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1959/09/10 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 地方行政委員会 第5号
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1959/09/10 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第032回国会 地方行政委員会 第5号
八月二十一日
 次の委員会開会要求書が提出された。
   地方行政委員会開会要求書
 最近の中小企業の争議に対する警察権力の介入
 について審議致したく、速かに委員会を開会致
 されたく、衆議院規則第六十七条第二項の規定
 により連名にて要求します。
  昭和三十四年八月二十一日
   地方行政委員長濱地文平殿
     地方行政委員
                門司  亮君
                阪上安太郎君
                安井 吉典君
                太田 一夫君
                加賀田 進君
                川村 継義君
                佐野 憲治君
                下平 正一君
                中井徳次郎君
                北條 秀一君
                矢尾喜三郎君
    ―――――――――――――
昭和三十四年九月十日(木曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 濱地 文平君
   理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君
   理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君
   理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
   理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君
      相川 勝六君    加藤 精三君
      亀山 孝一君    鈴木 善幸君
      高田 富與君    津島 文治君
      富田 健治君    中島 茂喜君
      三田村武夫君    保岡 武久君
      山崎  巖君    太田 一夫君
      加賀田 進君    川村 継義君
      佐野 憲治君    五島 虎雄君
      中井徳次郎君    矢尾喜三郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
 委員外の出席者
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      江口 俊男君
        総理府事務官
        (自治庁行政局
        長)      藤井 貞夫君
        警 視 総 監 小倉  謙君
        警  視  長
        (警視庁警備部
        長)      玉村 四一君
    ―――――――――――――
八月二十四日
 委員北條秀一君辞任につき、その補欠として久
 田豊君が議長の指名で委員に選任された。
九月一日
 委員久保田豊君辞任につき、その補として北條
 秀一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員金子岩三君及び下平正一君辞任につき、そ
 の補欠として保岡武久君及び五島虎雄君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員保岡武久君及び五島虎雄君辞任につき、そ
 の補欠として金子岩三君及び下平正一君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 派遣委員よりの報告聴取
 警察に関する件
#2
○濱地委員長 これより会議を開きます。
 派遣委員の報告調査の件につきまして議事を進めます。さきに静岡県下の地方行財政概況並びに昭和三十三年台風第二十二号による風水害の被害及び復興状況の調査及び奄美大島の最近における水火災害の被害状況及び奄美大島群島復興特別措置法による同島復興事業の進行状況調査のため、議長の承認を得まして委員を静岡県及び奄美大島群島に派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員よりその報告を聴取することにいたします。まず静岡県の状況から報告を願います。纐纈彌三君。
#3
○纐纈委員 先般第三十二回国会閉会後行われました委員派遣の国政調査のうち、静岡県下に参りました調査団の調査の概要を便宜私から御報告申し上げます。
 静岡班は委員纐纈彌三、同飯塚定輔、同中井徳次郎の三名が丸山調査員を帯同いたしまして、七月二十八日から同月三十日に至ります三日間、静岡県下各地において調査を行いました。今回静岡班が編成されましたのは、申すまでもなく、昨年の台風二十二号の被害が同県伊豆地方に激しく、本委員会といたしましても、第三十一回国会の冒頭において起債の特例を認める立法を行うなど、特別な考慮を払った関係もあり、現地視察は当初から懸案となっていたからであります。それゆえ調査の重点は災害関係にあったのでありますが、なお県下の行財政事情の概況をもあわせ視察することといたしました。従いまして、調査事項は、静岡県及び県下の地方行財政概況と、昭和三十三年第二十二号台風による被害とその復旧状況とし、その具体的重点項目としては、一、税財政の実情と運営上の問題点、二、町村合併の成果と新市町村建設の進捗状況、三、伊豆地方における災害対策とその復旧状況の三項目を掲げました。
 第一日は、県庁におもむき、関係部課長から右の重点項目について詳細な資料に基く説明を聴取し、第二日には、伊豆地方に向う途中、富士市を訪れ、市長から新市建設の状況を聞くとともに、道路港湾の修築の実際を視察いたしました。修善寺に新設された伊豆地方災害復旧事務所におきましては、復旧事業に関する現地の各責任者から現状を聴取するとともに、十人に及ぶ地元市町村長等の陳情を聞きました。現場視察といたしましては、大仁町を中心とする狩野川の本流流域はもとより、ジープを連ねて、修善寺地域において狩野川と合流する大見川をさかのぼり、被害のはなはだしかった中伊豆地方に至り、上流山岳地帯で復旧未着手の道路、橋梁、堤防等の決壊状況、すでに復旧進捗中の築堤工事の現状等を見たのでありますが、上流地域における山くずれや、この地方特有のワサビ田の被害状況を見ますと、一昼夜に七百ミリをこえた天城山北部山岳地帯の雨量の激しかったこと、砂防工事の必要を痛感せしめられたのであります。また一瞬にして七十七名の死者と二百四十六名の行方不明者を出した修善寺地域の熊坂部落を見たのでありますが、この部落は大見川が狩野川に合流する地点のやや下流に位して川沿いにあり、大仁橋近くの堤防決壊により、暗夜一瞬にして全部落が押し流され、川ばたにあった修善寺中学校は跡形もなく流失したのでありまして、当時の惨状は想像のほかであったと思われますが、部落民は応急住宅、共同作業場等により復興に励み、耕地は大半整地植付を終っておりました。
 第三日は、修善寺より下流に位する大仁町、伊豆長岡地方を中心とする狩野川本流流域について視察しましたが、この地方は、さらに下流にある韮山、函南両村とともに上流山岳地帯の豪雨集積による洪水の襲来により、堤防、橋梁の破壊されたものが多く、人畜、農地の被害の多かったところであります。この狩野川本流の河川工事は、修善寺下流は国の直轄工事で堤防修築も完成に近く、両岸の広大な農地も復旧し、大半植付を終っており、復旧は快速調を示しております。また狩野川の水量調節のため、伊豆長岡町地籍内で駿河湾に最も近いところで丘陵にトンネルをうがち、新たに海への放水路を建設中でありますが、これまた国の直轄工事でありますが、おおよそ隧道も完成している現状を視察して参りました。
 以上が調査の概観でありますが、各調査項目についての具体的内容は、はなはだ多岐にわたりますのでこれを省略し、ただ全般にわたり概括重点的にその印象等を申し上げて、御報告にかえたいと思います。
 まず県の財政事情でありますが、その財政規模は本年度現計予算で一般会計二百六十五億五千六百余万円、その歳入構成では、県税七十五億五千七百余万円が予算総額中に占める割合は、当初予算で三四・八七%、現計予算で二八・四六%となっており、地方交付税は当初予算で一〇・二六%、現計予算で八・一四%、国庫支出金は当初予算で三四・六九%、現計予算で三七・〇八%となっておりますが、これは災害関係によって国庫に依存する度合いが高まって五一%となったためでありまして、通常年度では県税収入は歳入総額の三二%くらいだとのことでありますが、静岡県のごとき県にして税収がこの程度であることは、府県財政の現状を物語るものと考えられます。
 歳出予算の分析におきましては、人件費は現計予算で予算総額の三九・一%、投資的経費は四二・六%となっておりますが、これは災害関係で二百五十人の定員増加を行なったためで、これを除けば人件費は五一%、投資的経費は二八%の割合となっており、そのうち災害復旧事業費は三十七億四千八百万円で一四・一%に当っております。
 地方債の面で特に目立つことは、現債高本年度当初百十五億八千二百余万円のうち、交付公債がその二四%に当る二十七億四千万円に及んでいることであり、毎年の発行額、現在高、償還額等から見て、本県財政上重大な問題となっているのであります。国道一号線の改良舗装の実施に伊豆災害による狩野川の復旧事業に伴う県負担金の増が加わり、今後毎年七億ないし八億円の交付公債を発行する予定であり、五年後の昭和三十九年度における交付公債の元利償還見込み額は七億七千三百余万円に達し、同年度の交付公債発行予定額とほぼ同額に達することは注目すべき事実であります。
 県下各市町村の財政状態を概観いたしますと、昭和三十三年度決算で赤字団体は十八市中、熱海、伊東、焼津、掛川の四市、町村では七十九町村中、小山、大浜、大須賀、佐久間の四カ町にすぎず、しかもこのうち焼津市のみは本年度より再建法準用団体となるにとどまり、他の三市四カ町はいずれも自主再建団体として赤字を解消し得る程度であります。
 次に本県の町村合併関係を一べついたしますと、町村合併促進法施行直前の市町村数は十二市五十町三百五村であったものが、本年七月一日現在で十八市五十一町二十八村となり、合計で二百八十一団体から九十七団体に数を減じております。従って合併によって減少した町村数は百九十に達し、国の計画に対しては一二八%、県の計画に対しては九五%の成果をあげております。
 合併やその後の新建設の推進の事業に関連して、本県において特に注目すべき点は、従来地方課の所管となっていたこれらの事務を処理するため、本年四月から別に振興課を新設し、また本県には県事業の総合調整をはかるために企画調整部が総務部のほかにあり、別に定める郷土建設推進要綱によって、県には知事を長とするその推進本部が設けられ、企画部長がその事務局長となり、振興課長が主幹となり、市町村の推進本部や全体の連絡協議機関をも設けて、新市町村の建設と新農山漁村建設とを総合調整するのみならず、また単に施設補助や県の一方的事業のみにとどめず、市町村及び民間団体との協力態勢のもとに郷土建設の総合的施策が推進されているということであります。このような機構が考えられたのは、町村合併促進法が時限法であったことと、新農山漁村建設とを総合調整し永続性のある施策を行うためで、この組織が一昨年の国民体育大会の運営や、昨年の伊豆地方の大災害の対策推進に多大の成果を上げたといわれております。
 新市町村建設の模範として富士市を視察いたしましたが、同市は昭和二十九年三月三十一日に旧富士町、田子浦村、岩松村の三町村が対等合併によって成立したものであります。地理的条件にも恵まれ、合併前の二カ村を旧富士町並みに引き上げるという合併の理想に向って市長以下努力しており、市庁舎の新設を除き新市建設五カ年計画の事業は大部分執行済みで、計画外の事業もだいぶ執行している状況であります。大小三百有余の製紙工場等もあり、財源に恵まれ、税収は二億二千五百万円、歳入の六一%を占め、投資的経費は歳出の四四%で、全国比で同位の市に比較して二倍に近いほどで、通常の場合財政に多くの困難はないのでありますが、目下岳南工業開発のための港湾整備、すなわち田子浦築港と道水路整備、富士川用排水事業による土地改良、東海道線富士駅の総合改修等の事業があり、それぞれ巨額の地元負担金が要求され、ほかに緊急を要する中小学校施設、屎尿処理、都市計画街路の整備等があって、市財政は著しく圧迫されているので、優良町村として県から与えられる補助のごときはとうてい救済にはならない。よって、新市町村の建設には国は法の認める援助は十分に与えられたい、すなわち新市建設のための各種事業の起債、補助金等は優先的に扱ってほしいと市長は訴えているのであります。その他市長は、当市の特殊事情として、各種事業が一時に累積した場合の考慮、交付税について当市が昭和二十九年三月末日市制施行により、事実上四年間で算定がえの恩典が失われることの救済を求め、大規模償却資産に対する市の固定資産税の課税標準制限額の緩和、国の委任事務に伴う財政的裏づけ、特に国民年金関係事務についての市の犠牲的負担についても訴えるところがありました。
 さて台風二十二号の猛威は本県史上未曽有の事態を引き起し、特に伊豆地方の被害の甚大なことは想像のほかであったようであります。もとよりその詳細は省略いたしますが、道路、橋梁、河川、砂防、港湾等の公共土木施設、農地及び農業施設、林業、住宅家屋等に大惨害をもたらし、人員の損傷も行方不明者を加えて死者九百十六人、負傷者千四百九十六人に及ぶのであります。公共土木施設に対する総被害額は五十九億九千四百万円にも達し、うち四十四億四千五百万円が伊豆地方の被害であります。県は昨年十一月伊豆災害復興本部を設置しましたが、分散していた現地の各事務所は本年三月修善寺町に新設された合同庁舎に集合して各事業の総合的運営をはかることとなり、四月には県庁の機構改革によって復興本部を企画調整部振興課に置くこととなり、現地事務所には調整役として主幹を派遣して、現地市町村及び部落民の要望等を聞き、問題の解決と調整に当らせております。
 復興の基本は、もとより土木、農地、林野の各事業とあわせて、民心の安定をはかるにあり、それぞれの分野において復旧計画を立て、また各種施策を行なって復興に努力しておりますが、それぞれ年度割によって土木施設、農地及び農業用施設は各四カ年、耕地の復旧については植付期までに七〇%を目標にし、植付期現在で当初の目的を達し、七八%の復旧を見ており、林業施設のうち治山は五カ年、林道は三カ年の計画で工事に着手して、それぞれ成果をおさめております。狩野川の河川工事の直轄事業は本年度出水期までに完成する目標で築堤工事に主力を注ぎ、改修工事も並行して進められ、危険個所はほぼ完成を見ております。
 右のほか、金融、食糧、農業指導、住宅、生活保護等、産業や民生のための種々な施策が行われていることはもちろんでありますが、すべて省略いたします。
 これを要するに、台風二十二号は伊豆地方に集中的に甚大な被害をもたらしたのでありますが、本県が地理的にも恵まれており、国の援助、官民の協力等によって被害復旧はきわめて順調であるよう見受けられるのでありますが、なお奥地の山地の林業、ワサビ田等はもとより土木工事も復旧に未着手のところもあって、地元の町村においては、第二年度以降において政府の援助の手がゆるめられるようなことのないことを熱望しているのであります。
 以上で各調査項目についての概要を申し上げたのでありますが、最後に全般にわたり各関係者から特に要望されました事項のおもなるものを申し上げて報告を終りたいと思います。
 まず、県の財政当局は、財政運営上の要望事項として、一、地方交付税の算定上基準財政収入額を八割から九割に引き上げるような考えには反対であること。二、国の直轄事業の県負担金にかかる交付公債については利子を免除すべきこと。三、公共事業の大幅増額に伴う地方負担の増に対しては地方債その他により財源措置をなすべきこと。四、伊豆災害復旧に要する経費の財源措置については、地方債、特別交付税について特別の配慮を願いたいこと。以上四点につき数字をあげて理由を述べているのでありますが、特に災害復旧事業については、認定外の必要やむを得ないいわゆる関連事業、すなわち災害復旧工事に関連する道路橋梁の合併施行にかかる単独事業、公共事業に採択されなかった河川浚渫工事等さしあたり施行を要するものが一億円余もあり、また災害地の営農対策、特にワサビ田の整備等で昨年度に引き続き巨額の財政需要があるので、補助事業にかかる起債充当率の引き上げ、単独復旧債のワクの拡大、特別交付税による財源配慮等本年度も引き続いて特段の援助を請いたいといっております。
 また、市町村の財政に関しては、一、義務教育諸学校施設費の補助金を引き上げること。二、国民健康保険制度の確立まで財政援助を行うこと。三、町村に道路整備の特定財源を付与すること。四、合併不能小規模町村に対し財政援助を行うこと等を要望しておりますが、特に災害を受けた市町村に対する財政措置については、復旧事業計画は一応順調に進んではいるが、事業の施行は急速を要したため、国庫補助金や起債の見返り財源として一時多額の資金調達の必要から農協等より相当高利な民間資金を借り入れているので、利子支払いのためこうむる重圧を救済する必要があるとし、なお起債充当率の維持のほか、一件十万円以上で査定漏れのものも、締め切り期日後においても災害復旧関連事業と同様、追加して単独事業として認めてほしいとの要望がありました。
