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1959/07/04 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 法務委員会 第2号
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1959/07/04 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 法務委員会 第2号

#1
第032回国会 法務委員会 第2号
昭和三十四年七月三日(金曜日)委員長の指名で、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
 閉会中審査小委員
      鍛冶 良作君    小島 徹三君
      小林かなえ君    瀬戸山三男君
      高橋 禎一君    田中伊三次君
      福井 盛太君    三田村武夫君
      井伊 誠一君    猪俣 浩三君
      大貫 大八君    菊地養之輔君
      坂本 泰良君
 閉会中審査小委員長
                瀬戸山三男君
―――――――――――――――――――――
昭和三十四年七月四日(土曜日)
    午後二時十四分開議
 出席委員
   委員長 瀬戸山三男君
   理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
   理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
   理事 福井 盛太君 理事 井伊 誠一君
   理事 菊地養之輔君 理事 坂本 泰良君
      綾部健太郎君    三田村武夫君
      淺沼稻次郎君    大貫 大八君
      神近 市子君    田中幾三郎君
      中村 高一君    志賀 義雄君
 委員外出席者
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警備局長)  江口 俊男君
        検     事
        (刑事局公安課
        長)      川井 英良君
        法務事務官
        (人権擁護局
        長)      鈴木 才藏君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      勝野 康助君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
七月三日
 委員三宅正一君辞任につき、その補欠として今
 澄勇君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員今澄勇君辞任につき、その補欠として三宅
 正一君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
 委員村瀬宣親君辞任につき、その補欠として内
 藤隆君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
七月三日
 一、裁判所の司法行政に関する件
 二、法務行政及び検察行政に関する件
 三、国内治安及び人権擁護に関する件
 四、最高裁判所の機構改革(上訴制度を含む)
  に関する件
 五、外国人の出入国に関する件
 六、交通犯罪に関する件
 七、寺少年犯罪に関する件
 八、売春防止法の施行に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月三日
 占領軍による被害補償促進に関する請願(早稻
 田柳右エ門君紹介)(第九八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政に関する件
 検察行政に関する件
     ――――◇―――――
#2
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 なお本日は警察庁から柏村長官、江口警備局長、法務省側から川井公安課長、これだけが今出席されておりますから、このつもりでお願いいたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。
 坂本泰良君
#3
○坂本委員 本日は午後二時に至りまして委員会を開いていただいたことに対して、敬意を表する次第でございます、そこで簡単に要領よく聞きますから、答弁も一つ要領よく早く終るようにやつていただきたいと思います。
 まず最初にお聞きいたしたいのは、先般の委員会で、大牟田市における三井炭鉱に関して、三池の会社側と三地炭鉱労働組合との間の説明会の際に、会社側の方で百メートルばかり離れました港クラブの二階寝室において携帯無電を使いまして、その会合の状態を盗聴していた、そこに町田巡査部長外二名かい合せていた事実について質問いたしたましたところ、江口警備局長は、一応の答弁はございましたが、さらに事実を捜査する、そういうことでございましたか、その後の調査をされましたならば、その事実を御説明願いたいと思います。
#4
○江口説明員 お答えいたします。この前の委員会では、事件といいますか、こういう事案の起りました翌日のことでございまして、われわれの方といたしましても調査が十分でなかったために、御質問のありました点についてはさらに調査するというふうにお答えを申し上げたのであります。その後お約束に従いまして、できるだけの調査といいますか、報告を求めたのでありまするけれども、この前私が申し上げましたことと大差はないという結論に達しておるのでございます。私の申し上げた点でどういう点かなお御納得がいかないかということでございましたら、わかっておりまするだけお答えいたします。
#5
○坂本委員 そこで第一点は、港クラブの二階の来客寝室で盗聴録音に町田巡査部長が立ち会っておるのは事実ですか、そのほかに一名、ベッドの下に一名とほかに一名、三名警官がいた、こういうこと、ですか、その点はいかがですか。
 第二点は、町田巡査部長は一可の指示によってここに来ているのだ、そういう発言をしておるわけですか、署長がそういう指上をしたかどうか、この二つの点について。
#6
○江口説明員 マイクで聞いておりました席に町田巡査部長がおったことは、この前も申し上げた通りでありまするが、その以外にその座におったかどうかということにつきましては、さらに福岡県本部に問い合せました結果、その朝状況を、見てこいといって出したのは数名であるから、その場にはいなかったけれども、ての港クラブをたずねて行ったのは他にもあったかもわからぬ、こういう返答でございます。
 それから第二番目に、町田部長が上司の命令でやってきたということにつきましては、上司というのは警備課長並びに警備係長、警部、警部補がおるわけでございまするが、いずれも、きょうはたくさんの組合員の前で、この前のように会社側から数人が出て折衝するということであるから、事案が起る可能性があるので、様子を見てこいという意味の命令は出したようでありまするから、それを上司の命令で行ったということに答えたと思うのであります。お尋ねの通りでございます。
#7
○坂本委員 警備係長あるいは課長が様子を見てこい、それからその朝状況を見てこいと言ったから、二、三たずねていった者かほかにあったかもしらね、こういうようなお話ですが、そうすると、警察がこういうように労働運動――いわゆる労働争議をやつておる途中に、こういうふうに見にいくというのは、警察の目的に反するのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この点について長官の御答弁を願います。
#8
○柏村説明員 警察といたしましては、その争議行為自体についてどうこうと介入するというようなことはもちろん考えていないのでありますが、多数集まって、しかも相当先鋭化するかもしれないという場合には、やはり警察としてこれらの状況を知っておるということが必要でありますので、警察官を派したものと考えるのでありまして、状況を見ておくということは、何か事案が起ったときに適切な措置をとり得る前提になるわけでありますので、警察の職務を越えた行為とは考えられないと思います。
#9
○坂本委員 しかしまた、ことにこの大牟田の組合なんかは相当洗練されて統制のある組合であるし、まだ何ら問題も起っていないのに、朝から状況を見てこい、そうしてその見にいくのは、会社側の港クラブというところは会社の重役その他のクラブなんです。そういうところに行ってやるというのは、これはもう会社側と警察が一体になってやるというような誤解を招くおそれが十分あると思うのです。そういう点について、いつも警察の方では、未然に防ぐためとか、中立を守るとかと、こういうようなことを言いますけれども、その客観的行為自体がもうすでに労働争議に介入して、一方的に会社側の方だけに出入りをしていろいろやる、こういうようなことは行き過ぎじゃないか、私たちはこう思うわけなんですが、さらに盗聴器を据えておるところに町田巡査部長が聞いておる、こういうようなことは、これはさっきのお話のように様子を見てこいという指示を逸脱したものである、こういうふうに考えるのでありますが、その点いかがですか。
#10
