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#1
第033回国会 外務委員会 第10号
昭和三十四年十一月十八日(水曜日)
    午後四時三十六分開議
 出席委員
   委員長 小澤佐重喜君
   理事 岩本 信行君 理事 菅家 喜六君
   理事 佐々木盛雄君 理事 椎熊 三郎君
   理事 床次 徳二君 理事 戸叶 里子君
   理事 松本 七郎君 理事 森島 守人君
      池田正之輔君    石坂  繁君
      加藤 精三君    野田 武夫君
      福家 俊一君    森下 國男君
      岡田 春夫君    柏  正男君
      勝間田清一君    田中 稔男君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      春日 一幸君    堤 ツルヨ君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  小林 絹治君
        外務事務次官
        (アジア局長) 伊關佑二郎君
        外務事務官
        (アジア局賠償
        部長)     小田部謙一君
        外務事務次官
        (アメリカ局
        長)      森  治樹君
        外務事務次官
        (条約局長)  高橋 通敏君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十一月十八日
 委員西村榮一君辞任につき、その補欠として春
 日一幸君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。ベトナム賠償協定及び借款協定の両件について、参考人を招致してその意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小澤委員長 御異議がございませんので、さよう決定いたします。
 なお参考人招致の日時及び人選につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小澤委員長 御異議がないようでありますからさよう決定いたします。
     ――――◇―――――
#5
○小澤委員長 これより国際情勢に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。勝間田清一君。
#6
○勝間田委員 まず、最近の情報によれば、安保条約改定の調印を来春の一月十日ないし十五日の間にやりたいということを伝えられておるのでありますけれども、政府はどう考えておられますか、明らかにいたしていただきたいと思います。
#7
○藤山国務大臣 御承知の通り、総理が来春の再開国会劈頭に提出したいということを言っておられます。われわれもその方針に従って仕事をいたしておりますので、年末もしくは来年の二十日くらいまでの間に調印されることになろうと存じております。
#8
○勝間田委員 年末ないし来春の一月二十日ころまでの間に調印をするということでありますが、この際外務大臣に私はお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。何といいましても伊達判決がまだ最終的な結論を見ないのであります。少なくとも法治国家であり、憲法を守って、同時にこうした司法権を尊重しなければならない政府といたしましては、この判決が最終的に決定するまでの間は少なくとも交渉を中止するか、調印を差し控えるというのが、私は当然な態度だと実は考えておるのでありますが、これに対する今日の考えは依然として変わらぬのであるか、一つお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
#9
○藤山国務大臣 この点に関しましては、総理がたびたび答弁しておられますように、三権分立の立場から申しまして、行政府としては与えられた仕事を毎日進めて参るということが適当であろうと思うわけでありまして、従って条約交渉は、交渉が妥結をいたしますれば調印して参るつもりでおります。
#10
○勝間田委員 すでに第一審が決定をいたしておるのでありますが、もし最終判決が下って、これが違憲であるということになりましたならば、この条約は、改正はもちろん、現条約もこれを破棄しなければならぬと考えるのでありますが、いかにお考えでありましょうか。
#11
○藤山国務大臣 今回の条約は憲法の範囲内ということを明記しておるわけでありまして、どういう判決が出るかわれわれも予測できませんので、そういうことを今予想はいたしておりません。
#12
○勝間田委員 予測はいたさなくても、すでに第一審の判決が行われておるわけであります。これはあくまでも最終判決が違法であるという結論が出される可能性も強いわけであります。ましてやその結果においては、国際信義にも重大な関係を及ぼしてくる問題であると思うのであります。従って予測を許さないというよりも、今日の状態においてもしさような判決が下るならば、当然私はこの改正は中止さるべきである、現条約はこれを破棄さるべきものであると考える。もう一度あなたのお考えを聞かしていただきたい。
#13
○藤山国務大臣 どういう判決が出ますかわかりませんので、あらかじめそういうことを想定するわけにいかないと考えております。
#14
○勝間田委員 私は政府がどうしても調印をするということでありまするから、主としてやはり安保問題についての質問をこれからいたしていきたいと考えるわけです。
 まずすでに本委員会においても、また参議院におきましても問題になったことでありますけれども、過般戸叶委員から言われました、条約内にある極東の地域というものはフィリピンの以北、中共の沿岸及びソビエトの沿海州、これを日本を中心として考えていくという考え方は、現在でもそれをお持ちになっておられるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
#15
○藤山国務大臣 先般戸叶委員にお答えした通りであります。
#16
○勝間田委員 今の見解は日本の一方的な解釈と考えてよろしいのか、アメリカとの合意に基づいた結果と考えてよろしいのか、この点をお尋ねいたしたい。
#17
○藤山国務大臣 交渉の過程におきまして、交渉にあたりまして相互に意思の統一をしながら話し合いをしている問題が数々ございます。そういう意味におきまして、われわれはそういう見地からこの問題については話し合いをいたしております。
#18
○勝間田委員 これは記録にとどめらるべき問題であろうと私は思うのでありますが、記録にとどめられるのでしょうか。その点を明らかにいたしていただきたいと思います。
#19
○藤山国務大臣 われわれといたしまして、これをそういう見地の上で話し合いをいたしております。従っておそらく両国が説明をいたす場合に、同じ立場をとって説明をすることになろうと思いますので、特に記録をとる必要はないと考えております。
#20
○勝間田委員 フィリピン以北といった場合に、フィリピンがこれに含まれるかどうかをお尋ねしておきたいと思います。
#21
○藤山国務大臣 フィリピンが含まれることになろうと思います。
#22
○勝間田委員 そこで極東の地域という問題は明らかになったわけでありますけれども、今度改正されようとする条約案の内容におきまして、アメリカの陸、海、空軍が日本の領域内に配置されることを認められるようであります。またこのために施設及び区域が日本から提供をされるようでありますが、このアメリカ駐留の目的とするところは、一体何であるかということをお尋ねいたしたいと思います。
#23
○藤山国務大臣 日本の平和と安全、すなわち日本が他国から侵略を受ける場合、そういう場合に際してアメリカ軍がこれを援助するということが一つの目的であります。同時にまた極東の平和と安全、先ほど申しました極東の地域に何か騒乱が起こりますことは、日本の平和と安全にも影響があるわけでありますから、そういう場合に処することが必要だと考えますので、その目的も持っております。
#24
○勝間田委員 そうすると改正案の条項からいえば、アメリカ駐留軍の駐屯の目的は二つある。一つは日本の平和と安全のために、一つは極東の平和と安全の維持に寄与するために、この二つの目的で駐留をすると考えてよろしいか。
#25
○藤山国務大臣 その通りでございます。
#26
○勝間田委員 従って、ここにいう極東とは、すなわちアメリカ軍隊の行動する範囲を限定したものではなくて、駐留の目的を表わした地域である、かように考えてよろしいか。
#27
○藤山国務大臣 駐留の目的を表わしておること、むろんでございますが、しかしながら基地を貸与するために極東の平和と安全、日本の平和と安全ということになっておりますので、むろんその行動も極東に限られるということにわれわれは考えております。
#28
○勝間田委員 極東に限られる、その行動が極東に限られるという、一体裏づけになる条項は何であるか。
#29
○藤山国務大臣 言葉がちょっと足りなかったかと思いますが、日本が直接武力侵略を受けましたときには、必ずしもそう限らないと思いますけれども、極東に何か紛乱が起こって、そうしてアメリカ軍が日本を作戦基地として使用するというような場合には、極東の範囲にとどめることに相なろうと思います。それは基地の貸与の場合でも、極東の平和と安全ということをうたっております。むろんわれわれとしてもそれ以上に、協議の場合に出ていくことを承諾しようとは考えておりません。
#30
○勝間田委員 極東の安全の維持のために必要なアメリカ軍の行動は、極東以外にも必要あれば出ていけるということは、原則になっておるのではないのですか。
#31
○藤山国務大臣 極東というこの区域をきめますことが、参議院でも申し上げましたように、東経何度、あるいは北緯何度というようなきめ方はいたしかねると思います。従って若干の出入りはありましょうけれども、ただいま御説明申したような極東の範囲内に事態が起こりましたときにのみ、われわれは考えておるわけであります。
#32
○勝間田委員 極東以外の地域にアメリカの軍隊が行動してはならないという一体裏づけになる条文はあるのですか。
#33
○藤山国務大臣 極東の平和と安全に寄与するためにわれわれは基地を提供いたしております。またそういう意味においてわれわれは話し合いの基礎をそこに置いておりますので、われわれとしてはそういうふうに解釈をいたして今日まで参っております。
#34
○勝間田委員 そうすると、条約上は極東以外の地域に出てもよろしいのですね、条約上は……。
#35
○藤山国務大臣 われわれとしては、ただいま申し上げましたような了解のもとに話し合いを進めておりますので、条約上の理論的根拠、理論的な問題とは別に、そういうことには出ていかないということの前提のもとに話し合いをいたしておるわけであります。
#36
○勝間田委員 それでは、理論的にはという言葉を使われましたが、理論的には出ていけるのですね。
#37
○藤山国務大臣 むろん先ほど申しましたように、条約で基地を貸与するのに、極東の平和に寄与するということなんでありますから、その意味から申しましても、極東以外の地域に大きく出動するというようなことは考えられないことでございます。
#38
