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1959/06/25 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 本会議 第3号
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1959/06/25 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 本会議 第3号

#1
第032回国会 本会議 第3号
昭和三十四年六月二十五日(木曜日)
    ―――――――――――――
    開 会 式
午前十時五十七分 参議院議長、衆議院参議院の副議長、常任委員長、議員、内閣総理大臣その他の国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長は、式場である参議院議場に入り、所定の位置に着いた。
午前十一時 天皇陛下は、衆議院議長の前行で式場に出御され、玉座に着かれた。
衆議院議長は、左の式辞を述べた。
    …………………………………
  天皇陛下の御臨席を仰ぎ、第三十二回国会の開会式をあげるにあたり、衆議院及び参議院を代表して式辞を申し述べます。
  去る六月二日参議院議員の通常選挙が行われ、六月二十二日をもって臨時国会が召集されたのでありますが、われわれは新たなる構成のもとに、現下内外の諸情勢に対処し、当面する諸問題を慎重に審議する態勢を整うべきであります。
  ここに、開会式を行うにあたり、われわれに負荷された使命達成のために最善を尽し、もって国民の委託に応えようとするものであります。
    …………………………………
次いで、天皇陛下から左の御言葉を賜わった。
    …………………………………
  本日、第三十二回国会の開会式に臨み、参議院通常選挙による新議員を迎え、全国民を代表する諸君と親しく一堂に会することは、わたくしの深く喜びとするところであります。
  ここに、国会が、国権の最高機関として、決意を新たにし、国運のいつそうの発展を期するとともに、世界平和の達成に寄与するため、その使命を遺憾なく果し、国民の信託にこたえることを切に望みます。
    …………………………………
衆議院議長は、御前に参進して、御言葉書を拝受した。
午前十一時五分 天皇陛下は、参議院議長の前行で入御された。
次いで、諸員は式場を出た。
    午前十一時六分式を終る
     ――――◇―――――
昭和三十四年六月二十五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和三十四年六月二十五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
 二 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 岸内閣総理大臣の所信についての演説
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後二時六分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 内閣総理大臣から所信について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣岸信介君。
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#4
○国務大臣(岸信介君) このたびの参議院議員通常選挙と、それに先だつ地方選挙の結果、政府並びに与党の政策が国民多数の深い理解と力強い支持を得ましたことは、私の大きな喜びとするところであります。(拍手)
 私は、国民諸君の信頼と期待とにこたえ、さらに国運の隆昌と民生の安定向上とをはかるため、この際内閣の改造と与党人事の一新をはかり、相携えて内外にわたる重要政策を強力に推し進めることといたしたのであります。(拍手)
 最近の国際情勢において最も注目すべき東西外相会議は、過般来ジュネーブにおいて開催され、一ヵ月余にわたる討議を重ね、このほど休会に入りました。この会議におきましては、東西双方の主張は依然として根本的に対立し、果して本会議が巨頭会談への橋渡しとしての役割を果し得るかいなか、いまだ断じ得ない現状であります。政府は、深い関心を持ってその成り行きを注目するとともに、東西間の緊張が緩和されることを切に望むものであります。
 このような国際情勢裏にあって、政府は、世界平和の維持達成とわが国を含む自由陣営の結束を一そう強固にするための現実的な施策を進めることによって、わが国外交の立場を着実に強化していきたいと考えております。