○江口説明員 多少事実に基いてお話しせねばならぬ関係上、私からお答え申し上げますが、労働争議自体について介入しないということは、ただいまも長官から申し上げた通りでございまして、私たちもその方針に従って行動をいたしておりまするけれども、それに付随する違法行為というような事柄については、ふだんからやはり関心を持っておるのでございます。だから、大牟田の今度の事例のようなことはもちろん原則としてあり得ないことでありまするけれども、大牟田の場合におきましては、四月の二十日の事案及び五月の八日の事案といのが前にございまして、四月の二十日といのは多少のけが人も出ておるようであります。それから五月八日の交渉におきましては、やはり四、五名の幹部の者が、三百名でございますか五百名かの多くの組合員に囲まれて六時間半のつるし上げを食ったというような事案もございましたので、この十七日の状況はさらにそれよりも数が多いというようなことも現実わかっておりましたような関係で、どういうことが起るかということを心配いたしまするのは当然のことであろうと思うのであります。大牟田警察署としても、そういう心配のもとに遠くから見ておったというようなことになるのであります。ただ会社の寮に至りまして、そこで会社側の人たちと一緒にマイクを聞いておったということについて誤解をされてもいたし方のないことであって、これは残念でありまするけれども、事情を調べてみますと、この間もわれわれの方に炭労の方々がおいでになって話されましたが、大牟田におきましては、かねがね警備係の警察官は会社の方にも組合の事務所の方にもよく出入りをして、双方の状況を話を聞いておるということであります。だから、その日も組合側の方に来て聞かれれば、われわれはちゃんと、きょうはこういうふうなのだといことを、教えるはずだったということをいっておられる通り、特に会社にだけしょっちゅう出入りをしておったというような事実はないようであります。どちらにも様子を伺いに行っておった、こういうわけでございます。
 それから、町田部長は上司から様子を見てこいという命令を受けまして、人事係のところに行って聞けばわかるということで、そちらの方をのぞいたそうでありまするけれども、そこに見当らぬと申しまするか、その会いたいと思う本人かいなかったので、いつもそういう際にはクラブの方に行っているということを思い出して、そっちの方をたずねた、こういう連絡を受けておるような次第でございます。
#11
○坂本委員 だいぶん弁解があるわけですが、いずれにいたしても、また何も発生しないのに、警官が一方的に片一方に行くのは、これは警察権の逸脱であり、ひいてはそういうことが警察官の人権じゅうりんの問題になってくる。この点はあとでまたこれに類する、またこれより上以のいろいろの問題がありますから、そのときにあわせて質問することにいたしまして、次に移りたいと思います。
 次は、これはきのうの問題でありますが、熊本県では今県議会が開催されておるわけであります。寺木知事は、全日自労の夏季手当の問題、稼働日数の問題等で面会を求めるけれども、面会しない。さらに寺木知事が選挙に勝って任命した民生労働部長は全く労働運動に無理解であって、逃げて歩いておる。だから県議会には必ず知事が出るということで、全日自労の三千三百人が三日にこの寺木知事に会見すべく議事堂の前に行った。そうして同日午後二時五十分、県庁内で待機していた熊本県警本部の機動隊並びに熊本北署、南署の署員百三十人の警官隊が火力を行使し始めた。組合は全く無抵抗であったのに対して、朝日新聞の、この際ほとんど無抵抗の組合品に対し、警官隊は髪をつかんで引っぱり出し、よろめくのを背後からけったり、足を持ったままひきずり出すなど、手荒い行動をとり、組合員の怒声や婦人の泣き戸で埋まった。そうして自労側が三十人、警官側が八人の、負傷者を出した、こういうけさの朝日新聞の全国版の三面の記事で私は驚いたのでありますが、このように、髪をつかんで引っぱり出し、よろめくのを背後からけったり、足を持ったまま引きずり出す。これは朝日新聞が書いておる記事であるから、警察官がこういうことをやった事実は明らかであるが、この点について調査をされたかどうか。また調査されたら、その結果について御説明願いたいと思います。
#12
○江口説明員 私たちも、ただいまお読みになりました新聞の記事によって、暴行があっつたということは別として、そういう事案がありましたことを知り、さらにただいま熊本県からそのときの状況の連絡が参っておりまするから、これによってお答えいたしますけれども、ただいま参りましたので、詳細にわたってはまだ私検討いたしておりません。しかしながら、私たちに対する連絡でありまするから、警官が髪を持ってどうした、こうしたというようなことは、もちろん書いてあるはずはございませんし、そういうことがあったとは私どもはもちろん思いませんが、そういう御質問もあり、そういう報道もありますから、さらにその点は詳細に調査をしたいと思います。しかしながら、少くともそのうちで、組合側は無抵抗であったにもかかわらずというよう事柄につきましては、ただいまわれわれが承知している限りにおきましても、相当な抵抗があったように聞き及んでおります。たとえばかみつく、あるいは小石を投げる、足を引っぱるというようなことで、そのために警官隊におきましても十名の負傷者を出しておるような状況であります。それからなお御指摘のように、婦女子なり老人なりを含んでおりました関係上、特に責任者はそういうことに気をつけて実力行使をするようにという注意を、実力行使に入る前にやっておるのであります。それで事案の内容は、約二千五百名の組合員が集まって寺木知事に団体交渉を要求したのでありますけれども、寺木知事は、正しい労働慣習をこの際確立しようじゃないかということで、人数を限って会おうということで、二千五百名との団体交渉ということを拒否しいしております。しかしながら、ちょうど昨日が熊本県議会の一般質問の最終日であったそうでありまして、それに知事が出かけるのを待ち受けて交渉しようということで、知事が議場に入ることを妨害いたしたわけであります。二千五百名が千八百名と七百名に分れまして、千八百名が議事堂の正面の玄関近付にピケを張るといいますが、そこにたむろする。それから、私はあそこの地理を知りませんが、県庁舎と議事堂との間を狭い廊下でつないでおるそうでありますが、そこに七百名がすわり込んでその阻止をしておるということで、そこを管理してい県の用度課長からの要請及び知事からの文書による要請によって、制服が百九十九名、私服が六十何名、約二百四、五十名の警察官が出て、そしてその廊下を知事が通れる程度にあけるという意味で、七百人の中に警官隊が四列縦隊で入っていって両側に排除したということであります。その排除の場合に、ただいま申し上げたように、どちらもけが人を出しましたけれども、あるいは組合側におきましても、三十人であるかどうかは確認しておりませんけれども、ある程度のけがか出たこともあろうかと思うのですが、この点詳細に本日ここで述べる程度には知っておらないのであります。以上のようなことで、警察としては十分注意をして、数回の警告もいたしておりますし、なお警備実施につきましても、そういうけが人なんかか出ないようなことを心がけてやったことと十分われわれも考えますけれども、結果としてはおっしゃるようなことが、けが人としてはあったかもわからない。しかしながら、故意にけるとか髪をつかんできずるというようなことは、私たちとしても想像できませんので、もしもそういう事実があるということでございますれば詳細調査いたしたい、こう思います。
#13
○坂本委員 これはもう数年前の砂川の問題でも、警察官のまたくぐりなんていうのは、送りながらけるのですよ。われわれも行って見ているのです。そういうことをこのごろ中小企業のストライキにはもう大っぴらにやっておる。大っぴらに人権じゅうりんをしているというのが現在の状態だから、われわれはここで聞くのです。しかも朝日新聞ともあろうものが、実際ないことを書いてはいませんよ。髪をつかんで引っぱり出すなんてことは、客観的に児えることなのです。よろめくのを背後からけっているのを見ているのです。そういう印象を書いている。新聞記者がうそを書いていると言うのですか。足を持ったまま引きずり出す――大体自由労働者は半分は女なのです。日本の敗戦と今の政治の政策のやり方が悪いから、婦人が街頭に出て働いているのです。自労のあれだって、このごろは、道路の問題にしろ、その他の問題にしろ、ほとんど自労が働いているじゃないですか。その半分は女ですよ。しかも寺木知事は労働次官まてして、そうして何でもわきまえていながら、今度選挙に勝ったからといって、こんな自労の問題なんかにはちっともかまわない、団体交渉もしない。よくよくのことだから、県会の一般質問には知事は必ず出なければならぬから、そこをつかまえるよりほかはないといってやった行為なのです。だからすでに待機しておる二百三十人の警官は、もうそういうことを予想して、寺木知事と打ち合せてこういうことをやっておる。その結果こういう悲惨大状態に陥っているわけです。もう少し警察が、あの犠牲者である婦人の自由労働者に同情を持ち、そうしてその権利を擁護しようという警察本来の立場にあったなら、こういうことは起らないはずです。こういうことをするから、ますます寺木知事なんかは増長して、自労の者なんかは食えなくなったら死んでしまえ、そういうことになってしまうのです。あまりそういうことをすると暴動が起るでしょう。だから警察官は知事の要求があってもやはり独自に考えてやらなければならぬ。それをすでに待機していて、さあ行けと知事を擁護するような立場に立ったならば、知事の雇い人になるでしょう。国民の税金を月給にもらって、そうして治安の維持に当っているのが警察官です。私はこの新聞を見ただけで――だれでも朝日新聞のこの記事をうそだとは思わないでしょう。よろめくのを背後からけったり、髪をつかんで引っぱる。女ですよ。これは女の髪をつかんで引っぱっておる。このことです。こういうことは絶対やめてもらわなければならぬと思うのですが、長官はいかがお考えてすか。
#14
○柏村説明員 警察が行動を起します際に、できるだけ犠牲を少くし穏やかにするということが望ましいことは申すまでもありません。いわんや、髪を引っぱったり、うしろからけるというようなことが戒むべきであることは申すまでもありません。しかし、先ほど警備局長が申しましたように、私は利百新聞を全的に信頼しないと申すわけではありませんが、朝日新聞だからといって報道が全部必ず正確であるというふうには考えないのでありまして、そういう点は事実について詳細に調べなければならぬと思います。ただ、寺木知事が正常な労働慣行を作ろうということで、代表者の人数を限って会うということであったら、なぜ会わないのだろうか。何千名もで交渉したってろくな交渉ができるわけではないのでありまして、むしろそういうことについては、警察として戒むべきことは戒まねはなりませんが、そういう労働運動を指導する側においても、やはり相当自粛と申しますか、正常な考えをもってやっていただきたいというふうに思うわけであります。知事が最後の県会に臨むということは、知事として当然なさねばならぬことでありますし、これを火力をもって妨害するということでありますれば、少くとも知事を県会に送れるようにする、正当な知事の行為をなさしめるということは、警察として決して知事の側に立ったということでなくて、県政の正常な運営からいっても、また秩序の維持という点からいっても、警察官としてなさねばならぬことではないかというふうに考えるわけてあります。何千名も出て県議会も開けないままに済まされるという状況を拱手傍観して放任すべきものではないというふうに考えるわけであります。
