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1959/09/11 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 地方行政委員会青少年補導に関する小委員会 第2号
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1959/09/11 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 地方行政委員会青少年補導に関する小委員会 第2号

#1
第032回国会 地方行政委員会青少年補導に関する小委員会 第2号
昭和三十四年九月十一日(金曜日)
    午前十時二十九分開議
 出席小委員
   小委員長 飯塚 定輔君
      亀山 孝一君    渡海元三郎君
      吉田 重延君    太田 一夫君
      川村 継義君    阪上安太郎君
 小委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      木村 行蔵君
        警  視  長
        (警察庁保安局
        防犯課長)   町田  充君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 青少年補導に関する件
     ――――◇―――――
#2
○飯塚小委員長 これより青少年補導に関する小委員会を開きます。
 青少年補導に関する件につきまして調査を進めます。警察庁当局より説明を聴取することにいたします。木村保安局長。
#3
○木村説明員 お手元に三十三年中の少年罪行に関する活版刷りのパンフレットをお渡ししておりますが、これは三十三年中の少年犯罪や虞犯行為、約十五項目くらいにわたりまして、いろいろな角度から統計をとりましたので、おひまのときにお読みいただくと御参考になるかと思います。これは全部説明いたしますと大へん時間がかかりますので、一応、図面としては批判の余地があるようですが、この図面で大ざっぱなことを御説明したいと思います。
 この図面は、少年犯罪、満十才以下、満十四才以下も含めたものであります。すなわち満十四才以下は、刑事責任がございませんけれども、一応刑罰に触れるような行為をしたものは触法少年と申しております。触法少年を含めた広い意味の少年犯罪の趨勢を描いたものです。この黄色いのは、触法少年も含めた少年犯罪全体の昭和十一年からの数字のカーブを図表したわけであります。これが十一年で、この黒いラインが昭和十六年でございます。大東亜戦争勃発の年であります。それから二十年が赤いライン、終戦の年であります。それからこの黒い、ちょっとほかのラインより太いラインが少年犯罪の戦後最大のピークを描いた時期でございます。少年犯罪全体として、戦前戦後を含めて最大のピークだったのがこの二十六年です。これで見ますと、この間は大体漸増しているという程度です。これが五万人の台ですが、五万をこえるかこえないか、そして昭和十七年ごろに六万くらいになります。十九年には一万八千くらいになりましたけれども、とにかく四、五万から七、八万くらいの程度で、若干漸増という形、正確な表現ではないかもしれませんが、大体漸増期ではないかと思います。ところが終戦と同時に急カーブを描きまして、一挙に十万台を突破しました。そしてその後十万台からだんだん上りまして、二十六年の最大のピークまでにこれが十六万六千にまで上り、これの三倍くらい、非常に絶対数がふえたわけであります。その後経済状態が安定したり、あるいは朝鮮動乱の勃発の関係もあったのでしょうが、だんだん落ちついて減ってきました。減ったのは二十七年、二十八年、二十九年、二十九年くらいまで減りました。この時期を激増期といい、こちらを減少期と私たちは呼んでいるのであります。ところが、三十年からまたふえてきました。三十三年度は十五万五千三百七十三、約十五万六千人というものになります。これと約一万くらいしか違わないのですが、とにかく戦後第二のピークにさしかかってきているわけです。それからお手元に差し土げてありますが、ことしの上半期の状況がそこに資料として差し上げてあります。これによりますと、その統計は実は触法少年が入っておりません。犯罪少年だけです。すなわち十四才以上十九才までの、狭い恵味の犯罪少年だけの数ですけれども、その統計によりますと、ことしの上半期は昨年の河期と比較して約八千五百くらいふえておりまして、一五・一%ふえております。おそらく広い意味の犯罪少っ年、すなわち十四才以下もその調子でふえておると私は推定しております。もしその調子でことしの下半期もふえますと、どうしてもこれが十六万はもちろんのこと、十七万をオーバーし、十八万をオーバーして、これよりオーバーするということはほとんど確実ではないか。ですから戦前戦後を通じて最大のピークを描いた二十六年よりも今年は――これが十五万の線です。十五万の線は二十六年に初めて突破した。それから昨年も突破し、今年は十五万はもちろんのこと、おそらく十七万を突破するのではないか、この勢いからいいますと非常に数がふえてきておる。こういうふうに御報告ができるのではないかと思います。
 ところが一番の問題は内容であります。これを私たちは第二激増期と呼んでおりりますが、終戦の年から二十六年までの第一激増期は、活版刷りの統計にもありますように、窃盗犯が、圧倒的に多いのであります。七七、八%から八割くらいで、その後ずっと窃盗犯が減りまして、最近では窃盗犯が五三%、五割台である。あとは非常に圧倒的にふえておるのはここに出ております性犯罪、強姦、それから凶悪犯罪の殺人、強盗、放火、こういうようなものであります。それから粗暴犯の暴行、傷害、恐喝、脅迫、こういうようなもの三つが代表的に非常にふえております。ですから性犯罪と広い意味の暴力、この二つが少年犯罪の種別の代表をしておる大物になっておる。ですからこの時期は生活が苦しいからかっぱらい、あるいはすり、こそどろをやっておったのが多かったのですが、このごろはむしろ社会台風潮というか、いろいろな影響がありまして、この性犯罪がここで申し上げておわかりのように、終戦後、二十二年は例外ですが、ほとんど毎年性犯罪というものがふえております。一、二例外はありまして二十六年は減少しておりますが、大体はふえております。そうしてこれを昭和十六年の大東亜戦争勃発の年に比較いたしますと、これは十三倍に数がふえておる。それから殺人、強盗というような凶悪犯罪についても、終戦後極端にふえておる。若干の例外はありますけれども、ほとんどふえっぱなしで、これが昭和十六年に比較して七倍になっておる。それから粗暴犯、これがやはり同じような傾向でふえまして、これがやはりこれの十三倍、これに比較すればもっと大きく三十二倍くらいになると思いますが、十三倍にふえておる。こういうような犯罪行為の内容の変ったということに御注目いただければ差しつかえないと思います。
 それから、問題は年令でございます。これには補導人員と、書いてありますが、これは触法少年も含んで広い意味の犯罪少年の統計でありますが、昭和三十三年の犯罪少年で絶対数が多いのは、従来とほとんど変りなく十八、十九、このハイティーンが一番多いわけです。これが三三%くらい。その次に多いのは十六、十七、これが二九%近く。それから十四才未満、それから十四才、十五才、こういうところです。ただ、こういうふうに絶対数は十八、十九が一番多いのですけれども、最近一番ふえ方のひどいのは十六才、十七才、ミドルティーンといいますか、この層が一番ふえています。これは昨年は一昨年に比較して一五%ふえている。全体としては七・五%ですけれども、この部分だけは十五%ふえている。十四才から十七才まで全体を含めて一応カテゴリーと考えて、これが一番ふえているわけでありますが、そのうちでも一番強いのが十六、十七才ということが言えるかと思います。
 次の図は、犯罪を犯した、あるいは法に触れた少年の生活状態を一応検討してみたのですが、これによると二十六年の一番ピークであった時期と昨年とを比較しまして、結論的に言うと、中流家庭が引当ふえている。二十六年は二八%、三十三年は三五・四%。それから極貧の方は減っている。二十六年は一一%であったのが、昨年は六・四%ですから五%近く減っている、こういうふうに替えると思います。もちろん全体の絶対数としては、下流が圧倒的に多いのじゃないか。その他というのは上流が入っています。ただ正確に申し上げますと、二十六年と三十三年と、時代の生活状態が非常に変っておる。極貧層は非常に減っているりじゃないかと私たちは思う。ですからこの額面通りに中流家庭がふえ、額面通りに極貧家庭がパーセントと対応するウエートで減っているとは言えませんが、しかし一応ある程度言えることは、昭和三十三年と二十六年の生活保護を受けておる世帯数というものを研究してみると、二十六年に生活保護の適用を、受けて、生活救済を受けておるというものに比較して、三十三年は八〇先、二割減になりておるのであります。そういう意味では極貧家庭の減り方が比較的少い。しかし中流の方のふえ方は相当強いと言えるのじゃないかと思います。