 安保条約は、講和後の不安定な世界情勢において、わが国の安全を守るため重要な寄与をなし、われわれは、現在まで平和のうちに国家の再建をはかってきたのであります。しかし、その間、わが国の国力と国際的地位は著しく回復いたしましたことにもかんがみ、安保条約改定の問題は、日米間の最も重要な懸案として、国民多数がその解決を望んできたところであります。政府は、かねて、この問題に対する世論の動きを十分尊重しつつ、いわゆる中立主義が真にわが国の平和を守るゆえんでないことを信じ、昨年秋以来交渉を重ね、また、機会あるごとに、その方針と交渉のいきさつを国民の前に明らかにして参ったのであります。(拍手)ここに、条約改定の基本方針を重ねて要約いたしますと、国連憲章との関係を明確にすること、日米両国間の経済上の協力を促進すること、米国の日本防衛の義務を明らかにすること、条約の運営におけるわが国の発言権を確立することなどを主たる眼目とするものであります。(拍手)また、新条約においては、わが国の負うべき義務は、憲法の認める範囲内にとどまるものであることは当然であります。幸いにして、日米間の交渉は、この基本線に沿い、順調に推移いたしているのであります。このことは、将来に向って、わが国の安全を確保し、日米両国の友好関係をさらに強化する上に貢献すること大なるものがあると確信いたします。(拍手)
 べトナムとの賠償問題につきましては、先般サイゴンにおいて協定の調印を終えたのであります。この結果、両国間の経済協力関係は一段と深められ、ベトナムの経済的復興が促進されることが期待されるのであります。
 私は、このたび、招きを受けて、イギリス、ドイツ、オーストリア、イタリア、ヴァチカン、フランスの欧州諸国並びにブラジル、アルゼンチン、チリー、ペルー、メキシコの中南米諸国を約一ヵ月の旅程をもって訪問することとなり、来たる七月十一日出発する予定であります。私は、親しくこれら諸国の要路と会見し、率直な意見の交換を行う考えでありますが、特に欧州におきましては、変転する国際情勢の今後の見通し、欧州の政治、経済の実情等を把握することに努め、もって今後のわが国外交の進路を定める上の参考といたしたいと思います。(拍手)また、中南米諸国におきましては、特にこれら諸国の洋々たる将来性に注目し、わが国との通商貿易や経済協力の可能性等を考えますとともに、あわせて本邦移住者の活躍の現状を視察いたしたいと考えます。私は、今回の訪問が、これら諸国とわが国との相互理解と友好関係とをさらに一段と促進することを、かたく信ずるのであります。
 わが国経済の体質を改善して安定成長の基調を長期にわたって確保し、もって国民生活の向上と雇用の増大とを着実に実現していくことは、つとに政府が施策の重点としてきたところであります。このため、最近におけるわが国経済の新しい発展段階に対処し、内にあっては、さらに企業の合理化、近代化をはかり、金融正常化を推進するほか、外に対しては、為替貿易の自由化傾向等に対応しつつ、輸出の振興と経済協力の推進に一そう力を注ぐ考えであります。
 政府は、昭和三十三年度から五年間にわたる経済計画を策定し、目標の達成に努力して参りましたが、今後の長期にわたる経済の発展方向を考えますと、目ざましい科学技術の進歩や、これに伴う産業や消費の面におけるさまざまの変化などが予想されますので、このような新しい要素を織り込んだ長期計画を樹立し、経済の適切な発展と国民福祉の向上とをはかっていきたい所存であります。
 最後に、過般行われた中央、地方の両選挙を通じて得られた経験にもかんがみ、真に公明にして合理的な選挙の実があがるようにすべきものと信じ、広く各界の意見を聞き、現行選挙法の検討を行いたい所存であります。(拍手)
 以上、所信の一端を申し述べたのでありますが、国民諸君の力強い支援を切に期待してやみません。(拍手)
     ――――◇―――――
#5
○議長(加藤鐐五郎君) この際、暫時休憩いたします。
    午後二時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時七分開議
#6
○議長(加藤鐐五郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#7
○議長(加藤鐐五郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。片山哲君。
    〔片山哲君登壇〕
#8
○片山哲君 私は、日本社会党を代表して、今行われました岸総理大臣の所信表明に対して、主として安保条約改定問題と日中国交回復問題につきまして質問をいたしたいのであります。(拍手)
 まず最初に、ただいま総理大臣が所信表明の冒頭において申し述べられましたる、選挙の結果国民の大きなる支持を得たという点と、いま一つは、その信頼にこたえるために内閣の改造と党人事の刷新をはかることとしたという点について、一つの警告を発したいのであります。(拍手)
 総理自身も、選挙応援中、数回にわたり警告を発せられつつ各地を回ったということであります。(拍手)また、総理自身が最後に述べられました通り、公明にして合理的なる選挙の実が今回の選挙では遺憾ながら行われなかったということをみずから言われているわけでありまするから、今回の選挙の勝利を、かりに自負いたしましても、それは真の国民の理解と支持を得られた結果によるものではないことを反省されなければならぬと思うのであります。(拍手)また、内閣改造、党人事刷新、これらにつきましても、伝えるところによりまするならば、派閥抗争に終始し、その結果でき上ったものであるといわれているのでありまするが、これは世間周知の事実であることにかんがみまして、総理大臣は、よくこれから世論のおもむくところと世論の趨勢を考えて、国民の声を傾聴し、政治の衝に当られんことを、まず注意をいたしたいのであります。(拍手)
 これより本論に入りたいと思いまするが、本論の前提といたしまして、まず質問の趣旨と立場、どういう立場で質問をいたしまするかという点を明らかにいたしておきたいと思うのであります。
