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1959/09/17 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 農林水産委員会農業法人等に関する調査小委員会 第2号
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1959/09/17 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 農林水産委員会農業法人等に関する調査小委員会 第2号

#1
第032回国会 農林水産委員会農業法人等に関する調査小委員会 第2号
昭和三十四年九月十七日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席小委員
   小委員長 高石幸三郎君
      秋山 利恭君    金丸  信君
      野原 正勝君    足鹿  覺君
      角屋堅次郎君    中村 時雄君
      芳賀  貢君
 小委員外の出席者
   農林水産委員長 吉川 久衛君
        議     員 松岡嘉兵衛君
        議     員 松田 鐵藏君
        議     員 赤路 友藏君
        議     員 松浦 定義君
        農林事務官
        (農林経済局農
        業協同組合部
        長)      酒折 武弘君
        農林事務官
        (農地局管理部
        長)      庄野五一郎君
        参  考  人
        (立間農業協同
        組合長)    西山  茂君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
九月十一日
 小委員金子岩三君八月二十四日委員辞任につき、
 その補欠として金子岩三君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員芳賀貢君同日小委員辞任につき、その補
 欠として角屋堅次郎君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
同月十七日
 小委員石田宥全君同日小委員辞任につき、その
 補欠として芳賀貢君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同日
 小委員中澤茂一君同日小委員辞任につき、その
 補欠として中村時雄君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業法人に関する件
     ―――――・―――――
#2
○高石小委員長 これより農業法人等に関する調査小委員会を開会いたします。
 本日は農業法人問題について参考人より意見を聴取することにいたしております。御出席の参考人は、立間農業協同組合長、西山茂君であります。
 参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用のところわざわざ御出席いただきまして、まことにありがとう存じます。厚くお礼を申し上げる次第であります。実は、農業法人問題の発生については、御承知のことと思いますが、その発端が税金上の問題からでありましたが、本委員会におきましては、この問題は、農業の生産性の向上と経営の近代的合理化を目ざす農民の創意と努力の現われであるという考えに立ち、また、劣悪な条件のもとに放置されておりまする農業の現状を近代産業の水準まで引き上げる一つの方途といたしまして農業政策上はもちろん、国民経済上からしてもこれが育成に努めなければならないという考えのもとに調査研究を重ねて参りました。先般も、委員会の決議といたしまして農業法人の法制化の方針を打ち出したのであります。立間農業におきましては、すでに共同化も相当に進み、模範的な組合であるとの定評を聞き及んでおりますが、今回農協指導のもとに法人設立に発展したいきさつ、その背景等、現地の実情について、また、農民指導の実際家としての西山参考人の法人問題に関する今日までの研究、実践の一端をお聞かせ願いたいと存ずる次第であります。どうぞ忌憚のない御意見をお願い申し上げます。
 それでは、さっそく西山参考人に御発言を願います。
#3
○西山参考人 ただいま御紹介にあずかりました愛媛県の立間農業協同組合の組合長の西山でございます。
 私たちは、現在行き詰まっております農業経営をどのようにして解決していこうか、そうした考え方に基礎を置きまして現在やむにやまれない気持から農業法人の問題を推進しておるのでございますが、本委員会におきましてその問題を取り上げていただき、私を参考人にお呼びいただきまして、なおかつ発言の機会を許していただきましたことを、無上の光栄に存じますると同時に、心から感謝をいたしておる次第であります。この農業法人に対する基本的な考え方、あるいはまた、現在行なっております事柄の概要につきましては、お手元の方に若干プリントとして差し上げておるわけでございますが、時間を急ぎました関係で十分な校正ができておりません。中に若干ミスプリントもあるかと思いますが、あしからずお許しをいただきたいと思うのでございます。
 発言を許していただきましたこの機会に、その概要を申し上げたいと思うのでございますが、現今、特産農業が非常に推進をされまして、果樹、特に柑橘の増植面積は実に膨大なものがあるのでございます。近い将来、これから生産される果実の量は、国民経済の今後の発展を考慮の中に入れましても、市場価格を大幅に引き下げてくるということが予想されますと同時に、果樹産業に永遠の生命を持たしていくというためには、少くとも、お互い生産者がより安いくだものを作り、しかもそれを安い価格において消費者に提供をするということを考えなくてはならないと思います。そういたしますと、必然的に、今後より近代化された、しかも高度の農業経営を行うということがそうした意味において当然必要である、かように私どもは考えておるわけでございます。なおまた、今後世界農業の一環としての日本農業の置かれております立場と、今後の発展を考えましたときに、現在個人を中心として行なっております農業経営につきましては多くの問題点がある、かように考えておるのでございます。特に資本力が乏しくて、高度な生産装備を欲しながらもそれを十分に消化することができない現在の零細規模経営におきましては、少くとも日本農業の発展を阻害する宿命的な要因ではないか、かように考えておるのでございます。ところが、現実は、そうした悪条件の中におきましてもより生産を上げ得る農業無営を営む必要があるわけでございまして、生産物の販売の面におきましても、国際市場で対等に戦っていくためには、現在以上の高度な機械化による生産コストの低減をはかる必要に迫られておる、かように存じておる次第でございます。
 ところが、現実はどうであるかと申しますと、戦後急速に発展をして参りました近代化農業、すなわち機械化農業が、私の地区では、三輪車を初め、原動機、あるいは動力耕耘機、噴霧機あるいは全地域の電化施設、これに付随するパイプ施設、こうしたものが、三百六十二戸の農家で二億一千万円以上の資本を投入しておるのでございます。この二億一千万円以上の資本装備は、一農家平均いたしますと六十万七千円となるわけでございまして、この多額な生産装備は、現在の農民資本に比較いたしまして、きわめて過大な投資であると同時に、農業経営の上におきまして最も大きな過重負担となっておるということがはっきりと出てくるわけであります。俗に、日本の農村の機械化は機械化貧乏であるというふうに言われておりますが、そうした形を如実に現わしておる、かように私どもは見ておるわけでございます。
