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1959/08/31 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 外務委員会 第3号
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1959/08/31 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 外務委員会 第3号

#1
第032回国会 外務委員会 第3号
昭和三十四年八月三十一日(月曜日)
    午後一時十三分開議
 出席委員
   委員長 小澤佐重喜君
   理事 岩本 信行君 理事 佐々木盛雄君
   理事 床次 徳二君 理事 松本 七郎君
   理事 森島 守人君
      愛知 揆一君    賀屋 興宣君
      菊池 義郎君    北澤 直吉君
      櫻内 義雄君    椎熊 三郎君
      野田 武夫君    森下 國雄君
      大西 正道君    勝間田清一君
      田中 稔男君    帆足  計君
      穗積 七郎君    和田 博雄君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        運 輸 大 臣 楢橋  渡君
 委員外の出席者
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      勝野 康助君
        外務政務次官  小林 絹治君
        外務事務官
        (アジア局長) 伊關佑二郎君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
        水産庁長官   奧原日出男君
        海上保安庁長官 林   坦君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
八月十日
 委員椎熊三郎君辞任につき、その補欠として山
 口六郎次君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
 委員山口六郎次君及び福家俊一君辞任につき、
 その補欠として椎熊三郎君及び賀屋興宣君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
 派遣委員より報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関して調査を進めます。
 先般本委員会が行いました日韓関係諸問題等に関する実情調査について派遣委員より報告を聴取いたします。松本七郎君。
#3
○松本(七)委員 先般閉会中委員派遣につき議長の承認を得まして、外務委員会は李承晩ラインの視察を行うことになりました。派遣委員は、小澤委員長、松本七郎、帆足計の両委員、三名であります。
 一行は八月十六日東京を出発し、十七日下関に参り、同地において第七管区海上保安本部、山口県及び下関市当局並びに日韓漁業対策西日本地方連合会関係者との懇談会に出席いたし、現地事情を約四時間にわたりまして詳細に聴取し、かつ忌憚なき意見の交換をとげたのであります。この懇談会においては、渡辺七管区本部長から李承晩ライン付近に操業する小型一本釣船一千隻、これは平均トン数五トンくらいでありまして、主として対馬の北部、西部地方で操業しているものであります。またあぐり船九百隻、これは平均トン数三十トンくらいでありまして、主として下関五島、生月島を根拠地としているものであります。並びに底びき網及びトロール船七百隻、これは平均八十トンくらいでありまして、主として下関、戸畑、福岡及び長崎を根拠地とするものでありますが、以上につき詳細な説明がございまして、そのほか韓国警備艇の活動状況、わが巡視船の活動状況、漁船の無線施設、自衛船の問題等についても詳細な説明があり、実地視察を行うに先だちて最も適切な予備知識を得ることができたのでございます。引き続き県、市当局からも李ライン設定後の地方漁業者のこうむった損害、窮状等について陳情がありました。また抑留漁船員の留守家族も特に出席されまして帰還促進に関する涙ぐましい懇請もありました。
 これに対しまして当委員会側としましては、李ラインの問題はおのずから二つの問題点があり、第一は根本的にしてかつ恒久的な解決策である、これは日韓会談再開を契機として李ライン撤廃の政府の方針を貫徹することでございますが、これは外交交渉によることであり、行政府の努力を期待するとともに、われわれとしては政府を鞭撻し、早急に解決をはかるほかはないこと。第二の問題は、第一の根本的解決を得るまでの応急的方策として、関係漁業者の被害を最小限度に食いとめるための焦眉の問題、すなわち漁業者の安全操業を可能ならしめ、拿捕船舶、抑留漁夫をなくすことである。このため、その具体的な方法について、現地関係者の事情を聴取して、必要な施策を講ずるため極力尽力すべく現地視察を行うものであるとの趣旨を述べました。さらに各委員からも具体的方策について隔意のない意見を述べられ、懇談会を終ったのであります。
 十八日は午前下関を出発しまして八幡製鉄所に参り、同所の製鉄状況を聴取するとともに、戸畑地区の拡張計画を実地に視察し、さらに門司に引き返し、第七管区海上保安本部を訪れ、午後三時保安部岸壁より巡視船「くさかき号」に便乗し、特に則武本部次長が同乗し案内役を勤められ、「くさかき号」は壱岐、対馬間の海峡を西に向い、李ラインに達し、さらに李ライン線上を約六時間、済州島東方約五十五キロ、二百四十四漁場区付近まで南下し、ここから引き返し北上しました。
 海上、波は比較的平穏でありましたが、あいにく旧暦十五夜に当ったため、漁船は不漁のため出漁するものがきわめて少く、従って船内レーダーによりますと、韓国の警備艇も出動することがなく、わが巡視船二隻に遭遇し、相互にラジオ連絡を行った程度でありました。かくて李ライン線上を離れて、対馬厳原に翌十九日午後三時に到着いたしました。
 その間一行は、船上にまる一昼夜、李ライン上航行十二時間、巡視船員の労苦を目のあたりに目撃し、まことに得がたき体験をいたしたのでございます。
 厳原におきましては、長崎県厳原支庁において対馬支庁長、厳原町長及び対馬島全漁業協同組合幹部との懇談会が開かれ、同地方の小型一本釣船が李ライン設定により、漁場の締め出しを食っていかに困窮しておるか、また底びき、あぐり漁業により接岸漁場を漸次圧縮されつつある窮状が披瀝されたのであります。厳原において一泊の上、翌二十日朝巡視船「やはぎ号」に乗りまして、午後一時博多に着き博多より帰京した次第であります。則武次長は「やはぎ号」にも同乗、終始行をともにし、視察の便宜を与えられました。また下関及び福岡においては、記者会見を行いましたが、ときあたかもあぐり漁業者の計画した自衛船の長崎出港の時期、ちょうど十八日第一船が出港したわけでございますが、そういう時期に当りましたために、自衛船の問題が論議されまして、これについては渡辺七管区本部長の説明がありまして、通信連絡の程度で、保安部の周到な指示、注意に基いて行動するものであり、いたずらに紛糾を起さないように警戒しておる旨の事情が判明いたしましたので、各委員ともその趣旨には賛意を表した次第であります。
 今回現地視察の結果、各地関係漁業者の陳情、説明を総合いたしますると、李ライン撤廃を促進し、根本的解決をはかるべきことはもちろんでありますが、最も緊急を要する政府の施策としてあげるべき点は、一、抑留漁船員の帰還促進、二、漁船の安全操業を確保するための警備体制の強化、この中でも(イ)巡視船の増配、四百五十トン級四隻の増配を七管本部は希望しております。(ロ)無線通信所の増強、対馬、門司等の無線発信所の設置等、(ハ)小型漁船用受信機の全般設備補助、現在国の補助率二分の一で実際受信機を所有しているものは全体の三分の一にすぎない実情でございます。
 なお今次視察の報告書は、追って整理の上、提出することになっておりますが、とりあえず委員会において概略視察報告をいたす次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○小澤委員長 次に、国際情勢について質疑の通告がありますので、順次これを許します。帆足計君。
#5
○帆足委員 外務大臣に御質問申し上げますが、この九月の十五日ソ連のフルシチョフ首相がアメリカを訪聞いたしまして、また秋の終りにはアイゼンハワー氏がモスクワを訪問することになっておりまして、これは国際政局、世界の平和の上から見ましても非常に大きな意義を持つものであろうと存じます。現在、御承知のごとく兵器の進歩は、人間のやましい本能にまかしておいてはもはや危険であるという段階に参っておりまして、人の人たるゆえん、すなわち人間の理性が、そして話し合いが世界の政局において最も必要になっておる時期であろうと思います。特にソ連では一万四千キロ大陸間弾道弾を完成いたしまして、もはや兵器及び武力の圧力でアメリカが事を処理するということは困難になっております。これは驚くべき事実でございますけれども、事実は事実として認識いたさねばなりません。同時に、アメリカの持っておる経済カ及び生活水準は、これはアメリカ側としてぜひともソ連側に見てもらいたい、こういう気持があろうと思います。こうして互いにカーテンをはずして語り合うということでありますので、平和を念願いたします私どもといたしましても、また世界の世論もその成功、そのよい結果を注視しておることと思いますが、外務大臣のこれに対する御所見をまず伺いたいと思います。
#6