 土木、農地、林業の各関係当局からもそれぞれ要望が提出されましたが、これを要するに、一、災害復旧国庫補助金については、前金払いは早期に完全交付し、高率補助適用地区に対する普通率との差額補助金を早期に交付すること。二、災害復旧地方債の取扱いは災害発生第一年度と同様の起債充当率及び対象範囲を引き続き認めること等であり、特に林業災害については災害により新しく発生した崩壊地の復旧事業を施設災害復旧事業と同様に取り扱うこと、施設復旧事業における所定の復旧率によって復旧すること、高率補助を制度化すること等の要望がありました。
 伊豆災害復興事務所における地元市町村長の陳情は、それぞれ個々の特殊事情に基くものもありましたが、その共通にして主要なものは、すでに県当局によって代弁されており、その強い訴えは、いずれも復旧事業促進のため資金の調達操作に困難しており、特に補助も起債も得られないが、しかも適時適切に処理を要するもののために思いがけない各種の経費を要することについて考慮してほしいというようなことでありました。
 以上をもって御報告を終ります。(拍手)
#4
○濱地委員長 次に奄美大島群島の状況について報告を願います。阪上安太郎君。
#5
○阪上委員 さきに奄美群島の復興状況等を調査するため委員会から派遣されました私たち一行は、予定通り調査を終了いたしまして、八月の上旬に帰院いたしました。その結果につきまして便宜私から御報告申し上げます。
 この調査班の一行は、津島文治委員、高田富與委員と私との三名に曽根調査員を伴いまして、七月二十七日鹿児島県庁、二十八日名瀬に着き、そうして大島支庁を訪問いたしました。それぞれ同群島の公共施設、産業、民生等の実情及び復興事業の進行状況等について詳細な説明を聴取いたしました。引続いて大島本島内の名瀬市、住用村、瀬戸内町を歴訪いたしました。住用川水力電気発電所の建設工事、水害の被害状況、瀬戸内町古仁屋地区の火災の被害及び復旧の状況等を視察、三十日沖永良部島の知名町、和泊町の両町を訪問いたしました。特に港湾の改修工事、水道工事、パイナップルの栽培状況等を視察し、最後に徳之島に渡りまして、三十一日より二日間、徳之島町、伊仙村、天城村の三町村を歴訪いたしまして、港湾施設、製糖工場等を視察いたしました。文字通り炎天下の強行軍でございましたが、現地の関係当局並びに各界の代表者が、われわれの調査についてきわめて深い関心を持たれまして、多大の協力を与えられました。また同群島選出の保岡代議士が、終始行動をともにしてくれまして、案内の労をとられ、おかげをもって十分調査の目的を達することができました。この点はわれわれまことに感謝にたえません。なおまた海上保安庁の巡視船がわれわれ一行のために特別な便宜を与えてくれました。この点につきましてもこの際付言して謝意を表しておきたいと思います。
 次に順序といたしましては、群島の一般的な概要を申し上げなければならぬのですが、時間の関係上これは省略させていただきます。
 いずれにいたしましても、奄美群島は離島という地理的な条件のほかに、夏季になりますと台風、冬になりますと季節風、こういったものに常に悩まされておりまして、気象条件並びに行政の沿革等の関係から、もともと本土に比べ著しい立ちおくれを示していたのでありますが、これに加えまして戦時中にこうむった優大な被害、ことに八年間に及ぶ米国軍政下の行政の空白によりまして、二十八年末母国復帰のときには、経済、社会、教育等各方面の荒廃と窮乏が目をおおうばかりのものであったことは、今日現地を視察いたしましても想像にかたくないのであります。従いまして、復帰直後において、同群島住民の生活水準を一応戦前の本土並みに引き上げるために必要な産業文化の復興と公共施設の整備充実とを目標といたしまして、奄美群島復興特別措置法が公布施行され、これに基いて二十九年度を初年度とする復興五カ年計画が樹立され、おおむね百五十億円余の事業費が計上されましたことはきわめて適切な処置であったと思うのであります。これは特に現地の復興状況をわれわれながめて参りまして、その思いを深くいたしたのであります。しかしながら、事業の進捗は国の予算の制約のほか、現地の受け入れ態勢等の事情もあって遅延いたしておったのであります。三十三年には法改正を行なって、五カ年計画を補完訂正して十カ年計画に切りかえられたのであります。そして三十億円程度の事業量の増大をはかって、さらに第三十一国会においては同群島復興信用基金に資金貸付を行わせることとし、国から例の一億円の出資を行うなど、復興推進のてこ入れが行われましたことは御承知の通りであります。ことに基金は現地でも非常に歓迎されておりました。今回の調査では、この復興計画の実施状況の調査を主眼とした次第でありますが、結論的に申しますと、同計画は概して着実に実施されており、公共事業関係、文教施設の復興整備等につきましてはきわめて順調に進められ、そういうわけで産業基盤の確立は、この措置によりまして期して待つべきものがあるとわれわれは確信いたしております、三十四年度は、国庫支出金も十三億円に増大いたしまして、三十三年度末の事業進捗率は平均四四%を、本年度内に六三%まで上昇させることができる。こういうことで計画完成への明るい見通しが持たれているようでありました。しかしながら、なお今後において実施計画の変更を要する点、あるいはまた年次計画作成上特に留意しなければならぬ点、その他の若干の問題点があると認められましたので、その主要な点を申し上げて委員各位の御参考に供し、あわせて政府当局の注意を喚起したいと思います。
 その第一は、公共土木事業の進捗に比べて、社会福祉、保健衛生、産業の復旧開発等、こういった直接民生に寄与する事業が貧弱であるか、あるいはその実施がおくれていると思われることであります。また道路、港湾等、生活活動の基礎的な条件が極度に貧弱かつ荒廃している現状に即して、まず何よりもこれら公共施設の復興整備が急がれた事情というものは了解されるのでありますが、同時に民生の安定、産業の復興がこれと歩調を合せるように指導援助が行われないということでありますならば、せっかく整備された公共施設も十分にその効果を発揮することができず、その維持管理すらかえって荷厄介となるおそれが十分にあるのでありまして、それでは島民生活の向上という肝心の目的が達成されないうらみがあるのであります。復興事業の進行に伴いまして、群島民の生産所得の伸張率は、復帰当時一人当り一万八千円であったのが、三十一年には三万四千円と約二倍にはね上り、生活水準の向上は目ざましいものがあるといわれておりますが、しかし、これを全国平均に比較いたしますと、まだその四一%という低いところに位しておるわけであります。そこで産業助長政策の一段の推進ということはぜひ必要なことになってくるわけでございます。
 それから第二には、特別措置法の実施に籍口いたしまして、何でもかんでも特別措置法だ、こういうことになりまして、通常行われるべき行政に対する財政援助というものが等閑に付されておるという傾向はないかということであります。すなわち都市計画法とか、あるいは新市町村建設促進法、そういうものによる助成措置がそれであります。また風水害、潮害等の復旧事業等もすべて復興計画の事業にすりかえられておる状態であると思われるのであります。鹿児島県の県財政の事情が極度に悪く、財政再建団体であるということから、本来県の行うべき事業が復興計画事業に切りかえられており、国の責任において行なっておるということは理解されるのでありますが、土地改良事業にいたしましても、あるいはまた土地区画整理事業にしましても、道路等の維持管理にいたしましても、いま少し県が積極的に指導援助の手を差し伸べるべきであると思われたのであります。
 それから第三には、復興事業に対する国の補助負担率はおおむね最高の率が適用されておりますけれども、土地改良事業中、農道については、事業分量の増加を望む地元民の要求にこたえまして、国庫補助十分の七・五のこの最高補助を十分の六の低率補助で操作して、その結果地元負担が累積する。そうしてその結果、土地改良組合ないし個人が負担を過重にしなければならぬ、こういう状態で大へん困っておるという実情でございます。県の補助が考えられないか、また同時に最高補助率を保持しつつしかも事業量に対する要求が多いのでありますから、その事業量の拡大をはかるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。
 それから第四には、本群島の基幹産業であるところのカンショ栽培と製糖事業に関する問題であります。最近、砂糖の関税引き下げ、砂糖消費税法の改正等の政府の施策に伴いまして、大規模な分蜜製糖工場が復興事業の一環として政府資金の融資を受けて群島各地に進出してきておる。そのために従来から島民の手で行われ、または復興計画でも当初は資金を貸し付けてその建設を奨励してきたところの黒糖生産事業が致命的な打撃を受けておるという深刻な事態が起ってきておるわけであります。黒糖への需要が後退いたしまして、分蜜糖に移行するということは、時代の変遷のしからしむるところでありまして、やむを得ないことである、こういうふうに考えるといたしましても、従来農民と直結して発展してきたところのこの種事業を、分蜜工場進出の犠牲として倒産状態に追い込むということは、大きな問題ではなかろうかと私は思うのであります。むしろ生産の減少により適正価格の保持が可能になるという面もあると思われますので、両者の集荷量であるとか、集荷地域その他につき何らかの調節の方途を講ずることが急務であると思われます。これと同時に黒糖価格の安定策をも考えるべきであろうと思います。政府当局は、この問題の推移に深い関心を払っていただいて、既存業者が立ち行くような何らかの適切な救済策を立てるべきである、こういうふうにわれわれには考えられるのであります。
 なお、沖縄等におきましては、畜力でもってまだ黒糖を製糖しておるところがありますので、こういったものともにらみ合せて、この際工場施設の配置転換といったこともあわせて考えるべきじゃなかろうかと思う。
 糖業についてさらに重要な問題は、今後における大製糖工場と農民との関係でございます。現在は、会社側も非常な好意的な立場に立っておりまして、カンショ栽培者に対し比較的低利で肥料または現金を貸し付けており、相当高価に買い上げも行なっておる。農民もこれを歓迎しておるというような状態でございますが、将来農業協同組合による一元集荷、それから買上価格の保証等について十分な対策が立てられないということでありますならば、従来の青葉売りといったものが再現しないとは言えないのであります。この点については政府当局においても特段の配慮をしていただきたいというふうに考えます。
 なおまたパイナップルの生産加工についても、同様の問題がやはり起っております。これまた農民の保護対策が必要であるかと思いますので、特にまだ緒についたばかりのパイナップルでございますので、今からよほど注意をして指導をしなければならぬ、こういうふうに考えられます。
 それから第五番目には、今申し上げましたことと関連しまして、特に農業協同組合及び漁業協同組合の再建整備、助長、育成がきわめて急務であるということをわれわれは痛感いたしております。本群島の農協の劣弱なことは想像以上でありまして、はなはだしいのに至りますと、加入の農家がわずかに一一パーセント程度である。資力も枯渇いたしておりますし、信用もなく、ほとんどなきでにひとしいという農協もあるということであります。再建整備法のべースに乗るものはほとんどない。辛うじて三つぐらいの組合がその対象となっているにすぎない。政府も、県も、県農協連も、基金の拠出その他徹底的な復興計画を樹立すべきであります。鹿児島県におきましては三千万円の預託をいたしまして、信連から貸し付けておるというような状態でありますが、とても間に合わないので困っておるというようなことも言っておりましたので、この際特に御配慮願いたい。
 六番目には群島内の市町村財政でございますが、これはきわめて弱体であります。復興事業の進行に伴いまして、高率補助であるとは言いながらも、地元負担に対する起債は年々累積していく。その元利償還は次第に財政に重圧を加えておる、こういうような状態である。これに対しましては利子補給あるいはまた特別の措置を考慮する必要があると認められます。地方交付税法においては、昭和二十一年度から三十年度までの間に特定の公共事業や六三制の整備事業等の財源として発行いたしました地方債の元利償還について、その一部を補てんする措置を講ぜられることになっておるのでありますが、この本群島においては、二十九年度分と三十年度分しかその適用を受けていない。現在実施しつつある復興事業による起債については特別措置債と同様の配慮をしてほしいという現地の要望はもっともであるとわれわれは思われたわけであります。また復興事業実施については、市町村の財政能力、技術能力等を考えて、できる限り県営に移行せしめるのがかえって親切ではなかろうか。また市町村財政に対するいろいろな県費の補助を考えることなどが希望されるのであります。県費の補助などということは、ほとんど見られないと言っても差しつかえないと思います。
 第七番目に、生活改善を急速に進める必要性がございます。ことに環境衛生の整備であるとか、家族計画の実施がぜひとも必要ではなかろうか、こういうふうに思うのであります。子供はどんどん生んでいるというような状態でありまして、そういうことのために特に保健所の機能というものを充実させなければ指導できません。この点については、はなはだ脆弱であると言っても差しつかえないと思います。ぜひとも一つ保健所の機能を増すような方向に持っていって、適当なる家族計画あるいは環境衛生の整備というものについて、もっともっと力を入れてやらなければだめだと思います。
 八番目には、復興信用基金による産業開発資金の貸付のワクを、現在の一億円から来年度は少くとも二億円程度増大する必要があるということであります。この基金は、従来融資の道を閉ざされていた零細業者の資金需要にこたえて産業振興の上に予想以上に貢献しているということでございまして、これは島民は大へん喜んでおります。そのために増産意欲を向上させていること等の実情から、これは大きな成功だったと考えられるのであります。ただ今申しましたように一億円では復興事業費総額との比率から見ても過小であります。現実の資金需要に応じられないのが実情でありますので、産業振興がいよいよ軌道に乗ってきたこの今の時期におきまして、これに即応したワクの拡大がきわめて有効であると同時に、非常な経済効果を出すのではないか、こういうふうに思います。
 最後に、復興事業の完成のための基礎的条件は、国庫予算の各年度の支出額を事業総額に見合うように増額することでございます。せっかく順調な進行を見せて参りましたこの事業が、国家予算の制約のために中断したり遷延したりするという結果は、ひとりこの群島民の期待を裏切るばかりでなく、事業効果を減殺し、国費をむだ使いするという以外の何ものでもないことをわれわれは銘記しておかなければならぬと思います。
 それから特にこれは配慮しておいていただきたいのは、先のことでありますが、現在復興ブームに群島は乗っております。しかしながらこの復興計画というものが進行いたしましたあとにおける何らかの第二段の対策というものを今から考えておきませんと、再び逆転して、また離島の悲しみをなめていくのではないかというようなことが考えられますので、こういった点についても一つ配慮せられることをわれわれは希望いたします。
 以上私たちの調査において復興関係事業で感じたおもな点を拾ってみたわけでございますけれども、このほかになお現地の要望や問題点がありますので、項目的に一つ申し上げてみたいと思います。
 その一つは、道路関係の事業は大島本島の南部方面がおくれている。そのほかは量的には非常に進捗しているけれども、逆に砂防、排水等の配慮が不足している。道はざっと一通りつけたけれども、何ら砂防、排水の配慮がされていない。そのために年々災害によってぶちこわされていくという非常な悪循環を来たしております。
 第二番目には河川、砂防、護岸等の維持管理は、準用河川を除いてはこれは不十分であると言ってもよろしゅうございます。風水害に備える観点からも、その整備が望まれるということになります。
 三番目に港湾の基本的な施設でございますが、これはよく整備されております。輸送施設については、地元民の間に経済効果を無視した過大な要望もあるようでございますけれども、まずこれは現在程度で一応足れりとすべきではないか。もしそれ以上にそういったところに金を使うということであれば、小さな島でありますので、一つの島に二カ所も大きなものを作らないで、むしろ道路は完備してないのですから、そういった方面へ特に力を注ぐということの方が正しいのではないか。
 それから四番目には、土地区画整理事業は、火災防止、環境衛生の見地からも計画を拡大すべきではないか。
 五番目には、米作等農産物の生産性向上のために、改良普及、その拡充、耕土培養、灌漑事業の促進、こういったものが非常に必要でございます。ところが、改良普及技術員の数が足りません。あんな状態では、とてもじゃないが現在の反当収量を上げていくというようなことは望めないだろうと思います。特にこの点は地元民も要求いたしておりますので考慮してやらなければならぬと思います。
 それから六番目に、文教施設の内容の充実、学校は一通り建物としてはりっぱに建ちかかったのでありますけれども、その内容という点につきましては、これは内地も同様でありましょうけれども、非常に悪い、こういう状態であります。また児童の体位の問題でありますが、非常に体位が劣っております。こういった点の体位の向上、それから公民館等の社会教育施設、こういったものの普及がぜひとも必要である。
 それから保健所の支所増設、無医村の解消、簡易水道の促進、こういった要望が非常に強く出ております。