 次の図は、十四才未満も含んでおりますから、成人、少年全部を含めて刑法に触れた数で、これは五十七万六千ばかりであります。その中で年令構成を、申し上げますと、二十才未満が一番多いわけで、これが二七%であります。次に多いのは二十才から二十四才で二五・四%、次には二十五才から二十九才で一七・七%、それから三十才から三十九才が一六・七%、それから四十才から四十九才が八・一%、それから五十才から六十才まで、これが三・六%、その他となっております。一応昨年としてはこれだけの構成になっておるのですけれども、過去六年間の状況を申し上げますと、二十才未満のパーセンテージがどういう変化を来たしておるかと申しますと、二十八年が二三%、二十九年が二二%、三十年が二二%、三十一年が二三%、三十二年が二死%、三十三年が二七%、三十一年から逐次ふえて、三十二年は相当ふえ、昨年も相当ふえているということで、全体の犯罪のうちでも少年の占めるウエートがふえておる。
 次の図は、先ほどもちょっと触れて御報告申し上げましたが、窃盗犯、粗暴犯、凶悪犯、性犯罪の状況で、どういうものが減り、どういうものが非常にふえているかということを一応統計的に入れたわけです。
 大まかに御説明いたしましたけれども、またいろいろ御質疑いただきまして申し上げます。
#4
○飯塚小委員長 それでは質疑の通告がありますのでこれを許します。川村君。
#5
○川村小委員 たびたびたくさんの資料をいただきまして、またいろいろ説明を聴取したのでありますが、われわれとしては、予想以上に青少年問題、あるいは現時の青少年の非行をいかにして防止するかという課題がた大へん重要だということをつくづく思うわけであります。せっかく設けられました小委員会としては、これらの貴重な資料に基いてどのような対策を樹立するかということが一つの重要な課題であるし、早急に打ち出されなければならない点ではなかろうかと考えるわけでありまして、これからさらに研究努力をしていかなければならぬと痛感するものであります。実は、こういう形で警察当局にだけいろいろ質疑申し上げておって、果して目的を達するかどうかということにつきましても疑念を持つわけでありますが、本日とりあえず今までいただきました資料の二、三点につきまして、さらに御意見をお伺いしておきたいと思います。
 ただいま昭和十六年あるいは二十六年、三十三年、こういうような比較統計で御説明いただきましたが、昭和二十六年のころの、いわゆる一つの非行少年の問題のピークといわれたときにおいては、窃盗犯というのが非常に多かった。資料によりましても、十二万七千百二十二という数が示されております。これがだんだん昭和三十三年に至り、あるいは昭和三十四年に至る傾向からいたしましても、性の犯罪あるいは粗暴的な犯罪が非常に多くなっているという御説明であります。また実際そのような統計がおそらく出てきていると思います。このいただきました資料を一べついたしましても、窃盗とか性犯罪等の比率もずいぶん大きくなっておりますし、特に近年は性犯罪あるいは凶悪粗暴犯というものが非常に増加しているということについては、非常に大きな問題を含んでいると思いますが、この点について先ほど御説明の中にあったと思いますけれども、昭和二十六年のころは、やはり終戦後の経済的な社会情勢というようなことが窃盗犯を多くしている原因ではなかろうかという言葉がありましたが、われわれも思い当る点であります。ただその後、性犯罪あるいは粗暴犯といろものが非常に累増してきておるし、ゆゆしい問題だと思いますが、この点について当局はどういうような分析をしておられますか、その辺のところをもう少し詳しくお聞かせいただけないかと思うのであります、
#6
○木村説明員 非常にむずかしい、しかも根本的な問題でございまして、警察だけで掘り下げて全部の結論を出すということ、私、自信がありませんが、一つの問題は、性や暴力が非常にふえたということは、肉体的に非常に成長が早くなりまして、先ほど申し上げましたように、十六才、十七才というのが一番急激にふえておりますけれども、このころには肉体的にはほとんどおとなになり切っている、和名成熟している。ところが人格的といいますか、あるいは性格的といいますか、そういう面では非常におくれておってバランスがとれてない。あるいは家庭の規律といろものが従来と違ってあまりやられておりませんので、非常に放恣的になっているということから、肉体的な成熟と、精神的なあるいは人格的な成長率とアンバランスになっているのではないかということが考えられます。
 それからもう一つの問題は、やっぱり子供をめぐる家庭の環境が一つの大きな影響があるのではなかろうか。いろいろな悪なり誘惑から刺激を受けても、家庭が最後のとりでとして十分に使命を果しておるということであれば、相当防げるのではないかと思うのですけれども、率直に私たち感じますところ、ここにも統計が出ておりますが、家庭が原因で犯罪行為を犯した、あるいは第二次的ではあるけれども、家庭の原因が背景になって間接的には悪に落ちる誘い水になったというようなウエートがだいぶ出ております。そういう意味で、子供をめぐる最後のとりでとしての家庭の役割が非常にゆるんでおるのではないかとうふうに、僣越ながら感じます。
 それから第二には、学校の関係ですね。子供をめぐる学校の環境というものが、果して子供を精神的にも肉体的にも、あるいは人格的にも規律の上においても、調和のとれた方向に、学校環境あるいは教育の面において、それがほんとうにプラスになっているのかどうかということを、若干僣越ながら外部から見て感ずるわけです。
 それから第三には、学校や家庭をさらにめぐる大きな社会環境、こういうものが非常に大きな影響があるのではなかろうか。現在の社会環境の風潮というものが、あるいは享楽主義的な風潮もあるんではないか、あるいは暴力肯定といいますか、暴力をほんとうにしんから忌みきらうという風潮でなしに、簡単に暴力に訴えるというような社会的風潮、生命軽視の風潮あるいは物質主義的な風潮といいますか、金銭至上主義的な風潮といいますか、万般のいろいろな風潮が子供あるいは学校、家庭をめぐって大きく左右しているのではないか、そういう影響が非常に大きい。
 それからつもう一つはマス・コミの影響というものが非常に大きいのではないかと思うのであります。テレビ、ラジオ、週刊雑誌、これらのマス・コミの影響が非常に大きいのであります。そのテレビ、ラジオの影響を受けて犯罪を犯したというものの数字も、この前も一応お渡ししておりますし、今回のこの活版刷りの中にも九、十のところで一応の実例を出しております。またきょうお渡しいたしましたものにも、ことしの五月一カ月間に、青少年問題の関係機関が共同で青少年保護育成運動月間を展開いたしましたが、そのときにわれわれの方で得た統計によって、出版物、映画、テレビの影響はどの程度あるかということを一応まとめてみたわけであります。これで見ましても相当あるんではないか、このマス・コミの影響というものは非常に大きい。
 それから非常に口幅ったい言い方を申し上げて恐縮でございますが、私一個の意見になるかもしれませんが、世界的な風潮があるんではないか。ソ連でも、ロンドンでも、ローマでも、あるいはアメリカでも、共通に青少年犯罪が非常にふえている、非常に頭を悩ましている。ここ一、二年、日本と同じように急激にローティーンなりミドルティーンがふえておるというような報道がなされております。ただ西ドイツは若干減っておるというような情勢も見られますけれども、世界的な風潮としては共通の風潮があるやに見られます。そこで何か現代の社会の病根といいますか、共通の病弊といいますか、何か深く根ざしている問題があるんではないかというふうに感ぜられます。大ざっばでありますが……。
#7
○川村小委員 ただいまお聞きしました御意見なりあるいは御見解は、決して否定するものじゃございませんし、また先般いただきました資料の中の非行少年の原因についてというようなことにも、大体そういうような御意見が述べてあるようでありますが、それはおそらくそういうような今御説明いただきましたようなことが大きなそれぞれ関連いたしました原因になってこういう状態がきている、そのように考えるわけであります。ただ第一点にお示しになった肉体的成長等の問題、確かにその原因もあると思うのです。しかし、そういうようなことだけで今日の粗暴犯や性犯罪が増加したということは、これはおそらく割り切るわけにいかぬし、またそれ一つ取り出してそういうふうに原因づけするということも不都合だと思います。要するに、これは非常に大きな根本的な問題でありまして、いろいろな学者あるいは研究家の意見というものが出て参りまして、それらの研究成果によらなければ結論というものはおそらく生み出せないような問題じゃないかと思うのであります。しかし、それをそういうふうに待っているわけにはいかないのでありますが、大きなこれらの問題を研究しながら対策を立てていくということにわれわれも十分意を向けなければならぬと思うのです。