○藤山国務大臣 今回アイゼンハワー大統領とフルシチョフ氏との間に話し合いがつきまして、相互に訪問しようということがとり行われることになりましたことは、おそらく今日までお互いに不信の念をもって接しておって、お互いに話し合ってみようという機会もなかったわけであります。その意味において、今回こういうことがとり行われますことは、世界の平和を念願し、あるいはいろいろな国際間の緊張を緩和する上に非常に適切なことだと思うのであります。ただこうした相互の交換訪問というものは、お互いにお互いの国情を知るということがまず第一でありましょうし、またお互いに意見を交換するということが第一のステップになろうかと思います。でありますから、今回の訪問自体がすぐに何らかの話し合い、問題の解決が起るといとことを期待するわけには参らないわけでありますけれども、しかしお互いに往復し合うということの結果は将来相互理解を深め、あるいは共通の問題についても意見の十分な交換ができることになろうと思いまして、われわれとしてもまことに喜ばしい次第であると考えております。
#7
○帆足委員 この会談の重大性の認識については外務大臣も同じ御意見であろうと今拝承したわけですが、しかしこの会談のあとにくるところのものは、世界政局によりよい変化が参るものとわれわれは期待し、確信いたしております。従いまして今後とも東西陣営が話し合うということはきわめて重要なことである。しかるに日本政府としてはソ連のみならず、中国においては特にそうですが、まだ十分に私は語り合う機会を持ってないように思うのです。従いまして今次北村徳太郎氏が個人の資格、その他ジェトロ等の資格でございましょうけれども、外務大臣と打ち合してソ連に参りましたことは、私は意義あることと思いますし、また河野一郎氏が十月ごろにはソ連に参って相互の認識を深めるという新聞の記事が出ておりますし、さらに隣邦中国に対しましては石橋氏が高橋亀吉氏その他経済専門家同伴のもとに北京を訪れ、次いでまた松村氏がさらに中国を訪れる、まことに時宜に適したことであると思うのでありますが、これに対して外務大臣はどのように考え、またどのように御連絡をなさっておられるか、伺っておきたいと思います。
#8
○藤山国務大臣 北村徳太郎氏のソ連訪問は、御承知の通り先般閣議でもって明年モスクワにおいて商品見本市を開くということを閣議了解になりましたわけで、御承知のように北村氏は昨年行かれまして、ソ連との問にこの点について口火を切る話をしておられたわけであります。従いまして政府におきまして商品見本市を開催する、これはジェトロをして開催させるわけであります。そういう意味において昨年口火を切られた方でありますので、行かれまして商品見本市の全般についてジェトロがどういうふうに動くか、またジェトロと向うとの間の話し合いのあっせんをされることになろうと思います。この点につきましては、私どもも、やります以上は商品見本市が成功するように努力して参らなければならぬことは当然でありまして、北村氏に対しましてもそれぞれ便宜を与えるようにわれわれとしては手紙をいたして参っておるわけでございます。
 今回、石橋湛山氏が周恩来首相の招請によって中共に行かれることになったことを私ども二、三日前に承わったわけであります。まだお目にかかって直接のお話を聞いておりませんから、あるいは違う点があろうかと思いますけれども、いずれ私もお目にかかってお話を承わりたいと思いますが、日本の各方面の有力な方々が適当な時期に中共に行かれまして相互に話し合いをしますということは、私は適当なことだと思うのであります。むろん今日政府として、あるいは自由民主党としての中共に対する一定の態度というものはきめておりますので、その方針のもとに個人的に懇談をされるということは、将来両国の話し合いの上においても有益な参考になることだと思うのであります。新聞紙上伝うるところによりますれば、石橋さんは相当なはっきりした態度をもって行かれますので、将来何かにつけて石橋構想というものがわれわれの扱います中共問題の参考になることだろうかと思って期待をいたしておる次第でございます。
 河野、松村両氏がまだはっきり、いつソ連に行かれ、あるいは中共に行かれるかということは承知いたしておりません。むろん個人の資格として行かれますことにつきまして、われわれ各国とも人的交流がございますけれども、ソ連は特に平和を回復して通常の政治状態になっておるわけであります。どなたが行かれて、できるだけ親善関係を打ち立てる努力をされるということについてわれわれ異議のある次第ではないのであります。そういう意味におきまして個人としていろいろ往復されますことは、ことに今までの段階におきましては、どちらかというと社会党の方がたくさん行かれて、保守党の人はあまり行っておらないような状況では、保守党の立場においてもそういう状況を見てこられることは必要であろうかと考えております。
#9
○帆足委員 このような国際情勢を前にいたしまして、与党の有力な議員の方々が隣邦諸国を訪れますことに対して、外務大臣はただいま率直に理解ある態度を示されました。私ども野党といたしましても、やはり大局から見まして、国の平和と国の利益のために、これらの諸君の訪問が実を結び、また平和のために御成功あることを期待するわけでございます。先日、イギリスの首相に岸さんが会いまして――これは、明日岸総理にこの外務委員会に来ていただきまして、こもごも質問があることと思いますが、かれこれ問答のあったことが新聞紙上で問題になっておりますが、自由諸国との協力と申しましても、同じ自由諸国の中の大多数の国々はすでに中国を承認しております。イギリス、カナダ、インドもしかりであります。従いまして、ただいまのような外務大臣の御答弁でありますれば、私は外務大臣みずからが隣邦諸国との国交調整にもう少し積極的態度をとっていただきたいと望むのであります。
 ついでに、この機会にお尋ねいたしますが、こちらからは議員団がたびたびモスクワに参りまして、また北村氏を団長とする大ぜいの、三十名近くの議員団がフルシチョフ氏初めソビエトの国会の招請にあずかって旅行したこともあるのでございます。しかしながらこちらの方では一度もソビエトの議員を招待するということは従来ありませんでした。幸いにして、今次、チェコスロバキアの国会との間に相互の訪問が議運の承認を得て決定いたしましたので、おそらく議運においてもソビエトの国会議員団と友好をあたためることに異存はなかろう、次の国会では当然これが審議ざれると存じますけれども、やはり外務大臣の御意向というものはわれわれ外務委員にとって非常な参考になりますので、外務大臣といたしましては、そういう決定がなされることにつきまして、それは大へんけっこうなことであるというお考えをお持ちかどうか、一つ伺っておきたいと思います。
#10
○藤山国務大臣 ただいまの議員の相互訪問ということは、国会がおきめになることでありますので、私ども国会の意思を尊重して、御決定に従ってできるだけそれに御協力申し上げるわけであります。ただ、全般的な意味におきまして、先ほど申し上げましたように、相互理解のために往復されることは悪いことではない、こう考えます。
#11
○帆足委員 そこでお尋ねいたしますが、このような国際情勢のもとにおきましては、私どもは今重要な世界の転換期に面しておるから、外交のことは慎重でなくてはならぬとだれしも思っておる次第でございます。特に最近の兵器の進歩は驚くべきものでありまして、現在政府からグラマン、ロッキードなどの調査団が参っておるということですけれども、御承知のように、一昨年をもちましてジェット戦闘機の生産は英米においてほぼ中止になりまして、何千機というジェッド機が雨ざらしになって飛行場に遊んでおる。これを弱小国に売りつけようとすることは、かつて日露戦争の戦勝のあとに、私どもが三八式小銃、機関銃を弱小国に売りつけようとしたことと大同小異ではないか。グラマンにしろロッキードにしろ、ちょんまげの大小を論ずるようなものであって、もう兵器の中心はよそに移っておることは御承知の通りでございます。今ではレーダーとミサイルに問題があるわけであります。この苛烈なる兵器の進歩に対して無知であったならば、それの前提知識を持たないで国の安全ということを論議したとするならば、私は必ずあやまちを犯すおそれがあると思う。従いまして、わが外務委員会におきましても、将来安保条約のことをもっと深く具体的に審議する段階になりますれば、どうしてもこの兵器の進歩の現段階について、与党、野党を問わず、この厳粛な事実に対してさらに認識を深める必要があると思っておりますが、国の安全ということになれば、世界の兵器の水準と、その国の立地的条件と、同時に国際情勢の流れについて目算を誤まらないということが必要であると思いますが、外務大臣は、この重要な時期に当って、新兵器に対してどの程度のお調べをなさったかということを、この前もお尋ねしたのですけれども、その後進歩の跡がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、せっかくアイゼンハワー、フルシチョフの相互訪問が行われるのでありますから、もう少しその結果を見つつ国際情勢に対処し、安保条約の大問題も、国際情勢が今非常に重要な曲りかどにきて、おそらく十二月の初めごろには、暖流と寒流がどの程度に均衡を示しつつ流れていくかという見通しがつくのでありますから、もう少し一つ慎重にゆっくりしていただきたいと思います。この宇宙世紀の大会談ともいわれる、これによって人類がノアの箱船のようないや果てから救われるか救われないかという方向がきまるであろうとまで国際政治家が論及しておるこの大きな問題を前に控えまして、私は、安保条約の審議その他日本の外交政策につきましてこまかなことを今後きめて参りますについては、十二月までもう少し様子を見たらどうであろうかと存じておりますが、外務大臣のこれについての御所見を伺いたい。
#12
○藤山国務大臣 兵器の進歩発達という問題につきましては、われわれも驚異の目をもって見ておるわけであります。ただこの問題については、しろうと議論をいたしますこと自体が非常に困難でありまして、私どもとしては、防衛関係者の十分な調査とその意見によって、その考えをきめる以外には方法はないのではないか、こう考えております。