 八番目には、発電計画でありますけれども、これは順調に進められておりますが、その速度をもう少し早める必要があるのではないか。無点灯部落がまだ非常にたくさん残っておりますので、早くこういったものについては促進する必要がある、こういうふうに考えられます。
 それから次に空港でございますけれども、これは海上保安部の活動とも関連しまして、ぜひとも場外飛行場を各島に設けたいという希望があるのでありますが、これはもっともな考えだと思います。従って審議会等においても、この点についてはもっと真剣に取り上げて空港対策というものをもっと現実的な効力のある方向へ持っていく必要があると考えられます。
 十番目には、ハブの撲滅対策でありますが、はっきりいいまして、まだ暗中模索の段階にある。ハブにかまれてからあとの措置に対するいろいろな手当、方法等は考えられておりますけれども、ハブそのものを撲滅するということについては、きわめて幼稚なものでありまして、一匹二百円かなんかで毎日買い上げている、こういう程度のものであります。こんなものでは、とてもじゃないがハブ撲滅対策にはならないと思います。われわれが行きました当時にはすでに二名ほど命を失っております。これが農業生産等に及ぼす悪影響というものは非常に大きいと思いますので、特にハブ撲滅策については抜本的な対策を講じてくれ、こういうのが彼らの要求でございます。
 それから十一番目には、戦時災害をこうむりまして焼失したところの住家とか家財等があるわけであります。これに対するところの補償の金交付につきましては、終戦処理のどさくさで手続等がうまくいかずに、そのままになっているという状態であります。これに対しては何とか早く、というよりも新しい法律でも作って、ぜひとも補償を交付してくれ、こういう希望がありました。
 以上が大体復興事業関係の気づいた点でございます。
 最後に、風水害の被害状況と、古仁屋の火災被害並びに復興状況等について簡単に一言いたしておきたいと思います。
 主として大島木島北部に起った風水害については、ごくわずかな地区を見たという程度にとどまっておりますが、復旧は見るべきものが少いようであります。先ほども言いましたように、土台そのものが完全にできておりませんので、これはもう年々歳々、風水害が起れば必ずこういった被害が続出するであろうと考えられます。
 それから瀬戸内町古仁屋地区の火災は、元古仁屋町がほとんど大半を烏有に帰したということでありますが、復旧は意想外に順調に取り運ばれております。特に火災を機会に思い切った土地区画整理が行われて、街衢が整然として、町全体が面目を一新している。これは承わるところによると、前回の火災の直後に区画整理の計画を立てて、それを直ちに適用したというような偶然的な問題が一つありますが、いずれにしてもこれはよく行われております。このようにわれわれは見てきております。
 以上が大体今回の奄美群島視察の概要でございます。以上御報告申し上げます。(拍手)
#6
○濱地委員長 これにて派遣委員よりの報告聴取は終りました。
 派遣委員諸君におかれましては暑さのきびしい折からにもかかわりませず、長途の調査を完遂され、ここに詳細な御報告をいただき、委員長といたしまして一言お礼を申し述べる次第であります。
 この際、暫時速記の中止を願います。
    〔速記中止〕
#7
○濱地委員長 速記を始めて。次に警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。安井君。
#8
○安井委員 だいぶ質疑通告が多いようでございますので、簡単に暴力団の関係と中小企業の争議との関係についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最近中小企業争議が頻発いたしておるわけですが、その際、たとえばメトロの争議だとか、成光電機の争議だとか、そういうような場合に、暴力団的なものの介入がありまして、そういうことから争議を一そう深刻にしているという場面が多いようでございます。それにつきまして二、三お尋ねをいたしたいわけでありますが、この前の要求でお出しいただきました、いわゆる暴力団に関する調べをきょう拝見いたしておるわけですが、この中でもいろいろな団体があるわけです。規模の大きい団体があったり小さいものがあったり、そういうふうな情勢はどうなっておるかというようなこと、それからストライキ等に介入するようになっております暴力団の姿は、こういう範疇の中でどういう部面に入っているか。さらに会社側が雇い上げるというふうな場面が多いのではないかと思うのですが、そういうような場合の動員はどんなような方向でやっておるように警察側はお考えになっておるか。まずこれらを先にお伺いいたしたいと思います。
#9
○柏村説明員 最近、中小企業の争議におきまして、いろいろ不法行為にわたる事案が頻発いたしておりますことは、非常に遺憾に存じておるわけでございますが、ただいま御質問の暴力団の介入という問題につきまして申し上げますと、私どもとしましては、資料で差し上げましたように、暴力団とみなされる種類分けをいたしておるわけでございます。団体数、それの構成員数というものを差し上げているわけですが、団体を構成しないでも、暴力を振うような分子もまたその中にあるわけでございます。
    〔委員長退席、纐纈委員長代理着席〕
ただ、この暴力団がはなはだしく介入しておるかどうか。われわれといたしましては、頻々と暴力行為に訴えるような団体につきましては、もちろん十分に注意をいたすつもりでおるわけでございますが、会社がこういうものを雇うということを、一々われわれが目している暴力団と接触があってこれを雇い入れているかどうかということを克明に追及することは、非常に困難な問題でございます。われわれは争議そのものには、いつも申しまするように、介入するものではありませんし、その争議に関連いたしまして不法事案が起る、暴力行為が行われるというような場合におきましては、できればこれを事前に防止する。しかしながら事前に防止し得ない事案につきましては、事後において十分にこれを追及して参るという態度でおるわけでございまして、ただいま、ストライキに介入するものは一体このうちのどれなのかというお尋ねがありましても、このうちのどれがそれに当るということは、いろいろケースによって違うと思いますので、ちょっと申し上げかねると思います。この一つの種類に属するものがある場合もあるし、あるいは二つの種類に属するものがある場合もある。またこういう部類分けできない、いわゆるその他という部類――これは当然ある一つの正業を持って社会生活をやっておる、しかしながら、とかく何かあると暴力を起しやすいというようなものをその他にあげたわけであります。そのほかの部類分けしましたものにつきましても、正業というものはおのずから持っておるわけでありまして、とかく暴力に陥りやすいというものを拾い上げてみたわけでございます。このうちのどれだというお尋ねには正確にちょっとお答えしにくいと思うのであります。
 それから会社が雇い入れるという場合、会社が自分の従業員のみにおいてこれを阻止できない場合には、他人の力を借りるということはあり得ると思うのでありまして、これを一々干渉がましく言うわけには参らないと思います。雇い入れる場合につきまして、会社が直接あると組と話をする場合もないとは申せませんが、こういう点につきましても、いろいろやり方があるのではないかと思います。われわれとしては今、暴力団を雇って、具体的に何々暴力団――暴力団という名前を使っておるものはありませんが、組というものを雇ってやる傾向が非常に強いというふうにも必ずしも断言し得ない。ただ事案が起りますると、それがある組に属しておるということもあり得るわけでありまして、ただいまのお尋ね、正確なお答えができないで非常に恐縮でありますが、暴力的な行為が労使双方にかなり多く行われているということは申し上げ得るのでありますが、非常に特徴的にいわゆる暴力団を雇い上げて、それによって暴力がかもし出されておるとは必ずしも断じ得ない面があるのではないかというふうに思います。
#10
○安井委員 実は私、もう少し精密な資料をいただけるかと思っておったのですが、暴力団のどういうふうな――何々暴力団と看板を掲げておる暴力団は、ないそうですが、何々組といいますか、そういうようなものがどこでどういうふうな形でたむろしているか、そういうふうなリストをもっといただけるかと思っておたつのですが、どうですか。
#11
○柏村説明員 われわれとしましては、秘密にそういうようなリストをできるだけ整備するように努めておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、こういうものもれっきとしたある正業を持っている。たまたま暴力に訴えやすいというようなものにまで、われわれは注意をしてリストを作るというようなことをやっておるわけでございますが、そういうことからいたしますと、起った暴力行為に力ついては、これは追及する。また暴力行為が行われようとするときには、できるだけ予防するということには努めなければなりませんが、そうした正業を持って、順調にいけばその正業で生活を立てていくという人々に対しまして、どこに事務所を持ち、何名持っておる何々組というものは暴力団だということを明らかにするということは、やはり人権を尊重するゆえんじャないのじゃないか。従ってわれわれとしては公表せざるものとして、十分に注意をし監視をするという態勢をとっておるということを申し上げたいのであります。
#12
○安井委員 前にそういうようなリストを国会の方にお出しになったことがあるというように伺いますが、どうですか。
#13
○柏村説明員 われわれの記憶では、そういうものを提出したことはないと存じております。
#14
○安井委員 それじゃその問題はさらにあとの問題といたしたいと存じます。私はこの場合、中小企業のストライキということに限定せずに、一般善良なる民衆に悪影響を及ぼすという点からのお尋ねでありますけれども、暴力団に関する取締りの対策のめどをどういうふうな置き方でおやりになっておるか、それを伺いたい。
#15
○柏村説明員 暴力団が最近横行する、これはここに書いてございますように、いろいろな種類のものがあるわけでありますが、これに対しましては、あくまでも取締りの手をゆるめずに徹底的にこれを掃討したいという考えをもって、組織的に追及をいたしておるわけでございます。しかしながら、こういうものはなかなか一朝一夕にこれを撲滅するというわけには参らないので、どうしても長期、継続的に手をゆるめることなくやっていくという以外にはないのではないか、こういうことによって、ある意味におきましては暴力団もかなり追い詰められて参りまして、たとえば暴力団同士のなわ張り争いというようなものは、やはり従来のなわ張りに固執しておる限りにおいては、その区域からあがってくる自分らの取り高が少くなる。どうしてもなわ張りを広げなければならぬという――良民に対しての暴力ざたということも、もちろんこれは絶えておらない、ひんぴんと起っておるわけでありますけれども、暴力団の間においてお互いの生活のために争う。その争い方につきましても、かなり武器を使用するというような状態まで出てくる深刻な問題を起しておるわけでございまして、暴力団に対する取締り態勢というものはかなり浸透しつつあるというふうにわれわれは見ておるわけであります。しかし、現状をもって足れりとするわけでは毛頭ございません。今後とも十分にこれらに対しての追及をゆるめずに参りたいと考えております。
#16
○安井委員 時間に制限がありますので先を急ぎますが、ストライキの際における暴力団と警察との――警察と暴力団と並べるのもおかしいですけれども、その態度でありますが、何か一般的に見ますと、暴力団と警察とが共同作戦でストに向ってるというような印象を与えてる面があるようであります。そんなばかな話はないわけでありますけれども、そういう印象を与えてる面があるわけであります。ストライキに対しまして暴力団が先に行って、さらに警察がそれを応援する――そういうわけじゃないでしょうが、そういうような態勢になるというような問題は、これは十分考えなければいけないことではないかと思います。そういう点、暴力団が介入した場合において、それとピケとがぶつかり合った際において、実際上どういう態度で警察は対処されておりますか。
#17
○柏村説明員 先ほどから申し上げますのは、暴力団の介入とかなんとかいうことでなしに、われわれとしては争議行為そのものには何ら介入、関与するものではございません。ただ取締りに当りましては、その不法事犯について厳正な態度をもって臨むという態度をとっておるわけでありまして、いわゆる暴力団がかりに介入いたしまして暴力行為が行われようとも、あるいは会社の従業員によって、あるいは会社の幹部によって不法行為が行われようと、さらにはまた組合側によって不法な行為が行われようと、そういうことはどこの側における不法行為であるから強くするとか、きびしくするとか、あるいは大目に見るというような考えは毛頭ございません。厳正、中正に取締りを実施して参りたい、こう考えておるわけであります。
#18
○安井委員 その厳正、中正という言い方が、見ようによりましてはこういうふうにもとれるわけです。つまり労働組合のピケと、それから暴力団とのぶつかり合い、それがちょうど力のバランスがはかられて、むしろそういう姿で問題の解決にいけるんじゃないか。ですから、ちょうど二大陣営の力の均衡政策のような見方で、警察はそういう争議をながめていて、そういう姿で実質的には暴力団の温存をはかっているのじゃないか、そういうふうな見方も考えられるわけですが、それだけに暴力団の介入といったような中小企業の争議の場合においては、きわめて慎重であっていただかなければ、ならないと思うわけです。その点、重ねてお伺いしたいと思います。
#19
○柏村説明員 われわれとしても、争議が激烈にならない、なるべく労使双方の話し合いによって事が解決されていく、円満に処理されていくということが望ましいことは申すまでもないのであります。また、ただいまは暴力団暴力団とおっしゃいますが、会社側が、われわれのリストに上っておって、しばしば暴力をふるう危険性のあるようなものを雇うというようなことがかりにありとしますならば、そういうことはできるだけ避けていただきたいと思うわけでありますが、われわれとして警察の立場で申しますと、これは暴力団だ、けしからぬということで、それだけで取り締るというわけには参らないので、やはり不法行為というものが前提になって、初めてこれに対して警察の権力を行使するということに相なるわけでありまして、希望といたしましては、先ほどから申しますように、そういうものが介入することによって激化する可能性があるということが考えられますので、そういうことがないことが望ましいのでありますが、不法行為というものが前提にならない限り、警察としての権限行使というものは行い得ないわけで、その点は十分御了承を願いたいと思うわけであります。
#20
○安井委員 最後に、国家公安委員長に、暴力対策についてお伺いをしたり、お願いをしたりしたいと思うのですが、岸内閣のスローガンで暴力追放ということも一つの重要な政策だったわけですが、何か最近は少しそれが鳴りをひそめているような気がするのですが、これは汚職追放も一つあって、それへの批判が出て、何か帳消しにしているのじャないかというような悪口を国民も言っているわけですが、そんなばかなことはないと思うのです。これは民衆に非常に大きな迷惑がかかっておるというふうな事態もあるわけですから、あくまで暴力追放という旗じるしにまっすぐに進んでいきたいと思うわけですが、その点のお考えを一つ伺いたいと思います。
#21
○石原国務大臣 私は、いろいろの会合といいますか、あるいは意見を述べる際にいつも述べておるのでありますが、いわゆる暴力の追放といいますか、集団的な組織的暴力につきましては、右であろうが左であろうが、徹底的にこれを追放していくのだ、取り締るんだということを、公安委員会等においてもしばしば述べておる次第であります。今後とも暴力の一掃ということにつきましては、私、全力を尽しまして当っていきたい、かように考えております。
#22
○安井委員 この暴力団の関係はおそらく刑事警察の費用だと思うのですが、私もけさちょっと予算書を見てみますと、昭和三十四年度の予算で、刑事警察の関係の費用は七億七千七百万円、ところが警備警察の費用の方は十八億三千九百万円、つまり刑事警察と警備警察とは七対十八というふうな大きな開きになっているわけです。おそらくストライキに対する対策は警備対策費の方でいくんでしょうし、暴力団の方は刑事警察で、これは暴力団だけじゃなしに、こそどろの果てまでみんなこれでいくんでしょうから、それだけに何か日本の警察の活動というものが警備公安警察に極度な傾斜をしておる、そういったような気がするわけです。それがちょうど中小企業の争議の際におきまして、警備警察の分野と、それから刑事警察の問題、暴力団の問題を、ただそれだけに分離するのはめんどうかもしれませんけれども、そういうものがこの中小企業の争議の間で一つぶつかり合っているのじゃないか、そういったような気がするわけです。繰り返しますけれども、あくまで善良な国民に対する保護というふうな面、さらにまた正しい労働運動その他社会運動に対する民主的な助長といいますか、そういうような面を一つ忘れずに今後の警察活動の中で進めていただかなければならないと思うわけです。その点、警備警察と刑事警察との傾斜度とでも言いますか、そういうものについて最後に委員長の方から御答弁をいただきたいと思います。
#23
○柏村説明員 予算の関係でございますが、警備警察に関する経費は、全額国費でまかなっておるわけでございます。また、ただいまお話しのように、争議行為に関連して起ります不法事犯の取締りというものは、やはり警備の系統の経費でまかなっておるわけでございまして、捜査関係は、特殊な、全国的な、あるいは重要な事犯については国費を出される場合がございますけれども、原則としては府県費負担で、活動費については半額国庫補助ということになっております。そんな関係で、予算だけをごらんになりますと、非常な不均衡のように御不満かと思いますが、事実は決してそういうわけではないわけであります。御了承を願います。