 ただ一つここに、御参考になるかどうかわかりませんが、今の御説明の学校の監督であるとか、あるいは肉体的成長と精神のバランスが失しておるとかというような点につきまして、実はちょっと考えさせられる問題があるわけであります。それは完全に当てはまると私は申し上げませんけれども、私どもの地方の農村あるいは地方の小都市関係に生活しておる者が、学生やあるいは農村青年等のこういう問題についての動向をじっと見ておりますと、科学的にいろいろ調査したわけではありませんが、必ずしも戦前の青年あるいは学生などと比べてみて、性的な犯罪とまでいかなくても、そういうような行動というものが増加しているとは思われないと私は思っているのです。たとえば、これは非常にざっくばらんに申し上げるのですけれども、農村青年なんというものは、たいてい小学校や昔の高等小学校を卒業すると、青年のグループに仲聞入りする。この仲間入りをしますと、やはり悪い習慣であるいろいろの男女交際というようなことが行われるのでありまして、いわゆる性道徳というものは非常に紊乱しておったと言ってもいいと思うのであります。特にある地方の実例のごときは、一つの村の中にいわゆる青年の仲間入りした連中だけが寝泊りするところのクラブ、俗に青年小産、青年クラブ、こう言っておるのですが、そういうのを設けて、自分の家庭で寝泊りしないというような風習を持っているところが相当あるのです。そういうところに出入りしておりますから、自然興味あるいは群衆的な心理というものが作用して、男女交際というものが非常に悪くなるし、夜はよそのうちに侵入してよくないことをやるというような風習というものが行われておる。ところが、今日ではそういう状態はほとんど見受けられなくなった。間々犯罪的な行為を惹起するようなことはありましょうけれども、大体農村青年の状態を見ておりますと、そういう点は昔の青年に比べてそんなに悪くはなっていない、むしろそういう点は非常にきちんとした生活態度だ、こういうふうに私は見ておるのです。これも先ほど申し上げましたように科学的にいろいろ調査したわけではありませんから、また私の知る範囲の狭い地域における一つの受け取り方でありますから、完全だとは言いませんけれども、そういうような見方をしておる。
 それから学生の問題にいたしましても、一ころ終戦後の男女共学の問題が出て参りまして、ちょっと問題になった時期があるようでありますけれども、これも私の地域の幾つかの高等学校等を中心にした見方でありますが、男女共学をしておるから、たとえば性的な犯罪を犯すような動機を作るとか、あるいはそういう男女交際のそれが乱れておるとか、これは必ずしも言えないようであります。むしろ昔の男女別の中学校のときの方が、そういう点は非常に心配される状態が多かったと私は思っております。現在数多い者の中には、幾分かは心配するような問題を惹起することもありましょうけれども、むしろ高等学校生徒あたりに限りましても、お互いに非常に理解し合うと申しますか、融和するというような、男は女を見る目が肥えてくる、女は男を見る目が肥えてくるといいましょうか、そういうものが作用し合いまして、男女間のそういうような問題については、現在は昔に比べて心配するほどのことはない。かえって男女共学というものはそういう点では私はよくいっているのじゃないか、こういうふうに見ておるわけです。それに比べまして、よくいなかでも、これは中部市でありますけれども、女子だけの高等学校がある。その女子だけの高等学校の生徒の方が、先生方の方ではむしろ非常に心配している。なぜかというと、これはいろいろ学問的な見方はありましょうけれども、大ざっぱに言いまして、男女ともに一緒に勉強しているという状態を、女だけの学校の生徒が何かうらやましがるとでもいうのですか、そういう空気で、よく多く男の方に興味を持つ、そういうところの女の方がよくあやまちを犯すということが見受けられる。全国的にそういうことが当てはまるかどうかわかりませんけれども、そういう点などをずっと見て参りますと、肉体的に成長していることが、男女閥の交際の状況を見てみると、必ずしも性的犯罪を犯すような動機を作ったり、あるいはそういう道に進んでいく原因だというように、何も大きく重点的に考える必要はないじゃないか。かといって、もちろんこれを決して否定するわけじゃありませんが、そういうことなどを考えるわけです。
 そこで私としては、今幾つか御説明いただいた意見の中に、今日の性的な犯罪あるいは粗暴犯というような状態を、あの一番変りやすい青年前期といわれる青少年に生み出させる原因は、あなたも言われたようなマス・コミというか、出版物とか、あるいは映画とか、こういうものが非常に大きく影響しているのじゃないかと思われてならないのです。これは一々なかなか調査はむずかしいし、統計的にあるいは原因究明的に私はやったわけじゃありませんけれども、マス・コミ等の影響が非常に大きいということを考えねばならぬじゃないか、私自身はそう思うのです。そうなりますと、とにかくこの一番大きな現象を現わしておりますところの性的な犯罪あるいは粗暴犯というものを防いでいくためには、私としては、マスコミ等の問題を解決しなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけです。対策といって今私が持っているわけじゃありませんけれども、もしもマス・コミの影響が実に大きい――あなたもそういうお考えであると思いますが、私もそれを非常に大きく考えておるわけですが、マス・コミの影響があるならば、一体どういう対策があったらよかろうか、何かお考えがありますならば、あわせて一つ承わらしていただきたい。
#8
○亀山小委員 ただいま川村君から非常に傾聴すべき御意見を伺いました。幸いにきょうは「出版物、映画、テレビの影響によると明らかに認められる少年刑法犯の状況」という資料をいただきましたから、これを少し詳しく御説明願いつつ、今の川村さんの御質問にお答え願いたいと思います。これは非常に興味のある資料ですから。
#9
○木村説明員 今両先生からお話がありました件につきまして、私もそれがほんとうに一番大きい影響じゃないかと感ずるのであります。先ほどいろいろ原因について幾つか並べましたけれども、順序は最初に述べたのが一番重いという意味ではありませんで、ただ思いついたままに申し上げたので、やはり一番大きいのは亀山先生あるいは川村先生がおっしゃったように、マス・コミの影響が非常に大きいと思うのです。御案内の通り、現在たとえば週刊雑誌にしますと、大体一番大きく見積る調査では千三百万部くらいであります。一番内輪に見積っても八百八十万部出ておりますので、大体千万部はオーバーしているのではないかと思います。どんどんふえております。非常によく見られている。おそらく千万部としても、日本は九千万の人口ですから、世帯にして幾らになりますか、三千万かそこらでしょう。三軒に一冊の割合であるのですけれども、実際はほとんど全家庭に週刊雑誌がある。この週刊雑誌が非常に大きな影響じゃないかと思います。
 それからテレビの関係でちょっとつけ加えて御説明しておいた方がいいと思うのは、活版刷りの「昭和三十三年中の少年非行の概況」の中で三十九ページの表をごらんいただきたいと思いますが、これは私の方の調べでなくて、文部省の調べですけれども「昭和三十三年度テレビジョン影響調査(子供に及ぼす影響)」というのを掲げてございますが、これは小学、中学、高校生について、北海道から九州に至るまで代表的な八都道府県の児童、生徒を対象にしたものでございます。調査対象は小学生千六百九十四名、中高校生八百八十名について調べた。それによっましてかいつまんで申し上げますと、たとえば平日で二時間以上、三時間以上、四時間以上、五時間以上というふうにいろいろ分かれておりますが、二時間以上平日で見ているというのは、小学生で、これを足してみたのですが八一%、それから三時間以上平日で見ているというのは六〇%になります。中学校、高校で二時間以上が七一〇%で、三時間以上が三四%、それから日曜、休日に至りますと、ずっと左の方に休日の欄がございますが、これによりますと、二時間以上が小学生で八六%、それから中高生は八二%、三時間以上は小学生で六八%、中高生で五八%、相当の時間毎日見ている。ことに休みでは非常に多く見ている。次の表の四十一ページで、どういう番組を見ているかというのがあります。これも調査対象として同じ対象について調べたのですけれども、やはり「月光仮面」とか、そういうスリルのある非常に粗暴をそそるような番組が一番多いのであります。これは統計に出ております。それから、あるいは「事件記者」とか「私の秘密」こういうふうになっております。
 さらに四十七ページに、これは心理学者である一橋大学の南博士が、ことしの二月中句くらいの一週間を単位として調べた資料でありますけれども、これによりますと、恐怖もの、たとえば超人ものとかスリラーものが非常に多い。一週間の間に、上のを表の局別計で、一番右の一番下に千六百八十時間、NHK、NTV、KRTの合計です。それから殺人の場面、これが二月七日、八日の土曜、日曜の二日間に調べたのでは、この三局で七十二回ある。殺しの場面が二日間にテレビでは相当あるというわけで、これで影響はないといったらおかしいので、影響は必ずあるのではないかと思われます。
 それからお手元に差し上げております、この五月中に行いました青少年保護育成運動月間、これは警察で調べた材料でありますけれども、これによりますと、概況にありますように、性犯罪のうちで二四%、四分の一近くは出版物、映画、テレビのっ影響である、こういうふうに出ております。それから刑法犯少年総数として、触法少年を含めてこの五月中にタッチしたのが一万四千五百三十名ですが、そのうちで出版物、映画、テレビの影響によることが明らかであると認められるものが二百四十四名、二%近くであります。これははっきりそういうふうに見られるものでありまして、そのほか間接的な原因やその他を入れますと、この数は相当ふえるのではないだろうか。その中で強姦が約二〇%、わいせつが三九・六%、すなわち四割近く、放火が一〇%、その割合で、明らかに出版物や映画、テレビの影響として出ておるわけであります。