○勝間田委員 考えられないのではない、私の答弁にあなたはずらしておるのであります。理論的にはできるのですねといううことを聞いておるわけです。
#39
○藤山国務大臣 今申し上げた通りだと思っております。
#40
○勝間田委員 答えておりません。理論的にはできるのですねということを聞いておるのであります。条約上、理論的にはできるのですねということを聞いておるんです。
#41
○藤山国務大臣 いわゆる純粋の理論的に野放しになっておるわけでないのでありまして、極東の平和と安全を維持するために、寄与するために基地を提供しているということがうたわれておるわけでありますから、その範囲内においてということは、やはり純粋のただ理論だけでなしに、条約上もその限度の制限はあるとわれわれは考えております。
#42
○勝間田委員 これは明確にしておかないといけない問題でありますから私、はっきりいたしておきますが、極東の平和と安全の維持に寄与するための目的で駐屯するのが駐屯目的の一つだ。この目的であるけれども、極東の地域以内で行動しなければならないという条項は一つもないのです。でありますから、極東の平和と安全に寄与するための行動は、極東以外にも出ることがあり得るという理論的な根拠になって立てられておるものと実は思う。だから理論的には極東の平和と安全の維持のために極東以外の地域にも行動ができる、これが私は理論的な基礎だと思うのです。藤山さんともあろうものが、この理論の理解できないはずはないと思います。いかに七役会議でくぎをさされたといったところで、こういうことはやはり条約上ではっきりそうですということを言っていただきませんと、条約上の解釈に間違いがあるようでは、あなたの政治的の責任は万代に残ることになる。はっきりしておいて下さい。
#43
○藤山国務大臣 今までお答えした通りでありまして、なお詳しいことは条約局長から申し上げます。
#44
○高橋政府委員 大臣のお答えの通りでございます。
#45
○勝間田委員 私は今のは逆だと思うのです。一体大臣の答弁を官僚がやって、しかも大臣の言う通りだというのは少し本末転倒で、藤山さんの方が条約局長で、条約局長の方が外務大臣となるのではないかと思いますが、はなはだ遺憾だと思う。
 それでは条約局長に私お尋ねしますが、理論的には一体どうなっているのか、はっきりして下さい。
#46
○高橋政府委員 大臣が答えた通りで、極東の平和と安全に寄与するためでございますから、行動も極東の平和と安全の極東地域に限られているというふうに私は考えます。
#47
○勝間田委員 外務大臣にお尋ねしますが、日本の安全の維持という目的のためには、どこまででも出られるわけですね。
#48
○藤山国務大臣 日本が武力攻撃を受けましたときに、日本を守るために日本の米軍が出て参りますのには、むろん制限はございません。しかしながら事前協議をいたして、十分協議をいたしますから、そういう場合に遠方に出ていってまでやる必要はございませんし、また事実そういうようなことを、日本を守るためにいるアメリカ軍のことでございますから、そういうところに出ていくよりも、もしそういう必要があれば話し合いによって他の基地から出てもらうのが適当だと考えております。
#49
○勝間田委員 私は目的を二つに分けて実は考えておるわけでありますが、日本が他国から武力攻撃を受けた場合に、日本の自衛隊が行動する場合と、駐留するアメリカの軍隊が行動する場合とあると私は思う。その場合におけるアメリカの駐留軍の行動というものは、これは決して限定がない。理論的にはどこへでも出かけていける。実際上は作戦その他の問題が規制をするでありましょうけれども、それはどこへでも出かけていけるという立場に立って条約が改正されるのだと私は考えるのだが、一体いかがでありますか。
#50
○藤山国務大臣 条約の締結にあたりまして、純粋理論だけで条約を締結いたすものではないのでありまして、やはり両国が話し合いの上で、その限度内においてお互いにその解釈をもってこういうふうにやるべきだという了解、またその上に立っての締結をいたすわけであります。純粋理論だけで条約は締結いたしておりません。
#51
○勝間田委員 純粋理論であなたがいわれるということでありますが、私は政治論と条約論を別個に考えておる。あなたは政治論の議論をおやりになっていらっしゃるけれども、条約がどういう条約であるかということをあなたにお聞きをするわけであります。条文に規定するところのものは一体何であるかということを聞くわけであります。ここで政治論や主観をあなたからお聞きしようとは思わない。客観的な条約がどうなっているかということをあなたにお聞きしたいのであります。でありますから、アメリカの駐屯の目的は二つあるわけでしょう。それには軍事行動が伴っているわけでしょう。伴っておるそれが条約上にはどうなっておるかということを、私はあなたに聞いておるわけであります。従って日本が他国から攻撃を受けた場合に、アメリカ軍出動は条約上はどこへでも出られるという形になっておるのではないかこういうことをあなたにお聞きいたしておるのであります。もしないならば、どこからどこに条約があるのか、あなたにはっきり聞かしてもらいたい。
#52
○藤山国務大臣 外務大臣としましては純粋理論だけで条約を締結しておるわけではないのでありまして、やはり政治的観点とあわせて条約をやっております。従って条約論だけならば条約局長から御説明いたさせます。
#53
○勝間田委員 それでは一つお尋ねをいたしますが、日本の安保条約の問題と周辺を取り巻く相互防衛条約との関係を私はお尋ねいたしたいと考えます。
 まず、アメリカは米韓相互条約を締結いたしておることは御存じの通りであります。その第三条に、締結国に対する太平洋地域における武力攻撃は自国に対する攻撃とみなして行動をとることを宣言いたしておることはおわかりだと思うのであります。ここに米韓相互防衛条約における太平洋地域とは一体どこをさすか、あなたに一つお尋ねをいたしたいと思います。
#54
○藤山国務大臣 条約局長から御答弁させます。
#55
○高橋政府委員 米韓の条約でございますので、私的確な御答弁をただいま申し上げるわけにちょっといかないかと思います。
#56
○勝間田委員 それではその太平洋の地域には極東が含まれることは、これは世界の地理が示しておると私は思いますが、極東が含まれるでしょうか。大臣いかがですか。
#57
○森政府委員 米韓の条約につきましては、太平洋地域における双方の領域というものが問題になるのでありまして、この地域に外国からの武力攻撃が加わった場合には、双方に援助するということになっておるわけでございます。従いましてこの条約において最も重要な点は、いずれが西太平洋における領域かという点が問題になるわけでございます。そういう意味から申しまして、アメリカの領域と解せられますのはグアム及び旧日本の委任統治領、それから沖縄、小笠原、これらの島嶼でございます。
#58
○勝間田委員 今の太平洋地域内にあるグアム島その他の諸地域に攻撃が加えられた場合に、自国に対する攻撃とみなしてアメリカは実力行動をとるということが、米韓相互援助条約の内容だと私は思います。先ほど大臣はフィリピンを含む以北の沿岸の地域を極東の安全保持のための一つの地域として約束をされておる。私はその意味においてこういうことを大臣に質問いたしたいと思う。太平洋地域内にあるアメリカ及び韓国の領土、領海、領空の範囲内において武力衝突が生じた場合においては、それは極東の平和と安全の維持に寄与するためのアメリカ軍隊は、日本国の地域から出動することができるのではないか、この点をあなたにお尋ねいたしたいと思います。
#59
○藤山国務大臣 私どもは、先ほど申しましたように極東の地域を解釈いたしております。従いまして、その極東の地域内に何か武力衝突その他平和を害するような紛乱が起こりましたら、それは協議の対象になること当然でございます。しかし協議の対象になりまして、それが出ていくか出ていかないかということは、別個の問題だと思います。
#60
○勝間田委員 これはもちろん協議の対象になって、それがどういうように対象になるかは、そのときの事態でもちろん判断されることになると思う。なると思うが、今大臣の言われておる通り、これは極東の平和と安全の重大な脅威であるから、当然、極東地域の平和と安全の維持のために駐屯をするアメリカの軍隊は、日本の基地を使用することができるという原則の上に立って事前協議が行なわれるのではないか、私はかように感ずるのだが、これは正しいと思いますが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
#61
○藤山国務大臣 先ほどから申し上げておる通りであります。
#62
○勝間田委員 もう少し限定をいたしまして、アジアにおける一つの危険な地域として、国際紛争の潜在しておるところはどこかといえば、朝鮮の三十八度線が依然として緊張の中心の一つであるということは明らかであります。この地域に武力衝突が起これば、アメリカは米韓相互援助条約によって出動をする、そのアメリカの兵隊は、日米安全保障条約の第五条によって、日本の軍事基地を使用することができる。従って、これは当然協議事項になってくるということも当然だと実は思いまするが、いかが考えますか。
#63
○藤山国務大臣 今申した通り、極東の範囲内に入っております地域に、何か武力衝突なり紛乱が起こりますれば、当然協議の対象になります。
#64
○勝間田委員 同じことを私はお尋ねをするわけでありますけれども、アメリカは中華民国とも相互安全保障条約を締結をいたしております。しかもその条約の第五条においては、西太平洋区域において、いずれかの締約国の領域に対して行なわれる武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものと認め、そして共通の危険に対処するために行動することを宣言すると書いてあるわけでありますが、この西太平洋とは一体どこをさすのか、お尋ねをいたしたい。
#65
○藤山国務大臣 アメリカ局長から答弁をいたさせます。
#66
○森政府委員 米韓の場合に申し上げましたのと同じでございますが、ここでも、西太平洋地域においていずれかの締約国の領域でございまして、問題になるのは、この領域がどこかということが問題になるのでございます。従いまして、先ほど申し上げました通り、米国側としましてはそういう島嶼であります。中国側といたしましては、第六条に規定されておる領域がこれに相当するわけでございます。
#67
○勝間田委員 西太平洋地域はどこかということを聞いておるのです。
#68
○森政府委員 西太平洋地域につきましては、これははたして正確な定義があるかどうか、他国の条約でございますから、ただいま調査いたしておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、この条約の重点となるところは、その領域がどこかということに重点があるのでありまして、これがわかれば自然に問題が解決されるわけでありますので、もし必要ございますれば、西太平洋地域はどうかということを、後刻調査の上御答弁いたします。
#69