#24
○纐纈委員長代理 加賀田君。
#25
○加賀田委員 まず長官にお尋ねいたしたいと思いますが、実は先般の当委員会で、各同僚も私も、最近中小企業の争議に対して非常に流血事件あるいは暴力的な事件等が起って、しかもその間における警察の介入というものが非常に一方に偏するような傾向がある。そういうことで警察としての中小企業の労働争議に対しての態度というものに非常に慎重を期していただかなければならない、こういうことで、長官は不幸にして御出席なかったのですが、中川局長にその旨を十分に私としては申し上げたのですが、局長から長官にそういう意思が伝えられたかどうか、その点を一つお尋ねいたしたいと思います。
#26
○柏村説明員 前回の委員会には、特に用事がございまして出席いたしかねたわけでございますが、委員会の模様につきましては、詳細に刑事局長から報告を受けておりますし、ただいまお話のような点につきましても、われわれとしては、日ごろからそういうつもりでおるわけでございまして、全く御意見の通り今後も考えて参りたいというふうに思っております。
#27
○加賀田委員 そういたしますと、その後長官としては、従来の警察としてのあり方に対して、正しいあり方であって、何ら反省すべき点がないとか、あるいは委員会で言っていたが、将来の問題として将来いろいろ討議をしてみようというような態度で、その後警察としてそれに対して何らかの処置とか、会合とか、あるいは意見の交換等をやったかどうか、その点に対してお答えを願いたい。
#28
○柏村説明員 私ども警察というものは、百点をなかなか取りにくいものでありまして、今までの警察の活動について何ら反省することがないというような大それた考えは持っておりません。御注意のありました点、またわれわれ気つきました点につきましては、常日ごろ反省を怠らないわけでございますが、今までの行き方の大筋として、私は間違った方向ではなかったというふうに考えておりますし、今後も従来の方針を堅持して参りたい。しかしながら、行動についてはあくまでも慎重ということは従来も言っておったことでありますが、さらにさらに慎重を期して参りたいというふうに考えておるわけであります。もちろんこういう問題につきましては、公安委員会におきましても、またわれわれの部内の会議におきましても常に話題になる問題でありまして、特別にこのための会議を開いたということはございませんけれども、こういうことについては、常々お互いの反省をいたしておる次第でございます。
#29
○加賀田委員 先般の委員会でも、中川局長から警察の中立性に対しては相当強く強調されたわけです。なるほど法解釈とか皆さんの考え方は、労働争議等について特に中立性を堅持するという考え方を今も長官はそう言われたのですが、しかし、実際の行動としては、どうも中立性がないような印象が与えられる。先般も私が指摘した通り、成光電機の問題にいたしましても、どうも労働組合のいわゆる第一組合に対して絶えず非常に過酷なやり方をし、他の会社側と言いましょうか、第二組合あるいは会社側に対しましては非常に寛大な態度をとっておるというような印象が非常に強いと思うのです。たとえば成光電機の場合におきましても、害を加えた者に対しての態度についても、組合が要求していたにもかかわらず、非常に緩慢な態度をとっておる。そしてほとんど加害者を逃がしてしまっている。そういうようなことで、私としては中小企業、特に最近激化した中小企業に対する警察官の態度というものに非常に疑義を持っておる。いわゆる労働争議に対しての警察の考え方というものに対して非常に疑義を持つのです。
 これは警察自体としては関係のないことかもしれませんが、一応お尋ねいたしたいのは、いわゆる労働争議、組合の持つストライキ権というものに対する警察の考え方、一体これはもちろん労働法に基いて保護立法として労働者にストライキ権が与えられておる。それを行使するそのストライキ権というものに対する警察の考え方が、どうも一般の考え方と違ったような印象を与えているので、この点どうお考えになっているのか、一つ説明していただきたいと思います。
#30
○柏村説明員 先ほど来申し上げておりますように、ストライキ権というのは労働者に与えられた重大な権利であります。われわれとしては、このストライキそのものについてこれを不当祝したり、いわんや不法祝するというようなことは毛頭ないのでありまして、現に皆様も御承知のように、不法行為が起らない、あるいは起りそうでもないというようなものについて警察が出ていく、そうしてこれについていろいろと口を出すというよなことはお聞きになって、ごらんになっていないと私は思うのでありまして、この点は労働組合法等の法律の示すところに基き、十分にそういう精神を尊重して処置をいたしているつもりでありますし、またかりにこれが激化いたしまして物議をかもす、あるいは不法行為にも及ぶかというような場合におきましても、いわゆる街路上等における市民間における争いであるとか、あるいはその他の不法行為であるというものに対するよりは、特に慎重を期して警察は当っているということは断言できると私は思います。こういった点については、むしろわれわれとしては、警察は不法に対してこれの取締りをやるわけでありますが、どうも世間の一部には、警察は一方に偏しているんじゃないかという先入観を持ってごらんになる。それで警察を特にそうした組合の人たちから離すような結果に陥れているおそれはないかということをむしろ私は憂うるわけであります。現実の問題としまして、組合員の中には警察というものについてそういう偏見を持っている人がかなりあるわけであります。これは警察としてもさらにさらに反省すべき問題があるかと思いますけれども、ある一部の指導者と申しますか、というものの言葉に幻惑されて、もうあれは会社の者なんだとか、会社側の者なんだというような、頭からそういう考えで警察に対するというような態度がかなり見られるのではないか。現に自分で告訴しておきながら、その告訴について警察が協力を求めるというような場合についても協力をしない。そこまで行ったのはあるいは警察としても反省すべきものがないとは私申しません。しかし、かなり強い力が一部にあって、そういうものの指導によって、全く厳正に公平に問題を考えてよかりそうな人たちまで、一方に偏した考えにとうとうとして持っていっているのではないかということを私は心配する。これは言い過ぎかもしれませんが、私はそういう感じを持つものでありまして、ちょっと触れた次第でございます。
#31
○加賀田委員 終戦直後の労働争議には、そういう警察官が介入するということはあまりなかったし、労働争議については警察官も中立性を堅持しているという印象が私、非常に強かった。ところが最近特に、警察官の考え方は中立性だといいますが、実際の行動等をわれわれが個々に知った範囲では、どうも一方に偏するような傾向がある。そこで今長官も言った通り、警察ではそういう意思がないと言いながらも、先般の――これは私もそういう事犯が起ってはいけないというので、先般の委員会に強く警察としての反省も求め、あるいは慎重を求めて参ったわけですが、不幸にして、すでに御存じのように先般八月の十九日ですか、田原製作所にああいう労働組合員が一人死亡するというような事件が起ってきた。警職法によって、生命、財産に危険があるというような場合に、それを排除するために警察官というものは出るのではないか。もちろん労働争議に、どちらがいいとか悪いとか、あるいはこう解決せよとかいうような一つの解決を導くために警察官というものは出るのではなくて、そこに起ってくる危険を排除するために警察官が実力を行使するのが私は正しい警察のあり方だと思う。ところが、今度の田原製作所の問題を見ますと、第二組合と第一組合が一応衝突した。そこで第二組合の方が力足らずして後退するというような場合に、次に第二組合にかわって、聞けばおれたちにまかしておけ、お前たちはうしろへ下ってろというような言辞があった。第二組合にかわって第一組合に実力行使を展開していく。私は、こういう行動というものは許されないのではないか。衝突する現状というものを排除するというのが警察官の問題であって、第一回に衝突した。やはり衝突する前に警察官というものはそういう問題を排除しなければならない。しかし、不幸にして第一回の衝突をした。そこで第二組合が後退したとなると、そういう危険というものは一時的になくなったわけであります。そういうなくなったときに、また再び警察官が前面に出て第一組合に実力行使を行なっていく。こういう行為というものは、私は、いわゆる警職法に基くそういう危険を排除する警察官の行為としては、どうも納得のいかない点があると思うのですが、これは私の聞いた範囲です。私は現場を見たわけではありません。従ってそういう事実があったとすれば、やはりこれは第一組合に対して警察官が実力行使を行なったのであって、第一組合と第二組合の衝突の危険を排除する行為ではないと私は判断するが、この点はどうでしょう。
#32
○柏村説明員 田原製作所の争議に関連し、第一組合、第二組合の衝突または警察のこれについての実力排除というような間におきまして、組合員が一人なくなられたということについては、私どもも非常にお気の毒に感じておるわけでございます。ただあのときの警察の活動というものは、やはりその以前の問題からずっとよく観察していただかなければならないと思うのでありまして、初めに門の前にありました車をどけようとした者に対して石を投げ、ホースで水をかけ、あるいは糞尿をかけるというような行為があり、そうしてけが人も出しておるわけであります。その後第一組合と第二組合員と現実に大ぜいの衝突があったわけでありますが、このままにして放置すれば、一方は製品を搬出するために入っていこうとする、一方はこれに対して不法にこれを妨害しようとしておるわけでありまして、これを続けるならば必ずや人の生命、身体に危害が及ぶであろうという判断を警察で出したということは、私はあの現実の場合において妥当な判断であったと思うのであります。そういう意味において不法の側を一応排除して、そうして正当業務を行わせた。これは何も会社側の業務を援助するという意味ではなくて、不法を排除して人の生命、身体を守るという警職法五条に基いた警察の行為であると私は確信をいたしておるわけでありまして、この点はいささか加賀田委員と見解を異にせざるを得ない次第でございます。
#33
○加賀田委員 それは結果的には会社のためにやったといっても、これは考え方は別としても、行為そのものは、行為のその瞬間においてはそういう結果にはならなかったかもしれないが、結果はやはり会社側の出荷を援助したという形になったので、それは結果的な問題であって、その実力行使の瞬間においてはそうだったかもしれない。それは別として、しかし、その警察としての実力行使の考え方としては、やはりそういう身体、生命に危険があるというときに、その行為そのものを排除するという意味じゃないのですか。それの起ってくる原因すべての問題を排除するという警察の実力行使というものは、私はあり得ないと思う。その行為を排除する、そういう意味での実力行使であって、出荷を阻害した、一方は強制出荷をしようとした、だからその出荷を妨げようとする者のすべてを排除するのだといって、第一組合のピケを張っているのをくずしていこう、こういう行為に出たわけです。その点は、一つ私は明確にしていただきたいと思う。
#34
○柏村説明員 もちろん不法行為によって人の生命、身体に危害が及ぶ行為を防止するために制止行為をするわけでございますが、これは一人と一人のあれで警察官がそこに立ち会っておるというような場合においては、かなり間近なところに来て、あるいは手を振り上げたところを押えるというようなことも達人ならできると私は思うのです。ところが、一つの意思に基いてと申しますか、集団が一つの意図を持ってスクラムを組み、妨害行為をやっているという場合に、これを衝突させておけば生命、身体に危害が及ぶ段階に至ると判断することは当然あり得ることでありまして、現にそのときの行為自体から直接に危害が及ぶというものを、何百人というものについて監視して、そのときにのみ排除していくのだというふうな狭い見解では、ああいう集団の争いというものについて制止の行為の効果を期待し得ないのじゃないかと私は考えまして、やはりその規模であるとか、態様であるとかいうことによって、その制し得る時期あるいは方法というものもおのずから異なってしかるべきものだ、こう考えております。
#35
○加賀田委員 私は、警察官としての目的と行為は、もちろん人間ですから、そのときの感情もあるでしょうし、行き過ぎもあるでしょうし、やはり警察官としても警職法に基く行為というものの限界は私はあると思う。しかし、結果においていろいろ疑義を起した、結果はやはり会社側のために警察が動いたのじゃないか、あるいは第二組合を援護するために、おれにまかしておけという形で後退させて実力行使を行なってきた。こういう問題に対しては、私は警察官として実力行使をする場合に、やはり第一線に立っている警察官に、十分私はそういう目的等を認識していただいて、冷静なる行動に基く警察官としての実力行使をしていただかないと、いろいろな問題が起ってくると思うのです。
 そこで問題になるのは、やはりそのトラブルのときに、死因は検視の結果いろいろあると思うのですが、やはり塙という組合員は死んでおります。これは目撃者の話によりますと、倒れたので、二、三名がそれを引きずり出そうとしたら、警察官がどこを踏んだか知りませんが、ズボンを踏んだか上着を踏んだか知りませんが、とにかく引きずり出すことができなかった。相当の時間がかかって救い出した。そうして死という不幸な事態になったのですが、これは今のところ検視の結果、直接警察官の実力行使が百パーセントの死因ということになっていないらしい。狭心症ということで、長年心臓が弱かった、たまたま実力行使のもとに衝突し、その渦の中に自分がまき込まれていた、そういう衝撃というものがやはり大きな原因になっている。これは私はしろうとですから、しろうと考えかもしれませんけれども、そうした衝撃というものが死因を早めた大きな原因じゃなかろうかと思うのです。そこで結果は将来発表されていろいろ論議になるかと思うのですが、ただ、そこでこういう場合に私は早急に検視をしてもらわなくてはならないのじゃないかと思うのです。従来警察としては、こういう事態が起れば、おそくとも一時間内外で死体の検視というものをやっておったのですが、この場合、どうも見ますと五時間も六時間も検視がおくれているのです。これは従来あるべき行為じゃないと私は思うのです。いろいろ警察としては理由があるのでしょう。これから長官に私は理由を聞くのですが、しかし、こういう行為自体が、ひいては警察として一つの方向にこの問題を処理しようという意図で、町か時間をかせいでいたのじゃないか、あるいはその間にいろいろ話し合いをしていたんじゃないかというような疑義を私は起さすと思うのです。これは私は組合員として当然の問題だと思うのです。だからその点、なぜ検視が五時間も六時間もおくれたか、この点を警察としてはやはり明確にしていただかなければならないので、将来こういうことが起ったら私は大へんなことだと思います。従来そういうことがなかったかもしれないが、この点だけは、今度の塙君のことだけは、そういう検視が五時間も六時間も放置しておくれたという理由を明確にしていただかなければならぬと思うのです。
#36
○柏村説明員 その検視の時間等については、私も詳細知らないわけでありますが、たしか塙さんは病院にかつぎ込まれる途中なくなったのでないか、あるいはかつぎ出す直前におなくなりになったのではないかと思います。従って、検視はたしか病院で検察官によってなされておるわけでありまして、そういういろいろの手続のために若干時間を要したということはあったかと思いますが、しかし、これを警察が何らかのたくらみを持って、故意におくらせたというようなことは全くないのでありまして、また警察は現在でも警察の責任によってなくなられたとは考えておらないわけでありますし、いわんや、その当時において故意にこれをおくらせるというようなことは全く考えられない次第でございます。
#37
○加賀田委員 これは重大な発言だと思うのです。全然警察は関係なくしてこの塙君というのが死んだ、こう見ているのですか。私、申し上げた通りいろいろの原因があったでしょう。だから全部警察の責任であるということは言えないと思うのです。しかし、逆に警察は全然関係がない、全然責任がないんだ、こういう見方で塙君の死というものを見ているかどうか。これは私は重大な問題だと思うんですが、この点明確にしていただきたい。
#38
○柏村説明員 私も医者でありませんのでその辺はよくわかりませんが、今まで私の聞いておるところでは、心筋梗塞症、いわゆる狭心症で、外力による事故死ではないという判断が下されているように聞いておるわけであります。また先ほど私が申し上げましたのは、警察の責任によってなくなられたのではないというふうに申し上げたのでありまして、警察は正当な業務行為を行い、それに反対して妨害しておった人との間においてああいう不幸が起ったということでありまして、警察の責任においてなくなられたのではないというふうに申し上げたので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
#39
○加賀田委員 そうすると、今申し上げた――速記録を見てもらったらいいんですが、全然という言葉は当てはまらないわけですね。全然警察の行為によって、あるいは警察の責任ではないという印象を与えるような発言があったわけです。もちろんこれはそのほかの調査に基いて発表されると思いますが、今の報告では、警察の行為に基いて死んだという判断はないんだ、こういう理解の仕方ですが、さいぜんには全然という言葉があったのです。それをあなたが断言するだけの資料があるかどうか、それで質問したんですが、その点はどうですか。