#15
○坂本委員 こういう問題は、二千名も二千五百名も出なければならない状態になったということも考えなければならぬのです。寺本知事は、二人か三人に会うと言ったのです。しかし二人か三人じゃいけない。執行委員は三十名ないし五十名おるのに、その交渉も持たないからこういう状態になったわけなんです。従って、こういう問題については、よほどのことがなければ新聞社もこういうことを書きませんよ。熊本あたり保守の強いところだから……。だから三十人もけが人が出ておるとしたら重大な問題たから、もう少し事実を調査してもらいたいと思います。
 そこで次に、最近の中小企業のストライキには暴力団、ロックアウト、首切り、さらに警察官の不当逮捕というのがつきものになっておる。だからこのころの中小企業のストライキには、官憲の介入が目立って多くなり、さらに人権を無視した、今みたいな行為が所々に起きておるわけです。しかも暴力団が介入しても、その暴力団に対しては警察は何ら処置をせずに、労働組合側に対してだけ、逮捕するとか、いろいろな行為をやっておる。その例をあげますと、これはあとでも聞きたいと思いますが、神田の主婦と生活社のあの長い問の争議であります。本年の二月十四日にストに突入して、三月十七日にロックアウトしたけれども、この立ち入り禁止は裁判所から却下されておる。そして三月二十日警察の介入のもとに十三名も解雇している。四月十七日には会社側が、労働組合が裁判所から許されているところの一階と四階になぐり込みをかけている。そして十九日には、なぐり込みをかけた暴力団には何らの行為をせずに、組合側の幹部の逮捕を始めている。こういう事実があるし、さらに全金属所属の高山精密には、五月二十三日に四十名の暴力団がなぐり込みをかけているのに、六月の四日には、反対に組合の委員長を逮捕している。それから合化労連所属のSS製薬と略しているのですが、ここは五月三十日に八名の幹部の首切りをやって、その晩暴力団を導入して第二組合を作るというのを拱手傍観しているということがあるし、さらにまだたくさんありますが、メトロの問題については、大貫委員が聞かれますから省略いたしますが、この中小企業のストライキに対して、警察権、司法権の介入があり、ことに警察権の介入が目立っておる、こういう点があるわけでもります。
 そこで、こういう問題を一々あげれば時間がかかりますから、先ほど申し上げました主婦と生活社の争議の問題だけについて、本日は一、二お聞きしたいと思うわけですが、三月二十七日に神田警察署長は、主婦と生活社の労働組合委員長小川修明あてに警告書というものを出しているわけです。「株式会社「主婦と生活社」が再三の退去を要求しているにも拘らず、貴組合および支援団体員らがいまだに社屋の一部を占拠の状態で使用を続けていることは違法行為と認められるので、速かに退去するよう警告する。」ところがこの三月二十七日当時は、裁判所が立ち入り禁止の仮処分の審理中で、果して組合か社屋の一部を占拠しているのが違法行為であるか、どちらが違法行為かわからなかった時分であった。その後になって会社側の立ち入り禁止の仮処分請求は却下された、そして仮処分は却下になって、一階と四階におる組合員を追い出すということばできないという結果になっているのに、その前に神田警察署長がこういう警告書なんかを発している。これは一方の会社側に対する擁護であって、労働組合運動に付する警察権の介入であり、警察権本来の使命を逸脱しているものである、私はこう考えますが、この点ついて長官はいかがお考えですか。
#16
○柏村説明員 中小企業におきまして、最近不法事案がかなり多く起っております。また争議も非常に先鋭化しておるよりな事例が間々見られることは、非常に遺憾に存じておるわけであります。これは一つには、経営者側の管理の不適正というような原因もございましょうし、また一面には、組合運動についての指導に行き過ぎというようなものがある場合もあると思うのでありますが、いずれにしましても、中小企業におきましては、争議に対して必ずしもルールがよくのみ込めないというようなことから、かなり先鋭化する問題が多いのじゃないかというふうに考えられるわけであります。ただいま御指摘の主婦と生活社につきましても、その他すべての争議行為について、われわれの態度といたしましては、争議そのものについては何ら介入するものではない。しかしながら、その間に起りまする不法事犯というものについては、厳正にこれを取り締りまして、法秩序の維持を確保しで参るという方針でおるわけでありまし、その点につきましては会社側であるとあるいは労組側であると、一方に偏するというような考えは毛頭持っておりませんし、また第二線に対しましても、そういうことにつきましては、時々注意を喚起いたしておるような状況でございます。ただいまお話の警告の問題につきましても、私ども警視庁の実情の報告を見まして、やはりあの際の警告というものが決して不当なものであったとは考えておりませんか、その間の経緯等についてさらに詳細な点につきましては、警備局長から御説明いたさせたいと思います。
#17
○坂本委員 なおその警告を発する二十六日に、神田の警察では、東京地方裁判所の民事十九部の裁判官に面会を求めて、警察としては主婦と生活労組の職場占拠を違法であると判断する、こういうことを裁判官に言ったというような点がありますが、そういう点があったかどうか。もしあったとしたならば、これはとんでもない。今の長官の答弁とは違う問題になる。もちろん治安のために警察権を発効しなければならぬけれども、あとで仮処分でその立ち入り禁止を却下されて、一階と四階は組合員がいていいという判決の決定の間接的裏づけがある、そういうものに対して警告書を発する、こういうようなことは警察権の逸脱だと思うのです。さらにまたその前の日には裁判官に面会を求めてそういうことを言った、こういうことがあったら、これこそ何と弁明しても警察官は資本家側の擁護であり、資本家側の使用人だと言われてもやなを得ないと思うのです。従って、こういうような考え方が、まだ治安の問題が起らぬ前に、大牟田の問題にしろ熊本の問題にしろ先に待機する、朝から出かけて調査という名前を借りてそして会社側と連絡をとって、一方的に労働組合を押しつけるというようなへんぱな行為に警察がなっておる、これをわれわれは憂えるし、警察は治山の任務を逸脱している。そうして民事的の関係にまで介入をしておる。こういうふうに私たちは考えるから、特にその点についてお聞きするわけです。
#18
○江口説明員 お答えいたします。裁判所に対しまして、こちらの方の見解を述べて、違法であると思うというようなことを言ったか言わないかというようなお話でございますが、そういうような事実は全くないというふうに聞いておるのであります。そういうことがあるとすれば、それはまことにおっしゃる通り適当でないと思いまするが、そういう事実はないという報告でございます。
 それから、警告書を発した問題でありますが、これは御承知のように、会社側が三月の十八日にロックアウトを通告しまして、その後いざこざがあったと見えまして、三月の二十日に小川委員長外十一名計十二名の者を被告訴人といたしまして、不退去罪、業務妨害罪で神田署に告訴をいたしております。神田署は、これを受けまして検討いたしましたが、その告訴をすぐさま取り上げるという状態でないということを判断しまして、その点は取り上げておりません。しかしながら、不退去とか業務妨害の状態があるかどうかということを見る必要もありましたので、二十五日に警察が状況を見に行っておりますが、その際、四階は内部からくぎを打ちつけられておりまして、警察が入りますときにも、会社側の了解を得まして、腰板をこわして中を見たというほどであったそうであります。また入口にも机をうず高く積み重ねておりまして、室内には組合員が、そのときには二十名くらいが在室をいたしておりましたが、寝具、炊事具等も持ち込んでおり、明らかにその部屋を、排他的に占拠をしておる状況と警察は判断をいたしたのであります。そこでロックアウトをしました場合に、中に組合員かおっていいかどうかというようなことは、後ほどの四月十四日の仮処分の決定にも関係いたしまするが、われわれが知っておりまする説によりますと、単純にすわり込んでいるということにつきましては、これも違法だという説があると同時に、それくらいならいいのだという説もあって、これは分れているのでありまするが、排他的に占拠をしている状態は違法であるということについては、これは通説であるようであります。従いまして、神田警察署長としましては、その際の組合側の四階の占拠の状態は排他的な占拠と認めましたので、これは違法と考えるから、すみやかに退去するよう警告するという旨の警告を出したわけであります。なお四月十四日に出されました仮処分の決定を見てみますと、これを読みまして、お互いに会社側なり組合側なりで、自分の方に有利に読まれるような文章でございますけれども、とにかくロックアウトは正当である、そこを占拠することは違法である、しかしながら、占拠の状態が、業務がそこでできないようなあるいはこれで会社に決定的な打撃を与えるような形ではないと認めるから、実力でこれを排除するということは適当ではない、そういう決定はしないのだという旨のことが書かれておるようであります。私たちはそういうふうに解釈いたしております。
#19
○坂本委員 どうもあなたは主婦と生活の会社の弁護士みたいな、代弁者みたいなことを言うて、非常にわれわれは不審でかなわない。もちろん主婦と生活社の社長は、当時通産政務次官の大島君であったと思います。だからこういうのから関係をつけて、そうして警察を利用してやっておるという疑いが大いにあるわけです、なお、あなたの今の説明を聞くと、それをなお裏づけするように、公社側の擁護者である、そういうふうに誤解されても仕方がない。