 なお、フルシチョフ、アイク相互訪問ということは、先ほども申し上げましたように、大きな事実でございます。またそのこと自体が将来世界の人心にもいろいろな影響を与えて参ることは事実であると思うのでありまして、好ましいことではありますが、相互訪問自体が大きな問題を即時解決するとみるのは早計ではないかと思います。現に両首脳者ともに、今回の会談で何か特に特定の問題を討議するというような態度ではなしに、お互いに両国民の間の気持を知り、またその国内の状況を知って、お互いに今後のいろいろな問題についての認識を新たにしていこうということでありますので、すぐに何か結果が出てくるというふうには、今日予測するのはまだ早いのではないかと思っております。われわれとしては、既定のコースに従いましてやるべきことはやっていくという立場をとっておる次第でございます。
#13
○帆足委員 ただいまの御答弁を伺いまして、聰明なる外務大臣のためにもう少し考えていただきたいと思うことは、第一には、昨今における兵器の進歩は目ざましいものでありまして、ある意味におきましては、兵器の進歩が逆に歴史を変えつつある、そうして本能に訴えずに理性に訴えることを私ども人類に要求しつつある、宗教的ともいってよいくらい大きな歴史の転換期にきておると思う。その兵器の進歩の事実については、別に東大の物理学科を卒業しなくても、文科、法律系統のわれわれでも、大局のことは理解し得ると思うのです。これを一部の専門家にまかせておく。専門家とは何か、大部分小銃、機関銃時代に成長した、それは敗戦のエキスパートであり、属僚である。この属僚どもにまかせておくことは間違っておる。従いまして、当外務委員会におきましても、今後この問題を具体的に審議するに当りましては、専門家にも来てもらう必要がありますし、同時に、私どももさらに研究を深めまして、もっと高度の専門的知識に立って、日本の立地条件とにらみ合せながらこの問題を国民の前に明らかにして参らねばならぬ。従って、外務大臣がこれを専門家にまかせておくということは、私どもは承服することはできないと思う。
 第二に、アイゼンハワー、フルシチョフの相互訪問によって、もちろん問題が一挙に解決するとはだれしも期待することはできないけれども、解決への方向に向って一歩進むであろうということはだれしも期待するところです。従いまして、こういう重要なときでありますから、聰明な外務大臣におかれましては、本来非常に良識に富む、そして弾力性のある考え方の外務大臣でありますから、やはり行きがかりにとらわれずに、重要な新しい問題が――四ヵ国外相会議がまさに行き詰まると思ったときにこのような情勢に局面が展開して、晴天のへきれきというか、旱天に慈雨を得たような情勢が展開したのでありますから、これは外務大臣の面子に何もかかわることではないと思うのです。さすが藤山外務大臣は安保条約にここまで足を入れたけれども、泥沼に足を入れては大へんなことになるからこの辺でもう少し慎重に検討しようというような態度をとられても、外務大臣を非難する人はだれもないのです。現に新聞の伝えるところによりますと、与党の諸君はそれぞれ達識の士がそろっております関係上、与党の中にもいろいろ御議論があった。これは私はよいことであると思う。この前も宇都宮君のパンフレットを読みまして、私はこれは聞くべき多くのサゼスチョンがあると思った。また河野さんが二つの点を指摘しております。一つは防衛の範囲について、特に日本の基地をアメリカが極東政策一般のために利用することについては非常な危険を伴う、同時に一年が十年の早さをもって流れておる時代だから十年先というと、もう雲煙ひょうびょうとして、十年先を思えば鬼が笑うどころではなくて、鬼でなくて、これはもう犬も笑う時代であろうと思う。(笑声)同僚の諸君でもこうして笑っている状況ですから、従いましてこれらの河野さんが指摘している点は、私はやはり聞くべき問題だと思うのです。決して派閥の問題等ではあるまいと思う。論理が通っておると思うのです。従いまして、こういう問題について外務大臣がもっとゆっくり研究されて、与党も野党も国の利益ということを第一義にして、そしてもっと慎重な態度でいくということが私は望ましい。これは客観的条件の変化でありますから、外務大臣の責任でないと思います。そこでお尋ねするわけですが、安保条約のことにつきましては、今後この外務委員会はその担当の委員会として審議せねばならぬ多くの問題を持っておりますから、きょうは一つの点だけ申し上げまして、あと運輸大臣が見えておりますから、先ほど松本七郎君が報告しました二、三の重要点について御質問させていただきますが、時間の範囲でいたします。
 きょうは一つだけお尋ねいたしますが、それはやはり河野さんが指摘しておる、日本を基地としてアメリカがアメリカの極東政策のために飛び立つ――現にレバノン、ヨルダンの問題においても、国際連合の意思に反してイギリス、アメリカあるいはフランスが動いたことがあって、国際連合にしかられて引っ込んだことがある。金門、馬祖の問題でも断じてインドも英国もこれを了承していない。こういう問題にぶつかったときにアメリカは日本と事前協議をする。事前協議に二つあって、一つは単に軍の配置、基地の配置等でしたら、事はそれで済みますけれども、そこから機動力をもって飛行機なりミサイルが飛び出すということになれば、直ちに戦争の中に巻き込まれる。ところが日本の憲法を見てみますと、憲法は戦争をやめることになっておりますから、宣戦布告または和議についての条項がないわけです。そうすると自動的に属僚会議――防衛長官と外務大臣は参加しておりますが、私どもから見ると、あとの連中はみんな属僚である、その属僚会議のごときものによって宣戦布告同様のことに入ってしまう。議会はそれに対して一体どうしようにも間に合いもしない。これは法の盲点です、日本の憲法には宣戦布告の条項がないために……。従いまして外務大臣に一番危険な点をお尋ねするのですが、事前協議の組織はどういうふうにお考えか、そしてそういう自衛権が発動するときにはどの法律によってどういう手続を経て発動するか、そして国会との関係はどうなっておるか、一体そういうことを外務大臣は慎重にお取調べになったかどうか。現在これはすでに問題になっておるのでありますから、今日のところの解釈を承わりたい。
#14
○藤山国務大臣 第一の点について補足して申し上げますと、むろんわれわれとしても軍事手段の進歩発達ということに対する世界史的な意義というものはないがしろにするわけではありません。ただ先ほどお話のありましたように、グラマンを使うとか、ロッキードを使うとかいうような問題、あるいはそれはすでに古いものになっておるかどうかという問題については、私どもとしては当然専門家の意見を聞かなければならぬと思います。軍事科学の進歩発達がどういう世界史的意義を持っておるかということについては、われわれ国際関係の問題を扱う者としては、むろん考えて参らなければならぬ点だと思います。
 なお、アイク、フルシチョフ氏の相互交換訪問につきましては、先ほど申した点で尽きておりますので、御了承願いたいと思います。
 安保条約で御質問のありました事前協議の問題でありますが、これから草案を作成して参る段階に来ております。それらのものができましたときに協議機関というものをどういう形で作っていくか、御承知のように一応現在日米安保委員会というものがございます。そうした形のものが基本的には考えられると思います。従って、今お話のようにあの会議へは日本側としては外務大臣と防衛長官が御承知のように出ておるわけであります。しかし事重大な場合には、当然二人だけの判断というわけには参りません。おそらく内閣全体の責任をもってこれらの問題について判断をし、かりにそういう協議機関に二人の大臣が出ておれば、あるいは二人以外の大臣が出ておりますれば、当然その線によって日本側の意向を伝達することにはなろうと思います。そういう点については今後条約草案を作りますと同時に研究をして参らなければならぬ問題であります。われわれといたしましても協議機関の問題については慎重に行動して参るつもりでおります。
#15
○帆足委員 ただいまの御答弁でわれわれは満足することはできないのですが、そうだとすると、重要なことは内閣でおきめになる、また国会との関係はどうなるのでしょう。日本の基地からアメリカ軍が本格的戦争または紛争に飛び立つということになれば、今日の段階ではその戦争に日本は巻き込まれる。一種の宣戦布告と同じような状況に身を置くことになるわけです。それが防衛会議の事前協議の委員会だけで決定される、これは日本の憲法に宣戦布告の条項がないという盲点でこういうばかなことになるのではないかと思います。従いまして、そのときは閣議に諮るのですか、それから国会との関係はどうなるか。国をあげて直ちに防空態勢に入らねばならぬというような状況に追い込まれるのを、ただ事前協議のための属僚委員会できまったから、仕方がないというようなことでわれわれは安心することはできないと思います。そのときの内閣及び国会との関係はどうなりますか。
#16
○藤山国務大臣 もちろん条約上アメリカと交渉をいたしますことは、また責任をもって検討いたしますことは内閣だと思います。従いまして、その意味において直接国会とは関係がないと思います。がしかし、かりに何か日本の自衛隊がそれによって行動するというような場合には、自衛隊法にも規定してあります通り、国会に諮ってやることは当然だと思います。
#17
○帆足委員 その事前協議の第二の場合に、日本からアメリカの極東政策のため紛争地にアメリカ軍のジェット機なりミサイルが飛び立つということになれば、報復爆撃を基地は受ける。そうすると、日本全体は非常態勢に直ちに入るわけです。自動的に入るわけです。それに対して内閣、国会との関係は明らかでない。それは事前協議のための専門家にまかしてある、こういう御答弁ではわれわれは満足することはできないと思いますが、その関係を現在外務大臣はどうお考えですか。
#18
○藤山国務大臣 ただいま条約作成中でありますし、あるいはさっき申し上げましたように、協議機関との関係を考慮しておりますので、むろんアメリカ側に対する手続としては、今申し上げましたようなところに尽きておると思います。内閣が責任を持って行動いたしますときの国会との関係、それらの問題については今後十分検討する必要は当然あろうかと思いますが、大筋に申しまして、今申し上げたように、何か日本側が、自衛隊が行動するというようなときには自衛隊法規の命ずるところによって国会の承認を得るということになっておりますので、そういうことになろうかと思います。