 その例を申し上げますと、ミカンの生産費を調査してみますと判然として参るわけでございます。現在、ミカンの一貫目当りの生産費は、生産量が一万貫以上の農家で七十一円五十銭でございます。五千貫から一万貫の農家で八ト円七十銭、五千貫以下の農家では九十七円六十銭と、一貫目のミカンを生産いたしまするに要する経費が上層と下層では二十六円もの差が生まれておる。特に、生産費の較差は、最高百五十八円十銭から最低五十九円二十銭というふうに、実に九十八円九十銭という約三倍近い開きをもっておるわけであります。この生産費の調査は、第一次経費と第二次経費を合算いたしております。第一次経費は直接経費でございます。肥料代とか農薬代、そうしたものでございます。第二次経費は、減価償却あるいは今日まで投資をいたしました投資に対する利潤、なおまた、自家労働力を、一時間五十円、八時間労働で一日四百円、しかも年間二百五十日という労働日数で計算いたしておるのでございます。ところが、昨年の温州ミカンの価格は平均いたしますと九十三円六十銭でございます。そういたしますと、もうすでに五千貫までの階層の生産費はこの価格を大幅に上回っておるわけでございます。生産費が価格を上回るということは、現在の農業経営ではすでに経営上の利益は一切出ておらない、五千貫までの階層の農家は農業経営としての利益は一切出ておらないというわけでございます。従いまして、そうした農家は、今日の段階におきましては、果樹園も農具も農舎も完全に売り払いまして、毎日弁当を下げて四百円の日傭取りに二百五十日出て行く方が、むしろ農業経営をやるよりは有利だ、こういうようなきわめて危険な段階に追い込められておるということが計数的にはっきりと出て参るわけでございます。
 こうしたことで、今申し上げました今日までにおきます生産装備に対する過大な投資というものが非常に災いしておる。たとえば、一万貫の階層が三十万円の三輪車を買いますのと、五千貫のミカンを作っておる農家が同じ三十万円の三輪車を買いますのとでは、一貫目当りに対するその三十万円の負担というものは、五千貫の農家は一万貫の農家の倍かかって参ります。かりに千貫の農家がこれを買ったといたしますと、実に十倍かかるわけでございます。ところが、戦後の近代化農業、機械化農業というものは、隣が三輪車を買えば、たとい金がなくても自分の家もほしい、人が動力噴霧機を使って薬剤散布をすれば、やはり動力噴霧機を使って薬剤散布がしたい、こうした事柄が現在生産装備が農民資本に比較して非常に過大な投資になっておるという現状を生み出しておる、かように考えております。
 ところが、先ほども申し上げましたような要素から考えますと、こうした農民にさらに多くの生産投資というものを要求される。それをやらなかったら今後の問題が解決されないということになれば、その問題をどういうふうにして解決していったらいいのであろうか。私どもは、そうした問題の解決を、今後少くとも農業経営というものを共同化することによって、経済規模あるいは単位の拡大と適正な生産装備の配置を行なって、生産性の高い近代化農業を行わねばならない、かように考えておるのでございまして、この問題を解決するために、現在農業の共同化法人というものを私どもは考えておるわけでございます。
 第二の問題は、今申し上げましたように、階層別に生産コストが違う。と申し上げます事柄は、ひいては階層分化というものを非常に激しく行なっております。いいものはどこまででもよくなる、悪いものはいつまでたってもよくなってこないのだという階層分化の形を農村に現わしておる、かように私は考えております。かりに三十二年度の私の地区の農地の移動状況を調べてみましても、三反から五反歩の階層が一番多くの農地を手放しております。約一町六反六歩二畝という農地を手放した。五反から一町の階層が九反七畝十五歩、こういうふうに、下層階級ほど多くの農地を手放して、しかも、その農地がどこに買われておるかといいますと、一町五反から二町歩の階層に集中的に買い取られておるのでございます。こうした現在行われております階層分化というものを、何らかの手段によって食いとめていくということをお互いは考えなくてはならないのじゃないか、かように存じております。かつて私の地区は農地改革当時全国で類例を見ない自作地の認定買収を行なったわけでございます。幸か不幸か、私はその当時解放をいたしました自作農の代表者の一人であったわけでございますが、その当時のことをふり返って考えますと、お互い農民でありながら、血で血を洗うような争いを続けてきたわけでございます。そうした渦中におきましてはいかなることを考えましても農民と農村を発展さすような仕事は何らできないわけでございます。そういうようなことに再び農村をしたくないという考え方が私どもの心の中には基本的にあるわけでございます。なおまた、もう一つの問題は、果樹産業が持ちます流通上の特性から、少くともこの階層分化というものを防がなくては、すべての農民の手取りがよくなってこないという問題もあるわけでございまして、これをあわせて私どもはこの共同化法人の姿によって行なってみたい、かように考えておりますのがこの農業法人に対する第二の問題点でございます。
 第三の問題点は、以上申し上げましたようなことを行うということになりますと、最も重要なことは、日本の零細な農業の中に含まれておる過剰労働力の問題でございます。すなわち、全国平均で二戸にほぼ一名あるというふうに言われております農村潜在失業者の問題を解決しなかったなれば、私は、今申し上げましたような事柄の解決はできないのではないか、かように存じておる次第でございます。
 私の地区は比較的耕作規模には恵まれておる地域でございます。約三百六十戸の農家のうちで、耕地が四百町歩ございます。そのうちの三百町歩が果樹園で、五十町歩が白畑、あとの五十町歩が水田、二月平均一町一反程度の耕作面積を持っておるわけでございますが、そういうようなことでございますので、かなりの常雇いと臨時雇いを経営規模の大きい農家はかかえております。ところが、その反面、適正な投下労働力というものを基礎にいたしまして労働力を算定いたしました場合、零細農家の中に非常に多くの潜在失業者的な労働者がおり、これがかなりのむだと階層間の不均衡を生じておるということが言えるわけでございます。数字的に御説明を申し上げますと、三反未満の階層に潜在失業者的な労働力がどの程度あるかと申しますと、九〇・七人でございまして、三反から五反の階層で七五・五人、五反から一町の階層に百五十八名、計三二四・二名という潜在失業者的な労働力を持っておるわけでございます。ところが、一方の経営面積の多い方におきましては、不足労働力が、五反から一町歩の階層に八十三名、一町から一町五反の階層三十七名、一町五反から二町の階層に百二十五名、二町から三町の階層に六十四名、計三百九名という常雇いの不足労働力を持っておるわけでございます。この一方のいわゆる零細農家の方に余っておりますのを、一方で労働力が不足して外村から求めておる階層にうまく振りかえることができるといたしましたならば、非常に大きな効果をもたらしてくる。特に、零細農家の方の潜在失業者的な労働力が現金収入とかわって参りますので、現在生活に非常に苦しんでおる零細農家の現金収入が非常に多くなってくる。約三百人の常雇いを入れておると申しますことは、一人当り約十万かかります。そうすると、約三千万円の金が常雇いを入れるために外村に流れておるわけでございまして、そうした三千万円の金が現在の零細農家のふところに入ってくるということになりますれば、百戸に分けましても一戸の収入が三十万円になってくる。この問題だけでも三十万円の収入をふやすことができる。こうした事柄を今申し上げました共同化法人の姿において解決をしてみたい、かように考えておるわけでございます。
 次に、農協の場から見ました農業法人に対します考え方は、少くとも農業協同組合というものは農民の経済的、社会的地位の向上あるいはまた農業生産力の増進には最大の努力と奉仕をしなければならないはずでございまするので、といたしますると、農業法人が少くとも農業生産の合理化を通して農民個人の所得を高め、結果的には農業生産の経済性を向上させ、立ちおくれております農業の生産構造を改善しようというふうに考えております以上、これを推進すること自体が最も重要な農協運動である、私はかように考えておるわけでございます。このような見地から、私の地区におきましては、農協自体がこれを取り上げ、農協が中心になって推進をいたしまして、現在三百六十二戸の農家が四十一の有限会社に変りまして、これを農協の準組合員としておるわけでございます。ゆえに、農協は今日まで三百六十二戸の力の弱い個々の組合員を母体にして形づくっておったのでございまするが、法人結成後は四十一の共同体の強固なものを基盤とした活動ができる結果になるわけでございまして、従来一部に批判されておりますような、法人化することによって起きると言われております農協の弱体化などはおよそ考えられないのではないか、かように存じておる次第でございます。
 また、現在の農協には運営上多くの問題点を残しております。特に、そのうちで最も大きいものは、ほんとうに資金の要る農民に金が貸せないというのが現在の農協じゃないか、かように思うのでございます。たとえば、甲という農家に五十万円の貸し出しをすることができたなれば、その農家の生活が保障される、あるいは保障されるような営農手段が講ぜられるということがわかっておりながらも、現在の農協の運営の面におきましては、あくまでも個人の信用の度合いによってのみ、定められた制度のワク内の融資以外には認められないわけでございます。きわめて不合理な面があるわけでございます。そうした問題も、共同化法人を行うことにより、生産資金の貸付対象は個人から法人に変り、共同体の法人であるがゆえに貸付のワクも大幅に引き上げて間違いがないわけでございまして営農資金の運用もきわめて順調になり、ほんとうの意味の農協運動の使命が達成できるのではなかろうか、かように存じておるわけでございます。