#40
○柏村説明員 もちろんこの事案は告訴によって検察庁において取調べられることになっております。そういうことで権威ある判断というものがおのずから後にわかると思いますが、現在時において、警察としては、警察の責任においてなくなったのではないというふうに判断いたしておるということを申し上げたのでございます。
#41
○加賀田委員 これは将来結論が出るわけですからここで論議するのもどうかと思いますが、しかし私は、たとい狭心症であろうと、一つのショックによる死だと思います。従って私はこういう問題に対してちょっと聞いてみたいんですが、塙君の死に対して、警察としては何らの人間的な処置もしてない、あるいは態度もとってない。たといそれが狭心症に基いてあるいはショックに基いて死んだとしても、やはり警察官との実力行使の過程の中でこういう問題が起ったとしたら、警察行政を離れて、やはり民主警察といわれておる皆さんが、人間的にも塙君の死に対して何らかの態度をとらねばならぬ。何か見舞にでも来たのかどうか、だれぞ線本日の一本でも立てに来たのかどうか、私は聞いたんですが、だれも来ていない。これは一体どういうことですか。警察行政を離れて、人間として私はやるべき問題だと思う。冷たい鉄のごとき性格を持った警察として処置をされるというんなら別ですが、何かの処置をされたのかどうか。何らそういうことはなかったというなら、私は、その事実は反省してもらわなければならぬ点があると思うんですが、何かおやりになったんなら、やったことをお答え願いたい。
#42
○柏村説明員 その点については私は聞いておりませんが、塙さんがなくなったということにつきましては、その責任のいかんとかいう問題を抜きにしまして、深甚な哀悼の意を表するということは、冒頭に私は申し上げておるこうなわけで、気持としましては、私ども非常に遺憾な、お気の毒なことであったというふうに考えておる次第でございます。お葬式等に対してどういう処置をとったか、私は存じませんが、またこれはお言葉を返すようですけれども、あの後における組合の態度としては、塙さんの写真を持ってデモをして、警視庁に対して人殺しというような悪罵をかけるような組合の態度というものも、私は非常におかしいことじゃないか。塙さんの死というものを何かに使うという印象をわれわれ非常に受けるわけでありまして、警察がどういう処置をとったか存じませんが、心から哀悼の意を表しておるということを、申し上げたような次第であります。
#43
○加賀田委員 今、その後における組合のいろいろな処置に対して、警察としていろいろ不満の意を表せられたのですが、そういたしますと、心としては哀悼の意を持っておるが、それが行動として出なかった。出なかった原因というのは、組合のその後における行動が、警察としても非常に不満な点もあるし、将来の影響がある、こういうことで何らの処置もしなかったのですか。
#44
○柏村説明員 私は、どういう処置をしたかしないか聞いておらないということを申し上げたわけで、不満だから処置をとらないとかなんとかという意味で申し上げたのではございません。
#45
○加賀田委員 長官は知らないとすると、その他の人で知っている方があったら御報告願いたいと思います。
#46
○小倉説明員 どのような原因でありましょうとも、ああいうような際に一人のお方がなくなったということにつきましては、私どもといたしましても、非常に残念に思いまして、衷心からお気の毒だと思っているのであります。当時そういうような事実が発生したということを聞きまして、直ちに警備部長を現場に派遣しまして実情の調査に当らしたのであります。私どもの調査では、先ほどおっしゃったような警察側の行為による死亡というような状況は見受けられない。しかしながら、さらに慎重を期するために、検視の結果、さらに翌日の解剖の状況まで持ちまして、真相は大体こうとだという判断をいたしたのであります。それでとにもかくにもそのような死亡者が出たのだから、署長にでも弔問に行かしたらどうかという話を私は本庁の幹部といたしたのであります。ところが、状況を聞いてみますと、組合側におきましては、私どもの方から言いますと、全く一方的な見解をもって、警察官が踏み殺した、警察官が人殺しをしたのだ。私どもの方に持ってきた抗議文には、警察官が虐殺をしたということが書いてあるのであります。そのような雰囲気のもとにおいて、警察側から人が参るということは、かえって紛糾を来たしますし、また場合によっては誤解を受けるという意味もございますので、弔問に行くということは行わなかったのが実情であります。
#47
○加賀田委員 最後に、最近のこうした中小企業の争議に対しての印象の中で、私がよく耳にするのですが、特に昨年警職法が残念ながらああいう状態になった。そこでこれのしっぺい返しと、警職法の改正の必要なる一つの世論を警察自体によって作らなければならぬという二つのねらいがあるのではないか、こういうことがよく言われております。私はそういうことであってはならないと思うのです。そこで本日の委員会で明確にしていただきたいと思うんですが、国家公安委員長に、警職法の問題に対して改正する意図があるのかどうか、あるいは改正しようとする計画があるのかどうか、この点に対して一応御答弁をお願いします。
#48
○石原国務大臣 ただいま言われましたしっぺい返しであるとか、あるいは世論作りのためにやっておるのではないかというようなことは毛頭ないと思います。むしろ逆に、世論を作るんならば、いろいろな事態をほうっておいて、警職法を改めなければならぬ、警職法がああいう状態であるから何もできないんだということによって世論を作る方が、かえって私はいいんではないかと思っておるくらいであります。それから警職法の問題につきましては、たびたび私申し上げておりますように、組織的な暴力、集団暴力に対しては、社会公共の治安の確保のためにあくまで守っていかなければならぬと思うのでありまして、これを守り抜く上において、現在の警職法が不十分であるという事態が続きますれば、やはり警職法の改正を考えていかなければならぬと思っておる一人でありますけれども、しかし、これはこの前の臨時国会の経緯もありますし、今後これをどういう形で、どういう時期にというようなことにつきましては、まだ私は具体的に想を練っておりませんけれども、組織暴力、集団暴力から治安を維持するという必要性の限界においては、私は必要なものと確信をしております。
#49
○柏村説明員 ただいま大臣のお話の通り、最近は、警察として当然出るべきことに出る、しかも十分慎重を期しておるということ以外に他意はないのでありまして、警職法を通すために世論を喚起する手段として必要以上のことをやる、あるいは必要なこともやらないということは毛頭ございません。また警職法の改正につきましては、今大臣からお話のように、ああいう趣旨の改正というものは、私は現在でも必要であるというふうに思っておりますが、これについては、その方法、時期等についてさらに検討を要するというふうに考えております。
#50
○加賀田委員 最後に、質問じゃないのですが、要望を申し上げておきたいと思います。長官あるいは国家公安委員長等、論理的には、中立性を堅持する、あるいは民主警察の本質を堅持していきたい、こういう考え方を持っておることはけっこうでございますが、第一線の警察官というものは、そういう事態になると感情的な言動が高ずる場合が相当あると思う。もっと話し合いとか、あるいは少しの時間を猶予して話し合ったら円満に解決するのではないかという事件があっても、すでにそういう時期じゃないと言う。第一線にいる警察官としては、国民の生命や財産を守っていくためにも、もっと冷静な態度をとって事に処していただかなければならないと私は思うのです。人間ですから、感情を全然無視せよということは困難だと思うのですが、しかし、皆さんの意図を体して警察官が第一線で働く以上、できるだけ感情を殺して、適切、冷静な言動をとっていただかなければ、警察官というものの品位も高まってこないのではないか。この点は、特に今問題になっている争議に対する態度もそうですが、全般的な問題としても、十分に皆さんが御注意していただいて、警察官としてもできるだけ感情を殺した言動をとってもらいたい。私が聞きますところでは、イギリス等では、どれくらい忍耐力を持っているかということがまず警察官を採用するときの重要なテストの問題だといわれている。でありますから、できるだけそういうことに留意していただいて、将来の民主警察の発展に資していただきたいと思います。これは要望であります。
#51
○濱地委員長 五島虎雄君。
#52
○五島委員 私は、引き続いて警察行政の問題について一点お伺いしたいと思います。特に警備局長に重点的に聞きます。しかし警備局長も何かほかの委員会に呼ばれているそうでありますから、できるだけ簡潔に質問いたしまして、そうして明らかにしていただきたいと思うのです。もちろん長官もおられますし、大臣もおられますから、関連して質問が展開されるかもしれませんし、また私どもと一緒に同じ案件について太田委員からも質問があるだろうと思います。
 私が警察行政の問題で明らかにしておきたいというのは、官憲が、労働争議あたりで第二組合と関連して弾圧の面が非常に激しくなったということは、今加賀田君が質問されましたけれども、今度は静的な問題で――動的問題と静的問題とがあると思いますけれども、警備の仕事として、各組合の動静あるいは民主団体の動静を常時調査されているのかどうか。そうしてそれはどこまでの範囲で調査されているのかどうかということをちょっと伺いたいと思います。
#53
○江口説明員 ただいま御質問のあった点につきましては、常時見ているかどうかという御質問でございますれば、常時は見ておりません。
#54
○五島委員 そうすると、たとえばある労働組合が、労組法の権利に基いて比較的他の組合よりもストライキが多かった、あるいは多いと思われるような判断が行われた場合、その組合の動向を、その問題については常時調査される方針を持っておられるかどうか。
#55
○江口説明員 ただいまのお話は、ストライキの度数が多いような組合については常時見るかということでございますけれども、これもまた先ほど長官から加賀田委員にお答えをされました通りに、ストライキの頻度が多いというような事柄は、われわれとしては関心の外でございます。しかし、ストライキがたとえば一回でありましようとも、あるいは数回にわたりましようとも、その態様が私たちの出る幕になるかならないかという状態でございますれば、やはりそれは見ている。言いかえますれば、労働組合法の第一条・二項のただし書きというようなものに触れるような状態になるかならないかということが、われわれが視察をするかしないかという一つの基準になる、こう考えております。
#56
○五島委員 そうすると、全国の県警本部に指令を流しつつ、その出先公安係、あるいは警備係ですか、そういう人たちが常時組合に出入りをする。そうして組合が発行するところの機関紙あるいはその他のプリントを常時収集されているというようなこともあるようですけれども、それらを十分収集して、そうして組合の動向を監視し分析しようというような指令を発せられたことはございませんか。
#57
○江口説明員 そういう指令を発したことはございません。
#58
○五島委員 そうすると、出先で組合の動向について、組合のプリント、たとえば運動方針あるいは執行委員会の決議事項、あるいはその他の重要な書類を一警官が常時秘密裏に収集していたというようなことは警備の指令、警備の方針に基く行動ではないと解釈されるようですけれども、そのような解釈でよろしいのですか。たとえば一警官が出先においてある組合の常時の書類を収集しよう、こういうようなことは何ら指令に基かざるところの行為である、こういうことに解釈してよろしいかどうか。
#59
○江口説明員 多小敷衍してお話を申し上げた方が誤解が少いかと思いますので申し上げますが、組合の活動についても、ただいま申し上げましたような事案があれば、もちろん視察しますし、また組合の争議ではなくても、たとえばいろいろな大衆運動の中でデモをやる、あるいはどこそこにすわり込むというような事柄の一つの分子になっておりますれば、これもまたどういう勢力で、どういう方法で計画されているかというのはやはり警備の予備的な知識としてもちろん知るわけであります。そういう観点から、組合について全然ノー・タッチということは申し上げませんけれども、常時何でもない普通の事柄について、それを一々警察官が知っておかなければならぬというようなことは、われわれ方針といたしておらぬのであります。その点は、そうでございますということが答えられると思う。しかし、ただいま御質問の点は、北陸鉄道の事柄をおっしゃっておるのじゃないか、これは私の想像でございますけれども、そう思いますので、ただ一言申し上げますが、あの場合におきましては、われわれとしては関心のないいろいろな書類もございましたろうけれども、その中から、共産党の浸透状況あるいはその動きというものを石川県警としては見てとりたいという意図であったように聞いておるのであります。
#60
○五島委員 局長の方から具体的に北陸鉄道の問題だろうと言われた。なるほど私が聞かんとするところはそうですけれども、私が今まで三点について聞いたのは非常に抽象的な問題ですが、あなたがそう言われるものですから、今度は具体的に聞いておきます。
 党の浸透状態の問題というと、党というのはいろいろありますが、想像するに共産党のことでしょう。そうすると、共産党の浸透状況に名をかりて、組合の印刷物を常時収集をしておった。これは常時になります。というのは、石川県では非常に問題になって、石川県警本部長とかなんとかと非常にやりとりをされて、地方紙では非常に大きな問題として取り扱われたらしいのですから、あなたたちも具体的によく御承知だろうと思う。そうすると、これはことしの五月一日に発覚されたわけですけれども、大体二年数カ月にわたってスパイ行為が行われておった。こういうようなことですね。そのスパイ行為というのはどういうような状況でやられたかというと、北陸鉄道労働組合の印刷物を請け負っていたところの印刷員、組合ではこれをプリンターと言っているわけですけれども、印刷が必要となるときは、常時その印刷員に対して請負的に仕事をさしておった。そうして労働組合の一つの机を与えて仕事をさしていた。ところが、その人と刑事の長井幸蔵巡査が個人的に知っていた。それである機会に何か酒肴の供応を受けて、それから二年来あらゆる機関紙あるいは印刷物をこの長井巡査に手渡しておった。そういうような事実がわかってきたわけです。そこで私はさいぜんの質問の中に、抽象的に、常時労働組合を監視するのか、あるいは常時組合の動向を調べるのか、こういうようなことを言って質問をしたわけです。ところが長官は、個々の事例にわたっては、たとえば平和運動とかあるいは団体運動とかいうような問題にわたっては、予備的行為で調べるかもしれぬけれども、常時にわたっては調べないと言われたですね。ところが、これを具体的に公々然として調べるか調べないかというのは別問題といたしまして――だから私は静的にと言ったのですけれども、静的に二年有半にわたってあらゆる印刷物、不要と思われるような印刷物も全部この長井巡査に手渡しておった。しかも念が入ったことには、決して本人と直接会ってやらぬ。中にはある写真屋の奥さんと御主人を介して、そこで常時会って、一週間に一回ないし二回は会ってプリントを手渡している。そして月に一回ないし二回は、二、三千円の現金をお礼として手交しておった。そうするとこれは常時になりはしませんか。というのは、北陸鉄道の共産党の浸透ということについて特に調べる必要があったということは、どういう法的根拠から調べる権限が出るのかということは想像もつきますけれども、そうすると、組合の動向、組合の中の共産党の浸透状況というようなことに名をかりてやるのだったら、あらゆる組合を警察は常時こういうような手段をもって調べることができるのじゃありませんか。そういうようなことは北陸鉄道ばかりではないといって石川県の労働界では騒いでいるのですよ。そうすると、さっきあなたが言われたように、常時組合を調査してはいないというような方針と矛盾ができるような気がするのですけれども、こういう問題についてはどうでしょうね。
#61
○江口説明員 私が申し上げた通りでございまして、常時調べているわけではございませんが、ただ、協力を得ましたプリンターと長井巡査との間に、ただいまおっしゃったような組合自身の活動に関するような書類までやりとりされたということは事実でございます。ただ、私が申し上げたような個所以外については、本来こちらの方で興味のない事柄でございまして、これは警察事務として、その分が常時の調査というものに入ってきているというわけのものではない、こういうふうに私たちは解釈をいたしております。
#62
○五島委員 そうすると指示した範囲外に長井刑事は――これは常時ですわね、常時です。二年数カ月にわたって面識のあったプリンターを通じて組合の書類を取ったであろうけれども、それはこちらの本部あるいは県警本部の指示以外の問題であった、こういうような説明だと解釈してよろしいのですか。
#63
○江口説明員 そういう解釈でよろしいです。
#64
○五島委員 そうすると、出先の警官は指示以外のことは裁量によっていろいろ予備行為ができるというようにあなたたちは解釈しておられるのですか。
#65
○江口説明員 もちろん、仕事の上のことでありましても、その手段方法等にはおのずから限度がございます。しかしながら、情報収集の活動というもので、目的とした情報そのものに不要なものがくっついているというようなことは、これはあり得ることだと考えております。
#66
○五島委員 そうすると、全国の組合に対して共産党の浸透状況を調べるようにというようなことは、指示を出されているわけですね。