 第一表の「出版物、映画、テレビの影響によると明らかに認められる少年刑法犯検挙人員」この中で、総数は一万四千五百三十名ですけれども、明らかに影響を受けたと思われる者が二百四十四名、そのうち出版物によるのが百二十名、こういうふうに出ておりまして、おそらく週刊雑誌の影響というものは非常に大きいのではないかと私たちは感じます。それからこの統計にも出ておりますように、二百四十四名の年令別構成は、一番多いのは十四才から十六才未満、すなわち十四、五才の年令層、これが三二・八%、十六才、十七才、これが三二%、十四才未満と十八才、十九才というものが一七・六%、従いまして十四、十五才というのが相当影響を受けてきている。先ほど十六、十七が非常に急激にふえているということを昨年の状況として申し上げたのですけれども、この五月中には十四、十五が非常にふえてきているということは、さらに年令が低下しつつあるのではないかというふうに、一応きざしとして注目いたしております。あとはいろんな職業別、年令別と分けてございますけれども……。
#10
○川村小委員 今お話しのマス・コミ対策、これは青少年の非行を防止する上において非常に重要だと思われるのですが、われわれといたしましても、衆知を集めて、この対策を考究せねばならぬと思います。
 次に、ちょっとお尋ねしておきたいと思いますことは、今もお話しのように、性的な犯罪が累増しておるということの中で、この前いただいた資料の中に、虞犯少年の女子の状況について資料をいただいたのですが、特に女子の虞犯少年の状況ということを考えますと、やはり不純な異性交遊というのが非常に多くなっておる。それが一番多いようであります。その次に家出、こういう形になっておる。男子の方から見て参ると、男の方は喫煙というようなこと、あるいは学業を怠けるというのが一、二位を占めているようでありまして、不純の異性交遊というのは、そう他に比べて大きなウェートを占めておらない。ところが女子は特に不純な異性交遊というものが一番大きな率を占めておる。これにはいろいろ原因が考えられると思うのですが、その辺の御意見を一つお聞かせいただきたい。
 それからいま一つそれに関係いたしまして、これはやはり資料から考えてみたのですが、女の刑法犯というのは大体窃盗や詐欺、横領というのが非常に多く出ておりますね。ところが、虞犯少年の女性の関係は、今のように不純な異性交遊というものが多い。虞犯少年の状態と、それから女性が刑法犯を犯すようになっていったその状況、あるいは家庭というものに何か関係があるのかどうか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。ちょっと言葉が足らないかもしれませんが、虞犯少年の女子の部には、不純な異性交遊というのが非常に大きなウェートを占めておるけれども、それは女性が刑法犯を犯すようになってからそういうのが落ちて、窃盗、詐欺、横領、こういう形になって統計の上に出てきている。これには全然別に結びつけて考える必要はないのであるか、あるいは何かその辺に犯罪の種類統計の上からそういう関係があるのかどうか、その辺のところを二つだけあわせてお聞かせいただきたい。
#11
○木村説明員 私、お答えしまして、もし不十分でしたら保安課長からもいろいろ御説明申し上げたいと思います。確かに今おっしゃるように、女子の虞犯少年と男子の虞犯少年とだいぶ傾向が違うように表面上は出ております。一つの傾向として二十五ページの方の虞犯少年、これは全部入っておるわけですけれども、この虞犯少年の中で一番多いのは不良団加盟というのが非常にふえておる。不良団のいかがわしいグループに加盟しているこの不良団加盟が四六%もふえておる。これは非常なふえ方であります。その次に多いのはたかりです。これが三九%前年度上りふえておる。それから凶器所持、飛び出しナイフというような凶器を所持している、これが二九%。こういう傾向で、非常に男子の方は、男子の性格といいますか、その而からこれが非常にふえておる。女子の方は、確かに今御指摘のように、一番多いのは不純異性交遊、家出、こういう関係であり、その点趣きが若干違うのでありますが、これは若干男女の性別からくる生活態度といいますか、それからくる影響もあると思います。それから女子の方は、刑法犯の方は窃盗が圧倒的に多いということが結論として出ておるわけです。これの中には万引が入っておる。万引が相当あるのではないかということで、その万引の内容を解剖しませんと、ちょっと私もどの程度入っているかということを結論的に自信を持って申し上げられませんが、相当入っているんじゃないかと私も思います。そうすると、まあでき心で女子の虚栄心といいますか、そういうところからデパートなどで万引するというのが原因になってふえておるというふうに思われるのです。
 それから女子の場合にふえている不純異性交遊、これは確かに女子の場合に一番ふえているわけです。その次に不良交遊ということでありまして、これはおそらく最近の学校環境、社会環境というものから男女の交際が非常に自由になっておりますので、その中で先ほど申し上げた映画やテレビ、週刊雑誌の影響もあります。性に非常に興味を持つという男子の方の誘い水もあって、両方あって、そういう状況から不純異性交遊、不良交遊というものが圧倒的に多い。
 それから喫煙関係は、確かに男子の方が相当ウエートとしては重いんですけれども、女子の方も喫煙は最近は非常にふえております。不純異性交遊、不良交遊の次に喫煙のふえ方が第三番目に大きくなっております。これはやはり男女共通の傾向であるように思われます。
#12
○川村小委員 十六、七才と申しますか、いわゆる虞犯少女といわれる人たちの性の問題なんですが、これは非常に気にかかる問題なんです。ただ少年少女同士の関心というよりも、私は少女を相手にするおとなの存在があるのではなかろうかということを考えておるわけです。この少女の性的な問題を同年配の男の子供に直接結びつけて考えるのは少し早計じゃないか。これは女特有の性格からくる問題もありましょうが、これはおとなというものの存在がこういう状態に導いていくという社会的な問題も十分考えてみる必要があるだろう、こういうように思っております。
 何か飛び飛びになりますけれども、もう一つ、この前いただきました資料の少年非行の原因というのでいろいろ意見を聞かしていただいております。これは決してとやかく申し上げるあれではありませんけれども、この中で第二十一表、第二十二表についてちょっと間かしておいていただきたいと思います。第二十一表は、虞犯少年についての原因ということで、家庭的原因、社会的原因、本人の関係、その他、こういうふうに大体大別してありますが、これはやはりみな大きな原因だと思います。その中の家庭的な原因というところで、放任というような問題と、父母の欠如、いわゆる欠損家庭、こういうのが非常に大きなウエートを占めているように出ております。それから第二十二表の法務省の矯正局の調べによります表から見ると、家庭の問題としては、欠損家庭というのが非常に大きなウェートを占めております。これはもちろん少年院に収容された者の非行原因でありますから、一概に虞犯少年とそのまま比較するわけにはいかないと思いますけれども、少年院に収容された者の非行原因から見ると、家庭の中に欠損というのが大きなウエートを占めておる。これらの関係をちょっと推察して考えてみると、虞犯少年の場合においても放任という形で非常に大きく出してあります。そして二十一表に、三十二年が三七・七、三十三年が三九・一、それから父母の欠如という形で、三十二年が二・三、三十三年が二・二%、こういうふうに示してありますが、この放任という形に現わしてあるのは、父母があっても放任という形になった、それがはっきりしておるのかどうだろうか。放任というのだけれども、その中にはお父さん、お母さんがない、あるいはどちらかが欠如しているというような関係で放任というような形になってきておるのではなかろうか、こういうことなどを考えてみるわけです。と申しますのは、こういうふうにただ一概に放任という片づけ方をしないで、やはり両親があるかないか、あるいは片親しか持っていないかどうかということなどは実は大きな問題になる、こう思ったから今の点をお尋ねしているわけです。その辺の統計の表わし方の根源はどうでございましょうね。
#13