 時間がないので、私もう一点だけ聞きますが、それでは四月の十七日に、夜の七時ころ、掃除するという名目で、会社側の早川勤労部長が先頭に立って、そうして村上九州支社長その他四十名が入り込んで、中に十七名の組合員が食事をしていた、そこに掃除名儀て入り込んで、そうして七名の女それから男六名に負傷をさしておるわけであります。そこで組合では直ちに百何番ですか警察に電話をかけたら、一時間たってから来ている。こういうような状態です。さらに女の七名が診察をしているところに警察の者が入ってきて写真をとる、こういうようなことをやっておる。だから、あなたは今二十日のことを、言われましたが、その前にそういうような暴力団的な行為をやって十三名の負傷者を出しておる。警察はすぐそばにあって一時間後来ておる。そしてなぐり込んだ暴力団に対しては何ら捜査もしてない。検挙者も出してない。にもかかわらず組合側では十数名の検挙者を出しておる。しかもそれは不退去罪、業務妨害罪という告訴があったからやったという。しからば組合の方から出しておるところのこの早川勤労部長以下四十名がなぐり込んだのもなぜ捜査しないか。会社側のものであるから逮捕もせずに捜査もせぬ、不公平じゃありませんか。こういうような点がわれわれは調査をしておるわけなのですが、この点はいかがですか。
 さらに、こういうようなことが、先ほど読み上げましたこの中小企業のストライキにたくさんある。これよりももっとひどいのがある。これは私は日本の警察に対してまことに遺憾にたえない。ことに今の四月十七日の問題を中心にして、この点については人権問題として人権擁護の方に提訴もいたしておるわけです。この点について鈴本人権局長は知っておられるかどうか、この二つの点をお聞きしたいと思います。
#20
○江口説明員 私の答弁はすべて現地警視庁からの報告によって申し上げているところでありまして、だたいま申し上げたようなことは、本日午前中の地方行政委員会におきましても警視総監から報告をいたしておったようなことであります。間違いないと考えております。四月十七日の問題につきまして一時間も現場に行くのがかかったかということは、私ちょっとその時間については正確を期し得ないのでありますけれども、直ちにおもむいた、しかし事件そのものは非常に短い時間のことであるので、警察官が着いたときには事件そのものは終っておったということであります。それで、組合側につきましてはおっしゃる通りの調査をして、これはもちろん事件にしたのでありますが、会社側につきましては組合側の告訴に基いて十二名でございますか、取調べをしたのでありますけれども、告訴をされた側自身がどういうことがあったということの供述を拒まれておいでいただかぬということで、事件が片づかなかったのであります。そのうちに組合側としては警察の方は信用できないので、早くそのまま検察庁の方に送ってくれということで、調べ得た限りにおきましてはそのまま書類を現在検察庁の方に送っているような次第でありまして、十分その点は公平に取り調べておるというので、結末がつくものと考えておるのであります。
#21
○鈴木説明員 今お尋ねの点は、東京法務局の人権擁護部に詳細な事実を書きました人権侵害事件に対する救済中立書というので出ております。その際に、相当たくさんの点をあげて申告をされておりますが、受理いたしました東京法務局の人権擁護部では、警察官の人権侵害の点については、一つ警察を相手方として告訴その他の方法によって処理されてはいかがかということを口頭で申しましたところ、申告代理人の弁護士の方が、その点はそういう方法で処理しよう、その他の問題について人権擁護部において調査を願いたいというふうになっております。
#22
○坂本委員 先ほどの話で、公平というのですけれども、終ってから一時間後に行って、七名女が負傷し、男が六名も負傷しているのに、明らかになぐり込みをかけておるのを、会社側は逮捕もしない。そういう点に大きに誤解があるわけです。でありますから、もう時間がありませんが、こういうように中小企業のストライキが今盛んに起きておる、そうして警察が加勢をするということを考えておるから、使用者側は不法な行為を盛んにやって、そうしてすぐロックアウトをやる、暴力団をなぐり込みをかける、そっちは問題にならぬ、警察はそういうのをたてにして、今度は労働者の方を逮捕したりなんかする、こういうのがひんぴんと今起きておるわけです。これは重大な問題であると思うのです。だから一つ、国会も休会に入りましたが、非常の問題ができたらいつでも法務委員会を開き――人権擁護の立場から警察権の人権じゅうりんは断じて許すべきじゃない、ことに第一線に人権じゅうりんか起きたならば、これこそ日本の治安は乱れて、重大な問題になると思うのでありますから、十分今後も注意をしてやってもらいたいということを要望して、私の質問を打ち切ります。
#23
○瀬戸山委員長 大貫大八右。
#24
○大貫委員 同じような中小企業のストライキの問題について質問をいたすのでございます。メトロ交通に対する問題であります。これはむしろ警視総監にお尋ねしたかったのでありますが、警視総監がおさしつかえがあるというのでやむを得ません。坂本委員の質問と重複を避けて質問をするつもりであります。
 このメトロ交通の労働組合に加えた会社側の暴力行為というものは、むしろ警察が公平な見地に立って取締りをしたならば、これほどの被害が起らなくて済んだと思われるような事案であります。そこで私はまず第一点にお尋ねをいたしたいのは、先ほどからも伺っておりますと、警察庁長官は常に警察は厳正で不法事犯に対してはいやしくも会社側労働組合側を問わず厳正にやるのだ、こうおっしゃるのでありますが、この事案に対しましては、非常に警察の手配がおくれておるのであります。少くとも、ちょうど五月三十日の未明のことでありますから、これは近所隣大へんな騒ぎです。労働組合側からも助けを求める。そういう助けの声に従いまして、近所の人がすぐ一一〇番に連絡をしておることは私の調査で明白であります。ところが、一一〇番に電話をしたところが、何番地ですか、あるいは表参道のどこですかという非常にくどい質問を向うでした。何かしら意識的にそういう緩慢な質問をした。つまりこんなことは常識上、メトロ交通といえばずっと前から争議が行われているところなんでありますから、何番地ですかというような、これは個人の家でもあれは別でありますけれども、こんな顕著なものに対して何番地ですかなんという非常に緩慢な質問を浴びせている。どうも意識的のように思われたとさえ連絡をとってくれた近所の人が言うております。あるいはまた組合員は、暴力団の重囲を脱してようやく表参道の交番にたどりついて、一一〇番に電話をしてくれ、こういうことを頼んだのだけれども、巡査は一度かけてみて、取り込んでおるからだめたと言うて、もう取り合わなかったというようなことすらあるのであります。そこで、どうもやむなく表へ出て自動車を拾って、そうして別の交番に行って一一〇番に連絡をした、こういういきさつがあって、暴力団の来襲から数分を出でずして連絡をしておるのに、現場に警察がかけつけたのが大体来襲してから二十五分たっておるというのは明白のようです。なぜこのように手配がおくれたのか、その点を第一にお尋ねしたいと思います。
#25
○江口説明員 時間の点でございますか、私たちが聞いておるところ及びけさほど地方行政委員会で警視庁の方がら直接答えておりましたところを総合いたしまして申し上げますと、四時十五分でございますか、表参道の交番で、トラックにたくさんの人夫が乗って、メトロ交通の方に向うのを現認して、それが一番先に本署に連絡をいたしました。それが四時十五分だそうであります。それから四、五分たって、やはり一一〇番から連絡を受けております。それで、初めの四名は表参道の派出所からの連絡ですぐ出向いた。署長もそれを聞いて、すぐ残余の人間を集めて、署長以下二十四名で四時三十分ころ現場に行ったということになっておるのでありまして、二十五分というような時間がかかったというふうには報告を受けておりませんけれども、それじゃ間に合ったか、間に合わなかったかということになってきますと、これはやはり長くかかる問題じゃないために、事件としては済んでおるというふうに聞いておるのであります。
#26
○大貫委員 結局何分であったかなんということ、これは水かけ論ですから言うてもしようがありませんけれども、いずれにしても、来ました警察官が、その事件の起っておる前で整列をして、番号をかけたなんという事実もある。実に緩慢な状況を見て、意識的にその取締りをおくらしておる、こういうふうにさえ組合側にはとれるような態度が警察にあったと言うのです。それはどうでしょう。
#27
○江口説明員 私の聞いておりますところでは、現に警察官が着いたところで、そういう乱闘みたいなものが起っているところで整列をしたり番号をかけたりしたというようなことじゃなしに、行ったところが、事件そのものには間に合わなかったので、そこにおった人夫を警察署に同行して調べたというふうに聞いておるのであります。
#28
○大貫委員 なお、最初に、今の答弁にもありましたように、四人は現場にすぐ急行したというのでありますが、その四人の警察官というものは、現場に行っても何にもせずに、制止もせずにあばれておるのを拱手傍観しておったというのですが、これはどうでしょう。
#29
○江口説明員 その点については、どうも現在はっきりいたしておりません。
#30
○大貫委員 それじゃなおそこをお調べを願いたいのですが、ついでに言うておきます。そうやって手をこまぬいて見ておるので、組合員がそれを詰問した事実がある。警察官に、何をしているんたと言うところが、そう言ったって、警察官立ち入るべからずと書いてあるじゃないかと言うた。争議団の事務所にあったそうですが、そういう態度で、取り締るという意欲がもうすでにない。その点から見ても、どうも会社側に非常に深い関係があるんじゃないか、こういうふうに疑いを持っておるのは、私は当然だと思う。その点はよくお調べを願います。
 そこで、この現場から八十名ほどの暴力団、人夫たちが検挙されたはずでありますが、実際に逮捕になったのは三名だと聞いておりますけれども、その通り間違いないのですか。
#31
○江口説明員 逮捕をして送致したのが三名で、在宅後送致したのが一名、計四名でございます。
#32
○大貫委員 なお、聞くところによると、これは傷害罪として送致したというのですが、その通りなんですか。