#67
○江口説明員 そういう指示はございません。
#68
○五島委員 そうすると、たとえばこの北陸鉄道が問題になりましたから、北陸鉄道には指示を与えてあるのですか。これはあなたに聞くより石川県警本部長あたりに聞いた方がいいと思うのですけれども、大体そういうような大約の指示は与えてあるのでしょうか。
#69
○江口説明員 一番冒頭に申し上げましたような観点から調査をすることはございますけれども、私たちの方で石川県に、北陸鉄道というものは危ないからその中の浸透状況を見てみいというような指示はもちろんございません。だから石川県の観点に立って、自分のところでは、いろいろな行事の中心になる組合だからそれを見たいというようなことでやったかどうか私は存じませんけれもど、全国的な指示はございません。
#70
○五島委員 そうすると、情報を提供した人というようなことについて今答弁があったわけですけれども、北陸鉄道のことは相当にお調べになっているようですね。そうすると、プリンターが長井刑事にあらゆる印刷物をやっていたということも、今の答弁の中から大体確認できると思います。しかし、それらの多くの印刷物は警察の予備的行為の目的外の不要な付属物であるというように思われるわけです。そうすると、長井巡査は不要なものを常時プリンターの大河初二からもらっていたということは、今の答弁の中から大体推測ができるわけでございますけれども、そういうようなことは大体石川県警本部との打ち合せにおいてわかっておりますか。
#71
○江口説明員 私の聞いております範囲では、ただいまおっしゃったように不要なものがその大部分を占めて、必要なものがごく一部であったかどうかということについてまでは存じていません。
#72
○五島委員 そうすると、組合やそれから石川県の各組合の団体が、県警本部やあるいは署長と話をしたとき、情報を提供してくれる者、事情を提供してくれる者に対して、月に幾らというようなお礼をやるのは社会的通念なんだ、あたりまえのことじゃないかというようなことを、林署長と黒川県警本部長が言われたそうですが、あなたもそういうようにお思いになりますか。
#73
○江口説明員 提供されます情報と、逆にこちらがお礼をいたします金額との均衡の問題もございまして、どれだけの支払いか存じませんけれども、あたりまえであるかどうか、具体的なことはお答えできませんけれども、私たちとしては、協力してくれる人に、それに応じた謝礼をするということは全国的に当然のこととしてとっております。
#74
○五島委員 そうすると、予算上にはこういう種類の謝礼の金はどのくらいお使いになっておるのですか、参考までにお聞きしたいと思います。
#75
○江口説明員 予算の項目は捜査費というところに載っておりますから、ごらんをいただければわかると思いますが、私たちの方からは金額は申さないことにいたしております。
#76
○五島委員 金額は申さないということですが、昨年度なら昨年度にどのくらい使ったというようなことはおわかりでしょう。予算はわかりますけれども、昨年現実にどのくらい使っておられるか。
#77
○江口説明員 その点、事柄の性質上私たちは公表しないという立場をとっております。
#78
○五島委員 そうすると、警察は全国的にはこういうような情報提供者をたくさん作っているということが想像されるわけですね。それで、おそらく二年有余にわたって提供された印刷物は、ほとんど警察行政の目的には何ら必要でなかったんだというようなことで取捨選択をされる。そうして毎月毎月二千円から三千円の金を払う。二千円から三千円の金をもらったということは、本人がはっきり言っているし、それから写真屋のおかみさんたちだって、これを証言しているらしいのです。そうすると、二年間にもわたってほとんど必要でなかった印刷物を手渡されて、そしてこれが情報の提供であるというので、毎月二千円から三千円のお礼をされて、そして二年間にわたって大体六万円ばかりもらった。本人は組合に対してその実態を言ったそうです。そうすると警察は、その警察行政としての情報が何にも入手されないのに、不要付随物に金を使われたということになるわけですね。私は、そういう問題を特別取り上げて言いたいとは思っておりませんけれども、こういう警察行政が行われておると、ほんとうに労働組合はいつも警察から目を光らされて、昔、尾行とかなんとかをやって個人の自由を束縛しておったと同じような、真綿で首を締めるような警察行政が行われておるのじゃないか。ちょっとストライキをして、十日も二十日も無期限ストライキとかなんとかになると、警察が動的にあるいは静的に入ってくる。そうしてこの組合活動をする組合員その他を、警察の威力といいますか、民主警察ですから威力はないでしょう、こわくはないでしょうけれども、警察というものはやっぱり権力がありますから、そういうようなことで、組合の活動、組合員の自由の意思を束縛するおそれがあると思います。あにはからんや、北陸鉄道労働組合というのは、組合の団結は強固な組合です。私たちも知っておりますが、強固な組合でも、全組合員に与えた影響は重大なものがあるというのです。そうすると、ただ一人のプリンターからあなたたちが指示せざる範囲外の情報の収集をした一警官の行為によって、数千名の労働組合員が非常に大きな脅威を受けたということは、労働組合の団結権に大きな影響があろうと思うのですけれども、そういう問題を配慮されたことがございますか。
#79
○江口説明員 御意見の第一点、ほとんど付随物であって、あまり役にも立たぬものに多大の金を浪費したのではないかという点につきましては、私は、ほとんどすべてのものが役に立たないものであったということを申し上げたのではないので、単に組合の普通の活動そのものだけのプリントであれば、これは興味がないということを申し上げたのでございまして、石川としてどの程度効果があったかという事柄については、私がここで断言しているわけではございません。
 それから第二点は、ああいうことで非常にショックを組合員が受けられた。それはその組合の活動に対する非常に大きな干渉になるという事柄でございますが、私が先ほど申し上げたような考え方を御了解いただければ、ショックを感ぜずに済むんじゃないか――済むんじゃないかというのは押しつけがましくておかしいですが、まあそういうふうに御了解願いたいと思います。
#80
○五島委員 そうすると、ある情報提供者を警察が作ったとする、そういうようなことは、どこでもやられておるのですか。そうすると、同じ労働組合員の中に、警察が連絡をとって、お前とおれは親戚関係だから、一つ組合の動向を知らせてくれ、こういうようなことも警察はやるわけですね。和歌山の方は、これは警察じゃなかったのですが、公安調査庁も、自由労組の一労働者を恐喝しながら、お前の妹は県庁に勤めておるじゃないか、そういうようなことをやって、あばけば、君の妹の身分も危なくなるぞ、お前が、情報を提供してくれれば、お前がどんなことがあっても就職は世話するぞ、そうしてお前の妹の結婚の先も世話してやろうじゃないかというような巧言をもって、情報提供者になってくれということ、和歌山の公安調査局によってそういう事件があったということは、警察関係ですからあなたもよく御承知だろうと思う。それから大阪のあの問題についても、いろいろ私たちは知っているわけですけれども、そういうようなことが公然と行われる。近くは母親大会において、母親大会に出席する者は一体だれとだれかというようにさっそく奥さんたちの氏名を調べに行ったり、あるいは平和行進に参加する者は一体だれか、あるいはそれを企てた者はだれかというようなことをさっそく調べに行く。そうすると平和運動なんかはできぬじゃないですか。平和運動が共産党の支配によってというようなことをいつも理由づけられる。そうして無辜の国民大衆に対して脅威を与える。だから警察が調べに来てそういうようなことで名前がわかると、おれの子供は高等学校を卒業して次に就職しなければならぬ。しかしこれが警察から連絡されると、おれの子供は就職先がなくなるというようなことで、そういうような団体から手を抜こうというようなことが大きな影響となって現われるわけです。そうすると、何だか平和運動には入っていけないというような、行動に静的なうちから圧力を受けるというように判断されても仕方がないと僕は思う。そういうようなことですけれども、話をもとに返して、長井刑事は北陸鉄道に対して、県警本部の指令によって提供者を作り、毎月二、三千円の報酬をやって、北陸鉄道の動静を調査されていたのかどうかということは、県警本部との連絡上どういうことになっておりますか、わからぬものですか。
#81
○江口説明員 石川県本部から長井巡査に指令をして、そういうことをやったのではなしに、長井君と、大河といいましたか、その方とが、かつてそのプリンターが進駐軍の警備員をやっていたころからの知り合いで、それがたまたま西野写真館という写真館におって、今どういうことをやっているかというようなことから協力を求めた、個人的な関係のようでございます。
#82
○五島委員 今度は抽象的に問題を引きますけれども、あなたは警察が国民に、おいお前北陸鉄道の組合本部で仕事をしているそうじゃないか、だから一つ組合の動向を情報提供してくれないか、そのためにはお礼もやるぞ、まあ一ぱい酒を飲みねえといって酒肴を提供して、組合の動向を探る。組合は、二年数カ月自分たちの組合に雇っているプリンターだから、こんなことはないだろうと思って借用しておった。ところが、人を信用するなというような行為になってくるのです。この民主主義時代に、お互いが人を見たらどろぼうと思えというような気持を、そういう行為の中から植え込むことになる。僕はゆゆしい問題だと思う。そうしてまた県警本部の指令なしにこの長井巡査というのは独断でそういうような行為をやり、独断で金を出した、こういうことになっているのです。そうすると、刑事に相当の金を与えて情報提出者に対しては金はふんだんに使わせているということになるのです。でなければ、自分のポケットマネーを使ってやっている。それは給料から出しているのだから長井さんには非常に済まない。警察行政として済まない。ところが、その金をやっているのだったら、指示していないところに金をやったということになると思うのです。そうすると、大河初二から情報を提供することになったから毎月三千円なら三千円をこれにお礼としてやりたいというような、あるいは警察署長の印がなければ金は出せないはずだと僕は思うのです。警察の内情は公表されないのだから、どういう仕組みになっているのか、ちょっと今は明らかにできないのですけれども、そういうようなことでしょう。国民の金ですから。そういうことになっているのではありませんか。ところが警察法の六十三条には、警察官は上官の命令をもって活動するのだ、こういうようなことになっております。そうしてまた警察法は憲法の範囲内において警察行政ができると私は解釈をしておるわけです。ところが、今までの話をずっと集約してくると、出先の刑事長井巡査は、県警本部の指令なしに、あるいは署長の指令なしに自分単独でやったというならば、六十三条の法にもとるのであって、上官の命を受けて行動しなかったということになるのじゃないですか。そうすると長井巡査は警察権力を乱用したということになるのじゃありませんか。そうすると、こういうような刑事をそのまま使っておるならば、いつも乱用するということになる。そうすると、全国の刑事にそういうような方針でやらせるならば、あなたたちは何とも思っていない、指示もしないけれども、全国にばらまかれておる数万の出先の警察官は、上官の命を受けずして、単なる自分の発意によって、組合に入ることはできないかもしれないが、組合の情報を提供させる。提供した者には、これが社会の通念であるといってどんどん金を出す、それだったら買収じゃありませんか。そういうようなことをやらさせておるのですか。そういうことは警察行政上許されますか。
#83
○江口説明員 独断でやったというふうにおとりになったようでありますから、この点は訂正いたしますが、石川県の県警本部から北陸鉄道のそういう情報をとれという指令はもちろんいたしておりませんけれども、やはりそういう関係をもって金を出します以上は、それは長井巡査から上司に報告をして、そうして金の点については、もちろん判こをついて出しておるということになるわけであります。
#84
○五島委員 プリントを提供してくれというんですよ。そうすると大河初二と北陸鉄道の組合との関係は、雇用関係ではない請負関係ですね。だからこれは他人の仕事をしてくれということで、何日までに仕上げて、でき上ったら今度はその北陸鉄道にそのプリントをしたものが渡される。そうしてその紙は大河初二に北陸鉄道から支給しておるわけです。そうすると、それを盗んでくれと言ったならば、警察はどろぼうをせいということを言うのと同じじゃないですか。そうでしょう。それからまだある。組織上は私鉄総連から北陸地連、それから北陸鉄道労働組合、こういうように三段階に分れておるわけです。そうして大河初二プリンターなるものが、三段階目の北陸鉄道の単独組合に請負契約のプリンターとして仕事をしておる、こういうことになる。おもに生活の根拠はそこで立てておる。そうすると、警察が酒肴を与え、あるいは毎月のお礼をやって、そうして北陸鉄道労働組合の財産を盗ませておることになる。たとい紙一枚であろうとも財産には違いない。財産を盗んでくれというのだったら、どろぼうを強要したことになるじゃありませんか。そうしてまた私鉄総連から指令通達が来て、それを組合の幹部の机の上に置いて、そうして幹部が家に帰ったあとで、その大河初二がその机からその総連の指令通達を盗んで刑事に手渡した、これはいよいよどろぼうじゃないですか。そのどろぼう行為を――これはあまりかわいそうですから、どろぼう行為なんて言いたくないのですが、言葉の都合上言わなければならぬ。どろぼう行為を強要しておったのは警察です。そうすると、警察は国民の生命、財産を守らなければならぬ、これが憲法の問題、それを保護するために警察がある。それを二千円も三千円も国費を使ってどろぼうさせておったというのなら、大へんな問題になるのじゃないでしょうか。そういうことを、単なる共産党の浸透状況を見るのだ、そして手交されたところの印刷物は大部分が付随、付属物で何にもならなかった。だから黒川県警本部長や林署長にただしたら、そんなものは本人大河初二に返したか、あるいは焼き捨てたか処分したじゃろう、こういうようなことを言っておられるわけです。どろぼうせい、これは極端な言葉でありますけれども、これは北陸鉄道の組合費でもってあがなったところの紙をどろぼうさせたことになるのじゃないですか。そういうようなことが、大きく数千名の組合、あるいは石川県におけるところの組合は、おれのところもそうじゃなかろうか、だれかスパイしているのじゃないだろうか、こういうようなことを疑心暗鬼に思わせるのであって、一長井刑事が、あなた方がこれこれこれをせいというような範囲を限定せざるところの自発的行為によって行われているのだったら、その人は労働組合の問題について非常に大きな責任が生ずるのじゃなかろうか。もしもこれを見過ごしておくというようなことならば、全国の刑事はすべてそういうことをやっているということを判断されてもいたし方がない。そうすると労働組合――憲法に保障された労働者の団結権あるいは行動権、それを侵害すると言われても、これはしようがないじゃないですか。これは静的に侵害している。あるいは動的には第一組合と第二組合をぶんなぐったり殺したりしている。そういうようなことは非常に重要な問題だと思われますが、そういうような問題についてどうお考えですか。
#85
○江口説明員 どろぼう云々という問題は、私も詳しい事情はわかりませんが、その大河君というのと組合との常時の関係からいって、何も盗まなくても、もらうこともできるだろうし、あるいは拾うこともできるだろうというようなことだろうと思うので、窃盗して持ってこいというようなことを申したはずはないと私は信じます。それからどんな労働組合にでも、またどんな刑事でも勝手にコネをつけてそれに金を渡せる、そういうものではなしに、やはりそういうものを持ってきても係、係の系統がございまして、そこの情報をもらってもしようがないというようなものについてはもちろんやっておらぬのでございます。一般的にはだから組合そのものを見ていることはない、こういうことを概括的に最初に申し上げたわけでございます。
#86
○加賀田委員 関連して。警察の行政の中で麻薬取締りについてはいろいろスパイ行為というものは規定されておりますが、一般的な問題として、利益誘導に基くスパイ行為をすることができるわけですか。この点がどうも……。結局月に二千円、年に三万円ですか、こういうようなことで一つの利益誘導に基いてスパイ行為を要請している。こういうことが各所に行われたら大へんなことだと思うのです。戦前と同じような印象を国民に与えることになるのです。現在の警察法に基いてそういうことができるのかどうか、これはどうですか。
#87
○柏村説明員 私どもは、警察の目的である生命、身体、財産の保護、治安の維持、犯罪取締りというような観点に立ちまして、暴力主義革命を捨て切らない共産党の行動については、常時関心を持ってこれを観察いたさざるを得ないわけであります。従いまして、先ほど来警備局長の申しました共産党の動きというようなものについて、長期にわたってこれを観察していくために任意の協力者から情報の提供を受け、これに対して謝礼をするということにいたしておるわけでありまして、決して一般の組合とかそういうものについて常時これを観察するというような態度はとっておらないのであります。そういうことで、必要に応じて任意の情報提供者から情報を受けるということは差しつかえないものと考えておるわけであります。
#88