 このような見地から、共同化法人が農協運動を阻害するのではなく、むしろ、農民のすべてを背負って、立たなくてはならない農協自体がともすると農民の大きな荷物になっておるような農協があること自体に問題があるのではないか、かように考えておるわけでございます。
 最後に、共同化法人を行います場合におきまして当然附帯的に起きて参ります税の問題でございますが、特に資本力が乏しく農業経営そのものに問題点の多い農民といたしましては、常に資本蓄積のために税軽減ということが一貫した、要求であることは当然でございましてこれに対する抜本的な対策は当然必要なことであると同時にきわめて重要な問題である、かように存じておるわけでございます。しかしながら、私の地区の実例は、所得税は年平均いたしまして約一千万円でございます。前述の生産装備に投資しております二億一千万円の地区農民の負担は、金利を年六分といたしましても一千二百万円、耐用年数七年といたしまして減価償却が三千万円、維持費が八百万円といたしまして、合計いたしますると優に五千万円以上の経費が必要でございます。これを共同化法人にすることによりまして、生産装備をかりに一億の線で食いとめることができたと仮定いたしますと、ここに二千五百万円の利益になり、また、効率的に労働配分を先ほども申し上げましたようなことで行うことができたといたしますると、およそ三百人の雇用労働力を地区内において自給することができる、雇用労働力一人十万円といたしましても三千万円の金が地区内に残ってくる、かように考えておるわけでございます。以上の事柄を比較いたしまして考えてみましたときに、私の地区の農業法人化にとりましては、税の問題はあくまでも附帯的な問題として考え、主体を今まで申し上げましたような農業経営の合理化と農民生活の近代化に置いて推進をいたしておる次第でございます。
 以上申し上げました事柄がこの農業法人化に対する基本的な私どもの考え方でございますが、しからば、どういうような形でこの法人を結成したかと申しますと、当初におきましては、法人に耕作権を持たす、いわゆる賃貸借契約を行うことによって会社を形づくりたい、かように考えておったわけでございます。ところが、この方法につきましては、御承知の通りの農地法上の問題点がございまして、この第一案を放棄せざるを得なくなったわけでございます。
 第二に考えましたことは、現在の商法に基いての会社を形づくるのでなくて、農協法に基いてのやり方をやってみたい。たとえば、農協法の六十二条の中に、組合員は組合に対して現物出資ができるという項もございますし、事業の中に、農協は農地を管理することができるという項がございます。こういうような項を主体にいたしまして、会社でなくて小さい組合を作る。十五人以上ございますと組合を作ることは自由でございまするので、小さい組合を作ってこうした問題を解決してみたい、かように考えたのでございまするが、これも、農地法上の問題あるいはまた現在の農協法上の問題点がございまして、放棄をせざるを得ない段階になったわけでございます。
 最終的に私どもが採用いたしました案は、現金を出してまず有限会社を作る、その出資金をもって出資者の生産装備の一切を買い取る、農機具に至りますまでの一切のものを会社が買い取って運営をしようという行き方でございます。しかも、その生産物につきましては、一作ごとの売買契約を行う。米と野菜をはずしまして、米は御承知のように食管法に抵触をいたします。野菜をこの中に含めますと経理が非常に複雑になりますので、この米と野菜をはずしまして、その他のものは一作ごとの売買契約を行なって、会社が一応その生産量を握っていく。しかも、その売買契約には附帯条件をつけまして、その間に必要な経費は一切会社が立てかえて支払いをするという附帯条件をつけて行うわけでございます。そういたしますと、当然、その附帯条件を行うために、その会社は社員の要求に応じて作業をいたさなくてはなりませんので、その作業をいたします社員を持たなくてはなりません。当然会社は従業員を採用してその従業員に固定給を支払っていく、かような形態をとったわけでございます。その場合、経営主になります者はその会社の従業員からはずしております。これは、会社と耕作権を持っておる農家とを分離さす意味におきまして、耕作権を持っておる農民は会社の従業員にはしておらないわけでございます。
 こういうような会社を作って一応仕事をしておるわけでございますが、その場合に、基本的な考え方といたしましては、農業法人を行う場合におきましても、個人の所有権と財産収益権を絶対に侵害をしないということでございます。これに触れますと現在の農民は一切ついて参ることができないわけでございまして、あくまでも個人の所有権と財産収益権というものは確保しなければならない、かように存じておるわけでございます。従いまして、各農家に支給をいたします給料は、その農家の総所得から必要経費を差し引いて残った金額がその農家に行く給料になるわけでございます。当然所得の大小によりまして大きな幅ができるわけでございますが、その幅は給料によって是正をするのではなく、会社が採用する社員の頭数によって修正をする、かような考え方で大体給与のベースの頭はそろえておるわけでございます。
 以上のようなことを基礎にいたしまして、私どもの方では先ほども申し上げましたように四十一の会社を形づくり、現在行なっております仕事は九月一日から発足をいたしまして十日を第一回の給料日といたしまして給料を支払っております。
 なおまた、その後現在まで個人が持っております負債を全部会社に持たしております。一部は登記をする場合に当然会社に持ち込んでおりますが、登記をする場合に持ち込むことのできない残余の負債も、肩がわりできるものは全部肩がわりをいたしまして会社が償還計画を立てております。大体昭和四十年、おそくとも昭和四十四年には私の地区の農民には一銭の負債もなくなってくる、かような償還計画を立てておるわけでございます。こうした作業をこの法人の形において行なってみまして非常に驚きましたことは、現在の農民が予想以上の負債を持っておるということでございます。私の地区は、果樹地帯で、ある程度経済的にも恵まれておる、かように考えておりましたが、総計いたしまして約七千八百八十万の負債を持っておるわけでございます。中には非常に高利の金を借りておるものがございます。実に驚くべき高利の金を借りておるわけでございまして、月四分、年平均にいたしまして約五割の金利の金を借りておるわけでございます。この仕事をやってみまして、これをもしやらなかったならば三年を出ずして破産をする農家が四軒出て参ったわけでございます。その一例を申し上げますと、その農家の所得は百四十万でございまして、必要経費が七十万、そして負債は二百十万ございます。しかも、その二百十万の負債の中で百四十万は今申し上げました月四分の高利の金を借りておる。従いまして、その高利の金利だけで約七十万円要るわけでございます。そういたしますと、残された七十万円は生活費でございますので、その金利は一切支払うことができない。そういたしますと、本年末のその負債の額は、二百十万に金利が百五万円、その次の年には、三百万円をオーバーいたしまして、金利そのものが百五十万円、そういたしますと、全所得をもってしてもその金利をまかなうだけの金さえもない。こういうようなきわめて危険な農業経営をやっておるわけでございまして、そうした多くの農家の考えておりますことは、せめて一年でもミカンが百五十円してくれたらわしらの借金が済むのだがと、永久に百五十円にできないミカンの価格を夢みて農業経営をやっておるという状況が現状でございます。そうした事柄をこの法人の姿によってすみやかに解決をしよう、かように存じて、私はこの仕事を現在やっておるわけでございます。