○勝間田委員 西太平洋地域の領域がわからないということでは、私は外務省の怠慢だと思います。この前重光外務大臣がダレスと、西太平洋の安全に寄与するという共同声明を出しておる。その外務省が、今日西太平洋がどこだかわからないというのでは、私は外交は勤まらぬと思う。この点はまことに遺憾であります。西太平洋の地域というのは、その領域のある地域を一つの規定をした文句であることは、今言う通りであります。従って、米華相互安全保障条約においては、澎湖島あるいはその他の諸島ということがもちろん決定をいたしておるわけでありますからその限定があることは言うまでもありません。しかし、これは当然先ほどのフィリピンを含む以北の極東地域に入っておることは明らかだと思う。従って、もし澎湖島あるいは台湾において武力衝突が起きた場合においては、極東の平和と安全の維持に寄与するアメリカ軍隊は、日本の施設及び区域を使用することができるのであるから、当然これは協議事項に入ると思うが、いかがでありますか、お尋ねをいたしておきたい。
#70
○藤山国務大臣 先ほど来申し上げておる通りであります。
#71
○勝間田委員 このことは、同時に、アメリカとフィリピンと結んでおる米比相互援助条約においては、太平洋地域をこれも対象にしておることは明らかだと思う。従って、太平洋地域における武力衝突には、アメリカは武力をもってこれを支援することを実は誓っておるわけであります。従って、これは従来と同様に、日本の基地を使用することができる、こう私は解釈をいたすのでありますが、もう一度外務大臣のこれに対する見解を伺いたいと思います。
#72
○藤山国務大臣 先ほど来お答えしている通りであります。
#73
○勝間田委員 そこで、私は重要な問題が出てくると思うのでありますが、ここで日本の極東の平和と安全の維持に寄与するという第六条の条項は、明らかに米韓、米華、米比の諸条約と地域的に密接に不可分になっている。第二は、アメリカ軍隊という行動を通じてそれは密接に不可分になっている。従って、この問題は非常に重要な問題であるということが、ここにはっきりいたすのであります。そこでもう一つ私はあなたに明確にしておいていただきたいと考えるのは、今度の条約では、日本の施政下にある領域領土というものに限定をされて、沖縄の施政権が返ってきたならば、自然的にこれも防衛地域内に入るということになさると聞いておりますけれども、そう理解してよろしいか。
#74
○藤山国務大臣 今回の安保条約においては、今お話しの通り、条約地域というものは日本の施政下にある地域でございますから、現状においては沖縄、小笠原は除外されております。しかし、施政権が返って参りますれば、当然その日から条約地域に入ることに相なります。
#75
○勝間田委員 沖縄、小笠原に対する施政権の返還については、政府はどういう見通しを持っておられますか。
#76
○藤山国務大臣 施政権の返還の問題は、相当困難な問題であり、長年われわれが努力してきている問題でありますが、今後とも外交交渉を通じまして努力して参りたい、こう思っております。
#77
○勝間田委員 沖縄、小笠原が施政下に帰ったという事態は、いかなる事態と解釈しているか。
#78
○藤山国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がはっきりしないのですが、もう少し御説明を願いたいと思います。
#79
○勝間田委員 沖縄、小笠原が日本の施政下に属したときには、自然発生的に、自動的にこれは防衛地域内に入るわけであります。そうなれば沖縄、小笠原に施政権が返ったという状態はいかなる状態をさしていうのであるか、これをあなたにお聞きしたい。
#80
○藤山国務大臣 日本の施政下に入ったという状態だと思います。
#81
○勝間田委員 私は、条約上の明快な解釈が必要だと思う。従って、日米のサンフランシスコ平和条約の第三条において、行政、司法及び立法がアメリカにゆだねられており、そして日本の潜在主権が、残余主権が日本に残されている形を条約上とっておるわけであります。当然行政、司法、立法の三権が日本に返ってくるという、このサンフランシスコ条約第三条からの解釈が出てこなければならぬと私は思う。それを、施政が返ってくればそうだという答弁は、それは条約上の答弁じゃない、その点をはっきりして下さい。
#82
○藤山国務大臣 施政権が返ってくるということは、行政、司法、立法、それを含んで返ってくるのだという解釈をわれわれは当然しております。
#83
○勝間田委員 これはなぜ聞くかというと、自動的に入るということを聞いておるからであります。でありますから、いかなる事態において返ってくるかということを、今日明確にしておくことが大切だと実は思う。でありますから、ここで沖縄に対する問題と韓国及びフィリピン及び台湾に対する諸問題と、この条約との関係というものを明らかにしておかなければ、ほんとうに国民がこれを理解することはできないと私は思う。
    〔発言する者あり〕
#84
○小澤委員長 静粛に願います。
#85
○勝間田委員 私はこういうのは不謹慎だと思う。
 そこで私はお尋ねをいたすわけでありますが、アメリカ軍の装備及び軍事行動等については、事前協議をするということであります。そこで私は特にお尋ねをいたしておきたいと考えまするのは、日本の装備の場合に、地上設備に対する制限はあるいは比較的やさしいかもしれない。だが軍艦、飛行機その他地上設備以外のアメリカの軍隊の装備に対しては、私はなかなか困難だと実は思う。そこで、あなたが今日まで、装備の重大な変更がある場合においては云々と言われておりますが、アメリカの飛行機や軍艦や潜水艦やその他の武力に対して、装備に対して、制限を加える権利が残されておるのかどうか、これをあなたにお尋ねをいたします。
#86
○藤山国務大臣 日本に駐留します場合においては、むろん事前協議によってそれを決定していくわけでありますから、その決定の範囲内においては制限されていくことは当然でございます。
#87
○勝間田委員 一昨年の七月に、アメリカの台湾及び他の――そのときはロスアンゼルスだったと私は思いますけれども、当局の発表によりまして、アメリカの第七艦隊は、原子兵器によって完全に装備し終われりと発表いたしておりますが、こうした軍艦が日本の佐世保あるいは横須賀等に出入りしていることは御存じの通りであります。こうした軍艦の装備に対して、日本はこれに制限を加えることができるかどうか、お尋ねをいたしたい。
#88
○藤山国務大臣 長く駐留する場合には、当然事前協議になるわけであります。
#89
○勝間田委員 長くしない場合には、いかなる兵器を持って出入りしてもよろしいということになりますか。
#90
○藤山国務大臣 むろんこの軍艦の、何と申しますか、水の補給その他のような短時間のものはとにかくといたしまして、長期にわたって駐留するものは、当然対象になることむろんでございます。また短期に入ります場合にも、そういう理由によって、事前に協議することは当然だと思います。
#91
○勝間田委員 アメリカの軍隊を、原子兵器によって装備しない軍隊と装備した軍隊とが区別がつくわけではないと私は思う。日本へ入るときには原子兵器の装備をとって入るということも、実はないと思う。いわゆるアメリカの軍事力が、そういう装備を持って日本の港湾に停泊する、あるいはここに当然海軍としての施設が提供されて駐屯をするといった場合に、アメリカの軍事施設、装備に対して、こうした制限が加えられる根拠は一体あるのかないのか、お尋ねをいたしたい。
#92
○藤山国務大臣 今回は条約上事前協議をいたしまして、それを決定するわけでございます。
#93
○勝間田委員 そこで重要な装備の変更があるという、その重要な装備の変更とは、いかなる場合をさすか。
#94
○藤山国務大臣 核兵器及び長距離ミサイル等でございます。
#95
○勝間田委員 核兵器及び長距離ミサイルは持たせないというのが、従来のあなたの主張からいった結論ですか。
#96
○藤山国務大臣 今申し上げたような点が重要装備に入ること当然でございます。
#97
○勝間田委員 その重要装備は日本に持ち込ませないという決意でおるわけですか。
#98
○藤山国務大臣 事前協議の対象になっておるわけでありますから、そう考えていただいてよかろうと思います。
#99
○勝間田委員 事前協議の対象になるのだからそう考えていただいてよろしい、こういうわけでございますから、それは、そういう装備は、日本としては承諾をしないという断言と考えてよろしいか。
#100
○藤山国務大臣 核兵器その他の問題については、総理がしばしば言明されておる通りでございます。
#101
○勝間田委員 この核兵器の問題についても、私は幾多あると思う。最近は特に、局地戦争を主張せられるアメリカの側からいえば、小さな規模の核兵器というものもかなり発達をいたしておるのが、現在の状態だと実は思う。私は、それだからこそ、今日の軍艦なり、飛行機なり、あるいは潜水艦なりが装備を行なうその装備というものに対して、非常に重大なものがあると考えておりますから、この限界をどこに置くかということをあなたにお尋ねをしたい。
#102
○藤山国務大臣 この限界というような問題につきましては、防衛庁当局から御説明をするのが適当だと思います。
#103
○勝間田委員 防衛庁の一つこれに対する答弁をお願いいたします。
#104
○小澤委員長 今呼んでいませんが、次の機会に一つ……。
#105
○勝間田委員 すぐ呼んでいただけますか。
#106
○小澤委員長 では呼んできましょう。
#107
○勝間田委員 アメリカの軍事力が、極東の平和と安全の維持のためには、先ほど来話のあったような諸地域において当然日本の施設を利用することができる、ただしそれは協議事項である、こういうわけでありますが、今度の条約改正の第五条においては、日本の領域内でアメリカの軍隊があるいは軍事力が、他国から武力攻撃を受けたときには、日本に対する攻撃とこれをみなして、日本が行動をするということにきめられるそうでありますが、さように解釈してよろしいか。
#108
○藤山国務大臣 日本はアメリカに対しまして基地を供与いたしております。その基地は日本の領土であることむろんであります。また基地を攻撃することは、領空を侵しあるいは領海を侵さなければならぬわけでありますから、当然日本に対する武力攻撃であるとわれわれは確信を持っております。
#109
○勝間田委員 その場合の日本の自衛隊の行動というものは、どういうものですか。
#110
○藤山国務大臣 自衛権を発動いたします場合には、それぞれ国内法律の手続に従って発動することになると思います。
#111
○勝間田委員 その行動はいかなるものでありますかをお尋ねいたしておる。
#112
○藤山国務大臣 自衛権の範囲内において行動をすることに相なるわけであります。
#113
○勝間田委員 自衛権の範囲内においての行動にも私は幾つもあると思う。いわゆる単なる物資調達とかあるいは必要なるその他の処置というものもありましょうし、いわゆる相手の武力を破壊する行動というものがあると実は私は思う。一体この行動の種類はどういうものか、行動の内容はどういうものかということを、あなたにお尋ねをいたしておるのであります。自衛隊はいかなる行動まで許されるのかということをあなたにお尋ねいたしておるのであります。
#114
○藤山国務大臣 自衛権の範囲内だけ活動をすることになると思います。その具体的な兵力の動かし方とか、どういうことかは、やはり防衛庁当局でなければ十分御説明できないと思います。
#115