#19
○帆足委員 これはきわめて重大な問題でありまして、そしてただいまの御答弁でわれわれ満足することはできませんが、時間の関係もありますので、問題の重大性だけを御認識願いまして、お調べ下さって、次の機会にまた詳しい御答弁を得たいと思います。
 最後に、運輸大臣もお見えでございますが、私ども小澤委員長のお供をしまして、李ラインの現場を見て参りましたが、運輸大臣におかれましては、職責上、それより一両日前につぶさに現地を視察されて適切なる御発言をなされておられたことに対して、私ども敬意を表する次第でありますが、もう申し上げるまでもないことでございます。ただ、この最後の時間の余裕をお借りしまして、二つお尋ねしたいと思います。
 一つはアジア局長に対しまして、われわれも無条件で日韓会談が開かれたように拝承しておりまして、すなわち無条件の、日本側のそのときの客観条件としましては、相互釈放ということ、人権に属することは断固として行う、その条件は譲らないということで出発したように拝承しておりますが、会談に入る前に、この問題は今後とも明確にされておいて、そして論理を通すという態度を堅持されつつあるとその後も拝承しておりますが、御決意のほどを承わっておきたい。
 それから第二に、その前提のもとで、韓国軍がときどき動くようなそぶりを示しますが、御承知のように、韓国軍は国際連合軍でありまして、国際連合軍の責任者はアメリカでありますから、そういう不謹慎なことがあるべきことでもあるまい。従ってこのことについては、政府が責任を持ってアメリカ国務省当局とはっきり話し合いをされて、連絡を密にされておくことが必要であろうと思いますが、それについて遺憾なきを期せられておるかどうか。
 第三に、そのような前提のもとに李承晩ラインを考えますならば、将来の恒久策として、李承晩ラインに対して根本問題を解決せねばなりませんが、当面の策としては、海上警察の問題としてスマートに処理することがよかろうとわれわれは思います。同時に平和的に合理的に強く行うことが必要ですが、やはり平和と合理性と友情を持って対処するというのが、日本の態度でなくてはなるまいと思いますが、そういう態度をおとりになることに御賛成であるかどうか。
 それから運輸大臣に、巡視船の状況をごらんになって、巡視船の足がのろいとか防護設備が不十分であるとか、職務の貫徹に――これから秋口から冬になりますと、船員は非常に苦労されるわけですが、その海上保安庁の活動に対して、運輸大臣として責任ある準備をしておいていただきたい。特に船を集中するのに、どうしても数隻の足の早い、スマートな巡視船が必要であると思います。自衛隊に、実際に使わないグラマン、ロッキードなどを買って輪奐の美を誇るよりも、自衛隊はほどほどにしまして、ほんとうに海上警察を整備し、スマートにし、国民に喜ばれるものを整備しておくことの方が私は実際的であろうと思いますが、大蔵省の諸君がこれに対する認識がなくて、去年もずいぶん話したのですが、通りませんでした。従って私は大蔵省の諸君に一ぺん玄界灘に行って潮風を浴びてもらいたいとまで切言したのですが、幸いにして運輸大臣みずからが現場を視察されて認識を深められたのでありますから、これを実行していただきたいことと、無線の設備を充実していただきたい。特にこれは将来の海難救助にも役立つわけでありまして、単に自衛のためでなくして、海の国といたしましては私はこれは損でないことと思います。それをぜひいたしていただきたい。
 それからさらに早期の漁民の救済について、最初に申し上げたような趣旨に従って筋を通して救済方に全力を注いで、特に李承晩ラインにおけるシイラ漁業などまでが捕獲の対象になっておるということもありますから、一つ筋道を立てて、平和的ではあるが、強硬なる論理外交で進んでいただきたいということをお願いいたしまして、御答弁を得たいと思います。
#20
○楢橋国務大臣 まず冒頭に小澤委員長並びに李承晩ラインに行かれました外務委員の皆さんにお礼を申し上げたいと思うのであります。第七管区から私の方に非常に感激して報告が参りまして、かつまた漁民も非常に立法府の外務委員の方が李承晩ラインをわざわざ視察賜わったということによく私の方からもお礼を申してくれと言って参ったのであります。
 私が李承晩ラインに参りまして第一に申したことは、自衛船をやめてもらいたいということであります。しかし私が大臣になりましてすぐ長崎に視察に参りましたときに、ちょうど自衛船問題が起っておりまして、彼らはやむにやまれない痛憤の状態にあって、非常に民族的なむしろ怒りを持っておったのであります。そのとき私は自衛船はいけないということでとめたのであります。その後いよいよチャーターして出動するというような情勢にもなりましたので、私みずから李承晩ラインの実情を調査し、また現地から自衛船をやめろということを申したのであります。しかし顧みれば漁民の諸君が自分の費用を出して自衛船を出さなければならぬような段階に追い込んでいることは、明らかにこれは政府の怠慢であるから、その点は率直に認めて、それに対するあらゆる方策を講ずるということを私は誓ったのであります。従いまして帰りましてから閣議にこの問題を持ち出しまして、外務大臣、大蔵大臣、農林大臣、私と官房長官を入れた李承晩ラインの問題に対する対策の懇談会を開くということを提案をいたしまして、今帆足委員の御指摘のありました海上保安庁の巡視船を増強して、これによって自衛船をおさめるという以外に方法はない。また韓国側も自衛船が出ていなければこれに対してそう乱暴なことはしない、また今おっしゃいましたように漁船に受信機をつければ――まだ全体の漁船の三分の一しか受信機を持っておりませんから、私はぜひこれは外務大臣にお骨折りを願って、受信機をつけてもらって、海上保安庁の巡視船を六隻ないし五隻くらい増強してもらいたいということを申しておりますので、それをもって、直ちに危険状態になった場合に無電でもって待避させるということが一番現実的じゃないかということで、この案を出しておりました。ちょうどいろいろな関係がありまして、明日の閣議のあとにこの関係閣僚が寄って、この問題を具体的にいよいよ協議して応急の策を講じよう、造船等の問題も、これは間に合いませんから、できればとりあえず民間の船でも海上保安庁でチャーターしまして、そういうことを一つやろうということを考えておる次第であります。皆さんも行かれましたし、私も行きまして、その漁民の切実な苦しみということは十分にわかっておりますから、私の立場からも十分これを推進したいと思うのであります。
#21
○伊關説明員 大村と釜山の相互釈放につきましては、極力急いでおります。今週中には両方の名簿の交換もできますので、事務上の準備の都合もございますので、私は実際に送還が行われますのは九月の末か十月の初めころじゃないかと思います。
 それから韓国軍が乱暴でもするのじゃないかというお話でございますが、会談が今のところ順調に行われておりますから、そういうことはなかろうと思っております。この点につきましては、アメリカ側とも十分に連絡をいたしております。
#22
○藤山国務大臣 ただいまアジア局長が御答弁申し上げましたから、特につけ加える点はないのでありますが、相互釈放の問題につきましては、むろんわれわれとしては全力をあげて、先ほどお話のありました以外の、北鮮帰国の問題とは別個にやったことであります。また二月に国際赤十字にも日本の考え方を申しまして、国際赤十字も十分理解を持ってこの問題に善処しておられますので、私どもといたしましては、むろん相互釈放ということが早急に行われることに相なろうかと思っております。同時にこの問題は日韓会談で別個の連絡委員会でやっておる次第でありますが、若干事務的にはあるいは日韓会談とダブるようなことも起る場合もございますけれども、根本的にはこの問題を事前に解決していくという立場を堅持しております。韓国に対しまして日韓会談をやります態度は、今帆足委員の御指摘がありましたように、われわれはやはり固い決心と強い主張を持ちまして、合理的に李ラインの問題その他を解決すべく努力をして参るつもりでおります。ただできるだけ日本といたしましてはおとなの態度でいきたいということだけは貫いていきたい、こう考えております。
#23
○小澤委員長 穗積七郎君。
#24
○穗積委員 安保改定の交渉も、大体経過から見まして内容は明確になっております。岸さんやあなたの最初に言われたような対等、平等の条約じゃなくて、むしろ軍事的、従属性を持つような危険のある内容がわれわれの目にだんだん明瞭になって参りました。それからもう一方は、今帆足委員からも指摘いたしましたように、国際情勢はむしろ軍事同盟方式というものに再検討を加える必要のある情勢になって参りました。この問題について責任者である総理並びに外務大臣の終局的な再検討の御用意をお尋ねしたいと思っておりますけれども、伺いますと、明日総理が同席をされて、私もできるならば総理と御同席の上で内閣の統一した責任のある終局的な御意見をお尋ねしたいと思っておりますので、きょうはあなたが来月お立ちになる国連に対する日本の外務省の御方針、これについて二、三お尋ねしておきたいと思っておるわけです。
 第一にお尋ねしたいのは、従来国連における日本の活動の一つの中心の問題は、軍縮問題であったと思いますが、今度の軍縮委員会が開かれます前に、この間の外相会議以後、軍縮十ヵ国、すなわちNATOの当事国とワルシャワの当事国との間における同数十ヵ国の軍縮委員会がまた別個にできておるわけです。これを国連においてどういうふうに促進していくのか。これは今後の軍縮問題を進めます場合に、単なる手続、形式の問題ではなくて、内容にわたりましていささか重要な点だと私も思いますので、藤山外務大臣は全権代表でなくて顧問だということでしょうけれども、顧問であっても、全権代表を駆使する外務大臣の地位は変らないわけですから、そういう意味で、外務大臣としての国連の会議に臨まれる場合の軍縮問題取扱いについてのお考え方、まず第一に国民に明らかにしておいていただきたい。それを伺った上でわれわれの考えも申し上げて、具体的な御要望も私はあるわけですから、そういう順序で御答弁をいただきたいと思っております。