 戦後、日本国民は、戦争にこりごりいたしましたので、今後はいかなる場合においても戦争の渦中に巻き込まれることはやりたくないのであります。そのために、一切の戦争を放棄するという態度をとったことは、周知の通り、国家の大きなる方針であったわけであります。この方針に基いて外交も動いていかなければならないのは当然のことでありまするが、政府が最近企図いたしておりまする、先ほど報告されましたる安保条約改定の方針は、国際情勢の変化にかこつけまして、この基本線を無視し、アメリカの側につき、共同防衛の条約を結び、防衛の意味を広げまして、戦争あえて辞せずとの態度に飛び込もうといたしているのであります。(拍手)ここにおいて、私は、かかる戦争に巻き込まれる危険ある新安保条約を結ぶことは、平和を念願する理想的な立場から申しましても、また、理論の上から申しましても、さらにまた、現実の問題といたしまして、日本国民の生命と幸福を守る立場から申しましても、新安保条約を結ぶことはすこぶる不利益であり、日本国民にとりまして不幸なる結果を招来するものであると信ずるがゆえに、この改定には絶対反対を叫ぶ立場より質問をいたしたいのであります。
 まず、最初に質問いたしたいことは、何ゆえに、政府は、本条約を締結するに当り、あらかじめ事前に国会の承認を経るの手続をとらないのであるかという点であります。(拍手)国民はいまだ安保条約改定問題なるものを十分に理解していないのであります。それは、政府がその内容を知らさないためにもよるのでありまするが、かなり複雑であり、国際情勢などとからんで理解することはすこぶる困難なるためであります。これを理解せしめるただ一つの方法は、国会を通じて、その審議を経て、その全貌を国民に知らしめることが一番いいことであることは申すまでもないのであります。(拍手)にもかかわらず、政府は、急いで、あわてて、やれワシントンで調印するの、やれ東京で調印するのと、その方式だけを放送し、また、岸総理大臣の海外出張前に調印したいというようなことまで言っているのは、国会無視もまたはなはだしいものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 のみならず、それは憲法七十三条第三号ただし書きに違反するものと断ぜざるを得ないのであります。このただし書きは、申すまでもなく、締結の事前に国会の承認を経ることを必要とし、「時宜によっては事後」というふうに書きまして、事後を認めていることは例外としているのであります。政府は何ゆえに事前に承認を求むるの方式をとらないのでありまするか。政府は、真に国民の理解を深めようという点から申しましても、民主主義による国民外交の建前から申しましても、隠れてやるような方式は許すべからざる違憲行為であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しこうして、さらに伺いましょう。かりに事後承認を求むる予定といたしまするならば、その内容の詳細なる報告及び調印の時期、いかがでありましょう、その場所等、詳細な説明を求めるものであります。
 私は、次に中立の問題について質問をいたしたいのであります。理想的には中立が望ましいことであり、戦争に巻き込まれないことを望むのは、すべての日本人の願望であることは、十分に皆さんもお考えになっていることと存ずるのであります。私は、この中立は、理想的にいいのみならず、理論的にもよく筋の通るものであると思うのであります。それのみならず、実際的にもすこぶる有利であり、国民に安定感を与える、近代的な感覚を持った、時代にふさわしい政策であることを信ずるのであります。(拍手)
 政府は、日本は自由陣営に属し、その一員としての立場を守り続けたいということをよく申されます。しかしながら、その自由陣営の一員ということは、すこぶる欧米的であります。欧米中心に考える政策でありまして、日本の将来を考えますと、今や、そういう今までのあり方の欧米主義による自由陣営の一員であるという、その考えから脱却すべきときが来ていると思うのであります。すなわち、激変する世界情勢とにらみ合せまして、日本国民の生命と幸福を守るためには、かつ、将来のことを考えて参りますと、もはや、自由陣営のみに固まるのではなくして、数歩前進いたしまして、そうして世界情勢に対処しなければならない時期が来ていると信ずるのであります。(拍手)
 根本的に考えてみましょう。日本は、まずアジアの一員であることを深く認識することが必要であります。そうして、いずれの国とも、軍事的な結びつきなしに、気軽にアジアの発達に努力することが、ひいては日本の繁栄と幸福になると考えるのであります。言うまでもなく、日本は、これから、アジア、アラブ、さらには遠くアフリカ方面に、経済、文化等あらゆる面において伸びていかなければならないのであります。それにもかかわらず、今まで通りの考えで、自由陣営の一員と称して、一つの国と軍事的なつながりをつけて、やすきにつくという考えは、排除すべきものであります。保護されているというような考えは、これはあまりにもやすきにつく考えであるといって、われわれは、これを排除しなければならないのであります。しこうして、一つの国に守られているという安定感のもとに立つことを前提として、政府は近く安保条約改定をなさんとするのでありますが、かくのごときは、アジアに伸びんとするわが国にとっては、アジア諸国から思わざる不信と疑惑を招き、予想外の不幸を見るに至ること、まことに明らかであるといわざるを得ないのであります。