○勝間田委員 私は、こうした軍事同盟を締結する際に、その条約の内容がいかなる行動になるかわからぬというような無責任な外務大臣はないと思う。私は、当然内閣が一体となって、その内容についてのしっかりした、こういう重要問題についての検討があって条約が締結されるものと思う。(「それは作戦の要諦だ」と呼ぶ者あり)こういう点を私はこの条約に言う――作戦の要諦じゃないのです。行動を起こすということでありますから、どういう行動を約束したのかということを私はお尋ねをするのであります。
#116
○藤山国務大臣 自衛権の範囲内において行動をいたすわけでありまして、その行動がどういうふうな自衛隊の動かし方になるかという問題については、これは防衛庁当局の方が明確に説明されると思いますので、私から御答弁しない方が適当だ、こういうことを申し上げておるのであります。
#117
○勝間田委員 先ほどの問題も含めて、私は自衛隊がどういう行動をとるのかということは、条約の審議にきわめて重要でありますから、私は防衛庁長官を一つ呼んでいただきたいと思います。
#118
○小澤委員長 今呼びましたら、参議院の予算委員会におって質問に答えておるという話です。だから、済んだら来るということです。
#119
○勝間田委員 なお、この条約の文章には、「自国の憲法上の規定と手続」によってと書いてありますが、こういう自衛隊が行動をとる場合における日本の手続は、どういう手続が予定されておるのであるか。
#120
○藤山国務大臣 憲法並びに自衛隊法の規定に従って手続をとるわけであります。詳しいことにつきましては、条約局長から御説明いたさせます。
#121
○高橋政府委員 むしろ憲法上の規定に従ってというふうに、日本の場合においては重点を置いてこれを解釈をいたします。
#122
○勝間田委員 日本の場合には憲法上の手続はないのでしょう。これはいわゆる自衛隊法の七十何条かの手続以外にはないのではないですか。だから、それをはっきり言いなさい。憲法上の何か手続があるのですか。
#123
○高橋政府委員 その通りだと思います。その通りです。
#124
○勝間田委員 初めからそう言ったらいい。
 従って、この場合における憲法上の規定及び手続とは、手続はアメリカ側のことであって、これは日本側のことをさしたものではない、こう解してよろしゅうございますね。
#125
○高橋政府委員 そのように解釈いたします。
#126
○勝間田委員 外務大臣にお尋ねをいたしますが、日本が攻撃を受けた場合、あるいは従って自衛隊が行動を起こす場合、あるいは日本の領域内においてアメリカの軍隊が攻撃を受けてこれを日本の自衛権の発動として行動する場合、こういう場合に自衛隊が行動するのでありますが、その手続は一体どういうことになるのですか、これを一つ具体的にお尋ねをいたしたいと思う。
#127
○藤山国務大臣 今御説明申し上げました通り、自衛隊法の規定その他によって、この手続をとっていくことになるのでありまして、そういう手続の詳しい問題につきましては、法制局長官なりあるいは条約局長から御説明することにいたします。
#128
○勝間田委員 条約局長説明して下さい。
#129
○高橋政府委員 同時に日本が攻撃を受けた場合でございますから、日本の自衛隊法に従って行動することになります。
#130
○勝間田委員 自衛隊法はどう規定してあるのか、それをお尋ねいたしておるわけです。
#131
○高橋政府委員 事前または事後に国会の承認を得るという規定があると思います。防衛出動の場合に、国会の承認を得て行動する、こういう規定がございます。
#132
○勝間田委員 国会の承認を得なければならないし、緊急事態の場合においては、すみやかにまた国会の事後承認を得なければならないし、また国会解散の場合における緊急集会の処置というものも、私は規定されておるものと実は考える。だが、今日まで一番大事な問題は、国会召集の余地がなくて、期間がなくて、あるいはその手続を経ることがなくて、行政処置上事実上の戦争に巻き込まれる、あるいは参加するという懸念がある。これは世界的な懸念であります。これはアメリカの場合においてもずいぶん議論をされた問題で、非難を受けた点であります。私は、こうした手続がほんとうにとられるその場合においてのこの事後の処置というものが多くなるのではないか、このことを私は非常に懸念をいたすのであります。この問題は私は総理大臣にお尋ねをしなければならぬ問題が実はありますけれども、外務大臣はこうした処理についてどう考えておられるか、お尋ねをいたしたいと思う。
#133
○藤山国務大臣 今回は常時協議をいたしております。従いまして、私がいつも申し上げておりますように、非常に突発的な事例というのは少なくなってくるのではないかと思います。しかしながら、やはりそうした攻撃というものは、必ずしも前々から予知されておることも考えられない場合もたくさんあるわけでありますから、従って事後の処置をとらざるを得ないという場合も相当あり得るとは当然考えております。
#134
○勝間田委員 事後の処置というものが特に私は重大な問題だと思いますからここにお話をいたしたわけでありますけれども、手続という問題はそこでほぼ明らかになりましたが、憲法上の規定によるという規定とは、これは今日まで政府が常に、憲法上の範囲内とか憲法上の規定によるとか、これは事前協議の問題として政府が逃げるという唯一の根拠にいたしておるわけであります。日本の領海、領空、領土においてアメリカ軍隊が行動を起こす。アメリカ軍隊が武力攻撃を受けた場合に、日本の自衛隊が行動する。その自衛隊の行動に対して憲法上における限界は何か、これをお尋ねいたしたい。憲法の規定上における自衛隊行動の限界いかん。
#135
○藤山国務大臣 自衛権の範囲内であると思います。
#136
○勝間田委員 私はこういう不誠意な答弁はないと考えておりますが、そうしますと、自衛権の範囲内ということの中にはいろいろの問題があると私は思う。この自衛隊は、日本を防衛するためには、どの地域まで出られるのですか。憲法上日本の領域内か。領域外まで出られるのか。
#137
○藤山国務大臣 自衛権でございますけれども、しかし日本の自衛隊が外国に出るということは想定されておりませんので、日本としては、いわゆる条約地域内――むろん自衛のことでありますから、追っかけていくというような場合もあります。従いまして、自衛の完全の意味から言えば、若干外に行くことはあり得ると思いますけれども、しかしながら自衛という限界を越えないということははっきりいたしておることは当然であります。
#138
○勝間田委員 自衛の範囲内ということになりますと、あなたは非常に拡大解釈をされると私は思いますが、日本の自衛権の発動としての自衛隊は、相手を追いかけていく、あるいは相手の基地を破砕する、そういう出動は自衛権の範囲内と考えておるのか。
#139
○高橋政府委員 自衛権の限界内でございますから、御承知の通り、急迫不正なる権利侵害に対しまして、これを排除する必要の程度に限られる、これが自衛権の解釈でございます。その限度内において行なわれるということになると思います。
#140
○勝間田委員 そうすると、自衛の範囲内ならば、自衛と認められれば結局無制限ということですね。
#141
○高橋政府委員 必要最小限度に限られるということでございますし、現実の事実問題としては四つの島以外には出ることはない、こういうふうに承っております。
#142
○勝間田委員 現実には自衛隊は四つの島以外には出ない、いわゆる領海、領空、領土以外には出ないということですか。
#143
○高橋政府委員 自衛権の限界でございますから、それから考えますれば、必要の最小限度に限られるわけでございますが、現実の問題としてはそのように解釈いたしております。
#144
○勝間田委員 アメリカの軍隊が日本の領域内で攻撃を受けた場合に、日本はみずから攻撃を受けたものとして行動するという約束がありますが、その場合でも、それは自衛権の範囲内であるからという同じ解釈をしてよろしいですか。
#145
○高橋政府委員 その通りだと思います。
#146
○勝間田委員 その場合といえども、アメリカの武力は日本の領域内にとどまることではなくて広範囲にわたるということは当然だと思いますが、いかがですか。
#147
○藤山国務大臣 アメリカは、この条約においても、国連憲章第五十一条によりまして、むろん自衛のために行動をするわけで、侵略的な行動をすることはございません。従って自衛の範囲内以上には出ないとわれわれは確信を持っております。
#148
○勝間田委員 アメリカの自衛の範囲内とは一体どこですか。
#149
○藤山国務大臣 自衛と申すのは、申すまでもなく、敵から自分が攻撃をされるその戦闘状態がどこまで続くか。それが逃げていって、それをひどく追っかけていくというようなことは自衛とは申し得ないと思います。従って自衛権の範囲内ということでわかると思います。
#150
○勝間田委員 私はきわめてわからない。しかもこのアメリカは、先ほど来申した通りに、各国と軍事同盟を結んでおるということを考えてみると、私は一そうその感を深くする。でありますから、ここでとにかく日本の自衛隊の武力行動は自衛の範囲内で行動をするが、しかしそれは最小限度という状態であって、必要があれば追いかけてもよし、相手の基地があればその基地を破砕する行為も行なう、こういうように解釈をしてよろしいか、もう一度お尋ねします。
#151
○高橋政府委員 日本の場合は、ただいま申し上げましたように、厳に自衛の範囲内に限られる、権利の侵害を排除するための必要最小限度に限られるということでございます。アメリカの場合におきましても同様でございまして、個別的または集団的自衛権、すなわち権利侵害に対しましてこれを排除する最小限度に限られるということでございます。
#152
○勝間田委員 憲法上における規定に従い、日本の自衛隊の武器の使用の内容には限定があるかどうか。
#153
○藤山国務大臣 自衛のための兵器は用いるわけであります。自衛以上の兵器は用いないと思います。
#154
○勝間田委員 行動の種類――自衛隊の行動とは一体どういう内容のものを行動とするのか、どういう兵器が許されるのか、どういう行動半径が日本の自衛隊に許されるのか、そうした諸問題についての政府の答弁は単なる自衛の範囲という抽象論によってこれを退けておる。この問題は私は非常に重要でありますから、防衛庁長官を一つあれいたしまして、そうしてさらにこの問題を追及することを留保させていただきたいと思う。
 それから、ここにさらにいろいろな問題をお尋ねしなければならぬと実は考えるわけでありますけれども、中ソ友好同盟条約とこの日米安全保障条約との関係を一つ明らかにしておきたいと思います。中ソ友好同盟条約は日本に対していろいろの軍事的取りきめを行なっております。これはどういう内容のものであるかを一つ明らかにしていただきたいと思う。
#155
○藤山国務大臣 条約局長から御説明いたします。
#156
○高橋政府委員 中ソ友好同盟条約の内容と申しますと、国連憲章の対敵措置の規定に基づいてこの条約が結ばれたと解釈しております。
#157
○勝間田委員 こういうものはやはり政府が理解した上で答弁をされるということが私は正しいと思う。これは条約を結ぶ場合における良心ではないかと思う。でありますからあえてお尋ねするわけでありますけれども、御存じの通り第一条は、特に重要な点は、「締結国の一方が日本国又はこれと同盟している他の国から攻撃を受けて戦争状態に陥った場合には、他方の締約国は、直ちになしうるすべての手段で軍事的の又は他の援助を与える。」これが結局対日軍事条項の焦点じゃないかと実は考えております。そこでやはり問題とするところは、正確に見て日本または日本と同盟する軍隊が、ソ連または中国に、すなわち鴨緑江を越えて攻撃を加えて戦争状態になる場合には、ソ連は参戦をする、これがこの条約の一番の中心だと私は考えるのであります。今度われわれが一番懸念をしておる問題は、アメリカが韓国と相互援助条約を結び、そのアメリカが日本の基地を使用する、この態勢で中国またはソ連に攻撃を加えれば、これはソ連の参戦になるという関係になると私は思うのです。この関係をいかに理解されておるか外務大臣にお尋ねをいたしたい。