○木村説明員 今の点、非常に精密にお読みいただいて、私どもの方も非常に参考になったのですが、結論として申し上げますと、この放任あるいは父母の欠如という項目は、それぞれ家庭的原因のうちの小さい分類ですけれども、その虞犯少年なりあるいは犯罪少年、ここでは虞犯ですけれども、虞犯行為をなす原因に、主たる原因と従たる原因、あるいは第一原因、第二原因といろいろございますが、ここに掲げておるのは第一原因だけを掲げておりまして、たとえば放任の中にも両親そろっているけれども、両親とも放任状態でだらしがないという場合もありますし、母親だけあるいは父親だけがおって片方ないという場合もあるだろうし、おそらく両親ともないというのは含んでないかと思います。まだ確認していませんが、おそらくどっちかがいるんじゃないか。そのうちのどっちかが欠如している場合も含んでおりまして、その場合におそらく片一方欠如していることが相当の原因ではあろうと思いますけれども、それよりも、たとえば母親だけであって、その母親が非常に放任状態である。放任の方が直接の原因になって虞犯行為をやったというのがこっちに出ていますので、従ってこの中には父母の欠損といいますか、欠如の家庭も若干含まれている、こういうふうに読んでいただいてけっこうだろうと思います。しかしその場合に、やはり片一方欠けていることが背景になる場合が相当あると思うのであります。ここらは相当もっと土台を掘り下げる必要があると思います。
#14
○川村小委員 今の問題は、めんどうでございましょうけれども、将来いろいろお調べいただく場合に、せっかく父母の欠如というような項があって、統計上調査して下さるならば、その辺のところがごっちゃにならないように、たとい原因はあなたたちの目で見て放任であっても、やはり父親があるか母親があるかないか、両親を持たないかというようなことも、やはり正確にお調べいただきまして、そうして父母の欠如なら欠如というところに一つあげていただいた方が、問題を考えるときに非常に考えやすいのじゃないか、これは一つのお願いであります。
 申し上げるまでもなく、少年の非行の大きな原因をなしておるものは、家庭環境というのが重要問題でございます。それに両親があるかないかということ、父親を持っていないか持っているか、どちらかが欠けているということなどは、これはやはり一つの大きな問題ですし、これは母子家庭とかなんとかというように非常に問題になっておりますが、こういう点は政策として考える場合に重要な資料になるかと思いましたので、その点をお尋ねして、今後調査をいただくときには、なるたけすっきりするような形で出していただいたらと私は希望するわけなんです。というのは、国立精神衛生研究所の加藤さんの書いておられる中に、やはり今の点がちょっと指摘してあるのです。「全国の青少年非行を見ると地域的に相違があり、人口一万人につき二百五十人以上というのが東京、大阪、神戸、福岡、札幌となっていることは、都会の産業化に伴う犯因性環境の増加を示している。また彼らの保護者の生活程度を見ると、下流が五四・一%、極貧が八・九%を占め、中流はわずかに二七・〇%に過ぎず、実父母がそろっている者が四六・三%である。」こういうふうに加藤さんは書いているわけです。そうしますと、これらの下流の家庭、極貧の家庭、中流の家庭と見てみましても、やはり非行少年の半数以上は家庭欠損であり、しかも父母を完全に持たないというのが大半を占めているという結果に、加藤先生の言葉を借りるとなるわけでございます。これは非常に大きな問題としてわれわれは重視しなければならぬ。このように思っておるから、その点を一つお聞きしたわけです。
 その次の第二十二表を見ましても、やはり同様の疑問が出るわけですが、虞犯少年と少年院に送られた少年等をそのままひっくるめて考えるわけにいきませんけれども、法務省の調べでは、少年院収容者の非行原因の中には、特に家庭の中の欠損家庭というものが非常に大きなウエートを占めておるということなどは、やはり父母の状態というものが、家庭教育その他いろいろ考えて、いかにこの少年の非行の原因を作っているかということなどを思わざるを得ない、このように考えるわけです。これから警察の方に科学警察研究所ですか、できて、あの中に防犯少年の研究をされる部が設けられたわけですね。あそこでいろいろとそれぞれの立場から、あらゆる角度から原因を究明してもらう手だてができると思うのでありますが、そういう場合に、あるいは皆さんの方で直接補導に当られた場合、そのいろいろな原因を探究される場合に、今、一つの例を申し上げましたけれども、原因究明については、できるだけ一つそういう点を掘り下げておいていただきたい、これが一つであります。
 それから最後にお尋ねいたしておきますが、当初申し上げましたように、青少年の非行をなくすということは、これは非常に重要である。これは何とかしなければという気持は、だれでも同感だと思います。どうでございますか、皆様方の方で、予算の編成期もだいぶ近まっておるのでございますが、来年度あるいは再来年度――長期的な考え方に基かれてもいいのでありますが、とりあえず来年度としてどのような具体策を持って、あるいは必要な予算額等を考えていこうとしておられるのか、その辺のところをちょっと聞かしていただきたい。私も、この前ちょっと申し上げたと思うのですけれども、大へん私ありがたいと思いますことは、各地方で非行少年の防止をはかるというので、それぞれの団体あるいは有識者の人たちが、防犯協会の強化、その他適当と思われる協議会を開いて、この問題と取り組んでおるわけです。私たちは、そうして下から地域地域に盛り上っておる非行少年の防止策というものを見のがしてはいかぬと思う。これを大きく育てて、この人たちの力によって非行少年の防止対策を考えることは、非常に重要な施策じゃないかと思うのです。ただ、これは言い過ぎかもしれませんが、中央にあってあれやこれやと言っただけでは、決決してこれはなくなるものじゃない。具体的に手をつけて実践することが重要だと思われます。そこでそういう点などを考え合せてみまして、警察当局としてはどういうような施策を構想しておられるか。あるいは来年――再来年でもかまいませんけれども、来年あたりの予算要求に付して、どういう対策を持って臨んでおられるか、腹案がありましたら聞かせておいていただきたいと思います。
#15
○木村説明員 来年度の予算要求をすでに大蔵省に出しておりますが、その概要を申し上げますと、国費の関係で四千百六十四万ばかり、これはおもに少年の福祉を害する犯罪の取締りに相当力を入れたいというわけで、福祉犯罪と申しておりますが、人身売買、あるいは少年に淫行させるというような福祉犯、この福祉犯罪の取締りを徹底して参りたいというのが一つの重点です。
 それから少年問題のPR。少年犯罪に至るいろいろの原因やそれを防ぐ防犯上のPRということで、少年非行白書その他いろんなPRの材料を補導資料としてとりたいという、そういう関係のものなどを含めまして、国費としては比較的少いのでありますけれども、それ以外に国費として考えられますのは少年補導室の予算です。これはことしと来年二カ年にわたって大蔵省に折衝して通りました。来年度ももう認められることになっておるわけであります。この補導室は両方で、今申し上げた四千百万円以外に二千万ばかり認められております。それは全国で百五十カ所、警察署に作るわけでございます。というのは、少年を補導する場合に、一般の刑事部屋で、大勢のおとなその他が見ているところで補導するというのは非常にまずいのであります。これを、少年を補導するにふさわしい別の部屋で、いろいろな色彩や机の並べ方等を、それこそ科学的に研究しまして、少年補導室というものを新しい考え方で別個に作る。全国百五十カ所の警察に作る計画をしております。それ以外に、先ほど川村先生からもお話がありました科学警察研究所の防犯少年部というものを、昨年は法を改正しまして、約千万近くの予算を織り込んで、少年の非行に至るいろいろな原因や背景あるいはプロセスというものを科学的に研究する調査費、また補導技術、補導施設の改善、あるいは少年警察に携わっている警察官の適格性の研究あるいはそれに対する教育というようなものの研究材料として、約九百万ばかり要求しておるわけであります。これもことしさらに千万ばかり要求いたしております。それに要する人員は、主として技官でありますが、昨年は技官の定員を要求して十名認められました。幸い、これは各大学、各機関にお願いしまして、心理学、社会学、精神医学というような各方面の専門の新進気鋭の技術者を取り入れまして――連中に言わせますと、今、日本のいろいろな少年関係の問題を研究するスタッフとしては、われわれのところが一番そろっているんだ、日本一だと自負するぐらいに言っておるのでありますが、これはスタートしたばかりでありますけれども、総合的に社会学なり心理学なりあるいは精神医学なり、そういう科学者の協力を得られるスタッフができまして、そのスタッフを足場にして、ことしは九百万、来年はやはり千万ばかり調査費を要求しております。これはできるだけ通したい。
 そのほかに、保護センターというのを考えております。これはやはり二カ年計画で、全国で十四カ所認められましたが、ことしは七カ所、来年度には七カ所、それぞれ約九百万円の予算、双方で千八百万であります。これは少年だけではありませんげれども、家出した少年の保護というものを考えております。もちろん酔っぱらいというものの関係も入れておりますので、そういう意味で保護センターというものを科学的に研究しまして、すでにことしは警視庁初め愛知、各方面に運営されております。