#25
○藤山国務大臣 御承知のように、世界的な軍縮が達成されますことは、われわれ日本の希望であることは申すまでもないところでありまして、今日まででも国連等の内部において努力をしてきたつもりであります。私が申すまでもなく、国連において軍縮委員会が長年開かれてきておりますが、この二、三年は御承知のようにメンバーの数の問題で最終的に話し合いがつかなかったのであります。この数の問題をとりましてもそう大きな開きはなかったのでありまして、軍縮委員会があの構成の問題だけでストップをいたしておりますことは、実ははなはだ遺憾だと思います。従ってそういう意味におきまして、国連の軍縮委員会というものを何らかの形で活動できるように両者が話し合いますことが、私は一番適当なことだと考えております。しかしそうした状況にありながら今回十ヵ国委員会が提案されまして、そうしてしかもこれが直接国連の内部で行われるということが今一応考えられておるのではないかと思います。それについては十ヵ国委員会の小国から相当な大国に対しての反対の意見も出ております。しかし私どもといたしましては、国連はこの問題を当然取り上げなければならぬことでありまして、国連の使命の大きな問題でありますけれども、要は世界的軍縮が一日も早くでき上ることでありまして、それにはメンバーのパリティということも、もしできるのならある意味から言えば考えていいことではないか。また事実問題としてソ連とアメリカの話し合いの場が円満にいくということが非常に大きな事実でもございます。そういうことの実際的な問題を考えまして、ことに軍縮というものが達成されることになれば、それが若干国連の場以外で行われても、究極はそれが国連に移されることになりましょうし、また世界の世論というものが伴ってくるのでありますから、目的を達する一つの方法としてそういう方法がとられることについて絶対に反対をするということは、趣旨からしても申しておりません。しかしやはり国連を中心にしてこういう問題を解決して参りますことが一番大事なことであって、そして世界国連メンバー八十二ヵ国のおのおのの考え方も入ってくるということにも相なりますので、十ヵ国委員会と国連とがやはり緊密な連絡をとって、そうして絶えず国連に意見等も反映しながら、この委員会を成功に導くように両者お互いに何か連絡的な方法がついて参ることが望ましいことではないかと思います。そういう意味において根本的な趣旨においては、軍縮が一番早く達成する便宜的な方法として、十ヵ国委員会がもし適当に活動するならば、その十ヵ国委員会と国連との間の相関関係というものを十分に考慮しながら考えていくということが必要であると思います。しかしそうでない非常に離れたものになりますと、今の国連の内部のいわゆる小国の空気から申しますと、相当これに対して否定的な考え方を持っておる状況があるように思いますので、そういうところにあまり小国が飛び込みますことは好ましくない、こういうふうに見ておるわけであります。
#26
○穗積委員 大体の根本的な考え方については私も同感でございます。ただ問題は、すなわちその軍縮を具体化するための便宜的な考え方から見まして、今言われる通りに、東西両陣営の同数主義による十ヵ国委員会というものは、形の上では国連の軍縮委員会に屋上屋を重ねる感がなきにしもあらずですけれども、今言われるように政治的かつ内容的に、しかも具体的に軍縮を達成せしめるための一つの便宜的な方法といいますか、政治的な方法としては、これはおもしろい動きである。従って日本の外交方針または国連対策としては、今おっしゃるように、むしろこれをエンカレッジするような態度でいくべきではないか。ただしその場合、今言われるように国連の軍縮委員会とそれから十ヵ国委員会との間のコネクションが事実上問題であって、それが事実上あるにいたしましても、国連の軍縮委員会総会における日本の態度としては、その点はオブリゲーションをお互いに持たして、明確な連絡調整のシステムを考えておく必要があるのではないか。ただ政治的に、糸が切れたように勝手なことをお互いに議論したり、立案をしたりするということにまかしておかないで、今言ったように、事実上の報告があればそれで済むのだということではなくて、システムの上で日本外務省としては何か結びつきを用意して進むべきではないかというふうに私は思うわけですが、その点についての大臣のお考えを伺っておきたい。
#27
○藤山国務大臣 今申し上げたように、また穗積委員のお話のように、何らかの形で連絡をつけることが望ましいことは申し上げた通りであります。ただこれをどういう形でするかということについては、慎重に考慮して参らなければならぬわけであります。今いわゆる小国側の反撃等についても、もう少し詳しくそれらの状況も見て参りませんと、どういう形でするのがいいかということは、すぐに結論は出しにくいかと思います。むろん今一つにはハマーショルド事務総長をして、その間の連絡をとらせるというようなことも考えられております。軍縮委員会に国連事務局を代表した人が出ていって、連絡をとるということも考えられております。それらの点についてはわれわれとして十分慎重な態度で、また国連内各国の意向も十分検討いたしました上で、具体的には考えて参りたいと思っております。
#28
○穗積委員 国連を中心とする軍縮委員会で軍縮問題を促進するという立場に関連して、率直にあなたのお考えを伺いたいことが一点あるのです。それはわれわれ社会党が年来の大会におきまして採択をして進めておりますのが、外交政策においては積極中立政策という方針であることは御承知の通りであります。その積極中立政策の裏づけの一つといたしまして、現在ある各軍備保有国が、個々でもしようがありませんけれども、できるならは国連で広く加盟各国に提案をして、そして持てる軍備の一割ないし一割五分、そこらは話し合いのうちで多少弾力性を持っていいと思うのだが、それを直ちに比例的に削除いたしまして、そして特に問題のある、戦争の原因である貧乏をなくする、そのために特に後進国の経済開発のために、技術的または建設的な協力をするような平和建設部隊というか、これらを一括いたしましてわれわれは平和共存の和栄政策という名称で呼んでおりますけれども、内容は、具体的に言いますとそういうことなんです。これがある意味においては無償協力でございますから、コマーシャルから見ますと、いささか抽象的または宗教的なにおいがしやしないかというような非難もあったわけです。ところが年進むに従いまして、すでにソビエトのグロムイコ外相が軍備国の一割――これは具体的に一割ということを提案しておったのですが、これも一つのメルクマールにすぎないと思いますけれども、それを削除して協力すべきじゃないかという提案が行われている。続いてアメリカにおいても、政府部内の正式発表ではありませんが、有力な野党の指導者であるスチーブンソンその他がこれに賛成の意を表明しておる。またヨーロッパにおいて開かれました科学技術者の国際会議におきましても、その結論の中の一つに、後進国の技術的または経済的開発のための無償協力、指導、これが非常に必要になってきているという点を、科学的に、しかも率直に認めて、決議の中にこれが生かされておるわけであります。そういうふうに見て参りますと、この軍縮問題または平和政策問題の裏づけというのは、むしろ経済的不均衡をなくすということ、そして口に平和を唱えており軍縮を唱えている者が、単に利己的な立場から軍縮の提案をし、兵隊を減らし軍事予算を少くしていくということだけでなくて、戦争の原因が不均衡と貧乏の中にあるのだということが真に探求されますならば、それに対して具体的な、積極的な建設方策を持つことが、軍縮を消極的なものから積極的なものに転換せしめ、口に言うところの平和政策あるいは共存政策、国際間における民族間の民主主義を主張することが、口だけではなくて真実なものであるということの表現、実行の一つの方法ではないかというふうにわれわれは考えている。これは野党であるわれわれが言っているからということにおとらわれにならないで、今申しましたように、言い出したのはわれわれで、われわれは早くからそういうことを考えておったわけですけれども、すでに国際舞台においても、今申しましたように東西両陣営の有力な指導者の間に、こういう具体的な提案がなされようとしており、また純粋な科学者の間においても、そういう結論が出ているやさきでありますから、国連において、軍縮問題について少くとも日本が敗戦後の反省をしてイニシアをとろうとするならば、この機会に国連舞台の軍縮討議の中で、ぜひともこの構想、そしてまたその用意を持って、大蔵大臣ともお打ち合せの上で、日本政府代表の提案としてこれをむしろ積極的に打ち出すべきではないか。あなたは特に国際常識を持ち、経済外交については他の歴代の外務大臣よりは理解を持たなければならぬと期待されておる人ですから、その点をよく熟慮されて、ぜひともこれを具体化されるように努力していただきたいという要望をかねて、あなたのお考えを伺っておきたいと思うのです。
#29