#158
○藤山国務大臣 私どもはアメリカが国連憲章に違反して、侵略的な戦争をするとは考えておりません。従ってアメリカとしては自衛的な戦争にのみ尽くすということは当然であると考えております。
#159
○勝間田委員 かつてマッカーサーが朝鮮の限定戦争にしびれを切らして、日本の基地から鴨緑江の水豊ダムを攻撃しようとした際に、イギリスのモリソン外相はフランスのシューマンとともに、これは第三次世界戦争に発展する懸念があるからというので、マッカーサーは罷免された、これは今日まであまりにも有名な事実であります。アメリカが鴨緑江を越えて攻撃しないという保障は、少くとも今日までの経験からなかった。こうした事実に照らして、一体外務大臣はどう考えるか。
#160
○藤山国務大臣 アメリカが国連憲章に従って行動する、また行動したことは、今回の条約におきましても、国連の安保理事会に報告することになっております。従ってアメリカがただ侵略的な、理由のない――侵略と申しますか、あるいは攻撃を他国に加えることはないという確信を持っております。
#161
○勝間田委員 次に私はベトナム賠償の問題について若干お尋ねをいたしておきたいと思う。
 今日まで政府は賠償問題をいろいろ扱って参りましたが、平和条約の第十四条の(a)項の1というのは、本来が私は役務賠償だと思う。それがビルマの賠償以来今日まで製品賠償の姿になって、いつの間にかこれが本格的な賠償であるかのごとくに変化した。私は今日外務大臣に、一体こうした役務賠償の原則であったということを認めるかどうか、同時にこれが製品賠償になっている積極的な意味というものは一体何か、このことをまず外務大臣にお尋ねしておきたいと思う。
#162
○藤山国務大臣 役務賠償ということが書かれておりますけれども、むろん役務の集積である製品というものも、その範囲内に考えられるというように、初めから解釈しておられたことだと思います。そういうようなことが最初のビルマの賠償の場合にも、鈴木委員長と吉田元総理との間にも、議会において論議されているように私どもは考えております。
#163
○勝間田委員 私は積極的な意味というものを特にお尋ねをいたしたのであります。製品賠償になりつつあるが、一体それは積極的な意味はどこにあるかということをお尋ねいたしておるのであります。
#164
○藤山国務大臣 むろん賠償でありますから、戦争時代にいろいろ迷惑を与えました国々に対して賠償を払って、そして損害を補てんし、あるいは精神的な苦痛を慰留するということは、これは当然なことだと思います。しかしそれをやりますと同時に、やはり東南アジアの諸国が建国以来の経済的苦痛を持って努力しておりますので、できるだけそういう便宜を考えますことは、苦痛を与えました国々に対する賠償の精神としては、大きなファクターとして当然あり得ることだ、こういうふうに考えております。
#165
○勝間田委員 私は役務賠償が製品賠償に変わってきた根本というものは、やはり東南アジアの民主的な、しかも民族的な経済開発を助け、同時に日本との間における諸貿易や経済協力が発展することを念願としてなされたものだと実は考える。しかし政府もきょう資料を出しておるようでありますけれども、賠償ということと貿易の発展という問題は、私はなかなか困難な問題だと思う。当該国に対する貿易の発展というものが、賠償によってむしろ阻害されていく場合が非常に多いのじゃないだろうかと実は考える。一体この問題の調整をどう考えておるのか。外務大臣はなかなか経済問題の通でありますから、一つお尋ねをいたしたいと思う。これは通産大臣に聞かなくてもよろしゅうございますか。
#166
○藤山国務大臣 もし非常に詳しくならば、通産大臣にお聞きいただいてもけっこうだと思います。通産大臣の御出席を要求されても、私の面子にかかわるわけではございませんから、けっこうであります。賠償によって、今お話のように特に新興国の経済建設を助けるということは、今勝間田委員も御指摘になって御同感であったように思うのであります。そのこと自体が貿易にすぐに影響するかしないかという――あまり貿易には利益にならぬのじゃないかということでありますけれども、私の見解からいたしますれば、賠償によって現地の経済力が充実して参りますれば、当然生活水準が徐々に上がって、そうして一面では購買力がふえてくる。従って日本ばかりでなくほかの国にも及びましょうけれども、貿易の総額がふえてくる、購買力が増進してくるということでありますれば、当然日本との貿易関係も好転いたして参ると思います。また一面日本の製品が賠償によって供与されることでありますから、それによって、従来ヨーロッパの方の機械その他を使っておりました人たちが日本の機械を使いまして、その優秀性を認めますれば、日本に対する機械の注文というものも、信頼を得てやって参りましょうし、またそれらの出ましたものの今後の部品等というものにつきましても、需要が喚起されることは当然でありますから、現実にすぐに一カ月後に貿易がふえるということは、あるいはすぐには参らぬかもしれませんけれども、長い目で見まして日本の貿易にはやはり好影響を与えるものだ、こう考えております。
#167
○勝間田委員 日本の賠償が貿易の振興になるためということで言われるのでありますけれども、私はそれには条件が実はあると思う。特に東南アジア地域は外貨の不足な地域だと私は思う。この外貨の不足な地域において、最近のアメリカの東南アジアに対する援助の方法は非常な変化を遂げていると考える。特に最近のガット総会やあるいはアメリカの国務省あたりの、アンダーソンあたりの声明を見ておりますると、アメリカが約四十億ドル程度の赤字を出す。そのためには当然ICAの援助も、また今度新たにできたDFLの資金も、いずれもアメリカ優先の態度をとるという考え方であります。私はそういう態勢の中で一番大きく響いてくるのはICAの援助を受けている、特に南ベトナムだと考えておるのであります。こういう事態において南ベトナムに対する貿易というものは一体今後どうなるのですか。どう見通されているのか、あなたからお聞きしたい。
#168
○藤山国務大臣 ベトナムがアメリカその他から援助を受けて、特にアメリカからよけいな援助を受けているという事実は経済上ございます。しかしそれをそうであるからといって日本の貿易が縮小されるということは私はベトナムの経済建設が進むにつれて、また今申し上げたような日本の製品に対する知識もふえ、あるいはそれを使ったことによる経験も得ますれば、やはり日本の製品を相当購入するようなことになってくるということは当然考えられるわけであります。その意味において私どもはアメリカの援助が増大し、あるいはアメリカが援助するにはアメリカ製品をできるだけ買えというような方向になりましても、日本とベトナムとの間――日本とベトナムばかりではありません。東南アジア全体に対して、やはり私は現地の人が、通貨上困難は感じておりましょうけれども、やはりおのずから経済が発展して参るわけでありますから、貿易には決して悪い影響はないと思っております。
#169
○勝間田委員 ベトナムの最近の国際収支は一体どうなっていますか。
#170
○藤山国務大臣 事務当局から御説明いたさせます。
#171
○小田部政府委員 お答えいたします。大体概要を申しますと、国際収支は輸入が多くて輸出が少ないので、その残額が大体アメリカのICAの資金というものでまかなわれておるという情勢であります。
#172
○勝間田委員 私は金額を聞いておるのでありまして、抽象論を聞いておるわけではないのです。
#173
○小田部政府委員 ここに表でピアストル単位の数字がございます。大体一ドルが三十五ピアストルということでございますから、ドルはこれで出るわけでございます。そういたしますと、輸入状況を申しますと、一九五六年には七百六十一億ピアストルが輸入でございまして、それからまず最初に輸入の数字を申し上げますと、一九五七年は百億ピアストルでございます。一九五八年は八十一億ピアストルでございます。一九五九年は二十八億ピアストルでございます。それに対しまして輸出を申しますと、一九五六年は十五億ピアストル、それから一九五七年は二十七億ピアストル、一九五八年は十九億ピアストル、そういうふうになっております。それで輸出と輸入のバランスを数字で申しますと、一九五六年は六十億ピアストルの赤字、それから一九五七年は七十二億ピアストルの赤字、一九五八年は六十二億ピアストルの赤字、一九五九年の一月と五月までの数字は二十一億ピアストルの赤字でございます。公定では一ドル、三十五ピアストル、こういう数字になっております。
#174
○勝間田委員 ピアストルですが、アメリカのドルで換算をすれば、私の調査からいえば、一九五七年は二億九百万ドルの輸入超過だと実は考えます。一九五八年は一億六千百八十万ドルだと実は考えるのであります。すなわち、大体ここでわれわれが考えられるのは、南ベトナムの数字は大体二億ドル程度が全部赤字、その二億ドル程度の赤字の中で九割がICA、それから他の一割の相当部分がコロンボ・プランと、フランスの余剰農産物の援助、こういう形で形成をされておって貿易が行なわれておる。日本との貿易関係から見ると、日本は一九五七年に約四、五千万ドルの輸出超過になっておる。これは私は大体の見当として正しいと考える。こうした日本が輸出を続けられていくのはICAの現地調達と、いわゆる域外調達というものが行なわれておるからこれだけのものができる。そうしてここで、しかしICAが今度アメリカの赤字貿易からどうしてもアメリカ商品を優先するという形にしていくということでありますれば、このICA資金による日本の貿易、特に綿糸布その他の貿易というものは非常に困難になる。ましてや今度ICAから分かれていくDLFの資金が長期資金となって、これは完全にアメリカの資材でなければ買えないという状態になってくる。こうなってくると、一体今後の南ベトナムの貿易は、アメリカの最近の赤字財政ということによって、日本の貿易は著しく縮小するのではないか、これを一つ外務大臣に見通しをただしておきたい。
#175
○藤山国務大臣 アメリカが今日、お話のように、アメリカの金融財政の事情からして、できるだけ対外援助の支払いを自国品の購買に充ててもらいたいという考え方が出て参っておりますことは、御指摘の通りであります。従ってそういう問題につきましては、われわれとしましても日本の立場からアメリカにもなるべくそういうことのないように、今日まででも説明をいたしております。しかし今もお話のように、そういうような自国品が出なければならぬというようなことに切りかえられましても、それらの経済援助というものがベトナムにおいて生きて参りますれば、やはり経済建設というものも進みますし、あるいは民生の向上ということもできるわけで、全体としての購買力の増加というようなことも考えられるわけなんであります。従ってベトナムと日本との関係における貿易が、将来とも先細るとは私ども考えておりません。あるいは伸びる率が若干低下するというようなことはありましても、将来とも日本の優良な機械製品その他に対して、しかもそれが習熟されてきますれば、当然日本品に対する注文もふえてゆくということは考えております。