#33
○江口説明員 その通りでございますか、現場の事情からして、容疑として調べましたのは、暴力行為等処罰に関する法律に違反するのではないかということで調べた結果、これは傷害罪として送る方が適当だという結論に達して、そういう罪名で送ったものと聞いております。
#34
○大貫委員 どうもそれが奇怪しごくだと思うのです。先ほどから長官が厳正であるとか何かおっしゃっておりますけれども、あの程度の事件が労働組合側に起ったとすれば、これはもう仮借するところなく、従来の例から見ましても、暴力行為等処罰に関する法律を必ず適用している。今度の事件に対してなぜ暴力行為等処罰に関する法律の適用が適当でないと考えられたのか、その根拠を一つお尋ねします。
#35
○江口説明員 暴力行為等処罰に関する法律は、御承知の通り、数人が共同してということになっておるのでありまして、これが前から仕組まれた行為であるか、あるいはその場における暴行あるいは傷害の数が多い行為であるかということによって分れると思うのでありますが、これは、ナンバー・プレートをはずすとかあるいはロックアウトをして板壁を作るとかということにつきましては、取調べの結果、われわれとしても十分初めから計画されたことというふうに認めるのてありますけれども、なぐり合いということとの間に、なぐり合いまでも前から計画されたというふうには、捜査の結果そういう結論に到達しなかったものと思うのであります。
#36
○大貫委員 それがおかしいじゃないですか。私も先ほどちょっと地方行政委員会で傍聴したのですが、計画されたもの云々ということを、これは警視総監もしきりに言っております。しかし、暴力行為等処罰に関する法律の精神から言うと、これは多衆の威力を示したり、数人共同して刑法二百八条等、つまり暴行、脅迫、器物毀棄、こういうことをやった場合成立することは明らかである。これは計画も何もないのです。偶発的でも何でも、大勢の人間が集まって、意思の共通かなくとも、たまたま同じ方向に暴行をやる、あるいは脅迫をやる、あるいは器物毀棄をやれば、それによって基力行為等処罰に関する法律違反罪、これが成立することは判例がたくさんあります。計画なんか要りませんよ。初めから目的意識を持って集合したものに初めて暴力行為等処罰に関する法律違反罪が成立するのではないですよ。もう何の目的なしに集まった群衆がたまたま何かのことでもって器物を破壊し、脅迫をやり、暴行をやる、それによって犯罪が成立するということは、これは学説、判例上一点の疑いもない。それにもかかわらず、この事件については計画が初めからないというようなことでこの適用を拒否しているというのは、われわれはどうしても納得がいかぬ。しろうとであるならごまかせるかもしらぬが、われわれ法律家はああいう答弁じゃごまかせませんよ。どういうわけなんでしょうか。
#37
○江口説明員 ただいまの御質問でございまするが、法相の解釈問題は私ここで争いませんけれども、あの場合の事態を捜査の結果、多衆が威力を示して何々をしたとか、あるいは共同して暴行したというようなことじゃなしに、個々の暴行傷害が数が多かったというような判断をしているわけであります。
#38
○大貫委員 それがおかしいと思うんです。多衆の威力を、大ぜいの人間が集まって、たとえばナンバー・プレートをはずしたたけでも器物毀棄ですよ。これは一面において道路運送車両法違反になると同時に、器物毀棄にも該当するわけなんです。そうすると、多衆でもって大ぜいの者が集まってナンバー・プレートをはずしておる、器物毀棄をやっておる、これだけだってりっぱに暴力行為等処罰に関する法律違反罪が成立するじゃありませんか。しかもこれはあなた方の警察の方の調べたのでは幾らか違いがあるようですけれども、暴行の点にいたしましても、脅迫の点にいたしましても、締め出すときなども、出てくればぶっ殺すぞとかいろいろな暴言を吐いているんです。そういうことをとらえていけば、りっぱにそれは暴行、脅迫、器物毀棄、こういうことを大ぜいの人間がやっておるのですから、やはり警察としてはこの事件をもっと公平に――労働組合だったら必ず何とか理屈をつけても暴力行為でやるじゃありませんか。やはり経営者側に対しても公平にやらぬと、警察の威信に関すると思う、信用に関すると私は思うのです。どうぞ一つ御研究を願いたいのですが、どうですか。
#39
○江口説明員 組合側に対しましても経営者側に対しましても、同じ態度で臨むべきであるということについては、お説の通りでございまして、この点は一点も疑いをいれぬのでありまするが、犯罪の状況の判断というものにつきましては、説があるのです。ことに器物毀棄云々の問題は、これは道路運送車両法にかかりますることはもちろん問題ございませんけれども、自分のものといいますか、会社の所有にかかわるものを会社に頼まれて取りはずすということであって、これは器物毀棄で論議するのはどうかという見解を持っております。
#40
○大貫委員 自分のものだって横領罪が成立することだってあるでしょう。いろいろありますよ。自分のものだからというても、公けにちゃんと法律でもって取りはずした者は処罰をされるようにちゃんと車両法でもきめられておるのですから、それを幾ら自分のものだからというて、勝手に取りはずすことかできないことは、たとえば自分のものなら家を焼いたらどうですか、自分の家だから勝手に燃してよいという理屈にならぬでしょう、同じことです。だからやはり自分の家だって放火すれは放火の罪が成立するのです。自分の所有物を焼いたからといったって、自分の家を焼いたから放火罪にならぬということにはなりませんよ。自分の自動車でもって――勝手に個人がつけるのではなくて、ちゃんと法律の規定に基いて備えつけるようになっているのを勝手に取りはずすということは、器物毀棄になります。そういう法律上の見解は別といたしましても、その状況の判断からいたしまして、どうしても私どもの見たところからすれば、あれだけの人間が集まってあれだけ騒いであれだけめちゃくちゃなことをやって――逆に労働組合がやったとして、ごらんなさい。必ず何かやるでしょう。そこがやはり使用者側については非常に寛大である、労働者側については非常に峻厳である、こういうふうな印象を――労働組合だけではありませんよ、あの状況を見た近所の人はみなそう思いますよ。もう少しその点は御研究を願いたいと思うのです。
 それからもう一つ、暴行をいろいろされたことについて、このメトロの組合ではありませんけれども、総評の太田議長から公社側の社長や係長というような者に対して告発状が出ております。これに対して、聞くところによると、ほとんど捜査をしておられないように聞いているのですが、どうなんでしょうか。
#41
○江口説明員 会社側を含めまして、ナンバー・プレートの取りはずしその他このときの事柄について捜査したことは事実でございますが、告発状が出ておるということは、ただいま私承知いたしておりません。
#42
○大貫委員 それでは、告発状ではなくても、警察が別な捜査をしたとして、会社側の者は全く嫌疑がないという態度をとっているのでしょうか。
#43
○江口説明員 会社側につきましても、ただいま申しうけた通り、その晩の会社の行動について違法なことがないかどうかということの取調べはやったわけでございます。現に道路運送車両法の違反はあるものとして、これは処置をいたしておるのであります。なお、くぎを打ちつけた事件が不法監禁になるかどうかというような問題、あるいは暴行について教唆があったかどうかというようなことについてもそれぞれ捜査はいたしたわけでございますが、この点については問疑できないという結論であります。
#44
○大貫委員 それはどうも私は奇怪しごくだと思うのです。大体教唆なんていうなまやさしいものではなくて、むしろ会社側が共同正犯だと思う。もっともあなた方は単純な傷害罪として問疑しようとしておるのでありますが、暴力行為事件としてこれを見まする場合に、会社側は共同正犯であります。これは会社側が出している資料に基きますが、こういうものを出しております。「昭和三十四年六月六日、組合の争議行為と会社の対策、事業所閉鎖の実情について」というのを会社側で出しております。これをごらんになっているかどうか知りませんが、それによりますと、いろいろなことが書いてあります。共同正犯であることを、共犯であることを裏づける証拠となるようなものがたくさんあります。たとえば「組合員の抵抗を排除し、」云々というようなことがあります。「ナンバー・プレートを取外すことを主眼とし、出来得れば車両の走行を停止せしめる措置を講ずる事(車両パンク等)この作業の為、カジヤ等工具を用意する。」そして、組合員の抵抗を排除するのだ、こう言っておる。もっとも組合員の抵抗を排除するということに対して、申しわけばかりに、「暴力は使わぬこと」となっておりますけれども、しからば一体何によって抵抗を排除するのか。暴力は使わぬことと言ってみたところで、それは申しわけにしかすぎない。問題か起ったときに警察に言い開きをしようという子供だましのことにしかすぎないのであります。要するに、組合員の抵抗を排除するという陰には、少くとも暴力を使うという意味がある。それに基いてあの通り人夫があばれておる。しかも、警察ではまたそういう事実はないとおっしゃるのかどうか知らぬけれども、現場に来合せた係長が、あれも組合員だ、これも組合員だということを人夫にいろいろ指揮をした形跡が私どもの調査ではっきりいたしております。そういう事実から見ましても、これはりっぱな教唆なんというよりも共同正犯です。しかもこういうことを言っている。「その時、仮眠室側面は窓ガラスからの脱出を防ぐため、ヌキ板数枚を釘付けしてあり、内側の組合員がガラス窓を突き破っていた。」云々、これは脱出を防ぐために板でもってくぎづけしたというのです。りっぱな不法監禁になると思うのですよ。こういう点についても、さっぱりどうも調べておらないようなのです。警察はどういう考えなのでしょうか。もう一度一つ明確にお答えを願いたい。
#45
○江口説明員 不法監禁になるかどうかということについての捜査でありますが、聞くところによりますと、裏の方からは出られる状態であるということ、及び表の方のくぎづけも現にそこを破って出たようなこともありまして、その状況からして不法監禁として結論づけるまでに至らなかったということであります。
#46