 なお、引き続いて行なっておりますのは、現在会社から支給いたしました給料では生活のできない農家が約三分の一できます。現在の農業経営上赤字を出しております農家は、先ほども申し上げましたような基本的な考え方で給料を支給するわけでございますから、当然支給した給料では生活ができないわけでございます。かりに私が二万円の給料をいただきましても、私の家族構成から考えまして三万円の生活費がどうしても要る、その場合の一万円をどうするかということは、今までは私一人が苦しんでその解決策にあせっておったわけでございますが、今からは会社全体がその足らない一万円をどうするかということを考えてくれるわけでございます。たとえば、私の方の投下労働力を調査いたしてみました場合に、一日当りの単価が非常に安いということになれば、当然私の経営上に投入しておる労働力が過大なものであるわけでございまするので、私の経営に対する投下労働力を百日にせよ、それでも生産は落ちないのだ、そして残された百五十日を甲のところにいって甲のところで働く、甲のところは現在雇用労働力を入れておるのをそのために一名は減らしていく、こういうような計画を立てるわけでございます。なおまた、それでも生活ができない場合には、現在鶏が十羽しかおらない、これを五十羽にしようではないか、あるいは豚も三頭飼わさなければならない、牛も一頭飼わさなければならない、そのためには資金が三十万円要る、これは会社が買ってお前のところに入れてやろうじゃないかという話し合いが法人の方から生まれてこなければならない。また、それをさせるために現在そうした作業を続けておるわけでございます。
 そうした事柄が現況でございまして今後、この農業法人というものは、先ほども申し上げましたように、現在の農民の切なる願いでございますので、何といたしましてもこれがまともに歩けるような成長していくような法的な裏づけというものをぜひともお考えいただきたいわけでございますが、その場合に特に私の方からお願い申し上げておきたいのは、いかなる法律を作っていただきましょうとも、先ほど申し上げましたように、やはり農民の所有権というものと財産収益権というものは絶対に侵さないという法律を私は作っていただきたい、かように思っておるわけでございます。なおまた、現在の商法に基いての会社は、御承知のように、発言権が持ち分に応じて異なって参ります。そうした形でなくして、今後できて参ります農業法人の姿というものは、少くとも現在の農協法のように、出資の多寡によらずして一対一の発言権があるというふうなものにぜひともしていただきたい、かように考えるわけでございます。そうしたものでない場合には、少くとも零細農家の意見というものが富裕農家に圧迫されるというふうな結果が起きないとも限らないわけでございまして、この二つの問題を特にお願い申し上げておきたい、かように考えておるわけでございます。
 なお詳しいことをいろいろと御説明申し上げたいと思うのでございますが、一応概要的なことをこの程度御説明申し上げまして、またあとで御質問がございましたらそれを中心にいたしまして私の考え方あるいは現在行なっております事柄を御説明申し上げたいと存じます。大へん失礼いたしました。(拍手)
#4
○高石小委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 吉川君。
#5
○吉川(久)君 西山さんからいろいろ共同化のための法人化の問題についてお話がありましたが、私どもも非常に関心を持っていたのであります。興味あるお話を伺って、大へん参考になりました。
 ちょっと二、三お尋ねいたしますが私ども特に考えておりましたのは、農協と農業法人の問題ですが、農協法でやってみようと思ったがうまくいかなかったというお話であります。農協の関係でこの法人化の問題に非常に批判的である向きも一部にはあるようでありますが、そのことは、これが法人化して会社になった場合に農協から離れていくのではないかという心配があるようでございます。私の考えておりますのは、部落単位の共同化のための法人を作って、それが農協法の一部改正によって農協の組合員になっていかれる、戦前の産業組合当時の農事実行組合のような形にしていったらいいのじゃないかというふうに考え、また、農協法の改正によってこういう問題も解決できるのじゃないかということも一面考えられるのでございますが、そういう点について、もう少し御説明いただきたい。
#6
○西山参考人 ただいま御質問のありました点につきまして私の考え方をお話し申し上げたいと思います。
 現在私どもが作っております有限会社というものは、ただいまお話し申し上げましたように、いろいろな法律にぶつかりまして、それをよけながら作って参ったのでございまして非常に変則的なものが生まれ出ておるわけでございます。それで、私は、決して今形づくっております有限会社そのものに満足しておるわけではないのでございまして、将来できるだけすっきりしたものを作っていただきたい、かように考えております。その場合には、農地法を改正して行うやり方、あるいは特殊立法を出していただくやり方、あるいは今おっしゃられましたような農協法を中心にして行うやり方、いろいろあると思いますが、私ども農民といたしましては、いずれを選んでいただきましてもけっこうだ、かように考えるわけでございます。とにかく共同で農業経営がやれるような形を一日も早く実現させていただきたいということだけが念願でございまして、今おっしゃられますような行き方も非常にけっこうなことではないか。むしろ、農協とのいろいろな関連性を考えた場合に、そうしたことも非常にけっこうじゃなかろうか、かように存じておるわけでございます。
#7
○吉川(久)君 それから、ただいまの現状においての問題でございますが、生産物の販売系統について、農協の販売事業との関連、かかり合いといいますか、その辺はいかがでございましょうか。
#8
○西山参考人 私の方では、従前までは、組合員と組合が専属契約というのを結んでおります。と申しまするのは、組合員は、組合に対しまして、私の生産するミカンはこの程度ある、これだけのものは全量農協を通して販売をしますという契約を、保証人を三名ずつ立ててしておるわけでございまして、全量のものを農協が扱っておるわけでございます。しかしながら、今度法人を行いました場合には、先ほど言いましたように、その間に法人というものが一つはさまるわけでございまして、個人と法人が先ほど申し上げた売買契約を行うと同時に、法人と組合が専属契約を結んでおるわけでございます。法人が買い集めました青果物は全量のものを農協を通して販売をしますという契約をしておるわけでございまして、今までと変りました点は、農民と組合の中間に一つ法人という形のものが入ってきた、こうしたことになるだけでございます。
#9
○吉川(久)君 そういたしますと、購買の関係も、ただ、下から上へ行くもの、上から下へ来るものという違いだけで、同じようなシステムだろうと思う。それから、金融の場合も同じ行き方になるんじゃないかと思いますが、その通りに理解してよろしゅうございますか。
#10
○西山参考人 おっしゃられる通りでございます。
#11
○高石小委員長 足鹿覺君。
#12
○足鹿小委員 西山さんにいろいろお話を聞いて、私ども非常に得ることが多いのでありますが、一度現地を見た上でお話を聞いたらなおよかろうと思ったわけなんですが、何しろ遠隔の地で、なかなか時間がないので、お越しをいただいてとりあえず大体の輪郭なりおもな点についてお尋ねをいたして、いずれまた機会を得ましてぜひ一ぺん現地を見せていただきたいと思っております。
 大体、立間と申しますのは、耕地の状況は、ミカン中心のようですが、必ずしもそれだけではないようですね。また、都市との距離とか、いろいろな今までの取引の事情とか、そういうあなた方の周囲の環境についてもう少しお話を聞きたいと思います。
 それから、非常に御苦心なさっておりますのは農協法を生かしてやろうというお考えのようでありまして、私ども、その御構想についてそういう考え方で現在の日本の農業協同組合の役職員が御熱心にこういう問題と取り組めば非常にいいのでありますが、ほとんど眠っておるのが現状だと思う。それで、生産活動は今までどういうふうにやっておられたか。それから、農協そのものの現状は一体どうであるかという点。たとえば、出資金の状態、それとの関連において、財務基準令等で貸付の限度があって、結局必要な金を貸し出すことはできぬというようなところに大きな隘路があるように思うが、個人の場合は限度が何ぼであって、共同の場合は限度はどういうふうにしておられたか、また、これから貸し出しをされる場合にはどういう貸し出しの方針でこの法人との間に資金の供給運営をなさっていかれるのか、そういったような点。
 その自然的、経済的、社会的環境と、組合そのものの現状、それから、今度法人との具体的なつながりはどういうふうにしていかれるのかというようなことについて、ざっとお話を承わりたいと思います。
#13