(拍手)もっと自由なる立場におきまして、今申し述べたアジアはもちろんのこと、広く東西両陣営と、幅広く、経済、文化の交流はもちろんのこと、友好親善関係を深めつつ、偏狭なる敵視などは持たざる政策へと進んでいくべきものであることを私は信ずるものであります。これこそ、われわれの言う新しき積極的な中立政策の根幹をなすものであります。(拍手)今後は、おそらく、戦争を嫌悪するために、このような中立政策が要望され、だんだんとその具体性ができ上って参りますし、現在では、架空な、非現実的なものと、かりにいわれましても、それは、そのうちに国民の認識が必ず深まってこなければならないものであると、われわれは信じているのであります。(拍手)平和を達成するためのこの中立政策は、全く身軽にして、何ら他国の圧迫と拘束を受けることはないし、また、軍事的なひもつきのない自由なる立場が得られるわけであります。
 ところが、現在においては、世界情勢の変化によって、世界各地に集団的な防衛体制ができているのであります。わが日本もその中に巻き込まれようといたしておるのであります。だんだん日本も武装化されつつあるのであります。軍事的なひもつきの、すこぶる窮屈な現状となって参っているのであります。しかし、これは戦後の約束と大へん違うわけであります。私たちは、自分たちを取り巻く防衛の網もやめたいし、世界各国に散在する各種の集団防衛体制もやめさせたいのであります。そうして、これを国連一本の安全保障にと切りかえたいことを考えているものであります。
 しかしながら、現実はそう簡単に参りませんことは十分承知しておりまするから、まず、われわれは、そういう方向へと向う目標をはっきりと示さなければならないのであります。それには、とりあえず地域的な集団安全保障の網を作ることが必要と思うのであります。この構想から考えておりまするのが、太平洋地域の国々による安全保障条約、すなわち、アメリカ、ソ連、中国、日本、これらの四カ国からなるものでありまして、東西いずれの陣営にも屈せず、戦争を避けようとする中立政策をとるものの当然の目標でありまして、これを目ざして進んでいくことは、決して、無益でも、また、むだなことでもないと、私は信じているのであります。(拍手)なさなければならないわれわれの努力であり、また、掲げなければならないわれわれの目標であり、これに近づいていかなければならないものであると信ずるのであります。
 われわれは、戦後の日本建設のために、国際紛争を解決するには断じて武力を行使してはならない、武力は行使しない、こういうことを約束したのでありまするから、その基本方針は、国際情勢の変化に籍口して決して変更することのできるものではないのであります。(拍手)すこぶる重大なる基本路線であります。われわれは、これを変えないで日本の外交を進めていかなければならないのであります。これを変えないという保障こそは、いずれの国とも軍事条約を結ばないで、中立政策をとっていくに限るということになって参るのであります。理想を堅持しつつ、理論的にも筋を通し、実際的にも脅かされる心配のない中立政策こそ、われわれ日本のとるべき外交方針なりと断ずるものであります。(拍手)岸総理大臣には、そつがないとよくいわれまするが、あまりにも理想がなさ過ぎることを、われわれは感ずるものであります。(拍手)今までの外交では、日本の将来の指針とすることはとてもできるものではないのであります。
 重ねて申します。日本は、断じて戦争をせざるのみならず、他の戦争の渦中に巻き込まれざる政策をとるべきであります。新安保条約などは断じて許すべきものではないと信ずるのであります。(拍手)憲法第九条が厳として存在する限り、他の国と軍事条約を結び、自衛の名のもとにその他の国をも防衛し、海外派兵も場合によってはなきにしもあらずというがごとき、また、戦争に協力せざるを得ないというがごとき条約の締結は、明らかに憲法違反なりと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)戦争放棄、交戦権はこれを認めずとは、明らかに中立政策をとるべきことを教えているものであります。中立政策の源は、その根幹は、そもそもここにあるものであることを考え、自信と勇気を持って中立政策を遂行しなければならないものであることを、岸総理大臣に警告するものであります。(拍手)それでも安保条約改定へと進みたいというならば、中立政策と憲法の指示する戦争放棄の意義について、政府の確固たる方針をこの壇上において示してもらいたいことを、私は、まず最初に要求するものであります。(拍手)
 次の質問に移ります。
 なるほど、それは理想であろう。理想は理想、目標は目標であるにしても、現実的に日本はねらわれているではないか、防衛、自衛をして、そのねらわれている状態を防がなくてはならないということは、常にいわれておりまする弁明であります。すなわち、直接または間接の侵略の危険にさらされているというのであります。思うに、これは、米軍によって固められているから、ねらわれているものである、ということを考えなければならないのであります。(拍手)裸の日本、一切の武装を放棄している非武装の日本、平和と中立の立場に立つことを明白に宣言し、これを明らかにするならば、また、宣言するせぬは別といたしましても、そういう建前をはっきりするならば、日本を何人がねらって参るでありましょうか。侵略するでありましょうか。わが日本をねらっておりますものは、日本を武装する米兵がそこに存在するからであることを考えなくてはならないのであります。