○大貫委員 威力を示して脱出できないような状況にかりに一時的にも置くことが不法監禁だと思う。くぎづけにした、なるほど破って出られたと思う、しかしそこにホースでもって水をぶっかけ、出てくるものをぶんなぐる、こういうことをやっておる。もし公平に見ようとするならば、疑いもなくりっぱな不法監禁になるのですよ。これがならぬという感覚がどうしてもわれわれには納得がいかない。警察と経営者側との連絡、通謀というものがあるのではないかという疑いを持つのはそういう点なんです。それでもあなた方はごらんになって公平だと思いますか。片方だけの報告を聞いて、警察の処置がそれでも妥当だと思われますか。その見解を一つ伺いたい。
#47
○柏村説明員 メトロ交通の争議事件は非常に遺憾な事態であると私も思います。また会社がああいうような措置をとったということが、きわめてとっぴなことであったということも考えられないことはないと思うのであります。従いまして、警察庁といたしましても、ただいま大貫委員のお話のように、暴力行為等処罰に関する法律違反という容疑をもって取調べを進める、しかしながら御承知のように証拠というものが法律の規定に従って確立せられぬ限り問疑しにくいということでありしまして、これを傷害罪で送らざるを得ないという状況になっておるわけであります。またその不法監禁の問題につきましても、その容疑をもって取調べをいたしたわけでありますが、ただいま警備局長の御説明申し上げましたような状況において、確たる証拠としてこれを問疑するわけに参らぬということからこの点は不問にしておるという状況でございます。また組合側としても、破って出て参りまして、その間に人夫と組合員との間に乱闘状態が起って、双方にけが人を出しておるという状況でございます。非常に遺憾な事件でございますが、警視庁としましては、公正な立場に立って捜査を続行したものと私は考えておるわけでございまして、決して会社側だけに立つとか、あるいは会社側と連絡をとるというようなことによって、警察が動いておるということは絶対ないというふうに私は確信いたしておるわけであります。ただ事件をどういうふうに処理するかということは、純粋に捜査の技術上の問題として警視庁が今までとって参った措置はやむを得なかったものではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
#48
○大貫委員 結局、見解の相違のような格好になってしまいましたが、先ほど申し上げましたように、組合側の方から会社側を相手にして告発をいたしております。これはまた報告を受けていないというふうな先ほどの答弁でありましたが、これには暴力行為等処罰に関する法律違反として十分逮捕できるような証拠をうんとそろえてありますから、これをよくお調べ願いたい。公平におやりになるのならば、組合側の出した証拠についても十二分なるお調べを願いたい。
#49
○柏村説明員 警察といたしましては、今まで申し上げましたような捜査の経過をたどって参ったわけでありますが、今報告によりますと、総評の太田議長から地検に対して告発が行われておるということでありまして、もちろん告発がありました以上、その告発に基いて当然に捜査が進められるものと考えておる次第であります。
#50
○大貫委員 地検に出してありますけれども、しかし少くとも公平な見地に立って捜査に協力をしていただきたいと思うのです。そういうことを希望して私は終ります。
#51
○坂本委員 どうもメトロの問題で私が不審にたえないのは、先ほど来大貫委員から質問がありましたように、なぐり込みは周知の事実なんです。あそこの近所には同潤会のアパートがありますが、近所の人が見ております。ああいうひどいことをして、それで一人逃げ出したのが一一〇番にどっかそこらの電話を借りてかけた。そうしたら普通四、五分で来るのが二十五分もおくれて警察が来た。しかしながら、あれだけけが人が出て、ホースを使う、抜け出るやつを、こいつは組合員だということを会社側が言うと、暴力団がそれをなぐる、ける。これは写真もありますけれども、全く悲惨な状態でした。そういうものを捜査するのに、一人も暴力団を逮捕せずに調べておるというところに、私たちは非常な不審がある。また争議の場合は、さっきの「主婦と生活」のあすこの問題なんかは、単に不退去罪で逮捕しておるじゃないですか。業務妨害罪になる、ならぬで逮捕して調べておるでしょう。暴力団が会社と一緒になって来てやった事件を、単に傷害罪だけじゃないでしょう。共謀、共同正犯であり、あるいは暴力行為処罰法違反であり、あるいは監禁であります。四つもの犯罪が一緒になっている。その首謀者をあなたは検挙もせずに、逮捕もせずに調べておる。長官、どう思うんです。いいですか、労働争議の場合は、組合に対しては何でもないことを逮捕して調べておるでしょう。暴力団に対しては、拱手傍観しておるという状態なんですよ。これは同潤会のあのあたりの方に聞いてごらんなさい。それを逮捕もせずに、調べました、そういう事実はありませんなんて、それが日本の警察権ですか。だから、会社と一緒になった暴力団は何でもかまわぬからといってどんどんこれからやってくる。非常な決意を持ってこれをやってもらわなきゃいかぬ。いいですか、生産手段は、それは使用者側にもあるだろうけれども、労働者がおるから生産が上るじゃないですか。その生活権の改善のためやっている労働争議に対して、会社側が暴力団を雇ってどんどん攻め立ててくるのに対して、共同謀議はどうでございましょう、不法監禁はどうでございましょうなんて、四つもあげられるような罪名があるのを逮捕もせずに調べるところに非常に不信感があるんです。どうして逮捕もせずに調べられたか。その点を最後に私は一つお聞きしたい。
#52
○柏村説明員 先ほど来申し上げておりますように、警視庁としては筋道を立てて捜査を進めたものと私は思っております。まずこの事件の直後におきまして、八十八名の者を任意同行を求めて取り調べをいたし、三名の者を逮捕しておるというような状況でございまして、それが警視庁の捜査当局として捜査上必要な方法と考えてやったものであり、それで十分に事情を調べ得るという判断のもとにやったものとわれわれは理解しておるわけであります。
#53
○坂本委員 とにかくそういう弁護をされるから、なおさら会社側は暴力団の弁護をするのが警察ではないかと思っている。われわれは非常に不信にたえないです。ですから、これは十分今後もやって下さいよ。どんどんたくさんの中小企業のストライキがある。現在のような経済機構の行き方では労働争議はこれはもう必然ですよ。この際にはやはり警察は人権を守らなければならぬ、生活を擁護しなければならぬですよ。断じて、警察権の権力の行き過ぎで、一方を擁護して、働く労働者を押えつけないように、また問題が起きたならば、暴力団だろうが何だろうが、――われわれは、暴力団がこういう争議に入ってくるのは非常に悲しむべき状態だと思う。だから、警察に信頼するよりほか今はないでしょう。だから、この点は、私、先ほど発言をお願いしたわけですが、今後公平にやってもらいたいことを要望しておきます。
#54
○瀬戸山委員長 井伊誠一君。
#55
○井伊委員 私は、愛媛県の伊予郡松前町にありますところの、警察官の宿舎になっておりますいわゆる古川寮、そのものについての数点のお尋ねをしたいのであります。
 この建物は古川シンヨという人が、昭和十五年にその子供を水死で失った際に、いち警察官が非常な親切な取扱いをしたことに対して感激を覚えて、警察というものに対する大いに親しいところの気持を持つようになり、これに協力をする気持で、数百万円の金を投じて、これを建設して、その上でこれを警察の方に寄付をしたところの建物であって、そのものは昭和三十一年にできたのでありますが、これによりまして警察官の独身者の人々あるいは家庭を持っておる人でも、十数人の人がここのところに常に生活をいたしておりまして、そうして非常な至便と感謝をせられておったところの建物であります。その当時におきましては、警察の方においては非常にこれを感謝いたしまして、その落成式のときなどには非常な感激を持っての謝辞が述べられ、またその好意については非常に奇特なことであるというので、政府から紺綬褒章を受けるというようなことまであったところのものであります。ところが、今日になりますと、その建物が全然使われないようになりまして、すでに去年の七月末のころにおいては、そこに人が全然入っていない、使用されていない。また、その所の設備などもみな――電灯の設備などというものは取りはずされてしまったし、それから、この功労を賞して記念するところの記念碑のようなものは、警察の方でみな機械で取り上げて、重信川のあたりに持っていって、草むらの中に投げてしまっておるというようなことでありますから、全くその建物というものは巨大な建物そのものを残しているだけであって、全然使用していないようなことに相なっておるのであります。こういうことになりましたところの事情と、どういうわけでそういうふうにしてしまったものであるかということについての警察の方での事情を、一つお聞きしたいのであります。これは警察庁長官から一つお願いしたいと思います。
#56