○西山参考人 私の地域は愛媛県でも南部に位しております。俗に問題になっております段畑地帯でございます。それで、耕地は、先ほど言いましたように、約四百町歩でございまして、そのうち三百町歩が果樹園、五十町歩が水田、残された五十町歩が平場、農家が三百六十二戸、総戸数で約五百、こういうのが私の地域でありまして、ほとんどが果樹を中心にして農業経営をやっておる、こういうふうな状態でございます。その他カンショとかあるいは若干のタケノコというようなものがとれますけれども、これはほとんど問題にするほどのことはないわけでございます。都市といたしましては、約四里ほど離れたところに宇和島市という町があるわけでございますが、取引の関係は、ほとんどそうした都市というものは対象になっておらないわけでございます。今申し上げましたように生産物がくだものでございますので、全生産量で約二百五十万程度あるわけでございますが、その大部分のもの、八割のものは東京市場に参っておりまして残された二割のものが関西市場に出回っておる、こういうような状況であるわけでございます。
 農協の概況を申し上げますと、現在預金が一億四千万程度でございます。最高で一億八千万程度になることもあります。固定資産は四千三百万、そのうち出資金は二千五百万でございまして、出資金と固定資産とのバランスが現在とれておりません。それで、本年度の総会で一千万円の増資の決議をいたしまして毎年二百万円の増資計画を今立案中でございます。購買品の取扱いは年間約一億でございまして職員数五十名で現在業務を運営いたしております。そのうち五名が果樹専門の技術員でございまして、その上に営農指導員が一名、計六名で現在の営農指導を行なっておるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、ミカンを販売する場合に専属契約を結んでおりますが、専属契約を少くとも結びます以上は、組合を通してミカンを売ること自体が商人に売るよりもより有利な販売をしてやるという当然の義務を組合は果さなくちゃならないと思います。私の農協運動の基本的な考え方は、組合は組合員に対して組合員の生産するすべてのものは農協を通して売れ、金は全部農協に預けなくてはならないのだ、要るものは全部農協から買わなくちゃならない、また、組合員は組合の方針通りの肥培管理をしなければならないということを、組合は組合員に要求する権利があると思います。しかしながら、そうした事柄を組合員に対して組合が権利を持って要求する場合には、先ほども申し上げましたように、組合を通して売ること自体が商人に売るよりもより有利な販売をしてやるという当然の義務を果さなくてはならぬと思いますし、金を組合に預けようと言う以上は、預かった金は責任を持って保管をしてやるという当然の義務を果さなくてはならぬと思います。また、組合の品物を買えと言う以上は、その品物は良心的な品物であると同時に、価格が安いという原則論をはずしてはならない。なおまた、組合の方針通りの肥培管理をやれと言う以上は、その組合の行う肥培管理そのものが科学に立脚した最も効果的な指導であるということを忘れてはならない。かように考えております。また、組合員も、自分の組合ですから、あれもしよう、これもしよう、これはこうしなければならないのだということを要求する当然の権利がございます。しかしながら、そうした事柄を権利を持って組合員が組合に要求する場合には、少くとも全面的に組合を利用するという当然の義務を果してしかるのちにそうした権利を要求すべきものであるということを、私はこの農協運動の基本的な考え方として今日まで行なっておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、当然、青果物の出荷統制をやる上におきましては、現在の熾烈な販売戦を行なっております事柄にあくまでも勝ち抜いていかなければならないと思うわけでございます。その販売戦に勝ち抜く要素は、ただ単に出荷統制を行なっただけでは販売戦に勝てないわけでございまして、当然附帯的に生産統制というものが行われなかったら、私はその販売戦には勝てないと思う。この出荷統制、生産統制というものが車の両輪のごとく押し進められることによって、初めて現在の販売戦に勝ち抜くことができる、かように私は考えておるわけでございまして、一方に出荷統制規約を作りますと同様に、生産統制規約というものを作りまして、組合の方針通りの肥培管理をやらしておるわけでございます。従いまして、組合は、各農家の園を、一園々々全園を土讓分析、硫黄分析をいたしまして、科学的にどの園にはどういうような肥料をやらなくちゃならないのかということをはっきりと握って、その農家の生産量に応じてどれだけの肥料をやるのだということを組合の生産振興委員会が決定をして指示をする、こういうやり方を現在やらしておるわけでございます。
 なおまた、ただいま御質問になりました農協の資金関係でございますが、農協が直接組合員に貸付をいたしております貸付金は約二千万余りでございます。そのほかに約三千万近くの政府資金、これはいろいろな形のものをお借りしておりますが、系統資金を引っくるめまして約五千万程度のものを農協の窓口を通して農家に貸付をしているというような現状でございます。今後法人ができました場合の貸付のやり方は、先ほど申し上げましたように、現在個人では生活資金につきましては一人最高五万円まで貸すようにしておりますし、営農資金につきましては一人三十万円でございます。それぞれ保証人をつけまして貸付のできるようにしておるわけでございますが、この営農資金の分を、全部個人に対する貸付を中止いたしまして、法人に関してのみ貸付をする、しかも貸付のワクを一法人五百万までに引き上げたわけでございます。そういうようなことで、先ほど申し上げましたように、個々に必要な生産資金というものは法人を通して流していく、かように考えたいと思っておりますし、なおまた、負債整理を行います必要上、本来でございますと、本年のミカン代を法人が持っておりまして、その中から必要経費を出し、なおまた、その残されたものを十二で割って毎月の給料にしていくということが本筋でございますが、調査してみまして非常に負債の多かった関係で、本年のミカン代は、十二月までの経費を差し引いて、残りました全量のものを農家に戻していく。そうすることによって負債をできるだけ早く償還しょう、こういうような計画を現在立てておるわけでございます。
 ただいま御説明申し上げましたことで全部の御説明になっておるかどうかわかりかねますが、大要そういうことでございます。
#14
○足鹿小委員 先ほど、負債が非常にたくさんできておるということでございますが、従来の農協の融資は二千万程度だと思います。農協外からいろいろな高利なものを借りて、農民が困った状態に置かれておるのですが、その負債の原因、それは営農関係から来ておるのでありますか。先ほど一つの事例として申されました過剰投資、そういったことに多額の金を借りて、従来農民が過剰投資に夢中になったのか、何かはかに大きな負債ができなければならないような、たとえば大きな災害があるとか、何か事情があってそういうふうになったものでありますか。現在は農協の全量ということでいっておられるようですが、従来は必ずしもそうではなくして、ミカンその他も個人の取引もあったのではないかと想像もされるのですが、負債の内容、そのできた原因、それらのことについてはどういうふうにごらんになっておるのでしょうか。
#15
○西山参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。
 負債のできましたおもな理由は、先ほど申し上げました現在の生産設備をするためにできた負債も相当額ございます。しかしながら、それ以外の負債がないというわけでもないわけでございます。先ほど申し上げましたような農家におきましては、特に大きな理由といたしまして、弟に分家をさせまして、そのために非常に多くの資金が必要である、家も建ててやらなくてはならないし、農地も分けてやらなければならない、それに引き続き妹が嫁入りをする、その嫁入りの支度にも相当の金を入れておるようでありましてそういうように生活のためにできて参りました負債も相当額あるわけでございます。そういうものも、先ほど申し上げましたように、一貫して会社が肩がわりをしてやっておるわけでございますが、こういうことになりますと、ぜひともお考えいただきたいと思いますことは、現在の農家にそうした予想外の負債がある、それを何とか解決をしていくためには、少くとも政府自体で相当の低利の資金を農民に回していく方途をぜひともお考えいただきたい、かように思っておるわけであります。
#16
○足鹿小委員 次にお尋ねいたしたいのは、四十一の法人をお作りになったわけですが、これには、細み合せの問題――耕地中心でおやりになつおると思うのですが、やはり、共同化は、たとい段々畑であっても、ある程度機械力を活用して十分その能率を上げていくという面からも、やはりこの耕地中心ではないかと思うのです。その組み合せの場合、農業経営規模なり、またその各農家の経営しておる畑の地方の問題とか、なかなかむずかしい問題が実際問題ではいろいろ出てきておると思うのです。そういったようなことについて、それを実際に御指導になって、どういう点でお困りになったか、その辺の御苦心談といいますか、もう少しその辺を具体的にお話しいただきたい。