○藤山国務大臣 お話のように、国際不安というものは、後進国と先進国との間の経済水準の違いあるいは生活程度の違いというようなところに、一つの原因があることは御指摘の通りだと思います。従いまして、各国がこれについて相当の関心を持っておりますし、また同時に国連等においてもサンフェド、後進国の経済開発特別基金というような問題で、数年来論議されてきておるのであります。この点については相当な資金によって、国連の機構の中でそういうことをやることが、公平というか、あるいはひもつきでないという形において、非常な効果があることは申すまでもありません。従って、軍縮等ができますれば、そうした方面に十分資金を流していけるということも、世界の常識だと思います。従って、軍縮の一つの理由としてそういうことを掲げますことは、これは適当なことであろうとわれわれは思っております。むろん軍縮そのものの問題につきましては問題がございますので、昨年も穗積委員のお話がありましたように、グロムイコが冒頭の演説におきまして、一割――年に一割と言ったのですが、グロムイコはそのとき予算の一割と言ったのでありまして、兵員の一割とは言わなかった。そこで、ソ連の軍事予算というのは幾らなのか、外からわからぬじゃないかというのが国連の声でありまして、一割といったって、ソ連の軍事予算をはっきり示さなければ、一割が幾らになるかわからぬ。自由主義国ならば、むしろはっきり予算がわかっているんだというような議論もありました。従いまして、何らかの形でやはり兵員なり装備なりそういうものをある比率において減らしていくというような方法がとられなければならないと思います。やはり不信感を除去しながら、ソ連、アメリカを中心にして、十ヵ国委員会なり、あるいは国連の委員会等において具体的なそうした問題について軍縮が進行できるように一日もすみやかに結論が出てくることをわれわれは希望しておるのでありまして、そういう意味において、今お話のように、後進国の生活水準を上げ、また経済開発を促進することが平和への一つの道だ、またそれが一つの障害になっている原因だということについては、日本としても十分考慮しながら、そういう問題も取り上げられる必要な時期があろうと思っております。
#30
○穗積委員 大体御趣旨は、私どもの言葉で言えば、今の和栄、また国連の無台における討論からいけば、軍事費の一割削減による無償協力、こういうことについては賛成だということですから、反対をしないという弱いものでなくて、またただ提案してそれが他の人の努力によってまとまるならば歓迎するということでなくて、日本自身がやはり可能なる建設的な具体案を、おたちになる前に一応腹の中に持って行かれて、そして出先において十分そういう討議ができ、または提案ができ、他から提案があった場合にはこれに対する態度を明確に、具体的に日本の代表がとれるような用意をなすっていくべきだと思いますが、そこまでお考えになっておられるかどうか。もう一歩突っ込んで御答弁をいただきたいと思います。
#31
○藤山国務大臣 軍縮問題の具体的内容と申しますか、これらの問題は相当複雑な関係にございますので、それぞれ膨大な軍備を持っております国自身がまず考えることが必要だと思います。ただ総括的に軍縮をどういう形でやるかというような一つの原則的な考え方として日本はどういう行き方をしたらばいいだろうかというような点については、当然いつの国連総会のときでも、果してそれが言い出す適当な時期であるかないかは別といたしまして、われわれとして考えて参らなければなりませんし、またそういう場合には、そういう提案をするような時期が参りますれば、当然そういうことも考える必要がある、こう思って平生から考えておるわけであります。
#32
○穗積委員 それと関連して一点だけ、安保に関連してながめられることですけれども、安保条約改定の第一の新条約内における中心問題は、やはりバンデンバーグ決議、その第一の義務は兵力増強の約束だと思うのです。それに即応して、すでに赤城防衛庁長官は先般、休会中でしたけれども、兵力増強五カ年計画なるものを発表して、そしてこの短期間、すなわち昭和三十九年の十二月に召集される国会においては、現在の軍事予算額の約倍額のものを要求するような案、しかもその内容は、先ほどのお話にあったような核兵器に近づくミサイル装備を中心とする軍備拡張計画である、こういうことをすでに発表された。これが終局ではなくて、一合目なんだ。ところが、今度の改定条約、新条約の条約期間が十年、予告期間一年、すなわち十一年というような長期の条約の期間、これに対して、世間や野党だけでなくて与党内においても批判がある。そういうふうに、一方においては軍縮を提案しながら、かつて岸総理がインドへ行って軍縮を盛んに提案されながら、帰られると、その国会で軍備拡張の予算をぬけぬけと提案される。日本が今日の状態で、あなた方が口に言う言わぬは別として、日本の防衛庁を中心とする兵力増強計画なり、アメリカと軍事同盟を結ぶ、その相互防衛の契約の対象というものは、言わずと知れたことですが、中国がまず第一仮想敵国になっているわけです。それを対象として、安心のできるところまで、しかも日本の安全だけでなくして、バンデンバーグ決議のように、アメリカの安全にも役立つような恒久的かつ効果的なる兵力増強ということになって参りますと、これは国連においていかに軍縮を提案し、一方においてまた、名目は何であろうと、今のような各国の現在あるものが、その予算を削減をして、逆に積極的なる平和建設のための、われわれの言葉でいえば和栄隊、技術建設隊、こういうものをやるということに賛成しておられることが、国際的に見て非常に矛盾しているじゃないか。こういうことについては、この前私が申しましたように、アイゼンハワー大統領――大統領の選挙、改選も近づいて、アメリカの政府がかわる、それから東西両陣営の話し合いも進んでおる、さらに、国連における軍縮委員会も、一ぺんにはいかぬにいたしましても、これを拒否することはできない、平和をささえる多くの世論によってこれが前向きになっている。そのときに、日本が軍縮の先頭に立ってイニシアをとってやっていこうという平和外交を藤山外務大臣が言われておる。一方また、今のような逆の平和建設隊の方へ予算を回そうという、そういう用意も、できるならばあるのだということを言われておりながら、限られた予算の中ですでに四年目に倍額三千億近くの軍事費を要求するような長期にわたる兵力増強計画を一期、二期と進めていこうとするこの最近の動きに対して、矛盾をお感じにならないかどうか。私は、頭が狂っていないならば、これは当然矛盾を感ずると思うのです。そういう点、どういうふうにお考えになっておられるか。今のお話と、それから赤城防衛庁長官が示しておられる急速なる軍備拡張計画、すなわち予算、経済の軍事化が始まるわけですが、そういう方向との矛盾を実はわれわれは解明することができないわけです。そこで、あなたは外務大臣であるとともに、経済問題についても識見を持っておられるはずですから、そういうことについて、あなたは軍縮提案と、急速なる、しかも長期にわたる軍備拡張計画の方針とを一体どう説明されようとしておるのか。その点を、あなたは外務大臣の立場から一つ率直に表明していただきたいと思います。
#33
○藤山国務大臣 軍縮を希望し、世界の平和が来ることを希望しておりますことは、私はあらゆる国民、世界の国民がみな希望しておるのだと思います。またわれわれも希望しておるわけであります。希望して、それに努力をしませんければならぬことはむろんでございますけれども、先ほども申しましたように、国連における軍縮委員会のメンバーの構成数ということだけでも、委員会が半年以上もストップするというような次第でありますので、希望して、すべての国民も決して努力しないわけではございません。しかしなかなか一朝一夕にはこういうものがすぐに結果を得るとは現在考えられない状態ではないかと思います。むろん最小限の自衛の設備というものは当然独立国としてやらなければならぬことであります。自衛の責任を担当しておる人たちが、侵略戦争その他を別にしても、日本の自衛をどの程度にするかという最小限のそれらの規模というものは考えて参らなければいかぬと思います。そういう点について、われわれ軍縮を叫びながら若干自衛の力、少くもこれは自衛力を担当する方々の最小限度の要求というものを認めるべきものであるという間には私は矛盾はないと思うのであります。われわれとしては世界的な軍縮ができまして、そうしてほんとうに平和な時代がくることを希望すると同時に、少くも自分の国だけは自分で守るだけの力は、ある程度備えなければ独立国としてはならないということもまた率直に申して現実の事態だと存じております。
#34
○穗積委員 さっきまでの御答弁は、大体及第だと思って聞いておったのですけれども、今のではどう考えても、あなたはそれを本気で言っておられるならば落第で、そういう迫力の弱いことでは、国連に出ていって軍縮提案をやる――日本外交は平和の先達であるというときに、世界中が平和になれば私も平和にいたします、世界中が軍縮をすれば私も刀を引きます、それでは平和外交じゃないんですよ。そうではなくて、平和の条件をみずから進んで作っていくことが、平和の外交である。それを私は、観念的に、一ぺんに進めとは言わないのであって、一歩または半歩、世界の武力政策をやっておる諸君よりは前に進んでおる、そういう政策を、与党としてでもおとりになれるではありませんかということを申し上げているのです。はなはだ私は不満足ですから、もう一ぺんきょう家へ帰ってよく考え直されて、あしたまたお尋ねしたいと思っておるんです。きょうは時間も三十分しかいただいておりませんので、今の点については再考を要望いたしまして、前に進みたいと思います。
 それでは第二の問題で、中国の代表権問題でございます。御承知の通り、年々国連総会におきまして、中国の代表権、中華人民共和国政府の国連代表権承認問題というのが常に出されて、これは言うまでもなく年々歳々これを支持する国の代表者の投票数というものは多くなってきておる。これを中心になって阻止しようとしておる今のアメリカのアイゼンハワー共和党内閣といえども、これに真正面に反対することができないから、討議を一年間延ばそうというので、延期論できておるわけです。今年度の国連総会におきましても、東西両陣営の話し合いが進んでおる段階、しかも軍縮を促進するという段階、しかもまた、きょうは質問いたしませんでしたが、核兵器実験禁止の会議をものにするためにも、査察制度をとるためには、どうしても中国の参加なくしてはできない。そういう西の陣営における利己的な立場からいたしましても、もうすでにささえることができなくなってきている。こういうときに、この国連における中国代表権問題は、今年度も必ず昨年よりはより多くの支持を得て出てくる。こういうときに日本は、しかもあなたは中国との国交回復については私の大きな外交念願であるということを言っておられる。そのあなたが今度国連へ行かれて、またはその国連代表を駆使される外務大臣として、どういう方針でお臨みになろうとしておるのか、具体的に一つお尋ねいたして、お答えをいただきたいと思うのです。