○柏村説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、大体の筋道はお話の通りでございますか、古川さんという方がだたいまお話にもありましたように、かわいいお子さんをなくされた、そのときに警察官が救助作業に身を挺して当ったということから非常に警察に好意を持たれ、御協力をずっと続けていただいておったわけでございます。ところが、昭和三十年の十月になりまして――当時は非常に警察官の住宅難の時代でございます。現在でもまだ住宅難は解消しておりませんが、――そういう状況に対して、古川さんはこれを非常に気の毒に思っていただきまして、伊予警察署長をたずねて住宅の寄付をお申し入れになり、その後も再三そういう申し入れを続けられましたので、昭和三十一年の三月に多額の建設費をみずからお出しになって、今お話のような寮を建築され、そうして伊予の署員の待機寮として寄付をされたわけでありまして、警察としてもありがたくこれを受領いたしたわけであります。その功労によりまして、三十一年の十二月に紺綬褒章を授与されておりますことはただいまお話の通りでございます。ところが、その後になりまして、古川さんのお宅に下宿しておりました巡査が、病弱であるということで、古川さんは伊予署長にこれを配置転換したらいいんじゃないかというお申し出もありまして、これをほかに移すということをもいたしておったような事情がその間にございます。ところが、いろいろ紆余曲折があったようでございますが、警察の方におきましても、あるいは誤解を受けるようなこともあったのではないかと思うのでございますが、今の前々任の本部長が異動いたしまして、ほかに転勤を命ぜられたその際に、この寮を返還してくれというような申し出が古川さんからあったようでございます。しかし、いろいろ警察において誤解を受けるようなこと、あるいは不行き届きのことがあれば、これは申しわけないが、寮は財団法人にいたしておりますので、そういう点を御了解願って、一応寮としてそのまま存続するように御了承をいただいたわけでありますが、その後さらにまた若干トラブルがございまして、とうとう三十三年の六月にこの財団法人古川寮というものを解散をいたしまして、古川さんにお返しせざるを得ないという状況に相なったわけでございます。そういう状況でございまして、現在お返しした寮でございますので、警察官はもちろんそこに住む権利もございませんので、そのままにいたされておる。非常に残念な状況でございますが、私が現在承知いたしておりまする経過というものはそういう状況でございます。
#57
○井伊委員 現在財団法人古川寮というものを解散する決議を出しておるようでありますが、そのために結局この建物を使用することができない。こういうような御説明ですが、それならば財団法人の古川寮というものを解散しなければならないという事情はどういうことであるのか、これはただいま御説明になりまする財団法人としての取扱いの前に、事実の問題として警察がさきに感謝をして受け取り、かつほんとうに喜んで利用しておったところのものをどうしてやめなければならぬか、それがおそらくは財団法人解散の理由というものになると思のでありますが、その点を一つ説明を願いたい。
#58
○柏村説明員 ただいまも申し上げましたように、非常にありがたくお受けしたものでございますが、その後上田本部長の異動が発令されましたあと、本部長が転勤すれば寮は返してもらわなければならぬというようなお申し出がございまして、そのときには先ほど申し上げましたように、財団法人の所有であるので、点ちに返還することもできないので、いろいろと事情を御説明いたしまして納得をいただいたわけでありますが、その後もなお古川さんとの間にいろいろと事情がございまして、ついに先ほど申し上げましたように、三十三年の六月に解散をいたして返還をするということになったと私は報告を受けておるわけでございます。
#59
○井伊委員 上田本部長が転勤をせられるからは、そのまま返してもらわなければならぬといようなことがあり得るわけがない。財団法人としてその目的が掲げられておるのであります。「集団的警察力を保有し伊予警察署各種警察事犯の取締に即応するために必要なる人員を合宿訓練する施策の建設、その維持管理を後援する。」というのがこの財団法人の目的であります。ちょうど上田氏が県の警察本部長でおられるときにこの寄付行為はなされたのでありますから、上田氏との縁は深いのでありますけれども、本部長が大阪府の本部長に栄転されると、それで愛媛県との縁が事実上切れるかもしれませんけれども、この目的は警察そのものに関係があるのであって、何も上田氏がおられなければ寄付を取りやめる、この建物を撤回しなければならないというような事情が起きょうはずはないのであります。これは、実を申せば、これを利用するところの若い人たちは、寄付者のほんとうの心得というものをあまり感じてはいない、便利なことだけは非常に感じておりますけれども、その心持というようなものは本部長ほど感じていない。警察当局の人たちのようには感じていない。その結果は、その中にこの寮を付したというだけでなく――古川シンコその人が、若いところの警察官のほんとうの親となって、そうして何くれとなく世話をしておったのでありますが、その間に多少世話をするところの厚薄はあったでありましょう。そういうことが内部の一つの恨みというか、そういうようなものとなって、実に評し得ないところの行動をたんたんやってきた。最も激しいことは、そのうちの、人の警察官と老人であるところの厚意ある寄付者とが何か関係があるようなことを言いふらすというような事態にまでなってきたのであります。それでありまするから、この内部は非常に秩序が乱れて、勝手ほうだいなことをし出したのでありまして、寄付者の心待というものが少しもくみ取られない。実際は、この古川寮建設後援会の理事になっておるところの人たち、上田明中岡寿、小石六郎、岡添貞義、それから伊予警察署長である田中岩夫、こういうような人たちは、これは心配しておったでありましょうけれども、下の方の、実際使っておるところの者は、このことについては少しも感謝をしていない。しまいには勝手ほうだいに、物は粗末にする、そしててんてんに人のことを言い合ったり、言いふらしたりしておる。寄付者に対して名誉を毀損するようなことまで言い立てるようにまでなってきた。ここで古川氏が頼みに思ったものは、上田本部長であります。その人が行ってしまわれるとき、このあとは一体どういうふうにしてこの寮を維持していくつもりか、寄付したときの心持は、警察に感謝し、そして自分のなくなった子供の冥福を祈るというようなことで、これは寄付されておるのです。ところが、こういうような乱脈なことになってくるとどうなるかということのために、上田氏に対してその裏情を訴えて、そうしてそのあとのことを、つよく教えてもらいたいという、そういう願いをかけたわけであります。上田氏はこれに対して非常に苦慮をされまして、今までやりましたところの警察官十数名に対して、やはり古川氏に対するなだめの気持があったものか、始末書を徴せられたわけです。実はその始末書は心から申しわけなかったというようなことではなしに、実際はいやいやながら、上の方から言われるから出すというようなことで、このことが行われたものらしい。その場限りのものであったらしい。そのうちの一人の人は、実は自分は署名も捺印もしていないということがまだ明らかになったわけであります。そういう誠意のない始末書のようなものを自分がもらったところで、これは一体どうなるのか、誠意が実に疑わしいということを言ったのか、結局上田氏が大阪に行かれた後でありますから、問題が非常におかしくなってきて、その中間におられる人たちは、そういうことならもうこれはどうにもこうにもならぬからというので、陳謝をいたしまして、またそこでほんとうの、正式の始末書を出すというような、そういうことが争われたわけであります。しかし上田氏がいなくなったということによって、その後は実は、やかましいばあさんであるというようなことで、このことは少しも静まらない。それからというものは、いよいよばりざんぼう、悪口を飛ばして、ある場合にはこの人のところに乱暴をするというよう者が出てきたのであります。この事実は、今述べられますところの、報告によるものでありましょうが、そういうものとは違うのであります。こういうふうにして下の方においては、なに上田本部長がおるからこそ使ってやるんだ、静かにしていてやるんだ、本部長がいなくなれば、あんなものは、使うけれども、何もばあさんに悪謝する必要はない、あれは結局財団法人のものじゃないかというような気持が、この事件をだんだん悪化せしめ、そうしてこの始末はあちらへいき、こちらへいき、正しい道に戻そうとしておる寄付者の願いというものとは違って、とうとう去年あたりにおいては、その結末は今おっしゃるような――これは上田氏がいなくなったから、すなわちこの財団法人は今返さなければならない、そこで解散をした、こういうことに報吉はなっておるようでありますけれども、実際はそういうわけではありません。このことに対しましては、ある場合にはあまりこの寄付者がその点についてたんたん重なるところのその不誠意というものに対していきり立っていくあまりに、下の方の者から言いつけて、そしてそのうちの一人の警官の父親が、この者に対して殺してくれると言って刺身ぼうちょうを持ち出して、そうして暴れ回って傷害を与えておるような一件も起きてきておるわけであります。こういうようなことにつきましては、報告はありませんでしょうか、御存じないのでしょうか。
#60
○瀬戸山委員長 速記をやめて
    〔速記中止〕
#61
○瀬戸山委員長 速記を始めて。
#62
○柏村説明員 ただいまお話の、ある人問が古川さんに対して脅迫、傷害を与えたという事実は報告を受けておりまして、これにつきましては古川さんはむしろ処罰ということに対する方向というよりも、その人間が心から陳謝すればよいというふうなお気持であったようでございまして、被害届出等についても古川さんはお出しにならなかったわけでありますが、警察といたしましては、そういうお一人だけの間の問題ではないという見地から、脅迫傷害で送致をいたしまして、罰金刑に処せられておる事案はございます。この点は承知をいたしておるわけです。
 なおこの件につきまして今るる井伊委員からお話がございまして、私も承知していなかった問題もずいぶん今お聞きしたわけでございます。非常な好意をもって寄付されたその気持が十分にくまれないで、寄付者が非常に憤慨をされるということは当然起り得ることでありましょうし、そうした特別の好意をもって寄附されたという好意に対しては、ほんとうに報恩感謝の気を持って寄付者の気持をそんたくして、十分に活用すべきものであると私は考えます。ただ事実、私聞いております点だけをただいま申し上げたような次第でございまして、なおこの点につきましても、足りない点はさらに調査をいたしてみたいと考えるわけでございます。
#63