#17
○西山参考人 ただいまの法人の組み合せの問題でございますが、これにつきましては、組合員の考え方は、仲のよい者同士を組み合せてやらせるとか、あるいは親類同士の組み合せをさせてもらいたい、いろいろな意見があったわけでございますが、しかし、私は、あくまでも、ただいまおっしゃいましたような耕地を中心にしての組み合せということも考えてみましたが、それ以上に大事なことは、やはり地域を主体にして組み合せをしていくことが必要だ、かように考えまして分けておるわけでございます。なぜそういたしたかと申しますと、先ほど申し上げましたような組合員の要望とか、そういうものを中心にして組み合せを行いますと、中には、あれが入るのならわしは一緒にやるのがいやだという人がおるわけであります。そういった者が、気の合った者同士で組み合せますと必ず取り残されて参ります。そういうような者も取り残させぬように、すべての農民を包含していくためには、あくまで地域で割るべきだというので、地域で割ったわけであります。出初の計画といたしましては、大体五戸から十戸までで組み合せを全部終る、かように考えておったわけでございますが、中にそういうような厄介なのがかれこれおりまして、それを抱き込むために、どうしても大きくしてやらないとみなが納得ができないというふうなことから、やむを得ずして最高十六戸に持っていったというようなことがあるわけでございまして、一番むずかしいのは、そうした特定の者をどういうふうにして抱き込んでいくかということが一番むずかしいわけでございすす。今おっしゃられましたような、今後の農業経営をやる上においての耕地を集団的に考えていくという考え方は、この共同化法人というものを推進する場合には、私は、あまり重視しなくてもいいのじゃなかろうか、かように考えております。そして、現在行なっております交換分合にいたしましても、今後はあまりそういうようなことを考えなくともいいのじゃなかろうか。たとえば、甲の法人が持っております農地の集団の中にかりに乙の法人が持っております農地があるといたしましても、それは甲と乙との法人同士がその肥培管理に対する契約を行えば、作業上の問題は法人と法人の契約によって解消する、かように考えておるわけでございまして、農地を移動さすよりも、むしろそうした方法によって作業上の便宜を考えていく、かように考えておるわけでございます。
#18
○足鹿小委員 就業労働報酬の算定上にいろいろ問題があろうと思うのです。一労働単位を八時間なら八時間と見ても、その労働内容によって等差をつけておられるのですか。あるいは、その社員であればその労働内容は違っても時間給には等差をつけないという考え方でいかれるのでありますか。その労働報酬の算定の基準なり、実際はどういうふうにおやりになっておりますか。
#19
○西山参考人 労働報酬の問題でございますが、一般的な労働につきましては大体の線をそろえております。しかし、中に特定の作業がございます。果樹でございますと、剪定とか、あるいは継ぎ木とか、こういうふうな特定の技術を必要とするものにつきましては特定な労働賃金を払うわけでありますが、しかしながら、給料の算定基準は、先ほども申し上げましたように、あくまでもその農家の総所得から必要経費を差し引いて残った金額がその農家に対する給料になる、こういう考え方でございます。
 なお、この機会に、これは御質問とは少しはずれるわけでありますが、先ほど説明の中で落しておりましたので補足させていただきたいと思いますが、今後法制化される場合に特にお考え願いたいと思いますことは、法人にもある期間ある程度の土地を所有することを認めていただきたい、かように考えるわけでございます。なぜかといいますと、先ほど申し上げましたように、現在私の方では負債整理を行なっておりますが、そういたしますと、先ほど例にあげましたような農家では、農地を手放さないと負債の整理ができないわけであります。その場合に、本来でございますと、その農家が手放す農地は法人が暫定期間買い取っておきたいわけでございます。しかしながら、現在は農地法上それが許されませんから、特定の者にその土地を買い取らせまして、もしその本人に将来買い取りの力ができました場合にはまた買い戻しをさせてやるという条件をつけて買い取らすことを考えておるわけでございますが、これがもし法人が農地を持つことができるといたしましたなれば、そういう問題もきわめてスムーズに解決ができる、かように考えておるわけであります。その点を特に御考慮いただきたい、かように考えます。
#20
○足鹿小委員 労働報酬の問題ですが、十五戸なら十五戸、十六戸なら十六戸の農家が一つの会社を作る、そうしますと、その労働は、全部自分のもと持っておった経営農地を中心にして働いていくのか、あるいは、会社の一つの方針に基いて、営農状態にまでその会社が全部計画を立てまして、そして、もとの個々別々の所有関係、そういうものには全然ノー・タッチで、新しい会社の経営方策で指揮し進んでいくのか、その辺はどうなるんですか。もう少し具体的にお聞きしたい。
#21
○西山参考人 ただいまの点についてお答えをいたしたいと思います。
 個人の農業経営に対して法人が計画を立てるということは、現在農地法上において問題点がある、かように考えております。しかしながら、あくまでもその経営に対しましては協力をしてやるということは当然行うわけでございます。それで、これの形は、先ほども申し上げました売買契約の裏づけ条件として、その耕作権を持っております農民は、会社に対して必要な労働力を要求する権利がございます。その権利に基いて、あす私のところに三人労働者を回せ、機械をつけた労働者を回せ、農機具をつけた労働者を回せということを要求いたしましたら、社長は、先ほども申し上げました裏づけ条件を果すために、三人の労働力を回さなくてはならないわけでございます。その三人がその耕作権を持っておる農家の家族であっても、あるいはまた外部の者であっても、それを回す権限というものはあくまでも社長にあるわけであります。それで、そうした事柄はできるだけ入り組んでやっていく、自分の家族を一ヵ所の家に回すというようなことでなくして、できるだけ多くの人をかみ合せて仕事をさしていく、こういうふうな方針で現在やらしておるわけであります。場合によりましては、その家族の従業員だけがそこへ行って仕事をする場合もありまするけれども、できるだけ共同で仕事をしよう、こういうふうに考えておるわけであります。なおまた、法人の内部ですでに自発的に、自分の家はこういうふうにしようというふうな計画をぽつぽつ立てております。たとえば、その法人内部の家畜は全部一ヵ所に集めまして、家畜を飼うのに一番上手な者をそれの担当者にする、あるいは、野菜を作るのに非常に上手な者がありますと、それはその会社内部の野菜だけを専門に受け持っていく、あるいは、剪定をやる場合に、剪定技術の非常にすぐれておる者は、その会社内部の剪定を全部引き受けてやる、こういうふうなことを自発的にすでに法人内部で計画をしておるわけでございまして、すぐにうまくいくとは思いませんけれども、遠からず相当の効果をあげ得るのじゃなかろうか、かように私は考えておるわけであります。
 それで、会社から給料をもらっております従業員は、一ヵ月のうち二十三日は必ず会社に出勤をしなければならない規定にしておるわけであります。一週間以内の休みは認めております。一週間以内休みましても固定給を支給する。なおまた、女の従業員は一ヵ月十五日以上農事に従事をしなければならないという規定をしております。それから、女の従業員の給料は普通の場合五千円で抑えております。と申しますのは、月額五千円でございますと、税関係の場合に扶養家族になるわけでございます。そういうようなことを入れまして、女の労働力を大体換算してみましてもその程度のものだ、かように考えまして、五千円を中心にして女の従業員に対しては給料を支給しております。こういうやり方でございます。従いまして、月給で生活をするわけでありますので、婦人層は非常に喜んでおるわけでございます。いまだかつて幾ら努力をしてみてもわれわれが全収入を握ることができなかった、このやり方であれば必ず握れるというふうに言いまして非常に喜んでおります。しかも、計画的な生活ができる。なおまた、将来におきましては、法人内部にそれぞれ食堂を建てまして、現在台所改善なんかに相当多くの金を費しておりまするけれども、こういうようなものは今後やめまして会社が食堂を建てる。そうして、その食堂でみんなが同じものを食べながら楽しい農村生活を営もうじゃないかというふうに考えておるわけでございます。なお、若干御質問のありました点からはずれまするけれども、そうした考え方はこの共同化法人をやる場合にぜひ必要だ。なぜかといいますと、この共同化法人を推進する場合に一番大切なことは、常に話し合いの場を求めてやるということでございます。これをやっていきますといろいろな矛盾が生まれます。その一つ一つの矛盾を解決していくことが私は進歩であると思います。そうした矛盾を解決さすためには常に話し合いの場というものを求めてやらなくちゃならない。それが、今晩も集まってくれ、今晩も社員総会をやるというようなことでは、農家はなかなかうまくいかないと思います。ところが、同じところで同じ食堂で飯を食べるということになれば、食事をするたびに社員総会になってくる。そういうようなことを考えておるわけでございます。
