会議に上程することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○荒舩委員長 それでは、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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