○加賀田委員 あなたは、破壊活動防止法に基く法律があるのですが、それに基いてやっておるのですか。しかし、それは任意の情報提供ではなくて、結局利益を与え、それを誘導してきて資料を収集するという一つのスパイ、利益誘導になる。警察官自体がそういうことを調査して歩くということは、これは任意ですけれども、国民にそういう利益を与えて、ちょっと資料を出せとか、そのかわり毎月三千円なら三千円やるというような行為ができるかどうかですね。できるということになって、しかもそれが各所で行われているということになると、一般の民主団体とかいろいろなものが警察に対して非常に危惧を持つのは当然と思われてくる。非常にこれは危険な状態だと思いますが、この点どうなんですか。
#89
○柏村説明員 ただいま申し上げましたように、もちろん破壊活動防止法に基いて公安調査庁は団体規制という見地からこれを調査する。われわれ警察としては、犯罪の予防、その犯罪が非常に大規模に行われる危険性があるということから、これについての情報を収集するということに努めるわけでありまして、もちろん警察官自体がやるという筋が大筋でございますけれども、任意に情報を提供してくれる者に対して、これに必要なる謝礼を行うということは何ら会計法上も差しつかえないと考えておるわけであります。
#90
○加賀田委員 そこが僕は警察官として詭弁だと思う。提供する行為そのものは、それは提供するという意思を持っているからいいでしょう。しかし提供させる動機となったのは、やっぱり誘導したのでしょう。任意ではないと私は思う。何も警察官が国民に頼んだり友だちに頼んだり、そういう条件で頼まなくても、警察として協力してくれというなら、これは任意というのがよろしいでしょう。そうして三千円なら三千円もらって個人が資料を持ってくる。それは個人の任意でしょう。しかし、そういう動機を作っているのは任意ではなくて、やはり警察官の利益誘導という形になる。利益誘導できるかどうか、その点を聞いている。
#91
○柏村説明員 利益誘導と言われますとあれですが、脅迫とかそういう不当な行為によって人の意思を誘導する、あるいは強要するということは、これは許されないことだと思いますけれども、任意にお互い話し合って、協力しましょう、されましょうということであれば、これは何ら法に触れる問題ではない。しかし、目的は非常に重要な目的を持ってやっておることであります。もちろん、われわれとしてはそのやり方と、また限界というようなことについては十分慎重を期さなければなりませんけれども、警察官のみによって十分に調査をし得ない部面につきましては、そうした協力者を得てやるということがあり得るわけで、現にやっておるわけであります。
#92
○加賀田委員 もう一点、さらに深く突っ込んでお尋ねしますが、もしそういうことが今度の場合のようにばれたとしますと、任意であろうと強制であろうと、それは仮定の問題ですが、そういう資料を提供しておった本人に対しては、非常に社会的にあるいはいろいろな面で、迫害とか白眼視とかいうような形で、生活その他の周囲の条件によって困った状態が起ってくると思うのです。それに対しては、お前勝手に任意に出したのだから警察は知らぬ、こういう態度をとっているのか。それに対しては何かの、いい悪いは別として、やはり警察に協力したのですから、それに対する何かの処置を警察としてとっているのか、その点ちょっとお伺いしたい。
#93
○柏村説明員 こういうことまで申すとおかしいのですが、なるべくばれないように(笑声)やっていかなければならぬと思いますが、かりにそういうことがわかって非常に不利な立場に立った人に対してどうするかということは、ここに私はいろいろ考えられる問題があると思うのです。一がいに、ほうっておくとか必ず見るとかというふうに申し上げることはできません。
#94
○五島委員 時間もないようですが、私は特に北陸鉄道の問題で全体に関係するように質問をしていったわけですけれども、そうすると北陸鉄道は、破壊活動の目的をもって行動するものがどれだけ浸透しつつあるかという目的をもって、石川県警本部あるいは林警察署長の、長井刑事さんに特に注意をして調べるようにという指示のもとに長井刑事は調べたんだということになりますかどうですか。
#95
○江口説明員 先ほどもお答えしましたように、長井刑事が大河さんからそういう情報を得る端緒になりましたときにおきましては、そういう指示はなかった。しかしながら、北陸鉄道の中にも、まあ人数は公表できませんけれども、やはりそういうものがある。それじゃ任意にとれるものならとってくれということで続いておった、こういうふうに私たち考えます。
#96
○五島委員 任意にとれるものならとってくれということが指示であった。ところが、とったものは大部分が不要不急のものであって、そうしてそれは北陸鉄道労組の財産であった、あるいは私鉄総連の財産であったというようなことが明らかになったと思うのですが、こういうようなことについてはどう考えますか。そんなのは返すべきであると思われますか。焼き捨ててもよかったとか、そういうようなことは大体常時しないのだから、したのはちょっと行き過ぎだった、こういうように考えられませんか、どうですか。
#97
○江口説明員 おっしゃるように、大部分がだめなものであったかどうかということは断言できないということを先ほどから申し上げておるのです。それからもう一つは、その財産を云々というお話がございますが、それは厳格にいえばそういうこともあり得るかと思いますけれども、初めのいきさつからいって、また大河さんと組合とが、その部屋の中に机まで置かして一しょにやっているというような関係であれば、それは盗むというようなことじゃなしに、もらえるものと考えることも一つの常識であったろうと思います。焼き捨てるべきであったか、返すべきであったか、重要なる財産でございますればもちろん焼き捨てちゃいけないし、それは返さなければいかぬと思いますけれども、紙の一枚二枚というようなことで、また、おっしゃるように大したものでなければ、これは焼き捨てたかもわからぬと私も考えます。
#98
○門司委員 ちょっと関連して。今の五島君との話にわからぬ点がありますから、一、二について聞いておきます。
 一つは、命令系統はどこなんです。だれが一体そういう行為を命令したかということなんです。その点がまだ明らかになっていない。石川県の警察本部が命令したのか、あなた方が命令したのか、どっちかということです。
#99
○江口説明員 私たちが命令していないことははっきりしております。石川県警察が命令したかどうかということは、解釈があろうと思うのです。初め大河、長井という両人が出会いましてそういう関係に入りましたことについては、命令はなかったと聞いていますが、あと、それを容認して金の支出を認めたということ、それを指示だというふうに御解釈になるならば、その部分は県警との関係はあると思います。
#100
○門司委員 その点があいまいなんです。警察法の七十一条に基く仕事があなた方の警備警察の仕事だということははっきりしている。七十一条は、御承知のように非常時の布告の問題です。従って、この問題は一警察本部長の指揮命令とは私どもは考えられない。警察法の命ずる警備警察の仕事というのは七十一条にある。そうすれば、単に出先の警察官だけでこれをやった仕事とはどうしても考えられない。警察庁の方針だというように考える以外にはないのですが、これはどうなんです。警察庁の長官の方がよくわかると思うが……。
#101
○柏村説明員 今御指摘の七十一条は、緊急事態の特別措置について規定いたしております。私ども警備警察において行なっております仕事は、もちろんこの緊急事態にも関連いたしますが、それ以外の仕事もいたしておるわけでございます。今の命令は中央で出したのだろうということでございますが、今問題になっております事案に関しては、江口局長からたびたび申し上げておりますように、本庁から指示して行わせたということはないというふうに私は承知しております。
#102
○門司委員 これは石川県の事件といいますけれども、警備警察について警察法のきめた条項というのは、いわゆる七十一条ですね。今のお話のように、問題とするところはやはり非常時の布告までの前段の措置、あるいは前段の必要に応じて仕事をされている――きょうは時間もありませんしするからあまりこの問題で長くお話は申し上げませんが、この問題はどうしても本部の方針に基くものとしか言えない。
 その次に問題になるのは費用の出どころであります。これは石川県警察の費用として出した費用ではないでしょう。この費用は、おそらく本部から出た費用の中でまかなわれているのでしょう。今日の警察の費用の中には二つあるはずだが、石川県の警察費用の中から出たものではないでしょう。これはおそらく警察庁から出た費用だと私は考える。どっちから出ている費用なんですか。
#103
○江口説明員 もちろん門司委員の御承知のように、警備警察の費用は国費でございますから、国費が石川県警察に割り当てられて、その割当の費用から出ていることは間違いありません。
#104
○門司委員 問題はそこにあるのです。きょうは公安委員長に聞いておいてもらいたいのですが、この警察法の改正のとき非常に問題になった。かつての連帯支弁のような形で一応本部から割り当てた金を県の会計に入れて、そうしてそれを警察が使っていく。いわゆる県警察という建前でしょう。地方警察ですよ。地方警察という建前の上において警察行政を行うのならば、警察の使う費用というものは県の監査委員会で明らかになるようにしておいてもらいたい。警察署長の使う金、警察本部長の使う金が県の会計検査で検査できない。県会議員ではどうにもならない。こういう問題については、警察の制度自身が、府県警察といいながら、府県のらち外に権力が置かれている。この点は非常に困るというようなことが二十九年の警察法の改正のときに問題になったでしょう。しかし、そのまま今日の警察法の中では、警備警察の費用は国が出しておって、県庁ではどうにもならぬ。こういう機密費というよりむしろ秘密の費用である。その出所の責任というものは警察庁にあるに間違いはない。そうだといたしますならば、警察庁がこれを知らないというわけには責任上いかないことであります。これは石川県の警察本部長に幾らやかましいことを言っても、石川県の警察の費用の中に出てこない金でありますから、わからない金でありますから、こういう金の性質があるので、その点について国家公安委員長は一体どうお考えになりますか、明らかにしておいていただきたいと思います。
#105
○石原国務大臣 警察の費用負担の問題につきまして、いろいろの考え方はあるのでありますが、ただいまのところは、門司さんの御承知のように、全額国費でやっている面と、半額補助の建前をとっておる面と、全額府県でやっている面と三つあるわけであります。全国的に関連を持って全国的に動かなければならないような面につきましては、従来からもそうであったと思いますが、全額国費という建前をとっているわけでありまして、今直ちにこの考え方をくずすとかどうとかいうことは私どもは考えておりません。
#106
○門司委員 それだけでよろしゅうございますが、問題は今どうこうするという考えはないというお話でございます。きょうの場合、そういうことを言うよりほかになかなか言いにくいかとも思いますが、こういう事項については、一方に明らかに公安調査庁があるんですね。これは明らかに七十一条に基くものでないと私どもは考えておる。実際の警察の目的は思想調査にあったと考える。七十一条ではなかったと思う。七十一条であるならばこれはいいかもしれない。しかしこれは思想調査であるので、思想調査であるとするならば、ある程度は――ある程度というよりもむしろ公安調査庁が国家機関として動いておりまするから、公安調査庁の仕事である。ところが、警察が、社会の秩序を保持するという一つの行政部門を受け持っていて、それが思想調査まで入るというようなことになり、それにやみの金が使われておるということは、私は警察行政の明るい建前からいえば、これはあまりおもしろい形ではないと考える。これはどうなんです。思想調査がほんとうであったのか、七十一条に基く仕事なのか、一体どっちなんですか。
#107
○柏村説明員 警察としては、思想調査をいたす考えは毛頭ございません。ただいま申しました費用を支出する活動の根拠は二十四条の「警備局においては、警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。一 警備警察に関すること。」ということで、警備局の所管事項としておるわけでありますが、その目的、警察法第二条についての責任を遂行するためにやっておるというふうにわれわれは理解しております。
#108
○門司委員 どうもそういう議論になってくると、法律論を長々とやらなきゃならぬのだが、いずれにしても今の二条あるいは二十四条に書いてある主目的は、やはり七十一条が私は目的になっていると思う。そういう行動です。行動を監視しなければならないとあなた方はおっしゃっていますし、また二十四条にもそう書いてある。だからその法律の解釈からいっても、どうしてもそこへ持っていかざるを得ない。その前段のあなた方の仕事として、ある程度の思想調査をする必要があるのだというお考え、いわゆる行動の調査ではないと私は思う。これは思想調査だと思う。そうとしか考えられない。なぜかといいまするならば、今日の共産党とあなた方おっしゃっているけれども、共産党もあれは公党であります。許されている。行動は自由であります。だから、その中でもしあるとするならば、公安調査庁の仕事に触れる仕事があるいはあるかもしれない。警察行政の中でそういうものは出てこないと私は思う。この辺は警察と私との見解の相違であるかもしれない。だから、どう考えてもこれは思想調査としか私どもには考えられない。断じて思想調査でないというようなことが言い切れるかどうか、その点もう一度はっきり御答弁を願っておきたい。
#109
○柏村説明員 私どもは思想調査をいたす考えはないということを断言いたしたいのであります。公安調査庁ということを今お話しでございますが、公安調査庁は、御承知のように破防法に基きまして破壊的団体についての規制を申請する役所であります。従って、かつて破壊行為があり、今後破壊行為が行われるであろうということについての証拠固めをして、これを公安審査委員会に申請するのが公安調査庁の職責でありまして、現実に起りまする事案というものについて、これを予防しあるいは鎮圧するという活動は警察の活動であるわけであります。警察の責任であるわけであります。そのためには、非常に大規模な組織をもって公然と、あるいは非公然にも活動をいたしておりまする共産党の活動について注意を怠らないということは、警察の当然の責任であると思うわけであります。
#110
○五島委員 時間がございませんから、私はもうこれで終ります。ところが今言われたことについては北陸鉄道組合は非常に大きな迷惑をしておる。あなた方の調査がどうあろうとも非常に迷惑をしておる。そして一般の組合員大衆、労働者諸君も迷惑をしておる。今まで自分たちは監視されていたのだからというような精神上の打撃を受けておる。そうして、こういうようなことは一つの事例ですけれども、これが全国に行われると――そこで私がここに思うことは、纐纈委員長がとりなされて、この北陸鉄道におけるスパイ事件の問題を一つ理事会で協議をされて、そうして参考人を呼んで――いろいろ全国にこういう事例があるかもしれない。それで、北陸鉄道ではこの証人がはっきりしておるわけですから、そういうような動向などもわれわれは知りたいと思うので、従って委員長が理事会にとりなされて、この事柄について明らかにされんことを要望して終ります。
#111
○纐纈委員長代理 ただいまの問題は、一つ理事会の方で検討することにいたします。太田一夫君。
#112
○太田委員 ただいまの北陸鉄道のスパイ問題ですが、これに関連して、もう少しはっきりした態度を聞いておきたいことが一点あるわけですが、それは現地におきまして、長井巡査と北陸鉄道組合との対決問題を非常に回避しておるということなんです。これはどうして北陸鉄道組合と長井巡査との対決を回避しておるのか、今のお話ならばその必要はないと思うのですが、その点をお伺いいたします。
#113
○江口説明員 署におきまして、長井巡査を直接詰問に来られた方々に会わせなかったという事件でありますが、これはやはり警察の仕事として警察官がやった事柄につきましては、責任者がその事情を聞いて応対するというのが本則でございまして、特別に他意があって会わせなかったというわけではない、こういう報告を受けております。
#114
○太田委員 そういうことなら、長井巡査は今どこにいるのですか。所在は明らかになっておりますか。
#115
○江口説明員 私はそれを聞いておりませんけれども、元のところにそのままおるそうであります。
#116
○太田委員 それは事実でありますか。現地におきましては、対決を忌避して、長井巡査をどこかに隠してしまって会わせないのだというのです。長井巡査はこのスパイ事件を否認しておるのです。そうして大河はこれをもちろん認めておるのですけれども、警察においては、この大河そのものの発言でさえも否定しておるわけであります。そうして対決を回避して、長井巡査をどこかにやってしまって、さっぱり行方がわからない。こういう状態です。それを元のところにおるというのは、確認をされての御回答ですか。
#117
○江口説明員 確認というのがどういう程度のことをおっしゃるのかわかりませんが、われわれは元の勤めのところにそのままおる、こう聞いております。ただ、おるということと対決をさせるということとはまた別でございます。
#118
○太田委員 しからば、こちらに来てくれと言いましたら、必ずお出しになりますか。証人として……。
#119
○江口説明員 先ほど申し上げた方針の通りでございまして、個々の警察官を対決あるいは尋問の場に立たせるというようなことは、われわれとしてはとらない方針であります。
#120
○太田委員 従って、証人としてこれを喚問することもあなたの方はお認めにならない、こういうことでありますか。
#121