 われわれは、数年前に、いろいろ考えさせられたことがあります。サンフランシスコ条約が部分的な講和でありましても、早く締結して、主権の独立、回復をはかった方がいいという説と、全面講和でなければならないから、無期限に戦勝国に占領され、占拠せられ通しであってもいたし方がないという説と、いろいろと議論があったわけであります。しかしながら、結局サンフランシスコ条約を結んで主権回復を得たが、そのかわりに、その代償として、いろいろの条件がつけられていることは、御承知の通りであります。たくさんな軍事基地が設置されましたることは、その重大な条件であります。国際情勢の変化はむろん認めなければならないことでありますが、それに応じて、これら米軍基地が恒久化し、拡大強化されるに従い、それに相応呼するがごとき格好で、じりじりと押されて再軍備論がだんだんと出て参りました。
 再軍備は禁止するところでありますが、わが国の再軍備は、米軍基地の強化からその端を発し、七万五千の警察予備隊から、だんだんと、戦力なき兵隊となり、自衛のためならば戦力ある兵隊でもよろしいという拡大解釈となり、いわゆる事実上の再軍備、なしくずし再軍備となっていることは事実であります。その再軍備は法の禁止するところであるのにもかかわらず、今や、わが国は、条約の関係と、直接間接の侵略に対処するためという、この理由にかこつけまして、藉口いたしまして、驚くべき勢力をもって再軍備されつつあるのが現状であります。そのそもそもの発端は無期限の軍事基地提供の安保条約そのものからこれを発しているといっても決して過言ではないのであります。(拍手)
 しこうして、さらにこの安保条約を改定して、米軍に対してはわが国を防衛するの義務を負わせ、それと同時に、日本にいる米軍に対する攻撃があった場合には、それは日本自身に対する攻撃とみなしていいというふうに切りかえようとしているのであります。その他、米軍の日本領域外作戦使用や、あるいは重要装備は日米間の一般的協議外の特別事前協議事項とし、そのうちには核兵器の持ち込みも含まれているという改定条項に至っては、日本を戦争の中に巻き込むに至ることはきわめて明白であるといわざるを得ないのであります。(拍手)ねらわれているのは、その強化され核武装化されんとする基地でありまして、決して裸の日本そのものをねらっているわけでは断じてないと、私は信ずるものであります。かかる立場から考えましても、条約の関係をもって外から押してくるわが国の再軍備をいよいよ本物にしようとするのが、この安保条約改定であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 砂川裁判は、中立を望み軍事基地の撤去を望む日本国民の声の現われであることを考えなくてはなりません。政府は、軍事基地の拡大強化から軍事同盟化する今回の安保条約改定を思いとどまり、さらに、そのもとである基地撤去と、また、基地を永久化する安保条約の改定に反対し、この安保条約の解消へと踏み切ることが最も必要であると信ずるのでありますが、岸総理大臣、いかにこれを考えられるか、この点を伺いたいのであります。(拍手)
 次の問題に移ります。
 政府は、さらに新条約と国連憲章との関係を明らかにしたいと言っておりまするが、さらにつけ加えて、憲章の第五十一条との関係も明らかにしたいと言っているのであります。政府が第一段でいいまするように、国連憲章の尊重、国連機構の強化、国際紛争の平和的解決、これはまことにけっこうであります。わが国民の願っているところであります。十二分にその崇高なる精神を発揮せしむべく日本は努力しなければならないのであります。そうすると、自然に政府の今考えておられるような地域的防衛の網を張る必要がなくなってくるわけであります。
 新条約は、実は、憲章第五十一条の国連活動開始までの間、すなわち、国連軍がやってくるのが間に合わないので、個別的または集団的自衛の固有の権利として、どんどん行動を開始しようというこの個条を利用して、集団防衛体制を強化しようということになると思うのであります。換言すれば、政府の言うところでは、国連を強化しよう、さらにまた、五十一条の個別的、集団的な自衛の固有の権利をも強化しよう、こういうん矛盾した二つの問題をともにやっていこうというのであります。しかしながら、この二つは矛盾しているのであります。双方並べての強化は無理であります。特に、各地に割拠いたしておりまするNATO、SEATO、あるいはバグダード条約、ワルソー条約、その他アジア方面における各種の地域的集団防衛の網は、みな武力による解決を中心とするものでありまするから、これらはともに国連機構を弱化するものであります。国連の精神に反するものといわなくてはなりません。国連強化をこいねがうならば、これら防衛の網を全部解消するように努力しなければならないものであります。すなわち、国連による安全保障だけということに、一本やりで固めていかなければならないものであります。
 この五十一条は、申すまでもなく、アメリカが特に要求いたしまして、憲章制定のときに、その条文の中に挿入することを求めたものであります。そういうふうにいわれておりまする歴史的な条項であります。なお、そのほかに、アメリカには御承知のバンデンバーグ決議もあるわけでありまするから、国連の強化をうたいながら、国連来たるまでの間と称して、やたらに動き出そうとする五十一条の活動は、最小限度にこれをとどめるべきものであると私は考えるのであります。(拍手)