#35
○藤山国務大臣 中共の国連加盟問題の決議案に対する態度だと思うのであります。少くも現在の段階におきましては、昨年までとりました日本の態度というものを特に変更するというような理由、まだ持っておらないのではないかというふうに考えております。この問題につきましては、十分われわれとして慎重な態度で臨まなければならないと思っております。
#36
○穗積委員 それではちょっとお尋ねいたしますが、予想されることはこういう三つのケースだと思うのです。中国人民共和国政府の代表権を討議して促進すべきだという提案、これに対して賛成投票をされるのか、反対投票をされるのか、棄権をするのかという三つの場合が考えられると思う。その場合、一体今年はその三つのうちのどれをお選びになるつもりなのか、具体的に一つ重大な問題ですから、おそらくは今のお話だとアメリカの顔色を見てでなければ返事ができないものだと思うのです。その延期論に賛成されるのか、棄権をされるのか、願わくは私は賛成投票をしてもらいたいと思うのですが、できない場合も、棄権をする場合と延期論に賛成する場合とでは、その国際的に与える影響というものは非常に大きな違いがあるわけです。それを具体的に私はお尋ねいたしますから、一体そのどれをお選びになるおつもりであるか、ここでお答えをいただいておきたいと思います。
#37
○藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、昨年来の態度について特に変更を加える理由はないと思いますけれども、むろんこれらの問題については絶えず問題の重要性にかんがみまして、われわれとしては十分問題を考えて参らなければいかぬことは当然であります。しかし現在の段階で御質問がありますれば、私としては昨年の態度を変える必要は特にないのではないか、こう考えております。
#38
○穗積委員 そういうことでなくて、少くも国連に出ていって世界の情勢、各国の動きを見た上で、その必要な時期までに具体的に検討するという線までお戻しになる意思はありませんか。今あなたのような動きがとれない、情勢は進んでいるのにさっぱり変らぬというような考え方では、これは私はあなたが口に言われても、中国問題に対する熱意を疑わざるを得ない。これは重要な問題です。この間岸さんが、できればあしたお尋ねしたいと思っておるが、イギリスその他に行かれて中国に対する敵視政策を事あらためて説明をして帰ってこられた。このことは敵視政策について非常な不快な感を持っておる中国の政府並びに党の指導者の諸君を非常に刺激しております。これは向うから見て当然のことです。われわれはもっともだと思う。そういうときに今石橋さんが行かれる、明けた再来月は松村謙三さんも行かれる。行って大いに話し合ったり、見聞を広められることはけっこうなことだ、それが直ちに実を結ばぬにしても、やがて日中両国間の関係を打開するのに役立つような日が来るというような、いわば歓迎するような御答弁が先ほどあったので、私もそれを聞いておったんだが、それであるならば、今のような御答弁ではそれはうわのそらの御答弁ではないでしょうか。先ほどの帆足君に対する御答弁というものは、もうまるでその誠意を私は受け取るわけにいかない。野党のひがみ根性で政府の方針を勘ぐったりあるいは反対するために、攻撃するために事あらためてけちをつけるために言うのではないのです。すなおに私は聞いて、すなおに不満に思うのです。そういう点でもう少し弾力性のある態度をお持ちになっていくべきだというふうに思いますが、重ねてこの点は重要ですからお尋ねいたしておきたい。
#39
○藤山国務大臣 先ほど帆足君にお答えしたように、石橋さんが中共に行かれるのは、石橋さん自身も今懸案の問題を解決するために行かれるわけではなくて、やはり話し合いをして、その基礎の上で将来の道をつけていく何かの役に立てばいいというような意味で行かれるわけであります。私どもも、そういう意味において、有力者が交換訪問されることについて賛成であります。異議はございません。同時に、われわれも、そうした中共の問題につきましては、国連の各国の動向その他も十分検討しなければならぬことはむろんであります。今日まで、われわれとして今申し上げましたように、特に今日、昨年の態度を変更する理由は持っておりません。しかし国連に出ます前にむろん、私は今回で三回出るわけでありますけれども、あらゆる機会に、やはり国連の場においていろいろな問題がございます。またその空気もあるわけであります。そういうものを国連に出た上で十分しんしゃくすることは当然のことだと思うのでありまして、何か東京できめていった観念だけで無理無体に動くというようなことは考えておりません。しかし現状においては、少くとも今申し上げましたように、特に昨年の態度を変更する理由はないというふうに考えております。
#40
○穗積委員 不十分ですが、時間がございませんから、国連に臨まれる前に、ぜひとももう一点だけ要望を兼ねてお尋ねしておきたいことがある。それは、昨年の当委員会で私がお尋ねしたことで、原則としてはあなたも賛成で、そうして同時に条約局長も高橋現条約局長であって、研究してみようということであったことですが、それは国連における拒否権問題というのはこれは世界を一つにし、平和を建設していくためにじゃまになることなんです。だから、ぜひとも拒否権のない国連の会議というものを作り上げる必要が、この際国連中心の政策としては非常に浮び上ってきておるわけですね。そのときの前提条件といたしましては、たとえば六億、四億というような人口を持った一国の代表権も一票、二百万ないし三百万の人口を持った国も一票、こういうことで、これで多数決ということでは――国連中心、やがてこれを発展せしめて世界連邦ということについては、現政府も反対はしておられない。昨年の予算委員会で川崎秀二君がこの問題を提案されて、政府としてもその構想については賛成だ、こう言っておる。そうなりますというと、国連と人民との直接の結びつきということになりますから、従って国連総会における代表権問題での代表は、人民から直接選挙によって選ばれた代表者、たとえばすでに具体的な提案をしておる人も国際法学者の中にあるわけですけれども、御必要があれば参考資料として見ていただきたいと思っていますが、われわれもおぼろげながらごくアウト・ラインを考えまして、たとえば一千万人の人口を単位として一人の代表者を出すというふうな割当にして、そうして選挙区は各国国別でけっこう、そうして代表を出す。そういうことになりますと、たとえば日本でいえば、九人から十人の代表が出られるわけで、そうして場合によれば何億というような国は、頭を四十なら四十、五十なら五十という点でマキシマムを認めて切る。そうして一千万人未満については〇・五の代表権とするか、そういう技術上の問題は先ほど申し上げましたような軍事費の拠出の場合と同じ問題であって、具体的にそこまで議論する必要はない。けれども、少くともそういう人民の直接選挙による国連代表の選出、そういうふうに国連の憲章改正を提案する時期が、軍縮問題をとりましても、東西両会談の情勢をとってみても、それからまた各国の平和を要望する人民の世論が、国連の政治の中に具体的に力となって反映する段階になって参りました今日としては、やはり日本の外交として平和外交を標擁する以上は、この国連の代表権問題、拒否権問題の前提条件としての人民の直接選挙による代表、こういう問題をぜひ考えるべき時期ではなかろうかということを、昨年私はお尋ねしたわけです。それに対してあなたは、その構想については原則的に反対ではない、賛成だ、なお一つ具体的に研究してみたいと思うという御答弁であった。今度また年改まりまして、今度の国連総会へあなたがまたいみじくも三たび目に出られるわけであります。そのときに、このことについて今後直ちにこれを提案したいということをここで確約されるされないは別問題といたしまして、少くともそういうものを日本外交としては具体的に一つ提案をする方向だけをこの際示すことはできないかどうか。この問題は御賛成であったわけですから、しかも党の閣僚として賛成じゃなくて、外務大臣として賛成しておられるのだから、これを一つぜひ私は、重要な点だと思いますから、国連外交の促進のために、その後一年の間に具体的にどういう検討をなすったか、大臣並びに高橋条約局長のお二人からお答えをいただきたいと思うのです。
#41
○藤山国務大臣 国連の憲章改正問題というのは、数年来国連のメンバーの中で問題になってきておるのでありまして、国連の憲章改正というと、すぐに拒否権の問題になりますけれども、それ以外の、ただいまお話のありましたような構成メンバーの関係、その他国連諸般の機構、組織というような問題についても、憲章改正を必要とするような面もありますので、いろいろ議論がございます、問題もございます、またそういう声も出ております。ただ、この問題は国連自体としてなかなか手をつけられない問題でありまして、最近の報道によりますと、本年もまた憲章改正委員会というのは、さらに延期になったような状況であります。今のようなお話について、私がまるまるその通り賛成であるというお話でありますが、まるまるその通り賛成したわけでもなかったと思います。御趣旨を体して研究してみましょうと申し上げたのではなかったかと思いますが、今のお説にありますように、そういうことも一つの方法でありますけれども、たとえば東南アジアで、インドネシアなど人口が多いわけでありますけれども、必ずしも人口の多い国ばかりないのでありまして、そういう点から考えますと、そういうような立場が果してそういうことで有力に代表できるかどうかということも相当問題がございます。まあ一応これらの問題については慎重に検討いたしませんと、私も今すぐ賛否を申し上げるわけに参りませんが、そういう点についてはいずれ――憲章改正ということは、問題になりましては延期になっておるわけであります。従って各国ともいろいろ、改正はしなければならぬがと言って頭をひねっておるので、各国とも、世界のいろいろな国々の立場を公平に代表する方法はどうだろうかということになりますと、それぞれおのずから問題が非常にむずかしくて、悩んでおることではないかと思うのでございますが、そういうこと自体、やはり憲章改正委員会がどうもまた延期になったというような状況にあろうかと思います。しかしこの問題は、国連を強化していくという意味から言いますと、早晩取り上げていかなければならぬ問題でありますから、われわれとしても常時検討いたしておりますし、またアメリカにおいても御承知の通り、カーネギー財団でありましたか、各国から国連憲章改正についての意見を出して、日本方面からも学者その他の方々が相当りっぱな意見を出しておられるのでありまして、真剣にそういう問題を検討する段階が次第に来つつあるのではないか、こう考えております。