#176
○勝間田委員 非常に外務大臣は楽観的な希望観測を言われておりますけれども、すでにこの前のガット総会におけるジロンあるいはその他アンダーソン、また本朝のアメリカのUPIの報道によれば、こういう問題は今度、最近発展した日本に、西欧諸国及び日本の協力を得なければならぬ、アジアにおける分担を引き受けてもらわなければならぬ、こういうことが今日いわれておるのであります。私はこれに対する日本の政府の態度というものを実はお聞かせを願いたい。すなわちアメリカのICAの資金及びDLFの資金をアメリカ調達にして、東南アジアその他について日本に分担を引き受けてもらいたい、こういう態度におるアメリカの最近の公式な発表に対して、日本政府は一体どういう考えでいくのか。
#177
○藤山国務大臣 日本として、日本の財政金融、外貨事情を改善して参りますれば、日本としては東南アジア方面の経済協力ということも進めて参らなければならぬことは当然でございます。従って日本独自としてそういうことを考えて参らなければなりませんが、同時に、やはり世界的な規模において行なわれますいろいろな金融機関その他にも日本は参加して参るわけでありますから、それらを通じまして、当然日本の立場を主張しまたは擁護して参ることでありましょう。われわれはそういう協力をしていきますことは、非常に適当なことだと考えております。
#178
○勝間田委員 実際上ベトナムはすでに日本の綿糸の輸入を約半年禁止いたしておりますね。一体これは、今度の賠償を払うことによって解決されるのですか、されないのですか。ベトナムの綿系輸入に対する対策としては、日本政府はどう考えておるのですか。
#179
○藤山国務大臣 むろんこの通商関係におきましては、そのときどきの事情によりましていろいろ問題があることはベトナムばかりではございません。各国にそれぞれございます。従ってそれらの問題については、絶えず経済外交の面において注意をし、反省をしながら行なって参らなければならぬのでありまして、われわれとしては、賠償問題という問題を別にして、こういう問題は経済外交のルートにおいてできるだけ努力して参ることは当然なことでございます。
#180
○勝間田委員 今度この賠償と関連して、通商航海条約の締結が約束されておりますが、最恵国待遇は一体得られるのですか、得られないのですか。
#181
○藤山国務大臣 今回通商航海条約の締結を将来やろうじゃないかということで、ベトナム側においてもそれを受諾いたしておりますから、今のベトナムの事情から見て、すぐに話し合いがついて通商航海条約ができるとも考えませんけれども、しかしなるべく早い機会にこれらの通商航海条約等を作って参りたい、こう考えております。従ってその場合に日本に対して最恵国の待遇が与えられることは当然だと思いますが、しかしベトナムの現状から申しますれば、ベトナムが植民地から独立をいたしました過程におきまして、フランスだけには他の国と違った待遇を一応与えておりますので、その点でフランス以外の他の国と同じような最恵国の待遇は受けられると思いますが、しかしフランスを含めてそういう問題を論議することもわれわれとしては必要なことでありますので、そういう点には留意はいたしております。
#182
○勝間田委員 ではフランスを含めての最恵国待遇は今回解決がつくのですか、つかぬのですか。
#183
○藤山国務大臣 今回すぐにつくとは私ども思っておりません。また最恵国待遇そのものを今後話し合いをして参るわけでありますから、当然それらの問題には触れて参ると思います。われわれとしては現状がそういうことであるということを申し上げて、それに応じてわれわれの交渉をしていくわけでございます。
#184
○勝間田委員 そこで今回の賠償でやはり当然それと関連をして大きな問題になって参ると思いますが、結局アメリカはICAの援助がそうした困難な状態にある、また現在のベトナム政権というものは非常に経済不安な実は状態にある、そういう状態の中に、結局日本がこうした賠償を払っていくということを考えてみますると、貿易上の日本の利点というものは私はなかなか期待できないと思うのです。それからもう一つは、アメリカが最近主張しておるところの、いわゆる東南アジア地域の低開発地域に対する従来行なわれた経済援助というものを、一部西欧並びに日本国に肩がわりしていこうという事態に私はあると思う。そういう事態に便乗し、あるいは強制されて、私は現在のベトナム政権に対するこれはてこ入れではないかと考える。ベトナム政権のてこ入れとして私は考えるが、一体いかに考えられるか。
#185
○藤山国務大臣 アメリカがそういう方針をとるといたしますれば、東南アジア各国あるいはその他東南アジア以外の諸国に対する援助計画においても同じような考え方でやるわけでございまして、ベトナムだけに特にそうしたことを取り扱うとは思っておりません。これは先ほど来御指摘のありましたように、アメリカの経済が外貨流出によりまして困難になってくる。従ってできるだけアメリカ政府も経済援助をやる場合に、各国において自国の製品を使用させようという希望なのであります。でありますから、その意味においてもし影響があるとすれば、ベトナム以外の諸地域のそれぞれの国においても同じような影響があるわけであります。そういう意味におきまして、われわれはベトナムの貿易が特に将来非常に悲観すべきものだ――われわれ日本として経済協力もやり、賠償も払い、また将来ともに日本の製品の価値を認めて、そうして貿易の拡大をはかっていくという方向にあることは当然のことでありまして、そういう意味において、われわれとしてはできるだけ将来努力して参りますれば、そんなに大きな変化はないということは、先ほど来申し上げている通りだと思います。
#186
○勝間田委員 私は最近のインドシナ三国の国際情勢というものを考え、その国際情勢の中におけるベトナム賠償というものを考えるのがどうしても必要だと実は思う。現在ベトナム及びラオス及びカンボジア三国に対して、いかなる国際紛争が起っておるかということは、外務大臣はよく理解されておると私は思う。特にアメリカのベトナムに対する政策と、ラオスに最近行なわれておる政策というものについては、非常に重大視しなければならぬと実は考えるのであります。まずお尋ねをいたしますが、ラオスの最近の政情について、一体いかなる見通しを持っておられるのか、第一にお尋ねをいたしたい。
#187
○藤山国務大臣 御承知の通り、ラオスにおきましては、国内的な紛争と申しますか、あるいは騒擾があったことは事実であります。これが政治的な争いであるということも事実であります。そういう、状態に今日ラオスがありますことは、先般国連がプレゼンスをしたという事実からも、おわかりをいただけるところだと思います。
#188
○勝間田委員 日本ではラオス調査団に渋沢信一大使を団長として送った、これは私は非常に重要な問題があると実は考えておるのでありますが、一体ラオスにおける最近のアメリカ政府のやり方というものは、私は少し強引過ぎるのじゃないかと考える。特に現政府を作り出した過程というものは、まことに内政干渉に近いものがあると私は思う。そうして現政府を作り上げて、中立を破棄させて、ジュネーブ協定まで、あれはわれわれは不拘束である、拘束されないという態度まで明らかにさせて、今日全く右翼的な政権があそこにできて、しかもその背景にはアメリカが大きなてこ入れをしておるということは、私は事実だと思う。このラオスの最近の状態において、この今度のべトナムに対するてこ入れというものも、私はアメリカの一貫した一つの政策が裏づけになっているのじゃないかと実は考える。従って、藤山外務大臣に聞きたいと私が思いまするのは、ジュネーブ協定というものを一体日本の政府は支持するのか、支持しないのか、この見解をこの際あらためて聞きたいと私は思う。
#189
○藤山国務大臣 われわれはジュネーブ協定の調印当事国ではございません。しかしながら、日本として、できるだけ各方面が平和で平穏であることは、当然希望いたしております。従いまして、ジュネーブ協定の精神を尊重するということはわれわれとして当然あってしかるべきだ、こう存じております。
#190
○勝間田委員 国連における態度の問題で、御存じの通り十対一の採決が行なわれたわけでありますけれども、その論争の過程を通じてよくわかることは、ジュネーブ協定を守っていこうとするには、国際管理委員会の構成というものをやはり要求している。あるいは関係調印国の会議というものを中心に考えている。やはり日本政府は、もしジュネーブ協定に関心を持つならば、国際管理委員会を作り、またそれを運営し、そしてやはり選挙を通じて統一をしていくという線を支持していくのが、私は当然だと実は思う。外務大臣は、今後ジュネーブ協定の推進について、一体どういう考え方を持っておるのか。
#191
○藤山国務大臣 御承知の通りに、ジュネーブ協定というものがございまして、それによってジュネーブに集まりました諸国がいろいろな取りきめをしたということは、申すまでもないことであります。今回のラオスの場合におきまして、国連がこの問題について適当な平和解決の問題を取り上げる必要があるということはこれはやはり当然のことだと思います。従って、ジュネーブ協定の参加国でありますイギリス等もこれに賛成しておるのであります。ソ連の反対も、手続上の問題として、これが解決した場合に、ソ連は特にその点について、異議は申しましたけれども、実際的の処置に対しましては、ソ連は特に何らの意思表示をしておらぬと思います。でありますから、これこそ今回調査団が参りまして、むしろ事態が平穏になって、そのあとのハマーショルド事務総長のラオスに行くこと、あるいはそのあとのハマーショルド事務総長の事実上の代理者を置くというような問題についても、国連におきましてソ連の代表が、特に賛成はいたさないではありましたけれども、特に異議を申し立てて、それを何か妨害し、あるいはじゃましたようなことはないのでありまして、その意味からいいましても、やはり今回の処置というものは、適当であったのではないかというふうにわれわれは考えております。
#192
○勝間田委員 ジュネーブ協定を尊重していくという立場であるならば、今度の賠償であなたのとっておる態度というものは、少し間違いじゃないでしょうか。
#193
○藤山国務大臣 私は、今日日本が賠償でとっております立場が、特にジュネーブ協定を害しておるとは考えておりません。
#194
○勝間田委員 あなたがもしアジアの統一を考え、またジュネーブ精神というものを推進していくという考え方であるならば、賠償はそのときまで待ってもいいのじゃないですか。
#195
○藤山国務大臣 われわれはサンフランシスコ条約の義務を負っておりますので、戦後すでに十三年たっておりますし、できるだけ早くこれを解決していきますことは、当然のわれわれの義務だと思います。勝間田君もよく御承知だと思いますが、ジュネーブ協定二年後の六月に、当時議長でありましたソ連とイギリスとがロンドンに寄りまして、そうしてジュネーブ協定の趣旨を、なかなか統一というようなことを達成することは困難であるということを話し合いまして、関係国に通知をいたした事実もございます。そういう状況でありますから、望ましいジュネーブ協定の統一ではありますけれども、当時議長をいたしておりました国においてもそういう意向でありますので、そうといたしますと、簡単に統一ができないとすれば、われわれはサンフランシスコ条約の義務を一日も早く履行して参ることが国際信用の上から必要である、こう考えております。