 新条約は、国連中心の外交とか、国連強化という美名のもとに、実は、それに反し、自衛の名のもとに固有の権利を活動せしめようとする国連無視の矛盾撞着の条約なりといわざるを得ないのであります。五十一条との関係を明確化せんとする政府は、一体何を考えておるのか、その点を明白にしてもらいたいのであります。(拍手)
 次の問題に移りたいと思います。安保条約改定に反対し、積極的な中立の立場をとり、世界の平和に貢献せんとするわれわれは、進んでアジア平和の糸口となる日中国交回復のために努力すべきものであることを申し述べ、政府の反省を促し、所見をただしたいのであります。
 すでにわが国の世論ともなっておりまする点でありまするが、中立国たるスイス、オーストリア、スエーデン、これらの国よりも、果して西欧に守られ通しでありまするイタリア、ギリシャの方が安定感が強いということになりましょうか、こういう点であります。中立のインドよりも、アメリカに守られている韓国の方がより安定感が強いという議論が立ちまするか、こういう点であります。世界の情勢は、刻刻に変化し、流転してやみません。その激動のさなかでは、いずれかの国に武力で守られておりまする小国は、そのために一時は安心するでありましょうけれども、しかし、それは全くの一時的な安定感でありまして、大ゆれが参りまするならば、常に脅かされがちであることを考えなくてはならないのであります。(拍手)戦争の渦中に巻き込まれる危険にさらされているものであることを考えなくてはならないのであります。前にも申しました通り、どこの国とも軍事的つながりのない、また、どこの国からも敵視されることのない、すなわち、どこの国とも仲よくすることが一番よき安定感であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 事情が大へん違うわけでありまするけれども、参考になりますので申し上げたいと思います。ソ連の大きなる勢力に対抗するためということで、今まで仲の悪かった西独アデナウアー首相とフランスのド・ゴール大統領とが手を握り、西欧連合へ、あるいは共同市場へと踏み切っていることは、一つの大きなる変化といわざるを得ないのでありまするが、われわれも、これを他山の石として、十分注目に値する動きであると考えなくてはならないのであります。
 かかる情勢の変化を参照しつつ、まず、手近なアジアの平和を考えるとき、われわれは、中国との関係をこのままに放置することはあまりにも無為無策であり、さらに、これが悪化の一途をたどるものではないかということを憂えざるを得ないのであります。(拍手)
 日中問題解決の前提は、日本がアメリカとの軍事的なつながりを打ち切ることであり、日本が中立の立場を明白にすることであり、さらにまた、アジアにおける各種の集団防衛の網を全部引き揚げてしまうということであります。そうして、アジア・ロカルノ方式によりまする四カ国の話し合いを始めるということでなくてはならないのであります。それ自体、非現実、あるいはまた空想であるとするならば、言い出した日本がみずから中立の立場をまず明らかにいたしまして、何はともあれ、日中国交回復のために乗り出すべき必要に迫られているといわざるを得ないのであります。(拍手)
 しかしながら、中国大陸は、岸政府の敵視政策が続く限り、国交回復はおろかなこと、経済、文化の交流もすこぶる困難であると主張しているのであります。岸政府は、これに対し、いまだかつて新中国に対し敵視政策をとったことはないと反論し、政府とは切り離して経済、文化の交流を求めるために、いわゆる積み重ね方式を求め、その時期の来たるまで静観を続けようと声明しているようであります。なるほど岸政府は、正面切って玄関口から堂々と敵視するという宣言みたいなものを出したことは、あるいはないかもしれません。しかしながら、現に進みつつあるこの安保改定の新条約こそは、アメリカと軍事同盟を結んで、新中国に筒先を向けるものでありまするから、これこそ大きなる敵視政策であるといわなければならないのであります。(拍手)政府は、中国敵視政策をとらないというならば、安保条約改定を思い切ってやめるべきではあるまいか。安保条約改定を強行するならば、敵視政策はなおなお継続することは当りまえであります。平和共存の建前におきましても、日中の国交回復は、そういう考えであるならば、できるものでないといわざるを得ないのであります。
 われわれが積極的な中立を唱えているゆえん、さらに、アメリカと軍事的に結びつく安保条約改定に反対し、世界から戦争をなくするための大きなる役割を演ずるであろうアジアの平和と日中国交回復、以上ずっと一連の関係でありますが、この一連の関係を十分に見きわめつつ、中立的な平和政策をとって進んでいきますることは、日本国民のなさなければならない大きなる使命であると、私は感ずるものであります。(拍手)日中国交回復が日本として現下最も重大なる案件であることを考え、今計画しておりまする安保条約改定を中止し、中立の立場にはっきり立ちまして、日中問題解決のために踏み切るべきことを、私は政府に警告をいたしたいのであります。この点に関する岸総理大臣の所見いかがでありましょうか。
 私は、最後に、説明を省略いたしまして、趣旨だけ申し述べまして、岸総理の所見も聞きたいのであります。