 それからそれ以外に、一番大きいのは補助金であります。これは県費で負担し国費で半額補助、こういう補助金が大部分でありまして、補助金は全体で約一億四千五百万でありますが、この補助金を要求しております。補助金の、私たちが考えております一番のポイントは、非行防止地域の活動を推進いたすということであります。これは一昨年あるいはそれより若干前からスタートしているのでありますが、ある地区、何々町といろものを指定しまして、その指定された非行防止地区に対しましては、警察だけでなしに、あらゆる機関があらゆる施策を、県庁あるいは教育機関、厚生省、文部省、法務省、警察というものが、あらゆる施策を総合的にそこにぶち込んでいくということをやっております。この非行防止地区の予算が千百万円ばかり補助金として要求しております。従って県がこれを組めば、大体県は国の補助よりも多く組む傾向がありますので、両方やりました場合には二千数百万あるいは三千万くらい、全体としては非行防止地区としてその活動を促進するための警察の方の費用が考えられます。この非行防止地区の活動は比較的効果が上っておりまして、一番ティピカルな効果は徳島県と鹿児島県でした。両県のある町で、これは四年くらい前に非行防止地区に指定しまして、ずっと今日までやっておりますけれども、少年犯罪がほとんど半減しております。あるいはもっと減少しているという事実がありまして、少年犯罪全体としてふえているにもかかわらず、例外的に非常に集中した施策をぶち込んでいる町、村では減っているというのが統計に出ております。それを足場にして、昨年から警察庁の方で全国の各地方にそれをテスト・ケースとして進めております。これが全体で三百六十地区くらい予定しておりまして、すでに動いております。その三百何十地区のうちで全部が効果が上っているとは言えませんが、統計上相当効果が上っているという数字が出ておりまして、また後日資料としてお渡しできるのではないかと思います。
 それからそのほかに非行危険性の判定の実施であります。これは少年が虞犯行為をやるとか、あるいは犯罪行為をやるその危険性の度合いなり、プロセスというものを科学的に判定していくというので、たとえば図判法といって、何枚かの意味のない図面を渡して、それを見せて性格を判定する。あるいは項目法といいまして、八項目くらいの項目を設定しまして、その項目によって判定する。これは決して思いつきでやったのではありませんので、去年あたりからテスト費用として予算に組みまして、科学警察研究所でことしも研究を進め、あるいはアメリカのグリュック、ロールシャッハという有名な学者の研究なども掘り下げて研究しました。大体この非行危険性の判定の科学的な実施ということを昨年はテストし、ことしも科学的に進めて、来年度の予算としては、これを全面的に各県の警察本部として実施させようということで、すでに打ち合せを進めております。それに約三百万の費用を組んでおります。
 大体以上でございます。
#16
○川村小委員 いろいろ研究しておられるようで感謝するわけですが、お話しの予算の額にしましても、おそらく最低ぎりぎりのところじやないかと思うので、全部確保されて軌道に乗るように努力願いたいと思います。特に少年補導室の予算などは、二千万ではどうも少な過ぎるのではないかという感じがするわけです。百五十カ所ということになると十万余りですが、大体今警察署にはそれぞれそういう部屋があることはあると思いますけれども、それをお話しのように整備して、特別のりっぱな部屋に作って、青少年を補導してもらうことが非常に大事だと思いますので、これなんかももう少しどうにか研究していただきたい。
 それから、先ほどちょっと私が申しましたように、非行防止地域の活動は非常に重要視しなければならない。これは特に効果の上る施策じゃないかと思いますから、これには全力を尽して、一つできるだけの対策を立てていただきたい。
 それからもう一つ、お願いになりますが、青少年の補導という関係からいたしますと、全警察の方々がこういう問題について非常にあなたかい理解を持って、そういう面についての警察官の教養を高めてもらうということが非常に大事だと思われる。そういう点の問題等も御配慮いただくし、特に婦人警官、こういう方々に研究を積んでもらって、その任に当らせるということも、一つのいい方法じゃないかと私は思うのです。おそらくそういう点も一つの構想の中におありだと思いますが、婦人警官を少年等の補導に当るようにしていただきたい。子供は、やはりいかめしい顔つきの男の前に行くよりも、女の警官の方が親しみやすいのじゃないかと思われるので、そういう点では婦人警官の活動をわれわれは期待するわけですが、そういう点もあわせ御研究おき願いたいと思います。
 なおいろいろお聞きしたいこともありますけれども、一、二点お尋ねして、今後の対策を考えていく上の参考にしたいと思ったわけです。
#17
○飯塚小委員長 阪上君。
#18
○阪上小委員 これは質問になるかどうかわからないので、あるいは希望意見が非常に多い、こういうように考えていただきたいと思います。特にきょうは、自治庁の行政関係の人が来ておれば非常にいいと思いましたが、見えておりません。
 青少年保護対策というものは、警察関係の法に基く保護対策というのが一つの対策であり、さらにそれ以外の、青少年を対象とした保護対策というものも考えられなければならぬ、私はかように考えております。ところが、現在の青少年対策の中央におけるいろいろな機関をながめてみますと、厚生省なり、文部省なり、総理府、あるいは労働省もこれに関係しておると思いますが、そういったところが大体青少年対策をやる。同時に警察は法に基く保護対策をとつている。こういうことでありますが、このような行き方をやっているのは、私の知っている範囲では日本の国だけじゃないだろうか、こういうふうに考えられるわけであります。先ほど世界的な風潮によって非行少年がふえているということを言っておられ、その中で西ドイツの話も出て、西ドイツは多少例外である、こういうように言っておられたが、ほんとうにそうだろうと私は思います。ヨーロッパなりアメリカなりの状態を見ましても、警察庁から出ている資料を見てもわかるのですけれども、こういった青少年保護対策は、むしろ地方行政の中で行なっていくという形が非常に多く出ております。ところが、先ほど言いましたように、わが国のやり方は中央においてすら非常にばらばらである、こういう状態になっております。そこで中央は、こういった青少年の保護対策については、補完的な役割を果せばいいのであって、実際総合的な実施をやっていくのは、市町村あるいは都道府県だ、こういうふうに割り切った形を持ち出さないと、警察だけでこれをやっていこうとしても、おそらくこれはできるものじゃない、こういうようにわれわれとしては考えるわけであります。その意味において、やはり諸外国の例を参考とすることも必要でありまして、この場合、自治庁の中に総合的な青少年対策局を設けていく。従って、それに付随して地方自治体の中にそういったものができていくという形をとらないで、いつまでもこの論議をやっておっても仕方がない、かように思います。そういう意味で、きょうは自治庁が来ておりませんので、これについて質問することはできませんけれども、ぜひともそういった方向へ持っていくための研究をこの小委員会が作り上げていく、こういう方向を一つ打ち立てておいていただかないといけないんじゃないか。そのためには今日まで警察庁から非行少年、虞犯少年その他につきましていろいろとデータを出していただいて、われわれも非常に参考になり教えられるところが多かったのでありますが、これと並行して今後自治庁の行政局の関係者なり、厚生省、労働省あるいは文部省なりを一つ呼んでいただいて研究を進めていただきたいと思うのであります。
 そこでこの際警察庁に伺っておきたいのは、一体青少年保護対策について横の関係をどう思っておられるか、これだけ伺っておきたい。
#19
○木村説明員 今、阪上先生からお話があった点、まさしくそうでありまして、やはりほんとうに総合的に打ち立てなければならぬ大きな問題じゃないかと思うのです。中央でも、もちろん中央青少年問題協議会というものがありまして、私たちも幹事になり、次長も委員になって、各省と一緒にその場で連絡、協議をいたしております。また地方では、県に青少年問題協議会というものができておるわけであります。これを足場にして連絡、協議をするということになっておりますけれども、これは私たちの方も反省しなければいかぬと思いますが、必ずしも完全に一体になってぴったりいっておるということは申せないのじゃないかと思います。もっと連絡を密にして、強力にどこかで筋金を入れる官庁が必要ではないか。警察が筋金を入れるというのは必ずしも正しくないので、どこかで総合的にやる必要がある。ことに地方になりますと、地方の総合行政といいますか、そういう総合調整という点では確かに自治庁は相当役目があるんですから、今お話があった点については大きな命題ではないかと思います。十年くらい前に私が千葉の警察隊長をやっておりましたときに、青少年問題が非常に重要だということを考えまして、警察としましては非常にワクを飛び出して行き過ぎではありましたけれども――そのころ中央に青少年問題協議会ができたばかりであります。しかし問題は、町村長が本気になってこれに熱情を傾けていく、そうして町村の行政の一つとして取り上げることが非常に重要ではないかと思いまして、まずそのさそい水として県に育少年問題協議会をさっそく作る方向に努力をして作り、それから各部にも作り、全町村にも作るように説いて回りました。あの当時、中央の青少協が始まった直後で、ほかの県ではほとんどできなかったんですけれども、千葉では一年あるいは一年半ぐらいの間に、ほとんど全町村に青少年問題協議会ができまして、それに訴えて、町村長がほんとうに立ち上って、その立ち上りの盛り上りいかんによっては非常に大きな影響があるものですから、少し行き過ぎではありましたけれども、訴えて歩いたわけであります。そういう意味では自治行政としては大きな問題ではないかと私は思います。