#196
○勝間田委員 なぜベトナム賠償をそう急ぐのか、私どもには少しも理解ができません。今の形式的な御判断を聞かされても、おそらく国民は納得がいかぬところだと私は思います。あなたが今日まで私どもに説明をしてきたことは、自民党の外交方策というものは、国連支持である、自由主義陣営と協力していくのだ、もう一つは対アジアとの関係を特に強調されてきたと私は思う。あなたの現在の外交の行き方というものは、アジアを分割していこうとする考え方ではありませんか。
#197
○藤山国務大臣 私がやっておりますことは、アジアを分割するという考え方からやってはおりません。できるだけアジアが平穏に平和にいき、また分裂国家が統一することが望ましいと考えております。
#198
○勝間田委員 今度のベトナム賠償を急ぐという根拠の中には、われわれに非常な疑惑を一つ生むのでありますけれども、どうしても私がここでお聞きいたしておきたいと思いますことは、同僚が質問をいたしたことでございますけれども、今度の賠償の基準としてきめておるものは、その対象になっているものは、一体ベトナムのどういう実体的な損害に対して考えておるのか、この点を私はもう一度聞かしていただきたいと思います。どうしても納得がいかぬ。いかなる実体に対しての賠償を考えておるのかということを聞きたい。
#199
○藤山国務大臣 こまかい点については事務当局から御説明いたさせますが、今回の賠償にあたりまして、われわれは、第一にベトナム全域に対する損害ということを、南ベトナムが全域を代表している政府として扱っております以上、当然考えております。
 それから第二に、人的の損害にいたしましても、相当な被害者があったということは、向こう側も要求されておりますけれども、日本側においても認めざるを得ないと思います。先般参議院におきまして、辻議員が相当にこの点について質問をされまして、辻氏自身も土橋中将の言では五万くらいはあったということを言っておられます。そういう人的な損害もございます。その他物的な破壊ということで、建築物、建造物の破壊というようなものもございますし、また多くの経済活動が途絶したというような状況もございます。そうしたものに対して、われわれは賠償の対象と考えますと同時に、サンフランシスコ条約にありますように、ベトナム人に与えた苦痛というものもむろん考慮に入れなければならぬのであります。それらのものを対象にして算定をいたしてきたわけであります。
#200
○勝間田委員 よく政府の統計を見ますと、またベトナム側の出しておる資料を見ますると、生産額の減少であるとかあるいは貿易の減少であるとか、それによって引き起こったインフレであるとかということが載っておるのでありますけれども、日本の外務省、政府は、こうした物的な損害というものについては、一体どう考えておるのですか、この点を一つお尋ねをいたします。
#201
○藤山国務大臣 政府としてむろんベトナム側から――これは一般の賠償においてもそうでありますが、賠償を受ける国から出てきております資料について、相当な検討をいたすことは当然でございます。従って、出てきたものをそのまま認めているというわけではございません。同時に、賠償でありまするから、やはり日本としてむろん向こう側に与えた苦痛に対する慰謝を考えていかなければなりませんけれども、しかし日本側としても、財政経済の事情もございます。従って、できるだけ少額を払って、向こうの満足のいくようなところに持っていかなければならぬのでありますから、その点は交渉でございますから、われわれとして向こうから出ましたものを参考にいたしますけれども、やはり交渉自体は非常に少額から始めていくのがこの種交渉の常道だと考えております。
#202
○勝間田委員 しかし、今までの交渉経過を見ておりますと、最後に一九五七年の九月の末に植村甲午郎氏が大使として現地に派遣されて行ったときに、賠償六千六百万ドル、経済協力四千十五万ドル、こういう案に対して、ベトナム側は反対を実はいたして、引き続いて岸首相が訪問をして、そこで岸首相が植村私案として二千九百万ドルの案を出して、最後は承認されたと私は聞くのであります。私は、ただバナナ屋がバナナをあれするようにこれをやられたものではないと思うのです。三千九百万ドルを植村私案として出された根拠は一体何であるか、これを私は聞きたい。また岸総理が、東南アジアの旅行の途中で寄ってこの問題を話しておられる。この三千九百万ドルの案に日本側がきめた根拠は何か、この点をお尋ねをいたしたい。
#203
○藤山国務大臣 御承知のように、今回の交渉にあたりましては、向こうは損害額を二十億というようなことを言って参りまして、そうして二億五千万ドルの要求をいたしてきたわけであります。われわれそういうような金額は、日本の負担能力から申しましても、また日本が見ております見地からいいましても、あるいは他の国との賠償のつり合いから見ましても、とういて応諾しがたい数字であることはむろんでございます。従ってその後交渉を進めて、逐次向こう側においても一応了解しながらおりてきたわけであります。賠償交渉というような種類のものは、御承知の通り、こういうような小さな金額から逐次お互いに話し合いをし、歩み寄りをして、最終的にはきめる問題であることは当然であると思っております。しかし、きめられた金額が、損害額から見て、非常に大きいものだとはわれわれは考えておりません。
#204
○勝間田委員 三千九百万ドルを日本側から提案するということになれば、何らかの基準があると思う。ただ黙って三千九百万ドルをきめたわけではない。どういう配慮で三千九百万ドルというものがきまってきたのか、私はそれを聞かしていただきたい。根拠を聞かしていただきたい。
#205
○藤山国務大臣 むろん先ほど来申し上げておりますように、向こう側としては大きい要求をいたしております。われわれとしては、小さい額から話し合いをしているわけであります。従って、お互いにできるだけ歩み寄って参らなければならぬことは当然でありまして、そういう意味において、われわれとしては歩み寄りを続けてきたわけであります。三千九百万ドルというのは、当初の二億五千万ドルあるいは一億五千万ドルから見れば、相当に歩み寄ってもらった金額だとわれわれは思っておるのであります。それが今申し上げましたように、三千九百万ドルというものが、何か与えた損害よりも非常に膨大なものを払ったということには相なっておらぬことは、確信を持って申し上げられると思います。
#206
○勝間田委員 僕は多い少ないまで言っておりません。ただこれは、そうしますと、向こうとこっちとのかけ引きのなれ合いの結果出てきた数字なんですか。何か実体的な根拠があって出てきた数字なんですか。
#207
○藤山国務大臣 賠償交渉の場合に、他の賠償でもそうでございますけれども、技術的な話し合いをいたしまして、向こうが要求する品物、また日本が与えられる品物というようなものも検討をしておることはむろんでございます。一方からいえば、向こうが要求しても、日本が賠償として持っていくのに適当でない、たとえば、条約にもございます通り、外貨を非常によけいに日本が特にそのために使わなければならぬというようなものは、これは持っていけないわけであります。そういう意味からいいましても、やはりいろいろなそういう技術的な検討もいたさなければなりません。でありますから、そういう意味において、あらゆる角度からこの問題を検討してきたわけであります。向こうとして優先順位に水力発電所なりあるいは機械工業センターなり、言っておりますものがある程度向こうの希望でありますれば、認めることも必要だと思うのでございます。そういう意味において、われわれはあらゆる角度から歩み寄りの場合も検討しながら、最終的な金額をきめたということでございます。
#208
○勝間田委員 そうすると、この三千九百万ドルという金は、とにかくでたらめな、ただ夜店のバナナのように値切ったのではなくて、相互的に何か考えた、こういうわけでございますけれども、この附属書にあるように、向こうの、たとえばダニム・ダムの建設に向こうが非常に熱心であろうから、これはまたほしがっているようだから、これに大体歩調を合わせる、そういう配慮がなされてこういう金額がきまったものですか。
#209
○藤山国務大臣 むろん賠償を有効に働かせますためには、先方がほしいというものをできるだけ選ぶことも必要だと思います。でありますから、順位等につきましては、向こうから出してもらっていろいろ検討もいたしております。その範囲内においては、向うがダムの建設、水力発電をやりたいという希望も現に出ていることは事実でございまして、そういうことも念頭に置いております。しかし、いよいよこれが実施の段階になりまして、さらにその希望順位の中からどういうように向こう側も変えてくるかこちら側も適当と思うものを推薦するかということは、別個の問題でございます。
#210
○勝間田委員 このダニム・ダムの建設の計画は、一体どのくらいの規模のものでありますか。能力とその設備に要する資金の額をお示し願いたい。
#211
○藤山国務大臣 ダニム・ダム建設の規模は、十六万キロでございます。詳細につきましては、賠償部長から御説明をいたさせます。
#212
○小田部政府委員 これは、規模から申しますと、第一期の工事と第二期の工事というふうに一応分けますと、第一期が八万キロワットでございます。第二期も同じように八万キロワットでございます。それから金額の方で申しますと、これは現地通貨と外貨と両方を要するものでありまして、第一期工事に外貨が約二千四百万ドル、現地通貨が大体七百五十万ドル、それから第二期工事におきましては、外貨が千三百万ドル要り、現地通貨が四百五十万ドル要るということになっております。ただしかし、これは最初日本工営がベトナム側に出した数字でございますが、最初日本工営が測量いたしましたときは、七万二千キロワットのやつを測量いたしたのであります。その後国連の技術援助局にベトナムがフランス案と一緒にこれの審査を頼みましたときに、国連の方からサゼスチョンがありまして、フランスは十六万キロワットにしているから、日本側も八万キロ、八万キロとふやして合わせた方が、審査がしやすいということを申されたので、久保田さんの方では、その次の分に関しましては、必ずしも綿密な調査をしていないで、大体このくらいだろうということでやったのでございます。
#213
○勝間田委員 今度の第一期、第二期の外貨の予定が三千数百万ドルになるわけでありますか、これが大体今度の賠償の金額に見合うわけでありますか。
#214
○小田部政府委員 賠償交渉の途中におきましては、あるいは三千七百万ドルというような数字も出ましたけれども、しかし、これは賠償協定ができてみますと、三千九百万ドルが全部、ランプ・サムということになっておりまして、それが発電所あるいは機械工業センター、あるいは両国間の合意するその他のものになるか、すなわちどれはどれくらい金がイヤマークされておるということはございません。
#215
○勝間田委員 これに関連して後ほどまたいろいろお尋ねをしたいことがありますけれども、時間もなにでありますから、二、三の点を追加しておきたいと思いますが、ダニム・ダムの工事は、日本工営で引き受けられるわけですか、その点を明らかにしてもらいたい。
#216