 もう一つの問題は、先ほどお話し申し上げましたように、この共同化法人のねらいの中には、零細農対策というものを非常に大きく考えております。日本の零細農家の問題を解決しようと考えます場合に一番むずかしい問題は何かといいますと、現在、生活ができないのだとか食えないのだとかいう零細農家の中にきわめて惰農が多い。
 この問題を解決しなかったら、日本の零細農対策というものは成り立たないのじゃなかろうかと思います。いかなる制度を作りましょうとも、私は、今の零細農家の中に含まれている惰農の問題を解決することを考えなかったら零細農対策というものは成り立たない、かように考えておるわけでございます。ところが、そうした事柄も、たとえば、食堂を作りまして朝六時に朝飯だということになれば、八時まで朝寝をしようと思いましても、六時には食堂へ行って飯を食わなければいけない。しかも、その食堂からみんなが一緒に山に行って仕事をするということになれば、ある程度そうした惰農の問題も解決できるのではなかろうか、かように考えております。
 なおまた、現在非常にたくさんの三輪車を持っておりますが、こういうようなものも私は将来はやめるべきだということを言っております。それで、会社に一台ずつ残しまして、あとのものは全部売ってしまったらいい、そして、その三輪車にハイヤーがつけておりますようなメーターをつけて、走行キロ数によって料金を徴収できるようにすべきだ、そして、売った金で乗用車ぐらいは買うたらどうだ、映画に行くときも、三輪車に乗って踊り回って行くよりは、その乗用車に乗って行く方がいいじゃないか、それでも乗用車を買った方が現在この三輪車を持っておるよりは経費が安くつくのだ、そういうことが近代化農業だ、こういうことで、金は今までより要らなくなったけれども、さらに生産装備というものが拡大され、進展されて、よくなってきた、しかも生活の面も向上してきたというような形が今後の近代化農業ではないか。今申しました三輪車の例は一例でございますけれども、そうした考え方でこの農業法人というものを運営してみたい、かように考えておるわけであります。
#22
○足鹿小委員 非常に具体的なお話を聞いて喜んでおるわけですが、過剰投資の問題、それから、季節的な農業労働者の雇用の問題ですが、大体、季節的な雇用労働者というものは、従来は地区外からずっと来ておったわけですね。この労賃の単価等については、自分の村のうちの者を使った方が安くなるのか、あるいは高くなるのか。従来、季節的に雇っておった労働者というものは、ふだん何かよほど経済効用のあるところが、全然専門のそういう雇用労働者の供給地が特に愛媛県地方のどこかにあってそういうようになっておるのか。季節的な労働の交流の問題ですが、これは今あなたのところだけがおやりになっておるからですが、これがだんだん普及していった場合には、労働交流については非常に大きな問題が発生すると思うのです。それらの点についてももう少しお話をしていただきたい。
 それから、過剰投資になっておる六十万円からの個人が持っておる機械、これを今度会社が全部買い上げてしまって、一定の耐用年数が来たときにはどんどん資産から落してしまう。そうした場合にでも、農業用機械に対する農民の要求というものは、トラクターにしてみてもだんだん小型から中型というふうに考えが変ってきておる。そういうようなことは、段々畠の場合で、水田や平坦地の場合のように考えるわけにはいかないと思うのですが、機械のサービス・センター的なものを立間地区なら立間地区の一定のところに数個所作って、そこからでも出ていけば、現地を見なければわからないのですが、大体片がつくのではないかと思われる。現在は四十一の組合単位にいろいろな組み合せで今まで持っておったものを十分使っておる。当然遊休機械がたくさん出てきておると思う。そういうものは、もうすでに処分の方針を立てられ、新しい能率的なものに切りかえられていこうとしておられるのか。将来機械の共同利用というものに対する西山さんの抱負といいますかお考えを、今の状態と照らし合せて一つ聞かせてもらいたい。
#23
○西山参考人 ただいまの第一点の労働力の交流の問題でございますが、現在私の方で年雇いないしミカンの採取当時は非常に多くの臨時労働者が入って参りますが、これはほとんど高知県からでございます。従来ずっと高知県から入ってくるような慣例になっておりまして、ほとんどの人が高知県から来ておるわけであります。その労働賃金が、自村内の労働力を使う場合とよそから雇い入れました場合の差がどうかといいますと、大体似たようなものでございます。自村の労働力を使いましても、外部の労働力を雇い入れましても、その賃金の格差はございません。年雇いでございますと一年間男で大体八万でございます。これは、食費と、年間有給の二十五日の休み、時期的な仕着せ、そういうものをはずしたものでありまして、そういうものを合算いたしますと約十二万かかるようであります。女で大体賃金が五万円でございます。これに今申し上げましたようなものを合算いたしますと約八万程度かかる、かように考えておるわけでございます。賃金の格差はほとんどないように考えております。私の方の費用でございますと、自村内できょう一日仕事をしてくれたというようなもので大体三百五十円程度でございます。そういたしますと労働単価が非常に安いじゃないかというふうなことになるわけでございますが、かりにこちらのプリントの別表に差し上げてございますように、私の方では各農家の労働単価というものがなんぼになっておるかということを調査しております。そうした場合に、実に驚くべき数字が出るわけでございまして、農民の所得がいかに低いものであるかということがこれを見ましても判然として参る、かように私は存じております。一日仕事をいたしまして、その労働単価が最高千円になっておる農家はございません。最高が九百円そこそこでございます。最低は幾らかといいますと、百円を若干下回っております。九十円程度にしかならないわけでございます。一日一生懸命で働きましても九十円にしかなっておらないという農家が六戸ございます。そういうふうに、平均いたしまして四百円ないし五百円というのが現在の労働単価でございます。この労働単価をいかにして引き上げていくか、今の百円とかあるいは二百円そこそこの非常に低い労働単価になっておる農家の労働単価をいかにして引き上げて、平均の四百円ないし五百円の線まで持っていってやるかということが、今後の農業法人に課せられておる非常に大きな問題点だ、かように私は考えておるわけでございます。
 なお、機械の問題につきましては、おっしゃられましたように、現在は冬農家の装備を全部会社が持っております。しかし、これは耐用年数が参りますればだんだん新しくしていかねばならぬわけでございまして、そうした場合に数を減していく、今すぐにこれを処分するといいましてもなかなかむずかしい問題がございまして売るといいましても、いい買手がなくてはなかなか売れないのでございましてそういう買手を見ながら、あるいはまた償却をしながらこれを整理していく、かように考えておるわけでございますが、将来入れたいものは、おっしゃいますように、やはり大型のものにかわってくる、当然に今までの個人が持っておりましたような小さいものではもうどうにもならぬ段階に入ってくる、かように思っております。かりに薬剤散布にいたしましても、現在は個人の動力噴霧機で薬剤散布をしておるわけでございますが、少くとも今後は二十町歩あるいは三十町歩は一ヵ所で動力をかければ一斉に薬剤散布ができるというふうな装置に切りかえなくてはならない、かように思っております。そういたしますと、現在の機械そのものをさらに大型のものにしていくということを考えなければならないわけでございまして、今おっしゃられましたサービス・センター的なもの、これは農協が当然それをやるべきだ、かように私は考えておりますが、特定の農具につきましては、そういうものを農協が準備をしておりまして、必要に応じて貸し出しをする、かように考えておるわけでございます。しかしながら、果樹の場合は、非常にその防除の適期というものが短かいわけでございまして、そういう意味から、比較的多数の機械を持たなくてはならないというふうな問題点はございますけれども、将来の動向としてはそういうふうな動向をたどるべきだ、かように考えておるわけでございます。