#42
○高橋説明員 ただいまの件は、この前御指摘いただきまして以来鋭意、一つの新しい、非常な革新的なお考えとして、われわれも大いに従来引き続いて検討さしていただいております。この点につきましては、たとえばカウンスル・オブ・ユアロップというのが現在ございますが、これが今お考えをある程度表明した一つの小さな典型ではなかろうかというふうに考えております。従いまして、これらがどういうふうに運用されていくかという点につきましても、今後検討していきたいと思います。ただ、ただいまの御提案は国連といたしましても非常な画期的な提案ではないかと考えております。すなわち、国連は各国、国家がその単位として御承知の通り代表者を出しておる。従いまして、国家単位ということを考えを改めまして、各住民単位にこれを出すということでございますから、やはり国連の構成上の基本的な一つの革新ではないかと思っておりますが、これらの点もあわせて検討いたしてみたいと思います。
#43
○小澤委員長 床次徳二君。
#44
○床次委員 私は、最近の国際情勢の推移並びに日本を取り巻くところの情勢の推移によりまして、安保条約の改定問題が影響を受けるかどうかということにつきまして、政府の所信をただしたいと思うのであります。
 私の見るところによれば、先ほどもちょっと同僚からもお話がありましたが、東西両陣営の間において相当冷戦が緩和されつつあるし、また軍縮等の問題も取り上げられつつあるのでありますが、わが国の日米安全保障条約に対する態度というもの、これは国際連合憲章の精神そのものによるいわゆる集団安全保障の体制でありますので、これは国際情勢の推移いかんにかかわらず、やはり今後ともその必要性が継続するのじゃないか、かような意味において国際情勢が相当好転と申しますか、緩和して参りましても、依然としてやはり安保条約の改定は必要なんだ、過去に結ばれた安保条約が相当欠点もありますので、これを是正する意味において、わが国民としては必要を感じ、その努力をすべきは当然だというのが第一の感じなんであります。
 第二の問題といたしまして、われわれがアメリカと互いに自由主義を強化するという立場にあり、経済協力に邁進するというこの原則そのものにおいては、今後の国際情勢の変化がありましても、やはり影響を受けるべきものではないということを感ずるのであります。これに対しては基本的に異論のある方もおありのようでありますが、今日わが国の大多数はかような考え方を持っておるので、多少のと申しますか、相当大きな国際情勢の変化がありましても、このわが国そのものの立場は変らないのじゃないかというのが、私第二の理由になると思います。
 第三の問題といたしまして、われわれ日本を取り巻くところの中ソの関係の情勢の変化というものが、果してどういうふうに影響するかという点、最近の話題でありますが、中共あるいはソ連はわが国に対してアメリカを共同の敵とするという立場に立って、安保条約の改定に対しましては反対論の意向を示し、日本の中立化を促進しておるのでありますが、この問題は、わが国が安保条約を改善するということ、改定するということとの直接の関係にはならないのだと思うのであります。基本的な理念の対立から来るのでありまして、わが国といたしましては、あえて中ソ両国を敵視していない。これは過去におけるところの日本の中ソ両国に対する態度において明らかだと思うのであります。従って、従来の条約を改定せんとするところの今回の安保条約の改定というものは、決して積極的に両国に危害を与えるものでもないし、また日本と中国、あるいは日本とソ連との間において特別な親善関係が今後進みましても、あえて安保条約は改定しなくてもよろしいのだということを感ずるのであります。これが第三点であります。
 第四点といたしまして、今日の安保条約を改定する、この新しい改定された日米関係が日本の外交を安定させ、また日本の自衛体制を確立する、今後十年間この形でもって行き得るということは、日本国民として相当大きな利点だと思うわけであります。かように数点考えましただけでも、今日われわれといたしましては、今後の国際情勢が相当進展、変化いたしましても、なお今日政府が行なわんとするところの安保条約の改定は必要なんだということを感ずるのでありますが、これに対して外務大臣の所信を一つ承わりたいと思うのであります。
#45
○藤山国務大臣 床次委員のお話のありましたように、現在の安保条約そのものをわれわれは改善していこうという立場をとっておるわけであります。そのこと自体は、いずれの国を敵視するゆえんでも、また新たに特定の国を敵視するということに相なるわけでもございません。日本とアメリカとが――一方的にアメリカがとりつけたものを、できるだけ話し合いの上でやっていこうという立場であって、いずれの国を敵視するということも考えておりません。当然日本が独立国家としての立場から見て、現行の安保条約を改正する道を進める必要があろうかと考えております。
 なお、フルシチョフ・アイク相互訪問につきまして、今後の国際情勢の上に相当の影響があることはむろんだと思います。ただ、少くも先ほど申しましたように、すぐ何か問題が解決されるとも思っておりませんし、かりに問題解決の糸口を作るにいたしましても、そのこと自体はやはり一方はワルシャワ条約、中ソ友好同盟条約というものがあり、片一方はNATOその他の関係の条約に立って、一応まず話合いがつくという段階になろうかと思うのであります。それらのものがすぐに解消されて、そして何か話し合いがつくという段階は、相当遠い時期でなければ考えられないのではないか。しかし若干ずつでも話し合いがついていくのが今日の状況でありますけれども、今のような状況でありますれば、そのこと自体によって安保条約の廃棄ということがすぐに適当だろうとは考えておりません。
#46
○床次委員 日本とソ連と中共との関係でありますが、ソ連との間におきましては、日ソ共同宣言の際において安保条約の存在というものを前提として話が進んでいる。従って今後安保条約の改定が従来の改善であります以上、影響がないと私ども考えているのでありますが、これに対して具体的に御意見を伺いたいと思うのです。
 また中共に対する態度でありますが、今日中共との間において貿易の促進と申しますか、理解の徹底という意味において交渉が行われあるいは今後折衝があるということは当然予測されることで、これが行われることはますますけっこうだと思うのでありますが、安保条約そのものに対しましてはソ連あるいは中共がこれに対して非常な否定的な態度をとっております。かような否定的な態度をとっているからといって、貿易関係の促進あるいは両国の理解を深める上において決して害になるものでもないと思うのでありまして、今日なお安保条約の改定が何となしに中ソ両国に対して日本との間において国交を阻害するかのような印象を世間で受け、またかように主張するものもあるわけでありますが、この点に関して一つ政府としても誤解をとく必要があると思うのですが、大臣の意見を聞きたいと思います。
#47
○藤山国務大臣 ソ連との関係におきましては御指摘の通りでありまして、共同宣言ができましたときの状況から見ましても、特に現行安保条約すら差しつかえないという状況において、今後これが新しく改善されます場合には、ソ連との国交に特に何ら影響がないと思います。中共との関係におきましても、安保条約が改善であるという立場をとりますれば、私は決して安保条約を改定したからといって、それが中共との今後の話し合いに障害になろうとは考えておりません。現に周恩来首相が石橋前総理に対して招請状を出した。石橋さんは非常に手固い方でありますから、三つの条件を出してこれこれこういうことで――私は直接石橋さんにまだお目にかかっておりませんけれども、もしそれがほんとうとすれば、安保条約等の問題について何か抗議を撤回しなければ石橋さんと話ができないというような立場を周恩来首相がとっておられないように思います。従って私は経済問題その他の解決に対して、必ずしもこれが支障になろうとは考えておりません。
#48
○床次委員 ソ連との関係でありますが、安保条約の今日の交渉中の草案によりますと、――草案といいますか、伝えられるところによりますと、日本の施政下にあるところの領土は安保条約の対象になる、今後施政権下に入りましたところはやはりその適用を受けるようになるのでありますが、かような立場から見ますと、いわゆる北方領土というものがすぐ問題になるのでありますが、しかしこの問題があるためにソ連との間に非常に感触を悪くする、将来ソ連の日本に対する話し合いを阻害するのだという材料になるかならぬか、安保条約の改定がさような意味において将来日ソの国交のために障害になるかならぬか、私はならぬと思いますが、この関係はどうなっているか明らかにしていただきたい。
#49
○藤山国務大臣 私も床次氏のお説の通り、特に関係があろうとは考えておりません。
#50
○小澤委員長 次会は明九月一日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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