#20
○阪上小委員 今、御答弁がありましたが、全くその通りだと思います。青少年問題協議会等におきましても、その業務を自治体で実施している姿を見ると、やはり教育委員会を中心としてやっておるところもあれば、その他の部局で扱っておるところもある、社会福祉事務所あたりでやっておるというふうに、てんでんばらばらの姿でこれが行われておる。いずれにしても、この問題につきましては幸い警察庁を含めた形が濃厚でありますので、やはりそういう地方行政の中でこの問題をほんとうに取り上げていって、自治庁の中に青少年対策局とかいうものが当然できるべきで、それがいまだにできないでもって、各行政官庁が別々、ばらばらに対策を立ててやっておるというような状態であります。先ほどお話のあった西ドイツあたりでは、中央には文部省がありませんので、従って内務省が全面的にこの問題を取り上げて、一括して総合的な対策を打ち立てている。そしてそれを実施するのは、すべて地方自治体であるという見事な形を作り上げてしまっている。そして西ドイツの場合は、特に戦後直ちに国策として経済復興の線、そして青少年に対する線、この二つを打ち立てているのであります。意気込みから違うと同時に、その機構ができ上っているのであります。こういったことについて委員長におかれましても、次会にぜひ自治庁の人を呼んでいただいて、この問題と取り組んでいただきたいと思います。
 それから先ほど警察庁から川村先生の御質問のあとでお答えになった問題でありますが、非常によく核心をつかんでおられると思う。非行少年が出て参ります大きな原因として、一つは家庭教育問題を取り上げられている。私は非常に当を得たものだと思います。わが国におきまする最近の状態を見ますと、非行青少年の教育は、ほとんど学校教育に依存しているという悪い傾向がある。何でもかんでも学校でやってくれるのだ、青少年については、子供については学校にまかしておけばいいのだということで、全く家庭教育が放任されている。ところが諸外国の例を見ましても、学校で性教育をやっているばかな国は一つもない。わが国ではよく性教育などは学校でやってほしいという声まで出ている。高等学校以上ではそういうことが望まれております。これは大きな間違いであって、諸外国ではそういうことはすべて家庭の責任である。道徳教育というものはすべて家庭の問題である。従って、学校へ行っている子供が非行を起した場合の責任は家庭がとるべきである。日本では、逆に学校へどなり込んでいく。旅行先で非行をやったことについては先生の責任であるというような言い方をして、全く百パーセント学校教育に依存している。これは文部省の青少年教育に対する考え方が間違っている。ことに社会教育の面は非常に軽く扱われている。しかも、その社会教育は文部省がやるのだというものの考え方に立脚している。こういう点で非常に大きなあやまちを犯しているのではないかと思うのです。その場合、やはりこういったものは地方行政のワク内でやっていくのだという考え方が、自治庁あたりの中にもはっきりしたものは確立していない。教育に関しては文部省であるという考え方で放任されているというのがわが国の特徴であります。これを警察庁が取り上げられたそのことにつきましては、私は非常に敬意を表しますが、やはりあなた方の中でも、そういうことは文部省がやるものだというように考えてしまって、向うまかせの問題で、非難だけしているような形になるのではないかと思うのですが、家庭教育に対して、警察庁として一体自分たちの許される範囲内においてどう参画していくお考えを持っておられますか。
#21
○木村説明員 ほんとうに核心をついた御意見でございます。文部省が青少年問題について社会教育の点でタッチすべき面もあるかと思うのですけれども、これについては私個人的な意見を申し上げることを差し控えますが、子供の性教育について特に一番大きい責任があるのは、私はやはり家庭だと思うのであります。
 最近の私の体験を申し上げたいと思いますが、これは個人的な体験を申し上げてお笑いぐさになるかと思いますけれども、しかし、それは私が青少年問題でどこかで話す場合に、抽象的な話をするよりも、実際に体験して、これがほんとうに正しいのだという回答を与え得ない場合には机上の空論でありますので、体験をいろんな場合に述べているのですけれども、ちょうどことし慶応に人った私の長男がいるわけであります。いろいろ考える場合に、たとえばうそをついてはいけないという教育については、ある程度私家庭の教育で、説教でなしに、一緒の話し合いの場で具体的な例をとらえていく、これはだんだん成功しているように私は思います。ただ一番自信がないのは子供の性教育であったのです。ところが、最近これを考えてみて、おやじとして、青年期に入った十九才の子供に対して、性教育で正しく解答を与えるのが正しいのではないかということで、二カ月くらい前、長男が慶応に入った直後、二人で話し合いをしました。日曜日の夜三時間ばかり話したわけです。そのとき私の結論としては、全部心を開いて具体的にに自分の体験を語るのが正しいのではないかというので、私自身の中学一、二年のころの性の目ざめのときから、中学時代、高等学校のとき、あるいは大学在学中、あるいは大学を出てから結婚まで、また結婚後今日までの自分の性的なさまざまな失敗など、あるいは若干の成功もありますが、そういうようなことについて自分の体験を具体的に、しかも隠さず全部話したのであります。今まで私が長男にいろいろな話をしても真剣に聞かなかったのですが、そのときの長男はほんとうに、ありありとわかるのですけれども、顔つき、目の輝きからみて、非常に真剣に私の話を聞きました。三時間くらい話しましたが、長男の言い出すことには、今まで感じたよりもお父さんをずっと身近に感じた、こんなにお父さんが具体的にしかも全部を知らしてくれたことで、ある意味の新しい愛情を感じたということを申しておりました。それからだんだん彼が、同じその時間ではありましたが、自分の体験を話し出した。いつごろどういう目ざめがあってどういうふうにした、どういうふうに悩んだ、どういうことがあったということを全部話してくれました。私が想像した以上にいろんなことがあった。また私たちに気がつかないいろんな陰のことがあった。それが幸い大きな失敗に至らずに、間違いに至らずに済んだ。全部を話してくれたものですから、私もそれに対して意見も言い、それから今後何かあったら具体的に一緒に話し合いしようという一つのかけ橋が渡った。そのときに同時に共産主義の問題についても、実は長男がいろいろ私に疑問を投げかけてくれました。これにつきましてはまた後日に話をしようということで話はできませんでした。しかし性教育については、一応私は家庭において自分がある程度の解答を見出し得たのですが、今阪上先生がおっしゃるように、家庭というものが非常に大きな性教育の場ではないかというふうに思います。娘に対してはやはり母親がすべきではないかと思いますが、これは私の家庭における残された今後のテーマになるかと思います。
#22
○阪上小委員 けっこうです。一つあなたの方で、学校教育ばかりに依存しないで青少年対策は打ち立てらるべきだということで、わが国の家庭内における教育の問題に一つの隘路があったというふうに認められて、そして今も経験談も伺ったのですが、一つその態度で、文部省へまかしておくという考え方はやめて、もっともっと地方行政として大きく市町村の固有事務というふうにまで考えを持っていかなければなりませんが、警察としてもやたらに介入していくというのはどうかと思いますけれども、PTAの会合もあり、婦人会の会合もあるのですから、そういった中であなた方が、やはり性犯罪の問題などで統計を取り上げてよく説明をしてやるという態度をたんねんに続けていかないと、家庭教育をやる人自身が教育の材料を持っていないということでは問題にならぬ。材料をむしろ提供してあげるという気持で、ただ性教育の問題ばかりでなく警察がそういう入り方をすることは、必ずしも私は悪くないと思う。諸外国の警察は青少年に慕われておりますが、日本の警察はきらわれております。それでは警察の民主化も威信もなくなってくる。そういう面の考え方もあろうかと思います。もっともっと家庭教育とのつながりを考えていかなくちゃならぬと思います。