○江口説明員 認めるとか認めないとかいうことではなしに、その意見に反対であるということであります。
#122
○太田委員 この件につきましては、最初からの長い間の質疑応答で問題点が明らかになっておりますが、私どもとしては、長井巡査を隠して、そして北陸鉄道の言い分に対して、問題点を明らかにする、いわゆる対決するということを拒否されておるということは、まことに残念なことだと思うのです。これは疑惑があるということを考えていただくならば、疑惑を一日も早く取り去るためにも、今までの御答弁を証明されるためにも、出るべきところへ出て、北陸鉄道がはっきりしたいと言われるならば、それははっきり長井巡査を出してもらうというようにあなたの方が御配慮になるのがほんとうだろうと思うのです。これは特に要望いたしておきます。
 次に、労働関係の争議につきましての題問について二、三お尋ねをいたしたいと思います。これは特に江口さんが関係するお話ですが、江口さんは七月四日の法務委員会におきまして、ロックアウトに対して、そういう場合に建物の中に組合員がおるということはどうもおもしろくないことだ、中に入っておってはいけないという発言をなすっていらっしゃいます。それから小倉総監は、七月四日の当地方行政委員会におきまして、排他的に占拠しておる状態は違法である、こうはっきり断定をされたわけなんです。また、このロックアウトの場合、ロックアウトを宣言したからといって、組合員が中におることがいけないという根拠なんですが、この根拠は通説だということを小倉さんはおっしゃっておられますけれども、通説だということになるならば、そういう場合には中におっても差しつかえないというのが通説だし、判例だと思うのです。特にアメリカにおいては、ロックアウトそのものさえも違法行為、不当労働行為だとしておる現状から見て、あまりにも積極的なロックアウト政策というのは、争議行為としてはなはだ穏当を欠くと考えられるわけです。そういう場合に中に組合員がいるということが、これは違法だという考え方ですが、この根拠を承わりたいと思います。
#123
○小倉説明員 私が申し上げたのは、こういうふうに申し上げたと思うのであります。それは中におること自体が云々というのではなくて、中におる人がすわり込みや何かをやって、あるいはスクラムを組んだり、こういうようなことで、会社側の者が入っていく、あるいは会社に関係のある者が入っていって何か品物を持ち出すとか、あるいは作業をするというのを入れない、あるいは妨害する、そういう排他的な占拠ということは、判例上違法であるというふうに通説になっておる、こういう意味であります。
#124
○太田委員 それには非常な見解の相違があると思うのです。特に柏村長官にお尋ねをいたしたいのですが、これもやはり何回かの委員会の席上で、争議が非常に先鋭化しておるし、不法な事案が多く起っておるということの原因につきましては、会社の管理が非常に不適当だということと、組合の指導の行き過ぎだという二点を御指摘になっている。きょうもそういうお話がありましたけれども、会社の管理が不適当だという言葉は、これは私どもが考えてみますと、会社の管理という用語に問題があるかと思いますが、要は労務対策の誤りと、そうしてまた、実際上経営者が労働法を知らないということ、労働法に対して無知であるというところから出ていると思うのですが、そのためにせっかく正当な争議行為というものが暴力行為に変っていってしまう。そうして皆さん方の警察官の方がそれに介入をするという不当の事態を起してくる。だから、当初から会社側の方に正当な労働法に対する理解があるならば、そういうような激しい事態というものは起さないはずなんです。だから労働法の理解に不足しておるところの経営者に対して、あなたたちはそれを確かめ、十分やるだけのことはやって今日こうなったのか、それとも無知なるがゆえに、そういうむちゃくちゃな事態を起したのかということについてもお調べになる必要があると思うのですが、その点はお調べになったことがありますか。
#125
○柏村説明員 この前もいろいろなところで申しておるのでありますが、中小企業の争議に関連いたしまして、会社側または組合側に相当激しい不法行為が最近非常に多い。その原因としまして、会社管理の不適当ということと、組合の労働運動についてふなれである、またふなれであるために、指導者を擁するその指導者が相当に強い指導をするというようなことが原因であることは、いろいろな席で私の考えを申し述べておるわけでありますが、会社の管理が適切でない面が非常にあるということは、今お話しのように、労働法あるいは労働慣行というものについての知識が足りないということが非常に大きい原因であろうと私は思います。こういうことについては経営者自体勉強をしてもらいたいし、またそれぞれそういうことを指導する関係の機関もあると思いますので、そういうところで十分にそうした指導をとって、できさるだけ円滑に円満に事が運ぶように進めるのが適当だと思うわけであります。警察といたしましては、会社の経営の個々に問題が起ったときに状況を調べるということは、警視庁その他において行なっておると思いますけれども、全面的にその原因というようなものについて詳細に調査を命ずるというようなことまで警察庁としてはいたしていないわけであります。また果してそこまでの原因を警察として追及し、あるいは指導をしていくということを、すべての場合に行うことが適当であるかどうかということについては、いささか疑問を持ちますが、警察としても、できるだけ他の機関を通じて、あるいは軽い意味の勧告、警告というような措置によりまして、できるだけそういう知識を高め、慣行になれるという方向に進めたいという気持は持っておる次第でございます。
#126
○太田委員 メトロ交通の五月三十日の暴力行為に対して、柏村長官の見解ですが、これも七月四日の法務委員会においておっしゃったことは、「メトロ交通の争議事件は非常に遺憾な事態であると私も思います。また会社がああいうような措置をとったということが、きわめてとっぴなことであったということも考えられないことはないと思うのであります。」こういうふうにおっしゃったわけですが、このとっぴなことであったという言葉なんですけれども、あなたの方がとっぴだとお感じになったことは、これも別な言葉で言えば違法な行為であったということになると思う。この違法な行為に対して取り締ることの方は緩慢であって、そうして被害者の方に対して取り締ることの方が厳格である。どうも本末転倒の疑いがあるわけなんですが、その点についてどうお考えになりますか。
#127
○柏村説明員 とっぴであるということと、違法ということは必ずしも私は一致しないと思います。しかしながら、会社のあの行為の一部は確かに違法行為があるわけであります。ナンバー・プレートをはずしてしまったということは違法行為でありまして、これについては取調べを了して、すでに送検をいたしておるようなわけでありまして、決して会社側のとっぴなあるいは違法な行為について、警察が無関心であるということは絶対ないわけでありまして、現にまた人夫等につきましても、八十数名を即刻警察に連れて参りまして取調べをいたし、そのうちの三名、さらにそのときいなかった者一名というものを取調べの結果送検をいたしておる状況でありまして、警察として、決して会社側に立って、会社の方には手ぬるく、組合の方に強くというような態度はとっていなかったと私は確信をいたしておるわけであります。
#128
○太田委員 そういうことならよろしいんですけれども、私は、取締りの警備関係の担当者ないしは署長さんのそれぞれの認識の中にもあるんじゃないかと思うんです。たとえば労働関係調整法という法律があるが、この労働関係調整法を争議取締りの際に読んだ人が果して何人あるか。労働関係調整法の二条と三条には、政府の責務もあれば当事者の責務も書いてある。それを見れば、警察も会社も同じなんですが、今のようにすぐにそこに現われた一つの現象だけを見て、暴力だとか、脅迫だというような受け取り方をして干渉に乗り出す、あるいはそれをもってさらにいろいろと労働争議を解決困難な状態に押しやってしまうことは、まことに遺憾なことだと思うのですが、そういう労働関係調整法なんというものを尊重する観念は、実際取締り当局、いわゆる警察関係にはあるとあなたたちは自信を持っていらっしゃるか、それともそういうものはむずかしいからわからないということでしょうか。
#129
○柏村説明員 先ほども労働法規について非常な尊重を払っておることを申し上げたわけでありますが、そういう観点から警察官、特に幹部等につきまして、そういうことの知識を十分持つように指導に努めておるわけでございます。まだまだ十分な知識があるということは申し上げかねますけれども、そういうことには私ども努力をいたしておるわけでございます。
#130
○太田委員 労働関係調整法の第三条には政府の義務というところがあります。そこにはそういう争議状態の場合に、「労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与え、」と、自主的な解決、自主的な交渉ということを非常に強くうたっているわけです。第三者の余分な者が入れば、労働委員会以外の者が入れば、事態をこじらせることが非常に多い。これは先例が教えておるわけですから、今の中小企業の争議などは、特に労使が自主的に交渉することに全力を注ぎ、全力をもって助言するということが一番大事だと思うのです。それを暴力行為等の処罰に関する法律の適用だとか、これに触れるの触れないのということになれば、全くもってこれを解決するんではなくて、めちゃめちゃにしてしまうことに通ずるわけです。そういう点について、最近のあらゆる中小企業の争議の深刻さというものを、自主交渉あるいは労働委員会機能の活用によって解決するという考え方、思想は、皆さんの方でどのように考えておられるか。
#131
○柏村説明員 争議が自主的に解決されるという方向に持っていくべきであるという今の御意見には全く賛成でありまして、先ほどから私はそういうことを申し上げておるわけでございます。ただその場合におきましても、自主的な調整、自主的な解決ということを促進することは、前提としてもちろん必要なことに違いありませんが、その間に起りました不法行為についても、先ほど申しましたように慎重な態度ということは必要でございますが、いやしくも不法行為が行われることを警察として見のがしていって、他の機関の自主的な調整のみにまかせるということは、警察の立場としてとるべきものではないというふうに考えるわけであります。
#132
○太田委員 不法行為を見のがすべきだとは言いませんけれども、労働争議に有形力の行使があるということは、社会通念であるし労働常識なのです。してみれば、労働争議というものに対して少々の有形力の行使が、一般的の場合には暴力行為等の処罰に関する法律にさわるかもしれない、触れるかもしれないと考えられても、労働争議というものは、やはり労働争議という一つの労働法の世界は別にあるのだから、その中の調整機能にこれをまかすという認識がない限りにおいては、最後はめちゃくちゃになることは今までの幾つかの例が示しておりますから、これはおわかりだと思うのです。ああいう争議をやっている中には、攻撃に出る場合もあるし、攻撃があればこれを防ぐ形も出て参ります。そういう攻撃をしたり防いだりする中から、新しい労働条件も生まれてくるでしょうし、今までの歴史から見ても新しい労働秩序が生まれてきている。この新しい労働秩序を生ませるためには、少々の有形力の行使があったところで、あるいはピケの形を必ずしも抑制するものでないということであったとしたところで、その問題を取り上げてけちをつけるということは解決にはならない。だから、新しい労働秩序を形成するためには、労働法に対するほんとうに深い思いやりと理解がなければならぬと思う。その点について警察の考え方が今おっしゃった考え方だというならば、別に問題はないように思いますけれども、実際になったらそうじゃない。だからこそ、あのような何ともならないような深刻な争議になってしまっている、だから、警察が介入するということは、実際に組合をぐらつかせるねらいが一番大きいと考えざるを得ない。だから争議における有形力の行使に対しては一般の場合とは違って寛大でなければならぬと思いますが、その点いかがですか。
#133
○柏村説明員 太田さんのお話は、私の受け取った限りにおいては、大筋としては非常に賛成なのでありまして、いやしくも労働運動がこうした社会現象として非常に行われている際、労働法規によってこれが守られているという前提に立つ限りにおいて、何かあればすぐに警察がこれに介入していくというような態度は大いに慎しんでいかなければならぬと思います。しかしながら、おのずからその行動にも限界があることは太田さんもお認めになると思います。その限界をどう見るかということについて、あるいは意見の相違を来たす場合もあるかもしれませんが、私は、大筋として今お話のありましたような考え方で進みたいと思いますし、そういうふうに警察全体としては考えるように指導したいと考えているわけであります。ただ、労働運動であるから何でもいいのだというような態度に出ることまで弁護することになりますと、非常に問題が深刻になると思います。
 それから太田さんに申し上げて失礼かもしれませんが、先ほど警察は組合運動をはばむといいますか、組合側に対抗するように見えるとおっしゃいましたが、なるべくそういう見方をしないで、労働運動等を指導していただきたい。われわれも十分反省すべき点は反省していきたいと思います。
#134
○太田委員 最後に、時間の関係で一つだけお伺いをいたしますが、ロックアウトの合法性ということですが、最近ロックアウトが頻発されておりまして、そのために非常な暴力事犯がそこから出ているわけです。ロックアウトというのは、元来はあまりはっきりと保障する法規は日本にはないと考えるべきだと思いますけれども、しかし工場閉鎖がいけない、全然やってはいけないというわけではない。これは争議行為として許されているでしょうけれども、考え方としては、会社には馘首権、解雇権というものがあります。それからまた就業規則を制定したり、あるいはこれを変えるというような権利もあるわけであります。だから、それの上にさらに現在行われているような積極的なロックアウトという政策がどんどん乱発されることになれば、労働法特に労働組合法第一条にいうところの、労働組合の正しい労働運動が心配なくやれるようにというこの精神を非常に侵害することになると思う。だから、会社の方だけには二刀を許すけれども、組合の方にはただ単に平和なるところのストライキしかないということでは、労使対等の原則なんというものはとてものことおぼつかないわけです。だからロックアウトしたならば、工場内に全然一歩も入って行けないような考え方は、元来判例の範囲を越えておりますし、これは通例違反とも思いますので、労働者が幾らロックアウトをされようとも、これは道の上においてだけで示威行動をするということは考えられません。それなら公安条例で制限されてきますし、労働者の団体交渉権というものの保障がなくなってしまいますから、そういうことにおいて、会社側が積極的なロックアウトをした場合には、会社側に対して、あなた方のやり方は行き過ぎだということを指摘して、組合のいろいろな交渉、それに伴う泥沼的な暴力事犯というものを防ぐようにしてほしいと思う。特にこの点について要望いたしまして、質問を終りたいと思います。
#135
○阪上委員 先ほどから問題になっております労働争議に対する暴力の介入、この問題について特にきょうは警視総監に質問しようと思っておったのですが、大へん時間が切迫いたしましたので、警察庁の方に一つ要望しておきたいのですが、前回の委員会で、それらの具体的な事件についての警察当局がとった態度等について報告してくれということを言ったのですが、今手元にきておるのはメトロ交通の件が一件と、それから暴力団の件が一件、これだけしか出ていない。そこで豊島区の成光電機の争議に対する暴力行為の介入の問題と、それから川口の富士文化工業ですか、これの暴力介入に対する警察のとった措置、これについての報告を次会に出していただきたい。これだけを要望しておきます。
#136
○門司委員 私からも資料の要求だけをしておきたいと思いますが、それは中小企業のこうした争議について、警察側が介入しないというなら介入しないでよろしゅうございますが、介入したならば、どのくらいあるかというその件数、白書みたいなものはできませんか。労働組合側からはある程度出て、私はそれを持っております。ですから事案の正確を期するために、そういう白書みたいなものを書いていただければ、われわれが判断するのに都合がいいと思いますが、それはできますか。
#137
○柏村説明員 今介入ということで――私、この間実は参議院の法務委員会でも大へん失礼なことを申し上げてしまったのでありますが、労働争議に関連して起った不法事犯といいますか、そういうことに対して出動した警察官数というようなことでよろしゅうございますか。そういうことならば資料を作って差し上げることにいたします。
#138
○門司委員 大体今のことでいいと思いますが、中小企業の労働争議に対する警察の出動度数というようなこと、それからその結果どういう状態になっておるかということ、次には、そのことのために労働組合あるいは労働者との間にトラブルがどのくらい起ったかという件数、そういうものを一つ出していただきたいのです。なお、わかれば事件の内容の詳細というようなことも、私のメモには書いてあるが、詳細はなかなか報告できないかもわかりませんが、こういうようなものも一つ詳しく出してもらいたいと思うのです。
#139
○纐纈委員長代理 それでは本日はこの程度にて散会いたします。
    午後二時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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