○小田部政府委員 日本工営はコンサルタント業務をやっております。それで、測量の方はすでに商業契約に基づいて大体したのでございますが、これを実施する際には、ダムを建設いたしますのは日本の請負業者でしょうし、発電所というようなものを向こうに持っていくのは、その他日本のメーカーということになります。それからまた請負業者と申しましても、請負業者がセメントや鋼材とかいうものを全部手持ちで持っているわけではなくて、それらのメーカー、これらのものが全部参加するわけでございまして、久保田豊さんが工事を実施するということはございません。
#217
○勝間田委員 コンサルタントの日本工営の計画に対しては、物資の納入なりその他それの実施の計画がすでに進められておるのではないか、これは外務大臣にお尋ねします。
#218
○藤山国務大臣 私はそういう事実を存じておりません。むろん日本のメーカーなり商売人というものは有能でありますから、そういうときにできるだけ向こう側から――直接賠償のことでございますから、賠償実施部がここにできまして、そういうところと連絡して、自分が請け負いたいという努力はいたすと思います。しかしながら、現状においてそういうことがあろうとは思いません。
#219
○勝間田委員 この問題は、さらに一つ今後も私は質問の材料に留保しておきたいと思います。
 最後にお尋ねをしたいと思いますが、賠償の実態の中で、貿易の縮小、インフレという問題が非常に強調されておるように私は思います。外務省が三千九百万ドルを計画する場合に、こういう配慮が一体あったのですか、ないのですか。
#220
○藤山国務大臣 ただいまの御質問は、賠償の過程において、賠償をやればインフレが起こるというようなことを心配したか心配しないか、こういう御質問ですか。
#221
○勝間田委員 賠償の対象になる南ベトナム側の損害として、ベトナム側がこうむった貿易の縮小及びベトナム側におけるインフレーション、こういうものから受けた損害を、日本政府はどういうように見積もって今度の賠償を考えたかということをお尋ねしたい。
#222
○藤山国務大臣 先ほど御説明申し上げましたように、ベトナム側における損害というものは、人的な場合もあるし、物的な場合もあるし、あるいは経済上こうむった生産の損害というようなものも当然われわれとしては考慮の対象になると思いますので、先ほど申しましたように、そうした点を考慮いたしております。むろんインフレということ自体がすぐに賠償の対象にはならぬと思いますが、インフレから起こる苦痛あるいは経済上のいろいろな困難というものが起こっておりますことは、当然そのこと自体が苦痛を与え、あるいは経済上に損害を与えるということも起こり得るわけでありまして、そういう面はやはり考慮はいたしております。
#223
○勝間田委員 ピアストルによって日本の軍隊が――最後の一年間でもよろしいし、あるいは全期間を通じてでもよろしいのでありますが、どの程度の物資の調達をやったのか、その数字を一つ明らかにしていただきたい。
#224
○伊關政府委員 数字がはっきりしたものがございませんけれども、たといば最も大きい調達でありました米について見ますと、大体年間七十万トンを買っておるというふうな数字が出ております。そのほかに買いましたものといたしましては、家畜類、食糧などが多いのでありまして、また当初はゴム等も買っております。米が一番大きい調達物資である、こういうふうに考えております。
#225
○勝間田委員 このために起こってくる米の貿易の減少は当然私は現われるものと思うが、ベトナムの米の輸出が減少した有力な根拠としては、この七十万トンに相当する食糧が現地郡隊によって調達されたことになるのではないでしょうか。
#226
○伊關政府委員 先方があげております貿易の減少は、米につきましては約百四十万トン、これのカンボジアとか――はっきりいたしませんけれども、統計が仏印三国を含んでおりますので、大体二割をほかの国にいたしまして、ベトナムを八割と見ておりますから、その八掛といたしましても、その差額になるものはこれは貿易の減少と見て、そのうちから日本軍が買いました米は、外に売るかわりに日本軍が買ったのでありますから、百四十万トンと見まして、その八掛、それから平常時は大体初めのうちは七十万トン買っておりましたから、その差額というものは貿易の面で結局売れなかったというふうな数字になってくるわけであります。最後の年をわれわれは問題にしておりますが、その最後の年は、外には運べませんから、それほど多くの米を買ったかどうかということには多大の疑問があると思っておりますが、数字はございません。
#227
○勝間田委員 家畜にいたしても、米にいたしましても、またその他のものにいたしましても、現地の調達が行なわれたということは私は当然だと思う。それが非常に苦痛を与えたことも私は事実だと思う。しかしながら、それについては、日本としては、いわゆる特別円というものに対して、金の三十三万トンなりあるいはアメリカの外貨なりその他を見返りとしてやってあるわけです。また別な言葉でいえば、ベトナムとしてはそれだけは輸出されたと同じ性格のものであります。従って、もし貿易の減少によって起こった損害を日本政府が見積もっておるとすれば、その分はすでにフランスに対する支払いにおいて済んでおると私は考えるのであります。もしベトナムが何らかの問題を起こすとすれば、それはフランス政府に対して行なうべきものだと私は考える。われわれはそこに正貨なりあるいは金貨なりをもってすでに解決をつけておるわけでありますから、これは当然そうだと思うのでありまして、もしこれに賠償を払うということであれば、二重払いであるという見解が私は正しいと実は考える。これに対する正当な反駁を一つお願いいたしたい。
#228
○伊關政府委員 もちろん日本軍が買いまして、正式に払いましたものを賠償の対象とは考えておりません。ただ標準価格というふうなもので買っておりましたが、やはり当時、最後の年になりますと非常にやみ価格が出ておりますので、そういう差額は、これは一つの損害ということに農民にとってはなると思います。
#229
○勝間田委員 それを今度の賠償の三千九百万ドルの中に見積もってあるのですか。
#230
○伊關政府委員 その、軍が買いまして特別円で解決しましたものは見積もっておりません。
#231
○勝間田委員 軍の買い上げた価格については見積もってないということでありますから、それではもう一度私はお尋ねいたしますが、それじゃ三千九百万ドルは何で見積もったのか答えられるはずであります。
#232
○伊關政府委員 三千九百万ドルというものはどれとどれというふうには考えておりませんで、お手元に出しております資料も、これは不完全なものでありまして、向こうがあげております統計だけをとっております。統計を見ましてもほかに資料がないのでありまして、やむ得ないのでありますが、こういうものから察しましても、今のような軍の調達とか何かを引いて参りましても、三千九百万ドルよりははるかに大きな数字になる、こういうふうに考えておるわけであります。
#233
○勝間田委員 大臣に最後にお尋ねしますが、大臣どうですか、今までの算出の基礎というものは明らかでありませんですね、それで率直にお尋ねしますけれども、結局はダニム・ダムその他若干の施設を何とかやってやれば、これで解決がつくという見通しから、三千九百万ドルという数字がきまったのですね、どうですか。
#234
○藤山国務大臣 私が先ほど来たびたび申し上げておりますように、人的の損害、物的の損害、あるいは経済上の問題あるいは苦痛というようなものをむろん考慮に入れて、われわれはその交渉をやっておるわけであります。従って、それは今回きまりましたものよりもずっと多いことは当然のことでございます。今回きまりましたものが、非常に内輪の金額であることは申すまでもございません。ただ、その金額がきまりました際に、何を将来やっていくかということについては、向こうがいろいろ順位をつけて要求をいたしております。その中でダムが一番順位が高かったということに相なっておるわけでございます。その次には工業センターというふうに、向こうが順位をいろいろつけております。そういうことで総額がきまりまして、そのダニム・ダムをやるかやらないか、またそれが実際に請け負ったときにどのくらいの金額でやれるかは、今後の問題であります。
#235
○勝間田委員 沈船引き揚げの二百二十五万ドルがやめになって、工業製品賠償とか設備賠償とかいうものにかわった最大の理由はどこにあるのですか。
#236
○藤山国務大臣 沈船賠償は、御承知の通り、当時中間賠償として各賠償国と話が前後して起こっておりますので、インドネシアにおいてもあるいはフィリピンにおいても、中間賠償としてこの問題が取り上げられております。日本といたしましても、中間賠償としてこれを扱うという立場でもって話し合いをいたしたわけであります。最終的には向こう側はそれを希望いたしません。そうして、話し合いがある程度つきましたものを破棄して参ったわけであります。応諾して参りません。従いまして、そういう経緯において、一応これは中間賠償としてある時期に話があったということでありまして、中間賠償をやることでありますから、むろん日本としてはできるだけ小さな金額でこれを押えていくことは当然のことだったと思っております。
#237
○勝間田委員 政府の賠償の金額についての算定の基礎というものは、ほとんど示されないのであります。これ以上追及いたしましても、おそらく政府は根拠になる数字を示すことができないだろうと実は考えます。まことに私は遺憾であります。ただし、私はわれわれの見解を申し述べておきたいと思うのでありますけれども、賠償の金額が明確でない。もう一つは、どうしても南ベトナムをもって全部のベトナムとするという考え方が外交上正しい態度であるかどうかということについて、私は非常に疑問を持つ。ましてや南への賠償がより苦痛を与えたところの北の民衆に対して、その賠償の恩恵が伝達される保証は一つもない。また最近のラオス、カンボジア及び南ベトナムに対するアメリカの政策、特に現地がジュネーブ協定を否認してこよう、あるいはこれを推進していくことを妨げていこうとする見解が今日現に台頭しておるときに、日本がこういう賠償に積極的になっていくということは、私はアジアを二分するのみならず、日本が冷戦にみずから参加していくことを意味すると思う。これは日本の将来の安全にとってきわめて悪い結果を招くものと私は思う。これと今回の安保条約の改正というものを考えてみるときに、アジアにおける日本の地位というものはまことに不合理な、しかも平和の精神に反する方向だと思う。安保条約といい、強引なベトナムへの賠償支払いといい、それに至る根本的な態度といい、われわれは絶対にこれを了承することができない政府の外交的態度だと私は考える。こういう態度は、われわれは賛成することができませんが、なお先ほど来委員長にお願いをいたしておる通りに、実際の軍事的な行動の限界や範囲等々の問題、あるいはまだ未解決のたくさん残されておる諸問題等についての質問を私は留保いたしまして、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。(拍手)
#238
○小澤委員長 次会は明十九日午前十時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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