○井伊委員 その事情にについては、そういうこともあるのでありますが、事実最後に至って今それが財団法人古川寮の建設後援会、このものが解散の決議をいたしておるのです。解散決議をいたしておりまして、その解散決議をする前に、やはりもと関係してこの問題についてはほんとうに感謝をもってその衝に当るような理事の人たちは、まずもってその理事の職を辞任いたしております。辞任しておりまして、新たなる四人の理事が加わって、そして元の理事が一人だけ残っております。そうしてこういうような決議をいたしておりますが、もう一人古川シンヨその人が理事であります。この人に対しては何らの相談も、会議のあることも知らせてはいないのでありまして、そしてこの理事をまず補充をいたしておるのであります。ということは、これは私は民法上の規定からいっても違法であると考えております。というのは、この寄付行為の中には、理事の選任の問題については規定がないのであります。その寄付者がこれをきめるべきものである。ところが寄付者その人は理事の一人でありますが、この人には全然会議のあることを知らせていません。そうして岡添貞義、その人が元の理事でありまして、同時に同じ日にほかに今度根本祐彦、酒井甲子郎、田所秋義、河野竜、そういう人たちが新たに就任しております。そしておそらく解散をするなどという必要はなかったからでありますが、今まで解散の事由というのは何も規定がないのです。登記はもちろんしてないのです。それを今度解散事由というものを加えているのであります。それから日をおきまして、解散の事由が発生したということにして、そして解散決議を新しい理事でもってやっております。この場合においても、理事の一人である寄付者古川シンヨという人に全然通知しておりません。全然知らない。そういうふうにして解散事由というものも加え、しまいに解散をしております。そして清算に入って、二人の理事が清算人になって――これは解散決議に基いてあと清算人が清算をしておるということになっておるのでありますが、その結果が結局閉鎖をしておる、こう見るのであります。全然初めから違法なことをしておるのでございます。今の理事というのは警察官でありますが、こういう人たちが、事は宿泊するような下僚警察官から起きたにいたしましても、さらに上の人たちがこういう違法な手続までやってこれを片づけてしまおうとしたということに非常な間違いがある、私はこう考えるのでありますが、この点はいかがお考えになりますか。
#64
○柏村説明員 私どもただいま申し上げましたような事情だけ知っておるわけでございますので、さらに詳細に事情を調べた上でないと、現地の事情もいろいろあると思いますので、今のお話だけで私責任を持ってここでお答えはしにくいと思います。いずれよく調査を遂げてみたいと思います。
#65
○井伊委員 事実これは登記の上に明らかになっておることでありますから、ぜひ御調査を願わなければなりませんが、これは明らかである、それ以外のことは何もどこにもない。解散事由というのは加えておりますけれども、果してその解散事由というのは何のためにあるのかということも私はわからない。組織自体もこれは問題である、この解散をし、清算に入ったということは無効のものであると私は考えております。これはお調べを願いたいと思います。こうして過ちの起きたものを、しまいになって今度は有能な人たちが集まって、そして手をかえてこんなことまでしなければならぬということは、いよいよ初めの古川シンヨという人が寄付をいたしましたその好意というものをむざんにもくつがえしてしまうということになっておるのみならず、警察官がそういうことをするということで、実は初めの警察のあり方というものはこうあるものだと思って感激しておったものが、全然違ったところにいってしまう。下の者ばかりでなくて、上の者もこういうことをして、一人の好意ある寄付者をかようにしてたたきのめすということについて、寄付者は容易ならぬ考えを持っておるわけであります。警察庁長官はこの財団法人にとっては主管者であり、いわゆる上級官庁であります。そういうことでありますので、これは一体どういうふうにして処理をなさるのでありましょうか、これで済んでしまっておるのだというお考えでありましょうか、いかがでありますか。
#66
○柏村説明員 私先ほどお答え申し上げましたように、きょうまではそういうことで済んでおるものと考えておりましたが、今お話を承わりますればまだいろいろ複雑な事情もございますようですから、よく現地の実情についても調査をいたし、適当な措置をとるように指導いたしたいと思います。これはもちろん県限りの問題でございまして、警察庁が差し出がましく出ていくべき筋のものとは思いませんが、世間の誤解を招くようなことにでもなりますれば非常に問題点がありますので、私もよく調査をいたして、その上で措置についても連絡をとっていきたいというふうに考えておる次第であります。
#67
○井伊委員 このことにつきまして、この経過のうちで古川シンヨ、この人は自分の誠意が通らない、警察がだんだん日を追ってそういうふうにして、まあこの事件をやみからやみに持っていってしまおうということについて、方々に援助の手を求めておったわけでありますが、このことについて法務局の人権擁護課長に事情を打ちあけて、人権が侵害されておるという点についての救いを求めたという事実があります。そのときにおきましては、かようにいたしまして同人が財団法人解散のときに、たまたま何か判をくれとか、文書を持ってきては判をつかせるようなことをし、それがためにはずいぶん警察官が同人に脅迫がましいことを言ってみたり、手を持って押えたり、圧迫を加えておる。そういうふうにして判をつくようにというようなことがある。前の罰金刑になりましたこともあわせて訴えておるわけでありますが、そのときにどういう処置をとられたのか、これは人権擁護局の方から、これにとった方法についてお聞きしたいと思うのですが、おわかりでありましたら述べられたい。
#68
○鈴木説明員 この件につきましては、本省の方に報告がございませんので、松山地方法務局の人権擁護課におきましては、古川さんに対する法律相談で処理をいたしておったようであります。申告の内容は、大体先ほど御説明のあった通りであると思うのであります。まず古川さんがアメリカから相当の財産を持ってお帰りになりまして、そうして一人むすこさんを水難故でなくした際の警察官の態度に感激されまして、昭和三十一年に松前町に財団法人の警察署宿舎を建設されたという事実、その後多数の警察官がそこに居住いたしましていろいろ世話を受け、恩恵をこうむっておったという事実、それからある特定の警察官のめんどうをみておられまして、衣類その他オーバー等十万円以上のものをこの警察官に贈り、かつ本部長に対しましても、本部に転勤するように世話をした。ところがこのある警察官は本部に転勤後はあいさつ状一つよこさないというので、本部に行ってその特定警察官の態度を難詰したという事実、ところがその特定警察官の父親がその難詰した行為に対しまして文句を言い、かつ暴力を振ってほうちょうなどを突きつけられたという事実、ところが警察ではこの事実を取り上げようとしない。またこの古川寮の居住者に対して、この好意ある寄付による宿舎に対して丁重に住むと申しますか、この寮を大切にするという気持も見られないというので、自分としてはむすこの冥福を祈る気持で建てただけに、現在のこの警察官の古川寮に対する態度から見ると先が案じられる。かつこの古川寮の理事たちは、特に本部長なんかは理事となっておるようでありますが、この理事たちは自分に寮を返すというけれども、個人で持っておっては税金で倒れる、非常にこの点は心配だ、どうしたらよいかというふうな相談があったということは事実であります。これに対しまして、松山地方法務局の人権擁護課では次のような法律助言をしております。この警察官等の――本部長も含めた意味でありましょう、――警察官等の行為は道義的には責められると思うけれども、申告者と申しますか、古川さんの意図が賠償といいますか、代償を目的としていないものであるだけに、法律上の責任追及は困難ではなかろうか。第一点では、暴行についてはもし警察で取り上げないならば、検察庁へでも告訴されてはどうであろうか、しかし、できるならば話し合いで解決されてはどうか。それから第三番目には、寮の管理は運営のいかんで改善できるように考えられるが、財団法人の寄付行為の定めるところによって処分することができるが、これもお考えになってはどうか、こういうふうな点を一つの助言と申しますか、法律助言をして処理しておるようであります。現在から見ますると、松山地方法務局の人権擁護課のとりました態度は、やや上すべりのような法律助言をしているようでありますが、現在から申しますともう少し突っ込んで中へ入って警察署ともよく渡りをつけ、そして中に入って古川さんがある程度満足されるような処置のあっせんでもしておればと私は現在こう思うのであります。大体このような事実の報告を現在受けております。
#69
○井伊委員 こういうことは、中間のことがすでに大いなる誤まりでありますが、さらに警察の方は体裁よく解散をしてしまってそのままにしておくというようなことであって、悪いことをまた重ねておるようなことであります。まあこれはお調べいただくということになって、まだきまりませんけれども、しかし、本来寄付者はそういうふうにされることを希望しておるのではありません。やはりこれは従来通りそのままおさめておいて、ほんとうの寄付者の心持をもってこれを使っていってもらうということを希望しておるわけです。これは中間の警察の人たちが互いに責任を回避するようにして文書の上で処理してしまったようでありますけれども、これはほんとうに寄付者の真意でありません。これを何とか真意が通るように一つ警察の側においてこれを扱ってもらいたかったということが真意であります。このことについて長官から、いかがでありましょうか。
#70
○柏村説明員 確かにあれだけの私財をなげうって警察のために好意を示していただいたわけでありますから、おそらくそういうことが真実ではないかと思います。私も先ほど来申し上げておりますように、また警察としても、返してくれというようなことがあったからといって、それじゃ返しますというようなことで解散して返すというようなことは、そうやすやすとできる筋のものではないと私は思うので、やはり警察には警察内にまた何か事情があったかとも思いますが、その点は私もまた詳細調べておりませんので、ただいま井伊委員からのお話をよく承わったわけでございまして、よく実情を調査して、できるだけそうした御趣旨に沿うような方向で検討してみたいというふうに考える次第でございます。
#71
○瀬戸山委員長 本日はこの程度で散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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