#24
○足鹿小委員 私ばかりお尋ねしても、他の同僚委員からまたお尋ねがあろうと思いますので、最後にもう一点だけ伺いたいのですが、九月一日に発足をされ、税務署関係も、こういうふうにいけば別に問題はない、農地法上の問題もないと思うのですが、ちょっと聞いたのですが、自治体の税金の問題ですね。それは、何か実際問題で問題が起きておるように――中村君もそういうことについてきょうお尋ねをすると言っておったのですが、委員長、帰ってしまったのでしょうか。先生が現地だからやってくれるとよくわかるのですが、要するに、自治体の吉田町なら吉田町というものに税収入の面でどういうふうに影響が出てきておるのか、あるいは県税なら県税の上に、これがずっと業績をあげていった場合、それがどういうふうに影響をもたらすのか。まだ始められたばかりですからわからないでしょうけれども、組合長の大体の御想像、推定ででも――別に問題がなければけっこうですが、何かあるような話もちょっと聞いたわけです。税務署関係はどういう態度をとってあなた方のこの計画に対して協力をしたか、あるいはいろいろよく相談に乗って協調してきたかどうか。これは徳島県の場合は非常に乱暴な態度をとった。また、鳥取県の場合ですけれども、ずいぶん乱暴な態度をとっておりますので、この委員会でも前段における論議の焦点はそこにある。税務署とお話し合いになった今までの感じですね、そういったようなものを取りまぜて一つお話し願いたい。
#25
○西山参考人 最初に税関係のことについてお答えをいたしたいと思います。私の方の法人は、御承知の通り、九月一日から発足をいたしておりますので、果してことしの税金をどのような形で最終的な結論を税務署が出していくかということにつきましては未定でございます。しかしながら、この問題に関する税務署の態度はきわめて好意的でございます。と申しますのは、農民がこのように苦労をして農業法人というものを形づくることについて努力をしているものに対して、最終的に税務署の方がとかくの問題を言い出したくない、それで、事前に、双方が十分に打ち合せをして、法人の帳簿もよく見せてもらおうし、その間にもし税務署の見解として誤まっているところがあれば、それを修正しながら、お互いが研究をしながら、間違った方向に進まないように、あとからとかくの問題が起きないように努力をし合おうじゃないかという話し合いをしてきているわけでございます。結果的に、私は、そういうような考え方で進んでおります以上、大した問題は起きない、かように感じておるわけでございます。なおまた、その他の労働基準局の方におきましても、こうした農民の考え方は何としてでも実現をさしてやりたい、それに対しては全面的な協力を惜しまないというふうなことを言明してもらっておるわけでございまして各方面がそういうふうにこの動きに対して非常に好意的な御協力をいただいておるということにつきまして私は深く感謝をいたしておるわけでございます。
 なおまた、今おっしゃられました地方税との関係でございますが、これは当然今後におきましては今おっしゃられるような問題が起きるはずでございます。正確な数字は申し上げかねますが、私の想像では、大体町の減収になる分が千三百万円ないし千五百万円ではないか、かように考えております。農業所得が個人の給料所得に変って参りますので、そうした面で地方税に及ぼす影響はその程度のものがある、かように存じております。それで、この問題につきまして、私の方の町議会でこの農業法人の推進を議決しておるわけでございますが、ちょうど私も町議会に席を持っておりますので、これの提案をいたします事前に町長と相談をいたしました場合に、町長もその点を非常に心配をしておったわけでございます。しかしながら、私はそれに対してこうした基本的な考えを持っております。と申しますことは、町政というものは、少くとも地区住民の福利をいかにして増進してやるかということが町政の基本である、かように考えます。そういたしますと、こうしたことをやること自体が地区住民の福利の増進になるのであれば、たとい結果的にそうした町税の減収という問題が起きても、そうしたものにつきましては町は別途の考え方で解決すべき事柄であって、このこと自体に問題がある、かようには考えられないのではないか、そういうふうに話をしましたし、町長もそれに同意をいたしまして、町議会でこの問題を議決しておるわけでございます。今後これの法制化につきましてはそうした問題もあわせ御検討をいただきたいということをこの機会に付言してお願いをしておきたいと思います。
#26
○足鹿小委員 最後に、これはお抜かりはないと思うのですが、徳島の場合でも鳥取の場合でも、実質課税の原則の問題は、実態がほんとうに会社としての経理内容やすべての条件を具備しておるかどうかということに最後には移行してきたことは御案内の通りであります。問題は、従来の農家としては、記帳能力とかいろいろな点で、普通の商工業者などの場合よりもずっと落ちますし、その点は万遺憾なきを期しておられると思いますが、特にそういう記帳専門の経理関係を担当しておる者がその会社々々にみんな配属してあるのですか。そういうことについては、やはり、協同組合に専任の指導員がおって、常に巡回をして、適正な記帳指導をしておるとか、合理合法的に始末するようにやられておるだろうと思うのですが、やはり、当初においては私どものところも税務署は非常に協力的だった。ところが、いよいよその会社の経理の内容ということになると、やはり税務署は取る方の役目ですから、なかなか最初のような態度でなくなってきて、非常に問題をかもした。こういう事情がございますので、十分そういう点についても、あなたのところの全部の組合員が合理的におやりになるように願いたい。四十一人組織的に会社法人に切りかえられるということは、これは他地区なり今後に及ぼす影響が非常に大きいと思いますので、その点はお抜かりはなかろうと思いますが、十分に御善処願って、あまり支障なくスムーズに来年の二月の課税時期等に対処され、そしてその範を示していただけば、私ども、従来この問題と取り組んで苦労した立場からも、税務署も反省をする、また、農民の記帳能力も、一つの方針を授け、ちゃんと条件をとればぐっとりっぱにいく、こういうことになりまして、何かと非常に好都合だと思います。そういう点については、一つ有終の美を飾るように、そういう面でうまくやっていただきたい。
 課税面の減収問題その他の点については、私どもも、どうせこういう問題が起きてくるという点で、やはり産業自治の立場から、自治体活動の面からも、当然一定の産業指導の立場から保護育成指導していかなければならぬ面もあるわけですから必ずしも減収したことによって、お互いがよく自治体の任務を中心に話し合えば、トラブルなんかは起きるものではないとは思いますが、間々起きてくると思いますので、そういう点についても、今後いろいろな具体的な面に直面された場合には、私どもこの小委員会を作って立法化を促進して熱心にやっておりますので、いろいろ生きた事例を一つ御連絡をいただきたいと思います。
 大へん貴重な御体験なり御意見を拝聴しまして、非常に満足をいたします。どうか、私ども立法化の面で及ばずながら十分努力していきたいと思いますので、まず立法されてから事を起すのではなくて、現実が先に出ているところに、新しい法人化の動きとして、従来のものと形の変った、しかも、合理的で、農業の近代化と合理化ということを共同化の方向で現実に踏み切っておられる点について非常に敬意を表すると同時に、将来の御発展に対しましても期待をしておりますので、私どもの面からできる限り御協力することがあればいたしたいと思いますし、十分御活躍をいただきたいと思います。そして、成果が具体的にあがりまして、次の機会には、おそらく来年の通常国会ごろ、税務署の申告が終ったころに、今度またよくその結果を承われば非常にいい締めくくりがつくのではないかと思います。大へんどうもありがとうございました。
#27
○高石小委員長 それでは、質疑はこの程度にとどめます。
 参考人には、長時間にわたって貴重な御意見、まことにありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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