 その一つは、先ほど総理が申し述べられました外遊の目的であります。安保条約改定ときめて関係国だけ回ることは、意味のないことと思うのであります。前述の通り、いずれの国とも軍事的つながりのない自由な日本として、世界に日本の新しい立場を紹介するために回ることが必要であります。すこぶる有意義なる結果を、これによって来たさしめるものであると信ずるものであります。ただ漫然と、ごあいさつ的に外遊するということは意味がないので、われわれはこの外遊に反対し、真に戦争放棄の崇高なる日本を世界に紹介するために、中立日本を世界に示すために、外遊の目的を切りかえるべきことを要求してやまないのであります。(拍手)
 次は、選挙制度の問題であります。本年の多くの選挙が公明かつ合理的でなかったということを総理大臣自身がお認めになって、所信表明の中にも、これは変えなければならないものであるということを明らかにされているのであります。その一番大きなる弊害は、金が使いほうだいということであります。金の力で当選しよう、また、それができることになっているところに大きなる欠陥があるわけであります。この際思い切って徹底的なる選挙公営に踏み切ることが必要であると私は信ずるのであります。(拍手)日本の議会政治を立て直し、日本の民主政治を確立するためには、この選挙制度があまりにも放置せられていると思うのであります。戦前と同じような選挙制度がそのまま行われておったのでは、とうてい議会政治の確立をはかることはできるものではないわけでありまするから、この際思い切って、半年にわたりまする選挙を経験したるわれわれは、進んで選挙公営の断行に踏み切るべきときがまさに来たっていると信ずるものであります。
 こういう意味で、岸総理大臣に対して選挙のことを言いまするが、その選挙は、公営選挙に踏み切るという点が必要であることを、私は勧告いたしたいのであります。岸総理大臣は、選挙の問題に関すると、すぐ区制の問題に頭を突っ込んでくるのであります。これらの問題にかかわることなしに、思い切って選挙公営に徹底的に進まれることをここに警告し、私は、これを注文し、日本議会政治発展のために、ぜひともそれをやらなければならないものであることを申し上げ、総理大臣の所見を伺って、私の質問をこれをもって打ち切りたいと思うのであります。
 以上に対して総理大臣の答弁を求めて降壇をいたします。(拍手)
  [国務大臣岸信介君登壇]
#9
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 安保条約の問題に関しては、われわれと社会党との根本的な考え方の相違が現われておると思うのでありますが、まず第一に、戦後、われわれ国民が平和のうちに国の再建をこの程度まで持ってきたということはどうであるかといえば、日本が他から侵略されず、そうして、われわれが平和のうちにこれをなし遂げられた、これは平和憲法という規定があるがゆえにそれがある、こういう、なまぬるい、なまやさしい国際情勢では私はないと思います。あくまでも日米安保条約によって日本の安全が保障されてきたということが大きな貢献をしておるというこの現実を、われわれは十分に認めなければならぬと思います。また、さらに、過去がそうであるのみならず、現状の国際情勢の分析におきまして非常に所見を異にするのでございますが、私は、先ほど所信の表明のうちにも申し上げましたように、最近、東西両陣営の間において、その緊張を緩和しようとする努力がいろいろと傾けられておることは、非常に世界平和の上に望ましいことであり、常に、これが実現するように、われわれもこれに対していろいろな点からその成功を祈ってきておるのでございます。しかし、現実は、この外相会議の経過に見られるように、東西の根本的の主張というものが決して緩和されておらないのであります。従って、ヨーロッパにおけるところの不安は少しも取り除かれておらない、これが現実の情勢であります。(拍手)そのことは、同時に、世界の全体におけるところの不安を取り除くことのできない現状であるというこの現状に立って、しかも、われわれは、日本の安全と、そして平和を願う意味におきまして、他から絶対にわれわれの安全が脅かされない、また、われわれが平和のうちに平和国家、福祉国家を建設できるというための方策を考えていかなければならない。もしも、国連において、安全保障が有効に十分その効力を発揮できるような機構ができ、運営ができるという時代になれば、これにたよっておっていいのであります。しかし、現実は、片山君の演説のうちにもありましたように、そういう状態じゃない。そうすると、日本みずからがどうして安全を守るか。積極的中立主義によって日本は安全だということを論断されておりますが、決してそういう時代でも私はないと思います。いわんや、中立政策ということが、われわれが従来とってきたところの自由主義国との緊密なる協力関係というものを進めて、そうして、ややともすると共産主義圏の方に近づこうとする意味において中立政策を一部唱えておる者があるような実情のもとに、私は、片山君のいわゆる積極的中立主義というものは実際の裏づけのない問題であると思う。片山君自身が、過去におきましても、いろいろと主張されてきておりますが、私どもは、やはり、国の現実、この国の国民の安全と国土の安全というものを責任を持って守っていくという上から申しますと、国際的の現実に即して責任ある政策をとっていくことが何よりも必要であると思います。(拍手)この意味において、私どもは、現行の安保条約というものが、過去においてそういう貢献はしたけれども、その後におけるところの日本の国力の伸展や、あるいは国際的地位の向上等から考えてみて、あまりにも不平等であり、日本の発言権というものが認められておらない。自主性が認められておらない。これを自主性を持ったところのものにするということは、国民多年の願いであり、これを実現しようというのが改定の根本方針でございます。(拍手)もちろん、私どもは、憲法の規定に違反するとか、あるいは憲法の認めておらない海外派兵をするとか、そんなことを絶対に考えておるわけではございませんで、所信表明のうちにも明瞭にそれを申し上げておりますし、また、安保条約の改定におきましても、それを明確にする考えでございます。