 いま一つの理由として、マス・コミの影響を取り上げられております。マス・コミの影響がどうだ、そういうことはわかっているのです。数字をたんれんに出されておりますので、われわれも確信は得たのですが、問題はマス・コミと青少年のつながりというものを考えてみることです。ちゃちな考え方だと思うんですが、あなたの方で保護センタ一を作るという。これも一つのやり方だと思いますが、予算の上から見たら問題にならない。それでもそこへ頭を持ってこられたことはいいんですが、マス・コミの主体をつかまえていく。たとえばスポーツでしょう、映画でしょう、演劇でしょう、音楽でしょう、それから書物との関係における読書の問題がある。こういったものを的確に取り上げて、青少年が何を好んでおるか、好んでおるものがマス・コミであって、その影響を受けておるんだ。こういうふうに考えて、そこでその主体であるところのものに対して、ただそれを取り去って青少年から目をおおわせてしまうというようなことではだめです。その中に青少年を押し込んでやる。そういったどんな子供でもほんとうに好きだというものが五つも六つもある。先ほど言ったもののほかに、サイクリングを含んだ旅行も好きです。キャンプもそうです。これはスポーツに包括される。こういうものを与えてやるということを考えないで、ただそういうものを、世間で大騒ぎをやっておるのでそれから青少年を引き離すというようなことでは、こんなことはできやしないです。それを与えてやる。先ほどお話しになった西ドイツあたりでは、四千カ所もユースホステルを作り、ユーゲントハイムを作って、その場所をすべて青少年に無料で提供しておる。わが国でも岸さんの政策で最近取り上げられて、青少年の家をことしは五カ所くらい都道府県にできておるが、こんなものは五カ所やそこらではだめです。少くともわが国においては、人口から見ても五、六千カ所なければだめだ。あらゆる民間団体もこれの建設に協力すると同時に、市町村も作っていかなければならぬ。向うの例を見ると、警察も作っております。労働組合も作っておる。教職員の組合も作っておる。そのほかに宗教団体、ローマン・カトリック教会であるとか、あるいは新教会であるとか、それから政党が作っておるというふうにして、あらゆる団体がこれを作っておる。そのほかに都道府県、市町村が非常に多くのそういう青少年の家というものを作って、そうして今言ったマス・コミの影響をのがれさすために、彼らに、それと同じ傾向のものであって、しかも良心的ないい環境にあるものの中に住まわせておる。そういうものを全部与えておる。そういうような行き方をしてるんですが、今言った保護センターというようなものについては、警察関係法規において許された青少年の保護である、その手段として考える、これは警察としてやむを得ないと思うけれども、そういう程度のものではだめです。それも必要でありますけれども、それが直ちに青少年保護対策だ、こう考えておったら間違いです。もっともっと大きな観点から取り上げなければならぬ。そういうふうに私は考えるので、保護センターを作られるということは私は賛成ですけれども、ただ単に取締りのためとか、観護ということだけでなくて、もっと警察が民主化されていく方法として、この青少年問題を取り上げられることが一番いいと思うが、ただ、その方法が今述べられた程度のものであっては、必ずしもそれで、青少年に対して血道をあげて苦しんでおり、頭をひねっておるところの日本の国の婦人の人々をほんとうに喜ばしてやるものにはならない。もっと徹底した行き方を考えていただきたいと思います。しかし、皆さん方だけの手ではだめだと思います。いまだにこれに対して起債の一つも許さぬという間抜けた自治庁のやり方ではだめです。しかし、とにかくマス・コミの影響から全部シャット・アウトしてしまうというような考え方ではだめなんですよ。この点一つ考えておいていただきたい。
 それから、先ほどもう一つ問題が出ておりまして、世界的な風潮だ、その原因をつかむのに非常に困る、こう言っておられた。そこでこれは参考になればどうかと思うのですが、先ほど言われた例外である西ドィッでは、青少年対策について真剣に取り組んで、比較的うまくいっているわけです。その西ドイツで青少年対策として考えている一つの大きな理由は、最近非行少年その他青少年問題が出て悪化していく方向にあるということは、明らかに近代資本主義社会における非常にどぎつい刺激が青少年に大きな影響を与えているということ。いま一つは、近代機械文明の中において労働に対する非常に強度の精神的な緊張をしいられる格好になっていること。これは何も青少年に限ったことじゃないけれども、影響されやすい青少年には甚大な影響を与えておるという見方をしております。その例として、私がいつも言うことでありますけれども、最近ヨーロッパにおいても、女の子の初潮が過去十年間に二年も早くなっている。こんなのは体位が向上したわけでも何でもない。端的に言うと、青少年がませてしまっている。そのませた原因の一つは、今言ったどぎつい社会の中にある刺激であり、その刺激の中には警察が取り締るべきものがたくさんある。たとえば宮城前のあの広場でもって軽犯罪に近いようなことをやっているような問題、そういったものを子供が見ることによって直ちに影響を受けてくる。あるいはネオン・サインが散らばっている銀座とかあの辺の裏町を歩いてみればいい。これは風俗営業等取締法の改正に基いて、皆さん方の方で相当力を入れていただくことによってある程度防止できるでしょうが、そういったものから受ける影響が明らかに青少年を徒長させてしまっている。頭だけがませてしまって、そこからくる非行の原因というのが非常に多いと思う。
 いま一つは、みんな働いているが、時間に縛られ、機械に追われて、全く自分自身の自由な時間を持つことができないというようなことが労働の条件の中にある。住宅政策がうまくいかないために、八時間労働でも、往復時間を含めると十二、三時間の労働時間を持っている。そういうものからくる非常な精神の緊張をしいられる。それと今言ったようなことで青少年はませてしまう。
 いま一つ向うで問題にしておるのは、これは労働省関係でありますけれども、青少年の完全雇用の問題なんです。小さいときから雇用に頭を縛られて、中学を卒業するときから就職難でああだこうだといって頭を使っているというようなことでは、青少年というものはとても満足には育っていかない。
 こういった広範な問題をおいて――西ドイツではそれに対して、青少年をそういう環境から救うためにどうしたらいいかということで、警察なんかと協力して、現在の青少年対策というものが打ち立てられておる。こういうことでして、日本で青少年問題協議会が取り上げているような、ああいう非科学的な簡単な問題じゃない。同時に、文部省あたりが取り上げているような、青少年の社会教育が必要だとすれば、その社会教育は文部省が担当するんだというような独善的なものの考え方はないのです。むしろ、今言いましたように、近代の青少年非行の原因は、どちらかというと厚生行政の方に入っていかなければならぬくらいに考えておる。もっと医学的な見地から検討されなければならぬ。そこで警察の側におきましても、取締りの面ばかりでなく、幸いに若干の増額をみたところの科学警察研究所もあるのだから、もう少し医学的な見地から青少年というものを考えていく。社会的な見地から考えることはあなた方の専門ですから、ある程度手を打たれていると思うが、もっと深いところに原因がある。そういう原因があるものですから、世界的な風潮として出てきておる。だから、表面に出てきたところの非行の実態だけを頭に置いておったら、いつまでたってもこの風潮は消えていかない。そういう意味で一つ警察の方でも、もう少し医学的な見地から青少年問題を取り上げていくということを考えていただかなければならぬ、こういうことなんです。お答えは要りませんけれども。
 最後に一つ委員長にお願いしておきたいのは、大体こういうふうに今調査を進められて、現段階では警察の段階が一応終りに近くなってきておると思います。これだけではとてもじゃないが青少年補導小委員会の目的は達せられません。ぜひ自後におきまして逐次こういう点、警察は基本ですから、自治庁、厚生省、労働省、文部省、それらの関係官を呼んで、ほんとうに具体的な対策を打ち立てていく資料をできるだけ早く収集するようにして、おそらく今回の予算編成にはもちろろん間に合いません。しかし、青少年のユースホステルを建てる場合に、都道府県、市町村がほんとうに力を入れてやっていくという場合には、起債などをこれにつけてやるくらいのことは、この委員会からも強く主張することができるだろうと思うので、ぜひそういうような運営の仕方を一つお願いしたいと思います。
#23
○渡海小委員 私要望しておきたいのですが、ただいま世界的な風潮としても犯罪が増加しつつある。西ドイツは例外でありますが、その世界的な犯罪の風潮を、年令別あるいは犯罪別に分けて今御説明願ったのですが、そういう世界的な風潮と日本の犯罪とどう違うかということがわかりましたら資料として一つお出し願いたい。
 それと同時にもう一つは、人口と、あわせて世界各国のおもな国の青少年犯罪の占める率とわが国の状態というものを、わかりましたら一つ資料としてお出し願いたい。
 もう一つ要望しておきたいのは、昨日、ほかの問題のときに警察庁から出されました資料の中で、いわゆる暴力集団と申しますか、暴力団の構成人員の中で、人員別にして十万名ほどの統計が出ておりましたが、その中で半数以上が青少年の暴力団であるということでありましたが、もしこれらの実情がわかっておりましたら、それらについても資料をお出し願いたい。なお、これに対する対策等も次会にお知らせ願いたい。その二点だけお願いしておきます。
#24
○飯塚小委員長 私から阪上委員に対して一言お答えしておきます。あなたの御意見は、この前の委員会のときに川村委員からも同様の御意見が出ておりますし、その方向で進んでいきたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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