 さらに、この安保条約の改定、新条約の調印前に国会に出して、その承認を求むべしという御意見でございますが、憲法七十三条三号の規定の趣旨は、言うまでもなく、いわゆる批准条項を意味しておるのであって、われわれも、調印後、これが効力を発生する前に国会に提出をいたしまして、十分御審議の上、その承認を得て、初めて効力を発生するようにいたして参るつもりであります。調印前に、両国の間の交渉中のものを事前に発表して、そうして国会で論議するというようなことは、かつて行われたこともございませんし、そういうことはあまりにも常識に反していると私は考えます。
 さらに、国連憲章との関係でございますが、国連憲章をわれわれが尊重し、国連中心の外交政策を行なっていくということは、国連憲章の精神や、すベての点において、これを十分に尊重していくことであることは、言うをを待たないのであります。国連憲章の五十一条との関係についての御議論でございましたが、五十一条も、これまた国連憲章の中におけるところの規定でございます。従って、私どもは、これは尊重しないのだ、他の規定を尊重するのだというふうには考えておりません。また、その間に根本的に矛盾があるようなお話でございますが、そういうことはないと私どもは考えております。従って、今度の条文におきましても、そういうことについて議論を生じないように、明確にこれをいたすことが必要であろう、かように考えております。
 次に、日中の問題でありますが、私は、この日中関係の今日の状況は非常に両国にとって不幸な状態であり、従って、その友好関係が進められて、そうして、通商関係等が従前のように行われることを心から望んでおるのであります。ただ、しばしば国会でも申し上げておりますように、このいわゆる中共政府を承認するかどうかという、政治的な関係をこれと開くかどうかという問題につきましては、国際関係や、また日本の従来とってきております国民政府との関係等を十分整理せずして、そういうことが行われるわけではないと思います。私どもは、自由主義の立場を堅持するとか、あるいは自由主義の国々との間の協力関係を強化していくと申しますけれども、たとい政治思想や理念が違っておる、社会制度が違っておる国々との間にも、われわれは、お互いの立場を十分に理解し、尊重しつつ、そうして、われわれのできるところの友好関係増進に必要な通商の関係であるとか、あるいは文化の関係等の交流を考えていくことが現実的に必要であり、また、両国の繁栄のためにも私どもは必要である、こういう点を考えておるわけでございます。(拍手)決して従来も敵視政策を考えたわけでもございませんし、また、安保条約自体は、日本みずからが、日本の国の安全を保障するのにどうしたらいいかということを日本国民が自主的にきめる問題でありまして、これが敵視政策というふうに言われることは、決して私は適当でないと思います。(拍手)
 さらに、私の外遊の目的につきまして、いろいろの御意見がございました。これも所信表明でその趣旨を明らかにいたした通りでございますが、これらの国々とは、私ども従来友好関係を結んでおる国々であり、また、経済的、文化的にもいろいろな意味において密接な関係にありまして、将来ますますその理解を深めていき、友好関係を深めることが両国のためであり、同時に、われわれの念願しておる世界平和にも寄与するゆえんである、こういう立場から、これらの諸国の招きに応じて外遊をいたすことにいたしたのでございます。
 最後に、選挙法の問題でございます。公営を徹底すべしという片山君の御議論に対しましては、私もその御趣旨に対してはまことに賛意を表するものでございます。ただ、御承知の通り、選挙におきまして、立候補する人の自由ないわゆる選挙運動というものを全然認めないということも、これも民主政治の完成の上からよくない。そこにおきまして、公営を徹底する場合において、選挙の自由というものをどの範囲に限定することがいいか、また、最近のように政党が発達してきまするというと、選挙に際しての政党活動というものをどういうふうに持っていくことがいいかというような点に関しまして、私は、各方面の有識者の意見を聞いて、そうして、この選挙法を検討して、真に公明な選挙がその実をあげるようにいたして参りたい、かように考えております。(拍手)
     ――――◇―――――
#10
○松澤雄藏君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十六日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#11
○議長(加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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